- 54:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/09(金) 15:41:47.46 ID:9pEjc62o0
さわ子「18歳未満の少女との淫行はry」
「キスがしたいです」
自分がどんな表情をしていたかわからない。
耳を疑った。顔が赤くなるのを止めたいのに止められなくて、どうしようもなくて、固まった。
彼女の手が、こちらに伸びてくる。少しずつ、少しずつ。
そのときの私は、ドッヂボールで相手の球がこっちへ向かってくるのを待っているときなんかより、ずっとずっとずっと神経を尖らせて、来るべき衝撃に身構えていた。
見た目には呆然としていたかもしれないけれど。
【画像】主婦「マジで旦那ぶっ殺すぞおいこらクソオスが」
【速報】尾田っち、ワンピース最新話でやってしまうwwww
【東方】ルックス100点の文ちゃん
【日向坂46】ひなあい、大事件が勃発!?
韓国からポーランドに輸出されるはずだった戦車、軽戦闘機、自走砲などの「K防産」、すべて霧散して夢と終わる可能性も…
「……」
しかしその手は私の首元の空気を軽く攫って、少し躊躇うように円を描いてから、また彼女の方へと戻って行った。
重い沈黙が頬をぴりぴりと叩きつける。
「ごめんなさ」
「あ、ああああの!」
ほとんど同時だったと思う。それでも間に合ってよかった。
きっと、謝られてしまったらもう二度と彼女の口からそんな言葉は聞けない。そう思った。
大体、彼女は生徒会長のくせに、日本語が下手だ。
していいですか? とか、しますよ、じゃなく、したいです、って。どう答えればいいのか。
切り出してみたはいいものの、言葉が続かない。これではさっきの二の舞になってしまう。
何か、言わなきゃ。
「あ、あのー……なんで?」
前言を撤回する。私のほうが日本語、下手だ。
案の定、彼女は予想外すぎるであろう私の言葉に鳩が豆鉄砲喰らったような顔をしている。
でも、こっちだって予想外だ。
「……せんせい」
下を向かれて、ぞっとする。私は、なんてことを言ってしまったのか。なんと無神経極まりない。
けれど、彼女は私の予想に反して、顔を上げてニッと笑った。どぎまぎする。
なんなんだ。
「先生、かわいいです」
「は……っ?」
かわいい、だって?
そんなことを言われたのは何年振りだろう。少なくとも、教師になる以前、まだ学生だった頃の話だ。
今の自分はそんなことを言われるに値しないと、少なくとも私はそう思う。
というか、私はいい大人で教師なので、そんなことを生徒に言われて喜んでいいのかどうか。寧ろ悲しむべきかもしれない。
そのはずなのだが、なんだろう。妙な気持ちになるのは。
「緊張、してますね」
笑いながら、そんなことを言う。
お互い様、のはずなのに、彼女のほうが少しばかり余裕を持っているように感じるのは、やはり主導権を握られているからなのか。
認めたくはないけれど。
「好きだです」
――こないだも聞いたわよ。
そう、口に出せなかった。唇が震えて。
かなり情けない。
「私も、」
掠れた声で小さく言ったら、彼女があんまりに嬉しそうな顔をするから、やばいと思った。
その顔、見てると胸が痛い。痛いのに、目が離せない。
「先生……好きです」
ぎゅうを手を握られる。
その力は、殺人ギターで鳴らした私にとってはなんてことないはずなのに、手が真っ赤になるくらいとても強く感じられた。
握り返す力はなくて、でも放したくはない。
いつから私は、こんなふうになってしまったんだろう。
「ごめんなさい」
私の顔が、困っているようにでも見えたのか。私の想いは虚しく、手は放されてしまった。
遠慮しいなんだ、彼女は。私は、単に、わけがわからなくなって、なにもできなくなってしまう。
「ごめんなさい」
「ねえ、」
二度目。
謝られるたび、距離ができてしまうようで嫌だった。
彼女は、謝られるようなこと、していない。いつだって私がしたくてできないことをしてくれている。
「手……、寂しいわ」
馬鹿な言い方だ。言って、思わず赤面した。
でも、私には自分から握ることなんて無理だ。
「……いいんですか」
首を傾げる姿ながら手を差し出す動作を、かわいいと思ってしまった。
彼女だって威厳あるはずの生徒会長なわけだが。でも、おあいこだ。
「口も」
寂しい。言いながら、頬を寄せた。
「……へ、」
多分彼女はものすごく驚いた顔をしていたに違いないのに、見たかったのに、私は見ることができなかった。
こっちもいっぱいいっぱいだった。
「さわ子さん」
名前で、しかもさん呼びされた、とかどうでもよかった。
「嫌じゃ、なかったんですか」
「いまさら、何を」
「じゃ、じゃあ」
いたく興奮した様子の彼女に、少しびびる。しかし次の言葉に、少しどころか思い切りびびった。
「もう一回、しても……いいですか」
ここで、おかしな顔とかおかしなこととか言ってしまうから、私はだめなんだろう。
素早く頷く。顔を晒せないから下を向いただけ、ともいえるが。意思の、疎通。ちゃんとしたい。
「ありがとうございます」
さわ子さん。
目を閉じたら、囁かれた耳元が余計にこそばゆくて、身体全体がぞうっとした。
開けそうになる目を、頑張って閉じた。そして、やさしい衝撃を待った。
「…………」
掠めた空気は、確かに彼女のものだった。目をゆっくり開ければ、いつもの笑顔。私も笑った。
これからもずっと一緒に、とか馬鹿な言葉が頭に浮かんで、だめだなあと思った。熱に浮かされている。
だめだなあ、私。本当に、好きだ。
終わり
コメント 0