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5:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/04(土) 19:20:48.02:bDYADxpO0
「絞殺…やな」
数人の警官に紛れて現場に入っていた、西の高校生探偵は倒れこんだ国木田を見ながらそうつぶやいた。
冷静なそいつと対照的に俺は、昨日までそれなりに平穏な日常を謳歌していたこの部室に広がる光景にひどく混乱していた。
……どうなってんだ?なんで国木田が殺されなきゃならんのだ?しかもこの部室で…
「ちょっと!どきなさいよ!そこは私の部室なの!なかで何が…………え?」
ドアの前に群がる野次馬たちをかき分けて入ってきた我が団長も、俺と同様に絶句するしかないようだ。
「やれやれ……とんだ推理対決になってしもうたな」
苦笑いを浮かべる探偵を見ながら、俺はこう思わずにはいられなかった。
この状況を創り上げたのはお前なのか?
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10:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/04(土) 19:27:28.33:bDYADxpO0
―通学路―
キョン「毎朝思うがなんでこんな坂を登らなければならんのだ……ん?なんだあの色黒の男は?」
???「なあ、北高に行くのんはこの道であってんのか?」
キョン「すまない、俺はタガログ語のヒアリングには自信がないんだ」
???「ワタシ、ニホンゴスコシワカルネ……って誰が、東南アジアからの留学生や!俺はれっきとした日本人じゃボケぇ!」
キョン「…!何だ、関西弁か…すまん普段聞き慣れないイントネーションだったからつい…」
???「あんたも関西人やろが…そんなことよりその制服、北高のやっちゃろ?やっぱり、この道でええんやな」
キョン「ああ、だけど急いだほうがいいぞ。時間ギリギリだからな」
???「おう。にいちゃんもせっかく夜更かしするんやったら試験勉強をしたほうがええと思うで。ほなな」
キョン「ん?」
11:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/04(土) 19:32:18.66:bDYADxpO0
放課後 部室
古泉「なるほど、それで貴方は実際に夜更かしをしていたのですか?……王手です」
キョン「ああ、徹夜でゲームをやってた……おいおい、そいつは歩で止めてるぞ」
古泉「テスト前のこの時期に余裕ですね……飛将は直線すべて取れるんですよ」
キョン「諦観というやつだが、なんであいつにそれがわかったんだ?……説明書の何ページだよ」
古泉「おそらく、ひとつは髪の毛でしょう。寝ぐせが付いていませんから……304ページです」
キョン「寝ぐせ?そりゃあ、寝てないわけだから、当然付いてないが、直したかもしれないだろ……厚すぎないか、これ」
古泉「たとえ直したとしても、完全には消えません……機関の特注品です」
13:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/04(土) 19:35:08.12:bDYADxpO0
キョン「シャワーを浴びたのかもしれんじゃないか……まあ、俺の天狗の射程範囲だけどな」
古泉「遅刻しそうになってまでシャワーを浴びるタイプには見えませんからね……不覚でしたね」
キョン「やっぱりワックスくらい付けたほうがいいか?でも、勉強の方はどうなる……これでお前の駒は三枚になったわけだが」
古泉「貴方の鞄、今日は何を入れてきました?……盤が広く見えますね」
キョン「筆箱だけだな。教科書は全部置いてある……まだやんのか?」
古泉「この時期に鞄が膨らんでいないのは貴方ぐらいです……399柱の英霊のために」
14:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/04(土) 19:37:55.84:bDYADxpO0
キョン「結局あいつは何者なんだ?」
古泉「色黒で関西弁の他校の生徒……彼はおそらく…おや?」
国木田「おじゃまします。ちょっといいかな?」
キョン「どうした?めずらしいな部室に来るなんて」
朝比奈「もしかして、事件の相談ですか?」
国木田「はは…さすがに涼宮さん達に相談する勇気はないよ。そうじゃなくて、ちょっと部室を使わせて欲しいんだ」
キョン「もしかして、クラスの備品の話か?」
朝比奈「備品?」
16:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/04(土) 19:39:59.74:bDYADxpO0
キョン「こいつと谷口が壊したんですよ。うちのクラスの備品を」
国木田「そうなんだ。それで修理が終わるまで帰るなって言われてるんだけど場所がなくて」
古泉「この時期には教室に居残って勉強してる生徒もいますから」
朝比奈「それでうるさくしたら、だめなんですね」
キョン「谷口のやつはどうしたんだ?」
国木田「さあ、さっきから姿が見当たらないんだよ。それで、だめかな?」
キョン「ハルヒがいないとなんとも……」
ハルヒ「おっまたせーっ!」
古泉「…いらっしゃいましたね」
17:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/04(土) 19:41:42.97:bDYADxpO0
ハルヒ「あれ、あんたたちまだその将棋やってたの?」
キョン「俺達の七日間戦争ももうすぐ終戦だ」
ハルヒ「ふーん、それでどうして国木田がここにいるのよ?」
国木田「ちょっと部室でこれの修理をさせてもらえないかなって思ってさ」
ハルヒ「まあ、いいわよ。黒板消しクリーナーの無い教室なんて教室じゃないもの」
国木田「ありがとう、涼宮さん」
19:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/04(土) 19:43:18.62:bDYADxpO0
キョン「……で?その手に持ってる袴と竹刀はなんなんだ?」
ハルヒ「ん?ああ、そうそう!剣道よ!剣道をしに行くわよ!」
キョン「剣道?どうして突然?」
ハルヒ「今大阪からウチに強豪校が遠征しに来てるのよ!その中に日本トップクラスの部員もいるらしいわ!」
キョン「…だから」
ハルヒ「ホントにぶいわね…そんな相手に勝ってSOS団の名を広めるチャンスじゃない!」
キョン「勝てるわけ無いだろ!」
ハルヒ「やってみなきゃわかんないわよ。あんた達は先に剣道場に行ってて。私たちはここで着替えてから行くから」
20:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/04(土) 19:44:59.83:bDYADxpO0
古泉「では、我々は向かいましょうか」
国木田「そうだ、キョンよかったら。筆箱かしてくれない?教室に置き忘れて来ちゃってさ」
キョン「かまわんが……何に使うんだ?」
国木田「ありがとう、とりあえず修理の仕方を書き残さないとね。同じ手順で間違えちゃうとあれだから」
古泉「鞄の中身が無くなりましたね」
キョン「うるせえ」
21:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/04(土) 19:49:35.32:bDYADxpO0
―剣道場に行く途中―
谷口「あのショートカットの女はどうだ?」
???「まあ、Bマイナーってとこやな」
谷口「Bマイナー!?俺調べだとAランクの逸材だぞ!」
???「よお見てみぃ。化粧がキツイだけやないか」
谷口「バカやろう!女ってのは綺麗になりたいって心も含めて女だろうが!」
???「アホか!なんで高校生で必要以上に化粧なんてせなあかんのじゃ!将来肌がボロボロになってまうわ!」
キョン「盛り上がっているところすまんが、谷口。お前何やってんだ?」
谷口「なんだ、キョンか。見てわかんねえのか?こいつに正しい価値観を叩き込んでんだよ」
???「なんやと?それはこっちの……ん?あんた、今朝の…」
キョン「ん?ああ、今朝の留学生か」
???「ニホンノヒトタチミンナヤサシイデス……ってなにやらすんじゃ!」
24:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/04(土) 19:51:41.47:bDYADxpO0
古泉「服部くん…ですね」
服部「あんた、俺のこと知ってんのんか?」
古泉「…いえ、名前が垂に書いてありますから」
キョン「ってことは遠征に来た剣道部員ってお前のことか」
服部「おう、しばらくこの高校で世話にから、よろしゅうな」
ハルヒ「ちょっとあんた達!なに道草くってんのよ!」
キョン「なんだ、もう着替えたのか」
26:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/04(土) 19:53:35.91:bDYADxpO0
服部「なんや?その格好、ねーちゃんも剣道やるんか?」
ハルヒ「あんた、改方学園の剣道部員ね!勝負しなさい!」
服部「待て待て待て!こんなところで竹刀振り回すな」
ハルヒ「なにいってんの!目があったんだから試合を受けたって事でしょ!」
服部「どんなルールやねん!」
長門「……合意と見ていい?」
キョン「ダメだ」
古泉「涼宮さん。彼は今竹刀を持っていませんから、戦うことは難しいかと」
朝比奈「やっぱり剣道場でやったほうがいいですよー」
服部「俺もそれやったら、勝負したるで」
ハルヒ「しょうがないわね…じゃあ先に行ってるから、逃げたら死刑よ!
28:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/04(土) 19:56:21.34:bDYADxpO0
キョン「まったく、騒がしいやつだな」
谷口「服部。今のはどうだ?」
服部「あのきつそうなねーちゃんか?そやな、さっきの基準やとAAランク+っちゅとこかな」
谷口「AA+?たしかに薄化粧であれだけの上玉なのは珍しいが高すぎないか?」
服部「そうか?妥当やと思うけどな」
谷口「ああいうのがタイプなのか?だとしたら一つ言っておく。あいつだけはやめておけ」
キョン「くだらない話の最中に悪いが、谷口。国木田が探してたぞ」
谷口「国木田が?しょうがねぇな。じゃあ服部、またな」
29:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/04(土) 19:58:05.27:bDYADxpO0
―剣道場―
ハルヒ「なんであんたたちボロ負けしてんのよ!」
キョン「無茶言うなこっちは素人だぞ」
ハルヒ「なにいってんの!授業でやらなかったの!」
古泉「僕は柔道をとってましたから」
ハルヒ「キョンは?」
キョン「……ダンス」
古泉「ダンス(笑)」
キョン(このやろう……)
31:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/04(土) 19:59:54.34:bDYADxpO0
服部「まあまあ、素人にしてはなかなかの太刀筋やったで」
キョン「ったく、少しは手加減しろよ」
服部「すまんすまん、『これは試合じゃなくて死合よ!』って言うもんやからついな」
ハルヒ「死中に活を求めてこそ剣の道よ」
キョン「勝手に人を死中に追い込むな」
服部「それにしても、あの無口なねーちゃんはなにもんや?あんな戦いにくい相手初めてやで」
古泉「長門さんのノーモーションの打ち込み速度は段違いでしたからね」
キョン「長門…やり過ぎだ」
長門「…反省する」
32:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/04(土) 20:01:42.44:kObuhRja0
朝比奈「でも服部くんも長門さんに勝っちゃうんですからすごいです」
服部「そないなことない。ちゃんと声を出されとったら一本負けしとったわ」
ハルヒ「ちょっと待って……あんた服部っていうの?」
服部「そやけど」
ハルヒ「なんで今まで黙ってたのよ!」
キョン「黙ってるもなにも、大々的に名前が書いてあるじゃねぇか」
ハルヒ「不覚だったわ…」
キョン「なんだ?服部のこと知ってるのか」
ハルヒ「知ってるも何も改方学園の服部といえば有名な高校生探偵じゃない!」
キョン「こ、高校生探偵?」
35:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/04(土) 20:04:20.04:bDYADxpO0
服部「そないに有名やったか。俺も捨てたもんやないなあ」
古泉「やはりそうでしたか」
キョン「お前も知ってたのか?」
古泉「はい、今まで千件以上の事件を解決してきた名探偵と聞いています」
朝比奈「千件!」
服部「覚えてる分だけやけどな」
キョン「どうせ、猫探しとかちっさい事件も含めてなんじゃないのか」
服部「ま…まあ、とにかく、それがどないしたんや」
37:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/04(土) 20:06:25.82:bDYADxpO0
ハルヒ「……剣道での勝負は不本意ながら引き分けを認めるわ」
キョン「5対0だったろうが」
ハルヒ「次は推理対決よ!この名探偵の私を差し置いて西の服部を名乗るのは許せないわ」
キョン「お前の自信は一体どこから来るんだ?」
ハルヒ「実績のない自信は過信に過ぎないわ。我がSOS団はいくつもの事件を解決してきたじゃない!」
キョン「片手で数えるほどじゃねえか!」
服部「なんや、おもろそうな話やな」
41:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/04(土) 20:08:30.68:bDYADxpO0
キョン「おいおい、コイツをあんまり調子づかせんなよ」
服部「それで、推理せなアカン事件はあるんか?」
ハルヒ「えぇっと……キョン!なにか無いの!」
キョン「家で爪切りが見つからないんだが」
ハルヒ「ぶっ飛ばすわよ」
古泉「隣町でイラン人の麻薬密売組織が暗躍しているみたいですよ」
キョン「おまえは中東のマフィアを敵に回すつもりか」
ハルヒ「うーん、古泉くんの事件もおもしろそうだけど、推理対決には向いてないわね」
服部「まあ、俺も今週いっぱいはこの学校におるから、なんか事件が起きたら呼んだってくれ」
ハルヒ「仕方ないわね。今日のところは引き上げるわよ」
43:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/04(土) 20:10:28.39:bDYADxpO0
―部室―
キョン「一難去ったと思ったらまた一難残ってたとはな」
古泉「ぶっちゃけありえませんね」
キョン「まさか、高校生探偵なるものが実在するなんてな」
古泉「そのことなんですが、前に探偵についてのお話をしましたよね」
キョン「探偵がいるから事件が起こるって話だろ。空想上の話じゃないのか?」
古泉「まだ仮説の段階なのですが、一部の人間にその性質があるのではないかと言われているんです」
キョン「そんなバカな」
47:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/04(土) 20:13:01.33:bDYADxpO0
古泉「貴方は今日本で一番有名な探偵は誰だと思いますか?」
キョン「そりゃあ、あの毛利とかいう夢遊病のおっさんだろ」
古泉「そうです。その毛利探偵が住む米花町のこの一年間の殺人事件の件数をご存知ですか?」
キョン「東京の街だからな……20件くらいは起こるんじゃないか」
古泉「300件以上です」
キョン「週6ペースじゃねえか」
古泉「その上、彼は他県でもいくつも事件を遭遇していますしね」
キョン「信じがたいな」
48:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/04(土) 20:13:53.38:a6PsL2kE0
古泉「えぇ、それに他にも東京には殺人犯が一ダースいる高校があるという話もありますから」
キョン「悪魔が住んでるとしか思えん」
古泉「その説を提唱する学者の中でも事件を引き寄せる彼らは『死神』や『無為式』など様々な呼ばれ方をしています」
キョン「それで服部もその一人だと?」
古泉「おそらく……それに涼宮さんの能力を考えると…」
キョン「……俺達に逃げ場はないのか」
古泉「なにか、対処する必要があるかもしれませんね」
51:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/04(土) 20:15:47.55:bDYADxpO0
長門「………」
ハルヒ「さあ、有希も読み終わったみたいだから帰るわよ!」
朝比奈「はーい」
キョン「お前らはまだ帰らないのか?」
国木田「うん、もう少しかかりそうだから」
谷口「先帰ってていいぜ」
ハルヒ「戸締りをし忘れたら死刑よ」
54:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/04(土) 20:19:43.45:bDYADxpO0
―下校途中―
ハルヒ「服部くんがいる間に、都合よく事件でも起きないものかしらね」
キョン「どんな事件ならお前のお気に召すんだ?」
ハルヒ「そうねぇ、出来れば派手なやつがいいわね」
古泉「派手な事件の捜査に高校生の僕達が参加できますかね?」
ハルヒ「それなら、やっぱりクローズドサークルものかしら」
キョン「今週中に雪山や孤島に行くのか?来週定期試験だぞ」
ハルヒ「うーん…そうだ!だったら学校が時空転移か何かに巻き込まれて警察が来れなくなるっていうのはどう?」
キョン「そんなことになったら、推理対決してる場合じゃないだろ」
ハルヒ「もう、ああ言えばこう言うヤツね。それならあんたはどんな事件がいいのよ」
キョン「そうだな、もっと平和で警察のお世話にならないやつかな」
ハルヒ「そんなので彼に勝っても西の涼宮は名乗れないじゃないの!」
56:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/04(土) 20:22:32.63:bDYADxpO0
―下校途中Ⅱ―
キョン「あいつらと別れてからパトカーのサイレンが鳴り止まないんだが」
57:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/04(土) 20:26:19.27:bDYADxpO0
翌日―通学路―
妹「キョンくーん」
キョン「わかってるよ。学校が終わってからな」
妹「うん」
キョン「んじゃ、行ってきます」
妹「行ってらっしゃーい」
キョン「ったく、昨日のサイレンといい……ん?谷口じゃないか」
谷口「…うーっす」
キョン「なんだよ、元気ないな」
谷口「……」
58:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/04(土) 20:30:08.62:bDYADxpO0
キョン「そういえば、黒板消しクリーナーの修理は終わったのか?」
谷口「ああ、たぶんな」
キョン「たぶん?」
谷口「国木田と連絡が取れないんだよ」
キョン「なんで国木田に聞く必要があるんだ?お前も居残っていただろ」
谷口「昨日の夜、俺は見たいテレビがあったから先に帰ったんだよ」
キョン「国木田をひとりにして?」
谷口「あとちょっとだからいいよって言ってくれたからさ」
キョン「よく岡部に見つからなかったな」
谷口「見つかって、怒られそうになったが口八丁でごまかしてやったぜ」
キョン「自慢気に言うことじゃないぞ」
59:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/04(土) 20:33:20.44:bDYADxpO0
谷口「でもそれから連絡が取れないんだ…俺、嫌われちゃったのかな?」
キョン「お前……たまに可愛いところあるよな」
谷口「なんだよ…バカにしてんのか?」
キョン「だが、国木田と連絡が取れないのか…」
谷口「あぁ、なにか事故や事件が起きてなきゃいいけど…」
キョン「!?そういえば昨日は一晩中サイレンが鳴ってたよな……」
60:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/04(土) 20:35:35.85:bDYADxpO0
谷口「怖いこと言うんじゃねえよ。それにそのサイレンは原因がわかってるぞ」
キョン「原因?」
谷口「同時多発露出狂らしい、ネットの掲示板で集まったんだとよ」
キョン「世はまさに世紀末だな……あの校門前に停まってるパトカーもそのためなのか?」
谷口「いや……さすがにこの時間の高校で露出はしないだろ」
キョン「じゃあ一体……」
谷口「おい…!旧館の方に警官が集まってないか?」
キョン「…!?まさか……くそっ!ほんとに起きやがったのか!」
谷口「お、おい!待てよキョン!」
63:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/04(土) 20:41:48.43:bDYADxpO0
―部室―
>>5
キョン「国木田っ!」
警官「ちょっと君、此処から部屋の中には……」
服部「構わん構わん、俺の知り合いや」
キョン「本当に…死んでるのか?」
ハルヒ「うそ……冗談よね?」
服部「残念ながら、嘘やない。あんたらは被害者と知り合いか?」
キョン「ああ、同じクラスの友人だ」
服部「それで、この部屋はそのSOS団ちゅうのんの部室なんやな?」
ハルヒ「そうよ…」
64:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/04(土) 20:44:43.55:bDYADxpO0
警部「おい!どうして、現場にガキが入ってるんだ?」
警官「それはこの少年が…」
服部「おっさん、俺のこと知らんのか?」
警部「大阪府警のボンボンだろ?残念だったな…ここでは親父の七光りは通じんぞ」
服部「なんやと!」
警部「おい、こいつをつまみ出せ」
警官「ハッ!」
服部「ちょまて!まだ証拠が…」
警部「お前らもでていくんだ」
ハルヒ「……!」
キョン「行くぞ。ハルヒ」
65:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/04(土) 20:47:38.81:bDYADxpO0
―教室―
服部「なんやねん、あのおっさん。偉そうに……」
キョン「なんでお前はさり気なくうちのクラスに来てるんだ」
服部「寝泊まりしてる剣道場には、事件解決して来るゆうて出てきたから帰りにくうてな」
ハルヒ「あたし…何があったのかよく理解できてないんだけど……」
服部「おお、そやった。とりあえず今回の事件の整理をしとこか」
キョン「国木田の遺体はいつ見つかったんだ?」
服部「死体を発見したんは職員室に一番に来た先生や。部室の鍵が無いことを不審に思うて見に来たんやと」
ハルヒ「……なんで殺されなきゃいけなかったの?」
服部「それがようわからん。財布も残されとるし鞄からものうなってるもんは無い様やし」
キョン「物取りの犯行じゃないってことか」
ハルヒ「………」
67:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/04(土) 20:53:11.38:bDYADxpO0
服部「となると、他に殺さなあかん理由があったはずやねんけど知らんか?」
キョン「怨恨か…」
谷口「あいつは誰かに恨まれるようなことをするやつじゃねえ!」
服部「なんや?谷口もこの組やったんか」
谷口「俺が国木田をひとりにしなければ…あいつは……」
ハルヒ「谷口……」
服部「それは、すまんかったな…」
キョン「動機は置いておくとして、凶器はどうなんだ?」
ハルヒ「絞殺……って言ってたわよね」
70:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/04(土) 20:55:50.28:bDYADxpO0
服部「首に索条痕が残っとったが、まわりに紐のようなものは見当たらんかったな」
キョン「犯人が持って帰ったっていうことか」
服部「おそらくな、それに特徴的な痕やなかったさかい特定は難しいやろ」
ハルヒ「他には何か不審なところはなかったの?」
服部「他っちゅうたら……首に新しい火傷の痕ができとったことやな」
キョン「火傷の痕……?」
谷口「それで…あいつは……いつごろ…その…殺されたんだ?」
服部「死後硬直の状態から見て12時間は経っとったから昨日の9時までやな」
キョン「谷口は何時まで残ってたんだ?」
谷口「……8時だ」
キョン「ということはその一時間か…」
72:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/04(土) 20:59:28.19:bDYADxpO0
服部「その時間に怪しい行動っとっとったやつに心当たりは?」
キョン「俺達は6時には帰ったからその後の話はわからん」
谷口「ちょっとまてよ……そういえば帰り道に古泉を見かけたぞ」
キョン「古泉?」
谷口「どこに向かったのかは知らんが、なにやら深刻そうな顔をしていたな…」
服部「とりあえず一人目やな」
ハルヒ「何勝手なこと言ってんの!SOS団の団員が犯人な訳ないじゃない!」
キョン「落ち着けよハルヒ。誰もそんなことは言ってない!」
ハルヒ「いいわ!本人に確認したらいいのよ!今電話をかけるから」
76:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/04(土) 21:02:48.66:bDYADxpO0
長門「……古泉一樹は早退した」
服部「なんや無口なねーちゃんやないか」
キョン「それで、古泉が早退したってのは……」
長門「おそらく」
ハルヒ「ダメね…古泉君電話に出てくれないわ…」
谷口「…昨日の夜のことに…今朝の早退か」
キョン「おい、長門。ちょっと外の空気を吸わないか」
長門「……わかった」
79:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/04(土) 21:06:21.29:bDYADxpO0
―廊下―
キョン「それで……今回の犯人はわかってるんだろ?」
長門「わかってる」
キョン「そいつは誰なんだ?」
長門「教えられない」
キョン「どうして」
長門「涼宮ハルヒは私が事件を解決することを望んでいない」
キョン「じゃあ、誰ならいいんだ」
長門「おそらく、貴方」
83:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/04(土) 21:08:25.68:bDYADxpO0
キョン「それなら、お前から聞いた答えを俺が発表したらいいじゃないか」
長門「それではダメ。涼宮ハルヒは貴方が華麗な推理を披露するタイプの人間じゃないことを知っている」
キョン「俺がハルヒにお前から聞いた答えをもとにヒントを出していくって言うのはどうだ」
長門「涼宮ハルヒはプライドが高い。それに巧妙な演技を貴方には望めない」
キョン「どうすりゃいいんだよ」
長門「独力で事件を解く過程を認識させる必要がある」
キョン「それで、犯人を最初から知ってたらハルヒの望む真剣さが出せないってことか」
長門「そう」
84:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/04(土) 21:08:47.11:OjJzlh180
キョン「まったく、俺の周りは俺に厳しいやつばっかりだな」
長門「…なぜ犬は鳴かなかったのか」
キョン「ん?なんだそれは」
長門「事件のヒント……私は帰宅する」
キョン「もう帰るのか?」
長門「涼宮ハルヒは私が事件現場の近くにいることを望まない…」
キョン「たしかにそうかもしれんが…」
長門「健闘を祈る」
キョン「なぜ犬は鳴かなかったのか…」
谷口「なぜ犬が…鳴かなかったか?」
キョン「うおっ!谷口なにやってんだ!」
谷口「なにって、帰るんだよ。俺には力になれそうにないからな…」
キョン「その、なんだ、あんまり気を落とすなよ」
谷口「おう、お前もな……それにしても…犬…か」
88:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/04(土) 21:16:03.11:bDYADxpO0
―教室―
ハルヒ「あれ、有希は?」
キョン「帰っちまった」
ハルヒ「やっぱり、今の学校は危ないものね」
服部「それで、あの乳のでかいねーちゃんとも連絡が取れへんのか」
ハルヒ「そうよ、さっきから電話してるのに全然出ないの」
キョン「朝比奈さんもか」
服部「なるほどな…」
ハルヒ「まさか、みくるちゃんを疑ってるの?そんなはずないじゃない!」
服部「あくまで可能性の一つとしてや」
89:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/04(土) 21:19:18.17:bDYADxpO0
キョン「だが、国木田の持ち物が目当てじゃなかったとすると」
服部「知り合いによる犯行の可能性が高いんも事実」
ハルヒ「………」
キョン「知り合いか」
服部「そのSOS団の集合写真かなにかはないんか?」
キョン「集合写真?そういえば野球やったときのやつが携帯に入ってたな」
服部「すまんな……ん?この髪の長いねーちゃんとも知り合いなんか?」
キョン「鶴屋さんのことだな。知ってるのか」
服部「昨日の夜、近くのコンビニに行ったんやけど、その途中で見かけたと思うで」
キョン「鶴屋さんもかよ…」
91:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/04(土) 21:21:55.65:bDYADxpO0
ハルヒ「……バッカじゃない」
服部「なんや?」
ハルヒ「バカじゃないのかって言ってるのよ!」
キョン「どうしたんだよ」
ハルヒ「こんなところでグダグダ話し合っててどうなるわけ。さっきから何も進展してないじゃない!」
服部「それはこっからなや……」
ハルヒ「どうせ警察が解決してくれるんだから、私たちがやる必要なんてないのよ」
キョン「ハルヒ?」
ハルヒ「……帰る」
服部「はぁ?」
ハルヒ「全く無駄な時間を過ごしたわ。来週テストだっていうのに」
服部「こんな時に試験の心配しとる場合か!」
ハルヒ「キョンも勉強したほうがいいんじゃない?私はひとりで帰るから。じゃあね」
92:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/04(土) 21:25:22.18:bDYADxpO0
服部「どうしたんや、あのねーちゃんは」
キョン「……」
服部「お前もなんかあるんかい?」
キョン「いや…そういうわけじゃないが…」
服部「さよか。そういや、聴き忘れとったことがあるんやが」
キョン「なんだよ」
服部「なんであの部室は机の上に黒板消しクリーナーが置いてあるんや?」
キョン「それは国木田と谷口が壊したやつだ。それを修理するためにあいつは部室に来てたんだよ」
服部「ん?あの被害者は団員とちゃうんか?」
94:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/04(土) 21:27:31.78:bDYADxpO0
キョン「あいつは準団員で普段は帰宅部だ。他に聞きたいことはあるか?」
服部「そやなぁ…あの部室に落ちとった青い筆箱は誰かわかるか?」
キョン「ん?それは俺だけど…それがどうした」
服部「なんや、あんたの忘れもんか。犯人の遺留品かと思うたのに」
キョン「そんな事で犯人にされるところだったのか俺は」
服部「それにしても、余裕やな。テスト前やのに筆箱すら持って帰らんとは」
キョン「ほっとけ、それに忘れて帰ったわけじゃないぞ」
服部「どういうこっちゃ?」
キョン「国木田のやつに貸してやってたんだよ」
服部「なんでや?」
95:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/04(土) 21:29:37.85:bDYADxpO0
キョン「教室に筆箱を忘れたって言ってたからな」
服部「…………」
キョン「おい、どうしたんだよ」
服部「なんで…なんでそれを先に言わんのじゃ!このボケぇ!」
キョン「なんだよいきなり…」
服部「そうかそうか、そうやったんや。全くアホ丸出しやな俺は」
キョン「おいおい」
服部「たしかにあのねーちゃんの言うとおり何も進展しとらんかった」
キョン「なんの話だ」
服部「事件の話を聞いた時点で気づくべきやったんや…くそっ!」
キョン「ちょっと待て!どこ行くんだよ!」
98:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/04(土) 21:32:53.26:bDYADxpO0
―教室Ⅱ―
キョン「ハルヒは電話が通じないし、服部もどこに行ったかわからん。なんなんだあいつらは…」
???「なああんた、色黒で関西弁の男をみぃひんかったか?」
キョン「…………」
???「なんや?人のことジロジロ見て」
キョン「……あぁすまん。それでなんの話だっけ?」
???「だから、関西弁の色黒男がどこ行ったか知っとるかって聞いてるんよ」
キョン「関西弁の色黒?服部のことか」
???「そうそう!それでどこにおるん?」
キョン「それが俺にもわからないんだ。さっきこの教室から飛び出して行ったからな」
???「あのアホ……電話もでえへんし…せっかく来たったのに」
キョン「もしどっかで見かけたら連絡するように伝えておこうか?」
???「たすかるわ!じゃ、私は他の場所さがすから。よろしゅうな!」
キョン「おう………!?名前聞くの忘れてた!」
100:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/04(土) 21:34:46.37:bDYADxpO0
キョンの家―玄関―
キョン「結局、あいつらは戻って来なかったな…ただいまー」
妹「キョン君、遅いよー!待ってたのにー」
キョン「すまん。今はひとりにしてくれ」
101:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/04(土) 21:37:51.18:bDYADxpO0
―キョンの部屋―
キョン(国木田…結局あいつはなんで殺されたんだ?
何も盗まれていないって言ってたからやっぱり怨恨?
しかし、俺もあいつが誰かの恨みを買うとは思えんが…
駄目だ!全然考えがまとまらん!
やっぱり、ここは警察に任せておくべきなのか?)
102:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/04(土) 21:41:06.01:bDYADxpO0
佐々木『それで僕に電話してきたってことだね』
キョン「ああ、もう頼れる相手はお前しかいないんだ」
佐々木『その言い方だと僕の優先順位が低いように聞こえるけど』
キョン「!?そういう意味じゃなくてだな…」
佐々木『くつくつ、冗談だよ。それにしても僕に頼ってくれるとはね…』
キョン「…?まあ、とにかく今の話でわかったことはあるか?」
佐々木『確定できるほどの証拠はないけど。怪しい人物はいるね』
キョン「誰だよそれは」
103:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/04(土) 21:44:04.43:bDYADxpO0
佐々木『その前に…白銀号事件というものを知ってるかい?キョン』
キョン「なんだそりゃ」
佐々木『百年以上前にイギリスで起きた事件さ。君はホームズを読まないのかい』
キョン「小学校で読んだ記憶があるが……それがどうしたんだ」
佐々木『その話の中ではある事がその事件解決の糸口になるんだ』
キョン「なんだよあることって」
佐々木『犬が鳴かなかったことだよ』
キョン「……またそれか、一体どういう意味なんだ」
佐々木『今回の事件に当てはめると…何もしていないことが不自然ってことさ』
105:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/04(土) 21:47:03.83:bDYADxpO0
キョン「……どうして素直に犯人を教えてくれないんだ?」
佐々木『ミステリーに置けるカタルシスの必要条件は自分で答えを見つける事だ、というのが僕の持論だからね』
キョン「まったく、現実の事件なんだぞ」
佐々木『それでキョン、誰が怪しいのかはわかったのかい?』
キョン「さっぱり見当がつかん」
佐々木『仕方ないね。多すぎるヒントは興を削ぐから好きじゃないんだけど…』
キョン「言ってみろ」
佐々木『どうして、国木田が朝に発見されたんだと思う?』
107:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/04(土) 21:50:06.28:bDYADxpO0
キョンの家―玄関―
妹「キョンくんこんな時間にどこいくのー!」
キョン「ヤボ用だ!飯はいらん」
妹「シャミはー?」
キョン「今は勘弁してくれ!」
109:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/04(土) 21:55:17.33:bDYADxpO0
―夜の学校―
???「………」
キョン「やっぱりあんたが国木田を殺したんだな……」
谷口「………」
キョン「殺した動機は……今見るまでわからなかったが……机から出してるのを見られたからだろ?その白い粉を」
谷口「………」
キョン「これからあんたを疑った理由を挙げていくが、反論があったらいつでも言ってくれ、岡部先生?」
110:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/04(土) 21:57:58.00:a6PsL2kE0
岡部「馬鹿な…何を言い出すんだ。これはただのプロテインだぞ」
谷口「いまさら知らばっくれるんじゃねぇ!」
キョン「落ち着け谷口…俺にとってその粉がプロテインだろうがホットケーキミックスだろうが関係ない。
弁解して欲しいのは昨日の夜の奇妙な行動についてだ」
岡部「奇妙な行動?俺は何もしてないぞ」
キョン「そう、そこがおかしいんだよ。なんであんたは何もしなかったんだ?」
岡部「当然だ。犯人じゃないんだから」
キョン「そうじゃない…犯人じゃないなら何かしていることが必然なんだ…」
113:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/04(土) 22:00:25.46:bDYADxpO0
谷口「なんで…あんたは国木田の死体を発見しなかったんだ?」
岡部「…なんのことだ?」
キョン「国木田の死体は今朝、部室の鍵が足りないから発見されたんだよな」
谷口「だとすると、昨日の夜から鍵は職員室になかったはずなんだ」
キョン「それで、なぜあんたは鍵がないことを不審に思わなかったんだ?」
岡部「それは……気づかなかったんだよ。国木田が部室の方にいるなんて」
キョン「気付かなかった?あんたが備品の修理が終わるまで居残れと言ったのに?」
谷口「それに事件の一時間前には俺に会ってその話をしてるわけだしな
115:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/04(土) 22:04:16.85:bDYADxpO0
岡部「ちょっとまて、仮にそうだとしても国木田は部室で作業をしていたところを殺されたんだろ?
さっきお前らは職員室でこの粉を見たから殺されたといったが矛盾してないか?」
キョン「そうだな…国木田が部室にいたんなら殺される理由はない……」
岡部「そうだろ!もっと考えてからモノは言うもんだな!」
谷口「もし…ずっと部室に居たとしたら・・・な」
岡部「な、なんのことだ?」
キョン「あいつは殺される前にすでに作業を終えてたんだよ」
岡部「なにを証拠に!」
谷口「国木田の荷物の中で足りないものは何も無かったんだ」
岡部「それがどうした?なにもおかしくないだろう」
116:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/04(土) 22:08:13.43:bDYADxpO0
谷口「それがおかしいんだ。あいつは筆箱を教室に忘れてたはずなのに」
岡部「……取りに戻ったんじゃないのか?」
キョン「いや、代わりに俺の筆箱を貸してやったからそれは不自然だ」
谷口「それになにか足りないのなら、俺に借りればいい…」
キョン「つまり、あいつは作業のために筆箱が必要になったから教室に取りに行ったんじゃない。
作業が終わったから取りに行ったんだ。」
谷口「修理し終わったんだから、鍵を返しに職員室に行くだろうし、あんたにも報告したんじゃないのか?」
キョン「その時に見たんだよあんたの秘密をね」
谷口「そして国木田殺したあんたは死体を部室に運んだんだ。職員室で最後に会った事実を隠すためにな」
岡部「…………」
117:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/04(土) 22:10:03.92:bDYADxpO0
キョン「なにか反論はあるか?」
岡部「いや、ないよ。たしかに国木田を殺したのは俺だ。動機もズバリだ」
キョン「まさか、学校に…職員室に麻薬が保管してあるとは誰も思わないだろうからな」
岡部「最初は、自分で使うつもりだったんだが、転売したほうが儲かることに気づいたんだ」
キョン「イラン系の麻薬組織が隣町で暗躍していると聞いていたが、そいつらとつながってるのか?」
岡部「怪しげな外国人より日本人のほうがウケが良くてね。仲介料も弾んでくれたよ」
谷口「てめぇ!そんな金のために国木田を殺したのかッ!!」
岡部「当然だ、1グラムで数万だぞ。こんなうまい話があるか?」
谷口「……俺は…アイツのいい友人じゃなかったかもしれない……だけどなぁっ!
あいつは俺の一番の友人だったんだぁっ!!!」
キョン「馬鹿っっ!やめろ谷口っ!!」
120:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/04(土) 22:12:24.37:bDYADxpO0
岡部「ふんっ」
谷口「ぐはあっ!!」
キョン「谷口っっっっっ!」
岡部「やれやれ、お前らみたいな帰宅部ふぜいが俺に勝てるわけ無いだろ」
谷口「く……クソったれッ……」
岡部「まだ来るのか?じゃあこれの出番だな」
キョン「スタンガン!?」
谷口「や……やめろ」
岡部「腕でガードしても無駄だ。服の上からでも十分に効果があるぞ」
谷口「ぐあああああああっ!」
キョン「谷口!もう動くなっ!」
121:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/04(土) 22:15:21.00:bDYADxpO0
岡部「さて、次はお前の番だな」
キョン「ま、待て。これ以上処理する死体が増えると処理に困るんじゃないか?」
岡部「なに、死体の一つや二つ、今日だったあいつらに処理させるさ」
キョン「麻薬組織か…だけど国木田はどうしてそのままだったんだ?」
岡部「昨日は何故かパトカーが多かったからな、あいつらに頼れなかったんだよ」
キョン「麻薬をどこかに移動させなかったのもそのせいだな」
岡部「御名答。見つかると不都合だからな。だから今日保管場所を変えるつもりだったんだ」
キョン「今日も警官がいるが、旧館に注意が集まってるから昨日よりマシってことか…」
岡部「納得できたか?これで、心置きなく死ねるなっ!」
キョン(南無三っ!!!)
123:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/04(土) 22:18:17.82:bDYADxpO0
ハルヒ「ちょっと待ったっっっ!!!!」
岡部「なんだとっ!?」
キョン「ハルヒ!?!?!?!?!?!?」
ハルヒ「うちの団員を傷つけることは私が許さないわ!!」
キョン「おい!!お前今までどこにいたんだよ!?」
ハルヒ「そこの掃除ロッカーよ。こんなこともあろうかと隠れていたの」
キョン「いつからだ?」
ハルヒ「5、6時間前からかしら」
124:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/04(土) 22:18:57.22:sCUNvpig0
岡部「お前、あの後からずっと入ってたのか!?」
ハルヒ「そうよ、あんたの悪事を暴くためにね!!」
キョン「あの時っていつだよ!?」
ハルヒ「あんたたちと別れたあとに、今の話を職員室で披露したのよ。だけど誰も信じてくれなかったわ」
キョン「それで、証拠を抑えるために隠れてたのかよ」
岡部「まあいい、死体がひとつ増えるだけだ」
ハルヒ「それはどうかしらね、喰らいなさい!!」
キョン「やめろハルヒ!!」
129:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/04(土) 22:23:27.59:bDYADxpO0
岡部「ふんっ!」
ハルヒ「きゃあああっ!!!」
キョン「ハルヒィィィィ!!」
岡部「運動神経がいいと言っても所詮は女、筋肉の質が違う」
キョン「貴様ぁ……!!」
岡部「もう二度と逆らえないように、こいつで眠らせてやる」
ハルヒ「き…来なさい…もう団員には……手を出させないわ」
131:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/04(土) 22:25:03.54:bDYADxpO0
岡部「ふっ、泣けるねえ。まあいい、感電死しやがれ!!」
キョン「やめろォォォォ!!!」
ハルヒ「キョンっ!!」
キョン「ぐああああああああっ!!」
岡部「馬鹿が……どうせ次はお前だったのに」
ハルヒ「キョンっ!!!なんであんたがかばうのよっ!!」
キョン「ハルヒ……無事で良かった」
ハルヒ「あんたのピンチだから飛び出したのに…これじゃ私が足手まといじゃない!」
キョン「……そんなことはない……お前には助けられたんだからな」
133:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/04(土) 22:26:20.71:bDYADxpO0
ハルヒ「こんなところで死ぬなんて許さないわよ!」
キョン「お前に……膝枕されながらならそんなに悪くはない気分だぞ……」
ハルヒ「ばかじゃないの……あんたが死んだら私は……」
岡部「お取り込み中すまないが、涼宮……お前にも死んでもらう」
ハルヒ「ち……近づかないで……」
岡部「今更、命乞い?俺が聞いてくれると思ってんのかっっ!!!」
ハルヒ(なんで……どうして……私はみんなと面白く過ごせたらそれでいいのに……恨むよ神様……)
服部「そこまでや、女の子に手え上げるもんやないで」
134:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/04(土) 22:26:55.42:00TmtcB50
岡部「お…お前は…!?」
キョン「やれやれ……登場が遅すぎないか?」
服部「スマンスマン。県警のおっちゃんらの頭が固うての」
ハルヒ「キョン!!あなた動けるの!?」
キョン「ん?ああ、特に問題はないぞ。おい、お前もそろそろ起きろ」
谷口「お前は無傷かもしれないが俺は腹を殴られてんだぞ。もっと休ませろ」
岡部「ど、どういうことだ?」
キョン「お前がスタンガンを持ってるのは来る前からわかってたから対策をしてただけだ」
谷口「ったく、制服の下にビニールのレインコートなんてゴワゴワして動きづらいぜ」
139:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/04(土) 22:31:01.77:bDYADxpO0
岡部「俺を嵌めたのか?」
キョン「いくら怪しいと言っても証拠がないからな」
服部「県警の奴らも相手が同じ公務員やと消極的でな、なんかきっかけが必要やったんや」
谷口「ついでに言うとさっきまでの会話はこの携帯電話で完全生中継だぜ」
岡部「く、くっそぉおおお!!」
服部「悪あがきはみっともないでぇ!谷口!そこのモップよこせや!」
谷口「お、おう!」
140:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/04(土) 22:33:11.95:bDYADxpO0
岡部「そんな棒切れがどうなる!!」
服部「お前の相手するくらいなら十分じゃ!!!!」
岡部「うがあああああっっっ!」
谷口「つ、強えぇ……」
服部「木の棒のついた掃除用具にはこういう使い方もあるんじゃ、覚えとけ!」
警官A「犯人はここかっ!?」
警官B「気を失ってるな…おい担架を持ってきてくれ!」
キョン「やれやれ…」
141:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/04(土) 22:34:29.02:bDYADxpO0
―帰り道―
ハルヒ「…………ふんっ!」
キョン「そろそろ機嫌直せよ、ハルヒ」
ハルヒ「なによっ!私だけのけ者にして」
キョン「のけ者もなにもお前が携帯の電源切ってたんだから仕方ないだろ」
ハルヒ「しょうが無いじゃない。隠れてたんだから!」
服部「まあええやん。事件も無事解決したわけやし」
142:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/04(土) 22:36:04.88:bDYADxpO0
谷口「まったく、キョンから電話があったときはびっくりしたぜ。これから一緒に学校に忍び込もうなんてな」
キョン「なにか秘密があるとしても、今日明日にはどっか運んじまうだろうからな」
谷口「でも、服部に連絡したのは正解だったな。じゃなきゃ今頃感電死だぜ」
服部「俺の方も警察署に乗り込んで協力を頼んどったんやが、証拠がないの一点張りでな。
そこで証拠掴んだるゆう電話が掛かってきたから、犯人の自白と麻薬のことを携帯で奴らに聞かることにしたんや」
ハルヒ「でもなんで服部くんが乗り込まなかったのよ」
服部「それは、教え子だけやったら油断するかな思うたんやけど…よう考えたら実の教え子殺しっとったな」
谷口「命がけの時間稼ぎだったぜ」
145:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/04(土) 22:38:12.14:bDYADxpO0
キョン「俺達のことよりハルヒ、お前はどうして一人でそんな無茶をしたんだ?」
ハルヒ「私は団長なのよ!貴方達を危ない目に合わせたくなかったからに決まってるじゃない」
キョン「ばかやろう!団長だったらもっと団員の信頼しろよ!なんのために集まってると思ってんだ!」
ハルヒ「……なによ……大声出して…」
谷口「で、なんのために集まってんだ?」
長門「……わからない」
キョン「せっかく俺がいい話をしてるんだから腰を折るような……ってなんで長門がいるんだ!?」
服部「そのねーちゃんやったら、俺が乗り込んだ時にはもう学校にいとったで」
ハルヒ「なんで有希も来るのよ!危ないじゃない!」
長門「……心配だったから」
キョン「…だそうだ。みんなお前のことが気に掛かってんだよ。あんまり無理すんな」
ハルヒ「……ふんっ」
148:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/04(土) 22:41:30.39:bDYADxpO0
服部「なんや丸う収まったみたいやの」
キョン「そうだ、服部。すっかり言い忘れてたけど関西弁の女の子がお前を探してたぞ」
服部「しもた!あいつの電話にするの忘れとった!…………ダメや…出えへん」
谷口「なんだ、お前彼女いたのかよ…裏切り者め」
服部「ちゃうわ!あいつは俺の……その……ただのうっさい幼馴染みや!」
キョン「ふーん、なるほどな。服部、お前ポニーテール萌えだろ」
服部「!?」
谷口「キョン、その女はポニーテールだったのか?」
キョン「ああ、見事なポニーテールだったぞ」
谷口「そうか!だから昨日の涼宮のランクが高かったのか!」
キョン「昨日のアイツは女剣士きどりだったからな」
服部「う、うっさいな!ほっといてくれ!」
151:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/04(土) 22:48:08.11:bDYADxpO0
翌日―部室―
古泉「僕が閉鎖空間で戦っている間にそんなことがあったんですか」
キョン「探偵なんてこりごりだ」
古泉「しかし、閉鎖空間もすぐに収束に向かいましたから。立派な活躍だったのでしょうね」
キョン「あんなのをスリルだなんだと楽しめるやつの気がしれないね」
朝比奈「わたしなんて、話を聞いただけで気絶しちゃいました」
キョン「それで一日中、保健室にいたんですよね」
153:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/04(土) 22:51:22.37:bDYADxpO0
古泉「そういえば涼宮さん。推理勝負の方はどうなったんですか?」
ハルヒ「勝負?引き分けよ引き分け」
キョン「お前のほうが先に真相にたどり着いたんだろ?」
ハルヒ「そうだけど、あたしの方に有利な状況だったし…それに早い者勝ちになると…」
朝比奈「なると?」
ハルヒ「あんたたちだって『西の谷口』なんて呼びたくないでしょ?」
キョン「あ、あいつが一番だったのか?」
ハルヒ「私が職員室で推理を披露する前に、谷口がやってたらしいのよ」
キョン「だから、俺の話をすぐに飲み込めてたのか…」
ハルヒ「アホの谷口のくせに……」
154:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/04(土) 22:56:22.09:bDYADxpO0
キョン「……………」
古泉「何を考えてるか当てましょうか?」
キョン「……言ってみろ」
古泉「国木田くんを生き返らせる方法はないものか……どうです?」
キョン「アイツがいなくなってから谷口の元気が無くなって……俺も調子が狂うんだよ」
古泉「……この部室もなにか重たい空気が流れてますしね」
キョン「それにアイツの死に必然性がないってとこも納得いかん」
古泉「交通事故以上に過失がありませんからね。彼には」
キョン「だが、朝比奈さんに頼むわけにもいかないしな」
古泉「それなんですか…ひとつだけ可能性があります」
キョン「なんだ?」
古泉「涼宮さんが彼の死ぬ前に戻りたいと願えばいいんです」
156:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/04(土) 23:02:58.93:bDYADxpO0
さて古泉の提案により始まった国木田をめぐる3ヶ月間の冒険は苛烈を極め、実に壮絶な物となったが、
それは別の物語である。というか書ける気がしない。
大雑把に言うならば、初め俺達は国木田がいかにいい奴だったかをハルヒに語り
泣き落としを試みたが古泉のアルバイトを増やすだけの結果に終わった。
その後、「長門に頼んで再構成しちゃえばいいじゃん」という倫理的に疑問の残る方法の
甘い誘惑に耐えながら常識的な範囲での解決策を講じてていったが、
古泉の体重が減っていく以外になんの影響もなく、古泉のBMIが8に差し掛かった頃、
朝比奈さんと長門と妹が後7ヶ月でママになるかもしれないという禁じ手を紛いのホラ話をあいつに話し
絶望的な顔を見届けたあと俺はハルヒに対する多大なる罪悪感と共に国木田の死ぬ日に戻ってきたのだ
160:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/04(土) 23:06:50.36:bDYADxpO0
―教室―
キョン「うーっす」
国木田「キョン、おはよう。今日は早いね」
キョン「国木田!?国木田っ?国木田ああぁぁぁ!」
国木田「ちょ、ちょっとキョン!抱きつかないでよ!」
キョン「いやー、悪い悪い、なんかすごく嬉しくてな!国木田ー!」
国木田「今日はみんなどうしたんだよ。谷口だってなにか変だったしさ」
キョン「あいつは元々……そういえば、谷口が見えないな」
国木田「それがキョンと同じように僕を見るなり飛びついてきてさ。
校内をサンバのリズムで練り歩いたあと鼻血を出して保健室に運ばれたんだ」
161:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/04(土) 23:07:38.51:a6PsL2kE0
翌日―部室―
古泉「それで、昨日は彼らの手伝いをしていたんですね」
キョン「ああ、修理の仕方は前の国木田が残しておいたやつを読んだからな」
古泉「大変でしたねその三ヶ月間は」
キョン「もう大変だったとかそんなレベルじゃねぇぞ」
古泉「貴方だけ記憶が残っているのも不思議ですね」
キョン「多分罪悪感に苦しめってことなんだろ。それに、潜在的に記憶が残ってるやつは多いみたいだしな」
古泉「僕なんか昨日はご飯を三杯もおかわりしちゃいましたよ」
キョン「その……ほんと……マジでごめん」
古泉「僕に対しての罪悪感で苦しまないでください」
キョン「昨日なんか一日中ハルヒが俺のそばを離れなかったから死ぬほど胸が苦しかったぞ」
166:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/04(土) 23:17:16.03:bDYADxpO0
古泉「それにしても、やはり推理対決の舞台は我々が作らなければならないことになりますね」
キョン「なにか考えがあるのか?」
古泉「昨日の夜に鶴屋さんとお会いして何処かに、いい山荘はないか話していたんです」
キョン「だからお前はあの晩、外にいたのか。俺はてっきり集団露出の方だと…」
古泉「なんのことです?」
キョン「こっちの話だ」
古泉「考えてみると、この世界で国木田くんが事件に巻き込まれなかったということは、
その世界の事件もやはり涼宮さんの能力で起きた事件ではなかったわけですか」
キョン「そんなことは事件を知る前からわかってぞ」
古泉「ふふ、よほど涼宮さんの人格を信頼しているんですね」
キョン「そんなことじゃない。俺がそう考えたのは事件の前の夜にだな…」
168:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/04(土) 23:21:43.60:bDYADxpO0
服部「おーっす。稽古が終わったさかい、遊びにきたったで」
遠山「ここがハルヒちゃんたちの部室なんやね」
ハルヒ「ようこそ、SOS団へ!歓迎するわ!」
朝比奈「ゆっくりしていってくださいね」
服部「それで推理対決するような事件は見つかったんか?」
ハルヒ「そうねぇ……キョン!あんたなにか知らない?」
キョン「喜べ、大事件だがあるぞ」
ハルヒ「いいから、さっさと言いなさい」
キョン「昨日、シャミセンが逃げ出したんだ」
―完―
171:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/04(土) 23:25:38.14:TPyg5M4r0
187:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/05(日) 01:18:54.57:BF3hdnjx0
―通学路―
キョン「毎朝思うがなんでこんな坂を登らなければならんのだ……ん?なんだあの色黒の男は?」
???「なあ、北高に行くのんはこの道であってんのか?」
キョン「すまない、俺はタガログ語のヒアリングには自信がないんだ」
???「ワタシ、ニホンゴスコシワカルネ……って誰が、東南アジアからの留学生や!俺はれっきとした日本人じゃボケぇ!」
キョン「…!何だ、関西弁か…すまん普段聞き慣れないイントネーションだったからつい…」
???「あんたも関西人やろが…そんなことよりその制服、北高のやっちゃろ?やっぱり、この道でええんやな」
キョン「ああ、だけど急いだほうがいいぞ。時間ギリギリだからな」
???「おう。にいちゃんもせっかく夜更かしするんやったら試験勉強をしたほうがええと思うで。ほなな」
キョン「ん?」
放課後 部室
古泉「なるほど、それで貴方は実際に夜更かしをしていたのですか?……王手です」
キョン「ああ、徹夜でゲームをやってた……おいおい、そいつは歩で止めてるぞ」
古泉「テスト前のこの時期に余裕ですね……飛将は直線すべて取れるんですよ」
キョン「諦観というやつだが、なんであいつにそれがわかったんだ?……説明書の何ページだよ」
古泉「おそらく、ひとつは髪の毛でしょう。寝ぐせが付いていませんから……304ページです」
キョン「寝ぐせ?そりゃあ、寝てないわけだから、当然付いてないが、直したかもしれないだろ……厚すぎないか、これ」
古泉「たとえ直したとしても、完全には消えません……機関の特注品です」
キョン「シャワーを浴びたのかもしれんじゃないか……まあ、俺の天狗の射程範囲だけどな」
古泉「遅刻しそうになってまでシャワーを浴びるタイプには見えませんからね……不覚でしたね」
キョン「やっぱりワックスくらい付けたほうがいいか?でも、勉強の方はどうなる……これでお前の駒は三枚になったわけだが」
古泉「貴方の鞄、今日は何を入れてきました?……盤が広く見えますね」
キョン「筆箱だけだな。教科書は全部置いてある……まだやんのか?」
古泉「この時期に鞄が膨らんでいないのは貴方ぐらいです……399柱の英霊のために」
キョン「結局あいつは何者なんだ?」
古泉「色黒で関西弁の他校の生徒……彼はおそらく…おや?」
国木田「おじゃまします。ちょっといいかな?」
キョン「どうした?めずらしいな部室に来るなんて」
朝比奈「もしかして、事件の相談ですか?」
国木田「はは…さすがに涼宮さん達に相談する勇気はないよ。そうじゃなくて、ちょっと部室を使わせて欲しいんだ」
キョン「もしかして、クラスの備品の話か?」
朝比奈「備品?」
キョン「こいつと谷口が壊したんですよ。うちのクラスの備品を」
国木田「そうなんだ。それで修理が終わるまで帰るなって言われてるんだけど場所がなくて」
古泉「この時期には教室に居残って勉強してる生徒もいますから」
朝比奈「それでうるさくしたら、だめなんですね」
キョン「谷口のやつはどうしたんだ?」
国木田「さあ、さっきから姿が見当たらないんだよ。それで、だめかな?」
キョン「ハルヒがいないとなんとも……」
ハルヒ「おっまたせーっ!」
古泉「…いらっしゃいましたね」
ハルヒ「あれ、あんたたちまだその将棋やってたの?」
キョン「俺達の七日間戦争ももうすぐ終戦だ」
ハルヒ「ふーん、それでどうして国木田がここにいるのよ?」
国木田「ちょっと部室でこれの修理をさせてもらえないかなって思ってさ」
ハルヒ「まあ、いいわよ。黒板消しクリーナーの無い教室なんて教室じゃないもの」
国木田「ありがとう、涼宮さん」
キョン「……で?その手に持ってる袴と竹刀はなんなんだ?」
ハルヒ「ん?ああ、そうそう!剣道よ!剣道をしに行くわよ!」
キョン「剣道?どうして突然?」
ハルヒ「今大阪からウチに強豪校が遠征しに来てるのよ!その中に日本トップクラスの部員もいるらしいわ!」
キョン「…だから」
ハルヒ「ホントにぶいわね…そんな相手に勝ってSOS団の名を広めるチャンスじゃない!」
キョン「勝てるわけ無いだろ!」
ハルヒ「やってみなきゃわかんないわよ。あんた達は先に剣道場に行ってて。私たちはここで着替えてから行くから」
古泉「では、我々は向かいましょうか」
国木田「そうだ、キョンよかったら。筆箱かしてくれない?教室に置き忘れて来ちゃってさ」
キョン「かまわんが……何に使うんだ?」
国木田「ありがとう、とりあえず修理の仕方を書き残さないとね。同じ手順で間違えちゃうとあれだから」
古泉「鞄の中身が無くなりましたね」
キョン「うるせえ」
―剣道場に行く途中―
谷口「あのショートカットの女はどうだ?」
???「まあ、Bマイナーってとこやな」
谷口「Bマイナー!?俺調べだとAランクの逸材だぞ!」
???「よお見てみぃ。化粧がキツイだけやないか」
谷口「バカやろう!女ってのは綺麗になりたいって心も含めて女だろうが!」
???「アホか!なんで高校生で必要以上に化粧なんてせなあかんのじゃ!将来肌がボロボロになってまうわ!」
キョン「盛り上がっているところすまんが、谷口。お前何やってんだ?」
谷口「なんだ、キョンか。見てわかんねえのか?こいつに正しい価値観を叩き込んでんだよ」
???「なんやと?それはこっちの……ん?あんた、今朝の…」
キョン「ん?ああ、今朝の留学生か」
???「ニホンノヒトタチミンナヤサシイデス……ってなにやらすんじゃ!」
古泉「服部くん…ですね」
服部「あんた、俺のこと知ってんのんか?」
古泉「…いえ、名前が垂に書いてありますから」
キョン「ってことは遠征に来た剣道部員ってお前のことか」
服部「おう、しばらくこの高校で世話にから、よろしゅうな」
ハルヒ「ちょっとあんた達!なに道草くってんのよ!」
キョン「なんだ、もう着替えたのか」
服部「なんや?その格好、ねーちゃんも剣道やるんか?」
ハルヒ「あんた、改方学園の剣道部員ね!勝負しなさい!」
服部「待て待て待て!こんなところで竹刀振り回すな」
ハルヒ「なにいってんの!目があったんだから試合を受けたって事でしょ!」
服部「どんなルールやねん!」
長門「……合意と見ていい?」
キョン「ダメだ」
古泉「涼宮さん。彼は今竹刀を持っていませんから、戦うことは難しいかと」
朝比奈「やっぱり剣道場でやったほうがいいですよー」
服部「俺もそれやったら、勝負したるで」
ハルヒ「しょうがないわね…じゃあ先に行ってるから、逃げたら死刑よ!
キョン「まったく、騒がしいやつだな」
谷口「服部。今のはどうだ?」
服部「あのきつそうなねーちゃんか?そやな、さっきの基準やとAAランク+っちゅとこかな」
谷口「AA+?たしかに薄化粧であれだけの上玉なのは珍しいが高すぎないか?」
服部「そうか?妥当やと思うけどな」
谷口「ああいうのがタイプなのか?だとしたら一つ言っておく。あいつだけはやめておけ」
キョン「くだらない話の最中に悪いが、谷口。国木田が探してたぞ」
谷口「国木田が?しょうがねぇな。じゃあ服部、またな」
―剣道場―
ハルヒ「なんであんたたちボロ負けしてんのよ!」
キョン「無茶言うなこっちは素人だぞ」
ハルヒ「なにいってんの!授業でやらなかったの!」
古泉「僕は柔道をとってましたから」
ハルヒ「キョンは?」
キョン「……ダンス」
古泉「ダンス(笑)」
キョン(このやろう……)
服部「まあまあ、素人にしてはなかなかの太刀筋やったで」
キョン「ったく、少しは手加減しろよ」
服部「すまんすまん、『これは試合じゃなくて死合よ!』って言うもんやからついな」
ハルヒ「死中に活を求めてこそ剣の道よ」
キョン「勝手に人を死中に追い込むな」
服部「それにしても、あの無口なねーちゃんはなにもんや?あんな戦いにくい相手初めてやで」
古泉「長門さんのノーモーションの打ち込み速度は段違いでしたからね」
キョン「長門…やり過ぎだ」
長門「…反省する」
なんかwktkしてきた
34:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/04(土) 20:02:36.98:bDYADxpO0朝比奈「でも服部くんも長門さんに勝っちゃうんですからすごいです」
服部「そないなことない。ちゃんと声を出されとったら一本負けしとったわ」
ハルヒ「ちょっと待って……あんた服部っていうの?」
服部「そやけど」
ハルヒ「なんで今まで黙ってたのよ!」
キョン「黙ってるもなにも、大々的に名前が書いてあるじゃねぇか」
ハルヒ「不覚だったわ…」
キョン「なんだ?服部のこと知ってるのか」
ハルヒ「知ってるも何も改方学園の服部といえば有名な高校生探偵じゃない!」
キョン「こ、高校生探偵?」
服部「そないに有名やったか。俺も捨てたもんやないなあ」
古泉「やはりそうでしたか」
キョン「お前も知ってたのか?」
古泉「はい、今まで千件以上の事件を解決してきた名探偵と聞いています」
朝比奈「千件!」
服部「覚えてる分だけやけどな」
キョン「どうせ、猫探しとかちっさい事件も含めてなんじゃないのか」
服部「ま…まあ、とにかく、それがどないしたんや」
ハルヒ「……剣道での勝負は不本意ながら引き分けを認めるわ」
キョン「5対0だったろうが」
ハルヒ「次は推理対決よ!この名探偵の私を差し置いて西の服部を名乗るのは許せないわ」
キョン「お前の自信は一体どこから来るんだ?」
ハルヒ「実績のない自信は過信に過ぎないわ。我がSOS団はいくつもの事件を解決してきたじゃない!」
キョン「片手で数えるほどじゃねえか!」
服部「なんや、おもろそうな話やな」
キョン「おいおい、コイツをあんまり調子づかせんなよ」
服部「それで、推理せなアカン事件はあるんか?」
ハルヒ「えぇっと……キョン!なにか無いの!」
キョン「家で爪切りが見つからないんだが」
ハルヒ「ぶっ飛ばすわよ」
古泉「隣町でイラン人の麻薬密売組織が暗躍しているみたいですよ」
キョン「おまえは中東のマフィアを敵に回すつもりか」
ハルヒ「うーん、古泉くんの事件もおもしろそうだけど、推理対決には向いてないわね」
服部「まあ、俺も今週いっぱいはこの学校におるから、なんか事件が起きたら呼んだってくれ」
ハルヒ「仕方ないわね。今日のところは引き上げるわよ」
―部室―
キョン「一難去ったと思ったらまた一難残ってたとはな」
古泉「ぶっちゃけありえませんね」
キョン「まさか、高校生探偵なるものが実在するなんてな」
古泉「そのことなんですが、前に探偵についてのお話をしましたよね」
キョン「探偵がいるから事件が起こるって話だろ。空想上の話じゃないのか?」
古泉「まだ仮説の段階なのですが、一部の人間にその性質があるのではないかと言われているんです」
キョン「そんなバカな」
古泉「貴方は今日本で一番有名な探偵は誰だと思いますか?」
キョン「そりゃあ、あの毛利とかいう夢遊病のおっさんだろ」
古泉「そうです。その毛利探偵が住む米花町のこの一年間の殺人事件の件数をご存知ですか?」
キョン「東京の街だからな……20件くらいは起こるんじゃないか」
古泉「300件以上です」
キョン「週6ペースじゃねえか」
古泉「その上、彼は他県でもいくつも事件を遭遇していますしね」
キョン「信じがたいな」
300件www
49:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/04(土) 20:14:29.65:bDYADxpO0古泉「えぇ、それに他にも東京には殺人犯が一ダースいる高校があるという話もありますから」
キョン「悪魔が住んでるとしか思えん」
古泉「その説を提唱する学者の中でも事件を引き寄せる彼らは『死神』や『無為式』など様々な呼ばれ方をしています」
キョン「それで服部もその一人だと?」
古泉「おそらく……それに涼宮さんの能力を考えると…」
キョン「……俺達に逃げ場はないのか」
古泉「なにか、対処する必要があるかもしれませんね」
長門「………」
ハルヒ「さあ、有希も読み終わったみたいだから帰るわよ!」
朝比奈「はーい」
キョン「お前らはまだ帰らないのか?」
国木田「うん、もう少しかかりそうだから」
谷口「先帰ってていいぜ」
ハルヒ「戸締りをし忘れたら死刑よ」
―下校途中―
ハルヒ「服部くんがいる間に、都合よく事件でも起きないものかしらね」
キョン「どんな事件ならお前のお気に召すんだ?」
ハルヒ「そうねぇ、出来れば派手なやつがいいわね」
古泉「派手な事件の捜査に高校生の僕達が参加できますかね?」
ハルヒ「それなら、やっぱりクローズドサークルものかしら」
キョン「今週中に雪山や孤島に行くのか?来週定期試験だぞ」
ハルヒ「うーん…そうだ!だったら学校が時空転移か何かに巻き込まれて警察が来れなくなるっていうのはどう?」
キョン「そんなことになったら、推理対決してる場合じゃないだろ」
ハルヒ「もう、ああ言えばこう言うヤツね。それならあんたはどんな事件がいいのよ」
キョン「そうだな、もっと平和で警察のお世話にならないやつかな」
ハルヒ「そんなので彼に勝っても西の涼宮は名乗れないじゃないの!」
―下校途中Ⅱ―
キョン「あいつらと別れてからパトカーのサイレンが鳴り止まないんだが」
翌日―通学路―
妹「キョンくーん」
キョン「わかってるよ。学校が終わってからな」
妹「うん」
キョン「んじゃ、行ってきます」
妹「行ってらっしゃーい」
キョン「ったく、昨日のサイレンといい……ん?谷口じゃないか」
谷口「…うーっす」
キョン「なんだよ、元気ないな」
谷口「……」
キョン「そういえば、黒板消しクリーナーの修理は終わったのか?」
谷口「ああ、たぶんな」
キョン「たぶん?」
谷口「国木田と連絡が取れないんだよ」
キョン「なんで国木田に聞く必要があるんだ?お前も居残っていただろ」
谷口「昨日の夜、俺は見たいテレビがあったから先に帰ったんだよ」
キョン「国木田をひとりにして?」
谷口「あとちょっとだからいいよって言ってくれたからさ」
キョン「よく岡部に見つからなかったな」
谷口「見つかって、怒られそうになったが口八丁でごまかしてやったぜ」
キョン「自慢気に言うことじゃないぞ」
谷口「でもそれから連絡が取れないんだ…俺、嫌われちゃったのかな?」
キョン「お前……たまに可愛いところあるよな」
谷口「なんだよ…バカにしてんのか?」
キョン「だが、国木田と連絡が取れないのか…」
谷口「あぁ、なにか事故や事件が起きてなきゃいいけど…」
キョン「!?そういえば昨日は一晩中サイレンが鳴ってたよな……」
谷口「怖いこと言うんじゃねえよ。それにそのサイレンは原因がわかってるぞ」
キョン「原因?」
谷口「同時多発露出狂らしい、ネットの掲示板で集まったんだとよ」
キョン「世はまさに世紀末だな……あの校門前に停まってるパトカーもそのためなのか?」
谷口「いや……さすがにこの時間の高校で露出はしないだろ」
キョン「じゃあ一体……」
谷口「おい…!旧館の方に警官が集まってないか?」
キョン「…!?まさか……くそっ!ほんとに起きやがったのか!」
谷口「お、おい!待てよキョン!」
―部室―
>>5
キョン「国木田っ!」
警官「ちょっと君、此処から部屋の中には……」
服部「構わん構わん、俺の知り合いや」
キョン「本当に…死んでるのか?」
ハルヒ「うそ……冗談よね?」
服部「残念ながら、嘘やない。あんたらは被害者と知り合いか?」
キョン「ああ、同じクラスの友人だ」
服部「それで、この部屋はそのSOS団ちゅうのんの部室なんやな?」
ハルヒ「そうよ…」
警部「おい!どうして、現場にガキが入ってるんだ?」
警官「それはこの少年が…」
服部「おっさん、俺のこと知らんのか?」
警部「大阪府警のボンボンだろ?残念だったな…ここでは親父の七光りは通じんぞ」
服部「なんやと!」
警部「おい、こいつをつまみ出せ」
警官「ハッ!」
服部「ちょまて!まだ証拠が…」
警部「お前らもでていくんだ」
ハルヒ「……!」
キョン「行くぞ。ハルヒ」
―教室―
服部「なんやねん、あのおっさん。偉そうに……」
キョン「なんでお前はさり気なくうちのクラスに来てるんだ」
服部「寝泊まりしてる剣道場には、事件解決して来るゆうて出てきたから帰りにくうてな」
ハルヒ「あたし…何があったのかよく理解できてないんだけど……」
服部「おお、そやった。とりあえず今回の事件の整理をしとこか」
キョン「国木田の遺体はいつ見つかったんだ?」
服部「死体を発見したんは職員室に一番に来た先生や。部室の鍵が無いことを不審に思うて見に来たんやと」
ハルヒ「……なんで殺されなきゃいけなかったの?」
服部「それがようわからん。財布も残されとるし鞄からものうなってるもんは無い様やし」
キョン「物取りの犯行じゃないってことか」
ハルヒ「………」
服部「となると、他に殺さなあかん理由があったはずやねんけど知らんか?」
キョン「怨恨か…」
谷口「あいつは誰かに恨まれるようなことをするやつじゃねえ!」
服部「なんや?谷口もこの組やったんか」
谷口「俺が国木田をひとりにしなければ…あいつは……」
ハルヒ「谷口……」
服部「それは、すまんかったな…」
キョン「動機は置いておくとして、凶器はどうなんだ?」
ハルヒ「絞殺……って言ってたわよね」
服部「首に索条痕が残っとったが、まわりに紐のようなものは見当たらんかったな」
キョン「犯人が持って帰ったっていうことか」
服部「おそらくな、それに特徴的な痕やなかったさかい特定は難しいやろ」
ハルヒ「他には何か不審なところはなかったの?」
服部「他っちゅうたら……首に新しい火傷の痕ができとったことやな」
キョン「火傷の痕……?」
谷口「それで…あいつは……いつごろ…その…殺されたんだ?」
服部「死後硬直の状態から見て12時間は経っとったから昨日の9時までやな」
キョン「谷口は何時まで残ってたんだ?」
谷口「……8時だ」
キョン「ということはその一時間か…」
服部「その時間に怪しい行動っとっとったやつに心当たりは?」
キョン「俺達は6時には帰ったからその後の話はわからん」
谷口「ちょっとまてよ……そういえば帰り道に古泉を見かけたぞ」
キョン「古泉?」
谷口「どこに向かったのかは知らんが、なにやら深刻そうな顔をしていたな…」
服部「とりあえず一人目やな」
ハルヒ「何勝手なこと言ってんの!SOS団の団員が犯人な訳ないじゃない!」
キョン「落ち着けよハルヒ。誰もそんなことは言ってない!」
ハルヒ「いいわ!本人に確認したらいいのよ!今電話をかけるから」
長門「……古泉一樹は早退した」
服部「なんや無口なねーちゃんやないか」
キョン「それで、古泉が早退したってのは……」
長門「おそらく」
ハルヒ「ダメね…古泉君電話に出てくれないわ…」
谷口「…昨日の夜のことに…今朝の早退か」
キョン「おい、長門。ちょっと外の空気を吸わないか」
長門「……わかった」
―廊下―
キョン「それで……今回の犯人はわかってるんだろ?」
長門「わかってる」
キョン「そいつは誰なんだ?」
長門「教えられない」
キョン「どうして」
長門「涼宮ハルヒは私が事件を解決することを望んでいない」
キョン「じゃあ、誰ならいいんだ」
長門「おそらく、貴方」
キョン「それなら、お前から聞いた答えを俺が発表したらいいじゃないか」
長門「それではダメ。涼宮ハルヒは貴方が華麗な推理を披露するタイプの人間じゃないことを知っている」
キョン「俺がハルヒにお前から聞いた答えをもとにヒントを出していくって言うのはどうだ」
長門「涼宮ハルヒはプライドが高い。それに巧妙な演技を貴方には望めない」
キョン「どうすりゃいいんだよ」
長門「独力で事件を解く過程を認識させる必要がある」
キョン「それで、犯人を最初から知ってたらハルヒの望む真剣さが出せないってことか」
長門「そう」
なんかキョンがやけに冷静だなwww
86:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/04(土) 21:13:20.54:bDYADxpO0キョン「まったく、俺の周りは俺に厳しいやつばっかりだな」
長門「…なぜ犬は鳴かなかったのか」
キョン「ん?なんだそれは」
長門「事件のヒント……私は帰宅する」
キョン「もう帰るのか?」
長門「涼宮ハルヒは私が事件現場の近くにいることを望まない…」
キョン「たしかにそうかもしれんが…」
長門「健闘を祈る」
キョン「なぜ犬は鳴かなかったのか…」
谷口「なぜ犬が…鳴かなかったか?」
キョン「うおっ!谷口なにやってんだ!」
谷口「なにって、帰るんだよ。俺には力になれそうにないからな…」
キョン「その、なんだ、あんまり気を落とすなよ」
谷口「おう、お前もな……それにしても…犬…か」
―教室―
ハルヒ「あれ、有希は?」
キョン「帰っちまった」
ハルヒ「やっぱり、今の学校は危ないものね」
服部「それで、あの乳のでかいねーちゃんとも連絡が取れへんのか」
ハルヒ「そうよ、さっきから電話してるのに全然出ないの」
キョン「朝比奈さんもか」
服部「なるほどな…」
ハルヒ「まさか、みくるちゃんを疑ってるの?そんなはずないじゃない!」
服部「あくまで可能性の一つとしてや」
キョン「だが、国木田の持ち物が目当てじゃなかったとすると」
服部「知り合いによる犯行の可能性が高いんも事実」
ハルヒ「………」
キョン「知り合いか」
服部「そのSOS団の集合写真かなにかはないんか?」
キョン「集合写真?そういえば野球やったときのやつが携帯に入ってたな」
服部「すまんな……ん?この髪の長いねーちゃんとも知り合いなんか?」
キョン「鶴屋さんのことだな。知ってるのか」
服部「昨日の夜、近くのコンビニに行ったんやけど、その途中で見かけたと思うで」
キョン「鶴屋さんもかよ…」
ハルヒ「……バッカじゃない」
服部「なんや?」
ハルヒ「バカじゃないのかって言ってるのよ!」
キョン「どうしたんだよ」
ハルヒ「こんなところでグダグダ話し合っててどうなるわけ。さっきから何も進展してないじゃない!」
服部「それはこっからなや……」
ハルヒ「どうせ警察が解決してくれるんだから、私たちがやる必要なんてないのよ」
キョン「ハルヒ?」
ハルヒ「……帰る」
服部「はぁ?」
ハルヒ「全く無駄な時間を過ごしたわ。来週テストだっていうのに」
服部「こんな時に試験の心配しとる場合か!」
ハルヒ「キョンも勉強したほうがいいんじゃない?私はひとりで帰るから。じゃあね」
服部「どうしたんや、あのねーちゃんは」
キョン「……」
服部「お前もなんかあるんかい?」
キョン「いや…そういうわけじゃないが…」
服部「さよか。そういや、聴き忘れとったことがあるんやが」
キョン「なんだよ」
服部「なんであの部室は机の上に黒板消しクリーナーが置いてあるんや?」
キョン「それは国木田と谷口が壊したやつだ。それを修理するためにあいつは部室に来てたんだよ」
服部「ん?あの被害者は団員とちゃうんか?」
キョン「あいつは準団員で普段は帰宅部だ。他に聞きたいことはあるか?」
服部「そやなぁ…あの部室に落ちとった青い筆箱は誰かわかるか?」
キョン「ん?それは俺だけど…それがどうした」
服部「なんや、あんたの忘れもんか。犯人の遺留品かと思うたのに」
キョン「そんな事で犯人にされるところだったのか俺は」
服部「それにしても、余裕やな。テスト前やのに筆箱すら持って帰らんとは」
キョン「ほっとけ、それに忘れて帰ったわけじゃないぞ」
服部「どういうこっちゃ?」
キョン「国木田のやつに貸してやってたんだよ」
服部「なんでや?」
キョン「教室に筆箱を忘れたって言ってたからな」
服部「…………」
キョン「おい、どうしたんだよ」
服部「なんで…なんでそれを先に言わんのじゃ!このボケぇ!」
キョン「なんだよいきなり…」
服部「そうかそうか、そうやったんや。全くアホ丸出しやな俺は」
キョン「おいおい」
服部「たしかにあのねーちゃんの言うとおり何も進展しとらんかった」
キョン「なんの話だ」
服部「事件の話を聞いた時点で気づくべきやったんや…くそっ!」
キョン「ちょっと待て!どこ行くんだよ!」
―教室Ⅱ―
キョン「ハルヒは電話が通じないし、服部もどこに行ったかわからん。なんなんだあいつらは…」
???「なああんた、色黒で関西弁の男をみぃひんかったか?」
キョン「…………」
???「なんや?人のことジロジロ見て」
キョン「……あぁすまん。それでなんの話だっけ?」
???「だから、関西弁の色黒男がどこ行ったか知っとるかって聞いてるんよ」
キョン「関西弁の色黒?服部のことか」
???「そうそう!それでどこにおるん?」
キョン「それが俺にもわからないんだ。さっきこの教室から飛び出して行ったからな」
???「あのアホ……電話もでえへんし…せっかく来たったのに」
キョン「もしどっかで見かけたら連絡するように伝えておこうか?」
???「たすかるわ!じゃ、私は他の場所さがすから。よろしゅうな!」
キョン「おう………!?名前聞くの忘れてた!」
キョンの家―玄関―
キョン「結局、あいつらは戻って来なかったな…ただいまー」
妹「キョン君、遅いよー!待ってたのにー」
キョン「すまん。今はひとりにしてくれ」
―キョンの部屋―
キョン(国木田…結局あいつはなんで殺されたんだ?
何も盗まれていないって言ってたからやっぱり怨恨?
しかし、俺もあいつが誰かの恨みを買うとは思えんが…
駄目だ!全然考えがまとまらん!
やっぱり、ここは警察に任せておくべきなのか?)
佐々木『それで僕に電話してきたってことだね』
キョン「ああ、もう頼れる相手はお前しかいないんだ」
佐々木『その言い方だと僕の優先順位が低いように聞こえるけど』
キョン「!?そういう意味じゃなくてだな…」
佐々木『くつくつ、冗談だよ。それにしても僕に頼ってくれるとはね…』
キョン「…?まあ、とにかく今の話でわかったことはあるか?」
佐々木『確定できるほどの証拠はないけど。怪しい人物はいるね』
キョン「誰だよそれは」
佐々木『その前に…白銀号事件というものを知ってるかい?キョン』
キョン「なんだそりゃ」
佐々木『百年以上前にイギリスで起きた事件さ。君はホームズを読まないのかい』
キョン「小学校で読んだ記憶があるが……それがどうしたんだ」
佐々木『その話の中ではある事がその事件解決の糸口になるんだ』
キョン「なんだよあることって」
佐々木『犬が鳴かなかったことだよ』
キョン「……またそれか、一体どういう意味なんだ」
佐々木『今回の事件に当てはめると…何もしていないことが不自然ってことさ』
キョン「……どうして素直に犯人を教えてくれないんだ?」
佐々木『ミステリーに置けるカタルシスの必要条件は自分で答えを見つける事だ、というのが僕の持論だからね』
キョン「まったく、現実の事件なんだぞ」
佐々木『それでキョン、誰が怪しいのかはわかったのかい?』
キョン「さっぱり見当がつかん」
佐々木『仕方ないね。多すぎるヒントは興を削ぐから好きじゃないんだけど…』
キョン「言ってみろ」
佐々木『どうして、国木田が朝に発見されたんだと思う?』
キョンの家―玄関―
妹「キョンくんこんな時間にどこいくのー!」
キョン「ヤボ用だ!飯はいらん」
妹「シャミはー?」
キョン「今は勘弁してくれ!」
―夜の学校―
???「………」
キョン「やっぱりあんたが国木田を殺したんだな……」
谷口「………」
キョン「殺した動機は……今見るまでわからなかったが……机から出してるのを見られたからだろ?その白い粉を」
谷口「………」
キョン「これからあんたを疑った理由を挙げていくが、反論があったらいつでも言ってくれ、岡部先生?」
岡部だと……
111:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/04(土) 21:58:43.01:bDYADxpO0岡部「馬鹿な…何を言い出すんだ。これはただのプロテインだぞ」
谷口「いまさら知らばっくれるんじゃねぇ!」
キョン「落ち着け谷口…俺にとってその粉がプロテインだろうがホットケーキミックスだろうが関係ない。
弁解して欲しいのは昨日の夜の奇妙な行動についてだ」
岡部「奇妙な行動?俺は何もしてないぞ」
キョン「そう、そこがおかしいんだよ。なんであんたは何もしなかったんだ?」
岡部「当然だ。犯人じゃないんだから」
キョン「そうじゃない…犯人じゃないなら何かしていることが必然なんだ…」
谷口「なんで…あんたは国木田の死体を発見しなかったんだ?」
岡部「…なんのことだ?」
キョン「国木田の死体は今朝、部室の鍵が足りないから発見されたんだよな」
谷口「だとすると、昨日の夜から鍵は職員室になかったはずなんだ」
キョン「それで、なぜあんたは鍵がないことを不審に思わなかったんだ?」
岡部「それは……気づかなかったんだよ。国木田が部室の方にいるなんて」
キョン「気付かなかった?あんたが備品の修理が終わるまで居残れと言ったのに?」
谷口「それに事件の一時間前には俺に会ってその話をしてるわけだしな
岡部「ちょっとまて、仮にそうだとしても国木田は部室で作業をしていたところを殺されたんだろ?
さっきお前らは職員室でこの粉を見たから殺されたといったが矛盾してないか?」
キョン「そうだな…国木田が部室にいたんなら殺される理由はない……」
岡部「そうだろ!もっと考えてからモノは言うもんだな!」
谷口「もし…ずっと部室に居たとしたら・・・な」
岡部「な、なんのことだ?」
キョン「あいつは殺される前にすでに作業を終えてたんだよ」
岡部「なにを証拠に!」
谷口「国木田の荷物の中で足りないものは何も無かったんだ」
岡部「それがどうした?なにもおかしくないだろう」
谷口「それがおかしいんだ。あいつは筆箱を教室に忘れてたはずなのに」
岡部「……取りに戻ったんじゃないのか?」
キョン「いや、代わりに俺の筆箱を貸してやったからそれは不自然だ」
谷口「それになにか足りないのなら、俺に借りればいい…」
キョン「つまり、あいつは作業のために筆箱が必要になったから教室に取りに行ったんじゃない。
作業が終わったから取りに行ったんだ。」
谷口「修理し終わったんだから、鍵を返しに職員室に行くだろうし、あんたにも報告したんじゃないのか?」
キョン「その時に見たんだよあんたの秘密をね」
谷口「そして国木田殺したあんたは死体を部室に運んだんだ。職員室で最後に会った事実を隠すためにな」
岡部「…………」
キョン「なにか反論はあるか?」
岡部「いや、ないよ。たしかに国木田を殺したのは俺だ。動機もズバリだ」
キョン「まさか、学校に…職員室に麻薬が保管してあるとは誰も思わないだろうからな」
岡部「最初は、自分で使うつもりだったんだが、転売したほうが儲かることに気づいたんだ」
キョン「イラン系の麻薬組織が隣町で暗躍していると聞いていたが、そいつらとつながってるのか?」
岡部「怪しげな外国人より日本人のほうがウケが良くてね。仲介料も弾んでくれたよ」
谷口「てめぇ!そんな金のために国木田を殺したのかッ!!」
岡部「当然だ、1グラムで数万だぞ。こんなうまい話があるか?」
谷口「……俺は…アイツのいい友人じゃなかったかもしれない……だけどなぁっ!
あいつは俺の一番の友人だったんだぁっ!!!」
キョン「馬鹿っっ!やめろ谷口っ!!」
岡部「ふんっ」
谷口「ぐはあっ!!」
キョン「谷口っっっっっ!」
岡部「やれやれ、お前らみたいな帰宅部ふぜいが俺に勝てるわけ無いだろ」
谷口「く……クソったれッ……」
岡部「まだ来るのか?じゃあこれの出番だな」
キョン「スタンガン!?」
谷口「や……やめろ」
岡部「腕でガードしても無駄だ。服の上からでも十分に効果があるぞ」
谷口「ぐあああああああっ!」
キョン「谷口!もう動くなっ!」
岡部「さて、次はお前の番だな」
キョン「ま、待て。これ以上処理する死体が増えると処理に困るんじゃないか?」
岡部「なに、死体の一つや二つ、今日だったあいつらに処理させるさ」
キョン「麻薬組織か…だけど国木田はどうしてそのままだったんだ?」
岡部「昨日は何故かパトカーが多かったからな、あいつらに頼れなかったんだよ」
キョン「麻薬をどこかに移動させなかったのもそのせいだな」
岡部「御名答。見つかると不都合だからな。だから今日保管場所を変えるつもりだったんだ」
キョン「今日も警官がいるが、旧館に注意が集まってるから昨日よりマシってことか…」
岡部「納得できたか?これで、心置きなく死ねるなっ!」
キョン(南無三っ!!!)
ハルヒ「ちょっと待ったっっっ!!!!」
岡部「なんだとっ!?」
キョン「ハルヒ!?!?!?!?!?!?」
ハルヒ「うちの団員を傷つけることは私が許さないわ!!」
キョン「おい!!お前今までどこにいたんだよ!?」
ハルヒ「そこの掃除ロッカーよ。こんなこともあろうかと隠れていたの」
キョン「いつからだ?」
ハルヒ「5、6時間前からかしら」
ハルヒかわいい
127:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/04(土) 22:20:39.11:bDYADxpO0岡部「お前、あの後からずっと入ってたのか!?」
ハルヒ「そうよ、あんたの悪事を暴くためにね!!」
キョン「あの時っていつだよ!?」
ハルヒ「あんたたちと別れたあとに、今の話を職員室で披露したのよ。だけど誰も信じてくれなかったわ」
キョン「それで、証拠を抑えるために隠れてたのかよ」
岡部「まあいい、死体がひとつ増えるだけだ」
ハルヒ「それはどうかしらね、喰らいなさい!!」
キョン「やめろハルヒ!!」
岡部「ふんっ!」
ハルヒ「きゃあああっ!!!」
キョン「ハルヒィィィィ!!」
岡部「運動神経がいいと言っても所詮は女、筋肉の質が違う」
キョン「貴様ぁ……!!」
岡部「もう二度と逆らえないように、こいつで眠らせてやる」
ハルヒ「き…来なさい…もう団員には……手を出させないわ」
岡部「ふっ、泣けるねえ。まあいい、感電死しやがれ!!」
キョン「やめろォォォォ!!!」
ハルヒ「キョンっ!!」
キョン「ぐああああああああっ!!」
岡部「馬鹿が……どうせ次はお前だったのに」
ハルヒ「キョンっ!!!なんであんたがかばうのよっ!!」
キョン「ハルヒ……無事で良かった」
ハルヒ「あんたのピンチだから飛び出したのに…これじゃ私が足手まといじゃない!」
キョン「……そんなことはない……お前には助けられたんだからな」
ハルヒ「こんなところで死ぬなんて許さないわよ!」
キョン「お前に……膝枕されながらならそんなに悪くはない気分だぞ……」
ハルヒ「ばかじゃないの……あんたが死んだら私は……」
岡部「お取り込み中すまないが、涼宮……お前にも死んでもらう」
ハルヒ「ち……近づかないで……」
岡部「今更、命乞い?俺が聞いてくれると思ってんのかっっ!!!」
ハルヒ(なんで……どうして……私はみんなと面白く過ごせたらそれでいいのに……恨むよ神様……)
服部「そこまでや、女の子に手え上げるもんやないで」
キター
136:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/04(土) 22:27:58.63:bDYADxpO0岡部「お…お前は…!?」
キョン「やれやれ……登場が遅すぎないか?」
服部「スマンスマン。県警のおっちゃんらの頭が固うての」
ハルヒ「キョン!!あなた動けるの!?」
キョン「ん?ああ、特に問題はないぞ。おい、お前もそろそろ起きろ」
谷口「お前は無傷かもしれないが俺は腹を殴られてんだぞ。もっと休ませろ」
岡部「ど、どういうことだ?」
キョン「お前がスタンガンを持ってるのは来る前からわかってたから対策をしてただけだ」
谷口「ったく、制服の下にビニールのレインコートなんてゴワゴワして動きづらいぜ」
岡部「俺を嵌めたのか?」
キョン「いくら怪しいと言っても証拠がないからな」
服部「県警の奴らも相手が同じ公務員やと消極的でな、なんかきっかけが必要やったんや」
谷口「ついでに言うとさっきまでの会話はこの携帯電話で完全生中継だぜ」
岡部「く、くっそぉおおお!!」
服部「悪あがきはみっともないでぇ!谷口!そこのモップよこせや!」
谷口「お、おう!」
岡部「そんな棒切れがどうなる!!」
服部「お前の相手するくらいなら十分じゃ!!!!」
岡部「うがあああああっっっ!」
谷口「つ、強えぇ……」
服部「木の棒のついた掃除用具にはこういう使い方もあるんじゃ、覚えとけ!」
警官A「犯人はここかっ!?」
警官B「気を失ってるな…おい担架を持ってきてくれ!」
キョン「やれやれ…」
―帰り道―
ハルヒ「…………ふんっ!」
キョン「そろそろ機嫌直せよ、ハルヒ」
ハルヒ「なによっ!私だけのけ者にして」
キョン「のけ者もなにもお前が携帯の電源切ってたんだから仕方ないだろ」
ハルヒ「しょうが無いじゃない。隠れてたんだから!」
服部「まあええやん。事件も無事解決したわけやし」
谷口「まったく、キョンから電話があったときはびっくりしたぜ。これから一緒に学校に忍び込もうなんてな」
キョン「なにか秘密があるとしても、今日明日にはどっか運んじまうだろうからな」
谷口「でも、服部に連絡したのは正解だったな。じゃなきゃ今頃感電死だぜ」
服部「俺の方も警察署に乗り込んで協力を頼んどったんやが、証拠がないの一点張りでな。
そこで証拠掴んだるゆう電話が掛かってきたから、犯人の自白と麻薬のことを携帯で奴らに聞かることにしたんや」
ハルヒ「でもなんで服部くんが乗り込まなかったのよ」
服部「それは、教え子だけやったら油断するかな思うたんやけど…よう考えたら実の教え子殺しっとったな」
谷口「命がけの時間稼ぎだったぜ」
キョン「俺達のことよりハルヒ、お前はどうして一人でそんな無茶をしたんだ?」
ハルヒ「私は団長なのよ!貴方達を危ない目に合わせたくなかったからに決まってるじゃない」
キョン「ばかやろう!団長だったらもっと団員の信頼しろよ!なんのために集まってると思ってんだ!」
ハルヒ「……なによ……大声出して…」
谷口「で、なんのために集まってんだ?」
長門「……わからない」
キョン「せっかく俺がいい話をしてるんだから腰を折るような……ってなんで長門がいるんだ!?」
服部「そのねーちゃんやったら、俺が乗り込んだ時にはもう学校にいとったで」
ハルヒ「なんで有希も来るのよ!危ないじゃない!」
長門「……心配だったから」
キョン「…だそうだ。みんなお前のことが気に掛かってんだよ。あんまり無理すんな」
ハルヒ「……ふんっ」
服部「なんや丸う収まったみたいやの」
キョン「そうだ、服部。すっかり言い忘れてたけど関西弁の女の子がお前を探してたぞ」
服部「しもた!あいつの電話にするの忘れとった!…………ダメや…出えへん」
谷口「なんだ、お前彼女いたのかよ…裏切り者め」
服部「ちゃうわ!あいつは俺の……その……ただのうっさい幼馴染みや!」
キョン「ふーん、なるほどな。服部、お前ポニーテール萌えだろ」
服部「!?」
谷口「キョン、その女はポニーテールだったのか?」
キョン「ああ、見事なポニーテールだったぞ」
谷口「そうか!だから昨日の涼宮のランクが高かったのか!」
キョン「昨日のアイツは女剣士きどりだったからな」
服部「う、うっさいな!ほっといてくれ!」
翌日―部室―
古泉「僕が閉鎖空間で戦っている間にそんなことがあったんですか」
キョン「探偵なんてこりごりだ」
古泉「しかし、閉鎖空間もすぐに収束に向かいましたから。立派な活躍だったのでしょうね」
キョン「あんなのをスリルだなんだと楽しめるやつの気がしれないね」
朝比奈「わたしなんて、話を聞いただけで気絶しちゃいました」
キョン「それで一日中、保健室にいたんですよね」
古泉「そういえば涼宮さん。推理勝負の方はどうなったんですか?」
ハルヒ「勝負?引き分けよ引き分け」
キョン「お前のほうが先に真相にたどり着いたんだろ?」
ハルヒ「そうだけど、あたしの方に有利な状況だったし…それに早い者勝ちになると…」
朝比奈「なると?」
ハルヒ「あんたたちだって『西の谷口』なんて呼びたくないでしょ?」
キョン「あ、あいつが一番だったのか?」
ハルヒ「私が職員室で推理を披露する前に、谷口がやってたらしいのよ」
キョン「だから、俺の話をすぐに飲み込めてたのか…」
ハルヒ「アホの谷口のくせに……」
キョン「……………」
古泉「何を考えてるか当てましょうか?」
キョン「……言ってみろ」
古泉「国木田くんを生き返らせる方法はないものか……どうです?」
キョン「アイツがいなくなってから谷口の元気が無くなって……俺も調子が狂うんだよ」
古泉「……この部室もなにか重たい空気が流れてますしね」
キョン「それにアイツの死に必然性がないってとこも納得いかん」
古泉「交通事故以上に過失がありませんからね。彼には」
キョン「だが、朝比奈さんに頼むわけにもいかないしな」
古泉「それなんですか…ひとつだけ可能性があります」
キョン「なんだ?」
古泉「涼宮さんが彼の死ぬ前に戻りたいと願えばいいんです」
さて古泉の提案により始まった国木田をめぐる3ヶ月間の冒険は苛烈を極め、実に壮絶な物となったが、
それは別の物語である。というか書ける気がしない。
大雑把に言うならば、初め俺達は国木田がいかにいい奴だったかをハルヒに語り
泣き落としを試みたが古泉のアルバイトを増やすだけの結果に終わった。
その後、「長門に頼んで再構成しちゃえばいいじゃん」という倫理的に疑問の残る方法の
甘い誘惑に耐えながら常識的な範囲での解決策を講じてていったが、
古泉の体重が減っていく以外になんの影響もなく、古泉のBMIが8に差し掛かった頃、
朝比奈さんと長門と妹が後7ヶ月でママになるかもしれないという禁じ手を紛いのホラ話をあいつに話し
絶望的な顔を見届けたあと俺はハルヒに対する多大なる罪悪感と共に国木田の死ぬ日に戻ってきたのだ
―教室―
キョン「うーっす」
国木田「キョン、おはよう。今日は早いね」
キョン「国木田!?国木田っ?国木田ああぁぁぁ!」
国木田「ちょ、ちょっとキョン!抱きつかないでよ!」
キョン「いやー、悪い悪い、なんかすごく嬉しくてな!国木田ー!」
国木田「今日はみんなどうしたんだよ。谷口だってなにか変だったしさ」
キョン「あいつは元々……そういえば、谷口が見えないな」
国木田「それがキョンと同じように僕を見るなり飛びついてきてさ。
校内をサンバのリズムで練り歩いたあと鼻血を出して保健室に運ばれたんだ」
谷口……?
163:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/04(土) 23:10:30.87:bDYADxpO0翌日―部室―
古泉「それで、昨日は彼らの手伝いをしていたんですね」
キョン「ああ、修理の仕方は前の国木田が残しておいたやつを読んだからな」
古泉「大変でしたねその三ヶ月間は」
キョン「もう大変だったとかそんなレベルじゃねぇぞ」
古泉「貴方だけ記憶が残っているのも不思議ですね」
キョン「多分罪悪感に苦しめってことなんだろ。それに、潜在的に記憶が残ってるやつは多いみたいだしな」
古泉「僕なんか昨日はご飯を三杯もおかわりしちゃいましたよ」
キョン「その……ほんと……マジでごめん」
古泉「僕に対しての罪悪感で苦しまないでください」
キョン「昨日なんか一日中ハルヒが俺のそばを離れなかったから死ぬほど胸が苦しかったぞ」
古泉「それにしても、やはり推理対決の舞台は我々が作らなければならないことになりますね」
キョン「なにか考えがあるのか?」
古泉「昨日の夜に鶴屋さんとお会いして何処かに、いい山荘はないか話していたんです」
キョン「だからお前はあの晩、外にいたのか。俺はてっきり集団露出の方だと…」
古泉「なんのことです?」
キョン「こっちの話だ」
古泉「考えてみると、この世界で国木田くんが事件に巻き込まれなかったということは、
その世界の事件もやはり涼宮さんの能力で起きた事件ではなかったわけですか」
キョン「そんなことは事件を知る前からわかってぞ」
古泉「ふふ、よほど涼宮さんの人格を信頼しているんですね」
キョン「そんなことじゃない。俺がそう考えたのは事件の前の夜にだな…」
服部「おーっす。稽古が終わったさかい、遊びにきたったで」
遠山「ここがハルヒちゃんたちの部室なんやね」
ハルヒ「ようこそ、SOS団へ!歓迎するわ!」
朝比奈「ゆっくりしていってくださいね」
服部「それで推理対決するような事件は見つかったんか?」
ハルヒ「そうねぇ……キョン!あんたなにか知らない?」
キョン「喜べ、大事件だがあるぞ」
ハルヒ「いいから、さっさと言いなさい」
キョン「昨日、シャミセンが逃げ出したんだ」
―完―
長門のあれれーはなしか乙
174:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/04(土) 23:29:27.03:BA6yhTK90
乙
誰か青山剛昌風にハルヒたちを書いてくれよ
186:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/05(日) 01:09:02.87:VbVnBmfRO誰か青山剛昌風にハルヒたちを書いてくれよ
187:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/05(日) 01:18:54.57:BF3hdnjx0
>>186
そのやる気だけは評価する
188:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/05(日) 01:22:58.59:g1Hse/G70そのやる気だけは評価する
>>186
普通にそれっぽい
183:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/04(土) 23:54:11.45:5nvg7zCPO普通にそれっぽい
乙
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