7以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/02(木) 16:38:54.73:5mF4m1pwO

プルルルル、プルルルル

ゲン「はい、こちら(株)アゴナシ運送」

ケンヂ「何が(株)だよ、うち株なんて発行してないじゃん」

ゲン「ええ、ええ……分かりました、私どもにお任せください!」

ゲン「で、そのお品物をお運びする場所は…………」



ゲン「学園都市?」

 
8以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/02(木) 16:41:49.21:5mF4m1pwO

ゲン「ケンヂ、仕事だぞ!」

ケンヂ「どうせガキのつかいでしょ」

ゲン「ちげぇよボケ!!学園都市とかいう場所に、機械のパーツを運ぶんだと」
ケンヂ「うちに仕事よこすなんて、相当物好きな客だね。つーか学園都市って、あの?」

ゲン「知ってんのか?」

 
9以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/02(木) 16:44:05.33:5mF4m1pwO

ケンヂ「知ってるも何も、学園都市って言ったら夢の未来都市じゃんか!」

ケンヂ「なんでも超能力を研究してるとか。既に実用化もされてるらしいよ」

ケンヂ「透視に未来予知に精神操作……そんな能力があったら、もう人生勝ったも同然だよ!」

ゲン「どうせエロイ事とギャンブルに使うんだろ。とにかく、そうと決まればさっそく支度だ」

ケンヂ「あー、僕パス」
ゲン「はぁ!?」

ケンヂ「これからちいちゃんとデートしに行くんだよね。だからゲンさん一人で行きなよ」

ゲン「ケンヂ、てめぇ……デラベッピンッッッ!!」スカッ

 
10以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/02(木) 16:45:53.82:5mF4m1pwO

業者「じゃ、お願いしますね」

ゲン「お任せください!命にかえても運んでみせます!」キリッ

業者「は、はぁ……どうかお気を付けて……」

32時間後

ゲン「ここどこだ?道に迷っちまったぜ……」

----------------------------

アレイスター「遅過ぎる……」

 
11以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/02(木) 16:49:33.92:5mF4m1pwO

ゲン「っかしいな……ちゃんと地図持ってきたんだが。読めねぇけど」

??「うぅ……」フラッ

ゲン「やべぇな、久々の仕事だってのに……って、おぉっ!?」

キキィー、ドンッ!!

??「ぎゃっ!」

ゲン「はわわわわ……ひ、人をひいちまった………。な、なんとかケンヂのせいにして……」

??「ちょっと!開けるんだよおじさん!」バンバン

ゲン「ヒィッ!?」

禁書「私をひくなんて酷いんだよ!お詫びに食べ物を食べさせてほしいかも!」

ゲン「なんだ、無事か……どこに埋めようかと思ったが、杞憂だったな」

禁書「本当に酷いんだよ!?」

 
12:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/02(木) 16:49:34.66:tc2+HcW8O
なんでこのネタでやろうとしたのか分かるまでは支援するわ

 
14以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/02(木) 16:52:37.26:5mF4m1pwO

ゲン「って、オイオイオイ!?お嬢ちゃん、なに勝手に乗り込んできてんだ!?」

禁書「このバスケットから美味しそうな匂いがするかも!」クンクン

ゲン「それは俺がおやつに持ってきたコンボイケーキ!てめぇー、それに近付くんじゃねぇー!!」

禁書「は?おじさんは私をひいたんだよ?これくらい当然なんだよ?警察に駆け込まないだけ良心的なんだよ?ついでにちょっと乗せてってほしいんだよ?」

ゲン「ぐっ……!なんてふてぶてしいガキだ……!」

 
17以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/02(木) 16:54:51.91:5mF4m1pwO

禁書「おいしーんだよ!おじさん、このケーキおいしいんだよ!」パァッ

ゲン「そうかそうか。俺のコンボイケーキは世界一だからな」ニッヘェー

禁書「見た目も可愛いし、お店出せるんだよ」

ゲン「運送で食ってけなくなったら、それも良いかもな」

禁書「運送?おじさん、運び屋さんなの?」

ゲン「ああ、今も仕事中だぜ。ちょっと荷台のモンを学園都市までな」

禁書「えっ、学園都市!?丁度良いんだよ!学園都市まで連れてってほしいんだよ!」パァッ

ゲン「なんだお嬢ちゃん、学園都市に用があんのか」

禁書「え?う、うん!」

禁書(あそこなら追手も手を出せないかもしれないんだよ。運んでもらうだけなら、おじさんに迷惑かからないよね……?)

 
20以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/02(木) 16:58:06.03:5mF4m1pwO

ゲン「しょうがねぇな。コンボイケーキを誉めてくれた礼だ、狭い車だがゆっくりしていきな」

禁書「ありがとうなんだよ、おじさん!」

3時間後

禁書「……おじさん、まだ?」

ゲン「この道はな、初めて走るんだよ。こうして道を覚えているんだ。フフフフフ、面白いだろう」ニヤッ

禁書(あ、このおじさん馬鹿だ)

 
21以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/02(木) 17:02:44.83:5mF4m1pwO

さらに3時間後

禁書「いやいやいやいや」

ゲン「?どうした?」

禁書「どうした?じゃなくて。いくらなんでも遅過ぎるんだよ!」

ゲン「仕方ねぇだろう、地図読めねぇんだから」

禁書「はぁ!?おじさん、読めもしないのに地図広げてたの!?」

ゲン「地図記号にマ○コマークないかなって」

禁書「あるわけないんだよ!?ていうかキモッ!もう、おじさん地図貸して!」

ゲン「っ……」ジワッ

禁書(良い歳した大人が、子供に馬鹿にされて目に涙溜めてるんだよ……)

 
23以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/02(木) 17:07:22.09:5mF4m1pwO

禁書「おじさん……いたたまれない空気になるから、泣かないでほしいんだよ……」

ゲン「っせぇ……っせぇ………泣いてねーし……」フルフル

禁書「(面倒臭い……)えーと、現在地は……あああ、全然違う道走ってるしぃ~……」

ゲン「!……お嬢ちゃん、地図が読めんのか?」

禁書「え?あ、まぁ」

ゲン「(こいつは……)お嬢ちゃん、名前は?」

禁書「イ、インデックスなんだよ」

ゲン「俺はゲンだ。ゲンさんって呼びな」

禁書「???」

 
24以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/02(木) 17:09:25.36:5mF4m1pwO

ゲン「気が付きゃ、もう家出てから丸一日以上経ってんな」

禁書「丸一日!?ゲンさん、どこまで行く気だったの!?」

ゲン「正確には丸一日半だぜ」チッチッチ

禁書「より悪いんだよ!」

ゲン「うるせぇなぁ……もう深夜だし、コンビニで飯買って寝ようと思ったのに」

禁書「ゲンさんマジイケメンなんだよ!渋いんだよ!」

ゲン「よ、よせやい……」テレッ

禁書「うわキモ」

 
25以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/02(木) 17:12:17.72:5mF4m1pwO

ゲン「飯調達してきたぜー。温かいうちに食っちまおう」

禁書「わーい!いっただっきまーす!」ウヒョルン

禁書「おいしーんだよ!それにしてもこんなに買ってきてくれるなんて、ゲン優しいかも!」ニコニコ

ゲン「ん?ああ、気にすんな。これ、万引きしてきたやつだから」

禁書「ブゥーーーー!!」

ゲン「深夜のコンビニバイトはやる気ねぇからな。居眠りしてたんで、電子レンジまで勝手に使ってきてやったぜ」

禁書「ゲ、ゲンさん……恐ろしい男なんだよ……」ガタガタモグモグ

 
28以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/02(木) 17:24:00.46:5mF4m1pwO

禁書「うーん、むにゃむにゃ……この車、狭くて全然眠れないんだよ……なんかギシギシうるさいし……」

ゲン「ハァハァ……ハルちゃん……あっ、インデックス……!」シコシコ

禁書「……」

ゲン「……」シコシコ

禁書「……」

ゲン「……」シコシコ

禁書「いや、やめろよ」

 
29以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/02(木) 17:25:55.31:5mF4m1pwO

禁書「昨晩は酷い目にあったんだよ……」

ゲン「インデックスが勝手に覗いたんだろーが!」

禁書「なに言ってんの!?あんなもの覗くはずないんだよ!」ゾー

ゲン「嘘つきやがれ!俺の体が目当てで近付いてきたくせに!」ビクビク

禁書「キモッ!!ていうか、普通こんな狭い場所で、しかも寝てる人の隣でやらないんだよ!!」

ゲン「やらないって……何をだ?」ニヤッ

禁書「そ、それは……」カァ-ッ

ゲン「それはぁ?」カチャカチャ

禁書「それは、その……だから……オ、オナ……」

ゲン「言っちまえよ、ほら。オナ、なんだぁ?あぁ~?」シコシコ

禁書「オナってんじゃねぇよオッサン」

 
30以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/02(木) 17:29:05.20:5mF4m1pwO

ゲン「うぅ……あんなに殴らなくても……」メソメソ

禁書「まだ殴り足りないくらいなんだよ!?マジで身の危険を感じたかも!」

ゲン「はぁ?おめぇみてぇなガキ相手に欲情するわけねぇだろ」フ-ヤレヤレ

禁書「こんなに説得力の無い台詞、初めて聞いたんだよ」

ゲン「まぁ知り合いにはいるけどな、ロリコンの小学校教師」

教師「そんな知り合いがいる時点で引くんだよ」

 
32以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/02(木) 17:33:44.03:5mF4m1pwO

禁書「へぇー、ゲンさんって結婚してるんだ。意外にも程があるかも」

ゲン「フミってんだけどな。……その嫁さんも、二年前に出てったっきりだ」

禁書「あ……そ、そうなんだ……」

ゲン「…………」

禁書「あ、う……」

ゲン「……………」

禁書(め、めっちゃ気まずいんだよ……)

禁書「あ、あのー……奥さんはなんで出ていっちゃったのかな……なんて……」

ゲン「……コ……せてって……」

禁書「え?」

ゲン「ウンコしてるとこ……見せてって言ったら……」

禁書「…………」

ゲン「…………」

禁書「…………」

 
33以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/02(木) 17:36:43.60:5mF4m1pwO

ゲン「やっと着いたかぁー」

禁書「本当にやっとなんだよ……」

係員「IDの提示をお願いします」

ゲン「荷物と一緒に渡されたこれで良いのか?」

係員「はい、問題ありません。どうぞお通りください」

ゲン「窓の無いビルっつーと……あれで良いのか?」禁書「ぽいね」

ゲン「じゃあ、荷物渡してくるから待ってな。そしたら昼飯食わしてやっから」

禁書「えっ?い、いや、悪いんだよ!学園都市には着いたんだし、私はもう……」

ゲン「馬鹿野郎、旅は道連れっていうじゃねぇか。大人しく待ってな」ナデナデ

禁書「ゲンさん……」

禁書「オナった手で撫でないでほしいんだよ」

 
38以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/02(木) 18:16:32.67:5mF4m1pwO

アレイスター「ようやく来たか」

ゲン「遅くなってスミマセンっしたぁぁぁぁ!!」ドゲザー

アレイスター「まったくだ」

ゲン「き、機械のパーツはここに置いときますんで……へへ……(なんでこいつ逆さに浮いてんだ?)」

アレイスター「機械のパーツなどではない」

ゲン「え?」

アレイスター「開けてみたまえ」

ゲン「はあ……こ、これは……!」ゴソゴソ

ゲン「ピータンのDVD-BOX……!?」

 
39以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/02(木) 18:22:18.19:5mF4m1pwO

ゲン「わりぃな、遅くなっちまった」

禁書「随分かかったけど、どうしたの?」

ゲン「学園長がピータンの大ファンらしくてな。声マネさせられてたんだ」

禁書「ピータン?」

ゲン「相当な好きモンだな、あの学園長は。俺がピータンの声で言葉責めしてる間、水槽ん中で無重力オナニーしてやがった」

禁書「へえ、死ねば良かったのに」

 
40以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/02(木) 18:23:16.07:5mF4m1pwO

ファミレス

ゲン「どれでも好きなの食って良いぞ」

禁書「ほんとにっ!?やったー、ありがとうなんだよー!!」

禁書「あっ……でも、良いの?結構高いよ?ゲンさん、まず間違いなく貧乏だろうし……」

ゲン「安心しな、学園長からたんまり貰ったんだ。腹減ってんだろ?」

ゲン「ケンヂなんぞに給料を出すより、インデックスに腹いっぱい食わせた方がずっと賢い金の使い方だぜ」

禁書「ゲンさん……何から何まで、ありがとうなんだよ!あとごめん、ケンヂとかいう人!」

 
41以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/02(木) 18:24:13.05:5mF4m1pwO

ゲン「あ~、食った食った」ゲプー

禁書「臭っ。でもゲンさん、ビールなんか飲んで良かったの?この後、車乗るんでしょ?」

ゲン「んなもん、飲酒運転に決まってんじゃねぇか。なぁに、ポリに止められでもしねぇ限り問題ねぇよ」

黒子「ジャッジメントですの!」

禁書「言ったそばから……」

黒子「あなた、このシスターさんとどういう関係ですの?見るからに性犯罪の匂いがするんですの」

禁書「言えてるんだよ」

ゲン「あぁ?聞き捨てならねぇな、俺ほどの紳士はそうそういねぇぜ?」

黒子「歩く猥褻物陳列罪みたいな顔して、よく言いますの」

禁書「言い得て妙なんだよ」

ゲン「っ……」ジワッ

黒子「うわ、このオッサン目に涙溜めてますの。とにかく、取り調べをさせてもらいますの」

禁書「妥当なんだよ」

 
42以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/02(木) 18:26:57.81:5mF4m1pwO

ジャッジメント177支部

黒子「IDも本物、シスターさんも知り合いだと言っていますし……おかしいですの」アレー

初春「失礼ですよぉ、白井さん」

黒子「だって!このおじ様、どう見ても性犯罪者ですの!」

初春「それは白井さんですよ」

ゲン「気は済んだかい?お嬢ちゃん」フ-ヤレヤレ

黒子「くっ……!」イラッ

 
43以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/02(木) 18:27:49.60:5mF4m1pwO

御坂「黒子ー、遊びにきたわよー、って……」

黒子「あ、お姉様!」

初春「こんにちはー、御坂さん」

御坂「か、かわいー!!誰!?誰、この可愛いの!?」ハァハァ

禁書「いやぁ、それほどでも……」

御坂「このおじさん、超可愛いいいい!!」ウヒョー

禁書「なんだと」

 
44以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/02(木) 18:28:40.59:5mF4m1pwO

黒子「お姉様、お気を確かに!これのどこが可愛いんですの!?」

初春「確かに」

禁書「とても神がデザインしたものとは思えないんだよ」

ゲン「ほんとやめて、女子に集団でイジメられてた記憶が蘇るから……」

御坂「えー、可愛いじゃない。あ、写真良いですか?」

ゲン「ヒッ、ヒィィィィ!!女子に無理矢理泣きながらオナニーさせられてるところを写真に撮られて校内にバラまかれたトラウマがぁぁぁぁ!!」ブワッ

禁書「うわ、それはリアルに可哀想なんだよ」

初春「あ、佐天ですか?すぐ来てください、今すごい面白いですよ」

 
45以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/02(木) 18:29:40.09:5mF4m1pwO

佐天「ヤッホー!面白い事って何ー!?」

初春「あ、佐天さん。なんか御坂さんがそこのオッサンを可愛いとか言い出して」

佐天「なるほど、無いわ。それで白井さんの口から魂出てるわけね。あと初春、今日のパンツ何色?」

初春「マジ笑えますよね。あ、今日はパンツは履いてません」

佐天「うひょー」

禁書「変人しかいないんだよ」

固法「失礼な事言わないで」

 
46以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/02(木) 18:31:20.69:5mF4m1pwO

ゲン「酷い目にあったんだよ……」

禁書「真似すんな。まぁ、災難だったね」

ゲン「まったくだぜ。危うく精神が崩壊するところだった」

ゲン「つーか助けろよテメェーは!!おかげでとんだ無駄足食ったじゃねぇか!!」

禁書「女のイジメって陰湿なんだよ」

ゲン「ぶっ殺すぞテメェ!!」

禁書「昨晩のお返しなんだよ」

 
47以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/02(木) 18:32:25.56:5mF4m1pwO

ゲン「?妙だな……周りに人がいねぇ」

禁書「!ゲンさん……!」

神裂「探しましたよ、インデックス」

ゲン「なっ……あの姉ちゃん、すげぇパイオツしてんな……」

禁書「……ごめんなさい、ゲンさん。巻き込んでしまって」

ゲン「腰もキュッとくびれて……」

禁書「あの人は私を追ってきたの。私の持っている、10万3千冊の魔導書が狙いだと思う」

ゲン「ケツもプリップリじゃねぇか!」

禁書「話を聞いて」

 
48以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/02(木) 18:33:50.58:5mF4m1pwO

ゲン「よく分からねぇが……あの姉ちゃん、インデックスを狙ってんのか?」

禁書「……大人しく引き渡した方が良いんだよ。これ以上、ゲンさんを巻き込むわけにはいかないから」

神裂「賢明な判断です」

ゲン「フッ」

神裂「……何がおかしいのです?」

禁書「ゲンさん……?」

ゲン「巻き込むだのなんだの、ガキが気にしてんじゃねぇよ。そういう心配はな、大人の仕事だ」

禁書「ゲンさん!?ダメ、あの人には絶対に勝てないんだよ!!」

ゲン「そう心配すんなって。この俺が、スケなんぞに負けやしねぇよ」

禁書「あの人はただの女性じゃないんだよ!!世界でも数少ない聖人の一人なんだよ!!」

ゲン「性人?」

禁書「ちがわい」

 
49以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/02(木) 18:36:22.21:5mF4m1pwO

ゲンはインデックスを自分の背中に隠し、ずいと前に出る。

禁書「ゲンさん!」

ゲンの身を案じる、少女の悲痛な声。
ゲンはその声を受けてインデックスに振り返ると、ニヤリと笑って見せる。
それが勝利を確信してのものなのか、それとも諦めから来るものなのかは分からない。
ただ、男が何かを覚悟した笑みなのは、間違いなかった。

神裂「……この腰の刀が見えませんか?これは、本物ですよ」

ゲン「ほぉー、そいつはすげぇな。大根でも切って見せてくれるのかい?」

ギリ、と音を立てて、神裂が歯を噛み締める。
何の力も持たないであろう、目の前の小柄で醜悪な男。
そんなものが自分の前に立ちはだかり、インデックスを守るつもりでいる。
自分ですら不可能だった事を、何も知らない一般人がやれるつもりでいる。
それが神裂には我慢ならなかった。

 
50以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/02(木) 18:37:23.81:5mF4m1pwO

ゲン「デンデラデラデラ……」

ゲンは右の拳を握り、熊のような動作で神裂にのそりとにじり寄る。
面白い、一体何が出来るというのか、お手並み拝見と行こうじゃないか。
神裂はゲンを鋭い瞳で睨み付け、刀の柄に手をかける。

「デラ――――」

ぎしり。
ゲンの右腕が軋む。
込められた力が、解放の時を待ち望む。
ゲンは駆けた。
奥歯を砕けんほどに食い縛り、全身の筋肉を隆起させ、
ぷっくりと血管を膨らませ、肌であらゆる物理法則を学習しながら――――

「ベッピンッ!!」

その拳を、放った。

禁書「あ……!」

結論から言うと、ゲンの拳が神裂を捉える事は無かった。
神裂が避けたのではない。ゲンが外したのだ。

禁書「ゲンさんっ……腕が短過ぎて、拳が神裂に届いてないっ……!!」

神裂「拙者の負けでござる……」

禁書「えぇー!?」ガビーン

 
51以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/02(木) 18:40:12.31:5mF4m1pwO

神裂「暴力で他人を傷付けて守ったものに、一体なんの価値があるというのか……」

神裂「あなたは、私にそれを教えるために……」

禁書「絶対に違うんだよ!?しっかりして、神裂!!」

ゲン「届いてくれたか」

禁書「パンチは届かなかったけどねってやかましいわ!!」

ゲン「ニッヘェー!パンチは届かなかったって……それ最高!ニッヘェー!」

神裂「ぷっ、くく……!パンチは届かなかったって……くっ、ふ……!」

禁書「ウケてるのに何故か腹が立つんだよ」

 
52以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/02(木) 18:41:35.28:5mF4m1pwO

ゲン「なるほどな……記憶を消さなきゃ、インデックスの命が危ないと」

禁書「初耳なんだよ」

神裂「インデックスに辛い思いをさせまいと、私達は悪役に徹する事に決めたのです」

ゲン「本当かい?」

神裂「え?」

ゲン「本当にそれは、インデックスのためかい?」

神裂「と、当然です!私達は、インデックスのためを思って……!」

ゲン「よく考えな、姉ちゃん。それでインデックスが喜ぶと思うかい」

神裂「そ、それは……」

ゲン「どっかで自分に言い訳してたんじゃねぇのか?」

ゲン「本当は、ただ自分が楽になりたかっただけじゃねぇのか?」

 
53以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/02(木) 18:42:45.63:5mF4m1pwO

神裂「ちっ、違うッ!!ド素人が、勝手な事吹いてんじゃねぇぞ!!」

神裂「私だって頑張ったんだよ!!消えない思い出を一緒に作って行こうって!!」

神裂「でも、駄目だったんですよ……!!何度やっても、結局……!!」

ゲン「それだよ。姉ちゃんの話は、自分の事ばっかりだ」

ゲン「インデックスの記憶がどうにもならなくても、一緒にいてやる事は出来たんじゃねぇのかい?」

ゲン「姉ちゃんがついててくれたら、インデックスもどんなに心強かったか」

神裂「あ……」

ゲン「……今からでも、遅くねぇんじゃねぇか?」

 
54以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/02(木) 18:45:35.90:5mF4m1pwO

禁書「ゲンさん……」ウルウル

神裂「う……うわぁぁぁぁぁぁ!!」ボロボロ

モニュ

神裂「ひゃんっ!?」

禁書「え」

ゲン「す、すげぇ……指の間から零れる……!!」モミモミ

ステイル「イノケンティウス!!」ゴウッ

ゲン「ギャアアアアアア!!」ジュンッ

神裂「汚い花火です」

禁書「そおうれ、バーベキューだ」

 
56以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/02(木) 18:47:45.24:5mF4m1pwO

ゲン「というわけで、学園長。なんとかならねぇか」

禁書「なんで生きてるんだよ」

神裂「そこは人として死んどけよ」

ステイル「ショックだ」

アレイスター「ピータンの頼みとあってはな。ちちんぷいぷい」

禁書「え、治ったの?」

アレイスター「うん、もう記憶消さなくても平気だよ」

ステイル「マジかよ」

神裂「すごい」

ゲンさん「なんで逆さに浮いてんの?」

 
57以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/02(木) 18:48:48.95:5mF4m1pwO

あれから私は、アゴなし運送で地図読み係として働いてるんだよ。
ろくに仕事も無い毎日だけど、神裂とステイルの仕送りでなんとかなってるかも。
あと、二人の仕送りで勝手にパチンコ打ったケンヂは絶対に許さないんだよ。
命乞いするような死に方すれば良いんだよ。
なんでちぃちゃんはあんたヒモ野郎と付き合ってるんだよ。
ゲンさんは相変わらずキモくてチビで毛むくじゃらでアゴが無くてスケベで馬鹿ですきっ歯で腹が出ててろくでもないけど、
賑やかで楽しくて実は繊細で手先が器用でお菓子作りが上手くて優しくてたまにちょっとだけカッコいいゲンさんが、私は大好き……

ゲン「頼むインデックス!!今はいてるパンツ、15秒だけで良いから貸してくれ!!」ドゲザー

禁書「貸さねぇよナニしまえよつーか15秒とかはえぇよ早漏」

……かも?



 
58以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/02(木) 18:54:08.76:5mF4m1pwO
終わりです。
アゴゲン難しいです。
ちいちゃん可愛いです。
ゲンさんと一方通行が戦って、
ゲンさん、腕が短過ぎて攻撃が当たらない

攻撃が当たらない以上、反射する事も出来ない

一方通行、自分の能力が通用しない相手にビビる

混乱して演算が利かなくなる

ゲンさん、必殺のハイキックで一方通行を倒す
とかやりたかったです。
やれなかったです。
風呂入ります。

 
59:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/02(木) 19:13:58.82:Gu2b3U0k0
面白かったよ

 
61:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/02(木) 19:48:25.71:lk5sqmnU0
アゴゲンのSSとか超乙