- 1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/13(水) 01:22:30.07:JN6cxyhoP
キョン「なんだこのいかにもなヘッドギアは」
佐々木「僕が恋愛=精神病論者なのは知ってるだろう?」
キョン「ああ、偏屈だってことは重々承知だ」
佐々木「人間の心っていうのは、すごく不思議なものでね」
キョン「お前ほど不思議な奴も珍しいがな」
佐々木「僕はどうにかそれを数値化してみたいと常々思ってたのさ」
キョン「はあ?」
佐々木「つまり、人を好きになる気持ちにも、なんらかの明確なメカニズムがあるはずで」
キョン「全然つまりになっとらん」
佐々木「脳波を読み取って、そういうランダムな心をある種の変数として識別、解読する装置を……」
キョン「ええい!一言で収めろ!」
佐々木「これを頭にはめた人の好意が、視覚化するっていう発明をしたのさ」
キョン「なんだ、できるじゃないか」
佐々木「くつくつ、君はロマンのない男だね」
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2:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/13(水) 01:27:32.29:JN6cxyhoP
佐々木「さあキョン」
キョン「なんだよ」
佐々木「なんだよ、じゃないだろう。ほら、早く」
キョン「はあ?」
佐々木「つくづく君も文脈というのを読み取らない人間だね」
キョン「おい、人をバカみたいに言うな」
佐々木「そんなつもりはないさ。むしろ逆だね」
佐々木「君は読み取れないんじゃなくて、読み取らないんだ」
キョン「?」
佐々木「要するに、わかってるのに何にも知らないフリをする、タチの悪いタイプだってこと」
キョン「お前が何を言いたいのかはよくわからんが、俺を実験台にしたいってことだな」
佐々木「ほらね、やっぱりそうじゃないか」
キョン「やれやれ、自分の発明なら自分で試したらどうだ」
佐々木「自分の気持ちなんか、いちいちこんな道具使わなくたってわかるじゃないか」
キョン「果たしてそうかねえ」
4:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/13(水) 01:35:56.40:JN6cxyhoP
佐々木「どういう意味だい?」
キョン「少なくとも、俺はわからんね」
キョン「自分が何考えてるかが、一番よくわからん。他人よりもだ」
佐々木「へえ」
キョン「こと高校生になってからというもの、それが顕著になってきたよ」
佐々木「なら、ちょうどいいじゃないか。ほら、脳波を測定してみよう」
キョン「そんな口車には乗らんぞ」
佐々木「君はそうやって一番大事な時に僕の期待を裏切るのが好きだな」
キョン「何の話だ、まったく」
佐々木「まあでもいいさ、なら僕で試してこの機械の安全性を示してあげるよ」
佐々木「誰かを見た時に、このおでこのLEDが何色に光るかが肝なのさ」
キョン「ほう」
佐々木「異性としての好意なら赤、友人としてなら緑、敵対心は青、みたいな具合にね」
佐々木「ちなみに、なんとも思っていなければ光らない」
キョン「わかりやすくていいな、お前らしくもない」
5:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/13(水) 01:41:24.14:JN6cxyhoP
佐々木「というか実はもう自分では何度も実験してるんだ」
キョン「そうなのか」
佐々木「だから少々こいつの性能には自信があってね」
キョン「わかったわかった」
佐々木「君はこの発明の偉大さがわかっていないね?……まあいいさ、くつくつ」
カポッ
佐々木「ほら、こうやってキョンを見ると緑色の光が……」
ぺかー!
キョン「……まぶしっ」
佐々木「あ、あれ」
キョン「なんだ、やっぱりポンコツじゃないか。真っ赤に光ってるぞ」
佐々木「そ、そんなはずは、え?な、なんで……」
キョン「とりあえず、LEDの光度を調整しなおした方がいいな、目が痛い」
佐々木「こ、これは感情の強さに合わせて光量が変わるように……え?あれ?」
7:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/13(水) 01:44:28.43:gsZt16OS0
佐々木「お、おかしいなあ……こんなはずでは」
キョン「高校生の工作じゃ、こんなもんだろ」
佐々木「……イラッ」
キョン「夏休みの自由研究にしちゃ、ずいぶんレベル高かったんじゃないか」
佐々木「言ってくれるね、三ヶ月もかかったんだぞ」
キョン「いや、褒めてるんだが」
佐々木「ちょっと十分時間をくれないか、きっと実験づくめでセンサーが誤作動しただけだよ」
佐々木「こんなのちょっとメンテナンスすれば、正常に作動するんだ」
キョン「好きにしてくれ、どうせ今日は俺は暇だからな」
~10分後~
ぺかー!
キョン「うおっ、まぶし!」
佐々木「あ……あ……」
キョン「さっきよりまぶしいぞ!嫌がらせか!」
佐々木「ま、まま、まっ赤っか……」
11:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/13(水) 01:54:57.29:JN6cxyhoP
佐々木「キョン、なんだか急に具合が悪くなってきたから帰るよ」
キョン「お、おい。そんなに気を落とすなよ」
佐々木「悪いね、今日はもう不貞寝したい気分なんだ」
キョン「俺が言い過ぎたよ、いや、ポンコツなんかじゃないって」
佐々木「……!」
佐々木「か、帰る!」
びゅー
キョン「なんなんだ、一体」
~佐々木家~
佐々木「ちょっと、ここに立ってみて」
橘「はい♪」
ぺかー!
橘「わ、緑色に光った!なんですかそれ!」
佐々木「ああ……なんてことだ……」
橘「……?」
14:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/13(水) 02:03:27.98:JN6cxyhoP
~数日後~
キョン「よう、こないだは悪かったな」
佐々木「ああ、キョン。君の言ったとおりだったよ」
キョン「あ、やっぱり壊れてたのか」
佐々木「そうじゃなくてね……」
キョン「?」
佐々木「(自分の気持ちが一番わかってないってことさ……)」
キョン「な、なんだかよくわからんが、そう落ち込むなよ」
佐々木「もう僕は自分がよくわからなくなった」
キョン「おいおい、何を自暴自棄になってるんだ。ちょっと発明失敗したくらいで」
佐々木「僕はどうなってるんだ?というか君は何なんだ?」
キョン「待て、落ち着け佐々木。お前は勉強のし過ぎで頭が疲れてるんだ、きっとそうだ」
佐々木「ああ、もう」
キョン「きょ、今日は脳みそを休ませてやろう、な?」
佐々木「え……?」
17:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/13(水) 02:11:43.71:JN6cxyhoP
~ウニバーサルスタジオジャパン~
キョン「ほら佐々木、今日は何も考えずに遊ぶぞ!」
佐々木「何も考えずに、というけれどね」
キョン「ほら、これ持って」
佐々木「な、なんだいこれ」
キョン「見たらわかるだろ、特大サイズのキャラメルポップコーンだ」
佐々木「こんなもの首から下げてたらまるで僕が食いしん坊みたいじゃないか」
キョン「いいんだよ、うまいんだから」
ポリポリ
佐々木「まったく、だったら君が持ってればいいのに」
ポリポリ
佐々木「あ、おいし」
キョン「な」
佐々木「……くつくつ」
キョン「ふふ」
19:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/13(水) 02:20:55.40:JN6cxyhoP
~二時間後~
佐々木「うーん」
佐々木「(なんだかんだで普通に楽しんでしまっているな……)」
佐々木「(そういえば、こんな賑やかな所に来たのはいつぶりだろう)」
キョン「ほら、佐々木。次はあれ並ぶぞ」
佐々木「え、ああ、ちょっと待っておくれよ、急がなくたって……」
キョン「今急がないと並ぶ時間が倍になるんだ、ほら」
ぐいっ
佐々木「……きゃっ」
キョン「え?あ、すまん、痛かったか」
佐々木「い、いや、そんなことはないよ。さ、ささ、先を急ごうか」
佐々木「(不意に手を握られて、変な声を上げてしまった……)」
佐々木「(やっぱりあの発明のとおり、僕は君のことが……いや、でも、ああもう)」
キョン「~♪」
佐々木「(キョンの手……あったかかったなあ……)」
20:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/13(水) 02:26:57.78:lbGD/EvpO
佐々木「ねえ、キョン。やっぱりそういうことだったんだよ」
キョン「……何がだ」
佐々木「列の途中に、何の意味もなくレインコートの自販機を置くなんてこと、あるかい?」
キョン「前来たときはそうでもなかったんだよ、だからさ」
佐々木「そりゃ乗り込む位置によってはそうかもしれないけれどね」
キョン「な、なんだよ」
佐々木「なんだよも何もないさ、見てごらん、僕らの格好」
キョン「涼しげで、いいじゃないか」
佐々木「もう冬の足音すら聞こえてくるっていうのに、君はそんなことを言うのかい」
キョン「わかったよ、悪かったって。服を乾かすならあっちに行こうぜ、あの、火事の奴」
佐々木「君のその単純かつ短絡的な思考には、時々感心すら覚えるよ」
キョン「はー、しかし盛大に水をかぶったな」
わしゃわしゃ
佐々木「ねえ、ちょっとこれは捨て置けないな。なんで君は自分のタオル持ってるんだい」
キョン「カバンに入ってたんだよ、あいにくひとつだけだがな」
22:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/13(水) 02:33:19.42:JN6cxyhoP
佐々木「で、それを君は僕の目の前でいけしゃあしゃあと使うのかい」
キョン「悪かったな、気が利かなくて!タオル買ってやればいいんだろ!」
佐々木「いいよ、別に。でも、その使いさしでいいから貸してくれ」
キョン「ああ、すまんな」
佐々木「くつくつ、まあ、後で笑い話のタネになるからいいさ」
わしゃわしゃ
佐々木「あ……」
キョン「ん?」
佐々木「い、いや、なんでもないよ」
佐々木「(このタオル、キョンの匂いがする……)」
きゅんっ
佐々木「……っ!」
キョン「どうした、やっぱり体が冷えたか?」
佐々木「あ、いや、別に」
佐々木「(なんだろう、この切ない感じは……)」
24:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/13(水) 02:40:33.43:JN6cxyhoP
キョン「体調悪いんじゃないか、ちょっと顔が赤いぞ」
佐々木「な、なんでもないったら」
キョン「ほんとか?」
じーっ
佐々木「……いや、ある意味あまり芳しくないかな、体調は」
キョン「少し休むか。暖房の効いた建物の中で、温かいものでも飲もう」
佐々木「うん、賛成だね。ちょっと心を落ち着ける必要があるんだ」
キョン「?」
~カフェ的なアレ~
佐々木「ねえ、キョン」
キョン「なんだよ」
佐々木「僕の記憶が正しければ、君はついさっき、暖房の効いた建物で、って言ったね」
キョン「そうだったかな」
佐々木「なんだいこのオープンテラスは、風通しがずいぶんいいね」
キョン「仕方ないだろう、中の席が埋まってたんだから」
26:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/13(水) 02:48:00.67:JN6cxyhoP
キョン「ほら、これ着てろ」
ふぁさ
佐々木「あ」
キョン「ほんとに体調悪かったら言ってくれ、無理しちゃ休みが台無しだからな」
佐々木「なんだい、時々そうやって君は」
キョン「ん?」
佐々木「(時々、すごく大人っぽくなるんだ……僕なんかよりずっと)」
佐々木「……」
キョン「……」
佐々木「……まったりするねえ」
キョン「こういう休日も悪くないだろう」
佐々木「うん、ずいぶん休まってるよ」
キョン「お前は少し頭を使いすぎなんだよ、普段から」
キョン「こうやって、何も難しいこと考えずに過ごすのも、たまには必要なのさ」
佐々木「んー」
104:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/13(水) 23:39:35.54:JN6cxyhoP
佐々木「んん……むにゃ」
キョン「ん、起きたか」
佐々木「あ、あれ……いつの間に」
キョン「随分気持ちよさそうに寝てたから、起こすに起こせなくてな」
佐々木「うう……んー、すまないね」
キョン「ほら、起きたなら、さ」
佐々木「ん?」
キョン「頭をどけてくれると嬉しいね。さすがに肩が凝っちまう」
佐々木「え!?あ、ああ!」
キョン「ま、いいんだが」
佐々木「(ぼ、僕は随分長い間……キョンに寄り添って……うう)」
キョン「疲れてたんだろう。連れ回してなんか申し訳ないな」
佐々木「いや、断じてそんなことはないよ、キョン」
キョン「そうか?」
佐々木「そうだとも」
107:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/13(水) 23:54:36.84:JN6cxyhoP
キョン「ならいいんだけどな……へっくし」
佐々木「ん?」
キョン「ああ、すまん。急にくしゃみが……っくしゅん!」
佐々木「あ……もしかして僕が上着借りてたから」
キョン「いや、違う違う、単に鼻がムズムズしてだな」
佐々木「いーや、嘘だね」
キョン「……なんだよ、格好がつかないじゃないか」
佐々木「あのね、キョン。格好がつくとか、つかないとか、そういうことじゃないだろう」
キョン「そうでもないんだけどな」
佐々木「風邪でも引いたらどうするんだい」
キョン「お前がひくよりいいさ」
佐々木「え……?」
きゅんっ
佐々木「(あ……まただ……)」
佐々木「(心がざわつく、この感じ……)」
109:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/14(木) 00:02:46.80:Mxj1NLMCP
佐々木「あ、あの」
ガタッ
キョン「わわっ」
佐々木「ああ、ごめん。肘が当たって」
佐々木「(ティースプーンを落としてしまった……何を動揺しているんだ僕は)」
キョン「やれやれ、どこに行ったかな」
ごそごそ
佐々木「ああ、僕が拾うよ」
ぴとっ
キョン「!」
佐々木「ふわ!?」
佐々木「(ぼ、僕はなんて古典的なことを!)」
キョン「あ、ああ、すまん」
佐々木「(キョンの手……あんなに冷たくなって、随分我慢したんだな)」
佐々木「……ねえ、キョン」
111:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/14(木) 00:20:25.83:Mxj1NLMCP
ぎゅっ
キョン「わわっ!?な、なんだ、手なんか握って」
佐々木「ほら、こんなに冷たい」
キョン「え?あ、いや、俺はもともと」
佐々木「そうやって君は、肝心なところばかりごまかすんだ」
キョン「はあ?」
佐々木「さっきはもっとあったかかったよ、この左手は」
キョン「うーむ」
佐々木「ごめん、キョン」
キョン「やれやれ。そういう時はありがとう、って言ったほうがいいと思うぞ」
佐々木「え」
キョン「まあ、お前がそうやってしててくれるなら、すぐにまた温まるさ」
佐々木「!」
キョン「ありがとう、佐々木。……ほら、こうやって言った方が気分いいだろう」
佐々木「あ……」
113:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/14(木) 00:31:45.99:Mxj1NLMCP
佐々木「ありがとう、か」
きゅんきゅんっ
佐々木「……っ」
キョン「どうした?」
佐々木「い、いや、あの……しばらくこうしているよ」
ぎゅっ
キョン「なんか変な感じだけどな」
佐々木「い、嫌かい?僕に手を握られるのは」
キョン「嫌じゃないが、なんとなくこそばゆいな」
佐々木「早く温まるといいんだけどね」
ぐぐっ
キョン「さ、佐々木!その、なんだ、あの」
佐々木「?」
キョン「当たってるんだが」
佐々木「え……うわ、わっ!ご、ごごご、ごめんよ!」
114:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/14(木) 00:41:12.25:Mxj1NLMCP
佐々木「……」
キョン「……」
佐々木「……あの」
キョン「……その」
佐々木「さ、先に言いなよ」
キョン「いいよ、別にたいしたことじゃない」
佐々木「そ、そうか」
キョン「……」
佐々木「……あの、ひとつ取り留めもないことを質問してもいいかな」
キョン「何だよ急に」
佐々木「今、僕はふと、今日一日のことを振り返っていたのさ」
キョン「ふむ」
佐々木「二人で遊園地にきて、まったりお茶をして、君の肩に寄り添ってうたた寝をして」
佐々木「今はこうやって君の手を握って、隣り合って座っている」
佐々木「この一連の流れを、第三者が見ると、僕らはどういう風に映るんだろうか」
116:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/14(木) 00:48:27.73:Mxj1NLMCP
キョン「なんだかお前の言い方に少し語弊がある気がしないでもないが」
キョン「まあ仲のいい二人って所だろうか」
佐々木「そ、その仲が良いっていうのは、どういう具合に」
キョン「なんだ、何が言いたいんだよ」
佐々木「僕が危惧しているのはね?僕らがつがいの様に映ってしまっているんじゃないかってことさ」
キョン「つがいって……お前は時々素っ頓狂なボキャブラリーを発揮するな」
佐々木「そ、そんなことはどうでもいいんだよ。とにかく、それじゃあ心外だろう?」
キョン「なんで俺にそんなこと聞くんだ」
佐々木「心外だって言っておくれよ」
キョン「はあ?」
佐々木「じゃなきゃ……困るんだ」
キョン「おいおい、よくよく話が見えなくなってきたんだが」
佐々木「それが普通なんだ、だって僕らはそういう仲じゃないんだから」
佐々木「なのに、なのに、僕は」
佐々木「ああ、もう!」
118:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/14(木) 00:56:47.76:HGRH1gmH0
キョン「おい、よくわからんが落ち着けよ」
佐々木「僕はおかしいんだ」
キョン「佐々木?」
佐々木「僕と君が今日、今この瞬間も、仲睦まじいカップルに見えていると思うと」
佐々木「何故か胸の奥がじんじんするんだよ、その、すごくね」
キョン「あの」
佐々木「心の病気なんだ、普段ならなんだって、簡単に頭の中で整理できるのに」
佐々木「今はいくら考え込んでも、よくわからなくなってしまう」
キョン「おーい」
佐々木「だから、キョン。君の口から言ってくれ。そんなの気のせいだ、勘違いだって」
キョン「話が飛び石過ぎて、俺はまったくついていけてない訳だが」
佐々木「……はあ」
キョン「……まあ、なんだ。お前が何を錯乱しているのかわからんが、ひとつ」
キョン「俺は、今日みたいな一日の過ごし方、割と嫌いじゃないね」
佐々木「……ああ、まただよ。君はいつもずるいんだ」
122:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/14(木) 01:10:57.94:Mxj1NLMCP
『お前は少し頭を使いすぎなんだよ、普段から』
『こうやって、何も難しいこと考えずに過ごすのも、たまには必要なのさ』
佐々木「(……頭を使いすぎ、か)」
佐々木「……ねえ、キョン」
キョン「なんだ」
佐々木「一つ聞いてほしいことがあるんだ」
キョン「二つ三ついっぺんに聞いてやろうか」
佐々木「もう、茶化さないでくれないか。結構真面目な話なんだ」
キョン「そうか」
佐々木「この間の、僕の発明の話さ。ほら、これ」
キョン「ああ、それな」
佐々木「この装置はね、結局何も壊れてなかったんだ」
キョン「そうか……ん?あれ?」
佐々木「でも、僕にはそれが信じられなかったのさ」
佐々木「それも無理はないよ。君の言うとおりだった、自分の事なんて、自分じゃ何もわかってなかった」
127:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/14(木) 01:29:21.18:Mxj1NLMCP
佐々木「よっと」
スチャッ
佐々木「これで、君を見るとね」
ぺかー!!
キョン「まぶしっ」
佐々木「その、あの、……そういうことなんだ」
キョン「……」
佐々木「だ、だから、ええと」
佐々木「ぼ、僕は……キョンのことが……好きだったみたい」
キョン「……」
佐々木「だ、だから何なんだって話だね。すまない、本当にどうでもいいことをベラベラと僕は……」
キョン「あー、すまん。あの、なんというか、ちょっとそれ、借りるぞ」
すぽっ
佐々木「あ、え?」
キョン「……よっと」
132:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/14(木) 01:36:07.08:Mxj1NLMCP
キョン「……な、どうだ」
キョン「俺もあまりこういう経験がないもんでさ、気の利いたセリフとか何も思いつかないんだが」
佐々木「あ……」
キョン「その、ちゃんと光ってるか?」
佐々木「……」
佐々木「……もう」
キョン「……」
佐々木「まぶしいよ、キョン」
キョン「そうか、よかった」
佐々木「あ、あれ、変だな。なんで僕は泣いて……」
キョン「……まぶしすぎたかね」
佐々木「……ばか」
136:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/14(木) 01:53:28.98:Mxj1NLMCP
キョン「しかし、お前も面白いもの作ったなあ」
かぽっ
佐々木「わわ、何をするんだ」
キョン「こうやってかぶせるだろ?そんで」
ぎゅー
佐々木「ふぁっ!?き、君は一体何を……!」
ぺかー!
佐々木「!」
キョン「で、こうすると、だ」
なでなで
佐々木「はう」
きゅんきゅんっ
ぺかぺかー!
佐々木「わ!わ!わ!」
キョン「これはいいものだ」
139:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/14(木) 02:07:08.13:Mxj1NLMCP
佐々木「ひ、人をおもちゃにするのはやめてくれないか!」
キョン「いいじゃないか、『つがい』なんだから」
佐々木「な、なな、何だって」
ぺかぺかぺかー!!!
佐々木「~~~~~っ!」
キョン「ふっふっふ」
佐々木「……ぐすっ……キョンなんかきらいだ……」
キョン「よしよし」
なでなで
佐々木「や、やめ」
ぺかぺかぺかー!!!
佐々木「うう……もう光っちゃだめ……」
キョン「かわゆすなあ」
141:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/14(木) 02:08:39.50:Mxj1NLMCP
142:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/14(木) 02:10:00.79:5Wl1kaJX0
131:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/14(木) 01:32:51.51:v0ZDtxOn0
133:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/14(木) 01:37:43.28:DshReNo40
佐々木「さあキョン」
キョン「なんだよ」
佐々木「なんだよ、じゃないだろう。ほら、早く」
キョン「はあ?」
佐々木「つくづく君も文脈というのを読み取らない人間だね」
キョン「おい、人をバカみたいに言うな」
佐々木「そんなつもりはないさ。むしろ逆だね」
佐々木「君は読み取れないんじゃなくて、読み取らないんだ」
キョン「?」
佐々木「要するに、わかってるのに何にも知らないフリをする、タチの悪いタイプだってこと」
キョン「お前が何を言いたいのかはよくわからんが、俺を実験台にしたいってことだな」
佐々木「ほらね、やっぱりそうじゃないか」
キョン「やれやれ、自分の発明なら自分で試したらどうだ」
佐々木「自分の気持ちなんか、いちいちこんな道具使わなくたってわかるじゃないか」
キョン「果たしてそうかねえ」
佐々木「どういう意味だい?」
キョン「少なくとも、俺はわからんね」
キョン「自分が何考えてるかが、一番よくわからん。他人よりもだ」
佐々木「へえ」
キョン「こと高校生になってからというもの、それが顕著になってきたよ」
佐々木「なら、ちょうどいいじゃないか。ほら、脳波を測定してみよう」
キョン「そんな口車には乗らんぞ」
佐々木「君はそうやって一番大事な時に僕の期待を裏切るのが好きだな」
キョン「何の話だ、まったく」
佐々木「まあでもいいさ、なら僕で試してこの機械の安全性を示してあげるよ」
佐々木「誰かを見た時に、このおでこのLEDが何色に光るかが肝なのさ」
キョン「ほう」
佐々木「異性としての好意なら赤、友人としてなら緑、敵対心は青、みたいな具合にね」
佐々木「ちなみに、なんとも思っていなければ光らない」
キョン「わかりやすくていいな、お前らしくもない」
佐々木「というか実はもう自分では何度も実験してるんだ」
キョン「そうなのか」
佐々木「だから少々こいつの性能には自信があってね」
キョン「わかったわかった」
佐々木「君はこの発明の偉大さがわかっていないね?……まあいいさ、くつくつ」
カポッ
佐々木「ほら、こうやってキョンを見ると緑色の光が……」
ぺかー!
キョン「……まぶしっ」
佐々木「あ、あれ」
キョン「なんだ、やっぱりポンコツじゃないか。真っ赤に光ってるぞ」
佐々木「そ、そんなはずは、え?な、なんで……」
キョン「とりあえず、LEDの光度を調整しなおした方がいいな、目が痛い」
佐々木「こ、これは感情の強さに合わせて光量が変わるように……え?あれ?」
佐々木の株が上昇しました
8:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/13(水) 01:50:13.72:JN6cxyhoP佐々木「お、おかしいなあ……こんなはずでは」
キョン「高校生の工作じゃ、こんなもんだろ」
佐々木「……イラッ」
キョン「夏休みの自由研究にしちゃ、ずいぶんレベル高かったんじゃないか」
佐々木「言ってくれるね、三ヶ月もかかったんだぞ」
キョン「いや、褒めてるんだが」
佐々木「ちょっと十分時間をくれないか、きっと実験づくめでセンサーが誤作動しただけだよ」
佐々木「こんなのちょっとメンテナンスすれば、正常に作動するんだ」
キョン「好きにしてくれ、どうせ今日は俺は暇だからな」
~10分後~
ぺかー!
キョン「うおっ、まぶし!」
佐々木「あ……あ……」
キョン「さっきよりまぶしいぞ!嫌がらせか!」
佐々木「ま、まま、まっ赤っか……」
佐々木「キョン、なんだか急に具合が悪くなってきたから帰るよ」
キョン「お、おい。そんなに気を落とすなよ」
佐々木「悪いね、今日はもう不貞寝したい気分なんだ」
キョン「俺が言い過ぎたよ、いや、ポンコツなんかじゃないって」
佐々木「……!」
佐々木「か、帰る!」
びゅー
キョン「なんなんだ、一体」
~佐々木家~
佐々木「ちょっと、ここに立ってみて」
橘「はい♪」
ぺかー!
橘「わ、緑色に光った!なんですかそれ!」
佐々木「ああ……なんてことだ……」
橘「……?」
~数日後~
キョン「よう、こないだは悪かったな」
佐々木「ああ、キョン。君の言ったとおりだったよ」
キョン「あ、やっぱり壊れてたのか」
佐々木「そうじゃなくてね……」
キョン「?」
佐々木「(自分の気持ちが一番わかってないってことさ……)」
キョン「な、なんだかよくわからんが、そう落ち込むなよ」
佐々木「もう僕は自分がよくわからなくなった」
キョン「おいおい、何を自暴自棄になってるんだ。ちょっと発明失敗したくらいで」
佐々木「僕はどうなってるんだ?というか君は何なんだ?」
キョン「待て、落ち着け佐々木。お前は勉強のし過ぎで頭が疲れてるんだ、きっとそうだ」
佐々木「ああ、もう」
キョン「きょ、今日は脳みそを休ませてやろう、な?」
佐々木「え……?」
~ウニバーサルスタジオジャパン~
キョン「ほら佐々木、今日は何も考えずに遊ぶぞ!」
佐々木「何も考えずに、というけれどね」
キョン「ほら、これ持って」
佐々木「な、なんだいこれ」
キョン「見たらわかるだろ、特大サイズのキャラメルポップコーンだ」
佐々木「こんなもの首から下げてたらまるで僕が食いしん坊みたいじゃないか」
キョン「いいんだよ、うまいんだから」
ポリポリ
佐々木「まったく、だったら君が持ってればいいのに」
ポリポリ
佐々木「あ、おいし」
キョン「な」
佐々木「……くつくつ」
キョン「ふふ」
~二時間後~
佐々木「うーん」
佐々木「(なんだかんだで普通に楽しんでしまっているな……)」
佐々木「(そういえば、こんな賑やかな所に来たのはいつぶりだろう)」
キョン「ほら、佐々木。次はあれ並ぶぞ」
佐々木「え、ああ、ちょっと待っておくれよ、急がなくたって……」
キョン「今急がないと並ぶ時間が倍になるんだ、ほら」
ぐいっ
佐々木「……きゃっ」
キョン「え?あ、すまん、痛かったか」
佐々木「い、いや、そんなことはないよ。さ、ささ、先を急ごうか」
佐々木「(不意に手を握られて、変な声を上げてしまった……)」
佐々木「(やっぱりあの発明のとおり、僕は君のことが……いや、でも、ああもう)」
キョン「~♪」
佐々木「(キョンの手……あったかかったなあ……)」
なにこの子かわいい
21:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/13(水) 02:27:39.28:JN6cxyhoP佐々木「ねえ、キョン。やっぱりそういうことだったんだよ」
キョン「……何がだ」
佐々木「列の途中に、何の意味もなくレインコートの自販機を置くなんてこと、あるかい?」
キョン「前来たときはそうでもなかったんだよ、だからさ」
佐々木「そりゃ乗り込む位置によってはそうかもしれないけれどね」
キョン「な、なんだよ」
佐々木「なんだよも何もないさ、見てごらん、僕らの格好」
キョン「涼しげで、いいじゃないか」
佐々木「もう冬の足音すら聞こえてくるっていうのに、君はそんなことを言うのかい」
キョン「わかったよ、悪かったって。服を乾かすならあっちに行こうぜ、あの、火事の奴」
佐々木「君のその単純かつ短絡的な思考には、時々感心すら覚えるよ」
キョン「はー、しかし盛大に水をかぶったな」
わしゃわしゃ
佐々木「ねえ、ちょっとこれは捨て置けないな。なんで君は自分のタオル持ってるんだい」
キョン「カバンに入ってたんだよ、あいにくひとつだけだがな」
佐々木「で、それを君は僕の目の前でいけしゃあしゃあと使うのかい」
キョン「悪かったな、気が利かなくて!タオル買ってやればいいんだろ!」
佐々木「いいよ、別に。でも、その使いさしでいいから貸してくれ」
キョン「ああ、すまんな」
佐々木「くつくつ、まあ、後で笑い話のタネになるからいいさ」
わしゃわしゃ
佐々木「あ……」
キョン「ん?」
佐々木「い、いや、なんでもないよ」
佐々木「(このタオル、キョンの匂いがする……)」
きゅんっ
佐々木「……っ!」
キョン「どうした、やっぱり体が冷えたか?」
佐々木「あ、いや、別に」
佐々木「(なんだろう、この切ない感じは……)」
キョン「体調悪いんじゃないか、ちょっと顔が赤いぞ」
佐々木「な、なんでもないったら」
キョン「ほんとか?」
じーっ
佐々木「……いや、ある意味あまり芳しくないかな、体調は」
キョン「少し休むか。暖房の効いた建物の中で、温かいものでも飲もう」
佐々木「うん、賛成だね。ちょっと心を落ち着ける必要があるんだ」
キョン「?」
~カフェ的なアレ~
佐々木「ねえ、キョン」
キョン「なんだよ」
佐々木「僕の記憶が正しければ、君はついさっき、暖房の効いた建物で、って言ったね」
キョン「そうだったかな」
佐々木「なんだいこのオープンテラスは、風通しがずいぶんいいね」
キョン「仕方ないだろう、中の席が埋まってたんだから」
キョン「ほら、これ着てろ」
ふぁさ
佐々木「あ」
キョン「ほんとに体調悪かったら言ってくれ、無理しちゃ休みが台無しだからな」
佐々木「なんだい、時々そうやって君は」
キョン「ん?」
佐々木「(時々、すごく大人っぽくなるんだ……僕なんかよりずっと)」
佐々木「……」
キョン「……」
佐々木「……まったりするねえ」
キョン「こういう休日も悪くないだろう」
佐々木「うん、ずいぶん休まってるよ」
キョン「お前は少し頭を使いすぎなんだよ、普段から」
キョン「こうやって、何も難しいこと考えずに過ごすのも、たまには必要なのさ」
佐々木「んー」
佐々木「んん……むにゃ」
キョン「ん、起きたか」
佐々木「あ、あれ……いつの間に」
キョン「随分気持ちよさそうに寝てたから、起こすに起こせなくてな」
佐々木「うう……んー、すまないね」
キョン「ほら、起きたなら、さ」
佐々木「ん?」
キョン「頭をどけてくれると嬉しいね。さすがに肩が凝っちまう」
佐々木「え!?あ、ああ!」
キョン「ま、いいんだが」
佐々木「(ぼ、僕は随分長い間……キョンに寄り添って……うう)」
キョン「疲れてたんだろう。連れ回してなんか申し訳ないな」
佐々木「いや、断じてそんなことはないよ、キョン」
キョン「そうか?」
佐々木「そうだとも」
キョン「ならいいんだけどな……へっくし」
佐々木「ん?」
キョン「ああ、すまん。急にくしゃみが……っくしゅん!」
佐々木「あ……もしかして僕が上着借りてたから」
キョン「いや、違う違う、単に鼻がムズムズしてだな」
佐々木「いーや、嘘だね」
キョン「……なんだよ、格好がつかないじゃないか」
佐々木「あのね、キョン。格好がつくとか、つかないとか、そういうことじゃないだろう」
キョン「そうでもないんだけどな」
佐々木「風邪でも引いたらどうするんだい」
キョン「お前がひくよりいいさ」
佐々木「え……?」
きゅんっ
佐々木「(あ……まただ……)」
佐々木「(心がざわつく、この感じ……)」
佐々木「あ、あの」
ガタッ
キョン「わわっ」
佐々木「ああ、ごめん。肘が当たって」
佐々木「(ティースプーンを落としてしまった……何を動揺しているんだ僕は)」
キョン「やれやれ、どこに行ったかな」
ごそごそ
佐々木「ああ、僕が拾うよ」
ぴとっ
キョン「!」
佐々木「ふわ!?」
佐々木「(ぼ、僕はなんて古典的なことを!)」
キョン「あ、ああ、すまん」
佐々木「(キョンの手……あんなに冷たくなって、随分我慢したんだな)」
佐々木「……ねえ、キョン」
ぎゅっ
キョン「わわっ!?な、なんだ、手なんか握って」
佐々木「ほら、こんなに冷たい」
キョン「え?あ、いや、俺はもともと」
佐々木「そうやって君は、肝心なところばかりごまかすんだ」
キョン「はあ?」
佐々木「さっきはもっとあったかかったよ、この左手は」
キョン「うーむ」
佐々木「ごめん、キョン」
キョン「やれやれ。そういう時はありがとう、って言ったほうがいいと思うぞ」
佐々木「え」
キョン「まあ、お前がそうやってしててくれるなら、すぐにまた温まるさ」
佐々木「!」
キョン「ありがとう、佐々木。……ほら、こうやって言った方が気分いいだろう」
佐々木「あ……」
佐々木「ありがとう、か」
きゅんきゅんっ
佐々木「……っ」
キョン「どうした?」
佐々木「い、いや、あの……しばらくこうしているよ」
ぎゅっ
キョン「なんか変な感じだけどな」
佐々木「い、嫌かい?僕に手を握られるのは」
キョン「嫌じゃないが、なんとなくこそばゆいな」
佐々木「早く温まるといいんだけどね」
ぐぐっ
キョン「さ、佐々木!その、なんだ、あの」
佐々木「?」
キョン「当たってるんだが」
佐々木「え……うわ、わっ!ご、ごごご、ごめんよ!」
佐々木「……」
キョン「……」
佐々木「……あの」
キョン「……その」
佐々木「さ、先に言いなよ」
キョン「いいよ、別にたいしたことじゃない」
佐々木「そ、そうか」
キョン「……」
佐々木「……あの、ひとつ取り留めもないことを質問してもいいかな」
キョン「何だよ急に」
佐々木「今、僕はふと、今日一日のことを振り返っていたのさ」
キョン「ふむ」
佐々木「二人で遊園地にきて、まったりお茶をして、君の肩に寄り添ってうたた寝をして」
佐々木「今はこうやって君の手を握って、隣り合って座っている」
佐々木「この一連の流れを、第三者が見ると、僕らはどういう風に映るんだろうか」
キョン「なんだかお前の言い方に少し語弊がある気がしないでもないが」
キョン「まあ仲のいい二人って所だろうか」
佐々木「そ、その仲が良いっていうのは、どういう具合に」
キョン「なんだ、何が言いたいんだよ」
佐々木「僕が危惧しているのはね?僕らがつがいの様に映ってしまっているんじゃないかってことさ」
キョン「つがいって……お前は時々素っ頓狂なボキャブラリーを発揮するな」
佐々木「そ、そんなことはどうでもいいんだよ。とにかく、それじゃあ心外だろう?」
キョン「なんで俺にそんなこと聞くんだ」
佐々木「心外だって言っておくれよ」
キョン「はあ?」
佐々木「じゃなきゃ……困るんだ」
キョン「おいおい、よくよく話が見えなくなってきたんだが」
佐々木「それが普通なんだ、だって僕らはそういう仲じゃないんだから」
佐々木「なのに、なのに、僕は」
佐々木「ああ、もう!」
ええいもどかしい!
120:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/14(木) 01:02:58.75:Mxj1NLMCPキョン「おい、よくわからんが落ち着けよ」
佐々木「僕はおかしいんだ」
キョン「佐々木?」
佐々木「僕と君が今日、今この瞬間も、仲睦まじいカップルに見えていると思うと」
佐々木「何故か胸の奥がじんじんするんだよ、その、すごくね」
キョン「あの」
佐々木「心の病気なんだ、普段ならなんだって、簡単に頭の中で整理できるのに」
佐々木「今はいくら考え込んでも、よくわからなくなってしまう」
キョン「おーい」
佐々木「だから、キョン。君の口から言ってくれ。そんなの気のせいだ、勘違いだって」
キョン「話が飛び石過ぎて、俺はまったくついていけてない訳だが」
佐々木「……はあ」
キョン「……まあ、なんだ。お前が何を錯乱しているのかわからんが、ひとつ」
キョン「俺は、今日みたいな一日の過ごし方、割と嫌いじゃないね」
佐々木「……ああ、まただよ。君はいつもずるいんだ」
『お前は少し頭を使いすぎなんだよ、普段から』
『こうやって、何も難しいこと考えずに過ごすのも、たまには必要なのさ』
佐々木「(……頭を使いすぎ、か)」
佐々木「……ねえ、キョン」
キョン「なんだ」
佐々木「一つ聞いてほしいことがあるんだ」
キョン「二つ三ついっぺんに聞いてやろうか」
佐々木「もう、茶化さないでくれないか。結構真面目な話なんだ」
キョン「そうか」
佐々木「この間の、僕の発明の話さ。ほら、これ」
キョン「ああ、それな」
佐々木「この装置はね、結局何も壊れてなかったんだ」
キョン「そうか……ん?あれ?」
佐々木「でも、僕にはそれが信じられなかったのさ」
佐々木「それも無理はないよ。君の言うとおりだった、自分の事なんて、自分じゃ何もわかってなかった」
佐々木「よっと」
スチャッ
佐々木「これで、君を見るとね」
ぺかー!!
キョン「まぶしっ」
佐々木「その、あの、……そういうことなんだ」
キョン「……」
佐々木「だ、だから、ええと」
佐々木「ぼ、僕は……キョンのことが……好きだったみたい」
キョン「……」
佐々木「だ、だから何なんだって話だね。すまない、本当にどうでもいいことをベラベラと僕は……」
キョン「あー、すまん。あの、なんというか、ちょっとそれ、借りるぞ」
すぽっ
佐々木「あ、え?」
キョン「……よっと」
キョン「……な、どうだ」
キョン「俺もあまりこういう経験がないもんでさ、気の利いたセリフとか何も思いつかないんだが」
佐々木「あ……」
キョン「その、ちゃんと光ってるか?」
佐々木「……」
佐々木「……もう」
キョン「……」
佐々木「まぶしいよ、キョン」
キョン「そうか、よかった」
佐々木「あ、あれ、変だな。なんで僕は泣いて……」
キョン「……まぶしすぎたかね」
佐々木「……ばか」
キョン「しかし、お前も面白いもの作ったなあ」
かぽっ
佐々木「わわ、何をするんだ」
キョン「こうやってかぶせるだろ?そんで」
ぎゅー
佐々木「ふぁっ!?き、君は一体何を……!」
ぺかー!
佐々木「!」
キョン「で、こうすると、だ」
なでなで
佐々木「はう」
きゅんきゅんっ
ぺかぺかー!
佐々木「わ!わ!わ!」
キョン「これはいいものだ」
佐々木「ひ、人をおもちゃにするのはやめてくれないか!」
キョン「いいじゃないか、『つがい』なんだから」
佐々木「な、なな、何だって」
ぺかぺかぺかー!!!
佐々木「~~~~~っ!」
キョン「ふっふっふ」
佐々木「……ぐすっ……キョンなんかきらいだ……」
キョン「よしよし」
なでなで
佐々木「や、やめ」
ぺかぺかぺかー!!!
佐々木「うう……もう光っちゃだめ……」
キョン「かわゆすなあ」
あとは佐々木とキョンが永久にちゅっちゅするだけなので割愛します
147:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/14(木) 02:23:22.42:Mxj1NLMCP__
 ̄ ̄ ̄二二ニ=-
'''''""" ̄ ̄
-=ニニニニ=-
/⌒ヽ _,,-''"
_ ,(^ω^ ) ,-''"; ;,
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(.゙ー'''", ;,; ' ; ;; ': ,'
_,,-','", ;: ' ; :, ': ,: :' ┼ヽ -|r‐、. レ |
_,,-','", ;: ' ; :, ': ,: :' d⌒) ./| _ノ __ノ
おいこら
144:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/14(木) 02:12:28.37:fE83MZTcOそこが最も大事なのだということに気づかんのかね
156:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/14(木) 03:44:43.54:deSPL8OV0ごちそうさまでした
157:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/14(木) 04:03:48.97:7+o9Ij5m0乙
続きが読みたい!というところで終わるのもまた良し。
続きが読みたい!というところで終わるのもまた良し。
おまけ
121:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/14(木) 01:10:15.87:v0ZDtxOn0131:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/14(木) 01:32:51.51:v0ZDtxOn0
133:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/14(木) 01:37:43.28:DshReNo40
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なんて恐ろしいブログなんだ
これはこれで面白いけど