- 沙織「タイが曲がっていてよ」 前編
沙織「タイが曲がっていてよ」 後編
315:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/13(土) 17:16:29.39:k+Q07ESh0
リアルート
---
異常気象だのなんだのと言っても暑いものは暑い。
寝苦しくて目が覚めると時計はまだ6時。
ただでさえ昨夜も暑くて寝付けなかったと言うのに
これじゃ疲れも取れねーっての。
「あー……シャツ汗だくだぜ……」
ちなみに俺の部屋には空調がない。
正確にはこないだ壊れた。
暑さか。暑さのせいか。暑さのバカ野郎。
「……麦茶でも飲むか」
ため息混じりに階段を降りてキッチンへ。
ぷはあ。うめえ。
……寝直そう。あんま寝れる気はしねーけど。
重い身体を引きずり俺は自分の部屋へと戻り、
再び夢の中へと戻っていった。

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316:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/13(土) 17:17:33.53:k+Q07ESh0
――――――
――――
――
……今、何時だ?
時計を見ればすぐ分かる事なんだけどさ。
もう時計は10時を過ぎている事を示していた。
「……ちょっと寝すぎたか」
2度寝ってさ、寝ても余計疲れてたりするよな。
うん。今まさにそんな感じ。
……麦茶飲もう。
家の中はやたら静まってて、世界に俺しかいないみたい。
なんてそんなバカな事はねーんだけどさ。
親父はお袋と東京に買い物行くって言ってたし、桐乃は部活。
そういう訳で世界ではないが、家には正しく俺1人って訳だ。
ここんとこ大学のレポートやらサークルの飲み会やらで
忙しかったからたまにはのんびりするのも良いだろう。
317:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/13(土) 17:18:20.06:k+Q07ESh0
なんて今日を気ままに過ごす算段を立てていたら玄関のチャイムが鳴った。
ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。
うるせえ。なんだ? 勧誘か? うーん、面倒くせえな。
しかも俺今、シャツとトランクスだけだしなあ。
ガチャ。
……え? 今ガチャッて言った? まさか勝手にドア開けたのか?
っていうか鍵閉めてなかったのかよ! 誰だよ最後に出て行ったの!
じゃなくて、そんな事考えてる場合じゃねえ。泥棒だったらどうすんだ!
勢い良くドアを開けて廊下に飛び出た俺の目の前にいたのは、
誰だ?
「キョウスケおにいちゃん!」
え? どちらさま? てか日本語?
瑞々しい褐色の肌。しなやかに伸びた手足。艶やかな髪は腰まで伸ばしている。
肩から、胸、腰、ヒップ、そして太ももへの流れるようなそれでいてメリハリのある曲線は
芸術と呼べるまでに美しく、整った目鼻立ちは到底日本人のそれではないと誰の目にも分かる。
際立って、匂い立つような美少女だった。
318:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/13(土) 17:19:05.19:k+Q07ESh0
生まれて20年ちょい。日本から出た事は1度だけあるが外国人の友達などいない。
あ、でも待てよ。1人だけ知り合いっぽいヤツはいるけど、いるけどさあ。
「キョウスケおにいちゃん……まさか」
「お前、リアか?」
たった1つの心当たりを口にすると少女は一層弾けるような笑顔を見せて抱きついてきた。
「キョウスケおにいちゃん、超好きッ!」
「うわっ、こ、こら……ていうか、お前本当にリアなのか?」
「そうだよ。リアはリアだよ! あ、もしかして、
リアがあんまりイイ女になってるもんだからすぐには分かんなかったのかな?」
ぶっちゃけその通りだった。はっきり言って記憶の中のリアとは姿形が違いすぎた。
もう4年前になるのか? あの当時のリアはまだ12歳とかそんなもんだったはず。
確かに可愛かったが、まだまだお子様だったんだ。それがこうなるとはねえ。
容姿の成長も、行動パターンも。全然予想できないヤツだ。恐れ入ったわ。
「それもあるけどさ、なんでこんなトコにいるのか、って方が分かんねえよ」
「えっへっへー」
蕩けるような笑顔を見せるな。この純真さは変わっていないようだ。
いや、中身が変わっていないからこそ、この外見とのギャップがやべえ。
語彙が貧弱だから月並みな言葉しか思い浮かばねえがとにかく可愛い。
加速的に可愛い。短距離ランナーだけに。あんま上手くねえ。
319:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/13(土) 17:19:46.75:k+Q07ESh0
「キリノはいないの? お出かけ?」
「多分部活だよ。今日は日曜だけど、部活はあるんだ」
「あークラブかあ。じゃあ走ってるのかな?」
「今度全国大会があるらしいぜ。その調整だろ」
ふーん。と、リアは気にした割りに気のない返事だ。
「じゃあ、キョウスケおにいちゃんはせっかくの日曜に何してんの?」
「うぐっ」
そこを突かれると痛いな。
「最近いろいろ忙しくてな……今日はだらだら休もうかと思った」
「えー。つまんなーい。じゃあリアと遊びに行こう!」
「は、はぁ!?」
断れる訳もなく。いや、お前ムリだろ?
褐色美少女に『遊んでよー』とちょい悲しげな目で迫られてみ?
喜んでだろうが渋々だろうが絶対断れないから。
そんで、来たのはココ。
「おー、久しぶりのアキバだー」
前回桐乃と3人で来た秋葉原。あの時は散々だったな。
「なんだか前来た時とちょっと違うね」
「良く覚えてんな。確かこのビルは建て直したし、アッチは駐車場になったし。
いろいろ変わっちまったよ、この辺も」
「そうだね。変わっちゃったね」
320:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/13(土) 17:20:29.27:k+Q07ESh0
そう零したリアの背中が思いのほか寂しそうで。
「よし、リア。なんか食べに行こうぜ!」
慌てて俺は声をかけ、その手を取って駆け出した。
こういう場合って、女の子が「はや~い」みたいな展開になるじゃん。
全然ならなかった。そりゃそうだよな。桐乃が敵わないって言い切ったヤツなんだ。
「キョウスケ! 何食べるのー?」
ナリはこんななんだけどな。天は二物を与えたわ。
「そうだなあ。まずはおにぎりでも食べるか」
仮にも女の子と2人きりの、デートとも言えなくない状況で握り飯を食らう。
はっは。こんなんだから俺は彼女と別れたのかもな……はは、ははは。
「ん!」
「ん?」
途端にリアが顔を近づけてきた。
うお、近くで見るとホントに綺麗な顔してやがんな、コイツ。
「今、リア以外の誰かの事、考えてたでしょ!」
す、鋭い。女の勘が良いってのは万国共通か。男頑張ろうぜ。
322:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/13(土) 17:21:18.72:k+Q07ESh0
「キョウスケと今一緒にいるのはリアなんだよ。
だから今はリアの事だけ考えてよねー」
「分かった。悪かった。んじゃ飯食うか」
「おー」
おにぎりは割と好評だった。日本オリジナルの物だから、という事と
カロリーが高すぎないから、だそうで。特に後者はアスリートのリアらしい考えだと思った。
「あ、何あれ」
「んー?」
リアの指差す先にあったのはクレープ屋だった。
「クレープって知らん? クリームとかフルーツを小麦粉練って焼いた皮で包むんだ」
「……よく分からないけど、美味しいの?」
「日本の、リアと同い年くらいの女の子には人気かな」
じゃあ食べる、と。さっきおにぎりがカロリー高くないという理由で気に入った人間に
こんなもの食べさせて良いのか判断に迷ったが、リアの好奇心に満ちた顔を見ると
とてもじゃないがそんな事は言い出せなかった。
美味しそうにクレープをついばむリアと一緒に秋葉原の街を歩く。
間違ってもエロ漫画屋には入らんし、エロゲショップにも入れさせんよ?
今日は日曜という事もあって、人が多く、
そこかしこにメイドやコスプレをした人が立ち客引きしている。
途中で記念撮影なんかもしたりして。割と楽しい時間だった。
323:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/13(土) 17:21:59.85:k+Q07ESh0
「キョウスケ~、ちょっと疲れたよ~」
この人の多さは日本特有のものだし、慣れてないリアが目を回すのは当然かもしれないと思った。
「んじゃこっち行こう。小さいけど公園があるんだ」
「うん」
リアがするりと俺の左腕に右腕を絡ませる。
ちょっと驚いた顔でリアを見ると、リアはなんだか嬉しそうな顔をしていた。
……振り解ける訳なんて、なかった。
「はー。落ち着いたー」
「悪いな。人ごみって疲れるだろ?」
「そだね。いろいろみてたり行ったりしたけど、今日みたいのは初めてかも」
「はは。もう少しゆっくりしたら帰ろうぜ。桐乃もそろそろ」
「ううん」
リアは、首を横に振った。
「キリノには会っていかない」
「そう、なのか?」
もしかして喧嘩でもしたとか?
いや、それならウチを訪ねて来たりはしないよな。
「キリノの事は今でも好きだよ。手紙もたまに書くし。
でもね、今日はキョウスケに会いたかったの」
「……リア……?」
そういやいつの間にか『キョウスケおにいちゃん』じゃなくなってた。
324:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/13(土) 17:22:41.56:k+Q07ESh0
「今日はすごい楽しかった。だからリアはこのままロスに帰るよ」
「えっ、もうか!?」
「うん。今日の最終便。実は元からそのつもりだったの」
急すぎる。いや、昔コイツが日本に来た時も目的を果たしたら即帰っちまったけどね。
ってことは、本当に俺に会うために、わざわざロスから来たってのか?
「キョウスケに会えて本当に良かった。
しかもこんな風に遊べるなんて思ってなかったから。すごく嬉しいよ」
「リア……」
そうして本当に、リアはロスへ帰っていった。
「ただいまー」
「あら、お帰りなさい。アンタ今日は1日家にいるんじゃなかったの?」
「いや。ちょっとな。いい年した若いモンが不健康だろ?」
「まぁねー」
麦茶を飲んで、他愛のない会話。
部屋に戻った俺はPCを起動し、ブラウザを立ち上げた。
「んーと、リア……ハグリィだっけ」
リアのフルネームを検索にかけると、まぁ出るわ出るわ。関連サイトがゴミのようだ。
天才少女。その肩書きはいまだ健在のようだった。
が、しかし気になる記事を見つけた。
「……期待の超新星リア・ハグリィ スランプか?」
328:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/13(土) 18:08:00.15:k+Q07ESh0
記事によるとこの1年ほど記録が伸びず、思わしくない成績が続いているようだ。
将来の五輪女子100メートルの金メダリストを嘱望された天才少女に黄信号、みたいな内容。
まぁ、そりゃいくらリアが生活の全てを短距離に賭けていても、
そしてどんだけ才能があったとしても、そう簡単に世界の頂点になんてなれないよな。
知り合いが金メダル取れるほど、世界は狭くねーっての。
でも、頑張れよ。 応援してっからな。
一ヵ月後。テレビでは世界陸上の生中継を放送していた。
で、どうやらリアがエントリーしているらしく、
応援も兼ねて桐乃とテレビの前に陣取って視聴しているのだ。
『さぁー、トラック女子の花形、100メートルが始まりますよ!』
『アメリカからは期待の新星リア・ハグリィ選手が登場です』
『いやあ、ここのところ調子を落としているそうなんですが、大丈夫ですかねえ』
『若いんですねえ! ええっ!? まだ16!?』
解説や司会がいろいろ言っているが、横の桐乃は真剣そのものの表情で画面を見ている。
一応かつてのライバルだもんな。でもコイツもなんだかんだ言いながら応援してるんだ。
まず予選。ここでリアは不安説を吹き飛ばす抜群のパフォーマンスを見せ付けた。
『速い速い速い! アメリカのリア・ハグリィ、大会新で予選突破です!』
「うお、マジかよ!」
「リアすっごい! 不調とかなんだったのよー」
桐乃が目をキラキラさせている。これはもう感動の域だ。
走りで誰かを感動させるとか、どんだけすげーんだよ、リア。
329:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/13(土) 18:08:51.32:k+Q07ESh0
「もしかしたら、今回優勝しちゃう?」
「アクシデントがなければ文句なしよ……」
そして少し時間を置いて、決勝だ。
予選タイムではリアがぶっちぎりのトップ。
後はフライングがない事を祈るしかないですねーとか言っちゃって。
スタートの号砲が鳴って、ランナーが飛び出した直後、
競技場にいた人、中継を見ていた人、誰もが確信した。
わずか4歩。
未来の金メダリストを確実視される事になるニューヒロインが、他を圧倒して置き去りにしていた。
観客席のあちこちがカメラのフラッシュを焚いて、女子短距離界を
今後引っ張っていくであろう1人の女の子の優勝と世界新を祝福している。
リアは嬉しそうに星条旗を両手に持ってトラックを一周していく。
ウィニングラン。勝者にのみ与えられた特権だ。
テレビ越しに見ても、勝ったリアはとても嬉しそうで、
俺たちはちょっとテレビが滲んで見えない。
すると、解説のオッサンが何かに気づいた。
『おや、リア選手は国旗以外にも何か左手に持ってますよ?』
「ん? そういえば、なんかあるな」
「なんだろ。写真? 家族の?」
330:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/13(土) 18:09:35.32:k+Q07ESh0
カメラがアップでリアを写す。大きさ的に写真のようだった。
そうしている間にリアが戻ってきて、インタビューが始まる。
『優勝、世界新。おめでとう』
『ありがとう。とっても嬉しいわ。トレーナーや家族、応援してくれた皆に感謝します。皆ありがとう!』
『ところで、その皆が気にしているのだけれど、星条旗と一緒に写真を持っていた?』
『ああ、そうよ。これは私に元気をくれた大好きな彼の写真なの』
そう言ってリアが写真を持ち上げた。
「ああああああああああああああああああああああああああっ!!!?」
「桐乃、うるさいぞ! 静かにせんか!」
「ご、ごめんなさい! で、でもでもでも」
「何よ、どうしたの?」
慌てふためく桐乃を横に俺は唖然としていた。
だって、その写真はさ。
「なんでリアとアンタが映ってる写真を、リアが持ってる訳!? 意味分かんないんだけど!」
先日秋葉原に行った時、客引き中のメイドさんにお願いして撮影してもらった写真だったのだ。
331:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/13(土) 18:11:32.39:k+Q07ESh0
「ねぇ、ちょっとこれどういう事? なんであの子がアタシの知らない写真持ってんの?
ええええ、意味わかんない意味わかんない意味わかんない!」
「京介、アンタこれはどういう事なの?」
「……京介、説明しろ。桐乃も母さんもうるさくてかなわん」
親父もそれなりに驚いているっぽい。
いや、桐乃より親父よりお袋より、一番驚いてるの俺だぜ?
そして、そんな俺たちの事など何も知らないように。
『キョウスケのおかげで優勝しちゃった!
今度日本に行ったらまたデートしてね!
あ、次はチャペルでウェディングも良いよ!』
下げ止まりをみせない居間の温度。鳴り止まない電話。ついでに変な汗も止まらない。
あぁーもう。ったくさ。ほんっと、予測できないヤツだよ、リア。お前ってやつは。
『キョウスケ! 超好きッ!』
332:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/13(土) 18:13:35.84:k+Q07ESh0
333:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/13(土) 18:14:49.69:1qB5T/xz0
桐乃ルート
---
「兄貴、寒い」
「……ホッカイロはもうねーぞ」
「今、使ってるのがあるでしょ!」
「お前! 俺に凍え死ねってのか!?
じろりと回りに見られてハッと我に返って頭を下げた。
桐乃は、ふん! とふんぞり返ってるけどな。やれやれ。
12月24日。世間ではクリスマスイなんとかって日に、俺と桐乃が何をしているのかって言うと、
秋葉原で先着限定の特典付きアニメDVDを買うため徹夜で並んでいるのだった。
時刻は6時。東の空が白んできてもうすぐ夜が明けそうなのだが
実は日の出の前後1時間くらいが一番寒い事を今知った。
このためにコートとセーターを着こんで、カイロをしこたま持ってきたのだが
桐乃は見た目を気にして、ダウンジャケットにホットパンツという
馬鹿丸出しの格好のためか、日付が変わったくらいからカイロの消費が異常に速い。
「だから温かい格好してこいっつったろ……」
「……だって……」
流石に失敗したと思っているようだ。全く。
「あと1時間くらいで整理券配布だろ? もうちょい頑張れ」
「……うん」
カイロを1つ渡して、頭をぽんぽんと叩いてやった。
あー、全く。なんでこんな事になったのかねえ。
423:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/15(月) 17:54:36.12:zZuVFrAs0
「……メルルの劇場版?」
「そう! あの神作がとうとうブルーレイで発売されんのよ!」
メルルと言えば、桐乃がハマりまくっている魔法少女もののアニメ。
3期が終わった後も根強く残った人気とファンの声により、劇場版が制作・公開された。
時系列的には1期と2期の間を補完するようなストーリーで、
作画・ストーリー・音楽、とどれを取っても『アニメ史上最高』だったらしいが
まぁそれはファンによる色眼鏡的な評価があっての事と思う。話半分。
「で、それがどうかしのたか?」
「だーかーらー、ココ! 耳の穴かっぽじって、よっく見てみなさい!」
耳掃除しても目には関係ねぇだろう……。
「……ソフ○ップ特別協賛、先着限定特典?」
「そう! それなのよ!」
今回の新商品発売にあたり、店頭で購入した客に先着順で特典をつける、と。
某ネット通販サイトに対抗しての策なのかね。
「……それで?」
「アンタの目は節穴!? よく見るの!」
「んー……?」
ああ、なるほど。そういう事かと合点がいった。
424:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/15(月) 17:55:26.68:zZuVFrAs0
「メルルとアルファ。2種類特典があるのか」
「そう! けどこれは一限なのよ」
「? いちげん? 大学の講義の1コマ目ってこと?」
「アンタバカァ!?」
ひっでえな! そこまで言われる事かよ!?
「お一人様限定1つまでってこと。1人で買いに行ってもコンプできないってことなのよ」
「なるほど。なかなかアコギな商売だな」
「うっさい」
とまぁ、ここまで来れば先は読めたよな。
1人1つ限定。しかし2種類ある特典は両方ほしい。
「なるほどな。つまりこの発売日に、予定空いてる? って聞きたい訳だ」
「はぁ? 違うし。24日、行くからねっていう確認」
……既に決定事項なのかよ……。
「どうせアンタ、クリスマスイヴなんて予定ないでしょ? じゃあ問題ないわよね」
「確かに予定が入る予定もないけどさ……」
いい年こいてイヴに妹とアニメのDVD買いに行くのか……胸が苦しくなるな。
「あ、ちなみに、前日の終電で現地入りして徹夜だから」
「殺す気か!」
そんな訳で、予定通り予定の入らなかった今日。
こうしてメルルの劇場版ブルーレイを購入する為、桐乃と並んでいるという訳だった。
425:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/15(月) 17:56:22.48:zZuVFrAs0
陽の光が少しずつ大きくなっていく。
こうやって日の出を見るのは、あれ? もしかして人生初かもしんねえ。
初日の出とかそういうのはあんまし興味なかったし、富士山登ってご来光を拝む、
みたいな崇高な趣味も持ってないしなあ。
……人生初の日の出は、妹と秋葉原でアニメのDVDを買うために並ぶ最中見ました。
割と素で泣けてくるな、これ。
街は少しずつ起き始め、行きかう車や人も増え始めた。
こんな時間からスーツ着たサラリーマンが歩いてるのを見ると
ああ、こういう人たちがいるから社会は機能するんだなとか思っちまう。
「あ、兄貴」
「ん?」
「あれ」
必要最低限しか喋らなくなったな、こいつ。
ダウンジャケットの裾から指だけ出して差した先を見ると
ソフ○ップのロゴ入りナイロンジャケットを着たオニーチャンが出てきていた。
「本日はー『星くず☆うぃっちメルル劇場版DVD/BD』にお並び頂きまして誠にありがとうございます」
うわー、そんな風に言われちゃうとなんだか公開処刑されてるみたいだぜ。
街行くリーマンやキャリアウーマンの皆さんの視線が痛い痛い。
426:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/15(月) 17:57:04.12:zZuVFrAs0
「予想以上に大勢のお客様がいらっしゃっておりますので、予定を繰り上げ、整理券の配布を
始めさせて頂きたいと思います。お受け取りになられたお客様は周辺のお店、一般の歩行者の方々の
ご迷惑になられませんよう、よろしくお願いいたします」
「ら、らっきー……」
「助かったな、桐乃」
「ん」
先頭から順番に1人1枚ずつ券が配られていく。
終電で来た俺たちが並ぶ頃には既に50人くらい前にいたのには恐れ入った。
無事整理券を2人分もらうと、俺たちはその場を離れた。
「行くアテあんのか?」
「……ネカフェ」
あぁ、なるほど。24時間営業のネットカフェや漫画喫茶なら
座れるし温かい飲み物もあるし、個室では人目を気にせず休憩できそうだ。
黙々と歩く桐乃の後ろからついていき、とあるビルに入る。
エレベーターで4階に上がると受付があった。
「2名様ですか?」
「あ、はい。そうですけど、席は」
「カップルシートで」
なに?
427:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/15(月) 17:57:46.75:zZuVFrAs0
「かしこまりました。お煙草はお吸いになられますか?」
「いえ。禁煙席で」
「はい。それではこちら、3番のシートをどうぞ。ドリンクはセルフサービスになっております」
「どうも。いくよ」
「あ、お、おい」
ポケットに両手をつっこんで足早に進む桐乃に
声を掛けられるような雰囲気は皆無だ。
俺はまぁ、別に一緒の席でも構わんが、お前は構うんじゃないのか?
全く。わっかんねーヤツだな。相変わらず。
428:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/15(月) 17:58:31.43:zZuVFrAs0
「ここ」
そう言って3と書かれた扉を開いて俺は驚いた。
「意外と広いんだな」
ゆったりとしたソファークッションに、足をゆったり伸ばせるスペース。
大きな液晶画面のデスクトップPCと大きなヘッドフォンが2つ。
なるほど。これなら確かに、普通の個室に入るよりゆっくり休めそうだ。
桐乃はブーツを脱いで端っこに置くとジャケットを脱いでクッションに横になる。
自分の上に、着ていたジャケットをかけて、完全に寝る態勢に入っている。
「開店まで寝るから」
「あいよ」
「変な事しないでよね」
「あいよ」
疲れていたんだろう。桐乃は目を瞑って動かなくなった。
1人でクッション独占しやがって。
これが本当のカップルなら添い寝でもするんだろうけどね。
ははは。まだ死にたかねーや。
429:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/15(月) 17:59:13.15:zZuVFrAs0
実は、昨日の夜。お袋とこんな話をした。
「アンタ、最近桐乃と一緒に行動する事多くない?」
「ん? そうか? そんな事ねーと思うけどな」
「うーん」
お袋は難しい顔して唸っている。
「なんだあれか? 桐乃に手を出すなーってヤツか? 心配しなくても……」
「いやー、最近分かんなくなってきちゃったわよ」
「は?」
だからね、と。お袋は前置きして続ける。
「最近分かんなくなっちゃったのよ。アンタたち、昔から仲悪いし、
今も仲良さそうには見えないけど、アンタはアンタでたまに良いお兄ちゃんしてるし
桐乃もなんだかんだでアンタの事頼りにしてるみたいだし。
そんでアンタたち、彼氏も彼女も作らないでしょ?
もしかしてこのまま2人で生きていくつもりなのかしら、とか」
俺はお袋のトンデモ発言に身震いした。
実の母が実の子どもが結婚しないとか、しかも兄妹で生きていくとか想像していやがる。
430:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/15(月) 18:01:14.12:zZuVFrAs0
「ねーよ。ありえん。俺が彼女いないのは仕方ないとして、アイツはムカつくけどモテるんだろ?
だったらその内、自分に合うやつ見つけて連れてくんじゃねーの?」
「そう、ねえ。そうだと良いんだけどねえ」
まぁ、そんなヤツは良いヤツだろうと何だろうと一発殴るとは思うが。
「んだよ。随分疑うじゃん」
「なんていうか、女の勘ってヤツ? あの子、あたしたちが思ってる以上にアンタに懐いているのかもって」
「桐乃が? 俺に? ねーわ。ねーよ。ていうか懐くって何だよ。犬か?」
「もし、もしよ? 京介」
ちょっとお袋はマジだ。いつもおちゃらけてるから、こっちまでちょっとマジになる。
「アンタが桐乃に手を出すのは許さないけど、
もし、桐乃がアンタについてくって言うなら、アンタ、ちゃんと受け止めてやんなさいよ」
それこそ一番ありえない事だと思うけどな。
つーかホント桐乃贔屓な母親だな。長男の俺がちょっと凹むくらい。
まぁデキが違うから仕方ないんだろうけどさ。
433:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/15(月) 18:04:47.65:zZuVFrAs0
こちらに背を向けて寝ている桐乃を盗み見る。
綺麗に染めたライトブラウンの髪も、両耳のピアスも、
艶やかにマニキュアを塗られた綺麗な爪も、端整な顔も、すらりと伸びた手足も、
今はダウンジャケットの掛け布団に隠されちまっているが。
コイツが、俺を慕うとか、懐くとか。
「……ありえねーだろ」
小声で、誰にも聞こえない声で呟く。
自分の着ていたコートを桐乃の下半身に掛けてやり、
俺はブランケットを取りに行こうと個室を出ようとした。
「……ありがと……」
そんな声が、か細い、糸みてーな声。
だけど確かに、聞き間違うはずのない桐乃の声がした。
「桐乃?」
桐乃は動かない。ぴくりとも反応しない。
でも、残念な事に片耳は隠れていなかった。
赤くなった耳は、寒さのためか、それとも――。
おかしいな。
俺の妹が、こんなに可愛い訳がないのに。
434:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/15(月) 18:06:07.00:zZuVFrAs0
437:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/15(月) 18:14:58.78:zZuVFrAs0
おまけ。
「あ、兄貴……もういない? いない? いっちゃった?
ああああああああああ兄貴いいいいい兄貴のコートコートコート!!
くんくん……あぁぁ兄貴の汗の匂い凄いよお!兄貴が添い寝してるみたい。
もしかしてアタシ今、兄貴と添い寝してるの? やだもう幸せ過ぎるんですけど?
ば、バカ兄貴ったらアタシと添い寝したいなんて何言っちゃってんの?
ホント変態すぎるんですけどー超キモイ。ありえないから。
そんな兄貴の事、好きでいてあげられるのなんてアタシくらいしかいないんじゃない?
もうホントどうしようもない兄貴だけどー、アタシぐらいの心の広さがあれば許してあげちゃっても良いよ?
え? 許してほしい? 仕方ないなー。そんなに妹のアタシにベタぼれしてるなんて、でへへ。
キモ過ぎて婿の貰い手もいないでしょー。地味子とか完全に引いちゃってるし。
仕方ないから、兄貴の事はアタシが養ってあげるわよ。もうバカ変態兄貴。
今度は何? アタシのジャケット貸してくれって? この変態、何する気?
ちょ、ちょっと、何ジャケット嗅いでんの!? 変態すぎるんですけど!
い、良い匂いがするって……バカ、バカ兄貴。もう。最悪。最低。
仕方ないから兄貴のコートにアタシの匂いつけといてあげるわよ。
こうすればいつでもアタシの匂い嗅げるでしょ?
あーもうこんな変態兄貴持ってホント不幸。あたしってホント不幸!
アタシを不幸な目にあわせた責任、ちゃんと取らないと許さないんだからねっ!」
439:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/15(月) 18:19:06.55:8hRbAHBwO
変わらないものを変わらないように維持していくのはそれなりに大変だ。
時間が経てば、変わる。それは自然の摂理なんだからな。
例えば、俺や麻奈実は大学生活3年目に突入するし、
黒猫と沙織、ついでに瀬菜もめでたくこの春から大学生。桐乃はこの冬受験だ。
就職活動もしなきゃなんねーし、みんなも今よりもっと明確に
将来について真面目に考えなきゃいけないだろう。
ずっと今のままではいられない。
それは例えば沙織の姉が結婚し、海外へ行ってしまった為に
彼女を中心としたコミュニティーが空中分解してしまったように。
いずれは俺に彼女ができたり、あるいは、誰かに彼氏ができたり、
仕事の都合で遠くに引っ越す事になったり、それこそ海外とか。
何があるのが分からないのが人生なんだ。
それを面白いって言うヤツもいるだろう。
まさに俺の人生はそんな感じだったから、同意しなくもない。
だけど、こんな風になるなんて、いくらなんでも想定外だった。
453:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/15(月) 19:49:02.86:zZuVFrAs0
「またお前に先輩って呼ばれる日が来ようとはな」
「おや、拙者も今年からは後輩になるでござりますぞ」
「ああ、宜しく頼むよ、沙織」
入学式を終えて出てきた2人と合流する。
沙織はともかく、黒猫までここに受かるというのは
正直難しいと思ってたんだがどうやら見くびっていたらしい。
「まあ、先輩の目は節穴ですからね」
「む……」
悔しいが言い返せない。麻奈実は黒猫の合格を信じて疑わなかったからな。
ちなみに俺と沙織は経済学部、麻奈実は商学部、黒猫は文学部だ。
「その点については悪かったよ。悪かった。反省してるし、謝るよ」
「ふん……、分かれば良いのよ」
2つ下の女の子に頭が上がらない俺である。
「まぁ、ここに突っ立ってても仕方ない。行こうぜ」
「そうでござるな」
「行こう、と簡単に言うけれどね……」
454:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/15(月) 19:49:51.77:zZuVFrAs0
そこで言葉を区切った黒猫の視線の先にあるもの。
激しい掛け声やら校歌斉唱やら何やらしながら無数のプラカードが踊っている。
決してデモとかそういうんじゃないぜ。
この季節、どの大学でも見られる至って一般的な恒例行事だ。
「……あそこを無事通り抜けられたら、の話ね」
「だな」
新入生をサークル勧誘せんと、校門前に大挙として押し寄せている人間の波だった。
実は先ほどから視線が痛い。
この場所にスーツを着て立っていれば大体新入生である事が確定していて
彼らにしてみれば端から声をかけたいぐらいの気持ちでいるはずだ。
しかし、ここに1人、強烈に目を惹く女の子が立っている。
黒く長い髪を綺麗に結わえ、凛とした目に薄化粧の黒猫、こと五更瑠璃は
この数年で桐乃ですら驚くほどの成長を遂げていた。
背はさほど変わらないものの、手足はすらりと細くなり、
顔つきも以前の堅さが少し取れ、高嶺の花、クール系美人へと進化し
高校では一、二を争うほどの人気になっていると瀬菜から聞いた。
本来ならその横に立つ、180センチの美少女、槙島沙織はそれに劣らぬどころか
俺の知る限り、あやせにすら匹敵する美貌の持ち主――つまり世界最高水準――だ。
しかし、いつものぐるぐる眼鏡は今も肌身離さず
身につけているからパッと見には分からないんだろうな。
455:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/15(月) 19:50:54.17:zZuVFrAs0
あーあー。まるで獲物を見る狼の目つきだぜ。
どうしたもんかねえ。
頭を悩ませていると、沙織はこちらに振り向いてω←こんな口を形作っている。
何か悪い企みを思いついた顔だぞ、これ。
「にゅふふ」
「沙織、なんか企んでるだろ」
「いやいや。そのような大げさなものでは決して。ええ」
そう言って沙織はするりと俺の左腕に自分の右腕を絡ませてきた。
「なっ!?」
「これでそう簡単に、彼らも声を掛けられなくなったのではござらぬか?」
ちょっと抵抗ある、というか恥ずかしいが沙織の言う事には一理ある、気がした。
本当だぜ? 決して邪な考えじゃないって。マジで。
「それじゃあ私も」
「おう!?」
すると黒猫も反対側、俺の右腕を取って自身の身体を押し付けてきた。
「く、黒猫まで……」
「この状況で声を掛けてくるような愚劣な輩はいないでしょうね」
「うむうむ」
「さぁ、行きましょうか。先輩」
456:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/15(月) 19:51:36.96:zZuVFrAs0
勧誘を企てていたサークルの人間たち、
特に野郎どもの視線は針どころか槍のムシロだ。
そりゃまぁそうだろうなあ。女2人を両脇に侍らせて
何だアイツはって思われてるに違いない。
それに、こう言っちゃ語弊になるかもしれんが、
サークルの男たちは美味しくいただける
新入生の女の子を探しに来てるヤツが相当多いはずだ。
とんびに油揚げをかっさわれた心境だろうよ。
射殺すような視線は努めて無視。
校門を出るまで、まるで生肉をぶら下げられたライオンの前を
裸で通っているような心持ちだったね。
「やれやれ。もう離れても大丈夫だよ、沙織、黒猫」
「? なぜでござる?」
「なぜって……」
相変わらずニヤニヤしながら聞き返してくる沙織。
くそう。ちっと恥ずかしがらせてやろうかな。
「……ってんだよ」
「はぁ? なんでござるか?」
「だから、胸が当たってるんだよ」
「当ててんだよ。言わせんな恥ずかしい」
見事なカウンターだった。
ガックリとうな垂れたいところだったが、
両脇を固められていてはそうもいかない。
そんな情けない姿の俺を、黒猫が見上げていた。
458:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/15(月) 19:52:18.05:zZuVFrAs0
「……」
「ど、どうした、黒猫?」
「……どう?」
どうって何がだ。心なしか黒猫は頬を紅く染めている。
そう言えばなんだか右腕がちょっと苦しい。
「私も当てているのよ。言わせないで、恥ずかしい」
「~~~~ッ!?」
聞いて真っ赤になったが、すまん、黒猫。
スーツの上からだとあんまり感じない。
いや言われてみればちょっと感じるんだけど
左からくる圧力がちょっと凄すぎてヤバイ。
津波の前の小波って感じだ。
とにかく、2人とも腕を離す気はないらしい。
俺は予め考えていた定食屋へとやや早足で進んでいくのだった。
459:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/15(月) 19:53:04.84:zZuVFrAs0
「でさ、真面目な話、2人ともサークルには入らねーのか?」
「拙者は既にいくつか興味のあるところは調べているでござる」
さすが沙織。その辺は抜かりないな。
「ただ、あまりサークルに捕らわれたり縛られたりは御免ですので
もう少し情報を集めてから決めようかと」
「私は、今のところ、あまりその気はないわね」
まあ黒猫らしい。コイツ、昔ほどじゃないけど積極的に人と関わるの下手だもんな。
「そっか。ただ就活する時に、サークルって1つの指標になるから
ムリじゃない範囲で参加しておくと、何かと楽になるぜ」
「そうね。考えておくわ」
「おう」
出された鯖の塩焼き定食を頂いて腹ごしらえをしていると、携帯が鳴った。
麻奈実からのメールだ。
「どうしたの?」
「えーと、『2人に会えた? 宜しく伝えておいてね~』だとよ」
「マメでござるなぁ」
ちなみに黒猫には麻奈実が勉強を教えていたので、
合格発表の時は自分の事のように喜んでいたし、
門出の日に駆けつけたがっていたのだった。
しかしアイツは今日は外せない用があり、来れない事は予め分かっていた。
相当残念がってたなぁ。
『もー、るりちゃんの晴れ舞台だよぉ? それなのにぃ……』
462:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/15(月) 20:05:32.83:zZuVFrAs0
まぁ、こういうのはタイミングってヤツだ。
そして間の悪さって意味ではアイツは結構悪い方なんだよな。
「さて、京介氏。拙者この後いろいろ買い物したいのでござるよ」
「ん? おお。じゃあ荷物持ち手伝うぜ」
「かたじけのうござる」
大学入ると何かと物が入り用になる。
それは自分たちの時に経験済みだ。
先輩として、男としてここは手伝ってやらにゃ。
「……」
しかし黒猫はちょっとムスッとしている。
「黒猫?」
「いえ、なんでも、ないわ」
全然なんでもなさそうじゃないんだけどなぁ。
でも俺には心当たりが全然なかった。
沙織に助けを求める視線を送ると、同様に?が浮かんでいる。
が、何か思い当たったらしい。
「黒猫氏、拙者……」
「いえ、沙織。良いのよ。ごめんなさい。大丈夫」
「しかし」
「大丈夫よ」
こうなると黒猫は引かねーんだよなあ。
463:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/15(月) 20:08:36.68:zZuVFrAs0
「後で先輩に埋め合わせしてもらうから」
なんて、そんな不穏な発言をして。
「ところで、何を買うのかしら?」
「ええ。必要なものはこのリストにまとめてあるでござるよ」
肩を寄せ合ってリストを見ている2人はなんだか姉妹みたいで微笑ましい。
「つか沙織は、いつまでその眼鏡かけてるんだ?」
「うーむ。難しい質問でござる。ですが拙者、まだしばらくは手放さないつもりでござる。にんにん」
以前は俺たちネットを通じて知り合った仲間の前、という前提でのみ眼鏡をかけていて
普段は特にキャラを作らず過ごしていたはずだったんだが、いつしか沙織は
常日頃から眼鏡をかけるようになっていった。
もったいない気がするが、こればっかりは本人の決める事だしな。
「よし。んじゃ買い物行くか。とりあえずハンズあたりか?」
「そうでござるな。道案内は宜しくお頼み申す」
「あいよ。あ、すいませーん、会計お願いします」
まぁ先輩だし、おめでたい日だし?
これぐらいは奢っとかねーとな。
その後、電車で移動し色々と必要な物を買い揃え終わる頃には太陽が沈んですっかり暗くなっていた。
「今日は本当に助かったでござる」
「いつもお前に助けられる事の方が多いんだ。たまには恩を返させろよ」
「京介氏……」
464:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/15(月) 20:10:07.67:zZuVFrAs0
ちょっと温かい空気。くすぐったくなるけど、心地いい。
しかしそんな中、黒猫は1人黙り込んでいる。
それを敏感に察した沙織ではあったのだが、何故だろう。
なんかニヤニヤしている。いつもなら気を遣ってフォローに入るなり何なりするのに。
「京介氏」
「ん?」
「今日は火曜でござる」
「そうだな」
それが何だって言うんだ?
「黒猫氏は、試験などでバタバタして、久しく時間が取れませんでしたからなあ」
「っ……沙織!」
珍しく声を荒げる黒猫だったが、そこまで言われてようやく俺も気がついた。
というか、思い出したのか、それとも意図的に目を背けていたのか。
そんな事を自問自答するのも恥ずかしすぎた。
465:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/15(月) 20:11:07.64:zZuVFrAs0
「にゅふふ。それでは邪魔者は退散すると致しましょうぞ。それではまたっ!」
「あ……」
「……」
気まずい。クソ、沙織のヤツめ。この甘ったるい空気。
先ほどのちょっと温かい空気が比にならない気恥ずかしさだ。
それでも、男だからな。俺。
「く、黒猫」
「……何かしら」
1つ咳払いをして。
「寄ってくか?」
「……」
黒猫はちょっと躊躇ったのか逡巡したのか。
「ええ」
それでも、頬を紅く染めて、そう答えた。
466:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/15(月) 20:12:27.15:zZuVFrAs0
電車で、徒歩で、移動している間。俺たちは一言も話さなかった。
昼間は沙織と競うように絡ませていた腕も、今は手を握るのみ。
パッと見には、2人の距離は遠くなったように見えるが、
固く握り合った感触は、俺と黒猫が物凄く近くにいるように感じられた。
駅から徒歩5分。学生が住むにはちょっと広めの1LDK。
自宅から通えなくもない場所の大学に通う俺が、
こうして部屋を宛がわれているのは、とある理由があった。
手を解いて鍵を出す。ガチャリと回してドアを開け、靴を脱いで家にあがった、
ところで、後ろから黒猫に抱きつかれた。
「黒猫?」
「……2人きりの時は、もう1つの名前で呼んで頂戴と、言ったはずよ」
「そう、だったな、瑠璃」
黒猫が『仮の名前』と称している本当の名前。
それを呼ぶと黒猫は、さらに強く俺を抱きしめた。
「ずっと、来れなくて、寂しい思いをしたのよ。
こんな事を言うなんて、私も随分弱くなったものだけれど」
「……そうでもないだろ。弱さを曝け出せるのも、強さの1つだと俺は思うぜ」
「ふふ」
ちょっと笑って、黒猫は腕の力を緩めると
「……今日は、いっぱい愛してくれるのよね」
「御意」
468:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/15(月) 20:13:26.03:zZuVFrAs0
部屋の明かりは点けないまま、黒猫の手を取り寝室へと進んでいく。
お互いにとって勝手知ったる間取りに歩は鈍らない。
ドアを閉め、部屋の真ん中にあるベッドに腰掛ける。
そして黒猫はそこが指定席かのように俺の隣に座った。
……何度こうしても、この時間だけは緊張する。
いや、緊張も何もなくなったら、それはそれで寂しい話だよな。
黒猫も緊張しているっぽい。元々黒猫はそういう傾向があるけど
今日は本当に久しぶりだ。それこそ、3ヶ月ぶりか?
うーむ。上手く出来るかどうか、心配だ。
先に動いたのは情けない事に黒猫。
ついっと身を寄せると俺の頬に軽く唇を触れさせた。
緊張しているけれど、それ以上に期待している瞳。
白い肌と、見事なコントラストになった黒い髪、長い睫毛、大きな瞳。
そして、小さくてぷっくりとした紅い唇。
そんな黒猫が愛しくて、今度は俺から頬に軽いキス。
一度離れて、今度は互いに引き寄せられるように唇を重ねる。
「ぁ……」
そんな小さな吐息が黒猫の口から漏れ、黒猫の瞳がとろんとした。
背筋がぞくぞくして、思わず身体を強く抱き寄せ合って、熱烈に口付け合った。
キスの間あいだに熱い息が零れ、火照った声が聞こえる。
ぴくんぴくんと反応する黒猫が可愛くて脳が蕩けそうだ。
469:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/15(月) 20:14:20.54:zZuVFrAs0
どちらの唾液ともつかないじゅるじゅるしたものを貪って与えてまた貪って。
黒猫の手は俺の背中から上半身へとまさぐるように動き、やがてボタンを上から順に外していく。
キスはもちろん止まらないまま、意図を汲んで俺はシャツを脱ぎ捨てる。
お返しとばかりに黒猫のジャケット、そしてシャツのボタンを外してやると
黒猫もまた、上着とブラを脱ぎ捨て、直接肌と肌を擦るように重ね合わせた。
胸の辺りに当たる少し固い突起は黒猫の乳首がピンと立っている証だ。
黒猫の背中に、あるいは頭に、腰に回していた右手をそっと左胸に沿わせると
少し大きく声をあげて反応した。
「んぅっ」
キスの応酬はそこで一旦休憩。お互いに荒い吐息のまま、ステージは第2ラウンドへ。
「瑠璃の乳首、固くなってるな」
「そ、そういう事……んっ、言わない、でっ、あぁっ、ちょう、だい……くぅん!」
久々なのであまり強い刺激は辛いだろう。
優しく乳房を下から持ち上げるように触り、ゆっくりと円を描くように愛撫する。
「ふぁ……ん……んん……」
471:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/15(月) 20:17:00.38:zZuVFrAs0
黒猫が、俺の膝の上で、快感に集中するように目を閉じている。
その姿があまりにも可愛くて、俺は空いている首筋に軽くキスした。
「ひゃんっ! そ、それは……ダメ……くび、よわいの……知ってるくせにぃ……」
「瑠璃」
「な、なに……」
「可愛い」
言ってもう一度、首筋にキス。
「ば、ばかぁ……!」
黒猫の顔はもう蕩け切っていて、大理石みたいな肌はうっすら桃色に染まっているようだった。
身体を少し浮かせ、穿いたままのスカートを捲り上げると、黒猫は何をされるか察知したのだろう。
「ちょ、ちょっと……だめ……」
抗議の声を挙げたが、それで止まってやれるほど、俺も余裕はない。
少しでも優しく触れてやるので精一杯だった。
「ッ!……っあ……はぁっ……」
「すげえ、熱い……」
黒猫の秘所はすでにびしょびしょで、ショーツの上からでもその潤いが瞭然だ。
それにクリトリスも勃起しているのが分かる。
こっちもいきなりは控えた方が良いだろう。
人差し指と薬指で蜜壷の周りをゆっくり上下に撫で上げた。
「ぁ、ぁぁっ……そ、それ……んっ、んっ……」
473:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/15(月) 20:18:51.40:zZuVFrAs0
大丈夫だろうか、黒猫の身体がさっきからぴくぴくしていて、もしかしたらイキそうなのかもしれない。
これじゃ挿入なんてしたらショック死しかねない。
「瑠璃、一回イっとけ」
「ふぇ、い、いくって、どこ……あ、あぁっ!?」
乳首とクリトリス。敏感なところを弄りながら、首筋にキス。
もう限界近かったのだろう。
「ひぁっ! ぁっ! だめ、い、うっ、あ、はっ、やっ! っく、ぁぁぁぁっ!」
俺の身体にしがみつく様にして、びくびくと大きく揺れ、黒猫は達した。
「くっ、は……は……はぁ、はぁ……」
「……大丈夫か、瑠璃」
黒猫の呼吸はまだ荒い。必死で酸素を取り入れようとしているのが、なんだか不謹慎にも愛らしい。
「……大丈夫、じゃ、ない……わよ……」
ちょっと涙目で、顔を真っ赤にした黒猫はやっぱり可愛い。
いとおしくなって、優しくハグ。頭をゆっくり撫でてやると黒猫はコテンと頭を俺の肩に預けてきた。
「京介……貴方、上達してるでしょう」
「……いや、そんな事はないと思うが……」
心当たりがなくはないのが非常に心苦しかったりする。
477:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/15(月) 20:25:28.01:F+pQlknY0
「隠さなくて良いのよ。元々、そういう約束なのだから」
そう、約束。同時に契約でもある。
俺がここに住む最大の理由にもなっている。
この発案者は、あろうことか、BL大好きの潔癖主義者。赤城瀬菜だった。
『……なんだって?』
『ですから。これだけ大勢の女性から愛されている高坂先輩には、応える義務があるんです!』
瀬菜がぶちまけたのは、俺の高校卒業を祝うという名目の元開催されたパーティーでだった。
桐乃、あやせ、黒猫、沙織、麻奈実、瀬菜、フェイトさんの7人の女子(約一名は女子というか女性)に対し
男が俺1人と言うのはいかにも異常だったのだが、割合つつがなく会は進んでいたのだ。
しかし、瀬菜が唐突にこんな事を言い出した。
『高坂先輩は、どの子が良いんですか?』
そりゃジュース吹き出すよな。
お前もうちょっと空気嫁と。
で、一気に場の雰囲気は大変な事になった。
尤も、それは正直俺にとっては想定外な事ばかり、というか、想定内の反応など1つもなかった。
484:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/15(月) 20:47:01.00:zZuVFrAs0
『まぁここは私って答えて頂いても全然構わないんですけど』
と瀬菜が言えば、
『冗談は胸だけになさい。先輩は私のような落ち着いた人間が良いのよ』
と黒猫が返し。
『そういう意味では年上の私が最適って事かしら?』
とフェイトさんが胸を張れば
『はァ? 年増とか需要ないから。早く婚活始めればァ?』
と桐乃。
『そ、そうだよね。桐乃は妹だから……選べませんよね。
この中で一番可愛いのは桐乃ですけど、
でも仕方ないから私を選んで下さっても良いですよ、お兄さん』
とあやせが言うと
『おっと、眼鏡を外せば拙者、それなりに自信がございますぞ』
と沙織が張り合う。
485:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/15(月) 20:47:57.67:zZuVFrAs0
そして
『きょうちゃんの事をいちばん理解してるのは、わたしだもん』
と胸を張る麻奈実に対しては
『バッカじゃない? それを言うなら妹のアタシほど
バカ兄貴の事分かってるヤツはいないっての』
と、こうなった。
おかしいなあ。ここまで張り合う理由あるのか?
一番の当事者だった気がするが、既に蚊帳の外。
誰かが名乗りを上げると、誰か(もしくは誰か『達』)が否定する。
言いがかりも、水掛け論も、ごり押しも飛び交う
さながら戦場のような光景だった。
結局出ない結論に、瀬菜はそう言った。
これだけ大勢の女性から愛されている俺には、応える義務があるのだと。
そんな実感は全くなかったんだけどなあ。
しかも誰か1人を選ぶ、とかじゃなくて、全員なのか?
ん? どういう事?
486:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/15(月) 20:49:11.59:zZuVFrAs0
『なるほど。全員でござるか』
『ええ。皆、ちゃんと順番を決めれば不満は出ないかなと!』
なんの順番だよ!?
『……なるほど、丁度7人、と言う訳ね』
『さっすが五更さん。あ、今は黒猫さんでしたっけ。
丁度1週間で回りますから覚えやすいですよね』
だから一体なんの話を進めてるんだよ。
蚊帳の外にも程があるだろ。
『ですから』
瀬菜は快活な声で
『ここにいる7人の女の子を、日替わりで、高坂先輩に愛してもらうんです』
一瞬、いや、数秒だったかもしれない。
『なにぃぃぃぃぃぃ!?』
瀬菜の言葉を理解できた時、俺はそう叫んでいたのだった。
487:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/15(月) 20:49:52.22:zZuVFrAs0
しかしそこからは数に勝る女性陣があれよあれよと話を決めてしまった。
ただ、高坂家に何人もの女の子が入れ代わり立ち代わり来るのは
両親から見て不審と思われるだろうし、ましてやあの親父だ。絶対に大問題になる。
そこで対策として、沙織のコネクションを使って物件を探す事になった。
実家から通うよりは楽で、且つ、女の子たちが通いやすいロケーション。
真っ直ぐに部屋の前まで来れない構造。
(建物の前でインターホンを使い、自動ドアを開けてもらわないと入れないようなアレだ。
万が一にも鉢合わせはマズイし、親の抜き打ちチェックなんてあったら頭と胴が離れちまう。)
用途が用途なので、防音性とセキュリティに優れている事も重要。
予算と相談して、見つかったアパート。
必ずではないが、ここには曜日ごとに決まった女の子がやってくる。
月曜は瀬菜。火曜は黒猫。水曜は沙織。木曜はフェイトさん。金曜は麻奈美で
土曜に桐乃、日曜はあやせ、という風に。
ハッキリ言うが、何の冗談かと思った。
随分壮大なドッキリじゃないか、こんなに金と手間をかけて大変だなオイってな。
だから女の子たちも、誰一人として来ないだろうってタカをくくってた訳だ。
初めての1人暮らし、満喫してやろうって。
488:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/15(月) 20:51:39.91:zZuVFrAs0
まず引越しが完了したのは水曜だったんだが、
その夜、沙織は引越しソバを食べようとやって来てくれた。
凄え嬉しかったんで、喜んで迎え入れた。
春らしい、薄いピンクのワンピースはシンプルなライン故に
藤原紀香と同じと自称するプロポーションを引き立てている。
あれ? そう言えばいつものオタクファッションじゃない、のに眼鏡をしている。
その上、白いエプロン身につけてるしな。
それがなんだかアンバランスでちょっとおかしい。
けどそのおかしさが、この一種異様な空間――自分の『家』で女の子と2人きりという――にあって
唯一、心を落ち着かせてくれる特効薬になっていたのだった。
『京介氏、ソバのおツユは濃い目と薄目、どちらがお好みですかな?』
『あー、つけて食べるなら濃い目で、かけるなら薄目かな』
『了解でござる』
なんだか鼻歌交じりにキッチンに立っている沙織が凄く新鮮に見えて
油断するとすぐ心臓の鼓動が早まりそうになる。やべえぜ。
醤油と出汁のいい香りがしてきたなと思うと、沙織はお盆に器を2つ載せてやってきた。
『出来上がりましたぞ、京介氏』
『おお、すまんな。全部やってもらっちまって』
『いや、なに。大した手間ではござらんよ』
つくづく思うけど、コイツってホントによく出来たヤツだよな。
2つも年上の俺がやけにちっぽけに見える。
489:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/15(月) 20:52:23.13:zZuVFrAs0
『んじゃ、いただきます』
『召し上がれでござる。お口にあうと良いのですが』
ずるずるーとソバを啜ると麺にからんだツユはやや甘めで疲れた身体にじんと染みる温かさ。
思わず
『うめえ……』
と漏らしてしまった。
普段家で食べるものとはなんだか少々味が違うのは、
やっぱ作り手が違うと家の味が変わるからなのかなとか思ったりした。
割かし勢い良く食べていた俺だったが、ふと気づくと沙織がこちらを見ていた。
『なんだ? 食べないのか? 美味いぜ』
『はは。京介氏が本当に美味しそうに食べてくださるのが、拙者、嬉しくてですな』
『な……なんだよ』
『……良いものでござるな、こういうものも』
めちゃめちゃ優しい顔で笑っているのが眼鏡越しにも分かる。
心の中に湧いた何かを振り切るように、俺は箸を動かしたのだった。
『……あー、美味かった。ごちそーさん』
『お粗末様でござる』
沙織はソバを持ってきた時と同様、器をお盆に載せて、台所に持っていく。
『あ、洗い物ぐらい俺がやるから置いといてくれ』
『これぐらい大丈夫でござるよ。量もそう多くはありませぬ』
490:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/15(月) 20:53:17.51:zZuVFrAs0
ジャーッという音がして沙織は皿洗いまで始めちまったらしい。
一応俺の家になるのに、こんなに任せきりで良いのだろうか。
でも、何気に沙織のヤツ、家事好きなのかな。割と楽しそうなんだよな。
新婚夫婦ってこんな感じなのかって思ったりした俺は慌ててそれを打ち消した。
『京介氏~』
『お、おう!?』
声が裏返っちまった。くっ、恥ずかしい。
『お風呂沸いてるでござるよ。お先にいかがかな?』
『えっ……なっ……』
『ほれほれ、入った入った!』
半ば強引に風呂場へ押し込まれてしまった。
いやいや。え? まさかだよな。けど、そもそもこの家ってさ。
ごくり。風呂のお湯のせいじゃない。この顔の熱さは。
これがエロゲーなら沙織が風呂に乱入してくる訳だが
く、来るのか? 来ちゃうのか? そんなCG回収しちまうのか!?
『京介氏~』
『なっ、なななんだ!?』
ほ、ホントにキタ――(゚∀゚)――!!?
493:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/15(月) 20:54:57.40:zZuVFrAs0
『湯加減はどうでござる?』
『あ、あああ、良いぜ! ちょっと熱めだけど、うん、気持ち良いぐらいで』
『そうでござるか。ごゆっくりでござるよ~』
そう言ってパタンと音がして。
沙織はそのまま出て行った。
そ、そ……そりゃそうだよな!?
いくらなんでもそれなんてエロゲみたいな展開はねえよなあ!
あー恥ずかし。何1人で舞い上がってんだよ俺。バッカみてー。バーカバーカ。
引越しで疲れた俺を労うために、ソバ作って風呂まで準備してくれた沙織に対して
なんつー邪な気持ちを抱いていたんだ。反省しろ。
風呂を上がって髪を乾かし、居間に戻るとそこには沙織の姿はなかった。
なんだ、帰っちまったのか? それなら声をかけてくれても良さそうなもんだが。
『沙織ー? いねーのかぁ?』
『こちらに』
声が返ってきたのは寝室から。
まさかベッドメイキングまでしてくれてんのか?
そんなんならもうマジで良妻になるな、沙織。
なんて事を考えながらドアを開けると、そこにはベッドの上に正座している沙織がいた。
しかも三つ指ついてる。しかも、しかもしかも、何故か、先ほどまで着ていた
ワンピースが綺麗に折り畳まれている。
つまり、裸エプロンだった。
494:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/15(月) 20:56:08.62:zZuVFrAs0
『さ、沙織!?』
『拙者は一応、家を出る前に身体は清めてきたでござる』
……そ、それって……。
『ただまぁ、その、なんと申しますか。いきなり全てをお見せするのは、抵抗がございまして。
斯様な見苦しい姿を京介氏の前に晒す無礼をお許しくだされ』
『見苦しいって……んなこと……』
『京介氏さえ、よろしければ、拙者の事を、その……その……』
そこまで言われればいくら俺にだってその先は予想できる。けどな。
『沙織は、その、良いのか? お、俺なんかが……』
『京介さん』
沙織は眼鏡を外し、大きな瞳で俺を見据える。
『私は、軽い女ではないつもりです』
凛とした声。それは確かな意志だった。
『分かったよ、沙織』
その晩、俺たちは互いの初めてを、相手に捧げる事になった。
495:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/15(月) 20:57:44.47:EngN+CVn0
ある日、瀬菜に聞いた事がある。
『なぁ、瀬菜』
『はい、なんですか?』
『こういうのって、お前にとっちゃ許せない事なんじゃないのか?』
瀬菜はとにかく真面目気質で、きちんとしていない事が許せない性質だった筈だ。
自分で言うのもなんだが、1人の男が、相手を1人に決めずにいる事は
彼女にとっては到底許容できない事なのではないか。ましてそこに、自身が加わるなど――。
『京介先輩の言いたい事は分かります』
俺に向き直って、瀬菜は続けた。
『確かにおかしいと思いますよ。この現状。むしろ異常だと思わなくなったらオシマイかなって思いますし』
『そこまで言うなら、なんで』
なんで、あの時、お前はこんな事を発案した。
『こういうのって、ゲームの中だけかなって思ってました。
普通ならありえないんですよ。女の子って嫉妬する生き物だから。
誰かが、自分の好きな人に愛されているのが耐えられない。
そういう生き物なんですよね』
鼻歌を歌うように結構酷い事言ってないか?
497:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/15(月) 21:02:38.05:zZuVFrAs0
『だから、例えば五更さんが、嫉妬にかられて私や槙島さんを刺したりとか。
そういう展開があってもおかしくないんですよね』
『おいおい』
おいおい、である。そういやそんなエロゲあったな。
『でも、皆、多少の不満はあっても、許容範囲内みたいなんですよ。
それがなんでか、分かります?』
『……いや』
『先輩が、素敵だからです』
ズッコケた。階下の人、すんません。
『お前、はぐらかそうとしてねーか?』
『失礼ですね。真面目トークではそんな事しません。それくらいの空気は読めますよ、あたし』
……そうかなあ。コイツ全然空気読めないヤツだと思うんだけど。
『女の子って愛されれば自尊心が満たされて、満足するんです。
ある人は10。またある人は15って感じで人それぞれ違うんですけどね。
でも先輩はあたしたちが満足できる程度に愛してくれているんです。
だから不満が出ないんですよ』
『そんなに何かしてるつもりは全くないんだが』
『そこが先輩のすごいところなんです!』
ビシッと瀬菜は指差して言った。
タオルを巻いただけの胸がほよんと揺れて目に悪い。
498:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/15(月) 21:03:18.57:zZuVFrAs0
『普通の人なら1人を大事にするので精一杯です。
だから浮気や不倫をすると、どっちかが不足してしまいます。
経済的な意味だったり、単純に時間的、情緒的な意味だったりしますけど』
今度は腰に手を当てて胸を張る。
だから、お前はそこを強調しちゃダメだっての。
『まぁ先輩の場合、ライバルがあんまりにも多すぎているから
女の子たちが多くを求めすぎていない事も1つの要因である事は確かでしょう』
『ちょっとした事で満足してるってのか?』
それ全然誉められてないよなあ。
『でも、皆、幸せそうにしています』
『む』
『むしろ、これ以外の方法じゃ、誰も幸せになれないんです』
そこまで言うか?
幸せのかたちなんて千差万別だろう。
『だから先輩。皆、先輩と幸せになりたいんですから、
ちゃんと皆を幸せにしてくれなきゃダメですよ』
『……お前の”ちゃんと”の精神はそこに帰結するのか……』
にへらっと瀬菜は笑って――以前はこういう笑い方しなかったんだけどな
499:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/15(月) 21:04:17.51:zZuVFrAs0
『見届けたいんです。皆揃って、幸せになるのを』
『……へっ、そんなに期待しても、できる事しかやれねーぞ』
どうやら逃げ場はないらしかった。
『そうですね。じゃあできる事ヤリましょうか』
『カタカナで言うな』
『でも、先輩のソコ、また元気になってますよ?』
『……ッ!』
気づかれてた! そりゃまぁこっちもタオル巻いてるだけだからな! 隠し様がないよな!
『先輩、さっきずっとあたしの胸見てたでしょう? お見通しですよ?』
……女の子ってなんでこう男の視線に敏感なんだろね。
『他の男に見られてもいい気はしませんけど』
そう言って瀬菜は俺の前にしゃがみ込んで、タオルをふわりと解いた。
艶かしい肌が露になる。それにしても本当に大きいな、コイツの胸。
『先輩になら、嬉しいです』
ああもうこの野郎。そんな事言うからまた愚息が反応しちまっただろうが――。
500:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/15(月) 21:04:58.74:zZuVFrAs0
そんな訳で。どんな訳だ。
この2年。毎日ではないが、それでもかなりの頻度で俺は女の子を抱いていた。
始めはそれぞれお互いに初心者みたいなもんだったし、拙い愛撫、単調なピストンだけ
って感じだったが、だんだん相手の気持ちいいところが分かるようになったり
ネットなんかを通じて軽く勉強したりしてちょっとずつ上達した、んじゃないだろうか。
黒猫たちは今年に入ってセンターや本試験など、まさに大学受験のクライマックスを
迎えるため、お泊りどころかウチに来るのを禁止させた。
さすがに試験前にヤリ過ぎて勉強できなかった、なんて事になったら親御さんに顔向けできないからな。
そういう訳で大体3ヶ月はご無沙汰だった訳だ。
うーん。それぐらいで劇的に上達するとは思わないんだが。
7人のうち3人(黒猫、沙織、瀬菜だ)は受験生だったから実質半減だしな。
それでも、黒猫は満足してくれたらしい。その事は純粋に嬉しかった。
「もう、大丈夫。ごめんなさい」
「焦るなよ。時間はいくらでもあるだろ」
「いえ、そんな事ないわ。足りないくらいよ」
埋め合わせしてもらうって言ったでしょう、と。
ぐいっ、と黒猫は思い切り俺に体重を預け、ベッドに俺を押し倒した。
「瑠璃?」
「今度は、私の番」
黒猫の手が俺の肉棒に絡みつくとぞくりと一気に快感がこみ上げた。
501:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/15(月) 21:05:41.37:zZuVFrAs0
「うっ」
「あら、情けない。まだ始まってもいないわよ」
コイツは責めても可愛い反応するけど、気性的にはSなのだ。
つまり、やられたらやり返さないと気がすまない。
黒猫の痴態を見ただけで溢れていたカウパーを巧みに手のひら全体に伸ばし
シュッシュッと両手で上下に擦り始める。
さらに顔を俺の胸に近づけて、乳首のあたりを舐め始めた。
「ぐっ、る、瑠璃……それやべえ」
「まだ、れろ、出してはだめよ……んむっ、もっと、ぴちゃ、楽しませてちょうだい」
これでブランクが3ヶ月とか。コイツこそ上達してんじゃねえのか?
容赦なく続く責めに、それ以上耐えられそうにない。
「やば、出る……」
「ッ!」
ビクンと一際大きく揺れる肉棒を感じ、黒猫は素早く顔を股間へとうずめ、
どぐっ、どぐどぐっ。
「う、あ……」
俺は黒猫の小さな口の中に、欲望を吐き出した。
503:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/15(月) 21:06:24.22:zZuVFrAs0
「る、瑠璃……」
黒猫は答えない。どうやら予想以上に出たので困っているらしい。
それでも、外に吐き出す気はないようで、こくんこくんと喉を鳴らして
ゆっくり俺の精を飲み下していった。
「……ふぅ。ご馳走様」
「……お粗末様」
「ふふっ、久しぶりに堪能したわ」
嬉しそうに、黒猫はそう言って、未だに鎮まる事を知らない俺の股間に目を向けた。
「次は、こっちね」
「……ああ」
黒猫が上に跨り、間近で見なくても分かるぐらいに濡れそぼった割れ目を俺の棒に宛がう。
「いくわよ……んっ」
じゅぶりと音を立てて俺のモノを受け入れた黒猫のそこは熱くてキュウキュウと締め付けてきた。
「あぁっ……す、すごい……」
「やっべ……瑠璃の中……気持ち良すぎる」
「バカね、当たり前、でしょう?」
なんとか平静を装っている黒猫だが、バレバレだ。
でもそんな強がっている様子が愛しくてつい悪戯心が湧いてしまう。
ぴくり。筋肉で肉棒を動かし、黒猫のイイ部分を軽く刺激してやると、
黒猫の身体がびくりと反応した。
504:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/15(月) 21:07:05.85:zZuVFrAs0
「なっ」
「相変わらずそこが弱いんだな、瑠璃」
「お、おやめ、なさ……やめ……だめ……そこ、だめ、なの……ひゃん!」
やっぱり可愛い。クソ、可愛すぎる。
こうなるともうガマンできない。
ベッドのスプリングを生かし、反動をつけて、下から黒猫を突き上げた。
「ひゃ、ぅっ……ら、あっ、あぁぁっ! わた、わたし、が……うごく、のにぃっ!」
「もうたまんねーよ。こんなっ、可愛いとこ、見せられちゃ!」
黒猫が身をよじって逃れようとするが、許さない。
腰を両手で抑え、わざと音を立てるように肉孔をかき回していく。
「ひゃ、らめ、も、い、ちゃ……わ……」
突如、膣圧が急激高まり、黒猫の絶頂が近い事を知る。
「くっ、お、やべっ」
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
黒猫が長く美しい髪を振り乱して絶頂に達すると、
俺も搾り取られるように2度目の射精に至った。
ぱたりと、黒猫が俺の胸にもたれかかるようにして倒れてきた。
505:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/15(月) 21:07:47.15:zZuVFrAs0
「瑠璃……、大丈夫か?」
そう聞く俺の呼吸も荒い。
「ええ……だい、じょうぶ……」
それ以上に黒猫の吐息も荒くなっていた。
「ちょっと、休憩すっか?」
「……それも良い提案ね。でも、まだまだ搾り取るから覚悟なさい」
「はは……お手柔らかに頼むよ、瑠璃」
月明かりが差す部屋に、卑猥な音が反響する。
肉と肉、骨と骨がぶつかり合う音。
混ざり合った体液を貪りあう音だ。
「あァ、んぅっ! ひぅっ! ぁぁっ!」
ベッドに黒猫の手をつかせ、後ろから獣みたいに交わる俺たち。
いや、これはもう獣そのものかもしれない。
黒猫との3ヶ月ぶりのセックスは、それくらい激しいものになっていた。
「ぐっ、で、射精そうだっ、瑠璃っ!」
「いい、わっ! だして、だして、なか、にっ! んんっ!」
強烈な一突きを黒猫の秘肉に打ち込み、一番奥、子宮に肉棒の先端を押し付けて
今日4度目の射精の勢いは弱まる事を知らなかった。
黒猫も、最後にイったらしい。膣は俺を離そうとはしなかった。
506:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/15(月) 21:08:29.49:zZuVFrAs0
折り重なるように黒猫の背中の上から被さって、キスをした。
黒猫もそれに応じて顔をこちらに向けてくれる。
「ん、ちゅ……んん……」
「んっ……ふう……どうだった?」
「どうって……決まってるわ」
ぷいっとそっぽを向いた黒猫は決してこっちを見ない。
けれど、耳まで真っ赤なのはこの角度でもよくわかる。
「すごく、素敵だった」
言わせたのは俺だけど、こんなに嬉しい言葉はないし、こんなに照れる言葉もない。
「瑠璃も、すげえ可愛かったよ」
「ッ……バカ……」
さすがに4回も出すと結構疲れる。……最初は2回でもヘロヘロだったんだけどな。
ま、黒猫も満足してくれただろ。多分。
なんてそんな事を考えていた時の事だった。
ギシッ。
510:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/15(月) 21:24:23.58:1GKPwEtQ0
………………えっ?
今、明らかに寝室の外、つまり居間から物音しなかった? まさか、不審者?
動揺しかけた俺を、しかし、黒猫の声がぴしゃりと抑えた。
「……見逃してあげようと思ったけれど、自分からシッポ踏ませてどうするの」
『……』
「観念して出てきなさい、沙織』
「さっ、沙織ぃ!?」
慌てて寝室のドアを開けるとそこには、本当に、沙織が腰をおろしていた。
それも、ただ床に座り込んでいた訳じゃない。
スカートをたくしあげ、ショーツはぐしょぐしょに濡れていたのだ。
しかも手元には俺のジャケットがあった。つまり、沙織は――。
横になっていた黒猫がようやくむくりと起き上がり、シーツを巻いて立ち上がる。
「自分を慰めるだけで気が済むなら、見逃すつもりだったけれど。
こうなっては仕方がないわね」
「も、申し訳……」
沙織は傍目にも可哀想なくらい震えていて、今にも泣きそうだった。
「お、おい。る……黒猫。あんまり沙織を……」
「人聞きが悪いわね。苛めているつもりはないわよ」
「うう……」
黒猫は目を眇めて沙織を見ると、ニヤリと笑った。
あ、なんか嫌な予感。
519:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/15(月) 21:59:47.80:zZuVFrAs0
「沙織。取引といかない?」
「取引……ですか?」
「ええ」
沙織のやつ、眼鏡してるのに普段の口調に戻ってない。
キャラを被る余裕がなくなっているって事か。
いやまぁ、そりゃこの状況で平静でいられる女の子とかちょっと引くけどね。
「3Pをします」
「「……は?」」
図らずもハモってしまった。え、何言ってんの、黒猫さん?
ううん、と首をひねって思案するような仕草。
「違うわね。こうじゃないわ。3Pをして……頂けませんか?」
な、なにを……
「3Pをしたら……どうなんですか……?」
さっきから何を口走っているんだよ、黒猫おまえっ!
「3Pをしましょう。沙織」
しかも俺じゃないっ!?
「さ、さささんぴー……?」
「ええ、そうよ。私と貴方と、京介の3人でプレイ。略して3P」
522:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/15(月) 22:06:49.33:j4kBqNcT0
3Pて。お前は何を言っているのか分かっているのか?
いや、知識はあるよ? そりゃね、そういうものは見聞きしましたよ。
主にゲームとかDVDとかでな。
けど、黒猫。お前は分かっているはずだろう?
女の子は基本的に独占したいんだ。独占して、満たされる。
けど3Pってそれとは真逆の行為じゃねえのか?
それで黒猫も沙織も満たされるのか?
俺には――
「京介」
「……?」
「私も本音を言えば、不満がない訳ではないわ」
「黒猫」
「……」
チラリと沙織を見て、黒猫は続けた。
「今日は私の日なのに、出歯亀した上、乱入なんてね」
「ご、ごめんなさい……」
「けど、分からなくはない」
沙織の元に歩み寄って、しゃがみ込んだ。
521:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/15(月) 22:06:21.31:zZuVFrAs0
「貴女も、私と同じで、ずっとお預けされていたんですものね」
「……」
「……溜まっていたんじゃなくて?」
カッと沙織の顔が紅くなる。
「ふふ。久しぶりに京介に会って、腕に抱きついて、彼の匂いを嗅いで、
優しくされて、でも、彼は他の女とこれから一夜を共にする、なんてね。
耐えなさいって言う方が酷と言うものよね。」
沙織は耳まで真っ赤にしながら、黙って聞いている。
「だけど、今日はやっぱりまだ私の日。あと2時間はね。
でも、一刻も我慢できないお嬢様のために、ちょっとだけ分けてあげるわ。
その代わり、明日は私も混ぜなさい」
「っ!」
黒猫は優しい目をしたまま、沙織の耳元に口を近づけて、ぽそりと呟いた。
「さぁ、早く京介に貫かれたいでしょう?」
その声は静かで穏やかだったはずなのに、
やけに静まった部屋の中でハッキリ聞こえてしまった。
そして沙織は眼鏡を外して俺を見上げた。
「京介さん……私にも、ください……!」
真っ赤な顔、潤んだ瞳。
疲れていた体が上下共に一気に活力と精力を取り戻して漲る。
524:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/15(月) 22:10:20.94:zZuVFrAs0
翌日。
講義やオリエンテーションは変わらずあるよ?
しかしそこは、『そういう用途のための家』である。
女性陣たちはそれぞれ、お泊りセットと着替えの1つ2つが完備されている。
歯ブラシの数だけ見たらどんな大家族かと思うよな。8本て。
干からびそうな身体に鞭打って起こすと、既に黒猫も沙織も起きていたらしい。
「おはようございます、京介さん」
「おはよう、先輩」
なんだろうね。2人ともすっごいツヤツヤしてんすけど。女ってすごい。
「朝ごはんはもうすぐ出来ますから。顔でも洗って待っててください」
「あ、ああ、あんがと、沙織……」
525:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/15(月) 22:11:45.07:zZuVFrAs0
ふらふらしながら洗面所に向かう。ああ、太陽が黄色い。
顔を洗って少しさっぱりしたけど、だからって疲れは抜けない。
……何回出したか分からんくらい出した、っつーか絞られたもんなあ。
そりゃおにーさんもヘトヘトですよ。
けどよ。
「京介さん、ご飯できましたよ~」
「早くいらっしゃいな、京介先輩」
こうやって、幸せそうな顔見てると、頑張らなきゃなって思い直す訳だよ。
ゲンキンなヤツだって? 我ながらそう思うぜ。
この生活は、いつまでも続く訳じゃないだろう。
いつか必ず変化は訪れる。ずっと今のままではいられない。
そんな事は良く分かってる。
だからこそ、今は。目の前の笑顔を大事にしていこう。
「はい、しっかり食べて体力つけてくださいね、『兄さん』」
「そうですね、今夜も頑張って頂かなくてはいけませんものね、『お兄様』」
カーッと顔が紅く、熱くなる。
だって仕方ないだろ?
俺の妹たちは、こんなに可愛い。
526:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/15(月) 22:12:27.37:zZuVFrAs0
 ̄ ̄ ̄
536:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/15(月) 22:27:11.61:8hRbAHBwO
ハーレムルート あやせ編
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引越して5日目。日曜日、つまりあやせの日。
結局昨日、俺は桐乃を抱く事はしなかった。
だって妹だぜ? さすがに手を出そうって思えないだろ?
それでもちょっとは楽しく飯食ったり買い物行ったりできたから
あれはあれで良いんじゃねえって思った。
桐乃も別れ際、そこそこ満足してる風だったし。
まぁそれは置いといて。
今日はあやせ。マイラブリーエンジェルあやせですよ、おまいら。
ずっと幼馴染だった麻奈実の時は、変な意味で緊張したけどそれはまぁ別の話で。
あの、全宇宙最高の美少女あやせたんを抱く?
うわああああああああああああマジなのかよ!?
全っ然信じられん。現実感皆無だっての。
つーか本当に今日来るのかねえ。それすら怪しいもんだぜ。
まぁ、あんな事言ったけど、ぶっちゃけあんま期待してねえんだ。
ヒゲは念入りに剃ったし、爪もヤスリをかけて万が一にも痛くないように手入れした。
部屋には1時間前にファブ○ーズして十分換気、ちょっとアロマっぽいのを焚いたりしてな。
……すんません。気合だけは入りまくりです。
この『夢のような生活』が始まってまだ5日目。
俺はまだ、このどこか現実離れしたシチュエーションに適応できずにいた。
613:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/16(火) 14:31:03.95:cPbFjc6jO
部屋の中で不審人物発見。はい、俺です。
さっきから落ち着かない。ぴくりともしない携帯を手に取ったり、うろうろしたり。
本を手に取ったり、やっぱり机に戻したり。
何やってるんだろうねえ。
なんか落ち着くよう音楽でもかけようか。
そんな風に思っていた時、インターホンのベルが鳴り響いた。
「は、はいっ!?」
「……何をそんなに慌ててるんですか?」
聞こえてきたのは、まぎれもなくあやせの声だった。
「開けてもらっても良いですか?」
「あ、ああ。もちろんもちろん。今すぐ開けるよ」
「ありがとうございます」
インターホンの通話を切って正面玄関のドアを開けるボタンを押した。
……マジで来た。1人か? 実は怖いお兄さんが後ろに立ってるとか……。
ぐるぐる考えていると今度はうちのチャイムが鳴る。あやせだ。
鍵を外し、ドアを開くと、そこにはまぎれもなく彼女が立っている。1人で。
「お邪魔しますね、お兄さん」
やっぱ可愛い!
615:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/16(火) 14:32:15.74:gHmPx/qq0
「よ、良く来たな」
「はい。へー、ここがお兄さんの新居なんですね。なかなか綺麗じゃないですか」
あやせがキョロキョロと辺りを見回している。
今日のあやせは白を基調としたファッションでまとめられていた。
落ち着いた色のインナーに、薄い白のカーディガン。
膝丈のスカートと、シルバーのネックレス。
やべえ可愛い。やっぱあやせたんマジ天使だぜ。略してAMT?
「あ、お兄さんお腹空いてません?」
「え? あ、ああ……そりゃまぁ、それなりに」
「じゃあお昼ごはん準備しちゃいますね。お台所、お借りします」
そう言って、あやせはカバンを置いてキッチンに入っていく。
「俺も何か手伝おうか?」
「いえ。座っていてください」
別に嫌がられているとかそういう事ではないらしい。
あやせは鼻歌交じりで冷蔵庫の中を検分している。
沙織と言い、あやせと言い。女の子って意外と料理好きなのか?
最近の若い子は料理しなくなってるって聞くけどあれはマスコミの情報操作か。
あ、でもフェイトさんは料理なんて全然しようともしなかったな。
……もう30も近いのに、あの人だけはマジ心配だぜ。いろんな意味で。
616:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/16(火) 14:32:59.29:gHmPx/qq0
キッチンからは包丁の規則正しい音。
いやー女の子が台所に立ってるのはマジ良いぜ。つくづく思うね。
やがて炊飯器が音を立て、米が炊き上がったらしい。
あやせはそれを待っていたかのように、調理を仕上げに入る。
熱された油の音、どうやら炒め物らしい。
一気に香ばしい匂いがして食欲をかきたてる。
「出来ましたよー」
「おっ、美味そう」
「お兄さんのお口にあうと良いんですけど」
ご飯に味噌汁。そして肉野菜炒め。派手じゃないけど、逆にそれがすごく良い。
あやせの家庭の味を頂けるなんてこれ以上幸せな事はない。
「あ、でもさ。あやせは大丈夫なのか?」
「? 何がです?」
「よくわかんねーけど、カロリーとか」
炒め物みたいな油を使う料理はモデルの体型維持のためにはどうなんだろう。
若い男はこういうの大好きだけどさ。
「大丈夫です。鶏肉は胸肉なのでヘルシーだし、油も脂肪になりにくいのを使ってます。
それに健康的な食生活という意味では少しくらい油を取った方が良いんですよ」
「へぇ、そういうもんなのか」
「はい。それじゃ食べましょうか」
「だな。ありがたく頂きます」
617:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/16(火) 14:33:43.42:gHmPx/qq0
女の子って、やっぱ反応が気になるのかね。
俺が一口食べるまで、じーっとこちらを見てる。
「あ、美味い。それにすげえ良い香りするな」
「良かったです。香りは、仕上げにちょっとだけごま油を加えると良いですよ」
そういや、ごま油とか買ったなあ。使ってなかったけど。
あやせは安心して食べ始めたようだ。
いや、お世辞じゃなく美味いぜ。沙織と言い、麻奈実と言い、大したもんだな。
あやせのモデルの話や学校の話、楽しい昼食を終えて一息つく。
ややあって、あやせはぽつぽつと語り始めた。
「私、怖いんです」
「あやせ?」
「お兄さんの事は、嫌いじゃないです。でも、その、エッチするのは……怖い」
あやせは、本来的に怖がりだ。
あの時もそうだった。
桐乃が落ちぶれてしまうのが怖い。
大好きな桐乃が私に秘密を隠していることが怖い。
「皆もお兄さんが好きで、だから、今この状況をどうにかしようとは思いません。
でも、やっぱり、その処女は、結婚する人のために取っておきたいんです」
「……そうか」
もっともだと思う。そしてハッキリとそう言ってくれた事が、俺には嬉しかった。
その日、結局あやせは何もせず、帰っていった。
618:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/16(火) 14:34:36.21:gHmPx/qq0
もしかしたら、もう来ないかな、と思った。
あやせは根が真面目なんだ。
今までのように、なあなあでやっていくには本音を出しすぎてしまったんじゃないか。
でも、俺はそれでも良いと思ったんだ。寂しくないとは言わないけどさ。
あやせが自分で選んで、そうするなら、それはとても良い事であるはずだ。
だから、翌週。1日中待ってあやせが来なくても、俺はなんとも思わなかった。
思わないように、した。
ところが、そのさらに翌週。あやせは現れた。
「……こんばんわ」
ちょっと俯いて上目がちにこちらを見るあやせはどこか照れくさそうにしていて、
でも、あやせが会いに来てくれた事を俺は純粋に喜んだ。
居間のソファに腰掛けたあやせにハーブティーを出してやる。
気分が落ち着く、らしいよ?
「……ありがとうございます」
こうやってあやせと静かにお茶を飲むのも良いもんだ。
俺は心なしか優雅な気持ちで、日曜の昼下がりを楽しむ事にした。
619:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/16(火) 14:35:29.31:gHmPx/qq0
お茶を8割ほど飲んだあたりで、あやせが切り出した。
「あの、ですね。その、先日は申し訳ありませんでした」
「ん? なんかあったっけ?」
どっちかって言うと、何もなかったんだけどな。
「……あれから、色々と考えたんですけれど、やっぱり、お兄さんとエッチするのは、ちょっと……」
「そっか」
気落ちなんて全然してないぜ。いや本当に。
別に日曜は念入りにシャワーしたりとかねーし。
長めに歯磨きしたり、眉毛の手入れしたりとか、全然関係ねーし。
「でも、やっぱりお兄さんと、特別な時間は過ごしたい気持ちがあるんです」
「特別?」
「はい。なので、その、しょ、処女は、ダメなんですけど」
顔を真っ赤にして、あやせは顔を上げた。
「後ろの処女なら良いです!」
………………お茶、全部飲み干しておいて良かったよ。
620:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/16(火) 14:36:10.56:gHmPx/qq0
そこからあやせは早口で捲し立ててきた。
「ネットでちゃんと調べてきました! そういうの、アナルセックスって言うんですよね!」
「ぶふうっ!」
「ちゃ、ちゃんとグッズも買っておいたんですよ!」
いやに目がギラギラしてるのは気のせい、じゃない。よな。
やる気満々の顔でカバンから出てきたのはまず大きなボトルが1つ。
「そ、それは?」
「アナルセックス用ローションです!」
orz
OTZ
○| ̄|_
マイラブリーエンジェルあやせたんが壊れていく……いやもう壊れてしまったのか?
あんまりその顔と声でアナルアナル言わんでくれんですか! 兄さんいろいろ限界ですよ!
「普通のローションじゃダメらしいんですよ。ちゃんとコッチ使ってくださいね」
あ、もうアナルセックス(自分で言うのも憚られる)やるって決定してんのね。
「それから、やっぱり病気とか怖いのでコンドームです。
お兄さんは常備してるかなとも思ったんですが、一応薄いの買っておきました」
なんという気遣い。でもかえって痛い。主に心に。
621:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/16(火) 14:36:54.40:gHmPx/qq0
その後も、アナルをほぐすために使う細いバイブとか、
初心者の俺のためのマニュアルをサイトからプリントアウトしたものとか。
なんかもう、本当に準備万端だな、あやせ。
お前はどうしちまったんだ。
そりゃまぁ、興味がなくはないよ?
桐乃にやらされたエロゲでもそういうシーンは散々見てきたしさ。
でもこういうのって普通女の子の方が嫌悪感を示すもんじゃねーの?
見るからにノリノリなんですけどこの子。
ひとまず俺は言われた通り、念入りに石鹸で手を洗い、さらにエタノールを使って殺菌。
あやせは寝室でうつ伏せになって待っていた。
「あ、ちゃんと綺麗にしました?」
「お、おう」
「じゃあ……」
今さら恥らわれてもなぁ、とかちょっと思ったけど、やっぱり恥らうあやせは可愛かった。
くそう、このマイラブリーエンジェルめ。
だけど、この子と今からする事を考えると心臓の鼓動が早まるのも致し方ない事だ。
あやせは少し腰を持ち上げ、スカートとショーツ、そして靴下を脱いだ。
可愛いらしい、小さくキュッとしたお尻があらわになる。
宝石みたいで、その艶は真珠か何かと見紛うばかりだった。
622:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/16(火) 14:38:32.91:gHmPx/qq0
ベッドの上に膝を立てて、四つんばいみたいな格好。
あやせのお尻と、そして今まで誰も見た事がない場所が丸見えになった。
「こ、これがあやせの……お尻の穴……」
「い、いいい言わないでくださいよ、そういう事! 恥ずかしいじゃないですか……」
あやせは天使だから、排泄とかしないけどさ。
でもココってそういう目的の穴な訳だ。
そう考えると背徳感が沸々と沸きあがってくるのを抑えられない。
「え、えーと、じゃあ、始めるぞ」
「は、はい……あの、優しく、お願いしますね」
言われるまでもねえ。えーと何々。マニュアルによると、まずは肛門の周りを……。
「ひゃっ!」
つんつん。本当に軽く。弱く。触れるかどうかぐらいの強さで少しずつ刺激していく。
肛門周辺の筋肉は非常に強く堅固だ。(って書いてある。)
そのままでは性器どころか指だって入るもんじゃない。(らしいよ。)
まずはマッサージするように少しずつ柔らかくさせていく必要がある。(んだってさ。)
「うーん」
「ど、どうか……ひゃう……んくっ……しましたか……?」
629:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/16(火) 15:01:33.14:gHmPx/qq0
確かにココに入れる訳だし、そのために肛門周辺の愛撫をしてやる事が
絶対必須なのは、まぁ、マニュアル読んで分かるし、そうなんだろうと思うよ?
でもさ、例えば通常のセックスで『ソコ』ばっか愛撫する訳じゃないじゃん。
キスもするし、胸を触ったりとかするだろ?
やっぱそういうの必要だよな? っていうか、俺はもっとあやせのいろんなトコ触りたい。
けどまだ肛門のマッサージは慣れてないし神経使うから、疎かにはできない。
この体勢では胸に手は届かないし、キスなんて真逆の位置に相当する。
「あっ!?」
とりあえず目の前のお尻にキスした。
程よくハリというか弾力があって、でも、柔らかい。
胸とはまた違う新鮮な触感を、唇で、舌で、指で手のひらで感じようとする。
「お、おに……さん……こ、こんな……ううっ」
すらりと伸びた脚はほどよく肉がついてて、すべすべする。
片手で脚をまさぐり、もう片手で肛門を注意深く触り、口でお尻を楽しむ。
やべえ、これちょっと良いな。
「そんな……ところばっかり……」
なんだかもぞもぞしているので、ふと上半身に目をやると
あやせは自分の胸を自分で触り始めていた。
「あやせ……自分で触ってるのか?」
「だ、だって……お兄さんが全然触ってくれないから……切なくなってしまったんです」
630:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/16(火) 15:02:16.49:gHmPx/qq0
腹に当たるかと思うほど勃起したわ、こんちくしょう。
でもアナルセックスは根気が大事なんだ。
十分に準備をせずに挿入を逸れば、女の子は大変な思いをする。
しかも気持ちよくもないし。
あやせが自分の胸を慰める姿に興奮しながらも、焦らず、マッサージを続ける。
心なしかさっきよりあやせの体温が上がってきたような気がする。
それに伴って、肛門の周りもなんとなく柔らかくなってきた。人体の神秘。
あれ? でも初めての場合、結構マッサージに時間取られるって書いてあるんだけどな。
かなり柔らかくなってきたのを感じて、俺は恐る恐る指の先を入れてみる。
「っーーー!!」
入った。
そして同時にあやせの背中がびくんと跳ねた。
「あ、あやせ、大丈夫か?」
「は、はい。お兄さん……すごい上手です」
こ、こんなんで良いのか? えーと次は、指が爪の半分くらい入るようになったら
ゆっくりとほぐすように、指を上下に動かす。
631:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/16(火) 15:03:40.84:gHmPx/qq0
「あっ、あぁっ……」
あやせからなんとも艶っぽい声が吐息と共に漏れ始めた。
本当に、お尻で感じてるのか、あやせ。
しかも思った以上にほぐれるのが早い。
少しずつ、抵抗を探りながら指を深くし押し込みつつ、動かしているのだが
既に指は第一関節まで入って、あわや第二関節間近だった。
いくらなんでも早すぎねえ? まだ15分くらいだけどこれで本当に大丈夫なのか?
そして、同時に嫌な疑問が浮かんだ。もしかしてあやせ、後ろは初めてじゃない?
「な、なぁ、あやせ?」
「は、はい……んくぅ……はぅ……」
「お前もしかして、アナルセックス初めてじゃないのか?」
「初めてに、決まっ、てるじゃ、ないですか……何、言って、るん、ですか」
身体をぴくぴくさせながら答えているから、言葉も途切れ途切れだ。
「で、でもなんかほぐれるの早くないか? 逆に心配なんだが」
「あ、そ、そんな、こと、ですか? きまって、ます。
きょの、ために、わたし、じぶんで、じゅんび、したんれす」
「なっ……」
今日のために? 俺の、ために?
「そう、れす。おに、さんに、だかれ、たくて……」
やっぱりお前はマイラブリーエンジェルだ! 疑ってすまなかった!
632:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/16(火) 15:04:23.05:gHmPx/qq0
指を出し入れしながら、アナルに触れていない方の手で前も少し愛撫してやる方が良いらしい。
しかし、そこは既にとろとろで、どろどろだった。
「あっ、そこ、さわ、ちゃ……らめ……っ! んっ!」
あやせの痴態に心臓がどくどく言ってる。
逸る気持ちを懸命に抑え、丁寧にマッサージを続けた。
指は1本から2本へ。そしてかなり深くまで抽送できるようになった。
マニュアルによれば、これぐらいならもう準備万端って感じらしい。
つかこんなにホントに拡張するもんなんだな……。
「あやせ、そろそろ……」
呼びかけられてこちらを向いたあやせの顔は羞恥と興奮に真っ赤だ。
「……はい、お兄さん。来て、ください」
633:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/16(火) 15:05:34.92:gHmPx/qq0
ゴムを被せて、こっちも準備OK。
いい感じにほぐれたアナルが元に戻らないうちに。
ぐっ。
「うあ……」
「あっ……あぁぁっ……」
膣とは全然違う圧力。挿入感。
まだ俺のペニスは全体の1/5も入ってない。本当に先端。カリもまだ埋まらない。
それでも、これはやばい。
女の子がイく時にすげえ締め付けになる時があるけど、
あれくらい強く、最初からぎゅうぎゅうと締め付けられているようだ。
「い、痛く、ないか? あやせ……」
「は、はい……大丈夫……大丈夫ですから……」
「痛かったら、絶対言えよ……」
異物を押し返そうとする肛門と直腸。それに逆らって少しずつ、少しずつ推し進めていく。
「ぁぁぁ……おにい、さん……はいって……きてます……」
あやせの反応、声だけでも射精そうなのに、この圧迫感はヤバイ。
正直どれだけ保つのか、耐えられるのか分からない。
635:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/16(火) 15:07:15.86:gHmPx/qq0
それでも、ゆっくりと、あやせの中に埋めていき。
「はい、った……」
「あ、ぁぁ……はい、ってるん……ですか? おにいさん、ぜんぶ……?」
「おう。根元まで、しっかり入ってるぞ」
「う、うれしい……れす……おにいさん……」
そんな事を言うあやせがあんまりにも可愛くて。
欲望の赴くままに動かしてしまいたくなったが、それは絶対ダメだ。
ていうかそんな事したら1秒ももたんよ!
マニュアルにも書いてあったが、俺自身、ようやっと感じる事ができる
あやせの中に少しでも長くいるため、ゆっくりと円を動かすように腰を動かし始めた。
「あっ、あぁっ、うごいてる……おにいさんの……うごいてましゅ……」
「ぐっ……あやせのなか、すげえ気持ちいいぞ……」
「うれしい、うれしいです……わらしも……おにいさんきもちいいれすう……!」
直腸の中は真っ直ぐじゃない。その分、膣のそれより不規則な圧力がかかって
油断すると意識ごと持っていかれそうだ。
それにあやせが物凄く感じてくれている。言葉にならない声で、喘いでいるあやせは
たまらなく、反則的に可愛い。アナルに挿入れている背徳感と相まって腰のあたりががくがくしている。
「にゃっ……そ、そこ!」
突如あやせが妙な声をあげて一際大きくよがる。
痛がったのかと思い、腰の動きを止めた。
636:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/16(火) 15:08:31.60:gHmPx/qq0
「あやせ、ど、どうした?」
「い、いまなんか……おにいさんのが……なんか、あたって……」
「……よ、良かったのか?」
こくんと恥ずかしそうに頷く。あーもう可愛い。マジ天使。
お尻で繋がったまま、手をベッドについて、そっと上半身を前に倒した。
「あやせ、こっち向いて」
「あ……おにいさん……」
そこで初めて、俺はあやせとキスをした。
蕩けるようなキス。すぐにあやせは舌を出してきた。
もちろん俺も応じてやる。腰はゆっくり小刻みに動かしながら体液の交換。
やがてどちらからともなく離れて、結合部の刺激を再開する。
先ほどあやせが感じたのは、この辺か?
「あっ……あぅ……んぁぁ……」
違うっぽい。こっちか?
「ひんっ! ら、らめ……って……そこぉ……!」
ここだった。男なら、女の子の弱いところを攻めてあげるよな?
確か女の子の言葉は他意があるって誰か言ってたし。
「あっ、らめ、そこ、へん、へん、なっちゃう、あっ、ひゃっ!」
あくまで激しくはせず、緩慢な動きで、だけど執拗な動きで
Gスポットの裏側あたり重点的に攻めた。
637:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/16(火) 15:09:30.40:gHmPx/qq0
口をぱくぱくさせて喘いでいるあやせはまるで魚みたい。
そしてそれはもう絶頂に程なく近いだろうと思い、
俺も自身にかけていたブレーキを徐々に緩めていく。
「あ、あやせっ、そろそろ、イくぞっ!」
「っ!……っ!……っ!」
もう、声すらない。しかし、俺の言ってる事は分かるらしく懸命に顔を振って答えている。
そして、俺の肉棒は、あっという間に射精へと至った。
びくんびくんと悶えるように、ゴムの中に精液を吐き出す。
それに合わせるようにあやせの身体は弓のように反り返って果てた。
ベッドに2人とも脱力して倒れこんだ。
俺の腰はまだどくどくと射精を続けている。我ながら驚くほどの量だ。
喋るのも辛いぐらいの圧倒的な疲労感。
かろうじてペニスだけ抜いて、俺たちは折り重なったまま、
急速に深い睡眠へと落ちていった。
638:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/16(火) 15:10:36.86:gHmPx/qq0
目が覚めた時にはすっかり夜になっていた。どうやら3時間くらい寝ていたらしい。
まだ身体の芯が、特に腰が気だるい。
あやせはまだ穏やかな、そして幸せそうな顔で寝ている。
4月とは言え夜はまだ冷える。風邪を引かないよう布団をかけてやり
俺は熱いシャワーを浴びるべく風呂場へ向かう。アナル触ったりもしたからな。
サッパリして部屋に戻ると、あやせが起きていた。
「ありゃ、起こしちまったか?」
「はい。お兄さんがいなくなっちゃったのが寂しかったみたいですね」
あれ? なんかいつもよりデレてるよ?
「あやせも疲れたろ? シャワーしてこいよ。サッパリするぜ」
「そうですね」
「んで、その後、夕飯は外で食おうか。なんか腹減ったわ」
んー。と、あやせは口に手をあてて考える仕草をして。
「実はご飯の前に、1つお願いがあるんです」
「なんだ? なんでも言ってみろよ。今ならお前の頼み、なんでも応えてやるぜ」
「じゃあ遠慮なく」
そう言ってあやせはベッド脇に置いといたカバンから1本のバイブを取り出した。
「あのーあやせさん?」
「お兄さんにはアナルバージンを差し上げたので、やはりお兄さんからも同じものをもらいたいなと」
アッー!
639:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/16(火) 15:11:18.41:gHmPx/qq0
おわりだにょろ。
もう赤玉だぜ・・・。
640:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/16(火) 15:18:05.02:P+5ul+H40
「きょうちゃん、お風呂はいろ~?」
「う、い、いや、良いよ。遠慮しとく……」
「なんでよ~」
麻奈実は7人の中で最も良く尽くしてくれる女の子だ。
それはとても有難いし、とても嬉しい。
こんな幼馴染がいる事が、俺の手柄でもないのに誇らしい。
しかし、最近少しずつ悪ノリというか、エスカレートというか。
ぶっちゃけやりすぎなんじゃね? って思う事がある。
例えば、これ、『一緒にお風呂に入ろう』だ。
いや、良いんだよ。普通にお風呂に入る分には。
確かに気恥ずかしいとかそういう問題は山積みしてるけど
それはそれでちょっと素敵なイベントだ。
だが、麻奈実と入ると、ちょっとね、いや、うん。
まぁ結局、押し切られて一緒に入浴する事になった訳ですが。
765:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/17(水) 23:58:28.98:mZifTPG40
「はーい、きれいきれいしましょうね~」
これよ。なんでか知らないけど、麻奈実は洗いたがる。
気持ちいいんだけどさ。でも自分で洗えるぜ?
なんていうか気分は介護されているお爺ちゃん。
「どこかかゆいところありませんか~」
「ないぞ」
「きもちいい?」
「おう」
「えへへ~」
こんな調子なので文句も言えない。
実に楽しそうなのである。
「じゃあ流すね~」
「わっぷ」
お湯をたっぷり使って十分にシャンプーを流す。
「はい、かんりょ~」
「サンキュな。じゃあ俺、自分で身体洗うから……」
「だめだよ~。わたしがきょうちゃん洗うんだもん!」
背中を流すくらい良いじゃないかって?
どうせ前も洗ってもらったりするんだろうって?
766:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/17(水) 23:58:29.72:NG+t6cquO
バカ言わんでくれ。そんなのはなんの問題にもならん。
じゃあ何が困るかって?
だから、麻奈実は洗いたがるんだよ。
……ケツの穴までな……。
想像してみてくれ。毎週お風呂のたびに恥ずかしい姿勢で
前立腺マッサージを受けながら肛門を洗われる姿を。
鬱になるわ。
「ま、麻奈実サン……今日は尻の穴は結構ですんで……」
「ええー、だめだよ。綺麗にしないと。
もし、きょうちゃんがお尻の穴を汚くしていたせいで
女の子が病気になったらどうするの?」
どういう説得だよ! 清潔にしておけって言うだけで十分だろ!
「い、いやほら、自分で洗うからさ……」
「ムリだよお。きょうちゃん絶対自分じゃできないよ~」
「自分の尻の穴くらい自分で管理するって!」
なんだか聞くに堪えない酷い会話内容だが、本人達は至って真面目なので許してほしい。
それはさて置き、俺の発言を受け、麻奈実から発せられる雰囲気は突如底冷えするものになった。
これまで10年以上一緒にいたが、こんな麻奈実は初めてだった。
「……あやせちゃんに掘られたくせに……」
俺はもう、それ以上何も言えなかったとさ。
768:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/18(木) 00:00:16.69:gbVU3mDf0
――――――
――――
――
……今、何時だ?
時計を見ればすぐ分かる事なんだけどさ。
もう時計は10時を過ぎている事を示していた。
「……ちょっと寝すぎたか」
2度寝ってさ、寝ても余計疲れてたりするよな。
うん。今まさにそんな感じ。
……麦茶飲もう。
家の中はやたら静まってて、世界に俺しかいないみたい。
なんてそんなバカな事はねーんだけどさ。
親父はお袋と東京に買い物行くって言ってたし、桐乃は部活。
そういう訳で世界ではないが、家には正しく俺1人って訳だ。
ここんとこ大学のレポートやらサークルの飲み会やらで
忙しかったからたまにはのんびりするのも良いだろう。
なんて今日を気ままに過ごす算段を立てていたら玄関のチャイムが鳴った。
ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。
うるせえ。なんだ? 勧誘か? うーん、面倒くせえな。
しかも俺今、シャツとトランクスだけだしなあ。
ガチャ。
……え? 今ガチャッて言った? まさか勝手にドア開けたのか?
っていうか鍵閉めてなかったのかよ! 誰だよ最後に出て行ったの!
じゃなくて、そんな事考えてる場合じゃねえ。泥棒だったらどうすんだ!
勢い良くドアを開けて廊下に飛び出た俺の目の前にいたのは、
誰だ?
「キョウスケおにいちゃん!」
え? どちらさま? てか日本語?
瑞々しい褐色の肌。しなやかに伸びた手足。艶やかな髪は腰まで伸ばしている。
肩から、胸、腰、ヒップ、そして太ももへの流れるようなそれでいてメリハリのある曲線は
芸術と呼べるまでに美しく、整った目鼻立ちは到底日本人のそれではないと誰の目にも分かる。
際立って、匂い立つような美少女だった。
生まれて20年ちょい。日本から出た事は1度だけあるが外国人の友達などいない。
あ、でも待てよ。1人だけ知り合いっぽいヤツはいるけど、いるけどさあ。
「キョウスケおにいちゃん……まさか」
「お前、リアか?」
たった1つの心当たりを口にすると少女は一層弾けるような笑顔を見せて抱きついてきた。
「キョウスケおにいちゃん、超好きッ!」
「うわっ、こ、こら……ていうか、お前本当にリアなのか?」
「そうだよ。リアはリアだよ! あ、もしかして、
リアがあんまりイイ女になってるもんだからすぐには分かんなかったのかな?」
ぶっちゃけその通りだった。はっきり言って記憶の中のリアとは姿形が違いすぎた。
もう4年前になるのか? あの当時のリアはまだ12歳とかそんなもんだったはず。
確かに可愛かったが、まだまだお子様だったんだ。それがこうなるとはねえ。
容姿の成長も、行動パターンも。全然予想できないヤツだ。恐れ入ったわ。
「それもあるけどさ、なんでこんなトコにいるのか、って方が分かんねえよ」
「えっへっへー」
蕩けるような笑顔を見せるな。この純真さは変わっていないようだ。
いや、中身が変わっていないからこそ、この外見とのギャップがやべえ。
語彙が貧弱だから月並みな言葉しか思い浮かばねえがとにかく可愛い。
加速的に可愛い。短距離ランナーだけに。あんま上手くねえ。
「キリノはいないの? お出かけ?」
「多分部活だよ。今日は日曜だけど、部活はあるんだ」
「あークラブかあ。じゃあ走ってるのかな?」
「今度全国大会があるらしいぜ。その調整だろ」
ふーん。と、リアは気にした割りに気のない返事だ。
「じゃあ、キョウスケおにいちゃんはせっかくの日曜に何してんの?」
「うぐっ」
そこを突かれると痛いな。
「最近いろいろ忙しくてな……今日はだらだら休もうかと思った」
「えー。つまんなーい。じゃあリアと遊びに行こう!」
「は、はぁ!?」
断れる訳もなく。いや、お前ムリだろ?
褐色美少女に『遊んでよー』とちょい悲しげな目で迫られてみ?
喜んでだろうが渋々だろうが絶対断れないから。
そんで、来たのはココ。
「おー、久しぶりのアキバだー」
前回桐乃と3人で来た秋葉原。あの時は散々だったな。
「なんだか前来た時とちょっと違うね」
「良く覚えてんな。確かこのビルは建て直したし、アッチは駐車場になったし。
いろいろ変わっちまったよ、この辺も」
「そうだね。変わっちゃったね」
そう零したリアの背中が思いのほか寂しそうで。
「よし、リア。なんか食べに行こうぜ!」
慌てて俺は声をかけ、その手を取って駆け出した。
こういう場合って、女の子が「はや~い」みたいな展開になるじゃん。
全然ならなかった。そりゃそうだよな。桐乃が敵わないって言い切ったヤツなんだ。
「キョウスケ! 何食べるのー?」
ナリはこんななんだけどな。天は二物を与えたわ。
「そうだなあ。まずはおにぎりでも食べるか」
仮にも女の子と2人きりの、デートとも言えなくない状況で握り飯を食らう。
はっは。こんなんだから俺は彼女と別れたのかもな……はは、ははは。
「ん!」
「ん?」
途端にリアが顔を近づけてきた。
うお、近くで見るとホントに綺麗な顔してやがんな、コイツ。
「今、リア以外の誰かの事、考えてたでしょ!」
す、鋭い。女の勘が良いってのは万国共通か。男頑張ろうぜ。
「キョウスケと今一緒にいるのはリアなんだよ。
だから今はリアの事だけ考えてよねー」
「分かった。悪かった。んじゃ飯食うか」
「おー」
おにぎりは割と好評だった。日本オリジナルの物だから、という事と
カロリーが高すぎないから、だそうで。特に後者はアスリートのリアらしい考えだと思った。
「あ、何あれ」
「んー?」
リアの指差す先にあったのはクレープ屋だった。
「クレープって知らん? クリームとかフルーツを小麦粉練って焼いた皮で包むんだ」
「……よく分からないけど、美味しいの?」
「日本の、リアと同い年くらいの女の子には人気かな」
じゃあ食べる、と。さっきおにぎりがカロリー高くないという理由で気に入った人間に
こんなもの食べさせて良いのか判断に迷ったが、リアの好奇心に満ちた顔を見ると
とてもじゃないがそんな事は言い出せなかった。
美味しそうにクレープをついばむリアと一緒に秋葉原の街を歩く。
間違ってもエロ漫画屋には入らんし、エロゲショップにも入れさせんよ?
今日は日曜という事もあって、人が多く、
そこかしこにメイドやコスプレをした人が立ち客引きしている。
途中で記念撮影なんかもしたりして。割と楽しい時間だった。
「キョウスケ~、ちょっと疲れたよ~」
この人の多さは日本特有のものだし、慣れてないリアが目を回すのは当然かもしれないと思った。
「んじゃこっち行こう。小さいけど公園があるんだ」
「うん」
リアがするりと俺の左腕に右腕を絡ませる。
ちょっと驚いた顔でリアを見ると、リアはなんだか嬉しそうな顔をしていた。
……振り解ける訳なんて、なかった。
「はー。落ち着いたー」
「悪いな。人ごみって疲れるだろ?」
「そだね。いろいろみてたり行ったりしたけど、今日みたいのは初めてかも」
「はは。もう少しゆっくりしたら帰ろうぜ。桐乃もそろそろ」
「ううん」
リアは、首を横に振った。
「キリノには会っていかない」
「そう、なのか?」
もしかして喧嘩でもしたとか?
いや、それならウチを訪ねて来たりはしないよな。
「キリノの事は今でも好きだよ。手紙もたまに書くし。
でもね、今日はキョウスケに会いたかったの」
「……リア……?」
そういやいつの間にか『キョウスケおにいちゃん』じゃなくなってた。
「今日はすごい楽しかった。だからリアはこのままロスに帰るよ」
「えっ、もうか!?」
「うん。今日の最終便。実は元からそのつもりだったの」
急すぎる。いや、昔コイツが日本に来た時も目的を果たしたら即帰っちまったけどね。
ってことは、本当に俺に会うために、わざわざロスから来たってのか?
「キョウスケに会えて本当に良かった。
しかもこんな風に遊べるなんて思ってなかったから。すごく嬉しいよ」
「リア……」
そうして本当に、リアはロスへ帰っていった。
「ただいまー」
「あら、お帰りなさい。アンタ今日は1日家にいるんじゃなかったの?」
「いや。ちょっとな。いい年した若いモンが不健康だろ?」
「まぁねー」
麦茶を飲んで、他愛のない会話。
部屋に戻った俺はPCを起動し、ブラウザを立ち上げた。
「んーと、リア……ハグリィだっけ」
リアのフルネームを検索にかけると、まぁ出るわ出るわ。関連サイトがゴミのようだ。
天才少女。その肩書きはいまだ健在のようだった。
が、しかし気になる記事を見つけた。
「……期待の超新星リア・ハグリィ スランプか?」
記事によるとこの1年ほど記録が伸びず、思わしくない成績が続いているようだ。
将来の五輪女子100メートルの金メダリストを嘱望された天才少女に黄信号、みたいな内容。
まぁ、そりゃいくらリアが生活の全てを短距離に賭けていても、
そしてどんだけ才能があったとしても、そう簡単に世界の頂点になんてなれないよな。
知り合いが金メダル取れるほど、世界は狭くねーっての。
でも、頑張れよ。 応援してっからな。
一ヵ月後。テレビでは世界陸上の生中継を放送していた。
で、どうやらリアがエントリーしているらしく、
応援も兼ねて桐乃とテレビの前に陣取って視聴しているのだ。
『さぁー、トラック女子の花形、100メートルが始まりますよ!』
『アメリカからは期待の新星リア・ハグリィ選手が登場です』
『いやあ、ここのところ調子を落としているそうなんですが、大丈夫ですかねえ』
『若いんですねえ! ええっ!? まだ16!?』
解説や司会がいろいろ言っているが、横の桐乃は真剣そのものの表情で画面を見ている。
一応かつてのライバルだもんな。でもコイツもなんだかんだ言いながら応援してるんだ。
まず予選。ここでリアは不安説を吹き飛ばす抜群のパフォーマンスを見せ付けた。
『速い速い速い! アメリカのリア・ハグリィ、大会新で予選突破です!』
「うお、マジかよ!」
「リアすっごい! 不調とかなんだったのよー」
桐乃が目をキラキラさせている。これはもう感動の域だ。
走りで誰かを感動させるとか、どんだけすげーんだよ、リア。
「もしかしたら、今回優勝しちゃう?」
「アクシデントがなければ文句なしよ……」
そして少し時間を置いて、決勝だ。
予選タイムではリアがぶっちぎりのトップ。
後はフライングがない事を祈るしかないですねーとか言っちゃって。
スタートの号砲が鳴って、ランナーが飛び出した直後、
競技場にいた人、中継を見ていた人、誰もが確信した。
わずか4歩。
未来の金メダリストを確実視される事になるニューヒロインが、他を圧倒して置き去りにしていた。
観客席のあちこちがカメラのフラッシュを焚いて、女子短距離界を
今後引っ張っていくであろう1人の女の子の優勝と世界新を祝福している。
リアは嬉しそうに星条旗を両手に持ってトラックを一周していく。
ウィニングラン。勝者にのみ与えられた特権だ。
テレビ越しに見ても、勝ったリアはとても嬉しそうで、
俺たちはちょっとテレビが滲んで見えない。
すると、解説のオッサンが何かに気づいた。
『おや、リア選手は国旗以外にも何か左手に持ってますよ?』
「ん? そういえば、なんかあるな」
「なんだろ。写真? 家族の?」
カメラがアップでリアを写す。大きさ的に写真のようだった。
そうしている間にリアが戻ってきて、インタビューが始まる。
『優勝、世界新。おめでとう』
『ありがとう。とっても嬉しいわ。トレーナーや家族、応援してくれた皆に感謝します。皆ありがとう!』
『ところで、その皆が気にしているのだけれど、星条旗と一緒に写真を持っていた?』
『ああ、そうよ。これは私に元気をくれた大好きな彼の写真なの』
そう言ってリアが写真を持ち上げた。
「ああああああああああああああああああああああああああっ!!!?」
「桐乃、うるさいぞ! 静かにせんか!」
「ご、ごめんなさい! で、でもでもでも」
「何よ、どうしたの?」
慌てふためく桐乃を横に俺は唖然としていた。
だって、その写真はさ。
「なんでリアとアンタが映ってる写真を、リアが持ってる訳!? 意味分かんないんだけど!」
先日秋葉原に行った時、客引き中のメイドさんにお願いして撮影してもらった写真だったのだ。
「ねぇ、ちょっとこれどういう事? なんであの子がアタシの知らない写真持ってんの?
ええええ、意味わかんない意味わかんない意味わかんない!」
「京介、アンタこれはどういう事なの?」
「……京介、説明しろ。桐乃も母さんもうるさくてかなわん」
親父もそれなりに驚いているっぽい。
いや、桐乃より親父よりお袋より、一番驚いてるの俺だぜ?
そして、そんな俺たちの事など何も知らないように。
『キョウスケのおかげで優勝しちゃった!
今度日本に行ったらまたデートしてね!
あ、次はチャペルでウェディングも良いよ!』
下げ止まりをみせない居間の温度。鳴り止まない電話。ついでに変な汗も止まらない。
あぁーもう。ったくさ。ほんっと、予測できないヤツだよ、リア。お前ってやつは。
『キョウスケ! 超好きッ!』
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. / l. _/リ! ヽ _} 寸?
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X l l◯ ◯ l:.:.l V
/ ヽ (| ! _ }:.:.!
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}/,レヘ/─-\ ′ d⌒) ./| _ノ __ノ
乙
いい終わりだ
さあ残るは・・・
334:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/13(土) 18:22:52.49:8X5b3qSFOいい終わりだ
さあ残るは・・・
おつ
つーかk+Q07ESh0頑張りすぎだろwww
422:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/15(月) 17:53:50.95:zZuVFrAs0つーかk+Q07ESh0頑張りすぎだろwww
桐乃ルート
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「兄貴、寒い」
「……ホッカイロはもうねーぞ」
「今、使ってるのがあるでしょ!」
「お前! 俺に凍え死ねってのか!?
じろりと回りに見られてハッと我に返って頭を下げた。
桐乃は、ふん! とふんぞり返ってるけどな。やれやれ。
12月24日。世間ではクリスマスイなんとかって日に、俺と桐乃が何をしているのかって言うと、
秋葉原で先着限定の特典付きアニメDVDを買うため徹夜で並んでいるのだった。
時刻は6時。東の空が白んできてもうすぐ夜が明けそうなのだが
実は日の出の前後1時間くらいが一番寒い事を今知った。
このためにコートとセーターを着こんで、カイロをしこたま持ってきたのだが
桐乃は見た目を気にして、ダウンジャケットにホットパンツという
馬鹿丸出しの格好のためか、日付が変わったくらいからカイロの消費が異常に速い。
「だから温かい格好してこいっつったろ……」
「……だって……」
流石に失敗したと思っているようだ。全く。
「あと1時間くらいで整理券配布だろ? もうちょい頑張れ」
「……うん」
カイロを1つ渡して、頭をぽんぽんと叩いてやった。
あー、全く。なんでこんな事になったのかねえ。
「……メルルの劇場版?」
「そう! あの神作がとうとうブルーレイで発売されんのよ!」
メルルと言えば、桐乃がハマりまくっている魔法少女もののアニメ。
3期が終わった後も根強く残った人気とファンの声により、劇場版が制作・公開された。
時系列的には1期と2期の間を補完するようなストーリーで、
作画・ストーリー・音楽、とどれを取っても『アニメ史上最高』だったらしいが
まぁそれはファンによる色眼鏡的な評価があっての事と思う。話半分。
「で、それがどうかしのたか?」
「だーかーらー、ココ! 耳の穴かっぽじって、よっく見てみなさい!」
耳掃除しても目には関係ねぇだろう……。
「……ソフ○ップ特別協賛、先着限定特典?」
「そう! それなのよ!」
今回の新商品発売にあたり、店頭で購入した客に先着順で特典をつける、と。
某ネット通販サイトに対抗しての策なのかね。
「……それで?」
「アンタの目は節穴!? よく見るの!」
「んー……?」
ああ、なるほど。そういう事かと合点がいった。
「メルルとアルファ。2種類特典があるのか」
「そう! けどこれは一限なのよ」
「? いちげん? 大学の講義の1コマ目ってこと?」
「アンタバカァ!?」
ひっでえな! そこまで言われる事かよ!?
「お一人様限定1つまでってこと。1人で買いに行ってもコンプできないってことなのよ」
「なるほど。なかなかアコギな商売だな」
「うっさい」
とまぁ、ここまで来れば先は読めたよな。
1人1つ限定。しかし2種類ある特典は両方ほしい。
「なるほどな。つまりこの発売日に、予定空いてる? って聞きたい訳だ」
「はぁ? 違うし。24日、行くからねっていう確認」
……既に決定事項なのかよ……。
「どうせアンタ、クリスマスイヴなんて予定ないでしょ? じゃあ問題ないわよね」
「確かに予定が入る予定もないけどさ……」
いい年こいてイヴに妹とアニメのDVD買いに行くのか……胸が苦しくなるな。
「あ、ちなみに、前日の終電で現地入りして徹夜だから」
「殺す気か!」
そんな訳で、予定通り予定の入らなかった今日。
こうしてメルルの劇場版ブルーレイを購入する為、桐乃と並んでいるという訳だった。
陽の光が少しずつ大きくなっていく。
こうやって日の出を見るのは、あれ? もしかして人生初かもしんねえ。
初日の出とかそういうのはあんまし興味なかったし、富士山登ってご来光を拝む、
みたいな崇高な趣味も持ってないしなあ。
……人生初の日の出は、妹と秋葉原でアニメのDVDを買うために並ぶ最中見ました。
割と素で泣けてくるな、これ。
街は少しずつ起き始め、行きかう車や人も増え始めた。
こんな時間からスーツ着たサラリーマンが歩いてるのを見ると
ああ、こういう人たちがいるから社会は機能するんだなとか思っちまう。
「あ、兄貴」
「ん?」
「あれ」
必要最低限しか喋らなくなったな、こいつ。
ダウンジャケットの裾から指だけ出して差した先を見ると
ソフ○ップのロゴ入りナイロンジャケットを着たオニーチャンが出てきていた。
「本日はー『星くず☆うぃっちメルル劇場版DVD/BD』にお並び頂きまして誠にありがとうございます」
うわー、そんな風に言われちゃうとなんだか公開処刑されてるみたいだぜ。
街行くリーマンやキャリアウーマンの皆さんの視線が痛い痛い。
「予想以上に大勢のお客様がいらっしゃっておりますので、予定を繰り上げ、整理券の配布を
始めさせて頂きたいと思います。お受け取りになられたお客様は周辺のお店、一般の歩行者の方々の
ご迷惑になられませんよう、よろしくお願いいたします」
「ら、らっきー……」
「助かったな、桐乃」
「ん」
先頭から順番に1人1枚ずつ券が配られていく。
終電で来た俺たちが並ぶ頃には既に50人くらい前にいたのには恐れ入った。
無事整理券を2人分もらうと、俺たちはその場を離れた。
「行くアテあんのか?」
「……ネカフェ」
あぁ、なるほど。24時間営業のネットカフェや漫画喫茶なら
座れるし温かい飲み物もあるし、個室では人目を気にせず休憩できそうだ。
黙々と歩く桐乃の後ろからついていき、とあるビルに入る。
エレベーターで4階に上がると受付があった。
「2名様ですか?」
「あ、はい。そうですけど、席は」
「カップルシートで」
なに?
「かしこまりました。お煙草はお吸いになられますか?」
「いえ。禁煙席で」
「はい。それではこちら、3番のシートをどうぞ。ドリンクはセルフサービスになっております」
「どうも。いくよ」
「あ、お、おい」
ポケットに両手をつっこんで足早に進む桐乃に
声を掛けられるような雰囲気は皆無だ。
俺はまぁ、別に一緒の席でも構わんが、お前は構うんじゃないのか?
全く。わっかんねーヤツだな。相変わらず。
「ここ」
そう言って3と書かれた扉を開いて俺は驚いた。
「意外と広いんだな」
ゆったりとしたソファークッションに、足をゆったり伸ばせるスペース。
大きな液晶画面のデスクトップPCと大きなヘッドフォンが2つ。
なるほど。これなら確かに、普通の個室に入るよりゆっくり休めそうだ。
桐乃はブーツを脱いで端っこに置くとジャケットを脱いでクッションに横になる。
自分の上に、着ていたジャケットをかけて、完全に寝る態勢に入っている。
「開店まで寝るから」
「あいよ」
「変な事しないでよね」
「あいよ」
疲れていたんだろう。桐乃は目を瞑って動かなくなった。
1人でクッション独占しやがって。
これが本当のカップルなら添い寝でもするんだろうけどね。
ははは。まだ死にたかねーや。
実は、昨日の夜。お袋とこんな話をした。
「アンタ、最近桐乃と一緒に行動する事多くない?」
「ん? そうか? そんな事ねーと思うけどな」
「うーん」
お袋は難しい顔して唸っている。
「なんだあれか? 桐乃に手を出すなーってヤツか? 心配しなくても……」
「いやー、最近分かんなくなってきちゃったわよ」
「は?」
だからね、と。お袋は前置きして続ける。
「最近分かんなくなっちゃったのよ。アンタたち、昔から仲悪いし、
今も仲良さそうには見えないけど、アンタはアンタでたまに良いお兄ちゃんしてるし
桐乃もなんだかんだでアンタの事頼りにしてるみたいだし。
そんでアンタたち、彼氏も彼女も作らないでしょ?
もしかしてこのまま2人で生きていくつもりなのかしら、とか」
俺はお袋のトンデモ発言に身震いした。
実の母が実の子どもが結婚しないとか、しかも兄妹で生きていくとか想像していやがる。
「ねーよ。ありえん。俺が彼女いないのは仕方ないとして、アイツはムカつくけどモテるんだろ?
だったらその内、自分に合うやつ見つけて連れてくんじゃねーの?」
「そう、ねえ。そうだと良いんだけどねえ」
まぁ、そんなヤツは良いヤツだろうと何だろうと一発殴るとは思うが。
「んだよ。随分疑うじゃん」
「なんていうか、女の勘ってヤツ? あの子、あたしたちが思ってる以上にアンタに懐いているのかもって」
「桐乃が? 俺に? ねーわ。ねーよ。ていうか懐くって何だよ。犬か?」
「もし、もしよ? 京介」
ちょっとお袋はマジだ。いつもおちゃらけてるから、こっちまでちょっとマジになる。
「アンタが桐乃に手を出すのは許さないけど、
もし、桐乃がアンタについてくって言うなら、アンタ、ちゃんと受け止めてやんなさいよ」
それこそ一番ありえない事だと思うけどな。
つーかホント桐乃贔屓な母親だな。長男の俺がちょっと凹むくらい。
まぁデキが違うから仕方ないんだろうけどさ。
こちらに背を向けて寝ている桐乃を盗み見る。
綺麗に染めたライトブラウンの髪も、両耳のピアスも、
艶やかにマニキュアを塗られた綺麗な爪も、端整な顔も、すらりと伸びた手足も、
今はダウンジャケットの掛け布団に隠されちまっているが。
コイツが、俺を慕うとか、懐くとか。
「……ありえねーだろ」
小声で、誰にも聞こえない声で呟く。
自分の着ていたコートを桐乃の下半身に掛けてやり、
俺はブランケットを取りに行こうと個室を出ようとした。
「……ありがと……」
そんな声が、か細い、糸みてーな声。
だけど確かに、聞き間違うはずのない桐乃の声がした。
「桐乃?」
桐乃は動かない。ぴくりとも反応しない。
でも、残念な事に片耳は隠れていなかった。
赤くなった耳は、寒さのためか、それとも――。
おかしいな。
俺の妹が、こんなに可愛い訳がないのに。
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fト、 ー_介ー:: ' _`´::ィレ个:7 l ┼ヽ -|r‐、. レ |
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 ̄ ー- ソ / { />r- // 厶- 7 '
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. ; ; Y/::Krくリレ /ィ7 ―/ }_ \
| { {トミ三/ ̄ ̄`く. フ7 , い }
. 丶 、 K ゝ-―‐-、 { ′ / } }ノ
. \ミ- 丶>トぃヽ_ 丶.ー、`ー-、 ,ノリ
おまけ。
「あ、兄貴……もういない? いない? いっちゃった?
ああああああああああ兄貴いいいいい兄貴のコートコートコート!!
くんくん……あぁぁ兄貴の汗の匂い凄いよお!兄貴が添い寝してるみたい。
もしかしてアタシ今、兄貴と添い寝してるの? やだもう幸せ過ぎるんですけど?
ば、バカ兄貴ったらアタシと添い寝したいなんて何言っちゃってんの?
ホント変態すぎるんですけどー超キモイ。ありえないから。
そんな兄貴の事、好きでいてあげられるのなんてアタシくらいしかいないんじゃない?
もうホントどうしようもない兄貴だけどー、アタシぐらいの心の広さがあれば許してあげちゃっても良いよ?
え? 許してほしい? 仕方ないなー。そんなに妹のアタシにベタぼれしてるなんて、でへへ。
キモ過ぎて婿の貰い手もいないでしょー。地味子とか完全に引いちゃってるし。
仕方ないから、兄貴の事はアタシが養ってあげるわよ。もうバカ変態兄貴。
今度は何? アタシのジャケット貸してくれって? この変態、何する気?
ちょ、ちょっと、何ジャケット嗅いでんの!? 変態すぎるんですけど!
い、良い匂いがするって……バカ、バカ兄貴。もう。最悪。最低。
仕方ないから兄貴のコートにアタシの匂いつけといてあげるわよ。
こうすればいつでもアタシの匂い嗅げるでしょ?
あーもうこんな変態兄貴持ってホント不幸。あたしってホント不幸!
アタシを不幸な目にあわせた責任、ちゃんと取らないと許さないんだからねっ!」
ほんのりとしたデレか、いいね
443:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/15(月) 18:44:30.76:cnhV/gQc0桐乃ルート乙乙
最後のクンカも含めておもしろかった!!!
444:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/15(月) 19:11:21.43:FTL4fUNC0最後のクンカも含めておもしろかった!!!
さ、そろそろハーレムの時間かね?
452:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/15(月) 19:48:03.18:zZuVFrAs0変わらないものを変わらないように維持していくのはそれなりに大変だ。
時間が経てば、変わる。それは自然の摂理なんだからな。
例えば、俺や麻奈実は大学生活3年目に突入するし、
黒猫と沙織、ついでに瀬菜もめでたくこの春から大学生。桐乃はこの冬受験だ。
就職活動もしなきゃなんねーし、みんなも今よりもっと明確に
将来について真面目に考えなきゃいけないだろう。
ずっと今のままではいられない。
それは例えば沙織の姉が結婚し、海外へ行ってしまった為に
彼女を中心としたコミュニティーが空中分解してしまったように。
いずれは俺に彼女ができたり、あるいは、誰かに彼氏ができたり、
仕事の都合で遠くに引っ越す事になったり、それこそ海外とか。
何があるのが分からないのが人生なんだ。
それを面白いって言うヤツもいるだろう。
まさに俺の人生はそんな感じだったから、同意しなくもない。
だけど、こんな風になるなんて、いくらなんでも想定外だった。
「またお前に先輩って呼ばれる日が来ようとはな」
「おや、拙者も今年からは後輩になるでござりますぞ」
「ああ、宜しく頼むよ、沙織」
入学式を終えて出てきた2人と合流する。
沙織はともかく、黒猫までここに受かるというのは
正直難しいと思ってたんだがどうやら見くびっていたらしい。
「まあ、先輩の目は節穴ですからね」
「む……」
悔しいが言い返せない。麻奈実は黒猫の合格を信じて疑わなかったからな。
ちなみに俺と沙織は経済学部、麻奈実は商学部、黒猫は文学部だ。
「その点については悪かったよ。悪かった。反省してるし、謝るよ」
「ふん……、分かれば良いのよ」
2つ下の女の子に頭が上がらない俺である。
「まぁ、ここに突っ立ってても仕方ない。行こうぜ」
「そうでござるな」
「行こう、と簡単に言うけれどね……」
そこで言葉を区切った黒猫の視線の先にあるもの。
激しい掛け声やら校歌斉唱やら何やらしながら無数のプラカードが踊っている。
決してデモとかそういうんじゃないぜ。
この季節、どの大学でも見られる至って一般的な恒例行事だ。
「……あそこを無事通り抜けられたら、の話ね」
「だな」
新入生をサークル勧誘せんと、校門前に大挙として押し寄せている人間の波だった。
実は先ほどから視線が痛い。
この場所にスーツを着て立っていれば大体新入生である事が確定していて
彼らにしてみれば端から声をかけたいぐらいの気持ちでいるはずだ。
しかし、ここに1人、強烈に目を惹く女の子が立っている。
黒く長い髪を綺麗に結わえ、凛とした目に薄化粧の黒猫、こと五更瑠璃は
この数年で桐乃ですら驚くほどの成長を遂げていた。
背はさほど変わらないものの、手足はすらりと細くなり、
顔つきも以前の堅さが少し取れ、高嶺の花、クール系美人へと進化し
高校では一、二を争うほどの人気になっていると瀬菜から聞いた。
本来ならその横に立つ、180センチの美少女、槙島沙織はそれに劣らぬどころか
俺の知る限り、あやせにすら匹敵する美貌の持ち主――つまり世界最高水準――だ。
しかし、いつものぐるぐる眼鏡は今も肌身離さず
身につけているからパッと見には分からないんだろうな。
あーあー。まるで獲物を見る狼の目つきだぜ。
どうしたもんかねえ。
頭を悩ませていると、沙織はこちらに振り向いてω←こんな口を形作っている。
何か悪い企みを思いついた顔だぞ、これ。
「にゅふふ」
「沙織、なんか企んでるだろ」
「いやいや。そのような大げさなものでは決して。ええ」
そう言って沙織はするりと俺の左腕に自分の右腕を絡ませてきた。
「なっ!?」
「これでそう簡単に、彼らも声を掛けられなくなったのではござらぬか?」
ちょっと抵抗ある、というか恥ずかしいが沙織の言う事には一理ある、気がした。
本当だぜ? 決して邪な考えじゃないって。マジで。
「それじゃあ私も」
「おう!?」
すると黒猫も反対側、俺の右腕を取って自身の身体を押し付けてきた。
「く、黒猫まで……」
「この状況で声を掛けてくるような愚劣な輩はいないでしょうね」
「うむうむ」
「さぁ、行きましょうか。先輩」
勧誘を企てていたサークルの人間たち、
特に野郎どもの視線は針どころか槍のムシロだ。
そりゃまぁそうだろうなあ。女2人を両脇に侍らせて
何だアイツはって思われてるに違いない。
それに、こう言っちゃ語弊になるかもしれんが、
サークルの男たちは美味しくいただける
新入生の女の子を探しに来てるヤツが相当多いはずだ。
とんびに油揚げをかっさわれた心境だろうよ。
射殺すような視線は努めて無視。
校門を出るまで、まるで生肉をぶら下げられたライオンの前を
裸で通っているような心持ちだったね。
「やれやれ。もう離れても大丈夫だよ、沙織、黒猫」
「? なぜでござる?」
「なぜって……」
相変わらずニヤニヤしながら聞き返してくる沙織。
くそう。ちっと恥ずかしがらせてやろうかな。
「……ってんだよ」
「はぁ? なんでござるか?」
「だから、胸が当たってるんだよ」
「当ててんだよ。言わせんな恥ずかしい」
見事なカウンターだった。
ガックリとうな垂れたいところだったが、
両脇を固められていてはそうもいかない。
そんな情けない姿の俺を、黒猫が見上げていた。
「……」
「ど、どうした、黒猫?」
「……どう?」
どうって何がだ。心なしか黒猫は頬を紅く染めている。
そう言えばなんだか右腕がちょっと苦しい。
「私も当てているのよ。言わせないで、恥ずかしい」
「~~~~ッ!?」
聞いて真っ赤になったが、すまん、黒猫。
スーツの上からだとあんまり感じない。
いや言われてみればちょっと感じるんだけど
左からくる圧力がちょっと凄すぎてヤバイ。
津波の前の小波って感じだ。
とにかく、2人とも腕を離す気はないらしい。
俺は予め考えていた定食屋へとやや早足で進んでいくのだった。
「でさ、真面目な話、2人ともサークルには入らねーのか?」
「拙者は既にいくつか興味のあるところは調べているでござる」
さすが沙織。その辺は抜かりないな。
「ただ、あまりサークルに捕らわれたり縛られたりは御免ですので
もう少し情報を集めてから決めようかと」
「私は、今のところ、あまりその気はないわね」
まあ黒猫らしい。コイツ、昔ほどじゃないけど積極的に人と関わるの下手だもんな。
「そっか。ただ就活する時に、サークルって1つの指標になるから
ムリじゃない範囲で参加しておくと、何かと楽になるぜ」
「そうね。考えておくわ」
「おう」
出された鯖の塩焼き定食を頂いて腹ごしらえをしていると、携帯が鳴った。
麻奈実からのメールだ。
「どうしたの?」
「えーと、『2人に会えた? 宜しく伝えておいてね~』だとよ」
「マメでござるなぁ」
ちなみに黒猫には麻奈実が勉強を教えていたので、
合格発表の時は自分の事のように喜んでいたし、
門出の日に駆けつけたがっていたのだった。
しかしアイツは今日は外せない用があり、来れない事は予め分かっていた。
相当残念がってたなぁ。
『もー、るりちゃんの晴れ舞台だよぉ? それなのにぃ……』
まぁ、こういうのはタイミングってヤツだ。
そして間の悪さって意味ではアイツは結構悪い方なんだよな。
「さて、京介氏。拙者この後いろいろ買い物したいのでござるよ」
「ん? おお。じゃあ荷物持ち手伝うぜ」
「かたじけのうござる」
大学入ると何かと物が入り用になる。
それは自分たちの時に経験済みだ。
先輩として、男としてここは手伝ってやらにゃ。
「……」
しかし黒猫はちょっとムスッとしている。
「黒猫?」
「いえ、なんでも、ないわ」
全然なんでもなさそうじゃないんだけどなぁ。
でも俺には心当たりが全然なかった。
沙織に助けを求める視線を送ると、同様に?が浮かんでいる。
が、何か思い当たったらしい。
「黒猫氏、拙者……」
「いえ、沙織。良いのよ。ごめんなさい。大丈夫」
「しかし」
「大丈夫よ」
こうなると黒猫は引かねーんだよなあ。
「後で先輩に埋め合わせしてもらうから」
なんて、そんな不穏な発言をして。
「ところで、何を買うのかしら?」
「ええ。必要なものはこのリストにまとめてあるでござるよ」
肩を寄せ合ってリストを見ている2人はなんだか姉妹みたいで微笑ましい。
「つか沙織は、いつまでその眼鏡かけてるんだ?」
「うーむ。難しい質問でござる。ですが拙者、まだしばらくは手放さないつもりでござる。にんにん」
以前は俺たちネットを通じて知り合った仲間の前、という前提でのみ眼鏡をかけていて
普段は特にキャラを作らず過ごしていたはずだったんだが、いつしか沙織は
常日頃から眼鏡をかけるようになっていった。
もったいない気がするが、こればっかりは本人の決める事だしな。
「よし。んじゃ買い物行くか。とりあえずハンズあたりか?」
「そうでござるな。道案内は宜しくお頼み申す」
「あいよ。あ、すいませーん、会計お願いします」
まぁ先輩だし、おめでたい日だし?
これぐらいは奢っとかねーとな。
その後、電車で移動し色々と必要な物を買い揃え終わる頃には太陽が沈んですっかり暗くなっていた。
「今日は本当に助かったでござる」
「いつもお前に助けられる事の方が多いんだ。たまには恩を返させろよ」
「京介氏……」
ちょっと温かい空気。くすぐったくなるけど、心地いい。
しかしそんな中、黒猫は1人黙り込んでいる。
それを敏感に察した沙織ではあったのだが、何故だろう。
なんかニヤニヤしている。いつもなら気を遣ってフォローに入るなり何なりするのに。
「京介氏」
「ん?」
「今日は火曜でござる」
「そうだな」
それが何だって言うんだ?
「黒猫氏は、試験などでバタバタして、久しく時間が取れませんでしたからなあ」
「っ……沙織!」
珍しく声を荒げる黒猫だったが、そこまで言われてようやく俺も気がついた。
というか、思い出したのか、それとも意図的に目を背けていたのか。
そんな事を自問自答するのも恥ずかしすぎた。
「にゅふふ。それでは邪魔者は退散すると致しましょうぞ。それではまたっ!」
「あ……」
「……」
気まずい。クソ、沙織のヤツめ。この甘ったるい空気。
先ほどのちょっと温かい空気が比にならない気恥ずかしさだ。
それでも、男だからな。俺。
「く、黒猫」
「……何かしら」
1つ咳払いをして。
「寄ってくか?」
「……」
黒猫はちょっと躊躇ったのか逡巡したのか。
「ええ」
それでも、頬を紅く染めて、そう答えた。
電車で、徒歩で、移動している間。俺たちは一言も話さなかった。
昼間は沙織と競うように絡ませていた腕も、今は手を握るのみ。
パッと見には、2人の距離は遠くなったように見えるが、
固く握り合った感触は、俺と黒猫が物凄く近くにいるように感じられた。
駅から徒歩5分。学生が住むにはちょっと広めの1LDK。
自宅から通えなくもない場所の大学に通う俺が、
こうして部屋を宛がわれているのは、とある理由があった。
手を解いて鍵を出す。ガチャリと回してドアを開け、靴を脱いで家にあがった、
ところで、後ろから黒猫に抱きつかれた。
「黒猫?」
「……2人きりの時は、もう1つの名前で呼んで頂戴と、言ったはずよ」
「そう、だったな、瑠璃」
黒猫が『仮の名前』と称している本当の名前。
それを呼ぶと黒猫は、さらに強く俺を抱きしめた。
「ずっと、来れなくて、寂しい思いをしたのよ。
こんな事を言うなんて、私も随分弱くなったものだけれど」
「……そうでもないだろ。弱さを曝け出せるのも、強さの1つだと俺は思うぜ」
「ふふ」
ちょっと笑って、黒猫は腕の力を緩めると
「……今日は、いっぱい愛してくれるのよね」
「御意」
部屋の明かりは点けないまま、黒猫の手を取り寝室へと進んでいく。
お互いにとって勝手知ったる間取りに歩は鈍らない。
ドアを閉め、部屋の真ん中にあるベッドに腰掛ける。
そして黒猫はそこが指定席かのように俺の隣に座った。
……何度こうしても、この時間だけは緊張する。
いや、緊張も何もなくなったら、それはそれで寂しい話だよな。
黒猫も緊張しているっぽい。元々黒猫はそういう傾向があるけど
今日は本当に久しぶりだ。それこそ、3ヶ月ぶりか?
うーむ。上手く出来るかどうか、心配だ。
先に動いたのは情けない事に黒猫。
ついっと身を寄せると俺の頬に軽く唇を触れさせた。
緊張しているけれど、それ以上に期待している瞳。
白い肌と、見事なコントラストになった黒い髪、長い睫毛、大きな瞳。
そして、小さくてぷっくりとした紅い唇。
そんな黒猫が愛しくて、今度は俺から頬に軽いキス。
一度離れて、今度は互いに引き寄せられるように唇を重ねる。
「ぁ……」
そんな小さな吐息が黒猫の口から漏れ、黒猫の瞳がとろんとした。
背筋がぞくぞくして、思わず身体を強く抱き寄せ合って、熱烈に口付け合った。
キスの間あいだに熱い息が零れ、火照った声が聞こえる。
ぴくんぴくんと反応する黒猫が可愛くて脳が蕩けそうだ。
どちらの唾液ともつかないじゅるじゅるしたものを貪って与えてまた貪って。
黒猫の手は俺の背中から上半身へとまさぐるように動き、やがてボタンを上から順に外していく。
キスはもちろん止まらないまま、意図を汲んで俺はシャツを脱ぎ捨てる。
お返しとばかりに黒猫のジャケット、そしてシャツのボタンを外してやると
黒猫もまた、上着とブラを脱ぎ捨て、直接肌と肌を擦るように重ね合わせた。
胸の辺りに当たる少し固い突起は黒猫の乳首がピンと立っている証だ。
黒猫の背中に、あるいは頭に、腰に回していた右手をそっと左胸に沿わせると
少し大きく声をあげて反応した。
「んぅっ」
キスの応酬はそこで一旦休憩。お互いに荒い吐息のまま、ステージは第2ラウンドへ。
「瑠璃の乳首、固くなってるな」
「そ、そういう事……んっ、言わない、でっ、あぁっ、ちょう、だい……くぅん!」
久々なのであまり強い刺激は辛いだろう。
優しく乳房を下から持ち上げるように触り、ゆっくりと円を描くように愛撫する。
「ふぁ……ん……んん……」
黒猫が、俺の膝の上で、快感に集中するように目を閉じている。
その姿があまりにも可愛くて、俺は空いている首筋に軽くキスした。
「ひゃんっ! そ、それは……ダメ……くび、よわいの……知ってるくせにぃ……」
「瑠璃」
「な、なに……」
「可愛い」
言ってもう一度、首筋にキス。
「ば、ばかぁ……!」
黒猫の顔はもう蕩け切っていて、大理石みたいな肌はうっすら桃色に染まっているようだった。
身体を少し浮かせ、穿いたままのスカートを捲り上げると、黒猫は何をされるか察知したのだろう。
「ちょ、ちょっと……だめ……」
抗議の声を挙げたが、それで止まってやれるほど、俺も余裕はない。
少しでも優しく触れてやるので精一杯だった。
「ッ!……っあ……はぁっ……」
「すげえ、熱い……」
黒猫の秘所はすでにびしょびしょで、ショーツの上からでもその潤いが瞭然だ。
それにクリトリスも勃起しているのが分かる。
こっちもいきなりは控えた方が良いだろう。
人差し指と薬指で蜜壷の周りをゆっくり上下に撫で上げた。
「ぁ、ぁぁっ……そ、それ……んっ、んっ……」
大丈夫だろうか、黒猫の身体がさっきからぴくぴくしていて、もしかしたらイキそうなのかもしれない。
これじゃ挿入なんてしたらショック死しかねない。
「瑠璃、一回イっとけ」
「ふぇ、い、いくって、どこ……あ、あぁっ!?」
乳首とクリトリス。敏感なところを弄りながら、首筋にキス。
もう限界近かったのだろう。
「ひぁっ! ぁっ! だめ、い、うっ、あ、はっ、やっ! っく、ぁぁぁぁっ!」
俺の身体にしがみつく様にして、びくびくと大きく揺れ、黒猫は達した。
「くっ、は……は……はぁ、はぁ……」
「……大丈夫か、瑠璃」
黒猫の呼吸はまだ荒い。必死で酸素を取り入れようとしているのが、なんだか不謹慎にも愛らしい。
「……大丈夫、じゃ、ない……わよ……」
ちょっと涙目で、顔を真っ赤にした黒猫はやっぱり可愛い。
いとおしくなって、優しくハグ。頭をゆっくり撫でてやると黒猫はコテンと頭を俺の肩に預けてきた。
「京介……貴方、上達してるでしょう」
「……いや、そんな事はないと思うが……」
心当たりがなくはないのが非常に心苦しかったりする。
黒猫ちゃんマジ天使
483:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/15(月) 20:45:43.96:zZuVFrAs0「隠さなくて良いのよ。元々、そういう約束なのだから」
そう、約束。同時に契約でもある。
俺がここに住む最大の理由にもなっている。
この発案者は、あろうことか、BL大好きの潔癖主義者。赤城瀬菜だった。
『……なんだって?』
『ですから。これだけ大勢の女性から愛されている高坂先輩には、応える義務があるんです!』
瀬菜がぶちまけたのは、俺の高校卒業を祝うという名目の元開催されたパーティーでだった。
桐乃、あやせ、黒猫、沙織、麻奈実、瀬菜、フェイトさんの7人の女子(約一名は女子というか女性)に対し
男が俺1人と言うのはいかにも異常だったのだが、割合つつがなく会は進んでいたのだ。
しかし、瀬菜が唐突にこんな事を言い出した。
『高坂先輩は、どの子が良いんですか?』
そりゃジュース吹き出すよな。
お前もうちょっと空気嫁と。
で、一気に場の雰囲気は大変な事になった。
尤も、それは正直俺にとっては想定外な事ばかり、というか、想定内の反応など1つもなかった。
『まぁここは私って答えて頂いても全然構わないんですけど』
と瀬菜が言えば、
『冗談は胸だけになさい。先輩は私のような落ち着いた人間が良いのよ』
と黒猫が返し。
『そういう意味では年上の私が最適って事かしら?』
とフェイトさんが胸を張れば
『はァ? 年増とか需要ないから。早く婚活始めればァ?』
と桐乃。
『そ、そうだよね。桐乃は妹だから……選べませんよね。
この中で一番可愛いのは桐乃ですけど、
でも仕方ないから私を選んで下さっても良いですよ、お兄さん』
とあやせが言うと
『おっと、眼鏡を外せば拙者、それなりに自信がございますぞ』
と沙織が張り合う。
そして
『きょうちゃんの事をいちばん理解してるのは、わたしだもん』
と胸を張る麻奈実に対しては
『バッカじゃない? それを言うなら妹のアタシほど
バカ兄貴の事分かってるヤツはいないっての』
と、こうなった。
おかしいなあ。ここまで張り合う理由あるのか?
一番の当事者だった気がするが、既に蚊帳の外。
誰かが名乗りを上げると、誰か(もしくは誰か『達』)が否定する。
言いがかりも、水掛け論も、ごり押しも飛び交う
さながら戦場のような光景だった。
結局出ない結論に、瀬菜はそう言った。
これだけ大勢の女性から愛されている俺には、応える義務があるのだと。
そんな実感は全くなかったんだけどなあ。
しかも誰か1人を選ぶ、とかじゃなくて、全員なのか?
ん? どういう事?
『なるほど。全員でござるか』
『ええ。皆、ちゃんと順番を決めれば不満は出ないかなと!』
なんの順番だよ!?
『……なるほど、丁度7人、と言う訳ね』
『さっすが五更さん。あ、今は黒猫さんでしたっけ。
丁度1週間で回りますから覚えやすいですよね』
だから一体なんの話を進めてるんだよ。
蚊帳の外にも程があるだろ。
『ですから』
瀬菜は快活な声で
『ここにいる7人の女の子を、日替わりで、高坂先輩に愛してもらうんです』
一瞬、いや、数秒だったかもしれない。
『なにぃぃぃぃぃぃ!?』
瀬菜の言葉を理解できた時、俺はそう叫んでいたのだった。
しかしそこからは数に勝る女性陣があれよあれよと話を決めてしまった。
ただ、高坂家に何人もの女の子が入れ代わり立ち代わり来るのは
両親から見て不審と思われるだろうし、ましてやあの親父だ。絶対に大問題になる。
そこで対策として、沙織のコネクションを使って物件を探す事になった。
実家から通うよりは楽で、且つ、女の子たちが通いやすいロケーション。
真っ直ぐに部屋の前まで来れない構造。
(建物の前でインターホンを使い、自動ドアを開けてもらわないと入れないようなアレだ。
万が一にも鉢合わせはマズイし、親の抜き打ちチェックなんてあったら頭と胴が離れちまう。)
用途が用途なので、防音性とセキュリティに優れている事も重要。
予算と相談して、見つかったアパート。
必ずではないが、ここには曜日ごとに決まった女の子がやってくる。
月曜は瀬菜。火曜は黒猫。水曜は沙織。木曜はフェイトさん。金曜は麻奈美で
土曜に桐乃、日曜はあやせ、という風に。
ハッキリ言うが、何の冗談かと思った。
随分壮大なドッキリじゃないか、こんなに金と手間をかけて大変だなオイってな。
だから女の子たちも、誰一人として来ないだろうってタカをくくってた訳だ。
初めての1人暮らし、満喫してやろうって。
まず引越しが完了したのは水曜だったんだが、
その夜、沙織は引越しソバを食べようとやって来てくれた。
凄え嬉しかったんで、喜んで迎え入れた。
春らしい、薄いピンクのワンピースはシンプルなライン故に
藤原紀香と同じと自称するプロポーションを引き立てている。
あれ? そう言えばいつものオタクファッションじゃない、のに眼鏡をしている。
その上、白いエプロン身につけてるしな。
それがなんだかアンバランスでちょっとおかしい。
けどそのおかしさが、この一種異様な空間――自分の『家』で女の子と2人きりという――にあって
唯一、心を落ち着かせてくれる特効薬になっていたのだった。
『京介氏、ソバのおツユは濃い目と薄目、どちらがお好みですかな?』
『あー、つけて食べるなら濃い目で、かけるなら薄目かな』
『了解でござる』
なんだか鼻歌交じりにキッチンに立っている沙織が凄く新鮮に見えて
油断するとすぐ心臓の鼓動が早まりそうになる。やべえぜ。
醤油と出汁のいい香りがしてきたなと思うと、沙織はお盆に器を2つ載せてやってきた。
『出来上がりましたぞ、京介氏』
『おお、すまんな。全部やってもらっちまって』
『いや、なに。大した手間ではござらんよ』
つくづく思うけど、コイツってホントによく出来たヤツだよな。
2つも年上の俺がやけにちっぽけに見える。
『んじゃ、いただきます』
『召し上がれでござる。お口にあうと良いのですが』
ずるずるーとソバを啜ると麺にからんだツユはやや甘めで疲れた身体にじんと染みる温かさ。
思わず
『うめえ……』
と漏らしてしまった。
普段家で食べるものとはなんだか少々味が違うのは、
やっぱ作り手が違うと家の味が変わるからなのかなとか思ったりした。
割かし勢い良く食べていた俺だったが、ふと気づくと沙織がこちらを見ていた。
『なんだ? 食べないのか? 美味いぜ』
『はは。京介氏が本当に美味しそうに食べてくださるのが、拙者、嬉しくてですな』
『な……なんだよ』
『……良いものでござるな、こういうものも』
めちゃめちゃ優しい顔で笑っているのが眼鏡越しにも分かる。
心の中に湧いた何かを振り切るように、俺は箸を動かしたのだった。
『……あー、美味かった。ごちそーさん』
『お粗末様でござる』
沙織はソバを持ってきた時と同様、器をお盆に載せて、台所に持っていく。
『あ、洗い物ぐらい俺がやるから置いといてくれ』
『これぐらい大丈夫でござるよ。量もそう多くはありませぬ』
ジャーッという音がして沙織は皿洗いまで始めちまったらしい。
一応俺の家になるのに、こんなに任せきりで良いのだろうか。
でも、何気に沙織のヤツ、家事好きなのかな。割と楽しそうなんだよな。
新婚夫婦ってこんな感じなのかって思ったりした俺は慌ててそれを打ち消した。
『京介氏~』
『お、おう!?』
声が裏返っちまった。くっ、恥ずかしい。
『お風呂沸いてるでござるよ。お先にいかがかな?』
『えっ……なっ……』
『ほれほれ、入った入った!』
半ば強引に風呂場へ押し込まれてしまった。
いやいや。え? まさかだよな。けど、そもそもこの家ってさ。
ごくり。風呂のお湯のせいじゃない。この顔の熱さは。
これがエロゲーなら沙織が風呂に乱入してくる訳だが
く、来るのか? 来ちゃうのか? そんなCG回収しちまうのか!?
『京介氏~』
『なっ、なななんだ!?』
ほ、ホントにキタ――(゚∀゚)――!!?
『湯加減はどうでござる?』
『あ、あああ、良いぜ! ちょっと熱めだけど、うん、気持ち良いぐらいで』
『そうでござるか。ごゆっくりでござるよ~』
そう言ってパタンと音がして。
沙織はそのまま出て行った。
そ、そ……そりゃそうだよな!?
いくらなんでもそれなんてエロゲみたいな展開はねえよなあ!
あー恥ずかし。何1人で舞い上がってんだよ俺。バッカみてー。バーカバーカ。
引越しで疲れた俺を労うために、ソバ作って風呂まで準備してくれた沙織に対して
なんつー邪な気持ちを抱いていたんだ。反省しろ。
風呂を上がって髪を乾かし、居間に戻るとそこには沙織の姿はなかった。
なんだ、帰っちまったのか? それなら声をかけてくれても良さそうなもんだが。
『沙織ー? いねーのかぁ?』
『こちらに』
声が返ってきたのは寝室から。
まさかベッドメイキングまでしてくれてんのか?
そんなんならもうマジで良妻になるな、沙織。
なんて事を考えながらドアを開けると、そこにはベッドの上に正座している沙織がいた。
しかも三つ指ついてる。しかも、しかもしかも、何故か、先ほどまで着ていた
ワンピースが綺麗に折り畳まれている。
つまり、裸エプロンだった。
『さ、沙織!?』
『拙者は一応、家を出る前に身体は清めてきたでござる』
……そ、それって……。
『ただまぁ、その、なんと申しますか。いきなり全てをお見せするのは、抵抗がございまして。
斯様な見苦しい姿を京介氏の前に晒す無礼をお許しくだされ』
『見苦しいって……んなこと……』
『京介氏さえ、よろしければ、拙者の事を、その……その……』
そこまで言われればいくら俺にだってその先は予想できる。けどな。
『沙織は、その、良いのか? お、俺なんかが……』
『京介さん』
沙織は眼鏡を外し、大きな瞳で俺を見据える。
『私は、軽い女ではないつもりです』
凛とした声。それは確かな意志だった。
『分かったよ、沙織』
その晩、俺たちは互いの初めてを、相手に捧げる事になった。
キタ――(゚∀゚)――!!
496:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/15(月) 21:01:57.51:zZuVFrAs0ある日、瀬菜に聞いた事がある。
『なぁ、瀬菜』
『はい、なんですか?』
『こういうのって、お前にとっちゃ許せない事なんじゃないのか?』
瀬菜はとにかく真面目気質で、きちんとしていない事が許せない性質だった筈だ。
自分で言うのもなんだが、1人の男が、相手を1人に決めずにいる事は
彼女にとっては到底許容できない事なのではないか。ましてそこに、自身が加わるなど――。
『京介先輩の言いたい事は分かります』
俺に向き直って、瀬菜は続けた。
『確かにおかしいと思いますよ。この現状。むしろ異常だと思わなくなったらオシマイかなって思いますし』
『そこまで言うなら、なんで』
なんで、あの時、お前はこんな事を発案した。
『こういうのって、ゲームの中だけかなって思ってました。
普通ならありえないんですよ。女の子って嫉妬する生き物だから。
誰かが、自分の好きな人に愛されているのが耐えられない。
そういう生き物なんですよね』
鼻歌を歌うように結構酷い事言ってないか?
『だから、例えば五更さんが、嫉妬にかられて私や槙島さんを刺したりとか。
そういう展開があってもおかしくないんですよね』
『おいおい』
おいおい、である。そういやそんなエロゲあったな。
『でも、皆、多少の不満はあっても、許容範囲内みたいなんですよ。
それがなんでか、分かります?』
『……いや』
『先輩が、素敵だからです』
ズッコケた。階下の人、すんません。
『お前、はぐらかそうとしてねーか?』
『失礼ですね。真面目トークではそんな事しません。それくらいの空気は読めますよ、あたし』
……そうかなあ。コイツ全然空気読めないヤツだと思うんだけど。
『女の子って愛されれば自尊心が満たされて、満足するんです。
ある人は10。またある人は15って感じで人それぞれ違うんですけどね。
でも先輩はあたしたちが満足できる程度に愛してくれているんです。
だから不満が出ないんですよ』
『そんなに何かしてるつもりは全くないんだが』
『そこが先輩のすごいところなんです!』
ビシッと瀬菜は指差して言った。
タオルを巻いただけの胸がほよんと揺れて目に悪い。
『普通の人なら1人を大事にするので精一杯です。
だから浮気や不倫をすると、どっちかが不足してしまいます。
経済的な意味だったり、単純に時間的、情緒的な意味だったりしますけど』
今度は腰に手を当てて胸を張る。
だから、お前はそこを強調しちゃダメだっての。
『まぁ先輩の場合、ライバルがあんまりにも多すぎているから
女の子たちが多くを求めすぎていない事も1つの要因である事は確かでしょう』
『ちょっとした事で満足してるってのか?』
それ全然誉められてないよなあ。
『でも、皆、幸せそうにしています』
『む』
『むしろ、これ以外の方法じゃ、誰も幸せになれないんです』
そこまで言うか?
幸せのかたちなんて千差万別だろう。
『だから先輩。皆、先輩と幸せになりたいんですから、
ちゃんと皆を幸せにしてくれなきゃダメですよ』
『……お前の”ちゃんと”の精神はそこに帰結するのか……』
にへらっと瀬菜は笑って――以前はこういう笑い方しなかったんだけどな
『見届けたいんです。皆揃って、幸せになるのを』
『……へっ、そんなに期待しても、できる事しかやれねーぞ』
どうやら逃げ場はないらしかった。
『そうですね。じゃあできる事ヤリましょうか』
『カタカナで言うな』
『でも、先輩のソコ、また元気になってますよ?』
『……ッ!』
気づかれてた! そりゃまぁこっちもタオル巻いてるだけだからな! 隠し様がないよな!
『先輩、さっきずっとあたしの胸見てたでしょう? お見通しですよ?』
……女の子ってなんでこう男の視線に敏感なんだろね。
『他の男に見られてもいい気はしませんけど』
そう言って瀬菜は俺の前にしゃがみ込んで、タオルをふわりと解いた。
艶かしい肌が露になる。それにしても本当に大きいな、コイツの胸。
『先輩になら、嬉しいです』
ああもうこの野郎。そんな事言うからまた愚息が反応しちまっただろうが――。
そんな訳で。どんな訳だ。
この2年。毎日ではないが、それでもかなりの頻度で俺は女の子を抱いていた。
始めはそれぞれお互いに初心者みたいなもんだったし、拙い愛撫、単調なピストンだけ
って感じだったが、だんだん相手の気持ちいいところが分かるようになったり
ネットなんかを通じて軽く勉強したりしてちょっとずつ上達した、んじゃないだろうか。
黒猫たちは今年に入ってセンターや本試験など、まさに大学受験のクライマックスを
迎えるため、お泊りどころかウチに来るのを禁止させた。
さすがに試験前にヤリ過ぎて勉強できなかった、なんて事になったら親御さんに顔向けできないからな。
そういう訳で大体3ヶ月はご無沙汰だった訳だ。
うーん。それぐらいで劇的に上達するとは思わないんだが。
7人のうち3人(黒猫、沙織、瀬菜だ)は受験生だったから実質半減だしな。
それでも、黒猫は満足してくれたらしい。その事は純粋に嬉しかった。
「もう、大丈夫。ごめんなさい」
「焦るなよ。時間はいくらでもあるだろ」
「いえ、そんな事ないわ。足りないくらいよ」
埋め合わせしてもらうって言ったでしょう、と。
ぐいっ、と黒猫は思い切り俺に体重を預け、ベッドに俺を押し倒した。
「瑠璃?」
「今度は、私の番」
黒猫の手が俺の肉棒に絡みつくとぞくりと一気に快感がこみ上げた。
「うっ」
「あら、情けない。まだ始まってもいないわよ」
コイツは責めても可愛い反応するけど、気性的にはSなのだ。
つまり、やられたらやり返さないと気がすまない。
黒猫の痴態を見ただけで溢れていたカウパーを巧みに手のひら全体に伸ばし
シュッシュッと両手で上下に擦り始める。
さらに顔を俺の胸に近づけて、乳首のあたりを舐め始めた。
「ぐっ、る、瑠璃……それやべえ」
「まだ、れろ、出してはだめよ……んむっ、もっと、ぴちゃ、楽しませてちょうだい」
これでブランクが3ヶ月とか。コイツこそ上達してんじゃねえのか?
容赦なく続く責めに、それ以上耐えられそうにない。
「やば、出る……」
「ッ!」
ビクンと一際大きく揺れる肉棒を感じ、黒猫は素早く顔を股間へとうずめ、
どぐっ、どぐどぐっ。
「う、あ……」
俺は黒猫の小さな口の中に、欲望を吐き出した。
「る、瑠璃……」
黒猫は答えない。どうやら予想以上に出たので困っているらしい。
それでも、外に吐き出す気はないようで、こくんこくんと喉を鳴らして
ゆっくり俺の精を飲み下していった。
「……ふぅ。ご馳走様」
「……お粗末様」
「ふふっ、久しぶりに堪能したわ」
嬉しそうに、黒猫はそう言って、未だに鎮まる事を知らない俺の股間に目を向けた。
「次は、こっちね」
「……ああ」
黒猫が上に跨り、間近で見なくても分かるぐらいに濡れそぼった割れ目を俺の棒に宛がう。
「いくわよ……んっ」
じゅぶりと音を立てて俺のモノを受け入れた黒猫のそこは熱くてキュウキュウと締め付けてきた。
「あぁっ……す、すごい……」
「やっべ……瑠璃の中……気持ち良すぎる」
「バカね、当たり前、でしょう?」
なんとか平静を装っている黒猫だが、バレバレだ。
でもそんな強がっている様子が愛しくてつい悪戯心が湧いてしまう。
ぴくり。筋肉で肉棒を動かし、黒猫のイイ部分を軽く刺激してやると、
黒猫の身体がびくりと反応した。
「なっ」
「相変わらずそこが弱いんだな、瑠璃」
「お、おやめ、なさ……やめ……だめ……そこ、だめ、なの……ひゃん!」
やっぱり可愛い。クソ、可愛すぎる。
こうなるともうガマンできない。
ベッドのスプリングを生かし、反動をつけて、下から黒猫を突き上げた。
「ひゃ、ぅっ……ら、あっ、あぁぁっ! わた、わたし、が……うごく、のにぃっ!」
「もうたまんねーよ。こんなっ、可愛いとこ、見せられちゃ!」
黒猫が身をよじって逃れようとするが、許さない。
腰を両手で抑え、わざと音を立てるように肉孔をかき回していく。
「ひゃ、らめ、も、い、ちゃ……わ……」
突如、膣圧が急激高まり、黒猫の絶頂が近い事を知る。
「くっ、お、やべっ」
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
黒猫が長く美しい髪を振り乱して絶頂に達すると、
俺も搾り取られるように2度目の射精に至った。
ぱたりと、黒猫が俺の胸にもたれかかるようにして倒れてきた。
「瑠璃……、大丈夫か?」
そう聞く俺の呼吸も荒い。
「ええ……だい、じょうぶ……」
それ以上に黒猫の吐息も荒くなっていた。
「ちょっと、休憩すっか?」
「……それも良い提案ね。でも、まだまだ搾り取るから覚悟なさい」
「はは……お手柔らかに頼むよ、瑠璃」
月明かりが差す部屋に、卑猥な音が反響する。
肉と肉、骨と骨がぶつかり合う音。
混ざり合った体液を貪りあう音だ。
「あァ、んぅっ! ひぅっ! ぁぁっ!」
ベッドに黒猫の手をつかせ、後ろから獣みたいに交わる俺たち。
いや、これはもう獣そのものかもしれない。
黒猫との3ヶ月ぶりのセックスは、それくらい激しいものになっていた。
「ぐっ、で、射精そうだっ、瑠璃っ!」
「いい、わっ! だして、だして、なか、にっ! んんっ!」
強烈な一突きを黒猫の秘肉に打ち込み、一番奥、子宮に肉棒の先端を押し付けて
今日4度目の射精の勢いは弱まる事を知らなかった。
黒猫も、最後にイったらしい。膣は俺を離そうとはしなかった。
折り重なるように黒猫の背中の上から被さって、キスをした。
黒猫もそれに応じて顔をこちらに向けてくれる。
「ん、ちゅ……んん……」
「んっ……ふう……どうだった?」
「どうって……決まってるわ」
ぷいっとそっぽを向いた黒猫は決してこっちを見ない。
けれど、耳まで真っ赤なのはこの角度でもよくわかる。
「すごく、素敵だった」
言わせたのは俺だけど、こんなに嬉しい言葉はないし、こんなに照れる言葉もない。
「瑠璃も、すげえ可愛かったよ」
「ッ……バカ……」
さすがに4回も出すと結構疲れる。……最初は2回でもヘロヘロだったんだけどな。
ま、黒猫も満足してくれただろ。多分。
なんてそんな事を考えていた時の事だった。
ギシッ。
実にけしからん
517:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/15(月) 21:58:56.04:zZuVFrAs0………………えっ?
今、明らかに寝室の外、つまり居間から物音しなかった? まさか、不審者?
動揺しかけた俺を、しかし、黒猫の声がぴしゃりと抑えた。
「……見逃してあげようと思ったけれど、自分からシッポ踏ませてどうするの」
『……』
「観念して出てきなさい、沙織』
「さっ、沙織ぃ!?」
慌てて寝室のドアを開けるとそこには、本当に、沙織が腰をおろしていた。
それも、ただ床に座り込んでいた訳じゃない。
スカートをたくしあげ、ショーツはぐしょぐしょに濡れていたのだ。
しかも手元には俺のジャケットがあった。つまり、沙織は――。
横になっていた黒猫がようやくむくりと起き上がり、シーツを巻いて立ち上がる。
「自分を慰めるだけで気が済むなら、見逃すつもりだったけれど。
こうなっては仕方がないわね」
「も、申し訳……」
沙織は傍目にも可哀想なくらい震えていて、今にも泣きそうだった。
「お、おい。る……黒猫。あんまり沙織を……」
「人聞きが悪いわね。苛めているつもりはないわよ」
「うう……」
黒猫は目を眇めて沙織を見ると、ニヤリと笑った。
あ、なんか嫌な予感。
「沙織。取引といかない?」
「取引……ですか?」
「ええ」
沙織のやつ、眼鏡してるのに普段の口調に戻ってない。
キャラを被る余裕がなくなっているって事か。
いやまぁ、そりゃこの状況で平静でいられる女の子とかちょっと引くけどね。
「3Pをします」
「「……は?」」
図らずもハモってしまった。え、何言ってんの、黒猫さん?
ううん、と首をひねって思案するような仕草。
「違うわね。こうじゃないわ。3Pをして……頂けませんか?」
な、なにを……
「3Pをしたら……どうなんですか……?」
さっきから何を口走っているんだよ、黒猫おまえっ!
「3Pをしましょう。沙織」
しかも俺じゃないっ!?
「さ、さささんぴー……?」
「ええ、そうよ。私と貴方と、京介の3人でプレイ。略して3P」
戦場ヶ原さんがいたような
520:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/15(月) 22:01:00.19:zZuVFrAs03Pて。お前は何を言っているのか分かっているのか?
いや、知識はあるよ? そりゃね、そういうものは見聞きしましたよ。
主にゲームとかDVDとかでな。
けど、黒猫。お前は分かっているはずだろう?
女の子は基本的に独占したいんだ。独占して、満たされる。
けど3Pってそれとは真逆の行為じゃねえのか?
それで黒猫も沙織も満たされるのか?
俺には――
「京介」
「……?」
「私も本音を言えば、不満がない訳ではないわ」
「黒猫」
「……」
チラリと沙織を見て、黒猫は続けた。
「今日は私の日なのに、出歯亀した上、乱入なんてね」
「ご、ごめんなさい……」
「けど、分からなくはない」
沙織の元に歩み寄って、しゃがみ込んだ。
「貴女も、私と同じで、ずっとお預けされていたんですものね」
「……」
「……溜まっていたんじゃなくて?」
カッと沙織の顔が紅くなる。
「ふふ。久しぶりに京介に会って、腕に抱きついて、彼の匂いを嗅いで、
優しくされて、でも、彼は他の女とこれから一夜を共にする、なんてね。
耐えなさいって言う方が酷と言うものよね。」
沙織は耳まで真っ赤にしながら、黙って聞いている。
「だけど、今日はやっぱりまだ私の日。あと2時間はね。
でも、一刻も我慢できないお嬢様のために、ちょっとだけ分けてあげるわ。
その代わり、明日は私も混ぜなさい」
「っ!」
黒猫は優しい目をしたまま、沙織の耳元に口を近づけて、ぽそりと呟いた。
「さぁ、早く京介に貫かれたいでしょう?」
その声は静かで穏やかだったはずなのに、
やけに静まった部屋の中でハッキリ聞こえてしまった。
そして沙織は眼鏡を外して俺を見上げた。
「京介さん……私にも、ください……!」
真っ赤な顔、潤んだ瞳。
疲れていた体が上下共に一気に活力と精力を取り戻して漲る。
翌日。
講義やオリエンテーションは変わらずあるよ?
しかしそこは、『そういう用途のための家』である。
女性陣たちはそれぞれ、お泊りセットと着替えの1つ2つが完備されている。
歯ブラシの数だけ見たらどんな大家族かと思うよな。8本て。
干からびそうな身体に鞭打って起こすと、既に黒猫も沙織も起きていたらしい。
「おはようございます、京介さん」
「おはよう、先輩」
なんだろうね。2人ともすっごいツヤツヤしてんすけど。女ってすごい。
「朝ごはんはもうすぐ出来ますから。顔でも洗って待っててください」
「あ、ああ、あんがと、沙織……」
ふらふらしながら洗面所に向かう。ああ、太陽が黄色い。
顔を洗って少しさっぱりしたけど、だからって疲れは抜けない。
……何回出したか分からんくらい出した、っつーか絞られたもんなあ。
そりゃおにーさんもヘトヘトですよ。
けどよ。
「京介さん、ご飯できましたよ~」
「早くいらっしゃいな、京介先輩」
こうやって、幸せそうな顔見てると、頑張らなきゃなって思い直す訳だよ。
ゲンキンなヤツだって? 我ながらそう思うぜ。
この生活は、いつまでも続く訳じゃないだろう。
いつか必ず変化は訪れる。ずっと今のままではいられない。
そんな事は良く分かってる。
だからこそ、今は。目の前の笑顔を大事にしていこう。
「はい、しっかり食べて体力つけてくださいね、『兄さん』」
「そうですね、今夜も頑張って頂かなくてはいけませんものね、『お兄様』」
カーッと顔が紅く、熱くなる。
だって仕方ないだろ?
俺の妹たちは、こんなに可愛い。
-― ̄ ̄ ` ―-- _ もうだめぽ
, ´ ......... . . , ~  ̄" ー _
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と,-‐ ´ ̄: ::::::::::::::::::::::::::::::/ /:::::::::::r(:::::::::`'::::::::::::::::::::::く
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(__  ̄~" __ , --‐一~ ̄ ̄ ̄
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仕方ねーな、最大級の乙を贈ってやるよ( ・∀・)っ大乙
537:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/15(月) 22:33:23.88:BnVQkKnB0乙
黒猫が可愛すぎて死にたい
612:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/16(火) 14:30:39.63:gHmPx/qq0黒猫が可愛すぎて死にたい
ハーレムルート あやせ編
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引越して5日目。日曜日、つまりあやせの日。
結局昨日、俺は桐乃を抱く事はしなかった。
だって妹だぜ? さすがに手を出そうって思えないだろ?
それでもちょっとは楽しく飯食ったり買い物行ったりできたから
あれはあれで良いんじゃねえって思った。
桐乃も別れ際、そこそこ満足してる風だったし。
まぁそれは置いといて。
今日はあやせ。マイラブリーエンジェルあやせですよ、おまいら。
ずっと幼馴染だった麻奈実の時は、変な意味で緊張したけどそれはまぁ別の話で。
あの、全宇宙最高の美少女あやせたんを抱く?
うわああああああああああああマジなのかよ!?
全っ然信じられん。現実感皆無だっての。
つーか本当に今日来るのかねえ。それすら怪しいもんだぜ。
まぁ、あんな事言ったけど、ぶっちゃけあんま期待してねえんだ。
ヒゲは念入りに剃ったし、爪もヤスリをかけて万が一にも痛くないように手入れした。
部屋には1時間前にファブ○ーズして十分換気、ちょっとアロマっぽいのを焚いたりしてな。
……すんません。気合だけは入りまくりです。
この『夢のような生活』が始まってまだ5日目。
俺はまだ、このどこか現実離れしたシチュエーションに適応できずにいた。
京介のリア充度は異常
614:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/16(火) 14:31:28.23:gHmPx/qq0部屋の中で不審人物発見。はい、俺です。
さっきから落ち着かない。ぴくりともしない携帯を手に取ったり、うろうろしたり。
本を手に取ったり、やっぱり机に戻したり。
何やってるんだろうねえ。
なんか落ち着くよう音楽でもかけようか。
そんな風に思っていた時、インターホンのベルが鳴り響いた。
「は、はいっ!?」
「……何をそんなに慌ててるんですか?」
聞こえてきたのは、まぎれもなくあやせの声だった。
「開けてもらっても良いですか?」
「あ、ああ。もちろんもちろん。今すぐ開けるよ」
「ありがとうございます」
インターホンの通話を切って正面玄関のドアを開けるボタンを押した。
……マジで来た。1人か? 実は怖いお兄さんが後ろに立ってるとか……。
ぐるぐる考えていると今度はうちのチャイムが鳴る。あやせだ。
鍵を外し、ドアを開くと、そこにはまぎれもなく彼女が立っている。1人で。
「お邪魔しますね、お兄さん」
やっぱ可愛い!
「よ、良く来たな」
「はい。へー、ここがお兄さんの新居なんですね。なかなか綺麗じゃないですか」
あやせがキョロキョロと辺りを見回している。
今日のあやせは白を基調としたファッションでまとめられていた。
落ち着いた色のインナーに、薄い白のカーディガン。
膝丈のスカートと、シルバーのネックレス。
やべえ可愛い。やっぱあやせたんマジ天使だぜ。略してAMT?
「あ、お兄さんお腹空いてません?」
「え? あ、ああ……そりゃまぁ、それなりに」
「じゃあお昼ごはん準備しちゃいますね。お台所、お借りします」
そう言って、あやせはカバンを置いてキッチンに入っていく。
「俺も何か手伝おうか?」
「いえ。座っていてください」
別に嫌がられているとかそういう事ではないらしい。
あやせは鼻歌交じりで冷蔵庫の中を検分している。
沙織と言い、あやせと言い。女の子って意外と料理好きなのか?
最近の若い子は料理しなくなってるって聞くけどあれはマスコミの情報操作か。
あ、でもフェイトさんは料理なんて全然しようともしなかったな。
……もう30も近いのに、あの人だけはマジ心配だぜ。いろんな意味で。
キッチンからは包丁の規則正しい音。
いやー女の子が台所に立ってるのはマジ良いぜ。つくづく思うね。
やがて炊飯器が音を立て、米が炊き上がったらしい。
あやせはそれを待っていたかのように、調理を仕上げに入る。
熱された油の音、どうやら炒め物らしい。
一気に香ばしい匂いがして食欲をかきたてる。
「出来ましたよー」
「おっ、美味そう」
「お兄さんのお口にあうと良いんですけど」
ご飯に味噌汁。そして肉野菜炒め。派手じゃないけど、逆にそれがすごく良い。
あやせの家庭の味を頂けるなんてこれ以上幸せな事はない。
「あ、でもさ。あやせは大丈夫なのか?」
「? 何がです?」
「よくわかんねーけど、カロリーとか」
炒め物みたいな油を使う料理はモデルの体型維持のためにはどうなんだろう。
若い男はこういうの大好きだけどさ。
「大丈夫です。鶏肉は胸肉なのでヘルシーだし、油も脂肪になりにくいのを使ってます。
それに健康的な食生活という意味では少しくらい油を取った方が良いんですよ」
「へぇ、そういうもんなのか」
「はい。それじゃ食べましょうか」
「だな。ありがたく頂きます」
女の子って、やっぱ反応が気になるのかね。
俺が一口食べるまで、じーっとこちらを見てる。
「あ、美味い。それにすげえ良い香りするな」
「良かったです。香りは、仕上げにちょっとだけごま油を加えると良いですよ」
そういや、ごま油とか買ったなあ。使ってなかったけど。
あやせは安心して食べ始めたようだ。
いや、お世辞じゃなく美味いぜ。沙織と言い、麻奈実と言い、大したもんだな。
あやせのモデルの話や学校の話、楽しい昼食を終えて一息つく。
ややあって、あやせはぽつぽつと語り始めた。
「私、怖いんです」
「あやせ?」
「お兄さんの事は、嫌いじゃないです。でも、その、エッチするのは……怖い」
あやせは、本来的に怖がりだ。
あの時もそうだった。
桐乃が落ちぶれてしまうのが怖い。
大好きな桐乃が私に秘密を隠していることが怖い。
「皆もお兄さんが好きで、だから、今この状況をどうにかしようとは思いません。
でも、やっぱり、その処女は、結婚する人のために取っておきたいんです」
「……そうか」
もっともだと思う。そしてハッキリとそう言ってくれた事が、俺には嬉しかった。
その日、結局あやせは何もせず、帰っていった。
もしかしたら、もう来ないかな、と思った。
あやせは根が真面目なんだ。
今までのように、なあなあでやっていくには本音を出しすぎてしまったんじゃないか。
でも、俺はそれでも良いと思ったんだ。寂しくないとは言わないけどさ。
あやせが自分で選んで、そうするなら、それはとても良い事であるはずだ。
だから、翌週。1日中待ってあやせが来なくても、俺はなんとも思わなかった。
思わないように、した。
ところが、そのさらに翌週。あやせは現れた。
「……こんばんわ」
ちょっと俯いて上目がちにこちらを見るあやせはどこか照れくさそうにしていて、
でも、あやせが会いに来てくれた事を俺は純粋に喜んだ。
居間のソファに腰掛けたあやせにハーブティーを出してやる。
気分が落ち着く、らしいよ?
「……ありがとうございます」
こうやってあやせと静かにお茶を飲むのも良いもんだ。
俺は心なしか優雅な気持ちで、日曜の昼下がりを楽しむ事にした。
お茶を8割ほど飲んだあたりで、あやせが切り出した。
「あの、ですね。その、先日は申し訳ありませんでした」
「ん? なんかあったっけ?」
どっちかって言うと、何もなかったんだけどな。
「……あれから、色々と考えたんですけれど、やっぱり、お兄さんとエッチするのは、ちょっと……」
「そっか」
気落ちなんて全然してないぜ。いや本当に。
別に日曜は念入りにシャワーしたりとかねーし。
長めに歯磨きしたり、眉毛の手入れしたりとか、全然関係ねーし。
「でも、やっぱりお兄さんと、特別な時間は過ごしたい気持ちがあるんです」
「特別?」
「はい。なので、その、しょ、処女は、ダメなんですけど」
顔を真っ赤にして、あやせは顔を上げた。
「後ろの処女なら良いです!」
………………お茶、全部飲み干しておいて良かったよ。
そこからあやせは早口で捲し立ててきた。
「ネットでちゃんと調べてきました! そういうの、アナルセックスって言うんですよね!」
「ぶふうっ!」
「ちゃ、ちゃんとグッズも買っておいたんですよ!」
いやに目がギラギラしてるのは気のせい、じゃない。よな。
やる気満々の顔でカバンから出てきたのはまず大きなボトルが1つ。
「そ、それは?」
「アナルセックス用ローションです!」
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○| ̄|_
マイラブリーエンジェルあやせたんが壊れていく……いやもう壊れてしまったのか?
あんまりその顔と声でアナルアナル言わんでくれんですか! 兄さんいろいろ限界ですよ!
「普通のローションじゃダメらしいんですよ。ちゃんとコッチ使ってくださいね」
あ、もうアナルセックス(自分で言うのも憚られる)やるって決定してんのね。
「それから、やっぱり病気とか怖いのでコンドームです。
お兄さんは常備してるかなとも思ったんですが、一応薄いの買っておきました」
なんという気遣い。でもかえって痛い。主に心に。
その後も、アナルをほぐすために使う細いバイブとか、
初心者の俺のためのマニュアルをサイトからプリントアウトしたものとか。
なんかもう、本当に準備万端だな、あやせ。
お前はどうしちまったんだ。
そりゃまぁ、興味がなくはないよ?
桐乃にやらされたエロゲでもそういうシーンは散々見てきたしさ。
でもこういうのって普通女の子の方が嫌悪感を示すもんじゃねーの?
見るからにノリノリなんですけどこの子。
ひとまず俺は言われた通り、念入りに石鹸で手を洗い、さらにエタノールを使って殺菌。
あやせは寝室でうつ伏せになって待っていた。
「あ、ちゃんと綺麗にしました?」
「お、おう」
「じゃあ……」
今さら恥らわれてもなぁ、とかちょっと思ったけど、やっぱり恥らうあやせは可愛かった。
くそう、このマイラブリーエンジェルめ。
だけど、この子と今からする事を考えると心臓の鼓動が早まるのも致し方ない事だ。
あやせは少し腰を持ち上げ、スカートとショーツ、そして靴下を脱いだ。
可愛いらしい、小さくキュッとしたお尻があらわになる。
宝石みたいで、その艶は真珠か何かと見紛うばかりだった。
ベッドの上に膝を立てて、四つんばいみたいな格好。
あやせのお尻と、そして今まで誰も見た事がない場所が丸見えになった。
「こ、これがあやせの……お尻の穴……」
「い、いいい言わないでくださいよ、そういう事! 恥ずかしいじゃないですか……」
あやせは天使だから、排泄とかしないけどさ。
でもココってそういう目的の穴な訳だ。
そう考えると背徳感が沸々と沸きあがってくるのを抑えられない。
「え、えーと、じゃあ、始めるぞ」
「は、はい……あの、優しく、お願いしますね」
言われるまでもねえ。えーと何々。マニュアルによると、まずは肛門の周りを……。
「ひゃっ!」
つんつん。本当に軽く。弱く。触れるかどうかぐらいの強さで少しずつ刺激していく。
肛門周辺の筋肉は非常に強く堅固だ。(って書いてある。)
そのままでは性器どころか指だって入るもんじゃない。(らしいよ。)
まずはマッサージするように少しずつ柔らかくさせていく必要がある。(んだってさ。)
「うーん」
「ど、どうか……ひゃう……んくっ……しましたか……?」
確かにココに入れる訳だし、そのために肛門周辺の愛撫をしてやる事が
絶対必須なのは、まぁ、マニュアル読んで分かるし、そうなんだろうと思うよ?
でもさ、例えば通常のセックスで『ソコ』ばっか愛撫する訳じゃないじゃん。
キスもするし、胸を触ったりとかするだろ?
やっぱそういうの必要だよな? っていうか、俺はもっとあやせのいろんなトコ触りたい。
けどまだ肛門のマッサージは慣れてないし神経使うから、疎かにはできない。
この体勢では胸に手は届かないし、キスなんて真逆の位置に相当する。
「あっ!?」
とりあえず目の前のお尻にキスした。
程よくハリというか弾力があって、でも、柔らかい。
胸とはまた違う新鮮な触感を、唇で、舌で、指で手のひらで感じようとする。
「お、おに……さん……こ、こんな……ううっ」
すらりと伸びた脚はほどよく肉がついてて、すべすべする。
片手で脚をまさぐり、もう片手で肛門を注意深く触り、口でお尻を楽しむ。
やべえ、これちょっと良いな。
「そんな……ところばっかり……」
なんだかもぞもぞしているので、ふと上半身に目をやると
あやせは自分の胸を自分で触り始めていた。
「あやせ……自分で触ってるのか?」
「だ、だって……お兄さんが全然触ってくれないから……切なくなってしまったんです」
腹に当たるかと思うほど勃起したわ、こんちくしょう。
でもアナルセックスは根気が大事なんだ。
十分に準備をせずに挿入を逸れば、女の子は大変な思いをする。
しかも気持ちよくもないし。
あやせが自分の胸を慰める姿に興奮しながらも、焦らず、マッサージを続ける。
心なしかさっきよりあやせの体温が上がってきたような気がする。
それに伴って、肛門の周りもなんとなく柔らかくなってきた。人体の神秘。
あれ? でも初めての場合、結構マッサージに時間取られるって書いてあるんだけどな。
かなり柔らかくなってきたのを感じて、俺は恐る恐る指の先を入れてみる。
「っーーー!!」
入った。
そして同時にあやせの背中がびくんと跳ねた。
「あ、あやせ、大丈夫か?」
「は、はい。お兄さん……すごい上手です」
こ、こんなんで良いのか? えーと次は、指が爪の半分くらい入るようになったら
ゆっくりとほぐすように、指を上下に動かす。
「あっ、あぁっ……」
あやせからなんとも艶っぽい声が吐息と共に漏れ始めた。
本当に、お尻で感じてるのか、あやせ。
しかも思った以上にほぐれるのが早い。
少しずつ、抵抗を探りながら指を深くし押し込みつつ、動かしているのだが
既に指は第一関節まで入って、あわや第二関節間近だった。
いくらなんでも早すぎねえ? まだ15分くらいだけどこれで本当に大丈夫なのか?
そして、同時に嫌な疑問が浮かんだ。もしかしてあやせ、後ろは初めてじゃない?
「な、なぁ、あやせ?」
「は、はい……んくぅ……はぅ……」
「お前もしかして、アナルセックス初めてじゃないのか?」
「初めてに、決まっ、てるじゃ、ないですか……何、言って、るん、ですか」
身体をぴくぴくさせながら答えているから、言葉も途切れ途切れだ。
「で、でもなんかほぐれるの早くないか? 逆に心配なんだが」
「あ、そ、そんな、こと、ですか? きまって、ます。
きょの、ために、わたし、じぶんで、じゅんび、したんれす」
「なっ……」
今日のために? 俺の、ために?
「そう、れす。おに、さんに、だかれ、たくて……」
やっぱりお前はマイラブリーエンジェルだ! 疑ってすまなかった!
指を出し入れしながら、アナルに触れていない方の手で前も少し愛撫してやる方が良いらしい。
しかし、そこは既にとろとろで、どろどろだった。
「あっ、そこ、さわ、ちゃ……らめ……っ! んっ!」
あやせの痴態に心臓がどくどく言ってる。
逸る気持ちを懸命に抑え、丁寧にマッサージを続けた。
指は1本から2本へ。そしてかなり深くまで抽送できるようになった。
マニュアルによれば、これぐらいならもう準備万端って感じらしい。
つかこんなにホントに拡張するもんなんだな……。
「あやせ、そろそろ……」
呼びかけられてこちらを向いたあやせの顔は羞恥と興奮に真っ赤だ。
「……はい、お兄さん。来て、ください」
ゴムを被せて、こっちも準備OK。
いい感じにほぐれたアナルが元に戻らないうちに。
ぐっ。
「うあ……」
「あっ……あぁぁっ……」
膣とは全然違う圧力。挿入感。
まだ俺のペニスは全体の1/5も入ってない。本当に先端。カリもまだ埋まらない。
それでも、これはやばい。
女の子がイく時にすげえ締め付けになる時があるけど、
あれくらい強く、最初からぎゅうぎゅうと締め付けられているようだ。
「い、痛く、ないか? あやせ……」
「は、はい……大丈夫……大丈夫ですから……」
「痛かったら、絶対言えよ……」
異物を押し返そうとする肛門と直腸。それに逆らって少しずつ、少しずつ推し進めていく。
「ぁぁぁ……おにい、さん……はいって……きてます……」
あやせの反応、声だけでも射精そうなのに、この圧迫感はヤバイ。
正直どれだけ保つのか、耐えられるのか分からない。
それでも、ゆっくりと、あやせの中に埋めていき。
「はい、った……」
「あ、ぁぁ……はい、ってるん……ですか? おにいさん、ぜんぶ……?」
「おう。根元まで、しっかり入ってるぞ」
「う、うれしい……れす……おにいさん……」
そんな事を言うあやせがあんまりにも可愛くて。
欲望の赴くままに動かしてしまいたくなったが、それは絶対ダメだ。
ていうかそんな事したら1秒ももたんよ!
マニュアルにも書いてあったが、俺自身、ようやっと感じる事ができる
あやせの中に少しでも長くいるため、ゆっくりと円を動かすように腰を動かし始めた。
「あっ、あぁっ、うごいてる……おにいさんの……うごいてましゅ……」
「ぐっ……あやせのなか、すげえ気持ちいいぞ……」
「うれしい、うれしいです……わらしも……おにいさんきもちいいれすう……!」
直腸の中は真っ直ぐじゃない。その分、膣のそれより不規則な圧力がかかって
油断すると意識ごと持っていかれそうだ。
それにあやせが物凄く感じてくれている。言葉にならない声で、喘いでいるあやせは
たまらなく、反則的に可愛い。アナルに挿入れている背徳感と相まって腰のあたりががくがくしている。
「にゃっ……そ、そこ!」
突如あやせが妙な声をあげて一際大きくよがる。
痛がったのかと思い、腰の動きを止めた。
「あやせ、ど、どうした?」
「い、いまなんか……おにいさんのが……なんか、あたって……」
「……よ、良かったのか?」
こくんと恥ずかしそうに頷く。あーもう可愛い。マジ天使。
お尻で繋がったまま、手をベッドについて、そっと上半身を前に倒した。
「あやせ、こっち向いて」
「あ……おにいさん……」
そこで初めて、俺はあやせとキスをした。
蕩けるようなキス。すぐにあやせは舌を出してきた。
もちろん俺も応じてやる。腰はゆっくり小刻みに動かしながら体液の交換。
やがてどちらからともなく離れて、結合部の刺激を再開する。
先ほどあやせが感じたのは、この辺か?
「あっ……あぅ……んぁぁ……」
違うっぽい。こっちか?
「ひんっ! ら、らめ……って……そこぉ……!」
ここだった。男なら、女の子の弱いところを攻めてあげるよな?
確か女の子の言葉は他意があるって誰か言ってたし。
「あっ、らめ、そこ、へん、へん、なっちゃう、あっ、ひゃっ!」
あくまで激しくはせず、緩慢な動きで、だけど執拗な動きで
Gスポットの裏側あたり重点的に攻めた。
口をぱくぱくさせて喘いでいるあやせはまるで魚みたい。
そしてそれはもう絶頂に程なく近いだろうと思い、
俺も自身にかけていたブレーキを徐々に緩めていく。
「あ、あやせっ、そろそろ、イくぞっ!」
「っ!……っ!……っ!」
もう、声すらない。しかし、俺の言ってる事は分かるらしく懸命に顔を振って答えている。
そして、俺の肉棒は、あっという間に射精へと至った。
びくんびくんと悶えるように、ゴムの中に精液を吐き出す。
それに合わせるようにあやせの身体は弓のように反り返って果てた。
ベッドに2人とも脱力して倒れこんだ。
俺の腰はまだどくどくと射精を続けている。我ながら驚くほどの量だ。
喋るのも辛いぐらいの圧倒的な疲労感。
かろうじてペニスだけ抜いて、俺たちは折り重なったまま、
急速に深い睡眠へと落ちていった。
目が覚めた時にはすっかり夜になっていた。どうやら3時間くらい寝ていたらしい。
まだ身体の芯が、特に腰が気だるい。
あやせはまだ穏やかな、そして幸せそうな顔で寝ている。
4月とは言え夜はまだ冷える。風邪を引かないよう布団をかけてやり
俺は熱いシャワーを浴びるべく風呂場へ向かう。アナル触ったりもしたからな。
サッパリして部屋に戻ると、あやせが起きていた。
「ありゃ、起こしちまったか?」
「はい。お兄さんがいなくなっちゃったのが寂しかったみたいですね」
あれ? なんかいつもよりデレてるよ?
「あやせも疲れたろ? シャワーしてこいよ。サッパリするぜ」
「そうですね」
「んで、その後、夕飯は外で食おうか。なんか腹減ったわ」
んー。と、あやせは口に手をあてて考える仕草をして。
「実はご飯の前に、1つお願いがあるんです」
「なんだ? なんでも言ってみろよ。今ならお前の頼み、なんでも応えてやるぜ」
「じゃあ遠慮なく」
そう言ってあやせはベッド脇に置いといたカバンから1本のバイブを取り出した。
「あのーあやせさん?」
「お兄さんにはアナルバージンを差し上げたので、やはりお兄さんからも同じものをもらいたいなと」
アッー!
-‐ '´ ̄ ̄`ヽ、
┏━━━━┓ / /" `ヽ ヽ \ ┏┓┏┓
┗━━━┓┃ //, '/ u. ヽハ 、 ヽ ┃┃┃┃
┏┳┛┃┏┳┳┓┏━━〃 {_{\ / リ| l │ i| ━━━━━┓┃┃┃┃
┃┣━┛┃┃┃┃┃ レ!小l● u. ● 从 |、i| ┃┃┃┃┃
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┗┛ ┗━┛ \ /:::::| l>,、 __, イァ/ /│ ┗┛┗┛
おわりだにょろ。
もう赤玉だぜ・・・。
>>639
乙
お前の才能に嫉妬
642:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/16(火) 15:20:35.57:8U8KApMa0乙
お前の才能に嫉妬
乙
ゆっくり休んで次回作への英気を養ってくれ
648:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/16(火) 16:08:42.90:qm1VDztqOゆっくり休んで次回作への英気を養ってくれ
SSってたるいからあんまり読まないんだけど、これは読破せざるを得なかった
良い暇潰しになったことを感謝すると同時に、
作者の筆の速さと巧みさに感服
764:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/17(水) 23:57:44.46:mZifTPG40良い暇潰しになったことを感謝すると同時に、
作者の筆の速さと巧みさに感服
「きょうちゃん、お風呂はいろ~?」
「う、い、いや、良いよ。遠慮しとく……」
「なんでよ~」
麻奈実は7人の中で最も良く尽くしてくれる女の子だ。
それはとても有難いし、とても嬉しい。
こんな幼馴染がいる事が、俺の手柄でもないのに誇らしい。
しかし、最近少しずつ悪ノリというか、エスカレートというか。
ぶっちゃけやりすぎなんじゃね? って思う事がある。
例えば、これ、『一緒にお風呂に入ろう』だ。
いや、良いんだよ。普通にお風呂に入る分には。
確かに気恥ずかしいとかそういう問題は山積みしてるけど
それはそれでちょっと素敵なイベントだ。
だが、麻奈実と入ると、ちょっとね、いや、うん。
まぁ結局、押し切られて一緒に入浴する事になった訳ですが。
「はーい、きれいきれいしましょうね~」
これよ。なんでか知らないけど、麻奈実は洗いたがる。
気持ちいいんだけどさ。でも自分で洗えるぜ?
なんていうか気分は介護されているお爺ちゃん。
「どこかかゆいところありませんか~」
「ないぞ」
「きもちいい?」
「おう」
「えへへ~」
こんな調子なので文句も言えない。
実に楽しそうなのである。
「じゃあ流すね~」
「わっぷ」
お湯をたっぷり使って十分にシャンプーを流す。
「はい、かんりょ~」
「サンキュな。じゃあ俺、自分で身体洗うから……」
「だめだよ~。わたしがきょうちゃん洗うんだもん!」
背中を流すくらい良いじゃないかって?
どうせ前も洗ってもらったりするんだろうって?
キターーー(゚∀゚)ーーー!!
767:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/17(水) 23:59:09.46:mZifTPG40バカ言わんでくれ。そんなのはなんの問題にもならん。
じゃあ何が困るかって?
だから、麻奈実は洗いたがるんだよ。
……ケツの穴までな……。
想像してみてくれ。毎週お風呂のたびに恥ずかしい姿勢で
前立腺マッサージを受けながら肛門を洗われる姿を。
鬱になるわ。
「ま、麻奈実サン……今日は尻の穴は結構ですんで……」
「ええー、だめだよ。綺麗にしないと。
もし、きょうちゃんがお尻の穴を汚くしていたせいで
女の子が病気になったらどうするの?」
どういう説得だよ! 清潔にしておけって言うだけで十分だろ!
「い、いやほら、自分で洗うからさ……」
「ムリだよお。きょうちゃん絶対自分じゃできないよ~」
「自分の尻の穴くらい自分で管理するって!」
なんだか聞くに堪えない酷い会話内容だが、本人達は至って真面目なので許してほしい。
それはさて置き、俺の発言を受け、麻奈実から発せられる雰囲気は突如底冷えするものになった。
これまで10年以上一緒にいたが、こんな麻奈実は初めてだった。
「……あやせちゃんに掘られたくせに……」
俺はもう、それ以上何も言えなかったとさ。
もう寝る!寝るよ!1週間ありがとなー
775:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/18(木) 00:41:43.72:NuZBMF3n0一週間乙!
また建ったら書いてくれw
776:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/18(木) 00:44:09.05:1tPPgA+sOまた建ったら書いてくれw
乙でした!
次回作も期待しています
次回作も期待しています
コメント 5
コメント一覧 (5)
黒猫視点とか読んでみたかった。
今まで見たssで一番楽しく、沙織への愛情が有って…最っ高ーでした!ありがとう。