-
1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/07(日) 16:29:39.72:XUnH9gpj0
首なしライダー「ちょっと、勘弁してくださいよぉ」
警官「ダメだ」
首なしライダー「いや、そんなたった5キロオーバーじゃないですか」
警官「ダメだ」
首なしライダー「そこをなんとか」
警官「ダメだ。ほら免許だして」
首なしライダー「あの!」
警官「なんだ?」
首なしライダー「私、首ないんですけど!?」
警官「それが?」
首なしライダー「もっと怖がってくださいよ!!」
警官「俺なんて点数がないんだよ!!」
首なしライダー「!?」
警官「出世に響くんだよ!!!!そっちのほうが怖いんだよ!!」
首なしライダー「ご、ごめんなさい……」
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3:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/07(日) 16:32:12.68:XUnH9gpj0
警官「ほら、免許」
首なしライダー「えと……あの……・」
警官「どうした?」
首なしライダー「そのぉ……」
警官「まさか……お前……」
首なしライダー「何分、私、幽霊でして」
警官「無免許なのか」
首なしライダー「そ、そうですぅ」
警官「ふう……」
首なしライダー「あ、あの……すいません……」
警官「免許不携帯でスピード違反か……」
首なしライダー「あの、でも、私、幽霊ですし、その法とか関係ない、かなーって」
警官「―――俺の点数はどこにいくんだよ!!!!」
首なしライダー「ひっ!!」
7:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/07(日) 16:35:45.72:XUnH9gpj0
警官「くそ!!!久しぶりに取り締まれると思ったらこれだよ!!くそ!!くそ!!!」
首なしライダー「あの、えと、なんか、ごめんなさい……」
警官「なんで、お前幽霊なんだよ!!!!」
首なしライダー「ええ?」
警官「くそ!!首がない時点で分かってたよ……!こいつを取り締まってもなにもないなって」
首なしライダー「じゃあ、なんで……」
警官「でも!万が一ってこともあるだろ!?俺が見間違いしたかもしれないとかよぉ!!!」
首なしライダー「あ、そ、そうですね……」
警官「ちくしょう……はぁ……このままじゃあ、警視正になんて……はぁ……」
首なしライダー「……」
警官「踊るをみて憧れてた警察になれたのに……現実は厳しいなぁ」
首なしライダー「た、大変ですね……」
8:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/07(日) 16:38:26.93:XUnH9gpj0
首なしライダー「あの、もう行ってもいいですか?」
警官「勝手にしろ」
首なしライダー「……あの、元気だしてください」
警官「あ?」
首なしライダー「その……警官さんはきっと立派になれると思うんです」
警官「ふん」
首なしライダー「じゃあ、その、さようなら」
警官「まて」
首なしライダー「は、はい?」
警官「一応、ナンバー控えておく」
首なしライダー「なんでぇ!?」
警官「うるさい」
首なしライダー「……あぅ」
9:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/07(日) 16:41:02.11:XUnH9gpj0
警官「よし、もういいぞ」
首なしライダー「は、はい……」
警官「じゃあな」
首なしライダー「はい、それでは」
ブロロロロロ……
警官「……」
首なしライダー「お元気で」
ブゥゥゥゥン!
警官「……ぱっつんぱっつんのライダースーツ……」
警官「胸もでかいし……」
警官「エロかったなぁ……」
警官「って、相手は幽霊じゃないか……」
警官「……仕事に戻ろう」
12:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/07(日) 16:43:55.84:XUnH9gpj0
数日後 市街
警官「……この辺だな」
警官「……あ、あった、アイツのバイクだ」
警官「この家は……誰も住んでいないはずだな」
警官「……とりあえず」
カチ……
警官「インターフォンは鳴らないか」
ドンドン
シーン
警官「……」
ガチャ
警官「鍵は開いているのか……ごめんくださーい」
シーン
警官「……ふむ」
14:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/07(日) 16:47:12.85:XUnH9gpj0
警官「……」
警官「誰もいないな」
警官「しかし、生活感はあるぞ……」
警官「家具は一切ないのに……誰かが住んでいるような雰囲気がある」
警官「どういうことだ……?」
警官「二階にも行ってみるか」
ガチャ
首なしライダー「はぁ……」
首なしライダー「首がないからフルフェイスヘルメット被ってみたものの……」
首なしライダー「買い物できないなぁ」
首なしライダー「まあ、普通は強盗犯とか思っちゃうから仕方ないか……」
首なしライダー「非常時用の懐中電灯欲しかったのになぁ」
15:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/07(日) 16:49:50.48:XUnH9gpj0
首なしライダー「最近、物騒だし」
首なしライダー「さてと、着替えよ」
首なしライダー「このライダースーツあっついのよね」
ぬぎぬぎ
首なしライダー「んー!このままお風呂にでもはいろっと!」
警官「二階にも誰もいない」
警官「それどころか家具もない」
警官「……?」
警官「これは?ライダースーツ?」
警官「まだ温かい……」
警官「住人が帰ってきたのか?」
18:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/07(日) 16:52:51.26:XUnH9gpj0
首なしライダー「ふんふーん♪」
首なしライダー「あー♪水がきもちいいー♪」
ジャァァァ……
警官「こっちか?」
警官「誰か風呂にいる……」
警官「……」
警官「シルエット的には女だな……」
警官「だが、首がないぞ……」
警官「間違いない。彼女だ……!!」
首なしライダー「ふー」
首なしライダー「さてと、あがろ」
ガラ
警官「あ……」
首なしライダー「……」
20:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/07(日) 16:56:23.34:XUnH9gpj0
首なしライダー「ひ!」
警官「あ、いや!!」
首なしライダー「……ち、ちか……!!」
警官「まってくれ!!!俺は!!!」
首なしライダー「……や、やめて……わたし、くびない、よぉ……こんなおんなのこを……犯しても……・」
警官「あ、なにをいってるんだ!!俺にそんなつもりは……!!」
首なしライダー「やめてぇ……おかさないでぇ……!!」
警官「だから、君を襲うつもりなんてない!!は、はやく服をきろ!!」
首なしライダー「……ほんと?」
警官「あ、ああ」
首なしライダー「……」
警官「……」
首なしライダー「……こっちみないでください……」
警官「ご、ごめん!!」
22:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/07(日) 17:00:02.86:XUnH9gpj0
首なしライダー「ああ。先日の理不尽な警官さんでしたか」
警官「理不尽っていうな」
首なしライダー「だって5キロですよ?普通、捕まえます?」
警官「……」
首なしライダー「どれだけ点数ほしかったんですか!」
警官「すまん」
首なしライダー「しかも住居侵入までして、痴漢まで」
警官「住居侵入は悪かったが、痴漢ではないぞ」
首なしライダー「女性の裸を見るだけで犯罪になるんですよね?それが不可抗力でも」
警官「情状酌量の余地はある」
首なしライダー「ないです」
警官「……」
首なしライダー「それで、どういったご用件で?」
23:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/07(日) 17:03:28.62:XUnH9gpj0
警官「いや、これといって用事はなかったんだけど」
首なしライダー「はい?」
警官「その……なんというか……」
首なしライダー「なんですか?」
警官「君にもう一度会いたくなって……」
首なしライダー「うぇ?」
警官「いや、自分でもよくわからない。君には顔がないし、幽霊だし。普通なら怖いとかそういうふうに思うんだろうけど……」
首なしライダー「そうですね」
警官「でも、どうしてか、あの日から君のことを考えるようになってしまって」
首なしライダー「……」
警官「こうして、来てしまった」
首なしライダー「…………きも」
26:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/07(日) 17:06:46.35:XUnH9gpj0
警官「キモイってなんだよ!!」
首なしライダー「いやいや、十分に気持ち悪いです」
警官「なんだと!?」
首なしライダー「だって、それって、つまり、あの、えっと」
警官「なんだよ?」
首なしライダー「私の体が目当てってことですよね?」
警官「うぐ!!」
首なしライダー「それだけのために職権濫用して、ここまできて、キモイですよ」
警官「そ、それは……」
首なしライダー「私は幽霊だから訴えることはしませんけど、人間相手だとあなたの人生終わりますよ?」
警官「あ、ああ」
首なしライダー「反省してください」
警官「……はい」
28:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/07(日) 17:10:50.53:XUnH9gpj0
首なしライダー「……まあ、折角ここまで来てくださったんですから御もてなしぐらいは……」
警官「え?」
首なしライダー「冗談です。早く反省してください」
警官「な……」
首なしライダー「誰があなたをもてなしますか。早く、帰ってください」
警官「わ、わかった……」
首なしライダー「もう……」
警官「あ、あの」
首なしライダー「まだ、なにか?」
警官「……い、いや。なんでもない」
首なしライダー「なんですか?聞くだけなら聞いてあげます」
警官「……また、会えないかな?俺もバイク好きでさ……君のバイクのこと聞きたいんだ」
首なしライダー「え……」
警官「……悪い。気持ち悪いよな」
首なしライダー「ええ。鳥肌総立ちです」
29:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/07(日) 17:14:13.09:XUnH9gpj0
警官「そうこまでいうか!?」
首なしライダー「帰ってくださいってば!」
警官「わ、わかったよ……」
首なしライダー「……」
警官「それじゃあ……」
警官(はぁ……確かに俺が全部わるいよなぁ)
ガチャ
警官「お邪魔しました……」
首なしライダー「……あ、これ忘れ物です」
警官「え?」
首なしライダー「ほら、こんなものを置いていかないでください」
警官「え?なんだ?この紙……?」
首なしライダー「さよなら!」
バタン!!
警官「……『土曜日の夜なら会えます』……?え?え?えぇ?!」
31:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/07(日) 17:17:29.68:XUnH9gpj0
土曜日
警官「来てしまった……」
警官「……」
ガチャ
首なしライダー「……」
警官「あ、あの……」
首なしライダー「なんですか?」
警官「いや、どっかにいくのかなぁって」
首なしライダー「なんでですか?」
警官「いや、君ライダースーツきてるし、フルフェイスだし」
首なしライダー「ふん。私の勝手です」
ブルルルルン!!ドッドドドドド!!!
警官「あ、ちょっと待てよ!!」
首なしライダー「……私についてこれない男に興味はありません」
警官「なに!?」
33:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/07(日) 17:20:37.48:XUnH9gpj0
警官「……お前……」
首なしライダー「仮にも訓練を受けた警官なら、私ぐらい捕まえてみてください」
警官「なるほど……そういうことか」
首なしライダー「……」
警官「いいぞ。受けて立つ。ただし、どこでやる?俺は立場上、公道で危険なことは……」
首なしライダー「……いい場所があります」
警官「どこだ?」
首なしライダー「ついてきてください。既に借りています」
警官「借りている?」
首なしライダー「……」
ブゥゥゥゥン!!
警官「あ!おい!!」
警官「くそ!!」
ブゥゥゥン!!!
35:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/07(日) 17:24:52.38:XUnH9gpj0
峠
ブゥゥゥゥゥン!!
警官「どこまでいくんだ……?」
警官「こんな山の中じゃあ……」
警官「まさか……峠で?」
警官「それだと勝負はできないが……」
首なしライダー「……」
キキッ
警官「とまった!?」
キキッ
首なしライダー「ここです」
警官「ここはトンネルじゃないか……」
首なしライダー「ここは廃トンネルです。トンネルの先は何もありません。道路がないんです」
警官「なに?」
首なしライダー「直線2000メートル。勝負するには十分な長さです」
36:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/07(日) 17:30:41.74:XUnH9gpj0
警官「おいおい!バイクでゼロヨンもどきをしようってのか?」
首なしライダー「トンネル内には200メートルごとに区切りとしてコーンが置いてあります」
警官「……本当にやるのか?」
首なしライダー「あなたに勇気があるのなら、ですけど?」
警官「……俺のバイクだって普通のじゃない。こだわりのチューンだってしてある!」
首なしライダー「では、その実力を見せて頂きましょう。距離は400でいいですね?」
警官「つまり、二個目のコーンがゴールか」
首なしライダー「はい」
ブルルルン!!ドドドドドドド!!!
首なしライダー「用意はいいですか?」
警官「……ああ」
首なしライダー「では。この花火をセットして……花火が弾けたときにスタートです」
警官「いいだろう……」
首なしライダー「……点火」
ジジジジジジジ………
38:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/07(日) 17:33:58.35:XUnH9gpj0
警官(……なにが目的なんだ……?)
ジジジジ……
警官(いや、今は余計なことを考えるな……)
警官(最近、こういうこともしていなかったし……すこしだけ楽しいし……)
ジジジ……
警官(頼むぞ……相棒)
ドドドドドドド!!!!
首なしライダー「……」
ジジ……パンッ!
警官「!」
首なしライダー「っ!」
ギュルルル!!!!
ブゥゥゥゥゥン!!!!!
39:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/07(日) 17:37:02.37:XUnH9gpj0
ゴォォォォォ!!!
警官「……加速は勝っていたが」
首なしライダー「……」
警官「トップスピードは向こうが上か……!!」
首なしライダー「……」
ゴォォォォォォ!!!
警官「くそ……徐々に差が……!!」
首なしライダー「……」
ゴォォォォォォ!!!
警官「……だめ、か……」
ブゥゥゥゥゥゥン……
キキッ
首なしライダー「―――私の勝ちですね」
警官「あ、ああ」
首なしライダー「―――残念です」
41:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/07(日) 17:39:29.34:XUnH9gpj0
警官「え?」
首なしライダー「……あなたなら、と思ったのに」
警官「どういう、ことだ?」
首なしライダー「さよなら」
ブゥゥゥゥゥン!!
警官「おい!!」
警官「……どういうことだよ……」
警官「にしても、異様に悔しい……」
警官「よし、リベンジだ!!これは技術の勝負じゃない。性能の勝負だ」
警官「相棒……お前を速くしてみせる」
警官「そして、アイツに勝つ!」
43:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/07(日) 17:42:25.00:XUnH9gpj0
翌週 土曜日 昼
首なしライダー「ふんふーん♪」
首なしライダー「今日はお洗濯物がよく乾きそう」
ドンドン
首なしライダー「え?」
警官「おい、いるかー」
首なしライダー「……まさか!?」
首なしライダー「あなた……!?」
警官「リベンジだ!来週の木曜日の夜に会えるか?」
首なしライダー「リベンジって……」
警官「ダメか?まあ、いつでもいいけど」
首なしライダー「どうしてですか?」
警官「え?」
45:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/07(日) 17:46:50.86:XUnH9gpj0
首なしライダー「あなたは一度負けました。どうしてもう一度、なんて
警官「俺だってバイクが好きだ。自分のバイクが負けたなんて我慢できない」
首なしライダー「そ、そんなことで?」
警官「そんなことって……いや、まぁ……他にもあるけど……」
首なしライダー「は?」
警官「いや、それはいい。で、どうする?まさか、逃げないよな?」
首なしライダー「……誰が。一度負かした相手になんて負けませんよ?」
警官「よーし、じゃあ来週の木曜日だ。また、ここにくるから」
首なしライダー「いえ、トンネルで待ち合わせた方が」
警官「お、おれ、あの道順おぼえてないから!」
首なしライダー「そうですか、分かりました」
警官(ふぅ……)
首なしライダー「なんか安心したって顔ですけど?」
警官「え?んなわけねーよ」
警官(……一緒に行きたいなんていったら、また気持ち悪がられるしなぁ)
47:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/07(日) 17:49:51.06:XUnH9gpj0
翌週 木曜日
首なしライダー「来ましたね」
ドドドドドドド!!!
警官「よし、いくか」
首なしライダー「はい」
ブゥゥゥゥゥン!!!
警官「やっぱり……いいからだしてんなぁ……」
警官「よし、俺も!」
ブルルルルン!!!
ブゥゥゥゥゥン!!
首なしライダー「……」
首なしライダー(……あの人なら私に勝てるかもしれない……)
49:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/07(日) 17:54:20.97:XUnH9gpj0
トンネル
首なしライダー「以前と同じ直線400メートルでいいですね?」
警官「ああ。構わない」
首なしライダー「では……」
警官「あ、ちょっと待ってくれ」
首なしライダー「なんですか?」
警官「あ、いや。これ、勝ったらなんかあるのか?」
首なしライダー「え?」
警官「やっぱ、勝負だからなんかあったほうがいいだろ?」
首なしライダー「私が望むことはありません」
警官「え?そうなのか?」
首なしライダー「はい」
警官「えっと……じゃあ、俺だけ望みを言うのはだめか……」
首なしライダー「望みがあるんですか?」
警官「あ、うん」
51:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/07(日) 17:58:01.66:XUnH9gpj0
首なしライダー「聞くだけなら聞いてあげます」
警官「えと……じゃあ、デートしてくれ!」
首なしライダー「……は?」
警官「勿論、ツーリングでいい。北海道とかに行ってさ!」
首なしライダー「……本気ですか?」
警官「あ、ああ」
首なしライダー「私、首がないんですよ?」
警官「そんなの関係ないね!」
首なしライダー「……ふふ」
警官「な、なんだよ!」
首なしライダー「いえ……心底、虫唾が走るほどに気持ち悪いなぁって思って」
警官「なんだと!?」
首なしライダー「だって、普通はこんな幽霊とデートなんてしませんよ?」
警官「う、うるさい。いいだろ、べつに」
首なしライダー「……」
52:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/07(日) 18:01:39.70:XUnH9gpj0
警官「で?」
首なしライダー「はい?」
警官「デートはいいのか!?」
首なしライダー「……私に勝ったら考えてあげます」
警官「なんだと!?」
首なしライダー「勝てばいいんですよ」
警官「くそ……考えれるだけって、一番信用できねえんだが」
首なしライダー「……さあ、行きましょう」
警官「わ、わかった……」
ブルルルルルン!!!ドドドドドドド!!!!
首なしライダー「……」
警官(はぁ……やっぱりだめかぁ)
首なしライダー「……です」
警官「え?」
首なしライダー「……」
53:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/07(日) 18:04:49.62:XUnH9gpj0
ジジジジジジジ……
警官「今、なんか言っただろ?」
ドドドドド!!!
首なしライダー「……デート、ぐらいなら……いいです……よ?」
警官「?!」
ジジジ……
警官「二言はないな?」
首なしライダー「でも、きっと楽しくないと思いますけど?」
警官「それは俺が判断することだ。君は俺の隣で疾走してくれていればいい」
首なしライダー「……そうですか」
ジジ……パンッ!
警官「おんどりゃぁぁぁ!!!!」
ブゥゥゥゥゥゥン!!!!
首なしライダー「っ!!」
ブゥゥゥゥゥン!!!
54:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/07(日) 18:05:54.77:NWhWrjoq0
ゴォォォォォォ!!!!
首なしライダー「―――速い!?」
警官「前回とは全く違うぜ!!!」
ゴォォォォォォ!!!!
首なしライダー「……!!」
ブゥィィィィィィン!!!!
首なしライダー「……!!」
警官「これが相棒の極限だ……これで負けたら、俺は……!!!」
ゴォォォォ!!!
首なしライダー「負けません」
警官(トップスピードはほぼ互角!?あとは……!!!)
首なしライダー「……!!」
警官「あぁぁぁああああああああ!!!!!!!」
首なしライダー(……すごい……速い)
首なしライダー(やっと……出逢えた……私より、速い人……)
57:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/07(日) 18:12:50.34:XUnH9gpj0
ゴォォォォォ!!!
警官「もうすぐ!!!!」
警官「―――勝てる!!」
首なしライダー「……」
首なしライダー「……でも、そう簡単には、勝たせません!」
ギュィィィィィィ!!!!!
警官「なんだ!?」
首なしライダー「ラスト100メートル……」
警官「ここで加速するのか!?嘘だろ!?」
首なしライダー(もうちょっと、もって……お願い……!!)
ギュィィィィィィ!!!!
ガタガタガタ……!!!
首なしライダー(だめ!まだ!頑張って!!)
警官(アイツのバイクが振動してる?!)
警官「あれは……不味い!?」
58:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/07(日) 18:16:39.04:XUnH9gpj0
ギュィィィィィ!!!
首なしライダー「くっ……!!」
警官「やめろ!!ハンドルを取られるぞ!!速度を落とせ!!」
首なしライダー「ダメです!!!本気でやらないと、ダメなんです!!!」
警官「なにを……!?」
首なしライダー「本気で走らないと許してもらえない……わざと負けても意味がない……」
警官「お前……」
首なしライダー「やっと会えた……この子が本気で戦える人に……だから……!!」
警官「分かった」
ギュゥゥゥゥゥン!!!!
首なしライダー「……く……ん……!!」
警官「ゴールが見えた…・・!!」
首なしライダー「……あ……」
ギュィィィィィィ!!!
警官「え?」
61:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/07(日) 18:21:47.53:XUnH9gpj0
ギュルギュルギュルギュギィィィィィィ!!!
ドォォォン!!!
警官「!?」
キキッ
首なしライダー「……あ、ぅ……」
警官「大丈夫か!!」
首なしライダー「あはは……負けましたね……わたし」
警官「何をいってるんだ!?怪我は!?」
首なしライダー「大丈夫です……横転するときの心得ぐらいあります」
警官「……どうしてこんな無茶なことを……」
首なしライダー「……私が死んだのはあの子を所為なんです」
警官「バイク?」
首なしライダー「はい。あの子のエンジントラブルで……高速道路での交通事故になってしまって。そのときに頭部を失いました」
警官「そうなのか……」
首なしライダー「そして、私はあの子に束縛された。あの子は私を目的地に運べなかったことを後悔していました」
63:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/07(日) 18:27:09.47:XUnH9gpj0
警官「それは分かったけど、どうしてこんな勝負を?」
首なしライダー「私は首のない状態で現世に留まりたくなった。それをあの子に伝えると「自分よりも速いバイクが現れたら解放する」と」
警官「なるほど……」
首なしライダー「あの子は自分の性能が高いことを知っていたのでそんなことを言ったのだと思います」
警官「……でも、今日負けたな」
首なしライダー「はい……限界まで引き出した結果負け、あの子は私を解放してくれた」
警官「……じゃあ、君は……」
首なしライダー「……成仏します」
警官「ちょっと待ってくれ!!デートの約束は!!」
首なしライダー「……」
警官「約束したよな!!ツーリングするって!!」
首なしライダー「でも、幽霊ですし、私」
警官「関係ない!!」
首なしライダー「……どうして?」
警官「……お、おれがデートしたいから、だ」
65:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/07(日) 18:31:43.70:XUnH9gpj0
首なしライダー「……きも」
警官「キモイっていうなぁ!!」
首なしライダー「あなたとなんかデートするわけないじゃないですか」
警官「いや!お前、してもいいって!!」
首なしライダー「ああ言わないと、本気になってくれないと思って」
警官「なに!?」
首なしライダー「ぁぁあああ!!!とかすごい叫びでしたよ?もう吐き気がしました♪」
警官「貴様!!!俺の純情をかえせ!!!」
首なしライダー「はいはい。童貞は本当にすぐに騙されますね?」
警官「どどどどど童貞ちゃうわ!!!」
首なしライダー「……では、もうさよならです」
警官「まてよ!!おい!!」
首なしライダー「―――最後にあなたに会えてよかった」
警官「な……!!」
首なしライダー「……冗談です♪……さよなら」
67:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/07(日) 18:34:40.27:XUnH9gpj0
警官「消えた……」
警官「……」
警官「夢を見てた気分だな……」
警官「はは、折角何百万もかけたのに……一夜にして無駄な高性能になったな、相棒?」
警官「……まあ、いいか」
警官「楽しかったし……」
警官「このトンネル、たまに使わせてもらうか……」
警官「―――よし、帰ろう」
ブルルルルルルン!!
ドドドドドド!!
警官「……さようなら」
ブゥゥゥゥゥゥン!!
69:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/07(日) 18:38:35.23:XUnH9gpj0
数ヵ月後 夜
警官「ふう……仕事の疲れはやっぱバイクで走って取らないとなぁー!」
ブゥゥゥゥゥン
警官「ふんふーん♪」
警官「よし、あのトンネルに行ってみるか」
ブゥゥゥゥン
警官(青だな)
女「」ふらふら……
警官「!?」
キキッ!!
警官「おい、危ないだろ!!!」
女「あ……すいません」
警官「こんな夜に何をしてるの?女性が一人じゃ危ないって」
女「少し、行きたいところがあって。あ、後ろに乗せてくれません?」
警官「はぁ?」
72:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/07(日) 18:42:06.22:XUnH9gpj0
女「ダメですか?」
警官「いや、まあ、いいけど」
女「では……よいしょ」
警官「……こ、こしに腕をまわしてもいいぞ?」
女「……きも」
警官「キモイってなん―――え?」
女「まだ、童貞なんですか?」
警官「え?」
女「―――この先にトンネルがあるんです。知ってます?」
警官「ああ、よく知ってる」
女「そこまで行ってください」
警官「……君は?」
女「―――幽霊です。現世に未練があって彷徨ってます」
警官「未練って?」
女「ちょっと、デートの約束をしたんですよ。……私の好きな人と♪」
END
75:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/07(日) 18:44:17.84:XUnH9gpj0
警官「ほら、免許」
首なしライダー「えと……あの……・」
警官「どうした?」
首なしライダー「そのぉ……」
警官「まさか……お前……」
首なしライダー「何分、私、幽霊でして」
警官「無免許なのか」
首なしライダー「そ、そうですぅ」
警官「ふう……」
首なしライダー「あ、あの……すいません……」
警官「免許不携帯でスピード違反か……」
首なしライダー「あの、でも、私、幽霊ですし、その法とか関係ない、かなーって」
警官「―――俺の点数はどこにいくんだよ!!!!」
首なしライダー「ひっ!!」
警官「くそ!!!久しぶりに取り締まれると思ったらこれだよ!!くそ!!くそ!!!」
首なしライダー「あの、えと、なんか、ごめんなさい……」
警官「なんで、お前幽霊なんだよ!!!!」
首なしライダー「ええ?」
警官「くそ!!首がない時点で分かってたよ……!こいつを取り締まってもなにもないなって」
首なしライダー「じゃあ、なんで……」
警官「でも!万が一ってこともあるだろ!?俺が見間違いしたかもしれないとかよぉ!!!」
首なしライダー「あ、そ、そうですね……」
警官「ちくしょう……はぁ……このままじゃあ、警視正になんて……はぁ……」
首なしライダー「……」
警官「踊るをみて憧れてた警察になれたのに……現実は厳しいなぁ」
首なしライダー「た、大変ですね……」
首なしライダー「あの、もう行ってもいいですか?」
警官「勝手にしろ」
首なしライダー「……あの、元気だしてください」
警官「あ?」
首なしライダー「その……警官さんはきっと立派になれると思うんです」
警官「ふん」
首なしライダー「じゃあ、その、さようなら」
警官「まて」
首なしライダー「は、はい?」
警官「一応、ナンバー控えておく」
首なしライダー「なんでぇ!?」
警官「うるさい」
首なしライダー「……あぅ」
警官「よし、もういいぞ」
首なしライダー「は、はい……」
警官「じゃあな」
首なしライダー「はい、それでは」
ブロロロロロ……
警官「……」
首なしライダー「お元気で」
ブゥゥゥゥン!
警官「……ぱっつんぱっつんのライダースーツ……」
警官「胸もでかいし……」
警官「エロかったなぁ……」
警官「って、相手は幽霊じゃないか……」
警官「……仕事に戻ろう」
数日後 市街
警官「……この辺だな」
警官「……あ、あった、アイツのバイクだ」
警官「この家は……誰も住んでいないはずだな」
警官「……とりあえず」
カチ……
警官「インターフォンは鳴らないか」
ドンドン
シーン
警官「……」
ガチャ
警官「鍵は開いているのか……ごめんくださーい」
シーン
警官「……ふむ」
警官「……」
警官「誰もいないな」
警官「しかし、生活感はあるぞ……」
警官「家具は一切ないのに……誰かが住んでいるような雰囲気がある」
警官「どういうことだ……?」
警官「二階にも行ってみるか」
ガチャ
首なしライダー「はぁ……」
首なしライダー「首がないからフルフェイスヘルメット被ってみたものの……」
首なしライダー「買い物できないなぁ」
首なしライダー「まあ、普通は強盗犯とか思っちゃうから仕方ないか……」
首なしライダー「非常時用の懐中電灯欲しかったのになぁ」
首なしライダー「最近、物騒だし」
首なしライダー「さてと、着替えよ」
首なしライダー「このライダースーツあっついのよね」
ぬぎぬぎ
首なしライダー「んー!このままお風呂にでもはいろっと!」
警官「二階にも誰もいない」
警官「それどころか家具もない」
警官「……?」
警官「これは?ライダースーツ?」
警官「まだ温かい……」
警官「住人が帰ってきたのか?」
首なしライダー「ふんふーん♪」
首なしライダー「あー♪水がきもちいいー♪」
ジャァァァ……
警官「こっちか?」
警官「誰か風呂にいる……」
警官「……」
警官「シルエット的には女だな……」
警官「だが、首がないぞ……」
警官「間違いない。彼女だ……!!」
首なしライダー「ふー」
首なしライダー「さてと、あがろ」
ガラ
警官「あ……」
首なしライダー「……」
首なしライダー「ひ!」
警官「あ、いや!!」
首なしライダー「……ち、ちか……!!」
警官「まってくれ!!!俺は!!!」
首なしライダー「……や、やめて……わたし、くびない、よぉ……こんなおんなのこを……犯しても……・」
警官「あ、なにをいってるんだ!!俺にそんなつもりは……!!」
首なしライダー「やめてぇ……おかさないでぇ……!!」
警官「だから、君を襲うつもりなんてない!!は、はやく服をきろ!!」
首なしライダー「……ほんと?」
警官「あ、ああ」
首なしライダー「……」
警官「……」
首なしライダー「……こっちみないでください……」
警官「ご、ごめん!!」
首なしライダー「ああ。先日の理不尽な警官さんでしたか」
警官「理不尽っていうな」
首なしライダー「だって5キロですよ?普通、捕まえます?」
警官「……」
首なしライダー「どれだけ点数ほしかったんですか!」
警官「すまん」
首なしライダー「しかも住居侵入までして、痴漢まで」
警官「住居侵入は悪かったが、痴漢ではないぞ」
首なしライダー「女性の裸を見るだけで犯罪になるんですよね?それが不可抗力でも」
警官「情状酌量の余地はある」
首なしライダー「ないです」
警官「……」
首なしライダー「それで、どういったご用件で?」
警官「いや、これといって用事はなかったんだけど」
首なしライダー「はい?」
警官「その……なんというか……」
首なしライダー「なんですか?」
警官「君にもう一度会いたくなって……」
首なしライダー「うぇ?」
警官「いや、自分でもよくわからない。君には顔がないし、幽霊だし。普通なら怖いとかそういうふうに思うんだろうけど……」
首なしライダー「そうですね」
警官「でも、どうしてか、あの日から君のことを考えるようになってしまって」
首なしライダー「……」
警官「こうして、来てしまった」
首なしライダー「…………きも」
警官「キモイってなんだよ!!」
首なしライダー「いやいや、十分に気持ち悪いです」
警官「なんだと!?」
首なしライダー「だって、それって、つまり、あの、えっと」
警官「なんだよ?」
首なしライダー「私の体が目当てってことですよね?」
警官「うぐ!!」
首なしライダー「それだけのために職権濫用して、ここまできて、キモイですよ」
警官「そ、それは……」
首なしライダー「私は幽霊だから訴えることはしませんけど、人間相手だとあなたの人生終わりますよ?」
警官「あ、ああ」
首なしライダー「反省してください」
警官「……はい」
首なしライダー「……まあ、折角ここまで来てくださったんですから御もてなしぐらいは……」
警官「え?」
首なしライダー「冗談です。早く反省してください」
警官「な……」
首なしライダー「誰があなたをもてなしますか。早く、帰ってください」
警官「わ、わかった……」
首なしライダー「もう……」
警官「あ、あの」
首なしライダー「まだ、なにか?」
警官「……い、いや。なんでもない」
首なしライダー「なんですか?聞くだけなら聞いてあげます」
警官「……また、会えないかな?俺もバイク好きでさ……君のバイクのこと聞きたいんだ」
首なしライダー「え……」
警官「……悪い。気持ち悪いよな」
首なしライダー「ええ。鳥肌総立ちです」
警官「そうこまでいうか!?」
首なしライダー「帰ってくださいってば!」
警官「わ、わかったよ……」
首なしライダー「……」
警官「それじゃあ……」
警官(はぁ……確かに俺が全部わるいよなぁ)
ガチャ
警官「お邪魔しました……」
首なしライダー「……あ、これ忘れ物です」
警官「え?」
首なしライダー「ほら、こんなものを置いていかないでください」
警官「え?なんだ?この紙……?」
首なしライダー「さよなら!」
バタン!!
警官「……『土曜日の夜なら会えます』……?え?え?えぇ?!」
土曜日
警官「来てしまった……」
警官「……」
ガチャ
首なしライダー「……」
警官「あ、あの……」
首なしライダー「なんですか?」
警官「いや、どっかにいくのかなぁって」
首なしライダー「なんでですか?」
警官「いや、君ライダースーツきてるし、フルフェイスだし」
首なしライダー「ふん。私の勝手です」
ブルルルルン!!ドッドドドドド!!!
警官「あ、ちょっと待てよ!!」
首なしライダー「……私についてこれない男に興味はありません」
警官「なに!?」
警官「……お前……」
首なしライダー「仮にも訓練を受けた警官なら、私ぐらい捕まえてみてください」
警官「なるほど……そういうことか」
首なしライダー「……」
警官「いいぞ。受けて立つ。ただし、どこでやる?俺は立場上、公道で危険なことは……」
首なしライダー「……いい場所があります」
警官「どこだ?」
首なしライダー「ついてきてください。既に借りています」
警官「借りている?」
首なしライダー「……」
ブゥゥゥゥン!!
警官「あ!おい!!」
警官「くそ!!」
ブゥゥゥン!!!
峠
ブゥゥゥゥゥン!!
警官「どこまでいくんだ……?」
警官「こんな山の中じゃあ……」
警官「まさか……峠で?」
警官「それだと勝負はできないが……」
首なしライダー「……」
キキッ
警官「とまった!?」
キキッ
首なしライダー「ここです」
警官「ここはトンネルじゃないか……」
首なしライダー「ここは廃トンネルです。トンネルの先は何もありません。道路がないんです」
警官「なに?」
首なしライダー「直線2000メートル。勝負するには十分な長さです」
警官「おいおい!バイクでゼロヨンもどきをしようってのか?」
首なしライダー「トンネル内には200メートルごとに区切りとしてコーンが置いてあります」
警官「……本当にやるのか?」
首なしライダー「あなたに勇気があるのなら、ですけど?」
警官「……俺のバイクだって普通のじゃない。こだわりのチューンだってしてある!」
首なしライダー「では、その実力を見せて頂きましょう。距離は400でいいですね?」
警官「つまり、二個目のコーンがゴールか」
首なしライダー「はい」
ブルルルン!!ドドドドドドド!!!
首なしライダー「用意はいいですか?」
警官「……ああ」
首なしライダー「では。この花火をセットして……花火が弾けたときにスタートです」
警官「いいだろう……」
首なしライダー「……点火」
ジジジジジジジ………
警官(……なにが目的なんだ……?)
ジジジジ……
警官(いや、今は余計なことを考えるな……)
警官(最近、こういうこともしていなかったし……すこしだけ楽しいし……)
ジジジ……
警官(頼むぞ……相棒)
ドドドドドドド!!!!
首なしライダー「……」
ジジ……パンッ!
警官「!」
首なしライダー「っ!」
ギュルルル!!!!
ブゥゥゥゥゥン!!!!!
ゴォォォォォ!!!
警官「……加速は勝っていたが」
首なしライダー「……」
警官「トップスピードは向こうが上か……!!」
首なしライダー「……」
ゴォォォォォォ!!!
警官「くそ……徐々に差が……!!」
首なしライダー「……」
ゴォォォォォォ!!!
警官「……だめ、か……」
ブゥゥゥゥゥゥン……
キキッ
首なしライダー「―――私の勝ちですね」
警官「あ、ああ」
首なしライダー「―――残念です」
警官「え?」
首なしライダー「……あなたなら、と思ったのに」
警官「どういう、ことだ?」
首なしライダー「さよなら」
ブゥゥゥゥゥン!!
警官「おい!!」
警官「……どういうことだよ……」
警官「にしても、異様に悔しい……」
警官「よし、リベンジだ!!これは技術の勝負じゃない。性能の勝負だ」
警官「相棒……お前を速くしてみせる」
警官「そして、アイツに勝つ!」
翌週 土曜日 昼
首なしライダー「ふんふーん♪」
首なしライダー「今日はお洗濯物がよく乾きそう」
ドンドン
首なしライダー「え?」
警官「おい、いるかー」
首なしライダー「……まさか!?」
首なしライダー「あなた……!?」
警官「リベンジだ!来週の木曜日の夜に会えるか?」
首なしライダー「リベンジって……」
警官「ダメか?まあ、いつでもいいけど」
首なしライダー「どうしてですか?」
警官「え?」
首なしライダー「あなたは一度負けました。どうしてもう一度、なんて
警官「俺だってバイクが好きだ。自分のバイクが負けたなんて我慢できない」
首なしライダー「そ、そんなことで?」
警官「そんなことって……いや、まぁ……他にもあるけど……」
首なしライダー「は?」
警官「いや、それはいい。で、どうする?まさか、逃げないよな?」
首なしライダー「……誰が。一度負かした相手になんて負けませんよ?」
警官「よーし、じゃあ来週の木曜日だ。また、ここにくるから」
首なしライダー「いえ、トンネルで待ち合わせた方が」
警官「お、おれ、あの道順おぼえてないから!」
首なしライダー「そうですか、分かりました」
警官(ふぅ……)
首なしライダー「なんか安心したって顔ですけど?」
警官「え?んなわけねーよ」
警官(……一緒に行きたいなんていったら、また気持ち悪がられるしなぁ)
翌週 木曜日
首なしライダー「来ましたね」
ドドドドドドド!!!
警官「よし、いくか」
首なしライダー「はい」
ブゥゥゥゥゥン!!!
警官「やっぱり……いいからだしてんなぁ……」
警官「よし、俺も!」
ブルルルルン!!!
ブゥゥゥゥゥン!!
首なしライダー「……」
首なしライダー(……あの人なら私に勝てるかもしれない……)
トンネル
首なしライダー「以前と同じ直線400メートルでいいですね?」
警官「ああ。構わない」
首なしライダー「では……」
警官「あ、ちょっと待ってくれ」
首なしライダー「なんですか?」
警官「あ、いや。これ、勝ったらなんかあるのか?」
首なしライダー「え?」
警官「やっぱ、勝負だからなんかあったほうがいいだろ?」
首なしライダー「私が望むことはありません」
警官「え?そうなのか?」
首なしライダー「はい」
警官「えっと……じゃあ、俺だけ望みを言うのはだめか……」
首なしライダー「望みがあるんですか?」
警官「あ、うん」
首なしライダー「聞くだけなら聞いてあげます」
警官「えと……じゃあ、デートしてくれ!」
首なしライダー「……は?」
警官「勿論、ツーリングでいい。北海道とかに行ってさ!」
首なしライダー「……本気ですか?」
警官「あ、ああ」
首なしライダー「私、首がないんですよ?」
警官「そんなの関係ないね!」
首なしライダー「……ふふ」
警官「な、なんだよ!」
首なしライダー「いえ……心底、虫唾が走るほどに気持ち悪いなぁって思って」
警官「なんだと!?」
首なしライダー「だって、普通はこんな幽霊とデートなんてしませんよ?」
警官「う、うるさい。いいだろ、べつに」
首なしライダー「……」
警官「で?」
首なしライダー「はい?」
警官「デートはいいのか!?」
首なしライダー「……私に勝ったら考えてあげます」
警官「なんだと!?」
首なしライダー「勝てばいいんですよ」
警官「くそ……考えれるだけって、一番信用できねえんだが」
首なしライダー「……さあ、行きましょう」
警官「わ、わかった……」
ブルルルルルン!!!ドドドドドドド!!!!
首なしライダー「……」
警官(はぁ……やっぱりだめかぁ)
首なしライダー「……です」
警官「え?」
首なしライダー「……」
ジジジジジジジ……
警官「今、なんか言っただろ?」
ドドドドド!!!
首なしライダー「……デート、ぐらいなら……いいです……よ?」
警官「?!」
ジジジ……
警官「二言はないな?」
首なしライダー「でも、きっと楽しくないと思いますけど?」
警官「それは俺が判断することだ。君は俺の隣で疾走してくれていればいい」
首なしライダー「……そうですか」
ジジ……パンッ!
警官「おんどりゃぁぁぁ!!!!」
ブゥゥゥゥゥゥン!!!!
首なしライダー「っ!!」
ブゥゥゥゥゥン!!!
首無いのにどうやって喋ってるの?って聞くのは野暮だと思ってる
56:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/07(日) 18:08:59.11:XUnH9gpj0ゴォォォォォォ!!!!
首なしライダー「―――速い!?」
警官「前回とは全く違うぜ!!!」
ゴォォォォォォ!!!!
首なしライダー「……!!」
ブゥィィィィィィン!!!!
首なしライダー「……!!」
警官「これが相棒の極限だ……これで負けたら、俺は……!!!」
ゴォォォォ!!!
首なしライダー「負けません」
警官(トップスピードはほぼ互角!?あとは……!!!)
首なしライダー「……!!」
警官「あぁぁぁああああああああ!!!!!!!」
首なしライダー(……すごい……速い)
首なしライダー(やっと……出逢えた……私より、速い人……)
ゴォォォォォ!!!
警官「もうすぐ!!!!」
警官「―――勝てる!!」
首なしライダー「……」
首なしライダー「……でも、そう簡単には、勝たせません!」
ギュィィィィィィ!!!!!
警官「なんだ!?」
首なしライダー「ラスト100メートル……」
警官「ここで加速するのか!?嘘だろ!?」
首なしライダー(もうちょっと、もって……お願い……!!)
ギュィィィィィィ!!!!
ガタガタガタ……!!!
首なしライダー(だめ!まだ!頑張って!!)
警官(アイツのバイクが振動してる?!)
警官「あれは……不味い!?」
ギュィィィィィ!!!
首なしライダー「くっ……!!」
警官「やめろ!!ハンドルを取られるぞ!!速度を落とせ!!」
首なしライダー「ダメです!!!本気でやらないと、ダメなんです!!!」
警官「なにを……!?」
首なしライダー「本気で走らないと許してもらえない……わざと負けても意味がない……」
警官「お前……」
首なしライダー「やっと会えた……この子が本気で戦える人に……だから……!!」
警官「分かった」
ギュゥゥゥゥゥン!!!!
首なしライダー「……く……ん……!!」
警官「ゴールが見えた…・・!!」
首なしライダー「……あ……」
ギュィィィィィィ!!!
警官「え?」
ギュルギュルギュルギュギィィィィィィ!!!
ドォォォン!!!
警官「!?」
キキッ
首なしライダー「……あ、ぅ……」
警官「大丈夫か!!」
首なしライダー「あはは……負けましたね……わたし」
警官「何をいってるんだ!?怪我は!?」
首なしライダー「大丈夫です……横転するときの心得ぐらいあります」
警官「……どうしてこんな無茶なことを……」
首なしライダー「……私が死んだのはあの子を所為なんです」
警官「バイク?」
首なしライダー「はい。あの子のエンジントラブルで……高速道路での交通事故になってしまって。そのときに頭部を失いました」
警官「そうなのか……」
首なしライダー「そして、私はあの子に束縛された。あの子は私を目的地に運べなかったことを後悔していました」
警官「それは分かったけど、どうしてこんな勝負を?」
首なしライダー「私は首のない状態で現世に留まりたくなった。それをあの子に伝えると「自分よりも速いバイクが現れたら解放する」と」
警官「なるほど……」
首なしライダー「あの子は自分の性能が高いことを知っていたのでそんなことを言ったのだと思います」
警官「……でも、今日負けたな」
首なしライダー「はい……限界まで引き出した結果負け、あの子は私を解放してくれた」
警官「……じゃあ、君は……」
首なしライダー「……成仏します」
警官「ちょっと待ってくれ!!デートの約束は!!」
首なしライダー「……」
警官「約束したよな!!ツーリングするって!!」
首なしライダー「でも、幽霊ですし、私」
警官「関係ない!!」
首なしライダー「……どうして?」
警官「……お、おれがデートしたいから、だ」
首なしライダー「……きも」
警官「キモイっていうなぁ!!」
首なしライダー「あなたとなんかデートするわけないじゃないですか」
警官「いや!お前、してもいいって!!」
首なしライダー「ああ言わないと、本気になってくれないと思って」
警官「なに!?」
首なしライダー「ぁぁあああ!!!とかすごい叫びでしたよ?もう吐き気がしました♪」
警官「貴様!!!俺の純情をかえせ!!!」
首なしライダー「はいはい。童貞は本当にすぐに騙されますね?」
警官「どどどどど童貞ちゃうわ!!!」
首なしライダー「……では、もうさよならです」
警官「まてよ!!おい!!」
首なしライダー「―――最後にあなたに会えてよかった」
警官「な……!!」
首なしライダー「……冗談です♪……さよなら」
警官「消えた……」
警官「……」
警官「夢を見てた気分だな……」
警官「はは、折角何百万もかけたのに……一夜にして無駄な高性能になったな、相棒?」
警官「……まあ、いいか」
警官「楽しかったし……」
警官「このトンネル、たまに使わせてもらうか……」
警官「―――よし、帰ろう」
ブルルルルルルン!!
ドドドドドド!!
警官「……さようなら」
ブゥゥゥゥゥゥン!!
数ヵ月後 夜
警官「ふう……仕事の疲れはやっぱバイクで走って取らないとなぁー!」
ブゥゥゥゥゥン
警官「ふんふーん♪」
警官「よし、あのトンネルに行ってみるか」
ブゥゥゥゥン
警官(青だな)
女「」ふらふら……
警官「!?」
キキッ!!
警官「おい、危ないだろ!!!」
女「あ……すいません」
警官「こんな夜に何をしてるの?女性が一人じゃ危ないって」
女「少し、行きたいところがあって。あ、後ろに乗せてくれません?」
警官「はぁ?」
女「ダメですか?」
警官「いや、まあ、いいけど」
女「では……よいしょ」
警官「……こ、こしに腕をまわしてもいいぞ?」
女「……きも」
警官「キモイってなん―――え?」
女「まだ、童貞なんですか?」
警官「え?」
女「―――この先にトンネルがあるんです。知ってます?」
警官「ああ、よく知ってる」
女「そこまで行ってください」
警官「……君は?」
女「―――幽霊です。現世に未練があって彷徨ってます」
警官「未練って?」
女「ちょっと、デートの約束をしたんですよ。……私の好きな人と♪」
END
このあと警官はメンヘライダー女によって冥界へ連れて行かれます。めでたしめでたし。
80:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/07(日) 18:47:58.22:Ikx9rr+x0
>>75
ハッピーエンドだな
77:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/07(日) 18:46:12.64:saTonIOTOハッピーエンドだな
>>1乙
面白かった
78:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/07(日) 18:46:16.46:VZr3hpC50面白かった
めでたくねぇけど乙♪
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