- 1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/25(金) 22:48:28.04:ZNglvzjK0
夏休みのちょっと前!
今日は軽音部の活動日……なのですが、部室には私とあずにゃんしかいません
もうどれだけ待ったことやら……みんなたるんでるよ!
唯「あ~つ~い~よぉ~」グッタリ…
梓「蒸発した汗を体の周りに定着させて、薄い水のバリアを張ると結構涼しいですよ」モワンモワン
唯「うわぁ……どうなってんのそれ……」ガーン
唯「……あ~それにしても暇だなぁ~2人じゃ練習する気も起きないよぉ~」
梓「そ、そうですね……」
唯「りっちゃんなんてさ! 部長なのにさ! なにやってんの!」
梓「ぶ、部長だから忙しいんですよ……ほら、そんなにアレだったら唯先輩が……ね?」
唯「え? 私が? なにを? ……あ! そうか! そうだよ!」
唯「私が部長やったほうがいいよ! まったく!」
梓「でこ助、ですね……」ボソッ
唯「でこすけ? あ~、確かにそうだね! でこ助だよ! りっちゃんは!」
梓「ハハハ……」
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3:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/25(金) 22:58:12.24:ZNglvzjK0
唯「はぁ~もう~……みんな来ないのかなぁ~」
梓「…………まあ、今日は皆さん欠席ですけどね!」
唯「ええぇ!?」
梓「すみません……だいぶ前に連絡がありました……」ププ
唯「言ってよぉ!?」
梓「駄目じゃないですか唯先輩! 悪口ばっか言って……陰湿ですよ!」プスス
唯「あずにゃんの方が性格悪いでしょ! 何か誘導してたじゃん! もう!!」プンプン
梓「アハハ! ちがっ、違うんです! やんちゃしたかっただけなんです! ごめんなさいっ! アハハハハハッ!」ゲラゲラ!
唯「笑い過ぎだよ……も~」
梓「……ふう、でも確かに暇ですね~。あ、そうだ!」
梓「唯先輩、一緒にPSPしませんか?」
5:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/25(金) 23:07:27.64:ZNglvzjK0
唯「へ? ぴーえすぴー……あ! ゲーム?」
梓「はい、PSP……」
唯「私DSしか持ってないよ?」
梓「PSP……PSP……」ボソボソ
唯「あ! でもりっちゃんが持ってるから、りっちゃんに借りればいいか~」
梓「プロストーキングプレイ……」ボソッ
唯「えっ!?」ビクッ
梓「いえ何も」
唯「でも今なにか……ストーキングって……」
梓「違います、ロープ・ストッキング・レイプって言ったんです」
唯「ええ? 何それ!? よくわかんないけど、ヤラしいよ……!」
唯「違うでしょ? 何かプロ何とかって言ったじゃん! 私、意外と聞いてるよ! 誤魔化されないよ!」
梓「しっかり聞かれてましたか……」
梓「そうです。PSPと言っても、ゲームの方ではありません」
梓「というわけで今日はPSP(プロ・ストーキング・プレイ)について解説したいと思います!」
7:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/25(金) 23:15:39.66:ZNglvzjK0
唯「え? あぁ~……うん。え??」
梓「PSPってのは、まあストーキング行為の一種なんですが」
梓「一般的なストーキングとは全然違う、良いストーキングの事なんです!」
唯(語りだした……)
梓「わかりやすく言うとですね、良好な人間関係を作るために行うストーキングのことなんですよ!!」
唯(やけにテンション高くて怖いよ……)
梓「ストーキングして、相手が悩みや問題を抱えていないかチェックするんです!」
唯(……)
梓「また、ストーキング行為を相手に気づかれてはいけません!」
梓「相手に迷惑をかけてはいけません! 気まずくなりますからね!」
唯(今、気まずいよ……)
8:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/25(金) 23:17:01.74:ZNglvzjK0
梓「相手の情報を言いふらすのも駄目です! 凄い秘密を知っても、心の中に留めておきましょう」
唯(……)
梓「もしも相手が問題を抱えていたら、そっと影から手助けするんです!」
梓「つまり! プロ・ストーキング・プレイは紳士のスポーツなんです!」
梓「変態欲求を満たすための行為では無いんですよ!!」
唯(……)
梓「……ふぅ、こんなところですかね! PSPの素晴らしさをわかって貰えたと思います!!」
唯(ストーカーが素晴らしいなんて……たぶんあずにゃんは悪い宗教的な何かに影響されてるんだ……)
唯「あ、あずにゃんはその……ストーカーなの??」
梓「いえ、プロ・ストーキング・プレイヤー、です」
唯「そういう感じの呼び方なんだ……」
9:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/25(金) 23:22:34.02:+HDqpqJy0
唯「そんなカミングアウトされてもね……私はどうしたら……」
梓「最初に言いましたが、唯先輩も一緒にPSPしましょう!」
唯「え? えぇ!? いやだよ!」
梓「ぇえぇええぇぇ!!?」ガーン
唯「意外そうなリアクションしないでよ!」
唯「ストーカーだよ!? 犯罪だよ!? 悪いことしちゃ駄目でしょ!?」
梓「悪いことじゃないですよ!」
梓「覚えてるでしょう!? この前参加した、さわ子先生のお友達の結婚式!」※2期10話参照
梓「先生をストーキングしたから、いい感じに話がまとまったんじゃないですか!!」
梓「あの時、私はPSPの素晴らしさに気付いたんです!!」
梓「ストーキングは軽音部の平穏のためなんです!!」
梓「私達が影から軽音部を見守るんです!!」
梓「軽音部はストーキングで成り立っていると言ってもいいくらいです!!」
11:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/25(金) 23:27:02.51:ZNglvzjK0
唯「気持ち悪いよそんな部活!! 何を熱弁してるの!?」
唯「それにあの時はそんな重いストーキングじゃなかったでしょ!?」
唯「犯罪と一緒にしないでよ!!」
梓「……」
唯「後輩がストーカーってだけでもショックなのに……私はやりたくないよ!」
梓「……」
唯「ちょっと聞いてるの!?」
梓「……」
唯「もう! 無視しないでよ!! ……え? なんか顔赤いよ!?」
梓「……」プルプル
唯「息止めてるの!? 何してるの!? ちょっと! やめなよ!」
梓「……」プルプルプル
唯「ごめんね! あずにゃん! 言い過ぎたよぉ! だからやめてよ!?」
梓「……」カキカキ
唯「え? 何書いてるの!? ゆ、い……って、ちょっと! ダイイングメッセージ残さないでよ!!」
12:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/25(金) 23:28:42.16:ZNglvzjK0
梓「……」ピクピク
唯「わかった! するから! PSPするから! 呼吸してよ!」ユサユサ
梓「ッズハァ! ハァ! ハァ! ……アリ……ガトウ……ゼェ、ハァ、ゴザ……イマス……」
唯(こ、怖いよ……!)
あずにゃんの脅しに負けた私はプロ・ストーキング・プレイヤーになりました
ストーキングが軽音部のためになるとは思えないし、疑問や不満はあるけど
下校時間が過ぎていることもあり、取りあえず今日は解散することになりました
・
・
13:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/25(金) 23:35:49.57:ZNglvzjK0
帰り道!
ガヤガヤガヤ
梓(通話中)「もしもし! はい! そうです! はい! 唯先輩、それはもう自然な流れでPSPやるって!」
唯(誰と電話してんの……ていうか、いっこも自然じゃなかったよ……)
梓(通話中)「え? ブフッ! アハッハハハッ! カルボナーラと間違えて、嗅ぐおなーらって! どういうことですか!」ゲラゲラ
唯(こっちが聞きたいよ……どんな話してるの!?)
梓(通話中)「はい! では! おつかれさまでーす! ピッ……」
唯「……」
梓「ふぅ~……唯先輩! 今日は遅くまで付き合わせてすみません! でも……」
梓「これで唯先輩もプロ・ストーキング・プレイヤーですね!!」
ザワザワ…
唯「さっきから声が大きいよ! PSPってバレちゃ駄目なんでしょ?」
梓「大丈夫ですよ。ターゲットに知られならなければ大丈夫です」
唯「そ、そうなんだ……」
唯(私に打ち明けたってことは、私はストーキングされて無かったんだよね……?)
14:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/25(金) 23:37:20.33:ZNglvzjK0
唯「あ、あのさ……私をストーキングしてたりしないよね~? なんて……」
梓「……」
唯「あはは……そんな事あるわけないかー!」
梓「……」
唯「え……どうなの……?」
梓「違います、唯先輩」
唯「え?」
15:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/25(金) 23:42:38.84:ZNglvzjK0
梓「……ほら私の親、ジャズバンドやってるって言ったじゃないですか」
唯「へ? う、うん……」
梓「だから家にレコードいっぱいあって、私、小さい頃それをフリスビーみたいにして遊んでたんです」
唯「う……ん?」
梓「で、この前なんですけど、冷蔵庫の調子がおかしいって事で、業者の人に引き取ってもらったんですよ」
唯「??」
梓「そしたら冷蔵庫と壁の隙間からレコードがドサーって出てきてですね」
梓「どうやら私が飛ばしてたレコードが原因で熱暴走してたらしくって」
梓「その後、親にレコードを粗末に扱ったことだけじゃなく、冷蔵庫を駄目にしたことまで怒られちゃいました……」
唯「……」
梓「……」
唯「……えっ!? なんの話!?」ガーン
唯「中野家の冷蔵庫事情はどうでもいいよ! ちゃんと説明してよ! ……え? ちょっと待って! どこ行くの!?」
梓「……」シュタタタタタ
唯「待ってよ! ねえ!? 全然誤魔化せてないよ!? ていうか速ッ!? あずにゃん! ねえってばーー!?」
17:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/25(金) 23:48:51.54:ZNglvzjK0
唯「に、逃げられた……」ポツン
唯「帰ろう……」
・
・
・
平沢家!
唯「はあ……今日は疲れたなぁ」
唯「あずにゃんの概念が、くつがえされた1日だったよ……」ブツブツ
唯「日本あずにゃん学会・名誉会長もびっくりだね……」ブツブツ
唯(あずにゃんが……ストーカーだなんて……)
唯(まあ、悪意があるわけじゃ無さそうだけど……)
唯(ていうか、誰をストーキングするのだろうか……)
唯(憂に相談してみよう、かな……?)
唯「ただいまぁ~」
ガチャリ
18:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/25(金) 23:50:23.69:ZNglvzjK0
唯(梓)「う~~~い~~~、ねつさましーとないよぉ~?」
唯(梓)「あ、ぶたにくがあるぅ~~もうこれでいいやぁ~~はっちゃお~~」ペチャ
憂「もう~お姉ちゃんったら! それは牛肉でしょ!」
唯「……」
唯「何でいるの!?」ズバ!
唯「あと、人ん家のお肉をおでこに貼っちゃ駄目でしょ!?」ズババ!
唯「そして何より……私はそんなにキモく無いよ!!!」ズババーン!
憂「あれっ!? お姉ちゃんが2人!? イエスッ!!」
唯「なんで憂は騙されてんのーーー!?」ガーン
梓「唯先輩! 落ち着いて! これで熱を冷まして下さい!」ペチャ
唯「ぅおぉぉお肉を貼らないでよおぉーーー!!」
19:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/25(金) 23:51:23.39:ZNglvzjK0
ギャーギャー……
ガシャーン……
ワーキャー……
………
…
梓「落ち着きました?」
憂「お、お姉ちゃん? 大丈夫?」
唯「うん……ごめんね……学校で……とある人物にツッコミ過ぎて変になっちゃってたよ……」
唯「澪ちゃんのポジションになった気分だ……」
憂「お姉ちゃん、澪さんは突っ込まれるほうだよぉ///」
唯「んぇ? なにが?」
梓「唯先輩がツッコミに回るとは……その美少女かなりの実力者ですね……」
唯(白々しいよ! あと、美少女は言ってないよ!)
唯「ていうか、あずにゃんは何でいるのさ!」
梓「いやぁ~唯先輩の物真似を憂に見てもらいたくて」
憂「そうだったんだ! でも梓ちゃん凄いね! 話し方が似てたから騙されちゃった!」
唯(え!?)グサッ
22:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/25(金) 23:52:50.03:ZNglvzjK0
梓「エヘヘ……ありがと。1年の時から練習してたからね」
唯(胸クソ悪いよ!)
憂「そうなの!? そんな素振り全然無かったから気付かなかったよ~」
梓「ギターの練習もしなきゃだし大変だったかな。まあ全部嘘だけどね」
唯(しかも嘘なの!?)
憂「ギターと物真似の練習を両立するなんて……梓ちゃんは努力家だね!」
唯(憂! よく聞いて!)
梓「さて……目標達成できたし今日は帰るね」
憂「あれ? 帰っちゃうの? ついでにご飯食べていけば?」
23:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/25(金) 23:53:54.27:ZNglvzjK0
梓「折角だけどごめん。帰ってカポエラの特訓しなきゃ。試合が近くてさ」
唯(知らないよ! 初耳だよ!)
憂「梓ちゃん、正しくはカポエイラだよ!」
唯(憂はさっきから何かズレてるよ!)
憂「それじゃまたね!」
梓「ばいばい憂。唯先輩もさようなら」
唯「……」
・
・
・
玄関!
唯「……ホントは何しに来たのさ」
唯「ま、まさか憂をストーキングしてたんじゃ……」
24:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/25(金) 23:57:37.97:ZNglvzjK0
梓「違います」
唯「あずにゃんの『違います』は違わないんだよ……」
梓「本当に違います。私はただ……」
梓「唯先輩が他の先輩方や……憂にPSPの事を喋るんじゃないか」
唯(!)ドキッ
梓「と思ったんですが、それは無いですよねー!」
梓「私達PSP仲間ですもんね! 私の秘密は唯先輩の秘密でもありますからね! 言えるわけないですよね!」
唯(やり方が汚い……!)ズーン
梓「まあそれは置いといて……肝心な事を言い忘れてたので来ました」
梓「PSPのターゲットのことですが……」
唯「……」ゴキュ
梓「ムギ先輩をストーキングします!」
唯「ム、ムギちゃん……?」
梓「はい、ムギ先輩です。何度かストーキングしたんですが、うまくいかなくて……」
梓「そこで唯先輩に協力してほしいんです!」
25:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/25(金) 23:58:22.19:ZNglvzjK0
唯「えぇー……既に餌食になってたんだ……ていうか、何でムギちゃんなの?」
梓「詳しくは……明日、場所を変えて話します。憂に聞かれるとアレですから」
梓「唯先輩は明日、何一つやることが無くて、怠惰に時間を浪費する予定ですから大丈夫ですよね?」
唯「言い過ぎじゃない!? ……まあ暇だけど」
梓「じゃあ今日は帰ります。また明日電話しますね。妙なタイミングで……ね……」フフフ
ガチャリ
バタン
唯(普通のタイミングで電話してよぉ……後味悪いよぉ……)
26:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 00:00:26.36:Njui/pXp0
唯(……ムギちゃんをストーキングかぁ)
唯(罪悪感がハンパないよぉ……)
唯(私も犯罪に手を染めるのかなぁ……)
唯(い、いやだなぁ……)
唯(どうしよう……う~ん……う~ん)
憂「お姉ちゃーん? 何してるのー? ステーキ冷めちゃうよー?」
唯「あ、待って~すぐ行く~」タタタ
初めてのPSPに不安を覚える私ですが
晩御飯が好物ということもあり、取りあえず考えるのをやめました
その日はお風呂に入った後、特に何もすることなく寝てしまいました
・
・
28:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 00:03:35.41:Njui/pXp0
翌朝!
ガチャ
憂「お姉ちゃーん、憂だよー? あ、間違えた」
憂「お姉ちゃーん、朝だよー?」
唯「zzz」
憂「お姉ちゃん? お休みだからって、いつまでも寝てちゃ駄目だよー?」
唯「ぅ?ぃぅう~ん……zz……z」
憂「もう~早くしないと朝ごはん四散しちゃうよー?」
唯「ぅ……? ぇえ?? しさん? どんなメニューなの……?」ビクッ
憂「フフフ冗談だよ! お姉ちゃん? 早く降りてきてね!」トタタ
唯「はぁ~~い……ふぁ~ぁ」ムクリ
・
・
29:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 00:06:02.19:Njui/pXp0
唯「いたらきまぁ~す」モシャリ
憂「お姉ちゃん昨日、寝言が凄かったよー?」
唯「んぇ?」モッチャ モッチャ
憂「やめてよ! まだ食べられるよ! ……とか」
憂「そんな所にそれを置いちゃ駄目だよ! ……とか」
憂「表面張力っていっても限界があるよ! ……とか」
唯(夢の中で何かにツッコんでる……あずにゃんが出てきたんだ……絶対そうだ……)
憂「ゴミ問題を考えダストきりが無いよね! なんてね! てへっ! ……とか」
唯(ホントに言ったの!? 恥ずかしっ!)
31:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 00:06:49.15:Njui/pXp0
憂「PSPなんてやりたくないよぉぉ! ……とか」
唯(!!)ドキ
唯「ご、ごちそうさま!」トタタタ
憂「え? もういいの? お姉ちゃーん?」
憂「?」
・
・
・
ガチャ バタン
唯「危ないところだった……」
唯「なぜ私がこそこそしないといけないのだろうか……」
32:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 00:09:01.34:Njui/pXp0
唯「……あ、そういえばあずにゃん、電話するって言ってたけど」チラッ
携帯『ピロリン♪ピロリン♪プリッ♪ ---着信 あずにゃん---』
唯「ヒィッ!?」ビクッ
唯「あり得ないタイミングだよぉ……ピッ、もしもし……?」
梓『あ、唯先輩おはようございます』メェ~
唯「お、おはよう」
梓『先輩が起きてるなんて想定外です(笑)』メェ~~
唯「どういう意味かな? あずにゃん?」
梓『いえ別に。メェ~それより、昨日途中だった、ムギ先輩ストーキングミッションの話ですがメェ~』メェ~メェ~
唯「……さっきからメェーメェーうるさいんだけど何の音?」
梓『すみません。ペットの羊が暴れてて……』メェ~
唯(羊飼ってるんだ……)
梓『こらっ! ジュン! 走り回っちゃ駄目でしょ?』
ジュン『メェ~』
唯「……」
33:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 00:10:15.51:Njui/pXp0
梓『で、詳しく話すので私の家に来てもらっていいですか? 今日は親がいないので都合がいいんですよ』メェ~
唯「……そうなんだ、わかった。行くよ」
梓『はい、待ってますねー。ふぅ、ご馳走様っと』メェ~
唯「ん? 何か食べてたの? 朝ご飯?」
梓『あ、食事しながらですみません』メェ~
唯「いや……いいけどさ」
梓『ちょっとお会計してきますね』メェ~
唯「店内!!? 羊とか連れて行っちゃ迷惑でしょ!?」ガーン
梓『え……い、いやジンギスカン屋だからいいかな~って……』
唯「よかないよ!! 余計駄目だよ!! ていうか朝からジンギスカン食べてたの!?」
梓『……あれ? ジュン? げ! やばっ!』
ジュン『メェ~~!』
店員『え!? う、うわ! うわぁぁ!』
梓『やめてあげてっ! ジュン! 言うこと聞いてっ!』
唯「……」
34:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 00:13:43.67:Njui/pXp0
梓『ごめんなさいっ! 一回切ります! 唯先輩! とにかくそういう事でっ!』
梓『あ! 憂には私の家に来ること言わないで下さいねっ! 怪しまれますから!』メェ~!!
梓『もし、「どこ行くの?」って聞かれたら
「アレをナニしてハアハアするお店に行くんだモジャ!」
って言って誤魔化してくださいっ! でないと大変な事になります! それじゃ!』
唯「!!? はあ!? 嫌だよ! 言わないからね!?」
唯「大変な事ってどうなるの!? ちょっとぉぉ!?」
携帯『ニゲルヨ! ジュン! プッ……ツーーーツーーーツーーー』
唯「…………」
・
・
35:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 00:17:19.69:Njui/pXp0
玄関!
唯(……)
どこ行くのって聞かれたら……
アレをナニしてハアハアするお店に行くんだモジャ!……
大変な事になります……
唯(憂に会わなかったら言わなくてもいいよね……!)ソロリ
唯(そもそも私返事してなかったし! 言う必要ないよ!)ソロリ
唯(無効だよ! 無効! 無効!)
憂「お姉ちゃん?」
唯(ムコぉーーー!!?)ドキ!
憂「お姉ちゃん、どこ行k
唯「どこも行かない! どこも行かないよぉ!?」
唯(何も聞かないで何も聞かないで何も聞かないで……)
憂「靴履いてるでしょー? 変なお姉ちゃん!」クスッ
唯「は……ははは……はは」
37:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 00:18:15.55:Njui/pXp0
憂「今から買い物に行くんだけど、お姉ちゃんも一緒に行く?」
唯(チャンス! 憂が出掛けてくれれば、その隙に外に出れる!)
唯「行かない! 絶対に行かないっ……!!」
憂「ええっ!?」ガーン
憂「な、なんでそんなに必死に拒むの? お姉ちゃんさっきから変だよ……?」ウルッ
唯「なんにも変じゃないよぉ……! 憂だけで行ってきなよぉ……!」
憂「ほ、ほら、軽音部の合宿も近いでしょ? 必要な物とか買いに行こうよ……?」
唯「必要な物なんて無いよぉ……! 単身潜入・現地調達が軽音部スタイルだよぉ……!」
憂「そんなわけないでしょ!?」
憂「こ、今年も行くんでしょ!? 今年はどこ行くの!?」ウルルッ
唯(言った……!)
唯(……どこ行くのって……文脈が違うけど……この場合どうしたらっっ……!)
唯(………………くそぅ!)
憂「聞いてるの!? 今年の合宿どこ行くのって、言ってるんだよ!?」グスッ
唯「……あ、アレをナニして……ハアハアするお店に行くんだモジャ!」モジャーン
38:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 00:18:54.35:Njui/pXp0
憂「……」
唯「……」
唯「………くッッ!」
ガチャリッ
憂「お姉ちゃん!? 待って! モジャってなに!? 純ちゃんの頭に付いてるアレの事!?」
憂「待ってよ! お姉ーちゃーーん!!」
・
・
39:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 00:24:00.57:Njui/pXp0
ややお昼
中野家!
唯「逃げてきちゃった……帰ったら誤解を解かないと……」
ピーンポーン
梓「はーい」
ガチャ
梓「先輩、遅いモジャ! ……って、歩いて来たモジャ?」
唯「モジャモジャやかましいよっ!」
梓「も~、じゃあ言いませんよ……私だって子どもじゃ無いですからね。取りあえず中に入って下さい」
唯「お邪魔するよ……」
バタン
唯「まったく……あずにゃんがおかしいから、平沢さんちの姉妹の仲はギスギスですよ!」プンプン
梓「な……!? おかしいとは何ですか! 私はただ……」
梓「ムギ先輩を尾行して監視して心の奥底まで探ろうとしてるだけです!」
唯「それがおかしいって言ってるの!!」ガーン
40:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 00:26:07.63:Njui/pXp0
梓「うぅ……全部、全部、軽音部のためなのに……」
梓「ムギ先輩……若干距離を感じるし……」
梓「実家も見せてくれないから、私生活が全然わかんないし……」
梓「もしかしたら、私達に言いにくい悩みを抱えてるかも知れない」
梓「私、心配で……」
唯(あずにゃん……)
梓「だから、もっとムギ先輩を知らなきゃ駄目なんだよ!」
唯(あずにゃん、遠くの世界にイっちゃったと思ったけど……)
唯(こんな風に考えてたなんて……)
唯(私、ちょっと誤解してたのかも……)
唯(……よしっ!)スッ…
唯「あ~ずにゃん!」ダキッ
梓「ンニャ!?」
41:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 00:27:02.38:Njui/pXp0
唯「良かったぁ……あずにゃんは、あずにゃんのまんまだったよぉ」
梓「唯……? よくわからないよ……」
唯「……ストーキング行為を認めるわけじゃないけど」
唯「あずにゃんの優しい気持ち……何となく、わかったよ!」
唯「だから……今回だけ、協力するよ!!」
梓「ゆ、ゆゆ、唯ぃ~~!!」
唯「一緒にムギちゃんを付け回そう!」
梓「うん! 付け回そう!」
唯「ムギちゃんを引ん剥いちゃ グゥゥ~~~~(お腹の音)」
唯「ありゃ?」
梓「アハハ! 唯ったら! お腹鳴り過ぎ!」
唯「そういや朝ほとんど食べてなかったぁ~!」
梓「何か食べる? ちょっと待ってて! 冷蔵庫見てくる!」
唯「はぁ~い!」
唯(……)ニコニコ
42:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 00:27:49.16:Njui/pXp0
唯(さっきから一つ引っかかるけど、何だか幸せだなぁ~)ニコニコ
唯(おかしくないあずにゃんと、お話してるみたいだよぉ)ニコニコ
唯(日常ってこんな感じだったなぁ。うぅ、幸せ過ぎて涙出てきた……グスッ)ニコニコ
唯(引っかかる事があっても、突っ込んだらいけない気がするなぁ)ニコニコ
梓「ゆ~い! こんなのあった!」
唯「わぁ~い! 何かなぁ?」
梓「イ~カ~め~し~!」ジャーン
唯「おいしそー!」パチパチ
梓「続いて~、イカリング~!」ジャーン
唯「わぁーーー!」パチパチ
梓「まだまだ~、イカそ~め~ん!」ジャーン
唯「や、やった~!」パチパチ
43:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 00:29:16.41:Njui/pXp0
梓「お次は~、するめイカ~!」ジャーン
唯「う、うれし、いな~!」パチパチ…
唯(突っ込まない……突っ込まないぞぉ……)
梓「なぜかお風呂場で死んでたイカ~!」ジャーン
唯(!?)
唯「ハァハァ……う、うれし、いか……?」パチ…
唯(突っ込んだら……終わっちゃう……普通の日常が……終わっちゃう!)
梓「いよいよラストのぉ~」
梓「スイカ!」ジャーン
唯「…………」
44:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 00:30:16.99:Njui/pXp0
唯「何で最後ダジャレなのぉーーーー!!!」バリバリッバッツーン!!!
梓「だ!? えっ!? どうしたの唯!?」
唯「どうせなら全部イカにしなよ!!! ていうか! そうじゃなくてもイカ率高すぎだよ!!!」
梓「だって! 私のお母さんは基本、冷蔵庫にイカしか入れないタイプだから仕方ないでしょ!?」
唯「聞いたこと無いよそんなタイプ!!! 最悪の栄養バランスだよ!!!」
梓「イカしてるでしょ♪フフフ」
唯「イカレてるよ!!! なに落ち着いてるの!!?」
梓「んも~唯も落ち着きなよ?」
唯「……い、つ、ま、で……タメ口なのぉぉ!!?」
ドガッシャーン……
ユイ!ヤメテ!……
ヤメテッテバ!…
バリーン!…
ガシャン…
……
45:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 00:31:35.57:Njui/pXp0
梓「お、落ち着きました?」
唯「うん……ごめんね……私ちょっと変な境地に達してたよ……」
梓「私も……呼び捨てにしちゃってすみません。やんちゃ過ぎました」
唯「ホントだよ……空気的に言い出せなかったよ……」
梓「でも唯先輩がやる気になってくれて嬉しいです!」
唯「デヘヘ~」
梓「ハアハア……、一緒にぃぃ! ハア……ムギたぁんをぉ! あふぅ! 付け回そうよぉぉ……って台詞に感動しました!」
唯「そんなんじゃなかったでしょ!?」
梓「あ、間違えました。舐め回そうでしたね」
唯「違うよ……違う所が違うよ……もういいよ」
46:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 00:32:09.79:Njui/pXp0
梓「アハハすみません。さて、そろそろ行きましょうか」
唯「へあ?どこに?」
梓「いや、どこにって……ムギ先輩をストーキングしにですよ」
唯「え? 今日!? 今から行くの!?」
梓「早くして下さい? ほら! 行きますよ!」シュタタ
唯「ちょ、ま、待って! いつの間に靴履いたの!?」
唯「待ってぇ! 鍵しなくていいの!? あずにゃ~~ん!」ドタドタ
・
・
48:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 00:37:19.30:Njui/pXp0
お昼
駅前!
唯(駅前に着いたけど……)
唯「電車乗るの?」
梓「いえ、ここで張り込みます」
唯「お?」
梓「この辺りでムギ先輩を目撃したというタレこみがありました」
唯(タレこみ……)
梓「大量の豚足を購入していたとの噂も」
唯「そんな女子高生おかしいでしょ……」
唯「張り込みなんてしなくても、下校途中のムギちゃんを尾行すればいいんじゃないの?」
梓「それは、ですね……ムギ先輩って電車通学でしょう……?」
唯「うん?」
梓「私、電車に乗ってる学生グループのテンションがどうにも苦手で……」
唯(そんな理由なの……!? ていうか、あずにゃんも学生だよ……)
52:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 01:09:40.62:Njui/pXp0
唯「ま、まあ……そういうことなら……トラウマは人それぞれだよね。何か、ごめんね……」
梓「いえ……」
張り込み開始!
5分後!
ミーンミンミンミン…
梓「暑~~……」
10分後!
ジーワジーワジーワ…
梓「あっついな~もう……サハラ砂漠並だよ……」
唯(……)
53:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 01:10:34.43:Njui/pXp0
15分後
ミーンジーワミーンジーワ…
梓「……うるっさいぞアブラゼミが! あぶら取りシートで巻くぞこの野郎!」
唯「うるさいよ……あずにゃん……何で他のセミは無罪なの……」
梓「あ! そうだ! 忘れてた! ムギ先輩、コンビニに現れるんだった!」
梓「唯先輩! コンビニ!コンビニで張り込みましょう!」
唯「絶対嘘だ……それ今考えた奴でしょ……」
唯「でも……もう……私も限界……コンビニ……行こっか」
・
・
・
コンビニ!
店員「いらっしゃいませぇ~~~」
唯梓「は~~~涼し~~~」
梓「アラスカ並ですね~~~」
唯「それは言い過ぎだよ~~~」
54:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 01:12:19.31:Njui/pXp0
唯「喉渇いたなぁ~ジュース買おうよあずにゃん!」
梓「!!」ササッ
唯「え……ど、どうしたの??」
梓「すみません……ペットボトルはちょっと……威圧されてる感じがして苦手なんです……」
唯(どういうことなの……)
梓「私、あっちで遊戯王カード見てますね」
唯「わ、わかった……」
5分後!
子供A「おねーさん何やってるのー?」
梓「これはサーチといって、袋を開けずにレアを見分けるテクニックでうんたらかんたら……」
子供B「マジで!?すっげーー!」
唯「……」
55:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 01:13:22.05:Njui/pXp0
10分後!
……その時
……唯は見た!
唯(暇だなぁ雑誌でも読んでよ……ん?)
紬「♪」テクテク
唯「……あ!!ムギちゃんいた!!」
唯「あずにゃんどうしよ! 外にムギちゃんいたよ!」タタタ
店員「お客さん! 困ります! サーチ禁止なんですよ! 流行らせないで下さい!」プンプン
梓「違います! 私はただ、勝つためには危ない橋を渡る必要がある事を、子供達に教えてただけなんです!」
店員「違わないじゃないですか! やめて下さい!」
梓「じゃあ何で触れる位置に陳列してるんですか!? この状態でサーチ禁止って! そりゃ無いでしょうよー!?」
唯(なにやってんのーーーー!?)ガーン
56:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 01:16:28.22:Njui/pXp0
唯「ごめんなさい店員さん! この子、ちょっと頭がアレなもんで……」
唯「もう! 何やってんの!? 行くよあずにゃん! ていうか、ムギちゃんいたよ!?」
梓「待って下さい!! 先輩!」
梓「今からあの店員が着てる、青と白の縞々の制服の白の部分を、このマーカーで塗り潰して真っ青にしてやるんですから!!」キュポッ!
唯「やめなよ!! 可哀想だよ!! 何わけわかんない事言ってんの!?」
唯「早くしてよ! ムギちゃん見失っちゃうでしょ!」
・
・
・
走って逃げて
再び駅前!
唯「はあ……ハア……」
梓「はあはあ……悪に背を向ける事になるとは……」ギリッ
唯「悪って……あのコンビニ結構使うんだから……気まずくなるでしょ!?」
57:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 01:19:38.08:Njui/pXp0
唯「それより、ほら! あれ!」
紬「ふんふふ~ん♪」
梓「はい、わかってます。先輩? ここからが勝負ですよ? 目立つ行動は控えてください」
唯「ゴクリ……」ドキドキ
梓「逆立ちとかしないで下さいよ? 目立ちますから」
唯(しないよ! できないよ!)
紬「そろそろ行こうかしら♪」
梓「あ! 移動しましたよ! 後付けますよ!?」コソリコソリ
唯「ラジャー!」コソリコソリ
・
・
・
PSP開始!!
紬「今日も暑いわ~♪」
紬「あ! 少し急がなきゃ♪」
梓「どこに行くんでしょうね」コソリ
59:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 01:21:41.44:Njui/pXp0
唯「……」
唯「……あんま実感無かったけど……よく考えたらさ」
梓「え?」
唯「私達、悪い事してるんだよね……?」
唯「それに、ムギちゃんの家ってお金持ちでしょ……?」
唯「どこかにボ、ボディガードの人とかいたら……」プルプル
梓「……フフ、怖くなっちゃいましたか?」
梓「大丈夫ですよ、唯先輩!」
唯「あずにゃん……」
梓「銃って、思ってるより当たりませんから」クスッ
唯「じゅ、銃!!? 撃たれる様な事になるの!?」
唯「想像の遥か上を行ったよ! なんにも大丈夫じゃないよ!」
唯「ていうか、私達、軽装過ぎない!? 私なんて手ぶらだよ?」
唯「カメラとかビデオとか使うんじゃないの? 何にも準備してないけど大丈夫?」
唯「ムギちゃんの先回りして、店とかトイレに何か仕掛けるんじゃないの?」
60:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 01:23:24.65:Njui/pXp0
梓「唯先輩はPSPと普通のストーカーを混同してます!!」
梓「確かにカメラを仕掛ける事もありますが……」
梓「お風呂とかトイレとか、プライベートエリアには絶対に仕掛けませんよ!」
梓「自宅の部屋とかの公共エリアだけです!!」
唯「部屋は公共じゃないでしょお!? 何その勝手なルール!?」
梓「ていうか……唯先輩……トイレにカメラって……」ゾワッ
唯「ち、ちょっと? 何であずにゃんが引いてるの!?」
唯「あずにゃんに引く資格なんて無いでしょお!?」ズイッ
梓「キャッ……嫌ッ……来ないでっ……」ナヨッ
唯「純情ぶらないでよ! キャッじゃないよ!!」
ガタタッ!
紬「ーーーーーー!?」キョロキョロ
唯(!!)ササッ
梓(ヤバ!)ササッ
紬「ん~~?」(警戒中)
61:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 01:25:25.54:Njui/pXp0
梓「唯先輩が大声出すからですよ!? 気付かれちゃったかも!」ヒソヒソ
唯「ぐっ……ご、ごめん……」ヒソヒソ
紬「うーん、おかしいなー……? 何か聞こえたような……」
紬「ストーカーとか……お風呂にカメラとか……」
唯(……)
紬「サーチ禁止とか……」
唯(!? それかなり前じゃない!?)
紬「残酷な処刑とか……」
唯(いいい言ってない! そんなの言ってない! 処刑って……え!? 私達をってこと!?)
紬「聞こえた気がしたけど……」
唯梓(……)ドキドキ
62:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 01:26:52.96:Njui/pXp0
紬「気のせいよね♪」
紬「あ、もうこんな時間!急がないと♪」テクテク
唯「……」
梓「……」
梓「……ふう~~。セーフみたいですね」ホッ
唯「い、今のはセーフと考えて良かったのかな……」
梓「多分……大丈夫です。ギリギリ三振です」
唯(アウトだよ……)
・
・
・
30分後!
商店街!
紬「もう始まっちゃったかな~?」
梓「何が始まるんでしょうね?」ソロリソロリ
唯「うん……ていうかムギちゃん、独り言の声大きいよね……助かるけど」ソロリソロリ
63:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 01:29:40.57:Njui/pXp0
梓「あ! 建物に入りましたよ!」
唯「この建物が目的地かな~? あ! 看板がある、ええーっと…」
『ガサ入れ上等!やらかしちゃうぜ!俺達のブラック競売所!』
唯「……」
梓「……」
唯「ええぇーー!? 何ここ!?」ガーン
梓「こ、こんな(素敵な)施設がこの街にあったなんて……!」
唯(入りたくない……)
梓「中が気になります! とにかく入りましょう!」ワクワク
唯「うぅ……やだよぉ~~! あずにゃん1人で行って来てよぉ~! 死にたくないよぉぉ~~!」グスッ
梓「何言ってんですか! 危険を冒さないと利益は得られません! ほら、ことわざでもあるでしょ!?」
梓「虎の穴に挿入して子供を得る、とか何とかそういう感じの奴が!」
唯「似てるけど何か違うよぉ~! 意味違ってきてるよぉ~!」
係員「本日の参加受付、あと2名で終了でーす」
唯(!? 図ったかのように!?)
64:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 01:32:37.49:Njui/pXp0
梓「あ、はーい! 私達参加しまーす! ほら、行きますよ!? ちゃんと歩いて下さい!」ズリズリ
唯「やあぁぁ~~~だぁぁ~~~!」ズリズリ
・
・
・
競売所!
係員「こちらにお座りくださーい」
梓「あ、どーも」
梓「係りの人、何もくれませんでしたね……価格提示は挙手でしょうか……」
梓「……お客さんは……20人くらい、かな」
梓「思ってたより普通な感じです」
唯「グスッ……普通じゃないよぉ……何を冷静に分析してんのぉ……」
唯「何でノーチェックで入れたの……怪しすぎるよぉ……」
梓「えーっと……あ! いた! ムギ先輩は前の方ですね」
梓「ムギ先輩から私達は見えませんが、目立たないように注意していきましょう」
唯「り、了解……」
65:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 01:33:49.31:Njui/pXp0
梓「始まるみたいですよ……!」
ワー!
パチパチパチ!
司会「エー、ァン、ホンジツワ、オアツマァリ、イタダキマス」
唯(なんで司会者がカタコトの外国人なの!?)ガーン
司会「アァン? マ、マコッ……アァン? マッコッ…………」
唯(詰まっちゃったよ!!)ガーン
係員「真に有難う御座いますだって! 真に有難う御座いますだって!!」ヒソヒソ
司会「アァン? マトコ?」
唯(懸命に教えてるよ!!)ガーン
ザワザワ…
コウタイ!コウタイシテ!…
ザワザワ…
司会2「えー……本日は御集まり頂き、真に有難う御座います!」
唯(代わっちゃったよ!! 何だったの!?)ガーン
66:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 01:35:36.46:Njui/pXp0
司会2「長々したおしゃべりは面倒ですので、早速、競売に移らせて頂きます!」
ワー!
パチパチ!
梓「どんな商品なんでしょうね?」ヒソヒソ
唯(ヤバイ物だよぉ……多分ここはお金持ちが集まるヤバイ所なんだよぉ……)
司会2「本日は週に2度の豚足デーですので、商品は全て豚足となっております。奮って御参加下さい!」
唯(豚足デー!? 何それ!? んん? 豚足……まさか!?)
ガタッ!
紬「よぉし来たーーー!!♪」
唯(ム、ムギちゃんーーー!? 噂は本当だった……!!)ガーン
紬「♪~♪~」
客A「お、おい……あの子!」
客B「ああ……豚足のムギだ」
唯(有名人なの!? なんか嫌な通り名だなぁ……)
67:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 01:36:58.52:Njui/pXp0
客A「マジかよ……」ガタガタ…
客B「昨日も……やらかしたらしいぜ?」
唯(だから昨日来なかったのかな……)
司会2「では、一品目。沖縄産豚足10kg! では、500から!」
600!
700!
900!
紬「うふふ♪……2000!!」
客達「おおおぉ~~~~!!」
唯(おおお~、じゃないよ……何この盛り上がり……)
…2200!
…2500!
紬「3500!!」
唯(単位が無いのが怖いよぉ……円? 円だよね??)
梓「クソ……4000!」
唯(なにしてんのーーー!?)ガーン
68:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 01:38:22.29:Njui/pXp0
司会2「はい、決定! 4000で落札です!」ズビシッ!
梓「いよっしゃーーっ!!」
唯(競り落としちゃったよ!!)ガーン
唯「ちょっ! ちょっと!? あずにゃん駄目でしょ!?」ヒソヒソ
梓「う……すみません。もっと安く落札するべきでしたよね……でも、次は頑張ります!」
唯「そんな目的じゃなかったでしょ!?」
唯「違うよ! 目立っちゃ駄目でしょって言ってんの!」ヒソヒソ
梓「だって……だって私も参加したかったんだもん!!」
唯「子供じゃないんだから! わんぱく過ぎだよ!」ガーン
梓「もう! 気付かれて無いんだから、いいでしょう!?」プンプン
唯「何で怒ってんの……ていうか気付かれ無かったんだ……奇跡的な奇跡だよ……」
紬「あ~あ、全部落札したかったんだけどな~」シュン…
唯「ほらぁ~! 可哀想に……ムギちゃんションボリしてるじゃん!」プンプン
梓「わ、わかりました! 目立っちゃ駄目でしたよね! もうしません! 私、超わかりました!!」
唯(ホントにわかったのかなぁ……)
71:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 01:46:07.52:Njui/pXp0
その後、ムギちゃんは次々出てくる豚足を全て落札していきました
時々あずにゃんが「3000!」とか「5000!」とか「糞がぁ!」とか
言ってた気がするけど、たぶん気のせいだと思います
1時間後
係員「本日は終了でーす。有難うございましたー」
唯(……結局、この競売所は何だったのだろうか)
紬「今日はまあまあだったかな♪」
唯(ムギちゃん……あんな大量の豚足、どうする気なんだろ)
紬「よいしょっと……、じゃあ帰ろうかしら♪」ズリズリ
唯「あ! 移動したよ! あずにゃん何してんの? 行くよ?」
梓「お、重いぃ~……唯先輩! 豚足半分持って下さいよ~……」ズリズリ
唯「知らないよぉ……自分が悪いんでしょお……」
梓「重いよ~……臭いよ~……邪魔だよ~……」ズリズリ
唯(何で落札したのさ……)ズーン
72:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 01:47:53.11:Njui/pXp0
・
・
・
30分後
再び駅前!
紬「よいしょ♪よいしょ♪」ズリズリ
唯「ムギちゃん……遠くから見ると豚足の塊が歩いてるみたい……」
梓「ムシャリ……豚足の影に隠れて、ほとんどムギ先輩が見えませんね……見失わないよう注意しましょう」ムシャムシャ
唯「見失わないよ……逆に目立ってるもん……」
紬「よいしょっ……と♪」ピピッ
唯「あ! 改札通った! ムギちゃん電車乗るよ?」
唯「あずにゃん電車はトラウマだよね? どうすんの!?」
梓「ええ!? ヤバイ! どうしよう! えーと……」アワワ
唯(やっぱりこの子何も計画してないよぉ……)
梓「あ! そうだ! 二手に分かれましょう! 先輩はこのまま尾行を続けて下さい!」
梓「で、ムギ先輩が降りたら連絡して下さい! 私は後からタクシーで行きます!」
73:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 01:49:30.81:Njui/pXp0
唯「ええぇーー……」
梓「大丈夫です! 私がサポートします! 何かあったら電話して下さい!」
唯「うぅ……もう、わかったよ……」
ハッシャシマース
・
・
・
電車内!
ガタタン…ゴトトン…
紬「暑かった~♪」ポタポタ
唯「……」コソリコソリ
唯(勢いで単独行動になっちゃったけど……)
唯(不安だよぉ……)
携帯『ヴーーヴーーヴーー ---着信 あずにゃん---』
唯(電話だ。あずにゃん、心配してくれてるのかなぁ?)
唯「(電車の中だけど……仕方ない!)ピッ はい、もしもし?」ヒソヒソ
74:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 01:50:21.48:Njui/pXp0
梓『唯先輩! 聞いてください! ヤバくて! 大変なことになって!!』
唯(ええぇーーー!?)ガーン
唯「何でそっちがトラブルになってんの!? どうしたの!?」
梓『何かわかんないんですけど、大量の蟻が寄って来て、蟻に手足の自由を奪われそうなんですよぅ!』
唯(どんな状況!?)ガーン
梓『唯先輩! ど、どうしたらいいですか!? ああ!? やめて! 内側に入らないで! ああぁ!』
唯「ええぇー……わかんないよぉ……えーと、水に飛び込む、とか……?」
電話『タタタッ……ザッパーン! ドボン! ブクブクブク……プッ、ツーーーツーーーツーーー……』
ピッ
唯「…………」
唯(よぉ~し……監視に戻るぞぉ……)
ガタタンゴトトン…
それから監視を続けましたが、驚くほど何もありませんでした
・
・
75:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 01:53:41.99:Njui/pXp0
しばらく後!
紬「着いた~♪」
紬「あ、融けてるわ~早く帰らないと~♪」ポタタッ
唯(あ! ムギちゃん降りた! 電話しないと!)
ピポパ
プルルルルル
梓『……はい、どうしました?』ポタポタ
唯「あ……さっき大丈夫だったの?」
梓『はい、何とか……豚足は沈んでしまいましたが』ポタポタ
唯「そうなんだ……あ、そうだ、ムギちゃん○△駅で降りたよ!」
梓『○△駅ですね!? わかりました! ヘイ! タクシー!』
運転手『はーい、どこま……でえぇ!? 何でキミずぶ濡れなの!?』
梓『いいから! ○△駅まで!』
運転手『いやいや、良くないよ……電車で行ったほうが早いでしょ?』
76:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 01:55:10.05:Njui/pXp0
梓『違うんです! 先輩が豚足の塊で電車乗ったんですけど、学生グループのテンションが苦手で乗れなくて、
二手に分かれたんですが蟻の大群に自由を奪われたから、タクシーで○△駅に行かないと駄目なんです!』
運転手『……! わかった、乗りな』
唯「……」
梓『じゃあ唯先輩! すぐに行きますんで尾行の続きお願いします!』
唯「うん……了解……」
ピッ
唯(運転手さん……何がわかったというの……)
唯(世の中には私の知らないことがいっぱいあるんだなぁ……)
唯(不思議だなぁ……)ホゲ~
唯(まあ、友達を尾行してる私も十分不思議な存在だよね……)
唯(まあ最初は気乗りしなかったけど、実はムギちゃんの実家、気になってたんだよね~テヘヘ)
唯(もう近いのかなぁ~…………あれ……?)キョロキョロ
唯(あれ!? う、嘘……!?)キョロ!キョロロッ!
77:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 01:56:21.68:Njui/pXp0
唯(……)
唯(見失っちゃった……)
・
・
・
しばらく後!
駅前!
ブゥーン…キキッ
ガチャ
梓「運転手さん、どーもです!」
梓「さてと……唯先輩どこにいるんだろ……」
梓「ちゃんと尾行できてるかな……電話してみよう」ピポ
唯「……あずにゃん」ヌウゥ
梓「あれ!? 唯先輩?」
唯「えとね、あの……ね」
梓「ムギ先輩、まだ駅にいるんですか? どのへんですか??」
78:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 01:57:38.10:Njui/pXp0
唯「あの……その……」
梓「??」
唯「……見失っちゃった」ボソッ
梓「え……」
唯「……ごめんね!」
梓「……」
唯(あずにゃん怒るかなぁ……見失わないよぉとか言っちゃったしなぁ……)
梓「先輩……」
唯(ひぃぃぃ)
梓「もう~! だめじゃないですか!」ニコッ
梓「なに落ち込んでるんです? 唯先輩は初PSPだから仕方ないです!」
梓「まだ近くにいるかもです! 探しましょう!」
唯「あずにゃん……」グスッ
梓「それに、唯先輩がいたからここまで来れたんですよ! 私の方がミスしちゃってますからね…///」
唯「ハハハ……」
79:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 01:59:08.18:Njui/pXp0
梓「コンビニで騒いじゃったり……」
唯「あれはびっくりだったよぉ」
梓「電車乗れなかったり……」
唯「あずにゃんは繊細だったんだねぇ」
梓「お寿司屋さんのいけすに飛び込んじゃったり……」
唯「あの時……かな? いけすに飛び込んだんだ……」
梓「唯先輩の名義であんな事しちゃったり……」
唯「え?」ピク
梓「タクシーの運転手さんと目を合わせて話せなかっ
唯「待って、あずにゃん……ちょっと待って……?」
梓「おじさんだったから、ちょっと怖くて……目見れなくて……」
唯「いやいいよ! それはいいよ! 何かどさくさでカミングアウトしてなかった……? 私の名義でどうとか……」
梓「……すみません……つい」
唯「え……!? 何やったの……?」
80:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 02:00:48.29:Njui/pXp0
梓「すみません……グスッ……すみません……もうしませんから……」メソッ
唯「何泣いてんの……? 謝らないでよ……? ええぇーー? ちょっ」
唯「怖い怖い怖いっ! そういう反応が一番怖いよ! 何してくれちゃったの!?」ガーン
梓「……」
梓「そ、そうだ! アイス! 唯先輩! アイス食べましょう! ガリガリ君!」
唯「アイスを買いかぶり過ぎだよ! アイスって言えば私が何とかなると思ってるの!?」
唯「あと、ガリガリ君は売れ過ぎで販売停止中だよ!!」プンプン
梓(しまった……! スイカバーだったか……!)
梓(このピンチ……どう切り抜ければ……)
梓(……ん? あれって……もしかして!)
唯「聞いてんの!? 大体ね!? あずにゃんは昨日から頭がおかし
梓「唯先輩! あれ! 見てください!」
唯「ええ? 何?」
梓「水溜まりですよ! ほら!」
唯「だからなんなの!? 私があの水溜まり並って言いたいの!?」プンプン
81:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 02:01:42.86:Njui/pXp0
梓「違います! ムギ先輩、見失ったけど……まだ大丈夫かもしれないんです!」
唯「??」
梓「物が動けば、そこに必ず跡が残ります……追跡(トラッキング)です!」
唯「トラ……え?」
梓「あの水溜まりは……たぶんムギ先輩が持ってた豚足の、保冷用の氷が融けたものだと思います!」
梓「ほらっ! 道みたいに続いてますよ! あの痕跡を追いましょう!」
唯「待ってよ! まだ話が終わってないでしょ!?」
ジュワワ~
梓「あ!? 水溜まりが蒸発し始めた! 早く行きましょう! ほら!」タタタ
唯(押し切られた…)
・
・
・
それから……私達はムギちゃんが残したと思われる水溜まりを辿っていきました
途中、あずにゃんの前衛的なストーキングのせいで数々のピンチに見舞われましたが
ある建物に行き着くことができました
82:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 02:12:09.09:Njui/pXp0
梓「……ここですよね?」
唯「うん……ここで水溜まりが途切れてたね……」
『麺処 ことぶひ』
唯梓「……」
唯「ムギちゃんの実家かなぁ……?」
梓「うーん……系列店の1つなのかも……」
梓「もしくは……このお店に突然、相撲部の部員が大勢やって来た上に、
全員とんこつラーメンを注文するもんだから、スープに使う豚足が足りなくなり、
店主が困っていた所に、偶然大量の豚足を持ったムギ先輩が通りかかって、
ムギ先輩は店主に豚足を差し上げたついでに、遅めのお昼を食べているだけ
かもしれませんよ……」
唯「長いよ! そして違うよ! 私もわかんないよ? わかんないけど、あずにゃんの予想は違う気がするよ!」
唯梓「……」
梓「……取り合えず入りますか」
唯「え!? 入るの?」
83:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 02:13:54.18:Njui/pXp0
梓「ここまで来たのに、入らなかったら意味ないですよ!」
唯「いや、でもぉ……流石にバレちゃうよ」
梓「たぶん大丈夫です! 相撲部の人の影に隠れていれば見つからないはず!」
唯「それあずにゃんの妄想の話でしょ!? たぶん相撲部いないよ! 来てないよ!」
梓「我は……確率を統べる者! 来たれ相撲部!!」
ガラッ!
唯(気持ち悪い事言いながら扉開けたーー!!?)ガーン
イラッシャイマセー
客A「……」ムシャムシャ
客B「……」ズルルルッ
客C「……」ガツガツガツ
梓「いない……?」
唯(相撲部いなかった! やっぱり! やっぱりね!)ガーン
84:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 02:14:53.93:Njui/pXp0
梓「ゆゆゆ唯先輩!? どうしましょう!!?」アワワ
梓「そ、そうだ! 私が相撲部に入部すればいいんだ!」アワワワ
唯「ちょっと! あずにゃん落ち着きなよ!」
・
・
・
しばらく後!
取り合えず私達は店内に入り、座敷に座りました
梓「すみません、取り乱しました……」
唯「ホントだよ……かなりキテたよ……」ペラッ
梓「ていうか、ムギ先輩いませんね……ここは関係無かったんでしょうか……」
唯「どうだろう」ペラッ
梓「もう手掛かり無いですよ……どうしましょう……」
唯「うーん」ペラッ
梓「唯先輩聞いてますか!? なにメニュー見てるんですか!」
85:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 02:15:54.19:Njui/pXp0
唯「入っちゃったんだから注文しないとおかしいでしょ!」
唯「あと、お腹空いてるんだよ! あの時のイカも結局グチャグチャになっちゃったし!」
唯「ラーメン食べたいよ!」グスッ
梓「泣かないで下さい……わかりました、休憩にしましょう!」
唯「わぁーい!」
唯「ど・れ・に~しようかなぁ」ペラッ
梓「とんこつが充実してますね」ペラッ
唯「あ、私これにする! とんこつラーメンと半チャンのやつ!」
梓「えーっと、トンチャンセットですね。私もそれにします」
唯「わかった!」
唯「すいませーーん! 注文いいですかーー?」
紬「はぁ~い♪」
唯梓(!?)ドキ!
唯「どどどどういうこと!? ムギちゃん厨房の中にいるよ!?」ヒソヒソ
梓「ま、まさか、中で働いてるとは……」ヒソヒソ
86:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 02:16:40.45:Njui/pXp0
紬「あれ? 今の声……」
唯梓(ヤバイ……!)
唯「ムギちゃんこっち来るよ!? バレちゃうよ!?」ヒソヒソ
梓「取り合えず変装しましょう! ジュン(羊)の毛で作ったウィッグです! 被って下さい! カポッ(装着)」ヒソヒソ
唯「白いアフロ!? まあいいや! でも、声でバレちゃうでしょ!? カポッ(装着)」ヒソヒソ
梓「大丈夫です! こんな事態を想定して変声機を持ってきました! これを使ってください!」ヒソヒソ
唯「変声機って……何かおもちゃみたいだよ!? ロフトあたりで売ってそうだよ!? 大丈夫なの!?」ヒソヒソ
紬「唯ちゃんっぽい声だったような……」スタスタ
唯(……あーもう! やるしかない!)
唯「スイマセン! トンチャンセットヲ、フタツ、オネガイシマス!」ピーガー
唯(ほら高い! 声が高いよ! 宇宙人みたいになってるよ!!)ガーン
梓「ブフッ! クププッ! プスッ(笑)」ピクピク
唯(なに笑ってんのぉ……!)
紬「あ、あれ? ごめんなさい、知り合いの声に似ていたもので……」
紬「トンチャンセット2つですね♪かしこまりました♪」タタタ
87:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 02:19:00.91:Njui/pXp0
唯梓「……」
梓「ふう~~……何とか回避したようですね……」
唯「ていうか、ムギちゃん働いてたよ!? どういう状況!?」
梓「わかりません……バイト、とかでしょうか……」
ガチャ
斉藤「おや? 紬ちゃん、帰ってたのかい?」
紬「あ、ただいま~。お、お、お義父さ…………斉藤さん」
唯(何か訳ありっぽい……!)
斉藤「ふふ、無理しなくてもいいんだよ。それより、競売に行って疲れてるだろう? 休んでておくれ」
紬「ううん、いいの! このお店は……お父さんの……私のお店だから」
斉藤「紬ちゃん……」
唯「どういう事なの!? ここ実家っぽいよ?」ヒソヒソ
梓「うーん……豚足はラーメンのスープ用だったんでしょうか……」ヒソヒソ
唯「いや、豚足よりムギちゃんが気になるよ……ムギちゃんの実家ってお金持ちじゃなかったの?」ヒソヒソ
梓「セレブの振り、してたんでしょうか……」ヒソヒソ
88:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 02:20:17.84:Njui/pXp0
斉藤「それと……紬ちゃん、アレ……まだ続けるのかい?」
紬「……お嬢様キャラ、の事かしら」
梓「あ! 都合良く話し出しましたよ!」ヒソヒソ
唯「……」
紬「……斉藤さんには、話しておくべきね」
紬「……そう、あれは……1年生の時……」
唯(語り出した……ラーメン作らなくていいの……?)
紬「私は軽音部に入部した当初、自分の実家がラーメン屋だと皆に言い出せなかったの……」
紬「あの時の私は、ラーメン屋も……お父さんも好きじゃなかったから……」
紬「小さい頃から修行修行の日々……普通の学生生活を送ることもできなかった……」
紬「あげく、お父さんは『金髪豚』を求めて家を出て行っちゃうし……」
紬「とにかく……私は、自分がラーメン屋の娘だと言いたく無かった、認めたく無かったの……」
紬「だから私は決意したの……自分はお嬢様って事にしようと!」
紬「お嬢様だったら世間知らずでも納得がいくでしょ? ラーメン屋をカモフラージュできると思ったの!」
唯(ムギちゃん……)
90:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 02:26:58.16:Njui/pXp0
楽器屋店員「なるほど……あの時、何故ギターを値切る芝居をしてくれと頼まれたのか……やっと謎が解けました」ズルルッ
紬「あ、あなたは……! あの時の楽器屋さん……!」
唯(ギー太買った時の店員さん!?)
楽器屋店員「セレブの振りをする芝居だったんですね……」
楽器屋店員「しかし、25万のギターを5万です……差額を準備するのは大変だったでしょう?」
紬「……ええ。正直、自腹で20万円はキツかったわ……」
唯(ごめんなさい!!)ズキッ!
紬「でも、あの出来事が私の考えを確信に変えたの……」
紬「唯ちゃんのためにも、軽音部のためにも……お嬢様キャラが必要だ、って」
梓「私も偉そうな事言えませんが……何か唯先輩が原因の一端みたいですよ……」ヒソヒソ
唯(ぐはぁーー!!)ズキッズキッ!
紬「お菓子やお茶を用意するために、皆に内緒でいろんなアルバイトをしたわ」
梓「バイトって……MAXバーガーは、結構ガチのバイトだったんですね……」ヒソヒソ
唯「自前で用意してたなんて……」ヒソヒソ
92:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 03:03:36.72:Njui/pXp0
紬「夏には別荘管理のアルバイトをして合宿地を用意したわ……」
梓「人の別荘だったんですね……」ヒソヒソ
唯「勝手に使って大丈夫だったのかな……?」ヒソヒソ
紬「後で怒られちゃったけど……持ち主さんがラーメン好きで助かったわ……」
唯(ラーメンで何とかしたんだ……)
斉藤「紬ちゃん……そこまでしなくても……」
紬「いいえ、斉藤さん。大変だけど……後悔はしてないの!」
紬「合宿は私にとって……たぶん皆にとっても良い思い出になったと思う!」
紬「それに、お茶の時間があったから、今の軽音部があるんだと思うの!」
紬「今なら……お父さんの気持ち、わかる気がする。大切な物のために無我夢中になってたんだと思う……」
紬「お父さんの大切な物は、豚骨ラーメン……そして、私にとって大切な物は、軽音部なの!!」
唯(ムギちゃん……)
梓(ムギ先輩……)
斉藤「でもね、紬ちゃん。私は君の事が心配なんだよ」
斉藤「今からでも皆さんに打ち明けることはできないのかい?」
93:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 03:04:32.44:Njui/pXp0
紬「駄目よ! 言えないわ!」
紬「私がお嬢様じゃないって知ったら、皆がっかりしちゃうじゃない!」
唯(ムギちゃん……そんな事ないよ……)
紬「おやつだって……毎日、豚骨ラーメンを出す事になるのよ!?」
紬「そんな事できないわ! 女子高生なのよ!? 体重とか気になるじゃない!」
唯(確かに毎日は……って、別に出さなくていいんじゃないの……!?)
紬「バンド名だって変わっちゃうわ……放課後ラーメンズになっちゃうじゃない!」
唯(そこも変わるの!?)
紬「そうなったら歌詞も変えないと……」
紬「♪君を見てると~いつもハートが千葉!滋賀!佐賀!♪って、どういうことなの!?」
唯(さっきからムギちゃん何言ってるの!?)
紬「私は……お嬢様じゃないといけないの!!」
斉藤「紬ちゃん……」
唯(……)
95:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 03:09:00.40:Njui/pXp0
梓「そんな事ないっス!!」ガタタッ
唯(!)
唯「ちょっ!? 会話に参加しちゃ駄目だよ……!」ヒソヒソ
梓「たぶん大丈夫ですよ! 変装もしてますし、低い声で喋ればバレませんよ!」ヒソヒソ
紬「お、お客さん……? 何ですか、いきなり……」
唯(大丈夫だった……! ムギちゃんも相当だよ……)
梓「そんな事ないって、言ったんス!」
梓「バーメン(※)信じて、本当のリアルを打ち明けるべきっス!」
※メンバーとほぼ同意の業界用語
紬「……お客さんに何がわかるんですか? ていうか誰なんですか?」
梓「自分もダレス(※)やってるんス。だから姐さんのソウル、わかりますっス」
※「音楽」のかっこいい言い方。音楽に国境は無い→ボーダレス→ダレス
紬「え……」
梓「自分……昔、結構ツッパってて、今のバンドやめかけた事があるんス」
梓「でも、こんな勝手な自分を、バーメン……ていうか先輩方は受け入れてくれたんス!」
96:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 03:13:25.44:Njui/pXp0
梓「そんとき自分、思ったんス! このバーメンは最高のバーメンだって」
紬「……」
唯(あずにゃん……)
紬「でも……偶然うまくいったのかも……」
梓「……姐さんも感じた事あると思いまス」
紬「え?」
梓「演奏するとバーメンが一つになった様な、あの感覚を……」
紬「た、確かに……」
梓「普段、バラバラに見えても、どんなに距離を感じても、演奏すると一つになる……」
梓「それは、バーメンが最高だからなんス!!」
紬「!」
梓「バーメンも、きっとわかってくれるっス!」
梓「姐さんがラーメン屋の娘でも、バンドが変わる事は無いっス!」
紬「でも! 毎日のおやつが豚骨ラーメンになるんですよ!? 苦痛に感じちゃうかも……」
97:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 03:14:10.36:Njui/pXp0
梓「姐さん……それはちょっと違うっス」
唯(お?)
梓「姐さんは豚骨ラーメンにこだわり過ぎて、周りが見えなくなってるんス」
唯(おお?)
梓「別に毎日豚骨ラーメン出す必要は無いんス」
唯(おおお?)
梓「曜日交代でラーメンをチェンジすればいいんス!」
唯(違う!)
梓「醤油や味噌ラーメンを忘れちゃってまス!」
紬「な、なるほど……!」
唯(そういう事じゃないよぉ……)
梓「醤油、味噌、塩、豚骨、付け麺のローテーションっス!」
唯(いや知らないよ……)
紬「お客さん……わかった! 私……皆に打ち明けてみる!!」
唯(わかっちゃった……)
98:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 03:21:38.29:Njui/pXp0
梓「姐さん……! その意気っス! ファイトっス!」
紬「お客さん、ありがとう。なんだか勇気出てきたわ♪」
梓「恐縮っス!」
唯(でも、まあ)
唯(ムギちゃんの口から打ち明けてくれるみたいだから、万事OKかな)
紬「よぉし……じゃあ感謝の意味を込めて」
紬「今日は、お客さんのために歌おうかしら」
唯(うたう……?)
紬「お父さんが……いつも言ってたわ」
ガララッ カシャン!
唯(!? 厨房の中からキーボードが……!!)
紬「ラーメンとピアノは似ているって」
唯(?)
紬「(出汁を)出して駄目なら(ピアノを)弾いてみろって」
唯(??)
101:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 03:27:39.26:Njui/pXp0
紬「聴いて下さい! ハニースイートティータイム!!」
唯(ええぇ~~……)
♪はーちみーつ いーろのー
ポロロン ポロロロン
唯(歌いだした……)
♪ごーごがー すぎーてくー
♪ハニー スイート ティータイム
唯(ていうか、さっきからあずにゃんの姿が見えない……まさかね)
♪はーちみーつ いーろのー
ポロロン ポロロロン
ジャカジャカ ジャカジャカ
唯(……ん?)
♪ごーごがー すぎーてくー
梓「♪ハニー スイート ティータイム!」
唯(参加しちゃってる……ちょっと予想してたよ……)ガーン
紬「♪マカロン 飛行船」
ジャンジャカ ジャンジャカ
102:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 03:29:08.78:Njui/pXp0
唯(ストーキングが大胆過ぎるよぉ……どこからギター出したの……)
梓「♪時計は ラング・ド・シャ!」
唯(地声で歌っちゃ駄目でしょお……!)
紬「♪胸がキュンとなるほうへ~~ 出かけよう!」
唯(……疲れた、しばらく見てよう)
紬梓「♪笑顔の花咲く空の下 あふれてしまうの こーきしん! マキシ!」
楽器屋店員「グスッ……へへっ、今日のラーメンは塩味が効いてるぜ……」ボソッ
紬梓「♪赤道色の リボンかけた 地球はお菓子箱 夢つまってる!」
ワー!ワー!
キャー!キャー!
梓「みんなー! ライブ来てくれてありがとー!!」
ジャンジャカ ジャンジャカ
紬「♪はーちみーつ いーろのー ごーごはー なにーあじー?」
梓「♪ハニー スイート ティータイム!」
唯(2番突入……!)
103:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 03:30:23.56:Njui/pXp0
紬「♪はーちみーつ いーろのー ごーごはー なにーあじー?」
梓「♪ベリー キュート アズニャン!」
唯(歌詞変えちゃったよ……)
紬「♪ガレット 駐車場」
梓「♪にゃあ!」
紬「♪野良猫 ザッハトルテ」
梓「♪にゃあ!」
唯(にゃあ! じゃないよ……)
紬「♪今日こそやりたかったこと~~ 始めよう!」
ワー!キャー!
紬梓「♪光の絵の具 こぼした街 瞳に映る全部が 未来! レシピ!」
唯(そして完璧なコンビネーション……)
紬梓「♪青空色で ラッピングされた 世界は贈り物 開けていいかな?」
唯(何でバレないの……ムギちゃんもかなり図太いよぉ……)
梓「♪道に迷ったら お茶にしましょう」
104:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 03:31:42.49:Njui/pXp0
唯(あ、図太いって言っても眉毛じゃなくて)
梓「♪願いはキャンディースプーンに 切なさはティーポットに」
唯(神経が骨太って事を言ったわけで)
梓「♪気持ち クルクル ユラユラ まぜて」
唯(骨太……豚骨なだけにね!)
梓「♪悩みも……フフフフン フフン」
唯(うまいこと言っちゃったなぁ~テヘ!)
梓「♪きっと~~ 明日も 晴れますように!」
唯(……)
ワー!キャー!
梓「♪笑顔の花咲く空の下 あふれてしまうの こーきしん! マキシ!」
唯(ていうか、さっきから出しゃばり過ぎだよ……あずにゃんしか歌ってないよ……)
梓「♪赤道色の リボンかけた なーんとかかんとか! 食べちゃお!」
梓「♪青空色で ラッピングされた 世界は贈り物 開けていいよね!」
ジャンジャカ ジャンジャカ ジャーンジャーンジャーーン……
106:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 03:52:16.05:HoJGWbfp0
梓「はあ……はあ、みんな! 一緒に歌ってくれてありがとー!」
ワー!ワー!
キャー!キャー!
唯(……)
梓「ふう……じゃあ! 次の曲っ!!」
唯「もういいよーーー!!」ズバッシコーン!
その後もライブは続きましたが、どうにかムギちゃんに気付かれる事なく
あずにゃんを連れ出し、お店を出ることができました
あと、私達が注文したラーメンは出てきませんでした
・
・
108:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 04:05:11.72:Njui/pXp0
帰り道!
唯「まったく……バレなかったのが不思議だよ!」プンプン
梓「目立っちゃ駄目でしたよね……ド忘れしてました……」
唯「よりによって、そこをド忘れしたんだ……」
梓「すみません、ムギ先輩の話を聞いてたら……気が動転しちゃって」
唯「……そうだね。私もビックリしたよ」
梓「ムギ先輩のセレブは、キャラだったんですね……」
唯「うん。今まで気付かなかったよ……」
梓「ずっと内緒でバイトして、お茶とか用意してくれてたんですね……」
唯「そうだね……」
梓「ムギ先輩は影から軽音部を支えてくれてたんですね……」
梓「そう考えるとムギ先輩も、ある意味PSPと言えますね……」
唯「うん……? それは、ちょっとわかんないかな……」
梓「でもまあ、ムギ先輩も打ち明ける気になってくれたみたいなので」
梓「私達は、こっそりと全力でサポートしていきましょう!」
109:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 04:17:31.04:Njui/pXp0
唯「もちろんだよ!」
梓「たとえ……ラーメンをかけられる事になったとしても!」
唯「もう~! ムギちゃんそんな事しないでしょ!」
梓「えっ? あ~……ああ! そうか、そうでした!」
唯「もう~! あずにゃんったら!」
ウフフ アハハ エヘヘ
梓「じゃあ……今日はこの辺で。唯先輩、お疲れ様でした」
唯「うん。じゃあね~、あずにゃん!」
梓「はい、ではまた学校で。失礼します」
・
・
・
平沢家!
唯「はあ……今日は疲れたなぁ」
唯「ていうか……お腹減った……」ゲッソリ…
唯「ただいまぁ~」
110:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 04:19:15.09:Njui/pXp0
ガチャリ
憂「おかえり、お姉ちゃん」
唯(あ! 忘れてた……!)
憂「遅かったね。なにしてたの?」
唯「ち、違うんだよ、憂……」
唯(あずにゃんと会ってたって言ったら怪しまれる……? なんて言い訳しよう……!)
憂「あ! そ、そうか/// お店に行ってたんだよね///」
唯「違うよぉ……! 憂は誤解してるよぉ! そういうお店には行ってないよぉ!」
憂「……クスッ、フフフッ……ごめんね、お姉ちゃん。大丈夫、わかってるよ」
唯「え? あ、あれ? わかってるの?」
唯(そうだよね! 私がそんなとこ行くわけ無いって、憂ならわかってくれてるよね!)
憂「15禁のお店……って事だよね? それならお姉ちゃんの年齢でも問題無いもんね?」
唯「いや違う! 違うよ! わかってないよ!」
憂「確かに……わかってない、かな」
111:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 04:20:06.81:Njui/pXp0
憂「15禁の方が直接的な描写が無い分、いろいろ想像できるから、
むしろ興奮するって言いたいんでしょ? ……確かに私には、その感情はわからない」
唯「違うよぉ! 何でそんな難しく考えちゃうの!?」
唯「ほ、ほら! 河川敷! 河川敷を散歩してたんだよぉ……!」
憂「えっと……どういう事? お姉ちゃんにとって河川敷は性の対象でしかないってこと?」
唯「違……って、ええ!? もう憂の言ってる事がわかんないよ!」
憂「私の方がわかんないよ! つまりどういう事なの!? 私と付き合いたいって事!?」
唯「ええぇ!? 違うよ! 何でそうなるの!?」
梓「ぅぅう~~ん? ういー……うるさくて眠れないよー……」
唯「だから何でいるの!? 私のパジャマ着ないでよ!」ガーン
憂「梓ちゃあん! お姉ちゃん、私とは付き合えないって……!」ウルッ
梓「ひ、酷い! ……いや、待って憂! 唯先輩はそんな事言わないよ!」
梓「たぶん、何かに憑かれてるんだよ!」
憂「ええっ!?」
唯「話をややこしくしないでよ!!」
112:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 04:21:40.12:Njui/pXp0
梓「河川敷……そうか! 水辺には集まり易いって聞くし……間違いない! 完全に憑かれてるよ!」
唯「なにその乱暴な推理!?」
憂「そ、そんな……どうすればいいの??」
梓「大丈夫! 私が除霊する!」
唯「ええぇ~~……」
梓「唯先輩! 今助けます! 取り合えず眠って下さい!」
唯「いや、今すぐは無理だよぉ……」
梓「じゃあ目を閉じるだけでいいです!」
憂「お姉ちゃん! 梓ちゃんの言う通りにして! 持っていかれちゃうよ!?」
唯「うう~……わかったよぉ……」
梓「では、始めます! 除霊中は喋らないで下さいよ!?」
唯(何されちゃうんだろ……?)( ̄へ ̄;)
梓「憂、対魔装束ある?」
憂「待ってて! 探してくる!」トタタ
唯(……)
113:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 04:22:52.48:Njui/pXp0
憂「梓ちゃん……巫女さんコスプレセットしか無かった……」
梓「え!? う~ん、まあ何とかなるか。ありがとう!」
唯(ええぇー……)
梓「よいしょっと……」ゴソゴソ
憂「梓ちゃん可愛い~!」ピロリン
梓「も~、写メ撮らないでよ~!」キャッキャッ
憂「梓ちゃんだって、しっかりポーズ取ってるでしょ~!」ウフフ
唯(除霊してる空気じゃないよぉ……)
梓「よし……じゃあ、いくよ」
憂「頑張って! 梓ちゃん!」
梓「霊さん! いや、霊大先生! 唯先輩の体から出て来て下さい!
是非お願いします! 何でもしますから! すいません! 出て来て下さい!」
唯(すっごい下からだなぁ……)
しばらく後
梓「……く、来る!」
114:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 04:35:21.85:Njui/pXp0
憂「梓ちゃん! 何か出て来たよ!?」
唯(なに出てきたのーーー!?)ガーン
梓「よし! 退治するから憂は離れてて!」
憂「わ、わかった!」
唯(ヒィィィ……!)
梓「フッ……ハッ! セイ!」ドゴッ!
憂「梓ちゃんナイス! いい蹴り入ったよ!」
唯(肉弾戦……!?)
バシッ! バコッ!
梓「ハアッ! ゥオラッシャァ!!」バシコーン!
憂「やったーー!」
唯(……)
梓「ゼェ……ハァ……」
憂「お姉ちゃん? 終わったみたいだよ!」
唯「そ、そうなの……? お疲れ様……」
115:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 04:36:51.55:Njui/pXp0
憂「梓ちゃん、ありがとう! 大丈夫?」
梓「ヒャヒャ! ヒャヒャーヒャッヒャァー!」ヒャヒャーン
唯「……」
唯「何か大丈夫じゃなさそうーー!!」ガーン
あずにゃんに秘められた対魔能力のおかげで、どうにか憂の誤解を解くことができました。
あずにゃんは夕ご飯を食べた後、「呼んでるから」と言い残し帰宅しました。帰して良かったのかなぁ……
そんなこんなで、長かった1日が終わりました……
・
・
・
数日後!
部室!
ムギちゃんストーキング後、初の活動日です
私とあずにゃんは作戦会議のため、少し早く部室に集まりました
120:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 08:17:30.66:Njui/pXp0
梓「では、他の先輩方が来る前に、作戦会議しておきましょう」
唯「りょーかい!」
梓「まずは普通にトークします。あくまで自然に」
梓「その後はムギ先輩がカミングアウトするまで見守りましょう」
梓「以上です」
唯「早いなぁ……もう会議終わっちゃったよ」
梓「あとは、いろんな状況を想定した対応マニュアルを作ったので見ておいて下さい」
ドサッ
唯「分厚っ!? 無理無理、時間無いよ!」
梓「ええ!? ど、どうしよう! こういう状況の時の対処方法は……えーっと」ペラッペラッ
唯「載ってるの!?」
梓「あった!」
『トラブルNo.226 もし唯先輩に速読スキルが無かったら』
唯(何であること前提な書き方なの……)
梓「えっと、なになに~……“時間が無いので、心得1だけ実践する”」
121:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 08:20:57.57:Njui/pXp0
唯「心得1……? えーっと、どこだろ」ペラペラッ
唯「あった!」
『心得1 何らかのトラブルになった場合、取りあえず唯先輩が江頭2:50のモノマネをして場を和ます』
唯「……」
梓「……何とかいけそうですね」
唯「いけないよ! より悪化しそうだよ! どういう事なのこれ!?」
コラー リツー
梓「あ! 外から話し声が聞こえます! もう時間がありません!」
唯「なんて悪いタイミング……!」
唯「いい!? 絶対やらないからね!?」
梓「大丈夫です! トラブルにならなければいいんです!」
唯「それはそうだけどさ……」
梓「もう足音聞こえます! 作戦開始です!」
唯「もう……わかったよぉ」
122:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 08:24:58.20:Njui/pXp0
梓「あ、そうだ、忘れてた……マジックハンドを用意しました。使って下さい」
唯「え? これどうするの?」ギチギチ
梓「私へのツッコミ時に使ってください。声に出すと怪しまれるので」
唯「いや、いらないよ……突っ込まれる様な事をしないでよ!」
ガチャリ
律「おーーっす!」
澪「お、二人とも早いな」
紬「遅れちゃってごめんね~」
梓「全然大丈夫です」
唯「あ、えと……み、みんな! 何か久しぶりだね! さあ入って入って~」
律「ここはお前の部屋かっての!」ドカッ(着席)
紬「そういえば、そうね~3日ぶりくらいかしら」スッ(着席)
澪「ごめんな~この前、部活休んじゃって」ストッ(着席)
梓「いえ、気にしないで下さい」
123:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 08:28:14.01:Njui/pXp0
紬「2人ともごめんね? あの日はどうしても外せない用事があったの」
梓「大丈夫ですって! 気にせず、やらかしちゃって下さい」
律「ははっ、何をだよ! 私もごめんな~」
梓「律先輩は駄目です」
唯「そうだね。りっちゃんは罪深いね」
律「なんでだよ!?」
アハハ ウフフ
紬(……)
紬(今日……みんなに打ち明けよう)
紬(お茶の時間に……打ち明けよう)
律「ていうか、あの日は2人で何してたんだ~? 練習してたのか?」
紬「放課後の部室……2人っきり……」
律「おーい……たぶん違うぞー」
唯「え……えーっとねー、あの日は」
124:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 08:30:39.37:Njui/pXp0
梓「PSPしてました」
唯(!?)
澪「なんだよ、ゲームしてたのか」
唯(ホッ……)
・
・
・
そんなこんなで、しばらく後
律「よっし! んじゃ~そろそろ」
律「お茶にするかー!」
唯「お茶にしよう!」
梓「お茶にしましょう」
紬「はぁ~い。用意するね~♪」
澪「ついに梓まで……」
律「まあまあ、いいじゃんか」
125:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 08:32:14.16:Njui/pXp0
梓「そうだ! 私、今日おやつ作ってきたんですよ~」
律「おお~? 珍しいな!」
唯(??)
唯(え……何か嫌な予感がする)
梓「これです」ゴトッ! ドカッ!
唯(箱でか!)
紬「じゃあ一緒に出しちゃいましょうか。開けていい?」
梓「はい、どうぞ!」
紬「何かな~?」
パカッ
紬「!!!」
梓「豚骨ラーメンです」
唯(ちょっ!? バッ!? バカっ! 何てもん作ってんの!?)ガーン
紬「…………」カタカタ
澪「ムギ……? どうした?」
126:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 08:33:26.36:Njui/pXp0
律「あれ? おーい、ムギー?」
唯「ちょっと! あずにゃん!? こっち来なさい!!」ヒソヒソ
ギチ! ギュム!
梓「いたたたっ、挟み過ぎですよぅ!」
律澪「?」
コソコソ
唯「何やってんの!? 豚骨ラーメンなんて出したら駄目でしょ!?」プンプン
梓「違うんですよぉ! 良かれと思ってやったんです!」
唯「何が良いの!? 見なよ! ムギちゃん固まっちゃってるよ!」プンプン
紬「…………」カタカタ
律「ム~ギ~? 震えてるぞー?」ツンツン
澪「……凄い汗だぞ? どうしたんだムギ?」
コソコソ
唯「ムギちゃんのナイーブな部分にダイレクトアタック仕掛けてどうするの!?」プンプン
梓「聞いてくださいよ! これは作戦なんです!」
127:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 08:39:00.23:Njui/pXp0
唯「……どういうこと?」
梓「おやつが豚骨ラーメンでも大丈夫! むしろウェルカム! バッチこい! ってアピールするんです!」
梓「そうした方がムギ先輩も打ち明けやすいでしょう!?」
唯「ううーん、一理あるような無いような……」
唯「大丈夫かなぁ……私達はともかく、りっちゃん達が乗ってくるかどうか……」
梓「こうなってしまった以上、やるしかありません!」
唯「……わかった! もう後には引けないよ!」
唯「それより、この状況どうするの!? もう、ムギちゃん3分ぐらい固まってるよ?」
梓「唯先輩、これをどうぞ!」
唯「黒スパッツ!?」ガーン
唯「……えっと、一応聞くけど、これでどうしろと……?」
梓「この空気ではもう、エガやるしかないです!」ワクワク
唯「やっぱり!? 嫌だよ! なんの意味あるの!?」
唯「いろんなコスプレしてきたけど、エガは嫌だよ!」
梓「何でですか! 普段穿いてる、あの黒っぽいやつとあんまり変わんないじゃないですか!」
128:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 08:41:15.68:Njui/pXp0
唯「じゃあもう穿かない! 私、一生ストッキング穿かないっ!」
梓「駄目です! 唯一の外見的個性なんですから!」
唯「唯一!? そんな事ないでしょ!?」
唯「ていうか夏場は穿いてないけど……夏場の私って無個性なの!?」
梓「そうです! だから夏場は唯先輩と憂の区別が付かなくて大変なんです!」
梓「何で唯先輩が2年の教室で授業受けてるのかなーっと思って、良く見たら憂だったって事、頻繁にありますもん!」
唯「2年の教室にいる時点で憂でしょ……」
梓「何か憂が興奮しながらストッキングのだし汁取ってるなぁ~と思って、良く見たら唯先輩だったり」
唯「私そんな事しないんだけど!? それは憂だったんじゃない? え!? 何か混乱してきた」
梓「今日のお弁当は唯先輩かぁ~……と思って、良く見たらストッキングだったり」
唯「私とストッキングを見間違えたの!? いや待って、その前にどういう状況なのそれ!?」
梓「ストッキングかと思えばスパッツだったり」
唯「ええ?」
梓「スパッツかと思えばレギンスって言ったりトレンカって言ったり」
唯「待って、私関係無くない?」
129:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 09:02:04.94:Njui/pXp0
梓「レギンスとか! レミングスとか! 呼び方なんてどうでもいいんですよ!!」
梓「似たような物なんだからッ!! 全部スパッツでいいんですよ!! オシャレぶりやがって!」プンプン
唯「誰に怒ってんの!?」
梓「とにかく! エガのモノマネして下さいよぉ!」
梓「ドーン! って感じでお願いします!」
唯「嫌だよ! エガでこの状況を打破できるとは思えないよ!」
梓「いいからこのスパッツを穿いて下さい~……!!」グググ
唯「ちょっ、やめ……て……! やだっ……!」グググ
グググ ギギギ
澪「……よくわからないけど」
澪「唯が梓に無理矢理スパッツを穿かされようとしている……」
律「まあ、助けてやるか……」
唯が救出された時、偶然にも時計の針は午後2時49分を指していた…………
そう……2時50分になりかけていたのである……
130:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 09:08:36.30:Njui/pXp0
唯(助かった……)
律「ていうか、さっきお前らは、なーにをコソコソ話してたんだ?」
唯梓(!!)
梓「え!? ちがっ、あの、えーっと」アワワ
唯(落ち着いて!)
梓「あの、 唯先輩が何で醤油ラーメンじゃないのって延々と言ってきて……」
唯(もっとマシな言い訳してよぉ……)
律「そうなのか……こら唯! 食い意地張り過ぎだぞっ!」
唯「ち、違っ!」
律「それより、このラーメンは何なんだ? ギャグか? ギャグなのか?」
梓「いや、それは……クッキーと間違えちゃって!」
唯「うん! よくあるよね! クッキーとラーメンて似てるもんね!」
唯「ホント! よくある! 私もお醤油とお砂糖を間違えちゃうもん!」
律「……まあいいや。あと、何かムギが固まっちゃってさー」
唯(よし、ここは私が!)
131:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 09:16:30.22:Njui/pXp0
唯「む~ぎ~ちゃんっ!」ダキッ
紬「あっ……」ギュギュウウ
唯「あずにゃんね? 手違いでクッキーとラーメン間違えちゃったみたいなんだ?」
紬「え!? そ、そうなの……?」
梓「すみません、ホント偶然、たまたま、思い掛けずラーメンができたんです」
紬「ああ……そうだったのね。ごめんなさい! 私ったら深読みしちゃって」
澪「深読み?」
紬「あ、何でもないのっ! ほら、折角だから頂きましょう!?」
唯「うん! 食べよう!」
しばらく後
律「机の上に、お茶とケーキと豚骨ラーメン……」
澪「なかなかシュールだな……」
唯「で、でも! 結構おいしいよー?」ズルルルッ
律「どれどれー?」ズズズルルッ
律「う!? うぐぐっ! むぐっ!」プルプル
133:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 09:21:12.03:Njui/pXp0
唯「りっちゃん!?」
律「う……うまいっ!」
梓「ありがとうございます」ズルルッ
唯「そして、ケーキもいつも通りおいしい……!」ムシャ
唯(ムギちゃんが用意してくれたケーキ……ちょっと泣きそう……)
律「安心の味だな!」モシャ
唯(りっちゃん……これはムギちゃんの労働の……努力の味なんだよ……あ、泣く)
唯「グスッ……おいひぃ……うぅ……おいひいよぉ……ムギちゃぁん」グスッ
律「泣くほど!? 泣くほどなのか!?」
紬「うふふ、ありがと~♪」
紬「梓ちゃんのラーメンもおいしい~♪」ズル
澪「うん、おいしい……けど……太る……」ズズルル
紬「まあまあまあ、いいじゃない。私、みんなでラーメン食べるの夢だったの♪」
唯(ムギちゃん……)
唯(……よし)
134:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 09:27:01.07:Njui/pXp0
唯「私、ラーメン大っっ好き!! 毎日でもいいくらいだよ!」ズズルズ
梓「そ、それいいですね!」
紬(!!)
律「いや、それは流石に……」
澪「そんなことしたら……体重が大変な事に……!」カタカタ
紬(……)ズーン…
唯(むむむ……)
梓(クッ……律先輩は乗ってくると思ってたけど……)
梓(やはり隠れ常識人……思った様には、いかないか……)
唯「ええ~~? 放課後にラーメンでも良くない?」
律「どんだけラーメン食いたいんだよっ!」
律「そんなラーメンばっか食ってたら、放課後ラーメンズじゃねーか!」
唯(ムギちゃんと同じこと言ってる……)
梓(……まずは律先輩を仲間にする!)
梓「ま、まったく……これだから律先輩は色気が無いんです!」
135:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 09:29:15.41:Njui/pXp0
律「何だとー!! 毎日ラーメン食いたいとか言ってるお前らの方が色気ねーだろ!」
唯(あずにゃん……? 怒らせてどうするの? 大丈夫なの?)
梓「いいですか? よく聞いてください」
梓「私達は乙女なので、女の子だけでラーメン屋に入る勇気が無いんです!」
梓「食べたいっ、でも食べれないっ! そんな感じで揺れる乙女心なんです!」
梓「そこで……乙女達は、ある答えに行き着きました……」
梓「部室という名のサンクチュアリで、ラーメンという名の禁断の果実にくちづけしよう……って」
梓「つまり、部室での放課後ラーメンは、恥じらう乙女達のドリームタイムなんです!」
律「なっ……!」
唯(……)
梓「しかし、残念です……律先輩は乙女では無かったんですね……」
律「違うぞ……梓」
梓「え?」
律「私が放課後ラーメンを拒否したのは……私が……」
律「私が……素直になれない乙女だからだ!!」
136:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 09:30:35.43:Njui/pXp0
梓「そ、そんな……律先輩程度が、そんな芸当できるわけが……」
律「梓……お前が見ているのは、ただの田井中律じゃない」
律「私は、乙女番長・田井中律だ!!」
梓「!」
律「放課後ラーメン、やってやろうじゃねぇかっ!!」
梓「律先輩っ! かっこいいです! 圧倒的な乙女力です!」
ワーワー キャーキャー
唯(……)
唯(言い包めた……!)
梓「やっぱり軽音部の放課後はラーメンですよねー!」
律「ああ! 軽音部×放課後=ラーメンは小学生でも分かる方程式だな!」
唯「そ、そーだね!」
紬(みんな……)
紬(本当の事言っても、意外と受け入れてくれるのかも……!)
澪「……」
138:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 09:35:20.41:Njui/pXp0
澪「わ、私は嫌だからなっ!」
紬(!!)ガーン
澪「ラーメンばっかり食べてたら太るだろっ!」
唯(むむ……)
律「まあ! 澪ちゃんが偽乙女だったなんてっ! 罪深い! 罪深いわっ!」
澪「意味が分からない!」
澪「それに……太るぐらいだったら、私は乙女じゃなくていい!」
梓(クッ……律先輩に影響されて、そのまま流されるかと思ったけど……)
梓(想像以上に体重がアレな様子……どうしたものか……)
梓「み、澪先輩? 午後ラーメンって知ってます?」
澪「え? いや……朝カレーなら聞いた事あるけど……」
梓「最近、午後ラーメン流行ってるんですよ? ダイエット効果があるとかで……」
律「そーなのか?」
澪「そんなわけないだろ! 痩せる要素が無いじゃないか!」
梓(クッ……)
139:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 09:38:53.51:Njui/pXp0
唯(私も加勢しなきゃ……!)
唯「澪ちゃん……食べたいのを我慢するの駄目だよ! ストレスで太っちゃうって聞いたよ?」
澪「ラーメン食べるのは、もっと駄目だろ!」
唯(おっしゃる通りです……)
梓(考える暇を与えない!)
梓「ほらっ! ラーメンじゃなくって、イタリアンっぽくLa・Menって呼べば、痩せて聞こえますよ!」
澪「いや、語感がどうこうじゃなくて、太るのが嫌だって言ってるんだ!」
梓(発音が悪かったか……)
梓「ていうか、もう痩せてなくていいじゃないですか!」
梓「私、結構デブ専……じゃなかった、ふくよかな人が好きなんですよ!」
梓「澪先輩、ムチムチしてて素敵だと思います!」
澪「嬉しくないっ!!!」
唯(むむむむ……)
梓(……手強い!)
紬「……」
140:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 09:42:36.60:Njui/pXp0
紬(やっぱり、軽音部にラーメンは相応しくないのかしら……)
澪「ていうか! お前ら何でそんなに必死なんだよ!? ちょっと怖いぞ……」
唯(怪しまれてる!)ドキ!
梓(怖い……なるほど!)
梓「……実はですね、ちょっと理由があるんですよ澪先輩」
澪「な、なんだよ」
梓「この前ですね……唯先輩が……憑かれちゃって」
澪「ひッ!」ビクッ
梓「除霊をしたんですが……」
澪「あああ梓!? 冗談はやめような……!?」ガタガタ
唯(話に乗ったほうがいいのかな?)
唯「えーっと……ね~、一応ホントだよ……」
澪「ひぇぇ……」ガタガタ
律「マジかよ……」
紬「大丈夫だったの……?」
142:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 10:00:55.98:Njui/pXp0
梓「はい、なんとか」
澪「そ、そそ、そ、その話とラーメンに何の関係があるんだよぉ!?」
梓「この前は唯先輩でしたが、次は誰が憑かれるか……」
澪「ヒィィィ……やめてくれぇ……」
梓「この前は大丈夫でしたが、次はどうなるのか……」
澪「うう……ぅ……」
梓「そこで……ラーメンの出番なんですよ!」
澪「ど、どういう事?」
梓「実はラーメンには……高い対魔効果があるんですよ」
律「いや、無いだろ。ったく……あんま澪をいじめてやるなよ」
律「み~お! 大丈夫だって! 心配すんな!」
澪「梓! 話を続けてくれ!!」
律「聞いちゃいねー」
唯(……)
梓「澪先輩、このラーメンを見て下さい。麺の部分、何かに見えませんか?」コトッ
143:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 10:02:19.29:Njui/pXp0
澪「え? えーと……」ジー
梓「ほら、神主さんとかが持ってる、シャシャッ、ってするやつ……」
澪「えっと……おおぬさ?」
梓「あ、おおぬさって名前なんですか? たぶん、それです。似てるでしょ?」
唯(ええぇ~~……そうかなぁ……)
梓「まあ、そういうことなんです」
澪「な、なるほど……!」
唯(よくわかんないけど、澪ちゃんには伝わったの……?)
澪「わかったよ! 体重なんて気にしてられない! 私、ラーメン食べるよ!」
梓「澪先輩……!」
唯(ほとんど脅しだけど……澪ちゃん陥落!)
律「悪徳セールスって、こんな感じなのかもな……」
律「でも澪がそれでいいなら、まあいいか! 放課後ラーメンしちゃおうぜー!」
律「ってことで、ムギー! 明日からラーメン頼む!」
紬「え!?」
145:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 10:05:22.13:Njui/pXp0
澪「こら律! お菓子ならともかく、そんな都合良くラーメンが用意できるわけないだろ?」
紬「ぇ……あ、あの……」
紬(みんな、ラーメンを求めている……)
紬(これは……いけるわ!)
紬「……みんな!!」ガタッ
澪「ひぃぃ! 急に立ち上がらないでくれぇ……」
律「なんだ? どうしたんだ?」
唯「ムギちゃん……?」
唯(これは、もしや……)
紬「実は……私、皆に隠してたことがあるの……!」
梓(ムギ先輩……!)
律「なんだなんだ?」
紬「私、本当は……」
唯(ムギちゃん……頑張って……!)
148:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 10:08:57.28:Njui/pXp0
紬「本当はっ……お嬢様じゃないの!!!」ババーン!
紬「私の家、実はラーメン屋なのよ!!」
唯梓(おおー!)
律澪「……」
律澪「ええぇーーー!!?」
紬「文句があるならラーメンぶっかけるわ!!」
律澪唯「ええぇ~~~!!?」
律「ムギ!? 落ち着けっ!」
梓「唯先輩も早く謝って下さいっ!」
唯「はぇ!? 私なにも言ってないよ!?」
紬「唯ちゃん……!?」ギロッ!
唯「ちょっとぉぉ!? 文句なんて言ってないってば!?」
澪「唯? ほら、憑かれてたんだろ? 念の為に対魔ラーメン被っといた方がいいって……」
唯「澪ちゃん!? 酷いよぉ! 自分が被りたくないからって!」ジタバタ
唯「ていうか、それ嘘だよ!! たぶん対魔効果なんて無いよ!」
149:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 10:10:52.59:Njui/pXp0
澪「ええ!? そ、そうなのか梓!?」
梓「はい、嘘です。すみません。あと、澪先輩、尊敬してます。優しくて大好きです!」
澪「え!? まあ、その、嘘ついちゃ駄目だぞ……///」
律「手玉に取られてるなぁ……おい……」
紬「さて、唯ちゃん?」
紬「今から5杯のラーメンを頭からぶっかける事になるんだけど」
紬「普通にぶっかけていくと、一番目にぶっかけたラーメンのどんぶりが頭に残っちゃうと思うの」
紬「そうなったら、そのどんぶりがヘルメットになって、2杯目以降のラーメンを防いじゃうでしょ?」
紬「それは面白く無いから、どんぶりが粉々になるぐらいの力でぶっかけていく事になるわ」
紬「危ないから目を閉じていてね?」
唯「待って待って待って!! 何を淡々と説明してるの!?」
唯「心配してくれるなら、まずぶっかけるのをやめてよ!!」
唯「ていうか皆、助けてよぉ!?」
梓「ムギ先輩、熱いから気を付けてください」コトッ
紬「大丈夫よ、ありがとう」
150:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 10:12:49.73:Njui/pXp0
唯「その熱いのを、ぶっかけられそうになってるんだよ!!」
紬「では、いきます!!」
唯「やめてぇ~~~っ!!!」
その後、りっちゃんが止めに入ってくれたので、私はラーメンを被らずに済みました
ムギちゃんは勇気を出し過ぎたため、ちょっと変になってたみたいです
それからムギちゃんは、お嬢様キャラの事、ラーメン屋の事、お茶やお菓子や合宿のために影で奮闘していた事、
私とあずにゃんがPSPした日に見聞きした全ての事を皆に話しました
・
・
・
しばらく後
紬「とまあ、こういう事なの」
紬「あ、唯ちゃん、さっきはゴメンネ? オーバーブレイブ状態になっちゃって……」
澪「私もごめんな……怖くて、止めに入れなくて……」
梓「私も……唯先輩にラーメン被ってほしいな~って思っちゃって、すみません」
唯「うん……もういいよ……大丈夫だったから……」
151:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 10:18:39.77:Njui/pXp0
唯「それより……」
律「ああ……ムギの実家、ホントはラーメン屋だったんだな」
澪「気付かなかったよ……」
紬「今まで黙っていて、ごめんなさい」
紬「長い間、皆を騙してごめんなさい。許される事では無いわよね……」
梓「確かに、許されない行為です」
唯「え……? ちょっとあずにゃん、何言ってるの?」
律「ムギには……やめてもらう事になるだろうな」
唯「りっちゃんまで!? やだよ……そんなこと言わないでよ……」
澪「でも、その前に言う事があるけどな」
紬「どんな罵倒の言葉でも受ける覚悟してるわ……」
唯「みんな……どうしたの……?」
梓「……」
梓「本当に……許せないですよ!!」ガタッ
152:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 10:22:18.16:Njui/pXp0
梓「ムギ先輩の悩みに気づいてあげられなかった、自分が!!」
紬「!」
唯「え……?」
律「ああ、私も自分が許せねえよ……」
律「そして、ムギにはやめてもらう」
律「一人で抱え込むの、やめてもらうからな!!」ガタタッ
紬「りっちゃん……!」
唯「えーっと……」
澪「でも、やめてもらう前に言う事があるんだ」ガタッ
シュタタ
唯(なになに!? みんなどうしたの!?)
梓「ムギ先輩!」
律「今までずっと!」
澪「お茶の時間を作ってくれて!」
シュバ!
153:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 10:23:09.52:Njui/pXp0
唯(組み体操のピラミッドみたいになった……!)
セーノ!
梓律澪「ありがとうっ(ございます)!!!」
唯(……)
紬「み、みんな……」
唯(なにこれ……?)
唯「え~~っと……みんな、これ何?」
律「いや、さっきムギの話聞いてる時にさー」
澪「梓が、フォーメーションを組もうって言い出して……」
澪(恥ずかしかった///)
梓「サプライズ的な演出がほしいなぁ~って思ったんで」
唯「そうなんだ……うん、それはわかった……わかったんだけど」
唯「私にも教えといてよ……オロオロしちゃったじゃん……」
梓「え……すみません。唯先輩って普段、組み体操のピラミッドの話を全然しないから、嫌いなのかと思って」
唯「いや、しないけどさ……別に組み体操が嫌いだから話をしないわけじゃなくてさ……」
155:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 10:26:42.06:Njui/pXp0
唯「ていうか、普段から私が組み体操のピラミッドの話ばっかしてたら変でしょ……?」
唯「体操部に入れよ、ってなるでしょ……?」
梓「すみません……唯先輩がそんなにもピラミッド好きだったなんて知らなくて」
律「そーだったのか? 言ってくれよー」
唯「え? 違う違う……ピラミッド好きをアピールしてるんじゃなくてさ……」
唯「何かやるんなら教えといて、って事を言いたいわけで……」
唯「ピラミッドは好きでも嫌いでもなくて、普通だよ……」
梓「じゃあ……今度は4人でやってみましょうか」
梓「でも、4人でピラミッドとなると……」
律「バランスが取りづらいな」
澪「下に3人、上に1人でいくと、それっぽくなるんじゃないか?」
梓「なるほど。唯先輩は下になりますけど、いいですか?」
唯「えっ!? いや、ていうか、もういいもういい! ピラミッドの話はもういいよ! 長いよ!」
梓「え……でも」
唯「うん! 何か私が間違ってたみたい! もうピラミッドの話はいいやっ!」
161:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 11:00:01.64:Njui/pXp0
唯「それよりさ! ほらっ! ムギちゃんの話を……」
律「ああ、そうだった!」
律「ムギ~? これからは一人で抱え込むの無しだからな~?」
紬「えっと……私のこと、許してくれるの……?」
澪「許すもなにも、軽音部のためにしてくれてた事なんだから」
梓「そうです! ムギ先輩が影で頑張っていてくれたから、今の軽音部があるんです!」
律「ていうか……私らも、ごめん! ムギに頼ってばっかだったよな」
唯「ムギちゃん、お茶の時間作ってくれてありがとね!」
唯「これからは、みんなでお茶とか用意しようよ!」
紬「みんな……私こそ、ありがとうっ!」
紬「打ち明けるの怖かったけど、話して良かった!」
律「……おっし!」
162:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 11:03:11.79:Njui/pXp0
律「ムギが勇気出して打ち明けたんだしな!」
律「部長の私がカミングアウトしないわけには、いかねーな!」
唯「?」
律「実は私も1個、みんなに言う事があるんだ!」
唯(え……?)
紬「りっちゃんも……?」
律「梓? さっき、私は乙女番長だって言ったけどさ」
梓「はい」
律「実はあれ、嘘なんだよ」
梓「……え? カミングアウトってそれですか? ちょっとショボくないですか?」
律「まあよく聞け」
163:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 11:04:08.42:Njui/pXp0
律「実は私……ていうか」
律「俺、男なんだ!」
律「そしてこれが証拠だ!」ヌギッ
ポロン
唯「!!!?」
唯「……え?」
唯「えええ……!?」
唯「えええぇぇーーー!!?」ガーン
唯「え、りっちゃ、それ、おちん、男の子の、でも象さんの方がもっと好きっていうか、バナナ付きおいなりさんが」カタカタ
律「唯、落ち着け……」プラーン
唯「あ、そうかぁ~ドッキリかぁ~! アハ! アハハハハー!」
唯「楽しいなぁー! あ、そうだ! 回ろう! 楽しいから回ろう!」
唯「ウフフフー! アハハハー!」クルクル
唯「今どっち回転だろぉ! 右かな~? わかんないなぁ~!」クルクル
164:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 11:06:37.40:Njui/pXp0
唯「ていうか右回りって時計回り? ていうか時計回りってどっち回り? わかんないなぁ~!」クルクル
梓「確かに、わかんなくなる時ありますよね」
澪「ネジ回してる時もさ、締めてるのか緩めてるのか、わからなくなる事あるよな」
紬「あ、それわかるー」
唯「私こんなに回ったの初めてー! アハハハハー!」クルクル
律「落ち着けって! ドッキリじゃねーよ!」プラプラ
唯「いつまで出してるの!? わかったよ! 落ち着くからしまってよ!」ピタッ
唯「ていうか、みんな落ち着き過ぎじゃない!? りっちゃん男の子だよ!? 変態だよ!?」
梓「唯先輩、冷静に考えてください」
梓「唯先輩のお父さんだって男の人でしょ?」
唯「それ何か違うよ……あずにゃんはそれで納得できたの!?」
紬「……私は、なんとなく、男の子じゃないかなって思ってたわ」
唯「ええ!?」
紬「水着姿を見て、随分と盛り型だな~怪しいな~って思ってた……」
律「ムギが見た膨らみはテープで留めてた俺のナニだ!」
165:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 11:08:23.15:Njui/pXp0
紬「それに……律君にはユリトンレーダーが反応しなかったのよ」
梓「ユリトンレーダー? なんですかそれ!? ソリトンレーダーと何か関係あるんですか!?」ガタタ
唯「妙な所に食い付かなくていいよ!」
唯「ていうか律君って……飲み込み早くない!?」
澪「私は……全然気づかなかった……」
唯「小学校の時からだもんね!? ショックだよね!?」
澪「ううん……何だか、少し嬉しいんだ」
唯「えええ!?」
澪「実は……普段から律が……男の子だったらいいなって……思ってたんだ///」
律「澪……」
唯(澪ちゃんは、もはや精神が違う次元だ……!)
澪「律が自分の事を話してくれて、私は嬉しいよ」
澪「……よし」
澪「次は私の番だな」
唯「次って何!? えっ? 澪ちゃんも何かあるの!?」
168:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 11:09:59.67:Njui/pXp0
澪「みんな、見ててくれ」カチッ
キュルルルル…
キュイーン カチャ プシュー…
唯「ああああっ……!? みみ澪ちゃんの顔が割れた……!!」カタカタ
律「大丈夫か澪……? 顔割れてるぞ……?」
梓「竹を割ったような顔面ですね……」
梓「よく見ると、中に小さなコックピットがありますよ」
梓(カッコいい……!)
169:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 11:10:20.83:tPM++0IH0
ウィーン…
紬「何か出てきたわ……」ゴキュ
澪(小)「ふう、MS(ミオ・スーツ)から降りるのは久しぶりだ」
一同「……」
澪(小)「みんな、聞いてくれ!」
澪(小)「私、この星の人間じゃないんだ!」
唯「……」
唯「ええぇぇええぇえぇぇぇーーー!!!」ガーン
ー完ー
171:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 11:15:22.50:RmWdEbyw0
唯「はぁ~もう~……みんな来ないのかなぁ~」
梓「…………まあ、今日は皆さん欠席ですけどね!」
唯「ええぇ!?」
梓「すみません……だいぶ前に連絡がありました……」ププ
唯「言ってよぉ!?」
梓「駄目じゃないですか唯先輩! 悪口ばっか言って……陰湿ですよ!」プスス
唯「あずにゃんの方が性格悪いでしょ! 何か誘導してたじゃん! もう!!」プンプン
梓「アハハ! ちがっ、違うんです! やんちゃしたかっただけなんです! ごめんなさいっ! アハハハハハッ!」ゲラゲラ!
唯「笑い過ぎだよ……も~」
梓「……ふう、でも確かに暇ですね~。あ、そうだ!」
梓「唯先輩、一緒にPSPしませんか?」
唯「へ? ぴーえすぴー……あ! ゲーム?」
梓「はい、PSP……」
唯「私DSしか持ってないよ?」
梓「PSP……PSP……」ボソボソ
唯「あ! でもりっちゃんが持ってるから、りっちゃんに借りればいいか~」
梓「プロストーキングプレイ……」ボソッ
唯「えっ!?」ビクッ
梓「いえ何も」
唯「でも今なにか……ストーキングって……」
梓「違います、ロープ・ストッキング・レイプって言ったんです」
唯「ええ? 何それ!? よくわかんないけど、ヤラしいよ……!」
唯「違うでしょ? 何かプロ何とかって言ったじゃん! 私、意外と聞いてるよ! 誤魔化されないよ!」
梓「しっかり聞かれてましたか……」
梓「そうです。PSPと言っても、ゲームの方ではありません」
梓「というわけで今日はPSP(プロ・ストーキング・プレイ)について解説したいと思います!」
唯「え? あぁ~……うん。え??」
梓「PSPってのは、まあストーキング行為の一種なんですが」
梓「一般的なストーキングとは全然違う、良いストーキングの事なんです!」
唯(語りだした……)
梓「わかりやすく言うとですね、良好な人間関係を作るために行うストーキングのことなんですよ!!」
唯(やけにテンション高くて怖いよ……)
梓「ストーキングして、相手が悩みや問題を抱えていないかチェックするんです!」
唯(……)
梓「また、ストーキング行為を相手に気づかれてはいけません!」
梓「相手に迷惑をかけてはいけません! 気まずくなりますからね!」
唯(今、気まずいよ……)
梓「相手の情報を言いふらすのも駄目です! 凄い秘密を知っても、心の中に留めておきましょう」
唯(……)
梓「もしも相手が問題を抱えていたら、そっと影から手助けするんです!」
梓「つまり! プロ・ストーキング・プレイは紳士のスポーツなんです!」
梓「変態欲求を満たすための行為では無いんですよ!!」
唯(……)
梓「……ふぅ、こんなところですかね! PSPの素晴らしさをわかって貰えたと思います!!」
唯(ストーカーが素晴らしいなんて……たぶんあずにゃんは悪い宗教的な何かに影響されてるんだ……)
唯「あ、あずにゃんはその……ストーカーなの??」
梓「いえ、プロ・ストーキング・プレイヤー、です」
唯「そういう感じの呼び方なんだ……」
誰をプロストーキングするの?wktk
10:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/25(金) 23:26:03.72:ZNglvzjK0唯「そんなカミングアウトされてもね……私はどうしたら……」
梓「最初に言いましたが、唯先輩も一緒にPSPしましょう!」
唯「え? えぇ!? いやだよ!」
梓「ぇえぇええぇぇ!!?」ガーン
唯「意外そうなリアクションしないでよ!」
唯「ストーカーだよ!? 犯罪だよ!? 悪いことしちゃ駄目でしょ!?」
梓「悪いことじゃないですよ!」
梓「覚えてるでしょう!? この前参加した、さわ子先生のお友達の結婚式!」※2期10話参照
梓「先生をストーキングしたから、いい感じに話がまとまったんじゃないですか!!」
梓「あの時、私はPSPの素晴らしさに気付いたんです!!」
梓「ストーキングは軽音部の平穏のためなんです!!」
梓「私達が影から軽音部を見守るんです!!」
梓「軽音部はストーキングで成り立っていると言ってもいいくらいです!!」
唯「気持ち悪いよそんな部活!! 何を熱弁してるの!?」
唯「それにあの時はそんな重いストーキングじゃなかったでしょ!?」
唯「犯罪と一緒にしないでよ!!」
梓「……」
唯「後輩がストーカーってだけでもショックなのに……私はやりたくないよ!」
梓「……」
唯「ちょっと聞いてるの!?」
梓「……」
唯「もう! 無視しないでよ!! ……え? なんか顔赤いよ!?」
梓「……」プルプル
唯「息止めてるの!? 何してるの!? ちょっと! やめなよ!」
梓「……」プルプルプル
唯「ごめんね! あずにゃん! 言い過ぎたよぉ! だからやめてよ!?」
梓「……」カキカキ
唯「え? 何書いてるの!? ゆ、い……って、ちょっと! ダイイングメッセージ残さないでよ!!」
梓「……」ピクピク
唯「わかった! するから! PSPするから! 呼吸してよ!」ユサユサ
梓「ッズハァ! ハァ! ハァ! ……アリ……ガトウ……ゼェ、ハァ、ゴザ……イマス……」
唯(こ、怖いよ……!)
あずにゃんの脅しに負けた私はプロ・ストーキング・プレイヤーになりました
ストーキングが軽音部のためになるとは思えないし、疑問や不満はあるけど
下校時間が過ぎていることもあり、取りあえず今日は解散することになりました
・
・
帰り道!
ガヤガヤガヤ
梓(通話中)「もしもし! はい! そうです! はい! 唯先輩、それはもう自然な流れでPSPやるって!」
唯(誰と電話してんの……ていうか、いっこも自然じゃなかったよ……)
梓(通話中)「え? ブフッ! アハッハハハッ! カルボナーラと間違えて、嗅ぐおなーらって! どういうことですか!」ゲラゲラ
唯(こっちが聞きたいよ……どんな話してるの!?)
梓(通話中)「はい! では! おつかれさまでーす! ピッ……」
唯「……」
梓「ふぅ~……唯先輩! 今日は遅くまで付き合わせてすみません! でも……」
梓「これで唯先輩もプロ・ストーキング・プレイヤーですね!!」
ザワザワ…
唯「さっきから声が大きいよ! PSPってバレちゃ駄目なんでしょ?」
梓「大丈夫ですよ。ターゲットに知られならなければ大丈夫です」
唯「そ、そうなんだ……」
唯(私に打ち明けたってことは、私はストーキングされて無かったんだよね……?)
唯「あ、あのさ……私をストーキングしてたりしないよね~? なんて……」
梓「……」
唯「あはは……そんな事あるわけないかー!」
梓「……」
唯「え……どうなの……?」
梓「違います、唯先輩」
唯「え?」
梓「……ほら私の親、ジャズバンドやってるって言ったじゃないですか」
唯「へ? う、うん……」
梓「だから家にレコードいっぱいあって、私、小さい頃それをフリスビーみたいにして遊んでたんです」
唯「う……ん?」
梓「で、この前なんですけど、冷蔵庫の調子がおかしいって事で、業者の人に引き取ってもらったんですよ」
唯「??」
梓「そしたら冷蔵庫と壁の隙間からレコードがドサーって出てきてですね」
梓「どうやら私が飛ばしてたレコードが原因で熱暴走してたらしくって」
梓「その後、親にレコードを粗末に扱ったことだけじゃなく、冷蔵庫を駄目にしたことまで怒られちゃいました……」
唯「……」
梓「……」
唯「……えっ!? なんの話!?」ガーン
唯「中野家の冷蔵庫事情はどうでもいいよ! ちゃんと説明してよ! ……え? ちょっと待って! どこ行くの!?」
梓「……」シュタタタタタ
唯「待ってよ! ねえ!? 全然誤魔化せてないよ!? ていうか速ッ!? あずにゃん! ねえってばーー!?」
唯「に、逃げられた……」ポツン
唯「帰ろう……」
・
・
・
平沢家!
唯「はあ……今日は疲れたなぁ」
唯「あずにゃんの概念が、くつがえされた1日だったよ……」ブツブツ
唯「日本あずにゃん学会・名誉会長もびっくりだね……」ブツブツ
唯(あずにゃんが……ストーカーだなんて……)
唯(まあ、悪意があるわけじゃ無さそうだけど……)
唯(ていうか、誰をストーキングするのだろうか……)
唯(憂に相談してみよう、かな……?)
唯「ただいまぁ~」
ガチャリ
唯(梓)「う~~~い~~~、ねつさましーとないよぉ~?」
唯(梓)「あ、ぶたにくがあるぅ~~もうこれでいいやぁ~~はっちゃお~~」ペチャ
憂「もう~お姉ちゃんったら! それは牛肉でしょ!」
唯「……」
唯「何でいるの!?」ズバ!
唯「あと、人ん家のお肉をおでこに貼っちゃ駄目でしょ!?」ズババ!
唯「そして何より……私はそんなにキモく無いよ!!!」ズババーン!
憂「あれっ!? お姉ちゃんが2人!? イエスッ!!」
唯「なんで憂は騙されてんのーーー!?」ガーン
梓「唯先輩! 落ち着いて! これで熱を冷まして下さい!」ペチャ
唯「ぅおぉぉお肉を貼らないでよおぉーーー!!」
ギャーギャー……
ガシャーン……
ワーキャー……
………
…
梓「落ち着きました?」
憂「お、お姉ちゃん? 大丈夫?」
唯「うん……ごめんね……学校で……とある人物にツッコミ過ぎて変になっちゃってたよ……」
唯「澪ちゃんのポジションになった気分だ……」
憂「お姉ちゃん、澪さんは突っ込まれるほうだよぉ///」
唯「んぇ? なにが?」
梓「唯先輩がツッコミに回るとは……その美少女かなりの実力者ですね……」
唯(白々しいよ! あと、美少女は言ってないよ!)
唯「ていうか、あずにゃんは何でいるのさ!」
梓「いやぁ~唯先輩の物真似を憂に見てもらいたくて」
憂「そうだったんだ! でも梓ちゃん凄いね! 話し方が似てたから騙されちゃった!」
唯(え!?)グサッ
梓「エヘヘ……ありがと。1年の時から練習してたからね」
唯(胸クソ悪いよ!)
憂「そうなの!? そんな素振り全然無かったから気付かなかったよ~」
梓「ギターの練習もしなきゃだし大変だったかな。まあ全部嘘だけどね」
唯(しかも嘘なの!?)
憂「ギターと物真似の練習を両立するなんて……梓ちゃんは努力家だね!」
唯(憂! よく聞いて!)
梓「さて……目標達成できたし今日は帰るね」
憂「あれ? 帰っちゃうの? ついでにご飯食べていけば?」
梓「折角だけどごめん。帰ってカポエラの特訓しなきゃ。試合が近くてさ」
唯(知らないよ! 初耳だよ!)
憂「梓ちゃん、正しくはカポエイラだよ!」
唯(憂はさっきから何かズレてるよ!)
憂「それじゃまたね!」
梓「ばいばい憂。唯先輩もさようなら」
唯「……」
・
・
・
玄関!
唯「……ホントは何しに来たのさ」
唯「ま、まさか憂をストーキングしてたんじゃ……」
梓「違います」
唯「あずにゃんの『違います』は違わないんだよ……」
梓「本当に違います。私はただ……」
梓「唯先輩が他の先輩方や……憂にPSPの事を喋るんじゃないか」
唯(!)ドキッ
梓「と思ったんですが、それは無いですよねー!」
梓「私達PSP仲間ですもんね! 私の秘密は唯先輩の秘密でもありますからね! 言えるわけないですよね!」
唯(やり方が汚い……!)ズーン
梓「まあそれは置いといて……肝心な事を言い忘れてたので来ました」
梓「PSPのターゲットのことですが……」
唯「……」ゴキュ
梓「ムギ先輩をストーキングします!」
唯「ム、ムギちゃん……?」
梓「はい、ムギ先輩です。何度かストーキングしたんですが、うまくいかなくて……」
梓「そこで唯先輩に協力してほしいんです!」
唯「えぇー……既に餌食になってたんだ……ていうか、何でムギちゃんなの?」
梓「詳しくは……明日、場所を変えて話します。憂に聞かれるとアレですから」
梓「唯先輩は明日、何一つやることが無くて、怠惰に時間を浪費する予定ですから大丈夫ですよね?」
唯「言い過ぎじゃない!? ……まあ暇だけど」
梓「じゃあ今日は帰ります。また明日電話しますね。妙なタイミングで……ね……」フフフ
ガチャリ
バタン
唯(普通のタイミングで電話してよぉ……後味悪いよぉ……)
唯(……ムギちゃんをストーキングかぁ)
唯(罪悪感がハンパないよぉ……)
唯(私も犯罪に手を染めるのかなぁ……)
唯(い、いやだなぁ……)
唯(どうしよう……う~ん……う~ん)
憂「お姉ちゃーん? 何してるのー? ステーキ冷めちゃうよー?」
唯「あ、待って~すぐ行く~」タタタ
初めてのPSPに不安を覚える私ですが
晩御飯が好物ということもあり、取りあえず考えるのをやめました
その日はお風呂に入った後、特に何もすることなく寝てしまいました
・
・
翌朝!
ガチャ
憂「お姉ちゃーん、憂だよー? あ、間違えた」
憂「お姉ちゃーん、朝だよー?」
唯「zzz」
憂「お姉ちゃん? お休みだからって、いつまでも寝てちゃ駄目だよー?」
唯「ぅ?ぃぅう~ん……zz……z」
憂「もう~早くしないと朝ごはん四散しちゃうよー?」
唯「ぅ……? ぇえ?? しさん? どんなメニューなの……?」ビクッ
憂「フフフ冗談だよ! お姉ちゃん? 早く降りてきてね!」トタタ
唯「はぁ~~い……ふぁ~ぁ」ムクリ
・
・
唯「いたらきまぁ~す」モシャリ
憂「お姉ちゃん昨日、寝言が凄かったよー?」
唯「んぇ?」モッチャ モッチャ
憂「やめてよ! まだ食べられるよ! ……とか」
憂「そんな所にそれを置いちゃ駄目だよ! ……とか」
憂「表面張力っていっても限界があるよ! ……とか」
唯(夢の中で何かにツッコんでる……あずにゃんが出てきたんだ……絶対そうだ……)
憂「ゴミ問題を考えダストきりが無いよね! なんてね! てへっ! ……とか」
唯(ホントに言ったの!? 恥ずかしっ!)
憂「PSPなんてやりたくないよぉぉ! ……とか」
唯(!!)ドキ
唯「ご、ごちそうさま!」トタタタ
憂「え? もういいの? お姉ちゃーん?」
憂「?」
・
・
・
ガチャ バタン
唯「危ないところだった……」
唯「なぜ私がこそこそしないといけないのだろうか……」
唯「……あ、そういえばあずにゃん、電話するって言ってたけど」チラッ
携帯『ピロリン♪ピロリン♪プリッ♪ ---着信 あずにゃん---』
唯「ヒィッ!?」ビクッ
唯「あり得ないタイミングだよぉ……ピッ、もしもし……?」
梓『あ、唯先輩おはようございます』メェ~
唯「お、おはよう」
梓『先輩が起きてるなんて想定外です(笑)』メェ~~
唯「どういう意味かな? あずにゃん?」
梓『いえ別に。メェ~それより、昨日途中だった、ムギ先輩ストーキングミッションの話ですがメェ~』メェ~メェ~
唯「……さっきからメェーメェーうるさいんだけど何の音?」
梓『すみません。ペットの羊が暴れてて……』メェ~
唯(羊飼ってるんだ……)
梓『こらっ! ジュン! 走り回っちゃ駄目でしょ?』
ジュン『メェ~』
唯「……」
梓『で、詳しく話すので私の家に来てもらっていいですか? 今日は親がいないので都合がいいんですよ』メェ~
唯「……そうなんだ、わかった。行くよ」
梓『はい、待ってますねー。ふぅ、ご馳走様っと』メェ~
唯「ん? 何か食べてたの? 朝ご飯?」
梓『あ、食事しながらですみません』メェ~
唯「いや……いいけどさ」
梓『ちょっとお会計してきますね』メェ~
唯「店内!!? 羊とか連れて行っちゃ迷惑でしょ!?」ガーン
梓『え……い、いやジンギスカン屋だからいいかな~って……』
唯「よかないよ!! 余計駄目だよ!! ていうか朝からジンギスカン食べてたの!?」
梓『……あれ? ジュン? げ! やばっ!』
ジュン『メェ~~!』
店員『え!? う、うわ! うわぁぁ!』
梓『やめてあげてっ! ジュン! 言うこと聞いてっ!』
唯「……」
梓『ごめんなさいっ! 一回切ります! 唯先輩! とにかくそういう事でっ!』
梓『あ! 憂には私の家に来ること言わないで下さいねっ! 怪しまれますから!』メェ~!!
梓『もし、「どこ行くの?」って聞かれたら
「アレをナニしてハアハアするお店に行くんだモジャ!」
って言って誤魔化してくださいっ! でないと大変な事になります! それじゃ!』
唯「!!? はあ!? 嫌だよ! 言わないからね!?」
唯「大変な事ってどうなるの!? ちょっとぉぉ!?」
携帯『ニゲルヨ! ジュン! プッ……ツーーーツーーーツーーー』
唯「…………」
・
・
玄関!
唯(……)
どこ行くのって聞かれたら……
アレをナニしてハアハアするお店に行くんだモジャ!……
大変な事になります……
唯(憂に会わなかったら言わなくてもいいよね……!)ソロリ
唯(そもそも私返事してなかったし! 言う必要ないよ!)ソロリ
唯(無効だよ! 無効! 無効!)
憂「お姉ちゃん?」
唯(ムコぉーーー!!?)ドキ!
憂「お姉ちゃん、どこ行k
唯「どこも行かない! どこも行かないよぉ!?」
唯(何も聞かないで何も聞かないで何も聞かないで……)
憂「靴履いてるでしょー? 変なお姉ちゃん!」クスッ
唯「は……ははは……はは」
憂「今から買い物に行くんだけど、お姉ちゃんも一緒に行く?」
唯(チャンス! 憂が出掛けてくれれば、その隙に外に出れる!)
唯「行かない! 絶対に行かないっ……!!」
憂「ええっ!?」ガーン
憂「な、なんでそんなに必死に拒むの? お姉ちゃんさっきから変だよ……?」ウルッ
唯「なんにも変じゃないよぉ……! 憂だけで行ってきなよぉ……!」
憂「ほ、ほら、軽音部の合宿も近いでしょ? 必要な物とか買いに行こうよ……?」
唯「必要な物なんて無いよぉ……! 単身潜入・現地調達が軽音部スタイルだよぉ……!」
憂「そんなわけないでしょ!?」
憂「こ、今年も行くんでしょ!? 今年はどこ行くの!?」ウルルッ
唯(言った……!)
唯(……どこ行くのって……文脈が違うけど……この場合どうしたらっっ……!)
唯(………………くそぅ!)
憂「聞いてるの!? 今年の合宿どこ行くのって、言ってるんだよ!?」グスッ
唯「……あ、アレをナニして……ハアハアするお店に行くんだモジャ!」モジャーン
憂「……」
唯「……」
唯「………くッッ!」
ガチャリッ
憂「お姉ちゃん!? 待って! モジャってなに!? 純ちゃんの頭に付いてるアレの事!?」
憂「待ってよ! お姉ーちゃーーん!!」
・
・
ややお昼
中野家!
唯「逃げてきちゃった……帰ったら誤解を解かないと……」
ピーンポーン
梓「はーい」
ガチャ
梓「先輩、遅いモジャ! ……って、歩いて来たモジャ?」
唯「モジャモジャやかましいよっ!」
梓「も~、じゃあ言いませんよ……私だって子どもじゃ無いですからね。取りあえず中に入って下さい」
唯「お邪魔するよ……」
バタン
唯「まったく……あずにゃんがおかしいから、平沢さんちの姉妹の仲はギスギスですよ!」プンプン
梓「な……!? おかしいとは何ですか! 私はただ……」
梓「ムギ先輩を尾行して監視して心の奥底まで探ろうとしてるだけです!」
唯「それがおかしいって言ってるの!!」ガーン
梓「うぅ……全部、全部、軽音部のためなのに……」
梓「ムギ先輩……若干距離を感じるし……」
梓「実家も見せてくれないから、私生活が全然わかんないし……」
梓「もしかしたら、私達に言いにくい悩みを抱えてるかも知れない」
梓「私、心配で……」
唯(あずにゃん……)
梓「だから、もっとムギ先輩を知らなきゃ駄目なんだよ!」
唯(あずにゃん、遠くの世界にイっちゃったと思ったけど……)
唯(こんな風に考えてたなんて……)
唯(私、ちょっと誤解してたのかも……)
唯(……よしっ!)スッ…
唯「あ~ずにゃん!」ダキッ
梓「ンニャ!?」
唯「良かったぁ……あずにゃんは、あずにゃんのまんまだったよぉ」
梓「唯……? よくわからないよ……」
唯「……ストーキング行為を認めるわけじゃないけど」
唯「あずにゃんの優しい気持ち……何となく、わかったよ!」
唯「だから……今回だけ、協力するよ!!」
梓「ゆ、ゆゆ、唯ぃ~~!!」
唯「一緒にムギちゃんを付け回そう!」
梓「うん! 付け回そう!」
唯「ムギちゃんを引ん剥いちゃ グゥゥ~~~~(お腹の音)」
唯「ありゃ?」
梓「アハハ! 唯ったら! お腹鳴り過ぎ!」
唯「そういや朝ほとんど食べてなかったぁ~!」
梓「何か食べる? ちょっと待ってて! 冷蔵庫見てくる!」
唯「はぁ~い!」
唯(……)ニコニコ
唯(さっきから一つ引っかかるけど、何だか幸せだなぁ~)ニコニコ
唯(おかしくないあずにゃんと、お話してるみたいだよぉ)ニコニコ
唯(日常ってこんな感じだったなぁ。うぅ、幸せ過ぎて涙出てきた……グスッ)ニコニコ
唯(引っかかる事があっても、突っ込んだらいけない気がするなぁ)ニコニコ
梓「ゆ~い! こんなのあった!」
唯「わぁ~い! 何かなぁ?」
梓「イ~カ~め~し~!」ジャーン
唯「おいしそー!」パチパチ
梓「続いて~、イカリング~!」ジャーン
唯「わぁーーー!」パチパチ
梓「まだまだ~、イカそ~め~ん!」ジャーン
唯「や、やった~!」パチパチ
梓「お次は~、するめイカ~!」ジャーン
唯「う、うれし、いな~!」パチパチ…
唯(突っ込まない……突っ込まないぞぉ……)
梓「なぜかお風呂場で死んでたイカ~!」ジャーン
唯(!?)
唯「ハァハァ……う、うれし、いか……?」パチ…
唯(突っ込んだら……終わっちゃう……普通の日常が……終わっちゃう!)
梓「いよいよラストのぉ~」
梓「スイカ!」ジャーン
唯「…………」
唯「何で最後ダジャレなのぉーーーー!!!」バリバリッバッツーン!!!
梓「だ!? えっ!? どうしたの唯!?」
唯「どうせなら全部イカにしなよ!!! ていうか! そうじゃなくてもイカ率高すぎだよ!!!」
梓「だって! 私のお母さんは基本、冷蔵庫にイカしか入れないタイプだから仕方ないでしょ!?」
唯「聞いたこと無いよそんなタイプ!!! 最悪の栄養バランスだよ!!!」
梓「イカしてるでしょ♪フフフ」
唯「イカレてるよ!!! なに落ち着いてるの!!?」
梓「んも~唯も落ち着きなよ?」
唯「……い、つ、ま、で……タメ口なのぉぉ!!?」
ドガッシャーン……
ユイ!ヤメテ!……
ヤメテッテバ!…
バリーン!…
ガシャン…
……
梓「お、落ち着きました?」
唯「うん……ごめんね……私ちょっと変な境地に達してたよ……」
梓「私も……呼び捨てにしちゃってすみません。やんちゃ過ぎました」
唯「ホントだよ……空気的に言い出せなかったよ……」
梓「でも唯先輩がやる気になってくれて嬉しいです!」
唯「デヘヘ~」
梓「ハアハア……、一緒にぃぃ! ハア……ムギたぁんをぉ! あふぅ! 付け回そうよぉぉ……って台詞に感動しました!」
唯「そんなんじゃなかったでしょ!?」
梓「あ、間違えました。舐め回そうでしたね」
唯「違うよ……違う所が違うよ……もういいよ」
梓「アハハすみません。さて、そろそろ行きましょうか」
唯「へあ?どこに?」
梓「いや、どこにって……ムギ先輩をストーキングしにですよ」
唯「え? 今日!? 今から行くの!?」
梓「早くして下さい? ほら! 行きますよ!」シュタタ
唯「ちょ、ま、待って! いつの間に靴履いたの!?」
唯「待ってぇ! 鍵しなくていいの!? あずにゃ~~ん!」ドタドタ
・
・
風呂休憩します!
49:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 00:46:57.27:qBqEjasU0ういうい
50:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 01:06:02.74:Njui/pXp0再開!
~あらすじ!~
プロストーキングプレイヤーの梓と唯はムギをストーキングすることになりました
51:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 01:06:54.96:Njui/pXp0~あらすじ!~
プロストーキングプレイヤーの梓と唯はムギをストーキングすることになりました
お昼
駅前!
唯(駅前に着いたけど……)
唯「電車乗るの?」
梓「いえ、ここで張り込みます」
唯「お?」
梓「この辺りでムギ先輩を目撃したというタレこみがありました」
唯(タレこみ……)
梓「大量の豚足を購入していたとの噂も」
唯「そんな女子高生おかしいでしょ……」
唯「張り込みなんてしなくても、下校途中のムギちゃんを尾行すればいいんじゃないの?」
梓「それは、ですね……ムギ先輩って電車通学でしょう……?」
唯「うん?」
梓「私、電車に乗ってる学生グループのテンションがどうにも苦手で……」
唯(そんな理由なの……!? ていうか、あずにゃんも学生だよ……)
唯「ま、まあ……そういうことなら……トラウマは人それぞれだよね。何か、ごめんね……」
梓「いえ……」
張り込み開始!
5分後!
ミーンミンミンミン…
梓「暑~~……」
10分後!
ジーワジーワジーワ…
梓「あっついな~もう……サハラ砂漠並だよ……」
唯(……)
15分後
ミーンジーワミーンジーワ…
梓「……うるっさいぞアブラゼミが! あぶら取りシートで巻くぞこの野郎!」
唯「うるさいよ……あずにゃん……何で他のセミは無罪なの……」
梓「あ! そうだ! 忘れてた! ムギ先輩、コンビニに現れるんだった!」
梓「唯先輩! コンビニ!コンビニで張り込みましょう!」
唯「絶対嘘だ……それ今考えた奴でしょ……」
唯「でも……もう……私も限界……コンビニ……行こっか」
・
・
・
コンビニ!
店員「いらっしゃいませぇ~~~」
唯梓「は~~~涼し~~~」
梓「アラスカ並ですね~~~」
唯「それは言い過ぎだよ~~~」
唯「喉渇いたなぁ~ジュース買おうよあずにゃん!」
梓「!!」ササッ
唯「え……ど、どうしたの??」
梓「すみません……ペットボトルはちょっと……威圧されてる感じがして苦手なんです……」
唯(どういうことなの……)
梓「私、あっちで遊戯王カード見てますね」
唯「わ、わかった……」
5分後!
子供A「おねーさん何やってるのー?」
梓「これはサーチといって、袋を開けずにレアを見分けるテクニックでうんたらかんたら……」
子供B「マジで!?すっげーー!」
唯「……」
10分後!
……その時
……唯は見た!
唯(暇だなぁ雑誌でも読んでよ……ん?)
紬「♪」テクテク
唯「……あ!!ムギちゃんいた!!」
唯「あずにゃんどうしよ! 外にムギちゃんいたよ!」タタタ
店員「お客さん! 困ります! サーチ禁止なんですよ! 流行らせないで下さい!」プンプン
梓「違います! 私はただ、勝つためには危ない橋を渡る必要がある事を、子供達に教えてただけなんです!」
店員「違わないじゃないですか! やめて下さい!」
梓「じゃあ何で触れる位置に陳列してるんですか!? この状態でサーチ禁止って! そりゃ無いでしょうよー!?」
唯(なにやってんのーーーー!?)ガーン
唯「ごめんなさい店員さん! この子、ちょっと頭がアレなもんで……」
唯「もう! 何やってんの!? 行くよあずにゃん! ていうか、ムギちゃんいたよ!?」
梓「待って下さい!! 先輩!」
梓「今からあの店員が着てる、青と白の縞々の制服の白の部分を、このマーカーで塗り潰して真っ青にしてやるんですから!!」キュポッ!
唯「やめなよ!! 可哀想だよ!! 何わけわかんない事言ってんの!?」
唯「早くしてよ! ムギちゃん見失っちゃうでしょ!」
・
・
・
走って逃げて
再び駅前!
唯「はあ……ハア……」
梓「はあはあ……悪に背を向ける事になるとは……」ギリッ
唯「悪って……あのコンビニ結構使うんだから……気まずくなるでしょ!?」
唯「それより、ほら! あれ!」
紬「ふんふふ~ん♪」
梓「はい、わかってます。先輩? ここからが勝負ですよ? 目立つ行動は控えてください」
唯「ゴクリ……」ドキドキ
梓「逆立ちとかしないで下さいよ? 目立ちますから」
唯(しないよ! できないよ!)
紬「そろそろ行こうかしら♪」
梓「あ! 移動しましたよ! 後付けますよ!?」コソリコソリ
唯「ラジャー!」コソリコソリ
・
・
・
PSP開始!!
紬「今日も暑いわ~♪」
紬「あ! 少し急がなきゃ♪」
梓「どこに行くんでしょうね」コソリ
唯「……」
唯「……あんま実感無かったけど……よく考えたらさ」
梓「え?」
唯「私達、悪い事してるんだよね……?」
唯「それに、ムギちゃんの家ってお金持ちでしょ……?」
唯「どこかにボ、ボディガードの人とかいたら……」プルプル
梓「……フフ、怖くなっちゃいましたか?」
梓「大丈夫ですよ、唯先輩!」
唯「あずにゃん……」
梓「銃って、思ってるより当たりませんから」クスッ
唯「じゅ、銃!!? 撃たれる様な事になるの!?」
唯「想像の遥か上を行ったよ! なんにも大丈夫じゃないよ!」
唯「ていうか、私達、軽装過ぎない!? 私なんて手ぶらだよ?」
唯「カメラとかビデオとか使うんじゃないの? 何にも準備してないけど大丈夫?」
唯「ムギちゃんの先回りして、店とかトイレに何か仕掛けるんじゃないの?」
梓「唯先輩はPSPと普通のストーカーを混同してます!!」
梓「確かにカメラを仕掛ける事もありますが……」
梓「お風呂とかトイレとか、プライベートエリアには絶対に仕掛けませんよ!」
梓「自宅の部屋とかの公共エリアだけです!!」
唯「部屋は公共じゃないでしょお!? 何その勝手なルール!?」
梓「ていうか……唯先輩……トイレにカメラって……」ゾワッ
唯「ち、ちょっと? 何であずにゃんが引いてるの!?」
唯「あずにゃんに引く資格なんて無いでしょお!?」ズイッ
梓「キャッ……嫌ッ……来ないでっ……」ナヨッ
唯「純情ぶらないでよ! キャッじゃないよ!!」
ガタタッ!
紬「ーーーーーー!?」キョロキョロ
唯(!!)ササッ
梓(ヤバ!)ササッ
紬「ん~~?」(警戒中)
梓「唯先輩が大声出すからですよ!? 気付かれちゃったかも!」ヒソヒソ
唯「ぐっ……ご、ごめん……」ヒソヒソ
紬「うーん、おかしいなー……? 何か聞こえたような……」
紬「ストーカーとか……お風呂にカメラとか……」
唯(……)
紬「サーチ禁止とか……」
唯(!? それかなり前じゃない!?)
紬「残酷な処刑とか……」
唯(いいい言ってない! そんなの言ってない! 処刑って……え!? 私達をってこと!?)
紬「聞こえた気がしたけど……」
唯梓(……)ドキドキ
紬「気のせいよね♪」
紬「あ、もうこんな時間!急がないと♪」テクテク
唯「……」
梓「……」
梓「……ふう~~。セーフみたいですね」ホッ
唯「い、今のはセーフと考えて良かったのかな……」
梓「多分……大丈夫です。ギリギリ三振です」
唯(アウトだよ……)
・
・
・
30分後!
商店街!
紬「もう始まっちゃったかな~?」
梓「何が始まるんでしょうね?」ソロリソロリ
唯「うん……ていうかムギちゃん、独り言の声大きいよね……助かるけど」ソロリソロリ
梓「あ! 建物に入りましたよ!」
唯「この建物が目的地かな~? あ! 看板がある、ええーっと…」
『ガサ入れ上等!やらかしちゃうぜ!俺達のブラック競売所!』
唯「……」
梓「……」
唯「ええぇーー!? 何ここ!?」ガーン
梓「こ、こんな(素敵な)施設がこの街にあったなんて……!」
唯(入りたくない……)
梓「中が気になります! とにかく入りましょう!」ワクワク
唯「うぅ……やだよぉ~~! あずにゃん1人で行って来てよぉ~! 死にたくないよぉぉ~~!」グスッ
梓「何言ってんですか! 危険を冒さないと利益は得られません! ほら、ことわざでもあるでしょ!?」
梓「虎の穴に挿入して子供を得る、とか何とかそういう感じの奴が!」
唯「似てるけど何か違うよぉ~! 意味違ってきてるよぉ~!」
係員「本日の参加受付、あと2名で終了でーす」
唯(!? 図ったかのように!?)
梓「あ、はーい! 私達参加しまーす! ほら、行きますよ!? ちゃんと歩いて下さい!」ズリズリ
唯「やあぁぁ~~~だぁぁ~~~!」ズリズリ
・
・
・
競売所!
係員「こちらにお座りくださーい」
梓「あ、どーも」
梓「係りの人、何もくれませんでしたね……価格提示は挙手でしょうか……」
梓「……お客さんは……20人くらい、かな」
梓「思ってたより普通な感じです」
唯「グスッ……普通じゃないよぉ……何を冷静に分析してんのぉ……」
唯「何でノーチェックで入れたの……怪しすぎるよぉ……」
梓「えーっと……あ! いた! ムギ先輩は前の方ですね」
梓「ムギ先輩から私達は見えませんが、目立たないように注意していきましょう」
唯「り、了解……」
梓「始まるみたいですよ……!」
ワー!
パチパチパチ!
司会「エー、ァン、ホンジツワ、オアツマァリ、イタダキマス」
唯(なんで司会者がカタコトの外国人なの!?)ガーン
司会「アァン? マ、マコッ……アァン? マッコッ…………」
唯(詰まっちゃったよ!!)ガーン
係員「真に有難う御座いますだって! 真に有難う御座いますだって!!」ヒソヒソ
司会「アァン? マトコ?」
唯(懸命に教えてるよ!!)ガーン
ザワザワ…
コウタイ!コウタイシテ!…
ザワザワ…
司会2「えー……本日は御集まり頂き、真に有難う御座います!」
唯(代わっちゃったよ!! 何だったの!?)ガーン
司会2「長々したおしゃべりは面倒ですので、早速、競売に移らせて頂きます!」
ワー!
パチパチ!
梓「どんな商品なんでしょうね?」ヒソヒソ
唯(ヤバイ物だよぉ……多分ここはお金持ちが集まるヤバイ所なんだよぉ……)
司会2「本日は週に2度の豚足デーですので、商品は全て豚足となっております。奮って御参加下さい!」
唯(豚足デー!? 何それ!? んん? 豚足……まさか!?)
ガタッ!
紬「よぉし来たーーー!!♪」
唯(ム、ムギちゃんーーー!? 噂は本当だった……!!)ガーン
紬「♪~♪~」
客A「お、おい……あの子!」
客B「ああ……豚足のムギだ」
唯(有名人なの!? なんか嫌な通り名だなぁ……)
客A「マジかよ……」ガタガタ…
客B「昨日も……やらかしたらしいぜ?」
唯(だから昨日来なかったのかな……)
司会2「では、一品目。沖縄産豚足10kg! では、500から!」
600!
700!
900!
紬「うふふ♪……2000!!」
客達「おおおぉ~~~~!!」
唯(おおお~、じゃないよ……何この盛り上がり……)
…2200!
…2500!
紬「3500!!」
唯(単位が無いのが怖いよぉ……円? 円だよね??)
梓「クソ……4000!」
唯(なにしてんのーーー!?)ガーン
司会2「はい、決定! 4000で落札です!」ズビシッ!
梓「いよっしゃーーっ!!」
唯(競り落としちゃったよ!!)ガーン
唯「ちょっ! ちょっと!? あずにゃん駄目でしょ!?」ヒソヒソ
梓「う……すみません。もっと安く落札するべきでしたよね……でも、次は頑張ります!」
唯「そんな目的じゃなかったでしょ!?」
唯「違うよ! 目立っちゃ駄目でしょって言ってんの!」ヒソヒソ
梓「だって……だって私も参加したかったんだもん!!」
唯「子供じゃないんだから! わんぱく過ぎだよ!」ガーン
梓「もう! 気付かれて無いんだから、いいでしょう!?」プンプン
唯「何で怒ってんの……ていうか気付かれ無かったんだ……奇跡的な奇跡だよ……」
紬「あ~あ、全部落札したかったんだけどな~」シュン…
唯「ほらぁ~! 可哀想に……ムギちゃんションボリしてるじゃん!」プンプン
梓「わ、わかりました! 目立っちゃ駄目でしたよね! もうしません! 私、超わかりました!!」
唯(ホントにわかったのかなぁ……)
その後、ムギちゃんは次々出てくる豚足を全て落札していきました
時々あずにゃんが「3000!」とか「5000!」とか「糞がぁ!」とか
言ってた気がするけど、たぶん気のせいだと思います
1時間後
係員「本日は終了でーす。有難うございましたー」
唯(……結局、この競売所は何だったのだろうか)
紬「今日はまあまあだったかな♪」
唯(ムギちゃん……あんな大量の豚足、どうする気なんだろ)
紬「よいしょっと……、じゃあ帰ろうかしら♪」ズリズリ
唯「あ! 移動したよ! あずにゃん何してんの? 行くよ?」
梓「お、重いぃ~……唯先輩! 豚足半分持って下さいよ~……」ズリズリ
唯「知らないよぉ……自分が悪いんでしょお……」
梓「重いよ~……臭いよ~……邪魔だよ~……」ズリズリ
唯(何で落札したのさ……)ズーン
・
・
・
30分後
再び駅前!
紬「よいしょ♪よいしょ♪」ズリズリ
唯「ムギちゃん……遠くから見ると豚足の塊が歩いてるみたい……」
梓「ムシャリ……豚足の影に隠れて、ほとんどムギ先輩が見えませんね……見失わないよう注意しましょう」ムシャムシャ
唯「見失わないよ……逆に目立ってるもん……」
紬「よいしょっ……と♪」ピピッ
唯「あ! 改札通った! ムギちゃん電車乗るよ?」
唯「あずにゃん電車はトラウマだよね? どうすんの!?」
梓「ええ!? ヤバイ! どうしよう! えーと……」アワワ
唯(やっぱりこの子何も計画してないよぉ……)
梓「あ! そうだ! 二手に分かれましょう! 先輩はこのまま尾行を続けて下さい!」
梓「で、ムギ先輩が降りたら連絡して下さい! 私は後からタクシーで行きます!」
唯「ええぇーー……」
梓「大丈夫です! 私がサポートします! 何かあったら電話して下さい!」
唯「うぅ……もう、わかったよ……」
ハッシャシマース
・
・
・
電車内!
ガタタン…ゴトトン…
紬「暑かった~♪」ポタポタ
唯「……」コソリコソリ
唯(勢いで単独行動になっちゃったけど……)
唯(不安だよぉ……)
携帯『ヴーーヴーーヴーー ---着信 あずにゃん---』
唯(電話だ。あずにゃん、心配してくれてるのかなぁ?)
唯「(電車の中だけど……仕方ない!)ピッ はい、もしもし?」ヒソヒソ
梓『唯先輩! 聞いてください! ヤバくて! 大変なことになって!!』
唯(ええぇーーー!?)ガーン
唯「何でそっちがトラブルになってんの!? どうしたの!?」
梓『何かわかんないんですけど、大量の蟻が寄って来て、蟻に手足の自由を奪われそうなんですよぅ!』
唯(どんな状況!?)ガーン
梓『唯先輩! ど、どうしたらいいですか!? ああ!? やめて! 内側に入らないで! ああぁ!』
唯「ええぇー……わかんないよぉ……えーと、水に飛び込む、とか……?」
電話『タタタッ……ザッパーン! ドボン! ブクブクブク……プッ、ツーーーツーーーツーーー……』
ピッ
唯「…………」
唯(よぉ~し……監視に戻るぞぉ……)
ガタタンゴトトン…
それから監視を続けましたが、驚くほど何もありませんでした
・
・
しばらく後!
紬「着いた~♪」
紬「あ、融けてるわ~早く帰らないと~♪」ポタタッ
唯(あ! ムギちゃん降りた! 電話しないと!)
ピポパ
プルルルルル
梓『……はい、どうしました?』ポタポタ
唯「あ……さっき大丈夫だったの?」
梓『はい、何とか……豚足は沈んでしまいましたが』ポタポタ
唯「そうなんだ……あ、そうだ、ムギちゃん○△駅で降りたよ!」
梓『○△駅ですね!? わかりました! ヘイ! タクシー!』
運転手『はーい、どこま……でえぇ!? 何でキミずぶ濡れなの!?』
梓『いいから! ○△駅まで!』
運転手『いやいや、良くないよ……電車で行ったほうが早いでしょ?』
梓『違うんです! 先輩が豚足の塊で電車乗ったんですけど、学生グループのテンションが苦手で乗れなくて、
二手に分かれたんですが蟻の大群に自由を奪われたから、タクシーで○△駅に行かないと駄目なんです!』
運転手『……! わかった、乗りな』
唯「……」
梓『じゃあ唯先輩! すぐに行きますんで尾行の続きお願いします!』
唯「うん……了解……」
ピッ
唯(運転手さん……何がわかったというの……)
唯(世の中には私の知らないことがいっぱいあるんだなぁ……)
唯(不思議だなぁ……)ホゲ~
唯(まあ、友達を尾行してる私も十分不思議な存在だよね……)
唯(まあ最初は気乗りしなかったけど、実はムギちゃんの実家、気になってたんだよね~テヘヘ)
唯(もう近いのかなぁ~…………あれ……?)キョロキョロ
唯(あれ!? う、嘘……!?)キョロ!キョロロッ!
唯(……)
唯(見失っちゃった……)
・
・
・
しばらく後!
駅前!
ブゥーン…キキッ
ガチャ
梓「運転手さん、どーもです!」
梓「さてと……唯先輩どこにいるんだろ……」
梓「ちゃんと尾行できてるかな……電話してみよう」ピポ
唯「……あずにゃん」ヌウゥ
梓「あれ!? 唯先輩?」
唯「えとね、あの……ね」
梓「ムギ先輩、まだ駅にいるんですか? どのへんですか??」
唯「あの……その……」
梓「??」
唯「……見失っちゃった」ボソッ
梓「え……」
唯「……ごめんね!」
梓「……」
唯(あずにゃん怒るかなぁ……見失わないよぉとか言っちゃったしなぁ……)
梓「先輩……」
唯(ひぃぃぃ)
梓「もう~! だめじゃないですか!」ニコッ
梓「なに落ち込んでるんです? 唯先輩は初PSPだから仕方ないです!」
梓「まだ近くにいるかもです! 探しましょう!」
唯「あずにゃん……」グスッ
梓「それに、唯先輩がいたからここまで来れたんですよ! 私の方がミスしちゃってますからね…///」
唯「ハハハ……」
梓「コンビニで騒いじゃったり……」
唯「あれはびっくりだったよぉ」
梓「電車乗れなかったり……」
唯「あずにゃんは繊細だったんだねぇ」
梓「お寿司屋さんのいけすに飛び込んじゃったり……」
唯「あの時……かな? いけすに飛び込んだんだ……」
梓「唯先輩の名義であんな事しちゃったり……」
唯「え?」ピク
梓「タクシーの運転手さんと目を合わせて話せなかっ
唯「待って、あずにゃん……ちょっと待って……?」
梓「おじさんだったから、ちょっと怖くて……目見れなくて……」
唯「いやいいよ! それはいいよ! 何かどさくさでカミングアウトしてなかった……? 私の名義でどうとか……」
梓「……すみません……つい」
唯「え……!? 何やったの……?」
梓「すみません……グスッ……すみません……もうしませんから……」メソッ
唯「何泣いてんの……? 謝らないでよ……? ええぇーー? ちょっ」
唯「怖い怖い怖いっ! そういう反応が一番怖いよ! 何してくれちゃったの!?」ガーン
梓「……」
梓「そ、そうだ! アイス! 唯先輩! アイス食べましょう! ガリガリ君!」
唯「アイスを買いかぶり過ぎだよ! アイスって言えば私が何とかなると思ってるの!?」
唯「あと、ガリガリ君は売れ過ぎで販売停止中だよ!!」プンプン
梓(しまった……! スイカバーだったか……!)
梓(このピンチ……どう切り抜ければ……)
梓(……ん? あれって……もしかして!)
唯「聞いてんの!? 大体ね!? あずにゃんは昨日から頭がおかし
梓「唯先輩! あれ! 見てください!」
唯「ええ? 何?」
梓「水溜まりですよ! ほら!」
唯「だからなんなの!? 私があの水溜まり並って言いたいの!?」プンプン
梓「違います! ムギ先輩、見失ったけど……まだ大丈夫かもしれないんです!」
唯「??」
梓「物が動けば、そこに必ず跡が残ります……追跡(トラッキング)です!」
唯「トラ……え?」
梓「あの水溜まりは……たぶんムギ先輩が持ってた豚足の、保冷用の氷が融けたものだと思います!」
梓「ほらっ! 道みたいに続いてますよ! あの痕跡を追いましょう!」
唯「待ってよ! まだ話が終わってないでしょ!?」
ジュワワ~
梓「あ!? 水溜まりが蒸発し始めた! 早く行きましょう! ほら!」タタタ
唯(押し切られた…)
・
・
・
それから……私達はムギちゃんが残したと思われる水溜まりを辿っていきました
途中、あずにゃんの前衛的なストーキングのせいで数々のピンチに見舞われましたが
ある建物に行き着くことができました
梓「……ここですよね?」
唯「うん……ここで水溜まりが途切れてたね……」
『麺処 ことぶひ』
唯梓「……」
唯「ムギちゃんの実家かなぁ……?」
梓「うーん……系列店の1つなのかも……」
梓「もしくは……このお店に突然、相撲部の部員が大勢やって来た上に、
全員とんこつラーメンを注文するもんだから、スープに使う豚足が足りなくなり、
店主が困っていた所に、偶然大量の豚足を持ったムギ先輩が通りかかって、
ムギ先輩は店主に豚足を差し上げたついでに、遅めのお昼を食べているだけ
かもしれませんよ……」
唯「長いよ! そして違うよ! 私もわかんないよ? わかんないけど、あずにゃんの予想は違う気がするよ!」
唯梓「……」
梓「……取り合えず入りますか」
唯「え!? 入るの?」
梓「ここまで来たのに、入らなかったら意味ないですよ!」
唯「いや、でもぉ……流石にバレちゃうよ」
梓「たぶん大丈夫です! 相撲部の人の影に隠れていれば見つからないはず!」
唯「それあずにゃんの妄想の話でしょ!? たぶん相撲部いないよ! 来てないよ!」
梓「我は……確率を統べる者! 来たれ相撲部!!」
ガラッ!
唯(気持ち悪い事言いながら扉開けたーー!!?)ガーン
イラッシャイマセー
客A「……」ムシャムシャ
客B「……」ズルルルッ
客C「……」ガツガツガツ
梓「いない……?」
唯(相撲部いなかった! やっぱり! やっぱりね!)ガーン
梓「ゆゆゆ唯先輩!? どうしましょう!!?」アワワ
梓「そ、そうだ! 私が相撲部に入部すればいいんだ!」アワワワ
唯「ちょっと! あずにゃん落ち着きなよ!」
・
・
・
しばらく後!
取り合えず私達は店内に入り、座敷に座りました
梓「すみません、取り乱しました……」
唯「ホントだよ……かなりキテたよ……」ペラッ
梓「ていうか、ムギ先輩いませんね……ここは関係無かったんでしょうか……」
唯「どうだろう」ペラッ
梓「もう手掛かり無いですよ……どうしましょう……」
唯「うーん」ペラッ
梓「唯先輩聞いてますか!? なにメニュー見てるんですか!」
唯「入っちゃったんだから注文しないとおかしいでしょ!」
唯「あと、お腹空いてるんだよ! あの時のイカも結局グチャグチャになっちゃったし!」
唯「ラーメン食べたいよ!」グスッ
梓「泣かないで下さい……わかりました、休憩にしましょう!」
唯「わぁーい!」
唯「ど・れ・に~しようかなぁ」ペラッ
梓「とんこつが充実してますね」ペラッ
唯「あ、私これにする! とんこつラーメンと半チャンのやつ!」
梓「えーっと、トンチャンセットですね。私もそれにします」
唯「わかった!」
唯「すいませーーん! 注文いいですかーー?」
紬「はぁ~い♪」
唯梓(!?)ドキ!
唯「どどどどういうこと!? ムギちゃん厨房の中にいるよ!?」ヒソヒソ
梓「ま、まさか、中で働いてるとは……」ヒソヒソ
紬「あれ? 今の声……」
唯梓(ヤバイ……!)
唯「ムギちゃんこっち来るよ!? バレちゃうよ!?」ヒソヒソ
梓「取り合えず変装しましょう! ジュン(羊)の毛で作ったウィッグです! 被って下さい! カポッ(装着)」ヒソヒソ
唯「白いアフロ!? まあいいや! でも、声でバレちゃうでしょ!? カポッ(装着)」ヒソヒソ
梓「大丈夫です! こんな事態を想定して変声機を持ってきました! これを使ってください!」ヒソヒソ
唯「変声機って……何かおもちゃみたいだよ!? ロフトあたりで売ってそうだよ!? 大丈夫なの!?」ヒソヒソ
紬「唯ちゃんっぽい声だったような……」スタスタ
唯(……あーもう! やるしかない!)
唯「スイマセン! トンチャンセットヲ、フタツ、オネガイシマス!」ピーガー
唯(ほら高い! 声が高いよ! 宇宙人みたいになってるよ!!)ガーン
梓「ブフッ! クププッ! プスッ(笑)」ピクピク
唯(なに笑ってんのぉ……!)
紬「あ、あれ? ごめんなさい、知り合いの声に似ていたもので……」
紬「トンチャンセット2つですね♪かしこまりました♪」タタタ
唯梓「……」
梓「ふう~~……何とか回避したようですね……」
唯「ていうか、ムギちゃん働いてたよ!? どういう状況!?」
梓「わかりません……バイト、とかでしょうか……」
ガチャ
斉藤「おや? 紬ちゃん、帰ってたのかい?」
紬「あ、ただいま~。お、お、お義父さ…………斉藤さん」
唯(何か訳ありっぽい……!)
斉藤「ふふ、無理しなくてもいいんだよ。それより、競売に行って疲れてるだろう? 休んでておくれ」
紬「ううん、いいの! このお店は……お父さんの……私のお店だから」
斉藤「紬ちゃん……」
唯「どういう事なの!? ここ実家っぽいよ?」ヒソヒソ
梓「うーん……豚足はラーメンのスープ用だったんでしょうか……」ヒソヒソ
唯「いや、豚足よりムギちゃんが気になるよ……ムギちゃんの実家ってお金持ちじゃなかったの?」ヒソヒソ
梓「セレブの振り、してたんでしょうか……」ヒソヒソ
斉藤「それと……紬ちゃん、アレ……まだ続けるのかい?」
紬「……お嬢様キャラ、の事かしら」
梓「あ! 都合良く話し出しましたよ!」ヒソヒソ
唯「……」
紬「……斉藤さんには、話しておくべきね」
紬「……そう、あれは……1年生の時……」
唯(語り出した……ラーメン作らなくていいの……?)
紬「私は軽音部に入部した当初、自分の実家がラーメン屋だと皆に言い出せなかったの……」
紬「あの時の私は、ラーメン屋も……お父さんも好きじゃなかったから……」
紬「小さい頃から修行修行の日々……普通の学生生活を送ることもできなかった……」
紬「あげく、お父さんは『金髪豚』を求めて家を出て行っちゃうし……」
紬「とにかく……私は、自分がラーメン屋の娘だと言いたく無かった、認めたく無かったの……」
紬「だから私は決意したの……自分はお嬢様って事にしようと!」
紬「お嬢様だったら世間知らずでも納得がいくでしょ? ラーメン屋をカモフラージュできると思ったの!」
唯(ムギちゃん……)
楽器屋店員「なるほど……あの時、何故ギターを値切る芝居をしてくれと頼まれたのか……やっと謎が解けました」ズルルッ
紬「あ、あなたは……! あの時の楽器屋さん……!」
唯(ギー太買った時の店員さん!?)
楽器屋店員「セレブの振りをする芝居だったんですね……」
楽器屋店員「しかし、25万のギターを5万です……差額を準備するのは大変だったでしょう?」
紬「……ええ。正直、自腹で20万円はキツかったわ……」
唯(ごめんなさい!!)ズキッ!
紬「でも、あの出来事が私の考えを確信に変えたの……」
紬「唯ちゃんのためにも、軽音部のためにも……お嬢様キャラが必要だ、って」
梓「私も偉そうな事言えませんが……何か唯先輩が原因の一端みたいですよ……」ヒソヒソ
唯(ぐはぁーー!!)ズキッズキッ!
紬「お菓子やお茶を用意するために、皆に内緒でいろんなアルバイトをしたわ」
梓「バイトって……MAXバーガーは、結構ガチのバイトだったんですね……」ヒソヒソ
唯「自前で用意してたなんて……」ヒソヒソ
紬「夏には別荘管理のアルバイトをして合宿地を用意したわ……」
梓「人の別荘だったんですね……」ヒソヒソ
唯「勝手に使って大丈夫だったのかな……?」ヒソヒソ
紬「後で怒られちゃったけど……持ち主さんがラーメン好きで助かったわ……」
唯(ラーメンで何とかしたんだ……)
斉藤「紬ちゃん……そこまでしなくても……」
紬「いいえ、斉藤さん。大変だけど……後悔はしてないの!」
紬「合宿は私にとって……たぶん皆にとっても良い思い出になったと思う!」
紬「それに、お茶の時間があったから、今の軽音部があるんだと思うの!」
紬「今なら……お父さんの気持ち、わかる気がする。大切な物のために無我夢中になってたんだと思う……」
紬「お父さんの大切な物は、豚骨ラーメン……そして、私にとって大切な物は、軽音部なの!!」
唯(ムギちゃん……)
梓(ムギ先輩……)
斉藤「でもね、紬ちゃん。私は君の事が心配なんだよ」
斉藤「今からでも皆さんに打ち明けることはできないのかい?」
紬「駄目よ! 言えないわ!」
紬「私がお嬢様じゃないって知ったら、皆がっかりしちゃうじゃない!」
唯(ムギちゃん……そんな事ないよ……)
紬「おやつだって……毎日、豚骨ラーメンを出す事になるのよ!?」
紬「そんな事できないわ! 女子高生なのよ!? 体重とか気になるじゃない!」
唯(確かに毎日は……って、別に出さなくていいんじゃないの……!?)
紬「バンド名だって変わっちゃうわ……放課後ラーメンズになっちゃうじゃない!」
唯(そこも変わるの!?)
紬「そうなったら歌詞も変えないと……」
紬「♪君を見てると~いつもハートが千葉!滋賀!佐賀!♪って、どういうことなの!?」
唯(さっきからムギちゃん何言ってるの!?)
紬「私は……お嬢様じゃないといけないの!!」
斉藤「紬ちゃん……」
唯(……)
梓「そんな事ないっス!!」ガタタッ
唯(!)
唯「ちょっ!? 会話に参加しちゃ駄目だよ……!」ヒソヒソ
梓「たぶん大丈夫ですよ! 変装もしてますし、低い声で喋ればバレませんよ!」ヒソヒソ
紬「お、お客さん……? 何ですか、いきなり……」
唯(大丈夫だった……! ムギちゃんも相当だよ……)
梓「そんな事ないって、言ったんス!」
梓「バーメン(※)信じて、本当のリアルを打ち明けるべきっス!」
※メンバーとほぼ同意の業界用語
紬「……お客さんに何がわかるんですか? ていうか誰なんですか?」
梓「自分もダレス(※)やってるんス。だから姐さんのソウル、わかりますっス」
※「音楽」のかっこいい言い方。音楽に国境は無い→ボーダレス→ダレス
紬「え……」
梓「自分……昔、結構ツッパってて、今のバンドやめかけた事があるんス」
梓「でも、こんな勝手な自分を、バーメン……ていうか先輩方は受け入れてくれたんス!」
梓「そんとき自分、思ったんス! このバーメンは最高のバーメンだって」
紬「……」
唯(あずにゃん……)
紬「でも……偶然うまくいったのかも……」
梓「……姐さんも感じた事あると思いまス」
紬「え?」
梓「演奏するとバーメンが一つになった様な、あの感覚を……」
紬「た、確かに……」
梓「普段、バラバラに見えても、どんなに距離を感じても、演奏すると一つになる……」
梓「それは、バーメンが最高だからなんス!!」
紬「!」
梓「バーメンも、きっとわかってくれるっス!」
梓「姐さんがラーメン屋の娘でも、バンドが変わる事は無いっス!」
紬「でも! 毎日のおやつが豚骨ラーメンになるんですよ!? 苦痛に感じちゃうかも……」
梓「姐さん……それはちょっと違うっス」
唯(お?)
梓「姐さんは豚骨ラーメンにこだわり過ぎて、周りが見えなくなってるんス」
唯(おお?)
梓「別に毎日豚骨ラーメン出す必要は無いんス」
唯(おおお?)
梓「曜日交代でラーメンをチェンジすればいいんス!」
唯(違う!)
梓「醤油や味噌ラーメンを忘れちゃってまス!」
紬「な、なるほど……!」
唯(そういう事じゃないよぉ……)
梓「醤油、味噌、塩、豚骨、付け麺のローテーションっス!」
唯(いや知らないよ……)
紬「お客さん……わかった! 私……皆に打ち明けてみる!!」
唯(わかっちゃった……)
梓「姐さん……! その意気っス! ファイトっス!」
紬「お客さん、ありがとう。なんだか勇気出てきたわ♪」
梓「恐縮っス!」
唯(でも、まあ)
唯(ムギちゃんの口から打ち明けてくれるみたいだから、万事OKかな)
紬「よぉし……じゃあ感謝の意味を込めて」
紬「今日は、お客さんのために歌おうかしら」
唯(うたう……?)
紬「お父さんが……いつも言ってたわ」
ガララッ カシャン!
唯(!? 厨房の中からキーボードが……!!)
紬「ラーメンとピアノは似ているって」
唯(?)
紬「(出汁を)出して駄目なら(ピアノを)弾いてみろって」
唯(??)
紬「聴いて下さい! ハニースイートティータイム!!」
唯(ええぇ~~……)
♪はーちみーつ いーろのー
ポロロン ポロロロン
唯(歌いだした……)
♪ごーごがー すぎーてくー
♪ハニー スイート ティータイム
唯(ていうか、さっきからあずにゃんの姿が見えない……まさかね)
♪はーちみーつ いーろのー
ポロロン ポロロロン
ジャカジャカ ジャカジャカ
唯(……ん?)
♪ごーごがー すぎーてくー
梓「♪ハニー スイート ティータイム!」
唯(参加しちゃってる……ちょっと予想してたよ……)ガーン
紬「♪マカロン 飛行船」
ジャンジャカ ジャンジャカ
唯(ストーキングが大胆過ぎるよぉ……どこからギター出したの……)
梓「♪時計は ラング・ド・シャ!」
唯(地声で歌っちゃ駄目でしょお……!)
紬「♪胸がキュンとなるほうへ~~ 出かけよう!」
唯(……疲れた、しばらく見てよう)
紬梓「♪笑顔の花咲く空の下 あふれてしまうの こーきしん! マキシ!」
楽器屋店員「グスッ……へへっ、今日のラーメンは塩味が効いてるぜ……」ボソッ
紬梓「♪赤道色の リボンかけた 地球はお菓子箱 夢つまってる!」
ワー!ワー!
キャー!キャー!
梓「みんなー! ライブ来てくれてありがとー!!」
ジャンジャカ ジャンジャカ
紬「♪はーちみーつ いーろのー ごーごはー なにーあじー?」
梓「♪ハニー スイート ティータイム!」
唯(2番突入……!)
紬「♪はーちみーつ いーろのー ごーごはー なにーあじー?」
梓「♪ベリー キュート アズニャン!」
唯(歌詞変えちゃったよ……)
紬「♪ガレット 駐車場」
梓「♪にゃあ!」
紬「♪野良猫 ザッハトルテ」
梓「♪にゃあ!」
唯(にゃあ! じゃないよ……)
紬「♪今日こそやりたかったこと~~ 始めよう!」
ワー!キャー!
紬梓「♪光の絵の具 こぼした街 瞳に映る全部が 未来! レシピ!」
唯(そして完璧なコンビネーション……)
紬梓「♪青空色で ラッピングされた 世界は贈り物 開けていいかな?」
唯(何でバレないの……ムギちゃんもかなり図太いよぉ……)
梓「♪道に迷ったら お茶にしましょう」
唯(あ、図太いって言っても眉毛じゃなくて)
梓「♪願いはキャンディースプーンに 切なさはティーポットに」
唯(神経が骨太って事を言ったわけで)
梓「♪気持ち クルクル ユラユラ まぜて」
唯(骨太……豚骨なだけにね!)
梓「♪悩みも……フフフフン フフン」
唯(うまいこと言っちゃったなぁ~テヘ!)
梓「♪きっと~~ 明日も 晴れますように!」
唯(……)
ワー!キャー!
梓「♪笑顔の花咲く空の下 あふれてしまうの こーきしん! マキシ!」
唯(ていうか、さっきから出しゃばり過ぎだよ……あずにゃんしか歌ってないよ……)
梓「♪赤道色の リボンかけた なーんとかかんとか! 食べちゃお!」
梓「♪青空色で ラッピングされた 世界は贈り物 開けていいよね!」
ジャンジャカ ジャンジャカ ジャーンジャーンジャーーン……
なんだこれはw
107:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 04:02:31.29:Njui/pXp0梓「はあ……はあ、みんな! 一緒に歌ってくれてありがとー!」
ワー!ワー!
キャー!キャー!
唯(……)
梓「ふう……じゃあ! 次の曲っ!!」
唯「もういいよーーー!!」ズバッシコーン!
その後もライブは続きましたが、どうにかムギちゃんに気付かれる事なく
あずにゃんを連れ出し、お店を出ることができました
あと、私達が注文したラーメンは出てきませんでした
・
・
帰り道!
唯「まったく……バレなかったのが不思議だよ!」プンプン
梓「目立っちゃ駄目でしたよね……ド忘れしてました……」
唯「よりによって、そこをド忘れしたんだ……」
梓「すみません、ムギ先輩の話を聞いてたら……気が動転しちゃって」
唯「……そうだね。私もビックリしたよ」
梓「ムギ先輩のセレブは、キャラだったんですね……」
唯「うん。今まで気付かなかったよ……」
梓「ずっと内緒でバイトして、お茶とか用意してくれてたんですね……」
唯「そうだね……」
梓「ムギ先輩は影から軽音部を支えてくれてたんですね……」
梓「そう考えるとムギ先輩も、ある意味PSPと言えますね……」
唯「うん……? それは、ちょっとわかんないかな……」
梓「でもまあ、ムギ先輩も打ち明ける気になってくれたみたいなので」
梓「私達は、こっそりと全力でサポートしていきましょう!」
唯「もちろんだよ!」
梓「たとえ……ラーメンをかけられる事になったとしても!」
唯「もう~! ムギちゃんそんな事しないでしょ!」
梓「えっ? あ~……ああ! そうか、そうでした!」
唯「もう~! あずにゃんったら!」
ウフフ アハハ エヘヘ
梓「じゃあ……今日はこの辺で。唯先輩、お疲れ様でした」
唯「うん。じゃあね~、あずにゃん!」
梓「はい、ではまた学校で。失礼します」
・
・
・
平沢家!
唯「はあ……今日は疲れたなぁ」
唯「ていうか……お腹減った……」ゲッソリ…
唯「ただいまぁ~」
ガチャリ
憂「おかえり、お姉ちゃん」
唯(あ! 忘れてた……!)
憂「遅かったね。なにしてたの?」
唯「ち、違うんだよ、憂……」
唯(あずにゃんと会ってたって言ったら怪しまれる……? なんて言い訳しよう……!)
憂「あ! そ、そうか/// お店に行ってたんだよね///」
唯「違うよぉ……! 憂は誤解してるよぉ! そういうお店には行ってないよぉ!」
憂「……クスッ、フフフッ……ごめんね、お姉ちゃん。大丈夫、わかってるよ」
唯「え? あ、あれ? わかってるの?」
唯(そうだよね! 私がそんなとこ行くわけ無いって、憂ならわかってくれてるよね!)
憂「15禁のお店……って事だよね? それならお姉ちゃんの年齢でも問題無いもんね?」
唯「いや違う! 違うよ! わかってないよ!」
憂「確かに……わかってない、かな」
憂「15禁の方が直接的な描写が無い分、いろいろ想像できるから、
むしろ興奮するって言いたいんでしょ? ……確かに私には、その感情はわからない」
唯「違うよぉ! 何でそんな難しく考えちゃうの!?」
唯「ほ、ほら! 河川敷! 河川敷を散歩してたんだよぉ……!」
憂「えっと……どういう事? お姉ちゃんにとって河川敷は性の対象でしかないってこと?」
唯「違……って、ええ!? もう憂の言ってる事がわかんないよ!」
憂「私の方がわかんないよ! つまりどういう事なの!? 私と付き合いたいって事!?」
唯「ええぇ!? 違うよ! 何でそうなるの!?」
梓「ぅぅう~~ん? ういー……うるさくて眠れないよー……」
唯「だから何でいるの!? 私のパジャマ着ないでよ!」ガーン
憂「梓ちゃあん! お姉ちゃん、私とは付き合えないって……!」ウルッ
梓「ひ、酷い! ……いや、待って憂! 唯先輩はそんな事言わないよ!」
梓「たぶん、何かに憑かれてるんだよ!」
憂「ええっ!?」
唯「話をややこしくしないでよ!!」
梓「河川敷……そうか! 水辺には集まり易いって聞くし……間違いない! 完全に憑かれてるよ!」
唯「なにその乱暴な推理!?」
憂「そ、そんな……どうすればいいの??」
梓「大丈夫! 私が除霊する!」
唯「ええぇ~~……」
梓「唯先輩! 今助けます! 取り合えず眠って下さい!」
唯「いや、今すぐは無理だよぉ……」
梓「じゃあ目を閉じるだけでいいです!」
憂「お姉ちゃん! 梓ちゃんの言う通りにして! 持っていかれちゃうよ!?」
唯「うう~……わかったよぉ……」
梓「では、始めます! 除霊中は喋らないで下さいよ!?」
唯(何されちゃうんだろ……?)( ̄へ ̄;)
梓「憂、対魔装束ある?」
憂「待ってて! 探してくる!」トタタ
唯(……)
憂「梓ちゃん……巫女さんコスプレセットしか無かった……」
梓「え!? う~ん、まあ何とかなるか。ありがとう!」
唯(ええぇー……)
梓「よいしょっと……」ゴソゴソ
憂「梓ちゃん可愛い~!」ピロリン
梓「も~、写メ撮らないでよ~!」キャッキャッ
憂「梓ちゃんだって、しっかりポーズ取ってるでしょ~!」ウフフ
唯(除霊してる空気じゃないよぉ……)
梓「よし……じゃあ、いくよ」
憂「頑張って! 梓ちゃん!」
梓「霊さん! いや、霊大先生! 唯先輩の体から出て来て下さい!
是非お願いします! 何でもしますから! すいません! 出て来て下さい!」
唯(すっごい下からだなぁ……)
しばらく後
梓「……く、来る!」
憂「梓ちゃん! 何か出て来たよ!?」
唯(なに出てきたのーーー!?)ガーン
梓「よし! 退治するから憂は離れてて!」
憂「わ、わかった!」
唯(ヒィィィ……!)
梓「フッ……ハッ! セイ!」ドゴッ!
憂「梓ちゃんナイス! いい蹴り入ったよ!」
唯(肉弾戦……!?)
バシッ! バコッ!
梓「ハアッ! ゥオラッシャァ!!」バシコーン!
憂「やったーー!」
唯(……)
梓「ゼェ……ハァ……」
憂「お姉ちゃん? 終わったみたいだよ!」
唯「そ、そうなの……? お疲れ様……」
憂「梓ちゃん、ありがとう! 大丈夫?」
梓「ヒャヒャ! ヒャヒャーヒャッヒャァー!」ヒャヒャーン
唯「……」
唯「何か大丈夫じゃなさそうーー!!」ガーン
あずにゃんに秘められた対魔能力のおかげで、どうにか憂の誤解を解くことができました。
あずにゃんは夕ご飯を食べた後、「呼んでるから」と言い残し帰宅しました。帰して良かったのかなぁ……
そんなこんなで、長かった1日が終わりました……
・
・
・
数日後!
部室!
ムギちゃんストーキング後、初の活動日です
私とあずにゃんは作戦会議のため、少し早く部室に集まりました
梓「では、他の先輩方が来る前に、作戦会議しておきましょう」
唯「りょーかい!」
梓「まずは普通にトークします。あくまで自然に」
梓「その後はムギ先輩がカミングアウトするまで見守りましょう」
梓「以上です」
唯「早いなぁ……もう会議終わっちゃったよ」
梓「あとは、いろんな状況を想定した対応マニュアルを作ったので見ておいて下さい」
ドサッ
唯「分厚っ!? 無理無理、時間無いよ!」
梓「ええ!? ど、どうしよう! こういう状況の時の対処方法は……えーっと」ペラッペラッ
唯「載ってるの!?」
梓「あった!」
『トラブルNo.226 もし唯先輩に速読スキルが無かったら』
唯(何であること前提な書き方なの……)
梓「えっと、なになに~……“時間が無いので、心得1だけ実践する”」
唯「心得1……? えーっと、どこだろ」ペラペラッ
唯「あった!」
『心得1 何らかのトラブルになった場合、取りあえず唯先輩が江頭2:50のモノマネをして場を和ます』
唯「……」
梓「……何とかいけそうですね」
唯「いけないよ! より悪化しそうだよ! どういう事なのこれ!?」
コラー リツー
梓「あ! 外から話し声が聞こえます! もう時間がありません!」
唯「なんて悪いタイミング……!」
唯「いい!? 絶対やらないからね!?」
梓「大丈夫です! トラブルにならなければいいんです!」
唯「それはそうだけどさ……」
梓「もう足音聞こえます! 作戦開始です!」
唯「もう……わかったよぉ」
梓「あ、そうだ、忘れてた……マジックハンドを用意しました。使って下さい」
唯「え? これどうするの?」ギチギチ
梓「私へのツッコミ時に使ってください。声に出すと怪しまれるので」
唯「いや、いらないよ……突っ込まれる様な事をしないでよ!」
ガチャリ
律「おーーっす!」
澪「お、二人とも早いな」
紬「遅れちゃってごめんね~」
梓「全然大丈夫です」
唯「あ、えと……み、みんな! 何か久しぶりだね! さあ入って入って~」
律「ここはお前の部屋かっての!」ドカッ(着席)
紬「そういえば、そうね~3日ぶりくらいかしら」スッ(着席)
澪「ごめんな~この前、部活休んじゃって」ストッ(着席)
梓「いえ、気にしないで下さい」
紬「2人ともごめんね? あの日はどうしても外せない用事があったの」
梓「大丈夫ですって! 気にせず、やらかしちゃって下さい」
律「ははっ、何をだよ! 私もごめんな~」
梓「律先輩は駄目です」
唯「そうだね。りっちゃんは罪深いね」
律「なんでだよ!?」
アハハ ウフフ
紬(……)
紬(今日……みんなに打ち明けよう)
紬(お茶の時間に……打ち明けよう)
律「ていうか、あの日は2人で何してたんだ~? 練習してたのか?」
紬「放課後の部室……2人っきり……」
律「おーい……たぶん違うぞー」
唯「え……えーっとねー、あの日は」
梓「PSPしてました」
唯(!?)
澪「なんだよ、ゲームしてたのか」
唯(ホッ……)
・
・
・
そんなこんなで、しばらく後
律「よっし! んじゃ~そろそろ」
律「お茶にするかー!」
唯「お茶にしよう!」
梓「お茶にしましょう」
紬「はぁ~い。用意するね~♪」
澪「ついに梓まで……」
律「まあまあ、いいじゃんか」
梓「そうだ! 私、今日おやつ作ってきたんですよ~」
律「おお~? 珍しいな!」
唯(??)
唯(え……何か嫌な予感がする)
梓「これです」ゴトッ! ドカッ!
唯(箱でか!)
紬「じゃあ一緒に出しちゃいましょうか。開けていい?」
梓「はい、どうぞ!」
紬「何かな~?」
パカッ
紬「!!!」
梓「豚骨ラーメンです」
唯(ちょっ!? バッ!? バカっ! 何てもん作ってんの!?)ガーン
紬「…………」カタカタ
澪「ムギ……? どうした?」
律「あれ? おーい、ムギー?」
唯「ちょっと! あずにゃん!? こっち来なさい!!」ヒソヒソ
ギチ! ギュム!
梓「いたたたっ、挟み過ぎですよぅ!」
律澪「?」
コソコソ
唯「何やってんの!? 豚骨ラーメンなんて出したら駄目でしょ!?」プンプン
梓「違うんですよぉ! 良かれと思ってやったんです!」
唯「何が良いの!? 見なよ! ムギちゃん固まっちゃってるよ!」プンプン
紬「…………」カタカタ
律「ム~ギ~? 震えてるぞー?」ツンツン
澪「……凄い汗だぞ? どうしたんだムギ?」
コソコソ
唯「ムギちゃんのナイーブな部分にダイレクトアタック仕掛けてどうするの!?」プンプン
梓「聞いてくださいよ! これは作戦なんです!」
唯「……どういうこと?」
梓「おやつが豚骨ラーメンでも大丈夫! むしろウェルカム! バッチこい! ってアピールするんです!」
梓「そうした方がムギ先輩も打ち明けやすいでしょう!?」
唯「ううーん、一理あるような無いような……」
唯「大丈夫かなぁ……私達はともかく、りっちゃん達が乗ってくるかどうか……」
梓「こうなってしまった以上、やるしかありません!」
唯「……わかった! もう後には引けないよ!」
唯「それより、この状況どうするの!? もう、ムギちゃん3分ぐらい固まってるよ?」
梓「唯先輩、これをどうぞ!」
唯「黒スパッツ!?」ガーン
唯「……えっと、一応聞くけど、これでどうしろと……?」
梓「この空気ではもう、エガやるしかないです!」ワクワク
唯「やっぱり!? 嫌だよ! なんの意味あるの!?」
唯「いろんなコスプレしてきたけど、エガは嫌だよ!」
梓「何でですか! 普段穿いてる、あの黒っぽいやつとあんまり変わんないじゃないですか!」
唯「じゃあもう穿かない! 私、一生ストッキング穿かないっ!」
梓「駄目です! 唯一の外見的個性なんですから!」
唯「唯一!? そんな事ないでしょ!?」
唯「ていうか夏場は穿いてないけど……夏場の私って無個性なの!?」
梓「そうです! だから夏場は唯先輩と憂の区別が付かなくて大変なんです!」
梓「何で唯先輩が2年の教室で授業受けてるのかなーっと思って、良く見たら憂だったって事、頻繁にありますもん!」
唯「2年の教室にいる時点で憂でしょ……」
梓「何か憂が興奮しながらストッキングのだし汁取ってるなぁ~と思って、良く見たら唯先輩だったり」
唯「私そんな事しないんだけど!? それは憂だったんじゃない? え!? 何か混乱してきた」
梓「今日のお弁当は唯先輩かぁ~……と思って、良く見たらストッキングだったり」
唯「私とストッキングを見間違えたの!? いや待って、その前にどういう状況なのそれ!?」
梓「ストッキングかと思えばスパッツだったり」
唯「ええ?」
梓「スパッツかと思えばレギンスって言ったりトレンカって言ったり」
唯「待って、私関係無くない?」
梓「レギンスとか! レミングスとか! 呼び方なんてどうでもいいんですよ!!」
梓「似たような物なんだからッ!! 全部スパッツでいいんですよ!! オシャレぶりやがって!」プンプン
唯「誰に怒ってんの!?」
梓「とにかく! エガのモノマネして下さいよぉ!」
梓「ドーン! って感じでお願いします!」
唯「嫌だよ! エガでこの状況を打破できるとは思えないよ!」
梓「いいからこのスパッツを穿いて下さい~……!!」グググ
唯「ちょっ、やめ……て……! やだっ……!」グググ
グググ ギギギ
澪「……よくわからないけど」
澪「唯が梓に無理矢理スパッツを穿かされようとしている……」
律「まあ、助けてやるか……」
唯が救出された時、偶然にも時計の針は午後2時49分を指していた…………
そう……2時50分になりかけていたのである……
唯(助かった……)
律「ていうか、さっきお前らは、なーにをコソコソ話してたんだ?」
唯梓(!!)
梓「え!? ちがっ、あの、えーっと」アワワ
唯(落ち着いて!)
梓「あの、 唯先輩が何で醤油ラーメンじゃないのって延々と言ってきて……」
唯(もっとマシな言い訳してよぉ……)
律「そうなのか……こら唯! 食い意地張り過ぎだぞっ!」
唯「ち、違っ!」
律「それより、このラーメンは何なんだ? ギャグか? ギャグなのか?」
梓「いや、それは……クッキーと間違えちゃって!」
唯「うん! よくあるよね! クッキーとラーメンて似てるもんね!」
唯「ホント! よくある! 私もお醤油とお砂糖を間違えちゃうもん!」
律「……まあいいや。あと、何かムギが固まっちゃってさー」
唯(よし、ここは私が!)
唯「む~ぎ~ちゃんっ!」ダキッ
紬「あっ……」ギュギュウウ
唯「あずにゃんね? 手違いでクッキーとラーメン間違えちゃったみたいなんだ?」
紬「え!? そ、そうなの……?」
梓「すみません、ホント偶然、たまたま、思い掛けずラーメンができたんです」
紬「ああ……そうだったのね。ごめんなさい! 私ったら深読みしちゃって」
澪「深読み?」
紬「あ、何でもないのっ! ほら、折角だから頂きましょう!?」
唯「うん! 食べよう!」
しばらく後
律「机の上に、お茶とケーキと豚骨ラーメン……」
澪「なかなかシュールだな……」
唯「で、でも! 結構おいしいよー?」ズルルルッ
律「どれどれー?」ズズズルルッ
律「う!? うぐぐっ! むぐっ!」プルプル
唯「りっちゃん!?」
律「う……うまいっ!」
梓「ありがとうございます」ズルルッ
唯「そして、ケーキもいつも通りおいしい……!」ムシャ
唯(ムギちゃんが用意してくれたケーキ……ちょっと泣きそう……)
律「安心の味だな!」モシャ
唯(りっちゃん……これはムギちゃんの労働の……努力の味なんだよ……あ、泣く)
唯「グスッ……おいひぃ……うぅ……おいひいよぉ……ムギちゃぁん」グスッ
律「泣くほど!? 泣くほどなのか!?」
紬「うふふ、ありがと~♪」
紬「梓ちゃんのラーメンもおいしい~♪」ズル
澪「うん、おいしい……けど……太る……」ズズルル
紬「まあまあまあ、いいじゃない。私、みんなでラーメン食べるの夢だったの♪」
唯(ムギちゃん……)
唯(……よし)
唯「私、ラーメン大っっ好き!! 毎日でもいいくらいだよ!」ズズルズ
梓「そ、それいいですね!」
紬(!!)
律「いや、それは流石に……」
澪「そんなことしたら……体重が大変な事に……!」カタカタ
紬(……)ズーン…
唯(むむむ……)
梓(クッ……律先輩は乗ってくると思ってたけど……)
梓(やはり隠れ常識人……思った様には、いかないか……)
唯「ええ~~? 放課後にラーメンでも良くない?」
律「どんだけラーメン食いたいんだよっ!」
律「そんなラーメンばっか食ってたら、放課後ラーメンズじゃねーか!」
唯(ムギちゃんと同じこと言ってる……)
梓(……まずは律先輩を仲間にする!)
梓「ま、まったく……これだから律先輩は色気が無いんです!」
律「何だとー!! 毎日ラーメン食いたいとか言ってるお前らの方が色気ねーだろ!」
唯(あずにゃん……? 怒らせてどうするの? 大丈夫なの?)
梓「いいですか? よく聞いてください」
梓「私達は乙女なので、女の子だけでラーメン屋に入る勇気が無いんです!」
梓「食べたいっ、でも食べれないっ! そんな感じで揺れる乙女心なんです!」
梓「そこで……乙女達は、ある答えに行き着きました……」
梓「部室という名のサンクチュアリで、ラーメンという名の禁断の果実にくちづけしよう……って」
梓「つまり、部室での放課後ラーメンは、恥じらう乙女達のドリームタイムなんです!」
律「なっ……!」
唯(……)
梓「しかし、残念です……律先輩は乙女では無かったんですね……」
律「違うぞ……梓」
梓「え?」
律「私が放課後ラーメンを拒否したのは……私が……」
律「私が……素直になれない乙女だからだ!!」
梓「そ、そんな……律先輩程度が、そんな芸当できるわけが……」
律「梓……お前が見ているのは、ただの田井中律じゃない」
律「私は、乙女番長・田井中律だ!!」
梓「!」
律「放課後ラーメン、やってやろうじゃねぇかっ!!」
梓「律先輩っ! かっこいいです! 圧倒的な乙女力です!」
ワーワー キャーキャー
唯(……)
唯(言い包めた……!)
梓「やっぱり軽音部の放課後はラーメンですよねー!」
律「ああ! 軽音部×放課後=ラーメンは小学生でも分かる方程式だな!」
唯「そ、そーだね!」
紬(みんな……)
紬(本当の事言っても、意外と受け入れてくれるのかも……!)
澪「……」
澪「わ、私は嫌だからなっ!」
紬(!!)ガーン
澪「ラーメンばっかり食べてたら太るだろっ!」
唯(むむ……)
律「まあ! 澪ちゃんが偽乙女だったなんてっ! 罪深い! 罪深いわっ!」
澪「意味が分からない!」
澪「それに……太るぐらいだったら、私は乙女じゃなくていい!」
梓(クッ……律先輩に影響されて、そのまま流されるかと思ったけど……)
梓(想像以上に体重がアレな様子……どうしたものか……)
梓「み、澪先輩? 午後ラーメンって知ってます?」
澪「え? いや……朝カレーなら聞いた事あるけど……」
梓「最近、午後ラーメン流行ってるんですよ? ダイエット効果があるとかで……」
律「そーなのか?」
澪「そんなわけないだろ! 痩せる要素が無いじゃないか!」
梓(クッ……)
唯(私も加勢しなきゃ……!)
唯「澪ちゃん……食べたいのを我慢するの駄目だよ! ストレスで太っちゃうって聞いたよ?」
澪「ラーメン食べるのは、もっと駄目だろ!」
唯(おっしゃる通りです……)
梓(考える暇を与えない!)
梓「ほらっ! ラーメンじゃなくって、イタリアンっぽくLa・Menって呼べば、痩せて聞こえますよ!」
澪「いや、語感がどうこうじゃなくて、太るのが嫌だって言ってるんだ!」
梓(発音が悪かったか……)
梓「ていうか、もう痩せてなくていいじゃないですか!」
梓「私、結構デブ専……じゃなかった、ふくよかな人が好きなんですよ!」
梓「澪先輩、ムチムチしてて素敵だと思います!」
澪「嬉しくないっ!!!」
唯(むむむむ……)
梓(……手強い!)
紬「……」
紬(やっぱり、軽音部にラーメンは相応しくないのかしら……)
澪「ていうか! お前ら何でそんなに必死なんだよ!? ちょっと怖いぞ……」
唯(怪しまれてる!)ドキ!
梓(怖い……なるほど!)
梓「……実はですね、ちょっと理由があるんですよ澪先輩」
澪「な、なんだよ」
梓「この前ですね……唯先輩が……憑かれちゃって」
澪「ひッ!」ビクッ
梓「除霊をしたんですが……」
澪「あああ梓!? 冗談はやめような……!?」ガタガタ
唯(話に乗ったほうがいいのかな?)
唯「えーっと……ね~、一応ホントだよ……」
澪「ひぇぇ……」ガタガタ
律「マジかよ……」
紬「大丈夫だったの……?」
梓「はい、なんとか」
澪「そ、そそ、そ、その話とラーメンに何の関係があるんだよぉ!?」
梓「この前は唯先輩でしたが、次は誰が憑かれるか……」
澪「ヒィィィ……やめてくれぇ……」
梓「この前は大丈夫でしたが、次はどうなるのか……」
澪「うう……ぅ……」
梓「そこで……ラーメンの出番なんですよ!」
澪「ど、どういう事?」
梓「実はラーメンには……高い対魔効果があるんですよ」
律「いや、無いだろ。ったく……あんま澪をいじめてやるなよ」
律「み~お! 大丈夫だって! 心配すんな!」
澪「梓! 話を続けてくれ!!」
律「聞いちゃいねー」
唯(……)
梓「澪先輩、このラーメンを見て下さい。麺の部分、何かに見えませんか?」コトッ
澪「え? えーと……」ジー
梓「ほら、神主さんとかが持ってる、シャシャッ、ってするやつ……」
澪「えっと……おおぬさ?」
梓「あ、おおぬさって名前なんですか? たぶん、それです。似てるでしょ?」
唯(ええぇ~~……そうかなぁ……)
梓「まあ、そういうことなんです」
澪「な、なるほど……!」
唯(よくわかんないけど、澪ちゃんには伝わったの……?)
澪「わかったよ! 体重なんて気にしてられない! 私、ラーメン食べるよ!」
梓「澪先輩……!」
唯(ほとんど脅しだけど……澪ちゃん陥落!)
律「悪徳セールスって、こんな感じなのかもな……」
律「でも澪がそれでいいなら、まあいいか! 放課後ラーメンしちゃおうぜー!」
律「ってことで、ムギー! 明日からラーメン頼む!」
紬「え!?」
澪「こら律! お菓子ならともかく、そんな都合良くラーメンが用意できるわけないだろ?」
紬「ぇ……あ、あの……」
紬(みんな、ラーメンを求めている……)
紬(これは……いけるわ!)
紬「……みんな!!」ガタッ
澪「ひぃぃ! 急に立ち上がらないでくれぇ……」
律「なんだ? どうしたんだ?」
唯「ムギちゃん……?」
唯(これは、もしや……)
紬「実は……私、皆に隠してたことがあるの……!」
梓(ムギ先輩……!)
律「なんだなんだ?」
紬「私、本当は……」
唯(ムギちゃん……頑張って……!)
紬「本当はっ……お嬢様じゃないの!!!」ババーン!
紬「私の家、実はラーメン屋なのよ!!」
唯梓(おおー!)
律澪「……」
律澪「ええぇーーー!!?」
紬「文句があるならラーメンぶっかけるわ!!」
律澪唯「ええぇ~~~!!?」
律「ムギ!? 落ち着けっ!」
梓「唯先輩も早く謝って下さいっ!」
唯「はぇ!? 私なにも言ってないよ!?」
紬「唯ちゃん……!?」ギロッ!
唯「ちょっとぉぉ!? 文句なんて言ってないってば!?」
澪「唯? ほら、憑かれてたんだろ? 念の為に対魔ラーメン被っといた方がいいって……」
唯「澪ちゃん!? 酷いよぉ! 自分が被りたくないからって!」ジタバタ
唯「ていうか、それ嘘だよ!! たぶん対魔効果なんて無いよ!」
澪「ええ!? そ、そうなのか梓!?」
梓「はい、嘘です。すみません。あと、澪先輩、尊敬してます。優しくて大好きです!」
澪「え!? まあ、その、嘘ついちゃ駄目だぞ……///」
律「手玉に取られてるなぁ……おい……」
紬「さて、唯ちゃん?」
紬「今から5杯のラーメンを頭からぶっかける事になるんだけど」
紬「普通にぶっかけていくと、一番目にぶっかけたラーメンのどんぶりが頭に残っちゃうと思うの」
紬「そうなったら、そのどんぶりがヘルメットになって、2杯目以降のラーメンを防いじゃうでしょ?」
紬「それは面白く無いから、どんぶりが粉々になるぐらいの力でぶっかけていく事になるわ」
紬「危ないから目を閉じていてね?」
唯「待って待って待って!! 何を淡々と説明してるの!?」
唯「心配してくれるなら、まずぶっかけるのをやめてよ!!」
唯「ていうか皆、助けてよぉ!?」
梓「ムギ先輩、熱いから気を付けてください」コトッ
紬「大丈夫よ、ありがとう」
唯「その熱いのを、ぶっかけられそうになってるんだよ!!」
紬「では、いきます!!」
唯「やめてぇ~~~っ!!!」
その後、りっちゃんが止めに入ってくれたので、私はラーメンを被らずに済みました
ムギちゃんは勇気を出し過ぎたため、ちょっと変になってたみたいです
それからムギちゃんは、お嬢様キャラの事、ラーメン屋の事、お茶やお菓子や合宿のために影で奮闘していた事、
私とあずにゃんがPSPした日に見聞きした全ての事を皆に話しました
・
・
・
しばらく後
紬「とまあ、こういう事なの」
紬「あ、唯ちゃん、さっきはゴメンネ? オーバーブレイブ状態になっちゃって……」
澪「私もごめんな……怖くて、止めに入れなくて……」
梓「私も……唯先輩にラーメン被ってほしいな~って思っちゃって、すみません」
唯「うん……もういいよ……大丈夫だったから……」
唯「それより……」
律「ああ……ムギの実家、ホントはラーメン屋だったんだな」
澪「気付かなかったよ……」
紬「今まで黙っていて、ごめんなさい」
紬「長い間、皆を騙してごめんなさい。許される事では無いわよね……」
梓「確かに、許されない行為です」
唯「え……? ちょっとあずにゃん、何言ってるの?」
律「ムギには……やめてもらう事になるだろうな」
唯「りっちゃんまで!? やだよ……そんなこと言わないでよ……」
澪「でも、その前に言う事があるけどな」
紬「どんな罵倒の言葉でも受ける覚悟してるわ……」
唯「みんな……どうしたの……?」
梓「……」
梓「本当に……許せないですよ!!」ガタッ
梓「ムギ先輩の悩みに気づいてあげられなかった、自分が!!」
紬「!」
唯「え……?」
律「ああ、私も自分が許せねえよ……」
律「そして、ムギにはやめてもらう」
律「一人で抱え込むの、やめてもらうからな!!」ガタタッ
紬「りっちゃん……!」
唯「えーっと……」
澪「でも、やめてもらう前に言う事があるんだ」ガタッ
シュタタ
唯(なになに!? みんなどうしたの!?)
梓「ムギ先輩!」
律「今までずっと!」
澪「お茶の時間を作ってくれて!」
シュバ!
唯(組み体操のピラミッドみたいになった……!)
セーノ!
梓律澪「ありがとうっ(ございます)!!!」
唯(……)
紬「み、みんな……」
唯(なにこれ……?)
唯「え~~っと……みんな、これ何?」
律「いや、さっきムギの話聞いてる時にさー」
澪「梓が、フォーメーションを組もうって言い出して……」
澪(恥ずかしかった///)
梓「サプライズ的な演出がほしいなぁ~って思ったんで」
唯「そうなんだ……うん、それはわかった……わかったんだけど」
唯「私にも教えといてよ……オロオロしちゃったじゃん……」
梓「え……すみません。唯先輩って普段、組み体操のピラミッドの話を全然しないから、嫌いなのかと思って」
唯「いや、しないけどさ……別に組み体操が嫌いだから話をしないわけじゃなくてさ……」
唯「ていうか、普段から私が組み体操のピラミッドの話ばっかしてたら変でしょ……?」
唯「体操部に入れよ、ってなるでしょ……?」
梓「すみません……唯先輩がそんなにもピラミッド好きだったなんて知らなくて」
律「そーだったのか? 言ってくれよー」
唯「え? 違う違う……ピラミッド好きをアピールしてるんじゃなくてさ……」
唯「何かやるんなら教えといて、って事を言いたいわけで……」
唯「ピラミッドは好きでも嫌いでもなくて、普通だよ……」
梓「じゃあ……今度は4人でやってみましょうか」
梓「でも、4人でピラミッドとなると……」
律「バランスが取りづらいな」
澪「下に3人、上に1人でいくと、それっぽくなるんじゃないか?」
梓「なるほど。唯先輩は下になりますけど、いいですか?」
唯「えっ!? いや、ていうか、もういいもういい! ピラミッドの話はもういいよ! 長いよ!」
梓「え……でも」
唯「うん! 何か私が間違ってたみたい! もうピラミッドの話はいいやっ!」
唯「それよりさ! ほらっ! ムギちゃんの話を……」
律「ああ、そうだった!」
律「ムギ~? これからは一人で抱え込むの無しだからな~?」
紬「えっと……私のこと、許してくれるの……?」
澪「許すもなにも、軽音部のためにしてくれてた事なんだから」
梓「そうです! ムギ先輩が影で頑張っていてくれたから、今の軽音部があるんです!」
律「ていうか……私らも、ごめん! ムギに頼ってばっかだったよな」
唯「ムギちゃん、お茶の時間作ってくれてありがとね!」
唯「これからは、みんなでお茶とか用意しようよ!」
紬「みんな……私こそ、ありがとうっ!」
紬「打ち明けるの怖かったけど、話して良かった!」
律「……おっし!」
律「ムギが勇気出して打ち明けたんだしな!」
律「部長の私がカミングアウトしないわけには、いかねーな!」
唯「?」
律「実は私も1個、みんなに言う事があるんだ!」
唯(え……?)
紬「りっちゃんも……?」
律「梓? さっき、私は乙女番長だって言ったけどさ」
梓「はい」
律「実はあれ、嘘なんだよ」
梓「……え? カミングアウトってそれですか? ちょっとショボくないですか?」
律「まあよく聞け」
律「実は私……ていうか」
律「俺、男なんだ!」
律「そしてこれが証拠だ!」ヌギッ
ポロン
唯「!!!?」
唯「……え?」
唯「えええ……!?」
唯「えええぇぇーーー!!?」ガーン
唯「え、りっちゃ、それ、おちん、男の子の、でも象さんの方がもっと好きっていうか、バナナ付きおいなりさんが」カタカタ
律「唯、落ち着け……」プラーン
唯「あ、そうかぁ~ドッキリかぁ~! アハ! アハハハハー!」
唯「楽しいなぁー! あ、そうだ! 回ろう! 楽しいから回ろう!」
唯「ウフフフー! アハハハー!」クルクル
唯「今どっち回転だろぉ! 右かな~? わかんないなぁ~!」クルクル
唯「ていうか右回りって時計回り? ていうか時計回りってどっち回り? わかんないなぁ~!」クルクル
梓「確かに、わかんなくなる時ありますよね」
澪「ネジ回してる時もさ、締めてるのか緩めてるのか、わからなくなる事あるよな」
紬「あ、それわかるー」
唯「私こんなに回ったの初めてー! アハハハハー!」クルクル
律「落ち着けって! ドッキリじゃねーよ!」プラプラ
唯「いつまで出してるの!? わかったよ! 落ち着くからしまってよ!」ピタッ
唯「ていうか、みんな落ち着き過ぎじゃない!? りっちゃん男の子だよ!? 変態だよ!?」
梓「唯先輩、冷静に考えてください」
梓「唯先輩のお父さんだって男の人でしょ?」
唯「それ何か違うよ……あずにゃんはそれで納得できたの!?」
紬「……私は、なんとなく、男の子じゃないかなって思ってたわ」
唯「ええ!?」
紬「水着姿を見て、随分と盛り型だな~怪しいな~って思ってた……」
律「ムギが見た膨らみはテープで留めてた俺のナニだ!」
紬「それに……律君にはユリトンレーダーが反応しなかったのよ」
梓「ユリトンレーダー? なんですかそれ!? ソリトンレーダーと何か関係あるんですか!?」ガタタ
唯「妙な所に食い付かなくていいよ!」
唯「ていうか律君って……飲み込み早くない!?」
澪「私は……全然気づかなかった……」
唯「小学校の時からだもんね!? ショックだよね!?」
澪「ううん……何だか、少し嬉しいんだ」
唯「えええ!?」
澪「実は……普段から律が……男の子だったらいいなって……思ってたんだ///」
律「澪……」
唯(澪ちゃんは、もはや精神が違う次元だ……!)
澪「律が自分の事を話してくれて、私は嬉しいよ」
澪「……よし」
澪「次は私の番だな」
唯「次って何!? えっ? 澪ちゃんも何かあるの!?」
澪「みんな、見ててくれ」カチッ
キュルルルル…
キュイーン カチャ プシュー…
唯「ああああっ……!? みみ澪ちゃんの顔が割れた……!!」カタカタ
律「大丈夫か澪……? 顔割れてるぞ……?」
梓「竹を割ったような顔面ですね……」
梓「よく見ると、中に小さなコックピットがありますよ」
梓(カッコいい……!)
いいセンスだ
170:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 11:10:32.20:Njui/pXp0ウィーン…
紬「何か出てきたわ……」ゴキュ
澪(小)「ふう、MS(ミオ・スーツ)から降りるのは久しぶりだ」
一同「……」
澪(小)「みんな、聞いてくれ!」
澪(小)「私、この星の人間じゃないんだ!」
唯「……」
唯「ええぇぇええぇえぇぇぇーーー!!!」ガーン
ー完ー
もうアレだな!アレだよwww
172:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 11:16:48.06:Njui/pXp0一応終わりです!
やけに長くなりましたが、読んでくれた方、ありがとうございました!
では!3DSを受け取りに行きます!おつかれでした!
173:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 11:16:54.13:XMQBRQbLOやけに長くなりましたが、読んでくれた方、ありがとうございました!
では!3DSを受け取りに行きます!おつかれでした!
確かな狂気を感じた
乙www
174:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 11:39:31.85:77CznBsx0乙www
せめて夢オチにwwwwwww
そして何気にあずにゃんが唯の次にまともだった
175:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 11:46:22.29:Z11kiSvT0そして何気にあずにゃんが唯の次にまともだった
これは面白い
>>1はできる子
181:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 16:39:26.65:QxYW14Jt0>>1はできる子
唯が一番常識人とはwww
182:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/26(土) 17:11:00.03:MPbtDONY0面白かったけどもっとやれ
- けいおん!! TVアニメ公式ガイドブック~桜高軽音部メモリアルアルバム~ (まんがタイムKRコミックス)
- 原作:かきふらい まんがタイムきらら編集部
- 芳文社 2011-02-18
by G-Tools , 2011/02/26
コメント 13
コメント一覧 (13)
面白いというかなんというか
なんだこれ
作者はうすた好き、しかもマサルさん世代ってことは分かった