魔王「ふはは、小さいからといって甘く見ていたな!」 後編
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- 422:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/22(月) 00:44:00.15 ID:qB21KUX/0
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勇者「…ここでやられてたまるか!! 座布団一枚!」
盗賊「!」ビクッ
勇者「…あれ?」
盗賊「…よかった…」ギュッ
勇者「ぬお、盗賊…!」
盗賊「死んでしまったかと思ったぞ…」
勇者「…ここは?」
盗賊「宿だぞ」
勇者「そ、そうか…あいつは?」
盗賊「…あの小娘か…?」
勇者「ああ」
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盗賊「走って、どこかに行ってしまったぞ…」
勇者「! どこに?」
盗賊「…森の方に」
勇者「くそ、また追いかけないといけないのか」
盗賊「…追うのか?」
勇者「ああ、当たり前だ」
盗賊「なら、私も手伝う」
勇者「ん? ああ、ありがとう…いてっ!」ビクビク
盗賊「大丈夫か!?」
勇者「か、体が…シビれやがる…」
盗賊「まだ、体は万全の状態ではない! もうすこし休め!」
勇者「あいつは…俺がいないと、ダメなんだ…」
盗賊「…私が、探しだすから」
勇者「それじゃあ、ダメなんだ」
勇者「俺が、あいつを見つけ出さないと、ダメなんだ」
盗賊「…」
勇者「くっそぉ…体を引きずってでも…」ズリズリ
盗賊「ゆ、勇者…!」
勇者「盗賊、お前はやっぱり待っていてくれ」
盗賊「でも…」
勇者「もうすぐ良くなるはずだから…つぅ!」ビリッ
盗賊「…勇者…」
勇者「…くっそ、なんで動かねぇんだ! くそ! くそ!」
盗賊「そんなことをしても脚は動かない! やめろ!」
勇者「俺がもっと強ければ…あいつの手加減した雷なんかで気絶なんてしなかったんだ」
盗賊「勇者…」
勇者「…やっぱ、無理だ…盗賊、肩貸してくれねぇか?」
盗賊「…ああ」
?「はぁ、まったく、世話が焼けるやつよのう」
勇者「そ、その声は…」
賢者「こんな、ある町の宿の廊下で這いつくばっている勇者がどこにいるんじゃ?」
勇者「賢者さん!」
賢者「本当におまえさんは、もっと勇者としてのプライドを持て!」
勇者「か、かたじけないです…でも、俺は…」
勇者「俺は、あいつを探さないと…」
賢者「…はぁ、やはり、おまえさんはいい度胸をしている…私が初めて好きになった男がお前だと言うのも頷ける」
勇者「え? …あれ…なんだか、体が軽い」
賢者「…行ってこい。そして、あやつと一緒に帰ってこい」
勇者「…はい!」
賢者「ふぅ…まったく…本当にあいつは」
勇者「あ、賢者さん! 盗賊のこと、よろしくお願いします!」
賢者「…!」カァァ
賢者「は、早く行け! 馬鹿者!」
勇者「…」
勇者(本当に、あいつは世話が焼けるぜ!)
勇者「おーい!」
勇者「どこだー!?」
勇者(くそ、どこにも見当たらない!)
勇者(この森はあまり広くないからな…大丈夫だとは思うんだが…)
勇者(この前の盗賊達にあったら…! それはまずい!)
賢者「ふむ…おまえさんが勇者にであったのは五日前…か」
盗賊「はい…気を失ってから、四日間、気を失ったままで…」
賢者「むう、それはすごいのう…」
盗賊「正直、あの雷をうけて、生きている方がすごいと思います…」
賢者「それほどにすごかったのか?」
盗賊「…はい」
賢者「…おまえさんは、あいつとはどういう関係なんじゃ?」
盗賊「…私は勇者、『物』です」
賢者「…ほう、面白いことを言うのう」
>>修正、
×
盗賊「…私は勇者、『物』です」
○
盗賊「…私は勇者の、『物』です」
勇者「はぁはぁ…」
勇者「! 魔物の死体…!」
勇者「あいつ、食べ物が無いから…!」
勇者「どこだ!?」
勇者(無事でいてくれ!)
勇者「! いた!!!!」
勇者「お~い!」
魔王「…」
勇者「…おい、なんで倒れてんだよ!?」
魔王「…ゆー…しゃ?」
勇者「大丈夫か!? しっかりしろ!」
魔王「ゆーしゃ…生きて…たんだな…」
勇者「どうしたんだ!? 何があったんだ!」
勇者(衣服には血がついてるだけ、どうしたってんだ!?)
魔王「あのね…ゆーしゃ……」
勇者「もーいい! 喋らなくていい!」
魔王「ゆーしゃ…私、守ったよ」
勇者「え?」
うわああああああ
魔王「ゆーしゃが…殺すなって…言ったから…」
勇者「じゃあ、あの死体の群れは!?」
魔王「私は…何も、してないよ…私はただ、逃げただけ」
勇者「お前…殺してないってことは…」
魔王「うん、食べてないよ…。だって、食べたら」
魔王「あの動物に、懐かれないでしょ?」
勇者「待ってろ! 今すぐ町に戻って、うまいもんたくさん食わせてやる!」
魔王「…ゆーしゃ、ごめんね」
魔王「ずっと、いってなかったけど…」
勇者「な、なんだ?」
魔王「私、普通のご飯じゃ、まともな栄養、取れないんだ」
勇者「!?」
魔王「だから、いっぱい…たべ…ても………全然、た…りない…んだ…」
勇者「そんな…!」
魔王「ゆーしゃのごはん、おいしかったよ…」
勇者「死ぬな!」
魔王「…ふふっ……泣かないでよ…」
勇者「お前は死なないんだから、泣くわけねぇだろ」ポタポタ
魔王「…ゆー………し……ゃ…」
いやああああああああ
だばあああああああああ
魔王「…さ…………い………ごに………」
勇者「…」
魔王「ほん…とのこと…………いわな……くて……ごめん……ね」
勇者「俺を食え!」
魔王「…へ?」
勇者「俺を食って、少しでも腹を膨らせろ!」
魔王「それは………で…きないよ…」
勇者「なんで!?」
魔王「わた…し………は……ぜんちぜんの…うの……まお…うなんだ…から」
勇者(俺は…最低だ……!)
勇者(こんな小さな……こいつすら助けることができないのか!?)
勇者「…神よ…」
勇者「我の身体、そして精神を捧げん…」
勇者「この者に新しき命を与え給え……!」
パァァァァ
魔王「…」
勇者(…これで大丈夫か…?)
勇者「! ガハッ!」ビチャ
勇者「っへ、やっぱり……俺は死ぬのか…」
勇者「…楽しかったぜ、お前との、生活…」
勇者「ちょっとだけだったけど…本当に、楽しかったぜ…! ガフッ!」
勇者「また…今度……俺の………まずい飯…食わせ…てやっからな…」
シュウウウウウウウ
勇者(んだよ…体ごと…消えるのかよ…)
だからって勇者も死んじゃだめええええええええ!
魔王「…ぬ?」
魔王「ゆーしゃ!」
魔王「何故だ? 生きてる!」
魔王「やったぞゆーしゃ! 私、生きてるぞー!!!」
魔王「ん? どこに隠れておる?」
魔王「…勇者?」
魔王「まったく、私をおいてどこにいったんだあいつは…」
魔王「会ったらぶん殴ってやる!」
魔王「…それにしても、見あたらないなぁ」
魔王「町に帰ってしまったのか? 薄情なやつめ」
魔王「…本当に、早く出てこいよぅ…」
最後のセーブポイントに行けば復活してるんだろ?
なあ、復活してるんだろ??
魔王「結局、町まで着いてしまったではないか…」
賢者「!」
魔王「む、賢者ではないか」
賢者「無事でなによりじゃ! 大丈夫だったか?」
魔王「うむ、この通りピンピンしているぞ。それより、勇者は?」
賢者「? 会ってないのか?」
魔王「いや、私が目が覚めたときにはもう、いなかったぞ」
賢者「!!」
魔王「?」
賢者「あいつ…やってしまったのか…」
魔王「むむ? なんのことじゃ?」
賢者「おまえさん、どこか悪いところはあるか?」
魔王「む? 不満な部位ならあるが…」
賢者「どこじゃ?」
魔王「は、恥ずかしいが、強いて言うなら、胸」
賢者「そういうことではない!」
賢者「おまえさんが勇者に会ったときに、どこかに致死量のダメージを受けていなかったか?」
魔王「? そういえば、餓死寸前だったぞ」
賢者「…そうか」
魔王「だから、なんなんだ?」
賢者「勇者は、お前を助けたのじゃ」
魔王「ふむ」
賢者「…その時、やつは体を犠牲にして、お前を助けたのじゃ」
魔王「…? な、なにを言っている! 私は…」
魔王(私は…あいつを…食べてないぞ?)
賢者「やつは、呪文を唱えたのだろう。完全治癒呪文に」
魔王「…?」
賢者「その呪文を唱えれば、体ごと存在の代わりに、誰か一人を、どんな状況であろうと、完全治癒することができるのじゃ」
魔王「え? じゃあ、あいつは…?」
賢者「…もう、帰ってこない」
おいいいいいいいいいいいいいいいい
魔王「な、ならば、私の体を使って…」
賢者「無理だ…できるのは、選ばれし勇者のみなのじゃ」
魔王「…嘘だ」
賢者「…」
魔王「そんな…こんなことって…」
賢者「…」
魔王「あいつは、私に、何も言わずに、どこかに行こうとするなって…言ったではないか」
魔王「なのに、約束を破るなんて…最低だ!!」
賢者「…」
魔王「……うぅ…」
魔王「もう一度、探してくる!」
賢者「やめておけ…惨めになるだけじゃ」
魔王「うるさい! お前の考えが正しいとは、私は思わん!」ダッ
盗賊「…おい」
魔王「む、なんだ?」
盗賊「…私も探す」
魔王「わかった、私はこっちを探す、お前はあっちだ」
賢者「…やれやれ、私も手伝おう」
魔王「はぁはぁ…」
魔王「ゆーしゃー! 返事しろー!」
魔王「…ゆーしゃー! へんたいー!!」
魔王「むぅ…一体どこへ行ったんじゃ?」
?「お、いたいた」
魔王「む?」
?「おや、忘れましたか? 私ですよ、私!」
魔王「? 覚えとらん。誰じゃ?」
?「死を食らう男です。いや~お久し振りですねぇ」
魔王「…?」
死を喰らう男「おや、その顔、誰だお前? という顔ですね?」
魔王「私は今忙しいんだ、消えろ」
死を喰らう男「いえいえ、時間はとりませんよ。ただ、魔王様を祝いにきたのですよ」
魔王「私を、祝いに?」
死を喰らう男「そうでございます! どうやら勇者を倒したそうではないですか!」
魔王「…え?」
死を喰らう男「もう魔界ではその話題で持ち切りですよ! いやーさすが魔王様!」
魔王「…どういうことだ!? なぜ、勇者が死んだのか知っている!?」
死を喰らう男「そりゃあ、私のところに魂が飛んできたからですよ」
魔王「!」
死を喰らう男「というわけで、今度魔界で祝勝パーティーなんてどうでしょう!?」
魔王「おい」
死を喰らう男「はい?」
魔王「勇者の魂は、今どうなってる?」
死を喰らう男「はい? 大切に保管していますよ? とても力強い魂でね、すぐにでも逃げ出しそうですよ」
魔王「返せ」
死を喰らう男「はい?」
魔王「勇者の魂を返せ」
死を喰らう男「はは、何をおっしゃっているんですか? 魔王様」
魔王「早くしろ」バチバチ
死を喰らう男「ほう…あなたは、勇者の魂をどうするおつもりで?」
魔王「決まっているだろう、生き返られるんだ」
死を喰らう男「!? 正気ですか?」
魔王「当たり前だ、早くしろ」
死を喰らう男「むぅ、そうですか…ならば、すこしだけ時間をください。上の方と検討しますので」
魔王「…返さなきゃ、ぶっ殺す」
死を喰らう男「ひぃい! やめてくださいよ~」
魔王「―――――というわけなのだ」
賢者「あ、あの死を喰らう男あったのか!?」
魔王「うむ」
賢者「わ、私もあってみたいのう!」
魔王「消して人の良さそうなやつではなかったぞ」
賢者「そんなことはどうでもいいのじゃ。やつは死んだ者の魂は死を喰らう男にすべてやってくるそうじゃ」
魔王「そうなのか」
賢者「しかし、よく、殺されなかったな」
魔王「私は全知全能の魔王だからな。殺されるわけがない」
次の日
魔王(待ち合わせはあの光る花がたくさん咲いている場所…)
魔王(ゆーしゃ、絶対助けてやるからな!)
魔王「…」
死を喰らう男「おお、待っていましたよ! 魔王様」
魔王「…返せ」
死を喰らう男「はい! 上の方と話をしたんですがね…ちょっと、条件がありまして」
魔王「条件?」
死を喰らう男「はい、たった一つです」
魔王「早く言え」
死を喰らう男「それがですね、『魔界の出入を禁ずる』です」
魔王「!!…それって…」
死を喰らう男「はい…正直、これは結構まずいと思いますよ?」
魔王「…わかった。条件をのもう」
死を喰らう男「え? 本当にいいんですか? 考え直した方がいいのでは?」
魔王「…早くしてくれ…」
死を喰らう男「…わかりました。本当に、後悔しませんね?」
魔王「うむ」
死を喰らう男「それにしても、あなた様は変な人ですねぇ」
魔王「む? なぜだ?」
死を喰らう男「彼は我々の敵ですよ? なんで生き返らせるんですか?」
魔王「お前は関係ない」
死を喰らう男「…わかりました…それでは、少し離れてくださいな」
死を喰らう男「―――――――」
魔王「…!」
勇者「…んあ?」
魔王「! ゆーしゃ!!」
勇者「…ここは?」
魔王「ゆーしゃ!」ギュッ
勇者「うわっ! なんだ!?」
魔王「会いたかったぞ、バカ!」
勇者「ちょっと待て!」
魔王「なんだ! 感動の再会だというのに、うるさいやつだ!」
勇者「お ま え は だ れ だ ?」
魔王「な、何を言っている! 私だ! 魔王だ?」
勇者「魔王? やだなぁ、何いってんだよ。こんな可愛い魔王がいるわけないだろ」
魔王「…!」
死を喰らう男「それでは、私はこれで…」
魔王「待て」
死を喰らう男「? はい?」
魔王「これはどういうことだ?」
死を喰らう男「いや、この通り、元に戻しましたが?」
魔王「なぜ、私を知らない?」
死を喰らう男「え?」
魔王「勇者は、なぜ私のことを知らないのだ?」
死を喰らう男「いやいや、そんなこと、私に言われましても…」
勇者「おい、お前」
魔王「?」
勇者「名前は、なんていうんだ?」
魔王「…ゆーしゃ、本当に、おぼえてないのか?」
勇者「覚えてない? 俺たちはさっきはじめてあっただろ?」
魔王「…!!」
勇者「?」
魔王「…私は、ぎ、吟遊詩人だ!」
勇者「吟遊詩人か…歌を歌ってみてくれよ」
魔王「…すまん、嘘だ」
勇者「じゃあ、なんなんだ?」
魔王「私は…全知全能の、魔王様だ!!」
勇者「…ははは!」
魔王「…何がおかしい」
勇者「いやあ、面白い子だなっと思って」
魔王「…うぅ」
勇者「うおっ、どうして泣いてんだよ?」
魔王「目を覚ませ、ゆーしゃ!」
勇者「はぁ?」
魔王「私の事を、早く、思い出せ!」
勇者「思い出すも何も、初対面だろ?」
魔王「そんなことはない! 私はオマエのことを知っている!」
勇者「え? そうなのか?」
魔王「あ、ああ!」
勇者「いやーこんなところまで俺の噂が広まってたのかー」
魔王「! 違う! そうではない!」
勇者「いやあ、勇者になって本当によかったぜ」
魔王「…?」
勇者「ん、どうした?」
魔王「いや、なんでもないぞ…」
勇者「そうか」
魔王「…」グスッ
勇者「ん? 泣いてるのか?」
魔王「…泣いてなど、おらんわ」
勇者「そうか」
魔王「…勇者…」
魔王「…お前は、本当に、覚えていないのか?」
勇者「ああ、まったく」
魔王「……そうか…」
魔王(何を落ち込んでるんだ私! ゆーしゃが帰って来てくれただけで、嬉しいではないか)
勇者「お前、家どこだ?」
魔王「…私はお前と一緒に住んでいるんだぞ」
勇者「はあ? 嘘つくなよー」
魔王「! 嘘ではない! ほんとーだ!」
勇者「なんだよ、お前、新手の詐欺師か? 悪いけど俺は大したもの持ってねーぞ?」
魔王「だ、誰が詐欺師だ! 勝手に決めつけるな!」
勇者「どうもうさんくさい。お前、本当に何もんだよ?」
魔王「う、うるさい! 私はお前の…」
魔王(…私は、こいつの…なんだ? 一体、なんなんだ?)
魔王「…私は…お前の…」
勇者「ほら、言えないじゃねぇか」
魔王「で、でも、私は…!」
勇者「…あれ? 財布の中身が無くなってる…」
魔王「…」
勇者「おい、返せよ」
魔王「私は、とっとらん!」
勇者「うそつくなよ! あそこにはお前しかいなかっただろう!?」
魔王「私は、なにもしてない!! うわぁぁんっ!」
勇者「…本当に、お前じゃないんだな?」
魔王「…グスッ…うん…」
勇者「…なら、信じるよ」
魔王「…信じて、くれるのか?」
勇者「お前の目を見れば、嘘をついてないことぐらいわかるさ」
魔王「…やはり、お前は、勇者だな…」
勇者「そうか?」
魔王「私の…知ってる勇者だ」
勇者「ははは、そうか。いつもの俺だけどな」
魔王「そうだな」
勇者「で? 俺達は何をしてたんだ?」
魔王「隣町に作物を届けたのだ。でも、お前が倒れて…」
勇者「え? 俺が?」
魔王「うむ…私が悪いのだ…すまない」
勇者「そうか。もう、作物は届けたのか?」
魔王「うむ。とても美味しい野菜をな!」
勇者「え、お前、野菜好きなのか?」
魔王「え?」
魔王「だって、勇者が、作ってくれたではないか」
勇者「うえーあんなまずいもんよく食えるな。すごいよ、お前」
魔王「…」
勇者「ん? どうした?」
魔王「なんだそれは!?」
勇者「はぁ? どうしたんだよ」
魔王「今すぐ謝れ! 私にじゃなく、じいさんに謝れ!」
勇者「はあ? じいさんって誰だよ?」
魔王「ふざけるな! お前が言っていたのだろう? 丹精込めて作った野菜だって、言ってたではないか!」
勇者「誰が作っても一緒だろ? そんなもん」
魔王「…」バチバチ
勇者…
魔王「お前は、勇者じゃない」
勇者「はぁ? どう見たって、勇者だろ?」
魔王「お前は、勇者じゃない、そんなこと、私の知ってる勇者は言わない!」
勇者「おいおい、俺は勇者さまだぜ? お前が叶うとでも思ってるのか?」
魔王「勇者は…そんなこと、言わないと、言っている!!」ビリビリッ
勇者「やれやれ、核の違いを見せてやるよ!」
魔王(こいつは勇者の体をした、偽物だ!)
魔王(こんな勇者なら、いなくてもいい!)
魔王(私の知っている勇者がいない世界なんて…)
ゴロゴロゴロ…
勇者「ん!? なんだこの雷っ!?」
魔王「世界ごとぶっ壊してやる!」
勇者「う、うわわっ!」
魔王「…勇者、本当にお前には世話になったな」
魔王「…まあ、すでに私の知る勇者ではないがな…」
勇者「」
魔王「ふん、気絶するとは、情けない…」
魔王(魔界にはもう、帰れない。ならば、このまま果てよう。私もろとも…)
勇者「…ん?」
魔王「…さよなら、勇者」ゴロゴロゴロ…
勇者「!」
魔王「…」
勇者「おい、何やってんだ?」
魔王「…やれやれ、まだ気を失っていなかったのか…」
勇者「はあ? お前、何言ってんだよ」
勇者「それと、その雷なんだ?」
魔王「…?」
勇者「感動の再会、じゃねぇか」
魔王「!! …ゆーしゃ?」
勇者「えっと、あのな…」
魔王「会いたかったぞ~!」
死を喰らう男(なぜだ!? 魂は違う者の魂を入れたんだぞ!?)
死を喰らう男(なぜ、なぜやつの魂が…!)
勇者「あのさ、その物騒な電気のほとばしった大きな球をどうにかしてくれ。あぶなすぎる」
魔王「む? ああ、そうだった」
死を喰らう男「待て!」
死を喰らう男「契約違反だ!」
魔王「む? 何をバカなことを言っている?」
勇者「だれだ? このピエロ」
死を喰らう男「ぴ、ピエロではない! 死を喰らう男だ!」
勇者「あーあーそうかい。で、なんのようだ?」
死を喰らう男「お前の魂は確かにここに…ってあれ?」
勇者「魂? 意味分からんことを言うピエロ界を巣食う男だ」
死を喰らう男「男しかあってないぞ! …仕方ない、契約は契約だ。違反した罰、きっちりとつけてやる!」
魔王「ほほう…? 私にかなうとでも? 笑わせるな!」
MPが足りません。
魔王「ぬなー!?」
勇者「ったく、下がってろ」
魔王「し、しかし。ゆーしゃ!」
勇者「俺のカッコいいところ、まだお前見てないだろ?」
魔王「…ふ、ふん! お、お前はずっと…カッコよくないわ!」
勇者「ははっ! そりゃ残念だ!」
死を喰らう男「あはは、普通の人間が私に勝てるとでも思ってるのか?」
勇者「俺だって、お前に勝てるかどうかなんて、全然考えちゃいねえよ」
勇者「俺は、こいつを守りたい、それだけだ」
魔王「!」カァァ
魔王「そ、そんなこと、どうでもいいわ! はやくやれい!」
死を喰らう男「ふむ…笑えない冗談ですね」
勇者「そうか? お前はピエロなんだから笑わせるのが仕事だろ?」
死を喰らう男「はぁ…あなたと言う人は…」
勇者「!」ギィン
勇者(なんつースピードだ…! あいつにも劣らねぇぞ!)
魔王「ゆーしゃ!」
勇者「離れてろ! こいつは、俺がやる!」
勇者(くそ、ちょっとばかり動いてないからって、ここまで体って鈍るもんなのか?)
死を喰らう男「それそれそれい!」
ズバッ
勇者「のわっ! いってーな!」
死を喰らう男「遅いですよっ」ヒョイ
魔王「ゆーしゃをいじめるなー!」
勇者「! ばか! 出てくるなって!」
魔王「大丈夫、今の私は…!」バチッ
バチ…シュン
MPが足りません。
魔王「ありゃ?」
勇者「言わんこっちゃねぇ!!」
死を喰らう男「ふふっ!」
魔王「ふぐっ! こらっ! 離せっ…」
勇者「おい、相手は俺だろう!」
死を喰らう男「契約を犯したのは彼女ですよ? あなたはただの邪魔者です」
魔王「ふむーむー!」
死を喰らう男「おっと、ジタバタしないでください」ゴスッ
魔王「んぐっ…」
勇者「! おい、女の子殴るなんて、てめぇどういう神経してんだ!」
死を喰らう男「おや? 悪いですか?」
死を喰らう男「私は子供が嫌いなんですよ。魂も小さいし、栄養も少ないですから」
勇者「…」
死を喰らう男「でもまあ、この方は大きな存在…栄養満点かもしれませんが…」
勇者(大きな存在?)
死を喰らう男「私はこの女を殺せば、あなたには危害を加えません。とてもよい条件だと思いますよ?」
勇者「…どこがだよ」
死を喰らう男「あなたは傷つかずに…いや、死なずにすむのですよ?」
勇者「そいつが死んだら、俺は死ぬことよりつらい」
勇者「だから、やめてくれ…」
死を喰らう男「おやおや、これが人間の『繋がり』というものですか?」
死を喰らう男「面白いですねー! くだらないことこの上ない!」
死を喰らう男「人のために傷つくなんて、考えただけでも身の毛がよだちますよ!」
勇者「早く、そいつを離せ」
死を喰らう男「…代わりは? 代わりに何を、私はいただけるんですか?」
勇者「…俺の命でも、なんでももらっていけ」
死を喰らう男「それは割りに合わないですよ! あなたとこの方ではレベルが違いすぎる!」
死を喰らう男「そうですね…対等にするのでしたら…」ドスッ
魔王「かふっ…」
勇者「! おい!」
死を喰らう男「体をめちゃくちゃにしないと、ダメですねぇ」ドゴッ
勇者「やめろ!」
死を喰らう男「あなたの決めた交換ですよ? なにか問題がありますか?」
勇者(おおありだ…)
魔王「うう、ゆーしゃぁ…」
死を喰らう男「黙ってください」ゴスッ
勇者「やめろぉ!!」
死を喰らう男「だから、あなたが決めたことなのです。私はそれを遂行しているだけですよ…?」
勇者(なんで、こういう時に限ってこいつは…)
勇者(力を発揮しねぇんだ!?)
勇者(…って、あいつに頼っちゃダメだろ)
勇者(俺はこんなんでも、勇者だろ? 嫌がっていても、勇者だろ?)
勇者「うおおお!」
死を喰らう男「血迷いましたか!? ならば、こちらはこいつを…」
勇者「うおおお!」
死を喰らう男「…逃げた?」
死を喰らう男「ふふふ…ふはははははははははははははは!!!」
死を喰らう男「あんな逃げ腰の男が勇者だって!? この世界は平和なものだな…!!」
魔王(…ゆうしゃ…?)
死を喰らう男「魔王様…あなたは見捨てられたのです」
魔王「そ、そんな…」
死を喰らう男「やはり、意味がなかったのですよ…魔王と勇者が、通じ合うことなんて…」
魔王「う、嘘だ…」
死を喰らう男「真実はいつも残酷なものです…それでは、契約を破った罰を、うけてもらいます」
魔王「うわぁぁぁぁぁ!!! ゆーしゃぁぁぁー!!」
勇者「誰が逃げ腰だって?」
死を喰らう男「む!?」
勇者「どりゃあ!」
ズバァ
死を喰らう男「ぬぅっ! うしろからとは…考えましたね」
勇者「っへ、人間は頭を使わねぇとな!」
死を喰らう男「ふむ…でも、それがどうしたと言うんです?」
勇者「俺は、勇者だぜ? 他の人より、ちょっとばかし必殺技ってもんがあるんだよ」
死を喰らう男「…? なんだ!? 体が…溶けて…!」
勇者「俺はあんまし、魔物は殺さない主義なんだけどな…お前は、魔物でも何でもない」
勇者「ただの、糞野郎だ」
死を喰らう男「あ、ぐぅ……くそぅ……これで…勝ったと…オボヴナヨ…!?」
勇者「勝ったとは思ってねーよ」
勇者「俺は、こいつを守ることができた…ただ、それだけだ」
死を喰らう男「ぐぅ…貴様…本当に、この方と一緒にいるづぼりが…!?」
勇者「…たりめーだ」
死を喰らう男「ぐふふ…きざばは…ごうがいずるごどに…な……」シュウウウ…
魔王「ゆーしゃー!」
勇者「血だらけじゃねぇか! 早く村に行こう」
魔王「大丈夫!」ギュッ
勇者「うおっと…」
魔王「しばらく、このままがいい」
勇者「…わかったよ、お姫様」
勇者「そこで俺がズバッと斬ったってわけだ!」
賢者「ふむ…さすがは勇者じゃ」
盗賊「…勇者、素敵…」
魔王「…」ムッスー
勇者「どした? 魔王」
魔王「別に…」ムッスー
勇者「肩車してやるよ」
魔王「なんでそうなる!」
勇者「というか、これは俺の欲望だな。させてくれ」
魔王「だ、誰がお前に肩車され…うわわ! や、やめろって!」
勇者「んー? 何も聞こえないぞー」
魔王「うわわわ! 高いよぅ!」
盗賊(…羨ましい)
賢者「はっはっはっ。仲がいいのう」
そのころ…
執事「姫様、彼女についての資料をまとめてきました」
姫「ご苦労…ふむ…」
姫「!!」
姫「くふふ…これであの子は勇者様とさよならだわ…ごくろう、じい」
執事「…」
姫(勇者様、今すぐあなたを自由にして差し上げますわ!)
勇者「ふう、俺はあんましそう思わねえけど、久々の家だー!」
魔王「…」
勇者「おーいついたぞー?」
魔王「すぅすぅ…」
勇者「…寝ちまったか。無理もない」
勇者「…よいしょっと…」
勇者「…おやすみ…」
チュッ
勇者「…って、俺はなにしてるんだか…」
盗賊「私にも、お願い」
勇者「ぬおわっ!?」
勇者「と、盗賊! お前、なんでここに…!」
盗賊「私は、あなたの『物』だもの」
勇者「…そういうのさ、やめないか」
盗賊「…?」
勇者「俺は人を物として認識できないし、もう盗賊は仲間みたいなもんだ」
勇者「だから、対等の立場で、話をしないか?」
盗賊「…クスクス」
勇者「ん?」
盗賊「お前は、優しいから、好きだ」
勇者「そ、そうか?」
盗賊「なあ、勇者」
勇者「な、なに?」
盗賊「私は、勇者のことがもっと知りたい」
勇者「俺もだ」
盗賊「嬉しい…私は勇者に知ってもらいたい、勇者は私を知りたい…」
勇者「ん、ああ…」
盗賊「私は我慢できない」
勇者「? 盗賊、冷えるからそれ以上服を脱ぐなよ」
盗賊「勇者……」
勇者「まあ、盗賊、俺たちは毎日、すこしずつ、わかっていけばいいと思うんだ」
盗賊「…」
勇者「だから、今日はもう寝ようぜ。俺、疲れちまったぜ」
盗賊「そうか…」
勇者「ベッドは空いてないから、椅子を合体させて、簡易的ベッドの完成」
盗賊「…勇者は?」
勇者「俺はテーブルに突っ伏して寝るから大丈夫」
盗賊「私も、そうする?」
勇者「けっこう肩とかに来るぞ? 大丈夫か?」
盗賊「平気、勇者と一緒なら…平気」
勇者「そうか」
魔王「勇者…次はあっちに行く~…むにゃむにゃ…」
魔王「…む、もう、朝か…」
魔王「それにしても、とても良い目覚めだな…」
魔王「勇者~…」
勇者「……グーグー」
盗賊「……スゥスゥ」
魔王「な、な、な…!!!!」
魔王「最悪の目覚めだーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!」
魔王「お、おい! 起きろ!」
盗賊「む…」
魔王「なぜお前がいる!?」
盗賊「…おはよう」
魔王「おはようではない! なぜここにいるかと聞いているんだ!」
盗賊「…? なぜそのような当たり前のことをきく?」
魔王「当たり前ではない!」
盗賊「…勇者の寝顔…可愛い…」ポッ
魔王「話を聞けーーーーーー!」
勇者「ん、うるさいぞ…むにゃむにゃ」
魔王「ゆーしゃ!」
勇者「んあ?」
魔王「なんで盗賊がいるんだ!?」
勇者「んー…さぁ?」
魔王「さぁ? じゃないだろう!」
勇者「拒むこともねぇだろ…こいつも一人ぼっちなんだから、仲間はずれは良くないぜ」
魔王「…むぅ…そ、そうかもしれないが…」
盗賊「勇者、お前は、優しい、好き」
勇者「あー、俺も好きだぞー…むにゃむにゃ」
魔王「!! うわーん! 勇者のバカー! ドジ! マヌケー!」ダッ
魔王「まったく…勇者め…なんであんなに節操がないのだ…」
魔王「確かに胸は…私のボロ負けだが…」
戦士「あれ? 魔王ちゃん。おはよう」
魔王「…げ」
戦士「げ、とは何よ~久しぶりね、こんな朝早く、どうしたのよ?」
魔王「む…ま、まあ、散歩だ」
戦士「あら、それじゃあ私も一緒にいいかしら?」
魔王「変なことをしなければな」
戦士「了解☆」
戦士「それにしても、魔王ちゃんはそんな勇者の服ばっかり着て、色気が無いわねー」
魔王「む、ほっとけ」
魔王(もしかして、これも原因なのか?)
戦士「ちゃんと身だしなみはきっちりしとかなきゃね、でも今のそのブカブカな服も可愛いわよ~」
魔王「…ふん」
戦士「そうだ、ちょっと衣料店行かない? きっと可愛い服、たくさんあるわよ!」
魔王「…ほんとーか?」
戦士「うん。それに、魔王ちゃんはきっと似合うだろうし! ね?」
魔王「ど、どうだ?」
戦士「きゃー! 可愛い! 可愛い! こんなにワンピースが似合う子初めて!」
魔王「そ、そうか?」
戦士「あと、これも着てみて!」
魔王「う、うむ」シャー
魔王「どうだ?」シャッ
戦士「きゃー! かわいい! メイドさん! くぁわいい!!!」
魔王「むう、動きづらい」
戦士「魔王ちゃん、私、鼻血が出そう! もうこれは購入決定ね!」
魔王「そ、そうか」
戦士「他にもいろいろと着てみよう!」
魔王「う、うむ」
戦士「チャイナ服、ウェイトレス、ウェディングドレス、体操服、セーラー服、スクール水着…素晴らしいわ!」
魔王「最後の三つはちょっと違うような気もするのだが…」
戦士「普通の服もたくさんあるからいいじゃない。じゃあ、これが最後の服」
魔王「これは、なんだ?」
戦士「ん? 勇者がとっても好きな服よ。たしか、『女の子にはこんな服を着ていて欲しい』とかなんとか言っていたわ」
魔王「…そうなのか」
戦士「これで勇者にアタックしちゃいなよ!」
魔王「な、何を言っている!?」
戦士「うふふ、強がっちゃって、可愛い!」
魔王「う、うるさい、とにかく試着だ」シャー
?「あら、誰かと思えば戦士さんではないですか」
戦士「? あ! 姫様」
姫「おはようございます」
戦士「今日も美しいですねぇ~その服も、とてもお似合いですよ!」
姫「あなたも綺麗な服を着ればとても綺麗になるわよ…うふふ」
戦士「あ、そ、そうですか?」テレテレ
姫「うふふ…」
戦士「あはは…」
魔王「戦士! どうだ?」シャッ
姫「…あら」
魔王「…」
姫「みずぼらしい服ですわね…庶民にはこのような服が流行っているんですの?」
魔王「…ふんっ」
戦士「姫様、今日は一体こんなところに?」
姫「ええ、庶民の事をもっと知るために、下見をしに来たんですわよ」
魔王「お前には一生わからん」ボソッ
姫「あら、何かいいまして? 大魔王?」
魔王「! 貴様…」
戦士「…?」
戦士「いや、これはですね、勇者がとても気に入っていた服で…」
魔王(ば、バカ! そんなこと言ったら…)
姫「あら! 勇者様が!?」
戦士「はい、あまり服に関心の無い勇者がすごく気に入ったものなんです」
姫「あら、そう…」
姫「そこの方、この服をいただけないかしら?」
「あーすいません、こちらの着ているのが最後の品でございます」
姫「あら…そうなの」
魔王(やった!)
姫「…いくら払えば譲っていただけるかしら?」
魔王「は?」
魔王「金なんていらん。私はこの服が欲しい」
姫「金以外が欲しいのですか? ならば…」
魔王「何度も言わせるな。私は服が欲しいから、何かと交換する気はない」
姫「あら、そう…」
姫「なら、大魔王様に、その服をお譲りいたしますわ」
魔王「貴様…その名で呼ぶな」
姫「あら? いけません? あなたは大魔王でしょう?」
魔王「やめろ!」
戦士「? さっきからなんの話をしているんですか?」
姫「ああ、実は…」
魔王「! 待て!」
姫「はい? なんですか?」
魔王「…この服、渡すから…」
姫「あら♪ そうですかっ」
魔王「…だから、やめてくれ」
姫「わかりましたわ。まあ、一体何をやめるのかはわかりませんが…ねえ?」
戦士「?」
姫「それではおふたり方、ごきげんよう♪」
戦士「ねえ、なんで渡しちゃったの?」
魔王「…別に、理由はない」
戦士「ま、まぁ、たくさん服あるし、どれ着る?」
魔王「…これ」
戦士「ん、了解。って、そんなに落ち込まないでよ」
魔王「…くやしい……」グスッ
戦士「…」
魔王(うう、からかわれたりしないだろうか…)
魔王(戦士には『自信を持って』と言われたが…)
魔王「た、ただいま」
勇者「おーおかえりー」
魔王「…」
勇者「どこ行ってたんだ?」
魔王「ちょ、ちょっとな…」
勇者「そうか」
魔王「…」(あれ?)
勇者「? どした?」
魔王「いや、なんでもない」
勇者「いーや、何か隠してるだろ~」
魔王(気づいてない?)
盗賊「おい、勇者」
勇者「ん? なんだ?」
盗賊「とても可愛い服を着ているぞ」
勇者「え? あ、ほんとだ」
魔王「! そ、そうなんだ! 服を買ってきたんだよ」
勇者「可愛いじゃないか、よく似合ってるぞ」
魔王「ふ、ふん! 似合うのは当たり前だ…!」
勇者「いやあ、すまん、お前はなんでも似合うから、あんましわからんかった」
魔王(こ、これは褒めていると考えていいのか?)
勇者「マジマジと見ると、俺の服ってお前の体にはブカブカだったんだな」
勇者「ちゃんと服買ってやればよかったな、悪かった」
魔王「そ、そんなこと、気にすることは無いぞ…」
盗賊「な、ならば私の服を買いに行こう」
魔王「…」ムッ
勇者「そうだな、盗賊も俺の服着るのはいやだろ」
盗賊「あ、いや…一度、袖を通してみたい」
勇者「え?」
盗賊「…勇者のぬくもりを、感じたい」
魔王「…」イライラ
魔王「ふん! どうせ勇者は私より盗賊の方がいいんだろう!」
勇者「え?」
魔王「このおっぱい好き! 変態!」
勇者「…なんだと!」
魔王「やーいやーい! お尻ペンペン!」
勇者「可愛いケツを向けるな!」
魔王「か、可愛い…」カァァ
魔王「そんなところばっかり見るな! えっち!」
コンコン
勇者「ん? 誰だ…?」
勇者「ほーい」
ガチャ
姫「勇者様ー! お久しぶりです!」
勇者「げ、姫さ……。 !!」
魔王「!!」
魔王(そ、その服は…)
姫「あ、あの、勇者様…この服、さっきあちらのお店で買ってきたんですが…どうでしょうか?」
勇者「…」
魔王「…」
勇者「すっごく、似合ってます」
姫「そ、そうですか!?」カァァ
勇者「…はい、こんなこと言っちゃ駄目かもしれないですが…これまで見てきた服の中で、断然素敵です」
魔王(ほ、本当に好きなんだ…あの、服)
姫「勇者様に喜んでいただけて、嬉しいですわ!」ニンマリ
勇者「姫様は、そんな自然な笑顔、できたんですね」
姫「え?」
勇者「こんなこと、やっぱり姫様に言っちゃダメだと思うんですけど、いつもの笑顔とは違って、とても可愛いですよ」
姫「ま、まあ…!」
魔王(…)グスッ
何でこんなに勇者は学習しないんだ・・・・・・
姫(ふふ…もう勇者様私に釘付け! ふふふ…)
勇者「そういえば、ほら、こいつの服も」ズイッ
魔王「む!?」
勇者「とっても可愛いですよね」
魔王「ゆ、ゆーしゃ…!」
姫「…チッ」
魔王「!」
姫「…ほんと…素敵ですわねぇ…」
勇者「でしょう? そうだ、盗賊も今度買いに行こうな」
盗賊「う、うむ」
姫「…大魔王のくせに」ボソッ
勇者「姫様、あんまりそういうこと言うもんじゃないですよ」
魔王「…!」
勇者「その言葉を聞いただけで、俺は今でも本当に、頭に来るんです」
魔王「…」ズキン
勇者「…大魔王は…大魔王だけは、絶対に許さない」
魔王「!!」
姫「あら、ごめんなさぁい…」ニヤリ
魔王「…」ダッ
勇者「お、おい!」
姫「ふふふ…」
勇者「あいつはなんかい飛び出したら気がすむんだ…」
姫「追いかけるのですか?」
勇者「え、そりゃ、まあ」
姫「彼女の正体を…あなたは知っていますか?」
勇者「? なんですか?」
姫「かつてこの村を魔物に襲わせ、あなたの両親を奪った…」
姫「その、大魔王なんですよ」
勇者「…? 何言ってるんですか? あんなちっこくて、わがままで、優しいやつが…しかもあいつ、女の子ですよ?」
姫「そのまさかなのです、勇者様…」
勇者「…しょ、証拠は、あるんですか?」
姫「…彼女は、何か特殊な能力はありますか?」
勇者「特殊な…? ……」
勇者「! …雷」
姫「この村の一番の大きな災害は、大きな雷なのです…」
勇者「……そんな…」
姫「信じたくはないですが…これは本当です…もしかしたら、あなたを殺すために近づいていたのかも…」
勇者「…」
ダッ
姫「…」(ふふふ…これであの子は終わりね…)
盗賊「…勇者……」
魔王「…! ゆーしゃ」
勇者「おい! なんで逃げるんだ!」
魔王「やめろ! 来るな!」
勇者「いやだ! お前に聞きたいことがある!」
魔王「どうせ私が大魔王かと聞きたいのだろう!?」
勇者「それもそうだけど…それ以上に、俺はお前に聞かないといけないことがある!」
魔王「…なんだ?」
勇者「ふぅ…やっと止まったか…」
魔王「は、早く言え…」
勇者「お前が…過去の大事件を起こした本人なのか?」
魔王「…そうだ」
勇者「…そうか」
魔王「ふふ…私のこと、嫌いになったか?」
勇者「…」
魔王「お前の両親の命を奪い、世界を恐怖に染めた私に…」
魔王「正直、嫌になっただろう?」
勇者「次の質問だ」
魔王「ふん、お前の気がすむまで聞けば良い」
勇者「お前は、何か理由を持って俺に近づいたのか?」
魔王「…」
魔王「当たり前だ。お前をいずれ殺すために、近くで観察していたのだよ」
勇者「…そうか」
魔王「ふふ…どうだ? 私の罠にかかって、踊らされていた気持ちは?」
勇者「お前の気持ちはわかった」
魔王「ふん…それじゃあ、そろそろ殺し合うか?」
勇者「…帰るぞ」
魔王「は?」
勇者「俺の家に、一緒に帰るぞって、言ってるんだよ」
魔王「何を考えているんだ?」
魔王「私はお前を騙していたんだぞ!? それなのに、なぜ…」
勇者「そんなこと、昔のことだろ?」
勇者「今のお前は昔のお前じゃない」
魔王「…どうやら、お前は相当なバカみたいだな…」
勇者「ほら、早く行くぞ」
魔王「私は今でも昔でも、最強という面では変わっていないぞ!!」
勇者「お前は俺を倒すことはできない」
魔王「ふん! 強がるな若造が!」
勇者「お前もガキだろうが」
魔王「うるさいうるさいうるさい!!! 私はお前に負けることなどない!!」
勇者「…俺は、お前を倒せねぇよ」
魔王「…ほう?」
勇者「…お前と戦うことが、できねぇよ」
魔王「…!」
勇者「それでも、お前がしたいって言うんなら、俺は何もしない。俺を殺せばいい」
魔王「ふん、そうか…」
魔王「ならばお前の言う通り、私がお前を葬ってやる!」
勇者「…」
魔王「はぁぁぁぁ……」バチバチバチバチ…
勇者「最後に、一言言っておく」
魔王「ふん、なんだ?」バチバチバチバチ
勇者「姫様が着てた服、お前に着て欲しかったって、俺は思ってた」
魔王「……!」バチッチ
勇者「お前に一番、似合うと思ってた」
魔王「…それが、最後の言葉か?」バチバチバチバチ
勇者「…ああ」
魔王「………そうか…それじゃあ、さようならだ!!」
MPが足りません。
魔王「……」
勇者「…」
魔王「…」グスッ
勇者「さ、帰ろうぜ」ニコリ
魔王「うわぁぁぁぁん!」ボコボコ
勇者「ははは! 痛いって!」
魔王「なんで、なんでぇ! うわーーん!!」
勇者「お前は本当に、俺を楽しませてくれる!」
魔王「…うぅ」
勇者「…俺は、お前を許すことはできない」
勇者「でも、俺はお前が、好きになった」
魔王「…!」カァァ
勇者「今のお前には、昔みたいなひどいこと、できないと思う。ていうか、信じてる」
勇者「だから、これからも一緒に、暮らしていこうぜ?」
魔王「…うぅ……ゆーしゃのバカ!」ドゴッ
勇者「ぐはっ!?」
魔王「……大好き」
きたあああああああああああああ
よっしゃあぁぁぁぁぁぁぁ
勇者「ふふ、そうか。よーし、それじゃあ、帰ろうぜ」
魔王「…うん」
勇者「…っと、手、繋いでいいよな?」ギュッ
魔王「うわっ!」カァァ
勇者「あ、ダメだったか?」
魔王「いや…いい…嬉しい…」
勇者「はは、そうか」
姫「あら、おかえりなさいませ勇者様……」
姫「!? なぜ、大魔王まで…?」(しかも手をつないで!?)
勇者「姫様、どうやら姫様の勘違いだったみたいですよ」
姫「そ、そうなんですか…おほ、おほほ…」
魔王「べーだ!」
姫「んまぁ!!」
勇者「おいおい、魔王、そんなことするもんじゃないぞ」
魔王「ふんっ!」
姫「…帰りますわよ、じい!」
執事「はっ」
盗賊(ずっといたのか…)
夜
勇者「よし! 魔王! お前に本を読んでやろう!」
魔王「子供扱いするなー!」
勇者「あ…悪かった…」シュン
魔王「な、なんでそんな悲しい顔するんだ!?」
勇者「いや…お前に…読んでやりたくって…」
魔王「しょ、しょうがないな! す、すこしなら聞いてやる」
勇者「ようし、それじゃあ…」
盗賊「…」ススス
勇者「ん? 盗賊も聞くか?」
盗賊「…」コクコク
勇者「―――――でした。めでたしめでたし」
魔王「…ふむ、白雪姫…か」
勇者「魔王は、本当に童話とか聞いたことないのか?」
魔王「む? 童話という言葉すら知らんかったわ」
盗賊「…王子様がキスをして目覚める…素敵」
魔王「…私にとっての、王子は、勇者、お前だ」
勇者「今度もまた、何か読んでやるからな……って、今なんかすっごく嬉しいこと言わなかったか?」
魔王「なんでもないよバカ!」
盗賊「…頑張って、魔王」
魔王(うぅ…ついに盗賊にまで応援されてしまった)
魔王「…盗賊、お前も、勇者が好きなのではないのか?」
盗賊「好き。とっても好き」
魔王「なら、私のことなんか…」
盗賊「あなたとは、違う『好き』。私は、家族の愛。あなたは、恋人の愛」
魔王「ふむ…よくわからん」
盗賊「そのうち、わかる」
勇者「おーっし、そろそろ寝るぞー」
魔王「あ、あの…ゆーしゃ……」
勇者「ん?」
魔王「…ん」
勇者「…? なに唇尖らせてんだよ?」
魔王「…おやすみのちゅー」
勇者「へ?」
魔王「もうなんでもない! おやすみ!」
勇者「あ、ああ…おやすみ」
盗賊は魔王のことも好きなんだろうなぁいい子だわ
真夜中
魔王「…」
勇者「…グーグー」
魔王「まったく、口の周りヨダレまみれではないか…」
勇者「…ムニャムニャ」
魔王「…ゆーしゃ、楽しかったぞ」
魔王「これで、本当のさよならだ」
魔王「…最後に、ちゅー、したかったな…」
魔王「じゃあな、ゆーしゃ」
ガチャ
ギィ~
バタン
勇者「…まおう……ムニャムニャ」
なん…だと…
盗賊「起きろ、勇者!」
勇者「あっ…んん?」
盗賊「あいつが、いなくなってる」
勇者「…どっかそのへん散歩してるだろう…」
盗賊「いや、これを見てくれ」
勇者「…?」
だいすきなゆうしゃえ。
やつぱりわたしわおまえといつしよにはいられそうにありません。
だいまおうとゆうしゃわいつしょにいることだけでもおかしいことなのです。
とうぞくとなかよくしてください。とうぞくにもおいしいやさいをたべさせてあげてください。
ほんをよんでくれてありがとお。
わたしのためにいつもがんばつてくれてありがとお。
だいすきです。とおくにいつてもだいすきです。
さよおなら。
勇者「…」ダッ
泣きそう…
勇者(なんで…いなくなるんだよ?)
勇者(なにが、悪かったんだよ?)
勇者(俺にもお前にも、なにもおかしいことなんてなかったじゃないか!)
勇者(俺たちは魔王と勇者で…なにが悪い?)
勇者「魔王! 魔王ー!!」
勇者(あれが書かれたのが夜中だったとしたら…相当遠くまで行ける…!)
勇者(あいつのスピードは、とてつもない速さだ…!)
勇者「魔王! どこにいるんだ!? 魔王~!!」
魔王「はぁ…はぁ…」
魔王「ここまで…つらいとは…ガハッ!」
魔王「…」
魔王(魔界に戻らんと、生命エネルギーを吸収できない…)
魔王(結局、あの時に私とあいつの関係は、切れていたんだ…)
魔王「ゆーしゃ…ゴホッゴホッ」
魔王「…はぁ、はぁ……」
魔王「…すこし、休憩しよう」
魔王「…はぁはぁ……」
魔王「お腹、空いたなぁ…」
魔王「……残りはこれだけ…」
魔王「…我慢しろ、我慢だ」
魔王「…うぷっ…おえぇぇ…」ビチャ…
魔王「…ふふ」
魔王(ついに、血を吐いてしまったか…)
魔王「…」
魔王(すこしだけ、眠ろう)
魔王(歩いてばかりで、疲れてしまった…)
魔王「…」
魔王(……ふふ…勇者は今頃どうしてるんだろうな…)
魔王(私の手紙、ちゃんと読めたかな?)
魔王(仕方ないだろう。字を書くのは下手なんだから)
魔王「……はぁはぁ…ゴホッ」
魔王「…そろそろ、限界か…」
魔王(ここ最近、魔界には行けてなかったからな…生命エネルギーが無くて、もうダメだ)
魔王「死ぬ…のか」
魔王(私はいろんな人に、迷惑をかけた…死んで当然。当然だ…)
魔王「…ゆーしゃ…」
勇者「呼んだか?」
魔王「…」
勇者「ったく、お前、まだこんな近くにいたのかよ」
魔王「…なんで、追いかけてきた?」
勇者「こっちのセリフだ。お前、なんで勝手にいなくなった」
魔王「お前には関係ない」
勇者「とりあえず、帰るぞ」
魔王「嫌だ」
勇者「はぁ?」
魔王「もう…無理だ…ガハッ」ビチャ
勇者「おい! 大丈夫か!?」
魔王「…もう、近寄るな」
勇者「何言ってんだよ!」
魔王「もう、私は長くない。生命エネルギーがそこを尽きかけている」
勇者「生命エネルギー?」
魔王「…魔界でしかとることのできないエネルギーだ」
勇者「それじゃあ、早く魔界に…」
魔王「…それは、できない…はぁ、はぁ」
勇者「なんで!?」
魔王「私はお前を助ける時に、魔界の出入を禁じられてしまった」
勇者「!!」
魔王「…」
勇者「…なんで、なんでそんなことしちまったんだよ!?」
魔王「仕方ないだろう。あの時はお前を助けることだけで精一杯だったんだ…」
勇者「…」
魔王「お前とは、最後の最後に、本当に仲良く……なれたと思う」
勇者「…」
魔王「…………本当に、ありがとう」
勇者「そんなこと、言うなよ」
魔王「………あり………………が、と ガフッ」
勇者「魔王!」
魔王「最後…に…………さ……」
勇者「最後なんて言うな! 最後なんて…!」
魔王「……ちゅーして……欲…しい…………な」
勇者「キスか? 今はふざけてる場合じゃない!!」
魔王「ふざけて……など、いな………………い……」
魔王「ふざけ……て……な、……んか…………」
勇者「魔王!?」
勇者「おい、魔王!?」
勇者「返事しろよ!! おい!!」
勇者「…そんな…」
魔王「」
勇者「…おい、実は生きてるんだろ? 冗談だろ? 驚かそうとしてる、だけなんだろ?」
勇者「なんとか言ってくれよ! なあ!!」
勇者「魔王!!!!!」
勇者「…ああ、わかったよ、お前、白雪姫に憧れてるんだな?」
勇者「可愛いやつじゃねえか! よし、なら俺が王子様役を買って出るぜ!」
勇者「…」
チュッ
勇者「…なあ、キスしたぜ? なあ?」
勇者「ここで、白雪姫はゆっくりと起き上がるんだぞ?」
勇者「ちゃんと、白雪姫の役を、やり通せよ…!?」
勇者「なぁ…頼むから…」
勇者「……」
勇者「魔王…」
魔王「ゆーしゃ…?」
勇者「!」
勇者「魔王…!」
魔王「…ゆーしゃ」
勇者「魔王!!」ギュッ
魔王「……」
勇者「魔王! 魔王!」
魔王「いたた…あんまり、強く抱きしめるな…息苦しい…」
勇者「いや、無理だ…もう、俺、お前から離れたくない…」
魔王「…まったく、勇者は甘えん坊だな…」
勇者「…」
魔王「ゆーしゃ…さっき、私になにをしたんだ?」
勇者「な、なにもしてねぇよ…」
魔王「本当かぁ?」ニヤニヤ
勇者「あーもう!」
チュッ
魔王「!!」カァァァ
ボッカーン
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まさかの爆発エンド!?
勇者「うお! おい!? 魔王!?」
バチン
勇者「いてっ!!?」
魔王「い、いきなり、しゅ、することはないだ、だろ!?」
魔王「まだ、心の準備がで、できてにゃい…んだから」
勇者「…じゃあ、もう一度」
魔王「…どうぞ」
勇者「…」
チュッ
勇者:
とまあ、こんな感じで、俺は魔王を救ったわけなのだが…。
一体、なにが起こったのだろうか?
まさか、俺の勇者の血で…!? なんて、自意識過剰か。
魔王はそれからというもの、魔物を食うこともなくなり、魔界に行かなくても死ななくなった。
もしかしたら、普通の人間になったんじゃないか!?
って、こともなく、怒れば雷を発し、ありえない力で村をぶっこわした。
まったく、何回壊せば気が済むんだ?
まあ、それがこいつのいいところなんだけどな。
俺はもうこいつから離れない。どんなことがあっても、だ。
勇者「よおし! できたー!」
盗賊「うむ、素晴らしい出来だと思うぞ、勇者」
勇者「そうか?」
魔王「ふわ~…おはよう…。む、それはなんだ?」
勇者「おお、魔王。ちょっとこい」
魔王「む? なんだ?」
勇者「これ、着てみてくれ」
魔王「…? わかった」
勇者「俺が作った、俺好みの、服だ」
盗賊「まさかこんな才能を持っているとは思わなかったぞ」
勇者「ありがとさん」
勇者「まあ、結局こんなに怪我しちまったけどな…」
盗賊「その傷で作った服だ。とても素晴らしいと、私は思う」
勇者「…そうか?」
盗賊「うむ」
魔王「…着てみたけど…どうだ?」
勇者「ん……」
魔王「な、なんじゃその微妙な感想は!?」
勇者「いや、言葉にならんほど…綺麗だ。可愛いぞ」
魔王「…」カァァ
勇者「よっし、魔王。それは俺からの、プレゼントだ」
魔王「ま、まあ、着やすいし…悪くないかもな…」
勇者「なあ、魔王。結婚しようぜ」
魔王「…!」
勇者「…なんてな、お前さんにはまだ早いさ」
魔王「な ん だ と ~ ?」バリバリバリ
勇者「うわぁ!? それはさすがに死ぬ! 死ぬって!」
魔王「大きくなるまで、待っていてくれるのか?」
勇者「…ああ。もちろん」
魔王「ふん…バカ」
魔王「…大好き」
-THE END-
>>1乙
ほんと楽しかった!
最後まで見ていただき、ありがとうございました。
こんなに長く続いたのに、飽きもせず、見てくださった方。
私がいない間、保守をしてくださった方。
脇腹を心配してくださった方(笑)。
本当にありがとうございました。
初めての魔王SSで、とても緊張しましたが、ノビノビとやることができました。
今後も、またこういうRPGキャラのSSを書くかもしれません。
その時は、またあたたかい目で見守ってやってください。
では、本当に、ありがとうございました!
>>1乙!
魔王かわいいよ魔王
勇者と末永く幸せにな!
r'ニニニ二二二ニニニ、ヽ
| | .@ | | ト、____, へ
rー┤| |├、 ヽ }
| | | Π | | | ≡三ーーーーァ /
l l l lニ コ .| | | ≡ / /
| l l |_| | | | ≡三 ./ /
l__l_l______|_|__| っ .≡ / /
| / ,イ,へ 丶、 ヘ ≡三./ / ノ|
| ,' / // \| \ ト、 ヽ ', つ ≡{ 丶ーーーー' }
!j./l / ` ヽト、ヽ } ゝ、_______丿
. | | .!/.! ○ ○ l l |ヽ,' ⊃
l | | .l/////////////! | !.|
.| ! | ト、 ,-ー? .ィ| .| l こ、これは>>1乙じゃなくてバギクロスなんだから
| l ! l l` r --.' <j ,' | | 変な勘違いしないでよね!
| .l ', l |ャ-ミ≡彳ァトイ ,'! !
.| | ヽ| | l r´ )/ハy / | ',
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魔王「ふはは、小さいからといって甘く見ていたな!」 前編
魔王「ふはは、小さいからといって甘く見ていたな!」 後編
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