1以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/27(水) 19:23:48.22:gEuP9R3HP

    休日 秋山家、澪の自室

澪「熊が100頭、クマっちゃうー♪鮭に出会って、サケられたー♪」

カチ、カチ、カチ

澪「・・・駄目だ。こんな歌詞じゃ」

カチ、カチ、カチ

澪「もうこんな時間か。あー、間に合わないっ」

ピロピロピロッ♪

澪「・・・あっ。今、今書いてる。あさって。い、いや。明日までには必ずっ」

 
4以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/27(水) 19:25:48.99:gEuP9R3HP

澪「・・・ああ、ムギか。・・・いや、律が催促してきたかと思って。・・・期限は無いし怒られないけど、私的にちょっと」

カチ、カチ、カチ

澪「・・・今、時間良いかな?・・・そう。たまには一緒に作るのも良いかと思って。・・・うん、私の家に来てくれれば」

カチ、カチ、カチ

澪「ムギ。時計って、一体何のためにあるのかな」

 
5以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/27(水) 19:27:50.48:gEuP9R3HP

    同時刻、平沢家リビング

律「えいっ、おりゃっ」

ピピピ

唯「なんのっ、そやっ」

シャシャッ

律「うわーっ」

どかーん」

唯「やったー」

律「ちぇー、自爆しちゃったぜ」

唯「自爆熊爆発、自爆熊爆発、自爆熊爆発」

律「何だそれ、意味無いじゃん。だははー♪」

 
6以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/27(水) 19:29:59.03:gEuP9R3HP

憂「お疲れ様。ホットケーキ、焼けました」

唯「憂、ありがと♪」

律「さんきゅー。・・・んー、すごいふっくらしてんな」

憂「ヨーグルトを入れてみたんです。入れすぎると酸っぱいけど、上手く行きましたね」

唯「あー。ホットケーキには、やっぱりメープルシロップだね」

律「・・・澪の奴、今頃やってるのかな。また歌詞作ってるのかな」

唯「澪ちゃん、真面目だもんね。私達も練習する?」

律「いいな。ダンダダ、ダンダダ」

唯「ギュイーン、ギュギュイーン。・・・憂もエアセッションしようよ♪」

憂「え?」

唯「憂はエアオルガンね」

憂「オ、オルガン?・・・タラララーン、タラララーン?」

律「憂ちゃん、良いよー。ダダダン、ダダダン、ダダダダー」

唯「ギュギューン、音楽最高ーっ♪」

 
11以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/27(水) 19:32:01.60:gEuP9R3HP

    秋山家、澪の自室

チャッ、チャラー♪

澪「・打ち込み音源か。・・・良いメロディだな、うん」

紬「主旋律しか入力してないから、まだまだなんだけど」

澪「いや。私も曲を聴いて、イメージが出来てきたよ。これ、コピーして良いかな」

紬「勿論。他のパートも出来たら、メールで送るわね」

澪「・・・ここ、初めのフレーズをアレンジしているのか。ちょっと面白いな」

紬「あら、分かってくれた?」

澪「少し弾いてみようか。ムギは、パソコンで頼む」

紬「ここは移調してるから、ちょっと気を付けないとね」

澪「なんだか、楽しくなってきたぞ♪」

 
12以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/27(水) 19:34:03.39:gEuP9R3HP

    同時刻、鈴木家リビング

梓「暖かいね、あずにゃん2号は」 もふもふ

純「そんな名前じゃないってば」

梓「良いじゃない。私の中では、あずにゃん2号なんだから」

純「8時になったらどこに行くのよ。・・・と、私は行かなきゃ」

梓「もう?」

純「休日練習の日なのよ、今日は」

梓「休めないの?」

純「私だって休みたいよ。でもそうしたら、他の子が上手くなる訳じゃない。それってどう?」

梓「まあ、結構困るよね」

純「そういう事なのよ。はぁ」

 
14以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/27(水) 19:36:01.94:gEuP9R3HP

純「梓はこの後、どうするの?」

梓「特に予定も無いし、家に帰るだけだよ」

純「澪先輩達と練習したら?」

梓「自分からは言いにくいもん。それに先輩達は先輩達で楽しんでそうだから、私が割って入るのもね」

純「案外、気を遣ってるんだ」

梓「案外って何よ。あーあ。軽音部も、ジャズ研の半分くらい練習してくれればな」

 
15以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/27(水) 19:38:01.10:gEuP9R3HP

    平沢家、リビング

律「・・・ふー。熱いセッションだったぜ」

唯「燃えたねー♪」

律「その分、猛烈に虚しいけどな」

唯「たはは。エアセッションだからね」

憂「私、飲み物持ってくるよ」

唯「良いよ、憂。私が持ってくるから。りっちゃんは、何飲みたい?」

律「冷たい物なら、何でも良いよ」

唯「それなら、平沢スペシャル作っちゃおーかな」

律「・・・それ以外を頼む」

唯「そっか。残念だな」 すたすた

憂「お姉ちゃん、私はお茶で良いよ」

唯「分かった。りっちゃんはやっぱり、平沢・・・」 くるっ

律「よく冷えた、氷入りのグレープジュースを頼む」

 
17以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/27(水) 19:40:00.72:gEuP9R3HP

律「ふー、危ないところだった」

憂「お姉ちゃん、創作料理が好きですから」

律「創作、か。澪の創作活動はどうなってるのかな」

憂「気になります?」

律「唯が言ったように、生真面目な奴だからさ。自分の中で勝手に締め切りを作って、唸ってるんじゃないか」

憂「心配ですか?」

律「さあね。私はそれよりも、唯が平沢スペシャルを持ってこないか心配だよ」

憂「ふふ♪」

 
18以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/27(水) 19:42:07.61:gEuP9R3HP

    秋山家、澪の自室

    ボボーン♪

澪「・・・なかなか良いな」

紬「後は歌詞を付けるだけね」

澪「歌詞、か。・・・秋鮭、紅鮭、シャケラッチョ」

紬「え、えーと」

澪「私、知ってるんだ」

紬「え?」

澪「過ぎた時間は、決して戻ってはこない事を。あはは、はは、ははは・・・」

紬(こんな重い空気、生まれて初めてっ♪)

 
20以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/27(水) 19:44:24.69:gEuP9R3HP

紬「私達だけだと煮詰まっちゃうから、誰か呼んだ方が良くない?」

澪「梓を呼ぼうか。多分、真剣に考えてくれると思うから」

紬「それって、余計に煮詰まらない?」

澪「大丈夫。煮詰まるのは、お鍋でコトコト3時間。ふんわり小豆の出来上がりだ」

紬「歌詞が浮かんだの?」

澪「私、何か言ってたか?」

紬(突っ込みたいっ。でも、突っ込み方が分からないっ♪)

 
22以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/27(水) 19:46:20.32:gEuP9R3HP

    30分後

梓「お邪魔します」

澪「ああ。メロディはムギが作ってくれたから、後は歌詞を作るだけだ。もう少し待っててくれ」

梓「期限は特に無いですよね」

澪「だからって、いつまでも先延ばしする訳にも行かないだろ。よく煮たお餅は良く伸びる、もっちりもちもちモチベーションだ」

梓「それ、新しい歌詞ですか?」

澪「私、何か言ったか?」

梓「・・・私の聞き間違いでした」

澪「ぷっ、変な奴だな」 くすっ

梓(相当追い詰められてるな、澪先輩。でも、動物ネタに走ってないだけましか)

澪「あーり、さんかく、ひつーじ、あーり、さんかく、ひーつじ。・・・うん、調子出てきたっ」

梓(全然訳分かんないし、でも何かイメージ出来ちゃうし)

紬「うふふ♪」

 
24以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/27(水) 19:48:28.13:gEuP9R3HP

    平沢家リビング

律「うーん、ゲームはもう良いか」

唯「そだね。・・・あずにゃん、何してるのかな」

憂「家でゆっくり休んでるよ、きっと」

律「よし。梓にメールだ。・・・今、何してる?え?どうしてそんな事聞くのかって?私、梓の事が気になって仕方ないんだ♪・・・送信と」

唯「ふざけすぎだよ、りっちゃん。怒られちゃうよ」

律「梓が怒る訳無いだろ。・・・と、帰ってきた」

憂「なんて書いてあります?」

律「……ふざけるな、デコ」

唯、憂「えっ」

 
25以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/27(水) 19:50:30.95:gEuP9R3HP

律「by、澪とある」

唯「ああ、澪ちゃんと一緒にいるんだ」

律「ちぇっ。向こうは向こうで楽しんでやがるな」

唯「私もメール送ろっと。澪にゃん、澪にゃん。今日から、澪にゃんって呼んで良い?・・・送信と」

律「もう呼んでるじゃんよ」

唯「えへへー。あ、返ってきた」

憂「なんて書いてある?」

唯「おっけーでーす♪」

律、憂「えっ」

 
26以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/27(水) 19:52:30.55:gEuP9R3HP

唯「byムギにゃんだって」

律「ムギにゃん・・・、じゃなくてムギもいるのか。何やってるのかな、あいつら」

唯「間違っても、エアセッションはやってないだろうね」

憂「もしかして、曲作ってるのかも」

唯「あ、それはあるかも」

憂「お姉ちゃん達も、応援に行ってみれば?私、差し入れ作るね」 すたすた

 
28以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/27(水) 19:54:31.69:gEuP9R3HP

律「澪の奴、自分一人だけ楽しみやがって」

唯「でも曲を作るのは、澪ちゃんとムギちゃんだよね」

律「おう」

唯「私達って、一体何なのかな」

律「・・・少なくとも、演奏時には必要だぞ」

唯「演奏して無い時の私達って、何なのかな。もしかして、単なる賑やか・・・」

律「あはは、何言ってるんだよ。私達は、そこにいるだけで良い存在なんだよ」

唯「そかな。本当に、そかな?」

律「唯、真面目になったら負けだ。ドラムは打ち込みの音源だけで十分なんて思うのは、絶対良くないぞ」

唯「私、変な汗が出てきたよ」

律「私なんて、目から出てきそうだよ」

 
29以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/27(水) 19:56:29.65:gEuP9R3HP

    秋山家、澪の自室

澪「・・・駄目だ、全然良いアイディアが出て来ない」 ぐったり

梓「大丈夫ですか、澪先輩」

紬「澪ちゃん、根を詰め過ぎじゃなくて?」

澪「・・・コンコンコン。キツネキツツキ北杜夫」

梓「えーと、今のは」

澪「駄目だ」

梓「そうですよね」

紬「明るいイメージはどうかしら。マンボみたいに、燦々と太陽が降り注ぐような」

澪「・・・さんさんさん。サンマサワガニ斎藤宗吉。・・・駄目だっ」

梓(斎藤宗吉って、誰)

 
30以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/27(水) 19:58:32.58:gEuP9R3HP

澪「うーん、うーん、うーん」 ぐったり


紬「空気が重いわねー♪」 ぽそっ

梓「・・・ムギ先輩は平気なんですか?」 

紬「今まで味わった事がないから、むしろ新鮮なのよね」

梓「私は倒れそうなんですが。・・・ムギ先輩は曲を作る時、あまり悩みません?」

紬「そういう時は庭を散歩してみたりして、気分転換するの。私の場合、無理をするのは良くないみたい」

梓「澪先輩は、性格的に無理するタイプっぽいですからね」

紬「でもそうやって頑張るのが、澪ちゃんの良い所じゃないかしら」

梓「はいです♪」

 
33以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/27(水) 20:00:30.15:gEuP9R3HP

澪「・・・イルカだよ。クジラじゃないよ、イルカだよ。イルカとクジラの違いはね。体の大きさだけなんだ♪」

梓(だったら一緒だし、もはや歌詞でもないし)

澪「・・・違う。何かが違う。梓は、何が違うと思う?」

梓(何もかもが違うと思う)

澪「どう思う?」 ずいっ

梓「え、えと。その、あの」

紬「取りあえず、少し休憩しましょうか。お菓子も持ってきてあるし♪」

澪「・・・そうだな。ちょっと休むか。私、お茶持ってくる」 とたとた

梓(やっぱりムギ先輩は気が利くなー。良い匂いがする訳だよ♪) くんかくんか

 
34以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/27(水) 20:02:31.57:gEuP9R3HP

澪「あー、うー。むーん」 ぐったり


梓(やはり、重い)

紬「・・・唯ちゃん達を呼ぼうか?あの二人がいれば、空気も和むだろうし」 ぽそっ

梓「澪先輩、怒りませんか?」

紬「きっとは大丈夫だと思う。それに何かあったら、私が怒られるから」

梓「ムギ先輩♪」


澪「・・・やっぱり、万葉集から紐解いてみるか。なんといっても、歌の元祖だからな。・・・熱田津にー♪船乗りせむとー♪」

梓(遡りすぎだし、吟じ出しちゃったし)

紬「はー。よいさー、よいさっ♪」 ぱん、ぱん

梓(合いの手入れる事じゃないし) ぱん、ぱん

 
36以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/27(水) 20:04:32.54:gEuP9R3HP

    平沢家リビング

  ピロピロピロ

律「お、ムギからメールだ。・・・今すぐ、澪ちゃんの家に来て下さい。お菓子あり。だって」

唯「おおっ。行く前に、向こうからお呼びが掛かったよ」

律「結局さ、私達の力が必要だって事なんだよ」 

唯「出ちゃう?私達の隠されてた能力が発揮されちゃう?」

律「されちゃう、されちゃう。いやー、参ったな。ムギがそこまで言うなら、行くしかないか」

憂「ロールケーキ出来たよ。・・・ムギさんに呼ばれたって聞こえてきたけど」

唯「憂、ありがと♪私達、澪ちゃんの家に行ってくるね。だって私達、必要とされてるから」

律「もう、私達じゃないと駄目なんだって感じだよ」

憂「ふふっ。律さん、頑張ってきて下さいね。お姉ちゃんも♪」

唯「憂、お姉ちゃんはやってくるよ♪」

律「待ってろよー、澪。私達の本気って奴を見せてやるぜ」

 
38以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/27(水) 20:06:28.52:gEuP9R3HP

    秋山家、澪の自室

澪「・・・」 じろっ

律「よ、よう。調子はどうだ?」

唯「・・・なんか、重くない?」

律「気のせいだ。気にしたら負けだ」

唯「でも澪ちゃんに睨まれてると、石になりそうなんだけど」

律「ぐっ。そ、それで、歌詞はどのくらい出来た?」

澪「・・・夢オチって知ってるか」

律「へ?」

澪「話の最後に、「じつは全部夢でした」ってオチになる事だ。つまりさ今は、全部夢の中の出来事。目が覚めれば、私達は明日から高校生なんだよ。律、私達は同じクラスになれるかな」

唯「私の予想だとね。1年は同じで、2年が別々。3年で、また一緒になると思うよ」

律「話は良く分かったから、二人とも今すぐ顔を洗ってこい」

紬(この突っ込み、待ってましたっ♪)

 
39以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/27(水) 20:08:36.65:gEuP9R3HP

  カチャ

唯「お待たせー」

澪「ふー、少しさっぱりした」

律「よーし、まずはみんなで深呼吸だ。行くぞー」 すーはー、すーはー

唯「リラックス、リラックス」 

紬「ほら、澪ちゃんも」

澪「ん、ああ」 すーはー、すーはー

梓(満喫、満喫♪) くんかくんか

 
40以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/27(水) 20:10:28.27:gEuP9R3HP

    5分後

澪「うーん、むーん。あー」 ぐったり


梓「結局、元に戻っちゃいましたね」

律「真面目な奴は、これだから困る」

唯「あずにゃんは大丈夫?」

梓「私はそこまで思い悩んでませんよ」

唯「よかった。それを聞いて、お姉ちゃん安心したよ」

梓「誰がお姉ちゃんなんですか。・・・まあ、その。お気遣いありがとうございます」 ぽそっ

紬「うふふ♪」

 
41以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/27(水) 20:12:30.33:gEuP9R3HP

律「よー、澪。改めて、調子はどうだ」

澪「見ての通りだ」

律「鮭とイルカ?水族館がテーマか、今度の曲は」

澪「良いから、少し静かにしてろ」

律「はいはい」 もみもみ

澪「何してる」

律「肩揉んでる」

澪「頼んでないぞ」

律「私が勝手にやってる事だよ」

澪「・・・勝手にしろ。・・・もう少し右」

律「へいへい」

 
42以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/27(水) 20:14:30.05:gEuP9R3HP

梓「ムギ先輩が言った通り、少し和んできましたね」

紬「唯ちゃんとりっちゃんのお陰よ。二人とも、ありがとう」

梓「唯先輩は、何もしてませんけどね」

唯「あずにゃん、しどいよ。・・・これ、今度の曲の譜面?」

紬「ええ、主旋律しか出来てないけど」

唯「・・・なんか、難しそうだね。私のパートはじゃじゃーんとか、だだーんとか。簡単なのでお願い」

梓「駄目ですよ。たまには唯先輩がサイドギターで、リズムも取って下さい」

唯「ひ、ひぃ。あずにゃんお慈悲を。お慈悲をっ」

紬「そういう事も含めて、みんなで話し合おうか」

唯、梓「おーっ♪」

 
43以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/27(水) 20:16:27.95:gEuP9R3HP

律「私達って、バンドやってるんだよな」 もみもみ

澪「急に、どうした」

律「昔はテレビで観て、ただ感動してただけじゃん。格好いいなとか、上手いなとか」

澪「ああ」

律「それが自分の楽器を持って、それを演奏して。曲まで作っちゃってさ。時が流れたなって思っちゃった訳」

澪「何才なんだよ、一体」 くすっ

律「全くだ」

澪「確かに、急ぎすぎる事も無いか。・・・ありがとう、律」

律「ん?澪ちゃん、何か言った?」 ぐいっ

澪「気のせい、だ」

 
45以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/27(水) 20:18:40.29:gEuP9R3HP

紬「たまには、違う楽器を取り入れてみるのも面白いと思うのよね」

唯「でも私、ギターしか弾けないよ」

梓「右に同じです」

紬「そうかー。良いアイディアだと思ったんだけど」 しょんぼり

唯「・・・ちょっと待って。それ、良いアイディアッ」
 
梓「な、何がですか」

唯「違う楽器を取り入れるのが。ムギちゃんナイス♪」

紬「私、喜んじゃって良い?」

唯「私が許します」

紬「わーい♪わーい♪」

梓(なに、この幸せ感♪)

 
46以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/27(水) 20:20:29.70:gEuP9R3HP

唯「りっちゃん、りっちゃん。ちょっと、こっち来て」

律「ん、なんだ?」

唯「「ムギちゃんが、ナイスアイディア賞を受賞したよ」

律「全然意味分からん」

唯「違う楽器。今度の曲、違う楽器を使うから」

律「楽器だ?私、ドラムしか叩けないぞ」

唯「その突っ込み、待ってましたっ」

 
47以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/27(水) 20:22:36.06:gEuP9R3HP

紬「・・・もしかして?」

梓「ドラムとは別な打楽器って事ですか?」

唯「そう、それっ。勿論ドラムとは演奏法が違うから難しいだろうけど、間奏や前奏で取り入れるのは良いかなと思って」

律「なるほど、な。それは確かに、面白いかも」

梓「タンバリンなんてどうですか?買っても安いですし」

唯「良いね。タンバリンを叩きながら踊るりっちゃんなんて」

紬「私、ビデオ撮らなきゃ♪」

律「おいおい、盛り上がりすぎだろ♪」

 
48以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/27(水) 20:24:42.70:gEuP9R3HP

紬「後は澪ちゃんが、もう少しリラックスしてくれると良いんだけど」

梓「・・・私、一つ提案があります」

唯「はい、中野さんっ」 びしっ

梓「え、えと。その。今回は、歌詞無しというのはどうですか?」

律「インストルメンタルか。・・・それはそれで、面白そうだな」

紬「澪ちゃんの負担は減るわよね。ただ、逆に気を悪くしないかしら」

梓「ええ。・・・そこは私が、澪先輩に」

 
49以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/27(水) 20:26:32.99:gEuP9R3HP

唯「まあまあ。あずにゃんや、肩の力を抜きんさい」 もみもみ

梓「え」

唯「心配しなくても大丈夫だよ」

梓「唯先輩」

唯「そういう事は、りっちゃんが言ってくれるからね」

律「私に振るんかいっ」 ぽふっ

紬、梓「あはは♪」

 
50以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/27(水) 20:28:32.93:gEuP9R3HP

紬「それは冗談にしても、だったら歌詞に代わる何かが必要よね」

梓「・・・例えば、ハミングとかどうでしょう」

唯「湧き出てくるね、あずにゃん」

律「いっそ、全員タンバリンとハミングとかな」

紬「振りも付けて、踊ったり?」

梓「でも澪先輩が、軽音部っぽくないって怒りませんか?」

唯「いや。これは絶対楽しい曲になるよ。だから私達のやる事は、絶対軽音部なんだよ」

梓「唯先輩♪」

 
51以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/27(水) 20:30:30.91:gEuP9R3HP

澪「・・・やっぱり、もう少し和歌を紐解いてみるか。・・・かがやけるー♪ひとすじの道ー♪」


律「・・・吟じ出したけど、大丈夫か」

唯「音楽は悩む物じゃない。楽しむ物だって、澪ちゃんに改めて分かってもらおうよ」

梓「あまり悩まないのもどうかと思いますけどね」

唯「うぐっ」

紬「まあまあ。和歌だけに、澪ちゃんも梓ちゃんも分かってくれるわよ」

唯「ムギちゃーん♪」

律「茂吉先生も真っ青だな、おい」

 
52以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/27(水) 20:32:31.12:gEuP9R3HP

律「となると、天の岩戸作戦か」

紬「誰かが服を脱ぐって事?」 きらきら

唯「あずにゃんが、まさに一肌脱ぐのかな」

梓「えっ」 びくっ

律「いや、誰も脱がないから。そうじゃなくて、楽しい事をやって澪の気を引くって意味さ」

唯「楽しい事。・・・やっぱり、あれ?」

律「そう。セッションだ」

梓「でも、澪先輩のベースしかありませんよ」

唯「あずにゃん、心だよ。楽器とは、心で奏でるのだよ」

律「少しイラっとくるが、唯の言う通りだ。つまりは、エアプレイさ」

 
54以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/27(水) 20:34:32.30:gEuP9R3HP

梓「エア?」

紬「プレイ?」

律「要は、アクションだけで演奏するって事。例えばギターなら、・・・ギュイーンッ。ギュギュギュイーン」

紬「わぁ、面白そう♪私もギターやって良い?」

律「おう、やれやれ。梓も入って来いよ」

紬「私、サイドギターやりまーす。ギュン、ギュギュ。ギュン、ギュギュ」

唯「私、和太鼓ー。ドンドドッコ、ドンドドッコ」

梓(エアギターって、口で音を出すんだっけ?)

唯「国崎最高ーっ」

律「うん、そのAIRじゃないから」

 
55以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/27(水) 20:36:40.95:gEuP9R3HP

澪(・・・私、何やってるんだろう。曲を作るため?でも何のために曲を作ってるんだろう。結局は自己満足。私の独りよがり・・・)

唯「ぴーひゃららー、ひーぴゃららー」

梓「ポンポロリン、ポンポロリン」

澪(私は一体・・・)

律「ベンベン、ベンベン」

紬「ジャーン、ジャーン、ジャーンッ」

澪(・・・一体、何が起きてるんだ?)

 
56以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/27(水) 20:38:31.24:gEuP9R3HP

律「澪、今度の曲は歌詞いらないから」

澪「え?」

律「その代わりに、違う楽器に挑戦だ。その練習するから、澪も来いよ」

澪「来いって、、どこへ」

唯「セッション、セッション。エアセッション」

澪「意味が分かんないし、私は今・・・」

 
57以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/27(水) 20:40:33.81:gEuP9R3HP

紬「澪ちゃん、楽しみましょ♪」

澪「楽しむ?」

梓「やってやるですっ」

澪「・・・そうだな。私もやってみるか。でも一体、何をどうすれば」

唯「自分がやりたい事を、やりたいようにすれば良いんだよ」

澪「私のやりたい事・・・。それはやっぱり」

 
58以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/27(水) 20:42:35.40:gEuP9R3HP

澪「・・・ボーン、ボーン。ボボーン」

律「結局ベースかよ」

紬「でも、そういう所澪ちゃんらしいわね」

梓「はいですっ♪」

 
59以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/27(水) 20:44:29.95:gEuP9R3HP

律「楽しいか、澪」

澪「今日だけだからな、こんな事するのは。明日からはまた歌詞を考えて、練習もちゃんとして」

律「全く、真面目な奴め」

澪「真面目のどこが悪いんだ。・・・明日からじゃない。今日は徹夜で歌詞を考えるぞ」

律「おうおう、張り切っちゃって」

澪「お前も一緒に考えるんだ」

律「ちぇー♪」

 
60以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/27(水) 20:46:28.55:gEuP9R3HP

唯「私も一緒に考えるよ」

梓「及ばずながら、頑張ります」

紬「だって、みんなの曲だものね♪」

律「澪、聞いたか」

澪「う、うるさいな。・・・そ、その。これからは、行き詰まったらすぐみんなに相談するよ」

紬「うふふ♪」

 
61以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/27(水) 20:48:32.10:gEuP9R3HP

律「澪も素直になった事だし、まずは鮭とイルカの意味について教えてもらうか」

澪「これはこれで良いんだよ。次の次の曲には、絶対採用する」

梓「・・・冗談、ですよね」

澪「梓。今まで私が、冗談を言った事なんてあるか?」

梓「は、はは。あはは」

紬「なんだか、楽しくなってきたわね♪」

律「私は、めまいがしてきたよ」

 
62以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/27(水) 20:50:33.23:gEuP9R3HP

唯「でもその歌詞は澪ちゃんっぽくて。軽音部っぽくて、良いと思うよ」

澪「ありがとう、唯♪禍転じて福となす。これからは、動物ネタで押していくぞー♪」

律「勘弁してくれよー」

紬、梓「あはは」


   
                                終わり

 
63以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/27(水) 20:51:37.96:gEuP9R3HP
ここまでお読み頂き、ありがとうございました。
私のイメージでは澪が努力型で、今回のように悩みに悩んで作り上げるタイプ。
対してムギは天才型。気付いたら作曲が完成しているタイプですね。
ちなみにテーマとしては、「エアプレイって何」でした。

 
66:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/27(水) 20:53:56.89:Lzq75ezD0
乙です
くんかにゃん今回は割りと自重してたなww

 
68:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/27(水) 20:56:45.39:RUOT554/O

肩の力を抜くのは大事だよね

 
76:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/27(水) 21:22:02.22:c/wDXtYh0

楽しそうなのは伝わってきた

 


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