- 1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/16(木) 21:41:43.26:gmLyt1ZN0
梓「たいなか……?」
純「あずさー何見てるの?」
梓「さっきさわ子先生が入部届を持ってきてくれて……」
純「もしかして新入部員!?」
梓「うん」
純「やったじゃん梓! これで私達廃部にならなくて済むね!」
梓「そうなんだけどさ、ちょっと気になって」
純「私にも見ーせて」
純「ふむふむ……たいなか、さとみ?」
純「これって律先輩の妹さんとか?」
梓「律先輩に妹はいないはずだよ」
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8:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/16(木) 21:50:57.43:GbJcEonxP
憂「でも田井中って苗字は珍しいよね」
梓「憂」
純「憂」
梓「私も気になっちゃってさ」
純「もしや律先輩が実は卒業してなくて偽名で……」
梓「はいはい。まあどちらにしろもうすぐ分かるよ」
10:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/16(木) 21:59:55.93:GbJcEonxP
ガチャ
?「すみません……」
梓「……はい?」
?「軽音部はこちらですか……?」
梓「……はい。もしかして軽音部に入ってくれた……?」
聡「はっはい。一年の田井中……聡美です」
梓「おお……」
純「……梓?」
梓「へ?」
純「何ぼさっとしてんの、部長でしょ?」
梓「はっ!」
梓「ええと、それじゃあ田井中さん、こちらへどうぞ」
11:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/16(木) 22:09:30.08:GbJcEonxP
梓「さ、座って座って」
聡「ど、どうもです……」
純「おお~初々しくてかわええのお」
憂「ねー。私達も昔はこんな感じだったのかな?」
梓「ええと……」
憂「お茶どうぞ」
聡「あ、ありがとうございます……ズズ」
梓「それで……」
純「ねーねー! 聡美ちゃんってお姉さんとかいる?」
12:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/16(木) 22:19:28.09:GbJcEonxP
聡「えっ!?」
純「ん?」
聡「あ、いや……お姉さんというか……」
純「律先輩の妹さんだと思ったんだけどなー」
聡「ねえちゃ……じゃなかった、律お姉ちゃんは私のいとこなんです」
純「おおーいとこかー!」
憂「言われてみれば律さんに似てるかも」
梓「確かに青いリボンと相まって尚更……」
聡「うう……」
梓「どしたの?」
聡「い、いえっ何でもないです梓さん!」
梓「え?」
13:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/16(木) 22:19:59.93:D1JMogZz0
梓「私まだ自己紹介してないけど……」
聡「ああっ!? いえその、ねえ……律お姉ちゃんから聞いていたので……」
梓「ああ、そういう事か」
純「一番ちっちゃい人が部長の中野梓です、みたいな?」
梓「うるさいな」
聡「いえ、まあ、そうとも……」
梓「くっ……」
聡「あっでも、真面目でギターがすごく上手いって聞いてます!」
梓「ぅえっ!?」
梓「そ、そうなんだ……」
憂「梓ちゃん照れてる」
梓「うるさいな」
19:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/16(木) 22:39:34.08:GbJcEonxP
梓「それにしても見れば見るほど似てる……っていうかどこかで見たような」
聡「いえっ! 初対面ですから!」
梓「だよね。……あ」
聡「え」
梓「律先輩よりも弟の聡君に似てるかも」
聡「っ!!」
梓「知ってるよね?」
聡「え、あ、ははい……」
梓「どうしたの?」
聡「なっなんでもないです!」
梓(……なんか怪しい)
聡「あのっ! お、ワタシ用事を思い出したので今日はこれで失礼します!」
20:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/16(木) 22:40:07.07:msqsYk9/0
梓「えっ?」
聡「失礼しましたっ!」
ガチャ バタン
憂「行っちゃった……」
純「すっごい慌ててたけどどうしたんだろ?」
梓「うん……あ、田井中さんカバン忘れてる!」
梓「私届けてくるね!」
ガチャ バタン
24:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/16(木) 22:59:46.81:GbJcEonxP
梓「田井中さーん」
聡「!」
梓「カバン忘れてるよー」
聡「あ……」
梓「はいこれ――きゃっ!」コケッ
聡「梓さん!?」ガッ
ドシーン
25:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/16(木) 23:11:48.06:GbJcEonxP
梓「いたた……階段で躓くなんて……あ!」
梓「ごっごめん田井中さん! 大丈夫!?」
聡「つ……なんとか。梓さんは?」
梓「田井中さんが庇ってくれたから平気だよ。ってごめんね乗っかっちゃって。今どくから――」
むぎゅう
聡「うあひっ!?」
梓「へっ?」
梓(な……何か……生まれて此の方一度も触った事の無いような感触が右手に……)
聡「う……あ……」
梓(それもスカートの中に……ま、まさかね……?)
梓「ね、ねえ田井中さん今のは……」
聡「う……ぅ……うぇぇぇん……」
梓「え!?」
26:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/16(木) 23:13:08.58:WCdPzHNt0
梓「ちょ、ど、どうして泣くの!? もしかして痛かった!?」
聡「うぐっ……ぐすっ……ごべんなざいぃぃ……うわぁぁぁん!」
梓「何が!? 今触ったところが痛かったの!?」
聡「っ!」
梓「?」
聡「うわあああん!」
梓「お、落ち着いて! ね?」
30:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/16(木) 23:29:22.87:GbJcEonxP
* * * *
梓「大丈夫?」
聡「うぅ……はい……」
梓「それで……えっと……やっぱり痛かったの?」
聡「違うんです……その……」
聡「やっぱりばれちゃいましたよね?」
梓「えっと、さっき私が触ったものと関係あるの?」
聡「はい……実は僕……」
梓(僕?)
聡「律の弟の聡です」
梓「え? ……ん? ……!?」
梓「ええーーーーーー!!?」
33:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/16(木) 23:40:05.07:GbJcEonxP
聡「ううっ……ごめんなさいごめんなさい」
梓「いや、え、うん? な、どうして……」
聡「実は姉ちゃんに――」
律『軽音部の危機を救うにはお前をねじ込むしかない!!』
聡「――って言われて無理やり……」
梓「何考えてるんだあの人は」
聡「でもやっぱり無理で、こんなことになっちゃって……もう僕の人生終わったぁぁぁ……」
梓「……」
さわ子「まだ終わってないわよ!」
梓「さわ子先生!?」
34:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/16(木) 23:50:46.58:GbJcEonxP
さわ子「まだ梓ちゃんにばれただけでしょ? それに事件を起こしたわけでもないんだし」
さわ子「つまり梓ちゃんが黙っていれば問題無しな訳よ」
梓「先生は知ってたんですか?」
さわ子「もちろんよ」
梓(だ、だめだ……この人やっぱりだめだ!)
聡「もうだめだ……」
さわ子「しっかりしなさい」
梓「もう何が何だか……」
さわ子「とりあえず……黙っててくれるわよネ?」
梓「は、はい……」
37:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 00:10:19.04:ZHPM8AgWP
さわ子「よろしい!」
さわ子「というわけで梓ちゃんは部室に戻ってなさい。聡……じゃなかった、聡美ちゃんは私が面倒見ておくから」
梓「で、でも……」
さわ子「梓ちゃんは部長なんだから、ちょっとトンちゃんを掴んじゃったからっていつまでも動揺しないの!」
梓「トンちゃん? …………ッ!!」
梓「あ、わ、わたしっ……!」
梓「さ、さとし君ごめんねっ!」ピュー
38:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 00:13:07.97:ZHPM8AgWP
さわ子「行ったわね」
さわ子「ほらあなたもしっかりしなさい」
聡「は、はい……」
さわ子「万が一またこういうハプニングがあったらどうにかして切り抜けないといけないんだから」
聡「はい……」
さわ子「でもまあ」
さわ子「協力してくれる子がいれば楽かもね?」
聡「はい……え?」
44:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 00:20:28.45:ZHPM8AgWP
ガチャバターン!
梓「はあっはあっ!」
憂「梓ちゃん?」
純「どうしたの?」
梓「ひあっ!? な、なんでもないよ!?」
純「うそつけ」
憂「梓ちゃん顔真っ赤だけど……」
梓「ええっ!? これはその……走ってきたから!! ツカレタナー!」
梓「ういーお茶! お茶欲しい! 純もお菓子食べよっ! ね!?」
憂純「?」
46:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 00:30:03.91:ZHPM8AgWP
翌日
梓「……」
梓(まさか聡君だったとは……)
梓(どうやって入学したんだろう)
梓(っていうかこの先彼はどうやって生きていくのだろうか)
梓(それにしても全然気付かなかったなー)
梓(なんていうか髪を下ろした律先輩みたいで可愛かったし)
梓(でも男の子なんだよね)
梓(だってトンちゃんが……)
ガチャ
聡「失礼します」
梓「うわああっ!」
聡「!?」
51:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 00:39:54.68:ZHPM8AgWP
梓「あ、ご、ごめんね聡君……って呼んだらダメだよね……さ、聡美」
聡「はい。でも周りに誰も居なければ大丈夫ですし」
梓「そだね。ええっと……他の二人はまだ来てなくて……えっと……」
聡「はい……」
梓(昨日の事もあって気まずい……っていうかアレを思い出して恥かしい)
聡「あのっ」
梓「ひゃい」
聡「昨日はごめんなさいっ」
梓「え?」
聡「なんて言ったらいいか……」
梓「そんな、聡く……聡美が謝ることないよ」
52:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 00:51:39.00:ZHPM8AgWP
聡「でも……」
梓「いいからいいから。元はといえば私がコケちゃったのが悪いんだし」
梓「それに聡美も色々大変そうだし」
聡「すみません……」
梓「とりあえず私は誰にも言ったりしないから安心してね」
聡「ありがとうございます」
梓(こんなに素直でいい子が何て不憫な……よし)
梓「その、一応私達軽音部の為に来てくれたわけだしさ」
梓「何か困ったことがあったら私に言ってね。出来る限り助けるからさ」
梓「そうしろってさわ子先生にも言われたし」
聡「は、はいっ」
53:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 01:03:50.17:uo0MUF1E0
ガチャ
純「おまたー」
憂「遅れちゃったー」
梓「遅いー」
聡「お、お疲れ様です」
純「おおー聡美お疲れ!」
憂「お疲れ聡美ちゃん。私お茶入れるねー」
聡「それなら私がやります。ええっと……」
梓「あ、そういえばまだ自己紹介とかしてなかったね」
58:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 01:21:31.93:ZHPM8AgWP
純「じゃあ私からね」
純「私は三年の鈴木純。ベース担当ね」
憂「平沢憂です。担当は……オルガンかなあ?」
純「憂はマルチプレイヤーなんだよ」
聡「すごいです」
憂「そんなのできないよ~」
梓「じゃあ一応私も。部長の中野梓です。担当はギターです」
純「そういえば聡美は何か楽器できるの?」
聡「初心者ですけど一応ドラムを……」
純「マジ!? 流石律先輩のいとこ! やったね梓!」
聡「ねえちゃ……お姉ちゃんに教えてもらったので」
梓「はは……大変だったね」
聡「いえ……」
59:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 01:29:54.79:ZHPM8AgWP
純「でも肝心のドラムが部室に無いんだよねえ」
さわ子「心配ご無用! 部費で買っておきました!」
純「いよっ! さわちゃん!」
梓「私そんな話聞いてませんよ!?」
さわ子「言ってないもの」
梓「ドラム買ったって……部費なんですから私に一言言ってくれても……」
さわ子「やあねぇ細かいことはいいじゃないの」
純「そうよぉ」
梓「細かくないです! ドラムセットなんて高価なものをっ!」
さわ子「そろそろ届くはずだからみんなで部室に運んであげてね~」
純「了解でーす」
梓「うぅ……」
憂「よしよし」
62:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 01:50:13.71:ZHPM8AgWP
玄関
純「おお、やっぱり量あるね」
憂「一度に運べるかなあ」
聡「私はこれを持って行きますね」
純「それ一番重そうだけどだいじょぶ?」
聡「大丈夫です。よっと!」
純「へえ~流石ドラマーだけあって力があるね!」
梓「そ、そうだね」
純「これは負けられない!」
純「私は二番目に重そうなこいつを選ぶ!」
憂「大丈夫?」
純「後輩には負けられないでしょ!」
純「ぐおっ……重っ!?」
63:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 02:01:41.77:ZHPM8AgWP
梓「じゃあ私はこれ持ってくね。憂はそっちよろしく」
憂「うん」
純「ぐ……あ、あずさぁ~交換しない?」
梓「さ、いこいこ」
純「裏切り者~!」
梓「自分で選んだんじゃん……」
純「くそー」
67:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 02:28:34.73:ZHPM8AgWP
純「ああー二人とも本当に先に行っちゃった……」
純「誰だーこんな重いのを私に押し付けたのはー!」
純「わたしだよ」
純「うあ……階段マジできつい……」
純「はあ……はあ……」
純「前が……見えな……いっ!?」
純(ヤバッ! バランス崩した!)
聡「危ない!」
68:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 02:46:43.41:ZHPM8AgWP
純「うおうっ!」
聡「大丈夫ですか?」
純「聡美~! もう少しで倒れるところだったよ! ありがと!」
聡「これは私が持って行きますね」
純「あっこれ重いよ?」
聡「大丈夫です」
純「おお……頼れる後輩だ」
聡「いえそんな……」
梓「頼りない先輩だ」
純「いえそんな……」
70:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 02:52:27.84:ZHPM8AgWP
* * * *
梓「……ふう、ドラムもセット出来たところで」
純「ねえねえ聡美! 早速叩いてみてよ!」
聡「は、はいっ……」
憂「おお~」
聡「人前でドラム叩くの初めてだから緊張する……」
梓「そんなに緊張しなくても大丈夫だよ」
聡「は、はい」
聡「それでは……」
タンタンタドタド タンタンタドタド タンタンタドタド タンタンドタタタタッド
梓(あ、これふわふわのイントロだ)
憂「わぁ~!」
72:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 03:01:52.36:ZHPM8AgWP
聡「どうでしょうか……?」
梓「上手いよ聡美! これならすぐにライブとかも出来そう」
聡「あ、ありがとうございます!」
憂「……」
純「憂?」
憂「か……」
純「か?」
憂「かわいいっ!」
純「へっ?」
憂「一生懸命ドラム叩いてる姿がなんだか可愛くて」
純「かっこいいとかじゃないんだ……」
73:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 03:11:07.84:ZHPM8AgWP
聡「えと……」
梓「もう、聡美が困ってるでしょ」
憂「もじもじしてる姿もかわいい……」ジリジリ
聡「憂先輩……?」
憂「えーい!」だきっ
聡「ふえっ!?」
梓「んなっ!?」
憂「聡美ちゃんかわいい~」ぎゅううう
聡「う、あ、ちょっ!」
梓「う、憂っ!? だめだって!」
純「ふむ」
純「聡美ちゃんかわいい~」だきっ
梓「ちょっ!?」
75:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 03:19:46.21:ZHPM8AgWP
ぎゅうううううううう
聡「ふぁ!? や、やめて……くだ……っ!」
憂純「えへへ~」
梓「二人とも離れて!」
憂「え~」
純「梓だっていつも唯先輩と抱きついてたじゃん」
梓「それとこれとは別! っていうか私が抱きついてたわけじゃないよ!」
純「別にいいじゃーん」
梓「だめっ!」
純「なんでよー?」
梓「そ、それは……」
梓(聡美が男だからとは言えない……)
梓「とにかくダメーッ!!」
むんず ぽいっ
憂純「わあー」
78:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 03:30:09.13:ZHPM8AgWP
梓「まったく……大丈夫?」
聡「なんとか……ばれなくてよかった」
梓「さとし……聡美もデレデレしてないでちゃんと拒否してよ!」
聡「ご、ごめんなさい……」
憂「梓ちゃんどうしてあんなに怒ってるのかな?」
純「さあ?」
79:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 03:39:35.33:ZHPM8AgWP
――――――――――――
――――――――
――――
一ヵ月後
純「梓ー部活行こー」
梓「いや、今日からテスト期間だから」
純「あー……あああぁぁぁ」
梓「憂、帰ろう?」
憂「私今日掃除当番だから先に帰ってて」
梓「待つよ?」
憂「テスト前だしいいよ」
梓「そっか。じゃあまた明日」
憂「うん」
純「憂ーまた明日」
憂「純ちゃんも掃除だよぉ」
82:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 03:47:49.20:PbBaOn9m0
校門前
梓(にんじーんたまねーぎじゃがいもー)
梓「……あ、聡美だ」
梓「聡美ー!」
聡「梓先輩、今帰りですか?」
梓「そ。憂も純も掃除当番だから」
聡「そうですか」
梓「聡美も帰るとこだよね?」
聡「はい」
梓「じゃあ一緒に帰ろっか」
聡「はい」
86:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 05:57:14.97:ejONVo7jO
梓「……」
聡「……」
梓「学校にはもう慣れた?」
聡「ええ、なんとか」
梓「そっか、よかったね」
聡「はい」
梓「あ、でも体育の時とかどうしてるの?」
聡「そっそれは……」
梓「あ、ごめん。やっぱりそれは聞かないでおく」
聡「あう、はい」
93:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 11:50:17.11:ZHPM8AgWP
梓「しかしよくばれないなあ。確かに女の子っぽい顔してるけど」
梓「背もあまり高くないからかな」
聡「う……そうですね」
梓「あ、ごめんね。て言うか私が言えたことじゃないけど……」
聡「そうですね……あっ」
梓「……いいんだ。どうせちっちゃいから」
聡「いえあのっ」
梓「ハハッ……」
聡「あ、梓先輩はそれが似合ってるというか……あいや」
聡「部活や学校生活でお世話になってますし、だから……」
聡「い、いつも助けてくれてありがとうございます!」
聡「おかげで学校にも馴染めてると思います」
94:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 11:59:33.55:ZHPM8AgWP
梓「……」
梓「プッ」
梓「言ってることがめちゃくちゃだよ」
聡「あぅ」
聡「で、でも本当に助かってて、この前も――」
梓「……」
聡「──あ、それじゃあ私こっちなので、お疲れ様でした」
梓「お疲れ。勉強頑張ってね」
聡「はいっ」
梓「……」
梓(……へへ。ありがとう、か)
梓(それはこっちの台詞だよ。聡君が居なかったら今頃軽音部は……)
梓(だから、もっと聡君にも軽音部を楽しんでもらいたいな)
95:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 12:07:42.75:ZHPM8AgWP
――――――――――――
――――――――
――――
色々ありつつもばれずに一学期終了。
夏休みに突入した。
部室
純「合宿しようよ合宿!」
憂「合宿……! ほわぁぁ」
純「やっぱり軽音部と言ったら合宿でしょ!」
憂「お姉ちゃんがいつも楽しそうに話すから私も合宿してみたかったんだー」
梓「うーん……でも今年はムギ先輩もいないし」
純「えー? 部員少ないから部費が余ってるんでしょ?」
梓「覚えてたんだ……ごめんあれ嘘」
96:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 12:14:59.07:ZHPM8AgWP
純「えっ」
梓「実はムギ先輩とさわ子先生のおかげで……」
純「退部しようかな」
純「っていうのは冗談だけどさ、とにかく合宿行きたいよー。山とか海とか」
梓「遊びに行きたいだけじゃん……」
憂「うーん……旅館とかなら私たちでも行けるかな」
梓「旅館って、練習できないじゃ――」
純「いいね旅館! 山奥とか涼しそうだし!」
梓「だから……」
純「決まり! 聡美も」
聡「私はちょっと……」
梓(うん、いろいろ無理だよね)
純「強制参加で!」
聡「ええ~!」
97:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 12:22:31.80:ZHPM8AgWP
梓「ちょっと! 勝手に決めないでよ!」
純「梓は行きたくないの?」
梓「それは……色々問題が……」
純「部員の半数が行きたがってるんだぞー」
梓「半数?」
憂「行きたいでーす」
純「ふっ」
梓「ぶ、部長は私だもん!」
純「部長を除いて部員の三分の二が行きたがってるんだぞー」
梓「しかし……」
98:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 12:32:26.22:ZHPM8AgWP
聡「あ、あの……私は行けませんけど皆さんで行かれては」
純「それはだ――」
梓「だめっ!!」
憂「梓ちゃん?」
梓「それこそダメだよ。聡美も大事な部員なんだから」
純「と言う事は……?」
梓「軽音部は合宿を行います」
純「さっすが梓!」
憂「やったぁ」
聡「で、でも……」
梓「大丈夫、私がフォローするから」ヒソヒソ
梓(こんな形で高校生になって、それなのに仲間外れなんて悲しすぎるよ)
梓(聡君だって軽音部の一員だから楽しんでもらいたいし。部長の私が頑張ればいい話だよね!)
101:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 12:39:08.61:ZHPM8AgWP
翌日
梓「旅館調べてきたよ」
純「早っ! 梓ノリノリじゃん」
梓「と、とにかくいい場所見つけたんだ」
憂「どれどれ……へぇ~思ってたより安いね」
梓「でしょ? それに満室になってないから私達の空いてる日にちに予約できるよ」
純「でかしたあずさ!」
憂「梓ちゃんすごーい!」
梓「……。それでいつがいい?」
純「えっとねー……」
梓(……許せ憂純)
聡「?」
102:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 12:49:05.57:ZHPM8AgWP
――――――――――――
――――――――
――――
旅館
梓「到着!」
純「おお~」
憂「いい部屋だね」
聡「はい」
純「じゃあ温泉行こうか」
梓「いきなり?」
純「もちろんよ! ねえ?」
憂「うんっ」
104:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 12:55:57.67:ZHPM8AgWP
梓「じゃ、じゃあ二人は先に行ってて。私と聡美は少し休んでるから」
純「ええ~」
梓「ほらほら行った行った」
憂「ごめんね、ちょっと行ってくるね」
梓聡「いってらっしゃい」
梓「……ふぅ」
梓「空いてる日にちに予約できたのはいいけど一部屋になっちゃったか……」
梓「聡君の着替えは温泉に入る時にしてもらうとして……ブツブツ」
聡「あの、梓先輩」
梓「なに?」
聡「梓先輩も温泉行って来て下さい」
105:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 13:02:01.76:ZHPM8AgWP
梓「ダメだよ。聡君がひとりになっちゃうじゃん」
聡「僕は大丈夫ですから。それに今行かないと梓先輩が一人で入っちゃうことになるし」
梓「それは聡君も同じでしょ?」
聡「それでも……せっかく高校生活最後の年なんですから皆さんと一緒に行って来て下さい」
聡「僕は僕で旅館を見て回りますから。ね?」
梓「う……」
聡「早くしないと純先輩達上がっちゃいますよ」
梓「……ごめんね」
聡「こればっかりは仕方ないですよ」
梓「わかった、行ってくるね。そうだ、後で卓球とかしよっか」
聡「はい」
梓「じゃ――」
純「あずさああああああ!!」
梓聡「!!?」
107:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 13:08:32.55:ZHPM8AgWP
梓「ど、どうしたの純、温泉に行ったんじゃあ……」
純「行ったけどさあ!」
純「……混浴ってどう言う事?」
聡「ええっ!?」
梓「それは……」
純「梓、知ってたな?」
梓「うう……」
純「……」
梓「と、とにかく温泉行こうか! それじゃ行ってくるね聡美!」
聡「え、あ、はい」
純「えっ聡美置いて行くの?」
梓「いいから早くっ!」
純「なんかごまかしてない?!」
110:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 13:16:57.18:ZHPM8AgWP
脱衣所前
梓「ふう……」
憂「あっ梓ちゃん。これは……」
純「説明してもらおうか」
梓(だって聡君が男湯から出てくるのがばれたらまずいしそれに……って説明できないよ)
純「さあさあ」
梓(うううう……こうなったら平静を装う!)
梓「混浴くらいどうってことないでしょ」
純「なっ!?」
憂「ふえっ?」
梓「いいじゃんこの旅館穴場だったんだしさ。それに人いなさそうじゃん」
梓「ほら行くよ」スタスタ
純憂「……」
112:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 13:21:20.59:ZHPM8AgWP
梓「ほら、更衣室だって誰もいないじゃ――」
ガラガラ
おじいさん「ふー」
梓純憂「!?」
梓純憂「……」
おじいさん「はぁー」スタスタ
梓「は、はは」
純憂「……」
梓「あ、ほら、もう温泉にも誰も居ない。貸切だね!」
純「梓」
憂「梓ちゃん」
梓「ごめんなさい」
114:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 13:27:06.30:ZHPM8AgWP
純「なんで言ってくれなかったのよ」
梓「言ったら却下されそうで……」
憂「そんなにこの旅館がよかったの?」
梓「う、うん……」
純「なんか怪しいな」
梓(やばい……ヤバイヤバイヤバイヤバイ)
梓(ええいままよ!)
梓「じ……実は……」
純「実は?」
梓「お……」
憂「お?」
梓「男の人に興味があったので……」
梓(うあああああああああああああああ!!!!)
116:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 13:34:48.76:ZHPM8AgWP
純「梓……」
梓「はい」
純「自らを犠牲にしてまで神秘に近づくというのね……」
憂「梓ちゃん……大胆だね////」
梓(はは……)
純「わかったよ。親友の探求心とぶっちゃけに免じて許す」
憂「大きめのタオル用意しておいて良かった……」
梓「二人とも……ありがとう」
梓(早く温泉に潜りたい)
純「いいんだよ……プッ」
憂「そうだよ……」プルプル
梓(涙が頬を伝うその前に)
118:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 13:43:32.40:ZHPM8AgWP
カポーン
純「あ゛~~~~いいお湯」
梓「純おやじくさい」
純「なにおうこのマセガキめ」
梓「ぐぇあ……」
憂「はぁー気持ちいいね。聡美ちゃんこないのかな?」
純「ほんともったいないよね」
梓(……)
純「……ふむ」
純「思考がガキなら身体もガキ、と」
梓「へっ? って何処見て言ってるのよ」
純「ここだよーー!!」
梓「きゃああ!」
123:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 13:50:45.71:ZHPM8AgWP
憂「もう純ちゃんってばあ」
純「……」
梓「……」
純「負けた……」
梓「勝負にすらならない……」
憂「え?」
純「くそーこうしてやるぅ!」
憂「ひゃああ!?」
梓「うわぁ……私のと全然感触が違う」
憂「梓ちゃんまで!? ひゃんっ!」
126:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 14:01:06.77:ZHPM8AgWP
ほくほく
純「ちょーっとのぼせたかな」
梓「純のせいだよ」
純「梓だって」
憂「あ、聡美ちゃん」
聡「どうも」
純「温泉入らなくて良かったの?」
聡「後で入ります。それより卓球があるんですけどどうですか?」
純「ほう、受けて立とうじゃないの」
127:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 14:09:35.09:ZHPM8AgWP
ピンポン
純「くらえ! 魔球サーブ!」カンッ
梓「普通じゃん」コンッ
純「!?」
聡「いい位置!」
純「なんのぉーーーー!」ドゥバァッ
純「ぐへ」ドサ
梓「私の勝ちだね」
純「くそう……」
憂「純ちゃんビールのCMみたいでかっこよかったよ!」
純「ちょっと意識してみた」
聡「あはははっ」
梓「……ふふ」
129:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 14:17:57.82:ZHPM8AgWP
* * * *
梓純憂聡「はぁ~……」
憂「お料理おいしかったねぇ」
聡「はい、最高でした」
純「まさに最高だったね。梓に感謝だよ」
梓「はは……どうも」
純「さーて、寝るまで何しようか」
憂「トランプ?」
聡「UNO?」
梓「まくら……いや、UNOかな」
純「枕投げやっちゃう?」
梓「流石にまずいからやめよう」
132:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 14:22:24.57:ZHPM8AgWP
* * * *
梓「はぁ……はぁ……」
憂「……ふぅ」
純「ぜぇぜぇ」
聡「はあはあ……」
梓「……寝ようか」
純「そだね」
憂「うん」
聡「はい」
梓「電気消すよー」
純「おやすみー」
133:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 14:31:23.76:ZHPM8AgWP
聡「……」
聡(そろそろかな?)
聡「……」そろーり
聡「……」スタスタ
梓「……」
135:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 14:37:16.19:ZHPM8AgWP
脱衣所
聡(この時間なら誰も入ってないかな?)
聡(うん、入ってないみたい)
聡「今のうち……」
ガラガラ
聡「おおー湯気がすごいや」
聡「ううっ山って結構寒いなぁ。早く入ろう」
聡「よいしょ」チャポン
聡「ふわぁ~……良いお湯だぁ」
ガラガラ
聡(うわあっ誰か来た!?)
136:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 14:41:41.49:ceDBxUYl0
聡「……」
聡「あ……」
聡「梓先輩!?」
梓「……うん」
聡「ど、どうしてここに……」
梓「そ、そりゃあ温泉に入るためだよっ」
聡「でもっ僕が入ってるの知ってたんじゃあ……」
梓「タタタオル巻いてるから大丈夫でしょ」
聡「ええっでも!」
梓「よいしょ」チャポーン
聡「っ!」
梓「……ぁ、あーいいおゆだなあ~」
138:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 14:59:07.32:ZHPM8AgWP
聡「……」
梓「……」
聡「ぅあ……」
梓「聡君」
聡「はひっ!」
梓「軽音部楽しい?」
聡「えっ……そ、それはもちろん」
梓「本当?」
聡「本当です」
梓「……そっか。よかったぁ」
142:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 15:12:34.76:ZHPM8AgWP
梓「軽音部が今こうしていられるのも聡君のおかげだしさ。聡君は大変だろうけど少しでも楽しんでくれればいいなと思って」
聡「そんな……」
梓「おかげで憂と純とも音楽できるし、毎日楽しいし」
梓「聡君、ありがとね」
聡「……」
聡「僕の方こそ……」
聡「軽音部の一員として扱ってもらって嬉しいです」
聡「最初は学校生活に活路が見いだせなくて毎日憂鬱でした」
聡「でも梓先輩達が仲良くしてくれて、軽音部が楽しくて」
聡「いつの間にか学校が苦にならなくなったんですよ」
聡「僕の方がお礼を言いたいです。前にも言ったけど……」
聡「梓先輩、いつもありがとうございます」
143:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 15:15:47.63:NMeIt7qE0
梓「……そっか」
聡「はい」
梓「……」
聡「……」
梓「……////」
梓「とうっ」バシャア
聡「わぷっ」
梓「あははっ」
聡「うぅ……」
梓「そだ。聡君、背中流してあげるよ」
聡「へっ!?」
150:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 15:30:15.70:ZHPM8AgWP
梓「ほら、立って立って」
聡「いやそれはちょっと……」
梓「いいから! 先輩命令です」
聡「はい……」ザバァ
梓「……」
聡「どうしたんですか?」
梓「やっぱり服着てないと男の子ってわかるなあと思って」
聡「わああっそれは仕方が――」
ガララッ
純「ずるいぞ二人して抜け駆け温泉ーー!!」
梓聡「い゛っ!!?」
純「……あれ?」
憂「純ちゃん! 他のお客さんがいたら迷惑だよ……ぉ……?」
152:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 15:32:05.85:PpQRrKcx0
梓「や……」
梓(ヤバイ!!!!)
梓「さ、聡美っ! 早く温泉に入ろうかっ!」グイッ
聡「ぅわあっ!? 待ってタオルがっ……!」
バサッ
トンちゃん「やあ」
聡「~~~~!!」
梓「ッ!!!!」
純「?!」
憂「□K□……?」
161:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 15:46:53.95:ZHPM8AgWP
梓「は……ははは」
聡「あ……ぅあ……」じわぁ
純「え……え?」
憂「さとみ……ちゃん?」
純「ひ……!」
梓「わあああああっ!」ザバァ
梓「わあああああああ!!」タッタッタッタッ
梓「わああああーーーー!!!」ドンッ
純憂「きゃあ!!」
ザッパーン!
憂「っぷは! あずさちゃん!?」
純「なにするのあず――」
梓「みんなで!!」
梓「温泉に入ろう!!」
167:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 15:54:29.75:ZHPM8AgWP
純憂聡「……」
梓「……」チャポン
梓「はぁ~……いいお湯だね」
純「梓」
梓「その、ええと……コレには深い訳がありましてですね」
聡「あのっ私が話します!」
梓「ううん、私が話すよ」
梓「聡美はね、本当は男の子なんだ。……見たから分かると思うけど」
憂「ど、どうして……?」
梓「聡美……いや、聡君は律先輩の弟で――」
170:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 16:01:37.32:ZHPM8AgWP
純「――つまり、桜高に強制的に入れられたと」
梓「そう言う事」
憂「な、なんかすごいね」
梓「黙っててごめん。それでお願いなんだけど、聡君の事は黙ってて欲しいの」
純憂「……」チラ
聡「ふ……ぇ」ポロポロ
純「……まあ梓がそこまで言うなら」
憂「そうだね」
梓「あ……ありがと!」
純「それに聡美がかわいそうだし?」
聡「あ……ありがとうございまふ……ぐす」
174:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 16:09:48.91:ZHPM8AgWP
純「いやーしかし……すごいね」
憂「う、うん」
梓「私も最初はびっくりしたよ」
憂「梓ちゃんはいつから知ったの?」
梓「私は最初会った日に……」
純「どうやって秘密を知ったの?」
梓「う゛……そ、そんなことよりこれからも聡美と軽音部をやっていきたいんだけどいいよね!?」
純憂(ごまかした)
純「そりゃあいいけどさ……」
憂「う、うん……」
梓「……どうしたの?」
178:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 16:15:55.18:ZHPM8AgWP
純「いや、梓はこの状況恥かしくないのかなって思って……」
憂「混浴だもんね」
純「それにこんな夜中に二人きりで温泉に入るなんて……二人はどういう関係なの?」
梓「へあっ!?」
聡「いやそれはっ!」
純「聞くまでも無いかー」
梓「ちっ違うの! これは部長として……その……スキンシップを!」
憂「スキンシップ……梓ちゃん////」
梓「ちがぁぁぁぁい!」
純「梓顔真っ赤」
梓「だっだからね? 聡君一人じゃかわいそうだからそれでっ……背中とか流そうと!」
憂「わぁぁ……////」
182:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 16:24:38.03:ZHPM8AgWP
梓「いや! ちがうってば! うがーー!!」ザパァ
バサッ
純「あ」
憂「あ」
聡「あ」
梓「へ……?」
梓(i)
梓「ひぃ……」ふらっ
ザッパーン
純「梓!?」
憂「梓ちゃん!?」
聡「梓先輩!?」
185:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 16:32:09.79:ZHPM8AgWP
旅行二日目
純「おはよ」
憂「おはよー」
梓「……おはよう」
聡「……おはようございます」
梓「昨夜はご迷惑をおかけしました……」
純「いやいいけど……ご愁傷様だね」
憂「げ、元気出して! 裸の付き合いって言うじゃん!」
梓「……聡美の前で言わないでくれるかな」
純憂「ごめん」
聡「……」
188:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 16:43:21.82:ZHPM8AgWP
純「調子悪かったりしない?」
梓「それは大丈夫。のぼせただけだし」
憂「長い間お湯に浸かってたのに興奮して喋って、おまけに急に立ったからね」
梓「ぐあぁぁぁぁ」
憂「あっあっごめん……」
聡「……」
189:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 16:52:49.76:ZHPM8AgWP
聡(やっぱり気まずいよう)
純「……」
憂「……」
梓「あっ、あの――」
純「それにしても全然気が付かなかったわ」
憂「そうだねー」
聡「え?」
純「今も女にしか見えないし」
憂「男の子でそんなにかわいいなんてすごいよ~」
聡「あ、あはは……」
190:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 17:00:17.79:ZHPM8AgWP
純「くそー男の癖にこんなに可愛いだと……」
聡「あんまり嬉しくないです……」
憂「あ、そろそろ朝食の時間だよ」
純「んじゃ広間に行こうか」
梓(よかった……みんな普通に会話出来てる)
純「時に梓さん」
梓「え?」
純「私か憂が昨日部屋で着替えたりしても黙ってるつもりだったんだよねえ?」
梓「そ、それは……」
憂「でも着替えなかったしみんなで温泉にも入っちゃたしね」
純「まあね。昨日の梓の一件に免じてチャラにしてあげる」
梓「はは……」ポロポロ
192:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 17:08:04.39:ZHPM8AgWP
* * * *
純「革命! 八切り! 上がり!」
梓「うあー大貧民……」
憂「あはは」
聡「あの、夜遅くなってきましたけど皆さん温泉に行かないんですか?」
純「おお、いつの間にかこんな時間だ。んじゃ行こうかなー」
梓「わ……私は後で聡美と入る」
聡「ええっ!?」
梓「だって言い出したのは私だし、軽音部の一員だし……ブツブツ」
純「うおっ! めげないな梓……いやただの頑固か?」
憂「じゃあ私もー」
梓純聡「えっ?」
194:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 17:17:31.40:ZHPM8AgWP
憂「え?」
純「私もって……マジ?」
憂「マジだよ。聡美ちゃんも軽音部の一員だし」
梓「憂……」
聡「でも……」
憂「みんなで入ったほうが楽しいよっ。せっかく混浴なんだし」
純「順応し過ぎ……それはそうだけどさぁ」
梓「ありがと憂。そういうわけだから純は先に入ってきていいよ」
純「えっ」
憂「いってらっしゃい純ちゃん」
純「……」
純「わ……」
純「私も一緒に入るぅー!」
197:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 17:25:11.85:ZHPM8AgWP
温泉
梓「やっぱりこの時間は人いないみたいだね」
憂「そうだね」
純「……やっぱり落ち着かない」
聡「すみません……」
梓「じゃあ先に入ればよかったじゃん」
純「そしたら私一人になっちゃうでしょ!? 私も軽音部の一員なんですけど!」
憂「ふふふっ」
純「はめられた気分だ……」
聡「はは……」
199:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 17:34:42.42:ZHPM8AgWP
憂「さわ子先生も知ってるの?」
梓「むしろ元凶その2だよ」
憂「でもこれで軽音部全員が聡美ちゃんの秘密を共有してるんだね。なんだかドキドキするよ」
純「はは……」
梓「でもそうだよね。これで軽音部が一つになった気がする!」
純「そうかなぁ」
梓「そうなのっ!」
梓「一つになって学園祭ライブを成功させるんだから!」
憂「ライブかぁ……」
純「ライブは楽しみかも」
聡「頑張ります!」
梓「学園祭に向けて頑張るぞー!」
憂純聡「おー!」
201:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 17:43:31.06:ZHPM8AgWP
――――――――――――
――――――――
――――
旅行も終わった夏休み後半。
駅前
純「うあー遅刻するぅー!」タッタッタッ
純「あれ?」
純「あそこにおわすは……」
純「しゅが美ー!」
聡「えっ!?」
聡「じゅ、純先輩?」
203:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 17:51:29.97:ZHPM8AgWP
純「何びっくりしてるの?」
聡「だって、今日は僕普通の格好してたのに……」
純「確かにちょっと新鮮かも。でもまあ顔見れば分かるしね」
聡「そうですか」
純「どこか行くの?」
聡「いえ、本屋に行った帰りです。純先輩は?」
純「私は……ああっ! 遅刻しそうなんだった!」
聡「え、じゃあ急いだ方が」
純「……」
聡「純先輩?」
純「聡美も来る?」
聡「え?」
205:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 18:01:04.73:ZHPM8AgWP
純「――って感じでばったり会ったからつれてきちゃった」
憂「わあー聡美ちゃんが男の子の格好してる~」
聡「男ですから……」
純「で、いいよね?」
憂「もちろん!」
聡「何がですか?」
憂「今日は純ちゃんと遊びに行くんだぁ」
純「聡美暇でしょ? 一緒に遊ぼうよ」
聡「え、でもいいんですか?」
純憂「もちろーん」
聡「じゃ、じゃあ遊びたいです」
207:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 18:10:02.69:ZHPM8AgWP
聡「あれ、でも梓先輩は居ないんですか?」
憂「梓ちゃんは今日夏期講習なんだよ」
聡「そうですか」
純「おやー寂しいのかなー?」
聡「ち、違いますっ」
純「あはは、んじゃまずはごはん食べに行こー」
憂「おー」
208:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 18:19:19.10:ZHPM8AgWP
マックスバーガー
純「と言ってもハンバーガーなんだけどね」
純「……梓ばっかりずるい」
聡「?」
憂「梓ちゃんこの前美味しい洋食レストランに行ったんだって」
聡「へぇ~」
純「私はシェイクを頼む! レストランじゃシェイク飲めないし!」
聡「そこまで対抗しなくても……」
憂「私もシェイクを頼む!」
聡「ええっ……じゃ、じゃあ僕も……」
210:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 18:26:50.36:ZHPM8AgWP
純「んぐっ、んぐっ、プハー」
純「三人で遊んだって言ったら梓悔しがるだろうな~うしし」
憂「ちょっとかわいそうだね」
純「夏期講習じゃ仕方ないでしょ。それにどうしても今日買いたい服があるのー」
聡「お二人は夏期講習無いんですか?」
憂「私達は先週で終わったんだよ」
純「さて、お腹一杯になったところで早速行きますか」
211:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 18:35:36.96:ZHPM8AgWP
服屋さん
聡「あ、あの……」
憂純「ん?」
聡「こ、ここですか?」
憂純「そうだよ」
聡「じゃ、じゃあ僕は外で待ってますから……」
憂純「えー」
純「聡美も一緒に入るの」
憂「洋服見るだけだから大丈夫だよ~」
聡「うぅ……」
212:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 18:42:15.80:ZHPM8AgWP
純「あ、このワンピかわいい」
憂「かわいいね」
純「じゃあ試着で」
憂「うんっ」
純「はい」
聡「……え?」
純「聡美ちゃーん試着室へGOだよ!」
憂「ごーごー!」
聡「うえええっ!? いや、無理ですっ」
純「何がよ~」
聡「だって! 僕男ですっ」
純「毎日スカート穿いてるんだからこれくらいいいじゃん」
聡「今は男なんですっ」
憂「ええ~……」
214:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 18:54:15.03:ZHPM8AgWP
純「今なら店員さん居ないからさ」
純「試着室に入っちゃえばバレナイヨ?」
聡「いや……」
純「ほらほら、私達が見張っててあげるからさ」
聡「うぅ……わかりました」
シャー
純「にへへ」
憂「やっぱりかわいそうだったかも」
純「何を今更」
シャー
聡「着替えました……」
純「うお……華奢な体型がそそる……」
憂「……かわいい」
215:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 19:01:20.97:ZHPM8AgWP
聡「も、もういいですよねっ?」
憂「かわいいよ聡美ちゃん!」ぎゅー
聡「ひゃん?!」
純「こらこら、かわいくても男の子だぞー」
憂「あっ! ごめんね聡美ちゃん。あまりにも可愛いからつい抱きついちゃった……」
聡「う……あ……」
シャー
純「ほらー憂の所為でカーテン閉めちゃった」
憂「えへへ……」
216:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 19:08:55.64:ZHPM8AgWP
バッティングセンター
聡「ふっ!」
カキーン!
純「おおー!」
純「上手いじゃん!」
聡「あ、ありがとうございます」
純「流石男の子だぁ……ん?」
憂「んっ!」
カキーン!
純聡「わぁい」
純「……よし」
純「こうなったらお姉さんもいいところを見せてやろう」
217:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 19:18:54.50:ZHPM8AgWP
カフェ
純「あーつまんない。全然バットに当たんなかった。誰だよバッティングセンター行こうって言ったのは」
聡「純先輩です……」
憂「私は面白かったけどなぁ」
純「そりゃあなた達は面白いでしょうよ」
純「はあー……」
憂「そういえば純ちゃんが買った服可愛かったよね」
純「だよねだよねーこれすっごい気に入った!」
憂「いいなー私も買えばよかったかも」
純「そうだよ~」
聡「ふふっ」
219:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 19:24:33.64:ZHPM8AgWP
純「いやー何だかんだ言って楽しかった!」
聡「わぁ」
憂「楽しかったね~」
聡「はい」
純「ってわけで帰ろう!」
憂「おー」
聡「お、おー」
220:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 19:32:37.62:ZHPM8AgWP
帰路
聡「それじゃあ僕はこっちなので……」
純「ん。またねー」
憂「バイバイ」
聡「……あ、あの」
純「何?」
聡「今日は誘ってくれてありがとうございました。楽しかったです」
純「どしたのよ改まって」
聡「だって……この前旅館で……」
純「アレは流石にビビッたね」
憂「ね~」
純「まあとにかく気にするなって!」
聡「あ……はいっ」
221:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 19:42:41.18:ZHPM8AgWP
聡「何だか軽音部がもっと楽しくなりそうです」
聡「二人ともありがとうございます」
純「大げさな……」
憂「……」うずうず
憂「聡美ちゃーん!」ぎゅううう
聡「はうっ!?」
憂「聡美ちゃんはいいコだねぇ~!」ぎゅううう
聡「う、憂先輩っ……やあ、やめっ」
純「あはははっ!」
憂「うりうり~」
聡「やめてくらはい~……!」
222:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 19:53:22.49:ZHPM8AgWP
* * * *
純「――ってことで今日は憂と遊んだんだけどさー!」
梓『……』
純「たまたま聡美と会ったから聡美も誘っちゃってね!」
梓『えっ!』
純「ご飯食べたり服買ったり遊んだりしてさあ」
梓『……ぐ』
純「三人で飲んだシェイクが美味しかったのなんのって!」
梓『~~~~っ!』
純「へへ~今度梓も誘うからさ~そんなに悔しがらなくても――」
梓『くやしくないもんっ!! もう切るからね!? おやすみ!!』
ブツッ ツー ツー ツー
225:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 20:00:38.80:ZHPM8AgWP
――――――――――――
――――――――
――――
もうすぐ学園祭。
純「え? 何か言った?」
梓「もうすぐ学園祭だねって言ったの!」
憂「そっか~ドキドキするね!」
聡「緊張します……」
梓「私達にとっては最後の学園祭だからね!」
梓「ライブではいままでの練習の成果……練習……の……」
純「あんまり合わせて練習してなかったね」
憂「う、うん……」
228:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 20:14:21.21:ZHPM8AgWP
梓「……いや、私達には今まで積み上げてきたモノがあるから!」
純憂聡「積み上げてきたモノ?」
梓「そう。先輩達に教えてもらったモノだよ! 練習と同じくらい大事な……」
梓「大事な……」
梓「……」
梓「練習しよっか」
純憂聡「はい」
ガチャ
さわ子「やっほーみんな揃ってる?」
さわ子「今から卒アル用の写真撮るわよ」
梓「れんしゅ……う……」
229:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 20:23:33.36:ZHPM8AgWP
中庭
さわ子「ここで撮るの?」
梓「はい」
純「どうやって撮る?」
憂「みんなでジャンプするとか?」
梓「そんなんでいいのかな……」
純「聡美は何か良い案ある?」
聡「うーん……普通に三人で並ぶっていうのじゃダメなんですか?」
純「三人?」
聡「え?」
純「聡美も入るんだよ」
聡「えっ?」
231:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 20:31:30.47:ZHPM8AgWP
聡「でもこれって三年生用の写真ですよね?」
純「大丈夫だって! ね、さわちゃん」
さわ子「ダメよ、タイの色でばれちゃうでしょ」
純「えー……」
憂「どうしてもだめですか?」
梓「私からもお願いします。今日撮った写真を見返す度に一人足りないのは寂しいです」
さわ子「んー……まあばれなきゃいいか」
聡「適当だぁ」
さわ子「それじゃ聡美はコレ着けなさい」
聡「え? これって先輩達と同じ色のタイ……」
純「さわちゃん準備いいね!」
232:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 20:48:06.89:ZHPM8AgWP
さわ子「それじゃちゃっちゃと撮っちゃいましょ」
梓純憂聡「はーい」
梓「それで、どうしようか」
憂「じゃあ……みんなで抱き付くとか」
梓「えっ!?」
純「いいねー! 雑誌のグラビアみたいなに寄り添う感じ?」
憂「そうそう!」
聡「あっちょっ」
純「ほら梓も聡美も早く早く!」
梓「うわっ!?」
聡「ええっ!?」
憂「梓ちゃんと聡美ちゃんが真ん中だよ。サンドイッチ~」
梓聡「ぐえっ」
233:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 20:57:25.08:ZHPM8AgWP
さわ子「撮るわよ~」
パシャ
さわ子「はいオッケー」
梓「うぐ……も、もういいでしょ……」
憂「えへへ~」
純「んふー」
ぎゅううううう
梓聡「ぐえええええっ」
純「うりうり~」
憂「えいえい~」
梓「や、やめ……!」
聡「うああああっ」
236:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 21:04:38.18:ZHPM8AgWP
梓「だーーーー!!」
純憂聡「うわー」
梓「苦しい! っていうか抱きつくのはダメだってば! 聡君は男の子だって忘れてるの!?」
憂「かわいくてつい……」
純「忘れそうになるよね」
校長「男の子には見えませんなぁ」
さわ子「確かに」
聡「……////」
梓純憂聡さわ子「……え?」
239:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 21:12:43.09:ZHPM8AgWP
さわ子「校長!?」
梓(聞かれたっ!?)
純「ちょっと梓」
梓「な、何?」
純「校長先生って聡美が男だって知ってるの?」
梓「わ、わかんない……でも学校に通ってるくらいだから校長先生が知っててもおかしくは……」
校長「山中先生、後で校長室まで来てもらえますかな」
さわ子「はい」
梓「え……」
純「これってやばいんじゃ……?」
243:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 21:20:28.60:ZHPM8AgWP
部室
梓純憂「……」
梓「どうしよう……」
憂「さわ子先生が呼び出されたのってやっぱり聡美ちゃんの事なのかな?」
純「だったらまずいよね」
梓「でもっ、さわ子先生が何とかしてくれるかも」
純「聡美は何か知ってる?」
聡「いえ、直接校長先生に会ったことはないですし……」
純「そっか……」
247:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 21:28:55.81:ZHPM8AgWP
聡「あの、私大丈夫なんでしょうか」
梓「……」
聡「私の所為で学園祭ライブが中止になったりとか……どうしよう……」
憂「そんな……せっかく四人でやってきたのに……」
聡「私最初はこの学校へ来る事が嫌だったけど、今では毎日楽しくて、軽音部で学園祭に出るのが楽しみで……」
憂「聡美ちゃん……」
梓「……」
純「梓」
梓「……私が直談判してくる! 軽音部の存続とライブ、それに聡美の在学が掛かってるかもしれないし!」
純「流石部長! それじゃ行きますか」
憂「私も行く! みんなとライブできないのはやだよっ!」
聡「私も行きますっ! 私も皆さんとライブしたいです!」
248:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 21:35:26.15:ZHPM8AgWP
校長室
校長「それで山中先生」
さわ子「はい」
校長「例の件は……」
さわ子「ええ、完成しました。こちらです」
校長「おお」
さわ子「今回スカートの長さはちょうど膝が隠れるくらいにしてみました」
さわ子「色はオードソックスに黒を、エプロンも一般的な形でシンプルに」
さわ子「ただエプロンのフリルは形にこだわりましたね。いかがです?」
校長「ちょっと着てきます」
249:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 21:36:13.83:8uBF0DYPP
校長「……ふむ、着心地も中々」
さわ子「一応ネコミミもありますけど」
校長「そうですか。ではせっかくですから」スチャ
コンコン
梓純憂聡「失礼します!」
梓「校長先生! お話が……は?」
純憂「ぶっ!?」
聡「……え」
さわ子「あっあなた達……ここは職員室じゃないんだから返事を待ってから入りなさい」
校長「まあまあ、それで何の御用かな?」
梓「……え、あ、はい」
256:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 21:55:06.90:ZHPM8AgWP
* * * *
校長「いやあ、仲間想いの良い子たちですねえ」
さわ子「自慢の生徒ですから」キリッ
梓「えっと、聡美が男だって知ってたんですか?」
校長「もちろん」
梓(この学校ってこんなだったっけ……ていうかこの人大丈夫なのかな)
梓(そもそもどうしてネコミミメイド服着てるの?)
校長「そういうわけですから学園祭に向けて頑張って下さいね」
梓「は、はい……」
純「この校長にしてこの軽音部ありか……」
憂「よ、よかったね」
聡「え、ええ……」
校長「あずにゃんさんは良い部長ですね」
梓「」ぞわわっ
258:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 22:00:30.26:ZHPM8AgWP
部室
梓「……」
純「いやー軽音部の上がいるとはねえ」
憂「びっくりだね~」
聡「はは……」
梓「……」
純「どしたの梓?」
梓「だって……」
純「まあいいじゃん。ライブに支障は無かったわけだしさ」
憂「そうだよ。それに私達ますます結束した感じがするよ」
純「それは……どうだろう」
梓「……そうだよね、もう忘れる」
梓「よし! みんなで学園祭ライブ成功させるぞー!」
純憂聡「おーっ!」
259:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 22:05:24.36:ZHPM8AgWP
――――――――――――
――――――――
――――
学園祭当日。
梓「……なんですかこの衣装」
さわ子「見て分かるでしょ、メイド服よ。ちなみに自信作よん」
梓「このメイド服先日どこかで見たような気がするんですけど……」
純「うおお……実際着てみるとはずかしい」
憂「純ちゃんかわいいよ~。それに聡美ちゃんも!」
聡「うっ」
純「確かに似合ってる……」
梓「うん……」
聡「あうう……」
260:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 22:11:21.45:ZHPM8AgWP
梓「よし! 先輩達も来てくれてるみたいだから気合入れていこう!」
純憂「おー!」
聡「お、おー!」
純「そういえばさっきから幕の外でういーとか、さとしーって叫んでる声が聞こえるような」
梓「はは……気のせいじゃない?」
聡「姉ちゃんのバカ……」
憂「お姉ちゃん……私頑張るからね!」
純「はは……」
264:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 22:29:11.95:ZHPM8AgWP
『次は軽音楽部によるバンド演奏です』
さわ子「それじゃみんな頑張ってね!」
梓純憂聡「はい!」
聡(うう、緊張するよう……)
梓「聡美」
聡「えっ?」
梓「楽しもうね!」
純「そうそう、ライブは楽しまなくちゃ」
憂「わ、私もドキドキしてるけどみんなで頑張ろっ?」
聡「はいっ!」
――――
――――――――
――――――――――――
266:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 22:34:24.22:ZHPM8AgWP
学園祭終了後
部室前
梓「聡美、重くない?」
聡「大丈夫です」
梓「私達はこのアンプで終わりだから。あとは憂と純が持ってくる機材だけだね」
聡「はい」
ガチャ
梓「よいしょ」
聡「ふう」
梓「お疲れ様」
聡「いえ」
268:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 22:42:49.23:ZHPM8AgWP
梓「一休みしよっか。お茶でも入れるね」
聡「あのっ」
梓「ん?」
聡「ライブとっても楽しかったです。ありがとうございました」
梓「……」
聡「今までも――」
梓「なんだかいつもお礼言われてるような気がする」
聡「えっ」
梓「それにいつも思ってるけど私の方こそありがとうなんだよ」
聡「梓先輩……」
梓(なんだか凄く良い気分。ライブ後だからかな?)
梓「今日までやってこれたのも聡君のおかげ」
274:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 22:50:11.04:ZHPM8AgWP
聡「え、えっと……」
梓「……」スタスタ
梓「えいっ」だきっ
聡「うあっ////」
梓「あ、ありがとうね……」
聡「……はい」
275:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 23:00:07.09:ZHPM8AgWP
ガチャ
純「はー疲れたー……あ?」
梓聡「わあああああっ!!」バッ
純「おやおや~? 私達がいない間にラブにコメっちゃってるよ」
憂「梓ちゃん、おめでとう」
梓「ち、ちがっ! これは……!」
憂「違うの?」
梓「そう! ただありがとうって言ってただけで他意はなくて!」
純「他意ってなんだろうねえ」
憂「じゃあ私も聡美ちゃんにありがとうの気持ち~!」ぎゅううう
聡「わあああ!」
277:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 23:05:53.77:ZHPM8AgWP
梓「ちょ、憂!」
憂「えー? 梓ちゃんもやってたじゃん」
梓「それはっ……」
純「じゃあ私もー」ぎゅううう
聡「むぎゅう」
梓「あっ!」
憂純「へへ~」
梓「くっ……じゃ、じゃあ私も!」ぎゅううううう
聡「あ、梓先輩まで!?」
憂「あははっ」
純「うりうり~」
梓「……っ////」
279:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 23:10:27.39:ZHPM8AgWP
聡(……高校生って楽しい)
聡(思ってたのとは違うけど)
聡(今ではこれ以外考えられない)
聡(この軽音部で大切なものを見つけたから――)
純「あれ、聡美気絶してる?」
聡「してないですっ」
さわ子「ふふ……」
さわ子「私もあと8年若ければ混ざれるんだけどなー……」
280:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 23:16:05.13:ZHPM8AgWP
純憂「このこの~」
梓「……っ!」
聡「ぐえ……みなさんそろそろ……」
ガチャ
さわ子「みんなお疲れー!」
さわ子「抱きつくのもいいけどこないだ撮った写真が出来たわよ~」
純憂「見たーい!」
さわ子「あーでも聡美ちゃんが写ってるの誤魔化せなかったから今度取り直しするわよ」
純憂「ぐえー」
さわ子「そのかわりこの写真はみんなにあげるわね」
純憂「やったぁ!」
純「……ところで梓はいつまで抱きついてるのさ」
梓「え? ……あ、あれっ!?」
聡「あはは……僕達も写真見に行きましょうか」
梓「……うん!」
281:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 23:21:04.59:ZHPM8AgWP
END
282:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 23:22:27.32:JabMcKTi0
憂「でも田井中って苗字は珍しいよね」
梓「憂」
純「憂」
梓「私も気になっちゃってさ」
純「もしや律先輩が実は卒業してなくて偽名で……」
梓「はいはい。まあどちらにしろもうすぐ分かるよ」
ガチャ
?「すみません……」
梓「……はい?」
?「軽音部はこちらですか……?」
梓「……はい。もしかして軽音部に入ってくれた……?」
聡「はっはい。一年の田井中……聡美です」
梓「おお……」
純「……梓?」
梓「へ?」
純「何ぼさっとしてんの、部長でしょ?」
梓「はっ!」
梓「ええと、それじゃあ田井中さん、こちらへどうぞ」
梓「さ、座って座って」
聡「ど、どうもです……」
純「おお~初々しくてかわええのお」
憂「ねー。私達も昔はこんな感じだったのかな?」
梓「ええと……」
憂「お茶どうぞ」
聡「あ、ありがとうございます……ズズ」
梓「それで……」
純「ねーねー! 聡美ちゃんってお姉さんとかいる?」
聡「えっ!?」
純「ん?」
聡「あ、いや……お姉さんというか……」
純「律先輩の妹さんだと思ったんだけどなー」
聡「ねえちゃ……じゃなかった、律お姉ちゃんは私のいとこなんです」
純「おおーいとこかー!」
憂「言われてみれば律さんに似てるかも」
梓「確かに青いリボンと相まって尚更……」
聡「うう……」
梓「どしたの?」
聡「い、いえっ何でもないです梓さん!」
梓「え?」
聡死ね
もげろ
17:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/16(木) 22:29:18.31:GbJcEonxPもげろ
梓「私まだ自己紹介してないけど……」
聡「ああっ!? いえその、ねえ……律お姉ちゃんから聞いていたので……」
梓「ああ、そういう事か」
純「一番ちっちゃい人が部長の中野梓です、みたいな?」
梓「うるさいな」
聡「いえ、まあ、そうとも……」
梓「くっ……」
聡「あっでも、真面目でギターがすごく上手いって聞いてます!」
梓「ぅえっ!?」
梓「そ、そうなんだ……」
憂「梓ちゃん照れてる」
梓「うるさいな」
梓「それにしても見れば見るほど似てる……っていうかどこかで見たような」
聡「いえっ! 初対面ですから!」
梓「だよね。……あ」
聡「え」
梓「律先輩よりも弟の聡君に似てるかも」
聡「っ!!」
梓「知ってるよね?」
聡「え、あ、ははい……」
梓「どうしたの?」
聡「なっなんでもないです!」
梓(……なんか怪しい)
聡「あのっ! お、ワタシ用事を思い出したので今日はこれで失礼します!」
これはwwww
22:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/16(木) 22:50:37.80:GbJcEonxP梓「えっ?」
聡「失礼しましたっ!」
ガチャ バタン
憂「行っちゃった……」
純「すっごい慌ててたけどどうしたんだろ?」
梓「うん……あ、田井中さんカバン忘れてる!」
梓「私届けてくるね!」
ガチャ バタン
梓「田井中さーん」
聡「!」
梓「カバン忘れてるよー」
聡「あ……」
梓「はいこれ――きゃっ!」コケッ
聡「梓さん!?」ガッ
ドシーン
梓「いたた……階段で躓くなんて……あ!」
梓「ごっごめん田井中さん! 大丈夫!?」
聡「つ……なんとか。梓さんは?」
梓「田井中さんが庇ってくれたから平気だよ。ってごめんね乗っかっちゃって。今どくから――」
むぎゅう
聡「うあひっ!?」
梓「へっ?」
梓(な……何か……生まれて此の方一度も触った事の無いような感触が右手に……)
聡「う……あ……」
梓(それもスカートの中に……ま、まさかね……?)
梓「ね、ねえ田井中さん今のは……」
聡「う……ぅ……うぇぇぇん……」
梓「え!?」
聡てめぇ…
28:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/16(木) 23:19:59.54:GbJcEonxP梓「ちょ、ど、どうして泣くの!? もしかして痛かった!?」
聡「うぐっ……ぐすっ……ごべんなざいぃぃ……うわぁぁぁん!」
梓「何が!? 今触ったところが痛かったの!?」
聡「っ!」
梓「?」
聡「うわあああん!」
梓「お、落ち着いて! ね?」
* * * *
梓「大丈夫?」
聡「うぅ……はい……」
梓「それで……えっと……やっぱり痛かったの?」
聡「違うんです……その……」
聡「やっぱりばれちゃいましたよね?」
梓「えっと、さっき私が触ったものと関係あるの?」
聡「はい……実は僕……」
梓(僕?)
聡「律の弟の聡です」
梓「え? ……ん? ……!?」
梓「ええーーーーーー!!?」
聡「ううっ……ごめんなさいごめんなさい」
梓「いや、え、うん? な、どうして……」
聡「実は姉ちゃんに――」
律『軽音部の危機を救うにはお前をねじ込むしかない!!』
聡「――って言われて無理やり……」
梓「何考えてるんだあの人は」
聡「でもやっぱり無理で、こんなことになっちゃって……もう僕の人生終わったぁぁぁ……」
梓「……」
さわ子「まだ終わってないわよ!」
梓「さわ子先生!?」
さわ子「まだ梓ちゃんにばれただけでしょ? それに事件を起こしたわけでもないんだし」
さわ子「つまり梓ちゃんが黙っていれば問題無しな訳よ」
梓「先生は知ってたんですか?」
さわ子「もちろんよ」
梓(だ、だめだ……この人やっぱりだめだ!)
聡「もうだめだ……」
さわ子「しっかりしなさい」
梓「もう何が何だか……」
さわ子「とりあえず……黙っててくれるわよネ?」
梓「は、はい……」
さわ子「よろしい!」
さわ子「というわけで梓ちゃんは部室に戻ってなさい。聡……じゃなかった、聡美ちゃんは私が面倒見ておくから」
梓「で、でも……」
さわ子「梓ちゃんは部長なんだから、ちょっとトンちゃんを掴んじゃったからっていつまでも動揺しないの!」
梓「トンちゃん? …………ッ!!」
梓「あ、わ、わたしっ……!」
梓「さ、さとし君ごめんねっ!」ピュー
さわ子「行ったわね」
さわ子「ほらあなたもしっかりしなさい」
聡「は、はい……」
さわ子「万が一またこういうハプニングがあったらどうにかして切り抜けないといけないんだから」
聡「はい……」
さわ子「でもまあ」
さわ子「協力してくれる子がいれば楽かもね?」
聡「はい……え?」
ガチャバターン!
梓「はあっはあっ!」
憂「梓ちゃん?」
純「どうしたの?」
梓「ひあっ!? な、なんでもないよ!?」
純「うそつけ」
憂「梓ちゃん顔真っ赤だけど……」
梓「ええっ!? これはその……走ってきたから!! ツカレタナー!」
梓「ういーお茶! お茶欲しい! 純もお菓子食べよっ! ね!?」
憂純「?」
翌日
梓「……」
梓(まさか聡君だったとは……)
梓(どうやって入学したんだろう)
梓(っていうかこの先彼はどうやって生きていくのだろうか)
梓(それにしても全然気付かなかったなー)
梓(なんていうか髪を下ろした律先輩みたいで可愛かったし)
梓(でも男の子なんだよね)
梓(だってトンちゃんが……)
ガチャ
聡「失礼します」
梓「うわああっ!」
聡「!?」
梓「あ、ご、ごめんね聡君……って呼んだらダメだよね……さ、聡美」
聡「はい。でも周りに誰も居なければ大丈夫ですし」
梓「そだね。ええっと……他の二人はまだ来てなくて……えっと……」
聡「はい……」
梓(昨日の事もあって気まずい……っていうかアレを思い出して恥かしい)
聡「あのっ」
梓「ひゃい」
聡「昨日はごめんなさいっ」
梓「え?」
聡「なんて言ったらいいか……」
梓「そんな、聡く……聡美が謝ることないよ」
聡「でも……」
梓「いいからいいから。元はといえば私がコケちゃったのが悪いんだし」
梓「それに聡美も色々大変そうだし」
聡「すみません……」
梓「とりあえず私は誰にも言ったりしないから安心してね」
聡「ありがとうございます」
梓(こんなに素直でいい子が何て不憫な……よし)
梓「その、一応私達軽音部の為に来てくれたわけだしさ」
梓「何か困ったことがあったら私に言ってね。出来る限り助けるからさ」
梓「そうしろってさわ子先生にも言われたし」
聡「は、はいっ」
軽音部のために弟の人生終わらせてんじゃねえぞりっちゃんwww
55:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 01:11:22.32:ZHPM8AgWPガチャ
純「おまたー」
憂「遅れちゃったー」
梓「遅いー」
聡「お、お疲れ様です」
純「おおー聡美お疲れ!」
憂「お疲れ聡美ちゃん。私お茶入れるねー」
聡「それなら私がやります。ええっと……」
梓「あ、そういえばまだ自己紹介とかしてなかったね」
純「じゃあ私からね」
純「私は三年の鈴木純。ベース担当ね」
憂「平沢憂です。担当は……オルガンかなあ?」
純「憂はマルチプレイヤーなんだよ」
聡「すごいです」
憂「そんなのできないよ~」
梓「じゃあ一応私も。部長の中野梓です。担当はギターです」
純「そういえば聡美は何か楽器できるの?」
聡「初心者ですけど一応ドラムを……」
純「マジ!? 流石律先輩のいとこ! やったね梓!」
聡「ねえちゃ……お姉ちゃんに教えてもらったので」
梓「はは……大変だったね」
聡「いえ……」
純「でも肝心のドラムが部室に無いんだよねえ」
さわ子「心配ご無用! 部費で買っておきました!」
純「いよっ! さわちゃん!」
梓「私そんな話聞いてませんよ!?」
さわ子「言ってないもの」
梓「ドラム買ったって……部費なんですから私に一言言ってくれても……」
さわ子「やあねぇ細かいことはいいじゃないの」
純「そうよぉ」
梓「細かくないです! ドラムセットなんて高価なものをっ!」
さわ子「そろそろ届くはずだからみんなで部室に運んであげてね~」
純「了解でーす」
梓「うぅ……」
憂「よしよし」
玄関
純「おお、やっぱり量あるね」
憂「一度に運べるかなあ」
聡「私はこれを持って行きますね」
純「それ一番重そうだけどだいじょぶ?」
聡「大丈夫です。よっと!」
純「へえ~流石ドラマーだけあって力があるね!」
梓「そ、そうだね」
純「これは負けられない!」
純「私は二番目に重そうなこいつを選ぶ!」
憂「大丈夫?」
純「後輩には負けられないでしょ!」
純「ぐおっ……重っ!?」
梓「じゃあ私はこれ持ってくね。憂はそっちよろしく」
憂「うん」
純「ぐ……あ、あずさぁ~交換しない?」
梓「さ、いこいこ」
純「裏切り者~!」
梓「自分で選んだんじゃん……」
純「くそー」
純「ああー二人とも本当に先に行っちゃった……」
純「誰だーこんな重いのを私に押し付けたのはー!」
純「わたしだよ」
純「うあ……階段マジできつい……」
純「はあ……はあ……」
純「前が……見えな……いっ!?」
純(ヤバッ! バランス崩した!)
聡「危ない!」
純「うおうっ!」
聡「大丈夫ですか?」
純「聡美~! もう少しで倒れるところだったよ! ありがと!」
聡「これは私が持って行きますね」
純「あっこれ重いよ?」
聡「大丈夫です」
純「おお……頼れる後輩だ」
聡「いえそんな……」
梓「頼りない先輩だ」
純「いえそんな……」
* * * *
梓「……ふう、ドラムもセット出来たところで」
純「ねえねえ聡美! 早速叩いてみてよ!」
聡「は、はいっ……」
憂「おお~」
聡「人前でドラム叩くの初めてだから緊張する……」
梓「そんなに緊張しなくても大丈夫だよ」
聡「は、はい」
聡「それでは……」
タンタンタドタド タンタンタドタド タンタンタドタド タンタンドタタタタッド
梓(あ、これふわふわのイントロだ)
憂「わぁ~!」
聡「どうでしょうか……?」
梓「上手いよ聡美! これならすぐにライブとかも出来そう」
聡「あ、ありがとうございます!」
憂「……」
純「憂?」
憂「か……」
純「か?」
憂「かわいいっ!」
純「へっ?」
憂「一生懸命ドラム叩いてる姿がなんだか可愛くて」
純「かっこいいとかじゃないんだ……」
聡「えと……」
梓「もう、聡美が困ってるでしょ」
憂「もじもじしてる姿もかわいい……」ジリジリ
聡「憂先輩……?」
憂「えーい!」だきっ
聡「ふえっ!?」
梓「んなっ!?」
憂「聡美ちゃんかわいい~」ぎゅううう
聡「う、あ、ちょっ!」
梓「う、憂っ!? だめだって!」
純「ふむ」
純「聡美ちゃんかわいい~」だきっ
梓「ちょっ!?」
ぎゅうううううううう
聡「ふぁ!? や、やめて……くだ……っ!」
憂純「えへへ~」
梓「二人とも離れて!」
憂「え~」
純「梓だっていつも唯先輩と抱きついてたじゃん」
梓「それとこれとは別! っていうか私が抱きついてたわけじゃないよ!」
純「別にいいじゃーん」
梓「だめっ!」
純「なんでよー?」
梓「そ、それは……」
梓(聡美が男だからとは言えない……)
梓「とにかくダメーッ!!」
むんず ぽいっ
憂純「わあー」
梓「まったく……大丈夫?」
聡「なんとか……ばれなくてよかった」
梓「さとし……聡美もデレデレしてないでちゃんと拒否してよ!」
聡「ご、ごめんなさい……」
憂「梓ちゃんどうしてあんなに怒ってるのかな?」
純「さあ?」
――――――――――――
――――――――
――――
一ヵ月後
純「梓ー部活行こー」
梓「いや、今日からテスト期間だから」
純「あー……あああぁぁぁ」
梓「憂、帰ろう?」
憂「私今日掃除当番だから先に帰ってて」
梓「待つよ?」
憂「テスト前だしいいよ」
梓「そっか。じゃあまた明日」
憂「うん」
純「憂ーまた明日」
憂「純ちゃんも掃除だよぉ」
いつ聡死ねと言うべきか
83:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 03:49:21.02:ZHPM8AgWP校門前
梓(にんじーんたまねーぎじゃがいもー)
梓「……あ、聡美だ」
梓「聡美ー!」
聡「梓先輩、今帰りですか?」
梓「そ。憂も純も掃除当番だから」
聡「そうですか」
梓「聡美も帰るとこだよね?」
聡「はい」
梓「じゃあ一緒に帰ろっか」
聡「はい」
聡はガチホモだから女子高は地獄だろうな
89:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 07:26:38.04:ZHPM8AgWP梓「……」
聡「……」
梓「学校にはもう慣れた?」
聡「ええ、なんとか」
梓「そっか、よかったね」
聡「はい」
梓「あ、でも体育の時とかどうしてるの?」
聡「そっそれは……」
梓「あ、ごめん。やっぱりそれは聞かないでおく」
聡「あう、はい」
梓「しかしよくばれないなあ。確かに女の子っぽい顔してるけど」
梓「背もあまり高くないからかな」
聡「う……そうですね」
梓「あ、ごめんね。て言うか私が言えたことじゃないけど……」
聡「そうですね……あっ」
梓「……いいんだ。どうせちっちゃいから」
聡「いえあのっ」
梓「ハハッ……」
聡「あ、梓先輩はそれが似合ってるというか……あいや」
聡「部活や学校生活でお世話になってますし、だから……」
聡「い、いつも助けてくれてありがとうございます!」
聡「おかげで学校にも馴染めてると思います」
梓「……」
梓「プッ」
梓「言ってることがめちゃくちゃだよ」
聡「あぅ」
聡「で、でも本当に助かってて、この前も――」
梓「……」
聡「──あ、それじゃあ私こっちなので、お疲れ様でした」
梓「お疲れ。勉強頑張ってね」
聡「はいっ」
梓「……」
梓(……へへ。ありがとう、か)
梓(それはこっちの台詞だよ。聡君が居なかったら今頃軽音部は……)
梓(だから、もっと聡君にも軽音部を楽しんでもらいたいな)
――――――――――――
――――――――
――――
色々ありつつもばれずに一学期終了。
夏休みに突入した。
部室
純「合宿しようよ合宿!」
憂「合宿……! ほわぁぁ」
純「やっぱり軽音部と言ったら合宿でしょ!」
憂「お姉ちゃんがいつも楽しそうに話すから私も合宿してみたかったんだー」
梓「うーん……でも今年はムギ先輩もいないし」
純「えー? 部員少ないから部費が余ってるんでしょ?」
梓「覚えてたんだ……ごめんあれ嘘」
純「えっ」
梓「実はムギ先輩とさわ子先生のおかげで……」
純「退部しようかな」
純「っていうのは冗談だけどさ、とにかく合宿行きたいよー。山とか海とか」
梓「遊びに行きたいだけじゃん……」
憂「うーん……旅館とかなら私たちでも行けるかな」
梓「旅館って、練習できないじゃ――」
純「いいね旅館! 山奥とか涼しそうだし!」
梓「だから……」
純「決まり! 聡美も」
聡「私はちょっと……」
梓(うん、いろいろ無理だよね)
純「強制参加で!」
聡「ええ~!」
梓「ちょっと! 勝手に決めないでよ!」
純「梓は行きたくないの?」
梓「それは……色々問題が……」
純「部員の半数が行きたがってるんだぞー」
梓「半数?」
憂「行きたいでーす」
純「ふっ」
梓「ぶ、部長は私だもん!」
純「部長を除いて部員の三分の二が行きたがってるんだぞー」
梓「しかし……」
聡「あ、あの……私は行けませんけど皆さんで行かれては」
純「それはだ――」
梓「だめっ!!」
憂「梓ちゃん?」
梓「それこそダメだよ。聡美も大事な部員なんだから」
純「と言う事は……?」
梓「軽音部は合宿を行います」
純「さっすが梓!」
憂「やったぁ」
聡「で、でも……」
梓「大丈夫、私がフォローするから」ヒソヒソ
梓(こんな形で高校生になって、それなのに仲間外れなんて悲しすぎるよ)
梓(聡君だって軽音部の一員だから楽しんでもらいたいし。部長の私が頑張ればいい話だよね!)
翌日
梓「旅館調べてきたよ」
純「早っ! 梓ノリノリじゃん」
梓「と、とにかくいい場所見つけたんだ」
憂「どれどれ……へぇ~思ってたより安いね」
梓「でしょ? それに満室になってないから私達の空いてる日にちに予約できるよ」
純「でかしたあずさ!」
憂「梓ちゃんすごーい!」
梓「……。それでいつがいい?」
純「えっとねー……」
梓(……許せ憂純)
聡「?」
――――――――――――
――――――――
――――
旅館
梓「到着!」
純「おお~」
憂「いい部屋だね」
聡「はい」
純「じゃあ温泉行こうか」
梓「いきなり?」
純「もちろんよ! ねえ?」
憂「うんっ」
梓「じゃ、じゃあ二人は先に行ってて。私と聡美は少し休んでるから」
純「ええ~」
梓「ほらほら行った行った」
憂「ごめんね、ちょっと行ってくるね」
梓聡「いってらっしゃい」
梓「……ふぅ」
梓「空いてる日にちに予約できたのはいいけど一部屋になっちゃったか……」
梓「聡君の着替えは温泉に入る時にしてもらうとして……ブツブツ」
聡「あの、梓先輩」
梓「なに?」
聡「梓先輩も温泉行って来て下さい」
梓「ダメだよ。聡君がひとりになっちゃうじゃん」
聡「僕は大丈夫ですから。それに今行かないと梓先輩が一人で入っちゃうことになるし」
梓「それは聡君も同じでしょ?」
聡「それでも……せっかく高校生活最後の年なんですから皆さんと一緒に行って来て下さい」
聡「僕は僕で旅館を見て回りますから。ね?」
梓「う……」
聡「早くしないと純先輩達上がっちゃいますよ」
梓「……ごめんね」
聡「こればっかりは仕方ないですよ」
梓「わかった、行ってくるね。そうだ、後で卓球とかしよっか」
聡「はい」
梓「じゃ――」
純「あずさああああああ!!」
梓聡「!!?」
梓「ど、どうしたの純、温泉に行ったんじゃあ……」
純「行ったけどさあ!」
純「……混浴ってどう言う事?」
聡「ええっ!?」
梓「それは……」
純「梓、知ってたな?」
梓「うう……」
純「……」
梓「と、とにかく温泉行こうか! それじゃ行ってくるね聡美!」
聡「え、あ、はい」
純「えっ聡美置いて行くの?」
梓「いいから早くっ!」
純「なんかごまかしてない?!」
脱衣所前
梓「ふう……」
憂「あっ梓ちゃん。これは……」
純「説明してもらおうか」
梓(だって聡君が男湯から出てくるのがばれたらまずいしそれに……って説明できないよ)
純「さあさあ」
梓(うううう……こうなったら平静を装う!)
梓「混浴くらいどうってことないでしょ」
純「なっ!?」
憂「ふえっ?」
梓「いいじゃんこの旅館穴場だったんだしさ。それに人いなさそうじゃん」
梓「ほら行くよ」スタスタ
純憂「……」
梓「ほら、更衣室だって誰もいないじゃ――」
ガラガラ
おじいさん「ふー」
梓純憂「!?」
梓純憂「……」
おじいさん「はぁー」スタスタ
梓「は、はは」
純憂「……」
梓「あ、ほら、もう温泉にも誰も居ない。貸切だね!」
純「梓」
憂「梓ちゃん」
梓「ごめんなさい」
純「なんで言ってくれなかったのよ」
梓「言ったら却下されそうで……」
憂「そんなにこの旅館がよかったの?」
梓「う、うん……」
純「なんか怪しいな」
梓(やばい……ヤバイヤバイヤバイヤバイ)
梓(ええいままよ!)
梓「じ……実は……」
純「実は?」
梓「お……」
憂「お?」
梓「男の人に興味があったので……」
梓(うあああああああああああああああ!!!!)
純「梓……」
梓「はい」
純「自らを犠牲にしてまで神秘に近づくというのね……」
憂「梓ちゃん……大胆だね////」
梓(はは……)
純「わかったよ。親友の探求心とぶっちゃけに免じて許す」
憂「大きめのタオル用意しておいて良かった……」
梓「二人とも……ありがとう」
梓(早く温泉に潜りたい)
純「いいんだよ……プッ」
憂「そうだよ……」プルプル
梓(涙が頬を伝うその前に)
カポーン
純「あ゛~~~~いいお湯」
梓「純おやじくさい」
純「なにおうこのマセガキめ」
梓「ぐぇあ……」
憂「はぁー気持ちいいね。聡美ちゃんこないのかな?」
純「ほんともったいないよね」
梓(……)
純「……ふむ」
純「思考がガキなら身体もガキ、と」
梓「へっ? って何処見て言ってるのよ」
純「ここだよーー!!」
梓「きゃああ!」
憂「もう純ちゃんってばあ」
純「……」
梓「……」
純「負けた……」
梓「勝負にすらならない……」
憂「え?」
純「くそーこうしてやるぅ!」
憂「ひゃああ!?」
梓「うわぁ……私のと全然感触が違う」
憂「梓ちゃんまで!? ひゃんっ!」
ほくほく
純「ちょーっとのぼせたかな」
梓「純のせいだよ」
純「梓だって」
憂「あ、聡美ちゃん」
聡「どうも」
純「温泉入らなくて良かったの?」
聡「後で入ります。それより卓球があるんですけどどうですか?」
純「ほう、受けて立とうじゃないの」
ピンポン
純「くらえ! 魔球サーブ!」カンッ
梓「普通じゃん」コンッ
純「!?」
聡「いい位置!」
純「なんのぉーーーー!」ドゥバァッ
純「ぐへ」ドサ
梓「私の勝ちだね」
純「くそう……」
憂「純ちゃんビールのCMみたいでかっこよかったよ!」
純「ちょっと意識してみた」
聡「あはははっ」
梓「……ふふ」
* * * *
梓純憂聡「はぁ~……」
憂「お料理おいしかったねぇ」
聡「はい、最高でした」
純「まさに最高だったね。梓に感謝だよ」
梓「はは……どうも」
純「さーて、寝るまで何しようか」
憂「トランプ?」
聡「UNO?」
梓「まくら……いや、UNOかな」
純「枕投げやっちゃう?」
梓「流石にまずいからやめよう」
* * * *
梓「はぁ……はぁ……」
憂「……ふぅ」
純「ぜぇぜぇ」
聡「はあはあ……」
梓「……寝ようか」
純「そだね」
憂「うん」
聡「はい」
梓「電気消すよー」
純「おやすみー」
聡「……」
聡(そろそろかな?)
聡「……」そろーり
聡「……」スタスタ
梓「……」
脱衣所
聡(この時間なら誰も入ってないかな?)
聡(うん、入ってないみたい)
聡「今のうち……」
ガラガラ
聡「おおー湯気がすごいや」
聡「ううっ山って結構寒いなぁ。早く入ろう」
聡「よいしょ」チャポン
聡「ふわぁ~……良いお湯だぁ」
ガラガラ
聡(うわあっ誰か来た!?)
梓さんクル――(゚∀゚)――!!
137:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 14:51:25.04:ZHPM8AgWP聡「……」
聡「あ……」
聡「梓先輩!?」
梓「……うん」
聡「ど、どうしてここに……」
梓「そ、そりゃあ温泉に入るためだよっ」
聡「でもっ僕が入ってるの知ってたんじゃあ……」
梓「タタタオル巻いてるから大丈夫でしょ」
聡「ええっでも!」
梓「よいしょ」チャポーン
聡「っ!」
梓「……ぁ、あーいいおゆだなあ~」
聡「……」
梓「……」
聡「ぅあ……」
梓「聡君」
聡「はひっ!」
梓「軽音部楽しい?」
聡「えっ……そ、それはもちろん」
梓「本当?」
聡「本当です」
梓「……そっか。よかったぁ」
梓「軽音部が今こうしていられるのも聡君のおかげだしさ。聡君は大変だろうけど少しでも楽しんでくれればいいなと思って」
聡「そんな……」
梓「おかげで憂と純とも音楽できるし、毎日楽しいし」
梓「聡君、ありがとね」
聡「……」
聡「僕の方こそ……」
聡「軽音部の一員として扱ってもらって嬉しいです」
聡「最初は学校生活に活路が見いだせなくて毎日憂鬱でした」
聡「でも梓先輩達が仲良くしてくれて、軽音部が楽しくて」
聡「いつの間にか学校が苦にならなくなったんですよ」
聡「僕の方がお礼を言いたいです。前にも言ったけど……」
聡「梓先輩、いつもありがとうございます」
こいつ1年後どうすんだよ
145:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 15:17:42.21:ZHPM8AgWP梓「……そっか」
聡「はい」
梓「……」
聡「……」
梓「……////」
梓「とうっ」バシャア
聡「わぷっ」
梓「あははっ」
聡「うぅ……」
梓「そだ。聡君、背中流してあげるよ」
聡「へっ!?」
梓「ほら、立って立って」
聡「いやそれはちょっと……」
梓「いいから! 先輩命令です」
聡「はい……」ザバァ
梓「……」
聡「どうしたんですか?」
梓「やっぱり服着てないと男の子ってわかるなあと思って」
聡「わああっそれは仕方が――」
ガララッ
純「ずるいぞ二人して抜け駆け温泉ーー!!」
梓聡「い゛っ!!?」
純「……あれ?」
憂「純ちゃん! 他のお客さんがいたら迷惑だよ……ぉ……?」
ぎゃあああああああああああああああ
156:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 15:38:09.72:ZHPM8AgWP梓「や……」
梓(ヤバイ!!!!)
梓「さ、聡美っ! 早く温泉に入ろうかっ!」グイッ
聡「ぅわあっ!? 待ってタオルがっ……!」
バサッ
トンちゃん「やあ」
聡「~~~~!!」
梓「ッ!!!!」
純「?!」
憂「□K□……?」
梓「は……ははは」
聡「あ……ぅあ……」じわぁ
純「え……え?」
憂「さとみ……ちゃん?」
純「ひ……!」
梓「わあああああっ!」ザバァ
梓「わあああああああ!!」タッタッタッタッ
梓「わああああーーーー!!!」ドンッ
純憂「きゃあ!!」
ザッパーン!
憂「っぷは! あずさちゃん!?」
純「なにするのあず――」
梓「みんなで!!」
梓「温泉に入ろう!!」
純憂聡「……」
梓「……」チャポン
梓「はぁ~……いいお湯だね」
純「梓」
梓「その、ええと……コレには深い訳がありましてですね」
聡「あのっ私が話します!」
梓「ううん、私が話すよ」
梓「聡美はね、本当は男の子なんだ。……見たから分かると思うけど」
憂「ど、どうして……?」
梓「聡美……いや、聡君は律先輩の弟で――」
純「――つまり、桜高に強制的に入れられたと」
梓「そう言う事」
憂「な、なんかすごいね」
梓「黙っててごめん。それでお願いなんだけど、聡君の事は黙ってて欲しいの」
純憂「……」チラ
聡「ふ……ぇ」ポロポロ
純「……まあ梓がそこまで言うなら」
憂「そうだね」
梓「あ……ありがと!」
純「それに聡美がかわいそうだし?」
聡「あ……ありがとうございまふ……ぐす」
純「いやーしかし……すごいね」
憂「う、うん」
梓「私も最初はびっくりしたよ」
憂「梓ちゃんはいつから知ったの?」
梓「私は最初会った日に……」
純「どうやって秘密を知ったの?」
梓「う゛……そ、そんなことよりこれからも聡美と軽音部をやっていきたいんだけどいいよね!?」
純憂(ごまかした)
純「そりゃあいいけどさ……」
憂「う、うん……」
梓「……どうしたの?」
純「いや、梓はこの状況恥かしくないのかなって思って……」
憂「混浴だもんね」
純「それにこんな夜中に二人きりで温泉に入るなんて……二人はどういう関係なの?」
梓「へあっ!?」
聡「いやそれはっ!」
純「聞くまでも無いかー」
梓「ちっ違うの! これは部長として……その……スキンシップを!」
憂「スキンシップ……梓ちゃん////」
梓「ちがぁぁぁぁい!」
純「梓顔真っ赤」
梓「だっだからね? 聡君一人じゃかわいそうだからそれでっ……背中とか流そうと!」
憂「わぁぁ……////」
梓「いや! ちがうってば! うがーー!!」ザパァ
バサッ
純「あ」
憂「あ」
聡「あ」
梓「へ……?」
梓(i)
梓「ひぃ……」ふらっ
ザッパーン
純「梓!?」
憂「梓ちゃん!?」
聡「梓先輩!?」
旅行二日目
純「おはよ」
憂「おはよー」
梓「……おはよう」
聡「……おはようございます」
梓「昨夜はご迷惑をおかけしました……」
純「いやいいけど……ご愁傷様だね」
憂「げ、元気出して! 裸の付き合いって言うじゃん!」
梓「……聡美の前で言わないでくれるかな」
純憂「ごめん」
聡「……」
純「調子悪かったりしない?」
梓「それは大丈夫。のぼせただけだし」
憂「長い間お湯に浸かってたのに興奮して喋って、おまけに急に立ったからね」
梓「ぐあぁぁぁぁ」
憂「あっあっごめん……」
聡「……」
聡(やっぱり気まずいよう)
純「……」
憂「……」
梓「あっ、あの――」
純「それにしても全然気が付かなかったわ」
憂「そうだねー」
聡「え?」
純「今も女にしか見えないし」
憂「男の子でそんなにかわいいなんてすごいよ~」
聡「あ、あはは……」
純「くそー男の癖にこんなに可愛いだと……」
聡「あんまり嬉しくないです……」
憂「あ、そろそろ朝食の時間だよ」
純「んじゃ広間に行こうか」
梓(よかった……みんな普通に会話出来てる)
純「時に梓さん」
梓「え?」
純「私か憂が昨日部屋で着替えたりしても黙ってるつもりだったんだよねえ?」
梓「そ、それは……」
憂「でも着替えなかったしみんなで温泉にも入っちゃたしね」
純「まあね。昨日の梓の一件に免じてチャラにしてあげる」
梓「はは……」ポロポロ
* * * *
純「革命! 八切り! 上がり!」
梓「うあー大貧民……」
憂「あはは」
聡「あの、夜遅くなってきましたけど皆さん温泉に行かないんですか?」
純「おお、いつの間にかこんな時間だ。んじゃ行こうかなー」
梓「わ……私は後で聡美と入る」
聡「ええっ!?」
梓「だって言い出したのは私だし、軽音部の一員だし……ブツブツ」
純「うおっ! めげないな梓……いやただの頑固か?」
憂「じゃあ私もー」
梓純聡「えっ?」
憂「え?」
純「私もって……マジ?」
憂「マジだよ。聡美ちゃんも軽音部の一員だし」
梓「憂……」
聡「でも……」
憂「みんなで入ったほうが楽しいよっ。せっかく混浴なんだし」
純「順応し過ぎ……それはそうだけどさぁ」
梓「ありがと憂。そういうわけだから純は先に入ってきていいよ」
純「えっ」
憂「いってらっしゃい純ちゃん」
純「……」
純「わ……」
純「私も一緒に入るぅー!」
温泉
梓「やっぱりこの時間は人いないみたいだね」
憂「そうだね」
純「……やっぱり落ち着かない」
聡「すみません……」
梓「じゃあ先に入ればよかったじゃん」
純「そしたら私一人になっちゃうでしょ!? 私も軽音部の一員なんですけど!」
憂「ふふふっ」
純「はめられた気分だ……」
聡「はは……」
憂「さわ子先生も知ってるの?」
梓「むしろ元凶その2だよ」
憂「でもこれで軽音部全員が聡美ちゃんの秘密を共有してるんだね。なんだかドキドキするよ」
純「はは……」
梓「でもそうだよね。これで軽音部が一つになった気がする!」
純「そうかなぁ」
梓「そうなのっ!」
梓「一つになって学園祭ライブを成功させるんだから!」
憂「ライブかぁ……」
純「ライブは楽しみかも」
聡「頑張ります!」
梓「学園祭に向けて頑張るぞー!」
憂純聡「おー!」
――――――――――――
――――――――
――――
旅行も終わった夏休み後半。
駅前
純「うあー遅刻するぅー!」タッタッタッ
純「あれ?」
純「あそこにおわすは……」
純「しゅが美ー!」
聡「えっ!?」
聡「じゅ、純先輩?」
純「何びっくりしてるの?」
聡「だって、今日は僕普通の格好してたのに……」
純「確かにちょっと新鮮かも。でもまあ顔見れば分かるしね」
聡「そうですか」
純「どこか行くの?」
聡「いえ、本屋に行った帰りです。純先輩は?」
純「私は……ああっ! 遅刻しそうなんだった!」
聡「え、じゃあ急いだ方が」
純「……」
聡「純先輩?」
純「聡美も来る?」
聡「え?」
純「――って感じでばったり会ったからつれてきちゃった」
憂「わあー聡美ちゃんが男の子の格好してる~」
聡「男ですから……」
純「で、いいよね?」
憂「もちろん!」
聡「何がですか?」
憂「今日は純ちゃんと遊びに行くんだぁ」
純「聡美暇でしょ? 一緒に遊ぼうよ」
聡「え、でもいいんですか?」
純憂「もちろーん」
聡「じゃ、じゃあ遊びたいです」
聡「あれ、でも梓先輩は居ないんですか?」
憂「梓ちゃんは今日夏期講習なんだよ」
聡「そうですか」
純「おやー寂しいのかなー?」
聡「ち、違いますっ」
純「あはは、んじゃまずはごはん食べに行こー」
憂「おー」
マックスバーガー
純「と言ってもハンバーガーなんだけどね」
純「……梓ばっかりずるい」
聡「?」
憂「梓ちゃんこの前美味しい洋食レストランに行ったんだって」
聡「へぇ~」
純「私はシェイクを頼む! レストランじゃシェイク飲めないし!」
聡「そこまで対抗しなくても……」
憂「私もシェイクを頼む!」
聡「ええっ……じゃ、じゃあ僕も……」
純「んぐっ、んぐっ、プハー」
純「三人で遊んだって言ったら梓悔しがるだろうな~うしし」
憂「ちょっとかわいそうだね」
純「夏期講習じゃ仕方ないでしょ。それにどうしても今日買いたい服があるのー」
聡「お二人は夏期講習無いんですか?」
憂「私達は先週で終わったんだよ」
純「さて、お腹一杯になったところで早速行きますか」
服屋さん
聡「あ、あの……」
憂純「ん?」
聡「こ、ここですか?」
憂純「そうだよ」
聡「じゃ、じゃあ僕は外で待ってますから……」
憂純「えー」
純「聡美も一緒に入るの」
憂「洋服見るだけだから大丈夫だよ~」
聡「うぅ……」
純「あ、このワンピかわいい」
憂「かわいいね」
純「じゃあ試着で」
憂「うんっ」
純「はい」
聡「……え?」
純「聡美ちゃーん試着室へGOだよ!」
憂「ごーごー!」
聡「うえええっ!? いや、無理ですっ」
純「何がよ~」
聡「だって! 僕男ですっ」
純「毎日スカート穿いてるんだからこれくらいいいじゃん」
聡「今は男なんですっ」
憂「ええ~……」
純「今なら店員さん居ないからさ」
純「試着室に入っちゃえばバレナイヨ?」
聡「いや……」
純「ほらほら、私達が見張っててあげるからさ」
聡「うぅ……わかりました」
シャー
純「にへへ」
憂「やっぱりかわいそうだったかも」
純「何を今更」
シャー
聡「着替えました……」
純「うお……華奢な体型がそそる……」
憂「……かわいい」
聡「も、もういいですよねっ?」
憂「かわいいよ聡美ちゃん!」ぎゅー
聡「ひゃん?!」
純「こらこら、かわいくても男の子だぞー」
憂「あっ! ごめんね聡美ちゃん。あまりにも可愛いからつい抱きついちゃった……」
聡「う……あ……」
シャー
純「ほらー憂の所為でカーテン閉めちゃった」
憂「えへへ……」
バッティングセンター
聡「ふっ!」
カキーン!
純「おおー!」
純「上手いじゃん!」
聡「あ、ありがとうございます」
純「流石男の子だぁ……ん?」
憂「んっ!」
カキーン!
純聡「わぁい」
純「……よし」
純「こうなったらお姉さんもいいところを見せてやろう」
カフェ
純「あーつまんない。全然バットに当たんなかった。誰だよバッティングセンター行こうって言ったのは」
聡「純先輩です……」
憂「私は面白かったけどなぁ」
純「そりゃあなた達は面白いでしょうよ」
純「はあー……」
憂「そういえば純ちゃんが買った服可愛かったよね」
純「だよねだよねーこれすっごい気に入った!」
憂「いいなー私も買えばよかったかも」
純「そうだよ~」
聡「ふふっ」
純「いやー何だかんだ言って楽しかった!」
聡「わぁ」
憂「楽しかったね~」
聡「はい」
純「ってわけで帰ろう!」
憂「おー」
聡「お、おー」
帰路
聡「それじゃあ僕はこっちなので……」
純「ん。またねー」
憂「バイバイ」
聡「……あ、あの」
純「何?」
聡「今日は誘ってくれてありがとうございました。楽しかったです」
純「どしたのよ改まって」
聡「だって……この前旅館で……」
純「アレは流石にビビッたね」
憂「ね~」
純「まあとにかく気にするなって!」
聡「あ……はいっ」
聡「何だか軽音部がもっと楽しくなりそうです」
聡「二人ともありがとうございます」
純「大げさな……」
憂「……」うずうず
憂「聡美ちゃーん!」ぎゅううう
聡「はうっ!?」
憂「聡美ちゃんはいいコだねぇ~!」ぎゅううう
聡「う、憂先輩っ……やあ、やめっ」
純「あはははっ!」
憂「うりうり~」
聡「やめてくらはい~……!」
* * * *
純「――ってことで今日は憂と遊んだんだけどさー!」
梓『……』
純「たまたま聡美と会ったから聡美も誘っちゃってね!」
梓『えっ!』
純「ご飯食べたり服買ったり遊んだりしてさあ」
梓『……ぐ』
純「三人で飲んだシェイクが美味しかったのなんのって!」
梓『~~~~っ!』
純「へへ~今度梓も誘うからさ~そんなに悔しがらなくても――」
梓『くやしくないもんっ!! もう切るからね!? おやすみ!!』
ブツッ ツー ツー ツー
――――――――――――
――――――――
――――
もうすぐ学園祭。
純「え? 何か言った?」
梓「もうすぐ学園祭だねって言ったの!」
憂「そっか~ドキドキするね!」
聡「緊張します……」
梓「私達にとっては最後の学園祭だからね!」
梓「ライブではいままでの練習の成果……練習……の……」
純「あんまり合わせて練習してなかったね」
憂「う、うん……」
梓「……いや、私達には今まで積み上げてきたモノがあるから!」
純憂聡「積み上げてきたモノ?」
梓「そう。先輩達に教えてもらったモノだよ! 練習と同じくらい大事な……」
梓「大事な……」
梓「……」
梓「練習しよっか」
純憂聡「はい」
ガチャ
さわ子「やっほーみんな揃ってる?」
さわ子「今から卒アル用の写真撮るわよ」
梓「れんしゅ……う……」
中庭
さわ子「ここで撮るの?」
梓「はい」
純「どうやって撮る?」
憂「みんなでジャンプするとか?」
梓「そんなんでいいのかな……」
純「聡美は何か良い案ある?」
聡「うーん……普通に三人で並ぶっていうのじゃダメなんですか?」
純「三人?」
聡「え?」
純「聡美も入るんだよ」
聡「えっ?」
聡「でもこれって三年生用の写真ですよね?」
純「大丈夫だって! ね、さわちゃん」
さわ子「ダメよ、タイの色でばれちゃうでしょ」
純「えー……」
憂「どうしてもだめですか?」
梓「私からもお願いします。今日撮った写真を見返す度に一人足りないのは寂しいです」
さわ子「んー……まあばれなきゃいいか」
聡「適当だぁ」
さわ子「それじゃ聡美はコレ着けなさい」
聡「え? これって先輩達と同じ色のタイ……」
純「さわちゃん準備いいね!」
さわ子「それじゃちゃっちゃと撮っちゃいましょ」
梓純憂聡「はーい」
梓「それで、どうしようか」
憂「じゃあ……みんなで抱き付くとか」
梓「えっ!?」
純「いいねー! 雑誌のグラビアみたいなに寄り添う感じ?」
憂「そうそう!」
聡「あっちょっ」
純「ほら梓も聡美も早く早く!」
梓「うわっ!?」
聡「ええっ!?」
憂「梓ちゃんと聡美ちゃんが真ん中だよ。サンドイッチ~」
梓聡「ぐえっ」
さわ子「撮るわよ~」
パシャ
さわ子「はいオッケー」
梓「うぐ……も、もういいでしょ……」
憂「えへへ~」
純「んふー」
ぎゅううううう
梓聡「ぐえええええっ」
純「うりうり~」
憂「えいえい~」
梓「や、やめ……!」
聡「うああああっ」
梓「だーーーー!!」
純憂聡「うわー」
梓「苦しい! っていうか抱きつくのはダメだってば! 聡君は男の子だって忘れてるの!?」
憂「かわいくてつい……」
純「忘れそうになるよね」
校長「男の子には見えませんなぁ」
さわ子「確かに」
聡「……////」
梓純憂聡さわ子「……え?」
さわ子「校長!?」
梓(聞かれたっ!?)
純「ちょっと梓」
梓「な、何?」
純「校長先生って聡美が男だって知ってるの?」
梓「わ、わかんない……でも学校に通ってるくらいだから校長先生が知っててもおかしくは……」
校長「山中先生、後で校長室まで来てもらえますかな」
さわ子「はい」
梓「え……」
純「これってやばいんじゃ……?」
部室
梓純憂「……」
梓「どうしよう……」
憂「さわ子先生が呼び出されたのってやっぱり聡美ちゃんの事なのかな?」
純「だったらまずいよね」
梓「でもっ、さわ子先生が何とかしてくれるかも」
純「聡美は何か知ってる?」
聡「いえ、直接校長先生に会ったことはないですし……」
純「そっか……」
聡「あの、私大丈夫なんでしょうか」
梓「……」
聡「私の所為で学園祭ライブが中止になったりとか……どうしよう……」
憂「そんな……せっかく四人でやってきたのに……」
聡「私最初はこの学校へ来る事が嫌だったけど、今では毎日楽しくて、軽音部で学園祭に出るのが楽しみで……」
憂「聡美ちゃん……」
梓「……」
純「梓」
梓「……私が直談判してくる! 軽音部の存続とライブ、それに聡美の在学が掛かってるかもしれないし!」
純「流石部長! それじゃ行きますか」
憂「私も行く! みんなとライブできないのはやだよっ!」
聡「私も行きますっ! 私も皆さんとライブしたいです!」
校長室
校長「それで山中先生」
さわ子「はい」
校長「例の件は……」
さわ子「ええ、完成しました。こちらです」
校長「おお」
さわ子「今回スカートの長さはちょうど膝が隠れるくらいにしてみました」
さわ子「色はオードソックスに黒を、エプロンも一般的な形でシンプルに」
さわ子「ただエプロンのフリルは形にこだわりましたね。いかがです?」
校長「ちょっと着てきます」
おい
おい
250:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 21:39:25.92:0pFmqEls0おい
この分だと既に相当数の男が桜高に潜伏していると見て間違いないな
253:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 21:46:13.17:ZHPM8AgWP校長「……ふむ、着心地も中々」
さわ子「一応ネコミミもありますけど」
校長「そうですか。ではせっかくですから」スチャ
コンコン
梓純憂聡「失礼します!」
梓「校長先生! お話が……は?」
純憂「ぶっ!?」
聡「……え」
さわ子「あっあなた達……ここは職員室じゃないんだから返事を待ってから入りなさい」
校長「まあまあ、それで何の御用かな?」
梓「……え、あ、はい」
* * * *
校長「いやあ、仲間想いの良い子たちですねえ」
さわ子「自慢の生徒ですから」キリッ
梓「えっと、聡美が男だって知ってたんですか?」
校長「もちろん」
梓(この学校ってこんなだったっけ……ていうかこの人大丈夫なのかな)
梓(そもそもどうしてネコミミメイド服着てるの?)
校長「そういうわけですから学園祭に向けて頑張って下さいね」
梓「は、はい……」
純「この校長にしてこの軽音部ありか……」
憂「よ、よかったね」
聡「え、ええ……」
校長「あずにゃんさんは良い部長ですね」
梓「」ぞわわっ
部室
梓「……」
純「いやー軽音部の上がいるとはねえ」
憂「びっくりだね~」
聡「はは……」
梓「……」
純「どしたの梓?」
梓「だって……」
純「まあいいじゃん。ライブに支障は無かったわけだしさ」
憂「そうだよ。それに私達ますます結束した感じがするよ」
純「それは……どうだろう」
梓「……そうだよね、もう忘れる」
梓「よし! みんなで学園祭ライブ成功させるぞー!」
純憂聡「おーっ!」
――――――――――――
――――――――
――――
学園祭当日。
梓「……なんですかこの衣装」
さわ子「見て分かるでしょ、メイド服よ。ちなみに自信作よん」
梓「このメイド服先日どこかで見たような気がするんですけど……」
純「うおお……実際着てみるとはずかしい」
憂「純ちゃんかわいいよ~。それに聡美ちゃんも!」
聡「うっ」
純「確かに似合ってる……」
梓「うん……」
聡「あうう……」
梓「よし! 先輩達も来てくれてるみたいだから気合入れていこう!」
純憂「おー!」
聡「お、おー!」
純「そういえばさっきから幕の外でういーとか、さとしーって叫んでる声が聞こえるような」
梓「はは……気のせいじゃない?」
聡「姉ちゃんのバカ……」
憂「お姉ちゃん……私頑張るからね!」
純「はは……」
『次は軽音楽部によるバンド演奏です』
さわ子「それじゃみんな頑張ってね!」
梓純憂聡「はい!」
聡(うう、緊張するよう……)
梓「聡美」
聡「えっ?」
梓「楽しもうね!」
純「そうそう、ライブは楽しまなくちゃ」
憂「わ、私もドキドキしてるけどみんなで頑張ろっ?」
聡「はいっ!」
――――
――――――――
――――――――――――
学園祭終了後
部室前
梓「聡美、重くない?」
聡「大丈夫です」
梓「私達はこのアンプで終わりだから。あとは憂と純が持ってくる機材だけだね」
聡「はい」
ガチャ
梓「よいしょ」
聡「ふう」
梓「お疲れ様」
聡「いえ」
梓「一休みしよっか。お茶でも入れるね」
聡「あのっ」
梓「ん?」
聡「ライブとっても楽しかったです。ありがとうございました」
梓「……」
聡「今までも――」
梓「なんだかいつもお礼言われてるような気がする」
聡「えっ」
梓「それにいつも思ってるけど私の方こそありがとうなんだよ」
聡「梓先輩……」
梓(なんだか凄く良い気分。ライブ後だからかな?)
梓「今日までやってこれたのも聡君のおかげ」
聡「え、えっと……」
梓「……」スタスタ
梓「えいっ」だきっ
聡「うあっ////」
梓「あ、ありがとうね……」
聡「……はい」
ガチャ
純「はー疲れたー……あ?」
梓聡「わあああああっ!!」バッ
純「おやおや~? 私達がいない間にラブにコメっちゃってるよ」
憂「梓ちゃん、おめでとう」
梓「ち、ちがっ! これは……!」
憂「違うの?」
梓「そう! ただありがとうって言ってただけで他意はなくて!」
純「他意ってなんだろうねえ」
憂「じゃあ私も聡美ちゃんにありがとうの気持ち~!」ぎゅううう
聡「わあああ!」
梓「ちょ、憂!」
憂「えー? 梓ちゃんもやってたじゃん」
梓「それはっ……」
純「じゃあ私もー」ぎゅううう
聡「むぎゅう」
梓「あっ!」
憂純「へへ~」
梓「くっ……じゃ、じゃあ私も!」ぎゅううううう
聡「あ、梓先輩まで!?」
憂「あははっ」
純「うりうり~」
梓「……っ////」
聡(……高校生って楽しい)
聡(思ってたのとは違うけど)
聡(今ではこれ以外考えられない)
聡(この軽音部で大切なものを見つけたから――)
純「あれ、聡美気絶してる?」
聡「してないですっ」
さわ子「ふふ……」
さわ子「私もあと8年若ければ混ざれるんだけどなー……」
純憂「このこの~」
梓「……っ!」
聡「ぐえ……みなさんそろそろ……」
ガチャ
さわ子「みんなお疲れー!」
さわ子「抱きつくのもいいけどこないだ撮った写真が出来たわよ~」
純憂「見たーい!」
さわ子「あーでも聡美ちゃんが写ってるの誤魔化せなかったから今度取り直しするわよ」
純憂「ぐえー」
さわ子「そのかわりこの写真はみんなにあげるわね」
純憂「やったぁ!」
純「……ところで梓はいつまで抱きついてるのさ」
梓「え? ……あ、あれっ!?」
聡「あはは……僕達も写真見に行きましょうか」
梓「……うん!」
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││ ヽ_/ -/-' ι' し' ヽ__レ ノ ノ ヽ_ ヽ_ (__ ▼_★(__/ ノ _/ . ヽ/ ' .││
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││ ト、 /: : : : : : : : : : : \ /: : : : : : : : : : : : : :ヽ /: : : : : : : : : : ヽ--、 :> .││
││.ィ 二: : Y: : : : : : : : : : : ヽ: :ヽヽ ,.....-─...-.....、 /イ: : /: : :イ: : : : : : : : : : :ゝ . , ': : //l、: :、: : : : : : 、ヽ' : ヽ. ││
││彳: : : : : |:| : : : : : : ハ : : ト、: い /::::::::::::::::::::::::::::::`:../: :/: : / |: : : :.:|ヾ : : } : :ヽ/: : :// '、 l ヽ: :ヽ: : :ヘ: V :ハ ││
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││ !ハ_ハ!ハ.、: : ! 弋ソ ヽ'::::! /::ヽー::| :::::i:/ |/ー∨ーヽ:j : !゙ んハ ヾ代.ハリ|::}:|: :Ⅳ,z=ミ イテミ、 l: : ハ/ `ヽ. ││
││. \'r\! ::::: __ ._」./:::::}γ| :::::|テぅト、 rぅト、} : :ハ `´ , ´/:/:Vゝハ::::: ヾり ' l ./.,' ││
││ \ヽ. i } n| !ト:::::リ::::ヽ| ::爪)ソ Vソ ∧ : 人 , =-. /ノ: :/:i !八 ' ::::: .l.,' ││
││. > ´ ̄`ヽ二ハヾ !::::∧::::::::|::::| ::::: :::::/:::iV : : ト. ヽ ‐′/{: :/: } | ゝ 〈つ イ ││
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││ | ∧ Ⅵl.! l ヒム'′/ ̄ ̄ ̄ ! x‐┘ i, ′ ..| ││
││. ! ヽ !レ| | / !/ o o |''アiー'´ / / ! .││
││ ! \ ∨ _| / o | _レ o ハ , イ / ! .││
││ .! ヘ、 ∨イ o />- 、_ ,,斗ァ'" |/ 〃 i ..││
││ | ハ V / / /i / / i i ││
││. / ∧ V. /o / イ i o / / i 〈 .││
││ / ∧ ∨´ 人_/ ! / /∧ ∧ ゛、 .││
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END
乙
283:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 23:24:43.60:c/csHdnk0乙
面白かった
285:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 23:27:02.66:BXftJzJO0面白かった
この面倒見のいい梓は好きだ乙
288:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 23:30:39.91:Oz2R0jvfO乙
かつてこれほど愛された聡SSがあっただろうか
289:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 23:30:53.45:gby5LGJaOかつてこれほど愛された聡SSがあっただろうか
聡美が可愛すぎて生きるのがツラい
290:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 23:39:36.89:I3AJFJ8q0妬ましいがまぁ許せる
294:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/17(金) 23:59:08.15:lES5Sz+V0まさかのAA
298:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/18(土) 00:29:49.56:qBDQZGFwO乙ー
聡が来年どうするか気になる
302:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/18(土) 01:15:53.76:hTBShKEe0聡が来年どうするか気になる
乙乙乙!
これは何ど焼き直してくれても構わないから是非また書いてくれ!
312:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/18(土) 10:12:22.77:YbVv03yO0これは何ど焼き直してくれても構わないから是非また書いてくれ!
乙
この聡は許せる聡
315:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/18(土) 14:13:17.44:s6gL+oGWPこの聡は許せる聡
肉食獣の中にモルモット1匹
コメント 8
コメント一覧 (8)
面白かった!
だがそんなことはどうでもいいのである、傑作なのだから
同じく。
何故かクラナドの嶋君思い出した。
そして校長の原作ネタにわらった