2014年05月31日 23:30 サーニャ「空に明星ふたつ」 元スレ 全てのレス 1: ◆VJRQu9X6ME:2014/05/30(金) 17:40:20.60 :8QXJrdj/o ~1945年6月、ブリーフィングルーム~ エイラ「あついなぁ、サーニャ」 サーニャ「そ、そうね」 サーニャ(エイラがそんなに寄りかかって来るからじゃ……) エーリカ「ふふっ」 読む →
2014年05月31日 22:30 愛「私の町のほっとすてーしょん?」 元スレ 全てのレス 1: ◆otejkj8BnbjK:2014/05/31(土) 00:22:39.38 :FaJCsfI20 愛「うぅー、暑いよー!このままじゃ私とけちゃうよぉ…」 愛「あ、あそこ新しくコンビニが出来てる。事務所に行く前に飲み物買っていこっと」 ウイーン 店員「いらっしゃいませー」 愛「涼しいー…っと、いけないいけない。飲み物買わなくちゃ」 『はいさーい!自分我那覇響だぞ』 愛「あれ、響さん?でも声はするけど姿は見えないよね」 読む →
2014年05月31日 21:45 P「キャー! 律子さんのエッチー!」 元スレ 全てのレス 1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/31(土) 20:23:07.99 :RmUNO+Ic0 律子「わわっ!? すすす、すみませんでしたー!」 バタン P「……」 P「……」ゴソゴソ P「もーいーよー」 ガチャ 律子「……あの」 P「なにかな」 律子「勢いに釣られましたが、何で事務所のど真ん中で素っ裸だったんですか!?」 読む →
2014年05月31日 20:45 【咲SS】淡「ここが白糸台高校麻雀部かー!」 4 関連SS 【咲SS】淡「ここが白糸台高校麻雀部かー!」 1 【咲SS】淡「ここが白糸台高校麻雀部かー!」 2 【咲SS】淡「ここが白糸台高校麻雀部かー!」 3 【咲SS】淡「ここが白糸台高校麻雀部かー!」 4 元スレ 751:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/05/09(金) 20:34:45.09 :CRK6ltOp0 ――《夜行》控え室 利仙「ただいま戻りました」 藍子「おかえりなさーいっ!」 絃「さすがに荒川は強かったか?」 利仙「そうですね。かつてのナンバー7として、もっと善戦する予定だったのですが……」 藍子「ガチの荒川さんと打ち合ってプラス収支になってるだけでもすっごいことですよ。私は無理ですっ!」 絃「私もだ」 利仙「ありがとうございます。実際……都市伝説にまでなっている例の仕草が出たときは、鳥肌が立ちましたよ。 あの《悪魔の目》に捉われていたら、私とて無事では済まなかったでしょう。攻撃対象が私ではなかったのが幸いでした」 藍子「いやはや……利仙さんにここまで言わせるとは。さすがの荒川さんだわー」 絃「宮永照を筆頭に、上位《三人》は本当に人外な打ち手ばかりだな……」 いちご「……上位の《三人》。あのチームにおるそのうちのもう一人と、ちゃちゃのんは今から戦うわけじゃな……」ズーン もこ「」ブツブツブツブツ 藍子「トばされなければなんでもいい、だそうです」 いちご「わりゃー!?」 利仙「ま、なんとかなるでしょう。一年生の最初の頃、佐々野さんは辻垣内さんと打ったことがありますが、そのときはトびませんでした」 いちご「あの頃から力の差が開いてなければええがの……」 絃「まあ、さすがに十万点持ちでトぶことはないだろうが、とにかく気をつけてくれ。敵は辻垣内だけじゃない。 《煌星》からはあの宮永照の妹が出てくる。中堅戦も厳しい戦いになるはずだ」 いちご「わ、わかっちょる! いつもは考慮せんことまで考慮して、なんとか繋いでみせるけえ、応援よろしくの!!」 利仙「はい。任せてください」 いちご「ほいじゃ! 行ってくるわっ!!」ダッ 利仙「行ってらっしゃい――」 ダッダッダッ バタンッ 752:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/05/09(金) 20:40:11.83 :CRK6ltOp0 絃「…………行ったか。ということは、いよいよ始まってしまうわけだな。問題のいちごの対局が」 藍子「ええ……始まりますね。大問題のいちごさんの対局が」 もこ「」ブツブツブツブツ 利仙「もっ、もう行きましたよね? 大丈夫ですよねっ?」ソワソワ 絃「ああ、大丈夫だ。廊下を見てきたが、姿はなかった」 利仙「よし……っ!!」イソイソガサゴソ 絃「……チーム編成のとき、私と藍子は、五人目に荒川を誘おうとしていたんだよな」 藍子「ダメ元でしたけどね。言うだけ言ってみようって。私は保健委員なんで、顔見知りですし」 絃「だが、利仙がそれに異を唱えた。『五人目は佐々野いちごにしよう』『佐々野いちごのほうがいいに決まっている』――と」 藍子「いちごさんも決して弱くはないですけど、実績は荒川さんのほうが遥かに上。チームの勝率を上げたいなら、間違いなく荒川さんのほうがいいはずです」 絃「だが、あの《花散る里の天女》、《百花仙》、《最愛》の大能力者、《神憑き》、元ナンバー7と数々の異名を持つ利仙が、『どうしても佐々野いちご』『佐々野いちご以外にありえない』とまで言う」 藍子「聞けば、利仙さんといちごさんがチームを組むのは、これが初めてじゃないってことでしたし。何か、私たちには考えの及ばない、海より深ぁーい理由があるのかと思いました」 絃「それが蓋を開けてみたら……」 利仙「きゃー!! いちごちゃんが対局室に姿を見せましたよー!! ちょっと緊張してるのがまた可愛いなーもーっ!!」ブンブン 絃・藍子「………………」 753:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/05/09(金) 20:48:38.07 :CRK6ltOp0 利仙「さあっ! 霜崎さんも百鬼さんも対木さんも!! この『いちごうちわ』を持って応援しましょうっ!!」ブンブン 絃「利仙、お前……またこんなもの作って……」 藍子「このプリントしてある写真……いちごさんの目線がこっちにない。さては練習のときに隠し撮りしましたね?」 利仙「細かいことは気にしないっ! そんなことより、ほらっ! いちごちゃんが場決めしますよー!! きゃー! きゃー!!」ブンブン もこ「」ブツブツブツブツ 藍子「あ……もこ的にはアリなんだ。ってか、そう言えば、今までももこはわりとノリノリだったっけ」 もこ「/////」ブツブツブツブツ 絃「いちごは夢にも思わないだろうな。自分の対局中に、あの花散る里の天女百花仙最愛の大能力者神憑き元ナンバー7と数々の異名を持つ利仙が、 手作りの『いちごはっぴ』を着て、『いちごはちまき』を締めて、『いちごうちわ』を振り回しているなんて……」 藍子「利仙さん、いちごさんには隠してますからね。ファンだってこと」 絃「それもただのファンじゃない。まだいちごがメジャーじゃなかったジュニア時代からの最古参だ。 いちごに会いたいがために麻雀を覚え、半年そこらでインターミドルの舞台に出てくるくらいだから、相当だぞ」 藍子「霧島に通って神代さんたちに特訓してもらったんでしたっけ。いくら生まれつき《神憑き》の才能があったからって、とんでもない成長っぷりですよね」 絃「実際、利仙はあまりに強くなり過ぎて、記念すべき初対面となったインターミドルの個人戦で、いちご本人をボコボコに負かしたらしいからな。もう何がなんだか」 藍子「《最愛》は《斎愛》――愛し祝いて花咲かす斎き女って、これがその由来なんだって知ったときは、利仙さんに対する諸々の幻想が砕け散りましたよ」 利仙「ほらあー! 二人とも、何よそ見してるんですか!! いちごちゃんが起親ですよーっ! サイコロ回しますよっ! せーのっ、L・O・V・E・い・ち・ごー!!」ブンブン 絃・藍子「い、ち、ごー……」 利仙「声が小さぁーいっ!!」 絃・藍子「い、ち、ごー!!」 利仙「きゃー!! いちごちゃーん! 頑張ってーぇ!!」ブンブン 絃「またこれが半荘二回ずっと続くのか……」 藍子「ゆゆしき大問題ですよね。ま、なんだかんだで、楽しいからいいんですけど」 絃「確かに、ここでしか見られない貴重な光景ではある」 利仙「きゃー! いちごちゃーん!! 愛してるーぅ!! きゃーっ!!」ブンブン もこ「/////」ブンブンブンブン ―――― 754:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/05/09(金) 20:51:18.53 :CRK6ltOp0 ――対局室 美子「よろしくとです」 北家:安河内美子(新道寺・57900) いちご「よろしゅう」 東家:佐々野いちご(夜行・104700) 咲「よろしくお願いします」 南家:宮永咲(煌星・82900) 智葉「よろしく……」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ 西家:辻垣内智葉(劫初・154500) 『中堅戦……開始です!!』 765:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/05/15(木) 20:24:16.57 :jCpyXqlc0 東一局・親:いちご いちご(さて、起親じゃ。幸い配牌もまずまず。手堅く和了っておきたいとこじゃが……打点も下げたくない。ひとまず門前で進めるかの)タンッ いちご(にしても、さっきの次鋒戦の速さは異常じゃったな。決して裏目らん《悪魔》と、筒子とド真ん中しか引かん《百花仙》の利仙、さらには門前特化の《ステルス》……とどめは《飛雷神》の一巡国士テンパイと来たもんじゃ)タンッ いちご(ほとんどの局が山の半分くらいで決着がついとった。じゃが、普通はもっと深くまでもつれることもある。 ちゃちゃのんは特殊な能力がないけえ、手はしっかりと暖めたい。焦らず、騒がず、動じず打つ……!)タンッ 美子「ツモです。1000・2000」パラララ いちご(は――?) 智葉(一回戦と打ち方を変えてきたか) 咲(この人……) いちご:102700 咲:81900 智葉:153500 美子:61900 766:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/05/15(木) 20:26:44.55 :jCpyXqlc0 東二局・親:咲 美子(こん点差……できることない取り返したかばってん、私にナンバー3の辻垣内さんとあの宮永さんの妹ばどげんかできるとは思えん)タンッ 美子(現状、三回戦に駒ば進めるためには二位狙いが妥当。二位の《夜行》とは四万点差。私には無理でん、池田さんか仁美ない一発でひっくり返せる点差と)タンッ 美子(なら、私のすべきことは何か。これ以上離されない。凹まない。逆転のチャンスば残したままで池田さんと仁美に繋ぐ。 そんために、こん中堅戦は徹頭徹尾流す。そいで、辻垣内さんや宮永さんのペースば乱せればなおよか……!)タンッ 美子「ロン、3900」パラララ いちご「はい……」チャ 美子(私は私にできることばすっ……そいがチームのためと!) いちご:98800 咲:81900 智葉:153500 美子:65800 768:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/05/15(木) 20:31:51.84 :jCpyXqlc0 東三局・親:智葉 咲(二回戦に勝ち上がってくる人たち相手だと、さすがに思うようにいかないな。1000点スタートは大変だよ。合宿のときもそうだったけど、序盤でハコになることがある)タンッ 咲(そもそも団体戦に《プラマイゼロ》は存在しない。それを、25000点持ちの30000点返しだって自分を騙して、能力を使ってる。 その上、1000点スタートなんて無茶な想定をしてるから、騙しどころか騙し騙しの応用。ちょっと崩されると立て直すのに時間がかかる……)タンッ 咲(先鋒でへっぽこエースの淡ちゃんが不発だったから、チーム的には、この中堅戦で真のエースの私がなんとかしないといけない。 できるだけ稼いで、友香ちゃんや煌さんの負担を、少しでも軽くしておきたい)タンッ 咲(嶺上開花は自己判断でやっちゃっていいって話だったけど、淡ちゃんの残念ダブリーの例もある。あんまり能力を過信するのもな。 特に、この眼鏡の――辻垣内さん。さっきの荒川さんと同じ、あのお姉ちゃんをそこそこてこずらせる人)タンッ 智葉「」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ 咲(この人がいつどこで何をしてくるかわからない。慎重に行くよ。私はバカの淡ちゃんと同じ轍は踏まない……!!) 咲「カン」パラララ 咲(よし、これであとは次巡でツモれば!) 美子(出た……《魔王》のカン。こいで場の支配を強めて、点数調整ばしとるとかなんとか)タンッ いちご(嫌な感じじゃの――)タンッ 智葉「ポン」タンッ 咲(え――飛ばされ……!? いや、それだけじゃない――!!) 美子「あ……ツモ、500・1000です」パラララ 咲(トばされた……!? その和了り牌は私のだったのに!! いきなり1000点スタートの想定が崩されたよ。この人、やっぱり危険……ッ!!)ゾクッ 智葉「」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ いちご:98300 咲:81400 智葉:152500 美子:67800 769:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/05/15(木) 20:38:45.70 :jCpyXqlc0 ――《劫初》控え室 憩「おおーぅ、さすがガイトさん。いやらしいとこで鳴きますなー」 菫「智葉のポンがなければ照の妹が和了っていた。あいつもお前と同じで、よく見透かしたような打ち方をするな。 頭が切れるのは認めるが、お前のような《特例》の才能を持っているわけではないはず。あの鋭さは一体どこから来るものなんだか……」 憩「あれ、菫さんは知らへんのですか? ガイトさん、元能力者やってん。その名残で、能力者が引き起こす場の変化に敏感なんやそうですよー」 菫「初耳だぞ……。というか、元ということは、今は違うんだよな? 能力者が能力を失った例というのも、私は聞いたことがないが」 憩「それは、まあ、聞いたことないのも無理ありません。ガイトさんのは厳密には能力とちゃいますから、ホンマのホンマにレアケースなんやと思います」 菫「能力じゃない? しかし、お前は先ほど能力者と……」 憩「言葉の綾ですわ。ガイトさんが能力者と呼ばれていた時期はありません。あくまで学園都市基準で言うならそうや、っちゅー話です」 菫「……どういうことだ?」 770:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/05/15(木) 20:46:36.46 :jCpyXqlc0 憩「菫さんは聞いたことありますか? 《魔術師》っちゅー単語」 菫「あるにはある。海外では《能力》のことを《魔術》と呼び、《能力者》のことを《魔術師》と呼ぶのだろう? 実際、ウィッシュアートも母国では《魔法使い》という扱いだそうだし」 憩「ところがどっこい、学園都市の《能力》と海外の《魔術》は、まったく別物らしいんですわ。 引き起こす現象が同じやから、便宜的に《オカルト》でひとくくりにしとるだけ。両者は根底にある理念からして違うそうなんです」 菫「具体的に、どこがどう違うんだ……?」 憩「あー、いや、詳しいことは、ウチも知らへんのです。小走さんが『学園都市にいる雀士が聞いたら間違いなく発狂する』『特にお前はヤバい』言うて、教えてくれへんかったんですよ」 菫「な、なんだそれは……?」 憩「えーっと、ふわっとは聞かせてくれましたよ。ほら、今朝、話したやないですか。ウチと衣ちゃんと小蒔ちゃんとチーム《刹那》で一緒やった二人――《拒魔の狛犬》、《双頭の番犬》」 菫「染谷まこと井上純か。タイプ的に智葉に近いと言っていたな」 憩「小走さんの話やと、あの二人は、知らず知らずのうちに《運命論》ベースの打ち方を体現しとる節があるそうなんです」 菫「ん? その、運命論というのは一体なんなんだ?」 憩「場には《流れ》があるっちゅー理論、って言うてました」 菫「流れ……? ただの思い込みと意識的確率干渉が混同されていた古代に横行した、あれのことか? 今は流れがいいからツモれそうな気がするとか、流れが悪いから大人しくしていよう、といった」 憩「一時的な確率の偏りを、何かの力やと誤解してまうやつですね。古典確率論をぶっちぎる《能力》とは別物。 せやけど、その流れと、ウチが――というか小走さんが言うた《流れ》、《運命》っちゅーんは、全然ちゃうそうなんです。 ほんで、運命論っちゅーんは、そこを出発点に理論を組み立てとるとかなんとか……」 菫「わけがわからん!」 憩「誰かー!? 小走さんつれてきてー!!」 771:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/05/15(木) 20:56:53.29 :jCpyXqlc0 菫「ま、まあ、いい。《魔術》とやらの詳細は今は置いておこう。智葉が元魔術師――元能力者だという話だったな」 憩「えっと、なので、学園都市風に言うなら、ガイトさんは《パーソナルリアリティ》空間内における支配力や意識的確率干渉の《波束》の変化に敏感なんですわ。 これ、雀士によってはまったく感じ取れへん人もいますでしょ。今回は《新道寺》の助っ人しとる《砲号》の池田さんなんかがそうです。衣ちゃんのゴゴゴもまったく感じ取れへんくらいやから、相当ですよ」 菫「私もそこまで鋭敏なほうではないから、漠然としかわからんがな。せいぜい、嫌な予感がする、とか、何かしているな、くらいだ。 過去の牌譜や相手の打ち筋のクセから、総合的に能力の発動を察知しているに過ぎん」 憩「ガイトさんは元々高位の魔術師――高レベルの能力者やってん。系統は学園都市で言うところの感応系。他者の《パーソナルリアリティ》に干渉し、その意識の《波束》と共振するタイプの能力者。 せやから、相手の支配領域《テリトリー》やら能力の発動やらに、異常に鋭い。 さっきの《魔王》のカンも、普通ならデータと睨めっこしてなんか怪しいなー、くらいまでしかわからへんところを、ガイトさんには、たぶんもっと深いところまで見えとったはずです。 でなければ、山牌が見えるわけでもないガイトさんに、あんな的確な鳴きはできひん」 菫「言われてみれば……あいつも大概オカルトな打ち手だったな。にしても、よく知ってるな。私は智葉とはそれなりに長い付き合いだが、魔術云々の話は聞いたことがなかったぞ」 憩「いや、たまたまです。ちょっと機会がありましてん。チーム結成したあの日――菫さんが帰ってもうたあと、ウチとエイさん、ガイトさんに誘われて、ちょっと打ったんですわ。 そんとき、なんや観光で来たとか言うてはりましたけど、ガイトさんの魔術師時代のお友達も一緒やってん、あることないこといっぱい聞かされましたわ」 菫「ああ……確か、中学三年の頃までだったか。智葉のやつ、海外を放浪していた時期があったと言っていたな。国際色豊かなやつだと思っていたが、そうか、そのときのあいつは魔術師だったんだな」 憩「そういうことらしいですね。ほんで、魔術師っちゅーんは、《魔法名》っちゅーんを持ってるのが一般的やそうなんです。 で、そのガイトさんの昔のお友達さんから聞いたガイトさんの《魔法名》が、あまりにぴったり過ぎて、エイさんと大爆笑したんですわ」 菫「ほう。何と言うのだ、その、智葉の《魔法名》というのは?」 憩「Fallere825――」 智葉『ロン。12000』 美子『は、はい』 憩「《背中刺す刃》」 772:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/05/15(木) 21:01:43.07 :jCpyXqlc0 菫「……なるほど。それは確かに智葉らしい」 憩「ガイトさんは、世界的、歴史的に見ても極めて稀な、科学と魔術のハイブリッド。交差するはずのない二つの世界の両方を知る二重存在です。 魔術世界から科学世界に移るときに、魔術師としての力を失いこそしたものの、その経験は今も活きとる。 ほんでもって、魔術世界におったときも、科学世界におる今も、その本質は変わってへん。あの人は、あの人自身が抜き身の刀……向こうの《背中刺す刃》は、こっちでも《懐刀》や」 菫「《懐刀》は《快刀》――その刃は乱麻を断ち、濫魔を絶つ……か」 憩「魔術師としてのガイトさんも、相当強かったらしいですよ。当時のガイトさんも、今と同じでほぼ無敗。同世代でガイトさんを超える雀士は、たった一人しかおらへんかったとか」 菫「むしろ一人でもいたことが驚きだな。まあ、お前は《特例》中の《特例》だから科学も魔術も関係ないとして……そうか、あちらの世界にもいるのか。 あの智葉が敵わん相手――魔術世界の照とでも呼ぶべき存在が」 憩「《神に愛された子》……ガイトさんたちはそう言うてましたね。あらゆる魔術師の《頂点》に君臨する超魔術師。その名もずばり――運命奏者《フェイタライザー》」 菫「魔術世界の《頂点》、か。照と戦わせたらどちらが強いんだろうな」 憩「ウチも同じことをガイトさんに聞きましたわ。両方と対戦経験があるのは、世界広しと言えどもガイトさんだけでしょうし」 菫「なんと言っていた?」 憩「『わからん』……言うてました」 菫「…………それが本当なら、恐ろしいことだ。この世に照みたいなやつがもう一人いるなんてな。《頂点》へと至る道のりは……あまりに長く険しい」 憩「ま、科学と魔術――この二つの世界は滅多に交わることがないそうですから、直接対決なんて実現せーへんでしょうけど」 菫「だといいがな……」 いちご『リーチじゃ……!』 773:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/05/15(木) 21:14:32.22 :jCpyXqlc0 ――対局室 南一局・親:いちご いちご「リーチじゃ……!」 東家:佐々野いちご(夜行・97300) いちご(はぁ……本格的にヤバいの、視界がかすむ――)クラッ 美子(佐々野さん、具合悪か感じやけど、大丈夫とやろか……?) 北家:安河内美子(新道寺・55800) 智葉(佐々野いちご……無能力者。麻雀歴は十年以上。それなりに精度の高いデジタル打ち。だが、白糸台の二軍《セカンドクラス》――その上位と張り合うには、致命的な弱点がある) 西家:辻垣内智葉(劫初・164500) 咲「」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ 南家:宮永咲(煌星・81400) いちご(っ――! また、吐き気が……うくっ、悪寒が止まらん。いや、我慢じゃ。今は対局中。泣き言は言っとれん……!!)タンッ 智葉(支配力、或いは、確率干渉力。これが異常に強いと、周囲の環境に目に見えるほどの影響を及ぼす。気圧の乱れ、電磁場の乱れ、等々。 それに、強過ぎる確率干渉の波動は、時として人体そのものを直接蝕む。内臓や感覚器官にモロにダメージがいくわけだ。これが、いわゆる確率干渉の余波と呼ばれるものだが――) いちご(牌が――重い……)タンッ 智葉(個人差はあるが、低ランク雀士の中には、この確率干渉の余波に対する耐性がまるでない者も多い。佐々野はそれだ。そんなやつが、この白糸台に五人しかいない、最高の支配力を誇るランクSと同卓している。 喩えるなら、防護服もなく宇宙線に晒されるようなものだろう。まともなコンディションを保てるわけがない。下手をすれば、半荘一回が終わらないうちに病院送りにされるぞ) 咲「カン……」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ いちご「――っ!?」ゾワッ 咲「ロン、8000」パラララ いちご「はぁ……はぃ……」 いちご(オーダーを見たときから覚悟しとったが……辛過ぎる。高ランク雀士が相手でも意識を保てるよう、利仙に特訓してもらったんじゃが……こいつの支配力は《神憑き》の利仙すら遠く及ばん。桁が違うんじゃ) 咲「」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ いちご(い、いや、耐えるんじゃ……! ちゃちゃのんは一人の雀士として卓に着いた。チームの一員として戦っちょる。今にも身体が指の先から溶けていきそうじゃが、負けるわけにはいかんのじゃ……っ!!) 智葉(精神力でどうにかできるレベルではないと思うが……まあ、その気概は評価しよう。さて、私もそろそろ動くとするか。ランクSの魔物――宮永妹。悪いが、お前にはこれ以上何もさせん) 美子(次は宮永さんの親番……生牌ば抱えつつ、さっさと和了るっ!) いちご:89300 咲:90400 智葉:164500 美子:55800 774:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/05/15(木) 21:18:00.48 :jCpyXqlc0 ――《煌星》控え室 咲『カンッ!』 淡「えーっ! もったいない! さっさと嶺上で和了っちゃえばいいのにー!!」 桃子「カンしたあとの対応から、相手の力を推し量ってるんだと思うっす。嶺上さんは、超新星さんと私の能力が打ち破られるのを見てたわけっすから」 友香「咲は他家の出方を見るのがめちゃめちゃうまいんでー」 煌「咲さんの洞察力は、この《煌星》でも随一ですからね」 いちご『チ』 智葉『カン』 桃子「そこで大明槓!? 意味わからないっす!!」 友香「門前も三暗刻も捨てて……なんのつもりでー、あのナンバー3」 淡「でも、今ので、サッキーの支配領域《テリトリー》がまた揺らいだ。あのまま普通に進んでいれば、サッキーは《夜行》の人から直撃を取れてたのに!」 煌「……いや、それだけではありませんね。恐らく辻垣内さんは、鳴いてツモ順をズラすと同時に、点数調整をしたのでしょう。 ここで和了られると、咲さんにとっては非常にやりにくい状況になるかもしれません」 淡「キラメ、それどういうこと……?」 煌「見ていればわかります」 智葉『ツモ、1300・2600』パラララ 775:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/05/15(木) 21:22:26.22 :jCpyXqlc0 淡「え、ちょ――この点数……!? そっか、そういうこと!」 桃子「現段階での嶺上さんの個人収支がプラス4900点で順位が二位……ってことは!」 友香「《プラマイゼロ》でー!?」 煌「咲さんの能力は、能力それ自体が《制約》みたいなものです。このまま直撃とツモがなければ、通常の《プラマイゼロ》が達成できてしまう。 残り局数も僅かですし、このまま蚊帳の外に追いやられても不思議ではありません。むしろ、咲さんの能力的にはそのほうが安定……自然に打てば現状維持に傾くでしょう」 淡「そっか……《プラマイゼロ》からズレてれば、それをどうにかしようっていう能力の効果が働くから、和了りにもっていきやすい。 普段のサッキーは、そこに支配力のブーストをかけて、強引に1000点スタート《プラマイゼロ》を達成してた」 桃子「でも、現状で既に《プラマイゼロ》なら、能力的には現状維持の効果が強く働くっす。あのとんでもない場の支配も、他家で打ち合いをさせるような方向にしか使えない」 友香「現状維持は、言わばゼロのベクトルでー。そこにいくら支配力を相乗させたところで、ゼロはゼロのまま。むしろ相乗させればさせるだけ点を取りにくくなる。自分で自分の首を絞めることになる……」 煌「咲さんがここから点を取るためには、自身の能力の強制力を振り払い、辻垣内さんの妨害を掻い潜って、和了らなければいけません。 どちらか一つを超えるだけでも大仕事だというのに、それを二つ同時にクリアしなければいけないというのは」 智葉『ロン、7700』 いちご『は、はい……』 淡「ま、まあでも、なんだかんだで二位浮上してるし、いいのかな……?」 桃子「トーナメントを勝ち上がるだけなら、いいと思うっすけど」 友香「でも、咲は私たち《煌星》のダブルエースの一人。《プラマイゼロ》そのものが弱点だって知れ渡ったら、この先チームが立ち行かなくなるかもでー」 煌「モニターで見る限り、咲さんも歯がゆく思っているようですよ。どうなっても見守りましょう。それが今の私たちにできることです」 776:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/05/15(木) 21:27:43.75 :jCpyXqlc0 ――対局室 南三局一本場・親:智葉 咲(わざと点数を下げて私の得点を《プラマイゼロ》にして、そのまま蚊帳の外に追いやる……? そんなの……そんなのってないよ……!!)ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ 北家:宮永咲(煌星・87800) いちご(うっ……また――)クラッ 西家:佐々野いちご(夜行・80300) 美子(さ、佐々野さん!? しっかり……!!) 南家:安河内美子(新道寺・54500) 智葉(ふむ……まだ消えないか。大したやつだな。ま、そのほうが楽しめていい。ここから何かしてくるというのなら、それはそれで見てみたいものだ。 が、チームとして戦っている以上、あまり滅多なことはできん。手堅く断ち切っておくか――) 東家:辻垣内智葉(劫初・177400) 智葉「カン」パラララ いちご(ま……た大明槓!? しかも、今度はドラ4じゃと!? こんなんオリるしかなかろう……っ!!) 美子(辻垣内さん……普段はこんな危うか打ち方なんてしてこんのに。連荘は止めたかばってん、直撃は避けたか。ツモられる分には二位との点差は広がらんけん、ここは大人しくオリたほうがよかとやろか……?) 咲(またわけのわからないところで……この人――!? けど、連荘なんてさせないよ。《プラマイゼロ》の状態からでも、否、だからこそ、できることがある……!!)ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ 智葉(ん……宮永妹がテンパイを崩した? 一体どういう――ああ、そうか。なるほど、そこそこ頭は回るようだな。積極的に現状維持をしようということか。 佐々野と安河内はオリ気味だし、そちらの得意分野で攻めてこられると、レベル0の私にはなかなか辛いものがある。 まあ、いい。せっかくだから試せるだけ試してやろう。こちらの懐は痛まんわけだしな……) 777:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/05/15(木) 21:34:47.96 :jCpyXqlc0 ――《劫初》控え室 咲『ノーテン』 智葉『ノーテンだ』 いちご・美子『……ノーテン』 菫「流れたな。これは智葉の思惑通り、なのか?」 憩「ちゃうと思いますよ。これは妹さんの思惑通りです」 菫「というと?」 衣「あのカン使い、途中でわざとテンパイを崩した。あれが真に《プラマイゼロ》にしかならないというのなら、ここから点を得ることも失うこともないということ。その特性をうまく利用したのだな」 菫「自身の点棒をそのままにできることというと……」 エイスリン「アガラナイ、フリコマナイ、ツモラセナイ、ツイデニ、モヒトツ」 憩「ノーテン罰符も無にできる、っちゅーことです。今の局、佐々野さんと安河内さんはベタオリやったから、テンパイするとしたら妹さんかガイトさんの二人だけ。 せやけど、二人がテンパイしてもうたら、流局時にノーテン罰符で点棒の移動が起こることになります」 菫「つまり、照の妹は、わざとテンパイを崩すことで、全員がノーテンになるように場を支配したのだな? それなら、確かに点棒の移動は起こらない。照の妹は《プラマイゼロ》のまま。これ以上ない現状維持だ」 憩「全員の手を止めてまえば、ガイトさんが他の二人から和了ってまうっちゅー可能性も消せます。 自身の《プラマイゼロ》を崩さず、他二人がベタオリの状態からガイトさんの親を蹴る。その両方を同時に達成できる冴えたやり方は、全員ノーテン流局しかありません」 菫「天江ばりの呆れた場の支配だな……。まあ、こちらの点棒は減らないわけだから、問題ないと言えば問題ないのか」 衣「さとはも色々と試していたようだが、今回はあれの支配を突破するには至らなかったようだな。衣と同じ最高階級の支配者《ランクS》……一度打ってみたいものだ」 エイスリン「マケテモ、ホネハ、ヒロッテヤル!」 衣「衣は負けないっ!」 菫「まあ、照の妹は勝たないし負けないのだから、お前の望むような勝負が成り立つかどうかは微妙なところだと思うぞ」 憩「衣ちゃんはすーぐ相手の心を折りにいくからなー」 衣「それは貴様も同じだろう、けいっ!」 憩「人聞きの悪い。ウチは心を折るんとちゃう、曲げて捻って弄ぶんや!」 菫「どちらも性悪だな……」 憩「いや、菫さん。それを言うたらガイトさんなんか極悪ですわ。見てください。あれはきっと何か殺るつもりですよー?」 エイスリン「サトハ、カオ、コエーゾ!!」 智葉『リーチ……』ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ 778:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/05/15(木) 21:43:35.69 :jCpyXqlc0 ――対局室 南四局流れ二本場・親:美子 智葉「リーチ……」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ 北家:辻垣内智葉(劫初・176400) 美子(ここでトップの辻垣内さんのリーチ!? どがんなっとん……ただのリーチやのに恐ろしか!)タンッ 東家:安河内美子(新道寺・54500) いちご(くっ……なんのつもりじゃ……!? じゃが、ちゃちゃのんも大きいの張ったけえ、ヤミで撃ち落しちゃるッ!!) 南家:佐々野いちご(夜行・80300) 咲(こ、この人は……っ!!)ゾッ 西家:宮永咲(煌星・87800) 智葉(宮永妹――お前の《プラマイゼロ》は確かに強力だ。強度もそうだが、支配領域《テリトリー》が通常では考えられないほどに広い。はっきり言って、何もかもが異常だ。得体が知れないにも程がある。 しかし、強力な力ゆえに、制限も多いらしい。選別戦や予選での不自然な打ち回しを見たときから、もしやとは思っていたが、直に打って確信を得た。 こいつは《プラマイゼロ》の力を意識的にオフにすることができない。信じ難いが、《プラマイゼロ》以外の結果になったことがないようにも見える。 だとすれば、こいつを殺すのは実に容易い。この何の変哲もないリーチで、その四肢を斬り落とすことができるわけだ) 咲(トップで、しかも元々リーチ率はそこまで高くないはずなのに、このオーラスで仕掛けてきた。さっきの点数調整といい……この人、私の《プラマイゼロ》を完全に見切ってる……!?) 智葉(宮永妹の今の個人収支はプラス4900点。通常の《プラマイゼロ》は達成している。 しかし、時と場合によって、こいつは1000点スタート《プラマイゼロ》などというわけのわからん真似をしてくるそうじゃないか。 つまり、今現在、こいつの頭の中では、1000点+4900点で、持ち点が5900点ということになっているはず。ここから三倍満――24000点を和了れば、積み棒の分も入れて30500点。五捨六入で《プラマイゼロ》達成。 だが、そこにリー棒が出ればどうなる……?) 咲(ここで三倍満を和了ると、リー棒もついてきちゃうから個人収支は31500点――《プラマイゼロ》にならない……! いつもなら……ちょっとくらい予想外のリー棒が出てきても、カンで符点調整して誤魔化せる。けど――!) 智葉(満貫までの点数なら、調整の手段はいくらかあったろう。しかし、お前が今狙っているのは満貫以上の大きな和了り。 4000点、8000点刻みで打点が上がってしまう。計算を狂わすには、たった1000点分のリー棒で事足りる) 779:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/05/15(木) 21:49:20.78 :jCpyXqlc0 咲(リー棒が出た時点で、この局での1000点スタート《プラマイゼロ》の達成は封じられた。どうしよう……!? この人の狙い通り、このままプラス4900点をキープして通常《プラマイゼロ》で終わる……? いやいや、そんなの許せるわけないよっ!!)ゴッ 智葉(ん? 手足を失ってもなお噛み付いてくるのか。面白い。一体何を見せてくれる……?) 咲「カンッ!!」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ 智葉(大明槓ツモ切り。プレッシャーは悪くない。宮永と同じ血が流れているというのも納得だ。で、ここからどうなる――?)タンッ 美子「ロ、ロンです! 7700は8300ッ!!」パラララ 智葉「……はい」 智葉(ほう……? ツモ順をズラし、他家の手にカンドラを乗せ、私を削りに来たか。 しかも、ただ私を削りたいだけなら、佐々野のほうが大きい手を張っている風だった。なのに、こいつはわざわざ安手だった安河内をアシストした。これはつまり――) 咲(次は南四局三本場……積み棒が邪魔で点数調整がキツいけど、対局さえ続けば、1000点スタート《プラマイゼロ》にするチャンスがきっとどこかで出てくる。私は勝ちを諦めない……!!) 智葉(ラス親の安河内の連荘支援か。なるほど。確かに、それなら、いつかどこかで点数調整の機会が巡ってくるかもな。やり方次第では、チャンスを伺いつつ私を削ることもできよう。 しかし、残念だが、宮永妹。その程度の《解答》では不合格だよ) 美子「……和了り止めするとです。前半戦は、こいで終わりと」 咲(は――?) 780:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/05/15(木) 21:53:45.09 :jCpyXqlc0 智葉(英断だな。中堅戦開始時に五万点近くあった二位との差が、今は二万五千点程度に縮まっている。 後続の得点能力を考えれば、安河内がここで無理をする必要はない。宮永妹、これではっきりした。今のお前は姉に――宮永照には遠く及ばない) 一位:辻垣内智葉・+13600(劫初・168100) 咲(そんな……なんで!? ラスなのに連荘しないの? どうして……!!) 三位:宮永咲・+4900(煌星・87800) 美子(そげん泣きそうな目で見られても困っとよ。私には私の目的と優先順位のあっ。 さて……ひとまず気持ちば切り替えっと。次で、せめて二位との点差ば一万点台にしたかね。そんために……私になんのできる……!!) 二位:安河内美子・+5900(新道寺・63800) いちご(や、焼き鳥一人沈みで三位転落……じゃと!? こ、こんなん、皆に申し訳ない。うぅ……ちゃちゃのんはどうしたらええんじゃ……)クラッ 四位:佐々野いちご・-24400(夜行・80300) 智葉(さて、今のところは荒川の見立て通りか。ランクSとは言えまだまだ一年生。私や荒川の敵ではない。この程度なら、たとえこいつらが三回戦に上がってきたところで、それまでだろう。だが――) 咲(か、必ず……!! 次こそは必ず1000点スタート《プラマイゼロ》にしてみせる……!!)ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ 智葉(本気で向かってくる相手を優しくいなしてやれるほど……私は器用じゃない。真剣には真剣で切り返す。 これだけ脅してもまだ歯向かう気概があるか、宮永妹。よかろう……そのか細い首、この《懐刀》が斬り落としてくれる――) 読む →
2014年05月31日 20:30 【咲SS】淡「ここが白糸台高校麻雀部かー!」 3 関連SS 【咲SS】淡「ここが白糸台高校麻雀部かー!」 1 【咲SS】淡「ここが白糸台高校麻雀部かー!」 2 【咲SS】淡「ここが白糸台高校麻雀部かー!」 3 【咲SS】淡「ここが白糸台高校麻雀部かー!」 4 元スレ 506:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/04/19(土) 16:10:19.70 :LyBQRhwm0 ――スクール隠れ家 洋榎「ロンや、8000ッ!!」ゴッ 憧「ふきゅ……!?」 哩「ふう、まくられたか」 憧「ご、ごめん……哩」 哩「いや、憧のせいやなかとよ」 洋榎「せや、ただうちが強いだけやっ!」 白望「さっきは三位だったくせに……」 洋榎「こらっ、シロ! いらんこと言うなっ!!」 久「憧、今のは、突っ張るならこっちのほうがよかったかもね。そうすれば……ほら、ここがこうなって――」 憧「ちょ、ちょっとタイム! か……顔洗ってくる! 今度は負けないからねっ!!」タッタッタッ ―――― 507:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/04/19(土) 16:15:09.42 :LyBQRhwm0 ―――― 憧(ふう……しっかりしろ、あたしっ!! 洋榎たちが強いのは当たり前じゃないっ!! これくらいでメゲちゃダメ!! 久に……どこまでもついて行くって決めたんだから――これくらいで……!!)ウルウル 憧(あたし……こんなんじゃみんなの役に立てないよ……! どうしたらいいの? あたしなりに頭使って打ってるのに、全然勝てないっ!! みんなは……あたしのことセンスあるって言ってくれるけれど、とても信じられない……)ポロポロ 久「憧……」 憧「ひ、久っ!? な、なに、どうかした!?」ゴシゴシ 久「どうかしたってほどでもないけれど、気になってね」 憧「…………あたしの泣き顔を見にきたわけ……?」 久「そうね。憧ったら、最近一人で泣くようになったから。久しぶりに、あなたの可愛い顔を見たくなって」 憧「バカ……最悪……!」ウルウル 久「憧……頑張ってるのは偉いと思うけど、一人で悩んでもいいことなんてないわよ」 憧「け、けど……」 久「いいから……たまには先輩らしいことをさせなさい」ギュ 憧「っ!? ひ、久っ!! その……あたし……」 久「ほら、遠慮しない」ナデナデ 憧「うっ……////」 久「思っていること……ちゃんと言ってくれないと、わからないわよ?」 憧「っ……! なっ……なんで……!! なんであたしは勝てないのっ!? 久にも、洋榎にも、哩にもシロにも!! 四人だけじゃない!! 智葉にもゆみにも恭子にも勝てなかった!! ねえ、久、正直に答えて。あたし、向いてないのかな……麻雀……」 久「そうね。向いてないかも」 憧「えー!!?」 508:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/04/19(土) 16:19:48.15 :LyBQRhwm0 久「そういう風に、負けたくらいでいちいち後ろ向きになっちゃう程度の覚悟しかないのなら……麻雀なんてやらないほうがいいと思うわ」 憧「久……そこは『そんなことないよ』って励ましてくれるとこじゃないわけ?」 久「あなた、これだけ一緒にいて、まだ私の性格を理解してないの? 悪いけど、私、弱い子に興味はないわ」 憧「なによ、それ……っ!! 久のバカ!! あたしが弱いっていうの!?」 久「違う。私は弱い子に興味はない。つまり、私が目をかけたあなたは……強いのよ」 憧「は……?」 久「けど、あなた自身が、自分は弱いというのなら、私の見立ては間違っていたのかもね」 憧「け、けど……あたしは実際、久たちに勝てないし……」 久「だから……わからない子ね。私たちが初めて会ったとき、あなた、麻雀で私に勝ててたかしら? あっという間にトばされてたでしょ。けど、それでも、私があなたを学生議会室に誘ったのは、なんでだったと思う?」 憧「き、気紛れ……?」 久「気紛れで智葉がいるような異次元空間に新入生はつれていかないわよ。私、そこまで外道じゃないわ」 憧「じゃ、じゃあ――」 久「言ったはずよ。私はあなたの目が好きなの。とても強い目。この子なら、きっと、挫けても壊れても……何度だって立ち上がって、私たちの後を追ってくる。そう思ったから、私はあなたを五人目にすると決めた」 憧「久……」 509:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/04/19(土) 16:27:32.35 :LyBQRhwm0 久「憧、いい? この白糸台にいる雀士はね……たった一人を除いて、みんな麻雀が弱いのよ。 誰もが、そいつには勝てないの。負けっぱなしなの。どんなに頭を使っても、どんな能力を使っても、たとえ三人がかりでも……そいつには敵わない」 憧「……もしかして、宮永照のこと?」 久「そう。私たちはみんな、洋榎や智葉でさえ、宮永照には勝てない。宮永照より弱いのよ。だからこそ……トーナメントで勝つためには、どんな状況になっても諦めない――強い心を、持っていないといけないの。 それが、宮永照が《頂点》に君臨するこの学園都市で、本当に強い雀士になるための、最初の一歩。その一歩を踏み出せない人間は、決して高みに行くことはできないわ」 憧「あたしは……その一歩を――」 久「既に踏み出している、と私は思っていたけれど、違ったかしら? 私の力を目にしても、私より上の雀士がいると知っても、あなたは強くなりたいと願った。本当に楽しいのはこれからだって、あのときのあなたは、目を輝かせていた……」 憧「あたし……」 久「勝てないとか向いてないとか、そんな言葉をいくら口にしたって、現状が変わるわけじゃない。本当に大切なことが何か、頭のいいあなたなら、わかっているはずよ。 憧……本気で私たちについてくるというのなら、ちゃんと言ってごらんなさい。あなたが口にするべき言葉は、泣き言や世迷言じゃない。戯言みたいな絵空事。 無理でもいい。無茶でもいい。思っていることを……願っていることを、ちゃんと叫んでみなさい」 憧「あたし……! あたしは――強くなりたいッ! 勝ちたいッ!! 勝って勝って勝って……学園都市の《頂点》に立ってやるッ!!!」 久「何度も負けることになるわよ? 何度も絶望することになるわよ? それでも……勝ちたい?」 憧「勝ちたいわよっ!! 当たり前でしょ!! 久にも洋榎にも哩にもシロにも……宮永照にだって!! どうせ最後には勝ってやるつもりなんだもん!! それまでなら……何回だって負けてやるわよっ!!」 久「……いいわね。やっぱり、あなたはその顔が一番だわ。泣き顔も可愛いけれど、その生意気な顔が、最高にそそる――」スッ 憧「ちょ、久っ!? なに発情してんのよ!! こんなとこで――むぐっ!?」 久「ジタバタしないで。間違って唇にしちゃったらどうするの……?」チュッ 憧「…………ほっぺなら許してるわけじゃないっつーの……////」 久「どうかしら? 強くなれるおまじない。効いた?」 憧「この……ド淫乱っ!! 腐れ外道!! 最悪ッ!!」 久「けど、そんな私が?」 憧「大好きよ! 何回も言わせんなっ、バカっ!!」 久「いい子ね。さ、元気が出たところでもう一局よ。泣いてる暇があったらどんどん打つ! とにかく前に進むのよ!!」 憧「言われなくても……突っ走ってやるわよっ!!」 ―――――― ―――― ―― 510:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/04/19(土) 16:30:34.01 :LyBQRhwm0 ―――― 憧(あぁあ……まーた恥ずかしいこと思い出しちゃった。久のやつってばホント所構わず――もうっ!! いや、まあ、ここで無様に負けるほうがよっぽど恥ずいけどね……!!)フゥ 浩子(ん、なんや。やっとお目覚めかいな……) 灼(やっぱり、これくらいで諦めるような人じゃない、か。強い一年生……同じチームで戦ってみたかったかも) 憧(なーに取り乱してんのよ、あたし。これくらいの凹みは日常茶飯事じゃない。久たちが相手なら、今頃焼き鳥で蚊帳の外だわ。けど……幸い、頑張れば、和了れないってほどでもない) 憧(駆け引きで敵わなくとも、他のところで上回ればいい。まだ負けが決まったわけじゃないんだ。ここで弱気になって縮こまるとかもってのほか!!) 憧(久たち相手に散々ボコられてきたあたしの底力は、こんなものじゃない。今に逆転してやるわ……見てなさいよッ!!)ゴッ 泉:19000 灼:32500 浩子:33000 憧:15500 511:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/04/19(土) 16:39:53.88 :LyBQRhwm0 南一局・親:泉 泉(覆面《A》……なんや、踏み止まったっぽいな。何か打開策でも見つけたんやろか? それとも、単に気合を入れ直しただけ? ようわからん……ようわからんけど、今のうちよりはマシやろか。いまいち方針が決まらへん……)タンッ 灼(新子さんのほうは落ち着いたみたいだけど、こっちの《I》さんは、まだふわふわしてる……)タンッ 浩子(二条泉……格下相手なら安定して打てるけど、格上相手にはちょっとガタついてまう。決して弱い打ち手やないはずなんやけど……どうにも精神的に脆いとこがあるらしいな)タンッ 憧(んー……手牌微妙だなー。覆面《I》がよさそうだけど、どーしたもんか)タンッ 泉(っと、張ってもうた。高めは狙えるっちゃ狙えるけど……ここは素直に先制しといたほうがええやろか? 後手に回るんも嫌やしな。ほな、親やしリーチしとこかー!) 泉「リーチ」チャ 灼(と、速い速い。連荘はさせたくないし……浩子)タンッ 浩子(わかっとるわ……)タンッ 灼「ポン……」タンッ 泉(ん……?) 浩子(この辺りやんな)タンッ 灼「(大正解)ロン、2000」パラララ 泉(うちの親リーが流されたー!? こんな潰され方……セコ過ぎるわっ!! なんやねん、二年生が二人掛かりで――)ハッ 泉(待て待て……なんかおかしいで。二年生が二人掛かりで、うちの親リーを潰した? いや、そういう連携は実戦でよく起こることやけど……にしても、なんやろ、この違和感……) ――ロン、ですわー!! ――あ、ツモった。ドラ四赤四。 ――純正九蓮宝燈……。 ――追っかけるけどー? 泉(せや……! こないな細かいこと、小蒔さんたちはしてこーへんかったんやっ!! あの人ら、うちがリーチしようとしまいとお構いなしやもんな。連携も何もあったもんやない。それぞれ勝手に得意技かまして、ほんで、いつもいつもうちは打ち負けるっ!!) 泉(関係ないんや。あの人らにとっては……うちの存在なんてあってないようなもん。それくらい力の差がある。まあ、起きとるときの小蒔さんは例外やけど) 泉(……もしかして、うち、今、警戒されたんか? うちの親リーは、上級生が二人掛かりで潰してくるほどの、恐さがあるんか? それってつまり、潰さへんかったら、和了られてヤバい思ったわけやんな?) 泉(うちに負けるかもしれへんって、思ったわけやんな……?) 泉(ははっ……! なんやそれっ! こんな、なんの能力も持たへん一年相手に……随分と必死やんな、二軍《セカンドクラス》の上級生ともあろう二人が――!!)ゴッ 灼(む、こっちも……? 戦意喪失するどころか、火がついちゃったか。ふむ……面白……) 浩子(ほーん? なんや、打たれ弱いモヤシかと思うたら、こっちもこっちで生意気な一年やんな。こんなのが和以外に二人もおるんかい。薄墨先輩らがいなくなっても楽しめそうやで、学園都市……!!) 泉(ほな……さっさとまくるでー!!)ゴッ 泉:18000 灼:35500 浩子:31000 憧:15500 512:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/04/19(土) 16:46:44.66 :LyBQRhwm0 南二局・親:灼 泉(言うても……うちになんの能力もないのは変わらへん。仕方ない。無能力者は無能力者らしく、創意工夫でどうにかせな。 染谷さんかて、そうやった。いつも通りに打って勝てるんなら、それでよし。やけど、この人らには、いつも通りでは勝てへんやろ。せやったら……やり方を変えるまでや……!!) ―――――― ―――― ―― ――アイテム隠れ家 豊音「ロンだよー。5200ー」パラララ 泉「うがああああああ!! また追っかけに振り込んだー!!」ジャラジャラ 玄「もー、だから、泉ちゃん。何度言ったらわかるの? 豊音さんを相手に先制リーチをして勝てる道理はないんだよ」 泉「せ、せやかて……この手でリーチを掛けへんのは、うちの麻雀とちゃう!! うちは今までこうやって勝ってきたんやっ!!」 透華「笑止! そんなプライドはドブに投げ捨てろですわー!!」 玄「ついでに言うと、リーチしたって裏が乗るわけじゃないんだからね?」 泉「や、やけど、せっかくテンパイできてん! リーチかけて少しでも高い手和了っとかんと、玄さんのドラ爆一発でまくられますやん!!」 玄「えへへ……ごめんね。ドラゴンさんたちに罪はないよ」 泉「ドラもないッ! リーチもダメッ! こんなんでどうやって勝てっちゅーんですかー!!」 小蒔「わ、私はそんな負けっぱなしの泉さんを応援してますっ!!」 透華「簡単ですわ。わたくしくらい強くなれば勝てますの!!」 玄「そうだね。学園都市でも屈指のデジタル――透華ちゃんくらい強いなら、私たちといい勝負ができるよ」 豊音「トーカは相手が強ければ強いほど精度とキレが上がっていくからねー」 泉「け、けど……透華さんかて、時々《支配力》使うてますやん。ランクS指定されてへんだけで、本気出せば小蒔さんと張り合えるくらいのトンデモパワー持ってますやん!」 透華「泉、そういう減らず口は、ネット麻雀で一度でもわたくしに勝ってから叩くんですわね」ゴッ 泉「うぐっ……!」 513:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/04/19(土) 16:51:02.01 :LyBQRhwm0 玄「泉ちゃん、弱いことを無能力のせいにしちゃダメだよ。私はレベル5の旧第一位で、花田さんが来る前は、誰よりも強度の高い能力を持っていたけど……それでも、一年生の頃は負けっぱなしだったよ。 泉ちゃん、染谷さんのことは、知ってるよね?」 泉「もちろんですわ。あの人は……うちら無能力者みんなの希望や。無能力なだけやない、荒川憩みたいな特例の才能を持っとるんともちゃう。 己の経験と努力と工夫だけで能力者と渡り合う……そんな染谷さんに、うちは憧れてん」 豊音「だったら、やることはわかってるよね、イズミ」 小蒔「そうですっ! 頑張りましょう!! 泉さんは素の私よりずっとお強いんですから、きっと大丈夫です!!」 泉「せやな……ほな、もう一局お願いしますっ!! 今度こそ、豊音さんの追っかけを振り切って、リーチ一発を和了ったりますわ!! ついでに裏も乗っけたりますわっ!!」 透華「あなたはなんの話を聞いていたんですのー!?」 泉「えっ!? せやから、能力くらい気合でどうにかせなあかんて……」 玄「泉ちゃん、それ言って一回でもドラが来たことあった? 豊音さんに打ち勝てたことあった?」 泉「つ、次はいけるかもしれへんですやん!!」 透華「……泉、いい加減にしないとお仕置きですわよ?」ヒュオオオオオ 泉「冷たっ! ちょ、透華さん、冗談です、冗談っ!!」 透華「なら、冗談も言えないほどに……心胆寒からしめてやらないといけないようですわね……!!」ゴッ 泉「ぎゃあああああああああ!?」 ―――― 泉(あ……回想間違えたわ。これやない。なんやっけ、このあと、夜になって……) ―――― 514:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/04/19(土) 16:53:20.24 :LyBQRhwm0 ―――― 小蒔「」スゥスゥ 玄「さて……小蒔ちゃんも本格的に眠ったことだし」 豊音「秘密特訓の始まりだよー!!」 透華「まったく……泉は本当に困った子ですわね」 泉「せやけど……起きてる小蒔さんの前で、能力に屈する姿なんて見せられへんもん。カッコつけていたいんですもん」 玄「むしろカッコ悪かったと思うけど……」 豊音「ちょー負けてばっかだったよねー」 透華「ま、強くなってくれるのなら、なんでもいいですわ。で、泉、わたくしが渡した資料はちゃんと読んできたんでしょうね?」 泉「ハノーヴァーのやつですよね。読みましたよ。あっちでは《能力》のことを《魔術》って言うんですね。なんか新鮮でしたわ」 透華「そんな文化の違いはどうでもいいですわ。ちゃんと討魔《アンチオカルト》の部分は読んだんですの?」 泉「一通りは。なんや、向こうは、随分偏った打ち手ばっかりなんですね」 玄「どういうこと?」 515:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/04/19(土) 16:57:58.43 :LyBQRhwm0 透華「向こうでは、能力者……魔術師は、基本的に宗教団体に所属していますの。一方、能力を持たない一般の雀士は、普通の大学――学術の分野で麻雀を学びますわ。つまり……」 豊音「能力者対無能力者、っていう図式が学園都市よりも際立つってことだよねー」 玄「へえ、科学と能力が共存する学園都市とは違うんだね」 泉「そうなんです。学園都市では、能力持ちやけど基本はデジタル打ち――みたいな、科学《デジタル》と能力《オカルト》のハイブリット雀士が標準です。 けど、向こうでは、魔術師はオカルト、一般人はデジタル……その対立構造がはっきりしとるんですわ」 豊音「だから、対オカルトの研究が進むんだねー。なるほどー。学園都市だと、能力にデジタル一本で対抗することは少ないもんね。みんな、能力を織り交ぜて戦うから」 透華「ただ、なんの能力もない泉には、海外流の、デジタルのみでオカルトを制圧するスタイルのほうが合っている――そう思って、資料を取り寄せたんですの」 泉「ま、ちょっと内容を全部理解するのには、時間かかりそうですけどね。この海外流のデジタルっちゅーんも、なかなかクセがあるんですわ。 なんや、読んでると、ちょいちょい《流れ》とか《運命》とか、ようわからんこと言いよるんです」 透華「わからないところは無理にわかろうとしなくて結構ですわ。海外流のデジタルは、あくまで戦うヒントになれば、と思って紹介しただけですのよ。 使えそうな部分だけ取り入れて、本選までに、少しでも自分の幅を広げるんですの」 泉「わかってます。っちゅーわけで、皆さん、今日のうちは一味違いますよ。まだ付け焼刃やけど、なんちゃって海外流デジタル……最初の餌食になりたい人からかかってきなはれっ!!」 玄「ま、言われなくてもそうするけど」ゴッ 豊音「でも、餌食になるのは、いつも通りイズミのほうだよー?」ゴッ 透華「新しいスパイスで一味違うというその力、舐るように味わって差し上げますわ!!」ゴッ 泉「ほな、場決めしましょかー!!」 ―――――― ―――― ―― 516:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/04/19(土) 17:06:22.15 :LyBQRhwm0 ―――― 泉(これやこれや……ほんでこのあと、まあ、普通に負かされてん。せやけど、少し、海外流デジタルのコツがわかった。いや、理屈を理解したわけやない。向こうの理論はホンマ何言うてるかわからんからな) 泉(ほんでも、その打ち筋そのものは、初めて見るはずやのに、なぜか馴染みがあった。 ま、ちょっと考えたら理由はわかったわ。海外流デジタル――その理想系に一番近い雀士っちゅーんが、学園都市やと、他ならぬ染谷先輩なんやからな……) 泉(染谷先輩は、小さい頃からの訓練で、場そのもののイメージを捉えることに長けとる。場のイメージ……たぶん、ようわからんけど、向こうでいうところの《流れ》とか《運命》っちゅーんが、それに相当するんやと思う。 それを読み取って場をコントロールする染谷先輩は、まさに海外流の討魔師《アンチオカルティスト》そのもの。やり方次第では、能力そのものを潰すことやってやってのける) 泉(あとは、簡単やん。うちは要するに、今まで通り、尊敬する人を目指して強くなればええ。海外流デジタルはそのためのガイドや。 あんな打ち方、染谷先輩にしかできひんって思ってたけど、参考書があれば……うちでも猿真似くらいはできる……!!) 泉(ま、あとはうちの持つ類稀なる才能でどうにかするしかあらへんよな。原村みたいに完全デジタルで打つんは性に合わへん。古典確率論、オカルト対策、海外流デジタル――持てる限りの武器を全部使って戦うのがうち流や) 泉(勝つために手段は選らばへんでっ! さあ……反撃開始や!!) 泉「チー!」タンッ 灼(む……?)タンッ 泉「ポン!!」タンッ 泉(さ……これで、それなりに思い通りの場になったらええんやけど、果たしてどーやろか……!?) 灼(ちょっとよくわからない鳴き。混一狙い? けど、それだけじゃないような……) 浩子(妙やな。二条泉は和や新子に比べれば、そんなに鳴きが得意なタイプでもなかったはずなんやけど……)タンッ 泉「ロン、5200ッ!!」 浩子(む……その手で混一にしないんか? ちゅーか、飜数より速度を優先するなんて……イマイチこいつらしくない。けど、こういう不自然な和了りは覚えがあるわ。染谷さんがたまにこういうことやっとったな……) 灼(打ち方を変えてきた? 三位以下ならドジョウすくいなのに、落ち着いてるなぁ。この場面でその手なら、一発逆転でトップを狙ってもよかったと思……。あと二局でひっくり返せる自信がある、ってことか) 泉(よし、手応えアリッ! こんな見よう見まね……玄さんや透華さんや豊音さんには通じひんかもやけど、この人たちはあの人らとちゃう! 百パー勝てるっちゅー保証はあらへんけど、百パー負けるっちゅーわけでもない。オーラスまで……やれるだけのことをやるで!!)ゴッ 泉:23200 灼:35500 浩子:25800 憧:15500 517:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/04/19(土) 17:09:41.61 :LyBQRhwm0 南三局・親:浩子 灼(覆面さん、二人とも手強……ここで、突き放す……!!) 灼「リーチ……!!」 浩子(お、灼のやつ……今日はいつになく燃えとるやんか。なんや、そんなに新子のことが気に入ったんか?)タンッ 憧「…………」タンッ 泉「チー」タンッ 灼(む……ズラされた?)タンッ 浩子(二条泉、さっきからちょこちょこと……せやけど、まだ張れてへんやろ……)タンッ 憧「ロン、2600」パラララ 浩子(しまっ……狙われた? 直前で灼の現物に待ちを切り替えとるやん! っちゅーか、新子がダマやと? こんなん知らんで……!) 灼(私の一発をズラすために《I》さんに鳴かせつつ、浩子のベタオリに狙いを変更。私たちの打ち方に柔軟に対応している。これで一年生か……上手……) 憧(ふう……やってみるもんね。点数は低いけど、誰かに和了られるよりはマシ。大丈夫、あたしはラス親。今のはほんのジャブってことで。次に一発かまして終わらせる……っ!!) 泉:23200 灼:34500 浩子:23200 憧:19100 518:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/04/19(土) 17:14:12.99 :LyBQRhwm0 南四局・親:憧 憧(さあ、泣いても笑ってもオーラスっ! 正体バレだけは避けないと、久たちに迷惑がかかるかもしれない。なんとしても勝つのよ……あたしっ!!)タンッ 泉(速攻でケリつけたるっ!!)タンッ 灼(トップは譲らない……そうすれば、《A》さんか《I》さん、どちらかを三位以下にすることができる) 浩子(うちが和了れば、新子も二条も尋問できる。勝負決めたるで……!!)タンッ ――七巡目 浩子(ほいっと……出来たで、勝負手っ!!)タンッ 憧(む、鳴ける……っ! けど、なんだろコレ――) 浩子(さあ、鳴くなら鳴きや……!!)ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ 憧(わ、罠っぽー!! ダメダメ! この人相手にいつも通りに打つと、間違いなく嵌められる。ここは一旦回避っ!!)タンッ 浩子(面子を崩した……やと? こっちの考えが見透かされとる? せやけど……それならそれで、ツモればええだけの話や!!) 憧(速く追いつかないとっ!! 久、洋榎、哩、シロ……誰でもいいから、あんたたちの無駄にいいツモ運――今だけあたしに分けてよっ!!) ――十一巡目 憧(っしゃー! 願いが通じたー!! ひどい悪形で、和了り牌も残り一枚っ!! しかも役ナシっ!! でも、これ以上は巡目的に回せない。こんなの、久じゃなくたってリーチするしかないじゃないっ!! ええい……ままよっ!!) 憧「リーチッ!!」ゴッ 泉(げっ……マズい感じやこれ!!)タンッ 灼(リーチとか……珍し)タンッ 浩子(ちっ、追いつかれてもうたか……! せやけど、退けへん!!)タンッ 憧「……っ! ツモッ!! 2600オール!!」 浩子(ちょ、一発とか……!?) 灼(やるなぁ) 泉(げーーーーーーーー!! 三位になってもーたー!!? うわああああああ、どーしたらええんやー!!) 憧(さて、と。二位にはなれたけど……ど、どーしよ……)チラッ 泉(なぜや……何がいけなかってん……!!)ウルウル 憧(まっ、たぶん、久ならこうするよね……!!) 憧「さて……続行よっ!!」ジャラジャラ 泉・灼・浩子「!?」 憧「なによ、そんなに驚かなくてもいいじゃん。こんくらいフツーでしょ。だって……麻雀は一位を目指すものなんだからっ!!」 泉「せ、せやなっ!! せやせや!! 続行大歓迎やー!!」 浩子「ははっ、ええ心掛けやんな。ま、すぐに後悔させたるでッ!!」 灼「まくらせないよ……!!」 憧「さあ……一本場ッ!!」ゴッ 泉:20600 灼:31900 浩子:20600 憧:26900 519:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/04/19(土) 17:20:06.82 :LyBQRhwm0 南四局一本場・親:憧 憧(これで負けたら赤っ恥ー!! けど、二位で満足するような打ち方じゃ、きっとみんなのいるところには辿り着けない。みんな、口を揃えて言うもんね。麻雀は……一位にならなきゃつまんないって!)タンッ 泉(覆面《A》、感謝するで! ま、勝負は勝負、たとえ自分を地に落としてでも、うちは二位以上になったる……!!)タンッ 灼(薄氷の上のトップだけど、守り通すっ!!)タンッ 浩子「……リーチやっ!!」ゴッ 憧(ぎゃー!! これ振り込んだら死ぬやつだー!! うううう……でも、退かない、退けない、退きたくないっ!!)タンッ 泉(だ、大丈夫……うちは《高一最強》や……うちならできるはずやっ!!)タンッ 灼(よし、これで……私も張ったっ!!)タンッ 泉「ロ――ロンやっ!! 5200は5500ッ!!」ゴッ 灼(嘘っ!? ひ、浩子のを見逃しとか――!? あっ……そっか! リー棒出ないと届かないから!! けど、そんな危ない橋を渡るくらいなら、もっと早くにリーチ掛けて、勝負を決めにいってもよかったような……いや、きっちりまくったんだから、この場は泉さんのやり方が正しかったってこと。やってくれるなぁ) 泉(先制リーチ掛けて、素直に和了らせてくれるような面子ちゃうもんな。ギリギリやった……ギリギリやったけど、滑り込みセーフやっ!!) 憧(ま……負けた……!?) 浩子(ちゃー、ええように利用されてもーたわ。こりゃ敵わへん。大した一年生やで、二人とも。せやけど……なーんか勘違いしてへんか? これは団体戦やなく個人戦――まだ終わりとちゃうで)ニヤッ 憧「ふう。じゃ、じゃあ、お疲れ様でした!」ガタッ 泉「ほな、うちらの勝ちってことで!」ガタッ 浩子「待たんかいコラ……!!」ゴッ 灼「そうそう」ゴゴッ 憧・泉「えっ……?」 浩子「『えっ?』やない。何をすっとぼけとんねん。まだ席を立つんは早いで」 灼「ちゃんと、最後まで付き合ってもらう」 憧・泉「えーっと……」 浩子・灼「西入や(だよ)!!」 憧・泉(な、なんだ(や)ってー!!) 泉:27100 灼:26400 浩子:19600 憧:26900 ―――――― ―――― ―― 520:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/04/19(土) 17:22:46.55 :LyBQRhwm0 ―――― 灼「お疲れ様。いい闘牌だったよ。次はプライベートで、お互い立場を気にせず打ちたいかも」 浩子「ここまでとは思ってへんかったわ。うちらに勝ったんやから、そこらへんの雀士に負けるんやないで、二代目《A》と一代目《I》」 憧「ありがと(危なかった! 本当に危なかった!!)」ハァハァ 泉「おおきに(死ぬかと思ったで……!!)」ハァハァ 灼「じゃ、頑張って。応援してる」 憧「あっ、あの……」 灼「ん?」 憧(えっと……久たちは、みんな、元気してる。本選が終わったら……あたしたちみんな、風紀委員や、《姫松》や《新道寺》の皆さんに謝りにいくつもり。だから、もうちょっとだけ、好きにさせて。お願いっ!)コソッ 灼(ありがとう、新子さん。伝えておく。あ、もし、風紀委員の力が必要になったら、いつでも言って。これ、私の連絡先。よかったら) 憧(あ、ありがとうございます、えっと、鷺森せんぱい) 灼(灼でい……) ―――― 521:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/04/19(土) 17:24:34.58 :LyBQRhwm0 ―――― 浩子「ほななー」 泉(あ、あの、風紀委員の方、ですよね?)コソッ 浩子(船久保浩子や。なんか用か、二条泉ちゃん) 泉(や……やっぱうちのこと知って――) 浩子(ま、負けてもうた以上、正体をバラすようなことはせーへんよ。ほんで、何なん?) 泉(あ、いや、その……前までうちがおったスキルアウトのメンバーは、今どうしてるんやろって。みんな、無事なんやろか……風紀委員の先輩なら、なんか知りませんか……?) 浩子(んー、個人差はあったけど、今はみんなもう復帰しとる。それぞれなんとかやっとるみたいやわ。 っちゅーか、みんな、逆に自分のこと心配しとるで。本選で、元気な顔見せて安心させたれ。それが自分の、リーダーとしての、最後の仕事や) 泉(お、おおきにです、船久保先輩っ!) 浩子(フナQ様と呼ぶがええ) ―――― 522:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/04/19(土) 17:26:03.80 :LyBQRhwm0 ―――― 憧・泉「じゃ、またどこかで!!」 灼・浩子「またどこかで。次は私(うち)が勝つ!」 タッタッタッ 泉「だああああああああああ!! しんどかったわー!!」 憧「マジお疲れ……お互い、大変だったよね」 泉「せやな。けど……本選ではあの二人以上の強敵と当たることもある。もっと強くならな!」 憧「同感。まだまだできることはある」 泉「にしても、自分、ここまで強い雀士とは思ってへんかったで。なあ、新子憧」 憧「はあっ!? 《I》、なんであたしのこと……!?」 泉「新入生代表挨拶しとったやつくらい、覚えとるわ。同じクラスならなおさらな」 憧「同じクラス……ちょっと待って、無能力者で関西弁でこの打ち筋で《I》……あんた、もしかして、二条泉?」 泉「正解や」 523:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/04/19(土) 17:28:42.25 :LyBQRhwm0 憧「……あんた、確か、あの《アイテム》って人たちと予選に出てたよね?」 泉「そっちこそ、あの《スクール》に混じって打っとるんやろ?」 憧・泉「…………」 憧「あ、そうだ。あんたんとこのレベル5――松実玄さん。色々ごめんなさいって伝えてほしいの。久も、その、いろいろ事情があってさ、口は悪いけど、中身はそこまでひどいやつじゃないのよ」 泉「ああ……あったな、そんなこと。けど、そっちの竹井先輩のおかげで、トーナメントに乗り気やなかった玄さんに喝が入ってん。うちとしては大助かりやったで」 憧「そ、よかった」 泉「ほな、うちも謝りたいことあんねん。亦野先輩のこと……あれ、うちがヘマこいたんや。それで、亦野先輩もそうやし、《スクール》の人らにも迷惑かけてもうて……ホンマ申し訳あらへん」 憧「ま、まあ、久たちはノリノリだったし、別に気にしてないと思うよ。亦野さんのことは気の毒だけど、襲ったやつらはきちんと処罰を受けたらしいし。とにかく、あんたのせいじゃないわよ」 泉「そう言うてもらえると、多少楽になるわ」 524:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/04/19(土) 17:33:56.07 :LyBQRhwm0 憧「ま、お互い、化け物に囲まれてるけど、足引っ張んないように頑張りましょう」 泉「せやな。もっともっと強くならな、小蒔さんらは超化け物やからな」 憧「本当、久たちみたいな超超化け物についていくには、生半可な強さじゃダメ」 泉「うちらが強くなった分だけ、勝率が上がるんや。小蒔さんらは超超超化け物でまず負けへんからなー」 憧「っていうか、あたしたちが勝てば、チームが勝てるのよね。なんたって、久たちは超超超超化け物だから、間違いなく勝つし」 憧・泉「…………」 泉「おい、自分、ちょっと言葉の使い方がおかしいんとちゃうか? 『化け物』に『超』は三つまでやろ。インフレになるからやめーや。《スクール》の人らがなんぼ強いゆーても、『超』二つくらいが妥当やんな」 憧「インフレを起こしたのはそっちのほうでしょ。《アイテム》の人たちは確かに化け物。なら、久たちは超化け物。それでちょうどよかったのに、なんか変な見栄を張り出してさ」 泉「もしかして、うちの耳が悪いんかな。まるで《アイテム》より《スクール》のほうが強いみたいな言い方やないか」 憧「そう言ったのよ。あんた、耳だけじゃなくて頭も悪いんじゃない?」 泉「笑かしてくれんなー! 自分、小蒔さんらと打ったこともないくせによう言うわ」 憧「それ、《アイテム》の人たちが強いんじゃなくて、あんたが弱いだけなんじゃないの?」 泉「アホか。弱っちくて力の差がわからへんのはそっちやろ」 憧「はあ!? ちょっと! 私がラス親続行したおかげで勝てたくせに、なに言ってるわけ!?」 泉「ラス親続行したんは自分の判断やん。そのあと普通に勝ったんはうちや。団体戦やったら西入がないから、結局、うちのが強いっちゅーことやろ?」 憧「最終的に勝ったのは私なんだけど……?」 泉「そんなんうちが差し込んだったからやん。勘違いしてもろたら困るで。鷺森先輩のリーチ掛かって、助けてー、って涙目オーラ出してくるから、同じ覆面雀士として、同情心から一位を譲っただけや」 憧「…………あんたとは、色々白黒はっきりさせないといけないようね、二条泉ッ!」 泉「…………ほな、一週間後、決着つけよかー。もちろん、それまで自分が覆面剥がされてへんかったらの話やけどな、新子憧ッ!」 憧・泉「むむむむむ……!!」ゴゴゴゴゴゴゴゴ 憧「あたしと打つまで負けるんじゃないわよ、泉!」 泉「そっちこそ、そこらへんのザコにやられたらあかんで、憧!」 憧・泉「じゃあ(ほな)、一週間後にっ!!」 ―――――― ―――― ―― 529:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/04/19(土) 20:12:20.63 :LyBQRhwm0 ―――― 宥「最近やっと落ち着いてきたね、覆面ブーム」 尭深「一週間前くらいがピークでしたよね。もう、残ってる覆面さんは両手で数えるくらいしかいません」 竜華「懐かしいわー。二年前のときは、《A》と《T》が激突して終わったんやったな」 美穂子「愛宕さんのドジョウすくいは見ものでしたね。惜しむらくは、《T》さんのそれが見れなかったこと。《T》さんがどちらの《T》だったにせよ、さぞ面白かったでしょう」 霞「今年は誰が最後まで生き残るのかしら。目立つのは、《A》さんと《I》さんあたりだけれど」 宥「私は《A》さんを応援してるんだ。あの小気味よさは見習いたいなぁ」 竜華「うちの推しメンは《I》やな。あれこれ頑張っとる感じが好きや」 尭深「他には、《T》さんと《K》さんですかね」 美穂子「もしかすると、今日くらいに、頂上決戦をするかもしれませんね」 霞「ま、覆面の子たちは本選に出場する一年生って可能性が高いから、そろそろ修行も最終段階よね」 尭深「見に行きますか? 本選に出てくる一年生の中には、牌譜が少ない人も何人かいます。偵察という意味で」 美穂子「私は賛成です。ドジョウすくいが見たいという意味で」 竜華「うちは《I》の応援しに行きたいわっ!」 宥「わ、私は《A》さんの応援に……」 霞「私も、個人的に気になっていたのよね。《A》さんや《I》さんはもちろんだけど、《T》さんが特に」 尭深「では、決まりですね。えっと……あっ、《A》さんと《I》さんと《T》さんと《K》さんが直接対決するみたいですね。ネットで話題になってます。間もなく始まるとか。急ぎましょう」 ―――― 530:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/04/19(土) 20:16:22.24 :LyBQRhwm0 ―――― 憧「ついにこの日が来たわ。ちゃんとドジョウすくいの練習はしてきたんでしょうね、覆面《I》……いや、泉っ!!」 泉「しぶとく勝ち残っとったんやな。そんなにうちに剥かれたかったんか、覆面《A》……もとい、憧っ!!」 憧・泉「ぬぬぬぬぬぬぬ……!!」ゴッ 覆面《T》「まあまあ、《A》さんも《I》さんも! そんなに睨み合ってないで、せっかくの覆面対決、思いっきり楽しみましょうっ!」 泉「むっ、なんや、あ――《A》、このジャージ娘が、自分が見つけてきたツレか?」 憧「ちょっと前に同卓して、仲良くなったのよ。今日の対局に相応しいと思って誘ったの」 T「覆面《T》ですっ、よろしくお願いします!!」 泉「(ふん、あんまり強くなさそうやな!)こちらこそ、よろしくな」 憧(ふっふっふ、泉のやつ、油断してるわね。見た目のダサさに騙されちゃダメなのよ。名前までは聞いてないから百パーとは言えないけど、このジャージ、間違いない。噂に聞くレベル5の第七位――学園都市最高の《原石》!! まだ一回しか対局してないし、そのときはなんの力も使ってこなかったからフツーに勝っちゃったけど、今日は頂上決戦……きっと何かしてくるはず! 泉、高をくくっていられるのは今のうちなんだから)ニヤッ 泉「ほな、うちもツレを紹介するわ。このうちを最強の覆面《I》と知ってなお、今日の頂上決戦に名乗りを上げた勇気ある覆面雀士――《K》や!」 覆面《K》「よ、よろしくお願いします……だじょ!」 憧「(変な喋り方。マントも似合ってないし。ぶっちゃけ弱そ)よろしくね、《K》さん」 泉(ふっふっふ、憧のやつ、油断しとるな。溢れ出るパチモン感に騙されちゃダメなんや。名前までは聞いてへんから百パーとは言えへんけど、この特徴ある語尾、間違いない。四月に一世を風靡した《ゴールデンルーキー》こと《東風の神》!! まだ一回しか対局してへんし、そのときはなんの力も使ってこーへんかったから楽勝やったけど、今日は頂上決戦……きっと何かしてくるはずや! 憧、余裕ぶっこいてられんのも今のうちやで)ニヤッ T「《K》さん、よろしくお願いしますっ!」 K「よ、よろしく……だじぇ!」 憧・泉「じゃ(ほな)、場決めね(や)!!」 ―――― 531:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/04/19(土) 20:18:01.20 :LyBQRhwm0 ―――― 南家:憧 西家:泉 卓 東家:K 北家:T 憧「(最初からガンガン行くわよっ! とりあえず泉には勝つ……!!)よろしくっ!」 泉「(全局攻撃姿勢で行くでっ! とりあえず憧には勝ったる……!!)よろしくな!」 T「よろしくお願いしますっ!!」 K「よろしく……だじぇ!!」 ―――― 532:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/04/19(土) 20:26:44.19 :LyBQRhwm0 ―――― ガヤガヤ 尭深「けっこうな数の人が集まっていますね」 竜華「プライベートな対局やのに映像を公開しとるっちゅーんが、覆面対決の面白さやからな。二年前の頂上決戦もぎょーさん観客がおったでー」 霞「今は夏休みで、予選で敗退した子たちは時間のゆとりがあるしね」 美穂子「席、空いているでしょうか」 宥「あっ、それなら大丈夫。お友達にメールして取っておいてもらったの。えっとね、確かあっちのほうって……」 灼「宥さーんっ!」 宥「あ、灼ちゃんっ!」 灼「お久しぶりですね。予選突破おめでとうございます」 宥「灼ちゃんたちこそ、おめでとう。お互い頑張ろうね」 灼「ま、出るからには、一回戦くらいは突破したいです」 宥「応援してるよっ」 竜華「よっす、鷺森さん。自分がおるっちゅーことは」 浩子「うちもおりまっせ、清水谷先輩」 竜華「おー! 浩子ー!! 元気しとるかー!?」 浩子「ぼちぼちですわ」 竜華「浩子、自分、《I》と打って負けとったやろー。なに油断しとんねん」 浩子「油断なんかしてませんよ。ガチでやって負けましたわ。データにも目を通して準備万端で臨んだんですけど、なかなかどーして、手強かったです」 竜華「ふーん。浩子にここまで言わせるんか……ますます気に入ったで、《I》!」 宥「同じ卓に灼ちゃんもいたんだよね? 《A》さんはどうだった?」 灼「いい感じに強いですよ。ま、宥さんなら負けないと思いますけど」 宥「ほえ~」 533:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/04/19(土) 20:33:42.94 :LyBQRhwm0 霞「で、そっちは《T》さんと打ったのよね。感想はいかが、巴ちゃん?」 巴「悪くなかったですよ。って……二位だった私が言うのもアレですけど。でも、あの子、本気は出してなかったと思います。 打った感じ、少しスロースターター気味なところがあるようなので、半荘一回だと調子が上がりきらないのかもしれませんね」 霞「ふふっ……風紀委員の副委員長様にここまで言わせるとは。ますます本選で戦ってみたいわね、二代目《T》さん」 宥「えっ、霞ちゃん、二代目って……?」 霞「あら、気付いてなかったの? 覆面のデザインが二年前の《T》と同じじゃない」 巴「ああ、《H》ことハッちゃんが負けたあの人ですね」 尭深「あの、さっきからちょこちょこ出てくる二年前の《T》というのは……」 霞「私たちが一年生の頃の、最強の覆面雀士よ。ヒント、同学年で愛宕さんより強い《T》」 尭深「…………なるほど、つまり、私のよく知っている人ですね」 宥「えっ、なんでそう思うの? 愛宕さんより強い《T》さんは二人いるよね?」 尭深「愛宕先輩より強い二人の《T》。今のチームメンバーに、姓か名が同じく《T》である後輩を持つのは、私のよく知っている人のほうですから」 宥「あ、そっか。霞ちゃん曰く、二代目……なんだもんね」 尭深「ま、二代目云々を抜きに考えても、やっぱりあの人のほうでしょう。あの人の性格なら、やりかねない」 美穂子「とてもそんなイメージはないですけどね。さすがは元チームメンバー」 竜華「ちょ、ちょー待って! ほな、あの《T》は……もしかしてあれか、レベル5の第七位――!?」 霞「学園都市最高の《原石》……高鴨穏乃さん、で間違いないと思うわよ」 ―――― 534:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/04/19(土) 20:38:14.12 :LyBQRhwm0 ―――― 東一局・親:K 穏乃「くっしゅん!」 穏乃(誰かが私の噂をしてるのかな? いい噂だといいなっ!)タンッ K「……」タンッ 憧(むー、なかなか鳴くチャンスがないわね)タンッ 泉(静かやな。憧は上家をチラ見しとるから、たぶんまだ張ってへん。チー待ちや。せやけど、この《K》と《T》は……) 穏乃(さーて、幸先よくテンパイ! 照さんからは『その覆面で負けたら承知しない』って言われてるけど……これなら今日もなんとかなりそう。じゃ、早速行ってみよっか!) 穏乃「リー」 K「ロン、12000」パラララ 憧・泉「!?」 穏乃(いきなり親満喰らったー!! どどどど、どーしよー!?)グルグル 泉(危ない危ない……。これは、ようわからんけど能力なんかな。起親で高打点っちゅーんは《東風の神》の特徴やし。それなりに警戒しといてよかったわ) 憧(ちょー! 何やってるの、《原石》!! あんたには泉を撃ち落してもらわらないといけないんだから、しっかりしてよ!!) 穏乃(しまったしまった、焦り過ぎた。つい……わくわくしちゃって。《A》さんと《I》さんと《K》さん。みんな強そうで、登り甲斐がある山ばかり。一合目からいきなりダッシュはなかったかな。 ゆっくり行こう。ペースを守って、地に足つけて、一歩ずつ……!) K「……」 穏乃(まだ見たことのない景色を見に行くんだ。くー! 楽しいっ!!)ゴッ K:37000 憧:25000 泉:25000 穏乃:13000 535:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/04/19(土) 20:57:16.53 :LyBQRhwm0 ―――― 竜華「よしっ、そこや!!」 宥「あっ、ダメ――!!」 泉『ロンッ!! 5200やっ!!』 憧『っ!!』 灼「調子乗り過ぎ……」 浩子「ま、これで原点に戻ったな、あの二人は」 巴「《I》さんの、さっきのリーチ自体が伏線だったのかもですね」 美穂子「たぶん、そこまでは考えていなかったでしょう。単純に、前局でリーチを掻い潜ってきた《A》さんを警戒して、今回はダマで待った。《A》さんから直撃を取れたのはたまたまです」 尭深「最初の《K》さんの親満から点数が動きませんね」 霞「あと少しすれば《T》さんも仕掛けてくるんじゃないかしら。巴ちゃん曰く、スロースターターとのことだから」 泉『リーチやー!!』 浩子「懲りんやっちゃなー、あのドアホ」 憧『チー!!』 灼「さて、今度はどっちに軍配が上がるか」 泉『ツモッ!! 700オール!!』 竜華「しょっぱー!!」 宥「ほあ……助かったぁ」 穏乃『ロン、7700は8000!』 泉『』 竜華・浩子「アホー!!」 美穂子「ま、攻めの姿勢を崩さない、というのは大切なことです」 巴「取られたら取られた分だけ取り返せばいいんですもんね」 霞「そんなのがほいほいできるのは巴ちゃんくらいよ」 穏乃『ロン、5800!』 憧『』 宥・灼「あ…………」 霞「あらあら、ようやくギアが上がってきたのかしら。《原石》さん」 竜華「っちゅーか、《K》が堅いなー。最初に和了ったっきり、他家のテンパイ気配を感じたらベタオリ。このままトップを譲らへんつもりや」 尭深「ツモで削り落とせればいいんですけどね。しかし、他の三人が……」 美穂子「《A》さんと《I》さんは互いを意識するばかりで、《K》さんのことは目に入っていません。《T》さんは逆に視野が広いので、隙のない《K》さんを避けているようですね」 宥「《K》さんは安泰……ってことかな」 憧・泉『テンパイ』 穏乃・K『ノーテン』 霞「南入ね……」 ―――― 536:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/04/19(土) 20:58:50.71 :LyBQRhwm0 ―――― 南一局流れ二本場・親:K 憧(うーん。イマイチ牌が馴染まないっていうか、ペースが掴めないっていうか。ノッてこないのよね。テンパイしたはいいけど、欲を言えばもっと点が欲しい)タンッ 泉「リーチッ!!」 憧(げっ!? 泉のやつ、引くって単語が辞書にないわけ? 無駄に高そうなのがまた厄介よね。どーしたもんか……) K「……」タンッ 憧(えっ……? あ、これ、どーしよ。えっと、泉がいかにも高そうな手でリーチしてて、私の手はよくて満貫止まりくらいだから、この場合、期待値は……ああっ、もう、わかんなーいっ!!) 憧「ロ、ロン。1000は1600ッ!」パラララ K「はい……だじょ」チャ 泉(なーっ!! うちの倍満があああ!!) 憧(も、もうちょっと高いほうがよかった……? あー、もう、やめやめ! 過ぎたことを考えるのはあとっ!) 穏乃(んー……?) K:33200 憧:22600 泉:19600 穏乃:24600 読む →
2014年05月31日 20:15 【咲SS】淡「ここが白糸台高校麻雀部かー!」 2 関連SS 【咲SS】淡「ここが白糸台高校麻雀部かー!」 1 【咲SS】淡「ここが白糸台高校麻雀部かー!」 2 【咲SS】淡「ここが白糸台高校麻雀部かー!」 3 【咲SS】淡「ここが白糸台高校麻雀部かー!」 4 元スレ 253:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします:2014/03/18(火) 21:27:51.74 :8+e9LwPi0 ――第19学区・私有地・荒城 憩「お待たせしましたー」 菫「……遅かったな、荒川」 憩「すんません、菫さん。ちょっと急患がおって……ま、今はちょっと間が悪いんで詳しくは言えませんけど。おいおいちゃんと話しますわ」 菫「あまり聞きたくはないが……」 憩「菫さんは恐がりですなー」 菫「そうだな。お前のような恐いもの知らずには、一生なれそうにない」 憩「随分ですね、ウチかて、恐いものくらいありますよ」 菫「そうか? そうは見えないが――」 憩「ねえ、菫さん……」 菫「なんだ?」 憩「……月が、綺麗ですね」 菫「ああ。恐いくらいに……な」 254:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします:2014/03/18(火) 21:36:46.11 :8+e9LwPi0 ――深夜・やえ自宅 ?「遅っいー!! 遅いわー!! どんだけ人を待たすねん!! 久しぶりに連絡してきたと思ったらこれや!! さっきからコールしても通じひんし! このドアホッ!!」 やえ「すまん……ちょっとゴタゴタしていて忘れてた。さっきまで病院にいたんだ。だから、電子学生手帳も電源を切っていた」 ?「病院……? なんかあったん? ま、それはええわ、あとで聞く。で、もしかして、そっちのちっこいの二人が、メンバーっちゅうことか?」 やえ「まあな。こっちは留学生のネリー=ヴィルサラーゼ、こっちは一年の片岡優希。で、ネリーと片岡、この短パンはな、江口セーラという三年で、《一桁ナンバー》の傑物だ」 セーラ「その紹介の仕方やめてやー。俺は《一桁ナンバー》の中でも一番下っ端。いつ二桁になるかわからへんのに」 やえ「吐かせ。セーラが二桁になる姿など、もはや想像できんわ」 セーラ「ま、《一桁ナンバー》であることが条件でスカートの着用義務を逃れとるからな。そら死に物狂いで勝ちまくるけど」 やえ「さて……夜は遅いが、せっかくだし、一局だけでも打っていくか? 私も、現時点でのチームの戦力を確認しておきたい」 セーラ「俺はええけど、そっちのチビッ子たちはオネムなんちゃうの?」 ネリー「眠くないよっ! 時差ボケでバリ冴えなんだよ!!」 優希「タコスの興奮未だ冷めやらぬだじぇ!!」 やえ「だってさ。どうする、セーラ?」 セーラ「ほな、挨拶代わりに一局……っちゅーか、マジで本気なんやな、やえ」 やえ「……何がだ?」 セーラ「てっきり、麻雀部ではもう打たへんのかと思ってた」 やえ「そうだな。白糸台高校麻雀部で名を上げることは、ずっとセーラに任せていた」 セーラ「なんで気が変わったん? しかも、個人戦やなくて団体戦やなんて」 やえ「そうだな……強いて言えば、私の幻想に決着をつけるときがきた――ってところだろうか。ずっと立ち止まっていたが、やはり、この道から逃れることはできんらしい」 セーラ「ようわからへんけど、やっと《王者》が帰ってくる――っちゅーことでええの?」 やえ「そんなところだ」 セーラ「おおお、そらええなっ! なんや、七人目のレベル5と五人目のランクSだけでもごっつー楽しみやったのに、そこに《王者》も混じってくるんかっ! 今年の夏は盛り上がるでーっ!!」 やえ「いや……もう一人、とんでもないのが参加するぞ」チラッ ネリー「んー?」 セーラ「へえ……ええやろ! ほな、お手並み拝見やッ!!」 ―――――― ―――― ―― 255:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします:2014/03/18(火) 21:43:21.42 :8+e9LwPi0 ――三週間後 やえ「それじゃ、全員、覚悟はいいか? この書類を提出したら、少なくともインターハイが終わるまでは、チームを解散できん。本当にこのチームでよかったのか……今一度考えてくれ」 ネリー「考えるまでもないんだよ。やえの奏でる《運命》、私は気に入ってる!!」 優希「タコスのご恩は忘れないじぇ!!」 誠子「私も、きっと先輩のお力になってみせます!!」 セーラ「もちろん、俺もやー!!」 やえ「……有難う。最後に確認する。私たちが目指すのは、ただ一つ。学園都市の《頂点》――白糸台高校麻雀部の一軍《レギュラー》! 立ち塞がる者は全て蹴散らすッ!! たとえ、それが能力者や支配者であったとしても……!!」 やえ「全員、よく覚えておけ! 麻雀に《絶対》は《絶対》にないッ!! どんなに強い能力を持っていようと、どんなに強い支配力があろうと、やり方次第でどうとでもなる……!!」 やえ「首を洗って待ってろよ、能力者ども、支配者ども……!! お前たちが麻雀《セカイ》を思い通りにできると思っているのなら、よかろう――まずはその幻想をぶっ殺す!!」 やえ「お見せしよう、これが《王者》の逆襲だッ!! 行くぞ、お前たち……っ!!」 ネリー・優希・誠子・セーラ「おおおおっ!!」 256:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします:2014/03/18(火) 21:57:22.96 :8+e9LwPi0 ――理事長室 恒子「おっ、やーっと亦野さんのとこが上がってきたよー」ポン 健夜「チーム《幻奏》……万全を期してって感じだね」 恒子「で、この留学生――ってことになってる子でしょ、すこやんの言ってた、例の問題児って。しかも、それがあの小走博士と一緒に出てくるなんてねー」 健夜「小走さん――《幻想殺し》が戦いに加わるのかぁ。そこに、例の問題児。三尋木先生や赤阪先生からぼんやり聞いてはいたけど、実際に書類が上がってくると、一層気が重いなぁ」 恒子「ねえ、すこやん。小走博士って、具体的には、何を研究してる人なの?」 健夜「麻雀の《不確定性》……《絶対》の《絶対》なる否定」 恒子「は?」 健夜「小走さんは、あの《通行止め》――レベル5の第一位である花田さんとは、対極にいる無能力者《レベル0》。彼女が提唱している《不確定性仮説》は、もし証明されれば、学園都市がひっくり返るくらいの危険な理論」 恒子「まったまた。すこやんったらそんな大袈裟な」 健夜「大袈裟じゃないよ。小走さんの《不確定性仮説》が証明されるってことは、《絶対》の否定――《レベル6》の不可能性が証明されるってことなんだから。学園都市の存在意義を無に帰すかもしれないんだよ、彼女の《幻想殺し》は」 恒子「……マジ?」 健夜「マジだよ。だから、まあ……花田さんの《通行止め》にとって、小走さんの《幻想殺し》は天敵になるのかな。どっちが勝つかはわからないけれど、どっちが勝っても、世界が変わる」 恒子「放っておいていいの、そんなこと?」 健夜「仕方ないでしょ。まさか運命奏者《フェイタライザー》が絡んでくるなんて、思ってもみなかったんだもん」 恒子「この、ネリー=ヴィルサラーゼって子だよね。なに、この子、どんだけすごいの?」 健夜「向こうでは《神に愛された子》って呼ばれてる。あらゆる魔術師の最上位に君臨する超魔術師。宮永照が科学世界の《頂点》なら、彼女は魔術世界の《頂点》。 私たち学園都市の基準であるレベルやランクでは測定できないけれど、彼女が全力を出せば、まともに相手になるのは、宮永照だけだと思う」 恒子「パネェっす」 健夜「私でも若干てこずるかな」 恒子「よっ! さすが、すこやん。アラフォーは年季が違うね!!」 健夜「アラサーだよっ!? 最後までこの落ちだよっ!!?」 恒子「はい、お後がよろしいようで~」 [一軍決定戦《ファーストクラス・トーナメント》まで、あと一ヶ月半] 257:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします:2014/03/18(火) 22:00:07.15 :8+e9LwPi0 ご覧いただきありがとうございました。 チーム結成編は、これで終了です。 次回(週末くらいになるかと)からは、修行編が始まります。 以下、主要八チームの一覧です。 ―― 《チーム名》:リーダー、メンバー×4(名前順) 《煌星》:花田煌☆、大星淡★、東横桃子、宮永咲★、森垣友香 《劫初》:弘世菫、天江衣★、荒川憩、エイスリン=ウィッシュアート、辻垣内智葉 《豊穣》:渋谷尭深☆、石戸霞、清水谷竜華、福路美穂子、松実宥 《永代》:宮永照★、井上純、臼沢塞、染谷まこ、高鴨穏乃☆ 《久遠》:竹井久、愛宕洋榎、新子憧、小瀬川白望、白水哩 《逢天》:二条泉、姉帯豊音、神代小蒔★、松実玄☆、龍門渕透華 《新約》:園城寺怜☆、愛宕絹恵、薄墨初美、鶴田姫子☆、原村和 《幻奏》:小走やえ、江口セーラ、片岡優希、ネリー=ヴィルサラーゼ、亦野誠子 (※ ☆=レベル5、★=ランクS) 261:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします:2014/03/18(火) 23:55:54.01 :ZvcsolsKo おつー。ついに全チーム出揃ったなあ どこもかしこも魅力的だからこれからも楽しみにさせてもらいます 265:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします:2014/03/23(日) 09:59:51.08 :lXa/1Q7+0 ――六月・クラス選別戦 淡「ツモ! 1000・2000!!」パラララ 「早い――!!」「くっ……」「届かなかった!」 淡「お疲れ様でしたっ!!」ゴッ ―――― 淡(ふっふふーん。今日も快勝連勝ーっ! 二、三軍でもなきゃ負ける気がしないねー!!) 友香「お疲れでー、淡。デジタルで打って負けナシなんだから、ホント呆れた強さでー」 淡「それはお互い様でしょー? よっぽどダブリーぶちかまそうかと思ったけどね。総合獲得点数だとユーカに負けてるしっ!」 桃子「ま、本選まで全員能力温存っていうのは、リーダーの指示っすもんね。正直、超新星さんが律儀に守ってるのは意外っすけど」 淡「一応、練習でスバラをトばせたら能力使ってもいいことになってるんだけどね。これが無理なんだなー」 友香「さて。じゃあ、今日の試合は全部終わったんで、早速反省会でー」 淡「そうだねっ。私とユーカとモモコは完全デジタルでプラスだったけど……そうじゃない二人は何か言うことあるー?」 266:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします:2014/03/23(日) 10:02:22.81 :lXa/1Q7+0 咲「わ、私はマイナスじゃないもんっ!」 友香「プラスでもないんでー」 桃子「嶺上さん、能力ナシって言ってるじゃないっすか」 咲「だ、だって……私が打つと、どうやってもああなっちゃうっていうか……」 淡「体質なのかなー? 点棒操作系だっけ。スバラがトばないのも、あんまり意思と関係ないっぽいし」 咲「あ、でも、嶺上は一回もしなかったからね!」 淡「でもカンはしてたー!」 咲「そ、それも……そうなっちゃうんだもん……」 淡「四の五の言わない! サッキーは今日も帰ってネト麻の刑だからねっ!」 咲「ネト麻……あれ全然見えないから嫌だよー……」ウルウル 友香「咲はネト麻だと花田先輩以下だもんね」 桃子「はい。で、すばら先輩のほうは、何か申し開きあるっすか?」 煌「…………ありません」ズーン 267:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします:2014/03/23(日) 10:06:09.21 :lXa/1Q7+0 淡「今日はトップと六万点差だっけ。三万点差までは許すって言ってるのに、ダブルスコアとかー」 煌「面目ない……」 友香「ま、先鋒はエースポジションですから、相手が強いのは仕方ないんでー」 桃子「にしても、もうちょっと頑張ってほしいっす。今日は相手が四軍だったからよかったっすけど、三軍相当のチームと戦うときは、さすがに能力ナシで六万点をひっくり返すのはきついっすから」 煌「……すいません」 淡「ま、何万点差でも私たちみんなで取り返すけどさ。でも、ノルマはノルマ。決まりは決まり。スバラは、夜まで私とマンツーマンの刑だよっ!」 咲「えええっ、ずるいよ、淡ちゃん! 今日のお仕置き担当は私のはずだよっ!?」 淡「サッキーはネト麻の刑だからダメー!」 桃子「マンツーマンなら、超新星さんより私のほうが向いてるっす。私はすばら先輩の第一コーチっすからね!」 友香「咲を飛ばすなら、順番的に次は私でー!」 淡「むぅ……仕方ないな。じゃ、今日もみんなでお仕置きしよっか!」 煌「あ、あの……」 淡「なに? 言っておくけど、スバラに拒否権はないからねっ!」 268:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします:2014/03/23(日) 10:10:21.89 :lXa/1Q7+0 煌「いや、毎日皆さんで稽古をつけてくれるのは嬉しいんですが、その……皆さんのほうは、何か特訓をしなくて大丈夫なんですか?」 桃子「まぁ、毎回試合ですばら先輩が大量ビハインドを作るっすから、こっちはかなり苦労してるっすけど」 友香「能力ナシで相手を出し抜く訓練には事欠かないんでー」 煌「しかし、本選では、きっと今までのようにはいきません。いかに皆さんでも、能力を使うことになります。というか、それを見据えてのデジタル縛りですから。 だから、もっとこう……能力を使った訓練というのも、どこかでしないといけないのでは? 下位クラスの方々や私ばかりを相手にしていたら、本気の出し方を忘れてしまいませんか?」 桃子「それを言うなら……私とでー子さんの場合は」 友香「淡と咲の相手をしてる時点で、かなりしごかれてるんでー」 淡「でも、私とサッキーは、確かにいい練習相手がいないかも。いや、サッキーがいるだけラッキーなんだけど」 咲「支配領域《テリトリー》も近いし、全力で打つ相手としては、淡ちゃんがいれば十分。まあ、手の内が大体わかってるから、最近はマンネリしてる気もするよ」 淡「強過ぎるってのも考えものだよねー」 咲「胸を借りる相手って言われてぱっと思い付くのは、お姉ちゃんくらいだけど」 煌「あの方にお声を掛けるのは、ちょっと気後れしますね……」 269:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします:2014/03/23(日) 10:19:56.49 :lXa/1Q7+0 淡「ま、スバラと打つのも楽しいよ。あんなに思い通りにならないことはないもん」 咲「私もです。狙って嶺上が和了れなかったのは、花田さんが初めて。お姉ちゃんでもそんなことは無理でしたから」 煌「まあ、私との対局は例外でしょう。それはそれとして、やはり、実戦の中でしかできない、ぎりぎりの勝負というのを経験しておかないといけないと思うんです。 皆さんはまだ一年生。強いのは重々承知ですが、二軍《セカンドクラス》の上級生と比べると、経験不足は否めない……」 淡「私は天才だから、別に誰が相手でも負けはしないけどねー」 咲「でも、花田さんの言うこともわかります。私や淡ちゃんは、まだ、私たち以外のランクSと、まともに戦ったことがないですから。レベル4と戦うことも滅多にありませんし、その上のレベル5ともなれば、花田さん以外はよく知らない」 桃子「というか、レベル0で超強いって人も、上のほうにはゴロゴロいるっすからね。というか、ぶっちゃけそういう人のほうが多いくらいっす」 友香「《一桁ナンバー》なんか特にそうでー」 煌(むむむ……聞けば聞くほど底が知れませんね、白糸台高校麻雀部。淡さんが遅れを取るところは想像できませんが、しかし、人事は尽くさねばなりますまい。んー、一体どうすれば――) 淡「ま、特訓内容はあとから考えるとして! スバラ、さっさと寮に帰って打つよ。さ、行こっ!!」ギュッ 煌(ひゃわっ!? ううう……一つも考えがまとまらないですっ!!)アワワワ ―――― 270:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします:2014/03/23(日) 10:28:01.69 :lXa/1Q7+0 ――翌日・白糸台校舎・二年教室棟 煌「――と、言うわけなんです」 憩「なるほどなー。そら、ランクSでレベル4の魔物ともなると、練習相手を探すんも一苦労やろなー」 煌「何かいいアイデアはありませんかね?」 憩「合同練習を申し込めばええんとちゃう? 相手チームがオーケーしてくれれば、選別戦のない週末にみっちり打つことができるで」 煌「合同練習!? なるほどっ!!」 憩「今やっとる選別戦っちゅーんは、つまるところクラスの入れ替え戦やから、基本的に違う軍《クラス》のチームとしか試合をせーへん。二軍《セカンドクラス》のウチらは下位クラスとしか当たらへんねん。練習相手としては、正直、不足やな。 花田さんたちが本気で一軍決定戦《ファーストクラス・トーナメント》を勝ち抜くつもりなんやったら、予選が始まっとらん今のうちにやっといたほうがええやろな。 もちろん、手の内がバレるリスクはある。けど、得るもんも多いはずやで」 煌「ありがとうございますっ! あっ、ちなみになんですが、荒川さんのご予定はいかがですか? 昨年のことをお聞きした限りでは、荒川さんは主に個人で打たれているんですよね。どうか一つ、お力を貸していただけないでしょうか」 憩「ごめんなー、ウチ、今年は個人戦やなく団体戦に出るんよ」 煌「ええっ!?」 憩「去年やったら、一も二もなくオッケーしたんやけどな。今年はウチもチームで動いとる。練習相手に誰を選ぶかも、ウチの一存では決められへんのよー」 煌「そうだったんですか……知りませんでした。その、荒川さんの所属するチームというのは?」 憩「ナイショや。言うても、調べればすぐわかるやろし、予選が始まればどっちみちバレてまうけどなー」 煌「安易にチームの情報を漏らすことはしない、ですか。すばらな心掛けです」 憩「余計なこと言ってリーダーに怒られたら敵わへんからな」 煌「まあ、それならそれで結構です。強いて聞き出すことはしません。必要なら調べればよいことですし。ところで――」 憩「ん、なんや?」 煌「情報を伏せたということは、その……私たちのチームを、多少なりとも意識してくれている、と捉えていいのでしょうか。本選で対戦するかもしれない相手として、警戒してくれている……と」 憩「ははっ、花田さんはオモロいこと言うなー。ほな、お礼に教えたるわ、チームメンバー」 煌「えっ?」 憩「ウチ、弘世菫さん、辻垣内智葉さん、エイスリン=ウィッシュアートさん、天江衣ちゃん……の五人や」 271:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします:2014/03/23(日) 10:40:54.43 :lXa/1Q7+0 煌「荒川……さん?」 憩「んー? なにー?」 煌「いや、どうして、メンバーを……」 憩「あー、いやいや。どうせ今日中には調べるんやろ? やったら手間省いたろー思て」 煌「…………それだけ、ですか?」 憩「あとは、まあ、せやな。花田さんのことは信用しとるけど、万が一っちゅーもんがある。 もし、『チームメンバーに一年生が四人もおるようなチームを警戒しとる』――なんて噂が広まってしもたら、リーダーである菫さんの名に傷がついてまう、思てな」 煌「荒川さん……」 憩「花田さん、悪いけど、ウチら、どこにも負ける気ないで。花田さんとこも例外やない。もちろん、花田さんやランクSの一年生に興味はあるけど……それはウチの個人的な気持ちであって、リーダーである菫さんの方針とはちゃう」 憩「菫さんが意識しとる……警戒しとるんは、宮永照のおるチーム――そのたった一つだけや。決して他のチームを侮るわけやないけれど、そもそも、そういう宮永照以外に足元をすくわれるような人選を、菫さんはしとらへん」 憩「ウチは、そんな菫さんの期待に応えるつもりや。菫さんかて、ウチの力を信じてくれてはるから、声を掛けてくれた。やから、花田さんのさっきの発言は……ちょっと聞き逃せへんかった……」 煌「こちらこそ、不用意なこと言ってしまって申し訳ないです……」 憩「あっ、いやいや! そんな気にせんでっ!? その、なんちゅーか、ウチのほうこそ、ごめんな。 なんやろ、うまく気持ちを伝えられへん。チームっちゅーんは久しぶりやから……どうにも、キャラやないことしてまうわ。ホンマ、かんにんなー」 煌「いいのです。荒川さんの弘世さんに対する敬愛の情は伝わりました。大切に思う人のことならば、熱くなるのが当然というものです。かく言う私も……一言だけでも、反駁せねばなるまいと思っているところです」 憩「そらええな。どれ、聞いたるわ。好きなように言うてみー」 煌「今はまだ、荒川さんたちのチームを脅かすほどではありません。しかし、私たちはまだまだ発展途上……これから本選まで、私たちチーム《煌星》は、もっともっと強くなります。 本選で相見えるときには、必ずや、荒川さんたちの警戒すべきチームの一つとして、その眼前に立ってみせましょう。宮永照以外などとは言わせません。全力でその首を取りにいかせていただきます!」 憩「あははっ! ええな、最高やっ! 花田さんはやっぱオモロいなー。菫さんはどうか知らんけど、ウチはごっつ楽しみにしとるで、チーム《煌星》。ほな、合同練習の相手、見つかるとええな。頑張って強くなってやー!」 煌「ええ、荒川さんたちも、ゆめゆめご油断なさらぬよう」 憩「これこれ、誰に言うとんねん。油断なんかする可愛い面子ちゃうわ。今日やって、これからミーティングやで? クラス選別戦くらい余裕なはずやのに、一応、対戦相手の牌譜をみんなで見とくんやと。 ホンマ、息抜くっちゅーことを知らんねん、菫さんは」 煌「この学園都市で生き抜くためには必要なことでしょう」 憩「うまいこと言うたね。ほなな、お先ー」 タッタッタッ 272:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします:2014/03/23(日) 10:49:49.67 :lXa/1Q7+0 煌(……荒川さん、いつになく真剣な顔つきでしたね。笑っていないところなど、今まで見たことがなかったのに。それほどまでに、今回の一軍決定戦《ファーストクラス・トーナメント》に懸けている、ということなんでしょう。 しかし、それは私とて同じ。チーム《煌星》――リーダーの私が、麻雀ではお荷物である分、それ以外のところでしっかりしなくては……!!) ?「あ、あの……」 煌「ほえ? ああ、これはこれは……! どうされました?」 ?「借りてた、数学のノート。ありがとう……」 煌「いえいえ、これしきのことでよければ。いくらでも」 ?「……荒川さんと、なんの話してたの?」 煌「チームの今後について相談をしていたのです。一軍決定戦《ファーストクラス・トーナメント》に向けて、実戦を想定した練習ができないものか、と。なるべくなら、同じ二軍《セカンドクラス》で、二、三年生の方々と」 ?「ああ……そっか。花田さんのところ、一年生いっぱいだもんね。上の人とは接点ないか」 煌「ええ、私も転校してきたばかりで、三年生の知り合いはいませんし」 ?「じゃあ……私のところはどう?」 煌「えっ?」 ?「私のチームは……私以外みんな三年生だから、ちょうどいいと思う」 煌「それは……願ってもないっ! すばらですっ!! しかし、いいのですか?」 ?「たぶん、みんないいって言うと思う。花田さんたちのチームは、前々から気になってたから、一度お手合わせしたかった」 煌「こちらこそ、まさかあなたのような方に胸を貸していただけるとは!」 ?「わ、私はそんなっ」 煌「何をおっしゃいますか。元一軍《レギュラー》にして、レベル5の超有名人! 外の世界にいたときは……まさかこうして言葉を交わす機会があるとは思ってもみませんでした。よろしくお願いいたします、渋谷尭深さん!」 尭深「う、うん。こちらこそ、よろしくね、花田煌さん」 ―――― 273:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします:2014/03/23(日) 10:59:18.48 :lXa/1Q7+0 ――道端 煌(渋谷さんと話を詰めていたら遅くなってしまいましたっ!! 今は一局でも多く誰かと打って……淡さんの三歩後ろを歩いても恥ずかしくないくらいには、強くならねばならないのに……! ひ、ひとまず淡さんに連絡を――)タッタッタッ ?「へっ?」 煌「うわあっ!?」 ドーン 煌「痛たたた――はっ!? も、申し訳ありません! 余所見をしていました……! 大丈夫ですか!?」 ?「…………ダ、ダメや……死ぬ……」パタッ 煌「あわわわわ!? ど、どーしましょう……救急車をっ!!」アワワワ ?「コラ、何ふざけとんねん。別に大したことあらへんやろ。大袈裟な」 ?「せやけど、うち、病弱って設定やし、身体弱いって設定やし」 ?「はあ? そんなん赤阪先生の魔改造でとっくに克服した言うてたやん」 ?「そう言えばそやったな……」 煌「あ、あの――」 274:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします:2014/03/23(日) 11:07:18.65 :lXa/1Q7+0 ?「あっ、ごめんなー。全然大丈夫やで。この通り、ぴんぴんやっ! って……あああ!?」 ?「どないしたん? って……あああーっ!?」 煌「すばっ?」 ?「自分……そのちょっと変わった髪型っ! あれやんな!? あの《通行止め》の!!」 煌「え、ええ。そうです。私は二年の花田煌です」 ?「やっぱり! うち、三年の園城寺怜ゆーねん。自分とはいつかお知り合いになりたいと思っとったんや!!」 煌「園城寺……さん!? って!! あのレベル5――《一巡先を見る者》の園城寺怜さん、ですか!?」 怜「せやせや、その園城寺怜さんや。っちゅーか、花田さんかてレベル5やん。しかも第一位の。うちなんて第五位やでー」 煌「いえいえ、実際に打ったら私なんて園城寺さんの足元にも及びませんよ。あ、ところで、そちらのお連れの方は……」 ?「俺か? 俺は江口セーラ。三年や」 煌「江口セーラさん……!! あの《一桁ナンバー》の!?」 セーラ「ま、一桁ゆーても一番下っ端やけどなー」 煌「まさか……! こんなところであなた方のような有名人と出会えるとは! 感激ですっ!!」 275:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします:2014/03/23(日) 11:16:11.97 :lXa/1Q7+0 セーラ「いやいや、有名人と言えばそっちやろ。自分が転校してきたときの騒ぎったらなかったで? あの理事長をフルボッコにした、とんでもない《怪物》が学園都市に襲来してきたっちゅーてな」 煌「ええええっ!?」 怜「実際、転校してきてからもすごかったやんな。もう一人のべっぴん転校生を一晩でモノにした上に、《悪魔》と共謀して初日から赤土先生の授業をバックれ、放課後は一年教室棟へ殴り込み、また何人かを腰砕けにして、週末には《魔王》すらこましたったっちゅーて」 煌「そんな尾ヒレだらけの噂が広まっていたんですか!?」 怜「いやー、どんな《怪物》かと思っとったけど、こんな人当たりがよくて親しみやすい人やったんやな。話題独占のチーム《煌星》のリーダー。一年生が懐くんもわかるわー」 セーラ「あっ。なあなあ、怜、ちょっとええか?」 怜「なんやねん」 セーラ「さっき話しとったやん。誰かええのおらんかなーって」 怜「ああっ!? なるほど、それええなっ! うちらと、セーラらと、噂の《煌星》か! むっちゃええやん!!」 煌「あ、あの?」 怜「花田さん、自分をレベル5の第一位――チーム《煌星》のリーダーと見込んでお願いがあんねん!」 セーラ「俺のおるチームと、怜のおるチーム……よかったら、一緒に合同練習、せーへんか?」 煌「すばらっ!?」 ―――― 276:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします:2014/03/23(日) 11:32:44.43 :lXa/1Q7+0 ―――― 淡「んもー!! スバラってば何やってたの!? スバラが来ないからオーダー変更して私たちでほぼ勝負決めちゃったじゃん! 二位と十万点差で大将戦なんかやっても、スバラの練習にならないでしょー!!」 煌「申し訳ありません……ちょっと人と話し込んでいたもので。大事な選別戦だというのに、本当にすいませんでした」 淡「……まあ、それはいいよ。その分の練習をしてもらえばいいだけだから。で、話し込んでたって、誰と何の話をしてたの?」 煌「それがですね、私たちと合同練習をしてくださるという方々を見つけたんです! なんと三チームもですっ! しかも、超能力者《レベル5》や《一桁ナンバー》、元一軍《レギュラー》がメンバーにいるような!!」 淡「え……それ本当!!?」 煌「はい。本当も本当です。今度の三連休で、全チーム一緒に合同合宿をする運びとなりました!」 淡「ひゃー、そっかー……」 煌「どうかしましたか?」 淡「いや、実は私たちもね、見つけたんだ、いい感じの練習相手」 咲「一人は、私と淡ちゃんのクラスの人で」 桃子「もう一人は、私とでー子さんのクラスの人っす」 友香「こっちも超能力者《レベル5》や《一桁ナンバー》や元一軍《レギュラー》がいるって話でー」 淡「バッティングしなければいいんだけど……あれ? というか、これってもしかするともしかする……?」 277:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします:2014/03/23(日) 11:37:25.97 :lXa/1Q7+0 煌「あの、そのお友達というのは? 何というチームの方ですか?」 咲「片岡優希ちゃんって言う子です」 桃子「おっぱ――原村和さんって人っす」 淡「ユーキのほうのチーム名は、《幻奏》」 友香「原村さんとこは、チーム《新約》でー」 煌「おおっ、なんという偶然! 私がお知り合いになったのも、そのチームの方ですよ!」 淡「ひゅうっ、さっすがスバラ! こっちは四人でやっと二チームだったのに、スバラは一人で三チーム! まさにすばらだねっ!! あ、で、もう一つのチームは?」 煌「《豊穣》という、あの《ハーベストタイム》の渋谷尭深さんがリーダーを務めるチームです」 咲「…………そこ、知ってる……!」ゾワッ 煌「咲さん?」 咲「花田さんッ!」 煌「は、はいっ!?」 咲「そのチーム《豊穣》だけは! 何が何でも!! 全力でゴッ倒しましょうっ!!」ペターン 煌「…………は、はあ……わかりました?」 ―――― 278:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします:2014/03/23(日) 11:41:25.14 :lXa/1Q7+0 ――小走ラボ やえ「ふん、合同合宿なんて大事なことを、リーダーの私になんの相談もなく事後報告とはな。まったく勝手なやつらだ」 優希「すいませんだじぇ」 セーラ「別にええやんか。どうせ聞いてもオーケーしたんやろ?」 やえ「ま、幸いどのチームも相手にとって不足はない。トーナメントでも間違いなく当たるだろう強敵。今のうちに力の差を測っておくのもよかろう。 それに、こちらはさして知られて困る情報もないしな。セーラも亦野も片岡も公式戦の常連――牌譜は出回ってる。全力で打って構わんぞ」 誠子「はいっ!」 やえ「ただし、ネリー。お前はダメだ」 ネリー「ええーっ!?」 やえ「ただでさえ、お前は不法入国者なんだ。本選まで目立つのは控えたほうがいい」 ネリー「むぅー! せっかく知らない人と打てるのに、全力を出せないなんて……!!」 やえ「本選になったら好きなだけ暴れろ」 ネリー「なんだろう……自由を手に入れるために学園都市に来たのに、ここでも不自由を受け入れないといけないっていう、この矛盾……」 やえ「人生わりとそんなもんだ」 ネリー「まあ……リーダーのやえがそう言うなら仕方ないけど。じゃ、とりあえず、八割くらいでいい?」 やえ「莫迦者。二割引き程度ではハンデにならん。むしろ二割で打て」 ネリー「そんなぁー……」 279:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします:2014/03/23(日) 11:45:06.86 :lXa/1Q7+0 誠子「あ、あの、小走先輩。尭深のチームと戦うのに、さすがに二割はないんじゃないでしょうか……?」 やえ「なら、聞くが、亦野。お前、宮永照の八割に勝つ自信は?」 誠子「まったくもってありません!」 やえ「宮永照の二割はどうだ?」 誠子「それなら、なんとか……! ぎりぎり戦いにはなります!!」 やえ「そういうことだ」 誠子「へ……?」 やえ「ネリー、お前、私に勝つなら何割でいける?」 ネリー「贔屓目に見ても、一割以下かな」 やえ「片岡は?」 ネリー「東南戦なら、二割でねじ伏せられる」 優希「言われたい放題だじょ」 やえ「亦野は?」 ネリー「んー、三割あれば完全完封間違いなしだねー」 誠子「えっ……?」 やえ「じゃあセーラはどうだ?」 ネリー「セーラはね、強いからね。確実に勝つとなると四、五割は要るんだよっ!」 セーラ「言ってくれるやんか」 やえ「お分かりいただけただろうか?」 280:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします:2014/03/23(日) 11:49:38.07 :lXa/1Q7+0 誠子「えっ、ちょ、ちょっと待ってください。だって……あれ? じゃあ、今までの練習は……? いつも、私と優希と江口先輩とネリーさんで打ちますけど、今のとこ、トップ率一位は江口先輩ですよね?」 ネリー「私、学園都市に来てから二割以上の力を出したことないよ」 誠子「ええええー!?」 セーラ「ま、せやろなーとは思っとったわ」 ネリー「だって、それ以上はやえがダメって言うんだもん。けど、今回の合同合宿の相手はさ、かなり強いっていうから、八割くらいは出してもいいのかなーって期待したのに……」 やえ「限度ってもんがあるだろ。セーラは《一桁ナンバー》なんだぞ。そのセーラに、お前は四、五割で確実に勝てると言う。あとはただの算数だ。お前の四、五割に勝てるやつは、学園都市に十人もいない」 セーラ「切なくなるからその単純計算やめてやー」 ネリー「がっかりなんだよー!」 やえ「ま、そう言うな。荒川憩か辻垣内智葉、あとはランクSかレベル5なら、お前でもそこそこ楽しめるはずだ」 ネリー「そこそこって……本気で打てる日はいつになるのやら」 やえ「心配しなくても、本選で勝ち進めば、いつか宮永照と当たる。そのときは、好きなように打っていいぞ。きっと、あれはお前の期待に応えてくれる」 ネリー「その言葉……嘘だったら許さないからね、やえ」 やえ「お前こそ、実物を前にして腰を抜かすなよ。宮永照はこの学園都市の《頂点》。全てにおいて最高の雀士だ。お前が全力を出しても、勝てない可能性は十分にある」 ネリー「上等なんだよっ!」 読む →
2014年05月31日 19:55 【咲SS】淡「ここが白糸台高校麻雀部かー!」 1 関連SS 【咲SS】淡「ここが白糸台高校麻雀部かー!」 1 【咲SS】淡「ここが白糸台高校麻雀部かー!」 2 【咲SS】淡「ここが白糸台高校麻雀部かー!」 3 【咲SS】淡「ここが白糸台高校麻雀部かー!」 4 元スレ 1:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします:2014/02/10(月) 19:34:31.10 :xJDQFOG90 ・咲SSです。 ・SS速報VIPへの書き込みは初めてです。至らぬ点がありましたらすいません。 ・大量のオリジナル要素があります。大量のキャラ崩壊があります。 ・百合描写があります。不快感を持たれる方がいたらすいません。どぎついのはありません。 ・闘牌描写があります。ミスや矛盾があったらすいません。雰囲気を楽しんでください。 ・更新は不定期ですが、二週間以上空けないよう自助努力します。 ・冒頭に、オーキド博士が最初にしてくれるアレみたいなものがあります。スキップしていただいても一向に構いません。 ・しばらくは『 淡「ここが白糸台高校麻雀部かー!」 』とほぼ同じです。既にそちらをご覧の方は、スキップしていただいて結構です。 ・長々とすいません。始めます。 2:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします:2014/02/10(月) 19:37:57.37 :xJDQFOG90 淡「はるばる海を超えてやってきました白糸台!」 淡「さーて、まずはどこに行けばいいんだっけ? なんか手続きがどうのこうのって……」ウロウロ 淡「んー? こっちかな? 『関係者以外立ち入り禁止』……?」 淡「いやっ、私は関係者だから、こんなの関係ないよねっ!」 淡「押しとお――!!」 ドンッ 淡「って痛ーっ!? ちょっと!! どこの誰だか知らないけど、いきなりぶつかってくるとか何してくれてるわけー!?」 ―――――― ―――― ―― 3:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします:2014/02/10(月) 19:42:56.97 :xJDQFOG90 白糸台研究学園都市。 人口23万人。 首都西部白糸台を中心とした円形の都市型独立研究機関。 研究概要:特定空間内におけるヒトの意識的確率干渉及びその相互作用について。 研究素材:麻雀。 研究対象:高校生雀士。 白糸台研究学園都市に住む高校生は全員が研究対象、つまり雀士であり、ごく一部の選ばれた雀士はインターハイを始めとした一般の麻雀大会にも出場する。 現在、白糸台研究学園都市に在籍する高校生は約一万人。 書類上、その全員が、同じ高校の、同じ部活に所属している。 白糸台高校麻雀部。 これは、 その頂点を目指す、 少女達の軌跡――!! 4:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします:2014/02/10(月) 19:45:51.07 :xJDQFOG90 ――理事長室 健夜「要するに、大規模な高校生雀士の養成所だって思ってくれればいいの。 ちょっとだけデータを研究に使わせてもらったり、たまにちょっとした実験に付き合ってくれればそれで大丈夫。あとは普通の高校生とそんなに変わらない。まあ……部活動は麻雀部一択なんだけどね。 けど、その分、衣食住といった生活面で手厚い保障が受けられる。さらに、研究に貢献してくれた生徒には、当然それなりの見返りもある」 ?「はい」 健夜「あと、学園都市ならではなのが、普通のカリキュラムの中に麻雀の授業が組み込まれていることかな。 うちの売りである《能力開発》も、ここに含まれる。もちろん、攻め、守り、読み――といった専門分野の授業も充実しているよ。 三年生になったらデジタル・オカルト分けっていうのがあるから、それまでに自分の進むべき道を決めないとね。 卒業後の進路としては、デジタル系なら研究職か経営職、オカルト系なら現場職か教育職に就くことが多いかな。もちろん、あくまで目安だけど」 ?「はい」 健夜「それから、うちの白糸台高校麻雀部――つまりこの学園都市にいる約一万人の高校生全員のことだけど――は、実力に応じて軍《クラス》を一から九まで分けていてね。生徒は自分のクラスに応じた校舎や寮に入ることになる。 人数比でいうと、九軍の生徒は全体の四分の一で、四から九軍の生徒が全体の九割。残りの一割が、二、三軍の生徒ね。 一軍ともなると、全体の0.05%以下しかいない――って、個人名を出したほうが早いか。今の白糸台高校麻雀部の一軍は、宮永照、弘世菫、渋谷尭深、亦野誠子。 彼女たちは三月にあった春季大会《スプリング》のレギュラーメンバー。大会のときはもう一人いたのだけれど、彼女はもう卒業して、今は四人だけになってる」 ?「はい」 健夜「一軍の四人――チーム《虎姫》っていうんだけど――を例に挙げるまでもなく、白糸台高校麻雀部がチーム制を採用しているのは有名だよね? うちは、基本的に五人一組のチームを最小単位として、レギュラー争いやクラス分けを行っているの。 チームは学年やクラスに関係なく組むことができる。ただし、クラスの違う人同士が組んだ場合、そのチームのメンバー全員が、その中で一番下位の人のクラスに移ることになる。四軍以下では、まま、よくあること。 ただ、二、三軍ともなると、基本的に同じクラス同士でしかチームを組まないかな。それくらい、上位にいくに従って、クラスごとの実力差が大きくなるの」 ?「はい」 健夜「で、今は学園都市のあちこちで、夏のインターハイに向けてのチーム編成が行われてる。メンバーを五人集めて、チーム登録をするのね。 それが終われば、今度はチーム単位でクラス選別戦を行う。この選別戦の結果で、今年一年間のヒエラルキーがほぼ決定することになるの。 そして、クラス選別戦の結果を元に、全チームを52のブロックに分けて、《予選》と呼ばれるトーナメント戦を行う。 で、その予選を勝ち抜いた52チームで《本選》……一軍決定戦《ファーストクラス・トーナメント》をして、優勝したところが一軍《レギュラー》――夏のインターハイに白糸台高校麻雀部として出場する、と」 ?「はい」 健夜「他にも、同時進行で個人戦の代表者も決めるのだけれどね。こちらは、軍《クラス》とは別に校内順位《ナンバー》という制度があって、純粋な個人成績を競うの。 この《ナンバー》は、ある種の救済措置でもある。特定のチームに所属していない人でも、個人戦の成績がよければ、相応の軍《クラス》に振り分けられる。例えば、二軍だと、三割くらいがこの個人戦のみの人たちになるかな」 ?「はい」 健夜「ちなみに、現在のところ、ナンバー1は宮永照ってことになってる。掛け値なしの、一万人の《頂点》。次いでナンバー2が荒川憩、ナンバー3が辻垣内智葉。この《三人》の順位は、そのまま去年のインターハイの個人戦結果に繋がっているよね。 このあたりが、白糸台を制する者はインターハイを制する――と言われる由縁。団体戦も個人戦も、白糸台高校麻雀部が公式戦でトップを逃したことはない。 ま、当然だよね。この学園都市の麻雀は、外の世界より数十年は先に進んでいるから」 ?「はい」 健夜「あと、この軍《クラス》や校内順位《ナンバー》の他に、《支配力》とも言われる《意識的確率干渉力》の強さによって、階級《ランク》をSからFまで設定している。 このランクSっていうのは、いわゆる《牌に愛された子》と呼ばれる特別な生徒たちのこと。 年によってはランクSが不在のときもあるのだけれど、今年は既に五人ほどランクS指定を受けている。一人は、知っての通り、宮永照よ」 ?「はい」 健夜「それから、能力開発の成績――つまりは能力の強度によっても、能力値《レベル》と呼ばれるものを設定してる。超能力相当のレベル5から、無能力のレベル0まで。 今のところ、この超能力者《レベル5》は、学園都市に七人しかいない」 ?「はい」 健夜「あなたの場合、校内順位《ナンバー》は、悪いけれど、最下位の一万位代からスタートすることになる。まあ、転校生は校内での戦績がないから、こればかりは仕方がないと諦めて」 ?「……はい」 健夜「そして、あなたの階級《ランク》――これも、残念なんだけど、Fランクという結果が出ている。ただ、これは生まれつきというか、先天性が強く出るものだから、あまり気に病まないでね。もちろん、後天的要因で変動することも稀にあるし」 ?「…………はい」 健夜「なんというか……こんな中途半端な時期に、半ば無理矢理学園都市に連れてきておいて、最下位ナンバーや最下位ランクっていうのは、こちらとしても本当に申し訳ない気持ちでいっぱいなんだけど……。でも、事実だから受け止めて」 ?「……………………はい」 5:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします:2014/02/10(月) 19:48:17.51 :xJDQFOG90 健夜「というわけで、早速今日から、あなたには《白糸台校舎》に通ってもらうことになる。 この学園都市でも最高の学び舎――白糸台高校麻雀部に所属する約一万人の、実質最上位に君臨する二軍《セカンドクラス》の生徒たちが通う、超がつくほどの高級施設。 当然だけど、そこに通うあなたは、既に二軍確定だから」 ?「はい……はいいいいい!!??」 健夜「何をそんなに驚いてるの? まさか、もっと下位のクラスに配属されると思ってた? とんでもない。こんな中途半端な時期に、半ば無理矢理学園都市にあなたを連れてきたのは、一体全体なんのためだと思ってるの? それだけの《価値》が、あなたにあるからなんだよ」 ?「い、いや、しかし……私は麻雀は人並み――否、人並み以下にしか打てません!? それに、ランクだってF指定の一般人なわけで……!!」 健夜「それは確かにそう。ちなみに、本当なら今ここであなたと一緒に学園都市の説明を受けるはずだった《もう一人の転校生》の場合だと、 一年生ながらに階級《ランク》は最高にして五人目のランクS、能力値《レベル》は大能力相当のレベル4にして多才能力者《マルチスキル》、校内順位《ナンバー》も遠からず20位以内には入ると目されるほどの逸材だよ」 ?「そんなとんでもない人が本当ならここにいるはずだったんですか!?」 健夜「そうなの。ただ、どこかで何かのトラブルに巻き込まれたのか……待てど暮らせど来ないみたい。困ったことに、連絡もないときてる」 ?「それは心配ですね……じゃなくて!! そんなランクS指定でレベル4の超人ならいざ知らず、なんで私のような、この間まで公立高校のレギュラーにもなれなかったような凡人がっ! いきなり天下の白糸台高校麻雀部の二軍《セカンドクラス》だなんて……分不相応もいいところ……!!」 健夜「だから、それはさっきも言ったでしょ。分不相応なんかじゃない。あなたにはそれだけの価値がある。 あのね、あなた、私と打ったときのこと覚えてる?」 ?「もちろん覚えてます。点棒ゼロの断ラス。完膚なきまでの敗北でした。こんな結果のどこに価値を見出せばいいのでしょうか……?」 健夜「ちなみにだけど、私がもう一人の転校生と打ったときは、南場に行くことなく片が付いた。東場で大体わかったから、そこで打ち切りにしたの」 ?「それが何か……?」 健夜「わからない? 方や南場に入る前に終了して、方やオーラスまできっちり打ち切った」 ?「そんなの、理事長のお心一つでどうとでもなるのでは?」 健夜「じゃあ聞くけど、あの日、私があなたの学校の麻雀部の子たちと打った対局で、一局でも、南入した対局があった?」 ?「それは……なかったですけど」 健夜「つまり、そういうこと」 ?「意味がわかりません」 健夜「わからないかな……。あなたは、この学園都市の理事長――小鍛治健夜と打って、半荘一回を最後まで打ち切った」 ?「そ、それくらいは他の方だって」 健夜「できない。可能性があるとすれば、宮永照だけだと思う」 ?「じゃ、じゃあ、あのときは理事長が手加減を」 健夜「してない。私、無駄に対局を引き伸ばすほど暇じゃないから」 ?「では、あのときの対局は、一体何が原因で……?」 健夜「もちろん、あなたの《能力》が原因よ」 ?「……えっ?」 健夜「私の支配すら受け付けない――恐らくは歴史的、世界的に見ても類を見ない強度を誇る――あなただけの《超能力》」 ?「ちょ……?」 健夜「さっき説明したように、白糸台には雀力を示すいくつかの指標がある。チームの総合力を示す《クラス》、個人の技量を示す《ナンバー》、支配力の強さを示す《ランク》――そして、能力の強度を示す《レベル》。 レベルの最高がいくつだったか、思い出して」 ?「レベル5……」 6:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします:2014/02/10(月) 19:50:02.22 :xJDQFOG90 健夜「そう。でもね、研究者の間では、このレベル5のもう一つ上があるんじゃないかという仮説が、神話や伝説と同じくらいの神秘性と信憑性でもって信じられていてね。 というか、言っちゃえば学園都市の存在意義が、この《人としての限界を超えた存在》――《神の領域の能力者》を生み出すことなの。 私たちはそれを……超能力者《レベル5》の上――絶対能力者《レベル6》と呼ぶ」 ?「それで……その幻のレベル6と、私になんの関係が?」 健夜「まだわからない? あなたは、そのレベル6に届く、唯一無二の存在かもしれないの」 ?「えええええ!?」 健夜「ところで、私は学園都市のレベル5は七人いると言ったけれど、あなたがここで白糸台への転校を拒否すれば、これが六人に戻ることになる」 ?「そうなんですか……」 健夜「そう。あなたは学園都市に七人しかいないレベル5の超能力者。あなた以外のレベル5は全員二軍《セカンドクラス》に所属している。有名どころで言えば、チーム《虎姫》の渋谷尭深が、レベル5の一人」 ?「まさか! 全国優勝するようなチームの一員と、私が同格だなんて!?」 健夜「それは違う。同格だなんて、とんでもない」 ?「そ、そうですよね、私なんか……」 健夜「あなたはレベル6になれるかもしれない唯一無二の存在――超能力者を超える絶対能力者の資質を持つ者。渋谷尭深よりも、或いは宮永照と比較しても、能力者としてのあなたは……間違いなく格上よ」 ?「か、格上っ!? 私が!? あの《虎姫》のメンバーよりもですか!!?」 健夜「《虎姫》だけじゃないよ。現在の白糸台高校麻雀部――ひいては過去の白糸台……ううん、人類の歴史を見ても、あなた以上の能力者は存在しない」 ?「う……嘘です……」 健夜「嘘だと思うなら、説明の前にあなたに渡した電子学生手帳――そこの所属を見てみなさい。クラスもナンバーもランクもレベルも明記されているから」 ?「えっと、あ、ここですか……って、うわああああ!?」 健夜「わかった? それがあなたの《価値》」 ?「そんな……私が……? 私なんかがっ!?」 健夜「というわけで、白糸台校舎と白糸台寮の場所は、その学生手帳にデータを送っておいたから、今日中に手続きを済ませること。じゃあ、私はもう一人の転校生を探さないといけないから、これで失礼するね」 ?「ま、待ってください! 本当にいいんですか!? 何かの間違いじゃないんですか!? 私が……レベル5なんて……!! それも――」 健夜「私だって、あなたと初めて対局したときは、何かの間違いだと思った。けれど、その後の検査と検証で、あなたの能力は《本物》だと確定した。 それはもう間違いないし、揺らぐこともない。あなたが自分のことをどう思っていようと、覆すことのできない、厳然たる事実」 ?「私が……」 健夜「誰がなんと言おうと、あなたはこの学園都市に七人しかいないレベル5――その最高位の、第一位」 ?「…………はい」 健夜「ま、そう気負わずに、学園都市での生活を楽しんで。ここは雀士なら誰もが憧れる理想郷。あなたは、その中でも選ばれた人しか入れない白糸台校舎で、世界最高水準の麻雀の勉強ができる。 最初は戸惑うことも多いと思うけれど、あなたならすぐ馴染めると思う。これから二年ほど、よろしくね――花田煌さん」 煌「はい…………」 7:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします:2014/02/10(月) 19:52:42.37 :xJDQFOG90 ――白糸台寮へと続く道―― 煌(学園都市最高のレベル5って……どうしてこんなことになったんでしょう……) 煌(まあ、しかし、なってしまったものは仕方ありません。栄誉あることですし、私にはそれだけの価値があると、あの小鍛治理事長がおっしゃってくださった。それだけでもうすばらなこと。期待には応えないといけません) 煌(そして何より、少々突然ではありましたが、憧れの白糸台高校麻雀部の一員となれた! ヘタだヘタだと嘆いている暇があるくらいなら、その名に恥じない雀士になるために精進すべきでしょう) 煌(やってやりましょう、花田煌! こんなことは、一生に一度あるかないかの幸運です。この学園都市で、これから二年間続く生活を、有意義なものにするのです!) 煌(いずれにせよ、これまで以上に麻雀の勉強に励まねばなりませんね……! なんだか燃えてきましたよー!! すばらああああ!!) ザワザワ 煌(ん……? あちらのほうがなにやら騒がしいですね……) 「先輩、こいつです! こいつがさっき私にぶつかってきて……!」 「それで、謝りもせずに立ち去ろうとしたってか」 「完全にうちらをナメてますよ、先輩。やっちゃってください!」 「フン……見かけねえ面だが……雰囲気からして一年か。ったく、躾がなってねえな」 ?「はあ? ぶつかってきたのはそっちでしょ? っていうか邪魔なんだけど。私、行くとこあるんだから」 「っせえんだよ、ガキが!」 ?「危なっ! なにすんの!?」 「その綺麗な顔に傷をつけられたくなかったら、大人しくしてろ」 ?「むうううううう……!!」 煌(あれは……一人が三人に囲まれているようです。雰囲気からして一年生と上級生ですかね。恐喝……か何かでしょうか。なんにせよ、すばらくありません! しかし、どうしたものでしょう。急いで誰か大人を呼びに行きたいところですが、ここには今私しかいません。あの方々から目を離すわけには……) 8:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします:2014/02/10(月) 19:56:26.94 :xJDQFOG90 煌(あれは……一人が三人に囲まれているようです。雰囲気からして一年生と上級生ですかね。恐喝……か何かでしょうか。なんにせよ、すばらくありません! しかし、どうしたものでしょう。急いで誰か大人を呼びに行きたいところですが、ここには今私しかいません。あの方々から目を離すわけには……) 「おいガキ。ちょっと面貸せよ。雀荘行こうぜ。そのスッカラカンの脳みそに、アタシらが先輩後輩の上下関係って言葉の意味を叩き込んでやるからよ」 ?「雀荘……? なに、私と麻雀で勝負しようっていうの?」 「そうだよ。テメェが勝ったら今日は見逃してやる。負けたらそのときは……わかってるよな?」 ?「ふふっ……いいじゃん。ちょうど私も、この間大負けして、むしゃくしゃしてたんだよねー!!」 「じゃあ、決まりだな……」ニヤッ 煌(ああっ!? まずいです! 移動してしまいます……!! ええい、こうなったらやるべきことは一つ! ここは覚悟を決めるのです!! 困っている人を見過ごすわけにはいきません!!)ダッ 煌「ちょ、ちょっとお待ちください! あなた方!!」 「ああ?」「なに?」「誰?」 煌「あ、う……! えっと、とにかくです! 女の子一人を上級生が三人がかりで脅かすなんて、恥ずかしくないのですか!? 詳しい事情はわかりませんが、そんなすばらくないことは即刻やめにして、今日のところは――」 ?(……?)キョトン 煌(こ……この子………………すばらっ!!) ?(……?)ジー 煌(こんな綺麗な人が地球上に存在していいんですか!? 鮮やかな金髪、陶器のような透き通る白い肌、芯の強い真っ直ぐな瞳……! なんでしょう、見つめられるだけで、胸が高鳴って……!?) 「おい、なんだよテメェは。こいつの仲間か?」 煌「そ、そうです! この人は……その、私の大切な人です!!」 ?(っ!?) 煌「この人に手を出すというのなら、いくら私だって黙っていませんよ!!」 「黙ってないって……じゃあどうするってんだよ」 煌「そ、その、えっと、先生に言いつけます!!」 「先生って……ぎゃっはっはっは!! バカかテメェ!? 今時そんな脅し文句でビビる高校生がどこにいるってんだよ!! 引っ込め、この鍬形頭がっ!!」ガシッ 煌「ああ……痛っ!?」 ?(――!?) 煌「やめ……離してください……!!」ジタバタ 「誰が離すかよ。こんないかにも掴んでくださいって髪型しやがって!!」グッ ?「…………!!」ゴゴゴゴゴゴゴゴ 「!!!?」ゾゾッ 煌(あれ……手が緩んだ……? 一体何が……)チラッ 9:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします:2014/02/10(月) 19:57:56.06 :xJDQFOG90 ?「あんたたち……用があるのは私じゃなかったの?」 「(な、なんだ今……こいつからとんでもない気配がしたような……)だ、だからなんだってんだよ」 ?「別に粋がって私に絡んでくるのはいいんだけどさ、この私に絡んでおいて、他の人にも手を出すってのはちょっとカチーンってくるかも。 あんたらの相手はこの私でしょ? 余所見しないで。麻雀……やるならさっさとやろうよ。 その腐った脳みそに、私が力の上下関係って言葉の意味を叩き込んでやるから」 「い――いい度胸じゃねえか……! おい、オマエらも、行くぞ!!」 「「はいっ!!」」 煌「あ、あの……っ!」 ?「私のことは心配しないでダイジョーブ。巻き込んでごめんね」コソッ 煌(こ……この子……! 私を助けるために、わざと彼女たちを挑発して……!) ?「助けてくれて、どうもありがとう。最初はびっくりしたけど、すっごく嬉しかった!」ニパッ 煌(なんて純真な笑み……! まるで天使のような!!) ?「じゃ、またどっかで会えたらいいね……名無しのヒーローさん」 煌「は――花田煌ですっ!!」 ?「えっ……?」ピタッ 煌「私も、お供いたします……!! よろしいでしょうか?」 ?「い、いいの? だって、あなたはただの通りすがりで、それに、私のこともよく知らないでしょ?」 煌「人を見る目はあるつもりです。それに、一度首を突っ込んだ以上、私も既に関係者の一人。ご迷惑じゃなければ、最後まで付き添わせてください」 ?「……わかった。ただし、これは私が売られた喧嘩。あなたは見てるだけでいいし、危なくなったらいつでも逃げてね」 煌「わ、わかりました。あ、あの、それであなたは……」 ?「大星淡。学年は一年生だけど、実力は高校百年生だよっ!!」ニパー 煌(大星淡さん……! なんて眩しい笑顔ですか!! すばらっ!!) 淡「じゃあ、ハナダ。一緒に雑魚退治に行こっか!」 煌「ど、どこへなりとも付いて行きますっ!!」 10:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします:2014/02/10(月) 20:00:31.61 :xJDQFOG90 ――雀荘 「じゃ、始めるぜ。ルールはうちの標準ルール。東南戦の一回勝負だ」 淡「望むところー!!」 煌(変な疑いをかけられないように、こうして大星さんの後ろについてみましたが……それにしても、この髪の毛……見るからにサラサラで、まるでシルクのような光沢。しかも、ふわふわといい匂いまで漂ってきて……)ポワー 淡「じゃ、ハナダ! すぐ終わらせるから、ちょちょーっと見ててねっ!」 煌「は、はいっ!」 (フン……ガキがノコノコ誘いに乗りやがって。テメェがどんなに強かろうと、アタシら三人を相手に回した時点で、テメェの負けは確定なんだよ! アタシらのナンバー上げついでに、思いっきり恥かかせてやる……!!) 淡「親は私だねっ! サイコロ回れー」コロコロ (オマエら、わかってるな。最初から行くぜ!) ((はいっ!)) 西:うち後輩 北:私後輩 ■ 南:アタシ先輩 東:淡 ―――― 東一局・親:淡 淡「さーて、と。第一打は何切ろうかなー」ルンルン 煌(学園都市での麻雀は奇妙奇天烈摩訶不思議との噂でしたが、今のところ特に変わったところのない普通の麻雀に見えます……。否、なにやら、相手方の顔色が悪いですね) (チッ、配牌クソ悪いな。面倒臭ェ) (せ、先輩!) (あんだよ) (どうやら……私たち三人とも五~六向聴っぽいです。この金髪だけ普通の二~三向聴。これは何かの能力ですよ!) (レベル2の感知系能力――《他家の配牌の向聴数がなんとなくわかる》……これが偶々じゃねえってわかったのは収穫だ。助かったぜ) (光栄です!) (ひとまず、アタシは普通に聴牌を目指す。配牌干渉系の能力ならツモ牌まで干渉してくることはねえだろうし、なんとかやってみるさ) (わ、わかりました。私たちは先輩の聴牌を待ちます!) 淡「(なーんかコソコソしてやな感じ。さっさと和了って終わりにしよう)決めた! 第一打はこれー!!」タンッ ――数巡後 淡「ロンッ!! 7700いただき!!」パラララッ (くっ……こいつ!) 煌(無駄のない打牌ですね。私のいた地区の上位レベルと比べても、なんら遜色がない。軽く流しているように見えますが、小手調べの闘牌がこれとは。さすが学園都市です。麻雀の平均水準が高い) 淡「一本場~!!」コロコロ (連荘なんてさせるかよ……!!) 11:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします:2014/02/10(月) 20:07:50.21 :xJDQFOG90 東一局一本場・親:淡 淡(むー。《絶対安全圏》はちゃんと機能してるし、大した支配力も感じない。適当に打ってれば負けないかな。つまんないの。次もこんな感じなら、さっさとアレやって三人同時にやっつけよー)タンッ (このガキ……あからさまにやる気をなくしてやがる。今回もクソ配牌だしな。チンタラやってるとさっきみたいに先を越される。 が、とにかく聴牌しねえことには始まらねえ!)タンッ ――数巡後 (よし……! 絶好の一向聴!! この局は行けるかもしれねえなッ!!)タンッ 淡(おっ? 何かやるっぽいな。いいじゃん、ちょっと見てみよう)タンッ 煌(大星さん!? なぜに和了り拒否ですかー!?) 「(張った……!! やっと来たぜ! 見てろよガキ、これがアタシの《能力》だッ!!)リーチ!!」チャ 「(先輩のリーチが来た!! よ、よし、追いつけた。これで、うちも……!)リーチです!」チャ 「(よし、これで先輩の勝ちだ!!)私もリーチします!」チャ 淡(むむ、雑魚Aと雑魚Bもリーチ? 先輩さん以外に聴牌気配はなかった気がしたんだけどな……ま、いっか)ツモッ 煌(ツモを見て、大星さんの手が止まった?) 淡(はっはーん。なるほど……そういうことかっ! ふむふむっ! 使い勝手は悪そうだけど、その分強度が高いんだね。まさかこの私が一発を掴まされるなんて!!)ニコニコ (なに笑ってやがる……生意気なガキめ。切るならさっさと切りやがれってんだ!) 淡(とりあえず、振り込むのはヤダからこれは残しで、現物現物っと)タンッ 煌(大星さんが聴牌を崩した? もしかして、これがあの人の和了り牌ということなんでしょうか) 「(チッ……カンのいいやつだ。だが、甘ェ)ツモ。2000・4000は2100・4100だ」 煌(本当に和了り牌でした!! すごいっ、なんでわかったんでしょう!? いや、それよりもこの方……ツモ牌を見もせずにツモ宣言をしたような感じでしたが、まさか一発が来るとわかっていた?) 淡「あっちゃー親っ被りかー。ま、全然くれてやるけどっ!」チャ 「口の減らねえガキだな」 淡「それほどでも。で、これで終わり? 確かに、言うだけのことはあると思うよ。けどさ、フツーこんな隠し芸みたいな能力を持ってるだけで、そんなデカい態度取る? 恥ずかしいっていうか、ちょっと痛いよね~」 「テメェ――!? この一回でアタシの能力を見破ったのか? だとしたら……そっちもデカい口を叩くだけのことはあるな」 淡「私は高校百年生だからねっ!!」ドーン 煌(大星さん、百とかそういう数字で威張る高校生なんて、あなた以外にいませんよ……) 淡「次はそっちの親だよね。珍しいものを見せてもらったお礼に、私もちょっと張り切っちゃうよー!!」 (言ってろ、ガキが……ッ!) 12:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします:2014/02/10(月) 20:12:34.55 :xJDQFOG90 東二局・親:アタシ先輩 (またこのクソ配牌か、鬱陶しいな!)タンッ (せ、先輩、うち、なんか背筋が寒いような……)タンッ (私もです、先輩……)タンッ (ガキ、何かやってんのか……?) 煌(大星さんの配牌が……!!?) 淡「ほいっと、ダブリー!!」ギャギャギャ (((ツモ切りのダブリー!?)))ゾワッ 淡「むっふふーん。どうしたのー? ダブリーくらい珍しくもないでしょー?」 「ま、まあな……」 煌(いや、珍しいですよ! あわや地和でしたよ!! この方、なんだかんだで動揺しているのでは? それとも、本当に珍しくないと思っている……とか?) (驚いたぜ……! いや、ダブリーに、ではなく、こいつが多才能力者《マルチスキル》だってことにな。能力者の集う学園都市とは言え、複数の能力を持った雀士はそう多くない) (この一年、白糸台に来る前は一般人と打ってたんだろうな。そりゃ、他家をクソ配牌にする能力と、自由にダブリーをする能力があるなら、一般人相手に負けることはねえだろう) (だが……わかってんのか? ここは天下の学園都市だぜ。アタシの能力が通用したってことは、テメェの能力値は、高くてもアタシと同格のレベル4) (その程度の能力者なら、ここの上にはゴロゴロいる。レベル4のマルチスキルは確かに脅威だが、必要以上にビビることはねえ。ここは外の世界とは違う。科学《デジタル》と能力《オカルト》が共存する世界最高峰の雀士養成都市――) (テメェ程度の、一般人相手に勝ちまくって、自分を無敵だと勘違いした能力者が……雑魚専門などと揶揄されて地に落ちる街だッ!!) 13:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします:2014/02/10(月) 20:15:43.44 :xJDQFOG90 淡(む……動揺ゼロ? へえ、まだ何かあるんだ。いいじゃんいいじゃん。そうこなくっちゃ!!) 煌(大星さん! 大丈夫なんですか? あちらの先輩さんは全然戦意を失ってませんけど) 淡(大丈夫じゃないかもねー。私のダブリーとは若干相性が悪い気がするし) 煌(というと?) 淡(あっちの先輩さん、たぶん、《三家立直になると一巡以内に和了れる能力》を持ってるんだと思う。しかも、ロンする相手を選んだり、誰も振り込まなければツモを《上書き》したりっていうのも、ある程度自由に決められるみたい) 煌(そ、そんなオカルト!?) 淡(ありえないって? ここは学園都市――科学《デジタル》と能力《オカルト》が共存する街だよ。ハナダは私より先輩っぽいのに、そんなことも知らないなんて、今までここで何をやってきたの?) 煌(わ、私は今日転校してきたばっかりなんですよ!) 淡(……へえ? まあ、いいや。とにかく、私は負けないから、心配無用だよー) 煌(いや、しかし、その、大星さんの能力(?)は《自在にダブリーができる》なんですよね? なら、確かに三家立直になりやすい。 しかも、相手の方が出和了りする相手を選べるなら、リーチしている大星さんは、さっきみたいに掴まされたら、振り込むしかない。本当に勝てるんですか?) 淡(見かけによらず慧眼だね、ハナダ。でも、そんなの関係ない。最後には私が勝つ。というか、ハナダ、私の能力の本領は《自在にダブリーができる》じゃないよ。いや、実際、自在にダブリーできるんだけどさ) 煌(できるんじゃないですか!?) 淡(でも、私の支配領域《テリトリー》は、そこだけじゃない) 煌(それは、どういう……) 淡(もうちょっと待っててね。次の角が来たら見せるから) 煌(なにがなんだか――って! また見逃しですか!? いま先輩さんから和了り牌出たじゃないですか!?) 淡(わかってないなー、ハナダ。いま和了ったらダブリーのみで2600じゃん。そんなもったいない和了りはしたくない。親っ被りには親っ被りをお返ししてやるんだよん!) 煌(凡人には理解できない思考です……! これが学園都市の能力者ですか) 淡(さーて、そろそろ角が見えてきた。いやー今回は深いところにあったなー) 「リーチ……!」チャ 淡(あっ、ヤバ) 煌(見逃しなんてして悠長に待ってるからです!) 「……私もリーチです」チャ 淡(ありゃりゃー) 煌(どーするんですかー!?) 淡(慌てない慌てない)ツモッ 煌(大星さん……?) 淡「……やるじゃん、先輩さん?」ニパ 「るせぇ、和了らねえなら切れよ」 淡「うんうん。雑魚でこのレベルなら、この先もなかなか楽しめそうだよ、学園都市――白糸台高校麻雀部!!」タァンッ 煌(大星さあああん!!?) 「それ、ロンだ。18000ッ!」パラララ 淡「ひゅーっ! ハネ満じゃん!? いいね、面白いっ!! 好きなだけくれてやるぅー!!」ジャラジャラ 「(こいつ……どこから来るってんだその余裕は!)……一本場だ!」 14:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします:2014/02/10(月) 20:20:57.36 :xJDQFOG90 煌(大星さああああん!) 淡(なに、ハナダ?) 煌(なに、じゃないですよ! 負けちゃいますよ!?) 淡(負けちゃうかもねー) 煌(なんでそんなに軽いんですかー!?)ガビーン 淡(ま、でも、負けても失うものがあるわけじゃないから。というか、むしろ、私が負けたほうが、向こうをがっかりさせられるかも) 煌(どういうことですか?) 淡(たぶんだけどね、この人たち、色んな人に突っかかっては、こうやって三対一の対局を仕掛けてるんだと思う。あの先輩がアタッカーで、他の二人はサポート。 仲間が三人いれば、三家立直に持ち込みやすくなる。あの先輩に優位な場を作れるってわけ。連携も慣れてる風だったしね) 煌(確かに、やけにリーチのタイミングがいいとは思っていましたが。しかし、目的は?) 淡(ナンバーだよ。学園都市では、個人の総合成績で校内順位《ナンバー》を決める。そして、相手のナンバーが自分のナンバーより上であればあるほど、勝ったときのナンバー上昇率が大きくなる) 煌(じゃあ、この人たちは、自分たちより強い相手に、三対一の勝負を仕掛けて、勝ちを重ねていると? それで、自分たちのナンバーを効率よく上げている、と) 淡(そゆこと。取り巻きの二人も、二位か三位にはしてもらえるわけだから、それなりに恩恵がある。かつ、もし負けることがあっても、相手はそもそも格上だから、ナンバーの下降は最小限に抑えられる。 能力値《レベル》や支配力《ランク》は生まれつきによるところが大きいけど、校内順位《ナンバー》や軍《クラス》はそうじゃない。下位クラスの人の中には、こういうやり方で上を目指す人もいるってことだね) 煌(厳しい世界なんですね……。ですが、大星さんが負けてもいいというのは? 大星さんなら当然、上位のナンバーをお持ちなんですよね? ここで負けたら、それこそあの方たちの思う壷では?) 淡(私が上位ナンバー? はっはっはー、そいつはどーかなー。下手すると最下位かもしれないよ) 煌(それは……ないです) 淡(断言したね。ま、私の実力からすれば、確かにありえないんだけど。でも、これにはちょっと事情があるんだ) 煌(まあ、とにかく、大星さんの言いたいことはわかりました。つまり、この人たちは、今ここで大星さんに勝っても、旨味がほとんどない、だから負けても失うものはない、ってことですね。けれど……) 淡(ん?) 煌(大星さんは、それでいいんですか?) 淡(まあ、ぼちぼち楽しめたし、色々見せてもらったし、得るものはあったかな) 煌(そうではなく、プライドというか、面子というか) 淡(あははっ、そーゆーこと? だーかーらー、わからないかな。さっき言ったじゃん!) 煌(え――?) 淡(最後には、私が勝つって……!!)ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ 煌(よ、よくわかりませんが、すごい気迫ですっ!!) 15:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします:2014/02/10(月) 20:28:42.62 :xJDQFOG90 東二局一本場・親:アタシ先輩 淡「まったまた行っくよー、ダブリー!!」ギャギャギャ (こいつ……慎重になると思いきやまたダブリーかよ。動揺が一切ないってのはムカつくっつーか、いっそ清々しいな) (にしても、この溢れ出るバカげたプレッシャー。覚えがあるぜ。高ランクの化け物から感じるそれと同種のもんだ。それもとびきりヤバいやつ。ってことは、こいつ、まさかランクS……?) (いや、それはねえか。白糸台のランクSは四人だけ。こんなところでふらっと出会うようなやつらじゃねえ) (……にしても、だとすると、こいつ何者だ? 後輩どもからカモがいるって聞いてきて、確かに只者じゃねえ――上位ナンバーの風格があったんだが、アタシは見たことねえんだよな。後輩どもも、どこの誰だか、名前すら知らないって言ってたが……) (レベル4は確かに珍しくねえが、ありふれているわけでもねえ。特にこいつみたいな単純でわかりやすい能力な上に強えとくれば、この容姿でこの性格……新入生とはいえ噂くらいは入ってくるはずなんだが) (ま、今は対局に集中するか。恐らく、こいつは根拠もなく余裕を見せるなんて真似をするやつじゃねえ。となると……まだあるんだ。上が) (他家の配牌を悪くする。ダブリーを自在に放つ。一つ目の能力からして、三つ目の能力ってのは、発動するのが終盤なのかもな。それも……派手でデカいやつだ。いかにもこいつが好きそうな、それこそ、天地が二百七十度くらいひっくり返るような、とんでもねえ能力――) (まあ、推測でしかねえがな。ただ、常にダブリーでツモ切りしかできないこいつが、何かしら能動的に仕掛けてくるとしたら、おのずと手段は限られてくる) (いや、まさかとは思うが……暗槓じゃねえだろうな? で、カンドラモロノリとか? それなら、仮に配牌でダブリーのみだったとしても、ドラ4で最低でもハネ満確定……)ゾワッ (い、いやいや……! さすがにそんなふざけた能力じゃねえか。そんな化け物がいたら間違いなく名が通ってるはずだしな!) (何にせよ、仕掛けるなら序盤だ。ヘタに引き伸ばしてこいつに奥の手を出されちゃ敵わねえ。今ここで片をつける!! おい、オマエ!!) (は、はい! 先輩!!) (オマエの能力の使い時だ。ここで決めるぞ!!) (わかりました! ここはうちに任せてください!!)タンッ 「ポンだッ!」タンッ 淡(鳴いた……? 何する気?) 煌(どういうことでしょうか? 鳴いたらリーチができないのに……) (お次は……これですかねっ!)タンッ 「それもポン……!」タンッ (最後は……これっ!!)タンッ 「(レベル3の感知系能力――《自分の手牌の中から、場の誰かが二枚以上抱えている牌を見分けることができる》――まさか、こんな早々にこいつを働かせることになるとはな!)ポン!!」ニヤッ 「(これでこの局もうちらの勝ちですね、先輩!)リーチ!!」チャッ 淡「ふぁあ!?」 「わ……私もリーチです!」チャッ 淡「ふぇえええ!!?」タンッ 「ロンッ!! 7700は8000!!」パラララ 淡「ふぉおおおおおお!!?」 「目を白黒させてどうした、ガキ。ようやくテメェの置かれた状況を理解したか? ああ?」 淡「す……い……!!」 煌(大星さん……!?) 16:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします:2014/02/10(月) 20:33:07.25 :xJDQFOG90 「どうした、あまりの点差にネジが――」 淡「すっごいいいじゃん! すっごいいいよ!! そっか!! 《三家立直になったら和了れる》能力――自分以外の三人がリーチしたときにも有効なんだねっ!? まさかそういう使い方があるなんて……! だって、それ、普通なら自分がリーチして使おうとするじゃん!! そしたら裏ドラも期待できるし一発だってつくんだからっ!! そこを逆手に取ってくるとはなぁ……! 自分の能力をよく研究してないとできないことだよね! しかも! それを私が《絶対安全圏》に胡坐をかいてるこの序盤に仕掛けてくる!! タイミングも最高だよっ!!」 「…………この、ガキ……!」ギリッ 淡「すごいー! すごいー!!」キラキラ 煌(大星さん! 大星さん!! はしゃいでる場合じゃありませんよっ! 点数をよく見てください……!!) 淡「へ?」 淡:600 ア先:58600 う後:20900 私後:19900 淡(んー? 目の錯覚かなー?)ゴシゴシ 煌(現実逃避しないでください!! 何度数えても残り600点です! これでは大星さんの得意とするダブリーができません!? どうするんですか!?) 淡(…………………………どうしよう……)サー 煌(あれだけ大見得を切っておいてまさかの手詰まりですかー!?) 淡(これはあれだね、うん。とりあえず、《絶対安全圏》で嫌がらせをしつつ、その間に気合でツモるしかないね。うん。そうしよう。うん) 煌(あの、さっきから《絶対安全圏》《絶対安全圏》って、なんのことですか?) 淡(私は《他家の配牌を五~六向聴にする》ことができるんだ。最初からずっとやってるよ) 煌(…………えっ? それ、本当ですか?) 淡(ふふーん、驚いた? 《絶対安全圏》、《ダブリー》、それからフィニッシュにもう一つ。私には全部で三つの能力があるんだ。多才能力者《マルチスキル》って珍しいみたいなんだよねー) 煌(いえ、そうではなく……) 淡(ん? ……ハナダ?) 「おい、ガキ。いつまでヘラヘラしてるつもりだよ。わかってんだろうな。テメェはもうダブリーをかけることができねえ」 淡「なーにー? そんなに私の本気が見たいの? いいよ、なら……今すぐに見せてやるから――!!」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ (こ、こいつ……本当に何者だっ!?)ゾワッ 淡「じゃ……対局を再開しよ――」 煌「…………大星さん」 17:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします:2014/02/10(月) 20:34:59.79 :xJDQFOG90 淡「なに、ハナダ? 急に真面目な顔して。いま面白くなってきたところなの。邪魔しないで。というか、近いと危ないから、少し下がってたほうが――」 煌「大星さん。大星さんは、この方々に勝つつもりなんですよね?」 淡「そうだよ?」 煌「なら……この場はどうか、私に任せていただけませんか?」 淡「は? どういうこと?」 煌「次の東二局二本場――私に代打ちさせていただけませんか?」 淡「…………本気で言ってるの?」 煌「はい」 淡「それは……私じゃ万が一で負けるかもしれないけど、ハナダなら万に一つもこいつらには負けない――ってこと?」 煌「少し……違います。大星さんの力は、ほんの片鱗だけですが、先ほどから痛いほど感じています。この『対局に』勝利するだけなら、間違いなく、大星さんが続きを打ったほうがいいでしょう」 淡「むう……?」 煌「もう一度言います。この『方々に』勝つつもりなら、私に任せてください」 淡「ふーん……。わかった。いや、わかってないけど。とにかく、いいよ。代打ちを認める。ただし、絶対に勝ってよね」 煌「はい……《絶対》に勝ちます」 「お、おい……ちょっと待て! 代打ちは正直勝手にしろって感じだが――なあ、金髪のガキ。本当に代わっちまっていいのかよ。 もし、そこの鍬形が負けたら、変動するのはテメェのナンバーだぜ? 大体、テメェらさっき会ったばかりの他人同士だろ。そんなやつに、大事な自分のナンバーを預けるなんて――」 淡「うるさいな、先輩さん。あなたには関係ないでしょ。私はハナダを信じてる。だって、ハナダはいいやつだもん! 見ず知らずの私を助けようとするような、いいやつだもんっ!」 煌「大星さん……」 「チッ……! わあーったよッ! フン……やるならやろうぜ。さっさと座れ。ソッコーで終わらせてやる!」 煌「よろしくお願いします……」 淡(さて……ハナダが何を考えてるのかはさっぱりだけど、っていうかどうやって逆転するつもりなのかもわからないけど、最後まで楽しく見させてもらうよっ!) 18:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします:2014/02/10(月) 20:37:37.26 :xJDQFOG90 東二局二本場・親:アタシ先輩 ――十一巡目 淡(ってぇー!! ハナダってば!! もう中盤も過ぎたってのにまだ三向聴っ!? なんか打ち方もへたっぴーだし!! どどどどどどど、どーすんのこれ!?) 煌「…………」タンッ (この鍬形……何かとんでもねえ力でも使うのかと思ったが、拍子抜けだな。どっからどう見てもただの一般人。気配からしてランクも下位っぽいし、技術もあるようには見えねえ。ナンバーだって下から数えたほうが速えだろう。 ま、何もするつもりがねえのか、できねえのかは知らねえが、この局で終わりにしてやるよ。 行くぜ……オマエら、準備できてんだろうな!?) ((はい、先輩!!)) 「リーチだッ!!」ゴッ 淡(あわわわわわ!!) 「うちもリーチです」チャ 「私もリーチです!」チャ 淡(は、ハナダー!!) 煌「………………」ツモッ 淡(………………えっ?) 煌(ふむ、これは要りませんね)タンッ (は――? ツモ切りなのに、アタシの和了り牌じゃねえ……だと……?)ゾワッ (せ、先輩……? どうして掴ませなかったんですか?) (ツモだと、私たちのポイントが若干下がってしまうのですが……) (う、うるせえ! アタシだって掴ませるつもりだったんだよ!! だが……どういうわけか能力がうまく発動しなかったみてえだ。悪いな、この分はどこかで埋め合わせするからよ……) ((わかりました)) (じゃあ、ま、軽く一発をツモって終わりに――)ピタッ ((せ、先輩……?)) (バ、バカな……ッ!! こんな……ありえねえ……!!?)ゾゾゾッ ((先輩!? どうしたんですか!?)) (ど、どうしたもこうしたも――)ガタガタ 煌「どうかされました? 顔色が悪いですけれども」 「テ――テメェ!! 一体何をしやがった!?」 煌「……仮に私が何かをしていたとして、それをあなたに言う義理はありませんね。さあ、ツモでないなら早く牌を切ってください」 「ク……クソがっ!!」タァンッ 19:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします:2014/02/10(月) 20:41:39.58 :xJDQFOG90 淡(これは……どういうこと? あの先輩さんの能力は、《発動条件》を満たせばほぼ確実に効果を発揮するような、かなり強度の高いものだった。それこそ、私の支配下にある牌を《上書き》して、私に和了り牌を掴ませるくらいに。 けど、ハナダが私以上の《支配力》を持っているとは思えない。というか、ハナダからは何も特別な気配を感じない。でも……じゃなければどうして……?) ((三家立直状態で先輩が和了れなかった!? こんなこと今までに一度もなかった……!!))アタフタ (アタシだってこんな異常事態、過去に一度しかねえよ!! 和了り牌をあらかじめ握りつぶされるとか、《発動条件》をクリアする前に潰されたりとか、そういうのはいくらでも体験したことはあるが……こいつのはそれとは違う! 和了り牌はまだ何枚も残っている! 《発動条件》も満たしている! なのに……どういうわけか牌の《上書き》ができねえ!! おかしい……何もかもがおかしい……!! アタシの能力は――使い勝手が悪い分、他のレベル4に比べても強度は上のほう。それが……なぜ機能しない……!!?) ((せ、先輩!? 大丈夫なんですか……!?)) (ま……まあ、そう慌てんな。リーチをかけてる以上、こっちが優位なことに変わりはねえんだ。 仮に、こいつが何らかの方法でアタシの和了りを《無効化》しているんだとしようじゃねえか。だが、それはつまり、言い換えれば場がデジタルになってるかもしれねえってこと――《古典確率論》に従って場が動いてる可能性があるってことだ。 とくりゃ、オマエらが偶然ツモったりすることも、十分ありえるわけだぜ。そのときは遠慮は要らねえ。その瞬間に手牌を倒せ!) ((わ、わかりました……!)) (それに、だ! アタシの能力には、誰にも教えたことのねえ『裏』があるのさ……!! たとえアタシらの誰も和了れなくても、この状況――最後に笑うのはアタシら以外にありえねえんだよ!) ((はい、先輩!!)) 淡(ハナダ……もしかして、ハナダは――) 20:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします:2014/02/10(月) 20:45:51.04 :xJDQFOG90 煌「あの……すいません」 「ああ?」 煌「ちょっと、一つ確認をしたいことがあるのですが、よろしいでしょうか?」 「なんだよ」 煌「申し訳ありません。私、ここの標準ルールというものを、まだきちんと把握していなくて……」 「だからなんなんだよ。勿体つけてねえで話せ!」 煌「チョンボは満貫払い、ということでよろしいんですよね?」 「そうだよ」 煌「なるほど。では、例えば、聴牌していないにも関わらずリーチをかけて、流局時にそれが発覚した場合なども、満貫払いということになるのですね?」 「「「――!!!!?」」」ゾワッ 煌「ちなみになのですが、同じチョンボを同時に二人がしてしまった場合、チョンボした人同士で点棒の移動は起こるんですか? それだと、実質の罰符が満貫分より少ないことになってしまうと思うのですが――」 「そ、そんな細かいことどうでもいいだろ!! 大体、なにがどうなりゃそんなアホみたいな偶然が起きるってんだよ!? ああ!?」 煌「わかりませんよ? ありえない、なんてことはありえません。それに、起こるか起こらないかは、今問題にしていません。私はただ、確認したいだけなのです」 「……っ!!」ギリッ 煌「三家立直から誰も和了らず流局となり、蓋を開けてみたら、リーチした三人のうち二人が聴牌の形になっていなかった。 この場合、チョンボの満貫払いというのは、この二人の間でも行われるものなのでしょうか。それとも、二人聴牌・二人ノーテン時のように、チョンボした人からチョンボしてない人へのみ、点棒が移動するのでしょうか。 勉強不足の私に、どうかご教授願います」 「…………前者だよ。チョンボは常に場に対して――つまり全員に罰符を払う。タイミングは問題じゃねえんだ。同時だろうが多発だろうが、一つ一つのチョンボは、それぞれ独立のものとして扱う」 煌「ありがとうございます。これで、心残りなく流局を迎えることができます……」 (……この鍬形……!!)ギリッ 21:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします:2014/02/10(月) 20:53:00.97 :xJDQFOG90 ――流局 「聴牌です」パラララ 「聴牌……」パラララ 「(ふう……ひやひやさせやがって)アタシも聴牌だ」パラララ 煌「おお……!」 「どうした? あとはテメェだけだぜ。もっとも、どうせノーテンだろうがな!!」 煌「えっ、なんで断言できるんですか?」 「アタシの能力にはな、裏の面があるんだよ。 《三家立直になったらアタシが和了る》能力――これは、裏を返せば、《アタシが和了らない限り三家立直が継続する》ってことになるんだ。つまり、アタシの能力が発動したら最後、《四家立直では流せない》んだよッ!!」 煌「そ、そんな側面があったなんて……はっ!? だから、ご自分でリーチをかけないときには、鳴いて和了っていたのですね!? 速攻で仕掛け、なおかつ、ご自分の能力の縛りを抜け出すために!!」 「ご明察だ!! さらに言うと、アタシのこの裏能力は――《点棒状況には左右されない》。テメェの点数が600点しかねえ――聴牌してもリーチを掛けられねえ状況――ってのは関係ねえんだ!! あくまで特定の条件下で《門前聴牌を封じる》能力なんだよ。《リーチを封じる》能力とは似て非なるもの! だから……そもそも四家立直にならねえ状況でも、アタシの裏能力はテメェの門前聴牌を封じるってわけだ!!」 煌「なんて詳細な能力把握……すばらです!」 「で、だ! テメェはさっき、アタシらの三家立直が成立したとき、まだ聴牌してなかったよな?」 煌「ええっ!? な、なんでそれを!?」 「いや、十中八九そうだろうって思ってカマかけただけだ。だが、当たりみてえだな。で、テメェは愚かにも、三家立直成立から今の今まで、門前を通して流局を迎えちまったってわけだ……!!」ニヤッ 煌「その……通りです……」 「テメェがどういう能力を使ってアタシの和了りを《無効化》したのかは知らねえよ。ま、一万人も雀士がいりゃ、あの《塞王》以外にもう一人くらい、アタシの和了りを防ぐ封殺系能力者がいてもおかしくはねえ……だが!!」 煌「あの……」 「アタシの和了りを封じても、アタシの裏能力まで封じることはできねえはずだぜ!? そもそもアタシの裏能力が封殺系だからな! 封殺系を封殺系で《無効化》するなんて、アタシは寡聞にして聞いたことがねえ!!」 煌「あのー……」 「とは言え、私の和了りを真正面から潰したのは、学園都市でテメェが二人目だ。その点は評価するぜ。が、まだまだ詰めが甘かったな。ノーテン罰符で終了ってのも盛り上がらねえが、それでも勝負は勝負……テメェら二人揃って、尻尾巻いて逃げるんだな!!」 煌「私、聴牌してますけど」パラララ 「」 22:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします:2014/02/10(月) 20:57:11.21 :xJDQFOG90 煌「なんか、ごめんなさい。ちょっと、その、言い出しにくくて……」 「あぁ、あぁあああ、あぁあぁぁぁああああ!!!?」ガタガタ 「「せ、先輩ッ!?」」 「ありえねえ! ありえねえ! ありえねえ! ありえねえ! ありえねえ! ありえねえ! ありえねえ! ありえねえ! ありえねえ! ありえねえ! ありえねえ! ありえねえ! ありえねえ! ありえねえ! ありえねえ! ありえねえ! ありえねえ! ありえねえ! ありえねえ! ありえねえ!」 煌「いや、でも現に」 「じゃあ何か!? テメェは私の能力を表も裏も《無効化》したってことか!? ありえねえだろ!? 《発動条件》や細かい《制約》によって能力同士が衝突して、片方が潰されることはあるが……否! それだってありえねえんだよ!! アタシの能力値はレベル4!! しかもレベル4でも強度はかなり上のほうだ!! そのアタシの能力と正面から衝突して、表裏全てを上回るなんて、それこそ――」 煌「それこそ?」 「それこそ…………レベル5の超能力者でもねえ限り――」ゾワッ 煌「なるほど、レベル5ですか」 「だが……!! 学園都市にレベル5は六人しかいねえはずだ!! そのほとんどをアタシは知ってる!! テメェみたいな鍬形は見たことも聞いたこともねえ!!」 煌「ん……六人と言いましたか? はて、おかしいですね。私は、学園都市のレベル5は、七人いると聞きましたが」 「はあ!? 何を言って――」ハッ 煌「」ゴ (いや、待てよ。確か、この間こんな噂を耳にした……! 曰く、理事長と対局して、きっちり半荘一回を打ち切って生き残った――とんでもねえ《怪物》がいるって……!!) 煌「」ゴゴ (それに、これもつい最近聞いた……転校生が来るらしいって話。もしかして、その転校生ってのと……理事長と対局して生き残ったっつー《怪物》は……同一人物……!?) 煌「」ゴゴゴゴ (というか、こいつ、さっき言ってなかったか……!? 『ここの標準ルールを把握してない』とかなんとか。けど、そんなことがありうるのか!? 見た感じは二年っぽいが、一年だとしても、もう五月になってる! しかも、ここの学生は全員が選りすぐりの雀士だ。チーム編成も始まっている。この時期にルールを把握してないなんて、訝しいにもほどがあるッ!!) 煌「」ゴゴゴゴゴゴ (だ、だが……それも、つい最近転校してきたばかりってんなら……つじつまが合うんじゃ――)ゾッ 煌「」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ 淡「ねえ……ハナダ。ハナダって、さっき、自分は転校して来たばかりって言ってたよね」 (――ッ!!?) 煌「はい。先ほどまで、理事長室で諸々の手続きをしていました」 24:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします:2014/02/10(月) 21:01:08.86 :xJDQFOG90 淡「で……私、聞いたんだけど、今日から学園都市に来ることになってる転校生って二人いてさ、そのうちの一人は、超がつくほどの美少女で可愛くて性格も優良で麻雀もめちゃめちゃ強いスーパー一年生で、もう一人が――」 煌(ん? 今なんかものすごい主観が混じった説明じゃありませんでしたか?) 淡「もう一人が……あの理事長を相手に半荘一回を最後まで打ち切ったっていう、人類史上最高強度の能力者で――能力値は当然のレベル5。 これまで六人しかいなかった学園都市のレベル5を七人に増やし、その上、序列もぶっちぎりの第一位に君臨するような……とんでもない《怪物》だって聞いたんだけど」 煌「《怪物》だなんてそんな。実物は、ただの臆病でひ弱な小市民に過ぎません」 「じゃ、じゃあ……本当にテメェが――!!?」ガタンッ 煌「いかにも。私が学園都市に七人しかいないレベル5の、第一位――花田煌です」コノデンシガクセイテチョウガメニハイラヌカー 「なああああ!!? か、《怪物》ああああ……ッ!!!」ガタガタッ 煌「そ、その反応はさすがに少々傷つきますね……」シュン (こ、こいつ……マジでレベル5――!! しかも第一位だと……!!? バカなッ!! いや、しかし、アタシの能力がまるで通用しなかったのは事実!! 信じられねえが……けど、電子学生手帳のデータは弄れない! 間違いなく本物……ッ!!) (じゃ、じゃあ……何か!? こいつはあの《ハーベストタイム》より! 《ドラゴンロード》より化け物だってのか……!? そ、そんなの……逆立ちしたって勝てる相手じゃねえだろ!!) 煌「さて、どうしますか? 対局を続けますか? しかし、何度やっても結果は同じですよ。三家立直で和了れる能力も、四家立直にさせない裏能力も、今の私にとっては意味を持ちません」 「そ、そんなバカなことが――」 煌「ありえるのです。今の私からは、たとえ小鍛治理事長でも直撃を取ることはできません。逆に、私は自由に和了りたい放題です」 「ふ……ふざけんなッ!! テメェから和了ることはできねえのに、テメェだけは好きなように和了れるだぁ!? そんな――あまりに一方的過ぎるじゃねえか……ッ!!」 煌「一方的……そうですね、あなた方は進むべき方向を間違えました。即刻回れ右をして、正しい道にお帰りください」 煌「ここから先は――《通行止め》ですッ!!」 25:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします:2014/02/10(月) 21:03:57.11 :xJDQFOG90 「《通行止め》だと――!? くっ……ク、クソがああああ――!!」バァン 「「先輩……!?」」 「オマエら! この対局はもう終わりだ!! レベル5の《怪物》なんか相手にしてられるか!! 取り返しがつかなくなってからじゃ遅え……棄権するぞ!!」 「「わ、わかりました……」」 煌「お待ちください」 「ああ……!? なんだよ!! こっちは負けを認めてんだ!! まだ何かあるのかよ!!」 煌「言ったはずですよ。あなた方は進むべき道を間違えた、と」 「ど、どういうことだよ!?」 煌「あなた……ご自分の能力を発動させるために――三家立直を成立させるために――後輩のお二人にノーテンリーチをかけさせていますね……?」 「は――はあ!? どこに証拠があるんだよ!! 大体、さっき流局で手牌を見せたときは、アタシら全員――」 煌「大星さんの能力――《絶対安全圏》と言いましたか。それは、《他家の配牌を五~六向聴にする》ものだとお聞きしました。その能力の影響を、あなた方は、この対局が始まったときから、ずっと受け続けていた……」 「だからどうした!? そうだよ!! あのウザったい能力……!! だが、あれこそ逆にそのガキの弱点だと思ったから、アタシは鳴きを入れて序盤に――」ハッ 煌「そうですね。鳴きを駆使すれば、たとえ大星さんの能力下においても、五巡以内に聴牌することが可能でしょう。 しかし、私が数えていた限り、あのとき、あなたと……それにあなたの鳴きをアシストをしていた下家のあなた――」 「う、うちがなんですか……!?」 煌「お二人は、確かに五回以上、新しい牌を手に組み込んでいました。しかし、鳴きによって手番を飛ばされた大星さんと、対面のあなた――」 「私……っ!?」ビクッ 煌「あなた、あのとき、まだ四回しかツモっていませんでしたよね? なのに、リーチをかけましたよね? 先輩さんのアシストをするために、聴牌してないにもかかわらず、故意にノーテンリーチをかけた――違いますか?」 「わ、私は……」 煌「毎回そうだとは言いません。が、恐らく、何度か同じようなことをしてきたのではないですか? なぜなら、ノーテンリーチであれ空テンリーチであれ、三家立直の状況さえ作ってしまえば、アタッカーである先輩が和了って場が終わる。 つまり、あなた方お二人の手牌を他家が見る機会はない――不正が発覚することはない、ということになります」 「そ……そんなのただの憶測じゃねえか!? 現場を押さえたわけでもねえのに、あることないことウダウダ言ってんじゃねえぞ!?」 煌「それはそうです。しかし、現場を押さえたら、あなた方が困るでしょう?」 「…………は、はあ……!?」 26:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします:2014/02/10(月) 21:09:20.24 :xJDQFOG90 煌「戦術と言えば聞こえはいいですが、あなた方の渡っている橋は、非常に危ない橋です。その道の先には、破滅しかありません。 先ほど、道すがら電子学生手帳に載っている《校則》の大半に目を通しました。学園都市――白糸台高校麻雀部では、麻雀における不正を厳しく禁止しています。 あなた方のそれが露見したら……最悪退学処分になる可能性もありますよ。それは、とても困るのではないですか?」 「だ、だからどうした!? アタシらが退学処分になったとして、それがテメェとなんの関係があるんだよ!!」 煌「ありますよ。同じ白糸台高校麻雀部の仲間じゃないですか」 「な……かま……だと?」 煌「対局を見ていればわかります。道端でお会いしたときは、恐喝まがいのことをする不貞の輩だと思いましたが……麻雀に取り組む姿は真剣そのもの。 三人で一人を狙い打つ緻密な連携プレー、大星さんの能力を的確に見抜いて即座に対応する技量、自分の能力を熟知した多彩な打ち回し――すばらとしか言いようがありません。 さぞかし名のある方とお見受けします。あなたのような強者が、なぜ不正スレスレの行為に手を染めるのですか? それほどまでに校内順位《ナンバー》が大切なのですか? 真の実力ではない、その場凌ぎの打ち方で勝利を得て……それであなたの心は満たされるのですか?」 「だ、黙って聞いてりゃ……!! 学園都市に来たばかりの、才能に溢れたレベル5様が……!! アタシらその他大勢の何がわかるってんだよ!!」 煌「わかりません。しかし、あなた方の進むべき道がそちらでないことだけは、わかります」 「ア、アタシ……! アタシは――」 27:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします:2014/02/10(月) 21:12:02.34 :xJDQFOG90 ―――― 『おとーさん! おかーさん! おばーちゃん、みてみて、りーちするよ!!』 『よくできたね。じゃあ、お父さんもリーチだ』 『あら、それじゃお母さんもリーチしちゃおうかしら』 『おやおや、また親子三人で競争かい? いったい誰が一番になるかな?』 ―――― 『うわー! まーた捲り合いで負けたわー!!』 『すげーな、三家で打ち合いになったら絶対アンタが勝つのな!』 『ねえねえ、もしかして、これが噂の《超能力》なんじゃない? いいなー。ゆくゆくは白糸台高校麻雀部のエースになったり?』 『そ、そうか……? あ、あはは……』 ―――― 『リーチやッ!』 『ほな、こっちもリーチ!!』 『(よ、よし……狙い通り!!)リーチだッ!!』 『』ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ 『(バカな……こんなこと――)』ゾワッ ―――― 「…………小さい頃、よく家族麻雀をやったんだ。麻雀はばーちゃんに習って覚えた。覚えてからは、オヤジとオフクロとばーちゃんとアタシで打つようになった」 「うちの連中は、みんな打ち合いが好きでな。ばーちゃんの影響で全員がテンパイ即リー派だった。それで……よくオヤジとオフクロとアタシで捲り合いをしたんだ」 「アタシらん中で一番強かったばーちゃんは……アタシたちの三家立直になると、オリるようになった」 「四家立直で場を流してしまわないように、アタシたちが捲り合いを楽しめるように……現物だけを切って……笑って見ていてくれたんだ……」 「中学に上がるとき、ばーちゃんが死んだ」 「そのときだ――アタシの能力が目覚めたのは。それから、地元の中学の麻雀部に入って、必死で麻雀の勉強をして……アタシが三年のときには、地区の大会で優勝した」 「優勝を決めたのはアタシだ。三家立直から……トップをまくったんだ」 「それから、アタシは白糸台に一般受験で入学した。もちろん、麻雀をやるために。で、そこから一年は――散々だったぜ」 「なまじレベルが高いから、一年の最初は二軍に配属されたんだ。入学してすぐに、化け物じみた実力者や能力者と打つハメになった。結果は散々。そのあとも、元々使い勝手の悪い能力だったから、簡単に潰されて、負けが重なった。クラスもナンバーも落ちる一方だったぜ」 「二年になってから……アタシは、アタシ一人の力で勝つことは諦めたね。その頃からだ、自分の能力を、今みたいに使うようになったのは」 「アシスト役をはべらせて、上位ランカー狩りをする。アタシ一人では勝てなかったやつも、アタシに優位な場を作れば……勝つことができた」 「そりゃ、嬉しかったさ。久しぶりに三家立直で和了ったときは……死んじまったばーちゃんが、傍で応援してくれているように感じたぜ」 「アタシはひたすら上を目指した。せめてナンバーが300……いや、500でもいい。白糸台高校麻雀部一万人の中の、一握りの人間と呼ばれる存在に――アタシもなりたかった! なって、ばーちゃんに伝えたかったんだ……!!」 「アタシは……アタシは今もリーチしてるって! 捲り合いを楽しんでるって!! ばーちゃんに教えてもらった麻雀が大好きだってよ……!!」 「クソっ……なんで今更、こんなことを……!!」 28:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします:2014/02/10(月) 21:15:26.97 :xJDQFOG90 煌「大変な苦労を……されてきたんですね……」 「……ま、最近じゃ、そんなことすっかり忘れてたけどな。ナンバー上げに躍起になって、捲り合いがただの出来レースになって、いつの間にか、アタシは勝つこと以外に興味がなくなってた。麻雀が楽しいと思えなくなっていた……」 煌「もう二度と、故意のノーテンリーチを戦略に組み込むことはしないと、誓ってくれますか?」 「そう……だな。何か、また別の方法を考えるさ。今度はもう少しクリーンなやつをよ。それで、最後の夏まで……全力を尽くして上を目指す。卒業したら、どこまで行けたか……真っ先にばーちゃんに報告しにいくさ」 煌「お祖母様思いなのですね……! すばらですっ!!」 「とりあえず……アタシは自分を見つめ直すところから始めるとするぜ。ちっとばかし道を間違え過ぎた。確かに、これ以上先に行ってたら、危ないところだったかもな。 ま、振り返って来た道を戻っていけば、いつかは進むべきだった道を見つけられるだろうよ。悪かったな。それから……ありがとよ、《通行止め》」 煌「いえ、私は何もしていません。ただ単に、危険な道を《通行止め》にしただけです」 「それと……オマエら! なんつーか、アタシの勝手につき合わせて悪かったな。アタシはもう……オマエらの面倒は見てやれねえ。明日からどうすればいいのか、自分のことで手一杯だ……!! だから、もうアタシみたいなポンコツじゃなくて、もっといい能力者を見つけて――」 「私は……! これからも先輩についていきます! 今まで先輩にお世話になった分を、返したいんです!!」 「うちもですっ!! 先輩のこと、支えますから!! お傍においてください!!」 「お、オマエら……!?」 「「「うわああああああん!!」」」 29:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします:2014/02/10(月) 21:19:30.36 :xJDQFOG90 煌「…………すばらです」 淡「めでたしめでたし、って感じ?」 煌「わかりません。あの方々の行く先は、あの方々だけのものですから。部外者の私が、これでよかったんだ、などと言うのは筋違いでしょう」 淡「ってゆーか、ハナダ、レベル5だったんだね。そっかー……ハナダだったんだ。私じゃない《もう一人の転校生》って!」 煌「ええっ!? では、もしかしてとは思っていましたが、やはり大星さんが――!!」 淡「そう! スーパー天才美少女雀士、大星淡とは私のことだよっ!!」 煌「そ、そうだったんですか……って!! なら、こんなところで油を売っていてはいけません、今すぐ理事長のところに――」 健夜「あー!! やっと見つけた!!」タッタッタッ 淡「あっ、あらふぉー!!」 健夜「アラサーだよ!!」ゴッ 淡「あはっ、相変わらずすっげー殺気。ねえ、今から一局打たない?」ウネウネ 健夜「私はそんなに暇じゃありません。ハイ、これ、あなたの電子生徒手帳。失くさないでね」 淡「ありがとー」 健夜「……あれ? 大星さん、どうして花田さんと?」チラッ 煌「あ、これはその――」 淡「まっ、色々あって!」 健夜「へえ……それは、好都合。じゃあ、花田さん、私が花田さんにした説明を、大星さんにしてくれるかな? 任せていい?」 煌「任されました――と言いたいところですが、私はこれから寮へ行って手続きを済ませなければなりませんし、できれば明日へ備えて部屋で一休みしたいのですが……」 健夜「うん、その寮の部屋のことなんだけどね。あなたたち、相部屋だから」 煌「……は?」 健夜「急な転校だったから、二人部屋しか用意できなかったの。ごめんね。でも、仲良くなってるみたいだし、いいよね?」 煌「ふええええええ!!?(大星さんと相部屋……!? な、なんでしょう、血が騒ぎます!!)」テテーン 淡「私はいいよー。ハナダなら信頼できるもん。ねー、ハナダ?」ニパー 煌(無垢な笑顔!? 心が痛いです!!) 健夜「じゃあ、決まり。とりあえず、寮の前までは、私の部下に車で送らせるから。あとは寮監の久保さんの言うことをよく聞いて、今日中に手続きを済ませてね」 淡「はーいっ! じゃ、行こ、ハナダっ!!」ギュッ 煌「(手……手がっ!!)ひゃ、ひゃいいっ!!」 30:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします:2014/02/10(月) 21:24:37.24 :xJDQFOG90 ――白糸台寮・二人部屋―― 淡「えー!? じゃあ、ハナダの能力って《絶対にトばない》なの? もっとこう、《条件を満たせば絶対に役満が和了れる》ぅ! とか、《点棒の流れのベクトルを操作する》ぅ! とか、《実在する全ての能力を使える》ぅ! とかじゃなくて!?」 煌「ご期待に添えなくて申し訳ないですが、本当にトばないだけです。他には何もできません(大星さん……! ネグリジェ姿でベッドにうつ伏せになり、頬杖をついて足をぶらぶら! すばらですが、目のやり場に困りますっ!!)」 淡「じゃあ、さっきの対局、ハナダはハッタリをかましてたってこと? 『ここから先は《通行止め》だー!!』とか言っちゃって」 煌「決して嘘は言ってませんよ。点棒が600点の状況なら、相手は私から直撃を取れませんし、詰み棒があったのでツモでもゴミ手一回が限度、ノーテン罰符も当然回避できます。 ま、私が和了りたい放題というのは、私とあの方々の実力差を考えればかなり誇張した言い回しでしたが、可能性はゼロではありません。 向こうのお三方で点棒を回されると負けてしまうので、私なりに強者を演出してみせたんです」 淡「ひゅぅー! やるじゃん、ハナダ! いいねー、そういうのっ!! 私もすっかり騙されてたよ!!」 煌「お褒めに預かり光栄です。ま、今回はレベル5の第一位という肩書きに助けられましたね。その実体は、ただただ《トばない》という、本当に地味でしょっぱい能力者でしかありません」 淡「んー、ま、確かに言葉にすると地味でしょっぱい力だけど、実際のところ、私はハナダの能力が羨ましいな。どんな状況になってもトばないとか、最高にカッコいいと思うよ!」 煌「カッコいい……? トばないだけの臆病な能力がですか?」 淡「臆病なんかじゃないよ。むしろ逆かも。本当にちょーステキ。私のと交換してほしいくらいっ!」 煌「ええっ!? 《絶対安全圏》と、《ダブリー》と、それからなんでしたっけ、《カン裏モロ》の三つと……ですか?」 淡「全部あげてもお釣りが来るくらいだよ!」 煌「私の能力は……そんなにすばらなのですか?」 淡「うん、すばらだよ! ってか、さっきからちょいちょい聞くんだけど、『すばら』ってなに?」 煌「(わからないで使ったんですか今!?)すばらしい、の略です」 淡「ほー! すばら!!」 煌「はい、すばらです」 淡「すばら、すばらー!!」ルンルン 読む →
2014年05月31日 17:05 ことり「ねえ、海未ちゃん。穂乃果ちゃん。ことりたち、ずーっと友達で居ようね」 元スレ 全てのレス 2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/28(水) 02:21:54.27 :eguKirnFO その日、海未ちゃんと穂乃果ちゃんが付き合ってることを知りました。 海未ちゃんから告白したんだって。それで、穂乃果ちゃんがOKしたみたい。 3人で帰ってる途中にね、突然、海未ちゃんが「ことりには言っておきたくて……」って、切り出して。 その一言の後、海未ちゃんはしばらく黙っていたんだけど。その時にちょうど、海未ちゃんを挟んで向こう側を歩いている穂乃果ちゃんの真っ赤な顔が目に入って、そこで海未ちゃんが次の言葉を言う前にはもう、ことりは全部気付いちゃったの。 ああ、そうか。私は、遅かったんだ、って。 読む →
2014年05月31日 15:05 優希「麻雀部限定、全国高等学校大食い選手権(予選)」 関連SS 久「麻雀部限定、全国大食い選手権」 優希「麻雀部限定、全国高等学校大食い選手権(予選)」 元スレ 全てのレス 3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/08(木) 22:24:09.44 :e6R5M1v+0 えり「5・4・3・2・1!」 「ドオーン」タイコナルオト 全員「「「「「いただきます!!!!!」」」」」 PM1:00 Bチーム えり「さあ、ついに始まりました! 女子高生たちによる全国大食い選手権! この夏のような陽射しの中、17名の選手が一斉にたこ焼きを食べ始めました!」 三尋木「いやー、なかなかすごい光景だねぃ」センスパタパタ えり「選手たちの卓上には、調味料としてソース、マヨネーズ、醤油、それと、選手からの強い希望がありましてポン酢も急遽用意され、自由にかけて食べられるシステムになっています」 えり「醤油、それとポン酢を使って食べている選手が多いようですね。何もつけないで食べている選手もいます。」 三尋木「マヨネーズやソースはたくさんとるとクドいからね。ま、序盤はあんま関係ないと思うけど」シレッ えり「では早速、選手に味の方を聞いてみたいと思います」 ワーワーギャーギャー えり「ん?何かトラブルでしょうか」 セーラ「あほかぁ! たこ焼きのソースいうたらオタフク一択やろぉ! なんでこのソース、ブルドックなんやねん! たこ焼きにブルドックって、それのどこが『ほんまもん』なんや! 関西人なめとるんちゃうかぁ!」 読む →
2014年05月31日 12:05 望月杏奈「二人きりのお誕生日会」 元スレ 全てのレス 1: ◆O//Gvdq7EE:2014/05/31(土) 00:00:00.99 :ISew58fAo P「ごめんな、誕生日なのに仕事入っちゃって」 杏奈「……杏奈、お仕事、好きだから」 P「そっか、ならよかった」 キキー……ガチャッ P「ほら、事務所着いたぞ」 杏奈「……うん」 2: ◆Jnlik0MEGA:2014/05/31(土) 00:04:24.93 :Ovrjzzfj0 誕生日おめでとう! 望月杏奈(14) Vo 読む →
2014年05月31日 07:30 芳乃「おやーこれは封印しなければなりませんねー」こずえ「えぇ~」 元スレ 全てのレス 1:モバマスSS:2014/05/31(土) 01:24:55.41 :rG+ILJQc0 卯月「は、はい? 芳乃ちゃんなんて言ったの?」 芳乃「この子はー妖しき力を持っていましてー、国を安んずるためには、抑え込んだ方がよろしいかとー」 こずえ「ちからー…こずえのなかにあるけどー……でも、ふーいんってなぁにー」 芳乃「無垢たればこそーしっかりとー、ご利益を配られる神様になるようにー、祀り上げてさしあげますー」 こずえ「こずえ、かみさまになるのー?」 芳乃「そうですともー」 芳乃「ではー方位を調べてー、気脈と合致させましょうー」ヒョイ こずえ「わぁ…だっこー?」 芳乃「六壬ではー、ふぅむ、ここですねー」 こずえ「ここですかー」 芳乃「一社作りにしますがーさびしくないようにいたしますのでー。さてでは、囲うといたしましょうかー。紙垂と注連縄も要りますねー」 卯月「…………」 卯月(どうしよう! なんかすごいことしてるっぽいけど口が出せない……!) 読む →
2014年05月31日 06:05 モバP「はるかな星が」諸星きらり「故郷だにぃ☆」 関連SS ウルトラマンゼロ「俺はゼロ! ウルトラマンゼロ! きらりの兄貴だ!」 モバP「はるかな星が」諸星きらり「故郷だにぃ☆」 モバP「モロボシ・ダンの」諸星きらり「まーなーむーすめー☆」 モバP「遠く離れて」諸星きらり「地球にきーらーりー☆」 モバP「光の国から」諸星きらり「ラーイブのために☆」 モバP「空の果てからマッハで」諸星きらり「きらーり飛んでドローップ☆」 元スレ 全てのレス 1: ◆9R1SGsqFyk:2014/05/31(土) 00:26:37.84 :pTB5Fl3j0 モバP「しかし、まだ信じられないな。きらりがウルトラマンだなんて」 浜口あやめ「ですが、変身したきらり殿の姿、確かにウルトラ戦士でありました」 モバP「……あやめもなあ、バルタン星人だもんなあ」 3: ◆9R1SGsqFyk:2014/05/31(土) 00:28:03.03 :pTB5Fl3j0 モバP「実際、あやめのバルタン星人としての姿をちょっと見てみたくはあるんだがな」 あやめ「フォッ!? ……あ、あの、前にも申しましたが、わたくしたち宇宙人にとって正体を晒すのは」 モバP「裸になる、みたいなもんだよな。無理にとは言わないから、、いつか気が向いたら見せてくれよ」 あやめ「き、気が向くというか……その、将来的には、と考えておりますが……」 モバP「きらりのウルトラマン姿も見てみたいんだがな。やっぱり銀色なのか?」 あやめ「あ、はい。銀と赤と、それに青も入っておりますね」 モバP「へえ、ちゃんと平成ウルトラっぽいんだな」 あやめ「ところどころ、ふわふわのドレスのようにもなっております」 モバP「ちゃんときらりっぽくもあるんだな……!」 読む →
2014年05月30日 23:30 モバP「財前時子の黄昏」 元スレ 全てのレス 1: ◆yfWmR9mD4k:2014/05/30(金) 22:35:47.70 :lvugMuUGo ――――――――――――一ヶ月前、繁華街 時子「はぁ……」 財前時子(21) 時子「鬱陶しいわね……」 時子「日差しも暑苦しいけど、豚どもの姿が更に拍車をかけるわ」 時子「頼むから話しかけないで頂戴」 P「あっ、そこのあなた!」 時子「あぁ?」 時子(ほら、来たわ) 読む →
2014年05月30日 22:30 モバP「眠れない...」美波「大丈夫ですか?」 元スレ 全てのレス 7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/05/25(日) 01:16:37.71 :fXAVRzpM0 P「....」カタカタ... P「ふぅ...」 ちひろ「プロデューサーさん、資料はどうなってますか?」 P「....」カタカタ... ちひろ「プロデューサーさん?」 P「えっ?あ、はい...ちょうどできたところです...そっちにデータを送ります...」 ちひろ「ええ、じゃあ確認します」 P「はぁ...」ゴシゴシ... 美波「プロデューサーさん、大丈夫ですか?」 P「おぉ、美波か...」 美波「なんだか元気がないみたいですよ?」 P「うーん、最近眠れなくてな...寝不足気味なんだ...」 8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/05/25(日) 01:25:16.63 :fXAVRzpM0 美波「寝不足?」 P「ああ、家に帰ってもなかなか寝付けないんだよ...」 美波「どのくらい前からですか?」 P「一週間くらい、かな...」 美波「そんなに?」 P「ここのところスタドリ飲みまくってたからそのせいかも...」 美波「ちょっとすいません、よく見せてください」スッ... P「んっ...」 美波「本当だ、なんだか目が真っ赤になってるし、クマも...」 P「.....」 美波「それになんだかやつれて...」 P「美波」 美波「はい?」 P「心配してくれるのは嬉しいけどその...近い...息がかかる...」 美波「あっ...ご、ゴメンなさい!」 P「いや別に怒ってない、心配してくれてありがとう...」 美波「い、いえ...そんな...」 11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/05/25(日) 02:00:30.44 :fXAVRzpM0 ちひろ「プロデューサーさん、確認しましたけど資料はこれで問題ありません」 P「そうですか、よかった...」 ちひろ「それと私、ちょっと外に用があるので出てきますね」 P「じゃあ俺はその間に残りの仕事を...」 美波「ダメですよプロデューサーさん!」 P「美波...」 美波「そんなにフラフラなのにお仕事なんかしたら倒れちゃいますよ!」 P「いや、でも...」 美波「少し眠らないとダメです、ほんの少しでいいですから、ねっ?」 P「だけど仕事中に寝るわけには...」 美波「ちひろさん、プロデューサーさんにはちょっと休んでもらってもいいですか?」 ちひろ「うーん、まあ急ぎの仕事もないですし無理されても困りますからね、構いませんよ」 美波「ほら、ちひろさんから許可をもらいました、これで大丈夫です」 美波「さっ、寝ましょ?」 16:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/05/25(日) 02:43:05.39 :fXAVRzpM0 ------ P「なんか変な事になったな...」 美波「とりあえず仮眠室のベッドに横になってみましたけど、どうですか?」 P「うーん、悪いが全然眠くないよ、それより仕事を...」 美波「もう!普段から働きすぎなんですから、今くらい休んでください」 P「でもなぁ...」 美波「ダメです、確かにお仕事は大事ですけど寝ても覚めてもそればかりだと身体が持ちませんよ?」 P「それはそうだが...」 美波「プロデューサーさん...」ナデナデ 美波「今はお仕事の事は忘れてリラックスしてください、そうしないと眠れませんから...」 17:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/05/25(日) 04:37:44.30 :fXAVRzpM0 P「美波...」 美波「大丈夫です、なにも心配する事はありません...」ナデナデ 美波「だからプロデューサーさんも安心して...」 「あら、なにしてるのふたりとも?」 P・美波「っ!!」ビクッ! 「なーんだ、アタシの知らない間にそんな関係になってたんだ~♪」 P「さ、沙理奈...」 沙理奈「ふふっ、プロデューサーも美波ちゃんもこんなに明るいうちからイイコトするなんて元気ねぇ♪」 美波「ち、違います!別にイイコトなんて...」 沙理奈「いいのよ別にぃ、なんだったらちょっとの間誰も近づかないようにしてあげ...」 美波「だ、だから違うんです!」 18:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/05/25(日) 04:42:30.13 :fXAVRzpM0 新田美波(19) 松本沙理奈(22) 読む →
2014年05月30日 21:05 モバP「志希の誕生日を全力で祝う」 元スレ 全てのレス 1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/30(金) 07:06:25.25 :hViDTGFFo 志希「…ねぇ」 モバP「……」 志希「なんで…?」 モバP「……」 志希「なんで…なんで事務所で全裸でいるの!?」 モバP(全裸)「今日がお前の誕生日だからだ!!」 志希「意味わかんないよ!?」 読む →
2014年05月30日 19:30 如月千早「あっ、私のスレだ」カタカタカタッ 元スレ 全てのレス 1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/30(金) 14:14:26.36 :9FqANIlF0 千早「えーと…」 名無し 千早ちゃんかわいい。歌もどんどん上手くなってるし、向上心強いなあ 千早「見てる人は見てるのね」ニンマリ 名無し 如月千早のどこがいいわけ? あいつ無愛想だし喋りヘッタクソだしアイドル向いてないよ 千早「何この人!」 千早「…あっ、でもプロデューサーにももっと笑えとは言われるわね…」 読む →
2014年05月30日 18:30 ムーミンの作り話 元スレ 全てのレス 1:以下、名無しが深夜にお送りします:2014/05/28(水) 01:06:20 :Uag2uX3U 暇なので、最近流行ってる楽しいムーミン一家の話を適当に作って見ました。 4:以下、名無しが深夜にお送りします:2014/05/28(水) 01:15:05 :Uag2uX3U 『ムーミン谷の七夕祭り』ナレーター「ムーミン谷も少しずつ気温が上がり、日も長くなり、本格的な夏が近づいています」〈夕方〉フローレン「それにしてもすっかり日が長くなったわね」ムーミン「そうだね」フローレン「ああ、夏が楽しみだなあ」ムーミン「じゃあフローレン、ここで」フローレン「うんまたね。バイバイ」(ムーミン黙って手を振る) 読む →
2014年05月30日 17:05 菫「宮永TEL?] 元スレ 全てのレス 2: ◆hzxtYzT615Za:2014/05/28(水) 14:39:38.93 :lRYSJfzp0 菫「なんだそれは」 照「菫専用の携帯電話」 菫「照が?」 照「そう、私が菫の携帯電話」 照「……違うな、私は賢いからスマートフォンだ、スマホ」ドヤァ 菫「」 菫(馬鹿なのか?) 読む →
2014年05月30日 15:05 渋谷凛「シェアハウスの恋敵」 元スレ 全てのレス 1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/14(水) 12:18:40.27 :zQWt+BFI0 ー道ー 凛(はぁー、今日もつかれたなぁ) 凛(シンデレラガールに選ばれたのは嬉しいけど…たまには休みも欲しい…かも、うん) 凛(はー……今日ははやく女子寮に帰ってゆっくりお風呂はいって寝よう、うん、そうしよう) 凛(…あれ?ていうかなんか騒がしい気が…?) ボォォォォォォォッッ!!!!!! ウゥゥゥゥーー!! カンカンカンカンカン!!! 凛「………あー」 凛「……うん」 凛「女子寮燃えとるッッッッ!!!!?」 読む →
2014年05月30日 12:05 モバP「家出娘を捕まえて」 元スレ 全てのレス 3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/21(水) 23:01:44.24 :ODrD4u1/0 P(俺の名前はP。大学生だ) P(うちの家系は優秀だ。祖父が起業し、父親が会社を急成長させた。そして兄はCGプロダクションの売れっ子プロデューサー) P(そんな俺も将来を期待されているわけで…学生の身でありながらマンション経営を任されている) P「ふわぁ…今日も疲れたな。全く…こんなに遅くなるとは」 P(今日はゼミの飲み会があったため、遅めの帰宅だ) 読む →
2014年05月30日 09:05 真姫「セブンイレブン?」 元スレ 全てのレス 2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/05/29(木) 18:45:47.90 :zlH/bQUv0 某日... にこ「真姫ちゃんにアルバイトさせたい」 真姫以外「「は?」」 希「にこっち、どしたんいきなり?発作?」 にこ「人を頭おかしい人みたいにいわないでよ!・・・ゴホン。真姫ちゃんにセブンイレブンの制服着せたいのよ、絶っっ対似合うわ!」 海未「はぁ・・・まぁ真姫の容姿なら何を着てもそれなりに似合うとは思いますが。」 ことり「でも、ローンソじゃなくていいのかな?私達一応ほら・・・」 にこ「細かいことはいいのよ!」 穂乃果「でも真姫ちゃんちお金持ちなのにバイトとかするのかな?」 にこ「そこは大丈夫よ」 ~~~~~~~~~ 先日 にこ「真姫ちゃんはぁ~お嬢様だからぁ~、きっとコンビニの店員もままならないにこね~」 真姫「はぁ!?イミワカンナイ!!あんなの余裕よ!!」 ~~~~~~~~~ にこ「今頃面接受けてるにこ」 穂乃果「∑回想終わるのはやっ!」 絵里「だから今日は早々と帰っちゃったのね」 凛「真姫ちゃん・・・ちょろすぎにゃ~・・・」 読む →
2014年05月30日 07:30 芳乃「お悩み解決いたしますー」 モバP「……はぁ」 元スレ 全てのレス 1: ◆ZWAJnJ4q9E:2014/05/29(木) 15:28:19.95 :TXJfnfQro P「芳乃」 芳乃「何でしょうー」 P「アイドル活動に熱心なのはいいんだが……オフは遊んでもいいんだぞ」 芳乃「遊ぶと言われましてもー何をすればいいかわからないものでしてー」 P「趣味とかは?」 芳乃「趣味ですかー」 P「おう、仕事がない時に熱中できる趣味をだな!」 芳乃「なるほどー……少し考えてみますねー」 ―――――― 『芳乃のお悩み相談室』 ババーン P「……」 芳乃「趣味を大々的に行うことといたしましたー」 P「お前がそれでいいなら、いいよ」 ガチャ 加奈「あの!お悩みを解決してくれるって本当ですか!?」 P「何で知ってんの!?」 加奈「頭の中に声が……」 P「え!?」 芳乃「アイドルたるものーその程度できなくてどうするのですかー」 P「(アイドル アイドルってなんだ)」 2: ◆ZWAJnJ4q9E:2014/05/29(木) 15:29:21.54 :TXJfnfQro 依田芳乃(16) 今井加奈(16) 読む →
2014年05月30日 05:45 P「廃村に響く」 後編 関連SS P「廃村に響く」 前編 P「廃村に響く」 後編 廃村に響く エピローグ 元スレ 370: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 14:18:48.65 :PUmdftm80 以下 廃村で見つけて 371: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 14:20:36.04 :PUmdftm80 ~4週目~ -教員用更衣室- P「よいしょっと……」 ガシャッ 響「……プロデューサー。それ、何を持っているんだ?」 P「あ? 武器だよ。あそこにあった刃物を少し拝借した。錆びてはいるけど、まぁ無いよりかはマシだろう」 響「重りになるものはあまり持っていかないほうがいい気もするけどなぁ」 P「だな……。ん?」 響「どうしたのか?」 P「いま窓から……。もしかして」 ガラッ 響「うわっ。眩しいっ! も、もしかしてもう朝陽が……!」 チラッ P「……残念ながら違ったみたいだ。月光だよ。ほら、あんなに明るい」 響「月の光、だったかぁ……。朝陽と勘違いしちゃったぞ」 P「目が慣れてしまったのも相まって、もう懐中電灯はいらないかもな。月光で校内が薄明るい」 響「でも、まだ朝じゃないのなら――」 P「ん。もう少し逃げまわるとするか」 行動安価 → 給食室 読む →
2014年05月30日 05:15 P「廃村に響く」 前編 関連SS P「廃村に響く」 前編 P「廃村に響く」 後編 廃村に響く エピローグ 元スレ 1: ◆5foxAIkVmM:2014/05/24(土) 22:27:57.81 :fJtZQ6WZ0 諸事情でこちらでラストを書かせていただきます ここだと初めての方もいらっしゃると思うので、廃村ssリプレイとして書かせていただきます 3: ◆5foxAIkVmM:2014/05/24(土) 22:29:24.05 :fJtZQ6WZ0 P「あー、随分と遅くなっちゃったな……」 響「もう日が傾きかけてるぞ。ちゃんとホテルまで戻れるのか?」 P「さあなぁ。一応9時前までにはホテルに着くハズなんだけど」 響「うぅ。僻地のロケとは聞いてたけど、まさかこんな山奥だったなんて……」 P「最寄のホテルから片道3時間って、とんでもない場所だったな」 響「それにしても薄暗いぞ。プロデューサーは運転大丈夫なのか?」 P「まあ大丈夫だよ。暗くとも山道の運転は慣れてる」 響「そっか。にしても、周りは廃墟や森ばっかりだし、ちょっと不気味だぞ……」 P「昔に廃村になったんだろうなぁ。ところどころ人の住んでた形跡も見られるし」 響「こういう場所にも人は住めるんだな」 P「まぁ、どんな僻地にも人は住んで……いや、住んでいけたものなんだよ。……おや?」 ズズ... 響「? どうかしたのか?」 P「いや。アクセル踏んでるのに段々と車のスピードが落ちてきてるんだよ……」 ズズズ... 読む →
2014年05月30日 00:30 竜華「青春怪異ラブストーリーや!」和・美穂子・灼・憧「は?」 元スレ 全てのレス 1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/29(木) 10:33:28.52 :JRnI2cdz0 咲と化物語のクロスです 2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/29(木) 10:35:17.94 :JRnI2cdz0 福路家 美穂子「皆さんいらっしゃい♪アイスティーでいいかしら?」 憧「おっけーおっけー。アイスティー大好きだし。」 和「むしろアイスティーしかいりません。あと咲さん。」 灼「いただきま…」 竜華「ありがとー♪」 憧「ところで竜華、なんでアンタいんの?あんな大口叩いて血盟百合団抜けたくせに」 読む →
2014年05月29日 23:05 橘「絢辻さんが厨二病?」 元スレ 全てのレス 2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/29(木) 02:23:10.68 :OPUZkagj0 放課後 教室 絢辻「ふう。これで今日の委員会の仕事は終わり、と」 絢辻「結構、遅くまでかかっちゃったわね...」 絢辻「いつもは橘君が手伝ってくれるんだけど」 絢辻「今日に限って『用事があるからごめん!!』だなんて...」 絢辻「あたしのことを二の次にするなんて、いい度胸してるわ。全く!!」 絢辻「明日から思いっきりこき使ってやるんだから!!」 絢辻「さて、あとは電気を消して... ってなにかしら、この本?」 読む →
2014年05月29日 22:05 モバP「忍と穂乃香、ときどき柚。」 元スレ 全てのレス 1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/29(木) 19:55:35.58 :AKGUcooRo モバP「おっ……何やってるんだ?」 忍「三人で編み物だよー!」 柚「穂乃香ちゃん、ここどうやるの?」 穂乃香「えっと……ここはですね……。」 モバP「そうか……せっかくのところ申し訳ないんだが……柚、ちょっといいか?」」 柚「?」キョトン モバP「少し、聞いておきたいことがあってな……ここじゃアレだから、ついて来てくれ。」 読む →
2014年05月29日 20:46 阿良々木暦「ふみかワーム」 関連SS 阿良々木P シリーズ:目次 元スレ 全てのレス 6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/05/29(木) 19:28:01.45 :jPxrNCQ30 001 贔屓でも世辞でも誇張でもなく、綺麗だ、と素直に思った。 待ち合わせ場所はとあるカフェだったのだが、店外から見える彼女の姿は、まるでそこだけが切り取られて一枚の絵として作品になっている、とさえ思えた。 店内の隅の席、コーヒーカップひとつを机に乗せ、ブックカバーを着けた恐らくは小説を読む少女がいる。 今日この日に出来たその静謐な空間は、彼女のために存在すると言っても過言ではない気さえして来た。 透き通る午前の空気の中、時間さえも静止してしまったかのような錯覚を覚える。 思わず、見蕩れてしまった。 静の美。そんな単語が頭に浮かぶ。 いつまでも見蕩れている訳にも行かず、未練を残しつつも入店すると、目線を寄越した鷺沢が本を閉じて微笑みと共に迎えてくれた。 「おはようございます、プロデューサーさん」 「おはよう鷺沢」 鷺沢文香はアイドルだ。 だが、彼女は一見してそうには見えない。 かつての千石のように人の目線が気になるのか眼が隠れるほどに伸ばされた前髪に、穏和と慈愛に満ちた特徴的な垂れ目、とどめの一撃と言わんばかりに大人しく引っ込み思案なその性格は、とてもじゃないがアイドルなんて活発的なイメージとは結び付かないのだ。 実際にも彼女のアイドルとしての売り方は癒されるアイドルだが、図書館で司書をしている、とでも言われた方が余程しっくり来るのが事実だ。 それも彼女は元々文学が大好きで、叔父の古書店でアルバイトを兼ね本と触れ合うことを好むような学生だったのだからそれも当然とも言えよう。 読む →
2014年05月29日 20:05 奉太郎「やらなくていいことは…」える「何くだらないこと言ってんのよ!」 元スレ 全てのレス 1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/24(土) 13:24:26.51 :pAAXwghI0 奉太郎「高校生活といえば薔薇色、薔薇色といえば高校生活」 奉太郎「しかし、勉強にも色恋沙汰にも興味を示さない」 奉太郎「いわゆる灰色を好む高校生も…」 える「なにわけわかんないこと言ってんのよ」 奉太郎「いや訳わかんない、っておまえな…」 える「あんたの演説聞くためにわざわざ来たんじゃないの」 奉太郎「さいで」 読む →
2014年05月29日 18:30 モバP「うたた寝してる間に修羅場になってた」 元スレ 全てのレス 2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/05/29(木) 14:31:00.01 :wgDEuBdO0 大石泉「P、いる?」 P「………」 泉「何してるの?」 P「………」 泉「…返事くらいしてよ」 P「………」 泉「ちょっと、Pってば」 読む →
2014年05月29日 17:05 穂乃果「にこちゃんのチョロツンデレを攻略するよ!」 関連SS にこ「穂乃果の天然タラシを矯正するわ」 穂乃果「にこちゃんのチョロツンデレを攻略するよ!」 元スレ 全てのレス 2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/05/20(火) 22:20:21.11 :v6KebB3E0 「前回のラブライブ!」 デェン! 海未「穂乃果の天然無自覚タラシ能力に取り込まれ、次々と虜になっていくμ'sのメンバーたち……」 絵里「このままでは練習もままならず、ラブライブ出場の危機かと思われたわ……でもそこでにこが立ち上がった!」 ことり「にこちゃんは現状打破のためスキンシップ禁止を発令。でもそのせいで穂乃果ちゃんに嫌われたと勘違いしたみんなの雰囲気はお通夜ハニィ~(>8<)!」 真姫「動揺して部室を飛び出した穂乃果を追いかけるにこちゃん」 花陽「そして、胸の奥をさらけ出したにこちゃんを受け入れる穂乃果ちゃん」 凛「結局みんなの誤解も解け、すべては丸く収まったかに見えたんだけど……そこで穂乃果ちゃんの爆弾発言がさく裂したにゃ!」 『穂乃果とにこちゃんは、今日から正式にお付き合いすることになりました//』 希「これから、一体どうなってしまうんやろねぇ?」 読む →
2014年05月29日 15:05 岡崎泰葉「コタツでとーーく!」 関連SS モバマス 炬燵 シリーズ:目次 元スレ 全てのレス 1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/27(火) 17:57:28.50 :wvS3wJ1j0 泰葉「最近めっきり暖かくなってきましたね。コタツでとーく!メインパーソナリティの岡崎泰葉です」 杏「昼はもう暑いくらいだよねー。同じく、双葉杏だよ」 イヴ「また今年も海に行きたいですぅ。アシスタントのイヴ・サンタクロースとブリッツェンです~」 ブリッツェン「ブモォ」 杏「そ・し・てー?」 菜々「コタツに入ってする話じゃないですよね…。ゲストに呼ばれちゃいました、安部菜々でーす!」 泰葉「ようこそ、菜々さんじゅうななさいさん」 菜々「えっ!?」 読む →
2014年05月29日 12:05 姪「テツガクをしましょう」 元スレ 全てのレス 1: ◆Memo/g4n8M:2014/05/28(水) 22:52:29 :TaU3XeC2 姪「テツガクです。テツガクの時間です」男「いきなりなんで哲学?」姪「新たな道を切り開くには、知識を広げ深めることが必要不可欠です」男「発展途上の姪ちゃんは知識欲の塊だね」姪「無知に無恥な人には、きっと悲しい未来が訪れます」男「それは言いすぎだけども。まあ、あながち間違っちゃいないかなあ」姪「にぃは幸せになりたいですか?」男「そりゃなりたいさ。多くは望まないけども、人並みにはなりたいね」 読む →
2014年05月29日 09:05 海未「ことり! これは違うんです!」 ことり「……何が違うの?」 元スレ 全てのレス 2: ◆S54RkZf7aI:2014/05/22(木) 10:54:09.44 :XdOIEivx0 海未(私は今日告白します) 海未(……出来れば結ばれたいものです) 海未(穂乃果もきっとわかってくれるはずです) 海未(私がことりと付き合っても……) 海未(勇気を下さい……) 読む →
2014年05月29日 07:30 綾瀬穂乃香「今日は特別な夜。」 元スレ 全てのレス 1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/28(水) 21:47:00.62 :lK1MkiCPo しんでれらがーるずしょうがっこう いちねん あやせほのか ねんれい 6歳 たんじょうび 5がつ29にち しょうらいのゆめ ばれりーな 2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/28(水) 21:47:33.51 :bkQ4Md7XO 心が豊かになるスレ 読む →
2014年05月29日 06:05 モバP「飛鳥、ちょっと太ったか?」 元スレ 全てのレス 1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/28(水) 01:10:09.25 :sMvPQ2ag0 ー事務所ー 飛鳥「…」パリパリモグモグ 飛鳥「…」ゴクゴクグビグビ 飛鳥「ふぅ…レッスン後に食べるポテトチップスと飲むコーラは最高だね」 時子「あら、意外と俗っぽい物が好きなのね」 飛鳥「まぁね、ボクだって健全な14歳だよ?お菓子はそりゃ食べるさ」 時子「食べるのはいいけど貴女…」 飛鳥「?」パリパリモグモグ 時子「少し食べ過ぎじゃないの?油断してたら醜いブタになるわよ」 飛鳥「ふふっ、なにいってるんだい時子さん?ボクたちはアイドルなんだから普通の中学生に比べて動いてるしそんなブクブクと太るわけないさ」パリパリモグモグ 菜々「若いうちはすぐに体型に反映されませんからね、うらやましいなぁ」 時子「…あえてなにも言わないであげるわ」 50:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/05/28(水) 13:50:50.99 :dBgVh/me0 二宮飛鳥(14) 読む →
2014年05月29日 00:35 ムーンらぁめん「PPP定期集会を始めます」 関連SS 春閣下「PPP臨時集会を始めます」 ムーンらぁめん「PPP定期集会を始めます」 元スレ 全てのレス 1: ◆IIiEuGs1j.:2014/05/17(土) 17:04:42.77 :g6BzRZYI0 PPPとは。 日夜アイドル達の為に『馬車馬』の如く働くプロデューサーに心を惹かれた、匿名の少女達が立ち上げた会である。 会員はなるべく素性を隠し、詮索はしてはいけない。 前作 春閣下「PPP臨時集会を始めます」 書き溜めなし ムーンらぁめん「今回は問題ありませんね」どやぁ 2: ◆IIiEuGs1j.:2014/05/17(土) 17:07:26.27 :g6BzRZYI0 ムーンらぁめん「今宵もまた良い月……語るには絶好の夜でございます」 プリンス「へへっ……今日は喋り倒しちゃうぞ!」 なんくるサン「最近出来た一番の楽しみだからな!」 ムーンらぁめん「はて……人数が足りないようですが」 ロストアラー「あらー? 私の家に向かってた筈なのに……得しちゃった♪」 プリンス「得とか、そんな問題じゃない気が……」 なんくるサン「……またコードネームがプリンスになってるぞ」 プリンス「うわー! ゆき……スノードリラーの仕業だな!?」 プリンセス「これで良し……っと」 ムーンらぁめん「今回はわたくしが仕切らせて頂きます」 読む →
2014年05月28日 23:05 まゆ「この子……誰の子供だと思います?」モバP「えっ……?」 元スレ 全てのレス 1: ◆ZWAJnJ4q9E:2014/05/28(水) 04:58:55.33 :vcsj+oXbo ガチャー まゆ「おはようございまぁす」 まゆ「(今日はオフですが事務所にきましたよぉ)」 まゆ「(もちろん隙あらばプロデューサーさんを拉致監禁して調教するためですよぉ)」 まゆ「(でも最近忙しいのか隙が少なくてまゆは困ってます……)」 響子「あ、まゆちゃんおはよう!」 まゆ「おはよう、響子……ちゃん?」 赤ちゃん「ばぶー」 まゆ「……え?その子は?」 まゆ「(まさか、先を越された……ッ!?)」 響子「親戚の子だよー。今日どうしても忙しいらしくて……何で私なのかわからないんだけどね? とりあえず事務所なら大人の人もいるし大丈夫かなって!今日は私オフだしねー!」 まゆ「そうなの……(ほっ……!よかった!ほんとよかったですよぉ!)」 赤ちゃん「あうー♪」 響子「あ、この子まゆちゃんの事が好きみたい!」 まゆ「え、そうなの?嬉しいな……ほーら、よしよし」 赤ちゃん「きゃっきゃ♪」 2: ◆ZWAJnJ4q9E:2014/05/28(水) 05:01:10.49 :vcsj+oXbo 佐久間まゆ 五十嵐響子 読む →
2014年05月28日 21:30 絵理「最近、夢子さんが激しすぎて、困る?」 元スレ 全てのレス 1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/28(水) 00:41:18.39 :tSaLjpoZ0 愛「どういうことですか、絵理さん」 絵理「実は、ここのところ毎晩夢子さんに求められてるの」 愛「求められてるって…えぇ!?女の子同士でですか!?」 絵理「うん、夢子さんは女の子同士がいいみたい」 愛「やっぱり夢子さんってそっちの方だったんですね…」 絵理「初めは優しいんだけど、だんだん激しくなっていって、正直私も辛い」 愛「は、激しい…ですか」ゴクリ 絵理「最初はすぐ終わってたんだけど、最近は1-2時間かかることも多くて、寝不足なの」 読む →
2014年05月28日 20:05 穂乃果「今日も練習、早く終わるの!?」 元スレ 全てのレス 1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/27(火) 20:33:30.66 :t2gpGKNYo 絵里「ごめんね、少し立て込んでて…」 穂乃果「でも体が鈍っちゃうよ~」 海未「自主トレでも、何でも一人で出来ることはありますよ」 海未「もう少しだけですから…お願いします」 ことり「穂乃果ちゃん、ごめんね」 凛「忙しいのが終わったら、いっぱい練習するにゃー!」 穂乃果「うん…わかった」 穂乃果「じゃあ、帰ろ?」 海未「ごめんなさい、今日も一緒に帰れないです…」 穂乃果「ええー!?」 穂乃果「絵里ちゃんも?ことりちゃんも?凛ちゃんも!?」 絵里「そうなの…」 ことり「ごめんね」 凛「…ごめんにゃ」 穂乃果「うぅ…もういいもん」 穂乃果「一人で帰るもん…」 読む →
2014年05月28日 18:30 モバP「飛鳥が捕まった?」 元スレ 全てのレス 1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/28(水) 15:24:53.98 :ZqHAq1Zg0 モバP「それどういう事なんですか…ちひろさん」 ちひろ「薬物らしき物を使用してるって話で…」 モバP「そ、そんな…飛鳥が……」 モバP「いや、そんなはずは無い…飛鳥がいくら非日常を求めていたとしても、最低限の一般常識は守るはずだ…そんなはず…」 ちひろ「とりあえず、本人は奥の部屋にいるみたいなので行ってみてはどうですか?」 モバP「そうですね…本人に聞いてきます」 ちひろ「あ、それとプロデューサーさん」 モバP「なんですか?」 ちひろ「その、どんな二宮さんも受け入れてあげて下さい」 モバP「……当たり前ですよ、俺の担当アイドルですから」 モバP「…では、いってきます」 3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/28(水) 15:32:00.88 :ZqHAq1Zg0 モバP「(そういえば、捕まったって…今事務所にいるって事は、これから捕まるって事なのか?)」 モバP「(もし本当に薬なんてやってたら……いや、そんなはず無い。俺が担当アイドルを疑ってどうするんだ、周りが信じてくれなくても俺だけは飛鳥を信じ続けないと)」 モバP「(……でも、どうして飛鳥が薬なんて…そんなに悩むべき事があったのだろうか…)」 モバP「(もしそうだとしたら…飛鳥には悪い事をしたな…謝らないと…)」 モバP「…部屋の前に着いたけど、このまま部屋に入るには勇気がいるな」 モバP「……」 モバP「少しだけ聞き耳を立てて中の様子を探ってみるか…」 4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/28(水) 15:47:36.38 :ZqHAq1Zg0 『P…』 モバP「…飛鳥、俺の名前を…」 『……っ…P…!』 モバP「興奮してる…のか?」 『あぁっ!Pぁ!!』 モバP「……もしかして、薬の幻覚作用とかなのか…!?」 モバP「そうだ、飛鳥がこんな状態になっているというのに俺はなんで聞き耳なんて立ててるんだ!」 モバP「早く、飛鳥の所に行かないと…」 モバP「…すまん飛鳥、入るぞ!」ガチャ 6:今更ですが、ここから重度のキャラ崩壊があるので注意:2014/05/28(水) 16:03:28.06 :ZqHAq1Zg0 飛鳥「Pぁ!Pぁ!Pぁ!Pぁぁああわぁああああああああああああああああああああああん!!! あぁああああ…ああ…あっあっー!あぁああああああ!!!Pぁああぁわぁああああ!!! あぁクンカクンカ!クンカクンカ!スーハースーハー!スーハースーハー!いい匂いだなぁ…くんくん んはぁっ!モバPの髪をクンカクンカしたいな!クンカクンカ!あぁあ!! 間違えた!モフモフしたい!モフモフ!モフモフ!髪髪モフモフ!カリカリモフモフ…きゅんきゅんきゅい!! 総選挙50位以内って分かった時のPの喜んだ顔かわいかったよぅ!!あぁぁああ…あああ…あっあぁああああ!!ふぁぁあああんんっ!! でもそのあとの圏外って知って悲しそうな顔してたPぁ!あぁあああああ!かわいい!Pぁ!かわいい!あっああぁああ! でもその後に俺の中で飛鳥は一番とか臭い台詞言ってくれて嬉し…いやぁああああああ!!!にゃああああああああん!!ぎゃああああああああ!! ぐあああああああああああ!!!総選挙なんて日常じゃない!!!!あ…アイドルもPもよく考えたら… モ バ P は 日常 じ ゃ な い?にゃあああああああああああああん!!うぁああああああああああ!! そんなぁああああああ!!いやぁぁぁあああああああああ!!はぁああああああん!!ちひろぉおおおおお!! この!ちきしょー!やめてやる!!日常なんかやめ…て…え!?見…てる?扉を開けたのPがボクを見てる? Pが口をぽかんと開けたままボクを見てる!Pがボクを見てる!モバPがボクを見てる!! ボクが求めてた非日常のPがボクに話しかけてる!!!よかった…世の中まだまだ捨てたモンじゃないんだねっ! いやっほぉおおおおおおお!!!ボクにはPがいる!!やったよちひろ!!ひとりでできるもん!!! あ、モバPぁぁああああああああああああああん!!いやぁああああああああああああああa」 モバP「失礼しました」ガチャ 9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/28(水) 16:05:43.07 :4bWUHBmAo 二宮飛鳥(14) 読む →
2014年05月28日 17:05 脇山珠美「新人?」 元スレ 全てのレス 2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/05/28(水) 14:41:45.71 :tAs4dixv0 乙倉悠貴 13歳 164cm 13歳 164cm 164cm 珠美「ぐぬぁーっ!!」←16歳 145cm 有香「気持ちは分かるけど落ち着いて!」←18歳 148cm 18:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/28(水) 16:12:26.61 :VKXwpgY/o 乙倉悠貴(13) 脇山珠美 読む →
2014年05月28日 15:05 しえな「武智はいつもボクに絡んでくる」 元スレ 全てのレス 1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/28(水) 01:20:13.44 :OiyWTfoE0 乙しえだよー優しい世界だよー 乙哉「しえなちゃん切り刻みたい」 しえな「嫌だよ。一ノ瀬でも刻んでおけ」 乙哉「晴っちーちょっと切り刻ませてー」 晴「えっえっ!?」 兎角「お前わたしの前でよく言えたもんだな」ボキッボキッ 乙哉「あはは嫌な予感ー」 読む →
2014年05月28日 12:05 モバP「皆のお◯ぱいを揉んですかさず財布を出す」 元スレ 全てのレス 1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/27(火) 22:45:58.10 :5qt+xXfl0 モバP「……っていう遊びをですね、今回はやっていきたいと思います」 ちひろ「え? 仕事は?」 モバP「それでは早速いきましょう、まずはこの人! >>3!」 3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/05/27(火) 22:46:42.90 :nxGF7Ovp0 早苗 読む →
2014年05月28日 07:30 春香「そろそろ寝ようか」真「そうだね」 元スレ 全てのレス 1: ◆IIiEuGs1j.:2014/05/24(土) 13:42:08.62 :KuLQNSpz0 千早「そうね……明日も早いもの」 雪歩「えへへ……真ちゃんの隣♪」 春香「電気消すよ」 真「うん」 カチッ 雪歩「……」 雪歩「タラちゃんですぅ」 全員「!?」 読む →
2014年05月28日 06:05 やよい「うっうー♪うっうーうーうっうーうっうー♪」 元スレ 全てのレス 2: ◆xcZTHf9NLU:2014/05/27(火) 23:43:17.98 :RoFoeySJ0 やよい「うっうー♪うっうーうーうっうーうっうー♪」 やよい「うっうー♪うっうーうーうっうーうっうー♪」 春香「・・・やよいが歌ってるの、何だか聞いたことあります」 小鳥「ローリングストーンズの『サティスファクション』ね」 P「俺がアルバム何気なく聞かせてあげたら、その歌をえらく気に入ってさ」 P「ことあるごとにああやって冒頭のリフを口ずさんでる」 春香「かわいいですね」 P「もっともだ」 読む →
2014年05月28日 00:05 P「やよいの家にGが出ただって!?」ガタッ 元スレ 全てのレス 1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/27(火) 19:25:27.13 :oHy2wrdA0 一同「!!」ビクッ P「全く許せん!!あのような下等な生物がよりにもよって高槻家だと!!」 やよい「で、でも別に害はありませんし、 見つけてもポイッって捨てればいいですし・・・…」 P「やよい!!奴らは一匹いれば30匹いると言われている!! つまり…高槻家には、依然奴らが潜んでいる可能性がある!! そこでだ、伊織!!」 伊織「な、なによ……?」 P「これは、早急に解決しなければいけない事態だよな!?」 伊織「そ、そうね……」 やよい「いや、別に……」 P「俺はやよいの家に行くぞ!! そして、家具の動かしてGを撲滅してやる!!」 一同(家具を動かすだと……ゴクッ……) 読む →
2014年05月27日 21:45 結城晴「真剣ゼミ…?」 元スレ 全てのレス 1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/27(火) 19:25:41.49 :L8f4Ckxbo モバマスのSSです。 このSSはフィクションであり、実在の企業、団体とはなんら関わりがございません。 2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/27(火) 19:26:32.31 :L8f4Ckxbo 晴「はあ…やべえよなあ…」 ありす「あなたがため息とは珍しいですね、どうしたんですか。」 晴「実はさ、これ…」ペラ ありす「え、なんですか、これ…」 晴「見ての通り学校のテストだよ…こんなん母さんに見せられないよなあ…」 ありす「すごいですね。小学校のテストでこんな点数をとれるのはある意味才能だと思います。」 晴「褒めてんのかバカにしてんのかどっちだよ!」 ありす「…でもどうして?以前はそこそこやれていたと思ったんですが。」 晴「なんかさ…最近、授業難しくないか?」 ありす「確かに…六年生も後半ですからね。内容が高度になってきたと思います。」 晴「そうなんだよな…中学ってもっと難しいんだろ?英語とか数学とかも始まるし…」 読む →
2014年05月27日 20:46 幽霊「ツーリング浪漫を求めて」女「仕方ないから付き合います」 元スレ 全てのレス 1: ◆M7hSLIKnTI:2014/05/26(月) 16:03:49 :pPAONor6 …女の自宅アパート、駐輪場女(──待ちに待ったよ…この週末を)女(火曜日納車。それからの三日間、町内を低回転で流すだけにとどめて)女(来ないんじゃないかと錯覚するほどに遠かった…ついに今日、土曜日の朝!)女「天気よし!」ビシッ女「降水確率ナシ!」ピコッ女「バイク、新車!」キュピーンキュルルッ、ドロロロロォンッ!女「エンジン一発始動! 当たり前!」女(堪んないね! このVツインの鼓動感!)ウキウキ 読む →
2014年05月27日 19:15 世界から愛されたあの子の話 元スレ 全てのレス 2: ◆AzQd5RQbFxWA:2014/05/27(火) 17:01:48.61 :2jYFvZQ+0 あるところにそれはそれは可愛らしい女の子がいました。 目鼻立ちの整った顔に、ガラスの鈴のように透き通った声。流れる黒髪は艶やかで、誰からも好かれる良い性格。 天は彼女に全てを与えたというような、そんな子でした。 ですが、自分の持つものを自慢するわけでもなく、爽やかに過ごす子でしたので、世界中の人が彼女を愛しました。 しかし、そんな彼女を面白くないと思う子がいました。彼女もまた可愛い子でしたが、やっぱり世界中に愛された女の子には劣ります。 「ちやほやされるのはいつもあの子ばっかり。」 彼女は毒々しく呟きました。嫉妬と羨望。私もあの子に負けないくらい可愛いのに、どうして、どうして。いつもいつも羨ましく思っては、ため息をつくのでした。 読む →