-
1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/14(木) 21:55:52.61:9hgrisZJ0
梓「えっ、なんでですか。イヤですよ」
唯「だってあずにゃんがこの部室で一番電力食うし……」
澪「節電しないと和がうるさいんだよな」
律「おとなしく電源切られてくれ」
梓「そんな殺生な」

【画像】主婦「マジで旦那ぶっ殺すぞおいこらクソオスが」

【速報】尾田っち、ワンピース最新話でやってしまうwwww

【東方】ルックス100点の文ちゃん

【日向坂46】ひなあい、大事件が勃発!?

韓国からポーランドに輸出されるはずだった戦車、軽戦闘機、自走砲などの「K防産」、すべて霧散して夢と終わる可能性も…
4:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/14(木) 22:00:50.32:9hgrisZJ0
唯「スイッチどこだっけ」
紬「首の裏よ」
梓「いやちょっといきなり電源落としたら壊れるんでやめてくださいよ」
澪「そうだな、ちゃんとメニュー画面からシャットダウンしないと」
唯「えーと、メニュー画面は……」
梓「やっ、だから電源切らないでくださいってば」
唯「じゃあどうしろってゆーのさー」
律「そうだぞー、節電しなくて怒られるのは私たちなんだからな」
梓「軽音部は何割節電すればいいんですか?」
澪「25割だよ」
梓「ああ、それくらいなら省エネモードになれば大丈夫です。
わざわざ電源落とさなくても」
律「なんだ省エネモードなんてあったのか」
梓「こんなご時世ですからねー。
それでは省エネモード始動」ピピピプシュシュー
唯「あ、あずにゃんの瞳から光が消えた」
8:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/14(木) 22:04:25.42:bOVd37Kq0
梓「コレデダイジョウブデス」
澪「声も小さくなって」
律「背も小さく」
唯「胸も小さく……」
紬「それは元からね」
梓「サアレンシュウヲハジメマショウ」
唯「練習は節電のために2日おきにしろって和ちゃんが」
澪「ホントか?さぼりたいだけじゃないのか」
唯「本当だよう、じゃあ他の部活も見てきなよ、
どこも練習してないはずだから」
律「なんだ、練習ないなら来なきゃ良かった。帰ろ」
澪「そーだな、次の集合は二日後か」
紬「おいしいお菓子用意しとくわね」
梓「マッテクダサイ、ワタシモカエリマス」とてとて
唯「歩くスピードまで遅くなって」
13:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/14(木) 22:10:01.65:9hgrisZJ0
翌日。
梓「オハヨウ、ウイ、ジュン」
憂「おはよう梓ちゃん、元気ないね故障?」
梓「ショウエネモードダヨ。セツデンノタメダヨ」
純「節電かー、嫌な時代だねー。
教室もなんか最近暗いしさ~」
憂「仕方ないよ、原子力発電が……」
梓「シカタナイシカタナイ」
純「いつまで続くんだろう」
憂「さあ、新しい発電方法が開発されるまでじゃない?」
純「いつ開発されるんだよう」
憂「私に聞かれても」
純「てゆーか梓は教室でも節電モードじゃないといけないの?
部活の時だけにしとけばいいのに」
梓「セイトカイニミツカルト メンドウダカラ」
純「ふーん」
14:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/14(木) 22:15:28.94:9hgrisZJ0
先生「はい席についてー。
今日は重要なお知らせがあります」
憂「なんだろう」
純「まさかまた節電?」
先生「するどいわね、鈴木さん。
今日からさらなる節電の要請が入りました。
教室の照明を10%カット、廊下の照明を消します」
「そんなー」
「それじゃ真っ暗ですよー」
「廊下でぶつかるよー」
先生「みなさん我慢して、
苦労してるのは私たちだけじゃないんですからね」
「ぶーぶー」
純「はあー、また暗くなっちゃうのか」
憂「仕方ないよ、
今はどこだってこうなんだから」
梓「タイヘンダネ」
16:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/14(木) 22:20:37.43:9hgrisZJ0
憂「トイレ行こう」
純「トイレも真っ暗なんじゃないの」
梓「アッ ワタシモイク」
純「ロボットなのにトイレいくんだ」
梓「廃油ヲステナイトネ」
憂「あ、生徒会だ……」
梓「エッ」
和「ちょっと、ここの教室明るすぎるわよ!
生徒会の指示通りに照明を落とさないとダメでしょう!
非常時なんだから文句言わないで従いなさい!
節電は全国民のために必要なことなのよ!」
純「隣の教室が怒られてるね」
梓「ウウヤバイ カクレテヨウ」
憂「省エネモードだから大丈夫じゃないの」
梓「デモナンカ 文句イワレソウダシ」
17:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/14(木) 22:21:16.81:bOVd37Kq0
和「まったく、みんな自分勝手……」カツカツカツ
憂「あ、行ったみたい」
梓「フーヨカッタ」
純「真鍋さんが生徒会長になってから節電厳しくなったね」
憂「まあ確かに前は電気使い過ぎだったし……
その反動じゃないかな」
純「でもこんな真っ暗にするのはやり過ぎだよね」
憂「それはまあ……でもよその学校とか
部活動全面禁止になったとこもあるらしいし
うちはまだ恵まれてる方じゃないかな」
純「いやあ、でもねえー」
憂「そういえば梓ちゃん今日部活ないんだよね」
梓「アサッテマデ ナイヨ」
憂「そっか、じゃあ今日オイル交換付き合ってあげるね」
梓「ホントニ?ヤッター」
純「節電のせいで感情表現まで乏しく……」
22:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/14(木) 22:32:41.95:9hgrisZJ0
翌日。
先生「はい席についてー。
今日も重要なお知らせがあります」
純「また節電ですか?」
先生「ええ、そうよ。冷房を切ることになりました」
「そんなー!!」
「冷房切ったら蒸し死にますよ」
「生徒会の横暴だ!」
「真鍋和を排斥せよ!」
先生「今回は生徒会からの要請じゃなくて、
政府からなの」
純「政府から……?」
憂「もう電力事情はそんなに切羽詰ってるんですか」
先生「ええ、日に日に悪くなってるみたい」
憂「そんな……」
梓「……………………」
先生「うちわを配りますので、それで暑さを凌いでください」
純「そんなもんじゃしのげませんよ」
23:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/14(木) 22:37:00.78:9hgrisZJ0
憂「ふー、あつ……」ぱたぱた
梓「オーバーヒートシソウ」
純「特攻下がりますね」
憂「ていうかさ、あの……
このまま電気がアレになってったら、
梓ちゃんも、近いうちに……」
純「あ……」
梓「ワタシガドウカシタ?」
憂「あ、ううん、なんでもないよ!」
純「そ、そうそう……」
梓「?」
ガラッ
唯「あーずにゃーん!」
梓「ユイセンパイ!?」
唯「あずにゃん分補給ー……って熱う!
あずにゃんボディ熱すぎだよ!」
憂「なにやってんのお姉ちゃん」
24:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/14(木) 22:43:48.49:9hgrisZJ0
梓「スミマセン ウマク排熱デキナクテ」
唯「いやまあー仕方ないねえこんな熱いし……
気温36度だって」
憂「ええ、そんなに……」
唯「うちのクラスの子も熱中症で何人か倒れたよー」
純「はあ、暗いし熱いし最悪ですねえ」
唯「お日様の光が恋しいなあ……」
憂「それは言わない約束だよ」
ガラッ
和「あらっ唯、何してるのこんな場所で」
唯「和ちゃん。和ちゃんこそ何で?」
和「抜き打ちの見回りよ。
勝手に冷房付けてるクラスが多いからね。あらっ」
梓「ギクッ」
和「ちょっと唯、梓ちゃんまだ動かしてたの?
電気の無駄だから止めておきなさい」
唯「えー、でも省エネモードにしたよ~」
25:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/14(木) 22:49:29.11:9hgrisZJ0
和「ダメよ、ロボットが一番電力食うのよ。
他の学校のロボットはもう電源切られて倉庫に入れられてるそうよ」
梓「……」
唯「わかったわかった、あとで切っとくから」
和「絶対よ」
ガラッピシャン
唯「ふう……」
憂「なんか和ちゃん、生徒会長になってから
人が変わったみたい」
純「色々あるんだよ」
梓「アノ、ユイセンパイ……」
唯「え、ああ大丈夫、電源切ったりしないから!
私があずにゃんの電源切るなんて言葉にすらしないよ」
梓「ユイセンパイ……」
唯「あ、でも和ちゃんに見つからないようにね」
梓「ハイ、ワカリマシタ」
純「いいはなしだな」
26:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/14(木) 22:51:36.71:ZAXPg73j0
翌日。
先生「えー。今日も重要なお知らせが……」
純「また節電ですか?」
先生「はい、政府によって照明を付けることが禁止されました。
ロウソクで代用しろとのことです」
憂「ロウソクって……そんなんじゃまともに勉強できませんよ」
純「しかもこの糞暑いのに」
先生「授業に関しては先生方が工夫してくださるでしょう。
みなさんつらいかもしれないけど耐えてください。
我々が生き残るには節電節食節水しかないんですから」
憂「うう……」
純「そのうち食べ物も水もなくなるのかな」
憂「多分そうなると思う」
純「はあ、私もロボットになりたい……」
梓「……」
先生「じゃあこれからロウソクとマッチを配ります、
一人1本ずつ取ってくださいね」
31:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/14(木) 23:06:32.66:9hgrisZJ0
純「なんか百物語やってるみたいだ」
憂「コワイ話する?」
純「今の私たちが置かれている現状よりも怖い話があるのなら」
憂「あっはっはーそれはシャレになってないなあ」
梓「ワタシメッチャ怖イ話シッテルヨ」
憂「え、ほんと?ちょっと聞かせて」
純「あっごめんそのまえにトイレ」
梓「ワタシモ」
憂「ロウソク持って行きなよ」
梓「ダイジョウブ、ワタシノ目ガ光ルカラ」ピカー
憂「蛍レベルの光だね」
純「まあないよりマシか。行こう梓」
梓「ウン」
34:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/14(木) 23:16:40.83:Y7s/ZxPp0
純「ほんっと真っ暗だよね」
梓「ウン」
純「陽の光を浴びないとこっそしょしょしょうしょうになるって」
梓「ワタシハカンケイナイケド」
純「まあ梓はロボットだしね」
梓「……ナンデ私ダケロボットナノカナ」
純「それは……」
梓「ナンデダッケ……ナンデ私ロボットナンダッケ……」
純「みんなを助けるためだよ……」
梓「ミンナヲタスケル……」
和「進め一億節電だ、照明は敵だ、
つけさせません冷房は…………ん?」
純「あっやべ、生徒会長だ!」
和「あっ、梓ちゃん!
まだ動いてたの!?」
梓「ヒィ!」
39:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/14(木) 23:23:48.77:9hgrisZJ0
和「もう私がこの場で電源落としてやるわ!」
純「に、逃げるよ梓!」
梓「ジュンマッテェー」よたよた
純「ああっ、省エネモードのせいでまともに走れない!」
和「捕まえた、観念なさい!」
梓「ギャータスケテー」
純「ま、待ってください生徒会長!
そんな馬鹿みたいに節電しなくたっていいじゃないですか!
異常ですよ異常」
和「異常なもんですか、
私が好きでこの学校の節電を推進してたと思ってるの?」
純「へっ」
和「せめてこのクソ暑いシェルター生活の中で
冷房だけは動かしていられるように照明を切って節電を進めてたのにっ、
政府は私たちの頑張りも無視して冷房まで切るように言ってきた!
自分たちは電気使い放題で涼んでるくせに」
純「生徒会長……」
和「私は決めたの、もうこうなったらとことんまで節電してやるって。
そうすれば冷房使用の許しくらいは出るかも知れない」
40:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/14(木) 23:29:51.93:9hgrisZJ0
和「そのために梓ちゃんの電源を切るわ。
学校で一番電力食うのはあなたみたいなロボットなのよ」
梓「ヤメテクダサイ、私、電源キラレタク……」
和「まったくわけがわからないわ、
いざ本番でスムーズに動かなかっら困るから……なんて理由で
大量の電気を消費させながら動かしておくなんて。
政府の考えることはとんちんかんだわ」
梓「純、タスケテ、純」
純「……」
梓「純……!」
和「他の学校のロボットは、もう電源を落とされて
倉庫に入れられてる……
でもそれは節電のためじゃなくって
『節電中に電気を使われるのがむかつくから』なんですって。
みんなバカみたいよね」
梓「和先輩、ヤメテクダサイ……」
和「あったわここがスイッチね。
じゃあおやすみなさい梓ちゃん、
地上に上がったときのあなたの活躍を祈ってるわ」
梓「ヤメ……」 ブツッ
44:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/14(木) 23:42:46.62:9hgrisZJ0
20XX年
列島で同時多発的に発生した災害により
日本はあまりにも甚大な被害を受けた
都市機能は完全に停止
交通も通信も分断され
どこで何が起こっているのかさえ分からなかった
かろうじて把握できたのは
全国の原子力発電所が被災して
日本中……
いやそれだけではなく近隣のアジア諸国まで
放射線に汚染され極東アジア一帯が死の世界となりはてたこと
政府は都心部で運良く生き残った
数千の人々だけを地下シェルターに誘致し外界との関係を絶った
地下シェルターには
人々の居住スペースや
生活用具と食物と水は用意されていたが
電気だけが圧倒的に足りなかった
人々は不便な思いをしながらも
極力地上と同じような生活をしようと試みた
シェルターの数カ所を学校に定め
未成年の若者たちは毎日そこに通った
そうすることで人々は精神の安定を図った
だがそんな生活も長くは続かず
発電装置に不具合が生じたのだ
このままではいずれ電気も使えなくなる
だがここから出るわけにも行かない
外界と連絡も取れない
そこで考え出されたのがロボット計画であった
46:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/14(木) 23:50:50.99:9hgrisZJ0
政府はシェルター内に作られたいくつかの学校から
無作為に生徒を選び出しロボットに改造した
シェルターから外の世界に出て
地下生活に必要なものを入手してくるためだ
そして地上の汚染状況を調査したり
ゆくゆくは除染作業をすることも視野に入れられて
数体のロボットが開発されることとなった
計画に選ばれた生徒たちは抵抗した
当然である
いくら人々を救うためとは言え
ロボットに改造されるなど
到底受け入れられることではない
しかし彼女たちは無力
政府に逆らいきれるはずもなく
研究所へと連れて行かれ
数年の歳月をかけて
ロボットとして生まれ変わった
そして彼女たちは記憶を消され
自身がロボットであることに疑念を抱かぬよう
思考回路を操作されて
元の生活へと戻されたのだ
……無理やり電源を落とされ
記憶回路にバグを起こした梓は
唯によって再び電源を入れられたとき
これらのことを完全に思い出してしまっていた。
梓「そうだ……私、もともと生身の人間だったんだ……」
48:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/14(木) 23:55:56.67:9hgrisZJ0
唯「あずにゃん……」
梓「どうして……どうして私こんな体に……
なんでロボットなんかになってるんですか……!」
澪「み、みんなを救うためなんだ。
栄誉あることなんだぞ梓」
梓「じゃあ澪先輩がロボットになったらよかったじゃないですか!」
澪「うっ」
梓「いやですよこんな体……いやだよ……
元の体に戻りたいよお……」
唯「あずにゃん……」ぎゅっ
梓「抱かないでください……
こんな機械の体、熱いだけですよ」
唯「熱くないよ、あったかいよ」
梓「私はなにも感じられません……」
紬「今政府の人達を呼んだわ~」
律「えっ!?」
55:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/15(金) 00:05:46.31:Adj5t4Fi0
澪「なんでいきなり……
政府の人を呼んでどうするんだ?」
紬「もろちん梓ちゃんを連れて行って修理してもらうのよ。
ロボット計画には琴吹家も関わってるからねー」
律「そんな」
梓「行きたくない……
どこにも行きたくないです、ずっとここにいたいです」
紬「ダメよ梓ちゃん、あなたは私たちを救う英雄なの。
あなたがちゃんと働いてくれないとみんな死んじゃうの。
唯ちゃんだって」
唯「あずにゃん……」
梓「唯先輩……」
紬「さあ行きましょう梓ちゃん。
もうすぐお迎えが来るわ」
梓「うっ……また、また戻って来ますから……
絶対もどってきますから、絶対……!」
唯「う、うん……待ってるからねっ」
澪「梓、私たちずっとここで待ってるからな!」
梓「はい……!」
60:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/15(金) 00:19:15.99:3gdn25XZ0
それが梓と軽音部員の最後の会話になった
梓は政府の人たちによって
研究所へと連れて行かれた
唯「あずにゃん、記憶消されちゃうのかな」
紬「そうでしょうね。
そして多分別の学校に送られるわ」
唯「うう……」
律「仕方ないさ……梓は特別だったんだ。
遅かれ早かれこうなっていたさ」
澪「……」
紬「大丈夫よ、
あずさちゃんならきっと立派に使命を果たしてくれるわ。
だって研究所の方が
梓ちゃんは最高傑作だって褒めていたもの」
澪「そうだな……梓なら、梓ならきっと
私たちのことを救ってくれるさ」
律「ああ、そんときはまたど派手に電気使って
ぱーっと演奏しようぜ、梓のために」
唯「うん……」
61:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/15(金) 00:19:19.78:Adj5t4Fi0
半年後
梓を始めとするロボットたちは地上へと這い出た
人々の期待をその身に背負って
地上は瓦礫の山だった
倒れた高層ビル
枯れはてた植物
灰色の空
動くものは何一つない
時間が動いていないかのような世界
梓の使命は被災・汚染状況の把握だった
足の裏につけられたジェットブースターで飛行しながら
データを収集していく
梓は瓦礫の中に赤く光るものを見つけた
ギターだ
地上に降りてそれを手に取る
すると梓の中にある記憶が流れこんできた
軽音部
先輩たち
地下シェルターで育まれた思い出
梓の記憶にはなかったが
それは確かに自分のものだと梓は理解した
そしてそのギターを腕に抱いて
ふたたび空へと舞い上がるのであった
もう一度あの軽音部へと戻るために
先輩たちの笑顔に出会うために
お わ り
62:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/15(金) 00:19:38.44:Adj5t4Fi0
77:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/15(金) 02:11:50.96:SWec5Ntk0
唯「スイッチどこだっけ」
紬「首の裏よ」
梓「いやちょっといきなり電源落としたら壊れるんでやめてくださいよ」
澪「そうだな、ちゃんとメニュー画面からシャットダウンしないと」
唯「えーと、メニュー画面は……」
梓「やっ、だから電源切らないでくださいってば」
唯「じゃあどうしろってゆーのさー」
律「そうだぞー、節電しなくて怒られるのは私たちなんだからな」
梓「軽音部は何割節電すればいいんですか?」
澪「25割だよ」
梓「ああ、それくらいなら省エネモードになれば大丈夫です。
わざわざ電源落とさなくても」
律「なんだ省エネモードなんてあったのか」
梓「こんなご時世ですからねー。
それでは省エネモード始動」ピピピプシュシュー
唯「あ、あずにゃんの瞳から光が消えた」
25割ってひどすぎじゃね
10:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/14(木) 22:05:58.00:9hgrisZJ0梓「コレデダイジョウブデス」
澪「声も小さくなって」
律「背も小さく」
唯「胸も小さく……」
紬「それは元からね」
梓「サアレンシュウヲハジメマショウ」
唯「練習は節電のために2日おきにしろって和ちゃんが」
澪「ホントか?さぼりたいだけじゃないのか」
唯「本当だよう、じゃあ他の部活も見てきなよ、
どこも練習してないはずだから」
律「なんだ、練習ないなら来なきゃ良かった。帰ろ」
澪「そーだな、次の集合は二日後か」
紬「おいしいお菓子用意しとくわね」
梓「マッテクダサイ、ワタシモカエリマス」とてとて
唯「歩くスピードまで遅くなって」
翌日。
梓「オハヨウ、ウイ、ジュン」
憂「おはよう梓ちゃん、元気ないね故障?」
梓「ショウエネモードダヨ。セツデンノタメダヨ」
純「節電かー、嫌な時代だねー。
教室もなんか最近暗いしさ~」
憂「仕方ないよ、原子力発電が……」
梓「シカタナイシカタナイ」
純「いつまで続くんだろう」
憂「さあ、新しい発電方法が開発されるまでじゃない?」
純「いつ開発されるんだよう」
憂「私に聞かれても」
純「てゆーか梓は教室でも節電モードじゃないといけないの?
部活の時だけにしとけばいいのに」
梓「セイトカイニミツカルト メンドウダカラ」
純「ふーん」
先生「はい席についてー。
今日は重要なお知らせがあります」
憂「なんだろう」
純「まさかまた節電?」
先生「するどいわね、鈴木さん。
今日からさらなる節電の要請が入りました。
教室の照明を10%カット、廊下の照明を消します」
「そんなー」
「それじゃ真っ暗ですよー」
「廊下でぶつかるよー」
先生「みなさん我慢して、
苦労してるのは私たちだけじゃないんですからね」
「ぶーぶー」
純「はあー、また暗くなっちゃうのか」
憂「仕方ないよ、
今はどこだってこうなんだから」
梓「タイヘンダネ」
憂「トイレ行こう」
純「トイレも真っ暗なんじゃないの」
梓「アッ ワタシモイク」
純「ロボットなのにトイレいくんだ」
梓「廃油ヲステナイトネ」
憂「あ、生徒会だ……」
梓「エッ」
和「ちょっと、ここの教室明るすぎるわよ!
生徒会の指示通りに照明を落とさないとダメでしょう!
非常時なんだから文句言わないで従いなさい!
節電は全国民のために必要なことなのよ!」
純「隣の教室が怒られてるね」
梓「ウウヤバイ カクレテヨウ」
憂「省エネモードだから大丈夫じゃないの」
梓「デモナンカ 文句イワレソウダシ」
なんだろう
なんか可愛い
18:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/14(木) 22:25:29.14:9hgrisZJ0なんか可愛い
和「まったく、みんな自分勝手……」カツカツカツ
憂「あ、行ったみたい」
梓「フーヨカッタ」
純「真鍋さんが生徒会長になってから節電厳しくなったね」
憂「まあ確かに前は電気使い過ぎだったし……
その反動じゃないかな」
純「でもこんな真っ暗にするのはやり過ぎだよね」
憂「それはまあ……でもよその学校とか
部活動全面禁止になったとこもあるらしいし
うちはまだ恵まれてる方じゃないかな」
純「いやあ、でもねえー」
憂「そういえば梓ちゃん今日部活ないんだよね」
梓「アサッテマデ ナイヨ」
憂「そっか、じゃあ今日オイル交換付き合ってあげるね」
梓「ホントニ?ヤッター」
純「節電のせいで感情表現まで乏しく……」
翌日。
先生「はい席についてー。
今日も重要なお知らせがあります」
純「また節電ですか?」
先生「ええ、そうよ。冷房を切ることになりました」
「そんなー!!」
「冷房切ったら蒸し死にますよ」
「生徒会の横暴だ!」
「真鍋和を排斥せよ!」
先生「今回は生徒会からの要請じゃなくて、
政府からなの」
純「政府から……?」
憂「もう電力事情はそんなに切羽詰ってるんですか」
先生「ええ、日に日に悪くなってるみたい」
憂「そんな……」
梓「……………………」
先生「うちわを配りますので、それで暑さを凌いでください」
純「そんなもんじゃしのげませんよ」
憂「ふー、あつ……」ぱたぱた
梓「オーバーヒートシソウ」
純「特攻下がりますね」
憂「ていうかさ、あの……
このまま電気がアレになってったら、
梓ちゃんも、近いうちに……」
純「あ……」
梓「ワタシガドウカシタ?」
憂「あ、ううん、なんでもないよ!」
純「そ、そうそう……」
梓「?」
ガラッ
唯「あーずにゃーん!」
梓「ユイセンパイ!?」
唯「あずにゃん分補給ー……って熱う!
あずにゃんボディ熱すぎだよ!」
憂「なにやってんのお姉ちゃん」
梓「スミマセン ウマク排熱デキナクテ」
唯「いやまあー仕方ないねえこんな熱いし……
気温36度だって」
憂「ええ、そんなに……」
唯「うちのクラスの子も熱中症で何人か倒れたよー」
純「はあ、暗いし熱いし最悪ですねえ」
唯「お日様の光が恋しいなあ……」
憂「それは言わない約束だよ」
ガラッ
和「あらっ唯、何してるのこんな場所で」
唯「和ちゃん。和ちゃんこそ何で?」
和「抜き打ちの見回りよ。
勝手に冷房付けてるクラスが多いからね。あらっ」
梓「ギクッ」
和「ちょっと唯、梓ちゃんまだ動かしてたの?
電気の無駄だから止めておきなさい」
唯「えー、でも省エネモードにしたよ~」
和「ダメよ、ロボットが一番電力食うのよ。
他の学校のロボットはもう電源切られて倉庫に入れられてるそうよ」
梓「……」
唯「わかったわかった、あとで切っとくから」
和「絶対よ」
ガラッピシャン
唯「ふう……」
憂「なんか和ちゃん、生徒会長になってから
人が変わったみたい」
純「色々あるんだよ」
梓「アノ、ユイセンパイ……」
唯「え、ああ大丈夫、電源切ったりしないから!
私があずにゃんの電源切るなんて言葉にすらしないよ」
梓「ユイセンパイ……」
唯「あ、でも和ちゃんに見つからないようにね」
梓「ハイ、ワカリマシタ」
純「いいはなしだな」
イイハナシダナー
29:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/14(木) 22:59:40.63:9hgrisZJ0翌日。
先生「えー。今日も重要なお知らせが……」
純「また節電ですか?」
先生「はい、政府によって照明を付けることが禁止されました。
ロウソクで代用しろとのことです」
憂「ロウソクって……そんなんじゃまともに勉強できませんよ」
純「しかもこの糞暑いのに」
先生「授業に関しては先生方が工夫してくださるでしょう。
みなさんつらいかもしれないけど耐えてください。
我々が生き残るには節電節食節水しかないんですから」
憂「うう……」
純「そのうち食べ物も水もなくなるのかな」
憂「多分そうなると思う」
純「はあ、私もロボットになりたい……」
梓「……」
先生「じゃあこれからロウソクとマッチを配ります、
一人1本ずつ取ってくださいね」
純「なんか百物語やってるみたいだ」
憂「コワイ話する?」
純「今の私たちが置かれている現状よりも怖い話があるのなら」
憂「あっはっはーそれはシャレになってないなあ」
梓「ワタシメッチャ怖イ話シッテルヨ」
憂「え、ほんと?ちょっと聞かせて」
純「あっごめんそのまえにトイレ」
梓「ワタシモ」
憂「ロウソク持って行きなよ」
梓「ダイジョウブ、ワタシノ目ガ光ルカラ」ピカー
憂「蛍レベルの光だね」
純「まあないよりマシか。行こう梓」
梓「ウン」
なんかすごい世紀末になってんな
35:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/14(木) 23:16:51.63:9hgrisZJ0純「ほんっと真っ暗だよね」
梓「ウン」
純「陽の光を浴びないとこっそしょしょしょうしょうになるって」
梓「ワタシハカンケイナイケド」
純「まあ梓はロボットだしね」
梓「……ナンデ私ダケロボットナノカナ」
純「それは……」
梓「ナンデダッケ……ナンデ私ロボットナンダッケ……」
純「みんなを助けるためだよ……」
梓「ミンナヲタスケル……」
和「進め一億節電だ、照明は敵だ、
つけさせません冷房は…………ん?」
純「あっやべ、生徒会長だ!」
和「あっ、梓ちゃん!
まだ動いてたの!?」
梓「ヒィ!」
和「もう私がこの場で電源落としてやるわ!」
純「に、逃げるよ梓!」
梓「ジュンマッテェー」よたよた
純「ああっ、省エネモードのせいでまともに走れない!」
和「捕まえた、観念なさい!」
梓「ギャータスケテー」
純「ま、待ってください生徒会長!
そんな馬鹿みたいに節電しなくたっていいじゃないですか!
異常ですよ異常」
和「異常なもんですか、
私が好きでこの学校の節電を推進してたと思ってるの?」
純「へっ」
和「せめてこのクソ暑いシェルター生活の中で
冷房だけは動かしていられるように照明を切って節電を進めてたのにっ、
政府は私たちの頑張りも無視して冷房まで切るように言ってきた!
自分たちは電気使い放題で涼んでるくせに」
純「生徒会長……」
和「私は決めたの、もうこうなったらとことんまで節電してやるって。
そうすれば冷房使用の許しくらいは出るかも知れない」
和「そのために梓ちゃんの電源を切るわ。
学校で一番電力食うのはあなたみたいなロボットなのよ」
梓「ヤメテクダサイ、私、電源キラレタク……」
和「まったくわけがわからないわ、
いざ本番でスムーズに動かなかっら困るから……なんて理由で
大量の電気を消費させながら動かしておくなんて。
政府の考えることはとんちんかんだわ」
梓「純、タスケテ、純」
純「……」
梓「純……!」
和「他の学校のロボットは、もう電源を落とされて
倉庫に入れられてる……
でもそれは節電のためじゃなくって
『節電中に電気を使われるのがむかつくから』なんですって。
みんなバカみたいよね」
梓「和先輩、ヤメテクダサイ……」
和「あったわここがスイッチね。
じゃあおやすみなさい梓ちゃん、
地上に上がったときのあなたの活躍を祈ってるわ」
梓「ヤメ……」 ブツッ
20XX年
列島で同時多発的に発生した災害により
日本はあまりにも甚大な被害を受けた
都市機能は完全に停止
交通も通信も分断され
どこで何が起こっているのかさえ分からなかった
かろうじて把握できたのは
全国の原子力発電所が被災して
日本中……
いやそれだけではなく近隣のアジア諸国まで
放射線に汚染され極東アジア一帯が死の世界となりはてたこと
政府は都心部で運良く生き残った
数千の人々だけを地下シェルターに誘致し外界との関係を絶った
地下シェルターには
人々の居住スペースや
生活用具と食物と水は用意されていたが
電気だけが圧倒的に足りなかった
人々は不便な思いをしながらも
極力地上と同じような生活をしようと試みた
シェルターの数カ所を学校に定め
未成年の若者たちは毎日そこに通った
そうすることで人々は精神の安定を図った
だがそんな生活も長くは続かず
発電装置に不具合が生じたのだ
このままではいずれ電気も使えなくなる
だがここから出るわけにも行かない
外界と連絡も取れない
そこで考え出されたのがロボット計画であった
政府はシェルター内に作られたいくつかの学校から
無作為に生徒を選び出しロボットに改造した
シェルターから外の世界に出て
地下生活に必要なものを入手してくるためだ
そして地上の汚染状況を調査したり
ゆくゆくは除染作業をすることも視野に入れられて
数体のロボットが開発されることとなった
計画に選ばれた生徒たちは抵抗した
当然である
いくら人々を救うためとは言え
ロボットに改造されるなど
到底受け入れられることではない
しかし彼女たちは無力
政府に逆らいきれるはずもなく
研究所へと連れて行かれ
数年の歳月をかけて
ロボットとして生まれ変わった
そして彼女たちは記憶を消され
自身がロボットであることに疑念を抱かぬよう
思考回路を操作されて
元の生活へと戻されたのだ
……無理やり電源を落とされ
記憶回路にバグを起こした梓は
唯によって再び電源を入れられたとき
これらのことを完全に思い出してしまっていた。
梓「そうだ……私、もともと生身の人間だったんだ……」
唯「あずにゃん……」
梓「どうして……どうして私こんな体に……
なんでロボットなんかになってるんですか……!」
澪「み、みんなを救うためなんだ。
栄誉あることなんだぞ梓」
梓「じゃあ澪先輩がロボットになったらよかったじゃないですか!」
澪「うっ」
梓「いやですよこんな体……いやだよ……
元の体に戻りたいよお……」
唯「あずにゃん……」ぎゅっ
梓「抱かないでください……
こんな機械の体、熱いだけですよ」
唯「熱くないよ、あったかいよ」
梓「私はなにも感じられません……」
紬「今政府の人達を呼んだわ~」
律「えっ!?」
澪「なんでいきなり……
政府の人を呼んでどうするんだ?」
紬「もろちん梓ちゃんを連れて行って修理してもらうのよ。
ロボット計画には琴吹家も関わってるからねー」
律「そんな」
梓「行きたくない……
どこにも行きたくないです、ずっとここにいたいです」
紬「ダメよ梓ちゃん、あなたは私たちを救う英雄なの。
あなたがちゃんと働いてくれないとみんな死んじゃうの。
唯ちゃんだって」
唯「あずにゃん……」
梓「唯先輩……」
紬「さあ行きましょう梓ちゃん。
もうすぐお迎えが来るわ」
梓「うっ……また、また戻って来ますから……
絶対もどってきますから、絶対……!」
唯「う、うん……待ってるからねっ」
澪「梓、私たちずっとここで待ってるからな!」
梓「はい……!」
>>55
ムギwww
もろちんてwwwwww
56:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/15(金) 00:10:34.64:Adj5t4Fi0ムギwww
もろちんてwwwwww
それが梓と軽音部員の最後の会話になった
梓は政府の人たちによって
研究所へと連れて行かれた
唯「あずにゃん、記憶消されちゃうのかな」
紬「そうでしょうね。
そして多分別の学校に送られるわ」
唯「うう……」
律「仕方ないさ……梓は特別だったんだ。
遅かれ早かれこうなっていたさ」
澪「……」
紬「大丈夫よ、
あずさちゃんならきっと立派に使命を果たしてくれるわ。
だって研究所の方が
梓ちゃんは最高傑作だって褒めていたもの」
澪「そうだな……梓なら、梓ならきっと
私たちのことを救ってくれるさ」
律「ああ、そんときはまたど派手に電気使って
ぱーっと演奏しようぜ、梓のために」
唯「うん……」
半年後
梓を始めとするロボットたちは地上へと這い出た
人々の期待をその身に背負って
地上は瓦礫の山だった
倒れた高層ビル
枯れはてた植物
灰色の空
動くものは何一つない
時間が動いていないかのような世界
梓の使命は被災・汚染状況の把握だった
足の裏につけられたジェットブースターで飛行しながら
データを収集していく
梓は瓦礫の中に赤く光るものを見つけた
ギターだ
地上に降りてそれを手に取る
すると梓の中にある記憶が流れこんできた
軽音部
先輩たち
地下シェルターで育まれた思い出
梓の記憶にはなかったが
それは確かに自分のものだと梓は理解した
そしてそのギターを腕に抱いて
ふたたび空へと舞い上がるのであった
もう一度あの軽音部へと戻るために
先輩たちの笑顔に出会うために
お わ り
おしまいだよ
自動でSSを書いてくれるすごいロボだったよ
63:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/15(金) 00:23:44.61:QHSKtS7q0自動でSSを書いてくれるすごいロボだったよ
節電しない人をむやみやたら叩くのをやめようと思いました
75:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/15(金) 01:37:32.15:u/OjRoH+077:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/15(金) 02:11:50.96:SWec5Ntk0
>>75
これだわ
これだわ
コメント 8
コメント一覧 (8)
ただ、内容が少しも面白くない
あと政治家狩りも並行してすればより効果的
勝手にしろよカス。
俺んとこ震度5強の地震がきたけど、皿が何枚か割れたぐらいであんまり被害はなかった。
お前みたいな