- 律「METAL GEAR RITU WORLD OF SONG」 1
律「METAL GEAR RITU WORLD OF SONG」 2
律「METAL GEAR RITU WORLD OF SONG」 3
228:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/07/07(水) 00:39:33.24:DXlp6QAO
─────────
───無人島 研究所 地下 ロフトエレベーター前───
りっちゃん「何が写真家だよ! よく考えたらこんなテロリストが占拠してる無人島に写真撮りに来る写真家がいるわけないだろっ!」
「信じる信じないは君の勝手だが…」
りっちゃん「あんな身のこなしの写真家いーまーせーんーだっ!」
「やれやれ……」
りっちゃん「で? あんたの目的はさっき言ってたメタルギアの証拠写真を撮ること、だよな?」
「ああ」
りっちゃん「しかしまた何でこんなとこに一人で来て写真なんか……」

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韓国からポーランドに輸出されるはずだった戦車、軽戦闘機、自走砲などの「K防産」、すべて霧散して夢と終わる可能性も…
230:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/07/07(水) 00:51:33.49:DXlp6QAO
「あー……それはだな」
りっちゃん「しかも敵の兵に扮して……ねぇ?」
「色々と事情があってだな」
りっちゃん「まあいいや。私は政府直属の対テロリスト特別部隊、通称FOXDIEDの隊員の田井中律。コードネームはりっちゃん。ここにはメタルギア破壊の任を受けている」
「……こんな女の子まで戦場に出ることになるとはな。皮肉なもんだ……」
りっちゃん「まあそれに関してはこっちも色々あるんだよ。そう言えばあんた名前は?」
「しゃべり方がころころ変わる奴だな。まあいい。俺はスネ(ry」
りっちゃん「スネ?」
ジョン「いや、ジョン、ジョン・ドゥだ」
232:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/07/07(水) 01:02:51.22:DXlp6QAO
りっちゃん「ジョンか、いい名前」
ジョン「そうか? ありふれたどこにでもある名前だろう?」
りっちゃん「社交事例だよ」ニヘヘ
ジョン「……」
りっちゃん「あ、怒った?」
ジョン「いや、自分達が作って来た道が正しいと思っていた。いたが……そうじゃなかったと。お前さんを見て思ったよ」
りっちゃん「ジョンだけが悪いわけじゃないよ。人がいっぱい生きてるんだからさ。その中でそれぞれ考えることも優先順位も違う。その摩擦をどう埋めてくか……それは一人一人が認識しなきゃならないんだ」
233:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/07/07(水) 01:11:58.25:DXlp6QAO
ジョン「顔の割に哲学的なことを言うな」
りっちゃん「顔の割にってなんだよぅ!」
ジョン「悪い意味で言ってるんじゃないぞ? 良い意味でだ」
りっちゃん「良い意味ってつけたら言い訳じゃないぞっ!」
ジョン「駄目か」
りっちゃん「駄目だ!」
律は不思議に思っていた。何でだろうか。さっきあったばかりなのにこうも打ち解けられるなんて。
自分は人懐こいところはあるもののこんな戦場までそれを持ち込んだつもりはない。
現にむぎの執事には容赦なく麻酔弾を撃ち込んでいるではないか。
何だろうこの感じ……凄く懐かしい。
234:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/07/07(水) 01:22:28.01:DXlp6QAO
ジョン「さて、お互い自己紹介も済んだんだ。そろそろお互いの仕事に戻るとしようじゃないか」
りっちゃん「あれ? このままメタルギアの格納庫へ行くんじゃないの?」
ジョン「その前にいくつかやっとくことがあってな」
りっちゃん「そっか……」
ジョン「なぁに残念がることはない。お前さんが破壊する前には駆けつけるさ。……じゃあな」
りっちゃん「ジョン!」
ジョン「なんだー?」
呼び止められても立ち止まらず背中越しのまま答える。
りっちゃん「さっきは本当にありがとう」
ジョン「……ああ」
手を振る律に軽く手を上げ答えながら曲がり角へ消えていく。
りっちゃん「さて……行こうか」
メタルギアはこの下の格納庫、とうとう目先まで迫っていた。
235:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/07/07(水) 01:29:08.85:DXlp6QAO
グゥゥゥン────
低い唸りを上げながらエレベーターは下降していく。
律はMkなどに弾薬を補充しつつ降りきるのを待つ。
りっちゃん「あれ? そう言えばAKがないや。いつからだっけ……」
振り返る内に思い出す。
りっちゃん「あ~…エルードした時かな…」
隠れることに必死で忘れてたや。
どの道メタルギアを破壊出来るような武器ではない。
りっちゃん「どっかでC4を手に入れないとな……」
確かにC4なんて持ってウロウロはしたくないがなかったらどうやってメタルギアを破壊すればいいんだよとFOXDIEDのシステムにケチをつけてる内にエレベーターが止まった。
236:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/07/07(水) 01:36:18.17:DXlp6QAO
りっちゃん「ジョンの言う通りなら格納庫はこの先か……」
そうして歩み始めた時、
ビュンッ
律の足元に鉄の塊が弾き飛んできた。
りっちゃん「この独特な銃声……唯かっ!?」
周りを見渡すと格納庫へと続く大きな扉の前にギターをぶら下げ、俯いてる唯がいた。
りっちゃん「唯……」
唯「りっちゃん…私達、友達じゃなかったの?」
りっちゃん「……そうだ。友達だ」
唯「あずにゃんは……? あずにゃんは違ったの? 確かにりっちゃんにはなついてなかったけどさ……大切な後輩じゃなかったの??」
りっちゃん「…何を言ってるんだ? 勿論大切な(ry」
唯「ならなんで殺したっ!!!!!!!!」
りっちゃん「」ビクッ
余りの大声に空気が震える。
237:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/07/07(水) 01:48:05.10:DXlp6QAO
りっちゃん「唯、お前は勘違いしてるよ。私は梓を殺してなんか…」
唯「ならこれはなにっ!? この写真…見せられて……私達がどんだけショック受けたかりっちゃんにわかる?!」
唯の手に握られていたのは、
血だらけに引き裂かれ、木に吊るされた梓の姿だった。
りっちゃん「そんな…なんで…嘘だろ…」
唯「自分がやったくせにそうやって惚けるんだ!? そうやって油断させて私も殺すんでしょ!?」
りっちゃん「違うっ! 私じゃない…信じてくれ唯っ!」
唯「……りっちゃんのこと大好きだった。いつも隣にいて……笑っててくれて…」
唯「私は…私はっ…」
溜めた涙を重力に任せ溢す唯。
りっちゃん「なら信じてくれ…唯。私はお前らと戦いに来たんじゃないんだ! 他にも道はきっとあるから! だからそれを探そうって…」
切なそうに胸を抱きながら律が嘆く。
りっちゃん「だからお願い唯……信じてくれ……」
唯「……りっちゃん」
それは唯が初めて見た、律の涙だった。
238:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/07/07(水) 01:54:59.57:DXlp6QAO
こんな悲しそうな顔をする律を見たことない唯は戸惑う。
昔の楽しかった思い出がフラッシュバックし、流れては消えていく。
きっとあずにゃんにもこんな涙を見せたのだろう。
そうだ、今目の前にいるのはりっちゃんなんだ。
私達をいつも大切に思ってくれて。
私達を止める為にたった一人になっても。
世界を敵にした私達だとしても。
「なにやってんだー? 部長は私だぞ? 部長の言うことは聞かなきゃダメなんだぞーっ?」
って、怒りに来てくれたに違いない。
なんで疑ってたんだろう。あんなに大好きだったりっちゃんを。あずにゃんの写真だってきっとあの変な奴が細工したに違いない。
私だっていつまでもバカじゃないんだっ!
自分のしたい、やりたい、意思まで奪われてたまるもんかっ!
そうだ、目の前にいるのは……
グォン、グォン……
唯「っ……」
頭を抱えながら苦しむ唯
りっちゃん「唯!?」
239:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/07/07(水) 02:02:57.79:DXlp6QAO
唯「近づかないでっ!」
シュンッ
りっちゃん「~ッ!」
歩み寄ろうとする律に発砲。
どの弦を弾くかで、表板のどの穴から弾丸が出てくるかわからない律は完璧に不意をつかれた。
唯「目の前にいるのは……敵。だから殺すの……それがりっちゃんでもっ!」
りっちゃん「唯っ!」
さっきとは明らかに雰囲気が一変した唯を訝しく思うも、このまま立っていては蜂の巣と判断し、何個もあるコンテナの物陰に隠れた。
唯「りっちゃん……死んでっ!!!!」
りっちゃん「クソッ!!」
どうにか出来ないのかと頭の中で巡らすもいい手が思い付かない。
りっちゃん「やるしかないのかっ……」
245:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/07/07(水) 23:16:41.95:DXlp6QAO
俯いていた顔を上げ、真っ直ぐに、今は隠れて見えない律をコンテナ越しに見据える。
唯「りっちゃん、隠れても無駄だよ」
唯「ギー太にはこう云う使い方もあるんだ」
唯「装填転換」
ギターを縦にクルクル回しながら呟いた。
ギターを支える肩口に掛かっている紐とギターの間に金具が仕込まれており紐をかけたままでも縦回転出来る様になっているようだ。
りっちゃん「(何を……)」
唯「ギー太の音色は、レボリューションだよ!」
ピュンッ
シュンッ
バァンッ
りっちゃん「(どこに撃って……)」
カァンッ
りっちゃん「跳弾っ!?」
246:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/07/07(水) 23:24:20.99:DXlp6QAO
コンテナに当たった弾が角度を変え、律のいる場所へ
りっちゃん「うわっ」
慌てて前転しその場を離れる。
唯「りっちゃん。ギー太はね、こうやって右に回すとリロード、左に回すと跳弾したりする弾に装填変換するんだよ」
りっちゃん「唯……(こんな凝った武器一体……。)」
唯「面白いよね。こうやって撃った銃声と弾が弾き遭う音……」
唯「これが私が求めていた音楽……」
りっちゃん「違うっ! こんなもんは音楽でも何でもない! ただ人を殺す残響でしかないっ! 唯! お前のギターはもっと優しかったろ!?」
247:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/07/07(水) 23:34:31.46:DXlp6QAO
唯「音楽を否定したりっちゃんが何を言ってもっ……」
ビュンッ
チュインッ
ジュンッ
撃った弾が跳弾し、隠れても隠れても律に襲いかかる。
ズァッ
りっちゃん「いぢッ」
跳弾した弾が肩口をかすめ、少し律の肉を殺(そ)ぐ。
りっちゃん「ここまで正確に跳弾出来るもんなのかよ……しかもあの唯が」
りっちゃん「(いや、唯は一つのことに関しては天才的だ。だがこんなテクを教えられるやつが……。)」
りっちゃん「(今は考えてる場合じゃない! 唯は本気で殺しに来てる…、このままじゃ……一旦眠らせて…それから考えよう)」
249:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/07/07(水) 23:42:47.44:DXlp6QAO
ここに来てようやく律も反撃に出る。
走り回りながら唯に的を絞らせず、コンテナとコンテナの間を通る時に並走しながらMkを二発。
唯「その弾速じゃ当たらないよ……りっちゃん」
唯の履いているホバーブーツにより軽くかわされる。
りっちゃん「出たなインチキドラえ○んアイテムめっ!」
戦いは膠着していた。唯が撃っては律が逃げ、律が撃てば唯はかわす。
それに痺れを切らした唯がアクションを起こす。
唯「りっちゃん、覚悟っ」
律がまた走り込み、発砲してくるであろうポイントに手榴弾を投げ、それを撃ち抜く。
250:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/07/07(水) 23:54:51.11:DXlp6QAO
律にとっては誤算だった。手榴弾を見た瞬間なら避けるのは容易かった。
だがそれはピンが抜かれてなく、それを見た時に過去の唯が過った。どこかやはり抜けている、と。
だがそのせいで判断が遅れ、撃ち抜かれた際に逃げ遅れた。
ドフゥン─────
短い爆音の後に爆風が通り過ぎて行く。
煙が上がりコンテナも爆発により大きくへこんでいた。
唯「さよなら、りっちゃん……」
ヒュンッ
ヒュンッ
唯「!?」
煙の向こうから二発の麻酔弾が抜け出してくる。唯はそれに反応出来ないまでもギターを盾にしてなんとかこれを防いだ。
251:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/07/08(木) 00:00:27.90:cyOtWsAO
りっちゃん「あっちゃ~、外したか」
煙の向こうからゆっくりとシルエットが浮かび上がる。
左腕をだらんと下げ、長袖だった迷彩服が半袖に変貌している。
腕には血が滲み、痛々しい姿となっていた。
唯「しぶといね、りっちゃん」
りっちゃん「元気だけが取り柄だからな!」ニコ
唯「……」
こんな姿になっても笑う律を訝しげに見つめる唯。
唯「なんで…そんな笑っていられるの?」
りっちゃん「さあ。もう迷ってないからかな。どんな形であれ唯を助けるって思って動いてるから。梓の時みたいに辛くないんだ」
252:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/07/08(木) 00:05:02.23:cyOtWsAO
唯「まだそんなことっ」
りっちゃん「唯が私をどう思ってたって知らないよ。私がそうしたいからそうするんだ」
唯「わがままだね、りっちゃん」
りっちゃん「そーかもね」
唯「でも私は……」
りっちゃん「……」
律は確信していた。唯は普通の状態ではないと。
感情起伏が激しいことと、それに一番はやはりギー太だった。
あんな大切にしていたギターをあんな殺戮兵器に変えることを唯がヨシとするわけがないと。
何が足りなかった。唯を救うピースが。
253:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/07/08(木) 00:12:15.59:cyOtWsAO
上から射す光が、ギターの表板に反射する。
その時だった、律は見た。
自分が撃ち込んだ麻酔弾の針が唯のギターの表板に刺さり込んでいる。
別に特質して目を見張るものはない。だが、それは普通の人が見たらの話だ。
表板の白い部分、そこに刺さり込んだ針により……律はすべてを悟った。
りっちゃん「唯……」
ただこの手で抱き締めたい。
大好きな唯を────
その一心でゆっくり歩み寄る。
唯「りっちゃん、止まって。じゃないと撃つよ?」
りっちゃん「いいよ。唯に撃たれるなら、後悔しない」
254:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/07/08(木) 00:19:43.48:cyOtWsAO
唯「このっ……」
シュンッ
唯の撃った律にかするもクリーンヒットはない。もう二人の距離は5mもない。
りっちゃん「唯……辛かったろ……? ごめんな、気付けなくて」
唯「うるさいっ! 来るなっ!」
弾く、撃つ。
当たらない。
唯「なんで……」
同じ“ 弾く“、でも銃のそれと楽器のそれは明らかに違った。
一つは奏で、人を喜ばし、幸せにする。
一つは殺し、争い、人を悲しませた。
りっちゃん「唯の手は、楽器を弾く手だ。人を喜ばせる為の手だ」
唯との距離は後1m──────
255:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/07/08(木) 00:28:05.03:cyOtWsAO
───────
「ちっ……近づきすぎだ。こちらももっと近づいて洗脳し直さねば……」コフー
ニンジャ「どこへ行くつもりかしら?」
「ぬっ」
気づけばマチェットを突き付けられ、黒づくめの喉が鳴る。
「貴様、シャドー・モセスの……!」
ニンジャ「グレイフォックスじゃないわ。サイコマンティス、いえ、純」
サイコマンティス「まさか……あなたは」
グシャッ
ニンジャ「あなたが愛国者と繋がった経緯は知らないわ。けど彼女の邪魔をするのなら容赦しない……」
──────
256:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/07/08(木) 00:32:20.23:cyOtWsAO
抱き締めた。
抱き締められた。
ギター越しだがそんなの無視して無理矢理抱きしめる。
りっちゃん「唯……」
唯「りっちゃん……」
唯も憑き物が落ちた様に穏やかになっていた。
りっちゃん「ギー太は……もう、いないんだな」
唯「なんで……?」
そう言うと律は少し離れ、唯の持っているギターの白い部分からペリッと何かを剥ぎ取った。
りっちゃん「へへっ。また剥ぎ取ってやった」
唯「……そっか。いないんだ……ギー太」
そう、このギブソンレスポールはあの時持っていたギー太ではない。
何故なら、もしあの時のギー太ならついているわけがないのだ。
このシールフィルターが。
私が、はずしたのだから。
257:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/07/08(木) 00:41:59.42:cyOtWsAO
針が刺さり込みシールフィルターにシワが出来てそれが貼られたままなのがわかったのだ。
りっちゃん「唯。一緒に……他の道を探そう?」
唯「……っうん」
泣きながら、必死に頷く唯。
律はまた優しく唯を抱き締めた。
唯もそれを受け止め、律の肩に涙の跡を残し続ける。
唯「ごめんねぇ……ごめ゛ん゛ねぇ……」
自分が律に刻み込んだ傷を見て更に罪悪感にうちひしがれ、泣いた。
それを頭を撫でることで宥める律。
過ぎた時間の中で、
別々の刻を過ごして来た二人がようやく重なった。
あの頃の様に
258:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/07/08(木) 00:53:07.25:cyOtWsAO
──────
りっちゃん「へぇ、上手いもんだな」
唯「私だってこれぐらい出来るもんっ! まあ憂に教えてもらったんだけどね…」
律に包帯を巻きながら唯は悲しげに瞳を伏せる。
唯「りっちゃん……痛くない?」
りっちゃん「物凄く痛いッ!」
唯「はわわっ」
りっちゃん「でもそんなことより唯とわかり合えたことが嬉しい」ニコ
唯「りっちゃん……」
りっちゃん「憂ちゃんも心配してたぞ? あんないい妹に心配かけるなよ」
唯「うん…。」
りっちゃん「唯、お前は自分の意思で澪について行ったんじゃないのか?」
259:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/07/08(木) 01:00:00.60:cyOtWsAO
唯「ううん。勿論自分の意思だよ。だけど詳しいこと聞いたら怖くなって……やっぱりやめようって何回も澪ちゃんに言ったけど……」
りっちゃん「澪……」
唯「私達だけじゃ世界を相手にするなんて出来ないから……そんな時ある人達に出会ったの。それから澪ちゃんはもっと変わっちゃってって…私も変わらなきゃ、変わらなきゃって思ってたけど…」
りっちゃん「唯……」
唯「そんな私にあのがこのギターをくれたの。もう一度弾いてくださいって……」
りっちゃん「そいつが……」ギリッ
260:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/07/08(木) 01:09:06.46:cyOtWsAO
唯「それから何だか自分がわからなくなって……」
りっちゃん「(シャドー・モセスの資料で似たような症状が載ってたな……まさかこの一連の騒動には……)」
りっちゃん「唯、その男の名前わかるか?」
唯「ええと、確か……」
──────────
「サイコマンティス……純はやられたか。所詮奴もこの縮図の為の一つに過ぎん」
「もう少し……もう少しだ」
リキッド・オセロット「もう少しで世界の音楽を取り戻すことが出来る」
─────────
261:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/07/08(木) 01:18:25.91:cyOtWsAO
りっちゃん「リキッド・オセロット……」
りっちゃん「(リキッドと言うのはあのシャドー・モセス事件の首謀者……オセロットと言うのも幹部な筈。どう言うことだ……)」
唯「りっちゃん……澪ちゃんと止められるのはりっちゃんしかいないよ! 私じゃ無理だったから……」
りっちゃん「ああ、任せとけ! 唯は外でライオンと寝てる梓と一緒に隠れててくれ。メタルギアを破壊してむぎと澪を説得したらそっちに行くから」
唯「わかった! あ、後これ」
唯がカードの様なものを律に渡す。
262:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/07/08(木) 01:24:44.24:cyOtWsAO
唯「これでこの先のLvの高い扉も開くよ!」
りっちゃん「ありがと。じゃあな、唯」
唯「またね、りっちゃん」
トテトテと歩いて行く唯の後ろ姿を見ながらホッと息を吐き出す律。
りっちゃん「~ッ」
その場に倒れ込むと呻きながら左腕を抑える。
りっちゃん「いったぁッ……」
治療したとはいえ焼ける様に痛む。唯の前では悲しんで欲しくないと平気な振りをしていたのだろう。
りっちゃん「行かないと……まだバカが残ってるからな」
ゆっくり、ゆっくり歩いて行く。
きっとこの先、むぎや澪が待ち構えているだろう。
りっちゃん「澪……」
263:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/07/08(木) 01:37:20.25:cyOtWsAO
───無人島 研究所 地下格納庫 制御室───
澪「これで本当に音楽が戻って来るんですね?」
リキッド・オセロット「勿論ですよ。奴らとて核をチラつかせばやらざるを得ないでしょう」
澪「武力介入でしか取り返せないなんて……」
リキッド・オセロット「そういう時代なのです。私らも心を痛めるばかりで」
リキッド・オセロット「出来れば使いたくありませんでしたがね……」
メタルギアを眺めるリキッド。
リキッド・オセロット「しかしその前に排除しなければならない」
澪「わかってる。それはこっちのことだから。あなたはメタルギアの完成を急がせてほしい。一刻も早く音楽を取り戻す為に」
リキッド・オセロット「ええ勿論」
それを聞くと澪は踵を返す。全身に纏った黒いコートが靡く(なび)。
前に何個もの留め具で止めてあり、襟は口元まで迫っている。
長い澪の黒髪と相まって神秘的な雰囲気さえ醸し出している。
リキッド・オセロット「ふふ、他のものとは再現のレベルが違うな。あの姿、ソリダスさながらじゃないか。ククク……」
そう静かに呟いた。
272:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/07/17(土) 00:35:57.93:wmEuskAO
───無人島 地下格納庫───
オレンジ色の光がだだっ広い空間に降り注いでいた。
天井は果てしなく続くかと思う程高く、恐らく地上と繋がっているんだろうと推測出来た。
りっちゃん「これがメタルギア……」
律から数十m離れた先にその巨大な金属の塊は鎮座していた。
二足歩行型、突き出た頭部に鳥類を思わせる鉄の羽根の様なものがついている。
背中にはスピーカーの様なアンテナの様なものが二つ生えておりかなり違和感を覚える。
資料で見たREXやRAYとも違う。
REXが陸上型、RAYが海上型だとするとこれは飛行型なのだろうか。
273:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/07/17(土) 00:37:29.86:wmEuskAO
ピリリッピリリッ
見上げたまま呆けていた律にけたたましいCALL音が響いた。
恐らく地上へと出る通路が伸びている為電気信号が届いたのだろう。
りっちゃん『さ~わちゃん久しぶりっ』
さわ子『ようやく繋がった! りっちゃん、今すぐその無人島から離脱しなさい! 』
りっちゃん『…どうしたの?』
さわ子『政府がそこを爆撃することに決めたのよ! 核を撃たれる前に無人島ごと地図から消し去るつもりなの!!!』
りっちゃん『……まあそう来るよな』
さわ子『……随分冷静ね。驚かないの?』
274:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/07/17(土) 00:38:15.22:wmEuskAO
りっちゃん『どうなったってやることは変わらないからね~…。 で、爆撃の予定時刻は?』
さわ子『アメリカのB-2が今スタンバイ中らしいわ』
りっちゃん『また旧型のステルス機を…。まだちょっと時間はあるか』
さわ子『後FOXDIED解体通告が来たわ。通信が傍受されてたみたいね。ナノマシン通信だからって油断してたわ』
りっちゃん『さわちゃん……迷惑かけてごめん』
さわ子『いいのよ。元々上から色々いちゃもんあった組織だしね。やっぱり民間人ばっかりじゃFOXHOUNDの後釜にはなれない……か』
りっちゃん『……』
275:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/07/17(土) 00:40:23.77:wmEuskAO
さわ子『私達が選出されたのはテロリスト、つまり澪ちゃん達の近くの人間だからよ。責任と言う代償を払わされる形でね……でもねりっちゃん、あなたはそうじゃない』
りっちゃん『えっ…』
さわ子『私は前に代わりはいくらでもいるって言ったけどね、その代わりの中でもあなたの能力はトップだったのよ』
りっちゃん『そうなの…?』
さわ子『ええ。だから能力的にも問題なく送り出されたの。私達とは違う、本当の意味で選ばれたのよ』
りっちゃん『……』
さわ子『だからねりっちゃん。好きにやってきなさい! もうあなたを縛るものは何もないから!!』
276:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/07/17(土) 00:42:16.97:wmEuskAO
りっちゃん『さわちゃん……』
さわ子『行ってらっしゃい、田井中さん』
りっちゃん『うん、行ってくる! あ、憂ちゃんいる?』
さわ子『えっ……あら? あの子どこに行ったのかしら。ちょっと見当たらないわ。また見かけたら連絡するわね』
りっちゃん『わかった!』
さわ子『ナノマシン通信はまだしばらく生きてる筈だから何かあったらまた連絡頂戴ね』
りっちゃん『わかった! ありがとうさわちゃん!』
さわ子『Good Luck RITU』パチッ
ピピュン
りっちゃん「去り際にウインクなんて余裕だな~さわちゃん」
これで世界がどうとか関係なくなった。
私一人の意思で、そうするんだ。
FOXDIEDのみんな、迷惑かけてごめん。
そしてありがとう……
277:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/07/17(土) 00:43:11.79:wmEuskAO
───FOXDIED 作戦本部室───
さわ子「さてと……、そろそろ来るわよ。注意して。入り口を固めて時間を稼いで! 非戦闘員から非常口から脱出、殿、お願いね」
FOXDIED作業員「はっ! 局長は?」
さわ子「私はみんなが逃げたのを確認してからここを爆破するわ」
FOXDIED作業員「局長ッ!? やめてください! いくら反逆者の組織の局長だからって殺されたりは……!」
さわ子「甘いわ。用済みになった組織の局長を生かす程愛国者達は甘くない……」
FOXDIED作業員「愛国者……?」
さわ子「らりるれろ、よ」
278:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/07/17(土) 00:48:32.27:wmEuskAO
さわ子「それよりも憂ちゃんは?」
FOXDIED作業員「い、いえ、見てませんが」
さわ子「早く探して。私の教え子達は誰一人殺させないわ」
FOXDIED作業員B「あれ? さわ子局長、一緒じゃなかったんですか?」
さわ子「どういうこと?」
FOXDIED作業員B「いや~さっき憂ちゃんが局長と一緒に現地に行くってんでヘリを一機貸したんだけれども」
さわ子「まさかあの子……ッ!」
ババババババ!!!!
FOXDIED作業員「来ました!!!」
さわ子「もうッ! 次から次へと!!!」
手がかかる生徒を持つと大変ね……。
けどりっちゃん、あなたなら大丈夫。
時代、世界、歴史……そんなものあなたには関係ない。
ただ仲間を大切に想う力がきっと新しい世界を切り開く……私はそう信じてるわ。
だから生きて、みんな。
生きて、こんな世界を……
279:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/07/17(土) 00:58:54.09:wmEuskAO
───無人島 地下格納庫───
りっちゃん「メタルギアを爆破……しようにもC4がないよぉっ!」
メタルギアの前でじたんだを踏みながら叫ぶ律。
「それは私達の要なんだ、爆破などされては困るよ」
りっちゃん「あんたは……ッ!」
リキッド・オセロット「FOXDIEDのネズミがこんなとこまでよく辿り着いたものだ。自分が行けば核は撃たれないだろう? 人間には核は撃てない、だから先に爆撃? フフフ……だから人間はここまで腐ったのだ!」
りっちゃん「何を……!」
リキッド・オセロット「平和を謳いぬるま湯な世界で腐っていく。今や文化まで捨て平和などと云う不確かなものを追い続けている。実にくだらない」
りっちゃん「あんたがリキッド・オセロットか!」
280:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/07/17(土) 01:11:17.43:wmEuskAO
リキッド・オセロット「お前のことはお前の仲間から聞いている。リッチャンとか言う名前だったか? いいセンスだ」
初老の男は日本指を拳銃に見立てて指してくる。
りっちゃん「名前じゃないやいッ! そんなことよりムギは!? 澪は!?」
メタルギアの整備される為の脚橋を見上げ強気に言い放つ律。それを見下ろす様に答えるリキッド・オセロット。
リキッド・オセロット「琴吹嬢には少し眠ってもらった。なぁに手荒な真似はしない、このメタルギアが完成したのは彼女の父親のおかげなのだから」
りっちゃん「あんたが……元凶かッ!!!」
リキッド・オセロット「私はただ彼女達に共感し、音楽を取り戻す手伝いをしたに過ぎん」
281:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/07/17(土) 01:24:00.34:wmEuskAO
りっちゃん「屁理屈を……ッ! 梓と唯を操ったのはお前だろ!! そして澪とムギのことも……」
リキッド・オセロット「ククク……何を言い出すかと思えば。確かに中野梓、平沢唯は覚悟が足りなかったから少し細工をしたが……残りの二人は違う。自らの意思でここにいる」
りっちゃん「……例えそうだとしても核を使ってまで…関係ない人達まで巻き込んで、脅かして! そんなやり方を澪達が許す筈がッ!」
リキッド・オセロット「だそうですよ……澪さん」
りっちゃん「……!?」
「えやあああああああ!」
いきなり中空に現れた黒ずくめの影、一振りの日本刀の様なものを振りかざしながら降下してくる。
りっちゃん「くッ…!」
それを真横に前転し、かわす。
鉄が震え上がる音が響き、律が振り返った先には
同じ様に律を見据える澪の黒灰の瞳があった。
282:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/07/17(土) 01:34:04.95:wmEuskAO
りっちゃん「澪……っ!」
それ以上の言葉が出なかった。さっきの一撃が余りにも律を殺さんとする殺気を秘めていたからだ。
澪「……」
澪は何も答えず日本刀をぶらんと手に携えたまま律を見ている。
りっちゃん「何でこんなことしてんだよッ! お前は…そんな奴じゃなかったろ!!?」
澪は答えない。
りっちゃん「何とか言えよッ!澪ッ!」
澪「……何で逃げなかった」
りっちゃん「えっ…」
黒いコートの襟に隠れ口元はわからないが確かにそう聞こえた。
澪「ここは私が。あなたはミサイルの処理を」
リキッド・オセロット「わかりました、ボス」
手をひらひら振りながらどこかへ行くリキッド・オセロット。
りっちゃん「逃がすかッ!」
素早くMkを抜き放とうとするが、
澪「お前の相手は私だ、律!」
構えを取り、撃てばその瞬間殺すと言わんばかりに律の前に立ち塞がる澪。
283:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/07/17(土) 01:46:07.39:wmEuskAO
りっちゃん「澪……なんでッ!」
澪「なんで? それはこっちの台詞だよ!」
りっちゃん「私はお前を…」
澪「今更ノコノコ現れて説教か?」
りっちゃん「違うッ! こんなやり方で本当に取り戻せると思ってるのかよッ!?」
澪「あの時私の誘いを蹴った律に何がわかる!!!」
りっちゃん「わからないから……ッ! だからこうして止めに来てるんだろ!!!」
澪「……」
りっちゃん「……」
澪「後もう少しなんだ、邪魔はさせない。例えそれが律でも……ッ!」
りっちゃん「本気なのか……?」
澪「……」カチャン
日本刀を握り反す澪。眉を下げ、律を睨み付ける。
澪「律、覚悟」ジリッ
りっちゃん「わからず屋め……」ジリッ
284:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/07/17(土) 02:04:14.99:wmEuskAO
ジリッ、ジリッっと距離を測りながら機会を伺う二人。
澪「はあッ!」
まず澪が動いた。
息を一気に吐き出す様に叫び、下手に日本刀を構えながら駆ける。
りっちゃん「わからず屋はお寝んねしてなッ!」
素早く麻酔弾を二発撃ち込む。
りっちゃん「(あれぐらいのコートなら余裕で貫通する筈)」
澪はそれを避けようともせずそのまま突っ込んでくる。
弾が当たり律が心の中で「やった!」と思う前にそれは起こっていた。
カンッカンッ!
りっちゃん「弾いたッ!?」
澪の黒いコートに触れるや否や麻酔弾は弾け飛び四散した。
澪「やああああっ!」
弾など気にも止めず突っ込んで来た澪は上段から日本刀を素早く振り下ろす。
りっちゃん「なんのっ」
それをギリギリスウェーで避け、後ろに倒れながら更に二発撃ち込む。
カンッカンッ
それも虚しく弾かれ、訝しげに澪のコートを見据える律。
285:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/07/17(土) 02:15:24.38:wmEuskAO
りっちゃん「(像の足の裏だって刺さり込むのに……よっぽど堅い素材なのか)」
倒れる勢いを利用して片手でバク転して距離を取る律。
澪「ちょこまかと…ッ!」
りっちゃん「それもムギのか?」
澪「……それが?」
りっちゃん「音楽を取り戻そうとして…結局その手で武器を握るんだな」
澪「そうしないと取り戻せない…、律だってわかってるだろッ!」
りっちゃん「本当にそうなのか…?」
澪「……」
りっちゃん「本当に、こうしなきゃ取り戻せないのかな。音楽」
澪「……世界にはSONGBOMBが溢れてる……そのせいで音楽は……」
りっちゃん「なんで……こっちを選んだんだよ?」
澪「何が…」
りっちゃん「惚けるなよ。お前達には…SONGBOMBを何とかするって道をあっただろ!?」
澪「……」
286:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/07/17(土) 02:22:16.11:wmEuskAO
少し俯いて、その長い黒髪で目を塞いだ後
澪「…やっぱり律はわかってないよ」
寂しそうにそう告げた。
りっちゃん「わかってなくないっ! こんな辛い道を選ぶ覚悟があるなら……もっと地道で時間をかけて」
澪「それに…意味はあるの?」
りっちゃん「えっ……」
澪「世界中にあるSONGBOMBの数なんて把握しきれないほどだって言われてる。それを私達だけで探して冷却処理、もしくは解体処理して……そんな長い長い時間をかけて……そんなことしてたら音楽を取り戻す前に私達が死んじゃうだろ? なんでわからないんだよ……律」
りっちゃん「だ、だけどっ! こんなことしてまで得た音楽で」
澪「私達はいい、それでも。知らない誰かを犠牲にした上に成り立った音楽でも! 唯、ムギ、梓、私、そして……律、お前達がいたら私はどんな音楽だって幸せだよッ!」
りっちゃん「澪……」
でも、違うだろ。そんな音楽……あの頃の私達は望んでなかった。
287:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/07/17(土) 02:36:42.84:wmEuskAO
りっちゃん「……やっぱり違うよ、澪。澪が言ってるのはただのわがままだよ…」
私だって音楽がしたい。けど、だからって周りを巻き込んで、悲しませて、そんな上に成り立った音楽なんて奏でたところで気持ちよくもない。
澪だってわかっている筈なのに…。
澪「わがままだっていい……私は、私は……あの頃の軽音部を取り戻す。律、お前がどうしても邪魔するなら……」
再び構え直す澪。
りっちゃん「澪…今の私は自分の意思でここに立ってる。FOXDIEDも世界も関係ない、田井中律の意思でお前の前に立ち塞がってるんだ!」
澪「ッ!」
りっちゃん「迷うなよ、澪」
後輩に言われた言葉を投げ掛ける。
澪「……私はっ!」
───バンッ!
澪「!?」
288:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/07/17(土) 02:52:32.27:wmEuskAO
りっちゃん「!?」
急な銃声に音の元へ振り向く律、しかしそこには何もない。
バンッ!
バンッ!
澪「くっ」
弾幕に圧され少しづつ交代する澪。
撃っているのは律ではない、元々殺傷力がある武器はPSG-1しかない律ではあり得ない銃声だった。
銃声は軽い、そう、SOCOMの様な。
「下がってろ!!!」
何もない虚空から声が響いた───
りっちゃん「なっ」
次の瞬間───
みるみると人型がその場に現れ、姿を象(かたど)る。
その人型は灰色のバンダナを頭に巻き───
全身をスニーキングスーツで覆っており───
SOCOM、Mk23を手に携え現れた───
りっちゃん「ソリッド……スネーク」
伝説の傭兵がそこに在った。
318:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/08/19(木) 01:36:58.16:7lFkVQAO
資料で特徴しか見たことなかった伝説の傭兵。
初陣のアウターヘブンではビッグボスの予想を裏切り奮闘、それを崩壊に追いやり。
ザンジバーランド騒乱では単独潜行で乗り込み陥落させ、
シャドーモセス事件でも単身でこれを解決した。
灰色のバンダナにスニーキングスーツ。
このソリッド・スネークが参考にされているVR訓練の難易度は激高でクリア者はほぼいないと言われている。
そんな絵空事でしかない英雄が今、律の目の前にいた。
319:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/08/19(木) 01:37:50.73:7lFkVQAO
スネーク「…生きてたか」
銃を構えながら律に目を遣るスネーク。
りっちゃん「えっ……あっ、はい!」
スネーク「あいつがテロリストのボス、秋山澪か」
りっちゃん「……一応そうなるの…かな。でも何で伝説の傭兵がこんなところに」
スネーク「そんな大層なもんじゃない。フィランソロピー、今はメタルギア根絶の為に戦ってる」
りっちゃん「それで…」
澪「頼もしい助っ人だな。良かったじゃないか、律! お前には世界中に味方がいて!」
りっちゃん「なっ、何いってんだよっ! 今のはそんな話じゃ……」
320:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/08/19(木) 01:41:29.59:7lFkVQAO
スネーク「お前達がどういった関係かは知らん、だがどんな関係だろうがテロリストはテロリストだ」
スネークは全てを見透かした様に澪にSOCOMを向ける。
テロリストに情など向けるなと、同じ兵士である律への当て付けの様に。
りっちゃん「……」
律もそれがわかったのか渋々Mkを澪に向ける。
澪「伝説の傭兵が相手じゃ分が悪いな…。」サッ
後ろに大きくバックジャンプし、逃亡を図る澪。
スネーク「逃がすかッ!」
バンッバンッ!!
カンッ!チュインッ!
澪「そんなものじゃなっ! 腕は一流でも銃の方はポンコツかな!?」
スネークの銃弾を強化外装のコートが軽く弾き、澪はいつの間にか視界から消え去った。
321:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/08/19(木) 01:42:40.73:7lFkVQAO
スネーク「ぐっ、逃がしたか。…何故撃たなかった?」
りっちゃん「えっ…」
スネーク「ここは戦場だ。女子校じゃあない。死にたくないならさっさと帰ることだ」
SOCOMをしまうと指を鼓膜に宛て何やらしている。恐らくナノマシン通信だろう。
りっちゃん「何だよ…人の気も知らないで…」
水を差された律は不機嫌そうにスネークの通信が終わるのを待っていた。
スネーク「厄介なことになってるな。名前は?」
りっちゃん「……りっちゃん」
スネーク「りっちゃん? コードネームか。まあいい。今からこいつを破壊する、手伝ってくれ」
322:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/08/19(木) 01:46:12.19:7lFkVQAO
伝説の傭兵の第一印象は
偉そうに……そんな印象だった。
りっちゃん「りょ~かい……」
でもそれは自分が子供だから、世界の規模を、世界の重さをわかってないからだろうって、そう思った。
だから…そんな自分に余計苛立った。
それでも…
りっちゃん「(澪……お前はもう戻って来ないのか……?)」
─────────
澪「コートがなかったら蜂の巣だな……」
もう私一人しかいない。ムギは最後の最後に反抗したから眠らされた。作戦実行まで起こされることはないだろう。
澪「私…なにやってんだろ…ぉ……助けてよ……りつぅ……」ガタガタ
バカだ、自分が選んだ道に律がいないことなんてわかってたのに。
それでもまだ私は律に頼ってる。
いつまでも変わってない。
あの頃のまま……
澪「それじゃ……いけないんだ…!」
私はもっと、もっと、もっと……強くならないと。
あの日を取り戻す為にも
323:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/08/19(木) 01:48:50.54:7lFkVQAO
──────
梓「あれ…ここは、部室?」
紬「おはよう梓ちゃん。良く寝てたからみんなで起こさない様にしてたの」
唯「全くあずにゃんは~」
律「さっきまで寝てた唯が言うなよっ!」
唯「えへへぅ~」
澪「今日も練習出来なかった……」
紬「また明日すればいいじゃない、ね?」
澪「…そうだな」
律「明日明日~」
唯「ずっと一緒だもんね♪ 私達!」
ああ、これは夢なんだろうな
だから、言った
梓「明日なんて……もう来ませんよ……」
周りの風景が一気に砕け、散る。
324:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/08/19(木) 01:51:12.50:7lFkVQAO
───無人島 研究所付近───
ポツ───
梓「ん……」
何かが顔に当たり目覚めた。
梓「私……」
ポツポツ……
梓「雨……そっか」
律先輩にやられて……。
梓「…生きてる」
体の感覚を確かめながら起き上がる。
背中がやけに暖かかったのが不思議で振り向くとライオンのむすたんぐが座り込んで眠っていた。
梓は少しはにかむとよしよしとむすたんぐを撫でた。
「起きたか」
梓「っ! 誰?!」
声の方に振り向くとそこには白い外装に包まれた男が木に凭(もた)れながら立っていた。
325:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/08/19(木) 01:52:51.18:7lFkVQAO
雷電「俺は雷電……元FOXHOUNDだ。この島にはメタルギアの破壊とテロリストの駆除の為に来た。あんたの所属を教えてくれ」
梓「……(駆除……か)」
この人にとっては私達は世界を危険に曝した虫か何かとしか思ってないんだよね……。
梓「私は……」
「あずにゃ~ん!!!!!」
梓「ッ!?」
雷電「なんだ?」
唯「あずにゃんみっけ」ダキッ
梓「ゆ、唯先輩っ!? なんでこんなところに……というか何か元に戻ったと言うか……」
唯「ふぅ?」
間違いない、あの時の唯先輩だ。
戻ってきたんだ……!
326:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/08/19(木) 01:53:57.02:7lFkVQAO
梓「先輩っ!」ダキッ
唯「ようやくあずにゃんに私の愛が通じたんだねっ!」ダキッ
雷電「お、おい」
唯「あずにゃ~ん」
梓「唯先輩っ」
雷電「おいっ!」
唯「ん?」
ようやく雷電の存在に気付いた唯が雷電を見て一言。
唯「変な人がいるっ!」
雷電「……」
───────
雷電「所属は?」
梓「えっと……」
ここでテロリストなんてばか正直に言ったら殺されちゃう……私はともかく唯先輩はダメっ! 絶対守らないとっ!
梓「私達テロリストに捕まってて(ry」
唯「テロリストでしたごめんなさい!」
梓「唯先輩っ!?」
327:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/08/19(木) 01:55:04.74:7lFkVQAO
梓「なんで言っちゃうんですかっ!」
唯「だってぇ~……嘘は良くないしぃ…?」
梓「唯先輩は素直過ぎますっ! こういう時は嘘をつく必要もあるんですっ!」
唯「えぇ~……嘘は駄目だよ~?」
梓「もうっ」
雷電「……(本当にこんな子達がテロリストなのか?)」
だが敵ならやむを得ない……か。
雷電「すまないな……」
静かに刀を抜く雷電。
雷電「(ローズ……俺は……正しいことをしてるのだろうか)」
言い合ってる二人に刃を向け、
雷電「(二人一緒に逝かせるのがせめてもの……)」
横一閃、
329:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/08/19(木) 02:02:22.26:7lFkVQAO
ガキィッ
刃と刄がぶつかり合う音が木霊した後、次第にそれはギシギシと刃が擦り合う音に変わって行く
雷電「なに…っ」
唯達の間に割り込み雷電の刀を止めたのは、全身を忍者のような強化スーツで覆った人物だった。
ニンジャ「させない……」
唯「わっ、わっ、何っ?」
ニンジャ「あなた達は下がっていて」
雷電とニンジャのつばぜり合いを見て、梓も動く。
梓「加勢します…。」
ニンジャ「邪魔になるだけよ、下がってて」
それを聞いて少し眉を細める梓だが、直ぐ様
梓「それは聞き捨てなりません」
と反論する。次に梓が取った行動は自分の持っているナイフの刃を自らの手に押しつけると云う異形だった。
血が梓の小さな手のひらの上に溜まり出るのを見て唯が思わず叫んだ。
唯「あずにゃん!?」
梓「大丈夫です…、見てください」
330:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/08/19(木) 02:03:24.72:7lFkVQAO
唯「傷が……」
ニンジャ「……」
雷電「吸血鬼……ヴァンプと同じ、デッドセルの生き残りか」
梓「私は自らこの力を求めました…。小さくて弱くて…いつも誰かに守ってもらってばかりの自分が嫌で…っ!」
唯「あずにゃん……」
梓「雷電さん……確かに私達はテロリストです。世界を脅かし…眠れない夜を過ごさせました……」
雷電「それがわかっていて尚、生き続けるのか?」
梓「償いはして行くつもりです…。一人じゃ怖くて行けなくても…唯先輩、澪先輩…紬先輩に……律先輩。みんなと一緒ならきっと…」
331:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/08/19(木) 02:08:15.36:7lFkVQAO
唯「あずにゃん……」
唯は梓の手を取り、
唯「ずっと一緒だよ。これから…何があっても」
そう呟いた。
梓「はい…」
ニンジャ「……」
雷電「今から反省するから許してくれ…か。ムシがいいな」
梓「わかってます…だから……あなたと戦うことになったとしてもっ……! 私達はここで死ぬわけにはいかないんです!」
ニンジャ「」ガキィッ
雷電「くっ」
刃を弾き返し雷電を後退させる。ニンジャも唯達の意見に同意したかのように改めて雷電に向かって構え直した。
唯「私も戦うよ……! そしてまたみんなとやり直すんだ…!」
雷電「だがこちらもそれで引き下がるわけにはいかない。相応の報いは受けてもらう……それが世界のルールだ。
楽にいかせてやりたかったが……」
雷電も名もない日本刀を構える。
梓「私達は自分達の世界の為に戦いますっ!何と言われても!」
332:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/08/19(木) 02:11:19.60:7lFkVQAO
雷電が動く、一番厄介だと思われるニンジャに斬りかかる。
ニンジャ「ッ!」
それをマチェットで受けてから返しに一閃
それを軽く飛び避け、クルっと空中で一回転しながら刀を降り下ろす雷電。
ニンジャ「くっ…」
今の行動で一対一の実力なら雷電が上回っているのがわかる。刃物の使い方、間合いの取り方など格段に雷電の方が巧い。
避け、弾き、その隙間に斬り込んで来るため隙がないのも特徴だ。
梓「てやっ!」
そこで分の悪そうなニンジャを投げナイフで援護する梓。
雷電はそれを見て後退しつつ弾く。
唯「ギー太スタン弾モード!」クルクルッ
ギターを雄々しく二回回すとガチャリ、と何が切り替わる音がする。
333:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/08/19(木) 02:22:32.88:7lFkVQAO
唯「レボリューションだよっ!」
更に唯のスタン弾、特殊加工のゴム弾が雷電を襲う。
実弾を使わないのは唯の弱さ故か、優しさ故にか。
雷電「(あれだけ言っても殺す気では来ないか。それで自分達の世界を守る……か)」
梓「はあっ!」
左からはナイフを持った梓が接近する。
ニンジャ「っはぁ!」
右からはマチェットを持ったニンジャが。
雷電「(世界の答えはそんな甘くはない)」
ガシッ
キィンッ
梓「えっ」
ニンジャ「ッ!」
左のナイフをそのまま掴み、右のマチェットを日本刀で防ぐ。
雷電「甘えるな…!」
その声と同時にナイフを離し、梓の鳩尾に雷電の左拳が狙い済ましたかのようにスルリと入り込む。
梓「かはっ…」
雷電「ふんっ!」
右の日本刀でマチェットを払い上げ、ニンジャの体勢が整わない内に袈裟斬り。
ニンジャ「くっ」
強化スーツの上からでも切り裂き、ニンジャの左腕から血が吹き出す。
雷電「何を言おうがお前達はテロリストだ。その事実は何があろうと変わらない。さっきから自分達主観の綺麗事ばかりを言っているがそれはお前達が都合のいいよう解釈しているだけに過ぎない。お前達は…悪だ」
340:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/08/21(土) 23:34:19.79:espBEQAO
梓「っ……確かに私達は悪いかもしれません…でもだからってここで諦めたくないんです!」
苦しいながらも息を振り絞って告げる。
精一杯の気持ち。そうだ、ここで終わってしまってはあの人に申し訳が立たないじゃないか。
どんなに変わっても、部長として私達を叱りに来てくれたあの人に。
雷電「……」
雷電は黙って俯いたままそれを否定することもなく聞き入れる。
ただ、雷電の根元にある闇は深い。
梓「私達に償うチャンスをください……!」
雷電「償う……か」
思えば俺は、生きていなかった。
341:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/08/21(土) 23:35:04.05:espBEQAO
自分の意思でやっていたと思ったことは、奴らに利用されていただけだった。
記憶をすげ変えられ、偽りの自分を演じられ続けていた。
最愛の者を想う気持ちでさえ本当なのかもわからず……ただ俺はこうしてまた誰かに利用されながら生きている。
だが、今この子達を許してやれる立場にいるのは間違い。
俺が許すことで彼女達はこの場だけでは救われるだろう。
それは他でもない俺自身の決断によるものだ。誰にも左右されず、利用されていることもない純粋な俺の答えを出せる。
だが、それでも
342:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/08/21(土) 23:35:53.23:espBEQAO
雷電「……その償う気持ちが本当かどうか、俺が確かめてやろう」
梓「やっぱり…」
雷電「ああ、このままただ黙って見過ごすわけにはいかない。それにさっきチャンスと言ったな? チャンスと云うものは待っていれば来るものじゃない。掴みとるものだろう」
梓「……」
雷電「俺を倒して掴みとってみろ。この先一生を賭けて償う覚悟を見せてみろ」
雷電「来い」
もう語ることはない、かかって来いと言わんばかりに首をくいっと動かし、顎を突き出した後、刃に手を添え構える雷電。
343:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/08/21(土) 23:43:14.52:espBEQAO
唯「あずにゃ~ん大丈夫~?」
だいぶ距離が離れてしまっていた唯が二人を心配して近寄って来た。
梓「大丈夫です。ただ私達はどうしてもあの人を倒さなくちゃいけないみたいです。」
唯「…どうしても?」
梓「はい。ここで何もしないまま殺されたら律先輩に申し訳が立ちませんから」
苦笑いでそう告げる。
唯「りっちゃん……。うん、そうだね」
うんと頷き更に続ける
唯「これからりっちゃんやあずにゃんやムギちゃん……澪ちゃんも。みんなでまたやり直すんだもんね!」
梓「はいっ!」
唯「じゃああの変態さんを早く倒しちゃおっか! ニンジャさんもいい?」
ニンジャ「」コクリ
344:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/08/21(土) 23:49:29.83:espBEQAO
唯「あっ! 怪我してる……ちょっと待っててね。こうやってこうやって……せいっ」
もっていたハンカチで簡単に治療すると「これでよしっ」とニコニコしながらニンジャに微笑む唯。
ニンジャ「……変わらないのね、唯」
唯「??」
雷電「来ないのならこっちから行くぞ」
痺れを切らした雷電が前進してくる。
梓「来ますっ! 唯先輩は援護を! ニンジャさんは私と一緒に!」
ニンジャ「……」
唯「了解だよあずにゃん!」
唯は地面を蹴りふわっと後ろに飛ぶ、と、それを追い抜くように二人が駆け抜けて行く。
梓「はっ!」
手投げナイフを二丁素早く投げ飛ばす。それを雷電はこともなげに刀で弾く。
梓「……フフ」ニヤリ
345:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/08/22(日) 00:14:26.42:wbZsssAO
雷電「……」
不適に笑う梓に疑問を抱きながらもタイミングよく斬りかかって来たニンジャのマチェットを受け止める。
ギィッン
ニンジャ「っ…」
雷電「遅い」
それを弾き返すと同時に蹴りを入れる、ニンジャはそれをかろうじて防御するも鑪(たたら)を踏みながら後退を強いられた。
雷電「傷ついた手を庇うような戦い方ではな」
ニンジャ「……庇っているのは傷なんかじゃない」
瞳が見えないフェイスマスク越しからでも雷電を睨んでいるとわかる。ニンジャは左手に巻かれたハンカチを大事そうに胸にやる。
ふぅ……すぅっ
梓「今ですっ」
シュイッ
シュイッ
梓からまた放たれた二本のナイフ。
雷電「(さっきの速度から見ても今から防御を取って十分間に合う…)」
グサッ…
雷電「ぐぅ…なに?」
雷電が防御体勢に入る前に肩に刺さり込むナイフ
346:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/08/22(日) 00:27:39.25:wbZsssAO
梓「油断しましたね…。降参してください。次は急所を狙います」
冷ややかにそう告げると両手に三本づつナイフを持ちいつでも投げられる体勢を見せる。
雷電「……なるほど、呼吸法か」
呼吸法、一般的にはマラソンで肺活量を高める為に息の吸い方、吐き方などを調節する、出産の際のラマーズ法など様々なところで使われている。
人間は息を吸うときより吐く時の方が動きが機敏になる。
肺に空気が入り膨らむことにより血管が圧迫され血液の巡りが吐いてる時よりもほんの少しだけ悪くなるからだ。
これを訓練し、利用することで『一つの物事を行う時に一番最適な呼吸法』を見つけ出し、その物事を行う速度は常人よりも優れる……と言ったことも可能ではあるのだ。
梓の場合それが『ナイフを投げる』時なのだろう。
351:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/08/22(日) 21:35:05.11:wbZsssAO
雷電「さっきのはわざと見せておいて呼吸法で速度を早めたナイフを投げた時に対応を遅れさせる為か」
梓「ご名答です。ちなみに速度はさっきのよりもっともっとあがります。あの人曰く私はあなたの言うデッドセルと同じぐらいの身体能力らしいですからね。貴方のような一般兵が敵うわけないです」
フフンッと得意気に鼻を鳴らす梓。
梓も唯も今はもう昔の二人ではない。歌を取り戻す為に半ば操られた形となっていたが強くなったのだ。
そしてそれはもう力と言う概念だけの強さではない。
前を見据える、自分から行動出来る強さに変わっていた。
彼女のおかげでそれを見つけられたのだ
352:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/08/22(日) 21:45:20.00:wbZsssAO
雷電「策は悪くない…。ただ一度見せてしまったのが悪かったな」
酷く残念そうに言う雷電。
雷電「それに一撃で急所に投げれば終わっていた」
梓「私達は殺す為に強くなったわけじゃないです! 音楽を取り戻す為に…またあの頃に戻りたいからっ! 強くなったんです!」
雷電「目的を達成する為には人を殺さなければならない時もある。戦場で他人を生かすと言うことは自分が殺される可能性が上がると云うことだ。」
梓「それでもです。音楽は人を傷つけたりしません! 私達もそうでありたいから!」
雷電「だからわざわざ外装の強化シェルのついたところを狙ったわけか」
353:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/08/22(日) 22:01:22.59:wbZsssAO
雷電「音楽は人を傷つけたりしないか…矛盾しているな。…お前達と今の音楽は同じだ。悪いことなどしていない、だが今はそれが世界にとっては悪となっている」
梓「SONGBOBMのことですか…!」
雷電「…歌や音楽は人を癒す。だがそれをSONGBOBMが爆弾に変える。世界はその爆弾を排除することを諦め、本当は素晴らしいものである歌や音楽を捨てた。だがそれを取り戻そうとするお前達。音楽を捨てた世界を傷つけても……どうだ? 矛盾していないか?」
梓「……それは」
ニンジャ「惑わされないで。本当の根源はSONGBOBMなんて馬鹿げたものを作り出した奴よ。あなた達はただ戻ろうとしているだけ、世界の流れに囚われてはいけない」
355:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/08/22(日) 22:17:30.98:wbZsssAO
梓「世界の流れ…?」
雷電「……」
ニンジャ「そうよ。世界の答えが全ての答えではないわ。だからあなた達と同じように音楽を取り戻す為に活動している人達は何千万といる。あなた達のやり方は少し違っていたけれど、気持ちは同じな筈よ」
梓「気持ちは同じ…。そうですよね…!」
ニンジャ「雷電、あなたもそんな世界の答えに操られているんじゃないのかしら?」
雷電「っ!?」
ニンジャ「自分の答えを決めるのは世界ではない。自分の答えを世界に委ねて従うか、抗うか……それはどちらが正しいかは誰にもわからない、決めれはしないっ!」
ニンジャが腰の横にマチェットを構えながら雷電に突進する。
雷電「……っ」
この手の突進は弾くにしても両手が添えられている為余程強く弾かない限りコースは変わらない。
しかし防御が疎かと云う面もあるのでニンジャは正に雷電と刺し違える気で来ているのだ。
357:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/08/22(日) 22:31:13.25:wbZsssAO
それでも雷電は落ち着いていた。歴戦を潜り抜けて来た彼にはその対処の仕方が何パターンも用意されているだろう。
雷電「……」
マチェットの柄を握る手を一瞥。
雷電「はあっ!」
右下段から思い切り刀で斬り上げる。
ガッと鈍い音がした後、マチェットが宙に舞った。
ニンジャ「なっ…」
雷電「左手を前にしたのが悪かったな」
雷電は握力の弱った左手を前にしてるのを見て右下段からの斬り上げを選択。
強い衝撃を与えることによって左手の指の部分からマチェットが抜ける、その勢いは後ろに添えられてる右手だけでは受け止められずマチェットは結果宙に舞ったのだ。
雷電「俺は躊躇わない」
お前が言う自分の答えに俺も従おう。
俺はただ俺達を脅かすものを斬る…!
358:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/08/22(日) 22:44:23.69:wbZsssAO
梓「ニンジャさんっ!」
シュン! シュン!
キンッ! ガキィッ
梓「なんで…」
梓が投げたナイフを簡単に弾く雷電。速度は先ほどの倍はあっただろう。
雷電「どんだけ早かろうと関係ない。肩から肘の動き、手の位置でどこに投げるかぐらい予測出来る」
雷電「さっきデッドセルと言ったな? 俺はそのデッドセルのメンバー達を殺して今にいる」
梓「そんな…そんなの勝てるわけ…」
呆ける梓を無視し雷電は丸腰のニンジャに刃を向ける
ニンジャ「くっ…」
マチェットを拾う暇さえ与えてくれずひたすら回避行動に専念していたニンジャだが、パターンや反応が遅いところを狙われ徐々に刃が体を蝕む。
そして、それは訪れる。
ガッ
ニンジャ「しまっ…」
木の根に足を取られたニンジャ
雷電「終わりだ」
迷いなく袈裟斬り───
「させないよっ」
359:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/08/22(日) 22:56:02.69:wbZsssAO
ガキッ、ギィンッ
雷電「!!」
雷電の降り下ろしていた刀が外へ弾かれる。まるで速球を打った金属バットのような鈍い痺れが手に広がる。
「更にギー太! サブウェポンモード!」クルクルッ
「あずにゃん目ぇつぶっててね!」
梓「?」
シュン……パンッ!!!!
雷電「くっ」
雷電の近くで弾けた弾は炸裂し、光を撒き散らした。
雷電「閃光弾か」
咄嗟に腕で目を覆った雷電だが僅かに遅く光が目に入った。
雷電「(一番脅威にならないと思ってたが……まさか刀を弾くとはな)」
そう。唯は銃弾で雷電の刀を狙い撃ち、弾いたのだ。
雷電「(先にやるならあいつからか……)」
雷電が急に走り出した。目は見えていない、ただ気配に任せて唯の元に向かう。
梓「っ!? まさか唯先輩を!!!! させませんっ! むったん!」
360:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/08/22(日) 23:07:24.03:wbZsssAO
むすたんぐ「ガアッ!」
どこからか現れたライオンのむすたんぐが雷電に飛びかかる。
雷電「邪魔だ」
ガスゥゥゥッ
むすたんぐ「ガウゥ……ゥ」
見えていないはずのむすたんぐを雷電は蹴り飛ばす。
梓「むったん!! このっ」
梓も追いながらナイフで追撃。
しかし雷電は上手く木を縫いながら唯のところへ行く為ナイフは木に刺さったりなどで当たらない。
唯「わわっ。こ、こないで!」
バンッバンッ!
スタン弾の弾幕で遠ざけようとするがそれも当たらず、とうとう両者の距離は縮まり、雷電は唯に刀を降り下ろす。
梓「唯先輩危ないっ」
唯「あずにゃん!?」
ザクッ……
梓「あっ……」
雷電「……」
唯を抱くように庇い、代わりに雷電の降り下ろした刃を背中に受ける梓。
背中からおびただしい程の血が吹き出し…唯の顔にも数滴かかる。
唯「あ…あっ……あずにゃん。あずさあああああああああああっ」
361:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/08/22(日) 23:15:42.61:wbZsssAO
雷電「すまないな」
刃を返して縦に握る、切っ先は梓と唯に。
二人を同時に貫くつもりだろう。
雷電「恨むならこんな世界に生まれてきたことを恨むんだな…」
グサッ……
雷電「ぐふっ……」
ニンジャ「これがあなたの求めた答えなの?」
雷電の脇腹から突き出るマチェット。雷電から流れる血は赤ではなく、真っ白だった
雷電「……何がだ?」
ニンジャ「あれを見て……あなたの心は何も思わないの?」
雷電「……」
そう言われ雷電はゆっくりと首を動かし彼女らを見た。
362:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/08/22(日) 23:32:35.59:wbZsssAO
唯「あず……にゃ……」
梓「泣かな…いでく…ださい…ゴホッ…唯先輩。…ちょっと時間はかかりますケド……治りますから……」
唯「でもぉおおおお!」
梓「唯先輩が泣いてると……私も悲しいです。だから…ね?」
唯「う゛ん゛……ズピッ」ニコッ
梓「これであの人を殺したい……なんて思わないでください。私達の敵はそんなものじゃないんですから……」
唯「あずにゃん……」
雷電「……」
ニンジャ「あの子達は世界を見ても尚自分達を変えない。ただ自分達が幸せだったあの頃に戻りたいから戦っている。あなたはどうなの?」
雷電「俺は……。(ローズ、俺はどうすればいい)」
グォォォォォン
唯「な、なに?」
梓「研究所から…?」
ニンジャ「……! 地下格納庫の昇降口が…!」
363:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/08/22(日) 23:41:17.78:wbZsssAO
ニンジャ「まさかメタルギアが…!」
ズヌゥッ
雷電「うっ…ぐは…ま、待て!」
マチェットを体から引き抜き、雷電の静止も無視して研究所の方へ向う。
ニンジャ「唯、梓のことちゃんと見ててあげるのよ。軽音部の先輩なんだから」
唯「えっ? なんで知って……もしかして…!」
それを言い切る前にニンジャは行ってしまう。
梓「ひぐっ……んっ」
唯「あずにゃん!? 大丈夫…?」
梓「はあ…はあ…」
痛みに耐え、悶える梓を撫でる唯。
唯「もしかして…あのニンジャさんは……和ちゃんなの?」
確証のない疑問をただ浮かべるしかなかった。
雷電「……本当にそれでいいのか…か」
364:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/08/22(日) 23:42:47.74:wbZsssAO
ニンジャ「まさかメタルギアが…!」
ズヌゥッ
雷電「うっ…ぐは…ま、待て!」
マチェットを体から引き抜き、雷電の静止も無視して研究所の方へ向う。
ニンジャ「唯、梓のことちゃんと見ててあげるのよ。軽音部の先輩なんだから」
唯「えっ? なんで知って……もしかして…!」
それを言い切る前にニンジャは行ってしまう。
梓「ひぐっ……んっ」
唯「あずにゃん!? 大丈夫…?」
梓「はあ…はあ…」
痛みに耐え、悶える梓を撫でる唯。
唯「もしかして…あのニンジャさんは……和ちゃんなの?」
確証のない疑問をただ浮かべるしかなかった。
雷電「……本当にそれでいいのか…か」
367:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/08/22(日) 23:59:54.24:wbZsssAO
───FOXDIED 作戦会議室───
FOXDIED作業員「非戦闘員、及び民間の支援者は脱出しました!」
さわ子「上出来よ。あなたも行きなさい。私はここを爆破するわ」
FOXDIED作業員「出来ません。その役目は自分が。あなたはあの子達の為に生きてください」
さわ子「あなた…。でも大丈夫よ。死ぬつもりなんてないわ! 死んだらあの子達が音楽を取り戻した後にやるライブの衣装が作れないじゃない!!」
FOXDIED作業員「はは、局長らしいです」
さわ子「というわけだから行きなさい。まだ若いんだからあなたは、もっと他にいい人がいるわ」
FOXDIED作業員「さわ子さん……。必ず、生きて帰って来てください!」ダダッ
さわ子「ええ。必ず…」
368:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/08/23(月) 00:09:34.20:xEEogsAO
さわ子「もうそろそろロックを破ってここに来るわね…。」
ダンッ ダンッ ダンッ
会議室の向こう側には電子ロックされたドアを破る為に火器が降り注がれているだろう音がする。
さわ子「ごめんね、りっちゃん、みんな。頼りない先生で」
さわ子「私がもっとしっかりしていたら…あなた達が争うことなんてなかったのに」
さわ子「ごめんね……」
さわ子「でも、りっちゃんならきっとまたみんなを一つにしてくれるわ。そうしたらまたみんなで協力して……この世界を行きなさい(生きなさい)」
さわ子「あなた達が幸せで暮らせられる日が来ることを……祈ってるわね」
ダアアアッッッン
兵士「見つけたぞ! FOXDIED局長の山中さわ子だ!」
さわ子「違うわ、私は桜ヶ丘高校の先生で軽音部の顧問! 山中さわ子よ!!!!!」
ピッ──────
その瞬間、さわ子の世界を光が包んだ。
370:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/08/23(月) 00:22:46.83:xEEogsAO
───研究所 地下格納庫───
りっちゃん「こっちはオッケーだよ」
スネーク「こっちもだ。しかしこの装甲……見たことないことが使われているな。」
りっちゃん「なんだろうがこの量のC4で吹っ飛ばないわけないだろ~?」
スネーク「……まあな」
りっちゃん「しっかしこんな量のC4どこに持ち歩いてるの?」
するとスネークは額を親指でトントン、とやった後に
スネーク「無限バンダナだ」
と勝ち誇った顔で言った。
りっちゃん「は? 何言ってんだよ」
スネーク「だ、だから無限バンダナなんだ」
りっちゃん「長さが無限?」
スネーク「違うっ! もういい」
りっちゃん「??」
372:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/08/23(月) 00:30:06.54:we8u34go
スネークかわいい
375:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/08/27(金) 00:08:51.48:Aro.xEAO
スネーク「よし、離れろ。爆破するぞ」
二人は後退りながら距離を取る。
スネーク「破片が飛んで来るかもしれん、この段ボールに…」
りっちゃん「えっ? 段ボール?」
スネーク「……冗談だ。この積み荷の後ろに隠れよう」
りっちゃん「はは、笑い取ろうとしてんのか? あんたって案外いい人なんだな」
一瞬誰かとダブって見えた気がしたがそれは気のせいだろう。
スネーク「笑いだと……?。いいか? 段ボールは耐久性が優れており尚且つ柔軟性にも優れていて……」
りっちゃん「ハイハイもうわかったから隠れような~」
376:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/08/27(金) 00:09:49.72:Aro.xEAO
スネーク「段ボールの良さに気づかないとはまだまだ新米だな」
そんな捨てセリフを吐いた後スネークも渋々律に続く。
二人は物陰に隠れながら静かにメタルギアを見据える。
りっちゃん「メタルギア……」
スネーク「……」
りっちゃん「なぁ、あんたは何でこんなことしてるんだ?」
スネーク「…それを聞いてどうする」
りっちゃん「参考までにさ。ダメ?」
律がウインクで可愛くお願いする。とスネークはやれやれと言いながらも話始めた。
スネーク「…俺は生まれてからずっと戦場で生きてきた…」
377:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/08/27(金) 00:10:41.64:Aro.xEAO
スネーク「常に戦場に身を置いて戦い続けて来た。そんな中あいつ(メタルギア)に出会った。あれは世界を脅かす。だから壊して回っている。それだけだ」
りっちゃん「そうじゃなくてさ~! う~ん……そうなった動機? みたいなのが聞きたいんだよ私は。だってあんたがやる必要ないだろ? 他の誰かが…」
スネーク「りっちゃん、とか言ったな」
りっちゃん「う、うん(こそばゆい……)」
スネーク「誰かがやってくれる、自分じゃなくていい……そんな考えをみんながしてるとしたらどうなる?」
りっちゃん「そりゃ誰も動かない…」
378:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/08/27(金) 00:13:03.27:Aro.xEAO
スネーク「そうだ。それに誰かに任せてそれが失敗したら……お前さんならどうする?」
りっちゃん「う~ん…事にもよるけど…やっぱり怒る…かな?」
スネーク「やらなくて失敗したら怒るか。まあそいつのせいで失敗したのは事実だからな。当然と言えば当然だろう。…なら自分でやればいい」
りっちゃん「えっ?」
スネーク「自分でやって失敗したら仕方ない。自分がやったことにあれこれ文句はつけれないだろう?」
りっちゃん「そりゃあまあ…そうだけど」
スネーク「俺は何も英雄になりたいからこんなことをしてるわけじゃない」
379:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/08/27(金) 00:17:29.98:Aro.xEAO
スネーク「メタルギアが当たり前に戦争で使われる世界になればまた冷戦時代の幕開けだ。下手をすれば核戦争に発展するかもしれん。どの国も核を持ち、撃たれたら撃ち返す……そんな世界にしたくはないだろう?」
りっちゃん「…うん」
スネーク「自分が嫌だからそうして来ただけだ。だから俺は英雄でもなんでもない。ただの臆病者だ」
りっちゃん「違うよ……あんた…やっぱり英雄だよ」
この人ほど世界を見ている人はいないだろう。
自分が嫌だからそうする、これが本当に出来る人間なんて今の時代に果たして何人いるだろうか。世界の意見に流され、怖くて動けなくてがんじがらめになるのが普通だろう。
人は何故彼を英雄と呼ぶのか……わかった気がする。
この人に比べたら私はなんてちっぽけで…恥ずかしくなる。
思えば澪も…同じだ。
ただあいつは違う、あいつのやり方で本当に幸せになるやつなんていないんだ。
それを私が良く知っている。
だから、止めないと。
380:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/08/27(金) 00:18:21.40:Aro.xEAO
スネーク「話が長くなったな。爆破するぞ」
りっちゃん「私がここにいる理由は聞いてくれないの?」
スネーク「他人の過去を詮索する趣味はない」
りっちゃん「そっか。なら勝手に話すよ。私は友達を取り返しに来た、それだけ。他にはな~んもない! 世界がどうとかも知らない。私は私の世界を守る為にここにいる」
スネーク「……そうか」
スネーク「(こんな子供が武器を取る時代にしてしまったのは俺達の責任だ。それを終わらせるまで戦場を降りるわけにはいかないな…。)」
382:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/08/27(金) 00:32:33.20:Aro.xEAO
「ハッハッハ。こんなものでこのメタルギアVOICEをどうにか出来ると思ってるのか? 相変わらずめでたい奴だな……スネークゥゥ!」
スネーク「!!!」
スネークはすぐさま積み荷から飛び出し、銃を構えながら何かを探す。憎しみが混じった顔つきで「リキッドォォォ!!!」と吼えた。
リキッド・オセロット「久しぶりだな兄弟! まだ生きているとはさすがにしぶとい」
りっちゃん「お前はっ!」
リキッド・オセロット「始末に失敗したか、澪め。所詮はただの少女に過ぎんか。つまらん情に流されるなど」
バシュンッ
リキッド・オセロット「ほぅ…」
リキッドが立っている脚橋の手すりに火花が飛ぶ。
りっちゃん「お前が澪を呼ぶな…!」
律がスタンドアップで構えたPSG-1のスコープ越しにリキッドを睨み付ける。
383:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/08/27(金) 00:43:07.11:Aro.xEAO
スネーク「メタルギアVOICE……と言ったな?」
リキッド・オセロット「そうだ! 最新技術を駆使し最強最高のメタルギア、それがメタルギアVOICEだ」
スネーク「お前にはそいつにつけられているC4が目に入らないらしいな! REYの装甲でも軽々と破壊できるC4で……」
リキッド・オセロット「あのゴミ(REY)と一緒にしてもらっては困る。REYなど所詮はプロトタイプに過ぎん。このメタルギアVOICEは琴吹家の総力を結集し造られたものだ!」
りっちゃん「ムギの…? 白髭! ムギはどこだ!?」
リキッド・オセロット「最後の最後に彼女は君につくと言い出したのでな。少々眠ってもらっているよ」
りっちゃん「お前っ…」ギリッ
スネーク「下がれ! 律!」
りっちゃん「!?」
スネークが律に覆い被さるように飛び込み、その瞬間にC4の爆破ボタンを押した。
ズオオオオオオオオ──────
384:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/08/27(金) 00:53:47.69:Aro.xEAO
───────
スネーク「……大丈夫か?」
りっちゃん「いきなり爆破させるから心臓がビックリしただろ!」
スネーク「すまんな。ただあの位置ならリキッドもただではすまない。メタルギアにダメージを与えられなくとも奴は……」
リキッド・オセロット「不意打ちとはやられたよスネーク」
スネーク「!?」
脚橋の中央に居た筈のリキッドはいつの間にか端に移動し、爆風から難を逃れていた。
その傍らには黒いコートを着こんだ黒髪の女の子が日本刀をダラりと持ちながら佇んでいる。
りっちゃん「澪!!」
澪「お怪我は?」
リキッド・オセロット「問題ない。さすが奴の代用、いい動きをしている」
385:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/08/27(金) 01:02:00.57:Aro.xEAO
澪「代用…?」
訝しげに聞く澪に対しリキッドはしまったしまったと軽く笑い呆けている。
リキッド・オセロット「失言だったよ。まあこれが完成した今もうお前に用はない」
澪「えっ、一体どういう……」
リキッド・オセロット「私は今から『歌』を取り戻しに行く。世界の『歌』をな!」
澪「取り戻しに行くって…どうやって? 世界の皆が歌うのを待つんじゃ……」
リキッド・オセロット「フフフ……ハッハッハ……!!!!」
澪「何がおかしい!」
リキッド・オセロット「私の取り戻したい歌とお前の取り戻したい歌は違う。私の取り戻したい歌、それは即ち……」
リキッド・オセロット「戦争だ!!!!!!」
386:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/08/27(金) 01:14:14.71:Aro.xEAO
澪「何を……」
リキッド・オセロット「今の世界は腐っている。やれ平和だのやれ核廃絶だの、そんな出来もしないことを掲げている。人間は戦争をして生きて来たのだ。平和でいる時間など人類を考えれば僅か数時にしか過ぎん。だから俺がもう一度引き金を弾く! 核戦争への火蓋を落とす!!!」
スネーク「何が目的だリキッドォ!!!」
リキッド・オセロット「俺がお前を越えた証を世界に刻み付けてやるだけだ!!!」
スネーク「ビッグボスはもういない!!!」
リキッド・オセロット「ビッグボスを越えたお前を殺し世界を崩壊に追いやることで俺はこの遺伝子から解放される!!!」
スネーク「わけのわからんことを!!!」
387:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/08/27(金) 01:28:31.95:Aro.xEAO
澪「じゃあ……私は……私達は何のために」
リキッド・オセロット「お前達のおかげで随分上手くことが運んだ。その事だけは感謝しよう。琴吹家のバックアップがなければメタルギアVOICEは完成しなかったからなァ!!!」
澪「き、貴様ァ!!!!!!」
ブンッ
リキッド・オセロット「フンッ!!!」
澪「ぐぅはっ……」
リキッドのボディブローがコート越しに澪の体にめり込む。
リキッド・オセロット「人形は人形らしくしていればいい。歌を取り戻す? 笑わせるな。お前達のような弱者には何も出来ん。何かを成し遂げられるのは優れた遺伝子を持つものだけだ!」
りっちゃん「澪!!!!」
澪「私達は……こんな奴の為に…」
お腹を抑えながら悔しさに顔を歪める澪。
澪「(律……ごめんな……でも……)」
意識が霞んで行く。
澪「(全部……夢ならいいのに……。)」
388:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/08/27(金) 01:43:30.81:Aro.xEAO
りっちゃん「お前……っ!!」
スネーク「リキッドォォォ! 今ここで終わらせてやる!!」
リキッド・オセロット「貴様らに見せてやろう!!! メタルギアVOICEの力をな!!!」
リキッドが脚橋からメタルギアに飛び乗る。
スネーク「本当に無傷とはな……。りっちゃん、やれるか?」
りっちゃん「……。」
スネーク「今は奴を倒すことに集中しろ。いいな?」
りっちゃん「…わかった」
澪、負い目…感じてるだろうな。
澪を騙し、ムギを騙し……世界を陥れようとする全ての元凶……!!!
りっちゃん「リキッド・オセロット!!! あんたは私が倒す!!!」
389:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/08/27(金) 01:57:22.23:Aro.xEAO
リキッド「死ねぇいスネークゥゥゥゥ!!!!!」
ギィン、ウィン、ガウウウウウウウン
二足歩行の兵器が動き出す。
ガシャン!ガシャン!
肩口についている巨大なスピーカーの様なものが突き出される。
スネーク「来るぞ!」
身構える二人に対しリキッドは声高らかにこう言った。
390:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/08/27(金) 02:13:08.13:Aro.xEAO
リキッド・オセロット「聞け!!!!! これが世界の歌!!!! WORLD OF SONGだ!!!!」
ウ゛ンタンウ゛ンタンウ゛ンタンウ゛ンタンウ゛ンタンウ゛ンタン
スネーク「なんだ……っ……これは」
りっちゃん「体が……動かない!?」
リキッド・オセロット「メタルギアVOICEは音によって直接神経にアクセスし聴く人間の自由を奪えるのだ!!! それだけではない!!! それを利用し操ることも出来る!」
スネーク「そいつを利用して核を撃つつもりか!!!」
リキッド・オセロット「いいや違うな! 核を発射する為にロックされているものを特定の音を出すことでこいつは解除することが出来る!!!」
スネーク「ロシアの核はそれでか…!」
リキッド・オセロット「動けない貴様達にこれ以上話すことはない! 死ねぇいスネーク!!!」
スネーク「オオオオ動けッッ」
りっちゃん「くっ」
ボスンッボスンッボスンッボスンッ
何連装かのロケット弾が上空に発射される。それはやがてロックオンされている二人に向かって降り注ぐだろう。
りっちゃん「(万事休すかっ……)」
391:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/08/27(金) 02:23:53.37:Aro.xEAO
バアアアアアアアアン!!!!
リキッド・オセロット「何ぃ!?」
スネーク「動けるぞっ! りっちゃん!」
りっちゃん「うん!」
甲高い音が一気に流れたと思うと二人は自由を取り戻し、思い切り走ってロケット弾を避ける。
リキッド「どういうことだ!!!」
トゥルルトゥルル……
りっちゃん「通信……?」
見知らぬ番号に戸惑いながらも出る律
ピュンッ──
紬『りっちゃん! 大丈夫!?』
りっちゃん『ムギ?! どうして…まさかさっきの!』
紬『うん! 私が妨害音を流して止めたの! 私達が犯した罪は消えないけれど…今はりっちゃんの為になりたい!』
りっちゃん『ムギ……』
紬『今からメタルギアVOICEの特徴や弱点を言うわ!』
りっちゃん『頼むよ、ムギ!』
396:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/08/27(金) 13:48:43.89:dlyQHZUo
うんたんww
397:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/08/27(金) 23:15:04.69:6RYDcFQ0
まさかのうんたんwww
398:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/08/31(火) 00:53:33.30:sDZ7cAAO
紬『メタルギアVOICEは私(琴吹)家の技術を集約しているわ…。武装から説明して行くわね。基本的にはメタルギアRAYに近いかしら。』
紬『16連装追尾式ロケットランチャー、大口ガトリングガン、水圧カッター、四散型レールガン…更に地走式Sマイン何かも装備しているわ』
りっちゃん『RAYの資料は見たことあるけど大体一緒だな』
紬『油断しないでりっちゃん。どれもRAYより格段に強化されているわ。海水を抽出しないとすぐなくなっていた水圧カッターも今ではほぼなくなることはなくなったの』
りっちゃん『そうなのか!?』
399:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/08/31(火) 00:55:02.15:sDZ7cAAO
紬『ええ。容量タンクが大きくなったのとあの装甲が産み出しているのよ』
りっちゃん『装甲が!? どうやって!?』
紬『りっちゃん、夏場に冷たい飲み物何かを常温に晒していたコップ何かに注いでしばらく経つと周りに水滴がついてたり……なんてことはない?』
りっちゃん『あるある! 冷たいのが逃げた~ってなるよなぁ』
紬『ふふふ、りっちゃんらしい。あれと同じ原理なの。周りの温度に合わせてメタルギアRAYは発熱したり凍結したりするの。それによって産み出された水分を内部のタンクに取り入れるの』
りっちゃん『なるほど……』
400:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/08/31(火) 00:58:21.71:sDZ7cAAO
紬『更に水圧カッターで放出された水は大量のイオンを含んでいるの。それを撒き散らした後の四散型レールガンで広域感電攻撃何かも注意して!』
りっちゃん『地走式Sマインってのは?』
紬『ただの地面を走る爆弾よ! りっちゃんなら問題ないわ!』
りっちゃん『一番問題あるよ……』
紬『一番大事なことを話してなかったわ! あの装甲だけれどあれはナノマシン装甲なの』
りっちゃん『ナノマシン装甲??』
紬『セラミックとナノマシン融合させた琴吹家特製の金属なの。タングステンやレニウムも配合されていて破壊される度ナノマシンが感知して自己修復を行うわ。RAYにも搭載されていたものに似てるけど修復率が段違いよ。破壊されたところを99.86%修復されるよう設定されているわ。ダメージコントロールってレベルじゃないわね』
りっちゃん『oh.....』
401:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/08/31(火) 00:59:53.41:sDZ7cAAO
りっちゃん『ってそんなのアリかよっ!? だからC4でもビクともしなかったのか……』
紬『いえ、確かに世界一硬い金属とも言えるけど壊れないほどじゃないわ。世界中に存在する物質で今人間が破壊出来ないものはないのよ?』
りっちゃん『そうなんだ…ムギは物知りだな!』
紬『ええ。りっちゃんと別れていっぱい勉強したから……』
りっちゃん『…ムギも変わったんだな』
紬『ううん。変わってない。私はずっとりっちゃんがみんなを迎えに来てくれるのを待ってたの。ずっと……』
りっちゃん『ムギ……』
402:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/08/31(火) 01:00:50.21:sDZ7cAAO
りっちゃん『ごめん、待たせちゃったかな?』
紬『待ちくたびれたわっ! なんて。今はそれ所じゃないわね。端的に言うわりっちゃん! 脚を狙って!』
りっちゃん『脚か!』
紬『あそこの駆動部分は部品が届いていなくて100%ナノマシン装甲じゃないの。だから上手く狙えば……』
りっちゃん『わかった! ありがとうムギ!』
紬『後さっきみたいな音にも注意して。メタルギアVOICEの両肩についている電子スピーカーから出される音は人間の精髄に直接働きかけられるの。さっき動きが止まったのも筋肉を硬直させる音波を出したからよ』
403:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/08/31(火) 01:01:41.13:sDZ7cAAO
りっちゃん『対策は?! 耳を塞いだらいいのかな?』
紬『耳を塞ぐぐらいじゃムリよ! もしVOICEが体勢を取ったら思い切り叫んで! 自分が発する音が混じれば上手く伝達されない筈よ! 一々気を回すのが嫌なら歌いながら戦ったりしたらいいかも。もし動けなくなってもまた私が妨害音を流すから心配しないで!』
りっちゃん『わかった! 任せたぜムギ!』
紬『歌いながら戦うりっちゃん……素敵』
りっちゃん『歌いながら戦うこと決定してるんだ……』
紬『りっちゃん……澪ちゃんを……助けてあげて』
404:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/08/31(火) 01:05:38.34:sDZ7cAAO
りっちゃん『……』
紬『私達には無理だった……出来なかったから。澪ちゃんを助けられるのはりっちゃんだなの』
りっちゃん『……わかってるよ、ムギ。メタルギアを倒して、澪を連れてみんなでここを脱出しよう。そしたらさ、また考えようぜ。これからどうしたらいいか。みんなが一緒に歩ける道を探そう。絶対に』
紬『りっ…ちゃん……』
りっちゃん『泣くなよ、泣くのは全部終わってからだ』
紬『うんっ! また何かあったらCALLして。周波数は269.15よ』
りっちゃん『つむぎいーこな!わかった!』
紬『///』
やっぱりっちゃんは変わってない。
あの頃のままだ。だから信じよう、この人を。
ピピュン……
405:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/08/31(火) 01:07:09.10:sDZ7cAAO
りっちゃん「スネーク!! 生きてるー!?」
リキッド・オセロット「潰れろ!!! スネェェェェェク!!!!!」
ダンダンダンダンッ!
スネーク「何とかな! で、何かわかったか!?」
メタルギアに追いかけるのを逃げながら顔だけ律に向け問う。
りっちゃん「脚だ! 脚の駆動部分は装甲が薄いらしい!」
スネーク「よぅし!!! りっちゃん! 武器はあるか!?」
りっちゃん「実弾はPSG-1しかない!!!」
スネーク「ならこいつを使え!!!」
スネークはどこからか取り出したものを律に地面を滑らす様に投げた。
りっちゃん「これは……!!!」
スネーク「スティンガーだ!!!」
406:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/08/31(火) 01:09:15.09:sDZ7cAAO
りっちゃん「FIM-92、スティンガーミサイルか! ってどっからこんなもの!?」
スネーク「細かいことはいい!!! 使い方はわかるな!?」
りっちゃん「VR訓練で残存する兵器は大方訓練済みだよ!!!」
スネーク「VRと実戦は違うのを忘れるな!! 空気抵抗や摩擦などが加わることを覚えておけ!!」
りっちゃん「わかった!!! スネークは!? 武器あるの!?」
スネーク「俺はRPG-7がある!!!」
りっちゃん「武器庫かよあんたは!!!」
スネーク「弾は無限にあるがバッテリーの持続時間に気をつけろ!!!」
りっちゃん「大丈夫!!! 赤外線がなくったって手動でやってやる!!!」
スネーク「頼もしい限りだ!」
リキッド・オセロット「何をごちゃごちゃ喋っているぅぅぅぅ!!!」
407:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/08/31(火) 01:25:58.28:sDZ7cAAO
チャンチャンチャカチャーン───
チャンチャンチャカチャーン───
(ボス戦のテーマ)
リキッド・オセロット「こいつを喰らえ!!!」
両足を固定し、背中をやや丸めたメタルギアVOICE。
スネーク「ミサイルが来るぞ!!!」
りっちゃん「わかってるよ!!!」
シュンッシュンッシュンッシュンッシュンッシュンッシュンッシュンッシュンッシュンッシュンッシュンッシュンッシュンッシュンッシュンッ
打ち上がった16発のロケット弾は律とスネークに狙いを定め飛んでいく。
それと同時に律は止まる。
スネークは走ったままだ。
この手の追尾式ミサイルの避け方は三種類ある。
409:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/08/31(火) 01:35:52.23:sDZ7cAAO
一つはスネークの様に走り回って追尾させないやり方。大抵のミサイルはスピードの慣性が追尾能力を上回るので最後まで追尾出来ず素早く動く小さな物には当たりにくい。
二つ目はチャフグレネードなどで電波障害を起こし追尾させないやり方。
三つ目は今律がやっているものだ。
ミサイルが律に近づく。
残り10.8.5.3m……
りっちゃん「とぉっ!!!」
ギリギリのところで前転回避し事なきを得る。
そう、三つ目は見てもらったようにギリギリまで引き付けてから避けるというやり方だ。
この方が体力の温存にはなるがミサイルの爆破の威力次第では爆風にも巻き込まれる可能性がある為初見でやることではない。
ただ律は16連装ってことで一つ一つの火力は少ないと見たのだろう。
実際その通りで爆破自体は小さなものだった。
411:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/08/31(火) 01:45:52.34:sDZ7cAAO
りっちゃん「今度はこっちから行くぜ!」
ミサイルを避けた律がそのまま寝そべりながらメタルギアVOICEの脚部をロックオンする。
りっちゃん「行ってこーーいっ!」
バシュウッ!!
弾き出された弾丸は音速を越え狙ったメタルギアVOICEの脚部へと吸い込まれる様に刺さった。
ゴオッと言う破壊音と共に少し巨体が揺らいだ。
リキッド・オセロット「生意気な!!!」
スネーク「いいぞりっちゃん!!」
りっちゃん「ど~んなもんだいっ」
スネークにガッツポーズしてみせるのも束の間、
リキッド・オセロット「貴様ァ……!!!!」
次の攻撃、地走式Sマインが襲いかかる。
414:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/08/31(火) 02:12:52.76:sDZ7cAAO
メタルギアVOICEからボトボトと何かが落ち、それが地面をスライドしながらこちらに向かってくる。
りっちゃん「あれが地走式Sマインかっ」
スネーク「Sマインなら厄介だ!! 拡散する前に止めるぞ!!! 」
りっちゃん「どうやって!?」
スネーク「恐らくあれは熱源でこっちを捉えてる! センサーがあるだろう? あれを狙い撃て!」
りっちゃん「無茶苦茶言って!」
律とスネークはPSG-1とSOCOMを構え狙いを定める。
カンッ! カンッ!
と金属がぶつかり合う甲高い音が聞こえた瞬間Sマインは力なく止まる。
スネーク「腕はいいらしいな」
りっちゃん「伝説の庸平にお褒めに預かり光栄だよ」
416:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/08/31(火) 02:22:53.13:sDZ7cAAO
リキッド・オセロット「やるな!!! ならこいつはどうだ!!!」
メタルギアVOICEが口を大きく開けだす。
スネーク「水圧カッターが来るぞ!!!」
りっちゃん「対処法は!?」
スネーク「ないっ!! 逃げ回れ!!!」
りっちゃん「ええええっ」
リキッド・オセロット「喰らえっ!!!!」
ジィィィィィ
物凄い水圧の水が律達に襲いかかる。
地面を切らない程度に設定してあるのだろうが触れれば人間の肉などプリンかの様に容易く千切れ飛ぶだろう。
りっちゃん「うわあっ」
スネーク「ぐっ!」
メタルギアVOICEの口から放出される水圧カッターをひたすら逃げながら回避する二人。
417:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/08/31(火) 02:29:16.71:sDZ7cAAO
ねむす
明日は仕事お休みなのでいっぱい書きためときます
けいおんが終わるまでに終わらせないとwww
後無限バンダナネタみつけたので貼っときます
知らない方必見です
418:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/08/31(火) 02:55:02.86:jzFh0MAO
乙!
MGS123はやったけど
4とOPS、PWはやってないんだよな
PSPごと買おうかな
430:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/09/03(金) 00:46:37.69:wo4f3sAO
リキッド「逃げ回るだけかスネェェェェェクゥゥゥゥ!!!」
スネーク「思ったより放出時間が長いな…」
りっちゃん「RAYみたいに海水を補充しなくても自分で産み出して補充してるんだ! だからいつなくなるか……」
スネーク「さすが最新型と言うわけか…! りっちゃん! 裏手に回り込め! 俺が囮になる!」
りっちゃん「わかった!!」
スネークは走る速度を緩めながらメタルギアとの距離を測る。上手く水圧カッターを避けつつメタルギアの内側に入り込むことに成功。が、減速したスネークを捉えたメタルギアはそれを潰しにかかる。
リキッド「こいつ(メタルギア)に潰されるなら貴様も本能だろう! これで終わりだァ!」
431:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/09/03(金) 00:51:04.32:wo4f3sAO
ズガアアアアンッ
スネーク「うぉ……っ」
スネークはそれをギリギリの所で横っ跳び回避。
リキッド「なにぃ!!?」
スネーク「ウオオオオッ!」
受け身を取りながらもRPG-7を構え、水圧カッターを発水している開口部分を狙い発射する。
リキッド「させるか!!!」
メタルギアは瞬時に口を閉じると外の装甲に弾が当たる、も、大した傷もなくまたすぐに傷口が修復されていく。
スネーク「ちぃっ! 外したか…!」
リキッド「甘いわ!!」
ドゥフウウウウウ──
リキッド「なにい!!?」
巨体がガクりと揺れる。リキッドは慌ててその原因を確認する為にメタルギアを旋回させる。
りっちゃん「あ~らごめんあそばせ! こっちにもいるのを忘れるなよ!」
スティンガーから煙が上がり、不敵に微笑む律の姿。
432:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/09/03(金) 00:58:20.43:wo4f3sAO
リキッド「こざかしいわッ!!!」
開口、水圧カッターを噴出する機械部が唸りをあげる。
スネーク「……」
りっちゃん「……」
一瞬二人の目線が交差する───
それも束の間、瞬時に目線をメタルギアに合わせる律。
りっちゃん「まだまだっ!」
律は二発目をメタルギアの口に狙い定め引き金を弾く。スティンガーの重々しい重高音が響いた後、物凄い速度で弾は加速していく。
リキッド「バカめッ!!! そんなものは効かんわ!!!」
放水をするための作業を止め、先程と同じ様に口を閉じようとするメタルギア。
りっちゃん「どうかな?」ニヤッ
律がチラッと目線を送った先には、伝説の傭兵ソリッドスネークの姿があった。
スネークは既にSOCOMを構えており────
バンッ───
りっちゃん「バーンッ……」
律は手を拳銃のように型どり、撃ってみせた。
ズォォォォォォッ
433:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/09/03(金) 01:11:34.25:wo4f3sAO
リキッド「ぐうぅ……何が起こった……!?」
衝撃で叩きつけられたリキッドは覚醒を促すように首を横に二、三回振りながら状況を確認する。
リキッド「……ちぃっ、水圧カッターがやられたか」
メタルギアの口は爆発により原型を歪めていた。
特殊装甲は外側だけであり中は普通の金属のようだ。
りっちゃん「だから言ったろ? それはどうかなってさ」
話ながらもスティンガーで脚に狙いをつけ始めている律。
リキッド「(スティンガーは発射してからすぐには速度は上がらん……あのタイミングなら間違いなく間に合っていた筈だ。それに直撃したにしてはダメージが少ない。まるで手前で爆発したような……)」
リキッド「なるほど……やはり貴様か、スネーク」
スネーク「どうしたリキッド。ビッグボスを越えると言っている割にはそこの新兵一人に手こずってるみたいじゃないか?」
リキッド「貴様ァ……!」
434:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/09/03(金) 01:18:13.78:wo4f3sAO
リキッド「ククク……そうでなくてはな! 兄弟!!!」
リキッド「ならばこちらも本気で行くぞおおおお!!!!」
メタルギアの両肩から巨大なスピーカーせり上がる。
りっちゃん「スネーク! あれが来る! 大声を出してノイズを混ぜれば回避出来るらしい!!!」
スネーク「わかった! 大声には少し自信がある! 任せておけ!」
リキッド「行くぞおおおおおおおおスネークウウウウウウウウウ!!!!!!」
リキッド「ザ・ワールド!!!!!」
ウ゛ンタンウ゛ンタン
ウ゛ンタンウ゛ンタン
435:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/09/03(金) 01:21:34.87:wo4f3sAO
りっちゃん「あーーーーーーーーーーーー」
スネーク「おおおおおおおおおおおおおおおお」
ウ゛ンタンウ゛ンタン
ウ゛ンタンウ゛ンタン
りっちゃん「だあああああああああああああああ」
スネーク「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」
ウ゛ンタンウ゛ンタン
ウ゛ンタンウ゛ンタン
ウ゛ンタンウ゛ンタン
りっちゃん「息があああああああああああああ」
スネーク「太陽おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!」
436:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/09/03(金) 01:49:18.99:wo4f3sAO
スッ────
ウ゛ンタンウ゛ンタン
りっちゃん「しまっ……」
息継ぎの瞬間に音が入り込み、律の体が止まる。
スネーク「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」
りっちゃん「(どんな肺活量してんだよっ!!!)」
リキッド「死ねぇぇぇぇ小娘!!! 」
顎の辺りについているレールガンに電撃が集中する────
バアアアアアアアアアアアアアンッ
りっちゃん「っと! 動ける!」
リキッド「ちぃっ!! 小娘が!!!」
しかし、発射されたレールガンは水圧カッターで噴出された水を伝い電染する。
スネーク「飛べッ! りっちゃん!!!」
りっちゃん「了解ッ!」
二人は中空に高く飛ぶとその下を電撃が走って行く────
439:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/09/03(金) 02:07:17.73:wo4f3sAO
プルルップルルッ……ピュンッ
りっちゃん『サンキュムギ! でもあんな長い間音を出されたら……』
紬『あの音を止めるには何個かやり方があるの。一つは私みたいに衝撃音を出して音を相殺するやり方。ああ云う強い衝撃音は鼓膜に響くわ。今もぐわんぐわんってなってない??』
りっちゃん『なってるなってる』
紬『そうなるとしばらくの間神経を操るような精度は出せなくなるの。』
りっちゃん『なるほど、後は?』
紬『体勢を崩したりかな? デリケートな音だから高さや位置が一瞬ズレるだけで動けなくするなんてことは出来なくなるわ』
りっちゃん『そう言えば大声出すのに夢中で攻撃するの忘れてた……』
紬『ふふ、だから歌いながら戦うりっちゃん……』
りっちゃん『わかったわかった! 確かに歌いながらの方がリズムも生まれるしやりやすいかもな! やってみるよ!』
紬『妨害音もそこのスピーカーを壊されたら鳴らせないわ。だからそう何度も使えない……だから気をつけてねりっちゃん』
りっちゃん『了解!』
ピピュン……
441:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/09/03(金) 02:21:59.29:wo4f3sAO
リキッド「思ったよりもやるな。本当はもう少し楽しみたかったが……時間が押していてな。そろそろ終わりにしてやる!!!」
スネーク「…見たところ薄くだがあの装甲で覆ってあるようだ。一撃一撃撃ってもすぐに再生される。二人同時に叩き込むぞ」
りっちゃん「わかった! やってみるよ!」
スネーク「……りっちゃん、新米だと思ってたのは俺の見誤りだったらしい。お前さんは立派な戦士だ。だがこんな生き方は似合わない。この戦いが終わったら武器じゃなく、もっと相応しいものを持って生きろ」
りっちゃん「……うん、わかってる。ありがとう…スネーク」
スネーク「……来るぞッ!!」
444:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/09/09(木) 17:26:00.22:mG/JKQAO
リキッド「止まれえええええええ!!!!」
巨大なスピーカーが律達の方を向く。
紬「(妨害音を……!)」
制御室内にいる紬が妨害音を鳴らそうと手を伸ばした時だった、
リキッド「させるかあああッ!」
ババババババッ───、
メタルギアの腕についているガトリングがけたたましく回転し格納庫内のスピーカーを撃ち潰す。
紬「くっ」
リキッド「用済の蝿がウロウロと。資金援助に免じて命までは取らないでやったものを」
ゆっくりと扉を開け、強化ガラスに包まれていた制御室を出て橋脚に降り立つ紬。
445:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/09/09(木) 17:26:37.72:mG/JKQAO
りっちゃん「ムギッ!?」
紬は下にいる律に微笑んだ後、メタルギアに乗っているリキッドに向かって話始めた。
紬「あなたは以前音楽を取り戻したいって私達に近寄って来ましたよね? あれは嘘だったんですか?」
リキッド「嘘ではない。ただ貴様らの求める音楽と俺の求める音楽が違っただけだ」
紬「ならもう……私達に協力するつもりはないと?」
リキッド「くどいな紬嬢! 俺はあんなママゴトの音楽など知ったことじゃない!!」
紬「そうですか……なら仕方ないですね…」
紬は懐から何かを取り出し、リキッド見せつける。
446:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/09/09(木) 17:27:28.89:mG/JKQAO
紬「これはメタルギアの自爆装置よ。万が一と思って隠して作ってたの」
リキッド「なにぃ……?」
りっちゃん「でかしたぞムギッ!!!」
紬「私は元からあなたなんて信じてなかった。ただ利用していただけよ。確かにあなたのやり方は本当に音楽を奪還出来たかもしれない。けれどもう必要ないの。りっちゃんと…正気に戻ったみんなでまたやり直す。だからもう……メタルギアなんていらないわ!!! 伏せて! 二人とも!!!」ピッ
りっちゃん「うわあっ」
スネーク「わかった!」
リキッド「やめろおおおおおおおおっ!!!!」
447:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/09/09(木) 17:29:53.33:mG/JKQAO
────────、
紬「……なんで?」ピッ
紬「なんでッ!! なんでッ! 自爆……」ピッピッ
リキッド「しなーーーーーーーーーっい!!! ククク、貴様が寝ている間に外させてもらった。どうださっきの演技は? お嬢様の夢を壊さぬようアカデミー賞並みの演技力を披露したつもりだが」
紬「リキッド……オセロット!!!」
リキッド「目障りだ!!! 消え失せろ!!!」
右腕のガトリング砲が紬に狙いを定める。
りっちゃん「えっ…、おい……!!! やめろよ!! ムギには関係ないだろっ!!!」
それに気付くも橋脚の上にいる紬をどうにかすることも出来ず、虚しく銃砲が鳴く────
ババババババ────
りっちゃん「ムギイイイイイイイッ!」
448:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/09/09(木) 17:30:32.71:mG/JKQAO
────────
私はどうしたかったんだろう。全てを捨ててまで掴み取ろうとした音楽は……手からすり抜けてしまった。
音楽を取り戻せばまたあの日々(世界)が戻ってくると信じていた。
私はただ戻りたかった。
あの頃に───
毎日が幸せに溢れていて
みんなで笑いあえて
明るい眩しい世界に
なのに……どうしてこんなことになったんだろう。
仲間もいなくなり、見渡せば自分一人しかいない。
真っ暗な夜原を一人でさ迷い続けてる。
振り向けば来た道は崩れてて、もう前に行くしかない。
絶望しか待っていない未来に……
449:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/09/09(木) 17:31:38.70:mG/JKQAO
私が取り戻したかったのはなんだったのだろう?
音楽だったのかな?
仲間、友達だったのかな…?
いや、違う。
音楽、友達、……それは私達のカケラ。
だから一つでも欠けたら駄目なんだ。
だから……
だから………
だから…………
でも、
『一緒に取り返さないか?』
『私にはそこまでする理由がわからない』
一番最初に一番大切なものが既に欠けていたんだ。
ふふ…、なら上手く行くわけないよな。
だって私が一番取り戻したかったのは──────
450:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/09/09(木) 17:32:44.69:mG/JKQAO
澪「ん……」
覚醒していく。体にかかる重さがコートのせいだと気づくまでに頭が働くようにはなっていた。
澪「ここは……そうか。あの人に殴られて…」
油断していたとは言えこのコートの上から気絶させる程の当て身とは、只者じゃないとは薄々思っていたけど。
「……ッ!! ……ッ!!
声がする。ムギの声。良かった、起きられたんだ。
体の調子を確認しながらゆっくり立ち上がると向こう側の橋脚にいるムギが目に入る。
リキッド「目障りだ!!! 消え失せろ!!!」
澪「!!?」
451:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/09/09(木) 17:33:16.45:mG/JKQAO
ガトリング砲がムギに向く。
助けなきゃ……助けなきゃ……。
澪「うぅ……」
体が動かない…。克服したつもりなのにこんなところで怖がりが出るなんて…。
変わったんじゃないのか秋山澪!!!
誓っただろう! あの頃に戻るために強くなるって!
澪「動いてよ…」ガクガク
それでも体は動かない。
怖いっ……怖いっ……怖いっ……!
りっちゃん「えっ…、おい……! やめろっ!!! ムギには関係ないだろっ!!!」
律が泣きそうな顔をしている…。
なんで……?
誰が泣かせたんだ……?
リキッド「」
澪「お前か…!」
452:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/09/09(木) 17:34:04.28:mG/JKQAO
───────
白煙が晴れて行く……。
そこに現れたのは真っ黒なコートに身を包んだ澪だった。
澪「もうこれ以上何も失わせたりしない…」
黒灰の瞳が激情に燃える。
りっちゃん「澪……!」
紬「澪ちゃんっ!」
スネーク「……」
リキッド「ちっ、まさかこいつのガトリングさえ止めるとはな。ソリダスのを改造しただけはある」
スネーク「(ソリダスだと…?)」
澪「重火器に対しては無敵だと言ったのはあなただろう! リキッド・オセロット……! 今一度問う! あなたにとって音楽とはなんだ! 返答次第では……討つ!」
453:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/09/09(木) 17:36:49.06:mG/JKQAO
リキッド「俺にとって音楽とは戦争、争いだ! 歌は叫びや歓喜の声!!! これが人間の正しい姿なのだ!!!」
澪「……ならもうあなたに従う意味もないな。メタルギアは音楽を取り戻す為に必要だ。返してもらう……!」
リキッド「返せだと? こざかしいッ! 小娘が調子に乗るなよ!!!」
澪「ムギ、下がってろ」
紬「澪ちゃん、りっちゃんが……」
澪「……律は関係ない。これは私達の問題だから。それに律は…敵だ」
紬「……自分に素直になってね……澪ちゃん」
澪「……」
携えた鞘から刀を抜き、迷いを振り払うように二、三回左右に切り払った後、切っ先を向けて言い放つ。
澪「…行くぞ」
454:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/09/09(木) 17:40:14.00:mG/JKQAO
メタルギアのガトリングガンが火を吹く。
一発一発が当たれば死に貶められる一撃。
しかし澪はそれを事も無げにコートの裾翻し銃弾纏うように弾く。
リキッド「ちぃっ!」
澪「はあぁっ!」
橋脚を飛び出してガトリング砲に一閃────
澪の刀はガトリング砲をまるでバターの様にスライスして見せた。更に高さ数十mといった所から飛び降りたと言うのに軽く受け身を取りながらあっさり着地した。
まるで羽根でも生えてるかの如くな着地。
りっちゃん「強化金属を意図も簡単に…」
スネーク「あの刀……ただの日本刀じゃないようだな。それにしてもあの運動能力……ナノマシン操作か…」
りっちゃん「あれが本当に澪かよ……」
強くなったんだな……澪は。
でも……他の道は選べなかったのかよ……澪。
455:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/09/09(木) 17:42:52.24:mG/JKQAO
リキッド「振動斬か…」
澪「目に見えない程のごく僅かな振動をさせることでその切れ味は何倍にもなる…」
リキッド「なるほど、琴吹製品(メタルギア)には琴吹製品と言うわけか」
澪「元々これはムギが暴走やあなたみたいな人に渡った時に対処するために作られたもの。音震刀の威力……その身で味わえ!!!」
音震刀は光の輝きを浴びながら微かに震えている。
リキッド「琴吹の娘め味な真似を……! 」
リキッドは近づかせない為に距離を取りつつ澪にガトリングガンを撃ち込み動きを止める、澪は近づこうとするが多彩な重火器類の前に防ぐのがやっとと言ったところだ。
456:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/09/09(木) 17:43:57.44:mG/JKQAO
この硬直した流れを断ち切る為にリキッドはレールガンを選択。
リキッド「電撃までは防げまい!!! 喰らええええ!!!」
澪「くっ……」
スネーク「今だりっちゃん!」
りっちゃん「澪! 伏せろ!」
澪「!!」
両脚に狙いを定めていた二人が同時に発射する。
屈んだ澪の頭上をスティンガーミサイルが通過し、メタルギアの脚の関節部分に見事ヒットした。
爆炎を撒き散らすと同時にメタルギアが大きく傾いて行く。
リキッド「おおおおっ」
スネーク「やったか!?」
リキッド「スネーク!! まだだ! まだ終わってないっ!」
457:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/09/09(木) 17:59:49.55:mG/JKQAO
ギシギシと言わせながらも巨体を踏ん張らせる。
リキッド「まさかここまでとはな…。さすがスネークと代用品なだけある」
澪「さっきも言っていたな! 代用品とは一体どう言う意味だ!」
リキッド「そのままの意味だ。俺はこの無人島に過去を連れてきた! 言わば俺達の歴史の縮図!」
りっちゃん「なにを…!」
リキッド「FOXHOUND、メタルギア、スネーク、雷電、ソリダス、シャドーモセス、デッドセル、謎の忍者……核」
リキッド「ここには今まで起こった俺達の歴史が詰まっている。俺がそうなるよう仕向けたのだ!!!」
スネーク「それに何の意味がある!?」
リキッド「踏み越える為さ!!! この今までの過去の縮図を踏み越えることによって俺はようやく未来に進める!!! このメタルギアVOICEと共にな!!!」
澪「っ……!?」
澪「そんなことの為に……そんなことの為に私達を利用したのか!!! お前は!!!!!」
458:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/09/09(木) 18:13:39.75:mG/JKQAO
リキッド「お前はいい働きをした。秋山澪、いや……ソリダス・スネーク」
澪「私はそんなやつ知らないっ!!! 勝手にお前の過去に私達を結びつけるな!!!」
感情に任せ斬りかかる。メタルギアは立っているのもやっとだと言うところだ。
これがとどめとなるだろうと言うことは歴然だった。
だが────
リキッド「メタルギアVOICEの真の力はこれからだ!」
スピーカーから音が発射される。
スネーク「まずいっ! 声を出せ!」
りっちゃん「いや……これは。さっきと違う…」
ウイイイイイイイイイ
『メタルギア、第二形態に移行。』
リキッド「スネーク!!! 生き延びろよ!! 次に会う時は戦場だ!!! お前の大好きな冷戦のな!!!」
スネーク「何っ?!」
りっちゃん「そんな…」
澪「メタルギアが……消えていく……」
リキッド「また会おう!!!」
両手で銃をイメージしたような二本指を立て、突き出す。
嘗てのリボルバーオセロットのように。
だが、それに気づくものは誰もいない。
ここには。
459:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/09/09(木) 18:41:08.26:mG/JKQAO
少し時間をかけすぎたな。
タイムリミットとは。
まあいい、元々排除は奴等に任せる予定だったしな。
これで過去の清算は終わった。
これから始まる冷戦、その未来にもう賢者達は必要ない。
いや、今は愛国者達か。
解体されたMSFが動いてると情報があったがどうやらカズヒラ・ミラーではない…。
もしや……いや、そんなわけがない。
ビッグボスが生きているなど……。
大丈夫だ、あの人のことを思えるなら俺はまだ……。
460:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/09/10(金) 01:35:13.32:v9WZq.AO
りっちゃん「まさか消えるなんて……」
スネーク「焦るな! ステルス迷彩だ。見えないだけで物体をすり抜けられるわけじゃない! まだそこにいるぞ!!!」
りっちゃん「ならスティンガーで!!」
スネーク「無駄だ。ステルス迷彩は熱源も消せる。スティンガーじゃロック出来ん。俺が炙り出してやる!!」
そう言ってRPGを構えたスネーク。先程までメタルギアがいた辺りに狙いをつけ撃ち放つ。
ズオッ
ドオオオオッ
しかし弾は虚しく壁に当たり爆発する。
スネーク「あれだけの質量だ、動いてわからないわけがない……一体どこへ消えた…?」
ズオオオオオオ
りっちゃん「次はなんだ?!」
スネーク「地上への昇降口が開いて行く……奴はあそこから地上に出るつもりだ!」
461:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/09/10(金) 01:44:11.10:v9WZq.AO
りっちゃん「ならあのせり上がってる台の上に?」
スネーク「ああ!! 逃がさん!!」
ガチャッ、ズオッ────
ズオオオオオオッ
スネーク「ちぃっ! いないだと!?」
りっちゃん「クソ……ッ! 澪! お前なら何か知ってるだろ!? 教えてくれ! 私達はあれを止めなくちゃいけないんだ!」
澪「……。私にはメタルギアが必要だ……った。ただもういい…」
りっちゃん「澪…?」
澪「メタルギアVOICEの第二形態、それはステルス迷彩なんてただ消えるだけの機能じゃない。その音を聴いたものに認識させない命令を植え付ける凶悪な音を出している」
りっちゃん「音…?」
澪「ああ。人間には聴こえない波長だけどな。あれだけの質量が動き回っても音がしないのは私達が認識してないからだ」
462:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/09/10(金) 01:51:44.76:v9WZq.AO
りっちゃん「じゃあ…!」
澪「さっきのもただ上手く避けただけで実際はそこにいるだろう。あくまで予想に過ぎないけどな。なんせ私達には認識出来ないんだから……」
りっちゃん「なんでそんな冷静でいられるんだよ!」
澪「!?」
りっちゃん「あれが世に出回ったら私達の世界は……」
澪「私達の世界……か。そんなものもうないよ」
りっちゃん「澪っ!!!」
澪「さよなら、律、だった人。もう二度と会うこともない」
これでいい。これで。
私はもうこんな世界で生きたくない。
だからメタルギアがどうなろうと知ったことじゃない。
音楽を取り戻そうと奮起したのを利用されて、今の私はただの世界的な犯罪者に過ぎない。
そんな世界で生きていくのは…、あまりにも辛すぎるじゃないか。
なら私は思い出と共にこの場所で死のう。
一人っきりで…
463:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/09/10(金) 02:11:36.17:v9WZq.AO
そう言い残しどこかへ行く澪を私は追いかけたかった。
でも、今は…出来ない。私が私で澪を迎えに行く為には…!
りっちゃん「メタルギアを破壊しよう。 スネーク! 手伝ってくれるよな?」
スネーク「元々こっちの仕事だからな。勿論だ。(いい目をしている)」
りっちゃん「ムギッ!!!」
紬「対処法、でしょ?」
りっちゃん「ああ」
紬「メタルギアVOICEは常にあの音波を出していると思うわ。人間には聴きとれない波長だけど聴いた瞬間メタルギアを認識出来ないような命令を出してるの」
りっちゃん「じゃあまた大声を出してる間は…」
紬「あれとは音質が違うの。聴こえる音ならそれで対処も出来るのだけれど聴こえない音になると衝撃音なんかで打ち消したりは出来ないわ」
りっちゃん「ならどうしたらいいんだよ!」
紬「簡単よ。認識しようとするから見えないの。認識しなければいいのよ」ニコッ
橋脚の上からまた微笑みかける紬。
464:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/09/10(金) 02:28:28.87:v9WZq.AO
りっちゃん「なぞなぞかよ?」ニコッ
こんな状態でも笑っていられる自分にちょっと驚く。
紬「他のことに意識を向けながら戦えばいいの。ただ生半可な意識の向け方じゃダメよ。見ようと思わないで」
りっちゃん「なるほど、他のことに意識を向けながら…か」
紬「うふふ」
りっちゃん「どうやってもそうさせたいみたいだなお前は。まさかその為にそんな設定にしたんじゃないだろうな?」ニコッ
紬「さあ、どうかしらね」
りっちゃん「私とスネークは上に出てメタルギアを討つ。ムギも後から来てくれ。メタルギアを撃破した後ここを脱出するから、みんなでな」
紬「りっちゃん…」
スネーク「(みんなで…か)」
りっちゃん「行こう。終わらせるんだ…!」
465:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/09/10(金) 02:47:12.79:v9WZq.AO
無人島 研究所 地下格納庫 昇降口上部──────
ニンジャ「はあっ!」
昇降口から一気に飛び降りる。一々研究所から回っている暇はないだろう。
台が上昇してくる────
ニンジャ「やはりメタルギア……!」
落下しながら目視するも瞬間、
ニンジャ「消えた…?!」
目の前からいきなり消えるなんてことがあり得るのか。
可能性としてはステルス迷彩…、だがあんな大型なものを消せるものか……。
一般的に言われてるステルスとステルス迷彩は大きく違う。
ステルス機は実際に見えないわけじゃない。レーダーや索敵にかからないからステルスなのだがステルス迷彩は本当のステルスと言っても過言ではない。
姿形さえ消えてしまう魔法の技術。
だが欠点も多い。
ニンジャ「これでっ!!!」
落下しながらマチェットを抜き、さっきまでメタルギアがいた場所に向かって降下しながら振りかぶる。
ニンジャ「はあああああああああっ!」
ガキイイイイイイッ
466:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/09/10(金) 03:04:14.24:v9WZq.AO
ニンジャ「(手応えはあった……けど音がしない…?)」
無論音はした、金属と金属がぶつかったカン高い音が。
だがニンジャにはそれが¨聴こえていないのだ¨。認識出来ていない。
ただ見えないだけで存在はするもの、すり抜けるわけじゃない。
リキッド「忍者か! だがその程度の攻撃ではな!!!」
ニンジャ「……!」
一瞬だけ見えた、けどまた消えた。
ステルス迷彩じゃないのだろうか。ステルス迷彩なら光学迷彩に触れればしばらく消えられないはずなのだが…。
ニンジャ「これを破壊すればまたあの子達は戻れる。律がきっと取り戻してくれる。だから私は……!」
台が上がりきり地上へと出る。
依然メタルギアは視認出来ない、が、間違いなくいる。
姿は消えたとしてもあの質量がいる気配を感じ取れないわけがない。
叩いた瞬間は見えた…なら何とかなる…か。その時に動力部を穿つ。
マチェットを構えて目を閉じる。
ニンジャ「(唯、待っててね。私が全部終わらせるから。だからあなたはもう戦いなんて辛い思いはしなくていいの……)」
467:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/09/10(金) 03:28:30.41:v9WZq.AO
───無人島 研究所付近───
唯「具合良くなった? あずにゃん?」
梓「はい。何とか歩けるぐらいには」
雷電「……」
梓「殺さないんですか? 私達を」
雷電「……。確かにお前達は世界を核の恐怖で脅かし、元は悪じゃないとは言え今は悪の音楽を取り戻そうとした。それは許されることじゃない」
梓「……じゃあ」
雷電「だが死んだら償うことも出来ない。俺がここでお前達を殺したところで世界は変わらない。だが生かし、償わせることで何かが変わるかもしれない。俺はそれに賭けようと思う」
梓「じゃあっ!」
雷電「勘違いするな。もしまた同じことを繰り返すなら……次は必ず殺す」
梓「……はい」
唯「私達はちゃんと……話し合わないといけないんだよね。みんなでどうするか」
梓「唯先輩…」
ドスッ ドスッ ドスッ
「……ッ!!」
雷電「なんだ……?」
梓「あれは……!」
唯「メタル……ギア……!」
468:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/09/10(金) 03:43:05.83:v9WZq.AO
───太平洋上空 無人島近海───
パイロット「こちらB-2、無人島が射程に入った。オーバー」
司令官『よし、勧告後、返答が得られない場合爆撃を開始しろ!』
パイロット「了解」
パイロット『こちらアメリカ空軍所属、B-2戦闘爆撃機だ。こちらには無人島をすぐにでも爆撃する用意がある。ただちに武装を解除し、投降せよ。繰り返す……』
──────
469:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/09/10(金) 04:05:52.13:v9WZq.AO
───無人島 研究所 内部───
『繰り返す。こちらには無人島を爆撃する用意がある。ただちに武装を解除し、投降せよ』
研究所のスピーカーから流れ出す勧告を二人は並走しながら聞く。
りっちゃん「くっ、来たか!」
スネーク「核がないとやりたい放題だな、国防総省(ペンタゴン)は!(それとも愛国者達か……)」
りっちゃん「どうしようスネーク…。このままじゃこの島は…」
スネーク「(奴が生き延びろと言っていたのはこの事か…)」
スネーク「状況を説明して止めさせるしかない。テロリストを引き渡せば…或いは」
りっちゃん「澪達を突き出せってことかっ……!」
スネーク「……」
りっちゃん「あんたは結局そうなのかよっ! メタルギアさえ倒せればそれでいいのかよ!?」
スネーク「ならお前は大罪を起こしたテロリストを逃していいと言うのか?」
りっちゃん「それは…」
スネーク「自分がいいから世界など関係ないとでも言うのか?」
りっちゃん「でもっ……なら私は……どうしたらいい?」
473:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/09/11(土) 00:31:00.97:wURbJwAO
スネーク「……これだけは言っておく。物事に正しいことなどない。人それぞれ価値観があり人によって答えは違う。だから戦争や宗教が生まれる」
りっちゃん「……なら何が正しくて何が良くて何をすればいいんだよ! 私にはわかんないよ……」
泣きそうになりながらも必死に考える律、
スネーク「りっちゃん」
そんな律にスネークが優しく手を律の頭の上に置く。
りっちゃん「ふぇ…?」
スネーク「目の前に困った人がいて、それをお前さんが助けたとする。果たしてそれで救われるのは何人だと思う?」
りっちゃん「何人って…困った人だけじゃないのか? 救われるのは…」
スネーク「いいや違う。それを見た周りの奴等だって救われる」
りっちゃん「えっ…」
スネーク「あの女の子の様に自分も誰かを助けられる人になろう。世の中捨てたもんじゃないってな。伝染するんだ、ここは」
ハートを二回トントンと叩くとニヤリと笑うスネーク。
スネーク「みんなが幸せに笑える世界に向かえ」
474:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/09/11(土) 00:44:50.57:wURbJwAO
りっちゃん「みんなが幸せに笑える世界……」
スネーク「そうだ。今の段階ではお前達はテロリストだ。だから俺はお前達と敵対する。いくら音楽を取り戻す為と言っても何も知らない民間人はただの恐怖でしかない」
りっちゃん「うん…」
スネーク「どうしてもあいつらと共に行きたいなら俺を倒してでも行け。それが世界を幸せに、笑って歩める正しい道と信じるならな」
りっちゃん「……わかったよ、スネーク。ほんとにありがと」
道は決まった、覚悟も出来た。後はやるだけ。
スネーク「こんな教鞭染みたことは苦手何だがな。何でこんなことを言ったのか自分でもわからん」
りっちゃん「へへっ」
ニコニコしながら走る律に、もう迷いはなかった。
律はこれで同じ名を持つ男二度助けられた。
しかし彼らもまた導かれていたのかもしれない。
原点とも言える彼女の面影に。
それはまだ生まれたばかりだけれど、彼女とて最初からそう呼ばれてたわけではない。
きっとその種は世界に実をつけると二人の遺伝子は告げていたのかもしれない。
次へ
「あー……それはだな」
りっちゃん「しかも敵の兵に扮して……ねぇ?」
「色々と事情があってだな」
りっちゃん「まあいいや。私は政府直属の対テロリスト特別部隊、通称FOXDIEDの隊員の田井中律。コードネームはりっちゃん。ここにはメタルギア破壊の任を受けている」
「……こんな女の子まで戦場に出ることになるとはな。皮肉なもんだ……」
りっちゃん「まあそれに関してはこっちも色々あるんだよ。そう言えばあんた名前は?」
「しゃべり方がころころ変わる奴だな。まあいい。俺はスネ(ry」
りっちゃん「スネ?」
ジョン「いや、ジョン、ジョン・ドゥだ」
りっちゃん「ジョンか、いい名前」
ジョン「そうか? ありふれたどこにでもある名前だろう?」
りっちゃん「社交事例だよ」ニヘヘ
ジョン「……」
りっちゃん「あ、怒った?」
ジョン「いや、自分達が作って来た道が正しいと思っていた。いたが……そうじゃなかったと。お前さんを見て思ったよ」
りっちゃん「ジョンだけが悪いわけじゃないよ。人がいっぱい生きてるんだからさ。その中でそれぞれ考えることも優先順位も違う。その摩擦をどう埋めてくか……それは一人一人が認識しなきゃならないんだ」
ジョン「顔の割に哲学的なことを言うな」
りっちゃん「顔の割にってなんだよぅ!」
ジョン「悪い意味で言ってるんじゃないぞ? 良い意味でだ」
りっちゃん「良い意味ってつけたら言い訳じゃないぞっ!」
ジョン「駄目か」
りっちゃん「駄目だ!」
律は不思議に思っていた。何でだろうか。さっきあったばかりなのにこうも打ち解けられるなんて。
自分は人懐こいところはあるもののこんな戦場までそれを持ち込んだつもりはない。
現にむぎの執事には容赦なく麻酔弾を撃ち込んでいるではないか。
何だろうこの感じ……凄く懐かしい。
ジョン「さて、お互い自己紹介も済んだんだ。そろそろお互いの仕事に戻るとしようじゃないか」
りっちゃん「あれ? このままメタルギアの格納庫へ行くんじゃないの?」
ジョン「その前にいくつかやっとくことがあってな」
りっちゃん「そっか……」
ジョン「なぁに残念がることはない。お前さんが破壊する前には駆けつけるさ。……じゃあな」
りっちゃん「ジョン!」
ジョン「なんだー?」
呼び止められても立ち止まらず背中越しのまま答える。
りっちゃん「さっきは本当にありがとう」
ジョン「……ああ」
手を振る律に軽く手を上げ答えながら曲がり角へ消えていく。
りっちゃん「さて……行こうか」
メタルギアはこの下の格納庫、とうとう目先まで迫っていた。
グゥゥゥン────
低い唸りを上げながらエレベーターは下降していく。
律はMkなどに弾薬を補充しつつ降りきるのを待つ。
りっちゃん「あれ? そう言えばAKがないや。いつからだっけ……」
振り返る内に思い出す。
りっちゃん「あ~…エルードした時かな…」
隠れることに必死で忘れてたや。
どの道メタルギアを破壊出来るような武器ではない。
りっちゃん「どっかでC4を手に入れないとな……」
確かにC4なんて持ってウロウロはしたくないがなかったらどうやってメタルギアを破壊すればいいんだよとFOXDIEDのシステムにケチをつけてる内にエレベーターが止まった。
りっちゃん「ジョンの言う通りなら格納庫はこの先か……」
そうして歩み始めた時、
ビュンッ
律の足元に鉄の塊が弾き飛んできた。
りっちゃん「この独特な銃声……唯かっ!?」
周りを見渡すと格納庫へと続く大きな扉の前にギターをぶら下げ、俯いてる唯がいた。
りっちゃん「唯……」
唯「りっちゃん…私達、友達じゃなかったの?」
りっちゃん「……そうだ。友達だ」
唯「あずにゃんは……? あずにゃんは違ったの? 確かにりっちゃんにはなついてなかったけどさ……大切な後輩じゃなかったの??」
りっちゃん「…何を言ってるんだ? 勿論大切な(ry」
唯「ならなんで殺したっ!!!!!!!!」
りっちゃん「」ビクッ
余りの大声に空気が震える。
りっちゃん「唯、お前は勘違いしてるよ。私は梓を殺してなんか…」
唯「ならこれはなにっ!? この写真…見せられて……私達がどんだけショック受けたかりっちゃんにわかる?!」
唯の手に握られていたのは、
血だらけに引き裂かれ、木に吊るされた梓の姿だった。
りっちゃん「そんな…なんで…嘘だろ…」
唯「自分がやったくせにそうやって惚けるんだ!? そうやって油断させて私も殺すんでしょ!?」
りっちゃん「違うっ! 私じゃない…信じてくれ唯っ!」
唯「……りっちゃんのこと大好きだった。いつも隣にいて……笑っててくれて…」
唯「私は…私はっ…」
溜めた涙を重力に任せ溢す唯。
りっちゃん「なら信じてくれ…唯。私はお前らと戦いに来たんじゃないんだ! 他にも道はきっとあるから! だからそれを探そうって…」
切なそうに胸を抱きながら律が嘆く。
りっちゃん「だからお願い唯……信じてくれ……」
唯「……りっちゃん」
それは唯が初めて見た、律の涙だった。
こんな悲しそうな顔をする律を見たことない唯は戸惑う。
昔の楽しかった思い出がフラッシュバックし、流れては消えていく。
きっとあずにゃんにもこんな涙を見せたのだろう。
そうだ、今目の前にいるのはりっちゃんなんだ。
私達をいつも大切に思ってくれて。
私達を止める為にたった一人になっても。
世界を敵にした私達だとしても。
「なにやってんだー? 部長は私だぞ? 部長の言うことは聞かなきゃダメなんだぞーっ?」
って、怒りに来てくれたに違いない。
なんで疑ってたんだろう。あんなに大好きだったりっちゃんを。あずにゃんの写真だってきっとあの変な奴が細工したに違いない。
私だっていつまでもバカじゃないんだっ!
自分のしたい、やりたい、意思まで奪われてたまるもんかっ!
そうだ、目の前にいるのは……
グォン、グォン……
唯「っ……」
頭を抱えながら苦しむ唯
りっちゃん「唯!?」
唯「近づかないでっ!」
シュンッ
りっちゃん「~ッ!」
歩み寄ろうとする律に発砲。
どの弦を弾くかで、表板のどの穴から弾丸が出てくるかわからない律は完璧に不意をつかれた。
唯「目の前にいるのは……敵。だから殺すの……それがりっちゃんでもっ!」
りっちゃん「唯っ!」
さっきとは明らかに雰囲気が一変した唯を訝しく思うも、このまま立っていては蜂の巣と判断し、何個もあるコンテナの物陰に隠れた。
唯「りっちゃん……死んでっ!!!!」
りっちゃん「クソッ!!」
どうにか出来ないのかと頭の中で巡らすもいい手が思い付かない。
りっちゃん「やるしかないのかっ……」
俯いていた顔を上げ、真っ直ぐに、今は隠れて見えない律をコンテナ越しに見据える。
唯「りっちゃん、隠れても無駄だよ」
唯「ギー太にはこう云う使い方もあるんだ」
唯「装填転換」
ギターを縦にクルクル回しながら呟いた。
ギターを支える肩口に掛かっている紐とギターの間に金具が仕込まれており紐をかけたままでも縦回転出来る様になっているようだ。
りっちゃん「(何を……)」
唯「ギー太の音色は、レボリューションだよ!」
ピュンッ
シュンッ
バァンッ
りっちゃん「(どこに撃って……)」
カァンッ
りっちゃん「跳弾っ!?」
コンテナに当たった弾が角度を変え、律のいる場所へ
りっちゃん「うわっ」
慌てて前転しその場を離れる。
唯「りっちゃん。ギー太はね、こうやって右に回すとリロード、左に回すと跳弾したりする弾に装填変換するんだよ」
りっちゃん「唯……(こんな凝った武器一体……。)」
唯「面白いよね。こうやって撃った銃声と弾が弾き遭う音……」
唯「これが私が求めていた音楽……」
りっちゃん「違うっ! こんなもんは音楽でも何でもない! ただ人を殺す残響でしかないっ! 唯! お前のギターはもっと優しかったろ!?」
唯「音楽を否定したりっちゃんが何を言ってもっ……」
ビュンッ
チュインッ
ジュンッ
撃った弾が跳弾し、隠れても隠れても律に襲いかかる。
ズァッ
りっちゃん「いぢッ」
跳弾した弾が肩口をかすめ、少し律の肉を殺(そ)ぐ。
りっちゃん「ここまで正確に跳弾出来るもんなのかよ……しかもあの唯が」
りっちゃん「(いや、唯は一つのことに関しては天才的だ。だがこんなテクを教えられるやつが……。)」
りっちゃん「(今は考えてる場合じゃない! 唯は本気で殺しに来てる…、このままじゃ……一旦眠らせて…それから考えよう)」
ここに来てようやく律も反撃に出る。
走り回りながら唯に的を絞らせず、コンテナとコンテナの間を通る時に並走しながらMkを二発。
唯「その弾速じゃ当たらないよ……りっちゃん」
唯の履いているホバーブーツにより軽くかわされる。
りっちゃん「出たなインチキドラえ○んアイテムめっ!」
戦いは膠着していた。唯が撃っては律が逃げ、律が撃てば唯はかわす。
それに痺れを切らした唯がアクションを起こす。
唯「りっちゃん、覚悟っ」
律がまた走り込み、発砲してくるであろうポイントに手榴弾を投げ、それを撃ち抜く。
律にとっては誤算だった。手榴弾を見た瞬間なら避けるのは容易かった。
だがそれはピンが抜かれてなく、それを見た時に過去の唯が過った。どこかやはり抜けている、と。
だがそのせいで判断が遅れ、撃ち抜かれた際に逃げ遅れた。
ドフゥン─────
短い爆音の後に爆風が通り過ぎて行く。
煙が上がりコンテナも爆発により大きくへこんでいた。
唯「さよなら、りっちゃん……」
ヒュンッ
ヒュンッ
唯「!?」
煙の向こうから二発の麻酔弾が抜け出してくる。唯はそれに反応出来ないまでもギターを盾にしてなんとかこれを防いだ。
りっちゃん「あっちゃ~、外したか」
煙の向こうからゆっくりとシルエットが浮かび上がる。
左腕をだらんと下げ、長袖だった迷彩服が半袖に変貌している。
腕には血が滲み、痛々しい姿となっていた。
唯「しぶといね、りっちゃん」
りっちゃん「元気だけが取り柄だからな!」ニコ
唯「……」
こんな姿になっても笑う律を訝しげに見つめる唯。
唯「なんで…そんな笑っていられるの?」
りっちゃん「さあ。もう迷ってないからかな。どんな形であれ唯を助けるって思って動いてるから。梓の時みたいに辛くないんだ」
唯「まだそんなことっ」
りっちゃん「唯が私をどう思ってたって知らないよ。私がそうしたいからそうするんだ」
唯「わがままだね、りっちゃん」
りっちゃん「そーかもね」
唯「でも私は……」
りっちゃん「……」
律は確信していた。唯は普通の状態ではないと。
感情起伏が激しいことと、それに一番はやはりギー太だった。
あんな大切にしていたギターをあんな殺戮兵器に変えることを唯がヨシとするわけがないと。
何が足りなかった。唯を救うピースが。
上から射す光が、ギターの表板に反射する。
その時だった、律は見た。
自分が撃ち込んだ麻酔弾の針が唯のギターの表板に刺さり込んでいる。
別に特質して目を見張るものはない。だが、それは普通の人が見たらの話だ。
表板の白い部分、そこに刺さり込んだ針により……律はすべてを悟った。
りっちゃん「唯……」
ただこの手で抱き締めたい。
大好きな唯を────
その一心でゆっくり歩み寄る。
唯「りっちゃん、止まって。じゃないと撃つよ?」
りっちゃん「いいよ。唯に撃たれるなら、後悔しない」
唯「このっ……」
シュンッ
唯の撃った律にかするもクリーンヒットはない。もう二人の距離は5mもない。
りっちゃん「唯……辛かったろ……? ごめんな、気付けなくて」
唯「うるさいっ! 来るなっ!」
弾く、撃つ。
当たらない。
唯「なんで……」
同じ“ 弾く“、でも銃のそれと楽器のそれは明らかに違った。
一つは奏で、人を喜ばし、幸せにする。
一つは殺し、争い、人を悲しませた。
りっちゃん「唯の手は、楽器を弾く手だ。人を喜ばせる為の手だ」
唯との距離は後1m──────
───────
「ちっ……近づきすぎだ。こちらももっと近づいて洗脳し直さねば……」コフー
ニンジャ「どこへ行くつもりかしら?」
「ぬっ」
気づけばマチェットを突き付けられ、黒づくめの喉が鳴る。
「貴様、シャドー・モセスの……!」
ニンジャ「グレイフォックスじゃないわ。サイコマンティス、いえ、純」
サイコマンティス「まさか……あなたは」
グシャッ
ニンジャ「あなたが愛国者と繋がった経緯は知らないわ。けど彼女の邪魔をするのなら容赦しない……」
──────
抱き締めた。
抱き締められた。
ギター越しだがそんなの無視して無理矢理抱きしめる。
りっちゃん「唯……」
唯「りっちゃん……」
唯も憑き物が落ちた様に穏やかになっていた。
りっちゃん「ギー太は……もう、いないんだな」
唯「なんで……?」
そう言うと律は少し離れ、唯の持っているギターの白い部分からペリッと何かを剥ぎ取った。
りっちゃん「へへっ。また剥ぎ取ってやった」
唯「……そっか。いないんだ……ギー太」
そう、このギブソンレスポールはあの時持っていたギー太ではない。
何故なら、もしあの時のギー太ならついているわけがないのだ。
このシールフィルターが。
私が、はずしたのだから。
針が刺さり込みシールフィルターにシワが出来てそれが貼られたままなのがわかったのだ。
りっちゃん「唯。一緒に……他の道を探そう?」
唯「……っうん」
泣きながら、必死に頷く唯。
律はまた優しく唯を抱き締めた。
唯もそれを受け止め、律の肩に涙の跡を残し続ける。
唯「ごめんねぇ……ごめ゛ん゛ねぇ……」
自分が律に刻み込んだ傷を見て更に罪悪感にうちひしがれ、泣いた。
それを頭を撫でることで宥める律。
過ぎた時間の中で、
別々の刻を過ごして来た二人がようやく重なった。
あの頃の様に
──────
りっちゃん「へぇ、上手いもんだな」
唯「私だってこれぐらい出来るもんっ! まあ憂に教えてもらったんだけどね…」
律に包帯を巻きながら唯は悲しげに瞳を伏せる。
唯「りっちゃん……痛くない?」
りっちゃん「物凄く痛いッ!」
唯「はわわっ」
りっちゃん「でもそんなことより唯とわかり合えたことが嬉しい」ニコ
唯「りっちゃん……」
りっちゃん「憂ちゃんも心配してたぞ? あんないい妹に心配かけるなよ」
唯「うん…。」
りっちゃん「唯、お前は自分の意思で澪について行ったんじゃないのか?」
唯「ううん。勿論自分の意思だよ。だけど詳しいこと聞いたら怖くなって……やっぱりやめようって何回も澪ちゃんに言ったけど……」
りっちゃん「澪……」
唯「私達だけじゃ世界を相手にするなんて出来ないから……そんな時ある人達に出会ったの。それから澪ちゃんはもっと変わっちゃってって…私も変わらなきゃ、変わらなきゃって思ってたけど…」
りっちゃん「唯……」
唯「そんな私にあのがこのギターをくれたの。もう一度弾いてくださいって……」
りっちゃん「そいつが……」ギリッ
唯「それから何だか自分がわからなくなって……」
りっちゃん「(シャドー・モセスの資料で似たような症状が載ってたな……まさかこの一連の騒動には……)」
りっちゃん「唯、その男の名前わかるか?」
唯「ええと、確か……」
──────────
「サイコマンティス……純はやられたか。所詮奴もこの縮図の為の一つに過ぎん」
「もう少し……もう少しだ」
リキッド・オセロット「もう少しで世界の音楽を取り戻すことが出来る」
─────────
りっちゃん「リキッド・オセロット……」
りっちゃん「(リキッドと言うのはあのシャドー・モセス事件の首謀者……オセロットと言うのも幹部な筈。どう言うことだ……)」
唯「りっちゃん……澪ちゃんと止められるのはりっちゃんしかいないよ! 私じゃ無理だったから……」
りっちゃん「ああ、任せとけ! 唯は外でライオンと寝てる梓と一緒に隠れててくれ。メタルギアを破壊してむぎと澪を説得したらそっちに行くから」
唯「わかった! あ、後これ」
唯がカードの様なものを律に渡す。
唯「これでこの先のLvの高い扉も開くよ!」
りっちゃん「ありがと。じゃあな、唯」
唯「またね、りっちゃん」
トテトテと歩いて行く唯の後ろ姿を見ながらホッと息を吐き出す律。
りっちゃん「~ッ」
その場に倒れ込むと呻きながら左腕を抑える。
りっちゃん「いったぁッ……」
治療したとはいえ焼ける様に痛む。唯の前では悲しんで欲しくないと平気な振りをしていたのだろう。
りっちゃん「行かないと……まだバカが残ってるからな」
ゆっくり、ゆっくり歩いて行く。
きっとこの先、むぎや澪が待ち構えているだろう。
りっちゃん「澪……」
───無人島 研究所 地下格納庫 制御室───
澪「これで本当に音楽が戻って来るんですね?」
リキッド・オセロット「勿論ですよ。奴らとて核をチラつかせばやらざるを得ないでしょう」
澪「武力介入でしか取り返せないなんて……」
リキッド・オセロット「そういう時代なのです。私らも心を痛めるばかりで」
リキッド・オセロット「出来れば使いたくありませんでしたがね……」
メタルギアを眺めるリキッド。
リキッド・オセロット「しかしその前に排除しなければならない」
澪「わかってる。それはこっちのことだから。あなたはメタルギアの完成を急がせてほしい。一刻も早く音楽を取り戻す為に」
リキッド・オセロット「ええ勿論」
それを聞くと澪は踵を返す。全身に纏った黒いコートが靡く(なび)。
前に何個もの留め具で止めてあり、襟は口元まで迫っている。
長い澪の黒髪と相まって神秘的な雰囲気さえ醸し出している。
リキッド・オセロット「ふふ、他のものとは再現のレベルが違うな。あの姿、ソリダスさながらじゃないか。ククク……」
そう静かに呟いた。
───無人島 地下格納庫───
オレンジ色の光がだだっ広い空間に降り注いでいた。
天井は果てしなく続くかと思う程高く、恐らく地上と繋がっているんだろうと推測出来た。
りっちゃん「これがメタルギア……」
律から数十m離れた先にその巨大な金属の塊は鎮座していた。
二足歩行型、突き出た頭部に鳥類を思わせる鉄の羽根の様なものがついている。
背中にはスピーカーの様なアンテナの様なものが二つ生えておりかなり違和感を覚える。
資料で見たREXやRAYとも違う。
REXが陸上型、RAYが海上型だとするとこれは飛行型なのだろうか。
ピリリッピリリッ
見上げたまま呆けていた律にけたたましいCALL音が響いた。
恐らく地上へと出る通路が伸びている為電気信号が届いたのだろう。
りっちゃん『さ~わちゃん久しぶりっ』
さわ子『ようやく繋がった! りっちゃん、今すぐその無人島から離脱しなさい! 』
りっちゃん『…どうしたの?』
さわ子『政府がそこを爆撃することに決めたのよ! 核を撃たれる前に無人島ごと地図から消し去るつもりなの!!!』
りっちゃん『……まあそう来るよな』
さわ子『……随分冷静ね。驚かないの?』
りっちゃん『どうなったってやることは変わらないからね~…。 で、爆撃の予定時刻は?』
さわ子『アメリカのB-2が今スタンバイ中らしいわ』
りっちゃん『また旧型のステルス機を…。まだちょっと時間はあるか』
さわ子『後FOXDIED解体通告が来たわ。通信が傍受されてたみたいね。ナノマシン通信だからって油断してたわ』
りっちゃん『さわちゃん……迷惑かけてごめん』
さわ子『いいのよ。元々上から色々いちゃもんあった組織だしね。やっぱり民間人ばっかりじゃFOXHOUNDの後釜にはなれない……か』
りっちゃん『……』
さわ子『私達が選出されたのはテロリスト、つまり澪ちゃん達の近くの人間だからよ。責任と言う代償を払わされる形でね……でもねりっちゃん、あなたはそうじゃない』
りっちゃん『えっ…』
さわ子『私は前に代わりはいくらでもいるって言ったけどね、その代わりの中でもあなたの能力はトップだったのよ』
りっちゃん『そうなの…?』
さわ子『ええ。だから能力的にも問題なく送り出されたの。私達とは違う、本当の意味で選ばれたのよ』
りっちゃん『……』
さわ子『だからねりっちゃん。好きにやってきなさい! もうあなたを縛るものは何もないから!!』
りっちゃん『さわちゃん……』
さわ子『行ってらっしゃい、田井中さん』
りっちゃん『うん、行ってくる! あ、憂ちゃんいる?』
さわ子『えっ……あら? あの子どこに行ったのかしら。ちょっと見当たらないわ。また見かけたら連絡するわね』
りっちゃん『わかった!』
さわ子『ナノマシン通信はまだしばらく生きてる筈だから何かあったらまた連絡頂戴ね』
りっちゃん『わかった! ありがとうさわちゃん!』
さわ子『Good Luck RITU』パチッ
ピピュン
りっちゃん「去り際にウインクなんて余裕だな~さわちゃん」
これで世界がどうとか関係なくなった。
私一人の意思で、そうするんだ。
FOXDIEDのみんな、迷惑かけてごめん。
そしてありがとう……
───FOXDIED 作戦本部室───
さわ子「さてと……、そろそろ来るわよ。注意して。入り口を固めて時間を稼いで! 非戦闘員から非常口から脱出、殿、お願いね」
FOXDIED作業員「はっ! 局長は?」
さわ子「私はみんなが逃げたのを確認してからここを爆破するわ」
FOXDIED作業員「局長ッ!? やめてください! いくら反逆者の組織の局長だからって殺されたりは……!」
さわ子「甘いわ。用済みになった組織の局長を生かす程愛国者達は甘くない……」
FOXDIED作業員「愛国者……?」
さわ子「らりるれろ、よ」
さわ子「それよりも憂ちゃんは?」
FOXDIED作業員「い、いえ、見てませんが」
さわ子「早く探して。私の教え子達は誰一人殺させないわ」
FOXDIED作業員B「あれ? さわ子局長、一緒じゃなかったんですか?」
さわ子「どういうこと?」
FOXDIED作業員B「いや~さっき憂ちゃんが局長と一緒に現地に行くってんでヘリを一機貸したんだけれども」
さわ子「まさかあの子……ッ!」
ババババババ!!!!
FOXDIED作業員「来ました!!!」
さわ子「もうッ! 次から次へと!!!」
手がかかる生徒を持つと大変ね……。
けどりっちゃん、あなたなら大丈夫。
時代、世界、歴史……そんなものあなたには関係ない。
ただ仲間を大切に想う力がきっと新しい世界を切り開く……私はそう信じてるわ。
だから生きて、みんな。
生きて、こんな世界を……
───無人島 地下格納庫───
りっちゃん「メタルギアを爆破……しようにもC4がないよぉっ!」
メタルギアの前でじたんだを踏みながら叫ぶ律。
「それは私達の要なんだ、爆破などされては困るよ」
りっちゃん「あんたは……ッ!」
リキッド・オセロット「FOXDIEDのネズミがこんなとこまでよく辿り着いたものだ。自分が行けば核は撃たれないだろう? 人間には核は撃てない、だから先に爆撃? フフフ……だから人間はここまで腐ったのだ!」
りっちゃん「何を……!」
リキッド・オセロット「平和を謳いぬるま湯な世界で腐っていく。今や文化まで捨て平和などと云う不確かなものを追い続けている。実にくだらない」
りっちゃん「あんたがリキッド・オセロットか!」
リキッド・オセロット「お前のことはお前の仲間から聞いている。リッチャンとか言う名前だったか? いいセンスだ」
初老の男は日本指を拳銃に見立てて指してくる。
りっちゃん「名前じゃないやいッ! そんなことよりムギは!? 澪は!?」
メタルギアの整備される為の脚橋を見上げ強気に言い放つ律。それを見下ろす様に答えるリキッド・オセロット。
リキッド・オセロット「琴吹嬢には少し眠ってもらった。なぁに手荒な真似はしない、このメタルギアが完成したのは彼女の父親のおかげなのだから」
りっちゃん「あんたが……元凶かッ!!!」
リキッド・オセロット「私はただ彼女達に共感し、音楽を取り戻す手伝いをしたに過ぎん」
りっちゃん「屁理屈を……ッ! 梓と唯を操ったのはお前だろ!! そして澪とムギのことも……」
リキッド・オセロット「ククク……何を言い出すかと思えば。確かに中野梓、平沢唯は覚悟が足りなかったから少し細工をしたが……残りの二人は違う。自らの意思でここにいる」
りっちゃん「……例えそうだとしても核を使ってまで…関係ない人達まで巻き込んで、脅かして! そんなやり方を澪達が許す筈がッ!」
リキッド・オセロット「だそうですよ……澪さん」
りっちゃん「……!?」
「えやあああああああ!」
いきなり中空に現れた黒ずくめの影、一振りの日本刀の様なものを振りかざしながら降下してくる。
りっちゃん「くッ…!」
それを真横に前転し、かわす。
鉄が震え上がる音が響き、律が振り返った先には
同じ様に律を見据える澪の黒灰の瞳があった。
りっちゃん「澪……っ!」
それ以上の言葉が出なかった。さっきの一撃が余りにも律を殺さんとする殺気を秘めていたからだ。
澪「……」
澪は何も答えず日本刀をぶらんと手に携えたまま律を見ている。
りっちゃん「何でこんなことしてんだよッ! お前は…そんな奴じゃなかったろ!!?」
澪は答えない。
りっちゃん「何とか言えよッ!澪ッ!」
澪「……何で逃げなかった」
りっちゃん「えっ…」
黒いコートの襟に隠れ口元はわからないが確かにそう聞こえた。
澪「ここは私が。あなたはミサイルの処理を」
リキッド・オセロット「わかりました、ボス」
手をひらひら振りながらどこかへ行くリキッド・オセロット。
りっちゃん「逃がすかッ!」
素早くMkを抜き放とうとするが、
澪「お前の相手は私だ、律!」
構えを取り、撃てばその瞬間殺すと言わんばかりに律の前に立ち塞がる澪。
りっちゃん「澪……なんでッ!」
澪「なんで? それはこっちの台詞だよ!」
りっちゃん「私はお前を…」
澪「今更ノコノコ現れて説教か?」
りっちゃん「違うッ! こんなやり方で本当に取り戻せると思ってるのかよッ!?」
澪「あの時私の誘いを蹴った律に何がわかる!!!」
りっちゃん「わからないから……ッ! だからこうして止めに来てるんだろ!!!」
澪「……」
りっちゃん「……」
澪「後もう少しなんだ、邪魔はさせない。例えそれが律でも……ッ!」
りっちゃん「本気なのか……?」
澪「……」カチャン
日本刀を握り反す澪。眉を下げ、律を睨み付ける。
澪「律、覚悟」ジリッ
りっちゃん「わからず屋め……」ジリッ
ジリッ、ジリッっと距離を測りながら機会を伺う二人。
澪「はあッ!」
まず澪が動いた。
息を一気に吐き出す様に叫び、下手に日本刀を構えながら駆ける。
りっちゃん「わからず屋はお寝んねしてなッ!」
素早く麻酔弾を二発撃ち込む。
りっちゃん「(あれぐらいのコートなら余裕で貫通する筈)」
澪はそれを避けようともせずそのまま突っ込んでくる。
弾が当たり律が心の中で「やった!」と思う前にそれは起こっていた。
カンッカンッ!
りっちゃん「弾いたッ!?」
澪の黒いコートに触れるや否や麻酔弾は弾け飛び四散した。
澪「やああああっ!」
弾など気にも止めず突っ込んで来た澪は上段から日本刀を素早く振り下ろす。
りっちゃん「なんのっ」
それをギリギリスウェーで避け、後ろに倒れながら更に二発撃ち込む。
カンッカンッ
それも虚しく弾かれ、訝しげに澪のコートを見据える律。
りっちゃん「(像の足の裏だって刺さり込むのに……よっぽど堅い素材なのか)」
倒れる勢いを利用して片手でバク転して距離を取る律。
澪「ちょこまかと…ッ!」
りっちゃん「それもムギのか?」
澪「……それが?」
りっちゃん「音楽を取り戻そうとして…結局その手で武器を握るんだな」
澪「そうしないと取り戻せない…、律だってわかってるだろッ!」
りっちゃん「本当にそうなのか…?」
澪「……」
りっちゃん「本当に、こうしなきゃ取り戻せないのかな。音楽」
澪「……世界にはSONGBOMBが溢れてる……そのせいで音楽は……」
りっちゃん「なんで……こっちを選んだんだよ?」
澪「何が…」
りっちゃん「惚けるなよ。お前達には…SONGBOMBを何とかするって道をあっただろ!?」
澪「……」
少し俯いて、その長い黒髪で目を塞いだ後
澪「…やっぱり律はわかってないよ」
寂しそうにそう告げた。
りっちゃん「わかってなくないっ! こんな辛い道を選ぶ覚悟があるなら……もっと地道で時間をかけて」
澪「それに…意味はあるの?」
りっちゃん「えっ……」
澪「世界中にあるSONGBOMBの数なんて把握しきれないほどだって言われてる。それを私達だけで探して冷却処理、もしくは解体処理して……そんな長い長い時間をかけて……そんなことしてたら音楽を取り戻す前に私達が死んじゃうだろ? なんでわからないんだよ……律」
りっちゃん「だ、だけどっ! こんなことしてまで得た音楽で」
澪「私達はいい、それでも。知らない誰かを犠牲にした上に成り立った音楽でも! 唯、ムギ、梓、私、そして……律、お前達がいたら私はどんな音楽だって幸せだよッ!」
りっちゃん「澪……」
でも、違うだろ。そんな音楽……あの頃の私達は望んでなかった。
りっちゃん「……やっぱり違うよ、澪。澪が言ってるのはただのわがままだよ…」
私だって音楽がしたい。けど、だからって周りを巻き込んで、悲しませて、そんな上に成り立った音楽なんて奏でたところで気持ちよくもない。
澪だってわかっている筈なのに…。
澪「わがままだっていい……私は、私は……あの頃の軽音部を取り戻す。律、お前がどうしても邪魔するなら……」
再び構え直す澪。
りっちゃん「澪…今の私は自分の意思でここに立ってる。FOXDIEDも世界も関係ない、田井中律の意思でお前の前に立ち塞がってるんだ!」
澪「ッ!」
りっちゃん「迷うなよ、澪」
後輩に言われた言葉を投げ掛ける。
澪「……私はっ!」
───バンッ!
澪「!?」
りっちゃん「!?」
急な銃声に音の元へ振り向く律、しかしそこには何もない。
バンッ!
バンッ!
澪「くっ」
弾幕に圧され少しづつ交代する澪。
撃っているのは律ではない、元々殺傷力がある武器はPSG-1しかない律ではあり得ない銃声だった。
銃声は軽い、そう、SOCOMの様な。
「下がってろ!!!」
何もない虚空から声が響いた───
りっちゃん「なっ」
次の瞬間───
みるみると人型がその場に現れ、姿を象(かたど)る。
その人型は灰色のバンダナを頭に巻き───
全身をスニーキングスーツで覆っており───
SOCOM、Mk23を手に携え現れた───
りっちゃん「ソリッド……スネーク」
伝説の傭兵がそこに在った。
資料で特徴しか見たことなかった伝説の傭兵。
初陣のアウターヘブンではビッグボスの予想を裏切り奮闘、それを崩壊に追いやり。
ザンジバーランド騒乱では単独潜行で乗り込み陥落させ、
シャドーモセス事件でも単身でこれを解決した。
灰色のバンダナにスニーキングスーツ。
このソリッド・スネークが参考にされているVR訓練の難易度は激高でクリア者はほぼいないと言われている。
そんな絵空事でしかない英雄が今、律の目の前にいた。
スネーク「…生きてたか」
銃を構えながら律に目を遣るスネーク。
りっちゃん「えっ……あっ、はい!」
スネーク「あいつがテロリストのボス、秋山澪か」
りっちゃん「……一応そうなるの…かな。でも何で伝説の傭兵がこんなところに」
スネーク「そんな大層なもんじゃない。フィランソロピー、今はメタルギア根絶の為に戦ってる」
りっちゃん「それで…」
澪「頼もしい助っ人だな。良かったじゃないか、律! お前には世界中に味方がいて!」
りっちゃん「なっ、何いってんだよっ! 今のはそんな話じゃ……」
スネーク「お前達がどういった関係かは知らん、だがどんな関係だろうがテロリストはテロリストだ」
スネークは全てを見透かした様に澪にSOCOMを向ける。
テロリストに情など向けるなと、同じ兵士である律への当て付けの様に。
りっちゃん「……」
律もそれがわかったのか渋々Mkを澪に向ける。
澪「伝説の傭兵が相手じゃ分が悪いな…。」サッ
後ろに大きくバックジャンプし、逃亡を図る澪。
スネーク「逃がすかッ!」
バンッバンッ!!
カンッ!チュインッ!
澪「そんなものじゃなっ! 腕は一流でも銃の方はポンコツかな!?」
スネークの銃弾を強化外装のコートが軽く弾き、澪はいつの間にか視界から消え去った。
スネーク「ぐっ、逃がしたか。…何故撃たなかった?」
りっちゃん「えっ…」
スネーク「ここは戦場だ。女子校じゃあない。死にたくないならさっさと帰ることだ」
SOCOMをしまうと指を鼓膜に宛て何やらしている。恐らくナノマシン通信だろう。
りっちゃん「何だよ…人の気も知らないで…」
水を差された律は不機嫌そうにスネークの通信が終わるのを待っていた。
スネーク「厄介なことになってるな。名前は?」
りっちゃん「……りっちゃん」
スネーク「りっちゃん? コードネームか。まあいい。今からこいつを破壊する、手伝ってくれ」
伝説の傭兵の第一印象は
偉そうに……そんな印象だった。
りっちゃん「りょ~かい……」
でもそれは自分が子供だから、世界の規模を、世界の重さをわかってないからだろうって、そう思った。
だから…そんな自分に余計苛立った。
それでも…
りっちゃん「(澪……お前はもう戻って来ないのか……?)」
─────────
澪「コートがなかったら蜂の巣だな……」
もう私一人しかいない。ムギは最後の最後に反抗したから眠らされた。作戦実行まで起こされることはないだろう。
澪「私…なにやってんだろ…ぉ……助けてよ……りつぅ……」ガタガタ
バカだ、自分が選んだ道に律がいないことなんてわかってたのに。
それでもまだ私は律に頼ってる。
いつまでも変わってない。
あの頃のまま……
澪「それじゃ……いけないんだ…!」
私はもっと、もっと、もっと……強くならないと。
あの日を取り戻す為にも
──────
梓「あれ…ここは、部室?」
紬「おはよう梓ちゃん。良く寝てたからみんなで起こさない様にしてたの」
唯「全くあずにゃんは~」
律「さっきまで寝てた唯が言うなよっ!」
唯「えへへぅ~」
澪「今日も練習出来なかった……」
紬「また明日すればいいじゃない、ね?」
澪「…そうだな」
律「明日明日~」
唯「ずっと一緒だもんね♪ 私達!」
ああ、これは夢なんだろうな
だから、言った
梓「明日なんて……もう来ませんよ……」
周りの風景が一気に砕け、散る。
───無人島 研究所付近───
ポツ───
梓「ん……」
何かが顔に当たり目覚めた。
梓「私……」
ポツポツ……
梓「雨……そっか」
律先輩にやられて……。
梓「…生きてる」
体の感覚を確かめながら起き上がる。
背中がやけに暖かかったのが不思議で振り向くとライオンのむすたんぐが座り込んで眠っていた。
梓は少しはにかむとよしよしとむすたんぐを撫でた。
「起きたか」
梓「っ! 誰?!」
声の方に振り向くとそこには白い外装に包まれた男が木に凭(もた)れながら立っていた。
雷電「俺は雷電……元FOXHOUNDだ。この島にはメタルギアの破壊とテロリストの駆除の為に来た。あんたの所属を教えてくれ」
梓「……(駆除……か)」
この人にとっては私達は世界を危険に曝した虫か何かとしか思ってないんだよね……。
梓「私は……」
「あずにゃ~ん!!!!!」
梓「ッ!?」
雷電「なんだ?」
唯「あずにゃんみっけ」ダキッ
梓「ゆ、唯先輩っ!? なんでこんなところに……というか何か元に戻ったと言うか……」
唯「ふぅ?」
間違いない、あの時の唯先輩だ。
戻ってきたんだ……!
梓「先輩っ!」ダキッ
唯「ようやくあずにゃんに私の愛が通じたんだねっ!」ダキッ
雷電「お、おい」
唯「あずにゃ~ん」
梓「唯先輩っ」
雷電「おいっ!」
唯「ん?」
ようやく雷電の存在に気付いた唯が雷電を見て一言。
唯「変な人がいるっ!」
雷電「……」
───────
雷電「所属は?」
梓「えっと……」
ここでテロリストなんてばか正直に言ったら殺されちゃう……私はともかく唯先輩はダメっ! 絶対守らないとっ!
梓「私達テロリストに捕まってて(ry」
唯「テロリストでしたごめんなさい!」
梓「唯先輩っ!?」
梓「なんで言っちゃうんですかっ!」
唯「だってぇ~……嘘は良くないしぃ…?」
梓「唯先輩は素直過ぎますっ! こういう時は嘘をつく必要もあるんですっ!」
唯「えぇ~……嘘は駄目だよ~?」
梓「もうっ」
雷電「……(本当にこんな子達がテロリストなのか?)」
だが敵ならやむを得ない……か。
雷電「すまないな……」
静かに刀を抜く雷電。
雷電「(ローズ……俺は……正しいことをしてるのだろうか)」
言い合ってる二人に刃を向け、
雷電「(二人一緒に逝かせるのがせめてもの……)」
横一閃、
ガキィッ
刃と刄がぶつかり合う音が木霊した後、次第にそれはギシギシと刃が擦り合う音に変わって行く
雷電「なに…っ」
唯達の間に割り込み雷電の刀を止めたのは、全身を忍者のような強化スーツで覆った人物だった。
ニンジャ「させない……」
唯「わっ、わっ、何っ?」
ニンジャ「あなた達は下がっていて」
雷電とニンジャのつばぜり合いを見て、梓も動く。
梓「加勢します…。」
ニンジャ「邪魔になるだけよ、下がってて」
それを聞いて少し眉を細める梓だが、直ぐ様
梓「それは聞き捨てなりません」
と反論する。次に梓が取った行動は自分の持っているナイフの刃を自らの手に押しつけると云う異形だった。
血が梓の小さな手のひらの上に溜まり出るのを見て唯が思わず叫んだ。
唯「あずにゃん!?」
梓「大丈夫です…、見てください」
唯「傷が……」
ニンジャ「……」
雷電「吸血鬼……ヴァンプと同じ、デッドセルの生き残りか」
梓「私は自らこの力を求めました…。小さくて弱くて…いつも誰かに守ってもらってばかりの自分が嫌で…っ!」
唯「あずにゃん……」
梓「雷電さん……確かに私達はテロリストです。世界を脅かし…眠れない夜を過ごさせました……」
雷電「それがわかっていて尚、生き続けるのか?」
梓「償いはして行くつもりです…。一人じゃ怖くて行けなくても…唯先輩、澪先輩…紬先輩に……律先輩。みんなと一緒ならきっと…」
唯「あずにゃん……」
唯は梓の手を取り、
唯「ずっと一緒だよ。これから…何があっても」
そう呟いた。
梓「はい…」
ニンジャ「……」
雷電「今から反省するから許してくれ…か。ムシがいいな」
梓「わかってます…だから……あなたと戦うことになったとしてもっ……! 私達はここで死ぬわけにはいかないんです!」
ニンジャ「」ガキィッ
雷電「くっ」
刃を弾き返し雷電を後退させる。ニンジャも唯達の意見に同意したかのように改めて雷電に向かって構え直した。
唯「私も戦うよ……! そしてまたみんなとやり直すんだ…!」
雷電「だがこちらもそれで引き下がるわけにはいかない。相応の報いは受けてもらう……それが世界のルールだ。
楽にいかせてやりたかったが……」
雷電も名もない日本刀を構える。
梓「私達は自分達の世界の為に戦いますっ!何と言われても!」
雷電が動く、一番厄介だと思われるニンジャに斬りかかる。
ニンジャ「ッ!」
それをマチェットで受けてから返しに一閃
それを軽く飛び避け、クルっと空中で一回転しながら刀を降り下ろす雷電。
ニンジャ「くっ…」
今の行動で一対一の実力なら雷電が上回っているのがわかる。刃物の使い方、間合いの取り方など格段に雷電の方が巧い。
避け、弾き、その隙間に斬り込んで来るため隙がないのも特徴だ。
梓「てやっ!」
そこで分の悪そうなニンジャを投げナイフで援護する梓。
雷電はそれを見て後退しつつ弾く。
唯「ギー太スタン弾モード!」クルクルッ
ギターを雄々しく二回回すとガチャリ、と何が切り替わる音がする。
唯「レボリューションだよっ!」
更に唯のスタン弾、特殊加工のゴム弾が雷電を襲う。
実弾を使わないのは唯の弱さ故か、優しさ故にか。
雷電「(あれだけ言っても殺す気では来ないか。それで自分達の世界を守る……か)」
梓「はあっ!」
左からはナイフを持った梓が接近する。
ニンジャ「っはぁ!」
右からはマチェットを持ったニンジャが。
雷電「(世界の答えはそんな甘くはない)」
ガシッ
キィンッ
梓「えっ」
ニンジャ「ッ!」
左のナイフをそのまま掴み、右のマチェットを日本刀で防ぐ。
雷電「甘えるな…!」
その声と同時にナイフを離し、梓の鳩尾に雷電の左拳が狙い済ましたかのようにスルリと入り込む。
梓「かはっ…」
雷電「ふんっ!」
右の日本刀でマチェットを払い上げ、ニンジャの体勢が整わない内に袈裟斬り。
ニンジャ「くっ」
強化スーツの上からでも切り裂き、ニンジャの左腕から血が吹き出す。
雷電「何を言おうがお前達はテロリストだ。その事実は何があろうと変わらない。さっきから自分達主観の綺麗事ばかりを言っているがそれはお前達が都合のいいよう解釈しているだけに過ぎない。お前達は…悪だ」
梓「っ……確かに私達は悪いかもしれません…でもだからってここで諦めたくないんです!」
苦しいながらも息を振り絞って告げる。
精一杯の気持ち。そうだ、ここで終わってしまってはあの人に申し訳が立たないじゃないか。
どんなに変わっても、部長として私達を叱りに来てくれたあの人に。
雷電「……」
雷電は黙って俯いたままそれを否定することもなく聞き入れる。
ただ、雷電の根元にある闇は深い。
梓「私達に償うチャンスをください……!」
雷電「償う……か」
思えば俺は、生きていなかった。
自分の意思でやっていたと思ったことは、奴らに利用されていただけだった。
記憶をすげ変えられ、偽りの自分を演じられ続けていた。
最愛の者を想う気持ちでさえ本当なのかもわからず……ただ俺はこうしてまた誰かに利用されながら生きている。
だが、今この子達を許してやれる立場にいるのは間違い。
俺が許すことで彼女達はこの場だけでは救われるだろう。
それは他でもない俺自身の決断によるものだ。誰にも左右されず、利用されていることもない純粋な俺の答えを出せる。
だが、それでも
雷電「……その償う気持ちが本当かどうか、俺が確かめてやろう」
梓「やっぱり…」
雷電「ああ、このままただ黙って見過ごすわけにはいかない。それにさっきチャンスと言ったな? チャンスと云うものは待っていれば来るものじゃない。掴みとるものだろう」
梓「……」
雷電「俺を倒して掴みとってみろ。この先一生を賭けて償う覚悟を見せてみろ」
雷電「来い」
もう語ることはない、かかって来いと言わんばかりに首をくいっと動かし、顎を突き出した後、刃に手を添え構える雷電。
唯「あずにゃ~ん大丈夫~?」
だいぶ距離が離れてしまっていた唯が二人を心配して近寄って来た。
梓「大丈夫です。ただ私達はどうしてもあの人を倒さなくちゃいけないみたいです。」
唯「…どうしても?」
梓「はい。ここで何もしないまま殺されたら律先輩に申し訳が立ちませんから」
苦笑いでそう告げる。
唯「りっちゃん……。うん、そうだね」
うんと頷き更に続ける
唯「これからりっちゃんやあずにゃんやムギちゃん……澪ちゃんも。みんなでまたやり直すんだもんね!」
梓「はいっ!」
唯「じゃああの変態さんを早く倒しちゃおっか! ニンジャさんもいい?」
ニンジャ「」コクリ
唯「あっ! 怪我してる……ちょっと待っててね。こうやってこうやって……せいっ」
もっていたハンカチで簡単に治療すると「これでよしっ」とニコニコしながらニンジャに微笑む唯。
ニンジャ「……変わらないのね、唯」
唯「??」
雷電「来ないのならこっちから行くぞ」
痺れを切らした雷電が前進してくる。
梓「来ますっ! 唯先輩は援護を! ニンジャさんは私と一緒に!」
ニンジャ「……」
唯「了解だよあずにゃん!」
唯は地面を蹴りふわっと後ろに飛ぶ、と、それを追い抜くように二人が駆け抜けて行く。
梓「はっ!」
手投げナイフを二丁素早く投げ飛ばす。それを雷電はこともなげに刀で弾く。
梓「……フフ」ニヤリ
雷電「……」
不適に笑う梓に疑問を抱きながらもタイミングよく斬りかかって来たニンジャのマチェットを受け止める。
ギィッン
ニンジャ「っ…」
雷電「遅い」
それを弾き返すと同時に蹴りを入れる、ニンジャはそれをかろうじて防御するも鑪(たたら)を踏みながら後退を強いられた。
雷電「傷ついた手を庇うような戦い方ではな」
ニンジャ「……庇っているのは傷なんかじゃない」
瞳が見えないフェイスマスク越しからでも雷電を睨んでいるとわかる。ニンジャは左手に巻かれたハンカチを大事そうに胸にやる。
ふぅ……すぅっ
梓「今ですっ」
シュイッ
シュイッ
梓からまた放たれた二本のナイフ。
雷電「(さっきの速度から見ても今から防御を取って十分間に合う…)」
グサッ…
雷電「ぐぅ…なに?」
雷電が防御体勢に入る前に肩に刺さり込むナイフ
梓「油断しましたね…。降参してください。次は急所を狙います」
冷ややかにそう告げると両手に三本づつナイフを持ちいつでも投げられる体勢を見せる。
雷電「……なるほど、呼吸法か」
呼吸法、一般的にはマラソンで肺活量を高める為に息の吸い方、吐き方などを調節する、出産の際のラマーズ法など様々なところで使われている。
人間は息を吸うときより吐く時の方が動きが機敏になる。
肺に空気が入り膨らむことにより血管が圧迫され血液の巡りが吐いてる時よりもほんの少しだけ悪くなるからだ。
これを訓練し、利用することで『一つの物事を行う時に一番最適な呼吸法』を見つけ出し、その物事を行う速度は常人よりも優れる……と言ったことも可能ではあるのだ。
梓の場合それが『ナイフを投げる』時なのだろう。
雷電「さっきのはわざと見せておいて呼吸法で速度を早めたナイフを投げた時に対応を遅れさせる為か」
梓「ご名答です。ちなみに速度はさっきのよりもっともっとあがります。あの人曰く私はあなたの言うデッドセルと同じぐらいの身体能力らしいですからね。貴方のような一般兵が敵うわけないです」
フフンッと得意気に鼻を鳴らす梓。
梓も唯も今はもう昔の二人ではない。歌を取り戻す為に半ば操られた形となっていたが強くなったのだ。
そしてそれはもう力と言う概念だけの強さではない。
前を見据える、自分から行動出来る強さに変わっていた。
彼女のおかげでそれを見つけられたのだ
雷電「策は悪くない…。ただ一度見せてしまったのが悪かったな」
酷く残念そうに言う雷電。
雷電「それに一撃で急所に投げれば終わっていた」
梓「私達は殺す為に強くなったわけじゃないです! 音楽を取り戻す為に…またあの頃に戻りたいからっ! 強くなったんです!」
雷電「目的を達成する為には人を殺さなければならない時もある。戦場で他人を生かすと言うことは自分が殺される可能性が上がると云うことだ。」
梓「それでもです。音楽は人を傷つけたりしません! 私達もそうでありたいから!」
雷電「だからわざわざ外装の強化シェルのついたところを狙ったわけか」
雷電「音楽は人を傷つけたりしないか…矛盾しているな。…お前達と今の音楽は同じだ。悪いことなどしていない、だが今はそれが世界にとっては悪となっている」
梓「SONGBOBMのことですか…!」
雷電「…歌や音楽は人を癒す。だがそれをSONGBOBMが爆弾に変える。世界はその爆弾を排除することを諦め、本当は素晴らしいものである歌や音楽を捨てた。だがそれを取り戻そうとするお前達。音楽を捨てた世界を傷つけても……どうだ? 矛盾していないか?」
梓「……それは」
ニンジャ「惑わされないで。本当の根源はSONGBOBMなんて馬鹿げたものを作り出した奴よ。あなた達はただ戻ろうとしているだけ、世界の流れに囚われてはいけない」
梓「世界の流れ…?」
雷電「……」
ニンジャ「そうよ。世界の答えが全ての答えではないわ。だからあなた達と同じように音楽を取り戻す為に活動している人達は何千万といる。あなた達のやり方は少し違っていたけれど、気持ちは同じな筈よ」
梓「気持ちは同じ…。そうですよね…!」
ニンジャ「雷電、あなたもそんな世界の答えに操られているんじゃないのかしら?」
雷電「っ!?」
ニンジャ「自分の答えを決めるのは世界ではない。自分の答えを世界に委ねて従うか、抗うか……それはどちらが正しいかは誰にもわからない、決めれはしないっ!」
ニンジャが腰の横にマチェットを構えながら雷電に突進する。
雷電「……っ」
この手の突進は弾くにしても両手が添えられている為余程強く弾かない限りコースは変わらない。
しかし防御が疎かと云う面もあるのでニンジャは正に雷電と刺し違える気で来ているのだ。
それでも雷電は落ち着いていた。歴戦を潜り抜けて来た彼にはその対処の仕方が何パターンも用意されているだろう。
雷電「……」
マチェットの柄を握る手を一瞥。
雷電「はあっ!」
右下段から思い切り刀で斬り上げる。
ガッと鈍い音がした後、マチェットが宙に舞った。
ニンジャ「なっ…」
雷電「左手を前にしたのが悪かったな」
雷電は握力の弱った左手を前にしてるのを見て右下段からの斬り上げを選択。
強い衝撃を与えることによって左手の指の部分からマチェットが抜ける、その勢いは後ろに添えられてる右手だけでは受け止められずマチェットは結果宙に舞ったのだ。
雷電「俺は躊躇わない」
お前が言う自分の答えに俺も従おう。
俺はただ俺達を脅かすものを斬る…!
梓「ニンジャさんっ!」
シュン! シュン!
キンッ! ガキィッ
梓「なんで…」
梓が投げたナイフを簡単に弾く雷電。速度は先ほどの倍はあっただろう。
雷電「どんだけ早かろうと関係ない。肩から肘の動き、手の位置でどこに投げるかぐらい予測出来る」
雷電「さっきデッドセルと言ったな? 俺はそのデッドセルのメンバー達を殺して今にいる」
梓「そんな…そんなの勝てるわけ…」
呆ける梓を無視し雷電は丸腰のニンジャに刃を向ける
ニンジャ「くっ…」
マチェットを拾う暇さえ与えてくれずひたすら回避行動に専念していたニンジャだが、パターンや反応が遅いところを狙われ徐々に刃が体を蝕む。
そして、それは訪れる。
ガッ
ニンジャ「しまっ…」
木の根に足を取られたニンジャ
雷電「終わりだ」
迷いなく袈裟斬り───
「させないよっ」
ガキッ、ギィンッ
雷電「!!」
雷電の降り下ろしていた刀が外へ弾かれる。まるで速球を打った金属バットのような鈍い痺れが手に広がる。
「更にギー太! サブウェポンモード!」クルクルッ
「あずにゃん目ぇつぶっててね!」
梓「?」
シュン……パンッ!!!!
雷電「くっ」
雷電の近くで弾けた弾は炸裂し、光を撒き散らした。
雷電「閃光弾か」
咄嗟に腕で目を覆った雷電だが僅かに遅く光が目に入った。
雷電「(一番脅威にならないと思ってたが……まさか刀を弾くとはな)」
そう。唯は銃弾で雷電の刀を狙い撃ち、弾いたのだ。
雷電「(先にやるならあいつからか……)」
雷電が急に走り出した。目は見えていない、ただ気配に任せて唯の元に向かう。
梓「っ!? まさか唯先輩を!!!! させませんっ! むったん!」
むすたんぐ「ガアッ!」
どこからか現れたライオンのむすたんぐが雷電に飛びかかる。
雷電「邪魔だ」
ガスゥゥゥッ
むすたんぐ「ガウゥ……ゥ」
見えていないはずのむすたんぐを雷電は蹴り飛ばす。
梓「むったん!! このっ」
梓も追いながらナイフで追撃。
しかし雷電は上手く木を縫いながら唯のところへ行く為ナイフは木に刺さったりなどで当たらない。
唯「わわっ。こ、こないで!」
バンッバンッ!
スタン弾の弾幕で遠ざけようとするがそれも当たらず、とうとう両者の距離は縮まり、雷電は唯に刀を降り下ろす。
梓「唯先輩危ないっ」
唯「あずにゃん!?」
ザクッ……
梓「あっ……」
雷電「……」
唯を抱くように庇い、代わりに雷電の降り下ろした刃を背中に受ける梓。
背中からおびただしい程の血が吹き出し…唯の顔にも数滴かかる。
唯「あ…あっ……あずにゃん。あずさあああああああああああっ」
雷電「すまないな」
刃を返して縦に握る、切っ先は梓と唯に。
二人を同時に貫くつもりだろう。
雷電「恨むならこんな世界に生まれてきたことを恨むんだな…」
グサッ……
雷電「ぐふっ……」
ニンジャ「これがあなたの求めた答えなの?」
雷電の脇腹から突き出るマチェット。雷電から流れる血は赤ではなく、真っ白だった
雷電「……何がだ?」
ニンジャ「あれを見て……あなたの心は何も思わないの?」
雷電「……」
そう言われ雷電はゆっくりと首を動かし彼女らを見た。
唯「あず……にゃ……」
梓「泣かな…いでく…ださい…ゴホッ…唯先輩。…ちょっと時間はかかりますケド……治りますから……」
唯「でもぉおおおお!」
梓「唯先輩が泣いてると……私も悲しいです。だから…ね?」
唯「う゛ん゛……ズピッ」ニコッ
梓「これであの人を殺したい……なんて思わないでください。私達の敵はそんなものじゃないんですから……」
唯「あずにゃん……」
雷電「……」
ニンジャ「あの子達は世界を見ても尚自分達を変えない。ただ自分達が幸せだったあの頃に戻りたいから戦っている。あなたはどうなの?」
雷電「俺は……。(ローズ、俺はどうすればいい)」
グォォォォォン
唯「な、なに?」
梓「研究所から…?」
ニンジャ「……! 地下格納庫の昇降口が…!」
ニンジャ「まさかメタルギアが…!」
ズヌゥッ
雷電「うっ…ぐは…ま、待て!」
マチェットを体から引き抜き、雷電の静止も無視して研究所の方へ向う。
ニンジャ「唯、梓のことちゃんと見ててあげるのよ。軽音部の先輩なんだから」
唯「えっ? なんで知って……もしかして…!」
それを言い切る前にニンジャは行ってしまう。
梓「ひぐっ……んっ」
唯「あずにゃん!? 大丈夫…?」
梓「はあ…はあ…」
痛みに耐え、悶える梓を撫でる唯。
唯「もしかして…あのニンジャさんは……和ちゃんなの?」
確証のない疑問をただ浮かべるしかなかった。
雷電「……本当にそれでいいのか…か」
ニンジャ「まさかメタルギアが…!」
ズヌゥッ
雷電「うっ…ぐは…ま、待て!」
マチェットを体から引き抜き、雷電の静止も無視して研究所の方へ向う。
ニンジャ「唯、梓のことちゃんと見ててあげるのよ。軽音部の先輩なんだから」
唯「えっ? なんで知って……もしかして…!」
それを言い切る前にニンジャは行ってしまう。
梓「ひぐっ……んっ」
唯「あずにゃん!? 大丈夫…?」
梓「はあ…はあ…」
痛みに耐え、悶える梓を撫でる唯。
唯「もしかして…あのニンジャさんは……和ちゃんなの?」
確証のない疑問をただ浮かべるしかなかった。
雷電「……本当にそれでいいのか…か」
───FOXDIED 作戦会議室───
FOXDIED作業員「非戦闘員、及び民間の支援者は脱出しました!」
さわ子「上出来よ。あなたも行きなさい。私はここを爆破するわ」
FOXDIED作業員「出来ません。その役目は自分が。あなたはあの子達の為に生きてください」
さわ子「あなた…。でも大丈夫よ。死ぬつもりなんてないわ! 死んだらあの子達が音楽を取り戻した後にやるライブの衣装が作れないじゃない!!」
FOXDIED作業員「はは、局長らしいです」
さわ子「というわけだから行きなさい。まだ若いんだからあなたは、もっと他にいい人がいるわ」
FOXDIED作業員「さわ子さん……。必ず、生きて帰って来てください!」ダダッ
さわ子「ええ。必ず…」
さわ子「もうそろそろロックを破ってここに来るわね…。」
ダンッ ダンッ ダンッ
会議室の向こう側には電子ロックされたドアを破る為に火器が降り注がれているだろう音がする。
さわ子「ごめんね、りっちゃん、みんな。頼りない先生で」
さわ子「私がもっとしっかりしていたら…あなた達が争うことなんてなかったのに」
さわ子「ごめんね……」
さわ子「でも、りっちゃんならきっとまたみんなを一つにしてくれるわ。そうしたらまたみんなで協力して……この世界を行きなさい(生きなさい)」
さわ子「あなた達が幸せで暮らせられる日が来ることを……祈ってるわね」
ダアアアッッッン
兵士「見つけたぞ! FOXDIED局長の山中さわ子だ!」
さわ子「違うわ、私は桜ヶ丘高校の先生で軽音部の顧問! 山中さわ子よ!!!!!」
ピッ──────
その瞬間、さわ子の世界を光が包んだ。
───研究所 地下格納庫───
りっちゃん「こっちはオッケーだよ」
スネーク「こっちもだ。しかしこの装甲……見たことないことが使われているな。」
りっちゃん「なんだろうがこの量のC4で吹っ飛ばないわけないだろ~?」
スネーク「……まあな」
りっちゃん「しっかしこんな量のC4どこに持ち歩いてるの?」
するとスネークは額を親指でトントン、とやった後に
スネーク「無限バンダナだ」
と勝ち誇った顔で言った。
りっちゃん「は? 何言ってんだよ」
スネーク「だ、だから無限バンダナなんだ」
りっちゃん「長さが無限?」
スネーク「違うっ! もういい」
りっちゃん「??」
スネークかわいい
スネーク「よし、離れろ。爆破するぞ」
二人は後退りながら距離を取る。
スネーク「破片が飛んで来るかもしれん、この段ボールに…」
りっちゃん「えっ? 段ボール?」
スネーク「……冗談だ。この積み荷の後ろに隠れよう」
りっちゃん「はは、笑い取ろうとしてんのか? あんたって案外いい人なんだな」
一瞬誰かとダブって見えた気がしたがそれは気のせいだろう。
スネーク「笑いだと……?。いいか? 段ボールは耐久性が優れており尚且つ柔軟性にも優れていて……」
りっちゃん「ハイハイもうわかったから隠れような~」
スネーク「段ボールの良さに気づかないとはまだまだ新米だな」
そんな捨てセリフを吐いた後スネークも渋々律に続く。
二人は物陰に隠れながら静かにメタルギアを見据える。
りっちゃん「メタルギア……」
スネーク「……」
りっちゃん「なぁ、あんたは何でこんなことしてるんだ?」
スネーク「…それを聞いてどうする」
りっちゃん「参考までにさ。ダメ?」
律がウインクで可愛くお願いする。とスネークはやれやれと言いながらも話始めた。
スネーク「…俺は生まれてからずっと戦場で生きてきた…」
スネーク「常に戦場に身を置いて戦い続けて来た。そんな中あいつ(メタルギア)に出会った。あれは世界を脅かす。だから壊して回っている。それだけだ」
りっちゃん「そうじゃなくてさ~! う~ん……そうなった動機? みたいなのが聞きたいんだよ私は。だってあんたがやる必要ないだろ? 他の誰かが…」
スネーク「りっちゃん、とか言ったな」
りっちゃん「う、うん(こそばゆい……)」
スネーク「誰かがやってくれる、自分じゃなくていい……そんな考えをみんながしてるとしたらどうなる?」
りっちゃん「そりゃ誰も動かない…」
スネーク「そうだ。それに誰かに任せてそれが失敗したら……お前さんならどうする?」
りっちゃん「う~ん…事にもよるけど…やっぱり怒る…かな?」
スネーク「やらなくて失敗したら怒るか。まあそいつのせいで失敗したのは事実だからな。当然と言えば当然だろう。…なら自分でやればいい」
りっちゃん「えっ?」
スネーク「自分でやって失敗したら仕方ない。自分がやったことにあれこれ文句はつけれないだろう?」
りっちゃん「そりゃあまあ…そうだけど」
スネーク「俺は何も英雄になりたいからこんなことをしてるわけじゃない」
スネーク「メタルギアが当たり前に戦争で使われる世界になればまた冷戦時代の幕開けだ。下手をすれば核戦争に発展するかもしれん。どの国も核を持ち、撃たれたら撃ち返す……そんな世界にしたくはないだろう?」
りっちゃん「…うん」
スネーク「自分が嫌だからそうして来ただけだ。だから俺は英雄でもなんでもない。ただの臆病者だ」
りっちゃん「違うよ……あんた…やっぱり英雄だよ」
この人ほど世界を見ている人はいないだろう。
自分が嫌だからそうする、これが本当に出来る人間なんて今の時代に果たして何人いるだろうか。世界の意見に流され、怖くて動けなくてがんじがらめになるのが普通だろう。
人は何故彼を英雄と呼ぶのか……わかった気がする。
この人に比べたら私はなんてちっぽけで…恥ずかしくなる。
思えば澪も…同じだ。
ただあいつは違う、あいつのやり方で本当に幸せになるやつなんていないんだ。
それを私が良く知っている。
だから、止めないと。
スネーク「話が長くなったな。爆破するぞ」
りっちゃん「私がここにいる理由は聞いてくれないの?」
スネーク「他人の過去を詮索する趣味はない」
りっちゃん「そっか。なら勝手に話すよ。私は友達を取り返しに来た、それだけ。他にはな~んもない! 世界がどうとかも知らない。私は私の世界を守る為にここにいる」
スネーク「……そうか」
スネーク「(こんな子供が武器を取る時代にしてしまったのは俺達の責任だ。それを終わらせるまで戦場を降りるわけにはいかないな…。)」
「ハッハッハ。こんなものでこのメタルギアVOICEをどうにか出来ると思ってるのか? 相変わらずめでたい奴だな……スネークゥゥ!」
スネーク「!!!」
スネークはすぐさま積み荷から飛び出し、銃を構えながら何かを探す。憎しみが混じった顔つきで「リキッドォォォ!!!」と吼えた。
リキッド・オセロット「久しぶりだな兄弟! まだ生きているとはさすがにしぶとい」
りっちゃん「お前はっ!」
リキッド・オセロット「始末に失敗したか、澪め。所詮はただの少女に過ぎんか。つまらん情に流されるなど」
バシュンッ
リキッド・オセロット「ほぅ…」
リキッドが立っている脚橋の手すりに火花が飛ぶ。
りっちゃん「お前が澪を呼ぶな…!」
律がスタンドアップで構えたPSG-1のスコープ越しにリキッドを睨み付ける。
スネーク「メタルギアVOICE……と言ったな?」
リキッド・オセロット「そうだ! 最新技術を駆使し最強最高のメタルギア、それがメタルギアVOICEだ」
スネーク「お前にはそいつにつけられているC4が目に入らないらしいな! REYの装甲でも軽々と破壊できるC4で……」
リキッド・オセロット「あのゴミ(REY)と一緒にしてもらっては困る。REYなど所詮はプロトタイプに過ぎん。このメタルギアVOICEは琴吹家の総力を結集し造られたものだ!」
りっちゃん「ムギの…? 白髭! ムギはどこだ!?」
リキッド・オセロット「最後の最後に彼女は君につくと言い出したのでな。少々眠ってもらっているよ」
りっちゃん「お前っ…」ギリッ
スネーク「下がれ! 律!」
りっちゃん「!?」
スネークが律に覆い被さるように飛び込み、その瞬間にC4の爆破ボタンを押した。
ズオオオオオオオオ──────
───────
スネーク「……大丈夫か?」
りっちゃん「いきなり爆破させるから心臓がビックリしただろ!」
スネーク「すまんな。ただあの位置ならリキッドもただではすまない。メタルギアにダメージを与えられなくとも奴は……」
リキッド・オセロット「不意打ちとはやられたよスネーク」
スネーク「!?」
脚橋の中央に居た筈のリキッドはいつの間にか端に移動し、爆風から難を逃れていた。
その傍らには黒いコートを着こんだ黒髪の女の子が日本刀をダラりと持ちながら佇んでいる。
りっちゃん「澪!!」
澪「お怪我は?」
リキッド・オセロット「問題ない。さすが奴の代用、いい動きをしている」
澪「代用…?」
訝しげに聞く澪に対しリキッドはしまったしまったと軽く笑い呆けている。
リキッド・オセロット「失言だったよ。まあこれが完成した今もうお前に用はない」
澪「えっ、一体どういう……」
リキッド・オセロット「私は今から『歌』を取り戻しに行く。世界の『歌』をな!」
澪「取り戻しに行くって…どうやって? 世界の皆が歌うのを待つんじゃ……」
リキッド・オセロット「フフフ……ハッハッハ……!!!!」
澪「何がおかしい!」
リキッド・オセロット「私の取り戻したい歌とお前の取り戻したい歌は違う。私の取り戻したい歌、それは即ち……」
リキッド・オセロット「戦争だ!!!!!!」
澪「何を……」
リキッド・オセロット「今の世界は腐っている。やれ平和だのやれ核廃絶だの、そんな出来もしないことを掲げている。人間は戦争をして生きて来たのだ。平和でいる時間など人類を考えれば僅か数時にしか過ぎん。だから俺がもう一度引き金を弾く! 核戦争への火蓋を落とす!!!」
スネーク「何が目的だリキッドォ!!!」
リキッド・オセロット「俺がお前を越えた証を世界に刻み付けてやるだけだ!!!」
スネーク「ビッグボスはもういない!!!」
リキッド・オセロット「ビッグボスを越えたお前を殺し世界を崩壊に追いやることで俺はこの遺伝子から解放される!!!」
スネーク「わけのわからんことを!!!」
澪「じゃあ……私は……私達は何のために」
リキッド・オセロット「お前達のおかげで随分上手くことが運んだ。その事だけは感謝しよう。琴吹家のバックアップがなければメタルギアVOICEは完成しなかったからなァ!!!」
澪「き、貴様ァ!!!!!!」
ブンッ
リキッド・オセロット「フンッ!!!」
澪「ぐぅはっ……」
リキッドのボディブローがコート越しに澪の体にめり込む。
リキッド・オセロット「人形は人形らしくしていればいい。歌を取り戻す? 笑わせるな。お前達のような弱者には何も出来ん。何かを成し遂げられるのは優れた遺伝子を持つものだけだ!」
りっちゃん「澪!!!!」
澪「私達は……こんな奴の為に…」
お腹を抑えながら悔しさに顔を歪める澪。
澪「(律……ごめんな……でも……)」
意識が霞んで行く。
澪「(全部……夢ならいいのに……。)」
りっちゃん「お前……っ!!」
スネーク「リキッドォォォ! 今ここで終わらせてやる!!」
リキッド・オセロット「貴様らに見せてやろう!!! メタルギアVOICEの力をな!!!」
リキッドが脚橋からメタルギアに飛び乗る。
スネーク「本当に無傷とはな……。りっちゃん、やれるか?」
りっちゃん「……。」
スネーク「今は奴を倒すことに集中しろ。いいな?」
りっちゃん「…わかった」
澪、負い目…感じてるだろうな。
澪を騙し、ムギを騙し……世界を陥れようとする全ての元凶……!!!
りっちゃん「リキッド・オセロット!!! あんたは私が倒す!!!」
リキッド「死ねぇいスネークゥゥゥゥ!!!!!」
ギィン、ウィン、ガウウウウウウウン
二足歩行の兵器が動き出す。
ガシャン!ガシャン!
肩口についている巨大なスピーカーの様なものが突き出される。
スネーク「来るぞ!」
身構える二人に対しリキッドは声高らかにこう言った。
リキッド・オセロット「聞け!!!!! これが世界の歌!!!! WORLD OF SONGだ!!!!」
ウ゛ンタンウ゛ンタンウ゛ンタンウ゛ンタンウ゛ンタンウ゛ンタン
スネーク「なんだ……っ……これは」
りっちゃん「体が……動かない!?」
リキッド・オセロット「メタルギアVOICEは音によって直接神経にアクセスし聴く人間の自由を奪えるのだ!!! それだけではない!!! それを利用し操ることも出来る!」
スネーク「そいつを利用して核を撃つつもりか!!!」
リキッド・オセロット「いいや違うな! 核を発射する為にロックされているものを特定の音を出すことでこいつは解除することが出来る!!!」
スネーク「ロシアの核はそれでか…!」
リキッド・オセロット「動けない貴様達にこれ以上話すことはない! 死ねぇいスネーク!!!」
スネーク「オオオオ動けッッ」
りっちゃん「くっ」
ボスンッボスンッボスンッボスンッ
何連装かのロケット弾が上空に発射される。それはやがてロックオンされている二人に向かって降り注ぐだろう。
りっちゃん「(万事休すかっ……)」
バアアアアアアアアン!!!!
リキッド・オセロット「何ぃ!?」
スネーク「動けるぞっ! りっちゃん!」
りっちゃん「うん!」
甲高い音が一気に流れたと思うと二人は自由を取り戻し、思い切り走ってロケット弾を避ける。
リキッド「どういうことだ!!!」
トゥルルトゥルル……
りっちゃん「通信……?」
見知らぬ番号に戸惑いながらも出る律
ピュンッ──
紬『りっちゃん! 大丈夫!?』
りっちゃん『ムギ?! どうして…まさかさっきの!』
紬『うん! 私が妨害音を流して止めたの! 私達が犯した罪は消えないけれど…今はりっちゃんの為になりたい!』
りっちゃん『ムギ……』
紬『今からメタルギアVOICEの特徴や弱点を言うわ!』
りっちゃん『頼むよ、ムギ!』
うんたんww
まさかのうんたんwww
紬『メタルギアVOICEは私(琴吹)家の技術を集約しているわ…。武装から説明して行くわね。基本的にはメタルギアRAYに近いかしら。』
紬『16連装追尾式ロケットランチャー、大口ガトリングガン、水圧カッター、四散型レールガン…更に地走式Sマイン何かも装備しているわ』
りっちゃん『RAYの資料は見たことあるけど大体一緒だな』
紬『油断しないでりっちゃん。どれもRAYより格段に強化されているわ。海水を抽出しないとすぐなくなっていた水圧カッターも今ではほぼなくなることはなくなったの』
りっちゃん『そうなのか!?』
紬『ええ。容量タンクが大きくなったのとあの装甲が産み出しているのよ』
りっちゃん『装甲が!? どうやって!?』
紬『りっちゃん、夏場に冷たい飲み物何かを常温に晒していたコップ何かに注いでしばらく経つと周りに水滴がついてたり……なんてことはない?』
りっちゃん『あるある! 冷たいのが逃げた~ってなるよなぁ』
紬『ふふふ、りっちゃんらしい。あれと同じ原理なの。周りの温度に合わせてメタルギアRAYは発熱したり凍結したりするの。それによって産み出された水分を内部のタンクに取り入れるの』
りっちゃん『なるほど……』
紬『更に水圧カッターで放出された水は大量のイオンを含んでいるの。それを撒き散らした後の四散型レールガンで広域感電攻撃何かも注意して!』
りっちゃん『地走式Sマインってのは?』
紬『ただの地面を走る爆弾よ! りっちゃんなら問題ないわ!』
りっちゃん『一番問題あるよ……』
紬『一番大事なことを話してなかったわ! あの装甲だけれどあれはナノマシン装甲なの』
りっちゃん『ナノマシン装甲??』
紬『セラミックとナノマシン融合させた琴吹家特製の金属なの。タングステンやレニウムも配合されていて破壊される度ナノマシンが感知して自己修復を行うわ。RAYにも搭載されていたものに似てるけど修復率が段違いよ。破壊されたところを99.86%修復されるよう設定されているわ。ダメージコントロールってレベルじゃないわね』
りっちゃん『oh.....』
りっちゃん『ってそんなのアリかよっ!? だからC4でもビクともしなかったのか……』
紬『いえ、確かに世界一硬い金属とも言えるけど壊れないほどじゃないわ。世界中に存在する物質で今人間が破壊出来ないものはないのよ?』
りっちゃん『そうなんだ…ムギは物知りだな!』
紬『ええ。りっちゃんと別れていっぱい勉強したから……』
りっちゃん『…ムギも変わったんだな』
紬『ううん。変わってない。私はずっとりっちゃんがみんなを迎えに来てくれるのを待ってたの。ずっと……』
りっちゃん『ムギ……』
りっちゃん『ごめん、待たせちゃったかな?』
紬『待ちくたびれたわっ! なんて。今はそれ所じゃないわね。端的に言うわりっちゃん! 脚を狙って!』
りっちゃん『脚か!』
紬『あそこの駆動部分は部品が届いていなくて100%ナノマシン装甲じゃないの。だから上手く狙えば……』
りっちゃん『わかった! ありがとうムギ!』
紬『後さっきみたいな音にも注意して。メタルギアVOICEの両肩についている電子スピーカーから出される音は人間の精髄に直接働きかけられるの。さっき動きが止まったのも筋肉を硬直させる音波を出したからよ』
りっちゃん『対策は?! 耳を塞いだらいいのかな?』
紬『耳を塞ぐぐらいじゃムリよ! もしVOICEが体勢を取ったら思い切り叫んで! 自分が発する音が混じれば上手く伝達されない筈よ! 一々気を回すのが嫌なら歌いながら戦ったりしたらいいかも。もし動けなくなってもまた私が妨害音を流すから心配しないで!』
りっちゃん『わかった! 任せたぜムギ!』
紬『歌いながら戦うりっちゃん……素敵』
りっちゃん『歌いながら戦うこと決定してるんだ……』
紬『りっちゃん……澪ちゃんを……助けてあげて』
りっちゃん『……』
紬『私達には無理だった……出来なかったから。澪ちゃんを助けられるのはりっちゃんだなの』
りっちゃん『……わかってるよ、ムギ。メタルギアを倒して、澪を連れてみんなでここを脱出しよう。そしたらさ、また考えようぜ。これからどうしたらいいか。みんなが一緒に歩ける道を探そう。絶対に』
紬『りっ…ちゃん……』
りっちゃん『泣くなよ、泣くのは全部終わってからだ』
紬『うんっ! また何かあったらCALLして。周波数は269.15よ』
りっちゃん『つむぎいーこな!わかった!』
紬『///』
やっぱりっちゃんは変わってない。
あの頃のままだ。だから信じよう、この人を。
ピピュン……
りっちゃん「スネーク!! 生きてるー!?」
リキッド・オセロット「潰れろ!!! スネェェェェェク!!!!!」
ダンダンダンダンッ!
スネーク「何とかな! で、何かわかったか!?」
メタルギアに追いかけるのを逃げながら顔だけ律に向け問う。
りっちゃん「脚だ! 脚の駆動部分は装甲が薄いらしい!」
スネーク「よぅし!!! りっちゃん! 武器はあるか!?」
りっちゃん「実弾はPSG-1しかない!!!」
スネーク「ならこいつを使え!!!」
スネークはどこからか取り出したものを律に地面を滑らす様に投げた。
りっちゃん「これは……!!!」
スネーク「スティンガーだ!!!」
りっちゃん「FIM-92、スティンガーミサイルか! ってどっからこんなもの!?」
スネーク「細かいことはいい!!! 使い方はわかるな!?」
りっちゃん「VR訓練で残存する兵器は大方訓練済みだよ!!!」
スネーク「VRと実戦は違うのを忘れるな!! 空気抵抗や摩擦などが加わることを覚えておけ!!」
りっちゃん「わかった!!! スネークは!? 武器あるの!?」
スネーク「俺はRPG-7がある!!!」
りっちゃん「武器庫かよあんたは!!!」
スネーク「弾は無限にあるがバッテリーの持続時間に気をつけろ!!!」
りっちゃん「大丈夫!!! 赤外線がなくったって手動でやってやる!!!」
スネーク「頼もしい限りだ!」
リキッド・オセロット「何をごちゃごちゃ喋っているぅぅぅぅ!!!」
チャンチャンチャカチャーン───
チャンチャンチャカチャーン───
(ボス戦のテーマ)
リキッド・オセロット「こいつを喰らえ!!!」
両足を固定し、背中をやや丸めたメタルギアVOICE。
スネーク「ミサイルが来るぞ!!!」
りっちゃん「わかってるよ!!!」
シュンッシュンッシュンッシュンッシュンッシュンッシュンッシュンッシュンッシュンッシュンッシュンッシュンッシュンッシュンッシュンッ
打ち上がった16発のロケット弾は律とスネークに狙いを定め飛んでいく。
それと同時に律は止まる。
スネークは走ったままだ。
この手の追尾式ミサイルの避け方は三種類ある。
一つはスネークの様に走り回って追尾させないやり方。大抵のミサイルはスピードの慣性が追尾能力を上回るので最後まで追尾出来ず素早く動く小さな物には当たりにくい。
二つ目はチャフグレネードなどで電波障害を起こし追尾させないやり方。
三つ目は今律がやっているものだ。
ミサイルが律に近づく。
残り10.8.5.3m……
りっちゃん「とぉっ!!!」
ギリギリのところで前転回避し事なきを得る。
そう、三つ目は見てもらったようにギリギリまで引き付けてから避けるというやり方だ。
この方が体力の温存にはなるがミサイルの爆破の威力次第では爆風にも巻き込まれる可能性がある為初見でやることではない。
ただ律は16連装ってことで一つ一つの火力は少ないと見たのだろう。
実際その通りで爆破自体は小さなものだった。
りっちゃん「今度はこっちから行くぜ!」
ミサイルを避けた律がそのまま寝そべりながらメタルギアVOICEの脚部をロックオンする。
りっちゃん「行ってこーーいっ!」
バシュウッ!!
弾き出された弾丸は音速を越え狙ったメタルギアVOICEの脚部へと吸い込まれる様に刺さった。
ゴオッと言う破壊音と共に少し巨体が揺らいだ。
リキッド・オセロット「生意気な!!!」
スネーク「いいぞりっちゃん!!」
りっちゃん「ど~んなもんだいっ」
スネークにガッツポーズしてみせるのも束の間、
リキッド・オセロット「貴様ァ……!!!!」
次の攻撃、地走式Sマインが襲いかかる。
メタルギアVOICEからボトボトと何かが落ち、それが地面をスライドしながらこちらに向かってくる。
りっちゃん「あれが地走式Sマインかっ」
スネーク「Sマインなら厄介だ!! 拡散する前に止めるぞ!!! 」
りっちゃん「どうやって!?」
スネーク「恐らくあれは熱源でこっちを捉えてる! センサーがあるだろう? あれを狙い撃て!」
りっちゃん「無茶苦茶言って!」
律とスネークはPSG-1とSOCOMを構え狙いを定める。
カンッ! カンッ!
と金属がぶつかり合う甲高い音が聞こえた瞬間Sマインは力なく止まる。
スネーク「腕はいいらしいな」
りっちゃん「伝説の庸平にお褒めに預かり光栄だよ」
リキッド・オセロット「やるな!!! ならこいつはどうだ!!!」
メタルギアVOICEが口を大きく開けだす。
スネーク「水圧カッターが来るぞ!!!」
りっちゃん「対処法は!?」
スネーク「ないっ!! 逃げ回れ!!!」
りっちゃん「ええええっ」
リキッド・オセロット「喰らえっ!!!!」
ジィィィィィ
物凄い水圧の水が律達に襲いかかる。
地面を切らない程度に設定してあるのだろうが触れれば人間の肉などプリンかの様に容易く千切れ飛ぶだろう。
りっちゃん「うわあっ」
スネーク「ぐっ!」
メタルギアVOICEの口から放出される水圧カッターをひたすら逃げながら回避する二人。
ねむす
明日は仕事お休みなのでいっぱい書きためときます
けいおんが終わるまでに終わらせないとwww
後無限バンダナネタみつけたので貼っときます
知らない方必見です
乙!
MGS123はやったけど
4とOPS、PWはやってないんだよな
PSPごと買おうかな
リキッド「逃げ回るだけかスネェェェェェクゥゥゥゥ!!!」
スネーク「思ったより放出時間が長いな…」
りっちゃん「RAYみたいに海水を補充しなくても自分で産み出して補充してるんだ! だからいつなくなるか……」
スネーク「さすが最新型と言うわけか…! りっちゃん! 裏手に回り込め! 俺が囮になる!」
りっちゃん「わかった!!」
スネークは走る速度を緩めながらメタルギアとの距離を測る。上手く水圧カッターを避けつつメタルギアの内側に入り込むことに成功。が、減速したスネークを捉えたメタルギアはそれを潰しにかかる。
リキッド「こいつ(メタルギア)に潰されるなら貴様も本能だろう! これで終わりだァ!」
ズガアアアアンッ
スネーク「うぉ……っ」
スネークはそれをギリギリの所で横っ跳び回避。
リキッド「なにぃ!!?」
スネーク「ウオオオオッ!」
受け身を取りながらもRPG-7を構え、水圧カッターを発水している開口部分を狙い発射する。
リキッド「させるか!!!」
メタルギアは瞬時に口を閉じると外の装甲に弾が当たる、も、大した傷もなくまたすぐに傷口が修復されていく。
スネーク「ちぃっ! 外したか…!」
リキッド「甘いわ!!」
ドゥフウウウウウ──
リキッド「なにい!!?」
巨体がガクりと揺れる。リキッドは慌ててその原因を確認する為にメタルギアを旋回させる。
りっちゃん「あ~らごめんあそばせ! こっちにもいるのを忘れるなよ!」
スティンガーから煙が上がり、不敵に微笑む律の姿。
リキッド「こざかしいわッ!!!」
開口、水圧カッターを噴出する機械部が唸りをあげる。
スネーク「……」
りっちゃん「……」
一瞬二人の目線が交差する───
それも束の間、瞬時に目線をメタルギアに合わせる律。
りっちゃん「まだまだっ!」
律は二発目をメタルギアの口に狙い定め引き金を弾く。スティンガーの重々しい重高音が響いた後、物凄い速度で弾は加速していく。
リキッド「バカめッ!!! そんなものは効かんわ!!!」
放水をするための作業を止め、先程と同じ様に口を閉じようとするメタルギア。
りっちゃん「どうかな?」ニヤッ
律がチラッと目線を送った先には、伝説の傭兵ソリッドスネークの姿があった。
スネークは既にSOCOMを構えており────
バンッ───
りっちゃん「バーンッ……」
律は手を拳銃のように型どり、撃ってみせた。
ズォォォォォォッ
リキッド「ぐうぅ……何が起こった……!?」
衝撃で叩きつけられたリキッドは覚醒を促すように首を横に二、三回振りながら状況を確認する。
リキッド「……ちぃっ、水圧カッターがやられたか」
メタルギアの口は爆発により原型を歪めていた。
特殊装甲は外側だけであり中は普通の金属のようだ。
りっちゃん「だから言ったろ? それはどうかなってさ」
話ながらもスティンガーで脚に狙いをつけ始めている律。
リキッド「(スティンガーは発射してからすぐには速度は上がらん……あのタイミングなら間違いなく間に合っていた筈だ。それに直撃したにしてはダメージが少ない。まるで手前で爆発したような……)」
リキッド「なるほど……やはり貴様か、スネーク」
スネーク「どうしたリキッド。ビッグボスを越えると言っている割にはそこの新兵一人に手こずってるみたいじゃないか?」
リキッド「貴様ァ……!」
リキッド「ククク……そうでなくてはな! 兄弟!!!」
リキッド「ならばこちらも本気で行くぞおおおお!!!!」
メタルギアの両肩から巨大なスピーカーせり上がる。
りっちゃん「スネーク! あれが来る! 大声を出してノイズを混ぜれば回避出来るらしい!!!」
スネーク「わかった! 大声には少し自信がある! 任せておけ!」
リキッド「行くぞおおおおおおおおスネークウウウウウウウウウ!!!!!!」
リキッド「ザ・ワールド!!!!!」
ウ゛ンタンウ゛ンタン
ウ゛ンタンウ゛ンタン
りっちゃん「あーーーーーーーーーーーー」
スネーク「おおおおおおおおおおおおおおおお」
ウ゛ンタンウ゛ンタン
ウ゛ンタンウ゛ンタン
りっちゃん「だあああああああああああああああ」
スネーク「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」
ウ゛ンタンウ゛ンタン
ウ゛ンタンウ゛ンタン
ウ゛ンタンウ゛ンタン
りっちゃん「息があああああああああああああ」
スネーク「太陽おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!」
スッ────
ウ゛ンタンウ゛ンタン
りっちゃん「しまっ……」
息継ぎの瞬間に音が入り込み、律の体が止まる。
スネーク「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」
りっちゃん「(どんな肺活量してんだよっ!!!)」
リキッド「死ねぇぇぇぇ小娘!!! 」
顎の辺りについているレールガンに電撃が集中する────
バアアアアアアアアアアアアアンッ
りっちゃん「っと! 動ける!」
リキッド「ちぃっ!! 小娘が!!!」
しかし、発射されたレールガンは水圧カッターで噴出された水を伝い電染する。
スネーク「飛べッ! りっちゃん!!!」
りっちゃん「了解ッ!」
二人は中空に高く飛ぶとその下を電撃が走って行く────
プルルップルルッ……ピュンッ
りっちゃん『サンキュムギ! でもあんな長い間音を出されたら……』
紬『あの音を止めるには何個かやり方があるの。一つは私みたいに衝撃音を出して音を相殺するやり方。ああ云う強い衝撃音は鼓膜に響くわ。今もぐわんぐわんってなってない??』
りっちゃん『なってるなってる』
紬『そうなるとしばらくの間神経を操るような精度は出せなくなるの。』
りっちゃん『なるほど、後は?』
紬『体勢を崩したりかな? デリケートな音だから高さや位置が一瞬ズレるだけで動けなくするなんてことは出来なくなるわ』
りっちゃん『そう言えば大声出すのに夢中で攻撃するの忘れてた……』
紬『ふふ、だから歌いながら戦うりっちゃん……』
りっちゃん『わかったわかった! 確かに歌いながらの方がリズムも生まれるしやりやすいかもな! やってみるよ!』
紬『妨害音もそこのスピーカーを壊されたら鳴らせないわ。だからそう何度も使えない……だから気をつけてねりっちゃん』
りっちゃん『了解!』
ピピュン……
リキッド「思ったよりもやるな。本当はもう少し楽しみたかったが……時間が押していてな。そろそろ終わりにしてやる!!!」
スネーク「…見たところ薄くだがあの装甲で覆ってあるようだ。一撃一撃撃ってもすぐに再生される。二人同時に叩き込むぞ」
りっちゃん「わかった! やってみるよ!」
スネーク「……りっちゃん、新米だと思ってたのは俺の見誤りだったらしい。お前さんは立派な戦士だ。だがこんな生き方は似合わない。この戦いが終わったら武器じゃなく、もっと相応しいものを持って生きろ」
りっちゃん「……うん、わかってる。ありがとう…スネーク」
スネーク「……来るぞッ!!」
リキッド「止まれえええええええ!!!!」
巨大なスピーカーが律達の方を向く。
紬「(妨害音を……!)」
制御室内にいる紬が妨害音を鳴らそうと手を伸ばした時だった、
リキッド「させるかあああッ!」
ババババババッ───、
メタルギアの腕についているガトリングがけたたましく回転し格納庫内のスピーカーを撃ち潰す。
紬「くっ」
リキッド「用済の蝿がウロウロと。資金援助に免じて命までは取らないでやったものを」
ゆっくりと扉を開け、強化ガラスに包まれていた制御室を出て橋脚に降り立つ紬。
りっちゃん「ムギッ!?」
紬は下にいる律に微笑んだ後、メタルギアに乗っているリキッドに向かって話始めた。
紬「あなたは以前音楽を取り戻したいって私達に近寄って来ましたよね? あれは嘘だったんですか?」
リキッド「嘘ではない。ただ貴様らの求める音楽と俺の求める音楽が違っただけだ」
紬「ならもう……私達に協力するつもりはないと?」
リキッド「くどいな紬嬢! 俺はあんなママゴトの音楽など知ったことじゃない!!」
紬「そうですか……なら仕方ないですね…」
紬は懐から何かを取り出し、リキッド見せつける。
紬「これはメタルギアの自爆装置よ。万が一と思って隠して作ってたの」
リキッド「なにぃ……?」
りっちゃん「でかしたぞムギッ!!!」
紬「私は元からあなたなんて信じてなかった。ただ利用していただけよ。確かにあなたのやり方は本当に音楽を奪還出来たかもしれない。けれどもう必要ないの。りっちゃんと…正気に戻ったみんなでまたやり直す。だからもう……メタルギアなんていらないわ!!! 伏せて! 二人とも!!!」ピッ
りっちゃん「うわあっ」
スネーク「わかった!」
リキッド「やめろおおおおおおおおっ!!!!」
────────、
紬「……なんで?」ピッ
紬「なんでッ!! なんでッ! 自爆……」ピッピッ
リキッド「しなーーーーーーーーーっい!!! ククク、貴様が寝ている間に外させてもらった。どうださっきの演技は? お嬢様の夢を壊さぬようアカデミー賞並みの演技力を披露したつもりだが」
紬「リキッド……オセロット!!!」
リキッド「目障りだ!!! 消え失せろ!!!」
右腕のガトリング砲が紬に狙いを定める。
りっちゃん「えっ…、おい……!!! やめろよ!! ムギには関係ないだろっ!!!」
それに気付くも橋脚の上にいる紬をどうにかすることも出来ず、虚しく銃砲が鳴く────
ババババババ────
りっちゃん「ムギイイイイイイイッ!」
────────
私はどうしたかったんだろう。全てを捨ててまで掴み取ろうとした音楽は……手からすり抜けてしまった。
音楽を取り戻せばまたあの日々(世界)が戻ってくると信じていた。
私はただ戻りたかった。
あの頃に───
毎日が幸せに溢れていて
みんなで笑いあえて
明るい眩しい世界に
なのに……どうしてこんなことになったんだろう。
仲間もいなくなり、見渡せば自分一人しかいない。
真っ暗な夜原を一人でさ迷い続けてる。
振り向けば来た道は崩れてて、もう前に行くしかない。
絶望しか待っていない未来に……
私が取り戻したかったのはなんだったのだろう?
音楽だったのかな?
仲間、友達だったのかな…?
いや、違う。
音楽、友達、……それは私達のカケラ。
だから一つでも欠けたら駄目なんだ。
だから……
だから………
だから…………
でも、
『一緒に取り返さないか?』
『私にはそこまでする理由がわからない』
一番最初に一番大切なものが既に欠けていたんだ。
ふふ…、なら上手く行くわけないよな。
だって私が一番取り戻したかったのは──────
澪「ん……」
覚醒していく。体にかかる重さがコートのせいだと気づくまでに頭が働くようにはなっていた。
澪「ここは……そうか。あの人に殴られて…」
油断していたとは言えこのコートの上から気絶させる程の当て身とは、只者じゃないとは薄々思っていたけど。
「……ッ!! ……ッ!!
声がする。ムギの声。良かった、起きられたんだ。
体の調子を確認しながらゆっくり立ち上がると向こう側の橋脚にいるムギが目に入る。
リキッド「目障りだ!!! 消え失せろ!!!」
澪「!!?」
ガトリング砲がムギに向く。
助けなきゃ……助けなきゃ……。
澪「うぅ……」
体が動かない…。克服したつもりなのにこんなところで怖がりが出るなんて…。
変わったんじゃないのか秋山澪!!!
誓っただろう! あの頃に戻るために強くなるって!
澪「動いてよ…」ガクガク
それでも体は動かない。
怖いっ……怖いっ……怖いっ……!
りっちゃん「えっ…、おい……! やめろっ!!! ムギには関係ないだろっ!!!」
律が泣きそうな顔をしている…。
なんで……?
誰が泣かせたんだ……?
リキッド「」
澪「お前か…!」
───────
白煙が晴れて行く……。
そこに現れたのは真っ黒なコートに身を包んだ澪だった。
澪「もうこれ以上何も失わせたりしない…」
黒灰の瞳が激情に燃える。
りっちゃん「澪……!」
紬「澪ちゃんっ!」
スネーク「……」
リキッド「ちっ、まさかこいつのガトリングさえ止めるとはな。ソリダスのを改造しただけはある」
スネーク「(ソリダスだと…?)」
澪「重火器に対しては無敵だと言ったのはあなただろう! リキッド・オセロット……! 今一度問う! あなたにとって音楽とはなんだ! 返答次第では……討つ!」
リキッド「俺にとって音楽とは戦争、争いだ! 歌は叫びや歓喜の声!!! これが人間の正しい姿なのだ!!!」
澪「……ならもうあなたに従う意味もないな。メタルギアは音楽を取り戻す為に必要だ。返してもらう……!」
リキッド「返せだと? こざかしいッ! 小娘が調子に乗るなよ!!!」
澪「ムギ、下がってろ」
紬「澪ちゃん、りっちゃんが……」
澪「……律は関係ない。これは私達の問題だから。それに律は…敵だ」
紬「……自分に素直になってね……澪ちゃん」
澪「……」
携えた鞘から刀を抜き、迷いを振り払うように二、三回左右に切り払った後、切っ先を向けて言い放つ。
澪「…行くぞ」
メタルギアのガトリングガンが火を吹く。
一発一発が当たれば死に貶められる一撃。
しかし澪はそれを事も無げにコートの裾翻し銃弾纏うように弾く。
リキッド「ちぃっ!」
澪「はあぁっ!」
橋脚を飛び出してガトリング砲に一閃────
澪の刀はガトリング砲をまるでバターの様にスライスして見せた。更に高さ数十mといった所から飛び降りたと言うのに軽く受け身を取りながらあっさり着地した。
まるで羽根でも生えてるかの如くな着地。
りっちゃん「強化金属を意図も簡単に…」
スネーク「あの刀……ただの日本刀じゃないようだな。それにしてもあの運動能力……ナノマシン操作か…」
りっちゃん「あれが本当に澪かよ……」
強くなったんだな……澪は。
でも……他の道は選べなかったのかよ……澪。
リキッド「振動斬か…」
澪「目に見えない程のごく僅かな振動をさせることでその切れ味は何倍にもなる…」
リキッド「なるほど、琴吹製品(メタルギア)には琴吹製品と言うわけか」
澪「元々これはムギが暴走やあなたみたいな人に渡った時に対処するために作られたもの。音震刀の威力……その身で味わえ!!!」
音震刀は光の輝きを浴びながら微かに震えている。
リキッド「琴吹の娘め味な真似を……! 」
リキッドは近づかせない為に距離を取りつつ澪にガトリングガンを撃ち込み動きを止める、澪は近づこうとするが多彩な重火器類の前に防ぐのがやっとと言ったところだ。
この硬直した流れを断ち切る為にリキッドはレールガンを選択。
リキッド「電撃までは防げまい!!! 喰らええええ!!!」
澪「くっ……」
スネーク「今だりっちゃん!」
りっちゃん「澪! 伏せろ!」
澪「!!」
両脚に狙いを定めていた二人が同時に発射する。
屈んだ澪の頭上をスティンガーミサイルが通過し、メタルギアの脚の関節部分に見事ヒットした。
爆炎を撒き散らすと同時にメタルギアが大きく傾いて行く。
リキッド「おおおおっ」
スネーク「やったか!?」
リキッド「スネーク!! まだだ! まだ終わってないっ!」
ギシギシと言わせながらも巨体を踏ん張らせる。
リキッド「まさかここまでとはな…。さすがスネークと代用品なだけある」
澪「さっきも言っていたな! 代用品とは一体どう言う意味だ!」
リキッド「そのままの意味だ。俺はこの無人島に過去を連れてきた! 言わば俺達の歴史の縮図!」
りっちゃん「なにを…!」
リキッド「FOXHOUND、メタルギア、スネーク、雷電、ソリダス、シャドーモセス、デッドセル、謎の忍者……核」
リキッド「ここには今まで起こった俺達の歴史が詰まっている。俺がそうなるよう仕向けたのだ!!!」
スネーク「それに何の意味がある!?」
リキッド「踏み越える為さ!!! この今までの過去の縮図を踏み越えることによって俺はようやく未来に進める!!! このメタルギアVOICEと共にな!!!」
澪「っ……!?」
澪「そんなことの為に……そんなことの為に私達を利用したのか!!! お前は!!!!!」
リキッド「お前はいい働きをした。秋山澪、いや……ソリダス・スネーク」
澪「私はそんなやつ知らないっ!!! 勝手にお前の過去に私達を結びつけるな!!!」
感情に任せ斬りかかる。メタルギアは立っているのもやっとだと言うところだ。
これがとどめとなるだろうと言うことは歴然だった。
だが────
リキッド「メタルギアVOICEの真の力はこれからだ!」
スピーカーから音が発射される。
スネーク「まずいっ! 声を出せ!」
りっちゃん「いや……これは。さっきと違う…」
ウイイイイイイイイイ
『メタルギア、第二形態に移行。』
リキッド「スネーク!!! 生き延びろよ!! 次に会う時は戦場だ!!! お前の大好きな冷戦のな!!!」
スネーク「何っ?!」
りっちゃん「そんな…」
澪「メタルギアが……消えていく……」
リキッド「また会おう!!!」
両手で銃をイメージしたような二本指を立て、突き出す。
嘗てのリボルバーオセロットのように。
だが、それに気づくものは誰もいない。
ここには。
少し時間をかけすぎたな。
タイムリミットとは。
まあいい、元々排除は奴等に任せる予定だったしな。
これで過去の清算は終わった。
これから始まる冷戦、その未来にもう賢者達は必要ない。
いや、今は愛国者達か。
解体されたMSFが動いてると情報があったがどうやらカズヒラ・ミラーではない…。
もしや……いや、そんなわけがない。
ビッグボスが生きているなど……。
大丈夫だ、あの人のことを思えるなら俺はまだ……。
りっちゃん「まさか消えるなんて……」
スネーク「焦るな! ステルス迷彩だ。見えないだけで物体をすり抜けられるわけじゃない! まだそこにいるぞ!!!」
りっちゃん「ならスティンガーで!!」
スネーク「無駄だ。ステルス迷彩は熱源も消せる。スティンガーじゃロック出来ん。俺が炙り出してやる!!」
そう言ってRPGを構えたスネーク。先程までメタルギアがいた辺りに狙いをつけ撃ち放つ。
ズオッ
ドオオオオッ
しかし弾は虚しく壁に当たり爆発する。
スネーク「あれだけの質量だ、動いてわからないわけがない……一体どこへ消えた…?」
ズオオオオオオ
りっちゃん「次はなんだ?!」
スネーク「地上への昇降口が開いて行く……奴はあそこから地上に出るつもりだ!」
りっちゃん「ならあのせり上がってる台の上に?」
スネーク「ああ!! 逃がさん!!」
ガチャッ、ズオッ────
ズオオオオオオッ
スネーク「ちぃっ! いないだと!?」
りっちゃん「クソ……ッ! 澪! お前なら何か知ってるだろ!? 教えてくれ! 私達はあれを止めなくちゃいけないんだ!」
澪「……。私にはメタルギアが必要だ……った。ただもういい…」
りっちゃん「澪…?」
澪「メタルギアVOICEの第二形態、それはステルス迷彩なんてただ消えるだけの機能じゃない。その音を聴いたものに認識させない命令を植え付ける凶悪な音を出している」
りっちゃん「音…?」
澪「ああ。人間には聴こえない波長だけどな。あれだけの質量が動き回っても音がしないのは私達が認識してないからだ」
りっちゃん「じゃあ…!」
澪「さっきのもただ上手く避けただけで実際はそこにいるだろう。あくまで予想に過ぎないけどな。なんせ私達には認識出来ないんだから……」
りっちゃん「なんでそんな冷静でいられるんだよ!」
澪「!?」
りっちゃん「あれが世に出回ったら私達の世界は……」
澪「私達の世界……か。そんなものもうないよ」
りっちゃん「澪っ!!!」
澪「さよなら、律、だった人。もう二度と会うこともない」
これでいい。これで。
私はもうこんな世界で生きたくない。
だからメタルギアがどうなろうと知ったことじゃない。
音楽を取り戻そうと奮起したのを利用されて、今の私はただの世界的な犯罪者に過ぎない。
そんな世界で生きていくのは…、あまりにも辛すぎるじゃないか。
なら私は思い出と共にこの場所で死のう。
一人っきりで…
そう言い残しどこかへ行く澪を私は追いかけたかった。
でも、今は…出来ない。私が私で澪を迎えに行く為には…!
りっちゃん「メタルギアを破壊しよう。 スネーク! 手伝ってくれるよな?」
スネーク「元々こっちの仕事だからな。勿論だ。(いい目をしている)」
りっちゃん「ムギッ!!!」
紬「対処法、でしょ?」
りっちゃん「ああ」
紬「メタルギアVOICEは常にあの音波を出していると思うわ。人間には聴きとれない波長だけど聴いた瞬間メタルギアを認識出来ないような命令を出してるの」
りっちゃん「じゃあまた大声を出してる間は…」
紬「あれとは音質が違うの。聴こえる音ならそれで対処も出来るのだけれど聴こえない音になると衝撃音なんかで打ち消したりは出来ないわ」
りっちゃん「ならどうしたらいいんだよ!」
紬「簡単よ。認識しようとするから見えないの。認識しなければいいのよ」ニコッ
橋脚の上からまた微笑みかける紬。
りっちゃん「なぞなぞかよ?」ニコッ
こんな状態でも笑っていられる自分にちょっと驚く。
紬「他のことに意識を向けながら戦えばいいの。ただ生半可な意識の向け方じゃダメよ。見ようと思わないで」
りっちゃん「なるほど、他のことに意識を向けながら…か」
紬「うふふ」
りっちゃん「どうやってもそうさせたいみたいだなお前は。まさかその為にそんな設定にしたんじゃないだろうな?」ニコッ
紬「さあ、どうかしらね」
りっちゃん「私とスネークは上に出てメタルギアを討つ。ムギも後から来てくれ。メタルギアを撃破した後ここを脱出するから、みんなでな」
紬「りっちゃん…」
スネーク「(みんなで…か)」
りっちゃん「行こう。終わらせるんだ…!」
無人島 研究所 地下格納庫 昇降口上部──────
ニンジャ「はあっ!」
昇降口から一気に飛び降りる。一々研究所から回っている暇はないだろう。
台が上昇してくる────
ニンジャ「やはりメタルギア……!」
落下しながら目視するも瞬間、
ニンジャ「消えた…?!」
目の前からいきなり消えるなんてことがあり得るのか。
可能性としてはステルス迷彩…、だがあんな大型なものを消せるものか……。
一般的に言われてるステルスとステルス迷彩は大きく違う。
ステルス機は実際に見えないわけじゃない。レーダーや索敵にかからないからステルスなのだがステルス迷彩は本当のステルスと言っても過言ではない。
姿形さえ消えてしまう魔法の技術。
だが欠点も多い。
ニンジャ「これでっ!!!」
落下しながらマチェットを抜き、さっきまでメタルギアがいた場所に向かって降下しながら振りかぶる。
ニンジャ「はあああああああああっ!」
ガキイイイイイイッ
ニンジャ「(手応えはあった……けど音がしない…?)」
無論音はした、金属と金属がぶつかったカン高い音が。
だがニンジャにはそれが¨聴こえていないのだ¨。認識出来ていない。
ただ見えないだけで存在はするもの、すり抜けるわけじゃない。
リキッド「忍者か! だがその程度の攻撃ではな!!!」
ニンジャ「……!」
一瞬だけ見えた、けどまた消えた。
ステルス迷彩じゃないのだろうか。ステルス迷彩なら光学迷彩に触れればしばらく消えられないはずなのだが…。
ニンジャ「これを破壊すればまたあの子達は戻れる。律がきっと取り戻してくれる。だから私は……!」
台が上がりきり地上へと出る。
依然メタルギアは視認出来ない、が、間違いなくいる。
姿は消えたとしてもあの質量がいる気配を感じ取れないわけがない。
叩いた瞬間は見えた…なら何とかなる…か。その時に動力部を穿つ。
マチェットを構えて目を閉じる。
ニンジャ「(唯、待っててね。私が全部終わらせるから。だからあなたはもう戦いなんて辛い思いはしなくていいの……)」
───無人島 研究所付近───
唯「具合良くなった? あずにゃん?」
梓「はい。何とか歩けるぐらいには」
雷電「……」
梓「殺さないんですか? 私達を」
雷電「……。確かにお前達は世界を核の恐怖で脅かし、元は悪じゃないとは言え今は悪の音楽を取り戻そうとした。それは許されることじゃない」
梓「……じゃあ」
雷電「だが死んだら償うことも出来ない。俺がここでお前達を殺したところで世界は変わらない。だが生かし、償わせることで何かが変わるかもしれない。俺はそれに賭けようと思う」
梓「じゃあっ!」
雷電「勘違いするな。もしまた同じことを繰り返すなら……次は必ず殺す」
梓「……はい」
唯「私達はちゃんと……話し合わないといけないんだよね。みんなでどうするか」
梓「唯先輩…」
ドスッ ドスッ ドスッ
「……ッ!!」
雷電「なんだ……?」
梓「あれは……!」
唯「メタル……ギア……!」
───太平洋上空 無人島近海───
パイロット「こちらB-2、無人島が射程に入った。オーバー」
司令官『よし、勧告後、返答が得られない場合爆撃を開始しろ!』
パイロット「了解」
パイロット『こちらアメリカ空軍所属、B-2戦闘爆撃機だ。こちらには無人島をすぐにでも爆撃する用意がある。ただちに武装を解除し、投降せよ。繰り返す……』
──────
───無人島 研究所 内部───
『繰り返す。こちらには無人島を爆撃する用意がある。ただちに武装を解除し、投降せよ』
研究所のスピーカーから流れ出す勧告を二人は並走しながら聞く。
りっちゃん「くっ、来たか!」
スネーク「核がないとやりたい放題だな、国防総省(ペンタゴン)は!(それとも愛国者達か……)」
りっちゃん「どうしようスネーク…。このままじゃこの島は…」
スネーク「(奴が生き延びろと言っていたのはこの事か…)」
スネーク「状況を説明して止めさせるしかない。テロリストを引き渡せば…或いは」
りっちゃん「澪達を突き出せってことかっ……!」
スネーク「……」
りっちゃん「あんたは結局そうなのかよっ! メタルギアさえ倒せればそれでいいのかよ!?」
スネーク「ならお前は大罪を起こしたテロリストを逃していいと言うのか?」
りっちゃん「それは…」
スネーク「自分がいいから世界など関係ないとでも言うのか?」
りっちゃん「でもっ……なら私は……どうしたらいい?」
スネーク「……これだけは言っておく。物事に正しいことなどない。人それぞれ価値観があり人によって答えは違う。だから戦争や宗教が生まれる」
りっちゃん「……なら何が正しくて何が良くて何をすればいいんだよ! 私にはわかんないよ……」
泣きそうになりながらも必死に考える律、
スネーク「りっちゃん」
そんな律にスネークが優しく手を律の頭の上に置く。
りっちゃん「ふぇ…?」
スネーク「目の前に困った人がいて、それをお前さんが助けたとする。果たしてそれで救われるのは何人だと思う?」
りっちゃん「何人って…困った人だけじゃないのか? 救われるのは…」
スネーク「いいや違う。それを見た周りの奴等だって救われる」
りっちゃん「えっ…」
スネーク「あの女の子の様に自分も誰かを助けられる人になろう。世の中捨てたもんじゃないってな。伝染するんだ、ここは」
ハートを二回トントンと叩くとニヤリと笑うスネーク。
スネーク「みんなが幸せに笑える世界に向かえ」
りっちゃん「みんなが幸せに笑える世界……」
スネーク「そうだ。今の段階ではお前達はテロリストだ。だから俺はお前達と敵対する。いくら音楽を取り戻す為と言っても何も知らない民間人はただの恐怖でしかない」
りっちゃん「うん…」
スネーク「どうしてもあいつらと共に行きたいなら俺を倒してでも行け。それが世界を幸せに、笑って歩める正しい道と信じるならな」
りっちゃん「……わかったよ、スネーク。ほんとにありがと」
道は決まった、覚悟も出来た。後はやるだけ。
スネーク「こんな教鞭染みたことは苦手何だがな。何でこんなことを言ったのか自分でもわからん」
りっちゃん「へへっ」
ニコニコしながら走る律に、もう迷いはなかった。
律はこれで同じ名を持つ男二度助けられた。
しかし彼らもまた導かれていたのかもしれない。
原点とも言える彼女の面影に。
それはまだ生まれたばかりだけれど、彼女とて最初からそう呼ばれてたわけではない。
きっとその種は世界に実をつけると二人の遺伝子は告げていたのかもしれない。

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- スクウェア・エニックス 2010-11-20
by G-Tools , 2010/10/05









































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