- 1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 13:51:18.07:GGp02QeRP
放課後 2年1組 教室
純「あー、部活行くのだるいなー」
梓「え、どうして?」
純「だって部活だよ、部活」
梓「楽しいじゃない、部活」
純「はい?」
梓「はい?」
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2:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 13:52:04.17:GGp02QeRP
純「絶対変だよ、それ。だって部活だよ」
梓「純がおかしいんでしょ。私は軽音部が嫌って思った事は、一度もないよ」
憂「軽音部は、楽しそうだよね。みんな仲良いし、優しいし」
純「そう、それっ」 びしっ
3:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 13:52:52.67:GGp02QeRP
純「ジャズ研といっても結局は、部活のノリなのよ。先輩がいて、後輩はそれに従って。練習は厳しく、礼儀は正しく。返事は短く、はきはきと」
梓「最後のは良く分かんないけど、軽音部はそんな事無いよ」
純「だーかーらー。それは、軽音部だからでしょ。一度ジャズ研に来て、私の代わりにやってみなさいって」
憂「純ちゃん。ゆっくりしてて良いの?」
純「やばっ。と、とにかく、軽音部が羨ましい訳じゃないんだからね」 どたどたっ
4:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 13:53:44.30:GGp02QeRP
梓「行っちゃった。・・・軽音部って、そんなに緩いのかな?」
憂「純ちゃんが言うように、普通の部活よりは雰囲気が丸いよね」
梓(なんか、上手くごまかされた気がする)
5:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 13:54:42.49:GGp02QeRP
梓「私はジャズ研みたいに、しっかり練習もしたいけどな」
憂「軽音部でも、練習はしてるんだよね」
梓「まあ、一応は」
憂「その時、澪さんとかに怒られたりする?」
梓「怒られた事は・・・。無いのかな」
憂「純ちゃんの言った通りだね」
梓「もう、憂まで」
憂「ごめん、ごめん。でも良い先輩に恵まれてるとは、私も思うよ」
梓「良い先輩、か」
6:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 13:55:36.54:GGp02QeRP
軽音部部室
紬「今日はチーズケーキをホールごと持って来たの♪」
唯「うわー♪これ、一人で食べきれるかな」
律「さらっとぼけるな、おい」
澪「ムギ、こっちの瓶は?」
紬「フルーツソースよ。ずっと同じ味だと、飽きると思って」
唯「・・・私、このソースだけで十分幸せだよ」 ぺろぺろ
澪「突っ込もうかと思ったけど、私も同感だ」 ぺろぺろ
7:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 13:56:28.34:GGp02QeRP
梓「済みません、遅れました」
律「よう。今日のデザートは、チーズケーキだぞ」
梓「こ、このサイズ?一人で食べきれますか?」
律(本気っぽいから、突っ込まないでおこう)
8:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 13:57:23.66:GGp02QeRP
唯「あずにゃん、あずにゃん。このソースも、美味しいよ」
梓「フルーツソースですか。・・・何故、指を」
唯「いいから、舐めてみんさい」
梓「もう、今日だけですよ」 ぱくり
唯「どう?」
梓「え、ええ。まあ、美味しいですね」 かーっ
唯「だよねー♪」
紬「うふふ」 きらきらっ
11:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 13:59:18.62:GGp02QeRP
澪「でも毎日お菓子を食べてると、太りそうでちょっと怖い・・・」
律「だったら、澪のもーらい」 あーん
澪「ちょ、ちょっと。止めろー」 あむあむあむあむあむ
律「おいおい、冗談だよ。ほら、慌てて食べるから頬に付いちゃったぞ」 ひょい。ぱくっ
澪「え。ああ、ありがとぅ・・・」
律「本当、このケーキ美味しいなー」
紬「うふふ♪」 きらきらっ
12:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 14:00:12.40:GGp02QeRP
唯「主食だねー♪」 じゃ、じゃーん
梓「唯先輩、コード間違ってます。それと律先輩、リズム早すぎます」
唯「たはは、怒られちゃった」
律「梓様は怖いの-。こわや、こわや」 ぶるぶるっ
梓「もう。二人とも、真面目にやって下さい」
澪「まあまあ。私も上手く弾けなかったし、もう一度やってみよう」
紬「演奏をサンプリングして、聞いてみる?」
澪「ああ。梓、それで良いか?」
梓「あ、はい」
澪「だったら、今のパートからもう一回な」
梓(もしかして、怒ってるのは私だけかも) たらー
13:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 14:01:08.63:GGp02QeRP
唯「ごはんー♪」 じゃーん
律「今の、良かったんじゃないか」
唯「あずにゃんがアドバイスしてくれたお陰だよ」
律「軽音部は、梓無しでは成り立たないな」
梓「もう、またそういう事を」
律「冗談、冗談。・・・ああ、申請書出すの忘れてた。ちょっと生徒会室行ってくるわ」 とたとた
唯「和ちゃんの所なら、私も-」 ぱたぱた
澪「だったら、私も行くぞ」 ぱたぱた
紬「行ってらっしゃーい♪」
梓(ムギ先輩は行かないのか。・・・でもって、二人きりか)
15:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 14:02:00.48:GGp02QeRP
紬「私達も休憩しましょうか。お茶、淹れ直すわね♪」 ぱたぱた
梓「あ、はい。ありがとうございます」
紬「ふふふーん♪ふふふふーん♪」」
梓(ケーキ余ってるな。食べたいけど、さすがにソースを掛けても飽きてきたし)
紬「お待たせー」 こぽこぽ
梓「ありがとうございます。ケーキ、どうしましょうか。冷蔵庫に入れて・・・」
紬「えいっ」 ぐしゃっ
梓(ご、ご乱心ー?)
16:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 14:03:21.35:GGp02QeRP
紬「あ、びっくりさせちゃった?」 まぜまぜ
梓「それはその。ええ、まあ。はい」 あせあせ
紬「うふふ、ごめんなさい。ちょっと待っててね」 まぜまぜ
梓(なんか、すごい事になってきてるな。元々が美味しいから、問題はないんだろうけど)
紬「後は牛乳を少し足してと」 こぽこぽ、まぜまぜ
梓(まさか、これを食べろって言うのかな。問題はないんだろうけど、問題だよな) だらだら
17:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 14:04:14.98:GGp02QeRP
紬「最後にブルーベリーソースとオレンジソースをこう掛けてと」 さっ、さっ、しゃっ、すっ、さーっ
梓(うわ、なんかすごい手さばきっ。でもって、一気にアートな模様っ)
紬「お待たせー♪」
梓「なんだか、急にお洒落な食べ物になりましたね」
紬「味はどうかしら?うふふ♪」
梓「では、頂きます」 ぱくり
18:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 14:05:04.77:GGp02QeRP
梓(フルフルとした触感とチーズクリームのコク。それが牛乳で程良く押さえられていて、かつソースの配分が絶妙だっ)
紬「どうかしら?」
梓「すごい美味しいですっ」 はむはむ
紬「良かった♪ちょっとはしたないから普段はやらないんだけど、今日は特別にね♪」
梓「あ、ありがとうございます」
紬「梓ちゃんは、いつも素直で可愛いわね♪」
梓「は、はぁ」 かーっ
19:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 14:05:59.19:GGp02QeRP
梓(あー、色んな意味で堪能した)
紬「食器、片付けるわね」
梓「それは私が」
紬「だったら、一緒にやりましょうか♪」 ニコッ
梓「はいっ」 ニコッ
21:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 14:06:52.84:GGp02QeRP
給湯室
紬「ふふふーん♪ふふふーん♪」 カチャカチャ
梓(後片付けなのに、楽しそうだな。お嬢様だからこういう性格なのかと思ってたけど、ムギ先輩だからこういう性格なんだろうな。
優しくて、思いやりがあって、ちょっとへんてこで。でもって、良い匂いがして♪) くんか、くんか
紬「これで最後ね」 ふきふき
梓「はい。・・・ムギ先輩、このノートは?」
紬「持って来たお菓子の名前を書き溜めてるの。同じ物が続くとみんな困るだろうし、好みもあるから」
梓(そうだったのか。私は美味しい美味しいって、何も考えずに食べてただけなのに。偉いな-、やっぱり)
22:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 14:07:50.88:GGp02QeRP
紬「澪ちゃんはどちらかというと、洋菓子やケーキよね。りっちゃんは和菓子も好きかな」
梓「そう言われてみると、そうかも知れないです」
紬「唯ちゃんと梓ちゃんは何でも美味しそうに、一杯食べてくれるわよ♪」 ニコッ
梓(喜んで良いのかな、それ) たらー
23:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 14:08:48.66:GGp02QeRP
紬「それに、お菓子あっての軽音部でしょ」
梓「え?」
紬「ただ集まって演奏してても、みんながまとまるのは難しいと思うのよね。知り合ってばかりの時は特に」
梓「それはあるかもです」
紬「でもお茶を飲んでお菓子を食べてれば、自然に気持も解れて色んな事が話せると思うの。
そうすれば演奏の事で注意する時でも、少し空気が柔らかくなるでしょ」
梓「そう言われてみれば」
紬「それに甘い物を食べながらみんなとおしゃべりするのって、すごい楽しいじゃない♪」
梓(結論は、やっぱりそれか。でも、私も同感だな)
24:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 14:09:40.21:GGp02QeRP
軽音部・部室
澪「あー、疲れた」
紬「お帰りなさーい♪」
澪「ムギ、悪い。生徒会室へ行って来てくれ。和が機材を運ぶとか言い出してさ。私はもう限界だ」
紬「任せて♪それで、唯ちゃんとりっちゃんは?」
澪「ガラクタに夢中で、私には付き合いきれない。それと唯は和と帰るらしいから、バッグとギー太も頼む」
紬「了解♪澪ちゃん、梓ちゃんの事よろしくね」 ぱたぱた
澪「ああ。本当、悪い・・・」
梓(滅茶滅茶疲れてるな)
25:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 14:10:45.96:GGp02QeRP
澪「はー・・・」 ぐたー
梓「お茶、持って来ましょうか」
澪「あずさー」
梓「はい?」
澪「あずさー。本当、ごめんなー」 うるうる
梓(何故、涙目) びくっ
28:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 14:11:40.71:GGp02QeRP
梓「ど、どうしたんですか。澪先輩」 あせあせ
澪「・・・梓。私達は、何部だと思う?」
梓「それは軽音部に決まってるじゃないですか」
澪「私達は、軽音部らしい活動をしてると思うか?」
梓「それはその。えーと、あれですよ、あれ」
澪「どれ」 ぎろっ
梓(私にも分かる訳がない)
29:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 14:12:36.26:GGp02QeRP
澪「本当、ごめんなー」 うるうる
梓(感情の揺れ幅が激しいな)
澪「私も分かってるんだよ。もっと練習をして、曲を作って、コンクールとかにも出ないと駄目だって」
梓「はぁ」
澪「分かってるんだよ、私だって。だけど、駄目なんだよ。本当に、あー」
梓(酔ってるのかな、、この人)
30:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 14:13:27.87:GGp02QeRP
澪「確かに私達は練習の時間は短いし、お茶を飲んでくつろいでる時間が長い。いわゆる部活としては、駄目なんだと思う」
梓「そう、なんでしょうか」
澪「だけどさ。こういう雰囲気だから出来る事や、分かる事もあると思うんだ」
梓「分かる事、ですか」
澪「ああ。厳しい指導やミスの追求で、技術は向上するかも知れない。でも私は、それで失ってしまう事もあると思うんだ」
梓「失う」
31:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 14:14:17.49:GGp02QeRP
澪「甘い考えかも知れないけど、私はそれを失う事の方が駄目だと思うんだよ。・・・抽象的で分かりにくいか?」
梓「いえ、そんな事は」
澪「本当。私は駄目だな-」
梓(澪先輩は本当に真面目で、色々考えてるんだな。それに技術の向上よりも大切な事か。良い事言うな、やっぱり。
それに、良い匂いがするし♪) くんか、くんか
34:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 14:15:06.91:GGp02QeRP
澪「梓も本当はバリバリ練習して、ガンガン曲とか作りたいだろ」
梓「そう思う時もありますけど。私も澪先輩と同じで、それよりも大切な事はあると思いますよ」
澪「あずさー」 うるうるー
梓「それに私は、今の軽音部が結構好きですから」
澪「そう、そうなんだよっ。唯がにこにこ笑ってて、ムギが楽しそうにお茶を入れて。律がぼけて私と梓が突っ込んで。
それが私達の良さで、大切な事なんだよ。ぴゅあぴゅあ♪のふわふわ♪なんだよっ」 きらきらっ
梓(良い事言ったはずなのに、いまいち感動しないな。でもこういう純粋さが、優しい詞を作る源なんだろうな)
36:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 14:16:01.74:GGp02QeRP
律「あー、ひどい目に遭った」
澪「冷蔵庫はどうなった?」
律「ムギがひょいひょい運んでったよ。それと和が、ファンクラブの事で澪に聞きたいって」
澪「・・・私は帰った事にしてくれ」
律「ファンの子が可哀想だろ。ほら、早く行った行った」
澪「分かったよ。私もこのまま帰るから、後の事頼むぞ」
律「わーった、わーった」
梓「お疲れ様でした」
38:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 14:16:32.44:JFzt+f6M0
あずにゃ匂い嗅ぎすぎw
39:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 14:16:52.91:GGp02QeRP
律「さてと私達も帰るとするか。食器は全部洗ったか?」
梓「え、はい」
律「楽器は全部良し、備品オッケー。これは唯の忘れ物と。後は火の元と戸締まりか。梓、窓の鍵閉めて」
梓「あ、はい」
律「戸締まりよーじん、火のよーじん♪にばい、にばーい♪」
梓(何言ってるんだろう、この人)
律「じぇしー♪」
41:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 14:17:44.38:GGp02QeRP
商店街
梓「そこのお店、秋物のセールをやってますね」
律「服か。しかし、すごい人だな」
梓「ええ、まあ」 ちら、ちらっ
律「少し見てくか?」
梓「え?あ、はい」
42:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 14:18:35.87:GGp02QeRP
律「やっぱり、とてつもなく混んでるなー。ま、50%オフなら仕方ないか」
梓(・・・あそこのシャツ、ちょっと可愛いかも。でも遠いー) ぐいぐい
律「どうした。どれか欲しいのでもあるのか?」
梓「いえ、あの。その」 ちらっ
律「・・・ちょっと待ってな」
梓「はい?」
43:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 14:19:27.78:GGp02QeRP
律「はい、ごめんなさい。ごめんなさいよ」 ぐいぐい
梓(うわっ。人混みに、無理矢理割って入って行った。でも行けるかな、あそこまで)
律(はい、はい。ごめんなさい。ちょっと通りますよ」 ぐいぐい
梓(あ、ワゴンまで辿り着いた。・・・でも、私の欲しい物がどれかなんて)
律「これだな」 ひょい
梓「あ」
44:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 14:20:19.89:GGp02QeRP
律「ふー、疲れた」
梓「あ、あの。お疲れ様です」
律「梓、ほれ」 ぱさっ
梓「あ、あの」
律「ん?欲しいのと違ってたか?」
梓「い、いえ。私が欲しかったのは、このシャツです」 きゅっ
律「そりゃ良かった。早く、レジへ行ってこいよ」
梓「はいっ」 とたとたっ
46:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 14:21:10.19:GGp02QeRP
商店街
梓「でも、どうしてこのシャツだって分かったんですか」
律「合ってたのなら、それで良いだろ」
梓「そうですけど」
律「私も一応は梓の先輩だからさ。そのくらいは、お前の事を見てるって」 撫で撫で
梓「律先輩」 ぽー
律「たはは。なんか、柄にもない事言っちゃったな。今の無し無し」
梓(普段はおちゃらけてるけど、すごい気が付くしみんな事を見てるんだよね。・・・私の事も。さりげなく優しくて、でもそれを全然表に出さなくて。
それに、良い匂いがするし♪) くんか、くんか
47:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 14:22:01.47:GGp02QeRP
梓「・・・律先輩は部長として、今の軽音部をどう思ってますか」
律「なんだ?澪に泣き付かれたか?」
梓「え、いえ。その」 あせあせ
律「確かに今の軽音部は緩いけどさ。厳しい唯やムギなんて想像も出来ないだろ」
梓「まあ、それは」
律「・・・唯、お前何度コード間違えたら気が済むんだよっ。澪、顔伏せないで、前を見ろっ。ムギ、笑ってる場合じゃないぞっ」
梓「え」
48:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 14:22:51.16:GGp02QeRP
律「なんて事になったら、困らないか?」
梓「それは、はい。分かります」
律「多分澪から聞いてるだろうけど、厳しければ良いって物でも無いと思うんだ」
梓「はぁ」
律「大体唯やムギの顔を見て、どうやって怒るんだよ。子猫を叱るより勇気がいるぞ」 にこっ
梓(良い事言うな、やっぱり。おでこが夕日に輝いてるよ)
49:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 14:23:41.68:GGp02QeRP
夜・コンビニ店内
梓(卵なんて、明日買えば良いのにな)
唯「あれ、あずにゃん?」
梓「あ、唯先輩。ジュースでも買いに来ましたか?」
唯「どうしてもおでんが食べたくなってね」
梓「おでん、ですか」
唯「すごいよね、今のコンビニは。おでんが年中無休、24時間売ってるんだから」
梓「あは。確かにそうかも知れませんね」
50:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 14:24:33.37:GGp02QeRP
店員「ありがとうございましたー」
うぃーん
唯「あずにゃんもどうぞ」
梓「良いんですか?」
唯「一緒に食べた方が美味しいからね」
梓「では、頂きます。・・・大根、良く染みてますね」
唯「うんうん。私はもう、思い残す事は何も無いよ」
梓「またそういう事を言って」 くすっ
51:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 14:25:23.88:GGp02QeRP
公園内 ベンチ
梓「先輩、帰らなくて良いんですか。憂が心配しますよ」
唯「ん?私は大丈夫だよ。あずにゃんこそ、平気?」
梓「特に急いではませんから。・・・なんですか」
唯「なんだか、いつもと違うなと思って」
梓「そうでしょうか」
唯「なんとなくね。私の気のせいかな、たはは」
梓(さりげなく鋭いよな、唯先輩って。いつも温かくて、優しくて。ほんわかしてて。
それに、良い匂いがするんだよね♪) くんか、くんか
52:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 14:26:15.89:GGp02QeRP
梓「先輩って、部活にどんなイメージがあります?」
唯「みんなで仲良く。いつも楽しく健やかに♪」
梓「はぁ」
唯「私は軽音部が初めての部活だから、今の雰囲気が部活のイメージなんだよね」
梓「でも世間一般の部活は違うじゃないですか」
唯「私はああいうの苦手だな。怒るのも、怒られるのも」
梓「誰でもそうでしょうけど、でも」
唯「あずにゃんは、ムギちゃんのお茶が好き?」
53:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 14:27:06.11:GGp02QeRP
梓「お茶、ですか?それは、勿論」
唯「澪ちゃんの詞は?」
梓「それも勿論好きです」
唯「りっちゃんの冗談は?」
梓「度が過ぎない時は」
唯「私も、そういうあずにゃんが好きだよ♪」
梓「先輩」
54:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 14:27:57.53:GGp02QeRP
唯「私はあずにゃんの先輩で、本当は色々教えて上げないと駄目なんだけどね」
梓「ええ」
唯「ギターやあずにゃんの方が上手いし、色々知ってるし。しっかりしてるから、私があずにゃんに教える事は何も無いんだよね」
梓「そんな事は」
唯「それにあずにゃんは後輩だけど、私は。私達は、あずにゃんと親友だと思ってるから」
梓「親友」
唯「だから私達は、仲良く楽しく健やかに。それで良いんだよ」
梓「・・・はい」 ニコッ
59:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 14:28:51.36:GGp02QeRP
翌日・放課後、軽音部部室
梓「済みません。遅れ・・・」
澪「いい加減にしろ、このっ」 ぽかっ
律「いてー、いてーよ。本当に叩くなよ」
澪「お前、また申請書を忘れただろ」
律「ぴー♪ぴー♪ぴー♪」
澪「お前のせいで私が走り回って、みんなの前で謝って、あんな事やこんな事も。あーっ」
62:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 14:29:43.71:GGp02QeRP
梓「あの、遅れ・・・」
紬「お茶のお代わりはいかが?」
唯「はーい♪、私、はーい♪」
紬「はい、どうぞ」 こぽこぽ
唯「お菓子も美味しいしお茶も温かいし、言う事無いねー」 ぐたー
紬「本当ねー♪」 ぐたー
65:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 14:30:37.83:GGp02QeRP
梓「遅れ・・・」
律「いてーよ、いてーんだよ。書類なんて、放っておけば誰かがやってくれるんだよー」
澪「お前が、全部お前が悪いんだ。ポストが赤いのも、雲が白いのも」 ぽかぽか
唯「なんだか、眠くなってくるよねー」 ぐたー
紬「もう、寝ちゃいましょうかー」 ぐたー
梓(・・・軽音部って、何?)
68:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 14:31:30.20:GGp02QeRP
梓「皆さん。ちょっといい加減に・・・」
澪「あの空が青いのは、どこまでも空が広いのは」
律「もういっそ、詞にしろよ」
澪「お前はすぐにそうやって、混ぜ返すんだから。・・・でもまあ、イメージは湧いてくる」
律「たまにはそういう、抽象的なのも良いんじゃ無いのか。ロケハンついでに、山に行ってみるか?」
澪「良いかもな、うん。君の瞳が澄んでいるから、空の青さはそれを映す・・・」
律「全く」 くすっ
69:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 14:32:23.17:GGp02QeRP
唯「お客さん、凝ってますね」 もみもみ
紬「キーボードが、結構重いんですよー」
唯「それなのにお菓子も持ってきてくれるし。ムギちゃん、いつもありがとね」
紬「私が好きでやってる事だから。唯ちゃんも、いつも美味しそうに食べてくれてありがとう♪」
唯「てへへ。これからも、よろしくね♪」
紬「お菓子を?」
唯「もう、ムギちゃーん♪」
紬「うふふ♪」
70:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 14:33:17.10:GGp02QeRP
梓(・・・結局、いつもの先輩達。いつもの軽音部。あったかくて、柔らかくて。練習はあまりしないけど、でもやっぱり)
唯「あずにゃん、どしたの?」
梓「い、いえ。皆さん楽しそうだったので、ちょっと」
律「なんだよ、それ。ほら、和三盆の干菓子あるぞ。食え食え」
梓「和三盆?」
紬「砂糖の一種で、変わった食感が楽しいわよ」
梓「はぁ」
澪「ほら、座って」
梓「あ、済みません」
71:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 14:34:08.80:GGp02QeRP
梓「では、頂きます・・・」 ぱくり
唯「どう?」
梓「あっさりしてて。口の中ですーっと溶けて。すごい爽やかなお菓子ですね」
唯「あずにゃんみたいだね」
梓「え」 ぽっ
律「そうかー?梓は檄辛系のお菓子って感じだぞ」
澪「それを言うなら、お前は光物の魚だろ」
律「なんだとー」
紬「まあまあ。私は好きよ、鯖とか秋刀魚とか」
唯「美味しいよね-、サンマの塩焼き」
梓(微妙にずれてるし、やっぱり練習しないし。でもこれが、私達なんだよね)
72:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 14:34:59.73:GGp02QeRP
澪「そろそろ練習するぞ。食器片付けろよ」
梓「え?」
澪「え?」 びくっ
律「梓らしくない反応だな。まだお茶してたいか?」
紬「だったら、もう一杯どうぞ♪」 こぽこぽ
梓「い、いえ。そういう訳では全然」
唯「あ、そうだ」 ぽんっ
73:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 14:35:51.85:GGp02QeRP
律「澪良いかー」
澪「いつでも」 ボーン♪ボーン♪
律「ムギー」
紬「私もー」 チャラララー♪
律「唯ー」
唯「オールオッケー♪」 じゃじゃーん♪
律「よしー。ワン、ツー。ワン、ツッ、スリッ、フォッ」 タン、タン、タタタタッ
唯「・・・なーんで♪なんだろー♪」 じゃじゃーん♪
74:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 14:36:42.92:GGp02QeRP
梓(なんで私お茶飲んでるんだろ。どうして先輩達だけで演奏してるんだろ) ずずー
澪「どー♪しようかな♪」 ボローン♪ボローン♪
梓(でもこれが先輩達の言う、軽音部って事なのかな・・・) ずずー
75:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 14:37:33.96:GGp02QeRP
翌日、2年1組 教室
純「先輩の演奏を聴きながら、お茶を飲んでたー?」
梓「う、うん」
純「あんた一体何やってんの。というか、軽音部って何なの。梓至上主義な訳?」
梓「いや、意味分かんないし。それに私も、さすがに反省してる」
憂「でも良いよね。演奏を聴きながらお茶を飲めるなんて」
純「私だって聴きたいわよ。そんなのプラチナチケットどころの騒ぎじゃないでしょ」
憂「ジャズ研だと無理かな?」
純「退部届を握りしめてたら、別れの曲くらいは演奏してくれるかもね」
梓(あながち、冗談じゃないんだろうな) たらー
76:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 14:38:30.86:GGp02QeRP
純「あーあ、軽音部が羨ましいよ」
憂「とうとう言っちゃったね」 くすっ
純「う。だって、そんなの誰だって羨ましいに決まってるじゃない」
憂「私もそう思うよ。梓ちゃんって幸せだよね」
梓「そうかな。ムギ先輩はぽわぽわしてるし、澪先輩は結構固いし、律先輩はおちゃらけてるし。唯先輩はあんな調子だし」
憂「だったら、ジャズ研の方が良い?」
梓「まさか。私は軽音部が好きだから。先輩達のいる軽音部がね♪」
終わり
77:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 14:39:22.82:GGp02QeRP
ここまでお読み頂き、ありがとうございました。
私も部活に対するイメージは、上意下達。先輩絶対の縦社会。
先輩は神で、後輩は奴隷。下僕みたいなノリ(偏見込み)。
実際の軽音部は文化系なので多少緩いのでしょうが、純が言うように先輩後輩の壁は存在するでしょう。
テーマはやはり憂の言うように、「梓は良い先輩に恵まれてる」ですね。
79:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 14:40:36.29:xMfyvlpj0
部活は大体そんな感じだよな
おつ!!
80:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 14:41:24.19:Oxf+sagR0
同好会的なのりだよね
81:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 14:43:13.44:BFfeTKP30
乙
クンカクンカ
85:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 14:51:29.10:Rv7+yQ1OO
乙!
短くて内容が詰まってたと思うぜ!
こーゆー日常生活を描いたやつ好きだ
また機会あったら書いてくれ!!
純「絶対変だよ、それ。だって部活だよ」
梓「純がおかしいんでしょ。私は軽音部が嫌って思った事は、一度もないよ」
憂「軽音部は、楽しそうだよね。みんな仲良いし、優しいし」
純「そう、それっ」 びしっ
純「ジャズ研といっても結局は、部活のノリなのよ。先輩がいて、後輩はそれに従って。練習は厳しく、礼儀は正しく。返事は短く、はきはきと」
梓「最後のは良く分かんないけど、軽音部はそんな事無いよ」
純「だーかーらー。それは、軽音部だからでしょ。一度ジャズ研に来て、私の代わりにやってみなさいって」
憂「純ちゃん。ゆっくりしてて良いの?」
純「やばっ。と、とにかく、軽音部が羨ましい訳じゃないんだからね」 どたどたっ
梓「行っちゃった。・・・軽音部って、そんなに緩いのかな?」
憂「純ちゃんが言うように、普通の部活よりは雰囲気が丸いよね」
梓(なんか、上手くごまかされた気がする)
梓「私はジャズ研みたいに、しっかり練習もしたいけどな」
憂「軽音部でも、練習はしてるんだよね」
梓「まあ、一応は」
憂「その時、澪さんとかに怒られたりする?」
梓「怒られた事は・・・。無いのかな」
憂「純ちゃんの言った通りだね」
梓「もう、憂まで」
憂「ごめん、ごめん。でも良い先輩に恵まれてるとは、私も思うよ」
梓「良い先輩、か」
軽音部部室
紬「今日はチーズケーキをホールごと持って来たの♪」
唯「うわー♪これ、一人で食べきれるかな」
律「さらっとぼけるな、おい」
澪「ムギ、こっちの瓶は?」
紬「フルーツソースよ。ずっと同じ味だと、飽きると思って」
唯「・・・私、このソースだけで十分幸せだよ」 ぺろぺろ
澪「突っ込もうかと思ったけど、私も同感だ」 ぺろぺろ
梓「済みません、遅れました」
律「よう。今日のデザートは、チーズケーキだぞ」
梓「こ、このサイズ?一人で食べきれますか?」
律(本気っぽいから、突っ込まないでおこう)
唯「あずにゃん、あずにゃん。このソースも、美味しいよ」
梓「フルーツソースですか。・・・何故、指を」
唯「いいから、舐めてみんさい」
梓「もう、今日だけですよ」 ぱくり
唯「どう?」
梓「え、ええ。まあ、美味しいですね」 かーっ
唯「だよねー♪」
紬「うふふ」 きらきらっ
澪「でも毎日お菓子を食べてると、太りそうでちょっと怖い・・・」
律「だったら、澪のもーらい」 あーん
澪「ちょ、ちょっと。止めろー」 あむあむあむあむあむ
律「おいおい、冗談だよ。ほら、慌てて食べるから頬に付いちゃったぞ」 ひょい。ぱくっ
澪「え。ああ、ありがとぅ・・・」
律「本当、このケーキ美味しいなー」
紬「うふふ♪」 きらきらっ
唯「主食だねー♪」 じゃ、じゃーん
梓「唯先輩、コード間違ってます。それと律先輩、リズム早すぎます」
唯「たはは、怒られちゃった」
律「梓様は怖いの-。こわや、こわや」 ぶるぶるっ
梓「もう。二人とも、真面目にやって下さい」
澪「まあまあ。私も上手く弾けなかったし、もう一度やってみよう」
紬「演奏をサンプリングして、聞いてみる?」
澪「ああ。梓、それで良いか?」
梓「あ、はい」
澪「だったら、今のパートからもう一回な」
梓(もしかして、怒ってるのは私だけかも) たらー
唯「ごはんー♪」 じゃーん
律「今の、良かったんじゃないか」
唯「あずにゃんがアドバイスしてくれたお陰だよ」
律「軽音部は、梓無しでは成り立たないな」
梓「もう、またそういう事を」
律「冗談、冗談。・・・ああ、申請書出すの忘れてた。ちょっと生徒会室行ってくるわ」 とたとた
唯「和ちゃんの所なら、私も-」 ぱたぱた
澪「だったら、私も行くぞ」 ぱたぱた
紬「行ってらっしゃーい♪」
梓(ムギ先輩は行かないのか。・・・でもって、二人きりか)
紬「私達も休憩しましょうか。お茶、淹れ直すわね♪」 ぱたぱた
梓「あ、はい。ありがとうございます」
紬「ふふふーん♪ふふふふーん♪」」
梓(ケーキ余ってるな。食べたいけど、さすがにソースを掛けても飽きてきたし)
紬「お待たせー」 こぽこぽ
梓「ありがとうございます。ケーキ、どうしましょうか。冷蔵庫に入れて・・・」
紬「えいっ」 ぐしゃっ
梓(ご、ご乱心ー?)
紬「あ、びっくりさせちゃった?」 まぜまぜ
梓「それはその。ええ、まあ。はい」 あせあせ
紬「うふふ、ごめんなさい。ちょっと待っててね」 まぜまぜ
梓(なんか、すごい事になってきてるな。元々が美味しいから、問題はないんだろうけど)
紬「後は牛乳を少し足してと」 こぽこぽ、まぜまぜ
梓(まさか、これを食べろって言うのかな。問題はないんだろうけど、問題だよな) だらだら
紬「最後にブルーベリーソースとオレンジソースをこう掛けてと」 さっ、さっ、しゃっ、すっ、さーっ
梓(うわ、なんかすごい手さばきっ。でもって、一気にアートな模様っ)
紬「お待たせー♪」
梓「なんだか、急にお洒落な食べ物になりましたね」
紬「味はどうかしら?うふふ♪」
梓「では、頂きます」 ぱくり
梓(フルフルとした触感とチーズクリームのコク。それが牛乳で程良く押さえられていて、かつソースの配分が絶妙だっ)
紬「どうかしら?」
梓「すごい美味しいですっ」 はむはむ
紬「良かった♪ちょっとはしたないから普段はやらないんだけど、今日は特別にね♪」
梓「あ、ありがとうございます」
紬「梓ちゃんは、いつも素直で可愛いわね♪」
梓「は、はぁ」 かーっ
梓(あー、色んな意味で堪能した)
紬「食器、片付けるわね」
梓「それは私が」
紬「だったら、一緒にやりましょうか♪」 ニコッ
梓「はいっ」 ニコッ
給湯室
紬「ふふふーん♪ふふふーん♪」 カチャカチャ
梓(後片付けなのに、楽しそうだな。お嬢様だからこういう性格なのかと思ってたけど、ムギ先輩だからこういう性格なんだろうな。
優しくて、思いやりがあって、ちょっとへんてこで。でもって、良い匂いがして♪) くんか、くんか
紬「これで最後ね」 ふきふき
梓「はい。・・・ムギ先輩、このノートは?」
紬「持って来たお菓子の名前を書き溜めてるの。同じ物が続くとみんな困るだろうし、好みもあるから」
梓(そうだったのか。私は美味しい美味しいって、何も考えずに食べてただけなのに。偉いな-、やっぱり)
紬「澪ちゃんはどちらかというと、洋菓子やケーキよね。りっちゃんは和菓子も好きかな」
梓「そう言われてみると、そうかも知れないです」
紬「唯ちゃんと梓ちゃんは何でも美味しそうに、一杯食べてくれるわよ♪」 ニコッ
梓(喜んで良いのかな、それ) たらー
紬「それに、お菓子あっての軽音部でしょ」
梓「え?」
紬「ただ集まって演奏してても、みんながまとまるのは難しいと思うのよね。知り合ってばかりの時は特に」
梓「それはあるかもです」
紬「でもお茶を飲んでお菓子を食べてれば、自然に気持も解れて色んな事が話せると思うの。
そうすれば演奏の事で注意する時でも、少し空気が柔らかくなるでしょ」
梓「そう言われてみれば」
紬「それに甘い物を食べながらみんなとおしゃべりするのって、すごい楽しいじゃない♪」
梓(結論は、やっぱりそれか。でも、私も同感だな)
軽音部・部室
澪「あー、疲れた」
紬「お帰りなさーい♪」
澪「ムギ、悪い。生徒会室へ行って来てくれ。和が機材を運ぶとか言い出してさ。私はもう限界だ」
紬「任せて♪それで、唯ちゃんとりっちゃんは?」
澪「ガラクタに夢中で、私には付き合いきれない。それと唯は和と帰るらしいから、バッグとギー太も頼む」
紬「了解♪澪ちゃん、梓ちゃんの事よろしくね」 ぱたぱた
澪「ああ。本当、悪い・・・」
梓(滅茶滅茶疲れてるな)
澪「はー・・・」 ぐたー
梓「お茶、持って来ましょうか」
澪「あずさー」
梓「はい?」
澪「あずさー。本当、ごめんなー」 うるうる
梓(何故、涙目) びくっ
梓「ど、どうしたんですか。澪先輩」 あせあせ
澪「・・・梓。私達は、何部だと思う?」
梓「それは軽音部に決まってるじゃないですか」
澪「私達は、軽音部らしい活動をしてると思うか?」
梓「それはその。えーと、あれですよ、あれ」
澪「どれ」 ぎろっ
梓(私にも分かる訳がない)
澪「本当、ごめんなー」 うるうる
梓(感情の揺れ幅が激しいな)
澪「私も分かってるんだよ。もっと練習をして、曲を作って、コンクールとかにも出ないと駄目だって」
梓「はぁ」
澪「分かってるんだよ、私だって。だけど、駄目なんだよ。本当に、あー」
梓(酔ってるのかな、、この人)
澪「確かに私達は練習の時間は短いし、お茶を飲んでくつろいでる時間が長い。いわゆる部活としては、駄目なんだと思う」
梓「そう、なんでしょうか」
澪「だけどさ。こういう雰囲気だから出来る事や、分かる事もあると思うんだ」
梓「分かる事、ですか」
澪「ああ。厳しい指導やミスの追求で、技術は向上するかも知れない。でも私は、それで失ってしまう事もあると思うんだ」
梓「失う」
澪「甘い考えかも知れないけど、私はそれを失う事の方が駄目だと思うんだよ。・・・抽象的で分かりにくいか?」
梓「いえ、そんな事は」
澪「本当。私は駄目だな-」
梓(澪先輩は本当に真面目で、色々考えてるんだな。それに技術の向上よりも大切な事か。良い事言うな、やっぱり。
それに、良い匂いがするし♪) くんか、くんか
澪「梓も本当はバリバリ練習して、ガンガン曲とか作りたいだろ」
梓「そう思う時もありますけど。私も澪先輩と同じで、それよりも大切な事はあると思いますよ」
澪「あずさー」 うるうるー
梓「それに私は、今の軽音部が結構好きですから」
澪「そう、そうなんだよっ。唯がにこにこ笑ってて、ムギが楽しそうにお茶を入れて。律がぼけて私と梓が突っ込んで。
それが私達の良さで、大切な事なんだよ。ぴゅあぴゅあ♪のふわふわ♪なんだよっ」 きらきらっ
梓(良い事言ったはずなのに、いまいち感動しないな。でもこういう純粋さが、優しい詞を作る源なんだろうな)
律「あー、ひどい目に遭った」
澪「冷蔵庫はどうなった?」
律「ムギがひょいひょい運んでったよ。それと和が、ファンクラブの事で澪に聞きたいって」
澪「・・・私は帰った事にしてくれ」
律「ファンの子が可哀想だろ。ほら、早く行った行った」
澪「分かったよ。私もこのまま帰るから、後の事頼むぞ」
律「わーった、わーった」
梓「お疲れ様でした」
あずにゃ匂い嗅ぎすぎw
律「さてと私達も帰るとするか。食器は全部洗ったか?」
梓「え、はい」
律「楽器は全部良し、備品オッケー。これは唯の忘れ物と。後は火の元と戸締まりか。梓、窓の鍵閉めて」
梓「あ、はい」
律「戸締まりよーじん、火のよーじん♪にばい、にばーい♪」
梓(何言ってるんだろう、この人)
律「じぇしー♪」
商店街
梓「そこのお店、秋物のセールをやってますね」
律「服か。しかし、すごい人だな」
梓「ええ、まあ」 ちら、ちらっ
律「少し見てくか?」
梓「え?あ、はい」
律「やっぱり、とてつもなく混んでるなー。ま、50%オフなら仕方ないか」
梓(・・・あそこのシャツ、ちょっと可愛いかも。でも遠いー) ぐいぐい
律「どうした。どれか欲しいのでもあるのか?」
梓「いえ、あの。その」 ちらっ
律「・・・ちょっと待ってな」
梓「はい?」
律「はい、ごめんなさい。ごめんなさいよ」 ぐいぐい
梓(うわっ。人混みに、無理矢理割って入って行った。でも行けるかな、あそこまで)
律(はい、はい。ごめんなさい。ちょっと通りますよ」 ぐいぐい
梓(あ、ワゴンまで辿り着いた。・・・でも、私の欲しい物がどれかなんて)
律「これだな」 ひょい
梓「あ」
律「ふー、疲れた」
梓「あ、あの。お疲れ様です」
律「梓、ほれ」 ぱさっ
梓「あ、あの」
律「ん?欲しいのと違ってたか?」
梓「い、いえ。私が欲しかったのは、このシャツです」 きゅっ
律「そりゃ良かった。早く、レジへ行ってこいよ」
梓「はいっ」 とたとたっ
商店街
梓「でも、どうしてこのシャツだって分かったんですか」
律「合ってたのなら、それで良いだろ」
梓「そうですけど」
律「私も一応は梓の先輩だからさ。そのくらいは、お前の事を見てるって」 撫で撫で
梓「律先輩」 ぽー
律「たはは。なんか、柄にもない事言っちゃったな。今の無し無し」
梓(普段はおちゃらけてるけど、すごい気が付くしみんな事を見てるんだよね。・・・私の事も。さりげなく優しくて、でもそれを全然表に出さなくて。
それに、良い匂いがするし♪) くんか、くんか
梓「・・・律先輩は部長として、今の軽音部をどう思ってますか」
律「なんだ?澪に泣き付かれたか?」
梓「え、いえ。その」 あせあせ
律「確かに今の軽音部は緩いけどさ。厳しい唯やムギなんて想像も出来ないだろ」
梓「まあ、それは」
律「・・・唯、お前何度コード間違えたら気が済むんだよっ。澪、顔伏せないで、前を見ろっ。ムギ、笑ってる場合じゃないぞっ」
梓「え」
律「なんて事になったら、困らないか?」
梓「それは、はい。分かります」
律「多分澪から聞いてるだろうけど、厳しければ良いって物でも無いと思うんだ」
梓「はぁ」
律「大体唯やムギの顔を見て、どうやって怒るんだよ。子猫を叱るより勇気がいるぞ」 にこっ
梓(良い事言うな、やっぱり。おでこが夕日に輝いてるよ)
夜・コンビニ店内
梓(卵なんて、明日買えば良いのにな)
唯「あれ、あずにゃん?」
梓「あ、唯先輩。ジュースでも買いに来ましたか?」
唯「どうしてもおでんが食べたくなってね」
梓「おでん、ですか」
唯「すごいよね、今のコンビニは。おでんが年中無休、24時間売ってるんだから」
梓「あは。確かにそうかも知れませんね」
店員「ありがとうございましたー」
うぃーん
唯「あずにゃんもどうぞ」
梓「良いんですか?」
唯「一緒に食べた方が美味しいからね」
梓「では、頂きます。・・・大根、良く染みてますね」
唯「うんうん。私はもう、思い残す事は何も無いよ」
梓「またそういう事を言って」 くすっ
公園内 ベンチ
梓「先輩、帰らなくて良いんですか。憂が心配しますよ」
唯「ん?私は大丈夫だよ。あずにゃんこそ、平気?」
梓「特に急いではませんから。・・・なんですか」
唯「なんだか、いつもと違うなと思って」
梓「そうでしょうか」
唯「なんとなくね。私の気のせいかな、たはは」
梓(さりげなく鋭いよな、唯先輩って。いつも温かくて、優しくて。ほんわかしてて。
それに、良い匂いがするんだよね♪) くんか、くんか
梓「先輩って、部活にどんなイメージがあります?」
唯「みんなで仲良く。いつも楽しく健やかに♪」
梓「はぁ」
唯「私は軽音部が初めての部活だから、今の雰囲気が部活のイメージなんだよね」
梓「でも世間一般の部活は違うじゃないですか」
唯「私はああいうの苦手だな。怒るのも、怒られるのも」
梓「誰でもそうでしょうけど、でも」
唯「あずにゃんは、ムギちゃんのお茶が好き?」
梓「お茶、ですか?それは、勿論」
唯「澪ちゃんの詞は?」
梓「それも勿論好きです」
唯「りっちゃんの冗談は?」
梓「度が過ぎない時は」
唯「私も、そういうあずにゃんが好きだよ♪」
梓「先輩」
唯「私はあずにゃんの先輩で、本当は色々教えて上げないと駄目なんだけどね」
梓「ええ」
唯「ギターやあずにゃんの方が上手いし、色々知ってるし。しっかりしてるから、私があずにゃんに教える事は何も無いんだよね」
梓「そんな事は」
唯「それにあずにゃんは後輩だけど、私は。私達は、あずにゃんと親友だと思ってるから」
梓「親友」
唯「だから私達は、仲良く楽しく健やかに。それで良いんだよ」
梓「・・・はい」 ニコッ
翌日・放課後、軽音部部室
梓「済みません。遅れ・・・」
澪「いい加減にしろ、このっ」 ぽかっ
律「いてー、いてーよ。本当に叩くなよ」
澪「お前、また申請書を忘れただろ」
律「ぴー♪ぴー♪ぴー♪」
澪「お前のせいで私が走り回って、みんなの前で謝って、あんな事やこんな事も。あーっ」
梓「あの、遅れ・・・」
紬「お茶のお代わりはいかが?」
唯「はーい♪、私、はーい♪」
紬「はい、どうぞ」 こぽこぽ
唯「お菓子も美味しいしお茶も温かいし、言う事無いねー」 ぐたー
紬「本当ねー♪」 ぐたー
梓「遅れ・・・」
律「いてーよ、いてーんだよ。書類なんて、放っておけば誰かがやってくれるんだよー」
澪「お前が、全部お前が悪いんだ。ポストが赤いのも、雲が白いのも」 ぽかぽか
唯「なんだか、眠くなってくるよねー」 ぐたー
紬「もう、寝ちゃいましょうかー」 ぐたー
梓(・・・軽音部って、何?)
梓「皆さん。ちょっといい加減に・・・」
澪「あの空が青いのは、どこまでも空が広いのは」
律「もういっそ、詞にしろよ」
澪「お前はすぐにそうやって、混ぜ返すんだから。・・・でもまあ、イメージは湧いてくる」
律「たまにはそういう、抽象的なのも良いんじゃ無いのか。ロケハンついでに、山に行ってみるか?」
澪「良いかもな、うん。君の瞳が澄んでいるから、空の青さはそれを映す・・・」
律「全く」 くすっ
唯「お客さん、凝ってますね」 もみもみ
紬「キーボードが、結構重いんですよー」
唯「それなのにお菓子も持ってきてくれるし。ムギちゃん、いつもありがとね」
紬「私が好きでやってる事だから。唯ちゃんも、いつも美味しそうに食べてくれてありがとう♪」
唯「てへへ。これからも、よろしくね♪」
紬「お菓子を?」
唯「もう、ムギちゃーん♪」
紬「うふふ♪」
梓(・・・結局、いつもの先輩達。いつもの軽音部。あったかくて、柔らかくて。練習はあまりしないけど、でもやっぱり)
唯「あずにゃん、どしたの?」
梓「い、いえ。皆さん楽しそうだったので、ちょっと」
律「なんだよ、それ。ほら、和三盆の干菓子あるぞ。食え食え」
梓「和三盆?」
紬「砂糖の一種で、変わった食感が楽しいわよ」
梓「はぁ」
澪「ほら、座って」
梓「あ、済みません」
梓「では、頂きます・・・」 ぱくり
唯「どう?」
梓「あっさりしてて。口の中ですーっと溶けて。すごい爽やかなお菓子ですね」
唯「あずにゃんみたいだね」
梓「え」 ぽっ
律「そうかー?梓は檄辛系のお菓子って感じだぞ」
澪「それを言うなら、お前は光物の魚だろ」
律「なんだとー」
紬「まあまあ。私は好きよ、鯖とか秋刀魚とか」
唯「美味しいよね-、サンマの塩焼き」
梓(微妙にずれてるし、やっぱり練習しないし。でもこれが、私達なんだよね)
澪「そろそろ練習するぞ。食器片付けろよ」
梓「え?」
澪「え?」 びくっ
律「梓らしくない反応だな。まだお茶してたいか?」
紬「だったら、もう一杯どうぞ♪」 こぽこぽ
梓「い、いえ。そういう訳では全然」
唯「あ、そうだ」 ぽんっ
律「澪良いかー」
澪「いつでも」 ボーン♪ボーン♪
律「ムギー」
紬「私もー」 チャラララー♪
律「唯ー」
唯「オールオッケー♪」 じゃじゃーん♪
律「よしー。ワン、ツー。ワン、ツッ、スリッ、フォッ」 タン、タン、タタタタッ
唯「・・・なーんで♪なんだろー♪」 じゃじゃーん♪
梓(なんで私お茶飲んでるんだろ。どうして先輩達だけで演奏してるんだろ) ずずー
澪「どー♪しようかな♪」 ボローン♪ボローン♪
梓(でもこれが先輩達の言う、軽音部って事なのかな・・・) ずずー
翌日、2年1組 教室
純「先輩の演奏を聴きながら、お茶を飲んでたー?」
梓「う、うん」
純「あんた一体何やってんの。というか、軽音部って何なの。梓至上主義な訳?」
梓「いや、意味分かんないし。それに私も、さすがに反省してる」
憂「でも良いよね。演奏を聴きながらお茶を飲めるなんて」
純「私だって聴きたいわよ。そんなのプラチナチケットどころの騒ぎじゃないでしょ」
憂「ジャズ研だと無理かな?」
純「退部届を握りしめてたら、別れの曲くらいは演奏してくれるかもね」
梓(あながち、冗談じゃないんだろうな) たらー
純「あーあ、軽音部が羨ましいよ」
憂「とうとう言っちゃったね」 くすっ
純「う。だって、そんなの誰だって羨ましいに決まってるじゃない」
憂「私もそう思うよ。梓ちゃんって幸せだよね」
梓「そうかな。ムギ先輩はぽわぽわしてるし、澪先輩は結構固いし、律先輩はおちゃらけてるし。唯先輩はあんな調子だし」
憂「だったら、ジャズ研の方が良い?」
梓「まさか。私は軽音部が好きだから。先輩達のいる軽音部がね♪」
終わり
ここまでお読み頂き、ありがとうございました。
私も部活に対するイメージは、上意下達。先輩絶対の縦社会。
先輩は神で、後輩は奴隷。下僕みたいなノリ(偏見込み)。
実際の軽音部は文化系なので多少緩いのでしょうが、純が言うように先輩後輩の壁は存在するでしょう。
テーマはやはり憂の言うように、「梓は良い先輩に恵まれてる」ですね。
部活は大体そんな感じだよな
おつ!!
同好会的なのりだよね
乙
クンカクンカ
乙!
短くて内容が詰まってたと思うぜ!
こーゆー日常生活を描いたやつ好きだ
また機会あったら書いてくれ!!
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コメント 3
コメント一覧 (3)
部活内はニックネームで呼び合ってたし
でも、一方で梓の気持ちも分かるわ
仲良く音楽しようぜって…でも結局卒業して顧問が変わったら上下関係激しくなっちまった…良いか悪いかは何とも言えないが