3以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 11:27:55.08:5TspgyOz0

キョン「ふぁ~、ねむ....」

今は数学の授業中
一番寝たらまずい科目
この前の中間テストで赤点だったからな

キョン「しっかし、寝たらいけないと思えば思うほど」ウトウト

キョン「眠たくなるのはなぜだろうか」カクン

   ガッ

そうしてると、後ろの席の外見だけはパーフェクト女が俺の椅子を蹴りやがった。

キョン「おいハルヒ。 勉強の邪魔をするな」

ハルヒ「はぁ? あんたがウトウトしてたから蹴ってやったんじゃない」

キョン「そうかい。 せっかく起こしてくれるのなら、肩をトントンするとか....もっと可愛くだな...」

ハルヒ「何よそれ、あんたの成績を心配してやってるとゆーのに。 なら勝手に好きなだけ寝てればいいじゃない」

 
4以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 11:28:50.46:5TspgyOz0

キョン「ったく...可愛げのない女だなぁ。 お前は」

ハルヒ「あんたに可愛いなんて思われようなんて、これっーぽっちも思ってないから別に構わないわ!」

キョン「そうかい。 まぁ、お前が何をしたって可愛いなんて思う事はないから安心してくれ」

ハルヒ「        バカ」 ボソッ

キョン「ん? なんか言ったか?」

ハルヒ「なにも!」

と。 ここで流石の通称、仏と呼ばれている数学教師も俺とハルヒの私語にカチンときたらしく声を張り上げる
続きをやりたいなら廊下に出て好きなだけ喋ってろ
その言葉に甘えて、一瞬外をぶらついて眠気を覚ましてこようかと思ったが
内申点や教師からの印象をぶち壊したらヤバいと思い、俺は頭を下げ、再び教科書を手に取る
ハルヒはというとしばらく教師を睨みつけ、教師がそれにおじけづいたのか、スルリと目を反らした後。
ブスッとしたまま机にうつぶせになる

ハルヒ「 (あのバカキョン...またウトウトしだした...)

キョン「 (それにしても眠い...半端じゃなく眠い...) 」

ハルヒ「 (まったく...せっかく私が起こしてあげたのに) 」

キョン「.........」 カクン....カクン.....

ハルヒ「 (もう起こしても無駄だと思うから、ほっとこう) 」

 
5以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 11:29:30.01:5TspgyOz0

キョン「.........」 カックン!

ハルヒ「 (今度...こいつに勉強教えてあげようかな? そうすれば寝てても大丈夫な位、数学できるようになるかも) 」

キョン「.........」 すーすー

ハルヒ「 (ついに寝ちゃった...。 全くどうしようもないヤツ...。 成績悪い癖にすぐ寝ちゃう) 」

ハルヒ「 (こんなんじゃ、こいつろくな大学行けないわね...。 それどころかFランですら落ちちゃったりして...) 」

ハルヒ「 (.....もし。 学生を学業だけで判断しない世界があったら...。 キョンはどうなるんだろ?)  」

ハルヒ「 (ちょっとだけ) 」

ハルヒ「 (そんな世界でのキョンを見てみたいかも.....) 」

ハルヒ「 (なんてね) 」

 
8以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 11:35:41.62:5TspgyOz0

キョン「......」 すーすーすー

後ろの生徒「起きなさいよ」

キョン「.......」すーすーすーすー

後ろの生徒「ねぇ、起きなさいよ」

キョン「......?」 もぞっ

後ろの生徒「ったく.....!」 ビリっ

頬に温かい感触がしたなと思った瞬間、鋭い痛みが走る。

キョン「おわっ!? いきなり何すんだハル....ヒ?」

後ろの生徒「はぁ?」

キョン「え?」

後ろの生徒「誰よはるひって? ったく寝ぼけてんじゃないわよ」

後ろの生徒「それに...。 アホのくせに良くこんなにぐっすりと寝れるもんね。 危機感のカケラもないのアンタは?」

キョン「.....あはは」

 
9以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 11:37:05.11:5TspgyOz0

後ろの生徒「ずっとあの教師アンタの事見てたわよ? いい加減にしなさいよねっ」

キョン「...あ、あぁ。 すまん。 ありがとう」

後ろの生徒「ったく....! 世話が焼けるんだから。 それでも年上なの?」

キョン「おぉ...そ、そうだな...。 すまんすまん」

でだ。 一つ聞きたい。
後ろに当たり前のように座って俺に説教してらっしゃる短髪女は一体誰だ?
俺が年上って事は、こいつは下級生か?

でだ。 も一つ聞きたい。
さっき俺がいたはずの教室とはだいぶ様変わりしているようだが、ここはどこだ?

 
10以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 11:38:04.74:5TspgyOz0

それだけじゃない。

クラスのヤツらの大半が俺の見知らぬ顔に変ってる。
知っているのはアホの谷口と国木田.....だけか。

キョン「 (.....あいつは?) 」

おそらく俺をこんな世界へ放りこんだであろう容疑者その一。
SOS団、団長。 涼宮ハルヒの姿はこの教室の隅から隅まで見渡しても...。
どこにも見当たらない。

 
11以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 11:40:04.19:5TspgyOz0

国木田「パーソナルリアリティ...かぁ」

谷口「どうだ? 少しは理解できたか?」

国木田「いつもゼロ判定の僕にはさっぱりだよ」

谷口「まぁ、お前ならそのうち理解できるようになるさ」

国木田「そうだといいけど...。 でもさ、谷口みたいな「自分だけの現実」だけはイヤだな」

谷口「あぁん!? どーゆー意味だ国木田」

国木田「言葉のままさ。 いくらレベル4でも谷口みたいなのはゴメンだね」

谷口「おい! そんな言い方はねーーだろ!」

キョン「 (ぱーそなるりありてぃ?...さっきの授業でそういや、あの教師が己の現実がどうとか言ってたが...そのことか...) 」

キョン「 (ここでは精神科医にでもなるための勉強でもしてんのだろうか? それにこの状況に二人とも溶け込んでやがる) 」

キョン「 (俺だけ置き去りにして世界改変なんてとんでもないマネをしやがって) 」

 
12以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 11:41:28.39:5TspgyOz0

ハルヒか長門....どっちかの仕業だろう。 まぁ、どちらにしろ俺には情報が全くない。
この状況を打開するには現状を把握し。 俺が動かなきゃいけない。
今まであった二回ともそうだったからな。

俺が必死に状況の把握に努めていると、後ろの席の短髪が突然口を開く。

後ろの生徒「ねぇ、アンタ何してんのよ。 さっさとご飯買いに行きましょ?」

キョン「あ、あぁ」

後ろの生徒「今日は購買じゃなくて、学食にしとく? あ! でも今日はスペシャルホットドッグが購買に並ぶ日よね! ん~、悩むわ」

キョン「 (どうやらコイツと俺はこの世界では仲がイイようだな) 」

谷口「また御坂美琴と仲良くランチタイムですか! よっ! 御両人! 焼けるねっ!!」

国木田「いや~羨ましいよ、キョン」

美琴「なっ! ちっ、ちが..私達はそんなんじゃ.....そっそうよね!? キョン!?」アセアセ

キョン「御坂の言う通りだぞ谷口。 バカ言うな」

美琴「.......」

美琴「っ、ったく、あのバカはほっといてさっさとご飯行きましょ」

 
13以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 11:44:37.05:5TspgyOz0

俺は決めた。
まずは怪しまれないように注意して、この御坂ってヤツから情報を得よう。
と、その前にこいつは俺の事を年上だと言っていたな...。 それなのに同じ教室で授業を受けてんのはなぜだ。
.....まぁ、答えは簡単だ。 こいつの成績がずば抜けていいからに違いない。

キョン「なぁ御坂。 お前って頭いいよな、年上の俺と同じ授業受けてんだからさ」

御坂「いきなり何言い出すのよ。 そんなの当り前じゃない、わたしは中二だけどレベル5よ? 
    生徒個人個人のレベルに合わせて常盤台はカリキュラムを受ける決まりなんだから」

こいつ中学生だったのか...って事はここは中高一貫教育の進学校? 
それにレベル5?...そうか。 十段階で生徒を格付けして、それに合わせて授業を受けさせる。
大方そんなとこだろう。

御坂「ねぇ!?」

キョン「おわっ! なんだいきなり!?」

御坂「あんたさ、今日様子がおかしいわよ? めずらしくずっと真剣な顔してるし」

キョン「いやいや。 ただ、中二のお前と、高一の俺が仲良くすんのって少し変な感じがしてな」

御坂「......。 私はレベル5だから中二でも高等部クラスの授業を受けさせられるから仕方ないじゃない。
    それで、たまたまアンタがわたしの前の席が多いから必然的に話すようになったんだから.....」

 
15以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 11:49:01.45:5TspgyOz0

御坂「それともあんた.....わたしと仲良くすんのイヤ?」

キョン「別にイヤじゃないけど、ただなんか不思議に思ってだな...」

御坂「.....そう。 まぁアンタは巨乳でグラマ~な女が好きみたいだしね....」

御坂「この...!......へんたい男!!」

キョン「なんでいきなり突っかかってくんだよ」

御坂「ばーーーーーーか!!」

ムスッとした面持ちのまま、短髪中学生...もとい御坂美琴は突然走り出した

御坂「 (なんでいきなり突っかかってくんだよ....か) 」

御坂「 (なんでだろ.....?) 」

キョン「おい! 待てよ!」

御坂「ふんっ! わたしが先にスペシャルホットドッグを食べるんだから!」

キョン「そうはさせねーぞ!」

 
16以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 11:50:18.81:5TspgyOz0

御坂「 (なんでだろ.....なんでわたしはコイツのことになると、こんなにムキになるんだろ....) 」

御坂か.....なんかコイツといると異世界に飛ばされてきちまったって悩みも吹っ飛んじまいそうだ。
正直楽しいし。 ちょっとコイツを知りたいって思っちまう。
俺の妹も中学生くらいになると、こーなるのかな。

キョン「 (妹が二人できた気分だ) 」

 
17以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 11:53:20.62:5TspgyOz0

黒子「失礼しますわ」

国木田「あ、白井さん」

谷口「げっ」

黒子「な~にが げっ ですの? 貴方昨日無断で活動をサボってどこをほっつき歩いていらしたのかしら?」

谷口「たまにはイイじゃねーか」

黒子「ダメですわ。 今日は必ず来ること、よろしいですわね?」

谷口「おう。 わかったわかった。 だからさっさと帰ってくれ」

黒子「あら? 貴方がそんな物言いをするのなら、私は上にその旨報告させてもらいますよ?」

谷口「必ず行きます。 今日はサボりません」

国木田「ははは、さすがの谷口も白井さんには頭が上がらないね」

谷口「弱みを握られてるから仕方ねーだろ! 俺は無理やりコイツらにジャッジメントなんて金にもならねーことさせられてんだ」

黒子「ならしなくて結構ですわ。 とっとと高校を中退して、豚箱にでもお入りになれば済む事ですから」

 
18以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 11:54:27.88:5TspgyOz0

谷口「クソ...なんでこんな事になったんだ...」

国木田「キミが悪いんじゃないか谷口。 能力を悪用してのぞきばっかしてたんだからさ」

黒子「その通りですの。 本当は警察に突き出す予定でしたが、貴方の能力は性犯罪の抑止にも使える...
    だから、ジャッジメントに入るのを条件に無罪放免としてあげたんですの」

谷口「突き出されなかった事は感謝してるぜ? だけどよ! もーいいじゃねーか! お前の管轄エリアの性犯罪は、
    俺のおかげで激減したんだからな! もういいかげんに解放してくれ!」

黒子「性犯罪者の再犯率の高さは有名なお話ですわ。 貴方が完全に更生したとこちらが判断するまでジャッジメントで面倒を見させて
    いただきますの」

谷口「うぅ.....」

黒子「貴方の能力は犯罪を犯す事には勿論、抑止するにももってこい。 腐ってもレベル4だけはありますわね」

国木田「サーチングラバー...だっけ?」 クスッ

黒子「和名、卑猥探索.....ブフッ。 ......まったくもってはずかしい能力名ですこと」

国木田「全くだよ...自分の周囲で起こるエッチな事を探索できるなんて、僕ならぜったい自殺するね」 クスクス

 
19以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 11:55:24.39:5TspgyOz0

谷口「国木田...お前まで俺をバカにすんだな.....」

国木田「ま!まさか! そんなつもりじゃないんだ、誤解だよ谷口」

黒子「あら? 私なら自分のパーソナルリアリティの情けなさに落胆して間違いなく自殺を図りますわ」 ブークスクス

谷口「あーーーーーーーっうっせぇ!!!」

国木田「ハハハハハ」


谷口「くそぅ...あいつら昼間は散々バカにしやがって」

谷口「そこら辺をそのアホ面さげて、ブラブラして反応があったら教えて下さいまし! だと!?」

谷口「マジでイライラすんぜオセロの分際で.....今に見てろ.....とっととレベル5になって見返してやるぜ!」

谷口「.....ダメだ」

谷口「能力がレベル5クラスになっても、今よりよけいにバカにされるだけだ」

谷口「このまま俺はずっと変態探知機なんだろうか.....」

谷口「はぁ.....死にてぇ」

ビキ~~~~ン!

谷口「!?.....反応あり。 近いな」

 
20以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 11:56:12.51:5TspgyOz0

谷口「急いで黒子に連絡しねーと.....ん?」

谷口「ちょっと待て。 ここで俺が助けたらど~なる!?」

~~~~~~~~~~~~~~~~~

女「いやっ! やめてッ!!」

犯罪者「うるせぇぞ! おとなしくしねーと....」

谷口「おい。 そこまでだぜ」

犯罪者「あぁ!? なんだてm

谷口「せっ!」

        ガッ!

犯罪者「ぐはぁっ!」

 
21以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 11:58:20.59:5TspgyOz0

女「あっ! ありがとうございます! 凄いんですね...やっつけちゃった.....たった一撃で」

谷口「な~に、あなたの悲鳴を聞いていてもたってもいられなくてね」

女「カッコイイ///」

谷口「これも何かの縁.....お食事でも御一緒に、どうですか?」

~~~~~~~~~~~~~~~~~

谷口「名前? 谷口と申します。」

谷口「なーんてな! なーんてなっ!」

谷口「善は急げと昔の人は言った.....急ごう! 俺を待ってる人がいる!」

             ダッ!

 
23以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 11:59:30.85:5TspgyOz0

キョン「セブンスミストか、久しぶりだな」

美琴「へ? 一週間前にも付き合ってもらったじゃない」

俺は学校の外に出てみて驚愕する。
この世界の科学力は俺がいた世界の遥かに先を行っているようだ。

キョン「あぁ、そういやそうだったな」

美琴「やっぱアンタ今日変よ? さっきから目を丸くしてキョロキョロしたりもしてるし」

迂闊...。 隠しているつもりだったが上手くできてなかったらしい。
まぁ、できるはずがねーか。

キョン「変じゃないさ。 なんか改めてこの街を見渡してみると、色々驚く事があってだな...」

美琴「ふ~~ん」

キョン「 (たしかセブンスミスト...) やっと着いたな」

美琴「うん! ついた! (今日はゲコタのセブンスミスト限定バージョン発売日!!!) 」

 
24以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 12:00:54.16:5TspgyOz0

キョン「なんかウキウキしてるけど、何を買いに来たんだ?」

美琴「ふぇ!? (ゲコタのぬいぐるみなんて言ったら、コイツに子供だと思われちゃう...!!) 」

美琴「え、えぇ...も、もうすぐ夏だし水着を新調しようかと思って!」

キョン「今のお前の反応も随分と変だぞ」

美琴「おっ、大人なオンナには聞かれたくない事もあんの!」

美琴「そうそう、ちょっと別行動しましょ?」

キョン「なんでわざわざ?」

美琴「いや~~、水着選びに男のアンタを付き合わせるのはさ、ちょっとアレかなって思って!」

キョン「確かに入りづらいな、いいぞ。 じゃあ俺は適当にブラブラしてくるから....ん? アイツは.....」

美琴「谷口じゃん」

キョン「なんでまた血相変えて全力疾走してんだ?」

美琴「事件...かしら? 後を追うわよ!」

      ダッ!

キョン「事件!? おい! ちょっと待てよ!」

         ダッ!

 
25以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 12:02:07.10:5TspgyOz0

谷口「この角を曲がった路地裏...!」

女「いやっ! やめてッ!!」

犯罪者「うるせぇぞ! おとなしくしねーと....」

     ザッ!

犯罪者「ん?」

谷口「そこまでだ変態野郎.....」

犯罪者「ちっ! これからイイとこだってのに...何モンだ!?」

谷口「へっ.....」
 
        ダダッ!

谷口「.......ジャッジメントだ!!」

犯罪者「ちっ! くるならきやがれ!」

谷口「おらぁっ!」 スカッ...

谷口「え?」

     ガッ!

谷口「ぐふぉっ!」

 
26以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 12:06:13.27:5TspgyOz0

犯罪者「ったくビビらせやがって.....。 とんだザコじゃねーか」 パンパン

谷口「げほっ! げほっ!」

谷口「 (骨逝った! ぜってー骨逝った!) 」

犯罪者「腹に一発入れただけでコレかよ? ジャッジメント様にしちゃ、驚くぐれーよえーな」 グイ...

犯罪者「次はその情けないツラにストレート.....お楽しみを邪魔した罰だ。 全力で行くぜ?」

犯罪者「覚悟しな!」

谷口「 (殺される!!!) 」

      ガシッ.....!

谷口「え.....?」

犯罪者「てめぇ! いつの間に!?」

 
28以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 12:24:31.97:5TspgyOz0

古泉「んふっ。 通りすがりのジャッジメント、古泉と申します」

谷口「ジャッジメント...?」

古泉「えぇ。 本日づけでこちらの支部に配属になった者です」

古泉「貴方のその腕章...。 僕の先輩にあたる方ですね」

古泉「先輩はそこで後輩の初仕事を見守っていて下さい...」

犯罪者「さっきから俺の腕を掴んだままゴチャゴチャ内輪話しやがって!!」

谷口「おい! そいつツエーから気をつけろ! かなり喧嘩慣れしてやがる!」

古泉「フフ、それは怖いですね」

犯罪者「くらえ!」

古泉「......んっ」 サラリ

犯罪者「へ?」

古泉「もふっ!」 ガッ.....

犯罪者「なッ.....!?」

 
29以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 12:27:23.06:5TspgyOz0

谷口「左手で軽く払ったような手刀で...一撃!」

古泉「申し訳ない。 こう見えて多少武術をかじっているもので...」

被害者「 (カッコイイ///) 」

古泉「それよりお二人とも、お怪我はありませんか?」

谷口「あ、あぁこれくらい俺にとってはなんとm 

被害者「は! はいっ!///」

古泉「それは良かった」 ニコ...

被害者「あの...もし良かったら番号交換して下さい!」

古泉「え?」

被害者「私っ! すっごいおいしいレストラン知ってるんです! 良かったらぜひご一緒に!」

古泉「フフ...僕で良ければ喜んで」

被害者「本当ですかっ!? 嬉しいですっ!!」

 
30以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 12:28:12.64:5TspgyOz0

谷口「けっ」

谷口「 (こんなヤツが俺の後輩だと? いけすかねぇヤローだぜ) 」


美琴「あ、あそこ!」

キョン「谷口!」

谷口「キョン!? それに御坂まで!」

キョン「お前が血相変えて走っていくのが見えたもんでな...後を追ってここまで来たんだ」

古泉「.....!」

美琴「やっぱり何か事件だったのね...これ谷口、アンタがやったの?」

谷口「うぅ...俺はブザマにやられてたさ。 やったのはコイツだ、ジャッジメントの新人らしい」

キョン「 (???) 」

古泉「初めまして。 古泉一樹と申します」 

キョン「 (古泉!!!) 」

 
31以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 12:31:12.26:5TspgyOz0

キョン「おい古泉! お前ジャッジメントなんて入ってたのか!? それより、お前...他の皆がどこ行ったか知らねーか!?」 

古泉「........」 

キョン「ハルヒ達は一体どこに!? もしかしてsos団でここへ来たのは俺と古泉の二人だけなのか!?」 

古泉「.............」

美琴「はるひって.....アイツが学校で寝ぼけてた時に言ってたアレかしら?」

美琴「 「はるひ達」って事はアレは人の名前だったの?」

谷口「えすおーえす団.....?」

古泉「......................」

キョン「なんで黙ってんだよ!? なんとか言えよ!?」

古泉「...........コホン」

古泉「何かのジョーダンのおつもりでしたら申し訳ありません...せめて名前くらいは名乗っていただけますか?」

キョン「な...!? (こいつ、まさか!?) 」

 
33以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 12:35:03.79:5TspgyOz0

知らない!? いや、正確に言えば記憶を改変されていると表現した方が正しいか.....。
ハルヒが消失した、あの長門のバグ事件の時のように今回も俺を除いた全員の記憶が、この世界に合わせて変えられちまってる。
谷口、国木田、古泉.....おそらくこの世界に来ているはずの朝比奈さん、長門.....そしてハルヒも。
記憶がそのままなのは俺だけなのか!?.........

くそっ.....!


キョン「ハハハ!....。 お前に似てるヤツを知っているモンで少しボケてみたんだ、派手に滑っちまって悪かったな」

古泉「フフフ、こちらこそボケに乗れず申し訳ありませんでした」

どうする!? ここで話しをしちまうか!? だが、以前の世界改変の時、コイツは俺の話に耳を貸さなかった...。
古泉だけじゃなく、世界を変えられてる事に皆が信じちゃくれなかった.....。 ハルヒ以外は。

それに今俺達がいる場所は改変された世界じゃない気がする...おそらく、全く別の異世界!
って事は、ハルヒに対してあの言葉「ジョン・スミス」も意味をなさない...古泉のように記憶改変がかかってんならな。

どうすればいい? どうすれば!?

いや落ち着け。

焦っても仕方ない...状況を悪化させるだけだ。

 
34以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 12:36:04.27:5TspgyOz0

キョン「 (ここはできるだけ自然に流して終わろう) 」

キョン「 (古泉に会えただけでも良しとするべきだ) 」


キョン「つっかれたー!」

美琴「突然だけど質問いい?」

キョン「なっ、なんだいきなり?」

美琴「アンタさ...何か私に隠してるわよね?」

キョン「...い、いいや何も隠してなんてないぞ」

美琴「ウソ...。 あんたはあんなボケするキャラじゃない。 それに不自然すぎたわ」

美琴「古泉ってのは一体何者? えすおーえす団って?」

キョン「 (完全に怪しまれてる!...) 

 
35以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 12:40:36.68:5TspgyOz0

美琴「 「ここへ来たのは俺達だけか?」ってどーゆー意味? それに...はるひって一体だれ? 女の子よね?」

キョン「.............くっ」

キョン「 (たとえこの場を切り抜けたとしても、次も上手くやる自信はない) 」

キョン「 (全てを隠し通すのは無理...それに、これから俺はコイツを使ってこの世界の情報を得ないと.....) 」

キョン「 (そうだ) 
          (多少無理があるが) 」

キョン「 (こうすれば俺がこの世界について知らない事も辻褄が合う...。 古泉の事も記憶がゴチャついてたって事で説明が効く) 」 

美琴「ねぇ...答えてよ!?」

キョン「.......分かった。 お前だから話す、聞いてくれるか?」

美琴「......うん」

キョン「俺な...実は昼から記憶が頭の中でゴチャついてる.....世の中の事も.....クラスの友達の事も......」

キョン「黙ってて悪かった、だが分かって欲しい...俺自信、内心パ二くってんだ...自分の事も良くわかんないしな」

美琴「え......」

キョン「おそらくだが、記憶喪失に似たヤツだろうな。 原因は不明だが....」

 
37以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 12:43:46.85:5TspgyOz0

美琴「........な~んだ」


キョン「......へ?」

美琴「そんな事だったの?」

御事「それならさ! 早く記憶が元に戻るように、アンタが行った事のある所へたくさん遊びに行きましょ」

キョン「え?」

美琴「そうすれば記憶が戻るかもしれないよね!?」

キョン「.....」

美琴「たとえ戻らなかったとしても、また新しく覚えていけばいい、記憶を正していけばいい!!」

キョン「 (御坂.....) 」

美琴「ねぇ、この質問にも正直に答えてね?」

キョン「あぁ」

美琴「アンタさ...記憶がおかしいって言ってたけど.....。 それってわたしの事も.....よね?」

キョン「........すまんがそうだ」

 
38以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 12:45:13.81:5TspgyOz0

美琴「.....はは....あったりまえよね! わたしの記憶だけはっきりしてるなんて、そんな虫のいい話ないわよね!」

一瞬、御坂の表情が曇った.....そんな気がした。

キョン「御坂.....」

美琴「なに?.....」

キョン「またもう一度...」

キョン「もう一度お前の事を教えてくれないか? 知りたいんだ.....お前の事」

美琴「.......」

キョン「もう二度と忘れねーからさ」

美琴「 (バカ///) 」


それから、俺はこの学園都市の事を聞いた。

変わった世界だとは思っていたが。 まさかここまで。 
とんでもない世界に飛ばされてきているなんて。 思いもしなかった。

 
39以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 12:46:28.42:5TspgyOz0

美琴「開いた口がふさがらないって、まさに今のアンタのためにある言葉ね」

キョン「.......」

美琴「私も学園都市に初めて来たときは、今のアンタみたいな顔してたっけ」

キョン「そうなのか?」

美琴「うん...。 でも大丈夫よ。 今まで、ここで暮らしてきたんだから.....またすぐ慣れる」

美琴「それまで.....ちゃんと、相手してあげるから」

キョン「ありがとな」

美琴「そっ、そ。 その後も.....ちゃんと相手....してあげるから」

キョン「ありがとう。 助かるよ」

美琴「だからアンタもわたしの相手..... (ダメだ、言えない....) 」

 
40以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 12:47:33.17:5TspgyOz0

キョン「 ? 」

美琴「.......」

キョン「さて、もう日も暮れたし帰ろうか? お前寮なら門限厳しいだろ?」

美琴「 ....あ そ..そうね。 帰りましょっか」

キョン「じゃあ、俺はこっちだから.....って、俺の家どっちだっけ?」

美琴「......バカ」

キョン「なぁ...悪いけど....」

美琴「わかってるわよ、自分の家がわかんないんでしょ」

キョン「何からなにまでスマンな」

美琴「別にアンタの家と寮まですぐ近くだし、お礼なんていいわよ。 ついでだしね」

美琴「じゃあ、行きましょ」

 
41以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 12:50:53.39:5TspgyOz0

アレイスター「土御門..........お前は何が起こっていると思う?」

土御門「さぁな.....俺にはお前の言っている事がさっぱり理解できねーよ」

アレイスター「お前の記憶も「改変」されているのか」

土御門「 「改変」ねー。 言っておくが、お前が名前を挙げた内の一人、長門ってオンナの記憶は俺が以前から保有しているモンだにゃー」

アレイスター「だが長門有希....本日11時まではその女子生徒はこの学園都市に存在しなかった」

土御門「おいおいアレイスター、いいか? データベースにもアイツらの名前はあったし、
     お前を除いて誰一人、怪しんでるヤツなんていやしねー。 だいたいそんな 「改変」 なんてできるワケねーだろ」

アレイスター「確かにこのような事象は、どんなに超規模の魔術でも実行不可能」

土御門「なら、お前の勘違い。 って事じゃねーの?」

アレイスター「違う。 現実にこうして存在しなかったはずの人間がこの世界にやってきている.....そして」

アレイスター「貴様も記憶を失くしているようだが「幻想殺し」が上条当麻から消失している.....それは確定的事実だ」

 
42以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 12:52:05.06:5TspgyOz0

土御門「なぜだ? その発言に根拠はあんだろーな? しかも幻想殺しなんて存在するかも分からん能力じゃねーのかよ...」

アレイスター「.....ヤツらがやって来る直前、私は確かに観測した」

土御門「...なにをだ?」

アレイスター「大きな情報の奔流。 それが一瞬で世界を包み込もうとした事を.....!」

土御門「.....!?」

アレイスター「私はそれに対し、対抗策となる術式を展開したが、突き崩せたのはほんの7%だった....」

アレイスター「残りの93%は世界を飲み込み、気づいた時には「改変」は終わっていた」

 
43以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 12:54:28.02:5TspgyOz0

土御門「ならば、その「改変」とやらは不完全って事か?」

アレイスター「そういう事だ....ただ。 その不完全部分の7%、中身は全くもって不明だがな」

土御門「そこまでお前が言うなら信じてやる。「改変」とやらが実際に起きたとな。 だがその目的はなんだ? 誰が起こした事だ?」

アレイスター「目的など私にも分からん。 だからお前を呼んだんだよ.....土御門

土御門「調査しろってことだな.....、オーケー。 何か情報を得たら報告する。 これでいいか?」

アレイスター「あぁ....。 頼んだぞ土御門。 お前の働きに期待している」

 
44以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 12:55:23.10:5TspgyOz0

キョン「ふぁああ.....。 眠ぃ」

妹「キョンくん、いってらっしゃい!」

キョン「おお、行ってくる」

一般庶民まるだしの家が、とんでもない豪邸に変わってはいたが。
親父、おふくろ、妹。 ここは俺が見知った顔だった。
その妹の聞き慣れた声に背中を押されて、地図を片手に学校まで歩きだす。
昨日の御坂の話で分かったが、俺が在籍している常盤台ってのはかなりの名門校らしく、
そこそこの家柄の子供じゃなけりゃ入学できないらしい。

そして俺が暮らしている学園都市ってのは、学生の超能力とかいう胡散臭いモンを開発しているらしい。
で、その超能力ってのはレベル0~レベル5まであって、最高レベルの5はこの学園都市に10人もいないそうだ。
そんでもって、御坂はそのレベル5ってのの一人らしい。
何ができるかは知らんが、都市全体で超能力開発に力を注いでんだ。 
テレビで見てた手品師を凌駕するトリックができるんだろう。

 
45以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 12:56:18.94:5TspgyOz0

ガラガラ

キョン「よぉ谷口。昨日は災難だったな」

谷口「今度は勝てそうにないって判断したら、白井に電話する事にした」

キョン「こりねーなお前も」

谷口「無給で仕事させられてんだ、彼女作るチャンス位作ってもバチはあたるもんか」

キョン「ごもっともだな。 でもお前ケンカなんて慣れてないだろ、気をつけろよ」

谷口「おお、サンキュ~な」

キョン「お。 御坂。 昨日はありがとうな」

美琴「おはよ...いいわよ、お礼なんて」

キョン「そういや、お前ホームルームもここでやんのか?」 ボソボソ

美琴「ここは中高関係なく、年齢と成績を考慮してクラスとカリキュラムを分けてんのよ」 ボソボソ

キョン「そーだったんだな」 ボソボソ

 
46以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 12:57:09.84:5TspgyOz0

国木田「おやおや、キョンと御坂さんは朝から見せつけてくれるね。 もう付き合ったら?」

美琴「きっ、昨日も言ったけど、わたし達はそんな関係じゃないのっ!」

キョン「御坂の言うとーりだ国木田。 俺と御坂は兄妹みたいなもんだ」

美琴「.....えっ」

キョン「ん、どうかしたか御坂?」

美琴「なっ!なんでアンタなんかと兄妹なのよ! わたしはアンタみたいなお兄ちゃんなんて、せっっったいイヤよ!」

美琴「 (なんでアイツにガキあつかいされなきゃいけないのよ.....! イヤよ妹なんて.....!) 」 

美琴「 (あ...そうだっ! 今日はお姉さんっぽく接してみよう。 そしたら少しは対等に見てくれるかも...) 」

美琴「フフ、キョン。 担当の教師が来るまで、昨日の授業で分からなかった事とか教えてあげようか?」

キョン「なんだ突然。 いいよ別に」

美琴「そんな事言わないの...。 さっ、教科書開いて? おしえてあげる.....」

キョン「 (いきなりどうしちまったんだ? なんか気持ち悪いんだが.....) 」

 
47以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 12:57:54.34:5TspgyOz0

御坂の特別授業が始まろうとした矢先、教師がドアを開けて入ってくる。 ナイスタイミングだ。
だが。
授業が終わり休み時間に入っても、話し方や素振りは昨日までのコイツとはかけ離ていて、とにかく様子がおかしい。
俺は困惑したまま放課後を迎える事となる......。

美琴「さぁ、キョン。 帰りましょうか?」

キョン「あ...あぁ、悪いけど病院行くんだ。 先、帰っててくれ」

美琴「え.....?」

キョン「じゃあな」

美琴「 (.........行っちゃった) 」

美琴「 (それに病院? 具合悪いならわたしも付き添ってあげればよかった.....) 」


キョン「文芸部室は......」

キョン「.....ここだな」

 
48以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 12:58:35.64:5TspgyOz0

俺ははやる気持ちを抑え、落ち着いてドアをノックする。

        コンコン.....

  「どうぞ」 と。
予想通り、馴染みのある声がした。

キョン「失礼します」

眼鏡をかけて本を読む生徒「........」

キョン「ここにいるのはあなただけですか?」

俺の他人行儀な言葉に対して。
その生徒は「そう」とだけ答えた。

本当ならすぐに、元の世界に戻る手段はないか飛びつくところだが。
昨日逢った古泉は記憶を変えられていた。
だから、この長門も同じかもしれない。
俺はその最悪なケースを想定し。
この長門とは初対面だと頭に言い聞かせ.....会話を続ける。

 
49以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 12:59:32.32:5TspgyOz0

キョン「突然すいません。ちょっと文芸部に興味があって来てみました」

眼鏡をかけて本を読む生徒「.....そう」

キョン「あなた名前は?」

その生徒は不思議そうに首をかしげて、こう答える。

眼鏡をかけて本を読む生徒「??.....長門有希」

ここまでは予定通りのやりとり。
俺は授業中に改変の有無をどうやって自然に確認するかを考えてきていた。
この質問なら 「いつから文芸部に入っているのか?」 これならば。
たとえ改変されていなくても、その後にしこりを残さずやり取りができる。

しかし。
俺が口を開こうとした直後。
長門の唇が優しく動く.....

長門「私は以前の世界の記憶を保持したまま、こちらに来ている.....安心して」

次の瞬間、俺は無意識に長門の肩を掴んだ。

 
50以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 13:00:33.73:5TspgyOz0

長門「落ち着いて」

キョン「これが落ち着いてられっか! もし...長門まで記憶が変えられてたら、どうしようかと思ってたんだ!」

長門「確かに私は記憶はそのまま。 だけど、今は情報統合思念体との連結が断たれた状態にある」

キョン「って事は!.....」

長門「今の私は以前の様に、元の世界に帰還する手段を模索する術はない。 この世界に来て付与された「超能力」と呼ばれる
    力以外は一般的に存在する女子生徒となんら変わりはない」

キョン「なんてこった.....頼みの綱の長門が........」

長門「落ち込まないで。 まずは状況の整理.....それを、すべき」

キョン「状況の整理?.....とっくにできてると思うが」

長門「あなたはこの世界改変の原因をどう考えているの?」

キョン「.....起こり? この世界がなぜできたかって事か。 さぁ.....なぜだろうな」

長門「おもいだして。 一回目の世界改変は涼宮ハルヒが起こした」

キョン「あぁ...。 思い出したくもない白雪姫の一件か」

 
51以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 13:01:42.42:5TspgyOz0

長門「二回目の世界改変は私のバグが原因で起きた」

キョン「そういやそんな事もあったな」

長門「では。 今回は?」

キョン「ハルヒだろ? ただのカンだがそんな気がする」

長門「今回は私に原因はない。 それに、私が世界改変が起きたと気づくほんの数秒前に。涼宮ハルヒから大きな情報の奔流を観測している」

キョン「じゃあハルヒの仕業なのか.....。 だが一体何のためにこんな事を?」

長門「わからない.....。けど、彼女なりの願望が作用した結果だと私は考える」

長門「だけど、その願望に私は違和感を感じる」

長門「涼宮ハルヒが以前、閉鎖空間と現実空間を入れ替えようとした時、あなたは涼宮ハルヒの傍にいた。 しかも二人きりで...」

キョン「 (そういやそうだな...) 」

長門「だけど今回、あなたの傍に涼宮ハルヒはいない。 彼女が世界改変を行ったのなら、それは彼女の願いとは合致しないはず」

キョン「アイツが俺の傍にいたいって思わなかっただけだろ」

長門「それはない。 私は断言できる.....」

長門が真っすぐな瞳でこちらを見据え、そう言い放つ。
だがそう断言するのなら、おかしい事が一つある

 
52以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 13:02:22.78:5TspgyOz0

キョン「ちょっと待て長門。 大きな矛盾がある発言をした事にきづいているか?」

長門「そう。 その矛盾.....涼宮ハルヒが原因とするなら、願望と結果が合致していない」

長門「彼女が原因なのも間違いない。 彼女があなたといたいと願ったのも間違いない。 ならばこの結果に至ったのはなぜか」

キョン「なぜかって言われてもなぁ.....」

長門「私も分からないから聞いてみた」

キョン「聞かれてもなぁ.....」

長門「.........そう」

キョン「とりあえず」

長門「 ? 」

キョン「ハルヒを探すか」

長門「そう。 さがーーーす」

キョン「 は ? 」

 
53以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 13:03:05.88:5TspgyOz0

キョン「探すとはいったものの」

長門「.......」

キョン「どこを探せばいいのやら」

長門「.......」

キョン「手がかりゼロで街をぶらついてもなぁ」

長門「.......」

キョン「おい長門。 なんか反応してくれ」

長門「......あれ」

キョン「?」

長門「あれ、同じ高校の」

キョン「谷口じゃねぇか...。 ニヤニヤ+全力疾走してやがる...。 まさか.....」

長門「どうかしたの?」

キョン「長門事件だ! 急ぐぞ!!」

長門「? わかった」

      ダダダダッ!

 
54以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 13:03:47.60:5TspgyOz0

キョン「あいつぜってーまた同じ事繰り返す気だ!」はぁはぁ

長門「同じこと?」

キョン「あぁ! 後で説明する! とにかく今は走れ!」

長門「分かった」

        ザッ!

キョン「いた!」

谷口「ジャッジメントだ! おとなしくしたが身のためだぜっ!!」 ビシッ!

長門「彼を見なおした」

キョン「まぁ.....いいことしてんのは確かだが、動機がなぁ.....」

犯人「あぁ!?」

犯人B「なんだてめぇ!」

谷口「ろっ! ろくにん!!!」

キョン「 (びびってる) 」

 
56以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 13:06:36.29:5TspgyOz0

長門「せん滅する.....許可を」

キョン「せん滅ってお前.....まぁいいけど」

長門が構えをとった時に、被害者の女がかんだかい声で叫ぶ。
「あ~~~もうっ!! わたしムッッッッッゥチャいらいらしてるのにっ!!」 と.....!
犯人に囲まれ姿までは見えなかったが.....
その声の主はハルヒ。
まちがいない。

ハルヒ「なんかね.....昨日の昼からむしゃくしゃしてんの! 何かが思い通りにならなかった気がするの!!」

ハルヒ「だから、憂さ晴らしに付き合ってもらうわよっ!!」

犯人C「何言ってやがんだこのオンナ!」

ハルヒ「先にケンカ売って来たのはアンタ達なんだからね?.....覚悟しなさい!!」


その瞬間、直感でヤバイと。 そう思った。
バックステップでその場から下がる。

長門「 ! 」

ワンテンポ遅れて長門も下がる。

 
57以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 13:09:04.06:5TspgyOz0

犯人「体が動かねぇ....! てめぇ...能力者か!!」

ハルヒ「そうよ。 オンナだからってナメるから、こうなるのよ」

キョン「おい長門! 一体ハルヒは何をしたんだ!?」

長門「分からない.....。 だけど涼宮ハルヒが高位能力者だというのは確実....!」

キョン「言ってる意味がわかんねーよ! 能力ってのは、手品みてーなもんじゃねーのか!? mr.マリックとか! そんな感じの!」

長門「違う。 戦闘から心理操作系統まで、多種多様の種類がある.....!」

キョン「はぁ!?」

長門「その中でも涼宮ハルヒの能力はおそらく異質! まきぞいになる前に離れた方がいい.....!」


ハルヒ「さ~~てと。 どのサンドバッグにしようかしら?」

ハルヒが両手をプラプラさせながら、一番ガタイのいい大男の前で立ち止まる。

 
58以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 13:09:45.98:5TspgyOz0

ハルヒ「よっと!」 ガッ!

犯人「うっ!」

ハルヒ「せいやっ! ほいせっ! そ~~~れっ!!」 ガッ、ガッ、ドガッ!

犯人「......っう」

ハルヒ「やっぱ」

ハルヒ「抵抗しない人間をいたぶっても楽しくないわ」

犯人「体が動く...?」

ハルヒ「まとめて相手してあげるから、かかってきなさい?」

ハルヒが両手にバスケットボールの3倍はあるだろう、火の塊を持ち、微笑とともにそう告げる。
それを見た、犯人全員にさっきまでの威勢はない。 
一斉に逃げ出すかと思ったが、今度は腰が抜けて動けないようだ...。

ハルヒ「じゃあ、あんたからっ!」 ゴォッ!

 
60以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 13:11:11.82:5TspgyOz0

火の塊が犯人の一人に向って迫る!
あんなん喰らえば、人間の丸焼きが一つできあがっちまう! やりすぎだ!!

キョン「くそっ!」 ダッ!

ハルヒ「 ? 」

防ぐ手段なんて思いつかないが、俺は飛び出した。
犯人を救うため? それもあるかもしれんが、一番は.....。
お前を犯罪者なんざにしたくねぇんだよ! ハルヒ!!

迫る! 火の燃え盛る音がでかくなる!

  スッ―――

長門「わたしに任せて」

その声は迫る火音をかき消すかのように、俺の鼓膜に優しく響いた。
長門はいつの間にか持っていた、ハードカバーのページを開き。
一文を、か細い指でなぞる。

その瞬間!


氷の盾が眼前に形成され、迫るソレを難なく防ぐ!

 
62以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 13:12:19.83:5TspgyOz0

キョン「助かった......」 ホッ

長門「いきなり飛び出すのは危険、本がスムーズにバッグから出せなかったら間にあわなかった」

長門が手に持っている本は、題名すらないまっ白いハードカバー。
どんな原理であんな魔法みてーな事をやったか気になったが、今はおいておこう。
俺は長門からハルヒに目線を戻す。

ハルヒに吹き出しをつけるなら、クエスチョンマークが三個といった感じだ。
それは、長門の人間離れしたチカラに驚いた顔じゃなくて、「いきなり何よアンタ達?」って意味の疑問符だろう。

古泉と同じように記憶が消えてんだな、お前も。

ってそれより、こいつを叱らないと....。
とりあえず、ただ己のイライラをぶつけようとしたハルヒを怒鳴りつける。

キョン「被害者側だろうが、正当防衛にしちゃやり過ぎだろ? もうあいつら完全にビビってたじゃねぇか」

 
64以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 13:13:18.69:5TspgyOz0

ハルヒ「っ! なによいきなり善人気取りしてんのっ!? バッカみたい!」

キョン「じゃああのまま、アイツらが殺されんのを黙って見てろとでも言うのかよ!?」

ハルヒ「殺す気なんてサラサラ無かったわよ! 直撃する直前に反らすつもりだったの!」

キョン「なら最初からそう言え!」

ハルヒ「はぁ!? 言っちゃったら楽しくないじゃないのっ! てか! なんかアンタの顔見てるとイライラすんだけど!」

キョン「なんで俺の顔を見てるとイライラすんだよ!? まぁ俺もお前の顔見てると不愉快になるんだがな」

ハルヒ「なんでか知んないけど、昨日の昼からのイライラはアンタが原因な気がする...! 何かが思い通りになってないの!!」

キョン「はぁ!?」

ハルヒ「アンタ。 わたしとどっかで逢った事ある?」

キョン「 (記憶のどこかで、コイツは俺の事を覚えているのか!?) 」

ハルヒ「初対面じゃないわ。 ただのカンだけど、間違いない。 言いきれるの!」

 
66以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 13:15:45.88:5TspgyOz0

キョン「 (ここで.....) 」

もしコイツに俺と長門は同じ部活の仲間だとか、お前はこの世界の人間じゃないとか言っちまったらどうなる!?
おそらく無駄な混乱を生むだけだ。
ハルヒは無意識レベルで、俺の事を覚えている。
だから余計に下手な刺激は与えない方がいい。

キョン「勘違いだろ、初めて逢うぜお前とは」

ハルヒ「そう.....なの?」

キョン「あぁ、そうだろ。 多分な」

ハルヒ「多分?」

キョン「あぁ、多分だ.....。 ってお前名前は?」

ハルヒ「ハルヒ.....涼宮ハルヒ」

キョン「ハハ、変わった名前だな」

ハルヒ「あんたは?」

キョン「キョンだ」

ハルヒ「あんたの方がよっぽど変じゃない」

キョン「あぁ、そうかもな」

 
72以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 14:04:10.27:5TspgyOz0

ハルヒ「ねぇ、キョン.....。 アンタとはまた、逢う気がする.....」

キョン「ちょうど、俺もそんな気がしてた所だ」

ハルヒ「変な事聞くけど....そっ、そのコ...彼女?」

キョン「あぁコイツか。 同じ部活の仲間だ、そんなんじゃない」

ハルヒ「そっ、そうなの.....」

キョン「じゃあ、またな。 行こうぜ長門」

 
73以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 14:05:26.25:5TspgyOz0

ハルヒ「もう行くの? わたし、その.....今ヒマしてるからもっ、もうちょっと......」

キョン「悪いけど、今俺達どうしてもやらなきゃいけねー事があるんだ」

ハルヒ「忙しいのにムリ言って悪かったわ.....ゴメン」

キョン「気にすんな。 それに、また必ず逢うさ。 そん時にゆっくり話そう」

ハルヒ「う....うん。 必ずよ、絶対ねっ!!」

キョン「おう」

ハルヒ「.......」

キョン「じゃあ長門.....行こう」

長門「もういいの?」

キョン「いいんだ、今日はこれで」

ハルヒ「...........」

 
74以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 14:07:00.23:5TspgyOz0

正直もっとハルヒと話したかったけど、今はそんな場合じゃない。
それにすぐ逢えるさ...次は元の世界で。

今は帰還する方法を見つけるのが先だ。


と思ったものの、打つ手なし、それが現状だった。
頼みのハルヒがあの調子で、俺達は何をしていいか分からなくなってしまった。
明案はないか長門に聞いても、首をかしげるだけ。
とりあえず今日は解散すっかな.....

「なにしてんの?」

キョン「唐突な質問だな長門、俺もお前と同じく途方にくれてたんだ.....」

「わたしは長門じゃないんだけど.....」

キョン「うわぁっ!」

美琴「病院じゃなくてデートだったの....ふ~~~ん」

キョン「自然に輪に入ってくんな! 気づかなかったじゃねーか!」

美琴「あんたがボケ~っとしてるからよ! それより、デートしてたのは否定しないんだ.....」

 
75以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 14:09:38.01:5TspgyOz0

キョン「デートなわけあるか! そうだよな長門!?」

長門「.....わたしは、一般的に男女が徘徊する事はデートと解釈している」

美琴「ほらデートじゃないの! わたしには内緒で知らないオンナのコとっ....!」 バチッ!

キョン「長門ぉ!? ちっ、ちがう! ってか、バチッって何!?」

美琴「 まっ、まぁ.....わたしはアンタの彼氏でもなんでもないんだしっ....アンタなんかどーでもいーんだけどさっ!」 バチバチッ!

キョン「 (はっ! 能力か...そういやコイツたしか.....) 」

美琴「わたしに病院に行くなんてウソついた罰よ......! おとなしく喰らいなさいっ!!」 バチッ! バチバチッ!

キョン「レベル、ファー―――――イブ!!」 

       ドッゴォォォォォォオオオオッン!!!

キョン「ひっ.....ひいいいいっ!」

美琴「なんで避けるのっ!? おとなしく喰らいなさいって言ったでしょっ!」

キョン「あんな落雷みてーなのを、おとなしく喰らえだとぉ!? 殺す気かっ!?」

美琴「えぇ、そう。 殺す気よ。 アンタなんか死んでしまえばいいの!」

キョン「ひっ!」

長門「異世界でも旗立てる....」ボソリ

 
76以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 14:14:10.69:5TspgyOz0

キョン「お前もつっ立ってないでなんとか言ってくれ!」

長門「わたしはすーぱーへ行かなければならない。 帰る」

キョン「うおーーーい!」

美琴「 「彼女」は帰ったみたいね? いいの追わなくて?」

キョン「だから違うって言ってんだろーが!」

美琴「言い訳は病院で聞いてあげる。 もしかしたら棺桶かもしれないけど.....!」バチッ、バチバチバチッ!!

キョン「ひーーーーっ! 落ち着け! 落ち着いてくれ御坂!」 がしっ!

美琴「なによ? ウソつきの汚い手でわたしに触れないでくれる?」

キョン「とにかく聞いてくれっ!!」

かくかくしかじかで.....俺はなんとか上手く御坂を説得する。
本気で死ぬかと思った。 レベル5.....恐ろしや。

美琴「病院行ったあとの帰り道でばったり知り合いの長門さんに会ったって、それを最初から言いなさいよ!」

キョン「お前が勝手に話を進めていったんじゃねぇか!」

美琴「...ごめん」 シュン

キョン「 (謝れると良心が痛む.....) 」

 
77以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 14:15:15.02:5TspgyOz0

美琴「.....ねぇ、あのさ」

キョン「どうしたんだ?」

美琴「長門さんの事なんだけど.....」 チラリ..

キョン「長門がどーかしたか? ってか、なんでうかない顔してんだよ?」

美琴「だって.....二人で仲よさそうだったし......あの長門さんって人、本当になんにもないの?」 

キョン「だーから、何にもないって、さっき言ったろ?」

美琴「......ほんと?」 

キョン「あぁ」

美琴「そっ、そうなの」 ほっ

キョン「でも、なんでお前はさっきから長門のことそんなに気にしてんだ?」

美琴「えっ!? かっ、かっ! 勘違いしないでよねっ!」

キョン「それでやけに怒って電撃ぶっ放すし....」

美琴「わたしはただ...ただ...」

美琴「アンタが病院に行くなんてウソをついてたと勘違いして怒ったの!」

 
79以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 14:17:15.27:5TspgyOz0

キョン「じゃあさっきはなんで落ち込んでたんだ?」

美琴「落ち込んでたのは.....そっ、その.....。 今日は.....」

キョン「今日は?」

美琴「今日は...」

美琴「アンタと一緒にホットドッグ...食べに行きたかったなって...思ってたから」

キョン「......へぇ」

美琴「落ち込んでたのは...それだけじゃないけど.....」 ボソッ

キョン「おし!」

美琴「ふぇ!?」 ビクッ

キョン「行くぞ! ホットドッグ!」

美琴「えっ? いいの?」

キョン「おう! 今日は俺がおごってやる! (こんな中学生に嘘ついた、せめてもの罪滅ぼしだ) 」

 
80以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 14:18:15.51:5TspgyOz0

美琴「さっきアンタにあんな事したのに....」 

キョン「気にすんなって!」 なでなで

美琴「 (あっ、コイツに頭なでられた) 」 ドキ

キョン「よし! 行こうぜ!」

美琴「 (わたし...。 コイツのこと...) 」 

キョン「 ? 」 ジーー

美琴「 へっ? 」 ドキッ!!

キョン「どーして今度はボケ~っとしてんだ?」 

美琴「しっ、してないっ! (顔近っ!) 」 プイッ

キョン「 (おかしなヤツ...) 」

美琴「さっ! 行きましょ!」 ドキドキ! 

 
81以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 14:19:26.48:5TspgyOz0

土御門「あれが侵略者か....。 さっきのやりとりを見る限り相当つえぇぞ、あの女二人は.....」

土御門「しかも優男の方は超電磁砲を仲間に引き入れてやがる.....」

土御門「まともに学園都市サイドで相手をすれば、こちらもかなりの痛手をおうニャー」

土御門「目には目を、侵略者には侵略者を」

土御門「アレイスターいわく、知らぬうちにコチラの参謀として機能していたっていう例の財閥。 にでも頼むとするか」

土御門「俺はずいぶん前から、ソイツを知ってんだがな」prrrrr


土御門「おい。 今いいか?」

電話口の女「えぇ。 何かしら」

土御門「仕事の依頼だ。 報酬は弾むぜ」

電話口の女「いくらかしら?」

 
85以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 15:00:53.23:5TspgyOz0

土御門「相手は7人。 一人頭三億だ」

電話口の女「予想以上ね....でもその額だと、相応の相手だと言う事よね?」

土御門「相手全員の力量ははっきりとは分からんが7人の内二人はかなりの手練だ。 いけるか?」

電話口の女「まぁ、問題ないと思うわ。 こちらには第四位がいるんだしね」

土御門「おいおい、殺すなよ? 上の命令は生かして捉えろとの事だ」

電話口の女「はいは~い。 わっかりましたぁ!」

土御門「用件はそれだけだ。 またなにかあればかける、じゃあな」

     ピッ.....

土御門「琴吹紬.....あいかわらず読めない女ぜよ」

 
87以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 15:04:57.26:5TspgyOz0

キョン「おっす国木田、どーしたんだよ深刻そうな顔して」

国木田「キョン...それが.......」

いつもマイペースで感情の起伏の少ない国木田が、珍しく落ち込んでいる。
女にでもフラれたのかと思ったが、国木田が出してきた名前はアホの谷口だった。
話の内容を聞いた俺は席から飛び上がる。

驚くのも当然。 
谷口と白井黒子がジャッジメントの活動中に何者かに襲われたらしい。

キョン「それで、谷口と白井さんは大丈夫なのか!?」

国木田「二人とも病院に入院してるよ、今日の朝アイツの親御さんに聞いた時は全治一カ月はかかるって...」

キョン「おおごとじゃねか.....」

国木田「うん。 でも白井さんの方は思いのほか傷が浅くて、二、三日中には退院できるらしいよ」

キョン「そいつは良かったが、谷口が心配だな」

国木田「白井さんの話によると、谷口が襲われてるのに気づいた彼女が助けに入ったそうなんだ」

国木田「相手は五人。 顔は暗かったからよく見えなかったらしいけど、声からすると全員女だろうって言ってた」

 
89以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 15:08:40.83:5TspgyOz0

キョン「相手は五人組の女って事以外はわかってねーのか...」

国木田「うん。 で、その内の二人の能力者に谷口と白井さんは襲われたらしい」

キョン「能力者か.....」

国木田「その能力者、あの白井さんを負かす位だから相当な使い手なんだろうね...」

国木田「谷口は置いといて、白井さんはレベル4...戦闘向きだって谷口から聞いた事がある」

キョン「しかし、その五人は一体なぜ谷口を狙ったんだ?」

国木田「わからない.....。 でも、相手は今回の様な事を生業にしてる可能性が高いって白井さんは言ってた」

キョン「はぁ!? プロって事か!?」

国木田「うん。 谷口は喉をつぶされて、負傷個所は人体の急所をあえて外したみたいだったって.....」

キョン「......!」

国木田「それに...白井さんが言う理由はそれだけじゃないんだ」

国木田「二人に助けが入った時、谷口は縛られてどこかに連れていかれる寸前だったらしいんだ」

キョン「拉致目的か.....。 アイツ、昔のぞきばっかやってたっては聞いたが、たかがのぞきでそこまで怨まれるもんか?」

 
90:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 15:09:43.56:LS6pwnr9O
けいおん混ぜてきたか・・・

 
92:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 15:13:22.55:OBfma2FjO
けいおんまで来るとは、ハルヒさんなにがしたいのよw

 
93以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 15:14:46.00:5TspgyOz0

国木田「僕もそう思うよキョン。 あっ.....」

キョン「おぉ、御坂」

美琴「........おはよう」

国木田「御坂さん、昨日は谷口を助けてくれてありがとうね」

キョン「はぁ!?」

美琴「お礼なんていいわよ。 二人とも怪我だけで済んで良かったわね」

キョン「助けたのって....お前か?」

美琴「そうよ? 犯人には逃げられたけどね...」

キョン「無事なだけで万歳モンだろ。 俺からも礼を言わせてくれ、谷口はアホだが大切な友達だからな」

美琴「アンタまでお礼なんて言わないでよね。 犯人には逃げられたのよ?.....自分が情けないわ。 なんの為のレベル5よ.....」

キョン「って、おい! お前もケガしてんじゃねぇか!」

美琴「ケガ?」

キョン「頬に傷.....」 スッ

美琴「ふえっ!? こっ! こんなもん大した事ないわよ! 気づかなかった位だしっ!」 アセアセ

 
94以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 15:20:01.23:5TspgyOz0

キョン「ならいーけどよ.....」

美琴「じゃっ、私帰るねっ!」

キョン「はぁ!? 帰るって、今来たばっかじゃねーか」

美琴「ちょっと風邪っぽいから病院行ってくる。 コホン、コホン。 先生にはさっき言ってきた」

キョン「そっ、そうか...。 ゆっくり休めよ?」

美琴「...う、うん。 そうそう、アンタも気をつけなさいよ? 夜はぜっっっっったい! 出歩かないこと! 分かった!?」  

キョン「おっ、おう」

 
98以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 15:23:50.08:5TspgyOz0

アレイスター「超電磁砲...。 彼女の正義感の高さには困りものだ」

アレイスター「それにしても、全く動きを見せんが侵略者達の目的は一体なんだ.....」

アレイスター「その内一人は、学園都市の財界と裏の世の重要人物...我等の意を汲み動く.....侵略者が何の目的で?」

アレイスター「 加えて「幻想殺し」上条当麻のチカラも失われている.....」

アレイスター「私が「改変」の情報奔流の7%しか崩しきれず、混沌とした世界を結果的に作ってしまった事に起因するのか.....?」

アレイスター「その中身は今となっては確認の取りようの無い事だが.....」



学校が終わった俺は街の繁華街にきていた。
目的はもちろん、谷口を襲ったヤツを探すため...。
是が非でもとっ捕まえてやるつもりではいたが、いかんせん情報が少なすぎる。
女の五人組...内、二人は能力者....。 たったそれだけ。
これだけじゃ見つけても特定しようがない。

だが。

その懸念は消え去る.....。

 
99以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 15:26:25.42:5TspgyOz0

人でごったがいしている駅前で、確かに俺に視線を送ったのち再び人混みに紛れ、一定の距離を保ってるヤツ等がいる。
おそらく数は五人!

俺は生唾と一緒に恐怖心を飲み込み、人通りの全くない通りへと歩き出す.....。

キョン「 (ついてきてるな...) 」

キョン「 (足音から判断するに女に間違いない) 」

キョン「 (こちとら心の準備はできてんだ.....) 」

キョン「 (いつでも来やがれ!) 」


            ドン!


後方ばかり意識していたせいで、前方に注意を払ってなかった!

迂闊! 

俺はすぐに間合いをとり、前方からの来襲者を確認する!

キョン「......っ!」

驚きのあまり声が喉につっかかる!

 
101以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 15:30:57.48:5TspgyOz0

美琴「アンタここで何してんのよ?」

美琴「夜は出歩かないでって、朝学校で言ったでしょ!?」

キョン「そーゆーお前だってこんなトコで何してたんだよ!? 風邪ひいてんじゃなかったのか!?」

美琴「それウソだったの....」

美琴「本当にゴメン」

キョン「そうかい.....風邪じゃなくて良かったな」

美琴「え....?」

キョン「ちょっと心配してたんだぜ?」

美琴「怒んないの?」 チラリ

キョン「なんで?」

美琴「わたし...アンタにウソつかれたって勘違いして、昨日あんな事しちゃったのに.....」モジッ

キョン「気にすんなって。 それよりお前はこんなトコで何してたんだ?」

美琴「そ~ゆ~アンタこそ何してたの?」

 
102以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 15:33:48.10:5TspgyOz0

キョン「せーのでいくぞっ!」

美琴「えっ!? ちょっとっ!」

キョン「せーーのっ!」


キョン・美琴「犯人探し!!」


キョン「ハハハ、おんなじだな!」

美琴「そうねっ、おっかしいわっ!」 


キョン「てか、やっぱりそうだったか...」

美琴「だって、黒子がやられたんだもん。 このまま黙ってらんないわ」

キョン「それは俺も同じだが.....。 なぁ御坂? すまんが...お前に頼みたい事がある」

美琴「なによ?」

キョン「さっき通行人から聞いたんだが、お前が来た方へまっすぐ20分位歩いたトコにあるゲーセンで、怪しい女の五人組を見たって情報があんだ」

美琴「なんですって!?」

 
103以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 15:35:53.22:5TspgyOz0

キョン「頼みってのは、お前がそこへ行ってソイツ等を捕まえてくれ.....レベル5のお前ならできるだろ?」

美琴「もちろんイイけど、アンタはど~すんの?」

キョン「ハハ...恐怖心なんて飲み込んだつもりでいたが、この通り.....」

美琴「えっ?.....」

キョン「足が震えちまってんだ」

美琴「..........」

美琴「.........仕方ないわね~。 イイわよ、私だけで行くから」

キョン「すまねぇな」

美琴「アンタはこのまま家に帰る事っ! イイ!?」

キョン「おう。 そうさせてもらうよ」

美琴「じゃあね!」 テクテク

キョン「気をつけ行けよ!」

美琴「..........」 テクテク


御坂の...心なしか寂しげな後ろ姿が闇に消えていく......。 

 
107以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 15:49:08.14:5TspgyOz0

美琴「 (アイツ.....) 」 

美琴「 (あんなに情けないヤツだったんだ) 」 

美琴「 (ちょっと、幻滅したかも........) 」



キョン「よし....これでいい」

俺は後ろを振り返り。

叫ぶ!


キョン「もういいぜ!? 出てこいよ!!」


育ちの良さそうな女「......あら? バレてました?」

育ちの良さそうな女「それにしても.....かっこいいですね。 男性はあまり好きではありませんが、あなたの今の行動には少し心動くモノがありました」

キョン「おいおい、一人じゃねぇのは分かってんだぜ?」

残りの四人が姿を現す.....!

キョン「五人.....か」

 
109以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 15:52:20.59:5TspgyOz0

育ちの良さそうな女「私のシモベ達です...」

キョン「シモベ?」

育ちの良さそうな女「私の能力名は「愛従奴隷」エターナルラブ.....同姓のみにしか効きませんがハマれば最後、私が飽きるまで.....です」

キョン「じゃあ、この女のコ達は...好きで戦ってんじゃねぇのか!?」

育ちの良さそうな女「いいえ。 私の事をこのコ達は愛しているのだから、戦う事も好きなはずですよ?」

キョン「狂ってるぜ...お前!」

育ちの良さそうな女「フフ.....。 男性には分からない領域もあるんです....」

紬「そうそう、私の魅力に焦がされた子猫達のご紹介がまだでしたね」

そう言うと四人のシモベと呼んだコの紹介を終え、最後に自らの名を告げた。

育ちの良さそうな女「で、私は琴吹紬っていいます」

キョン「自己紹介なんざして、どーゆーつもりだ?」

紬「だってイヤでしょ? 名前も分からない女子高生にこれから、ボコボコにされて拉致されるなんて.....」

キョン「自己紹介されたって殴られんがイヤなのは変わらね―な」

 
110以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 15:53:07.47:5TspgyOz0

紬「まぁそんな事言わないで.....。 これは私なりの礼儀です」

キョン「なぁ.......二つ、教えて欲しい事がある」

紬「なんでしょうか?」

キョン「俺を狙った理由はなんだ?」

紬「学園都市の統括理事長が異世界からの侵略者である、アナタ達を捕まえたがってるの...一人頭三億でね」

キョン「俺達が侵略者...か。 確かによそからやってきたのには変わりはねーが.....」

キョン「この世界で記憶が改変されてないヤツもいたんだな.....」


紬「で、二つ目は?」

キョン「.......」

キョン「お前が谷口と白井をやった.....それに間違いねーか?」


紬「ええ。 間違いないわ」

 
111以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 16:00:13.83:5TspgyOz0

その言葉を言い終わったのを確認した瞬間!
紬と名乗った女に向かって駆け出す!

        ザッ!

キョン「気持いいくれーに弁解てくれないから......助かったよ!」

紬「白井さんってコは少しは骨があったけど、谷口君だっけ? 面白いくらいに弱くて....ブザマだったわ!」

キョン「てめぇ...!」 ギリッ!

拳を握りしめ殴りかかろうとした瞬間、背後からの衝撃!
重く、骨に直接響いてくるかのような一撃...!

律「痛い? 痛くしたからそりゃ痛いか!」

キョン「コイツも能力者かよ!?」

数が多すぎる...!
だが、あの金髪以外に攻撃を加えるワケにはいかない!
このコ達は操られてるだけなんだから.....。

なら、さっさとアイツをぶっ飛ばす!
そうすりゃ、洗脳も解けるはず!

キョン「話は早ぇぜ!」

 
112:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 16:01:18.62:ujJ3T8u/0
このキョンに能力はあるのか?
あったらうれしい
……と言うよりあってほしい


 
113以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 16:04:34.35:5TspgyOz0

紬「クスクス.....確かにあなたの考えた通り。 私を倒せば洗脳からは解放されます....だけど」


紬「できるかしら?」


澪「ムギ様に近づくなっ!」 ザン!

キョン「くっ!....(かすっただけか! やばかった.....!) 」

さっきまで手ぶらだったはずの彼女が振り下ろしたのは騎士剣。
黒い瞳は赤く変色している.....。

キョン「もしかして.....五人共能力者かよ!?」

紬「御明答.....。 澪ちゃんは守護霊である西洋の騎士をその身に憑依させる事ができる」

紬「ちなみに、りっちゃんは重く歪む音波を操る事ができるわ」

秋山澪はチョン系の能力者かと思ったが違うようだ.....。
キムチを製造するチカラとか、ミサイルを誤発射するチカラとか....。

まぁそれは置いといて。


琴吹だけをぶっとばせば、おそらくこの戦いは終わる.....。
だが他が厄介すぎる、まだ動きを見せてない残りの二人もおそらく....!

 
116:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 16:08:46.13:OBfma2FjO
チョン系能力ww

 
115以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 16:08:37.23:5TspgyOz0

紬「ねぇ?...「超電磁砲」...行かせて良かったのかしら? 昨日は彼女のおかげで、二人は助かったのに......」

紬「まぁ、私達が退散しなければならなかったのは、彼女が派手に暴れすぎたから目立つのを避ける為ですけど」

紬「でも。 ここなら人なんて来ないし、派手に暴れられました.....。 昨日の借りを返したかったなぁ......」

キョン「アイツにケガでもされちゃあ、かなわんからな.....。 ませちゃあいるが、まだ中二だぜ?」

紬「フフフ.....。 でも後悔してません? 足。 震えてますよ」

キョン「へっ...! 武者震いってヤツだ...」

紬「.......フフッ」

紬「彼女がアナタにお熱になってるのも、分からないでもないわ」

キョン「ゴチャゴチャ言ってねーで、来いよ?」

紬「えぇ。 行かせてもらうわ。 でも....無論。 私じゃないけどね」


田井中律が右手で廃墟となっているビルを殴りつける。
突如、大きくビルが彎曲し! 崩壊する。 立ちこめる砂埃が視界を奪う!

キョン「げほっ! げほっ! あぶねぇ! もうちょっとで巻き込まれるとこだった...!」

 
117以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 16:11:40.19:5TspgyOz0

ビルの崩落が終わり安堵の声をもらすが、それも束の間。

殺気を最小限に殺してはいるが、抑えきれない狂気が接近する。

キョン「よし...。 こいつで」 ヒョイ

澪「覚悟ッ!」

キョン「ッ!!」

垂直に振り下ろされた剣をかろうじて瓦礫で受け止める!

澪「なにっ!?」

全員を無傷で解放するのは、無理そうだ。
すまねぇが、少しのケガは我慢してくれよ!?

キョン「必ず助けるからなっ!」 ガッ!

打ちこんだ拳が秋山澪の腹に食い込み、前のめりに体が折れる!

キョン「 (頼む! そのまま倒れててくれ!) 」

俺の願望むなしく、再び剣を強く握りしめる彼女。

キョン「くっ!」

 
119以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 16:14:25.66:5TspgyOz0

澪「死ねッ!」

振り下ろされる剣.....だが、三度目も同じ太刀筋!
落ち着いて、持っていた瓦礫を剣にぶち当てる!

耳鳴りする程の高い音と共に、剣が原型を崩し...アスファルトに落下する。

キョン「それがなきゃ、もう戦えないよな?」

澪「ひいっ....。 ごっ、ごめんなさいっ!」

キョン「戦えないならいいんだ。 そのまま、そこにいてくれ」


残り.....四人!


ビルの崩落による砂埃が完全に晴れ、四人の姿を確認するが見当たらない。

キョン「どこに行きやがった!?」

キョン「!」

梓「殺って殺るです」 スッ――――!

 
122以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 16:19:06.15:5TspgyOz0

キョン「ちっ!」

一瞬。

視界の淵にさっきの小柄なコが映ったかと思った、次の瞬間。

ナイフが俺の首を横ぎる.....。

キョン「斬られたっ!」

少しでも反応が遅れていたら、致命傷となっていたであろう一撃!

梓「しくじったですか.....逝ったと思ったんですけど」

唯「あずにゃん! 殺しちゃダメなんだよっ!?」

梓「そうでしたね...。 すいません、つい」

唯「もうっ! 気をつけてよねっ!」 プンスカ!

そう言うと再び、俺からだいぶ離れたところに座りみ、何やら考え事を始める.....。

唯「 (アイスが食べたいなぁ.....) 」

唯「 (そうだ!) 」

唯「お金を貰ったら、たっくさんアイスを買いに行こうっ!」

 
123以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 16:22:23.56:5TspgyOz0

梓「よそ見している暇なんて、あなたにはないんですよ!?」 スッ――!

キョン「消えた!?」

あまりのスピードに見失う。
その姿を再びはっきりと捉えたのは、20m程離れた場所だった。
その間、約一秒...。

梓「次はさっきより少し速くいきます...覚悟して下さいね?」

アイツが次に姿を消した数秒後。 
俺は死んでるかもしれない...。
今。 俺はギリギリのところで生きている。
てか、生きているのが奇跡かもしれない。
今まで命を懸けた戦闘なんてした事なんてなかったが。
生と死の狭間にいるこの状況が...俺の五感を、いや、六感までを研ぎ澄ます。

キョン「人間ってこんな状況になると、普通じゃ考えられない位...冷静でいられるモンだな」

ナイフがキラリと光る。

梓「行きますよ?」

キョン「来やがれ...!」

姿が消える!

左腕に鋭い激痛が走る!

 
126以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 16:27:59.62:5TspgyOz0

キョン「ぐっ...!」

梓「 なっ!? 」

ナイフは腕に刺さったまま。掴み上げる! か細い腕を!

キョン「捕まえたぜ?」

梓「まさか見えてたんですか!?」

キョン「見えるわけねーだろ!」

感だった...。

生かして捉えるのが目的なら、狙ってくるのは腹か背中か足か腕。
その中で狙いやすいのは腹か背中。
俺がガードできるとしたら腹しかない。
だから狙いを腹に絞って耐えるしかない。 

命を懸けたギャンブル! 
払い出しはコイツでいいだろ? 中野梓!!

キョン「お返しだっ!」

彼女の左腹に右の拳を打ち込む!

梓「かはっ...!」 

いくら能力者といえど、体は女。 命懸けの男がふるう一撃に耐えられる筈は無い。

 
127以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 16:31:56.72:5TspgyOz0

キョン「殴っちまって悪ぃな。 すまんが、ちょっと寝ててくれ」

残り....三人!


紬「予想外の展開ですね...私の奴隷が二人もやられるなんて.....がっかりしました。 後で二人にはたっぷり愛のお仕置きをしないといけないわ.....」

律「お仕置きいいなぁ~、澪と梓が羨ましいぜ」

紬「.....りっちゃん?」

律「私もわざと負けよっかな~」

紬「アイツをやっちゃってくれたら....御褒美をあげるわ。今までにない位、濃く深く。 愛してあげる..... どうかしら?」

律「.....その話のったっ! ちゃちゃとつぶしてやるよっ!」

紬「フフフ.....。りっちゃんは私の期待を裏切らないでね.....お願い」

律「おう! まかせろっ!」

紬「そうそう、唯ちゃんも行って来ていいわよ?」

唯「えっ!? いいのっ!?」

紬「いいわよぉ。 よく今まで我慢してイイ子にしてくれてたわ.....」ナデナデ

唯「えへへ~、ムギちゃんに褒められたぁ」ヘラヘラ

 
128以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 16:35:35.38:5TspgyOz0

紬「唯ちゃんが動けば全てが無茶苦茶になりそうだから、イイ子に待たせておきたかったけど.....」

キョン「.....!」

紬「二人もやられた以上.....仕方ないわ。 でも。 いい唯ちゃん? ぜったいに殺しちゃダメよ?」

唯「分かったよムギちゃん!」

紬「キョンさんって言ったっけ? あなたにも言っておくわ、くれぐれも死なないでくださいね?」

キョン「あぁ?」

紬「死ねば価値が無くなっちゃうから.....」

キョン「そいつ...そんなに強えーのかよ? そーは見えねーぜ?」

紬「このコは気に入った能力ならなんでも自分のモノにしてしまうの...一つ覚えれば、それ以前の能力は忘れてしまうって欠点はあるけど.....」

紬「覚えた能力は、最大クラスで出力する.....学園都市が誇るレベル5の超能力者.....!!」

キョン「あんなコがレベル5だと.....!!」

律「じゃあ唯.....行くぞ!?」

唯「うんっ!」

 
131以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 17:00:08.01:5TspgyOz0

唯「ん~~.....できたっ!」

そう明るく言葉を発した彼女を見て俺は愕然とする。
先程破った二人との明らかに格の違いに...!


正体不明の黒く大きな球体が彼女の周囲を飛び回る。 触れた物を最初から無かったかの様に消滅させながら.....!

紬「未元物質...それが今の唯ちゃんの能力よ。 独創性豊かな彼女にピッタリね」

キョン「 (くっ.....あんなヤツに勝てるのか!?) 」

紬「唯ちゃん? さっきも言ったけど殺しちゃダメなのよ?」

キョン「 (おそらくどう転んでも無理...!) 」

キョン「 (それなら...なんとかアレをかいくぐって、琴吹をぶっとばす...!) 」

唯「も~! 分かってるよムギちゃん! コレで人をえぐっても血が出ないから死なないから大丈夫っ!」 プンスカ!

キョン「 (勝機はそこしかない!) 」


その時...
覚悟を決した俺の後方で足音がした....!
その音が不吉を届ける.....!

小柄の少女がふらつきながらもナイフを握り締めている...!

 
132以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 17:05:25.10:5TspgyOz0

梓「さっきはよくも...! でも、今度こそ...。 殺って殺るです!!」 スッ――....!

キョン「くそっ!!」 


ダメ元で再度、腹を左腕でガードする! そのあては外れ、背後でザッとスピードを殺す音が響く...。

刺された! そう思ったが、痛みがない....。

....!?

幻聴か
聞こえたのは本をめくる音...!

その音がした方向を振り返る.....!

そこには両腕、両足を凍結された彼女と....。

何度もピンチを救ってくれた、仲間の姿があった......!

キョン「長門っ!!」

長門「独断先行はあなたらしくない...。一歩遅かったらあなたは死ぬところだった.....」

紬「あなた指示書にあった侵略者ね...。 手間がはぶけたわ....!」

律「へぇ...あれもか」

長門「私はどうすべき? 指示を.....」

 
133以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 17:11:55.52:5TspgyOz0

キョン「長門! アイツは...!」

言いかけた言葉を長門がさえぎる。

長門「問題ない」 スッ.....!

長門はかわす! 不可視の攻撃を!

長門「周囲の水蒸気をほんの少し凍らせれば、視認できない攻撃も把握できる」

キョン「.....ハハ。 さすがだな」

長門「それよりも黒い球体を操る彼女を攻略するのは至難」

長門「私に策がある...聞いて...」

キョン「策?」

長門「    」
     
キョン「おぉ...分かった」

 
134以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 17:12:52.11:5TspgyOz0

    「あなたが言う通り、狙うべきは金髪の彼女.....勝機はそれしかない」

    「だけど、あの二人がそれを簡単に許しはしない.....だから」
 
    「まずは二人を崩し、攻勢に転じるきっかけを作ろうと思う」


    「あなたはカチューシャの彼女から最大出力の攻撃を誘って」


キョン「 (とにかく誘えばいいんだな...!) 」   

律「な~~んだ! 弱い方かよっ!」

キョン「今までその弱い方に手こずってたクセによく言うぜ...」

律「言うじゃねぇか...! 今度こそ潰すぜっ......!」 グググッ!!

終始、笑顔でいた彼女の形相が変わる.....。
辺りが大きく振動する.....!
くる.....! 最大出力の一撃が!

律「骨ごと.....砕け散れっっ!!!」 ゴォッ!

 
135以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 17:15:08.79:5TspgyOz0

重く歪む音波が俺に直撃する瞬間!

操られた二人を同時に捕縛と同時に幽閉する、重厚な氷の牢獄!!

長門「完了.....!」
 
その中で強力な殺意を持った音が反響する!!
      
     
    「私が二人を自滅させる。 最悪でも時間は稼ぐ.....」

    「だからあなたは、ただ。 前だけを見て走って欲しい」

    「この事態の元凶を.....撃ち破って」


キョン「まかせろっ!!」

紬「そんなっ.....!!」

琴吹の瞳に絶望の色が浮かぶ!!

キョン「歯ぁ! 喰いしばれっ!!」

紬「私達が負けるなんて...そんな事がありえるはずないっ!!」


紬「イヤっ――――――――――ッ!!」

 
136以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 17:16:24.75:5TspgyOz0

紬「って.....こんなんでイイかな?」

キョン「......!?」

全力で振りかぶった拳が勢いをなくす.....。

紬「盛り上がってるとこ悪いけど、後ろ...見てみたら?」

キョン「......っ!」

キョン「長門!!?」


二人を捕えたはずの、氷の牢獄は崩され...

片手には田井中を。

そしてもう片手には長門を...。

ズルズルと引きずりながら、平沢唯がゆっくりこちらへ歩いてくる.....!!

唯「びっくりしちゃったよ!! りっちゃんあんなトコでふるぱわ~グラグラするんだもん!!」 プンスカ!

唯「ついつい、りっちゃんを殺しちゃうところだったよ」 

 
148以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 18:54:54.04:82BI8sxZ0

唯「あっ! ムギちゃんこれあげるねっ!」

そう言うと、平沢唯が長門を放り投る...。
ゴロゴロと人形のように転がり琴吹の傍で止まる.....。

紬「唯ちゃん.....。 もしかして、コレ。 殺してないわよね?」 グリッ...

長門の頬に琴吹のヒールが沈む.....!

唯「うん! すーすーしてるよっ?」

紬「死んでないならいいわ」


キョン「......っ!」
 
キョン「....よくねーよ...!!」

キョン「そのきたねー足をとっととどけろ!!」

 
149以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 18:56:06.28:82BI8sxZ0

紬「あら...ダメだった?」


キョン「 (許せねぇ!) 」

キョン「ああああああぁぁぁぁぁっ!!!」 ゴォッ!

唯「だ~~~~~めっ」 ひょいっ

キョン「っ!!?」

唯「男の子が女の子をお痛しちゃダメなんだよっ?」

唯「常識なんだよっ!?」

キョン「うるせぇな...! どきやがれ!!」

唯「きょういくってモノがなってないよこの人っ!」

紬「フフフ。 唯ちゃんの言う通りね...」

唯「でしょお!? わたしがきょういくしてイイかな?」

紬「いいわよぉ。 でも、死なない程度にね?」

 
150以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 18:56:47.04:82BI8sxZ0

唯「うんっ!!」 


ムカつく位に能天気な彼女が手を三回叩く。 パン、パン、パンと。 リズム良く...。
すると、横一列に先程の黒い球体が再び浮かぶ――!!

眼前に絶対の脅威が並ぶが、俺は拳一つで突っ走る!
何も勝つ為の算段なんてない。 
今の俺にあるのは......。


「怒り」 それだけだった.....!! 


黒い脅威が肉薄する!

キョン「うおおおぉぉぉぉっ!!」

唯「いっくよ~~!!」


紬「フフ、終わりね......」

 
152以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 18:58:45.22:82BI8sxZ0

―――!!!

その時―――コインをはじく音が響く――

突如、目の前に迸った青い閃光が、黒い脅威を消し飛ばす!!!



美琴「アンタの様子がおかしかったなって思って、引き返してみたけど.....」

美琴「やっぱこ~ゆ~ことだったのね.....!」

美琴「ったく...もう! かっこつけんのもタイガイにしなさいよっ!!?」

キョン「御坂...!!」

美琴「戦う理由はアンタだけにあるワケじゃない!! わたしも友達をやられてんのよ!?」

キョン「.....すまん。 俺はただ...お前を戦わせたくなかったんだ」

美琴「余計な気づかいよソレ! ってか、アンタ血だらけじゃないの!!」

キョン「あぁ。 言われてみると、けっこう血ぃ出てんな.....」


美琴「 (戦う理由が一つ増えた...!) 」 

 
153以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 18:59:37.33:82BI8sxZ0

美琴「アンタ達っ! 覚悟しなさいっ!!」 バチッ...!!


紬「超電磁砲っ....!!」

唯「すごいねあの人っ! ぜんぶ消されちゃった!」

美琴「消されるのはアンタ達もよ?」バチッ!

美琴「まずはこいつで.....」 バチバチッ!!

キョン「おい!御坂!」

美琴「なによ!?」

キョン「あのショートカットのコはあの金髪に操られてるだけなんだ! だから狙うのはあの金髪だけにしてくれ!」

美琴「わかったわかった! この場におよんで相変わらず甘いわねっ!」

美琴「 (わたしの電撃を防いじゃうコイツにここまでケガさせるなんて.....相手は相当な能力者.....!) 」

美琴「 (全力でやんないと...!!) 」 バチッ!

唯「あの人ビリビリしてるねムギちゃん!」

 
154以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 19:00:12.10:82BI8sxZ0

紬「唯ちゃん、いい?.....全力でいくの。 でないと私達がヤバイわ...」

唯「えっ!? そうなのっ!? じゃあ、ふるぱわ~でいくねっ!!」

唯「うんたん! うんたん! うん...たんっ!!」 ゴオッ.....!

キョン「アイツ...何をする気だ!?」

美琴「背中に白い翼が生えてく...! なんなのアレ!?」

唯「ばさあっ! えへへ、鳥さんみたいでしょ?」

無邪気な笑顔で言ってやがるが、アレは一体!?

唯「しかもっ! 飛べるんだよっ!?」

ただ...直感でこちらに死の危険をもたらすモノだとは分かる!

唯「しかもなんとっ.....!!」 

彼女が翼で包まれる!

唯「こんなことまでできるんですっ!!」

再び翼を一気に開く! 
同時にこちらに黒く細いレーザー状のモノが迫る!

 
155以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 19:01:46.41:82BI8sxZ0

キョン「くっ! 何つっ立ってんだ御坂! よけるぞ!!」

美琴「こんなの大丈夫...! 避ける必要なんてない...!」 ビリッ......

キョン「いやいや! 避けねーと死ぬって!!」

美琴「黙って見てなさい...!」 ビリビリッ.....

御坂の言う通り...
こちらに迫る脅威は突然軌道を変え...アスファルトを突き刺さる!

キョン「えっ...なんで!?」

美琴「アレを帯電させて、アスファルトに誘導させたのっ!」

唯「ほっほ~~う.....」

唯「ではっ~! これならどうかなっ.....!!」 バサッ...

再び、翼を閉じた彼女から先刻よりヤバイなにかが伝わってくる...!

その姿が不気味に白く、輝く!!

キョン「おい御坂! あれは一体!?」

美琴「アンタは下がってて」 バチバチッ.....!!!

俺の問いは無視して、御坂はそう答えた。

 
157以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 19:02:46.31:82BI8sxZ0

そして片目を瞑り、親指にコインを乗せて、構える!

一方...空に浮かぶ彼女が、翼を鳴動させ、耳鳴りするほどの音を響かせる!

御坂がコインを親指で垂直に弾く!

空に浮かぶ彼女の翼が一気に開く!

唯「ゲームオーバーだよっ!!!」

どす黒く、相当な質量をもつであろう素粒子の砲撃がこちらに伸びる!!

それに対し...御坂が落下したコインを力強く弾き、撃ち出す!

美琴「終わるのはアンタ達よっ!!!」 

先刻、俺を救ったソレより破壊力を持つであろう青い閃光が...!!
黒い素粒子の砲撃と衝突する!!!

聞いた事もない程の衝突音がした瞬間...!!


勝負は決する!!!

 
159以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 19:05:59.13:82BI8sxZ0

唯「そ、そんなっ!?」

平沢唯が放った脅威を、青い閃光が引き裂きながら、突き進む!!!

美琴「........操られてるからって何をしてもイイなんて思わないで」

キョン「このままじゃ彼女が.....頼む! 止めてくれ!!」

美琴「...........アンタが言った通りにしてる!」

それでも閃光は止まらない.....!

唯「私...まだ! 死にたくなんかないっ!!!」

キョン「おいっ! 避けろっ!!!」

キョン「って.....あれ?」

直撃する寸前にウソの様に閃光は消滅する...微かに電撃が迸った線を残して.....!

美琴「私のレールガンの射程は50m! ちゃんとこうなるよーに演算してるわよっ!!」 

紬「あ、ああ..」

キョン「今度こそ終わりだぜ琴吹」

 
161以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 19:09:37.23:82BI8sxZ0

紬「.......私どうなるのかな?」

キョン「言っとくが、俺はお前を許さねぇぞ」

紬「そんな事言わないでっ.....! 私のカラダ、アナタの欲望のままに...好きにしてもイイからっ!!」

キョン「聞きてぇのはそんなセリフじゃねぇ」

紬「それならなにがお望みなのっ!? 許してくれるなら、言って!!

紬「どんなスゴイ事でもしてあげるわっ!!」

キョン「......謝れよ」

紬「えっ...!?」

キョン「白井と谷口。 それと長門と御坂に.....謝れ」

紬「クスッ!...」

キョン「なに笑ってやがる」

紬「なに言いだすかと思ったらそんな事っ!?」

紬「想定してた事から、あまりにも外れてたから笑っちゃったじゃない!!」

キョン「もういい.....」

 
162以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 19:10:28.97:82BI8sxZ0

紬「あら、そうなの?.....きぐうね。 私も今、丁度...そんな気分だわ」

紬「このまま逃げられそうもないし、おとなしく捕まるくらいなら.....!」

キョン「........」

紬「アンタを殺す!!!」

琴吹が先程までの妖艶な雰囲気を一変させる。

紬「そのムカつくツラに...風穴あけてやんよ!!!」

ブレーザーから拳銃を取り出し、俺に銃口をつきつける。
それを見た御坂が攻撃の態勢をとる。

キョン「コイツは俺にやらせてくれ。 頼む」

紬「ブザマに死にやがれ!!!」  グッ...

引き金を引く直後、銃口の先から身をそらし、かわす!

拳が琴吹の頬にのめり込む!

紬「うぶっ」 ドサッ...!

キョン「おい。 聞こえるか琴吹?」

体がピクリと動く、意識はあるようだ。

 
163以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 19:12:18.84:82BI8sxZ0

キョン「二度と同じようなマネすんなよ? もしまたこんな事しやがったら...。 次は本当に殺すからな」

紬「.........」

キョン「長門...立てるか?」

長門「問題...ない」 フラッ

キョン「おいおい、フラついてんじゃねーか」

キョン「つかまれ」

長門「......」 がし...

キョン「それと御坂、今日はありがとうな...助かったよ」

美琴「あぁ、いいわよ別に、大した事じゃないんだし」」

キョン「今度、なんか飯でも奢らせてくれ。 そうでもせんと俺の気が済まん」

美琴「やったぁ! でもご飯もイイけど、アンタがいつもつけてるそのネックレス、それが欲しいかも!?」

キョン「コイツはダメだ、誰に何と言われようとやらん」

キョン「俺の宝物なんだ」

美琴「ちぇっ! ケチ...」

 
165以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 19:13:47.06:82BI8sxZ0

アレイスター「そんな報告は期待していなかったんだがな.....」

土御門「俺もこうなるとは思ってなかったぜアレイスター」

土御門「琴吹紬が従えていた四人全員がレベル4以上.....」

土御門「第四位、平沢唯は第二位である垣根帝督の未元物質を完全にコピーし、レベル5クラスで出力していた」

土御門「.....負けた理由がわからんぜ」

アレイスター「いくら高い演算で高度な能力が出力できても、扱い方を間違えば負けるものだ」

土御門「ふん、そーかもな」

土御門「で、聞くが。 琴吹サイドのヤツラには前の世界の記憶はなかった。 これに間違いないか?」

アレイスター「それは間違いない。 琴吹紬達はこのまま捨て置け」

土御門「分かった、ではアッチの方はどうすんだ?」

アレイスター「無論。 捕獲し、問いただすつもりだ。 「改変」の原因因子はアチラにあると見ている」

土御門「それはいいが、琴吹サイドは総崩れした。 次は魔術サイドでも動かすつもりか?」

アレイスター「魔術側がこの件で簡単に動くとは思えんが」

土御門「俺もそう思うぜアレイスター...ってどうかしたか?」

 
173以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 20:00:05.76:82BI8sxZ0

アレイスター「.....誰だ、キミは?」

「勝手に入ってきてゴメンね」

アレイスター「聞きたい事は山ほどあるが...まず、名乗ってもらおうか?」

朝倉「朝倉涼子」

土御門「どうやってここへ来たか、なんて野暮な質問はしねーぜ」

土御門「答えろ。 目的はなんだ?」

朝倉「条件次第だけど...アナタ達が知りたがっている事、教えてあげよっかなって思って」

土御門「お前はアレについて何か知っているとでも言いうつもりか.....!」

朝倉「そうよ。私は「改変」の全てを知ってるわ」

アレイススター「ほう...。 キミは条件次第と言ったな。 言ってみろその条件とやらを」

朝倉「私に協力して欲しい、ただそれだけよ」

アレイスター「目的はなんだ?」

朝倉「それは秘密...。 この段階じゃあまだ言えないわ」

土御門「いくら貴様が全てを知っていたとしても目的を話せん以上、協力なんぞのれると思うな!」

 
174以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 20:03:52.10:82BI8sxZ0

アレイスター「彼の言う通りだ。 朝倉涼子」

アレイスター「それに、私にはこの場でキミを捕え、無理にでも吐かせるという選択肢もある...」

朝倉「私が吐くとでも思う?」

アレイスター「...煮ても喰えないヤツだな。 キミは」

朝倉「フフフ。 一つ言っておくわ。 私がしようとしている事はアナタ達もきっと望む事よ?」

朝倉「私を信じて...」

アレイスター「土御門....彼女に協力してやれ」

土御門「いいのかよ!?」

朝倉「やったぁ! 嬉しいわっ」

アレイスター「では朝倉涼子...話してもらおうか。 キミが知る全てを...」

朝倉「フフ.......」


朝倉「あなた達が言う...「改変」。 これが一人の人間の願いが起こした結果だとしたら...」

朝倉「あなたはどう思う?」

アレイスター「神か.....或いはそれに近い何者かの...仕業だろうな」

 
175以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 20:11:13.34:82BI8sxZ0

朝倉「あなた達はそういった存在をこう表現している...」

朝倉「神ならぬ身にて天上の意志に辿りつく者...レベル6、と」

アレイスター「そのレベル6に値する人間がこの「改変」を引き起こしたとでも言うつもりか...」



朝倉「そう。 しかもその人間が、あなたが侵略者と呼ぶ者達の中にいるわ」

アレイスター「.......!」

土御門「それは分かった...で、ソイツの目的は何だ? この世界か!?」

朝倉「そんな大それたモノじゃないわ.....たぶん、気まぐれ.....じゃないかしら?」

土御門「気まぐれだと!?」

朝倉「彼女はそういう人なの...。 ただ願うだけで世界を捻じ曲げる程のチカラを持っている」

朝倉「だけど以前いた世界では、彼女は己が持っているチカラに気づいていなかった」

朝倉「けど彼女は触れてしまった.....普通ではありえない力を持った人間が普通に存在する、こんな世界に」

アレイスター「何が言いたい?」

朝倉「彼女の内面はそのデタラメな力とは裏腹に、実に常識的な思考を持った人間だった」

朝倉「だけど普通では考えられないような超能力を開発している、この世界に来た事でその常識は常識ではなくなった」

 
176以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 20:17:47.73:82BI8sxZ0

アレイスター「と言う事は.....つまり.....」

朝倉「そう...抑制の意味を持っていた、常識という壁が崩れてきている」

朝倉「今はまだ。 世界を壊すチカラを意識的に行使できる程ではないにしろ.....そこに至るのは時間の問題」

土御門「そこに辿りついたとしても、ソイツがそう願わなければいいだけじゃないのか?」

朝倉「仮に。 彼女がチカラを正しく使える心を持っていたとしても、彼女の精神はひどく脆い......」

朝倉「世界規模で見れば蟻のように小さな出来事だけど、彼女にとっては悲劇とも呼べる出来事が起きてしまったらどうなるかしら....」

朝倉「それがきっかけとなり、世界は終了するかもしれない」

アレイスター「災厄をもたらす神となる。か...」

朝倉「なら覚醒する前に.....消した方がいい」

朝倉「そう思わない?」

アレイスター「キミの言う通りだ」

アレイスター「だが答えてもらおうか、朝倉涼子」

アレイスター「この世界を救済する事がキミの目的だとは思えん」

アレイスター「そんな慈善や慈愛の心を持った人間ではないだろう? 違うか?」

朝倉「ヒドイ物言いね.....でも、当たりよ。 私は彼女やその仲間に恨みがある.....!」

 
177以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 20:22:11.48:82BI8sxZ0

朝倉「復讐.....! その為だけに私は生きてるの......!!」

朝倉「あなたが侵略者と呼ぶ人間達を皆殺しにする。 それ以外には私は何も望まない.....」

朝倉「あなたはこの世界の安定を維持する為に、侵略者を抹殺する.....」

朝倉「理由は違えど結果は同じよ.....手を貸してくれるわね.....!」

アレイスター「あぁ。 ここは共同作業といこうか」

アレイスター「私が駒を貸す。 それをキミの思う通りに動かせ...。 土御門は彼女の補佐をしてやってくれ、いいか?」

土御門「......納得いかねぇな」

アレイスター「なぜだ?」

土御門「ソイツの話しが全て真実とするなら、その「改変」を行った者に悪意はない...」

土御門「ならば殺す以外に方法があるんじゃないのか?」

アレイスター「悪意がないから余計に危険なのだよ土御門」

アレイスター「世界に影響を与える程の強大且つ不安定すぎる力は排除すべきだ」

アレイスター「仮に殺さずに元の世界へ戻す手段があるとしよう...だが、戻した所でまた同じ事が起きないという保証はどこにもない」

アレイスター「存在自体を消す事が最善の選択だよ、土御門」

土御門「......」

 
178以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 20:30:22.10:82BI8sxZ0

アレイスター「この事でキミが良心の呵責で悩むと言うのなら、他の適任者をあてる...どうするかはキミが決めるといい」

土御門「.........」

土御門「...俺がやる。 確かに貴様等の言う通りだ。 よろしくな朝倉涼子.....」

朝倉「フフッ...こちらこそヨロシクね...」

アレイスター「それとだ土御門、朝倉涼子...頼みがある」

アレイスター「くれぐれも、生かしたままここへ連れてきてくれ...!」

土御門「なぜだ? 能力が覚醒する前に殺す、それが目的ではないのかアレイスター?」

アレイスター「ただ...一度お目にかかりたいんだよ、この世界に災厄をもたらす程のチカラを持つ彼女に...!」


土御門「....... (こいつ何を考えてやがる...) 」


アレイスター「では、頼んだぞ二人とも...」

 
179以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 20:35:02.68:82BI8sxZ0

美琴「ねぇ? アンタ本当にだいじょぶなの?」

キョン「たまーに腕がズキッってなる位で、別になんとも」グルグル

キョン「な? なんともないだろ?」

美琴「ったく、どーゆー体の構造してんだか...だいたいアンタ無茶しすぎなのよ! 昨日私が来なけりゃ死んでたわよ!?」

キョン「あぁ。 死んでたかもな」

美琴「そーよ! だいたいカッコつけて私だけ行かせちゃったりしてさ!」

キョン「別にカッコつけたつもりなんてねーよ。 お前を戦わせたくなかっただけだ」

美琴「それが余計なお世話なの! 私はねレベル5の超電磁砲なのよっ!? そこらの能力者よりは十分な位戦えるのっ!!」

キョン「でも中二じゃねぇか」

美琴「そっ、そんなの関係ないでしょーが!! なんで私をガキ扱いすんの!? そんなに子供っぽい!?」 

キョン「おっ! あそこのカフェでも行くか? 雰囲気いいし、人少ないし」

美琴「ダメ! こっちのにするわよっ! (コイツと初めて二人で行ったカフェ...) 」

俺は今、御坂と学校帰りに街をプラプラ歩きまわっている。
元の世界に帰る方法はまだ分かっちゃいないが、無駄に焦って走り回るよりはこの世界を楽しみたい。
ここへ来てまだ四日目だが、なんだかそんな風に思える余裕が出てきた。

美琴「どれにしよっかな~?」

 
182以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 20:41:43.75:82BI8sxZ0

キョン「俺これにする」

美琴「キャラメルミルキーフラペチーノ? あんた結構甘いの好きなのね」

キョン「苦いのがダメなんだ」

美琴「そ~なの。 あっ! すいませーん!」

美琴「え~っと、これ二つください!」

キョン「お前もコレにすんのか」

美琴「私も甘いのが好きなの! 勘違いしないでよ? アンタと同じのにしようなんて、さらっさら思ってないんだからっ!」

キョン「へいへい」

美琴「ん~~!」 ぷく~

キョン「顔ふくらますと、余計に幼く見えるぞ」

美琴「...またガキ扱いしたっ!」 ビリッ...!

キョン「おっ、おい! 店ん中で電撃は.....!」

美琴「じゃあ訂正しなさい...!」ビリッ...!

キョン「あ、あぁ。 分かった分かった、お前は大人っぽいよ」 ナデナデ

美琴「なっ///....ナデナデすんなっ!!」 ビリビリッ!!

 
184以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 20:46:15.07:82BI8sxZ0

キョン「い、いてっ! なにすんだ!?」

美琴「アンタがナデナデするからよっ!!?」

店員「あの~.....ご注文の品お持ちしたんですけど....よろしいですか....?」

美琴「あっ!」

キョン「あ...すっすいません...」

店員さんが困り顔で入ってきてくれたお陰か、ビリビリ...もとい御坂は少し我に帰り
なんとかコーヒーを落ち着いて飲む事ができた。
周りの客の視線を気のせいか感じていた俺達は、完食後すぐにそそくさと店内を後にした。

美琴「だいたいアンタはね! ん? どうかした?」

なんてタイミングで現れんだコイツは...!

キョン「おぉ、きぐうだな...ハル...いや涼宮」

ハルヒ「? なんで言いなおすのよ?」

キョン「は!? な、なんでもないぞ?」

ハルヒ「へんなの...。 で。 このコ彼女? ちょっと幼い気がするけど可愛いじゃないの」

キョン「ちがう!」 

美琴「 (全力で否定された....) 」 ショボン....

 
185以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 20:47:46.38:82BI8sxZ0

ハルヒ「そうなの?.....私はてっきり.....」

キョン「で、お前はこんな所で何してんだ?」

ハルヒ「8時に美容院予約してるから、それまで時間つぶしにフラついてんのよ」

キョン「けっこー遅くに予約とったんだな。 お前は見た目だけはイイんだから、変な男に絡まれんよーにしろよ」

ハルヒ「あら。 心配してくれるんなら、美容院が終わってから私を家まで送りなさいよ」

美琴「 (え!? えっ!?) 」

ハルヒ「今日は親旅行で家開けてるから、あがってっていいわよ? お礼に手料理くらい御馳走したげるから」

キョン「 (ハルヒの現状を確認しておくチャンス.....ここは送っとくついでに情報を得るのがベストだな) 」

キョン「仕方ねーな。 この前の谷口の仮りもあるし送ってやるよ」

ハルヒ「あっ! でも、家に上げたからってゼッ~タイに変な事しないでよ!? いいっ!?」

キョン「するか。 アホかお前は」 ポカ

ハルヒ「殴んなっ!」 グイッ!

キョン「あ.....」

キョン「 (胸が...胸が当たってる) 」

ハルヒ「お返しよっ!」 ボカッ

 
187以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 21:00:49.99:82BI8sxZ0

美琴「 (なんなのこの涼宮って人!? やけにコイツと仲イイし! 体が密着して、少しデレデレしてる気がするし!) 」

美琴「 (多分私より...胸でかいし.....スタイルいいし.....それに顔だって可愛いし......) 」 

美琴「.......負けた」 ボソッ

キョン「うっとうしい!」

ハルヒ「はぁ!? アンタが叩くからよ!」

キョン「お前がアホな事言うからだろ!?」

ハルヒ「忠告しただけじゃない!」

キョン「それがアホな事だっつんてんだ!」

ハルヒ「ふん! まぁいいわ! じゃ、9時にSHIMOの前に来なさいよ!? いい! 約束だからねっ!!」

キョン「分かった分かった」

美琴「 (約束しちゃった.....) 」

キョン「おぉ、すまんな御坂。 アイツうるせぇだろ? 昔っからなんだ」

美琴「......わたし帰る」

キョン「なんだよいきなり? 具合でも悪いのか?」

美琴「悪くない」

 
188以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 21:01:54.63:82BI8sxZ0

キョン「じゃあなんでだよ?」

美琴「わたし子供っぽいし、中二だからかえる」

キョン「へ...?」

美琴「バイバイ」

キョン「おいおい! なんで中二だから帰るになるんだよ!?」

美琴「だって...アンタ、あ~ゆ~大人な人が好きなんでしょ?」

キョン「はぁ!? 意味わかんねー事言うなよ! 俺はあんなやつ好きでもなんでもないぞ!?」

美琴「だって...わたし色気なんてぜろだし.....」

キョン「 (はっ! コイツまさか勘違いしてねーか!?) 」

キョン「 (俺がハルヒの事が好きだって!...だから気を使って帰るとか言ってんだな!?) 」

キョン「バカな事言うなよ。 俺はアイツに色気なんて感じんし、大人なオンナだなんて思った事ないぞ!?」

美琴「ほんと.....?」 チラ

キョン「あぁ! 本当だ! だいたいな、アイツはガキだし、お前の方が大人っぽいと思うぞ?」

美琴「信じるよ?」

キョン「あぁ! 信じろ!」

 
189以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 21:04:22.36:82BI8sxZ0

美琴「へへへ...」///

キョン「さ、次いこーぜ」

美琴「うん!」

美琴「そういえばさ...アンタ記憶喪失になってんのよね?」

キョン「あぁ... (そういや、そんな事言ったな。 忘れるとこだった) 」

美琴「少しは思い出したりした?」

キョン「いいや。 全くダメだ」

美琴「そっか.....。 さっき行ったカフェね...実はアンタと初めて行ったトコだったの」

俺と初めて行った場所.....。そういう事だったのか...。
改変によって御坂に埋め込まれた偽りの記憶。しかし、それは御坂にとっては確かな記憶。
そこへ俺を連れて行って記憶の糸口を探そうとしてくれてたのか...。
正直ウソをついているのが苦痛だ。
でも....。今さら、あれはウソでしたなんて.....。 言えるはずない。

美琴「少しは記憶が戻るかもなんて期待したけどダメだったみたいね.....」

キョン「ダメなんて事ない」

美琴「えっ!? じゃあ記憶が!?」

キョン「いいや、記憶はさらっさら戻っちゃいないが.....楽しいぜ? お前といるの」

 
191以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 21:09:14.17:82BI8sxZ0

美琴「....たのし..」

キョン「俺はそれで十分だ」

美琴「.......」

キョン「お前のそーゆー優しさ、大好きだぜ」

美琴「.......」ポンっ!

美琴「 (大好きって言われた! 大好きって言われたっ~~~!) 」

キョン「なーにボケーっとしてんだ?」

美琴「しっ! してないっ!」

キョン「さ、まだ時間あるしブラブラすっか」

美琴「そっそうね! (今のは私のことを女としての好きじゃない! 勘違いすんなわたしっ!)

 
192以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 21:14:48.45:82BI8sxZ0

朝倉「準備はいいかしら?」

土御門「オーケー。 9時に決行だな」

土御門「用意した駒は4人、こいつがそのデータだ」 ペラ

朝倉「けっこう豪華ね。 侵略者4人に対してどれをぶつけるか、私が決めてもイイかしら?」

土御門「それは俺が決めてある...お前は好きなヤツを潰しにいけばいい」 ガタッ

朝倉「あら? どこか行くの?」

土御門「あぁ。 野暮用だ」

朝倉「そうなの...。 ではごゆっくり~」

 
194以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 21:16:52.29:82BI8sxZ0

古泉「まったく...」

       ゴォッ!!

古泉「挨拶もなしに火の玉を投げつけてくるなんて、礼儀もくそもありませんね」 スッ...

発火能力者「あのタイミングでかわすなんて、やるじゃねぇかテメェ」 ザッ...

古泉「今日一日僕のまわりをウロチョロしてたのはアナタでしたか」

発火能力者「てめぇ、きづいてたのか?」

古泉「えぇ、最初から。 僕が隙を見せるのをずっと待ったいた様ですが、御生憎。 そう甘くはありません」

発火能力者「まさか...今の隙は囮...!」

古泉「もちろんです。 さて、答えてもらいましょう...おおかた誰かの差し金でしょう、お話くださいますか?」

古泉「おとなしく話していただけるなら、無傷でここから逃がしてさしあげます」

発火能力者「逃がすだと? さっきのをかわした程度で図に乗るなよ小僧」

古泉「交渉決裂ですね...。 では貴方の体に...」

古泉「直接、聞くとしますか!」 ダダッ!

 
196以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 21:28:15.92:82BI8sxZ0

長門「........」 もぐもぐ

長門「........」 もぐもぐ

長門「.......?」 かちゃん

  ぴんぽーーん

長門「........」 もぐもぐ

長門「........」 かちゃ

長門「........」 もぐもぐ

  ぴんぽーーん

長門「せっかくカレーを食べてるというのに...くるなら食事中以外が望ましかった」 スタスタ

長門「だれ?」

「長門有希様のお宅でよろしいですか?」

長門「そう」

  ドガァァァン!!

長門「ドアが破壊された....」 

長門「捕まえて修理代を請求する」 ペラ.....

 
197以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 21:30:27.74:82BI8sxZ0

キョン「やべぇ! もう九時ちょっと過ぎてる!」 だっだっだっ

キョン「急がねーとアイツに何言われるかわかんねーぞ..」 だっだっだっ

ハルヒとの待ち合わせ場所にダッシュで向かう俺の前に。
突然、道を塞ぐように変わった風貌の女が立ちふさがる。

キョン「おわっ! あぶなっ...」

ぶつかる寸前で軌道修正し、先を急ごうとする俺を。
その女が呼びとめてる。

変わった風貌の女「待ちなさい。 あなたに用があります」

キョン「俺はお前に用なんてないぞ! わりぃが待ち合わせに遅れてんだ、行くぞ!」

こいつに関わればまた、この前のような厄介事が起こりそうな気がする。
明らかに奇抜な出で立ちで腰に刀をもってりゃ誰でもそう思うだろう。

変わった風貌の女「待ち合わせをしている女性の所へは、私の仲間が行っています。 だからあなたが行く必要はどこにもありません」

そう言うとその女は腰にかけた剣に手をかける。

キョン「 (ハルヒのところへ!?) 」

キョン「てめーら、一体何するつもりだ!?」

変わった風貌の女「死んでもらうつもりです」 

 
198以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 21:35:12.93:82BI8sxZ0

キョン「ちっ!」 ダッ!

変わった風貌の女「待ちなさい!」

ハルヒが狙われてる以上、コイツの相手をしてるヒマなんてない...!

変わった風貌の女「待てと申しています...」 スッ――

そのまま駆け抜けようとするが、突如、足に激痛が走る!

キョン「っ!」

感覚で斬られたのは分かる、だがあの距離からどうやって!?

変わった風貌の女「やっと止まってくれましたか...」

キョン「てめぇ、能力者か?」

変わった風貌の女「いいえ、魔術師です」

キョン「魔術師...!? まぁどちらにしろ行かせる気はねぇんだな?」

変わった風貌の女「えぇ、無論」

キョン「なら、はっ倒すまでだ!」 ダッ!

変わった風貌の女「.....七閃」

キョン「 っ!? 」

 
200:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 21:38:29.19:OBfma2FjO
おぉ魔術サイドもご出陣か

 
205以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 22:00:47.91:82BI8sxZ0

何が起きたか分からないまま、鮮血が宙に舞う。

変わった風貌の女「魔法名Salvere000「救われぬ者に救いの手を」、名を神裂火織と申します」

キョン「てめぇの名前なんて興味ねぇ、でもこれだけは答えろ。 俺達を狙う理由はなんだ?」

神裂「あなたも分かっているでしょう? 異世界からの侵略者...ならば抹消するまで」

神裂「....決定的すぎる理由です」

キョン「お前ら...俺達がこの世界に飛ばされてきてるって事を知ってんだな...?」

神裂「えぇ...。 そして、あなたはこの世界に「改変」を引き起こし、やがて災厄もたらすであろう者の仲間だという事も」

キョン「話しをふくらますんじゃねぇよ、この世界をどうこうする気なんてこっちにゃサラサラない」

神裂「その気がなくても、結果としてそれが起きれば同じ事ですよ、少年」

キョン「話して納得できねぇってんなら、ぶっ飛ばすまでだ、ハルヒに手は出させねーぞ」

神裂「ぶっ飛ばす、ですか.....。 できますか? あなたに私が倒せますか?」

キョン「.........へっ」

キョン「やるしかねーだろーがっ!!」

 
206以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 22:03:52.81:82BI8sxZ0

ハルヒ「なにアンタ? ナンパなら他をあたってちょうだい、わたしはいま人を待ってんのっ!」

銀髪の男「テメェの事情なンざ知ッたこッちゃねーよ」

ハルヒ「はぁ!? とにかく消えなさい、目障りだから!」

銀髪の男「つれねーなァ...そういわず付き合えよ...」

ハルヒ「消えろって言ってるの。 二度も言わせないで」

銀髪の男「そう言われてもなァ...! こっちはてめェが俺より強ェって聞いて期待して来てんだ...!」

ハルヒ「力比べがしたいってワケ? それならまた今度にしてちょうだい、それならいつでも...」

ゴォッ!

ハルヒ「....ちっ!」

ハルヒ「いきなり鉄くずぶっ放して危ないじゃない! 何すんのよアンタ!!」 ザッ...!

銀髪の男「よくよけたなァ、今のタイミングでよォ? まァいい...ッてかそれより、今から相手してくれねェか? それとも、まだその気が起きねェッてんなら...ムリヤリにでも...相手してもらうぜ!?」

ハルヒ「...せっかく美容室でばっちりセットしてもらったのに、アンタのせいで台無し...!」

ハルヒ「半殺しじゃ、済まないから」

銀髪の男「クククッ、それでいいんだよ」

 
207以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 22:04:56.37:82BI8sxZ0

銀髪の男「俺はレベル5の第一位、学園都市最強、アクセラレータ...」

一方通行「テメェが俺を超える能力者ッて、あり得るはずもねェ情報を聞いたもんで確かめに来た」

ハルヒ「ごちゃごちゃ言ってないで、かかってきなさいよ」

一方通行「いいねェ...その目つき...俺相手にそれだけ威勢を張れるヤツなんざこの学園都市にいねェぞ...!」

ハルヒ「日本語わかってる? わたしはかかって来いって言ってんだけど...」

一方通行「わりィ...、感激しちまッてなァ...」

一方通行「じャあ.....行くぜ!?」  ガガッ!

電柱を軽く蹴っただけで、まるで槍の様に飛ばすなんて...!
かなりの脚力ね...!

ハルヒ「 (まぁ、この位どうって事ないけど....) 」 

ドガァァン!

一方通行「てめェ...何をしやがッた!?」

ハルヒ「はたき落しただけじゃないの。 ってか、これ位で驚いてたら、わたしとは戦えないわよ」

一方通行「指一本ではたき落しやがッた.....!」

一方通行「 (コイツ...! ベクトル操作の能力者か...!? いや、ありえねェ。 学園都市でベクトル操作は俺だけが会得してる能力だ...!なら、今のは一体、ナンだッてンだ!? 筋力を著しく高めるなにかか....!?) 」

 
210以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 22:11:46.12:82BI8sxZ0

ハルヒ「返すわ」 グンッ!

一方通行「ッ!?」 スッ...

ハルヒ「へ...? (衝突する直前に軌道がそれた?) 」

一方通行「 (今度は触れもしねェで、電柱をぶッ飛ばしやがッた...空間作用のベクトル操作...!? いや、ありえねェな.....おそらくは...念動力系統...サイコキネシスってヤツか...!」

ハルヒ「念動力ねぇ、近いけど、全く違うわ。 そんな甘いもんじゃない。 わたしの能力が一体何なのかは、闘ってりゃそのうち分かると思うわ」

ハルヒ「あっ!」

ハルヒ「でも、一瞬で死んじゃったら分かんないままか」

一方通行「言ッてくれるじャねェか.....!!」

ハルヒ「だって.....」 スッ――!

一方通行「 (炎ッ!? 二種類の能力...! デュアルスキルだと!?) 」

ハルヒ「そうでしょ?」 ゴォッ!

一方通行「てめェ一体...!?」 スッ...

ハルヒ「それはこっちのセリフよ、なんで直撃の瞬間に軌道が逸れんの? 学園都市最強だけはあるかも...」

 
211以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 22:12:53.06:82BI8sxZ0

発火能力者「うっ、う゛ぅぅ.....」

古泉「いれ以上怪我する前に、あきらめて話す方向をお勧めします」

発火能力者「くそっ!...この俺の能力が通用しねぇなんて...!」

古泉「さぁ、お決め下さい」

古泉「これがあなたの生死に関わる...」 

古泉「...最後の分岐点」 ズン...!!

発火能力者「紅玉っ...! しかもデカさは、さっきまでの三倍以上...!」

古泉「どうしますか?」

発火能力者「..........わかった。 話す、だから見逃してくれ」

古泉「それが賢明な選択です、では話して下さい...」

古泉「おっと、その前に一つ言っておきますが、あなたの回答に違和感を感じたら遠慮なくコレをぶつけます」

古泉「僕はあの二人と同じく何も知らないワケではありませんから、偽証は死を招くと思って頂いて結構です」

発火能力者「...っ! 分かってるさ、全部喋りゃあいいんだろ?」

古泉「えぇ、くれぐれも真実を、ね.....」

 
213以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 22:18:20.34:82BI8sxZ0

神裂「 (ここまで圧倒的な戦力差を見せられても尚、彼女を守ろうというのですか...瞳には諦めの色など、微塵も浮かんでない...!) 」

キョン「はぁ、はぁ、はぁ.....」

ボロボロになって分かった。
おそらくだが、あれは目で追えない抜刀術なんかじゃない。
俺の読みが正しければ...コイツで。

神裂「 (この状況で蛍光ペン...?) 」

適当な場所に俺はそれを放る。

スッ――。

神裂「なるほど...」

このペンの塗料は夜に光るってゆー、全く持って文房具として用途不明だったが。
こんな時に役に立つなんてな...!

宙にぼんやりと塗料が光る...

キョン「おそろしく頑強な鉄線かなにかか...」

神裂「正しくは剛糸。 ですがそれが分かった所で、どうしようというのです。あなたに七閃を対処できるだけの、魔術も、能力も...身体能力もないでしょう」

キョン「あぁ、その通りだ。 だから.....!」 ダダッ!

神裂「な!?...勝てぬと判断して、あなたは逃げるというのですか!?」

 
214以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 22:25:13.13:82BI8sxZ0

神裂「 (ビルの階段を昇って逃走...いや.....違う! まさか...!?) そのビルの階段を昇ってどうしようというのです!?」

キョン「4階ってけっこう高いんだな...」

神裂「私に殺される位ならば、自ら命を断つおつもりですか!? 彼女を守るという、あなたの意志は消え去ったのですか!!?」


キョン「死ぬ気なんてさらさらねーよ.....」

キョン「もちろん、アイツは死ぬ気で守るけどな!!」


ダンッ!

神裂「飛び降りた..っ...!」


キョン「俺がアイツを...!!」


神裂「っ!!? まさか、七閃の攻略の為に...!?」


キョン「見捨てるワケがねぇだろーーが!!」 ドゴッ!!


飛来型の攻撃には剛糸で対応できないと踏んだ、決死の一撃!
四階からダイブし、全体重を乗せた拳が神崎の顎をとらえ、その体を吹き飛ばす!

 
215以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 22:33:44.66:82BI8sxZ0

キョン「立てないよな?...、てか立たねーでくれ」

神裂「御心配なさらずに...しばらく動けそうにありませんから...」

キョン「.......おい、アンタ、俺を本当にころ....」

神裂「どうしたんです? あなたは何の為に私を倒したんですか?」

キョン「...そんなもん、言われなくても分かってるさ」 ダッ...!

神裂「..........」

神裂「..........」

神裂「..........行きましたか」 パンパン...

神裂「先程の彼の一撃、七閃で十分対処できた...ですが私はそれができなかった」

神裂「...それをしたくなかった」

神裂「生身で、且つ、能力も魔術も使えない人間のただの一撃、ですが、私には強く響いた」

神裂「土御門...。 私は彼に懸けますよ、全てを」

神裂「涼宮ハルヒという人物が、世界を壊す程のチカラを持っている、だから消すというのは理解できますが.....」

神裂「悪意を持たない者を殺すというのには、やはり私は賛同できません」

神裂「たとえ無意識下による能力の暴走が起こったとしても、彼がなんとかするはず...!」

 
218以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 22:47:48.24:82BI8sxZ0

土御門「戦況は五分五分か...!」

朝倉「今はね...。 でもこれからどうなるかは予想がつく」

朝倉「今のうちに加勢した方がいいんじゃないかしら?」

土御門「あの野郎が手を出すなって言ってただろ? 加勢はなしだ」

朝倉「ったく...。 手遅れになっても知らないわよ?」

土御門「アイツはレベル5の第一位だ、負けるわけがない、黙ってここから見てろ」

朝倉「フフ...。 そうだとといいけど.....」




ハルヒ「どうかしら?」

一方通行「.....効かねェな!」

ハルヒ「アンタを中心に戦車位なら塵にできる爆発を起こしたつもりなんだけどな...!」

一方通行「言ッただろ? 俺には一切の攻撃は効かねェッてよォ!」

ハルヒ「爆発でダメならっ.....!」

ハルヒ「.....これでどう!?」

 
219以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 22:49:21.12:82BI8sxZ0

一方通行「――ッ! ?」

ゴゴォッッッ!!!

ハルヒ「今度も無傷なら、アンタが人間かどうかを疑うわっ!」


土御門「巨大な炎柱.....!! 願った事を常識なんざぶっ飛ばして、現実に発現しやがる...!」 

土御門「あの女...! 貴様の言う通り、悪意はなくともこの世界に災厄をもたらす存在かもしれんな...!」

朝倉「分かってくれた? 彼女は万物を超越した能力を保有しているの」

朝倉「彼女に不可能の文字なんてない...まさに『絶対願望』...神と同列の存在」



ハルヒ「アンタと闘ってると、自分の能力に上限なんてないような気がしてくるわ...!」



土御門「.....お前が言っていた、抑制となっている常識という壁が崩れてしまうとはこの事か...!」

朝倉「そう...」

朝倉「このまま彼女の中の壁が崩れてしまえば、全てが手遅れになるでしょうね」

 
220以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 23:05:26.66:82BI8sxZ0

一方通行「何度言えば分かんだテメェは...!」 ザッ...!

ハルヒ「.....なっ!!」

一方通行「俺はなァ、全てのチカラのベクトルを操作できんだよ...! だからナニをしようがムダだ...!!」

ハルヒ「ベクトル操作...? そう、そういう事だったの...どうりでおかしいと思ったわ.....」

ハルヒ「どんな攻撃もベクトルを逆にされたら、アンタには効かないってわけね...」

一方通行「そーゆーコトだ...!」

ハルヒ「それじゃあ、勝負がつかないじゃないのっ!」

一方通行「そんなコトはねェぜ?...キサマが死ねばそれで終わりだ...!」

ハルヒ「わたしが死ぬわけないじゃない、てかアンタと闘うのもう飽きた...」

ハルヒ「勝負が決まらないって分かったら冷めちゃったわ...」

一方通行「飽きたねェ...。 はいそうですかッてオレが言うとでも思うか.....!?」

ハルヒ「.........」

一方通行「なに黙ッてやがる...!?」

ハルヒ「はい.....しゅ~りょ~、終わり終わり。 さっさと帰んなさい」

一方通行「テメェ...! フザけてんのか...!?」

 
221以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 23:10:50.20:82BI8sxZ0

ハルヒ「いたってわたしは大マジメよ?」

ハルヒ「もう終わりなの、おとなしく帰ってちょうだい、わたし待ち合わせしてるって言ったでしょ?」

一方通行「おいおい、ナニも終わッてねェぞ? オレを半殺しにするんじャなかッたのか...!?」

ハルヒ「半殺しはもういいわ、少し楽しかったし.....、はい、終わったから帰って」

一方通行「ふざけ...」

ハルヒ「あ~もぉ~! しつこい!!」

ハルヒ「アンタも第一位ってんなら気付きなさいよ!!」 ぽいっ!

一方通行「石なんざ投げてどういうつもりだ.....ッ!!!?」


一方通行「痛.....!? テメェ.....!! 一体ナニをしやがッた!!?」

ハルヒ「やっと気づいた? 願ったのよ、アンタの能力を消失させるように」

一方通行「なんだと...!? そんなコトができるはずねェ......!!」

ハルヒ「できるからそーなってんでしょ? 悪いけど、わたしが願ったコトは全部実現しちゃうみたいなの」

ハルヒ「アンタと闘うまで、わたし自身ここまでできるなんて思っちゃいなかったけどねっ」

一方通行「レベル6........!!!」 

 
222以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 23:12:36.20:82BI8sxZ0

ハルヒ「レベルがうんぬんなんて興味ないわ、めんどくさいから寝てちょうだい」 

一方通行「........ッ!!?」 ふらっ....。

   バタン.....!

ハルヒ「さてと...これで片付いたわ。 ってかキョンのヤツほんっとに遅いわねっ!」




朝倉「もう止めないわよね? 」

土御門「あぁ...。 だが、あんなヤツとどうやって闘うつもりだ?」

朝倉「簡単よ、すぐにケリをつけてきてあげる...!」

土御門「....簡単だと?」

朝倉「そうよ? まぁ、黙って見てて、すぐに終わるから...」

土御門「朝倉涼子...キサマがアイツに勝てるとは思えんが、念のために言っておく.....」

土御門「拘束するだけにしろ...絶対に殺すな」

朝倉「はいはい。 私は涼宮ハルヒに恨みがあるから、簡単には死なせないわ...」


朝倉「じわじわと、痛ぶって、苦しみの限りを刻んでから.....死んでもらうつもりよ...!!」

 
223以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 23:28:49.89:82BI8sxZ0

朝倉「久しぶりね涼宮さん...」

ハルヒ「......?」

朝倉「やっぱり忘れちゃってるわよね?」

ハルヒ「.....忘れたもなにも、アンタなんか逢った事ないんだけど...わたし記憶力はいいほうだから忘れたりしないわよ?」

朝倉「記憶にないのね.....ショックだわ...」 

ハルヒ「アンタなんか心当たりないわ。 ってか、近い近い! ちょっと離れなさ...」

ガッ!

ハルヒ「.....!?」 グラッ.....

朝倉「警戒心ってもんが足りないわよ、涼宮さん?」

ハルヒ「.....!」 


バタン...


土御門「一撃であの女を沈めやがった...!!」

朝倉「ね? 簡単だったでしょ?」

 
224以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 23:30:19.57:82BI8sxZ0

朝倉「だいたいさ、彼のように真正面から挑んでも、彼女に勝てるワケがないじゃない」

土御門「こうも簡単にいくとはな...」

朝倉「さっ! キョトンとしてないで準備してよ、涼宮さんをあそこへ運ぶんでしょ?」

土御門「...そうだな。 気絶してる内にとっとと連れてくとしよう」

朝倉「目が覚めてしまえば、もう手がつけられなくなるから急ぐわよ」



―――――ザッ...!



土御門「お前は.....!」

朝倉「.....ちっ」


キョン「――そこまでだ」



キョン「久しぶりだな、朝倉」


朝倉「あら、生きてたの、彼女相当な実力者みたいだったけど...」

 
225以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 23:31:34.37:82BI8sxZ0

キョン「ハルヒをほおって死ねるかよ、で、お前はなぜこの世界にいる?」 

朝倉「 『改変』、それが私を再び再構成したみたいなの」

キョン「そういう事か...! そしてお前は俺達を侵略者として殺そうとしいる連中の仲間ってことでいいな?」

朝倉「えぇ、そうよ」

キョン「おい朝倉、その連中の頭をここに連れてこい、そして俺に話をさせろ...」

キョン「説明したい...俺達はこの世界になんの干渉もする気はない、ここに来てずっと元の世界に帰還する手段を探しているってな」



土御門「 (やはり、コイツに悪意はない...) 」


土御門「 (だが、どーゆー事だ...!?) 」

土御門「 (ねーちんがコイツに負けたとは考えにくい、おそらくねーちん自身の意志で道を譲った...!) 」

土御門「 (そして、こいつはこの女を守る為だけに、ここまできた...こんなボロボロの状態で...!) 」


土御門「 (墓標の上に立つ世界の平穏と、ねーちんの意志...天秤にかけて重いのはどっちだ?) 」

 
228以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 23:37:10.57:82BI8sxZ0

土御門「 (この女が世界に災厄をもたらす可能性がある、だから抹殺する、それは理解できる) 」

土御門「 (だが、やはり俺には殺す以外の道がある....) 」

土御門「 (そう思えてならんな...!) 」



朝倉「ここへ連れてきて説明させろですって? ダメよそんなの」

キョン「なら力づくで、話のテーブルに上げるまで...!」

キョン「まずはテメェらからだ...覚悟しろよ」

土御門「...待て」

キョン「なんだ?」

土御門「一連の件を統括している人間に俺が話をしてきてやる」

朝倉「はぁ!?」

土御門「悪いようにはせん、約束する」

キョン「.....信用できんな」

土御門「朝倉涼子...いいか、俺は先にこの女を連れて戻るが、コイツを絶対に殺すなよ?」

土御門「さっきみてーに気絶させて、お前も戻って来い...いいな?」

 
229以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 23:41:30.99:82BI8sxZ0

朝倉「勝手な人ね...」

キョン「おい...、誰がそれを許すと言った? ハルヒは連れていかせんし、お前等には洗いざらい吐いてもらわねーとな...!!」

土御門「この女が世界に災厄をもたらす存在である事には変わりはない...いったんこちらで預からさせてもらう」 ザッ...

札...!? 

それを腕に張り付けたと同時に、姿がどんどん景色と同化していく!

キョン「くそっ!!!」

朝倉「転送の邪魔はさせないっ」 ガッ!

朝倉の蹴りが顔面に入る!

キョン「くっ....!」

攻撃を喰らい、視線があの男から外れる...
再び視線を元に戻す...が.....

キョン「消え た...!?」

確かにそこにいたはずの姿が跡形もなく消失する...


キョン「ハルヒ........!!!」

 
231以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 23:46:35.24:82BI8sxZ0

朝倉「ここまでよく頑張ったわね.....でも転送は終わっちゃったの、ゴメンね」

キョン「どこへ連れていきやがった!?」

朝倉「虚数学区.....って言ってもアナタには分からないわよね?」

キョン「...虚数学区!? それはどこにある!?」

朝倉「 ひ み つ ...でもどっちみち、あなたはここで死ぬんだから、知る必要はないんじゃないかな?」


キョン「お前を倒して、吐かせる、そして、ハルヒを連れ戻す!!」


朝倉「無駄よ、涼宮さんはもう手の届かない場所へ行ってしまったんだから.....」 スタスタ...

朝倉がゆっくりと
こちらへ近づいてくる...!

朝倉「私の能力は風を生み、操る事ができる.....あ、エアロマスターって言うのかしら?」 ゴォッ..!

朝倉を中心に風が舞い、その周囲を切りつける

朝倉「じゃあ、死んで?」 ゴゴォォォォッ!!

吹きすさぶ濃密なかまいたちが飛来する!
あたりを激しく切りつけながら...迫る!!

 
232以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/28(日) 23:50:45.53:82BI8sxZ0

直撃すれば無事ではいられない!
だが、これだけの広範囲の攻撃をどうやって...!?


「私から離れて下さい」


キョン「あんたは...!」

神裂「巻き込まれたくなかったら、早く私から離れなさい」

キョン「助けてくれるってのか...!?」

神裂「早く離れろと申しています!!」

朝倉「あら...、アナタ裏切るの?」

神裂「裏切る? 勘違いしないで下さい」

神裂「私は最初から世界の平穏を守る為に参戦したつもりです...仲間に入るなどと申したつもりはありませんよ...!」

神裂「どちらが善か、悪かの判断は私が行います...! 私は決めた、彼に世界の行く末を託すと...!!」

朝倉「そうだったの...残念。 アナタも.....この世界から消えてください」

朝倉「彼と一緒ならばアナタも本望よね!?」


朝倉「仲良く死んでしまうがいいわっ!!!」

 
233以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/29(月) 00:00:43.63:WL6GouD30

神裂「......」 スッ――


暴風が更に猛威を増す...!

一方、肉薄する風刃の塊を前に、神崎は無言のまま剣に手を据える...!

俺の時には見せなかった、抜刀の構え!!


神裂「 唯閃―― 」


朝倉「 ――!? 」

一瞬だった...

吹き荒れる風を二分し、朝倉の腕を斬り飛ばす...!!


朝倉「ぐっ...!!」


キョン「あんた...いや、神裂...なんで俺を助けた!?」

神裂「私が望む世界の鍵は貴方です...、死なれては困りますからね」

キョン「俺に懸けてくれんのか?...まぁ、安心してくれ.....、ハルヒは滅茶苦茶なチカラを持ってはいるが...あいつは意図的に世界を崩壊させる様なマネはしない.....無意識で世界をこんがらせても、俺達がいる、仲間がいる...」

キョン「責任持って元に戻すさ.....今までもそうしてきた、もちろん今回もだ!!!」

 
234以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/29(月) 00:03:59.13:WL6GouD30

神裂「フフ、期待してますよ」

神裂「ですが、あなたはただの一般人...、これから先へ踏み込むのは無茶です...」

神裂「この一連の首謀者はアレイスター・クロウリー...」

神裂「伝説の魔術師と呼ばれ...おそらくこの世界で最も神に近い男...!」

キョン「相手が誰だろうと構わなねぇ...ハルヒを殺そうってんなら.....」

キョン「俺が叩き潰すまでだ」


神裂「おそらく無理でしょう...、戦って勝てる相手ではありません...!」

神裂「後は私に任せて下さい...、これ以上貴方を戦わせたくない...!」

神裂「争い以外の方法で必ず彼女を取り戻し、貴方達を元の世界へ戻します.....!!」

キョン「俺にもできる事がある! 俺達が生んだ問題をあんただけに任せておけるかよ!!」

神裂「お気持ちだけ.....」

        ――ガッ.....


神裂「...頂いておきます」

 
235以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/29(月) 00:05:25.08:WL6GouD30

神裂「さてと.....まだ、続けますか?」

神裂「朝倉涼子...!」


朝倉「遠慮しておくわ、どうあがいても勝てそうにないもの....」

朝倉「 じゃあね... 」 スッ.....


神裂「 (転送用の術式を組み込んだ呪札...) 」


神裂「行先は虚数学区.....、私も準備を整え次第追うとしますか」


ザッ...


長門「ま、待って...」 ハァハァ.....

神裂「あなたは...彼の仲間でしょうか?」

長門「そう...」

長門「気絶させる数秒前から見ていた...、彼の言う通り、わたし達の招いた問題をあなただけに任せておくわけにはいかない」

 
236以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/29(月) 00:07:07.11:WL6GouD30

神裂「この件にアレイスターが絡んでいる以上...、あなた達が入ってきてどうにかできるレベルの問題ではありません...」

神裂「貴方は傷ついた彼を病院に運んであげて下さい...」


神裂「それでは、また.....」 ザッ...


長門「.......」

長門「.......」


長門「...行ってしまった」


長門「.....本当にこれで、良かったのだろうか.......」

 
237以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/29(月) 00:08:14.92:WL6GouD30

キョン「ここは....?」

見たところ病院のベッドのようだ。

キョン「あの時神裂が俺を殴って...、そのまま眠らされてたってわけか...」

キョン「そうだ、ハルヒが.....!!」

起き上がろうとする俺を、隣にいた人物が止めに入る...

長門「無理は禁物...彼女は自分に任せろと言っていた.....」

キョン「任せ、られっかよ...!」

キョン「この世界を引っ掻きまわしたのはハルヒだ...! アイツは俺達の仲間だ...!!」

長門「やはり、虚数学区と呼ばれる場所に向かうつもりなの?」

キョン「当り前だ...!」

長門「わたしもあなたと同じ考え...、同行させて」

キョン「あぁ、お前が来てくれるなら頼もしい」

長門「では、まず虚数学区への侵入方法を探る必要がある...、そこへはおそらく特殊な手段を用いなければ入る事ができない」

キョン「土御門とかいう男は、赤い札を転送に使っていた...だが、俺達はどうすればそこへ行ける...!?」

長門「わたしがこれから調査に入る...、あなたはせめて一日ここで休んでいて欲しい...」

 
238以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/29(月) 00:09:55.23:WL6GouD30

キョン「ハルヒがどんな目にあってるかわかんねーのに..俺だけ、こんなとこで寝てられっかよ...!」

長門「涼宮ハルヒは彼女がなんとかすると言っていた、それを信じるべき...」

キョン「土御門ってヤツも、悪いようにはしないとは言ってくれてはいたが...、信用できねぇ...!」

長門「土御門という人物についてはわたしは知らないけれど、おそらく神裂と名乗る彼女と同じ考え...信じるべき...」

長門「それに、今のあなたは動くのがやっと、一日だけでも体を休めて...」

キョン「しかしだな...!」

長門「お願い」

キョン「......」

長門「明日までに、できる限りの情報を集めてみる。 だから....!」

キョン「.....分かった」

長門「.......」

長門「...では、わたしは行くから...」 スタスタ...

キョン「あぁ...」


  ガチャ...

 
239以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/29(月) 00:11:54.93:WL6GouD30

長門「 !! 」

ドアを開けたところで、長門が突然立ち止まる...

キョン「どうしたんだ?」


美琴「あ.....」


キョン「御坂...!?」

美琴「どういう事なの.....?」

キョン「お前...まさか?」

美琴「盗み聞きするつもりじゃ、なかったけど...聞いちゃった....」

美琴「あんたが目を覚ましたあたりから...全部」


遅かれ早かれ、話すときが来るんだ...

できる事なら、自分から話をしたかったが...もう、それは手遅れ...


ありのまま全てを話そう.....

 
240以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/29(月) 00:13:41.35:WL6GouD30

立ち止まったままの長門を行かせ、御坂を病室に招き入れた

動揺を隠せない様子の御坂の肩に手を置いて、一つ呼吸を置く...


キョン「今まで騙していた事を先に謝らせてくれ...。 すまなかった」


ただこちらを無言のまま、御坂はじっと見つめている


俺はそのまま話を続けた


自分がこの世界の人間ではないこと。
世界に改変が起き俺と長門、それ以外の全ての人間に記憶の改竄が行われたこと。

今まで多くの嘘を重ねていことも

もちろん。


記憶喪失なんて嘘で、元から御坂の記憶なんて無かったことも含めて。



ありのままの真実を話した.....

 
242以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/29(月) 00:14:43.75:WL6GouD30

話し終わっても、御坂は無言でうつむいたまま。
どんな表情を浮かべているかは確認できない...

こいつは今。 どんな事を思っているんだろうか。
おそらく、こんなバカげた位にでかいレベルの話をいきなりされても信じる事なんてできないだろう。
だから、黙ったまま下を向いてるのだろうか...。

それとも。

俺が今まで嘘をついていた事に対して、怒っているんだろうか.....。


沈黙が支配する空間で.....俺が口を開こうとするが、

その前に、御坂が微妙な表情のまま顔を上げる.....


美琴「.....バカ」


そう言った後に、顔はこちらに向けたまま御坂は再び視線を落とした。

その様々な意味が込められた気がしてならない、その二文字のセリフの真意を。
俺は精一杯、考え、汲み取ろうとする。

そんな折。

突然御坂が椅子から立ち上がる...。
そしてこう言った。

 
243以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/29(月) 00:15:31.24:WL6GouD30

美琴「要は、その涼宮さんって人を助け出して、アンタが元の世界に帰れるようにすればいいんでしょ!?」


違和感満載の笑顔で、そう言った。


―――私に任せて


そう告げた後、御坂は病室の出口へと足を進める。


キョン「御坂.....」


一瞬。

その言葉に御坂の足が止まるが、また無言のまま歩き出し...

『バタン』 と.....ドアが冷たい音を立てた。

 
265以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/29(月) 15:09:41.50:cD/3Ge2t0

美琴「いつからだろう.....」 スタスタ


わたしがアイツの事を変に意識するようになったのは...

ずっと前からアイツとはずっと一緒にい記憶があるけど、今まで何も思わなかった...

別にアイツが他の女のコと仲良くしてても、なんともなかった。

わたしは自分の気持ちを辿ってみる。


わたしは気付く。


美琴「あの日からだ.....」


あいつがこの世界に来たって言った日から。

わたしはアイツに惹かれ始めた...。


もしこの気持ちが「改変」による物で.....偽られた感情ならば。

簡単に切り替えができたと思う。

 
266以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/29(月) 15:13:01.09:cD/3Ge2t0

美琴「.....でも」


これはアイツに生まれた、純粋な気持ち。


元の世界に戻ると、離れ離れになると考えただけで、胸が引き裂かれるみたいだ...。


でも仕方ない。

戻る事をアイツは望んでいる、アイツは願っている...。


しっかりしなさい美琴。


アイツのために、なんとしてでも彼女を取り戻し。
元の世界へ戻れるようにしてやるの.....


自分の我儘な感情なんて押し殺して.....

 
267以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/29(月) 15:15:59.57:cD/3Ge2t0

土御門「戻ったぜ、アレイスター」 ドサッ...


アレイスター「これが例の彼女か...」

土御門「そうだ。 目が覚めて暴れられても敵わんから、術式をかけ眠らせてある...」

アレイスター「土御門、御苦労だったな...」

土御門「アレイスター話しがある...、お前は本当にこの女を殺す気なのか?」

アレイスター「まさか...そんな馬鹿げた事をする気はない...」

土御門「話が違うぞ...! まさか無事に帰す...そんな気でもないだろう?」

アレイスター「勿論...。 私は彼女にこの世界の発展の礎になってもらうつもりだ...」

土御門「どういう意味だ?」

アレイスター「これ程の能力を持った人間はおそらく金輪際現れんだろう...」

アレイスター「私の手で保管し、あらゆる実験の元に能力を抽出する」

アレイスター「手に入りさえすれば、より良い世界が築ける...、無益な争いなど存在しない、統治された恒久の平和な世界が」

土御門「........ (思惑は最初からそれだったみてーだな) 」

土御門「アレイスター、そんな事は俺が許さんぞ、話しが違うだろう...!」

 
269以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/29(月) 15:24:19.09:cD/3Ge2t0

アレイスター「私に歯向かうというのか...いくらキミでも遠慮なく消すぞ? 訂正する事をお勧めしよう...!」

土御門「脅してるつもりか...!? だが生憎、俺は馬鹿でなぁ...信念ってモンは曲げられねぇのよ...!」

土御門「この女にはいい仲間がいる、世界に災厄なんぞもたらす存在になどならん...、だから眠らせたまま元の世界に帰してやれ...!!」

アレイスター「仮にそうだとしよう...、だが私は今、彼女のチカラを欲している...」

アレイスター「 『絶対願望』 まさに神と同等、いや、神と呼んでも差し支えあるまい」

アレイスター「それ程のチカラが手に入る機会なんぞ、この機を逃せば他にない...」

アレイスター「土御門、よく考えろ」

アレイスター「存在する事が分かった別世界とこの世界を守り、そして同時に、恒久の平和をもたらすチカラが手に入るのだ」

アレイスター「一人の少女の命が失われる事など、極めて小さな犠牲だと思わないか?」

土御門「......ハッ」


土御門「笑わせるな.....俺は信念は曲げんと言っただろう?」

土御門「そんな大言壮語を吐いたってなぁ、結局は人のチカラを奪い、それを利用するって事だろうが...」

土御門「貴様の私利私欲の為に、悪意のない一人の女を犠牲にするなんざ俺は見過ごせねぇな」

 
270以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/29(月) 15:29:21.48:cD/3Ge2t0

アレイスター「そうか...、ではキミは死を望んでいる」

アレイスター「そう解釈していいか?」


土御門「なんの策も持たずに、俺がこの交渉の席に立っているとでも思ったか?」


アレイスター「喰えん男だな、キミは.....! 策とはなんだ、言ってみろ?」


土御門「単純な事だ...俺をこの場で殺せば、この女も死ぬぞ」


アレイスター「    」  スッ...


土御門「――やめておけ」


土御門「お前が俺に何らかの魔術を使用した時点で、俺のかけた術は発動する...」

アレイスター「ッ....!!」

土御門「今回は俺の言う通りに動いてもらうぞ、アレイスター」

アレイスター「.....少し頭にきたよ、こんな感情はいつ以来だ...」

 
271以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/29(月) 15:35:52.99:cD/3Ge2t0

土御門「そんなに俺に出し抜かれた事がイラついたか...?」

アレイスター「勘違いするな。 私はここまで自分が過小評価されているという事が頭にきたと言っているのだよ...」

土御門「どういう意味だ!?」


アレイスター「キミに使用できる魔術の逆算など.....私には容易い」


土御門「貴様.....!!!」


アレイスター「言っておくが、彼女にかけていた術式は既に解いてある.....逃げた方がいいんじゃないのか?」

土御門「なんだと...!!?」

アレイスター「今、キミとの日々を思い出し、感傷に浸っている所だが...やはり私は裏切られたという事実に落胆している...肉塊すら残らん程の天罰を与えてしまいそうな程にな.....」

アレイスター「さぁ、不様に逃げ惑え.....醜態をさらした所を、跡形もなく滅してやろう...」


土御門「笑わせるな...、俺が貴様から逃げきれるワケがないだろう...それにな...どうせ、殺されるなら.....」

土御門「不様に逃げ回るんじゃなく...不様に足掻いて死にたいもんだ...!」

 
272以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/29(月) 15:38:25.13:cD/3Ge2t0

「貴方だけ逝くなんて、許しませんよ土御門...!!!」



土御門「!? ねーちん!」

神裂「土御門の言う少年の意志を届けにきました...!」

アレイスター「神裂火織...!」

神裂「あの少年に全てを委ねなさいアレイスター、人の屍の先にある平和など反吐がでます...!」

神裂「あなたは先程こう言いましたね...、統治された恒久の平和の世界を築くと...」

神裂「それは、能力により支配弾圧された世界とどう違うのか...答えなさい、アレイスター」


アレイスター「変わらんよ、どちらも...万物の頂点に立つ私にとってはね...」


神裂「万物の頂点だと? ふざけるのも大概にしなさい...!」


土御門「やめろねーちん! 相手が悪すぎる、剣を引け!」

神裂「あら? 貴方がしようとしていた事とどう違うんでしょうか...!?」


アレイスター「世界でも十人といない、『聖人』、神裂火織...!」

 
273以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/29(月) 15:44:33.00:cD/3Ge2t0

アレイスター「だが所詮はまがい物の天使のチカラ...、神に等しき私に敵うはずがなかろう.....」


神裂「 (禍々しいオーラ...、皮膚が焼けるよう...!) 」

神裂「土御門...! 彼女を連れてここから逃げて下さい...!」

土御門「ねーちん、お前まさか....死ぬ気じゃねーだろな?」

神裂「あの少年は私に向かってこう言いました... 『死ぬ気はないが、死んでも守る』 と...」


神裂「私も思い描く平和を死ぬ気で守ります!!!」


土御門「いいか? 命を懸けるのは構わんが、絶対に死ぬな!! 約束しろ!!!」

神裂「えぇ.....。 まだ天草式の皆にまだ伝えたい事が山ほどあります...こんな所で私は死ぬ気はありません...!!」

土御門「...分かった、あの女は任せろ...!」

土御門「それとだ...、お前も、俺がコイツを連れて出たら、すぐにここを出ろ!! いいな!!?」

神裂「えぇ.....、分かりました」


アレイスター「そうキミ達の考え通りに上手く事が進むと思うか?」 ゴォッ...!!

 
274以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/29(月) 15:47:13.48:cD/3Ge2t0

土御門「ねーちん!!」

神裂「ここはもう危険です、早く行きなさい!!」 ザンッ...!!

アレイスター「 ほう...。 アレを両断するとは...」 

土御門「 くそっ...!  」 ダッ...!!

土御門「 (死んだら許さねぇからな...!!!) 」


「あら? 涼宮さんを抱えてどこへ行くのかしら?」


土御門「朝倉涼子!!」

朝倉「あなたまで裏切るつもりじゃないわよね?」

土御門「くらえ!!」

朝倉「遅い...!」 ガッ!

土御門「ッ――!?」 

朝倉「ひょっとして私が片腕だから、勝てるとでも思ったの? ん?」

土御門「 (俺には肉体再生がある...! なんとしてでもここから、この女を...!! 異世界のアイツと約束しちまったんだ) 」

土御門「 (そしてソイツを信じ、ねーちんは己を懸けた.....ここでへタれりゃ男が廃るぜ.....!!!) 」

 
277以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/29(月) 16:00:05.13:cD/3Ge2t0

美琴「ここまで情報がないなんて...!」

美琴「黒子に聞いても、虚数学区は都市伝説の噂だって事しか知らなかったし」

美琴「学園都市の中枢施設と呼ばれるココなら、何か情報があると思って来てはみたけど...」 スタスタ


美琴「あなた、何か知ってる事はない?」


管理者「わ、私は虚数学区など何もしらん...」

美琴「ふ~~、外れか...」

美琴「大暴れしちゃったから、ひとまず逃げないとなぁ...」

 
278以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/29(月) 16:01:35.86:cD/3Ge2t0

被害者の女性「今日はご一緒できて、本当に楽しかったですっ!!」///

古泉「僕も楽しませてもらいました。 では、また...」

被害者の女性「はいっ!!」


古泉「.....」


古泉「久しぶりの休息...思い返せば三年前からずっと、今まで...彼女の精神状態に振り回されて、自分の時間を楽しむ余裕なんてなかった...」

古泉「普通の世界ではありませんが、自由気ままな学生生活が満喫できて最高でした...」

古泉「ですが。 休息はずっと続かないから休息と言うんでしょうね...」


古泉「楽しかった異世界旅行も、そろそろ帰り支度をする時が来たようだ...、さてと...」


古泉「行きますか」

 
279以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/29(月) 16:09:30.67:cD/3Ge2t0

長門「申し訳ない...有益な情報を得る事ができなかった...」

キョン「そんな申し訳なさそうな顔をするなよ長門」

長門「だけど.....」

キョン「よっこいしょっと...!」 バサッ...

長門「ケガ...もういいの?」

キョン「一日寝りゃあ完全回復だ、心配ねぇ.....」

キョン「とっとと虚数学区って場所を捜し出して、ハルヒを助けに行くぞ!」


心配そうな眼差しを向ける長門を横目で見ながら、俺はベッドから降り三回とび跳ねる。

全身に痛みが走るが、長門から送られる心配を払拭するために、無駄に元気だとアピールしてみる。


キョン「なにぼさっとしてんだ長門...行くぞ?」

長門「.....そう」

キョン「もうすぐ医師の回診の時間なんだ、まだ入院してろなんて言われちゃ堪らんからな」


しかし。 病室から逃げるように立ち去ろうとする、その時、ゆっくりと病室のドアが開いた...!

そこに現れた人物は昨日ハルヒを連れ去った張本人.....たしか名は土御門.....!

 
280以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/29(月) 16:12:24.74:cD/3Ge2t0

キョン「.....お前っ!!」

土御門「...........すまん」

土御門「彼女は奪われ、共に戦ってくれた仲間も置いて、不様に自分だけ逃げてきた.....悪いようにはしないとお前と約束したが、結果.....このザマだ」

土御門「......すまなかった。 この通りだ.....許してくれ」


ハルヒを連れ去ったコイツの顔を見た瞬間、正直俺は殴り倒そうと思った.....顔面を執拗に、命尽きるまで...!
だけど、できなかった.....。

いつ倒れてもおかしくない程の大怪我を負い、頭を下げるコイツを見ると...
例えハルヒをさらった仇でも.....できなかった。


キョン「なぜ俺の所へ来た? まさか、謝罪の為じゃあないよな?」

土御門「謝罪、勿論それもあるが。 本題へ...入らせてもらってもいいか?」

キョン「...! あぁ...」


土御門は言った...。

アレイスターとかいうヤツがハルヒのチカラを使い、俺達の異世界とこの世界に対し、支配同然の統治を敷こうとしていると...。

それを止めようとした、土御門、神裂の二人が反論を投げかけ結果、戦闘となり現在、神裂の安否は不明だと...。

 
282以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/29(月) 16:21:45.01:cD/3Ge2t0

事の経緯を話し終えた土御門は最後にこう告げた...。

世界を守る為に...神裂と涼宮ハルヒを助ける為に.....お前達の力を貸してくれ、と.....。

黙ったままの俺達に、土御門は再び確認の言葉を投げかけようとするが、俺はそれを遮り.....無論、こう返答した.....


――行くぞ、土御門


土御門は言った、ありがとうと。
礼なんていらん、何も言われなくったって、どっち道同じ事をするんだから。

キョン「虚数学区...そこへ行く方法をお前は知ってるよな?」

土御門「あぁ.....、俺がお前達を連れていく...!」

キョン「よし...! ハルヒと神裂が危ない...土御門、急ごう...!」

土御門「おぉ、わかった。 しかし、俺にはもう戦えるだけの力は残っちゃいない...虚数学区への道を開く事しかできそうにない...」

キョン「構わん、それで十分すぎる位だ。 俺よりボロボロのお前に戦ってくれなんて言わねーよ」

土御門「すまんな...。 ところで、一つ聞いてみるが...」

土御門「お前は俺を信用するのか? これが罠ならどうする気だ?」


キョン「今さら何言ってやがる、お前に対して疑心なんてもうねーよ...俺はもうお前を仲間だって、そう思ってる.....」

 
284以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/29(月) 16:32:33.35:cD/3Ge2t0

歯を見せながら土御門は笑う、俺もそれに笑って返答した。

ドアを開け、階段を降りる途中。 ふとアイツの事が頭をよぎった
別れ際にもう一度、話しておきたかったな
そんな事を考えながら、受付を通り抜け
病院の出口の扉を開ける

扉が閉まり、ふと意味もなく空を見上げる
ただよう雲を見ながら、最後にあいつの声が聞きたい、もう一度あいつの顔が見たい...そんな思い

願いが通じたのか...。

アイツの声が聞こえた

美琴「アンタ、わたしを置いてどこへ行くつもりなの?」

キョン「御坂...」

美琴「虚数学区への侵入方法を見つけた、そして今から乗り込む...これで間違いないわね?」

キョン「...あぁ、その通りだ」

美琴「わたしも行く」

キョン「ダメだ。 生きて帰れるかすら分からん所へオマエを連れていけるか」

美琴「わたしは何て言われようとついて行く...これ以上ボロボロになったアンタなんて見たくない! だからわたしも行かせて...」


美琴「アンタはわたしが守るから...!!」

 
286以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/29(月) 16:43:05.77:cD/3Ge2t0

キョン「御坂...」


美琴「それに、元の世界に帰るかもしれないんでしょ? これでもう、逢う事もないかもしれないんでしょ!?」

美琴「別れの挨拶位はさせてよ...、何も言わず、はいサヨナラなんて.....しないでよ.....」

美琴「お願いだから....一緒に連れてってよ.....」


美琴「 (わたしをこの世界に一人で置いていかないで...、一緒に連れていってなんて.....) 」

美琴「 (そんな事まで望まないから.....) 」


美琴「 (我慢するから.....!) 」


美琴「だからっ...!!!」 グスッ..


キョン「頼りにしてるぞ、御坂」 ガシガシ.....


美琴「ガシガシしないでよ.....セットが乱れるじゃない.....」

 
287以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/29(月) 16:53:00.55:cD/3Ge2t0

うつむきながら、なぜか少し大きな瞳に涙を浮かべ...

俺をじっとみつめる御坂を見ていると.....

人生で初めて、女に対してこう思った.....


御坂に対してこう思った.....。


抱きしめたいって。


.....そう思った。



だけどさっきまで、少し御坂に逢いたくないとも考えてた.....

別れが辛くなる...そんな気がした。


「無理矢理にでも連れて帰ろう」.....


そんな衝動に駆られる気がしたから。

 
288以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/29(月) 16:57:04.60:cD/3Ge2t0

土御門「おいおい、気持ちは分かるが、これからって時にいちゃつかんでくれるか?」

キョン「あっ! あぁ! すまんすまん!」

美琴「 (え?.....いちゃついてたって言われたのを....認めた?) 」


キョン「さぁ...、最後の大仕事だ...」


キョン「行くぞ!!!」


土御門「 (ったく...さっきまでラブシーンでもおっぱじめんのかって雰囲気だったヤツが、そんな事言っても締まらんぜ...) 」




アレイスター「神裂火織はまだ生きているのか?」

朝倉「えぇ...さっきちょっとやられた腹いせに切り刻んじゃったけど、まだ息はあるわ」

アレイスター「あれだけ私の攻撃を喰らいながらまだ息があるか.....流石は聖人、しぶといな」

朝倉「そんな事より、涼宮さんの能力抽出の実験の進捗はどうなの?」

アレイスター「今はまだ三割といった所だが、完遂する目途はついてある.....確実に、成功はするだろう」

朝倉「そう.....それは良かったわ」

 
289以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/29(月) 16:57:53.18:cD/3Ge2t0

アレイスター「しかし、復讐とやらはもういいのか?」

朝倉「涼宮さんに対しては、これだけ酷い実験の犠牲になってるんだし、もう満足したわ」

朝倉「彼等に対しての復讐はまだだけどね...!」

アレイスター「噂をすれば...」

朝倉「侵入者...! おそらく彼等ね...、おかげで探す手間が省けたわ...!」

朝倉「じゃ、私は復讐を終わらせてくるわ...」


朝倉「 ( ここまでは計画通り...!) 」


朝倉「 ( 後は彼等を殺し、能力抽出が終わった段階で、それを奪う! ) 」

朝倉「 ( 完璧ね...、これで私も表舞台に立てる... ) 」

朝倉「 (長門さんのバックアップではなく、情報統合思念体のインターフェイスとしてでもなく... ) 」


朝倉「 (新世界の神として...!!!) 」

 
290以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/29(月) 17:00:53.61:cD/3Ge2t0

土御門「この先がそうだ...そこで全てが決する」

キョン「そこにハルヒと神裂がいるんだな...」

土御門「あぁ」


空間がひどく歪み、存在する事が嘘の様な一本道を俺達は進む。

一歩一歩、確かに。

決意を固めながら.....


俺としては気を張らしてはいたつもりだが...

突如、何の前触れもなく。

長門と御坂が臨戦の態勢をとる!


長門がハードカバーを開き、一文をなで、すぐにそのページに折り目をつける。

素早い所作のもと、数ページ捲り、再び文をなでる。

また折り目をつけたページをめくり、そこの別の文章をか細い指で逆からなでる!


一瞬で俺達の前に巨大な氷の盾を作り上げる!

 
291以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/29(月) 17:08:18.40:cD/3Ge2t0

二秒遅れて、脅威とも呼べる暴風が吹き荒れ、あたりを斬り刻む!!


それに対して、完全な防御効力を発揮したソレにより、俺達は難を逃れる。

暴風の脅威が終わり、遠くから、カツカツと何者かが歩いてくる...!


「情報連結が無くとも、流石は長門さん.....一筋縄ではいかないか」


声の主が姿を現し...長門が一歩前へ出る...


長門「朝倉涼子...!」


朝倉「久しぶりに長門さんに逢えて嬉しいわ....、でも....」

朝倉「さっきので死んでて欲しかったな...」


長門「今は時間が惜しい、あなた達は先に行って欲しい...」

長門「彼女はわたしが殲滅する...!」


静かに、力強く。 長門は告げた。

 
292以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/29(月) 17:17:43.36:cD/3Ge2t0

この場を預け、俺達は通路脇を走り抜ける...
だが、朝倉が許すはずもなく風刃を放つ!

長門が瞬時に防壁を構築する!

キョン「長門! 頼んだぞ!」

長門「振り返ららないで...ただ前だけを見て駆け抜けて...!」


朝倉「長門さん? この先には彼がいる...! 着いた先には想像なんて凌駕する程の絶望が待っているだけよ?」

朝倉「勝算なんてない...ただあなた達はここで無駄死にするだけなの」

長門「わたしが断言する、彼は負けない...!」

長門「どんな絶望もうち砕いてくれるはず...!!」


長い通路を全力で駆け抜けた俺達は、その突き当りにある重い扉に手をかける...


ここで全てが決する...

俺達の生死も...

世界の行く末も...


最期の扉を開く.....!

 
295以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/29(月) 17:26:15.72:cD/3Ge2t0

アレイスター「.........ようこそ、異世界の侵略者よ」


キョン「.....アレイスタ―、お前がやろうとしている事は土御門から聞いた」

キョン「ハルヒを利用して世界をテメ―の都合いいように統治しようなんざ、全くイカレて狂った脳味噌してやがる」

キョン「いいか? 黙って答えろ」

キョン「ハルヒと神裂は無事なんだろうな...!?」

アレイスター「ハルヒ...? あぁ、あの女の事か...。 神裂も同じく生かしてある、安心しろ」

アレイスター「ただ...神裂の方は派手に暴れてくれたから、少し仕置きをしてはあるがな...」

アレイスター「奥を見てみるといい.....二人ともそこへ安置してある」


アレイスターが目線をやる方向へ俺達は向かう...

そこには、全身に明らかな重症を負わされ血塗れの神裂と...

衣服を全て脱がされ、変わりに、全身に大小様々な器具を着けられたハルヒがいた.....



――頭の血管が全て切れた様な音が響く

 
296以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/29(月) 17:34:39.62:cD/3Ge2t0

キョン「俺はな、世界を守るだなんて大義名分を掲げる気はない...ただハルヒと神裂を奪還できればそれで良い...しかし、お前はもう二人を傷つけちまった...!」


キョン「 覚悟しろ....!!! 」


アレイスター「いきなり喧嘩腰か...血の気が多い侵略者だ...私の築こうとする世界に賛同してもらおうと思っていた所だったが...予定変更としよう」


アレイスター「少しばかり派手にもてなすとするか...!」


物静かだったアレイスターの表情が僅かに歪む...
同時に空間の空気が重く、淀み、呼吸を忘れる程の悪感が急襲する!
無意識に足が止まった俺をアレイスターが一瞥した後、素早く手で宙に何かを描く!


アレイスター「すぐに死んでくれるなよ...?」


キョン「魔術!?」

土御門「いかん! 離れろ!!」

美琴「させるかっ!!」 バチバチッ!

巨大な電撃の槍がアレイスターに迫る
まるで落雷でも落ちたかと思う程の轟音を響かせ、直撃する!

俺の目には直撃したと、そう見えた。

 
297以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/29(月) 17:43:32.05:cD/3Ge2t0

キョン「消えた!?」

美琴「テレポート!?」

アレイスター「座標移動など、私にとっては呼吸する事より単純な術式だ」

アレイスターの声が背後から聞こえたかと思うと、背骨が折れ曲がるかと思う程の衝撃が直撃し...

体ごと空に浮き...壁面に衝突する!

意識が飛びそうになる程の一撃。
御坂が俺の肩に手を置いて、何か叫び続けているがしっかりと聞きとる事ができない。
たぶんだが、大丈夫か? と何度も確認している様だ。
問題ないと声を絞り出し。
なんとか起き上がるが激痛の為か平衡感覚がうまく機能せず、直立しているつもりが景色が揺れる。
揺れる景色の中に、アレイスターの姿が映ってはいるが攻撃に転じる余裕がない...。

その景色の中に御坂の後ろ姿が映る。

こちらに背を向けたまま、俺にこう言う。

美琴「後はわたしがやるから...アンタはそこで見てて」

御坂に手を伸ばすが、僅かに届かず、その背中が遠くなる...そして近づく...アレイスターの方へと...!

アレイスター「十分に加減したつもりの一撃で、立つのがやっととはな.....脆すぎる」

アレイスター「こんな男に良く着いてくる気になったものだ.....。 なぁ? レベル5、御坂美琴よ?」

 
298以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/29(月) 17:51:45.17:cD/3Ge2t0

美琴「アイツはね.....放っとくと、猪みたいにつっこんで自滅しちゃう...」 バチバチッ!


御坂が空間に無数の磁場を形成する。


美琴「誰かのために自分の命なんて省みずに突っ走って、目的を果たすまで止まらないの...」 バチッバチバチッ!!


その磁場が電力の球体を無数に作りだす。


美琴「だから...」


その球体が激しく音を上げ、濃密さを増していく。


美琴「だから誰かが守ってあげないといけないの.....」


三十を雄に超える青い球体がアレイスターに迫り...


美琴「だからわたしがアイツを守るのっ!!!」


激しい衝撃音を響かせ直撃する!!!

 
299以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/29(月) 17:53:28.79:cD/3Ge2t0

直撃を受けたアレイスターは目を閉じたまま、立ち尽くし....動く事ができない...その姿を見て、確信する...。

キョン「終わった.....!」

美琴「やったわ...。 でも、今ので放出可能な電力の半分は使っちゃった...ってかアンタ背中大丈夫なの? かなりヤバ目に曲がって吹っ飛ばされてたけど...」

キョン「ハハ、なんとかな...。 だいぶ痛みは引いてきた。 ってか、お前がいないと俺は確実に殺されてたかもな...」

美琴「女だからってレベル5の超能力者を甘くみないことね!」


キョン「.........!?」


ふと、何かイヤな視線を感じ...振り返る。
その予感は的中し...アレイスターが目を見開いたまま、こちらを見据えていた.....。

アレイスター「全く、その通りだよ御坂美琴...」

キョン「っ!!?」

美琴「そんな....!」

アレイスター「それ程の能力を自在に解放できれば第三位に甘んじる事など無かっただろうな...」

キョン「化物.....!!」

美琴「効いてない...!?」

 
300以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/29(月) 17:55:53.76:cD/3Ge2t0

アレイスター「流石はレベル5と言ったところだが、アレが効くのならば私は既に神裂火織に敗れている.....」

アレイスターが、腕を天に付きたてる!

キョン「っ!?」

アレイスター「私の力の辺凛を見せてやろる...我に刃向かう者を滅す、断罪の赤き裁きをもたらせ...!」

付きたてたその腕から、天に向かい...赤く、果てしなく巨大な刃が伸びる!

美琴「 (やばい! でも今すぐに出せる電撃じゃアイツに効かない...どうすれば.....!?) 」

美琴「 (........っ!...そうだ!!) 」


美琴「 (アイツはあの日より前の記憶なんてないって言ってた...!) 」

美琴「 (なら、アイツは知らない!? 自分に宿ったあの能力の事も!?) 」


アレイスター「 くらえ 」 


その言葉の直後、腕が垂直に振り下ろされる! 次元までも斬り裂きながら、赤刃が俺達に向かって迫る!

こんなもん回避できるはずがない...!

このまま.....終わるのか.....!?

 
301以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/29(月) 17:56:58.52:cD/3Ge2t0

あまりに絶望的な力の前に立ち尽くしたままの俺に、御坂が叫ぶ――


右の拳を赤刃に突き出せと――!


ただ赤子の様にその言葉を信じ、その言葉通り肉薄する赤刃に右の拳を掲げる...


突如


不可思議な音と共に消滅する、眼前の脅威...!!!


キョン「......!!」


アレイスター「上条当麻から失われたはずの『幻想殺し』...改変により貴様に転位していたのか...!」

キョン「上条さんとやら...少しの間でいい.....コイツを借してくれ...!」

戦える! アレイスターが『幻想殺し』と呼んだコイツがあれば...渡りあえる!


――ハルヒと神裂を取り返せる!!!

 
303以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/29(月) 18:03:31.77:cD/3Ge2t0

アレイスター「いい眼だ...いい表情だ...! まるで、世界に希望を見ていた以前の私を見ている様で懐かしく、嬉しい気持ちになる...、しかし同時に、こうも思う」

アレイスターの右手が御坂に向けられる!

アレイスター「昔、私は愛した女を目の前で魔術師に殺された...たとえばキミが同じ苦しみ出会い、絶望の色で塗りつぶされたとしたら...キミは今の瞳のまま、世界に希望を見る事ができるのかと....!」


その掌から黒い砲撃が、御坂に向け放出される!

キョン「させるかよ...」

その延長線上に俺は立つ!


後ろにいた御坂が俺の背中をそっと掴む...。

キョン「大丈夫、心配すんな.....」

接近する狂気に右手を掲げる!

キョン「―――俺がお前を守る!!!」



砲撃が俺の右手と衝突し、気圧されそうになるが...! 得体の知れないこの力が、断続的に放出されるソレを飲み込み続ける!

やがて黒一色だった視界が終わり、その先に再びアレイスターが映る!

 
304以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/29(月) 18:05:52.19:cD/3Ge2t0

キョン「お前にも愛した人がいたんだな.....、お前を愛してくれる人がいたんだな.....だが、今のお前をその人が愛してくれるとは思えねぇ。 たとえお前が描いてる、力の統治で争いの無い世界を創ったとしたって...!」

キョン「心に生きるその人は笑っちゃくれねーぞ!!!」

アレイスター「私は十数世紀をこの目で見てきた...国の終わりも始まりも...その全てに絡むのが争いというものだ...知った様な口を聞くなよ糞餓鬼が...! 私の中の彼女は今でもほほ笑みながら私を見てくれている...!」


キョン「お前の人生がどんなに苦しみに満ちた物であったとしても、それで歪んだお前が弱かったってだけだ。 そしてお前が俺の大切な人.....御坂を傷つようというのなら...!」 


キョン「俺はどんな絶望もはじく盾になってやる...!!!」


アレイスター「ククッ。 その言葉を忘れるな。 これからお前に地獄を見せてやる.....!」


穏やかだったアレイスターの表情が徐々に崩れていく...
青白くさえあった皮膚が褐色に変わっていき、皮膚に亀裂が走る...!
その血管が波打ち、異常な速さの心臓の鼓動が空間に響き出す...!
両の肩を破り二本の巨大な腕が姿を現す...!

アレイスターが目を閉じ......再び見開く!!!

突如、眼球が三倍程に膨れ上がり、その目から紫の血が滴る!!!

その目が俺と御坂を見つめる.....!!!!!

アレイスター「 この世で存在する最高の絶望を味あわせてやろう 」

 
305以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/29(月) 18:10:50.79:cD/3Ge2t0

キョン「まるで化物じゃねぇか.....!!!」


ゆっくりとこちらに近づいてくる、その姿を見て、全身に悪寒が走り、血の気が引いていく.....! 足が地に張り付いた様に動かない...!

アレイスター「どうした...? この姿がそんなに恐ろしいか?...禁術を使い転生を果たしたこの姿が...!」

美琴「......ふん! み、見かけだおしじゃないでしょうね!?」 バチバチッ...!

キョン「.....御坂!?」

美琴「さっきより出力を上げた電撃なら...!」 ビリビリッ!

   「待って」

キョン「っ!? 長門!!」

長門「私が対象の動きを止める...だから絶対に直撃させて」

長門「ちなみに、朝倉涼子は殲滅完了、安心して」

そう言いながら長門がハードカバーを開き、一文をなでる...!

アレイスターを冷気の嵐が襲い、その体表を凍りつかせるが、何事もないかの様に覆った氷を即座に砕いた後、再びこちらにゆっくりと歩き出す...!

長門「........!!」

アレイスター「 もうこの姿になった以上、何をしようと無駄だ...! おとなしく運命を受け入れろ...! 」

 
306以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/29(月) 18:12:51.22:cD/3Ge2t0

肩から出現したその第三の腕がこちらに向かって伸びる!

長門が瞬く間に氷の槍をあつらえ、それを伸び続ける腕に貫通させる!


しかし、ソレは止まらない!!!


キョン「...俺に任せろ!! この右手でかき消す!!!」

アレイスター「 『幻想殺し』と言えどこの一撃は止められんぞ...! 」

キョン「やってみねーと分かんねーだろーが!!!」

そう叫び、迫る腕に拳をぶち当てる!!!

キョン「......っ!!? (防げないっ...!!!) 」

腕の骨が軋み、イヤな音を立てる! 骨ごと砕かれ、吹き飛ばされる.....! そう予感した直後.....!!!

紅の球体が直撃し、起爆音と共にその腕を地にねじ伏せる!!!

後方から足音が聞こえる...振り返った先にいたのは、見慣れたムカつく面構えのあの男...!

古泉「すみません...貴方を探して街中走り回っていました。 まさか、もうこちらにいらしているとは...」

 
307以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/29(月) 18:16:23.60:cD/3Ge2t0

キョン「お前...! どうやってここへ!?」

古泉「先日、変な輩が襲いに来ましてね...その彼がこれを持っていたんですよ」


笑いながら古泉が見せてきたのは、虚数学区、転送用の札...


古泉「それにしても、あんな人間の進化から大きく脱線したようなのを相手に良く存命されてましたね...関心します」

キョン「お前が来てなけりゃ確実に俺は死んでたかも知れんがな...」

古泉「フフフっ、じゃあそれで許して下さいね...」

キョン「何をだ...?」

古泉「遅れた事も含めて色々です。 彼女がさらわれた時も僕はその場に駆けつけるのが遅れてしまった...」

キョン「なんかひっかかるな...、おい、正直に答えろよ? お前は記憶を改変されてなんか......」

古泉「フフフっ、僕はあなたと逢うのは二回目ですよ?」


そう古泉はイヤな笑みを浮かべながらとぼけたセリフを吐いた。

 
308以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/29(月) 18:18:38.74:cD/3Ge2t0

古泉「何はともあれ、これで役者は揃った―――」

古泉が紅の衣を纏う!

長門「全てを以って殲滅する―――」

長門がハードカバーを強く握りしめる!

美琴「今まで人を殺すレベルの電撃は控えていたけど...アンタ相手なら遠慮なしでぶっ放せる―――」

御坂が全身に雷をみなぎらせる!


俺は、一人でテメ―みたいな化物と闘う力なんて持ち合わせていねーが、お互いを信じ、支えあえる仲間がいる 


一人一人の力ならお前の足元にも及ばないとしても.....


キョン「想いを束ねれば希望の光だって掴みとれる!!!」

 
309:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/29(月) 18:20:00.84:639fhRwtO
みくる「…」

 
310以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/29(月) 18:23:03.56:cD/3Ge2t0

長門が先陣を切る――!

ハードカバーの最後のページにある、最後の一文を、確かめる様に.....ゆっくりとなぞる! 冷気が長門の正面に集結し、何かが形成されていく...!

長門「貴方の源を断つ.....!」

巨大な三日月の形をした氷の刃がアレイスターを急襲する!!!

迫るソレをアレイスターが第三の腕で薙ぎ払おうとするが.....紫の血しぶきが噴き出し、第三の腕が宙を舞う!!!!!

古泉がそれに続く―――!

古泉「これならいくら貴方でも.....」

己の身丈の五倍はある、紅玉を頭上に創りだす!

古泉「ちょっとばかり堪えるかも.....しれませんね!!!」

両の腕でそれを握り、背中を後ろへ反らす...勢いをつけたオーバースローで投げられた紅玉がアレイスターの第四の腕と衝突し...大規模な起爆を起こし、第四の腕が肉片へと成り果てる!!!!!


御坂がコインを強く握りしめ呟く―――!

美琴「この一撃にわたしの全てを込める...」

全身に青い電撃を漲らせ、コインを空に垂直にはじく.....!

美琴「これがわたしの最大出力の超電磁砲!!!!!」

重力に引き寄せられたコインを中の指で力強くはじき...放撃する!!! 青く、巨大な閃光が轟き、激しい落雷にも似た音とともに貫通、アレイスターの腹部に大きな風穴を開ける!!!!!

 
311以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/29(月) 18:27:58.57:cD/3Ge2t0

アレイスター「 ――――――――――― 」

アレイスターが紫の血溜まりの中心で奇声をあげる―――そして聞きとれない程の速度で『何か』を詠唱する!!! 空間が急に振動し、次元に無数の亀裂が走る!!!

アレイスターの体が更に人からかけ離れ、左腕が膨れ上がる!!!

その異形となった左腕が漆黒に輝く!!!!!

キョン「あれは一体....!?」

古泉「怒りで何も思考する事ができなくなってる様ですね.....おそらくこの空間ごと消滅させる気でしょう...」

古泉「ですが僕はまだ足掻くのをやめる気はありませんよ.....!?」

長門「私も諦めない....!」

美琴「そうよ! ここまでやったんだから、もう最後まで突っ走る!」

美琴「 (本音ではアンタに元の世界に帰って欲しくない...。 でもアンタが戻る事を望むのならわたしもそう願ってあげたい 迷うな...もう決めたんだ) 」

美琴「アンタを元の世界に戻してやるって決めたんだ!!!」

俺の右手が白く輝く...直感で分かった...幻想殺しは異能を打ち消すだけのモノじゃない。
現実に今、三人の想いに共鳴している...

キョン「 (仲間の想いをコイツが束ねてくれる) 」

右手がまばゆい程の輝きを放ち出す!!!!!

 
313以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/29(月) 18:34:51.33:cD/3Ge2t0

アレイスターの漆黒の拳が眼前に肉薄する――全力で振りかぶった右のストレートがソレに衝突する!

キョン「俺達がその腐った幻想をぶち殺す!!!!!」


白い光が空間を支配する―――――――――








ヒビだらけの空間で、五体の殆どを無くしたアレイスターが転がる。 ハルヒと神裂を捕えていた円柱状の機械をぶち壊し、二人を中から救い出す。

キョン「終わったな」

長門「そう。 終わった」

古泉「やっとこれで元の世界へ帰れますね」

美琴「........」

キョン「おいおい、どうやって帰るってんだ、方法があるのか?」

美琴「........」

古泉「えっ!? ないんですか!?」

 
315以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/29(月) 18:38:01.31:cD/3Ge2t0

土御門「それなら俺に任せろ、最後位は俺に出番をくれ.....この女の意識に干渉すれば、「改変」前の世界に戻した上で、帰還させる事が可能だ」

キョン「お前! そんな事ができるのなら最初からそうすりゃ良かっただろうが!」

土御門「すまん、忘れてたんだニャ......」

キョン「ったく...! とにかくハルヒが目を覚ませば話しがややこしくなる...! 早くソイツをやってくれ」

土御門「術式を構成するのに、少々時間がかかるがいいな?」

キョン「あぁ」

という事はここでサヨナラか.....異世界での時間を共に過ごした御坂とも.....

キョン「........」

立ち尽くしたままの御坂の傍による

御坂「.......」

御坂は黙って下を向いたまま。 同じく俺も口を開かぬまま。 一分程の時間が流れた...

御坂「..........」

御坂「 (.....言えない) 」

最後はコイツに笑いながら別れを言うって決めてたのに。 そんなことできない。 笑いながらバイバイなんて言えない。 それに.....今、顔を上げたら全部バレバレ。

我慢して、最期くらいは、色々ありがとうって言わなきゃ。 ちゃんと分ってるのに、自分に言い聞かせてるのに....溢れようとする涙が止められない。

 
316以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/29(月) 19:00:01.07:cD/3Ge2t0

足元に一粒の涙をこぼしてしまった...

キョン「御坂っ....!」 

そう言ってアイツがわたしの肩を抱いた.....。 もう止める事なんてできない、伝えたい...全部伝えたい.....!

美琴「いやだ......!」

キョン「俺もお前と離れたくはないが、これっばかりは仕方ないだろ、俺は別世界の人間なんだ」

美琴「じゃあ私もいくっ! あんたと....離れたくないっ!」

キョン「そんなに泣くなよ......俺が安心して行けねーじゃねーか」

美琴「泣いてないっ!」  

キョン「......」

美琴「......」 グスッ

キョン「泣いてんじゃねーか」

美琴「だって....!!!」

キョン「そうだ....これをお前にやる」

美琴「ネックレス?」

このネックレスは、俺がいっつもしている宝物。 それのチェーン、扉、鍵の三つに...俺らしくもないクサイ意味を込めてコイツに渡すなんて...恥ずかしくてとても言えない

 
317以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/29(月) 19:00:43.81:cD/3Ge2t0

キョン「俺が中学の頃に背伸びしてセレクトショップで買ったんだ。 俺の一番の宝物だから大切にしてくれよ...美琴 」

美琴「.........!」

キョン「じゃあ....俺は元の世界にかえ....」

美琴「いやだ!!!」

美琴「こんなのいらないっ! 美琴って呼んでくれなくてもいい!」

美琴「だからわたしもいっしょに行く!!!」

美琴「わたしをこんな気持ちにさせたんだから、責任とってよ!?」


キョン「土御門.......頼む」

土御門「術式の準備はできたが.....いいのか?」

キョン「あぁ」

土御門「お前ははそれで大丈夫なのか?」

キョン「......あぁ」


土御門「.......そうか」


土御門「では、術式を展開する」

 
318以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/29(月) 19:01:38.64:cD/3Ge2t0

美琴「お願いだから! わたしにできることならなんでもするからっ! 料理も洗濯も、掃除でもなんでもっ! あんたが望むことならなんでもっ......!」

美琴「お願いだからあんたのそばにいさせてよ!!!」

キョン「お前に...ぇて」 

突如、頭を激しい揺れが襲いが襲い言葉が詰まる、体の感覚が消えていく...元の世界への転送が始まったのか

キョン「この世界でお前に逢えて良かったよ.....」

美琴「そんなの聞きたくない! わたし...あの日からずっとアンタのこと...!」

キョン「 (今頃になって自分の気持ちにきづいたよ) 」 

こんな時に、言葉がうまく出せないなんて.....

あと数秒で、自分がこの世界から消えるのが感覚でわかる...

美琴「ねぇ!? 置いてかないでよ!! あんたと絶対離れたくないのっ! だって、わたしあんたのことが―――

美琴「あんたのことが大好きなのっ!!!」

頭の揺れがひどくなり...体の感覚がなくなる

元の世界への転送が終わった―――――

 
319以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/29(月) 19:02:24.34:cD/3Ge2t0

キョン「........」 ポリポリ

キョン「...見慣れた河川敷。って事は戻ってきたってことか。 いや、これは俺の見ていた夢だったって可能性もある」

キョン「もし夢なら....」 チラ

首元を確認するが、あるはずのソレがない

キョン「あいつが.....」

キョン「あいつが最後に言ったセリフ...」

キョン「 『あんたのことが.......』 」

キョン「そこら辺で完全に意識が無くなっちまった...」

聞けないまま戻ってきちまった、できれば続きの言葉が聞きたかった、できれば伝えたかった。 最後の最後で気がついた、ありったけの気持ちのを全部。

でも、なぜだろう? いつかまた、逢える気がする。そんな気がする.....。

こんな妄想話をアイツにしたらなんて言うだろうか? やっぱ...「いい病院紹介するわ」 なんて言われるだろうか。 子供に言ってもバカにされるような...そんな願望

「この世界のどっかに不思議な扉があって」 「それを鍵で開けたら」 「別の世界へ繋がってる」

ハハ.....やっぱお前もバカにするよな?

なぁ―――

美琴――――――

 
321以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/29(月) 19:07:31.29:cD/3Ge2t0

黒子「お姉さま、一つ聞いてもいいでしょうか?」

美琴「なによ突然?」

黒子「その首にいっつも大切に着けてらっしゃるネックレス...まさか殿方に貰ったプレゼントじゃありませんわよね?」


美琴「いきなり何言ってんのよ!? 違うわよ! これはね!.....」


美琴「あれ?.....言われて思ったけど、どうしたんだろこれ?」


黒子「怪しいですわ! やっぱり殿方にっっ!!?」


美琴「違うって言ってんでしょうが!!!」



美琴「 (ん~~、でも、どうして持ってるのか思い出そうとしても思い出せない!) 」


美琴「 (親に買ってもらった記憶もないし、友達に貰った物でもないし...自分で買ったわけでもない.....) 」

美琴「 (それでもわたしの宝物なのはたしかなのよね.....) 」

美琴「 (なんでか分かんないけど、ず~~っとこのネックレスは大切にしたい!) 」

 
322以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/29(月) 19:08:20.35:cD/3Ge2t0

黒子「 (あの言い方は本当に殿方のプレゼントじゃ無い様子ですわね...) 」

黒子「 (黒子は安心しました...!) 」

黒子「あっ! そうそう、ところでお姉さま、こんな都市伝説を聞いた事がありますか?」

美琴「都市伝説? わたしそーいうの興味ないの」

黒子「まぁまぁそう言わずに聞いてくださいまし」

美琴「はいはい、聞いたげるわ。 どうぞ」

黒子「この世界とは別に、もう一つの世界があるって噂...聞いた事ありませんか?」

美琴「別世界っ!?...今まで都市伝説なんて関心なかったけど.....なんかすっごい興味が湧くわ!!!」

黒子「フフっ...噂ではあるそうですの.....この学園都市のどこかに、その別世界へ繋がる扉が...!」


美琴「面白そうじゃないの黒子っ! さっそくソレを探しに行くわよ!」 ダダっ!


黒子「あーーーもうっ! 待って下さいですのっ! おねぇさまっ!!」


美琴「 (別世界っ! なんかめちゃくちゃワクワクするわ!!!) 」 


―――終わり

 
323:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/29(月) 19:09:25.21:ee4uzL220
>>1乙
面白かった、ありがとう


 
325:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/29(月) 19:13:08.84:639fhRwtO
盛大に乙

朝比奈みくるなんて居なかった


 
327:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/29(月) 19:16:35.96:zhZzVaggO
鍵のアクセサリーはキーブレードですね

そして扉を開きに行くんですね
わかります


 
337:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/29(月) 22:15:32.45:DI8dlPiO0
やべえ久しぶりに厨二ものにのめり込んだ
1乙


 
340:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/29(月) 23:17:12.93:c90qkxnW0
つっこみ所は多々あったがおもしろかった


 
341:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/29(月) 23:19:02.84:f3HGPzdg0
乙乙
久しぶりにいいもん見させてもらった


 
photo
とある科学の超電磁砲 御坂 美琴 (1/8スケールPVC塗装済み完成品)
グッドスマイルカンパニー 2010-07-27

by G-Tools , 2010/11/30