和「私もムギを抱きしめたりしたいわ」
紬「軽音部とはなんだろう」
澪「素直澪ちゃん!?」

1以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/18(月) 15:12:56.34:GHcv3bCq0

澪「なんだその罰ゲームは!」

律「なんだも何も、大富豪で三回も大貧民になった超絶大貧民様に課せられた、
   正当な罰ゲームだよ」

唯「率直に言っちゃえば、いつもとは違った素直な澪ちゃんで私たちと接して欲しいなぁ、って」

紬「まぁ! なんて素敵なのかしら!」キラキラ

澪「私はいつも自分に正直だ!」

律「いや、んなこと無いだろ」

 
2以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/18(月) 15:14:59.58:GHcv3bCq0

澪「大体、最後の文化祭が終わって、
   唯の家で打ち上げと称してお菓子食べ始めたりしたところで、
   律がトランプでもしようって言ったこと自体がおかしいんだ!」

律「あれあれ~? 負けた途端言い訳ですか? 澪さん」

澪「なっ……!」

唯「あっ、でもそういう本音をぶつけるところが素直な澪ちゃんなんだねっ!」

紬「つまりもう罰ゲームは始まってるのねっ!」キラキラ

澪「始まってない! と言うかそもそも!
   大富豪ってゲーム自体、負ければ負け続けるゲームで不利すぎるんだよ!」

律「今更ソレを言うのか……」

 
4以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/18(月) 15:16:49.92:GHcv3bCq0

律「分かりきってたことだろ?
   大貧民は大富豪に強いカードを二枚、貧民は富豪に強いカードを一枚、それぞれ差し出す。
   ほら、正当なルールじゃないか。
   それに同意してゲームして、負けた途端ゴネだしたり言い訳したりするのは、みっともないぞ」

澪「ぐっ……!」

律「素直に罰ゲームを受けろって。っつか、そんな無理なもんでもないだろ?
   いつも私と二人の時みたいに、建前とか抜きにして話せば良いだけなんだからな」

澪「うぅ~……りつぅ~……」

律「甘えた声を出してもダ~メ」

 
5以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/18(月) 15:17:41.55:GHcv3bCq0

澪「あずさぁ~……」

梓「ぐっ……さっきから何も言わず、
   空気と化してこの場を乗り切ろうとしていた私に振りますか……」

紬「そう言えば澪ちゃんの罰ゲームが決まってから静かだったわね、梓ちゃん」

梓「だって先輩方の罰ゲームの相談だなんて、後輩の私が口を出せる訳無いじゃないですか」

唯「それは違うよあずにゃん!
   あずにゃんもゲームに参加した以上、負けた人への罰ゲームは口出ししても良いんだよ!
   それが、勝者が敗者へとしてやれる、最大限の礼儀なんだよっ!」

梓「……なんのマンガの言葉ですか、ソレ」

 
6以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/18(月) 15:18:51.22:GHcv3bCq0

澪「うぅ~……むぎぃ~……」

紬「はぁぅっ! 半泣きで上目遣いをしてくる澪ちゃん! なんて可愛いの!」

律「……これだけでもうムギは満足し始めてるな」

唯「さっきからキラキラしっぱなしだもんね」

紬「でももっと可愛い澪ちゃんを見たいから!
   りっちゃんにしか見せてない澪ちゃんも見たいから!
   私は素直澪ちゃん罰ゲームを推進するわっ!」

梓「そしてあっさりと澪先輩の敵になりましたね」

 
7以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/18(月) 15:20:02.18:GHcv3bCq0

律「ほぅ、じゃあ梓は澪の仲間なのか?」

梓「まさか。
   デコピンとか痛いのに比べれば、
   皆の前で服を脱ぐとか恥ずかしいものに比べれば、
   素直になるぐらいどうってことないです。
   まぁ、澪先輩の場合はソレが恥ずかしくて無理なんでしょうけど」

律「でも今梓が言ったものも澪は嫌がりそうだしな……」

唯「りっちゃんが言ったのが、たぶん一番澪ちゃんにバッチリな罰ゲームだよね」

梓「皆さんが喜べて、澪先輩の限界メーターを振り切ることが無いもの……確かにコレぐらいしか思いつきませんね」

律「だろ? 伊達に幼馴染はやってないぜ」

 
10以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/18(月) 15:21:36.96:GHcv3bCq0

澪「うぅ~……ゆいぃ~……」

唯「ダメだよ澪ちゃん! 勝負の世界は非情なんだよ!
   真剣勝負をした以上、負けた人は勝った人の言うことを聞かないと、
   それは真剣に勝負をした相手にも失礼ってことになっちゃうんだよっ!」

律「おっ、唯が良いこと言った!」

律(つっても、最初はルールも知らなかったムギが、
   始めてから一度も大富豪の地位から落ちないってのは、いささか不思議な感じがしないでもない……)

澪「……うぅ~……」

 
11以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/18(月) 15:22:50.26:GHcv3bCq0

唯「さぁ! 観念するんだよ! 澪ちゃん!」

紬「さぁ! 澪ちゃん!!」キラキラ

澪「………………ったよ」

律「え?」

澪「分かったって言ったんだよ。
   確かに罰ゲームに同意してゲームしたのは私だし、
   何より痛いものとか、知らない人に対して恥ずかしい思いをするのとかでもないから、
   よくよく考えれば全然マシな分類だ」

律「そうだよな。一年の頃の文化祭のパンツ事件に比べれば――」

澪「やめろ! アレは思い出すだけでも恥ずかしいっ!」

 
12以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/18(月) 15:23:49.66:GHcv3bCq0

澪「ごほん……と、ともかく……そういうのに比べれば、素直になるだけなんて何とも無い。
   むしろ、今までの私通りに行動してれば良いだけなんだからな」

律「いやいや、澪。お前勘違いしてるぞ」

澪「え?」

律「お前が本当に素直なのは、私に対してだけだ。
   つまりは、他の皆に対しても、私と同じように接しないといけないってことだぞ?」

澪「律こそ何言ってんだよ。私は皆と律の扱いに差を作ったことなんてないぞ」

唯(自覚無いんだ……)

紬(自然に幼馴染に頼ってるなんて……澪ちゃんったら可愛い~♪)

梓(私に対しても素直になってくれるんでしょうか、澪先輩は。
   ……もしそうなら……それは……ちょっと嬉しいかも……)

 
13以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/18(月) 15:24:59.49:GHcv3bCq0

律「ああ~……確かに差は作ってないかもしれないが、少なくても壁は作ってるだろ」

澪「それも無いって」

律「あるだろ。例えばほら、私が澪に抱きつこうとしたら、お前はどうする?」

澪「ぶってでも止める」

律「だろ? って改めて聞くと結構酷いな……」

唯「ぶっても大丈夫だってりっちゃんを信用してる証なんだね~」

紬「無意識のうちにりっちゃんに頼っちゃってる澪ちゃん……可愛いわぁ~♪」

澪「そ、そんなことない!」

 
14以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/18(月) 15:26:15.13:GHcv3bCq0

律「じゃあ、唯が抱きしめようとしたらどうする?」

澪「そりゃ……頭を押さえつけて止める」

律「ムギなら?」

澪「止め……られる自信は無いな」

律「梓は?」

澪「……何か理由があるんだろうから、抱きしめ返してあげる、かな」

律「ほら違う」

澪「で、でもそれは――」

律「いやいや、何も私だって、皆をぶてって言ってるわけじゃないぞ?」

 
15以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/18(月) 15:27:53.58:GHcv3bCq0

律「ただ、そういうのを壁を作ってる、もしくは差を作ってるって言うんじゃないのか?」

澪「いやだから、それはそれぞれのキャラであって――」

律「そう、キャラだからぶてないのは仕方が無い。それは私も理解できる。
   現に私も、ムギにぶってって頼まれた時は困ったもんなぁ~……」

澪「だろ?」

律「でも、そもそも私に対してぶつってことをするの自体、澪は素直になってないだろ?」

澪「は?」

 
16以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/18(月) 15:28:48.11:GHcv3bCq0

律「本当は抱きしめられたい。
   でも他人の目があるから恥ずかしい。
   だから無理。
   だから照れ隠しにぶっちゃう。
   ……そんな感じじゃないのか?」

澪「そ、そんなことは無い!」

唯「顔を真っ赤にして言われてもねぇ~」

紬「そうねぇ~」

梓「あまり説得力は無いですね」

澪「皆まで!?」

 
17以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/18(月) 15:30:16.74:GHcv3bCq0

律「つまりは、そういう恥ずかしいって思う感情を取っ払って――ああ、違うか。
   他人の目が恥ずかしい、って思って、自分を制御しないで欲しいって言ってるんだ。
   この罰ゲームは」

梓「恥ずかしいって感情をそのまま取っ払ったら、ただの痴女ですもんね」

紬「痴女だなんて……梓ちゃんったら大胆ね」///

梓「えぇっ!? なんでそうなるんですかっ!?」

唯「あずにゃんは大人の階段を上ってるんだね……」

梓「そ、そんなのじゃありません!」///

律「あ~……ともかくは、だ。
   私たちに遠慮しないようにしてくれ、ってことだ。
   自覚が無いから難しいかもしれんが、言葉を発する前に少し、自分の気持ちの奥底を整理してみてくれ。
   で、整理して、それでも恥ずかしすぎて自分が少しもしたくないと思うことなら断れば良いし、
   恥ずかしいけれど少しはしてみたいと思うことなら、恥ずかしいとかを抜きにして、ソレをしてみてくれ」

 
18以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/18(月) 15:32:16.47:GHcv3bCq0

澪「う~……って言うか、律がなんで私のことをそんなに決め付けるんだ?
   私自身はそうじゃないって言ってるだろ?」

律「いやいや、むしろ知ってるに決まってるだろ? 幼馴染なんだし。
   昔の澪は『恥ずかしくてイヤだ』って感情が確かにあったのに、
   今の澪は『恥ずかしいけどやってみたい。けど恥ずかしいからやらない』になってるんだよ。
   だから素直になって、その恥ずかしいってのを抜きにしてくれって話だよ」

澪「難しいよぉ~……」

律「一度心の中を整理するだけだろ?
   それにさっきも言ったが、整理した上でイヤだったらイヤで良いんだ。
   それも素直な澪なんだからな」

梓「そうですよ、澪先輩。イヤならイヤで良いんです。
   ただ、やってみたいけど恥ずかしいってだけの理由なら、ちょっと勇気を出してみてくださいってだけで」

澪「梓……」

 
20以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/18(月) 15:33:10.67:GHcv3bCq0

澪「……そうだよな。そもそも罰ゲームなんだから、多少難しくて当たり前だ。
   ……分かった。やってみるよ」

唯「おぉ~! 一気にやる気だね、澪ちゃん!」

律(つっかれた~……っつか、ここまで説明して言ってやらんと自分の気持ちに気付かないって、
   澪ってば相当ひねくれてんだなぁ……)

紬「“ひねくれ”じゃなくて“ツンデレ”って言うのよ~♪」

律「おおぅ! っつかムギ人の心を読むなっ!」

梓(乙女電波……)

 
21以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/18(月) 15:34:19.89:GHcv3bCq0

唯「じゃあ早速……澪ちゃんをギュ~♪」ギュ~

澪「ちょっ、唯! やめ――」

澪(――ハッ! ここで心を一旦整理するのか……。
   え~っと……別に唯に抱きつかれるのは、イヤじゃ……無い。
   ただ恥ずかしいだけで……ってことはここは受け入れて……むしろ自分の気持ちを曝け出して――)

澪「――わ、私も唯を、ギュ~♪」ギュ~

律「おぉ!」

紬「まぁっ!」キラキラ

梓「なんと!」

 
22以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/18(月) 15:35:31.34:GHcv3bCq0

唯「えへへ~……澪ちゃん柔らかくてあったか~い」スリスリ

澪「そ、そうか……? あ、ありがとう……」///

澪(は、恥ずかしい……けど、イヤじゃないな……うん。
   正直になるって、意外に簡単なもんだな。うん。
   ……恥ずかしいけど……)///

律「さすが唯だなぁ……躊躇いもせずに抱きついたぞ」

梓「まぁ、可愛いもの好きの唯先輩らしいですね」

律「確かに。正直になった澪はマジで堪らんな」

梓「唯先輩を抱きしめ返す時の、あの躊躇いながらも腹を括った真っ赤な表情、確かに良かったですね」

 
23以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/18(月) 15:36:46.87:GHcv3bCq0

律「ライブの時とはまた違った覚悟の表情だったよなぁ……。
   っつか今思えば、澪も一年生の頃はよく唯に手を握られてたもんなんだが……。
   梓が来てからそういうのが無くなってたなぁ……」

梓「その分が全て私に来てるからですかね……」

律「って言うよりも、後輩が出来たから先輩風を吹かせたいんだろ? 澪が。
   だからそういう素が出るようなことは遠ざけるようになったんじゃね?」

梓「でもそれってもしかして、唯先輩は私を澪先輩の代わりにされてるんでしょうか?
   抱きつかせてもらえないから私で代用、みたいな」

律「どうだろ? そこまでは考えてなさそうだけどな、唯は。
   楽しくて可愛いものなら何でも好きそうだしな」

 
24以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/18(月) 15:38:20.56:GHcv3bCq0

紬「あぁ……唯ちゃん良いわぁ~……」

梓「……何をウットリしてるんですか、ムギ先輩」

律「そんなに羨ましいんならムギも頼んでみたらどうだ?」

紬「えっ!? 良いの!?」

律「いや、そりゃ罰ゲームなんだし、皆平等に接する機会はあるぞ」

梓「試しに言ってみたらどうですか?」

紬「そ、そうね!」

梓(そんなに覚悟を決めること……?)

紬「あ、あの! 澪ちゃん!」

 
26以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/18(月) 15:39:04.36:GHcv3bCq0

澪「ど、どうしたムギ……?」

紬「つ、次は私を! ハグしてくださいお願いしますっ!!」

律(そんな決死の覚悟みたいに言わなくても……)

澪「え、え~っと……じゃあ……」パッ

澪「む、ムギも、ギュ~♪」ギュ~

紬「はわっ!」///

律「おぉ! 自分からいった!」

唯「澪ちゃんが成長していってる!」

梓「成長……なんですか?」

 
27以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/18(月) 15:40:01.15:GHcv3bCq0

紬「え、え~っと……ぎゅ、ギュ~♪」ギュ~

澪(う、うわぁ~……)///

澪「む、ムギってば、良い匂いし過ぎ」///

紬「えっ!?」///

澪「あっ、ごめん。つい、言葉に出しちゃってた……」///

紬「べ、別に、良いよ……」///



律「……なんだろ……見てるこっちまで恥ずかしくなってくる」///

梓「そ、そうですね……二人共、テレテレですもんね」///

唯「そうかなぁ~?」

 
28以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/18(月) 15:41:22.31:GHcv3bCq0

梓「唯先輩の時はほら、唯先輩が照れてませんでしたから」

律「でもあの二人の場合はなぁ……二人共喜びながら、どこか恥ずかしそうだし……」

梓「なんかこう、付き合いたてのカップルを見てる気分になるんです」

律「そうそう! そんな感じ!」

唯「ん~……抱きしめるほど好きだから、抱きしめることが出来たら嬉しい……。
   そこは分かるから、二人共が嬉しがってるのは分かるんだけど……。
   りっちゃんやあずにゃんが言うみたいに照れてるってのが分かんないなぁ~……」

 
29以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/18(月) 15:42:46.17:GHcv3bCq0

梓「まぁ、可愛いものならなんでも抱きつく唯先輩にとって、
   女の子同士でも抱きしめ合うのがどれだけ恥ずかしいのかが分からないんでしょうね」

律「感覚が麻痺ってきてるんだろうな。
   ま、それだけ純粋って事なんだろうけど。
   可愛くて好きだから抱きしめたい、だから抱きしめることが出来たら嬉しい、
   なんて行動原理してるんならさ」

梓「子供っぽいだけじゃないですか?」

律「それを純粋って言うんだよ、梓」

梓「自分の欲望に、って付きません? その純粋って言葉の前に」

唯「さっきから二人共ひどいっ!」ガーン!

 
31以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/18(月) 16:09:02.83:GHcv3bCq0

澪(なんだろ……頭がクラクラしてきた……。
   ……あぁ、なんだか唯が皆に抱きつくのが分かるなぁ……。
   なんかこう、頭がポワポワしてきて、メチャクチャ気持ち良い……)

紬「澪ちゃんの身体、本当に柔らかい……」///

澪「む、ムギの身体だって、メチャクチャ柔らかいぞ……。
   それになんだか、とってもあったかいし……髪もふわふわで、ずっとこうしていたくなっちゃう」///

紬「そんなこと言ったら澪ちゃんだって、髪の毛サラサラで、ずっと触っていたくなっちゃう」///

澪「ムギになら、その、いくらでも、梳いていてくれて構わないぞ」///

紬「本当……?」///

澪「あ、ああ……その代わり私も、ムギの髪を触り続けるけど」///

紬「あ……」///

 
32以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/18(月) 16:23:03.04:GHcv3bCq0

梓「……二人共顔が真っ赤ですね」///

律「そういう梓だって」///

梓「そういう律先輩だって」///

律「いやだって、なんかこう、むず痒いんだよ。澪の歌詞見たとき以上に!
   しかも何か部屋の気温が上がったのかって錯覚するぐらい熱いし!」

梓「目の前で熱々なことされてますからね」

律「ああもう限界!
   おい澪! ムギはその辺にして! 二人共離れて元の場所に座れ!
   次は澪が抱きつきたい奴を逆指名しろ!」

澪「えっ、あ、そうだな……」///

紬「名残惜しいわ……澪ちゃん」///

澪「私もだ……ムギ」///

律「後でいくらでも抱き付き合えば良いだろ二人で!」

 
33以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/18(月) 16:24:14.23:GHcv3bCq0

律「全く……」

梓「と言うか、あまりにも二人共、夢中になりすぎじゃありません?
   ムギ先輩が、その、そういうのが好きなのを差し引いても」

律「まぁたぶん、梓が入部する前とかは、
   澪が何度かムギに泣きついてたことがあったり、ムギが澪を励ますことがあったりしてたからな……。
   妙な懐かしさでもあったんじゃないの?」

梓「むぅ……また私の入部前ですか……」

律「そうむくれるなって。
   澪ってばなんだかんだ言って、一番先輩風を吹かせたいタイプだからな。
   唯の方がそういうの目立ってたけど、澪もちゃっかりそういう部分はあったんだよ」

梓「……こんな言い方は失礼ですけど、妙に子供っぽいですね、澪先輩」

律「今更じゃね? そういう部分、今までも何度かあっただろ?」

梓「そうでしたっけ?」

律「全部ギャップ萌えとして吸収されてるから気付いてないのか……」

 
34以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/18(月) 16:26:00.93:GHcv3bCq0

唯「それでそれで!? 澪ちゃんは誰に抱きつきたいの!?」

澪「う~ん……」

唯「私!?」

澪「いや、唯……でも良いけど、さっき抱きついたし……」

唯「じゃありっちゃん!?」

澪「律……よりも、先に梓を抱きしめたい」

梓「私ですかっ!?」

 
35以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/18(月) 16:28:03.21:GHcv3bCq0

律「ほら梓。ご指名だぞ」

梓「で、でも……」///

紬「ほら、梓ちゃん」

律「ほら、梓」

唯「ほら、あずにゃん」

梓「み、皆さんして! 一体どうしたんですかっ!?
   と言うか澪先輩がいつもと違いすぎます!」ガタッ!

律(そんな立ち上がってまでツッコまなくても……)

澪「それは、その……今は、素直になる罰ゲーム中だから……」

梓「た、確かにそうですけど……」

澪「それになんだか、この柔らかい感触とか、あたたかさとか、
   誰か女の子に抱きつくのが癖になってきた……」

紬「まぁっ!」キラキラ

梓「唯先輩化してきてるっ!?」

 
37以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/18(月) 16:32:29.55:GHcv3bCq0

澪「その……イヤ、か……?
   梓がイヤだって言うんなら、私もその、無理強いはしないけど……」

梓(うっ……その上目遣いは反則です……)///

梓「わ、分かり、ました……」///

澪「ほ、本当か!?」パァ~

梓(そんな嬉しそうな表情浮かべなくても……。
   というか、身長の高い澪先輩がしゃがんだまま私に上目遣いしてきたり、
   クールな印象が強い澪先輩がこんな素直に喜んだりしてるの見ると……。
   なんか、ドキドキする……)///

紬「それがギャップ萌えってやつなのよ~♪」

梓「また乙女電波ですかっ!」

律(今日のムギは全力全開だなぁ……。
   まぁ、ずっと大富豪だったムギが一番喜んでんだから、罰ゲームがあるべき場所に着地した、
   って感じだけど)

 
38以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/18(月) 16:40:18.37:GHcv3bCq0

澪「それじゃあ梓、早速ギュ~ってしよう。ギュ~って」

梓「は、はい……」///

梓(嬉しそうに言うなぁ……コッチはすごく照れてるのに……)///

律「澪も素直になってきたなぁ……」

紬「そうね♪」

唯「澪ちゃんが素直だとこうなるんだね」

梓(いえこれ絶対頭のネジが緩み始めてますよ、先輩方)

澪「ほら梓。早く早く」

梓「わ、分かりました……」///

梓(なんかこう、幼児退行が始まってるような気がしますし……)

梓「えっと……では」

澪「うん♪ ギュ~♪」ギュ~

梓「ぎゅ、ギュ~……」///

 
39以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/18(月) 16:41:13.57:GHcv3bCq0

梓(あぁ……なんて良い匂い。っていうか色々と柔らかいです澪先輩……)///

澪「ふふっ、梓可愛い♪」

梓(可愛いのはあなたの方です澪先輩。
   後顔が埋もれるおっぱいがとんでもない柔らかさです……)///

澪「あぁ……梓は本当に可愛いなぁ……唯が抱きついてるのを見て、ずっとこうしたいと思ってたんだ」

梓「ふぉ、ふぉうなんでふか?」///

梓(あ、そうなんですか、って上手く喋れない)

澪「うん。そうなんだ」

梓(あ、でも通じた。と言うかさすがに、そろそろ苦しくなってきたかも……)///

澪「だから今日」

バッ

澪「こうして梓を抱きしめられて、私はメチャクチャ嬉しいよ」ニコッ

梓「あ……」///カァッ

梓(っ……! もぅ~……!
   顔を離したと思ったらこんな至近距離で微笑んでくるなんて……澪先輩ったら反則過ぎだよぉ~……)///

 
40以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/18(月) 16:41:58.16:GHcv3bCq0

律「中々に初々しいなぁ……」

紬「そうねぇ~♪」ポワ~ン

唯「心がホカホカとするねぇ~……」

律「と言うか二人共、髪型とか似てるせいか、ああして抱きしめ合ってると姉妹みたいだな」

唯「確かにそうだね。去年の合宿でもさわちゃんが言ってたし」

律「梓が髪を下ろすか澪が髪を括るかしたら本当に姉妹そのものだよな」

紬「澪ちゃんが釣り目で梓ちゃんがタレ目。そのぐらいしか違いがないものねぇ~」

律「そこが余計に姉妹らしさを際立たせるんだよなぁ……」

唯「うんうん」

 
42以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/18(月) 16:43:28.49:GHcv3bCq0

澪「あ、そうだ梓。もう一つ頼みがあるんだけど、良いか?」

梓「な、なんですか?」

澪「唯みたいに、あずにゃん、って呼んでみても良い?」

梓「えぇっ!?」

澪「……ダメ、か?」

梓「いえ、その……」

梓(う~……だからそこでのその窺うような目遣いは反則ですよ、澪先輩)///

梓「……わ、分かりました……」///

澪「い、良いのかっ!?」パァ~

梓「で、ですが! 一度だけです! それ以上は恥ずかしすぎますので!」

澪「わ、分かった。一回だけだな……恥ずかしいのがイヤなのは私も分かるし、その条件を飲もう」

梓「お願いします」

澪「ああ……では、いくぞ?」

梓「……はい」

梓(うぅ~……妙に緊張する~……)///

 
43以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/18(月) 16:44:23.39:GHcv3bCq0

澪「あず、にゃん」

梓「……はい」///

澪「あずにゃん♪」

梓「はにゃっ!?」///

澪「あ~ずにゃん♪」

梓「ちょっ、澪先輩!?」///

澪「あ~ずにゃ~んっ♪」ガバッ

梓「や、約束が違います! と言うかいきなり抱きつくなんて聞いてな――」///

澪「可愛い。可愛いよぉ、あずにゃ~ん♪」

 
44以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/18(月) 16:45:45.59:GHcv3bCq0

紬「まぁっ! まぁまぁまぁまぁまぁっ!」キラキラ

律「あぁ~……やっぱこうなったか」

唯「こうなったかって、どういうこと? りっちゃん」

律「澪ってば、日頃は抑えてるんだけど、可愛いものとかには基本的に目が無くてな。
   歌詞とか見てたら分かるだろ?」

唯「確かに」

律「いつもは梓がイヤがってるのも見てるし、
   自分が先輩だからとか、周りの目が恥ずかしいからとか、色々と理由があるからああまではならないんだけど……。
   今は、自分に素直になっても良い、って言われてるからな。
   色々と抑えが利かなくなってきてんだろ」

紬「なんて素敵なの! 澪ちゃんったら本当に素敵だわっ!」キラキラ

 
45以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/18(月) 16:46:25.33:GHcv3bCq0

律「ま、お察しの通り子供の頃の澪は、
   野良猫とか可愛いものを見たらああして飛びついて抱きついたりしていたもんさ。
   昔は自分を抑えるためのハードルも低かったしな。
   私以外誰も見てなかったら真っ先にああなって飛びついてたんだよ」

唯「ふ~ん……ってことは今の澪ちゃん、罰ゲームで抑えのハードルが低くなってるのもあるけど、
   私たちの前なら大丈夫だって思ってくれてるってこと?」

律「それもあるだろうな。
   ってか、私たちの前でも大丈夫って思ってなかったら、そもそもこの罰ゲーム自体受けてなかっただろうよ」

唯「あぁ~……最初にゴネてたみたいに」

律「そ。最初にゴネてたみたいに。
   あのままずっとああ言い続けて、意地でも罰ゲームなんて受けなかった――
   いや、そもそも罰ゲームがあるゲーム自体しなかっただろうさ」

 
46以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/18(月) 16:47:23.61:GHcv3bCq0

梓「ちょっ、ちょっと澪先輩……!」///

梓(頬ずりだけは……! 頬ずりだけは勘弁して……!
   顔が近い顔が近い顔が近いぃぃぃーーーーーー!!!)///

澪「はっ! ごめん! 梓!」バッ

梓「あっ……」

梓(……ってなんでちょっと残念とか思ってるの私っ!)///

澪「つい、夢中になって押し倒しちゃった……」

梓「い、いえ……まぁ、今回は特別に、許してあげます」///

澪「ほ、本当かっ!? ありがとう!」パァ~

梓(うぅ……メチャクチャ嬉しそうに笑ってくる……。
   本当に澪先輩って可愛いし美人で……反応に困るよぉ……)///

 
48以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/18(月) 16:49:46.42:GHcv3bCq0

澪「……そ、それでさ、梓。もう一つだけ、お願いがあるんだが……」

梓「……まだあるんですか……?」

澪「うん。……その、迷惑とかだったら良いんだけど……。
   こんな、素直になれる時しか言えないから、言うんだけど……」

梓「もうここまできたら構いません。言っちゃってください」

澪「……私のこと、お姉ちゃん、って呼んでみてくれないか?」

梓「…………」

 
49:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/18(月) 16:50:46.44:IS8kyiLdO
ニヤニヤが止まらないwww

 
50以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/18(月) 16:50:51.02:GHcv3bCq0

梓「…………はぇ?」

澪「そ、そりゃ、突然言われたら戸惑うだろう、けど……。
   その、私、梓にお姉ちゃんって、一度で良いから言われてみたかったんだ」///

梓「え~っと……その、なんでまた突然に?」

澪「私たちがそっくりなのもあるけど……でもそれ以上に、後輩の梓に甘えられてみたいな、って思って」

梓「それで妹、ですか……」

澪「うん。それに私一人っ子で、一度で良いから妹ってのに憧れがあったんだ」

梓「まぁ、私も一人っ子ですし、そういう気持ちが分からないでもないですけど……」

澪「律に甘えることがあっても、律に甘えられることって、あまりなくてな。
   誰かに甘えられたいんだ」

梓「はぁ……でもそれなら、妹じゃなくても良いんじゃないですか?」

澪「いや、梓の口から、お姉ちゃん、って言われてみたいっていう個人的な願望もある。
   それにほら、その方が先輩後輩より、梓と近付けるような気がして……」///

梓「そ、そうですか……」///

梓(そりゃまぁ、先輩後輩より、姉妹の方が近いでしょうけど……)///

 
51以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/18(月) 16:52:07.89:GHcv3bCq0

梓「……分かりました。呼んでみましょう」

澪「ほ、本当かっ!?」

梓「で、でも! 今度こそ一度限りです!
   何度お願いされても、これ一回こっきりですから!」

澪「あ、ああ! 頼む! 今度こそ暴走しないようにするからっ!」

梓「そ、それじゃ……それを信用して……。……ごほん。では、言いますよ?」

澪「ああ、頼む」

梓(……なんでこんなにかしこまってんだろ……?
   ……えっと……本当の姉妹みたいにだから、なんかこう、改まった空気のまま言うのもおかしいのかな……?
   じゃあフランクに、あくまでナチュラルに……そう、純にふざけて言うように……)


梓「ねえ、澪お姉ちゃん」


澪「っ!!」///ボッ

 
52以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/18(月) 16:53:54.65:GHcv3bCq0

律「うわぁ~……澪のやつ、自分で頼んでおいて顔真っ赤じゃねぇか」

唯「お姉ちゃん、ってそんなに良いものなの?」

紬「良いに決まってるじゃないっ!」キラキラ

律「あぁ~……まぁムギも一人っ子だしな。一人っ子特有の憧れみたいなのがあるんだろ」

唯「そうかなぁ? お姉ちゃんって日頃から言われ慣れてるから分かんないや」

紬「羨ましいわ! 唯ちゃんっ!」

唯「じゃあ……紬お姉ちゃ~ん!」ダキッ

紬「はうっ! …………」

 
53以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/18(月) 16:54:57.07:GHcv3bCq0

唯「……紬お姉ちゃん?」

律「安心しろ唯。あまりにも嬉しすぎてちょっと意識が飛びそうになってるだけだ」

唯「そうなの?」

紬「…………はっ!」

律「あ、戻ってきた」

紬「も、もう一度お願い、唯ちゃん!」

唯「紬お姉ちゃ~ん!」

紬「唯ちゃんっ!!」ギュ~

 
54以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/18(月) 16:55:43.73:GHcv3bCq0

梓「…………」

澪「…………」ポ~

梓「……えっと……澪お姉ちゃん?」

澪「はうっ!」ボッ

梓(……なにこの可愛い生き物」

梓「澪お姉ちゃん」

澪「あぁっ!」///

梓「澪お姉ちゃん!」

澪「ぐぅっ!」///

梓「澪ちゃんっ!」

澪「ひあっ!」///

 
55以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/18(月) 16:57:03.43:GHcv3bCq0

梓「……って、先輩にちゃんなんて失礼でしたね、すいません」

澪「そんなことはない! もっと! もっとお願いしますっ!」

梓「えぇっ!?」

澪「後輩の梓にちゃんで呼ばれるなんて……お姉ちゃんと同じぐらい新鮮で良かったぞ!」

梓「そ、そうですか……?」

梓(あまり褒められてる気がしない……)

 
57以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/18(月) 16:58:20.66:GHcv3bCq0

ガチャ

憂「みなさ~ん」

唯「あ、憂。おかえり~」

憂「ただいま、お姉ちゃん。お風呂気持ち良かったよ」

唯「それは良かったよ~」

憂「でも、私が一番で良かったの?」

唯「良いんだよ良いんだよ。どうせ私たち、夜遅くまで起きてるんだし」

律「そうだな。文化祭でのライブが終わって、部室で寝ちまってもんな」

紬「たぶん、中々眠くならないわねぇ~」

律「ま、明日は振り替えで休みだし、別に良いんじゃないの?」

唯「そうだね」

憂「それで、次は誰が入られます?」

律「そうだな……んじゃ澪、入って来いよ」

澪「ヤダ!」

憂「えっ?」

 
58以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/18(月) 16:59:23.13:GHcv3bCq0

律「ほらワガママ言ってないで。早く入って来い」

澪「ヤダ! もっと梓と一緒にいるっ!」

憂「……えっと……澪先輩、どうかしたの?」

唯「ん~……ちょっと大富豪の罰ゲームでね。素直になってみて、って言ったらこうなった」

憂「……まさか、お酒が入ってるんじゃないよね?」

唯「私たちまだ高校生だよ~? さすがにソレはないよ~」

紬「ただちょっと、テンションには酔っちゃってるかもしれないわね~」

憂「はぁ……まぁでも、あんな澪先輩って、なんだか新鮮ですね」

唯「さっきはもっと新鮮だったんだよ」

憂「そうなの?」

唯「うん。後で話してあげるよ、憂」

憂「うん……楽しみにしてるね、お姉ちゃん」

 
59以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/18(月) 17:00:54.73:GHcv3bCq0

律「あぁ~、もう……埒があかねぇ……」

澪「だったら律達が先に入って来たら良いだろ?」

律「そんなことしたら、お前が暴走を続けたままだろ?
  ちょっと風呂入って頭冷やして来い」

澪「私はいつも通りだ!」

律「今までの一部始終を録画して明日にでも見せてやりたいよ……良いからほら!
   さっさと風呂入って来いって!
   もうお泊りは決まってるし、入らせてもらえるんだから入って来い。
   そうじゃないとお前のそのキレイな髪、痛んじまうぞ」

澪「うぅ~……」

律「……はぁ……しゃあねぇなぁ……」

 
60以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/18(月) 17:02:52.48:GHcv3bCq0

律「……なぁ澪、お前は梓と離れたくないんだよな?」

澪「ああ!」

律「よしっ! 良い返事だ! じゃあ梓と一緒なら風呂に入るな?」

澪「うん!」

梓「いやちょっ――」

律「じゃあ梓と一緒に入って来いっ!」

澪「よし梓! 行こうっ!」

梓「いやだからちょっと待ってください!」

 
61以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/18(月) 17:04:04.47:GHcv3bCq0

律「あ~? なんだ梓? イヤなのか?」

梓「イヤ……じゃないですけど……でもこの会話の流れはおかしいでしょうっ!」

律「ん~? そうか?」

梓「そうです!」

律「澪が風呂に入りたくない
   →理由は?
   →梓と一緒にいたい
   →なら梓と一緒なら風呂に入るのか→
   もちろん!
   →じゃあ梓も一緒に入れば良い。
   ……うん、どこもおかしいところはないな」

梓「おかしいでしょどう考えても!
   特に私と一緒にいたいの後の結論が唐突過ぎます!」

 
62以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/18(月) 17:04:52.57:GHcv3bCq0

律「気のせい気のせい」

梓「それに私自身にイヤかどうかも訊いてないじゃないですか!」

律「さっき訊いたらイヤじゃないって言ったじゃないか」

梓「ぐ……! でもそれとこれとは話が――」

律「ああ~もう……ほら、澪も梓に頼め」

澪「なあ梓、お願いだ。
   私と一緒にお風呂……入ってくれないか?」

梓「くっ……ひ、卑怯です律先輩!」

梓(こ、こんな頼み方されたら、断れない……!)///

 
64以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/18(月) 17:07:03.88:GHcv3bCq0

澪「……でも……そうだな。梓がイヤだって言うんなら、無理強いは出来ないよな。ごめん」

梓「い、イヤじゃないんですよ!?」

澪「じゃあ良いのか!?」パァ~

梓「くっ……わ、分かりました! 仕方が無いから入ります! 入ってあげますっ!!」

澪「やったあああぁぁぁぁぁーーーーー!!!」

律(どんだけ喜んでんだよ、澪のやつ」

憂「……いつもの澪先輩じゃないね……」

唯「うん。いつもの澪ちゃんじゃないよ」

紬「お、女の子二人で! お、お風呂っ!」

唯「ムギちゃん、どうしたの?」

紬「ゆ、唯ちゃん! 私たちも二人で入ってみない!?」

唯「え? う、うん。私は別に良いけど……」

紬「やったっ」グッ

憂(小さくガッツポーズしてる……ムギ先輩もいつもとちょっと違う……のかな?)

 
66:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/18(月) 17:08:43.82:oDlt2oIW0
5点くらい入ったな

 
65以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/18(月) 17:08:29.33:GHcv3bCq0

澪「じゃあ唯、憂ちゃん。お風呂借りるな」

梓「お、お借りします……」///

唯「うん、ごゆっくり~」

憂「行ってらっしゃ~い」

律「はぁ……やっと行ってくれたか……っつか、梓は何を恥ずかしがってるんだ?
   風呂ぐらい、去年の合宿で一緒に入っただろうに」

紬「それは違うわよ! りっちゃん!」

律「うわムギ! って、え? 何が違うの?」

紬「合宿とか修学旅行とか、そういうのとはまた違うものがあるのよ! 友達の家でのお風呂って!」

律「そ、そうかぁ~……?」

唯「あ~……確かにそうかもねぇ~……。
   ムギちゃんの別荘のとか、修学旅行の時とかのお風呂って、
   湯船が広いから心も開放的になるじゃん。
   でも家のだとそうはいかないもんね~」

憂「言われてみたら、確かにそうかもしれないね」

 
67以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/18(月) 17:09:46.82:GHcv3bCq0

律「ん~……私には分からんなぁ……」

唯「じゃありっちゃんも一緒に入る?」

律「あの二人とか?」

唯「ううん。私とムギちゃん」

律「いつの間にそんな約束してたんだよ……いや、でも私は止めとくわ」

唯「え~? なんで~?」

紬「そうよりっちゃん。家主の唯ちゃんが良いって言ってるんだから良いじゃない。
   絶対に楽しいわよ」

唯「それともやっぱり恥ずかしいの?」

律「そうじゃねぇよ。
   唯の家の風呂を見たことはねぇが、さすがに一般家庭の風呂に三人は窮屈すぎるだろ」

唯「そうかな~?」

憂「う~ん……確かに、うちのだと狭いかもしれないね」

唯「そっか~……」

律「そ。だから私は、最後に一人、ノンビリと入らせてもらうさ」

 
69以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/18(月) 17:11:59.19:GHcv3bCq0

~~~~~~

脱衣所前

澪「……どうしてこうなった……」

梓「あ、正気に戻りましたか、澪先輩」

澪「ああ……ここに来るまでの間に、アレなんでこうなったんだろ?
   って冷静に考え出したら、今までの私がとんでもないことしてたんだって気が付いた」

梓「……まぁ、気にしないで下さい。アレが素直になった澪先輩なんですね」

澪「うわああぁぁぁぁぁ……」///

梓「ちょっ、そんなに落ち込むことは無いんじゃないですか?」

澪「だって……だって……ずっと梓の前で頑張ってきてたのに……。
   頼りになる先輩として頑張ってきたのに……」///

梓「ああ~……いえ、でも、私の中ではまだ頼りになる澪先輩のままですよ?」

 
70以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/18(月) 17:13:13.18:GHcv3bCq0

澪「…………本当か?」

梓「ええ、本当です。
   むしろ、今までよりも可愛い澪先輩が見れて、余計に好きになりました」

澪「す、好きって……」///

梓「そう言って照れる澪先輩しか今まで知りませんでしたけど、
   抱きつき返して愛情を返してくれる澪先輩も知れて、私は嬉しいんですよ。
   だからほら、気にしないで下さい」

澪「そ、そうか……そうだな、うん。
   別にさっきまでの私が私じゃない、って訳でもないしな」

梓「そうですよ」

 
71以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/18(月) 17:14:40.83:GHcv3bCq0

澪「……で、どうする? 梓? 本当に一緒にお風呂、入るのか?」

梓「えっと……」

澪「その……わ、私は……梓と一緒なら入りたいと……思ってるけど……」///

梓「澪先輩……。……うん、なら一緒に入りましょう」

澪「良いのか? その、イヤなら戻っても――」

梓「私だって、イヤだったら徹底抗戦してましたよ」

澪「それって……」

梓「さ、最後まで言わせないで下さい……恥ずかしいです」///

澪「あ、ああ……ごめん」///

 
72以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/18(月) 17:15:45.88:GHcv3bCq0

澪「で、でも……さすがに一緒に脱衣所に入るのは……恥ずかしいかも……」///

梓「だったら、先に澪先輩が入ってください。後で私が入りますから」

澪「そ、そうか? じゃあそうしよう」

梓「はい」

~~~~~~

梓「し、失礼しま~す」

ガチャ

澪「ど、どうぞ……って言うのはおかしいか」

梓「いえ、そんな……」

 
74以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/18(月) 17:16:50.72:GHcv3bCq0

澪「…………」

梓「…………」

澪「……その、入ってこないのか?」

梓「す、すいません、澪先輩……見られているとちょっと恥ずかしいので、後ろを向いてもらっていて良いですか?」///

澪「あ、ああ……そっか、そうだよな。ごめん。先輩なのに配慮が足りなくて」///

梓「い、いえ……」///

梓(中に掛かってるタオルなら前ぐらいは隠せるからコレを借りて、と……)///

 
76以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/18(月) 17:18:25.15:GHcv3bCq0

澪「その、どうする? 一緒に浸かるか?」

梓「いえ、さすがに二人も入ったらお湯が溢れちゃいます。
   そしたら後の皆さんが困ることになるので」

澪「そ、そうか。確かにそうだな」

梓「ですので、私が先に髪と身体を洗わせてもらいます。そして後で交代しましょう」

澪「わ、分かった」

梓「はい」

澪「…………」

梓「…………」

澪梓((妙に気まずい……))

 
78以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/18(月) 17:19:53.79:GHcv3bCq0

澪(う~ん……梓はタオルで前を隠してるからもう見ても良いって言ったけど……。
   でもなんか、こう、ジックリと見続けてたら失礼な気もするしなぁ……。
   でもだからって、どこを見てろって話になっちゃうんだけど……)

梓(うぅ~……恥ずかしい部分とかは隠せてるけど、
   でもやっぱり胸の大きさとかは隠せないからなぁ……。
   澪先輩に見られてるかと思うと、緊張しちゃう……)///

澪(……にしても梓、髪を下ろすと本当に私ソックリだよなぁ……。
   目つきとか身長が違うだけで、他はほんとんど一緒だ。
   ……でも、梓の方が私より可愛いよなぁ……。
   やっぱ身長が低かったりすると、そういう部分で可愛く見えるから羨ましい。
   ……私も梓みたいだったら良かったのに)

梓(澪先輩ってば胸も大きいし、背も高いし、カッコイイし今日みたいにメチャクチャ可愛い時もあるし……。
   そういうのが分かってるだけに、余計に緊張しちゃう……。
   ……というか、私自身自分の身体に自信が無いから、こんな緊張しちゃってるんだろうけど……。
   ……はぁ……私も澪先輩みたいに、身長が高くてプロポーション抜群な大人の女性になりたいな……)

 
79以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/18(月) 17:20:59.63:GHcv3bCq0

澪(梓の髪ってキレイだなぁ……私も手入れは欠かしてないけど、
   梓の方が絶対キューティクルだ。
   ……洗うのとか大変なんだろうなぁ……。
   ……そうだ)

澪「なあ、梓」

梓「は、はい!?」

澪「その、梓の髪、洗わしてくれないか?」

梓「……はい?」

澪「いや、イヤなら良いんだ。ただちょっと、洗ってみたいなって思って」

梓「そ、その……澪先輩が、私の髪を?」

澪「やっぱり、ダメだよな?」

梓「いえ! いえそんな! そんなことないです! むしろお願いします!」

澪「そ、そうか!? それじゃあ早速――」

 
81以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/18(月) 17:22:28.29:GHcv3bCq0

梓「…………」

澪「…………」

梓「……どうかしたんですか?」

澪「いや、その……梓、恥ずかしいから、背中を向けてくれないか?」///

梓「あ! す、すいません! 配慮の足りない後輩でっ!」///

澪「いや……良いんだ。うん、良いんだ」///

 
82:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/18(月) 17:22:39.77:WGMj9BGTO
原作でもあずにゃんの前では気取ってる感あるし、だからこその澪梓でスゴく良いな
素直澪ちゃんカワイイよ


 
83以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/18(月) 17:23:44.49:GHcv3bCq0

澪「やっぱり……梓の髪ってキレイだな……」

梓「そ、そうですか……? ありがとうございます……」///

澪「ああ……ずっと、こうして洗っていたいよ」

梓「そ、それはさすがに……」///

澪「ふふっ、そうだな。
   でも、梓の髪がキレイなのは本当で、ずっとこうして触っていたいのも本当だよ」

梓「そんな……澪先輩の方がキレイですよ」

澪「そうでもないさ。
   でも……そうだな。
   どうせだったら、もっと梓と一緒にいれば良かったな。
   そしたら梓の髪がこんなにキレイなのも、今よりもっと早く分かったかもしれないのに」

梓「そんな大げさな……」

澪「こんなことなら、去年の合宿でも洗ってやれば良かったよ。
   ……本当に……もっともっと、梓と一緒にいたら……」

梓「……澪先輩?」

 
89以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/18(月) 17:28:06.58:GHcv3bCq0

澪「…………」

梓「あの――」

澪「そうだよな……こういうのも、もう二度と、無いかもしれないんだな……」

梓「……あの、どうかされ――」

澪「ほら、流すぞ?」

梓「あ、はい」

ザパァッ

 
91以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/18(月) 17:30:01.27:GHcv3bCq0

梓「ふぅ……ありがとうございました、澪先輩」

澪「…………」

梓「澪先輩……?」

コツ

梓「え?」

梓(背中に何か……澪先輩の頭……?)

澪「なぁ、梓」

梓「はい?」

澪「突然だけどさ、今から罰ゲームだ」

梓「え?」

澪「私が素直になる罰ゲーム。その続きだ」

梓「ど、どうしたんで――」

澪「出来れば、そのままが良い。振り返らないで欲しい。
   今、とんでもなく情けない顔、してるから」

梓「あ、はい」

 
92以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/18(月) 17:30:48.68:GHcv3bCq0

澪「…………」

梓「…………」

澪「なぁ、梓」

梓「はい」

澪「好きだ」

梓「……え?」

澪「私、梓のことが好きなんだ。
   梓のいる軽音部が好きなんだ。
   梓と一緒に演奏できる、放課後ティータイムが大好きなんだ」

梓「…………」

澪「でもさ……それも、今日で、終わりなんだな……!」

梓(澪先輩……泣いてる……)

 
95以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/18(月) 17:32:17.85:GHcv3bCq0

澪「それなのに私ったら、梓に何も残せてない……!
   先輩なのに、大好きな後輩に、何も残せてない……!」ポロポロ

梓「…………」

澪「しかも、梓の方が後輩で、梓の方が不安なはずなのに、
   先輩の私が先に泣いちゃってる……!
   本当に……本当に、情けない……!
   私はっ……! 私のことが、情けない……!」

梓「…………」

澪「しかも、そのことを……! こうやって、梓の髪を洗ってる時に、脳裏を過ぎっちゃって……!
   後輩の前で、情けなくも泣いちゃって……!
   他人のお風呂場で、泣いちゃって……!
   自分の弱さを後輩に吐き出しちゃって……!
   本当に私は、ダメな先輩だ……!」

梓「……そんなこと、ありませんよ」

澪「ある……! あるんだ、梓!
   だって私はっ、今までっ、大好きな後輩のお前と、こんなスキンシップを取ったことも無かったんだぞっ!?
   大好きなのに! 大切なのにっ!
   恥ずかしいだなんて下らない理由で、お前と満足に接することもしてこなかったんだぞっ!
   それのどこが、情けなくないっていうんだ……!」

梓「……それでも、情けなくないんですよ。澪先輩は」

 
98:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/18(月) 17:47:13.93:DTn3RMK90
澪梓でこんな良いSSは久しぶり

 
101以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/18(月) 18:04:37.97:GHcv3bCq0

梓「だって私は、澪先輩とスキンシップを取ってなくても、澪先輩のことが大好きなんです。
   大好きな先輩で、尊敬できる大先輩で、憧れのお姉さんなんです。
   私に何も言わず、私に触れてもこなかった先輩が、私にそう思われていたんです。
   それって……とんでもなくスゴイことじゃないんですか?」

澪「…………」

梓「それだけ澪先輩は、私のことを引っ張ってくれていたってことです。
   澪先輩が自覚していないところで、私に憧れさせるだけのことをしてきたんです。
   だから澪先輩は、情けなくないです」

澪「……こうやって、後輩の背中で泣いていてもか?」

梓「はい。それもまた、澪先輩の素晴らしいところです。
   だってその涙は、私のための涙ですよね?
   私と一緒に入れなかった後悔の、私ともっと話せなかった悲しみの、その涙ですよね?
   それだったら、むしろ私は、澪先輩にお礼を言わないといけません。
   ……私のことを、そんなに好きでいてくれてありがとう、って」

澪「梓……」ギュッ

梓「澪先輩……」ソッ

澪「……私こそ、ありがとう。梓」

 
102以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/18(月) 18:06:38.38:GHcv3bCq0

梓「お礼を言われるほどのことはしてませんよ。
   それに私、澪先輩だから言いますけど、先輩方皆さんのこと、大好きです」

澪「それはたぶん、皆も同じだよ」

梓「知ってます」

澪「え?」

梓「というより、今知れました。……教えてくれて、ありがとうございます。
   澪先輩のこの暖かさのおかげで、私は、そうであって欲しいって思ってることが、叶いました。
   皆さんに好かれていたい、って思いが」

澪「……どうして?」

梓「どうしても何も、触れる皆さんの手と、今の澪先輩の手が、同じ暖かさだからです。
   だから澪先輩と同じ事を、私は思われてるんじゃないか、って思えました」

澪「……手の暖かさなんて、その日によって違うだろ?」

梓「もう、澪先輩ったら。
   放課後ティータイムの作詞担当が、そんな夢の無いこと言って良いんですか?」クスッ

澪「それは……その……」

梓「……違いますよ、澪先輩」

澪「え?」

 
104以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/18(月) 18:13:02.56:GHcv3bCq0

梓「手の暖かさ、じゃないんです。手から伝わってくる心の暖かさが、同じなんです。
   ……ある人からの言葉の引用ですけど、手と手が触れると、心が通じ合うんです。
   そしてその通じた心の暖かさが、皆さんと澪先輩は、同じだった。
   だから……私は皆に好きだと思われてる。
   私がそうであるように、皆さんも好きだと思ってくれている。
   それが、伝わってきました。
   だから、澪先輩はちゃんと、私に残してくれてるんです。
   この、暖かな思いを」

澪「梓……」

梓「澪先輩……大好きですよ、私も。
   そうして情けないと自分を責めるあなたも、何もかもが」

澪「……あずさぁ~……」

梓「……良いですよ。私の背中でなら、いくら泣いても。
   こんな、頼りの無い後輩の背中で良ければ、ですけど」

澪「ううん……! ううん! 梓は私以上に、とっても頼りになる、後輩だよっ……!」

梓「そうですか……ありがとうございます」

澪「……卒業式では、絶対に泣かない……だから、今だけは……!」

梓「そんな意地を張らなくても……まぁでも、そう思うことで、今思いっきり泣けるのなら、そうしてください」

 
105以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/18(月) 18:17:15.70:GHcv3bCq0

~~~~~~

お風呂上り

澪「ごめんな、梓。あんな情けないところ見せてしまって……」

梓「気にしないで下さい。
   というか、さっきも言いましたが、別に情けなくはないですよ?」

澪「でも……私としては、あんなところを梓に見せるのは、恥ずかしかったから……」

梓「全く澪先輩は……そんなに壁を作られたら、悲しくなります」

澪「か、壁を作るとか、そういうのじゃ……」

梓「……くすっ、分かってますよ、澪先輩」

澪「も、もぉ~……梓のイジワル」

 
107以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/18(月) 18:18:18.65:GHcv3bCq0

梓「大丈夫ですよ。他の皆さんには言いません。
   ああして泣く姿は、私だけの澪先輩です」

澪「梓だけの、私……」

梓「そうです。そういう意味でも澪先輩、ちゃんと私に残してくれてるじゃないですか。
   私だけの澪先輩を、沢山」

澪「そ、そうか……?」

梓「ええ、そうです。あまり二人きりになることがありませんでしたが、沢山ありますよ。
   私だけの澪先輩。
   だから、そもそも情けないって泣くこと自体、澪先輩の取り越し苦労だったんですよ」

澪「うぅ……考えすぎてたのかな、私……」

梓「そうですね……そういう部分、確かに澪先輩には沢山ありますね」

澪「うっ」

 
108以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/18(月) 18:19:20.05:GHcv3bCq0

梓「でも、それも澪先輩の魅力ですから」

澪「梓……」

梓「さぁ、皆さんのところに戻りましょう。
   あまり長すぎると、心配してくるかもしれませんからね」

澪「あ、ああ……そうだな。……本当、梓は私以上にしっかりしてるよ」

梓「でも日頃澪先輩がしっかりしてるのは、律先輩がいるからでしょう?」

澪「? どういうことだ?」

梓「頼りにされたらしっかりするけど、頼りになる人が近くにいたら甘えちゃう。
   それが、私の中の、大好きな澪先輩です」

澪「……それって、褒められてるのか?」

梓「少なくとも、貶してるつもりはありませんよ?
   それに、嘘も言ってませんし。
   私が頼りになるって思われてる、ってことでもありますから、正直嬉しいですし」

澪「そうか……本当、梓はしっかりしてきてるな。
   卒業が近付くにつれて。弱気になってきてる私とは、全く逆だ」

 
109以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/18(月) 18:20:05.30:GHcv3bCq0

梓(でもそれは……先輩方皆さんが、私に沢山のものをくれるからなんですけどね……)

澪「? どうかしたのか? 梓」

梓「いえ、なんでもありません」

梓(でも……さすがにコレは言えないよね……。
   もっともっと、沢山のものをもらってからでも……遅くは無いしね)

梓「ただ……そうですね、最後に、励ましの一言だけ良いですか?」

澪「ん?」



梓「素直になって頑張って! 澪お姉ちゃんっ!」

澪「っ……! ……ああ、頑張るよっ!」



終わり

 
117以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/18(月) 18:29:25.94:GHcv3bCq0

オマケ・蛇足・次回予告?

梓『素直になって頑張って! 澪お姉ちゃんっ!』

澪『っ……! ……ああ、頑張るよっ!』


律「全く……ここまで聞こえてきてるっての」

唯「でも……そっか……これで澪ちゃんも、あずにゃんに何かを残せたんだね」

律「だな。……あ~……頑張った甲斐があったってもんだ」

唯「りっちゃんらしいね、そういうの?」

律「そうでもないさ。澪がずっと悩んでて、文化祭終わりまできちまったからな。
   推薦があるっていっても、このままだと受験に響きそうだから、こんなムリヤリな方法を取っただけさ」

唯「そういうさり気なさが、りっちゃんらしいんだよ」

 
121以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/18(月) 18:49:01.62:GHcv3bCq0

唯「……憂もムギちゃんも、寝ちゃったね」

律「まぁ、憂ちゃんは私たちとは違って普通に文化祭を楽しんでたし、疲れてて当然だろ?
   ムギはまぁ……アレだけはしゃいだらな」

唯「でも、ムギちゃんは起こさないとだね」

律「だな。一緒に風呂、入るんだろ?」

唯「うんっ!」

律(さて、と……次は私かな。唯はまぁ……やっぱり、ギリギリまで楽しみたいだろうから、最後の最後だろ)

律「…………」

律(私が梓に残すもの……先輩として、部長として……)

律「…………」

律(……はぁ……決まっちゃいるが、結局形あるものじゃなくなったな……。
   出来ればそういうのが良かったんだけど……ムギや澪に影響されちまったかな。
   ……でもま――)

律「――それでも、残せるもの、か……」

 
127:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/18(月) 19:13:42.79:u//nOAao0
超絶乙!!

 
130:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/18(月) 20:15:16.36:RLoaTn+50
3作読み終えた
このシリーズはいいな、残り作品が楽しみだ


 
131:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/18(月) 20:21:29.61:TeQ3zRPnP
お前だったのか
よくやった、よくやったぞ


 
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