1以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 13:51:18.07:GGp02QeRP

   放課後 2年1組 教室

純「あー、部活行くのだるいなー」

梓「え、どうして?」

純「だって部活だよ、部活」

梓「楽しいじゃない、部活」

純「はい?」

梓「はい?」


 
2以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 13:52:04.17:GGp02QeRP

純「絶対変だよ、それ。だって部活だよ」

梓「純がおかしいんでしょ。私は軽音部が嫌って思った事は、一度もないよ」

憂「軽音部は、楽しそうだよね。みんな仲良いし、優しいし」

純「そう、それっ」 びしっ

 
3以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 13:52:52.67:GGp02QeRP

純「ジャズ研といっても結局は、部活のノリなのよ。先輩がいて、後輩はそれに従って。練習は厳しく、礼儀は正しく。返事は短く、はきはきと」

梓「最後のは良く分かんないけど、軽音部はそんな事無いよ」

純「だーかーらー。それは、軽音部だからでしょ。一度ジャズ研に来て、私の代わりにやってみなさいって」

憂「純ちゃん。ゆっくりしてて良いの?」

純「やばっ。と、とにかく、軽音部が羨ましい訳じゃないんだからね」 どたどたっ

 
4以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 13:53:44.30:GGp02QeRP

梓「行っちゃった。・・・軽音部って、そんなに緩いのかな?」

憂「純ちゃんが言うように、普通の部活よりは雰囲気が丸いよね」

梓(なんか、上手くごまかされた気がする)

 
5以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 13:54:42.49:GGp02QeRP

梓「私はジャズ研みたいに、しっかり練習もしたいけどな」

憂「軽音部でも、練習はしてるんだよね」

梓「まあ、一応は」

憂「その時、澪さんとかに怒られたりする?」

梓「怒られた事は・・・。無いのかな」

憂「純ちゃんの言った通りだね」

梓「もう、憂まで」 

憂「ごめん、ごめん。でも良い先輩に恵まれてるとは、私も思うよ」

梓「良い先輩、か」

 
6以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 13:55:36.54:GGp02QeRP

     軽音部部室

紬「今日はチーズケーキをホールごと持って来たの♪」 

唯「うわー♪これ、一人で食べきれるかな」

律「さらっとぼけるな、おい」

澪「ムギ、こっちの瓶は?」

紬「フルーツソースよ。ずっと同じ味だと、飽きると思って」

唯「・・・私、このソースだけで十分幸せだよ」 ぺろぺろ
 
澪「突っ込もうかと思ったけど、私も同感だ」 ぺろぺろ

 
7以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 13:56:28.34:GGp02QeRP

梓「済みません、遅れました」

律「よう。今日のデザートは、チーズケーキだぞ」

梓「こ、このサイズ?一人で食べきれますか?」

律(本気っぽいから、突っ込まないでおこう) 

 
8以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 13:57:23.66:GGp02QeRP

唯「あずにゃん、あずにゃん。このソースも、美味しいよ」

梓「フルーツソースですか。・・・何故、指を」

唯「いいから、舐めてみんさい」

梓「もう、今日だけですよ」 ぱくり

唯「どう?」

梓「え、ええ。まあ、美味しいですね」 かーっ

唯「だよねー♪」

紬「うふふ」 きらきらっ

 
11以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 13:59:18.62:GGp02QeRP

澪「でも毎日お菓子を食べてると、太りそうでちょっと怖い・・・」

律「だったら、澪のもーらい」 あーん

澪「ちょ、ちょっと。止めろー」 あむあむあむあむあむ

律「おいおい、冗談だよ。ほら、慌てて食べるから頬に付いちゃったぞ」 ひょい。ぱくっ

澪「え。ああ、ありがとぅ・・・」

律「本当、このケーキ美味しいなー」

紬「うふふ♪」 きらきらっ

 
12以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 14:00:12.40:GGp02QeRP

唯「主食だねー♪」 じゃ、じゃーん

梓「唯先輩、コード間違ってます。それと律先輩、リズム早すぎます」

唯「たはは、怒られちゃった」

律「梓様は怖いの-。こわや、こわや」 ぶるぶるっ

梓「もう。二人とも、真面目にやって下さい」

澪「まあまあ。私も上手く弾けなかったし、もう一度やってみよう」

紬「演奏をサンプリングして、聞いてみる?」

澪「ああ。梓、それで良いか?」

梓「あ、はい」

澪「だったら、今のパートからもう一回な」

梓(もしかして、怒ってるのは私だけかも) たらー

 
13以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 14:01:08.63:GGp02QeRP

唯「ごはんー♪」 じゃーん

律「今の、良かったんじゃないか」 

唯「あずにゃんがアドバイスしてくれたお陰だよ」

律「軽音部は、梓無しでは成り立たないな」

梓「もう、またそういう事を」

律「冗談、冗談。・・・ああ、申請書出すの忘れてた。ちょっと生徒会室行ってくるわ」 とたとた

唯「和ちゃんの所なら、私も-」 ぱたぱた

澪「だったら、私も行くぞ」 ぱたぱた

紬「行ってらっしゃーい♪」

梓(ムギ先輩は行かないのか。・・・でもって、二人きりか) 

 
15以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 14:02:00.48:GGp02QeRP

紬「私達も休憩しましょうか。お茶、淹れ直すわね♪」 ぱたぱた

梓「あ、はい。ありがとうございます」

紬「ふふふーん♪ふふふふーん♪」」

梓(ケーキ余ってるな。食べたいけど、さすがにソースを掛けても飽きてきたし)

紬「お待たせー」 こぽこぽ

梓「ありがとうございます。ケーキ、どうしましょうか。冷蔵庫に入れて・・・」

紬「えいっ」 ぐしゃっ

梓(ご、ご乱心ー?)

 
16以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 14:03:21.35:GGp02QeRP

紬「あ、びっくりさせちゃった?」 まぜまぜ

梓「それはその。ええ、まあ。はい」 あせあせ

紬「うふふ、ごめんなさい。ちょっと待っててね」 まぜまぜ

梓(なんか、すごい事になってきてるな。元々が美味しいから、問題はないんだろうけど)

紬「後は牛乳を少し足してと」 こぽこぽ、まぜまぜ

梓(まさか、これを食べろって言うのかな。問題はないんだろうけど、問題だよな) だらだら

 
17以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 14:04:14.98:GGp02QeRP

紬「最後にブルーベリーソースとオレンジソースをこう掛けてと」 さっ、さっ、しゃっ、すっ、さーっ

梓(うわ、なんかすごい手さばきっ。でもって、一気にアートな模様っ)

紬「お待たせー♪」

梓「なんだか、急にお洒落な食べ物になりましたね」

紬「味はどうかしら?うふふ♪」

梓「では、頂きます」 ぱくり

 
18以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 14:05:04.77:GGp02QeRP

梓(フルフルとした触感とチーズクリームのコク。それが牛乳で程良く押さえられていて、かつソースの配分が絶妙だっ)

紬「どうかしら?」

梓「すごい美味しいですっ」 はむはむ

紬「良かった♪ちょっとはしたないから普段はやらないんだけど、今日は特別にね♪」

梓「あ、ありがとうございます」

紬「梓ちゃんは、いつも素直で可愛いわね♪」

梓「は、はぁ」 かーっ

 
19以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 14:05:59.19:GGp02QeRP

梓(あー、色んな意味で堪能した)

紬「食器、片付けるわね」

梓「それは私が」

紬「だったら、一緒にやりましょうか♪」 ニコッ

梓「はいっ」 ニコッ

 
21以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 14:06:52.84:GGp02QeRP

  給湯室

紬「ふふふーん♪ふふふーん♪」 カチャカチャ

梓(後片付けなのに、楽しそうだな。お嬢様だからこういう性格なのかと思ってたけど、ムギ先輩だからこういう性格なんだろうな。
   優しくて、思いやりがあって、ちょっとへんてこで。でもって、良い匂いがして♪) くんか、くんか

紬「これで最後ね」 ふきふき

梓「はい。・・・ムギ先輩、このノートは?」

紬「持って来たお菓子の名前を書き溜めてるの。同じ物が続くとみんな困るだろうし、好みもあるから」

梓(そうだったのか。私は美味しい美味しいって、何も考えずに食べてただけなのに。偉いな-、やっぱり)

 
22以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 14:07:50.88:GGp02QeRP

紬「澪ちゃんはどちらかというと、洋菓子やケーキよね。りっちゃんは和菓子も好きかな」

梓「そう言われてみると、そうかも知れないです」

紬「唯ちゃんと梓ちゃんは何でも美味しそうに、一杯食べてくれるわよ♪」 ニコッ

梓(喜んで良いのかな、それ) たらー

 
23以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 14:08:48.66:GGp02QeRP

紬「それに、お菓子あっての軽音部でしょ」

梓「え?」

紬「ただ集まって演奏してても、みんながまとまるのは難しいと思うのよね。知り合ってばかりの時は特に」

梓「それはあるかもです」

紬「でもお茶を飲んでお菓子を食べてれば、自然に気持も解れて色んな事が話せると思うの。
   そうすれば演奏の事で注意する時でも、少し空気が柔らかくなるでしょ」

梓「そう言われてみれば」

紬「それに甘い物を食べながらみんなとおしゃべりするのって、すごい楽しいじゃない♪」

梓(結論は、やっぱりそれか。でも、私も同感だな) 

 
24以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 14:09:40.21:GGp02QeRP

  軽音部・部室

澪「あー、疲れた」

紬「お帰りなさーい♪」

澪「ムギ、悪い。生徒会室へ行って来てくれ。和が機材を運ぶとか言い出してさ。私はもう限界だ」

紬「任せて♪それで、唯ちゃんとりっちゃんは?」

澪「ガラクタに夢中で、私には付き合いきれない。それと唯は和と帰るらしいから、バッグとギー太も頼む」

紬「了解♪澪ちゃん、梓ちゃんの事よろしくね」 ぱたぱた

澪「ああ。本当、悪い・・・」

梓(滅茶滅茶疲れてるな)

 
25以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 14:10:45.96:GGp02QeRP

澪「はー・・・」 ぐたー

梓「お茶、持って来ましょうか」

澪「あずさー」 

梓「はい?」 

澪「あずさー。本当、ごめんなー」 うるうる

梓(何故、涙目) びくっ

 
28以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 14:11:40.71:GGp02QeRP

梓「ど、どうしたんですか。澪先輩」 あせあせ

澪「・・・梓。私達は、何部だと思う?」

梓「それは軽音部に決まってるじゃないですか」

澪「私達は、軽音部らしい活動をしてると思うか?」

梓「それはその。えーと、あれですよ、あれ」

澪「どれ」 ぎろっ

梓(私にも分かる訳がない)

 
29以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 14:12:36.26:GGp02QeRP

澪「本当、ごめんなー」 うるうる

梓(感情の揺れ幅が激しいな)

澪「私も分かってるんだよ。もっと練習をして、曲を作って、コンクールとかにも出ないと駄目だって」

梓「はぁ」

澪「分かってるんだよ、私だって。だけど、駄目なんだよ。本当に、あー」

梓(酔ってるのかな、、この人)

 
30以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 14:13:27.87:GGp02QeRP

澪「確かに私達は練習の時間は短いし、お茶を飲んでくつろいでる時間が長い。いわゆる部活としては、駄目なんだと思う」

梓「そう、なんでしょうか」

澪「だけどさ。こういう雰囲気だから出来る事や、分かる事もあると思うんだ」

梓「分かる事、ですか」

澪「ああ。厳しい指導やミスの追求で、技術は向上するかも知れない。でも私は、それで失ってしまう事もあると思うんだ」

梓「失う」

 
31以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 14:14:17.49:GGp02QeRP

澪「甘い考えかも知れないけど、私はそれを失う事の方が駄目だと思うんだよ。・・・抽象的で分かりにくいか?」 

梓「いえ、そんな事は」

澪「本当。私は駄目だな-」

梓(澪先輩は本当に真面目で、色々考えてるんだな。それに技術の向上よりも大切な事か。良い事言うな、やっぱり。
   それに、良い匂いがするし♪) くんか、くんか

 
34以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 14:15:06.91:GGp02QeRP

澪「梓も本当はバリバリ練習して、ガンガン曲とか作りたいだろ」

梓「そう思う時もありますけど。私も澪先輩と同じで、それよりも大切な事はあると思いますよ」

澪「あずさー」 うるうるー

梓「それに私は、今の軽音部が結構好きですから」

澪「そう、そうなんだよっ。唯がにこにこ笑ってて、ムギが楽しそうにお茶を入れて。律がぼけて私と梓が突っ込んで。
   それが私達の良さで、大切な事なんだよ。ぴゅあぴゅあ♪のふわふわ♪なんだよっ」 きらきらっ

梓(良い事言ったはずなのに、いまいち感動しないな。でもこういう純粋さが、優しい詞を作る源なんだろうな)

 
36以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 14:16:01.74:GGp02QeRP

律「あー、ひどい目に遭った」

澪「冷蔵庫はどうなった?」

律「ムギがひょいひょい運んでったよ。それと和が、ファンクラブの事で澪に聞きたいって」

澪「・・・私は帰った事にしてくれ」

律「ファンの子が可哀想だろ。ほら、早く行った行った」
 
澪「分かったよ。私もこのまま帰るから、後の事頼むぞ」 

律「わーった、わーった」

梓「お疲れ様でした」

 
38:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 14:16:32.44:JFzt+f6M0

あずにゃ匂い嗅ぎすぎw

 
39以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 14:16:52.91:GGp02QeRP

律「さてと私達も帰るとするか。食器は全部洗ったか?」

梓「え、はい」

律「楽器は全部良し、備品オッケー。これは唯の忘れ物と。後は火の元と戸締まりか。梓、窓の鍵閉めて」

梓「あ、はい」

律「戸締まりよーじん、火のよーじん♪にばい、にばーい♪」

梓(何言ってるんだろう、この人)

律「じぇしー♪」

 
41以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 14:17:44.38:GGp02QeRP

  商店街

梓「そこのお店、秋物のセールをやってますね」

律「服か。しかし、すごい人だな」

梓「ええ、まあ」 ちら、ちらっ

律「少し見てくか?」

梓「え?あ、はい」

 
42以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 14:18:35.87:GGp02QeRP

律「やっぱり、とてつもなく混んでるなー。ま、50%オフなら仕方ないか」

梓(・・・あそこのシャツ、ちょっと可愛いかも。でも遠いー) ぐいぐい

律「どうした。どれか欲しいのでもあるのか?」

梓「いえ、あの。その」 ちらっ

律「・・・ちょっと待ってな」

梓「はい?」

 
43以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 14:19:27.78:GGp02QeRP

律「はい、ごめんなさい。ごめんなさいよ」 ぐいぐい

梓(うわっ。人混みに、無理矢理割って入って行った。でも行けるかな、あそこまで)

律(はい、はい。ごめんなさい。ちょっと通りますよ」 ぐいぐい

梓(あ、ワゴンまで辿り着いた。・・・でも、私の欲しい物がどれかなんて)

律「これだな」 ひょい

梓「あ」

 
44以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 14:20:19.89:GGp02QeRP

律「ふー、疲れた」

梓「あ、あの。お疲れ様です」

律「梓、ほれ」 ぱさっ

梓「あ、あの」

律「ん?欲しいのと違ってたか?」

梓「い、いえ。私が欲しかったのは、このシャツです」 きゅっ

律「そりゃ良かった。早く、レジへ行ってこいよ」

梓「はいっ」 とたとたっ

 
46以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 14:21:10.19:GGp02QeRP

  商店街

梓「でも、どうしてこのシャツだって分かったんですか」

律「合ってたのなら、それで良いだろ」

梓「そうですけど」

律「私も一応は梓の先輩だからさ。そのくらいは、お前の事を見てるって」 撫で撫で

梓「律先輩」 ぽー

律「たはは。なんか、柄にもない事言っちゃったな。今の無し無し」

梓(普段はおちゃらけてるけど、すごい気が付くしみんな事を見てるんだよね。・・・私の事も。さりげなく優しくて、でもそれを全然表に出さなくて。
   それに、良い匂いがするし♪) くんか、くんか

 
47以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 14:22:01.47:GGp02QeRP

梓「・・・律先輩は部長として、今の軽音部をどう思ってますか」

律「なんだ?澪に泣き付かれたか?」

梓「え、いえ。その」 あせあせ

律「確かに今の軽音部は緩いけどさ。厳しい唯やムギなんて想像も出来ないだろ」

梓「まあ、それは」

律「・・・唯、お前何度コード間違えたら気が済むんだよっ。澪、顔伏せないで、前を見ろっ。ムギ、笑ってる場合じゃないぞっ」

梓「え」

 
48以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 14:22:51.16:GGp02QeRP

律「なんて事になったら、困らないか?」

梓「それは、はい。分かります」

律「多分澪から聞いてるだろうけど、厳しければ良いって物でも無いと思うんだ」

梓「はぁ」

律「大体唯やムギの顔を見て、どうやって怒るんだよ。子猫を叱るより勇気がいるぞ」 にこっ

梓(良い事言うな、やっぱり。おでこが夕日に輝いてるよ)

 
49以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 14:23:41.68:GGp02QeRP

  夜・コンビニ店内

梓(卵なんて、明日買えば良いのにな)

唯「あれ、あずにゃん?」

梓「あ、唯先輩。ジュースでも買いに来ましたか?」

唯「どうしてもおでんが食べたくなってね」

梓「おでん、ですか」

唯「すごいよね、今のコンビニは。おでんが年中無休、24時間売ってるんだから」

梓「あは。確かにそうかも知れませんね」

 
50以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 14:24:33.37:GGp02QeRP

店員「ありがとうございましたー」

うぃーん

唯「あずにゃんもどうぞ」

梓「良いんですか?」

唯「一緒に食べた方が美味しいからね」

梓「では、頂きます。・・・大根、良く染みてますね」

唯「うんうん。私はもう、思い残す事は何も無いよ」

梓「またそういう事を言って」 くすっ

 
51以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 14:25:23.88:GGp02QeRP

   公園内 ベンチ

梓「先輩、帰らなくて良いんですか。憂が心配しますよ」

唯「ん?私は大丈夫だよ。あずにゃんこそ、平気?」

梓「特に急いではませんから。・・・なんですか」

唯「なんだか、いつもと違うなと思って」

梓「そうでしょうか」

唯「なんとなくね。私の気のせいかな、たはは」

梓(さりげなく鋭いよな、唯先輩って。いつも温かくて、優しくて。ほんわかしてて。
   それに、良い匂いがするんだよね♪) くんか、くんか

 
52以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 14:26:15.89:GGp02QeRP

梓「先輩って、部活にどんなイメージがあります?」

唯「みんなで仲良く。いつも楽しく健やかに♪」

梓「はぁ」

唯「私は軽音部が初めての部活だから、今の雰囲気が部活のイメージなんだよね」

梓「でも世間一般の部活は違うじゃないですか」

唯「私はああいうの苦手だな。怒るのも、怒られるのも」

梓「誰でもそうでしょうけど、でも」

唯「あずにゃんは、ムギちゃんのお茶が好き?」

 
53以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 14:27:06.11:GGp02QeRP

梓「お茶、ですか?それは、勿論」

唯「澪ちゃんの詞は?」

梓「それも勿論好きです」

唯「りっちゃんの冗談は?」

梓「度が過ぎない時は」

唯「私も、そういうあずにゃんが好きだよ♪」

梓「先輩」

 
54以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 14:27:57.53:GGp02QeRP

唯「私はあずにゃんの先輩で、本当は色々教えて上げないと駄目なんだけどね」

梓「ええ」

唯「ギターやあずにゃんの方が上手いし、色々知ってるし。しっかりしてるから、私があずにゃんに教える事は何も無いんだよね」

梓「そんな事は」

唯「それにあずにゃんは後輩だけど、私は。私達は、あずにゃんと親友だと思ってるから」

梓「親友」

唯「だから私達は、仲良く楽しく健やかに。それで良いんだよ」

梓「・・・はい」 ニコッ

 
59以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 14:28:51.36:GGp02QeRP

    翌日・放課後、軽音部部室

梓「済みません。遅れ・・・」

澪「いい加減にしろ、このっ」 ぽかっ

律「いてー、いてーよ。本当に叩くなよ」

澪「お前、また申請書を忘れただろ」

律「ぴー♪ぴー♪ぴー♪」

澪「お前のせいで私が走り回って、みんなの前で謝って、あんな事やこんな事も。あーっ」

 
62以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 14:29:43.71:GGp02QeRP

梓「あの、遅れ・・・」

紬「お茶のお代わりはいかが?」

唯「はーい♪、私、はーい♪」

紬「はい、どうぞ」 こぽこぽ

唯「お菓子も美味しいしお茶も温かいし、言う事無いねー」 ぐたー

紬「本当ねー♪」 ぐたー

 
65以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 14:30:37.83:GGp02QeRP

梓「遅れ・・・」

律「いてーよ、いてーんだよ。書類なんて、放っておけば誰かがやってくれるんだよー」

澪「お前が、全部お前が悪いんだ。ポストが赤いのも、雲が白いのも」 ぽかぽか

唯「なんだか、眠くなってくるよねー」 ぐたー

紬「もう、寝ちゃいましょうかー」 ぐたー

梓(・・・軽音部って、何?)

 
68以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 14:31:30.20:GGp02QeRP

梓「皆さん。ちょっといい加減に・・・」

澪「あの空が青いのは、どこまでも空が広いのは」

律「もういっそ、詞にしろよ」

澪「お前はすぐにそうやって、混ぜ返すんだから。・・・でもまあ、イメージは湧いてくる」

律「たまにはそういう、抽象的なのも良いんじゃ無いのか。ロケハンついでに、山に行ってみるか?」

澪「良いかもな、うん。君の瞳が澄んでいるから、空の青さはそれを映す・・・」

律「全く」 くすっ

 
69以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 14:32:23.17:GGp02QeRP

唯「お客さん、凝ってますね」 もみもみ

紬「キーボードが、結構重いんですよー」

唯「それなのにお菓子も持ってきてくれるし。ムギちゃん、いつもありがとね」

紬「私が好きでやってる事だから。唯ちゃんも、いつも美味しそうに食べてくれてありがとう♪」

唯「てへへ。これからも、よろしくね♪」

紬「お菓子を?」

唯「もう、ムギちゃーん♪」

紬「うふふ♪」

 
70以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 14:33:17.10:GGp02QeRP

梓(・・・結局、いつもの先輩達。いつもの軽音部。あったかくて、柔らかくて。練習はあまりしないけど、でもやっぱり)

唯「あずにゃん、どしたの?」

梓「い、いえ。皆さん楽しそうだったので、ちょっと」

律「なんだよ、それ。ほら、和三盆の干菓子あるぞ。食え食え」

梓「和三盆?」

紬「砂糖の一種で、変わった食感が楽しいわよ」

梓「はぁ」

澪「ほら、座って」

梓「あ、済みません」

 
71以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 14:34:08.80:GGp02QeRP

梓「では、頂きます・・・」 ぱくり

唯「どう?」

梓「あっさりしてて。口の中ですーっと溶けて。すごい爽やかなお菓子ですね」

唯「あずにゃんみたいだね」

梓「え」 ぽっ

律「そうかー?梓は檄辛系のお菓子って感じだぞ」

澪「それを言うなら、お前は光物の魚だろ」

律「なんだとー」

紬「まあまあ。私は好きよ、鯖とか秋刀魚とか」

唯「美味しいよね-、サンマの塩焼き」

梓(微妙にずれてるし、やっぱり練習しないし。でもこれが、私達なんだよね)

 
72以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 14:34:59.73:GGp02QeRP

澪「そろそろ練習するぞ。食器片付けろよ」

梓「え?」

澪「え?」 びくっ

律「梓らしくない反応だな。まだお茶してたいか?」

紬「だったら、もう一杯どうぞ♪」 こぽこぽ

梓「い、いえ。そういう訳では全然」

唯「あ、そうだ」 ぽんっ

 
73以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 14:35:51.85:GGp02QeRP

律「澪良いかー」

澪「いつでも」 ボーン♪ボーン♪

律「ムギー」

紬「私もー」 チャラララー♪

律「唯ー」

唯「オールオッケー♪」 じゃじゃーん♪

律「よしー。ワン、ツー。ワン、ツッ、スリッ、フォッ」 タン、タン、タタタタッ


唯「・・・なーんで♪なんだろー♪」 じゃじゃーん♪

 
74以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 14:36:42.92:GGp02QeRP

梓(なんで私お茶飲んでるんだろ。どうして先輩達だけで演奏してるんだろ) ずずー

澪「どー♪しようかな♪」 ボローン♪ボローン♪

梓(でもこれが先輩達の言う、軽音部って事なのかな・・・) ずずー

 
75以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 14:37:33.96:GGp02QeRP

   翌日、2年1組 教室

純「先輩の演奏を聴きながら、お茶を飲んでたー?」

梓「う、うん」

純「あんた一体何やってんの。というか、軽音部って何なの。梓至上主義な訳?」

梓「いや、意味分かんないし。それに私も、さすがに反省してる」

憂「でも良いよね。演奏を聴きながらお茶を飲めるなんて」

純「私だって聴きたいわよ。そんなのプラチナチケットどころの騒ぎじゃないでしょ」

憂「ジャズ研だと無理かな?」

純「退部届を握りしめてたら、別れの曲くらいは演奏してくれるかもね」

梓(あながち、冗談じゃないんだろうな) たらー

 
76以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 14:38:30.86:GGp02QeRP

純「あーあ、軽音部が羨ましいよ」

憂「とうとう言っちゃったね」 くすっ

純「う。だって、そんなの誰だって羨ましいに決まってるじゃない」

憂「私もそう思うよ。梓ちゃんって幸せだよね」

梓「そうかな。ムギ先輩はぽわぽわしてるし、澪先輩は結構固いし、律先輩はおちゃらけてるし。唯先輩はあんな調子だし」

憂「だったら、ジャズ研の方が良い?」

梓「まさか。私は軽音部が好きだから。先輩達のいる軽音部がね♪」



                                         終わり

 
77以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 14:39:22.82:GGp02QeRP

ここまでお読み頂き、ありがとうございました。

私も部活に対するイメージは、上意下達。先輩絶対の縦社会。
先輩は神で、後輩は奴隷。下僕みたいなノリ(偏見込み)。
実際の軽音部は文化系なので多少緩いのでしょうが、純が言うように先輩後輩の壁は存在するでしょう。
テーマはやはり憂の言うように、「梓は良い先輩に恵まれてる」ですね。

 
79:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 14:40:36.29:xMfyvlpj0

部活は大体そんな感じだよな

おつ!!


 
80:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 14:41:24.19:Oxf+sagR0

同好会的なのりだよね

 
81:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 14:43:13.44:BFfeTKP30



クンカクンカ


 
85:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 14:51:29.10:Rv7+yQ1OO

乙!
短くて内容が詰まってたと思うぜ!
こーゆー日常生活を描いたやつ好きだ
また機会あったら書いてくれ!!