- 1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/23(金) 18:51:45.92 ID:gjD9K2WnQ
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こんにちは平沢憂です
今日は一人でお留守番です
お姉ちゃんは軽音部のみなさんとお出掛けです
最近お姉ちゃんは休日に軽音部のみなさんと遊ぶことが多くなりました、時期的に言うと軽音部に梓ちゃんが入ってからですね
寂しい私は買い物に行くことにしました
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【日向坂46】ひなあい、大事件が勃発!?
韓国からポーランドに輸出されるはずだった戦車、軽戦闘機、自走砲などの「K防産」、すべて霧散して夢と終わる可能性も…
―――
憂「今日の晩御飯何にしようかな」
憂「お姉ちゃんの好きなハンバーグにしよう」
そう考えたとき私以外の人と笑って遊んでるお姉ちゃんの姿が頭に浮かんだ
憂「……」
何とも言い難い感情がわいてきた、しかしそれでも私はハンバーグの具材をカゴに入れた
お姉ちゃんの笑顔を見たいから……
憂「……そうだ、アイスも買っておかないと」
―――
こうして私はお店を出た
――――
買った物を持って家へ帰っていると、前方から何やら悲しそうな猫の鳴き声が聞こえてきた
ふと見てみるとそこには3匹の猫がいた
どうやらさっきの鳴き声は2匹の猫の後ろをついて歩く猫のもののようだった
必死に二匹の猫に対して『にゃあ』と言う猫に見向きもせずに二匹の猫は歩いていく
後ろを歩く猫の鳴き声はどんどん小さくなっていき、歩く速さも遅くなっていった
そして諦めたかのように立ち止まり、鳴くのをやめた
悲哀な雰囲気を出してたたずむその猫を見て私は自分も胸が痛くなった
同情心からくるものではないみたい
二匹の猫に置いていかれて寂しそうにしている姿と今の自分が重なって見えた
私はその猫に近づいていった
そして気がついたらその猫に話しかけていた
憂「君も寂しいんだよね」
その猫の頭を撫でながらそう言った
その猫は悲しそうな目でこちらを向いた
憂「あの2匹の猫に置いていかれて寂しいんだよね」
―ナデナデ
猫「にゃぁ……」
憂「よしよし」ナデナデ
猫「にゃあ!」
憂「ふふ、可愛い」ナデナデ
憂「私も1人で寂しいの……最近お姉ちゃんは軽音部のみなさんのことばっかりだし……」
猫「……にゃあ?」
憂「でもお姉ちゃんがそれで笑っていられるなら私はそれでいいかなって……」グスッ
猫「にゃぁ……」
憂「……」グスン
涙が頬を伝って落ちていった、その先には……
憂「いけない、涙が猫さんにかかっちゃった」
憂「……ごめんね」ダキッ
猫「……にゃあ」
―ペロッ、ペロペロ
憂「えっ!?」
猫「……」ペロッ
憂「涙……拭いてくれてるんだ……」
猫「にゃあ!」
憂「ありがとね」
憂「何だか元気出てきた」
憂「そうだ、お礼に温かいミルクあげるから家にこない?」
猫「にゃあ!」
憂「喜んでくれてるのかな……」
憂「それじゃあ、行こっか」ニコッ
猫「にゃあ!」
―――この時猫は知らなかった…
まさかあんな事件がおきるなんて…
――――
憂「どう、おいしい?」
猫「……」ペロペロ
憂「ふふ、舐めるのに夢中みたい」
憂「………」
―ペロッ
憂「ほぇっ!?」
猫「みゃぁ……」
憂「もうなくなっちゃったんだ……おかわりいる?」
猫「にゃあ!」
憂「可愛いなぁ」ナデナデ
その猫はまるで人の言葉がわかるようだった、動物ってみんなこうなのかな
――――
――憂の部屋
憂「ここが私の部屋だよ」
猫「……にゃあ」
憂「いつもここで1人で寂しくしてるんだ……」
猫「にゃぁ……」ペロペロ
憂「そうだね、今は君がいるもんね」
憂「………」
憂「ねぇ、ずっとここにいない?」
猫「……にゃ?」
憂「1人で寂しいもの同士で仲良くしよ」ニコッ
猫「にゃあ、にゃあ!」
今の私にはそばにいてくれる人が必要……そう思った
憂「ありがと」ニコッ
猫「にゃあ!」
憂「そうだ、じゃあ名前つけないと」
憂「うーん、どんなのがいいかな……」
・
・
・
憂「……ゆいにゃんってのはどうかな」
猫「みゃあ!」
憂「そっかぁ、気に入ってくれたんだ……」
憂「……そうだ、そうと決まれば色々と買わないと」
そう私はこんな時にも真っ先にお姉ちゃんを思い浮かべてしまった
――――
猫「にゃあ、にゃ、にゃぁ」
憂「よしよし」ナデナデ
憂「ふふ、こんな休日久しぶり」
憂「でもそろそろ晩御飯の準備しないと」
憂「ゆいにゃんは危ないから連れていけないかな」
憂「それに……お姉ちゃんにはゆいにゃんのことを知られたくないし」
お姉ちゃんがゆいにゃんのことを知ったら自分のもののように可愛がって一人占めするだろう
それだけは嫌だ
お姉ちゃんにはゆいにゃんや私の気持ちなんかわからない
そんな人にゆいにゃんを可愛がらせたくない
憂「ゆいにゃん、私は晩御飯の準備してくるね」
猫「にゃあ?」
憂「だからこの部屋で1人で待っててね」
猫「にゃ、にゃあー」ダキッ
憂「ごめんね、ほらご飯だよ」
猫「にゃあ!」モグモグ
憂「ふふ、お願いなんだけど、この部屋にいるときは静かにしといてくれる」
猫「にゃぁ……?」
憂「お姉ちゃんにゆいにゃんがバレると困るの」
猫「みゃあ……?」
憂「だからね、ご飯が終わったらあそこで寝てて」
猫「にゃぁ……」
憂「猫サイズのベッドを用意したの、きっと気持ちいいと思うよ」
猫「……」テクテク
―モフッ
猫「にゃぁ、にゃ、にゃあ!」
憂「気に入ってくれた?」
猫「にゃあ!」
憂「よかった、じゃあ静かにしててね」
猫「みゃあ!」
――――
憂「ふー、やっと終わったよ」
憂「あとはお姉ちゃんが帰ってきてからかな」
憂「ゆいにゃん、寂しがってるかな」
―パタン
猫「……」スースー
憂「寝てる……可愛いなぁ」ツンツン
猫「ふにゃ……」ゴロッ
憂「ふふ」
―バタン
唯「ういー、お腹すいたよー」
憂「あっ、お姉ちゃんだ……」
――――
唯「おいしいー」モグモグ
憂「そっかぁ、よかった」
唯「今日ね、あずにゃんがね~~」
憂「へぇ、そうなんだ……」
唯「それでね~~」
憂「そっかぁ……」
唯「うん、凄く楽しかったんだー」
憂「……よかったね、お姉ちゃん」
唯「うん」ニコニコ
憂「……」
最近はお姉ちゃんとの食事が楽しくない……お姉ちゃんは梓ちゃんや軽音部のみなさんの話ばかりだ
昔は心の底からそんな話を笑って聞いてあげられたのに……今はそれができない……
――――
――唯の部屋
唯「あっ、メールがきてる、あずにゃんからだ」
唯「『今日は楽しかったです、今度はお泊まりなんかしたいです』かぁ……」
唯「『いいね、やろうやろう』っと送信」
―ガタン
唯「おぉ、ギー太が倒れちゃった」
唯「よいしょっと、そうだ、毎日の日課をしないと……澪ちゃんに怒られちゃうよ」
――――
――憂の部屋
憂「ゆいにゃん、大丈夫?」
猫「にゃぁ!」
憂「お利口に静かにしてたんだねぇ、よしゃし」ナデナデ
猫「にゃぁ、にゃあ」スリスリ
憂「可愛いなぁ、今日は一緒に寝よっか」
猫「にゃあ!」
憂「ふふ、ありがとう」
ゆいにゃんに救われた気がする
そばにいてくれること、こんな風に私を必要としてくれることがなんだか懐かしい……
――――
――次の日
唯「憂、まだー」
憂「ごめん、お姉ちゃん、ちょっと先に行ってて」
唯「ほーい」
―――
憂「ゆいにゃん、ここにご飯とミルク置いとくね」
猫「……」ムニャ
憂「私が帰ってくるまではこの部屋にいてね」
猫「……にゃ」スースー
憂「いってくるね」ナデナデ
――――
唯「それでねー……」
憂「そうなんだ」
今日もいつも通りのお姉ちゃん
無邪気な笑顔で私に話しかけてくる、気持ちがほんわかする
梓ちゃんや軽音部のみなさんの話じゃないからかな……こんな時間がいつもだったらいいのに……
そんなことを考えていると聞き慣れた声が耳に入ってきた
梓「唯せんぱーい」
唯「あっ、あずにゃんだ、おはよう」
梓「おはようございます、唯先輩」
梓「憂、おはよう」
憂「う、うん、おはよう……」
ぎこちない挨拶になってしまった……そんなことを考えてちょっと俯いていると、お姉ちゃんと梓ちゃんが楽しそうに話し始めていた
唯「それでね……」アハハ
梓「そうなんですか……」アハハ
会話に入れないなぁ……そうして視線を先に移すと、昨日の2匹の猫がいた
唯「あっ、猫さんだー」
梓「本当ですね」
どうやらお姉ちゃん達も気づいたようだった
2匹の猫は昨日と同じように仲良くしていた
まるで……
唯「あの猫さん達仲が凄くいいんだねー、まるで私とあずにゃんみたい」
梓「もう、唯先輩///」
唯「えへへ」
お姉ちゃんの言葉が胸に突き刺さる……
私はそのまま会話に入ることなく無言で歩き続けた
――――
中野梓ちゃん……私の親友
可愛いし、とってもいい子だ
私にとっても凄く大切な子……だから憎めない
どんなに梓ちゃんがお姉ちゃんと仲良くしても、私とお姉ちゃんの時間を奪ったとしても……やっぱり憎めない
だからこそ私の中の寂しさは募るばかりだ
教師「おい、平沢!」
憂「は、はい!?」
教師「さっきから呼んでるだろうが、何ぼーっとしてるんだ、黒板の問題はやく解きなさい」
憂「すみません……」
梓「憂……」
―――
憂「………」ショボーン
梓「憂、そんなに落ち込むことないよ」
憂「梓ちゃん……ありがとう」
梓「えへへ、それにしてもどうしたの?」
憂「えっ!?」
梓「憂が授業中にぼーっとしてるなんて珍しいから」
憂「そうかな……」
梓「そうだよ、なんか悩み事でもあるの?」
憂「べ、別にそういうのじゃないよ」
梓「そっか、なら安心、でも悩み事があったらいつでめ相談してね」
憂「梓ちゃん……ありがと」
梓「いいよ、私達友達でしょ」
憂「……うん」
梓「えへへ」
梓ちゃんの優しさが心にしみる
いい意味でも悪い意味でも……
そうして私の気持ちの逃げ場がなくなっていく
>>43
しくった、すみません
いつでめ→いつでも
しくった、すみません
いつでめ→いつでも
――――
憂「ただいま」
猫「にゃあー!」
憂「ゆいにゃん、寂しかった?」ナデナデ
猫「にゃ、にゃぁ」
憂「えへへ」
憂「まだお姉ちゃんが帰ってくるまで大分時間があるね……」
憂「よーし、ゆいにゃん、お姉ちゃんが帰ってくるまでは家の中うろうろしていいよ」
猫「みゃあー」タタッ
憂「元気いっぱいだなぁ……」
ゆいにゃんを見て私の気持ちは和らいだ
寂しかったのはゆいにゃんじゃなくて、私の方だったのかな……
――――
猫「にゃー」ゴロゴロ
憂「ふふ、お姉ちゃんみたい」
猫「みゃあー」ガシッ
憂「あっ、私とお姉ちゃんの写真……」
憂「ゆいにゃん、これが私のお姉ちゃんなんだよ」
猫「にゃぁ」
憂「可愛いでしょ……私の自慢のお姉ちゃん……」
猫「にゃあ……」
憂「………」
猫「………」ペロッ
憂「ゆいにゃん……!?」
猫「にゃぁー」ペロペロ
憂「……ありがとう、ゆいにゃん、大丈夫だよ」ニコッ
猫「みゃぁー」スリスリ
憂「そろそろお姉ちゃんが帰ってくるから部屋に戻ろうね」ダキッ
猫「にゃあ!」
ゆいにゃんが私を舐めてきた、あの時と、ゆいにゃんの前で泣いたときと同じだ
私が悲しんでるように見えたのかな
私がお姉ちゃんの写真を見て悲しむなんて……そんなことあるわけないのに……
――――
唯「おいしかったー、憂の料理は世界一だね」
憂「……ありがとう、お姉ちゃん」
唯「……」
憂「そうだ、お姉ちゃん、アイス食べるよね」
唯「うん」
・
・
・
唯「おいしいー」
憂「ふふ、よかった……」
お姉ちゃんに褒められたのに嬉しくなかった
こんなの初めてだよ……私、どうしちゃったんだろ
――――
――唯の部屋
―ジャカジャカ
唯「愛をこめてすらすらとね~~」
唯「~~つながるように~~」
唯「~~かなり本気よー」
―ジャーン
唯「やっぱり澪ちゃんの歌詞はいいなぁ」
唯「よーし、頑張るぞー」
――――
――憂の部屋
憂「おいしい?」
猫「にゃあ!」モグモグ
憂「ふふ、よかった」
憂「ゆいにゃんと一緒にいると、自然と笑顔になれるよ」
猫「にゃぁ……?」
憂「………」ダキッ
憂「ゆいにゃん、ずっと私のそばにいてね」
猫「にゃあ!」
――――
その夜、私は夢を見た
私はお姉ちゃんと笑い合っていた
それは凄く楽しい時間で私はあったかい気持ちだった
お姉ちゃんといると自然に笑顔になれたな……今の私にはできないことだ
だからわかる、これは夢だって……でももう少しこのままで……
・
・
・
目を覚ますとゆいにゃんが私の顔を舐めていた……
憂「……おはよう、ゆいにゃん」
猫「にゃあ!」
――――
唯「ういー、おはよう」
憂「お姉ちゃん!?」
憂「お姉ちゃんが1人で起きるなんて珍しいね」
唯「失礼な、私だってやるときはやるんだよ」
憂「そうだよね……」
憂「でもどうして早く起きたの?」
唯「今日、朝練があるんだよぉ」
憂「……そうなんだ、はい、朝ごはん」
唯「わーい、いただきまーす」
―――
唯「いってきまーす」
憂「いってらっしゃい」
憂「さてとゆいにゃんのご飯を準備してと」
・
・
・
憂「あれ、ゆいにゃん寝ちゃってる」
猫「……」スースー
憂「どうしよう、ミルクとかそのまま置いてても大丈夫なのかな」
憂「うーん……大丈夫だよね」
憂「ゆいにゃん、ここに置いとくね」
憂「ゆいにゃん、いってくるね」ナデナデ
――――
憂「1人で学校に行くなんて久しぶり」
けど久しぶりなんかではない気がする
最近はお姉ちゃんとの通学を楽しめていないし、だいたい途中で軽音部の誰かに会う
そこからはずっと私は1人だ
お姉ちゃん……お姉ちゃんにとって私は……
ふと顔を上げるとまたあの2匹の猫がいた
仲良くしている2匹の猫……やっぱりお姉ちゃんと私じゃない誰かの姿を重ねてしまう
わかるなこの気持ち・・・
――――
梓「憂、おはよう」
憂「………」
梓「憂!」
憂「……えっ、何!?」
梓「おはよう」
憂「うん、おはよう……」
梓「どうしたの憂、ぼーっとして」
憂「私ぼーっとしてた?」
梓「うん、最初に挨拶したとき何も反応しなかったじゃん」
憂「そうだっけ……ごめんね」
梓「やっぱり憂らしくないよ、なんか悩み事があるんじゃないの?」
憂「それは……」
梓「ひょっとして唯先輩のこと?」
憂「えっ……」
梓「やっぱりそうなんだ、それで唯先輩がどうしたの?」
憂「いや、その……」
梓「なになに?」
憂「今日自分1人で起きたから変だなぁって思って……」
梓「そんなこと?」
憂「……うん」
憂「だからお姉ちゃん、何かあったのかなぁ……って思って」
梓「うーん……朝もいつも通りの唯先輩だったけどね」
憂「いつも通り?」
梓「うん、元気いっぱいの」
憂「そっか……なら安心……」
梓「………」
そうだよね、お姉ちゃんにとっては私と学校行くことなんて特別なことじゃないよね
私のことを心配してくれる梓ちゃん、ごめんね、本当のことが言えなくて
でも、寂しい……なんて梓ちゃんには言えないよ
――――
――放課後
律「例のお泊まりだけど明後日は祝日だから明日しようぜ」
澪「急だな」
紬「梓ちゃん、大丈夫なの?」
梓「はい、明日は親もいませんし」
律「決まりだな、明日は梓の家でお泊まり会だ」
唯「わーい、楽しみだねぇ、あずにゃん」
梓「はい」
―――
澪「それで唯、ちゃんと毎日やってるのか?」
唯「もちろん」
律「本当かぁ?」
唯「本当だよ」
梓「まぁ、これからも続けてくださいね、軽音部のためなんですから」
唯「うん、私頑張るよ」
紬「じゃあ、頑張る唯ちゃんにはケーキのおかわり」
唯「わーい、おいしいー」モグモグ
律澪梓(本当に大丈夫かな……)
――――
憂「ゆいにゃん、ただいま」
猫「にゃあ、にゃあ!」スリスリ
憂「ふふ、いい子にしてた」ダキッ
猫「にゃあ!」ペロペロ
憂「くすぐったいよぉ」
猫「みゃあ!」ペロペロ
憂「だからくすぐったいってばぁ」
ゆいにゃん、ありがとう
ゆいにゃんのおかげでまだ自然に笑えるよ
――――
唯「おいしいー」モグモグ
憂「………」モグモグ
唯「……ういー」
憂「何?お姉ちゃん」
唯「明日あずにゃんの家に軽音部でお泊まりするんだけど、行っていい?」
憂「お泊まり……?」
唯「うん」ニコニコ
憂「………」
唯「憂?」
憂「そんなの私に許可とる必要ないでしょ……」
唯「えっ!?」
憂「………」
唯「……憂?」
憂「……だってお姉ちゃんがお姉ちゃんなんだから」
憂「梓ちゃんの家にお泊まりするねだけでいいんじゃないの」
唯「そうだよね……」
憂「うん」ニコッ
唯「………」
――――
――唯の部屋
唯「……終わったー」
唯「よーし、明日の準備しなくちゃ」
・
・
・
唯「これとこれと……あっ、あれを持っていかないと」
・
・
・
唯「よーし、終わり、これとギー太を持っていけばばっちりだね」
――――
――憂の部屋
猫「……」モグモグ
憂「おいしい?」
猫「にゃあ!」
憂「そっか……よかった……」
憂「明日お姉ちゃんは梓ちゃんの家にお泊まりなんだって……」
猫「みゃぁ……」
憂「あんなに嬉しそうな顔で……よっぽど楽しみなんだなぁ」
猫「にゃぁ」ペロペロ
憂「ゆいにゃん……」
猫「にゃ、にゃぁ」ペロペロ
憂「大丈夫だよ、泣いたりしないから」ダキッ
憂「ただ本当に1人になっちゃうなって……」
猫「にゃあ、にゃあ!」
憂「ごめん、ゆいにゃんがいるもんね、1人じゃないよね」
猫「にゃあ!」
憂「ふふ、明日は思いっきり遊ぼうね」
猫「にゃあ!」
――――
また私は夢を見ている
梓ちゃんや軽音部のみなさんと楽しく話しているお姉ちゃんを私は上から眺めている
お姉ちゃんの笑顔が私以外の人に向けられている
そんなの当たり前だってわかってる、私の思いが自分勝手だってこともわかってる
わかってるんだけど……それでも私は……
―ペロペロ
憂「……はっ!」
猫「……」ペロペロ
憂「ゆいにゃん……私、泣いてたの?」
猫「にゃぁ……」
憂「……ごめんね、心配かけて、でも大丈夫だから」
猫「みゃぁ……」
――――
憂「お姉ちゃん、まだー」
唯「待って、ういー」
憂「どうしたの?その荷物」
唯「えへへ、学校から直接あずにゃんの家に行こうと思って」
憂「そうなんだ……」
唯「うん」ニコッ
憂「……じゃあ、行こっか」
唯「おぉー」
憂…
―――
唯「楽しみだなぁ、お泊まり」
憂「………」
唯「あずにゃんがお料理作ってくれるんだって」
憂「……そうなんだ」
唯「どんな料理か楽しみだよぉ」
憂「……梓ちゃんが作るんだからきっとおいしいよ」
唯「そうだね、楽しみー」
憂「………」
唯「あっ、猫さんだー」
またあの2匹の猫だ
でも今日はちょっと様子が違う
猫1「にゃぁ……」
猫2「しゃぁっ!」
喧嘩……してるのかな
唯「喧嘩はだめだよぉ」
猫1「にゃ!」タタッ
唯「あっ……」
猫2「………」
唯「喧嘩なんかしちゃだめだよ」ナデナデ
猫2「にゃぁ……」
昨日はあんなに仲が良さそうだったのに……そういえばお姉ちゃんが撫でてる猫、ゆいにゃんに似てるような
唯「可愛いー」グリグリ
猫2「にゃぁ……」
憂「お姉ちゃん、そろそろ行かないと遅刻するよ」
唯「あっ、本当だ、じゃあね猫さん」
猫2「みゃぁ……」
―――
憂「ほら、お姉ちゃん、急いで」
唯「待ってよぉ、荷物が重くてぇ」
憂「もう、しかたないなぁ……」
梓「唯先輩、おはようございます」
唯「おはよう、あずにゃーん」
梓「唯先輩、急がないと……ってどうしたんですかこの荷物?」
唯「うーんとねぇ、帰りに直接あずにゃんの家に行こうと思って」
梓「そうなんですか」
唯「うん、はやく行きたいから、あぁ、はやく放課後にならないかなぁ」
梓「もう、唯先輩///」
梓「あっ、荷物重たいですよね、一緒に持ちますよ」
唯「ありがとー、あずにゃん」
梓「はい///」
それは私の役目……そう思ったけど声は出なかった
でもお姉ちゃんが喜んでるならそれでいいよね
――――
この日の授業中も終始上の空だったけど当てられることはなかった
お姉ちゃんと同じように、お泊まりを楽しみにしてるんだな……とわかるくらい梓ちゃんはこの日終始にこにこしていた
私の気持ちはそれと反比例するように沈んでいった
今、お姉ちゃんの頭の中には私のことなんでこれっぽちもないんだろうな
そう考えずにはいられなかった
お姉ちゃんの隣に私は必要ないのかな……
はやくゆいにゃんに会いたいな
切ない
――――
憂「今日は1人分でいいんだ」
憂「………」
憂「そうだ、ゆいにゃんに何かおいしいものを作ってあげよう」
憂「ゆいにゃん、喜んでくれるかな」
憂「そうと決まれば、はやく買い物終わらせて家に帰らないと」
私はゆいにゃんを求めていた
いつも私のそばにいてくれる存在として
かつてお姉ちゃんがそうであったように
――――
唯「おぉー、これがあずにゃんの家かぁ」
梓「はい」
梓「先輩、私は料理するんでここらへんで待っててもらえますか」
唯「ほーい」
唯「お料理、期待してるよあずにゃん」
梓「あんまり期待されると困ります、特に憂の料理をいつも食べてる唯先輩には……」
唯「大丈夫だよ、お料理にはその人にしか出せない味っていうのが出るんだよ」
梓「唯先輩……」
唯「それに憂もあずにゃんのお料理ならきっとおいしいって言ってたよ」
梓「憂が……?」
唯「うん、だから楽しみにしてるよ」ニコッ
梓「はい」
なんかもう泣けてくるわ・・・
――――
憂「ゆいにゃん、おいしい?」
猫「にゃあ、にゃあ!」
憂「そっかぁ、よかった」
憂「ゆいにゃんと一緒にご飯食べるの初めてだからなんか楽しいな」
猫「みゃぁ」
憂「いっぱい食べていいんだよ」ナデナデ
猫「にゃあ!」
憂「ふふ、可愛い」
ゆいにゃんのおかげで私は楽しく晩御飯を食べることができた
―――――
唯「おいしいー、あずにゃん凄くおいしいよ」
律「本当だな、梓、なかなかいあ腕してるぜ」
澪「だな、おいしいよ」
紬「そうね」
梓「あ、ありがとうございます///」
律「なんだ梓照れてんのか」
梓「ち、違います」アセッ
唯「あずにゃん、可愛いー」ギュッ
梓「ちょ、ちょっと、唯先輩///」
―――――
憂「ゆいにゃん、何して遊ぶ」
猫「にゃ、にゃあ」タタッ
憂「鬼ごっこかぁ、食後の運動にはちょうどいいかも」
憂「よーし」
憂「待って、ゆいにゃん」
猫「にゃあ!」タタッ
憂「ふふ」
―――
憂「もう逃げ場はないよ、ゆいにゃん」
猫「みゃぁ……」
憂「大人しく捕まりなさい」
猫「にゃぁ」タタッ
憂「つーかまえた」ダキッ
猫「みゃぁ……」
憂「えへへ……ってここお姉ちゃんの部屋だね」
憂「なんだかお姉ちゃんの部屋に入るの久しぶりだな」
憂「アルバム……久しぶりに見てみようかな」
―――
憂「私とお姉ちゃん、どれも仲がよさそうに写ってる」
憂「どっちかがどっちかにくっついてて……」
憂「これが私のお姉ちゃんだよ、ゆいにゃん」
猫「にゃあ!」
憂「……そっか、前にも教えたよね」
憂「昔はこんなに仲がよかったんだよ……昔はこんなにお姉ちゃんは私に構ってくれたんだよ……昔はこんなにお姉ちゃんに甘えることができたんだよ……」グスッ
―ポトッ、ポトポト
猫「にゃぁ……」ペロペロ
(´;ω;`)
憂「お姉ちゃん、前まではもっと私のこと話してくれてたんだよ」グスン
憂「なのに最近は……ちっともそんなことない……」グスン
猫「みゃぁ……」ペロペロ
憂「昨日も今日もお泊まりが楽しみだってことばっかりで、私のことなんか全然気にかけてくれないんだよ」グスングスン
猫「にゃぁ……」ペロペロ
―ポトッ、ポトポト
憂「もっと私の事気にかけてくれていいじゃない、そんなの身勝手な思いだってわかってる」グスッ
憂「でも、それでも寂しいんだよぉ」グスングスン
猫「にゃぁ……」
―ポトッ、ポトポト
溢れてくる思い、そして流れてくる涙は、私にもゆいにゃんにも止めることができなかった
―――
この日私は涙が枯れるまで泣いていた
そばにはずっとゆいにゃんがいてくれた
誰かがそばにいてくれなかったら私は何をしていたかわからない
ありがとう、ゆいにゃん
そして私は泣きつかれてすぐに眠りについてしまった
私は何か夢を見ていた気がする、でもその内容を覚えていない……
――――
憂「……あったかい」ムニャ
憂「お姉ちゃん……?」ハッ
憂「ゆいにゃん……」
猫「………」スースー
目を覚ますとゆいにゃんが私の体に身を寄せるようにくっついていた
憂「ありがとう、ゆいにゃん」ナデナデ
憂「さてとご飯食べて洗濯したりしないと」
――――
憂「ゆいにゃん、ご飯だよー」
猫「………」スースー
憂「まだ寝てる」
憂「昨日ずっと起きててくれてたのかな」
憂「……ご飯ここに置いとこう」
憂「なんだか私も眠くなってきちゃった」
憂「することは済んだし、一眠りしようかな」
憂「おやすみ、ゆいにゃん」
――――
梓「えぇっ、もう帰っちゃうんですか!?」
律「今日は祝日だぞ」
唯「ごめんね、ちょっと心配事が……」
澪「心配事?」
唯「うん……」
紬「急ぐことなの?」
唯「うん、でもそれが済んだらまた戻ってくるから」
梓「そうですか……」
唯「じゃあ、私いってくる」
―――
唯「ただいまー」
唯(最近憂の様子がおかしい気がするし、気になって帰ってきちゃった)
唯「ういー、どこー?」
唯「あれ、いないや」
唯「部屋にいるのかな?」
唯「だったら荷物を自分の部屋に置いてからだね」
・
・
・
唯「ん?なんか憂の部屋からなにか聞こえるような、まぁいいや、開けちゃえ」
―バタン
唯「ういー」
猫「にゃ!!」
憂「………」スースー
唯「憂、寝てるの……ってあっ、猫さんだぁ」
唯「可愛い、おいでおいで」
猫「………」
唯「来ないんだったらこっちから行っちゃうよぉ」
唯「それ」ナデナデ
猫「しゃぁっ!」
唯「ほぇっ!?」
唯「そんなに恐がらなくてもいいんだよぉ」
唯「ほら、いい子いい子」グリグリ
猫「にゃぁっ!」ガリッ
唯「痛ーい!」
猫「にゃぁっ!」
憂「……ん?どうしたの、ゆいにゃん?」
憂「ってお姉ちゃん!?なんで帰ってきてるの!?」
唯「ちょっと用事があって……」
猫「にゃぁっ!」
憂を泣かせる唯が許せないんだな
いい猫じゃないか。あずにゃんにライバル現る
唯「さっきからこの猫さん、ずっとこの調子なんだよぉ」
憂「えっ!?」
唯「ほぉら、よしよし」ナデナデ
猫「みゃぁ……」タタッ
―ダキッ
憂「………」
唯「あぁ……ねぇ、憂、私にもその猫だっこさせて」
猫「にゃぁ……」フルフル
憂「……駄目だよ」
唯「えっ……憂、今なんて言ったの?」
憂「駄目って言ったの」
唯「どういう意味?」
憂「お姉ちゃんにこの子はだっこさせられない、そういう意味に決まってるでしょ」
唯「どうしてー、憂の意地悪」
憂「それは……お姉ちゃんにはこの子をだっこする資格なんてないからだよ」
唯「えっ!?」
憂「お姉ちゃんにこの子の気持ち、そして私の気持ちなんてわかるわけないの」
唯「憂……?」
憂「この子は他の2匹の猫に置いていかれてとっても寂しそうにしてたの……それもこれ以上ないってくらいに」
唯「………」
憂「お姉ちゃんにその気持ちがわかる、わからないよね、でも私にはわかるの」
唯「憂にはわかる……?」
憂「うん、1人の寂しさ、自分に目を向けてもらえないつらさがね」
唯「憂は1人じゃないよ、私がいるよ」
憂「うそばっかり!!」
唯「えっ!?」
憂「そんなの戯れ言でしかないよ、だってお姉ちゃんの目は私になんか向いてないじゃない」
唯「憂……」
憂「家でする話は梓ちゃんや軽音部のみなさんの話ばかり……休みの日はいつも軽音部で遊んでばっかり……」
憂「私のことなんて全然眼中にないじゃない」
唯「それは……」
憂「それに今回のお泊まりだって、楽しみ楽しみ言うばっかりで1人になる私のことなんて少しも気にしてなかった……」
唯「………」
憂「私は……ずっと寂しかった」
憂「必要とされてないじゃないかって悩んでた」
憂「そんな時に会ったのがこの子、ゆいにゃんなの」
唯「ゆいにゃん……?」
憂「そうだよ、私にはこの子の気持ちがすぐにわかったの」
憂「この子と私は同じ気持ちだったから……」
憂「私とゆいにゃんはすぐに仲良くなれた」
憂「ゆいにゃんは私を必要としてくれた、そして私がつらい時にいつもそばにいて励ましてくれた」
憂「私は嬉しかった、そんなのもう味わえない……そう思ってたから」
憂「私はゆいにゃんといるときは寂しいなんて思わなかった……ゆいにゃんもそうだと思う」
唯「憂……」
憂「こう言ってもお姉ちゃんにはわからないかもね、ゆいにゃんの気持ちも私がどれだけ寂しいって思ってたかも!!」
憂「あっ……」
唯「憂……ごめんね、私……」
憂「聞きたくないよ、今はお姉ちゃんの言葉なんて聞きたくない!」
憂「………」
―タタッ
唯「憂!!」
猫「にゃぁ……」タタッ
―バタン
唯「行っちゃった……」
――――
――憂
最低だ
私は最低だ
この気持ちをよりによってお姉ちゃんにぶつけてしまった
自分勝手な気持ちだってわかってるのに
お姉ちゃんに悪気はないってわかってるのに
私はお姉ちゃんのことが大好きなのに……
流れる涙が止まらない
私は走り続けた……
――――
――唯
最低だ
私は最低だ
憂に寂しい思いをさせてるなんて気づけなかった
憂があんなに思い悩んでるなんて気づいてあげられなかった
私のたった1人の、かけがえのない、大好きな妹なのに
私にお姉ちゃんの資格なんてないね
ごめんね、憂
こんなお姉ちゃんでごめん……
―――
唯「追いかけないと……」
私は涙を拭って追いかけることにした
もう遅いかもしれないけど、もうどうにもならないかもしれないけど
私は何かしなくちゃいけない……そう思った
私のためじゃない
大好きな妹のために
私は走りだした……
――――
――憂
私は公園でゆいにゃんとぼんやりしていた
考えるのはさっきのことばかりだ
なんであんなことを言っちゃったんだろう
でも言って正解だったのかな
いややっぱり駄目だよね
とかそんなことばかりを考えていた……今も考えてる
すると私の名前を呼ぶ声が聞こえた
梓「憂!」
憂「梓ちゃん……」
梓「どうしたの、こんなところでぼんやりして」
憂「えっ……何でもないよ……」
梓「うそばっかり!」
憂「えっ!?」
梓「何でもないわけないでしょ、そんなに目を真っ赤にしてるのに」
憂「それは……」
梓「憂、悩んでることがあるなら相談してよ、私達友達でしょ、私、憂の力になりたいの」
憂「梓ちゃん……ありがとう、あのね……」
憂「………ってことなの」
梓「そうなんだ……なんていうかごめんね憂、私……」
憂「梓ちゃんが謝ることじゃないよ、私が勝手に寂しがってるだけなの」
梓「憂……でも私は憂の気持ちわかるよ」
憂「えっ!?」
梓「私一人っ子だし、家ではちょっと寂しいなって小さい頃から思ってたの」
梓「高校に入って、軽音部に入部して先輩達と知り合ってからはその思いがより一層強くなったの」
梓「だからね休みの日は私が積極的に先輩方を誘ってたの、今回のお泊まりもそう……」
梓「だから憂がそんな気持ちになったのは私のせいかな」
憂「梓ちゃん……」
梓「憂、唯先輩の心のあったかさって一回触れると病みつきになっちゃうよね」
憂「うん」
梓「寂しくなるのもわかるよ」
憂「……うん」
梓「憂、欲しいものは自分で取りにいかないと駄目だよ」
憂「どういう意味?」
梓「唯先輩にそばにいてほしいなら自分で言わなきゃ」
憂「………」
梓「憂って唯先輩に遠慮してるところがあるでしょ」
梓「唯先輩が笑顔で楽しくやれるなら自分は我慢するって感じに」
梓「だから唯先輩が遊びに行くのを黙って見送ったりしてたんだよね」
憂「……うん」
梓「それじゃ駄目だよ、憂、もっと自分の気持ちに素直にならないと、自分の気持ちを大切にしないと」
梓「行ってほしくないときはきちんと言わないと『お姉ちゃん行かないで、私のそばにいて』って」
梓「唯先輩ならきっと笑顔で憂のそばにいてくれるよ」
憂「そうだね……こうなったのは私のせいだね」
憂「梓ちゃんありがとう、私、梓ちゃんの友達でよかった」
梓「憂……」
憂「私、お姉ちゃんに謝るよ、それで自分の気持ちを素直に言う」
梓「うん、それがいいよ、やっと憂らしくなったね」
憂「そうかな……」
梓「うん」ニコッ
憂「そういえば梓ちゃんは何でこんなところにいるの、みなさん梓ちゃんの家にいるんじゃないの」
梓「実は家の庭にいた野良猫が可愛くて、逃げたのを追ってたの」
ゆいにゃん「にゃあ!」
梓「えへへ、君みたいな猫だよ」ナデナデ
憂「そうなんだ……じゃあ、もう私行くね」
梓「憂、最後に1つだけ、唯先輩は憂のことをいつも気にかけてるよ」
憂「そうかな……」
梓「信じられないかもしれないけど私にはわかるの」
憂「……うん、そうだといいな」
憂「じゃあね梓ちゃん、ゆいにゃん行くよ」ダキッ
ゆいにゃん「にゃあ!」
梓「頑張ってね、憂」
梓「あっ、私も猫ちゃん探さないと」
――――
――唯
唯「憂、ういー」
唯「どこに行っちゃったんだろ」
猫2「にゃぁ、にゃあー」
唯「あっ、昨日の猫さんだ」
猫2「にゃぁ、にゃあー」
唯「君も誰かさがしてるの?」
猫2「にゃあ!」
唯「じゃあ、私と一緒だね」
猫2「みゃぁ……」
唯「私は妹をさがしてるの、君は?」
猫2「にゃ、にゃぁにゃあ」
唯「さっぱりわかんないや」
唯「よく見たら君、憂が持ってた猫さんに似てるね」
猫「みゃぁ……」
唯「ひょっとしたら憂の持ってた猫さんさがしてるのかな」
唯「よし、一緒にさがそっか、2人でさがした方がきっと早くみつかるよ」ダキッ
猫2「にゃあ!」
――――
――憂
憂「ただいま」
―シーン
憂「お姉ちゃーん」
―シーン
憂「いないのかな、お姉ちゃんの部屋に行ってみよう」
―バタン
憂「お姉ちゃーん……いないや」
憂「どこに行っちゃったんだろう」
憂「………ん?」
そのとき私の目はお姉ちゃんの机の上にあるものに向けられた
憂「これは……」
それは一冊のノートだった、表紙には日記帳と書いてある
憂「お姉ちゃんが日記……」
憂「………」キョロキョロ
ゆいにゃん「にゃあ!」
憂「ほぇっ……ってゆいにゃんかぁ、驚かせないで」
憂「ごめんね、お姉ちゃん」
私はその日記帳を開いてみた
○月○日
今日から私、平沢唯は毎日日記を書くことにしました
澪ちゃんに歌詞を書くコツを尋ねたら、まずは毎日日記でも書いてみるのはどうかって言われたからです
記念すべき初日、いっぱい書こうと思ったんだけど案外書くことがないよぉ
だから初日は短くいきます
ムギちゃんの持ってくるお菓子は今日もおいしかった
でも憂のお料理はもっとおいしかった
――――
――○月○日
唯「澪ちゃんの歌詞って凄くいいよね」
澪「そうかな///」テレッ
唯「うん」
唯「だから私に歌詞の書き方のコツを教えて」
澪「えぇっ!?」
唯「私も歌詞を書いてみたいの」
律「唯が歌詞!?とんでもないことになりそうだな」
梓「想像がつきませんね」
紬「そうね」
澪「そうだな……まずは日記を毎日つけてみたらどうだ」
唯「日記?」
澪「あぁ、その日あっとことを日記に書くんだ」
澪「歌詞っていうのは日常の思いがけないところから生まれるんだ」
澪「だから日記をつけるっていうのは意外と侮れないをだぞ」
唯「そうなんだー、じゃあ私頑張ってみるよ」
律「ちゃんと毎日続けられるのか?」
唯「うん、私頑張るよぉ」
――――
○月△日
だいぶ日記を書くのにも慣れてきた気がする
今日は帰り道に犬さんと遊んだ
無邪気っていうのはああいうのを言うのかな
可愛かったよぉ
そういえば最近憂に元気がないような気がする
気のせいかな……そうだったらいいな
憂には元気でいてほしい
―――
憂「お姉ちゃん……」
読み進めていくとどの日にも私のことが書いてあった
お姉ちゃんのありのままの日常を書いた日記に私の名前があることが嬉しい
どうでもいいようなこともあった
でもお姉ちゃんは私のことをいつも気にかけてくれていたんだ
そのことが本当に嬉しい
めくっていくうちにこの前お姉ちゃんが遊びに行った日付けになった
△月○日
今日は軽音部のみんなで遊びにいった
とても楽しかった
そういえば最近休日にあんまり家にいない気がする
ということは憂を1人にしちゃってるんだ
いけないお姉ちゃんだ
来週は何があっても憂と遊ぶぞ
おぉー
さっきのあずにゃんのメールのお泊まりも楽しみだけどね
△月○+1日
今日もいつも通りのまったりした部活だった
そういえばあずにゃんが気になることを言っていた
憂の様子がちょっとおかしいって
でも家での憂はいつも通りだった気がする
でもちょっと元気はなかったかな
明日は朝練だ
憂と一緒に学校に行けないからさびしいな
△月○+2日
あずにゃんの家に明日お泊まりすることになった
楽しみだなぁ
ここで気になることが1つ
今日の憂は明らかにおかしかった
なんかいつもとは違ってた
大丈夫かな、明日1人にして大丈夫かな
心配だなぁ……
でもこんなときに何て声をかけてあげたらいいかわからない
私は駄目なお姉ちゃんだ
そう言いながらも明日のお泊まりのことで頭がいっぱい
本当に駄目なお姉ちゃんだ
昨日の日付
お泊まりっていいな
梓ちゃんのお料理もおいしかったし、楽しい時間を過ごせてる
今日この日記を澪ちゃん達に見せてあげた
毎日きちんと書いてることを褒めてくれた、けどみんながこう言ったのが一番心に残ってる
憂ちゃんのことばっかりじゃないか、本当に憂ちゃんのことが大好きなんだなって
言われてみれば憂のことばかり書いてる
でもそう言われて悪い気はしない、だって私は憂が大好きなんだから
明日は昼前に憂の様子を見に行こう
憂がちょっと心配だし、そして何より……
憂に会いたい
今日の日付
最低だ
私は最低だ
憂に寂しい思いをさせてるなんて気づけなかった
憂があんなに思い悩んでるなんて気づいてあげられなかった
私のたった1人の、かけがえのない、大好きな妹なのに
私にお姉ちゃんの資格なんてないね
ごめんね、憂
こんなお姉ちゃんでごめん……
―――
憂「お姉ちゃん……」
―ポトッ、ポタポタ
憂「ごめんね、お姉ちゃん」
憂「お姉ちゃんの気持ちがわかってないのは私の方だったね」
憂「なのにあんなひどいこと言って……」
―ポトッ、ポタポタ
ゆいにゃん「にゃぁ、にゃぁ」ペロペロ
憂「ゆいにゃん……」
ゆいにゃん「みゃあ!」グイッ
憂「そうだね、今はお姉ちゃんをさがさないとね、行こうゆいにゃん」
ゆいにゃん「にゃあ!」
――――
唯「憂どこに行ったのかなぁ、全然見つからないや」
猫2「にゃぁ……」
唯「ほぇー、ちょっと疲れちゃった、あの公園で休もうっと」
猫2「にゃあ!」
唯「憂には本当に悪いことしちゃったなぁ……」
猫2「みゃぁ……」
唯「君もそうなんだ、仲間だね」
唯「そうだ、名前つけてあげる」
唯「……ういにゃんはどうかな」
猫2「にゃぁ、にゃあ!」
唯「気に入ってくれたんだ」ナデナデ
唯「それにしてもこんなにさがしても見つからないなんて……」
唯「もう家に帰っちゃったのかな」
唯「でも今の私に家に帰る資格なんてないし」
唯「はぁー……」
ういにゃん「にゃぁ、にゃあ」ペロペロ
唯「励ましてくれてるんだ、ありがとー」ナデナデ
唯「ういにゃんのさがしてる猫も見つけないとね」グリグリ
ういにゃん「にゃぁー」
唯「えへへ……憂、私のこと嫌いになっちゃったかな、そんなの当たり前だよね」グスッ
憂「そんなわけないよ!」
唯「えっ!?」
憂「私がお姉ちゃんを嫌いになるなんてそんなこと絶対にないよ」
唯「憂……」
憂「お姉ちゃんを嫌いになんてなれないよぉ」ギュッ
唯「憂……」ナデナデ
憂「ごめんねお姉ちゃん、私、お姉ちゃんの気持ち何にもわかってなかった」グスッ
唯「なんで憂が謝るの、謝るのは私の方だよ」
憂「違うの、謝るのは私の方なの、私お姉ちゃんにひどいこと言っちゃった」グスン
唯「言ってないよ、憂は本当のことしか言ってないんだから」
憂「違うの、お姉ちゃんの日記見ちゃったの」
唯「えっ!?日記見たの?」
憂「うん、ごめんね」
唯「……///」
憂「お姉ちゃん?」
唯「恥ずかしいよぉ、憂に見られるなんて///」カァァ
憂「……お姉ちゃん、私すっごく嬉しかったよ」
憂「お姉ちゃんがあんなにも私のこと書いてくれてて、本当に嬉しかった」
唯「憂……」
憂「そして何より私のこと大好きって書いてくれてたのが一番嬉しかったよ」ニコッ
唯「憂、ごめんね、私……」
憂「お姉ちゃん、私も大好きだよ」ニコッ
唯「憂、ういー」ギュッ
唯「ごめんね、寂しい思いさせてぇ」グスングスン
憂「うん、私、すっごく寂しかったんだから」
憂「でもいいんだ、こうしてお姉ちゃんの気持ち知ることができたから」
唯「憂……大好きー」ギュー
憂「お姉ちゃん、苦しいよぉ」
ゆいにゃん「にゃぁー!」
ういにゃん「にゃぁー!」
ゆいにゃん「にゃ!?」
ういにゃん「にゃ!?」
ゆいにゃん・ういにゃん「にゃあー!」ダキッ
唯・憂「ほぇっ!?」
ういにゃん「にゃ、にゃぁ」
ゆいにゃん「にゃぁ、にゃあー」
唯「そっかー、やっぱりういにゃんがさがしてた猫はゆいにゃんだったのかぁ」
憂「ういにゃん?」
唯「うん、この子の名前」
憂「あっ、あの猫だぁ」
ゆいにゃん・ういにゃん「にゃぁー」ゴロゴロ
唯「仲良しさんだねぇ、まるで私と憂みたい」
憂「お姉ちゃん……」
唯「だって名前もゆいにゃんとういにゃんでしょ」
憂「……うん」
唯「じゃあ、この子達連れて帰ろうか、私、はやく憂のお料理が食べたい」ニコッ
憂「うん、期待しててお姉ちゃん」ニコッ
―ニギッ
唯・憂「えへへ」
ゆいにゃん・ういにゃん「にゃあー」!
――――
梓「つーかまーえた」ダキッ
猫1「にゃあ!」
梓「えへへ」ナデナデ
猫1「にゃぁ、にゃあー!」スリスリ
梓「えへへ、お持ち帰りだね」
――――
律「なぁ、私達忘れられてないか」
澪「そうだな」
紬「そうねぇ」
―――――
唯「おいしいー、やっぱり憂の料理は世界一だよ」
憂「ありがとう、お姉ちゃん」
今度はお姉ちゃんの褒め言葉を素直に喜ぶことができた
憂「ゆいにゃんもういにゃんもおいしい?」
ういにゃん「にゃあー!」
ゆいにゃん「みゃあー!」
憂「よかった」
ありがとう、ゆいにゃん、ういにゃん、おかげで私の心は晴れ渡ったよ
―――
ゆいにゃん・ういにゃん「にゃあー」ゴロゴロ
唯「本当に仲がいいんだねぇ」
憂「そうだねぇ」
―チュッ
唯「あっ、ゆいにゃんとういにゃんがキスを!!」
憂「!!!」
唯「ねぇ、憂、私達もキスしよっか」
憂「えぇっ!?」
―チュッ
唯「えへへ、憂のファーストキス頂きー」
憂「お姉ちゃん///」
唯「憂、大好きだよ」
憂「私も大好きだよ、お姉ちゃん」
なんて破廉恥な
/: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : \
/: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : /^ヽ
: : : : : : : :/: : : : : : : : : : : : : :/: : : :/ } : : ヽ二ニ :_‐-
: : : : : : :/: : : : : : : / : :// : : /: : : /: : :i : '; : : : : : \: `丶.__
: : : : : :/ : : : /: : /: : : ∧\ : :/ : : :/: : : :| : :}: : :ヽ : : : \: : :\: : :`
: : : : :/ : : : /: : /: : : / : :\,ン:_:_:/|: : : : |: /: ヽ : }: : : : : :ヽ: : : \: :
: : : : ': : : : :l : : | : : : : / /' : / `ト !: : : /:| : : :V: : : : : : : :'; : : : :ヽ
: : : :l: : : : : |: : : : : : : :|/l/ / l: |: :〃ト!、: : l: : : : : : : : :l: : : : : :
: : : :|: : : :}: |: : : : : : : :|,:ィ'´ ー=ミレ'!: /__|从\ |: : : : : : : : :|: : : : : :
: : : :l : : /: : : : :|: : : : :| :| ::::::::::::: j/'ァーミヽ : | : i: : : : : : :| : : ;/ :
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^ヽ : ハ: : : :} : ハ : : :|:! ノ } : : |: : : 〃:/l/ : : :
:::::::V:::::l: : ;イ :/ ヽ: : ト:、:、 /: : : l ://:/:´: : : : :/
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唯「憂、大好きだよ」
憂「私も大好きだよ、お姉ちゃん」
――――
今日の日付
今日は色んなことがありました
でも今、こうして笑って日記を書くことができます
憂のファーストキスをもらっちゃった
ゆいにゃん、ういにゃん、ありがとう
憂、今度の休みは2人でお出かけ、いやデートしようね
憂、大好き、もう一回書くね、憂、大好きだよ
―――――
後にこの一冊の日記帳から1つの曲ができあがります
曲名は『U&I』
憂への想いを綴った私が作った憂のための歌
―――――
――おしまい
とてもよかった
読んでよかった
よかったよ乙
今まで何書いたの?
良かったら教えて
>>221
そういうの言うとなんか色々言われそうな気もしますが
同じ唯憂で
唯「憂…寂しいよ…」って言うのを以前書きました
そういうの言うとなんか色々言われそうな気もしますが
同じ唯憂で
唯「憂…寂しいよ…」って言うのを以前書きました
そのころさわちゃんはおならをしていた
さわちゃん「ぶっぷ」ブー
>>140
NG
NG
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