まどか「この世界はとても美しくて、やさしいんだよ」
まどか「この世界はとても美しくて、やさしいんだよの後日談」

1以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/31(火) 21:38:13.96:PaZ1gZXh0
まどか「この世界はとても美しくて、やさしいんだよ」
http://hibari.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1306747491/

  のちょっとした後日談。

  スレ落ちしてしまったけど、8割ほどできあがってしまったので…。
  せっかくなので、あっさり終わらせる予定であった、ほむまどのデートシーンを増量させます。

 
2:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/31(火) 21:38:38.79:13wEbuMJi
きたあああああああああ!!!!!!

 
3以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/31(火) 21:39:25.15:PaZ1gZXh0

  高層ビルの屋上に、少女が一人座り、イルミネーションに輝く街を眺めている。
  片目の少女。潰れた方は、長い前髪で隠している。

少女「私ってさ、なんで、こんな下らないことをやっているんだろう。いつも、いつもさ…」
少女「嫌い。世の中嫌い。みんな死んじまえ。ワルプルギスの夜が来たときに、滅んじゃえばよかったのさ」
少女「なのに、私が、やっているのは人助け。なんだろうね」

  噛んでいたガムを、ぷぅーっと大きく膨らませる。
  空に、シャンシャンとした音が聞こえてきた。

少女「ん?」

  飛んでいるものを見て、少女のガムがバァンと破裂した。

 
5ほむら:2011/05/31(火) 21:42:42.46:PaZ1gZXh0

  夜の街。一年で最高に賑やかな日。

まどか「うわぁ…」

  まどかは空を見上げる。
  雪が、さらさらと降っていた。
  それは手に触れると、静かに消える、ほんの小さな粉雪。

まどか「ホワイトクリスマスだね」

ほむら「うん」

  まどかが吐く息が白い。そして私の吐く息も白い。
  同じマフラー、同じ手袋。お互いに作って、お互いにプレゼントをした。
  作りはぎこちなかったけど、それでも私たちにとって大切なもの。

 
7以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/31(火) 21:46:25.41:PaZ1gZXh0

  それにしても、まどかと一緒とはいえ…。


ほむら「帰りたい」

まどか「だーめ」

  さすがクリスマスイブ。
  イルミネーションで美しいとはいえ、足の踏み場もないほど人だらけ。

まどか「サンタさん、いっぱいいるね。一緒に写真撮ってもらおうか?」

ほむら「中身はただの人よ、しかもアルバイト」

まどか「いいのいいの。ほむらちゃんとクリスマスを過ごしたって、記念写真なんだから」
まどか「すみませーん、写真、入ってくれませんかー?」

  二メートルはある大きなサンタクロースに声をかけていた。

 
9以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/31(火) 21:51:04.85:PaZ1gZXh0

サンタクロース「………」

  私たちをギロリと見る。赤い目が不気味だった。

ほむら「す、すみません。えっと、迷惑なら、いいです」

  私が慌てて謝ると、サンタは顔を戻し、無言で行ってしまった。

まどか「うわ、ちょっと、怖かったかな?」

ほむら「まどか。相手をちゃんとよく見る」

  なんで、選りに選って、ヤクザのようなサンタに声かけるのよ。

まどか「うーん、サンタさんなら、みんな優しいって思ってたんだけど」

ほむら「…だから、中はただの人」

 
10以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/31(火) 21:54:23.53:PaZ1gZXh0

お姉さん「いきますよー。はい、チーズ」

カシャ。

まどか「てへへ、今度のサンタさんは、ちゃんと撮ってくれたね」

ほむら「ただの、ケーキ売りのアルバイトじゃない」

まどか「でも、正解。クリスマスプレゼントに、アメを貰ったもん」

ほむら「まどかの肩に手を置いてたわ」

まどか「ほむらちゃんの肩にだって、手を置いてたじゃない」

ほむら「あれ、セクハラ。許せない」

まどか「そんな下心のない、いいお兄さんだったよ。ほむらちゃん、良い子だから、ヤキモチやかないの」

ほむら「べ、別に、ヤキモチ、やいて…ない」

まどか「良い子、良い子」

ほむら「まどか、頭なでないで…」

  恥ずかしい…。

 
12以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/31(火) 21:58:21.41:PaZ1gZXh0

  時間まで、私たちは、店に入ったり、クレープを食べたりして、賑やかな街を歩いていく。

まどか「ジングルベール、ジングルベール、雪が降る~♪」

  歌に合わせて、私と繋がれた手を、振り子のように大きく振っていく。

ほむら「ごきげんね」

まどか「ほむらちゃんとクリスマスデートだもん」

ほむら「いつもデートしている気がするけど」

まどか「クリスマスは特別! 恋人たちの特別な夜なんだよ」

ほむら「私たちって恋人?」

まどか「んーと、親友?」

ほむら「どっちも、しっくりしない気がするわ」

まどか「夫婦とか?」

ほむら「どうかしら。でも、よく、そうからかわれてるものね」

まどか「あはは、さやかちゃんに、この新婚バカップルがーっ! っていっつも突っ込まれてるもんねー」

ほむら「さやかだけでなく、マミにも、杏子にも、先生にも、クラスメイトにも…」

  呆れるぐらい仲が良いからと、色々な人に耳にタコができるほど言われちゃってる。

 
13以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/31(火) 22:02:27.48:PaZ1gZXh0

まどか「ママなんて、すでにうちの娘を嫁にやったみたいだって言われたことあるよ」

ほむら「女同士なのに?」

まどか「本気ならば、何も言わない。世間に負けずに、がんばれ、と言われちゃった」

ほむら「なんなのそれ?」

まどか「うーん、よくわかんない」

ほむら「分からないわね」

まどか「ねー」

ほむら「ねー」

  見合わせて、笑い合う。
  こういうなんてことないやりとりが、楽しくてしかたない。
  私にとって貴重な時間。でも、その貴重な時間が、毎日続いている。

 
14以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/31(火) 22:05:43.74:PaZ1gZXh0

ほむら「ほんと、夢みたい」

まどか「ほむらちゃんは、いつもそれだなぁ」

ほむら「今でもね。これは私が望んでいる夢の世界で、目を覚めたら、まどかのいない現実に戻るんじゃないかって、思うときがあるの」

まどか「ないない。私はいなくならないよ」

ほむら「そう、思ってもね」

  やっぱり実感沸かない。

ほむら「まどかが、私のこと好きでいてくれるのも、お願いの効果かな?と思うときがあるし…」

  まどかの気持ちを疑ってはいない。でも、そんな不安になる私もいる。
  だめだなぁ、私。ネガティブになってる。

 
16以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/31(火) 22:09:18.70:PaZ1gZXh0

まどか「あれ?」

  急に、まどかの足が止まった。

ほむら「どうしたの?」

まどか「今、キュゥべえが見えた気がするんだ」

ほむら「キュゥべえ?」

  ワルプルギスの夜を倒した後、インキュベーターは別れを付けずに私たちの前から姿を見せなくなった。
  彼(でいいのかしら?)には悪いことをしたので、謝りたかったのだけど、それも出来ずじまい。

 
17以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/31(火) 22:12:07.87:PaZ1gZXh0

まどか「うん。そこの路地に入っていった気がする」
まどか「いってみよう!」

  まどかは、手を引っ張る。

ほむら「ちょっと、まどか、時間がっ!」

  ただでさえ、のんびり過ごしすぎて、遅れているというのに…。

 
19以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/31(火) 22:15:24.68:PaZ1gZXh0

  路地の先は行き止まりだった。
  ビルの壁、ゴミ箱、生ゴミや吐瀉物などの嫌な臭いがあるぐらいで、キュゥべえの姿はない。

まどか「いないなぁ。キュゥべえどこー!」

ほむら「やめよう、まどか。私たちはもう、魔法力ないんだよ。何かあっても、私、まどかを助けられない」

まどか「大丈夫。私がほむらちゃんを、どんな敵からも助けてあげるよ」

ほむら「…もう」

  怖い物知らずなんだから。

 
20以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/31(火) 22:18:14.36:PaZ1gZXh0

ほむら「引き返そう、ね?」

まどか「しょうがないか。キュゥべぇに会いたかったんだけどなぁ、残念」

  まどかが、きびすを返したとき、重い足音がした。
  後ろに人がいる。それも大きな。

まどか「サンタクロース…?」

  サンタクロースの格好をした巨大な男の黒いシルエット。
  先ほど、まどかが声をかけた相手だ。
  目は真っ赤に光らせ、獣のように唸っている。まるで、二本足で立ち上がる熊のようだった。

まどか「あの、どうかしましたか? 私たち、そこ通りたいんだけど…」

  まどかが、立ち塞がっているサンタクロースに、おずおずと声をかける。
  そいつの足が一歩。私たちに向かった。

サンタクロース「~~~~~」

  人でない声を発した。

ほむら「まどかっ! こいつは人でないわ!」

 
21以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/31(火) 22:22:01.05:PaZ1gZXh0

まどか「え? え? え?」

  サンタクロースは、きょとんとするまどかに突進する。

ほむら「危ない!」

  まどかを抱きしめ、横に逃げる。私たちは地面に倒れ込んだ。
  スレスレだった。サンタクロースはビルの壁に体当たりする。
  コンクリートがぼろぼろと崩れていった。生身の私たちに当たったらひとたまりもない。

まどか「なにっ、なにが起こっているのっ?」

ほむら「分からない。でも、狙われているのは確か。逃げるよっ!」

  もう、私たちは魔法少女ではない。戦うことは不可能。
  私はまどかの手を取り、逃げようとしたとき…。

少女「はぁ、めんどくせぇ」

  私たちの前に、少女がビルの上から落ちてきた。

 
23以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/31(火) 22:26:47.68:PaZ1gZXh0

  着地。スカートを揺らしていく。
  顔半分を髪で隠し、大きなカマを持つ少女。
  その格好は…。

まどか「魔法少女!」

  …明らかに魔法少女だ。

少女「悪魔は相手したくないんだよなぁ。グリーフシードすくねぇしさ」

  くちゃくちゃと、ガムを噛む音がする。

少女「そこのねえちゃんら、向こうに行ってな。巻き込まれたって、知んねぇよ?」

  私たちに一瞥すらせず、体勢を取り戻したサンタクロースの正面に立つ。

少女「はぁっ!」

  そいつにカマを振った。

 
25以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/31(火) 22:31:02.74:PaZ1gZXh0

  だが、サンタクロースの動きの方が速かった。
  カマを弾いた太い右手が、魔法少女の首を掴む。

少女「がっ!」

  易々と持ち上げられる。

少女「くそったれぇ、てめぇごときに、やられる私じゃねぇんだよ…」

  サンタクロースの周りに、漆黒の闇の円形が広がった。

少女「へっ、勝負は戦場でか、後悔させてやる」

  闇に吸い込まれるように、サンタクロースも、魔法少女の姿もなくなった。
  なにもない。しーん、としている。
  壊れた壁と、少女が噛んでいたガムが落ちているだけ。

 
26以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/31(火) 22:37:19.44:PaZ1gZXh0

まどか「あの子、どこ行ったの…?」

QB「悪魔結界だよ」

ほむら「キュゥべえ!」

QB「まどかにほむら。久しぶりだね」

まどか「悪魔結界ってなに? それに、さっきの、魔女じゃなかった。あれはなんなのっ?」

QB「魔女結界と同じさ。さきほどの魔法少女は、結界に連れていかれたんだよ」
QB「悪魔は、力は半減するけど、結界から外に出られてしまうんだ。その代わり、使い魔がいない。一長一短だね」

  さっきの魔法少女は向こうで戦っているということね。無事だといいのだけど。

 
27以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/31(火) 22:43:06.85:PaZ1gZXh0

ほむら「悪魔って?」

QB「新種の敵のことさ」
QB「魔法少女に救いの道を与えた影響で、魔女が激減してしまったんだ」
QB「それにより、感情エネルギー摂取が厳しくなり、魔女以外の新たな敵を創造する必要があった」
QB「そのために生み出されたのが、今の悪魔なんだ」

  知らなかった。
  私たちが平和な日常を楽しんでいる間に、魔女以外の敵が現れていたなんて。

 
28以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/31(火) 22:46:34.56:PaZ1gZXh0

まどか「そんな…そんなのって…」

QB「しょうがないことだよ」
QB「宇宙はそうやって進化を遂げている。エネルギーが減れば、代わりとなるものを作る。これは当然の摂理なんだ」

まどか「ねぇ。キュゥべえ。もし、もしもだよ、ほむらちゃんが、すべての敵を消し去りたいと望んだなら、その通りになったのかな?」

QB「どうだろうね。それには計り知れない力が必要となる。神にならない限りは無理じゃないかな?」
QB「そんな世界にしたところで、これとは違った、新たな敵が生まれていたはずだ。とはいえ、魔法少女の概念が、かなり変わることになるだろうけどね」
QB「そうそう、暁美ほむらの願いのエネルギーは、ワルプルギスの夜を倒したときに、ぜんぶ使い果たしてしまっている」
QB「今は、なにを望んでも、効果はないよ」

 
30以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/31(火) 22:51:08.91:PaZ1gZXh0

ほむら「よかった。なんでも望み通りになったらどうしようって、心配してたの」

  怖いぐらい、幸せが続いているのだから…。

まどか「だから、心配することないって、ずっと言ってるじゃない」
まどか「私は、ほむらちゃんのこと、心から大好きだよ」

ほむら「うん」

 
32以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/31(火) 22:54:49.16:PaZ1gZXh0

  漆黒の闇が浮かび上がって、さきほどの魔法少女が出てきた。
  彼女の手にはグリーフシード。倒せたようだ。

少女「はぁ、めんど。毎日、毎日、私はなにをやってんだか。早いとこ、くたばっちまいたい」

まどか「お仕事、お疲れ様っ」

少女「あんたたち、なんで…?」

  目を丸くしている。

 
33以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/31(火) 22:59:16.81:PaZ1gZXh0

ほむら「私たちは、かつては魔法少女だったの」

まどか「だから、あなたのこと、良く分かるよ」
まどか「この街の平和のために、どれだけ頑張っているか、苦労しているか、泣きたいのを我慢しているか、ぜんぶ」
まどか「それは、私たちが、かつて体験したことだから…」

ほむら「こうして、この街が平和なクリスマスを迎えられるのも、あなたのおかげ」

まどか「いつも、ありがとう」

ほむら「感謝してるわ」

  私たちの純粋な気持ち。

少女「別に、私は、好きでやってんじゃないし、しかたなくだし、ふざけんな」

  照れている。素直じゃなさそうな子だけど、ちょっとは伝わったようだ。

 
34以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/31(火) 23:02:37.52:PaZ1gZXh0

少女「ちっ、だから人間はウゼェ。魔法少女はもっとウゼェ。元とくればさらにウゼェ、ウゼェ、ウゼェ、ウゼェばかり、みんなくたばっちまえ」

  居心地悪くなったようで、早足で去っていく。

まどか「この世界は、とてもやさしくて、美しいのっ!」
まどか「きっと救いはある。私たちがそうなったように。だから、希望を捨てずにがんばって!」
まどか「必ず、むくわれる日がやってくるからねっ!」

  遠くなっていく彼女の背中に、まどかは叫んだ。
  魔法少女は、すぐに見えなくなる。

まどか「届いたかな?」

ほむら「きっとね」

  届いてくれたはず。

 
35以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/31(火) 23:06:19.33:PaZ1gZXh0

QB「まどかにほむら、それじゃあね」

まどか「バイバイ、キュゥべえ。たまには遊びにきてよ」

QB「気が向いたらね」

  気が向くことなんてない。
  今日のは偶然であって、もう二度と会うことはないのかもしれない。

ほむら「キュゥべえ。あなたのこと、疑っていてごめんなさい」
ほむら「あなたは魔法少女にとって、最高のパートナーよ」

QB「暁美ほむらが礼を言うなんて、今日は雪が降るわけだ」

  そう言い残して、キュゥべえは去っていった。

ほむら「…やっぱり私、キュゥべえのこと、好きになれそうにないわ」

まどか「まぁまぁ、キュゥべえは、私たちのこと助けてくれたんだし」

 
39以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/31(火) 23:10:28.94:PaZ1gZXh0

  まどかは、私の手をそっと握った。

まどか「ねぇ、ほむらちゃん?」

ほむら「なに、まどか?」

まどか「私たち、魔法少女のために、なにかできないかな?」

ほむら「一緒に戦えないからね。できることは限られているよ」

  何も出来ないわけじゃないだろうけど、人間となった私たちには限度がある。

まどか「そっか、しょうがないよね」

ほむら「さっきの子や、新しく誕生する魔法少女たちを、信じていきましょ」

まどか「うん」
まどか「こうして、私とほむらちゃんが楽しいデートできるのも、魔法少女たちに守られているからだもんね」

ほむら「そうね。平和の代償に、彼女たちは過酷な運命と闘っている」

まどか「私は、毎日、毎日、その子たちに感謝しながら暮らしていくよ」

ほむら「私も…」

  すべての魔法少女の結末が、幸福なものでありますように…。

 
41以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/31(火) 23:14:16.41:PaZ1gZXh0

ほむら「って、まどか、時間!」

まどか「え? あ、そうだった!」

  私たちは市民会館に向かう所だった。
  美樹さやかに招待されて、市民オーケストラによる、上条恭介のヴァイオリン演奏会が開かれる。
  曲目は、サラサーテのカルメン幻想曲。さやかがリクエストした曲だった。

ほむら「クラシックって始まったら、入場できなくなるの!」

まどか「ええっ! それじゃあ、急がなくちゃ!」

  手を握ったまま、私たちは会館を目指して、走り出す。
  この先、どんな未来が待っているのか分からない。
  けれど、私は、まどかの手を離すことは絶対にないだろう。
  ずっとずっと、ふたりで、手を取り合って走っていく。

 
43少女:2011/05/31(火) 23:17:58.22:PaZ1gZXh0

少女「サンタを倒したんだ、クリスマスなんて、死んじまえ」

まどか『この世界は、とてもやさしくて、美しいのっ!』
まどか『きっと救いはある。私たちがそうなったように。だから、希望を捨てずにがんばって!』
まどか『必ず、むくわれる日がやってくるからねっ!』

  あの、元魔法少女って女の言葉がずっと耳に付いている。

少女「別に、報われたかねぇんだ。私は殺されるのが本望なんだよ、ほーもー」

  地べたに倒れ込む。

少女「はぁ、なんか嫌、ぜんぶ嫌、私のソウルジェム破壊しよっかなぁ」

  空を見れば、雪がはらはらと降っている。暫くすれば、体が積もりそうだ。

マミ「こんなところで寝てると、風邪ひくわよ」

 
44以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/31(火) 23:20:58.30:PaZ1gZXh0

少女「うわ、おせっかいババア、来やがった」

マミ「お姉さんよ」

少女「うるせ、巨乳しかとりえないくせに」

マミ「そんなに、私の胸ってうらやましいのかしら?」

杏子「なんで、こっち見るんだよ?」

マミ「好きなくせに」

杏子「んなもん腹の足しになんないじゃん。アタシは、こっちの方が好きだよ」

  コンビニで買った、肉まんをほおばる。

杏子「おーう、少年。肉まん食うかい?」

少女「わたし、女。肉まん、いらね」

 
45以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/31(火) 23:23:48.24:PaZ1gZXh0

杏子「そうか、うめぇのに。マミも食う?」

マミ「クリスマスの料理、食べれなくなるわよ」

杏子「平気だ。マミの食いもんなら、アタシは底なしになるからな」

マミ「あなたも、いきましょ。ご馳走、用意してあるわ」

杏子「ケーキもあるぜ」

少女「いらね」

杏子「拒否権なし。アタシが無理矢理、連れて行ってやる」

少女「なぁ、さっきもだしさ、元魔法少女ってなんでそんなにお節介なわけ?」

マミ「さっき?」

 
46以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/31(火) 23:27:57.41:PaZ1gZXh0

少女「悪魔倒してたとき、会ったんだよ、あやしいぐらい仲良い2人」

杏子「つったら、まどかとほむらしかいないな」

マミ「あの子たちも、新たなる魔界の使者の存在を知ったのね」

杏子「アタシらがやっていること聞いたら、絶対、仲間に加わるぜ」
杏子「したら、さやかの奴も、釣られて入ってきそうだな」

マミ「チームマギカエンジェルズ、再結成ね!」

杏子「その名前だけは、絶対に変えてやる」

マミ「あの子たちのクリスマスは、美樹さんとクラシックコンサートだったわね」

杏子「アタシはガラじゃないから断ったけど、マミはそういうの好きそうじゃん。なぜ行かなかったんだ?」

マミ「ほっとけない子がいるから」

 
47以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/31(火) 23:30:42.81:PaZ1gZXh0

少女「私のこと? ほっときゃいいじゃん。もう、魔法少女じゃなくなったんだよ? 好き勝手に遊びなよ」

マミ「そう、だから、好き勝手にさせてもらっているわ」
マミ「その一つが、あなたのような魔法少女を助けること」

  巴マミは、聖母のようににっこりと微笑む。

マミ「安心して。あなたは決して、一人ぼっちじゃないのよ」

  やめろよ、泣けるだろ。
  耐えきれず、目をそらすと、雪ウサギのようになったキュゥべえが、こっちを見ている。
  あいつの差し金なのは分かった。まったく、余計なことしやがって。

少女「とても美しくて、やさしい世界、ふざけんな」

  あたたかすぎて、ほんとウザイ。

END

 
51以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/31(火) 23:38:03.32:PaZ1gZXh0
スレ立てしようか迷ったほど短い話ですけど、つきあってくださりありがとうございます。
今日の昼に唐突に浮かび上がって、一気に書き上げましたので、文章荒くて申し訳ないです。

本編で語れなかったのを補足する、ちょっとしたオマケ程度と思って下さい。

 
52:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/31(火) 23:40:35.13:vrNbI+IG0
おつかれちゃん

 


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