- 新ジャンル「憑依懇願」
女「男クン……アレ、憑依、またできる?」
1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/19(水) 19:34:34.42:B4s0bkZv0
俺は偶然見つけた憑依の呪術を面白半分で実行してしまった。
本当にできるなんて思ってもいなかったし、単純に他人の生活を味わえたら面白そうだと思っただけ。
そのターゲットとして清楚なクラスメイト、女を選んだのも、異性のほうが面白そうであり何となく思い浮かんだ顔だったから。
それだけだった。
そして成功してしまい女に乗り移ったとき、彼女はアレをしていた。
おまけに、性欲で理性を吹っ飛ばされた彼女の同意の元で俺が致してしまった。

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4:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/19(水) 19:37:01.84:B4s0bkZv0
憑依が解け、翌日、乙女のプライバシーに踏み込んでしまったことを謝ろうとしたら、女はこう言った。
「男クン……アレ、憑依、またできる?
あ、あのね、自分の自由にできないもどかしさや体が勝手に動いて自分自身の手で色々されちゃうのが、その……すごく新鮮でドキドキしたの」
こうして、とんでもない世界の扉を開いてしまったのだった。
7:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/19(水) 19:40:37.13:B4s0bkZv0
5.愛をとりもどせ
今日も今日とて女は話しかけてきた。
表向きは日常会話に見せかけ、変態行為をほのめかす怪しげなコミュニケーションが始まる。
図書室のPCにてネットを閲覧。グロテスクな生き物の画像を鑑賞し、俺にもグロテスクであることの同意を求めてきた。
そしてボソッと「使えそう」とかほざいてやがった。
迂闊に突っ込むと、こいつはどうにかしてこれらを入手し自らに突っ込むだろう。
ウナギの前科があるのだし。
だけど完全にスルーしたら放置プレイと解釈しそれはそれで悦びやがるから何とかしなくては。
というわけでワシントン条約やら検疫やらなにやらで諭してどうにか今回は納得してもらえたが、さてはてこれからどうなることやら。
11:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/19(水) 19:45:55.35:B4s0bkZv0
かと思っていたら今度は海外の動画サイトにアクセスし、怪しげな画像をクリックした。
表示された画像では舞台に立った女性がマイクの高さを股間に合わせ、おもむろにパンツを下ろした。
それからおもちゃの笛を手に取りスカートの中へと導いて、ある作業を始めた。
集中しつつも敏感な部分から走る刺激を逃がそうとしているのか複雑に変化していた表情は、作業終了の確信とともに不敵な笑みに変わる。
ソレは、女が俺にだけ見せる表情と似ていた。
ここから先は思い出したくない。
女「今度の文化祭でさぁ……」
などと振ってきた話題との関連付けを必死で否定し、話を逸らすばかりであった。
ネットは青少年に悪影響与えすぎだ。誰か何とかしてくれ。
そして。
12:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/19(水) 19:48:34.37:B4s0bkZv0
女『あれは、小学校の時だったわ。女友ちゃんが性教育の副読本を持って遊びにきたの、お姉さんに配られたのをこっそり持ってきたんだって』
腹痛に苦しむ中、そんな発言が頭の中に響き渡り、その友達との思い出話が始まった。
13:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/19(水) 19:50:44.97:B4s0bkZv0
女友「女ちゃん、この本によれば、エッチなことを色々考えて……あの、大事なところを優しく触るんだって」
女「赤ちゃんが出てくるところだよね? いじったらダメってお母さんから聞いたんだけど」
女友「でも、気持ちいいんだって」
女「本当?」
女友「お姉ちゃんが友達と話してたんだけど、クセになっちゃうとか言ってた」
女「それって危なくない?」
女友「え? どうして?」
女「気持ちよくてクセになるものってたいてい危ないじゃん、麻薬とか。どんどんエスカレートしちゃわない?」
女友「麻薬……たしかに危ないかも」
女「でしょ? やめといたほうがいいって」
女友「でもさ、これ、学校で配ってた本なんだよ? そんな危ないことが書かれてるわけないじゃん」
女「そうかな?」
14:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/19(水) 19:55:36.49:B4s0bkZv0
女『そんなわけで、ふたりでシちゃってさ、あ、詳細は乙女の秘密よ?』
男「これだけ自分を俺にさらけ出しといて秘密も何もないだろう」
女『だって、恥ずかしい』
男「わからん、お前の基準」
女『で、終わった後なんかぐったりしちゃって、そのまま女友ちゃんも帰っちゃったんだけど副読本置き忘れて行ってね』
男「ソレ参考に更に色々やってたのか」
女『それだけじゃないよ。そのときの担任の先生が言ってたんだ。どんなことでも、ただ本に書かれたことをそのままやるんじゃなく自分なりに色々工夫してみようって』
15:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/19(水) 19:58:27.19:B4s0bkZv0
男「……で、今に至るわけか」
女『うん、結局クセになってエスカレートしちゃった♪』
男「お前って奴は……普通が一番だと思うんだがな」
女『だって、それだけじゃ芸がないから自分らしさを出そうと思って』
男「確かにこれらの行為はお前らしい、というかお前のことは変態的なオナニーを通して知ったことが大半だからなんとも」
自分らしさが大事とか言ってる偉い先生たちよ、ここに自分を見失った奴がいるぞ。
教育に関わる偉い人達、性教育について今一度、考え直す必要がありそうですというかあんたら偉いんじゃなくエロいだろ糞が。
16:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/19(水) 20:01:28.66:B4s0bkZv0
女『けど、迷惑かけないようにしてるよ?』
男「すっげぇ迷惑なんだけど、俺が」
女『あはは、男クン、がんばってくれたもんね』
TVでやってた脱出系マジックショーの話題を学校で振ってきた女。
そして帰り際、バスに駆け込み乗車する際こう言いやがった。
女「引田天功って憧れるよね」ニヤリ
そんなわけで非常に嫌な予感がしたため、自転車を漕ぎ漕ぎ帰宅するなり俺は憑依の呪術を実行していた。
女の体を制圧し指揮権を奪い、変態的なオナニーを防いだのち対話を開始するためだ。
そして手遅れだった。
18:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/19(水) 20:07:06.69:B4s0bkZv0
身体の制御を奪ったとき、視界に入る光景は風呂場。
全身にぴっちりと密着するすべすべとした衣服。
そして自由に動かせない手足と食い込む縄などの感触。
女『男キタ━━━━(゜∀゜)━━━━ッ!!』
こいつはスク水をまとった身体を自力でロープやら鎖やらで拘束していやがった。
そして冷静に状況を考える間もなく猛烈な腹痛に襲われた。
男「うぐぅ!? ちょ、お前、内臓の病気再発したんじゃないか?」
女『ありがとう心配してくれて。でも大丈夫、下見てよ』
大丈夫と言い放つこいつの頭こそ大丈夫なのかと嘆きつつ下を見ると、床の上にはイチジクのような形状のポリ容器が転がっていた。
しかも潰れているため使用済みであることがわかる。
19:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/19(水) 20:15:33.31:B4s0bkZv0
男「な、何考えてるんだお前!?」
女『ここんとこお通じが無かったのよ。きちんと出さないと体に悪いわ』
男「出してからやれよこういうことは! あ、うぉ、うひ!?」
怒鳴った拍子に出そうになったのを必死で堪えた。
女『ふーん、出してからならいいんだ?』
男「いや、そういう問題じゃねぇ。頭大丈夫かお前!」
女『多分ね。それより男クンの頭と言うか成績は大丈夫? この前の数学は赤点だったよね』
男「うぅ……それとこの変態行為と何の関係が?」
20:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/19(水) 20:18:06.13:B4s0bkZv0
女『目の前に数式書かれた紙がぶら下がってるよね? ソレの答えが、体を拘束してるロープや鎖を固定してるカギのダイヤルなんだ』
男「……コレを解けば、脱出できるってこと?」
女『そう。右手、ある程度は自由きくようになってるからね。カギにも手は届くわ。
こういう切羽詰まった状況なら真剣になれて覚えるんじゃない? アタシもそのつどヒントは出してあげるから、頑張って勉強しよ?
女の子と勉強なんて夢のような状況じゃない?』
男「コレは悪夢以外の何物でもねー!!」
21:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/19(水) 20:18:44.54:B4s0bkZv0
憑依が解けるまでまだまだ時間があり、それまでこの猛烈な便意を堪え切れるとは思えない。
俺が乙女の尊厳をぶち壊しにしたり人様の家の風呂を汚す暴挙に出るような人間ではないと信頼してくれて、しかも成績まで心配してくれる女の真心に答えねば。
などと必死に自分をごまかし数式へと集中する。
だが。
22:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/19(水) 20:22:39.96:B4s0bkZv0
女『ほらほら、お尻のコントロールがお留守になってるよ? 力抜きすぎたらいろんなのがニュルって出ちゃうよ?』
男「いろんなの……って、もしかして尻に入ってるコレ、栓じゃなかったのか!?」
気にしないようにしていた異物感と微妙な振動。
前に見たSMモノのエロビデオで、浣腸の後で尻の穴に栓して苦しませるものがあったからてっきりソレだと思っていた。
しかし、この前女の母親と食事をする羽目になったあの時と同様にただのローターだったらしい。
女『そのローターと問題の紙は紐で繋がってるから、出ちゃったら重みで一緒に落ちちゃうよ。
そうなったらカギのナンバーは0001から総当たりでいくしかないね』
男「何考えてるんだおまえわぁああああ!」
23:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/19(水) 20:26:50.76:B4s0bkZv0
ジャーラッチャーン♪
男「何だ? 携帯の……着信音?」
この曲は確か、昔のやたらとバイオレンスなアニメの曲だった。
核戦争後の荒廃した世界が舞台で、敵の体のツボのようなものを刺激すると体が爆発するというぶっ飛んだ設定の作品だ。
女『お母さんだね。アタシを家に置いてくの心配してたから、飛行機から降りるなり速攻で電話かけてきたみたい』
親は旅行に出ると言ってたから、オナニー開始する前の制圧に失敗したとしても親に目撃される心配はないと考えていたが、甘かった。
女『ほらほら、携帯も手が届くところに置いてあるから早く出てよ、お母さん心配しちゃうよ』
男「そこまで計算してやがったのかお前……」
24:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/19(水) 20:30:48.41:B4s0bkZv0
そんなわけで、なぜか快感に変化しつつある縄の痛みやら猛烈な便意やらを堪え平静を装いながら、女のお母様と母娘の語らいをする羽目になってしまった。
そうして母親が昔の友達、女友の話を出してきたのがきっかけで、電話が切れるなり女はその友達との思い出話を始め、
女『あはは、男クン、がんばってくれたもんね』
という発言の今に至るわけである。
25:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/19(水) 20:34:29.07:B4s0bkZv0
女は今、着メロがきっかけなのか頭の中で歌っている。
女『熱い心 クサリでつないでも 今は無駄だよ』
男(確かに無駄だ。女の熱いというか変態的な心は鎖なんぞで繋いだ日にゃ止められないどころか悦びに変化させるだろう)
女『邪魔する奴は指先ひとつで ダウンさ』
俺(今の俺は、指先で一突きするだけでダウンというか脱糞する。
奇妙な擬音とともにスパークのようなエフェクトがかかり、着用していたスク水の尻はあのアニメのように膨れ上がって爆裂することだろう。
カウンターでとんでもない攻撃を繰り出すというかヒリ出すことになるが、そんなの慰めにもならん)
26:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/19(水) 20:36:50.03:B4s0bkZv0
女『Youはcock! 愛で鼓動早くなる』
男「女の子がそんな下品な言葉使っちゃダメー!」
(そもそも、こいつの鼓動を速めているのは少なくとも愛ではない)
女『お前求め さまよう心 今 熱く萌えてる』
男(求められるのは、まあ、嫌ではないんだけどさ)
女『全て溶かし 無惨に飛び散るはずさ』
男(とりあえず腹の中のウ○コは浣腸液で溶けていることだろう。このままでは無残に飛び散ってしまう)
27:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/19(水) 20:38:54.11:B4s0bkZv0
女『ほらほら、デュエットしよ? 俺との愛を守る為 お前は旅立ち 自分を見失った』
俺(自覚してるなら取り戻せよ、自分を。
自棄になって俺も改変して歌う。
男「慎み忘れた顔など 見たくはないさ」
女『自分を取り戻せ~♪』
男「ノリノリだな女」
女『即興で替え歌のデュエット成功、やっぱりアタシ達って相性抜群ね♪』
男「嫌過ぎる……」
28:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/19(水) 20:40:18.65:B4s0bkZv0
何とかならんのかこいつは。
男「でもまあ、学校ではやっぱり清楚で通してるんだから公私の区別はちゃんとしてるか」
女『……』
男「どうした?」
女『この前、お母さんとご飯一緒に食べたでしょ? ノーパンで、アソコにローター入れたまま』
男「……ああ」
女『ドキドキしたでしょ?』
男「……した」
女『もっとドキドキするような』
男「やめろー!」
29:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/19(水) 20:42:13.80:B4s0bkZv0
麻薬と同じだ。どんどんエスカレートしてやがる。
俺がなんとか止めてやらねばならないようだ。
……放っておいたら放置プレイと解釈してよりいっそう昂ぶられるのが嫌だからだ。
決してこいつが放っておけない、いや、放っておけないからやってるわけだが。
それは俺がこいつを好きになったからではなく、道を踏み外していくクラスメイトを一人の人間として放っておけないからだ。
女『ほらほら、またお尻のコントロールがお留守になってるよ?』
必死に見知らぬ誰かへの言い訳をしていたが女の言葉で我に帰り、括約筋を大活躍させる。
ローターの振動による快感をモロに拾い上げてしまうがそれを堪え、脱出のためのヒントが書かれた紙へ神経を集中させる。
これなんて引田天功?
誰か助けて。
30:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/19(水) 20:47:30.33:B4s0bkZv0
男「まったく、よくこういうの思いつくなお前」
女『あはは、入院してた時いろんな穴にチューブ突っ込まれてたし、手術の前は年頃でうっすらと生えてきたアソコの毛も剃られちゃったし。
それに珍しい症例ってことでいろんな人に見られて目覚めちゃった。テヘ♪』
男「テヘじゃねぇ」
女『あと、検査の前にお腹の中空っぽにしなきゃならないから浣腸されちゃったんだ。
だけど、お薬がまんべんなくいきわたるまで我慢しててって言ってた看護婦さん、急患が入ってその対応に行ったままアタシのこと忘れちゃってね』
男「おいおい」
女『おトイレいつまで我慢してればいいかわかんなくて、そのうち少しでも動いたらお漏らししちゃいそうになっちゃってさ、あの時のドキドキがクセになっちゃった♪』
とんでもねえ医療事故だ、どう責任とるつもりだ看護婦さん。
31:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/19(水) 20:51:18.56:B4s0bkZv0
男「これが原体験か。それにしたってエスカレートさせすぎだろ」
女『ぐふふ、蛇の道はヘビってね』
こいつが歩む道は一体どこへ通じているのだろう。
そして、俺をどこへいざなおうというのだろう。
乗りかかった船ってやつで、俺が何とかしてやらねばならないんだろうか。
面白半分に憑依の呪術を実行した報いか。
男「……これも人生か」
女『な~に達観したこと言ってるんだか』
男「こうやって気を逸らさないと……う、うぐ!? ダメ、もうダメ!」
女『勝手にお尻の穴が開いてくぅ……出ちゃう……ああっ……出ちゃう……♪』
男「嬉しそうに言うな変態!」
合掌。
35:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/19(水) 21:50:02.95:B4s0bkZv0
6.おれがあいつで あいつはあいつで
刺々しい空気が立ち込めた教室から、女は足早に立ち去る。
級友♀「一夫クンのこと、少しは罪悪感感じてるのかな?」
女の背中を冷たい目で見送った級友は、一つの席を見る。
空席となっているソレは酷い落書きが行われていた。
キモイ、ウザイといったありがちなものの中でも特徴的なものはこれだった。
『デベソの一夫ちゃん』
『女と一緒に寝て寝小便w』
『女は俺の嫁w』
女モノのパンツを穿いた一夫のイラストと共に『チンチンがなくなったぁ!』という台詞。
『私もこういうのが欲しい』などと言いながら一夫のチンコを引っ張る女、そして悶える一夫のイラスト。
36:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/19(水) 21:51:36.23:B4s0bkZv0
その席の主、一夫は転校生だった。
新学期に転入してきた彼が自己紹介したとき、女が彼の様々な過去を皆の前で暴露したのだ。
大きくなったらあんたのお嫁さんになるって言ってキスしたとか、一緒に昼寝して寝小便して女のパンツを代わりに穿かされたとか。
おまけに彼は帰宅してから小便しようとしてナニを取り出せず、なくなったと騒いだとのこと。
リス組にいたというから幼稚園時代の話らしい。
だが、幼馴染で懐かしかったと楽しげに語る女と違い、一夫は今だにコンプレックスだったらしく激しくうろたえ、ムキになって否定していた。
その様が、虐めという行為を楽しく感じる手合いの嗜虐心を激しく刺激してしまい、今に至る。
37:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/19(水) 21:55:17.78:B4s0bkZv0
それと共に女も孤立するようになった。
一夫をからかったりしていた者は多数になるが、あることに気づき、女から離れていったのだ。
無理もない。あいつに迂闊に自分のことを話したら、変に誇張され最悪のタイミングで暴露される危険性がある。
本人に悪気がない以上は反省も改善も見込めない。そのため警戒されているのだ。
級友♀「男クン、どうする? もうあの子とは関わらないほうがいいと思うんだけど」
今日も今日とて女は一夫に謝罪するよう数名から勧告されたのだが、笑い飛ばせない一夫が悪いなどと自己正当化に明け暮れたためクラスは険悪な空気に包まれたのだった。
どうするか? 決まっていた。
38:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/19(水) 21:56:39.66:B4s0bkZv0
女『……何よ、来ないでよ』
憑依の呪術を実行し、暗転した視界が復活したとき、女からの不満げな声が脳裏に響き渡った。
憑依を嫌がられるのは今回が初めてだった。
男「こんなときは流石にアレはしないか」
女『アタシを何だと思ってるの』
男「変態」
女『馬鹿っ!』
こうして、クラスにたちこめた刺々しい空気の中ではできなかった対話が始まった。
39:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/19(水) 22:03:28.83:B4s0bkZv0
やはり、女は過去の暴露を悪意なしに行っており、それを反省はしていなかった。
そして、掘り下げて話をするうちに意外な事実が浮上した。
女もまた、イジメを受けた経験があったという。
元々この町に住んでいて低学年の頃は俺と同じ学校だったが、高学年になってからターゲットとなり転校。
だが転校先でも再発し、親の仕事の都合もあって中学時代にこの町に戻ることになったという。
女『ウザいとか空気読めないとか言ってのけ者にされて、頑張って皆に合わせようとしたけどみんな冷たい態度取るようになって。
先生も味方してくれなくて、被害者はアタシなのに、アタシに転校するよう薦めて……』
こうして女の話を聞いていたが、一夫の一件を見てある仮説に思い当たり、ソレを語った。
40:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/19(水) 22:08:10.54:B4s0bkZv0
女はあんな調子で、皆から聞き出した、本人にとっては隠しておきたい過去を暴露しまくっていたのでは?
空気読めないという批判は、TPOをわきまえず配慮に欠けた行動や言動に対するものだったのでは?
こうして嫌われてしまったのにしつこく接点を持とうとする行為をうざったく感じたのでは?
のけ者にするというのも、ただ単に自衛のため距離とっただけでは?
教師が転校薦めたのも、どうしようもないくらいに人間関係が悪化してしまったためであり、環境変えて学校生活を1からやり直した方が建設的だと思ったのでは?
男「もっとも、そこんとこわかってないから同じことの繰り返しで転校先でも……」
女『うるさいうるさいうるさい!』
41:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/19(水) 22:11:33.92:B4s0bkZv0
女の絶叫で時間を迎えたのか憑依は解けた。
女が孤立した事態をどうにかするため、この前イジメ問題を論ずる掲示板を覗いてみたところ、さまざまな事例が挙げられていた。
その中のひとつは女の一件と共通項がいくつかあったから参考になるかと思ったのだが、受け売りじゃダメか。
42:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/19(水) 22:12:35.23:B4s0bkZv0
あの掲示板でも、こういった具合に被害者とされる側にも非があるという意見に対し激しく噛みつく人がいた。
イジメられた経験ないからそんな事が言えるんだ、と。
その人の言う通り、経験なしの理屈じゃ説得力はないのだろう。
だが、そうしたら誰が言えばいいだろう?
なまじ経験してしまったら、被害意識に囚われた側に過剰に肩入れしてしまい、公正な判断は難しくなるかもしれない。
しかし経験がなければ説得力がないとしたら?
なにより、女が孤立してしまった今、対話のチャンネルを持っているのは親と俺だけなのだ。
決してこいつが放っておけない、いや、放っておけないからやってるわけだがそれは俺がこいつを好きになったからではなく、孤立したクラスメイトを一人の人間として放っておけないからだ。
43:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/19(水) 22:14:23.11:B4s0bkZv0
そんなわけで今日も今日とて性懲りもなく憑依による対話を試みるが、平行線をたどる。
そんなとき、彼女の母親から押入れの整理を頼まれた。
幸い母親は用事で出かけたため、作業の間も対話することができた。だが、頑なになった女にはなかなか言葉が届かない。
そんなとき、持ち上げたダンボールは湿気を吸っていたのか底が抜けた。
ぶちまけられた内容物の中のノートに目を向けたとき……。
44:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/19(水) 22:18:26.35:B4s0bkZv0
女『ギエエエエエ! ソレはまさか黒歴史ノート!』
男「黒歴史ノート?」
女『片隅で忘れていた記憶が再び蘇る! 見てはイケナイ! そう本能が叫んでいる!』
男「そう言われると見たくなっちゃうな……」
女『引っ越しの時に消失したと思っていた負の遺産が何故今になって! ゆうま リル パキちゃん! アタシを助けてぇー!』
男「……どんな代物だ? お袋さんに見られたら『女、話があるからちょっとココに来て座りなさい』とか言われちゃう内容か?」
女『誰が座るものですか! 黒歴史ノートで家族会議なんて集団レイプそのもの!』
男「そういう方向の恥ずかしさは悦びに繋がらないのか……奥が深い」
女『畜生イヤな汗が出てきやがった! 当時のアタシは……』
46:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/19(水) 22:21:52.09:B4s0bkZv0
様々なアニメやゲームのタイトルをまくしたてる。
体の制御は俺が奪っているはずなのに、確かに妙な汗が出てきた。
女『やめて、そんなの広げて見ないで! 秘密の部分なの!』
本人は目を逸らしたい代物のようだが、体の制御は俺が奪っているため否応なしに女の意識にもこのノートの内容が見せつけられることになる。
47:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/19(水) 22:24:13.57:B4s0bkZv0
男「乙女の大事な部分を俺に任せて色々要求してきたくせに、こういうのはダメなのか」
女『だ、だって、アレは誰でもすることだけどコレは違うもの!』
男「いや、お前のアレは誰でもやるレベルを超越してる。なになに……?
我、銀月に導かれし者 永劫の眠り、絶対凍土北風の使い手也! 『ノーザンテラレイド』炎系に大ダメージ?」
女『ギョェェェエ呪文朗読ギゴゴゴゴゴ! 炎系じゃなくてアタシに大ダメージ! 三年前のアタシよ喜べ! この呪文はスゴイ威力だ!』
男「三年前ってことは中学二年か。文字通りの中二病か。女の子でも罹患することはあるんだな。
で、だ。この『煉獄火炎灼鎌』ってなんて読むんだ?」
女『……メギド』
深く謝罪し、ノートを閉じた。
48:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/19(水) 22:31:00.61:B4s0bkZv0
しばらくしてどうにかパニックは収まった。
女『孤立したけど、溶け込むきっかけ作ろうとコレ書いて、皆に見せて回ったの』
男「……そうか。それで、どうなった?」
女「ドン引きされた」
男「だよなー」
俺が知る女とはどうもイメージが違う。
学校での清楚な態度は女なりに自重した結果のようだが、問題の本質を理解してなかったために一夫の一件でボロが出たようだ。
おーいTVや新聞なんかでもっともらしいコメントしてる偉い人達よ。
個性が大事とかみんな違ってていいとか言ったり、普通ってのをバカにしたり、自分らしさを出そうとか言っててさ、ソレ真に受けたこいつは自分を見失ったぞ。
おまけに居場所も失ったぞ。
どうすんだこれ。
49:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/19(水) 22:35:09.62:B4s0bkZv0
男「こういう具合に恥ずかしい過去を蒸しかえされたらたまらんだろ」
女『……うん。でもさ、アタシと違って一夫クンのは子供の頃の話だよ?』
男「子供の頃、か。でも、あいつにとってはそうでもなかったみたいだぞ」
女「え?」
男「女子は知らなくても仕方ないか。あいつ、デベソじゃないんだ」
女「じゃ、人違いだったの?」
男「違う。体育の着替えで、誰かがふざけてあいつを羽交い絞めにしてTシャツを捲り上げたんだ」
女『そしたら、普通のおへそだったの?』
男「ああ、普通のヘソにしてたんだ」
50:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/19(水) 22:46:53.43:B4s0bkZv0
女『してた?』
男「その周辺に、目立たないよう工夫されてたけどメスの跡があった。割と新しいものだった。この意味、わかるか?』
女『そ、それじゃぁ……』
男「お前にとっては幼馴染である証拠のひとつでしかなかったんだろうけど、一夫にとってはそうまでして切り捨てたい過去だったんだ」
女『……』
男「あいつは、お前との一件が延々と尾を引いてイジメのターゲットにされてたかもしれない。
この町は小さくて、小、中とほとんど同じメンバーで持ち上がる。
こういう場合、一旦ターゲットにされたらなかなか抜け出せないって聞いたことがある」
女『……』
51:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/19(水) 22:47:34.84:B4s0bkZv0
男「たとえ子供の頃でも、あいつにとっては笑って話せる過去じゃなかったんだろ。
いい結末迎えないとどうしようもない、時間の長さなんて関係ないんだ」
女『……わかった。アタシ、ひどいことしてた』
男(よかった、ようやく、言葉が届いた)
女『でもさ』
男「ん?」
女『この女の子が武器になるってのは使えるよね?」
男「全っ然、懲りてないだろお前……」
52:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/19(水) 22:49:57.55:B4s0bkZv0
押入れの片づけは一段落したが、まだ憑依が解けるまで時間がありそうだ。
そこで。
男「さて、仲直りしようか」
女『……え? ちょ、ちょっと』
必死に静止を求める女を無視し、担任に電話する。
女の特訓というか調教というか、そういうののおかげで、女の振りして電話し、一夫の連絡先を知ることができた。
そして彼の家へと向かう。
53:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/19(水) 22:50:42.54:B4s0bkZv0
女『お願い、やめて、心の準備が』
男「こういうのは早いほうがいい。ヘンに前準備なんてしないで、すまないと思ったときの気持ちを素直にぶつけろ」
憑依の時間切れが近づいてきているのか、本人が激しい情動を込めて拒否しているせいなのかは不明だが体の制御はうまくいかない。
それでも根性で呼び鈴を押した。
インターホン越しにしばしのやり取りの後、一夫が出てきて、俺が彼に向かって一歩歩き出したところで憑依は解けた。
54:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/19(水) 22:52:04.43:B4s0bkZv0
そして自宅で覚醒した俺は全力で自転車を漕いでいた。
最悪の可能性に思い至ったのだ。
一夫が女を報復のターゲットにすること。
イジメの被害者が何かのきっかけで爆発したとき、歯止めが利かなくなることがある。
あいつがそうならないとなぜ言い切れる?
毎回毎回、憑依するたびにとんでもない状況に放り込まれていたわけだが、その仕返しにしてはあまりに酷な状況だった。
だいいち、その状況だって自分の意思で飛び込んだんだ。
ある意味では自業自得だったんだ。
56:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/19(水) 22:57:47.09:B4s0bkZv0
そして俺の願いが通じたのか、女は無事、家路を歩いていた。杞憂で済んだようだ。
男「よう」
女「心配してくれたんだ」
男「そりゃあ、な。ちゃんと仲直りできたのか?」
女「ウン、おかげさまで」
男「そうか」
女「そうだ、せっかくだからその自転車でアタシを乗っけてってほしいところがあるんだけど」
男「……え?」
57:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/19(水) 23:00:48.20:B4s0bkZv0
翌日、溶剤の臭いが教室に漂っていた。
虐めの主犯格であるDQN達が、女とともに一夫の机の落書きを落としている。
昨日女を連れて行った先はホームセンターだった。そこで買ったのが溶剤。
一緒に買い物ってのはカップルらしい行為だが、なんともムードもへったくれもない場所とモノであった。
改めてきちんと謝罪したことがきっかけで、女と一夫とDQN達はどうにか和解。
その際、女はあのノートを皆に見せた。
自分がどれほど酷いことをしたかを理解した、その根拠を示し、真摯に謝罪していた。
58:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/19(水) 23:09:31.63:B4s0bkZv0
あまりのイタさにいたたまれない空気が漂い、ソレを和らげようと俺も自分の黒歴史を語った。
小1の時の登校中にトゲ付きの首輪を巻いたブルドッグに追いかけられ、学校着いても追跡を振り切れず用務員さんに救出された。
その挙句に、そのことを昼の校内放送で暴露され、割と珍しい苗字だったこともあって巻き添えで恥かかされた兄と壮絶な兄弟喧嘩を繰り広げたのだった。
これがきっかけでなし崩し的に黒歴史のカミングアウト大会が始まり、どういうわけかイタければイタいほどに偉いという状況になった。
級友「ないんだ……本当にないんだ。そういうの。俺は人としてなにか欠けてるんだろうか」
担任「焦るな、まだ若いんだ。これからいくらでもチャンスはあるさ」
級友「先生ー!!」
などと、妙な慰めあいまで発生した。
59:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/19(水) 23:11:01.96:B4s0bkZv0
イタい話の中にはやたらと性的なものが多く、女同様に過激な性教育の影響が伺える。
あと、やたらと普通というものを軽視し個性をありがたがる風潮が中二病を蔓延させた模様。
そんな中、過去に意外な形でフラグを立てていたことが判明し、過去を共有していた男女同士でカップルになるというフラグ回収イベントも勃発。
それは、一夫と級友♀だった。
そして数ヵ月後。
60:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/19(水) 23:13:33.81:B4s0bkZv0
俺たちはグラウンド中央の焚き火で燃えてゆくあのノートを見つめていた。
他にも手製の人形やら絵やら意味不明のオブジェなど様々な物が燃えていた。
あのカミングアウト大会がきっかけで、学校祭におけるわがクラスの出し物は黒歴史の展示会となった。
皆で黒歴史やその証拠物件をあえて公開しあうことで、イタいのは自分だけではないと割り切る企画であった。
クラス内にとどまらず、他のクラスや教員、更には校外の一般の人からも黒歴史が寄せられ、企画は大盛況。
そして後夜祭が行われている今、企画参加者が持ち寄った黒歴史のさまざまな証拠物件がファイヤーストームにくべられていたのだ。
お炊き上げのようなものであり、過去にけじめをつけ未来へと足を踏み出そうという意図である。
カミングアウトの結果、クラスの皆は妙に結束が固くなっていた。
61:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/19(水) 23:18:02.64:B4s0bkZv0
男「雨降って地固まる、か」
女「恥ずかしくても勇気出して自分をさらけ出すのって気持ちいいね」
男「お前が言うと何かやばいぞ……」
女「そうそう、男クンの話、アタシ知ってた」
男「え?」
女「忘れちゃってたかな? ブルドッグに最初に追いかけられてたの、アタシなんだ。男クンが引きつけてくれたからアタシ助かったの」
男「そうだったのか? 追いかけられてることと放送や兄貴との喧嘩しか覚えてないんだが」
俺はミサイルのロックオン外すチャフフレアみたいなものだったらしい。
女「そっか。でも校内放送で男クンの名前を知ってさ、それからずっと、アタシにとって男クンは白馬の王子様だったんだ」
男「なんとまあ……」
俺自身が変な場面でフラグ立ててしまったものだな、などと感慨にふける暇もなく、女の顔が急接近し、唇に温かく柔らかい湿った感覚が伝わった。
元ネタ:
デスノートの台詞をコラった画像
おれがあいつであいつがおれで
62:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/19(水) 23:27:27.35:B4s0bkZv0
エピローグ
こうして、日常が戻ってきた。
日常となってしまった生活が、戻ってきた。
担任「学校近辺に痴漢が現れたので注意するように」
女「……」ニヤリ
そして休み時間。
女「ねえ男クン、豆が腐るって書いて豆腐だよね?」
男「……そうだが?」
女「豆を納めるって書いて納豆だよね?」
男「……そうだが?」
女「漢字と実際の物って意味が逆だよね?」
男「……そうだな」
そこで女はまたも不敵な笑みを浮かべ、俺は引きつった笑みを浮かべる。
傍から見ると意味不明のやり取りだが、俺には女が何を言わんとしてるのかわかってしまった。
こんな感じでわかりあいたくはなかった。
63:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/19(水) 23:30:14.38:B4s0bkZv0
そして放課後。
女「ねえ男クン、朝、ホームルームで出た話題って変質者の話だよね?」
男「……そうだが?」
女「ところで、痴漢の対義語って痴女だよね?」
男「……そうだが?」
女「でも痴女って、電車なんかでお尻触ったりするイメージじゃなくない? どちらかというと自分から見せちゃう感じだよね?」
男「……そうだな」
そこで女はまたも不敵な笑みを浮かべ、俺は引きつった笑みを浮かべる。
周りの皆は苦笑しているが、俺はそれどころじゃなかった。
64:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/19(水) 23:35:53.72:B4s0bkZv0
そして女は俺が制止する間もなくバスに乗った。
そんなわけで、またも非常に嫌な予感がするため全力で自転車を漕ぎ漕ぎ帰宅。
考えうる暴挙。
この前あいつは「恥ずかしくても勇気出して自分をさらけ出すのって気持ちいいね」などと言ってやがった。
そして今日のやり取りの関連性。放課後のアレはダメ押しだったのだろう。
そんなわけで帰宅するなり憑依の呪術を実行。
女が自分をさらけ出してしまう前に。社会通念を逸脱してしまう前に。
そして。
65:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/19(水) 23:37:39.59:B4s0bkZv0
一旦暗転していた視界が回復すると、そこは見知らぬ商店街だった。
女『男キタ━━━━(゜∀゜)━━━━ッ!!』
自分の意思で手を動かし、軽く体をまさぐってみるが着衣はこれといった異常はなく普通の制服だった。
コートをまといその下は全裸というわけではなかった。
彼女が戦闘態勢を整える前に速やかに体を占拠して指揮権を奪い、性欲に理性を溶かされることのない状況で対話を開始する。
これまで何度も試みては失敗していたミッションをついに成功させることができた。
だが。
66:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/19(水) 23:39:28.22:B4s0bkZv0
女『今回は間に合ったと思ったでしょ?』
男「うぅ……やっぱり手遅れっぽい」
下腹部と股間には、これといった異物感こそないが熱い疼きがあった。
女『もう、ね。あれこれ妄想が膨らんじゃって、それだけでスイッチ入っちゃった』
男「お前って奴は……」
女『どうするどうする? このままじゃ辛いよね? でも公衆の面前でできる?』
男「できるわけないでしょ」
ぶつぶつ独り言言ってるように見られないように、携帯の電源切ってから耳に当て、それで会話してるかのように見せかけながら対話する。
68:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/19(水) 23:40:37.27:B4s0bkZv0
女『どこかのトイレ使うって手もあるけど、他の人が用足しに来たときその人が困るよね?』
男「わかってるじゃない」
この体が満足するまで致すとしたら、相当な時間をかけてトイレの個室を占拠することになる。
俺としてはそんな暴挙は良心が咎める。そこまで計算に入れてやがったのかこいつは。
早くこいつの家に帰還し、そこで致してから対話しようとするが、ここがどこかよくわからない。
おまけに女は適当な方向を言ってはぐらかすため道に迷う。
憑依のタイムリミットを迎え俺がこの体の制御を明け渡したとき、女が何をやらかすかは想像したくもない。
69:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/19(水) 23:41:49.89:B4s0bkZv0
そんなわけで人に聞くなりなんなりしてるうちにどうにか見覚えがある公園に差し掛かった。
だが、どうにも体の制御がうまくいかなくなってきた。以前にこの体を操って一夫の家に謝罪に行った時のように。
タイムリミットが近づいてきたのか、それとも。
女『はい肉体ジャック完了~♪』
男「なっなに!?」
手足が自分の言うことを聞かなくなった。
70:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/19(水) 23:44:11.25:B4s0bkZv0
男「てっ……手が勝手にスカートにっ……!? うそ、止まらないよ、なんで?」
女『んふふ~♪ 気合入れて手足動かそうとしたら、男クンがまだアタシの中にいるままでも体の制御取り戻せるみたい。
この前、一夫クン家にいくときうまく体操れなかったでしょ? あのときの事思い出したんだ』
あのときの感覚か、アレでコツ掴みやがったな。
女『今やこの身体はアタシの思い通りなのだ、ははは』
男「やっ……ダメっ……ぱんつ見えちゃうよ?」
女『アタシが喋ってるフリで無理に女言葉使わなくていいって。それより、そこのブランコで男の子が遊んでるよね?』
男「……げ!?」
女『見えちゃうんじゃない、見せちゃうの。ほらほら、ブランコ漕ぐの止まったね、あの子たち、気づいたね。こっち、じっと見てるね』
71:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/19(水) 23:45:34.91:B4s0bkZv0
俺も気合入れて手を止めようとするが、タイムリミットが迫っているせいか体は言うことを聞かない。
スカートは捲りあがり、ただでさえスースーしてたのに今では尻に風が当たるのをありありと感じる。
俺は男なのに、この体は女のものなのに、この暴挙で女が痴女というか露出狂扱いされるようになったとしても俺は一向に困らないはずなのに、どうしても嫌と感じる。
こいつの親が悲しむのをほうっておけない、いや、そういう理屈抜きに、俺自身がものすごく恥ずかしい。
男「い……いやぁ……こんな場所で自分でパンツ見せるなんて変な子だよぉ」
女の特訓というか調教のせいなのか、この体だとどうしても女言葉で喋ってしまう。
72:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/19(水) 23:46:26.25:B4s0bkZv0
女『変じゃないもん、ちょっと個性的なだけだもん』
絶対違う。個性ってのは最低限の一般常識や社会のルールやマナーといったものを遵守した上での話だ。こいつはそれを大幅に逸脱している。
教育関係の偉い人たちよ、ここら辺、きちんと教えてやってくれ!
ガキどもがこっちを凝視し始め、脳裏に女の歓喜の声が響き渡ると共に、俺の恥辱がピークを迎えたせいかタイムリミットを迎えたせいかは不明だが意識は暗転した。
73:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/19(水) 23:51:43.42:B4s0bkZv0
そして自分の体で覚醒した俺は全力であの公園に向けて自転車を漕いでいた。
あのガキどもが興奮して女をどうこうするとは考えにくいが、逆に女があのガキどもになにかやらかす可能性はきわめて高いし、あの光景を他の人に見られてそいつから危害を加えられる可能性だって充分に考えられる。
そして公園に着くと、ブランコの前でガキどもは呆然と突っ立っていた。
駆け寄り、今わしを見かけなかったかと聞くのではなく普通に問う。
男「変な女を見かけなかったか?」
少年A「……あのおねえちゃん? なんか、見えそうで見えないとこまでスカートめくったあと、しばらくじっとしてた」
少年B「それからボクたちのとこ来て、頭なでなでしてくれてからどっかいっちゃった」
アレ以上のことはしなかったらしいが、それでもガキどもには充分すぎる刺激的な光景だったようだ。
いや、正直言って俺でもそんな光景は辛抱たまらん。
ガキどもには決して口外せずさっさと忘れるよう言い聞かせ公園を去る。
74:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/19(水) 23:56:58.62:B4s0bkZv0
女の家に向かう途中であいつの後姿を見つけ、回り込んだ。
すると、女は爽やかさと達成感に満ち溢れたすっげーイイ笑顔してやがった。
女「あ、男クン。心配してくれたんだ。ありがと」
そう言ってはにかんだ。
男「本っ当に、心配だお前」
先ほどのイイ笑顔とも、俺を不安にさせる不敵な笑みとも違う今の笑みに、不覚にも俺の胸は高まっていた。
俺はもう、こいつから逃れられないんだろうか。
神様、これが、軽はずみに憑依の呪術を実行して女の子のプライバシー侵害した報いなんですか?
完
75:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/19(水) 23:57:23.52:B4s0bkZv0
元ネタ:
憑依モノエロ漫画(タイトル失念)の1シーン
76:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/19(水) 23:59:53.88:B4s0bkZv0
憑依が解け、翌日、乙女のプライバシーに踏み込んでしまったことを謝ろうとしたら、女はこう言った。
「男クン……アレ、憑依、またできる?
あ、あのね、自分の自由にできないもどかしさや体が勝手に動いて自分自身の手で色々されちゃうのが、その……すごく新鮮でドキドキしたの」
こうして、とんでもない世界の扉を開いてしまったのだった。
※
17日の夜、
新ジャンル「憑依懇願」
というスレタイで投下した物語の続きです。
新ジャンルの定義をよくわかっていませんでした。
そのままのスレタイで立て直すのもまずいと思い、こうしました。
この物語はフィクションであり、作中に登場する人物等の設定は全て架空のものです。
実在する人物や作者の嗜好その他もろもろとは一切関係ありません。
あなたの健康と信用を損なうおそれがありますので、作中に描写された内容を実生活へ適用する際には注意しましょう。
社会のルールとマナーをまもりましょう。
本編を閲覧し、頭痛、腹痛、悪寒、食欲ならびに性欲の減退、吐き気、鳥肌、めまいなどの症状が現れた場合は直ちに閲覧を中止し、医師に相談するよう作者に勧告してください。
8:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/19(水) 19:42:50.47:B4s0bkZv017日の夜、
新ジャンル「憑依懇願」
というスレタイで投下した物語の続きです。
新ジャンルの定義をよくわかっていませんでした。
そのままのスレタイで立て直すのもまずいと思い、こうしました。
この物語はフィクションであり、作中に登場する人物等の設定は全て架空のものです。
実在する人物や作者の嗜好その他もろもろとは一切関係ありません。
あなたの健康と信用を損なうおそれがありますので、作中に描写された内容を実生活へ適用する際には注意しましょう。
社会のルールとマナーをまもりましょう。
本編を閲覧し、頭痛、腹痛、悪寒、食欲ならびに性欲の減退、吐き気、鳥肌、めまいなどの症状が現れた場合は直ちに閲覧を中止し、医師に相談するよう作者に勧告してください。
5.愛をとりもどせ
今日も今日とて女は話しかけてきた。
表向きは日常会話に見せかけ、変態行為をほのめかす怪しげなコミュニケーションが始まる。
図書室のPCにてネットを閲覧。グロテスクな生き物の画像を鑑賞し、俺にもグロテスクであることの同意を求めてきた。
そしてボソッと「使えそう」とかほざいてやがった。
迂闊に突っ込むと、こいつはどうにかしてこれらを入手し自らに突っ込むだろう。
ウナギの前科があるのだし。
だけど完全にスルーしたら放置プレイと解釈しそれはそれで悦びやがるから何とかしなくては。
というわけでワシントン条約やら検疫やらなにやらで諭してどうにか今回は納得してもらえたが、さてはてこれからどうなることやら。
かと思っていたら今度は海外の動画サイトにアクセスし、怪しげな画像をクリックした。
表示された画像では舞台に立った女性がマイクの高さを股間に合わせ、おもむろにパンツを下ろした。
それからおもちゃの笛を手に取りスカートの中へと導いて、ある作業を始めた。
集中しつつも敏感な部分から走る刺激を逃がそうとしているのか複雑に変化していた表情は、作業終了の確信とともに不敵な笑みに変わる。
ソレは、女が俺にだけ見せる表情と似ていた。
ここから先は思い出したくない。
女「今度の文化祭でさぁ……」
などと振ってきた話題との関連付けを必死で否定し、話を逸らすばかりであった。
ネットは青少年に悪影響与えすぎだ。誰か何とかしてくれ。
そして。
女『あれは、小学校の時だったわ。女友ちゃんが性教育の副読本を持って遊びにきたの、お姉さんに配られたのをこっそり持ってきたんだって』
腹痛に苦しむ中、そんな発言が頭の中に響き渡り、その友達との思い出話が始まった。
女友「女ちゃん、この本によれば、エッチなことを色々考えて……あの、大事なところを優しく触るんだって」
女「赤ちゃんが出てくるところだよね? いじったらダメってお母さんから聞いたんだけど」
女友「でも、気持ちいいんだって」
女「本当?」
女友「お姉ちゃんが友達と話してたんだけど、クセになっちゃうとか言ってた」
女「それって危なくない?」
女友「え? どうして?」
女「気持ちよくてクセになるものってたいてい危ないじゃん、麻薬とか。どんどんエスカレートしちゃわない?」
女友「麻薬……たしかに危ないかも」
女「でしょ? やめといたほうがいいって」
女友「でもさ、これ、学校で配ってた本なんだよ? そんな危ないことが書かれてるわけないじゃん」
女「そうかな?」
女『そんなわけで、ふたりでシちゃってさ、あ、詳細は乙女の秘密よ?』
男「これだけ自分を俺にさらけ出しといて秘密も何もないだろう」
女『だって、恥ずかしい』
男「わからん、お前の基準」
女『で、終わった後なんかぐったりしちゃって、そのまま女友ちゃんも帰っちゃったんだけど副読本置き忘れて行ってね』
男「ソレ参考に更に色々やってたのか」
女『それだけじゃないよ。そのときの担任の先生が言ってたんだ。どんなことでも、ただ本に書かれたことをそのままやるんじゃなく自分なりに色々工夫してみようって』
男「……で、今に至るわけか」
女『うん、結局クセになってエスカレートしちゃった♪』
男「お前って奴は……普通が一番だと思うんだがな」
女『だって、それだけじゃ芸がないから自分らしさを出そうと思って』
男「確かにこれらの行為はお前らしい、というかお前のことは変態的なオナニーを通して知ったことが大半だからなんとも」
自分らしさが大事とか言ってる偉い先生たちよ、ここに自分を見失った奴がいるぞ。
教育に関わる偉い人達、性教育について今一度、考え直す必要がありそうですというかあんたら偉いんじゃなくエロいだろ糞が。
女『けど、迷惑かけないようにしてるよ?』
男「すっげぇ迷惑なんだけど、俺が」
女『あはは、男クン、がんばってくれたもんね』
TVでやってた脱出系マジックショーの話題を学校で振ってきた女。
そして帰り際、バスに駆け込み乗車する際こう言いやがった。
女「引田天功って憧れるよね」ニヤリ
そんなわけで非常に嫌な予感がしたため、自転車を漕ぎ漕ぎ帰宅するなり俺は憑依の呪術を実行していた。
女の体を制圧し指揮権を奪い、変態的なオナニーを防いだのち対話を開始するためだ。
そして手遅れだった。
身体の制御を奪ったとき、視界に入る光景は風呂場。
全身にぴっちりと密着するすべすべとした衣服。
そして自由に動かせない手足と食い込む縄などの感触。
女『男キタ━━━━(゜∀゜)━━━━ッ!!』
こいつはスク水をまとった身体を自力でロープやら鎖やらで拘束していやがった。
そして冷静に状況を考える間もなく猛烈な腹痛に襲われた。
男「うぐぅ!? ちょ、お前、内臓の病気再発したんじゃないか?」
女『ありがとう心配してくれて。でも大丈夫、下見てよ』
大丈夫と言い放つこいつの頭こそ大丈夫なのかと嘆きつつ下を見ると、床の上にはイチジクのような形状のポリ容器が転がっていた。
しかも潰れているため使用済みであることがわかる。
男「な、何考えてるんだお前!?」
女『ここんとこお通じが無かったのよ。きちんと出さないと体に悪いわ』
男「出してからやれよこういうことは! あ、うぉ、うひ!?」
怒鳴った拍子に出そうになったのを必死で堪えた。
女『ふーん、出してからならいいんだ?』
男「いや、そういう問題じゃねぇ。頭大丈夫かお前!」
女『多分ね。それより男クンの頭と言うか成績は大丈夫? この前の数学は赤点だったよね』
男「うぅ……それとこの変態行為と何の関係が?」
女『目の前に数式書かれた紙がぶら下がってるよね? ソレの答えが、体を拘束してるロープや鎖を固定してるカギのダイヤルなんだ』
男「……コレを解けば、脱出できるってこと?」
女『そう。右手、ある程度は自由きくようになってるからね。カギにも手は届くわ。
こういう切羽詰まった状況なら真剣になれて覚えるんじゃない? アタシもそのつどヒントは出してあげるから、頑張って勉強しよ?
女の子と勉強なんて夢のような状況じゃない?』
男「コレは悪夢以外の何物でもねー!!」
憑依が解けるまでまだまだ時間があり、それまでこの猛烈な便意を堪え切れるとは思えない。
俺が乙女の尊厳をぶち壊しにしたり人様の家の風呂を汚す暴挙に出るような人間ではないと信頼してくれて、しかも成績まで心配してくれる女の真心に答えねば。
などと必死に自分をごまかし数式へと集中する。
だが。
女『ほらほら、お尻のコントロールがお留守になってるよ? 力抜きすぎたらいろんなのがニュルって出ちゃうよ?』
男「いろんなの……って、もしかして尻に入ってるコレ、栓じゃなかったのか!?」
気にしないようにしていた異物感と微妙な振動。
前に見たSMモノのエロビデオで、浣腸の後で尻の穴に栓して苦しませるものがあったからてっきりソレだと思っていた。
しかし、この前女の母親と食事をする羽目になったあの時と同様にただのローターだったらしい。
女『そのローターと問題の紙は紐で繋がってるから、出ちゃったら重みで一緒に落ちちゃうよ。
そうなったらカギのナンバーは0001から総当たりでいくしかないね』
男「何考えてるんだおまえわぁああああ!」
ジャーラッチャーン♪
男「何だ? 携帯の……着信音?」
この曲は確か、昔のやたらとバイオレンスなアニメの曲だった。
核戦争後の荒廃した世界が舞台で、敵の体のツボのようなものを刺激すると体が爆発するというぶっ飛んだ設定の作品だ。
女『お母さんだね。アタシを家に置いてくの心配してたから、飛行機から降りるなり速攻で電話かけてきたみたい』
親は旅行に出ると言ってたから、オナニー開始する前の制圧に失敗したとしても親に目撃される心配はないと考えていたが、甘かった。
女『ほらほら、携帯も手が届くところに置いてあるから早く出てよ、お母さん心配しちゃうよ』
男「そこまで計算してやがったのかお前……」
そんなわけで、なぜか快感に変化しつつある縄の痛みやら猛烈な便意やらを堪え平静を装いながら、女のお母様と母娘の語らいをする羽目になってしまった。
そうして母親が昔の友達、女友の話を出してきたのがきっかけで、電話が切れるなり女はその友達との思い出話を始め、
女『あはは、男クン、がんばってくれたもんね』
という発言の今に至るわけである。
女は今、着メロがきっかけなのか頭の中で歌っている。
女『熱い心 クサリでつないでも 今は無駄だよ』
男(確かに無駄だ。女の熱いというか変態的な心は鎖なんぞで繋いだ日にゃ止められないどころか悦びに変化させるだろう)
女『邪魔する奴は指先ひとつで ダウンさ』
俺(今の俺は、指先で一突きするだけでダウンというか脱糞する。
奇妙な擬音とともにスパークのようなエフェクトがかかり、着用していたスク水の尻はあのアニメのように膨れ上がって爆裂することだろう。
カウンターでとんでもない攻撃を繰り出すというかヒリ出すことになるが、そんなの慰めにもならん)
女『Youはcock! 愛で鼓動早くなる』
男「女の子がそんな下品な言葉使っちゃダメー!」
(そもそも、こいつの鼓動を速めているのは少なくとも愛ではない)
女『お前求め さまよう心 今 熱く萌えてる』
男(求められるのは、まあ、嫌ではないんだけどさ)
女『全て溶かし 無惨に飛び散るはずさ』
男(とりあえず腹の中のウ○コは浣腸液で溶けていることだろう。このままでは無残に飛び散ってしまう)
女『ほらほら、デュエットしよ? 俺との愛を守る為 お前は旅立ち 自分を見失った』
俺(自覚してるなら取り戻せよ、自分を。
自棄になって俺も改変して歌う。
男「慎み忘れた顔など 見たくはないさ」
女『自分を取り戻せ~♪』
男「ノリノリだな女」
女『即興で替え歌のデュエット成功、やっぱりアタシ達って相性抜群ね♪』
男「嫌過ぎる……」
何とかならんのかこいつは。
男「でもまあ、学校ではやっぱり清楚で通してるんだから公私の区別はちゃんとしてるか」
女『……』
男「どうした?」
女『この前、お母さんとご飯一緒に食べたでしょ? ノーパンで、アソコにローター入れたまま』
男「……ああ」
女『ドキドキしたでしょ?』
男「……した」
女『もっとドキドキするような』
男「やめろー!」
麻薬と同じだ。どんどんエスカレートしてやがる。
俺がなんとか止めてやらねばならないようだ。
……放っておいたら放置プレイと解釈してよりいっそう昂ぶられるのが嫌だからだ。
決してこいつが放っておけない、いや、放っておけないからやってるわけだが。
それは俺がこいつを好きになったからではなく、道を踏み外していくクラスメイトを一人の人間として放っておけないからだ。
女『ほらほら、またお尻のコントロールがお留守になってるよ?』
必死に見知らぬ誰かへの言い訳をしていたが女の言葉で我に帰り、括約筋を大活躍させる。
ローターの振動による快感をモロに拾い上げてしまうがそれを堪え、脱出のためのヒントが書かれた紙へ神経を集中させる。
これなんて引田天功?
誰か助けて。
男「まったく、よくこういうの思いつくなお前」
女『あはは、入院してた時いろんな穴にチューブ突っ込まれてたし、手術の前は年頃でうっすらと生えてきたアソコの毛も剃られちゃったし。
それに珍しい症例ってことでいろんな人に見られて目覚めちゃった。テヘ♪』
男「テヘじゃねぇ」
女『あと、検査の前にお腹の中空っぽにしなきゃならないから浣腸されちゃったんだ。
だけど、お薬がまんべんなくいきわたるまで我慢しててって言ってた看護婦さん、急患が入ってその対応に行ったままアタシのこと忘れちゃってね』
男「おいおい」
女『おトイレいつまで我慢してればいいかわかんなくて、そのうち少しでも動いたらお漏らししちゃいそうになっちゃってさ、あの時のドキドキがクセになっちゃった♪』
とんでもねえ医療事故だ、どう責任とるつもりだ看護婦さん。
男「これが原体験か。それにしたってエスカレートさせすぎだろ」
女『ぐふふ、蛇の道はヘビってね』
こいつが歩む道は一体どこへ通じているのだろう。
そして、俺をどこへいざなおうというのだろう。
乗りかかった船ってやつで、俺が何とかしてやらねばならないんだろうか。
面白半分に憑依の呪術を実行した報いか。
男「……これも人生か」
女『な~に達観したこと言ってるんだか』
男「こうやって気を逸らさないと……う、うぐ!? ダメ、もうダメ!」
女『勝手にお尻の穴が開いてくぅ……出ちゃう……ああっ……出ちゃう……♪』
男「嬉しそうに言うな変態!」
合掌。
6.おれがあいつで あいつはあいつで
刺々しい空気が立ち込めた教室から、女は足早に立ち去る。
級友♀「一夫クンのこと、少しは罪悪感感じてるのかな?」
女の背中を冷たい目で見送った級友は、一つの席を見る。
空席となっているソレは酷い落書きが行われていた。
キモイ、ウザイといったありがちなものの中でも特徴的なものはこれだった。
『デベソの一夫ちゃん』
『女と一緒に寝て寝小便w』
『女は俺の嫁w』
女モノのパンツを穿いた一夫のイラストと共に『チンチンがなくなったぁ!』という台詞。
『私もこういうのが欲しい』などと言いながら一夫のチンコを引っ張る女、そして悶える一夫のイラスト。
その席の主、一夫は転校生だった。
新学期に転入してきた彼が自己紹介したとき、女が彼の様々な過去を皆の前で暴露したのだ。
大きくなったらあんたのお嫁さんになるって言ってキスしたとか、一緒に昼寝して寝小便して女のパンツを代わりに穿かされたとか。
おまけに彼は帰宅してから小便しようとしてナニを取り出せず、なくなったと騒いだとのこと。
リス組にいたというから幼稚園時代の話らしい。
だが、幼馴染で懐かしかったと楽しげに語る女と違い、一夫は今だにコンプレックスだったらしく激しくうろたえ、ムキになって否定していた。
その様が、虐めという行為を楽しく感じる手合いの嗜虐心を激しく刺激してしまい、今に至る。
それと共に女も孤立するようになった。
一夫をからかったりしていた者は多数になるが、あることに気づき、女から離れていったのだ。
無理もない。あいつに迂闊に自分のことを話したら、変に誇張され最悪のタイミングで暴露される危険性がある。
本人に悪気がない以上は反省も改善も見込めない。そのため警戒されているのだ。
級友♀「男クン、どうする? もうあの子とは関わらないほうがいいと思うんだけど」
今日も今日とて女は一夫に謝罪するよう数名から勧告されたのだが、笑い飛ばせない一夫が悪いなどと自己正当化に明け暮れたためクラスは険悪な空気に包まれたのだった。
どうするか? 決まっていた。
女『……何よ、来ないでよ』
憑依の呪術を実行し、暗転した視界が復活したとき、女からの不満げな声が脳裏に響き渡った。
憑依を嫌がられるのは今回が初めてだった。
男「こんなときは流石にアレはしないか」
女『アタシを何だと思ってるの』
男「変態」
女『馬鹿っ!』
こうして、クラスにたちこめた刺々しい空気の中ではできなかった対話が始まった。
やはり、女は過去の暴露を悪意なしに行っており、それを反省はしていなかった。
そして、掘り下げて話をするうちに意外な事実が浮上した。
女もまた、イジメを受けた経験があったという。
元々この町に住んでいて低学年の頃は俺と同じ学校だったが、高学年になってからターゲットとなり転校。
だが転校先でも再発し、親の仕事の都合もあって中学時代にこの町に戻ることになったという。
女『ウザいとか空気読めないとか言ってのけ者にされて、頑張って皆に合わせようとしたけどみんな冷たい態度取るようになって。
先生も味方してくれなくて、被害者はアタシなのに、アタシに転校するよう薦めて……』
こうして女の話を聞いていたが、一夫の一件を見てある仮説に思い当たり、ソレを語った。
女はあんな調子で、皆から聞き出した、本人にとっては隠しておきたい過去を暴露しまくっていたのでは?
空気読めないという批判は、TPOをわきまえず配慮に欠けた行動や言動に対するものだったのでは?
こうして嫌われてしまったのにしつこく接点を持とうとする行為をうざったく感じたのでは?
のけ者にするというのも、ただ単に自衛のため距離とっただけでは?
教師が転校薦めたのも、どうしようもないくらいに人間関係が悪化してしまったためであり、環境変えて学校生活を1からやり直した方が建設的だと思ったのでは?
男「もっとも、そこんとこわかってないから同じことの繰り返しで転校先でも……」
女『うるさいうるさいうるさい!』
女の絶叫で時間を迎えたのか憑依は解けた。
女が孤立した事態をどうにかするため、この前イジメ問題を論ずる掲示板を覗いてみたところ、さまざまな事例が挙げられていた。
その中のひとつは女の一件と共通項がいくつかあったから参考になるかと思ったのだが、受け売りじゃダメか。
あの掲示板でも、こういった具合に被害者とされる側にも非があるという意見に対し激しく噛みつく人がいた。
イジメられた経験ないからそんな事が言えるんだ、と。
その人の言う通り、経験なしの理屈じゃ説得力はないのだろう。
だが、そうしたら誰が言えばいいだろう?
なまじ経験してしまったら、被害意識に囚われた側に過剰に肩入れしてしまい、公正な判断は難しくなるかもしれない。
しかし経験がなければ説得力がないとしたら?
なにより、女が孤立してしまった今、対話のチャンネルを持っているのは親と俺だけなのだ。
決してこいつが放っておけない、いや、放っておけないからやってるわけだがそれは俺がこいつを好きになったからではなく、孤立したクラスメイトを一人の人間として放っておけないからだ。
そんなわけで今日も今日とて性懲りもなく憑依による対話を試みるが、平行線をたどる。
そんなとき、彼女の母親から押入れの整理を頼まれた。
幸い母親は用事で出かけたため、作業の間も対話することができた。だが、頑なになった女にはなかなか言葉が届かない。
そんなとき、持ち上げたダンボールは湿気を吸っていたのか底が抜けた。
ぶちまけられた内容物の中のノートに目を向けたとき……。
女『ギエエエエエ! ソレはまさか黒歴史ノート!』
男「黒歴史ノート?」
女『片隅で忘れていた記憶が再び蘇る! 見てはイケナイ! そう本能が叫んでいる!』
男「そう言われると見たくなっちゃうな……」
女『引っ越しの時に消失したと思っていた負の遺産が何故今になって! ゆうま リル パキちゃん! アタシを助けてぇー!』
男「……どんな代物だ? お袋さんに見られたら『女、話があるからちょっとココに来て座りなさい』とか言われちゃう内容か?」
女『誰が座るものですか! 黒歴史ノートで家族会議なんて集団レイプそのもの!』
男「そういう方向の恥ずかしさは悦びに繋がらないのか……奥が深い」
女『畜生イヤな汗が出てきやがった! 当時のアタシは……』
様々なアニメやゲームのタイトルをまくしたてる。
体の制御は俺が奪っているはずなのに、確かに妙な汗が出てきた。
女『やめて、そんなの広げて見ないで! 秘密の部分なの!』
本人は目を逸らしたい代物のようだが、体の制御は俺が奪っているため否応なしに女の意識にもこのノートの内容が見せつけられることになる。
男「乙女の大事な部分を俺に任せて色々要求してきたくせに、こういうのはダメなのか」
女『だ、だって、アレは誰でもすることだけどコレは違うもの!』
男「いや、お前のアレは誰でもやるレベルを超越してる。なになに……?
我、銀月に導かれし者 永劫の眠り、絶対凍土北風の使い手也! 『ノーザンテラレイド』炎系に大ダメージ?」
女『ギョェェェエ呪文朗読ギゴゴゴゴゴ! 炎系じゃなくてアタシに大ダメージ! 三年前のアタシよ喜べ! この呪文はスゴイ威力だ!』
男「三年前ってことは中学二年か。文字通りの中二病か。女の子でも罹患することはあるんだな。
で、だ。この『煉獄火炎灼鎌』ってなんて読むんだ?」
女『……メギド』
深く謝罪し、ノートを閉じた。
しばらくしてどうにかパニックは収まった。
女『孤立したけど、溶け込むきっかけ作ろうとコレ書いて、皆に見せて回ったの』
男「……そうか。それで、どうなった?」
女「ドン引きされた」
男「だよなー」
俺が知る女とはどうもイメージが違う。
学校での清楚な態度は女なりに自重した結果のようだが、問題の本質を理解してなかったために一夫の一件でボロが出たようだ。
おーいTVや新聞なんかでもっともらしいコメントしてる偉い人達よ。
個性が大事とかみんな違ってていいとか言ったり、普通ってのをバカにしたり、自分らしさを出そうとか言っててさ、ソレ真に受けたこいつは自分を見失ったぞ。
おまけに居場所も失ったぞ。
どうすんだこれ。
男「こういう具合に恥ずかしい過去を蒸しかえされたらたまらんだろ」
女『……うん。でもさ、アタシと違って一夫クンのは子供の頃の話だよ?』
男「子供の頃、か。でも、あいつにとってはそうでもなかったみたいだぞ」
女「え?」
男「女子は知らなくても仕方ないか。あいつ、デベソじゃないんだ」
女「じゃ、人違いだったの?」
男「違う。体育の着替えで、誰かがふざけてあいつを羽交い絞めにしてTシャツを捲り上げたんだ」
女『そしたら、普通のおへそだったの?』
男「ああ、普通のヘソにしてたんだ」
女『してた?』
男「その周辺に、目立たないよう工夫されてたけどメスの跡があった。割と新しいものだった。この意味、わかるか?』
女『そ、それじゃぁ……』
男「お前にとっては幼馴染である証拠のひとつでしかなかったんだろうけど、一夫にとってはそうまでして切り捨てたい過去だったんだ」
女『……』
男「あいつは、お前との一件が延々と尾を引いてイジメのターゲットにされてたかもしれない。
この町は小さくて、小、中とほとんど同じメンバーで持ち上がる。
こういう場合、一旦ターゲットにされたらなかなか抜け出せないって聞いたことがある」
女『……』
男「たとえ子供の頃でも、あいつにとっては笑って話せる過去じゃなかったんだろ。
いい結末迎えないとどうしようもない、時間の長さなんて関係ないんだ」
女『……わかった。アタシ、ひどいことしてた』
男(よかった、ようやく、言葉が届いた)
女『でもさ』
男「ん?」
女『この女の子が武器になるってのは使えるよね?」
男「全っ然、懲りてないだろお前……」
押入れの片づけは一段落したが、まだ憑依が解けるまで時間がありそうだ。
そこで。
男「さて、仲直りしようか」
女『……え? ちょ、ちょっと』
必死に静止を求める女を無視し、担任に電話する。
女の特訓というか調教というか、そういうののおかげで、女の振りして電話し、一夫の連絡先を知ることができた。
そして彼の家へと向かう。
女『お願い、やめて、心の準備が』
男「こういうのは早いほうがいい。ヘンに前準備なんてしないで、すまないと思ったときの気持ちを素直にぶつけろ」
憑依の時間切れが近づいてきているのか、本人が激しい情動を込めて拒否しているせいなのかは不明だが体の制御はうまくいかない。
それでも根性で呼び鈴を押した。
インターホン越しにしばしのやり取りの後、一夫が出てきて、俺が彼に向かって一歩歩き出したところで憑依は解けた。
そして自宅で覚醒した俺は全力で自転車を漕いでいた。
最悪の可能性に思い至ったのだ。
一夫が女を報復のターゲットにすること。
イジメの被害者が何かのきっかけで爆発したとき、歯止めが利かなくなることがある。
あいつがそうならないとなぜ言い切れる?
毎回毎回、憑依するたびにとんでもない状況に放り込まれていたわけだが、その仕返しにしてはあまりに酷な状況だった。
だいいち、その状況だって自分の意思で飛び込んだんだ。
ある意味では自業自得だったんだ。
そして俺の願いが通じたのか、女は無事、家路を歩いていた。杞憂で済んだようだ。
男「よう」
女「心配してくれたんだ」
男「そりゃあ、な。ちゃんと仲直りできたのか?」
女「ウン、おかげさまで」
男「そうか」
女「そうだ、せっかくだからその自転車でアタシを乗っけてってほしいところがあるんだけど」
男「……え?」
翌日、溶剤の臭いが教室に漂っていた。
虐めの主犯格であるDQN達が、女とともに一夫の机の落書きを落としている。
昨日女を連れて行った先はホームセンターだった。そこで買ったのが溶剤。
一緒に買い物ってのはカップルらしい行為だが、なんともムードもへったくれもない場所とモノであった。
改めてきちんと謝罪したことがきっかけで、女と一夫とDQN達はどうにか和解。
その際、女はあのノートを皆に見せた。
自分がどれほど酷いことをしたかを理解した、その根拠を示し、真摯に謝罪していた。
あまりのイタさにいたたまれない空気が漂い、ソレを和らげようと俺も自分の黒歴史を語った。
小1の時の登校中にトゲ付きの首輪を巻いたブルドッグに追いかけられ、学校着いても追跡を振り切れず用務員さんに救出された。
その挙句に、そのことを昼の校内放送で暴露され、割と珍しい苗字だったこともあって巻き添えで恥かかされた兄と壮絶な兄弟喧嘩を繰り広げたのだった。
これがきっかけでなし崩し的に黒歴史のカミングアウト大会が始まり、どういうわけかイタければイタいほどに偉いという状況になった。
級友「ないんだ……本当にないんだ。そういうの。俺は人としてなにか欠けてるんだろうか」
担任「焦るな、まだ若いんだ。これからいくらでもチャンスはあるさ」
級友「先生ー!!」
などと、妙な慰めあいまで発生した。
イタい話の中にはやたらと性的なものが多く、女同様に過激な性教育の影響が伺える。
あと、やたらと普通というものを軽視し個性をありがたがる風潮が中二病を蔓延させた模様。
そんな中、過去に意外な形でフラグを立てていたことが判明し、過去を共有していた男女同士でカップルになるというフラグ回収イベントも勃発。
それは、一夫と級友♀だった。
そして数ヵ月後。
俺たちはグラウンド中央の焚き火で燃えてゆくあのノートを見つめていた。
他にも手製の人形やら絵やら意味不明のオブジェなど様々な物が燃えていた。
あのカミングアウト大会がきっかけで、学校祭におけるわがクラスの出し物は黒歴史の展示会となった。
皆で黒歴史やその証拠物件をあえて公開しあうことで、イタいのは自分だけではないと割り切る企画であった。
クラス内にとどまらず、他のクラスや教員、更には校外の一般の人からも黒歴史が寄せられ、企画は大盛況。
そして後夜祭が行われている今、企画参加者が持ち寄った黒歴史のさまざまな証拠物件がファイヤーストームにくべられていたのだ。
お炊き上げのようなものであり、過去にけじめをつけ未来へと足を踏み出そうという意図である。
カミングアウトの結果、クラスの皆は妙に結束が固くなっていた。
男「雨降って地固まる、か」
女「恥ずかしくても勇気出して自分をさらけ出すのって気持ちいいね」
男「お前が言うと何かやばいぞ……」
女「そうそう、男クンの話、アタシ知ってた」
男「え?」
女「忘れちゃってたかな? ブルドッグに最初に追いかけられてたの、アタシなんだ。男クンが引きつけてくれたからアタシ助かったの」
男「そうだったのか? 追いかけられてることと放送や兄貴との喧嘩しか覚えてないんだが」
俺はミサイルのロックオン外すチャフフレアみたいなものだったらしい。
女「そっか。でも校内放送で男クンの名前を知ってさ、それからずっと、アタシにとって男クンは白馬の王子様だったんだ」
男「なんとまあ……」
俺自身が変な場面でフラグ立ててしまったものだな、などと感慨にふける暇もなく、女の顔が急接近し、唇に温かく柔らかい湿った感覚が伝わった。
元ネタ:
デスノートの台詞をコラった画像
おれがあいつであいつがおれで
エピローグ
こうして、日常が戻ってきた。
日常となってしまった生活が、戻ってきた。
担任「学校近辺に痴漢が現れたので注意するように」
女「……」ニヤリ
そして休み時間。
女「ねえ男クン、豆が腐るって書いて豆腐だよね?」
男「……そうだが?」
女「豆を納めるって書いて納豆だよね?」
男「……そうだが?」
女「漢字と実際の物って意味が逆だよね?」
男「……そうだな」
そこで女はまたも不敵な笑みを浮かべ、俺は引きつった笑みを浮かべる。
傍から見ると意味不明のやり取りだが、俺には女が何を言わんとしてるのかわかってしまった。
こんな感じでわかりあいたくはなかった。
そして放課後。
女「ねえ男クン、朝、ホームルームで出た話題って変質者の話だよね?」
男「……そうだが?」
女「ところで、痴漢の対義語って痴女だよね?」
男「……そうだが?」
女「でも痴女って、電車なんかでお尻触ったりするイメージじゃなくない? どちらかというと自分から見せちゃう感じだよね?」
男「……そうだな」
そこで女はまたも不敵な笑みを浮かべ、俺は引きつった笑みを浮かべる。
周りの皆は苦笑しているが、俺はそれどころじゃなかった。
そして女は俺が制止する間もなくバスに乗った。
そんなわけで、またも非常に嫌な予感がするため全力で自転車を漕ぎ漕ぎ帰宅。
考えうる暴挙。
この前あいつは「恥ずかしくても勇気出して自分をさらけ出すのって気持ちいいね」などと言ってやがった。
そして今日のやり取りの関連性。放課後のアレはダメ押しだったのだろう。
そんなわけで帰宅するなり憑依の呪術を実行。
女が自分をさらけ出してしまう前に。社会通念を逸脱してしまう前に。
そして。
一旦暗転していた視界が回復すると、そこは見知らぬ商店街だった。
女『男キタ━━━━(゜∀゜)━━━━ッ!!』
自分の意思で手を動かし、軽く体をまさぐってみるが着衣はこれといった異常はなく普通の制服だった。
コートをまといその下は全裸というわけではなかった。
彼女が戦闘態勢を整える前に速やかに体を占拠して指揮権を奪い、性欲に理性を溶かされることのない状況で対話を開始する。
これまで何度も試みては失敗していたミッションをついに成功させることができた。
だが。
女『今回は間に合ったと思ったでしょ?』
男「うぅ……やっぱり手遅れっぽい」
下腹部と股間には、これといった異物感こそないが熱い疼きがあった。
女『もう、ね。あれこれ妄想が膨らんじゃって、それだけでスイッチ入っちゃった』
男「お前って奴は……」
女『どうするどうする? このままじゃ辛いよね? でも公衆の面前でできる?』
男「できるわけないでしょ」
ぶつぶつ独り言言ってるように見られないように、携帯の電源切ってから耳に当て、それで会話してるかのように見せかけながら対話する。
女『どこかのトイレ使うって手もあるけど、他の人が用足しに来たときその人が困るよね?』
男「わかってるじゃない」
この体が満足するまで致すとしたら、相当な時間をかけてトイレの個室を占拠することになる。
俺としてはそんな暴挙は良心が咎める。そこまで計算に入れてやがったのかこいつは。
早くこいつの家に帰還し、そこで致してから対話しようとするが、ここがどこかよくわからない。
おまけに女は適当な方向を言ってはぐらかすため道に迷う。
憑依のタイムリミットを迎え俺がこの体の制御を明け渡したとき、女が何をやらかすかは想像したくもない。
そんなわけで人に聞くなりなんなりしてるうちにどうにか見覚えがある公園に差し掛かった。
だが、どうにも体の制御がうまくいかなくなってきた。以前にこの体を操って一夫の家に謝罪に行った時のように。
タイムリミットが近づいてきたのか、それとも。
女『はい肉体ジャック完了~♪』
男「なっなに!?」
手足が自分の言うことを聞かなくなった。
男「てっ……手が勝手にスカートにっ……!? うそ、止まらないよ、なんで?」
女『んふふ~♪ 気合入れて手足動かそうとしたら、男クンがまだアタシの中にいるままでも体の制御取り戻せるみたい。
この前、一夫クン家にいくときうまく体操れなかったでしょ? あのときの事思い出したんだ』
あのときの感覚か、アレでコツ掴みやがったな。
女『今やこの身体はアタシの思い通りなのだ、ははは』
男「やっ……ダメっ……ぱんつ見えちゃうよ?」
女『アタシが喋ってるフリで無理に女言葉使わなくていいって。それより、そこのブランコで男の子が遊んでるよね?』
男「……げ!?」
女『見えちゃうんじゃない、見せちゃうの。ほらほら、ブランコ漕ぐの止まったね、あの子たち、気づいたね。こっち、じっと見てるね』
俺も気合入れて手を止めようとするが、タイムリミットが迫っているせいか体は言うことを聞かない。
スカートは捲りあがり、ただでさえスースーしてたのに今では尻に風が当たるのをありありと感じる。
俺は男なのに、この体は女のものなのに、この暴挙で女が痴女というか露出狂扱いされるようになったとしても俺は一向に困らないはずなのに、どうしても嫌と感じる。
こいつの親が悲しむのをほうっておけない、いや、そういう理屈抜きに、俺自身がものすごく恥ずかしい。
男「い……いやぁ……こんな場所で自分でパンツ見せるなんて変な子だよぉ」
女の特訓というか調教のせいなのか、この体だとどうしても女言葉で喋ってしまう。
女『変じゃないもん、ちょっと個性的なだけだもん』
絶対違う。個性ってのは最低限の一般常識や社会のルールやマナーといったものを遵守した上での話だ。こいつはそれを大幅に逸脱している。
教育関係の偉い人たちよ、ここら辺、きちんと教えてやってくれ!
ガキどもがこっちを凝視し始め、脳裏に女の歓喜の声が響き渡ると共に、俺の恥辱がピークを迎えたせいかタイムリミットを迎えたせいかは不明だが意識は暗転した。
そして自分の体で覚醒した俺は全力であの公園に向けて自転車を漕いでいた。
あのガキどもが興奮して女をどうこうするとは考えにくいが、逆に女があのガキどもになにかやらかす可能性はきわめて高いし、あの光景を他の人に見られてそいつから危害を加えられる可能性だって充分に考えられる。
そして公園に着くと、ブランコの前でガキどもは呆然と突っ立っていた。
駆け寄り、今わしを見かけなかったかと聞くのではなく普通に問う。
男「変な女を見かけなかったか?」
少年A「……あのおねえちゃん? なんか、見えそうで見えないとこまでスカートめくったあと、しばらくじっとしてた」
少年B「それからボクたちのとこ来て、頭なでなでしてくれてからどっかいっちゃった」
アレ以上のことはしなかったらしいが、それでもガキどもには充分すぎる刺激的な光景だったようだ。
いや、正直言って俺でもそんな光景は辛抱たまらん。
ガキどもには決して口外せずさっさと忘れるよう言い聞かせ公園を去る。
女の家に向かう途中であいつの後姿を見つけ、回り込んだ。
すると、女は爽やかさと達成感に満ち溢れたすっげーイイ笑顔してやがった。
女「あ、男クン。心配してくれたんだ。ありがと」
そう言ってはにかんだ。
男「本っ当に、心配だお前」
先ほどのイイ笑顔とも、俺を不安にさせる不敵な笑みとも違う今の笑みに、不覚にも俺の胸は高まっていた。
俺はもう、こいつから逃れられないんだろうか。
神様、これが、軽はずみに憑依の呪術を実行して女の子のプライバシー侵害した報いなんですか?
完
元ネタ:
憑依モノエロ漫画(タイトル失念)の1シーン
とりあえずこれで完結です。
使えそうな変態的なオナニーのネタ見つけたら追加エピソード書くかもしれません。
虐め問題についての考察は自分が見聞した特殊な例であり、可能性の一つにすぎません。
虐められる側に非があることは基本的にはないし、どんな理由があっても暴行、暴言などの迫害が正当化されるわけではないことを宣言しておきます。
保守してくれた皆様、ありがとうございました。
77:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/20(木) 00:08:11.76:4vNYrzpw0使えそうな変態的なオナニーのネタ見つけたら追加エピソード書くかもしれません。
虐め問題についての考察は自分が見聞した特殊な例であり、可能性の一つにすぎません。
虐められる側に非があることは基本的にはないし、どんな理由があっても暴行、暴言などの迫害が正当化されるわけではないことを宣言しておきます。
保守してくれた皆様、ありがとうございました。
>>76 面白かった 乙
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とりあえず性欲をもてあます。