1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/22(木) 12:43:41.44 ID:jCLgqJ5R0

トラック運転手「もうテンプレ感動SSのためにブタ箱行きは嫌だよぉ……」



2:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/22(木) 12:44:22.08 ID:4bsp8vEs0

お前ミンキーモモも轢いたべ?


4:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/22(木) 12:47:09.00 ID:KUeCXZ31O

和也も轢いた事ある?


6:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/22(木) 13:00:58.85 ID:R3I/VV8QO

確かによく轢かれるな唯は



7:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/22(木) 13:02:45.50 ID:a8N/7BiBO

ギー太「もう壊れるのやだよぉ・・・・・」



30:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/22(木) 18:42:19.97 ID:UhOhv13v0

梓「もうペロペロされるのは嫌です・・・」


31:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/22(木) 18:45:36.60 ID:EKmkXlBj0

トンちゃん「(もう鍋にされるのは嫌だよぉ…)」


34:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/22(木) 18:47:49.25 ID:BNVefXEu0

憂「私の包丁は人を刺す用じゃないのに…」


8:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/22(木) 13:03:32.22 ID:AXNa5oiWO

原作で何回くらい轢かれたっけ唯?



9:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/22(木) 13:17:24.79 ID:jQ7VecgiO

俺の読んでる原作では一回もない


>>9
それ俺の知ってる原作と違うな…

13:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/22(木) 16:14:39.14 ID:2MZEWNuv0

…またか

目を覚ました俺は、自分の居場所が今までと違うことに気がついた。
確か俺は、ギターを抱えた女の子を轢いてしまい、
警察に逮捕され留置所にいたはずだ。

同じ房にいた奴は売人とコソ泥。どちらもむさくるしい男のはずだった。

今隣に寝ているのは俺の古女房だ。
そして、カレンダーの日付はさかのぼっている。

また、繰り返しの日々が始まるのだろうか?



14:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/22(木) 16:23:54.14 ID:2MZEWNuv0

同じことが繰り返されていることに気が付いたのは、
割と最近の事だ。

気が付いたのが最近のことで、もしかしたら気が遠くなるくらい
繰り返していたのかもしれない。

ということは、俺はあの女の子を一体何度轢き殺しているのだろうか。
考えただけで吐き気がする。
一々繰り返しを数えないのは、それが理由でもある。


15:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/22(木) 16:31:54.03 ID:2MZEWNuv0

俺はすっかり優良ドライバーになってしまった。
人を何度も轢き殺していれば、運転するにも臆病になるってものだ。

仕事を辞めようかとも思ったし、
実際に仕事を辞めたいと言ったこともあった。

だが、すぐには辞めさせてもらえず、ぐずぐずしているうちに
あの子を轢き殺してしまったのだ。

それに、仕事を辞めてしまったら金にも困るようになる。
中学生と高校生の子どもがいて、一番金がかかる時期だ。


17:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/22(木) 16:40:03.14 ID:2MZEWNuv0

とにかく、この状態から抜け出すことが先決だ。

あの子を俺が轢きさえしなければ、多分、話が進むような気がする。
これは、うちの子どもが見てたアニメからの知識だ。

夜中までアニメなんか見やがって…と思っていたが、
役に立つこともあるもんだ。

もし仮に、それでも繰り返しがあるとしても
人を傷つけないだけましってもんだ。


19:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/22(木) 16:45:52.89 ID:2MZEWNuv0

俺は動き出すことにした。
とりあえず、あの女の子に会うことから始めよう。

いや、会わなくても、ここ何日かの間だけでも
車に注意するように伝えるだけでも何かが変わるはずだ。

俺が覚えている限り、トラックが歩道に突っ込むということは
無かったはずだ。大体、彼女が車道に飛び出してくるパターンだ。

注意をしておくだけでもだいぶ違うだろう。


21:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/22(木) 16:56:14.75 ID:2MZEWNuv0

だが、あの子の事で覚えているのは名前と通ってる学校くらいだ。
どうやって話を持っていったらいいものだろうか。

いきなりこんなオヤジが話しかけても、怖がられるだけだろう。
まして事故で死ぬなんて話をしたら通報ものだ。
これはこれで困ったことになる。

だとしたら、手紙か何かで伝えるのはどうか?
住所を調べる必要があるが、仕方ない。多少は不審者になるしかない。


24:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/22(木) 17:11:19.69 ID:2MZEWNuv0

俺は彼女の後をつけて、家の場所を確かめることにした。

女子高校生の後をつけるオヤジなんて気持ち悪いが、
彼女の家の郵便受けにメッセージを入れて置くという方法くらいしか
考えつかなかったからだ。

上手くいけば、直接話が出来るかもしれない。

彼女を轢いてしまう時間帯から逆算すれば、
あの子が学校からいつ頃出てくるかわかるだろう。


40:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/22(木) 20:10:08.48 ID:kH6EWBQv0

適当に時間を見計らって、学校の近くの道にトラックを走らせていた。

じっと待っていることが出来たらよかったのだが、
さすがに俺が女子高の前をうろうろするわけにもいかない。

とりあえず、トラックからでもあの子の帰り道を確認できれば
それで十分だった。そして、何とか帰り道は確認できた。

休みの日に待っていればいいか。幸いにして平日が休みだ。
休みが不定期なことに俺は始めて感謝した。


41:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/22(木) 20:19:27.88 ID:kH6EWBQv0

いよいよ休みの日になった。俺はあの子が通るのを待っていた。
冷静に考えてみれば、我ながら不気味なことをやってる。

何でいい年をしたオヤジが、娘ぐらいの歳の女子高生を待ち構えて
後をつけようとしているのか。
しかも、懐には彼女宛の手紙までしのばせている。

子どもやカミさん、それに同僚には絶対に知られたくない姿だ。

しばらくタバコを吸ったり、自販機で買ったコーヒーを飲んだりして待っていると
あの子がやってきた。俺はさりげなく、跡をつけだした。

たしか尾行するときは、足下に視線を落としておくんだったな?


44:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/22(木) 20:51:43.47 ID:kH6EWBQv0

懐にしのばせた手紙、こいつを書くのに結構な時間を費やした。
仕事中もずっと考え続けていたおかげで、ミスも連発だ。

最初に考えたのは、こんな文面だ。

「平沢唯 様
警告する。車には気をつけろ。あなたを殺したくはない。」
…これでは脅迫状だ。

次に考えたのは
「拝啓 平沢唯 殿
突然のお手紙失礼いたします。あなたは私のことをご存じないかもしれませんが、
あなたのことをずっと想っていました。どうしても伝えたいことがあるので、
どうぞお返事ください。敬具」
…最初よりマシかもしれないが、あらぬ誤解を招く気がする。

結局
「平沢唯 様
突然のお手紙、驚かせて申し訳ありません。
私は○○町に住むトラックの運転手です。
あなたにお伝えしなければならないことがあるため、
申し訳ありませんがご連絡をいただけませんでしょうか。
事故や金銭等が関係する話ではありません。
非通知で掛けてもらって構いません」

…なんだか、架空請求みたいだが俺ではこれが限界だ。


45:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/22(木) 20:58:20.11 ID:kH6EWBQv0

あの子は、帰り道は途中まで友達と一緒に帰っている。

友達と一緒に歩いているときにはいいが、一人で歩いているときは
危なっかしいことこの上ない。

動物や子どもを見るとそっちに気をとられ、
ぼんやりとあらぬ方向を見ながら歩いているときもある。
赤信号になっているのに平気で横断歩道を渡ろうとして、クラクションを鳴らされる。

あんな感じだったら、
俺でなくても誰かが轢いてしまいそうな感じだ。


46:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/22(木) 21:18:49.78 ID:kH6EWBQv0

携帯でメールの着信でもあったらしく、携帯を取り出していじりだした。

前から車が近づいてくる。気がついている様子はない。
道は狭く、歩道などない道だ。あの子は、少し車道にはみだし気味で歩いている。

車は減速する気配がない。あの子も道の端による気配がない。
このままではぶつかる。

そう判断して、彼女に駆け寄って腕を掴んで道の端に寄せた。
間一髪で、彼女は車にぶつからずに済んだ。


47:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/22(木) 21:27:02.36 ID:kH6EWBQv0

「バカヤロー!ぼさっとしてんな!」
車の運転手が怒鳴った。ずいぶんガラの悪い奴だ。

「てめえこそ減速しねえか!人を轢くとこだったんだぞ」
俺も思わず怒鳴り返した。

運転手は一瞬俺をにらんだが、すぐに走り去った。

「大丈夫かい?怪我は?」 俺は彼女に声をかけた。

唯「だいじょぶです、ありがとうございます」

「ほら、携帯が落ちたよ」
俺は彼女に携帯を手渡した。


50:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/22(木) 21:55:14.22 ID:kH6EWBQv0

~間奏~

「ここ最近さぁ、俺、何か変なんだよね」

「何が?つーか、オマエって変だろ」

「いや、そうじゃねえんだよ」

「じゃあ何だよ、何がいいたいんだよ」

「いや、なに、ループっつうの、デジャブっつうの、そんな感じ」

「もっと具体的に言えよ」

「何かさ、女の子を轢いちゃうんだよ、何回も何回も」

「オマエ、クスリやりすぎじゃねえの?」

「やってねえし。それにここ最近、毎日おんなじことしてる気がしてさ」


51:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/22(木) 22:07:08.50 ID:kH6EWBQv0

俺は携帯を切った。
話す相手を間違えたよ、バカにはわかんないか。

よくわかんねえけど、何か繰り返してる気がするんだよ。
で、繰り返しの最後が女の子を轢いてしまう。
そのまま逃げるから、結局よくわかんないけど。

多分、夢で起こった出来事だと思うけど、
同じ夢ってそんなに見るモンなのか?

何かイライラしてくる…って…また、同じ女の子がふらふらしてやがる

でも、今度は轢かなかった。ほっとしたけど、習性でつい怒鳴っちまう。
そうしたら、変なオヤジが怒鳴り返しやがって。

普段だったら、車を降りて喧嘩になるところだけど
今回はにらむだけにしておこう・・・

今日は夢見がいいかもしれないからな


52:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/22(木) 22:11:16.54 ID:kH6EWBQv0

…俺はあれ以来、女の子を轢く夢は見なくなった。
っていうかアレが一体なんだったのかも分からない。

~間奏終わり~


53:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/22(木) 22:21:25.25 ID:kH6EWBQv0

彼女はしばらくぼんやりしていたが、突然騒ぎ出した。

唯「ギー太、ギー太は大丈夫?」

そういうと、背負っていたギターをケースから取り出した。
ケースは少し汚れたものの、ギターは無傷だった。

唯「ギー太…良かったねー」

そう言うとギターに頬ずりをして、ネックにキスをしていた。
この子の親御さんの子育ての苦労がしのばれる。

そして、彼女は顔を上げて笑顔で言った

唯「おじさん、ギー太ともども助けてくれてありがとう」

…まあ、かわいらしい子ではあるけどな


56:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/22(木) 22:38:13.97 ID:kH6EWBQv0

ついでに手紙の話もしておくか。
今だったら、車に轢かれそうになった直後だ、話もしやすいだろう。

そう思っていたら、彼女が俺の顔をじっと見つめていた。

唯「あの…どこかでお会いしませんでした」

正直に言って良いものか…実は何度も轢き殺してますなんて言えるかって。
でも、もしかしたらこの子も分かっているのかも?

だとしたら…ちょっとカマかけてみるか


60:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/22(木) 23:12:27.30 ID:kH6EWBQv0

「どこで会ったか、覚えてる?こっちもどこかで会ったような気がするんだけど」

唯「んーと、どこかは良く分からないんだけど…だけど…」

一瞬、彼女の顔が強ばったのを見逃さなかった。

「どうしたの、何か思い出した?」

俺は少し真剣な表情をした。
もしかしたら、彼女を怖がらせてしまったかもしれない。

唯「…ん…あの…その」

彼女はそわそわしだした。
間違いない、俺のことを何らかの形で思い出している。

ここは、一気に本題に入るか


61:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/22(木) 23:26:04.09 ID:kH6EWBQv0

俺は彼女に真剣な顔を向けた。
怖がらせたいとか思ってないけど、まあ、いいモンではないな。

「あのさ、ちょっとだけ話しを聞いてくんないかな…平沢唯ちゃん」

唯「どうして私の名前を…」

「いや、実はアンタとは縁があるんだよ。
とりあえず聞くだけ聞いて欲しいんだ。悪い話じゃない。アンタのためでもある」

唯「はい…」

「ありがとな。じゃあ、どこから話そうかな…」
それから俺は、今までのことを話した。

何度も何度も時間が繰り返してしまって、そのたびに彼女を轢いてしまっていること。
そして何とかその悪循環から抜け出すために、彼女に会いに来たこと。

ついでに俺には妻子がいて、女子高生には興味がないことも強調しておいた。
まあ、強調しすぎて逆効果になったかもしれないが。


62:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/22(木) 23:33:45.55 ID:TWsgNuM00

まさかいつも轢いてるトラックの運転手がSSになる日が来るとはなww



63:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/22(木) 23:35:51.48 ID:kH6EWBQv0

俺が一通り話し終えると、彼女は黙ってうつむいていた。
表情は…複雑なものだった。

そりゃ、自分を何度も轢き殺している人間が目の前にいれば
誰だってそうなるだろう。

たとえ事故にあいそうなところを助けてもらったとしても、だ。
その場で助けられたとしても、また、しばらくしたら助けた人間が
今度は彼女を轢き殺すんだから。

単に轢かれるのが若干、先延ばしになっただけと思われても不思議ではない。

とにかく、自分がこれから轢き殺されるなんて聞かされりゃ
誰だって気持ちいいもんじゃないに決まってる。

でも、それを避けたいから、こんな話をしたんだ。それだけはわかってくれよな。
俺だって人を轢いて楽しいわけないんだから。


64:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/22(木) 23:58:48.88 ID:kH6EWBQv0

こんなことを、彼女に話していると、別の女の子がやってきた。
彼女の妹だ。妹の顔と名前も、俺は覚えていた。

憂「おねえちゃん、メールしても返事が全然来ないから
心配して迎えに来ちゃったよ」

唯「あ…ごめんね…実はちょっと事故にあいそうになったところを
このおじさんに助けてもらって、それで返事を返せなかったんだよ」

憂「え!そうなの…それは、姉を助けていただきありがとうございます」

妹のほうは、俺のことを全く覚えていないらしい。

憂「今度お礼にお伺いさせていただきたいので、ご連絡先を
教えていただけますか?」

本当は、礼には及ばんよ、じゃあな…と言って去りたかったが
これからも連絡を取る必要があるので、とりあえず携帯の番号を伝えておいた。


65:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/23(金) 00:10:32.04 ID:O1orwksr0

俺は連絡先を教えた後、二人と別れた。

多分これで、何かが変わるかもしれない。
お互いどんなルートを通るか伝え合うならば、
彼女を事故に巻き込むことは無いだろう。

俺が彼女を轢いてしまう日は決まっていた。
その日を乗り切りさえすれば…


68:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/23(金) 00:34:32.56 ID:O1orwksr0

正直なところを言ってしまえば楽観的な予想はしていなかった。
それは彼女だって同じことだろう。

もし俺が彼女を轢かなかったとしても
運命とやらから逃れられないとしたならば、
俺は別の人を轢くかもしれない。

そして彼女は俺に轢かれるのではなく、
別の誰かに轢かれるかもしれない。

そんな思いを拭い去ることが出来なかった。

だとしたら、俺がやったことは一体何になるのだろうか?


70:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/23(金) 01:08:36.34 ID:O1orwksr0

彼女に会うのは初めてと思っていたが、
俺は前にも同じようなことをしたのかもしれない。

そして、同じようなことをした結果、俺のトラックは彼女を轢かなかった。
だが俺はこの繰り返しから抜け出すことは出来なかった。
…そうも考えられないだろうか?

俺は今回、彼女に会うに当たって何て思ったか?
たとえ繰り返す結果になったとしても、人を傷つけないだけマシって考えたな。
…もし、俺のトラックが轢かなくても、他の奴にあの子が轢かれるとしたら
そして俺がそのことを分かっていながら、何の手だても打たなかったら、
それってのは、どういうことか。

分かってるなら、何とかしてやるってのが人情ってもんだろ。


71:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/23(金) 01:16:51.02 ID:O1orwksr0

ああ、そうか。俺は思い違いをしていた。

あの子が俺にどこかであったことがあるかって聞いたとき、
あの子が俺にカマをかけてたんだ。

俺があの子と話したとき、ずっと黙っていたのは、わかってたからなんだな。
今回は俺はあの子は轢かないって。
だけど、あの子は結局、別の奴に轢かれるってことを。

考えてみりゃ、残酷なことをしたもんだ。
俺は今回は安全な立場にいるけど、アンタは違うよって宣言したようなもんだからな。

いいオヤジが年端もいかない女の子にするようなことじゃなかったな。


74:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/23(金) 01:53:35.21 ID:O1orwksr0

いよいよ、運命の日の前日の晩。

俺はお互いの定時ルートの確認のために電話を入れた。

「おう、唯ちゃん、明日はどういう道通るんだ?」

唯「明日の道は(略)、大体こんな感じですよ」

「そうそう、俺は明日はトラック乗らないからさ。もう、そういう段取りをつけたから。」

唯「え…?」

「だからって、油断すんなよ。トラックを運転してるのは俺だけじゃないんだからな」

唯「そう…ですよね」

「で、明日、唯ちゃんの通り道に
ちょっと変なオヤジがいると思うけどあんまり気にしないで。
それから、妹と友達は大事にしろよ、それじゃ」

俺はそう言うとすぐに電話を切った。

どうなることやら。また繰り返しになるか、
最悪でも俺の生命保険が結構な額が降りるだろうし、
事故の慰謝料はたっぷりふんだくれるだろう。


75:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/23(金) 02:14:09.07 ID:O1orwksr0

・・・俺は目を覚ますと、病院のベッドの上にいた。

カミさんと俺の子どもがベッドの周りにいる。
その後ろに唯ちゃんと憂ちゃんが立っている。

唯ちゃんは泣きすぎて、目がはれていた。

俺は目を覚ますなり、今日の日付を聞いた。
その聞き方が大げさすぎたのか、カミさんはあきれ顔で日付を教えてくれた。

どうやら、無事に時は進んでいる。いや、俺の体は無事じゃないがな。
そうはいっても、俺は命に別状は無いらしい。
事故の規模の割には、怪我が大したことはないそうだ。

俺は怪我が軽いことよりも、運命とやらに勝ったことに満足していた。


77:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/23(金) 02:26:22.03 ID:O1orwksr0

後から聞かされた話によると、
登校中の唯ちゃんが青信号で横断歩道を渡っているときに、
居眠り運転の車が突っ込んできたらしい。

そして、間一髪のところで俺が唯ちゃんを突き飛ばして、
俺が代わりに車に轢かれたということらしい。
その時に、頭を打ったせいか、全く記憶に無い。

今まで何度も、これ以上のことを唯ちゃんにして、
家族や友達に、これ以上のつらい目にあわせてたのか。

唯ちゃんは怪我じゃすまなかったからな…


78:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/23(金) 02:32:32.13 ID:O1orwksr0

その後、俺は医者の見込みよりも早く回復し、
今もトラックに乗っている。
幸いなことに誰も轢いてはいない優良ドライバーだ。

怪我でも保険金は下りたし、慰謝料も入ってきた。
思わぬボーナスが入ったようなものだ。
二度と事故にはあいたくはないが。

唯ちゃんもその後、楽しく高校生活を送っているらしい。
俺が入院中はかわいい友達を連れて、よくお見舞いに来てくれた。

今度、学園祭でライブをやるらしいので、見に行ってみるか。
女子高に堂々と入る機会なんてないしな。同僚に自慢してやろう。
まあ、俺には妻子があるから、女子高校生には興味は無いけどな。

おわり


80:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/23(金) 02:34:51.91 ID:rgY5blIr0

よくやった乙


86:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/23(金) 02:43:28.81 ID:OBtg8QXFO

多くのけいおんSSの積み重ねがあってこそ可能なSSだった 乙