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勇者募集してたから王様に会いに行った 第一部
┗【外伝】盗賊だけど今日勇者に解雇された
勇者募集してたから王様に会いに行った 第二部 「魔 王」
勇者募集してたから王様に会いに行った 第三部 「勇 者」前編
勇者募集してたから王様に会いに行った 第三部 「勇 者」後編
┗勇者募集してたから王様に会いに行った エンディング if ルート
┗【外伝】魔法使いに大切なもの
酒場で戦士募集したら勇者が仲間になった 【第一部】 勇者×勇者×勇者
酒場で戦士募集したら勇者が仲間になった 【第二部】 武術大会 in 西の王国コロシアム
730:Qw0 ◆7b3JfpIY/2:2010/08/11(水) 22:22:23.15:/TFzTwg0
1
--草原--
ガギィン!!ギィン!!
名も無き兵士「うおおおおおおおおおおお!!」
名も無き亜人「いやああああああああああ!!」
人と人が争っている。
互いに武器を振るい、互いを傷つけ、互いに命を落として行く。
牛亜人「今だ!!いけるぶもー!!」
蝙蝠亜人「きぃきぃ!!やっちまうきぃ!!」
女兵士「あ、あわ!!」
兵士たちが亜人の群れに囲まれている。兵士たちは各々の武器でけん制しているが、それも最早意味の無いことで。
牛亜人「お前らさえこなければぶもおおおおおおお!!」
牛亜人が一番最初に飛び込んだ。
老兵「うああああああああああああああ!!!!!」
ヒュッ
太陽を横切るようにして現れた影、それは輪の中心に降り立ち、
?「あああああああああ!!風属性魔法、レベル4!!!」
ビュオオオオオオオオオオオ!!
蝙蝠亜人「きいいいいいい!!!!」

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韓国からポーランドに輸出されるはずだった戦車、軽戦闘機、自走砲などの「K防産」、すべて霧散して夢と終わる可能性も…
731:Qw0 ◆7b3JfpIY/2:2010/08/11(水) 22:28:31.39:/TFzTwg0
2
--草原--
女兵士「あ!!特別兵、特別兵の方ですね!?助けにきてくれた!!」
?(……そうか、一般兵にはそういう肩書で通っているんだっけ?)
特別兵と呼ばれた少女はくるりと兵士達の方へと振り返る。
?「危険だと思ったら下がりなさい。無駄に死んじゃだめです。いくら、」
老兵「とはいえなぁ、魔族が生き延びているとあっちゃぁ、わしらは満足に寝ることもできんし……」
?(今なんのために戦っているのかも……当然だけど知らされて無いんだよね……)
牛亜人「なんだきさまぶもおおおおおおおお!!!!」
?「!?」
ドシイイイイイインン!!!!
?「ぐっ!!」
2Mはゆうに超える巨体で突進してきた牛亜人。
牛亜人「ぶっ!?」
しかし少女はそれを受け止めた。
732:Qw0 ◆7b3JfpIY/2:2010/08/11(水) 22:33:48.59:/TFzTwg0
3
--草原--
牛亜人「そ、そんな……おいらの、おいらの突進がこうも簡単に!!」
?「簡単じゃないよ、すごく痛い。でも私が止めなきゃ……」
少女の両手に魔力が集結する。
?「後ろの人達に当っちゃうでしょ!!」
ドオオオオオオオオオン!!!!
少女の両手から発射される魔力砲。それは六色の輝きを放ち、牛亜人達を吹き飛ばした。
女兵士「す、すごい一撃……。さすが特別兵……さん」
?(ふぅ……ちょっとマジックドレインしたけど、やっぱり足らないか)
733:Qw0 ◆7b3JfpIY/2:2010/08/11(水) 22:37:35.94:/TFzTwg0
4
--草原--
狐男「へぇ、ちょっとはやりそうな奴がいるコン」
?「!!」
間髪いれずに新しい敵がその場に登場する。
?「貴方達は下がって治療を受けてきてください!!今の状態じゃすぐやられるのがオチです!!」
老兵「う、うむわかった!!お前さんも無理はするんじゃないぞ!?」
兵士たちは自陣に向かって走り出す。
狐男「ありゃ。人間は群れで狩りをするもんだコン。一人でいいのかコン?」
?「残念だけど……私普通の人間じゃないから」
狐男「?わけわからんコン。でもじゃぁ、やっちゃうコン!!犬娘!!」
犬娘「はいワン!!」
?「!?」
735:Qw0 ◆7b3JfpIY/2:2010/08/11(水) 22:44:42.45:/TFzTwg0
5
--草原--
少女の後ろの水たまりから犬娘が出現する。
?(な!水渡り!?)
犬娘「今ダーカーザンブラックを連想した人は後でニカと同じ目にあってもらうワン!」
?「多分いないよ!!」
ドスっ!!
犬娘の後ろ蹴りが少女の脇腹に入る。
?「うぐっ!!」
狐男「戦場で卑怯もくそもないコン。悪く思わないでコンね!」
吹き飛ばされた少女の落下地点で待ちかまえる狐男。
?(まずい!!)
737:Qw0 ◆7b3JfpIY/2:2010/08/11(水) 22:52:15.27:/TFzTwg0
6
--草原--
??「うぉっほん。少女相手に二体一とは、それでもジェントルかね?」
狐男「コン?」
バカラッバカラッバカラッ
騎士がスピアを構え、こちらに突進してくる。
狐男「なんだこのWみたいな形の髭のおっさんはコン!!」
??「じぇええええええええい!!!!」
狐男「あぶなっ!!」
突進突きを紙一重でかわす狐男。
騎士は少女のもとへと近づく。
??「危なかったですな。人造勇者殿」
?「貴方は……北の三隊長の一人……でしたよね?確か」
??「えぇ、北の三隊長の中で唯一正攻法を好む男、その名も紳士です。うぉっほん」
738:Qw0 ◆7b3JfpIY/2:2010/08/11(水) 22:57:28.13:/TFzTwg0
7
--草原--
??改め紳士「立てますかな?どれ、お手を」
?「あ、ありがとうございます……」(……戦い方は正攻法かもしれないけれど、やっぱり北の隊長なんだなぁ……変なのばっかりって聞くし)
紳士「どれ、では人造勇者殿は可愛らしいお犬さんのお相手をお願いしますよ」
?「え?あ、はいわかりました」
狐男「どうやったらそんな髭になるコン……そういや最近のジャンプでお前みたいなやつを見たコンね。確かこう、パカッと……」
紳士「シャラップ!!!!」
紳士は馬を蹴る。すると馬が猛スピードで走り始めた。
紳士「おおおおおおおおお!!」
狐男「ふん、馬に乗ってるようなやつに負けるかコンっ!!」
739:Qw0 ◆7b3JfpIY/2:2010/08/11(水) 23:02:32.91:/TFzTwg0
8
--草原--
犬娘「しぇい!!」
ボボボボボボボ!!!
?「鋭い!!」
ロンダートで接近してきたかと思うと、曲芸のような蹴りや掌底を繰り出してきた。
ダダダダダダ!!!
犬娘「!?」
それを一撃以外全て受け流す少女。口からは血が流れている。
?「いったいなぁ……もう!!」
少女は右手に魔力を込め、ありったけの力で犬娘を殴り飛ばした。
ドゴッ!!
犬娘「ぎゃふぅん!!!!」
741:Qw0 ◆7b3JfpIY/2:2010/08/11(水) 23:08:04.04:/TFzTwg0
9
--草原--
殴られた犬娘は宙を舞う。
?(嫌な感触……慣れることなんて、多分無い)
犬娘目がけて追撃の構えを取る。
?「対単体、雷属性魔法レベル4!!」
バチバチバチ、ドギャアアアアアアアアアアアアアアアン!!!!
目も眩む閃光を放ち、雷は犬娘に直撃した。
バシュッ
?「え」
犬娘「替わり身の術とかいう奴ですワン。覚えておくと便利ですワン」
犬娘は背後から少女の肩に手を乗せた。
犬娘「盗む、水分!!」
ジュル
742:Qw0 ◆7b3JfpIY/2:2010/08/11(水) 23:14:38.24:/TFzTwg0
10
--草原--
?「あ、ああぁ!!」
ジュルジュルジュルジュルジュル
犬娘「ごめんワン。でも私水属性だからこうやって誰かから水分徴収しないといけないワン」
少女の体から水分が失われていく。どんどん肌にしわが増え、ミイラになるのも時間の問題だった。
犬娘「あらあら、結構べっぴんさんだったのに、今じゃしわくちゃのおばあちゃんワンね」
?「!!」
ゴッ
裏拳が犬娘の頬に直撃。
犬娘「キャイン!!」
?「……」
少女は何も言わず犬娘に近づくと、
犬娘「ま、待つにゃん!!あ、まちがえた。今動き回って汗でもかこうものなら命にかかわるワンよ!?そっと安静にしておくことをお勧めするぴょん!あ、まちがえた」
?「拘束魔法」
ギャインギャイン!!
巨大なホッチキスの針が出現し、犬娘を地面に縫い付ける。
744:Qw0 ◆7b3JfpIY/2:2010/08/11(水) 23:19:48.11:/TFzTwg0
11
--草原--
犬娘「ま、待て待て待てちょ、待てよぉ!!返せないんだぴょん!!どうやっても私は返せないんだぴょん!!奪うオンリーで申し訳ねぇっすワン!!もう語尾めちゃくちゃになっちゃったワン!!」
?「……心配しなくても大丈夫」
少女は犬娘の顔に自分の顔を近づけると静かに口を開いた。
犬娘「!?た、食べたからって失われた水分の全てが戻るわけじゃないワンよ!?そんなことなんかしないでちょっとまっねぇ!!」
?「大丈夫。ドレイン系は元々私達の物なんだから」
犬娘「……へ?」
がぶっ
少女は犬娘の首筋に噛みついた。
犬娘「あいった!!あ、ちゅーちゅーされてるワン!!あ、あっあ、あん、あっああああああああー!!!」
じゅるじゅるじゅるじゅるじゅる!!
犬娘「やばいやばいやばいやばい!!干からびる干からびるワン!!」
じゅるじゅるじゅるじゅるじゅるじゅるじゅる!!
745:Qw0 ◆7b3JfpIY/2:2010/08/11(水) 23:27:30.72:/TFzTwg0
12
--草原--
?「ふぅ」
以前以上の肌の艶を取り戻した少女は、満足そうに唇を拭った。
犬娘「お、おまえは、い、いったい」
?「どうしたワンチャン。調子はどうだ?満身創痍だな体が干からびて砕けるぞ。どうするんだ?おまえは犬か?それとも人間か?」
犬娘「い、いきなりキャラ変わって……」
?「あぁ、いつもなんだ。いつもそう、血を吸うとな、声が中田○治になるんだ」
犬娘「んなバカな!!」
?「お前は恐れ多くもこの吸血鬼の末裔である私に、吸血行為のなれの果てをしてみせたのだ。随分とまぁ、いい気分だろう?」
犬娘「ひ、ひいいいいいいいいい!!!!」
746:Qw0 ◆7b3JfpIY/2:2010/08/11(水) 23:34:31.67:/TFzTwg0
13
--草原--
ギィン、ドッ、ドゴゴッ!!
紳士「む!?」
狐男(こいつ、馬に乗ったままだってのに強いコン!!どうなってるコン!?旋回性も低いし回避能力もほとんどないだろうに!!)
紳士「やりますね狐君。しかし騎士との戦いに不慣れさを感じる。いいでしょう、この際教えてさしあげましょう」
狐男「いや、遠慮するコン」
紳士「騎士というものは、馬や騎乗物との真の意味での融合を図るわけですが、」
狐男「勘弁してくれコン」
紳士「騎乗するものの魔力や属性、能力などを倍加、共有できるのですよ」
狐男「黙れコン。奥義、水炎」
紳士「!?」
紳士と狐男の周囲を水色の炎が取り囲んだ。
747:Qw0 ◆7b3JfpIY/2:2010/08/11(水) 23:40:41.36:/TFzTwg0
14
--草原--
紳士「これは驚いた……犬畜生の身でありながら、人類の英知の結晶である奥義習得にまで至るとは……」
狐男「ふっ、ふっ、ふっ、驚いたコンか?おいらは優秀なんだコンよ!!」
紳士「ふむ、これは私も全力でお相手せねばなりますまい」
狐男「どうでもいいからさっさと消えてくれコン!!」
バサバサ
その時一匹の蝙蝠が二人の間に割って入る。
紳士「む?」
狐男「!!ま、まさか蝙蝠亜人か!?蝙蝠亜人なんだな!?くそ……誰がこんなひどい目にコン!!」
バサバサバサバサバサバサ
蝙蝠の羽音がある場所を中心として聞こえてくる。
戦場に一つの渦が出来ていた。
?「血とは魂の通貨、命の貨幣、命の取り引き!!」
紳士「まずい。この状況で紳士である私はまずい」
748:Qw0 ◆7b3JfpIY/2:2010/08/11(水) 23:49:22.62:/TFzTwg0
15
--草原--
狐男「……あれは、さすがに相手にはできないコンね。引き上げコン!」
狐男は早々と逃げて行く。
紳士「む?逃がしましたか。しかし……」
紳士は少女を見つめる。
紳士(あれが人造勇者の力……勇者としての力だけでなく、何か能力まで持っているのか?)
?「ふぅ……付かれた。これだけ召喚するのは久しぶりだし」
紳士「もし、話しかけても大丈夫かね?」
少女は紳士が近づいてきていたことに全く気付いていなかった。
?「あ、大丈夫です。どうぞ」
紳士「……」
紳士は宙を舞っている蝙蝠の群れを見上げる。
紳士「召喚、と言ったね。人造勇者殿の職業は勇者ではないのかね?」
?「……本物の勇者のことはわかりません。ですが私達は……この力を得る前は普通の職業に付いていたわけです。だから前の職業のスキルや魔法も使うことが出来ます」
749:Qw0 ◆7b3JfpIY/2:2010/08/11(水) 23:58:07.50:/TFzTwg0
16
--草原--
紳士(二つの職業の能力を使えるとは……これが二重就職というやつですか。半端になるから一つに絞れ、というのが普通ですが)
?(ってやばっ!何私情報を漏らしちゃってんの……)
紳士(勇者ほど汎用能力が高い職業ならば、それも可能というわけですな)
豚亜人「ぶ、ぶひーーーーー!!」
G「こっくろーーーちっ!!」
紳士「!!次が来たようですね!!」
?「……」
紳士「どうしました?あ、なるほど。確かにあれは女性の方ではきついでしょう、Gの方は私が引き受けますので」
?「そうじゃないんです!!」
紳士「!!……貴方まさか」
?「……こんだけしておいてなんですけど、やっぱり戦いは好きに……なれません」
紳士「いまさらすぎるーーーー」
750:Qw0 ◆7b3JfpIY/2:2010/08/12(木) 00:05:54.25:ZvcpYUs0
17
--草原--
紳士「……人造勇者は全て志願兵と聞きましたが」
?「そうやってなんでも聞きだそうとしないでください。紳士の名が泣きますよ?私そんな軽い女じゃないです!」
紳士「おっと、これは失敬」(もう結構知っちゃいましたけど……)
豚亜人「ぶひ、ぶひー!!」
紳士「……戦いが好きな人なんてあまりいないですよ」
?「え?」
ドゴオン!!
豚の突進とGの突進を紳士が一人で受け止める。
紳士「それでも闘わなきゃいけない時はあるのです。貴方が戦場に立つことによって、誰かが戦場に立たなくてすむことになり、また、戦いの犠牲になる人も減るかもしれません」
ギィン
紳士のスピアがGの腹を突き破る。
G「ぎしゃああああああああああああああああああああ!!!!」
すると卵がoieuhga08うぇrhgじゃ0rぽいgかぽぎ。
751:Qw0 ◆7b3JfpIY/2:2010/08/12(木) 00:09:49.19:ZvcpYUs0
18
--草原--
魔法煙の中から現れた魔王勇者は全くの無傷。
魔王勇者「……どいつもこいつも……なんで私を虐めるの……赤竜」
赤竜「ぐおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」
魔王勇者の直上に体長100メートルを超す竜が出現する。
魔王勇者「炎弾……咆哮」
赤竜の口が開き、膨大な魔力が炎へと変換され圧縮され続ける。
そのあまりの熱量に、周囲に存在する人間は次々に蒸発していく。
人造勇者龍騎「……これが……魔王!!」
魔王勇者「放て」
ギュィン
752:Qw0 ◆7b3JfpIY/2:2010/08/12(木) 00:15:39.32:ZvcpYUs0
19
--草原--
ゴオオ
?「そんな……そんな考えもあるんですね」
紳士「んふっ、紳士ですからっ。あ、惚れてはいけませんよ?」
少女に満面の笑顔を向ける紳士。
ジュッ
少女の目の前を炎の弾丸が通過した。
もし少女が常日頃から魔力を纏っていなければその余波で燃え尽きていただろう。
そう余波ですら。
少女の目前から紳士と二人の亜人が完全に消え去った。
753:Qw0 ◆7b3JfpIY/2:2010/08/12(木) 00:23:57.30:ZvcpYUs0
20
--草原--
勇者討伐戦争、一日目終了時。
?「……撤退命令?……やっと、終わった……」
少女は今日、初めて自身の身体を見てみた。
?(血まみれの泥だらけ……命を奪った感触はまだ手に残っている……)
少女はその手で頭を抱える。そして浮かぶのは紳士の笑顔。
?(あの光景が脳に焼き付いている……あれだって私が殺したようなもんなんだ。私は……私はこんなことをするために……)
女は友軍兵が撤退していく中、一人ぽつんと戦場に立っていた。
?(……帰ろう。帰るしかない)
??「う、うぐ」
その時声が聞こえた。
?(まさかまだ回収されてない兵がいる!?しかも生きて)
紳士の笑顔が脳内を横切る。
?(助けなきゃ、助けなきゃ!!)「だ、大丈夫ですか!?どこですか!?」
少女は死体と泥の下から声の主を見つけた。
??「うぅ……」
?「あれ、この人って……王国の、魔法使い」
??改め魔法使い「でゅく……し」
755:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/08/12(木) 00:35:25.46:QjVItqU0
21
--誰かの夢--
???「……えな……私……ど……」
誰かの声がする。
???「……んな……罪者……がわらしい」
とても……とても、好きだった人の声。
???改め母親「うちからでていけ!!」
ガバッ
魔法使い「はっ!はっ!はっ!……はっ……」
魔法使いは飛び起きた。荒い呼吸を整えつつ辺りを見回す。
魔法使い(夢……またあの夢か……ん?ここは、どこだ?)
見知らぬ天井。
783:Qw0 ◆7b3JfpIY/2:2010/08/18(水) 22:08:55.63:xNPHSLU0
22
--小屋--
魔法使い(俺は……戦場で戦っていたはずだが……づっ!!)
魔法使いは腹を押さえる。
魔法使い(そうか。俺はあの女にやられて……。というとここは野戦病院か?……にしては薬品の匂いがしないしな)
ギッ
魔法使いはゆっくりとベッドから立ち上がる。
ベッドの脇のテーブルには血濡れた包帯や器具がおいてあり、誰かが自分の手当てをしてくれていたことがわかる。
魔法使い(……礼を言わねば)
それにしても日が高い。すでに戦闘は行われているかもしれない。
急いでドアを開けると。
牛「んめーーー」
牛がのんきに目の前を通り過ぎて行く。
魔法使い「羊か!!!!」
785:Qw0 ◆7b3JfpIY/2:2010/08/18(水) 22:15:18.94:xNPHSLU0
23
--小屋--
魔法使い(いやいやいやまてまてまて落ち着け。『素数』を数えて落ち着くんだ……)
魔法使いは一度ドアを閉める。
魔法使い(なぜいきなり田園風景になってやがる……牛が野放し状態とは一体どういうことだ??……!!)
そこで魔法使いはあることに気付く。
魔法使い「しまった!!幻術魔法か!!」
魔法使いは痛む腹の傷を押さえながら精神を集中させた。
魔法使い(やったことは無いが無理じゃないだろう。解除魔法発動。種別幻術、対象俺!!)
パフっ
魔法使い「……き、効かない……だと?」
786:Qw0 ◆7b3JfpIY/2:2010/08/18(水) 22:21:41.83:xNPHSLU0
24
--小屋--
魔法使い(確かに俺は解除を専門としていないし、属性だって合ってない。だが)
バタン
その時、小屋のドアが勢いよく開かれた。
?「はー、重かったー!!ってあれ?起きてる……」
麦わら帽子を被った少女がそこから現れた。
その手には大きなかごを持っていて、トウモロコシが溢れるほど詰められていた。
?「まだ安静にしていた方がいいと思います……けど」
魔法使い「っ!!」
魔法使いは少女を押し倒した。
ガタン!!
?「ひ、ひぃ!?」
787:Qw0 ◆7b3JfpIY/2:2010/08/18(水) 22:29:59.96:xNPHSLU0
25
--小屋--
魔法使い「貴様か!!貴様がこの幻覚を!!」
?「え、えぇ!?な、何?タミフル?や、ちょっ」
魔法使い「貴様か貴様かきさ……お前、確か」
?「う、うぅ……せ、せめて優しく」
魔法使い「人造……勇者?」
バタン
包帯少女「お手伝いに来ましたミナさん!!」
突如開け放たれるドア。
?「あ……」
ドアを開けた包帯少女が真っ先に目にしたのは折り重なった男女。
包帯少女「ききききぃやああぁぁ!!」
788:Qw0 ◆7b3JfpIY/2:2010/08/18(水) 22:36:32.39:xNPHSLU0
26
--小屋--
魔法使い「全く……さっきのは一体なんなんだ」
?「貴方にも問題があったように思うけど……」
魔法使い「さっきのはお前の召使いかなにかか?」
?「違う違う。彼女は、彼女らは戦災孤児。自分たちの国を滅ぼされて、頼るあても無いままこの村に流れてきた子達なの……。村の人達はいい、って言ってるんだけど、恩返しするって聞かないらしいの。でも彼女らの歳で出来ることなんて限られているでしょ?だからたまにお手伝いに来てもらっているんだ」
魔法使い「デュクシまでは読んだ」
?「読まずに聞いて!?」
魔法使い(国が滅ぼされて……か)
魔法使いは何かを思い出すように窓の外に目を向ける。
魔法使い「……悪かったな取り乱して」
?「ううん、そりゃあそうだな、って思った。貴方が気を失ったのは、血と土にまみれた戦場だったんだし」
魔法使い「……状況の説明を願いたい」
789:Qw0 ◆7b3JfpIY/2:2010/08/18(水) 22:45:31.57:xNPHSLU0
27
--小屋--
数十分後
?「お、落ち着いた……?」
少女は柱の影から覗くようにして魔法使いを見ている。
魔法使い「……あぁ。さっきのことは誤っただろう?こっちにこいよ」
?「……怒らない?」
魔法使い「怒らない」
?「……えへっ」
少女は嬉しそうに笑うと、魔法使いに駆け足で近づいた。
むに
?「ふぇ?」
少女の頬がつねられる。
?「ふ、ふぇ!?いふぁいいふぁい!!」
魔法使い「痛くしている!!話を聞けばなんだ!!お前は怪我をしていた俺を埒して戦場から逃走!?しかも戦争は一週間前に終わってる!?ふざけんな!!」
790:Qw0 ◆7b3JfpIY/2:2010/08/18(水) 22:52:23.25:xNPHSLU0
28
--小屋--
?「おふぉららいってゆっふぁろにー!」
ビエーン
魔法使い「お前、敵前逃亡は重罪だぞ……?特にお前は元々立場が危ういんだ……」
魔法使いは指を離す。
?「だって……助けたかったんだ」
魔法使い「?」
?「だって私は人を助けるために受諾したんだ!じゃなきゃ人造勇者なんて……どうせ選択肢なんて無かったんだけど……」
少女は大粒の涙を零す。
?「なのに訓練は人殺しの術……やらされたことは戦争……こんなのなんて無いよ!!」
魔法使い「甘ったれるな」
?「!?」
魔法使い「魔王が死んだ今、お前達が勇者として振る舞うことは今後一切無い」
?「う……」
791:Qw0 ◆7b3JfpIY/2:2010/08/18(水) 22:57:58.65:xNPHSLU0
29
--小屋--
魔法使い「むしろ、魔王がいなくなってから実戦配備出来るように組まれたこの計画、お前達は最初から人を殺すために造られたとしか思えない」
?「嘘……」
魔法使い「魔王が死んだことにより敵が変わる。統率をかいたモンスターなんかより、人間のほうがよほどやっかいだ」
魔法使いは苛立ちながら衣服を着始める。
?「えっ……どこか行くの?」
魔法使い「帰る。分かり切ったことを聞くな!!」
?「でも貴方も脱走兵だと思われてるかもしれない……」
魔法使い「構わん。どのみちここに俺の居場所を見いだせない」
?「駄目だよそんな。そんなのやっぱり、責任感じる……し」
うなだれる少女。
魔法使い「……さっきから聞いてれば自分が自分が、だなお前」
少女の体は魔法使いの言葉に反応する。
?「そう……だね。そうだよね。ごめんなさい。最初に謝るべきだった……」
792:Qw0 ◆7b3JfpIY/2:2010/08/18(水) 23:05:14.22:xNPHSLU0
30
--小屋--
顔を塞ぐ少女を魔法使いはしばし見つめる。
魔法使い「……俺は行く」
?「うん……」
魔法使い「……命を助けて貰ったことには感謝している。礼として出せるものはない。その代わりにお前は戦場で死んだことにしておいてやる」
?「え?」
魔法使い「生れ故郷なんだろ?ここ……余生は静かに過ごせ」
魔法使いはドアを開ける。
?「ま、まって!!」
少女は魔法使いに抱きついた。
魔法使い「ごぶふっ!!」
その衝撃で魔法使いの傷口が少し開いてしまう。
魔法使い「き、きさま」
少女「お、お腹空いてるでしょ?1週間何も食べてなかったんだから!だからご飯だけでも食べてって!!ね!?」
魔法使い「わ、わかった、わかったから手をはなデュクシWWWWW」
バタン
?「あ」
魔法使いはいきたえた。
793:Qw0 ◆7b3JfpIY/2:2010/08/18(水) 23:11:38.81:xNPHSLU0
31
--路地裏--
片足少年「おい!本当かよ!!」
包帯少女「うん、間違いない……あいつだった……私達の国をめちゃくちゃにしたやつらを率いていた、あのフードの男!!」
片足少年「でもなんでここに?まさかこの村でも同じことをするつもりなのか!?」
包帯少女「多分違うと思う。村の人達に聞いたら、あいつかなり深い傷を負っていたらしいんだ」
片足少年「療養か……くそっ!!ふざけやがって!!」
包帯少女「……憎いね、憎いよ!!」
片足少年「なぁ……あれ、使ってみようぜ」
包帯少女「あれって、一緒に持ってきた鉄の人形のことだよね?」
片足少年「あぁ。この村の人たちには見せてないよな?」
包帯少女「もちろん。村の外の林に隠してあるよ。でもあれ、すごい危ないってパパが……」
片足少年「賢者師範代のおっちゃんか……。でも、例え危なくったって俺らが仇を取るんだ!!もう俺らしかいないんだ!!」
794:Qw0 ◆7b3JfpIY/2:2010/08/18(水) 23:15:20.30:xNPHSLU0
32
--林--
片足少年「確かここに……あれ?こっちじゃなかったけ?」
包帯少女「もうちょっと先だよ。黒い大きな石を目印にしたでしょ?」
片足少年「あ、そうだっけ。わりぃわりぃ」
少年の額には汗。やはり片足での移動は幼い体にはこたえる。
包帯少女「……ほら」
包帯少女は手を伸ばす。
片足少年「え?い、いいよ!女になんて頼れねェよ!!」
包帯少女「もう、素直じゃないんだから」
包帯少女は有無を言わさず片足少年の肩に手を回す。
片足少年「……でも、痛いだろ?肌……」
包帯少女「……へいき」
795:Qw0 ◆7b3JfpIY/2:2010/08/18(水) 23:25:28.65:xNPHSLU0
33
--林--
包帯少女「あった、大きな石。この後ろの木の後ろ」
包帯少女は少年を下ろすと木の後ろに回り込む。
そこにはローラーのついた人並の大きさの箱があった。
包帯少女「……開けるよ?」
片足少年「こくっ」
片足少年は無言で頷く。
ガパッ
そこには
????「……」
一人の女性が眠っていた。
片足少年「何度みてもすごいなこれ……人間そっくりだよ」
796:Qw0 ◆7b3JfpIY/2:2010/08/18(水) 23:33:05.79:xNPHSLU0
34
--林--
包帯少女「……どうやって動かすんだっけこれ?」
片足少年「確か、うなじをお日さまにあてつつ、こーくすくりゅーぶろーをケツにブチ込む。らしい」
包帯少女「……そんなんで動くの?」
片足少年「親父がそういってた」
包帯少女「闘士師範代さん、大雑把だからなぁ……」
二人がかりで箱の中の女性を陽のあたる場所に移動させる。
丁度木漏れ日が差し込む場所を見つけたのでそこに女性を下ろす。
片足少年「うし、うなじ確保!!」
包帯少女「よーし」
包帯少女は準備体操を始める。
片足少年「……やっぱお前がやらないほうがよくない?」
包帯少女「何言ってるの。片足少年じゃ満足に拳もふれないでしょ?」
片足少年「だ、だけどよ……」
797:Qw0 ◆7b3JfpIY/2:2010/08/18(水) 23:37:56.80:xNPHSLU0
35
--林--
包帯少女「ほっ」
包帯少女は軽々とロンダートからのバク宙を決める。
片足少年「お前……なんでそれをやる必要があるのだ」
包帯少女「最近体動かして無かったから体なまっちゃってさぁ。うし」
片足少年「うちの親父、お前が男だったらなぁぐへへへへ。っていつも言ってたもんなあ」
包帯少女はスタスタと歩き女性を倒す。
そしてお尻突き出しポーズにさせた後、
包帯少女「闘士師範代直伝!!こーくすくるーぶろー!!」
どめぎょっ!!
????「!!!!」
かっ
女性の目が見開かれた。
799:Qw0 ◆7b3JfpIY/2:2010/08/18(水) 23:40:05.89:xNPHSLU0
36
--林--
????「ダメージを感知、当機体に攻撃するものアリ!!」
女性は恐ろしい速度で振り向くと子供達を視認した。
????「ターゲット確認、排除開始」
ジャガッ
女性の両手からは見たことも無いような突起物が出現する。
片足少年「う、うわぁ!!なんだこいつ!!や、やっぱ危ないのか!?」
包帯少女「な、ちょ!一人で逃げようとしないでよ!!」
????「人間?」
子供達の動向を観察していた女性の目が青白く光る。
????「スキャン終了、外見は人間に酷似しているが遺伝子情報から人間ではないと判断。アクセスキー、プロテクトキー共に存在せず。データベースに存在する生物ではないと断定」
片足少年「日本語でおk」
800:Qw0 ◆7b3JfpIY/2:2010/08/18(水) 23:41:22.57:xNPHSLU0
37
--林--
????「……」
片足少年「……」
包帯少女「……」
しばし三者は停止する。
最初に動いたのは女性。
ガシャガシャン
????「敵性の意志無しと判断、バトルモードを解除、通常モードに移行します」
片足少年「き、危機は去ったのか?」
包帯少女「私に聞かないでよ、わからないもん」
????「えー、えー、なんて呼んだらよいのか不明。まぁいいやおい坊主」
片足少年「え?」
????「ちょっと脳みそをいじくらせて欲しいと申請」
包帯少女「……え?」
801:Qw0 ◆7b3JfpIY/2:2010/08/18(水) 23:42:59.77:xNPHSLU0
38
--林--
片足少年「だっ、駄目駄目駄目駄目っ!!何言ってるんだよもう!!」
????「えー、ちょっとくらいいいじゃないかけちー不満」
女性は指からうねうねした何かを伸ばしている。
包帯少女「ねぇあなた、古代のすごい兵器なんでしょう?」
????「?」
女性はじっと包帯少女の顔を見つめる。
????(星の位置から現在位置と時代を推定……判明。……まさかここは……なるほど)
片足少年「な、なんか言えよ、なぁ」
????「その通りである。私の名前はX-10。対ケイ素生物B型機兵の一体である」
802:Qw0 ◆7b3JfpIY/2:2010/08/18(水) 23:44:18.94:xNPHSLU0
39
--林--
包帯少女「なにそれ?どっかの所属ってこと?」
????改めX-10「わからなくていい。わかっていたら即射殺していた。おかげでどの程度のものか自分なりに理解できた」
片足少年「ゆ、弓持ってるのか?そんななりで」
X-10(私達が使えていた主は当の昔に滅亡してしまったのか……。その残りカスが今は……)
X-10は子供達をじっと見つめている。かつての名残を探すように。
包帯少女「あの……X-10とかって呼びにくいし打ちにくいらしいの。だからテンテンに改名してもらえる?」
X-10改めテンテン「今結構シリアスな流れだったのになー残念」
片足少年「なんだ打ちにくいって。どこのどいつの事情だ?」
803:Qw0 ◆7b3JfpIY/2:2010/08/18(水) 23:45:09.74:xNPHSLU0
40
--林--
包帯少女「ねぇ、力を貸してくれない?どうしても倒したいやつがいるの……」
テンテン「却下する。私の主は彼らだけである。二君につかえず」
片足少年「いーじゃねーかよ、もうどうせお前のご主人様ってのは死んじゃってるんだろう?」
テンテン「あぁ。残り香だけを残して……消えてしまったようだ」
ツー、とテンテンの頬に一筋の光が流れる。
包帯少女「泣いて……るの?」
テンテン「マネをしてみただけだ。もちろん水はでていない。肌の色彩を一部分だけいじって涙が流れているように見せただけだ」
片足少年「わ、わからねぇよこいつ。何言ってるのかさっぱりだよ。ひのもとことば喋れよなぁ!」
テンテン「たすけてけてー」
814:Qw0 ◆7b3JfpIY/2:2010/08/23(月) 22:08:32.40:FqN7wt60
41
--林--
テンテン「倒すというのは誰を倒すのか」
包帯少女「!?やる気になってくれたの!?」
テンテン「話を聞くだけだ。私とお前達の間に主従関係は成立しないからな」
片足少年「うー……かってぇなこいつ」
包帯少女「……それでもいい、とりあえず聞いて」
包帯少女はテンテンに事の事情を説明し始めた。
片足少年「ぐがー、ごー」
テンテン「なるほど。把握。親の仇打ち」
包帯少女「パパ達のことだけじゃないわ……私達が助かったのは偶然だったの……」
片足少年「ぶひゅーひゅるるるるる」
包帯少女「私達はあの日、外で遊んでいたから氷漬けにはならずに済んだの。でも日が暮れて帰って来たら国は……。それから来る日も来る日も救助隊が来るのを待ったわ。近くの森で果物を取って食べていたから空腹は凌げたんだけど……」
815:Qw0 ◆7b3JfpIY/2:2010/08/23(月) 22:15:17.50:FqN7wt60
42
--林--
???「なんっじゃありゃ」
帽子を深く被った男が木の枝からテンテン達を観察している。
???「人間……じゃぁないわなぁどうみたっても。かと言ってモンスターではないし、何より生物反応が感じられんわ」
男はテンテンの50Mほど後ろから木に隠れるようにして立っていた。
???「……て、生物でもなけりゃ一体なんやっちゅうねん?精霊とかってことはないやろうしなぁ」
ギュルン!!
???「?」
テンテンの首が180度回転し男を捕えた。
???「まずっ!!」
ドキューン!!
テンテンの右手の銃口が火を噴いた。
818:Qw0 ◆7b3JfpIY/2:2010/08/23(月) 22:25:02.35:FqN7wt60
43
--林--
片足少年「な、いきなりなにやってんだ!?」
テンテン「……なんでもない。私の索敵範囲内に何かがいたので射撃したまでのこと」
包帯少女「何かって、もしかして動物?」
テンテン「多分お前等と同種」
片足少年「!!な、なに危ないことしてんだよ!!」
テンテン「残念ながら仕留め損ねた」
包帯少女「……村の人かな」
???「いっつ~……あんな距離から一瞬で攻撃してきよった。雷属性を使った新手か?」
ぬちょ
男は抉られた左腕から鉄の塊を取り出した。
???「しかも、人造勇者の中でも最硬と言われるわいの防御を容易く……世界は広いなぁ」
男は弾を捨てると回復魔法を唱えた。
???「おっとと、道草食い過ぎや。さっさとキーちゃんに会いにいかな」
819:Qw0 ◆7b3JfpIY/2:2010/08/23(月) 22:35:39.68:FqN7wt60
44
--小屋--
カチャカチャ
鉄の食器同士が擦れる音がする。
?「あの、どう?味……」
辺りがすっかり闇に包まれた頃、二人はランプの光を便りに夕食のシチューを食べている。
魔法使い「……悪くない」
?「あ……もしかして、さっきのこと気にしてたり?」
ダンッ!!
魔法使いはテーブルを叩いた。
魔法使い「っ!この俺が……いくら傷を負っているとはいえ、女子供にやられるだなんて!!」
?「ご、ごめん!後、男女差別禁止……」
魔法使い「む……むう」
魔法使いはシチューを口に運ぶ。
?「わ、私ね」
魔法使い「?」
?「私卑怯だったんだ。貴方を助けようと思ったのは本当のことだよ?それは真っ先に思った。……でも、それでも私は戻りたく無かった」
820:Qw0 ◆7b3JfpIY/2:2010/08/23(月) 22:43:12.27:FqN7wt60
45
--小屋--
魔法使い「さっき聞いた」
?「貴方は一刻も早く治療しなければいけない状態だった。それでも私は逃げることを選択した……」
魔法使いはもくもくとシチューを食べ続けている。
?「それに……一人が嫌だったんだ……。一人で追われる身になるのが怖かった……だから私は共犯者を……」
がちゃ
魔法使いはスプーンをテーブルに置いた。
魔法使い「さっきから聞いてればお前、何が言いたいんだ?自責の言葉を俺に吐いて、一体何を求めている?」
?「っ!!」
821:Qw0 ◆7b3JfpIY/2:2010/08/23(月) 22:48:54.93:FqN7wt60
46
--小屋--
魔法使い「もうなっちまったもんは仕方がない。お前がいくら自分を責めたって悔やんだって何も代わりはしない」
?「……考え直したんだ。私も国に戻る。戻って罰を受ける」
魔法使い「……何を言うかと思えば。今回の罪は死に直結するぞ?」
?「いい。貴方が、魔法……使いが罰を受けるよりいい」
魔法使い「……お前何を」
?「全部私のせいだって言う。今は優秀な人材が一人でも欲しい時なんだし、それで貴方はきっと助かる……と思う」
魔法使い「……拒否だ」
?「それに王様は私を殺さないよ。生きてるとは言えない状態になるかもしれないけど、私はきっと……え?」
魔法使い「却下だ。同じ人間に二度も救われるのはごめんだ。それに言っただろう?……助けてもらったことには感謝している」
?「……魔法使い……」
魔法使い「名前で呼ぶな」
?「あ、ごめ」
???「なんやのこのラブラブ」
魔法使い「!!」
?「!?え、な、なんでここに!?」
いたのがさも当たり前であるように、テーブルの脇に男が立っていた。
???「ひ~さしぶりやなぁ、お二人さんっ♪キーちゃんは元からそんな気しとったけど、まさか軍団長君まで脱走するとは思わんかったで」
822:Qw0 ◆7b3JfpIY/2:2010/08/23(月) 22:56:33.73:FqN7wt60
47
--小屋--
?「ち、違うんです!!この人は私が」
魔法使い「無駄だ……」
魔法使いはスプーンを握りながら冷静な顔で呟く。
?「え?」
魔法使い「こいつは……完全に俺達を始末しに来ている」
?「!!」
???「ぴんぽんぴんぽんだいせいか~い」
魔法使いは即座に立ち上がると魔法を唱えた。
魔法使い「雷属せ」
ドゴッ!!
魔法使い「っづ!?」
魔法使いは男に蹴り飛ばされる。
???「あほか。こんだけ近いんや。魔法より通常攻撃のほうが早いに決まってるやろ」
823:Qw0 ◆7b3JfpIY/2:2010/08/23(月) 23:02:04.17:FqN7wt60
48
--小屋--
ガシャァン!
魔法使いは食器棚に激突し、中からフォークやナイフ、大量の皿が降り注ぐ。
魔法使い「ぐっ……」
?「やめて、やめてください影月さん!!」
???改め影月「いくらキーちゃんの頼みでも聞けんなぁ。てか、自分の心配せんでええの?」
バチッ
?「ぶっ!!」
少女の顔を影月が叩く。
影月「……タイミングが悪いんやなぁ。今は結束の時なんや。みんなが手をつないでこ~……なんちゅうんや?そう、一致団結せなあかんねや」
魔法使い「……」
魔法使いは地面に落ちた食器をかき分け、影月の隙を伺っている。
影月「どんな乱れも許されへん。どんな裏切りも許されへん。この土台になる時にしっかりしとかなあかんのよ」
?「で、でも!」
影月「人造勇者キバ。特にお前みたいなんに不用意に出歩かれたら全部パーなんよ」
?改めキバ「っ!」
824:Qw0 ◆7b3JfpIY/2:2010/08/23(月) 23:08:32.41:FqN7wt60
49
--小屋--
影月「両者ともここで死ねや」
影月の意識がキバに向いた瞬間を狙って、
魔法使い「ああああ!!」
魔法使いはスプーンを投げ飛ばす。
ヒュン
しかしあっさりと影月にかわされてしまう。
影月「なんのつもりや」
魔法使い「雷属性魔法レベル」
影月「せやから遅いねんてっ」
ドゴッ!!
影月は一瞬で間を詰め、魔法使いの頭部を蹴りあげる。
魔法使い「がはっ!」
825:Qw0 ◆7b3JfpIY/2:2010/08/23(月) 23:13:22.60:FqN7wt60
50
--小屋--
キバ「魔法使いっ!!み、水属性」
影月「ん」
キバの行動に気付いた影月が、彼女に左手を向けると、
バキバキバキバキ
キバ「!?」
土の手が床を突き破って現れ、キバを拘束した。
キバ「無詠唱!?あ、あぐっ!!」
魔法使い(手をかざしただけで魔法?……こいつ既に陣を引いていたのか!?それに今まで気付かなかったなんて……)
影月は再び魔法使いに視線を戻す。
影月「気付いた?やっぱ優秀やなぁ、軍団長君はww」
魔法使い「きさま……」
826:Qw0 ◆7b3JfpIY/2:2010/08/23(月) 23:16:02.04:FqN7wt60
51
--小屋--
影月「こと魔法だけに関してなら、長い人類の歴史で見ても、君以上はそうはいないやろなぁ」
影月は目を細めて魔法使いを見ている。
影月「でもいくら君がわいより早い言うたかて、スタート地点が違うなら勝てるはずないわな」
魔法使い「……キバ!!こいつ陣はいくつ使えるんだ!?」
キバ「な、七つ!!攻撃、防御、速度、魔法、呪い、妨害、吸収のカテゴリーから一つずつ持ってる!!」
影月「あっちゃー……普通言ってまう?そゆこと」
魔法使い「……ほぼ全部か」
影月「ちなみに全部発動させてあるで♪」
影月は指をピンと立てて笑う。
魔法使い「!?」
そして影月はゆっくりと魔法使いに近づいていく。
魔法使い(全部同時発動?……まさか……でも本当なら)
キバ「そんなわけない!!いくら影月さんでも全部はむぐっ!?」
影月「だから~そういうこと言うたらあかんて~。おくちはチャック。お鼻もチャックや……」
キバの口と鼻が土で覆われる。
827:Qw0 ◆7b3JfpIY/2:2010/08/23(月) 23:18:27.56:FqN7wt60
52
--小屋--
魔法使いは一歩下がり窓の傍による。
影月「あー、逃げる気?諦めれってー。範囲はこの村全体やから。逃げ切ることはでけへんよ」
魔法使い「……七つも陣を発動させておいて超広域設定だと?出来るわけが無い」
キバ「むむむー!!むー!むー!」
魔法使い「……」
魔法使いはキバを一目確認した後、窓ガラス叩き割った。
ガシャァアン!!
影月「……ほ~仲間を見捨てて逃げるんか。大した根性してるやん」
影月が足に力を込めると床は破壊され、爆発的なスピードで魔法使いへと向かった。
魔法使い「!!」
魔法使いは左手の手のひらを影月に向けるが、
影月「遅いってなんど言わせるんや!!」
828:Qw0 ◆7b3JfpIY/2:2010/08/23(月) 23:20:46.71:FqN7wt60
53
--小屋--
ヒュン!
影月「!?」
影月は死角から攻撃されたそれを、身を捻ることによってかろうじてかわした。
影月「……スプーン、やて?」
影月の頬から一筋の血が流れる。
魔法使い「……どうした?俺より早く攻撃できるんだろ?」
影月の周囲を鉄でできた食器が漂う。
影月「……あー、そやったな。雷属性は磁力もどうこうできるんやった。今の間に準備しとったんかい」
魔法使い「……キバの拘束を解け。今なら見逃してやる」
影月「そらぁ、出来ん相談や。てか、キーちゃんを束縛しとる分、わいの方が有利な立場にいるんちゃう?」
ミシギシッ
キバ「!!!!!」
829:Qw0 ◆7b3JfpIY/2:2010/08/23(月) 23:23:35.12:FqN7wt60
54
--小屋--
キバを拘束している土が、絞りあげるような音を上げる。
キバの見開かれた眼を見る限り、それにどれほどの力があるのか容易に想像がつく。
影月「みんな土属性弱いみたいに思うとるけど、大地の力舐めたらあかんでぇ。やわこいキーちゃんなんてあっという間に100%生搾り
に」
魔法使い「雷属性魔法、磁力操作!!」
周囲を漂う食器が、影月目がけて一斉に飛来する。
影月「ふ。容赦ないなぁ、普通はそこで武装解除やろ」
ガガガガキキィン!!!!
土が盛り上がって影月を包む。そして食器は全て弾かれてしまう。
魔法使い「ぐっ!!」
土がボロボロとこぼれおち、土の中から影月の眼だけが姿を現す。
影月「相性も悪いんや。諦めて死んでしまえや」
830:Qw0 ◆7b3JfpIY/2:2010/08/23(月) 23:25:42.89:FqN7wt60
55
--小屋--
魔法使い(……どこか変だ。最初に俺らを殺すと、完全に明言しているにもかかわらずこの行動……交渉材料にすらならないのだから捉えたキバもさっさと殺せばいいのに……)
影月「あー……そろそろキバちゃんも限界やろ?息」
影月が土の防御を解いてキバを見る。
キバ「……」
影月「虚ろな目をしとる……ふ、ふふwwたまらんなぁ、こういうもんがあるから戦いはやめられんわw」
魔法使い「!?……やはりそうか、お前」
影月「なぁ、軍団長君?戦いは人の本能やで?それにあがなってなんになるのん?この世は闘ってなんぼやよねぇww闘って潰して踏み砕いてすりつぶして……なんでそんな当たり前なことを好き勝手やれないんやろか……」
魔法使い「……お前が人造勇者に志願した理由はそれか。……快楽殺人者!!」
影月「……不当な理由だったら人殺しは駄目で、戦争とか正当な理由だったら人殺しはおkだなんて、おかしな世の中だと思わん?どの道闘って殺すのにww」
魔法使い「……」
影月「……ほんまに死んでまうなぁ。ほれ、息継ぎや」
影月はキバの顔に覆いかぶさっていた土を解除する。
831:Qw0 ◆7b3JfpIY/2:2010/08/23(月) 23:27:34.20:FqN7wt60
56
--小屋--
キバ「!?がはっ!!はっ、はっ、はっ、はっ!げほっ!!」
影月「可哀そうになぁ、軍団長君が助けに来てくれないせいでなぁ」
魔法使い「……」
影月「にしてもほんまアホやで……。妹のようにかわいがっとったのに脱走なんてなぁ……しかも、もう戦いがしたくない、なんてばかげた理由で」
キバ「はっ、はっ……聞いてたん……ですか?」
影月「夕食での会話はほとんど聞かせてもらったで♪」
魔法使い「戦いをするかしないかなんて個人の勝手だろう?お前が決めることじゃない!」
影月「……人造勇者にそれは許されへん。殺して殺して殺しまくらな、人造勇者やない。平穏に生きるなんてことはできないんや」
キバ「……」
影月「生き残りたいなら……闘うしかないんや」
832:Qw0 ◆7b3JfpIY/2:2010/08/23(月) 23:29:01.55:FqN7wt60
57
--小屋--
魔法使い(こいつ……)
ズラッ
魔法使いは腰に刺してある短剣を抜く。
影月「君もやで?」
影月は振り向いて魔法使いを見た。
魔法使い「知るか。俺は元々脱走する予定なんか無かったんだ」
影月「そ……へぇ」
キバ「はっ、はっ……」
魔法使いはキバの顔を見つめる。
魔法使い「だがもう気が変わった。正式に俺も脱走してやる。そんな国、願い下げだ」
影月「……ふ」
影月はにやりと微笑んだ。
833:Qw0 ◆7b3JfpIY/2:2010/08/23(月) 23:31:43.98:FqN7wt60
58
--小屋--
影月「ほう、ならどうすんの?わいとやり合うしかないんやで?例えわいを倒したとしても、これからずっと、何年も何年も戦い続ける人生の幕開けやぞ?」
魔法使い「しらん」
影月「ほうか……」
影月は戦闘の構えを取る。
影月「やる気の無い奴と、弱っちい奴。あんな奴らを倒したからって天狗になったらあかんよ?わいは人造勇者の中でも強い部類なんやから」
魔法使い「……雷属性魔法、速度上昇レベル4」
影月「あ!きたなっ!!」
834:Qw0 ◆7b3JfpIY/2:2010/08/23(月) 23:33:16.45:FqN7wt60
59
--小屋--
キバ(だ、だめ。影月さんは、本当に強い……いくら魔法使いでも、勝てない……せめて、せめて影月さんの元の職業だけでも……伝えなきゃ)
朦朧とするキバの意識。
キバ(やめて……いや、とめなきゃ……わたしが、わたしのせいなんだから)
そんな中、それは現れた。
?????「へぇ……随分とまぁ人間もおもしろいことをするね」
キバ(……?あれ?……誰?)
?????「さぁ、誰だろうか」
キバの目には少年が映っていた。羊のような角の生えた少年が。
835:Qw0 ◆7b3JfpIY/2:2010/08/23(月) 23:37:40.82:FqN7wt60
60
--小屋--
影月「ほんじゃまぁ……やるか。人造勇者とただの人間、そこんとこの違いを見せてやるわwwwwww」
魔法使い「はっ……」
魔法使いの顔が不気味な笑みに歪んでいく。
影月「?何がおかしいんや?」
魔法使い「おかしいさ……おかしいに決まってる」
影月「……アフォになったか?」
魔法使い「お前なんかが草を生やすんじゃねええええええwwwwwwwww」
?????「さて、あちらでは戦いが始まったようだ。両者ともに、君の大事な人……か」
キバ(君は……二人からは見えないの?)
?????「今はそうしてる。さて、戦いを拒否するがゆえに戦いを呼びこむ不幸な少女よ。ぼくが力を貸してあげようか?」
865:Qw0 ◆7b3JfpIY/2:2010/08/31(火) 00:28:29.37:HRHZzEQ0
61
--小屋--
影月「おおおおおおおおおお!!」
魔法使い「いくぜぇえええwwwww」
ドガっ!!バチィ!!バリバリバリっ!!
キバ「ち、力を貸すって……どういうこと?」
魔法使い「ぐはっwwww」
数撃の攻防の後、魔法使いは吹き飛ばされる。
影月「こんなんで終わりかいな?わらっとる場合やあらへんで!?」
魔法使い「微サンダーwwwww」
魔法使いの右手から微弱な電撃が放出される。
バチィ
影月「あいたっ!!……無詠唱かい。でもそんなんじゃたいしたダメージは与えられへんで!?」
866:Qw0 ◆7b3JfpIY/2:2010/08/31(火) 00:42:03.94:HRHZzEQ0
62
--小屋--
?????「不利な状況ながらも彼は工夫して闘ってる。でもほら、そんなものはただの先延ばしに過ぎないんだ」
キバ「あ……」
ドガッガッ
魔法使い「デュクシwwwアイテテwww」
魔法使いが口を拭う。
ゴッ
鉄の棒が飛んできて影月の頭部に直撃する。
影月「っ!?また磁力操作か?」
影月はめんどくさそうに頭をかく。
魔法使い「ちょww血もでねぇのかwww」
影月「……」
ヒュッ
ドゴオオオオオオオオオオオオオオン!!!!
魔法使い「!!!!」
影月の打撃が魔法使いを壁に打ち付けた。
867:Qw0 ◆7b3JfpIY/2:2010/08/31(火) 00:45:07.04:HRHZzEQ0
63
--小屋--
?????「おや、思ったよりも早く決着が着きそうだね」
キバ「!!ね、ねぇ君は幻覚とかじゃないんだよね!?」
?????「幻覚だなんてひどいな。ぼくは確かに存在するさ。そこに……」
魔法使い「ぐへwwwいたすwwww」
魔法使いは血のついた舌で自分の右腕を舐める。
影月「……まだ笑ってるんか……ほんま頭おかしんちゃうか?今の一撃で君のお腹、ぐちゃぐちゃやで?」
魔法使い「だからどうしたwwww思い出したんだよ俺wwなんで、なんで俺はずっと笑ってたのかwww」
影月「?なんでや?」
魔法使い「正義のヒーローwww」
影月「?」
魔法使い「そうさ、正義のヒーローはずっと笑ってるもんだぜwwwwwwwwwうぇwwwwwwwwwww」
869:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/08/31(火) 00:52:06.63:ywrifa2o
64
--小屋--
影月「誰が正義のヒーローや。君は脱走兵。真逆の犯罪者やんか」
魔法使い「俺が正義かどうかは俺がw決wめwるwwwwww」
魔法使いは影月の両手を掴む。
魔法使い「電ww流ww操ww作wwwwwww」
バヂッ
影月「な……に、あ、あががががが!!」
魔法使い「体の電気信号、狂わしてやんよwwwww」
影月の体がぐにゃぐにゃと不規則な動きをし始めた。
871:Qw0 ◆7b3JfpIY/2:2010/08/31(火) 01:09:20.60:HRHZzEQ0
65
--小屋--
キバ「力を貸してくれるって、どういうことなの?」
?????「そのまんまさ。いや、正確に言うと、君が持ってる力を強くしてあげる」
キバ「私の……力……。それはゆうs、あ、そのどんな力なの?」
バヂッ
影月「な……に、あ、あががががが!!」
魔法使い「体の電気信号、狂わしてやんよwwwww」
影月の体がぐにゃぐにゃと不規則な動きをし始めた。
キバ「!?あ、魔法使いが勝った!?」
?????「ふーん?……ぼくにはあれが勝ちには見えないけれどね」
キバ「え?どうして……」
?????「あの男、相当な実力者だね」
872:Qw0 ◆7b3JfpIY/2:2010/08/31(火) 01:16:27.11:HRHZzEQ0
66
--小屋--
魔法使い「?」
魔法使いは妙なさわり心地に気付く。
ざり
影月の腕が石のようになっていた。
ゴッ!!
逆の腕で顔叩かれる。その衝撃で魔法使いは窓を突き破って外に出る。
魔法使い「がはwwwwww」
魔法使いは血を吐きながら倒れこむ。
影月「あぶなあぶな。予防張っとかな一発でつんどったわww」
魔法使い「陣……かww」
影月「そや対雷魔法、土鎧。陣の中で雷魔法を食らう度に発動するようなっとる。土属性やから効果が出るまで時間かかるんやけども」
873:Qw0 ◆7b3JfpIY/2:2010/08/31(火) 01:25:40.98:HRHZzEQ0
67
--小屋--
キバ「どうしよう!!魔法使いが!!こんな土っ、つ!!」
キバは土の拘束を解こうとするがびくともしない。
?????「今の君じゃ無理だ。恐ろしいほど計算づくだね。君の力じゃギリギリ壊せないようにしてある」
キバ「!!ね、ねぇ君!!本当に力を貸してくれるの!?」
少年はにやりと微笑んだ。
?????「もちろん。ぼくは君の味方……だよ」
キバは一度、壊れた窓の外を見る。
魔法使い「デュクシwwwwwwげぼっ!」
魔法使いは腹部を踏まれていた。
キバ「お願い!!私に力を貸して!!」
874:Qw0 ◆7b3JfpIY/2:2010/08/31(火) 01:31:51.53:HRHZzEQ0
68
--村--
魔法使い「ちょwwまじいたすwwww」
影月「はぁ……。ちょっと失望したで。わい、実は信用してたんや」
魔法使い「?wwww」
影月「君、女の子の一人も守れないんやな」
魔法使い「っ」
魔法使いは右腕を影月に向ける。
影月「至近距離は魔法より」
バヂイイイイイイイイイイ!!!!
強烈な閃光が影月を襲う。
影月「!?無詠唱でこんな威力出せるわけがあらへんぞ!?」
しかし影月は見た。
魔法使い「うぇwwwww俺天才だもんwwwwww」
右腕に描かれた、血の紋章を。
875:Qw0 ◆7b3JfpIY/2:2010/08/31(火) 01:38:35.43:HRHZzEQ0
69
--村--
影月(紋章魔法?……詠唱魔法とは根本から発動システムが違う魔法。詠唱の代わりに紋章を描くことで発動すると聞いたけど……それ古代魔法やろ?どんだけ勉強してんねん!!)
魔法使い「おらいくぜええええええwwwwwww」
バチバチバヂイイイイ!!!!
影月「っつ!」
腕をかざすだけで雷が発射され、影月を襲う。
バチっバチバチ
しかし
影月「すまんな。新技見せてもろうたけど対雷魔法は既に発動してるんや。きかへんわそんなん」
魔法使い「詰んだwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
876:Qw0 ◆7b3JfpIY/2:2010/08/31(火) 01:46:09.45:HRHZzEQ0
70
--村--
ボコ、ボコボコ
影月は土でハルバートを作り上げ手に取る。
影月「土属性の武器は硬いでぇ……余計なもんが無い、シンプルイズベストや」
影月はハルバートを魔法使いの顔へと向ける。
影月「……終わりにしよか……甘い夢やったな」
ドクン
影月「!?」
影月は振り被ったところで何かの気配を感じ取った。
影月「これは……これは戦場で感じたあれと一緒……んなまさか……!」
気配は、キバのいる家から……。
878:Qw0 ◆7b3JfpIY/2:2010/08/31(火) 01:51:36.19:HRHZzEQ0
71
--村--
ドオオオオオオオオオオオオオン!!!!
突如家が爆発し、その中から飛び出してくるものが一人。
???「ああああああああああああああああああああ!!!!」
影月「!?これは一体!?」
ガキイイイインンン!!!!
影月「ぐぅ!!」
影月はハルバートで防御するものの、一撃で粉砕されてしまう。
???「はァ!!」
影月「!?うそやろ?」
魔法使い「テラ魔王wwwwwキバ……」
880:Qw0 ◆7b3JfpIY/2:2010/08/31(火) 01:56:23.75:HRHZzEQ0
72
--村--
???改め疑似魔王キバ「まも……ルンダっ!!私が、なにをしても、守る!!」
影月「わいの拘束を破ったんか……しかもその姿……」
キバは黒い鎧を身にまとっていた。
影月「きーちゃん、それ」
バゴッ!!
影月はキバの蹴りに反応することさえ出来ず、民家に突っ込む。
影月「ごほっ!?」
疑似魔王キバ「守るゥぅゥゥゥあアアアアアあ!!!!!!」
キバの両手に六色の光が収束し炸裂した。
881:Qw0 ◆7b3JfpIY/2:2010/08/31(火) 02:03:09.33:HRHZzEQ0
73
--林--
片足少年「あっちゃー。もう随分遅くなっちまった。夕飯の準備してねぇよー」
包帯少女「もう!!ぶつくさ言って無いで急ぐよ!!ここら辺、モンスターが出るって有名なんだし……」
テンテン「なんで私も着いて行かねばならない」
包帯少女「当たり前でしょ?あなたはなんかやばい存在みたいなんだし」
がさっ
包帯少女「きゃっ!?ももも、モンスター?や、やっつけなきゃ」
片足少年「……逃げるよりファイトを即座に選ぶお前のほうが怖いわ……」
テンテン(索敵モード終了。半径7km以内に敵性生物の存在無し)
片足少年「あ!これシマリスだよ。二人とも攻撃すんなよ!?」
882:Qw0 ◆7b3JfpIY/2:2010/08/31(火) 02:07:41.21:HRHZzEQ0
74
--林--
シマリス「きゅーきゅー」
片足少年「あはは!こいつ可愛いなぁww」
包帯少女(可愛い?ピンク色だし……。モンスターなのか動物なのか際どいラインの造形だわ……)
テンテン(データベース検索中……該当無し。この星の生物のデータがほとんど……存在しない?)
シマリス「……いぢめる?」
片足少年「うわ!こいつ喋った!?すげー!!」
包帯少女「!?やっぱりモンスター!?」
包帯少女が戦闘のポーズを取る。その横でテンテンは大きく腕を振り被り、
テンテン「そのセリフはお前じゃないだろ!!!!」
ビシッ!!!!
シマリスにツッコミをいれた。
884:Qw0 ◆7b3JfpIY/2:2010/08/31(火) 02:13:19.35:HRHZzEQ0
75
--林--
ドゴオオオオオオオオオオオオオオン!!!!
シマリス「ひっ!?」
突然の轟音。シマリスは驚いて森の中へと走っていく。
片足少年「な、なんだ今の……村の方から聞こえたけど……」
包帯少女「!!……嘘っ……」
包帯少女は絶句する。
テンテン「火災を感知」
片足少年「え?そういや空が明るい……!!」
少年は不自由ながらも急いで村が見渡せる場所へと向かう。
片足少年「はっ!はっ!はっ!はっ!!」
少年が村を見下ろすと……
片足少年「嘘だ、嘘だ……村が、村が燃えてる!!!!」
885:Qw0 ◆7b3JfpIY/2:2010/08/31(火) 02:13:51.24:HRHZzEQ0
76
--林--
包帯少女「やだっ、やだああああ!!またいなくなるのは嫌あああっ!!!」
少女は座り込み泣きじゃくった。
包帯少女「おじさんが!!おばさんが!!!」
少女は自分の顔を掻き毟っている。
テンテン「出血を感知。その肌でその行為はやめておいたほうがいいと忠告」
片足少年「くそっ!!またアイツなのか!?そうなのか!?ちくしょお!もう俺達の場所は奪わせねぇええ!!」
少年は急ごうとして転んでしまう。そして杖の代わりの木の棒を手放してしまった。
ガランゴロン
テンテン「どじっ子感知。やれやれ、手を貸してやる」
テンテンが少年に手を伸ばす。
片足少年「……嫌だ」
テンテン「?」
886:Qw0 ◆7b3JfpIY/2:2010/08/31(火) 02:16:40.68:HRHZzEQ0
77
--林--
片足少年「もういやだあああああああ!!なんでだよ!!なんで俺達ばっかりこんな目に合うんだよ!!」
包帯少女「ひっ、ひぐっ!!」
テンテン「……別にお前達だけじゃない。どこの世界でも不幸だけをおっかぶった人間は存在する。むしろお前達は全然ましな方だと、」
ダンっ
少年は地面を叩いた。
ダンっダンっ!!
テンテン「……不幸が嫌なら強くなるしかない。もしくは大統領になるか」
片足少年「強くなりてぇよぉ……!!でも、俺は自力じゃ闘うことも出来ない……」
包帯少女「うああああ!!あああああん!!」
テンテン「……」
片足少年「……頼むよ……」
包帯少女「ひっ!うっ……お、おねがひっ」
テンテン「……」
片足少年&包帯少女「力を貸して!!」
887:Qw0 ◆7b3JfpIY/2:2010/08/31(火) 02:18:29.11:HRHZzEQ0
78
--林--
テンテン「……私に頼ったことを悔いるがいい。私はただの鋼鉄の機械だ。人の心など理解できない」
片足少年「……」
テンテン「私に頼んだことを恥じるがいい。お前達は自分の無力さをひけらかしただけに過ぎない」
包帯少女「……」
テンテン「……だが……」
テンテンは少年達の顔を交互に観察する。
テンテン(……命令でなく、お願い、か……)
テンテンはかつての主達のことを思い出している。
そして自分自身の使用目的を。
片足少年「お、おい」
テンテン「よかろう、これは貸しだ。お前達が強くなった時に返してもらう」
888:Qw0 ◆7b3JfpIY/2:2010/08/31(火) 02:20:12.72:HRHZzEQ0
79
--村--
影月「かはっ!!……まさか、こんなことになるとはなぁ」
影月は血だらけの状態で瓦礫にもたれかかっている。
疑似魔王キバ「はぁ、はぁ!!」
魔法使い「てら虐殺www眼を覚ませこら!!!ウルトラスーパーサンダーwww」
ビッシャアアアアアアアアアアアアアア!!!!
強大な魔力で構成された雷だったが、キバはなんなくそれを受ける。
疑似魔王キバ「ナンデ、わた4のジャまするノ?ワタシは、魔法使いヲ、マモルために!!」
キバが手を振りかざすと魔法使いに魔法が放たれる。
キュドキュドキュドオオオオオン!!!!
魔法使い「ぎゃばふっwwwwwwwwテラwwwwやんで……れ」
ドサリ
889:Qw0 ◆7b3JfpIY/2:2010/08/31(火) 02:20:56.75:HRHZzEQ0
80
--村--
農夫「おい大丈夫か?しっかしろお前!!」
農婦「あ、アンタ。私はいいよ、先に逃げて。それよりあの子達は!?」
農夫「わからんっ!!諦めるんじゃない!!足を怪我したくらいで情けないぞ!?」
疑似魔王キバ「ワワワワわた、しは、守りたかったダケなのにっ!!!」
ゴオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!
キバの魔力が暴発し、熱風が吹き荒れる。
農夫「!?」
農婦「きゃあああああ!!!!」
バシュン
農婦「……?あれ?炎は……」
シュイーー
農夫は自分の真上から音がしていることに気付き、見上げた。
テンテン「ほう、単体航空時に使用するエネルギーにそのような使い道があるとは……面白い変化をしたものだ」
発光する飛行物体がそこにはいた。
農夫「て、天使……」
901:Qw0 ◆7b3JfpIY/2:2010/09/01(水) 23:17:02.65:abaFdg20
81
--村--
疑似魔王キバ「な、んだ、?」
テンテン「黒い服の男を倒せと言われたが……どこにも居やしないじゃないか。ならそうだな。お前が火災の原因のようだし、黒い鎧を着
ているからお前でいいか」
ガシャコ
テンテンの両腕が銃口に変化する。
テンテン「バトルモード移行完了。掃射」
バララララララ!!!!
疑似魔王キバ「!?」
バチュンチュンチュンチュン!!!
高速で打ちだされる数百もの鉄の塊。キバは一瞬で穴だらけのボロ雑巾と化した。
影月「!!!!キーちゃん!!!!」
902:Qw0 ◆7b3JfpIY/2:2010/09/01(水) 23:28:21.31:abaFdg20
82
--村--
?????「……これは驚いた。随分と懐かしいものがいるじゃないか」
テンテン「キピーン!?人間の反応を感知。……しかしどこにもいない?」
少年はぐちゃぐちゃになったキバの傍へ行き、体育座りをする。
?????「思ったよりパワー無いね。所詮はまがいもの、ってことなのかな」
疑似魔王キバ「ぶくぶく……ぶく」
?????「まぁあれとは相性も良くないだろうしね。でもほらがんばってよ」
少年がキバの頭部に手をふれる。
疑似魔王キバ「ごぼっ!?」
903:Qw0 ◆7b3JfpIY/2:2010/09/01(水) 23:37:28.04:abaFdg20
83
--村--
テンテン「索敵終了。なんだ?ホログラム?霊体のようなものが干渉してきているのか?実体は……」
疑似魔王キバ「があああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」
影月「!?きーちゃん……」
キバは黒い魔力を噴出し立ちあがる。
テンテン「?そんなバカな。掃射」
バララララララ!!!!
弾丸はキバに命中せず、全てすり抜けていく。
テンテン「!?」
疑似魔王キバ「スキル……蝙蝠化」
バサッ!!!!
キバの体は無数の蝙蝠に変化し、夜空を埋め尽くす。
904:Qw0 ◆7b3JfpIY/2:2010/09/01(水) 23:42:49.83:abaFdg20
84
--村--
テンテン「そんな!!まさか!!」
影月「吸血鬼と人のハーフ……元より存在自体が魔王のようなもの。それゆえのこの変貌なんか?それとも……」
赤蝙蝠「キィキィ」
テンテン「っ……全部打ち落とす。マルチロック、掃射」
バララララララ!!!!
バチュンチュンチュンチュン!!!
テンテンの発射した弾丸は蝙蝠を撃ち抜いていく。だが、
赤蝙蝠「キィキィ」
テンテン「再生……ならば」
テンテンが右腕の形状を変化させたその時、
蝙蝠達『範囲殲滅、六色爆撃』
蝙蝠達がパンパンに膨れ上がり、爆発した。
ドドドドドドドドドドオドドドドドドドドドドオン!!!!
905:Qw0 ◆7b3JfpIY/2:2010/09/01(水) 23:47:25.57:abaFdg20
85
--村--
影月「がほっ!ごほっ!!ど、どうなった?」
テンテンの周囲5メートルはクレーターのようになっていた。
影月「……恐ろしい威力や……あっ!!」
影月はクレーターの中心にヤムチャのようになった倒れているテンテンを発見する。
疑似魔王キバ「はっ、ハッ!!……硬い……イッタイなんなんだ?」
蝙蝠の破片が集まりキバの体を構成していく最中、テンテンはむくりと体を起こす。
テンテン「あー!死ぬかと思った」
906:Qw0 ◆7b3JfpIY/2:2010/09/01(水) 23:54:34.38:abaFdg20
86
--村--
影月「……あっちも化物かいな」
テンテン「実弾での討伐は不可能。ならば攻撃リミッター1解除」
ガッシャン!!
テンテンの右腕が奇怪な銃口に変形する。
疑似魔王キバ「!?」
テンテン「重力子放射しぇんしゃしゅちゅしょうち、発射」
BLAME!!
光速の光の剣がキバの胸部を貫いた。
907:Qw0 ◆7b3JfpIY/2:2010/09/01(水) 23:59:59.18:abaFdg20
87
--村--
ドゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンン!!!!
影月「な、なにいいいいい!?」
キバを貫いた光は更に直進し、山を消し飛ばす。
影月「とんでもない威力や!!これはあの時の魔王の攻撃と同等か、それ以上!!」
山の向こうから爆風がうねりをあげて村へと向かってくる。
影月「!?あかん!!村人が!!」
影月は傷ついた体で立ちあがり地面に手をつく。
影月「陣起動、防御結界!!」
村の周囲の土をせり上げ、自然の壁を作り上げた。
影月「あ、あかん!!魔力が足りんか!?」
908:Qw0 ◆7b3JfpIY/2:2010/09/02(木) 00:05:11.04:8cpNZD20
88
--村--
ビュオオオオオオオオオオ!!!!
農夫「う、うあわああああああああ!!」
農婦「きゃあああああああああああ!!」
炎風が村の上空で吹き荒れる。
影月「駄目や!!もう!!」
ガシッ
影月「……へ?」
魔法使い「おら、魔力くれてやんよwwww」
血まみれの魔法使いが影月の肩を掴んでいる。
909:Qw0 ◆7b3JfpIY/2:2010/09/02(木) 00:12:08.19:8cpNZD20
89
--村--
影月「……すまんな!」
先ほどまで争っていたのにもかかわらず、影月はニカっと笑う。
魔法使い「おっwおっwおっwおっwおっwおっwおーwww」
土の壁はより強固に、より高く積み上がっていく。
影月「よし!!いけそうや!!」
ユラリ
影月達の後ろキバが立ちあがった。貫通だけで済んだためか、その傷はすでに修復され始めていた。
疑似魔王キバ「ごほっ……き、危険、だ。お前は、危険ダ!!」
キバはテンテンに向かって突進していく。
910:Qw0 ◆7b3JfpIY/2:2010/09/02(木) 00:20:42.53:8cpNZD20
90
--村--
テンテン「体組織の6%の焼却に成功。しかし分裂と修復によりたいしたダメージには至らず。か。なら、燃え尽きるまで連射」
ガチン
テンテン「?……動作不良?いやこれは」
?????「そんなに危なっかしいもの、ほいほい使わせるわけにはいかないなぁ」
テンテン「!?」
テンテンのカメラに角の生えた少年が映し出された。
?????「旧世界の遺物。今はそんなのいらないのさ」
疑似魔王キバ「ああああアアアアアああああAAあAAああAAAAああA!!!」
血で生成した刀がテンテンの胸部を切り裂いた。
テンテン「がっ8いk3p!?」
912:Qw0 ◆7b3JfpIY/2:2010/09/02(木) 00:28:00.21:8cpNZD20
91
--村--
テンテン「くっ」
バチィっ
テンテンの傷口から電気が迸る。
テンテン(私の装甲を切り裂くとは……)
疑似魔王キバ「がぁあ!!」
キバは大きく口を開け、
バギン!!
テンテン「!?」
テンテンの首筋に噛みついた。
913:Qw0 ◆7b3JfpIY/2:2010/09/02(木) 00:34:46.02:8cpNZD20
92
--村--
じゅぞぞぞっ
テンテン「こい、つ、私の、潤滑油を?」
疑似魔王キバ「じゅるっ、ぐっ、ぐぐ、じゅるる……ぐっ!!」
ビキッ!
テンテンに対して吸血を行っていたキバの歯は折れてしまう。
疑似まOうキバ「あ、あううううあああああああ!!!!」
キバは頭を抱えて転げまわる。
テンテン「あgいp……じ、自動修復かいs。」
影月「……なんやようわからんが、壮絶やな……」
魔法使い「……」
914:Qw0 ◆7b3JfpIY/2:2010/09/02(木) 00:42:44.26:8cpNZD20
93
--村--
ぎ字ma王キバ「あああああああああ!!!!」
テンテン「……?存在が安定していない?無理な力を使っていたのか」
テンテンは左手の銃口をキバへ向ける。
テンテン「見ているのも気が引ける」
gj魔王キバ「あ、あが……」
テンテン「任務遂行」
バヂイイイイ!!!!
テンテン「電撃?」
魔法使い「ちょwwww待てよwww」
影月「キムタクさんがログインしました」
915:Qw0 ◆7b3JfpIY/2:2010/09/02(木) 00:49:43.72:8cpNZD20
94
--村--
テンテン「邪魔をする気か?」
魔法使い「ああwwwwwwwww」
テンテン「……仲間というやつか。私には理解できない」
テンテンはキバに視線を戻す。
魔法使い「!!サンダースピードwwww」
ドッ!!
魔法使いは速度上昇を自分にかけテンテンに特攻する。
テンテン「っ。そうか。ならお前も死ぬといい」
テンテンの肩からナイフが飛び出す。
魔法使い「うは?ww」
ドシュっ!!
916:Qw0 ◆7b3JfpIY/2:2010/09/02(木) 00:57:03.49:8cpNZD20
95
--村--
魔法使いはそれを避けようとのけぞるが、大きく額を切り裂かれる。
テンテン「ふん」
テンテンは右腕を通常モードに戻し、魔法使いの顔面を殴打する。
ゴッ!!
魔法使い「あべしっwwwwww」
ドサっゴロっ
テンテン「そんな消耗した体で、やるだけ無駄だというのに。人間は昔から理解出来ないな」
魔法使い「うwるwせwぇwww恩人には恩を返すもんなんだよwwwwww」
影月「……」
917:Qw0 ◆7b3JfpIY/2:2010/09/02(木) 01:03:47.97:8cpNZD20
96
--村--
魔法使い「サンダーブレードwww」
魔法使いは雷で作った剣を作り上げる。
テンテン「ロックオン、掃射」
バキューン!
テンテンは射撃で魔法使いを狙う。
魔法使い「あたらぐふっwwwwww」
魔法使いは弾丸に当たって吹き飛ぶ。
影月「はん、だらしないやっちゃな!!」
魔法使い「あ、あれ?痛くねぇwww俺、テラカッコヨスwwww」
魔法使いの体には土の鎧が作られ始めていた。
影月「恩人には恩を返したらぁ!!」
918:Qw0 ◆7b3JfpIY/2:2010/09/02(木) 01:07:29.68:8cpNZD20
97
--村--
キバ「はっ、はっ……」(頭が痛い、頭が、意識も……私、ここで終わりなのかな)
キバは指一本動かせないまま地面に横たわっていた。
キバ(吸血鬼の力の源の……牙が折れちゃったもん……ね。もう、助からない)
魔法使い「おらあああああwwwwww」
バキッ!チューンッ!ギャリギャリ!!
キバ(だからもう、そんなこと、しなくても、いいのに、まも)
魔法使い「ひでぶっwwwwww」
ドジャアアアアアアア!!
倒れているキバのもとに魔法使いが転がってきた。
キバ「あ、魔法使い……」
920:Qw0 ◆7b3JfpIY/2:2010/09/02(木) 01:12:55.03:8cpNZD20
98
--村--
魔法使い「アイツマジチートwwチートすぐるwwうぇwwwチート使って勝って嬉しいのかよwww」
魔法使いは口についた血を拭う。
キバ「あ……」
魔法使い「……あ。……あひゃひゃひゃwwwww」
魔法使いはなぜか笑いながら立ちあがった。
魔法使い「そう何度も俺を助けようとすんじゃねぇww」
キバ「……え?」
魔法使い「女に助けてもらってばっかじゃ男として情けねぇってんだよwwwwww」
バチィ!
魔法使いの体中から電気が流れ出す。
魔法使い「……終わるまでそこで倒れとけ。あとで恩返しするんだからよ」
921:Qw0 ◆7b3JfpIY/2:2010/09/02(木) 01:19:14.10:8cpNZD20
99
--村--
影月「せやあああああああ!!」
魔法使い「ああああwwwwwwwww」
ガキン!!キィン!!ドッ!!ビシャアアアアアアン!!
テンテン「くっ」(こいつら二人相手は、今の私ではきつい……それに)
テンテンは先ほどの少年のことを思い出す。
テンテン(わからないことばかりだ)
魔法使い「!?おらそこだべええええwwwwwwwwwwwww」
魔法使いの雷でできた剣が、テンテンの微かに残った傷口に突き刺さる。
バリバリバリバリ!!!!
テンテン「!!!!」
922:Qw0 ◆7b3JfpIY/2:2010/09/02(木) 01:25:26.16:8cpNZD20
100
--林--
翌朝。
パチパチパチ。
影月は林の中で魚を焼いている。
影月「お、これもうええな。ほれ」
魔法使い「うぇwwwさんくすwwww」
キバ「あ、ありがとうございます」
三人は仲良く魚を食べていた。
923:Qw0 ◆7b3JfpIY/2:2010/09/02(木) 01:32:20.65:8cpNZD20
101
--林--
キバ「あ、あれ?でも昨日影月さん私達のこと襲ってきて、あれ?」
魔法使いと影月はきょとんとした顔でキバを見ている。
影月「あれ?まだ話しとらんかったけ?きーちゃんには」
魔法使い「さっさと説明しろよwっうえぇwwww骨いてぇwwwwあっ」
影月「……すまんかった昨日は。あれはわい的に調べただけやったんや。かんにんな!」
キバ「……へ?」
魔法使い「こいつww脱走したお前のことが心配であてっwwwしょうがないから捜索するって言ってでてきたんあっww出てきたんだってよほっww」
キバ「え……」
影月「……いくら嫌でも闘わないけん時があるんや。そんな時ちゃんと闘えるか試したかったんや。それと、きーちゃんの王子様はちゃんと守ってくれるのかな」
キバ「え、ええ!?」
魔法使い「骨いてええええwwwwwうぇwwwwww」
924:Qw0 ◆7b3JfpIY/2:2010/09/02(木) 01:35:06.02:8cpNZD20
102
--林--
影月「さて、飯くったしもういこかな。君らも大丈夫そうやし……」(一個不安があるけどな)
魔法使い「おうどっかいけwwwww」
キバ「……あの」
影月「……きーちゃん、人生は戦いやで?……必死にがんばって必死にもがいて最後まで生きろや……」
キバ「……あの時すごい苦しかったです」
影月「……へ?」
キバ「あの時のビンタも痛かったです」
魔法使い「……www」
影月「あれ?これ感動的な場面とちゃうの?」
キバ「とても苦しくて痛かったです。だから」
キバは影月に抱きつく。
キバ「いつか倍にして返します。だから、その時まで、影月さんもご無事で」
影月「……ははっwwあいよww」
925:Qw0 ◆7b3JfpIY/2:2010/09/02(木) 01:35:46.25:8cpNZD20
103
--村--
農婦「これ……どうするの?もう、動かないんでしょうね?」
農夫「それもそうだが、あの子達昨日から帰ってきていないんだ!探しに行くぞ!!」
ガシュン
テンテン「システム、再起動」
農夫「!?こ、こいつまた!!」
テンテン「あー……死んだふりシステムはどうやら成功したようだな」
テンテンはきょろきょろとあたりを見回して呟く。
テンテン「さて、村が完全に崩壊する前に退けたわけだし、任務達成。というわけで皆の衆、あでゅー」
テンテンは発光しながら林の方へと飛んでいく。
農夫「……」
ガラン
農夫はくわを落とす。
926:Qw0 ◆7b3JfpIY/2:2010/09/02(木) 01:36:21.78:8cpNZD20
104
--林--
シュイー
テンテン「確かここらへんに。お」
テンテンは林の中で眠る二人を見つけ、近くに降り立った。
テンテン(泣きつかれて眠っていたのか)
包帯少女「む……あ!!どうだった?」
包帯少女は飛び起きる。
テンテン「なんとか退いたようだ。だが村の被害も結構いってしまったな」
包帯少女「……そっか……」
テンテン(実は結構私が破壊してたんだけどな。不可抗力)
片足少年「ぐがー」
927:Qw0 ◆7b3JfpIY/2:2010/09/02(木) 01:38:02.47:8cpNZD20
105
--林--
包帯少女「私達もあの後テンテンを追って村に行こうと思ったんだけど、突然すごい風が吹いて私達気を失っちゃったみたい」
テンテン「それはそれは……」(それも私のせいだな)
包帯少女「……あんだけ壊されちゃったら、忙しいんよね」
テンテン「そりゃぁ、家の修復作業から畑の整備やら、色々とやることはあるだろうな」
包帯少女「……っ!よし、私旅に出る」
テンテン「?なぜ突然」
包帯少女「ただでさえ大変なのに、私達がいたら迷惑がかかるもの。……私達大したことで役に立てないし……」
片足少年「んごー」
包帯少女「だから旅をして強くなって、なんでも出来るようになって、また帰ってくる!!お世話になって人達に恩返しができるように!
」
テンテン「……」
テンテンは少女の頬を伝う涙を見ている。
928:Qw0 ◆7b3JfpIY/2:2010/09/02(木) 01:40:01.04:8cpNZD20
106
--街道--
キバ「……ねぇ魔法使い?」
魔法使い「あ?wwww」
キバ「本当に王国に帰らなくていいの?」
魔法使い「あんな国wwww帰りたくもねぇwwww」
キバ「……でも」
魔法使い「うwるwせwぇwwwwいいって言ったらいいんだよwww」
魔法使いはキバに向かい合って言い放つ。
魔法使い「まw暇だから一緒に旅してやんよwwww天才の俺様と一緒とかwww幸せもんだなwww」
キバ「……本当?……嬉しい」
魔法使い「うっ」
キバの上目遣い攻撃。
929:Qw0 ◆7b3JfpIY/2:2010/09/02(木) 01:41:19.98:8cpNZD20
107
--街道--
キバ「じゃあそうだな……今すぐには行けないと思うけど、いつか、いつか私の生まれた町に行きたいな」
魔法使い「故郷かww」
キバ「うん。ほとぼりが冷めるまで流浪の旅だけど。……何年先になるかわからないけど、私の町の名産品を飲ませてあげる」
魔法使い「なんだそれ?wwペプシ?www」
キバ「違うよwりんごジュース。私の故郷は果物とかいっぱいなるんだよ。中でもおいしいのがりんご。そのりんごから作ったジュースが本当においしんだぁ」
魔法使い「ジュースとかマジガキwwwwwまぁ、仕方ねぇから飲んでやんよwww」
キバ「ふふ、どっちが子供なんだかww
数歩進んで魔法使いは立ち止まる。
魔法使い「おい、お前」
キバ「?え?」
魔法使い「お前……」
魔法使いは何かを言おうとしてやめた。
キバ「え?どうしたの?」
930:Qw0 ◆7b3JfpIY/2:2010/09/02(木) 01:42:48.36:8cpNZD20
108
--街道--
魔法使い「……」
かつて魔法使いの最愛の人は、魔法使いの存在を否定した。
キバ「え?こらっ!どうしたの!?」
好かれようした努力は空回りで。
魔法使い「……」
魔法使いはずっと自分を必要としてくれる誰かが欲しかったのだ。
キバ「……こ、こわいんだけど……おーい?」
欲しかったものは守りたいと思えるもの。
魔法使い「……ふ」
魔法使いがずっと欲しかったのは
魔法使い「んでもねえーよwwwww」
自分のことを必要だと言ってくれるその笑顔。
キバ「あ、そうだ。私の前ではいいけど、他の人の前ではその笑い禁止ね」
魔法使い「……え」
かくして魔法使いとキバは旅をすることになる。
酒場で戦士募集したら勇者が仲間になった
番外編ss・魔法使いに大切なもの
完
911:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/09/02(木) 00:26:48.44:er5f..SO
このサイトでもまとめていきます。
2
--草原--
女兵士「あ!!特別兵、特別兵の方ですね!?助けにきてくれた!!」
?(……そうか、一般兵にはそういう肩書で通っているんだっけ?)
特別兵と呼ばれた少女はくるりと兵士達の方へと振り返る。
?「危険だと思ったら下がりなさい。無駄に死んじゃだめです。いくら、」
老兵「とはいえなぁ、魔族が生き延びているとあっちゃぁ、わしらは満足に寝ることもできんし……」
?(今なんのために戦っているのかも……当然だけど知らされて無いんだよね……)
牛亜人「なんだきさまぶもおおおおおおおお!!!!」
?「!?」
ドシイイイイイインン!!!!
?「ぐっ!!」
2Mはゆうに超える巨体で突進してきた牛亜人。
牛亜人「ぶっ!?」
しかし少女はそれを受け止めた。
3
--草原--
牛亜人「そ、そんな……おいらの、おいらの突進がこうも簡単に!!」
?「簡単じゃないよ、すごく痛い。でも私が止めなきゃ……」
少女の両手に魔力が集結する。
?「後ろの人達に当っちゃうでしょ!!」
ドオオオオオオオオオン!!!!
少女の両手から発射される魔力砲。それは六色の輝きを放ち、牛亜人達を吹き飛ばした。
女兵士「す、すごい一撃……。さすが特別兵……さん」
?(ふぅ……ちょっとマジックドレインしたけど、やっぱり足らないか)
4
--草原--
狐男「へぇ、ちょっとはやりそうな奴がいるコン」
?「!!」
間髪いれずに新しい敵がその場に登場する。
?「貴方達は下がって治療を受けてきてください!!今の状態じゃすぐやられるのがオチです!!」
老兵「う、うむわかった!!お前さんも無理はするんじゃないぞ!?」
兵士たちは自陣に向かって走り出す。
狐男「ありゃ。人間は群れで狩りをするもんだコン。一人でいいのかコン?」
?「残念だけど……私普通の人間じゃないから」
狐男「?わけわからんコン。でもじゃぁ、やっちゃうコン!!犬娘!!」
犬娘「はいワン!!」
?「!?」
5
--草原--
少女の後ろの水たまりから犬娘が出現する。
?(な!水渡り!?)
犬娘「今ダーカーザンブラックを連想した人は後でニカと同じ目にあってもらうワン!」
?「多分いないよ!!」
ドスっ!!
犬娘の後ろ蹴りが少女の脇腹に入る。
?「うぐっ!!」
狐男「戦場で卑怯もくそもないコン。悪く思わないでコンね!」
吹き飛ばされた少女の落下地点で待ちかまえる狐男。
?(まずい!!)
6
--草原--
??「うぉっほん。少女相手に二体一とは、それでもジェントルかね?」
狐男「コン?」
バカラッバカラッバカラッ
騎士がスピアを構え、こちらに突進してくる。
狐男「なんだこのWみたいな形の髭のおっさんはコン!!」
??「じぇええええええええい!!!!」
狐男「あぶなっ!!」
突進突きを紙一重でかわす狐男。
騎士は少女のもとへと近づく。
??「危なかったですな。人造勇者殿」
?「貴方は……北の三隊長の一人……でしたよね?確か」
??「えぇ、北の三隊長の中で唯一正攻法を好む男、その名も紳士です。うぉっほん」
7
--草原--
??改め紳士「立てますかな?どれ、お手を」
?「あ、ありがとうございます……」(……戦い方は正攻法かもしれないけれど、やっぱり北の隊長なんだなぁ……変なのばっかりって聞くし)
紳士「どれ、では人造勇者殿は可愛らしいお犬さんのお相手をお願いしますよ」
?「え?あ、はいわかりました」
狐男「どうやったらそんな髭になるコン……そういや最近のジャンプでお前みたいなやつを見たコンね。確かこう、パカッと……」
紳士「シャラップ!!!!」
紳士は馬を蹴る。すると馬が猛スピードで走り始めた。
紳士「おおおおおおおおお!!」
狐男「ふん、馬に乗ってるようなやつに負けるかコンっ!!」
8
--草原--
犬娘「しぇい!!」
ボボボボボボボ!!!
?「鋭い!!」
ロンダートで接近してきたかと思うと、曲芸のような蹴りや掌底を繰り出してきた。
ダダダダダダ!!!
犬娘「!?」
それを一撃以外全て受け流す少女。口からは血が流れている。
?「いったいなぁ……もう!!」
少女は右手に魔力を込め、ありったけの力で犬娘を殴り飛ばした。
ドゴッ!!
犬娘「ぎゃふぅん!!!!」
9
--草原--
殴られた犬娘は宙を舞う。
?(嫌な感触……慣れることなんて、多分無い)
犬娘目がけて追撃の構えを取る。
?「対単体、雷属性魔法レベル4!!」
バチバチバチ、ドギャアアアアアアアアアアアアアアアン!!!!
目も眩む閃光を放ち、雷は犬娘に直撃した。
バシュッ
?「え」
犬娘「替わり身の術とかいう奴ですワン。覚えておくと便利ですワン」
犬娘は背後から少女の肩に手を乗せた。
犬娘「盗む、水分!!」
ジュル
10
--草原--
?「あ、ああぁ!!」
ジュルジュルジュルジュルジュル
犬娘「ごめんワン。でも私水属性だからこうやって誰かから水分徴収しないといけないワン」
少女の体から水分が失われていく。どんどん肌にしわが増え、ミイラになるのも時間の問題だった。
犬娘「あらあら、結構べっぴんさんだったのに、今じゃしわくちゃのおばあちゃんワンね」
?「!!」
ゴッ
裏拳が犬娘の頬に直撃。
犬娘「キャイン!!」
?「……」
少女は何も言わず犬娘に近づくと、
犬娘「ま、待つにゃん!!あ、まちがえた。今動き回って汗でもかこうものなら命にかかわるワンよ!?そっと安静にしておくことをお勧めするぴょん!あ、まちがえた」
?「拘束魔法」
ギャインギャイン!!
巨大なホッチキスの針が出現し、犬娘を地面に縫い付ける。
11
--草原--
犬娘「ま、待て待て待てちょ、待てよぉ!!返せないんだぴょん!!どうやっても私は返せないんだぴょん!!奪うオンリーで申し訳ねぇっすワン!!もう語尾めちゃくちゃになっちゃったワン!!」
?「……心配しなくても大丈夫」
少女は犬娘の顔に自分の顔を近づけると静かに口を開いた。
犬娘「!?た、食べたからって失われた水分の全てが戻るわけじゃないワンよ!?そんなことなんかしないでちょっとまっねぇ!!」
?「大丈夫。ドレイン系は元々私達の物なんだから」
犬娘「……へ?」
がぶっ
少女は犬娘の首筋に噛みついた。
犬娘「あいった!!あ、ちゅーちゅーされてるワン!!あ、あっあ、あん、あっああああああああー!!!」
じゅるじゅるじゅるじゅるじゅる!!
犬娘「やばいやばいやばいやばい!!干からびる干からびるワン!!」
じゅるじゅるじゅるじゅるじゅるじゅるじゅる!!
12
--草原--
?「ふぅ」
以前以上の肌の艶を取り戻した少女は、満足そうに唇を拭った。
犬娘「お、おまえは、い、いったい」
?「どうしたワンチャン。調子はどうだ?満身創痍だな体が干からびて砕けるぞ。どうするんだ?おまえは犬か?それとも人間か?」
犬娘「い、いきなりキャラ変わって……」
?「あぁ、いつもなんだ。いつもそう、血を吸うとな、声が中田○治になるんだ」
犬娘「んなバカな!!」
?「お前は恐れ多くもこの吸血鬼の末裔である私に、吸血行為のなれの果てをしてみせたのだ。随分とまぁ、いい気分だろう?」
犬娘「ひ、ひいいいいいいいいい!!!!」
13
--草原--
ギィン、ドッ、ドゴゴッ!!
紳士「む!?」
狐男(こいつ、馬に乗ったままだってのに強いコン!!どうなってるコン!?旋回性も低いし回避能力もほとんどないだろうに!!)
紳士「やりますね狐君。しかし騎士との戦いに不慣れさを感じる。いいでしょう、この際教えてさしあげましょう」
狐男「いや、遠慮するコン」
紳士「騎士というものは、馬や騎乗物との真の意味での融合を図るわけですが、」
狐男「勘弁してくれコン」
紳士「騎乗するものの魔力や属性、能力などを倍加、共有できるのですよ」
狐男「黙れコン。奥義、水炎」
紳士「!?」
紳士と狐男の周囲を水色の炎が取り囲んだ。
14
--草原--
紳士「これは驚いた……犬畜生の身でありながら、人類の英知の結晶である奥義習得にまで至るとは……」
狐男「ふっ、ふっ、ふっ、驚いたコンか?おいらは優秀なんだコンよ!!」
紳士「ふむ、これは私も全力でお相手せねばなりますまい」
狐男「どうでもいいからさっさと消えてくれコン!!」
バサバサ
その時一匹の蝙蝠が二人の間に割って入る。
紳士「む?」
狐男「!!ま、まさか蝙蝠亜人か!?蝙蝠亜人なんだな!?くそ……誰がこんなひどい目にコン!!」
バサバサバサバサバサバサ
蝙蝠の羽音がある場所を中心として聞こえてくる。
戦場に一つの渦が出来ていた。
?「血とは魂の通貨、命の貨幣、命の取り引き!!」
紳士「まずい。この状況で紳士である私はまずい」
15
--草原--
狐男「……あれは、さすがに相手にはできないコンね。引き上げコン!」
狐男は早々と逃げて行く。
紳士「む?逃がしましたか。しかし……」
紳士は少女を見つめる。
紳士(あれが人造勇者の力……勇者としての力だけでなく、何か能力まで持っているのか?)
?「ふぅ……付かれた。これだけ召喚するのは久しぶりだし」
紳士「もし、話しかけても大丈夫かね?」
少女は紳士が近づいてきていたことに全く気付いていなかった。
?「あ、大丈夫です。どうぞ」
紳士「……」
紳士は宙を舞っている蝙蝠の群れを見上げる。
紳士「召喚、と言ったね。人造勇者殿の職業は勇者ではないのかね?」
?「……本物の勇者のことはわかりません。ですが私達は……この力を得る前は普通の職業に付いていたわけです。だから前の職業のスキルや魔法も使うことが出来ます」
16
--草原--
紳士(二つの職業の能力を使えるとは……これが二重就職というやつですか。半端になるから一つに絞れ、というのが普通ですが)
?(ってやばっ!何私情報を漏らしちゃってんの……)
紳士(勇者ほど汎用能力が高い職業ならば、それも可能というわけですな)
豚亜人「ぶ、ぶひーーーーー!!」
G「こっくろーーーちっ!!」
紳士「!!次が来たようですね!!」
?「……」
紳士「どうしました?あ、なるほど。確かにあれは女性の方ではきついでしょう、Gの方は私が引き受けますので」
?「そうじゃないんです!!」
紳士「!!……貴方まさか」
?「……こんだけしておいてなんですけど、やっぱり戦いは好きに……なれません」
紳士「いまさらすぎるーーーー」
17
--草原--
紳士「……人造勇者は全て志願兵と聞きましたが」
?「そうやってなんでも聞きだそうとしないでください。紳士の名が泣きますよ?私そんな軽い女じゃないです!」
紳士「おっと、これは失敬」(もう結構知っちゃいましたけど……)
豚亜人「ぶひ、ぶひー!!」
紳士「……戦いが好きな人なんてあまりいないですよ」
?「え?」
ドゴオン!!
豚の突進とGの突進を紳士が一人で受け止める。
紳士「それでも闘わなきゃいけない時はあるのです。貴方が戦場に立つことによって、誰かが戦場に立たなくてすむことになり、また、戦いの犠牲になる人も減るかもしれません」
ギィン
紳士のスピアがGの腹を突き破る。
G「ぎしゃああああああああああああああああああああ!!!!」
すると卵がoieuhga08うぇrhgじゃ0rぽいgかぽぎ。
18
--草原--
魔法煙の中から現れた魔王勇者は全くの無傷。
魔王勇者「……どいつもこいつも……なんで私を虐めるの……赤竜」
赤竜「ぐおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」
魔王勇者の直上に体長100メートルを超す竜が出現する。
魔王勇者「炎弾……咆哮」
赤竜の口が開き、膨大な魔力が炎へと変換され圧縮され続ける。
そのあまりの熱量に、周囲に存在する人間は次々に蒸発していく。
人造勇者龍騎「……これが……魔王!!」
魔王勇者「放て」
ギュィン
19
--草原--
ゴオオ
?「そんな……そんな考えもあるんですね」
紳士「んふっ、紳士ですからっ。あ、惚れてはいけませんよ?」
少女に満面の笑顔を向ける紳士。
ジュッ
少女の目の前を炎の弾丸が通過した。
もし少女が常日頃から魔力を纏っていなければその余波で燃え尽きていただろう。
そう余波ですら。
少女の目前から紳士と二人の亜人が完全に消え去った。
20
--草原--
勇者討伐戦争、一日目終了時。
?「……撤退命令?……やっと、終わった……」
少女は今日、初めて自身の身体を見てみた。
?(血まみれの泥だらけ……命を奪った感触はまだ手に残っている……)
少女はその手で頭を抱える。そして浮かぶのは紳士の笑顔。
?(あの光景が脳に焼き付いている……あれだって私が殺したようなもんなんだ。私は……私はこんなことをするために……)
女は友軍兵が撤退していく中、一人ぽつんと戦場に立っていた。
?(……帰ろう。帰るしかない)
??「う、うぐ」
その時声が聞こえた。
?(まさかまだ回収されてない兵がいる!?しかも生きて)
紳士の笑顔が脳内を横切る。
?(助けなきゃ、助けなきゃ!!)「だ、大丈夫ですか!?どこですか!?」
少女は死体と泥の下から声の主を見つけた。
??「うぅ……」
?「あれ、この人って……王国の、魔法使い」
??改め魔法使い「でゅく……し」
コレはあの戦争中の事で勇者の近くにいたんだよな?
759:Qw0 ◆7b3JfpIY/2:2010/08/12(木) 01:01:38.11:ZvcpYUs0
あっ、そうです。勇者討伐戦争を違う人物から見たものですね。
766:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/08/13(金) 00:31:36.10:FXZttDA0
狐男ってもしかして盗賊王の外伝の部隊長C?
767:Qw0 ◆7b3JfpIY/2:2010/08/13(金) 11:21:05.17:JVNc8.DO
その通りです。
狐男は元々南の王国の兵でした。勇者募集にも一行だけ出てたりするんですよ実は。
盗賊解雇では、勇者討伐戦争前から盗賊団にいたんだからおかしいじゃないか
と思うかもしれませんが、狐男が盗賊団に入ったタイミングは、盗賊団が南の王国に盗みに入った時です。
警護担当だった狐男は盗賊王に敗北し、憧れを抱いた模様です。
781:Qw0 ◆7b3JfpIY/2:2010/08/18(水) 22:03:00.18:xNPHSLU0狐男は元々南の王国の兵でした。勇者募集にも一行だけ出てたりするんですよ実は。
盗賊解雇では、勇者討伐戦争前から盗賊団にいたんだからおかしいじゃないか
と思うかもしれませんが、狐男が盗賊団に入ったタイミングは、盗賊団が南の王国に盗みに入った時です。
警護担当だった狐男は盗賊王に敗北し、憧れを抱いた模様です。
21
--誰かの夢--
???「……えな……私……ど……」
誰かの声がする。
???「……んな……罪者……がわらしい」
とても……とても、好きだった人の声。
???改め母親「うちからでていけ!!」
ガバッ
魔法使い「はっ!はっ!はっ!……はっ……」
魔法使いは飛び起きた。荒い呼吸を整えつつ辺りを見回す。
魔法使い(夢……またあの夢か……ん?ここは、どこだ?)
見知らぬ天井。
22
--小屋--
魔法使い(俺は……戦場で戦っていたはずだが……づっ!!)
魔法使いは腹を押さえる。
魔法使い(そうか。俺はあの女にやられて……。というとここは野戦病院か?……にしては薬品の匂いがしないしな)
ギッ
魔法使いはゆっくりとベッドから立ち上がる。
ベッドの脇のテーブルには血濡れた包帯や器具がおいてあり、誰かが自分の手当てをしてくれていたことがわかる。
魔法使い(……礼を言わねば)
それにしても日が高い。すでに戦闘は行われているかもしれない。
急いでドアを開けると。
牛「んめーーー」
牛がのんきに目の前を通り過ぎて行く。
魔法使い「羊か!!!!」
23
--小屋--
魔法使い(いやいやいやまてまてまて落ち着け。『素数』を数えて落ち着くんだ……)
魔法使いは一度ドアを閉める。
魔法使い(なぜいきなり田園風景になってやがる……牛が野放し状態とは一体どういうことだ??……!!)
そこで魔法使いはあることに気付く。
魔法使い「しまった!!幻術魔法か!!」
魔法使いは痛む腹の傷を押さえながら精神を集中させた。
魔法使い(やったことは無いが無理じゃないだろう。解除魔法発動。種別幻術、対象俺!!)
パフっ
魔法使い「……き、効かない……だと?」
24
--小屋--
魔法使い(確かに俺は解除を専門としていないし、属性だって合ってない。だが)
バタン
その時、小屋のドアが勢いよく開かれた。
?「はー、重かったー!!ってあれ?起きてる……」
麦わら帽子を被った少女がそこから現れた。
その手には大きなかごを持っていて、トウモロコシが溢れるほど詰められていた。
?「まだ安静にしていた方がいいと思います……けど」
魔法使い「っ!!」
魔法使いは少女を押し倒した。
ガタン!!
?「ひ、ひぃ!?」
25
--小屋--
魔法使い「貴様か!!貴様がこの幻覚を!!」
?「え、えぇ!?な、何?タミフル?や、ちょっ」
魔法使い「貴様か貴様かきさ……お前、確か」
?「う、うぅ……せ、せめて優しく」
魔法使い「人造……勇者?」
バタン
包帯少女「お手伝いに来ましたミナさん!!」
突如開け放たれるドア。
?「あ……」
ドアを開けた包帯少女が真っ先に目にしたのは折り重なった男女。
包帯少女「ききききぃやああぁぁ!!」
26
--小屋--
魔法使い「全く……さっきのは一体なんなんだ」
?「貴方にも問題があったように思うけど……」
魔法使い「さっきのはお前の召使いかなにかか?」
?「違う違う。彼女は、彼女らは戦災孤児。自分たちの国を滅ぼされて、頼るあても無いままこの村に流れてきた子達なの……。村の人達はいい、って言ってるんだけど、恩返しするって聞かないらしいの。でも彼女らの歳で出来ることなんて限られているでしょ?だからたまにお手伝いに来てもらっているんだ」
魔法使い「デュクシまでは読んだ」
?「読まずに聞いて!?」
魔法使い(国が滅ぼされて……か)
魔法使いは何かを思い出すように窓の外に目を向ける。
魔法使い「……悪かったな取り乱して」
?「ううん、そりゃあそうだな、って思った。貴方が気を失ったのは、血と土にまみれた戦場だったんだし」
魔法使い「……状況の説明を願いたい」
27
--小屋--
数十分後
?「お、落ち着いた……?」
少女は柱の影から覗くようにして魔法使いを見ている。
魔法使い「……あぁ。さっきのことは誤っただろう?こっちにこいよ」
?「……怒らない?」
魔法使い「怒らない」
?「……えへっ」
少女は嬉しそうに笑うと、魔法使いに駆け足で近づいた。
むに
?「ふぇ?」
少女の頬がつねられる。
?「ふ、ふぇ!?いふぁいいふぁい!!」
魔法使い「痛くしている!!話を聞けばなんだ!!お前は怪我をしていた俺を埒して戦場から逃走!?しかも戦争は一週間前に終わってる!?ふざけんな!!」
28
--小屋--
?「おふぉららいってゆっふぁろにー!」
ビエーン
魔法使い「お前、敵前逃亡は重罪だぞ……?特にお前は元々立場が危ういんだ……」
魔法使いは指を離す。
?「だって……助けたかったんだ」
魔法使い「?」
?「だって私は人を助けるために受諾したんだ!じゃなきゃ人造勇者なんて……どうせ選択肢なんて無かったんだけど……」
少女は大粒の涙を零す。
?「なのに訓練は人殺しの術……やらされたことは戦争……こんなのなんて無いよ!!」
魔法使い「甘ったれるな」
?「!?」
魔法使い「魔王が死んだ今、お前達が勇者として振る舞うことは今後一切無い」
?「う……」
29
--小屋--
魔法使い「むしろ、魔王がいなくなってから実戦配備出来るように組まれたこの計画、お前達は最初から人を殺すために造られたとしか思えない」
?「嘘……」
魔法使い「魔王が死んだことにより敵が変わる。統率をかいたモンスターなんかより、人間のほうがよほどやっかいだ」
魔法使いは苛立ちながら衣服を着始める。
?「えっ……どこか行くの?」
魔法使い「帰る。分かり切ったことを聞くな!!」
?「でも貴方も脱走兵だと思われてるかもしれない……」
魔法使い「構わん。どのみちここに俺の居場所を見いだせない」
?「駄目だよそんな。そんなのやっぱり、責任感じる……し」
うなだれる少女。
魔法使い「……さっきから聞いてれば自分が自分が、だなお前」
少女の体は魔法使いの言葉に反応する。
?「そう……だね。そうだよね。ごめんなさい。最初に謝るべきだった……」
30
--小屋--
顔を塞ぐ少女を魔法使いはしばし見つめる。
魔法使い「……俺は行く」
?「うん……」
魔法使い「……命を助けて貰ったことには感謝している。礼として出せるものはない。その代わりにお前は戦場で死んだことにしておいてやる」
?「え?」
魔法使い「生れ故郷なんだろ?ここ……余生は静かに過ごせ」
魔法使いはドアを開ける。
?「ま、まって!!」
少女は魔法使いに抱きついた。
魔法使い「ごぶふっ!!」
その衝撃で魔法使いの傷口が少し開いてしまう。
魔法使い「き、きさま」
少女「お、お腹空いてるでしょ?1週間何も食べてなかったんだから!だからご飯だけでも食べてって!!ね!?」
魔法使い「わ、わかった、わかったから手をはなデュクシWWWWW」
バタン
?「あ」
魔法使いはいきたえた。
31
--路地裏--
片足少年「おい!本当かよ!!」
包帯少女「うん、間違いない……あいつだった……私達の国をめちゃくちゃにしたやつらを率いていた、あのフードの男!!」
片足少年「でもなんでここに?まさかこの村でも同じことをするつもりなのか!?」
包帯少女「多分違うと思う。村の人達に聞いたら、あいつかなり深い傷を負っていたらしいんだ」
片足少年「療養か……くそっ!!ふざけやがって!!」
包帯少女「……憎いね、憎いよ!!」
片足少年「なぁ……あれ、使ってみようぜ」
包帯少女「あれって、一緒に持ってきた鉄の人形のことだよね?」
片足少年「あぁ。この村の人たちには見せてないよな?」
包帯少女「もちろん。村の外の林に隠してあるよ。でもあれ、すごい危ないってパパが……」
片足少年「賢者師範代のおっちゃんか……。でも、例え危なくったって俺らが仇を取るんだ!!もう俺らしかいないんだ!!」
32
--林--
片足少年「確かここに……あれ?こっちじゃなかったけ?」
包帯少女「もうちょっと先だよ。黒い大きな石を目印にしたでしょ?」
片足少年「あ、そうだっけ。わりぃわりぃ」
少年の額には汗。やはり片足での移動は幼い体にはこたえる。
包帯少女「……ほら」
包帯少女は手を伸ばす。
片足少年「え?い、いいよ!女になんて頼れねェよ!!」
包帯少女「もう、素直じゃないんだから」
包帯少女は有無を言わさず片足少年の肩に手を回す。
片足少年「……でも、痛いだろ?肌……」
包帯少女「……へいき」
33
--林--
包帯少女「あった、大きな石。この後ろの木の後ろ」
包帯少女は少年を下ろすと木の後ろに回り込む。
そこにはローラーのついた人並の大きさの箱があった。
包帯少女「……開けるよ?」
片足少年「こくっ」
片足少年は無言で頷く。
ガパッ
そこには
????「……」
一人の女性が眠っていた。
片足少年「何度みてもすごいなこれ……人間そっくりだよ」
34
--林--
包帯少女「……どうやって動かすんだっけこれ?」
片足少年「確か、うなじをお日さまにあてつつ、こーくすくりゅーぶろーをケツにブチ込む。らしい」
包帯少女「……そんなんで動くの?」
片足少年「親父がそういってた」
包帯少女「闘士師範代さん、大雑把だからなぁ……」
二人がかりで箱の中の女性を陽のあたる場所に移動させる。
丁度木漏れ日が差し込む場所を見つけたのでそこに女性を下ろす。
片足少年「うし、うなじ確保!!」
包帯少女「よーし」
包帯少女は準備体操を始める。
片足少年「……やっぱお前がやらないほうがよくない?」
包帯少女「何言ってるの。片足少年じゃ満足に拳もふれないでしょ?」
片足少年「だ、だけどよ……」
35
--林--
包帯少女「ほっ」
包帯少女は軽々とロンダートからのバク宙を決める。
片足少年「お前……なんでそれをやる必要があるのだ」
包帯少女「最近体動かして無かったから体なまっちゃってさぁ。うし」
片足少年「うちの親父、お前が男だったらなぁぐへへへへ。っていつも言ってたもんなあ」
包帯少女はスタスタと歩き女性を倒す。
そしてお尻突き出しポーズにさせた後、
包帯少女「闘士師範代直伝!!こーくすくるーぶろー!!」
どめぎょっ!!
????「!!!!」
かっ
女性の目が見開かれた。
36
--林--
????「ダメージを感知、当機体に攻撃するものアリ!!」
女性は恐ろしい速度で振り向くと子供達を視認した。
????「ターゲット確認、排除開始」
ジャガッ
女性の両手からは見たことも無いような突起物が出現する。
片足少年「う、うわぁ!!なんだこいつ!!や、やっぱ危ないのか!?」
包帯少女「な、ちょ!一人で逃げようとしないでよ!!」
????「人間?」
子供達の動向を観察していた女性の目が青白く光る。
????「スキャン終了、外見は人間に酷似しているが遺伝子情報から人間ではないと判断。アクセスキー、プロテクトキー共に存在せず。データベースに存在する生物ではないと断定」
片足少年「日本語でおk」
37
--林--
????「……」
片足少年「……」
包帯少女「……」
しばし三者は停止する。
最初に動いたのは女性。
ガシャガシャン
????「敵性の意志無しと判断、バトルモードを解除、通常モードに移行します」
片足少年「き、危機は去ったのか?」
包帯少女「私に聞かないでよ、わからないもん」
????「えー、えー、なんて呼んだらよいのか不明。まぁいいやおい坊主」
片足少年「え?」
????「ちょっと脳みそをいじくらせて欲しいと申請」
包帯少女「……え?」
38
--林--
片足少年「だっ、駄目駄目駄目駄目っ!!何言ってるんだよもう!!」
????「えー、ちょっとくらいいいじゃないかけちー不満」
女性は指からうねうねした何かを伸ばしている。
包帯少女「ねぇあなた、古代のすごい兵器なんでしょう?」
????「?」
女性はじっと包帯少女の顔を見つめる。
????(星の位置から現在位置と時代を推定……判明。……まさかここは……なるほど)
片足少年「な、なんか言えよ、なぁ」
????「その通りである。私の名前はX-10。対ケイ素生物B型機兵の一体である」
39
--林--
包帯少女「なにそれ?どっかの所属ってこと?」
????改めX-10「わからなくていい。わかっていたら即射殺していた。おかげでどの程度のものか自分なりに理解できた」
片足少年「ゆ、弓持ってるのか?そんななりで」
X-10(私達が使えていた主は当の昔に滅亡してしまったのか……。その残りカスが今は……)
X-10は子供達をじっと見つめている。かつての名残を探すように。
包帯少女「あの……X-10とかって呼びにくいし打ちにくいらしいの。だからテンテンに改名してもらえる?」
X-10改めテンテン「今結構シリアスな流れだったのになー残念」
片足少年「なんだ打ちにくいって。どこのどいつの事情だ?」
40
--林--
包帯少女「ねぇ、力を貸してくれない?どうしても倒したいやつがいるの……」
テンテン「却下する。私の主は彼らだけである。二君につかえず」
片足少年「いーじゃねーかよ、もうどうせお前のご主人様ってのは死んじゃってるんだろう?」
テンテン「あぁ。残り香だけを残して……消えてしまったようだ」
ツー、とテンテンの頬に一筋の光が流れる。
包帯少女「泣いて……るの?」
テンテン「マネをしてみただけだ。もちろん水はでていない。肌の色彩を一部分だけいじって涙が流れているように見せただけだ」
片足少年「わ、わからねぇよこいつ。何言ってるのかさっぱりだよ。ひのもとことば喋れよなぁ!」
テンテン「たすけてけてー」
41
--林--
テンテン「倒すというのは誰を倒すのか」
包帯少女「!?やる気になってくれたの!?」
テンテン「話を聞くだけだ。私とお前達の間に主従関係は成立しないからな」
片足少年「うー……かってぇなこいつ」
包帯少女「……それでもいい、とりあえず聞いて」
包帯少女はテンテンに事の事情を説明し始めた。
片足少年「ぐがー、ごー」
テンテン「なるほど。把握。親の仇打ち」
包帯少女「パパ達のことだけじゃないわ……私達が助かったのは偶然だったの……」
片足少年「ぶひゅーひゅるるるるる」
包帯少女「私達はあの日、外で遊んでいたから氷漬けにはならずに済んだの。でも日が暮れて帰って来たら国は……。それから来る日も来る日も救助隊が来るのを待ったわ。近くの森で果物を取って食べていたから空腹は凌げたんだけど……」
42
--林--
???「なんっじゃありゃ」
帽子を深く被った男が木の枝からテンテン達を観察している。
???「人間……じゃぁないわなぁどうみたっても。かと言ってモンスターではないし、何より生物反応が感じられんわ」
男はテンテンの50Mほど後ろから木に隠れるようにして立っていた。
???「……て、生物でもなけりゃ一体なんやっちゅうねん?精霊とかってことはないやろうしなぁ」
ギュルン!!
???「?」
テンテンの首が180度回転し男を捕えた。
???「まずっ!!」
ドキューン!!
テンテンの右手の銃口が火を噴いた。
43
--林--
片足少年「な、いきなりなにやってんだ!?」
テンテン「……なんでもない。私の索敵範囲内に何かがいたので射撃したまでのこと」
包帯少女「何かって、もしかして動物?」
テンテン「多分お前等と同種」
片足少年「!!な、なに危ないことしてんだよ!!」
テンテン「残念ながら仕留め損ねた」
包帯少女「……村の人かな」
???「いっつ~……あんな距離から一瞬で攻撃してきよった。雷属性を使った新手か?」
ぬちょ
男は抉られた左腕から鉄の塊を取り出した。
???「しかも、人造勇者の中でも最硬と言われるわいの防御を容易く……世界は広いなぁ」
男は弾を捨てると回復魔法を唱えた。
???「おっとと、道草食い過ぎや。さっさとキーちゃんに会いにいかな」
44
--小屋--
カチャカチャ
鉄の食器同士が擦れる音がする。
?「あの、どう?味……」
辺りがすっかり闇に包まれた頃、二人はランプの光を便りに夕食のシチューを食べている。
魔法使い「……悪くない」
?「あ……もしかして、さっきのこと気にしてたり?」
ダンッ!!
魔法使いはテーブルを叩いた。
魔法使い「っ!この俺が……いくら傷を負っているとはいえ、女子供にやられるだなんて!!」
?「ご、ごめん!後、男女差別禁止……」
魔法使い「む……むう」
魔法使いはシチューを口に運ぶ。
?「わ、私ね」
魔法使い「?」
?「私卑怯だったんだ。貴方を助けようと思ったのは本当のことだよ?それは真っ先に思った。……でも、それでも私は戻りたく無かった」
45
--小屋--
魔法使い「さっき聞いた」
?「貴方は一刻も早く治療しなければいけない状態だった。それでも私は逃げることを選択した……」
魔法使いはもくもくとシチューを食べ続けている。
?「それに……一人が嫌だったんだ……。一人で追われる身になるのが怖かった……だから私は共犯者を……」
がちゃ
魔法使いはスプーンをテーブルに置いた。
魔法使い「さっきから聞いてればお前、何が言いたいんだ?自責の言葉を俺に吐いて、一体何を求めている?」
?「っ!!」
46
--小屋--
魔法使い「もうなっちまったもんは仕方がない。お前がいくら自分を責めたって悔やんだって何も代わりはしない」
?「……考え直したんだ。私も国に戻る。戻って罰を受ける」
魔法使い「……何を言うかと思えば。今回の罪は死に直結するぞ?」
?「いい。貴方が、魔法……使いが罰を受けるよりいい」
魔法使い「……お前何を」
?「全部私のせいだって言う。今は優秀な人材が一人でも欲しい時なんだし、それで貴方はきっと助かる……と思う」
魔法使い「……拒否だ」
?「それに王様は私を殺さないよ。生きてるとは言えない状態になるかもしれないけど、私はきっと……え?」
魔法使い「却下だ。同じ人間に二度も救われるのはごめんだ。それに言っただろう?……助けてもらったことには感謝している」
?「……魔法使い……」
魔法使い「名前で呼ぶな」
?「あ、ごめ」
???「なんやのこのラブラブ」
魔法使い「!!」
?「!?え、な、なんでここに!?」
いたのがさも当たり前であるように、テーブルの脇に男が立っていた。
???「ひ~さしぶりやなぁ、お二人さんっ♪キーちゃんは元からそんな気しとったけど、まさか軍団長君まで脱走するとは思わんかったで」
47
--小屋--
?「ち、違うんです!!この人は私が」
魔法使い「無駄だ……」
魔法使いはスプーンを握りながら冷静な顔で呟く。
?「え?」
魔法使い「こいつは……完全に俺達を始末しに来ている」
?「!!」
???「ぴんぽんぴんぽんだいせいか~い」
魔法使いは即座に立ち上がると魔法を唱えた。
魔法使い「雷属せ」
ドゴッ!!
魔法使い「っづ!?」
魔法使いは男に蹴り飛ばされる。
???「あほか。こんだけ近いんや。魔法より通常攻撃のほうが早いに決まってるやろ」
48
--小屋--
ガシャァン!
魔法使いは食器棚に激突し、中からフォークやナイフ、大量の皿が降り注ぐ。
魔法使い「ぐっ……」
?「やめて、やめてください影月さん!!」
???改め影月「いくらキーちゃんの頼みでも聞けんなぁ。てか、自分の心配せんでええの?」
バチッ
?「ぶっ!!」
少女の顔を影月が叩く。
影月「……タイミングが悪いんやなぁ。今は結束の時なんや。みんなが手をつないでこ~……なんちゅうんや?そう、一致団結せなあかんねや」
魔法使い「……」
魔法使いは地面に落ちた食器をかき分け、影月の隙を伺っている。
影月「どんな乱れも許されへん。どんな裏切りも許されへん。この土台になる時にしっかりしとかなあかんのよ」
?「で、でも!」
影月「人造勇者キバ。特にお前みたいなんに不用意に出歩かれたら全部パーなんよ」
?改めキバ「っ!」
49
--小屋--
影月「両者ともここで死ねや」
影月の意識がキバに向いた瞬間を狙って、
魔法使い「ああああ!!」
魔法使いはスプーンを投げ飛ばす。
ヒュン
しかしあっさりと影月にかわされてしまう。
影月「なんのつもりや」
魔法使い「雷属性魔法レベル」
影月「せやから遅いねんてっ」
ドゴッ!!
影月は一瞬で間を詰め、魔法使いの頭部を蹴りあげる。
魔法使い「がはっ!」
50
--小屋--
キバ「魔法使いっ!!み、水属性」
影月「ん」
キバの行動に気付いた影月が、彼女に左手を向けると、
バキバキバキバキ
キバ「!?」
土の手が床を突き破って現れ、キバを拘束した。
キバ「無詠唱!?あ、あぐっ!!」
魔法使い(手をかざしただけで魔法?……こいつ既に陣を引いていたのか!?それに今まで気付かなかったなんて……)
影月は再び魔法使いに視線を戻す。
影月「気付いた?やっぱ優秀やなぁ、軍団長君はww」
魔法使い「きさま……」
51
--小屋--
影月「こと魔法だけに関してなら、長い人類の歴史で見ても、君以上はそうはいないやろなぁ」
影月は目を細めて魔法使いを見ている。
影月「でもいくら君がわいより早い言うたかて、スタート地点が違うなら勝てるはずないわな」
魔法使い「……キバ!!こいつ陣はいくつ使えるんだ!?」
キバ「な、七つ!!攻撃、防御、速度、魔法、呪い、妨害、吸収のカテゴリーから一つずつ持ってる!!」
影月「あっちゃー……普通言ってまう?そゆこと」
魔法使い「……ほぼ全部か」
影月「ちなみに全部発動させてあるで♪」
影月は指をピンと立てて笑う。
魔法使い「!?」
そして影月はゆっくりと魔法使いに近づいていく。
魔法使い(全部同時発動?……まさか……でも本当なら)
キバ「そんなわけない!!いくら影月さんでも全部はむぐっ!?」
影月「だから~そういうこと言うたらあかんて~。おくちはチャック。お鼻もチャックや……」
キバの口と鼻が土で覆われる。
52
--小屋--
魔法使いは一歩下がり窓の傍による。
影月「あー、逃げる気?諦めれってー。範囲はこの村全体やから。逃げ切ることはでけへんよ」
魔法使い「……七つも陣を発動させておいて超広域設定だと?出来るわけが無い」
キバ「むむむー!!むー!むー!」
魔法使い「……」
魔法使いはキバを一目確認した後、窓ガラス叩き割った。
ガシャァアン!!
影月「……ほ~仲間を見捨てて逃げるんか。大した根性してるやん」
影月が足に力を込めると床は破壊され、爆発的なスピードで魔法使いへと向かった。
魔法使い「!!」
魔法使いは左手の手のひらを影月に向けるが、
影月「遅いってなんど言わせるんや!!」
53
--小屋--
ヒュン!
影月「!?」
影月は死角から攻撃されたそれを、身を捻ることによってかろうじてかわした。
影月「……スプーン、やて?」
影月の頬から一筋の血が流れる。
魔法使い「……どうした?俺より早く攻撃できるんだろ?」
影月の周囲を鉄でできた食器が漂う。
影月「……あー、そやったな。雷属性は磁力もどうこうできるんやった。今の間に準備しとったんかい」
魔法使い「……キバの拘束を解け。今なら見逃してやる」
影月「そらぁ、出来ん相談や。てか、キーちゃんを束縛しとる分、わいの方が有利な立場にいるんちゃう?」
ミシギシッ
キバ「!!!!!」
54
--小屋--
キバを拘束している土が、絞りあげるような音を上げる。
キバの見開かれた眼を見る限り、それにどれほどの力があるのか容易に想像がつく。
影月「みんな土属性弱いみたいに思うとるけど、大地の力舐めたらあかんでぇ。やわこいキーちゃんなんてあっという間に100%生搾り
に」
魔法使い「雷属性魔法、磁力操作!!」
周囲を漂う食器が、影月目がけて一斉に飛来する。
影月「ふ。容赦ないなぁ、普通はそこで武装解除やろ」
ガガガガキキィン!!!!
土が盛り上がって影月を包む。そして食器は全て弾かれてしまう。
魔法使い「ぐっ!!」
土がボロボロとこぼれおち、土の中から影月の眼だけが姿を現す。
影月「相性も悪いんや。諦めて死んでしまえや」
55
--小屋--
魔法使い(……どこか変だ。最初に俺らを殺すと、完全に明言しているにもかかわらずこの行動……交渉材料にすらならないのだから捉えたキバもさっさと殺せばいいのに……)
影月「あー……そろそろキバちゃんも限界やろ?息」
影月が土の防御を解いてキバを見る。
キバ「……」
影月「虚ろな目をしとる……ふ、ふふwwたまらんなぁ、こういうもんがあるから戦いはやめられんわw」
魔法使い「!?……やはりそうか、お前」
影月「なぁ、軍団長君?戦いは人の本能やで?それにあがなってなんになるのん?この世は闘ってなんぼやよねぇww闘って潰して踏み砕いてすりつぶして……なんでそんな当たり前なことを好き勝手やれないんやろか……」
魔法使い「……お前が人造勇者に志願した理由はそれか。……快楽殺人者!!」
影月「……不当な理由だったら人殺しは駄目で、戦争とか正当な理由だったら人殺しはおkだなんて、おかしな世の中だと思わん?どの道闘って殺すのにww」
魔法使い「……」
影月「……ほんまに死んでまうなぁ。ほれ、息継ぎや」
影月はキバの顔に覆いかぶさっていた土を解除する。
56
--小屋--
キバ「!?がはっ!!はっ、はっ、はっ、はっ!げほっ!!」
影月「可哀そうになぁ、軍団長君が助けに来てくれないせいでなぁ」
魔法使い「……」
影月「にしてもほんまアホやで……。妹のようにかわいがっとったのに脱走なんてなぁ……しかも、もう戦いがしたくない、なんてばかげた理由で」
キバ「はっ、はっ……聞いてたん……ですか?」
影月「夕食での会話はほとんど聞かせてもらったで♪」
魔法使い「戦いをするかしないかなんて個人の勝手だろう?お前が決めることじゃない!」
影月「……人造勇者にそれは許されへん。殺して殺して殺しまくらな、人造勇者やない。平穏に生きるなんてことはできないんや」
キバ「……」
影月「生き残りたいなら……闘うしかないんや」
57
--小屋--
魔法使い(こいつ……)
ズラッ
魔法使いは腰に刺してある短剣を抜く。
影月「君もやで?」
影月は振り向いて魔法使いを見た。
魔法使い「知るか。俺は元々脱走する予定なんか無かったんだ」
影月「そ……へぇ」
キバ「はっ、はっ……」
魔法使いはキバの顔を見つめる。
魔法使い「だがもう気が変わった。正式に俺も脱走してやる。そんな国、願い下げだ」
影月「……ふ」
影月はにやりと微笑んだ。
58
--小屋--
影月「ほう、ならどうすんの?わいとやり合うしかないんやで?例えわいを倒したとしても、これからずっと、何年も何年も戦い続ける人生の幕開けやぞ?」
魔法使い「しらん」
影月「ほうか……」
影月は戦闘の構えを取る。
影月「やる気の無い奴と、弱っちい奴。あんな奴らを倒したからって天狗になったらあかんよ?わいは人造勇者の中でも強い部類なんやから」
魔法使い「……雷属性魔法、速度上昇レベル4」
影月「あ!きたなっ!!」
59
--小屋--
キバ(だ、だめ。影月さんは、本当に強い……いくら魔法使いでも、勝てない……せめて、せめて影月さんの元の職業だけでも……伝えなきゃ)
朦朧とするキバの意識。
キバ(やめて……いや、とめなきゃ……わたしが、わたしのせいなんだから)
そんな中、それは現れた。
?????「へぇ……随分とまぁ人間もおもしろいことをするね」
キバ(……?あれ?……誰?)
?????「さぁ、誰だろうか」
キバの目には少年が映っていた。羊のような角の生えた少年が。
60
--小屋--
影月「ほんじゃまぁ……やるか。人造勇者とただの人間、そこんとこの違いを見せてやるわwwwwww」
魔法使い「はっ……」
魔法使いの顔が不気味な笑みに歪んでいく。
影月「?何がおかしいんや?」
魔法使い「おかしいさ……おかしいに決まってる」
影月「……アフォになったか?」
魔法使い「お前なんかが草を生やすんじゃねええええええwwwwwwwww」
?????「さて、あちらでは戦いが始まったようだ。両者ともに、君の大事な人……か」
キバ(君は……二人からは見えないの?)
?????「今はそうしてる。さて、戦いを拒否するがゆえに戦いを呼びこむ不幸な少女よ。ぼくが力を貸してあげようか?」
61
--小屋--
影月「おおおおおおおおおお!!」
魔法使い「いくぜぇえええwwwww」
ドガっ!!バチィ!!バリバリバリっ!!
キバ「ち、力を貸すって……どういうこと?」
魔法使い「ぐはっwwww」
数撃の攻防の後、魔法使いは吹き飛ばされる。
影月「こんなんで終わりかいな?わらっとる場合やあらへんで!?」
魔法使い「微サンダーwwwww」
魔法使いの右手から微弱な電撃が放出される。
バチィ
影月「あいたっ!!……無詠唱かい。でもそんなんじゃたいしたダメージは与えられへんで!?」
62
--小屋--
?????「不利な状況ながらも彼は工夫して闘ってる。でもほら、そんなものはただの先延ばしに過ぎないんだ」
キバ「あ……」
ドガッガッ
魔法使い「デュクシwwwアイテテwww」
魔法使いが口を拭う。
ゴッ
鉄の棒が飛んできて影月の頭部に直撃する。
影月「っ!?また磁力操作か?」
影月はめんどくさそうに頭をかく。
魔法使い「ちょww血もでねぇのかwww」
影月「……」
ヒュッ
ドゴオオオオオオオオオオオオオオン!!!!
魔法使い「!!!!」
影月の打撃が魔法使いを壁に打ち付けた。
63
--小屋--
?????「おや、思ったよりも早く決着が着きそうだね」
キバ「!!ね、ねぇ君は幻覚とかじゃないんだよね!?」
?????「幻覚だなんてひどいな。ぼくは確かに存在するさ。そこに……」
魔法使い「ぐへwwwいたすwwww」
魔法使いは血のついた舌で自分の右腕を舐める。
影月「……まだ笑ってるんか……ほんま頭おかしんちゃうか?今の一撃で君のお腹、ぐちゃぐちゃやで?」
魔法使い「だからどうしたwwww思い出したんだよ俺wwなんで、なんで俺はずっと笑ってたのかwww」
影月「?なんでや?」
魔法使い「正義のヒーローwww」
影月「?」
魔法使い「そうさ、正義のヒーローはずっと笑ってるもんだぜwwwwwwwwwうぇwwwwwwwwwww」
正義のヒーローはVIP笑いしねえww
870:Qw0 ◆7b3JfpIY/2:2010/08/31(火) 00:55:48.86:HRHZzEQ064
--小屋--
影月「誰が正義のヒーローや。君は脱走兵。真逆の犯罪者やんか」
魔法使い「俺が正義かどうかは俺がw決wめwるwwwwww」
魔法使いは影月の両手を掴む。
魔法使い「電ww流ww操ww作wwwwwww」
バヂッ
影月「な……に、あ、あががががが!!」
魔法使い「体の電気信号、狂わしてやんよwwwww」
影月の体がぐにゃぐにゃと不規則な動きをし始めた。
65
--小屋--
キバ「力を貸してくれるって、どういうことなの?」
?????「そのまんまさ。いや、正確に言うと、君が持ってる力を強くしてあげる」
キバ「私の……力……。それはゆうs、あ、そのどんな力なの?」
バヂッ
影月「な……に、あ、あががががが!!」
魔法使い「体の電気信号、狂わしてやんよwwwww」
影月の体がぐにゃぐにゃと不規則な動きをし始めた。
キバ「!?あ、魔法使いが勝った!?」
?????「ふーん?……ぼくにはあれが勝ちには見えないけれどね」
キバ「え?どうして……」
?????「あの男、相当な実力者だね」
66
--小屋--
魔法使い「?」
魔法使いは妙なさわり心地に気付く。
ざり
影月の腕が石のようになっていた。
ゴッ!!
逆の腕で顔叩かれる。その衝撃で魔法使いは窓を突き破って外に出る。
魔法使い「がはwwwwww」
魔法使いは血を吐きながら倒れこむ。
影月「あぶなあぶな。予防張っとかな一発でつんどったわww」
魔法使い「陣……かww」
影月「そや対雷魔法、土鎧。陣の中で雷魔法を食らう度に発動するようなっとる。土属性やから効果が出るまで時間かかるんやけども」
67
--小屋--
キバ「どうしよう!!魔法使いが!!こんな土っ、つ!!」
キバは土の拘束を解こうとするがびくともしない。
?????「今の君じゃ無理だ。恐ろしいほど計算づくだね。君の力じゃギリギリ壊せないようにしてある」
キバ「!!ね、ねぇ君!!本当に力を貸してくれるの!?」
少年はにやりと微笑んだ。
?????「もちろん。ぼくは君の味方……だよ」
キバは一度、壊れた窓の外を見る。
魔法使い「デュクシwwwwwwげぼっ!」
魔法使いは腹部を踏まれていた。
キバ「お願い!!私に力を貸して!!」
68
--村--
魔法使い「ちょwwまじいたすwwww」
影月「はぁ……。ちょっと失望したで。わい、実は信用してたんや」
魔法使い「?wwww」
影月「君、女の子の一人も守れないんやな」
魔法使い「っ」
魔法使いは右腕を影月に向ける。
影月「至近距離は魔法より」
バヂイイイイイイイイイイ!!!!
強烈な閃光が影月を襲う。
影月「!?無詠唱でこんな威力出せるわけがあらへんぞ!?」
しかし影月は見た。
魔法使い「うぇwwwww俺天才だもんwwwwww」
右腕に描かれた、血の紋章を。
69
--村--
影月(紋章魔法?……詠唱魔法とは根本から発動システムが違う魔法。詠唱の代わりに紋章を描くことで発動すると聞いたけど……それ古代魔法やろ?どんだけ勉強してんねん!!)
魔法使い「おらいくぜええええええwwwwwww」
バチバチバヂイイイイ!!!!
影月「っつ!」
腕をかざすだけで雷が発射され、影月を襲う。
バチっバチバチ
しかし
影月「すまんな。新技見せてもろうたけど対雷魔法は既に発動してるんや。きかへんわそんなん」
魔法使い「詰んだwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
70
--村--
ボコ、ボコボコ
影月は土でハルバートを作り上げ手に取る。
影月「土属性の武器は硬いでぇ……余計なもんが無い、シンプルイズベストや」
影月はハルバートを魔法使いの顔へと向ける。
影月「……終わりにしよか……甘い夢やったな」
ドクン
影月「!?」
影月は振り被ったところで何かの気配を感じ取った。
影月「これは……これは戦場で感じたあれと一緒……んなまさか……!」
気配は、キバのいる家から……。
71
--村--
ドオオオオオオオオオオオオオン!!!!
突如家が爆発し、その中から飛び出してくるものが一人。
???「ああああああああああああああああああああ!!!!」
影月「!?これは一体!?」
ガキイイイインンン!!!!
影月「ぐぅ!!」
影月はハルバートで防御するものの、一撃で粉砕されてしまう。
???「はァ!!」
影月「!?うそやろ?」
魔法使い「テラ魔王wwwwwキバ……」
72
--村--
???改め疑似魔王キバ「まも……ルンダっ!!私が、なにをしても、守る!!」
影月「わいの拘束を破ったんか……しかもその姿……」
キバは黒い鎧を身にまとっていた。
影月「きーちゃん、それ」
バゴッ!!
影月はキバの蹴りに反応することさえ出来ず、民家に突っ込む。
影月「ごほっ!?」
疑似魔王キバ「守るゥぅゥゥゥあアアアアアあ!!!!!!」
キバの両手に六色の光が収束し炸裂した。
73
--林--
片足少年「あっちゃー。もう随分遅くなっちまった。夕飯の準備してねぇよー」
包帯少女「もう!!ぶつくさ言って無いで急ぐよ!!ここら辺、モンスターが出るって有名なんだし……」
テンテン「なんで私も着いて行かねばならない」
包帯少女「当たり前でしょ?あなたはなんかやばい存在みたいなんだし」
がさっ
包帯少女「きゃっ!?ももも、モンスター?や、やっつけなきゃ」
片足少年「……逃げるよりファイトを即座に選ぶお前のほうが怖いわ……」
テンテン(索敵モード終了。半径7km以内に敵性生物の存在無し)
片足少年「あ!これシマリスだよ。二人とも攻撃すんなよ!?」
74
--林--
シマリス「きゅーきゅー」
片足少年「あはは!こいつ可愛いなぁww」
包帯少女(可愛い?ピンク色だし……。モンスターなのか動物なのか際どいラインの造形だわ……)
テンテン(データベース検索中……該当無し。この星の生物のデータがほとんど……存在しない?)
シマリス「……いぢめる?」
片足少年「うわ!こいつ喋った!?すげー!!」
包帯少女「!?やっぱりモンスター!?」
包帯少女が戦闘のポーズを取る。その横でテンテンは大きく腕を振り被り、
テンテン「そのセリフはお前じゃないだろ!!!!」
ビシッ!!!!
シマリスにツッコミをいれた。
75
--林--
ドゴオオオオオオオオオオオオオオン!!!!
シマリス「ひっ!?」
突然の轟音。シマリスは驚いて森の中へと走っていく。
片足少年「な、なんだ今の……村の方から聞こえたけど……」
包帯少女「!!……嘘っ……」
包帯少女は絶句する。
テンテン「火災を感知」
片足少年「え?そういや空が明るい……!!」
少年は不自由ながらも急いで村が見渡せる場所へと向かう。
片足少年「はっ!はっ!はっ!はっ!!」
少年が村を見下ろすと……
片足少年「嘘だ、嘘だ……村が、村が燃えてる!!!!」
76
--林--
包帯少女「やだっ、やだああああ!!またいなくなるのは嫌あああっ!!!」
少女は座り込み泣きじゃくった。
包帯少女「おじさんが!!おばさんが!!!」
少女は自分の顔を掻き毟っている。
テンテン「出血を感知。その肌でその行為はやめておいたほうがいいと忠告」
片足少年「くそっ!!またアイツなのか!?そうなのか!?ちくしょお!もう俺達の場所は奪わせねぇええ!!」
少年は急ごうとして転んでしまう。そして杖の代わりの木の棒を手放してしまった。
ガランゴロン
テンテン「どじっ子感知。やれやれ、手を貸してやる」
テンテンが少年に手を伸ばす。
片足少年「……嫌だ」
テンテン「?」
77
--林--
片足少年「もういやだあああああああ!!なんでだよ!!なんで俺達ばっかりこんな目に合うんだよ!!」
包帯少女「ひっ、ひぐっ!!」
テンテン「……別にお前達だけじゃない。どこの世界でも不幸だけをおっかぶった人間は存在する。むしろお前達は全然ましな方だと、」
ダンっ
少年は地面を叩いた。
ダンっダンっ!!
テンテン「……不幸が嫌なら強くなるしかない。もしくは大統領になるか」
片足少年「強くなりてぇよぉ……!!でも、俺は自力じゃ闘うことも出来ない……」
包帯少女「うああああ!!あああああん!!」
テンテン「……」
片足少年「……頼むよ……」
包帯少女「ひっ!うっ……お、おねがひっ」
テンテン「……」
片足少年&包帯少女「力を貸して!!」
78
--林--
テンテン「……私に頼ったことを悔いるがいい。私はただの鋼鉄の機械だ。人の心など理解できない」
片足少年「……」
テンテン「私に頼んだことを恥じるがいい。お前達は自分の無力さをひけらかしただけに過ぎない」
包帯少女「……」
テンテン「……だが……」
テンテンは少年達の顔を交互に観察する。
テンテン(……命令でなく、お願い、か……)
テンテンはかつての主達のことを思い出している。
そして自分自身の使用目的を。
片足少年「お、おい」
テンテン「よかろう、これは貸しだ。お前達が強くなった時に返してもらう」
79
--村--
影月「かはっ!!……まさか、こんなことになるとはなぁ」
影月は血だらけの状態で瓦礫にもたれかかっている。
疑似魔王キバ「はぁ、はぁ!!」
魔法使い「てら虐殺www眼を覚ませこら!!!ウルトラスーパーサンダーwww」
ビッシャアアアアアアアアアアアアアア!!!!
強大な魔力で構成された雷だったが、キバはなんなくそれを受ける。
疑似魔王キバ「ナンデ、わた4のジャまするノ?ワタシは、魔法使いヲ、マモルために!!」
キバが手を振りかざすと魔法使いに魔法が放たれる。
キュドキュドキュドオオオオオン!!!!
魔法使い「ぎゃばふっwwwwwwwwテラwwwwやんで……れ」
ドサリ
80
--村--
農夫「おい大丈夫か?しっかしろお前!!」
農婦「あ、アンタ。私はいいよ、先に逃げて。それよりあの子達は!?」
農夫「わからんっ!!諦めるんじゃない!!足を怪我したくらいで情けないぞ!?」
疑似魔王キバ「ワワワワわた、しは、守りたかったダケなのにっ!!!」
ゴオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!
キバの魔力が暴発し、熱風が吹き荒れる。
農夫「!?」
農婦「きゃあああああ!!!!」
バシュン
農婦「……?あれ?炎は……」
シュイーー
農夫は自分の真上から音がしていることに気付き、見上げた。
テンテン「ほう、単体航空時に使用するエネルギーにそのような使い道があるとは……面白い変化をしたものだ」
発光する飛行物体がそこにはいた。
農夫「て、天使……」
81
--村--
疑似魔王キバ「な、んだ、?」
テンテン「黒い服の男を倒せと言われたが……どこにも居やしないじゃないか。ならそうだな。お前が火災の原因のようだし、黒い鎧を着
ているからお前でいいか」
ガシャコ
テンテンの両腕が銃口に変化する。
テンテン「バトルモード移行完了。掃射」
バララララララ!!!!
疑似魔王キバ「!?」
バチュンチュンチュンチュン!!!
高速で打ちだされる数百もの鉄の塊。キバは一瞬で穴だらけのボロ雑巾と化した。
影月「!!!!キーちゃん!!!!」
82
--村--
?????「……これは驚いた。随分と懐かしいものがいるじゃないか」
テンテン「キピーン!?人間の反応を感知。……しかしどこにもいない?」
少年はぐちゃぐちゃになったキバの傍へ行き、体育座りをする。
?????「思ったよりパワー無いね。所詮はまがいもの、ってことなのかな」
疑似魔王キバ「ぶくぶく……ぶく」
?????「まぁあれとは相性も良くないだろうしね。でもほらがんばってよ」
少年がキバの頭部に手をふれる。
疑似魔王キバ「ごぼっ!?」
83
--村--
テンテン「索敵終了。なんだ?ホログラム?霊体のようなものが干渉してきているのか?実体は……」
疑似魔王キバ「があああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」
影月「!?きーちゃん……」
キバは黒い魔力を噴出し立ちあがる。
テンテン「?そんなバカな。掃射」
バララララララ!!!!
弾丸はキバに命中せず、全てすり抜けていく。
テンテン「!?」
疑似魔王キバ「スキル……蝙蝠化」
バサッ!!!!
キバの体は無数の蝙蝠に変化し、夜空を埋め尽くす。
84
--村--
テンテン「そんな!!まさか!!」
影月「吸血鬼と人のハーフ……元より存在自体が魔王のようなもの。それゆえのこの変貌なんか?それとも……」
赤蝙蝠「キィキィ」
テンテン「っ……全部打ち落とす。マルチロック、掃射」
バララララララ!!!!
バチュンチュンチュンチュン!!!
テンテンの発射した弾丸は蝙蝠を撃ち抜いていく。だが、
赤蝙蝠「キィキィ」
テンテン「再生……ならば」
テンテンが右腕の形状を変化させたその時、
蝙蝠達『範囲殲滅、六色爆撃』
蝙蝠達がパンパンに膨れ上がり、爆発した。
ドドドドドドドドドドオドドドドドドドドドドオン!!!!
85
--村--
影月「がほっ!ごほっ!!ど、どうなった?」
テンテンの周囲5メートルはクレーターのようになっていた。
影月「……恐ろしい威力や……あっ!!」
影月はクレーターの中心にヤムチャのようになった倒れているテンテンを発見する。
疑似魔王キバ「はっ、ハッ!!……硬い……イッタイなんなんだ?」
蝙蝠の破片が集まりキバの体を構成していく最中、テンテンはむくりと体を起こす。
テンテン「あー!死ぬかと思った」
86
--村--
影月「……あっちも化物かいな」
テンテン「実弾での討伐は不可能。ならば攻撃リミッター1解除」
ガッシャン!!
テンテンの右腕が奇怪な銃口に変形する。
疑似魔王キバ「!?」
テンテン「重力子放射しぇんしゃしゅちゅしょうち、発射」
BLAME!!
光速の光の剣がキバの胸部を貫いた。
87
--村--
ドゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンン!!!!
影月「な、なにいいいいい!?」
キバを貫いた光は更に直進し、山を消し飛ばす。
影月「とんでもない威力や!!これはあの時の魔王の攻撃と同等か、それ以上!!」
山の向こうから爆風がうねりをあげて村へと向かってくる。
影月「!?あかん!!村人が!!」
影月は傷ついた体で立ちあがり地面に手をつく。
影月「陣起動、防御結界!!」
村の周囲の土をせり上げ、自然の壁を作り上げた。
影月「あ、あかん!!魔力が足りんか!?」
88
--村--
ビュオオオオオオオオオオ!!!!
農夫「う、うあわああああああああ!!」
農婦「きゃあああああああああああ!!」
炎風が村の上空で吹き荒れる。
影月「駄目や!!もう!!」
ガシッ
影月「……へ?」
魔法使い「おら、魔力くれてやんよwwww」
血まみれの魔法使いが影月の肩を掴んでいる。
89
--村--
影月「……すまんな!」
先ほどまで争っていたのにもかかわらず、影月はニカっと笑う。
魔法使い「おっwおっwおっwおっwおっwおっwおーwww」
土の壁はより強固に、より高く積み上がっていく。
影月「よし!!いけそうや!!」
ユラリ
影月達の後ろキバが立ちあがった。貫通だけで済んだためか、その傷はすでに修復され始めていた。
疑似魔王キバ「ごほっ……き、危険、だ。お前は、危険ダ!!」
キバはテンテンに向かって突進していく。
90
--村--
テンテン「体組織の6%の焼却に成功。しかし分裂と修復によりたいしたダメージには至らず。か。なら、燃え尽きるまで連射」
ガチン
テンテン「?……動作不良?いやこれは」
?????「そんなに危なっかしいもの、ほいほい使わせるわけにはいかないなぁ」
テンテン「!?」
テンテンのカメラに角の生えた少年が映し出された。
?????「旧世界の遺物。今はそんなのいらないのさ」
疑似魔王キバ「ああああアアアアアああああAAあAAああAAAAああA!!!」
血で生成した刀がテンテンの胸部を切り裂いた。
テンテン「がっ8いk3p!?」
91
--村--
テンテン「くっ」
バチィっ
テンテンの傷口から電気が迸る。
テンテン(私の装甲を切り裂くとは……)
疑似魔王キバ「がぁあ!!」
キバは大きく口を開け、
バギン!!
テンテン「!?」
テンテンの首筋に噛みついた。
92
--村--
じゅぞぞぞっ
テンテン「こい、つ、私の、潤滑油を?」
疑似魔王キバ「じゅるっ、ぐっ、ぐぐ、じゅるる……ぐっ!!」
ビキッ!
テンテンに対して吸血を行っていたキバの歯は折れてしまう。
疑似まOうキバ「あ、あううううあああああああ!!!!」
キバは頭を抱えて転げまわる。
テンテン「あgいp……じ、自動修復かいs。」
影月「……なんやようわからんが、壮絶やな……」
魔法使い「……」
93
--村--
ぎ字ma王キバ「あああああああああ!!!!」
テンテン「……?存在が安定していない?無理な力を使っていたのか」
テンテンは左手の銃口をキバへ向ける。
テンテン「見ているのも気が引ける」
gj魔王キバ「あ、あが……」
テンテン「任務遂行」
バヂイイイイ!!!!
テンテン「電撃?」
魔法使い「ちょwwww待てよwww」
影月「キムタクさんがログインしました」
94
--村--
テンテン「邪魔をする気か?」
魔法使い「ああwwwwwwwww」
テンテン「……仲間というやつか。私には理解できない」
テンテンはキバに視線を戻す。
魔法使い「!!サンダースピードwwww」
ドッ!!
魔法使いは速度上昇を自分にかけテンテンに特攻する。
テンテン「っ。そうか。ならお前も死ぬといい」
テンテンの肩からナイフが飛び出す。
魔法使い「うは?ww」
ドシュっ!!
95
--村--
魔法使いはそれを避けようとのけぞるが、大きく額を切り裂かれる。
テンテン「ふん」
テンテンは右腕を通常モードに戻し、魔法使いの顔面を殴打する。
ゴッ!!
魔法使い「あべしっwwwwww」
ドサっゴロっ
テンテン「そんな消耗した体で、やるだけ無駄だというのに。人間は昔から理解出来ないな」
魔法使い「うwるwせwぇwww恩人には恩を返すもんなんだよwwwwww」
影月「……」
96
--村--
魔法使い「サンダーブレードwww」
魔法使いは雷で作った剣を作り上げる。
テンテン「ロックオン、掃射」
バキューン!
テンテンは射撃で魔法使いを狙う。
魔法使い「あたらぐふっwwwwww」
魔法使いは弾丸に当たって吹き飛ぶ。
影月「はん、だらしないやっちゃな!!」
魔法使い「あ、あれ?痛くねぇwww俺、テラカッコヨスwwww」
魔法使いの体には土の鎧が作られ始めていた。
影月「恩人には恩を返したらぁ!!」
97
--村--
キバ「はっ、はっ……」(頭が痛い、頭が、意識も……私、ここで終わりなのかな)
キバは指一本動かせないまま地面に横たわっていた。
キバ(吸血鬼の力の源の……牙が折れちゃったもん……ね。もう、助からない)
魔法使い「おらあああああwwwwww」
バキッ!チューンッ!ギャリギャリ!!
キバ(だからもう、そんなこと、しなくても、いいのに、まも)
魔法使い「ひでぶっwwwwww」
ドジャアアアアアアア!!
倒れているキバのもとに魔法使いが転がってきた。
キバ「あ、魔法使い……」
98
--村--
魔法使い「アイツマジチートwwチートすぐるwwうぇwwwチート使って勝って嬉しいのかよwww」
魔法使いは口についた血を拭う。
キバ「あ……」
魔法使い「……あ。……あひゃひゃひゃwwwww」
魔法使いはなぜか笑いながら立ちあがった。
魔法使い「そう何度も俺を助けようとすんじゃねぇww」
キバ「……え?」
魔法使い「女に助けてもらってばっかじゃ男として情けねぇってんだよwwwwww」
バチィ!
魔法使いの体中から電気が流れ出す。
魔法使い「……終わるまでそこで倒れとけ。あとで恩返しするんだからよ」
99
--村--
影月「せやあああああああ!!」
魔法使い「ああああwwwwwwwww」
ガキン!!キィン!!ドッ!!ビシャアアアアアアン!!
テンテン「くっ」(こいつら二人相手は、今の私ではきつい……それに)
テンテンは先ほどの少年のことを思い出す。
テンテン(わからないことばかりだ)
魔法使い「!?おらそこだべええええwwwwwwwwwwwww」
魔法使いの雷でできた剣が、テンテンの微かに残った傷口に突き刺さる。
バリバリバリバリ!!!!
テンテン「!!!!」
100
--林--
翌朝。
パチパチパチ。
影月は林の中で魚を焼いている。
影月「お、これもうええな。ほれ」
魔法使い「うぇwwwさんくすwwww」
キバ「あ、ありがとうございます」
三人は仲良く魚を食べていた。
101
--林--
キバ「あ、あれ?でも昨日影月さん私達のこと襲ってきて、あれ?」
魔法使いと影月はきょとんとした顔でキバを見ている。
影月「あれ?まだ話しとらんかったけ?きーちゃんには」
魔法使い「さっさと説明しろよwっうえぇwwww骨いてぇwwwwあっ」
影月「……すまんかった昨日は。あれはわい的に調べただけやったんや。かんにんな!」
キバ「……へ?」
魔法使い「こいつww脱走したお前のことが心配であてっwwwしょうがないから捜索するって言ってでてきたんあっww出てきたんだってよほっww」
キバ「え……」
影月「……いくら嫌でも闘わないけん時があるんや。そんな時ちゃんと闘えるか試したかったんや。それと、きーちゃんの王子様はちゃんと守ってくれるのかな」
キバ「え、ええ!?」
魔法使い「骨いてええええwwwwwうぇwwwwww」
102
--林--
影月「さて、飯くったしもういこかな。君らも大丈夫そうやし……」(一個不安があるけどな)
魔法使い「おうどっかいけwwwww」
キバ「……あの」
影月「……きーちゃん、人生は戦いやで?……必死にがんばって必死にもがいて最後まで生きろや……」
キバ「……あの時すごい苦しかったです」
影月「……へ?」
キバ「あの時のビンタも痛かったです」
魔法使い「……www」
影月「あれ?これ感動的な場面とちゃうの?」
キバ「とても苦しくて痛かったです。だから」
キバは影月に抱きつく。
キバ「いつか倍にして返します。だから、その時まで、影月さんもご無事で」
影月「……ははっwwあいよww」
103
--村--
農婦「これ……どうするの?もう、動かないんでしょうね?」
農夫「それもそうだが、あの子達昨日から帰ってきていないんだ!探しに行くぞ!!」
ガシュン
テンテン「システム、再起動」
農夫「!?こ、こいつまた!!」
テンテン「あー……死んだふりシステムはどうやら成功したようだな」
テンテンはきょろきょろとあたりを見回して呟く。
テンテン「さて、村が完全に崩壊する前に退けたわけだし、任務達成。というわけで皆の衆、あでゅー」
テンテンは発光しながら林の方へと飛んでいく。
農夫「……」
ガラン
農夫はくわを落とす。
104
--林--
シュイー
テンテン「確かここらへんに。お」
テンテンは林の中で眠る二人を見つけ、近くに降り立った。
テンテン(泣きつかれて眠っていたのか)
包帯少女「む……あ!!どうだった?」
包帯少女は飛び起きる。
テンテン「なんとか退いたようだ。だが村の被害も結構いってしまったな」
包帯少女「……そっか……」
テンテン(実は結構私が破壊してたんだけどな。不可抗力)
片足少年「ぐがー」
105
--林--
包帯少女「私達もあの後テンテンを追って村に行こうと思ったんだけど、突然すごい風が吹いて私達気を失っちゃったみたい」
テンテン「それはそれは……」(それも私のせいだな)
包帯少女「……あんだけ壊されちゃったら、忙しいんよね」
テンテン「そりゃぁ、家の修復作業から畑の整備やら、色々とやることはあるだろうな」
包帯少女「……っ!よし、私旅に出る」
テンテン「?なぜ突然」
包帯少女「ただでさえ大変なのに、私達がいたら迷惑がかかるもの。……私達大したことで役に立てないし……」
片足少年「んごー」
包帯少女「だから旅をして強くなって、なんでも出来るようになって、また帰ってくる!!お世話になって人達に恩返しができるように!
」
テンテン「……」
テンテンは少女の頬を伝う涙を見ている。
106
--街道--
キバ「……ねぇ魔法使い?」
魔法使い「あ?wwww」
キバ「本当に王国に帰らなくていいの?」
魔法使い「あんな国wwww帰りたくもねぇwwww」
キバ「……でも」
魔法使い「うwるwせwぇwwwwいいって言ったらいいんだよwww」
魔法使いはキバに向かい合って言い放つ。
魔法使い「まw暇だから一緒に旅してやんよwwww天才の俺様と一緒とかwww幸せもんだなwww」
キバ「……本当?……嬉しい」
魔法使い「うっ」
キバの上目遣い攻撃。
107
--街道--
キバ「じゃあそうだな……今すぐには行けないと思うけど、いつか、いつか私の生まれた町に行きたいな」
魔法使い「故郷かww」
キバ「うん。ほとぼりが冷めるまで流浪の旅だけど。……何年先になるかわからないけど、私の町の名産品を飲ませてあげる」
魔法使い「なんだそれ?wwペプシ?www」
キバ「違うよwりんごジュース。私の故郷は果物とかいっぱいなるんだよ。中でもおいしいのがりんご。そのりんごから作ったジュースが本当においしんだぁ」
魔法使い「ジュースとかマジガキwwwwwまぁ、仕方ねぇから飲んでやんよwww」
キバ「ふふ、どっちが子供なんだかww
数歩進んで魔法使いは立ち止まる。
魔法使い「おい、お前」
キバ「?え?」
魔法使い「お前……」
魔法使いは何かを言おうとしてやめた。
キバ「え?どうしたの?」
108
--街道--
魔法使い「……」
かつて魔法使いの最愛の人は、魔法使いの存在を否定した。
キバ「え?こらっ!どうしたの!?」
好かれようした努力は空回りで。
魔法使い「……」
魔法使いはずっと自分を必要としてくれる誰かが欲しかったのだ。
キバ「……こ、こわいんだけど……おーい?」
欲しかったものは守りたいと思えるもの。
魔法使い「……ふ」
魔法使いがずっと欲しかったのは
魔法使い「んでもねえーよwwwww」
自分のことを必要だと言ってくれるその笑顔。
キバ「あ、そうだ。私の前ではいいけど、他の人の前ではその笑い禁止ね」
魔法使い「……え」
かくして魔法使いとキバは旅をすることになる。
酒場で戦士募集したら勇者が仲間になった
番外編ss・魔法使いに大切なもの
完
月影って快楽殺人者なのになんでとっさに村人を助けようとしたの?
931:Qw0 ◆7b3JfpIY/2:2010/09/02(木) 01:45:11.93:8cpNZD20
>>911
えっと、月影はそうみせかけていただけ。魔法使いははやとちっただけ、ということで!
えー。やっとこさ番外編が終わりました!これからは本編に戻れますー。
では丁度いいので本日はこれにて終了とさせていただきます。
それでは質問、疑問などがありましたら書きこんでおいてください。
読んでいただき、ありがとうございました!!m(__)m
933:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/09/02(木) 02:03:26.70:er5f..SOえっと、月影はそうみせかけていただけ。魔法使いははやとちっただけ、ということで!
えー。やっとこさ番外編が終わりました!これからは本編に戻れますー。
では丁度いいので本日はこれにて終了とさせていただきます。
それでは質問、疑問などがありましたら書きこんでおいてください。
読んでいただき、ありがとうございました!!m(__)m
おお名前に負けてない番外だ
ちゃんと魔法使いに大切なのができるまでだったな
すげぇwwwwwwwwうぇww
しかしテンテンとかフラグが立ったな
勇者達にテンテンや魔法使いやアンシュがどう絡むか楽しむだわ
とにかく乙
ようやく本編か
1000:Qw0 ◆7b3JfpIY/2:2010/09/06(月) 12:42:43.13:sHejY2DOちゃんと魔法使いに大切なのができるまでだったな
すげぇwwwwwwwwうぇww
しかしテンテンとかフラグが立ったな
勇者達にテンテンや魔法使いやアンシュがどう絡むか楽しむだわ
とにかく乙
ようやく本編か
予告
出撃するテンテン。
配属される変化士と槍兵。
消滅するハッピーエンド。
強行される人造魔王の起動実験。
そして、
天空より飛来する黒い鎧の少女。
次第に壊れていく勇者達の物語は果たしてどこへと続くのか。
次回酒場で戦士募集したら勇者が仲間になった、弐
さーて、この次もサービスサービス。
※なお、予告と内容を変更させていただく場合がございます、あらかじめご了承ください。
続きはSS速報で連載中です。出撃するテンテン。
配属される変化士と槍兵。
消滅するハッピーエンド。
強行される人造魔王の起動実験。
そして、
天空より飛来する黒い鎧の少女。
次第に壊れていく勇者達の物語は果たしてどこへと続くのか。
次回酒場で戦士募集したら勇者が仲間になった、弐
さーて、この次もサービスサービス。
※なお、予告と内容を変更させていただく場合がございます、あらかじめご了承ください。
このサイトでもまとめていきます。









































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師範代はトップじゃないんだけど。