- 1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/20(水) 01:26:42.97:Pw6CemXV0
北村がぐれたことから始まった一連の大騒動は、兄貴こと狩野すみれのアメリカ留学、大河の停学処分、北村の生徒会長当選という形で収束した。
まあ北村が失恋したことはともかく、大河が停学処分を受けてしまったのは余計ではあったが、あの狩野すみれと真っ向から勝負を挑み、北村への本音を吐き出させたという意味では、価値あることだったのだろうと竜児は思う。
本音を聞けたからこそ、北村は自分の幼稚さを改めて知ることになり、相手との距離を再認識し、なにより自分が好きになった人がどれだけ素晴らしい人であったかを実感することが出来たのだから。
実乃梨とどれだけ距離が離れているのか分からないでいる自分よりもいいのかもしれない。
だからと言って、失恋したことまで良いとは言わないけど。

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2:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/20(水) 01:28:10.87:Pw6CemXV0
そんなことを思いながら、竜児は鏡に映る自分の顔を眺めていた。
己の顔に見蕩れているわけではない。
実乃梨からは自分はどのように見えているのだろうと思ったのだ。
狩野すみれは北村のことが嫌いなわけじゃなかった。
むしろ、好いてさえいた。
なのに、北村の想いを遠ざけたのは北村のことを考えてのことだ。
それは優しさだ。
彼女なりの優しさ。
でも、北村はあの告白を聴くまで、彼女の胸中を知ることはなかった。
北村が見ていたものは、北村から見えていたものは、その人の一部分でしかなかったのだ。
5:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/20(水) 01:31:58.46:Pw6CemXV0
自分もそうなのだろう。
実乃梨のみせる太陽のような眩しい元気さとヒマワリのように明るい笑顔も、それらも実乃梨の一部分でしかなく、自分が知らないものを胸に秘めているのだろう。
実乃梨が自分をどう思っているのか知らないのと同じように。
だからこそ、実乃梨のことをもっと知りたいと思うし、自分のことを知って欲しいと思うのだ。
しかし、現実はそう思い通りにはいかないのだと現状認識して、ため息と共に肩を落とす。
と、その瞬間、玄関扉の開く音がして、振り返る。
「うわっ、自分の顔に見惚れてたのっ。うわあ……キモッ……」
逢坂大河、別名手乗りタイガーが玄関に姿を現したかと思うと、ジャブを飛ばしてアッパーを繰り出すように、強烈な精神的ダメージを与えて来た。
6:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/20(水) 01:37:29.29:Pw6CemXV0
「見惚れてねえ、ただ考え事をしてただけだ。それと入ってきて、いきなり言うことがそれかよ」
「嘘、嘘、この私が人様に悪口なんて言うわけないじゃない」
「言ってるじゃねえか、それにだとしたら何の嘘だよ」
「うるさい、駄犬には躾が必要なの。だからいいの」
「正当化すんなよ」
「それより、さっさとしなさいよ。私より支度が遅いなんてありえないわ、このグズ犬め」
「お、おう」
11:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/20(水) 01:42:43.37:Pw6CemXV0
今から大河と二人で夕飯の食材を買いに行くところ、その支度の途中に不意に先日起こった件を思い出してしまい、手が止まってしまっていたのだ。
携帯電話と財布を持ち、マフラーを首に巻く。
それとエコバッグを忘れないように、レジ袋を使うなんてMOTTAINAI。
「じゃ、行くか」
「ラーメン!」
玄関の外に出てすぐ、大河がそんなことを言い出す。
「おう?」
「今日はラーメンが良い」
どうやら夕飯の話らしい。
13:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/20(水) 01:49:28.67:Pw6CemXV0
「ラーメンは昨日食ったじゃねえか。二日連続、そんな不健康なものはなしだろ」
そう、昨日も大河はラーメンをせがんできて、竜児は渋々、夕飯をラーメンに変更したのだ。
「やだやだやだ、ラーメンがいい。ラーメンじゃないと死んじゃう」
「そんなに食いたきゃ、一人でラーメン屋でも行けばいいじゃねえか」
竜児は大河の脇をすり抜けて、アパートの古びた階段を降りる。
「おい、糞犬、駄犬、エロ犬、変態、痴漢、ヤクザ」
階段の上から罵詈雑言を浴びせられる。
「だれがヤクザだ!?」
反応すべき言葉は別にある気がするが、ヤクザというのも許しがたい。
大河は邪悪な笑みを浮かべながら階段をゆっくりと降りてくる。
が、最後の段でこけた。
「うおわわっー!」
「おおう!」
16:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/20(水) 01:55:14.43:Pw6CemXV0
竜児がピッチャー返しをキャッチする程の反応速度をみせ、大河をしかっりとキャッチ。
「ふう……」とは大河。
竜児の手から素早く離れると、竜児より先に歩き出す。
竜児もその背中を追う。
「ふうじゃねえ、なんでそこでこけるんだよ。オマエはいつもいつもつまんねえドジしやがって。気をつけろよな」
「はいはい、分かってるわよ。お礼にみのりんの写真を買ってたことを暴露するかしまいか、脅しに使うのやめてあげる」
「そんなこと考えてたのか……」
恐ろしい、逢坂大河恐るべし。
「だって、ラーメン食べたいんだもん」
「なんで、そんなにラーメン食いたいんだよ」
「昨日、久しぶりに食べたらね、滅茶苦茶美味しかったの。マイブームってあるじゃない? 私のマイブームは今まさにラーメンなのよ」
「マイブームねえ」
竜児のマイブームといえば、一貫して掃除をすることだ。
もう人生においてのブーム、生涯ブームと言えばいいだろうか、生涯掃除宣言!
18:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/20(水) 02:00:47.88:Pw6CemXV0
「だから、はい」
大河はポーチから一枚のチケットを出すと、受け取れとばかりに突き出してきた。
竜児はチケットを手に取って見てみる。
「……バッティングセンター?」
「そう、この前北村くんとばかちーと一緒に行ったところ」
この前とは北村がぐれたときだろう。
北村が急にバッティングセンターに行きたいと言い出して行ってみたはいいが、北村は全くバットを振らずに亜美や大河を鬼コーチよろしく、後ろで教えていただけだった。
あのバッティングセンターのチケットが、これというわけらしい。
「このチケットどうしたんだ?」
「バッティングセンターに行ったときに思い出したんだけど、前にみのりんに貰ったの。私は興味ないって言ったのに、無理矢理」
――なるほど、櫛枝はソフトボール部だし、バッティングセンターに行ってても不思議じゃないな。
19:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/20(水) 02:09:12.37:Pw6CemXV0
「それで、これがどうかしたのかよ」
「ふふん、駄犬の小さな頭じゃ理解出来ないみたいだから、このお優しい大河様が教えてさしあげるわ」
「いやいや、いいんだぞ大河。どうせなら、違うときにそのお優しい大河様とやらになってくれ」
「うるあァーッ!」
「おごうっ!」
あまりにも突然の頭突きに竜児は避けることが出来なかった。
アスファルトに手をついてしまい、背の低い大河を見上げる体勢になる。
「聞きたい? 聞きたいでしょ? 聞きたいと言え! 言ってしまえ!」
「いきなり何すんだっ!」
「うんうん、そんなに聞きたいのね。欲張りな駄犬だこと」
もう何も言うまい。
こうなってしまったら自分の意見など、大河の耳には入らないのだ。
竜児は頭突きを受けた腹を右手で押さえながら、大河の勝ち誇った笑みを無言でやり過ごす。
22:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/20(水) 02:15:30.62:Pw6CemXV0
「夕飯のメニューを掛けて、バッティングセンターで勝負するの。もちろん、グズな竜児のことも考えてあげてのことよ。本当なら私がラーメンと言った時点でラーメンで決まりだもの」
何が勝負だ。
運動神経抜群の大河にスポーツで勝てるわけがない、水泳でさえ負けると思う。
全くもって公平じゃないと竜児は呆れ顔。
まあ、でも、いいかなとも思う。
停学処分になっても大河がいつも通りでいてくれることに、竜児は内心ホッとしているのだ。
「なに笑ってるの? いや、そもそもそれ笑ってるの? 人殺そうとしてるんじゃんくて笑ってるのよね。今にも手錠かけられそうな顔だけど笑ってるのよね……キモ……キモ……」
いつも通り、つまりはこの大河の罵倒も変わらずに、竜児の身を鞭の如くビシバシと徐々に痛みつけていくのだ。
耐えろ、耐えるんだ高須竜児!
「うああああああああああああああ!」勢いよく立ち上がりながら吼える。
「ぬわっ!?」
竜児の突然の咆哮に、勝利宣言中の大河もビクリと小さな身体を揺らした。
「な、なにっ? とうとう頭が可笑しくなったの竜児。もともと可笑しいけど、もっと可笑しくなっちゃったの?」
25:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/20(水) 02:21:49.12:Pw6CemXV0
「大河あああぁぁぁ―――――――――!」
「うっるすわあああああああい!―――――――!」
どこにでもありそうな、二人の高校生が路上で叫びあう姿がそこにはあった。
他に歩行者がいないのがせめてもの救いか。
「わ、わりぃ」
竜児の叫びを掻き消すほどの圧倒的な大河の叫びに竜児はハッと我に返り、素直に謝る。
この小動物みたいな小さな体躯のどこからこんなパワフルな声が出てくるのだろう、と疑問に思いながら謝る。
「ふん、いきなり発情すんじゃない。迷惑だ迷惑、やっぱり首輪でも着けた方がいいかしら。躾がなってないと、飼い主まで文句を言われちゃうし」
「俺が悪かったから、そんなこと言わないでくれ」
「で、なに? 何か言いたいことでもあったんでしょ。特別に発言を許可してあげるから、十秒以内に言え」
27:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/20(水) 02:27:05.44:Pw6CemXV0
大河に問われた竜児は困り顔をしながら、
「い、いや、特になにかあるわけじゃなねえけど」
「ハアッ!? なんでもないのに私の名前を叫んだわけ? それって、教室でみのりーんって叫ぶみたいなものよ。わかる? いきなりそんな呼び方されたら誰だって引くの。もちろん、みのりんだって引いて、二度と口を聞かなくなるレベルなの」
「んな、ありえねえ例え出すんじゃねえ」
「そうよねー、ありえないわよねー。みのりんを呼び捨てに出来るほど親しくないしね、あんたは」
もう嫌だ。
苛めじゃないか。
なんでこんなに嫌味を言われなければならないんだ。
竜児は大河を追い越して先に急ぐ。
「野球だあああっ! 野球やろうぜえええっ!」
大河はそんな竜児の後ろ姿を見ながら、
「本当に可笑しくなってる……」と、先ほどとは違う意味で引いていた。
28:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/20(水) 02:32:34.16:Pw6CemXV0
バッティングセンターの中で、竜児は大河相手にじゃんけんをして勝ったところだ。
「おまえが先攻で、俺が後攻な」
「ま、そのぐらいのハンデ、犬にはあげないとね、おっほっほっほっほ」
あまりにもベタな笑い方に、昔の少女漫画かよと竜児は心の中でひっそりとツッコミを入れる。
ルールは全部で二十五球の内、先攻は十球、後攻は十五球を打つことが出来る。
後攻は交代の時間も入るので実質は十四球と言っていい。
空振りは零ポイント、ゴロは一ポイント、ライナーは二ポイント、フライは三ポイント、ホームランは五ポイント、その合計したポイントの多い方が勝ちとなり、好みの夕飯を選ぶことが出来る。
因みにホームランってのはネットの上方にある的に当てることだ。
前回、バッティングセンターに来たときに、大河はそれを見事やってのけている。
29:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/20(水) 02:37:22.56:Pw6CemXV0
勝利の可能性なんて殆んどない。
しかし、そんなことはどうだっていい――竜児は既にその先を見据えているのだ。
「ティッシュペーパー四袋……」
そんなことを呟きながら、十八禁レベルのニヤつきを見せる。
そう、ホームランを打てば、ティッシュペーパーが貰えるのだ。
勝ち負けなど、どうでもいい。
大河にホームランを打って貰えれば、それで負けようと、ラーメンを食うことになろうと、ティッシュペーパーさえ手に入れば関係ない。
因みに前回来たときは某有名なネズミのキャラクターを模した、いや、明らかに偽物のネズミのぬいぐるみが景品だったのだが、今日来てみると壁に貼ってある紙に景品はティッシュペーパーと書かれていた。
どうやら前回の大河のホームランでこのバッティングセンター最大の景品は姿を消したらしい。
しかし、竜児にとってはあんなネズミのぬいぐるみよりティッシュの方がよっぽど欲しかった。
30:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/20(水) 02:43:11.30:Pw6CemXV0
「じゃあ、行くわ」
頭には見るからにサイズの合っていないヘルメットと、大河に持たせたら凶器が大量破壊兵器になるぐらいの存在である金属バットを手に持って、大河が緑色のネットと防護金網に囲まれた専用のバッティングケージへ入っていく。
「おう、手加減しなくていいからな」
そう、大河には頑張ってもらわねばならない。
ティッシュペーパーが待っているのだ、これはもう単なる勝負ではなく共同戦線である。
もちろん、大河はそんなことを露知らず、ラーメンのことしか頭に入っていないだろう。
しかし、それでいい、ホームランさえ打ってくれればいい。
受け付けでチケットと交換をしたコインを機械に入れて打席に立ち、大河がバットを構える。
31:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/20(水) 02:48:13.81:Pw6CemXV0
「あっ……」
竜児はそこで思う。
「大河を後に打たせた方が確率高いじゃねえか……いやいや、アイツが打つとは限らねえし、ここは安全策でいいよな、うん」
そんなことを呟いてると、大河のバットが振られるのがわかった。
ブンッ!
見事に空振りしやがった――竜児は思わず身を乗り出して、ケージとの間にあるガラスに手をつける。
「なにやってんだ! おまえが打つべき場所はあそこだ! あのホームランの的だあっ!」
「うっさあいっ!」
キンと金属音が鳴り響き、バットに当たった球はライナー性の当たりでネットに吸い込まれる。
これで二ポイント。
ゴロ、ライナー、フライ。
これで八ポイント。
残りは五球。
33:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/20(水) 02:54:07.93:Pw6CemXV0
「大河、あと半分だぞ」
「黙れ、グズ犬っ! うるさくて集中でっき……な……いいいいいいい!」
踏ん張るように低い声を出しながら振り出されたバットは、重さを感じさせないほど綺麗な軌道で振られ、前方の射出機から飛び出す高校球児ばりの速球を見事に芯で捉える。
反発した球は、ロケットのような驚異的なスピードで加速、天井へ向かっていく。
そして、その球は高いところに設置してある白い的の中心に当たった。
バッティングセンター内に鳴り響くサイレン。
景品ゲットの知らせ。
「当たった……当たった……当たったぞぉ、大河ぁ!」
34:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/20(水) 02:59:40.63:Pw6CemXV0
「うう……」
喜ぶ竜児をよそに、大河は顔をしかめてバットを手から離した。
バットが地面に音を立てて転がる。
「大河?」
「くそっ! 痺れた……くそっ!」
一瞬ひやっとした竜児だったが、それを聞いて安堵の表情をみせる。
その間にも球が投げ込まれて、壁に当たって転がっていく。
結局、大河の手のしびれは中々取れず、十球目が投げ込まれる前に大河はケージから出てきた。
「あんたの番」
「お、おう」
大河からヘルメットとバットを受け取り、ケージの中へ。
横目で大河を見ると、まだ手を押さえていた。
36:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/20(水) 03:04:36.13:Pw6CemXV0
さて、ティッシュペーパーは手に入った――俺は適当に打てばいいんだ。
十一球目、つまり竜児にとっての初球を見送ってから打席に立つ。
これで残りは十四球。
大河は合計十二ポイントだった。
勝つには最低十三ポイントが必要だ。
自分のバッティングセンスを考えて、それを超えるのは容易ではない。
ならばと竜児はベース上でバットを横向きに構えたポーズ。
「ちょっ、あんた、なにそれ? そんなのありなの? ありえないありえない、そんなのありえない。バッティングセンターに来てバントするなんてありえない。大体、バントなんてゴロじゃないでしょ。聞いてんのかっ! 卑怯者!」
なんとでも言え――大河に確実に勝つにはこれがもっとも有効なのだから、その方法で挑むのは理に適ったやり方なのは間違いない。
竜児は川相ばりのバント技術とまではいかないまでも、1球ずつ、確実に前へ転がしていく。
半分ほどやって、大河同様手が痺れてきたが、バントする上では我慢すればいいことであった。
37:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/20(水) 03:09:16.88:Pw6CemXV0
十四球、全てをバントした竜児は合計十四ポイントで勝利。
ティッシュペーパーと今夜のメニュー選択権をゲットすることに成功した。
大河に軽蔑の視線を送られながらも、竜児はメイクの濃い五十歳ぐらいのおばちゃんからティッシュペーパーを受け取って、足取り軽くバッティングセンターを出た。
外はもう日の光を失って、薄闇が広がっていた。
「あーあー、最悪だー、最低だー」
子どものように終わったことを蒸し返す大河の不満を背に受けながら、竜児はスーパーのある方向へ足を止めずに歩き続ける。
やがて大河も愚痴を言うことに疲れたのか、歩いている内に無言になり、竜児のあとをとぼとぼと短い歩幅で付いて行くだけだった。
そんな大河の様子に気付いた竜児は振り返って、
「ラーメン屋行くか」
別に大河のために言ったわけではなく、単に運動をして汗をかいたから塩っぽいものを食べたくなっただけだ。
大河はその言葉を聞いて、こくこくと二度頷いて、嬉しそうに口を広げる。
「ラーメン! ラーメン!」
38:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/20(水) 03:13:41.03:Pw6CemXV0
大河の無邪気な笑顔を見て竜児は苦笑してしまう。
こういうとき、大河は本当に子どもみたいに笑う。
その笑顔は普段の凶暴さも凶悪さも忘れてしまうほどに可愛い。
フランス人形のような精緻な顔の作りをしているのだから、大人しくしていれば容姿と相まって完璧なのにと思うこともある。
けれど、凶暴な大河も、凶悪な大河も、天使のような大河も、全てがあって大河なのだということもわかっている。
それが手乗りタイガー、それが逢坂大河なのだ。
「ニヤニヤしてキモイ、そんな顔してたらラーメン屋にも追い返されるわ」
無意識に大河の顔を凝視していたことに竜児は慌てて視線を逸らす。
天使と形容してやった後だけに、天使とは正反対のどギツイ言葉に、
「やっぱり、おまえは鬼だ! 悪魔だ! 死神だ!」
「ハアッ!? 人の顔を見てニヤニヤしてたと思ったら、今度は人を死神扱いかっ、言いたい放題言ってくれるわねえ……覚悟せいっ!」
39:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/20(水) 03:15:16.95:Pw6CemXV0
虎が獲物を捕らえるときのスピードを彷彿とさせる速さで大河は迫ってくる。
「ま、待て、大河! 今のは嘘っていうか冗談だ! だから、命だけは勘弁してくれえええ!」
「歯を食いしばれえええ!」
某ロボットアニメの主人公を思い出させるセリフを吐きながら襲い掛かってくる。
もう大河から逃げることは出来ない。
男のものとは思えないほどの甲高い悲鳴が、夜の路上に響いた。
こんな二人にも、クリスマスはたしかにやってくる。
お わ り
そんなことを思いながら、竜児は鏡に映る自分の顔を眺めていた。
己の顔に見蕩れているわけではない。
実乃梨からは自分はどのように見えているのだろうと思ったのだ。
狩野すみれは北村のことが嫌いなわけじゃなかった。
むしろ、好いてさえいた。
なのに、北村の想いを遠ざけたのは北村のことを考えてのことだ。
それは優しさだ。
彼女なりの優しさ。
でも、北村はあの告白を聴くまで、彼女の胸中を知ることはなかった。
北村が見ていたものは、北村から見えていたものは、その人の一部分でしかなかったのだ。
自分もそうなのだろう。
実乃梨のみせる太陽のような眩しい元気さとヒマワリのように明るい笑顔も、それらも実乃梨の一部分でしかなく、自分が知らないものを胸に秘めているのだろう。
実乃梨が自分をどう思っているのか知らないのと同じように。
だからこそ、実乃梨のことをもっと知りたいと思うし、自分のことを知って欲しいと思うのだ。
しかし、現実はそう思い通りにはいかないのだと現状認識して、ため息と共に肩を落とす。
と、その瞬間、玄関扉の開く音がして、振り返る。
「うわっ、自分の顔に見惚れてたのっ。うわあ……キモッ……」
逢坂大河、別名手乗りタイガーが玄関に姿を現したかと思うと、ジャブを飛ばしてアッパーを繰り出すように、強烈な精神的ダメージを与えて来た。
「見惚れてねえ、ただ考え事をしてただけだ。それと入ってきて、いきなり言うことがそれかよ」
「嘘、嘘、この私が人様に悪口なんて言うわけないじゃない」
「言ってるじゃねえか、それにだとしたら何の嘘だよ」
「うるさい、駄犬には躾が必要なの。だからいいの」
「正当化すんなよ」
「それより、さっさとしなさいよ。私より支度が遅いなんてありえないわ、このグズ犬め」
「お、おう」
今から大河と二人で夕飯の食材を買いに行くところ、その支度の途中に不意に先日起こった件を思い出してしまい、手が止まってしまっていたのだ。
携帯電話と財布を持ち、マフラーを首に巻く。
それとエコバッグを忘れないように、レジ袋を使うなんてMOTTAINAI。
「じゃ、行くか」
「ラーメン!」
玄関の外に出てすぐ、大河がそんなことを言い出す。
「おう?」
「今日はラーメンが良い」
どうやら夕飯の話らしい。
「ラーメンは昨日食ったじゃねえか。二日連続、そんな不健康なものはなしだろ」
そう、昨日も大河はラーメンをせがんできて、竜児は渋々、夕飯をラーメンに変更したのだ。
「やだやだやだ、ラーメンがいい。ラーメンじゃないと死んじゃう」
「そんなに食いたきゃ、一人でラーメン屋でも行けばいいじゃねえか」
竜児は大河の脇をすり抜けて、アパートの古びた階段を降りる。
「おい、糞犬、駄犬、エロ犬、変態、痴漢、ヤクザ」
階段の上から罵詈雑言を浴びせられる。
「だれがヤクザだ!?」
反応すべき言葉は別にある気がするが、ヤクザというのも許しがたい。
大河は邪悪な笑みを浮かべながら階段をゆっくりと降りてくる。
が、最後の段でこけた。
「うおわわっー!」
「おおう!」
竜児がピッチャー返しをキャッチする程の反応速度をみせ、大河をしかっりとキャッチ。
「ふう……」とは大河。
竜児の手から素早く離れると、竜児より先に歩き出す。
竜児もその背中を追う。
「ふうじゃねえ、なんでそこでこけるんだよ。オマエはいつもいつもつまんねえドジしやがって。気をつけろよな」
「はいはい、分かってるわよ。お礼にみのりんの写真を買ってたことを暴露するかしまいか、脅しに使うのやめてあげる」
「そんなこと考えてたのか……」
恐ろしい、逢坂大河恐るべし。
「だって、ラーメン食べたいんだもん」
「なんで、そんなにラーメン食いたいんだよ」
「昨日、久しぶりに食べたらね、滅茶苦茶美味しかったの。マイブームってあるじゃない? 私のマイブームは今まさにラーメンなのよ」
「マイブームねえ」
竜児のマイブームといえば、一貫して掃除をすることだ。
もう人生においてのブーム、生涯ブームと言えばいいだろうか、生涯掃除宣言!
「だから、はい」
大河はポーチから一枚のチケットを出すと、受け取れとばかりに突き出してきた。
竜児はチケットを手に取って見てみる。
「……バッティングセンター?」
「そう、この前北村くんとばかちーと一緒に行ったところ」
この前とは北村がぐれたときだろう。
北村が急にバッティングセンターに行きたいと言い出して行ってみたはいいが、北村は全くバットを振らずに亜美や大河を鬼コーチよろしく、後ろで教えていただけだった。
あのバッティングセンターのチケットが、これというわけらしい。
「このチケットどうしたんだ?」
「バッティングセンターに行ったときに思い出したんだけど、前にみのりんに貰ったの。私は興味ないって言ったのに、無理矢理」
――なるほど、櫛枝はソフトボール部だし、バッティングセンターに行ってても不思議じゃないな。
「それで、これがどうかしたのかよ」
「ふふん、駄犬の小さな頭じゃ理解出来ないみたいだから、このお優しい大河様が教えてさしあげるわ」
「いやいや、いいんだぞ大河。どうせなら、違うときにそのお優しい大河様とやらになってくれ」
「うるあァーッ!」
「おごうっ!」
あまりにも突然の頭突きに竜児は避けることが出来なかった。
アスファルトに手をついてしまい、背の低い大河を見上げる体勢になる。
「聞きたい? 聞きたいでしょ? 聞きたいと言え! 言ってしまえ!」
「いきなり何すんだっ!」
「うんうん、そんなに聞きたいのね。欲張りな駄犬だこと」
もう何も言うまい。
こうなってしまったら自分の意見など、大河の耳には入らないのだ。
竜児は頭突きを受けた腹を右手で押さえながら、大河の勝ち誇った笑みを無言でやり過ごす。
「夕飯のメニューを掛けて、バッティングセンターで勝負するの。もちろん、グズな竜児のことも考えてあげてのことよ。本当なら私がラーメンと言った時点でラーメンで決まりだもの」
何が勝負だ。
運動神経抜群の大河にスポーツで勝てるわけがない、水泳でさえ負けると思う。
全くもって公平じゃないと竜児は呆れ顔。
まあ、でも、いいかなとも思う。
停学処分になっても大河がいつも通りでいてくれることに、竜児は内心ホッとしているのだ。
「なに笑ってるの? いや、そもそもそれ笑ってるの? 人殺そうとしてるんじゃんくて笑ってるのよね。今にも手錠かけられそうな顔だけど笑ってるのよね……キモ……キモ……」
いつも通り、つまりはこの大河の罵倒も変わらずに、竜児の身を鞭の如くビシバシと徐々に痛みつけていくのだ。
耐えろ、耐えるんだ高須竜児!
「うああああああああああああああ!」勢いよく立ち上がりながら吼える。
「ぬわっ!?」
竜児の突然の咆哮に、勝利宣言中の大河もビクリと小さな身体を揺らした。
「な、なにっ? とうとう頭が可笑しくなったの竜児。もともと可笑しいけど、もっと可笑しくなっちゃったの?」
「大河あああぁぁぁ―――――――――!」
「うっるすわあああああああい!―――――――!」
どこにでもありそうな、二人の高校生が路上で叫びあう姿がそこにはあった。
他に歩行者がいないのがせめてもの救いか。
「わ、わりぃ」
竜児の叫びを掻き消すほどの圧倒的な大河の叫びに竜児はハッと我に返り、素直に謝る。
この小動物みたいな小さな体躯のどこからこんなパワフルな声が出てくるのだろう、と疑問に思いながら謝る。
「ふん、いきなり発情すんじゃない。迷惑だ迷惑、やっぱり首輪でも着けた方がいいかしら。躾がなってないと、飼い主まで文句を言われちゃうし」
「俺が悪かったから、そんなこと言わないでくれ」
「で、なに? 何か言いたいことでもあったんでしょ。特別に発言を許可してあげるから、十秒以内に言え」
大河に問われた竜児は困り顔をしながら、
「い、いや、特になにかあるわけじゃなねえけど」
「ハアッ!? なんでもないのに私の名前を叫んだわけ? それって、教室でみのりーんって叫ぶみたいなものよ。わかる? いきなりそんな呼び方されたら誰だって引くの。もちろん、みのりんだって引いて、二度と口を聞かなくなるレベルなの」
「んな、ありえねえ例え出すんじゃねえ」
「そうよねー、ありえないわよねー。みのりんを呼び捨てに出来るほど親しくないしね、あんたは」
もう嫌だ。
苛めじゃないか。
なんでこんなに嫌味を言われなければならないんだ。
竜児は大河を追い越して先に急ぐ。
「野球だあああっ! 野球やろうぜえええっ!」
大河はそんな竜児の後ろ姿を見ながら、
「本当に可笑しくなってる……」と、先ほどとは違う意味で引いていた。
バッティングセンターの中で、竜児は大河相手にじゃんけんをして勝ったところだ。
「おまえが先攻で、俺が後攻な」
「ま、そのぐらいのハンデ、犬にはあげないとね、おっほっほっほっほ」
あまりにもベタな笑い方に、昔の少女漫画かよと竜児は心の中でひっそりとツッコミを入れる。
ルールは全部で二十五球の内、先攻は十球、後攻は十五球を打つことが出来る。
後攻は交代の時間も入るので実質は十四球と言っていい。
空振りは零ポイント、ゴロは一ポイント、ライナーは二ポイント、フライは三ポイント、ホームランは五ポイント、その合計したポイントの多い方が勝ちとなり、好みの夕飯を選ぶことが出来る。
因みにホームランってのはネットの上方にある的に当てることだ。
前回、バッティングセンターに来たときに、大河はそれを見事やってのけている。
勝利の可能性なんて殆んどない。
しかし、そんなことはどうだっていい――竜児は既にその先を見据えているのだ。
「ティッシュペーパー四袋……」
そんなことを呟きながら、十八禁レベルのニヤつきを見せる。
そう、ホームランを打てば、ティッシュペーパーが貰えるのだ。
勝ち負けなど、どうでもいい。
大河にホームランを打って貰えれば、それで負けようと、ラーメンを食うことになろうと、ティッシュペーパーさえ手に入れば関係ない。
因みに前回来たときは某有名なネズミのキャラクターを模した、いや、明らかに偽物のネズミのぬいぐるみが景品だったのだが、今日来てみると壁に貼ってある紙に景品はティッシュペーパーと書かれていた。
どうやら前回の大河のホームランでこのバッティングセンター最大の景品は姿を消したらしい。
しかし、竜児にとってはあんなネズミのぬいぐるみよりティッシュの方がよっぽど欲しかった。
「じゃあ、行くわ」
頭には見るからにサイズの合っていないヘルメットと、大河に持たせたら凶器が大量破壊兵器になるぐらいの存在である金属バットを手に持って、大河が緑色のネットと防護金網に囲まれた専用のバッティングケージへ入っていく。
「おう、手加減しなくていいからな」
そう、大河には頑張ってもらわねばならない。
ティッシュペーパーが待っているのだ、これはもう単なる勝負ではなく共同戦線である。
もちろん、大河はそんなことを露知らず、ラーメンのことしか頭に入っていないだろう。
しかし、それでいい、ホームランさえ打ってくれればいい。
受け付けでチケットと交換をしたコインを機械に入れて打席に立ち、大河がバットを構える。
「あっ……」
竜児はそこで思う。
「大河を後に打たせた方が確率高いじゃねえか……いやいや、アイツが打つとは限らねえし、ここは安全策でいいよな、うん」
そんなことを呟いてると、大河のバットが振られるのがわかった。
ブンッ!
見事に空振りしやがった――竜児は思わず身を乗り出して、ケージとの間にあるガラスに手をつける。
「なにやってんだ! おまえが打つべき場所はあそこだ! あのホームランの的だあっ!」
「うっさあいっ!」
キンと金属音が鳴り響き、バットに当たった球はライナー性の当たりでネットに吸い込まれる。
これで二ポイント。
ゴロ、ライナー、フライ。
これで八ポイント。
残りは五球。
「大河、あと半分だぞ」
「黙れ、グズ犬っ! うるさくて集中でっき……な……いいいいいいい!」
踏ん張るように低い声を出しながら振り出されたバットは、重さを感じさせないほど綺麗な軌道で振られ、前方の射出機から飛び出す高校球児ばりの速球を見事に芯で捉える。
反発した球は、ロケットのような驚異的なスピードで加速、天井へ向かっていく。
そして、その球は高いところに設置してある白い的の中心に当たった。
バッティングセンター内に鳴り響くサイレン。
景品ゲットの知らせ。
「当たった……当たった……当たったぞぉ、大河ぁ!」
「うう……」
喜ぶ竜児をよそに、大河は顔をしかめてバットを手から離した。
バットが地面に音を立てて転がる。
「大河?」
「くそっ! 痺れた……くそっ!」
一瞬ひやっとした竜児だったが、それを聞いて安堵の表情をみせる。
その間にも球が投げ込まれて、壁に当たって転がっていく。
結局、大河の手のしびれは中々取れず、十球目が投げ込まれる前に大河はケージから出てきた。
「あんたの番」
「お、おう」
大河からヘルメットとバットを受け取り、ケージの中へ。
横目で大河を見ると、まだ手を押さえていた。
さて、ティッシュペーパーは手に入った――俺は適当に打てばいいんだ。
十一球目、つまり竜児にとっての初球を見送ってから打席に立つ。
これで残りは十四球。
大河は合計十二ポイントだった。
勝つには最低十三ポイントが必要だ。
自分のバッティングセンスを考えて、それを超えるのは容易ではない。
ならばと竜児はベース上でバットを横向きに構えたポーズ。
「ちょっ、あんた、なにそれ? そんなのありなの? ありえないありえない、そんなのありえない。バッティングセンターに来てバントするなんてありえない。大体、バントなんてゴロじゃないでしょ。聞いてんのかっ! 卑怯者!」
なんとでも言え――大河に確実に勝つにはこれがもっとも有効なのだから、その方法で挑むのは理に適ったやり方なのは間違いない。
竜児は川相ばりのバント技術とまではいかないまでも、1球ずつ、確実に前へ転がしていく。
半分ほどやって、大河同様手が痺れてきたが、バントする上では我慢すればいいことであった。
十四球、全てをバントした竜児は合計十四ポイントで勝利。
ティッシュペーパーと今夜のメニュー選択権をゲットすることに成功した。
大河に軽蔑の視線を送られながらも、竜児はメイクの濃い五十歳ぐらいのおばちゃんからティッシュペーパーを受け取って、足取り軽くバッティングセンターを出た。
外はもう日の光を失って、薄闇が広がっていた。
「あーあー、最悪だー、最低だー」
子どものように終わったことを蒸し返す大河の不満を背に受けながら、竜児はスーパーのある方向へ足を止めずに歩き続ける。
やがて大河も愚痴を言うことに疲れたのか、歩いている内に無言になり、竜児のあとをとぼとぼと短い歩幅で付いて行くだけだった。
そんな大河の様子に気付いた竜児は振り返って、
「ラーメン屋行くか」
別に大河のために言ったわけではなく、単に運動をして汗をかいたから塩っぽいものを食べたくなっただけだ。
大河はその言葉を聞いて、こくこくと二度頷いて、嬉しそうに口を広げる。
「ラーメン! ラーメン!」
大河の無邪気な笑顔を見て竜児は苦笑してしまう。
こういうとき、大河は本当に子どもみたいに笑う。
その笑顔は普段の凶暴さも凶悪さも忘れてしまうほどに可愛い。
フランス人形のような精緻な顔の作りをしているのだから、大人しくしていれば容姿と相まって完璧なのにと思うこともある。
けれど、凶暴な大河も、凶悪な大河も、天使のような大河も、全てがあって大河なのだということもわかっている。
それが手乗りタイガー、それが逢坂大河なのだ。
「ニヤニヤしてキモイ、そんな顔してたらラーメン屋にも追い返されるわ」
無意識に大河の顔を凝視していたことに竜児は慌てて視線を逸らす。
天使と形容してやった後だけに、天使とは正反対のどギツイ言葉に、
「やっぱり、おまえは鬼だ! 悪魔だ! 死神だ!」
「ハアッ!? 人の顔を見てニヤニヤしてたと思ったら、今度は人を死神扱いかっ、言いたい放題言ってくれるわねえ……覚悟せいっ!」
虎が獲物を捕らえるときのスピードを彷彿とさせる速さで大河は迫ってくる。
「ま、待て、大河! 今のは嘘っていうか冗談だ! だから、命だけは勘弁してくれえええ!」
「歯を食いしばれえええ!」
某ロボットアニメの主人公を思い出させるセリフを吐きながら襲い掛かってくる。
もう大河から逃げることは出来ない。
男のものとは思えないほどの甲高い悲鳴が、夜の路上に響いた。
こんな二人にも、クリスマスはたしかにやってくる。
お わ り










































コメント 10
コメント一覧 (10)
大河に水泳で負ける竜児って・・・
設定ミス?
とらドラ懐かしいな
ちなみに大河はもともとカナヅチじゃなかったっけ?
とでも言えば満足なのか。
なんかなぁ
ホントにそんな感じ
もうちょっと続けて欲しかったけど、まあスッキリ終わったね