- 1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/24(金) 17:41:38.49:ggU7bxevO
ガチャ
唯「すぴー」
律(唯が寝てる……)パタン
唯「くかー」
律(ふむ)ソー
唯「……りう」
律(おっと)ビク
唯「りつ……」ムニャムニャ
律(……私か?)
律(私の夢を見てんのか?)
唯「おでこ取れてるよ……」
律(なにそれ怖い)
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2:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/24(金) 17:46:23.53:ggU7bxevO
唯「ん……」ペタペタ
律(デコさわんな)
唯「えへへぇ」ニヘラ
律(……幸せそうな顔してんな)
唯「……」ガシッ
律(おいっ)
唯「んー……」
律(待ってって!)
律(私のデコの初めてが!)
唯「ちゅっ」
律(ああああああああ)
律(唯め……)
3:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/24(金) 17:50:39.31:ggU7bxevO
唯「……」
律(つーか、そろそろ離しておくんなまし)
唯「あいふー」ガジガジ
律(齧るなげっ歯類)
律(おい、ツバが垂れてきてるし……ハンカチどこだ)ゴソゴソ
唯「ん……」ペロペロ
律(デコ舐めるなって!)グイッ
唯「へへへ……」ペロペロ
律(……机を舐めはじめちゃったよ)フキフキ
律(ちょっと、これを放っておくわけには)
律「ほら、こっち向け」スッ
唯「ん、おでこぉ」ペロペロ
律(世話が焼けるな……)
6:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/24(金) 17:57:30.44:ggU7bxevO
律(でもなんか落ち着くかも)
律(あったかくて柔らかいなぁ)
律(さすがにベトベトすんのは気持ちわりいけど)
唯「ふん、ふー」ペロペロ
律(よく舐めるな……夢の中でアイスでも食ってるのか?)
唯「りふぅ」
律(どうなんだろ)グイッ
律(!?)
唯「んー」ムチュ
律(……)
唯「ぱぁっ」チュッ
律(おい)
7:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/24(金) 18:01:54.68:ggU7bxevO
律(……おいおい)
唯「りひゅー」ガバッ
律(ちょ待っ)
ドタンッ
唯「むちゅちゅー♪」
律(ウェイト! この体勢はだめだ!!)
律(まだ起きてねぇのかよ!?)
唯「んうー」ニュル
律(こいつ、舌を……)
律(いい加減にしろって……!)ドンッ
唯「あうっ」
律(あぶなかった……)
8:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/24(金) 18:07:05.46:ggU7bxevO
唯「あー……りっちゃん?」
律「……」フキフキゴシゴシ
律「おいーっす」
唯「おいーす。んー、寝てたのかぁ。残念」ノビー
律「あ、あぁ」
唯「椅子から落っこちちゃった……のかな? えへへ」
律「びっくりしたぜ、ほんと。大丈夫か?」
唯「うん、平気だよ」パスパス
唯「りっちゃんも背中汚れちゃってる」パスパス
律「お、おう。サンキュ」
唯「りっちゃんも寝てたの? よだれ垂れてるよ」
律「もっとオブラートに包んで指摘しろよな」ゴシ
9:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/24(金) 18:10:32.54:ggU7bxevO
唯「りっちゃん、他のみんなは?」
律「ん? あー、何だったかな。ムギはバイトで、澪はさわちゃんに呼ばれてたと思う」
唯「あずにゃんは?」
律「またアレだってよ。何か変な……何だっけ? ラーメン丸?」
律「とにかく今日は来れないみたいだ。だからあと澪と三人だけだな」
唯「三人かぁ。もう今日の練習はやめにして、アイス屋さんいかない?」
律「よく食うなー、おい」
唯「さっきまでアイス食べる夢見てたんだ」
唯「りっちゃんと一緒に食べててさ、すっごくおいしかったのに途中で目が覚めちゃったんだもん……」
律(やっぱアイスの夢だったのか)
唯「ねぇー、行こうよりっちゃん」
律「ん? あぁ、澪が来たらな」
唯「ちっちっ、りっちゃん。まだまだだね」
12:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/24(金) 18:15:33.00:ggU7bxevO
律「はぁ?」
唯「これから練習しようって時に、澪ちゃんにそんなこと言ったらゲンコツだよ!」
唯「ここはメールで連絡を入れておいて、先にアイス屋に向かうべきだね!」
律「言われてみればそうだな……」
律(悪知恵が働くな、まったく)
律「よっし、澪は置いてくか!」
唯「おー!」
澪「誰を置いていくってぇ?」ゴゴォ
律「はっ!」
ドシャーン
律「うひょう!」
15:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/24(金) 18:20:20.26:ggU7bxevO
アイス屋
律「でも結局来るんだな?」
澪「だって3人じゃあんまり練習も出来ないだろうし……」ペロペロ
唯「澪ちゃん、おいしい?」
澪「……おいしいんじゃないか?」ペロペロ
律「素直じゃない子ねん」
唯「こんなにおいしいのに」ペロペロ
律「なー?」ペロペロ
澪「……どうでもいいけど、あまりべろべろアイスを舐めるものじゃないぞ。はしたない」ペロペロ
律「澪しゃん、鏡みたことありますかー」
澪「ん?」ペロ…
澪「……」ハムハム
律「バカでちゅねー」
16:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/24(金) 18:26:29.53:ggU7bxevO
唯「……」ハムハム
律「ん? どうした唯?」
唯「むーむ。はんえもあいお」ハムハム
律「そうか?」
唯「うん。ほっほおーっほひへたらけ」ハムハム
律「なら良いんだけど……」
澪「何故通じてるんだ」
律「愛がゆえに……かな」
澪「おめでとう」
唯「」ハムハムハムハム
澪「それじゃあ通訳、これはどういうことなんだ?」
律「んなこと分からねえって」
17:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/24(金) 18:30:31.78:ggU7bxevO
唯「……」ボー
律(唯の様子……やべぇな。やっぱキスしてたことに気付いてんのか?)
澪「……」チラッチラッ
律(澪もなんか勘付いてるっぽいし、唯には調子を戻してもらわないと)
律「唯、もっとアイス食べたくないか?」
唯「うん、欲しい欲しい!」パアッ
律(既に期待してる目だ)
律(でも奢るなんて言ったら澪までついて来そうだし)
律「もう一本買おうぜ。澪はどうする?」
澪「私はいいよ。……太るし」
律「そっか。じゃあ唯、行こうぜ」
唯「うん、行く行く!」
19:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/24(金) 18:35:07.88:ggU7bxevO
カウンター
律「んじゃー、何にする?」
唯「んーとね……シトラスキメラ!」ズビシ
律「おぉー、センスのない商品名」
律(私も好きだけどな、これ)
律「んじゃ~私はどうしよっかなぁ」
唯「あ、りっちゃんりっちゃん」チョンチョン
律「ん?」
唯「二人ででっかいシトキメ買って食べようよ。キングサイズ!」
唯「……りっちゃんと二人で食べてる夢だったんだ」ゴニョ
律(部室で見てた夢か……って、なんで耳打ちすんだよ)
21:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/24(金) 18:42:02.78:ggU7bxevO
律「まあ……そうすっか」
唯「じゃ、割り勘ね。すいませーん、店員さーん」
律(……私と一つのアイスを食べる夢を見てたのか)
律(なんか可愛いな、それ)クスッ
唯「ほえ? どうしたの?」
律「いやぁ、何でも?」ニコニコ
唯「んー? ……えへへ」
律(そういえば、私のことを「りつ」って呼んでたな)
律(唯って、妹以外にはちゃん付けだよな)
律(何の夢見てたんだ、唯……!)ジー…
唯「ありがとうございまーす」ニコニコ
唯「りっちゃん、ちょっと量オマケしてもらったよ!」
律「お、さすが唯だな」
24:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/24(金) 18:46:24.86:ggU7bxevO
律「……その代わり、スプーンは減らされたようだけどな」
唯「えへへ。まぁそこは目をつぶってね」
律(なんでやねん)
唯「……りっちゃん? 怒っちゃった?」
律「いや。唯こそ、何かあったのか?」
唯「……」ペロペロ
律「私が何かしたんなら……いや、何かしちゃったんだよな。謝るからさ」
唯「ん」
律「……うん」ペロ
唯「……」エヘ
律(なんだよ)
唯「なんでもないよ、りっちゃん」
律「っ!?」
25:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/24(金) 18:50:26.82:ggU7bxevO
唯「ぜんぜん今までどおりだし、何か変わってたとしても、りっちゃんのせいじゃないよ」
律(あ、そっちか。心を読まれたかと思ったわ)
律「本当に何でもないのか?」
唯「うん……」
律(嘘つくの下手だなオイ)
律「……」
唯「もどろ、りっちゃん」
律(ほっといていいのか……?)
律(間違いなく種をまいたのは私のはずだよな)
唯「りっちゃん」
律「ああ、はいはい」
26:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/24(金) 18:55:40.10:ggU7bxevO
澪「なんだ、律は買わなかったのか?」
唯「ううん、二人でこれ一緒に食べるんだ」
澪「なるほどな。……カラメルアイス……ぶつぶつ」
律(あ、作詞が始まっちった)
唯「澪ちゃん?」
律「あー、すぐ戻ってくるから大丈夫だって」
唯「そっか。んあ、アイス溶けちゃう」ペロン
唯「ほら、りっちゃんも食べようよ。おいふいよ」ハムハム
律「だな」
律「……」ペロッ
唯「……ん」
律(変な声出すなよ……)
27:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/24(金) 19:00:25.35:ggU7bxevO
唯「おいしいねぇー、りっちゃん」ハムハム
律「あぁ、甘酸っぱいよな。さっぱりする」
唯「ん、は……」ピチャ
律(唾つけすぎだろって)ペロ…
律(近くで見たことなかったけど、唯の食べ方ってこんなに卑しかったか?)
律(あ、つーか近い)
律「おい、ゆ……」チロッ
唯「おっとぉ、失礼しやした」
律「……き、気をつけろい!」
律(いやいや、待てよ私!)
律(もっとこう、言うべきことがあるんじゃないのか?)
澪「舌を絡めるアイス……」ブツブツ
28:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/24(金) 19:02:35.44:nUkfPPi40
澪wwwwwww
29:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/24(金) 19:05:04.47:ggU7bxevO
律「唯、あのさ……」
唯「ねぇ、りっちゃん」
律「……どうぞ?」
唯「んー……りっちゃんってさ、キスしたことある?」
律「ブフゥッ!」
ビチャア
唯「あうー……びちゃびちゃになっちゃった」
律「わ、わりぃ」
律「いま拭くから……」ゴシゴシ
唯「ん……」
律(……)
律「よし、取れたぞ」
唯「……ねぇ」
律「あぁ、わかってるよ」
30:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/24(金) 19:10:44.19:ggU7bxevO
律「……キスしたこと、あるよ」
唯「そうなんだ……誰と?」
律(いきなり核心かよっ)
律「それは……だな」
唯「うん」ジー
律(しょうがないな……)
律(この機会を逃したら、もう二度と唯に伝えられない気がする)
澪「ぶつぶつ……」
律(澪もいるけど、詩の世界に入ってるし大丈夫か?)
律「……唯だよ」
唯「……」
ボタッ
律(あーあ、まだ一口しか食ってないのによ)
32:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/24(金) 19:29:47.46:ggU7bxevO
唯「あ、っとと……落としちゃった」
唯「もう、りっちゃんが変な冗談言うから!」プンプン
律「冗談なんかじゃないんだ」
唯「……りっちゃん、目がマジだよ?」
唯「あ、そうだ。さっき舌が当たっちゃったの気にしてるの?」
唯「あんなのノーカンだよ、平気だよ!」
律「さっきじゃない……」
律「今日、部室であったこと……覚えてないか?」
唯「部室? 寝てたから全然……あっ」
律(気付いたみたいだな)
律(でも絶対誤解してるだろ、これ)
唯「私のこと……好きなの? りっちゃん」
36:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/24(金) 19:49:35.27:ggU7bxevO
澪「ん?」ピク
律(タイミング悪いぞバカ澪!)
澪「そうだな、そういう直接的な表現もたまには……」ブツブツ
律「……」
唯「答えてよ、りっちゃん……」
律「あ、あぁ……」
律(……)
律「違う。唯が私にキスしたんだ」
唯「……???」
律(まぁ解らないだろうな……)
律「何があったのか、説明するよ……」
唯「……」コクン
37:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/24(金) 19:55:21.59:ggU7bxevO
――――
唯「りっちゃん……ごめん、ね」グスン
律(……泣いちゃった)
律「ほら、せっかく落としたアイスもう一本サービスしてもらったんだしさ」
律「食べないともったいないぞ?」
唯「いらない……」
律(さすがにアイスじゃ泣きやまないよなぁ)
律「じゃあ私がもらっちゃうぞー?」
唯「……」コクン
律(参ったな……)ペロッ
律「唯、別に気にしてないからさ……」
律「むしろ悪かったって思ってる。唯のファーストキスもらっちゃってさ」
39:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/24(金) 19:59:22.82:ggU7bxevO
律「……」ハム
唯「……」
律「あ、そっか。初めてとは言ってなかったか」
唯「ううん、ファーストキスだった」
律「そ、そう……」
律「つーか、カウントすんのな」
唯「そりゃそうだよ……」
律「……悪かった」
律「下手にちょっかい出したせいで、お節介焼いたせいで……」
唯「ううん、りっちゃんのこと責めてるんじゃないの」
唯「ただ……!」ズビッ
律(……)
40:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/24(金) 20:05:02.44:ggU7bxevO
唯「……りっちゃんが好きでっ」
律(……はっ?)
唯「でも、りっちゃんには拒否されちゃったんだね、私……」ポロポロ
律「お、おい?」
唯「ぐっ、ひぃ……ふ、ふられ……」グシグシ
律(こんなところで大泣きされたらさすがに……)
律「あー、落ち着け落ち着け!」ギュッ
唯「うぅ……」プルプル
律(……震えるなよっ)
律(震えないで!)
律(弱さを見せつけられるのは嫌なんだっつーの……)
律「……だーれが唯をふるって言ったよ」ナデナデ
唯「え……?」
41:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/24(金) 20:10:24.57:ggU7bxevO
律「私は、唯なら良いよ」
唯「りっちゃん……?」
律(……)
律「いや……私も唯が好きなんだ。だからそんな顔をすんなよ」
律(どうしてだろう、唯の泣き顔は澪と一緒で……見ていると心苦しい)
唯「……」ゴクン
唯「り、りつ……」
律「……なんだ?」
唯「それなら、律って呼んでも……いいかな?」
律「……ああ、もちろん良いよ」
唯「つ、付き合ってくれる?」
律「当たり前だ。好きなんだから」
律(……)
42:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/24(金) 20:16:10.42:ggU7bxevO
律「わりぃ、今日はちょっと帰るわ」ガタッ
律「アイスやるよ。……食べかけだけどな?」
唯「ほんと!?」パアッ
律(私が好きだって言ってやった時より嬉しそうじゃねーか)
律「ほんとほんと。じゃあまた明日な、唯」
唯「うん、またね! もぐ……」ハムハム
律「ま、その方が唯らしくていいけど」
律(私も自覚させられなくて気が楽だ)
唯「ん?」
律「鼻の頭にアイスがついてるって言ったの」
唯「お? あ……」ゴシゴシ
44:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/24(金) 20:20:29.18:ggU7bxevO
律「じゃあな。澪もまた明日」
澪「へっ? あぁ、帰るんだ……」
律「ん」
スタスタ
「またお越しくださいませー」
ウィーン
律「さみっ」ブルッ
律「はぁ~」
律「……」
律「おぉ、バイバーイ」パタパタ
律「……」
律「……ははっ」
スタスタ…
45:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/24(金) 20:25:31.69:ggU7bxevO
――――
アイス屋
唯「……」サクッ…
澪「……唯、やっぱり気付いちゃってるか?」
唯「澪ちゃんには分かるんだ」
澪「まあな。幼馴染だしさ……嘘を吐くときのクセとか、やっぱりあるもんだよな」
澪「人に言ったりしないけどさ」
唯「……はぁ」
唯「私……悲しいな」
唯「夢の中じゃ、上手くいったのに……現実は非情だね」
澪「唯……」
唯「夢でしたキスは、柑橘系の甘酸っぱい味だったな」
唯「本当のファーストキスは、どんな味だったのかなぁ……」
46:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/24(金) 20:30:56.36:ggU7bxevO
澪「……バカ律には、よく言っておくよ」
澪「二度とこんな嘘はつくんじゃないって」
唯「うん、ありがとう澪ちゃん……」
澪「……」
唯「……へへ。でもこれで、かんぺきに終わっちゃったな」
唯「優しくしてくれて、ちょっと嬉しかったけど」
唯「りっちゃん……」
澪「唯、泣いてもいいんだぞ?」
唯「ううん。泣けないよ」
唯「りっちゃんが止めてくれた涙だもん。こぼしたらもったいないよ」
澪「……」
澪「男冥利に尽きるって奴だな……女だけど」
48:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/24(金) 20:35:37.68:ggU7bxevO
翌日
ガチャ
唯「……」
律(唯が寝てる……)パタン
律(付き合うことになった、んだよな)
律(……要するに)スッ
律(これがお約束ってことか?)
唯「……」
律「ん」チュ
唯「……」
律(やっぱ唯の唇、やわらかいな)
律(舌も……ちょっとしか触ってないけど、なんかゾクゾクするんだよなぁ)
律(……入れちゃうか?)
49:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/24(金) 20:43:08.01:ggU7bxevO
唯「ん、ふぅ」モゾッ
律(あ、起きた)
唯「んうー……」パチ
律「……」チュッ
唯「……りっちゃん?」
唯「やもぉっ」モガッ
律「ん、はっ……」チュパ
唯「んふぅ!? あ、やえらよ、りっはん……」
律(きもちいっ……)チュ クチュル
唯「んぅ、あ、んはぁん」トロォ
律「唯、もっと舌動かせっ」
唯「くふっ、ん、んうっ」ニュル
律(これだ、これならっ!)チュウッ
54:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/24(金) 20:50:00.63:ggU7bxevO
唯「はー、あー……」
律(唯の舌……ぷにぷにしてるし、おいしいな)チュチュゥ…
律(いつもうまいもんばっか食ってるからか?)チュポン
唯「り……っちゃん」
律「へへっ」ニコ
唯「だめだよ、こんなこと……」
律「何がいけないんだよ。恋人同士なんだからさ」
律「早いかもしれないけど、そもそも昨日すませてるだろ?」
唯「……そっか、そうだったね」
律「? 暗い顔すんなよ。唯」グッ
律(かわいい唇……)チュム
唯「……ん」
55:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/24(金) 20:55:52.75:ggU7bxevO
律「な?」
唯「りっちゃん……」
律「だから、律って呼べって」
唯「……うぅ」
律「まーた暗い顔する」
唯「だって!」
律(ったく、何だよ)
律「私は唯とキスしたいんだよ。ほら」
唯「んぁう……」ムグッ
律(すげぇ、やべっ……最高すぎる)ヌチャ チュ
唯「んはあぁ、はぁふっ!」チュ…プチュ
律(唯がノってきた……うあっ、これ……)
56:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/24(金) 21:00:22.71:ggU7bxevO
律(あ……? なんか、頭が働かない……)
唯「りつ、りふぅ」ヌチュッ チュルル…
律(意識が、飛ぶ……)
チュポッ チチュポッ
――――
紬「りっちゃん!」ユサユサ
律「あ……?」パチ
梓「律先輩、大丈夫ですか!?」
律「あ、ああ……なんだ?」ヌチャ
律(……ぬちゃ?)
紬「りっちゃん、意識はしっかりしてる? 私が見える?」
律「へ? うん、まぁ……」
律「なんか、右半身ぜんぶくらい……よだれか? べっちゃべちゃになってるけど」
57:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/24(金) 21:05:23.07:ggU7bxevO
梓「良かったです……ムギ先輩と一緒に来たら、律先輩が机に倒れてて」
紬「たくさん涎が出てたから、ひどい病気なんじゃないかと思ったんだけど、ただ寝てただけみたいね」
律「あぁ……そっか、寝てたのか」ゴシゴシ
律「……え? 寝てたのか?」
梓「律先輩、本当に大丈夫ですか?」
律「いや……今までのぜんぶ、夢だったのか?」
紬「ええと……? りっちゃん、夢みてたの?」
律「……どうもそうっぽいな。あー、気分悪い」
梓「律先輩……辛い夢でも見たんですか?」
律「……悪い、それは訊くな。心の中にしまっておきたい」
律(私の心の中だけ、って訳じゃないがな)
梓「そうですか……すいません」
59:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/24(金) 21:10:14.36:ggU7bxevO
紬「りっちゃん、今日は……」
律「あぁ……わり、今日は部活休むわ」
紬「そうしたいなら、そのほうがいいわね」
律「ん……じゃあ」ガチャ
パタン
律「……」モヤモヤ
律(……夢だったのか)
律(舌とか、くちびるの感触……すげぇリアルだった)プニプニ
律(……既にやべぇ)
タタッ
律(唯、どこだ?)
律(夢と同じように……唯に最低なことしようとしてるって自覚はあんのにな)
律(やべぇよ、私。狂ってる……)
61:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/24(金) 21:18:15.50:ggU7bxevO
カチカチカチ
律(電話しよ)プルルルル
律(……)
律(……?)
律(……)
律(出ないか?)
唯『もしもし……』
律(お、出た)
律「唯? いまどこにいるんだ?」
唯『……トイレ。あ、ごめん、今日は部活休ませてね』
律「そんなら丁度いいや。一緒に帰ろうぜ」
唯『……えっ』
律「じゃ、校門で待ってるから。……そいじゃ」カチ
63:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/24(金) 21:22:54.40:ggU7bxevO
校門前
律(ずっと夢を見ていた。私が私を見ていた……んだな)
律(唯には下手な情けをかけてひどいことしたけど……夢でよかった)
律(夢じゃなかったら、あれから唯をどんどん傷つけていっちゃったんだろうな)
律(いや、もう傷つけたかも……)
律(ただ……ただキスは気が狂うくらい気持ちよかった)
律(唯、まだかな……)キョロ
唯「りっちゃん」
律「のわぁっ! いたのか! ……びっくりした」
唯「今ちょうど来たとこだよ」
律「そっか……まぁ帰ろうぜ」
唯「ん、そうだね」ギュ
律(お、手握ってきた……)
64:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/24(金) 21:27:58.82:ggU7bxevO
律(こんな自然に指からめてきやがって……恋人繋ぎってやつ?)
律(あー、なんか唯の指とか握力とかすら気持ちいい)
律(水着で抱き合ったりとかしてるのにな。その時は何とも思わなかったけど)
律(思い返せば、あれも気持ちよかったかも……?)
唯「りぅ……りっちゃん、なんか話そうよ」
律「え? あ、そうか」
律(やべ、トリップしてた)
律「そういえば、今日はなんで部活休むんだ?」
唯「あ、えーっと。なんだか眠くって」
律(なんつー理由だよっ!?)
律(でも私も似たようなもんか)
律「お前なぁ……」
66:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/24(金) 21:34:45.05:ggU7bxevO
テクテク
唯「ぶー……りっちゃんこそ、今日はなんで休むの?」
律(あー、どうしよっかな)
律(唯に注意した手前、私も眠いだけとは言いにくいな)
律(いっそ、ここは)
律「唯と一緒にいたかったから、かな」
唯「りっちゃん……」
律(おぉ、手に力が入ったな。軽く汗もかいてる)
律(歯の浮くセリフを言ってやれば、こんな感じになるのか)
律「唯、かわいいな」
唯「えへへ……照れるよりっちゃん」キュッ
律(……やばい、萌える)
67:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/24(金) 21:37:21.44:ggU7bxevO
律(……)
律「なぁ、私の家の方が近いしさ。ちょっと休んでかないか?」
律「眠いだろ、唯……?」
唯「あ……」
律(すごいな。唯がドキドキしてんのが見てるだけで分かる)
律(……かわいすぎるな)
律「どうする?」
唯「……」
律「じゃいいや。嫌って言っても連れてく」グイッ
唯「ああっ……」トテテ
律(もう、我慢できねぇよ……)
唯「い、行くから……行くから、そんなに強く引っ張らないで!」
律「……」ニヤ
68:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/24(金) 21:42:01.47:ggU7bxevO
――――
律の部屋
律「皺になるから制服脱いどけよ」
唯「う、うん」プチ
律「……いや、やっぱ私が脱がす」
唯「あぅ……」
唯「ね、ねぇりっちゃん……するの?」
律「……何をだ? 唯にベッドを貸してやるだけだ」ゴソゴソ バサッ
唯「そ、そだよね! 変なこと言ってごめんね?」
唯「よいしょ……」モゾモゾ
律(ほら、早く眠れよ)フフッ
唯「えへへ、りっちゃんのベッド……」
唯「枕、りっちゃんの匂いがする……安心するね」スンスン
69:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/24(金) 21:46:37.93:ggU7bxevO
唯「いいにおいだなぁ……」
律(こいつ……誘ってるとしか思えないって)
律「なんなら私が添い寝してやろうか? ん?」
唯「そ、それはいいよ……寝れなくなっちゃう」
律「唯。そこは私のベッドなんだぞ?」
唯「わ、分かってるよ! ……え、何? どういうこと?」
律「所有権がないってことは拒否権もなし、って訳だな」ゴソッ
唯「り、りっちゃん、入って来ちゃだめぇ……」
律「いいじゃんか。おやすみ、唯」
唯「あぁう……だめなのに」
律「照れちゃってもう、かーわいいなぁ」ダキッ
律(さて、寝たふり寝たふり)
律「すー……すー……」
71:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/24(金) 21:50:53.36:ggU7bxevO
唯「ちょ、りっちゃん……寝る前に離れてよう」モゾモゾ
律(やーだよん)ギュウッ
律「すん、すん……ふすー」
律(いい匂いだな……)
唯「ね、寝ちゃったのかな。ほんとに」
唯「り……りっちゃん?」プニプニ
唯「……」
律(近づいてきた……?)
唯「はぁ、はぁ……」
律(唯の息が顔にかかってる)
律(ま、まさか……唯から来るか?)ドキドキ
唯「……」ゴクッ
唯「だめ、だめ……」
72:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/24(金) 21:54:08.99:ggU7bxevO
律(来ない……か?)
唯「ふ、ふぅ……」
律(息の感じからして、唯の顔はここにあるな)
律(ちょっと近づいてやるか)モゾッ
唯「ひぇ!」
律(明らかに息が荒くなった)
律(唯もドキドキしてるな)
唯「りっちゃん……」
律(あぁ、唇が乾く……)ペロッ
唯「う……うぅ」
唯「……ごめんね、起きちゃだめだよ」ナデ
律(約束はできんな)
唯「好きだよ、りっちゃん……」
律(えっ?)チュッ
74:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/24(金) 21:58:08.96:ggU7bxevO
律(……そう、なのか)
律(まぁそりゃそうだよな。何の感情もなかったら、目の前で寝られたってキスしたいとは思わんわな)
唯「んむ……ちゅぅ」
律「ん……」
律(声が、でちゃう)
唯「!」バッ
律(あっ、逃げられた……)パチ
唯「ふー、ふー……」プルプル
律(何してんだ? 寝たふり……なのか、これ?)
唯「ぐぅ、ぐぅ」
律(そのつもりらしいな)
律「あれー、寝てたか……」シラッ
律「……唯ももう寝てるか」
75:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/24(金) 22:04:15.99:ggU7bxevO
律「……寝てるよな?」ツン
唯「ぐぅぐぅ……」
律「よし、大丈夫そうだな。……よいしょっと」ギュッ
唯「んん……」
律「唯の寝顔かわいいなぁ、ほんと」ナデナデ
唯「……」プルプル
律「ちっちゃいけど綺麗な唇だな……グロスも塗ってないくせに」
律「こんな、ぷるぷるでつやつやで……おいしそう」
唯「……」ドキドキ
律「寝てるよな」
律「起きるなよ、唯……」スッ
唯「……」ドキドキドキ
76:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/24(金) 22:08:09.32:ggU7bxevO
律「ごめんな……我慢できないよ、唯」
律「んっ」チュゥ
唯「んふ……」
律(これが唯のくちびる……)
律「あぁ、すげぇ……あむっ」
唯「んぅ、あ……」
律(舌も入れちゃお)ニュム
唯「ふむ、あぁう……それらめぇ」
律「んぢゅ……あ、おいしぃ……唯」
唯「んんうぅー……!」
律(唯の口、あったかくて……舌がきもちくなる……)
律(意外と歯並びいいなぁ。つるつるだし、歯を舐めるのもいいな)
77:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/24(金) 22:13:15.24:ggU7bxevO
唯「んぶ、あぁ……」
唯「もっ、りっひゃ……んんっ!」ガバッ
律(うおっ……)
唯「ごめん、りつ……ごめんね」
律「ごめんって……むぐっ!」
律(やばいやばい、また意識飛ぶって……)
律(……また?)
唯「りふぅ、りふぅ……」ピチャピチャ
律(あ、だめ……きもちよすぎてなんも考えられな……)
律「っ、く、あはぁっ!」ビクビクッ
唯「んううっ……律ももっと舌出してよぉ!」
律「やだあっ、そしたらおかしくなっちゃう……!」
唯「出してよう……!!」
78:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/24(金) 22:18:31.10:ggU7bxevO
――――
コンコン ガチャ
聡「姉ちゃん、めし……」
律「……」ジロ
聡「I see」
パタン
律(聡よ、お前は大きな勘違いをしている)
律(だが訂正してやるのもめんどくさい。あと人の裸を見た以上、一言謝るくらいしろ)
律(……)
律(……落ち着いて考えると、やっぱりあれは夢じゃなかった)
律(昨日部室やアイス屋であったことは全部現実で)
律(私が中途半端な優しさ……いや、自己満足で唯を傷つけたことも)
律(付き合うことになったのも、部室でディープキスしたのも、全部現実……)
80:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/24(金) 22:22:45.45:ggU7bxevO
律(……)ハァ
律(いや、実際……私は唯のことが好きになりかけてるんじゃないか?)
律(エロいキスは失神するくらい気持ちいいし……)
律(律って呼び捨てにされると心が高ぶる)
律(セックスは何回イッても満たされないくらい欲してた)
律(唯と一緒にいるのはすごく楽しいし……)
律(そうだな。唯のことが好きなんだよ)
律(……今なら本気で好きだって言える気がする!)
ブー ブー
律「っ、なんだよこんな時に……」
律「よっと……澪か。もしもし?」
澪『律……気分はどうだ? 倒れたって聞いたけど』
律「あぁ、どうってことないよ」
81:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/24(金) 22:26:16.79:ggU7bxevO
澪『そうか……』
律「なんだよ、心配してくれたのか?」
澪『いや、時候の挨拶みたいなものだな』
律「ひでぇな……っくしゅん」
澪『おい』
律「あー……体冷やしちゃったみたい」
律「待っとけ、いま服着るから」
澪『なんで裸なんだよ』
律(……)
律「知りたいか?」
澪『別に興味はないぞ』
律「あ、そ」
82:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/24(金) 22:30:49.74:ggU7bxevO
律「よいしょ……ふぅっ。それで? 本題はなんなんだ?」
澪『単刀直入に訊くぞ。……唯とのこと、どうするつもりなんだ?』
律「……あぁ」
律「そりゃあ、これからも付き合い続けるさ」
澪『……それでいいのか? 良いと思うのか?』
律「確かに私は、唯のことが好きじゃないのに告白を了承したよ」
律「でも、よく考えてみてさ、私は唯に惹かれてるんだと思うんだ」
澪『律……そういうのはさ』
律「一時の気の迷いかもしれない。でも、澪には言われたくない」
律「私の気持ちの話だ。澪に否定されることじゃない」
澪『悪いけど、唯と約束したんだ。律が二度と嘘をつかないように懲らしめるって』
律「二度とあんな嘘は言わない」
律「それに……もう一度同じ言葉を言ったとしても、嘘にはならない」
律「私は唯を愛してるから」
83:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/24(金) 22:39:03.61:ggU7bxevO
澪『……分かったよ。律を信じてみる』
澪『けど、律のほうでももう一回、自分の考えを整理してみて欲しい』
律「整理した結果なんだってば」
澪『もう一回だよ。唯のことを考えるなら……』
律「そうか? ……まぁ、そこまで言うんだったら」
律「少し、考えるよ……」プツッ
ツー ツー
律(また唯を傷つけるところだったんだろうか……)ポイッ
律(でも、私は……確かに唯を求めているはずだ)
律(……「求めている」と「好き」は違うってか?)
律(違うって話はよく聞くけどさ、どう違うって言うんだよ)
律(セックスとかキスができるって、好きってことの証明じゃないのかよ)
律(私には分かんねえよ。そんな厄介なこと、私に理解しろってか)
84:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/24(金) 22:44:03.51:ggU7bxevO
律(だけど、澪があそこまで言うなら……やっぱりおかしいのか?)
律(いや……だからって。分からないからって、付き合ったら駄目なのかよ)
律(唯のことが好きなんだ。唯も私を好きだって言ってくれた)
律(それなのに、はっきりしない事のせいで引き離されちゃたまんねぇよな)
律(私に分かんないんだ。澪にだって分かっちゃいないだろ)
律(それこそ、私たちで確かめていくことなんだ)
律(……唯とメールでもしようかな。携帯、携帯っと)モソモソ
律(お、既に唯から来てたっていう)ニヤ
パッ
唯『お友達になろう?』
律(……)
律(嘘だ……)
律(こんなの嘘だ)
85:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/24(金) 22:49:10.40:ggU7bxevO
平沢家
ピンポーン
ピポピポピンポピンポーン
律「……」イライラ
ガチャ
憂「律さん……どうしたんですか? こんな遅い時間に……」
律「ごめん、憂ちゃん。唯と話をさせてくれ。二人っきりでだ」
憂「良いですけど……ひぇっ」
律「サンキュ、上がらせてもらうよ」バタバタ
憂「あ、ちょっと……」
憂「……もうっ」
88:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/24(金) 22:55:32.96:ggU7bxevO
ダダダダダダダッ
バタンッ
唯「きゃっ!?」
律「よう……唯」
唯「りっちゃん……び、びっくりしたよ」
律「びっくりしたのはこっちだ! なんだよ、あのメール!」
唯「だって……」
律「……なんだよ」
唯「りっちゃんは……うそつきだから」
律(唯まで同じことを言うのかよ)
唯「ううん、私がうそを言わせちゃったんだよね。りっちゃんは優しいから」
律「嘘なんかついてない! どうして誰もかれも私を嘘吐き呼ばわりするんだよ!」
89:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/24(金) 23:00:46.02:ggU7bxevO
律「なんなんだよ、どうして私の気持ちの問題を嘘って決めつけられるんだ!」
律「なんで嘘なんだ、どうして好きだって言ってるのに信じてくれない!」
律「確かに最初は、唯のことを好きじゃないって言ったよ」
律「アイス屋で唯に告白された時は、唯を見捨てられないって気持ちが一番だったと思う」
律「私は嘘を吐いたんだと思う……」
律「でも、今は本当に唯のことが好きなんだ。好きで好きでたまらない!」
律「その気持ちを唯は知ってるだろ? ベッドの上で一緒に確認しただろ?」
唯「……」
律(何が言いたいんだよ、その顔)
律「何とか言えよ。私の気持ちが嘘だって、理性的に証明してみせろよ」
唯「そんな嘘の暴き方、探偵ドラマじゃないんだから……」
唯「むしろ真逆だよ。本能でしかわかんない」
90:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/24(金) 23:05:29.76:ggU7bxevO
律「……」
唯「りっちゃんとエッチして、それこそはっきり分かっちゃうんだ」
唯「りっちゃんはやっぱり、私のことが好きなんじゃないんだなって」
律(どうなってるんだ。セックスって……)
律(セックスって愛を伝える最強手段じゃないのかよ)
唯「上手な説明はできないけど、りっちゃんの表情とか息遣いとか言葉とか……」
唯「りっちゃんは私が好きでエッチしてるっていうより」
唯「エッチが好きで私とエッチしてるって感じがする」
律「……」
唯「そう思わない?」
唯「いいんだよ、エッチが好きでも。私だって、りっちゃんとエッチするのは好きだもん」
唯「けど……それは感じるってだけで、気持ちいいっていうのとは違う」
唯「りっちゃんは、心じゃなくて体が触れ合うことを望んでいるから、かな」
91:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/24(金) 23:10:10.62:ggU7bxevO
唯「それは私も、だけどね」
唯「心を触れ合わそうとすると、ちくちくするから」
律(……図星かも知れない)
律「唯……ごめん」
唯「謝ることないよ! そもそも私がりっちゃんに強要しちゃったようなもんだもん」
唯「私こそごめん!」
律(唯……)
律(……どうしよう)
律(唯との付き合いは、やっぱり続けたい)
律(けど、私のこの気持ちを形作っているのは……性欲にすぎないのか?)
律(同情でも、愛でもなく)
律(そんな心のままで唯と付き合うのも、同情と同じくらい失礼だよな)
律(……でも)
93:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/24(金) 23:15:54.04:ggU7bxevO
律「だけど、やっぱり」
唯「?」
律「どう言われても、私は唯が好きだよ……」
唯「……むぅ」
律「この気持ちが恋愛感情じゃないなんて、納得いかない」
律「一人のことばっかこんなに考えてるのは初めてだし、唯のこと考えると何も手につかなくなる」
唯「それは私と一緒だね」
律「唯……続けようよ。今は唯が触れ合いたいような心にはなれないかもしれない」
律「けど、私は唯が好きだと思ってる」
律「唯が欲してるような「好き」って気持ちには足りないかもしれないけど……」
律「私の中途半端なこの気持ちが、唯を余計に傷つけるのかもしれないけど……」
唯「うん……」
律「私は、唯と付き合ってたい。それでいつか、唯が気持ちよくなれるような心を持ちたいよ」
95:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/24(金) 23:20:02.36:ggU7bxevO
唯「……」
律「それまで時間はかかると思う」
律「だけど、唯が好きだから。私だって気持ちを返したいんだ」
唯「……りっちゃん」
律「うん?」
唯「間違えた……律」
律「唯……」
唯「ひとくち、ちょうだい」
律「……いいのか?」
唯「ヤボだよ、律」
律「まあ、それもそうか」
律(一件落着、か?)
チュッ
96:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/24(金) 23:24:19.92:ggU7bxevO
ある日の音楽準備室
ガチャ
唯「すぴー」
律(唯が寝てる……)パタン
唯「くかー」
律(……)スッ
唯「……りう」ムニャムニャ
律(幸せそうな寝顔だな、やっぱ)
唯「ちゅー……」
律(……かわいいなぁ)
唯「ちゅーうー……」
律(かわいすぎるなぁ)
98:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/24(金) 23:31:13.74:ggU7bxevO
唯「……」
律(……)
唯「う、ひぅっ……」プルプル
律(泣くなよ!?)
律(そ、そんなにキスしたかったのか……?)ナデナデ
唯「うぅ……」
律(つーか夢の中じゃキスしてもらえなかったのね)
律(とはいえ不意打ちでキスくらわすと唯は暴走するからなぁ)
律(結果として私の意識もなくなるわけだよ)
律(……んー、まぁ二本指でいいか)ピトッ
唯「ふっ……んー♪」チュゥ
律(バカわいい)
99:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/24(金) 23:36:04.99:ggU7bxevO
唯「んっ」ニュル
律(早速舌が入ったか)
律(人のことは言えないけど、唯も相当好きだよなぁ)
唯「はふ、ふぅっ」ピチャピチャ
律(この指は後でおいしく頂くとしよう)
唯「は、じゅるぅ……んふ」
律(なんか動物園のふれあいコーナーみたいな感じだ)
律(手のひらに餌のっけて山羊とかに食わせるあれ)
律(今度唯にマーブルチョコとかでやってみるか)
律(……あ、そうだ。チョコボール持ってたんだ)ゴソ
唯「んうっ」グイッ
律(ちょっと待ってなちゃいねー)クエックエッ
律(はい、ご飯でちゅよー)
100:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/24(金) 23:40:20.06:ggU7bxevO
唯「ん、はむ……」モガモガ
律(おぉ、食った……)
律(思った以上に……なんかもう、ピッタリだな)
唯「むぐ……?」ピクッ
律(あ、さすがに起きるか?)
唯「……」スンスン
唯「!」ガシッ
律(ぬわっ)
唯「はふ、ふっ」ベロベロ
律(いやああああああ)
律(チョコレートでベトベトするうぅ)
101:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/24(金) 23:45:07.43:ggU7bxevO
唯「んふー♪」スヤスヤ
律(……私の右手がまっ茶色に)ベッチョリ
律(ん)ペロッ
律(あまっ。……当たり前か)
律(……)ペロペロ
唯「はぁ……ぐぅ」
律(……すげぇイケない事してる気分にさせられるな)ペロペロ
律(んっ……)ズヂュ…
律(……なんかもう、めんどくさいな。キスしちゃおうか?)
唯「……えへへ」タラー
律(……)
律(やっぱ、もう少し寝顔を見ていたいな)
おしまい
102:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/24(金) 23:46:22.68:VdhcGqsxO
なんかすごいドキドキした
105:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/24(金) 23:47:52.00:gGsWM9Gt0
うおおお
おつ!!
唯「ん……」ペタペタ
律(デコさわんな)
唯「えへへぇ」ニヘラ
律(……幸せそうな顔してんな)
唯「……」ガシッ
律(おいっ)
唯「んー……」
律(待ってって!)
律(私のデコの初めてが!)
唯「ちゅっ」
律(ああああああああ)
律(唯め……)
唯「……」
律(つーか、そろそろ離しておくんなまし)
唯「あいふー」ガジガジ
律(齧るなげっ歯類)
律(おい、ツバが垂れてきてるし……ハンカチどこだ)ゴソゴソ
唯「ん……」ペロペロ
律(デコ舐めるなって!)グイッ
唯「へへへ……」ペロペロ
律(……机を舐めはじめちゃったよ)フキフキ
律(ちょっと、これを放っておくわけには)
律「ほら、こっち向け」スッ
唯「ん、おでこぉ」ペロペロ
律(世話が焼けるな……)
律(でもなんか落ち着くかも)
律(あったかくて柔らかいなぁ)
律(さすがにベトベトすんのは気持ちわりいけど)
唯「ふん、ふー」ペロペロ
律(よく舐めるな……夢の中でアイスでも食ってるのか?)
唯「りふぅ」
律(どうなんだろ)グイッ
律(!?)
唯「んー」ムチュ
律(……)
唯「ぱぁっ」チュッ
律(おい)
律(……おいおい)
唯「りひゅー」ガバッ
律(ちょ待っ)
ドタンッ
唯「むちゅちゅー♪」
律(ウェイト! この体勢はだめだ!!)
律(まだ起きてねぇのかよ!?)
唯「んうー」ニュル
律(こいつ、舌を……)
律(いい加減にしろって……!)ドンッ
唯「あうっ」
律(あぶなかった……)
唯「あー……りっちゃん?」
律「……」フキフキゴシゴシ
律「おいーっす」
唯「おいーす。んー、寝てたのかぁ。残念」ノビー
律「あ、あぁ」
唯「椅子から落っこちちゃった……のかな? えへへ」
律「びっくりしたぜ、ほんと。大丈夫か?」
唯「うん、平気だよ」パスパス
唯「りっちゃんも背中汚れちゃってる」パスパス
律「お、おう。サンキュ」
唯「りっちゃんも寝てたの? よだれ垂れてるよ」
律「もっとオブラートに包んで指摘しろよな」ゴシ
唯「りっちゃん、他のみんなは?」
律「ん? あー、何だったかな。ムギはバイトで、澪はさわちゃんに呼ばれてたと思う」
唯「あずにゃんは?」
律「またアレだってよ。何か変な……何だっけ? ラーメン丸?」
律「とにかく今日は来れないみたいだ。だからあと澪と三人だけだな」
唯「三人かぁ。もう今日の練習はやめにして、アイス屋さんいかない?」
律「よく食うなー、おい」
唯「さっきまでアイス食べる夢見てたんだ」
唯「りっちゃんと一緒に食べててさ、すっごくおいしかったのに途中で目が覚めちゃったんだもん……」
律(やっぱアイスの夢だったのか)
唯「ねぇー、行こうよりっちゃん」
律「ん? あぁ、澪が来たらな」
唯「ちっちっ、りっちゃん。まだまだだね」
律「はぁ?」
唯「これから練習しようって時に、澪ちゃんにそんなこと言ったらゲンコツだよ!」
唯「ここはメールで連絡を入れておいて、先にアイス屋に向かうべきだね!」
律「言われてみればそうだな……」
律(悪知恵が働くな、まったく)
律「よっし、澪は置いてくか!」
唯「おー!」
澪「誰を置いていくってぇ?」ゴゴォ
律「はっ!」
ドシャーン
律「うひょう!」
アイス屋
律「でも結局来るんだな?」
澪「だって3人じゃあんまり練習も出来ないだろうし……」ペロペロ
唯「澪ちゃん、おいしい?」
澪「……おいしいんじゃないか?」ペロペロ
律「素直じゃない子ねん」
唯「こんなにおいしいのに」ペロペロ
律「なー?」ペロペロ
澪「……どうでもいいけど、あまりべろべろアイスを舐めるものじゃないぞ。はしたない」ペロペロ
律「澪しゃん、鏡みたことありますかー」
澪「ん?」ペロ…
澪「……」ハムハム
律「バカでちゅねー」
唯「……」ハムハム
律「ん? どうした唯?」
唯「むーむ。はんえもあいお」ハムハム
律「そうか?」
唯「うん。ほっほおーっほひへたらけ」ハムハム
律「なら良いんだけど……」
澪「何故通じてるんだ」
律「愛がゆえに……かな」
澪「おめでとう」
唯「」ハムハムハムハム
澪「それじゃあ通訳、これはどういうことなんだ?」
律「んなこと分からねえって」
唯「……」ボー
律(唯の様子……やべぇな。やっぱキスしてたことに気付いてんのか?)
澪「……」チラッチラッ
律(澪もなんか勘付いてるっぽいし、唯には調子を戻してもらわないと)
律「唯、もっとアイス食べたくないか?」
唯「うん、欲しい欲しい!」パアッ
律(既に期待してる目だ)
律(でも奢るなんて言ったら澪までついて来そうだし)
律「もう一本買おうぜ。澪はどうする?」
澪「私はいいよ。……太るし」
律「そっか。じゃあ唯、行こうぜ」
唯「うん、行く行く!」
カウンター
律「んじゃー、何にする?」
唯「んーとね……シトラスキメラ!」ズビシ
律「おぉー、センスのない商品名」
律(私も好きだけどな、これ)
律「んじゃ~私はどうしよっかなぁ」
唯「あ、りっちゃんりっちゃん」チョンチョン
律「ん?」
唯「二人ででっかいシトキメ買って食べようよ。キングサイズ!」
唯「……りっちゃんと二人で食べてる夢だったんだ」ゴニョ
律(部室で見てた夢か……って、なんで耳打ちすんだよ)
律「まあ……そうすっか」
唯「じゃ、割り勘ね。すいませーん、店員さーん」
律(……私と一つのアイスを食べる夢を見てたのか)
律(なんか可愛いな、それ)クスッ
唯「ほえ? どうしたの?」
律「いやぁ、何でも?」ニコニコ
唯「んー? ……えへへ」
律(そういえば、私のことを「りつ」って呼んでたな)
律(唯って、妹以外にはちゃん付けだよな)
律(何の夢見てたんだ、唯……!)ジー…
唯「ありがとうございまーす」ニコニコ
唯「りっちゃん、ちょっと量オマケしてもらったよ!」
律「お、さすが唯だな」
律「……その代わり、スプーンは減らされたようだけどな」
唯「えへへ。まぁそこは目をつぶってね」
律(なんでやねん)
唯「……りっちゃん? 怒っちゃった?」
律「いや。唯こそ、何かあったのか?」
唯「……」ペロペロ
律「私が何かしたんなら……いや、何かしちゃったんだよな。謝るからさ」
唯「ん」
律「……うん」ペロ
唯「……」エヘ
律(なんだよ)
唯「なんでもないよ、りっちゃん」
律「っ!?」
唯「ぜんぜん今までどおりだし、何か変わってたとしても、りっちゃんのせいじゃないよ」
律(あ、そっちか。心を読まれたかと思ったわ)
律「本当に何でもないのか?」
唯「うん……」
律(嘘つくの下手だなオイ)
律「……」
唯「もどろ、りっちゃん」
律(ほっといていいのか……?)
律(間違いなく種をまいたのは私のはずだよな)
唯「りっちゃん」
律「ああ、はいはい」
澪「なんだ、律は買わなかったのか?」
唯「ううん、二人でこれ一緒に食べるんだ」
澪「なるほどな。……カラメルアイス……ぶつぶつ」
律(あ、作詞が始まっちった)
唯「澪ちゃん?」
律「あー、すぐ戻ってくるから大丈夫だって」
唯「そっか。んあ、アイス溶けちゃう」ペロン
唯「ほら、りっちゃんも食べようよ。おいふいよ」ハムハム
律「だな」
律「……」ペロッ
唯「……ん」
律(変な声出すなよ……)
唯「おいしいねぇー、りっちゃん」ハムハム
律「あぁ、甘酸っぱいよな。さっぱりする」
唯「ん、は……」ピチャ
律(唾つけすぎだろって)ペロ…
律(近くで見たことなかったけど、唯の食べ方ってこんなに卑しかったか?)
律(あ、つーか近い)
律「おい、ゆ……」チロッ
唯「おっとぉ、失礼しやした」
律「……き、気をつけろい!」
律(いやいや、待てよ私!)
律(もっとこう、言うべきことがあるんじゃないのか?)
澪「舌を絡めるアイス……」ブツブツ
澪wwwwwww
律「唯、あのさ……」
唯「ねぇ、りっちゃん」
律「……どうぞ?」
唯「んー……りっちゃんってさ、キスしたことある?」
律「ブフゥッ!」
ビチャア
唯「あうー……びちゃびちゃになっちゃった」
律「わ、わりぃ」
律「いま拭くから……」ゴシゴシ
唯「ん……」
律(……)
律「よし、取れたぞ」
唯「……ねぇ」
律「あぁ、わかってるよ」
律「……キスしたこと、あるよ」
唯「そうなんだ……誰と?」
律(いきなり核心かよっ)
律「それは……だな」
唯「うん」ジー
律(しょうがないな……)
律(この機会を逃したら、もう二度と唯に伝えられない気がする)
澪「ぶつぶつ……」
律(澪もいるけど、詩の世界に入ってるし大丈夫か?)
律「……唯だよ」
唯「……」
ボタッ
律(あーあ、まだ一口しか食ってないのによ)
唯「あ、っとと……落としちゃった」
唯「もう、りっちゃんが変な冗談言うから!」プンプン
律「冗談なんかじゃないんだ」
唯「……りっちゃん、目がマジだよ?」
唯「あ、そうだ。さっき舌が当たっちゃったの気にしてるの?」
唯「あんなのノーカンだよ、平気だよ!」
律「さっきじゃない……」
律「今日、部室であったこと……覚えてないか?」
唯「部室? 寝てたから全然……あっ」
律(気付いたみたいだな)
律(でも絶対誤解してるだろ、これ)
唯「私のこと……好きなの? りっちゃん」
澪「ん?」ピク
律(タイミング悪いぞバカ澪!)
澪「そうだな、そういう直接的な表現もたまには……」ブツブツ
律「……」
唯「答えてよ、りっちゃん……」
律「あ、あぁ……」
律(……)
律「違う。唯が私にキスしたんだ」
唯「……???」
律(まぁ解らないだろうな……)
律「何があったのか、説明するよ……」
唯「……」コクン
――――
唯「りっちゃん……ごめん、ね」グスン
律(……泣いちゃった)
律「ほら、せっかく落としたアイスもう一本サービスしてもらったんだしさ」
律「食べないともったいないぞ?」
唯「いらない……」
律(さすがにアイスじゃ泣きやまないよなぁ)
律「じゃあ私がもらっちゃうぞー?」
唯「……」コクン
律(参ったな……)ペロッ
律「唯、別に気にしてないからさ……」
律「むしろ悪かったって思ってる。唯のファーストキスもらっちゃってさ」
律「……」ハム
唯「……」
律「あ、そっか。初めてとは言ってなかったか」
唯「ううん、ファーストキスだった」
律「そ、そう……」
律「つーか、カウントすんのな」
唯「そりゃそうだよ……」
律「……悪かった」
律「下手にちょっかい出したせいで、お節介焼いたせいで……」
唯「ううん、りっちゃんのこと責めてるんじゃないの」
唯「ただ……!」ズビッ
律(……)
唯「……りっちゃんが好きでっ」
律(……はっ?)
唯「でも、りっちゃんには拒否されちゃったんだね、私……」ポロポロ
律「お、おい?」
唯「ぐっ、ひぃ……ふ、ふられ……」グシグシ
律(こんなところで大泣きされたらさすがに……)
律「あー、落ち着け落ち着け!」ギュッ
唯「うぅ……」プルプル
律(……震えるなよっ)
律(震えないで!)
律(弱さを見せつけられるのは嫌なんだっつーの……)
律「……だーれが唯をふるって言ったよ」ナデナデ
唯「え……?」
律「私は、唯なら良いよ」
唯「りっちゃん……?」
律(……)
律「いや……私も唯が好きなんだ。だからそんな顔をすんなよ」
律(どうしてだろう、唯の泣き顔は澪と一緒で……見ていると心苦しい)
唯「……」ゴクン
唯「り、りつ……」
律「……なんだ?」
唯「それなら、律って呼んでも……いいかな?」
律「……ああ、もちろん良いよ」
唯「つ、付き合ってくれる?」
律「当たり前だ。好きなんだから」
律(……)
律「わりぃ、今日はちょっと帰るわ」ガタッ
律「アイスやるよ。……食べかけだけどな?」
唯「ほんと!?」パアッ
律(私が好きだって言ってやった時より嬉しそうじゃねーか)
律「ほんとほんと。じゃあまた明日な、唯」
唯「うん、またね! もぐ……」ハムハム
律「ま、その方が唯らしくていいけど」
律(私も自覚させられなくて気が楽だ)
唯「ん?」
律「鼻の頭にアイスがついてるって言ったの」
唯「お? あ……」ゴシゴシ
律「じゃあな。澪もまた明日」
澪「へっ? あぁ、帰るんだ……」
律「ん」
スタスタ
「またお越しくださいませー」
ウィーン
律「さみっ」ブルッ
律「はぁ~」
律「……」
律「おぉ、バイバーイ」パタパタ
律「……」
律「……ははっ」
スタスタ…
――――
アイス屋
唯「……」サクッ…
澪「……唯、やっぱり気付いちゃってるか?」
唯「澪ちゃんには分かるんだ」
澪「まあな。幼馴染だしさ……嘘を吐くときのクセとか、やっぱりあるもんだよな」
澪「人に言ったりしないけどさ」
唯「……はぁ」
唯「私……悲しいな」
唯「夢の中じゃ、上手くいったのに……現実は非情だね」
澪「唯……」
唯「夢でしたキスは、柑橘系の甘酸っぱい味だったな」
唯「本当のファーストキスは、どんな味だったのかなぁ……」
澪「……バカ律には、よく言っておくよ」
澪「二度とこんな嘘はつくんじゃないって」
唯「うん、ありがとう澪ちゃん……」
澪「……」
唯「……へへ。でもこれで、かんぺきに終わっちゃったな」
唯「優しくしてくれて、ちょっと嬉しかったけど」
唯「りっちゃん……」
澪「唯、泣いてもいいんだぞ?」
唯「ううん。泣けないよ」
唯「りっちゃんが止めてくれた涙だもん。こぼしたらもったいないよ」
澪「……」
澪「男冥利に尽きるって奴だな……女だけど」
翌日
ガチャ
唯「……」
律(唯が寝てる……)パタン
律(付き合うことになった、んだよな)
律(……要するに)スッ
律(これがお約束ってことか?)
唯「……」
律「ん」チュ
唯「……」
律(やっぱ唯の唇、やわらかいな)
律(舌も……ちょっとしか触ってないけど、なんかゾクゾクするんだよなぁ)
律(……入れちゃうか?)
唯「ん、ふぅ」モゾッ
律(あ、起きた)
唯「んうー……」パチ
律「……」チュッ
唯「……りっちゃん?」
唯「やもぉっ」モガッ
律「ん、はっ……」チュパ
唯「んふぅ!? あ、やえらよ、りっはん……」
律(きもちいっ……)チュ クチュル
唯「んぅ、あ、んはぁん」トロォ
律「唯、もっと舌動かせっ」
唯「くふっ、ん、んうっ」ニュル
律(これだ、これならっ!)チュウッ
唯「はー、あー……」
律(唯の舌……ぷにぷにしてるし、おいしいな)チュチュゥ…
律(いつもうまいもんばっか食ってるからか?)チュポン
唯「り……っちゃん」
律「へへっ」ニコ
唯「だめだよ、こんなこと……」
律「何がいけないんだよ。恋人同士なんだからさ」
律「早いかもしれないけど、そもそも昨日すませてるだろ?」
唯「……そっか、そうだったね」
律「? 暗い顔すんなよ。唯」グッ
律(かわいい唇……)チュム
唯「……ん」
律「な?」
唯「りっちゃん……」
律「だから、律って呼べって」
唯「……うぅ」
律「まーた暗い顔する」
唯「だって!」
律(ったく、何だよ)
律「私は唯とキスしたいんだよ。ほら」
唯「んぁう……」ムグッ
律(すげぇ、やべっ……最高すぎる)ヌチャ チュ
唯「んはあぁ、はぁふっ!」チュ…プチュ
律(唯がノってきた……うあっ、これ……)
律(あ……? なんか、頭が働かない……)
唯「りつ、りふぅ」ヌチュッ チュルル…
律(意識が、飛ぶ……)
チュポッ チチュポッ
――――
紬「りっちゃん!」ユサユサ
律「あ……?」パチ
梓「律先輩、大丈夫ですか!?」
律「あ、ああ……なんだ?」ヌチャ
律(……ぬちゃ?)
紬「りっちゃん、意識はしっかりしてる? 私が見える?」
律「へ? うん、まぁ……」
律「なんか、右半身ぜんぶくらい……よだれか? べっちゃべちゃになってるけど」
梓「良かったです……ムギ先輩と一緒に来たら、律先輩が机に倒れてて」
紬「たくさん涎が出てたから、ひどい病気なんじゃないかと思ったんだけど、ただ寝てただけみたいね」
律「あぁ……そっか、寝てたのか」ゴシゴシ
律「……え? 寝てたのか?」
梓「律先輩、本当に大丈夫ですか?」
律「いや……今までのぜんぶ、夢だったのか?」
紬「ええと……? りっちゃん、夢みてたの?」
律「……どうもそうっぽいな。あー、気分悪い」
梓「律先輩……辛い夢でも見たんですか?」
律「……悪い、それは訊くな。心の中にしまっておきたい」
律(私の心の中だけ、って訳じゃないがな)
梓「そうですか……すいません」
紬「りっちゃん、今日は……」
律「あぁ……わり、今日は部活休むわ」
紬「そうしたいなら、そのほうがいいわね」
律「ん……じゃあ」ガチャ
パタン
律「……」モヤモヤ
律(……夢だったのか)
律(舌とか、くちびるの感触……すげぇリアルだった)プニプニ
律(……既にやべぇ)
タタッ
律(唯、どこだ?)
律(夢と同じように……唯に最低なことしようとしてるって自覚はあんのにな)
律(やべぇよ、私。狂ってる……)
カチカチカチ
律(電話しよ)プルルルル
律(……)
律(……?)
律(……)
律(出ないか?)
唯『もしもし……』
律(お、出た)
律「唯? いまどこにいるんだ?」
唯『……トイレ。あ、ごめん、今日は部活休ませてね』
律「そんなら丁度いいや。一緒に帰ろうぜ」
唯『……えっ』
律「じゃ、校門で待ってるから。……そいじゃ」カチ
校門前
律(ずっと夢を見ていた。私が私を見ていた……んだな)
律(唯には下手な情けをかけてひどいことしたけど……夢でよかった)
律(夢じゃなかったら、あれから唯をどんどん傷つけていっちゃったんだろうな)
律(いや、もう傷つけたかも……)
律(ただ……ただキスは気が狂うくらい気持ちよかった)
律(唯、まだかな……)キョロ
唯「りっちゃん」
律「のわぁっ! いたのか! ……びっくりした」
唯「今ちょうど来たとこだよ」
律「そっか……まぁ帰ろうぜ」
唯「ん、そうだね」ギュ
律(お、手握ってきた……)
律(こんな自然に指からめてきやがって……恋人繋ぎってやつ?)
律(あー、なんか唯の指とか握力とかすら気持ちいい)
律(水着で抱き合ったりとかしてるのにな。その時は何とも思わなかったけど)
律(思い返せば、あれも気持ちよかったかも……?)
唯「りぅ……りっちゃん、なんか話そうよ」
律「え? あ、そうか」
律(やべ、トリップしてた)
律「そういえば、今日はなんで部活休むんだ?」
唯「あ、えーっと。なんだか眠くって」
律(なんつー理由だよっ!?)
律(でも私も似たようなもんか)
律「お前なぁ……」
テクテク
唯「ぶー……りっちゃんこそ、今日はなんで休むの?」
律(あー、どうしよっかな)
律(唯に注意した手前、私も眠いだけとは言いにくいな)
律(いっそ、ここは)
律「唯と一緒にいたかったから、かな」
唯「りっちゃん……」
律(おぉ、手に力が入ったな。軽く汗もかいてる)
律(歯の浮くセリフを言ってやれば、こんな感じになるのか)
律「唯、かわいいな」
唯「えへへ……照れるよりっちゃん」キュッ
律(……やばい、萌える)
律(……)
律「なぁ、私の家の方が近いしさ。ちょっと休んでかないか?」
律「眠いだろ、唯……?」
唯「あ……」
律(すごいな。唯がドキドキしてんのが見てるだけで分かる)
律(……かわいすぎるな)
律「どうする?」
唯「……」
律「じゃいいや。嫌って言っても連れてく」グイッ
唯「ああっ……」トテテ
律(もう、我慢できねぇよ……)
唯「い、行くから……行くから、そんなに強く引っ張らないで!」
律「……」ニヤ
――――
律の部屋
律「皺になるから制服脱いどけよ」
唯「う、うん」プチ
律「……いや、やっぱ私が脱がす」
唯「あぅ……」
唯「ね、ねぇりっちゃん……するの?」
律「……何をだ? 唯にベッドを貸してやるだけだ」ゴソゴソ バサッ
唯「そ、そだよね! 変なこと言ってごめんね?」
唯「よいしょ……」モゾモゾ
律(ほら、早く眠れよ)フフッ
唯「えへへ、りっちゃんのベッド……」
唯「枕、りっちゃんの匂いがする……安心するね」スンスン
唯「いいにおいだなぁ……」
律(こいつ……誘ってるとしか思えないって)
律「なんなら私が添い寝してやろうか? ん?」
唯「そ、それはいいよ……寝れなくなっちゃう」
律「唯。そこは私のベッドなんだぞ?」
唯「わ、分かってるよ! ……え、何? どういうこと?」
律「所有権がないってことは拒否権もなし、って訳だな」ゴソッ
唯「り、りっちゃん、入って来ちゃだめぇ……」
律「いいじゃんか。おやすみ、唯」
唯「あぁう……だめなのに」
律「照れちゃってもう、かーわいいなぁ」ダキッ
律(さて、寝たふり寝たふり)
律「すー……すー……」
唯「ちょ、りっちゃん……寝る前に離れてよう」モゾモゾ
律(やーだよん)ギュウッ
律「すん、すん……ふすー」
律(いい匂いだな……)
唯「ね、寝ちゃったのかな。ほんとに」
唯「り……りっちゃん?」プニプニ
唯「……」
律(近づいてきた……?)
唯「はぁ、はぁ……」
律(唯の息が顔にかかってる)
律(ま、まさか……唯から来るか?)ドキドキ
唯「……」ゴクッ
唯「だめ、だめ……」
律(来ない……か?)
唯「ふ、ふぅ……」
律(息の感じからして、唯の顔はここにあるな)
律(ちょっと近づいてやるか)モゾッ
唯「ひぇ!」
律(明らかに息が荒くなった)
律(唯もドキドキしてるな)
唯「りっちゃん……」
律(あぁ、唇が乾く……)ペロッ
唯「う……うぅ」
唯「……ごめんね、起きちゃだめだよ」ナデ
律(約束はできんな)
唯「好きだよ、りっちゃん……」
律(えっ?)チュッ
律(……そう、なのか)
律(まぁそりゃそうだよな。何の感情もなかったら、目の前で寝られたってキスしたいとは思わんわな)
唯「んむ……ちゅぅ」
律「ん……」
律(声が、でちゃう)
唯「!」バッ
律(あっ、逃げられた……)パチ
唯「ふー、ふー……」プルプル
律(何してんだ? 寝たふり……なのか、これ?)
唯「ぐぅ、ぐぅ」
律(そのつもりらしいな)
律「あれー、寝てたか……」シラッ
律「……唯ももう寝てるか」
律「……寝てるよな?」ツン
唯「ぐぅぐぅ……」
律「よし、大丈夫そうだな。……よいしょっと」ギュッ
唯「んん……」
律「唯の寝顔かわいいなぁ、ほんと」ナデナデ
唯「……」プルプル
律「ちっちゃいけど綺麗な唇だな……グロスも塗ってないくせに」
律「こんな、ぷるぷるでつやつやで……おいしそう」
唯「……」ドキドキ
律「寝てるよな」
律「起きるなよ、唯……」スッ
唯「……」ドキドキドキ
律「ごめんな……我慢できないよ、唯」
律「んっ」チュゥ
唯「んふ……」
律(これが唯のくちびる……)
律「あぁ、すげぇ……あむっ」
唯「んぅ、あ……」
律(舌も入れちゃお)ニュム
唯「ふむ、あぁう……それらめぇ」
律「んぢゅ……あ、おいしぃ……唯」
唯「んんうぅー……!」
律(唯の口、あったかくて……舌がきもちくなる……)
律(意外と歯並びいいなぁ。つるつるだし、歯を舐めるのもいいな)
唯「んぶ、あぁ……」
唯「もっ、りっひゃ……んんっ!」ガバッ
律(うおっ……)
唯「ごめん、りつ……ごめんね」
律「ごめんって……むぐっ!」
律(やばいやばい、また意識飛ぶって……)
律(……また?)
唯「りふぅ、りふぅ……」ピチャピチャ
律(あ、だめ……きもちよすぎてなんも考えられな……)
律「っ、く、あはぁっ!」ビクビクッ
唯「んううっ……律ももっと舌出してよぉ!」
律「やだあっ、そしたらおかしくなっちゃう……!」
唯「出してよう……!!」
――――
コンコン ガチャ
聡「姉ちゃん、めし……」
律「……」ジロ
聡「I see」
パタン
律(聡よ、お前は大きな勘違いをしている)
律(だが訂正してやるのもめんどくさい。あと人の裸を見た以上、一言謝るくらいしろ)
律(……)
律(……落ち着いて考えると、やっぱりあれは夢じゃなかった)
律(昨日部室やアイス屋であったことは全部現実で)
律(私が中途半端な優しさ……いや、自己満足で唯を傷つけたことも)
律(付き合うことになったのも、部室でディープキスしたのも、全部現実……)
律(……)ハァ
律(いや、実際……私は唯のことが好きになりかけてるんじゃないか?)
律(エロいキスは失神するくらい気持ちいいし……)
律(律って呼び捨てにされると心が高ぶる)
律(セックスは何回イッても満たされないくらい欲してた)
律(唯と一緒にいるのはすごく楽しいし……)
律(そうだな。唯のことが好きなんだよ)
律(……今なら本気で好きだって言える気がする!)
ブー ブー
律「っ、なんだよこんな時に……」
律「よっと……澪か。もしもし?」
澪『律……気分はどうだ? 倒れたって聞いたけど』
律「あぁ、どうってことないよ」
澪『そうか……』
律「なんだよ、心配してくれたのか?」
澪『いや、時候の挨拶みたいなものだな』
律「ひでぇな……っくしゅん」
澪『おい』
律「あー……体冷やしちゃったみたい」
律「待っとけ、いま服着るから」
澪『なんで裸なんだよ』
律(……)
律「知りたいか?」
澪『別に興味はないぞ』
律「あ、そ」
律「よいしょ……ふぅっ。それで? 本題はなんなんだ?」
澪『単刀直入に訊くぞ。……唯とのこと、どうするつもりなんだ?』
律「……あぁ」
律「そりゃあ、これからも付き合い続けるさ」
澪『……それでいいのか? 良いと思うのか?』
律「確かに私は、唯のことが好きじゃないのに告白を了承したよ」
律「でも、よく考えてみてさ、私は唯に惹かれてるんだと思うんだ」
澪『律……そういうのはさ』
律「一時の気の迷いかもしれない。でも、澪には言われたくない」
律「私の気持ちの話だ。澪に否定されることじゃない」
澪『悪いけど、唯と約束したんだ。律が二度と嘘をつかないように懲らしめるって』
律「二度とあんな嘘は言わない」
律「それに……もう一度同じ言葉を言ったとしても、嘘にはならない」
律「私は唯を愛してるから」
澪『……分かったよ。律を信じてみる』
澪『けど、律のほうでももう一回、自分の考えを整理してみて欲しい』
律「整理した結果なんだってば」
澪『もう一回だよ。唯のことを考えるなら……』
律「そうか? ……まぁ、そこまで言うんだったら」
律「少し、考えるよ……」プツッ
ツー ツー
律(また唯を傷つけるところだったんだろうか……)ポイッ
律(でも、私は……確かに唯を求めているはずだ)
律(……「求めている」と「好き」は違うってか?)
律(違うって話はよく聞くけどさ、どう違うって言うんだよ)
律(セックスとかキスができるって、好きってことの証明じゃないのかよ)
律(私には分かんねえよ。そんな厄介なこと、私に理解しろってか)
律(だけど、澪があそこまで言うなら……やっぱりおかしいのか?)
律(いや……だからって。分からないからって、付き合ったら駄目なのかよ)
律(唯のことが好きなんだ。唯も私を好きだって言ってくれた)
律(それなのに、はっきりしない事のせいで引き離されちゃたまんねぇよな)
律(私に分かんないんだ。澪にだって分かっちゃいないだろ)
律(それこそ、私たちで確かめていくことなんだ)
律(……唯とメールでもしようかな。携帯、携帯っと)モソモソ
律(お、既に唯から来てたっていう)ニヤ
パッ
唯『お友達になろう?』
律(……)
律(嘘だ……)
律(こんなの嘘だ)
平沢家
ピンポーン
ピポピポピンポピンポーン
律「……」イライラ
ガチャ
憂「律さん……どうしたんですか? こんな遅い時間に……」
律「ごめん、憂ちゃん。唯と話をさせてくれ。二人っきりでだ」
憂「良いですけど……ひぇっ」
律「サンキュ、上がらせてもらうよ」バタバタ
憂「あ、ちょっと……」
憂「……もうっ」
ダダダダダダダッ
バタンッ
唯「きゃっ!?」
律「よう……唯」
唯「りっちゃん……び、びっくりしたよ」
律「びっくりしたのはこっちだ! なんだよ、あのメール!」
唯「だって……」
律「……なんだよ」
唯「りっちゃんは……うそつきだから」
律(唯まで同じことを言うのかよ)
唯「ううん、私がうそを言わせちゃったんだよね。りっちゃんは優しいから」
律「嘘なんかついてない! どうして誰もかれも私を嘘吐き呼ばわりするんだよ!」
律「なんなんだよ、どうして私の気持ちの問題を嘘って決めつけられるんだ!」
律「なんで嘘なんだ、どうして好きだって言ってるのに信じてくれない!」
律「確かに最初は、唯のことを好きじゃないって言ったよ」
律「アイス屋で唯に告白された時は、唯を見捨てられないって気持ちが一番だったと思う」
律「私は嘘を吐いたんだと思う……」
律「でも、今は本当に唯のことが好きなんだ。好きで好きでたまらない!」
律「その気持ちを唯は知ってるだろ? ベッドの上で一緒に確認しただろ?」
唯「……」
律(何が言いたいんだよ、その顔)
律「何とか言えよ。私の気持ちが嘘だって、理性的に証明してみせろよ」
唯「そんな嘘の暴き方、探偵ドラマじゃないんだから……」
唯「むしろ真逆だよ。本能でしかわかんない」
律「……」
唯「りっちゃんとエッチして、それこそはっきり分かっちゃうんだ」
唯「りっちゃんはやっぱり、私のことが好きなんじゃないんだなって」
律(どうなってるんだ。セックスって……)
律(セックスって愛を伝える最強手段じゃないのかよ)
唯「上手な説明はできないけど、りっちゃんの表情とか息遣いとか言葉とか……」
唯「りっちゃんは私が好きでエッチしてるっていうより」
唯「エッチが好きで私とエッチしてるって感じがする」
律「……」
唯「そう思わない?」
唯「いいんだよ、エッチが好きでも。私だって、りっちゃんとエッチするのは好きだもん」
唯「けど……それは感じるってだけで、気持ちいいっていうのとは違う」
唯「りっちゃんは、心じゃなくて体が触れ合うことを望んでいるから、かな」
唯「それは私も、だけどね」
唯「心を触れ合わそうとすると、ちくちくするから」
律(……図星かも知れない)
律「唯……ごめん」
唯「謝ることないよ! そもそも私がりっちゃんに強要しちゃったようなもんだもん」
唯「私こそごめん!」
律(唯……)
律(……どうしよう)
律(唯との付き合いは、やっぱり続けたい)
律(けど、私のこの気持ちを形作っているのは……性欲にすぎないのか?)
律(同情でも、愛でもなく)
律(そんな心のままで唯と付き合うのも、同情と同じくらい失礼だよな)
律(……でも)
律「だけど、やっぱり」
唯「?」
律「どう言われても、私は唯が好きだよ……」
唯「……むぅ」
律「この気持ちが恋愛感情じゃないなんて、納得いかない」
律「一人のことばっかこんなに考えてるのは初めてだし、唯のこと考えると何も手につかなくなる」
唯「それは私と一緒だね」
律「唯……続けようよ。今は唯が触れ合いたいような心にはなれないかもしれない」
律「けど、私は唯が好きだと思ってる」
律「唯が欲してるような「好き」って気持ちには足りないかもしれないけど……」
律「私の中途半端なこの気持ちが、唯を余計に傷つけるのかもしれないけど……」
唯「うん……」
律「私は、唯と付き合ってたい。それでいつか、唯が気持ちよくなれるような心を持ちたいよ」
唯「……」
律「それまで時間はかかると思う」
律「だけど、唯が好きだから。私だって気持ちを返したいんだ」
唯「……りっちゃん」
律「うん?」
唯「間違えた……律」
律「唯……」
唯「ひとくち、ちょうだい」
律「……いいのか?」
唯「ヤボだよ、律」
律「まあ、それもそうか」
律(一件落着、か?)
チュッ
ある日の音楽準備室
ガチャ
唯「すぴー」
律(唯が寝てる……)パタン
唯「くかー」
律(……)スッ
唯「……りう」ムニャムニャ
律(幸せそうな寝顔だな、やっぱ)
唯「ちゅー……」
律(……かわいいなぁ)
唯「ちゅーうー……」
律(かわいすぎるなぁ)
唯「……」
律(……)
唯「う、ひぅっ……」プルプル
律(泣くなよ!?)
律(そ、そんなにキスしたかったのか……?)ナデナデ
唯「うぅ……」
律(つーか夢の中じゃキスしてもらえなかったのね)
律(とはいえ不意打ちでキスくらわすと唯は暴走するからなぁ)
律(結果として私の意識もなくなるわけだよ)
律(……んー、まぁ二本指でいいか)ピトッ
唯「ふっ……んー♪」チュゥ
律(バカわいい)
唯「んっ」ニュル
律(早速舌が入ったか)
律(人のことは言えないけど、唯も相当好きだよなぁ)
唯「はふ、ふぅっ」ピチャピチャ
律(この指は後でおいしく頂くとしよう)
唯「は、じゅるぅ……んふ」
律(なんか動物園のふれあいコーナーみたいな感じだ)
律(手のひらに餌のっけて山羊とかに食わせるあれ)
律(今度唯にマーブルチョコとかでやってみるか)
律(……あ、そうだ。チョコボール持ってたんだ)ゴソ
唯「んうっ」グイッ
律(ちょっと待ってなちゃいねー)クエックエッ
律(はい、ご飯でちゅよー)
唯「ん、はむ……」モガモガ
律(おぉ、食った……)
律(思った以上に……なんかもう、ピッタリだな)
唯「むぐ……?」ピクッ
律(あ、さすがに起きるか?)
唯「……」スンスン
唯「!」ガシッ
律(ぬわっ)
唯「はふ、ふっ」ベロベロ
律(いやああああああ)
律(チョコレートでベトベトするうぅ)
唯「んふー♪」スヤスヤ
律(……私の右手がまっ茶色に)ベッチョリ
律(ん)ペロッ
律(あまっ。……当たり前か)
律(……)ペロペロ
唯「はぁ……ぐぅ」
律(……すげぇイケない事してる気分にさせられるな)ペロペロ
律(んっ……)ズヂュ…
律(……なんかもう、めんどくさいな。キスしちゃおうか?)
唯「……えへへ」タラー
律(……)
律(やっぱ、もう少し寝顔を見ていたいな)
おしまい
なんかすごいドキドキした
うおおお
おつ!!
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