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1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/19(木) 21:19:49.61:a3q/QF6/0
犬「こんな所でどうしたの?」
少年「うん、ここがどこだか分からないんだ」
犬「ふーん、どこから来たの?」
少年「・・・あれ?どこだろう?」
犬「分からないの?」
少年「・・・うん」
犬「そっかぁ、じゃあ一緒に探してあげるよ!」
少年「いいの?」
犬「うん、もちろん!」
少年「あ、ありがとう!」
兎「ありがとウサギ~」ポポ~ン
少年「わっ!だ、誰!?」
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3:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/19(木) 21:21:50.09:a3q/QF6/0
犬「ありがとウサギ、僕の仲間なんだ!」
少年「そうなんだ、こんにちわ!」
兎「こんにちワン!何してるの?」
犬「この子のお家を探してあげるところなんだ」
兎「へぇ~、そうなんだぁ」
少年「でも、家がどこだか分からなくって・・・」
兎「う~ん、そっかぁ」
兎「あ、じゃあさ!ひとまず、私達のテントにおいでよ!」
少年「テント?」
犬「あ、それがいいね!」
少年「二人はテントにすんでるの?」
犬「それは着いてのおたのしみ!さ、行こう!」
4:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/19(木) 21:23:50.69:a3q/QF6/0
少年「うわぁ~、おっきいテントだね~」
犬「ほら、ここから中に入りなよ!」
兎「入ったら、一番前の席に座ってね!」
少年「席?」
犬「入ればわかるよ!それじゃあ、僕らはあっちからだから!」
兎「楽しんでねぇ~!」
少年「あ!待って!・・・行っちゃった」
少年「ここから入ってって行ってたっけ」
少年「お、おじゃましま~す・・・」
少年「わぁ!」
5:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/19(木) 21:24:22.49:TEha84x70
少年が中に入ると、目の前には大きなステージとずらりと並んだイスがありました
そう、ここは、動物サーカスのテントだったのです
少年「すごいなぁ!」
少年はなんだかワクワクしてきて、言われたとおりに一番前の席に座りました
すると、突然あたりがまぶしいくらいに明るくなり
楽しげな音楽が流れてきたのです
少年「何がはじまるんだろう?」
少年がキラキラと目を見開いて、ステージを見つめていると
大きなシンバルの音と共に、さっきの犬が飛び出てきました
それと同時に、反対側から大きなボールが転がってきます
犬はそれに、ピョーンと勢いよく飛び乗ると
うまく前足を使いながら、コロコロ、コロコロと玉乗りを始めました
ステージをぐるりと回ると、今度は玉の上で飛んだり跳ねたり
宙返りをしてみたりしました
少年はすっかり夢中です
8:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/19(木) 21:27:51.70:a3q/QF6/0
そうしているうちに、音楽が変わり、ゆっくりとしたワルツが流れ始めました
そして今度は、兎がつま先立ちで、トコトコと現れました
兎はとてもきれいなダンスを踊りました
ピョン、と跳ねて、クルクルと回って
まるで風になったかのように、フワリフワリと踊ります
少年「すごい、きれいなだぁ!」
少年はまたしても、キラキラとした目を見開いて
ステージに釘付けになってしまいました
9:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/19(木) 21:29:52.15:a3q/QF6/0
その後も、火の輪くぐりや手品、おもしろいお芝居など
楽しい曲芸がくりひろげられて行きました
少年は、動物達が飛んだり跳ねたりするたびに
それはもう、大きな拍手をおくりました
楽しい時間はあっと言う間に過ぎ
動物達がずらりと並んで、おじぎをすると
キラキラした花火がステージから噴水のようにあがり
サーカスはおしまいになりました
少年は、ずっと拍手をしていたので、手がヒリヒリしていました
でもそんな事は忘れ、サーカスが終わっても
拍手をおくり続けました
10:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/19(木) 21:31:52.83:a3q/QF6/0
テントがふっと明るくなり、犬がトコトコと出てきました
犬「僕達のサーカス、どうだった?」
少年「すっごく楽しかったよ!皆すごいね!」
犬「ありがとウサギ!僕も楽しんでもらえてうれしいよ!」
少年「こんなに楽しいのに、ほかにお客さんはいないの?」
犬「うん、僕らのサーカスは、お客さんが一人でも居れば、いつでもやるんだよ」
少年「じゃあ、今日は僕だけのサーカスだったんだね!すごいや!」
少年はうれしくてうれしくて、おおきくバンザイをしました
13:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/19(木) 21:33:53.31:a3q/QF6/0
犬「ねえ、せっかくだから、皆に会っていかない?」
少年「いいの!?」
犬「もちろんさ!今日は君だけのサーカスだからね!」
少年「わぁ!じゃあ皆に会いたい!」
犬「よかった!じゃあこっちにおいでよ!」
犬はステージから飛び降りると、少年の手をひいて
ステージの奥の方へと案内しました
奥にあった幕をくぐると
さっきの動物達が拍手で出迎えてくれました
動物達「魔法の国の動物サーカスへようこそ!!」
14:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/19(木) 21:34:51.90:EPU2GxLd0
ライオン「サーカスはおもしろかった?」
少年「とってもおもしろかったよ!」
ウナギ「ホホッ、うれしいねぇ」
鼠の子「ねぇねぇ!僕のつなわたりはどうだった!?」
少年「うん!すごかったよ!」
鼠の子「うわぁい!ほめられちゃった!」
鼠の母「コラ!そんなにはしゃがないの!」
スカンク「そうだぞ!悪い子にはプーッってしちゃうぞ!」
鼠の子「わぁー、いやだー!」
その後も、皆、少年をやさしく出迎えてくれました
17:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/19(木) 21:37:54.07:a3q/QF6/0
犬「ねえ皆!ちょっと手伝って欲しいことがあるんだ!」
動物達は、いっせいに犬の方を見ました
犬「あのね、この子、自分のお家に帰りたいんだって」
犬「だから、お家を探すのを手伝って欲しいんだ!」
「もちろんさ!」「いいとも!」
動物達はすぐさま賛成してくれました
マンボウ「じゃあ~そのまえに~、君の事をおしえてほしいなぁ~」
少年「僕のこと?」
ワニ「そうそう!せっかくだから仲良くなった方が、探すのも楽しいダロ?」
少年「うん、そうだね!僕も皆と仲良くなりたいな!」
スカンク「よっし!決まりジャン!」
そうして、少年は動物達とお話を始めました
18:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/19(木) 21:38:06.03:4Nq37vJUO
犬「ねえ、君はいつも『こんにちわ』って言ってる?」
少年「うん!ちゃんと言ってるよ!」
犬「そっか!じゃあ君には、仲のいい友達がいるんだね!」
少年「うん!いっぱい居るんだ!」
犬「そうかぁ!今度会いたいなぁ!」
少年「お家に帰ったら、皆をつれてくるよ!」
犬「うん!ぜひ見に来てね!」
少年は、友達とここへ来ることを想像して、ワクワクしました
23:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/19(木) 21:41:55.09:a3q/QF6/0
兎「ねえ、じゃあさ、『ありがとう』は言ってる?」
少年「うん!もちろんだよ!」
兎「よかった!じゃああなたを助けてくれる子がいるんだね!」
少年「うん!たくさんいるよ・・・でも・・・」
兎「でも?」
少年「・・・あれ?でも、何だろう?」
少年は、不思議と胸がしめつけられる感じがしました
兎「もしかして、ありがとうって言ってない人がいるのかな?」
少年「・・・そんなことはないと思うんだけどなぁ」
やっぱり、胸がしめつけられる感じは消えません
24: 忍法帖【Lv=9,xxxP】 :2011/05/19(木) 21:42:52.34:ROAll0970
ワニ「『こんばんわ』は?もちろん言ってるダロ?」
少年「うん、言ってるよ」
ワニ「夜になっても、君に会いに来てくれる人がいるのはいいことジャないか!」
少年「そうだね、皆優しいんだ!」
ウナギ「ホホッ!それなら『おはよう』もかな?」
少年「もちろん!」
ウナギ「ホホホッ!では、朝も君を待ってる人がいるのだねぇ」
少年「お父さんやお母さん、友達も、みんなそうなんだね!」
少年「そっかぁ、うれしいなぁ!」
少年は、お父さんやお母さん、友達、皆が恋しくなりました
29:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/19(木) 21:45:56.65:a3q/QF6/0
サイ「・・・『おやすみ』はぁ?」
少年「毎日忘れずに言ってるよ!」
サイ「・・・じゃあ、君は寝るまでぇ、一人ぼっちじゃないんだぁねぇ」
少年「そうだね、そうなんだぁ」
少年はなぜか、だんだんとさびしい気持ちになってきました
ライオン「じゃあ『さよなら』はどう?」
少年「言ってるよ・・・でも、何か忘れてるような・・・」
ライオン「それならきっと、さよならを言いたい人がいるんじゃない?」
少年「う~ん・・・誰だろう?」
少年のさびしい気持ちは、どんどんふくらんでいきました
31:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/19(木) 21:47:57.00:a3q/QF6/0
少年がなんだかさびそうな顔をしていたので
動物達は少年を心配して、楽しい話をはじめました
でも少年は、何かを忘れているような気がして、楽しめませんでした
すると突然、犬が大きな声で言いました
犬「そうだ!あの歌をみんなで歌おうよ!」
「そうだ!」「それがいいね!」「やろうやろう!」
動物達はうれしそうにそう言いました
少年「あの歌?」
犬「うん、僕達の新しい出し物なんだ!君も一緒に歌おうよ!」
少年「僕も?」
犬「そうさ!歌えばきっと、たのしい気持ちになるはずだよ!」
犬はそういうと、動物達に合図をしました
動物達はオルガンをひっぱりだし
そして一列にならびました
34:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/19(木) 21:49:58.13:a3q/QF6/0
犬「それじゃあ、まずは僕達で歌うから、覚えて一緒にうたってね!」
犬「それでは、皆、行くよ!『魔法のことば』!」
犬の合図で伴奏がはじまりました
動物達の顔はもう楽しそうです
少年は、動物達の歌を、だまって聞いていました
動物達は、かわるがわる歌います
少年は歌をきいているうちに、だんだんと楽しい気持ちになってきました
そして、何かを思い出しそうな、そんな気もしました
38:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/19(木) 21:51:58.58:a3q/QF6/0
動物達の歌がおわると、今度は少年も一緒に歌う事になりました
簡単な歌だったので、少年もすぐに覚えました
皆で歌って、いっしょに踊りも考えました
そして、新しい出し物が完成しました
少年「あっ!」
犬「どうしたの?」
少年「・・・僕、お家に帰らなきゃいけないんだった」
犬「あっ!そうだった!」
兎「楽しくてすっかりわすれちゃってた!」
きっと皆が心配しているだろうな
そんな気がして、少年は思わず声をあげてしまったのでした
するとその時
ステージの方が、ふっと暗くなりました
39:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/19(木) 21:53:57.22:edzJCTlI0
犬「あ、お客さんが来たみたいだ!」
ワニ「ジャあ、サーカスの開幕ダナ!」
鼠の子「がんばるぞー!」
マンボウ「でもぉ~お家さがしはぁ~?」
ライオン「そうだね、どうしようか」
少年「じゃあ僕、終わるまで待ってるよ」
兎「でも、けっこう長いよ?」
少年「大丈夫だよ!だって、皆のサーカスを待ってるお客さんもいるし」
犬「それなら、君も一緒に、サーカスにでようよ!」
少年「えっ!?」
犬の提案に、少年はびっくりしました
42:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/19(木) 21:55:59.34:a3q/QF6/0
犬「ほら、さっきの歌があるでしょ?あれに君も一緒にでるんだよ!」
サイ「・・・それならぁ、君もぉ楽しいかもぉ」
少年「で、でも」
兎「大丈夫!さっきも歌ったでしょ!」
ウナギ「ホホッ!新しい仲間の誕生だな!」
少年「でもぉ・・・」
犬「大丈夫だよ、歌はサーカスの最後にしておくから」
犬「その間に、準備しておこう!僕らだって、仲間は多いほうが楽しいんだ!」
少年「・・・うん、わかった。がんばるよ!」
兎「やったぁ!」
少年は、はじめてのサーカスに
なんだかはずかしいような、こわいような
そんな気持ちになりました
46:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/19(木) 21:57:59.74:a3q/QF6/0
そうしてサーカスの幕はあがり
少年がさっき見たように、動物達はいろんな芸を披露していきます
少年は、やっぱり動物達の芸に夢中になって
もうはずかしいような、こわいような
そんな気持ちは忘れてしまっていました
それどころか、皆と一緒に歌を歌うのが
楽しみにさえなっていたのです
そして、一度、ステージが暗くなり
ついに最後の出し物の番がやってきました
47:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/19(木) 22:00:00.19:a3q/QF6/0
犬「さぁ、こっちだよ!」
こちら側に来たときのように犬に手を引かれ
少年はステージの真ん中にやってきました
客席は暗くてよく見えません
でも、サーカスを楽しんでいるお客さんがいるのを思うと
少年はワクワクしてきました
オルガンの伴奏が始まり
ステージの照明がパッと明るくなりました
最後の出し物
『魔法のことば』の始まりです
49:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/19(木) 22:02:00.61:a3q/QF6/0
少年「こんにちわ」
犬「こんにちワン!」
まずは犬が玉乗りをして登場です
少年「ありがとう」
兎「ありがとウサギ!」
次に兎がクルクル回りながら登場しました
少年「こんばんわ」
ワニ「こんばんワニ!」
その次はワニです
おどけたワニがステッキを振りかざして登場しました
少年「さよなら」
ライオン「さよなライオン!」
ライオンはたてがみを大きく広げて、手を振るしぐさをしました
53:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/19(木) 22:04:01.07:a3q/QF6/0
歌いながら、少年は、だんだんと思い出してきました
それは、ここに来る前の事でした
___________
「ねぇー、風邪、大丈夫?」
「うん、なんとかね・・・ックシュン!」
「ほら、ちゃんと布団かぶって寝てなきゃー」
女の人が、自分を看病していました
薄着をして寝てしまった為、自分は風邪をひいていたのです
「春って言ったって、夜はまだ冷えるんだからね?」
「分かってるよ」
女の人はまるで母親のように、自分に言い聞かせました
「お前、母親じゃないんだからさ、そんな小言いうなって」
「何それー、ひどーい」
そう言いながら、女の人は笑いました
55:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/19(木) 22:06:03.45:a3q/QF6/0
女の人は、自分が風邪気味だと連絡すると、すぐにやって来ました
その手には飲み物と食べ物が沢山入った、スーパーの袋を提げていました
「風邪ひくと、寂しくなるでしょ?今日は看病してあげるからさ」
女の人は、やれやれ、というように
テキパキと袋の中身を冷蔵庫に移し変えています
「なんか、悪いな」
「もう、気にしないでよ。いつもの事だし、慣れてるよ」
女の人は、自分が小さい頃から、何かと世話を焼いてくれるのでした
小学校の頃に、39度の熱を出して寝込んだ時も
中学校の頃に、部活で無茶をして骨折した時も
高校の頃に、勉強について行けず、悩んでいた時も
女の人は、いつも心配してやって来てくれたのでした
58:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/19(木) 22:08:03.80:a3q/QF6/0
「あのさ・・・」
「んー?なぁに?」
「・・・いや、何でもない」
「何よー、途中で言うの止めるの、悪い癖だよ?」
自分は、たまには感謝の声をかけようと思うのですが
言おうとすると、途端に気恥ずかしくなって
つい、言うのを止めるのでした
「ま、長い付き合いだし、いいけどさ!」
そうするといつも、同じ台詞で、女の人は笑うのでした
60:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/19(木) 22:10:05.39:a3q/QF6/0
「じゃあ、ちょっと夕飯の買い物、行ってくるから」
「ああ、すまん・・・ックシュン!」
「いいのいいの!ほら、夕飯出来るまで寝てなさいって!」
「それじゃあ行って来るねー!」
「ああー、頼むー・・・」
女の人は、自分が夕飯も作れないと知って、買い物に出かけました
自分は女の人を送り出した後、すぐに眠ってしまいました
そして、買い物の帰り道
女の人は、スピードを出しすぎて止まれなかったトラックに轢かれ
死んでしまいました
65:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/19(木) 22:12:05.86:a3q/QF6/0
自分は、とても後悔しました
いつも助けて貰ってばかりだった事
ろくに相手をしてやれなかった事
言おうと思った事を、言うのを止めた事
しかし、全ては手遅れでした
風邪はその夜から酷くなり、次の日、悲報を聞かされた事もあって
自分は一週間、何も出来ず
ただ、布団の中で、泣いていました
それしか出来ませんでした
______________
そして、気がつくと
子供の頃の姿まま、ここに居たのです
70:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/19(木) 22:14:06.54:a3q/QF6/0
四匹の動物達と一列にならんで
皆そろって歌を歌うところにさしかかりました
少年・動物達「魔法のことばでー」
少年はその時、不思議な感じがして、自分の横に目をやりました
すると、そこには
あの懐かしい、子供の姿のままの
女の人がいたのです
71:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/19(木) 22:15:45.57:8KVDi6Ppi
少年は目を疑いました
さっきまでそこに居なかったのに
急に光の中から女の人が、しかも自分と同じ、子供の頃の姿で
自分の隣に現れたからです
少年少女・動物達「たのし~い 仲間~が」
ポポポポ~ン
隠れていた動物達が、いっせいに飛び出しました
少女はうれしそうに笑っています
少年はそれを見て、やっぱりうれしそうに笑いました
75:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/19(木) 22:18:11.15:a3q/QF6/0
少年・少女「おはよう」
ウナギ「おはよウナギ!」
ウナギは得意の手品を披露します
少年・少女「いただきます」
鼠の母「いただきマウス!」
鼠の母は、ご飯をたべる時のように手を合わせ、お辞儀をします
少年・少女「いってきます」
スカンク「いってきまスカンク!」
スカンクは陽気に手を上げ、おどけたようにおならをしました
77:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/19(木) 22:19:53.11:/4rFcP030
少年・少女「ただいま」
マンボウ「ただいマンボウ!」
マンボウはトコトコとコミカルに横歩きして
プクプクとシャボン玉のように泡をとばしました
少年・少女「ごちそうさま」
鼠の子「ごちそうさマウス!」
鼠の子も、鼠の母を真似て、手を合わせてお辞儀をします
少年・少女「おやすみなさい」
サイ「おやすみなサイ」
サイは何故か寝巻き姿で、コックリコックリしています
79:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/19(木) 22:22:33.00:a3q/QF6/0
少年少女・動物達「すてきなことばで」
動物達も、少女も、もちろん少年も、同じように手を大きく広げます
少年少女・動物達「ゆかい~な 仲間~が」
少年はとても楽しくなって、少女の方を見ました
少女も同じように、少年の方を見ました
そして、二人は
ポポポポ~ン!と、嬉しそうに歌いながら
両手を、ポーンと、合わせました
80:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/19(木) 22:24:43.95:a3q/QF6/0
いよいよ、歌も終わりです
動物達も少年と少女を見て笑っています
少年「こんにちわ!」
犬「こんにちワン!」
そして少年は、あの時言えなかった、言うのを止めた言葉を言おうと
少女の方を振り向きました
しかしその時、急に寂しくなって、悲しくなって
その言葉が、のどに詰まりました
それを見た少女は、ヤレヤレ、という風に笑いながら
少年のかわりに、歌いました
少女「ありがとう!」
兎「ありがとウサギ!」
最後の出し物は大成功で終わりました
82:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/19(木) 22:26:53.07:a3q/QF6/0
ステージに向かって、皆で最後のあいさつに手を振ります
すると、あたりは急にまぶしくなって
客席の方から、こんなにお客さんが居たのかと思うほど
おおきな、おおきな拍手がおこりました
少年は、まぶしい光の中、少女を探しました
しかし、目の前が真っ白で何も見えません
少年は、どうしても少女に伝えたかった言葉を、光の向こうに叫びました
少年「ありがとう!!!・・・さよならぁーーーー!!!」
するとどこからか、かすかに声が聞こえました
「ま、長い付き合いだし、言わなくても分かってるよ」
光の向こうで、女の人が笑ったような気がしました
- 終わり -
86:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/19(木) 22:29:13.01:a3q/QF6/0
犬「ありがとウサギ、僕の仲間なんだ!」
少年「そうなんだ、こんにちわ!」
兎「こんにちワン!何してるの?」
犬「この子のお家を探してあげるところなんだ」
兎「へぇ~、そうなんだぁ」
少年「でも、家がどこだか分からなくって・・・」
兎「う~ん、そっかぁ」
兎「あ、じゃあさ!ひとまず、私達のテントにおいでよ!」
少年「テント?」
犬「あ、それがいいね!」
少年「二人はテントにすんでるの?」
犬「それは着いてのおたのしみ!さ、行こう!」
少年「うわぁ~、おっきいテントだね~」
犬「ほら、ここから中に入りなよ!」
兎「入ったら、一番前の席に座ってね!」
少年「席?」
犬「入ればわかるよ!それじゃあ、僕らはあっちからだから!」
兎「楽しんでねぇ~!」
少年「あ!待って!・・・行っちゃった」
少年「ここから入ってって行ってたっけ」
少年「お、おじゃましま~す・・・」
少年「わぁ!」
絵本かよ
6:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/19(木) 21:25:51.17:a3q/QF6/0少年が中に入ると、目の前には大きなステージとずらりと並んだイスがありました
そう、ここは、動物サーカスのテントだったのです
少年「すごいなぁ!」
少年はなんだかワクワクしてきて、言われたとおりに一番前の席に座りました
すると、突然あたりがまぶしいくらいに明るくなり
楽しげな音楽が流れてきたのです
少年「何がはじまるんだろう?」
少年がキラキラと目を見開いて、ステージを見つめていると
大きなシンバルの音と共に、さっきの犬が飛び出てきました
それと同時に、反対側から大きなボールが転がってきます
犬はそれに、ピョーンと勢いよく飛び乗ると
うまく前足を使いながら、コロコロ、コロコロと玉乗りを始めました
ステージをぐるりと回ると、今度は玉の上で飛んだり跳ねたり
宙返りをしてみたりしました
少年はすっかり夢中です
そうしているうちに、音楽が変わり、ゆっくりとしたワルツが流れ始めました
そして今度は、兎がつま先立ちで、トコトコと現れました
兎はとてもきれいなダンスを踊りました
ピョン、と跳ねて、クルクルと回って
まるで風になったかのように、フワリフワリと踊ります
少年「すごい、きれいなだぁ!」
少年はまたしても、キラキラとした目を見開いて
ステージに釘付けになってしまいました
その後も、火の輪くぐりや手品、おもしろいお芝居など
楽しい曲芸がくりひろげられて行きました
少年は、動物達が飛んだり跳ねたりするたびに
それはもう、大きな拍手をおくりました
楽しい時間はあっと言う間に過ぎ
動物達がずらりと並んで、おじぎをすると
キラキラした花火がステージから噴水のようにあがり
サーカスはおしまいになりました
少年は、ずっと拍手をしていたので、手がヒリヒリしていました
でもそんな事は忘れ、サーカスが終わっても
拍手をおくり続けました
テントがふっと明るくなり、犬がトコトコと出てきました
犬「僕達のサーカス、どうだった?」
少年「すっごく楽しかったよ!皆すごいね!」
犬「ありがとウサギ!僕も楽しんでもらえてうれしいよ!」
少年「こんなに楽しいのに、ほかにお客さんはいないの?」
犬「うん、僕らのサーカスは、お客さんが一人でも居れば、いつでもやるんだよ」
少年「じゃあ、今日は僕だけのサーカスだったんだね!すごいや!」
少年はうれしくてうれしくて、おおきくバンザイをしました
犬「ねえ、せっかくだから、皆に会っていかない?」
少年「いいの!?」
犬「もちろんさ!今日は君だけのサーカスだからね!」
少年「わぁ!じゃあ皆に会いたい!」
犬「よかった!じゃあこっちにおいでよ!」
犬はステージから飛び降りると、少年の手をひいて
ステージの奥の方へと案内しました
奥にあった幕をくぐると
さっきの動物達が拍手で出迎えてくれました
動物達「魔法の国の動物サーカスへようこそ!!」
巨大ロボ登場まだ?
15:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/19(木) 21:35:53.68:a3q/QF6/0ライオン「サーカスはおもしろかった?」
少年「とってもおもしろかったよ!」
ウナギ「ホホッ、うれしいねぇ」
鼠の子「ねぇねぇ!僕のつなわたりはどうだった!?」
少年「うん!すごかったよ!」
鼠の子「うわぁい!ほめられちゃった!」
鼠の母「コラ!そんなにはしゃがないの!」
スカンク「そうだぞ!悪い子にはプーッってしちゃうぞ!」
鼠の子「わぁー、いやだー!」
その後も、皆、少年をやさしく出迎えてくれました
犬「ねえ皆!ちょっと手伝って欲しいことがあるんだ!」
動物達は、いっせいに犬の方を見ました
犬「あのね、この子、自分のお家に帰りたいんだって」
犬「だから、お家を探すのを手伝って欲しいんだ!」
「もちろんさ!」「いいとも!」
動物達はすぐさま賛成してくれました
マンボウ「じゃあ~そのまえに~、君の事をおしえてほしいなぁ~」
少年「僕のこと?」
ワニ「そうそう!せっかくだから仲良くなった方が、探すのも楽しいダロ?」
少年「うん、そうだね!僕も皆と仲良くなりたいな!」
スカンク「よっし!決まりジャン!」
そうして、少年は動物達とお話を始めました
VIPのSSでこの展開は完全に嵐の前の予兆
これはグロ展開あるで…
21:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/19(木) 21:39:54.51:a3q/QF6/0これはグロ展開あるで…
犬「ねえ、君はいつも『こんにちわ』って言ってる?」
少年「うん!ちゃんと言ってるよ!」
犬「そっか!じゃあ君には、仲のいい友達がいるんだね!」
少年「うん!いっぱい居るんだ!」
犬「そうかぁ!今度会いたいなぁ!」
少年「お家に帰ったら、皆をつれてくるよ!」
犬「うん!ぜひ見に来てね!」
少年は、友達とここへ来ることを想像して、ワクワクしました
兎「ねえ、じゃあさ、『ありがとう』は言ってる?」
少年「うん!もちろんだよ!」
兎「よかった!じゃああなたを助けてくれる子がいるんだね!」
少年「うん!たくさんいるよ・・・でも・・・」
兎「でも?」
少年「・・・あれ?でも、何だろう?」
少年は、不思議と胸がしめつけられる感じがしました
兎「もしかして、ありがとうって言ってない人がいるのかな?」
少年「・・・そんなことはないと思うんだけどなぁ」
やっぱり、胸がしめつけられる感じは消えません
ごめん嫌な予感しかしない
26:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/19(木) 21:43:56.24:a3q/QF6/0ワニ「『こんばんわ』は?もちろん言ってるダロ?」
少年「うん、言ってるよ」
ワニ「夜になっても、君に会いに来てくれる人がいるのはいいことジャないか!」
少年「そうだね、皆優しいんだ!」
ウナギ「ホホッ!それなら『おはよう』もかな?」
少年「もちろん!」
ウナギ「ホホホッ!では、朝も君を待ってる人がいるのだねぇ」
少年「お父さんやお母さん、友達も、みんなそうなんだね!」
少年「そっかぁ、うれしいなぁ!」
少年は、お父さんやお母さん、友達、皆が恋しくなりました
サイ「・・・『おやすみ』はぁ?」
少年「毎日忘れずに言ってるよ!」
サイ「・・・じゃあ、君は寝るまでぇ、一人ぼっちじゃないんだぁねぇ」
少年「そうだね、そうなんだぁ」
少年はなぜか、だんだんとさびしい気持ちになってきました
ライオン「じゃあ『さよなら』はどう?」
少年「言ってるよ・・・でも、何か忘れてるような・・・」
ライオン「それならきっと、さよならを言いたい人がいるんじゃない?」
少年「う~ん・・・誰だろう?」
少年のさびしい気持ちは、どんどんふくらんでいきました
少年がなんだかさびそうな顔をしていたので
動物達は少年を心配して、楽しい話をはじめました
でも少年は、何かを忘れているような気がして、楽しめませんでした
すると突然、犬が大きな声で言いました
犬「そうだ!あの歌をみんなで歌おうよ!」
「そうだ!」「それがいいね!」「やろうやろう!」
動物達はうれしそうにそう言いました
少年「あの歌?」
犬「うん、僕達の新しい出し物なんだ!君も一緒に歌おうよ!」
少年「僕も?」
犬「そうさ!歌えばきっと、たのしい気持ちになるはずだよ!」
犬はそういうと、動物達に合図をしました
動物達はオルガンをひっぱりだし
そして一列にならびました
犬「それじゃあ、まずは僕達で歌うから、覚えて一緒にうたってね!」
犬「それでは、皆、行くよ!『魔法のことば』!」
犬の合図で伴奏がはじまりました
動物達の顔はもう楽しそうです
少年は、動物達の歌を、だまって聞いていました
動物達は、かわるがわる歌います
少年は歌をきいているうちに、だんだんと楽しい気持ちになってきました
そして、何かを思い出しそうな、そんな気もしました
動物達の歌がおわると、今度は少年も一緒に歌う事になりました
簡単な歌だったので、少年もすぐに覚えました
皆で歌って、いっしょに踊りも考えました
そして、新しい出し物が完成しました
少年「あっ!」
犬「どうしたの?」
少年「・・・僕、お家に帰らなきゃいけないんだった」
犬「あっ!そうだった!」
兎「楽しくてすっかりわすれちゃってた!」
きっと皆が心配しているだろうな
そんな気がして、少年は思わず声をあげてしまったのでした
するとその時
ステージの方が、ふっと暗くなりました
ざわ・・・
ざわ・・・
40:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/19(木) 21:53:58.98:a3q/QF6/0ざわ・・・
犬「あ、お客さんが来たみたいだ!」
ワニ「ジャあ、サーカスの開幕ダナ!」
鼠の子「がんばるぞー!」
マンボウ「でもぉ~お家さがしはぁ~?」
ライオン「そうだね、どうしようか」
少年「じゃあ僕、終わるまで待ってるよ」
兎「でも、けっこう長いよ?」
少年「大丈夫だよ!だって、皆のサーカスを待ってるお客さんもいるし」
犬「それなら、君も一緒に、サーカスにでようよ!」
少年「えっ!?」
犬の提案に、少年はびっくりしました
犬「ほら、さっきの歌があるでしょ?あれに君も一緒にでるんだよ!」
サイ「・・・それならぁ、君もぉ楽しいかもぉ」
少年「で、でも」
兎「大丈夫!さっきも歌ったでしょ!」
ウナギ「ホホッ!新しい仲間の誕生だな!」
少年「でもぉ・・・」
犬「大丈夫だよ、歌はサーカスの最後にしておくから」
犬「その間に、準備しておこう!僕らだって、仲間は多いほうが楽しいんだ!」
少年「・・・うん、わかった。がんばるよ!」
兎「やったぁ!」
少年は、はじめてのサーカスに
なんだかはずかしいような、こわいような
そんな気持ちになりました
そうしてサーカスの幕はあがり
少年がさっき見たように、動物達はいろんな芸を披露していきます
少年は、やっぱり動物達の芸に夢中になって
もうはずかしいような、こわいような
そんな気持ちは忘れてしまっていました
それどころか、皆と一緒に歌を歌うのが
楽しみにさえなっていたのです
そして、一度、ステージが暗くなり
ついに最後の出し物の番がやってきました
犬「さぁ、こっちだよ!」
こちら側に来たときのように犬に手を引かれ
少年はステージの真ん中にやってきました
客席は暗くてよく見えません
でも、サーカスを楽しんでいるお客さんがいるのを思うと
少年はワクワクしてきました
オルガンの伴奏が始まり
ステージの照明がパッと明るくなりました
最後の出し物
『魔法のことば』の始まりです
少年「こんにちわ」
犬「こんにちワン!」
まずは犬が玉乗りをして登場です
少年「ありがとう」
兎「ありがとウサギ!」
次に兎がクルクル回りながら登場しました
少年「こんばんわ」
ワニ「こんばんワニ!」
その次はワニです
おどけたワニがステッキを振りかざして登場しました
少年「さよなら」
ライオン「さよなライオン!」
ライオンはたてがみを大きく広げて、手を振るしぐさをしました
歌いながら、少年は、だんだんと思い出してきました
それは、ここに来る前の事でした
___________
「ねぇー、風邪、大丈夫?」
「うん、なんとかね・・・ックシュン!」
「ほら、ちゃんと布団かぶって寝てなきゃー」
女の人が、自分を看病していました
薄着をして寝てしまった為、自分は風邪をひいていたのです
「春って言ったって、夜はまだ冷えるんだからね?」
「分かってるよ」
女の人はまるで母親のように、自分に言い聞かせました
「お前、母親じゃないんだからさ、そんな小言いうなって」
「何それー、ひどーい」
そう言いながら、女の人は笑いました
女の人は、自分が風邪気味だと連絡すると、すぐにやって来ました
その手には飲み物と食べ物が沢山入った、スーパーの袋を提げていました
「風邪ひくと、寂しくなるでしょ?今日は看病してあげるからさ」
女の人は、やれやれ、というように
テキパキと袋の中身を冷蔵庫に移し変えています
「なんか、悪いな」
「もう、気にしないでよ。いつもの事だし、慣れてるよ」
女の人は、自分が小さい頃から、何かと世話を焼いてくれるのでした
小学校の頃に、39度の熱を出して寝込んだ時も
中学校の頃に、部活で無茶をして骨折した時も
高校の頃に、勉強について行けず、悩んでいた時も
女の人は、いつも心配してやって来てくれたのでした
「あのさ・・・」
「んー?なぁに?」
「・・・いや、何でもない」
「何よー、途中で言うの止めるの、悪い癖だよ?」
自分は、たまには感謝の声をかけようと思うのですが
言おうとすると、途端に気恥ずかしくなって
つい、言うのを止めるのでした
「ま、長い付き合いだし、いいけどさ!」
そうするといつも、同じ台詞で、女の人は笑うのでした
「じゃあ、ちょっと夕飯の買い物、行ってくるから」
「ああ、すまん・・・ックシュン!」
「いいのいいの!ほら、夕飯出来るまで寝てなさいって!」
「それじゃあ行って来るねー!」
「ああー、頼むー・・・」
女の人は、自分が夕飯も作れないと知って、買い物に出かけました
自分は女の人を送り出した後、すぐに眠ってしまいました
そして、買い物の帰り道
女の人は、スピードを出しすぎて止まれなかったトラックに轢かれ
死んでしまいました
自分は、とても後悔しました
いつも助けて貰ってばかりだった事
ろくに相手をしてやれなかった事
言おうと思った事を、言うのを止めた事
しかし、全ては手遅れでした
風邪はその夜から酷くなり、次の日、悲報を聞かされた事もあって
自分は一週間、何も出来ず
ただ、布団の中で、泣いていました
それしか出来ませんでした
______________
そして、気がつくと
子供の頃の姿まま、ここに居たのです
四匹の動物達と一列にならんで
皆そろって歌を歌うところにさしかかりました
少年・動物達「魔法のことばでー」
少年はその時、不思議な感じがして、自分の横に目をやりました
すると、そこには
あの懐かしい、子供の姿のままの
女の人がいたのです
(´;ω;`)ブワッ
72:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/19(木) 22:16:10.69:a3q/QF6/0少年は目を疑いました
さっきまでそこに居なかったのに
急に光の中から女の人が、しかも自分と同じ、子供の頃の姿で
自分の隣に現れたからです
少年少女・動物達「たのし~い 仲間~が」
ポポポポ~ン
隠れていた動物達が、いっせいに飛び出しました
少女はうれしそうに笑っています
少年はそれを見て、やっぱりうれしそうに笑いました
少年・少女「おはよう」
ウナギ「おはよウナギ!」
ウナギは得意の手品を披露します
少年・少女「いただきます」
鼠の母「いただきマウス!」
鼠の母は、ご飯をたべる時のように手を合わせ、お辞儀をします
少年・少女「いってきます」
スカンク「いってきまスカンク!」
スカンクは陽気に手を上げ、おどけたようにおならをしました
おいもうあいさつの魔法まともにみれねぇよ…
78:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/19(木) 22:20:11.90:a3q/QF6/0少年・少女「ただいま」
マンボウ「ただいマンボウ!」
マンボウはトコトコとコミカルに横歩きして
プクプクとシャボン玉のように泡をとばしました
少年・少女「ごちそうさま」
鼠の子「ごちそうさマウス!」
鼠の子も、鼠の母を真似て、手を合わせてお辞儀をします
少年・少女「おやすみなさい」
サイ「おやすみなサイ」
サイは何故か寝巻き姿で、コックリコックリしています
少年少女・動物達「すてきなことばで」
動物達も、少女も、もちろん少年も、同じように手を大きく広げます
少年少女・動物達「ゆかい~な 仲間~が」
少年はとても楽しくなって、少女の方を見ました
少女も同じように、少年の方を見ました
そして、二人は
ポポポポ~ン!と、嬉しそうに歌いながら
両手を、ポーンと、合わせました
いよいよ、歌も終わりです
動物達も少年と少女を見て笑っています
少年「こんにちわ!」
犬「こんにちワン!」
そして少年は、あの時言えなかった、言うのを止めた言葉を言おうと
少女の方を振り向きました
しかしその時、急に寂しくなって、悲しくなって
その言葉が、のどに詰まりました
それを見た少女は、ヤレヤレ、という風に笑いながら
少年のかわりに、歌いました
少女「ありがとう!」
兎「ありがとウサギ!」
最後の出し物は大成功で終わりました
ステージに向かって、皆で最後のあいさつに手を振ります
すると、あたりは急にまぶしくなって
客席の方から、こんなにお客さんが居たのかと思うほど
おおきな、おおきな拍手がおこりました
少年は、まぶしい光の中、少女を探しました
しかし、目の前が真っ白で何も見えません
少年は、どうしても少女に伝えたかった言葉を、光の向こうに叫びました
少年「ありがとう!!!・・・さよならぁーーーー!!!」
するとどこからか、かすかに声が聞こえました
「ま、長い付き合いだし、言わなくても分かってるよ」
光の向こうで、女の人が笑ったような気がしました
- 終わり -
あいさつの魔法だったな、まちがった
脳内で差し替えておいて
ごめんねグロ展開じゃなくて
みんな氏ね
89: 忍法帖【Lv=36,xxxPT】 :2011/05/19(木) 22:30:17.18:ukAeu15K0脳内で差し替えておいて
ごめんねグロ展開じゃなくて
みんな氏ね
なんかシンプルに良い話だったなグッジョブ!
96:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/19(木) 22:36:13.66:wH+q6mA50
なんだよ・・・感動したじゃねぇか・・・
97:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/19(木) 22:39:30.34:pX2GKjUZO
良かった氏ね
98:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/19(木) 22:40:58.90:ECeyLbXAO
よくこんなの考えつくな
良かったよ氏ね
107:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/19(木) 23:15:48.12:EFtVwLeS0良かったよ氏ね
ACの回し者め
乙!
乙!
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氏ね