2:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします:2014/03/26(水) 19:27:13.90 :NrmcVnPo0
フロントガラス越しに広がる霧雨の中、俺はハンドルを握りながら腕時計と必要以上の頻度でにらめっこを繰り返していた。
初春の宵闇に飲まれた一帯は、霧雨に乱反射して連なるブレーキランプが幻想的な雰囲気を醸し出している。
俺が幼いころ故郷で見た竹灯篭を彷彿とさせるなんて、頭の片隅に今の状況にそぐわない雑念が入り混じる。
「時間、大丈夫でしょうか?」
「どうだろうな。天候も悪いし、焦りは禁物だから」
俺の隣、助手席にすっぽり収まって、藤原肇は呟いた。
肇が心配しているのは、寮の門限の事だ。
肇は我がプロダクションが保有する、アイドル専用の女子寮にて生活している。
寮長が門限に厳しいのは社内でも有名だった。門限きっかりに鍵をかけてしまって、こちらが何を言おうとも開けてくれることは無い。
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フロントガラス越しに広がる霧雨の中、俺はハンドルを握りながら腕時計と必要以上の頻度でにらめっこを繰り返していた。
初春の宵闇に飲まれた一帯は、霧雨に乱反射して連なるブレーキランプが幻想的な雰囲気を醸し出している。
俺が幼いころ故郷で見た竹灯篭を彷彿とさせるなんて、頭の片隅に今の状況にそぐわない雑念が入り混じる。
「時間、大丈夫でしょうか?」
「どうだろうな。天候も悪いし、焦りは禁物だから」
俺の隣、助手席にすっぽり収まって、藤原肇は呟いた。
肇が心配しているのは、寮の門限の事だ。
肇は我がプロダクションが保有する、アイドル専用の女子寮にて生活している。
寮長が門限に厳しいのは社内でも有名だった。門限きっかりに鍵をかけてしまって、こちらが何を言おうとも開けてくれることは無い。