
1:代理:2010/12/24(金) 21:03:15.40:oGKACnAg0
女「開けてくれないか?」
男「断る」
女「寒いよ」
男「知ったことか」
今日はお前の冗談に付き合うつもりはない。
女「こんな服装で来たのに?」
男「それはコスプレと言うんだ」
ミニスカサンタが。
俺の家の前にいた。

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韓国からポーランドに輸出されるはずだった戦車、軽戦闘機、自走砲などの「K防産」、すべて霧散して夢と終わる可能性も…
3:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 21:24:19.12:jH8+SqmiP
女「君を一人にさせないためさ」
男「……」
なんか。
俺、悲しいやつみたいじゃん。
そんなことないぞ。
俺には妹がいるから、一人じゃない。
……まあ、その妹はというと。
パーティーに行ってしまったけれど。
5:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 21:26:29.02:jH8+SqmiP
男「俺には妹がいるから大丈夫だ」
女「そうか」
ニッコリと笑ってやがる。
なんだその笑みは。
女「さっき、君の妹くんがボクに会ったのだけれど」
……あいつ。
何出くわしてやがる。
6:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 21:30:20.30:jH8+SqmiP
女「これをどう説明するんだい?」
だから、笑ってたのか。
男「それは……勘違いだ」
女「勘違い?」
男「幻覚というやつだ」
女「ボクは確かに、規律正しいけれど……」
厳格じゃない。
9:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 21:32:40.99:jH8+SqmiP
男「で」
とりあえず聞いておこう。
女「なんだい?」
男「お前、何しに来た」
女「もちろん」
一息置いて。
女「君の自慰を……」
俺は受話器を置こうとした。
12:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 21:35:27.41:jH8+SqmiP
女「待ってくれ、受話器を置こうとしないでくれ」
なぜわかった。
男「いい加減にしないと、本当に家に入れないぞ」
女「入れてくれるのかい? 君の、イチモツを」
ガチャンと。
俺は受話器を置いた。
14:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 21:39:12.89:jH8+SqmiP
ピンポーン。
ああ、わかってる。
あいつだってことくらいは。
とりあえず、スルー。
男「俺は、出ない」
……あ。
違う意味じゃないからな。
15:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 21:42:03.36:jH8+SqmiP
ピンポーン。
ああ、もう。
うるさいなぁ。
俺には用があるのになー。
……。
ただ、空しいいだけだった。
インターホンの受話器を取る。
男「なんだよ」
17:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 21:45:07.62:jH8+SqmiP
女「さ、寒いよぉ……」
いつもとは違う声だった。
まるで別人だった。
男「……やれやれ」
受話器を置く。
そして、玄関に向かった。
19:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 21:49:22.48:jH8+SqmiP
ドアを開ける。
男「なんだ」
ぶるぶると震えている、やつがいた。
女「やあ」
元気そうだが。
凄く寒そうだ。
男「そんな服装で来るからだ」
女「ふふ……失敗だったよ」
いや。
時期的にはストライクなんだけどな。
20:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 21:51:48.91:jH8+SqmiP
季節的にミニスカはアウトだったんだ。
男「なんでそんな服装で来たんだ」
女「似合うかい?」
震えながらもポーズをとる。
女「君の大好きなミニスカートだ」
……。
男「やっぱり帰れ」
21:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 21:56:03.85:jH8+SqmiP
女「ただ一つの失敗は――」
俺のことは無視か。
女「パンツを穿いてくるのを忘れてしまったんだ」
俺は。
速攻で奴の肩を掴み。
家に入れた。
23:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 22:00:34.95:coFazvio0
女「ボクもおっちょこちょいだよね……おや?」
きょろきょろと周りを確認する。
女「穿いてないや否や、強引だね……」
男「馬鹿か!?」
女「馬でも鹿でもないよ」
男「文字通りに受けるな!」
女「君のならなんでも受け入れるよ」
調子狂うぞ。
26:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 22:08:28.42:jH8+SqmiP
女「ふふっ」
ソファに座る。
男「……はぁ」
女「ため息だね」
暖かそうだ、と。
俺の目の前に顔を近づける。
27:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 22:10:11.76:jH8+SqmiP
男「……なんだよ?」
女「いつもみたいに、してよ」
してよ?
女「ため息」
男「……」
いつもしてないぞ、俺。
29:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 22:13:06.13:jH8+SqmiP
女「暖かそうだし」
男「するかよ」
してと言われるとしたくなくなる。
それは人間の性だ。
女「寒いんだ」
男「俺に近づくな」
お前絶対今、冷たいだろ。
31:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 22:16:27.81:jH8+SqmiP
女「ふふっ」
また笑って、ソファに座る。
勢いよく座るあまりに、スカートがめくれかける。
女「あっ、今、目、逸らしたよね?」
不注意過ぎる。
33:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 22:19:17.98:jH8+SqmiP
女「まあ、とりあえず」
そう言って。
スカートを直した。
女「今日は、何の日か知ってるかい?」
男「……え?」
今日は、何の日か?
知らないなぁ。
36:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 22:26:57.45:jH8+SqmiP
男「わからんな」
知りたくもない。
そろそろ今年も終わりが近づいてるのはわかるけど。
女「性夜だよ」
男「それは違う」
しまった。
女「ふふ、わかってるじゃないか」
37:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 22:37:32.75:jH8+SqmiP
ソファから立ち上がる。
女「君と夜を共にしたい」
男「なんだそれ、ギャルゲの名前か」
女「現実逃避は良くないね」
男「……」
女「君と、出かけたいのだけれど」
40:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 22:42:16.54:jH8+SqmiP
ニッコリと。
堂々としている。
女「駄目かな?」
俺「……寒いし」
女「君の部屋に暖かそうなコートがあったはずだけど」
なんで知ってるんだ。
41:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 22:44:36.96:jH8+SqmiP
女「それを着れば、大丈夫だよ」
男「……そうだな」
女「じゃあ、行ってくれるかい?」
ウキウキしてやがる。
男「まあ待て」
女「どうしてだい? ボクはもうドキドキバクバクグチャグチャだよ」
最後の効果音なんだよ
42:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 22:49:32.56:jH8+SqmiP
男「そんなに楽しみなもんか?」
女「当たり前だろう? だって――」
俺に背を向け。
耳を真っ赤にし。
サンタ帽子を深くかぶり、顔を隠して。
女「――初めての、デートなんだし」
……そうだったな。
44:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 22:54:01.52:jH8+SqmiP
女「だから!」
そう言って、勢いよく振り向く。
しかし、帽子のせいで見えてない。
女「うわっ」
前方不注意とはこのことだ。
男「ぬがっ」
押し倒された。
46:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 22:58:19.35:jH8+SqmiP
男「……やれやれ」
こんなことって本当にあるのか。
ふふっ、と顔を真っ赤にして笑っている。
女「このままでいようか……?」
男「ふざけるな」
そう言って、手で顔を押してやった。
女「酷いなぁ」
何故こいつは失敗を上手くかわせるのか。
49:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 23:20:40.54:jH8+SqmiP
女「行ってくれるかい?」
男「ああ、わかったよ」
女「イってくれるかい?」
男「それは遠慮しておこう」
それは残念だ、と言って。
体を起こした。
50:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 23:25:44.66:jH8+SqmiP
男「用意してくるから、待ってろ」
女「うん」
いつもだったらついてくるのに。
今回はそんなこともなかった。
なんか落ち着いてる。
男「さて」
着替えよう。
52:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 23:31:30.18:jH8+SqmiP
♪。
♪。
男「ん?」
鼻歌が聞こえる。
大きくはないけれど。
あいつが歌っているのだろうが。
元気な奴だ。
53:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 23:49:40.25:jH8+SqmiP
男「……おし」
準備できた。
部屋を出て、やつのいるソファに。
……。
寝てやがる。
ソファに寝そべって。
64:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/25(土) 02:08:17.27:8PG09PghP
やれやれ。
男「……」
結構ピチピチなやつ着てやがる。
そのせいで。
尻が強調されている。
男「……」
息子、スタンディングナウ。
65:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/25(土) 02:14:50.25:8PG09PghP
考えてみろ。
親がいない。
妹もいない。
そして、俺の家である。
きっちり施錠して、窓のカーテンを閉めれば……。
……いかんいかん。
何を考えてるんだ、俺は。
66:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/25(土) 02:19:26.35:8PG09PghP
これが本当の性なる夜。
っけ。
つまらん冗談だ。
考えてみろ。
谷間の無い胸!
いけすかない口調!
よだれを垂らしたアホな顔!
……アレ、この顔、可愛いな。
……ああ、くそう。
67:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/25(土) 02:31:20.43:8PG09PghP
男「……」
そっと顔を近づける。
呑気な奴だ。
まったく起きそうにない。
疲れてたのだろうか。
女「終わったのかい?」
いきなり。
目を覚ました。
69:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/25(土) 03:00:26.50:8PG09PghP
男「のわぁ!」
女「ふふ、ボクの顔になにかついていたのかい?」
くそ。
こいつ、寝てなかったな。
無理によだれを垂らすとは。
凄い芸当だ。
95:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/25(土) 19:15:17.19:8PG09PghP
男「なんでもねぇよ」
女「そうか」
そう言って。
元気よく起き上がる。
女「もう、準備はいいのかい?」
男「とりあえずはな」
女「とりあえず……か」
中途半端で悪かったな。
96:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/25(土) 19:17:44.52:8PG09PghP
女「それよりも……むぅ」
男「なんだよ?」
女「ちょっと、かっこよすぎるんじゃないかな?」
男「はぁ?」
女「見惚れてしまうくらいに、カッコイイ」
……やめろ、照れる。
97:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/25(土) 19:19:43.63:8PG09PghP
女「それにくらべてボクは……」
くるくると回る。
女「サンタさんな服装だ」
男「そっちのが合ってるだろ」
女「そうだけど……もっとエロティックが良かったとか、そういうのはないのかい?」
十分だと思うけどな。
98:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/25(土) 19:23:38.41:8PG09PghP
男「そんな要望はしても無駄だ」
女「どうしてだい?」
どうせお前はするから。
男「理由は特にない」
女「彼女にエッチな服装はいただけないのかな?」
男「彼女を強調するな」
100:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/25(土) 19:28:04.56:8PG09PghP
むう。
俺はこいつと付き合っていていいのだろうか。
女「彼女だから仕方ないよ」
くっつくな。
男「お前いい加減にしろって」
女「んー君は暖かいねぇ」
ずっとこうしていたい、と。
恥ずかしげもなく言った。
101:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/25(土) 19:32:33.01:8PG09PghP
男「ほら、でかけるぞ」
女「うんっ」
そう言うと。
すぐに離れた。
女「あっ、寒い」
結局またくっつくのか。
104:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/25(土) 19:41:48.84:8PG09PghP
男「おい、これじゃあ出かけられないぞ」
女「ボクはこのままでもいいけど?」
なんでだよ。
さっきの言葉は本気だったのかよ。
女「ふふふっ」
わかった。そっちがその気なら。
女「うわっ」
俺はお姫様抱っこをした。
俺らしくないなぁ、なんか。
105:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/25(土) 19:43:43.27:8PG09PghP
女「ふふ、女の子の憧れだね」
そうなのか。
女「重くないかい?」
男「全然」
女「ああ、間違えた」
どういうことだよ。
女「ふふ、なんでもないよ」
……ああ。
気づいちまった。
107:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/25(土) 20:36:01.42:8PG09PghP
男「そういうことをおとこに言うな」
女「男の子にも知ってほしいのさ」
男「……」
まあ。
それがこいつのいいところなのかも。
かも、だからな。
110:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/25(土) 20:49:23.83:8PG09PghP
女「それで」
男「あん?」
女「ずっとこのままなのかい?」
男「……」
すぐに降ろす。
女「ボクは君と一緒に歩きたいから、ね」
恥ずかしくないのだろうか。
112:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/25(土) 21:15:57.44:8PG09PghP
女「顔真っ赤」
おっと。
男「寒いからだ」
女「見栄張っちゃって」
どこみながら行ってるんだ。
男「どこか行く予定は?」
女「一緒にいれればいい」
そうかい。
123:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/26(日) 00:54:56.14:Un0HIS9jP
綺麗なイルミネーションを見に行きたいと言えば。
少しは可愛げがあるのに。
今の現状に満足しているようだ。
男「腕を組むな」
女「絡めているのさ」
余計に変な表現になってるぞ。
125:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/26(日) 01:02:51.36:Un0HIS9jP
男「なんだその言い方は」
女「スパゲッティみたいなものさ」
するすると。
俺の脇腹を触る。
女「むぅ、厚着は触り心地最悪だね」
何を求めてるんだよ、お前。
126:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/26(日) 01:05:29.71:Un0HIS9jP
女「寒くて指がかじかんでしまったよ」
男「手袋持って来いよ」
女「忘れてしまったよ」
男「……ほら」
女「おや、いいのかい?」
寒い。
女「寒くて指がかんじてしまったよ」
男「いや、それはおかしい」
127:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/26(日) 01:08:29.08:Un0HIS9jP
女「ありがとう、これであったかあったかだよ」
男「ふんっ」
俺は寒くなるけどな。
もう冷えてきたし。
女「ふふ、それなら」
男「……んだよ」
女「君の手をボクが握ればいいんだよ」
ギュッと。
手袋をしないで握ってくる。
それが目当てだったな。
たしかに、やつの手は冷たい。
128:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/26(日) 01:10:14.53:Un0HIS9jP
手袋意味ねぇ。
男「俺まで冷えそうだ」
女「大丈夫だよ」
どこからその自信がある。
女「ボクが発情して暖かくなるから」
いやな温まり方!
144:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/26(日) 11:40:44.34:Un0HIS9jP
男「盛ってんじゃねぇ」
女「季節は冬だからね」
男「どういう意味だ?」
女「良く言うだろう? 体が冷たい人は心が――」
暖かいってやつか。
女「――欲情してると」
言わねぇよ。
161:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/26(日) 22:40:59.70:Un0HIS9jP
女「性なる夜は、自慰に勤しむ……素晴らしいね」
男「聖なる夜に何をしてるんだよ」
字が違う。
女「欲情していなければできないよ?」
男「知るか」
だからと言ってさっきのお前の言葉が正当化されるわけではないと信じたい。
163:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/26(日) 22:48:45.14:Un0HIS9jP
女「それでは問おう。君の性夜の過ごし方について!」
男「字がまずおかしい」
女「犯しい?」
男「なんでそうなる」
女「なんで早漏?」
いや。
いくらなんでもそれはない。
164:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/26(日) 22:51:57.27:Un0HIS9jP
男「お前の耳は節穴か」
女「ボクの耳は障子さ」
男「どういうことだ?」
女「ほら、こう」
おい。
なんだその腰つきは。
どこの都知事だ。
165:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/26(日) 22:56:26.51:Un0HIS9jP
それ以上に。
女の子がそんな動きするもんじゃありません。
男「そういうネタは抑えろ」
女「残念だ」
男「もっと楽しいことを考えようぜ」
女「楽しいこと……あっ」
男「あったか?」
なんだなんだ。
166:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/26(日) 22:57:18.49:Un0HIS9jP
女「最近は定期的に来てくれて嬉しい」
男「何が?」
女「何って……もちろん」
……ああ。
男「把握した」
女「ふふっ」
結局そういう話かよ!
168:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/26(日) 23:28:31.19:Un0HIS9jP
男「お前とのエロトークに花を咲かせるつもりはない」
女「じゃあ、誰だったら咲くんだい?」
男「それは……」
いや、いねぇよ。
男「妹……かな」
女「俺の妹がこんなにエロいわけがない」
言いたかっただけだろ。
169:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/26(日) 23:37:26.80:Un0HIS9jP
女「でも、安心したよ」
男「あ?」
女「妹くんで」
男「なんでだよ?」
妹とエロトークで花が咲いたら引くだろ、普通。
女「ほら、他の女の子とかだったらね」
男「……ああ」
なるほどな。
171:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/27(月) 00:27:34.14:IG2YL47yP
女「それじゃあ」
男「ん」
女「ご飯でも食べようか」
男「おいおい」
女「どうしたんだい?」
男「そんなに持ち合わせてないぞ」
女「ボクもだ」
男「……」
女「じゃあ、あそこでいいと思うよ?」
男「……ジャンクフードだな」
女「うん」
172:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/27(月) 00:32:41.97:IG2YL47yP
聖夜に粗末だなぁ。
まあ。
なんか、俺達らしい。
女「久しぶりの外食だ」
男「そうなのか?」
女「健康に気をつけてるからね」
ほほう……。
女「胸がないのはご愛嬌」
173:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/27(月) 00:38:33.29:IG2YL47yP
男「ああ、もう諦めた」
女「もうっ」
パシンッと。
控えめに叩かれる。
女「結構気にしてるんだから」
そうだったのか。
まあ、本当にまな板と変わらないしな。
174:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/27(月) 00:39:49.77:IG2YL47yP
口調も相まって。
男の娘みたい。
まあ、ついてないけど。
女「人をジロジロ見て、視姦するつもりかい?」
男「しねぇよ」
女「言えば脱ぐよ?」
言わない。
175:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/27(月) 00:42:35.43:IG2YL47yP
女「くちゅん」
男「ほらほら」
さらに脱げない状況になってるぞ。
女「ノーパンはきついね」
男「」
そうだった。
177:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/27(月) 01:00:27.29:IG2YL47yP
男「どうするんだよ」
女「じゃあ、ご飯の前にランジェリーショップはどうだい?」
男「ふざけるな」
女「ふざけてないよ」
むしろベストだよ、と。
肩をすくめて言った。
男「まあ、確かに」
女「目の保養になるよ?」
お前の中の俺は一体どれだけ変態なのか。
179:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/27(月) 01:08:16.41:IG2YL47yP
女「君の危惧していることはわかるよ」
男「なんだ」
女「ボクが着替えている間、君は一人になる」
男「うむ」
女「それは恥ずかしいだろう?」
そうだな。
やはり、恥ずかしい。
女「そういう時はね」
181:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/27(月) 01:29:18.65:IG2YL47yP
男「どうするんだ」
女「思いっきり開き直って、物色すればいい」
できるか!
男「何考えてるんだよ!」
女「最高の策だと思うよ?」
男「俺はいいと思わん」
182:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/27(月) 01:36:29.86:IG2YL47yP
男「なんでそんな変態にならなきゃいけないんだ」
女「男性用ブラというものがあるんだよ?」
男「それは知ってる」
女「着けてるのかい?」
男「なんでそうなる」
知ってるだけだ。
184:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/27(月) 02:20:59.01:IG2YL47yP
女「この前屈辱的なことが起きてね」
男「ん?」
女「店員さんはボクのバストをサイズを測ったときのことだ。着けられるサイズのを探してくれているのに、どうもチラチラと目線が動いている」
男「それがどうかしたのか?」
女「その店員さんは、男性用ブラをずっと見ていたんだ」
……ぷっ。
女「確かにないのは認めよう。それでも、さすがに酷いだろう?」
男「……」
女「……笑うのかい?」
あ、凄い冷めた顔だ。
186:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/27(月) 02:42:11.51:IG2YL47yP
男「最近の俺は、小さな胸もちょっとイケるんだぞ」
女「本当かい?」
すっごく目がキラキラしてやがる。
男「ああ、本当だ。嘘をつく意味がない」
女「そうかそうかぁ……そうなのかぁ……」
この上なく嬉しいようだ。
187:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/27(月) 02:44:16.71:IG2YL47yP
女「あぁ~……早く下着を穿きたい! 着けたい!」
男「ちょっと待て」
女「?」
男「お前、下だけだろ、忘れたの?」
女「言い忘れていたね」
……まさか。
女「上も忘れてしまった」
馬鹿だ!
188:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/27(月) 02:47:16.28:IG2YL47yP
女「参ったよ」
つまりこいつは。
サンタのこの服一枚ってことか。
男「とんだ変態じゃねえか!」
女「変態だよ?」
否定しろ!
189:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/27(月) 02:50:37.79:IG2YL47yP
男「お前には恥じらいはないのか」
女「どんなものでも興奮に変えられる」
男「順応な変態だな!」
女「順応な変態です」
男「はぁ……」
女「臨機応変態です」
男「五字熟語作ってんじゃねえ!」
191:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/27(月) 02:54:04.53:IG2YL47yP
男「……ほら、着いたぞ」
女「うん」
そんなこんなでランジェリーショップ。
聖夜の夜にランジェリー。
聖夜の夜にランデブー。
……忘れよう。
俺の彼女が変態だということは、忘れ――
女「ノーパンノーブラでランジェリーショップなんて、興奮するね」
――られそうもない。
192:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/27(月) 02:57:44.38:IG2YL47yP
男「ほら、行って来い」
女「え?」
きょとんとしてる。
男「俺は中に入らない」
女「ど、どうして?」
すっごく不安そうな顔。
男「恥ずかしい」
女「だ、男性用のブラ……」
男「買わないぞ!?」
193:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/27(月) 03:02:07.56:IG2YL47yP
女「サンタのコスプレをしたノーパンノーブラの彼女を、たった一人で行かせるのかい?」
声でけぇ!
男「ああ、わかった! 入る入る入る!」
女「は、初めてなんだけど……」
男「そっちじゃねえ!」
女「優しく……」
男「否定しただろうが!」
196:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/27(月) 03:17:01.96:IG2YL47yP
聖夜なのにこんなに卑猥な話ばかりしたくねぇよ!
女「ボクとは遊びだったっていうのかい!?」
男「遊びだったらまず体目当てだろ!」
女「そ、そんな目で見ていたのか……」
男「見てねぇよ! 純粋に好きだよ!」
女「え……」
ポロリと。
本音がこぼれた。
女「ふふっ……ふふふっ……」
不気味な笑い声だ。
197:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/27(月) 03:26:47.49:IG2YL47yP
女「ボクも大好きだよ」
男「お、おう……」
話が急すぎて困る。
女「さて、それじゃあ入るか」
男「おう」
突っ込みパート終了……か?
207:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/27(月) 12:47:49.22:IG2YL47yP
男「……」
なんだ、この妖艶とした雰囲気は!
女「入るのは初めてかい?」
男「当たり前だ!」
女「良かった、童貞なんだね」
男「やめろ」
女「ランジェリー童貞卒業だね」
ああああ、人見てるだろうが!
208:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/27(月) 12:53:34.18:IG2YL47yP
それにその言い方は。
俺がこれからランジェリーを穿くみたいじゃねえか。
やめろよ。
ランジェリーショップ童貞卒業にしろよ。
いや、その言い方をまずやめろよ。
女「君の好きな色の下着にしてあげよう」
いらねぇよ。
222:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/27(月) 20:18:19.04:IG2YL47yP
女「君は……迷彩柄が好きだったっけ?」
どこ情報だ。
男「違う」
女「虹色? それとも、どどめ色かな?」
なんて色をチョイスしやがる。
女「あ、茶色だっけ? でもボクはそっち系はわからないんだ」
俺もそっち系は無理だ。
239:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/28(火) 00:10:07.28:MRIEuq/wP
女「なんて、ね」
そう言って。
一つの下着を取って見せる。
女「君は白が好きなんだよね」
……。
その通りである。
しかし。
俺、言ったっけ?
241:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/28(火) 00:19:06.49:MRIEuq/wP
女「君はわかりやすくて嬉しいよ」
ニコッと笑う。
怖いぞ。
男「……」
女「ふふ、そんなに凝視しないでくれよ」
エッチだなぁ、と。
妖艶な微笑みを浮かべている。
245:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/28(火) 00:22:50.86:MRIEuq/wP
男「はっ、俺はまだ好きなんて言ってないぜ?」
女「おや、そうだね」
そうだ、勝手に決め付けるな。
すでに俺は結構他のお客さんの視線に耐え切れてないんだから。
女「やはり、ノーパンが好きなんだよね?」
男「いえ、白が好きです」
やられた。
247:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/28(火) 00:30:49.42:MRIEuq/wP
くそ。
ノーパンなんて言ったら。
俺の体力は持たないだろう。
視線に対するダメージは相当である。
女「ふふっ、素直でよろしい」
そう言って。
やつはそこで。
俺の目の前で。
その下着を穿いた。
249:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/28(火) 00:35:36.78:MRIEuq/wP
俺に対する視線が。
さらに攻撃的になる。
女「うん、良いフィット感だ」
じゃねぇよ。
男「お前、馬鹿……」
女「どうだい?」
チラリと。
スカートをめくる。
250:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/28(火) 00:42:21.89:MRIEuq/wP
女「似合うかな?」
勘違いしないでいただきたい。
こいつが、自分でめくったのである。
女「純白のボクだ」
男「いい加減にしろ!」
女「いい加減(で俺の息子を綺麗)にしろ?」
なんだよその括弧!
252:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/28(火) 00:47:01.08:MRIEuq/wP
女「じゃあ、脱いでくれ」
男「そのまま話を進めるな」
女「君が言ったんだろう!」
怒られた。
勝手なやつだ。
男「それより、穿くなら試着室行け!」
女「一緒に入ってくれるかい?」
男「アホか!」
253:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/28(火) 01:11:48.14:MRIEuq/wP
女「む、なら入らない」
なにムキになってんだよ。
男「一緒に入ったら試着室の意味がないだろう!」
女「どうせ君にしか見せるつもりはない」
いやいやいやいや。
それは違うよね?
全然違うよね?
254:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/28(火) 01:14:51.47:MRIEuq/wP
下着の意味が違うよね?
男「はぁ……勝手にしろ」
女「それは困る」
男「は?」
女「それはつまり、君がボクのことを見放すということだろう?」
自由でいいじゃねえか。
女「ボクは君に見ていて欲しい。だからこそちょっかいを出しているんだ」
かまってちゃんめ。
255:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/28(火) 01:17:30.15:MRIEuq/wP
というか。
ちょっかいの範疇を超えてる。
男「範疇を超えすぎだろ」
女「は、半チュー!?」
男「え?」
女「完全なキス……そうか、なるほど……」
ああ、またなんか変な感じになってる。
258:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/28(火) 01:36:43.97:MRIEuq/wP
女「さあ!」
唇を尖らせている。
勘違い甚だしい。
男「ふざけるな」
女「あれ?」
すっごいきょとん顔。
女「パーフェクトキッスは?」
男「知らん」
話が一向に進まない。
259:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/28(火) 01:39:33.84:MRIEuq/wP
男「いいから、お前は下着を買えよ!」
女「今日はクリスマスだよ」
男「……」
もう、過ぎてるけどな。
おっと。
なんでもないなんでもない。
そう、クリスマス。
260:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/28(火) 01:44:43.01:MRIEuq/wP
女「メタ表現は感心しないよ」
悪かった。
男「……わかった、買ってやる」
女「そうか……それじゃあ」
そして。
やつは俺の目の前で下着を脱ぎ。
女「脱ぎたてホヤホヤだ」
差し出してきた。
262:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/28(火) 02:22:01.53:MRIEuq/wP
男「え?」
女「買ってきて」
男「帰る」
女「買える」
男「ちげえ」
こんなこと言うのは失礼だけど。
こいつ、狂ってる。
263:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/28(火) 02:38:43.50:MRIEuq/wP
男「もう、駄目だ」
女「クンカクンカしたいかい?」
男「しねぇよ」
クンカクンカって。
どんな嗅ぎ方だ。
女「嗅いでもいいんだよ?」
これ、売り物だぞ。
265:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/28(火) 02:42:13.55:MRIEuq/wP
女「どうせ買うんだ」
男「……」
俺は黙って下着をやつに押し付けた。
男「面倒見切れん」
そう言って。
俺はランジェリーショップを出ようとした。
266:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/28(火) 02:50:24.69:MRIEuq/wP
女「おや」
後ろから声が聞こえる。
知ったことか。
こんな聖夜に。
俺は怒りの感情を抑えることができなかった。
ここまで面倒な奴だったとは。
俺は思っていなかった。
267:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/28(火) 02:51:45.12:MRIEuq/wP
ギュッと。
後ろから抱かれる。
女「逃がさないよ」
そう言って。
ぐいぐいと引っ張っている。
小さい体で頑張って引っ張っているが、まったく意味はない。
女「えいっ、えいっ」
無駄だ無駄だ。
268:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/28(火) 02:56:54.30:MRIEuq/wP
女「……行っちゃヤダ」
男「……」
くそ、むかつくぜ。
本当に腹が立つ。
腹が立腹。
これは間違いか。
269:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/28(火) 02:59:18.50:MRIEuq/wP
さっきまでむかつくやつは。
こうやって後ろで俺を捕まえているやつは。
一言で。
俺の胸を鷲掴みするがごとく。
キュンキュンさせる。
すでにやつは半泣き状態である。
女「下着は自分で買うから、行かないでくれ」
男「……おう」
あーやだやだ。
可愛いじゃねえか、くそう。
272:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/28(火) 03:21:33.54:MRIEuq/wP
そして
女「調子に乗ってしまった」
男「乗りすぎだ」
女「どうですマスオさん、一杯」
男「ノリスケだ」
女「君の上に……」
男「乗客拒否!」
273:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/28(火) 03:34:07.98:MRIEuq/wP
女「これで準備が整ったね」
男「あん?」
女「純白サンタクロースです」
パンツを見せるな。
女「純潔サンタクロースです」
上目遣いをするな。
女「純血サンタクロースです」
お前……きてないよな?
274:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/28(火) 03:43:33.87:MRIEuq/wP
女「もしかしたら、この純白が、純血に変わる可能性がある」
やめろ、生々しい。
女「ボクはタンポンだ」
男「俺はゆたんぽだ」
女「ふふ、確かに暖かい」
……タンポンなのか。
302:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/28(火) 17:45:52.59:MRIEuq/wP
そんなことはどうでもいい。
男「じゃあ、レシート出せ」
女「え?」
男「金出してやるから」
女「玉を出してくれるのかい?」
なんでそっちになってんだよ。
女「いや、いいよ」
男「なんで?」
女「一緒に入ってくれただけで十分だから」
なんだそりゃ。
303:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/28(火) 17:50:47.75:MRIEuq/wP
女「レシートも貰ってないし」
男「……」
というか。
財布、持ってたんだな。
落としたけど。
いや。
ここは書いてるやつの事情なんて挟まなくていいんだ。
メタ、良くない。
306:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/28(火) 18:00:15.16:MRIEuq/wP
男「それじゃあ、これからどうする?」
女「君の言われるがままに」
男「俺が決めていいのか?」
俺はすでに帰りたいんだが。
女「うん、君から動いてくれ」
……なんか、引っかかる言い方だ。
女「ゆっくり動いてくれよ?」
引っかかるどころか、その通りだった。
308:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/28(火) 18:10:23.79:MRIEuq/wP
女「さて」
腕を組もうとしてきた。
すかさずかわす。
女「む」
もう一度。
かわす。
女「むむむ」
すっごい笑顔で「むむむ」と言われても。
311:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/28(火) 18:33:05.00:MRIEuq/wP
女「意地悪だね」
男「お前が言うか」
お前の方が意地が悪い。
女「ボクは肘が悪いんだ」
語感だけで言ったなこいつ。
女「膝が……悪いんだ」
老人か。
313:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/28(火) 18:43:54.54:MRIEuq/wP
そう言って。
ストンと。
地べたに腰を下ろした。
女「ああ、いたい……」
男「お、おい」
女「もう、駄目だ」
ま、マジだったのか?
316:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/28(火) 18:59:49.67:MRIEuq/wP
女「いたいよ……」
おいおい。
膝痛いとか。
本当に年寄りか。
男「ったく……ほら」
女「?」
男「おぶってやるよ」
女「いいのかい?」
男「……歩けないだろ」
319:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/28(火) 19:28:35.31:MRIEuq/wP
女「ふふっ」
ラッキー、と。
俺の背中に体を預けた。
女「君は優しいね」
男「ふんっ」
女「ボクは君と『いたい』と言っただけなのに」
男「」
だまされた。
321:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/28(火) 20:36:23.70:MRIEuq/wP
男「……謀ったな」
女「ふふふ」
キュッと抱きしめられ。
耳の近くでささやかれる。
女「優しい男の子は、モテるよ」
……。
その情報、俺にはいらないだろ。
322:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/28(火) 20:44:03.70:MRIEuq/wP
俺には、な。
……。
お惚気です。ごめん。
女「えっと」
男「ん?」
女「やっぱり、小さいんだね」
何がだよ?
323:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/28(火) 20:52:22.24:MRIEuq/wP
男「どういうことだ?」
女「さっき、下着を買っただろう?」
男「お、おう」
女「実は、結局ブラは買ってないんだ」
男「……」
ああ、そういうことか。
感触ゼロだ。
329:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/28(火) 22:28:10.81:MRIEuq/wP
女「残念だ、非常に」
男「別に良いじゃねえか」
女「乳首はこんなに感じているのに」
なんつー告白だ。
女「こすれて変な気持ちだよ」
生々しいって。
339:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/29(水) 00:47:30.67:ml/viCuG0
342:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/29(水) 00:50:24.18:vlht2MleO
女「体が熱くなってきた」
男「ええい、降ろすぞ」
それはいやだ、と。
力強く後ろから抱き締められる。
甘いにおいがする。
男「甘ったるいにおいがするぞ」
女「どこかで料理でもしているのかな?」
お前だお前。
346:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/29(水) 01:21:43.73:lbCENRjNP
男「お前、香水とかつけてるのか?」
女「つけている女性がいいのかい?」
つけていないけれど、と。
不安そうな顔で言った。
男「どうしたんだよ?」
女「だから、つけている女性が……いいのかい?」
348:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/29(水) 01:28:53.00:lbCENRjNP
不安そうな顔がより深刻になる。
男「別にそんなことはないけど」
女「はっきりしてくれ、そして好きな匂いを教えてくれ」
男「……」
そんなこと。
俺が決めることじゃない。
お前はお前でいいと思うんだが。
350:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/29(水) 01:37:14.62:lbCENRjNP
女「ボクは君の好みでいたいんだ」
男「……」
嬉しいんだけど。
なんか、それは違う。
女「だから……」
男「お前はお前だ。俺が決めることじゃない」
女「でも……」
男「あっ、でも黒の下着はやめろよ。お前じゃあまだセクシーさが足りない」
女「む、それには異議ありだ」
352:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/29(水) 01:45:33.42:lbCENRjNP
男「お前のどこにセクシーがある」
女「頑張れば谷間ができる」
男「頑張れ」
女「感度がいい」
男「それは……セクシーか?」
女「じゃあ、ボクにどのような魅力があって、君はボクと付き合ってるんだ!?」
わりと本気で聞いてるみたいだ。
354:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/29(水) 02:07:25.95:lbCENRjNP
男「それを聞くか?」
女「う……」
いつも気取ったやつが。
少し戸惑っているように見える。
へへへ。
男「言ってやろうか?」
女「いや、いい。なんだか怖いよ」
男「そうか、それならいい」
女「そう言われると……聞きたくなるね」
355:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/29(水) 02:12:41.59:lbCENRjNP
男「どうするんだよ?」
優位に立つのって。
こんなに嬉しいものなのか。
やはり俺はSだな。
女「わかった……聞こう」
男「よし、後悔しないな?」
女「う、うん」
356:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/29(水) 02:16:17.08:lbCENRjNP
男「言ってやろう」
女「う、うん!」
男「そんなものはない!」
女「!?」
ははは。
言ってやったぞ!
男「決め手みたいなものはない」
女「じゃあ、なんで……?」
357:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/29(水) 02:19:51.59:lbCENRjNP
気づかないのか。
いつもだったら変な勘違いとかするのに。
そんな余裕も、ないのか。
男「こうやって話してて、一緒にいて」
なんか、俺、喋ってる。
男「全部含めて、好きだ」
女「……」
驚いてる。
俺も、驚いてる。
なんだ、顔から火が出るほど恥ずかしいぞ!?
359:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/29(水) 02:33:26.77:lbCENRjNP
男「……お、おい。とりあえず飯食わないか?」
女「ボクはもうこのままLOVEなHOTELに行きたい気分だ」
上機嫌なようだ。
男「飯を食うっつっても、本当にファストフードでいいのか?」
女「うん。ボクも君もそんなに持っていないし」
ボクはさっき買っちゃったから、と。
ハニかんで言った。
360:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/29(水) 02:41:18.10:lbCENRjNP
男「ん~、ファストフードって言ってもたくさんあるぞ?」
女「そうだね。……あ」
おぶって歩いていると。
男「この音は……」
石焼き芋。
女「いいね、いかにも冬っぽい」
男「食べるか?」
女「食べたいね」
それなら、食べよう。
361:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/29(水) 02:46:01.90:lbCENRjNP
男「降りろ」
女「いいじゃないか、このままで」
暖かいし、と。
さらに強く抱かれる。
そして。
焼き芋を購入。
二本五百円くらいである。
362:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/29(水) 02:54:58.88:lbCENRjNP
実に滑稽な絵だっただろう。
サンタコスをしたおんなをおぶってる絵は。
それでも。
『カップル仲がいいね』と言われる。
そう言った途端、やつが興奮していたのは。
背中から伝わってくる以上に。
鼻息の荒さでわかった。
女「ボクたちはカップルに見えるらしい。嬉しいなぁ……嬉しいなぁ……」
……はぁ。
364:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/29(水) 03:01:26.35:lbCENRjNP
男「今度は計画を立てような」
女「ああ、そうだね」
乗り気ではないみたいだ。
男「イヤか?」
女「いや、そうじゃなくてね」
そう言って、やつは口を塞いだ。
366:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/29(水) 03:06:45.89:lbCENRjNP
男「冷えてきたな」
ヒュウッと、冷たい風が吹く。
女「ボクは君のおかげで暖かいよ」
男「そりゃ良かった」
そう言って。
俺は一つの場所に向かった。
男「とりあえず、この焼き芋を食おう」
女「ここからだと……あの公園だね」
そう。
あの公園。
367:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/29(水) 03:24:38.71:lbCENRjNP
……と、言っても。
もう跡形もないのだけれど。
男「やっぱり全部撤去されてるな」
女「そうだね」
少子化って怖いな。
女「こどもは何人欲しい?」
唐突だな。
368:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/29(水) 03:29:43.69:lbCENRjNP
男「ほれ」
女「ボクはおとこじゃないよ」
掘らなくていい。
しかも、なんでそっちの掘るなんだよ。
男「焼き芋だ焼き芋」
女「ん……大きいね」
確かに、大きな芋だった。
女「巨根……」
言うと思った。
370:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/29(水) 03:40:06.48:lbCENRjNP
さーて、俺のはっと……。
……ん?
あれ?
二つ……入ってたはずなんだが。
一つだけ?
女「あれ? 一つだけだったのかい?」
男「そうらしい」
大きくなかったら怒ってたぜ。
女「それじゃあ」
芋を真ん中でホクッと割って。
女「はい」
371:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/29(水) 03:47:15.79:lbCENRjNP
……。
女「はべないのはい?」
口に物入れながら喋るな。
男「いや……」
このシチュエーション。
すっごくいい。
はんぶんこってやつ。
最高だ。
男「いただきます」
女「ほうほ」
372:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/29(水) 03:55:50.57:lbCENRjNP
俺は。
女「?」
やつが食べている方の芋を取る。
女「ふふっ、意地悪だね」
男「こっちの方が美味そうだったからな」
女「ふふ」
間接キスだね、と。
口の周りに芋をつけながら言う。
373:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/29(水) 04:08:30.11:lbCENRjNP
男「ふんっ」
女「美味しいかい?」
男「ああ、甘くて美味しい」
女「ふふっ、良かった」
すると。
やつはいきなりハッとした。
男「どうした?」
女「芋を食べると、オナラが出ないだろうか?」
出るだろうな、生理現象だし。
374:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/29(水) 04:09:38.40:lbCENRjNP
男「出るんじゃねえの?」
女「血も出るしね」
そりゃお前だけだ。
俺は出ないぞ。
というか。
それは違う生理現象だろう。
393:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/29(水) 13:24:42.86:lbCENRjNP
女「こうやって、ここに君と一緒に入れるとは思わなかったよ」
男「どういうことだ?」
女「全ての始まりはここからだった。そして今もここにいれる」
たしかに、そうだ。
女「まあ、公園自体は無くなってしまったけどね」
男「そうだな」
397:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/29(水) 14:23:57.80:lbCENRjNP
女「公園がなくなっても、ボクは一向に構わない」
この跡地が何になろうと。
俺達には関係ない。
女「君がいなくなってしまったら、困るなぁ」
男「俺、明日いなくなるかもしれないぞ」
女「それならついて行くよ」
男「突然いなくなったら?」
女「ずっと一緒にいるよ」
そうかい。
398:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/29(水) 14:41:22.31:lbCENRjNP
女「さて」
まだ食い終わってない。
女「そろそろ、行こうか」
食い終わってないって。
男「ひょっとまへ」
女「急がなくてもいいよ、ゆっくり食べてくれ」
ニッコリしてこっちを見られると。
逆に焦っちまう。
399:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/29(水) 15:01:36.65:lbCENRjNP
男「ん……食い終わった」
女「じゃあ、行こうか」
男「おう」
と言いながら、動かない。
男「どうした?」
女「おんぶ?」
男「……わかったよ」
わがままなやつだ。
400:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/29(水) 15:08:58.84:lbCENRjNP
男「ほらよ」
女「ん……あっ」
なんだその声は。
女「うん、安定感が素晴らしい」
男「そうかい」
そして、俺は歩き出した。
401:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/29(水) 15:18:01.12:lbCENRjNP
男「お……」
女「なんだい?」
男「見ろよ、あれ」
女「……うわぁ……凄いね」
そこには。
たくさんの色で彩られた、イルミネーションであった。
女「お、降ろして」
ジタバタするな。
402:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/29(水) 15:21:32.82:lbCENRjNP
女「凄い凄い! 綺麗だねぇ」
男「そうだな」
クリスマスは。
いつも家にいたからな。
女「いつも君の家にいたから、知らなかった」
そう、こいつと一緒に。
404:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/29(水) 15:27:30.63:lbCENRjNP
女「これからは」
モジモジとするやつ。
女「君と毎年、見れるんだね」
なんだそりゃ。
男「これから毎年」
俺も何か言っておこう。
男「お前のミニスカサンタが見れるんだな」
あれ、何言ってんだ俺。
406:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/29(水) 15:43:00.26:lbCENRjNP
女「なんだ、結構好印象だったのか」
そう言って。
くるりと回ってみる。
女「ミニスカ、がいいんだね」
男「……」
俺の欲望が顕著に出ていた。
恥だ、恥。
408:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/29(水) 16:01:08.96:lbCENRjNP
女「プレゼントは何が欲しい?」
男「別に」
即答だね、と。
ちょっと怪訝そうに言った。
女「じゃあ、勝手に決めてもいいかな?」
男「ああ、いいぜ」
変なもんじゃなかったらな。
410:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/29(水) 16:13:06.77:lbCENRjNP
やつがミニスカのポケットらしき場所からリボンを取りだす。
……まさか。
そして、それを自分の頭につけて、言いやがった。
女「ボクがプレゼントだ」
……こんなことを本当に言うやつがいるとは。
男「ひ、引くわぁ……」
女「惹くかい?」
そっちじゃない。
411:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/29(水) 16:19:43.25:lbCENRjNP
女「じゃあ、ボクはゴミ箱にポイ……ということか」
男「んなわけあるか」
そう言って、どこかに行こうとしたやつの手を掴む。
女「じゃあ、どうするんだい?」
ニヤニヤするな。
男「俺のプレゼントをやろう」
このために買っておいた――恥ずかしくて言えないけど――マフラー。
412:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/29(水) 16:27:57.66:lbCENRjNP
くるりと、やつの首に巻きつける。
女「……可愛いマフラーだね」
男「……似合うかどうかはわからん」
女「ボクにもわからないよ」
そう言って、俺の目をジッと見てくる。
女「どうかな?」
414:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/29(水) 16:35:31.97:lbCENRjNP
ミニスカサンタにマフラー。
正直に言おう。
物凄い破壊力だ。
寒と暖を併せ持っていて。
そのギャップがまたいい。
男「似合ってる……ぞ?」
女「最後の疑問符はなんだい?」
うるさい。
恥ずかしくてちょっと濁したんだ。
415:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/29(水) 16:47:34.49:lbCENRjNP
男「似合ってる! これでいいか!」
恥ずかしくてなんか逆にはっきり言っちまった。
女「ふふ、顔が血みどろだよ」
顔が赤いなら赤いって言え。
どんな比喩だ。
女「ありがとう、暖かくて、最高だよ」
男「そりゃあよかった」
418:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/29(水) 16:54:46.10:lbCENRjNP
女「やっぱり、ボクをプレゼントは無し」
なんだよ。
くれよ。
いや、なんでもない。
ちょっと混乱してる。
女「だから、改めてプレゼントをあげる」
419:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/29(水) 17:00:11.81:lbCENRjNP
女「目を、つぶってくれ」
男「ん」
これはまさか……。
MASAKA??
OHSAKA!?
ちょっと待て、落ち着きましょう。
うん、一度しんこきゅ――
女「メリークリスマス」
――そう言って。
やつは俺の頬に軽くキスをした。
421:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/29(水) 17:05:14.79:lbCENRjNP
女「ふふっ」
男「……」
それだけか。
頬に軽くキスで。
おしまいなのか!?
女「さて、それじゃあ……」
納得がいかない。
俺はやつの肩を掴む。
女「ど、どうしたんだい? 怖い顔をしているよ?」
422:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/29(水) 17:08:49.46:lbCENRjNP
男「俺もプレゼントをやる」
女「いいよ。ボクは貰ったから」
男「いいから!」
奴の顔が真っ赤になる。
俺の顔もきっと紅色。
女「……」
物凄く混乱した顔のやつの唇を。
力強く、奪った。
424:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/29(水) 17:17:23.90:lbCENRjNP
女「!」
ドンッと。
強く押された。
女「馬鹿っ!」
お怒りのようだ。
息が荒い。
女「……」
早歩きで俺を置いていこうとする。
やべえ。
本気だ。
426:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/29(水) 17:31:41.83:lbCENRjNP
男「お、おい!」
女「……」
無視。
男「ちょ、ちょっと待てって!」
女「……」
スルー。
男「どうしたんだよ、いきなり!」
女「……」
受け流し、聞き流し。
433:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/29(水) 18:58:10.08:lbCENRjNP
賑やかな場を抜けて。
人気の無い場所になる。
男「おい」
早歩きなやつに。
俺も早歩きで追う。
なんか、走るのは嫌だった。
別に理由はないけど。
436:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/29(水) 19:02:37.26:lbCENRjNP
女「……!」
いきなり止まって。
俺を睨む。
男「!」
ズンズンと近づいてくる。
男「な、なんだ?」
女「馬鹿っ」
そう言って、目から涙を零した。
437:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/29(水) 19:29:44.65:lbCENRjNP
俺は。
何故怒っているのか理解できなかった。
男「な、なんで怒ってるんだよ」
いつもこんなに怒りをあらわにしないやつが。
女「怒るよ」
そう言って、涙をぬぐう。
438:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/29(水) 19:37:33.25:lbCENRjNP
女「あんなに人の多い所でキスするなんて……考えられない!」
男「」
まさか。
そんなことだったとは。
女「恥ずかしくて仕方ないだろう……」
グスグスと。
泣いている。
441:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/29(水) 19:41:10.05:lbCENRjNP
男「……悪かった」
女「ボクは怒っている」
男「そういわれてもな……」
確かに、人が多かった。
でも、そんなことで本気で怒るとは。
女「だからボクは軽く頬にチュッとしたんだ」
軽く頬にチュッ。
なんか可愛い。
443:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/29(水) 19:50:22.85:lbCENRjNP
女「それなのに君は……ふむっ!?」
やつの口を手で抑える。
男「お前が言えるのか?」
ノーパンで家にやってきて。
下着を買わそうとしたりして。
巧妙な手口でおんぶまでさせたくせに。
445:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/29(水) 19:55:09.41:lbCENRjNP
それでも俺は。
こんなに怒ってないぜ。
……まあ、下着はさすがに怒ったけど。
女「……」
男「……! おまっ!?」
突然やつは。
覆っていた俺の手を舐めた。
男「いきなりなんだよ!?」
女「しょっぱい」
もう、その時には。
奴の顔は怒りから笑顔になっていた。
446:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/29(水) 20:04:00.31:lbCENRjNP
女「そうだね、そうだ……」
男「……?」
女「確かに、ボクにも悪いところがあったね」
男「ん……そ、そうだ」
そうだぞ。
お前にもたくさんあった。
女「だからお詫びとして……その……」
またモジモジしてる。
448:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/29(水) 20:14:53.12:lbCENRjNP
背伸びをして。
俺の唇にキスをする。
女「……これで、いいかな?」
男「悪い、ちょっと気が抜けてた」
女「ええっ」
は、恥ずかしいのに……と。
可愛らしく恥じらう。
ときめいている。
450:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/29(水) 20:28:12.74:lbCENRjNP
男「本人が認めてないんだぞ」
女「わかったよ……する、するから」
こんなに困惑したやつをいまだかつて見たことがあるだろうか。
可愛い。
くそう、可愛いぞ。
男「なんだ、しないのか?」
女「こ、心の準備というものがあってだね……」
すーはーすーはーと。
深呼吸。
452:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/29(水) 20:47:30.46:lbCENRjNP
女「よし……!」
気合十分。
女「行くよ……」
そう気合の入ったやつに。
俺からキスをしかけた。
女「っ……ん」
柔らかい、唇。
小さな体を引き寄せる。
ギュッと、力強く。
絶対に離れないように。
457:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/29(水) 20:57:59.93:lbCENRjNP
女「……大胆で、強引で、積極的だね」
男「悪かったな」
女「むしろ嬉しいよ。大好き」
男「そうかい」
俺にしては確かに、凄い行動だ。
女「ねぇ、男」
男「あん?」
女「メリークリスマス」
男「おう、メリークリスマス」
458:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/29(水) 21:02:57.06:lbCENRjNP
聖夜ってのは。
こういうもんだったんだな。
男「さて、これからどうするか」
女「ボクの家に行こう」
男「はぁ? なんでだよ。こういうときくらい、外で……」
女「今日、両親がいないんだ」
男「……マジで?」
女「うん、マジで」
こんな、クリスマスだった。
END
459:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/29(水) 21:05:39.79:Myik4wzg0
妹「……納得いかない!」
男「なんだよ」
妹「次は私が……主役をやらせてもらう!」
男「えぇ……お前かよ」
妹「というわけで、ご期待ください!」
男「スレタイは?」
妹「……決まってない!」
めんどくさそうだな……。
To be continued...
470:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/29(水) 21:12:16.31:lbCENRjNP
女「君を一人にさせないためさ」
男「……」
なんか。
俺、悲しいやつみたいじゃん。
そんなことないぞ。
俺には妹がいるから、一人じゃない。
……まあ、その妹はというと。
パーティーに行ってしまったけれど。
男「俺には妹がいるから大丈夫だ」
女「そうか」
ニッコリと笑ってやがる。
なんだその笑みは。
女「さっき、君の妹くんがボクに会ったのだけれど」
……あいつ。
何出くわしてやがる。
女「これをどう説明するんだい?」
だから、笑ってたのか。
男「それは……勘違いだ」
女「勘違い?」
男「幻覚というやつだ」
女「ボクは確かに、規律正しいけれど……」
厳格じゃない。
男「で」
とりあえず聞いておこう。
女「なんだい?」
男「お前、何しに来た」
女「もちろん」
一息置いて。
女「君の自慰を……」
俺は受話器を置こうとした。
女「待ってくれ、受話器を置こうとしないでくれ」
なぜわかった。
男「いい加減にしないと、本当に家に入れないぞ」
女「入れてくれるのかい? 君の、イチモツを」
ガチャンと。
俺は受話器を置いた。
ピンポーン。
ああ、わかってる。
あいつだってことくらいは。
とりあえず、スルー。
男「俺は、出ない」
……あ。
違う意味じゃないからな。
ピンポーン。
ああ、もう。
うるさいなぁ。
俺には用があるのになー。
……。
ただ、空しいいだけだった。
インターホンの受話器を取る。
男「なんだよ」
女「さ、寒いよぉ……」
いつもとは違う声だった。
まるで別人だった。
男「……やれやれ」
受話器を置く。
そして、玄関に向かった。
ドアを開ける。
男「なんだ」
ぶるぶると震えている、やつがいた。
女「やあ」
元気そうだが。
凄く寒そうだ。
男「そんな服装で来るからだ」
女「ふふ……失敗だったよ」
いや。
時期的にはストライクなんだけどな。
季節的にミニスカはアウトだったんだ。
男「なんでそんな服装で来たんだ」
女「似合うかい?」
震えながらもポーズをとる。
女「君の大好きなミニスカートだ」
……。
男「やっぱり帰れ」
女「ただ一つの失敗は――」
俺のことは無視か。
女「パンツを穿いてくるのを忘れてしまったんだ」
俺は。
速攻で奴の肩を掴み。
家に入れた。
まさかのノーパン
24:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/24(金) 22:03:51.18:jH8+SqmiP女「ボクもおっちょこちょいだよね……おや?」
きょろきょろと周りを確認する。
女「穿いてないや否や、強引だね……」
男「馬鹿か!?」
女「馬でも鹿でもないよ」
男「文字通りに受けるな!」
女「君のならなんでも受け入れるよ」
調子狂うぞ。
女「ふふっ」
ソファに座る。
男「……はぁ」
女「ため息だね」
暖かそうだ、と。
俺の目の前に顔を近づける。
男「……なんだよ?」
女「いつもみたいに、してよ」
してよ?
女「ため息」
男「……」
いつもしてないぞ、俺。
女「暖かそうだし」
男「するかよ」
してと言われるとしたくなくなる。
それは人間の性だ。
女「寒いんだ」
男「俺に近づくな」
お前絶対今、冷たいだろ。
女「ふふっ」
また笑って、ソファに座る。
勢いよく座るあまりに、スカートがめくれかける。
女「あっ、今、目、逸らしたよね?」
不注意過ぎる。
女「まあ、とりあえず」
そう言って。
スカートを直した。
女「今日は、何の日か知ってるかい?」
男「……え?」
今日は、何の日か?
知らないなぁ。
男「わからんな」
知りたくもない。
そろそろ今年も終わりが近づいてるのはわかるけど。
女「性夜だよ」
男「それは違う」
しまった。
女「ふふ、わかってるじゃないか」
ソファから立ち上がる。
女「君と夜を共にしたい」
男「なんだそれ、ギャルゲの名前か」
女「現実逃避は良くないね」
男「……」
女「君と、出かけたいのだけれど」
ニッコリと。
堂々としている。
女「駄目かな?」
俺「……寒いし」
女「君の部屋に暖かそうなコートがあったはずだけど」
なんで知ってるんだ。
女「それを着れば、大丈夫だよ」
男「……そうだな」
女「じゃあ、行ってくれるかい?」
ウキウキしてやがる。
男「まあ待て」
女「どうしてだい? ボクはもうドキドキバクバクグチャグチャだよ」
最後の効果音なんだよ
男「そんなに楽しみなもんか?」
女「当たり前だろう? だって――」
俺に背を向け。
耳を真っ赤にし。
サンタ帽子を深くかぶり、顔を隠して。
女「――初めての、デートなんだし」
……そうだったな。
女「だから!」
そう言って、勢いよく振り向く。
しかし、帽子のせいで見えてない。
女「うわっ」
前方不注意とはこのことだ。
男「ぬがっ」
押し倒された。
男「……やれやれ」
こんなことって本当にあるのか。
ふふっ、と顔を真っ赤にして笑っている。
女「このままでいようか……?」
男「ふざけるな」
そう言って、手で顔を押してやった。
女「酷いなぁ」
何故こいつは失敗を上手くかわせるのか。
女「行ってくれるかい?」
男「ああ、わかったよ」
女「イってくれるかい?」
男「それは遠慮しておこう」
それは残念だ、と言って。
体を起こした。
男「用意してくるから、待ってろ」
女「うん」
いつもだったらついてくるのに。
今回はそんなこともなかった。
なんか落ち着いてる。
男「さて」
着替えよう。
♪。
♪。
男「ん?」
鼻歌が聞こえる。
大きくはないけれど。
あいつが歌っているのだろうが。
元気な奴だ。
男「……おし」
準備できた。
部屋を出て、やつのいるソファに。
……。
寝てやがる。
ソファに寝そべって。
やれやれ。
男「……」
結構ピチピチなやつ着てやがる。
そのせいで。
尻が強調されている。
男「……」
息子、スタンディングナウ。
考えてみろ。
親がいない。
妹もいない。
そして、俺の家である。
きっちり施錠して、窓のカーテンを閉めれば……。
……いかんいかん。
何を考えてるんだ、俺は。
これが本当の性なる夜。
っけ。
つまらん冗談だ。
考えてみろ。
谷間の無い胸!
いけすかない口調!
よだれを垂らしたアホな顔!
……アレ、この顔、可愛いな。
……ああ、くそう。
男「……」
そっと顔を近づける。
呑気な奴だ。
まったく起きそうにない。
疲れてたのだろうか。
女「終わったのかい?」
いきなり。
目を覚ました。
男「のわぁ!」
女「ふふ、ボクの顔になにかついていたのかい?」
くそ。
こいつ、寝てなかったな。
無理によだれを垂らすとは。
凄い芸当だ。
男「なんでもねぇよ」
女「そうか」
そう言って。
元気よく起き上がる。
女「もう、準備はいいのかい?」
男「とりあえずはな」
女「とりあえず……か」
中途半端で悪かったな。
女「それよりも……むぅ」
男「なんだよ?」
女「ちょっと、かっこよすぎるんじゃないかな?」
男「はぁ?」
女「見惚れてしまうくらいに、カッコイイ」
……やめろ、照れる。
女「それにくらべてボクは……」
くるくると回る。
女「サンタさんな服装だ」
男「そっちのが合ってるだろ」
女「そうだけど……もっとエロティックが良かったとか、そういうのはないのかい?」
十分だと思うけどな。
男「そんな要望はしても無駄だ」
女「どうしてだい?」
どうせお前はするから。
男「理由は特にない」
女「彼女にエッチな服装はいただけないのかな?」
男「彼女を強調するな」
むう。
俺はこいつと付き合っていていいのだろうか。
女「彼女だから仕方ないよ」
くっつくな。
男「お前いい加減にしろって」
女「んー君は暖かいねぇ」
ずっとこうしていたい、と。
恥ずかしげもなく言った。
男「ほら、でかけるぞ」
女「うんっ」
そう言うと。
すぐに離れた。
女「あっ、寒い」
結局またくっつくのか。
男「おい、これじゃあ出かけられないぞ」
女「ボクはこのままでもいいけど?」
なんでだよ。
さっきの言葉は本気だったのかよ。
女「ふふふっ」
わかった。そっちがその気なら。
女「うわっ」
俺はお姫様抱っこをした。
俺らしくないなぁ、なんか。
女「ふふ、女の子の憧れだね」
そうなのか。
女「重くないかい?」
男「全然」
女「ああ、間違えた」
どういうことだよ。
女「ふふ、なんでもないよ」
……ああ。
気づいちまった。
男「そういうことをおとこに言うな」
女「男の子にも知ってほしいのさ」
男「……」
まあ。
それがこいつのいいところなのかも。
かも、だからな。
女「それで」
男「あん?」
女「ずっとこのままなのかい?」
男「……」
すぐに降ろす。
女「ボクは君と一緒に歩きたいから、ね」
恥ずかしくないのだろうか。
女「顔真っ赤」
おっと。
男「寒いからだ」
女「見栄張っちゃって」
どこみながら行ってるんだ。
男「どこか行く予定は?」
女「一緒にいれればいい」
そうかい。
綺麗なイルミネーションを見に行きたいと言えば。
少しは可愛げがあるのに。
今の現状に満足しているようだ。
男「腕を組むな」
女「絡めているのさ」
余計に変な表現になってるぞ。
男「なんだその言い方は」
女「スパゲッティみたいなものさ」
するすると。
俺の脇腹を触る。
女「むぅ、厚着は触り心地最悪だね」
何を求めてるんだよ、お前。
女「寒くて指がかじかんでしまったよ」
男「手袋持って来いよ」
女「忘れてしまったよ」
男「……ほら」
女「おや、いいのかい?」
寒い。
女「寒くて指がかんじてしまったよ」
男「いや、それはおかしい」
女「ありがとう、これであったかあったかだよ」
男「ふんっ」
俺は寒くなるけどな。
もう冷えてきたし。
女「ふふ、それなら」
男「……んだよ」
女「君の手をボクが握ればいいんだよ」
ギュッと。
手袋をしないで握ってくる。
それが目当てだったな。
たしかに、やつの手は冷たい。
手袋意味ねぇ。
男「俺まで冷えそうだ」
女「大丈夫だよ」
どこからその自信がある。
女「ボクが発情して暖かくなるから」
いやな温まり方!
男「盛ってんじゃねぇ」
女「季節は冬だからね」
男「どういう意味だ?」
女「良く言うだろう? 体が冷たい人は心が――」
暖かいってやつか。
女「――欲情してると」
言わねぇよ。
女「性なる夜は、自慰に勤しむ……素晴らしいね」
男「聖なる夜に何をしてるんだよ」
字が違う。
女「欲情していなければできないよ?」
男「知るか」
だからと言ってさっきのお前の言葉が正当化されるわけではないと信じたい。
女「それでは問おう。君の性夜の過ごし方について!」
男「字がまずおかしい」
女「犯しい?」
男「なんでそうなる」
女「なんで早漏?」
いや。
いくらなんでもそれはない。
男「お前の耳は節穴か」
女「ボクの耳は障子さ」
男「どういうことだ?」
女「ほら、こう」
おい。
なんだその腰つきは。
どこの都知事だ。
それ以上に。
女の子がそんな動きするもんじゃありません。
男「そういうネタは抑えろ」
女「残念だ」
男「もっと楽しいことを考えようぜ」
女「楽しいこと……あっ」
男「あったか?」
なんだなんだ。
女「最近は定期的に来てくれて嬉しい」
男「何が?」
女「何って……もちろん」
……ああ。
男「把握した」
女「ふふっ」
結局そういう話かよ!
男「お前とのエロトークに花を咲かせるつもりはない」
女「じゃあ、誰だったら咲くんだい?」
男「それは……」
いや、いねぇよ。
男「妹……かな」
女「俺の妹がこんなにエロいわけがない」
言いたかっただけだろ。
女「でも、安心したよ」
男「あ?」
女「妹くんで」
男「なんでだよ?」
妹とエロトークで花が咲いたら引くだろ、普通。
女「ほら、他の女の子とかだったらね」
男「……ああ」
なるほどな。
女「それじゃあ」
男「ん」
女「ご飯でも食べようか」
男「おいおい」
女「どうしたんだい?」
男「そんなに持ち合わせてないぞ」
女「ボクもだ」
男「……」
女「じゃあ、あそこでいいと思うよ?」
男「……ジャンクフードだな」
女「うん」
聖夜に粗末だなぁ。
まあ。
なんか、俺達らしい。
女「久しぶりの外食だ」
男「そうなのか?」
女「健康に気をつけてるからね」
ほほう……。
女「胸がないのはご愛嬌」
男「ああ、もう諦めた」
女「もうっ」
パシンッと。
控えめに叩かれる。
女「結構気にしてるんだから」
そうだったのか。
まあ、本当にまな板と変わらないしな。
口調も相まって。
男の娘みたい。
まあ、ついてないけど。
女「人をジロジロ見て、視姦するつもりかい?」
男「しねぇよ」
女「言えば脱ぐよ?」
言わない。
女「くちゅん」
男「ほらほら」
さらに脱げない状況になってるぞ。
女「ノーパンはきついね」
男「」
そうだった。
男「どうするんだよ」
女「じゃあ、ご飯の前にランジェリーショップはどうだい?」
男「ふざけるな」
女「ふざけてないよ」
むしろベストだよ、と。
肩をすくめて言った。
男「まあ、確かに」
女「目の保養になるよ?」
お前の中の俺は一体どれだけ変態なのか。
女「君の危惧していることはわかるよ」
男「なんだ」
女「ボクが着替えている間、君は一人になる」
男「うむ」
女「それは恥ずかしいだろう?」
そうだな。
やはり、恥ずかしい。
女「そういう時はね」
男「どうするんだ」
女「思いっきり開き直って、物色すればいい」
できるか!
男「何考えてるんだよ!」
女「最高の策だと思うよ?」
男「俺はいいと思わん」
男「なんでそんな変態にならなきゃいけないんだ」
女「男性用ブラというものがあるんだよ?」
男「それは知ってる」
女「着けてるのかい?」
男「なんでそうなる」
知ってるだけだ。
女「この前屈辱的なことが起きてね」
男「ん?」
女「店員さんはボクのバストをサイズを測ったときのことだ。着けられるサイズのを探してくれているのに、どうもチラチラと目線が動いている」
男「それがどうかしたのか?」
女「その店員さんは、男性用ブラをずっと見ていたんだ」
……ぷっ。
女「確かにないのは認めよう。それでも、さすがに酷いだろう?」
男「……」
女「……笑うのかい?」
あ、凄い冷めた顔だ。
男「最近の俺は、小さな胸もちょっとイケるんだぞ」
女「本当かい?」
すっごく目がキラキラしてやがる。
男「ああ、本当だ。嘘をつく意味がない」
女「そうかそうかぁ……そうなのかぁ……」
この上なく嬉しいようだ。
女「あぁ~……早く下着を穿きたい! 着けたい!」
男「ちょっと待て」
女「?」
男「お前、下だけだろ、忘れたの?」
女「言い忘れていたね」
……まさか。
女「上も忘れてしまった」
馬鹿だ!
女「参ったよ」
つまりこいつは。
サンタのこの服一枚ってことか。
男「とんだ変態じゃねえか!」
女「変態だよ?」
否定しろ!
男「お前には恥じらいはないのか」
女「どんなものでも興奮に変えられる」
男「順応な変態だな!」
女「順応な変態です」
男「はぁ……」
女「臨機応変態です」
男「五字熟語作ってんじゃねえ!」
男「……ほら、着いたぞ」
女「うん」
そんなこんなでランジェリーショップ。
聖夜の夜にランジェリー。
聖夜の夜にランデブー。
……忘れよう。
俺の彼女が変態だということは、忘れ――
女「ノーパンノーブラでランジェリーショップなんて、興奮するね」
――られそうもない。
男「ほら、行って来い」
女「え?」
きょとんとしてる。
男「俺は中に入らない」
女「ど、どうして?」
すっごく不安そうな顔。
男「恥ずかしい」
女「だ、男性用のブラ……」
男「買わないぞ!?」
女「サンタのコスプレをしたノーパンノーブラの彼女を、たった一人で行かせるのかい?」
声でけぇ!
男「ああ、わかった! 入る入る入る!」
女「は、初めてなんだけど……」
男「そっちじゃねえ!」
女「優しく……」
男「否定しただろうが!」
聖夜なのにこんなに卑猥な話ばかりしたくねぇよ!
女「ボクとは遊びだったっていうのかい!?」
男「遊びだったらまず体目当てだろ!」
女「そ、そんな目で見ていたのか……」
男「見てねぇよ! 純粋に好きだよ!」
女「え……」
ポロリと。
本音がこぼれた。
女「ふふっ……ふふふっ……」
不気味な笑い声だ。
女「ボクも大好きだよ」
男「お、おう……」
話が急すぎて困る。
女「さて、それじゃあ入るか」
男「おう」
突っ込みパート終了……か?
男「……」
なんだ、この妖艶とした雰囲気は!
女「入るのは初めてかい?」
男「当たり前だ!」
女「良かった、童貞なんだね」
男「やめろ」
女「ランジェリー童貞卒業だね」
ああああ、人見てるだろうが!
それにその言い方は。
俺がこれからランジェリーを穿くみたいじゃねえか。
やめろよ。
ランジェリーショップ童貞卒業にしろよ。
いや、その言い方をまずやめろよ。
女「君の好きな色の下着にしてあげよう」
いらねぇよ。
今から帰宅して続きを書こうと思っていたのですが財布を落としてしまったため、もう少しかかりそうです……
224:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/27(月) 20:52:24.50:3nXQliiq0おまwwww
225:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/27(月) 21:00:12.44:heCNPl/V0ピンチじゃねーかwww
226:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/27(月) 21:30:14.01:A3s2Kf600お前の財布なら俺の隣で寝てるぜ
228:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/27(月) 22:05:10.32:Didz+EyD0>>226
とりあえず通報しておいた
230:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/27(月) 22:31:25.92:IG2YL47yPとりあえず通報しておいた
電車を降りた時に気づき、その時に落としたであろう店に電話したところ「見つからない」と言われ、もう一度電車に乗り、交番に行き、なんとまあ可愛らしい警察官の言った通りに届けを出した後、
もう一度落としたであろう店に行き、店員さんに尋ねるとなんとまあ可愛らしい笑顔で財布を渡していただきました。
プ○キュアのシールが貼ってあるのでちょっと冷や冷やしました。
そのあと警察に報告に行くと、眠そうな男警官になっていて少々萎えました。
帰宅後、書きたいと思います。ご迷惑をおかけしました。
231:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/27(月) 22:33:01.27:3nXQliiq0もう一度落としたであろう店に行き、店員さんに尋ねるとなんとまあ可愛らしい笑顔で財布を渡していただきました。
プ○キュアのシールが貼ってあるのでちょっと冷や冷やしました。
そのあと警察に報告に行くと、眠そうな男警官になっていて少々萎えました。
帰宅後、書きたいと思います。ご迷惑をおかけしました。
よかったないろいろと
237:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/28(火) 00:05:09.92:MRIEuq/wP女「君は……迷彩柄が好きだったっけ?」
どこ情報だ。
男「違う」
女「虹色? それとも、どどめ色かな?」
なんて色をチョイスしやがる。
女「あ、茶色だっけ? でもボクはそっち系はわからないんだ」
俺もそっち系は無理だ。
女「なんて、ね」
そう言って。
一つの下着を取って見せる。
女「君は白が好きなんだよね」
……。
その通りである。
しかし。
俺、言ったっけ?
女「君はわかりやすくて嬉しいよ」
ニコッと笑う。
怖いぞ。
男「……」
女「ふふ、そんなに凝視しないでくれよ」
エッチだなぁ、と。
妖艶な微笑みを浮かべている。
男「はっ、俺はまだ好きなんて言ってないぜ?」
女「おや、そうだね」
そうだ、勝手に決め付けるな。
すでに俺は結構他のお客さんの視線に耐え切れてないんだから。
女「やはり、ノーパンが好きなんだよね?」
男「いえ、白が好きです」
やられた。
くそ。
ノーパンなんて言ったら。
俺の体力は持たないだろう。
視線に対するダメージは相当である。
女「ふふっ、素直でよろしい」
そう言って。
やつはそこで。
俺の目の前で。
その下着を穿いた。
俺に対する視線が。
さらに攻撃的になる。
女「うん、良いフィット感だ」
じゃねぇよ。
男「お前、馬鹿……」
女「どうだい?」
チラリと。
スカートをめくる。
女「似合うかな?」
勘違いしないでいただきたい。
こいつが、自分でめくったのである。
女「純白のボクだ」
男「いい加減にしろ!」
女「いい加減(で俺の息子を綺麗)にしろ?」
なんだよその括弧!
女「じゃあ、脱いでくれ」
男「そのまま話を進めるな」
女「君が言ったんだろう!」
怒られた。
勝手なやつだ。
男「それより、穿くなら試着室行け!」
女「一緒に入ってくれるかい?」
男「アホか!」
女「む、なら入らない」
なにムキになってんだよ。
男「一緒に入ったら試着室の意味がないだろう!」
女「どうせ君にしか見せるつもりはない」
いやいやいやいや。
それは違うよね?
全然違うよね?
下着の意味が違うよね?
男「はぁ……勝手にしろ」
女「それは困る」
男「は?」
女「それはつまり、君がボクのことを見放すということだろう?」
自由でいいじゃねえか。
女「ボクは君に見ていて欲しい。だからこそちょっかいを出しているんだ」
かまってちゃんめ。
というか。
ちょっかいの範疇を超えてる。
男「範疇を超えすぎだろ」
女「は、半チュー!?」
男「え?」
女「完全なキス……そうか、なるほど……」
ああ、またなんか変な感じになってる。
女「さあ!」
唇を尖らせている。
勘違い甚だしい。
男「ふざけるな」
女「あれ?」
すっごいきょとん顔。
女「パーフェクトキッスは?」
男「知らん」
話が一向に進まない。
男「いいから、お前は下着を買えよ!」
女「今日はクリスマスだよ」
男「……」
もう、過ぎてるけどな。
おっと。
なんでもないなんでもない。
そう、クリスマス。
女「メタ表現は感心しないよ」
悪かった。
男「……わかった、買ってやる」
女「そうか……それじゃあ」
そして。
やつは俺の目の前で下着を脱ぎ。
女「脱ぎたてホヤホヤだ」
差し出してきた。
男「え?」
女「買ってきて」
男「帰る」
女「買える」
男「ちげえ」
こんなこと言うのは失礼だけど。
こいつ、狂ってる。
男「もう、駄目だ」
女「クンカクンカしたいかい?」
男「しねぇよ」
クンカクンカって。
どんな嗅ぎ方だ。
女「嗅いでもいいんだよ?」
これ、売り物だぞ。
女「どうせ買うんだ」
男「……」
俺は黙って下着をやつに押し付けた。
男「面倒見切れん」
そう言って。
俺はランジェリーショップを出ようとした。
女「おや」
後ろから声が聞こえる。
知ったことか。
こんな聖夜に。
俺は怒りの感情を抑えることができなかった。
ここまで面倒な奴だったとは。
俺は思っていなかった。
ギュッと。
後ろから抱かれる。
女「逃がさないよ」
そう言って。
ぐいぐいと引っ張っている。
小さい体で頑張って引っ張っているが、まったく意味はない。
女「えいっ、えいっ」
無駄だ無駄だ。
女「……行っちゃヤダ」
男「……」
くそ、むかつくぜ。
本当に腹が立つ。
腹が立腹。
これは間違いか。
さっきまでむかつくやつは。
こうやって後ろで俺を捕まえているやつは。
一言で。
俺の胸を鷲掴みするがごとく。
キュンキュンさせる。
すでにやつは半泣き状態である。
女「下着は自分で買うから、行かないでくれ」
男「……おう」
あーやだやだ。
可愛いじゃねえか、くそう。
そして
女「調子に乗ってしまった」
男「乗りすぎだ」
女「どうですマスオさん、一杯」
男「ノリスケだ」
女「君の上に……」
男「乗客拒否!」
女「これで準備が整ったね」
男「あん?」
女「純白サンタクロースです」
パンツを見せるな。
女「純潔サンタクロースです」
上目遣いをするな。
女「純血サンタクロースです」
お前……きてないよな?
女「もしかしたら、この純白が、純血に変わる可能性がある」
やめろ、生々しい。
女「ボクはタンポンだ」
男「俺はゆたんぽだ」
女「ふふ、確かに暖かい」
……タンポンなのか。
そんなことはどうでもいい。
男「じゃあ、レシート出せ」
女「え?」
男「金出してやるから」
女「玉を出してくれるのかい?」
なんでそっちになってんだよ。
女「いや、いいよ」
男「なんで?」
女「一緒に入ってくれただけで十分だから」
なんだそりゃ。
女「レシートも貰ってないし」
男「……」
というか。
財布、持ってたんだな。
落としたけど。
いや。
ここは書いてるやつの事情なんて挟まなくていいんだ。
メタ、良くない。
男「それじゃあ、これからどうする?」
女「君の言われるがままに」
男「俺が決めていいのか?」
俺はすでに帰りたいんだが。
女「うん、君から動いてくれ」
……なんか、引っかかる言い方だ。
女「ゆっくり動いてくれよ?」
引っかかるどころか、その通りだった。
女「さて」
腕を組もうとしてきた。
すかさずかわす。
女「む」
もう一度。
かわす。
女「むむむ」
すっごい笑顔で「むむむ」と言われても。
女「意地悪だね」
男「お前が言うか」
お前の方が意地が悪い。
女「ボクは肘が悪いんだ」
語感だけで言ったなこいつ。
女「膝が……悪いんだ」
老人か。
そう言って。
ストンと。
地べたに腰を下ろした。
女「ああ、いたい……」
男「お、おい」
女「もう、駄目だ」
ま、マジだったのか?
女「いたいよ……」
おいおい。
膝痛いとか。
本当に年寄りか。
男「ったく……ほら」
女「?」
男「おぶってやるよ」
女「いいのかい?」
男「……歩けないだろ」
女「ふふっ」
ラッキー、と。
俺の背中に体を預けた。
女「君は優しいね」
男「ふんっ」
女「ボクは君と『いたい』と言っただけなのに」
男「」
だまされた。
男「……謀ったな」
女「ふふふ」
キュッと抱きしめられ。
耳の近くでささやかれる。
女「優しい男の子は、モテるよ」
……。
その情報、俺にはいらないだろ。
俺には、な。
……。
お惚気です。ごめん。
女「えっと」
男「ん?」
女「やっぱり、小さいんだね」
何がだよ?
男「どういうことだ?」
女「さっき、下着を買っただろう?」
男「お、おう」
女「実は、結局ブラは買ってないんだ」
男「……」
ああ、そういうことか。
感触ゼロだ。
女「残念だ、非常に」
男「別に良いじゃねえか」
女「乳首はこんなに感じているのに」
なんつー告白だ。
女「こすれて変な気持ちだよ」
生々しいって。
342:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/29(水) 00:50:24.18:vlht2MleO
>>339
GJ
343:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/29(水) 01:05:37.50:zN/paAbEOGJ
>>339
まだVIPに絵師っていたのねー
GJ
349:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/29(水) 01:34:50.74:vWC890kTOまだVIPに絵師っていたのねー
GJ
>>339
おっきしたb
344:>>339 私の中で何かが目覚めた:2010/12/29(水) 01:12:56.35:lbCENRjNPおっきしたb
女「体が熱くなってきた」
男「ええい、降ろすぞ」
それはいやだ、と。
力強く後ろから抱き締められる。
甘いにおいがする。
男「甘ったるいにおいがするぞ」
女「どこかで料理でもしているのかな?」
お前だお前。
男「お前、香水とかつけてるのか?」
女「つけている女性がいいのかい?」
つけていないけれど、と。
不安そうな顔で言った。
男「どうしたんだよ?」
女「だから、つけている女性が……いいのかい?」
不安そうな顔がより深刻になる。
男「別にそんなことはないけど」
女「はっきりしてくれ、そして好きな匂いを教えてくれ」
男「……」
そんなこと。
俺が決めることじゃない。
お前はお前でいいと思うんだが。
女「ボクは君の好みでいたいんだ」
男「……」
嬉しいんだけど。
なんか、それは違う。
女「だから……」
男「お前はお前だ。俺が決めることじゃない」
女「でも……」
男「あっ、でも黒の下着はやめろよ。お前じゃあまだセクシーさが足りない」
女「む、それには異議ありだ」
男「お前のどこにセクシーがある」
女「頑張れば谷間ができる」
男「頑張れ」
女「感度がいい」
男「それは……セクシーか?」
女「じゃあ、ボクにどのような魅力があって、君はボクと付き合ってるんだ!?」
わりと本気で聞いてるみたいだ。
男「それを聞くか?」
女「う……」
いつも気取ったやつが。
少し戸惑っているように見える。
へへへ。
男「言ってやろうか?」
女「いや、いい。なんだか怖いよ」
男「そうか、それならいい」
女「そう言われると……聞きたくなるね」
男「どうするんだよ?」
優位に立つのって。
こんなに嬉しいものなのか。
やはり俺はSだな。
女「わかった……聞こう」
男「よし、後悔しないな?」
女「う、うん」
男「言ってやろう」
女「う、うん!」
男「そんなものはない!」
女「!?」
ははは。
言ってやったぞ!
男「決め手みたいなものはない」
女「じゃあ、なんで……?」
気づかないのか。
いつもだったら変な勘違いとかするのに。
そんな余裕も、ないのか。
男「こうやって話してて、一緒にいて」
なんか、俺、喋ってる。
男「全部含めて、好きだ」
女「……」
驚いてる。
俺も、驚いてる。
なんだ、顔から火が出るほど恥ずかしいぞ!?
男「……お、おい。とりあえず飯食わないか?」
女「ボクはもうこのままLOVEなHOTELに行きたい気分だ」
上機嫌なようだ。
男「飯を食うっつっても、本当にファストフードでいいのか?」
女「うん。ボクも君もそんなに持っていないし」
ボクはさっき買っちゃったから、と。
ハニかんで言った。
男「ん~、ファストフードって言ってもたくさんあるぞ?」
女「そうだね。……あ」
おぶって歩いていると。
男「この音は……」
石焼き芋。
女「いいね、いかにも冬っぽい」
男「食べるか?」
女「食べたいね」
それなら、食べよう。
男「降りろ」
女「いいじゃないか、このままで」
暖かいし、と。
さらに強く抱かれる。
そして。
焼き芋を購入。
二本五百円くらいである。
実に滑稽な絵だっただろう。
サンタコスをしたおんなをおぶってる絵は。
それでも。
『カップル仲がいいね』と言われる。
そう言った途端、やつが興奮していたのは。
背中から伝わってくる以上に。
鼻息の荒さでわかった。
女「ボクたちはカップルに見えるらしい。嬉しいなぁ……嬉しいなぁ……」
……はぁ。
男「今度は計画を立てような」
女「ああ、そうだね」
乗り気ではないみたいだ。
男「イヤか?」
女「いや、そうじゃなくてね」
そう言って、やつは口を塞いだ。
男「冷えてきたな」
ヒュウッと、冷たい風が吹く。
女「ボクは君のおかげで暖かいよ」
男「そりゃ良かった」
そう言って。
俺は一つの場所に向かった。
男「とりあえず、この焼き芋を食おう」
女「ここからだと……あの公園だね」
そう。
あの公園。
……と、言っても。
もう跡形もないのだけれど。
男「やっぱり全部撤去されてるな」
女「そうだね」
少子化って怖いな。
女「こどもは何人欲しい?」
唐突だな。
男「ほれ」
女「ボクはおとこじゃないよ」
掘らなくていい。
しかも、なんでそっちの掘るなんだよ。
男「焼き芋だ焼き芋」
女「ん……大きいね」
確かに、大きな芋だった。
女「巨根……」
言うと思った。
さーて、俺のはっと……。
……ん?
あれ?
二つ……入ってたはずなんだが。
一つだけ?
女「あれ? 一つだけだったのかい?」
男「そうらしい」
大きくなかったら怒ってたぜ。
女「それじゃあ」
芋を真ん中でホクッと割って。
女「はい」
……。
女「はべないのはい?」
口に物入れながら喋るな。
男「いや……」
このシチュエーション。
すっごくいい。
はんぶんこってやつ。
最高だ。
男「いただきます」
女「ほうほ」
俺は。
女「?」
やつが食べている方の芋を取る。
女「ふふっ、意地悪だね」
男「こっちの方が美味そうだったからな」
女「ふふ」
間接キスだね、と。
口の周りに芋をつけながら言う。
男「ふんっ」
女「美味しいかい?」
男「ああ、甘くて美味しい」
女「ふふっ、良かった」
すると。
やつはいきなりハッとした。
男「どうした?」
女「芋を食べると、オナラが出ないだろうか?」
出るだろうな、生理現象だし。
男「出るんじゃねえの?」
女「血も出るしね」
そりゃお前だけだ。
俺は出ないぞ。
というか。
それは違う生理現象だろう。
女「こうやって、ここに君と一緒に入れるとは思わなかったよ」
男「どういうことだ?」
女「全ての始まりはここからだった。そして今もここにいれる」
たしかに、そうだ。
女「まあ、公園自体は無くなってしまったけどね」
男「そうだな」
女「公園がなくなっても、ボクは一向に構わない」
この跡地が何になろうと。
俺達には関係ない。
女「君がいなくなってしまったら、困るなぁ」
男「俺、明日いなくなるかもしれないぞ」
女「それならついて行くよ」
男「突然いなくなったら?」
女「ずっと一緒にいるよ」
そうかい。
女「さて」
まだ食い終わってない。
女「そろそろ、行こうか」
食い終わってないって。
男「ひょっとまへ」
女「急がなくてもいいよ、ゆっくり食べてくれ」
ニッコリしてこっちを見られると。
逆に焦っちまう。
男「ん……食い終わった」
女「じゃあ、行こうか」
男「おう」
と言いながら、動かない。
男「どうした?」
女「おんぶ?」
男「……わかったよ」
わがままなやつだ。
男「ほらよ」
女「ん……あっ」
なんだその声は。
女「うん、安定感が素晴らしい」
男「そうかい」
そして、俺は歩き出した。
男「お……」
女「なんだい?」
男「見ろよ、あれ」
女「……うわぁ……凄いね」
そこには。
たくさんの色で彩られた、イルミネーションであった。
女「お、降ろして」
ジタバタするな。
女「凄い凄い! 綺麗だねぇ」
男「そうだな」
クリスマスは。
いつも家にいたからな。
女「いつも君の家にいたから、知らなかった」
そう、こいつと一緒に。
女「これからは」
モジモジとするやつ。
女「君と毎年、見れるんだね」
なんだそりゃ。
男「これから毎年」
俺も何か言っておこう。
男「お前のミニスカサンタが見れるんだな」
あれ、何言ってんだ俺。
女「なんだ、結構好印象だったのか」
そう言って。
くるりと回ってみる。
女「ミニスカ、がいいんだね」
男「……」
俺の欲望が顕著に出ていた。
恥だ、恥。
女「プレゼントは何が欲しい?」
男「別に」
即答だね、と。
ちょっと怪訝そうに言った。
女「じゃあ、勝手に決めてもいいかな?」
男「ああ、いいぜ」
変なもんじゃなかったらな。
やつがミニスカのポケットらしき場所からリボンを取りだす。
……まさか。
そして、それを自分の頭につけて、言いやがった。
女「ボクがプレゼントだ」
……こんなことを本当に言うやつがいるとは。
男「ひ、引くわぁ……」
女「惹くかい?」
そっちじゃない。
女「じゃあ、ボクはゴミ箱にポイ……ということか」
男「んなわけあるか」
そう言って、どこかに行こうとしたやつの手を掴む。
女「じゃあ、どうするんだい?」
ニヤニヤするな。
男「俺のプレゼントをやろう」
このために買っておいた――恥ずかしくて言えないけど――マフラー。
くるりと、やつの首に巻きつける。
女「……可愛いマフラーだね」
男「……似合うかどうかはわからん」
女「ボクにもわからないよ」
そう言って、俺の目をジッと見てくる。
女「どうかな?」
ミニスカサンタにマフラー。
正直に言おう。
物凄い破壊力だ。
寒と暖を併せ持っていて。
そのギャップがまたいい。
男「似合ってる……ぞ?」
女「最後の疑問符はなんだい?」
うるさい。
恥ずかしくてちょっと濁したんだ。
男「似合ってる! これでいいか!」
恥ずかしくてなんか逆にはっきり言っちまった。
女「ふふ、顔が血みどろだよ」
顔が赤いなら赤いって言え。
どんな比喩だ。
女「ありがとう、暖かくて、最高だよ」
男「そりゃあよかった」
女「やっぱり、ボクをプレゼントは無し」
なんだよ。
くれよ。
いや、なんでもない。
ちょっと混乱してる。
女「だから、改めてプレゼントをあげる」
女「目を、つぶってくれ」
男「ん」
これはまさか……。
MASAKA??
OHSAKA!?
ちょっと待て、落ち着きましょう。
うん、一度しんこきゅ――
女「メリークリスマス」
――そう言って。
やつは俺の頬に軽くキスをした。
女「ふふっ」
男「……」
それだけか。
頬に軽くキスで。
おしまいなのか!?
女「さて、それじゃあ……」
納得がいかない。
俺はやつの肩を掴む。
女「ど、どうしたんだい? 怖い顔をしているよ?」
男「俺もプレゼントをやる」
女「いいよ。ボクは貰ったから」
男「いいから!」
奴の顔が真っ赤になる。
俺の顔もきっと紅色。
女「……」
物凄く混乱した顔のやつの唇を。
力強く、奪った。
女「!」
ドンッと。
強く押された。
女「馬鹿っ!」
お怒りのようだ。
息が荒い。
女「……」
早歩きで俺を置いていこうとする。
やべえ。
本気だ。
男「お、おい!」
女「……」
無視。
男「ちょ、ちょっと待てって!」
女「……」
スルー。
男「どうしたんだよ、いきなり!」
女「……」
受け流し、聞き流し。
賑やかな場を抜けて。
人気の無い場所になる。
男「おい」
早歩きなやつに。
俺も早歩きで追う。
なんか、走るのは嫌だった。
別に理由はないけど。
女「……!」
いきなり止まって。
俺を睨む。
男「!」
ズンズンと近づいてくる。
男「な、なんだ?」
女「馬鹿っ」
そう言って、目から涙を零した。
俺は。
何故怒っているのか理解できなかった。
男「な、なんで怒ってるんだよ」
いつもこんなに怒りをあらわにしないやつが。
女「怒るよ」
そう言って、涙をぬぐう。
女「あんなに人の多い所でキスするなんて……考えられない!」
男「」
まさか。
そんなことだったとは。
女「恥ずかしくて仕方ないだろう……」
グスグスと。
泣いている。
男「……悪かった」
女「ボクは怒っている」
男「そういわれてもな……」
確かに、人が多かった。
でも、そんなことで本気で怒るとは。
女「だからボクは軽く頬にチュッとしたんだ」
軽く頬にチュッ。
なんか可愛い。
女「それなのに君は……ふむっ!?」
やつの口を手で抑える。
男「お前が言えるのか?」
ノーパンで家にやってきて。
下着を買わそうとしたりして。
巧妙な手口でおんぶまでさせたくせに。
それでも俺は。
こんなに怒ってないぜ。
……まあ、下着はさすがに怒ったけど。
女「……」
男「……! おまっ!?」
突然やつは。
覆っていた俺の手を舐めた。
男「いきなりなんだよ!?」
女「しょっぱい」
もう、その時には。
奴の顔は怒りから笑顔になっていた。
女「そうだね、そうだ……」
男「……?」
女「確かに、ボクにも悪いところがあったね」
男「ん……そ、そうだ」
そうだぞ。
お前にもたくさんあった。
女「だからお詫びとして……その……」
またモジモジしてる。
背伸びをして。
俺の唇にキスをする。
女「……これで、いいかな?」
男「悪い、ちょっと気が抜けてた」
女「ええっ」
は、恥ずかしいのに……と。
可愛らしく恥じらう。
ときめいている。
男「本人が認めてないんだぞ」
女「わかったよ……する、するから」
こんなに困惑したやつをいまだかつて見たことがあるだろうか。
可愛い。
くそう、可愛いぞ。
男「なんだ、しないのか?」
女「こ、心の準備というものがあってだね……」
すーはーすーはーと。
深呼吸。
女「よし……!」
気合十分。
女「行くよ……」
そう気合の入ったやつに。
俺からキスをしかけた。
女「っ……ん」
柔らかい、唇。
小さな体を引き寄せる。
ギュッと、力強く。
絶対に離れないように。
女「……大胆で、強引で、積極的だね」
男「悪かったな」
女「むしろ嬉しいよ。大好き」
男「そうかい」
俺にしては確かに、凄い行動だ。
女「ねぇ、男」
男「あん?」
女「メリークリスマス」
男「おう、メリークリスマス」
聖夜ってのは。
こういうもんだったんだな。
男「さて、これからどうするか」
女「ボクの家に行こう」
男「はぁ? なんでだよ。こういうときくらい、外で……」
女「今日、両親がいないんだ」
男「……マジで?」
女「うん、マジで」
こんな、クリスマスだった。
END
最後の一行が見えない
460:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/29(水) 21:05:40.51:lbCENRjNP妹「……納得いかない!」
男「なんだよ」
妹「次は私が……主役をやらせてもらう!」
男「えぇ……お前かよ」
妹「というわけで、ご期待ください!」
男「スレタイは?」
妹「……決まってない!」
めんどくさそうだな……。
To be continued...
クリスマスの話をしながら、遅筆のせいですでに世の中は年末ムードであります。
ボクっ子最高です。
でも、そんなボクっ子も今回で終わり……にしようかと考えております。
やはり、マンネリというものは怖いです。
……皆さんの反響がございましたら、書きます(ボソボソ。
というか、書きたい。
>>460でいいましたが、次は妹です。
「ひひゃあ、わたくしめには妹萌えはありませぬわ!」という方。
もちろん、姉もやります(と、言ってみる)。
そんなこんなで長きにわたり保守をして下さった皆様、そして見てくださった皆様、ありがとうございました。
追伸
462:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/29(水) 21:06:20.61:fjcaABCv0ボクっ子最高です。
でも、そんなボクっ子も今回で終わり……にしようかと考えております。
やはり、マンネリというものは怖いです。
……皆さんの反響がございましたら、書きます(ボソボソ。
というか、書きたい。
>>460でいいましたが、次は妹です。
「ひひゃあ、わたくしめには妹萌えはありませぬわ!」という方。
もちろん、姉もやります(と、言ってみる)。
そんなこんなで長きにわたり保守をして下さった皆様、そして見てくださった皆様、ありがとうございました。
追伸
乙
ニヤニヤさせてもらいました
466:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/29(水) 21:08:06.39:2wJZiWI20ニヤニヤさせてもらいました
乙!
469:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/29(水) 21:12:11.12:xJql3+AGO次に期待。
乙!
471:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/29(水) 21:13:03.99:vSBtXUHr0乙!
男と女はどうやって出逢ったの?
475:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/29(水) 21:23:21.92:lbCENRjNP>>471
大したことじゃないですよ。
女が砂遊びをしているという違和感を拭い切れず、話しかけたのが最初です。
472:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/29(水) 21:18:07.37:fyZZQnXt0大したことじゃないですよ。
女が砂遊びをしているという違和感を拭い切れず、話しかけたのが最初です。
俺はボクっ子が好きなんだよ
また書いてくれお願いします
473:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/29(水) 21:18:53.96:xWLRJ+870また書いてくれお願いします
乙
だが、ボクっ娘は>>1しか書いてくれないんだよぉっ!!!!!!!
お願いしますたまにでいいんでボクっ娘も書いてください
477:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/29(水) 21:25:32.97:MgzILgsJ0だが、ボクっ娘は>>1しか書いてくれないんだよぉっ!!!!!!!
お願いしますたまにでいいんでボクっ娘も書いてください
乙!
敬語妹に期待したいww
479:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/29(水) 21:34:13.56:PpRNWaT10敬語妹に期待したいww
乙
ボクっ子書かないとか許さない
480:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/29(水) 21:41:45.21:xenmmIwY0ボクっ子書かないとか許さない
乙
こんな彼女が欲しいわ本当に
487:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/29(水) 22:11:39.47:JC+WjyGxOこんな彼女が欲しいわ本当に
全部読み終わった
最高でした乙です
489:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/29(水) 22:28:30.53:FXsUGRkz0最高でした乙です
乙
ボクっ娘もう少し書いてほしいな
491:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/29(水) 22:41:56.70:MkrlG0Xw0ボクっ娘もう少し書いてほしいな
乙
ボクっ娘はやめないで。お願い、いやお願いします。
503:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/29(水) 23:52:00.11:TKqJekac0ボクっ娘はやめないで。お願い、いやお願いします。
妹と交互がいいんじゃないかな
510:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/30(木) 00:39:09.88:bEgXEslK0大層乙であった
513:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/30(木) 00:51:10.48:70p18fEHP本当にありがとうございました!
次は妹で!
と思ったけど、正月どうしようかななんて思ってます。
振り袖姿のボクっ子もいいなぁ……なんて。
515:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/30(木) 01:09:31.91:vaHj7v4I0次は妹で!
と思ったけど、正月どうしようかななんて思ってます。
振り袖姿のボクっ子もいいなぁ……なんて。
>>513
それだっ!
517:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/30(木) 01:55:00.01:/UdCeuhD0それだっ!
>>513
それで頼む
518:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/30(木) 02:02:26.79:r7tolhO50それで頼む
>>513
なんだもう、ネタがあるんじゃないか
519:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/30(木) 02:19:48.31:saxsfWBu0なんだもう、ネタがあるんじゃないか
>>513
さぁがんばれ
525:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/30(木) 09:04:53.65:70p18fEHPさぁがんばれ
こんな汚らしいネタばかりなのにみなさん本当にありがとう。
じゃあ、とりあえず正月はボクっ子、そのあと妹で!
526:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/30(木) 10:05:46.66:/UdCeuhD0じゃあ、とりあえず正月はボクっ子、そのあと妹で!
>>525
正月が非常に楽しみだ
頑張ってくれ
正月が非常に楽しみだ
頑張ってくれ
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