- 1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/30(日) 03:53:58.71:BYzuW9y80
オレの名前は本田圭佑。
学園都市に来る前は何をしていたのかは覚えていない。
ただ、俺の部屋にはなぜかサッカーボールが転がっていて
放課後や休日、犬の散歩の途中にボール遊びをすると
とある感覚が全身を包む。
地鳴りの様な何かが全身を貫き、
内側から何かをしなくちゃいけないと駆り立てられる衝動。
……だが、ちょっとくらい球遊びが出来たところでこの学園都市では何の役にも立たない。

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韓国からポーランドに輸出されるはずだった戦車、軽戦闘機、自走砲などの「K防産」、すべて霧散して夢と終わる可能性も…
2:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/30(日) 03:54:46.76:BYzuW9y80
ここは学園都市、常識では考えられないような科学と超能力が支配する世界。
当然、部活動にも能力の使用は許されている。
サッカーだって例外じゃない。
空間移転の能力者が居たらサッカーボールを相手のゴールに移動させる事も可能だし
肉体強化の能力者が居れば11人吹き飛ばしてゴールを割ることも可能だ
いくら4-3-2-1だの3-4-3だのシステムを構築したところでそんな能力者の前では無力と化す
ただ、それは
そこらの無能力者やったらの話やけどな。
7:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/30(日) 03:58:07.80:BYzuW9y80
いつになくキレが良い。
体のコンディションも悪くは無い、怪我もない。
今ならロナウジーニョだろうがメッシだろうがブっちぎれる気がする。
規則的なリズムで川沿いのランニングコースを駆ける。
朝の澄んだ空気が心地良い。
ちなみにここは犬の散歩コースでもある。
8:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/30(日) 04:01:55.83:BYzuW9y80
ふと目線を上げると、自分の斜め前を走っている人影を見つけた。
なんとなく追い抜かそうと少しだけスピードを上げる。
黒いジャージを来た男か女かよくわからんヤツを一瞬で置き去りにする。
うん、やっぱ悪くない。
体の仕上がりは上々。
いつ試合が来ても対応できる。
……試合?
あれ、そもそもオレは一体何に備えてこんなトレーニングを……?
御坂「ちょっと! あんた! さっきからブツブツ言って人の話聞いてるのっ!?」
本田「何や?」
10:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/30(日) 04:04:48.68:BYzuW9y80
黒いジャージを着た女やった。
察するにさっき追い抜かしたのがコイツって事か?
本田「何か用か? ってかオマエ誰やねん」
御坂「誰……ですって……」
本田「あ?」
御坂「毎度毎度毎度毎度……一体いつになったらあんたは私の名前を覚えてくれるのかしら!」
そんな事を言われたって身に覚えがないものは知りようがない。
試合中に使うフェイントだって普段から練習してなければ咄嗟にできるもんじゃない。
12:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/30(日) 04:12:17.98:BYzuW9y80
その瞬間。
電撃が遠藤さんのスルーパスの如くオレの横を抜けていった。
いや、それは単なる形容詞ではなくて。
本物の電撃。
本田「あぁ……嘘うそ、ホンマはちゃんと覚えとったで。三浦さんやろ」
御坂「誰が三浦さんよ! ミしか合ってないじゃない!」
本田「あれ? せやったら明神さん?」
御坂「……」
本田「三上さんやったか……」
御坂「私の名前は……」
本田「あ、水野か?」
御坂「私の名前は御坂美琴っつってんでしょうが!!!!!」
13:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/30(日) 04:14:18.70:BYzuW9y80
本田「ちょ、ここで電撃はマズいって」
御坂「マズかないわよ、今日こそ決着つけてやるんだから」
本田「はぁ? 何が決着やねん、だいたいあの試合は120分ドローで……」
御坂「何が120分ドローよ! いっつもあんたが逃げてるんじゃない!」
本田「オレが、逃げる……?」
御坂「そうよ卑怯者! ちゃんと戦いなさい!」
本田「オレが……? 逃げる……?」
15:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/30(日) 04:17:47.60:BYzuW9y80
本田「いや、ちょお待ちいや。話がわからへんて、オレがいつ逃げてん?」
御坂「今更命乞いしても遅いわよ!」
本田「はぁ? だいたいオマエさっきからぎゃーぎゃーうるさいねん」
御坂「またオマエって言った……」
本田「オマエはオマエやろ? 他の誰やねん」
御坂「また誰って言った……」
ビリビリ
本田「ちょ! まて! まてって!」
御坂「うるさい!」
ビリビリっ
本田「……くっ」
17:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/30(日) 04:21:57.26:BYzuW9y80
本田「あぁーもう、お気に入りのジャージが真っ黒やで。どうしてくれんねん」
御坂「……」
本田「ったく……、無能力者に向かって能力使うとかレッドカード級の反則やでレベル5」
御坂「だったらその無能力者のあんたは私の全力の電撃を受けてどうしてピンピンしてるのよ」
本田「……ツイてへんな……オマエ……」
御坂「っ?!」
本田「なんつーか……不幸っつーか……。最っ高に、ツイてへんで……」
18:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/30(日) 04:26:40.12:BYzuW9y80
そう。
オレの能力は全てをプラスマイナスゼロにする。
ホンダサンカッケー
本田△ だ
20:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/30(日) 04:30:48.46:BYzuW9y80
……というかさっきの遠藤って誰だ。
120分ドローって何の話だ。
オレには学園都市に来る前の記憶が無い。
それ以前にどこの国で何をしていたのか、
それさえもわからない。
ただ、オレはこの学園都市に来てから一試合も試合には出場してないし
誰かと一緒にボールを蹴った事もない。
だからきっと、これはひょっとして
オレが学園都市に来る前の記憶なのかもしれない。
妙にしっくりくるこのシューズ、なぜかフィットするジャージ。
ボールを見ると勝手に疼くんだ、体が。
まぁそれも、勝手な思い込みかもしれないが。
今は、関係ない。
22:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/30(日) 04:32:38.03:BYzuW9y80
◇ ◇ ◇ ◇
上条「不幸だ……」
本田「どないしてん上やん」
青ピ「ちょww前から言おうと思っててんけど、ケイスケ俺とエセ関西弁キャラ被ってるやんww」
本田「それはごもっともだけど、俺の考えは違った」
土御門「にゃー、相変わらずすごいオーラだぜケイスケ」
本田「どんな状況やろうと、たとえキャラが被ろうと、打開しないと上にはいからへんからな」
青ピ「……た、たしかに……この状況、キャラモロ被りやなんて……立ち位置的にこのままどっちかが消え去ってもおかしくない状況やで……っ」
土御門「そうだにゃー」
23:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/30(日) 04:34:14.04:BYzuW9y80
青ピ「ところでケイスケさ」
本田「何や?」
青ピ「なんで腕時計両方にしてるのん?(ククク……オシャレか何か知らんけどこれでケイスケのキャラはブチ壊しやで、レギュラーはボクのもんや)」
本田「誰が時計は片腕って決めたん?」
青ピ「……」
orz
土御門「ww」
24:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/30(日) 04:34:58.83:BYzuW9y80
本田「ところで何をため息なんかついとんねん上やん」
上条「ケイスケ……聞いてないのか?」
本田「何を?」
土御門「あー、ケイスケは転校生だから知らないのかにゃー?」
本田「?」
上条「来週の金曜日、学校対抗サッカー大会があるんだよ」
本田「へぇ」
上条「はぁ……不幸だ」
本田「何が不幸やねん」
上条「あのさぁ……対戦相手、どこだと思う?」
26:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/30(日) 04:36:35.24:BYzuW9y80
本田「どこなん?」
土御門「にゃー、あのお嬢様学校の常盤台中学だぜい」
本田「アホらし、女とサッカーなんかやってられるかいな。しかも下のカテゴリーやんか」
上条「そう言うけどさ、常盤台中学は全員レベル3以上の能力者なんだぜ? 俺らみたいな普通のクラスが試合したらそれこそ一方的な殺合になっちまうよ」
本田「オレはサッカーで緊張したことはない」
土御門「にゃー、すごい自信だぜい」
本田「自信がなけりゃ、やっていられないでしょ」
上条「そりゃケイスケはちょっとサッカー上手いかもしれないけどさ、俺ら基本的に無能力者なんだぜ?」
本田「試合する前から諦めるんか?」
上条「……」
本田「君らもファン・デル・サールやスナイデルになれるんやで?」
28:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/30(日) 04:38:07.05:BYzuW9y80
上条「あのさぁ……常盤台中学にこんな普通の公立高校が勝つような事があればそれこそ学園都市始まって以来の奇跡だよ」
本田「学園都市初とか興味ない、オレが目指しているところは遥か上なんで」
上条「……はぁ、ケイスケはそれでもいいかもしれないけどさ」
本田「ええ加減にせえや! 上やん!」
上条「っ」ビクッ
本田「このままやられっぱなしでええんかっ!?」
本田「女に負けといて悔しくないんか?! 上やん! お前それでも男かっ!?」
上条「けど去年も負けてるし……その前も……」
本田「挫折は過程、最後に成功すれば、挫折は過程に変わる。だから成功するまで諦めんな」
30:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/30(日) 04:39:46.31:BYzuW9y80
上条「でも」
本田「ええで……上やん、上等や」
本田「お前が試合する前から自分らが’負ける’と思ってるなら」
本田「たかが超能力でサッカーの全てが決まると思ってるなら」
本田「そんなふざけた幻想に惑わされて、覚悟を決められへんっていうなら」
本田「まずはその幻想をぶち殺したるわ!」
32:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/30(日) 04:47:42.27:BYzuW9y80
◇ ◇ ◇ ◇
れんしゅう!
本田「サイド! ちゃんと攻撃の時は上がれや!」
土御門「にゃー……、んな事言ったって……ゼェ……もう攻撃に守備に、何十回も往復してるんだぜい……ゼェ……ハァ……」
本田「情けないなぁ、長友やったら延長後半でもサイドを駆け上がって……!」
土御門「……にゃー?」
本田「いや……なんでもあらへん。とりあえずサイドはちゃんとDFと言えどちゃんと攻撃の意識をもたなアカン」
土御門「にゃー、鬼だぜケイスケ……」
本田「アホか、勝つ為やったら鬼でもなれるわ」
33:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/30(日) 04:49:12.32:BYzuW9y80
本田「……(誰や、長友って誰やねん……)」
本田「……(でも、なんでや)」
本田「……(つい、パスの出し所を探してまう)」
本田「……(まるで習慣付いたクセみたいに)」
本田「……(そいつがそこにおるはずやって、思ってしまう)」
本田「……(なんでこんなに)」
本田「……(知りもせぇへん誰かが、そこにおってくれたら……、なんて思ってしまうんや……)」
35:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/30(日) 04:53:41.73:BYzuW9y80
本田「パスや、上やん」
ボッ
上条「っだあ!! 急すぎるぞケイスケ!」
ガッ
青ピ「おー? 宇宙まで飛んでったんちゃうか? あのボール」
上条「……やっぱり、だめだ……オレなんかじゃ……」
本田「何やってんねん上やん! どフリーやないか!」
上条「だって急にボールが来たから……」
37:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/30(日) 04:57:48.26:BYzuW9y80
本田「今のはオレがフェイントでDF引き連れて、そこにできたスペースに上やんが走りこんできて決める、そういう場面やったやろ?」
上条「たしかに、そうだけどさ……」
本田「何や、言いたい事あったら言うてみ」
上条「ケイスケさ……、ちょっと、強引すぎなんだよ」
本田「はあ?」
上条「そりゃオマエはそれでいいかもしれないけどさ、俺らなんかサッカーはTVで代表戦見るくらいしかないんだぜ? オマエとはレベルがそもそも違うんだからさ」
本田「何や? 何を言ってるねん、上やん」
上条「オレとオマエは違うんだよ、そうガツガツ言うなよ、……苦痛なんだよ」
39:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/30(日) 05:07:23.35:BYzuW9y80
本田「上やん」
上条「……何だよ」
本田「俺はチャンピオンになりたい。それが分かっていない選手には厳しく言いたい」
上条「チャンピオン? そんなのなれる訳が」
本田「何で他人が俺の進む道を決めんねん、自分の道は、自分が決める」
上条「……」
本田「確かに上やんの言い分も最もや。サッカーはやっぱり最後は個人の力、シュートを打つのは人やからな」
上条「……! やっぱりそうじゃないか! だったらオマエ一人で……!」
40:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/30(日) 05:08:58.32:BYzuW9y80
本田「最後まで聞けや、上やん。最後は個人の力かもせえへんけどな、サッカーは一人じゃゼッタイにでけへん。何の為に11人も人間がおると思ってんねん」
上条「……何の、為に」
本田「個性や、個性の融合。それがチーム力を高める、サッカーはどれだけ一人がドリブルができても、どれだけ一人がリフティングができても一点にもならん」
上条「それが、何だって言うんだよ」
本田「上やん、オマエはFWや、点取り屋や。オレの知ってるFWはな、何も才能なんかあらへんかったけど、ゼッタイに届かんってわかってるボールでも泥臭くダイビングヘッドで飛び込んでいくヤツがおった」
上条「……」
本田「誰よりも下手糞やったそいつは、徐々に頭角を現して、ある日一番大事な試合で、一番大事な場面で得点を取った」
41:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/30(日) 05:11:36.25:BYzuW9y80
本田「ええか? 上やん、技術やない、パワーでもない。ハートや、心臓の強さが最後に一番大事なモンを引き寄せる。オレはそう思うんや、オマエはどうや?」
上条「……帰る」
本田「そうか」
上条「……迷惑、かけたな」
本田「アホか、もっと上手くなってからぬかせ」
42:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/30(日) 05:13:25.37:BYzuW9y80
土御門「おいおいおいおい、上やん帰っちゃったぜい? いいのか?」
本田「やる気のないヤツはほっとけばええ、残った面子で練習再開や」
青ピ「上やんは帰ってもうたけど……これでボクの出番やってくるやん、レギュラーに返り咲きや~、がんばるでぇ」
本田「一人ぬけたから、5対5やるで。四隅にコーンを置いて」
青ピ「あ、それ知ってるで? フットサルって言うんやろ?」
本田「よー知ってるやんけ」
青ピ「台詞が欲しくてちょっと調べたんよ」
土御門「にゃー、涙ぐましい努力ですたい」
44:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/30(日) 05:17:01.77:BYzuW9y80
本田「……(また)」
本田「……(またや)」
本田「……(知らん誰かの事、なんであんなスラスラ言えてまうねん)」
本田「……(……ひょっとして、オレの記憶に何か関係してるんか?)」
本田「……(学園都市に来る前の知り合いか?)」
本田「……(……でも、せやったら何や言うねん)」
本田「……(関係ないやろ、今は)」
本田「……(今は今、過去は過去や。過去に縋り付いたって何も生まへん)」
本田「……(けど、なんでや)」
本田「……(なんでこんなに。その知らんはずの誰かの事を)」
本田「……(こんなに頼もしいって、……思ってまうんや)」
45:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/30(日) 05:20:12.76:BYzuW9y80
土御門「ケイスケ!」
ボッ
本田「ナイスパス!」
ダッ
土御門「ワン・ツーだにゃー」
ボッ
本田「よしっ」
ダッ
本田「土御門、そのまま打てっ!」
ガッ
青ピ「ひゃあああぁぁ?!」
本田「コラ! 何でGKが避けとんねん!」
46:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/30(日) 05:23:21.85:BYzuW9y80
青ピ「んな事いうたかて、ごっつ恐ろしいでこのボール、硬いし」
本田「怖くないやろこんなもん」
青ピ「ボク博愛主義者やからこんなボールの恐怖って耐えられへんねん」
本田「やったら何でキーパーなんか……」
青ピ「そんなん決まってるやん?」
本田「何でや?」
青ピ「だれも立候補せんかったからボクでも出番もらえるからや」
本田「……」ガクッ
青ピ「なんでズッコケんのケイスケ?」
本田「オマエはアホらしくて何も言えんわ……」
青ピ「いややで、褒められたら嬉しいやんか。ボクってほら? 褒められて伸びるタイプやし?」
本田「さよか……」
47:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/30(日) 05:26:11.60:BYzuW9y80
本田「まぁええわ……本番ゴール直前まで攻め込ませへんかったらええ話や」
土御門「そんなに上手くいくかにゃー?」
本田「その為の作戦や」
土御門「作戦?」
本田「せや」
土御門「どんな作戦だにゃー? 本田監督」
本田「かくかくしかしか」
土御門「……そ、それは!」
本田「コレでオレらの勝ちや」
土御門「確かに、コレなら……しかし、それには……上やんが」
本田「オレは信じてる、あいつのハートを。あいつは来る、ゼッタイ」
67:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/30(日) 13:24:53.89:BYzuW9y80
◇ ◇ ◇ ◇
試合当日!
土御門「結局上やんは来ない……か」
青ピ「どないするねん、ケイスケ」
本田「どないするもこないするもないやろ、このまま10人でやるしかない」
土御門「はぁ……うちの監督は人使いが荒いぜよ」
青ピ「それにしても相手は余裕綽綽やな、アップもしとらんで」
本田「向こうがこっちを舐めててくれるならありがたいくらいや、度肝抜いたるで」
土御門「わかったにゃー」
69:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/30(日) 13:29:27.61:BYzuW9y80
本田「とりあえず引いてこっちはカウンター狙いや、土御門、上がるときは思いっきりあがれよ」
土御門「わかったぜい」
青ピ「ボクはどうすればええのん?」
本田「せめて1点でも防いでくれたらそれでええわ」
子萌「み、みなさ~ん。怪我のないように頑張ってくださ~い」
青ピ「お~、子萌センセ、ボクがんばるから見といてや~」
70:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/30(日) 13:32:07.80:BYzuW9y80
御坂「……」
本田「あれ?」
御坂「どうしてアンタがこんなトコにいるのよ」
本田「なんでって、ココ、オレの学校やし?」
御坂「……はっ、丁度いいわ! アンタとの決着、ここでつけてやるから!」
本田「オマエさ、いっつもオレに付き纏ってくるけど、オレに何か恨みでもあるんか?」
御坂「へっ?!」
本田「トレーニングしてたら電撃打ってくるわ、学校から帰ってる途中で電撃打ってくるわ……おかげでこっちは大迷惑やで」
御坂「そ……それはアンタがいっつも逃げるからでしょ?!」
71:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/30(日) 13:34:57.91:BYzuW9y80
本田「逃げる、ね」
御坂「そうよ!」
本田「やったら丁度ええやろ、この際ハッキリさせたるわ」
御坂「な、なによ……?」
本田「この本田圭佑の辞書に’逃げる’っていう言葉は無いって事をな」
御坂「言わせておけばっ!! あんたのそういう所が気に食わないのよっ!!」ビリビリ
本田「オレにそれは効かんで」
御坂「……くっ」
本田「ウォーミングアップは仕舞いや、後は試合で決着つけようや」
御坂「の……望むところよ!」
72:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/30(日) 13:37:37.93:BYzuW9y80
────────
────
──
禁書「とうまとうまー」
上条「何ですかインデックスさん」
禁書「今日はフットボールの試合があるんじゃないの?」
上条「そうだけど」
禁書「なのにとうまはどうしてこんなところにいるの?」
上条「……、俺なんか行ったところであいつらを不幸にさせるだけだからな」
73:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/30(日) 13:44:29.76:BYzuW9y80
禁書「不幸?」
上条「あぁ、俺が居たらあいつら負けちまうだろ?」
禁書「誰がそんな事言ったの?」
上条「へ?」
禁書「とうま、チームメートにそんな事言われたの?」
上条「いや、違う。あいつらは絶対そんな事言わない」
禁書「じゃあ誰?」
上条「そ、それは……」
禁書「とうま、私はフットボールの母国、イギリス聖教所属のシスターなんだよ?」
上条「……インデックス」
禁書「フットーボールの神様はね、絶対そんな事言わない。けれど試合する前に諦める者には絶対チャンスを与えてはくれないの」
74:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/30(日) 13:45:21.69:BYzuW9y80
禁書「フットボールは勝ち負けも重要だけど、本当に大事なのはそこじゃない。一番その試合を楽しんだ人が結局のところ勝者なんだよ?」
上条「……インデックス、俺のスパイクを持ってきてくれ」
禁書「とうま!」
上条「俺は……昔、サッカーチームに在籍していた時、自分のこの能力のせいでチームは負け続けていたんだと思っていた。けどそれは……俺の幻想が作り出した言い訳だったんだな」
禁書「そうだよ、言い訳なんかしなくてもいい。ただ、楽しめばいい。とうまのお友達は、そういう人なんでしょ?」
上条「……ああ!」
禁書「だったら、行くんだよとうま。スタジアムに」
上条「インデックス、すまない!」
禁書「私は迷える子羊を導くシスター、これくらいは当たり前なんだよ」
75:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/30(日) 13:48:18.22:ATia6/fZ0
◇ ◇ ◇ ◇
ドガッ
本田「クソッ!」
ピッ
土御門「……にゃー、またコーナー……これでもう5本連続の相手のコーナーキックだにゃー」
本田「おい土御門! 生きてるか?」
土御門「ドリブルしてたら目の前にできた穴に落とされ、パスをカットしたと思ったら火が飛んできて、フィードしたと思ったら足が氷付けで地面から離れない……生きてるのが不思議だにゃ……」
本田「ここまでやるとはな、正直相手を舐めとったわ」
土御門「0-0のスコアが奇跡に思えてくるぜよ」
青ピ「ボクの奇跡のセービングのおかげやな」
本田「どこがじゃ、さっきからボール避けまりやがって、おかげでDFがもう3人くらい負傷退場してもうたやろ!」
青ピ「んな怖い顔せんといてやケイスケ」
本田「とにかくココ集中や、なんとかボールを奪ってカウンターで一気に攻めあがるで」
78:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/30(日) 13:59:43.41:BYzuW9y80
青ピ「でもまた相手の能力で……」
本田「ペナルティエリアの中は能力禁止や、そういう意味ではオマエが一番安全やねんぞ?」
青ピ「あ、バレた?」
土御門「にゃー……一人だけラクしてずるいにゃー」
本田「くるで!」
ドガッ
本田「ヘディングでクリアや! 土御門!」
土御門「にゃー!」
ボッ
本田「ナイスや! ボール奪った! ココから攻めるで!」
土御門「本田センセ直伝のカウンター、いくにゃー!」
80:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/30(日) 14:03:01.82:BYzuW9y80
御坂「おー? やっと攻めてきたわね」
御坂「さあ、この御坂美琴様のDFをどうかわすのかお手並み拝見といこうじゃないの」
本田「いくで!」
ヒョイ
ヒョイ
生徒A「……く?」
生徒B「なにあれ、フェイントっ?!」
青ピ「おぉ、すごいやんケイスケ、一気に二人抜いたで」
81:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/30(日) 14:05:00.71:BYzuW9y80
生徒A「だったら私の能力で……!」
バシューン
生徒A「え? 落とし穴がかき消されたっ?!」
御坂「そいつに能力は効かないわ!」
生徒A「そんな」ガーン
本田「オラオラオラ! 全員かかってこいや!」
82:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/30(日) 14:07:15.32:BYzuW9y80
生徒C「なんかやばくない?」
生徒D「あたしらも止めにいった方がいいのかな?」
土御門「(……さすがやケイスケ、一人でマーク背負って中央突破)」
土御門「(……と、見せかけて本命は俺だにゃー)」
土御門「(DFが中央に絞られたお陰でサイドにぽっかりとスペースが出来る)」
土御門「(あとはそこに俺がオーバーラップを仕掛けて)」
土御門「(質の良いクロスを上げる事ができればっ)」
83:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/30(日) 14:09:31.64:BYzuW9y80
本田「甘い甘いっ!」
生徒C「きゃっ」
本田「どんどん行くで!」
生徒D「きゃあっ?!」
御坂「来たわね、金髪ゴリラ」
本田「アホか、誰がゴリラじゃ」
御坂「私の反応速度、舐めて貰っちゃこまるわよ? 生っちょろいフェイントでかわせるなんて思わないでよね!」
84:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/30(日) 14:12:09.23:BYzuW9y80
本田「……(右に振っても左に振ってもしっかりついてきよる)」
本田「……(いくらオレに対する能力が無効化されるって言うたかて、こいつが自分自身に使う能力まで消えるわけやない)」
本田「……(やっかいやで! ホンマに。うちのDFも見習って欲しいくらいや)」
御坂「どうしたの? 仕掛けてこないならボール奪っちゃうわよ?」
バッ
本田「くっ?!」
御坂「外したか、次こそっ」
本田「させるかっ!」
85:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/30(日) 14:14:26.01:BYzuW9y80
御坂「ほらほら、ノロノロしてるとDF戻ってきちゃうわよ?」
本田「せやな」
御坂「あんたさ、あんだけ試合前はビッグマウス叩いといて実際大した事ないのね」
本田「そうかもせえへんな」
御坂「……そのスマシてる所が気に入らないのよ!」
本田「今やっ! 土御門!」
土御門「にゃー!!」
本田「駆け上がれ!」
土御門「お任せだぜい!」
御坂「なっ?!」
88:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/30(日) 14:17:45.24:BYzuW9y80
土御門「ケイスケ! ナイスパス!」
本田「ガラ空きや! そのままシュートまで行ける!」
土御門「にゃー!」
御坂「くそっ!(レールガンで……! ダメだ、相手はもうペナルティエリアの中……っ、PKを取られる……っ?!)」
土御門「行くぜぃ、お嬢様、本田先生直伝、悪魔の左足だにゃー!」
御坂「く……! (シュートコースだけでも! すべり込んで……!)」
土御門「なーんてにゃ、パース」
ポーン
本田「ええパスや」
御坂「はあぁぁあああっ?!」
89:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/30(日) 14:20:27.69:BYzuW9y80
御坂「くそ! でもまだ反応できっ……!」
ピピー!
御坂「へっ?!」
ファール
御坂「ちょ、ちょっと、私いま何もしてないわよ?!」
土御門「足、かかってたぜい、俺にな」
御坂「……(こ……、こ……、こいつぅううう?! 本当の狙いはソレだったのねっ?!)」
90:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/30(日) 14:22:23.89:BYzuW9y80
本田「ええ働きや、サイドバック」
土御門「へへっ、でも今ので足がもうイっちまったみたいだ……」
本田「ゆっくり休んどけ、後はこのPKをしっかり決めたるさかい」
土御門「あぁ、頼むぜケイスケ」
本田「あぁ」
92:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/30(日) 14:27:26.45:BYzuW9y80
PK! PK! だろ今の……よーーーーしよし、PKだ
日本代表、土壇場でPKを獲得しました!
蹴るのは誰でしょう?
松木さん、さっきから本田がボールもって離さないんですよね「オレが蹴る」って言ってるみたいですよ
ははっ、本田らしいですね。
さあPKです、日本代表、延長前半、ここで決めれば相手に大きなプレッシャーを与える事ができます。
ドクン
本田「……? なんや、今の……?」
93:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/30(日) 14:31:13.29:BYzuW9y80
土御門「どうしたにゃー? ケイスケ」
本田「いや、何でもあらへん」
土御門「にゃー?」
御坂「畜生……畜生畜生畜生畜生……チクショー! あーもー! くやしい! これで先制されちゃうじゃない……!」
生徒G「ど、どうしよう……」
御坂「私が代わりにキーパーやるわ」
生徒G「う、うん。お願いしていい?」
御坂「絶対、絶対あたしのミスで失点させる訳にはいかないのよ! あの金髪ゴリラめぇ……」
95:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/30(日) 14:33:46.73:BYzuW9y80
さあ助走を取ります
日本中が注目する
その行方はっ?!
ああーーーーっと、本田! キーパー正面! ボールは! 止められた、止められました!
96:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/30(日) 14:34:52.67:BYzuW9y80
御坂「……」
土御門「……」
本田「……」
ピピー
前半終了!
97:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/30(日) 14:36:28.36:BYzuW9y80
ああそうか。
細貝がおらんかったら。
オレ
最高にダサいヤツやってんな。
クソッタレが!
98:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/30(日) 14:37:41.21:X4PrGtqw0
本田「……」
青ピ「前半終わって0-0かいな、ええ勝負してるなぁ。うんうん」
本田「……」
土御門「まーまー、PKだって外れる事もあるぜよ。そんなに落ち込むことないぜ? ケイスケ」
本田「……顔、洗ってくるわ」
青ピ「こらあかんで……重症や」
土御門「にゃー、PK止められたのがそんなにショックだったのか?」
100:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/30(日) 14:41:31.75:BYzuW9y80
青ピ「なんにせよこっちの人数はもうギリギリ、これでケイスケが抜ける様な事があればもう棄権するしか……」
土御門「無念ぜよ……」
「待たせたな」
青ピ「……この声は」
土御門「上やんかっ?!」
上条「二人とも、すまん。俺……」
青ピ「上やーん、ボク前半0点に抑えてんで、凄くない?」
土御門「にゃー! オマエは何も活躍してないにゃー! 上やん、俺だって大活躍だったんだぜい?」
上条「話は後で聞く。それよりケイスケは、どこに?」
青ピ「……」
土御門「……実は」
上条「え?」
102:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/30(日) 14:47:14.62:BYzuW9y80
◇ ◇ ◇ ◇
本田「……皮肉なもんやな」
本田「……」
本田「そうや……そうや俺は……」
本田「ここに来る前、サッカー選手やったんや……」
本田「周りに本田△言われて、ここぞの大事な試合が引き分けにしかならん疫病神言われとったな……」
本田「PK止められて思い出すとかどんだけトラウマやってんって話やなホンマ……」
本田「長友……岡崎、みんな……オレが突然おらんようになって困ってるんちゃうやろか……」
本田「いや、その逆か?」
本田「疫病神がおらんようになって代表チームは上手い事いってるんちゃうか……?」
本田「はっ……せやったら何やねん」
本田「オレにはもう……どうすることもでけへんやろが……」
上条「そんな事はないぞ! ケイスケ!」
103:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/30(日) 14:52:46.72:BYzuW9y80
本田「上やん? 来たんか?」
上条「……いまの話、聞かせてもらった」
本田「……さよか」
上条「ケイスケ」
本田「上やん、もうオレはあかん。オレの能力は本田△、プラスマイナスをゼロにする能力や」
本田「チームが悪い状態の時やったらまだええ、オレが頑張ればマイナスがゼロになるからな」
本田「でもチームがどんだけいい状態でも、結局そのプラスをゼロにしてしまう。いいところでPKも止められる、オレは疫病神やったんや」
104:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/30(日) 15:02:31.85:BYzuW9y80
本田「こんなアホな話、ないやろ? 笑いたかったら笑えばええ、いや……笑ってくれや、上やん」
上条「……わない」
本田「?」
上条「俺は絶対、ケイスケを笑わない」
本田「……上やん……」
上条「ケイスケ俺に言ったよなっ?! サッカーは一人でやるもんじゃないって。一人のミスはチーム全員のミス、一人の成功はチーム全員の成功、そうだろ?! なんでもかんでも全部一人でかかえこんでると思ってんじゃねーぞ!」
上条「本田△? 引き分けにしかならない? それこそただの結果だろ! 挫折は過程、最後に成功すれば、挫折は過程に変わる。だから成功するまで諦めんなってケイスケが俺に言ってくれたんじゃねえか! その言葉まで嘘だったっていうのかよ!」
上条「俺は不幸体質で、チームの負けの責任をいつも俺一人で追ってた。正直サッカーが嫌いになった、でも! 違うって! そうじゃないって! 気づいたんだ!」
上条「結局そんな思い込みが、俺の脚を鈍らせて、敵が強いと思い込んで、自分が弱いと決め込んで、勝負をしなくなっていただけだったんだ!」
上条「フットボールの神様は、上手いヤツや強いヤツに微笑むんじゃない! 最後まで勝利を信じたヤツにだけ微笑んでくれるんだってな!」
上条「本田圭佑のストーリーは始まったばかり。今後のストーリーの筋書きは、自分自身で決めることだと思う。転校して来た日に、そう言ってたじゃねえか!」
上条「だったらそれは全然終わってねぇ!!始まってすらいねぇ!! ちょっとくらい長いプロローグで絶望してんじゃねえよ!! 手を伸ばせば届くんだ! いい加減に始めようぜ!! ケイスケ!!!」
上条「それでもまだ……ケイスケが自分の事を疫病神だって、そう思うなら」
上条「まずはそのふざけた幻想をぶち殺してやる!」
バシューン
106:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/30(日) 15:06:09.32:BYzuW9y80
本田「……てて、顔殴るなや、イケメンが台無しやんか」
上条「……」
本田「でもまぁ……おかげで目ぇ、醒めたわ」
上条「それは、良かった」
本田「あぁ、ありがとな。上やん」
上条「へへっ」
107:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/30(日) 15:07:20.04:BYzuW9y80
本田「それじゃ、オレ、行くトコあるから、行くわ」
上条「勝つんだろ?」
本田「当たり前や、ちゃんとアジアカップ持って帰ってきたるわ」
上条「頼んだぜ、18番」
本田「あぁ」
108:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/30(日) 15:14:09.97:BYzuW9y80
────────
────
──
岡崎「おい」
本田「ん?」
岡崎「何ボーっとしてんだよw」
本田「アホか、集中しとっただけや」
岡崎「そっか」
本田「さっきは止められたけど、次は絶対決める。最初の弾み、つけてくるで」
岡崎「任せたぞ!」
本田「オォ!」
109:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/30(日) 15:16:40.12:IEq/J/YR0
──本田圭佑、最初のキッカーとして、ボールをセットに向かいます。
──彼が決めるか決めないかっていうのはチームに、本当に、ザッケローニ監督も最初に彼を指名したっていうのは、勝負師ですね。
──勝負ですね、ここ。
──そうですね。
──松木さん、やはりここは監督として勝負をかけたんでしょうか?
──いや、やっぱり一試合に二本PKを蹴るというのは、しかも1本目はうまくいってない、そこで彼を指名したわけですから。彼の信頼度っていうのは、監督にとって高い、決めてくれるでしょう!
ピー!
112: ◆3LsjyiVMzQ :2011/01/30(日) 15:22:26.56:BYzuW9y80
本田「(△……△か、たしかにな。上手い事言うたやつがおるもんやで、しかし)」
本田「(やけど。もう関係ない、どんな試合やろうが、5点差つけられようがPK戦やろうが何やろうが)」
本田「(オレは、絶対、諦めへん)」
本田「(この大会を、オレは絶対諦めへん)」
本田「(絶対に決勝に残って、そんで優勝して日本に帰るから)」
本田「(待っといてくれよ!)」
本田「(……な、上やん)」
おわり。
116:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/30(日) 15:28:50.62:X4PrGtqw0
御坂「はぁ……なんなのよもー。結局あいつ、勝負の最中で逃げちゃうし。試合はボロ勝ちしたけど」
御坂「一体なんなのよ……もう、どこいっちゃったのよ……」
上条「げ、ビリビリ」
御坂「……丁度いい、あんたで憂さ晴らしさせて貰うわ」
上条「なんだよ」
御坂「問答無用!」ビリビリッ
上条「ふ……不幸だぁああああ!!!!」
121:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/30(日) 15:43:31.05:BYzuW9y80
上条「上条さんは寝不足なんだからそっとしておいてください」
御坂「あれ? あんたもなの?」
上条「……お前もか」
御坂「だって昨日は決勝戦だったじゃない」
上条「勝ったよな!」
御坂「まぁ、勝つと思ってたけどね。ハラハラしたけど」
上条「俺は安心してみてたぜ?」
御坂「なんで?」
上条「ケイスケが約束してくれたからな」
御坂「誰よそれ?」
上条「はぁ? お前とよく一緒に居ただろ?」
122:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/30(日) 15:45:30.28:BYzuW9y80
御坂「……え?」
上条「知らなかったのか?」
御坂「……なんでいつも、いつもいつもいつもいつもいつも……」ビリビリッ
上条「み……、みさかさん……?」
御坂「いつもいつもいつも……、あんたはそんな大事な事を私に言わないのよっ!!!」ビリビリッ
上条「ふ……不幸だーーーーーーーーっ!!!!!!」
おわれ。
123:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/30(日) 15:50:11.18:haj7imVI0
ここは学園都市、常識では考えられないような科学と超能力が支配する世界。
当然、部活動にも能力の使用は許されている。
サッカーだって例外じゃない。
空間移転の能力者が居たらサッカーボールを相手のゴールに移動させる事も可能だし
肉体強化の能力者が居れば11人吹き飛ばしてゴールを割ることも可能だ
いくら4-3-2-1だの3-4-3だのシステムを構築したところでそんな能力者の前では無力と化す
ただ、それは
そこらの無能力者やったらの話やけどな。
いつになくキレが良い。
体のコンディションも悪くは無い、怪我もない。
今ならロナウジーニョだろうがメッシだろうがブっちぎれる気がする。
規則的なリズムで川沿いのランニングコースを駆ける。
朝の澄んだ空気が心地良い。
ちなみにここは犬の散歩コースでもある。
ふと目線を上げると、自分の斜め前を走っている人影を見つけた。
なんとなく追い抜かそうと少しだけスピードを上げる。
黒いジャージを来た男か女かよくわからんヤツを一瞬で置き去りにする。
うん、やっぱ悪くない。
体の仕上がりは上々。
いつ試合が来ても対応できる。
……試合?
あれ、そもそもオレは一体何に備えてこんなトレーニングを……?
御坂「ちょっと! あんた! さっきからブツブツ言って人の話聞いてるのっ!?」
本田「何や?」
黒いジャージを着た女やった。
察するにさっき追い抜かしたのがコイツって事か?
本田「何か用か? ってかオマエ誰やねん」
御坂「誰……ですって……」
本田「あ?」
御坂「毎度毎度毎度毎度……一体いつになったらあんたは私の名前を覚えてくれるのかしら!」
そんな事を言われたって身に覚えがないものは知りようがない。
試合中に使うフェイントだって普段から練習してなければ咄嗟にできるもんじゃない。
その瞬間。
電撃が遠藤さんのスルーパスの如くオレの横を抜けていった。
いや、それは単なる形容詞ではなくて。
本物の電撃。
本田「あぁ……嘘うそ、ホンマはちゃんと覚えとったで。三浦さんやろ」
御坂「誰が三浦さんよ! ミしか合ってないじゃない!」
本田「あれ? せやったら明神さん?」
御坂「……」
本田「三上さんやったか……」
御坂「私の名前は……」
本田「あ、水野か?」
御坂「私の名前は御坂美琴っつってんでしょうが!!!!!」
本田「ちょ、ここで電撃はマズいって」
御坂「マズかないわよ、今日こそ決着つけてやるんだから」
本田「はぁ? 何が決着やねん、だいたいあの試合は120分ドローで……」
御坂「何が120分ドローよ! いっつもあんたが逃げてるんじゃない!」
本田「オレが、逃げる……?」
御坂「そうよ卑怯者! ちゃんと戦いなさい!」
本田「オレが……? 逃げる……?」
本田「いや、ちょお待ちいや。話がわからへんて、オレがいつ逃げてん?」
御坂「今更命乞いしても遅いわよ!」
本田「はぁ? だいたいオマエさっきからぎゃーぎゃーうるさいねん」
御坂「またオマエって言った……」
本田「オマエはオマエやろ? 他の誰やねん」
御坂「また誰って言った……」
ビリビリ
本田「ちょ! まて! まてって!」
御坂「うるさい!」
ビリビリっ
本田「……くっ」
本田「あぁーもう、お気に入りのジャージが真っ黒やで。どうしてくれんねん」
御坂「……」
本田「ったく……、無能力者に向かって能力使うとかレッドカード級の反則やでレベル5」
御坂「だったらその無能力者のあんたは私の全力の電撃を受けてどうしてピンピンしてるのよ」
本田「……ツイてへんな……オマエ……」
御坂「っ?!」
本田「なんつーか……不幸っつーか……。最っ高に、ツイてへんで……」
そう。
オレの能力は全てをプラスマイナスゼロにする。
ホンダサンカッケー
本田△ だ
……というかさっきの遠藤って誰だ。
120分ドローって何の話だ。
オレには学園都市に来る前の記憶が無い。
それ以前にどこの国で何をしていたのか、
それさえもわからない。
ただ、オレはこの学園都市に来てから一試合も試合には出場してないし
誰かと一緒にボールを蹴った事もない。
だからきっと、これはひょっとして
オレが学園都市に来る前の記憶なのかもしれない。
妙にしっくりくるこのシューズ、なぜかフィットするジャージ。
ボールを見ると勝手に疼くんだ、体が。
まぁそれも、勝手な思い込みかもしれないが。
今は、関係ない。
◇ ◇ ◇ ◇
上条「不幸だ……」
本田「どないしてん上やん」
青ピ「ちょww前から言おうと思っててんけど、ケイスケ俺とエセ関西弁キャラ被ってるやんww」
本田「それはごもっともだけど、俺の考えは違った」
土御門「にゃー、相変わらずすごいオーラだぜケイスケ」
本田「どんな状況やろうと、たとえキャラが被ろうと、打開しないと上にはいからへんからな」
青ピ「……た、たしかに……この状況、キャラモロ被りやなんて……立ち位置的にこのままどっちかが消え去ってもおかしくない状況やで……っ」
土御門「そうだにゃー」
青ピ「ところでケイスケさ」
本田「何や?」
青ピ「なんで腕時計両方にしてるのん?(ククク……オシャレか何か知らんけどこれでケイスケのキャラはブチ壊しやで、レギュラーはボクのもんや)」
本田「誰が時計は片腕って決めたん?」
青ピ「……」
orz
土御門「ww」
本田「ところで何をため息なんかついとんねん上やん」
上条「ケイスケ……聞いてないのか?」
本田「何を?」
土御門「あー、ケイスケは転校生だから知らないのかにゃー?」
本田「?」
上条「来週の金曜日、学校対抗サッカー大会があるんだよ」
本田「へぇ」
上条「はぁ……不幸だ」
本田「何が不幸やねん」
上条「あのさぁ……対戦相手、どこだと思う?」
本田「どこなん?」
土御門「にゃー、あのお嬢様学校の常盤台中学だぜい」
本田「アホらし、女とサッカーなんかやってられるかいな。しかも下のカテゴリーやんか」
上条「そう言うけどさ、常盤台中学は全員レベル3以上の能力者なんだぜ? 俺らみたいな普通のクラスが試合したらそれこそ一方的な殺合になっちまうよ」
本田「オレはサッカーで緊張したことはない」
土御門「にゃー、すごい自信だぜい」
本田「自信がなけりゃ、やっていられないでしょ」
上条「そりゃケイスケはちょっとサッカー上手いかもしれないけどさ、俺ら基本的に無能力者なんだぜ?」
本田「試合する前から諦めるんか?」
上条「……」
本田「君らもファン・デル・サールやスナイデルになれるんやで?」
上条「あのさぁ……常盤台中学にこんな普通の公立高校が勝つような事があればそれこそ学園都市始まって以来の奇跡だよ」
本田「学園都市初とか興味ない、オレが目指しているところは遥か上なんで」
上条「……はぁ、ケイスケはそれでもいいかもしれないけどさ」
本田「ええ加減にせえや! 上やん!」
上条「っ」ビクッ
本田「このままやられっぱなしでええんかっ!?」
本田「女に負けといて悔しくないんか?! 上やん! お前それでも男かっ!?」
上条「けど去年も負けてるし……その前も……」
本田「挫折は過程、最後に成功すれば、挫折は過程に変わる。だから成功するまで諦めんな」
上条「でも」
本田「ええで……上やん、上等や」
本田「お前が試合する前から自分らが’負ける’と思ってるなら」
本田「たかが超能力でサッカーの全てが決まると思ってるなら」
本田「そんなふざけた幻想に惑わされて、覚悟を決められへんっていうなら」
本田「まずはその幻想をぶち殺したるわ!」
◇ ◇ ◇ ◇
れんしゅう!
本田「サイド! ちゃんと攻撃の時は上がれや!」
土御門「にゃー……、んな事言ったって……ゼェ……もう攻撃に守備に、何十回も往復してるんだぜい……ゼェ……ハァ……」
本田「情けないなぁ、長友やったら延長後半でもサイドを駆け上がって……!」
土御門「……にゃー?」
本田「いや……なんでもあらへん。とりあえずサイドはちゃんとDFと言えどちゃんと攻撃の意識をもたなアカン」
土御門「にゃー、鬼だぜケイスケ……」
本田「アホか、勝つ為やったら鬼でもなれるわ」
本田「……(誰や、長友って誰やねん……)」
本田「……(でも、なんでや)」
本田「……(つい、パスの出し所を探してまう)」
本田「……(まるで習慣付いたクセみたいに)」
本田「……(そいつがそこにおるはずやって、思ってしまう)」
本田「……(なんでこんなに)」
本田「……(知りもせぇへん誰かが、そこにおってくれたら……、なんて思ってしまうんや……)」
本田「パスや、上やん」
ボッ
上条「っだあ!! 急すぎるぞケイスケ!」
ガッ
青ピ「おー? 宇宙まで飛んでったんちゃうか? あのボール」
上条「……やっぱり、だめだ……オレなんかじゃ……」
本田「何やってんねん上やん! どフリーやないか!」
上条「だって急にボールが来たから……」
本田「今のはオレがフェイントでDF引き連れて、そこにできたスペースに上やんが走りこんできて決める、そういう場面やったやろ?」
上条「たしかに、そうだけどさ……」
本田「何や、言いたい事あったら言うてみ」
上条「ケイスケさ……、ちょっと、強引すぎなんだよ」
本田「はあ?」
上条「そりゃオマエはそれでいいかもしれないけどさ、俺らなんかサッカーはTVで代表戦見るくらいしかないんだぜ? オマエとはレベルがそもそも違うんだからさ」
本田「何や? 何を言ってるねん、上やん」
上条「オレとオマエは違うんだよ、そうガツガツ言うなよ、……苦痛なんだよ」
本田「上やん」
上条「……何だよ」
本田「俺はチャンピオンになりたい。それが分かっていない選手には厳しく言いたい」
上条「チャンピオン? そんなのなれる訳が」
本田「何で他人が俺の進む道を決めんねん、自分の道は、自分が決める」
上条「……」
本田「確かに上やんの言い分も最もや。サッカーはやっぱり最後は個人の力、シュートを打つのは人やからな」
上条「……! やっぱりそうじゃないか! だったらオマエ一人で……!」
本田「最後まで聞けや、上やん。最後は個人の力かもせえへんけどな、サッカーは一人じゃゼッタイにでけへん。何の為に11人も人間がおると思ってんねん」
上条「……何の、為に」
本田「個性や、個性の融合。それがチーム力を高める、サッカーはどれだけ一人がドリブルができても、どれだけ一人がリフティングができても一点にもならん」
上条「それが、何だって言うんだよ」
本田「上やん、オマエはFWや、点取り屋や。オレの知ってるFWはな、何も才能なんかあらへんかったけど、ゼッタイに届かんってわかってるボールでも泥臭くダイビングヘッドで飛び込んでいくヤツがおった」
上条「……」
本田「誰よりも下手糞やったそいつは、徐々に頭角を現して、ある日一番大事な試合で、一番大事な場面で得点を取った」
本田「ええか? 上やん、技術やない、パワーでもない。ハートや、心臓の強さが最後に一番大事なモンを引き寄せる。オレはそう思うんや、オマエはどうや?」
上条「……帰る」
本田「そうか」
上条「……迷惑、かけたな」
本田「アホか、もっと上手くなってからぬかせ」
土御門「おいおいおいおい、上やん帰っちゃったぜい? いいのか?」
本田「やる気のないヤツはほっとけばええ、残った面子で練習再開や」
青ピ「上やんは帰ってもうたけど……これでボクの出番やってくるやん、レギュラーに返り咲きや~、がんばるでぇ」
本田「一人ぬけたから、5対5やるで。四隅にコーンを置いて」
青ピ「あ、それ知ってるで? フットサルって言うんやろ?」
本田「よー知ってるやんけ」
青ピ「台詞が欲しくてちょっと調べたんよ」
土御門「にゃー、涙ぐましい努力ですたい」
本田「……(また)」
本田「……(またや)」
本田「……(知らん誰かの事、なんであんなスラスラ言えてまうねん)」
本田「……(……ひょっとして、オレの記憶に何か関係してるんか?)」
本田「……(学園都市に来る前の知り合いか?)」
本田「……(……でも、せやったら何や言うねん)」
本田「……(関係ないやろ、今は)」
本田「……(今は今、過去は過去や。過去に縋り付いたって何も生まへん)」
本田「……(けど、なんでや)」
本田「……(なんでこんなに。その知らんはずの誰かの事を)」
本田「……(こんなに頼もしいって、……思ってまうんや)」
土御門「ケイスケ!」
ボッ
本田「ナイスパス!」
ダッ
土御門「ワン・ツーだにゃー」
ボッ
本田「よしっ」
ダッ
本田「土御門、そのまま打てっ!」
ガッ
青ピ「ひゃあああぁぁ?!」
本田「コラ! 何でGKが避けとんねん!」
青ピ「んな事いうたかて、ごっつ恐ろしいでこのボール、硬いし」
本田「怖くないやろこんなもん」
青ピ「ボク博愛主義者やからこんなボールの恐怖って耐えられへんねん」
本田「やったら何でキーパーなんか……」
青ピ「そんなん決まってるやん?」
本田「何でや?」
青ピ「だれも立候補せんかったからボクでも出番もらえるからや」
本田「……」ガクッ
青ピ「なんでズッコケんのケイスケ?」
本田「オマエはアホらしくて何も言えんわ……」
青ピ「いややで、褒められたら嬉しいやんか。ボクってほら? 褒められて伸びるタイプやし?」
本田「さよか……」
本田「まぁええわ……本番ゴール直前まで攻め込ませへんかったらええ話や」
土御門「そんなに上手くいくかにゃー?」
本田「その為の作戦や」
土御門「作戦?」
本田「せや」
土御門「どんな作戦だにゃー? 本田監督」
本田「かくかくしかしか」
土御門「……そ、それは!」
本田「コレでオレらの勝ちや」
土御門「確かに、コレなら……しかし、それには……上やんが」
本田「オレは信じてる、あいつのハートを。あいつは来る、ゼッタイ」
◇ ◇ ◇ ◇
試合当日!
土御門「結局上やんは来ない……か」
青ピ「どないするねん、ケイスケ」
本田「どないするもこないするもないやろ、このまま10人でやるしかない」
土御門「はぁ……うちの監督は人使いが荒いぜよ」
青ピ「それにしても相手は余裕綽綽やな、アップもしとらんで」
本田「向こうがこっちを舐めててくれるならありがたいくらいや、度肝抜いたるで」
土御門「わかったにゃー」
本田「とりあえず引いてこっちはカウンター狙いや、土御門、上がるときは思いっきりあがれよ」
土御門「わかったぜい」
青ピ「ボクはどうすればええのん?」
本田「せめて1点でも防いでくれたらそれでええわ」
子萌「み、みなさ~ん。怪我のないように頑張ってくださ~い」
青ピ「お~、子萌センセ、ボクがんばるから見といてや~」
御坂「……」
本田「あれ?」
御坂「どうしてアンタがこんなトコにいるのよ」
本田「なんでって、ココ、オレの学校やし?」
御坂「……はっ、丁度いいわ! アンタとの決着、ここでつけてやるから!」
本田「オマエさ、いっつもオレに付き纏ってくるけど、オレに何か恨みでもあるんか?」
御坂「へっ?!」
本田「トレーニングしてたら電撃打ってくるわ、学校から帰ってる途中で電撃打ってくるわ……おかげでこっちは大迷惑やで」
御坂「そ……それはアンタがいっつも逃げるからでしょ?!」
本田「逃げる、ね」
御坂「そうよ!」
本田「やったら丁度ええやろ、この際ハッキリさせたるわ」
御坂「な、なによ……?」
本田「この本田圭佑の辞書に’逃げる’っていう言葉は無いって事をな」
御坂「言わせておけばっ!! あんたのそういう所が気に食わないのよっ!!」ビリビリ
本田「オレにそれは効かんで」
御坂「……くっ」
本田「ウォーミングアップは仕舞いや、後は試合で決着つけようや」
御坂「の……望むところよ!」
────────
────
──
禁書「とうまとうまー」
上条「何ですかインデックスさん」
禁書「今日はフットボールの試合があるんじゃないの?」
上条「そうだけど」
禁書「なのにとうまはどうしてこんなところにいるの?」
上条「……、俺なんか行ったところであいつらを不幸にさせるだけだからな」
禁書「不幸?」
上条「あぁ、俺が居たらあいつら負けちまうだろ?」
禁書「誰がそんな事言ったの?」
上条「へ?」
禁書「とうま、チームメートにそんな事言われたの?」
上条「いや、違う。あいつらは絶対そんな事言わない」
禁書「じゃあ誰?」
上条「そ、それは……」
禁書「とうま、私はフットボールの母国、イギリス聖教所属のシスターなんだよ?」
上条「……インデックス」
禁書「フットーボールの神様はね、絶対そんな事言わない。けれど試合する前に諦める者には絶対チャンスを与えてはくれないの」
禁書「フットボールは勝ち負けも重要だけど、本当に大事なのはそこじゃない。一番その試合を楽しんだ人が結局のところ勝者なんだよ?」
上条「……インデックス、俺のスパイクを持ってきてくれ」
禁書「とうま!」
上条「俺は……昔、サッカーチームに在籍していた時、自分のこの能力のせいでチームは負け続けていたんだと思っていた。けどそれは……俺の幻想が作り出した言い訳だったんだな」
禁書「そうだよ、言い訳なんかしなくてもいい。ただ、楽しめばいい。とうまのお友達は、そういう人なんでしょ?」
上条「……ああ!」
禁書「だったら、行くんだよとうま。スタジアムに」
上条「インデックス、すまない!」
禁書「私は迷える子羊を導くシスター、これくらいは当たり前なんだよ」
インデックスがいい子なだけで感動する
77:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/30(日) 13:52:51.94:BYzuW9y80◇ ◇ ◇ ◇
ドガッ
本田「クソッ!」
ピッ
土御門「……にゃー、またコーナー……これでもう5本連続の相手のコーナーキックだにゃー」
本田「おい土御門! 生きてるか?」
土御門「ドリブルしてたら目の前にできた穴に落とされ、パスをカットしたと思ったら火が飛んできて、フィードしたと思ったら足が氷付けで地面から離れない……生きてるのが不思議だにゃ……」
本田「ここまでやるとはな、正直相手を舐めとったわ」
土御門「0-0のスコアが奇跡に思えてくるぜよ」
青ピ「ボクの奇跡のセービングのおかげやな」
本田「どこがじゃ、さっきからボール避けまりやがって、おかげでDFがもう3人くらい負傷退場してもうたやろ!」
青ピ「んな怖い顔せんといてやケイスケ」
本田「とにかくココ集中や、なんとかボールを奪ってカウンターで一気に攻めあがるで」
青ピ「でもまた相手の能力で……」
本田「ペナルティエリアの中は能力禁止や、そういう意味ではオマエが一番安全やねんぞ?」
青ピ「あ、バレた?」
土御門「にゃー……一人だけラクしてずるいにゃー」
本田「くるで!」
ドガッ
本田「ヘディングでクリアや! 土御門!」
土御門「にゃー!」
ボッ
本田「ナイスや! ボール奪った! ココから攻めるで!」
土御門「本田センセ直伝のカウンター、いくにゃー!」
御坂「おー? やっと攻めてきたわね」
御坂「さあ、この御坂美琴様のDFをどうかわすのかお手並み拝見といこうじゃないの」
本田「いくで!」
ヒョイ
ヒョイ
生徒A「……く?」
生徒B「なにあれ、フェイントっ?!」
青ピ「おぉ、すごいやんケイスケ、一気に二人抜いたで」
生徒A「だったら私の能力で……!」
バシューン
生徒A「え? 落とし穴がかき消されたっ?!」
御坂「そいつに能力は効かないわ!」
生徒A「そんな」ガーン
本田「オラオラオラ! 全員かかってこいや!」
生徒C「なんかやばくない?」
生徒D「あたしらも止めにいった方がいいのかな?」
土御門「(……さすがやケイスケ、一人でマーク背負って中央突破)」
土御門「(……と、見せかけて本命は俺だにゃー)」
土御門「(DFが中央に絞られたお陰でサイドにぽっかりとスペースが出来る)」
土御門「(あとはそこに俺がオーバーラップを仕掛けて)」
土御門「(質の良いクロスを上げる事ができればっ)」
本田「甘い甘いっ!」
生徒C「きゃっ」
本田「どんどん行くで!」
生徒D「きゃあっ?!」
御坂「来たわね、金髪ゴリラ」
本田「アホか、誰がゴリラじゃ」
御坂「私の反応速度、舐めて貰っちゃこまるわよ? 生っちょろいフェイントでかわせるなんて思わないでよね!」
本田「……(右に振っても左に振ってもしっかりついてきよる)」
本田「……(いくらオレに対する能力が無効化されるって言うたかて、こいつが自分自身に使う能力まで消えるわけやない)」
本田「……(やっかいやで! ホンマに。うちのDFも見習って欲しいくらいや)」
御坂「どうしたの? 仕掛けてこないならボール奪っちゃうわよ?」
バッ
本田「くっ?!」
御坂「外したか、次こそっ」
本田「させるかっ!」
御坂「ほらほら、ノロノロしてるとDF戻ってきちゃうわよ?」
本田「せやな」
御坂「あんたさ、あんだけ試合前はビッグマウス叩いといて実際大した事ないのね」
本田「そうかもせえへんな」
御坂「……そのスマシてる所が気に入らないのよ!」
本田「今やっ! 土御門!」
土御門「にゃー!!」
本田「駆け上がれ!」
土御門「お任せだぜい!」
御坂「なっ?!」
土御門「ケイスケ! ナイスパス!」
本田「ガラ空きや! そのままシュートまで行ける!」
土御門「にゃー!」
御坂「くそっ!(レールガンで……! ダメだ、相手はもうペナルティエリアの中……っ、PKを取られる……っ?!)」
土御門「行くぜぃ、お嬢様、本田先生直伝、悪魔の左足だにゃー!」
御坂「く……! (シュートコースだけでも! すべり込んで……!)」
土御門「なーんてにゃ、パース」
ポーン
本田「ええパスや」
御坂「はあぁぁあああっ?!」
御坂「くそ! でもまだ反応できっ……!」
ピピー!
御坂「へっ?!」
ファール
御坂「ちょ、ちょっと、私いま何もしてないわよ?!」
土御門「足、かかってたぜい、俺にな」
御坂「……(こ……、こ……、こいつぅううう?! 本当の狙いはソレだったのねっ?!)」
本田「ええ働きや、サイドバック」
土御門「へへっ、でも今ので足がもうイっちまったみたいだ……」
本田「ゆっくり休んどけ、後はこのPKをしっかり決めたるさかい」
土御門「あぁ、頼むぜケイスケ」
本田「あぁ」
PK! PK! だろ今の……よーーーーしよし、PKだ
日本代表、土壇場でPKを獲得しました!
蹴るのは誰でしょう?
松木さん、さっきから本田がボールもって離さないんですよね「オレが蹴る」って言ってるみたいですよ
ははっ、本田らしいですね。
さあPKです、日本代表、延長前半、ここで決めれば相手に大きなプレッシャーを与える事ができます。
ドクン
本田「……? なんや、今の……?」
土御門「どうしたにゃー? ケイスケ」
本田「いや、何でもあらへん」
土御門「にゃー?」
御坂「畜生……畜生畜生畜生畜生……チクショー! あーもー! くやしい! これで先制されちゃうじゃない……!」
生徒G「ど、どうしよう……」
御坂「私が代わりにキーパーやるわ」
生徒G「う、うん。お願いしていい?」
御坂「絶対、絶対あたしのミスで失点させる訳にはいかないのよ! あの金髪ゴリラめぇ……」
さあ助走を取ります
日本中が注目する
その行方はっ?!
ああーーーーっと、本田! キーパー正面! ボールは! 止められた、止められました!
御坂「……」
土御門「……」
本田「……」
ピピー
前半終了!
ああそうか。
細貝がおらんかったら。
オレ
最高にダサいヤツやってんな。
クソッタレが!
本田さん・・・
99:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/30(日) 14:38:24.67:BYzuW9y80本田「……」
青ピ「前半終わって0-0かいな、ええ勝負してるなぁ。うんうん」
本田「……」
土御門「まーまー、PKだって外れる事もあるぜよ。そんなに落ち込むことないぜ? ケイスケ」
本田「……顔、洗ってくるわ」
青ピ「こらあかんで……重症や」
土御門「にゃー、PK止められたのがそんなにショックだったのか?」
青ピ「なんにせよこっちの人数はもうギリギリ、これでケイスケが抜ける様な事があればもう棄権するしか……」
土御門「無念ぜよ……」
「待たせたな」
青ピ「……この声は」
土御門「上やんかっ?!」
上条「二人とも、すまん。俺……」
青ピ「上やーん、ボク前半0点に抑えてんで、凄くない?」
土御門「にゃー! オマエは何も活躍してないにゃー! 上やん、俺だって大活躍だったんだぜい?」
上条「話は後で聞く。それよりケイスケは、どこに?」
青ピ「……」
土御門「……実は」
上条「え?」
◇ ◇ ◇ ◇
本田「……皮肉なもんやな」
本田「……」
本田「そうや……そうや俺は……」
本田「ここに来る前、サッカー選手やったんや……」
本田「周りに本田△言われて、ここぞの大事な試合が引き分けにしかならん疫病神言われとったな……」
本田「PK止められて思い出すとかどんだけトラウマやってんって話やなホンマ……」
本田「長友……岡崎、みんな……オレが突然おらんようになって困ってるんちゃうやろか……」
本田「いや、その逆か?」
本田「疫病神がおらんようになって代表チームは上手い事いってるんちゃうか……?」
本田「はっ……せやったら何やねん」
本田「オレにはもう……どうすることもでけへんやろが……」
上条「そんな事はないぞ! ケイスケ!」
本田「上やん? 来たんか?」
上条「……いまの話、聞かせてもらった」
本田「……さよか」
上条「ケイスケ」
本田「上やん、もうオレはあかん。オレの能力は本田△、プラスマイナスをゼロにする能力や」
本田「チームが悪い状態の時やったらまだええ、オレが頑張ればマイナスがゼロになるからな」
本田「でもチームがどんだけいい状態でも、結局そのプラスをゼロにしてしまう。いいところでPKも止められる、オレは疫病神やったんや」
本田「こんなアホな話、ないやろ? 笑いたかったら笑えばええ、いや……笑ってくれや、上やん」
上条「……わない」
本田「?」
上条「俺は絶対、ケイスケを笑わない」
本田「……上やん……」
上条「ケイスケ俺に言ったよなっ?! サッカーは一人でやるもんじゃないって。一人のミスはチーム全員のミス、一人の成功はチーム全員の成功、そうだろ?! なんでもかんでも全部一人でかかえこんでると思ってんじゃねーぞ!」
上条「本田△? 引き分けにしかならない? それこそただの結果だろ! 挫折は過程、最後に成功すれば、挫折は過程に変わる。だから成功するまで諦めんなってケイスケが俺に言ってくれたんじゃねえか! その言葉まで嘘だったっていうのかよ!」
上条「俺は不幸体質で、チームの負けの責任をいつも俺一人で追ってた。正直サッカーが嫌いになった、でも! 違うって! そうじゃないって! 気づいたんだ!」
上条「結局そんな思い込みが、俺の脚を鈍らせて、敵が強いと思い込んで、自分が弱いと決め込んで、勝負をしなくなっていただけだったんだ!」
上条「フットボールの神様は、上手いヤツや強いヤツに微笑むんじゃない! 最後まで勝利を信じたヤツにだけ微笑んでくれるんだってな!」
上条「本田圭佑のストーリーは始まったばかり。今後のストーリーの筋書きは、自分自身で決めることだと思う。転校して来た日に、そう言ってたじゃねえか!」
上条「だったらそれは全然終わってねぇ!!始まってすらいねぇ!! ちょっとくらい長いプロローグで絶望してんじゃねえよ!! 手を伸ばせば届くんだ! いい加減に始めようぜ!! ケイスケ!!!」
上条「それでもまだ……ケイスケが自分の事を疫病神だって、そう思うなら」
上条「まずはそのふざけた幻想をぶち殺してやる!」
バシューン
本田「……てて、顔殴るなや、イケメンが台無しやんか」
上条「……」
本田「でもまぁ……おかげで目ぇ、醒めたわ」
上条「それは、良かった」
本田「あぁ、ありがとな。上やん」
上条「へへっ」
本田「それじゃ、オレ、行くトコあるから、行くわ」
上条「勝つんだろ?」
本田「当たり前や、ちゃんとアジアカップ持って帰ってきたるわ」
上条「頼んだぜ、18番」
本田「あぁ」
────────
────
──
岡崎「おい」
本田「ん?」
岡崎「何ボーっとしてんだよw」
本田「アホか、集中しとっただけや」
岡崎「そっか」
本田「さっきは止められたけど、次は絶対決める。最初の弾み、つけてくるで」
岡崎「任せたぞ!」
本田「オォ!」
ほう
111:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/30(日) 15:21:21.10:BYzuW9y80──本田圭佑、最初のキッカーとして、ボールをセットに向かいます。
──彼が決めるか決めないかっていうのはチームに、本当に、ザッケローニ監督も最初に彼を指名したっていうのは、勝負師ですね。
──勝負ですね、ここ。
──そうですね。
──松木さん、やはりここは監督として勝負をかけたんでしょうか?
──いや、やっぱり一試合に二本PKを蹴るというのは、しかも1本目はうまくいってない、そこで彼を指名したわけですから。彼の信頼度っていうのは、監督にとって高い、決めてくれるでしょう!
ピー!
本田「(△……△か、たしかにな。上手い事言うたやつがおるもんやで、しかし)」
本田「(やけど。もう関係ない、どんな試合やろうが、5点差つけられようがPK戦やろうが何やろうが)」
本田「(オレは、絶対、諦めへん)」
本田「(この大会を、オレは絶対諦めへん)」
本田「(絶対に決勝に残って、そんで優勝して日本に帰るから)」
本田「(待っといてくれよ!)」
本田「(……な、上やん)」
おわり。
本田△
118:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/30(日) 15:40:08.04:BYzuW9y80御坂「はぁ……なんなのよもー。結局あいつ、勝負の最中で逃げちゃうし。試合はボロ勝ちしたけど」
御坂「一体なんなのよ……もう、どこいっちゃったのよ……」
上条「げ、ビリビリ」
御坂「……丁度いい、あんたで憂さ晴らしさせて貰うわ」
上条「なんだよ」
御坂「問答無用!」ビリビリッ
上条「ふ……不幸だぁああああ!!!!」
上条「上条さんは寝不足なんだからそっとしておいてください」
御坂「あれ? あんたもなの?」
上条「……お前もか」
御坂「だって昨日は決勝戦だったじゃない」
上条「勝ったよな!」
御坂「まぁ、勝つと思ってたけどね。ハラハラしたけど」
上条「俺は安心してみてたぜ?」
御坂「なんで?」
上条「ケイスケが約束してくれたからな」
御坂「誰よそれ?」
上条「はぁ? お前とよく一緒に居ただろ?」
御坂「……え?」
上条「知らなかったのか?」
御坂「……なんでいつも、いつもいつもいつもいつもいつも……」ビリビリッ
上条「み……、みさかさん……?」
御坂「いつもいつもいつも……、あんたはそんな大事な事を私に言わないのよっ!!!」ビリビリッ
上条「ふ……不幸だーーーーーーーーっ!!!!!!」
おわれ。
すごい面白かった。乙乙
124:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/30(日) 15:50:55.08:WDiYOsf4O本田△!!
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優勝おめでとう!
本田△
MVPおめでとう!!!!