- 4:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/25(金) 16:33:41.21:8N5FcVRC0
律「え?じゃあ今日ってムギの家に誰もいないの?」
紬「うん。本当は連休中に家族で旅行に行くはずだったんだけど……」
紬「お父様もお母様も仕事で海外に行くことになって、結局私一人だけ残ることになったの」
律「そっかー……仕事なら仕方ないもんな。さすがに海外まで付いていくわけにもいかないし」
律「でもさ、ムギの家ってお手伝いさんとかいるんじゃなかったっけ?ほら、執事の斎藤さんとか……」
紬「お手伝いさんたちも今日からみんなお休みなの。連休中はずっと家を空けるつもりだったから……」
律「あちゃー……、じゃあ本当に一人きりなんだな……。ムギは大丈夫なの?」
紬「うーん、たぶん大丈夫だとは思うけど……今まで家に一人でいることってあまりなかったからちょっぴり不安かな?」
律「そっかー…」
紬「それでね、もしよかったらなんだけど……」
律「ん?」
紬「お休みの間、りっちゃんのおうちに泊まらせてもらえないかなぁ、って」
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8:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/25(金) 16:35:51.10:8N5FcVRC0
律「私の家に……?」
紬「ご、ごめんね!いきなり言っても無理よね!やっぱり忘れて!」アセアセ
律「……いいじゃんそれ!是非泊まりに来てよ!」
紬「え?でも迷惑じゃ……」
律「いいっていいって!それに実はうちも町内会の旅行で休み中誰もいなくてさ……やっぱ一人より二人のほうがいいじゃん!」
紬「そうなんだ……じゃあお願いしてもいいかしら」クスッ
律「もちろん!田井中家は誰でもうぇるかーむ!」
律「とりあえずさ、学校終わったら荷物持ってうちにきてよ」
紬「うん、わかった!」
11:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/25(金) 16:38:25.74:8N5FcVRC0
田井中家前!
紬「りっちゃんおまたせー!」タタタッ
律「おっ、ムギー……って随分と大きな荷物だなそれ」
紬「そうかしら?りっちゃんのおうちに泊まるの楽しみなんだもん。色々持ってきちゃった」ゴソゴソ
紬「着替えに宿題に人生当てもんゲームに……あとお土産にケーキも持ってきたの!」
律「おお、わざわざありがとなムギ」
紬「いえいえ~、りっちゃん先生にはこれから色々とお世話になるんですから~」
律「そう言うとなんだか賄賂みたいだな。…こんなものをよこすとは……ムギ、おぬしも悪よのう~」フッフッフ
紬「いえいえ、お代官様こそ~」エッヘッヘ
13:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/25(金) 16:41:14.12:8N5FcVRC0
律「とりあえずケーキは冷蔵庫にしまっておいて……夕飯どうしよっか?どこかに食べに行く?それともうちで……」
紬「りっちゃんの手料理がいい!」
律「そ、そう?」
紬「だって前にりっちゃんが作ってくれたハンバーグ、とってもおいしかったんだもん!」
律「本当?実はあれ自信作なんだよな~。褒めてもらえるとやっぱり嬉しかったり…」テヘヘ
紬「またりっちゃんの料理食べてみたいな~」
律「よーし、そこまで言うなら仕方ない!このりっちゃんが何か作ってあげよう!」
律「それじゃあムギ、一緒に夕飯の買い物に行こうぜ!」
紬「うん!」
15:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/25(金) 16:44:31.87:8N5FcVRC0
………
紬「りっちゃん隊長!りっちゃん隊長!」
律「どうしたムギ隊員ー?」
紬「わたくし、夕飯の献立が気になるのであります!」
律「ふっふっふ……、ならば教えてやろう!今日の夕飯の献立は……」
律「肉じゃがだー!!」パンパカパーン!
紬「肉じゃが……」
律「ってあれ?もしかして……肉じゃが嫌いだった?」
紬「……抱きしめてもよかですか!?」
律「何弁!?ってかそんなに肉じゃが好きなの!?」
紬「好き!大好き!」
律「そ、そうなんだ……」タジッ
16:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/25(金) 16:46:45.90:8N5FcVRC0
紬「うん!だって肉じゃがってとっても家庭の味!って感じがするんだもん!」
律「あーそれは何となくわかるかも。なんかあったかい味っていうか……」
紬「でしょ?私、りっちゃんの肉じゃが食べてみたい!」
律「よーし任せろ!……でも我が部隊のモットーは『働かざる者食うべからず』だからなー。ムギ隊員にもしっかり働いてもらうぞ!」
紬「らじゃー!」ビシッ
18:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/25(金) 16:49:52.02:8N5FcVRC0
スーパーマーケット!
律「えーっと、人参と玉葱はまだ家にあったはずだから、あとはじゃがいもと……」
紬「りっちゃん、お肉持ってきたよ!」タタタッ
律「ん、ありがと。でもこれは2人分にしてはちょっと多すぎるかな?」
紬「そうなの?」
律「そうなの。だから今日はこっちの小さいのにしような」
紬「すごいわ~、りっちゃんって何でも知ってるのね!」
律「まあな、いつもじゃないけど母さんの手伝いしてるし、自然に覚えちゃったよ」
19:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/25(金) 16:52:11.23:8N5FcVRC0
紬「それにりっちゃんはお料理も上手だし!」
律「おう!」
紬「お裁縫も得意だし!」
律「おう…?」
紬「それにとってもかわいいし!」
律「……///」
紬「気配り上手で優しくて、りっちゃんはきっといいお嫁さんになれるわ!」
律「……そ、そんなことよりさ、早くレジ並んじゃおうぜ!今なら空いてるし!ホラホラ!」グイグイ
紬「え?ちょっとりっちゃん?」
23:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/25(金) 16:55:33.72:8N5FcVRC0
………
律「ごめんなムギ、荷物持ってもらって。重くない?」
紬「ううん平気!それにこれくらいは手伝わなきゃ!」フンス
紬「帰りはこっちの道だったよね?じゃあ……」
律「あ、ちょっと待って、その前に……」ゴソゴソ
紬「?」
律「へへ、じゃーん!」バァーン!
紬「それって……」
律「そう!商店街の福引券!さっきの買い物でちょうど2枚もらったし、1回ずつまわしていこうぜ!」
25:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/25(金) 16:58:49.12:8N5FcVRC0
………
律「おりゃー!!」ガラガラガラガラ ポトッ
「はーい、5等賞のポケットティッシュ大当たりー」カランカラン
律「ティッシュかよちくしょ~!」ヘナヘナ
紬「ドンマイりっちゃん!よーし、りっちゃんの仇は私が……」
「お譲ちゃん運がいいねー。あと中に入ってるのは5等賞と1等賞の2つだけだよー」
律「1等賞って……嘘!?フィンランドの旅行券!?」
紬「フィンランド……」
律「そうだよ!スゲー!!いいなームギー!!」
26:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/25(金) 17:01:54.30:8N5FcVRC0
紬「……あの、この旅行券って日程とか期限とかって決まってるんですか?」
「いんや、いつでも好きな時に行っていいよー。まあ当たったらの話だけどな」
紬「……決めた!私1等賞とってりっちゃんにプレゼントする!」
律「え?それじゃあ悪いよ、やっぱりムギが……」
紬「ううん、りっちゃんにもらってほしいの」
律「でも…」
紬「お願い……!」
律「……そっか、じゃあ頼んだぞムギ!!」
紬「任せて!それじゃあ……えーい!」ガラガラガラ…
28:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/25(金) 17:05:14.17:8N5FcVRC0
帰り道!
律「…5等賞だったな」
紬「ごめんねりっちゃん……。あんなに偉そうなこと言ったのに……」シュン
律「いいっていいって。そりゃ私もちょっとは当たらないかな~とは思ったけど、やっぱりそうはうまくいかないよ」
紬「そう、よね……。自分の思う通りにはいかない、どうしようもないこともあるよね……」
律「……ムギ?」
紬「…」
31:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/25(金) 17:08:43.34:8N5FcVRC0
律「……そういえばさ、今日は誰も部活に来なかったけど一体なんでなんだろうな?」
紬「えーっと……、確か唯ちゃんは今日は憂ちゃんと一緒に帰るから~って言ってたわ」
律「へー、でもいつも一緒なのになんでわざわざ……」
紬「今日ね、久しぶりに唯ちゃんのお父さんとお母さんが帰ってくるらしいの。だから2人でお迎えの準備をするって……」
律「あー、なるほどねー。唯も夕飯に呼んでやろうかと思ったけどそれだったら邪魔しちゃ悪いな」
紬「梓ちゃんはお友達と買い物らしいし、澪ちゃんも今日は塾って言ってたし……」
律「澪が?あいつ塾なんか行ってたっけ?」
紬「あれ?そういえばどうだったかしら……?」
36:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/25(金) 17:11:25.89:8N5FcVRC0
律「うーん………あ!」ポン-3
紬「どうしたの?」
律「そういえば今日は澪のお父さんの誕生日だよ!だから澪のやつ早く帰ったんじゃないかな?」
紬「なるほど!そういうことだったのね!」
律「澪はお父さんっ子だからなー。小学校の頃はよく『パパが出張に行っちゃったー』って泣いてたし」
紬「へ~!」キラキラ
律「……澪もいないし、もっと話しちゃう?」
紬「ぜひお願いします!」
律「よしきた!あれは小5の時の話なんだけど……」
38:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/25(金) 17:13:48.53:8N5FcVRC0
田井中家!
律紬「ついたー!」
律「ただいまー……って誰もいないか」
紬「おかえり~」
律「あっ…」
紬「えへへ」
律「……じゃあ今度はムギの番な!」
紬「わかった!……今日からよろしくお願いします!ただいまー!」
律「おかえり!じゃあ遅くなっちゃったし早速夕飯の準備するか!」
紬「うん!りっちゃん、私は何をすればいい?」
律「じゃあムギには野菜の皮むきをお願いしてもいいかな?」
紬「わかったわ!」フンス
律「その間に私はお鍋の準備を……って鍋焦げてるし!?」
41:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/25(金) 17:17:15.85:8N5FcVRC0
………
律「で、完成したものがこちらになります」コトッ
紬「わーい」パチパチパチ
律「うんうん、ちょっと焦げちゃったけどなかなかの出来だと思うぞ!」
紬「りっちゃんが作ったんだもん。絶対においしいに決まってるわ!」
律「おいしいかどうかは食べてみないとわからないわけで……とりあえずご飯にしよっか?実は私もうおなかペコペコでさー」グー
紬「実は私もなの~」クスッ
律「それじゃあ……」
律紬「いただきまーす!」
42:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/25(金) 17:20:09.56:8N5FcVRC0
紬「はむっ」モグモグ
律「どう?」
紬「うん、とってもおいしいわ!」ニコッ
律「本当に?よかったー……ムギはいつもおいしいもの食べてそうだから、口に合うか心配だったよ」ホッ…
紬「そう?私はそんなことないと思うんだけど……」
律「えー?絶対そうだろー。例えば毎日ステーキとかさー」
紬「もう、いくらなんでもそうなことないもん!」プンスカ
律「あはは、ごめんごめん」アハハ
43:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/25(金) 17:24:00.51:8N5FcVRC0
紬「……私ね、ずっと前からこんな家庭的なごはんに憧れてたの」
律「家庭的?」
紬「うん。うちはお父様もお母様もいつも仕事で遅いから、小さい頃からみんなで揃ってご飯っていうのがあまりなくて……」
紬「だからこんな風にりっちゃんと2人で笑って食べるご飯がとっても嬉しいの」
紬「それにりっちゃんの料理はあったかくて、優しくて……私、りっちゃんのごはんがとっても好き!」
律「そ、そう?そこまで言われるとなんか照れちゃうなー」ナハハ
律「私としてはムギがいつもどんなもの食べてるかも気になるんだけど……」
紬「じゃあ今度はうちに泊まりに来ない?」
律「え?いいの!?」
紬「うん!りっちゃんの想像しているような料理は出せないと思うけど……」
律「やったー!ステーキだー!聡に自慢してやろうっと!」
紬「だからステーキなんて食べてないってば!」クスッ
44:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/25(金) 17:26:29.39:8N5FcVRC0
お風呂!
律「あ゙ー、きもちいー……」カポーン
紬「うん……」カポーン
律「…」ジー
紬「?」ムギュン
律「…」リツーン
律「神は不公平だ……」ガックシ
47:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/25(金) 17:33:25.54:ITex8xbWO
紬「……ねえりっちゃん、背中流しっこしよっか?」
律「お、いいね!」
紬「じゃありっちゃんから先に流してあげるわね。ささ、こちらにどうぞ」
律「はーい」
紬「よいしょ、よいしょ」ゴシゴシ
律「あー……」
紬「かゆいところはございませんかー?」
律「もうちょっと背中の真ん中あたり……」
紬「えーっと、ここかしら?」ゴシゴシ
律「うん、そこー……」
紬「…」ウズウズ
48:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/25(金) 17:34:23.08:8N5FcVRC0
律「どったのムギ?」
紬「……えーい!」コチョコチョ
律「ちょ、ムg……あははははは!」
紬「やぁー!」コチョコチョ
律「あははははは!わ、脇は反則……あはははは!」
紬「ここかー♪ここがええのんかー♪」コチョコチョ
律「ぜえ…ぜえ……よくもやってくれましたわね紬さん……」
紬「…」ワクワク
律「このー……お仕置きだベー!!」ウリャー
紬「きゃー♪」
49:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/25(金) 17:36:56.88:8N5FcVRC0
………
律「じゃあそろそろ寝るかー……」
紬「そうね……今日はもう疲れちゃった……」
律「じゃあ私床に布団敷いて寝るから、ムギはベッドで……」
紬「……ねえ、今日はりっちゃんと一緒に寝ていい?」
律「……もう、ムギは甘えんぼさんだなー」
紬「だめ?」
律「いいよ、ほらおいでー」
紬「………とぉー!」ボフッ
律「うむむ……ムギのやつめ、既にフライング布団潜り込みアタックをマスターしているとは……」
紬「えへへ…」ヒョコ
律「うむ!もうワシから教えることは何もない!免許皆伝じゃー!」
紬「ありがとうございますししょー!」
52:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/25(金) 17:39:08.07:8N5FcVRC0
律「うむ、免許皆伝の褒美は何がいい?何でも言ってみ?」
紬「……明日、りっちゃんと一緒に遊びに行きたいな」
律「お、いいね!ムギはどこ行きたい?」
紬「どこでも!とにかくりっちゃんといろんなところに行きたいの!」
律「そっかー、ムギをエスコートするんだからどこ行くかしっかり考えとかないとなー……」
律「そうだ!たまには電車で遠出してみようぜ!」
紬「電車で……?それはとっても素敵だわ!」
律「だろ?それでさ……」
53:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/25(金) 17:41:32.13:8N5FcVRC0
………
紬「……」
律「…zzz」スヤスヤ
紬「…ねえりっちゃん、もう寝ちゃった?」
律「…zzz」グーグー
紬「………あのね、最初にお父様とお母様は仕事で海外に、って言ったけど……あれ本当は嘘なの」
紬「斎藤がこっそり教えてくれたんだけどね、本当は2人でフィンランドの大学を見学に行ってるらしいの」
紬「……私は1人っ子だから、いつかはお父様の跡を継がなきゃいけない」
紬「だからそのために海外の大学で勉強をさせることも考えてるって……」
55:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/25(金) 17:43:37.60:8N5FcVRC0
紬「……なんとなく、いつかこんな話が来るだろうって予想はしてた」
紬「だから最初にその話を聞いた時もそんなに驚かなかったわ。この家に生まれてきたんだから、これは仕方ないことだって」
紬「世の中そう自分の思い通りにはいかないんだって……だから最初はその話も受け入るつもりでいたの……。でも……」
紬「高校に入って、せっかくみんなと仲良くなれて、大学でもみんなで一緒にいれるかもしれないのに……」
紬「……やっぱり私、本当はまだまだみんなと一緒にいたいの!」
紬「もっとみんなと音楽がしたい!遊びたい!いっぱいいっぱいお話がしたい!」
紬「……でも家のことを考えたらそれがなかなか言い出せなくて」
紬「私のわがままのせいでみんなに迷惑がかかるかもって思ったら、言いだす勇気がなくって……」
紬「でもみんなと離れ離れになることを考えたらもっと悲しくなって……、それで今日はりっちゃんにいっぱい甘えちゃったの……」
律「…zzz」
紬「……少し話したら楽になったかも」
紬「りっちゃん、今日は本当にありがとうね。じゃあおやすみ…」
律「……」
57:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/25(金) 17:47:07.72:8N5FcVRC0
次の日!
律「ムギ、準備は大丈夫?」
紬「ええ、バッチリ!ところでりっちゃん、今日の一体どこに……?」
律「うむ、まずは隣町の遊園地でも攻めていこうかと思う!」
紬「遊園地に?それはとっても素敵ね!」キラキラ
律「しかーし!こちらの人員はたったの2名!隣町まで行くにはこれでは少々心もとない!」
律「そこで!援軍を要請しておいた!」ババーン!
紬「援軍って……どこに?」キョロキョロ
律「………もう来てるはずなんだけどなー……」
59:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/25(金) 17:49:48.28:8N5FcVRC0
澪「ごめん!少し遅れた!」タタタッ
梓「もう!唯先輩が寝坊なんてするからですよ!」タタタッ
唯「うわーん!本当にごめーん!!」グスン
紬「みんな……」
律「今朝メールしておいたんだ。そしたらみんなムギと遊びたいってさ」
律「みんなムギのこと大好きから、もっと一緒にいたいって」
紬「りっちゃん、もしかして聞いてたの……?」
律「さあー?私寝てたから知らなーい」
律「でもさ、もし困ってることがあるなら何でも言ってくれよ」
律「私もみんなも、ムギのことが大好きで……」
律「それになんたって友達なんだからな!」
紬「……ありがとう」
ありがとうりっちゃん。私、勇気を出してみるね
私と、みんなと、これからの私たちのために……
おわりー
63:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/25(金) 17:52:06.78:CtrBy1F60
律「私の家に……?」
紬「ご、ごめんね!いきなり言っても無理よね!やっぱり忘れて!」アセアセ
律「……いいじゃんそれ!是非泊まりに来てよ!」
紬「え?でも迷惑じゃ……」
律「いいっていいって!それに実はうちも町内会の旅行で休み中誰もいなくてさ……やっぱ一人より二人のほうがいいじゃん!」
紬「そうなんだ……じゃあお願いしてもいいかしら」クスッ
律「もちろん!田井中家は誰でもうぇるかーむ!」
律「とりあえずさ、学校終わったら荷物持ってうちにきてよ」
紬「うん、わかった!」
田井中家前!
紬「りっちゃんおまたせー!」タタタッ
律「おっ、ムギー……って随分と大きな荷物だなそれ」
紬「そうかしら?りっちゃんのおうちに泊まるの楽しみなんだもん。色々持ってきちゃった」ゴソゴソ
紬「着替えに宿題に人生当てもんゲームに……あとお土産にケーキも持ってきたの!」
律「おお、わざわざありがとなムギ」
紬「いえいえ~、りっちゃん先生にはこれから色々とお世話になるんですから~」
律「そう言うとなんだか賄賂みたいだな。…こんなものをよこすとは……ムギ、おぬしも悪よのう~」フッフッフ
紬「いえいえ、お代官様こそ~」エッヘッヘ
律「とりあえずケーキは冷蔵庫にしまっておいて……夕飯どうしよっか?どこかに食べに行く?それともうちで……」
紬「りっちゃんの手料理がいい!」
律「そ、そう?」
紬「だって前にりっちゃんが作ってくれたハンバーグ、とってもおいしかったんだもん!」
律「本当?実はあれ自信作なんだよな~。褒めてもらえるとやっぱり嬉しかったり…」テヘヘ
紬「またりっちゃんの料理食べてみたいな~」
律「よーし、そこまで言うなら仕方ない!このりっちゃんが何か作ってあげよう!」
律「それじゃあムギ、一緒に夕飯の買い物に行こうぜ!」
紬「うん!」
………
紬「りっちゃん隊長!りっちゃん隊長!」
律「どうしたムギ隊員ー?」
紬「わたくし、夕飯の献立が気になるのであります!」
律「ふっふっふ……、ならば教えてやろう!今日の夕飯の献立は……」
律「肉じゃがだー!!」パンパカパーン!
紬「肉じゃが……」
律「ってあれ?もしかして……肉じゃが嫌いだった?」
紬「……抱きしめてもよかですか!?」
律「何弁!?ってかそんなに肉じゃが好きなの!?」
紬「好き!大好き!」
律「そ、そうなんだ……」タジッ
紬「うん!だって肉じゃがってとっても家庭の味!って感じがするんだもん!」
律「あーそれは何となくわかるかも。なんかあったかい味っていうか……」
紬「でしょ?私、りっちゃんの肉じゃが食べてみたい!」
律「よーし任せろ!……でも我が部隊のモットーは『働かざる者食うべからず』だからなー。ムギ隊員にもしっかり働いてもらうぞ!」
紬「らじゃー!」ビシッ
スーパーマーケット!
律「えーっと、人参と玉葱はまだ家にあったはずだから、あとはじゃがいもと……」
紬「りっちゃん、お肉持ってきたよ!」タタタッ
律「ん、ありがと。でもこれは2人分にしてはちょっと多すぎるかな?」
紬「そうなの?」
律「そうなの。だから今日はこっちの小さいのにしような」
紬「すごいわ~、りっちゃんって何でも知ってるのね!」
律「まあな、いつもじゃないけど母さんの手伝いしてるし、自然に覚えちゃったよ」
紬「それにりっちゃんはお料理も上手だし!」
律「おう!」
紬「お裁縫も得意だし!」
律「おう…?」
紬「それにとってもかわいいし!」
律「……///」
紬「気配り上手で優しくて、りっちゃんはきっといいお嫁さんになれるわ!」
律「……そ、そんなことよりさ、早くレジ並んじゃおうぜ!今なら空いてるし!ホラホラ!」グイグイ
紬「え?ちょっとりっちゃん?」
………
律「ごめんなムギ、荷物持ってもらって。重くない?」
紬「ううん平気!それにこれくらいは手伝わなきゃ!」フンス
紬「帰りはこっちの道だったよね?じゃあ……」
律「あ、ちょっと待って、その前に……」ゴソゴソ
紬「?」
律「へへ、じゃーん!」バァーン!
紬「それって……」
律「そう!商店街の福引券!さっきの買い物でちょうど2枚もらったし、1回ずつまわしていこうぜ!」
………
律「おりゃー!!」ガラガラガラガラ ポトッ
「はーい、5等賞のポケットティッシュ大当たりー」カランカラン
律「ティッシュかよちくしょ~!」ヘナヘナ
紬「ドンマイりっちゃん!よーし、りっちゃんの仇は私が……」
「お譲ちゃん運がいいねー。あと中に入ってるのは5等賞と1等賞の2つだけだよー」
律「1等賞って……嘘!?フィンランドの旅行券!?」
紬「フィンランド……」
律「そうだよ!スゲー!!いいなームギー!!」
紬「……あの、この旅行券って日程とか期限とかって決まってるんですか?」
「いんや、いつでも好きな時に行っていいよー。まあ当たったらの話だけどな」
紬「……決めた!私1等賞とってりっちゃんにプレゼントする!」
律「え?それじゃあ悪いよ、やっぱりムギが……」
紬「ううん、りっちゃんにもらってほしいの」
律「でも…」
紬「お願い……!」
律「……そっか、じゃあ頼んだぞムギ!!」
紬「任せて!それじゃあ……えーい!」ガラガラガラ…
帰り道!
律「…5等賞だったな」
紬「ごめんねりっちゃん……。あんなに偉そうなこと言ったのに……」シュン
律「いいっていいって。そりゃ私もちょっとは当たらないかな~とは思ったけど、やっぱりそうはうまくいかないよ」
紬「そう、よね……。自分の思う通りにはいかない、どうしようもないこともあるよね……」
律「……ムギ?」
紬「…」
律「……そういえばさ、今日は誰も部活に来なかったけど一体なんでなんだろうな?」
紬「えーっと……、確か唯ちゃんは今日は憂ちゃんと一緒に帰るから~って言ってたわ」
律「へー、でもいつも一緒なのになんでわざわざ……」
紬「今日ね、久しぶりに唯ちゃんのお父さんとお母さんが帰ってくるらしいの。だから2人でお迎えの準備をするって……」
律「あー、なるほどねー。唯も夕飯に呼んでやろうかと思ったけどそれだったら邪魔しちゃ悪いな」
紬「梓ちゃんはお友達と買い物らしいし、澪ちゃんも今日は塾って言ってたし……」
律「澪が?あいつ塾なんか行ってたっけ?」
紬「あれ?そういえばどうだったかしら……?」
律「うーん………あ!」ポン-3
紬「どうしたの?」
律「そういえば今日は澪のお父さんの誕生日だよ!だから澪のやつ早く帰ったんじゃないかな?」
紬「なるほど!そういうことだったのね!」
律「澪はお父さんっ子だからなー。小学校の頃はよく『パパが出張に行っちゃったー』って泣いてたし」
紬「へ~!」キラキラ
律「……澪もいないし、もっと話しちゃう?」
紬「ぜひお願いします!」
律「よしきた!あれは小5の時の話なんだけど……」
田井中家!
律紬「ついたー!」
律「ただいまー……って誰もいないか」
紬「おかえり~」
律「あっ…」
紬「えへへ」
律「……じゃあ今度はムギの番な!」
紬「わかった!……今日からよろしくお願いします!ただいまー!」
律「おかえり!じゃあ遅くなっちゃったし早速夕飯の準備するか!」
紬「うん!りっちゃん、私は何をすればいい?」
律「じゃあムギには野菜の皮むきをお願いしてもいいかな?」
紬「わかったわ!」フンス
律「その間に私はお鍋の準備を……って鍋焦げてるし!?」
………
律「で、完成したものがこちらになります」コトッ
紬「わーい」パチパチパチ
律「うんうん、ちょっと焦げちゃったけどなかなかの出来だと思うぞ!」
紬「りっちゃんが作ったんだもん。絶対においしいに決まってるわ!」
律「おいしいかどうかは食べてみないとわからないわけで……とりあえずご飯にしよっか?実は私もうおなかペコペコでさー」グー
紬「実は私もなの~」クスッ
律「それじゃあ……」
律紬「いただきまーす!」
紬「はむっ」モグモグ
律「どう?」
紬「うん、とってもおいしいわ!」ニコッ
律「本当に?よかったー……ムギはいつもおいしいもの食べてそうだから、口に合うか心配だったよ」ホッ…
紬「そう?私はそんなことないと思うんだけど……」
律「えー?絶対そうだろー。例えば毎日ステーキとかさー」
紬「もう、いくらなんでもそうなことないもん!」プンスカ
律「あはは、ごめんごめん」アハハ
紬「……私ね、ずっと前からこんな家庭的なごはんに憧れてたの」
律「家庭的?」
紬「うん。うちはお父様もお母様もいつも仕事で遅いから、小さい頃からみんなで揃ってご飯っていうのがあまりなくて……」
紬「だからこんな風にりっちゃんと2人で笑って食べるご飯がとっても嬉しいの」
紬「それにりっちゃんの料理はあったかくて、優しくて……私、りっちゃんのごはんがとっても好き!」
律「そ、そう?そこまで言われるとなんか照れちゃうなー」ナハハ
律「私としてはムギがいつもどんなもの食べてるかも気になるんだけど……」
紬「じゃあ今度はうちに泊まりに来ない?」
律「え?いいの!?」
紬「うん!りっちゃんの想像しているような料理は出せないと思うけど……」
律「やったー!ステーキだー!聡に自慢してやろうっと!」
紬「だからステーキなんて食べてないってば!」クスッ
お風呂!
律「あ゙ー、きもちいー……」カポーン
紬「うん……」カポーン
律「…」ジー
紬「?」ムギュン
律「…」リツーン
律「神は不公平だ……」ガックシ
リツーン
46:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/25(金) 17:30:04.42:8N5FcVRC0紬「……ねえりっちゃん、背中流しっこしよっか?」
律「お、いいね!」
紬「じゃありっちゃんから先に流してあげるわね。ささ、こちらにどうぞ」
律「はーい」
紬「よいしょ、よいしょ」ゴシゴシ
律「あー……」
紬「かゆいところはございませんかー?」
律「もうちょっと背中の真ん中あたり……」
紬「えーっと、ここかしら?」ゴシゴシ
律「うん、そこー……」
紬「…」ウズウズ
律「どったのムギ?」
紬「……えーい!」コチョコチョ
律「ちょ、ムg……あははははは!」
紬「やぁー!」コチョコチョ
律「あははははは!わ、脇は反則……あはははは!」
紬「ここかー♪ここがええのんかー♪」コチョコチョ
律「ぜえ…ぜえ……よくもやってくれましたわね紬さん……」
紬「…」ワクワク
律「このー……お仕置きだベー!!」ウリャー
紬「きゃー♪」
………
律「じゃあそろそろ寝るかー……」
紬「そうね……今日はもう疲れちゃった……」
律「じゃあ私床に布団敷いて寝るから、ムギはベッドで……」
紬「……ねえ、今日はりっちゃんと一緒に寝ていい?」
律「……もう、ムギは甘えんぼさんだなー」
紬「だめ?」
律「いいよ、ほらおいでー」
紬「………とぉー!」ボフッ
律「うむむ……ムギのやつめ、既にフライング布団潜り込みアタックをマスターしているとは……」
紬「えへへ…」ヒョコ
律「うむ!もうワシから教えることは何もない!免許皆伝じゃー!」
紬「ありがとうございますししょー!」
律「うむ、免許皆伝の褒美は何がいい?何でも言ってみ?」
紬「……明日、りっちゃんと一緒に遊びに行きたいな」
律「お、いいね!ムギはどこ行きたい?」
紬「どこでも!とにかくりっちゃんといろんなところに行きたいの!」
律「そっかー、ムギをエスコートするんだからどこ行くかしっかり考えとかないとなー……」
律「そうだ!たまには電車で遠出してみようぜ!」
紬「電車で……?それはとっても素敵だわ!」
律「だろ?それでさ……」
………
紬「……」
律「…zzz」スヤスヤ
紬「…ねえりっちゃん、もう寝ちゃった?」
律「…zzz」グーグー
紬「………あのね、最初にお父様とお母様は仕事で海外に、って言ったけど……あれ本当は嘘なの」
紬「斎藤がこっそり教えてくれたんだけどね、本当は2人でフィンランドの大学を見学に行ってるらしいの」
紬「……私は1人っ子だから、いつかはお父様の跡を継がなきゃいけない」
紬「だからそのために海外の大学で勉強をさせることも考えてるって……」
紬「……なんとなく、いつかこんな話が来るだろうって予想はしてた」
紬「だから最初にその話を聞いた時もそんなに驚かなかったわ。この家に生まれてきたんだから、これは仕方ないことだって」
紬「世の中そう自分の思い通りにはいかないんだって……だから最初はその話も受け入るつもりでいたの……。でも……」
紬「高校に入って、せっかくみんなと仲良くなれて、大学でもみんなで一緒にいれるかもしれないのに……」
紬「……やっぱり私、本当はまだまだみんなと一緒にいたいの!」
紬「もっとみんなと音楽がしたい!遊びたい!いっぱいいっぱいお話がしたい!」
紬「……でも家のことを考えたらそれがなかなか言い出せなくて」
紬「私のわがままのせいでみんなに迷惑がかかるかもって思ったら、言いだす勇気がなくって……」
紬「でもみんなと離れ離れになることを考えたらもっと悲しくなって……、それで今日はりっちゃんにいっぱい甘えちゃったの……」
律「…zzz」
紬「……少し話したら楽になったかも」
紬「りっちゃん、今日は本当にありがとうね。じゃあおやすみ…」
律「……」
次の日!
律「ムギ、準備は大丈夫?」
紬「ええ、バッチリ!ところでりっちゃん、今日の一体どこに……?」
律「うむ、まずは隣町の遊園地でも攻めていこうかと思う!」
紬「遊園地に?それはとっても素敵ね!」キラキラ
律「しかーし!こちらの人員はたったの2名!隣町まで行くにはこれでは少々心もとない!」
律「そこで!援軍を要請しておいた!」ババーン!
紬「援軍って……どこに?」キョロキョロ
律「………もう来てるはずなんだけどなー……」
澪「ごめん!少し遅れた!」タタタッ
梓「もう!唯先輩が寝坊なんてするからですよ!」タタタッ
唯「うわーん!本当にごめーん!!」グスン
紬「みんな……」
律「今朝メールしておいたんだ。そしたらみんなムギと遊びたいってさ」
律「みんなムギのこと大好きから、もっと一緒にいたいって」
紬「りっちゃん、もしかして聞いてたの……?」
律「さあー?私寝てたから知らなーい」
律「でもさ、もし困ってることがあるなら何でも言ってくれよ」
律「私もみんなも、ムギのことが大好きで……」
律「それになんたって友達なんだからな!」
紬「……ありがとう」
ありがとうりっちゃん。私、勇気を出してみるね
私と、みんなと、これからの私たちのために……
おわりー
乙
もっとイチャイチャしてもいいのよ
74:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/25(金) 18:27:20.59:DZ00vIz+0もっとイチャイチャしてもいいのよ
乙
ムギがいちいち可愛い
照れる律も可愛い
80:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/25(金) 19:23:55.80:ITyNeo620ムギがいちいち可愛い
照れる律も可愛い
乙
むぎゅ可愛すぎ
82:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/25(金) 20:29:59.88:2oTdMZ7p0むぎゅ可愛すぎ
乙すぎる
いい関係の二人だな
いい関係の二人だな
コメント 12
コメント一覧 (12)
ええのう
本編にさしこまれていても違和感のないエピソード
この二人いいわあw
素晴らしい2人だ