- 純憂梓「私たちが主役!」 1~8話
- 290:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/08/08(日) 12:04:19.09 ID:YeaMpHXvP
-
#9『夏休み!』
チュンチュン、チュンチュン
純「ふぁあぁぁ……徹夜で海外ドラマ見ちゃったよ」
純「……」
純「もう夏休みかぁ…」
純「……」
純「寝よ」
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純「すぅ…すぅ…」
純母「こら、いつまで寝てるの?」
純「ふがっ!?」
純母「もう起きなさい」
純「うぅ…今何時?」
純母「8時」
純「ふぁ…」
純母「夏休みだからってダラダラしないの」
純「ふぁ~い…」
純「あ~つ~い」
純「外あつい~」
純「しかも眠い~」
純「はぁ……クンクン」
純「…夏の匂いって独特だよね」
ミーンミンミンミン
純「セミうるさいなぁ…」
ミーンミンミンミン
純「あっつ…」
純「早く冬にならないかな…」
憂「あっ、純ちゃ~ん」
純「憂…?」
憂「こんな所で会うなんて珍しいね、どこ行くの?」
純「う~ん…ただフラフラしてるだけなんだけど」
憂「そうなんだ、じゃあ今からうちにおいでよ」
純「えっ、いいの?」
憂「うん、麦茶もあるよ」
純「はぁ~…憂の家は涼しい」
憂「はい、麦茶」
純「ありがと…お姉ちゃんは?」
憂「部活だよ」
純「そっかぁ…」ゴクゴク
純「今年受験なのに頑張るねぇ」
憂「お姉ちゃん、ギター大好きだから」
純「大好きか…」
憂「そういえば、来年私たちも受験だね」
純「うぁ~…考えるだけでいやになる…」
純「憂は大学行くの?」
憂「うん、今のところはそう考えてるよ」
純「ふーん…まぁ憂なら上手くやれるよ」
純「私はどうしよっかなぁ…受験を乗り越える自信がない」
憂「大丈夫だって」
純「でもさ、大学行くとしもやりたいことが分かんないんだよね~」
憂「やりたいこと…」
純「憂はなんかある?」
憂「私は…今みたいにお姉ちゃんと仲良く過ごせたらいいなぁって」
純「まぁ、憂はそれでいいよね…」
純「でも一般人の私からしたら羨ましいよ」
純「なんの目標もなく生きていくのは辛いなぁ…」
憂「純ちゃん、最近楽しかったことある?」
純「へ?」
憂「なんか純ちゃんが楽しいって感じたこと」
純「楽しい……」
純「う~ん……あっ、昨日見た海外ドラマは楽しかったよ」
憂「楽しいことがあるならそれでいいじゃない」
憂「色々なことを楽しめば、そのうちやりたいことも見つかるよ」
純「憂…」
憂「えへへ、ちょっとかっこつけずぎかな?」
純「そんなことないよ、憂は立派だね」
憂「そ、そこまでじゃ…」
純「……」
憂「純ちゃん?」
純「ふぁ…ちょっと眠くなってきちゃった…」
憂「大丈夫?」
純「昨日遅くまでドラマ見てたから…」
憂「じゃあちょっと休んでいきなよ」
純「うん…ありがと」
純「そうさせてもらうね」
純(憂は凄い…)
純(私と同い年なのにこうも考え方が大人だなんて)
純(料理も上手し…かわいいし…)
純(やさしいし…)
純「……」
純「ぐぅ…」
―――――
―――
――
純「あ~つ~い」
純「外あつい~」
純「しかも眠い~」
純「はぁ……クンクン」
純「…夏の匂いって独特だよね」
ミーンミンミンミン
純「セミうるさいなぁ…」
ミーンミンミンミン
純「あっつ…」
純「早く冬にならないかな…」
純「……」
純「なんかさっきも同じこと言ったような…」
梓「あれ、純?」
純「あっ、梓」
梓「なにしてるの?」
純「フラフラしてるのかな…?」
梓「なにそれ…」
純「でもこのままじゃ熱中症になりそう…」
梓「…ならうちに来なよ」
純「えっ、いいの?」
梓「暇だし」
純「はぁ…涼しい」
梓「アイス食べる?」
純「あっ、ありがとう……」
純「あれ?これ梓のギター?」
梓「お父さんのだよ」
純「へ~、かっこいいね」
梓「はい、アイス」
純「どうもどうも」
梓「そういえば…」
純「んー?」ペロペロ
梓「将来やりたいこと見つかった?」
純「残念ながらまだ」
純「でもこれから見つける予定だよ」
梓「ふぅん…」
純「毎日を楽しく生きていれば、そのうちやりたいこも見つかるんだよ」
梓「なんか大人になったね、純」
純「当然、梓も早く大人にならないと置いていっちゃうよ?」
梓「むっ…やっぱ前言撤回」
純「あはは、まぁ大人のって所は憂からのもらった言葉だけどね」
純「……あれ?」
梓「なに?」
純「今日軽音部って部活あるんじゃないの?」
梓「えっ…ないけど」
純「えっ」
梓「なに?」
純「…なんでもない」
梓「おかしな純」
純(あれ~…でも……)
梓「今年の夏休みはいっぱい遊びたいなぁ」
梓「来年は受験だし」
純「そうだ、こんど憂と三人で旅行に行こうよ!」
純「せっかくバイトしてお金もあるんだし」
梓「あっ、いいかも…」
純「じゃあ決定ね」
梓「どこ行くの?」
純「それはまた後で考えておく……ふぁ~」
純「…眠くなってきた」
梓「寝てないの?」
純「昨日遅くまでドラマ見てたから…」
梓「夏休みだからってだらけすぎ」
純「ちょっと休んでもいい?」
梓「はぁ…別にいいよ」
純「じゃあちょっと…」
純(そうだよねぇ…来年は受験なんだし今のうちに遊んでおかないと)
純(後悔しないよう楽しまなきゃ…)
純「……」
純「ぐぅ…ぐぅ…」
―――――
―――
――
純「あ~つ~い」
純「外あつい~」
純「しかも眠い~」
純「はぁ……クンクン」
純「…夏の匂いって独特だよね」
ミーンミンミンミン
純「セミうるさいなぁ…」
ミーンミンミンミン
純「あっつ…」
純「早く冬にならないかな…」
純「……」
純「家帰ってもう一回寝よっと…」
純「……」
純「すぅ…すぅ…」
純母「こら、いつまで寝てるの?」
純「ふがっ!?」
純母「もう起きなさい」
純「うぅ…今何時?」
純母「8時」
純「ふぁ…」
純母「夏休みだからってダラダラしないの」
純「ふぁ~い…」
純「……あれ?」
純「夢?」
#9『夏休み!』 おわり
これなんてエンドレスエイト
エンドレスエイトっていうか
純が起きる(朝の8時)
↓
外に出る
↓
憂の家へ(部活は唯の夏休みボケで勘違い)
↓
寝る
↓
外に出る
↓
梓の家に
↓
寝る
↓
外に出る
↓
家に帰って寝る
↓
純が起きる(夜の8時)
最後は純が寝ぼけて勘違い
#10『旅行!』
純「おはよう、今日もいい天気だね」
梓「遅刻」
純「今日は絶好の旅日和だ!」
梓「一時間遅刻してる」
純「…すいません」
憂「ふふっ」
梓「もう、純が誘ったのに」
純「ごめんごめん、早く電車乗ろ?」
ガタンゴトン、ガタンゴトン
純「この前プールに行ったきり真っ黒なままだね、梓」
梓「はぁ…夏はしょうがないよ」
憂「ところで純ちゃん、どこに行くの?」
純「ん?」
梓「そういえば、まだ聞いていなかったけど」
純「実はネットで調べたんだけど、ここのホテルがいいらしんだよ」
純「ほら、温泉やプールもある」
梓「おぉ…」
純「ね?凄いでしょ?」
憂「アルバイトしておいてよかったね~」
純「早く着かないかな…楽しみ」
純「とうちゃーく!」
チュンチュン、チュンチュン
純「……」
梓「……」
憂「……」
梓「…ここどこ?」
純「すごいね、何もない」
憂「どこかの田舎かな?」
梓「…こんな所にリゾートホテルなんかあると思えないんだけど」
純「……」
梓「まさか道間違えた?」
純「旅ってさ、目的地につくことが大切じゃないと思うよ」
純「その途中で見たものや経験したことが、後々に宝物になるんじゃないかな?」
梓「間違えたんだね?」
純「……はい、おっしゃるとおりです」
憂「これからどうしよっか?」
純「もう遅いし…どこか泊まれるところ探そ」
梓「…泊まれる所あるの?」
純「山、山、山…山だらけだ」
憂「あっ、ここに地図が貼ってあるよ」
梓「何もないね…」
純「川はある…」
憂「泊まれる所……あった」
憂「ここから2キロぐらい歩いたところに民宿があるよ」
純「2キロ…」
梓「とりあえずそこに行こっか」
ミーンミンミンミン
ジ~~~ッ
純「つかれた~…」
憂「頑張って、純ちゃん」
梓「コンビニもないね」
純「人住んでるのかな…ここ」
梓「怖いこと言わないでよ…」
憂「あっ、ついたよ」
憂「すいませーん」
「はい…」
憂「あの…ここって今日空いてる部屋ありますか?」
「はい、ございますよ」
「三名様ですか」
憂「はい」
「ではこちらへどうぞ」
純「よかった、人はいるみたい」
梓「ほっ…」
純「あ゛~~!もうくたくた~」
「では夕飯の支度ができましたらお呼びしますので」
憂「お世話になります」
純「テレビつけよっと」
梓「結局リゾートホテルに泊まれなかった…」
純「何も知らない所でも、テレビつけてると安心できるよね」
純「なんでだろ?」
梓「知らないよ…」
梓「だいたい、純のせいでこんな所に来ちゃったんだからね」
憂「まぁまぁ、梓ちゃん」
純「しょうがないよ、来ちゃったものは」
純「とりあえず楽しもうよ」
梓「……何を?」
純「…そういえば何もないね、ここ」
梓「……」
純「田舎は退屈だよ~!!」
夕飯
「そういえば皆様はどうしてこんな田舎へ?」
純「いや~ははっ…ちょっと道間違えちゃいまして…」
「そうですよね、こんな何もないところにわざわざ来る理由もないでしょうに」
梓「そ、そんなことないですよ…ここご飯美味しいですし」
「そうだ、皆さん知っています?この村にはどこかにお宝が隠されているんですよ」
憂「お宝?」
「えぇ、戦国時代かなんかにどこかの大将が、金みたいなのをこの村に埋めたとか埋めてないとか言い伝えが…」
純「金!?」
梓(なんか適当な言い伝え…)
「もしかしたら、探せば見つかるかもしれませんね」
憂「ふぅ、ご飯美味しかったね」
梓「テレビつけよっと」
純「ねぇ、明日金を探そうよ!」
梓「本気で信じてるの?さっきの話」
純「だって面白そうじゃん」
憂「そうだね~」
梓「憂まで!?」
純「よし、じゃあ決定!」
梓「はぁ…」
純「そうと決まれば今日はお風呂入ってすぐ寝よう!」
就寝
憂「じゃあもう電気消すね」
梓「うん」
純「おやすみー」
パチッ
純「……」
梓「……」
憂「…グズッ……お姉ちゃん…」
梓「憂?」
憂「お姉ちゃん……会いたいよぉ……」
梓「突然どうしたの!?」
純「ホームシックかな?」
憂「お姉ちゃん……」
純「あぁほら憂、寂しくないよ!」
梓「そうだよ、私たちがいるんだから!」
憂「お姉ちゃ~ん…ふぇぇえん」
梓「そこまで!?」
純「きっといきなり知らないところに来ちゃったから、今まで積もってた不安が爆発しちゃったんだね」
憂「ふぇえぇぇん」
純「あ~、よしよし」
梓「何だかんだで憂も不安だったんだ」
梓「全部純のせいだね」
純「私が悪いの!?」
憂「ふぇぇええぇん」
純「あぁ、ごめんねごめんね」
憂「すやすや……」
純「はぁ…ようやく寝てくれた」
梓「私も寝よっと」
純「…なんかここ幽霊とか出そうだよね」
梓「やめてって、そうこと言うの」
純「ぐぅ…ぐぅ…」
梓「…寝つきはやっ」
梓「まったく、不安を煽るようなこと言って寝るなんて…」
梓「…私も寝よ」
翌朝
梓「う…うぅん…」
梓(朝…起きなきゃ…)
梓「……あれ?」
梓(体が動かない!?)
純『…なんかここ幽霊とか出そうだよね』
梓(まさか…えっ、うそ)
梓(金縛り!?)
梓(ど、どどっどどうしよう!)
梓(まさか本当に幽霊がいたなんて…)
純「ぐぅ…ぐぅ…」
梓「……」
梓「なんで私の上で寝てるの、純…」
純「すやすや…」
梓「人を怖がらせて!」ゴチン
純「いたっ!?」
梓(はぁ…疲れる…)
#10『旅行!』 おわり
#10『お宝!』
純「頭が痛い…」
梓「きっと幽霊に殴られたんだよ」
純「えー?」
憂「昨日はごめんね、二人とも」
梓「いいっていいって、全部純が悪いんだから」
純「なにー!」
憂「だ、大丈夫だよ純ちゃん!」
憂「そんな風に思ってないから」
純「…まぁ、金さえ見つければ梓も生意気なこと言わなくなるよ」
梓「本当に見つかるの?」
純「見つかる!そんな気がする」
梓「だめだこりゃ…」
憂「どこ行けば見つかるのかな?」
純「山の中とかじゃん?」
梓「そんな適当じゃ見つからないって」
梓「もっと情報を集めて、計画を練らないと…」
純「…ノリノリじゃん梓」
梓「や、やるからにはちゃんとやりたいの!」
純「でも調べるって言ってもね~…」
憂「女将さんに地図もらってきたよ」
梓「う~ん…手がかりになりそうな場所は……」
純「山しかないじゃん、やっぱ山だよ」
梓「だからもっとよく見て…」
憂「ケンカしないで二人とも」
梓「……」
純「むぅ…」
憂「えへへ、大丈夫大丈夫」
憂「きっと見つかるから力を合わせて頑張ろうよ」
梓「まぁ憂が言うなら…」
純「そだね」
憂「ここなら何かあるんじゃないかな?」
純「ここ…お寺?」
梓「古い…誰もいないみたい」
純「ふむ……ん?」
梓「あっ、勝手に中に入っちゃだめだよ」
純「みてみて、何か箱がある」
憂「え?」
カパッ
梓「開けちゃっていいの…?」
純「…いいみたい、ほら」
梓「!」
憂「これ…絵図?」
純「なんか宝の地図っぽくない?」
梓「これ…なんの絵だろう…」
憂「なんだろう…山みたい…」
憂「!」ガサゴソ
純「どうしたの?」
憂「見て、この絵と地図のここを照らし合わせると…」
純「あっ…ぴったり!」
梓「じゃ、じゃあこの山に行けば…」
憂「金、みつかるかも」
純「やっぱり山にあったんだね!」
梓「まぁこれだけ山に囲まれてたら当然だよ」
純「素直に認めればいいのに」
梓「べつに」
憂「それにしても、この山道厳しいね」
梓「これで何も見つからなかったら、ただ山登りしに来ただけになっちゃうよ」
純「しんどい~…もうちょっとゆっくり歩こうよ~」
梓「私たちも疲れてるよ」
純「早くお宝見つけて帰りたい~」
梓「そんな簡単に見つかったらお宝じゃないって」
憂「あっ…」
梓「どうしたの?」
憂「行き止まり……」
純「えぇっ!ここまで来て!?」
憂「うーん…」
梓「他の道はないの?」
憂「……あっ」
憂「見て、ここから下りれば川に沿って進めるかも」
純「…けっこう険しい道だよ?」
憂「行こっか」
梓「う、うん」
純「マジ…?」
純(なんか旅行じゃなくて冒険になってきたような…)
梓「ふぅ、なんとか下りれた」
純「冷たっ!?川気持ちいい!」
憂「ちょっと休憩しよっか」
純「ひゃ~…冷たい」バシャバシャ
梓「あんまりはしゃいだら危ないよ?」
純「梓も遊ぼうよ」
梓「遊ぶ元気はあるんだ…」
憂「ふふっ」
純「それにしても、どこまで進めば金にたどり着けるんだろうね~」バシャバシャ
憂「簡単には見つからないと思ってたけど…ここまで来ると流石に疲れるね」
梓「今日中に見つかるのかな…」
純「まぁ見つかんないなら諦めて帰るってのもありじゃない?」バシャバシャ
梓「言いだしっぺがなに言ってるの……」
梓「ていうか危ないからそろそろ川から出てきなよ」
純「浅いから大丈夫だっ…」ツルッ、バシャーン
純「……」
梓「はぁ、言ったこっちゃない…」
憂「じゅ、純ちゃん大丈夫!?びしょびしょだよ!」
純「あぁん……下着まで濡れてる」
憂「はい、タオル」
憂「風邪ひいちゃうから服脱いで行こっか?」
純「えぇっ!下着のまま歩くの!?」
梓「誰も見てないから大丈夫だよ……ぷっ」
純「笑うなぁ!!」
憂「乾くまで我慢だよ、純ちゃん」
純「うぅ……」
純「どこまで歩けばいいの~?」
梓「金が見つかるまで」
純「それっていつなのよ~…」
グゥ~
憂「お腹すいた?純ちゃん」
純「え?私じゃないけど」
梓「……」
純「ぷっ」
梓「笑うなぁ!!」
憂「しょうがないよ、けっこう歩いたし」
梓「うぅ///」
純「あっ、チョコあるから食べる?」
純「はい」
憂「ありがとう」
梓「あ、ありがと…」
純「それにしてもさぁ…」
憂「なに?」
純「服脱いだから全身蚊に刺されまくってかなり痒いんだけど…」
憂「た、大変!」
純「うわ~ん!!痒い痒いぃ!!」
梓「…はい、塗り薬」
純「ナイス梓!」
梓「困ってる時はお互い様だよ」
純「ついでに塗ってくれない?背中とか」
梓「しょうがないなぁ…」ピタッ
純「ひやっ!?冷たっ///」
梓「ちょっ、変な声出さないでよ!?」
純「だって…気持ち良いんだもん」
梓「もう、自分で塗って!」
純「あぁん、梓のいじわる~」
憂「うふふっ」
梓「もうかなり歩いたね…」
憂「そろそろ着くといいんだけど…」
純「やっぱ簡単には見つからないもんだね~…」
憂「そろそろ引き返したほうが…」ガッ
憂「あっ…」ドサッ
梓「憂!」
憂「いたた…転んじゃった」
梓「ヒザ擦りむいちゃってる…」
梓「待ってて、バンソウコあるはずだから」
憂「ごめんね…」
純「歩ける?」
憂「たぶん…いたっ」
梓「しばらく動かさないほうがいいよ」
憂「でも…」
純「よし、私が肩貸してあげる」
憂「そんな…悪いよ」
梓「そうだね…純一人じゃ無理だよ」
純「なんだとぉ?」
梓「私も貸してあげる」
憂「梓ちゃん…」
純「別に私一人でも大丈夫だよ?」
梓「純だけには任せられないよ」
純「むむっ…」
憂「ごめんね、二人とも…」
純「憂は気にしないの、一番頑張ってくれたんだから」
梓「そうだよ、憂がいなかったらここまで来れなかったと思うよ?」
憂「純ちゃん…梓ちゃん…」
純「あっ…」
梓「どうしたの?」
純「今度は分かれ道だ…」
憂「本当だ…どっちに進む?」
純「う~ん……そうだ!」
純「棒を使って、倒れた方向に進もう」
梓「そんな適当でいいの?」
純「しょうがないじゃん、こうなったら神頼みだよ」
純「よっと…」ソッ…ポトリ
純「よし、右だ!」
カァー、カァー
純「……」
梓「……」
憂「……」
純「…ごめん、外したかも」
憂「しょ、しょうがないよ」
憂「そろそろ陽が暮れるし…戻ろっか?」
梓「……まだ」
憂「え?」
梓「もうちょっと進もうよ」
純「でも…」
梓「私は、純が決めた道を信じてるから」
純「い、いきなり嬉しいこと言ってくれるじゃん…」
梓「べ、別にまだ諦めたくなかっただけだもん」
梓「深い意味はないの!」
憂「ふふっ…じゃあもうちょっとだけ進もっか」
純「・・・そうだね!」
純「私も梓の選択を信じるよ!」
憂「私も」
梓「そ、そう言われると恥ずかしいんだけど…」
カァー、カァー
純「はぁ…はぁ…」
梓「もうちょっと…」
憂「!」
憂「見て、あれ…」
純「花…?」
梓「花畑…かな?」
憂「うわ~…綺麗…」
純「色んな花があるね…」
梓「すごい…」
憂「写真持ってくればよかった…」
純「……」
梓「……」
憂「……」
純「…もしかして、ここがゴール?」
梓「今私もそう思った」
純「はぁ~…結局金はないのね…」
梓「なんか…いっきに力が抜けた」
憂「でも…金より綺麗かも」
純「……」
梓「……」
純「…そうかもね」
梓「だね」
憂「もうちょっとここにいよっか?」
純「うん!」
―――――
―――
ガタンゴトン、ガタンゴトン
憂「……」パラッ
純「何読んでるの?」
憂「途中で暇つぶしに買った本」
純「ふぅん……」
純「結局、見つからなかったね金」
梓「だから、そう簡単には見つからないんだって」
梓「花畑が見れただけでもよかったじゃん」
純「まぁそうだけどさ…」
憂「美しいものを見つける為に私たちは世界中を旅行するが、自らも美しいものを携えて行かねば、それは見つからないだろう」
純「へ?」
憂「えへへ、本に書いてあったのを読んだだけ」
憂「これってどういう意味だろう?」
梓「美しいもの…一応私たちも見つけたよね」
憂「うん、でも自らも美しいものを携えてってなんだろう?」
純「決まってるじゃん、私たちの友情が美しいってことだよ」
純「三人で一緒に行かなかったら見つけられなかったしね」
憂「……」
梓「……」
純(…あれ?すべった?)
憂「純ちゃん…素敵!」
純「や、やっぱそうだよねー!」
梓「ちょっと寒いよ、今の台詞」
純「なんだとぉ!」
憂「そう言って梓ちゃん、顔赤いよ」
憂「照れてるんでしょ?」
梓「ち、違うもん!」
純「素直じゃないなぁ、梓は」
梓「むぅ…」
憂「うふふっ」
純「はぁ…帰り道が一番長く感じる」
「あの子たちは金をみつけたんですか?」
「いいえ、どうやら今回も外したみたいです」
「いつになったら見つけてくれるんだろうねぇ」
「そうだねぇ…みつけてくれれば土地の権利で私たちのものになるのに」
「…いい加減自分たちで探さない?」
「面倒だからいいや」
#10『お宝!』 おわり
#11『散髪!』
梓「うーん…前髪がだいぶ伸びてきたなぁ…」
憂「切らないの?」
梓「今月中には美容院に行く予定」
純「私が切ってあげよっか?」
梓「いらない」
純「遠慮しないでって」
梓「いらないって言ってるのに…」
純「いいからいいから」
梓「もう…ちゃんと切ってよね?」
純「まっかせて!手先は器用だから!」チョキチョキ
梓(すごく心配…)
純「じゃあいくよー…」
梓「あっ、ちょ…!?」
純「えいっ」ジョキリ
パサァ
梓「……」
純「……パッツンパッツンになっちゃったね」
唯「みんなとお買い物~♪」テクテク
梓「……」
唯「……あれ?」
梓「……」
唯「あずにゃん!?」
梓「どうもです」
唯「どうしちゃったのその髪!」
梓「純のせいでこうなっちゃって…」
唯「かわいい~!」
梓「最悪ですよ…前髪パッツンなんて」
唯「あっそうだ、これから軽音部のみんなと買い物に行くんだけどあずにゃんも来る?」
梓「いえ、こんな髪ですから…いいです」
唯「そっかぁ……せっかくかわいいのに勿体無い」
梓「かわいくないです」
唯「お人形さんみたいでかわいいよ?」
梓「そ、そんなこと言われても嬉しくないです!」
唯「お待たせ~」
律「遅いぞ、唯」
唯「ごめんごめん、途中であずにゃんに会って」
紬「梓ちゃんに?」
唯「うん、連れてこようとしたんだけど髪切ったばかりだからいいって断られちゃった」
澪「へぇ、髪切ったんだ」
唯「なんか純ちゃんのせいだって言ってた」
律「純のせい?どういうことだ?」
紬「それってまさか……失恋!?」
律「は?」
紬「だってそうじゃない…女の子が誰かのせいで髪を切るなんて…」
紬「それぐらいしか理由はないわ!」
澪「な、なるほど…」
唯「あずにゃん…・そんな悲しいことがあったんだ…」
律「いやいやいや、それは違うんじゃないか?」
唯「りっちゃんは女心が分からないからそんなこと言えるんだよ」
律「おい、私も女だぞ」
翌日、軽音部
梓(はぁ…やだなぁこの髪)
梓(絶対みんなに笑われる…)
ガチャッ
梓「こんにちは…」
唯澪律紬「!?」
梓(ほら…やっぱり…)
紬「こんにちは、梓ちゃん」
紬「ケーキの用意できてるわよ」
梓「…え?」
唯「あずにゃん、早く座りなよ」
梓「は、はぁ…」
梓(あれ?)
紬「今日は梓ちゃんのために、いっぱいケーキを用意したのよ」
梓「私のため?」
澪「その…たくさん食べれば元気がつくぞ」
澪「ヤフーの知恵袋にもそう書いてあったし」
律「まぁ…なんかそうみたいだな」
梓「はい?」
唯「あずにゃん、これからは脇道にそれずにギターだけ頑張ればいいんだよ」
梓「はぁ…頑張ってますけど」
紬「元気出してね、次の出会いがあるから」
澪「そうだな」
唯「うちの憂なんてどう?」
唯「妹自慢じゃないけど器量も良いし優しいし…」
梓「あの…何の話ですか?」
律「言わせんなよバカ野郎」
紬「そうよ、これ以上自分を傷つける必要はないの!」
梓「?」
翌日
梓「なんか昨日の部活で先輩達の様子がおかしくてさ…」
憂「そうなんだ…」
梓「何なんだろう?」
憂「そうだ、梓ちゃんのためにお守り買ってきたの」
梓「私のため?」
憂「はい、これ」
梓「ありがとう…」
梓「……縁結び」
梓(なんで?)
憂「お姉ちゃんから聞いたよ、二人の間にそんなことがあっただなんて…」
梓「二人?」
憂「次は素敵な人に出会えるといいね」
梓「憂まで……一体何なの?」
憂「え?」
梓「私が何したって言うの」
憂「梓ちゃん、純ちゃんのことが好きだったんでしょ?」
梓「はぁ!?」
純「なるほど、そんなことが」
梓「誤解を解こうよ」
純「まぁ…私としては振った立場だから世間的ダメージないし」
梓「私はあるの!!」
梓「だいたい、私が純のこと好きって勘違いされることがショックだって」
純「えっ、私のこと嫌いなの!?」
梓「いや…そういう好き嫌いじゃなくて…」
純「冗談冗談」
梓「はぁ…絶対澪先輩に変だと思われたよ」
純「ちゃんと話せばいいじゃん」
梓「聞いてくれる雰囲気じゃなかった…」
純「……実際梓はさぁ、私の事どのくらい好き?」
梓「えっ?な、なにそれ…」ドキドキ
純「なーんちゃって」
梓「…は?」
純「またまた冗談」
梓「…思わせぶりなこと言わないでよ」
純「だって梓のことからかうと面白いし」
梓「……」
純「梓?」
梓「…このくらい」バッ
純「へ?」
梓「腕いっぱい広げて、それでもまだ全然足りないくらい…」
梓「純のことが好き」
純「!?」ドキッ
梓「純…」
純「あ、梓…?」
梓「……ぷぷっ」
純「え…?」
梓「やーい、騙されたー」
じゅ、純梓ァァァァ!
純「は…はぁっ!?」
梓「仕返しだよ、私をからかった」
純「…やってくれたね」
梓「本当はね…ケーキの苺ぐらいかな?純に対しての好感度は」
純「なにそれ…ちっちゃ」
梓「いいじゃん…美味しいし、あると嬉しいし」
純「んもー、適当に言ってるだけでしょ?」
梓「さぁ?」
純「…あんまり人をからかわないほうがいいよ?」
梓「そっちこそ」
純「あ?」
梓「お?」
純「……ぷっ」
梓「クスクス…」
純「あはは、いったなこいつぅ!」コチョtコヨ
梓「にゃー!やめてー!」ジタバタ
翌日
梓「いい?ちゃんと五回を解くんだよ?」
純「はいはい、分かってるって」
憂「おはよう、二人とも」
梓純((来た…!))
梓「あっ…おはよう憂」
純「おはよう」
憂「あれ…二人とも一緒にいる…」
憂「仲直りしたの?」
純「ま、まぁそうなんだけど…」
梓「その事についてちょっと話が…」
憂「よかった、じゃあ今日はお赤飯炊いておくね」
梓純「「いや、いらないから!!」」
#11『散髪!』 おわり
#12『無敵!』
憂「いけない、学校に遅刻しちゃう…」
憂「急がないと!」
ブーーーーー!!!!
憂「!?」
キキィィィッ!!ドンッ!!
その日、私はトラックに轢かれた。
ドカーーーーーーーン!!!!
そして衝撃でトラックは粉々になった。
憂「これが…私の力?」
憂「そんな…なんで私にこんな力が.…」
「ト、トラックを破壊したぞ!?」
「ひぃっ!?化け物だ~!!」
憂「ま、待ってください!」
憂「私はそんなつもりじゃ…」
「逃げろーーーー!!」
憂「……」
憂「こんな力…あっても嬉しくないよ…」
憂ちゃん可愛い
prrrr、prrrr
憂(電話…梓ちゃんからだ)
ピッ
梓『もしもし憂!!』
憂「ど、どうしたの?」
梓『街が…街がテロリストに襲われてるの!!』
憂「えぇっ!?」
梓『早く逃げて!!』
ピッ、ツーッツーッ
憂「街がテロリストに…」
憂「……」
憂「この力…誰かのために使いたい!」
憂「私がみんなを救わなきゃ!」
さわ子「ヒャッハー!!死ね死ねええぇぇぇえぇぇ!!」
ズバババババ
「きゃーーーーっ!!」
「た、助けてーーーー!!」
憂「これは……先生!!」
さわ子「あぁん?」
憂「先生…これは一体どういう事ですか!?」
さわ子「ふっ、どうもこうも…こういう事よ!」ズババババ
憂「くっ…」
さわ子「ヒャッハッハーーーーーッ!!」
憂「まさか…先生はテロリストの仲間!?」
さわ子「どいつもこいつもイチャつきやがってええぇぇ!!」
さわ子「カップルなんて消えちまえええぇぇぇぇ!!」
ズババババババ
憂「それが先生の動機ですか…」
さわ子「だったら何よ!!」
憂「だったら…だったら私が倒します!」
憂「平沢…キック!」キュピーン
さわ子「!?」
憂「はあぁぁぁぁぁぁっ!!」
ドカーーーーン!!!!
さわ子「うぐっ…」
さわ子www
さわ子「そんな…私が負けるなんて…」
憂「他人の幸せを祝えない人なんかに、幸せはやってきません」
憂「そこで悔い改めてください」
さわ子「ふっ…その通りね」ガクッ
憂「先生…」
「きゃーーーーー!!」
憂「!!」
憂「早くみんなを助けないと!」
憂「平沢ダッシュ!!」ダダダッ
ドカーーーン!!バコーーーン!!
憂「ここも大変なことに!」
和「はぁっ!」
憂「!?」
ガキィン!!
憂「和ちゃん!!」
和「次は私が相手よ、憂」
憂「そんな…和ちゃんまでテロリストなの!?」
和「あなたとこんな事になるなんて…残念だわ」
憂「和ちゃん!一体どうしてこんなことを!?」
和「我が同士と理想の世界を実現するためよ!!」
バキィン!!
憂「くっ!」
憂「同士…誰なの?」
和「私を倒したら教えてあげるわよ!」
ドガンッ!!
憂「いくら純ちゃんでも…街の人泣かせることは許せない!!」
憂「平沢…パンチ!」キュピーン
和「なにっ!?」
憂「はあぁぁぁっ!!」
ドカーーーーン!!
和「うっ…」ドサッ
憂「和ちゃん!」
和「さすが平沢の血を引く者ね…」
憂「和ちゃん…そんな…」
和「私を倒したご褒美に教えてあげる…私たちのボスは…」
ズキューン
和「うぐっ!?」
憂「和ちゃん!」
純「負け犬にはもう用はない」
憂「純…ちゃん?」
純「テロリストのボスは私だよ、憂」
憂「そんな…なんで純ちゃんが!」
バキッ!!
憂「きゃっ!?」
純「あははは!弱い!弱すぎるよ憂!!」
憂「くっ…」
純「もうすぐこの街から軽音部のメンバーは消滅する」
憂「えっ…」
純「エクスビッカー…あの大量殺戮兵器を使って軽音部の人たちを殺すんだよ」
純「そうすれば来週から『じゃずけん!』が始まる…」
純「もちろん、今まで活躍できなかった人たちのも出番が回ってくる」
憂「そんな…お姉ちゃんには手出しさせない!」
純「ふっ…今の憂になにができるの?そこで『けいおん!』が消滅するのを見物してな」
純「あははははははは!」
憂「くっ…」
憂「このままじゃ…お姉ちゃんが…」
唯『憂、大好き』
憂「お姉ちゃん…」
憂「……させない」
憂「『けいおん!』は私が守ってみせる!」
憂「ここが純ちゃんの基地」
憂「ここを破壊すれば…」
姫子「させないわ!」
バチンッ!!
憂「!?」
姫子「私だってもっと出番が欲しいんだから!」
憂「こんな時に……」
唯「憂、助けに来たよ」
姫子「!?」
憂「お姉ちゃん!」
唯「この街の平沢は一人じゃない、覚えておくんだね」
姫子「くっ…なんですってぇ」
唯「平沢チョップ!」
ドカーーーン!!
姫子「きゃああああっ!」
信代「まだよ!」
佐々木「私たちだっているんだから!」
憂「まだこんなに…」
唯「憂、先に行って」
憂「でも!」
唯「平沢家は助け合いでしょ」
憂「お姉ちゃん……」
憂「分かったよ!」
唯「がんばってね~」
純「ふふふ…もうすぐだ」
純「もうすぐで私の夢が…」
憂「純ちゃん!」
純「憂…来ちゃったんだね」
憂「純ちゃん…今ならまだやり直せる!戻ってきて!」
純「無理だよ!!私はもう…悪魔になってしまったんだ」
憂「なら私も…あなたを止めるために悪魔になる!」
憂「平沢…ファイナルイリュージョン!」
純「ぎゃあああっ!!」
ドカーーーーン!!!!
純「うぐぅ……」
憂「純ちゃん…」
純「負けたよ憂…私の負け」
純「やっぱり準レギュラーキャラには勝てないや」
憂「何言ってるの…純ちゃんだって立派な準レギュラーじゃない」
憂純「「純だけに」」
という夢だとさ。
梓「何そのオチ!?」
#12『無敵!』
#13『中学!』
ドシャッ
憂「あっ…」
梓「なにやってるの純!」
純「ご、ごめん!憂のお弁当…」
憂「あはは、気にしないで…落ちちゃったものは仕方ないから」
純「……」
憂「学食行ってくるね」
純「憂に悪いことしちゃったな…」
梓「純の不注意だよ」
純「うぅ…」
梓「……そういえば前から気になってたんだけどさ」
純「え?」
梓「純って中学の頃から憂と友達なんだよね?」
純「うん」
梓「一体どういう出会いしたの?」
純「憂との出会い?そうだねぇ……」
――――
――
―
キーンコーンカーンコーン
純(はぁ…もう中3かぁ…)
純(なんだか実感がわかないな~…)
憂「あの…鈴木さん?」
純「え?」
憂「今日から隣の席だね」
純「平沢さん…」
私たちは特に親しいわけでもなかった。
ただのクラスメイト。
たまたま席が隣になっただけで話をした。
そんな関係。
席が近いからだろうか。
何日かすると、私たちはお互いに打ち解けてきた。
話をするうちに知らなかった事をどんどん発見する。
憂「えへへ、それでね~…」
彼女はいつも自分の姉のことを嬉しそうに話していた。
その解きの笑顔がすごくかわいい。
純「へぇ…」
深くは聞いてないが、楽しそうなのは伝わってきた。
私も笑顔で相槌をうつ。
キーンコーンカーンコーン
お昼休み。
みんなでお昼を食べる時間。
憂と私は別々のグループだったから一緒には食べなかった。
「ところがさぁ…」
純「あはは…」チラッ
憂「ふふっ…」
「でねー…」
すごく微妙な距離感。
仲が良いのか悪いのか…分からない。
なんか気持ち悪い。
けど学校じゃ珍しいことでもなかった。
次の日
奇跡的なことにグループのメンバー全員が風邪で休んだ。
純「そんな馬鹿な…」
純(ていうかお昼どうしよう…)
純「……」
いきなり別のグループに入れてもらうのも、なんか忍びない。
一人でさっさと食べて図書室にでも行こう。
純「……」ガサゴソ
純「…あれ?」
純(まさか…)
お弁当を忘れてた…
純「参った……」
「あははー」
「うそー?」
「マジマジ、本当だって」
「それでさー」
純「……」
純(購買で何か買ってこよう……)
自分の居場所がないだけで不安になる。
私は逃げるように教室から出て行った。
純「はぁ…お腹すいた」チュー
購買で売られているパンは全て完売し、フルーツオレだけが残っていた。
仕方ないのでそれを買う。
教室には戻りたくない。
校庭にあるベンチの片隅で飲むことにした。
純「……」チューチュー
純(さびしい…)
憂「鈴木さん」
純「あっ……平沢さん」
憂「お弁当一緒に食べてもいい?」
純「え?」
憂「一人じゃ寂しいでしょ?」
純「…いいの?」
憂「私も鈴木さんと一緒に食べたかったし」
純「……てか私お弁当忘れちゃったよ?」
憂「じゃあ私の半分あげるね」
純「あっ……」
憂「はい、どうぞ」
純「えっと…ありがとう」
憂「外で食べるとなんか美味しく感じるね」
純「…そうだね」
ビュウゥゥ
憂「…ちょっと寒い」
純「もう冬だし」
憂「そっか…もうそろそろ卒業かぁ」
憂「鈴木さんはどこを受験するの?」
純「え?私?」
憂「うん」
純「私は…私立桜が丘高校かな」
憂「本当!?じゃあ私と同じだ!」
純「そうなの?」
憂「うん!」
純「そっか…平沢さんなら受かるよ、成績も良いし」
純「それにひきかえ私は…」
憂「だ、大丈夫だよ!純ちゃんも受かるって!」
憂「あっ…」
純「なに?」
憂「ごめんなさい…うっかり下の名前で呼んじゃった…」
純「あれ…そういえば」
憂「馴れ馴れしかったよね…ごめんね」
純「別にそんな気にしなくて良いよ、同じクラスなんだし」
憂「本当?じゃあこれからも純ちゃんって呼んでいい?」
純「うん」
憂「えへへ…よかったぁ」
純「!」
あっ…今の笑顔はすごく可愛かったかも……
キーンコーンカーンコーン
憂「あっ…もう時間だ」
憂「教室戻ろっか?」
純「うん……お弁当ありがとね」
憂「ううん、気にしないで」
憂「純ちゃんと一緒にご飯食べれて楽しかったよ」
純「え?」
憂「私…純ちゃんともっと仲良くなりたかったの」
純「私と…」
憂「うん!今日一緒にお弁当食べてそう思った」
純「お弁当食べただけで?」
憂「そうだよ、えへへ」
純(よく分かんないな…)
憂「それより早く戻ろ」
純「あっ…うん」
純(でも…平沢さんといる時間は悪くなかったかも)
純「……」
純(そうだ、お弁当のお返ししなきゃ)
翌朝
いつもより一時間早く起きた。
慣れない手つきで料理を作り始める。
私と憂…二人分のお弁当を準備した。
純母「珍しいこともあるのね、自分のお弁当をつくるだなんて」
純「えへへ、気まぐれだよ」
包丁で何箇所か手を切った。
それでもそんな痛みは出来上がったお弁当を見て吹き飛んだ。
生まれて初めて誰かのために作った料理…
彼女は喜んでくれるだろうか?
キーンコーンカーンコーン
お昼休み
私と憂はいつも通り別々のグループで食事を取ろうとする。
その前に、このお弁当だけは渡さないと。
純「あ、あの…平沢さん」
憂「どうしたの?」
純「その……」
純「!」
目に付いたのは彼女の手にあるお弁当。
そこで気づいた。
そうだ…彼女だって自分のお弁当を用意してるんだ。
これを渡しても意味がない…逆に迷惑?
純「……」
どうしようか…
メールで連絡すればよかった。
あっ、そもそも彼女のアドレスを知らない。
憂「?」
どうしよう…今さら渡せない。
彼女の料理と比べたら私のなんて…
…諦めよう。
憂「純ちゃん?」
純「えっと…その…」
純「これからはさ…憂ちゃん、って呼んでいい?」
憂「!」
憂「も、もちろんだよ!」
純「そっか…よかった」
その場しのぎで適当に言った言葉。
それでも彼女は喜んでくれたみたいだ。
私は嬉しいような、お弁当を渡せなくて寂しいような…
複雑な気持ちだった。
憂「そうだ、まだ携帯の番号知らないよね?」
憂「交換しようよ」
純「うん」
その日以来、タイミングをつかめず
お弁当はまだ渡せていない。
―――――
―――
――
純「……」
梓「純」
純「……」
梓「ねぇ純ったら!」
純「あっ……ごめん何?」
梓「何じゃないよ…私が質問したのに急にボーっとしちゃって」
純「あはは、ごめんごめん」
純「それで…なんだっけ?」
梓「なんだっけって……憂との中学時代の話だよ」
純「あぁ、それね!」
純「まぁ色々あったんだよ」
梓「なにそれ…」
純(そういえばお弁当まだ渡せてないなぁ…)
純「……」
純(そうだ!)
純「ね、ねぇ梓…」
梓「なに?」
純「明日さ…お昼軽音部の人たちと食べてくれない?」
梓「はぁ?」
純「お願い!」
梓「…なんでそんな仲間はずれみたいなこと」
純「仲間外れとかじゃなくて…その、何て言うか…」
純「どうしてもやりたいことがあるの!」ウルウル
梓「……分かったよ」
梓「そこまで頼まれちゃったら仕方がないね」
純「ありがとう梓!愛してる!!」
梓「気持ち悪い…」
夜
平沢家
唯「う~い~、あいす~」
憂「ご飯食べてから」
~♪
憂「あっ…」
憂(純ちゃんからメールだ)
ポチポチ
憂「……え?」
翌日、お昼休み
ガラッ
梓「失礼します」
唯「あっ、あずにゃん」
梓「今日…先輩達といっしょにご飯食べてもいいですか?」
澪「いいけど…いきなりどうしたんだ?」
唯「そんなに私と食べたいんだ~、愛い愛いしい後輩め」
梓「唯先輩は食べ終わったら特訓ですよ」
唯「へ?」
梓「今月は文化祭でライブがあるじゃないですか!それの強化特訓です」
梓「そのためにここに来たんですから」フンス
唯「えぇ~、そんな~!」
憂「梓ちゃん、どこ行ったんだろう?」
純「今日は三年生に用があるから向こうで食べるらしいよ」
憂「そうなんだ……それより純ちゃん」
純「なに?」
憂「昨日のメール…言われたとおりにしたけど…」
純「えへへ、よかった」
純「はいこれ」
憂「?」
憂「これ…」
純「憂の分のお弁当」
憂「純ちゃんが作ったの…?」
純「うん、そうだよ」
憂「そんな…わざわざ」
純「だって昨日私のせいで憂お弁当食べれなかったし…」
純「そのお詫びだよ」
憂「……」
純「憂?」
憂「手…怪我してるの?」
純「あぁ、これ?」
純「あはは、未だに料理は苦手で…」
憂「…ごめんね、純ちゃんに気を使わせちゃって」
純「だからいいって、それより食べてみてよ」
純「けっこう自信作だし」
憂「…うん!」
パクッ、モグモグ
憂「…これ純ちゃんが作ったんだよね」
純「そうだよ、100%私」
憂「100%純ちゃんかぁ…すごく美味しいよ」
純「本当!?」
純「やった……ようやく食べてもらえた」
憂「?」モグモグ
純「あっ、気にしないで」
憂「…うん?」モグモグ
純「……」
憂「……」モグモグ
純「…来年も同じクラスだといいね」
憂「そうだね…」
純「……」
憂「……」
純「あっ…そういえばさ、具の中で何が一番美味しい?」
憂「うーん…純ちゃんが作ってくれたの全部かな」
#13『中学!』 おわり
なんだこの神スレ?
純ジュワアアアアァァァ!!!
#14『日常!』
今日も学校へ行く。
そしてあの子に会える
わくわくする道のり。
学校につき、教室に入るとすぐにあの子たちを探す。
見つけた。
ちょっと嬉しい。
カバンを机に置き、すぐにあの子達のところへ行く。
「おはよう」と言うと必ず「おはよう」と返してくれる。
自然と会話が始まる。
なんともない会話。
後になったら内容も覚えてないだろう。
それでも楽しい。
授業が終わり、あっという間に放課後。
部活までちょっと時間がある。
再び三人で集まって話を始める。
ちょっとだけなのに、すごく充実した時間。
終わるのが惜しい。
楽しかった時間はすぐに思い出となった。
学校が終わるとそれぞれの時間がまた始まる。
誰にも干渉されない自分だけの時間。
その時自分と向き合える。
家に帰り今日のこと思い出す。
今日も色々な話をして
色々なものを見て
色々なこと経験した。
今の私は過去の私が作ったもの。
この思い出が、未来の私を作る。
なら今日も、「明日はいい日であるように」と願いながらベッドに入ろう。
#14『日常!』 おわり
#15『それぞれ!』
キーンコーンカーンコーン
純「あ~…ようやく学校終わった」
梓「これから部活」
純「あっ、私もだ」
憂「私は夕飯の買出しがある」
純「でもまぁ…まだ時間もあるしちょっとまったりしようよ」
憂「そうだね」
梓「もうすぐ文化祭かぁ…」
純「てかもう半年もしないで一年終わるんだね」
憂「早いねー」
純「年取ったら体感時間が早くなるらしいからね、あっという間だよ」
梓「来年は受験……その前に軽音部のい新入部員を見つけないと」
純「あぁ、来年一人なんだっけ?」
梓「そうだよ…」
純「誰も来なかったらジャズ研に入りなよ」
梓「んー…ジャズ研のジャズは私の求めてるジャズと違うだよねぇ」
純「何を生意気な!」
憂「あははっ」
梓「憂は来年入ってくれるよね?」
憂「え?うーん……考えておくね」
憂「でも、音楽やってみるのも何か楽しそうかも」
梓「そうだよ、楽しいよ!」
梓「憂もやった方がいいって、センスあるし」
純「確かに、憂のセンスの良さは異常だね」
純「天才、ってやつ?」
憂「そ、それは大げさだよ~」
梓「でも本当に天才かもね、平沢姉妹は」
梓「普通の人が苦労して登る壁をヒョイって感じで簡単に飛び越えちゃうもん」
憂「そうかなぁ?あんまり実感がないよ」
純「まぁ梓の言ってることは分かるよ、一般人として」
純「ドーナッツみたいに風穴開けてプラプラ生きてる私には、憂が羨ましいよ」
憂「……」
純「あっ…別に攻めてるわけじゃないよ?」
憂「うふふ、分かってる」
純「だから…いつかその風穴を閉じて、しっかり中身が詰まった大人にならないとね」
純「憂はその目標だよ」
憂「えへへ」
梓「大人かぁ…私はなれるのかな」
梓「来年から一人だし…先輩達を指針に頑張ってたのに…」
憂「……」
純「はぁ……」ポカッ
梓「いたっ!?いきなり何するの!」
純「梓はさ、もっと周りを見なよ」
梓「え…?」
憂「そうだよ…お姉ちゃんが卒業しても私たちがいるじゃない」
梓「あっ…」
純「…今気づいた?遅いよ」
梓「…ごめん」
純「まぁ気づいてくれたならいいけどさ」
憂「うんうん」
梓「はぁ……ふふっ」
純「ま、軽音部に入るかは分かんないけどね」
梓「そこっ!そこが心配」
憂「でも梓ちゃんならきっといい先輩になれるよ」
梓「むぅ…そ、そうじゃなくて……」
梓「まぁ…そうかもしれないけど」
梓「……ところでさ、純」
純「ん?」
梓「やりたいことは見つかったの?」
純「んー…全然」
純「何ができて何をやりたいのか…さっぱり」
純「まぁ目先の目的ぐらいはあるんだけどね」
純「でもまぁ…将来の目標がきっちりと定まってる人が羨ましいよ」
梓「……」
純「ていうかさっきから私って羨ましがってばっか!」
純「はぁ…ダメ人間だ私」
憂「そんな事ないよ?」
憂「何ができるか分からないって人って……大勢いるから」
憂「私もそうだし」
純「えっ、うそ」
憂「うん…」
憂「たぶんね、今の時代色々のものがあふれているから……選択肢が多すぎるんだよ」
憂「人生…一生どころか二回や三回あったって足りないよ、きっと」
純「……」
梓「けど…選んだものぐらいは叶えたいよね」
純「その選ぶところから問題は始まってるんじゃん」
梓「分からないよ?もしかしたらもう自分は選択してて……」
梓「途中でその壁を乗り越えることを諦めてるだけなのかも」
純「簡単に言うけどさ、目標が高ければその分壁だって高いじゃん」
純「今すぐ武道館でライブやれるくらい人気者になれる?」
梓「それは……無理だけどさ」
梓「でもその話は極端すぎるよ」
梓「何もできないからって諦めるより、何でもいいからやりたいな、私は」
純「夢を追う派だね、梓は」
純「…まぁ確かに何もしないよりマシだね」
梓「それでスターにでもなれたら嬉しいんだけど…」
純「……そうだ」
憂「どうしたの?」
純「もし有名人になったら、過去の話とかインタビューされるんだよね?」
純「どうしよう…」
梓「急に自分の話が飛躍してない?」
純「うわぁぁぁ……小学校の頃の卒業文集とか読まれちゃうのかな?」
純「今思うとすっごく恥ずかしいことしか書いてない気がするんだけど…」
憂「私も…かな」
純「梓は大丈夫?子供のころ変なことしてない?」
梓「そんなものしてるわけ………………………ないじゃん」
純「間が長いね」
純「とにかく、過去のことが恥ずかしくて有名人になれないよ…」
梓「なるつもりあったんだ」
純「でも梓が有名人になったら色々ばらしちゃうかも」
梓「え?」
純「猫耳つけてたりとかー」
梓「にゃーー!!ダメーーー!!」
憂「うふふっ」
純「とにかく…将来の自分が恥じることのないように今日から真面目に生きよう!」
純「そう私は決めた!」
憂「わー」パチパチ
梓「純にできるのかな…」
純「できるもん!やってみせるもん!」
キーンコーンカーンコーン
憂「あっ…もう時間だ」
梓「じゃあそろそろ行こっか」
純「そうだね」
憂「じゃあね」
純「うん、バイバイ憂、梓」
梓「バイバイ」
憂「また明日ねー」
純「……」
梓「……」
憂「……」
憂「あっ…今日の夕飯何にしよう?」
#15『それぞれ!』 おわり
一応全部即興でなんとか終わった。
これで本当に終わり。
これ全部即興なのか。
よくこんだけ思い付くなぁ…。
乙でした。
ああ、なんかいいなぁこういうのも
癒されたよ乙
純憂梓「私たちが主役!」 9~15話
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