- 唯「12人の怒れる女」 前編
唯「12人の怒れる女」 後編
4:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/25(火) 18:23:05.80:ASAOc8lsP
【3年新学期 クラス分け発表】
ざわ……ざわ……
「ちょ、ちょっと見てよ、あのクラス…」
「何あれ……!?」
ざわ…
?A(…………………2組…)
?B「…私は…3年2組ね。………!これは…」
?C(私の名前……あった。2組かぁ…他にはどんな人が…)
?C「!? ……どーなってんのこのクラス……」
唯「ほら見て、みんな同じだよ!3年2組!」
律「良かったな澪、3年は一緒のクラスで」
澪「よかったぁああ…」
紬「でも、偶然にしてはよく出来てるわよね」

【画像】主婦「マジで旦那ぶっ殺すぞおいこらクソオスが」

【速報】尾田っち、ワンピース最新話でやってしまうwwww

【東方】ルックス100点の文ちゃん

【日向坂46】ひなあい、大事件が勃発!?

韓国からポーランドに輸出されるはずだった戦車、軽戦闘機、自走砲などの「K防産」、すべて霧散して夢と終わる可能性も…
5:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/25(火) 18:32:07.25:ASAOc8lsP
律「きっと裏で誰かが仕組んだに違いない」
澪「そんなこと出来る人いるわけ……」
さわ子「私です!」
律「居たな」
唯「なんかつまんない」
さわ子「そのリアクションはひどすぎない!?」
6:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/25(火) 18:37:38.00:ASAOc8lsP
【3年2組 教室】
唯「あ、和ちゃんも一緒だ~」
和「あら、けいおん部も全員2組なのね」
澪「和、3年もよろしくな」
和「ええ、澪も色々大変だと思うけど、お互い頑張りましょう」
澪(?……ああ、律と唯の世話で大変ってことか)
さわ子「みんなー。席についてくださ―い」
澪「まあね。受験勉強もあるし……」
和「そうなんだ、じゃあ私席に着くね」
澪「………」
7:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/25(火) 18:42:59.27:ASAOc8lsP
【HR終わり】
ざわざわ
澪(なんだか活気のあるクラスだな…皆もう打ち解けてるし)
澪(……私はけいおん部と和くらいしか話せる人いない…)
?「秋山さんっ」ポン
澪「はっ、はひぃ!?」
?「一年間、よろしくね」ニコッ
澪「あ、よ、よろしく……?」
?「何か分からないことがあったら、何でも聞いて!協力するよ!」
澪「あ…ありがとう」
?「じゃあまたね!」ニコッ
9:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/25(火) 18:49:08.94:ASAOc8lsP
澪(………ビックリしたああああああ!何だったんだ!?ていうか誰!?)ドキドキ
澪(唐突!これ唐突だよ!何かの罰ゲーム!?新学期早々!?)
律「…おーい、みお~。どうしたんだ?顔が青いぞ」
澪「りつぅ~~」ガシッ
律「なんだよ。ていうかさっき話してたの、瀧エリじゃん。澪と仲良かったっけ?」
澪「全然話したことない…すごい気さくに話しかけられた!怖かったよぉ~」ガクブル
律「はいはい、エリはそういうヤツだから。相変わらずの人見知りだな」
澪(うう……瀧エリっていうのか……悪い人じゃなさそうだけど……)
エリ「あ、自己紹介するの忘れた。まあいっか」
11:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/25(火) 18:55:28.29:ASAOc8lsP
「ねぇ…見た?今の」
「うん……」
ヒソヒソ…ザワザワ…
澪(…心なしか、皆私の方を見ているような…ううぅ)
澪(はひぃっ、とか声裏返っちゃってたし……恥ずかしい///)
律「澪も少しは積極的にみんなに話しかけてみろよ。いろいろと捗るぞ」
澪「何がだよ…。こういう性格なんだからムリだって」
律「唯を見てみろよ。あいつさっそく和グループの輪に入ってるぞ」
澪(……やっぱり唯はすごいな。私だって和みたいな静かな人ならそれなりに仲良くなれるのに…)
唯「あ!2人ともどおしたの~?こっちおいでよ~」
律「おう。……ほら澪、行ってみようぜ」
澪(もうなんだかイヤな予感が……唯ぃ…)
12:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/25(火) 19:01:07.54:ASAOc8lsP
唯「紹介するね。こちら秋山澪ちゃんと田井中律ちゃん」
風子「あら?秋山さんは2年の時も同じクラスだったわよね」
澪(……この人は確か、高橋風子さん…。いつも和と一緒にいたような…)
和「澪は風子とはあんまり話したことないんだっけ?」
澪「あ……はじめまして…高橋さん」オドオド
風子「…よろしくね」
唯(この2人、似てるよなぁ……レタスとキャベツくらい似てる…)
律「まあ、仲良くしてやってくれな。澪のヤツ、人見知りだし、臆病だし、すぐ暴力はふるうし、
胸はでかいし、髪の毛うすいし、プライドは高いしでほんとやっかいだけど…」
澪「せめてフォローできる範囲でけなせ!」ボカッ
律「あいたーっ☆」
唯(自覚はあるんだ)
15:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/25(火) 19:43:01.50:ASAOc8lsP
律「……とまあ、こんなんだけど良いヤツだからさ。宜しく頼むよ、高橋さん、と生徒会長っ」
澪「はあ…まったく、初日からチョベリバだ…」
風子「…」
和「…」
律「…えっごめんいまなんて?」
澪「えっ、だからチョベリバだって…」
風子「…」
和「…」
律「…」
唯「澪ちゃん面白ーい!」キャッキャッ
18:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/25(火) 19:50:01.52:ASAOc8lsP
澪(えっ何この空気。私いま変なこと言った?)
和「……」
律(和がすごい表情してる!憐れみと軽蔑と畏怖が入り混じったものすごい表情だ!)
唯「和ちゃんヘンなかお~。チョベリバ!チョベリバ!」キャッキャッ
律(……唯の強引すぎるフォローがなかったら今頃私たち…死んでた)
キーンコーンカーンコーン
風子「…あ、1限始まる」
澪「じゃ、じゃあまた後でな」タタタッ
和「……」
唯「じゅっぎょうっ、じゅっぎょうっ」ルンルン
律(た、助かった…のか?澪は何だか事の深刻さを理解してないみたいだったけど…)
律(そもそもチョベリバって!時代錯誤甚だしいよ!頭皮だけじゃなく大脳皮質も退化したのか!?)
律(ツッコミが遅れてやってくる…。あ、あたまが痛い)
20:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/25(火) 19:55:18.70:ASAOc8lsP
先生「……であるからして…」
澪(あの空気…私なにか変なこと言ったんだ、きっと)カキカキ
澪(うぅ~…やっぱり私には友達作れないんだ…)カキカキ
紬(……澪ちゃん、どうしたのかしら…。ものすごく姿勢が悪いわ…)カキカキ
紬(座席の位置関係上、どうしても目に入ってしまう……あの机を抱え込むような姿勢)カキカキ
紬(小学校低学年の子が必死にあいうえおをノートに書いてる感じだわ…切ない)カキカキ
澪(…なんだか視線を感じる…)カキカキ
唯(澪ちゃん、すっごい猫背だ。ネコになりたいのかな?)ボケェーッ
唯(それに黒板とノートを往復する首のスピードが常軌を逸してるよ。すごくかっこ悪いよ澪ちゃん)ボケェーッ
唯(気合入ってるなぁ)ンヌボーッ
21:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/25(火) 20:01:38.25:ASAOc8lsP
【そんな調子で昼休み】
律「みーおー!弁当だ弁当!食べるぞー!」
澪「はいはい」
唯「私の席のところで食べよ~」
紬「ところで澪ちゃん、どこか体の調子悪いの?」
澪「へっ?なんでだ?」
紬「授業中すごく…その、苦しそうな体勢だったから…」
澪「?そうか?いつも通りだったけど…」
唯「澪ちゃん受験生だから気合入れてるんだよね!」
澪「ま、まあな」
律「あれ?澪、弁当は?」
澪「ああ、ここにあるぞ」
22:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/25(火) 20:06:55.74:ASAOc8lsP
ドスン
律「……」
紬「……」
澪「さ、食べようか」
唯「いただきまぁ~す」
律「ちょ、ちょっと待て。澪、このバカでかいおむすびは何だ?」
澪「?見ればわかるだろ。おむすびだ」
律「ん、んん…それはそうだけど……まあいいや」
紬(りっちゃんがツッコミを放棄するなんて…!)
唯「おいしぃ~」バクバク
律(……今日の澪、色々とおかしい…)
23:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/25(火) 20:13:12.34:ASAOc8lsP
・・・・・・
澪(…なんだか皆に避けられているような気がする…)
澪(けいおん部の他の3人は揃って用事があってどっか行っちゃったし)
澪(昼休みに一人でいるなんて…さみしい)
澪(……そうだ、和の所へ行こう。高橋さんとも全然しゃべってないし)
澪「…………」トコトコ
和「ソウナノヨ…ウン…って、澪じゃない、どうしたの?」
風子「………」
澪「あ、その、何の話してるのかなぁ…っと思って」
和「そうなんだ、じゃあ私生徒会に行くね。行こう、風子」スタスタ
風子「………」スタスタ
澪「!!」ガーン
澪(もしかして…嫌われた?)
24:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/25(火) 20:18:33.67:ASAOc8lsP
澪「うっ…ううっ…」ポロポロ
エリ「ちょっ、どうしたの?秋山さん」
澪「……エリさん……」
エリ「エリでいいよっ」
澪「あんた良い人やああああ」ガシッ
エリ「うえっ!?」
・・・・・・・・・
澪「カクカクシカジカで…」
エリ「……なるほどね。理解したわ」
澪「え?」
エリ「とりあえず今日の部活は休んで」
澪「そ、それとこれと何の関係が…」
エリ「まあいいから。んで、放課後は○○教室に来てくれる?」
25:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/25(火) 20:24:15.92:ASAOc8lsP
澪「何かするのか?」
エリ「まあね」
澪「 」ガクガクブルブル
エリ「いや、別に怖いことするわけじゃないから!相談に乗ってくれそうな人連れてくるだけよ」
澪「わ、分かった…」
エリ「……じゃあ、また放課後ね!待ってるから」
澪「う、うん!」
澪(相談に乗ってくれる人…?エリ1人じゃダメなのかな…)
澪(……とりあえずけいおん部のみんなに休むって伝えなきゃ)
26:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/25(火) 20:29:24.30:ASAOc8lsP
【放課後】
澪(来たぞ…○○教室…人の気配しないけど、場所ってここでよかったよな?)
澪(……なんでこんなに緊張するんだ)ドキドキ
澪「よし…」
ガラッ
エリ「おっ!来たねぇ。ささ、こっちに座って」
?A「………」
?B「………どうぞ」
澪(うわっ何この重い雰囲気…。ていうか二人もいるし…)
エリ「まーまー座りんさい。何か飲む?といってもコーラしか出せないけど」
澪「あ、ありがとう…」
澪(エリのおかげで場は明るいけど……あれ?この2人見たことあるぞ…)
29:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/25(火) 20:37:27.89:ASAOc8lsP
エリ「えーっと、自己紹介、しとく?」
?B「必要ないわ。秋山さん私たちのこと知ってるでしょ?」
澪「え?え~っと……すいません…」
?B「…………そう」イラッ
澪(なんで機嫌悪くなってんのこの人!?え、そんな有名人だっけ?)
エリ「だーかーらー、秋山さんは何も知らないんだって」
?B「それにしてもクラスメイトくらいは知ってるでしょ」
澪(あ、クラス同じだっけ…だからどこかで見たことあると思ったのか…)
?B「岡田春菜よ。その調子じゃいちごのことも知らないわね」
?A「………」
澪「岡田春菜さんと…いちご、さん?」
31:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/25(火) 20:50:48.78:ASAOc8lsP
いちご「若王子。若王子いちご」
澪(す、すごい名前…。ていうか、超可愛い)
エリ「まあそういうことで、4人とも同じクラスってわけ」
春菜「この4人がこうして集まるなんてね…。エリ、何たくらんでるの?」
澪「この4人?たくらむ?ど、どういうことだ!」
エリ「いやいやいや、春菜もだいたい見当つくでしょ?」
いちご「……………で?」
澪(うわぁ~スル―ですかぁ~)
32:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/25(火) 20:54:03.79:ASAOc8lsP
エリ「御覧の通り秋山さんは何も知らないから、色々教えてあげようって話」
澪「色々教える?相談に乗ってくれるんじゃなかったのか?」
エリ「そのことにも関係してくるからさ。まあ聞いてなよ」
春菜「そうね、何から話せばいいかしら」
いちご「……………」
春菜「…まずは、私たち4人に関して。そもそも知らないこと自体おかしいんだけど」
澪(……まだ怒ってらっしゃる…)
春菜「秋山さん、この4人を見て、どう思う?」
澪「どう思うって………特に何も…」
春菜「…………」ハァ
エリ「なかなかの美少女ぞろいだと思わない?」
澪(…は?)
33:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/25(火) 20:59:22.57:ASAOc8lsP
春菜「さっきいちごを見た時、超可愛いって思ったでしょ?」
澪「う、うん。確かに…思ったけど(思ったけど何で知ってるんだ…)」
エリ「言ってしまえば、わたしたちは3年生で最も可愛い4人ってこと」
澪「…………へっ?」
春菜「1年の時からよく言われてたわ。いわゆる四天王ね」
澪(……いやいやいや。確かにみんな可愛いけれども!わたしはともかくとして)
澪(四天王ね。ってそんなドヤ顔で言われても……でも)
澪(言われてみれば、この3人、異常に美人だぞ…)
澪「……な、なんで私がその四天王に入ってるんだ!身に覚えがないぞ」
春菜「まあ、単純に美人だからじゃない?私ほどではないけど」
澪(……えぇ~っ…)
34:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/25(火) 21:02:20.22:ASAOc8lsP
エリ「四天王って言い出したのは私たちじゃないよ。他の生徒が勝手に決めたことだし」
春菜「でも今となっては、私たちの美貌は事実として証明されてるわ」
エリ「いちご、説明よろしくっ」
いちご「……………………………………」
澪(…………何かしゃべってくれ……)
ジャッジ
いちご「……私の『固体値判定』によると秋山澪。あなたは”すばらしい”よ」
澪「え?ジャッジ?すばらしい?何が?」
エリ「…うん、いちごに説明を任せたのは間違いだったかな」
春菜「もう少し順を追って説明しましょう」
春菜「私たちとほか数人の生徒たちは、異能の力を持っているの」
澪「………はぁ…」
春菜「信じてないみたいだけど、とりあえず話だけするわ」
37:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/25(火) 21:06:37.22:ASAOc8lsP
春菜「まず、いちごの能力。『固体値判定(ジャッジ)』ね」
春菜「人間が生まれ持った容姿、頭脳、性格等もろもろを判定して、具体的な数字で評価できるの」
エリ「それを固体値って言うらしいんだけど、それらを総合的に判断した結果、秋山さんは”すばらしい”っていうこと」
春菜「ちなみに判定は大まかに5つに分けられていて……」
春菜「良い方から順に”素晴らしい””相当優秀””平均以上””まあまあ””ダメダメ”……らしいわ」
澪「らしいって……なんだか良く分からないけど、いちごさんの主観じゃないのか?」
いちご「ちがう。極めて客観的な評価」
春菜「そしてこの学年には、”すばらしい”が4人いる…」
エリ「ちょっと図で説明した方がいいかな。いちご、お願い」
いちご「………」カキカキ
38:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/25(火) 21:11:56.92:ASAOc8lsP
いちご「……ランク付けもついでにしておく」カキカキ
春菜「…………まあ、あんまり見てて気持ちのいいものではないわ」
エリ「出来たっ」
S 若王子いちご
A+ 岡田春菜 秋山澪
A- 滝エリ
↑素晴らしい
--------------------------------------------------------
↓相当優秀
B
C
D
E
--------------------------------------------------------
↓以下略
澪(あっ、私ってエリより上なんだ)
澪「…”素晴らしい”の4人が私たちなのは分かった。相当優秀って、どれくらいいるんだ?」
39:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/25(火) 21:15:11.70:iKuT8PyZ0
春菜「いちおう>>40みたいな人もいるから、こういうのも用意しておいたわ」
澪「ああ、これは助かる。名前と顔が一致しない人が多くて…」
エリ「だけどこれって、だいぶデフォルメされてるやつじゃん」
いちご「……………………作りが雑」
春菜「…ペイントでがんばって作ったんだけど、駄目だったかしら」
エリ「いや、ありがとう。続けて」
41:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/25(火) 21:20:40.68:ASAOc8lsP
春菜「…いい質問ね。この学年に”相当優秀”は全部で7人…」
いちご「……とりあえず書いておく」カキカキ
S 若王子いちご
A+ 岡田春菜 秋山澪
A- 滝エリ
↑素晴らしい
--------------------------------------------------------
↓相当優秀
B 立花姫子 佐藤アカネ
C 木下しずか
D 真鍋和 高橋風子
E 田井中律 佐伯三花
澪(……和に、律も入ってる…!それに高橋さんも…)
42:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/25(火) 21:21:28.80:7vGsh0Sw0
46:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/25(火) 21:30:00.54:ASAOc8lsP
春菜「相当優秀の人たちは周りから七英雄と呼ばれているわ」
エリ「あれ?七武海じゃなかったっけ?」
いちご「……七賢者」
春菜「…呼び方はどうでもいいわ。それはそうと秋山さん、何か気付いたことない?」
澪「………私の知り合いが2人、入ってる。それに高橋さんも…」
エリ「う~ん、そうじゃないんだよなぁ」
春菜「立花姫子、佐藤アカネ、木下しずか、真鍋和、高橋風子、佐伯三花、田井中律…」
春菜「全員三年二組よ」
澪(……へーそうなんだー…)
春菜「これは一つの事件なの。桜ケ丘高校史において前例がないわ」
47:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/25(火) 21:34:21.75:ASAOc8lsP
澪(えらいまた大げさな…)
春菜「三年二組に、学年の美という美が集まったのよ」
エリ「そして今回、それ以上に無視できない人たちも集まった」
澪「ま、まだいるのか…」
春菜「それは、あなたたちけいおん部の四人。これは大事件よ」
澪「えっ。私たちが?なんで?」
エリ「事は複雑なんだよねぇ…」
いちご「けいおん部は重要なファクター」
エリ「ま、秋山さんの悩みの大きな原因はそれだね」
澪「…意味が分からないんだけど……」
49:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/25(火) 21:38:18.39:ASAOc8lsP
春菜「結論から言うと、けいおん部と四天王、七英雄が一つのクラスに集まったことで、異変が起きている」
エリ「今のところ特に問題はないけど、秋山さんのところにはさっそく影響が出たみたいだね」
澪「私が何かしたのか?」
いちご「ちがう。秋山さんは被害者」
エリ「おそらく秋山さんが皆に避けられているように感じるのも、異能の力を持った誰かの仕業だね」
澪「…ちょ、ちょっと待って。その異能の力ってなんなんだ?エリも春菜さんもその力を持ってるのか?」
春菜「その話はまだ出来ないわ。それに、私たちも全てを知っているわけじゃないから」
エリ「当然私たちもその力を持ってるよ。知ってる範囲でなら話すけど……」
春菜「ちょっと。そんなに簡単に洩らしていいの?」
エリ「まあいいんじゃない?秋山さんにも四天王の自覚を持ってもらいたいしさ」
澪(………置いてけぼり…)
51:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/25(火) 21:40:59.82:HkKd5VpdP
春菜「……私のことはしゃべらないでよね」
エリ「分かってますって。それで、私の能力だけど『能力解放(スキルパニッシャー)』って言うの」
澪「……あのさ、ひとつ聞いていいか?」
エリ「なに?」
澪「なんでわざわざ漢字で書いた後にカタカナでルビを振るんだ?しかも意味違うし…」
エリ「細かいことは気にしない!それにこっちの方がカッコイイじゃん」ムスーッ
澪(……ふくれっ面がまた可愛いな)
澪「で、どんな力があるんだ?」
エリ「簡単に言ってしまえば、他人の能力にカッコイイ名前を付けてあげる能力」
澪「…………」
エリ「あ。今バカにしたでしょ」
54:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/25(火) 22:07:08.69:kGUaKNW7P
春菜「呆れてるのよ」
エリ「い、言っとくけどただ名前を付けるだけじゃないからね!」
エリ「能力に名前を付けられた人は、その能力をコントロールできるようになるの。すごいでしょ」
春菜「エリがいなければ私たちは自分の力を制御できないのよ」
エリ「そゆこと。だけど名前を付けるには条件もあって……」
澪(うう……なんだか体中がむずがゆい…)
エリ「…実際にその能力が何なのか見て、理解しないといけないの」
澪「………本当にそんな力があるのか?」
春菜「信じられないでしょうね。というかいちごもエリも、信じられる根拠がどこにもないものね」
エリ「え~っ。ほんとだってば~」
春菜「だけど、今の秋山さんの状況を打破するにはエリの能力がないと始まらないわ」
エリ「そうそう。とりあえず今は信じてよねっ」フンス
56:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/25(火) 22:10:00.30:ASAOc8lsP
澪(…………良く分かんないけど悪い人たちじゃなさそうだし、信じてみよう)
澪「……分かった。信じる。だけど具体的にどうやって解決するんだ?」
エリ「そうだねぇ。秋山さんが皆に避けられるように感じるって言ってたけど、心当たりはある?」
澪「……私が何か変なことを言ったのかも…。でも何をしゃべったか良く思い出せないんだ」
エリ「誰としゃべったの?」
澪「今日はけいおん部のみんなと、和と高橋さん…。和の前で何か言ったんだと思う…」
エリ「う~ん…春菜、その時の状況、どんなだったか分かる?」
春菜「そうね。分からないこともないけど、私の口からはとても言えないわ」
エリ「も~っ!そんなとこまでケチんなくてもいいじゃん」
春菜「そうじゃないの。あまりにも痛々しいから言いたくないってだけ」
澪(えっ痛々しい?私が?)
エリ「ふ~ん。で、秋山さんはそのことを覚えていないと……」
澪「そ、そんな恥ずかしいことなんて言った覚えはないぞ!」
57:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/25(火) 22:12:40.54:ASAOc8lsP
エリ「これはますます能力を持ったヤツの仕業だね!」
春菜「真鍋さんと高橋さん辺りがあやしいわね…」
エリ「…うん。じゃあ明日はその二人について調べてみよう」
澪「調べるって言ったってどうやって…?」
エリ「秋山さんと一緒に行動してれば、誰がどんな能力を使ってるのか分かりやすいしね」
春菜「エリ!まさか明日ずっと一緒にいるつもり?」
エリ「しょうがないじゃん。大丈夫だよ、アカネも一緒にいるし」
春菜「……そう。まあせいぜい頑張りなさい」
澪(……そろそろ意味不明なやり取りにも慣れてきたぞ…)
エリ「じゃあ、今日はこれにて解散!」
いちご「……………………」ガタッ
スタスタスタ
エリ「あっ、ちょっと待ってよいちご!置いてかないで~」バタバタ
春菜「……さ、帰りましょ」
澪(……疲れた…早く帰って寝よう…)
58:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/25(火) 22:17:19.74:ASAOc8lsP
【翌日】
ワイワイガヤガヤ
澪「お、おはよー…」
唯「あ!澪ちゃんおはよ~!」
律「昨日はどうしたんだよ。珍しく部活休むなんて」
紬「心配したのよ~?」
澪(ほっ…良かった。律たちには嫌われてないみたいだ…)
澪「ちょっと野暮用でさ…」
エリ「秋山さん、おっはよー!」ポンッ
澪「うおっ!エ、エリ!」
エリ「平沢さんたちもおはよ!」
律「んん~??お二人さん、いつの間にそんなに仲良くなったんだ?」
澪「まあいろいろあってな…」
エリ「えっ、別に仲良くないよ?」
澪「えっ?」
59:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/25(火) 22:19:52.21:ASAOc8lsP
律「えっ」
エリ「(秋山さん、ここは私に合わせて)」ボソボソ
澪「えっあっ、ああ、特に仲いいわけでもないかな」
エリ「そーだよー。先生に秋山さん連れてくるように言われてただけだから」
律「……なぁんだ、そうだったのか。せっかく澪にも友達作れるようになったと思ったのにな~」
澪「余計なお世話だ!」ゴチン
律「いたーっ☆」
澪「というわけで、ちょっと行ってくるよ」
唯「ばいば~い」
61:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/25(火) 22:25:55.45:ASAOc8lsP
スタスタ
澪「微妙に傷ついたぞ…」
エリ「ごめんねー意地悪なこと言って。本心じゃないからさっ、元気出してよ」
エリ「あんまり人前では私たちは会わない方がいいからね」
澪「……また何かややこしいな。ていうかそれじゃあ一緒にいられないじゃないか」
エリ「そのためのアカネなのさっ」
澪「アカネ……?」
アカネ「呼んだ?」
澪「うわっ!びっくりした」
エリ「佐藤アカネよ。私の友達で、これでも七武海のひとりだから」
アカネ「だからエリ、七武海じゃどっかの漫画になっちゃうじゃない。七賢者よ」
澪(……どっちでもええがな)
62:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/25(火) 22:27:56.25:ASAOc8lsP
澪「で、何でアカネさんが?」
エリ「さっきも言ったけど、基本的に四天王同士はあまり会わないほうがいいんだけど…」
アカネ「それは四天王と七賢者にも言えることなの」
エリ「だから本来、私とアカネはお互い会わない方がいい」
アカネ「でもいつもひっついてるでしょ?私たち」
澪(……知らんがな)
エリ「これもアカネの能力『集注拡散(フォーカスレンズ)』のおかげなの」
澪(これまた意味の分からないネーミング…なんだか痒い)ピクピク
アカネ「私の能力は性能いいからね。たぶんあんたたち2人一緒にいても大丈夫よ」
澪「…それはどういう能力なんだ?」
アカネ「残念ながらこれ以上は話せないわ。ごめんなさいね」
63:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/25(火) 22:29:57.00:ASAOc8lsP
エリ「それで今回は真鍋さんと高橋さんがどう動くか知りたいんだけど…」
アカネ「りょーかい」
澪「えっと、私はどうすればいいんだ?」
エリ「そうね。昨日と同じ状況を再現してみるのが手っ取り早いかな」
澪「それはつまり、和と高橋さんと話すってこと?」
エリ「そういうこと。私たちは会話には参加しないけど、さりげなく後ろにいるから」
澪(……正直言って嫌だな。また避けられるんだろうか…でもしょうがないか)
澪「分かった。次の休み時間にやってみる」
アカネ「……上手くいくといいわね」
64:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/25(火) 22:32:44.18:ASAOc8lsP
【休み時間】
ガヤガヤ
澪(……よし…!)ガタッ
エリ「(おっと。アカネ、行くよ)」ヒソヒソ
アカネ(よいしょ……っと)ガタッ
スタスタスタ
和「ヘェー、ソウナンダ……あら、澪じゃない、どうしたの?」
風子「…………」
澪「ああ、なんの話してるのかなって思ってさ」
和「古文の担当の先生のことよ。なんでもカツラなんですって」
澪「ああ、そういえばさわ子先生も言ってたな。確かさわ子先生がこの学校の生徒だった時にも……」
エリ(あれ?普通に会話できてるじゃん)
65:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/25(火) 22:34:36.57:ASAOc8lsP
澪(なんだ……昨日のは気のせいだったのかな…)
風子「………」
和「……澪?」
澪「?どうしたんだ?私の顔に何か付いてるのか?」
和「いえ、そうじゃなくて…」
エリ「……!」ブフッ
和「…鼻、かゆいの?」
澪「ほえ?」ホジホジ
エリ(まずい!これは…非常にまずいよ!笑っちゃ駄目だ…っ)プププ
アカネ「………」ピクピク
エリ(あんなに堂々と鼻ほじる人いないよ!完璧なフォームだよ!どうにかしなきゃ…)
風子「………」
エリ「!!」
66:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/25(火) 22:42:10.94:ASAOc8lsP
エリ「(アカネ!『集注拡散(フォーカスレンズ)』を一時的に高橋さんにかけてみて!)」ヒソヒソ
アカネ「ぐっ……www」
エリ「(笑ってる場合じゃなーいっ!)」ヒソヒソ
アカネ「……っ!分かったわ」キュピーン
風子「………」フッ
澪「……ッ!?わ、わたし一体なにを…!?」ヌポッ
和「…澪、あなた疲れてるんじゃない?保健室行こうか?」
澪「だ、大丈夫…(鼻痛い…)」ズキズキ
風子「………」ボー…
エリ(…あっぶないところだった~!もう少し遅かったら…)
アカネ(確実に鼻に入れた指を口へ持っていくところだったわね…)
エリ(犯人は高橋風子…想像以上に恐ろしい能力だね)
キーンコーンカーンコーン
澪「じゃ、じゃあまたね!」
和「え、ええ……」
68:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/25(火) 22:44:57.70:ASAOc8lsP
【授業中】
澪(なんで私鼻なんてほじってたんだろう…は、恥ずかしすぎる///)カキカキ
澪(エリとアカネはちゃんと解決してくれたんだろうか…じゃないと困るけど)カキカキ
澪(………///)カァーッ
紬(…今日は澪ちゃん、いつも通りね…)カキカキ
紬(少し顔が赤いけど…)カキカキ
唯(……お腹すいたな~)グゥー
69:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/25(火) 22:46:37.51:ASAOc8lsP
【休み時間】
アカネ「秋山さん、ちょっといい?」
澪「何か分かったのか!?」
アカネ「犯人は高橋風子よ。彼女が異能の力を秋山さんに仕掛けていたみたい」
澪「そ、そうだったのか……」
アカネ「詳しい話はエリがしてくれるわ。行きましょう」
澪「……ああ」
・・・・・・・・・
エリ「二人とも、こっちこっち!」
澪「……なにも廊下のはじっこで話さなくても」
アカネ「用心するに越したことはないわ」
エリ「うん。とりあえず高橋さんの能力が判明したよ」
70:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/25(火) 22:49:39.83:ASAOc8lsP
澪「本当か!」
エリ「彼女の能力は名付けて『凌辱の処女(レイパー)』」
澪「ひどい名前だな……」
エリ「でも実際の能力はもっとひどいんだよ。かなり危険な能力なん……」
風子「『凌辱の処女』……それが名前なのね」カツカツ
澪エリ「!!?」
風子「ずいぶんと醜いじゃない」
澪(な、なんで高橋さんがここに…?いつの間に…)
エリ「……ッ!アカネ!アカネは!?」キョロキョロ
風子「彼女なら今頃、制服を裏返しに着たまま校内を歩いているでしょうね」
エリ「!……風子、まさかアカネにも手をかけたの!?」
風子「…いきなり呼び捨てっていうのも品がないわね。そう思わない?秋山さん」
澪「ひ、ひぃいっ…」ガクブル
71:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/25(火) 22:51:07.34:ASAOc8lsP
風子「エリさん、素敵な名前ありがとう。おかげでこの不思議な力、精度が上がったわ」
澪「エ、エリ!一体どうなってるんだ!?高橋さんはどんな能力なんだ!?」
エリ「……『凌辱の処女(レイパー)』は、相手にダサく、醜く、かっこ悪い行動をさせる能力…」
風子「ふふっ。秋山さんが醜態をさらすのは見てて痛快だったわ」
澪「……なんで…。私に何のうらみがあるっていうんだ!」
風子「…あなたには分からないでしょうね。劣化コピーと言われる者の気持ちが」
澪「…?なんのことだ…?」
風子「それだけでなく私の真鍋さんをも奪おうとした…」
風子「あなたは四天王の座についてもまだ物足りないっていうの!?」
澪「ちょ、ちょっと待ってくれ!何が何だか…」
風子「言い訳無用よ!あなたたちを四天王の椅子から引きずり降ろし、私と真鍋さんの楽園を作る!」
エリ「…確かに『凌辱の処女』を使えば、私たち四天王としての威厳は地に落ちてしまう…!でも…!」
エリ「そんなことが許されると思ってるの!?そんなことをしたら…三年二組…いや、三年全体の均衡が破られてしまう!」
72:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/25(火) 22:52:33.93:AE8p+6140
風子「もうそんなことは関係ないわ。そもそも私たち11人が同じクラスに集まった時点で、秩序など無いに等しい…」
エリ「………私たち四天王に勝てるとでも?」
風子「ええ、勝てるわ。世界は一度破壊された。これから行われるのは再構築なの。四天王も七英雄も、今一度ゼロからスタートするのよ」
澪「か、勝つって…一体何をするつもりなんだ?」
風子「簡単なことよ。あなたをとことん醜い姿にする。それこそ四天王なんて名乗れないくらいにね」
澪「……っ!で、でもいちごの『固体値判定(ジャッジ)』は確か、生まれ持った固体値でそのランクを決めているハズ…」
澪「なら!今更あがいたところで固体値は変わらない!高橋さん、意味のないことはやめるんだ!」
澪(…あれ?わたし今ものすごくひどいこと言った気がする)
風子「……秋山さん、あなたのそういう上から見下した態度…大嫌いよ」ピクピク
エリ「挑発してどーすんの!」
風子「もう遅いわ…っ!『凌辱の処女(レイパー)』!」シャキン!
エリ「っ!!秋山さん、逃げるよっ!!」ダッ
澪「う、うわぁっ」ダッ
風子「………」チッ
74:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/25(火) 22:58:31.41:ASAOc8lsP
タタタタタッ
エリ「ハァッ・・・ハァッ・・・」
澪「も…もう大丈夫だろ…」ゼェゼェ
エリ「ふぅ…ていうかこのままじゃ次の授業出れないね」テヘッ
澪「いや…しょうがないよ…そういえばアカネは大丈夫なのか?」
エリ「……アカネは…たぶん、もう…」グスン
澪「そ、そんな!」
エリ「…仇はとるよ。今はとにかく、風子をどうするか、それだけ考えよう」
澪「……エリ。私、何も知らないのはもううんざりだ。教えてくれ、このクラスが今どうなっているのか…」
75:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/25(火) 22:59:43.90:ASAOc8lsP
エリ「…私も分かんないことだらけだよ」
澪「知ってることだけでいいんだ!教えてくれ」
エリ「……そうね…。さっき澪が、固体値は変わらないって言ったでしょ?」
澪(あ、呼び捨て…でも感じ悪くない…。むしろ嬉しい…)
エリ「確かに間違ってはいない。だけど、今回の事件で固体値に変動が生じる可能性が出てきたんだよ」
澪「……どうして」
エリ「原因はけいおん部の4人、つまりあなたたちにあるわ」
キーンコーンカーンコーン
77:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/25(火) 23:01:56.07:ASAOc8lsP
澪「…わたしたちが何をしたっていうんだ…」
エリ「澪たちは知る由もないの。なぜならこの世界を構築しているのは主にけいおん部と、それに関わる者たちだから…」
澪「わたしたちが世界を構築している…?どういう意味だ?」
エリ「この世界は澪たちけいおん部が中心になって動いている。澪たちが世界を作り続けているの」
エリ「だから、けいおん部の4人が一つのクラスに集まったことによって、3年2組という世界が新しく作りだされたんだよ」
澪(…………何が何だか分からない…わたしたちが、世界の中心?世界を作っている?」
エリ「もちろんその前から私たちは存在していたし、四天王、七武海も存在していた」
エリ「でも新しく作りだされた世界、つまり3年2組では、わたしたちの価値は全て振り出しに戻される」
エリ「わたしたちは、けいおん部のための存在となってしまったの」
澪「………ちょっと考える時間をくれ…」
エリ「時間はあんまりないよ。これから七武海たちはトップの座に上り詰めようと必死に私たちを出し抜こうとする」
エリ「風子みたいに強行手段をとる場合だってあるかもしれない。下手するとこの世界は本当に崩壊してしまう」
澪「…そうだ、高橋さん…!彼女にやられないためには、どうすればいい!?」
78:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/25(火) 23:03:42.76:ASAOc8lsP
エリ「風子の能力はある意味最も恐ろしいよ。なんせ直接わたしたちの固体値変動に影響しかねない」
澪「倒す方法はあるのか…?」
エリ「こうなったら私たちも彼女を直接叩きに行くしかない…でも、私も澪も全然役に立たないんだもんな~」ポリポリ
澪「曲がりなりにも四天王2人が、七武海一人に手も足も出ないなんて…」
澪「…!そうだ!春菜さんや、いちごさんにも協力してもらえば…!」
エリ「あーむりむり。四天王だって一枚岩なわけじゃないんだよ。特にあの2人は実質学年のツートップで私らみたいにやわじゃない」
エリ「協力を要請してもあっちはしらんぷりさ」
澪「そ、そうなのか…」
エリ「………まてよ?そういえばけいおん部に関わる人たちって、真鍋さんもそうだよね?」
澪「え?ああ、和は唯の幼馴染だし、生徒会でよくお世話になってるしな…」
エリ「これだ!真鍋さんを利用しない手はないって!」
80:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/25(火) 23:08:19.08:ASAOc8lsP
澪「和を利用!?そ、そんなの駄目だ!」
エリ「別に悪くしようってわけじゃないよ。さっき風子が言ってたじゃん?私の真鍋さん…って」
澪「それがどうかしたのか?」
エリ「風子は澪のことを恨んでいたからきっと説得しても無駄だと思うの」
エリ「でも真鍋さんなら事情を理解してくれるはず。真鍋さんが風子を説得してくれれば丸く収まるかもしれないよ!」
澪「そんなに上手くいくかなぁ…」
エリ「…正直あんまり自信ないけど…」エヘッ
澪「やってみるしかない、か。ところでエリ、疑問なんだけど…」
エリ「なあに?」
澪「私たちってなるべく一緒にいない方がいいんじゃなかったか?」
エリ「ああ、そういえばすっかり忘れてたよ。でも、もういいんだと思う」
澪「?」
82:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/25(火) 23:10:01.32:ASAOc8lsP
エリ「今まで私たちの学年の均衡は四天王と七武海がうまいことバラけていたから保たれていたけど…」
エリ「よくよく考えたらもう同じクラスで毎日一緒だもんね。いまさら均衡なんて気にする必要もないわけだ」
エリ「ま、他の生徒にはちょっと刺激が強すぎるかもだけど、この際なりふりかまっていられないよ」
澪(……あまりに美人過ぎるから、お互いパワーバランスを考えてのことだったんだな…)
澪(……もうこの珍事に慣れてきたせいか理解も早くなってきたぞ)
澪(…そういえば、私って何も能力使えないのかなぁ…。律も和もそんな話聞いたことないし…まあいっか)
澪「…じゃあ次の休み時間、和にメールしてみるよ」
エリ「そうだね。直接会って話すのがいいかもしれない」
澪「……直接…って大丈夫だよな?和に限って、高橋さんみたいなことにはならない…よな?」
エリ「………たぶん」
澪(ひいぃ……でっでもっ、和は私を裏切ったりはしない!…はず…)
エリ「…まあ、次の休み時間まで時間あるし、いつもの教室行ってコーラでも飲もうよっ」
澪(エリ……元気だなぁ)
83:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/25(火) 23:11:31.69:ASAOc8lsP
【○○教室】
キーンコーンカーンコーン
エリ「おっ。2限終わったね。じゃあさっそく真鍋さん呼んでみてよ」
澪「よし…」ポチポチ…ピッ
ガラッ
下級生1「いっちばんのりーっ」
下級生2「あっ!」
澪「な、なんだなんだ?」
エリ「あちゃー。次の授業この教室だったかー」
下級生1「も、もしかしてその…あのっあのっそのっ…た、瀧様…!?」
下級生2「それに!それにっ!そちらにいらっしゃるのはまさかっ……ああああああ秋山様ではっ!!??」
エリ「ちょっと澪、出よう」
澪「あ、ああ…」
下級生「 」パクパク
エリ「(…ね?二人でいるとこういうことになるの)」ヒソヒソ
84:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/25(火) 23:13:01.25:ASAOc8lsP
澪「あの子たち、どこかで…」
エリ「何言ってんの、キミのファンクラブの会員じゃん」
澪「あ、アハハ…そういえばそうだったな」
エリ「まー自慢じゃないけど、私にもちゃんとファンクラブあるからねっ」フンス
澪「そ、そうなのか?」
エリ「ていうか四天王、七武海みんなある程度のファンクラブはあるよ」
澪「そうだったのか…(私だけじゃなくてなんだか安心した)」
エリ「一番会員数が多いのは澪だけどね」
澪「ぶっ」
エリ「春菜はそのことが一番気にくわないんだよ。ランクじゃ上なのに、澪をライバル視してる」
澪(…………すごく………いい迷惑です……)
brrrrrr brrrrrr
澪「あ、和から返信だ」
85:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/25(火) 23:14:31.17:ASAOc8lsP
和『○○教室の前にいけばいいのね? 分かったわ、今から行く』
エリ「うわぁ…今あそこに私と澪と真鍋さんが集まったら下級生の子失禁しちゃうよ」
澪「そこまで!?」
エリ「まあ遠目にちょっと見てみようよ。あの辺に隠れてさ」コソコソ
…ワイワイガヤガヤ
澪「うわ、どんどん下級生の子たちが集まってる…」コソコソ
エリ「お、真鍋さん来た」ジーッ
スタスタスタ
下級生3「…せっ生徒会長!?こんな所で会うなんて光栄です!」
下級生4「ああっ!真鍋生徒会長よ!」
キャーキャー
和「ちょ、ちょっとあなたたち…私友達に呼ばれてきたんだけど…」
下級生5「えええ!?ぬ、抜け駆けなんてずるいですっ!私もよろしければ、ぜひっ」
下級生6「ちょっとアンタ!!アンタこそ抜け駆けしてんじゃないわよ!!」
キャーキャー
86:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/25(火) 23:18:01.05:ASAOc8lsP
エリ「アハッ…なかなかの人気ぶりだねぇ」ニヤニヤ
澪「お、おい。そろそろ助けてあげた方が…」
エリ「それもそうだね」
澪「(おーい、和ー!こっちこっちー)」ヒョイヒョイ
和「(あ、澪)ごめんなさいね…ちょっと通してくれる?…よいしょ」
タッタッタッ
和「ふぅ…まったく、こんなことさせるために呼んだの?」
澪「ごめんごめん。ちょっと和に話したいことがあってさ」
和「2組の教室じゃ駄目なの?」
澪「いろいろ事情があって……あまりあの教室には近寄れないんだ」
和「そう。だけど唯たちが心配してたわよ。いきなり授業サボるんですもの」
エリ「ごめんね~真鍋さん」
和「……何。瀧さんも一緒なの?」
エリ「真鍋さん、私たち2人が一緒に行動している意味、分かるよね?」
和「………そうね。だいたい予想はつくわ」
87:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/25(火) 23:19:31.73:ASAOc8lsP
エリ「話が早くて助かるぅ」
澪「な、なんだ。和も詳しい話は既に知ってたのか?」
和「知ってたと言うか、常識よ」
澪「なんで私には教えてくれなかったんだよぉ~」ウルウル
和「何よ。もしかして澪、四天王のくせして知らなかったの?」
澪「うっ…。今日の和はキツイな…」
エリ「まーまーお二人さん。さっそく本題に入るよ~」
澪「…話っていうのは、和の友達の、高橋さんのことなんだ」
和「風子がまた何かやらかしたのね?」
澪「そうそう…って、"また"ってどういうことだ?」
和「あの子、ときどき暴走することがあるのよ。ほら、普段から何を考えてるのか表情が読めないでしょ?」
エリ「あ~確かに。お堅いカンジもするしねぇ」
88:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/25(火) 23:21:03.88:ASAOc8lsP
和「で、知らない間に機嫌が悪くなることがよくあるのよ」
和「それにあの子頑固だし、思いこみが激しい面もあるから一度怒らせるとそのまま突っ走っちゃうの」
和「といってもそこまで大きな問題を起こしたことはないけどね。今回は何をしたの?」
エリ「……例の能力で、私と澪、それからアカネを襲ったんだよ」
和「なんですって!?」
澪「……そして、なんだか私のことを憎んでたみたいなんだ。私を集中的に狙っていた」
和「…っ!風子ったら…あれだけ能力は使うなって言っておいたのに…ッ!」ギリッ
澪「和は高橋さんと仲が良いんだろ!?なんとか彼女を説得してくれないか!?」
和「……分かったわ。風子には私から言っておく。だからあなたたちはもう何も心配しなくていいわ」
澪「ありがとう和!良かった、これで授業に出れる…」ホッ
90:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/25(火) 23:22:29.36:ASAOc8lsP
エリ「…本当に任せて大丈夫なの?」
和「大丈夫よ。あの子の扱いには慣れてるわ。それに、私にも責任の一端はあるから」
エリ「…うん。じゃあ、これにて問題は解決だねっ」
澪「よし!教室に帰ろう」
テクテク
澪(……さすが和は頼りになるなぁ)
澪(…でも、責任ってどういうことだろう…?)
澪(……考えてもどうしようもないか。とにかく、これでひと安心できる)
エリ「やばっ!授業始まっちゃうよ。急ご!」
タッタッタッ
91:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/25(火) 23:24:03.23:ASAOc8lsP
ガラッ
和「ふぅ、着いたわね。授業まで少し間があるわ」
エリ「じゃあ、宜しく頼むよ」
和「ええ」
テクテク
和「……風子、少し話があるの」
風子「なあに?真鍋さん」
和「私の席に来て頂戴」
風子「?」
エリ「……どうしたの?澪。早く席に着こうよ」
澪「…あ、ああ。今行くよ」
92:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/25(火) 23:25:36.47:ASAOc8lsP
………。
~~~~!?
………!
澪(……和と高橋さん、なんだか穏やかじゃないぞ…?)
キーンコーンカーンコーン
~!!
ガタンッ
澪「!」ビクッ
スタスタ
澪(こ、こっちに来る…!)ガクブル
スタッ
澪(…なんだ、席に座っただけか…)ホッ
111:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/26(水) 05:31:21.90:Q7f2RFfmP
【授業中】
澪(……うん。特に異常はないみたいだ)カキカキ
澪(エリとアカネは……っと)チラッ
エリ「……」カキカキ
アカネ「……」カキカキ
澪(…大丈夫そうだな)カキカキ
澪(そういえば、律たちはこの事態を知ってるんだろうか…)
澪(…あとで話しておこう)カキカキ
112:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/26(水) 05:33:03.15:Q7f2RFfmP
【休み時間】
律「澪!いきなり授業サボって何してたんだよ」
澪「ごめんごめん。ちょっと体調悪くてさ、保健室で休んでたんだ」
紬「澪ちゃん、大丈夫なの?」
澪「もう平気だよ。だいぶ休んだからな」
唯「もしかしてエリちゃんも一緒だった?」
澪「(…そうか、二人してサボったんだもんな)…ああ、エリに連れ添ってもらったんだ」
唯「仲良くないのに?」
澪「ギクッ」
律「…まぁ世話焼きのエリのことだ。よくあることだよ」
澪「そ、そうだよな(律、ナイスフォローだ)」アセアセ
澪(…っていうかなんで私、嘘ついてるんだろ…。ちゃんとみんなにも話さなきゃいけなのに)
澪(……昼休みに話してみよう…)
113:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/26(水) 05:34:33.80:Q7f2RFfmP
【昼休み】
律「さぁ~て、メシやメシ~!学校一番の楽しみやからなぁ~!」
唯「あ~、りっちゃんエセ関西弁だ~」
律「なんやてぇ!?」
紬「今日も唯ちゃんの席で食べましょう♪」
澪「相変わらずだなこのメンツも…」ヤレヤレ
唯「いっただっきまーす!」パクパク
わいのわいの
澪(………あんまり正面切って話すのもなぁ…さりげなく探ってみよう)
澪「そういえばみんなさぁ、3学年の四天王って知ってる?」パクパク
紬「してんのう?」キョトン
律「なになに?何の四天王だって?」
114:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/26(水) 05:36:34.97:Q7f2RFfmP
澪「だ、だから四天王。聞いたことない?」
唯「はい!聞いたことあるよ!」ビシッ
律「なにっ、唯は知ってるのか」
唯「えっとね、私でしょ、澪ちゃんでしょ、りっちゃんでしょ、それからムギちゃん!」
唯「けいおん部四天王ですっ!」フンス
律「そりゃ4人しかいないんだからとーぜんだろっ」ビシッ
澪「なんだ、みんな知らないのか…(良かった私だけじゃなかったんだ)」ホッ
律「なんだよ澪ー。そういうお前は知ってるのか?」
澪「うん。昨日のことなんだけど……」
澪(……はっ!よくよく考えたら私も四天王のひとりじゃないか…)
澪(学年で最もかわいい4人の中に自分が居るって言ったら絶対バカにされる…!)
115:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/26(水) 05:38:02.16:Q7f2RFfmP
唯「昨日?昨日なにかあったの?」
澪「そ、そう。実は昨日だれかが噂してるのを聞いてさ…」
澪「なんでも3年生には四天王と七武海って呼ばれている生徒がいるらしいぞ」
律「七武海ってワ○ピースかよ」
紬「それは何の四天王なの?」
澪「さ、さあ…?」
唯「澪ちゃんもったいぶらないで教えてよ~」
律「そうだぞ澪~」
澪「…いや、私もそこまでしか知らないんだよ」
律「なんだよ~余計気になるだろー」
116:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/26(水) 05:42:02.05:Q7f2RFfmP
澪(…この四人で話しても緊張感がないから、冗談で済まされる可能性もあるな…)
澪(ここはひとりずつちゃんと説明する方が得策かもしれない…)
澪(…まずは律だな…。一応七武海だし、私の次に危険度が高い)
澪「ま、この話はここでおしまいにしよう」
唯「そだね~。ご飯おいしーよー」パクパクモグモグ
紬「そういえばりっちゃん、次の授業の予習は大丈夫なの?」
律「え?」
紬「今日は確かりっちゃん当てられるんじゃなかった?昨日授業の時に先生が言ってたけど…」
律「…………」サァーッ
唯「あちゃ~りっちゃん、やっちゃったねー」モグモグ
律「澪!早く食べて予習範囲を教えてくれっ!」ガツガツ
澪「はいはい…。ちなみに言っとくけど、唯もだぞ」
唯「えっ」
117:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/26(水) 05:43:32.79:Q7f2RFfmP
唯「……ムギちゃん助けて~~」ウルウル
紬「よしよし、教えてあげるわね」ナデナデ
澪(…これはチャンスだな。律と二人きりになったら話してみよう)
・・・・・・・・・
律「食った!さあ澪!早く!教えろ!」バシバシ
澪「…落ち着け。それに、そんな態度で教えてもらえるとでも?」
律「はい、秋山先生。教えて下さい」ピシッ
澪「よろしい。というか予習くらいやっておけ…」
律「すいましぇん…」
澪「ほら、ここに私の予習ノートあるから」
律「ありがとうごぜえます!ほんに澪様は心が広い方で…」
澪「いいからやれ」ゴツン
律「……」ヒリヒリ
118:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/26(水) 05:45:01.52:Q7f2RFfmP
律「時間よ、間に合ってくれっ…」カキカキカキカキ
澪「……頑張ってるところ悪いんだけど、さっきの話の続きでさ…」
律「ちょ、ちょっと待ってくれ澪。もう少しで終わるから…!」カキカキカキカキ
澪「…………四天王について、律に知ってもらいたいことがあるんだよ」
律「………………な、なに?」カキカキカキカキ
澪「…さっき私、授業休んだだろ?実はその時、かなり危ない状況だったんだ」
律「…………っよしっ!終わった!…で、なんだって?」
澪「いやだから…」
キーンコーンカーンコーン
律「おお!なんとか間に合ってよかったぜ!サンキューな!澪っ!」バタバタ
澪「ちょっ、まだ話は終わって……」
先生「ほらー休み時間は終わりだぞー席に着けー」ガラッ
澪(……帰りにゆっくり話すか……)
119:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/26(水) 05:46:33.08:Q7f2RFfmP
先生「よーし田井中、前回言った通り、予習はちゃんとやってきただろうな?」
律「はーい」
律「うんたらかんたら…」
先生「よし、正解だ。次、平沢」
唯「うんたんうんたん…」
先生「…うん、問題ないな。二人ともしっかりやってきたようだな」
律(うひゃ~。ほんと澪がいてくれて助かったぜ~……)
律(…さっき澪が言いかけたことってなんだったんだ…?また四天王とか言ってたような)
律(それにしても昨日の澪は様子がおかしかったな…今日はいつも通りだけど…)
律(ま、私が気にしてもしゃーないかな。澪の方が私よりしっかり者だし…)
?《ザッ……秋山澪は……ザザ…あなたに……ザ…》
律「!!?」
120:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/26(水) 05:48:00.90:Q7f2RFfmP
律(……な、なんだ今の…誰かしゃべっている…?)キョロキョロ
先生「……でェーここの不定詞の意味はァー…」
律(…誰もひそひそ話すらしてない…結構はっきり聞こえたんだけどなあ…)キョロキョロ
先生「…おい田井中ァ、よそ見するなァ」
律「す、すいません…(怒られちゃったよ!なんなんだよも~)」プリプリ
?《…ザザザ………あなた嘘をついて…ザッ…騙している…ザザッ…》
律(っ!?まただ!!)
律(澪が?私に嘘をつく?何言ってんだこいつ…ていうかなんなんだよ!)
律(気のせいだ気のせい!授業に集中しないと!)
律(……授業に集中とか私のキャラじゃねーよな。ペン回しでもしてよ)クルクル
?《ザザザッ………ザ……ピューッ…ザザ……》
律(………?)
126:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/26(水) 12:48:00.53:Q7f2RFfmP
【放課後】
唯「やっぱり放課後といえば部活、部活といったらムギちゃんのお菓子だよね~」
紬「うふふ。今日はいちごのタルトよ~♪」
唯「いっえ~い!いえす!イエ~ス!」
澪「……今日は練習するんじゃなかったのか?」
唯「ちゃんと練習もするもーん」ムフフ
律「………………」
澪「どうしたんだ?律」
紬「りっちゃん、いちごのタルト嫌だった?」
律「……えっ?あ、ああ別に嫌じゃないぞ。むしろ大好物だぜ!」
唯「えぇー。りっちゃんにはもったいないよ~」
律「どーいう意味だっ」ペシッ
律(………授業中のアレ、聞こえてたのは私だけなのか…?)
145:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/26(水) 18:30:00.57:Q7f2RFfmP
【部室】
梓「おつかれさまでーす…」ガチャ
唯「お、あずにゃんや。こっちにおいで」クイクイ
梓「?どうしたんですか?」トコトコ
唯「…つかまえたーっ!」ガシッ
梓「ええっ!?」ギュッ
唯「りっちゃん隊長!あずにゃん捕獲作戦レベル1クリアであります!」ガシッ
律「よくやった。速やかにレベル2に移行したまえ」
唯「了解でありますっ」ビシッ
梓「ちょっ…何するんですか!」ビクンビクン
キャーキャーワーワー
澪(………練習は?)
紬「あらあらあらあら」ウフフ
146:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/26(水) 18:31:31.23:Q7f2RFfmP
・・・・・・・・・・・・・・・・
唯「じゃーねー!澪ちゃんとりっちゃん、また明日ー!」
紬「またね~♪」
梓「……さ、さようなら…」ズーン
澪「ああ、明日こそ練習するぞ」
澪(結局あいつら昼休みのこと忘れて遊んでばっかだったな…)
律「…………」
テクテクテクテク
澪「……どうしたんだよ律、元気ないな」
律「へっ?な、なんでもないぞ」
澪(……?)
律「…そういえば澪さ、昼休み何か言いかけてたよな?四天王がどうとか…」
147:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/26(水) 18:33:01.55:Q7f2RFfmP
澪「なんだ、ちゃんと覚えてたのか…まあそのことなんだけどさ」
澪「四天王と七武海っていうのは、実在しているんだ。噂じゃない」
律「…なんだよ。学年のアタマ良いやつらが四天王ってか?」
澪「そうじゃないんだ。まあ、なんていうんだ、その…」
律「…最近、なんか変だぞ?澪…」
澪「ま、まあ変なのはそうなんだけど…ってそういう意味じゃないっ」
律「はいはい。良く分からんけど、とりあえずその四天王って誰なんだ?」
澪(……もう全部言っちゃおう)
澪「私と、瀧エリと、岡田春菜と、若王子いちご。この4人なんだ」
律「……その4人の共通点がいまいち分からないんだけど。ていうか澪も入ってるのかよ!」
澪「べ、別に自慢してるわけじゃないぞ!いいか?この四天王っていうのはな…」クドクド
148:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/26(水) 18:34:31.55:Q7f2RFfmP
・・・・・・・・・・・・・・
澪「…とまあ、私が昨日今日で知ったことはこれで全部だ」
律「…………はっきり言おう。信じられない」
澪「そうだろうな。私もこの目で見るまで信じられなかったよ」
律「………澪、本当にそれで全部か?他に隠していることとか、あるんじゃないのか?」
澪「ない。…どうしたんだよ律、やけに疑うんだな」
律「……実は今日、午後の授業でおかしなことがあったんだ」
澪「………まさか」
律「もし澪の言ってることが本当なら、アレは誰かの能力だったのかもしれない…」
澪「やっぱりそうだ!律は七武海だし、けいおん部でもある。狙われているんだよ!」
律「その前に澪、ひとつ聞きたい」
澪「な、なんだよ」
律「なんで唯やムギには黙って、知らないなんて嘘をついたんだ?」
150:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/26(水) 18:36:01.51:Q7f2RFfmP
澪「そ、それは…あの場で話しても誰も信じないと思ったんだ」
律「でも、けいおん部が世界の中心だとしたら、けいおん部自体を狙ってくるヤツがいてもおかしくない」
律「ちゃんと唯とムギにも説明した方がいいんじゃないか?」
澪「た、確かにそうだけど…」
?「その必要はないわ」
澪律「!?」ビクッ
春菜「……そんなに驚かなくてもいいじゃない。私よ」
澪「な、なんだ春菜さんか…」
律「?…ああ、確かうちのクラスの…ええと、内田さんでしたっけ?」
春菜「………岡田よ」イラッ
澪「っていうかどうしてここに?帰り道こっちなのか?」
春菜「私がなぜここにいるか。そんなことはどうでもいいの」
春菜「あなたたちに忠告しに来たのよ」
152:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/26(水) 18:42:31.59:Q7f2RFfmP
律「忠告……?」
春菜「琴吹紬と平沢唯には今回の件、話さない方がいいわ。特に平沢唯にはね」
澪「どうして私たちは良くてその二人は駄目なんだ?しかもなぜ唯?」
春菜「………私たちが困るからよ」
律「困る?どうして?」
春菜「……とにかく、これ以上面倒を起こしたくなかったら、あの二人には黙っておくことね」
澪「……分かった」
律「おい澪、いいのかよ。こんな奴の言うことなんか信用できないぜ」
春菜「こんなヤツとは言ってくれるじゃない。私はあなたたちのことを思って忠告してるのよ」
澪「……律、この人の言うとおりだ。春菜さんは私たちと同じ危険にさらされている。協力しなきゃダメだ」
春菜「別に協力するわけじゃないわ。勘違いしないで」
律「いちいち素直じゃないな。……分かったよ。あの二人には話さない。これでいいんだろ?」
春菜「………まあいいわ。それからもうひとつ忠告しておくことがあるの」
153:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/26(水) 18:44:02.25:Q7f2RFfmP
律「まだあるのかよ…」
春菜「七英雄の連中はおそらく、最初にあなたたち二人を狙ってくるわ」
律「そりゃまたどうして?」
春菜「……あなたたち二人を引き離すことができれば、けいおん部はそれだけで不安定になる」
春菜「そうなってしまったらこの世界は更に混沌に支配されるわ。七英雄はそれを狙っているのよ」
澪「…そうか。世界の崩壊と再構築…それが七英雄にとっては都合がいいってことか…」
律「………だーーっ!良く分からん!」ムキーッ
春菜「…とにかく、けいおん部はいつも通り仲良くよろしくやってればいいの」
春菜「2年の時みたいに喧嘩なんかしたら、それこそ彼女らの思うつぼよ」
澪「……喧嘩?…ああ、律が風邪ひいた時か」
律「あれ?何で岡田さんがそんなこと知ってるんだ?同じクラスだったっけ?」
春菜「……私だってただ四天王してるわけじゃないの。学年の秩序を保つために知らなきゃいけないことだって多いのよ」
154:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/26(水) 18:45:31.12:Q7f2RFfmP
律「ほぉ~そうですか。秩序を保つ、ねぇ」ホジホジ
春菜「……田井中さんが今日の午後、授業中に誰かの声を聞いた。でも周りで話している人はいなかった…」
律「!………どうしてそれを…!?まさかアンタの仕業だったのか!?」
春菜「そんなわけないじゃない。だけど田井中さん、あんなのに耳を傾けたら駄目よ」
律「…わ、分かってるわいっ」
春菜「そう。分かってるならいいの。じゃあ、私はこれで帰るわ」
澪「は、春菜!…その、忠告ありがとう…」
春菜「…あなたに呼び捨てにされる覚えはないんだけど?」
澪「ご、ごめん…」カァー
春菜「ま、せいぜい頑張りなさいな」
スタスタ
律「……なぁ~んだアイツ。感じ悪いなぁ」
155:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/26(水) 18:47:01.61:Q7f2RFfmP
律「…だいぶ暗くなってきたな。行こうぜ澪」
澪「…うん…」
スタスタ
澪「……………」
律「……………」
澪「………なあ律」
律「…なに?」
澪「さっき春菜が言ってたろ?授業中に誰かの声がした…って」
律「………ああ、最初は気のせいだと思ってたけどな」
澪「なんて言ってたんだ?」
律「……………」
澪「…律?」
156:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/26(水) 18:48:31.17:Q7f2RFfmP
律「…澪が私にウソをついてるって…。私を騙そうとしてるって、そう聞こえたんだ」
澪「……………………」
律「…卑怯なやり方だぜ。そうやって私と澪を引き離そうとしたんだ」
澪「……………………」
律「…ま、最初からそんなの信じてなかったけどな。澪が私にウソつくわけないじゃん!」
澪「………ありがとう」
律「もーそういうのはいいから!今更改まっても照れるだけだし///」
澪「…昔から律はウソばっかりだったけどな」クスッ
律「そ、それとこれとは違うだろっ。せっかく良い感じの話だったのにそーやって茶化す!」プンプン
テクテク
澪「……じゃあな、律」
律「おう、また明日な!」
158:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/26(水) 19:50:54.36:Q7f2RFfmP
【翌日】
ざわ……ざわ……
律「おーっす!おはよー!」ガラッ
澪「り、律!たいへんだ!ちょっとこっちに来てくれ」ワタワタ
律「へ?お、おいどこに行くんだよっ」
澪「いいから!」グイッ
紬「澪ちゃん、あんなに慌ててどうしたのかしら…」
唯「朝から大変だね~。おはよ~ムギちゃん」ふぁ~
紬「あ、おはよう唯ちゃん♪」
・・・・・・・・・・
律「どうしたんだよ朝っぱらから…」
澪「いいか?落ち着いて聞いてくれ…」
律「まずお前が落ち着けって」
澪「……和がやられた…昨日の放課後、私たちが帰る時だ」
159:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/26(水) 19:54:10.83:Q7f2RFfmP
律「…やられた?何をどうやられたんだ?」
澪「……話では、とても学校に来れる状態じゃないらしい…」
律「はあ!?どういうことだよ!」
澪「私にもよく分からない!ただ、クラスの一部には既に噂は広まってて…その話題でもちきりだ」
律「………くそっ!私たちが最初に狙われるんじゃなかったのか!?」
澪「…………」
律「……澪、その話は誰から聞いたんだ?」
澪「……さっき、エリから聞いたんだ…。エリも少し困惑してた…」
澪「まだ新学期が始まって数日しか経ってないのに、こんなに早く事が深刻になるなんて思ってなかったみたいだ」
律「……次は私たちの番かもしれない、ってわけか…」
澪「律………どうしよう」オロオロ
律「……和の身に何が起きたのか…。まずはそれだ。だけど学校に来てないんじゃ会って話しもできやしない」
澪「………そうだ……高橋さん!彼女に聞いてみれば何か分かるかもしれない!」
160:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/26(水) 19:57:13.49:Q7f2RFfmP
律「……高橋って、澪を襲ったヤツだろ?そんなヤツに聞いたところで…」
澪「だけど彼女は和と仲がいい。もしかしたら何か知ってるかもしれないだろ?」
律「……危険すぎる」
澪「…私だって怖い。でも和は私たちの大事な友達だ。このまま何もしないのは駄目だ…」
律「……分かった。私も行く」
澪「…そろそろ高橋さんも登校しているはずだ。行こう」
・・・・・・・・・・・・
澪(……高橋さんは……いた。やっぱり和のこと、知ってるのかな…)
澪「……あ、あのっ、高橋さん?」ドキドキ
風子「……おはよう」
澪「え?お、おはよう…」
律「(おい澪。きんちょーしすぎだ)」ヒソヒソ
澪「(だ、大丈夫、大丈夫)…あ、あのさ。和のことなんだけど…」
風子「……!わ、私は何も知らないわ…」
律「…………まだ何も言ってないけど」
161:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/26(水) 20:00:44.53:Q7f2RFfmP
風子「…っちがうの。私は関係ないわ」ビクビク
澪(この態度…あからさまに怪しい…。それに、高橋さんがこんなに動揺するなんて…)
律(……絶対に何か知ってるな)
澪「…高橋さん、もしかして和に何があったのか、知ってるんじゃないか?」
風子「し、知るわけないじゃない。何が言いたいのよ!」
澪「…実は昨日、和が放課後に誰かに襲われたみたいなんだ」
澪「しかも、学校に来れなくなるくらいひどい目に…お願いだ高橋さん!なんでもいいから教えてくれ!」
風子「知らないって、い、言ってるじゃない!私は何もしてないわ!!」
律「……澪を恨むほど和を慕っているのに、なんでそんなに関係ないと言い張るんだ?」
風子「………………っ!」ビクッ
澪「…高橋さんが以前、私にしたことはもう許す…。私も高橋さんには何もしない」
澪「私たちはただ、和のことが心配なんだ。だから教えてくれ!和の身に何が起こったのか」
風子「……わ、私も何が起こったのか分からないの…。昨日、真鍋さんは私と一緒に帰った…」
162:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/26(水) 20:03:46.65:Q7f2RFfmP
律「なんだって!?」
澪「(しーっ!律、声がでかい!)」ボソボソ
風子「…昨日、私は真鍋さんと言い合いをした…。私が秋山さんに攻撃したことで、真鍋さんはかなり怒っていたわ…」
風子「私も、真鍋さんのことを思ってやったことだと反論したの…。だけど私があの人との約束を破ってしまったことに変わりはない」
風子「私が悪かった。そう言って放課後に仲直りしたの。それからいつも通り一緒に帰り道を歩いていた時だった…」
風子「突然、頭の中で声がして…最初は誰かがしゃべっているだけだと思っていたけど、周りに話している人なんていなかった」
律「………私と同じだ……!」
風子「気のせいだと思っていたわ…。だけど、次第に声がはっきり、大きく聞こえてきて…」
風子「そ、そしたら段々、訳の分からない、怒りみたいな感情が湧きあがってきて………」ガタガタ
澪「…高橋さん、落ち着いて…それからどうしたんだ?…」
風子「気がついたら、ま、真鍋さんが……」
律「和がどうなったんだ!?」
風子「………いきなり服を脱ぎだして…ぜ 全裸になったの…」ガクガクブルブル
澪律「 」
163:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/26(水) 20:12:40.87:N2Wm9KcM0
164:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/26(水) 20:12:44.34:Q7f2RFfmP
澪(………うわぁ…………)
律(流石の私もそれは引くわ………)
風子「一瞬なにが起こったのか分からなかったわ……そして真鍋さんは何も無かったかのように歩きだしたの…」
律「…いったい和は何をされたんだ?何かの能力にかけられていたのか…?」
澪「…………ちがう…これは……高橋さんの能力『凌辱の処女(レイパー)』…!」
風子「わ、私は真鍋さんを攻撃するつもりなんてちっとも無かった!」
風子「そもそも仲直りした時点で、この能力は今後一切使わないって真鍋さんと誓ったのよ!」
風子「なのに…なのに…!気がついたら私は真鍋さんに能力を使っていた……!」
澪「で、でも能力は解除できたんだろ!?すぐに和を正気に戻したんだよな!?」
風子「そ、それがものすごく強く能力をかけていたみたいで……わたしでも解除することができなくなって…」
律「じゃあまさか、和は今でも…?」
風子「……服を着ていないわ…。自宅の部屋から出るのを御両親に禁止されているらしいの…」
風子「本人は自分がまともだと思っているわ…だからなぜ自分が学校に行ってはいけないのか理解できない…」
澪「お 思っていたより深刻だな…違う意味で…」
165:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/26(水) 20:15:45.32:Q7f2RFfmP
律「……ッ! お前は和を助けようと思わなかったのか!?」
澪「おい律、やめ…」
風子「助けようとしたわ!!でも私じゃどうしようも出来ない…」
風子「それに約束を二度も破ってしまった私に…真鍋さんと関わる資格なんて、無いのよ……」グスン
澪「…………いや、悪いのは高橋さんじゃない。それに、和だって高橋さんのことを恨むなんてことはないと思う」
風子「…秋山さん……」
澪「……和のことは高橋さん、あなたに任せる。なんとか和を助ける方法を探してくれ。……私たちは…」
律「ああ。私たちはその謎の声の主を探る!他人を利用して攻撃するなんて許せねぇ!」ムカムカ
風子「……ありがとう。…秋山さん、私…あなたのこと誤解してたわ」
澪「…いいんだ。それより高橋さん、謎の声について心当たりはないのか?」
風子「…ごめんなさい…」
律「そうか…。それにしても一体誰が…」
166:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/26(水) 20:18:45.43:Q7f2RFfmP
風子「…もし力になれるなら、いつでも呼んで頂戴。協力するわ」
澪「ありがとう。能力の解除について調べるなら、エリに聞いてみると良いかもしれない」
風子「…分かったわ」
キーンコーンカーンコーン
澪「……じゃあ、また」ガタッ
風子「ええ」
スタスタ
律「……しかし高橋さんと和の約束ってなんなんだろうな?」
澪「さあ…過去に何かあったんじゃない?私たちが知る必要もなさそうだけどな」
律「それもそうだな…」
167:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/26(水) 20:21:51.14:Q7f2RFfmP
ざわ・・・ざわ・・・
さわ子「みんな、おはよう。席について下さい」
さわ子「今日は真鍋さんがお休みね。みんなも体調には気を付けて」
唯「和ちゃんが休むなんて珍しいねー。前の席が空いてると変な感じ~」そわそわ
姫子「ふふっ。唯も気をつけなきゃね」
唯「?」
さわ子「…それではHRを始めたいと思います」
・・・・・・・・・・・
【そんなこんなで早くも放課後】
澪「………結局、今日一日なにも無かったな」
律「だーっ!なんにも手がかりが掴めないままかよっ」ムキーッ
168:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/26(水) 20:25:05.58:Q7f2RFfmP
澪「せめて七英雄になにかしらの動きがあれば、と思ったけど…。そう上手くはいかないな…」
律「…あと疑わしい七英雄は誰がいたっけ?」
澪「立花姫子、木下しずか、佐伯三花の三人だ」
律「…確かにその三人は特に怪しい動きは無かった…」
澪「頭の中で誰かの声が聞こえる……ヒントはこれだけしかない」
律「でも、私の時は雑音ばかりではっきりとは聞こえなかった。だけど高橋さんの場合ははっきり、しかも大きく聞こえた…」
律「この違いはなんなんだ…?」
澪「……能力をかけるときに、色々条件があるのかもしれない…」
澪「だけど、律と高橋さんの状況を比べたところで分かることなんて…」
律「う~~~~~ん…………………そうだ! エリに聞けばいいじゃんか!」
澪「…そうしたいところだけど、下手したらエリの身に危険が及ぶかもしれない。駄目だ」
律「…………くそっ!完全にお手上げじゃねーか!」
唯「あ~!りっちゃんに澪ちゃん!こんな所にいた~」
169:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/26(水) 20:38:32.31:Q7f2RFfmP
律「…なんだ唯か」
唯「むっ。失礼な。私はきちんとした用事があって声をかけたのです」フンス
澪「どうしたんだ?」
唯「あのねー、佐伯三花ちゃんがりっちゃんのこと呼んでたよ~」
律澪「!!」
唯「体育館の裏に来て、だってさー。やけますの~」ニヤニヤ
律「……まさかあっちからお呼びがかかるとはな…」
澪「り、律…」
律「上等だぜ!知ってることは全部吐き出させてやる」
唯「おお!なんだか気合が入ってますな~」
澪「わ、私もついていくぞ!」
唯「あ でも三花ちゃんはりっちゃんと二人で話がしたいって言ってたよ」
170:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/26(水) 20:42:19.10:Q7f2RFfmP
律「澪…気持ちはありがたいけど、きっと相手はサシでの勝負を望んでいる…二対一は卑怯だ」
澪「そ、そんな悠長なこと言ってる場合か!それにお前は能力も持ってないんだぞ!」
律「大丈夫さ。絶対に勝つ…」
律「なんてったって私は、部長だからな!」
唯「り、りっちゃんがカッコイイ…!何の話かさっぱりだけど」
澪「…分かった。無事に帰ってこいよ…。部室で待ってるからな」
唯「そーだよりっちゃん!早く部活に来ないとおやつなくなっちゃうよ」
律「おう!待ってろよ、すぐ終わらせてくっから!」
タタタタタッ
唯「……あーあ、行っちゃったね…罠だとも知らずに…」クックックッ
澪「!? ゆ、唯…なにを言ってるんだ…?」
唯「秋山さん、あんた本当に阿呆だねぇ。こうも上手くいくとは思わなかったよ」
澪「!? 唯じゃない……誰だっ!」
171:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/26(水) 20:46:16.40:Q7f2RFfmP
?「そう、あたしは平沢唯じゃない。本物の唯は今頃部室でのんびりあんたたちを待ってるよ」
澪「………くそっ!ハメられた…っ!」
?「……四天王だからって少しビビってたけど、なんてことないね。ただ美人でスタイルがいいだけじゃん」
?「何の能力も持たなけりゃ雑魚同然! あたしの敵じゃない!」アッハッハッ
澪「な、何をするつもりだ…!」
?「簡単なこと…。その綺麗な顔を吹っ飛ばしてあげる」
澪「ひ、ひぃっ」ガクブル
?「…というのは冗談だけど、まあ、人前に出られないくらいめちゃくちゃにする予定だよっ」ニコッ
澪(く、くるってる…これはマジにヤバイ…っ)
?「よっし!覚悟は出来た?あたしは出来てるけど…」ググッ
澪「ま、待て!どうしてそんなことをするんだ!暴力反対!」
?「そうやって時間稼ぎしても無駄だよ……。おとなしくしてればすぐ終わるからさっ」
ダッ!
175:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/26(水) 21:04:29.65:Q7f2RFfmP
澪「きゃあっ!!」
ガキィィンッ!!
?「!?」
エリ「……ふぅ…なんとか間に合ったみたいだね」
澪「エ、エリ~っ!! 助かったよぉ~」ヘナヘナ
?「エリ……じゃまするならあんたも道連れだよ?」
エリ「………いいかげんにしなよ、三花」
澪「三花!? 佐伯三花がなんでここに…じゃあ律が行ったのは…??」
三花「田井中さんは今頃、姫子にぼこぼこになぶられてるじゃないかなぁ…」クックックッ
澪「なっ、何!?」
エリ「大丈夫だよ澪。田井中さんの所にはアカネが行ってる」
三花「……ふん。アカネでも姫子に勝てるかねぇ?」
エリ「アカネは大丈夫。きっと姫子を止めてくれる。そして私も………あなたを止めてみせるっ!!」
澪「エリ………」
176:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/26(水) 21:10:03.96:Q7f2RFfmP
三花「あっはっは!能力に名前を付けるだけのあんたに、何ができるっていうの?」
エリ「………やってみなきゃ分かんないでしょ?」
澪「エリ、三花の能力は一体なんなんだ!?」
エリ「佐伯三花…あいつの能力は『完全変態(トランスフォーミング)』…」
三花「……その名前はやめてって言ったでしょ?」
エリ「自分の肉体を自由に変形させることができるんだ。それを利用して誰かの顔そっくりに化けることもできる」
三花「……そう。だからけいおん部の平沢唯に変装したってわけ……気にくわないけどね」
エリ「そしてこの『完全変態』のもうひとつ厄介なところは、身体能力をも大幅にUP出来るという点……」
三花「……ま、そんなことをあんたたちが知ったところで何もできないことに変わりはないんだからさ」
三花「ふたりまとめて四天王の座から落ちなよっ!」ダッ!!
エリ「ぐっ!!」ゴキィッ!
澪「エリ! 大丈夫か!?」
エリ「だ、大丈夫…。私だってバレー部では三花と張り合ってたんだ…。それより澪、お願いがあるの…っ」
177:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/26(水) 21:15:34.06:Q7f2RFfmP
三花「ほらほら~。そんなのんびりお話してていいの~?」
澪「や、やばい! エリ、早く逃げよう!」
エリ「聞いて! ここは私が食い止めるから、澪は田井中さんの所へ……」
澪「駄目だ!エリを放っておけない!」
エリ「……三花がこうなったのも私に責任があるんだ……三花を止めるのは私の役目…」
エリ「大丈夫。私一人でやれる。それより澪は田井中さんを助けてあげてっ!」ドンッ
澪「エリっ!」
三花「自己犠牲…泣けるね。いいよ。エリを仕留めたら秋山さん、次はあんたの番だ。今の内に逃げればいいさ」
澪「………ぐっ…! エリ、必ず戻ってくるからな!」ダッ
タッタッタッ
・ ・
三花「さて、ちゃっちゃとやっちゃいますか。部長さん」
・ ・ ・
エリ「そうだね………………元部長さん。決着をつけよう…!」
ドゴオォォォン!!!…………
179:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/26(水) 21:21:03.50:Q7f2RFfmP
・・・・・・・・・・・・
タッタッタッタッ・・・・・
澪「ハァ…ハァ……た、確か律は体育館裏に……」
「やめろ姫子!」
「きゃあああああ!!」
澪「! 悲鳴…あっちだ!」
ガラッ
澪「律!助けに来たぞ…」
アカネ「危ないっ!」キュピーン
澪「…ッ!? な、なんだこれ……」ドクン・・・
律「澪っ!なんで来た…っうぐっ」ズキ
姫子「飛んで火に入るなんとやら…3人同時に倒せるなんてラッキーじゃん。ね?しずか」ニコッ
しずか「も、もうやめて…こんなこと、やりたくない!」
澪(……あれは…木下しずか……!? なんで姫子と一緒に…)ズキズキ
180:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/26(水) 21:29:48.08:Q7f2RFfmP
アカネ「澪! 気を確かに持って!」
澪「ア、アカネ…一体何が起こってるんだ…っ」ズキズキ
アカネ「この頭痛はおそらく木下さんの能力……」
澪「木下さんが…!? じゃあ姫子は…」
律「姫子は木下さんを操っているんだ…!っ」ズキズキ
アカネ「…エリが色々と調べてくれたわ…。立花姫子の過去…そこからあいつの能力を特定したんだ」
アカネ「あいつの能力は『服従の円舞曲(マインド・コントロール)』……他人を操ることができる」
姫子「……まあ、あたしはそんな名前、つけてもらわなくても十分制御できてたけどね」
姫子「あんたたち3人くらい、あたしが直接手を下すまでもない」
姫子「……ほら、しずか。もっとがんばってよ。アカネに負けたらただじゃおかないよ」
しずか「う……うぅ……」
アカネ「ぐっ……」ズキ・・・
181:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/26(水) 21:34:49.30:Q7f2RFfmP
澪「…アカネが私たちを助けてくれているのか……?」
律「……アカネがいなかったら、私たちはとっくに脳を破壊されていた…」
律「アカネの『集注拡散(フォーカスレンズ)』は、相手の集中力を乱す能力……っ」
律「今は必死に木下さんの集中力を私たちから遠ざけようとしている…だけどそれも限界がある…」
律「アカネがやられたら私たちもおしまいなんだ…」
澪「……ぐっ……木下さんの…能力はなんなんだ!?」ズキズキ
アカネ「…それは分からない……。だけど、脳に直接攻撃するタイプみたい…」
澪(……頭が痛くて何も考えられない………動くこともできないっ…)
アカネ「……まだ名前を付けていないから、木下さんは能力を制御できてないんだ…だからこんな強力に…っ」
姫子「…………うーん…アカネが思ったより強いのは計算外だったよ…これじゃ埒があかないじゃん」
姫子「自分の手は汚したく無かったけど……しょうがないか」スタスタ
アカネ「な、なにを……」
姫子「えいっ!」ドスッ
アカネ「うぐっ!?…………」バタン
182:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/26(水) 21:45:01.54:Q7f2RFfmP
律澪「っ!!!?」
澪「ぎゃああああああああああああああああ」グワングワン
律「頭が割れる………ッッッ!!!」
姫子「………ま、このままほっといても3人とも逝っちゃうけど……しずか、どうする?」
しずか「もうやめて!! どうしてこんなにひどいことするの!?」
姫子「……別に。理由があるとすれば、けいおん部なしに私たちが存在できない、っていう現状が我慢ならないだけ」
しずか「…………ち、違う……けいおん部がいなくなったら、私たちは消えるんだよ?…それでもいいの?」
姫子「……くだらないおしゃべりはここまで。さっさと仕留めようよ」
しずか「…わ、私にはできない!」
姫子「ちぇっ…。やっぱりあたしの能力も限界があるのかなぁ…。仕方ない、自分でやるか」ハァ
スタスタ
律「……ッッッ!!」
184:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/26(水) 21:53:59.17:Q7f2RFfmP
姫子「まずは四天王の秋山さんからかな……」グイッ
澪「うああああああああ や、やめてくれ……」バタバタ
律「や やめろ………ッッ 澪に手ぇ出すなあああああ………」
姫子「別に殺したりするわけじゃないんだけどなぁ。ちょっと顔が変形するだけなんだけど…」
澪「やめろおおお……… やめてくれええ……」ジタバタ
姫子「やめないよ。少し痛いけど我慢してよね」グググッ
澪「!!」
律「澪ッッッ!!!」
ド ク ン ッ
185:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/26(水) 22:00:01.44:Q7f2RFfmP
キュピンッ
姫子「!?!?」バッ
しずか「……これは…?」フッ
姫子「あたしの能力が……解けた…!?」
アカネ「………う~ん………ハッ」キョロキョロ
アカネ「あたし姫子に攻撃されて気を失って…そ、そうだ!二人とも大丈……」ガバッ
アカネ「…あ、あんたたち……どうしたの…!?」
澪「り、律……まさかこれって」キラキラ
律「ああ………とうとう私たちにも能力が………」キラキラ
アカネ(…きれい……これが秋山澪と田井中律の本当の姿…)
姫子「くっ…!しずかっ!もう一度痛い目にあわせてやりな!」キュピン
しずか「あぐっ…」ゾクッ
律「無駄ァッ!!」キュピィン
しずか「あ……」フッ
姫子「!? な、なんで…」
186:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/26(水) 22:05:44.46:Q7f2RFfmP
律「……もうお前は『服従の円舞曲(マインド・コントロール)』を使うことはできない…いや、使っても私たちが止める!」
姫子「どういうこと!?」
アカネ「み 澪……いったい何が起きてるの…?」
澪「……アカネ…あいつを倒すにはアカネの能力が必要だ」
アカネ「え?」
澪「もう姫子に『服従の円舞曲』は使わせない…!だけど私じゃあいつに対する攻撃手段がない…」
澪「律があいつを止めている間にアカネの『集注拡散(フォーカスレンズ)』でとどめを!」
アカネ「む、無理よ……あたしの能力は相手に危害を加えるタイプじゃない…」
澪「………大丈夫。私を信じるんだ」
姫子「…フン!まあいいわ…。あたしには『服従の円舞曲』がなくても、腕っ節であんたたちを叩きのめすことができる…」
アカネ「……くっ! 澪、姫子の身体能力は七賢者の中でNo1…あの三花でさえパワーアップしてやっと互角なの…」
澪「…………」
アカネ「このままじゃ、4人まとめてやられてしまう!」
187:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/26(水) 22:11:41.25:Q7f2RFfmP
澪「アカネ!いいからはやく『集注拡散(フォーカスレンズ)』を!」
アカネ「………ッ!」キュピーン
姫子「遅いっ!!」ブオン
スカッ
姫子「………!? き、消えた…?」
姫子「ど どこに行ったの!? しずかも…いない!?」キョロキョロ
律「………ふぅ、危なかったな」
アカネ「………!?…姫子はひとりで何をしているの?」
澪「私たちのことが見えてないんだ…これはアカネの能力だよ」
アカネ「え!? で、でも私の『集注拡散』に姿を消す力なんてない…!」
澪「そうじゃない。姫子は今、私たちに対して集中できないでいるだけ…」
澪「……それこそ私たちの存在を認識できないほどにな」
アカネ「あ、あたしにはそんな強力な力は使えない!あんたたち何をしたの!?」
188:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/26(水) 22:16:13.83:Q7f2RFfmP
澪「……私の能力は"誰かの長所を更に伸ばす"能力…そしてアカネの場合、『集注拡散(フォーカスレンズ)』が長所なんだ」
律「そして私の能力は、"誰かの長所を抑え込む"能力なんだ。だからあいつの『服従の円舞曲(マインド・コントロール)』を一時的に使えなくした」
アカネ「………そんな力が…! で、でもちゃんと制御できてるの!?」
澪「……不思議とコントロールできてる…」キラキラ
律「なんだか今まで使えなかったのがおかしく感じてくるぜ!」キラキラ
しずか「す すごい…………」
澪「………さあ。まだ終わりじゃない」
律「ああ…。あの腐ったゲス野郎に天誅を下さないとな!」
アカネ「……でもどうやって…?」
律「それは……」
しずか「きゃあっ!?」ガツン
澪「!?」
189:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/26(水) 22:27:49.27:Q7f2RFfmP
姫子「ちぃっ!!ここであいつらを逃がすなんて……ッ!!」ガタン!
バキッ メキメキメキ
姫子「クソッ!」バンッ
律「姫子のやつ、手当たり次第に暴れてやがる…」
アカネ「このままだとあたしたちも巻き添えをくらう!」
律「まったく、DQNはどうしようもないぜ。あーあ、体育用具がボロボロ…」
澪「律、のんびりしてる暇はないぞ!あいつをどうやって止めるんだ!?」
律「……木下さん…いや、しずかの能力を使うんだ」
しずか「え……?」
律「しずかの能力は、私の予想が正しければ相手にイメージや言葉を直接伝えることができる…」
律「そしてその力は相手の感情や思考、その気になれば心理状態にまで影響を与えることができるんじゃないか…?」
澪「……どうしてそう言えるんだ?」
律「……和のことさ。高橋さんを怒らせ、能力を暴走させたのは木下しずか。そうなんだろ?」
190:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/26(水) 22:32:06.45:Q7f2RFfmP
しずか「……田井中さんの言うとおりです…。高橋さんの脳にイメージを伝えたのは、わたし…」
しずか「それに、田井中さんにもやりました」
律「……分かってる。そして、それらは全部姫子に命令されてやっていたんだろ?」
しずか「……………はい。わ、わたしにはどうすることもできなくて…っ。すいません……」グスン
律「謝る必要なんてない。悪いのは全部、姫子だ」
澪「…………………」
律「…だけど姫子をギタギタにやっつけるつもりなんて、ない…」
律「だからしずか。しずかの能力で姫子を更生させてほしいんだ。姫子に良心が少しでも残っているなら…」
律「きっとアイツは正しい道を選んでくれると思う」
しずか「……田井中さん…………分かりました…やってみます……」
アカネ「…ちょっと待ちなよ。上手く制御できない能力でやるなんて危険すぎる」
アカネ「それに、姫子が更生するくらい強く、精度の高いイメージを送るなんてできっこない…」
192:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/26(水) 22:40:50.92:Q7f2RFfmP
律「やってみないと分からないだろ?それにこっちには澪もいる。しずかの能力を高めることだってできるはずだ」
澪「…律。それは出来ないんだ」
律「………どうしてだよ」
澪「私が高めることが出来るのは、相手が"長所だと思っていること"だけ…木下さんは、自分の能力を長所だと思っていない…」
しずか「…………」
澪「それに、私が能力をかけられるのは1つの対象だけだ。今はアカネにかけているから…2人同時は無理なんだ…」
律「……それでも!やるしかないんだ!」
アカネ「……木下さんがまた暴走したら?長所だと思ってないなら、律にだって止められないってことになる…」
律「………私はしずかを信じる」
澪「…確かにこのまま、姫子を野放しにしておくわけにはいかない…。木下さんが上手くやってくれれば、誰も傷つかずに済むかもしれない…」
律「しずか………準備は出来たか?」
しずか「…………」コク
アカネ「…分かったよ。私も極力、アイツに見つからないように頑張ってみるわ」
193:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/26(水) 22:45:59.78:Q7f2RFfmP
しずか「…………」ムムムムム・・・
澪(…これは…念じてるのか? ちっちゃくて可愛いな…)
律「あっ。しずかちょっとタンマ」
しずか「えっ」コケッ
律「やっぱり殴らないと気が済まない」
澪「…お前も十分DQNだよな」
アカネ「ちょっと待ってよ!そんなことしたらいくら強化した『集注拡散』でも流石に感づかれる!」
律「そこはあんたらに任せる!」ダッ
澪「…誰も傷つかないかも…って言ったけど、やっぱりそうはいかないな。罰は受けなきゃ」ヤレヤレ
アカネ「あ~もう!どうなっても知らないから!」キュピーン
姫子「…………」イライラ
律「…さてと、姫子さんよ。あんたは私の触れてはいけない逆鱗に、とうとう触れちまった…」
律「報いを受けてもらうぜっ!!」
195:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/26(水) 22:50:22.63:Q7f2RFfmP
律「まず、これが……和の分だッ!」ドゴォ!
姫子「うぐっ!? な、なに!?いきなり……」
律「そしてこれが…高橋さんのぶんッ!」ドゴォ!
姫子「がはっ! そこにいるのは……誰!?」
律「これは澪のぶんッ」ドゴォ!
姫子「………ッ!?」
律「これがッ!しずかのぶんッ!こっちはアカネのぶんだッ!!」ドゴォ バキィ
姫子「ぐふぅ……」
律「そして……私のぶんだあッッ!!!」ドギャアアアン!!
姫子「うぐ……」バタン
澪「……おいおい。倒れちゃったぞ」
律「まだ意識はある。いいぜ、しずか。精神的にも肉体的にも参ってる姫子なら、少しはやりやすいんじゃないか?」
しずか「……………うん」コク
196:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/26(水) 22:55:35.25:Q7f2RFfmP
しずか「…ムムムムム………」
澪「…………」
律「…………ど、どうだ?上手くいきそうか?」
アカネ「…話しかけない方がいいわ」
律「…………へいへい」
しずか「………………うっ」ズキ
澪「!?」
律「どうした、しずか!」
しずか「だ 大丈夫……うっ」ズキズキ
姫子「ぐ…うああ……いやああああ」
アカネ「! 姫子が!!」
澪「木下さん!」
しずか「…………ち 力が……みんな、逃げてっ…」ズキズキ
アカネ「そんな! 失敗したっていうの!?」
198:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/26(水) 23:03:33.27:Q7f2RFfmP
澪「うっ!?」ズキン
アカネ「木下さんっ…落ち着いて…うぅっ」グラ
しずか「はやく……みなさん、逃げてください…」
律「あきらめちゃ駄目だ!」
しずか「!?」
律「私たちのことは…き 気にするな…それよりも姫子に集中するんだ…」ズキズキ
しずか「でも……」
律「早く!」
しずか「…………」グッ
しずか(姫子さんの心の奥……暗くて良く分からない……ぼやけてる)
しずか(お願い……!姫子さん…この気持ち…伝わって!)
…パァァァ
しずか(!あれは……姫子さんの良心!………お願いっ!届いて!)
姫子「 」ビクッ
ガタン
199:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/26(水) 23:07:37.36:Q7f2RFfmP
スーーッ
澪「……と、解けた…」フッ
アカネ「……木下さん!どうなったの!?」
しずか「………………」
律「も、もしかして…駄目だった?」
しずか「……成功した、と思う……」
律「本当か!?」
しずか「たぶん………だけど、姫子さん、気を失っちゃった…」
姫子「」
アカネ「……大丈夫なんでしょうね」
しずか「…なんだか良く分からない…けど、確かな手ごたえはあった…」
しずか「もうさっきみたいに私たちを攻撃することは、ないと思います」
澪「………終わったのか…」
律「…やったな!しずか!」
200:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/26(水) 23:17:36.72:Q7f2RFfmP
アカネ「……でも、姫子をこのままにしておくわけにはいかない。どうするの?」
しずか「……わたしが保健室に連れて行きます…」
しずか「先生には適当に言い訳しておいて、寝かしておけばいつかは目が覚めるかも…」
澪「目が覚めて木下さんを襲ったらどうするんだ!?」
しずか「…大丈夫です。もう姫子さんは大丈夫だと思います」
律「……まあ今回はしずかのお手柄なわけだし、姫子を更生したのもしずかなワケだし…」
律「しずかがこう言ってるなら何も心配いらないだろ」
澪「……そうだな」
しずか「じゃあ…姫子さん連れて行きますね。…んしょっと」
ズルズル
澪(引きずってる…)
律(……大丈夫、だよな?)
201:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/26(水) 23:20:20.84:Q7f2RFfmP
アカネ「…………た、大変よ!!」
澪「どうしたんだアカネ、また問題が!?」
アカネ「澪!!あんた大事なこと忘れてるよ!」
澪「…?」
アカネ「エリが………エリが………」
澪「!!」
律「なんだ?エリがどうかしたのか?」
澪「っ律、お前も来い!エリを助けに行くんだ!!」グイッ
タタタッ
律「おいっ!どこに行くんだ!?」
澪「……律のところへ行く前、私は佐伯三花に襲われていたんだ…」タッタッタッ
澪「そしたらエリが助けに来てくれて…三花を食い止めるからって……一人で…」
律「なにっ!?」
アカネ「三花は色々な意味でヤバイ奴なんだ…。エリが危ない!」
202:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/26(水) 23:25:02.46:Q7f2RFfmP
・・・・・・・・・・・
タッタッタッ
アカネ「…ハァ……ハァ……つ 着いたの…?」
澪「ハァ……ハァ……た、確かここで三花が唯に変装していて……」キョロキョロ
律「……誰もいないぞ?」
澪「………もしかして二人は既に決着を……?」
アカネ「!! ちょっと…コレ…」
律「あ あれは…血!?」
澪「うわあっ! 血は駄目なんだ……っ」ガクブル
アカネ「いったい誰の………」
律「エリか、三花か……そんなに重症ではないみたいだけど…」
アカネ「……あたし、エリに連絡とってみる」
律「エリがやられたんだとしたら……事態は最悪だ……」
203:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/26(水) 23:28:40.65:Q7f2RFfmP
prrrrrr prrrrr
アカネ「………だめ。出ない」ピッ
澪「まさか……」
律「…………」
アカネ「………エリならきっと、大丈夫よ。もしかしたら何食わぬ顔で部活やってたりしてね」
澪「………」
アカネ「……あたし、バレー部の様子見てくる。澪たちはけいおん部に行ってて。あそこが一番安全だから」
律「……いいのか?」
アカネ「これでも七賢者のひとりよ。心配には及ばないわ。じゃあね……」
タッタッタッ
律「……行っちまった」
澪「………私たちも行こう。唯たちが待ってる」
次へ
律「きっと裏で誰かが仕組んだに違いない」
澪「そんなこと出来る人いるわけ……」
さわ子「私です!」
律「居たな」
唯「なんかつまんない」
さわ子「そのリアクションはひどすぎない!?」
【3年2組 教室】
唯「あ、和ちゃんも一緒だ~」
和「あら、けいおん部も全員2組なのね」
澪「和、3年もよろしくな」
和「ええ、澪も色々大変だと思うけど、お互い頑張りましょう」
澪(?……ああ、律と唯の世話で大変ってことか)
さわ子「みんなー。席についてくださ―い」
澪「まあね。受験勉強もあるし……」
和「そうなんだ、じゃあ私席に着くね」
澪「………」
【HR終わり】
ざわざわ
澪(なんだか活気のあるクラスだな…皆もう打ち解けてるし)
澪(……私はけいおん部と和くらいしか話せる人いない…)
?「秋山さんっ」ポン
澪「はっ、はひぃ!?」
?「一年間、よろしくね」ニコッ
澪「あ、よ、よろしく……?」
?「何か分からないことがあったら、何でも聞いて!協力するよ!」
澪「あ…ありがとう」
?「じゃあまたね!」ニコッ
澪(………ビックリしたああああああ!何だったんだ!?ていうか誰!?)ドキドキ
澪(唐突!これ唐突だよ!何かの罰ゲーム!?新学期早々!?)
律「…おーい、みお~。どうしたんだ?顔が青いぞ」
澪「りつぅ~~」ガシッ
律「なんだよ。ていうかさっき話してたの、瀧エリじゃん。澪と仲良かったっけ?」
澪「全然話したことない…すごい気さくに話しかけられた!怖かったよぉ~」ガクブル
律「はいはい、エリはそういうヤツだから。相変わらずの人見知りだな」
澪(うう……瀧エリっていうのか……悪い人じゃなさそうだけど……)
エリ「あ、自己紹介するの忘れた。まあいっか」
「ねぇ…見た?今の」
「うん……」
ヒソヒソ…ザワザワ…
澪(…心なしか、皆私の方を見ているような…ううぅ)
澪(はひぃっ、とか声裏返っちゃってたし……恥ずかしい///)
律「澪も少しは積極的にみんなに話しかけてみろよ。いろいろと捗るぞ」
澪「何がだよ…。こういう性格なんだからムリだって」
律「唯を見てみろよ。あいつさっそく和グループの輪に入ってるぞ」
澪(……やっぱり唯はすごいな。私だって和みたいな静かな人ならそれなりに仲良くなれるのに…)
唯「あ!2人ともどおしたの~?こっちおいでよ~」
律「おう。……ほら澪、行ってみようぜ」
澪(もうなんだかイヤな予感が……唯ぃ…)
唯「紹介するね。こちら秋山澪ちゃんと田井中律ちゃん」
風子「あら?秋山さんは2年の時も同じクラスだったわよね」
澪(……この人は確か、高橋風子さん…。いつも和と一緒にいたような…)
和「澪は風子とはあんまり話したことないんだっけ?」
澪「あ……はじめまして…高橋さん」オドオド
風子「…よろしくね」
唯(この2人、似てるよなぁ……レタスとキャベツくらい似てる…)
律「まあ、仲良くしてやってくれな。澪のヤツ、人見知りだし、臆病だし、すぐ暴力はふるうし、
胸はでかいし、髪の毛うすいし、プライドは高いしでほんとやっかいだけど…」
澪「せめてフォローできる範囲でけなせ!」ボカッ
律「あいたーっ☆」
唯(自覚はあるんだ)
律「……とまあ、こんなんだけど良いヤツだからさ。宜しく頼むよ、高橋さん、と生徒会長っ」
澪「はあ…まったく、初日からチョベリバだ…」
風子「…」
和「…」
律「…えっごめんいまなんて?」
澪「えっ、だからチョベリバだって…」
風子「…」
和「…」
律「…」
唯「澪ちゃん面白ーい!」キャッキャッ
澪(えっ何この空気。私いま変なこと言った?)
和「……」
律(和がすごい表情してる!憐れみと軽蔑と畏怖が入り混じったものすごい表情だ!)
唯「和ちゃんヘンなかお~。チョベリバ!チョベリバ!」キャッキャッ
律(……唯の強引すぎるフォローがなかったら今頃私たち…死んでた)
キーンコーンカーンコーン
風子「…あ、1限始まる」
澪「じゃ、じゃあまた後でな」タタタッ
和「……」
唯「じゅっぎょうっ、じゅっぎょうっ」ルンルン
律(た、助かった…のか?澪は何だか事の深刻さを理解してないみたいだったけど…)
律(そもそもチョベリバって!時代錯誤甚だしいよ!頭皮だけじゃなく大脳皮質も退化したのか!?)
律(ツッコミが遅れてやってくる…。あ、あたまが痛い)
先生「……であるからして…」
澪(あの空気…私なにか変なこと言ったんだ、きっと)カキカキ
澪(うぅ~…やっぱり私には友達作れないんだ…)カキカキ
紬(……澪ちゃん、どうしたのかしら…。ものすごく姿勢が悪いわ…)カキカキ
紬(座席の位置関係上、どうしても目に入ってしまう……あの机を抱え込むような姿勢)カキカキ
紬(小学校低学年の子が必死にあいうえおをノートに書いてる感じだわ…切ない)カキカキ
澪(…なんだか視線を感じる…)カキカキ
唯(澪ちゃん、すっごい猫背だ。ネコになりたいのかな?)ボケェーッ
唯(それに黒板とノートを往復する首のスピードが常軌を逸してるよ。すごくかっこ悪いよ澪ちゃん)ボケェーッ
唯(気合入ってるなぁ)ンヌボーッ
【そんな調子で昼休み】
律「みーおー!弁当だ弁当!食べるぞー!」
澪「はいはい」
唯「私の席のところで食べよ~」
紬「ところで澪ちゃん、どこか体の調子悪いの?」
澪「へっ?なんでだ?」
紬「授業中すごく…その、苦しそうな体勢だったから…」
澪「?そうか?いつも通りだったけど…」
唯「澪ちゃん受験生だから気合入れてるんだよね!」
澪「ま、まあな」
律「あれ?澪、弁当は?」
澪「ああ、ここにあるぞ」
ドスン
律「……」
紬「……」
澪「さ、食べようか」
唯「いただきまぁ~す」
律「ちょ、ちょっと待て。澪、このバカでかいおむすびは何だ?」
澪「?見ればわかるだろ。おむすびだ」
律「ん、んん…それはそうだけど……まあいいや」
紬(りっちゃんがツッコミを放棄するなんて…!)
唯「おいしぃ~」バクバク
律(……今日の澪、色々とおかしい…)
・・・・・・
澪(…なんだか皆に避けられているような気がする…)
澪(けいおん部の他の3人は揃って用事があってどっか行っちゃったし)
澪(昼休みに一人でいるなんて…さみしい)
澪(……そうだ、和の所へ行こう。高橋さんとも全然しゃべってないし)
澪「…………」トコトコ
和「ソウナノヨ…ウン…って、澪じゃない、どうしたの?」
風子「………」
澪「あ、その、何の話してるのかなぁ…っと思って」
和「そうなんだ、じゃあ私生徒会に行くね。行こう、風子」スタスタ
風子「………」スタスタ
澪「!!」ガーン
澪(もしかして…嫌われた?)
澪「うっ…ううっ…」ポロポロ
エリ「ちょっ、どうしたの?秋山さん」
澪「……エリさん……」
エリ「エリでいいよっ」
澪「あんた良い人やああああ」ガシッ
エリ「うえっ!?」
・・・・・・・・・
澪「カクカクシカジカで…」
エリ「……なるほどね。理解したわ」
澪「え?」
エリ「とりあえず今日の部活は休んで」
澪「そ、それとこれと何の関係が…」
エリ「まあいいから。んで、放課後は○○教室に来てくれる?」
澪「何かするのか?」
エリ「まあね」
澪「 」ガクガクブルブル
エリ「いや、別に怖いことするわけじゃないから!相談に乗ってくれそうな人連れてくるだけよ」
澪「わ、分かった…」
エリ「……じゃあ、また放課後ね!待ってるから」
澪「う、うん!」
澪(相談に乗ってくれる人…?エリ1人じゃダメなのかな…)
澪(……とりあえずけいおん部のみんなに休むって伝えなきゃ)
【放課後】
澪(来たぞ…○○教室…人の気配しないけど、場所ってここでよかったよな?)
澪(……なんでこんなに緊張するんだ)ドキドキ
澪「よし…」
ガラッ
エリ「おっ!来たねぇ。ささ、こっちに座って」
?A「………」
?B「………どうぞ」
澪(うわっ何この重い雰囲気…。ていうか二人もいるし…)
エリ「まーまー座りんさい。何か飲む?といってもコーラしか出せないけど」
澪「あ、ありがとう…」
澪(エリのおかげで場は明るいけど……あれ?この2人見たことあるぞ…)
エリ「えーっと、自己紹介、しとく?」
?B「必要ないわ。秋山さん私たちのこと知ってるでしょ?」
澪「え?え~っと……すいません…」
?B「…………そう」イラッ
澪(なんで機嫌悪くなってんのこの人!?え、そんな有名人だっけ?)
エリ「だーかーらー、秋山さんは何も知らないんだって」
?B「それにしてもクラスメイトくらいは知ってるでしょ」
澪(あ、クラス同じだっけ…だからどこかで見たことあると思ったのか…)
?B「岡田春菜よ。その調子じゃいちごのことも知らないわね」
?A「………」
澪「岡田春菜さんと…いちご、さん?」
いちご「若王子。若王子いちご」
澪(す、すごい名前…。ていうか、超可愛い)
エリ「まあそういうことで、4人とも同じクラスってわけ」
春菜「この4人がこうして集まるなんてね…。エリ、何たくらんでるの?」
澪「この4人?たくらむ?ど、どういうことだ!」
エリ「いやいやいや、春菜もだいたい見当つくでしょ?」
いちご「……………で?」
澪(うわぁ~スル―ですかぁ~)
エリ「御覧の通り秋山さんは何も知らないから、色々教えてあげようって話」
澪「色々教える?相談に乗ってくれるんじゃなかったのか?」
エリ「そのことにも関係してくるからさ。まあ聞いてなよ」
春菜「そうね、何から話せばいいかしら」
いちご「……………」
春菜「…まずは、私たち4人に関して。そもそも知らないこと自体おかしいんだけど」
澪(……まだ怒ってらっしゃる…)
春菜「秋山さん、この4人を見て、どう思う?」
澪「どう思うって………特に何も…」
春菜「…………」ハァ
エリ「なかなかの美少女ぞろいだと思わない?」
澪(…は?)
春菜「さっきいちごを見た時、超可愛いって思ったでしょ?」
澪「う、うん。確かに…思ったけど(思ったけど何で知ってるんだ…)」
エリ「言ってしまえば、わたしたちは3年生で最も可愛い4人ってこと」
澪「…………へっ?」
春菜「1年の時からよく言われてたわ。いわゆる四天王ね」
澪(……いやいやいや。確かにみんな可愛いけれども!わたしはともかくとして)
澪(四天王ね。ってそんなドヤ顔で言われても……でも)
澪(言われてみれば、この3人、異常に美人だぞ…)
澪「……な、なんで私がその四天王に入ってるんだ!身に覚えがないぞ」
春菜「まあ、単純に美人だからじゃない?私ほどではないけど」
澪(……えぇ~っ…)
エリ「四天王って言い出したのは私たちじゃないよ。他の生徒が勝手に決めたことだし」
春菜「でも今となっては、私たちの美貌は事実として証明されてるわ」
エリ「いちご、説明よろしくっ」
いちご「……………………………………」
澪(…………何かしゃべってくれ……)
ジャッジ
いちご「……私の『固体値判定』によると秋山澪。あなたは”すばらしい”よ」
澪「え?ジャッジ?すばらしい?何が?」
エリ「…うん、いちごに説明を任せたのは間違いだったかな」
春菜「もう少し順を追って説明しましょう」
春菜「私たちとほか数人の生徒たちは、異能の力を持っているの」
澪「………はぁ…」
春菜「信じてないみたいだけど、とりあえず話だけするわ」
春菜「まず、いちごの能力。『固体値判定(ジャッジ)』ね」
春菜「人間が生まれ持った容姿、頭脳、性格等もろもろを判定して、具体的な数字で評価できるの」
エリ「それを固体値って言うらしいんだけど、それらを総合的に判断した結果、秋山さんは”すばらしい”っていうこと」
春菜「ちなみに判定は大まかに5つに分けられていて……」
春菜「良い方から順に”素晴らしい””相当優秀””平均以上””まあまあ””ダメダメ”……らしいわ」
澪「らしいって……なんだか良く分からないけど、いちごさんの主観じゃないのか?」
いちご「ちがう。極めて客観的な評価」
春菜「そしてこの学年には、”すばらしい”が4人いる…」
エリ「ちょっと図で説明した方がいいかな。いちご、お願い」
いちご「………」カキカキ
いちご「……ランク付けもついでにしておく」カキカキ
春菜「…………まあ、あんまり見てて気持ちのいいものではないわ」
エリ「出来たっ」
S 若王子いちご
A+ 岡田春菜 秋山澪
A- 滝エリ
↑素晴らしい
--------------------------------------------------------
↓相当優秀
B
C
D
E
--------------------------------------------------------
↓以下略
澪(あっ、私ってエリより上なんだ)
澪「…”素晴らしい”の4人が私たちなのは分かった。相当優秀って、どれくらいいるんだ?」
guilty
40:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/25(火) 21:15:56.35:9NNsyt9nO誰が誰だかわかんねーよカス
45:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/25(火) 21:27:04.09:ASAOc8lsP春菜「いちおう>>40みたいな人もいるから、こういうのも用意しておいたわ」

澪「ああ、これは助かる。名前と顔が一致しない人が多くて…」
エリ「だけどこれって、だいぶデフォルメされてるやつじゃん」
いちご「……………………作りが雑」
春菜「…ペイントでがんばって作ったんだけど、駄目だったかしら」
エリ「いや、ありがとう。続けて」
春菜「…いい質問ね。この学年に”相当優秀”は全部で7人…」
いちご「……とりあえず書いておく」カキカキ
S 若王子いちご
A+ 岡田春菜 秋山澪
A- 滝エリ
↑素晴らしい
--------------------------------------------------------
↓相当優秀
B 立花姫子 佐藤アカネ
C 木下しずか
D 真鍋和 高橋風子
E 田井中律 佐伯三花
澪(……和に、律も入ってる…!それに高橋さんも…)
クラス写真を!
43:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/25(火) 21:21:29.68:HSZbnsMa046:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/25(火) 21:30:00.54:ASAOc8lsP
春菜「相当優秀の人たちは周りから七英雄と呼ばれているわ」
エリ「あれ?七武海じゃなかったっけ?」
いちご「……七賢者」
春菜「…呼び方はどうでもいいわ。それはそうと秋山さん、何か気付いたことない?」
澪「………私の知り合いが2人、入ってる。それに高橋さんも…」
エリ「う~ん、そうじゃないんだよなぁ」
春菜「立花姫子、佐藤アカネ、木下しずか、真鍋和、高橋風子、佐伯三花、田井中律…」
春菜「全員三年二組よ」
澪(……へーそうなんだー…)
春菜「これは一つの事件なの。桜ケ丘高校史において前例がないわ」
澪(えらいまた大げさな…)
春菜「三年二組に、学年の美という美が集まったのよ」
エリ「そして今回、それ以上に無視できない人たちも集まった」
澪「ま、まだいるのか…」
春菜「それは、あなたたちけいおん部の四人。これは大事件よ」
澪「えっ。私たちが?なんで?」
エリ「事は複雑なんだよねぇ…」
いちご「けいおん部は重要なファクター」
エリ「ま、秋山さんの悩みの大きな原因はそれだね」
澪「…意味が分からないんだけど……」
春菜「結論から言うと、けいおん部と四天王、七英雄が一つのクラスに集まったことで、異変が起きている」
エリ「今のところ特に問題はないけど、秋山さんのところにはさっそく影響が出たみたいだね」
澪「私が何かしたのか?」
いちご「ちがう。秋山さんは被害者」
エリ「おそらく秋山さんが皆に避けられているように感じるのも、異能の力を持った誰かの仕業だね」
澪「…ちょ、ちょっと待って。その異能の力ってなんなんだ?エリも春菜さんもその力を持ってるのか?」
春菜「その話はまだ出来ないわ。それに、私たちも全てを知っているわけじゃないから」
エリ「当然私たちもその力を持ってるよ。知ってる範囲でなら話すけど……」
春菜「ちょっと。そんなに簡単に洩らしていいの?」
エリ「まあいいんじゃない?秋山さんにも四天王の自覚を持ってもらいたいしさ」
澪(………置いてけぼり…)
頭脳性格も加味したらムギは相当上位に来そうなもんだが……謎個体値だな
52:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/25(火) 21:42:31.77:O9Qw3pw70>>51
同じこと思ったけど、まだ話の途中だし見とこうぜ
岡田さんのこの性格で「素晴らしい」てのも謎だし
53:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/25(火) 21:56:35.58:ASAOc8lsP同じこと思ったけど、まだ話の途中だし見とこうぜ
岡田さんのこの性格で「素晴らしい」てのも謎だし
春菜「……私のことはしゃべらないでよね」
エリ「分かってますって。それで、私の能力だけど『能力解放(スキルパニッシャー)』って言うの」
澪「……あのさ、ひとつ聞いていいか?」
エリ「なに?」
澪「なんでわざわざ漢字で書いた後にカタカナでルビを振るんだ?しかも意味違うし…」
エリ「細かいことは気にしない!それにこっちの方がカッコイイじゃん」ムスーッ
澪(……ふくれっ面がまた可愛いな)
澪「で、どんな力があるんだ?」
エリ「簡単に言ってしまえば、他人の能力にカッコイイ名前を付けてあげる能力」
澪「…………」
エリ「あ。今バカにしたでしょ」
ところで元ネタってあるの?これ
60:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/25(火) 22:21:38.95:rfd+AQQU0>>54
冤罪で死刑にされかかってる少年を陪審員に選ばれた40歳位の普通のおっさんが逆転裁判的な展開で事件の矛盾を説いて
最終的に少年は助かるお話
で12人の怒れる男って小説がある
55:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/25(火) 22:07:17.88:ASAOc8lsP冤罪で死刑にされかかってる少年を陪審員に選ばれた40歳位の普通のおっさんが逆転裁判的な展開で事件の矛盾を説いて
最終的に少年は助かるお話
で12人の怒れる男って小説がある
春菜「呆れてるのよ」
エリ「い、言っとくけどただ名前を付けるだけじゃないからね!」
エリ「能力に名前を付けられた人は、その能力をコントロールできるようになるの。すごいでしょ」
春菜「エリがいなければ私たちは自分の力を制御できないのよ」
エリ「そゆこと。だけど名前を付けるには条件もあって……」
澪(うう……なんだか体中がむずがゆい…)
エリ「…実際にその能力が何なのか見て、理解しないといけないの」
澪「………本当にそんな力があるのか?」
春菜「信じられないでしょうね。というかいちごもエリも、信じられる根拠がどこにもないものね」
エリ「え~っ。ほんとだってば~」
春菜「だけど、今の秋山さんの状況を打破するにはエリの能力がないと始まらないわ」
エリ「そうそう。とりあえず今は信じてよねっ」フンス
澪(…………良く分かんないけど悪い人たちじゃなさそうだし、信じてみよう)
澪「……分かった。信じる。だけど具体的にどうやって解決するんだ?」
エリ「そうだねぇ。秋山さんが皆に避けられるように感じるって言ってたけど、心当たりはある?」
澪「……私が何か変なことを言ったのかも…。でも何をしゃべったか良く思い出せないんだ」
エリ「誰としゃべったの?」
澪「今日はけいおん部のみんなと、和と高橋さん…。和の前で何か言ったんだと思う…」
エリ「う~ん…春菜、その時の状況、どんなだったか分かる?」
春菜「そうね。分からないこともないけど、私の口からはとても言えないわ」
エリ「も~っ!そんなとこまでケチんなくてもいいじゃん」
春菜「そうじゃないの。あまりにも痛々しいから言いたくないってだけ」
澪(えっ痛々しい?私が?)
エリ「ふ~ん。で、秋山さんはそのことを覚えていないと……」
澪「そ、そんな恥ずかしいことなんて言った覚えはないぞ!」
エリ「これはますます能力を持ったヤツの仕業だね!」
春菜「真鍋さんと高橋さん辺りがあやしいわね…」
エリ「…うん。じゃあ明日はその二人について調べてみよう」
澪「調べるって言ったってどうやって…?」
エリ「秋山さんと一緒に行動してれば、誰がどんな能力を使ってるのか分かりやすいしね」
春菜「エリ!まさか明日ずっと一緒にいるつもり?」
エリ「しょうがないじゃん。大丈夫だよ、アカネも一緒にいるし」
春菜「……そう。まあせいぜい頑張りなさい」
澪(……そろそろ意味不明なやり取りにも慣れてきたぞ…)
エリ「じゃあ、今日はこれにて解散!」
いちご「……………………」ガタッ
スタスタスタ
エリ「あっ、ちょっと待ってよいちご!置いてかないで~」バタバタ
春菜「……さ、帰りましょ」
澪(……疲れた…早く帰って寝よう…)
【翌日】
ワイワイガヤガヤ
澪「お、おはよー…」
唯「あ!澪ちゃんおはよ~!」
律「昨日はどうしたんだよ。珍しく部活休むなんて」
紬「心配したのよ~?」
澪(ほっ…良かった。律たちには嫌われてないみたいだ…)
澪「ちょっと野暮用でさ…」
エリ「秋山さん、おっはよー!」ポンッ
澪「うおっ!エ、エリ!」
エリ「平沢さんたちもおはよ!」
律「んん~??お二人さん、いつの間にそんなに仲良くなったんだ?」
澪「まあいろいろあってな…」
エリ「えっ、別に仲良くないよ?」
澪「えっ?」
律「えっ」
エリ「(秋山さん、ここは私に合わせて)」ボソボソ
澪「えっあっ、ああ、特に仲いいわけでもないかな」
エリ「そーだよー。先生に秋山さん連れてくるように言われてただけだから」
律「……なぁんだ、そうだったのか。せっかく澪にも友達作れるようになったと思ったのにな~」
澪「余計なお世話だ!」ゴチン
律「いたーっ☆」
澪「というわけで、ちょっと行ってくるよ」
唯「ばいば~い」
スタスタ
澪「微妙に傷ついたぞ…」
エリ「ごめんねー意地悪なこと言って。本心じゃないからさっ、元気出してよ」
エリ「あんまり人前では私たちは会わない方がいいからね」
澪「……また何かややこしいな。ていうかそれじゃあ一緒にいられないじゃないか」
エリ「そのためのアカネなのさっ」
澪「アカネ……?」
アカネ「呼んだ?」
澪「うわっ!びっくりした」
エリ「佐藤アカネよ。私の友達で、これでも七武海のひとりだから」
アカネ「だからエリ、七武海じゃどっかの漫画になっちゃうじゃない。七賢者よ」
澪(……どっちでもええがな)
澪「で、何でアカネさんが?」
エリ「さっきも言ったけど、基本的に四天王同士はあまり会わないほうがいいんだけど…」
アカネ「それは四天王と七賢者にも言えることなの」
エリ「だから本来、私とアカネはお互い会わない方がいい」
アカネ「でもいつもひっついてるでしょ?私たち」
澪(……知らんがな)
エリ「これもアカネの能力『集注拡散(フォーカスレンズ)』のおかげなの」
澪(これまた意味の分からないネーミング…なんだか痒い)ピクピク
アカネ「私の能力は性能いいからね。たぶんあんたたち2人一緒にいても大丈夫よ」
澪「…それはどういう能力なんだ?」
アカネ「残念ながらこれ以上は話せないわ。ごめんなさいね」
エリ「それで今回は真鍋さんと高橋さんがどう動くか知りたいんだけど…」
アカネ「りょーかい」
澪「えっと、私はどうすればいいんだ?」
エリ「そうね。昨日と同じ状況を再現してみるのが手っ取り早いかな」
澪「それはつまり、和と高橋さんと話すってこと?」
エリ「そういうこと。私たちは会話には参加しないけど、さりげなく後ろにいるから」
澪(……正直言って嫌だな。また避けられるんだろうか…でもしょうがないか)
澪「分かった。次の休み時間にやってみる」
アカネ「……上手くいくといいわね」
【休み時間】
ガヤガヤ
澪(……よし…!)ガタッ
エリ「(おっと。アカネ、行くよ)」ヒソヒソ
アカネ(よいしょ……っと)ガタッ
スタスタスタ
和「ヘェー、ソウナンダ……あら、澪じゃない、どうしたの?」
風子「…………」
澪「ああ、なんの話してるのかなって思ってさ」
和「古文の担当の先生のことよ。なんでもカツラなんですって」
澪「ああ、そういえばさわ子先生も言ってたな。確かさわ子先生がこの学校の生徒だった時にも……」
エリ(あれ?普通に会話できてるじゃん)
澪(なんだ……昨日のは気のせいだったのかな…)
風子「………」
和「……澪?」
澪「?どうしたんだ?私の顔に何か付いてるのか?」
和「いえ、そうじゃなくて…」
エリ「……!」ブフッ
和「…鼻、かゆいの?」
澪「ほえ?」ホジホジ
エリ(まずい!これは…非常にまずいよ!笑っちゃ駄目だ…っ)プププ
アカネ「………」ピクピク
エリ(あんなに堂々と鼻ほじる人いないよ!完璧なフォームだよ!どうにかしなきゃ…)
風子「………」
エリ「!!」
エリ「(アカネ!『集注拡散(フォーカスレンズ)』を一時的に高橋さんにかけてみて!)」ヒソヒソ
アカネ「ぐっ……www」
エリ「(笑ってる場合じゃなーいっ!)」ヒソヒソ
アカネ「……っ!分かったわ」キュピーン
風子「………」フッ
澪「……ッ!?わ、わたし一体なにを…!?」ヌポッ
和「…澪、あなた疲れてるんじゃない?保健室行こうか?」
澪「だ、大丈夫…(鼻痛い…)」ズキズキ
風子「………」ボー…
エリ(…あっぶないところだった~!もう少し遅かったら…)
アカネ(確実に鼻に入れた指を口へ持っていくところだったわね…)
エリ(犯人は高橋風子…想像以上に恐ろしい能力だね)
キーンコーンカーンコーン
澪「じゃ、じゃあまたね!」
和「え、ええ……」
【授業中】
澪(なんで私鼻なんてほじってたんだろう…は、恥ずかしすぎる///)カキカキ
澪(エリとアカネはちゃんと解決してくれたんだろうか…じゃないと困るけど)カキカキ
澪(………///)カァーッ
紬(…今日は澪ちゃん、いつも通りね…)カキカキ
紬(少し顔が赤いけど…)カキカキ
唯(……お腹すいたな~)グゥー
【休み時間】
アカネ「秋山さん、ちょっといい?」
澪「何か分かったのか!?」
アカネ「犯人は高橋風子よ。彼女が異能の力を秋山さんに仕掛けていたみたい」
澪「そ、そうだったのか……」
アカネ「詳しい話はエリがしてくれるわ。行きましょう」
澪「……ああ」
・・・・・・・・・
エリ「二人とも、こっちこっち!」
澪「……なにも廊下のはじっこで話さなくても」
アカネ「用心するに越したことはないわ」
エリ「うん。とりあえず高橋さんの能力が判明したよ」
澪「本当か!」
エリ「彼女の能力は名付けて『凌辱の処女(レイパー)』」
澪「ひどい名前だな……」
エリ「でも実際の能力はもっとひどいんだよ。かなり危険な能力なん……」
風子「『凌辱の処女』……それが名前なのね」カツカツ
澪エリ「!!?」
風子「ずいぶんと醜いじゃない」
澪(な、なんで高橋さんがここに…?いつの間に…)
エリ「……ッ!アカネ!アカネは!?」キョロキョロ
風子「彼女なら今頃、制服を裏返しに着たまま校内を歩いているでしょうね」
エリ「!……風子、まさかアカネにも手をかけたの!?」
風子「…いきなり呼び捨てっていうのも品がないわね。そう思わない?秋山さん」
澪「ひ、ひぃいっ…」ガクブル
風子「エリさん、素敵な名前ありがとう。おかげでこの不思議な力、精度が上がったわ」
澪「エ、エリ!一体どうなってるんだ!?高橋さんはどんな能力なんだ!?」
エリ「……『凌辱の処女(レイパー)』は、相手にダサく、醜く、かっこ悪い行動をさせる能力…」
風子「ふふっ。秋山さんが醜態をさらすのは見てて痛快だったわ」
澪「……なんで…。私に何のうらみがあるっていうんだ!」
風子「…あなたには分からないでしょうね。劣化コピーと言われる者の気持ちが」
澪「…?なんのことだ…?」
風子「それだけでなく私の真鍋さんをも奪おうとした…」
風子「あなたは四天王の座についてもまだ物足りないっていうの!?」
澪「ちょ、ちょっと待ってくれ!何が何だか…」
風子「言い訳無用よ!あなたたちを四天王の椅子から引きずり降ろし、私と真鍋さんの楽園を作る!」
エリ「…確かに『凌辱の処女』を使えば、私たち四天王としての威厳は地に落ちてしまう…!でも…!」
エリ「そんなことが許されると思ってるの!?そんなことをしたら…三年二組…いや、三年全体の均衡が破られてしまう!」
これはひどい風子ww
73:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/25(火) 22:56:21.44:ASAOc8lsP風子「もうそんなことは関係ないわ。そもそも私たち11人が同じクラスに集まった時点で、秩序など無いに等しい…」
エリ「………私たち四天王に勝てるとでも?」
風子「ええ、勝てるわ。世界は一度破壊された。これから行われるのは再構築なの。四天王も七英雄も、今一度ゼロからスタートするのよ」
澪「か、勝つって…一体何をするつもりなんだ?」
風子「簡単なことよ。あなたをとことん醜い姿にする。それこそ四天王なんて名乗れないくらいにね」
澪「……っ!で、でもいちごの『固体値判定(ジャッジ)』は確か、生まれ持った固体値でそのランクを決めているハズ…」
澪「なら!今更あがいたところで固体値は変わらない!高橋さん、意味のないことはやめるんだ!」
澪(…あれ?わたし今ものすごくひどいこと言った気がする)
風子「……秋山さん、あなたのそういう上から見下した態度…大嫌いよ」ピクピク
エリ「挑発してどーすんの!」
風子「もう遅いわ…っ!『凌辱の処女(レイパー)』!」シャキン!
エリ「っ!!秋山さん、逃げるよっ!!」ダッ
澪「う、うわぁっ」ダッ
風子「………」チッ
タタタタタッ
エリ「ハァッ・・・ハァッ・・・」
澪「も…もう大丈夫だろ…」ゼェゼェ
エリ「ふぅ…ていうかこのままじゃ次の授業出れないね」テヘッ
澪「いや…しょうがないよ…そういえばアカネは大丈夫なのか?」
エリ「……アカネは…たぶん、もう…」グスン
澪「そ、そんな!」
エリ「…仇はとるよ。今はとにかく、風子をどうするか、それだけ考えよう」
澪「……エリ。私、何も知らないのはもううんざりだ。教えてくれ、このクラスが今どうなっているのか…」
エリ「…私も分かんないことだらけだよ」
澪「知ってることだけでいいんだ!教えてくれ」
エリ「……そうね…。さっき澪が、固体値は変わらないって言ったでしょ?」
澪(あ、呼び捨て…でも感じ悪くない…。むしろ嬉しい…)
エリ「確かに間違ってはいない。だけど、今回の事件で固体値に変動が生じる可能性が出てきたんだよ」
澪「……どうして」
エリ「原因はけいおん部の4人、つまりあなたたちにあるわ」
キーンコーンカーンコーン
澪「…わたしたちが何をしたっていうんだ…」
エリ「澪たちは知る由もないの。なぜならこの世界を構築しているのは主にけいおん部と、それに関わる者たちだから…」
澪「わたしたちが世界を構築している…?どういう意味だ?」
エリ「この世界は澪たちけいおん部が中心になって動いている。澪たちが世界を作り続けているの」
エリ「だから、けいおん部の4人が一つのクラスに集まったことによって、3年2組という世界が新しく作りだされたんだよ」
澪(…………何が何だか分からない…わたしたちが、世界の中心?世界を作っている?」
エリ「もちろんその前から私たちは存在していたし、四天王、七武海も存在していた」
エリ「でも新しく作りだされた世界、つまり3年2組では、わたしたちの価値は全て振り出しに戻される」
エリ「わたしたちは、けいおん部のための存在となってしまったの」
澪「………ちょっと考える時間をくれ…」
エリ「時間はあんまりないよ。これから七武海たちはトップの座に上り詰めようと必死に私たちを出し抜こうとする」
エリ「風子みたいに強行手段をとる場合だってあるかもしれない。下手するとこの世界は本当に崩壊してしまう」
澪「…そうだ、高橋さん…!彼女にやられないためには、どうすればいい!?」
エリ「風子の能力はある意味最も恐ろしいよ。なんせ直接わたしたちの固体値変動に影響しかねない」
澪「倒す方法はあるのか…?」
エリ「こうなったら私たちも彼女を直接叩きに行くしかない…でも、私も澪も全然役に立たないんだもんな~」ポリポリ
澪「曲がりなりにも四天王2人が、七武海一人に手も足も出ないなんて…」
澪「…!そうだ!春菜さんや、いちごさんにも協力してもらえば…!」
エリ「あーむりむり。四天王だって一枚岩なわけじゃないんだよ。特にあの2人は実質学年のツートップで私らみたいにやわじゃない」
エリ「協力を要請してもあっちはしらんぷりさ」
澪「そ、そうなのか…」
エリ「………まてよ?そういえばけいおん部に関わる人たちって、真鍋さんもそうだよね?」
澪「え?ああ、和は唯の幼馴染だし、生徒会でよくお世話になってるしな…」
エリ「これだ!真鍋さんを利用しない手はないって!」
澪「和を利用!?そ、そんなの駄目だ!」
エリ「別に悪くしようってわけじゃないよ。さっき風子が言ってたじゃん?私の真鍋さん…って」
澪「それがどうかしたのか?」
エリ「風子は澪のことを恨んでいたからきっと説得しても無駄だと思うの」
エリ「でも真鍋さんなら事情を理解してくれるはず。真鍋さんが風子を説得してくれれば丸く収まるかもしれないよ!」
澪「そんなに上手くいくかなぁ…」
エリ「…正直あんまり自信ないけど…」エヘッ
澪「やってみるしかない、か。ところでエリ、疑問なんだけど…」
エリ「なあに?」
澪「私たちってなるべく一緒にいない方がいいんじゃなかったか?」
エリ「ああ、そういえばすっかり忘れてたよ。でも、もういいんだと思う」
澪「?」
エリ「今まで私たちの学年の均衡は四天王と七武海がうまいことバラけていたから保たれていたけど…」
エリ「よくよく考えたらもう同じクラスで毎日一緒だもんね。いまさら均衡なんて気にする必要もないわけだ」
エリ「ま、他の生徒にはちょっと刺激が強すぎるかもだけど、この際なりふりかまっていられないよ」
澪(……あまりに美人過ぎるから、お互いパワーバランスを考えてのことだったんだな…)
澪(……もうこの珍事に慣れてきたせいか理解も早くなってきたぞ)
澪(…そういえば、私って何も能力使えないのかなぁ…。律も和もそんな話聞いたことないし…まあいっか)
澪「…じゃあ次の休み時間、和にメールしてみるよ」
エリ「そうだね。直接会って話すのがいいかもしれない」
澪「……直接…って大丈夫だよな?和に限って、高橋さんみたいなことにはならない…よな?」
エリ「………たぶん」
澪(ひいぃ……でっでもっ、和は私を裏切ったりはしない!…はず…)
エリ「…まあ、次の休み時間まで時間あるし、いつもの教室行ってコーラでも飲もうよっ」
澪(エリ……元気だなぁ)
【○○教室】
キーンコーンカーンコーン
エリ「おっ。2限終わったね。じゃあさっそく真鍋さん呼んでみてよ」
澪「よし…」ポチポチ…ピッ
ガラッ
下級生1「いっちばんのりーっ」
下級生2「あっ!」
澪「な、なんだなんだ?」
エリ「あちゃー。次の授業この教室だったかー」
下級生1「も、もしかしてその…あのっあのっそのっ…た、瀧様…!?」
下級生2「それに!それにっ!そちらにいらっしゃるのはまさかっ……ああああああ秋山様ではっ!!??」
エリ「ちょっと澪、出よう」
澪「あ、ああ…」
下級生「 」パクパク
エリ「(…ね?二人でいるとこういうことになるの)」ヒソヒソ
澪「あの子たち、どこかで…」
エリ「何言ってんの、キミのファンクラブの会員じゃん」
澪「あ、アハハ…そういえばそうだったな」
エリ「まー自慢じゃないけど、私にもちゃんとファンクラブあるからねっ」フンス
澪「そ、そうなのか?」
エリ「ていうか四天王、七武海みんなある程度のファンクラブはあるよ」
澪「そうだったのか…(私だけじゃなくてなんだか安心した)」
エリ「一番会員数が多いのは澪だけどね」
澪「ぶっ」
エリ「春菜はそのことが一番気にくわないんだよ。ランクじゃ上なのに、澪をライバル視してる」
澪(…………すごく………いい迷惑です……)
brrrrrr brrrrrr
澪「あ、和から返信だ」
和『○○教室の前にいけばいいのね? 分かったわ、今から行く』
エリ「うわぁ…今あそこに私と澪と真鍋さんが集まったら下級生の子失禁しちゃうよ」
澪「そこまで!?」
エリ「まあ遠目にちょっと見てみようよ。あの辺に隠れてさ」コソコソ
…ワイワイガヤガヤ
澪「うわ、どんどん下級生の子たちが集まってる…」コソコソ
エリ「お、真鍋さん来た」ジーッ
スタスタスタ
下級生3「…せっ生徒会長!?こんな所で会うなんて光栄です!」
下級生4「ああっ!真鍋生徒会長よ!」
キャーキャー
和「ちょ、ちょっとあなたたち…私友達に呼ばれてきたんだけど…」
下級生5「えええ!?ぬ、抜け駆けなんてずるいですっ!私もよろしければ、ぜひっ」
下級生6「ちょっとアンタ!!アンタこそ抜け駆けしてんじゃないわよ!!」
キャーキャー
エリ「アハッ…なかなかの人気ぶりだねぇ」ニヤニヤ
澪「お、おい。そろそろ助けてあげた方が…」
エリ「それもそうだね」
澪「(おーい、和ー!こっちこっちー)」ヒョイヒョイ
和「(あ、澪)ごめんなさいね…ちょっと通してくれる?…よいしょ」
タッタッタッ
和「ふぅ…まったく、こんなことさせるために呼んだの?」
澪「ごめんごめん。ちょっと和に話したいことがあってさ」
和「2組の教室じゃ駄目なの?」
澪「いろいろ事情があって……あまりあの教室には近寄れないんだ」
和「そう。だけど唯たちが心配してたわよ。いきなり授業サボるんですもの」
エリ「ごめんね~真鍋さん」
和「……何。瀧さんも一緒なの?」
エリ「真鍋さん、私たち2人が一緒に行動している意味、分かるよね?」
和「………そうね。だいたい予想はつくわ」
エリ「話が早くて助かるぅ」
澪「な、なんだ。和も詳しい話は既に知ってたのか?」
和「知ってたと言うか、常識よ」
澪「なんで私には教えてくれなかったんだよぉ~」ウルウル
和「何よ。もしかして澪、四天王のくせして知らなかったの?」
澪「うっ…。今日の和はキツイな…」
エリ「まーまーお二人さん。さっそく本題に入るよ~」
澪「…話っていうのは、和の友達の、高橋さんのことなんだ」
和「風子がまた何かやらかしたのね?」
澪「そうそう…って、"また"ってどういうことだ?」
和「あの子、ときどき暴走することがあるのよ。ほら、普段から何を考えてるのか表情が読めないでしょ?」
エリ「あ~確かに。お堅いカンジもするしねぇ」
和「で、知らない間に機嫌が悪くなることがよくあるのよ」
和「それにあの子頑固だし、思いこみが激しい面もあるから一度怒らせるとそのまま突っ走っちゃうの」
和「といってもそこまで大きな問題を起こしたことはないけどね。今回は何をしたの?」
エリ「……例の能力で、私と澪、それからアカネを襲ったんだよ」
和「なんですって!?」
澪「……そして、なんだか私のことを憎んでたみたいなんだ。私を集中的に狙っていた」
和「…っ!風子ったら…あれだけ能力は使うなって言っておいたのに…ッ!」ギリッ
澪「和は高橋さんと仲が良いんだろ!?なんとか彼女を説得してくれないか!?」
和「……分かったわ。風子には私から言っておく。だからあなたたちはもう何も心配しなくていいわ」
澪「ありがとう和!良かった、これで授業に出れる…」ホッ
エリ「…本当に任せて大丈夫なの?」
和「大丈夫よ。あの子の扱いには慣れてるわ。それに、私にも責任の一端はあるから」
エリ「…うん。じゃあ、これにて問題は解決だねっ」
澪「よし!教室に帰ろう」
テクテク
澪(……さすが和は頼りになるなぁ)
澪(…でも、責任ってどういうことだろう…?)
澪(……考えてもどうしようもないか。とにかく、これでひと安心できる)
エリ「やばっ!授業始まっちゃうよ。急ご!」
タッタッタッ
ガラッ
和「ふぅ、着いたわね。授業まで少し間があるわ」
エリ「じゃあ、宜しく頼むよ」
和「ええ」
テクテク
和「……風子、少し話があるの」
風子「なあに?真鍋さん」
和「私の席に来て頂戴」
風子「?」
エリ「……どうしたの?澪。早く席に着こうよ」
澪「…あ、ああ。今行くよ」
………。
~~~~!?
………!
澪(……和と高橋さん、なんだか穏やかじゃないぞ…?)
キーンコーンカーンコーン
~!!
ガタンッ
澪「!」ビクッ
スタスタ
澪(こ、こっちに来る…!)ガクブル
スタッ
澪(…なんだ、席に座っただけか…)ホッ
【授業中】
澪(……うん。特に異常はないみたいだ)カキカキ
澪(エリとアカネは……っと)チラッ
エリ「……」カキカキ
アカネ「……」カキカキ
澪(…大丈夫そうだな)カキカキ
澪(そういえば、律たちはこの事態を知ってるんだろうか…)
澪(…あとで話しておこう)カキカキ
【休み時間】
律「澪!いきなり授業サボって何してたんだよ」
澪「ごめんごめん。ちょっと体調悪くてさ、保健室で休んでたんだ」
紬「澪ちゃん、大丈夫なの?」
澪「もう平気だよ。だいぶ休んだからな」
唯「もしかしてエリちゃんも一緒だった?」
澪「(…そうか、二人してサボったんだもんな)…ああ、エリに連れ添ってもらったんだ」
唯「仲良くないのに?」
澪「ギクッ」
律「…まぁ世話焼きのエリのことだ。よくあることだよ」
澪「そ、そうだよな(律、ナイスフォローだ)」アセアセ
澪(…っていうかなんで私、嘘ついてるんだろ…。ちゃんとみんなにも話さなきゃいけなのに)
澪(……昼休みに話してみよう…)
【昼休み】
律「さぁ~て、メシやメシ~!学校一番の楽しみやからなぁ~!」
唯「あ~、りっちゃんエセ関西弁だ~」
律「なんやてぇ!?」
紬「今日も唯ちゃんの席で食べましょう♪」
澪「相変わらずだなこのメンツも…」ヤレヤレ
唯「いっただっきまーす!」パクパク
わいのわいの
澪(………あんまり正面切って話すのもなぁ…さりげなく探ってみよう)
澪「そういえばみんなさぁ、3学年の四天王って知ってる?」パクパク
紬「してんのう?」キョトン
律「なになに?何の四天王だって?」
澪「だ、だから四天王。聞いたことない?」
唯「はい!聞いたことあるよ!」ビシッ
律「なにっ、唯は知ってるのか」
唯「えっとね、私でしょ、澪ちゃんでしょ、りっちゃんでしょ、それからムギちゃん!」
唯「けいおん部四天王ですっ!」フンス
律「そりゃ4人しかいないんだからとーぜんだろっ」ビシッ
澪「なんだ、みんな知らないのか…(良かった私だけじゃなかったんだ)」ホッ
律「なんだよ澪ー。そういうお前は知ってるのか?」
澪「うん。昨日のことなんだけど……」
澪(……はっ!よくよく考えたら私も四天王のひとりじゃないか…)
澪(学年で最もかわいい4人の中に自分が居るって言ったら絶対バカにされる…!)
唯「昨日?昨日なにかあったの?」
澪「そ、そう。実は昨日だれかが噂してるのを聞いてさ…」
澪「なんでも3年生には四天王と七武海って呼ばれている生徒がいるらしいぞ」
律「七武海ってワ○ピースかよ」
紬「それは何の四天王なの?」
澪「さ、さあ…?」
唯「澪ちゃんもったいぶらないで教えてよ~」
律「そうだぞ澪~」
澪「…いや、私もそこまでしか知らないんだよ」
律「なんだよ~余計気になるだろー」
澪(…この四人で話しても緊張感がないから、冗談で済まされる可能性もあるな…)
澪(ここはひとりずつちゃんと説明する方が得策かもしれない…)
澪(…まずは律だな…。一応七武海だし、私の次に危険度が高い)
澪「ま、この話はここでおしまいにしよう」
唯「そだね~。ご飯おいしーよー」パクパクモグモグ
紬「そういえばりっちゃん、次の授業の予習は大丈夫なの?」
律「え?」
紬「今日は確かりっちゃん当てられるんじゃなかった?昨日授業の時に先生が言ってたけど…」
律「…………」サァーッ
唯「あちゃ~りっちゃん、やっちゃったねー」モグモグ
律「澪!早く食べて予習範囲を教えてくれっ!」ガツガツ
澪「はいはい…。ちなみに言っとくけど、唯もだぞ」
唯「えっ」
唯「……ムギちゃん助けて~~」ウルウル
紬「よしよし、教えてあげるわね」ナデナデ
澪(…これはチャンスだな。律と二人きりになったら話してみよう)
・・・・・・・・・
律「食った!さあ澪!早く!教えろ!」バシバシ
澪「…落ち着け。それに、そんな態度で教えてもらえるとでも?」
律「はい、秋山先生。教えて下さい」ピシッ
澪「よろしい。というか予習くらいやっておけ…」
律「すいましぇん…」
澪「ほら、ここに私の予習ノートあるから」
律「ありがとうごぜえます!ほんに澪様は心が広い方で…」
澪「いいからやれ」ゴツン
律「……」ヒリヒリ
律「時間よ、間に合ってくれっ…」カキカキカキカキ
澪「……頑張ってるところ悪いんだけど、さっきの話の続きでさ…」
律「ちょ、ちょっと待ってくれ澪。もう少しで終わるから…!」カキカキカキカキ
澪「…………四天王について、律に知ってもらいたいことがあるんだよ」
律「………………な、なに?」カキカキカキカキ
澪「…さっき私、授業休んだだろ?実はその時、かなり危ない状況だったんだ」
律「…………っよしっ!終わった!…で、なんだって?」
澪「いやだから…」
キーンコーンカーンコーン
律「おお!なんとか間に合ってよかったぜ!サンキューな!澪っ!」バタバタ
澪「ちょっ、まだ話は終わって……」
先生「ほらー休み時間は終わりだぞー席に着けー」ガラッ
澪(……帰りにゆっくり話すか……)
先生「よーし田井中、前回言った通り、予習はちゃんとやってきただろうな?」
律「はーい」
律「うんたらかんたら…」
先生「よし、正解だ。次、平沢」
唯「うんたんうんたん…」
先生「…うん、問題ないな。二人ともしっかりやってきたようだな」
律(うひゃ~。ほんと澪がいてくれて助かったぜ~……)
律(…さっき澪が言いかけたことってなんだったんだ…?また四天王とか言ってたような)
律(それにしても昨日の澪は様子がおかしかったな…今日はいつも通りだけど…)
律(ま、私が気にしてもしゃーないかな。澪の方が私よりしっかり者だし…)
?《ザッ……秋山澪は……ザザ…あなたに……ザ…》
律「!!?」
律(……な、なんだ今の…誰かしゃべっている…?)キョロキョロ
先生「……でェーここの不定詞の意味はァー…」
律(…誰もひそひそ話すらしてない…結構はっきり聞こえたんだけどなあ…)キョロキョロ
先生「…おい田井中ァ、よそ見するなァ」
律「す、すいません…(怒られちゃったよ!なんなんだよも~)」プリプリ
?《…ザザザ………あなた嘘をついて…ザッ…騙している…ザザッ…》
律(っ!?まただ!!)
律(澪が?私に嘘をつく?何言ってんだこいつ…ていうかなんなんだよ!)
律(気のせいだ気のせい!授業に集中しないと!)
律(……授業に集中とか私のキャラじゃねーよな。ペン回しでもしてよ)クルクル
?《ザザザッ………ザ……ピューッ…ザザ……》
律(………?)
【放課後】
唯「やっぱり放課後といえば部活、部活といったらムギちゃんのお菓子だよね~」
紬「うふふ。今日はいちごのタルトよ~♪」
唯「いっえ~い!いえす!イエ~ス!」
澪「……今日は練習するんじゃなかったのか?」
唯「ちゃんと練習もするもーん」ムフフ
律「………………」
澪「どうしたんだ?律」
紬「りっちゃん、いちごのタルト嫌だった?」
律「……えっ?あ、ああ別に嫌じゃないぞ。むしろ大好物だぜ!」
唯「えぇー。りっちゃんにはもったいないよ~」
律「どーいう意味だっ」ペシッ
律(………授業中のアレ、聞こえてたのは私だけなのか…?)
【部室】
梓「おつかれさまでーす…」ガチャ
唯「お、あずにゃんや。こっちにおいで」クイクイ
梓「?どうしたんですか?」トコトコ
唯「…つかまえたーっ!」ガシッ
梓「ええっ!?」ギュッ
唯「りっちゃん隊長!あずにゃん捕獲作戦レベル1クリアであります!」ガシッ
律「よくやった。速やかにレベル2に移行したまえ」
唯「了解でありますっ」ビシッ
梓「ちょっ…何するんですか!」ビクンビクン
キャーキャーワーワー
澪(………練習は?)
紬「あらあらあらあら」ウフフ
・・・・・・・・・・・・・・・・
唯「じゃーねー!澪ちゃんとりっちゃん、また明日ー!」
紬「またね~♪」
梓「……さ、さようなら…」ズーン
澪「ああ、明日こそ練習するぞ」
澪(結局あいつら昼休みのこと忘れて遊んでばっかだったな…)
律「…………」
テクテクテクテク
澪「……どうしたんだよ律、元気ないな」
律「へっ?な、なんでもないぞ」
澪(……?)
律「…そういえば澪さ、昼休み何か言いかけてたよな?四天王がどうとか…」
澪「なんだ、ちゃんと覚えてたのか…まあそのことなんだけどさ」
澪「四天王と七武海っていうのは、実在しているんだ。噂じゃない」
律「…なんだよ。学年のアタマ良いやつらが四天王ってか?」
澪「そうじゃないんだ。まあ、なんていうんだ、その…」
律「…最近、なんか変だぞ?澪…」
澪「ま、まあ変なのはそうなんだけど…ってそういう意味じゃないっ」
律「はいはい。良く分からんけど、とりあえずその四天王って誰なんだ?」
澪(……もう全部言っちゃおう)
澪「私と、瀧エリと、岡田春菜と、若王子いちご。この4人なんだ」
律「……その4人の共通点がいまいち分からないんだけど。ていうか澪も入ってるのかよ!」
澪「べ、別に自慢してるわけじゃないぞ!いいか?この四天王っていうのはな…」クドクド
・・・・・・・・・・・・・・
澪「…とまあ、私が昨日今日で知ったことはこれで全部だ」
律「…………はっきり言おう。信じられない」
澪「そうだろうな。私もこの目で見るまで信じられなかったよ」
律「………澪、本当にそれで全部か?他に隠していることとか、あるんじゃないのか?」
澪「ない。…どうしたんだよ律、やけに疑うんだな」
律「……実は今日、午後の授業でおかしなことがあったんだ」
澪「………まさか」
律「もし澪の言ってることが本当なら、アレは誰かの能力だったのかもしれない…」
澪「やっぱりそうだ!律は七武海だし、けいおん部でもある。狙われているんだよ!」
律「その前に澪、ひとつ聞きたい」
澪「な、なんだよ」
律「なんで唯やムギには黙って、知らないなんて嘘をついたんだ?」
澪「そ、それは…あの場で話しても誰も信じないと思ったんだ」
律「でも、けいおん部が世界の中心だとしたら、けいおん部自体を狙ってくるヤツがいてもおかしくない」
律「ちゃんと唯とムギにも説明した方がいいんじゃないか?」
澪「た、確かにそうだけど…」
?「その必要はないわ」
澪律「!?」ビクッ
春菜「……そんなに驚かなくてもいいじゃない。私よ」
澪「な、なんだ春菜さんか…」
律「?…ああ、確かうちのクラスの…ええと、内田さんでしたっけ?」
春菜「………岡田よ」イラッ
澪「っていうかどうしてここに?帰り道こっちなのか?」
春菜「私がなぜここにいるか。そんなことはどうでもいいの」
春菜「あなたたちに忠告しに来たのよ」
律「忠告……?」
春菜「琴吹紬と平沢唯には今回の件、話さない方がいいわ。特に平沢唯にはね」
澪「どうして私たちは良くてその二人は駄目なんだ?しかもなぜ唯?」
春菜「………私たちが困るからよ」
律「困る?どうして?」
春菜「……とにかく、これ以上面倒を起こしたくなかったら、あの二人には黙っておくことね」
澪「……分かった」
律「おい澪、いいのかよ。こんな奴の言うことなんか信用できないぜ」
春菜「こんなヤツとは言ってくれるじゃない。私はあなたたちのことを思って忠告してるのよ」
澪「……律、この人の言うとおりだ。春菜さんは私たちと同じ危険にさらされている。協力しなきゃダメだ」
春菜「別に協力するわけじゃないわ。勘違いしないで」
律「いちいち素直じゃないな。……分かったよ。あの二人には話さない。これでいいんだろ?」
春菜「………まあいいわ。それからもうひとつ忠告しておくことがあるの」
律「まだあるのかよ…」
春菜「七英雄の連中はおそらく、最初にあなたたち二人を狙ってくるわ」
律「そりゃまたどうして?」
春菜「……あなたたち二人を引き離すことができれば、けいおん部はそれだけで不安定になる」
春菜「そうなってしまったらこの世界は更に混沌に支配されるわ。七英雄はそれを狙っているのよ」
澪「…そうか。世界の崩壊と再構築…それが七英雄にとっては都合がいいってことか…」
律「………だーーっ!良く分からん!」ムキーッ
春菜「…とにかく、けいおん部はいつも通り仲良くよろしくやってればいいの」
春菜「2年の時みたいに喧嘩なんかしたら、それこそ彼女らの思うつぼよ」
澪「……喧嘩?…ああ、律が風邪ひいた時か」
律「あれ?何で岡田さんがそんなこと知ってるんだ?同じクラスだったっけ?」
春菜「……私だってただ四天王してるわけじゃないの。学年の秩序を保つために知らなきゃいけないことだって多いのよ」
律「ほぉ~そうですか。秩序を保つ、ねぇ」ホジホジ
春菜「……田井中さんが今日の午後、授業中に誰かの声を聞いた。でも周りで話している人はいなかった…」
律「!………どうしてそれを…!?まさかアンタの仕業だったのか!?」
春菜「そんなわけないじゃない。だけど田井中さん、あんなのに耳を傾けたら駄目よ」
律「…わ、分かってるわいっ」
春菜「そう。分かってるならいいの。じゃあ、私はこれで帰るわ」
澪「は、春菜!…その、忠告ありがとう…」
春菜「…あなたに呼び捨てにされる覚えはないんだけど?」
澪「ご、ごめん…」カァー
春菜「ま、せいぜい頑張りなさいな」
スタスタ
律「……なぁ~んだアイツ。感じ悪いなぁ」
律「…だいぶ暗くなってきたな。行こうぜ澪」
澪「…うん…」
スタスタ
澪「……………」
律「……………」
澪「………なあ律」
律「…なに?」
澪「さっき春菜が言ってたろ?授業中に誰かの声がした…って」
律「………ああ、最初は気のせいだと思ってたけどな」
澪「なんて言ってたんだ?」
律「……………」
澪「…律?」
律「…澪が私にウソをついてるって…。私を騙そうとしてるって、そう聞こえたんだ」
澪「……………………」
律「…卑怯なやり方だぜ。そうやって私と澪を引き離そうとしたんだ」
澪「……………………」
律「…ま、最初からそんなの信じてなかったけどな。澪が私にウソつくわけないじゃん!」
澪「………ありがとう」
律「もーそういうのはいいから!今更改まっても照れるだけだし///」
澪「…昔から律はウソばっかりだったけどな」クスッ
律「そ、それとこれとは違うだろっ。せっかく良い感じの話だったのにそーやって茶化す!」プンプン
テクテク
澪「……じゃあな、律」
律「おう、また明日な!」
【翌日】
ざわ……ざわ……
律「おーっす!おはよー!」ガラッ
澪「り、律!たいへんだ!ちょっとこっちに来てくれ」ワタワタ
律「へ?お、おいどこに行くんだよっ」
澪「いいから!」グイッ
紬「澪ちゃん、あんなに慌ててどうしたのかしら…」
唯「朝から大変だね~。おはよ~ムギちゃん」ふぁ~
紬「あ、おはよう唯ちゃん♪」
・・・・・・・・・・
律「どうしたんだよ朝っぱらから…」
澪「いいか?落ち着いて聞いてくれ…」
律「まずお前が落ち着けって」
澪「……和がやられた…昨日の放課後、私たちが帰る時だ」
律「…やられた?何をどうやられたんだ?」
澪「……話では、とても学校に来れる状態じゃないらしい…」
律「はあ!?どういうことだよ!」
澪「私にもよく分からない!ただ、クラスの一部には既に噂は広まってて…その話題でもちきりだ」
律「………くそっ!私たちが最初に狙われるんじゃなかったのか!?」
澪「…………」
律「……澪、その話は誰から聞いたんだ?」
澪「……さっき、エリから聞いたんだ…。エリも少し困惑してた…」
澪「まだ新学期が始まって数日しか経ってないのに、こんなに早く事が深刻になるなんて思ってなかったみたいだ」
律「……次は私たちの番かもしれない、ってわけか…」
澪「律………どうしよう」オロオロ
律「……和の身に何が起きたのか…。まずはそれだ。だけど学校に来てないんじゃ会って話しもできやしない」
澪「………そうだ……高橋さん!彼女に聞いてみれば何か分かるかもしれない!」
律「……高橋って、澪を襲ったヤツだろ?そんなヤツに聞いたところで…」
澪「だけど彼女は和と仲がいい。もしかしたら何か知ってるかもしれないだろ?」
律「……危険すぎる」
澪「…私だって怖い。でも和は私たちの大事な友達だ。このまま何もしないのは駄目だ…」
律「……分かった。私も行く」
澪「…そろそろ高橋さんも登校しているはずだ。行こう」
・・・・・・・・・・・・
澪(……高橋さんは……いた。やっぱり和のこと、知ってるのかな…)
澪「……あ、あのっ、高橋さん?」ドキドキ
風子「……おはよう」
澪「え?お、おはよう…」
律「(おい澪。きんちょーしすぎだ)」ヒソヒソ
澪「(だ、大丈夫、大丈夫)…あ、あのさ。和のことなんだけど…」
風子「……!わ、私は何も知らないわ…」
律「…………まだ何も言ってないけど」
風子「…っちがうの。私は関係ないわ」ビクビク
澪(この態度…あからさまに怪しい…。それに、高橋さんがこんなに動揺するなんて…)
律(……絶対に何か知ってるな)
澪「…高橋さん、もしかして和に何があったのか、知ってるんじゃないか?」
風子「し、知るわけないじゃない。何が言いたいのよ!」
澪「…実は昨日、和が放課後に誰かに襲われたみたいなんだ」
澪「しかも、学校に来れなくなるくらいひどい目に…お願いだ高橋さん!なんでもいいから教えてくれ!」
風子「知らないって、い、言ってるじゃない!私は何もしてないわ!!」
律「……澪を恨むほど和を慕っているのに、なんでそんなに関係ないと言い張るんだ?」
風子「………………っ!」ビクッ
澪「…高橋さんが以前、私にしたことはもう許す…。私も高橋さんには何もしない」
澪「私たちはただ、和のことが心配なんだ。だから教えてくれ!和の身に何が起こったのか」
風子「……わ、私も何が起こったのか分からないの…。昨日、真鍋さんは私と一緒に帰った…」
律「なんだって!?」
澪「(しーっ!律、声がでかい!)」ボソボソ
風子「…昨日、私は真鍋さんと言い合いをした…。私が秋山さんに攻撃したことで、真鍋さんはかなり怒っていたわ…」
風子「私も、真鍋さんのことを思ってやったことだと反論したの…。だけど私があの人との約束を破ってしまったことに変わりはない」
風子「私が悪かった。そう言って放課後に仲直りしたの。それからいつも通り一緒に帰り道を歩いていた時だった…」
風子「突然、頭の中で声がして…最初は誰かがしゃべっているだけだと思っていたけど、周りに話している人なんていなかった」
律「………私と同じだ……!」
風子「気のせいだと思っていたわ…。だけど、次第に声がはっきり、大きく聞こえてきて…」
風子「そ、そしたら段々、訳の分からない、怒りみたいな感情が湧きあがってきて………」ガタガタ
澪「…高橋さん、落ち着いて…それからどうしたんだ?…」
風子「気がついたら、ま、真鍋さんが……」
律「和がどうなったんだ!?」
風子「………いきなり服を脱ぎだして…ぜ 全裸になったの…」ガクガクブルブル
澪律「 」
澪(………うわぁ…………)
律(流石の私もそれは引くわ………)
風子「一瞬なにが起こったのか分からなかったわ……そして真鍋さんは何も無かったかのように歩きだしたの…」
律「…いったい和は何をされたんだ?何かの能力にかけられていたのか…?」
澪「…………ちがう…これは……高橋さんの能力『凌辱の処女(レイパー)』…!」
風子「わ、私は真鍋さんを攻撃するつもりなんてちっとも無かった!」
風子「そもそも仲直りした時点で、この能力は今後一切使わないって真鍋さんと誓ったのよ!」
風子「なのに…なのに…!気がついたら私は真鍋さんに能力を使っていた……!」
澪「で、でも能力は解除できたんだろ!?すぐに和を正気に戻したんだよな!?」
風子「そ、それがものすごく強く能力をかけていたみたいで……わたしでも解除することができなくなって…」
律「じゃあまさか、和は今でも…?」
風子「……服を着ていないわ…。自宅の部屋から出るのを御両親に禁止されているらしいの…」
風子「本人は自分がまともだと思っているわ…だからなぜ自分が学校に行ってはいけないのか理解できない…」
澪「お 思っていたより深刻だな…違う意味で…」
律「……ッ! お前は和を助けようと思わなかったのか!?」
澪「おい律、やめ…」
風子「助けようとしたわ!!でも私じゃどうしようも出来ない…」
風子「それに約束を二度も破ってしまった私に…真鍋さんと関わる資格なんて、無いのよ……」グスン
澪「…………いや、悪いのは高橋さんじゃない。それに、和だって高橋さんのことを恨むなんてことはないと思う」
風子「…秋山さん……」
澪「……和のことは高橋さん、あなたに任せる。なんとか和を助ける方法を探してくれ。……私たちは…」
律「ああ。私たちはその謎の声の主を探る!他人を利用して攻撃するなんて許せねぇ!」ムカムカ
風子「……ありがとう。…秋山さん、私…あなたのこと誤解してたわ」
澪「…いいんだ。それより高橋さん、謎の声について心当たりはないのか?」
風子「…ごめんなさい…」
律「そうか…。それにしても一体誰が…」
風子「…もし力になれるなら、いつでも呼んで頂戴。協力するわ」
澪「ありがとう。能力の解除について調べるなら、エリに聞いてみると良いかもしれない」
風子「…分かったわ」
キーンコーンカーンコーン
澪「……じゃあ、また」ガタッ
風子「ええ」
スタスタ
律「……しかし高橋さんと和の約束ってなんなんだろうな?」
澪「さあ…過去に何かあったんじゃない?私たちが知る必要もなさそうだけどな」
律「それもそうだな…」
ざわ・・・ざわ・・・
さわ子「みんな、おはよう。席について下さい」
さわ子「今日は真鍋さんがお休みね。みんなも体調には気を付けて」
唯「和ちゃんが休むなんて珍しいねー。前の席が空いてると変な感じ~」そわそわ
姫子「ふふっ。唯も気をつけなきゃね」
唯「?」
さわ子「…それではHRを始めたいと思います」
・・・・・・・・・・・
【そんなこんなで早くも放課後】
澪「………結局、今日一日なにも無かったな」
律「だーっ!なんにも手がかりが掴めないままかよっ」ムキーッ
澪「せめて七英雄になにかしらの動きがあれば、と思ったけど…。そう上手くはいかないな…」
律「…あと疑わしい七英雄は誰がいたっけ?」
澪「立花姫子、木下しずか、佐伯三花の三人だ」
律「…確かにその三人は特に怪しい動きは無かった…」
澪「頭の中で誰かの声が聞こえる……ヒントはこれだけしかない」
律「でも、私の時は雑音ばかりではっきりとは聞こえなかった。だけど高橋さんの場合ははっきり、しかも大きく聞こえた…」
律「この違いはなんなんだ…?」
澪「……能力をかけるときに、色々条件があるのかもしれない…」
澪「だけど、律と高橋さんの状況を比べたところで分かることなんて…」
律「う~~~~~ん…………………そうだ! エリに聞けばいいじゃんか!」
澪「…そうしたいところだけど、下手したらエリの身に危険が及ぶかもしれない。駄目だ」
律「…………くそっ!完全にお手上げじゃねーか!」
唯「あ~!りっちゃんに澪ちゃん!こんな所にいた~」
律「…なんだ唯か」
唯「むっ。失礼な。私はきちんとした用事があって声をかけたのです」フンス
澪「どうしたんだ?」
唯「あのねー、佐伯三花ちゃんがりっちゃんのこと呼んでたよ~」
律澪「!!」
唯「体育館の裏に来て、だってさー。やけますの~」ニヤニヤ
律「……まさかあっちからお呼びがかかるとはな…」
澪「り、律…」
律「上等だぜ!知ってることは全部吐き出させてやる」
唯「おお!なんだか気合が入ってますな~」
澪「わ、私もついていくぞ!」
唯「あ でも三花ちゃんはりっちゃんと二人で話がしたいって言ってたよ」
律「澪…気持ちはありがたいけど、きっと相手はサシでの勝負を望んでいる…二対一は卑怯だ」
澪「そ、そんな悠長なこと言ってる場合か!それにお前は能力も持ってないんだぞ!」
律「大丈夫さ。絶対に勝つ…」
律「なんてったって私は、部長だからな!」
唯「り、りっちゃんがカッコイイ…!何の話かさっぱりだけど」
澪「…分かった。無事に帰ってこいよ…。部室で待ってるからな」
唯「そーだよりっちゃん!早く部活に来ないとおやつなくなっちゃうよ」
律「おう!待ってろよ、すぐ終わらせてくっから!」
タタタタタッ
唯「……あーあ、行っちゃったね…罠だとも知らずに…」クックックッ
澪「!? ゆ、唯…なにを言ってるんだ…?」
唯「秋山さん、あんた本当に阿呆だねぇ。こうも上手くいくとは思わなかったよ」
澪「!? 唯じゃない……誰だっ!」
?「そう、あたしは平沢唯じゃない。本物の唯は今頃部室でのんびりあんたたちを待ってるよ」
澪「………くそっ!ハメられた…っ!」
?「……四天王だからって少しビビってたけど、なんてことないね。ただ美人でスタイルがいいだけじゃん」
?「何の能力も持たなけりゃ雑魚同然! あたしの敵じゃない!」アッハッハッ
澪「な、何をするつもりだ…!」
?「簡単なこと…。その綺麗な顔を吹っ飛ばしてあげる」
澪「ひ、ひぃっ」ガクブル
?「…というのは冗談だけど、まあ、人前に出られないくらいめちゃくちゃにする予定だよっ」ニコッ
澪(く、くるってる…これはマジにヤバイ…っ)
?「よっし!覚悟は出来た?あたしは出来てるけど…」ググッ
澪「ま、待て!どうしてそんなことをするんだ!暴力反対!」
?「そうやって時間稼ぎしても無駄だよ……。おとなしくしてればすぐ終わるからさっ」
ダッ!
澪「きゃあっ!!」
ガキィィンッ!!
?「!?」
エリ「……ふぅ…なんとか間に合ったみたいだね」
澪「エ、エリ~っ!! 助かったよぉ~」ヘナヘナ
?「エリ……じゃまするならあんたも道連れだよ?」
エリ「………いいかげんにしなよ、三花」
澪「三花!? 佐伯三花がなんでここに…じゃあ律が行ったのは…??」
三花「田井中さんは今頃、姫子にぼこぼこになぶられてるじゃないかなぁ…」クックックッ
澪「なっ、何!?」
エリ「大丈夫だよ澪。田井中さんの所にはアカネが行ってる」
三花「……ふん。アカネでも姫子に勝てるかねぇ?」
エリ「アカネは大丈夫。きっと姫子を止めてくれる。そして私も………あなたを止めてみせるっ!!」
澪「エリ………」
三花「あっはっは!能力に名前を付けるだけのあんたに、何ができるっていうの?」
エリ「………やってみなきゃ分かんないでしょ?」
澪「エリ、三花の能力は一体なんなんだ!?」
エリ「佐伯三花…あいつの能力は『完全変態(トランスフォーミング)』…」
三花「……その名前はやめてって言ったでしょ?」
エリ「自分の肉体を自由に変形させることができるんだ。それを利用して誰かの顔そっくりに化けることもできる」
三花「……そう。だからけいおん部の平沢唯に変装したってわけ……気にくわないけどね」
エリ「そしてこの『完全変態』のもうひとつ厄介なところは、身体能力をも大幅にUP出来るという点……」
三花「……ま、そんなことをあんたたちが知ったところで何もできないことに変わりはないんだからさ」
三花「ふたりまとめて四天王の座から落ちなよっ!」ダッ!!
エリ「ぐっ!!」ゴキィッ!
澪「エリ! 大丈夫か!?」
エリ「だ、大丈夫…。私だってバレー部では三花と張り合ってたんだ…。それより澪、お願いがあるの…っ」
三花「ほらほら~。そんなのんびりお話してていいの~?」
澪「や、やばい! エリ、早く逃げよう!」
エリ「聞いて! ここは私が食い止めるから、澪は田井中さんの所へ……」
澪「駄目だ!エリを放っておけない!」
エリ「……三花がこうなったのも私に責任があるんだ……三花を止めるのは私の役目…」
エリ「大丈夫。私一人でやれる。それより澪は田井中さんを助けてあげてっ!」ドンッ
澪「エリっ!」
三花「自己犠牲…泣けるね。いいよ。エリを仕留めたら秋山さん、次はあんたの番だ。今の内に逃げればいいさ」
澪「………ぐっ…! エリ、必ず戻ってくるからな!」ダッ
タッタッタッ
・ ・
三花「さて、ちゃっちゃとやっちゃいますか。部長さん」
・ ・ ・
エリ「そうだね………………元部長さん。決着をつけよう…!」
ドゴオォォォン!!!…………
・・・・・・・・・・・・
タッタッタッタッ・・・・・
澪「ハァ…ハァ……た、確か律は体育館裏に……」
「やめろ姫子!」
「きゃあああああ!!」
澪「! 悲鳴…あっちだ!」
ガラッ
澪「律!助けに来たぞ…」
アカネ「危ないっ!」キュピーン
澪「…ッ!? な、なんだこれ……」ドクン・・・
律「澪っ!なんで来た…っうぐっ」ズキ
姫子「飛んで火に入るなんとやら…3人同時に倒せるなんてラッキーじゃん。ね?しずか」ニコッ
しずか「も、もうやめて…こんなこと、やりたくない!」
澪(……あれは…木下しずか……!? なんで姫子と一緒に…)ズキズキ
アカネ「澪! 気を確かに持って!」
澪「ア、アカネ…一体何が起こってるんだ…っ」ズキズキ
アカネ「この頭痛はおそらく木下さんの能力……」
澪「木下さんが…!? じゃあ姫子は…」
律「姫子は木下さんを操っているんだ…!っ」ズキズキ
アカネ「…エリが色々と調べてくれたわ…。立花姫子の過去…そこからあいつの能力を特定したんだ」
アカネ「あいつの能力は『服従の円舞曲(マインド・コントロール)』……他人を操ることができる」
姫子「……まあ、あたしはそんな名前、つけてもらわなくても十分制御できてたけどね」
姫子「あんたたち3人くらい、あたしが直接手を下すまでもない」
姫子「……ほら、しずか。もっとがんばってよ。アカネに負けたらただじゃおかないよ」
しずか「う……うぅ……」
アカネ「ぐっ……」ズキ・・・
澪「…アカネが私たちを助けてくれているのか……?」
律「……アカネがいなかったら、私たちはとっくに脳を破壊されていた…」
律「アカネの『集注拡散(フォーカスレンズ)』は、相手の集中力を乱す能力……っ」
律「今は必死に木下さんの集中力を私たちから遠ざけようとしている…だけどそれも限界がある…」
律「アカネがやられたら私たちもおしまいなんだ…」
澪「……ぐっ……木下さんの…能力はなんなんだ!?」ズキズキ
アカネ「…それは分からない……。だけど、脳に直接攻撃するタイプみたい…」
澪(……頭が痛くて何も考えられない………動くこともできないっ…)
アカネ「……まだ名前を付けていないから、木下さんは能力を制御できてないんだ…だからこんな強力に…っ」
姫子「…………うーん…アカネが思ったより強いのは計算外だったよ…これじゃ埒があかないじゃん」
姫子「自分の手は汚したく無かったけど……しょうがないか」スタスタ
アカネ「な、なにを……」
姫子「えいっ!」ドスッ
アカネ「うぐっ!?…………」バタン
律澪「っ!!!?」
澪「ぎゃああああああああああああああああ」グワングワン
律「頭が割れる………ッッッ!!!」
姫子「………ま、このままほっといても3人とも逝っちゃうけど……しずか、どうする?」
しずか「もうやめて!! どうしてこんなにひどいことするの!?」
姫子「……別に。理由があるとすれば、けいおん部なしに私たちが存在できない、っていう現状が我慢ならないだけ」
しずか「…………ち、違う……けいおん部がいなくなったら、私たちは消えるんだよ?…それでもいいの?」
姫子「……くだらないおしゃべりはここまで。さっさと仕留めようよ」
しずか「…わ、私にはできない!」
姫子「ちぇっ…。やっぱりあたしの能力も限界があるのかなぁ…。仕方ない、自分でやるか」ハァ
スタスタ
律「……ッッッ!!」
姫子「まずは四天王の秋山さんからかな……」グイッ
澪「うああああああああ や、やめてくれ……」バタバタ
律「や やめろ………ッッ 澪に手ぇ出すなあああああ………」
姫子「別に殺したりするわけじゃないんだけどなぁ。ちょっと顔が変形するだけなんだけど…」
澪「やめろおおお……… やめてくれええ……」ジタバタ
姫子「やめないよ。少し痛いけど我慢してよね」グググッ
澪「!!」
律「澪ッッッ!!!」
ド ク ン ッ
キュピンッ
姫子「!?!?」バッ
しずか「……これは…?」フッ
姫子「あたしの能力が……解けた…!?」
アカネ「………う~ん………ハッ」キョロキョロ
アカネ「あたし姫子に攻撃されて気を失って…そ、そうだ!二人とも大丈……」ガバッ
アカネ「…あ、あんたたち……どうしたの…!?」
澪「り、律……まさかこれって」キラキラ
律「ああ………とうとう私たちにも能力が………」キラキラ
アカネ(…きれい……これが秋山澪と田井中律の本当の姿…)
姫子「くっ…!しずかっ!もう一度痛い目にあわせてやりな!」キュピン
しずか「あぐっ…」ゾクッ
律「無駄ァッ!!」キュピィン
しずか「あ……」フッ
姫子「!? な、なんで…」
律「……もうお前は『服従の円舞曲(マインド・コントロール)』を使うことはできない…いや、使っても私たちが止める!」
姫子「どういうこと!?」
アカネ「み 澪……いったい何が起きてるの…?」
澪「……アカネ…あいつを倒すにはアカネの能力が必要だ」
アカネ「え?」
澪「もう姫子に『服従の円舞曲』は使わせない…!だけど私じゃあいつに対する攻撃手段がない…」
澪「律があいつを止めている間にアカネの『集注拡散(フォーカスレンズ)』でとどめを!」
アカネ「む、無理よ……あたしの能力は相手に危害を加えるタイプじゃない…」
澪「………大丈夫。私を信じるんだ」
姫子「…フン!まあいいわ…。あたしには『服従の円舞曲』がなくても、腕っ節であんたたちを叩きのめすことができる…」
アカネ「……くっ! 澪、姫子の身体能力は七賢者の中でNo1…あの三花でさえパワーアップしてやっと互角なの…」
澪「…………」
アカネ「このままじゃ、4人まとめてやられてしまう!」
澪「アカネ!いいからはやく『集注拡散(フォーカスレンズ)』を!」
アカネ「………ッ!」キュピーン
姫子「遅いっ!!」ブオン
スカッ
姫子「………!? き、消えた…?」
姫子「ど どこに行ったの!? しずかも…いない!?」キョロキョロ
律「………ふぅ、危なかったな」
アカネ「………!?…姫子はひとりで何をしているの?」
澪「私たちのことが見えてないんだ…これはアカネの能力だよ」
アカネ「え!? で、でも私の『集注拡散』に姿を消す力なんてない…!」
澪「そうじゃない。姫子は今、私たちに対して集中できないでいるだけ…」
澪「……それこそ私たちの存在を認識できないほどにな」
アカネ「あ、あたしにはそんな強力な力は使えない!あんたたち何をしたの!?」
澪「……私の能力は"誰かの長所を更に伸ばす"能力…そしてアカネの場合、『集注拡散(フォーカスレンズ)』が長所なんだ」
律「そして私の能力は、"誰かの長所を抑え込む"能力なんだ。だからあいつの『服従の円舞曲(マインド・コントロール)』を一時的に使えなくした」
アカネ「………そんな力が…! で、でもちゃんと制御できてるの!?」
澪「……不思議とコントロールできてる…」キラキラ
律「なんだか今まで使えなかったのがおかしく感じてくるぜ!」キラキラ
しずか「す すごい…………」
澪「………さあ。まだ終わりじゃない」
律「ああ…。あの腐ったゲス野郎に天誅を下さないとな!」
アカネ「……でもどうやって…?」
律「それは……」
しずか「きゃあっ!?」ガツン
澪「!?」
姫子「ちぃっ!!ここであいつらを逃がすなんて……ッ!!」ガタン!
バキッ メキメキメキ
姫子「クソッ!」バンッ
律「姫子のやつ、手当たり次第に暴れてやがる…」
アカネ「このままだとあたしたちも巻き添えをくらう!」
律「まったく、DQNはどうしようもないぜ。あーあ、体育用具がボロボロ…」
澪「律、のんびりしてる暇はないぞ!あいつをどうやって止めるんだ!?」
律「……木下さん…いや、しずかの能力を使うんだ」
しずか「え……?」
律「しずかの能力は、私の予想が正しければ相手にイメージや言葉を直接伝えることができる…」
律「そしてその力は相手の感情や思考、その気になれば心理状態にまで影響を与えることができるんじゃないか…?」
澪「……どうしてそう言えるんだ?」
律「……和のことさ。高橋さんを怒らせ、能力を暴走させたのは木下しずか。そうなんだろ?」
しずか「……田井中さんの言うとおりです…。高橋さんの脳にイメージを伝えたのは、わたし…」
しずか「それに、田井中さんにもやりました」
律「……分かってる。そして、それらは全部姫子に命令されてやっていたんだろ?」
しずか「……………はい。わ、わたしにはどうすることもできなくて…っ。すいません……」グスン
律「謝る必要なんてない。悪いのは全部、姫子だ」
澪「…………………」
律「…だけど姫子をギタギタにやっつけるつもりなんて、ない…」
律「だからしずか。しずかの能力で姫子を更生させてほしいんだ。姫子に良心が少しでも残っているなら…」
律「きっとアイツは正しい道を選んでくれると思う」
しずか「……田井中さん…………分かりました…やってみます……」
アカネ「…ちょっと待ちなよ。上手く制御できない能力でやるなんて危険すぎる」
アカネ「それに、姫子が更生するくらい強く、精度の高いイメージを送るなんてできっこない…」
律「やってみないと分からないだろ?それにこっちには澪もいる。しずかの能力を高めることだってできるはずだ」
澪「…律。それは出来ないんだ」
律「………どうしてだよ」
澪「私が高めることが出来るのは、相手が"長所だと思っていること"だけ…木下さんは、自分の能力を長所だと思っていない…」
しずか「…………」
澪「それに、私が能力をかけられるのは1つの対象だけだ。今はアカネにかけているから…2人同時は無理なんだ…」
律「……それでも!やるしかないんだ!」
アカネ「……木下さんがまた暴走したら?長所だと思ってないなら、律にだって止められないってことになる…」
律「………私はしずかを信じる」
澪「…確かにこのまま、姫子を野放しにしておくわけにはいかない…。木下さんが上手くやってくれれば、誰も傷つかずに済むかもしれない…」
律「しずか………準備は出来たか?」
しずか「…………」コク
アカネ「…分かったよ。私も極力、アイツに見つからないように頑張ってみるわ」
しずか「…………」ムムムムム・・・
澪(…これは…念じてるのか? ちっちゃくて可愛いな…)
律「あっ。しずかちょっとタンマ」
しずか「えっ」コケッ
律「やっぱり殴らないと気が済まない」
澪「…お前も十分DQNだよな」
アカネ「ちょっと待ってよ!そんなことしたらいくら強化した『集注拡散』でも流石に感づかれる!」
律「そこはあんたらに任せる!」ダッ
澪「…誰も傷つかないかも…って言ったけど、やっぱりそうはいかないな。罰は受けなきゃ」ヤレヤレ
アカネ「あ~もう!どうなっても知らないから!」キュピーン
姫子「…………」イライラ
律「…さてと、姫子さんよ。あんたは私の触れてはいけない逆鱗に、とうとう触れちまった…」
律「報いを受けてもらうぜっ!!」
律「まず、これが……和の分だッ!」ドゴォ!
姫子「うぐっ!? な、なに!?いきなり……」
律「そしてこれが…高橋さんのぶんッ!」ドゴォ!
姫子「がはっ! そこにいるのは……誰!?」
律「これは澪のぶんッ」ドゴォ!
姫子「………ッ!?」
律「これがッ!しずかのぶんッ!こっちはアカネのぶんだッ!!」ドゴォ バキィ
姫子「ぐふぅ……」
律「そして……私のぶんだあッッ!!!」ドギャアアアン!!
姫子「うぐ……」バタン
澪「……おいおい。倒れちゃったぞ」
律「まだ意識はある。いいぜ、しずか。精神的にも肉体的にも参ってる姫子なら、少しはやりやすいんじゃないか?」
しずか「……………うん」コク
しずか「…ムムムムム………」
澪「…………」
律「…………ど、どうだ?上手くいきそうか?」
アカネ「…話しかけない方がいいわ」
律「…………へいへい」
しずか「………………うっ」ズキ
澪「!?」
律「どうした、しずか!」
しずか「だ 大丈夫……うっ」ズキズキ
姫子「ぐ…うああ……いやああああ」
アカネ「! 姫子が!!」
澪「木下さん!」
しずか「…………ち 力が……みんな、逃げてっ…」ズキズキ
アカネ「そんな! 失敗したっていうの!?」
澪「うっ!?」ズキン
アカネ「木下さんっ…落ち着いて…うぅっ」グラ
しずか「はやく……みなさん、逃げてください…」
律「あきらめちゃ駄目だ!」
しずか「!?」
律「私たちのことは…き 気にするな…それよりも姫子に集中するんだ…」ズキズキ
しずか「でも……」
律「早く!」
しずか「…………」グッ
しずか(姫子さんの心の奥……暗くて良く分からない……ぼやけてる)
しずか(お願い……!姫子さん…この気持ち…伝わって!)
…パァァァ
しずか(!あれは……姫子さんの良心!………お願いっ!届いて!)
姫子「 」ビクッ
ガタン
スーーッ
澪「……と、解けた…」フッ
アカネ「……木下さん!どうなったの!?」
しずか「………………」
律「も、もしかして…駄目だった?」
しずか「……成功した、と思う……」
律「本当か!?」
しずか「たぶん………だけど、姫子さん、気を失っちゃった…」
姫子「」
アカネ「……大丈夫なんでしょうね」
しずか「…なんだか良く分からない…けど、確かな手ごたえはあった…」
しずか「もうさっきみたいに私たちを攻撃することは、ないと思います」
澪「………終わったのか…」
律「…やったな!しずか!」
アカネ「……でも、姫子をこのままにしておくわけにはいかない。どうするの?」
しずか「……わたしが保健室に連れて行きます…」
しずか「先生には適当に言い訳しておいて、寝かしておけばいつかは目が覚めるかも…」
澪「目が覚めて木下さんを襲ったらどうするんだ!?」
しずか「…大丈夫です。もう姫子さんは大丈夫だと思います」
律「……まあ今回はしずかのお手柄なわけだし、姫子を更生したのもしずかなワケだし…」
律「しずかがこう言ってるなら何も心配いらないだろ」
澪「……そうだな」
しずか「じゃあ…姫子さん連れて行きますね。…んしょっと」
ズルズル
澪(引きずってる…)
律(……大丈夫、だよな?)
アカネ「…………た、大変よ!!」
澪「どうしたんだアカネ、また問題が!?」
アカネ「澪!!あんた大事なこと忘れてるよ!」
澪「…?」
アカネ「エリが………エリが………」
澪「!!」
律「なんだ?エリがどうかしたのか?」
澪「っ律、お前も来い!エリを助けに行くんだ!!」グイッ
タタタッ
律「おいっ!どこに行くんだ!?」
澪「……律のところへ行く前、私は佐伯三花に襲われていたんだ…」タッタッタッ
澪「そしたらエリが助けに来てくれて…三花を食い止めるからって……一人で…」
律「なにっ!?」
アカネ「三花は色々な意味でヤバイ奴なんだ…。エリが危ない!」
・・・・・・・・・・・
タッタッタッ
アカネ「…ハァ……ハァ……つ 着いたの…?」
澪「ハァ……ハァ……た、確かここで三花が唯に変装していて……」キョロキョロ
律「……誰もいないぞ?」
澪「………もしかして二人は既に決着を……?」
アカネ「!! ちょっと…コレ…」
律「あ あれは…血!?」
澪「うわあっ! 血は駄目なんだ……っ」ガクブル
アカネ「いったい誰の………」
律「エリか、三花か……そんなに重症ではないみたいだけど…」
アカネ「……あたし、エリに連絡とってみる」
律「エリがやられたんだとしたら……事態は最悪だ……」
prrrrrr prrrrr
アカネ「………だめ。出ない」ピッ
澪「まさか……」
律「…………」
アカネ「………エリならきっと、大丈夫よ。もしかしたら何食わぬ顔で部活やってたりしてね」
澪「………」
アカネ「……あたし、バレー部の様子見てくる。澪たちはけいおん部に行ってて。あそこが一番安全だから」
律「……いいのか?」
アカネ「これでも七賢者のひとりよ。心配には及ばないわ。じゃあね……」
タッタッタッ
律「……行っちまった」
澪「………私たちも行こう。唯たちが待ってる」

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