-
1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/24(日) 09:13:40.64:UfVSSX/wO
金田一「って、どこなんだよそりゃ?」
美雪「えっとね、その学校に私の親戚がいるんだけど」
美雪「その高校の学園祭が明日あるのよ」
金田一「へぇ~、それで?」
美雪「その子が軽音学部に入ってて、学園祭の時にライブをするらしいの」
美雪「そ、それではじめちゃんもよかったらどうかな~なんて思って…」
金田一「あ~、悪いけどパス」
美雪「な、何でよ!」
金田一「最近新しいゲーム買ったばっかでさ、休みの日は忙しいんだよ!」
美雪「………」
金田一(やべ…また怒らせちまったかな)
美雪「ふぅ~ん…忙しいなら別にいいわよ」
金田一「え、えっ?」

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韓国からポーランドに輸出されるはずだった戦車、軽戦闘機、自走砲などの「K防産」、すべて霧散して夢と終わる可能性も…
3:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/24(日) 09:16:23.93:UfVSSX/wO
美雪「じゃあ桜が丘高校までは私一人で行くから、はじめちゃんは来なくてもいいわよ!」
スタッスタッ
金田一「お、おーい!待ってくれよ美雪ー!」
美雪「まぁ、はじめちゃんを女子校なんかに連れてったらどうせ鼻の下伸ばすのは分かりきってるし…」
美雪(それに…)
美雪「澪ちゃんとも久々にゆっくり話したいしね…」
金田一「澪ちゃんって誰なんだよ美雪ぃ~?」
美雪「っ!!…い、いつの間に…」
金田一「にしし、それにさっき女子校って言ったよな?…」
金田一「俺も一緒に行かせてもらうぜ美雪?」キリッ
5:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/24(日) 09:18:08.18:UfVSSX/wO
美雪「へぇ~、大事な予定があるんじゃなかったの?」ギュウウウ
金田一「あだだっ!!み、耳引っ張んなよ!!」
美雪「ふんっ!」
こうして、俺と美雪は桜ヶ丘高校へと向かう事になった。
この時には気付きもしなかった。
まさか、あんな惨劇が待ち構えている事など。
 ̄ ̄ ̄
8:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/24(日) 09:20:09.10:UfVSSX/wO
カーテンを締めきった薄暗い部屋の中で、私はケースに入ったソレを眺める。
これで。
これで全てが終わる。
震える手でソレを握りしめると、自分を落ち着けるように深呼吸をした。
私はようやく今日、解放される。
あの胸の奥に居座り続ける痛みから。
制服のポケットにソレを入れると、私は部屋は飛び出した。
 ̄ ̄ ̄
10:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/24(日) 09:22:07.17:UfVSSX/wO
桜が丘高校
金田一「………」ボヘーッ
美雪「ちょっと!はじめちゃん!」
金田一「な、何だよ美雪?」
美雪「さっきから妙に視線が落ち着かないわね…?」
金田一「そ、そうか~?気のせいなんじゃないの?」ボヘーッ
金田一(しっかし、ここは天国だな~)
金田一(ぬふふ…女子校なだけあって可愛い子がいっぱい!)
ゲシッ!!
金田一「いででっ!!な、何すんだよ!!」
美雪「顔がさっきからニヤけっぱなしよ?…そんなに嬉しい事でもあったの?」ズゴゴゴ
金田一「な、何でもありましぇん…」
11:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/24(日) 09:25:29.53:UfVSSX/wO
佐木「いや~、やっぱお二人は見てて飽きませんね~」ジーッ
金田一「そ、そういやお前も居たんだっけな…佐木二号」
佐木「もちろんッスよセンパイ!金田一センパイの行く場所には必ず事件が起きますからね~♪」ジーッ
美雪「あっ!澪ちゃーん!」
金田一「!?」
佐木「!?」ジーッ
澪「ひ、久しぶり…七瀬さん」
美雪「直接会うのは小学校の時以来だね!すっごく美人になったね~!」
12:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/24(日) 09:26:49.65:UfVSSX/wO
ジーッ
佐木(いや~、さすが七瀬センパイの親戚なだけはありますね~?)ヒソヒソ
金田一(そうだな…黒髪の美人、そのうえナイスバディ…佐木、しっかりカメラ回しとけよ)ヒソヒソ
佐木(言われなくともしっかり回してるっスよ~)ジーッ♪
美雪「」
澪「………////」
美雪「二人とも、ちょっと話があるんだけどいいかしら?」ドゴゴゴ
 ̄ ̄ ̄
14:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/24(日) 09:28:57.97:UfVSSX/wO
私の心臓は張り裂けそうなほど、高鳴っている。
まるで周りの視線の全てが私に注がれているような、そんな錯覚さえする。
誰とも視線を合わせないように、極力目立たないように…。
自然と足を進める度に顔は下を向いていた。
とても…とても簡単な作業なんだと何度も自分に言い聞かせる。
紅茶の入ったカップに、人間一人の命を奪う毒を入れる。
今日、私がやるべき事。
私はポケットに入ったソレを静かに握り締めた。
 ̄ ̄ ̄
16:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/24(日) 09:31:21.60:UfVSSX/wO
澪「せっかくだから先に私達のバンドのメンバーを紹介しとくよ」
澪「多分、皆音楽室に居るはずだからさ」
美雪「で、でも…今は忙しいんじゃないの?」
澪「構わないよ、今頃お茶してるんじゃないかな」
金田一「お、お茶?」
澪「うちの部活ちょっと変わってて…よく部活の最中にティータイムを挟むんだ」
佐木「そりゃまたお洒落ですね~」ジーッ
澪「あ、あの…ところであなた達は…?」
金田一「あっ!俺は金田一一!一応、コイツの幼馴染みでして!」デレーッ
佐木「僕は佐木竜二です、金田一センパイの頼れる助手ってやつですよ」ジーッ
美雪「ま、まぁ…こんな人達だけど仲良くしてあげて…」
18:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/24(日) 09:33:30.25:UfVSSX/wO
金田一「いやぁ~、しっかし美雪と違っておしとやかでお美しい!是非とも爪の垢でも煎じて――って、あだだだっ!!」
美雪「はいはい、余計な事は言わなくていいから…」ギリッギリッ
佐木「~♪」ジーッ
澪「ぷっ…ふふっ……」
澪「仲がいいんだな、二人とも…」
美雪「そ、そうかな…あはは」
美雪(澪ちゃん、やっぱり変わったな~)
美雪(外見もそうだけど、私が知ってる時より表情も豊かになったし口調も変わってる)
美雪(ひょっとして彼氏とかできたのかな…)
澪「どうかしたの?七瀬さん?…」
美雪「な、何でもない!」
 ̄ ̄ ̄
20:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/24(日) 09:36:41.93:UfVSSX/wO
音楽室
唯「あっ!お帰り~、澪ちゃん!」
澪「あぁ、ただいま」
紬「お知り合いの方は探せたの?」
澪「うん、せっかくだからここに来てもらったよ」
律「おっ!あの三人か?」
美雪「お、お邪魔しまーす…」
澪「こっちの方が七瀬美雪さん、私の親戚だ」
美雪「よ、よろしくお願いします!」
澪「それから、七瀬さんの知り合いの金田一一さんと佐木竜二さんだ」
金田一「どもー」
佐木「よろしくお願いしまーす」ジーッ
21:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/24(日) 09:39:01.35:UfVSSX/wO
唯「えへへ~、私は平沢唯でーす!よろしくね!」アクシュ
美雪「う、うん!こちらこそ…」
唯「えっと、美雪ちゃんだからあだ名はみぃちゃんで決定!」
美雪(い、いきなりあだ名付けられちゃった!)
紬「私は琴吹紬といいます…よろしくお願いします」ペコリ
美雪「こ、こちらこそよろしくお願いします!」ペコリ
美雪(うわ~、すごく綺麗で礼儀正しい子だな~…)
律「私は田井中律っていうんだ!一応、この軽音部の部長やってるんだ!」
美雪「うん、よろしくね!」
美雪(さすが部長だけあって元気ハツラツって感じの人だな~)
美雪(この人達がライブやるんだ~、すっごく楽しみ!)
美雪「どんな演奏なのか楽しみね、はじめちゃん?」
23:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/24(日) 09:40:36.40:l3I385Bg0
金田一「にひひ…やっぱ来て良かったよな佐木…」デレーッ
佐木「そうッスね、センパイ…紬さん、何て素敵な人だ…」ドキドキ
美雪「」
紬「せっかく来ていらっしゃったんですから、お茶でもどう?…」ニコッ
佐木「は、はいっ!是非とも!」
唯「私澪ちゃんの隣に座る~!」
紬「じゃあ私も…皆さんもソファーにどうぞ?」
澪「律、皆でお茶飲むぞー?」
律「あいよー」
澪「って、お茶くらい座って飲め!」
律「別にいいじゃんよー!ドラムの音が何か変なんだよなー」
27:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/24(日) 09:46:14.02:UfVSSX/wO
澪「まったく…」
美雪「ふふっ」
澪「ど、どうかした?」
美雪「やっぱり変わったね、澪ちゃん」
澪「そうかな…」
美雪「初めて会った時なんて、顔真っ赤にしちゃって何も言えなかったのにね!」
澪「や、やめて!それは言わないで!…」
唯「澪ちゃんの知られざる過去が今ここに!」
紬「わ、私も聞きたいです!その話!」
律「おかしいなー…昨日までは何ともなかったのに…」イジリイジリ
――――
30:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/24(日) 09:49:27.32:UfVSSX/wO
金田一「へぇ~、じゃあ皆は高校になってから知り合ったんだな!」
金田一「皆仲がいいから、てっきり昔からの知り合い同士なんだと思っちゃったよ!」
律「まっ、私と澪は小学校時代からの付き合いなんだけどな!」イジリイジリ
美雪「そういえば田井中さんは澪ちゃんと幼馴染みなんだっけ?澪ちゃんが昔よく言ってたな~」
澪「ちょ、ちょっと七瀬さん!…」
美雪「ふふっ…騒がしいけど、とっても楽しい人だって言ってたっけな~」
澪「………////」
律「嬉しい事言ってくれるね、このぉ~?」
32:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/24(日) 09:52:38.33:UfVSSX/wO
唯「あずにゃんが聞いてたらびっくりしただろうね~…」
律「っ!!」
紬「………」
澪「ゆ、唯っ!!」
唯「あっ……ご、ごめん……」
金田一「?……誰?」
澪「私達の後輩だ…」
佐木「きょ、今日はお休みなんですかね?…姿が見えませんが?」
唯「死んじゃったんだよ…あずにゃんは…」
美雪「え?……」
紬「今年入ってきたばかりの子なんですけど、夏休みの合宿中に――」
澪「梓の話はもういいだろっ!!…」ガタンッ
34:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/24(日) 09:58:17.63:UfVSSX/wO
紬「!……ご、ごめんなさい……」
唯「………」
律「………」
紬「………」
ピリリリリリッ
「!!」
律「ひゃっ!!」
ガチャン!
律「あ、あちちっ…」
澪「な、何やってるんだよ律!…」
36:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/24(日) 10:01:41.46:UfVSSX/wO
唯「は、はいりっちゃん!タオルだよ!…」
紬「わ、私お茶煎れ直すわね!」ガタガタ
律「あ、あぁ…頼む…」ブルブル
律「な、何だ非通知のイタ電かよ…ビビらせやがって…」
澪「ド、ドラムの方は何とかなりそうなのか律?…」
律「た、多分大丈夫だと思うよ…あ、あはは…」
金田一(何だ?……皆、様子が……)
 ̄ ̄ ̄
39:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/24(日) 10:04:54.77:UfVSSX/wO
紬「そろそろ時間ね…」
澪「律、いつまで紅茶飲んでるんだ?もう時間だぞ!」
律「えっ!も、もうそんな時間か!?…」
澪「それじゃあ私達はちょっと着替えがあるから、先に体育館まで行ってもらっていいかな?」
美雪「うん!澪ちゃん達の演奏、楽しみにしてるね!」
バタン!
紬「そ、それにしても誰がイタズラ電話なんてしたのかしらね…」
律「あ、あぁ!全くだ!…」
唯「み、皆とにかく今日は頑張ろうね!」
澪「………」
 ̄ ̄ ̄
40:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/24(日) 10:08:06.67:UfVSSX/wO
体育館
美雪「いよいよ次は軽音部の演奏ね!」
金田一「何だかすごく嬉しそうだな美雪?」
美雪「だって、澪ちゃんって子供の頃はすごく照れ屋さんで口数も少なかったんだけど…それが今じゃあすごく生き生きしてるんだもん!」
美雪「それに軽音部の皆もいい人ばかりみたいだし、どんな演奏なのか本当に楽しみだよ!」
金田一(美雪の奴、まるで母親みたいだな~…)
金田一(にしても、さっきの皆の様子…何だったんだろうな…)
41:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/24(日) 10:11:01.74:UfVSSX/wO
「続いて、軽音部による楽曲演奏です」
パチパチパチパチ
……
………
シーン
「あれ?幕上がんないよ?」
「どうしちゃったの?」
ざわざわ
金田一「?…どうしたんだろ?」
美雪「何だか様子が変ね…」
金田一(何だ?…嫌な予感がする…)
42:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/24(日) 10:13:14.34:vBz7eNWKO
金田一「美雪、お前はここで待ってろ…ちょっと様子を見てくる!」
タッタッタッ
佐木「センパイ!僕も行きます!」
タッタッタッ
美雪「ちょ、ちょっと二人とも!」
美雪「もぉ~、何なのよ!」
「申し訳ありません、プログラムを変更し次は――」
美雪「えっ?……」
 ̄ ̄ ̄
44:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/24(日) 10:17:13.76:UfVSSX/wO
体育館裏
金田一「皆!どうしたんだ!?」
紬「き、金田一さん…それが……」
律「澪が音楽室で別れたきり…戻ってこないんだ」
紬「着替えを済ました後に『やる事があるから先に行ってて
』って言われて別れたんですけど…」
金田一「携帯に連絡は?」
律「何回も電話したんだけど出ないよ…さっき唯が音楽室まで様子を見に行ったんだけど」
金田一「俺達も行こう!佐木っ!」
佐木「は、はい!…」
 ̄ ̄ ̄ ̄
47:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/24(日) 10:19:48.63:UfVSSX/wO
金田一「もう少しで音楽室だ!」
「きゃあああああああああっ!!」
佐木「ひ、悲鳴!?」
金田一「急ぐぞ!!」
タッタッタッ
唯「……ぁ……ぁぁ……」
金田一「大丈夫か!?いったい何が!?」
唯「な、中で……」
唯「中で……澪ちゃんが……」
49:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/24(日) 10:22:07.68:UfVSSX/wO
ガチャッガチャッ
金田一「くそっ!鍵が掛かってる!」
金田一「音楽室の鍵は!?」
唯「た、多分…部屋のテーブルの上に置きっぱなしになってると思う…」
金田一「大丈夫か!?澪ちゃん!!」
金田一(そうだ!扉のガラスから部屋の中の様子を…!)
金田一(あ、あれは…腕!?床に誰か倒れてる!?)
金田一(それに…指の周りに着いてる赤いのは……血じゃないのか!?)
金田一「佐木!扉をぶち破るぞ!」
佐木「な、何かあったんですか!?」
金田一「誰かが音楽室に倒れてる!!急げ!!」
佐木「は、はいっ!!」
51:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/24(日) 10:24:45.21:UfVSSX/wO
金田一「せーのっ!!」
バァァァンッ!!
金田一「大丈夫か!?澪ちゃ――…」
!?
扉を破ったその先で見たのは…悲惨な光景だった。
窓から差し込む光に照らされて、テーブルの傍には床に散らばるティーカップの破片と共に…
まるで人形のように冷たくなった秋山澪の遺体が口元や手、そして床を血に染めて転がっていた。
 ̄ ̄ ̄
54:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/24(日) 10:27:13.64:UfVSSX/wO
剣持「よぉ金田一!やっぱりお前が居ると思ったよ!」
金田一「剣持のおっさん…」
剣持「亡くなったのは七瀬君の親戚なんだってな…気の毒に」
金田一「美雪…」チラッ
美雪「……何で……何で……澪ちゃんが……」
唯「みぃちゃん…」
金田一「………」
金田一「おっさん、今までに分かった事は…」
剣持「うーむ、今のとこ自殺と言って間違いない状況だな…」
金田一「自殺…?」
59:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/24(日) 10:30:25.93:UfVSSX/wO
剣持「あぁ、まず彼女の死因についてだが…彼女はどうやら毒物が入った紅茶を飲んだようだ」
剣持「更に、お前らが扉をぶち破るまで部屋は完全な密室だった…外部から誰かが侵入した痕跡はない」
剣持「しかもドアの内側の鍵のつまみから彼女の指紋が検出された…そして、自殺を決定づけるものもある」
金田一「自殺を決定づけるもの?…」
剣持「遺書だよ…さっき彼女の鞄から見つかった」
62:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/24(日) 10:33:06.28:UfVSSX/wO
剣持「ノートのページをちぎったものにとんでもない事が書いてあったよ…」
剣持「後輩である中野梓を殺したのは私です、私は自分の命で梓に謝ろうと思います…そう書いてあった」
金田一「な、何だって!?…」
金田一「………」
剣持「辛い事実だろうが…七瀬君に伝えてやってくれ」
金田一「あぁ……」
 ̄ ̄ ̄
63:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/24(日) 10:37:20.20:UfVSSX/wO
金田一「大丈夫か?…」
美雪「はじめちゃん…澪ちゃんは……どうして……」
金田一「さっき剣持のおっさんが言ってたけど…自殺の可能性が高いって」
美雪「自……殺……?」
美雪「嘘よ!そんなの…」
金田一「み、美雪?」
美雪「澪ちゃんは確かに小さい頃は内気な部分もあったけど…でも!」
美雪「頑張り屋さんで、一生懸命で…責任感が強い子だったわ…」
美雪「澪ちゃんが自殺なんて…そんなの……絶対におかしいよ!…」
65:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/24(日) 10:39:41.14:UfVSSX/wO
美雪「はじめちゃん…私、澪ちゃんが自殺したなんて…信じたくないよ……」
金田一「美雪……」
金田一(悪いなオッサン…とても、こんな状態の美雪に遺書の事なんて言えねぇよ…)
金田一「もう一回、現場の方見てくるよ…ちょっと俺も引っ掛かる部分があってさ!」
美雪「……はじめちゃん……」
美雪(ありがとう…はじめちゃん…)
 ̄ ̄ ̄ ̄
67:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/24(日) 10:42:25.05:UfVSSX/wO
音楽室
剣持「何だ金田一、忘れもんか?」
金田一「忘れもんっちゃ忘れもんかな…佐木、現場をしっかり写しといてくれ!後で何かの役に立つかもしんないからさ!」
佐木「バッチリっスよ!」ジーッ
剣持「お、おいおい!まさか彼女は他殺だなんて言うんじゃないだろうな!?」
金田一「そうと決まったわけじゃないけどさ…」
金田一「そうだオッサン!彼女の鞄に入っていた持ち物を見せてくれないか?」
剣持「あぁ、構わんが…」
剣持「ほら、これが彼女の鞄に入っていた持ち物だ…」
ドサッ
佐木「特に怪しい物は入ってないッスね~」
69:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/24(日) 10:45:28.67:UfVSSX/wO
金田一「?……この真っ白なノートは?」
剣持「彼女は作詞もやってたらしくてな…多分、前使ってたノートが全部埋まっちまって新しいノートを用意してたんじゃないか?」
金田一「………」
パラパラ
金田一「あれ?…オッサン、最後のページが破れてるぜ?」
剣持「あぁ、彼女が遺書を書くときに使ったノートがそれなんだ」
剣持「調べた結果、その最後のページの破かれた跡が遺書に使われたノート片と一致したからな」
金田一「それじゃあやっぱり…この自殺は妙だぜ?」
剣持「ど、どこがだ?…」
72:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/24(日) 10:53:43.72:UfVSSX/wO
金田一「遺書を書くのに使われたノートは今日彼女が持っていた鞄の中に入っていた…」
金田一「って事は、彼女は前々から死のうって考えてたのに遺書は今日になって慌てて書いたって事になる…」
金田一「人目の多い学校なんかで遺書を書くのはいくら何でもおかしい…」
金田一「でも、学校以外の場所で遺書を書いたならこのノートを何でわざわざ鞄に入れっぱなしにしておいたんだ?遺書のページだけ破いて、そのまま置いてきちまえばいいものを…」
剣持「ま、まぁ確かに…だが、仮に彼女が他殺だとするとあの遺書はどうなるんだ?」
74:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/24(日) 10:58:41.48:UfVSSX/wO
剣持「筆跡鑑定でも、あの遺書は間違いなく彼女ものだと断定されたぞ?」
金田一「じゃあ、あれは間違いなく…彼女が書いたものなのか?」
剣持「あぁ、間違いない…」
金田一「そっか……」
剣持「それでもお前は疑うのか?…」
金田一「まだ何とも…とりあえず、軽音部の皆にもう一度詳しい話を聞いてくる!」
タッタッタッ
剣持「ったく、忙しい奴だ…」
佐木「あぁなったセンパイは誰にも止められませんからね…」
剣持「まったくだ…」
 ̄ ̄ ̄
75:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/24(日) 11:01:32.59:UfVSSX/wO
唯「私に話って?…」
金田一「えっと、合宿で死んだっていう子の話を聞かせて欲しいんだ…」
唯「あずにゃんの事?…」
金田一「あぁ、どうやらその子の死が今回の事件に関係してるみたいなんだ…」
唯「どういう事?」
金田一「実は…」
……
…
金田一「という事らしいんだ…」
唯「…澪ちゃんが……あずにゃんを?……」
金田一「あぁ…遺書にはそう書いてあったよ」
唯「そ、それって本物なの!?…確かに澪ちゃんが書いたものなの!?」
金田一「残念だけど、本物だよ…筆跡鑑定でも証明されてる」
76:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/24(日) 11:03:31.77:UfVSSX/wO
唯「…そんな……」
唯「………」
金田一「ごめん…やっぱり、もう少し落ち着いてから――」
唯「いいよ…話すよ、あずにゃんの事…」
金田一「い、いいのか?」
唯「大丈夫だよ…あの時はうやむやにされちゃったけど金田一君にもあずにゃんの事、知っておいてほしいから…」
唯「私はあの子の事、梓ちゃんって呼ばずにあずにゃんって呼んでた…」
唯「背がちっちゃくて可愛い子でね…そうだ、携帯に画像があるから見る?」
金田一「あぁ…」
唯「これがあずにゃんだよ…」
スッ
金田一(この子が…中野梓…)
金田一「どうしてこの子は…?」
77:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/24(日) 11:06:37.00:UfVSSX/wO
唯「合宿の時にムギちゃんの別荘に行ったんだけど…階段から落ちて死んじゃってるのが二日目の朝に見つかったんだ…」
金田一「階段から落ちて……」
唯「まさか……澪ちゃんがあずにゃんを殺したなんて……」
金田一「………」
金田一「それはどうかな…」
唯「え?……」
唯「金田一君は…澪ちゃんは誰かに殺されたと思ってるの?」
金田一「まだ何とも言えないけど…遺書には肝心な事が書かれてなかった…」
唯「肝心な事?…」
金田一「どうしてその梓って子を殺したのか、それが書いてないんだよ…」
金田一「この事件にはまだ何か…隠された裏があるはずだ…」
唯「………」
 ̄ ̄ ̄
78:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/24(日) 11:10:30.87:UfVSSX/wO
律「梓の話?…」
金田一「あぁ、澪ちゃんが残した遺書に書いてあったんだ…彼女を殺したって…」
律「………」
律「いい奴だったよ、真面目でさ…私達がお茶飲んでる最中でも練習しましょうって叱ってさ…」
金田一「………」
律「だから…澪が梓を殺したなんてあり得ないんだよ……」
金田一「どうして?…」
律「澪も生真面目でしっかり者だったからさ…梓も澪に懐いてたし、澪も梓の事気に入ってたんだ……」
金田一「………」
律「…信じてくれよ…澪は絶対に梓を殺してなんかいない……」
律「幼馴染みの私が嫉妬するくらい、仲良かったんだぜ……」
80:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/24(日) 11:13:05.29:UfVSSX/wO
金田一「俺もそう信じたいよ…こんな時に変な事聞いて悪かった…」
スタッスタッスタッ
律「………」
律「澪……ごめん……私は……私は……」
 ̄ ̄ ̄
81:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/24(日) 11:14:23.41:BpBKNHkG0
紬「梓ちゃんの話…ですか?」
金田一「あぁ、梓って子の話を聞かせてほしい」
紬「………」
紬「…あの日は私の家の別荘を使って合宿をしていたわね」
金田一「べ、別荘…お金持ちなんだな~」
紬「そんなの…自慢もしたくない事ですけど…」
紬「私があの場所に呼んでしまったせいで…梓ちゃんは……」
金田一「………」
紬「まさか澪ちゃんがそんな恐ろしい事をしたなんて…」
金田一「君達はいったい何を隠してるんだ…」
紬「っ……」
金田一「俺の爺さんがさ、あの金田一溝助なんだ…今までそんな縁もあってか、色んな事件に首を突っ込んできたんだ……」
金田一「だから分かるんだよ…何か嘘をついてたり隠し事をしてる人間の目ってやつが……」
83:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/24(日) 11:17:52.45:UfVSSX/wO
金田一「今日のティータイムの時も…今だってそうだ、皆は何か隠そうとしている……」
紬「……何が言いたいんですか?」
金田一「別に…単なる俺の気のせいかもしれないな」
金田一「でもさ…一つはっきりと分かる事がある」
紬「何ですか?……」
金田一「君達はずっとその何かのせいで苦しんでるんじゃないのか?…」
紬「………」
金田一「紬ちゃん?…」
紬「す、すみません…ちょっと気分が悪くなったのでお手洗いに…」
84:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/24(日) 11:19:48.21:UfVSSX/wO
金田一「そ、そっか…ごめんな、こんな時にこんな事聞いて…」
紬「いえ、いいんです…」
スタッスタッスタッ
紬(そうよ…私はずっと、合宿の時…そして今も罪悪感に苛まれている…)
紬(あの時、私があんな事さえ言わなければ…)ギュッ
紬(全部…私のせい…!)
 ̄ ̄ ̄
87:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/24(日) 11:25:17.06:UfVSSX/wO
金田一(…皆はいったい何を隠してるんだ?)
金田一(それに澪ちゃん以外の誰かが毒を入れたとしても…あの遺書はどうなるんだ?)
金田一(毒を入れるタイミングも難しい…どうやって音楽室の中に居る人間に気付かれずに毒を?)
美雪「はじめちゃん?…」
金田一「み、美雪…もう大丈夫なのか?…」
美雪「ううん、ほんとは今でも…あんまり大丈夫じゃないかも…」
美雪「さっき、剣持さんから聞いたの…澪ちゃんが後輩の子を――」
金田一「美雪っ!!」
美雪「………」
金田一「お前まで疑っちまってどうするんだよ…」
金田一「俺はさ、信じてみたいんだよ…澪ちゃんの事……」
美雪「はじめちゃん……」
91:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/24(日) 11:26:57.62:UfVSSX/wO
金田一「軽音部の皆は中野梓の死、そして今回の澪ちゃんの一件をありのまま無理矢理受け入れて…そのまま何かを隠そうとしている」
金田一「でも、もしそれが間違いだったらどうするんだよ?」
美雪「………」
金田一「だからさ、お前だけでもせめて…澪ちゃんはそんな事する人じゃないって信じてあげなきゃ…」
美雪「うん…私、信じる……」
美雪「澪ちゃんを…信じる…」
金田一「ありがとな、美雪…」
94:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/24(日) 11:29:43.47:UfVSSX/wO
美雪「ふふっ…」
金田一「ど、どうしたんだ美雪?」
美雪「ご、ごめん…昔の事思い出しちゃって」
金田一「昔の事?…」
美雪「うん…幼稚園の頃に私と澪ちゃんがお人形で遊んでる時の話なんだけどね」
美雪「私がトイレに行ってる間に澪ちゃんが私のお人形を壊しちゃったの…それで澪ちゃん、慌てて壊れた私の人形を隠しちゃったのよ」
美雪「それで私がトイレから戻ると、私のお人形があった場所に澪ちゃんが使ってたお人形があってね…ふふっ」
金田一「人形を隠して……自分の人形を……」
美雪「は、はじめちゃん?……」
96:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/24(日) 11:31:04.91:UfVSSX/wO
金田一「そうか……その手があった!」
金田一「美雪!俺は音楽室に戻る!」
美雪「はじめちゃん!それじゃあ…」
金田一「あぁ!澪ちゃんの無実を証明できるかもしれない!」
――――
97:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/24(日) 11:33:33.02:UfVSSX/wO
音楽室
佐木「センパイ!」
金田一「佐木!今すぐ今日撮ったビデオを見せてくれ!」
佐木「はいっ!」
剣持「な、何が分かったんだ金田一?…」
金田一「それは後から話す!オッサン、それより急いで調べて欲しい事があるんだ!」
……
…
剣持「うむ…時間が少々掛かるかもしれんが、調べてみよう!」
金田一「オッサン…我が儘言ってすまない」
剣持「なに水臭い事言っとるんだ!」
剣持「おい!手の空いてる者は俺と一緒に聞き込みだ!」
警官「はっ!!」
スタッスタッスタッ
98:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/24(日) 11:36:42.67:UfVSSX/wO
金田一(恩に着るぜ…オッサン!)
佐木「準備できましたよ、センパイ!」
金田一「サンキュ!それじゃあ見せてくれ!」
ピッ
よく考えろ…。
澪『律、皆でお茶飲むぞー?』
よく思い出せ…。
金田一『誰かが音楽室に倒れてる!!急げ!!』
何かを俺は見落としてる…そのはずだ!。
何かを…。
金田一「っ!!…」
金田一「さっきのシーンをもう一回見せてくれ!」
100:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/24(日) 11:40:57.97:UfVSSX/wO
佐木「こ、ここですか?…」
ピッ
金田一「………」
佐木「いやぁ~、この場面は僕も思わずびっくりしてカメラを別方向に向けちゃったんですよね~」
金田一「…ちょっと待てよ…」
金田一「それじゃあ、その瞬間だけ皆は…!!」
金田一「…そうか!そういう事だったのか!」
佐木「セ、センパイ?」
金田一「佐木!ちょっと俺と一緒に探し物に付き合ってくれ!」
佐木「で、でもこの現場は警察がもう捜索を…」
金田一「頼む!アレがこの部屋のどこかにまだ残ってるはずなんだ!」
101:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/24(日) 11:44:17.35:UfVSSX/wO
………
……
金田一「っ!!……あった」
佐木「セ、センパイ…これは……」
佐木「そんな…これがここにあるって事は秋山さんは!」
ドタッドタッドタッ
バタン!
剣持「金田一!」
金田一「オッサン!どうだった!?」
剣持「確かにあの時間帯、お前の言った通りの行動をしていた生徒が居たらしい!」
102:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/24(日) 11:46:44.77:UfVSSX/wO
金田一「そうか…」
金田一「おっさん、皆をここに集めてくれ!」
剣持「あぁ!」
金田一「謎は…全て解けた!」
 ̄ ̄ ̄ ̄
ちょっと飯食ってくる、続きは飯の後に書きます
104:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/24(日) 11:53:41.85:5OmSUnzg0
金田一「さて、皆これで集まったな…」
金田一「皆に集まってもらったのは他でもない…秋山澪の死の真相を聞いてもらいたいからだ」
唯「澪ちゃんの死の…真相?」
金田一「単なる自殺に見えたこの事件には、実はもう一つの裏があったんだ!」
金田一「俺がオッサンに頼んで澪ちゃんの鞄に入ってたものを見せてもらった時、ちょっと不思議な事に気づいたんだ…」
金田一「疑問に思った俺が調べていくと…辿り着いたんだ、この事件の真相にね」
112:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/24(日) 12:15:23.43:UfVSSX/wO
金田一「まず、紅茶に毒を入れたのは秋山澪本人じゃない…」
律「な、何だって!?」
金田一「そう、誰かがカップに毒を入れたんだよ…」
金田一「それが可能だったのはティータイムの時、音楽室に居た軽音楽部のメンバー…つまり君達三人の中の誰かって事だ!」
!?
律「わ、私達の中に…」
唯「毒を入れた人が…?」
紬「だ、誰なの!?…」
金田一「それは、あんただよ!」
115:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/24(日) 12:18:26.92:UfVSSX/wO
金田一「平沢唯!」
律「ゆ、唯が…毒を?」
唯「あ、あはは!金田一君、何言ってるの?…」
唯「澪ちゃんは自殺したんでしょ?しかも澪ちゃんが書いた遺書だって見つかったんじゃ…」
金田一「あぁ、あれは間違いなく…正真正銘、彼女が書いたものだ」
金田一「ただし、あの遺書は今日自殺するために書かれたものじゃなく…あんたに殺されると分かった彼女が、今日あの場で書いたものだとしたら?」
!?
金田一「彼女の鞄から遺書を書くのに使ったノートが見つかった時、そう思ったんだ…」
116:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/24(日) 12:20:29.13:UfVSSX/wO
美雪「み、澪ちゃんが自分から遺書を!?……」
唯「………」
金田一「実は、さっき…佐木と一緒に俺はあるモノを探してたんだ」
律「な、何だよ…それって…」
金田一「もう一枚の遺書さ」
紬「もう一枚の遺書?」
唯「っ!!……」
金田一「あんたに梓って子の話を聞きに行った時の事覚えてるか?」
金田一「あの時…あんたは澪ちゃんが自殺した事よりも、遺書の事で驚いてた様子だったからさ」
金田一「あの時からだよ、あんたが怪しいと感じたのは…」
120:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/24(日) 12:22:29.29:UfVSSX/wO
金田一「そりゃ驚きもするさ…あんたがは作ったのはワープロで書かれ、しかも内容も全く違う遺書だったんだからね!」
ガサッ
律「い、遺書がもう一枚…」
紬「本当だわ…文章は全てワープロで打たれてるし……自殺の動機も音楽への疲れからっていう内容になってるわ…」
金田一「最初、あんたはこれをこっそりと彼女の鞄にでも入れておいたんだろ…遺書は発見されなきゃ意味がないからね」
剣持「だ、だが…我々が秋山澪の鞄を調べた時はそんなものなかったぞ!」
122:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/24(日) 12:25:49.24:UfVSSX/wO
金田一「あるはずないさ…何故ならその偽の遺書は死亡する直前に、他ならぬ秋山澪自身の手によって隠されたんだからな」
剣持「!?…ま、待て待て!何が何だかさっぱりだぞ金田一!?」
金田一「この事件はある意味で自殺と言っていいかもしれない…紅茶に毒を入れたのは平沢唯であっても、それを自分の意志で飲んだのは被害者である秋山澪なんだからな」
美雪「まさか……澪ちゃんは……」
金田一「あぁ、彼女は…平沢唯が用意した偽の遺書を隠して自分の書き上げた遺書とすり替え、鍵をかけて密室を作り自分から自殺のような状況を作り上げたんだよ!」
123:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/24(日) 12:28:56.77:UfVSSX/wO
剣持「な、何故そんな事を?」
金田一「カップに毒を入れた彼女を庇うためさ…」
金田一「自分が遺書を書いて自殺をした…その状況をより強く印象付けるためにわざわざページを破いたノートを鞄に入れておいたんだ」
金田一「彼女はそこまでして…仲間が警察に疑われないようにと考えたんだよ」
唯「ちょ、ちょっと待って金田一君!仮に私が毒を入れるとして、いつ入れたの?」
金田一「皆でお茶をしてた時さ、それ以外に毒を入れるタイミングは無いからな」
唯「そうなるよね…でも考えてみて、あの時はドラムをイジってたりっちゃん以外は皆近くに居たよね?」
125:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/24(日) 12:32:08.45:UfVSSX/wO
唯「音楽室にはあれだけ大勢の人が居たんだもん!毒なんて入れようとしたらたらすぐに皆気付く筈だよ?」
金田一「それが可能なんだよ…」
金田一「まず、あんたは下準備としてあらかじめドラムに不調が出るように細工をしておいたんだ」
律「わ、私のドラムに?」
金田一「あぁ、そして次に皆で和気あいあいと話している最中にわざとある話題を振った」
金田一「今年の夏に死んだ、中野梓という後輩の話題をね…」
金田一「この話題を出した瞬間に他の部員達はかなり焦った様子を見せた…場の奇妙な空気に俺達も当然気付く…」
金田一「そして、重苦しい沈黙が流れる音楽室で…あんたは皆の注意を一瞬だけ逸らす事に成功したんだ!」
126:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/24(日) 12:34:27.65:UfVSSX/wO
美雪「あっ!まさかあの時の!…」
金田一「そう!あのイタズラ電話さ!」
金田一「おそらくあれは、あんたが共犯者に頼んで掛けてもらったものだ」
金田一「共犯者はティータイムの最中にずっと、音楽室の前に居たんだろう…室内の会話を盗み聞きしながらね」
金田一「そしてあんたが中野梓の話題を口にしたのを確認すると、非通知で律ちゃんへと電話を掛けた…」
127:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/24(日) 12:37:16.16:UfVSSX/wO
金田一「この瞬間、椅子に座っていた紬ちゃんと澪ちゃん、ソファーに座っていた俺達…あんたを除くその場の全員が慌てて律ちゃんの方へ振り返った」
金田一「その隙にまんまと隣に座る彼女のカップに毒を入れる事に成功したんだ」
金田一「ドラムの小細工も、皆の視線を律ちゃんに向けさせるための巧妙に仕組まれたトリックの一つってわけさ…」
金田一「多分、澪ちゃんはこの時に…自分のカップに毒を入れる瞬間を横目で見てしまったんじゃないかな…」
128:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/24(日) 12:41:28.61:UfVSSX/wO
唯「違う…違うよ!それなら私と同じで澪ちゃんの隣に座ってたムギちゃんにだって――」
剣持「もう観念しろ、さっき金田一に言われて調べたが…君の妹が音楽室の前で電話を掛ける瞬間を目撃した者がいる!」
唯「ぐ、偶然だよ!そんなの!私じゃな――」
金田一「じゃあ一つ聞くぜ!!」
唯「っ………」
金田一「俺達が遺体を発見した時…何で倒れてるのが澪ちゃんだって気付いたんだ?」
唯「そ、それは…扉のガラスから覗いて――」
金田一「見える訳無いさ…あの角度からは倒れた彼女の腕しか見えないんだよ…」
唯「っ……」
唯「わ、私じゃないよ…」
129:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/24(日) 12:44:47.28:UfVSSX/wO
金田一「じゃあ何で澪ちゃんはあんたのギターケースに偽の遺書を隠したりしたんだろうな…」
唯「っ……わ、私のケースに……」
金田一「もう…言い訳はよすんだ、唯ちゃん…」
唯「……」
律「ゆ、唯?…」
唯「……はぁ……もう、認めるしかないよね……」
唯「そうだよ……形はどうあれ、澪ちゃんを殺したのは私……」
130:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/24(日) 12:48:40.58:UfVSSX/wO
金田一「…やっぱり、中野梓の死が関係してるのか?」
唯「金田一君、私ね…」
唯「神様からあずにゃんの復讐をしてって頼まれたの…」
金田一「神様…?」
唯「全部話す前に一つだけ質問…りっちゃん、ムギちゃん…」
律「………」
紬「………」
唯「二人は…私に嘘…ついてないよね?」
唯「嘘ついたのって…澪ちゃん一人だけだよね?」
唯「私は二人のこと…信じていいんだよね?」
笑っていた。
少しでも仲間を信じたくて、彼女は笑っていた…。
笑いながら泣いていた。
――――
136:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/24(日) 13:07:07.62:UfVSSX/wO
あずにゃんが死んじゃってから、もう何にもする気力が無くなっちゃったんだ。
あれだけ好きだった音楽も、皆とのティータイムも…生きる事さえも。
私はあずにゃんが大好きだったんだ。
そんな抜け殻みたいな日々を過ごしてた時だった。
137:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/24(日) 13:10:02.43:UfVSSX/wO
家に一本の電話が掛かってきたの。
唯『はい……』
『中野梓ノ死ノ真相ヲシッテイル…』
唯『し、真相?…』
電話の声はボイスチェンジャーでも使ったような、変な声だったけど…
その時の私にはそんな事どうでもよかったの。
あずにゃんの死について、何か隠された事があるなら…私は知りたいって思った。
138: 忍法帖【Lv=40,xxxPT】 :2011/07/24(日) 13:10:11.82:BnIU0Xtx0
そして、電話の相手は言ったの。
『梓ヲ突キ落トシタノハ…秋山澪ダ』
唯『!!』
―――
剣持「ま、まさか君はそんな電話を信じて彼女を殺そうとしたのか!?」
唯「もちろん私だって疑ったよ…でもね、どうしても気になったから澪ちゃんに直接聞いてみる事にしたの…」
唯「そしたら澪ちゃん……認めたんだよ、自分があずにゃんを殺した事…」
金田一(まさか…まさかアイツが!!)
――――
144:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/24(日) 13:17:00.07:UfVSSX/wO
澪『ゆ、唯…珍しいな、唯が部室に一番乗りなんて…』
唯『ね、ねぇ?澪ちゃん…ちょっと聞いてもいいかな?』
澪『な、何だよ?…』
唯『あずにゃんを殺したのって…澪ちゃん?』
澪『!!……』
澪『………』
唯『あ、あははっ!変な事聞いてごめんね!実は昨日変な電話が――』
147:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/24(日) 13:24:36.34:UfVSSX/wO
澪『私だ……』
唯『え?……』
澪『梓を殺したのは…私だ……』
唯『…………』
ダッ
澪『ゆ、唯!!……』
澪『………』
タッタッタッ
唯(澪ちゃん…澪ちゃんが……何で……)
ドタッ
唯「っ……す、すみません!ボーっとしてて!」
「いえ、私の心配は無用ですよ…お嬢さん」
「それより、憎くはありませんか?…あの少女が」ニヤッ
152:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/24(日) 13:33:03.08:UfVSSX/wO
唯「あ、あなたは?…」
「私は地獄から死者の無念の声を伝える使者ですよ…あなたにこれからすべき行動をお教えするために来ました…」
唯「これからの…行動?…」
高遠「復讐ですよ…」
唯「復讐……」
私は、その地獄の傀儡師と名乗る人の指示に従って今回の計画を実行した…
――――
153:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/24(日) 13:36:38.50:PzqUOISl0
剣持「た、高遠が…今回の一件にも!?」
金田一「あぁ…そして奴はまだこの音楽室に居る!」
!?
金田一「なぁ、そこの警官さん…」
警官「な、何だね?」
金田一「あんた、剣持のオッサンが聞き込みに向かった時もずっとこの部屋に居たよな…」
警官「………」
金田一「もう騙されはしないぜ…地獄の傀儡師!!」
ベリッ
高遠「やれやれ…やはり君の目を欺くには半端な方法ではダメのようですね」
158:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/24(日) 13:46:55.07:UfVSSX/wO
剣持「た、高遠!!貴様、逃げられると思うな!?…」
高遠「おや、そう言いながら獄門塾ではまんまと私に欺かれたではないですか…剣持警部?」
剣持「ひ、人をコケにしおって……」
高遠「平沢唯さん…」
唯「!!……」
高遠「まだ復讐は終わってはいませんよ…まだ生贄は二人も残っている……」
唯「え?……」
律「っ……」
紬「………」
高遠「あの二人は…死んだ秋山澪以上に深い業を犯したんです」
161:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/24(日) 13:54:00.82:UfVSSX/wO
金田一「や、やめろ高遠!!」
高遠「田井中律さん…あなたは中野梓さんを突き落とした張本人ですね?」
律「……わ、私は……」
高遠「秋山澪と中野梓が親しげにしている様に嫉妬し、彼女を階段近くまで呼び出した…そうではないのですか?」
唯「嘘……だよね?……」
律「………」
唯「何で……何とも言わないの?……」
律「ホントは……殺す気なんてなかったんだ……」
唯「!!……」
168:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/24(日) 14:00:40.87:UfVSSX/wO
律「ちょ、ちょっと梓を脅かそうと思っただけなんだ……そしたら、あいつ……足を滑らせて……」
唯「!!……りっちゃん……そんな……」
高遠「あなたにはこのナイフを与えましょう……この場で警察に捕まるリスクを恐れず、彼女の無念を晴らしたいのであれば私は邪魔しませんよ…」
金田一「やめろ唯ちゃん!!そいつの言葉を聞くな!!…」
唯「許さない…よくも……よくもあずにゃんを!!」
スッ
ダッ
唯「うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!…」
173:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/24(日) 14:04:59.61:UfVSSX/wO
ガッ
唯「っ!!邪魔しないでよ金田一君!!」
金田一「もうこんなバカな真似はやめるんだ!!」
唯「何がバカな真似なの!?りっちゃんはあずにゃんを…大切な後輩を殺したんだよ!!」
金田一「だからってあんたがその手を血で汚して、その子が喜ぶのかよ!?」
金田一「その梓って子が憎しみに身を燃やしたあんたを本当に見たいと思ってるのか!?」
金田一「それに澪ちゃんだって…大切な後輩の死を隠したという罪を受け入れて、あんたに人殺しをさせないために自分から死を選んだんだじゃないのか!?」
唯「そんなの……そんなの信じられないよ!!」
180:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/24(日) 14:15:18.35:UfVSSX/wO
ガチャッ
高遠「そこまでです金田一君…崇高な復讐の邪魔をしてはいけませんよ……」
ダァンッ!
金田一「ぐっ!!……」ヨロッ
美雪「は、はじめちゃん!!…」
唯「………」
高遠「さぁ、これで邪魔は居なくなった…」
剣持「き、貴様!!…」
高遠「剣持警部、金田一君の頭を撃ち抜かれたくなければ大人しくしていてください……」
唯「りっちゃん……ごめんね……」
律「…いいんだよ……最初に死ぬべきだったのは……」
律「私だったんだ……」
185:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/24(日) 14:21:45.08:UfVSSX/wO
律「澪が私の代わりに罪を被ってくれたってのに…私、最後の最後まで……」
唯「バイバイ……りっちゃん……」
金田一「やめろ!!…」
ザクッ
ポタッポタッ
唯「……ぐっ……ぅ……」
高遠「?……」
唯「やっぱり……ダメ……私には皆を……殺せないよ……」
ガクッ
189:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/24(日) 14:32:53.56:UfVSSX/wO
金田一「っ!!…唯ちゃん!!」
紬「唯ちゃん!!…」
高遠「チッ……」
ガラッ
剣持「あ、あの野郎窓から!!取り押さえろ!!…」
バッ!
剣持「き、消えた!?…」
律「唯……何で……こんな事を……」
紬「ごめんなさい…唯ちゃん……私……」
唯「……泣いちゃダメだよ……皆……」
紬「私が…私が梓ちゃんを脅かしてみましょうって…言ったから……」
唯「もう……私には何も聞こえないよ……」
193:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/24(日) 14:39:58.60:UfVSSX/wO
剣持「救急車は!?まだなのか!」
警官「も、もう少しで到着するとの事です……」
金田一「しっかりするんだ唯ちゃん!!もうすぐ救急車が来る!!…」
唯「……もう……いいの……」
唯「……澪ちゃんに謝ってこなきゃ……バカな事してごめんなさいって……」
唯「……もう……私……皆を疑わなくて……いいんだよね?…」
唯「皆……ごめ……んね……」
ガクンッ
金田一「っ……」
195:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/24(日) 14:42:14.35:PzqUOISl0
警官「け、剣持警部!!救急車が到着しました!!…」
剣持「もう……遅い……」
美雪「…こんなのって……こんな終わり方って……」
佐木「………」
こうして、少女達の慟哭が響き渡る中、事件は…
最後に傀儡となる事を拒んだ少女の死によって幕を下ろした。
全てが終わった後、俺が音楽室を振り返った時…。
音楽室に響く楽しげな彼女達の笑い声を聞いた気がした。
――――
200:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/24(日) 14:48:14.88:UfVSSX/wO
数日後
美雪「紬さんが自殺未遂を!?…」
金田一「あぁ、剣持のオッサンに聞いたんだ…梓って子が死んだ翌日、手首を切って自殺しようとしたらしい…」
金田一「律ちゃんも同じだ、睡眠薬に頼らないと眠る事ができないほど自分を責めてたみたいだ…」
美雪「皆がそれぞれ…罪の意識に苦しんでたのね」
美雪「私…何か澪ちゃんの力になってあげる事は出来なかったのかしら…」
金田一「………」
201:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/24(日) 14:50:04.72:UfVSSX/wO
金田一「前にも言ったよな、人間は誰しも仮面を被って生きてるって……」
美雪「え?……」
金田一「多分、澪ちゃんはお前や皆に心配を掛けさせないために嘘という仮面を被らざる得なかったんだ…」
金田一「これも前にも言ったけど、そういう仮面の被り方って決して悪い事じゃないんだぜ?…」
美雪「そうね…澪ちゃんは自分の罪から逃げるためじゃなくて、仲間を純粋に守りたかったから仮面を付けた…」
美雪「ありがとう…はじめちゃん…」
金田一「い、いいって!…」
204:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/24(日) 14:54:42.50:UfVSSX/wO
美雪「そ、そういえば…はじめちゃん?…」
金田一「へ?…」
美雪「確かその時、聞きそびれたんだけど…はじめちゃんが被ってる仮面って?…」
金田一「!!」
金田一「あ~っ!!もうこんな時間だ!!は、早く行かないと遅刻しちまうぜ!」
美雪「ちょ、ちょっとはじめちゃん!はぐらかさないでよ!」
―――
205:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/24(日) 14:59:45.26:UfVSSX/wO
「さぁ、悲しい事件はこれでおしまい… 」
「さぁ、おかえり…恐ろしい怪人が現れてしまう前に…」
ツカッツカッツカッ
「おや?あなたは…」
「――――」
「よろしいですよ、この私がとっておきの方法であなたの親友と姉を死に追いやった連中に…制裁を与えるお手伝いをいたしましょう」
「さぁ、私の前で復讐を誓いなさい…」
高遠「平沢憂さん…」ニヤッ
憂「………」
おわり
207:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/24(日) 15:01:03.60:PzqUOISl0
美雪「じゃあ桜が丘高校までは私一人で行くから、はじめちゃんは来なくてもいいわよ!」
スタッスタッ
金田一「お、おーい!待ってくれよ美雪ー!」
美雪「まぁ、はじめちゃんを女子校なんかに連れてったらどうせ鼻の下伸ばすのは分かりきってるし…」
美雪(それに…)
美雪「澪ちゃんとも久々にゆっくり話したいしね…」
金田一「澪ちゃんって誰なんだよ美雪ぃ~?」
美雪「っ!!…い、いつの間に…」
金田一「にしし、それにさっき女子校って言ったよな?…」
金田一「俺も一緒に行かせてもらうぜ美雪?」キリッ
美雪「へぇ~、大事な予定があるんじゃなかったの?」ギュウウウ
金田一「あだだっ!!み、耳引っ張んなよ!!」
美雪「ふんっ!」
こうして、俺と美雪は桜ヶ丘高校へと向かう事になった。
この時には気付きもしなかった。
まさか、あんな惨劇が待ち構えている事など。
 ̄ ̄ ̄
カーテンを締めきった薄暗い部屋の中で、私はケースに入ったソレを眺める。
これで。
これで全てが終わる。
震える手でソレを握りしめると、自分を落ち着けるように深呼吸をした。
私はようやく今日、解放される。
あの胸の奥に居座り続ける痛みから。
制服のポケットにソレを入れると、私は部屋は飛び出した。
 ̄ ̄ ̄
桜が丘高校
金田一「………」ボヘーッ
美雪「ちょっと!はじめちゃん!」
金田一「な、何だよ美雪?」
美雪「さっきから妙に視線が落ち着かないわね…?」
金田一「そ、そうか~?気のせいなんじゃないの?」ボヘーッ
金田一(しっかし、ここは天国だな~)
金田一(ぬふふ…女子校なだけあって可愛い子がいっぱい!)
ゲシッ!!
金田一「いででっ!!な、何すんだよ!!」
美雪「顔がさっきからニヤけっぱなしよ?…そんなに嬉しい事でもあったの?」ズゴゴゴ
金田一「な、何でもありましぇん…」
佐木「いや~、やっぱお二人は見てて飽きませんね~」ジーッ
金田一「そ、そういやお前も居たんだっけな…佐木二号」
佐木「もちろんッスよセンパイ!金田一センパイの行く場所には必ず事件が起きますからね~♪」ジーッ
美雪「あっ!澪ちゃーん!」
金田一「!?」
佐木「!?」ジーッ
澪「ひ、久しぶり…七瀬さん」
美雪「直接会うのは小学校の時以来だね!すっごく美人になったね~!」
ジーッ
佐木(いや~、さすが七瀬センパイの親戚なだけはありますね~?)ヒソヒソ
金田一(そうだな…黒髪の美人、そのうえナイスバディ…佐木、しっかりカメラ回しとけよ)ヒソヒソ
佐木(言われなくともしっかり回してるっスよ~)ジーッ♪
美雪「」
澪「………////」
美雪「二人とも、ちょっと話があるんだけどいいかしら?」ドゴゴゴ
 ̄ ̄ ̄
私の心臓は張り裂けそうなほど、高鳴っている。
まるで周りの視線の全てが私に注がれているような、そんな錯覚さえする。
誰とも視線を合わせないように、極力目立たないように…。
自然と足を進める度に顔は下を向いていた。
とても…とても簡単な作業なんだと何度も自分に言い聞かせる。
紅茶の入ったカップに、人間一人の命を奪う毒を入れる。
今日、私がやるべき事。
私はポケットに入ったソレを静かに握り締めた。
 ̄ ̄ ̄
澪「せっかくだから先に私達のバンドのメンバーを紹介しとくよ」
澪「多分、皆音楽室に居るはずだからさ」
美雪「で、でも…今は忙しいんじゃないの?」
澪「構わないよ、今頃お茶してるんじゃないかな」
金田一「お、お茶?」
澪「うちの部活ちょっと変わってて…よく部活の最中にティータイムを挟むんだ」
佐木「そりゃまたお洒落ですね~」ジーッ
澪「あ、あの…ところであなた達は…?」
金田一「あっ!俺は金田一一!一応、コイツの幼馴染みでして!」デレーッ
佐木「僕は佐木竜二です、金田一センパイの頼れる助手ってやつですよ」ジーッ
美雪「ま、まぁ…こんな人達だけど仲良くしてあげて…」
金田一「いやぁ~、しっかし美雪と違っておしとやかでお美しい!是非とも爪の垢でも煎じて――って、あだだだっ!!」
美雪「はいはい、余計な事は言わなくていいから…」ギリッギリッ
佐木「~♪」ジーッ
澪「ぷっ…ふふっ……」
澪「仲がいいんだな、二人とも…」
美雪「そ、そうかな…あはは」
美雪(澪ちゃん、やっぱり変わったな~)
美雪(外見もそうだけど、私が知ってる時より表情も豊かになったし口調も変わってる)
美雪(ひょっとして彼氏とかできたのかな…)
澪「どうかしたの?七瀬さん?…」
美雪「な、何でもない!」
 ̄ ̄ ̄
音楽室
唯「あっ!お帰り~、澪ちゃん!」
澪「あぁ、ただいま」
紬「お知り合いの方は探せたの?」
澪「うん、せっかくだからここに来てもらったよ」
律「おっ!あの三人か?」
美雪「お、お邪魔しまーす…」
澪「こっちの方が七瀬美雪さん、私の親戚だ」
美雪「よ、よろしくお願いします!」
澪「それから、七瀬さんの知り合いの金田一一さんと佐木竜二さんだ」
金田一「どもー」
佐木「よろしくお願いしまーす」ジーッ
唯「えへへ~、私は平沢唯でーす!よろしくね!」アクシュ
美雪「う、うん!こちらこそ…」
唯「えっと、美雪ちゃんだからあだ名はみぃちゃんで決定!」
美雪(い、いきなりあだ名付けられちゃった!)
紬「私は琴吹紬といいます…よろしくお願いします」ペコリ
美雪「こ、こちらこそよろしくお願いします!」ペコリ
美雪(うわ~、すごく綺麗で礼儀正しい子だな~…)
律「私は田井中律っていうんだ!一応、この軽音部の部長やってるんだ!」
美雪「うん、よろしくね!」
美雪(さすが部長だけあって元気ハツラツって感じの人だな~)
美雪(この人達がライブやるんだ~、すっごく楽しみ!)
美雪「どんな演奏なのか楽しみね、はじめちゃん?」
あずにゃんいないのか?
24:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/24(日) 09:41:26.37:UfVSSX/wO金田一「にひひ…やっぱ来て良かったよな佐木…」デレーッ
佐木「そうッスね、センパイ…紬さん、何て素敵な人だ…」ドキドキ
美雪「」
紬「せっかく来ていらっしゃったんですから、お茶でもどう?…」ニコッ
佐木「は、はいっ!是非とも!」
唯「私澪ちゃんの隣に座る~!」
紬「じゃあ私も…皆さんもソファーにどうぞ?」
澪「律、皆でお茶飲むぞー?」
律「あいよー」
澪「って、お茶くらい座って飲め!」
律「別にいいじゃんよー!ドラムの音が何か変なんだよなー」
澪「まったく…」
美雪「ふふっ」
澪「ど、どうかした?」
美雪「やっぱり変わったね、澪ちゃん」
澪「そうかな…」
美雪「初めて会った時なんて、顔真っ赤にしちゃって何も言えなかったのにね!」
澪「や、やめて!それは言わないで!…」
唯「澪ちゃんの知られざる過去が今ここに!」
紬「わ、私も聞きたいです!その話!」
律「おかしいなー…昨日までは何ともなかったのに…」イジリイジリ
――――
金田一「へぇ~、じゃあ皆は高校になってから知り合ったんだな!」
金田一「皆仲がいいから、てっきり昔からの知り合い同士なんだと思っちゃったよ!」
律「まっ、私と澪は小学校時代からの付き合いなんだけどな!」イジリイジリ
美雪「そういえば田井中さんは澪ちゃんと幼馴染みなんだっけ?澪ちゃんが昔よく言ってたな~」
澪「ちょ、ちょっと七瀬さん!…」
美雪「ふふっ…騒がしいけど、とっても楽しい人だって言ってたっけな~」
澪「………////」
律「嬉しい事言ってくれるね、このぉ~?」
唯「あずにゃんが聞いてたらびっくりしただろうね~…」
律「っ!!」
紬「………」
澪「ゆ、唯っ!!」
唯「あっ……ご、ごめん……」
金田一「?……誰?」
澪「私達の後輩だ…」
佐木「きょ、今日はお休みなんですかね?…姿が見えませんが?」
唯「死んじゃったんだよ…あずにゃんは…」
美雪「え?……」
紬「今年入ってきたばかりの子なんですけど、夏休みの合宿中に――」
澪「梓の話はもういいだろっ!!…」ガタンッ
紬「!……ご、ごめんなさい……」
唯「………」
律「………」
紬「………」
ピリリリリリッ
「!!」
律「ひゃっ!!」
ガチャン!
律「あ、あちちっ…」
澪「な、何やってるんだよ律!…」
唯「は、はいりっちゃん!タオルだよ!…」
紬「わ、私お茶煎れ直すわね!」ガタガタ
律「あ、あぁ…頼む…」ブルブル
律「な、何だ非通知のイタ電かよ…ビビらせやがって…」
澪「ド、ドラムの方は何とかなりそうなのか律?…」
律「た、多分大丈夫だと思うよ…あ、あはは…」
金田一(何だ?……皆、様子が……)
 ̄ ̄ ̄
紬「そろそろ時間ね…」
澪「律、いつまで紅茶飲んでるんだ?もう時間だぞ!」
律「えっ!も、もうそんな時間か!?…」
澪「それじゃあ私達はちょっと着替えがあるから、先に体育館まで行ってもらっていいかな?」
美雪「うん!澪ちゃん達の演奏、楽しみにしてるね!」
バタン!
紬「そ、それにしても誰がイタズラ電話なんてしたのかしらね…」
律「あ、あぁ!全くだ!…」
唯「み、皆とにかく今日は頑張ろうね!」
澪「………」
 ̄ ̄ ̄
体育館
美雪「いよいよ次は軽音部の演奏ね!」
金田一「何だかすごく嬉しそうだな美雪?」
美雪「だって、澪ちゃんって子供の頃はすごく照れ屋さんで口数も少なかったんだけど…それが今じゃあすごく生き生きしてるんだもん!」
美雪「それに軽音部の皆もいい人ばかりみたいだし、どんな演奏なのか本当に楽しみだよ!」
金田一(美雪の奴、まるで母親みたいだな~…)
金田一(にしても、さっきの皆の様子…何だったんだろうな…)
「続いて、軽音部による楽曲演奏です」
パチパチパチパチ
……
………
シーン
「あれ?幕上がんないよ?」
「どうしちゃったの?」
ざわざわ
金田一「?…どうしたんだろ?」
美雪「何だか様子が変ね…」
金田一(何だ?…嫌な予感がする…)
ざわ… ざわ…
43:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/24(日) 10:14:10.29:UfVSSX/wO金田一「美雪、お前はここで待ってろ…ちょっと様子を見てくる!」
タッタッタッ
佐木「センパイ!僕も行きます!」
タッタッタッ
美雪「ちょ、ちょっと二人とも!」
美雪「もぉ~、何なのよ!」
「申し訳ありません、プログラムを変更し次は――」
美雪「えっ?……」
 ̄ ̄ ̄
体育館裏
金田一「皆!どうしたんだ!?」
紬「き、金田一さん…それが……」
律「澪が音楽室で別れたきり…戻ってこないんだ」
紬「着替えを済ました後に『やる事があるから先に行ってて
』って言われて別れたんですけど…」
金田一「携帯に連絡は?」
律「何回も電話したんだけど出ないよ…さっき唯が音楽室まで様子を見に行ったんだけど」
金田一「俺達も行こう!佐木っ!」
佐木「は、はい!…」
 ̄ ̄ ̄ ̄
金田一「もう少しで音楽室だ!」
「きゃあああああああああっ!!」
佐木「ひ、悲鳴!?」
金田一「急ぐぞ!!」
タッタッタッ
唯「……ぁ……ぁぁ……」
金田一「大丈夫か!?いったい何が!?」
唯「な、中で……」
唯「中で……澪ちゃんが……」
ガチャッガチャッ
金田一「くそっ!鍵が掛かってる!」
金田一「音楽室の鍵は!?」
唯「た、多分…部屋のテーブルの上に置きっぱなしになってると思う…」
金田一「大丈夫か!?澪ちゃん!!」
金田一(そうだ!扉のガラスから部屋の中の様子を…!)
金田一(あ、あれは…腕!?床に誰か倒れてる!?)
金田一(それに…指の周りに着いてる赤いのは……血じゃないのか!?)
金田一「佐木!扉をぶち破るぞ!」
佐木「な、何かあったんですか!?」
金田一「誰かが音楽室に倒れてる!!急げ!!」
佐木「は、はいっ!!」
金田一「せーのっ!!」
バァァァンッ!!
金田一「大丈夫か!?澪ちゃ――…」
!?
扉を破ったその先で見たのは…悲惨な光景だった。
窓から差し込む光に照らされて、テーブルの傍には床に散らばるティーカップの破片と共に…
まるで人形のように冷たくなった秋山澪の遺体が口元や手、そして床を血に染めて転がっていた。
 ̄ ̄ ̄
剣持「よぉ金田一!やっぱりお前が居ると思ったよ!」
金田一「剣持のおっさん…」
剣持「亡くなったのは七瀬君の親戚なんだってな…気の毒に」
金田一「美雪…」チラッ
美雪「……何で……何で……澪ちゃんが……」
唯「みぃちゃん…」
金田一「………」
金田一「おっさん、今までに分かった事は…」
剣持「うーむ、今のとこ自殺と言って間違いない状況だな…」
金田一「自殺…?」
剣持「あぁ、まず彼女の死因についてだが…彼女はどうやら毒物が入った紅茶を飲んだようだ」
剣持「更に、お前らが扉をぶち破るまで部屋は完全な密室だった…外部から誰かが侵入した痕跡はない」
剣持「しかもドアの内側の鍵のつまみから彼女の指紋が検出された…そして、自殺を決定づけるものもある」
金田一「自殺を決定づけるもの?…」
剣持「遺書だよ…さっき彼女の鞄から見つかった」
剣持「ノートのページをちぎったものにとんでもない事が書いてあったよ…」
剣持「後輩である中野梓を殺したのは私です、私は自分の命で梓に謝ろうと思います…そう書いてあった」
金田一「な、何だって!?…」
金田一「………」
剣持「辛い事実だろうが…七瀬君に伝えてやってくれ」
金田一「あぁ……」
 ̄ ̄ ̄
金田一「大丈夫か?…」
美雪「はじめちゃん…澪ちゃんは……どうして……」
金田一「さっき剣持のおっさんが言ってたけど…自殺の可能性が高いって」
美雪「自……殺……?」
美雪「嘘よ!そんなの…」
金田一「み、美雪?」
美雪「澪ちゃんは確かに小さい頃は内気な部分もあったけど…でも!」
美雪「頑張り屋さんで、一生懸命で…責任感が強い子だったわ…」
美雪「澪ちゃんが自殺なんて…そんなの……絶対におかしいよ!…」
美雪「はじめちゃん…私、澪ちゃんが自殺したなんて…信じたくないよ……」
金田一「美雪……」
金田一(悪いなオッサン…とても、こんな状態の美雪に遺書の事なんて言えねぇよ…)
金田一「もう一回、現場の方見てくるよ…ちょっと俺も引っ掛かる部分があってさ!」
美雪「……はじめちゃん……」
美雪(ありがとう…はじめちゃん…)
 ̄ ̄ ̄ ̄
音楽室
剣持「何だ金田一、忘れもんか?」
金田一「忘れもんっちゃ忘れもんかな…佐木、現場をしっかり写しといてくれ!後で何かの役に立つかもしんないからさ!」
佐木「バッチリっスよ!」ジーッ
剣持「お、おいおい!まさか彼女は他殺だなんて言うんじゃないだろうな!?」
金田一「そうと決まったわけじゃないけどさ…」
金田一「そうだオッサン!彼女の鞄に入っていた持ち物を見せてくれないか?」
剣持「あぁ、構わんが…」
剣持「ほら、これが彼女の鞄に入っていた持ち物だ…」
ドサッ
佐木「特に怪しい物は入ってないッスね~」
金田一「?……この真っ白なノートは?」
剣持「彼女は作詞もやってたらしくてな…多分、前使ってたノートが全部埋まっちまって新しいノートを用意してたんじゃないか?」
金田一「………」
パラパラ
金田一「あれ?…オッサン、最後のページが破れてるぜ?」
剣持「あぁ、彼女が遺書を書くときに使ったノートがそれなんだ」
剣持「調べた結果、その最後のページの破かれた跡が遺書に使われたノート片と一致したからな」
金田一「それじゃあやっぱり…この自殺は妙だぜ?」
剣持「ど、どこがだ?…」
金田一「遺書を書くのに使われたノートは今日彼女が持っていた鞄の中に入っていた…」
金田一「って事は、彼女は前々から死のうって考えてたのに遺書は今日になって慌てて書いたって事になる…」
金田一「人目の多い学校なんかで遺書を書くのはいくら何でもおかしい…」
金田一「でも、学校以外の場所で遺書を書いたならこのノートを何でわざわざ鞄に入れっぱなしにしておいたんだ?遺書のページだけ破いて、そのまま置いてきちまえばいいものを…」
剣持「ま、まぁ確かに…だが、仮に彼女が他殺だとするとあの遺書はどうなるんだ?」
剣持「筆跡鑑定でも、あの遺書は間違いなく彼女ものだと断定されたぞ?」
金田一「じゃあ、あれは間違いなく…彼女が書いたものなのか?」
剣持「あぁ、間違いない…」
金田一「そっか……」
剣持「それでもお前は疑うのか?…」
金田一「まだ何とも…とりあえず、軽音部の皆にもう一度詳しい話を聞いてくる!」
タッタッタッ
剣持「ったく、忙しい奴だ…」
佐木「あぁなったセンパイは誰にも止められませんからね…」
剣持「まったくだ…」
 ̄ ̄ ̄
唯「私に話って?…」
金田一「えっと、合宿で死んだっていう子の話を聞かせて欲しいんだ…」
唯「あずにゃんの事?…」
金田一「あぁ、どうやらその子の死が今回の事件に関係してるみたいなんだ…」
唯「どういう事?」
金田一「実は…」
……
…
金田一「という事らしいんだ…」
唯「…澪ちゃんが……あずにゃんを?……」
金田一「あぁ…遺書にはそう書いてあったよ」
唯「そ、それって本物なの!?…確かに澪ちゃんが書いたものなの!?」
金田一「残念だけど、本物だよ…筆跡鑑定でも証明されてる」
唯「…そんな……」
唯「………」
金田一「ごめん…やっぱり、もう少し落ち着いてから――」
唯「いいよ…話すよ、あずにゃんの事…」
金田一「い、いいのか?」
唯「大丈夫だよ…あの時はうやむやにされちゃったけど金田一君にもあずにゃんの事、知っておいてほしいから…」
唯「私はあの子の事、梓ちゃんって呼ばずにあずにゃんって呼んでた…」
唯「背がちっちゃくて可愛い子でね…そうだ、携帯に画像があるから見る?」
金田一「あぁ…」
唯「これがあずにゃんだよ…」
スッ
金田一(この子が…中野梓…)
金田一「どうしてこの子は…?」
唯「合宿の時にムギちゃんの別荘に行ったんだけど…階段から落ちて死んじゃってるのが二日目の朝に見つかったんだ…」
金田一「階段から落ちて……」
唯「まさか……澪ちゃんがあずにゃんを殺したなんて……」
金田一「………」
金田一「それはどうかな…」
唯「え?……」
唯「金田一君は…澪ちゃんは誰かに殺されたと思ってるの?」
金田一「まだ何とも言えないけど…遺書には肝心な事が書かれてなかった…」
唯「肝心な事?…」
金田一「どうしてその梓って子を殺したのか、それが書いてないんだよ…」
金田一「この事件にはまだ何か…隠された裏があるはずだ…」
唯「………」
 ̄ ̄ ̄
律「梓の話?…」
金田一「あぁ、澪ちゃんが残した遺書に書いてあったんだ…彼女を殺したって…」
律「………」
律「いい奴だったよ、真面目でさ…私達がお茶飲んでる最中でも練習しましょうって叱ってさ…」
金田一「………」
律「だから…澪が梓を殺したなんてあり得ないんだよ……」
金田一「どうして?…」
律「澪も生真面目でしっかり者だったからさ…梓も澪に懐いてたし、澪も梓の事気に入ってたんだ……」
金田一「………」
律「…信じてくれよ…澪は絶対に梓を殺してなんかいない……」
律「幼馴染みの私が嫉妬するくらい、仲良かったんだぜ……」
金田一「俺もそう信じたいよ…こんな時に変な事聞いて悪かった…」
スタッスタッスタッ
律「………」
律「澪……ごめん……私は……私は……」
 ̄ ̄ ̄
!?
82:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/24(日) 11:16:04.41:UfVSSX/wO紬「梓ちゃんの話…ですか?」
金田一「あぁ、梓って子の話を聞かせてほしい」
紬「………」
紬「…あの日は私の家の別荘を使って合宿をしていたわね」
金田一「べ、別荘…お金持ちなんだな~」
紬「そんなの…自慢もしたくない事ですけど…」
紬「私があの場所に呼んでしまったせいで…梓ちゃんは……」
金田一「………」
紬「まさか澪ちゃんがそんな恐ろしい事をしたなんて…」
金田一「君達はいったい何を隠してるんだ…」
紬「っ……」
金田一「俺の爺さんがさ、あの金田一溝助なんだ…今までそんな縁もあってか、色んな事件に首を突っ込んできたんだ……」
金田一「だから分かるんだよ…何か嘘をついてたり隠し事をしてる人間の目ってやつが……」
金田一「今日のティータイムの時も…今だってそうだ、皆は何か隠そうとしている……」
紬「……何が言いたいんですか?」
金田一「別に…単なる俺の気のせいかもしれないな」
金田一「でもさ…一つはっきりと分かる事がある」
紬「何ですか?……」
金田一「君達はずっとその何かのせいで苦しんでるんじゃないのか?…」
紬「………」
金田一「紬ちゃん?…」
紬「す、すみません…ちょっと気分が悪くなったのでお手洗いに…」
金田一「そ、そっか…ごめんな、こんな時にこんな事聞いて…」
紬「いえ、いいんです…」
スタッスタッスタッ
紬(そうよ…私はずっと、合宿の時…そして今も罪悪感に苛まれている…)
紬(あの時、私があんな事さえ言わなければ…)ギュッ
紬(全部…私のせい…!)
 ̄ ̄ ̄
金田一(…皆はいったい何を隠してるんだ?)
金田一(それに澪ちゃん以外の誰かが毒を入れたとしても…あの遺書はどうなるんだ?)
金田一(毒を入れるタイミングも難しい…どうやって音楽室の中に居る人間に気付かれずに毒を?)
美雪「はじめちゃん?…」
金田一「み、美雪…もう大丈夫なのか?…」
美雪「ううん、ほんとは今でも…あんまり大丈夫じゃないかも…」
美雪「さっき、剣持さんから聞いたの…澪ちゃんが後輩の子を――」
金田一「美雪っ!!」
美雪「………」
金田一「お前まで疑っちまってどうするんだよ…」
金田一「俺はさ、信じてみたいんだよ…澪ちゃんの事……」
美雪「はじめちゃん……」
金田一「軽音部の皆は中野梓の死、そして今回の澪ちゃんの一件をありのまま無理矢理受け入れて…そのまま何かを隠そうとしている」
金田一「でも、もしそれが間違いだったらどうするんだよ?」
美雪「………」
金田一「だからさ、お前だけでもせめて…澪ちゃんはそんな事する人じゃないって信じてあげなきゃ…」
美雪「うん…私、信じる……」
美雪「澪ちゃんを…信じる…」
金田一「ありがとな、美雪…」
美雪「ふふっ…」
金田一「ど、どうしたんだ美雪?」
美雪「ご、ごめん…昔の事思い出しちゃって」
金田一「昔の事?…」
美雪「うん…幼稚園の頃に私と澪ちゃんがお人形で遊んでる時の話なんだけどね」
美雪「私がトイレに行ってる間に澪ちゃんが私のお人形を壊しちゃったの…それで澪ちゃん、慌てて壊れた私の人形を隠しちゃったのよ」
美雪「それで私がトイレから戻ると、私のお人形があった場所に澪ちゃんが使ってたお人形があってね…ふふっ」
金田一「人形を隠して……自分の人形を……」
美雪「は、はじめちゃん?……」
金田一「そうか……その手があった!」
金田一「美雪!俺は音楽室に戻る!」
美雪「はじめちゃん!それじゃあ…」
金田一「あぁ!澪ちゃんの無実を証明できるかもしれない!」
――――
音楽室
佐木「センパイ!」
金田一「佐木!今すぐ今日撮ったビデオを見せてくれ!」
佐木「はいっ!」
剣持「な、何が分かったんだ金田一?…」
金田一「それは後から話す!オッサン、それより急いで調べて欲しい事があるんだ!」
……
…
剣持「うむ…時間が少々掛かるかもしれんが、調べてみよう!」
金田一「オッサン…我が儘言ってすまない」
剣持「なに水臭い事言っとるんだ!」
剣持「おい!手の空いてる者は俺と一緒に聞き込みだ!」
警官「はっ!!」
スタッスタッスタッ
金田一(恩に着るぜ…オッサン!)
佐木「準備できましたよ、センパイ!」
金田一「サンキュ!それじゃあ見せてくれ!」
ピッ
よく考えろ…。
澪『律、皆でお茶飲むぞー?』
よく思い出せ…。
金田一『誰かが音楽室に倒れてる!!急げ!!』
何かを俺は見落としてる…そのはずだ!。
何かを…。
金田一「っ!!…」
金田一「さっきのシーンをもう一回見せてくれ!」
佐木「こ、ここですか?…」
ピッ
金田一「………」
佐木「いやぁ~、この場面は僕も思わずびっくりしてカメラを別方向に向けちゃったんですよね~」
金田一「…ちょっと待てよ…」
金田一「それじゃあ、その瞬間だけ皆は…!!」
金田一「…そうか!そういう事だったのか!」
佐木「セ、センパイ?」
金田一「佐木!ちょっと俺と一緒に探し物に付き合ってくれ!」
佐木「で、でもこの現場は警察がもう捜索を…」
金田一「頼む!アレがこの部屋のどこかにまだ残ってるはずなんだ!」
………
……
金田一「っ!!……あった」
佐木「セ、センパイ…これは……」
佐木「そんな…これがここにあるって事は秋山さんは!」
ドタッドタッドタッ
バタン!
剣持「金田一!」
金田一「オッサン!どうだった!?」
剣持「確かにあの時間帯、お前の言った通りの行動をしていた生徒が居たらしい!」
金田一「そうか…」
金田一「おっさん、皆をここに集めてくれ!」
剣持「あぁ!」
金田一「謎は…全て解けた!」
 ̄ ̄ ̄ ̄
ちょっと飯食ってくる、続きは飯の後に書きます
桜ケ丘高校w
ってどこだよと思ったらけいおんだったのか
108:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/24(日) 12:12:26.15:UfVSSX/wOってどこだよと思ったらけいおんだったのか
戻ったので解決編スタート
110:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/24(日) 12:13:56.59:UfVSSX/wO金田一「さて、皆これで集まったな…」
金田一「皆に集まってもらったのは他でもない…秋山澪の死の真相を聞いてもらいたいからだ」
唯「澪ちゃんの死の…真相?」
金田一「単なる自殺に見えたこの事件には、実はもう一つの裏があったんだ!」
金田一「俺がオッサンに頼んで澪ちゃんの鞄に入ってたものを見せてもらった時、ちょっと不思議な事に気づいたんだ…」
金田一「疑問に思った俺が調べていくと…辿り着いたんだ、この事件の真相にね」
金田一「まず、紅茶に毒を入れたのは秋山澪本人じゃない…」
律「な、何だって!?」
金田一「そう、誰かがカップに毒を入れたんだよ…」
金田一「それが可能だったのはティータイムの時、音楽室に居た軽音楽部のメンバー…つまり君達三人の中の誰かって事だ!」
!?
律「わ、私達の中に…」
唯「毒を入れた人が…?」
紬「だ、誰なの!?…」
金田一「それは、あんただよ!」
金田一「平沢唯!」
律「ゆ、唯が…毒を?」
唯「あ、あはは!金田一君、何言ってるの?…」
唯「澪ちゃんは自殺したんでしょ?しかも澪ちゃんが書いた遺書だって見つかったんじゃ…」
金田一「あぁ、あれは間違いなく…正真正銘、彼女が書いたものだ」
金田一「ただし、あの遺書は今日自殺するために書かれたものじゃなく…あんたに殺されると分かった彼女が、今日あの場で書いたものだとしたら?」
!?
金田一「彼女の鞄から遺書を書くのに使ったノートが見つかった時、そう思ったんだ…」
美雪「み、澪ちゃんが自分から遺書を!?……」
唯「………」
金田一「実は、さっき…佐木と一緒に俺はあるモノを探してたんだ」
律「な、何だよ…それって…」
金田一「もう一枚の遺書さ」
紬「もう一枚の遺書?」
唯「っ!!……」
金田一「あんたに梓って子の話を聞きに行った時の事覚えてるか?」
金田一「あの時…あんたは澪ちゃんが自殺した事よりも、遺書の事で驚いてた様子だったからさ」
金田一「あの時からだよ、あんたが怪しいと感じたのは…」
金田一「そりゃ驚きもするさ…あんたがは作ったのはワープロで書かれ、しかも内容も全く違う遺書だったんだからね!」
ガサッ
律「い、遺書がもう一枚…」
紬「本当だわ…文章は全てワープロで打たれてるし……自殺の動機も音楽への疲れからっていう内容になってるわ…」
金田一「最初、あんたはこれをこっそりと彼女の鞄にでも入れておいたんだろ…遺書は発見されなきゃ意味がないからね」
剣持「だ、だが…我々が秋山澪の鞄を調べた時はそんなものなかったぞ!」
金田一「あるはずないさ…何故ならその偽の遺書は死亡する直前に、他ならぬ秋山澪自身の手によって隠されたんだからな」
剣持「!?…ま、待て待て!何が何だかさっぱりだぞ金田一!?」
金田一「この事件はある意味で自殺と言っていいかもしれない…紅茶に毒を入れたのは平沢唯であっても、それを自分の意志で飲んだのは被害者である秋山澪なんだからな」
美雪「まさか……澪ちゃんは……」
金田一「あぁ、彼女は…平沢唯が用意した偽の遺書を隠して自分の書き上げた遺書とすり替え、鍵をかけて密室を作り自分から自殺のような状況を作り上げたんだよ!」
剣持「な、何故そんな事を?」
金田一「カップに毒を入れた彼女を庇うためさ…」
金田一「自分が遺書を書いて自殺をした…その状況をより強く印象付けるためにわざわざページを破いたノートを鞄に入れておいたんだ」
金田一「彼女はそこまでして…仲間が警察に疑われないようにと考えたんだよ」
唯「ちょ、ちょっと待って金田一君!仮に私が毒を入れるとして、いつ入れたの?」
金田一「皆でお茶をしてた時さ、それ以外に毒を入れるタイミングは無いからな」
唯「そうなるよね…でも考えてみて、あの時はドラムをイジってたりっちゃん以外は皆近くに居たよね?」
唯「音楽室にはあれだけ大勢の人が居たんだもん!毒なんて入れようとしたらたらすぐに皆気付く筈だよ?」
金田一「それが可能なんだよ…」
金田一「まず、あんたは下準備としてあらかじめドラムに不調が出るように細工をしておいたんだ」
律「わ、私のドラムに?」
金田一「あぁ、そして次に皆で和気あいあいと話している最中にわざとある話題を振った」
金田一「今年の夏に死んだ、中野梓という後輩の話題をね…」
金田一「この話題を出した瞬間に他の部員達はかなり焦った様子を見せた…場の奇妙な空気に俺達も当然気付く…」
金田一「そして、重苦しい沈黙が流れる音楽室で…あんたは皆の注意を一瞬だけ逸らす事に成功したんだ!」
美雪「あっ!まさかあの時の!…」
金田一「そう!あのイタズラ電話さ!」
金田一「おそらくあれは、あんたが共犯者に頼んで掛けてもらったものだ」
金田一「共犯者はティータイムの最中にずっと、音楽室の前に居たんだろう…室内の会話を盗み聞きしながらね」
金田一「そしてあんたが中野梓の話題を口にしたのを確認すると、非通知で律ちゃんへと電話を掛けた…」
金田一「この瞬間、椅子に座っていた紬ちゃんと澪ちゃん、ソファーに座っていた俺達…あんたを除くその場の全員が慌てて律ちゃんの方へ振り返った」
金田一「その隙にまんまと隣に座る彼女のカップに毒を入れる事に成功したんだ」
金田一「ドラムの小細工も、皆の視線を律ちゃんに向けさせるための巧妙に仕組まれたトリックの一つってわけさ…」
金田一「多分、澪ちゃんはこの時に…自分のカップに毒を入れる瞬間を横目で見てしまったんじゃないかな…」
唯「違う…違うよ!それなら私と同じで澪ちゃんの隣に座ってたムギちゃんにだって――」
剣持「もう観念しろ、さっき金田一に言われて調べたが…君の妹が音楽室の前で電話を掛ける瞬間を目撃した者がいる!」
唯「ぐ、偶然だよ!そんなの!私じゃな――」
金田一「じゃあ一つ聞くぜ!!」
唯「っ………」
金田一「俺達が遺体を発見した時…何で倒れてるのが澪ちゃんだって気付いたんだ?」
唯「そ、それは…扉のガラスから覗いて――」
金田一「見える訳無いさ…あの角度からは倒れた彼女の腕しか見えないんだよ…」
唯「っ……」
唯「わ、私じゃないよ…」
金田一「じゃあ何で澪ちゃんはあんたのギターケースに偽の遺書を隠したりしたんだろうな…」
唯「っ……わ、私のケースに……」
金田一「もう…言い訳はよすんだ、唯ちゃん…」
唯「……」
律「ゆ、唯?…」
唯「……はぁ……もう、認めるしかないよね……」
唯「そうだよ……形はどうあれ、澪ちゃんを殺したのは私……」
金田一「…やっぱり、中野梓の死が関係してるのか?」
唯「金田一君、私ね…」
唯「神様からあずにゃんの復讐をしてって頼まれたの…」
金田一「神様…?」
唯「全部話す前に一つだけ質問…りっちゃん、ムギちゃん…」
律「………」
紬「………」
唯「二人は…私に嘘…ついてないよね?」
唯「嘘ついたのって…澪ちゃん一人だけだよね?」
唯「私は二人のこと…信じていいんだよね?」
笑っていた。
少しでも仲間を信じたくて、彼女は笑っていた…。
笑いながら泣いていた。
――――
あずにゃんが死んじゃってから、もう何にもする気力が無くなっちゃったんだ。
あれだけ好きだった音楽も、皆とのティータイムも…生きる事さえも。
私はあずにゃんが大好きだったんだ。
そんな抜け殻みたいな日々を過ごしてた時だった。
家に一本の電話が掛かってきたの。
唯『はい……』
『中野梓ノ死ノ真相ヲシッテイル…』
唯『し、真相?…』
電話の声はボイスチェンジャーでも使ったような、変な声だったけど…
その時の私にはそんな事どうでもよかったの。
あずにゃんの死について、何か隠された事があるなら…私は知りたいって思った。
来た…
139:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/24(日) 13:10:32.89:ZgXRsSUu0
来たなw
140: 【東電 65.6 %】 忍法帖【Lv=35,xxxPT】 :2011/07/24(日) 13:10:50.04:fKnQgIKL0
来たぞ
143:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/24(日) 13:13:29.97:UfVSSX/wOそして、電話の相手は言ったの。
『梓ヲ突キ落トシタノハ…秋山澪ダ』
唯『!!』
―――
剣持「ま、まさか君はそんな電話を信じて彼女を殺そうとしたのか!?」
唯「もちろん私だって疑ったよ…でもね、どうしても気になったから澪ちゃんに直接聞いてみる事にしたの…」
唯「そしたら澪ちゃん……認めたんだよ、自分があずにゃんを殺した事…」
金田一(まさか…まさかアイツが!!)
――――
澪『ゆ、唯…珍しいな、唯が部室に一番乗りなんて…』
唯『ね、ねぇ?澪ちゃん…ちょっと聞いてもいいかな?』
澪『な、何だよ?…』
唯『あずにゃんを殺したのって…澪ちゃん?』
澪『!!……』
澪『………』
唯『あ、あははっ!変な事聞いてごめんね!実は昨日変な電話が――』
澪『私だ……』
唯『え?……』
澪『梓を殺したのは…私だ……』
唯『…………』
ダッ
澪『ゆ、唯!!……』
澪『………』
タッタッタッ
唯(澪ちゃん…澪ちゃんが……何で……)
ドタッ
唯「っ……す、すみません!ボーっとしてて!」
「いえ、私の心配は無用ですよ…お嬢さん」
「それより、憎くはありませんか?…あの少女が」ニヤッ
唯「あ、あなたは?…」
「私は地獄から死者の無念の声を伝える使者ですよ…あなたにこれからすべき行動をお教えするために来ました…」
唯「これからの…行動?…」
高遠「復讐ですよ…」
唯「復讐……」
私は、その地獄の傀儡師と名乗る人の指示に従って今回の計画を実行した…
――――
高遠きた―――――
154:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/24(日) 13:38:51.82:UfVSSX/wO剣持「た、高遠が…今回の一件にも!?」
金田一「あぁ…そして奴はまだこの音楽室に居る!」
!?
金田一「なぁ、そこの警官さん…」
警官「な、何だね?」
金田一「あんた、剣持のオッサンが聞き込みに向かった時もずっとこの部屋に居たよな…」
警官「………」
金田一「もう騙されはしないぜ…地獄の傀儡師!!」
ベリッ
高遠「やれやれ…やはり君の目を欺くには半端な方法ではダメのようですね」
剣持「た、高遠!!貴様、逃げられると思うな!?…」
高遠「おや、そう言いながら獄門塾ではまんまと私に欺かれたではないですか…剣持警部?」
剣持「ひ、人をコケにしおって……」
高遠「平沢唯さん…」
唯「!!……」
高遠「まだ復讐は終わってはいませんよ…まだ生贄は二人も残っている……」
唯「え?……」
律「っ……」
紬「………」
高遠「あの二人は…死んだ秋山澪以上に深い業を犯したんです」
金田一「や、やめろ高遠!!」
高遠「田井中律さん…あなたは中野梓さんを突き落とした張本人ですね?」
律「……わ、私は……」
高遠「秋山澪と中野梓が親しげにしている様に嫉妬し、彼女を階段近くまで呼び出した…そうではないのですか?」
唯「嘘……だよね?……」
律「………」
唯「何で……何とも言わないの?……」
律「ホントは……殺す気なんてなかったんだ……」
唯「!!……」
律「ちょ、ちょっと梓を脅かそうと思っただけなんだ……そしたら、あいつ……足を滑らせて……」
唯「!!……りっちゃん……そんな……」
高遠「あなたにはこのナイフを与えましょう……この場で警察に捕まるリスクを恐れず、彼女の無念を晴らしたいのであれば私は邪魔しませんよ…」
金田一「やめろ唯ちゃん!!そいつの言葉を聞くな!!…」
唯「許さない…よくも……よくもあずにゃんを!!」
スッ
ダッ
唯「うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!…」
ガッ
唯「っ!!邪魔しないでよ金田一君!!」
金田一「もうこんなバカな真似はやめるんだ!!」
唯「何がバカな真似なの!?りっちゃんはあずにゃんを…大切な後輩を殺したんだよ!!」
金田一「だからってあんたがその手を血で汚して、その子が喜ぶのかよ!?」
金田一「その梓って子が憎しみに身を燃やしたあんたを本当に見たいと思ってるのか!?」
金田一「それに澪ちゃんだって…大切な後輩の死を隠したという罪を受け入れて、あんたに人殺しをさせないために自分から死を選んだんだじゃないのか!?」
唯「そんなの……そんなの信じられないよ!!」
ガチャッ
高遠「そこまでです金田一君…崇高な復讐の邪魔をしてはいけませんよ……」
ダァンッ!
金田一「ぐっ!!……」ヨロッ
美雪「は、はじめちゃん!!…」
唯「………」
高遠「さぁ、これで邪魔は居なくなった…」
剣持「き、貴様!!…」
高遠「剣持警部、金田一君の頭を撃ち抜かれたくなければ大人しくしていてください……」
唯「りっちゃん……ごめんね……」
律「…いいんだよ……最初に死ぬべきだったのは……」
律「私だったんだ……」
律「澪が私の代わりに罪を被ってくれたってのに…私、最後の最後まで……」
唯「バイバイ……りっちゃん……」
金田一「やめろ!!…」
ザクッ
ポタッポタッ
唯「……ぐっ……ぅ……」
高遠「?……」
唯「やっぱり……ダメ……私には皆を……殺せないよ……」
ガクッ
金田一「っ!!…唯ちゃん!!」
紬「唯ちゃん!!…」
高遠「チッ……」
ガラッ
剣持「あ、あの野郎窓から!!取り押さえろ!!…」
バッ!
剣持「き、消えた!?…」
律「唯……何で……こんな事を……」
紬「ごめんなさい…唯ちゃん……私……」
唯「……泣いちゃダメだよ……皆……」
紬「私が…私が梓ちゃんを脅かしてみましょうって…言ったから……」
唯「もう……私には何も聞こえないよ……」
剣持「救急車は!?まだなのか!」
警官「も、もう少しで到着するとの事です……」
金田一「しっかりするんだ唯ちゃん!!もうすぐ救急車が来る!!…」
唯「……もう……いいの……」
唯「……澪ちゃんに謝ってこなきゃ……バカな事してごめんなさいって……」
唯「……もう……私……皆を疑わなくて……いいんだよね?…」
唯「皆……ごめ……んね……」
ガクンッ
金田一「っ……」
やっぱり金田一って誰も救われないよね
198:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/24(日) 14:45:19.11:UfVSSX/wO警官「け、剣持警部!!救急車が到着しました!!…」
剣持「もう……遅い……」
美雪「…こんなのって……こんな終わり方って……」
佐木「………」
こうして、少女達の慟哭が響き渡る中、事件は…
最後に傀儡となる事を拒んだ少女の死によって幕を下ろした。
全てが終わった後、俺が音楽室を振り返った時…。
音楽室に響く楽しげな彼女達の笑い声を聞いた気がした。
――――
数日後
美雪「紬さんが自殺未遂を!?…」
金田一「あぁ、剣持のオッサンに聞いたんだ…梓って子が死んだ翌日、手首を切って自殺しようとしたらしい…」
金田一「律ちゃんも同じだ、睡眠薬に頼らないと眠る事ができないほど自分を責めてたみたいだ…」
美雪「皆がそれぞれ…罪の意識に苦しんでたのね」
美雪「私…何か澪ちゃんの力になってあげる事は出来なかったのかしら…」
金田一「………」
金田一「前にも言ったよな、人間は誰しも仮面を被って生きてるって……」
美雪「え?……」
金田一「多分、澪ちゃんはお前や皆に心配を掛けさせないために嘘という仮面を被らざる得なかったんだ…」
金田一「これも前にも言ったけど、そういう仮面の被り方って決して悪い事じゃないんだぜ?…」
美雪「そうね…澪ちゃんは自分の罪から逃げるためじゃなくて、仲間を純粋に守りたかったから仮面を付けた…」
美雪「ありがとう…はじめちゃん…」
金田一「い、いいって!…」
美雪「そ、そういえば…はじめちゃん?…」
金田一「へ?…」
美雪「確かその時、聞きそびれたんだけど…はじめちゃんが被ってる仮面って?…」
金田一「!!」
金田一「あ~っ!!もうこんな時間だ!!は、早く行かないと遅刻しちまうぜ!」
美雪「ちょ、ちょっとはじめちゃん!はぐらかさないでよ!」
―――
「さぁ、悲しい事件はこれでおしまい… 」
「さぁ、おかえり…恐ろしい怪人が現れてしまう前に…」
ツカッツカッツカッ
「おや?あなたは…」
「――――」
「よろしいですよ、この私がとっておきの方法であなたの親友と姉を死に追いやった連中に…制裁を与えるお手伝いをいたしましょう」
「さぁ、私の前で復讐を誓いなさい…」
高遠「平沢憂さん…」ニヤッ
憂「………」
おわり
乙
楽しかった
出来れば続編も希望
211:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/24(日) 15:05:16.79:UfVSSX/wO楽しかった
出来れば続編も希望
長い時間お付き合いいただきありがとうございました
元々高遠を出すつもりはなかったのですが、予想以上に人気だったので終盤のストーリーを大幅に変えて登場させてみました…結果gdgdになってしまいましたねorz
とにもかくにもお疲れ様です、余談ですがアニメ版金田一のオープニングで使われてたBRAVEって曲が神すぐる
214:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/24(日) 15:06:25.75:VN5xjwESO元々高遠を出すつもりはなかったのですが、予想以上に人気だったので終盤のストーリーを大幅に変えて登場させてみました…結果gdgdになってしまいましたねorz
とにもかくにもお疲れ様です、余談ですがアニメ版金田一のオープニングで使われてたBRAVEって曲が神すぐる
乙

コメント 13
コメント一覧 (13)
予想レスがことごとく核心ついてて推理もクソもなかったな
推理モノの宿命かもしれんがそれはキツイな
想像したら途中で逃げたくなった。
しかし金田一+学校の事件律は100%だなおい
その場のノリでクライマックスを変更するぐらいだし
解るわ、それ。被害者は澪かムギってイメージ
金田一は被害者の方がガチクズの事も多いけど、けいおんとのクロスだとより悲壮になってるな…
律の電話は自作自演で、ムギが毒を入れたとふんだ自分は探偵スキルないわw
しかし美雪の昔話からヒントを得るとか金田一あるあるすぎるわ
作者乙
面白かったわ