- 1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/20(土) 07:55:32.19:TmTwg4gG0
―魔王城 王の間
女魔王「とりあえず武器をしまおうか勇者よ」
勇者「いや、俺一応アンタを殺しに来たんだけどな・・・」
女魔王「私は殺し合いをするつもりはないよ、正直めんどい」
勇者「それだと俺が困るんだけど」
女魔王「私がその気になればお前など3秒で消し炭だ」
勇者「それはどうかな?」
女魔王「やかましい落ちこぼれ」

【画像】主婦「マジで旦那ぶっ殺すぞおいこらクソオスが」

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韓国からポーランドに輸出されるはずだった戦車、軽戦闘機、自走砲などの「K防産」、すべて霧散して夢と終わる可能性も…
2:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/20(土) 07:56:13.88:TmTwg4gG0
勇者「へ?」
女魔王「お前は歴代勇者の中で最弱、対して私は歴代最強魔王。戦いでは月とス
ッポンフナムシとマリーアントワネットほどの差がある」
勇者「かなり傷ついた」
女魔王「ということで勇者の旅はここで終了だ」
勇者「いやいや、一応俺も国から正式に依頼されてる訳でして・・・ハイ終了~
って帰るわけにはいかないんすよ」
女魔王「誰が帰すと言った?」
勇者「あ、やっぱ俺消し炭?」
3:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/20(土) 07:57:31.65:TmTwg4gG0
女魔王「殺しはしない、多分お前の国では現勇者は殉職で新勇者選考会が始まっ
てるだろうがな」
勇者「mjsk」
女魔王「ところで、私は人間の風習である彼氏彼女の関係というものに興味があ
る」
勇者「なんか風向きが怪しくなってまいりました」
女魔王「ついてはお前を私の彼氏とする」
勇者「拒否権は?」
女魔王「あると思っているのか?」
勇者「すんません妄言でした」ビクビク
4:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/20(土) 07:58:50.16:TmTwg4gG0
女魔王「それとも私の容姿体型に何か不満でも?私は人間に近い顔をした魔族だ
し、出るとこは出てるし引っ込むとこは引っ込んでいるぞ?」
勇者「いや、プロポーションは非常に素晴らしいというかデカイっていうかアレ
とかコレとか挟みたいって感じなんだけど」
女魔王「なら問題なかろう。私の彼氏になれ」
勇者「待て待て、女魔王は彼氏というものをちゃんと理解してます?」
女魔王「ふむ、俗に彼氏というが正式には恋人、魔界にはそういった風習は無い
が、結婚の前段階といったところであろう?」
勇者「そういう知識はあるんすか・・・というか、やっぱ彼氏彼女っていったら
キスとかえ、え、えっちなこともするわけでっ!」わたわた
7:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/20(土) 07:59:58.41:TmTwg4gG0
女魔王「結婚の前段階なら問題なかろう?少し手順が先に回るだけだ」
勇者「結婚する気ですかっ!?というかなんだ・・・女魔王としては俺とそうな
ってもオッケーなわけ?」
女魔王「問題無い。ずっと好きだったのだから」
勇者「今なんか世界を震撼させる核爆弾発言をさらっと言われた気がするんです
けど」
勇者「で、なんだって?俺の耳がおかしくなったらしいからもう一度大きな声で
頼んます」
女魔王「何度も言わせるな。これでも恥ずかしいんだ・・・ずっと好きだった!
私の彼氏になってくれ!これでいいか!?」ぽっ
10:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/20(土) 08:01:16.13:TmTwg4gG0
勇者(いやマジなんなのこの状況、最強魔王が最弱勇者に告白なんてこれなんて
エロゲ?添え膳食わぬはなんとやらでこのままぐへへな展開になればないすばで
ーな女魔王と毎日ぱふぱふな訳でして・・・いや冷静になれ勇者!世界を救うた
めに立ちあがったんじゃないか!こんな誘惑に負けるなんて勇者失格d)
伝令「魔王様・・・ごにょごにょ」
女魔王「部下からの報告だ、次の勇者が決まったらしいぞ」
勇者「はやっ!決まるのはやっ!死亡確定も選考会の開催も新勇者の決定も何も
かもがはやいっ!!」
11:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/20(土) 08:02:01.70:TmTwg4gG0
女魔王「ぷくく・・・よほど期待されてなかったとみえる」くすくす
勇者「笑うな、これでもかなりショックなんだ」しょぼん
勇者(まあ元々期待されてなかったのは知ってたけどさ、やっぱりこう簡単に裏
切られるとショックはでかいなぁ・・・これからどうしよう)
女魔王「そう気を落とすな、なんとかなる」ナデナデ
勇者(あー、そういえば人間界では失敗とかしても誰も慰めてくれなかったな・
・・頭撫でられるなんて何年ぶりだろ)
勇者「こんなのも、いいかなあ」ぽやー
女魔王「だろう?魔界での暮らしも悪くないぞ」
14:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/20(土) 08:03:52.18:TmTwg4gG0
勇者「一つ聞かせてもらっていいか?」
女魔王「なんだ?」
勇者「ずっと好きだったと言ってたよな、なんでなんだ?こんな落ちこぼれで剣
は人並みで魔法はほとんど発動しなくて目が悪くてメガネで身長低くて髪くるく
るな俺を好きになったんだ?」
女魔王「お前は勇者としては確かに最低だ。正直普通の人間でも訓練すればお前
より強い。だけどお前は勇者であろうとし続けた、どんな嘲笑にも堪え、毎日ひ
たむきに剣を振り呪文を覚えた。だからだ・・・なんというか守りたくなる」
勇者「さんざん悪行の限りを尽くしてきた魔王とは思えないセリフっすね」
女魔王「私の代になってからは人間界への侵略はしていない、人間との戦いも避
けているつもりだ」
15:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/20(土) 08:05:05.48:TmTwg4gG0
勇者「ああ、それは教会の爺さんが言ってた。最近魔族が来ないって」
女魔王「言い忘れていたが、先の理由と併せて私はメガネ萌えだ」ぽっ
勇者「なんとっ」
女魔王「だから私の彼氏になれ、勇者」
勇者「仕方ないか、他に行く場所もないしなー」
女魔王「いいのか?」
勇者「いいさ、外見は美人でボンキュッボンだし、性格も悪くないことがわかっ
て、その上勇者は首だし、断る理由が見当たらないっ」
女魔王「・・・」プルプル
勇者「どうしたんすか?怒ってます?」
17:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/20(土) 08:06:04.65:TmTwg4gG0
女魔王「やったやったやったー!勇者が告白受け入れてくれたー!!やったぞー
!今日は魔界の記念日にしようそうしよう!おい誰ぞいないか!?今晩は宴だぞ
ー!」きゃいきゃい
勇者「え?キャラ変わりすぎじゃね?」
メイド「お呼びでしょうか魔王様」すっ
勇者「アンタどっから湧いて出た」
女魔王「メイドか!宴の準備をいたせ。今宵は宴会じゃ、無礼講で飲み倒すぞ!
」
メイド「それはよろしいのですが・・・勇者様の国から軍が近づいているようで
すがそちらはいかが致しましょう?」
19:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/20(土) 08:07:08.04:TmTwg4gG0
女魔王「軍?」
メイド「はい。どうやら勇者様が殺されたということで報復目的で出兵したようで」
勇者「ふん、見捨てたくせにしっかり戦争の理由にはするんだな。腐れ国王が!」
女魔王「ふふふ・・・さっきまで私を殺そうと息巻いていた威勢が嘘のようだな」
勇者「うっ・・・」
メイド「イチャラブするのはよろしいのですが、いかがなされますか?」
20:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/20(土) 08:07:54.29:TmTwg4gG0
女魔王「い、いや、イチャラブなどしておらん!まあいい・・・それで出兵され
た軍隊の規模は?」
メイド「物見によると歩兵5千、長槍兵2千、銃兵7百、他諸々含め約1万とい
ったところです」
女魔王「ふむ・・・ところで魔王城の大ホールは何人まで収容できたかな?」
メイド「は?えーと、約2万5千ですがそれが何か」
女魔王「ふっ、ならば歓迎してやろうではないか」にやり
メイド「なるほど、御意に」
勇者(こいつ何を考えてるんだ?)ハラハラ
23:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/20(土) 08:09:20.50:TmTwg4gG0
―魔界入口 深い森の中
遠征軍指揮官「諸君!時は迫っている!我々は今まで耐え忍んできた。度重なる
重圧、繰り返される略奪、そして一方的な虐殺にだ!先日魔界へと勇敢にも単身
乗り込んだ勇者は魔王に惜しくも敗れた。だが、我等を神アミルは見捨てはしな
かった!!神は我等に新たな勇者をもたらして下さったのだ!」
うおおおおお!
神アミル万歳!新勇者万歳!!
新勇者「我々は神の子だ。神は我々をいつも慈愛に満ちた目で見てくださってい
る。諸君らに問おう!神の軍たる我等と異端の魔族ども、勝つのはどちらだ!」
おおおおおおお!
勝つのは神の子!魔族には死の裁きを!!
24:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/20(土) 08:10:17.60:TmTwg4gG0
遠征軍指揮官「ふん、民衆なんてちょろいものだな」にやり
新勇者「ええ、こんな言葉で煽られるとはね」にやり
遠征軍指揮官「こやつらが死んだところで大した損害でもない。適当なところで
我等だけ逃げるぞ」
新勇者「わかってますよ」ニヤニヤ
26:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/20(土) 08:11:20.62:TmTwg4gG0
―魔王城 大ホール
メイド「急ぎなさい!速やかに1万人分を追加するのです」
召し使い「ほいほい、忙しくなってきたねー」
料理人「俺の腕も鳴るってもんよ!」
兵隊「しかし魔王様も毎回面白いことを考えて下さるもんだな」
女魔王「首尾はどうだ?」
メイド「恐らく間に合うかと」
勇者「あのー・・・何をするつもりなんすか?」
女魔王「見てればわかるさ」にやり
27:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/20(土) 08:12:17.75:TmTwg4gG0
メイド「出るのは私と魔王様で?」
女魔王「そうだな、他の者だと手加減する余裕はあるまい。それに1万程度なら
私たち2人で問題なかろう」
メイド「左様で」
勇者「まさか2人で1万と戦いに行くつもりか!?」
女魔王「そうだが?」
勇者「無茶だ!女魔王はいいとしてメイドさんまで・・・そんなことはさせられ
ない、メイドさんの変わりに俺が行く」
女魔王「私の心配はしてくれないのだな・・・それはともかく問題無い。私なら
人間1万人程度なら5分とかからん」
29:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/20(土) 08:13:16.63:TmTwg4gG0
勇者「確かに女魔王は強いかもしれないけどメイドさんはっ」
メイド「それ以上吠えると消し炭にして犬のエサになってもらいますよ」にっこ
り
勇者「え・・・」
女魔王「いいことを教えてやろう。私とメイドが本気で戦ったら、どちらか1人
とこの世界が死ぬことになる」
メイド「いえ、私ごとき魔王様の足元にも及びませぬ」
勇者(なにこのひとたちこわい)
35:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/20(土) 08:16:25.78:TmTwg4gG0
─魔界にいたる門
新勇者「者ども!今こそ魔界をわれらが手に!!前勇者の死を無駄にするなあっ!」
おおおおおおお!!
神の光は我らにあり!!
新勇者(ふん、くだらぬ下等民族めが。貴様らに神の光など差すものか)
遠征軍指揮官「よし、全軍魔界に向かって突撃!!」
37:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/20(土) 08:20:57.13:TmTwg4gG0
─魔界にいたる門 内部
民兵「な・・・なんだこりゃ!?」
民兵2「こ、こりゃぁ・・・どういうこっちゃ」
遠征軍指揮官「魔界へようこそ!遠征軍ご一行様・・・魔王様と勇者様の婚約記念パーティーだと!?」
新勇者「これは・・・ぶっははははは!!あのヘタレ勇者が魔王と結婚?なんの冗談だこれは」ゲラゲラ
女魔王「冗談ではないぞ」スッ
新勇者(いつの間に背後に・・・これだけ禍々しい邪気を発しながらこの俺が気づけなかっただと!?)
遠征軍指揮官「なっ!貴様は女魔王っ!」
民兵24「あれが魔王・・・」
民兵48「なんという存在感か」
遠征軍指揮官「お前ら何をボーっと見ている!全軍攻撃だ!」
女魔王「やはり戦いは避けられんか、仕方あるまい」
40:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/20(土) 08:25:30.66:TmTwg4gG0
女魔王「おいメイド」
メイド「は、ここに」
女魔王「殺すなよ」
メイド「御意」
民兵263「うおおおおお!魔王の首を取れー!」
民兵538「相手は二人だ、数で押せー」
遠征軍指揮官(相手は二人、対してこちらは1万・・・負けるはずがない)
新勇者(これはマズいな・・・とりあえず戦場から眼を話さないようにしながら逃げる準備でもしとくか)
メイド「ふっ・・・」
民兵たち「「うっぎゃああああああ!」」
女魔王「散れ」
民p「「おわあああああ」」
伝令兵「ほ、報告いたします!こちらの損害は約4千を超えました!このままではあと5分もしないうちに全滅します!」
41:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/20(土) 08:29:53.93:TmTwg4gG0
遠征軍指揮官(これが魔界のトップの実力か・・・あなどっていた)
遠征軍指揮官「者共!ここで足止めせよ!我らは撤退の準備を整える」
民兵たち(逃げるんだな・・・アホ指揮官が・・・)
─5分後
女魔王「片付いたか?」
メイド「はい、全軍中死者0名、他は武装解除及び無力化されています」
女魔王「あの見るからに無能な指揮官はどこにいった?」
メイド「はあ、先ほど勇者っぽい男と一緒に魔界の外へ」
女魔王「いや、追えよ・・・」
メイド「うっかり」テヘッ☆
女魔王「・・・」
女魔王「まあよいわ、客人は集まった。もう行くぞ、パーティーに遅れてしまう」
メイド「御意」
女魔王&メイド「集団転移魔法」
42:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/20(土) 08:33:48.54:ziiFQBDIP
─魔王城 大ホール
勇者「ちょ・・・えっ・・・」
女魔王「来賓の方々だ」
勇者「国王軍の人たちじゃないすかっ!どっから拉致ってきたんですかこれっ」
メイド「拉致とは失礼な。少しおとなしくなってもらって魔法で運んできただけです」
勇者「それを拉致と言います」
女魔王「まあ細かい事情は後で話そう。さて魔界に住む生きとし生けるものよ!宴会を始めようではないか!」
ヒュールルルル・・・ドーン!
勇者「へえ、魔界にも花火ってあるんだな」
女魔王「あれは火薬ではなく魔法で打ち上げているのだがな」
勇者「どこで見ても花火ってのは綺麗なもんだ」
50:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/20(土) 08:39:44.29:TmTwg4gG0
勇者「さて、話してくれてもいいんじゃないか?」
女魔王「何をだ?」
勇者「ごまかさないでくれよ。国王軍をわざわざここにつれてきたってことは何か思惑があるんだろう?」
女魔王「・・・戦争は、なんで起こると思う」
勇者「え?それは・・・お互いに気に食わないからじゃないのか?」
女魔王「子供の喧嘩じゃあるまいに、ただ気に食わないという理由だけで戦争が起こるなら、この世界はとっくに滅んでいるよ」
女魔王「それに、数百年前までは人間界と魔界はお互いに不干渉を保ってきたんだ」
勇者「じゃあなんでいきなり戦争が始まったんだ?」
女勇者「理由は色々とあるが、一番大きいのが物資だろうな」
勇者「物資?」
女魔王「見てのとおり魔界は土地が悪くてな、人間界のように麦や米などの農作物が出来にくい」
女魔王「それに対して人間界では魔界の鉱山で産出される希土類が不足している」
女魔王「これが物資の差、戦争が起こる理由の一つだ」
53:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/20(土) 08:44:13.32:TmTwg4gG0
勇者「一つ・・・ってことは他にもあるんだろうな」
女魔王「そうだ、もう一つの理由・・・言いにくいんだが、それは差別だ」
勇者「差別・・・か」
女魔王「思い当たるフシがあるだろう?われわれ魔界の者は色々と特異な身体的特徴や能力を持ったものが多い。例えばあそこで酒に溺れすぎて溶けてるスライムとかな」
女魔王「だが人間は微々たる違いがあるにしろほぼ同じ姿形をしている。ゆえに自分たちと違う姿を持つ生物を嫌うのであろうな」
勇者「そうだな、俺も女魔王が人間に近い姿じゃなかったら逃げ出していたかもしれない」
女魔王「そこは普通勇者なら戦うと言わねばならんところだろう、まあそこが勇者らしくて可愛いのだが」くすくす
勇者「・・・」///
56:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/20(土) 08:52:02.26:TmTwg4gG0
勇者「そ、それでっ!ここに国王軍の人たちを集めたのは何かワケがあるんだろう?」
女魔王「もちろんだ、メイド」
メイド「ここに」
女魔王「そろそろ始めよう」
メイド「御意、ライトを落とせ!」
バッ!
民兵たい「「な、なんだ!?」」
「「俺たちついに生贄にされちまうんだべな・・・」」
女魔王「紳士淑女の皆様!よくぞこの女魔王と勇者の婚約記念パーティーにお集まり下さった」
勇者(はっ!?婚約記念って・・・聞いてないぞっ!)
女魔王「長ったらしい挨拶は皆の望むところではないだろうから割愛する。本日は人間のご一行様に来ていただいた」
勇者(あれは招待じゃなくて拉致っていうんだよ)
女魔王「我らは永らく人間との戦争を行ってきた。多くを殺し、殺され、多くを奪い、奪われ、そして多く悲しませ、悲しんできた」
女魔王「私は・・・私は魔王として、その流れを断ち切らなければいけないと考える!」
女魔王「歴代の魔王は人間を忌み嫌ってきた。その感情は皆の中にもあるであろう」
女魔王「だが、我々は隣人だ。互いに手を差し伸べ、支えあいながら生きていくことが必要だと私は考える」
65:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/20(土) 08:59:43.07:TmTwg4gG0
女魔王「その第一歩として!私は今朝魔界に単身切り込んできた勇者を婚約者(仮)として迎えることを決断した!」
わあああああああ!!
勇者(なんだこの展開)
女魔王「皆も知っての通り、この勇者は弱い」
勇者(ぐっ・・・)
女魔王「ここに集まっている者たちの9割が素手で勝てるであろう」
わははっははは!!
勇者(なにこの羞恥プレイ)
女魔王「だが、私はこの勇者に並々ならぬ魅力を感じたのだ。それは強さではない、圧倒的なカリスマでもない。弱い体の中に走る一筋の光を私は感じたのだ」
68:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/20(土) 09:03:56.61:TmTwg4gG0
女魔王「私は人間と戦いたくない。もう余計な血は流したくないのだ。夜の帳が下りるたびに赤子の鳴き声と嘆き悲しむ声が響く世界にわたしは耐えられない」
魔界兵士「そうだよなあ・・・もう俺たちも戦いたくないよ」
71:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/20(土) 09:06:26.92:TmTwg4gG0
民兵973「オラたちもできれば戦争なんてしたくねーだ」
女魔王「これからも、もしかしたら血が流れることがあるかもしれない。
身を守るために武器を取らなければならない時が来るかもしれない。
だが、そのとき思い出して欲しい。
その手に取った刃が刺す相手にも愛する者がいることを・・・果たして、
人間と魔族にどれだけの違いがあるかということを」
女魔王「そして、出来るならば・・・もし出来るならば、その武器を持った手を下ろし、握手を求めることができないだろうか?」
女魔王「その一歩を踏み出す勇気を持てば、もしかしたら我々は共に生きていけるのではないだろうかっ!!」
72:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/20(土) 09:10:37.99:TmTwg4gG0
女魔王「そして、ここにいる勇者は私の手を取ってくれた。敵であるはずの私の言葉に耳を傾けてくれた」
女魔王「だから皆も、あー・・・ごほんっ!少し強引に連れてきてしまったが、人間の方々も、
隣にいる魔族と、人間と、手を取り合うことができないだろうか」
女魔王「いや、私と勇者にできたのだ!皆にできないはずがないっ!!」
おおおおおお!!
女魔王様に栄光あれ!勇者様に神の光あれ!
勇者(すごい・・・さっきまで怯えてた国王軍の人たちまで熱狂してる)
76:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/20(土) 09:16:28.20:TmTwg4gG0
女魔王「私だけ話すのも不公平だな、勇者にも話をしてもらおうじゃないか」ふふっ
勇者「えっ、マジで」
女魔王「マジだ」
ざわざわ
勇者「えーっと、勇者です」
勇者「俺はさっきも言われた通り、弱い勇者です。頑張って剣を練習しても、呪文を覚えても強くなれなかった。
だけど、僕は使命のために魔界に来ました。魔王を倒すために・・・ごめんなさい。
だけど、女魔王は俺に殺し合いをするつもりはないと言いました。」
勇者「最初はもちろん驚きました、歴代最強の魔王だと聞いていたから。即殺されるんだろうと覚悟していました。でもそうじゃなかった」
勇者「死んでもいないのに死んだことにされて、戦争の理由に使われて、落ち込んでいるときに女魔王は頭を撫でてくれました。人間界では誰もそんなことをしてくれなかったのに・・・正直うれしかったです」
勇者「これが、手を取るってことなんですね」
80:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/20(土) 09:23:14.99:TmTwg4gG0
勇者「皆さんの周りに落ち込んでいる人がいたら、是非声をかけてあげてください、頭を撫でてあげてください。俺がそうされて嬉しかったように、きっとその人も嬉しいはずだから」
女魔王(嬉しいのはこっちだ・・・そう思っててくれたんだな、勇者)
勇者「俺は人間だ、今まで魔族を敵だと思ってきた。でも今は、そんなことを思えない俺がいる。勇者失格だね、あはは」
勇者「でも、失格でもいい、裏切り者と呼ばれても構わない。女魔王の話すことが、人間と魔族が手をつないで歩いていくことができるようになるなら、俺はなんでもする」
勇者「国の勇者になれなかった俺だけど、俺は、世界の・・・この世界全てを救う勇者になりたい」
しーん・・・
勇者(あれ・・・俺みたいな弱いヤツがこんなこと言ってもダメだったか)
小さな魔族の子「新世界の勇者様バンザイ・・・」
ああ、あいつはすげえよ・・・
世界を救う勇者だってよ、魔王様とならできるんじゃないか?
これだけの魔族に囲まれながらあんなことを言えるなんて、もしかしたらすごいヤツなんじゃ・・・
ざわざわ
民兵たち「新たなる世界の勇者に栄光あれ!」
わああああああああ!勇者に栄光あれ!!
83:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/20(土) 09:27:45.76:TmTwg4gG0
女魔王「ふふっ、すごいじゃないか勇者。皆の心を掴んだな」
勇者「やめてくれ、これでもすごい恥ずかしいんだ」
伝令「女魔王様、お伝えしたいことが・・・」
女魔王「うむ、かまわん」
伝令「人間界で動きがありました」
女魔王「それで?」
伝令「勇者様の国を含む5カ国同盟で出兵案が可決されました。おそらく総兵力100万を超える軍隊が1ヶ月以内にこちらに来ることになります」
勇者「な、なんだと!?」
女魔王「ふむ・・・これはマズいな」
メイド「やはり拉致はまずかったでしょうか」すっ
勇者「やっぱり拉致だったんだな・・・というかどっから出てきた」
157: ◆wV/dOv7SG. :2010/11/20(土) 14:15:57.91:TmTwg4gG0
女魔王「チャンスだな」
メイド「チャンスですね」
勇者「は?」
女魔王「わからぬか?もうすぐこちらに100万の軍勢がやってくるのだぞ。これをチャンスと言わずしてなんとするか」
勇者「ちょっと待ってくれ。100万の軍勢が来るんだろ!?いくらなんでも勝てるわけないじゃないか!」
女魔王「勝つ必要は無い。講和すればよいだけの話だ」
勇者「簡単に言うなよ・・・俺の国の国王をよく知らないからそんなことが言えるんだ。国王の魔族嫌いは半端じゃないんだぞ」
女魔王「それでも、血を流して手に入れた勝利と、血を流さずに手に入れた平和なら、私は平和を取るよ。そのためにはこの命を賭けたっていい」
159: ◆wV/dOv7SG. :2010/11/20(土) 14:17:26.70:TmTwg4gG0
勇者「・・・」
女魔王「どうした?」
勇者「命を賭けるとか言うなよ」
女魔王「そうしなくてはならない場面も存在するということだ」
勇者「俺にできることはないのか?」
女魔王「今のところ・・・な」
メイド「魔王様」
女魔王「うむ、今行く」
女魔王「悪いな、来る人間軍との接触のために策を練らねばならない。少し会議やらなにやらで忙しくなると思うが、適当にこの城でも散策しておいてくれ」
勇者「・・・わかった」
161: ◆wV/dOv7SG. :2010/11/20(土) 14:22:54.58:TmTwg4gG0
─魔王城 回廊
勇者「はあ・・・」
勇者(女魔王はあんなこと言ってたけど、やっぱりあの国王が話し合いに応じるとは思えない。下手をすれば話し合いに出た瞬間に虐殺される・・・どうすればいい?俺に一体何ができるっていうんだ)
小さな魔族の子「お兄ちゃん」
勇者(いや、でも・・・もし俺が出て行けばきっかけくらいにはなるかもしれない。ダメか、新勇者が居る今、秘密裏に殺されるのがオチだ)
小さな魔族の子「ゆーしゃお兄ちゃんっ!」
勇者「っ!?」
小さな魔族の子「これ・・・あげる」
勇者「これは・・・短剣?」
小さな魔族の子「わたしのたからもの。りゅうぞくのおとめにうけつがれるひほう」
勇者「綺麗だ・・・でも大切なものなんだろ?」
小さな魔族の子「いいの、ゆーしゃお兄ちゃんががんばろうとしてるから・・・これはおまもり」
163: ◆wV/dOv7SG. :2010/11/20(土) 14:27:16.31:TmTwg4gG0
勇者「わかった、大切にするね」
小さな魔族の子「がんばってね!」
勇者(人の子も、魔族の子も変わりない。朝起きて仕事して、仕事が終わったら仲間と酒を飲んで、家に帰ったら奥さんが食事を作ってて、子供がお帰りなさいって言ってくれて・・・同じだ、人間と)
勇者(こんなところで悶々と考えてるだけじゃダメだ!俺も何か行動を起こさないと!)
164: ◆wV/dOv7SG. :2010/11/20(土) 14:33:53.45:TmTwg4gG0
─魔王城 会議室
女魔王「さて、各々方。来る100万の軍勢を迎え撃つにあたり私は武力ではなく話し合いで決着をつけたいと考えている」
参謀「しかし人間どもが話し合いに応じるという保障がどこにあるのですか閣下」
女魔王「正直言って保障などないな。ただ私が直接出向けば話くらいは聞いてくれるだろうよ」
将軍「甘いですぞ!我らが人間に受けた仕打ちをお忘れになったか!先ほどの演説には大変感銘を受けましたが、それも人間と魔族が対等の立場であってやっと成立する話です。攻める側と攻められる側になった今、もはや平穏な講和など望めませんぞ!?」
165: ◆wV/dOv7SG. :2010/11/20(土) 14:37:49.02:TmTwg4gG0
女魔王「それをなんとかするのが魔王だ。私は今までそれをやってきたではないか」
参謀「し、しかし・・・やはり危険ですぞ閣下」
女魔王「危険など承知の上、私とて100万は相手にできぬ。心配するな、次期魔王はすでに私の中で決まっている。私が殺されたとしてもその者に後を継がせればよかろう」はっはっはっ
メイド「次期魔王の座は私のもの・・・」ぼそっ
女魔王「何か言ったか?」
メイド「いえ・・・」
166: ◆wV/dOv7SG. :2010/11/20(土) 14:43:03.77:TmTwg4gG0
女魔王「さておき、計画はこうだ。まあ計画というほどのものでもないがな」
女魔王「私が単身敵陣深く統合指揮官、あるいは国王の下へ出向き、講和条約ないしそれに順ずる条約を書面にて交わす。以上だ」
参謀「それは無謀というものですぞ閣下!」
将軍「無茶です!」
女魔王「はっはっはっ」
将軍「笑い事ではござらん!せめて護衛の10万や20万はつけるべきです」
女魔王「そんなことをすればそれこそ開戦の火蓋をこちらから切るようなもの。大切な交渉だからこそうかつなことはできんよ」
将軍「しかし・・・」
女魔王「将軍は私の強さを知っているだろう?確かに100万を相手にするのは無理だが、逃げおおせることくらいはできるだろうよ」
168: ◆wV/dOv7SG. :2010/11/20(土) 14:44:17.16:TmTwg4gG0
勇者「無理だな」
女魔王「勇者!なぜここに?」
勇者「そんなことはどうでもいい。とにかく無理だ、相手には新勇者がいるんだぞ」
女魔王「問題ない」
勇者「ありまくりだ、新勇者は俺みたいに弱くない。今の女魔王と対等に戦える力を持った真の勇者だ」
女魔王「なぜ知っているのだ?」
勇者「新勇者は俺をはるかに超える実力を持ちながら、俺が勇者に選ばれた。理由はわからないが、とにかく俺が選ばれた。それでもあいつは俺を勇者と信じて俺の横で剣を振り続けていた。あいつは俺の元仲間なんだ」
メイド「元・・・とは?」
勇者「俺はもう裏切り者だろうからな」
186: ◆wV/dOv7SG. :2010/11/20(土) 17:01:04.86:TmTwg4gG0
─出兵案可決から20日目 魔界へいたる門近くの野営にて
民兵「ついに出陣だべか・・・」ヒソヒソ
民兵「嫌ですね、戦争なんてしたくないのに」ヒソヒソ
遠征軍指揮官「ついにこの日がやってきた!諸君、今日は記念すべき日である。我々誇り高き神の騎士団は、明朝より魔界へと全軍進行を開始する。
我らは一騎当千100万の強者、対して敵は下等な魔族共である、負ける理由など存在しない!殺せ!奪え!!焼き尽くせ!!!
我らが神は我らに力を授けたもう!」
新勇者(神の騎士団とか言ってるくせに略奪を推奨かよ・・・まったくどうしようもねえな)
新勇者(明日、か・・・結局あいつは俺の勇者じゃなかったんだな)
新勇者(仕方ねえ、これも`運命´ってヤツなんだろうさ)
遠征軍指揮官「さあ飲め!歌え!我らの地響きは魔界まで届き、下等な魔族共を怯え震わせるであろう!」
187: ◆wV/dOv7SG. :2010/11/20(土) 17:04:55.66:TmTwg4gG0
わああああああ!!
神の祝福あれ!我らに勝利を授けたまえ!!
─魔王城 王の間
メイド「人間界に動きが、『2つの世界を繋ぐ橋』人間界側の野営で決起集会が開かれました。動き出す時も近いかと」
女魔王「人間の最終戦力はいかほどか?」
メイド「当初の報告通り約100万です」
女魔王「やはり減ってはくれないか・・・ならば予定通りに事を進めよう」
メイド「御意」
女魔王「メイド」
メイド「はい?」
女魔王「もしものことがあれば、後はお前に任せる。首尾よく取り計らえ。もし、人間が略奪や虐殺をしようというのなら・・・全面戦争も仕方あるまい」
メイド「そのことは終わってから考えるとしましょう。今は目の前の懸案事項を全力で片付けるまでです」
女魔王「ふふっ、そうだな」にっこり
伝令「報告します!人間の軍が動き始めました!魔界の森を通ってこの城にたどり着くまでに3日ほどかかると思われます」
女魔王「来たか・・・」
メイド「準備を進めます」
女魔王「頼んだ」
191: ◆wV/dOv7SG. :2010/11/20(土) 17:08:48.57:TmTwg4gG0
女魔王「勇者、隠れてないで出て来い」
勇者「うっ・・・」
女魔王「全く、できない子だとは思っていたが、気配も消せないのだな」
勇者「すんません・・・苦手なんです」
女魔王「得意なものなどあるのか?」けらけら
勇者「う、うるさいっ!」
女魔王「・・・」
勇者「・・・」
女魔王「あのな・・・」
勇者「本当に一人で行くのか?」
女魔王「あ、ああ・・・他に連れて行けば引き金を自ら引くことになりかねない。それだけは避けたいのだ」
勇者「俺なら弱いから引き金にはならない」
女魔王「それでも・・・」
勇者「決めたんだ、どんなに止めても俺はついていく」
女魔王「・・・」
勇者「・・・」
女魔王「わかった・・・好きにするがいい。ただし、どうなっても知らんぞ」
勇者「ありがとう」
192: ◆wV/dOv7SG. :2010/11/20(土) 17:13:31.72:TmTwg4gG0
─2日後 女魔王の部屋
勇者「女魔王、いるか?」
「・・・」
勇者「おーい、寝てるのかー?」
「・・・・・・」
勇者「空けるぞー」
「・・・・・・・・・」
勇者「・・・まさか」
メイド「そのまさかでございます」すっ
勇者「っ!?」ビクッ
勇者「あいかわらずあなたはどこから沸いて出るのですか」
メイド「メイド基本術その11、空中散歩でございます」
勇者「メイドって大変ですね」
メイド「ええ、それはともかく。女魔王様なら朝方出てゆかれました」
勇者「どこに?」
メイド「敵陣、100万人の軍勢の一番奥・・・勇者様のお国の国王様の元へ」
勇者「え・・・?」
メイド「お一人で、向かわれました」
193: ◆wV/dOv7SG. :2010/11/20(土) 17:16:59.45:TmTwg4gG0
勇者「なんで言ってくれなかったんですかっ!!!」
メイド「っ!?」ビクッ
勇者「あ、ごめんなさい・・・」
メイド「問題ありません、急に大きな声をお出しになるものですから」ドキドキ
メイド「勇者様も感情が昂ぶることがあるのですね・・・安心しました。それが我が主に向けられていることも」
勇者「女魔王は・・・腐っても俺の彼女だから」
メイド「追われますか?」
勇者「もちろんだ」
メイド「女魔王様は転移魔法で向かわれました。恐らく敵陣の中心部まで一直線かと・・・
私は魔法が不得手なもので、飛ばせても軍団の一番手前までしか飛ばせません」
勇者「お願いできるなら」
メイド「了解しました」
194: ◆wV/dOv7SG. :2010/11/20(土) 17:23:44.16:TmTwg4gG0
メイド「それと、これをお持ちください」
勇者「それは・・・剣?」
メイド「はい、先代の魔王様が捧げていらっしゃった剣です。私が女魔王様から管理を申し付かっているのですが、勇者様にお預けします。
もし女魔王様に何か身の危険があったらそれが役に立つでしょう」
勇者「重いですね・・・お借りします」
勇者(まさかとは思ったけど、本当に一人で向かうなんて・・・俺はそんなに頼りないか?好きな人のそばにいたいと思うのがそんなにいけないのか?)
勇者(好きな人・・・?ああ、そうか。俺はもう、`アイツ´に惚れてたんだ)
勇者(助けになんてならないかもしれない、むしろ足手まといかもしれない。けど、俺が頭を撫でられて嬉しかったように、俺もアイツが辛いときに手を握っていてあげたい)
メイド「参ります」
勇者(今、行くから)
メイド「転移魔法、発動」
勇者「待ってろよコンチクショー!!」
メイド「っ!?」ビクッ
シュンッ!
メイド「全く、いつもビクビクしていると思ったらこういう時だけやる気になるのですね・・・世界を救う勇者、あなたなら、なれるかもしれませんよ」ふふっ
197: ◆wV/dOv7SG. :2010/11/20(土) 17:31:23.81:TmTwg4gG0
メイド「全く、いつもビクビクしていると思ったらこういう時だけやる気になるのですね・・・世界を救う勇者、あなたなら、なれるかもしれませんよ」ふふっ
─遠征軍 中央指令部 国王のテント
国王「首尾はどうじゃ」
部下「ハッ!我らが神の軍勢は順調に進軍し、魔王の城まであと1日を切っております。食料も十二分に確保できており、軍全体の士気も依然高く保たれております!陛下!」
国王「そうか・・・ついに、この日が来るのだな」
国王「新勇者を・・・新勇者を余の元に」
部下「ハッ!」
新勇者「呼びましたか?」
国王「おお、近こう寄れ、もっと近こう」
新勇者(ジジイに手招かれても嬉しくねーっつーの)
国王「先代の勇者は駄犬であった・・・あの者はもう勇者ではない」
新勇者「・・・はい」ブルブル
国王「勇者はお前一人だ、そうであろう?」
新勇者「はい、その通りです」
国王「そうだ、魔王の首を取れ。さすれば一生の富と名声と平穏を約束しよう」
新勇者「っ・・・、必ずや」
国王「よろしい、下がれ」
198: ◆wV/dOv7SG. :2010/11/20(土) 17:38:14.50:TmTwg4gG0
シュン!
女魔王「下がる必要はありません」
国王&新勇者&側近「っ!?!?」
女魔王「突然の訪問お許しいただきたい、我が名は魔界を統べる7代目魔王、女魔王と申す者。対談の目的でここへはせ参じた」
側近「ま、ま、ま、魔王・・・」
国王「ふむ、貴様が魔族共の長か」
女魔王「いかにも」
国王「して、こんなところまで魔族の長直々に何の御用か」
女魔王「率直に申し上げる、兵を引いていただきたい。こちらに戦闘の意思はないのだ」
国王「ふおっふおっふおっ!戦闘の意思がないとな?どの口がそのような戯言を申すのか。
1月前に我が国の軍1万をさらったのはどこの魔王殿であったか?」
女魔王「あの民兵の方々は謝罪の手紙と手土産を持たせて丁重にお送りしたはずだが」
国王「知らぬな、きやつらは自力で帰ってきたと申したぞ?鬼畜魔族共に殺されそうになり、命からがら逃げ出してきたと」
女魔王「なっ・・・」
199: ◆wV/dOv7SG. :2010/11/20(土) 17:43:15.97:TmTwg4gG0
女魔王「そんな嘘をついて恥ずかしいとは思わないのか、一国の長よ」
国王「その言葉、そっくりそのままお返ししよう。ふおっふおっふおっ」
女魔王「わかった、その件に関しては改めて謝罪と賠償金を・・・」
国王「必要ない、殺せ新勇者」
新勇者「は?」
国王「殺せ」
新勇者「いや、だってこの人は戦闘の意思はないって・・・」
国王「こ ろ せ」
新勇者「っ・・・わかりましたよ、殺せばいいんでしょ、殺せば」
女魔王「国王殿っ!」
国王「聞く耳持たぬわ、汚らわしい魔族の分際で」
新勇者「悪いなお嬢さん、俺は勇者だ・・・やらなきゃいけない」
女魔王「抵抗はしない、ただ・・・私の命で、この小さき命で足りるなら、兵を引いていただきたい」
国王「やれ」
新勇者「御免っ」
ドズッ・・・
女魔王(ごめんな、勇者・・・)ガクッ
201: ◆wV/dOv7SG. :2010/11/20(土) 17:48:46.31:TmTwg4gG0
─軍勢の最先端部
勇者「なんなんだこのデタラメな人数は・・・」
国王軍民兵「あれ・・・?あれって・・・」
国王軍民兵「あ、勇者様じゃないか!」
勇者「お前たち!!」
国王軍民兵「1ヶ月ぶりだあよ!あんときのスピーチは感動しただ!」
国王軍民兵「んだんだ、凛々しかっただよ」
勇者「ありがとう、でも今はそれどころじゃないんだ!女魔王が危ない」
国王軍民兵「なんだって!?何があっただ!」
勇者「ひとりで・・・たったひとりで和平の交渉に出た」
国王軍民兵「そげな無茶な・・・」
勇者「だから俺も行かなきゃいけないんだ!アイツのそばにいてやらなきゃ」
国王軍民兵「そんだらこの鎧を着るといいだ、勇者様は地味だから兵隊に紛れられるでよ」
勇者「なんか・・・納得いかないが感謝する!」
210: ◆wV/dOv7SG. :2010/11/20(土) 18:02:51.63:TmTwg4gG0
勇者「はあっ・・・はあっ・・・」
勇者「あと少し・・・」
勇者「女魔王っ!!」
勇者「っ!?」
勇者(なんで・・・どうして!?お前は強いんだろ?100万の兵に囲まれても逃げられるんだろ!?
じゃあなんでこんなところで血流して倒れてんだよ!)
国王「来たか、駄犬」
勇者「国・・・王っ!!」
国王「一足及ばなかったようじゃの」
勇者「何をした」
国王「何も・・・見ればわかるであろう?胸を剣で突いただけのことよ」
勇者「貴様・・・」
国王「魔族に相応しいみっともない末路であったわ」
勇者「キサマアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!」
ギインッ!
新勇者「悪いがそれはさせない」
勇者「新勇者っ・・・邪魔するなあっ!!」
新勇者「王の御前である、下がれ下郎」
勇者「くっ・・・」
211: ◆wV/dOv7SG. :2010/11/20(土) 18:05:06.64:TmTwg4gG0
新勇者「お前を信じて付いていった。自分よりはるかに弱いお前を、本当の勇者だと信じて」
新勇者「お前が一人で魔王城に向かったとき、俺は誇らしかった。俺の仲間が、戦友が、誇りを持って人間の槍となったからだ」
新勇者「だが、それをお前は裏切った。魔族側に寝返り、人間を裏切った」
新勇者「そんなお前に失望した。恨んだ、憎んだ、憎悪した、嫌悪した、そして・・・お前に殺意を抱いた」
勇者「・・・」ゾクッ
国王「殺せ、駄犬に価値は無い」
新勇者「言われなくともっ!!」
勇者「やめろっ! うわっ!!」
勇者(ダメだ・・・違いすぎる)
勇者(さばくだけで精一杯・・・いや、こいつはまだ本気でもなんでもない。これが持つ者と持たざるものの違いか・・・)
勇者(ゴメンよメイド・・・せっかく魔王の剣を貸してくれたのに、使う人間がダメだとやっぱりダメみたいだ)
勇者(あー、痛いな・・・さっきから何度もかすってる。久しぶりだな、皮膚が切れる感覚、昔はよく訓練で切れてたっけ)
213: ◆wV/dOv7SG. :2010/11/20(土) 18:13:30.34:TmTwg4gG0
勇者(あ、剣にヒビが・・・もうもたないかもな。でも、女魔王と一緒に逝けるならいいかもな)
勇者(ごめんよ女魔王・・・こんな俺で・・・せめて、せめて最後だけは、一緒にいてやるからな)
バキインッ!
新勇者「最後だ、勇者っ!」
勇者(あ・・・れ・・・?)
勇者(なんでこんなにスローモーションなんだろ?」
勇者(これが世に言う走馬灯ってやつか・・・)
214: ◆wV/dOv7SG. :2010/11/20(土) 18:16:59.68:TmTwg4gG0
小さな魔族の女の子「真世界の勇者様バンザイ・・・」
勇者(こんな俺に、バンザイって言ってくれた)
魔族の人たち「世界を救う勇者だってよ、魔王様とならできるんじゃないか?」
勇者(女魔王と一緒にいることを許してくれた)
民兵そんだらこの鎧を着るといいだ、勇者様は地味だから兵隊に紛れられるでよ」
勇者(俺のことを助けてくれた)
メイド「勇者様も感情が昂ぶることがあるのですね・・・安心しました。それが我が主に向けられていることも」
勇者(俺のことを認めてくれた)
勇者(みんな・・・俺を応援してくれた・・・)
「何度も言わせるな。これでも恥ずかしいんだ・・・ずっと好きだった!
私の彼氏になってくれ!これでいいか!?」
勇者(っ!!!!)
勇者「負けるかよ・・・」
218: ◆wV/dOv7SG. :2010/11/20(土) 18:20:50.53:TmTwg4gG0
新勇者「なにっ!?」
勇者「負けるかよおおおおおおおお!!!!!!!!!」
国王「何事だっ!?」
側近「なんだ?勇者の胸が光って・・・うわっ!」
新勇者「まぶしっ・・・」
勇者(これって・・・あの竜族の子がくれた・・・)
「わたしのたからもの。りゅうぞくのおとめにうけつがれるひほう」
「いいの、ゆーしゃお兄ちゃんががんばろうとしてるから・・・これはおまもり」
勇者(最後の光でいい・・・命を燃やしてでもいい・・・頼むっ!俺を、俺を助けてくれっ!!)
???「「その願い、聞き届けよう」」
勇者「誰だ!?」
???「「我に願え、全てを掌握する力を・・・」」
勇者「頼む・・・助けて・・・くれよっ!!」
???「「お助けしよう、我が姫君が認めた勇者よ」」
221: ◆wV/dOv7SG. :2010/11/20(土) 18:24:22.32:TmTwg4gG0
国王「な、んだとっ!?」
新勇者「魔界竜・・・でけえ・・・」
側近「ひええええ」
???「「我は竜の姫巫女が臣下、魔界竜ググロス」」
ググロス「「我らが姫君が認めた勇者よ、何なりとご命令を」」
新勇者(なんという圧倒的な・・・無理だ・・・絶対勝てねぇ・・・)
国王「何をしておる新勇者!さっさとあの化け物を倒さぬかっ!」
新勇者「無理だ・・・」
国王「なんじゃとっ!?」
新勇者「無理だ・・・でかすぎる・・・大きいって意味じゃねぇ、存在が、でかすぎる」
国王「貴様も駄犬か・・・もうよい、死ね」
ガキンッ!
勇者「今度はこっちの番だぜオッサン」
225: ◆wV/dOv7SG. :2010/11/20(土) 18:30:48.52:TmTwg4gG0
新勇者「勇者・・・なんで・・・」
勇者「一緒に剣振って、一緒にメシ食った仲だ、死なせはしねえよ」
新勇者「俺はっ、俺はっ!お前を殺そうとしたんだぞっ!!!」
勇者「生きてる」
新勇者「は?
勇者「生きてるよ、俺は。死んでねえ」
勇者「ググロスっ!!」
ググロス「何用か、我が主」
勇者「この軍団の戦闘に行って進軍を止めてくれ!絶対に殺すなよっ、殺したら全てがパーだからなっ」
ググロス「承知」
国王「貴様・・・駄犬の分際ででしゃばるな!」
勇者「テメエこそ、いい加減目ェ覚ましやがれくっそジジイ!」
バキィッ!
国王「貴様っ!国王に手を上げるなど・・・」
勇者「うるっせええええ!お前は俺の女を殺そうとしてんだぞ!顔面グーパンくらいでガタガタほえるんじゃねえっ!!」
国王「なっ・・・」
新勇者(帰ってきた・・・)
新勇者(勇者が・・・あの勇者が・・・帰ってきた)
新勇者(ずっと俺の手を握ってくれていた、いつの間にか追い越したと思っていた。だからコイツが勇者に選ばれたとき嫉妬した。
だけど、こいつはやっぱり俺の前を歩いてたんだ!!)
227: ◆wV/dOv7SG. :2010/11/20(土) 18:34:05.97:TmTwg4gG0
新勇者「おい側近!!」
側近「ハッ!」
新勇者「撤退だ!全軍を引き上げるぞっ!」
側近「は。はいっ!」
国王「何を言っている!この軍の指揮権は余にあるのだぞ新勇者!」
新勇者「アンタは今この時より王の座を外れてもらう」
国王「何を勝手な・・・」
新勇者「なあオッサン・・・こういうのなんていうか知ってるか?」
新勇者「サムライの国で下克上ってんだよ、ハゲ」
国王「なっ!余がカツラだといつからっ・・・ぐふっ」
新勇者「ちょっと寝てろ」
230: ◆wV/dOv7SG. :2010/11/20(土) 18:39:22.59:TmTwg4gG0
新勇者「これで国王軍は撤退する」
勇者「そうか・・・」
新勇者「元気ねえじゃねえか」
勇者「出せというほうが難しいよ。死んだ者は生き返らない」
新勇者「死んだ?誰が?」
勇者「お前が女魔王をっ!・・・スマン、責められないよな」
新勇者「ぶ、ぶ、ぶ・・・・ぶあっはっはっはっ!!」
勇者「笑い事じゃないっ」
新勇者「笑い事だっつの・・・ぶはははははは」
勇者「お前・・・斬るぞ」
新勇者「まあ落ちついてよく見てみろよ。よく見てわからなければ女魔王のお腹の周りの血なめてみろ」
勇者「???」
新勇者「ほらっ!はやくしろよ」
232: ◆wV/dOv7SG. :2010/11/20(土) 18:44:55.24:TmTwg4gG0
勇者「なあ、新勇者」
新勇者「なんだ?ぷくくく」
勇者「魔族の血ってトマト味なのか?」
女魔王「そんなわけなかろう」
勇者「女魔王っ!?」
女勇者「いや、まいった・・・せっかくのよそゆきの服がケチャップで汚れてしまったわ」
勇者「け、けちゃ・・・ええ!?」
新勇者「いや、流石に俺も女を一突きってのは抵抗があってね」
新勇者「ちょっとドンってやったら倒れちゃって」
勇者「んなアホな」
233: ◆wV/dOv7SG. :2010/11/20(土) 18:46:18.26:TmTwg4gG0
女魔王「いやー、食べかけの目玉焼きの中に顔をつっこみ続けるのはちょっと辛かったぞ。でもちょうどお腹の下にケチャップのボトルがあって助かった」
新勇者「その顔の周りの赤いのははなぢだろ?さっきの勇者は格好良かったもんなー」げらげら
女魔王「う、うるさいっ!今まで色恋沙汰とは無縁の世界にいたんだ、仕方あるまいよ」
勇者「お、お前ら・・・」
女魔王&新勇者「「ん?」」
勇者「ええ加減にせぇよー!!!!!!!!!」
この時の勇者の咆哮は魔界を4度往復したと伝えられている。
FIN
235:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/20(土) 18:49:07.33:Yi0AMal50
─後日談
女魔王「ときに勇者よ」
勇者「なんだ?」
女魔王「我らは恋人なのだ」
勇者「うむ、まったくもってその通りだ、疑う余地など微塵も残さず恋人だと言える」
女魔王「なればこそ、そろそろ接吻のひとつでも試みたほうが良いのではないかと」
勇者「接吻・・・つまりキスか」
女魔王「う、うむ・・・そういう言い方もするな」///
勇者「そういえば色々ありすぎて忘れてたけど俺たちはもう1年ちかい付き合いなんだったな」
女魔王「ああ、私も魔界の雑務で忙しいし、勇者も正式に勇者になって忙しかろう?」
勇者「といっても最近使えるようになった魔法で農作の手伝いとかだけどな」
女魔王「それも民を助ける重要な仕事ではないか、私も誇らしいぞ」
勇者「人間界では若き男女は付き合い始めてから3日目で性交に到ることも珍しくないそうだ」
女魔王「な・・・そうなのか」ぱくぱく
勇者「俺はそういう軽い付き合いを女魔王としたくないんだよ」
女魔王「そ、そうだな・・・そういうことなら仕方ない」
勇者「さて、俺はそろそろ人間界に戻るぜ」
女魔王「あ、待って!」
勇者「なんだy」
ちゅっ・・・
勇者「ななななななにををををを」
女魔王「ゴメン・・・我慢できなかった」
勇者「・・・」
女魔王「行ってらっしゃい^^」
275:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/20(土) 20:07:12.56:zaNsiUA/O
─王国 聖都中央学園
※勇者になってない段階の話なので、勇者を『勇』新勇者を『新』とします。
勇「ふあーあ・・・今日の授業も退屈だな。何度机と衝突の危機をすんでで回避したことか」
新「おい、勇!」
勇「あ?なんだ、新か」
新「お前次の剣技の授業どうすんの?」
勇「あー・・・めんどいな」
新「そんなんだからお前はいつまでたっても強くなれないんだよ」
勇「とてつもなく余計なお世話なんだな」
新「俺なんてもうロングソードも扱えるぜ?次はツヴァイハンダーだとよ」
勇「おいおい、俺なんてまだ木剣だぜ!?」
285:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/20(土) 20:27:47.67:TmTwg4gG0
新「よし、行くかっ」
勇「おー、いってらー」
新「お前も来るんだよっ」
勇「寝る」
新「・・・」ズルズル
勇「ばっ、ヤメロっ!足を離せっ」
─剣技場
教官「珍しいヤツがいるもんだな」
勇「あ、はい」
新「あんま休みすぎると落第ですからね、つれてきましたよ」
教官「よくやったぞ!もうそろそろ古い木剣は捨てようと思ってたところだ」
教官「最後にみっちりしごいてやる」
勇「勘弁してよマジで・・・」
勇「死ぬ、マジで死ぬあの鬼教官」
新「しごかれてたなー、こっちが思わず目覆うところだったぜ」
勇「あれ真剣だったら死んでるぞ、間違いなく10回くらい死んでるぞ」
新「木剣でよかったな」
勇「木剣でも折れるくらい殴られたら普通死ぬと思うんだ」
新「違いない、あははっ」
284:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/20(土) 20:23:23.87:TmTwg4gG0
新「ははは、授業さぼりすぎなんだよ」
勇「だってさ、別に戦争やりにいくわけじゃないし、剣とか魔法とかいいっしょ」
勇「確かに雑草刈れたり灯りにできたりするかもしれないけどさ」
新「あいかわらず向上心のないやつめ」
勇「ほっとけ」ぷいっ
新「すねるなすねるな、ホラ飯にしようぜ!」
勇「お、待ってました!学校来たときから待ち焦がれてましたよっと」
新「あー、食った。というか食いすぎた」
勇「お前そんなに食べて剣技の授業大丈夫なの?」
新「始まる前にちょっと走っとくさ」
勇「あはは、お前らしいな」
新「行き当たりばったりってか!?このこの!」
勇「やめろ!天パが余計にくるくるするだろ!」
勇&新「あはははははは」
286:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/20(土) 20:31:59.23:TmTwg4gG0
─3ヶ月後 聖都大聖堂
勇「うっはー、でっけー」
新「うわっ、天井高い!!」
担当教官「お前ら完全におのぼりさんだな」
新「仕方ないっすよ、俺たちこんな都会に出てきたの初めてですよ?」
勇「うんうん」
担当教官「今日のお前たちの目的を忘れるなよ?」
新「わかってますって、国王様の大聖堂来賓の際剣技を披露する・・・ですよね?」
担当教官「その通りだ、国王様がこの国の学生がどれほど優秀なのか見たいというのでな
そしてそこ、逃げるな」
勇「うげっ!エリをひっぱらないで」
新「何逃げてんだよお前」けらけら
勇「ありえないだろ!なんで俺が国王様の前でお前と剣技を披露しなくちゃいけないんだよ!?」
担当教官&新「やられ役に適当だから」
勇「帰る・・・うげっ!」
287:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/20(土) 20:36:29.65:TmTwg4gG0
新「まあお前もこの3ヶ月曲がりなりにも練習してきたんだし、大丈夫だって」
勇「お前とは積み重ねた年月が違う。大体3才の頃から剣を振ってたヤツとどうやって戦えっていうんだ」
担当教官「気合だ」
勇「教育放棄っていいませんそういうの?」
ぱっぱっぱっぱぱー♪
『聖都国王様の、おなーりー』
勇「あのオッサンが国王か、案外普通のオッサンだな」
新「お前失礼にもほどがあるだろ。この国のトップだぞ」
担当教官「お前ら静かにしろっ!」
カツカツカツ
国王「その方らか?本日剣技を披露してくれる学生というのは」
担当教官「はい、我が学園でももっとも優秀な二人を連れて参りました」
勇「っ!?」
勇(いやいやいや何言ってんのこの人)
国王「ふむ、余も楽しみにしておるぞ」
担当教官「有難き幸せ」
カツカツカツ・・・
288:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/20(土) 20:42:40.07:TmTwg4gG0
勇「いや、やっぱ帰る」
担当教官「ここで帰られると俺の首が飛ぶんだが」
勇「お見舞いに接着剤買ってきてやるよ」
担当教官「後生だ・・・」
勇「こんな情けない大人にはなりたくないな」
新「全くもって同意だ」
─聖堂中央 開けた場所
担当教官「ではこれより、剣技模擬試合を開始したいと思います。どうか皆様ごゆるりとお楽しみください」
勇(いや、ありえねー。この人数とこの視線ありえないって)
新(アイコンタクト)「最初は手抜くからしっかり打ち込めよ」
勇(アイコンタクト)「助かる」
担当教官「ではっ、始めぇっ!!」
新「えやあああああ!!!!」
勇(手抜けよおおおおおお!!!!!)
新「たあっ!そやっ!うりゃああ!!」
勇「くっ、ふっ、だあっ!」
勇(いや、これはさばき切れないって・・・どうすっべか俺)
新「せやあああああ!!」
勇(受けない、流す、払うっ!!)
勇「せいっ!」
シュインッ
国王「おお・・・」
観客「何だ今のは・・・美しい受け流しだ」
新「やっぱやるじゃねーのよ・・・ならこれでどうよっ!」
勇(くそっ!連突きか・・・下がって間を取るしかないよな)
新「甘いっ!」
勇(踏み込みが、はええっ!)
289:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/20(土) 20:47:08.14:TmTwg4gG0
勇「ぐっ!ちょっと痛いっ!」
新「今のは有効じゃないのか?」
判定員「浅いっ」
勇「あっぶねー」
新「よく耐えるじゃないか」
勇「伊達に3ヶ月打ち続けられてないっつーの!」
勇(これじゃいつまでたっても後手だ、一か八か・・・)
新「うりゃああああ!!」
勇(ここっ!)
勇「とおっ!」
新「カウンター!?」
バシッ!
判定員「一本!そこまでっ!」
国王「ほほう・・・」
観客「おおおおお!」
新「いやー、隙を突かれたぜ・・・参った!」
勇「いや、まぐれにもほどがあるぞ今のは」
新「まぐれでも戦場なら死んだのは俺だ。お前の勝ちだよ」
勇「ははは、ありがと・・・ん?」
新「どうした?」
勇「静かにっ」
290:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/20(土) 21:00:38.67:TmTwg4gG0
新「なんだってんだ?」
勇「国王の後ろ、ナイフを持ってる男がいる。警備の人間も気づいてないみたいだ」
新「なんだって!?」
勇「静かにしろ、気取られる」
新「どうする?」
勇「このままだと確実に刺されるよな」
新「よし、相手が動いたら俺がまず気を引く。その隙にお前がアイツを倒してくれ」
勇「気が重いし、荷も重いが・・・やるしかないよねー」
新「相手が動いたら出るぞ、幸いみんなの視線は今こっちに向いてる」
勇「わかった」
291:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/20(土) 21:01:59.45:TmTwg4gG0
国王「いやいや、面白い試合を見せてもらった。この国のレベルの高さがうかがえ、余は満足じゃ」
担当教官「ありがたきお言葉、感謝いたします」
黒服の男「っ!!」スッ
新「今だっ」
勇「おうっ!」
ドシャッ!
黒服の男「っ!!・・・」
新「気絶したか」
勇「上手い具合に頚椎に木剣が入ったみたいだ」
護衛「こ、こやつは!」
護衛「ええい!早く縄をかけろ!」
護衛「申し訳ありません国王、我々の注意が行き届いておりませんでした」
国王「よい、貴様らの処遇は後で考えるとしよう」
護衛「ハッ!」
国王「して、この族に気づいたのはどちらかな?」
新「コイツです」
勇「ちょ・・・やめっ・・・」
293:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/20(土) 21:08:32.93:TmTwg4gG0
国王「貴殿であったか・・・余は貴殿に命を救われた、感謝の至りだ」
勇「もったいないお言葉でございます」
国王「礼といってはなんであるが、何か好きなものを褒美に取らせよう」
勇「いえ、目の前で殺されそうになっている人を助けるのは人として当然のこと。
礼などいただくに及びません」
観客「なんと立派な」
観客「さすがは中央学園の生徒ですわね」
担当教官(ふふふ、私も鼻が高い)
国王「ふむ、これは感じ入った。貴殿のその正義感と行動力を評し、余は貴殿に『勇者』
の称号を与えるものとする」
ざわざわ
ざわざわ
観客「勇者ですって!?」
観客「そういえば前勇者はこの前の魔族との戦いで神の元へ・・・」
勇「そんなっ!私ごときが勇者などっ」
国王「受けてはくれぬか?余は貴殿のその力をお借りしたいのだ」
勇「俺なんかより新のほうがよっぽど・・・」
新「いや、私も勇は勇者に相応しいと思います」
勇「おい新っ!」
新「勇は学園でも皆に平等に優しく接しています、それに命がかかった現場での行動力は見ての通り。
これ以上勇者に相応しい人間はいないかと思います、陛下」
国王「貴殿の友人もそういっておる。うけてはくれんかの?」
勇(これ断れる雰囲気じゃないよな・・・とりあえず受けて後で新にパスするか)
294:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/20(土) 21:11:40.56:TmTwg4gG0
勇「わかりました、『勇者』の称号、謹んでお受けいたします」
国王「皆のもの!聞いての通りだ、新たな勇者がここに誕生した!!」
わああああああ!!!
国王「国中に触れを出せ!金を打ち鳴らせ!今宵は祭りとゆこうぞ!」
勇(そんな大げさな・・・)
新「俺も誇らしいぞ!勇」
勇「絶対お前にパスするからな」
新「何言ってんだ!お前は勇者だ!そんなお前の友達であることが俺は嬉しいんだ」
勇「めちゃめちゃ押しといてよく言うぜ・・・全く」
295:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/20(土) 21:14:05.14:TmTwg4gG0
─数ヵ月後
兵士「あの勇者はどうなってるんだ?」
兵士「いくらなんでも弱すぎるだろ、俺たちのほうが強いぜ?」
兵士「でも国王様の命を守ったらしいぞ」
兵士「聞いた話だけど、国王様はしびれを切らして勇者を魔王討伐に向かわせるらしい」
兵士「あの弱さでは魔王までたどり着けるかどうか・・・」
兵士「今の魔王は歴代最強だという話だしな」
兵士「次の勇者はもうちょっとマシなのがいいな」
兵士「違いない」
わっははははは!!
勇者「ったく、好き勝手言ってくれる。俺も好きでなったわけじゃねーっつの」
296:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/20(土) 21:17:23.40:TmTwg4gG0
─勅旨─
勇者に魔王討伐を命ずる。
国王
勇者「ついに来たか・・・」
新「やったじゃないか!ついに魔王討伐だな!」
勇者「多分俺死ぬぜ?」
新「何言ってんだ!お前は強いよ!人類の槍となって魔王を討つんだ」
勇者「どうしてこうなったかなぁ・・・」
新「誇りを持てって!で、出発はいつなんだ?」
勇者「明日だ・・・」
新「明日か・・・わくわくするな!俺はついていこうとしたら禁じられたが、
絶対いい知らせを持って帰ってこいよ!」
勇者「ああ、努力するよ」
新「帰ってきたらまた酒を飲もう」
勇者「ああ」
新「約束だ」
勇者「約束する」
297:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/20(土) 21:20:31.46:TmTwg4gG0
この約束は、聖都王国の国王が変わり、魔界から完全に撤退するまで守られることはなかった。
新勇者は勇者の裏切りに憤り、恨み、憎み、嫌悪し、憎悪し、嫉妬した。
闇に心を奪われた彼を救ったのが、知っての通り勇者である。
その光を持って、彼の闇を裂いた。
聖都王国と魔界に協定が結ばれ、つかの間かもしれない平和が戻った今
時折どこかの居酒屋で飲みながら笑いあう二人の姿が見かけられるそうだ・・・
番外編 勇者新勇者 FIN
332:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 10:46:57.89:TWpaNM9Z0
─竜の渓谷 竜族の屋敷
竜族の娘「ねえお姉さま」
竜族姉「なにかしら?夜更かしは良くないわ、そろそろ寝ないといけませんよ」にっこり
竜族の娘「なんで私はこの屋敷から出てはいけないの?」
竜族姉(もうこの子もそういうことを言う歳になったのね、そろそろお父様と相談しなくてはならないかしら)
竜族姉「それは明日お父様たちとお話しましょう。今日はもう寝るわよ」なでなで
竜族の娘「わかった、おやすみなさい」スースー
竜族姉「可愛そうに・・・可愛い妹。貴方の運命はその小さな体には重過ぎる)
─翌日
竜族姉「お父様、妹が屋敷の外に出られないことを不思議に思っているようです」
竜族長「そうか・・・そろそろ話してやらねばなるまいな」
竜族姉「そうですわね、真実を知ったらあの子はおびえるでしょうか」
竜族長「なに、心配ないだろう。私と亡き妻の子だ、あの子は強い」
竜族姉「そうですわね、私の妹ですもの!」
334:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 11:00:18.42:TWpaNM9Z0
─昼食 食堂にて
竜族の娘「守護竜ググロス様、今日も我らに糧をお与えくださったことを感謝いたします」
竜族長「さて、いただこう」
竜族の娘&竜族姉「いただきます」
竜族長「食べながら聞いてくれ」
竜族姉(話すのね・・・)
竜族の娘「んー?」
竜族長「お前は屋敷の外に出れないことを不思議に思っているようだな」
竜族の娘「うん!私も外で遊びたいもんっ」
竜族長「竜の巫女という話を知っているか?」
竜族の娘「竜の巫女?」
竜族長「簡単に言えば竜を使役することができる竜族唯一の者のことだ。
古よりの伝説によれば、その者は秘剣『鉄竜牙』を用いて竜と通じ、それと共に生きるという」
竜族の娘「かっこいい!」
竜族長「はっはっは、かっこいいか」
竜族の娘「うん!そんなことできたらいいなあ・・・」
竜族長「・・・」
竜族姉「・・・」
竜族の娘「どうしたの?」
竜族長「できるのだよ」
335:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 11:06:32.86:TWpaNM9Z0
竜族の娘「え?」
竜族長「お前は100年に一人選ばれるという、竜の巫女だ」
竜族の娘「ほんとにっ!?」
竜族姉「本当よ、生まれたときからその体には刻まれていたわ。竜の巫女に選ばれた証が」
竜族の娘「どこにあるの?」
竜族長「お前は背中に3本の線があるだろう」
竜族の娘「うん」
竜族姉「それが証よ、竜の爪痕。竜の巫女が飛竜に運ばれてきたしるし」
竜族の娘「そうなんだあー、わたしってすごいの?」
竜族長「すごいか、はははっ!確かにすごいな、いづれ私よりも大きな力を持つことになるだろう」
竜族姉「でもね、そんな力を持っているからこそ、あなたは外には行けないのよ」
竜族の娘「どうしてっ!?」
竜族長「悲しいことだが、私はすべての竜族を掌握しているわけではない。
もしかしたら、お前の力を狙っている輩もいるかもしれんのだ」
竜族姉「だからね、あなたを出すわけにはいかないの、許してちょうだい」ポロポロ
竜族長「泣くな、これは我らが誇りに思うべきことなのだ」
竜族姉「でもっ、でもっ!こんな小さな子にこの運命は重過ぎますっ!」
竜族長「わかっている・・・わかっているのだ・・・」
336:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 11:11:05.13:TWpaNM9Z0
竜族の娘「わかった、外に行くのは我慢する」
竜族長&姉「えっ?」
竜族の姉「私が外に行くことで、お父様やお姉さまが困るなら、私は屋敷にいるわ」
竜族姉「いい子ね・・・本当にいい子・・・」うるうる
竜族長「すまないな・・・娘」
竜族の娘「いいの、その分お姉さまに遊んでもらうからっ!」
竜族姉「たくさん遊びましょうね」
竜族長「それなら、お前にこれを渡しておく」カチャ
竜族の娘「これは?」
竜族長「鉄竜牙、我が竜族に伝わる乙女の秘法」
竜族長「ひとたび力を発すれば、守護竜ググロスさえも従える短剣だ」
竜族の娘「すごーい・・・軽いんだねこれ」
338:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 11:17:46.69:TWpaNM9Z0
竜族長「来るべき時まで持っておきなさい。必ずや役に立つ」
竜族の娘「わかった!お姉さま遊びましょう!」
竜族姉「そうね、行きましょうか。お父様、失礼いたします」
竜族の娘「しつれいしますー!」
竜族長(運命の歯車は噛み合ったのか?あの子はやさしい子だ、力を使うときは誰かを救うとき。
私はそう信じてやまないよ・・・妻、見ているか?私はあの子の運命に少しでも手を貸してやれただろうか?
お前が残したあの子らを、私とお前の宝物を、どうかこれからも見守ってやってくれ)
─魔王城 魔王の間
竜族長「ご挨拶が遅れました、この子が我らが竜族の巫女、娘でございます」
女魔王「そうか、その子が・・・」
竜族の娘「こ、こんにちわ・・・」カタカタ
メイド「怖がってますよ」
女魔王「そ、そんなっ・・・」
女魔王「娘よ、近くに来て顔をよく見せておくれ」
竜族長「ほら、行きなさい」
メイド「大丈夫ですよ、食べたりしませんから・・・多分」
女魔王「こらっ!」
メイド「失敬」
竜族の娘「・・・」トテトテ
女魔王「これは将来美しくなるだろうな、竜族長の妻殿に似ている」
竜族長「ありがとうございます」
竜族の娘「魔王さまは、たくさん殺すの?」
竜族長「こ、これっ!娘っ!!」
339:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 11:26:07.04:TWpaNM9Z0
女魔王「よい、答えよう」
竜族長「失礼を・・・」
女魔王「気にするな」
女魔王「さて、娘よ。魔王は確かに今までも多くの人間を殺してきた。
血を流すことを好み、人々の悲鳴を子守唄とし、略奪を楽しみとしてきた」
女魔王「それは誤魔化しようの無い事実だ」
竜族の娘「魔王さまはたくさん人を殺す、殺したくて魔王になるって」
女魔王「そうだな、確かにそうだった。だがな、私は違う」
竜族の娘「違うの?」
女魔王「ああ、違う。私は人間が好きだ」
メイド「正確には人間の中の一人が・・・ですけどね」
女魔王「うるさいっ!」
竜族の娘「っ・・・」ビクッ
女魔王「すまない・・・ごほんっ!人間は確かに弱い、魔族と比べればそれはよくわかる。
魔族はほとんどかからない『病気』というものにもかかるし、剣で刺されれば簡単に死んでしまう。
だけどね、人間は弱い一人一人が支えあって、大きな世界を作ってきた。それは、我々の世界を脅かすほどに」
竜族の娘「じゃあ、人間も魔族を殺したいの?」
女魔王「ああ、そういう時代もあった。現に、私が魔王の座に着く前は魔界と人間界で戦争をしていたんだ。
たくさんの血が流れた、たくさんの人や魔族が死んだ。それは悲しいことだ」
竜族の娘「うん、お母さんも人間に殺されたって・・・」うるうる
女魔王「じゃあ娘よ、お前は人間を恨んでいるか?」
竜族の娘「わからない・・・」
女魔王「そうか、それでいい」にっこり
竜族の娘「?」
340:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 11:32:56.19:TWpaNM9Z0
女魔王「確かに、同じ魔族同士でもお互いに嫌い合っている者はいる、それは
性格や趣味が合わなかったり、あまり誉められることではないが生理的に無理
だったりするわけだ。だが、それはお互いを知り、その上での拒絶と言える」
竜族の娘「う、うん・・・」
女魔王「ははっ、少し娘には難しい話だったかな?すべてをまとめて簡単に
言うとするなら、嫌うなら知り合ってからでも遅くない、ということだ」
竜族の娘「でも魔王さまは強いんでしょ?」
女魔王「そうだぞ、私は今までの魔王の中で一番強い」
竜族の娘「なら、人間の世界も自分のものにできる、それはしないの?」
女魔王「もし、私が他の魔族を引き連れて人間界に侵略したとして、恐らく
それは達成されるだろう。人間は魔族の下にひれ伏し、奴隷のように扱われる
日々がやってくる、だがそれは永くは続かないだろうな」
竜族の娘「どうして?」
女魔王「さっきも言っただろう?人間は本当は強いのだよ、一人より二人、二人より
三人、どんどん集まって、それはうねる竜のごとき勢いで我々に襲い掛かってくる」
竜族の娘「竜・・・」
女魔王「そうだ、竜だ。人間にも竜がいるのだから、決着が着くわけがあるまい?
結局、どちらかがどちらかの世界を手に入れようなど、不可能なのだよ」
341:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 11:38:09.23:TWpaNM9Z0
竜族の娘「そっか・・・人間も竜と仲良し、わたしとおなじ」
女魔王「そうだな、人間も我々も変わらないのだ」
メイド「魔王様、そろそろお時間が」
女魔王「そうだったな、娘、竜族長、謁見ご苦労だった」
竜族長「とんでもございません、こちらこそお顔を拝見でき、幸せな時間でございました」
竜族娘「魔王さま」
女魔王「何だ?」
竜族娘「人間と仲良くする、私も手伝うから」
女魔王「っ・・・ああ、よろしく頼む」
竜族長「では、これにて失礼いたします。娘、行くぞ」
女魔王「メイドよ」
メイド「はい?」
女魔王「子供は怖いな」
メイド「なぜです?」
女魔王「心の奥底まで見透かされている気がした・・・あの純粋な目に吸い込まれそ
うだった」
メイド「そうですね・・・もしかしたら、あの子には魔王様が思い描く未来が見えて
いるのかもしれません」
女魔王「頑張らねば、私が」
メイド「どこまでも、お供いたします」
342:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 11:42:50.52:TWpaNM9Z0
─魔王城大ホール 婚約記念パーティー
竜族の娘「すごいなあ・・・こんなに人がいるなんて」
竜族長「魔王様がお開きになるパーティーだ、ここに入りきれない者もいるだろう」
竜族姉「久しぶりに外に出れたわね」
竜族長「こんなに魔族が集まっているなら、襲うなんてこともできまいよ」
竜族長(一応護衛はつけてあるがな)
わあああああ!!
竜族の娘「あ、魔王さまだ!」うきうき
竜族姉「相変わらずかっこいい方・・・はふう」///
竜族長「姉よ、道を踏み外すでないぞ」
344:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 11:50:40.54:TWpaNM9Z0
女魔王「紳士淑女の皆様!よくぞこの女魔王と勇者の婚約記念パーティーにお集まり下さった」
竜族姉「始まったね」
竜族の娘「すごい声・・・建物がくずれちゃいそう」
竜族長「魔王様ー!かっこいいですぞー!!」
竜族姉「お父様・・・」
女魔王「我らは永らく人間との戦争を行ってきた。多くを殺し、殺され、多くを奪い、奪われ、そして多く悲しませ、悲しんできた」
女魔王「私は・・・私は魔王として、その流れを断ち切らなければいけないと考える!」
竜族の娘(やっぱり、魔王さまは人間と仲良くしたいんだ)
竜族姉「あれ?あの人が勇者かな?」
竜族の娘「勇者?」
竜族姉「そう、人間の中で・・・なんて言ったらいいかな、魔王様みたいに強い人かな」
竜族の娘「そうなんだあ」キラキラ
345:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 11:54:29.71:TWpaNM9Z0
女魔王「皆も知っての通り、この勇者は弱い」
竜族の娘「弱いって、顔まっかにしてる」
竜族姉「そうみたいね・・・かわいいじゃないの」
竜族長(良かった・・・普通に男に興味があるのだな)
竜族姉「まあ、魔王様のほうが100倍かっこいいわ!」
竜族長(教育方針を変える必要がありそうだな・・・)
女魔王「これからも、もしかしたら血が流れることがあるかもしれない。
身を守るために武器を取らなければならない時が来るかもしれない。
だが、そのとき思い出して欲しい。
その手に取った刃が刺す相手にも愛する者がいることを・・・果たして、
人間と魔族にどれだけの違いがあるかということを」
女魔王「そして、出来るならば・・・もし出来るならば、その武器を持った手を下ろし、握手を求めることができないだろうか?」
女魔王「その一歩を踏み出す勇気を持てば、もしかしたら我々は共に生きていけるのではないだろうかっ!!」
竜族の娘(人間といっしょに、手をつないで歩く、うん・・・)
346:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 12:02:33.67:TWpaNM9Z0
勇者「えーっと、勇者です」
竜族の娘「あれが、勇者さん・・・優しそうな人」
勇者「俺は人間だ、今まで魔族を敵だと思ってきた。でも今は、そんなことを思えない俺がいる。勇者失格だね、あはは」
勇者「でも、失格でもいい、裏切り者と呼ばれても構わない。女魔王の話すことが、人間と魔族が手をつないで歩いていくことができるようになるなら、俺はなんでもする」
勇者「国の勇者になれなかった俺だけど、俺は、世界の・・・この世界全てを救う勇者になりたい」
竜族の娘(世界を救う勇者・・・魔王さまといっしょなら、きっとできる)
竜族の娘「新世界の勇者様バンザイ・・・」
竜族姉「えっ?」
竜族長「ふふっ・・・どうやら竜の巫女はあの勇者がお気に召したようだな」
ざわざわ
わあああああああ!!
348:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 12:14:14.77:TWpaNM9Z0
─魔王城 廊下
竜族の娘「ちょっと勇者さんとお話してきたい」
竜族長「それは、竜の巫女として必要なことかね?」
竜族の娘「わからない、でもたぶんそう」
竜族長「そうか、なら行ってきなさい」
竜族の娘「・・・うんっ」
てってってってっ
竜族の娘(あ、いた。なにか考えごとしてるのかな?)
竜族の娘「お兄ちゃん」
勇者「・・・」
竜族の娘(あれ、聞こえてないのかな?もうちょっと大きなこえで・・・)
竜族の娘「ゆーしゃお兄ちゃんっ!」
勇者「っ!?」ビクッ
竜族の娘(びっくりさせちゃったかな?)
竜族の娘「これ・・・あげる」
勇者「これは・・・短剣?」
竜族の娘「私の宝物。竜族の巫女に受け継がれる秘法」
勇者「綺麗だ・・・でも大切なものなんだろ?」
竜族の娘「いいの、ゆーしゃお兄ちゃんが頑張ろうとしてるから・・・これはお守り」
竜族の娘(渡せた、緊張したけど・・・でもあれは私が持ってるより勇者お兄ちゃんが
持ってるほうが役に立つはず)
竜族長「話は終わったのか?」
竜族の娘「おわった」
349:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 12:23:21.22:TWpaNM9Z0
竜族長「何を話してきたんだね?」
竜族の娘「頑張ってって・・・あと鉄竜牙をわたしてきた」
竜族姉「なっ・・・あれは竜の乙女の秘法なのよ!?それをっ・・・」
スッ・・・
竜族姉「お父様・・・」
竜族長「お前が考えて、そして決めたことなら私は何も言わない。だが、少しでも
後悔が残るのなら今すぐに返してもらいにいきなさい」
竜族の娘「あれは私が持っているよりも勇者お兄ちゃんが持ってたほうがやくにたつ。
私は、あれがなくても竜たちと仲良くできるから」
竜族長「そうか・・・ならいい、よくやった娘よ」
竜族の娘「うんっ!」
350:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 12:24:35.06:TWpaNM9Z0
それから、勇者は鉄竜牙を懐に入れ、女魔王の元へと走ることになる。
竜の乙女の秘法は勇者の願いに答えて光を発し、その光は魔界を駆け巡り、
竜族の娘まで届いた。
竜族の娘「勇者お兄ちゃん・・・やくにたったね、巫女のたから」
翼竜の子供「キュイ?」
竜族の娘「わたしはね、みんなと仲良くしたいの。魔族も、人間も、君たちとも」
翼竜の子供「キュッキュッ」
竜族の娘「みんな、なかよく・・・いい言葉だね。これからも、魔王さまと勇者
お兄ちゃんの話してた世界に、どんどん近づいて・・・そんな世界がずっと続くといいね」
翼竜の子供「ガアアアア・・・」
竜族の娘「ふふっ、おっきなあくび。そろそろいこっか、お父様とお姉さまが待ってる!」
翼竜の子供「キュイッ!」
番外編 魔王が魔王である理由
竜の巫女
FIN
391: ◆wV/dOv7SG. :2010/11/22(月) 00:31:30.91:r1H0mmrl0
─停戦から3ヶ月 魔王城 王の間
メイド「魔王様」
女魔王「メイドか、何の用だ?」
メイド「分をわきまえずにご進言したいことがございます」
女魔王「申してみよ」
メイド「失礼して・・・魔王様と勇者様はもう俗に言う彼氏彼女の関係になってから
ずいぶんと日が経つと思います。そのなかで接吻はおろか手を繋いだことも無い
というのは一般的なカップルから見て大分遅れていると思われます」
女魔王「ん・・・むぅ、それは私も常々思ってはいたのだが・・・なにぶん勇は奥手でな」
メイド「勇・・・ですか」
女魔王「あっ!!いや・・・勇者は奥手でな」///
メイド「ふむふむ」ニヤニヤ
女魔王「いや、これは違うぞ!決して二人のときは勇と女なんて呼び合ってるわけでは!」
メイド「そういうのを墓穴というのですよ、魔王様」クスクス
女魔王「・・・」///
メイド「さて、私めの進言はここからなのですが」
392: ◆wV/dOv7SG. :2010/11/22(月) 00:35:39.34:r1H0mmrl0
女魔王「私がもっと邪悪な魔王ならお前はとっくに消し炭だぞ・・・」///
メイド「我が主は大丈夫です、故に私が付き従っているのですから」
女魔王「とりあえず話を戻そう」
メイド「そうですね、進言の内容ですが、やはり勇者様は童貞のためどうしていいのかわからないのかと」
女魔王「そうだとは思っていたがやっぱりか」
メイド「物見に調査させましたので確かな情報かと」
女魔王「魔族きってのスパイが戦争が終われば身辺調査か・・・これも停戦の弊害だな」
メイド「本人は嬉々としてやってましたよ?」
女魔王「後で説教してやる・・・」
メイド「そこでですが、やはり殿方の心を惹きつけるには魔王様に頑張っていただくしかなかろうと」
メイド「そう結論に至った次第でございます」
394: ◆wV/dOv7SG. :2010/11/22(月) 00:43:51.00:r1H0mmrl0
女魔王「具体的には?」
メイド「その1、悩殺ランジェリーで童貞の心の壁を一発破壊!これはスタイルのいい
魔王様だからこそできることですね。狼になって襲ってきますよきっと」
メイド「その2、真夜中に同じ布団に入ってごろごろにゃー。普段の魔王様イメージを
払拭し、急に甘えることによって童貞城の陥落を狙います」
メイド「その3、もう押し倒してセクロス。これは他に言うことはありません」
女魔王「とりあえず3は全力で却下だ」
メイド「だろうと思いました、3は冗談です」
女魔王「セクシーランジェリーは持ち合わせがあるが、そもそもそんなものを
いきなり着たら勇者に引かれないだろうか?」
メイド「問題ないでしょう、そんなことを考える前にテント張ってしまってそれどころじゃないですよ」
女魔王「いや、それも困るといえば困るのだが・・・」
メイド「私としては普段の魔王様のイメージを壊せる2をお勧めしますね。
可愛い声で甘えれば次からの進展もしやすくなるかと。勇者様にも意地というものがあるのなら・・・ですが」
女魔王「意地とは?」
メイド「童貞といえど腐っても男、やはり自分がリードしたいでしょう。その後押しといったことろです」
女魔王「次の勇者の帰還はいつだったか?」
メイド「(勇者様の家は人間界ですが・・・)2日後ですね、そう連絡がありましたので」
女魔王「よし!その日に決行する!」
メイド「よくぞご決意なされました」
メイド(この程度のことも背中を押さなければできないとは・・・先が思いやられます)ハア
397: ◆wV/dOv7SG. :2010/11/22(月) 00:47:41.28:r1H0mmrl0
─2日後
勇者「ただいまーっと・・・」
勇者(魔王城なのにただいまってのも変な話だよな、それだけ慣れてきたってことか)
女魔王「勇!帰ってきたのか」
勇者「おお、女か。帰ってきたぞー」
女魔王「で、今回は人間界でなんの仕事をしてきたんだ?」
勇者「ああ、寒いほうの国に出向いて酒の造り方を教えてきた。酒は温まるからな」
女魔王「そうか、しっかり勇者してるじゃないか」
勇者「当たり前だ、俺は世界を救う勇者だからな!」
398: ◆wV/dOv7SG. :2010/11/22(月) 00:53:13.65:r1H0mmrl0
メイド「食事のご用意ができておりますので食堂のほうへ」
女魔王「ああ、わかった。勇、食事にしよう」
勇者「わかった、鎧脱いだらすぐ行くよ」
カツカツカツッ
メイド「・・・勇」
女魔王「・・・」///ボッ
勇者&女魔王&メイド&召使い一同「いただきまーす」
勇者「しかし珍しいよな」
女魔王「何がだ?」
勇者「普通は貴族とか偉い人の食事ってメイドとか召使いとかってわきに控えてる
もんじゃないのか?一斉に食事をするなんて聞いたこと無いぞ」
女魔王「確かにそれは主と使える者の差を忘れないようにすることができる。だけど、
やっぱり食事は全員で取ったほうが楽しいし、おいしいからな。ほら、あそこに料理長もいるぞ」
勇者「ホントだ・・・」
召使い「料理長、おかわりっ!」
料理長「はいよっ、たくさん食いな」
勇者「いいねえ、こういう感じ」
女魔王「だろう?まあ最初はみんなビビってしまって大分静かな食卓だったがな」ケラケラ
勇者「そりゃそうだ、最強の魔王様と一緒じゃ食事ものどを通らないってもんだろ」
399: ◆wV/dOv7SG. :2010/11/22(月) 00:56:26.02:r1H0mmrl0
女魔王「さて、食事も済んだし湯浴みもした。勇者は疲れてるだろう?
今日は寝室に行ってゆっくり休むといい」
勇者「じゃあお言葉に甘えさせてもらおうかな、おやすみ」
女魔王「おやすみ」
メイド「ごゆっくりお休みくださいませ」
─王の間
女魔王「決戦の時は近いな・・・」ゴクリ
メイド「はいっ・・・」ソワソワ
女魔王「現在時刻は深夜2時ちょうど、夜襲にはうってつけの時間帯だと思うのだが
参謀はどう思われる」
メイド「おっしゃる通りかと」
女魔王「で、で、では・・・行ってくる」
メイド「護武運を」
402: ◆wV/dOv7SG. :2010/11/22(月) 01:03:22.48:r1H0mmrl0
カチャ、ギイイイイイ・・・
女魔王「ここが勇者の部屋か・・・案外綺麗にしてるじゃないか」
女魔王「ふふっ、丸まって寝るなんてやっぱり勇者は可愛いな」
女魔王「あ・・・これ、勇者の脱いだパンツ・・・」
『・・・・・・・・・』
女魔王「だっ、ダメだっ!そんな魔族の道を踏み外すことなどっ!」ぽいっ
女魔王「危なかった・・・勇者はあんな魔法が使えたのだな、油断ならんぞこれは」
女魔王「これは・・・勇者の奉げている剣か、ずいぶんと頼もしくなったものだ、感慨深いな」
女魔王「これは鎧、こんな重いもの昔は着けていられなかったんだろうな・・・最近は
新勇者に稽古をつけてもらっているというし、やっぱり勇者は頑張ってるな」
女魔王「これなら、御褒美をあげるのもやぶさかではないか・・・」
勇者「さっきから何をぶつぶつ言いながら人の部屋を徘徊してやがりますか」
女魔王「起きてたのかっ!?」
女魔王(申し訳ない参謀・・・夜襲は失敗に終わったようだ)
メイド「あのアホ魔王・・・」
407: ◆wV/dOv7SG. :2010/11/22(月) 01:21:36.34:r1H0mmrl0
女魔王「すまん・・・勇が疲れていそうだから添い寝でも・・・と思ったのだが、
起こしてしまったようだな」
勇者「というか女が部屋に入ってきたときから気づいてたよ」
女魔王「そうなのか・・・布団入ってもいいか?」
勇者「えっ・・・あ、ああ、どうぞ・・・」
モゾモゾ
女魔王「あったかいな・・・」
勇者「そ、そうですね!」キョドッ
女魔王「ふにゃーん・・・」
勇者「どうしたんですか?」
女魔王「私だってたまには甘えたくなるんだ」
勇者(どうしようどうしようどうしよう・・・なんだこの状況、なんで布団の中で
おっぱい押し付けてきやがりますか!?布団が狭いから仕方ないとはいえこれはちょっと
まずいのではないかと思う次第でありますが!しかしこれは私勇者の童貞脱出
のチャンスではないかと・・・いや、変に期待してもな・・・)
勇者「そっか・・・」
女魔王「勇、最近頑張ってるな」
勇者「ああ、あのパーティーで大きなこと言っちゃったし、頑張らないとね」
女魔王「勇のおかげで最近人間界では活気を取り戻した村や町が多いと聞く」
勇者「たいしたこと無いよ、やるべきことを精一杯やってるだけ」
女魔王「それができるからすごいんだ・・・だから、ご褒美」
勇者「え・・・?」
408: ◆wV/dOv7SG. :2010/11/22(月) 01:26:39.16:r1H0mmrl0
女魔王「さっきからずっと当たってる」にぎっ
勇者「ふおっ!」
女魔王「意識してくれてたのか?」
勇者「それはもう・・・ごめんなさい」
女魔王「何で謝る?私は嬉しいんだ、やっぱり人間と魔族の間には壁があるのかと、
だから勇者もいつまでたっても手を出してくれないのかと、そんなことを考えていた。
でもちゃんと女として見ててくれたんだな」
勇者「それはもちろん」
女魔王「でもな、我慢できなくなるのは男だけじゃないんだぞ・・・」もぞもぞ
勇者「え、何を・・・うっ!?」
女魔王「これが勇のか・・・これは大きいのか?ちょっと皮かむってる・・・」
勇者「ナナナナナ何をしてらっしゃいますか魔王様っ!?」
女魔王「言っただろう?ご褒美だ」にやり
409: ◆wV/dOv7SG. :2010/11/22(月) 01:32:50.60:r1H0mmrl0
女魔王「ペロペロ」
勇者「うっ・・・わ・・・」
女魔王「ふふっ、ちょっと舐めただけですごい反応だな、ビクビクしてるぞ」
勇者「童貞ですいません・・・」
女魔王「かわいいぞ・・・」ぺろっ
勇者「うっ・・・」
女魔王「大人にしてやる・・・あむっ・・・んっ」
勇者(うわっ・・・舌で皮を・・・これが女の口の中、ざらざらしてて暖かくて
・・・き、気持ちいいっ)
女魔王「んっ・・・んうっ・・・チュブッ・・・」
勇者「うわっ・・・ちょ、女っ!ストップ!!」
女魔王「いやは」(いやだ)
女魔王「んぶっ・・・んっ・・・ちゅっ・・・んっんっ・・・」
勇者(もう無理っ!ゴメン女!)
女魔王「うわっ!?」
びゅっびゅっ・・・びゅるっ
女魔王「出すなら出すと言え、髪にかかってしまったではないか」
勇者「うぅ・・・ごめん・・・」
412: ◆wV/dOv7SG. :2010/11/22(月) 01:37:00.20:r1H0mmrl0
女魔王「ふふっ、気持ちよかったのか?」
勇者「最高でした・・・」
女魔王「でも、これで終わられたら困るぞ・・・」モジモジ
勇者「え?」
女魔王「私も・・・えーと・・・ちゃんと気持ちよくしてくれ」
勇者「・・・」
女魔王「・・・」
女魔王「勇?どうした?」
勇者「女ああああ!!」
女魔王「きゃあっ!」
勇者「やっぱり女のおっぱいは大きいな・・・」
女魔王「あんまり見るな、自慢するほどもものでもない」
勇者「いや、十分だって・・・これサイズいくつ?」
女魔王「え、えふ・・・だ」
勇者「イタダキマス」
ぺろっ
女魔王「んっ・・・」
ちゅっ
女魔王「あっ・・・」
勇者「女も敏感じゃないか、人のこと言えないな」
女魔王「うっ、うるさいっ!初めてなんだから仕方ないだろ!?」
勇者「初めてなの?」
女魔王「当たり前だ、勇以外にこんなことしない」
413: ◆wV/dOv7SG. :2010/11/22(月) 01:41:20.17:r1H0mmrl0
勇者「じゃあ・・・さっきのは・・・?」
女魔王「メイドに色々教えてもらった・・・」
勇者(今だけは感謝しますメイド様)
もみもみ
女魔王「やあっ・・・こねくりまわすなぁっ!」
勇者「すげぇ・・・柔らかい。手に吸い付くってこういうことか」
女魔王「羞恥心で死んでしまう・・・」
すすすすすす・・・
女魔王「っ!?」
勇者「うわ、もうパンツ染みてる・・・」
女魔王「言うなぁ・・・」
ちゅぷっ・・・
女魔王「ああっ・・・んっ・・・」
勇者「びしょびしょだ・・・」
女魔王「指、入って・・・るっ!」
勇者「すげぇ・・・」
女魔王「感動してないで・・・早く、ひとつになり・・・たっ!」
勇者「さっきはいじめられたから今度は俺のターン」にやにや
女魔王「ああっ・・・ダメっ・・・だって・・・ばっ!」
くて~
女魔王「汚された・・・」
414: ◆wV/dOv7SG. :2010/11/22(月) 01:47:46.18:r1H0mmrl0
勇者「お互い同意の上でも汚されたって言うの?」
女魔王「知らんっ!」
勇者「でも指だけで軽く2回くらいイってたね」
女魔王「・・・」///
勇者「ふふっ」
女魔王「そういう勇も、もうすかっかり元気じゃないか」にぎっ
勇者「あうっ・・・バレましたか」
女魔王「今度は・・・ひとつに」
勇者「うん」
ギシッ
勇者「いれるよ?」
女魔王「う、うんっ」
ちゅく・・・ズブブ・・・
女魔王「いっ・・・たぁ・・・」
勇者「だ、大丈夫?」
女魔王「大丈夫・・・じゃないかもっ!でも・・・やめたら・・・怒るからっ」
勇者「ゆっくり・・・」
ズプププ
女魔王「っ・・・は、はあっ・・・」
勇者「全部入った」
女魔王「・・・」うるうる
勇者「何で泣くのっ!?」
女魔王「嬉しくて・・・ごめん・・・もうちょっとこのまま・・・」
勇者「うん」
416: ◆wV/dOv7SG. :2010/11/22(月) 01:50:58.89:r1H0mmrl0
女魔王「キス・・・して?」
勇者「うん・・・ちゅ・・・」
女魔王「ふうっ・・・ちゅっ・・・べろっ・・・」
勇者「ちゅ・・・ちゅるっ・・・」
女魔王「ぷはっ・・・色々初めてもらっちゃったね」///
女魔王「もう大丈夫、動いていいよ」
勇者「うん・・・動くよ」
ずぷっ、ずぷっ、にちゃっ・・・
女魔王「はうっ・・・んんっ・・・あっ・・・」
勇者「気持ちいい?」
女魔王「おかしいのっ・・・初めて・・・なのにっ!」
勇者「俺も・・・おかしくなりそうだ」
ぬちゃっ・・・つぷっ・・・
女魔王「んっ・・んっ・・・」
勇者「~っ!」
勇者(ヤバイ・・・これはヤバイ!気持ちよすぎて腰が止まらん・・・)
女魔王「もっと、激しくしても・・・いいよ?」
勇者(・・・・・ぷっつん)
勇者「女ッ!女ッ!!女ッ!!!」
女魔王「やっ!あっ!!勇・・・んあっ!!!」
ずぶっ!ずぶっ!ずぶっ!
417:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/22(月) 02:00:30.38:r1H0mmrl0
勇者「お、俺・・・もうダメかもっ!」
女魔王「一緒に・・・一緒にイコう?一緒に!」
ずぷっ!ずぷっ!ずぷっ!
勇者(そろそろマズイ・・・ラストスパートかけて外に・・・)
ずぷっ!ずちゃっ!ずぷっ!
勇者「イっ・・・クっ!」
女魔王「んんー!!」
勇者「ちょ・・・足・・・抜けないっ!」
女魔王「ダメ・・・ちゃんと・・・中に・・・はあっ」
勇者(それ反則だろぉ!!!)
びゅっ!びゅっ!
女魔王「――ッ!!」
勇者&女魔王「「はあ・・・はあ・・・はあ・・・」」
418:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/22(月) 02:05:03.14:r1H0mmrl0
女魔王「すごかったな・・・性交とはここまでに心地良いものなのか」
勇者「そうだな・・・」
女魔王「え、えーと、ごほんっ!」
勇者「?」
女魔王「これで、ちゃんとご褒美になっただろうか?
勇者「あ、ああ・・・うん、すごく嬉しかった」
女魔王「そうか・・・ふふっ」
勇者「それはともかく女」
女魔王「何だ?何か不満があるのか?」
勇者「不満はないんだが・・・女は気持ち良いと『女の子』な口調になるのか?」
女魔王「恥ずかしいこと言うでないっ!!」ぼかっ
勇者「ちょ!俺弱いんだから・・・やめてっ!死んじゃう!!」
女魔王「うるさいっ!勇者なんだから1回くらい死んでおけっ!!」ぼかぼかっ
勇者「あー!!」
メイド「はあ・・・前途多難なバカップルですこと・・・」
番外編 勇と女のぱふぱふ√
END
424:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/22(月) 02:18:01.84:qM4Yn+yOO
勇者「へ?」
女魔王「お前は歴代勇者の中で最弱、対して私は歴代最強魔王。戦いでは月とス
ッポンフナムシとマリーアントワネットほどの差がある」
勇者「かなり傷ついた」
女魔王「ということで勇者の旅はここで終了だ」
勇者「いやいや、一応俺も国から正式に依頼されてる訳でして・・・ハイ終了~
って帰るわけにはいかないんすよ」
女魔王「誰が帰すと言った?」
勇者「あ、やっぱ俺消し炭?」
女魔王「殺しはしない、多分お前の国では現勇者は殉職で新勇者選考会が始まっ
てるだろうがな」
勇者「mjsk」
女魔王「ところで、私は人間の風習である彼氏彼女の関係というものに興味があ
る」
勇者「なんか風向きが怪しくなってまいりました」
女魔王「ついてはお前を私の彼氏とする」
勇者「拒否権は?」
女魔王「あると思っているのか?」
勇者「すんません妄言でした」ビクビク
女魔王「それとも私の容姿体型に何か不満でも?私は人間に近い顔をした魔族だ
し、出るとこは出てるし引っ込むとこは引っ込んでいるぞ?」
勇者「いや、プロポーションは非常に素晴らしいというかデカイっていうかアレ
とかコレとか挟みたいって感じなんだけど」
女魔王「なら問題なかろう。私の彼氏になれ」
勇者「待て待て、女魔王は彼氏というものをちゃんと理解してます?」
女魔王「ふむ、俗に彼氏というが正式には恋人、魔界にはそういった風習は無い
が、結婚の前段階といったところであろう?」
勇者「そういう知識はあるんすか・・・というか、やっぱ彼氏彼女っていったら
キスとかえ、え、えっちなこともするわけでっ!」わたわた
女魔王「結婚の前段階なら問題なかろう?少し手順が先に回るだけだ」
勇者「結婚する気ですかっ!?というかなんだ・・・女魔王としては俺とそうな
ってもオッケーなわけ?」
女魔王「問題無い。ずっと好きだったのだから」
勇者「今なんか世界を震撼させる核爆弾発言をさらっと言われた気がするんです
けど」
勇者「で、なんだって?俺の耳がおかしくなったらしいからもう一度大きな声で
頼んます」
女魔王「何度も言わせるな。これでも恥ずかしいんだ・・・ずっと好きだった!
私の彼氏になってくれ!これでいいか!?」ぽっ
勇者(いやマジなんなのこの状況、最強魔王が最弱勇者に告白なんてこれなんて
エロゲ?添え膳食わぬはなんとやらでこのままぐへへな展開になればないすばで
ーな女魔王と毎日ぱふぱふな訳でして・・・いや冷静になれ勇者!世界を救うた
めに立ちあがったんじゃないか!こんな誘惑に負けるなんて勇者失格d)
伝令「魔王様・・・ごにょごにょ」
女魔王「部下からの報告だ、次の勇者が決まったらしいぞ」
勇者「はやっ!決まるのはやっ!死亡確定も選考会の開催も新勇者の決定も何も
かもがはやいっ!!」
女魔王「ぷくく・・・よほど期待されてなかったとみえる」くすくす
勇者「笑うな、これでもかなりショックなんだ」しょぼん
勇者(まあ元々期待されてなかったのは知ってたけどさ、やっぱりこう簡単に裏
切られるとショックはでかいなぁ・・・これからどうしよう)
女魔王「そう気を落とすな、なんとかなる」ナデナデ
勇者(あー、そういえば人間界では失敗とかしても誰も慰めてくれなかったな・
・・頭撫でられるなんて何年ぶりだろ)
勇者「こんなのも、いいかなあ」ぽやー
女魔王「だろう?魔界での暮らしも悪くないぞ」
勇者「一つ聞かせてもらっていいか?」
女魔王「なんだ?」
勇者「ずっと好きだったと言ってたよな、なんでなんだ?こんな落ちこぼれで剣
は人並みで魔法はほとんど発動しなくて目が悪くてメガネで身長低くて髪くるく
るな俺を好きになったんだ?」
女魔王「お前は勇者としては確かに最低だ。正直普通の人間でも訓練すればお前
より強い。だけどお前は勇者であろうとし続けた、どんな嘲笑にも堪え、毎日ひ
たむきに剣を振り呪文を覚えた。だからだ・・・なんというか守りたくなる」
勇者「さんざん悪行の限りを尽くしてきた魔王とは思えないセリフっすね」
女魔王「私の代になってからは人間界への侵略はしていない、人間との戦いも避
けているつもりだ」
勇者「ああ、それは教会の爺さんが言ってた。最近魔族が来ないって」
女魔王「言い忘れていたが、先の理由と併せて私はメガネ萌えだ」ぽっ
勇者「なんとっ」
女魔王「だから私の彼氏になれ、勇者」
勇者「仕方ないか、他に行く場所もないしなー」
女魔王「いいのか?」
勇者「いいさ、外見は美人でボンキュッボンだし、性格も悪くないことがわかっ
て、その上勇者は首だし、断る理由が見当たらないっ」
女魔王「・・・」プルプル
勇者「どうしたんすか?怒ってます?」
女魔王「やったやったやったー!勇者が告白受け入れてくれたー!!やったぞー
!今日は魔界の記念日にしようそうしよう!おい誰ぞいないか!?今晩は宴だぞ
ー!」きゃいきゃい
勇者「え?キャラ変わりすぎじゃね?」
メイド「お呼びでしょうか魔王様」すっ
勇者「アンタどっから湧いて出た」
女魔王「メイドか!宴の準備をいたせ。今宵は宴会じゃ、無礼講で飲み倒すぞ!
」
メイド「それはよろしいのですが・・・勇者様の国から軍が近づいているようで
すがそちらはいかが致しましょう?」
女魔王「軍?」
メイド「はい。どうやら勇者様が殺されたということで報復目的で出兵したようで」
勇者「ふん、見捨てたくせにしっかり戦争の理由にはするんだな。腐れ国王が!」
女魔王「ふふふ・・・さっきまで私を殺そうと息巻いていた威勢が嘘のようだな」
勇者「うっ・・・」
メイド「イチャラブするのはよろしいのですが、いかがなされますか?」
女魔王「い、いや、イチャラブなどしておらん!まあいい・・・それで出兵され
た軍隊の規模は?」
メイド「物見によると歩兵5千、長槍兵2千、銃兵7百、他諸々含め約1万とい
ったところです」
女魔王「ふむ・・・ところで魔王城の大ホールは何人まで収容できたかな?」
メイド「は?えーと、約2万5千ですがそれが何か」
女魔王「ふっ、ならば歓迎してやろうではないか」にやり
メイド「なるほど、御意に」
勇者(こいつ何を考えてるんだ?)ハラハラ
―魔界入口 深い森の中
遠征軍指揮官「諸君!時は迫っている!我々は今まで耐え忍んできた。度重なる
重圧、繰り返される略奪、そして一方的な虐殺にだ!先日魔界へと勇敢にも単身
乗り込んだ勇者は魔王に惜しくも敗れた。だが、我等を神アミルは見捨てはしな
かった!!神は我等に新たな勇者をもたらして下さったのだ!」
うおおおおお!
神アミル万歳!新勇者万歳!!
新勇者「我々は神の子だ。神は我々をいつも慈愛に満ちた目で見てくださってい
る。諸君らに問おう!神の軍たる我等と異端の魔族ども、勝つのはどちらだ!」
おおおおおおお!
勝つのは神の子!魔族には死の裁きを!!
遠征軍指揮官「ふん、民衆なんてちょろいものだな」にやり
新勇者「ええ、こんな言葉で煽られるとはね」にやり
遠征軍指揮官「こやつらが死んだところで大した損害でもない。適当なところで
我等だけ逃げるぞ」
新勇者「わかってますよ」ニヤニヤ
―魔王城 大ホール
メイド「急ぎなさい!速やかに1万人分を追加するのです」
召し使い「ほいほい、忙しくなってきたねー」
料理人「俺の腕も鳴るってもんよ!」
兵隊「しかし魔王様も毎回面白いことを考えて下さるもんだな」
女魔王「首尾はどうだ?」
メイド「恐らく間に合うかと」
勇者「あのー・・・何をするつもりなんすか?」
女魔王「見てればわかるさ」にやり
メイド「出るのは私と魔王様で?」
女魔王「そうだな、他の者だと手加減する余裕はあるまい。それに1万程度なら
私たち2人で問題なかろう」
メイド「左様で」
勇者「まさか2人で1万と戦いに行くつもりか!?」
女魔王「そうだが?」
勇者「無茶だ!女魔王はいいとしてメイドさんまで・・・そんなことはさせられ
ない、メイドさんの変わりに俺が行く」
女魔王「私の心配はしてくれないのだな・・・それはともかく問題無い。私なら
人間1万人程度なら5分とかからん」
勇者「確かに女魔王は強いかもしれないけどメイドさんはっ」
メイド「それ以上吠えると消し炭にして犬のエサになってもらいますよ」にっこ
り
勇者「え・・・」
女魔王「いいことを教えてやろう。私とメイドが本気で戦ったら、どちらか1人
とこの世界が死ぬことになる」
メイド「いえ、私ごとき魔王様の足元にも及びませぬ」
勇者(なにこのひとたちこわい)
─魔界にいたる門
新勇者「者ども!今こそ魔界をわれらが手に!!前勇者の死を無駄にするなあっ!」
おおおおおおお!!
神の光は我らにあり!!
新勇者(ふん、くだらぬ下等民族めが。貴様らに神の光など差すものか)
遠征軍指揮官「よし、全軍魔界に向かって突撃!!」
─魔界にいたる門 内部
民兵「な・・・なんだこりゃ!?」
民兵2「こ、こりゃぁ・・・どういうこっちゃ」
遠征軍指揮官「魔界へようこそ!遠征軍ご一行様・・・魔王様と勇者様の婚約記念パーティーだと!?」
新勇者「これは・・・ぶっははははは!!あのヘタレ勇者が魔王と結婚?なんの冗談だこれは」ゲラゲラ
女魔王「冗談ではないぞ」スッ
新勇者(いつの間に背後に・・・これだけ禍々しい邪気を発しながらこの俺が気づけなかっただと!?)
遠征軍指揮官「なっ!貴様は女魔王っ!」
民兵24「あれが魔王・・・」
民兵48「なんという存在感か」
遠征軍指揮官「お前ら何をボーっと見ている!全軍攻撃だ!」
女魔王「やはり戦いは避けられんか、仕方あるまい」
女魔王「おいメイド」
メイド「は、ここに」
女魔王「殺すなよ」
メイド「御意」
民兵263「うおおおおお!魔王の首を取れー!」
民兵538「相手は二人だ、数で押せー」
遠征軍指揮官(相手は二人、対してこちらは1万・・・負けるはずがない)
新勇者(これはマズいな・・・とりあえず戦場から眼を話さないようにしながら逃げる準備でもしとくか)
メイド「ふっ・・・」
民兵たち「「うっぎゃああああああ!」」
女魔王「散れ」
民p「「おわあああああ」」
伝令兵「ほ、報告いたします!こちらの損害は約4千を超えました!このままではあと5分もしないうちに全滅します!」
遠征軍指揮官(これが魔界のトップの実力か・・・あなどっていた)
遠征軍指揮官「者共!ここで足止めせよ!我らは撤退の準備を整える」
民兵たち(逃げるんだな・・・アホ指揮官が・・・)
─5分後
女魔王「片付いたか?」
メイド「はい、全軍中死者0名、他は武装解除及び無力化されています」
女魔王「あの見るからに無能な指揮官はどこにいった?」
メイド「はあ、先ほど勇者っぽい男と一緒に魔界の外へ」
女魔王「いや、追えよ・・・」
メイド「うっかり」テヘッ☆
女魔王「・・・」
女魔王「まあよいわ、客人は集まった。もう行くぞ、パーティーに遅れてしまう」
メイド「御意」
女魔王&メイド「集団転移魔法」
女魔王&メイド「集団転移魔法☆」
こうすると二人が左右対称にかわいい決めポーズを取っているように見える
43:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/20(土) 08:34:01.78:TmTwg4gG0こうすると二人が左右対称にかわいい決めポーズを取っているように見える
─魔王城 大ホール
勇者「ちょ・・・えっ・・・」
女魔王「来賓の方々だ」
勇者「国王軍の人たちじゃないすかっ!どっから拉致ってきたんですかこれっ」
メイド「拉致とは失礼な。少しおとなしくなってもらって魔法で運んできただけです」
勇者「それを拉致と言います」
女魔王「まあ細かい事情は後で話そう。さて魔界に住む生きとし生けるものよ!宴会を始めようではないか!」
ヒュールルルル・・・ドーン!
勇者「へえ、魔界にも花火ってあるんだな」
女魔王「あれは火薬ではなく魔法で打ち上げているのだがな」
勇者「どこで見ても花火ってのは綺麗なもんだ」
勇者「さて、話してくれてもいいんじゃないか?」
女魔王「何をだ?」
勇者「ごまかさないでくれよ。国王軍をわざわざここにつれてきたってことは何か思惑があるんだろう?」
女魔王「・・・戦争は、なんで起こると思う」
勇者「え?それは・・・お互いに気に食わないからじゃないのか?」
女魔王「子供の喧嘩じゃあるまいに、ただ気に食わないという理由だけで戦争が起こるなら、この世界はとっくに滅んでいるよ」
女魔王「それに、数百年前までは人間界と魔界はお互いに不干渉を保ってきたんだ」
勇者「じゃあなんでいきなり戦争が始まったんだ?」
女勇者「理由は色々とあるが、一番大きいのが物資だろうな」
勇者「物資?」
女魔王「見てのとおり魔界は土地が悪くてな、人間界のように麦や米などの農作物が出来にくい」
女魔王「それに対して人間界では魔界の鉱山で産出される希土類が不足している」
女魔王「これが物資の差、戦争が起こる理由の一つだ」
勇者「一つ・・・ってことは他にもあるんだろうな」
女魔王「そうだ、もう一つの理由・・・言いにくいんだが、それは差別だ」
勇者「差別・・・か」
女魔王「思い当たるフシがあるだろう?われわれ魔界の者は色々と特異な身体的特徴や能力を持ったものが多い。例えばあそこで酒に溺れすぎて溶けてるスライムとかな」
女魔王「だが人間は微々たる違いがあるにしろほぼ同じ姿形をしている。ゆえに自分たちと違う姿を持つ生物を嫌うのであろうな」
勇者「そうだな、俺も女魔王が人間に近い姿じゃなかったら逃げ出していたかもしれない」
女魔王「そこは普通勇者なら戦うと言わねばならんところだろう、まあそこが勇者らしくて可愛いのだが」くすくす
勇者「・・・」///
勇者「そ、それでっ!ここに国王軍の人たちを集めたのは何かワケがあるんだろう?」
女魔王「もちろんだ、メイド」
メイド「ここに」
女魔王「そろそろ始めよう」
メイド「御意、ライトを落とせ!」
バッ!
民兵たい「「な、なんだ!?」」
「「俺たちついに生贄にされちまうんだべな・・・」」
女魔王「紳士淑女の皆様!よくぞこの女魔王と勇者の婚約記念パーティーにお集まり下さった」
勇者(はっ!?婚約記念って・・・聞いてないぞっ!)
女魔王「長ったらしい挨拶は皆の望むところではないだろうから割愛する。本日は人間のご一行様に来ていただいた」
勇者(あれは招待じゃなくて拉致っていうんだよ)
女魔王「我らは永らく人間との戦争を行ってきた。多くを殺し、殺され、多くを奪い、奪われ、そして多く悲しませ、悲しんできた」
女魔王「私は・・・私は魔王として、その流れを断ち切らなければいけないと考える!」
女魔王「歴代の魔王は人間を忌み嫌ってきた。その感情は皆の中にもあるであろう」
女魔王「だが、我々は隣人だ。互いに手を差し伸べ、支えあいながら生きていくことが必要だと私は考える」
女魔王「その第一歩として!私は今朝魔界に単身切り込んできた勇者を婚約者(仮)として迎えることを決断した!」
わあああああああ!!
勇者(なんだこの展開)
女魔王「皆も知っての通り、この勇者は弱い」
勇者(ぐっ・・・)
女魔王「ここに集まっている者たちの9割が素手で勝てるであろう」
わははっははは!!
勇者(なにこの羞恥プレイ)
女魔王「だが、私はこの勇者に並々ならぬ魅力を感じたのだ。それは強さではない、圧倒的なカリスマでもない。弱い体の中に走る一筋の光を私は感じたのだ」
女魔王「私は人間と戦いたくない。もう余計な血は流したくないのだ。夜の帳が下りるたびに赤子の鳴き声と嘆き悲しむ声が響く世界にわたしは耐えられない」
魔界兵士「そうだよなあ・・・もう俺たちも戦いたくないよ」
民兵973「オラたちもできれば戦争なんてしたくねーだ」
女魔王「これからも、もしかしたら血が流れることがあるかもしれない。
身を守るために武器を取らなければならない時が来るかもしれない。
だが、そのとき思い出して欲しい。
その手に取った刃が刺す相手にも愛する者がいることを・・・果たして、
人間と魔族にどれだけの違いがあるかということを」
女魔王「そして、出来るならば・・・もし出来るならば、その武器を持った手を下ろし、握手を求めることができないだろうか?」
女魔王「その一歩を踏み出す勇気を持てば、もしかしたら我々は共に生きていけるのではないだろうかっ!!」
女魔王「そして、ここにいる勇者は私の手を取ってくれた。敵であるはずの私の言葉に耳を傾けてくれた」
女魔王「だから皆も、あー・・・ごほんっ!少し強引に連れてきてしまったが、人間の方々も、
隣にいる魔族と、人間と、手を取り合うことができないだろうか」
女魔王「いや、私と勇者にできたのだ!皆にできないはずがないっ!!」
おおおおおお!!
女魔王様に栄光あれ!勇者様に神の光あれ!
勇者(すごい・・・さっきまで怯えてた国王軍の人たちまで熱狂してる)
女魔王「私だけ話すのも不公平だな、勇者にも話をしてもらおうじゃないか」ふふっ
勇者「えっ、マジで」
女魔王「マジだ」
ざわざわ
勇者「えーっと、勇者です」
勇者「俺はさっきも言われた通り、弱い勇者です。頑張って剣を練習しても、呪文を覚えても強くなれなかった。
だけど、僕は使命のために魔界に来ました。魔王を倒すために・・・ごめんなさい。
だけど、女魔王は俺に殺し合いをするつもりはないと言いました。」
勇者「最初はもちろん驚きました、歴代最強の魔王だと聞いていたから。即殺されるんだろうと覚悟していました。でもそうじゃなかった」
勇者「死んでもいないのに死んだことにされて、戦争の理由に使われて、落ち込んでいるときに女魔王は頭を撫でてくれました。人間界では誰もそんなことをしてくれなかったのに・・・正直うれしかったです」
勇者「これが、手を取るってことなんですね」
勇者「皆さんの周りに落ち込んでいる人がいたら、是非声をかけてあげてください、頭を撫でてあげてください。俺がそうされて嬉しかったように、きっとその人も嬉しいはずだから」
女魔王(嬉しいのはこっちだ・・・そう思っててくれたんだな、勇者)
勇者「俺は人間だ、今まで魔族を敵だと思ってきた。でも今は、そんなことを思えない俺がいる。勇者失格だね、あはは」
勇者「でも、失格でもいい、裏切り者と呼ばれても構わない。女魔王の話すことが、人間と魔族が手をつないで歩いていくことができるようになるなら、俺はなんでもする」
勇者「国の勇者になれなかった俺だけど、俺は、世界の・・・この世界全てを救う勇者になりたい」
しーん・・・
勇者(あれ・・・俺みたいな弱いヤツがこんなこと言ってもダメだったか)
小さな魔族の子「新世界の勇者様バンザイ・・・」
ああ、あいつはすげえよ・・・
世界を救う勇者だってよ、魔王様とならできるんじゃないか?
これだけの魔族に囲まれながらあんなことを言えるなんて、もしかしたらすごいヤツなんじゃ・・・
ざわざわ
民兵たち「新たなる世界の勇者に栄光あれ!」
わああああああああ!勇者に栄光あれ!!
女魔王「ふふっ、すごいじゃないか勇者。皆の心を掴んだな」
勇者「やめてくれ、これでもすごい恥ずかしいんだ」
伝令「女魔王様、お伝えしたいことが・・・」
女魔王「うむ、かまわん」
伝令「人間界で動きがありました」
女魔王「それで?」
伝令「勇者様の国を含む5カ国同盟で出兵案が可決されました。おそらく総兵力100万を超える軍隊が1ヶ月以内にこちらに来ることになります」
勇者「な、なんだと!?」
女魔王「ふむ・・・これはマズいな」
メイド「やはり拉致はまずかったでしょうか」すっ
勇者「やっぱり拉致だったんだな・・・というかどっから出てきた」
女魔王「チャンスだな」
メイド「チャンスですね」
勇者「は?」
女魔王「わからぬか?もうすぐこちらに100万の軍勢がやってくるのだぞ。これをチャンスと言わずしてなんとするか」
勇者「ちょっと待ってくれ。100万の軍勢が来るんだろ!?いくらなんでも勝てるわけないじゃないか!」
女魔王「勝つ必要は無い。講和すればよいだけの話だ」
勇者「簡単に言うなよ・・・俺の国の国王をよく知らないからそんなことが言えるんだ。国王の魔族嫌いは半端じゃないんだぞ」
女魔王「それでも、血を流して手に入れた勝利と、血を流さずに手に入れた平和なら、私は平和を取るよ。そのためにはこの命を賭けたっていい」
勇者「・・・」
女魔王「どうした?」
勇者「命を賭けるとか言うなよ」
女魔王「そうしなくてはならない場面も存在するということだ」
勇者「俺にできることはないのか?」
女魔王「今のところ・・・な」
メイド「魔王様」
女魔王「うむ、今行く」
女魔王「悪いな、来る人間軍との接触のために策を練らねばならない。少し会議やらなにやらで忙しくなると思うが、適当にこの城でも散策しておいてくれ」
勇者「・・・わかった」
─魔王城 回廊
勇者「はあ・・・」
勇者(女魔王はあんなこと言ってたけど、やっぱりあの国王が話し合いに応じるとは思えない。下手をすれば話し合いに出た瞬間に虐殺される・・・どうすればいい?俺に一体何ができるっていうんだ)
小さな魔族の子「お兄ちゃん」
勇者(いや、でも・・・もし俺が出て行けばきっかけくらいにはなるかもしれない。ダメか、新勇者が居る今、秘密裏に殺されるのがオチだ)
小さな魔族の子「ゆーしゃお兄ちゃんっ!」
勇者「っ!?」
小さな魔族の子「これ・・・あげる」
勇者「これは・・・短剣?」
小さな魔族の子「わたしのたからもの。りゅうぞくのおとめにうけつがれるひほう」
勇者「綺麗だ・・・でも大切なものなんだろ?」
小さな魔族の子「いいの、ゆーしゃお兄ちゃんががんばろうとしてるから・・・これはおまもり」
勇者「わかった、大切にするね」
小さな魔族の子「がんばってね!」
勇者(人の子も、魔族の子も変わりない。朝起きて仕事して、仕事が終わったら仲間と酒を飲んで、家に帰ったら奥さんが食事を作ってて、子供がお帰りなさいって言ってくれて・・・同じだ、人間と)
勇者(こんなところで悶々と考えてるだけじゃダメだ!俺も何か行動を起こさないと!)
─魔王城 会議室
女魔王「さて、各々方。来る100万の軍勢を迎え撃つにあたり私は武力ではなく話し合いで決着をつけたいと考えている」
参謀「しかし人間どもが話し合いに応じるという保障がどこにあるのですか閣下」
女魔王「正直言って保障などないな。ただ私が直接出向けば話くらいは聞いてくれるだろうよ」
将軍「甘いですぞ!我らが人間に受けた仕打ちをお忘れになったか!先ほどの演説には大変感銘を受けましたが、それも人間と魔族が対等の立場であってやっと成立する話です。攻める側と攻められる側になった今、もはや平穏な講和など望めませんぞ!?」
女魔王「それをなんとかするのが魔王だ。私は今までそれをやってきたではないか」
参謀「し、しかし・・・やはり危険ですぞ閣下」
女魔王「危険など承知の上、私とて100万は相手にできぬ。心配するな、次期魔王はすでに私の中で決まっている。私が殺されたとしてもその者に後を継がせればよかろう」はっはっはっ
メイド「次期魔王の座は私のもの・・・」ぼそっ
女魔王「何か言ったか?」
メイド「いえ・・・」
女魔王「さておき、計画はこうだ。まあ計画というほどのものでもないがな」
女魔王「私が単身敵陣深く統合指揮官、あるいは国王の下へ出向き、講和条約ないしそれに順ずる条約を書面にて交わす。以上だ」
参謀「それは無謀というものですぞ閣下!」
将軍「無茶です!」
女魔王「はっはっはっ」
将軍「笑い事ではござらん!せめて護衛の10万や20万はつけるべきです」
女魔王「そんなことをすればそれこそ開戦の火蓋をこちらから切るようなもの。大切な交渉だからこそうかつなことはできんよ」
将軍「しかし・・・」
女魔王「将軍は私の強さを知っているだろう?確かに100万を相手にするのは無理だが、逃げおおせることくらいはできるだろうよ」
勇者「無理だな」
女魔王「勇者!なぜここに?」
勇者「そんなことはどうでもいい。とにかく無理だ、相手には新勇者がいるんだぞ」
女魔王「問題ない」
勇者「ありまくりだ、新勇者は俺みたいに弱くない。今の女魔王と対等に戦える力を持った真の勇者だ」
女魔王「なぜ知っているのだ?」
勇者「新勇者は俺をはるかに超える実力を持ちながら、俺が勇者に選ばれた。理由はわからないが、とにかく俺が選ばれた。それでもあいつは俺を勇者と信じて俺の横で剣を振り続けていた。あいつは俺の元仲間なんだ」
メイド「元・・・とは?」
勇者「俺はもう裏切り者だろうからな」
─出兵案可決から20日目 魔界へいたる門近くの野営にて
民兵「ついに出陣だべか・・・」ヒソヒソ
民兵「嫌ですね、戦争なんてしたくないのに」ヒソヒソ
遠征軍指揮官「ついにこの日がやってきた!諸君、今日は記念すべき日である。我々誇り高き神の騎士団は、明朝より魔界へと全軍進行を開始する。
我らは一騎当千100万の強者、対して敵は下等な魔族共である、負ける理由など存在しない!殺せ!奪え!!焼き尽くせ!!!
我らが神は我らに力を授けたもう!」
新勇者(神の騎士団とか言ってるくせに略奪を推奨かよ・・・まったくどうしようもねえな)
新勇者(明日、か・・・結局あいつは俺の勇者じゃなかったんだな)
新勇者(仕方ねえ、これも`運命´ってヤツなんだろうさ)
遠征軍指揮官「さあ飲め!歌え!我らの地響きは魔界まで届き、下等な魔族共を怯え震わせるであろう!」
わああああああ!!
神の祝福あれ!我らに勝利を授けたまえ!!
─魔王城 王の間
メイド「人間界に動きが、『2つの世界を繋ぐ橋』人間界側の野営で決起集会が開かれました。動き出す時も近いかと」
女魔王「人間の最終戦力はいかほどか?」
メイド「当初の報告通り約100万です」
女魔王「やはり減ってはくれないか・・・ならば予定通りに事を進めよう」
メイド「御意」
女魔王「メイド」
メイド「はい?」
女魔王「もしものことがあれば、後はお前に任せる。首尾よく取り計らえ。もし、人間が略奪や虐殺をしようというのなら・・・全面戦争も仕方あるまい」
メイド「そのことは終わってから考えるとしましょう。今は目の前の懸案事項を全力で片付けるまでです」
女魔王「ふふっ、そうだな」にっこり
伝令「報告します!人間の軍が動き始めました!魔界の森を通ってこの城にたどり着くまでに3日ほどかかると思われます」
女魔王「来たか・・・」
メイド「準備を進めます」
女魔王「頼んだ」
女魔王「勇者、隠れてないで出て来い」
勇者「うっ・・・」
女魔王「全く、できない子だとは思っていたが、気配も消せないのだな」
勇者「すんません・・・苦手なんです」
女魔王「得意なものなどあるのか?」けらけら
勇者「う、うるさいっ!」
女魔王「・・・」
勇者「・・・」
女魔王「あのな・・・」
勇者「本当に一人で行くのか?」
女魔王「あ、ああ・・・他に連れて行けば引き金を自ら引くことになりかねない。それだけは避けたいのだ」
勇者「俺なら弱いから引き金にはならない」
女魔王「それでも・・・」
勇者「決めたんだ、どんなに止めても俺はついていく」
女魔王「・・・」
勇者「・・・」
女魔王「わかった・・・好きにするがいい。ただし、どうなっても知らんぞ」
勇者「ありがとう」
─2日後 女魔王の部屋
勇者「女魔王、いるか?」
「・・・」
勇者「おーい、寝てるのかー?」
「・・・・・・」
勇者「空けるぞー」
「・・・・・・・・・」
勇者「・・・まさか」
メイド「そのまさかでございます」すっ
勇者「っ!?」ビクッ
勇者「あいかわらずあなたはどこから沸いて出るのですか」
メイド「メイド基本術その11、空中散歩でございます」
勇者「メイドって大変ですね」
メイド「ええ、それはともかく。女魔王様なら朝方出てゆかれました」
勇者「どこに?」
メイド「敵陣、100万人の軍勢の一番奥・・・勇者様のお国の国王様の元へ」
勇者「え・・・?」
メイド「お一人で、向かわれました」
勇者「なんで言ってくれなかったんですかっ!!!」
メイド「っ!?」ビクッ
勇者「あ、ごめんなさい・・・」
メイド「問題ありません、急に大きな声をお出しになるものですから」ドキドキ
メイド「勇者様も感情が昂ぶることがあるのですね・・・安心しました。それが我が主に向けられていることも」
勇者「女魔王は・・・腐っても俺の彼女だから」
メイド「追われますか?」
勇者「もちろんだ」
メイド「女魔王様は転移魔法で向かわれました。恐らく敵陣の中心部まで一直線かと・・・
私は魔法が不得手なもので、飛ばせても軍団の一番手前までしか飛ばせません」
勇者「お願いできるなら」
メイド「了解しました」
メイド「それと、これをお持ちください」
勇者「それは・・・剣?」
メイド「はい、先代の魔王様が捧げていらっしゃった剣です。私が女魔王様から管理を申し付かっているのですが、勇者様にお預けします。
もし女魔王様に何か身の危険があったらそれが役に立つでしょう」
勇者「重いですね・・・お借りします」
勇者(まさかとは思ったけど、本当に一人で向かうなんて・・・俺はそんなに頼りないか?好きな人のそばにいたいと思うのがそんなにいけないのか?)
勇者(好きな人・・・?ああ、そうか。俺はもう、`アイツ´に惚れてたんだ)
勇者(助けになんてならないかもしれない、むしろ足手まといかもしれない。けど、俺が頭を撫でられて嬉しかったように、俺もアイツが辛いときに手を握っていてあげたい)
メイド「参ります」
勇者(今、行くから)
メイド「転移魔法、発動」
勇者「待ってろよコンチクショー!!」
メイド「っ!?」ビクッ
シュンッ!
メイド「全く、いつもビクビクしていると思ったらこういう時だけやる気になるのですね・・・世界を救う勇者、あなたなら、なれるかもしれませんよ」ふふっ
メイド「全く、いつもビクビクしていると思ったらこういう時だけやる気になるのですね・・・世界を救う勇者、あなたなら、なれるかもしれませんよ」ふふっ
─遠征軍 中央指令部 国王のテント
国王「首尾はどうじゃ」
部下「ハッ!我らが神の軍勢は順調に進軍し、魔王の城まであと1日を切っております。食料も十二分に確保できており、軍全体の士気も依然高く保たれております!陛下!」
国王「そうか・・・ついに、この日が来るのだな」
国王「新勇者を・・・新勇者を余の元に」
部下「ハッ!」
新勇者「呼びましたか?」
国王「おお、近こう寄れ、もっと近こう」
新勇者(ジジイに手招かれても嬉しくねーっつーの)
国王「先代の勇者は駄犬であった・・・あの者はもう勇者ではない」
新勇者「・・・はい」ブルブル
国王「勇者はお前一人だ、そうであろう?」
新勇者「はい、その通りです」
国王「そうだ、魔王の首を取れ。さすれば一生の富と名声と平穏を約束しよう」
新勇者「っ・・・、必ずや」
国王「よろしい、下がれ」
シュン!
女魔王「下がる必要はありません」
国王&新勇者&側近「っ!?!?」
女魔王「突然の訪問お許しいただきたい、我が名は魔界を統べる7代目魔王、女魔王と申す者。対談の目的でここへはせ参じた」
側近「ま、ま、ま、魔王・・・」
国王「ふむ、貴様が魔族共の長か」
女魔王「いかにも」
国王「して、こんなところまで魔族の長直々に何の御用か」
女魔王「率直に申し上げる、兵を引いていただきたい。こちらに戦闘の意思はないのだ」
国王「ふおっふおっふおっ!戦闘の意思がないとな?どの口がそのような戯言を申すのか。
1月前に我が国の軍1万をさらったのはどこの魔王殿であったか?」
女魔王「あの民兵の方々は謝罪の手紙と手土産を持たせて丁重にお送りしたはずだが」
国王「知らぬな、きやつらは自力で帰ってきたと申したぞ?鬼畜魔族共に殺されそうになり、命からがら逃げ出してきたと」
女魔王「なっ・・・」
女魔王「そんな嘘をついて恥ずかしいとは思わないのか、一国の長よ」
国王「その言葉、そっくりそのままお返ししよう。ふおっふおっふおっ」
女魔王「わかった、その件に関しては改めて謝罪と賠償金を・・・」
国王「必要ない、殺せ新勇者」
新勇者「は?」
国王「殺せ」
新勇者「いや、だってこの人は戦闘の意思はないって・・・」
国王「こ ろ せ」
新勇者「っ・・・わかりましたよ、殺せばいいんでしょ、殺せば」
女魔王「国王殿っ!」
国王「聞く耳持たぬわ、汚らわしい魔族の分際で」
新勇者「悪いなお嬢さん、俺は勇者だ・・・やらなきゃいけない」
女魔王「抵抗はしない、ただ・・・私の命で、この小さき命で足りるなら、兵を引いていただきたい」
国王「やれ」
新勇者「御免っ」
ドズッ・・・
女魔王(ごめんな、勇者・・・)ガクッ
─軍勢の最先端部
勇者「なんなんだこのデタラメな人数は・・・」
国王軍民兵「あれ・・・?あれって・・・」
国王軍民兵「あ、勇者様じゃないか!」
勇者「お前たち!!」
国王軍民兵「1ヶ月ぶりだあよ!あんときのスピーチは感動しただ!」
国王軍民兵「んだんだ、凛々しかっただよ」
勇者「ありがとう、でも今はそれどころじゃないんだ!女魔王が危ない」
国王軍民兵「なんだって!?何があっただ!」
勇者「ひとりで・・・たったひとりで和平の交渉に出た」
国王軍民兵「そげな無茶な・・・」
勇者「だから俺も行かなきゃいけないんだ!アイツのそばにいてやらなきゃ」
国王軍民兵「そんだらこの鎧を着るといいだ、勇者様は地味だから兵隊に紛れられるでよ」
勇者「なんか・・・納得いかないが感謝する!」
勇者「はあっ・・・はあっ・・・」
勇者「あと少し・・・」
勇者「女魔王っ!!」
勇者「っ!?」
勇者(なんで・・・どうして!?お前は強いんだろ?100万の兵に囲まれても逃げられるんだろ!?
じゃあなんでこんなところで血流して倒れてんだよ!)
国王「来たか、駄犬」
勇者「国・・・王っ!!」
国王「一足及ばなかったようじゃの」
勇者「何をした」
国王「何も・・・見ればわかるであろう?胸を剣で突いただけのことよ」
勇者「貴様・・・」
国王「魔族に相応しいみっともない末路であったわ」
勇者「キサマアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!」
ギインッ!
新勇者「悪いがそれはさせない」
勇者「新勇者っ・・・邪魔するなあっ!!」
新勇者「王の御前である、下がれ下郎」
勇者「くっ・・・」
新勇者「お前を信じて付いていった。自分よりはるかに弱いお前を、本当の勇者だと信じて」
新勇者「お前が一人で魔王城に向かったとき、俺は誇らしかった。俺の仲間が、戦友が、誇りを持って人間の槍となったからだ」
新勇者「だが、それをお前は裏切った。魔族側に寝返り、人間を裏切った」
新勇者「そんなお前に失望した。恨んだ、憎んだ、憎悪した、嫌悪した、そして・・・お前に殺意を抱いた」
勇者「・・・」ゾクッ
国王「殺せ、駄犬に価値は無い」
新勇者「言われなくともっ!!」
勇者「やめろっ! うわっ!!」
勇者(ダメだ・・・違いすぎる)
勇者(さばくだけで精一杯・・・いや、こいつはまだ本気でもなんでもない。これが持つ者と持たざるものの違いか・・・)
勇者(ゴメンよメイド・・・せっかく魔王の剣を貸してくれたのに、使う人間がダメだとやっぱりダメみたいだ)
勇者(あー、痛いな・・・さっきから何度もかすってる。久しぶりだな、皮膚が切れる感覚、昔はよく訓練で切れてたっけ)
勇者(あ、剣にヒビが・・・もうもたないかもな。でも、女魔王と一緒に逝けるならいいかもな)
勇者(ごめんよ女魔王・・・こんな俺で・・・せめて、せめて最後だけは、一緒にいてやるからな)
バキインッ!
新勇者「最後だ、勇者っ!」
勇者(あ・・・れ・・・?)
勇者(なんでこんなにスローモーションなんだろ?」
勇者(これが世に言う走馬灯ってやつか・・・)
小さな魔族の女の子「真世界の勇者様バンザイ・・・」
勇者(こんな俺に、バンザイって言ってくれた)
魔族の人たち「世界を救う勇者だってよ、魔王様とならできるんじゃないか?」
勇者(女魔王と一緒にいることを許してくれた)
民兵そんだらこの鎧を着るといいだ、勇者様は地味だから兵隊に紛れられるでよ」
勇者(俺のことを助けてくれた)
メイド「勇者様も感情が昂ぶることがあるのですね・・・安心しました。それが我が主に向けられていることも」
勇者(俺のことを認めてくれた)
勇者(みんな・・・俺を応援してくれた・・・)
「何度も言わせるな。これでも恥ずかしいんだ・・・ずっと好きだった!
私の彼氏になってくれ!これでいいか!?」
勇者(っ!!!!)
勇者「負けるかよ・・・」
新勇者「なにっ!?」
勇者「負けるかよおおおおおおおお!!!!!!!!!」
国王「何事だっ!?」
側近「なんだ?勇者の胸が光って・・・うわっ!」
新勇者「まぶしっ・・・」
勇者(これって・・・あの竜族の子がくれた・・・)
「わたしのたからもの。りゅうぞくのおとめにうけつがれるひほう」
「いいの、ゆーしゃお兄ちゃんががんばろうとしてるから・・・これはおまもり」
勇者(最後の光でいい・・・命を燃やしてでもいい・・・頼むっ!俺を、俺を助けてくれっ!!)
???「「その願い、聞き届けよう」」
勇者「誰だ!?」
???「「我に願え、全てを掌握する力を・・・」」
勇者「頼む・・・助けて・・・くれよっ!!」
???「「お助けしよう、我が姫君が認めた勇者よ」」
国王「な、んだとっ!?」
新勇者「魔界竜・・・でけえ・・・」
側近「ひええええ」
???「「我は竜の姫巫女が臣下、魔界竜ググロス」」
ググロス「「我らが姫君が認めた勇者よ、何なりとご命令を」」
新勇者(なんという圧倒的な・・・無理だ・・・絶対勝てねぇ・・・)
国王「何をしておる新勇者!さっさとあの化け物を倒さぬかっ!」
新勇者「無理だ・・・」
国王「なんじゃとっ!?」
新勇者「無理だ・・・でかすぎる・・・大きいって意味じゃねぇ、存在が、でかすぎる」
国王「貴様も駄犬か・・・もうよい、死ね」
ガキンッ!
勇者「今度はこっちの番だぜオッサン」
新勇者「勇者・・・なんで・・・」
勇者「一緒に剣振って、一緒にメシ食った仲だ、死なせはしねえよ」
新勇者「俺はっ、俺はっ!お前を殺そうとしたんだぞっ!!!」
勇者「生きてる」
新勇者「は?
勇者「生きてるよ、俺は。死んでねえ」
勇者「ググロスっ!!」
ググロス「何用か、我が主」
勇者「この軍団の戦闘に行って進軍を止めてくれ!絶対に殺すなよっ、殺したら全てがパーだからなっ」
ググロス「承知」
国王「貴様・・・駄犬の分際ででしゃばるな!」
勇者「テメエこそ、いい加減目ェ覚ましやがれくっそジジイ!」
バキィッ!
国王「貴様っ!国王に手を上げるなど・・・」
勇者「うるっせええええ!お前は俺の女を殺そうとしてんだぞ!顔面グーパンくらいでガタガタほえるんじゃねえっ!!」
国王「なっ・・・」
新勇者(帰ってきた・・・)
新勇者(勇者が・・・あの勇者が・・・帰ってきた)
新勇者(ずっと俺の手を握ってくれていた、いつの間にか追い越したと思っていた。だからコイツが勇者に選ばれたとき嫉妬した。
だけど、こいつはやっぱり俺の前を歩いてたんだ!!)
新勇者「おい側近!!」
側近「ハッ!」
新勇者「撤退だ!全軍を引き上げるぞっ!」
側近「は。はいっ!」
国王「何を言っている!この軍の指揮権は余にあるのだぞ新勇者!」
新勇者「アンタは今この時より王の座を外れてもらう」
国王「何を勝手な・・・」
新勇者「なあオッサン・・・こういうのなんていうか知ってるか?」
新勇者「サムライの国で下克上ってんだよ、ハゲ」
国王「なっ!余がカツラだといつからっ・・・ぐふっ」
新勇者「ちょっと寝てろ」
新勇者「これで国王軍は撤退する」
勇者「そうか・・・」
新勇者「元気ねえじゃねえか」
勇者「出せというほうが難しいよ。死んだ者は生き返らない」
新勇者「死んだ?誰が?」
勇者「お前が女魔王をっ!・・・スマン、責められないよな」
新勇者「ぶ、ぶ、ぶ・・・・ぶあっはっはっはっ!!」
勇者「笑い事じゃないっ」
新勇者「笑い事だっつの・・・ぶはははははは」
勇者「お前・・・斬るぞ」
新勇者「まあ落ちついてよく見てみろよ。よく見てわからなければ女魔王のお腹の周りの血なめてみろ」
勇者「???」
新勇者「ほらっ!はやくしろよ」
勇者「なあ、新勇者」
新勇者「なんだ?ぷくくく」
勇者「魔族の血ってトマト味なのか?」
女魔王「そんなわけなかろう」
勇者「女魔王っ!?」
女勇者「いや、まいった・・・せっかくのよそゆきの服がケチャップで汚れてしまったわ」
勇者「け、けちゃ・・・ええ!?」
新勇者「いや、流石に俺も女を一突きってのは抵抗があってね」
新勇者「ちょっとドンってやったら倒れちゃって」
勇者「んなアホな」
女魔王「いやー、食べかけの目玉焼きの中に顔をつっこみ続けるのはちょっと辛かったぞ。でもちょうどお腹の下にケチャップのボトルがあって助かった」
新勇者「その顔の周りの赤いのははなぢだろ?さっきの勇者は格好良かったもんなー」げらげら
女魔王「う、うるさいっ!今まで色恋沙汰とは無縁の世界にいたんだ、仕方あるまいよ」
勇者「お、お前ら・・・」
女魔王&新勇者「「ん?」」
勇者「ええ加減にせぇよー!!!!!!!!!」
この時の勇者の咆哮は魔界を4度往復したと伝えられている。
FIN
少し落ちが弱かった気がしないこともないがよかった
236:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/20(土) 18:49:19.10:zJtwtNryO乙
面白かったわ
264: ◆wV/dOv7SG. :2010/11/20(土) 19:22:23.22:TmTwg4gG0面白かったわ
─後日談
女魔王「ときに勇者よ」
勇者「なんだ?」
女魔王「我らは恋人なのだ」
勇者「うむ、まったくもってその通りだ、疑う余地など微塵も残さず恋人だと言える」
女魔王「なればこそ、そろそろ接吻のひとつでも試みたほうが良いのではないかと」
勇者「接吻・・・つまりキスか」
女魔王「う、うむ・・・そういう言い方もするな」///
勇者「そういえば色々ありすぎて忘れてたけど俺たちはもう1年ちかい付き合いなんだったな」
女魔王「ああ、私も魔界の雑務で忙しいし、勇者も正式に勇者になって忙しかろう?」
勇者「といっても最近使えるようになった魔法で農作の手伝いとかだけどな」
女魔王「それも民を助ける重要な仕事ではないか、私も誇らしいぞ」
勇者「人間界では若き男女は付き合い始めてから3日目で性交に到ることも珍しくないそうだ」
女魔王「な・・・そうなのか」ぱくぱく
勇者「俺はそういう軽い付き合いを女魔王としたくないんだよ」
女魔王「そ、そうだな・・・そういうことなら仕方ない」
勇者「さて、俺はそろそろ人間界に戻るぜ」
女魔王「あ、待って!」
勇者「なんだy」
ちゅっ・・・
勇者「ななななななにををををを」
女魔王「ゴメン・・・我慢できなかった」
勇者「・・・」
女魔王「行ってらっしゃい^^」
何か週刊少年誌の新人の読み切り読んだ様な感覚
ちょっと面白かった
276:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/20(土) 20:07:24.39:OAalyDLC0ちょっと面白かった
・勇者と新勇者の過去話
・龍族の娘の話
・勇者に選ばれた理由
・魔王が平和を願う理由
大体この辺りをkwsk
282:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/20(土) 20:19:18.71:TmTwg4gG0・龍族の娘の話
・勇者に選ばれた理由
・魔王が平和を願う理由
大体この辺りをkwsk
─王国 聖都中央学園
※勇者になってない段階の話なので、勇者を『勇』新勇者を『新』とします。
勇「ふあーあ・・・今日の授業も退屈だな。何度机と衝突の危機をすんでで回避したことか」
新「おい、勇!」
勇「あ?なんだ、新か」
新「お前次の剣技の授業どうすんの?」
勇「あー・・・めんどいな」
新「そんなんだからお前はいつまでたっても強くなれないんだよ」
勇「とてつもなく余計なお世話なんだな」
新「俺なんてもうロングソードも扱えるぜ?次はツヴァイハンダーだとよ」
勇「おいおい、俺なんてまだ木剣だぜ!?」
新「よし、行くかっ」
勇「おー、いってらー」
新「お前も来るんだよっ」
勇「寝る」
新「・・・」ズルズル
勇「ばっ、ヤメロっ!足を離せっ」
─剣技場
教官「珍しいヤツがいるもんだな」
勇「あ、はい」
新「あんま休みすぎると落第ですからね、つれてきましたよ」
教官「よくやったぞ!もうそろそろ古い木剣は捨てようと思ってたところだ」
教官「最後にみっちりしごいてやる」
勇「勘弁してよマジで・・・」
勇「死ぬ、マジで死ぬあの鬼教官」
新「しごかれてたなー、こっちが思わず目覆うところだったぜ」
勇「あれ真剣だったら死んでるぞ、間違いなく10回くらい死んでるぞ」
新「木剣でよかったな」
勇「木剣でも折れるくらい殴られたら普通死ぬと思うんだ」
新「違いない、あははっ」
新「ははは、授業さぼりすぎなんだよ」
勇「だってさ、別に戦争やりにいくわけじゃないし、剣とか魔法とかいいっしょ」
勇「確かに雑草刈れたり灯りにできたりするかもしれないけどさ」
新「あいかわらず向上心のないやつめ」
勇「ほっとけ」ぷいっ
新「すねるなすねるな、ホラ飯にしようぜ!」
勇「お、待ってました!学校来たときから待ち焦がれてましたよっと」
新「あー、食った。というか食いすぎた」
勇「お前そんなに食べて剣技の授業大丈夫なの?」
新「始まる前にちょっと走っとくさ」
勇「あはは、お前らしいな」
新「行き当たりばったりってか!?このこの!」
勇「やめろ!天パが余計にくるくるするだろ!」
勇&新「あはははははは」
─3ヶ月後 聖都大聖堂
勇「うっはー、でっけー」
新「うわっ、天井高い!!」
担当教官「お前ら完全におのぼりさんだな」
新「仕方ないっすよ、俺たちこんな都会に出てきたの初めてですよ?」
勇「うんうん」
担当教官「今日のお前たちの目的を忘れるなよ?」
新「わかってますって、国王様の大聖堂来賓の際剣技を披露する・・・ですよね?」
担当教官「その通りだ、国王様がこの国の学生がどれほど優秀なのか見たいというのでな
そしてそこ、逃げるな」
勇「うげっ!エリをひっぱらないで」
新「何逃げてんだよお前」けらけら
勇「ありえないだろ!なんで俺が国王様の前でお前と剣技を披露しなくちゃいけないんだよ!?」
担当教官&新「やられ役に適当だから」
勇「帰る・・・うげっ!」
新「まあお前もこの3ヶ月曲がりなりにも練習してきたんだし、大丈夫だって」
勇「お前とは積み重ねた年月が違う。大体3才の頃から剣を振ってたヤツとどうやって戦えっていうんだ」
担当教官「気合だ」
勇「教育放棄っていいませんそういうの?」
ぱっぱっぱっぱぱー♪
『聖都国王様の、おなーりー』
勇「あのオッサンが国王か、案外普通のオッサンだな」
新「お前失礼にもほどがあるだろ。この国のトップだぞ」
担当教官「お前ら静かにしろっ!」
カツカツカツ
国王「その方らか?本日剣技を披露してくれる学生というのは」
担当教官「はい、我が学園でももっとも優秀な二人を連れて参りました」
勇「っ!?」
勇(いやいやいや何言ってんのこの人)
国王「ふむ、余も楽しみにしておるぞ」
担当教官「有難き幸せ」
カツカツカツ・・・
勇「いや、やっぱ帰る」
担当教官「ここで帰られると俺の首が飛ぶんだが」
勇「お見舞いに接着剤買ってきてやるよ」
担当教官「後生だ・・・」
勇「こんな情けない大人にはなりたくないな」
新「全くもって同意だ」
─聖堂中央 開けた場所
担当教官「ではこれより、剣技模擬試合を開始したいと思います。どうか皆様ごゆるりとお楽しみください」
勇(いや、ありえねー。この人数とこの視線ありえないって)
新(アイコンタクト)「最初は手抜くからしっかり打ち込めよ」
勇(アイコンタクト)「助かる」
担当教官「ではっ、始めぇっ!!」
新「えやあああああ!!!!」
勇(手抜けよおおおおおお!!!!!)
新「たあっ!そやっ!うりゃああ!!」
勇「くっ、ふっ、だあっ!」
勇(いや、これはさばき切れないって・・・どうすっべか俺)
新「せやあああああ!!」
勇(受けない、流す、払うっ!!)
勇「せいっ!」
シュインッ
国王「おお・・・」
観客「何だ今のは・・・美しい受け流しだ」
新「やっぱやるじゃねーのよ・・・ならこれでどうよっ!」
勇(くそっ!連突きか・・・下がって間を取るしかないよな)
新「甘いっ!」
勇(踏み込みが、はええっ!)
勇「ぐっ!ちょっと痛いっ!」
新「今のは有効じゃないのか?」
判定員「浅いっ」
勇「あっぶねー」
新「よく耐えるじゃないか」
勇「伊達に3ヶ月打ち続けられてないっつーの!」
勇(これじゃいつまでたっても後手だ、一か八か・・・)
新「うりゃああああ!!」
勇(ここっ!)
勇「とおっ!」
新「カウンター!?」
バシッ!
判定員「一本!そこまでっ!」
国王「ほほう・・・」
観客「おおおおお!」
新「いやー、隙を突かれたぜ・・・参った!」
勇「いや、まぐれにもほどがあるぞ今のは」
新「まぐれでも戦場なら死んだのは俺だ。お前の勝ちだよ」
勇「ははは、ありがと・・・ん?」
新「どうした?」
勇「静かにっ」
新「なんだってんだ?」
勇「国王の後ろ、ナイフを持ってる男がいる。警備の人間も気づいてないみたいだ」
新「なんだって!?」
勇「静かにしろ、気取られる」
新「どうする?」
勇「このままだと確実に刺されるよな」
新「よし、相手が動いたら俺がまず気を引く。その隙にお前がアイツを倒してくれ」
勇「気が重いし、荷も重いが・・・やるしかないよねー」
新「相手が動いたら出るぞ、幸いみんなの視線は今こっちに向いてる」
勇「わかった」
国王「いやいや、面白い試合を見せてもらった。この国のレベルの高さがうかがえ、余は満足じゃ」
担当教官「ありがたきお言葉、感謝いたします」
黒服の男「っ!!」スッ
新「今だっ」
勇「おうっ!」
ドシャッ!
黒服の男「っ!!・・・」
新「気絶したか」
勇「上手い具合に頚椎に木剣が入ったみたいだ」
護衛「こ、こやつは!」
護衛「ええい!早く縄をかけろ!」
護衛「申し訳ありません国王、我々の注意が行き届いておりませんでした」
国王「よい、貴様らの処遇は後で考えるとしよう」
護衛「ハッ!」
国王「して、この族に気づいたのはどちらかな?」
新「コイツです」
勇「ちょ・・・やめっ・・・」
国王「貴殿であったか・・・余は貴殿に命を救われた、感謝の至りだ」
勇「もったいないお言葉でございます」
国王「礼といってはなんであるが、何か好きなものを褒美に取らせよう」
勇「いえ、目の前で殺されそうになっている人を助けるのは人として当然のこと。
礼などいただくに及びません」
観客「なんと立派な」
観客「さすがは中央学園の生徒ですわね」
担当教官(ふふふ、私も鼻が高い)
国王「ふむ、これは感じ入った。貴殿のその正義感と行動力を評し、余は貴殿に『勇者』
の称号を与えるものとする」
ざわざわ
ざわざわ
観客「勇者ですって!?」
観客「そういえば前勇者はこの前の魔族との戦いで神の元へ・・・」
勇「そんなっ!私ごときが勇者などっ」
国王「受けてはくれぬか?余は貴殿のその力をお借りしたいのだ」
勇「俺なんかより新のほうがよっぽど・・・」
新「いや、私も勇は勇者に相応しいと思います」
勇「おい新っ!」
新「勇は学園でも皆に平等に優しく接しています、それに命がかかった現場での行動力は見ての通り。
これ以上勇者に相応しい人間はいないかと思います、陛下」
国王「貴殿の友人もそういっておる。うけてはくれんかの?」
勇(これ断れる雰囲気じゃないよな・・・とりあえず受けて後で新にパスするか)
勇「わかりました、『勇者』の称号、謹んでお受けいたします」
国王「皆のもの!聞いての通りだ、新たな勇者がここに誕生した!!」
わああああああ!!!
国王「国中に触れを出せ!金を打ち鳴らせ!今宵は祭りとゆこうぞ!」
勇(そんな大げさな・・・)
新「俺も誇らしいぞ!勇」
勇「絶対お前にパスするからな」
新「何言ってんだ!お前は勇者だ!そんなお前の友達であることが俺は嬉しいんだ」
勇「めちゃめちゃ押しといてよく言うぜ・・・全く」
─数ヵ月後
兵士「あの勇者はどうなってるんだ?」
兵士「いくらなんでも弱すぎるだろ、俺たちのほうが強いぜ?」
兵士「でも国王様の命を守ったらしいぞ」
兵士「聞いた話だけど、国王様はしびれを切らして勇者を魔王討伐に向かわせるらしい」
兵士「あの弱さでは魔王までたどり着けるかどうか・・・」
兵士「今の魔王は歴代最強だという話だしな」
兵士「次の勇者はもうちょっとマシなのがいいな」
兵士「違いない」
わっははははは!!
勇者「ったく、好き勝手言ってくれる。俺も好きでなったわけじゃねーっつの」
─勅旨─
勇者に魔王討伐を命ずる。
国王
勇者「ついに来たか・・・」
新「やったじゃないか!ついに魔王討伐だな!」
勇者「多分俺死ぬぜ?」
新「何言ってんだ!お前は強いよ!人類の槍となって魔王を討つんだ」
勇者「どうしてこうなったかなぁ・・・」
新「誇りを持てって!で、出発はいつなんだ?」
勇者「明日だ・・・」
新「明日か・・・わくわくするな!俺はついていこうとしたら禁じられたが、
絶対いい知らせを持って帰ってこいよ!」
勇者「ああ、努力するよ」
新「帰ってきたらまた酒を飲もう」
勇者「ああ」
新「約束だ」
勇者「約束する」
この約束は、聖都王国の国王が変わり、魔界から完全に撤退するまで守られることはなかった。
新勇者は勇者の裏切りに憤り、恨み、憎み、嫌悪し、憎悪し、嫉妬した。
闇に心を奪われた彼を救ったのが、知っての通り勇者である。
その光を持って、彼の闇を裂いた。
聖都王国と魔界に協定が結ばれ、つかの間かもしれない平和が戻った今
時折どこかの居酒屋で飲みながら笑いあう二人の姿が見かけられるそうだ・・・
番外編 勇者新勇者 FIN
さて、全く書き溜めてないけどちゃっちゃと投下しますよっと
女魔王が平和を望む理由と竜族の女の子の話を一緒にやります
投下遅いだろうけど許してちょ
便宜上竜族の女の子は『竜族の娘』としますね
333:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/21(日) 10:54:18.32:TWpaNM9Z0女魔王が平和を望む理由と竜族の女の子の話を一緒にやります
投下遅いだろうけど許してちょ
便宜上竜族の女の子は『竜族の娘』としますね
─竜の渓谷 竜族の屋敷
竜族の娘「ねえお姉さま」
竜族姉「なにかしら?夜更かしは良くないわ、そろそろ寝ないといけませんよ」にっこり
竜族の娘「なんで私はこの屋敷から出てはいけないの?」
竜族姉(もうこの子もそういうことを言う歳になったのね、そろそろお父様と相談しなくてはならないかしら)
竜族姉「それは明日お父様たちとお話しましょう。今日はもう寝るわよ」なでなで
竜族の娘「わかった、おやすみなさい」スースー
竜族姉「可愛そうに・・・可愛い妹。貴方の運命はその小さな体には重過ぎる)
─翌日
竜族姉「お父様、妹が屋敷の外に出られないことを不思議に思っているようです」
竜族長「そうか・・・そろそろ話してやらねばなるまいな」
竜族姉「そうですわね、真実を知ったらあの子はおびえるでしょうか」
竜族長「なに、心配ないだろう。私と亡き妻の子だ、あの子は強い」
竜族姉「そうですわね、私の妹ですもの!」
─昼食 食堂にて
竜族の娘「守護竜ググロス様、今日も我らに糧をお与えくださったことを感謝いたします」
竜族長「さて、いただこう」
竜族の娘&竜族姉「いただきます」
竜族長「食べながら聞いてくれ」
竜族姉(話すのね・・・)
竜族の娘「んー?」
竜族長「お前は屋敷の外に出れないことを不思議に思っているようだな」
竜族の娘「うん!私も外で遊びたいもんっ」
竜族長「竜の巫女という話を知っているか?」
竜族の娘「竜の巫女?」
竜族長「簡単に言えば竜を使役することができる竜族唯一の者のことだ。
古よりの伝説によれば、その者は秘剣『鉄竜牙』を用いて竜と通じ、それと共に生きるという」
竜族の娘「かっこいい!」
竜族長「はっはっは、かっこいいか」
竜族の娘「うん!そんなことできたらいいなあ・・・」
竜族長「・・・」
竜族姉「・・・」
竜族の娘「どうしたの?」
竜族長「できるのだよ」
竜族の娘「え?」
竜族長「お前は100年に一人選ばれるという、竜の巫女だ」
竜族の娘「ほんとにっ!?」
竜族姉「本当よ、生まれたときからその体には刻まれていたわ。竜の巫女に選ばれた証が」
竜族の娘「どこにあるの?」
竜族長「お前は背中に3本の線があるだろう」
竜族の娘「うん」
竜族姉「それが証よ、竜の爪痕。竜の巫女が飛竜に運ばれてきたしるし」
竜族の娘「そうなんだあー、わたしってすごいの?」
竜族長「すごいか、はははっ!確かにすごいな、いづれ私よりも大きな力を持つことになるだろう」
竜族姉「でもね、そんな力を持っているからこそ、あなたは外には行けないのよ」
竜族の娘「どうしてっ!?」
竜族長「悲しいことだが、私はすべての竜族を掌握しているわけではない。
もしかしたら、お前の力を狙っている輩もいるかもしれんのだ」
竜族姉「だからね、あなたを出すわけにはいかないの、許してちょうだい」ポロポロ
竜族長「泣くな、これは我らが誇りに思うべきことなのだ」
竜族姉「でもっ、でもっ!こんな小さな子にこの運命は重過ぎますっ!」
竜族長「わかっている・・・わかっているのだ・・・」
竜族の娘「わかった、外に行くのは我慢する」
竜族長&姉「えっ?」
竜族の姉「私が外に行くことで、お父様やお姉さまが困るなら、私は屋敷にいるわ」
竜族姉「いい子ね・・・本当にいい子・・・」うるうる
竜族長「すまないな・・・娘」
竜族の娘「いいの、その分お姉さまに遊んでもらうからっ!」
竜族姉「たくさん遊びましょうね」
竜族長「それなら、お前にこれを渡しておく」カチャ
竜族の娘「これは?」
竜族長「鉄竜牙、我が竜族に伝わる乙女の秘法」
竜族長「ひとたび力を発すれば、守護竜ググロスさえも従える短剣だ」
竜族の娘「すごーい・・・軽いんだねこれ」
竜族長「来るべき時まで持っておきなさい。必ずや役に立つ」
竜族の娘「わかった!お姉さま遊びましょう!」
竜族姉「そうね、行きましょうか。お父様、失礼いたします」
竜族の娘「しつれいしますー!」
竜族長(運命の歯車は噛み合ったのか?あの子はやさしい子だ、力を使うときは誰かを救うとき。
私はそう信じてやまないよ・・・妻、見ているか?私はあの子の運命に少しでも手を貸してやれただろうか?
お前が残したあの子らを、私とお前の宝物を、どうかこれからも見守ってやってくれ)
─魔王城 魔王の間
竜族長「ご挨拶が遅れました、この子が我らが竜族の巫女、娘でございます」
女魔王「そうか、その子が・・・」
竜族の娘「こ、こんにちわ・・・」カタカタ
メイド「怖がってますよ」
女魔王「そ、そんなっ・・・」
女魔王「娘よ、近くに来て顔をよく見せておくれ」
竜族長「ほら、行きなさい」
メイド「大丈夫ですよ、食べたりしませんから・・・多分」
女魔王「こらっ!」
メイド「失敬」
竜族の娘「・・・」トテトテ
女魔王「これは将来美しくなるだろうな、竜族長の妻殿に似ている」
竜族長「ありがとうございます」
竜族の娘「魔王さまは、たくさん殺すの?」
竜族長「こ、これっ!娘っ!!」
女魔王「よい、答えよう」
竜族長「失礼を・・・」
女魔王「気にするな」
女魔王「さて、娘よ。魔王は確かに今までも多くの人間を殺してきた。
血を流すことを好み、人々の悲鳴を子守唄とし、略奪を楽しみとしてきた」
女魔王「それは誤魔化しようの無い事実だ」
竜族の娘「魔王さまはたくさん人を殺す、殺したくて魔王になるって」
女魔王「そうだな、確かにそうだった。だがな、私は違う」
竜族の娘「違うの?」
女魔王「ああ、違う。私は人間が好きだ」
メイド「正確には人間の中の一人が・・・ですけどね」
女魔王「うるさいっ!」
竜族の娘「っ・・・」ビクッ
女魔王「すまない・・・ごほんっ!人間は確かに弱い、魔族と比べればそれはよくわかる。
魔族はほとんどかからない『病気』というものにもかかるし、剣で刺されれば簡単に死んでしまう。
だけどね、人間は弱い一人一人が支えあって、大きな世界を作ってきた。それは、我々の世界を脅かすほどに」
竜族の娘「じゃあ、人間も魔族を殺したいの?」
女魔王「ああ、そういう時代もあった。現に、私が魔王の座に着く前は魔界と人間界で戦争をしていたんだ。
たくさんの血が流れた、たくさんの人や魔族が死んだ。それは悲しいことだ」
竜族の娘「うん、お母さんも人間に殺されたって・・・」うるうる
女魔王「じゃあ娘よ、お前は人間を恨んでいるか?」
竜族の娘「わからない・・・」
女魔王「そうか、それでいい」にっこり
竜族の娘「?」
女魔王「確かに、同じ魔族同士でもお互いに嫌い合っている者はいる、それは
性格や趣味が合わなかったり、あまり誉められることではないが生理的に無理
だったりするわけだ。だが、それはお互いを知り、その上での拒絶と言える」
竜族の娘「う、うん・・・」
女魔王「ははっ、少し娘には難しい話だったかな?すべてをまとめて簡単に
言うとするなら、嫌うなら知り合ってからでも遅くない、ということだ」
竜族の娘「でも魔王さまは強いんでしょ?」
女魔王「そうだぞ、私は今までの魔王の中で一番強い」
竜族の娘「なら、人間の世界も自分のものにできる、それはしないの?」
女魔王「もし、私が他の魔族を引き連れて人間界に侵略したとして、恐らく
それは達成されるだろう。人間は魔族の下にひれ伏し、奴隷のように扱われる
日々がやってくる、だがそれは永くは続かないだろうな」
竜族の娘「どうして?」
女魔王「さっきも言っただろう?人間は本当は強いのだよ、一人より二人、二人より
三人、どんどん集まって、それはうねる竜のごとき勢いで我々に襲い掛かってくる」
竜族の娘「竜・・・」
女魔王「そうだ、竜だ。人間にも竜がいるのだから、決着が着くわけがあるまい?
結局、どちらかがどちらかの世界を手に入れようなど、不可能なのだよ」
竜族の娘「そっか・・・人間も竜と仲良し、わたしとおなじ」
女魔王「そうだな、人間も我々も変わらないのだ」
メイド「魔王様、そろそろお時間が」
女魔王「そうだったな、娘、竜族長、謁見ご苦労だった」
竜族長「とんでもございません、こちらこそお顔を拝見でき、幸せな時間でございました」
竜族娘「魔王さま」
女魔王「何だ?」
竜族娘「人間と仲良くする、私も手伝うから」
女魔王「っ・・・ああ、よろしく頼む」
竜族長「では、これにて失礼いたします。娘、行くぞ」
女魔王「メイドよ」
メイド「はい?」
女魔王「子供は怖いな」
メイド「なぜです?」
女魔王「心の奥底まで見透かされている気がした・・・あの純粋な目に吸い込まれそ
うだった」
メイド「そうですね・・・もしかしたら、あの子には魔王様が思い描く未来が見えて
いるのかもしれません」
女魔王「頑張らねば、私が」
メイド「どこまでも、お供いたします」
─魔王城大ホール 婚約記念パーティー
竜族の娘「すごいなあ・・・こんなに人がいるなんて」
竜族長「魔王様がお開きになるパーティーだ、ここに入りきれない者もいるだろう」
竜族姉「久しぶりに外に出れたわね」
竜族長「こんなに魔族が集まっているなら、襲うなんてこともできまいよ」
竜族長(一応護衛はつけてあるがな)
わあああああ!!
竜族の娘「あ、魔王さまだ!」うきうき
竜族姉「相変わらずかっこいい方・・・はふう」///
竜族長「姉よ、道を踏み外すでないぞ」
女魔王「紳士淑女の皆様!よくぞこの女魔王と勇者の婚約記念パーティーにお集まり下さった」
竜族姉「始まったね」
竜族の娘「すごい声・・・建物がくずれちゃいそう」
竜族長「魔王様ー!かっこいいですぞー!!」
竜族姉「お父様・・・」
女魔王「我らは永らく人間との戦争を行ってきた。多くを殺し、殺され、多くを奪い、奪われ、そして多く悲しませ、悲しんできた」
女魔王「私は・・・私は魔王として、その流れを断ち切らなければいけないと考える!」
竜族の娘(やっぱり、魔王さまは人間と仲良くしたいんだ)
竜族姉「あれ?あの人が勇者かな?」
竜族の娘「勇者?」
竜族姉「そう、人間の中で・・・なんて言ったらいいかな、魔王様みたいに強い人かな」
竜族の娘「そうなんだあ」キラキラ
女魔王「皆も知っての通り、この勇者は弱い」
竜族の娘「弱いって、顔まっかにしてる」
竜族姉「そうみたいね・・・かわいいじゃないの」
竜族長(良かった・・・普通に男に興味があるのだな)
竜族姉「まあ、魔王様のほうが100倍かっこいいわ!」
竜族長(教育方針を変える必要がありそうだな・・・)
女魔王「これからも、もしかしたら血が流れることがあるかもしれない。
身を守るために武器を取らなければならない時が来るかもしれない。
だが、そのとき思い出して欲しい。
その手に取った刃が刺す相手にも愛する者がいることを・・・果たして、
人間と魔族にどれだけの違いがあるかということを」
女魔王「そして、出来るならば・・・もし出来るならば、その武器を持った手を下ろし、握手を求めることができないだろうか?」
女魔王「その一歩を踏み出す勇気を持てば、もしかしたら我々は共に生きていけるのではないだろうかっ!!」
竜族の娘(人間といっしょに、手をつないで歩く、うん・・・)
勇者「えーっと、勇者です」
竜族の娘「あれが、勇者さん・・・優しそうな人」
勇者「俺は人間だ、今まで魔族を敵だと思ってきた。でも今は、そんなことを思えない俺がいる。勇者失格だね、あはは」
勇者「でも、失格でもいい、裏切り者と呼ばれても構わない。女魔王の話すことが、人間と魔族が手をつないで歩いていくことができるようになるなら、俺はなんでもする」
勇者「国の勇者になれなかった俺だけど、俺は、世界の・・・この世界全てを救う勇者になりたい」
竜族の娘(世界を救う勇者・・・魔王さまといっしょなら、きっとできる)
竜族の娘「新世界の勇者様バンザイ・・・」
竜族姉「えっ?」
竜族長「ふふっ・・・どうやら竜の巫女はあの勇者がお気に召したようだな」
ざわざわ
わあああああああ!!
─魔王城 廊下
竜族の娘「ちょっと勇者さんとお話してきたい」
竜族長「それは、竜の巫女として必要なことかね?」
竜族の娘「わからない、でもたぶんそう」
竜族長「そうか、なら行ってきなさい」
竜族の娘「・・・うんっ」
てってってってっ
竜族の娘(あ、いた。なにか考えごとしてるのかな?)
竜族の娘「お兄ちゃん」
勇者「・・・」
竜族の娘(あれ、聞こえてないのかな?もうちょっと大きなこえで・・・)
竜族の娘「ゆーしゃお兄ちゃんっ!」
勇者「っ!?」ビクッ
竜族の娘(びっくりさせちゃったかな?)
竜族の娘「これ・・・あげる」
勇者「これは・・・短剣?」
竜族の娘「私の宝物。竜族の巫女に受け継がれる秘法」
勇者「綺麗だ・・・でも大切なものなんだろ?」
竜族の娘「いいの、ゆーしゃお兄ちゃんが頑張ろうとしてるから・・・これはお守り」
竜族の娘(渡せた、緊張したけど・・・でもあれは私が持ってるより勇者お兄ちゃんが
持ってるほうが役に立つはず)
竜族長「話は終わったのか?」
竜族の娘「おわった」
竜族長「何を話してきたんだね?」
竜族の娘「頑張ってって・・・あと鉄竜牙をわたしてきた」
竜族姉「なっ・・・あれは竜の乙女の秘法なのよ!?それをっ・・・」
スッ・・・
竜族姉「お父様・・・」
竜族長「お前が考えて、そして決めたことなら私は何も言わない。だが、少しでも
後悔が残るのなら今すぐに返してもらいにいきなさい」
竜族の娘「あれは私が持っているよりも勇者お兄ちゃんが持ってたほうがやくにたつ。
私は、あれがなくても竜たちと仲良くできるから」
竜族長「そうか・・・ならいい、よくやった娘よ」
竜族の娘「うんっ!」
それから、勇者は鉄竜牙を懐に入れ、女魔王の元へと走ることになる。
竜の乙女の秘法は勇者の願いに答えて光を発し、その光は魔界を駆け巡り、
竜族の娘まで届いた。
竜族の娘「勇者お兄ちゃん・・・やくにたったね、巫女のたから」
翼竜の子供「キュイ?」
竜族の娘「わたしはね、みんなと仲良くしたいの。魔族も、人間も、君たちとも」
翼竜の子供「キュッキュッ」
竜族の娘「みんな、なかよく・・・いい言葉だね。これからも、魔王さまと勇者
お兄ちゃんの話してた世界に、どんどん近づいて・・・そんな世界がずっと続くといいね」
翼竜の子供「ガアアアア・・・」
竜族の娘「ふふっ、おっきなあくび。そろそろいこっか、お父様とお姉さまが待ってる!」
翼竜の子供「キュイッ!」
番外編 魔王が魔王である理由
竜の巫女
FIN
─停戦から3ヶ月 魔王城 王の間
メイド「魔王様」
女魔王「メイドか、何の用だ?」
メイド「分をわきまえずにご進言したいことがございます」
女魔王「申してみよ」
メイド「失礼して・・・魔王様と勇者様はもう俗に言う彼氏彼女の関係になってから
ずいぶんと日が経つと思います。そのなかで接吻はおろか手を繋いだことも無い
というのは一般的なカップルから見て大分遅れていると思われます」
女魔王「ん・・・むぅ、それは私も常々思ってはいたのだが・・・なにぶん勇は奥手でな」
メイド「勇・・・ですか」
女魔王「あっ!!いや・・・勇者は奥手でな」///
メイド「ふむふむ」ニヤニヤ
女魔王「いや、これは違うぞ!決して二人のときは勇と女なんて呼び合ってるわけでは!」
メイド「そういうのを墓穴というのですよ、魔王様」クスクス
女魔王「・・・」///
メイド「さて、私めの進言はここからなのですが」
女魔王「私がもっと邪悪な魔王ならお前はとっくに消し炭だぞ・・・」///
メイド「我が主は大丈夫です、故に私が付き従っているのですから」
女魔王「とりあえず話を戻そう」
メイド「そうですね、進言の内容ですが、やはり勇者様は童貞のためどうしていいのかわからないのかと」
女魔王「そうだとは思っていたがやっぱりか」
メイド「物見に調査させましたので確かな情報かと」
女魔王「魔族きってのスパイが戦争が終われば身辺調査か・・・これも停戦の弊害だな」
メイド「本人は嬉々としてやってましたよ?」
女魔王「後で説教してやる・・・」
メイド「そこでですが、やはり殿方の心を惹きつけるには魔王様に頑張っていただくしかなかろうと」
メイド「そう結論に至った次第でございます」
女魔王「具体的には?」
メイド「その1、悩殺ランジェリーで童貞の心の壁を一発破壊!これはスタイルのいい
魔王様だからこそできることですね。狼になって襲ってきますよきっと」
メイド「その2、真夜中に同じ布団に入ってごろごろにゃー。普段の魔王様イメージを
払拭し、急に甘えることによって童貞城の陥落を狙います」
メイド「その3、もう押し倒してセクロス。これは他に言うことはありません」
女魔王「とりあえず3は全力で却下だ」
メイド「だろうと思いました、3は冗談です」
女魔王「セクシーランジェリーは持ち合わせがあるが、そもそもそんなものを
いきなり着たら勇者に引かれないだろうか?」
メイド「問題ないでしょう、そんなことを考える前にテント張ってしまってそれどころじゃないですよ」
女魔王「いや、それも困るといえば困るのだが・・・」
メイド「私としては普段の魔王様のイメージを壊せる2をお勧めしますね。
可愛い声で甘えれば次からの進展もしやすくなるかと。勇者様にも意地というものがあるのなら・・・ですが」
女魔王「意地とは?」
メイド「童貞といえど腐っても男、やはり自分がリードしたいでしょう。その後押しといったことろです」
女魔王「次の勇者の帰還はいつだったか?」
メイド「(勇者様の家は人間界ですが・・・)2日後ですね、そう連絡がありましたので」
女魔王「よし!その日に決行する!」
メイド「よくぞご決意なされました」
メイド(この程度のことも背中を押さなければできないとは・・・先が思いやられます)ハア
─2日後
勇者「ただいまーっと・・・」
勇者(魔王城なのにただいまってのも変な話だよな、それだけ慣れてきたってことか)
女魔王「勇!帰ってきたのか」
勇者「おお、女か。帰ってきたぞー」
女魔王「で、今回は人間界でなんの仕事をしてきたんだ?」
勇者「ああ、寒いほうの国に出向いて酒の造り方を教えてきた。酒は温まるからな」
女魔王「そうか、しっかり勇者してるじゃないか」
勇者「当たり前だ、俺は世界を救う勇者だからな!」
メイド「食事のご用意ができておりますので食堂のほうへ」
女魔王「ああ、わかった。勇、食事にしよう」
勇者「わかった、鎧脱いだらすぐ行くよ」
カツカツカツッ
メイド「・・・勇」
女魔王「・・・」///ボッ
勇者&女魔王&メイド&召使い一同「いただきまーす」
勇者「しかし珍しいよな」
女魔王「何がだ?」
勇者「普通は貴族とか偉い人の食事ってメイドとか召使いとかってわきに控えてる
もんじゃないのか?一斉に食事をするなんて聞いたこと無いぞ」
女魔王「確かにそれは主と使える者の差を忘れないようにすることができる。だけど、
やっぱり食事は全員で取ったほうが楽しいし、おいしいからな。ほら、あそこに料理長もいるぞ」
勇者「ホントだ・・・」
召使い「料理長、おかわりっ!」
料理長「はいよっ、たくさん食いな」
勇者「いいねえ、こういう感じ」
女魔王「だろう?まあ最初はみんなビビってしまって大分静かな食卓だったがな」ケラケラ
勇者「そりゃそうだ、最強の魔王様と一緒じゃ食事ものどを通らないってもんだろ」
女魔王「さて、食事も済んだし湯浴みもした。勇者は疲れてるだろう?
今日は寝室に行ってゆっくり休むといい」
勇者「じゃあお言葉に甘えさせてもらおうかな、おやすみ」
女魔王「おやすみ」
メイド「ごゆっくりお休みくださいませ」
─王の間
女魔王「決戦の時は近いな・・・」ゴクリ
メイド「はいっ・・・」ソワソワ
女魔王「現在時刻は深夜2時ちょうど、夜襲にはうってつけの時間帯だと思うのだが
参謀はどう思われる」
メイド「おっしゃる通りかと」
女魔王「で、で、では・・・行ってくる」
メイド「護武運を」
カチャ、ギイイイイイ・・・
女魔王「ここが勇者の部屋か・・・案外綺麗にしてるじゃないか」
女魔王「ふふっ、丸まって寝るなんてやっぱり勇者は可愛いな」
女魔王「あ・・・これ、勇者の脱いだパンツ・・・」
『・・・・・・・・・』
女魔王「だっ、ダメだっ!そんな魔族の道を踏み外すことなどっ!」ぽいっ
女魔王「危なかった・・・勇者はあんな魔法が使えたのだな、油断ならんぞこれは」
女魔王「これは・・・勇者の奉げている剣か、ずいぶんと頼もしくなったものだ、感慨深いな」
女魔王「これは鎧、こんな重いもの昔は着けていられなかったんだろうな・・・最近は
新勇者に稽古をつけてもらっているというし、やっぱり勇者は頑張ってるな」
女魔王「これなら、御褒美をあげるのもやぶさかではないか・・・」
勇者「さっきから何をぶつぶつ言いながら人の部屋を徘徊してやがりますか」
女魔王「起きてたのかっ!?」
女魔王(申し訳ない参謀・・・夜襲は失敗に終わったようだ)
メイド「あのアホ魔王・・・」
女魔王「すまん・・・勇が疲れていそうだから添い寝でも・・・と思ったのだが、
起こしてしまったようだな」
勇者「というか女が部屋に入ってきたときから気づいてたよ」
女魔王「そうなのか・・・布団入ってもいいか?」
勇者「えっ・・・あ、ああ、どうぞ・・・」
モゾモゾ
女魔王「あったかいな・・・」
勇者「そ、そうですね!」キョドッ
女魔王「ふにゃーん・・・」
勇者「どうしたんですか?」
女魔王「私だってたまには甘えたくなるんだ」
勇者(どうしようどうしようどうしよう・・・なんだこの状況、なんで布団の中で
おっぱい押し付けてきやがりますか!?布団が狭いから仕方ないとはいえこれはちょっと
まずいのではないかと思う次第でありますが!しかしこれは私勇者の童貞脱出
のチャンスではないかと・・・いや、変に期待してもな・・・)
勇者「そっか・・・」
女魔王「勇、最近頑張ってるな」
勇者「ああ、あのパーティーで大きなこと言っちゃったし、頑張らないとね」
女魔王「勇のおかげで最近人間界では活気を取り戻した村や町が多いと聞く」
勇者「たいしたこと無いよ、やるべきことを精一杯やってるだけ」
女魔王「それができるからすごいんだ・・・だから、ご褒美」
勇者「え・・・?」
女魔王「さっきからずっと当たってる」にぎっ
勇者「ふおっ!」
女魔王「意識してくれてたのか?」
勇者「それはもう・・・ごめんなさい」
女魔王「何で謝る?私は嬉しいんだ、やっぱり人間と魔族の間には壁があるのかと、
だから勇者もいつまでたっても手を出してくれないのかと、そんなことを考えていた。
でもちゃんと女として見ててくれたんだな」
勇者「それはもちろん」
女魔王「でもな、我慢できなくなるのは男だけじゃないんだぞ・・・」もぞもぞ
勇者「え、何を・・・うっ!?」
女魔王「これが勇のか・・・これは大きいのか?ちょっと皮かむってる・・・」
勇者「ナナナナナ何をしてらっしゃいますか魔王様っ!?」
女魔王「言っただろう?ご褒美だ」にやり
女魔王「ペロペロ」
勇者「うっ・・・わ・・・」
女魔王「ふふっ、ちょっと舐めただけですごい反応だな、ビクビクしてるぞ」
勇者「童貞ですいません・・・」
女魔王「かわいいぞ・・・」ぺろっ
勇者「うっ・・・」
女魔王「大人にしてやる・・・あむっ・・・んっ」
勇者(うわっ・・・舌で皮を・・・これが女の口の中、ざらざらしてて暖かくて
・・・き、気持ちいいっ)
女魔王「んっ・・・んうっ・・・チュブッ・・・」
勇者「うわっ・・・ちょ、女っ!ストップ!!」
女魔王「いやは」(いやだ)
女魔王「んぶっ・・・んっ・・・ちゅっ・・・んっんっ・・・」
勇者(もう無理っ!ゴメン女!)
女魔王「うわっ!?」
びゅっびゅっ・・・びゅるっ
女魔王「出すなら出すと言え、髪にかかってしまったではないか」
勇者「うぅ・・・ごめん・・・」
女魔王「ふふっ、気持ちよかったのか?」
勇者「最高でした・・・」
女魔王「でも、これで終わられたら困るぞ・・・」モジモジ
勇者「え?」
女魔王「私も・・・えーと・・・ちゃんと気持ちよくしてくれ」
勇者「・・・」
女魔王「・・・」
女魔王「勇?どうした?」
勇者「女ああああ!!」
女魔王「きゃあっ!」
勇者「やっぱり女のおっぱいは大きいな・・・」
女魔王「あんまり見るな、自慢するほどもものでもない」
勇者「いや、十分だって・・・これサイズいくつ?」
女魔王「え、えふ・・・だ」
勇者「イタダキマス」
ぺろっ
女魔王「んっ・・・」
ちゅっ
女魔王「あっ・・・」
勇者「女も敏感じゃないか、人のこと言えないな」
女魔王「うっ、うるさいっ!初めてなんだから仕方ないだろ!?」
勇者「初めてなの?」
女魔王「当たり前だ、勇以外にこんなことしない」
勇者「じゃあ・・・さっきのは・・・?」
女魔王「メイドに色々教えてもらった・・・」
勇者(今だけは感謝しますメイド様)
もみもみ
女魔王「やあっ・・・こねくりまわすなぁっ!」
勇者「すげぇ・・・柔らかい。手に吸い付くってこういうことか」
女魔王「羞恥心で死んでしまう・・・」
すすすすすす・・・
女魔王「っ!?」
勇者「うわ、もうパンツ染みてる・・・」
女魔王「言うなぁ・・・」
ちゅぷっ・・・
女魔王「ああっ・・・んっ・・・」
勇者「びしょびしょだ・・・」
女魔王「指、入って・・・るっ!」
勇者「すげぇ・・・」
女魔王「感動してないで・・・早く、ひとつになり・・・たっ!」
勇者「さっきはいじめられたから今度は俺のターン」にやにや
女魔王「ああっ・・・ダメっ・・・だって・・・ばっ!」
くて~
女魔王「汚された・・・」
勇者「お互い同意の上でも汚されたって言うの?」
女魔王「知らんっ!」
勇者「でも指だけで軽く2回くらいイってたね」
女魔王「・・・」///
勇者「ふふっ」
女魔王「そういう勇も、もうすかっかり元気じゃないか」にぎっ
勇者「あうっ・・・バレましたか」
女魔王「今度は・・・ひとつに」
勇者「うん」
ギシッ
勇者「いれるよ?」
女魔王「う、うんっ」
ちゅく・・・ズブブ・・・
女魔王「いっ・・・たぁ・・・」
勇者「だ、大丈夫?」
女魔王「大丈夫・・・じゃないかもっ!でも・・・やめたら・・・怒るからっ」
勇者「ゆっくり・・・」
ズプププ
女魔王「っ・・・は、はあっ・・・」
勇者「全部入った」
女魔王「・・・」うるうる
勇者「何で泣くのっ!?」
女魔王「嬉しくて・・・ごめん・・・もうちょっとこのまま・・・」
勇者「うん」
女魔王「キス・・・して?」
勇者「うん・・・ちゅ・・・」
女魔王「ふうっ・・・ちゅっ・・・べろっ・・・」
勇者「ちゅ・・・ちゅるっ・・・」
女魔王「ぷはっ・・・色々初めてもらっちゃったね」///
女魔王「もう大丈夫、動いていいよ」
勇者「うん・・・動くよ」
ずぷっ、ずぷっ、にちゃっ・・・
女魔王「はうっ・・・んんっ・・・あっ・・・」
勇者「気持ちいい?」
女魔王「おかしいのっ・・・初めて・・・なのにっ!」
勇者「俺も・・・おかしくなりそうだ」
ぬちゃっ・・・つぷっ・・・
女魔王「んっ・・んっ・・・」
勇者「~っ!」
勇者(ヤバイ・・・これはヤバイ!気持ちよすぎて腰が止まらん・・・)
女魔王「もっと、激しくしても・・・いいよ?」
勇者(・・・・・ぷっつん)
勇者「女ッ!女ッ!!女ッ!!!」
女魔王「やっ!あっ!!勇・・・んあっ!!!」
ずぶっ!ずぶっ!ずぶっ!
勇者「お、俺・・・もうダメかもっ!」
女魔王「一緒に・・・一緒にイコう?一緒に!」
ずぷっ!ずぷっ!ずぷっ!
勇者(そろそろマズイ・・・ラストスパートかけて外に・・・)
ずぷっ!ずちゃっ!ずぷっ!
勇者「イっ・・・クっ!」
女魔王「んんー!!」
勇者「ちょ・・・足・・・抜けないっ!」
女魔王「ダメ・・・ちゃんと・・・中に・・・はあっ」
勇者(それ反則だろぉ!!!)
びゅっ!びゅっ!
女魔王「――ッ!!」
勇者&女魔王「「はあ・・・はあ・・・はあ・・・」」
女魔王「すごかったな・・・性交とはここまでに心地良いものなのか」
勇者「そうだな・・・」
女魔王「え、えーと、ごほんっ!」
勇者「?」
女魔王「これで、ちゃんとご褒美になっただろうか?
勇者「あ、ああ・・・うん、すごく嬉しかった」
女魔王「そうか・・・ふふっ」
勇者「それはともかく女」
女魔王「何だ?何か不満があるのか?」
勇者「不満はないんだが・・・女は気持ち良いと『女の子』な口調になるのか?」
女魔王「恥ずかしいこと言うでないっ!!」ぼかっ
勇者「ちょ!俺弱いんだから・・・やめてっ!死んじゃう!!」
女魔王「うるさいっ!勇者なんだから1回くらい死んでおけっ!!」ぼかぼかっ
勇者「あー!!」
メイド「はあ・・・前途多難なバカップルですこと・・・」
番外編 勇と女のぱふぱふ√
END
おつ!
コメント 3
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女魔王と勇者の恋愛は主流になるべき!
ただ女魔王の告白が早いのがざんね。