2: ◆pdkDwyOMVs:2013/11/23(土) 03:22:35.75 :zdYFFzyGo
1.
1年3組には、私だけのアイドルがいる。
ちっちゃくて痩せぎすで、静かで口下手で、抱きしめると壊れてしまいそうな、
そんな儚い体つきをした私の友達。
したたかな女は、自分より劣る子を友達にして引き連れ、引き立て役に使うのだ、とよく言われる。
私もそうなのかもしれない。
いや、はじめは多分、そうだったはずなんだ。
1.
1年3組には、私だけのアイドルがいる。
ちっちゃくて痩せぎすで、静かで口下手で、抱きしめると壊れてしまいそうな、
そんな儚い体つきをした私の友達。
したたかな女は、自分より劣る子を友達にして引き連れ、引き立て役に使うのだ、とよく言われる。
私もそうなのかもしれない。
いや、はじめは多分、そうだったはずなんだ。
3: ◆pdkDwyOMVs:2013/11/23(土) 03:24:12.86 :zdYFFzyGo
小梅と初めて話したのは、オリエンテーションの日の廊下での事だった。
慌ただしく体育館へ急ぐ新品の制服の群れを外れて、
小梅は一人、音楽室の前でぼーっと立ち止まっていた。
バスに乗り遅れてHRを欠席した私は、
内容を聞いておこうと思って彼女に声をかけた。
「あの…… 白坂さん、だよね?」
「え? うん。えっと……」
「◯◯でいいよ。何してるの?」
「”あの子”が、ここにいるよ、って」
「はぁ?」
思わず生返事をしてしまった。
私の態度の急変にびっくりしたのか、黙りこくってしまう。
「ごめん。それより、はやく行かないと怒られるよ?」
嫌な空気を払うように、小梅の左手の袖を引き、体育館へと急いだ。
小梅と初めて話したのは、オリエンテーションの日の廊下での事だった。
慌ただしく体育館へ急ぐ新品の制服の群れを外れて、
小梅は一人、音楽室の前でぼーっと立ち止まっていた。
バスに乗り遅れてHRを欠席した私は、
内容を聞いておこうと思って彼女に声をかけた。
「あの…… 白坂さん、だよね?」
「え? うん。えっと……」
「◯◯でいいよ。何してるの?」
「”あの子”が、ここにいるよ、って」
「はぁ?」
思わず生返事をしてしまった。
私の態度の急変にびっくりしたのか、黙りこくってしまう。
「ごめん。それより、はやく行かないと怒られるよ?」
嫌な空気を払うように、小梅の左手の袖を引き、体育館へと急いだ。
4: ◆pdkDwyOMVs:2013/11/23(土) 03:26:17.87 :zdYFFzyGo
あとで知ったことなのだが、昔そこは調理室だったらしい。
火災が原因で校舎が半焼し、運悪く逃げ遅れた一人の当番の生徒が亡くなったのだとか。
そのせいもあってか、今ではうちの学校は弁当持参・パンの購買になっている。
とにかく、小梅が『見える』という秘密を共有したことで、私と小梅は仲良くなった。
あとで知ったことなのだが、昔そこは調理室だったらしい。
火災が原因で校舎が半焼し、運悪く逃げ遅れた一人の当番の生徒が亡くなったのだとか。
そのせいもあってか、今ではうちの学校は弁当持参・パンの購買になっている。
とにかく、小梅が『見える』という秘密を共有したことで、私と小梅は仲良くなった。
6: ◆pdkDwyOMVs:2013/11/23(土) 03:35:02.83 :zdYFFzyGo
7: ◆pdkDwyOMVs:2013/11/23(土) 03:36:31.76 :zdYFFzyGo
胸元の開いた大きめのトレーナー。
耳を覆うような幾つものゴテゴテしたピアス。
エナメルブラックに銀の棘のついたチョーカー。
ピンクに黒い水玉と言う派手な柄のリュックに、ドクロや目玉の缶バッジ。
何から聞いていいかわからなくて、とりあえず
「寒く無いの?」
と聞く。4月の終わりはまだまだ寒い。
胸元の開いた大きめのトレーナー。
耳を覆うような幾つものゴテゴテしたピアス。
エナメルブラックに銀の棘のついたチョーカー。
ピンクに黒い水玉と言う派手な柄のリュックに、ドクロや目玉の缶バッジ。
何から聞いていいかわからなくて、とりあえず
「寒く無いの?」
と聞く。4月の終わりはまだまだ寒い。
8: ◆pdkDwyOMVs:2013/11/23(土) 03:38:12.87 :zdYFFzyGo
「袖長いから…… 暖かいよ?」
違う、そうじゃない。
くっきりとした鎖骨の浮き出た胸元だ。
もはやアバラさえもうっすら見えている気がする。エロい。じゃなくて。
そんな少し邪な考えをふくらませる私に、
小梅は不思議そうな顔で首をかしげる。
なにこれ可愛い、持って帰ってもいいかな。じゃなくて。
「結構派手な格好するんだね、小梅って」
「えと…… 変、かな」
「いやいや、似合ってるよ」
ボーイッシュな格好が似合うとは思っていたけど、
ゴシックパンクなんかもイケるのか。
化粧はしてないようだが、目の下のクマがちょうどいいアクセントになっている。
「袖長いから…… 暖かいよ?」
違う、そうじゃない。
くっきりとした鎖骨の浮き出た胸元だ。
もはやアバラさえもうっすら見えている気がする。エロい。じゃなくて。
そんな少し邪な考えをふくらませる私に、
小梅は不思議そうな顔で首をかしげる。
なにこれ可愛い、持って帰ってもいいかな。じゃなくて。
「結構派手な格好するんだね、小梅って」
「えと…… 変、かな」
「いやいや、似合ってるよ」
ボーイッシュな格好が似合うとは思っていたけど、
ゴシックパンクなんかもイケるのか。
化粧はしてないようだが、目の下のクマがちょうどいいアクセントになっている。
9: ◆pdkDwyOMVs:2013/11/23(土) 03:45:10.63 :zdYFFzyGo
――「今度、どっかに遊びに行かない?」そう言い出したのは私だった。
クラス内で派閥ができつつある中、
私は所属しているバスケ部メンバーが中心のグループに顔を出しつつも、
基本的には休み時間は部屋の隅で小梅と食事したりキャイキャイしていた。
周囲の反応は怪訝だったが、放課後と休日はバスケ部を中心に生活が回っていたので、
私のこの行動は「気まぐれ」として何事も無く受け入れられている。
小梅はと言うと、オカルト部とやらに所属しているようで、放課後は部室へと一直線。
クラスでも少し浮いてはいたけれど、人を苛つかせるような子ではなかったし、
何より私が睨みを聞かせていたから、イジメなどはなく平和にぼっちを満喫しているようだった。
むしろ小梅には、何か不思議なオーラのようなものがあって、
そのため近寄りがたく見えているのかもしれない。
私はそれに『魅力』を感じているし、
小梅を独り占めして可愛がれる事に幸せを感じていたのだけれど。
とにかく、私は小梅を遊びに誘った。
学校内だけで仲良くしてるのはもったいないし、
もっと仲良くなりたかったから。――
――「今度、どっかに遊びに行かない?」そう言い出したのは私だった。
クラス内で派閥ができつつある中、
私は所属しているバスケ部メンバーが中心のグループに顔を出しつつも、
基本的には休み時間は部屋の隅で小梅と食事したりキャイキャイしていた。
周囲の反応は怪訝だったが、放課後と休日はバスケ部を中心に生活が回っていたので、
私のこの行動は「気まぐれ」として何事も無く受け入れられている。
小梅はと言うと、オカルト部とやらに所属しているようで、放課後は部室へと一直線。
クラスでも少し浮いてはいたけれど、人を苛つかせるような子ではなかったし、
何より私が睨みを聞かせていたから、イジメなどはなく平和にぼっちを満喫しているようだった。
むしろ小梅には、何か不思議なオーラのようなものがあって、
そのため近寄りがたく見えているのかもしれない。
私はそれに『魅力』を感じているし、
小梅を独り占めして可愛がれる事に幸せを感じていたのだけれど。
とにかく、私は小梅を遊びに誘った。
学校内だけで仲良くしてるのはもったいないし、
もっと仲良くなりたかったから。――
10: ◆pdkDwyOMVs:2013/11/23(土) 03:55:34.26 :zdYFFzyGo
立ち話を終えた私達は、近くのショッピングモールで夕方まで過ごした。
小遣いの少ない健全な中学生ができる事なんて、せいぜいがウィンドウショッピングぐらいだ。
散々服屋を冷やかし、小梅にラブリーな服を着せてみたり、
今度親にねだる服を真剣に選定したりして、ひと通り服屋を回った。
カワイイ系の服を小梅に着せる事にかけては私はいい審美眼を持っていたようだが、
恥ずかしがってあまり着てくれなかった。
まあそもそも小梅はかなりファッションセンスのある方なので、
自分で自分に似合う服はおおよそ把握していたみたいだったが。
途中で通りかかった雑貨コーナーで小梅が発見した骸骨ストラップをお揃いで買って、
最後にゲーセンでプリをとった。
身長差がありすぎたようで、
備え付けの椅子に小梅を抱え込むようにして座った状態じゃないと一緒にフレームインすることが出来ず、
あまりよい構図にならなかったのがちょっと不満だけど、まあいいか。
そんな普通のお出かけだった。
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立ち話を終えた私達は、近くのショッピングモールで夕方まで過ごした。
小遣いの少ない健全な中学生ができる事なんて、せいぜいがウィンドウショッピングぐらいだ。
散々服屋を冷やかし、小梅にラブリーな服を着せてみたり、
今度親にねだる服を真剣に選定したりして、ひと通り服屋を回った。
カワイイ系の服を小梅に着せる事にかけては私はいい審美眼を持っていたようだが、
恥ずかしがってあまり着てくれなかった。
まあそもそも小梅はかなりファッションセンスのある方なので、
自分で自分に似合う服はおおよそ把握していたみたいだったが。
途中で通りかかった雑貨コーナーで小梅が発見した骸骨ストラップをお揃いで買って、
最後にゲーセンでプリをとった。
身長差がありすぎたようで、
備え付けの椅子に小梅を抱え込むようにして座った状態じゃないと一緒にフレームインすることが出来ず、
あまりよい構図にならなかったのがちょっと不満だけど、まあいいか。
そんな普通のお出かけだった。
















