- 1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/22(水) 03:45:23.42:Zlxho2c60
ハルヒ「ただの人間には興味(ry」
すごい美少女が、そこにいたんだな。
清「あ、あのう」
ハルヒ「何よあんた宇宙人?」
清「宇宙人には会ったことあるような気がするけど、ぼ、ぼくは宇宙人では、ないんだな」
ハルヒ「なら話しかけないで!」
清「ご、ごめんなさい」
谷口「清っていったか。涼宮には手をださないほうがいいぞ、何せ(ry」
国木田「清は昔から変わった女が好きだからねえ」
清「ぼくが好きなのはオムスビなんだな、うん」
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3:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/22(水) 03:51:49.00:Zlxho2c60
清「ま、毎日髪型を変えるのはなんなのかな?」
「ぼくは不思議で、夜も寝られないんだ、うん」
ハルヒ「……!」
清「う、宇宙人対策なのかな?」
ハルヒ「いつ気がついたの?」
清「ぼくは曜日の感覚が分からないので、君の髪型で判断してたんだ、うん」
ハルヒ「あたし曜日って色のイメージが(ry」
清「む、難しい話なんだな」
その日から、彼女は髪の毛をばっさり切っちゃったんだ。
谷口「清、お前涼宮と会話ができるなんて(ry」
朝倉「これから清君に涼宮さんの事をお願いしようかしら」
清「ぼ、ぼくでよければ喜んで、はい」
4:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/22(水) 03:59:01.41:Zlxho2c60
清「全部の部活に仮入部したって、ほ、本当なのかな」
ハルヒ「そうよ。でもどこもダメ! 高校生になったら(ry」
清「涼宮さんは、お、面白い部活に入りたいんだな?」
ハルヒ「そう! ……でも、そんな部活(ry」
清「十年くらいたてば、面白い部活も出来てるかもしれないな、うん」
ハルヒ「そんなに待てないわよ……ん?」
「そうよ! なければつくればいいのよ!」
ぼくは涼宮さんにランニングシャツを引っ張られて、廊下の階段のところに連れてかれたんだ。
ハルヒ「協力しなさい」
清「ぶ、部をつくるんだな?」
ハルヒ「あたしは部室を確保するからあんたは書類を何とかしてね」
そういって、涼宮さんは駆け出していったんだ。
でも、ぼくは字を読むのが苦手で、書類なんて分からないんだ。
5:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/22(水) 04:06:26.43:Zlxho2c60
ハルヒ「ここが部室よ!」
清「へえ」
長門「……」
清「人がいるんだな。もしかして、こ、ここは違う部活のお部屋じゃないのかな」
ハルヒ「乗っ取る! その人もいいって言ってるし」
「じゃ、次は部員を集めてくるわ!」
涼宮さんは、せわしなく、ドアを開けて出て行ってしまった。
清「あのう」
長門「?」
清「ぼくは清と言います。じ、実は、お願いがあります」
「お母さんが死ぬ間際に、『清や、おなかがすいたら優しい人からオムスビをもらいなさい』と言われました」
「お、オムスビをくれませんか?」
長門「ユニーク」
6:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/22(水) 04:12:19.43:Zlxho2c60
みくる「ここどこですか(ry」
清「そ、その懐のオムスビ、ぼくに一つでいいのでく、ください」
ハルヒ「残念ね! これは胸よ!」
清「それは、とても残念なんだな」キュウ
みくる「きゃあ! 清さん!」
清「オムスビ、ありがとうございます」モグモグ
みくる「料理研究会から分けてもらいました」
ハルヒ「次は……パソコンね」
「みくるちゃん、清。来なさい!」
みくる「は、はい」
清「長門さん、このオムスビはぼくのなんです食べないで下さい」
長門「……」モグモグ
7:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/22(水) 04:20:06.28:Zlxho2c60
コンピ研部長「パソコンをよこせ? そんな事(ry」
ハルヒ「そう言ってられるのも今の内よ」
コンピ研部長「おいっ、手を離せ!」
清「く、くすぐったいんだな!」
ハルヒ「みくるちゃん! 写真!」
みくる「はいい!」カシャカシャカシャカシャ
ハルヒ「コンピ研が清にいやらしい事をした、って噂を(ry」
コンピ研部長「卑怯だ! 僕は彼に何もしてやしない!」
ハルヒ「証拠写真があるし。それにねえ、清。おっぱい揉まれたわよね?」
清「は、恥ずかしかったんだな」
ハルヒ「いい思いしたんだし、最新型をもらっていってもいいわよね!」
コンピ研部長「ちくしょう……たしかに揉み心地は良かった!」
「もってけドロボー!」
清「な、何故かオムスビまでくれたんだな」
ハルヒ「あいつ、清に気があるんじゃないでしょうね」
10:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/22(水) 04:27:06.72:I2nVZ8wJ0
オレのばあちゃん線路歩いてるところ見たとかいってたんだけど
11:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/22(水) 04:30:27.22:Zlxho2c60
ハルヒ「期待の新人、謎の転校生の古泉君よ!」
古泉「よろしくお願いします」
清「な、長門さん、そのオムスビは、ぼくのオムスビなんだ」モグモグ
長門「早い者勝ち」モグモグ
みくる「お茶どうぞ~」
古泉「ところで何の部活なんです?」
ハルヒ「……今のところ、ひたすらオムスビを食べる部活よ」
古泉「お、面白そうですね」
ハルヒ「古泉君の感性っておかしくない?」
古泉(ちくしょう)
清「ゴゴー! ンゴゴー!」
長門「すうすう……」
みくる「二人ともお腹一杯になって寝ちゃいました」クスッ
ハルヒ「やりたい放題ね……」
古泉「バイトが入ったので今日は失礼します」
12:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/22(水) 04:38:58.28:Zlxho2c60
ハルヒ「この活動の名前を考えたわ!」
古泉「それはぜひ、お聞かせ願いたいですね」
清「S=すごくたくさん O=オムスビを食べさせてくれる S=すごく優しい人たちの団、なんだな」
古泉「略してSOS団ですか……なかなかいい名前じゃありませんか」
長門「同意」モグモグ
みくる「お友達が、お米をたくさんくれたんですよ。いっぱいオムスビ作りますからね」
清「わぁい!」モグモグ
長門「感謝する」モグダン
ハルヒ「あたしのやりたかったのってこんなのだったっけ?」
谷口「清。お前凄いよ、色々」
清「そ、そうなのかな」
谷口「あの涼宮がマジ凹みしてるなんて、何をやったんだ?」
清「オムスビを食べてるだけなんだな、うん」
(そういえば、涼宮さん、最近、なんだか元気がないんだな……)
13:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/22(水) 04:44:00.81:Zlxho2c60
ぼくは涼宮さんに笑ってほしくて、だから色々してみたんだ。
変な顔をしたり、冗談を言ったり。
でも、涼宮さんは笑ってくれなかった。
長門「本を貸す。読んで」
清「ぼくは、本は読めないんだ」
長門「……この栞を渡す」
清「な、何てかいてあるのかな?」
長門「……」
長門さんがいうには、長門さんは宇宙人らしい。
宇宙人に会うのは、二回目だ。
長門さんの話は、難しすぎてよく分からなかった。
けれど涼宮さんが大事な人らしい。
ぼくにとっても、SOS団というオムスビ食べ放題の場所を作ってくれた人だ。
何とか、楽しくさせてあげたい。
15:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/22(水) 04:54:31.45:Zlxho2c60
みくるさんが、オムスビを握りながら話してくれた。
みくるさんは未来の世界の人だそうだ。
ぼくは頭が悪いので、難しいことは分からないのだけれど、
未来ってところは、とても遠いところらしい。
みくるさんも、涼宮さんを大事に思ってるそうだ。
オムスビを食べながら校内を徘徊していると、みくるさんのお姉さんに出会った。
みくる(大)「お姉さんじゃなくって本人なんですけど」
清「違うんだな。み、みくるさんは、もっと小さいんだな」
みくる(大)「あ、清さん。この胸の星型の黒子、覚えてますよね?」
いきなり胸を近づけられたので、ぼくはびっくりして逃げ出したんだ。
何だかドキドキして、変な気分だ。
でも、いい匂いがしたなぁ。
長門「朝比奈みくるからの伝言。危険な時に『白雪姫』を思い出して、と」
長門さんが突然現れて、そう言ってSOS団団室に向かった。
オムスビを全部食べられないうちに、追いつかなくては。
ぼくはいつのまにか出ていた鼻血をぬぐって、走ったんだ。
18:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/22(水) 05:04:56.19:Zlxho2c60
今日は古泉くんとお出かけだ。
タクシーに乗って、一時間くらい走った。
古泉くんも、たくさんオムスビをくれるので良い人だ。
古泉「清さん。僕は超能力者なんですよ」
僕は長年の経験から、こういう人はペテン師とか言われる人だと知っている。
けど、古泉くんは悪い人ではないと思う。
悪いことは、はやくやめてほしい。
タクシーを降りて、手をつなぐと、静かになった。
清「だ、だれもいないのかな?」
古泉くんが説明してくれたけど、ぼくにはさっぱり分からなかった。
ただ、青白い巨人(しんじんとかいうそうだ)が街を壊しているので、とても怖くて目を瞑っていた。
いつのまにか、人がたくさん歩いている。
壊れたはずのビルも元どうりだ。
古泉「ちょっとしたスペクタクルだったんですがね。見てもらえなかったのは残念です」
清「ご、ごめんなさい。ぼくは、とても怖くて」
古泉「いえ、いいんです。……貴方がこういう人だからこそ、涼宮さんは『鍵』に選んだのかもしれませんね」
鍵? 古泉くんは、鍵を開けて人の家のものを盗んだりするんだろうか?
19:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/22(水) 05:07:28.06:aGOyrlwL0
がんばれ
21:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/22(水) 05:13:24.95:Zlxho2c60
ハルヒ「清! SOS団のホームページを作りなさい!」
涼宮さんが言うので、僕はパソコンを触った。
何もしてないのに壊れた。
本当です、嘘じゃないです。
結局のところ、長門さんがホームページというのを作ってくれた。
毎日、最低カウンターというのが十万はいくそうだ。
多分、凄いのだろうなと、ぼくは思う。
パソコンに少し慣れてきたのでペイントというので絵を描いてみた。
みくるさんを書いてみる。
胸の黒子を書いてると、またドキドキして変な気分になってきた。
みくる「清さん! 何を描いてるんですか?」
清「えっ、あ、あの」
みくるさんの胸を描いているのがばれて、助平だと思われるのが嫌なので、
ぼくは見せないように抵抗した。
でも、みくるさんはぐいぐい身体をくっつけてきて離れてくれない。
お姉さんと同じ、良い匂いがして、そして胸の感触がとてもするので、ぼくはまた鼻血を出した。
ハルヒ「なにやってんの、あんたたち」
涼宮さんの声は、とてもとても冷たい声だった。
23:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/22(水) 05:16:16.01:BSCcCx1V0
キョシ
24:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/22(水) 05:21:36.18:Zlxho2c60
それからは、みくるさんもおかしな感じで、部屋のふんいきがとても悪くなった。
多分、僕が悪いんだろうと思ったので涼宮さんに謝った。
ハルヒ「はあ? あんたが何を謝るっていうのよ?」
そう言われると、僕は何もしてない気がしたけれど、涼宮さんは怒っている。
とにかく、いつも通りオムスビを食べ終わると、団活は終わりになった。
古泉「……これは、一波乱来そうですね」
古泉くんのつぶやきがいつまでも耳に残る。
下駄箱に、手紙が入っていた。
『放課後、教室で』
もう帰る時間だけど、どうせ公園で寝てるのだから大丈夫なんだ。
僕が教室に入ると、そこには朝倉さんがいた。
朝倉「遅い! 何時間待たせる気!?」
清「ご、ごめんなさい!」
朝倉「ま、いいわ。ねえ清君」
清「は、はい」
25:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/22(水) 05:28:01.46:Zlxho2c60
朝倉「人間ってよくやらずに後悔するよりも(ry」
清「ぼくは、よく知らないんだな」
朝倉「なら、例えば現場は(ry」
清「む、難しすぎて、よく分からないんだな。ごめんなさい」
朝倉「はあ。ま、期待はしてなかったけどね」
清「えへへ」
朝倉「貴方を殺して涼宮ハルヒの出方を見る」
朝倉さんはナイフを振り回してぼくを刺そうとしたんだ!
痛いのはいやだ! 戦争はいやなんだ!
ぼくはひぃひぃ言いながら教室を出ようとしたんだ。
でも。
扉が無かった。
朝倉「この教室は私の情報(ry」
よく分からないけど、出られないって事なのかな。
このまま、朝倉さんに殺されてしまうのだろうか。
ぼくは、知らないうちにおしっこを漏らしていた。
26:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/22(水) 05:35:56.51:Zlxho2c60
その時、どかんと音がして天井からコンクリートが降ってきたんだ。
そのかけらに当たってぼくは気絶した。
目が覚めると、長門さんがひざまくらをしてくれていた。
清「あ、朝倉さんは?」
長門「夢。貴方は夢を見ていた」
清「夢にしては、とても迫力があったんだな」
長門「朝倉涼子はカナダに引っ越した」
清「そ、そうなのか。残念だな」
長門「そう」
そこに谷口くんが、入ってきた。
谷口「WAWAWA~忘っれ物~っと……」
「なん……だと……」
「清が長門さんに膝枕されてるだと……」
「ヒヒヒ……夢だ、これは悪い夢だ……」
「俺に彼女ができないで、清に彼女が……ありえんだろ常識的に考えて……」
谷口くんが帰った後、ぼくと長門さんでオムスビを食べた。
なぜか、とてもしょっぱかった。
28:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/22(水) 05:44:22.74:Zlxho2c60
長門さんとお別れして、いつもの公園に帰る。
ベンチに横になって、ふと思う。
涼宮さんに、なんとか元気になってほしい。
その方法を考える間もなく、ぼくは眠ってしまった。
ハルヒ「ちょっと清! 起きなさい!」
涼宮さんの声で目が覚める。
清「ん~、もう食べられないんだな」
ハルヒ「べたな寝言言うんじゃないわよ! 起きろつってんでしょうが!」
背中を蹴られ、目が覚める。
そこは学校の団室だった。
清「ぼ、ぼくは何でここにいるのかな?」
ハルヒ「知らないわよ! あたしだって家で寝てたはずなのに! いつのまにか服まで制服に着替えてるし!」
清「ぼくはいつものシャツとズボンとリュックなんだな」
ハルヒ「とにかく! 校内を探索するわよ!」
29:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/22(水) 06:02:31.44:Zlxho2c60
涼宮さんは一人で行ってしまった。
僕はどうしていいのか分からない。
外は真っ暗で、街の明かりも見えない。
なんだか、古泉くんと出かけた場所に似ているな、と思ったその時。
赤い人影が団室内に現れた。
清「ひゃああ! オバケだー!」
古泉「オバケ違います。古泉です」
清「そ、その声は古泉くんだ! オバケになっちゃったのかな?」
古泉「ですからオバケじゃありません。この姿でしか、ここには入れなかったのです」
清「あ、赤いからなのかな?」
古泉「……とりあえず、現状を説明しますね」
古泉くんが色々と説明してくれたけれど、ぼくにはさっぱりだった。
ただ一つ、分かったことは、このままだとみんなに会えなくなるということだけだった。
古泉「それで充分です。清さんなら、何とかしてくれると信じてます」
「そうそう、伝言があります」
「朝比奈みくるからは『ごめんなさい、わたしのせいです』」
「長門有希からは『パソコンの電源をいれて』だそうです」
「もう……僕も持ちません。またお会いしたいですね」
そういうと、赤い古泉くんは消えてしまった。
30:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/22(水) 06:09:16.64:Zlxho2c60
ぼくはパソコンの電源をいれた。
ながと>みえてる?
清「見えてます!」
ながと>あなたはもじのうちこみができないから、このままよんで
清「は、はい」
ながと>こいずみいっきからせつめいをうけたとおもうけど、しょうじきまずいじょうきょう
清「そ、そうみたいです」
ながと>あなたに、かける
清「ぼくに、かな?」
ながと>もういちど、こちらにもどってきてほしい
清「うん、うん」
ながと>また、オムスビを
ながと>sleeping beauty
清「長門さん? 長門さん!」
パソコンは、止まってしまった。
31:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/22(水) 06:17:51.64:Zlxho2c60
中庭から青白い光が見えた。
ハルヒ「清! 何か出た!」
清「に、逃げるんだ涼宮さん!」
ぼくは涼宮さんの手をひいて走った。
しんじんは校舎を壊している。
清「涼宮さん。元のところに帰ろう?」
ハルヒ「元のところ? あの、退屈で平凡な世界に?」
「嫌よ! ここは楽しそう! あの巨人も、敵じゃなさそう。分かるのよ!」
清「で、でも。このままここにいたら、みんなに会えなくなっちゃうんだ」
ハルヒ「そんな事ないわ。きっとみんなもいるわよ。ここは今は暗いけど、しばらくすれば……」
清「ち、違うんだ! それはここのみんなで……元のところのみんなじゃあない!」
ハルヒ「……何よ。それなら、あんただけ帰れば」
涼宮さんはぼくの手をふりほどいて歩き出す。
だめだ。
涼宮さんと一緒に、あの場所に帰るんだ。
ぼくは涼宮さんを追った。
32:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/22(水) 06:25:31.10:Zlxho2c60
どうしたらいいんだろう?
白雪姫は、お母さんに読んでもらったことがある。
だけど何の役に立つんだ?
長門さんの最後の言葉、sl……は読めなかった。
多分、外国の言葉。
どうすればいいんだ?
ぼくは、頭が悪い。
考えるのは苦手だ。
清「す、涼宮さん」
ハルヒ「何よ」
清「涼宮さんの、オムスビが食べたい」
ハルヒ「はあ?」
涼宮さんの目が、ぼくを拒否するかのように見える。
ぼくはリュックから、ビニールに包まれた『あれ』を取り出した。
残った、たった一つのオムスビ。
みくるさんが握ってくれた、オムスビ。
ぼくは、それを一口ほおばった。
美味しい。
34:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/22(水) 06:37:03.98:Zlxho2c60
全部食べたいけど我慢する。
きっかり半分、残したオムスビを涼宮さんに差し出す。
清「た、食べてください!」
ハルヒ「嫌よ! 何で食べかけ何か食べないといけないのよ!」
清「涼宮さん!」
「あんたは、一度もオムスビを食べていない」
「みくるさんのオムスビは、本当に美味しいんだ」
「ぼ、ぼくが持ってたのは、一個だけだった」
「全部食べたかったけど、涼宮さんと分けて食べるのが良いと思ったんだ」
「お願いします。このオムスビ、食べてください」
涼宮さんは何も言わずにぼくを見る。
ハルヒ「みくるちゃんのオムスビ、か」
「そういや食べて無かったわね」
そう言って、ぼくの手からオムスビをとり、一口、ほおばる。
ハルヒ「……美味しい」
清「みくるさんのオムスビは美味しいけど、誰かといっしょに食べるともっと美味しいんだ」
「ねえ、涼宮さん。今度は半分じゃなくって、丸々一個食べてほしいんだ」
ハルヒ「……そう、ね。いちいちあんたと間接キスなんて嫌だし、ね」
遠くで大きな音がして、目の前が真っ暗になった。
36:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/22(水) 06:43:04.36:Zlxho2c60
公園で目が覚めた。
おかしな夢を見たなぁ。
ぼくは水飲み場で顔を洗って、学校に出かけた。
涼宮さんが歩いている。
髪の毛を、お団子みたいにしていて、それがぼくにはオムスビに見えてしょうがなかった。
清「おはよう、涼宮さん」
ハルヒ「……おはよ」
清「オムスビみたいな頭だね」
ハルヒ「うっさい!」
清「す、すみません」
ハルヒ「……今日の団活」
清「は、はい?」
ハルヒ「あたしもオムスビ食べようかしら」
その時の涼宮さんの笑顔は、とても綺麗だった。
ぼくは、なんだかドキドキしてしまった。
37:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/22(水) 06:50:55.30:Zlxho2c60
古泉くんとお話をした。
ぼくは、よくやったそうだ。
何の事かは、よく分からない。
みくるさんは、泣いて抱きついてきた。
悲しいのかと思ったけれど、嬉しくて泣いてるそうなので、よかった。
胸が当たって、ドキドキして、いい匂いがして鼻血が出た。
長門さんとオムスビを食べた。
ぼくと涼宮さんが消えていたとか言ってたけど、長門さんの勘違いだと思う。
だって、ここにいるんだから。
涼宮さんは、SOS団の活動に、不思議探索というのを付け足した。
宇宙人や、未来人、超能力者を見つけて遊ぶんだそうだ。
ぼくが古泉くんたちがそうだよ、と話したけれど、信じてくれなかった。
まあ、いいや。
涼宮さんが、笑ってるんだから。
それからのぼくたちは、楽しかったと思う。
不思議探索には、いつもオムスビが用意され、みんなで仲良く食べた。
古泉くんも、そして涼宮さんも笑顔だ。
だから、ぼくは――
38:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/22(水) 07:03:32.36:Zlxho2c60
ハルヒ「清がどこにもいないの!」
古泉「八方、手を尽くして探してるのですが……」
みくる「清くん……」
長門「! ここに、手紙がある」
ハルヒ古泉みくる「えっ!」
『ぼくはこのがっこうにきて、とてもよかったです
みくるさんや、ながとさん、こいずみくん、そしてすずみやさん。
とてもいいひとたちとであえて、しあわせです。
でも、ぼくはひとつのところにじっとしてるのがにがてなのです。だから、いきます。
ちゃんと、ふしぎたんさくをしながらたびをするので、しんぱいしないでください。
では、またいつか』
古泉「清さん……貴方という人は……。おや? これは絵、ですね」
みくる「SOS団のみんなの絵です」
長門「みんな、笑顔……」
ハルヒ「……勝手なやつよね、あいつは」
古泉「涼宮さん……」
ハルヒ「だから……帰ってきたら、食べきれないくらいのオムスビを用意しましょう!」
-キョンの消失 End-
39:南部十四朗 ◆pTqMLhEhmY :2010/09/22(水) 07:04:13.89:Zlxho2c60
再放送しませんかね、裸の大将放浪記。
芦屋雁之助さんのものが一番です。
塚地さんも頑張ってはおられるんですが……やはりまだまだだと思います。
読んでくれた方、ありがとうございました。
40:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/22(水) 07:17:03.53:myVIyDxE0
乙でした
裸の大将世代なので最高に面白かったです!
42:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/22(水) 07:45:20.36:NolXGyqGP
清「ま、毎日髪型を変えるのはなんなのかな?」
「ぼくは不思議で、夜も寝られないんだ、うん」
ハルヒ「……!」
清「う、宇宙人対策なのかな?」
ハルヒ「いつ気がついたの?」
清「ぼくは曜日の感覚が分からないので、君の髪型で判断してたんだ、うん」
ハルヒ「あたし曜日って色のイメージが(ry」
清「む、難しい話なんだな」
その日から、彼女は髪の毛をばっさり切っちゃったんだ。
谷口「清、お前涼宮と会話ができるなんて(ry」
朝倉「これから清君に涼宮さんの事をお願いしようかしら」
清「ぼ、ぼくでよければ喜んで、はい」
清「全部の部活に仮入部したって、ほ、本当なのかな」
ハルヒ「そうよ。でもどこもダメ! 高校生になったら(ry」
清「涼宮さんは、お、面白い部活に入りたいんだな?」
ハルヒ「そう! ……でも、そんな部活(ry」
清「十年くらいたてば、面白い部活も出来てるかもしれないな、うん」
ハルヒ「そんなに待てないわよ……ん?」
「そうよ! なければつくればいいのよ!」
ぼくは涼宮さんにランニングシャツを引っ張られて、廊下の階段のところに連れてかれたんだ。
ハルヒ「協力しなさい」
清「ぶ、部をつくるんだな?」
ハルヒ「あたしは部室を確保するからあんたは書類を何とかしてね」
そういって、涼宮さんは駆け出していったんだ。
でも、ぼくは字を読むのが苦手で、書類なんて分からないんだ。
ハルヒ「ここが部室よ!」
清「へえ」
長門「……」
清「人がいるんだな。もしかして、こ、ここは違う部活のお部屋じゃないのかな」
ハルヒ「乗っ取る! その人もいいって言ってるし」
「じゃ、次は部員を集めてくるわ!」
涼宮さんは、せわしなく、ドアを開けて出て行ってしまった。
清「あのう」
長門「?」
清「ぼくは清と言います。じ、実は、お願いがあります」
「お母さんが死ぬ間際に、『清や、おなかがすいたら優しい人からオムスビをもらいなさい』と言われました」
「お、オムスビをくれませんか?」
長門「ユニーク」
みくる「ここどこですか(ry」
清「そ、その懐のオムスビ、ぼくに一つでいいのでく、ください」
ハルヒ「残念ね! これは胸よ!」
清「それは、とても残念なんだな」キュウ
みくる「きゃあ! 清さん!」
清「オムスビ、ありがとうございます」モグモグ
みくる「料理研究会から分けてもらいました」
ハルヒ「次は……パソコンね」
「みくるちゃん、清。来なさい!」
みくる「は、はい」
清「長門さん、このオムスビはぼくのなんです食べないで下さい」
長門「……」モグモグ
コンピ研部長「パソコンをよこせ? そんな事(ry」
ハルヒ「そう言ってられるのも今の内よ」
コンピ研部長「おいっ、手を離せ!」
清「く、くすぐったいんだな!」
ハルヒ「みくるちゃん! 写真!」
みくる「はいい!」カシャカシャカシャカシャ
ハルヒ「コンピ研が清にいやらしい事をした、って噂を(ry」
コンピ研部長「卑怯だ! 僕は彼に何もしてやしない!」
ハルヒ「証拠写真があるし。それにねえ、清。おっぱい揉まれたわよね?」
清「は、恥ずかしかったんだな」
ハルヒ「いい思いしたんだし、最新型をもらっていってもいいわよね!」
コンピ研部長「ちくしょう……たしかに揉み心地は良かった!」
「もってけドロボー!」
清「な、何故かオムスビまでくれたんだな」
ハルヒ「あいつ、清に気があるんじゃないでしょうね」
オレのばあちゃん線路歩いてるところ見たとかいってたんだけど
ハルヒ「期待の新人、謎の転校生の古泉君よ!」
古泉「よろしくお願いします」
清「な、長門さん、そのオムスビは、ぼくのオムスビなんだ」モグモグ
長門「早い者勝ち」モグモグ
みくる「お茶どうぞ~」
古泉「ところで何の部活なんです?」
ハルヒ「……今のところ、ひたすらオムスビを食べる部活よ」
古泉「お、面白そうですね」
ハルヒ「古泉君の感性っておかしくない?」
古泉(ちくしょう)
清「ゴゴー! ンゴゴー!」
長門「すうすう……」
みくる「二人ともお腹一杯になって寝ちゃいました」クスッ
ハルヒ「やりたい放題ね……」
古泉「バイトが入ったので今日は失礼します」
ハルヒ「この活動の名前を考えたわ!」
古泉「それはぜひ、お聞かせ願いたいですね」
清「S=すごくたくさん O=オムスビを食べさせてくれる S=すごく優しい人たちの団、なんだな」
古泉「略してSOS団ですか……なかなかいい名前じゃありませんか」
長門「同意」モグモグ
みくる「お友達が、お米をたくさんくれたんですよ。いっぱいオムスビ作りますからね」
清「わぁい!」モグモグ
長門「感謝する」モグダン
ハルヒ「あたしのやりたかったのってこんなのだったっけ?」
谷口「清。お前凄いよ、色々」
清「そ、そうなのかな」
谷口「あの涼宮がマジ凹みしてるなんて、何をやったんだ?」
清「オムスビを食べてるだけなんだな、うん」
(そういえば、涼宮さん、最近、なんだか元気がないんだな……)
ぼくは涼宮さんに笑ってほしくて、だから色々してみたんだ。
変な顔をしたり、冗談を言ったり。
でも、涼宮さんは笑ってくれなかった。
長門「本を貸す。読んで」
清「ぼくは、本は読めないんだ」
長門「……この栞を渡す」
清「な、何てかいてあるのかな?」
長門「……」
長門さんがいうには、長門さんは宇宙人らしい。
宇宙人に会うのは、二回目だ。
長門さんの話は、難しすぎてよく分からなかった。
けれど涼宮さんが大事な人らしい。
ぼくにとっても、SOS団というオムスビ食べ放題の場所を作ってくれた人だ。
何とか、楽しくさせてあげたい。
みくるさんが、オムスビを握りながら話してくれた。
みくるさんは未来の世界の人だそうだ。
ぼくは頭が悪いので、難しいことは分からないのだけれど、
未来ってところは、とても遠いところらしい。
みくるさんも、涼宮さんを大事に思ってるそうだ。
オムスビを食べながら校内を徘徊していると、みくるさんのお姉さんに出会った。
みくる(大)「お姉さんじゃなくって本人なんですけど」
清「違うんだな。み、みくるさんは、もっと小さいんだな」
みくる(大)「あ、清さん。この胸の星型の黒子、覚えてますよね?」
いきなり胸を近づけられたので、ぼくはびっくりして逃げ出したんだ。
何だかドキドキして、変な気分だ。
でも、いい匂いがしたなぁ。
長門「朝比奈みくるからの伝言。危険な時に『白雪姫』を思い出して、と」
長門さんが突然現れて、そう言ってSOS団団室に向かった。
オムスビを全部食べられないうちに、追いつかなくては。
ぼくはいつのまにか出ていた鼻血をぬぐって、走ったんだ。
今日は古泉くんとお出かけだ。
タクシーに乗って、一時間くらい走った。
古泉くんも、たくさんオムスビをくれるので良い人だ。
古泉「清さん。僕は超能力者なんですよ」
僕は長年の経験から、こういう人はペテン師とか言われる人だと知っている。
けど、古泉くんは悪い人ではないと思う。
悪いことは、はやくやめてほしい。
タクシーを降りて、手をつなぐと、静かになった。
清「だ、だれもいないのかな?」
古泉くんが説明してくれたけど、ぼくにはさっぱり分からなかった。
ただ、青白い巨人(しんじんとかいうそうだ)が街を壊しているので、とても怖くて目を瞑っていた。
いつのまにか、人がたくさん歩いている。
壊れたはずのビルも元どうりだ。
古泉「ちょっとしたスペクタクルだったんですがね。見てもらえなかったのは残念です」
清「ご、ごめんなさい。ぼくは、とても怖くて」
古泉「いえ、いいんです。……貴方がこういう人だからこそ、涼宮さんは『鍵』に選んだのかもしれませんね」
鍵? 古泉くんは、鍵を開けて人の家のものを盗んだりするんだろうか?
がんばれ
ハルヒ「清! SOS団のホームページを作りなさい!」
涼宮さんが言うので、僕はパソコンを触った。
何もしてないのに壊れた。
本当です、嘘じゃないです。
結局のところ、長門さんがホームページというのを作ってくれた。
毎日、最低カウンターというのが十万はいくそうだ。
多分、凄いのだろうなと、ぼくは思う。
パソコンに少し慣れてきたのでペイントというので絵を描いてみた。
みくるさんを書いてみる。
胸の黒子を書いてると、またドキドキして変な気分になってきた。
みくる「清さん! 何を描いてるんですか?」
清「えっ、あ、あの」
みくるさんの胸を描いているのがばれて、助平だと思われるのが嫌なので、
ぼくは見せないように抵抗した。
でも、みくるさんはぐいぐい身体をくっつけてきて離れてくれない。
お姉さんと同じ、良い匂いがして、そして胸の感触がとてもするので、ぼくはまた鼻血を出した。
ハルヒ「なにやってんの、あんたたち」
涼宮さんの声は、とてもとても冷たい声だった。
キョシ
それからは、みくるさんもおかしな感じで、部屋のふんいきがとても悪くなった。
多分、僕が悪いんだろうと思ったので涼宮さんに謝った。
ハルヒ「はあ? あんたが何を謝るっていうのよ?」
そう言われると、僕は何もしてない気がしたけれど、涼宮さんは怒っている。
とにかく、いつも通りオムスビを食べ終わると、団活は終わりになった。
古泉「……これは、一波乱来そうですね」
古泉くんのつぶやきがいつまでも耳に残る。
下駄箱に、手紙が入っていた。
『放課後、教室で』
もう帰る時間だけど、どうせ公園で寝てるのだから大丈夫なんだ。
僕が教室に入ると、そこには朝倉さんがいた。
朝倉「遅い! 何時間待たせる気!?」
清「ご、ごめんなさい!」
朝倉「ま、いいわ。ねえ清君」
清「は、はい」
朝倉「人間ってよくやらずに後悔するよりも(ry」
清「ぼくは、よく知らないんだな」
朝倉「なら、例えば現場は(ry」
清「む、難しすぎて、よく分からないんだな。ごめんなさい」
朝倉「はあ。ま、期待はしてなかったけどね」
清「えへへ」
朝倉「貴方を殺して涼宮ハルヒの出方を見る」
朝倉さんはナイフを振り回してぼくを刺そうとしたんだ!
痛いのはいやだ! 戦争はいやなんだ!
ぼくはひぃひぃ言いながら教室を出ようとしたんだ。
でも。
扉が無かった。
朝倉「この教室は私の情報(ry」
よく分からないけど、出られないって事なのかな。
このまま、朝倉さんに殺されてしまうのだろうか。
ぼくは、知らないうちにおしっこを漏らしていた。
その時、どかんと音がして天井からコンクリートが降ってきたんだ。
そのかけらに当たってぼくは気絶した。
目が覚めると、長門さんがひざまくらをしてくれていた。
清「あ、朝倉さんは?」
長門「夢。貴方は夢を見ていた」
清「夢にしては、とても迫力があったんだな」
長門「朝倉涼子はカナダに引っ越した」
清「そ、そうなのか。残念だな」
長門「そう」
そこに谷口くんが、入ってきた。
谷口「WAWAWA~忘っれ物~っと……」
「なん……だと……」
「清が長門さんに膝枕されてるだと……」
「ヒヒヒ……夢だ、これは悪い夢だ……」
「俺に彼女ができないで、清に彼女が……ありえんだろ常識的に考えて……」
谷口くんが帰った後、ぼくと長門さんでオムスビを食べた。
なぜか、とてもしょっぱかった。
長門さんとお別れして、いつもの公園に帰る。
ベンチに横になって、ふと思う。
涼宮さんに、なんとか元気になってほしい。
その方法を考える間もなく、ぼくは眠ってしまった。
ハルヒ「ちょっと清! 起きなさい!」
涼宮さんの声で目が覚める。
清「ん~、もう食べられないんだな」
ハルヒ「べたな寝言言うんじゃないわよ! 起きろつってんでしょうが!」
背中を蹴られ、目が覚める。
そこは学校の団室だった。
清「ぼ、ぼくは何でここにいるのかな?」
ハルヒ「知らないわよ! あたしだって家で寝てたはずなのに! いつのまにか服まで制服に着替えてるし!」
清「ぼくはいつものシャツとズボンとリュックなんだな」
ハルヒ「とにかく! 校内を探索するわよ!」
涼宮さんは一人で行ってしまった。
僕はどうしていいのか分からない。
外は真っ暗で、街の明かりも見えない。
なんだか、古泉くんと出かけた場所に似ているな、と思ったその時。
赤い人影が団室内に現れた。
清「ひゃああ! オバケだー!」
古泉「オバケ違います。古泉です」
清「そ、その声は古泉くんだ! オバケになっちゃったのかな?」
古泉「ですからオバケじゃありません。この姿でしか、ここには入れなかったのです」
清「あ、赤いからなのかな?」
古泉「……とりあえず、現状を説明しますね」
古泉くんが色々と説明してくれたけれど、ぼくにはさっぱりだった。
ただ一つ、分かったことは、このままだとみんなに会えなくなるということだけだった。
古泉「それで充分です。清さんなら、何とかしてくれると信じてます」
「そうそう、伝言があります」
「朝比奈みくるからは『ごめんなさい、わたしのせいです』」
「長門有希からは『パソコンの電源をいれて』だそうです」
「もう……僕も持ちません。またお会いしたいですね」
そういうと、赤い古泉くんは消えてしまった。
ぼくはパソコンの電源をいれた。
ながと>みえてる?
清「見えてます!」
ながと>あなたはもじのうちこみができないから、このままよんで
清「は、はい」
ながと>こいずみいっきからせつめいをうけたとおもうけど、しょうじきまずいじょうきょう
清「そ、そうみたいです」
ながと>あなたに、かける
清「ぼくに、かな?」
ながと>もういちど、こちらにもどってきてほしい
清「うん、うん」
ながと>また、オムスビを
ながと>sleeping beauty
清「長門さん? 長門さん!」
パソコンは、止まってしまった。
中庭から青白い光が見えた。
ハルヒ「清! 何か出た!」
清「に、逃げるんだ涼宮さん!」
ぼくは涼宮さんの手をひいて走った。
しんじんは校舎を壊している。
清「涼宮さん。元のところに帰ろう?」
ハルヒ「元のところ? あの、退屈で平凡な世界に?」
「嫌よ! ここは楽しそう! あの巨人も、敵じゃなさそう。分かるのよ!」
清「で、でも。このままここにいたら、みんなに会えなくなっちゃうんだ」
ハルヒ「そんな事ないわ。きっとみんなもいるわよ。ここは今は暗いけど、しばらくすれば……」
清「ち、違うんだ! それはここのみんなで……元のところのみんなじゃあない!」
ハルヒ「……何よ。それなら、あんただけ帰れば」
涼宮さんはぼくの手をふりほどいて歩き出す。
だめだ。
涼宮さんと一緒に、あの場所に帰るんだ。
ぼくは涼宮さんを追った。
どうしたらいいんだろう?
白雪姫は、お母さんに読んでもらったことがある。
だけど何の役に立つんだ?
長門さんの最後の言葉、sl……は読めなかった。
多分、外国の言葉。
どうすればいいんだ?
ぼくは、頭が悪い。
考えるのは苦手だ。
清「す、涼宮さん」
ハルヒ「何よ」
清「涼宮さんの、オムスビが食べたい」
ハルヒ「はあ?」
涼宮さんの目が、ぼくを拒否するかのように見える。
ぼくはリュックから、ビニールに包まれた『あれ』を取り出した。
残った、たった一つのオムスビ。
みくるさんが握ってくれた、オムスビ。
ぼくは、それを一口ほおばった。
美味しい。
全部食べたいけど我慢する。
きっかり半分、残したオムスビを涼宮さんに差し出す。
清「た、食べてください!」
ハルヒ「嫌よ! 何で食べかけ何か食べないといけないのよ!」
清「涼宮さん!」
「あんたは、一度もオムスビを食べていない」
「みくるさんのオムスビは、本当に美味しいんだ」
「ぼ、ぼくが持ってたのは、一個だけだった」
「全部食べたかったけど、涼宮さんと分けて食べるのが良いと思ったんだ」
「お願いします。このオムスビ、食べてください」
涼宮さんは何も言わずにぼくを見る。
ハルヒ「みくるちゃんのオムスビ、か」
「そういや食べて無かったわね」
そう言って、ぼくの手からオムスビをとり、一口、ほおばる。
ハルヒ「……美味しい」
清「みくるさんのオムスビは美味しいけど、誰かといっしょに食べるともっと美味しいんだ」
「ねえ、涼宮さん。今度は半分じゃなくって、丸々一個食べてほしいんだ」
ハルヒ「……そう、ね。いちいちあんたと間接キスなんて嫌だし、ね」
遠くで大きな音がして、目の前が真っ暗になった。
公園で目が覚めた。
おかしな夢を見たなぁ。
ぼくは水飲み場で顔を洗って、学校に出かけた。
涼宮さんが歩いている。
髪の毛を、お団子みたいにしていて、それがぼくにはオムスビに見えてしょうがなかった。
清「おはよう、涼宮さん」
ハルヒ「……おはよ」
清「オムスビみたいな頭だね」
ハルヒ「うっさい!」
清「す、すみません」
ハルヒ「……今日の団活」
清「は、はい?」
ハルヒ「あたしもオムスビ食べようかしら」
その時の涼宮さんの笑顔は、とても綺麗だった。
ぼくは、なんだかドキドキしてしまった。
古泉くんとお話をした。
ぼくは、よくやったそうだ。
何の事かは、よく分からない。
みくるさんは、泣いて抱きついてきた。
悲しいのかと思ったけれど、嬉しくて泣いてるそうなので、よかった。
胸が当たって、ドキドキして、いい匂いがして鼻血が出た。
長門さんとオムスビを食べた。
ぼくと涼宮さんが消えていたとか言ってたけど、長門さんの勘違いだと思う。
だって、ここにいるんだから。
涼宮さんは、SOS団の活動に、不思議探索というのを付け足した。
宇宙人や、未来人、超能力者を見つけて遊ぶんだそうだ。
ぼくが古泉くんたちがそうだよ、と話したけれど、信じてくれなかった。
まあ、いいや。
涼宮さんが、笑ってるんだから。
それからのぼくたちは、楽しかったと思う。
不思議探索には、いつもオムスビが用意され、みんなで仲良く食べた。
古泉くんも、そして涼宮さんも笑顔だ。
だから、ぼくは――
ハルヒ「清がどこにもいないの!」
古泉「八方、手を尽くして探してるのですが……」
みくる「清くん……」
長門「! ここに、手紙がある」
ハルヒ古泉みくる「えっ!」
『ぼくはこのがっこうにきて、とてもよかったです
みくるさんや、ながとさん、こいずみくん、そしてすずみやさん。
とてもいいひとたちとであえて、しあわせです。
でも、ぼくはひとつのところにじっとしてるのがにがてなのです。だから、いきます。
ちゃんと、ふしぎたんさくをしながらたびをするので、しんぱいしないでください。
では、またいつか』
古泉「清さん……貴方という人は……。おや? これは絵、ですね」
みくる「SOS団のみんなの絵です」
長門「みんな、笑顔……」
ハルヒ「……勝手なやつよね、あいつは」
古泉「涼宮さん……」
ハルヒ「だから……帰ってきたら、食べきれないくらいのオムスビを用意しましょう!」
-キョンの消失 End-
再放送しませんかね、裸の大将放浪記。
芦屋雁之助さんのものが一番です。
塚地さんも頑張ってはおられるんですが……やはりまだまだだと思います。
読んでくれた方、ありがとうございました。
乙でした
裸の大将世代なので最高に面白かったです!
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