- 2:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 12:01:34.88:DH6JUbhq0
唯「……。大学に入ったのはいいけど……退屈だ……」
唯「……新歓コンパがつまらなくて……サークルには入らなかった……」
唯「りっちゃんや澪ちゃんは軽音楽サークルに入ったみたいだ……」

【画像】主婦「マジで旦那ぶっ殺すぞおいこらクソオスが」

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韓国からポーランドに輸出されるはずだった戦車、軽戦闘機、自走砲などの「K防産」、すべて霧散して夢と終わる可能性も…
4:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 12:03:51.68:DH6JUbhq0
唯「今は放課後ティータイムよりそっちを優先してるみたい……」
唯「理由は簡単だ。放課後ティータイムでライブをするとなるとライブハウスのノルマがきつい」
唯「サークルなら学校からお金が出るからわりと低いノルマでライブができる」
唯「私がサークルに入らなかったからこんなことになったんだけどね……」
5:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 12:05:04.16:DH6JUbhq0
唯「ギターは……今でも暇さえあれば弾いてる」
唯「アンプにヘッドフォンをつなげられるということを友達にきいたのだ」
唯「自分で曲を作ったりするようにもなった……」
唯「どれも出来損ないだ……」
6:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 12:06:31.67:DH6JUbhq0
唯「友達はわりとたくさんできた……」
唯「みんなわりといい人だ……」
唯「友達とは趣味についてなど話す……私の趣味は音楽鑑賞ということにしている……」
唯「それと周囲の学生についてあいつはどうだこうだとか……」
唯「みんな自分以外を見下しているのだ」
7:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 12:07:34.20:DH6JUbhq0
唯「私はそれに耐えられないのだ」
唯「自分が俗物だということに気付かずに、『俗物』を見下すという風潮に」
唯「彼女らは自分が正常かつマイノリティだということが前提なのだ」
唯「そして私もそんな自我や自意識にまみれている」
唯「誰より退屈なのは私だ」
9:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 12:08:18.47:DH6JUbhq0
6月
女「唯ー!どこで受けてたの?」
唯「前のほうだよー。女ちゃんは?」
女「わたし遅刻してきたんだよね……最後列にいた。出席あった?」
唯「ないよー。レジュメもないよ」
女「そっかー!よかった」
10:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 12:09:54.19:DH6JUbhq0
唯(この女というやつは講義に出ても寝ているか電話をいじっているかだ)
唯(まあ私も講義中は板書を写すだけだし、頭の中では別なことを考えているのだから、人のことは言えないけどね)
唯(いちいち他人の短所をみつけてしまう自分が嫌だ)
11:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 12:10:40.09:DH6JUbhq0
女「ご飯食べた?」
唯「まだだよー」
女「じゃあ食堂行こうよ」
唯「食堂高いからわたし購買でカップ麺買ってくよ。先行ってて」
女「えー?カップ麺って美味しくなくない?」
12:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 12:11:56.50:DH6JUbhq0
唯(またはじまった……カップ麺批判……)
唯(私には大量に作りすぎて麺がのびきっている食堂のラーメンのほうがよっぽどまずいんだよ……)
唯(もちろんそんなことは言えないけれど)
14:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 12:13:13.23:DH6JUbhq0
唯「でも金欠だからさー。バイトしてないしさ」
女「唯も大変だねー。じゃあ食堂で席とって待ってるね」
唯「わかった!ありがとう」
15:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 12:14:55.46:DH6JUbhq0
唯(友達のいいところといえば面白いところだ)
唯(私にはユーモアというものがいささか欠如している)
唯(笑いをとろうとすると池沼呼ばわりされてしまうのだ)
16:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 12:17:04.64:GQDZi2jL0
食堂
女「この前さ、ノックなしで弟の部屋行ってみたらさー、ケータイ見ながら下半身丸出しなんだよー」
唯「えーそれ絶対あれやってたじゃん!」
女「そうそう、その後弟に問いただしたらさ、『間違っただけだよ』なんてさ」
20:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 12:24:03.71:DH6JUbhq0
女「何を間違えばそんな状態になるのかって話だよ」
唯「あははは」
女「食事中に何話してるんだろうね、私たち」
21:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 12:26:20.27:DH6JUbhq0
家
唯(家に帰ると学校にいるときより鬱屈した気分になる)
唯(なんなんだろう……)
唯(ろくに料理ができない私はチャーハンを食べる)
唯(チャーハンは誰が作ってもきっとうまいのだろう)
22:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 12:29:38.88:DH6JUbhq0
後日、学校にて
律「唯ー!久しぶりだな!今日私たちライブやるんだー」
澪「私たちは18時からなんだ。よかったら観に来てくれないか」
唯「久しぶり!りっちゃん、澪ちゃん!18時なら暇だから友達連れて行くよー」
澪「ありがとう。まあ、練習の時間あんまりなかったからグダグダかもしれないけどな」
律「たのむぞー」
23:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 12:33:02.64:DH6JUbhq0
唯(放課後ティータイムは別に解散したわけではなくて、ただサークルが優先されてるだけだ)
唯(確実に、サークルに入りたくなかったという私がわがままのせいでこうなっている)
唯(それでもりっちゃんたちはたまに声をかけてくれる)
唯(私から話しかけることはないけどね……)
25:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 12:34:55.52:DH6JUbhq0
17時50分、会館にて
女「次だね、唯の友達のバンド」
唯「なんかちょっとドキドキするよ」
女「どんなのやるんだろうね?」
27:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 12:38:04.19:DH6JUbhq0
澪「は、はじめまして……。だ、大学に入って初めてライブをやるので少し緊張しています……」
律「少しじゃねーだろ!」
客「ワハハハー」
ギター「それではさっそくいきまーす」
紬「きいてください」
♪♪♪♪♪♪♪♪
29:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 12:39:34.94:DH6JUbhq0
澪「ありがとうございましたー!!!」
客「パチパチパチパチ」
――――――――――――
唯「……」
30:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 12:41:22.02:DH6JUbhq0
女「○○○のコピーだったね……」
唯「正直大学生になってコピーはないよね……」
女「……」
唯「帰ろうか……」
31:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 12:44:04.65:DH6JUbhq0
唯の部屋
唯(まあたしかにサークル内でオリジナルは難しいのはわかるけど)
唯(みんな恥ずかしくないのかな……)
唯(みんなこんな程度だったのかな……)
唯(武道館とか言ってた頃のほうがマシだ……)
唯(……ギターの人は私より確実にうまかったな)
32:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 12:45:29.22:DH6JUbhq0
電話「ブルルルルッルルルルrrrrrr」
唯「あっ……澪ちゃんだ……」
唯「どうしよう……」
唯「出なきゃ……」
34:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 12:46:48.26:DH6JUbhq0
澪『もしもし。唯か?今日はきてくれてありがとな』
唯「いやいや、気にしなくていいよ!減るもんじゃないし」
澪『どうだった?』
唯「え」
36:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 12:47:37.44:DH6JUbhq0
澪『どうだった?』
唯「いやー良かったと思うよ。みんな上達してたね」
澪『……』
唯「澪ちゃん?」
37:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 12:50:17.04:DH6JUbhq0
澪『はっきり言っちゃってくれよ……』
唯「……」
澪『私はな、今日、緊張してて恥ずかしかったんじゃないんだ』
唯「え?」
38:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 12:53:05.95:DH6JUbhq0
澪『さすがの私でも、高校時代からあれだけライブをやったんだ。あがり症なんてある程度克服されてるよ』
唯「……」
澪『後ろめたかったんだ。あんなのロックじゃない』
唯「……」
澪『私、高校生の頃のほうがよかったよ』
唯「……」
澪『唯、お前がいないからだよ』
41:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 12:57:32.70:DH6JUbhq0
真夜中、ベッドの中
唯(他人の本音をきくのには体力がいる……)
唯(自分のやってることが後ろめたいくらいなら最初からやるなよ、と言いたかった)
唯(だけどそんな風に自分の未熟なところを改善できるようであれば、
私はこんなひねくれたりしてないだろうなとも思う)
唯(澪ちゃんは私に期待してるのか?)
唯(寝る)
42:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 13:01:20.98:DH6JUbhq0
8月
唯(今は夏休みで、私は先月からはじめたバイトで忙しい)
唯(小児科の受付をしている)
唯(テストはテスト前にがんばれば余裕だった)
43:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 13:03:08.00:DH6JUbhq0
唯(夏休み、バイト以外の誰とも話してない)
唯(澪ちゃんともあれきり連絡をとっていない)
唯(あの調子だとサークルはやめたのだろうか?)
唯(おっと、気にしてはいけない。私には関係ない)
46:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 13:06:46.10:DH6JUbhq0
電話「ブーブーブー」
唯(メールだ。りっちゃんからだ)
「8月XX日にまたライブがあります。ぜひ来てください」
唯(……一斉送信だ。行きたくない……けど澪ちゃんはどうなったか気になる)
「わかりました」
唯(と、送信)
47:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 13:08:39.09:DH6JUbhq0
ライブの日
唯(サークルのコピバンのイベントのくせにこんなちゃんとしたライブハウスでやるのか)
唯(おっと、うらやましいなんておもってないよ)
49:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 13:09:44.58:DH6JUbhq0
受付「チケット見せてください」
唯「はい」
受付「ではドリンク代300円いただきます」
唯「はい」
―――――――――――――――
唯(客がいない……。スカスカだ……)
50:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 13:11:34.41:DH6JUbhq0
唯(りっちゃんたちはトップバッターだからそれみたら帰ろう)
唯(!?)
シャリーンシャリーン
ドコドコズンドコズンズン
唯(でてきた……)
52:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 13:14:06.71:DH6JUbhq0
ギター「こんにちは!って誰もいない!!!」
律「こら!ちゃんと観に来てくれたお客さんもいるんだからそんなこと言うな!」
紬「では、はじめま~す!」
律「ワンツー!」
54:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 13:17:06.62:DH6JUbhq0
♪♪♪♪♪
曲後MC
澪「えー、今日でわたしたちは二度目のライブになります」
澪「ではメンバー紹介でもしますか」
澪「まずは私の左にいるのが、ギター担当です」
ジャカジャカギャイーンぎゅーんばーん
55:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 13:19:13.64:DH6JUbhq0
澪「次に私の右にいるのがキーボードの寿紬です」
ポロポロポロロン♪ふぁ~ん♪
澪「ドラムス、律、田井中」
ドコドコドコドコズンドコズンドコズンズンズンドコドコドコダダダシャーン
56:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 13:20:42.43:DH6JUbhq0
澪「では、次の曲いきます」
律「澪ー……。自分のこと忘れてるぞ!」
澪「あっ!」
唯(私のネタじゃん……)
57:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 13:22:47.34:DH6JUbhq0
♪♪♪♪♪
律たちの時間は終わった
唯(澪ちゃん前はあんなこと言ってたのに……)
唯(今日ははしゃいでたな)
唯(まあ、いまどきの女子大生なんてこんなものだ)
唯(こんにゃくみたいにふにゃふにゃなんだ、意志が)
59:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 13:24:44.26:DH6JUbhq0
唯(ほんの僅かながら期待した私が馬鹿なんだ)
唯(コーヒーでも飲んで帰るか)
澪「唯、きてくれてありがとう」
唯「E?あ、うん」
60:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 13:26:57.22:DH6JUbhq0
澪「この後私たちは最後に片付けがあるんだけど、それまで暇なんだ」
唯「ほえー、大変だねー」
澪「ドラムとキーボードは需要高いから律とムギは他のバンドでもでるみたい」
唯「そうなんだ」
澪「時間つぶしにお茶でもいかないか?」
唯「私もコーヒーのみたかったんだ」
61:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 13:29:16.16:DH6JUbhq0
喫茶店にて
澪「唯、いきなりこんな話して悪いけどさ、この前私が電話したの覚えてるか?」
唯「おぼえてるよ」
澪「内容が内容だけに恥ずかしいな……」
唯「私は気にしてないよ」
63:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 13:31:00.49:DH6JUbhq0
澪「私な、外バン組もうと思うんだ」
唯「外バン?」
澪「サークルの外でバンド組もうと思うんだ」
唯「うん」
澪「唯、ギターはお前に頼んでいいかな」
唯「え」
64:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 13:31:47.73:DH6JUbhq0
澪「ギターまだ弾けるか?」
唯「まあ、たまに弾いてるけど……」
澪「曲は私がつくるから」
66:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 13:35:32.37:DH6JUbhq0
唯(どうしよう……。バンドはやりたいけど澪ちゃんは信用できない)
唯(もしバンドをやるとなれば、ギターの練習したり、曲を作ったり、
マイスペース作ったりしてること澪ちゃんに言わなければならなくなる)
唯(内省的で気持ち悪い私のこんな裏の姿を澪ちゃんに教えていいのだろうか……)
67:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 13:39:40.04:DH6JUbhq0
唯「編成はどうするの?」
澪「スリーピースでいこうと思う」
唯「ドラムはどうするの?」
澪「軽音サークルから探しておくよ。便利だろ?」
唯「確かに!どんなバンドにするかとかもう考えてるの?」
澪「70年代のロンドン・パンクみたいに3コードでごり押しする感じがいいと思ってる」
唯(澪ちゃんが!?意外だ!!!!!驚いた!!!!びっくりした!!!!)
68:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 13:42:25.97:DH6JUbhq0
唯(私が好きな分野だ。どうしよう……)
唯(まあマイスペースのことはとりあえず内緒にしてやるだけやってみようかな)
69:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 13:45:07.92:DH6JUbhq0
唯「じゃあまず、スタジオに入って決めよう!」
澪「じゃあ来週にでも」
―――――――――――
このバンドはマンネリ化して終わった
72:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 13:50:29.37:9cqv518l0
唯(だいたいビートルズ至上主義とか、初期パンク至上主義の人って、頭が固くてつまらないんだ)
唯(そういう自分の趣味が洗練されてると思っているのだろう)
唯(『洗練された趣味の音楽聴いてる私って、洗練されてて高尚な感じで崇高な感じ!!!』
とか思ってるんだろうね。だろうね)
73:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 13:51:21.75:DH6JUbhq0
唯(そういうやつに限って他人のきいてる音楽を馬鹿にしたりするんだ」
唯(こんな退屈なやつっていないよ)
唯(自我や自意識のこと、かっこいいとか思っちゃってるんだ。厨二病よりタチが悪い)
75:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 13:55:05.56:DH6JUbhq0
11月
女「○○○の新譜きいた?」
唯「うん。なかなかよかったよね」
女「え?ウソ?私はゴミだと思ったな……」
76:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 13:56:36.26:DH6JUbhq0
唯(またか……女ちゃんが新譜ほめてるとこみたことないや……)
唯(思えばどのバンドでも新譜が出るたび批判しまくってるな……)
唯(自分の感覚を疑うことはないのに……)
77:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 13:58:35.83:DH6JUbhq0
11月27日
唯(私は19歳になった)
唯(りっちゃんとムギちゃんからおめでとうってメールがきた)
唯(澪ちゃんからはこなかった)
唯(私はみんなの誕生日、覚えてすらいないや……)
唯(どうなってんだろ……。メモしとけばよかった……)
78:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 14:01:13.98:DH6JUbhq0
12月
唯(あずにゃんから初詣にいこうとメールがきた)
唯(放課後ティータイムのみんなに送ってるみたいだ)
唯(久々にあずにゃんに会いたいな。憂にも)
唯(澪ちゃんは元気だろうか)
79:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 14:04:36.39:DH6JUbhq0
元旦―初詣
律「みんな集まったのは久々だなー」
梓「はい!みなさんちょっと大人になりましたね」
紬「唯ちゃん、憂ちゃんはどうだった?」
唯「元気だったよ、とっても!」
澪「唯に相当会いたかっただろうな」
梓「こっちでは唯先輩の話いっぱいしてましたよ」
80:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 14:06:13.76:DH6JUbhq0
唯(時間をおいたら澪ちゃんともみんなとも普通に話せた)
唯(ただ前みたいにふざけたりできなくなったな……)
唯(でもこの5人はなぜか落ち着く)
81:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 14:08:22.16:DH6JUbhq0
翌日唯実家
憂「お姉ちゃん、御節の余り食べる?」
唯「ありがとー!憂ー!」
憂「アイスもあるからね」
唯「わーい!やっぱり実家は落ち着くもんだねー」
憂「お姉ちゃん、実家って言ってみたかっただけでしょ?」
唯「えへへー」
82:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 14:10:07.68:DH6JUbhq0
唯(憂の前では今でもこんな感じになってしまう……)
唯(ああ、あっちに帰りたくないなー)
唯(憂は本当によくできた妹だ)
唯(姉に気づかいさせることもなく、自分が気づかいしてるようにもみせない)
唯(みんな憂みたいならいいのにな)
83:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 14:13:52.99:DH6JUbhq0
4月
唯(2年生だ。今年からは就職についてまじめに考えよう)
唯(ちなみに初詣でにあった時に話したんだけど、りっちゃんは外バンもやってるらしい)
唯(結構頻繁にライブとかやってるみたい)
唯(自分たちの実力を試したかったから、今まで知り合いは一切呼ばなかったらしい
んだけど、そろそろ呼んでもいいだろうということで、私はライブに呼ばれた)
84:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 14:17:16.31:DH6JUbhq0
唯(なかなかいいバンドだったけど、ライブはたぶん二度と行かないだろう)
唯(何の個性もないバンドだったからだ。無理に個性を出すよりはマシだとは思うけど)
85:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 14:19:42.56:DH6JUbhq0
唯(りっちゃんはライブに忙しくて単位が全然とれてなかったみたいだ)
唯(いつもなら、前日の夜に無理矢理澪ちゃんに頼んで教えてもらってるところだけど)
唯(澪ちゃんに頼らないで潔く単位をあきらめるりっちゃんは少し格好よく見えた)
唯(何も私だけがいろいろ考えてるわけではないのだ)
86:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 14:20:50.58:DH6JUbhq0
唯(今までうぬぼれていた。私だけが特別だと思っていた)
唯(でもみんなそれぞれ考えて、みんなそれぞれ成長していたのだ)
唯(どうしようもないのは私だけだったんだ)
唯(生まれて初めて死にたいと考えた)
87:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 14:23:25.61:DH6JUbhq0
6月
梓「唯先輩!今1人ですか?」
唯「あずにゃん!ムギちゃん!どうして一緒にいるの?」
紬「そこで梓ちゃんに逢ったのよ。久々にお茶しない?」
唯「いいね」
88:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 14:25:29.51:DH6JUbhq0
唯(言い忘れていたがあずにゃんは同じ大学に入学した)
唯(あずにゃんは頭がいいのにどうしてこんなところにきたのか少し疑問だ)
唯(それにしても今考えると……私はムギちゃんという人間のことをあまり知らない)
唯(何をかんがえているか一番わからないのがムギちゃんだ)
89:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 14:26:44.07:DH6JUbhq0
紬「梓ちゃんもう1人暮らしは慣れた?」
梓「はい、だいたい。唯先輩でもできるんですからね」
唯「あずにゃん!ひどい~」
紬「あははは」
90:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 14:29:32.19:DH6JUbhq0
唯(ムギちゃんは勉強はできるし、美人だし、家はお金持ちだ)
唯(でもそれを鼻にかけるようなこともしないし、貧乏くさい事にあこがれたりするし)
唯(なんでも楽しそうにやるし……謎だ)
唯(ムギちゃんは楽しければいいのだろうか?楽しむことが人生だと思ってるんだろうか?)
91:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 14:31:35.12:DH6JUbhq0
梓「そういえばなんで唯先輩だけサークルに入らなかったんですか?」
唯「やっていけるか不安だったんだよ……勉強も大変そうだし」
梓「律先輩でもやれてるんだから大丈夫なんじゃないですか?」
唯「これはここだけの話だけど、りっちゃんは単位ボロボロなんだよ~」
梓「……大学って恐ろしいですね。じわじわと追い詰められていく感じが……」
紬「でも梓ちゃんは大丈夫よ」
唯「そうだよ!あずにゃん!」
92:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 14:33:39.91:DH6JUbhq0
唯(そもそもムギちゃんは私たちと一緒にいて楽しいのだろうか?)
唯(やっぱり一番の曲者はムギちゃんだ……)
93:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 14:35:50.31:DH6JUbhq0
8月
唯(1年はあっという間だ。何もおきずに日々は過ぎていく)
唯(私はあれからたびたび死にたいと考えるようになった)
唯(どうしてかはわからない。わけもなくふと死にたいと考えるのだ)
唯(しかし、そんなことは誰にでもあるだろう)
94:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 14:38:10.79:DH6JUbhq0
電話「ブーブー」
「ライブのお知らせです!X月XX日、○○にてライブをします!ぜひ来てください!」
唯(またりっちゃんからメールだ……)
電話「ブーブー」
「唯、律のバンドのライブ見に行かないか?ムギも誘って」
唯(今度は澪ちゃんからか……)
「その日用事があるんだ」
唯(送信)
96:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 14:40:14.26:DH6JUbhq0
夏休み
唯(バイトはやめた。しかし仕送りだけで十分生活できたし、無駄遣いしなかったから蓄えはある)
唯(そのお金で機材を充実させ、私はマイスペースに曲をアップするようになった)
唯(ここから火がついて私はデビューするのだ!)
97:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 14:46:49.54:DH6JUbhq0
12月
唯(しかし4ヶ月、曲を入れ替えたりしたが何も起こらなかった)
唯(まあそうだろうね。期待した私が馬鹿だったよ)
唯(もうお金もなくなってしまった……)
98:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 14:49:13.70:DH6JUbhq0
唯(りっちゃんのバンドは自主企画をするくらいになっている)
唯(レコード会社がみにきたりもしてるらしい)
唯(だからなんだ……)
99:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 14:50:10.40:DH6JUbhq0
翌日―学校
紬「唯ちゃん?」
唯「ムギちゃん!」
唯&紬「お茶しない?」
100:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 14:51:10.57:DH6JUbhq0
唯(誰かと話したくてたまらなかったんだ……)
唯(ムギちゃんは天使だ……)
紬「唯ちゃん、私サークルやめたんだ」
唯「え?なんで?」
101:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 14:53:04.79:DH6JUbhq0
紬「先輩と揉め事があったの。1、2年VS3年生みたいになっちゃってね」
紬「私そういう雰囲気苦手だから……」
唯「そうなんだ……大変だったね」
紬「でも今は後悔してるの……こんな感じのことって社会にでたらいっぱいあると思うのに、私逃げちゃって……」
102:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 14:54:07.13:DH6JUbhq0
唯(私は嫌な人とかかわりたくないからサークルにすら入らなかった……)
唯(入ったら楽しかったかもしれなかったのに……)
唯(ムギちゃんの話を聞いて気分が暗くなった)
103:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 14:56:28.38:DH6JUbhq0
1月
唯(何もない日々。テストが近い。澪ちゃんにノートを見せてくれといわれた)
唯(そのお返しにお菓子を買ってもらった。幸せだ。)
唯(そのとき澪ちゃんにりっちゃんのバンドが解散したときいた)
唯(心のどこかで喜んでしまった……どうしてだろう)
104:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 14:58:03.56:DH6JUbhq0
唯(あずにゃんはどうしているのだろう。学校でもめったにあわない)
唯(前にも言ったとおり、放課後ティータイムは解散したわけではない)
唯(誰かが言い出せば、また動き出すかもしれない)
唯(でもそんな空気じゃなかった)
106:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 15:00:21.88:DH6JUbhq0
2月―唯実家
唯(憂は高卒で公務員になった)
唯(給料も悪くないようだ)
唯(憂は朝、仕事に出かけた)
唯(家で憂を待つというのは新鮮だ)
107:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 15:01:42.91:DH6JUbhq0
憂「ただいまー」
唯「おかえりーういー」
憂「今日も疲れたよー」
唯「えへへー私カレー作ってたんだー」
憂「ありがとー!」
109:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 15:03:08.30:1dUcebCHO
唯憂「いただきまーす!」
唯「どう?おいしい?」
憂「すっごくおいしいよ!お姉ちゃん!」
唯「よかったー!」
憂「お姉ちゃんの料理ってなんか新鮮だね!」
111:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 15:04:49.55:DH6JUbhq0
唯「私も憂のこと家で待つのって新鮮だなって考えてたよ!」
憂「高校時代を思い出すね」
唯「楽しかったよね、あの頃はー」
憂「そうだね。それよりおねえちゃんが1人暮らしできてることにびっくりだよ」
112:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 15:06:09.03:DH6JUbhq0
唯「そんなことくらいできるよー!」
憂「あははは、ごめんね。お姉ちゃんわりと何でもできるから安心したよ。
この調子なら来年の就職活動も大丈夫そうだね」
唯「そ、そうだよ!お姉ちゃんに任せなさい!」
113:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 15:07:52.18:DH6JUbhq0
唯(憂の口から私に向けて就職なんて驚いた)
唯(そうだ、私はもう20歳なのだ。大人なのだ)
唯(1人で稼いで生きていかなくてはならないのだ)
唯(周囲の人間に嫌気を感じている場合ではないのだ)
114:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 15:09:14.79:DH6JUbhq0
5月
唯(そうは思いながらも気分は重たかった)
唯(就職セミナーなどが増えた。企業の説明会などにも参加した)
唯(得体の知れないなにかを目の前にしたときのような、モヤモヤがいつもあった)
115:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 15:10:56.30:DH6JUbhq0
6月
唯(気分は重たくなる一方で、未来に希望を感じなかった)
唯(みんなそう思ってるんだろうな、私は私が嫌いな凡人で俗物だったのだ)
唯(りっちゃんは留年、澪ちゃんムギちゃんは、3年生になってものすごいまじめになっていた)
116:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 15:12:42.81:DH6JUbhq0
12月
唯(私は就職活動というものの一切をやめた。そんなことしても楽にはならなかった)
唯(私は凡人であることが悲しかったのかな、時代の流れに逆らってみたかった)
唯(りっちゃんはもう1年留年しそうな感じだ……。それをきいて安心してしまうのはなぜだ)
117:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 15:14:17.32:DH6JUbhq0
唯(私は思った。りっちゃんは仲間なのではないかと)
唯(りっちゃんも周りの流れに逆らって生きているのではないかと……)
唯(そんな風に変に仲間意識をもつことも凡人らしく、俗物らしく、私は悲しくなった)
唯(死にたいとまた思ったりした)
118:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 15:15:58.41:DH6JUbhq0
2月
唯(シュウカツが忙しいとの理由で実家には帰ってない)
唯(がんばって働いてる憂にあわせる顔がない)
唯(自分が凡人であるということを日々考える)
119:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 15:16:58.66:DH6JUbhq0
電話「brrrrrr」
唯(わっ)
唯(電話が鳴ったところ久々にみた……捨てなくて良かった)
唯(あずにゃん?)
唯「もしもし?」
120:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 15:17:56.79:DH6JUbhq0
梓『唯先輩、お久しぶりです』
唯「久しぶり」
梓『就活どうですか?』
唯「えーと、だめだめだよー」
梓『でしょうね』
唯「え?」
121:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 15:19:22.03:DH6JUbhq0
梓『澪先輩たちにきいてますよ。唯先輩なにもしてないって』
唯「……」
梓『唯先輩、これじゃ本当にだめだめじゃないですか』
梓『どうしてなんてきいたりしませんから、話をきいてください』
122:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 15:20:24.40:DH6JUbhq0
唯(他人と真剣に話すのが久々だったため、恐怖を感じた)
唯(汗がだらだらとでてきた。今2月だよ?冬だよ?)
唯(でも電話を切る気にはならなかった)
唯(あずにゃんの声はかわいかった)
124:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 15:21:47.66:DH6JUbhq0
梓『唯先輩のしたいことってなんなんですか?』
唯「えーと……」
梓『まあしたいことなってありませんよね。私もないです』
唯「うん……」
梓『後輩にこんな話されるなんてうんざりですよね……すみません』
唯「いや、あずにゃんと久々に話できてうれしいよ」
125:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 15:23:52.03:DH6JUbhq0
梓『唯先輩が今までで一番楽しかったことって何ですか?』
唯「えーと、何かな……」
梓『私が一番楽しかったのは放課後ティータイムです』
唯「……」
梓『だから、唯先輩のことほっとけなくて』
128:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 15:26:05.13:DH6JUbhq0
梓『ほっとけなかったんです。おせっかいかもしれませんけど』
唯「……」
梓『私、唯先輩が大学に入ってちょっと変わったの他の先輩にきいてたんです』
唯「……」
梓『最初はちょっと大人になったな、とか思ってましたけど、それだけじゃないですよね』
129:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 15:27:36.98:DH6JUbhq0
梓『唯先輩、うんざりしてませんか?』
唯「……何に?」
梓『それはわからないです。でもうんざりしてますよね?隠してますよね?』
唯「……」
梓『私、誰にも言いませんよ』
130:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 15:29:44.78:DH6JUbhq0
梓『まあ……無理に言えとは言いませんが』
唯「うん……」
梓『私、また放課後ティータイムやりたいなって思って』
唯「!?」
梓『唯先輩、やりませんか?』
131:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 15:31:36.52:DH6JUbhq0
梓『これも無理にとは言わないです……すみません……』
唯「謝ることないよ」
梓『はい……』
唯「私ね、みんながサークルで楽しそうにしてるのだったり、
りっちゃんがバンドに打ち込んだりしてるのがたぶんうらやましかったんだよ」
132:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 15:33:32.08:DH6JUbhq0
唯「みんなと違うことをやる自分がちょっと可愛く思えたりしてさ」
唯「自分は特別だと思ってたんだよ、理由もなく」
唯「でも気付いたんだ、そんなのみんな思ってるってさ」
唯「でも憂は思ってないんだよ」
133:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 15:35:40.77:DH6JUbhq0
唯「憂がなんであんなによくできてるのかっていうとね、憂は
自分のこと特別だなんて思わないんだよ」
梓『……』
唯「だから憂はみんなに好かれるんだね、うまくいけないけど」
梓『……』
134:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 15:36:50.38:DH6JUbhq0
唯「あずにゃん、私、所詮みんなと同じようなことしか考えてなかったんだ」
唯「凡人だったんだよ」
唯「最初はそれがとても怖かったんだ。馬鹿みたいでしょ?」
梓『そんなこと……』
135:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 15:38:06.19:DH6JUbhq0
唯「でも私、今あずにゃんの話しきいてておもったんだ」
唯「私も凡人なら、凡人らしくやればいいんだよ。
つまり、私は私のやりたいことをやればいいんだよ。」
梓『!?』
唯「放課後ティータイムやってくれるようにみんなに話してみる」
136:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 15:40:32.98:DH6JUbhq0
梓『はい!』
唯「でも……みんなに迷惑じゃないかな?やり直せるかな?」
律『そんな心配はないぜ』
唯「!?りっちゃん?」
澪『実はあとは唯だけだったんだ』
137:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 15:41:38.82:DH6JUbhq0
唯「澪ちゃんも?」
紬『大丈夫よ、唯ちゃん、やり直せるわ!』
唯「ムギちゃんも!?』
138:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 15:42:17.41:iLg7lQxe0
律『今さ、学校の一番近くのマックにいるんだ。くるだろ?』
唯「うん、いく!」
澪『みんな、待ってるからな、唯のこと』
唯「うん!」
紬『急がなくていいからね……電話切られてる!!!!』
141:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 15:47:08.76:DH6JUbhq0
5月
唯(今日は新生放課後ティータイムのライブの日です)
唯(まだ憂には言ってないけど、私はフリーターになることにしました)
唯(大学はもうないので今はバイトとスタジオ練習にあけくれています)
唯(私はどうしようもない俗物で、才能もない、ただの平沢唯なのです)
142:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 15:49:09.11:DH6JUbhq0
唯(ではそんな平沢唯はどうしたらいいのか?)
唯(そんなの、簡単です。やりたいことをやればいいのです)
唯(でも私はやりたいことがなかったのです)
唯(私はやりたいことを見つけたくて見つけたくてたまらなかったのです)
143:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 15:51:01.99:DH6JUbhq0
唯(今、私はまだ、やりたいことを見つけたばかりの状態です)
唯(時間はかかりました。回り道しました)
唯(でも今、全然悪い気分じゃないです)
唯(大学を卒業したら私は働くのです。バイトでも)
144:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 15:52:48.88:DH6JUbhq0
唯(やっと見つけた私の気持ちを裏切らないように!)
唯(でも私、気まぐれだから働きたくないって言ってニートになるかもしれません)
唯(そのときはそのときです)
おわり
145:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 15:53:46.46:iLg7lQxe0
唯「今は放課後ティータイムよりそっちを優先してるみたい……」
唯「理由は簡単だ。放課後ティータイムでライブをするとなるとライブハウスのノルマがきつい」
唯「サークルなら学校からお金が出るからわりと低いノルマでライブができる」
唯「私がサークルに入らなかったからこんなことになったんだけどね……」
唯「ギターは……今でも暇さえあれば弾いてる」
唯「アンプにヘッドフォンをつなげられるということを友達にきいたのだ」
唯「自分で曲を作ったりするようにもなった……」
唯「どれも出来損ないだ……」
唯「友達はわりとたくさんできた……」
唯「みんなわりといい人だ……」
唯「友達とは趣味についてなど話す……私の趣味は音楽鑑賞ということにしている……」
唯「それと周囲の学生についてあいつはどうだこうだとか……」
唯「みんな自分以外を見下しているのだ」
唯「私はそれに耐えられないのだ」
唯「自分が俗物だということに気付かずに、『俗物』を見下すという風潮に」
唯「彼女らは自分が正常かつマイノリティだということが前提なのだ」
唯「そして私もそんな自我や自意識にまみれている」
唯「誰より退屈なのは私だ」
6月
女「唯ー!どこで受けてたの?」
唯「前のほうだよー。女ちゃんは?」
女「わたし遅刻してきたんだよね……最後列にいた。出席あった?」
唯「ないよー。レジュメもないよ」
女「そっかー!よかった」
唯(この女というやつは講義に出ても寝ているか電話をいじっているかだ)
唯(まあ私も講義中は板書を写すだけだし、頭の中では別なことを考えているのだから、人のことは言えないけどね)
唯(いちいち他人の短所をみつけてしまう自分が嫌だ)
女「ご飯食べた?」
唯「まだだよー」
女「じゃあ食堂行こうよ」
唯「食堂高いからわたし購買でカップ麺買ってくよ。先行ってて」
女「えー?カップ麺って美味しくなくない?」
唯(またはじまった……カップ麺批判……)
唯(私には大量に作りすぎて麺がのびきっている食堂のラーメンのほうがよっぽどまずいんだよ……)
唯(もちろんそんなことは言えないけれど)
唯「でも金欠だからさー。バイトしてないしさ」
女「唯も大変だねー。じゃあ食堂で席とって待ってるね」
唯「わかった!ありがとう」
唯(友達のいいところといえば面白いところだ)
唯(私にはユーモアというものがいささか欠如している)
唯(笑いをとろうとすると池沼呼ばわりされてしまうのだ)
文章の至る所からマイナスのオーラが・・・
18:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 12:22:30.06:DH6JUbhq0食堂
女「この前さ、ノックなしで弟の部屋行ってみたらさー、ケータイ見ながら下半身丸出しなんだよー」
唯「えーそれ絶対あれやってたじゃん!」
女「そうそう、その後弟に問いただしたらさ、『間違っただけだよ』なんてさ」
女「何を間違えばそんな状態になるのかって話だよ」
唯「あははは」
女「食事中に何話してるんだろうね、私たち」
家
唯(家に帰ると学校にいるときより鬱屈した気分になる)
唯(なんなんだろう……)
唯(ろくに料理ができない私はチャーハンを食べる)
唯(チャーハンは誰が作ってもきっとうまいのだろう)
後日、学校にて
律「唯ー!久しぶりだな!今日私たちライブやるんだー」
澪「私たちは18時からなんだ。よかったら観に来てくれないか」
唯「久しぶり!りっちゃん、澪ちゃん!18時なら暇だから友達連れて行くよー」
澪「ありがとう。まあ、練習の時間あんまりなかったからグダグダかもしれないけどな」
律「たのむぞー」
唯(放課後ティータイムは別に解散したわけではなくて、ただサークルが優先されてるだけだ)
唯(確実に、サークルに入りたくなかったという私がわがままのせいでこうなっている)
唯(それでもりっちゃんたちはたまに声をかけてくれる)
唯(私から話しかけることはないけどね……)
17時50分、会館にて
女「次だね、唯の友達のバンド」
唯「なんかちょっとドキドキするよ」
女「どんなのやるんだろうね?」
澪「は、はじめまして……。だ、大学に入って初めてライブをやるので少し緊張しています……」
律「少しじゃねーだろ!」
客「ワハハハー」
ギター「それではさっそくいきまーす」
紬「きいてください」
♪♪♪♪♪♪♪♪
澪「ありがとうございましたー!!!」
客「パチパチパチパチ」
――――――――――――
唯「……」
女「○○○のコピーだったね……」
唯「正直大学生になってコピーはないよね……」
女「……」
唯「帰ろうか……」
唯の部屋
唯(まあたしかにサークル内でオリジナルは難しいのはわかるけど)
唯(みんな恥ずかしくないのかな……)
唯(みんなこんな程度だったのかな……)
唯(武道館とか言ってた頃のほうがマシだ……)
唯(……ギターの人は私より確実にうまかったな)
電話「ブルルルルッルルルルrrrrrr」
唯「あっ……澪ちゃんだ……」
唯「どうしよう……」
唯「出なきゃ……」
澪『もしもし。唯か?今日はきてくれてありがとな』
唯「いやいや、気にしなくていいよ!減るもんじゃないし」
澪『どうだった?』
唯「え」
澪『どうだった?』
唯「いやー良かったと思うよ。みんな上達してたね」
澪『……』
唯「澪ちゃん?」
澪『はっきり言っちゃってくれよ……』
唯「……」
澪『私はな、今日、緊張してて恥ずかしかったんじゃないんだ』
唯「え?」
澪『さすがの私でも、高校時代からあれだけライブをやったんだ。あがり症なんてある程度克服されてるよ』
唯「……」
澪『後ろめたかったんだ。あんなのロックじゃない』
唯「……」
澪『私、高校生の頃のほうがよかったよ』
唯「……」
澪『唯、お前がいないからだよ』
真夜中、ベッドの中
唯(他人の本音をきくのには体力がいる……)
唯(自分のやってることが後ろめたいくらいなら最初からやるなよ、と言いたかった)
唯(だけどそんな風に自分の未熟なところを改善できるようであれば、
私はこんなひねくれたりしてないだろうなとも思う)
唯(澪ちゃんは私に期待してるのか?)
唯(寝る)
8月
唯(今は夏休みで、私は先月からはじめたバイトで忙しい)
唯(小児科の受付をしている)
唯(テストはテスト前にがんばれば余裕だった)
唯(夏休み、バイト以外の誰とも話してない)
唯(澪ちゃんともあれきり連絡をとっていない)
唯(あの調子だとサークルはやめたのだろうか?)
唯(おっと、気にしてはいけない。私には関係ない)
電話「ブーブーブー」
唯(メールだ。りっちゃんからだ)
「8月XX日にまたライブがあります。ぜひ来てください」
唯(……一斉送信だ。行きたくない……けど澪ちゃんはどうなったか気になる)
「わかりました」
唯(と、送信)
ライブの日
唯(サークルのコピバンのイベントのくせにこんなちゃんとしたライブハウスでやるのか)
唯(おっと、うらやましいなんておもってないよ)
受付「チケット見せてください」
唯「はい」
受付「ではドリンク代300円いただきます」
唯「はい」
―――――――――――――――
唯(客がいない……。スカスカだ……)
唯(りっちゃんたちはトップバッターだからそれみたら帰ろう)
唯(!?)
シャリーンシャリーン
ドコドコズンドコズンズン
唯(でてきた……)
ギター「こんにちは!って誰もいない!!!」
律「こら!ちゃんと観に来てくれたお客さんもいるんだからそんなこと言うな!」
紬「では、はじめま~す!」
律「ワンツー!」
♪♪♪♪♪
曲後MC
澪「えー、今日でわたしたちは二度目のライブになります」
澪「ではメンバー紹介でもしますか」
澪「まずは私の左にいるのが、ギター担当です」
ジャカジャカギャイーンぎゅーんばーん
澪「次に私の右にいるのがキーボードの寿紬です」
ポロポロポロロン♪ふぁ~ん♪
澪「ドラムス、律、田井中」
ドコドコドコドコズンドコズンドコズンズンズンドコドコドコダダダシャーン
澪「では、次の曲いきます」
律「澪ー……。自分のこと忘れてるぞ!」
澪「あっ!」
唯(私のネタじゃん……)
♪♪♪♪♪
律たちの時間は終わった
唯(澪ちゃん前はあんなこと言ってたのに……)
唯(今日ははしゃいでたな)
唯(まあ、いまどきの女子大生なんてこんなものだ)
唯(こんにゃくみたいにふにゃふにゃなんだ、意志が)
唯(ほんの僅かながら期待した私が馬鹿なんだ)
唯(コーヒーでも飲んで帰るか)
澪「唯、きてくれてありがとう」
唯「E?あ、うん」
澪「この後私たちは最後に片付けがあるんだけど、それまで暇なんだ」
唯「ほえー、大変だねー」
澪「ドラムとキーボードは需要高いから律とムギは他のバンドでもでるみたい」
唯「そうなんだ」
澪「時間つぶしにお茶でもいかないか?」
唯「私もコーヒーのみたかったんだ」
喫茶店にて
澪「唯、いきなりこんな話して悪いけどさ、この前私が電話したの覚えてるか?」
唯「おぼえてるよ」
澪「内容が内容だけに恥ずかしいな……」
唯「私は気にしてないよ」
澪「私な、外バン組もうと思うんだ」
唯「外バン?」
澪「サークルの外でバンド組もうと思うんだ」
唯「うん」
澪「唯、ギターはお前に頼んでいいかな」
唯「え」
澪「ギターまだ弾けるか?」
唯「まあ、たまに弾いてるけど……」
澪「曲は私がつくるから」
唯(どうしよう……。バンドはやりたいけど澪ちゃんは信用できない)
唯(もしバンドをやるとなれば、ギターの練習したり、曲を作ったり、
マイスペース作ったりしてること澪ちゃんに言わなければならなくなる)
唯(内省的で気持ち悪い私のこんな裏の姿を澪ちゃんに教えていいのだろうか……)
唯「編成はどうするの?」
澪「スリーピースでいこうと思う」
唯「ドラムはどうするの?」
澪「軽音サークルから探しておくよ。便利だろ?」
唯「確かに!どんなバンドにするかとかもう考えてるの?」
澪「70年代のロンドン・パンクみたいに3コードでごり押しする感じがいいと思ってる」
唯(澪ちゃんが!?意外だ!!!!!驚いた!!!!びっくりした!!!!)
唯(私が好きな分野だ。どうしよう……)
唯(まあマイスペースのことはとりあえず内緒にしてやるだけやってみようかな)
唯「じゃあまず、スタジオに入って決めよう!」
澪「じゃあ来週にでも」
―――――――――――
このバンドはマンネリ化して終わった
一行で切り捨てるか!
71:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 13:49:09.79:DH6JUbhq0唯(だいたいビートルズ至上主義とか、初期パンク至上主義の人って、頭が固くてつまらないんだ)
唯(そういう自分の趣味が洗練されてると思っているのだろう)
唯(『洗練された趣味の音楽聴いてる私って、洗練されてて高尚な感じで崇高な感じ!!!』
とか思ってるんだろうね。だろうね)
唯(そういうやつに限って他人のきいてる音楽を馬鹿にしたりするんだ」
唯(こんな退屈なやつっていないよ)
唯(自我や自意識のこと、かっこいいとか思っちゃってるんだ。厨二病よりタチが悪い)
11月
女「○○○の新譜きいた?」
唯「うん。なかなかよかったよね」
女「え?ウソ?私はゴミだと思ったな……」
唯(またか……女ちゃんが新譜ほめてるとこみたことないや……)
唯(思えばどのバンドでも新譜が出るたび批判しまくってるな……)
唯(自分の感覚を疑うことはないのに……)
11月27日
唯(私は19歳になった)
唯(りっちゃんとムギちゃんからおめでとうってメールがきた)
唯(澪ちゃんからはこなかった)
唯(私はみんなの誕生日、覚えてすらいないや……)
唯(どうなってんだろ……。メモしとけばよかった……)
12月
唯(あずにゃんから初詣にいこうとメールがきた)
唯(放課後ティータイムのみんなに送ってるみたいだ)
唯(久々にあずにゃんに会いたいな。憂にも)
唯(澪ちゃんは元気だろうか)
元旦―初詣
律「みんな集まったのは久々だなー」
梓「はい!みなさんちょっと大人になりましたね」
紬「唯ちゃん、憂ちゃんはどうだった?」
唯「元気だったよ、とっても!」
澪「唯に相当会いたかっただろうな」
梓「こっちでは唯先輩の話いっぱいしてましたよ」
唯(時間をおいたら澪ちゃんともみんなとも普通に話せた)
唯(ただ前みたいにふざけたりできなくなったな……)
唯(でもこの5人はなぜか落ち着く)
翌日唯実家
憂「お姉ちゃん、御節の余り食べる?」
唯「ありがとー!憂ー!」
憂「アイスもあるからね」
唯「わーい!やっぱり実家は落ち着くもんだねー」
憂「お姉ちゃん、実家って言ってみたかっただけでしょ?」
唯「えへへー」
唯(憂の前では今でもこんな感じになってしまう……)
唯(ああ、あっちに帰りたくないなー)
唯(憂は本当によくできた妹だ)
唯(姉に気づかいさせることもなく、自分が気づかいしてるようにもみせない)
唯(みんな憂みたいならいいのにな)
4月
唯(2年生だ。今年からは就職についてまじめに考えよう)
唯(ちなみに初詣でにあった時に話したんだけど、りっちゃんは外バンもやってるらしい)
唯(結構頻繁にライブとかやってるみたい)
唯(自分たちの実力を試したかったから、今まで知り合いは一切呼ばなかったらしい
んだけど、そろそろ呼んでもいいだろうということで、私はライブに呼ばれた)
唯(なかなかいいバンドだったけど、ライブはたぶん二度と行かないだろう)
唯(何の個性もないバンドだったからだ。無理に個性を出すよりはマシだとは思うけど)
唯(りっちゃんはライブに忙しくて単位が全然とれてなかったみたいだ)
唯(いつもなら、前日の夜に無理矢理澪ちゃんに頼んで教えてもらってるところだけど)
唯(澪ちゃんに頼らないで潔く単位をあきらめるりっちゃんは少し格好よく見えた)
唯(何も私だけがいろいろ考えてるわけではないのだ)
唯(今までうぬぼれていた。私だけが特別だと思っていた)
唯(でもみんなそれぞれ考えて、みんなそれぞれ成長していたのだ)
唯(どうしようもないのは私だけだったんだ)
唯(生まれて初めて死にたいと考えた)
6月
梓「唯先輩!今1人ですか?」
唯「あずにゃん!ムギちゃん!どうして一緒にいるの?」
紬「そこで梓ちゃんに逢ったのよ。久々にお茶しない?」
唯「いいね」
唯(言い忘れていたがあずにゃんは同じ大学に入学した)
唯(あずにゃんは頭がいいのにどうしてこんなところにきたのか少し疑問だ)
唯(それにしても今考えると……私はムギちゃんという人間のことをあまり知らない)
唯(何をかんがえているか一番わからないのがムギちゃんだ)
紬「梓ちゃんもう1人暮らしは慣れた?」
梓「はい、だいたい。唯先輩でもできるんですからね」
唯「あずにゃん!ひどい~」
紬「あははは」
唯(ムギちゃんは勉強はできるし、美人だし、家はお金持ちだ)
唯(でもそれを鼻にかけるようなこともしないし、貧乏くさい事にあこがれたりするし)
唯(なんでも楽しそうにやるし……謎だ)
唯(ムギちゃんは楽しければいいのだろうか?楽しむことが人生だと思ってるんだろうか?)
梓「そういえばなんで唯先輩だけサークルに入らなかったんですか?」
唯「やっていけるか不安だったんだよ……勉強も大変そうだし」
梓「律先輩でもやれてるんだから大丈夫なんじゃないですか?」
唯「これはここだけの話だけど、りっちゃんは単位ボロボロなんだよ~」
梓「……大学って恐ろしいですね。じわじわと追い詰められていく感じが……」
紬「でも梓ちゃんは大丈夫よ」
唯「そうだよ!あずにゃん!」
唯(そもそもムギちゃんは私たちと一緒にいて楽しいのだろうか?)
唯(やっぱり一番の曲者はムギちゃんだ……)
8月
唯(1年はあっという間だ。何もおきずに日々は過ぎていく)
唯(私はあれからたびたび死にたいと考えるようになった)
唯(どうしてかはわからない。わけもなくふと死にたいと考えるのだ)
唯(しかし、そんなことは誰にでもあるだろう)
電話「ブーブー」
「ライブのお知らせです!X月XX日、○○にてライブをします!ぜひ来てください!」
唯(またりっちゃんからメールだ……)
電話「ブーブー」
「唯、律のバンドのライブ見に行かないか?ムギも誘って」
唯(今度は澪ちゃんからか……)
「その日用事があるんだ」
唯(送信)
夏休み
唯(バイトはやめた。しかし仕送りだけで十分生活できたし、無駄遣いしなかったから蓄えはある)
唯(そのお金で機材を充実させ、私はマイスペースに曲をアップするようになった)
唯(ここから火がついて私はデビューするのだ!)
12月
唯(しかし4ヶ月、曲を入れ替えたりしたが何も起こらなかった)
唯(まあそうだろうね。期待した私が馬鹿だったよ)
唯(もうお金もなくなってしまった……)
唯(りっちゃんのバンドは自主企画をするくらいになっている)
唯(レコード会社がみにきたりもしてるらしい)
唯(だからなんだ……)
翌日―学校
紬「唯ちゃん?」
唯「ムギちゃん!」
唯&紬「お茶しない?」
唯(誰かと話したくてたまらなかったんだ……)
唯(ムギちゃんは天使だ……)
紬「唯ちゃん、私サークルやめたんだ」
唯「え?なんで?」
紬「先輩と揉め事があったの。1、2年VS3年生みたいになっちゃってね」
紬「私そういう雰囲気苦手だから……」
唯「そうなんだ……大変だったね」
紬「でも今は後悔してるの……こんな感じのことって社会にでたらいっぱいあると思うのに、私逃げちゃって……」
唯(私は嫌な人とかかわりたくないからサークルにすら入らなかった……)
唯(入ったら楽しかったかもしれなかったのに……)
唯(ムギちゃんの話を聞いて気分が暗くなった)
1月
唯(何もない日々。テストが近い。澪ちゃんにノートを見せてくれといわれた)
唯(そのお返しにお菓子を買ってもらった。幸せだ。)
唯(そのとき澪ちゃんにりっちゃんのバンドが解散したときいた)
唯(心のどこかで喜んでしまった……どうしてだろう)
唯(あずにゃんはどうしているのだろう。学校でもめったにあわない)
唯(前にも言ったとおり、放課後ティータイムは解散したわけではない)
唯(誰かが言い出せば、また動き出すかもしれない)
唯(でもそんな空気じゃなかった)
2月―唯実家
唯(憂は高卒で公務員になった)
唯(給料も悪くないようだ)
唯(憂は朝、仕事に出かけた)
唯(家で憂を待つというのは新鮮だ)
憂「ただいまー」
唯「おかえりーういー」
憂「今日も疲れたよー」
唯「えへへー私カレー作ってたんだー」
憂「ありがとー!」
妙にリアリティある
110:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 15:03:08.56:DH6JUbhq0唯憂「いただきまーす!」
唯「どう?おいしい?」
憂「すっごくおいしいよ!お姉ちゃん!」
唯「よかったー!」
憂「お姉ちゃんの料理ってなんか新鮮だね!」
唯「私も憂のこと家で待つのって新鮮だなって考えてたよ!」
憂「高校時代を思い出すね」
唯「楽しかったよね、あの頃はー」
憂「そうだね。それよりおねえちゃんが1人暮らしできてることにびっくりだよ」
唯「そんなことくらいできるよー!」
憂「あははは、ごめんね。お姉ちゃんわりと何でもできるから安心したよ。
この調子なら来年の就職活動も大丈夫そうだね」
唯「そ、そうだよ!お姉ちゃんに任せなさい!」
唯(憂の口から私に向けて就職なんて驚いた)
唯(そうだ、私はもう20歳なのだ。大人なのだ)
唯(1人で稼いで生きていかなくてはならないのだ)
唯(周囲の人間に嫌気を感じている場合ではないのだ)
5月
唯(そうは思いながらも気分は重たかった)
唯(就職セミナーなどが増えた。企業の説明会などにも参加した)
唯(得体の知れないなにかを目の前にしたときのような、モヤモヤがいつもあった)
6月
唯(気分は重たくなる一方で、未来に希望を感じなかった)
唯(みんなそう思ってるんだろうな、私は私が嫌いな凡人で俗物だったのだ)
唯(りっちゃんは留年、澪ちゃんムギちゃんは、3年生になってものすごいまじめになっていた)
12月
唯(私は就職活動というものの一切をやめた。そんなことしても楽にはならなかった)
唯(私は凡人であることが悲しかったのかな、時代の流れに逆らってみたかった)
唯(りっちゃんはもう1年留年しそうな感じだ……。それをきいて安心してしまうのはなぜだ)
唯(私は思った。りっちゃんは仲間なのではないかと)
唯(りっちゃんも周りの流れに逆らって生きているのではないかと……)
唯(そんな風に変に仲間意識をもつことも凡人らしく、俗物らしく、私は悲しくなった)
唯(死にたいとまた思ったりした)
2月
唯(シュウカツが忙しいとの理由で実家には帰ってない)
唯(がんばって働いてる憂にあわせる顔がない)
唯(自分が凡人であるということを日々考える)
電話「brrrrrr」
唯(わっ)
唯(電話が鳴ったところ久々にみた……捨てなくて良かった)
唯(あずにゃん?)
唯「もしもし?」
梓『唯先輩、お久しぶりです』
唯「久しぶり」
梓『就活どうですか?』
唯「えーと、だめだめだよー」
梓『でしょうね』
唯「え?」
梓『澪先輩たちにきいてますよ。唯先輩なにもしてないって』
唯「……」
梓『唯先輩、これじゃ本当にだめだめじゃないですか』
梓『どうしてなんてきいたりしませんから、話をきいてください』
唯(他人と真剣に話すのが久々だったため、恐怖を感じた)
唯(汗がだらだらとでてきた。今2月だよ?冬だよ?)
唯(でも電話を切る気にはならなかった)
唯(あずにゃんの声はかわいかった)
梓『唯先輩のしたいことってなんなんですか?』
唯「えーと……」
梓『まあしたいことなってありませんよね。私もないです』
唯「うん……」
梓『後輩にこんな話されるなんてうんざりですよね……すみません』
唯「いや、あずにゃんと久々に話できてうれしいよ」
梓『唯先輩が今までで一番楽しかったことって何ですか?』
唯「えーと、何かな……」
梓『私が一番楽しかったのは放課後ティータイムです』
唯「……」
梓『だから、唯先輩のことほっとけなくて』
梓『ほっとけなかったんです。おせっかいかもしれませんけど』
唯「……」
梓『私、唯先輩が大学に入ってちょっと変わったの他の先輩にきいてたんです』
唯「……」
梓『最初はちょっと大人になったな、とか思ってましたけど、それだけじゃないですよね』
梓『唯先輩、うんざりしてませんか?』
唯「……何に?」
梓『それはわからないです。でもうんざりしてますよね?隠してますよね?』
唯「……」
梓『私、誰にも言いませんよ』
梓『まあ……無理に言えとは言いませんが』
唯「うん……」
梓『私、また放課後ティータイムやりたいなって思って』
唯「!?」
梓『唯先輩、やりませんか?』
梓『これも無理にとは言わないです……すみません……』
唯「謝ることないよ」
梓『はい……』
唯「私ね、みんながサークルで楽しそうにしてるのだったり、
りっちゃんがバンドに打ち込んだりしてるのがたぶんうらやましかったんだよ」
唯「みんなと違うことをやる自分がちょっと可愛く思えたりしてさ」
唯「自分は特別だと思ってたんだよ、理由もなく」
唯「でも気付いたんだ、そんなのみんな思ってるってさ」
唯「でも憂は思ってないんだよ」
唯「憂がなんであんなによくできてるのかっていうとね、憂は
自分のこと特別だなんて思わないんだよ」
梓『……』
唯「だから憂はみんなに好かれるんだね、うまくいけないけど」
梓『……』
唯「あずにゃん、私、所詮みんなと同じようなことしか考えてなかったんだ」
唯「凡人だったんだよ」
唯「最初はそれがとても怖かったんだ。馬鹿みたいでしょ?」
梓『そんなこと……』
唯「でも私、今あずにゃんの話しきいてておもったんだ」
唯「私も凡人なら、凡人らしくやればいいんだよ。
つまり、私は私のやりたいことをやればいいんだよ。」
梓『!?』
唯「放課後ティータイムやってくれるようにみんなに話してみる」
梓『はい!』
唯「でも……みんなに迷惑じゃないかな?やり直せるかな?」
律『そんな心配はないぜ』
唯「!?りっちゃん?」
澪『実はあとは唯だけだったんだ』
唯「澪ちゃんも?」
紬『大丈夫よ、唯ちゃん、やり直せるわ!』
唯「ムギちゃんも!?』
なにこの熱い展開
140:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 15:44:03.66:DH6JUbhq0律『今さ、学校の一番近くのマックにいるんだ。くるだろ?』
唯「うん、いく!」
澪『みんな、待ってるからな、唯のこと』
唯「うん!」
紬『急がなくていいからね……電話切られてる!!!!』
5月
唯(今日は新生放課後ティータイムのライブの日です)
唯(まだ憂には言ってないけど、私はフリーターになることにしました)
唯(大学はもうないので今はバイトとスタジオ練習にあけくれています)
唯(私はどうしようもない俗物で、才能もない、ただの平沢唯なのです)
唯(ではそんな平沢唯はどうしたらいいのか?)
唯(そんなの、簡単です。やりたいことをやればいいのです)
唯(でも私はやりたいことがなかったのです)
唯(私はやりたいことを見つけたくて見つけたくてたまらなかったのです)
唯(今、私はまだ、やりたいことを見つけたばかりの状態です)
唯(時間はかかりました。回り道しました)
唯(でも今、全然悪い気分じゃないです)
唯(大学を卒業したら私は働くのです。バイトでも)
唯(やっと見つけた私の気持ちを裏切らないように!)
唯(でも私、気まぐれだから働きたくないって言ってニートになるかもしれません)
唯(そのときはそのときです)
おわり
おつかれー!
よかーたよー
146:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 15:54:16.57:FqMNBEbbPよかーたよー
乙。
よかったぜ。
147:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 15:55:07.43:Rr15U5aR0よかったぜ。
乙です
妙にリアルで良かった
148:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 15:57:27.14:0XgdsiKx0妙にリアルで良かった
おもしろかったよ
おつ!!
161:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 19:18:50.97:3mNh88Ne0おつ!!
けいおんのこういう感じのはホント好き
コメント 6
コメント一覧 (6)
何か引っかかってるようなきがするのに、なんなのかわからない。
わからない筈だよね、何もないからもやもやしてるんだもんさ。
そんなリアルがよく出てるSSだったよ
半年ぶりにリクナビ「2011」を見よう…