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1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/19(金) 09:17:07.08:919G/3TI0
商人「はいはい」
勇者「えと、商人って転職したくない?」
商人「え?転職ですか?」
勇者「うん」
商人「えと……私、やっぱり足手まといですか?」
勇者「え……いや、そういうわけじゃないけど」
商人「いいですよ。確かに私はお金をすこーし拾えて、道具の鑑定が出来るだけですもんね」
勇者「いや……あの」
商人「……すいません、愚図で」
勇者「あー、そのー……なんでもない!忘れてくれ!!」
僧侶「言えなかったようですよ」
魔法使い「勇者様って女の子に甘いですからねー」
僧侶「そろそろ、商人を転職させて戦力アップさせたいのになぁ」
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3:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/19(金) 09:21:43.89:919G/3TI0
宿屋
商人「はぁ……」
商人「やっぱり、転職を考えたほうがいいんでしょうねえ」
商人「私は今の自分に誇りを持っていますし、できれば転職はしたくない……」
商人「でも、装備できるものも限られてるし……」
商人「……いやいや、そもそも、装備できる武器や防具が制限されているなんておかしくないでしょうか?」
商人「私だって人間です。剣を握ることはできるし、鎧を着ることもできる」
商人「そうですよ。そもそも、そんな固定概念はどっからきたんでしょうか?」
商人「がんばれば、大バサミやゾンビキラーぐらい装備できるでしょう」
商人「メラとかホイミぐらい使えるんじゃないでしょうか?」
商人「よし……」
商人「そうと決まれば……!!」
5:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/19(金) 09:24:52.27:919G/3TI0
魔法使い「メラゾーマって……こうやるのね……ふんふん」
コンコン
魔法使い「はーい?」
商人「失礼します」
魔法使い「どうかしたの?」
商人「あの、私に魔法を教えてください」
魔法使い「え?」
商人「どうか」
魔法使い「いや、商人には魔法なんて……」
商人「やってみなければわかりません」
魔法使い「うぇ?」
商人「お願いします!!!切実なんです!!!」
魔法使い「は、はいはい!!わかったから、顔を近づけないで!!」
商人「では、何から始めましょうか?」
魔法使い「……じゃあ、メラからやってみる?」
6:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/19(金) 09:28:04.81:919G/3TI0
商人「メラ!!」
シーン
魔法使い(素直に転職すればいいのに……)
商人「メラミ!!」
魔法使い「ストップ!」
商人「はい?」
魔法使い「メラミなんてできるわけないでしょ?」
商人「そ、そうですか?」
魔法使い「はぁ……これだから素人は」
商人「す、すいません……」
魔法使い「いい?魔法を使うっていうのは結構精神力を使うの」
商人「はい」
魔法使い「叫ぶだけじゃできないわ」
商人「なるほど」
魔法使い「こう……指先に意識を集中させて……メラ!!」
7:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/19(金) 09:31:43.39:919G/3TI0
商人「おぉ……指先に意識を……」
魔法使い「……」
商人「メラ!!」
シーン
商人「……ま、初めてですし」
魔法使い「言い訳すな」
商人「すいません……」
魔法使い「やっぱりさ、ダーマに行って神様に力を授からないとダメだって」
商人「でも、そうすると、商人で居られなくなります」
魔法使い「そりゃそうでしょ」
商人「そんなの嫌なんです!!」
魔法使い「顔近いって!!!」
商人「すいません……」
魔法使い「どうして商人であることにこだわるの?もうさ、魔物も強くなってきたし、実際商人のままだと辛いでしょ?」
商人「実は……」
9:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/19(金) 09:36:02.16:919G/3TI0
―――数ヶ月前 ルイーダ
勇者「仲間はやっぱり、戦士、僧侶、魔法使いがいいなぁ」
ルイーダ店員「マジっすか?ちょっと今、戦士がいないんですよね」
勇者「え?そうなんですか?あ、じゃあ、武道家――――」
商人「あわわ……わ!!?」
ガシャーン!!
勇者「うわあ!!?」
店員「ちょっと、商人さん!!お水も配膳できないの!!?」
商人「す、すいません!!すいません!!!」
店員「そんなんだから誰も雇ってくれないのよ?」
商人「すいません……」
店員「ほら、早く床の掃除してね」
商人「はい……すいません……すいません……」
勇者「……あの子は?」
店員「ああ。あまりに愚図なんで誰も拾ってくれずにもう半年もここでバイトをしている商人っすよ」
10:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/19(金) 09:39:47.29:dNTu2+Cy0
勇者「愚図って……」
店員「まあ、見ての通りっすよ。何をやるにも失敗するんす」
勇者「……」
店員「いくら可愛くても戦闘になると困るのは仲間ですからね……って、勇者さん!?」
商人「うぅ……ぐす……」
勇者「……手伝うよ」
商人「え……」
勇者「大丈夫?」
商人「あ、はい……すいません」
勇者「謝るんじゃなくて、こういうときはお礼を言うべきだ」
商人「あ、はい……あ、ありがとうございます」
勇者「よし……はい、これでもうガラス片は残ってないな」
商人「勇者様にこんなことをさせて申し訳ありません……」
勇者「いいよ。それより、少しだけ聞きたいことがあるんだけど」
商人「はい、なんでしょう?」
14:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/19(金) 09:45:11.71:919G/3TI0
勇者「商人ってどんなことができるの?俺、あんまりよく知らないんだ」
商人「あ、えと……お金を拾えたり、道具鑑定ができたり、あとはおおごえでお店をよぶことができます」
勇者「へえ」
商人「す、すいません……きっと魔法使いさんとか僧侶さんのほうが役に立つとおも―――」
勇者「すごい!!」
商人「え?」
勇者「いやー、戦士や武道家ばっかりに目が行ってて知らなかったけど、商人ってそんなにすごいんだ」
商人「い、いえ……そんなことは」
勇者「だって、お金は大事だし、道具の鑑定も使い方とか分かるんだろ?あと、お店を呼ぶって便利すぎる」
商人「そ、そうでしょうか?」
勇者「うん。凄い!―――よし、決めた!!」
商人「は、はい?」
勇者「俺の仲間になってくれないか?」
商人「えぇぇえええ!?!!?」
勇者「君の力を借りたい。ダメかな?」
18:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/19(金) 09:49:18.07:919G/3TI0
商人「そ、そんな……私なんてきっとダメですよ」
勇者「いや。その能力は絶対に俺の助けになってくれる」
商人「え……」
勇者「お願いだ。仲間になってくれ」
商人「ちょっと!?あの!!頭をあげてください!!!」
勇者「頼む」
商人「わ、わかりました!!なります!!なりますから!!」
勇者「ホントか!?ありがとう!!」
商人「きっと、後悔しますよ……」
勇者「しない」
商人「あ、えと……」
勇者「よし、あとは魔法使いと僧侶を仲間にしたいなぁ」
商人(初めてだ……こんなに私を必要としてくれる勇者様にあえるなんて……)
商人(うん……商人として、私は絶対に勇者様の力になってみせる!!)
商人(―――がんばるぞ!)
22:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/19(金) 09:52:59.32:919G/3TI0
魔法使い「―――なるほどね。それが嬉しかったわけだ」
商人「はい……」
魔法使い「それで商人を捨てたくないと」
商人「はい……そうなんです」
魔法使い(勇者様も中々罪作りね)
商人「やっぱり、魔法は使えないでしょうか?」
魔法使い「うーん……魔法使いから商人に転職したら『魔法を使える商人』っていうのもできるけど……」
商人「それだと……一度、商人を捨てなければいけませんね」
魔法使い「まあ、前例がないし……やるだけやってみる?」
商人「協力してくれるんですか?」
魔法使い「無駄な努力かもしれないけど」
商人「ありがとうございます!!」
魔法使い「ふう……じゃあ、まずはね……」
商人「はい!」
23:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/19(金) 09:55:50.52:919G/3TI0
翌日
勇者「おーし、じゃあ、出発するか」
僧侶「はーい」
魔法使い「はぁい……」
商人「……(うとうと」
勇者「どうした?眠そうだけど?」
商人「い、え……」
魔法使い「なんでも、ないですから……」
勇者「大丈夫か?」
商人「は、はい……」
魔法使い「ちょっと」
商人「はい……」
魔法使い「徹夜までしたんだから、ちゃんと成果を見せてよ?」
商人「はい!がんばります!!」
勇者「んじゃ、いくか」
24:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/19(金) 09:58:14.64:919G/3TI0
戦闘
勇者「はぁ!!」
ズバッ!!
魔物A「ぐええええ」
魔物B「ぎゃしゃー!!」
勇者「なに!?」
魔法使い「メラゾーマ!!!」
ゴォォォォ!!
勇者「―――助かった!」
魔物C「びょしゅーー!!!」
勇者「え?!」
商人「危ない!勇者様!!―――メラ!!」
シーン
商人「そんな!?」
勇者「―――ぐは!?」
25:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/19(金) 09:58:54.45:7wDg1NIl0
戦闘終了
僧侶「ベホイミ」
勇者「ありがとう……」
魔法使い「ふう……なんとか勝てた」
商人「あ、あの……」
勇者「商人?どうした?」
商人「すいません……私の所為で……」
勇者「え、どうして―――」
僧侶「全くです」
魔法使い「ちょっと!?」
僧侶「貴女がしっかり勇者様の背中を守っていれば、傷つかずに済んだんですよ?」
勇者「おい」
商人「すいません……すいません……」
僧侶「謝って済む問題ではありません」
勇者「僧侶、その辺にしとけって」
31:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/19(金) 10:04:50.96:919G/3TI0
僧侶「しかし」
勇者「いいから」
商人「……すいません」
勇者「もういいから。ほら、この通り傷も癒えたし」
商人「勇者様……」
魔法使い「ほらほら。過ぎたことを気にしてもしょうがないでしょ」
商人「は、はい……」
僧侶「……ふん」
勇者「さ、気を取り直していこうか。この辺の魔物は凶暴だから野宿は避けたい」
商人「そ、そうですね」
魔法使い「じゃあ、早く行きましょう」
僧侶「北に向かえば村があったはずです。急ぎましょう」
勇者「おし!」
商人「はぁ……」
魔法使い「……」
33:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/19(金) 10:07:46.11:919G/3TI0
商人「あ、5G発見」
勇者「え?ホントに?」
商人「はい」
勇者「すごいなー」
ナデナデ
商人「あぅ……///」
僧侶「5Gなんて意味がありませんよ?」
商人「え……あ、はい」
僧侶「1000Gぐらい拾ってくれるなら別ですけど」
魔法使い「僧侶!」
勇者「どうしたんだ?」
僧侶「別になんでもありません」
商人「す、すいません……」
僧侶「ふん……」
勇者「おいおい」
35:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/19(金) 10:11:15.47:919G/3TI0
村
勇者「おっし。目的地に着いたな」
僧侶「はい」
商人「や、宿屋を探してきます!!」
勇者「じゃあ、俺も―――」
僧侶「勇者様は買い出しです」
勇者「え?」
僧侶「買い物には男手はいるんですから。ほら、いきましょう」
勇者「あ、はいはい。魔法使い、商人についていってくれ」
魔法使い「わかりました」
商人「すいません……」
魔法使い「なんで謝るのよ?」
商人「あ、いえ……」
魔法使い「ほら、元気出して。別に僧侶は貴女を責めてるわけじゃないから」
商人「そ、そうなんですか……?」
36:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/19(金) 10:15:07.42:919G/3TI0
宿屋
商人「え?満室!?」
店主「悪いね、旅のかた。今日はここに泊りたいって人が多くって」
魔法使い「何かあるんでしょうか?」
店主「魔王の勢力が強くなってきた所為か、ここら辺の魔物が一層凶暴化したらしくってね」
商人「もしかして……多くの人がここで足止めを?」
店主「そういうことだ」
魔法使い「でも、このほかに宿屋はないんですよね?」
店主「ああ」
商人「そ、そんな……勇者様に怒られる……」
魔法使い「怒りはしないと思うけど」
店主「悪いね、本当に」
商人「はぁ……いえ、ありがとうございました」
魔法使い「さて、どうしたものか」
38:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/19(金) 10:18:20.38:919G/3TI0
僧侶「ええ!?」
商人「すいません!すいません!!」
勇者「いや、商人が謝ることじゃないだろ?」
商人「で、でも」
魔法使い「どうしますか?」
勇者「うーん」
僧侶「全く……どこで役に立てるんですか?」
商人「すいません……」
僧侶「やはり、早く転職すべきでは?」
商人「あぅ……」
魔法使い「僧侶、言葉が強い」
僧侶「だって……」
勇者「あ!そーだ。商人の特技におおごえってあるんだろ?それで宿屋呼べないのか?」
魔法使い「おー!それだ!」
商人「え……」
41:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/19(金) 10:22:03.29:919G/3TI0
村の外
勇者「実は見てみたかったんだよなぁ」
魔法使い「そういえば使う機会ってありませんでしたね」
僧侶「……できるのでしょうか?」
商人「……あの、本当にやるんですか?」
勇者「うん……なんか、まずい?」
商人「いえ!いえ!!」
僧侶「まさかとは思いますが、できないってことはないですよね?」
商人「ギク……」
魔法使い「まさか。商人の十八番だし」
勇者「うんうん」
商人「……で、では……宿屋さぁぁぁぁぁぁん!!!!!!」
勇者「おお!!来そうだ!!」
魔法使い「……(ワクワク」
僧侶「……」
45:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/19(金) 10:25:28.99:919G/3TI0
―――10分経過
商人「……」
勇者「やっぱり、店ごともってくるのか?」
魔法使い「えー?あ、でも、宿屋だとそうかもしれませんね」
僧侶「……」
―――30分経過
勇者「遅いなぁ……あ、あれか?店ごとだから時間がかかるのか?」
魔法使い「そうでしょうね」
商人「……うぅ」
僧侶「……はぁ」
―――1時間経過
勇者「ふんふん!!」
魔法使い「えっと……アバカムは……こうして……」
僧侶「……来ませんね」
商人「……すいません」
49:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/19(金) 10:29:23.94:919G/3TI0
勇者「え?できない?」
商人「すいません……実はまだ……」
僧侶「勇者様」
勇者「どうした?」
僧侶「今からでも遅くはありません。商人さんを転職させましょう」
商人「え!?」
勇者「うーん……」
魔法使い「まあまあ」
僧侶「商人の要とも呼べる『おおごえ』が使えない以上、この人をこのままにしておく意味があるとは思えません」
商人「す、すいま―――」
僧侶「誰かが死んでもそうやって謝る気ですか?」
商人「そ、それは……」
勇者「おい、僧侶」
僧侶「事実です」
魔法使い「……はぁ……どうしたものか……」
52:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/19(金) 10:33:12.57:919G/3TI0
村
勇者「とりあえず、村の中にいよう。外よりは安全だ」
僧侶「わかりました」
魔法使い「あ、勇者様。私、ちょっと魔法の実験してきます」
勇者「新しい魔法か?」
魔法使い「はい」
勇者「一緒に行こうか?」
魔法使い「いえいえ。商人を同行させますから、大丈夫です」
商人「……え?」
魔法使い「はい、立って。いくよ」
商人「あ、はい……」
僧侶「―――勇者様、ご決断を」
勇者「でも、商人の気持ちもあるし」
僧侶「死んでからでは遅いんですよ?」
勇者「分かってるけど……」
56:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/19(金) 10:36:07.28:919G/3TI0
村の外
魔法使い「はい!もう一回!」
商人「―――メラ!!」
シーン
魔法使い「はい!もう一回!」
商人「あ、あの……」
魔法使い「どうしたの?」
商人「もう……やめましょう……私、転職します……」
魔法使い「諦めるの?」
商人「……」
魔法使い「まあ、貴女がそう決めたのなら良いけど」
商人「すいません……」
魔法使い「―――本当にいいの?」
商人「……はい」
魔法使い「じゃ、戻りましょうか」
58:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/19(金) 10:39:28.47:919G/3TI0
勇者「ふんふんふん!!!!!」
魔法使い「勇者様って暇があれば素振りか腕立てしてますねー」
勇者「まあな。みんなを守るのも俺の務めだしな!」
商人「……」
魔法使い「ほら。自分で言う」
商人「は、はい……」
勇者「ん?」
商人「あの……勇者様……私、転職します」
勇者「え……」
僧侶「そうですか……良かった……」
商人「もうこれ以上はご迷惑をおかけしたくありません」
勇者「……いいんだな?」
商人「はい」
勇者「―――わかった」
僧侶「では、早速ダーマに行きましょう」
60:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/19(金) 10:42:35.62:919G/3TI0
ダーマ神殿
神官「では、商人がなりたい職業を選べ」
商人「はい……せ、戦士を希望します!」
神官「わかった……」
僧侶「これで我々も安心して旅ができますね」
勇者「……」
僧侶「勇者様?」
魔法使い「はぁ……」
勇者「……くそ」
神官「では、今から戦士として生きるがよい」
戦士「はい!ありがとうございます!」
僧侶「では行きましょうか」
勇者「ああ……」
戦士「あ、はい!」
魔法使い「……」
63:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/19(金) 10:45:45.31:919G/3TI0
戦闘中
勇者「はぁああ!!!」
戦士「やぁぁぁぁ!!!」
魔物「ぐええええ!?!」
魔法使い「トドメ!!べギラゴン!!」
ゴォォォォォ!!
僧侶「バギクロス!!」
ヒュォォォォォ!!!
勇者「―――ふう」
戦士「や、やりましたね、勇者様!!」
勇者「……そうだな」
戦士「あ、れ?」
僧侶「ふふ、これで魔王討伐に一歩前進といったところですか」
魔法使い「でも、油断はできない。まだ戦士になりたてだし」
僧侶「それは勿論。でも、戦力が強化されたのは事実ですから」
66:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/19(金) 10:49:23.46:919G/3TI0
勇者「さてと、じゃあ、このまま進もうか」
戦士「あ、勇者様。でも一度、村で体勢を立て直した方が」
勇者「戦士がいるんだ。その必要はない」
戦士「え……でも……」
僧侶「賛成です。ここは一気に進むべきです」
魔法使い「大丈夫なの?」
僧侶「今の私たちなら周辺の魔物など敵になりませんよ」
魔法使い「だといいけど」
勇者「よし、いくぞ」
戦士「あの……勇者様?」
勇者「ん?」
戦士「怒ってるんですか……?」
勇者「なに対して?」
戦士「あ、いえ……すいません……」
勇者「いこう」
69:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/19(金) 10:53:18.15:919G/3TI0
洞窟
勇者「この洞窟を抜けないとダメか……」
魔法使い「どうしますか?やはり、一度戻った方が」
戦士「私もそう思います」
僧侶「いえ、行きましょう。余力は十分ですし」
勇者「……そうだな。戦士もいるし」
戦士「え……」
魔法使い「―――勇者様、何を拗ねているんですか?」
勇者「拗ねる?」
魔法使い「さっきから何かにつけては戦士がいるからとばっかりじゃないですか」
勇者「……」
戦士「あ、あの……」
僧侶「勇者様は最善を仰っています。魔法使いさんの意見を聞いていては、進めるときに進めません」
魔法使い「な……!?」
勇者「よせ。―――このまま進もう」
77:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/19(金) 10:56:31.14:919G/3TI0
勇者「みんな、気を付けろよ」
戦士「は、はい」
僧侶「大丈夫です」
魔法使い「……薄気味悪い……」
勇者「……ん?」
僧侶「どうしました?」
勇者「向こうに灯りが……」
戦士「本当ですね」
魔法使い「……」
勇者「行ってみよう」
僧侶「はい」
戦士「……ま、まってください」
魔法使い「はぁ……」
戦士「どうか、しました?」
魔法使い「気持ちがバラバラのときは一番危ないのよね」
80:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/19(金) 11:00:10.37:919G/3TI0
トロル「ん?だれだ?」
勇者「な?!」
トロル「ふん。勇者御一行の到着か」
戦士「トロル……!?」
魔法使い「ちょっとまって!まだいる!」
動く石像「ふふふ……いい度胸だ」
僧侶「……く!?」
勇者「……くそ」
魔法使い「だから言ったのに……バカ」
戦士「勇者様……」
トロル「ふふふふ……いくぞ!!」
動く石像「おおお!!!」
勇者「―――はぁぁぁ!!!」
戦士「やぁぁぁ!!!」
84:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/19(金) 11:03:54.30:919G/3TI0
トロル「―――弱いわ!!!」
ドォォン!!
勇者「が……!?」
戦士「ゆ……しゃ……」
動く石像「ふん……てんでバラバラだな」
僧侶「う……」
トロル「先に来た冒険者たちのほうがよっぽど手ごわかったぞ?」
魔法使い「……しゃれに……なってない……」
動く石像「楽にしてやろう……ふん!!!」
ドン!!!
僧侶「はぎゃ―――」
戦士「僧侶さん!!!」
トロル「こっちもだ―――おりゃぁぁ!!!」
ズン!!!
勇者「ぎぃ……!!」
88:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/19(金) 11:07:54.94:919G/3TI0
魔法使い「あ……ぁ……」
トロル「ふふふ……さてと……もう魔力も残っていまい?」
戦士「こ、ここまで……?」
動く石像「がははははは!!!―――死ね!!!」
魔法使い「……く!」
戦士「―――てい!!」
ズバッ
動く石像「ぬう!?」
魔法使い「よし!!戦士!!こっちにきて!!」
戦士「は、はい!!」
トロル「逃げる気か!?」
動く石像「面白い!二人を残して逃げるとはな!!」
戦士「―――くそぉ!」
魔法使い「―――リレミト!!」
シュン!
90:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/19(金) 11:11:41.79:919G/3TI0
外
戦士「はぁ……はぁ……」
魔法使い「……ふう」
戦士「……すいません」
魔法使い「いいえ。これは勇者様の所為だし」
戦士「でも……」
魔法使い「勇者様がしっかりしてれば、こんなことにはならなかった」
戦士「……」
魔法使い「それより……はやく宿屋でも道具屋でもいいから、呼んでくれない?」
戦士「え……?」
魔法使い「もう……限界、だし……」
戦士「魔法使いさん!?」
魔法使い「……」
戦士「魔法使いさん!!??しっかりしてください!!」
戦士「あ……あ……どうしよう……どうしよう……」
95:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/19(金) 11:15:28.55:919G/3TI0
戦士「―――ダメ。困っても、謝っても、何も変わらない……!!」
戦士「……やらなきゃ……私にできることを今しなきゃ……」
戦士「―――だれかぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」
戦士「だれかぁぁぁぁ!!!!!きてくださぁぁぁぁぁい!!!!!」
戦士「おねがいしまぁぁぁぁぁす!!!!!!!」
戦士「はぁ……はぁ……」
戦士「お願い……だれか……」
戦士「―――あきらめちゃだめ……勇者様を―――みんなを救えない……」
戦士「だれかぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
戦士「―――だれでもいいからぁぁぁぁきてくださぁぁぁぁぁぁい!!!!!!」
戦士「はぁ……やっぱり……誰も……うぅ……すいませ―――」
―――ドドドドドドドドドド!!!!!
戦士「!?」
97:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/19(金) 11:17:22.42:0hB//Aru0
傭兵A「なんだ!?」
傭兵B「呼んだ!?」
戦士「え……はい?」
傭兵C「商人居ないじゃん」
傭兵D「久しぶりに『ぐんたいよび』を使える商人がいるから飛んできたのに」
戦士「あ、あのぉ……」
傭兵A「ん?―――あ、もしかして『ぐんたいよび』を使ったの貴女ですか?」
戦士「いえ……いや、確かに呼びましたけど……」
傭兵B「これはこれは、では、どこの魔物を討伐いたしましょう?」
戦士「ええ?」
傭兵C「おいこっちの魔法使いさん、えらい怪我だぞ」
傭兵D「まかせろ!―――ベホマ!!」
魔法使い「……ん……え?」
戦士「魔法使いさん!!」
魔法使い「え……だれ?この人たち?」
103:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/19(金) 11:23:38.27:919G/3TI0
傭兵A「さあ、魔物はどこですか?」
傭兵B「腕がなるぜえ!!」
戦士「……」
魔法使い「ねえ、ちょっと、どういうこと?」
戦士「分かりません……必死になって叫んでたら、来ちゃって」
魔法使い「はぁ?」
傭兵C「商人さん、魔物はどこにいるんですか?」
戦士「あ、いえ、私は元商人なんで」
傭兵D「ええ?もったいない」
戦士「え?」
傭兵A「『ぐんたいよび』を使える商人は1000人に一人。まさにあなたは商人の中の商人です」
傭兵B「もっと商人を磨くべきですよ」
戦士「そ、そうなんですか?」
傭兵C「ええ。それよりも、今は魔物の討伐が先です。さあ、どこにいるんですか?」
戦士「あ、はい……こっちです!!」
106:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/19(金) 11:27:17.54:919G/3TI0
洞窟内
勇者「……」
僧侶「……」
トロル「さてと……もうこいつらも虫の息だな」
動く石像「勇者は魔王様に献上するとして……こっちの女はどうする?」
トロル「そうだな……って、一つしかないだろ♪」
動く石像「それもそうだな!!」
トロル「がははははは!!!」
動く石像「デュフフフフフ!!」
戦士「まってください!!」
トロル「ん?」
魔法使い「二人は返してもらう」
動く石像「ほお……面白い」
トロル「二人で何ができるっていうんだ?」
戦士「―――二人じゃないです!!」
111:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/19(金) 11:31:55.78:919G/3TI0
トロル「なに?!」
傭兵A「ひゅー、見ろよ。トロルと動く石像だぜ」
傭兵B「いいねえ……久しぶりだ」
傭兵C「確かに上級モンスターなんて久方ぶりだな」
傭兵D「こりゃあ、思う存分暴れられるな」
動く石像「―――ぐふふふふ!!!」
トロル「ふん。何かと思えば戦士を四人連れてきただけか!?これは傑作だ!!」
動く石像「ああ!!そんな四人で何ができる?返り討ちにしてくれるわ!!」
戦士「……」
魔法使い「大丈夫なの?向こう、かなり余裕みたいだけど」
傭兵A「商人さん、二人を助けに行ってください」
傭兵B「魔物は俺たちがなんとかします」
戦士「わ、わかりました……魔法使いさん!」
魔法使い「え、ええ」
トロル「―――なに勝手な事いってんだぁぁ!!!おらぁぁぁぁ!!!!」
115:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/19(金) 11:35:51.08:919G/3TI0
傭兵A「―――よっと」
トロル「なにぃ!?俺様の棍棒を……片手で受け止めただと!?」
傭兵A「軽いなぁ。昔のトロルの方が何倍も強かったぜ?」
トロル「なんだと……は!?」
動く石像「なめんなぁぁぁ!!!」
傭兵B「やめとけ……よ!!!」
ドン!!
動く石像「な、にぃ!?俺が力で圧された……!?」
トロル「ま、まさか……貴様たちは……!?」
戦士「勇者様!!」
勇者「う……しょ……にん……?」
戦士「はい!商人です!!助けにきましたよ!!」
勇者「……ごめ……ん……」
魔法使い「しっかりして!!」
僧侶「うぅ……」
122:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/19(金) 11:39:56.81:919G/3TI0
傭兵C「逃げてください!!」
魔法使い「い、いいの?」
傭兵D「お代はあとで頂きます」
戦士「わ、わかりました!」
魔法使い「リレミト!!」
シュン
トロル「ぬぅぅぅう!!」
傭兵A「さて……と」
動く石像「こいつらの強さ……まさか」
トロル「間違いない……先代の勇者か!?」
傭兵A「今はただの傭兵だ。もう隠居したかったんだけど、精霊様がまだまだ力を貸して欲しいっていってな」
傭兵B「おかげでこうして出張ってるわけよ」
トロル「くそぉ……まだ生きていたのか……!!」
傭兵C「さて……行きましょうか?」
傭兵D「じっくりと楽しませてもらうよ?」
124:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/19(金) 11:41:40.09:k7aQdPRs0
トロル「だらっしゃぁぁぁ!!!!」
傭兵A「ギガデイン!!!」
トロル「あびゃびゃーーーー!!!!」
動く石像「ひぃぃぃ!!!」
傭兵B「にげんじゃねえ!!!おらぁぁぁ!!!!」
ゴキィイ!!
動く石像「がはぁ!!!足が―――」
傭兵C「じゃあ、同時に」
傭兵D「いきますか」
動く石像「な、やめ―――」
傭兵C&D「イオナズン!!!」
動く石像「ぎゃぁあああああああああああ!!!!!!!」
傭兵A「ふう……さてとお代もらってかえるか」
傭兵B「そうだな」
傭兵C「いやーすっきりした!」
128:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/19(金) 11:45:54.37:GjPb4i2M0
戦士「勇者様……しっかり」
勇者「う……」
魔法使い「薬草も全然足りないか……」
僧侶「……っ」
傭兵A「終わりました」
戦士「あ、みなさん!」
傭兵B「えっと、じゃあ、お代なんですけど……100Gもらえます?」
魔法使い「え……そんなに安くていいの?」
傭兵C「初回割引中なんで」
戦士「じゃ、じゃあ……どうぞ」
傭兵D「まいど♪―――っと、二人がやばいな」
傭兵A「―――ベホマズン!!」
魔法使い「その呪文って!?」
傭兵A「ではこれで」
戦士「待ってください!!最後の回復代も払います!!」
133:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/19(金) 11:50:28.99:VpMllp560
傭兵A「それはあなた達の出世払いにしときましょう」
戦士「え……」
傭兵B「かっこいいねえ、俺達♪」
傭兵C「最後の代金は10000Gぐらいですから」
傭兵D「しっかり稼げる商人になってくださいね」
戦士「は、はい……」
傭兵A「では……ルーラ!!」
ヒュン!!
魔法使い「いっちゃった……」
勇者「う……ん……」
戦士「勇者様!!大丈夫ですか!?」
勇者「あ、ああ……」
僧侶「あ、れ……魔物は……?」
魔法使い「もう倒しました。―――商人のおかげで」
戦士「え……!?」
137:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/19(金) 11:57:50.84:919G/3TI0
勇者「そうなのか?」
戦士「い、いや……私の力じゃ……」
魔法使い「いいえ。貴女の力、でしょ?」
戦士「……それは……」
勇者「なあ……本当は商人のままでいたいんだろ?」
戦士「え……」
勇者「どうして本当のことを言ってくれないんだ?」
戦士「だって……みなさんにご迷惑が……」
勇者「俺は君がそうやって自分を押し殺している様なんて見たくない」
戦士「勇者……さま……?」
勇者「確かに商人のままじゃ、きつい場面はあった。もしかしたら君自身が転職を考えているかもしれないと思って、先日は転職について訊ねた」
戦士「はい」
勇者「でも君は商人を捨てたくないって顔に出てた……だから俺はもう何も言わなかった」
戦士「勇者様……」
勇者「―――いや。ごめん……今回は俺が全部悪い。偉そうなことは言えないな。すまない。勇者失格だ」
140:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/19(金) 12:01:35.05:919G/3TI0
戦士「そんなことは……!!」
僧侶「勇者様……」
勇者「もういいだろ?この子の気持ち次第だ。俺は強要なんてしたくない」
僧侶「……はい」
戦士「あの……えと……」
魔法使い「ほら、自分の意見をはっきりいう!」
勇者「……」
戦士「あの……商人に戻りたいです!」
勇者「よし!今すぐダーマ神殿に行こう!!」
戦士「はい!!」
魔法使い「ふう……ま、あの傭兵たちをいつでも呼べるようになったらすごい楽になるだろうしね」
僧侶「傭兵?」
魔法使い「今度また見せてくる、よね?」
戦士「で、できるかわかりませんけど……やってみます!」
勇者「―――ルーラ!!」
143:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/19(金) 12:02:31.17:5VfEZXtd0
―――数日後
商人「傭兵さぁぁぁぁぁん!!!!」
勇者「はぁぁ!!!」
ズバッ
魔物「ぎゃあぁぁぁす!!!」
僧侶「終わりましたよ?」
商人「す、すいません……なんかうまくできないです」
勇者「傭兵ってすごい強かったんだろ?そんな簡単にはいかないんじゃないか?」
魔法使い「はぁ……楽になると思ったのになぁ」
商人「す、すいません……」
勇者「いや……商人は十分俺達の助けになってくれてるって。謝るな」
ナデナデ
商人「あぅぅ……でもぉ」
僧侶「はぁ……ま、助けてもらったのは事実ですし……今度に期待します」
商人「す、すいません……すいません……」
147:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/19(金) 12:06:51.39:Rktm6Kp30
―――神殿
ルビス「ふふふ……ほら、変な嘘を言うから商人が泣いてますよ?」
傭兵「だって、ああでも言わないと立ち直ってくれなかったでしょう?」
ルビス「まあ、そうですけど……嘘も方便ということばありますからね」
傭兵「はいはい」
ルビス「今度の勇者は中々の好青年だったと聞きましたが?」
傭兵「でも、ガキですよ。―――まるで昔の俺みたいでした。無鉄砲で仲間のことを気にしすぎて空回りするところとか」
ルビス「そうですか。ならば、彼の者たちが世界を救う者になりますね」
傭兵「だと良いですけど」
ルビス「ふふふ……また、呼ばれてますよ?」
傭兵「あの商人に『ぐんたいよび』なんてできるわけないでしょう?」
ルビス「もう少し、精進がいる、ということですか?」
傭兵「そうですね。あともう少しだけ」
ルビス「その時まで我々は温かく見守りましょう」
傭兵「……はい」
154:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/19(金) 12:15:30.09:919G/3TI0
僧侶「また戦闘が先に終わりましたね」
商人「す、すいません……」
勇者「ほらほら、いじめるな」
僧侶「しかし……!!」
魔法使い「まあ、最高の魔法みたいなものでしょうし、ゆっくりとね?」
商人「すいません、すいません」
勇者「はいはい。もう謝らなくていいから。僧侶もあまり酷いことを言わないようにな」
僧侶「……ふん」
商人「うぅ……あ、5G発見しました♪」
勇者「お、でかした!」
商人「あ……すいません……い、意味ないですよ……ね?」
僧侶「……・はぁ。商人のくせに計算もできないんですか?」
商人「はぇ?」
僧侶「前回との合計で10G。薬草が買えますよ。全く……貴女の所為で薬草代もバカにならないんですから、それぐらいはしてください」
商人「―――はい!!私、商人としてこれからもみなさんのためにがんばります!!」
おしまい
158: 忍法帖【Lv=4,xxxP】 ◆XDQwmiLetw :2011/08/19(金) 12:16:57.32:h/0XF6WM0
宿屋
商人「はぁ……」
商人「やっぱり、転職を考えたほうがいいんでしょうねえ」
商人「私は今の自分に誇りを持っていますし、できれば転職はしたくない……」
商人「でも、装備できるものも限られてるし……」
商人「……いやいや、そもそも、装備できる武器や防具が制限されているなんておかしくないでしょうか?」
商人「私だって人間です。剣を握ることはできるし、鎧を着ることもできる」
商人「そうですよ。そもそも、そんな固定概念はどっからきたんでしょうか?」
商人「がんばれば、大バサミやゾンビキラーぐらい装備できるでしょう」
商人「メラとかホイミぐらい使えるんじゃないでしょうか?」
商人「よし……」
商人「そうと決まれば……!!」
魔法使い「メラゾーマって……こうやるのね……ふんふん」
コンコン
魔法使い「はーい?」
商人「失礼します」
魔法使い「どうかしたの?」
商人「あの、私に魔法を教えてください」
魔法使い「え?」
商人「どうか」
魔法使い「いや、商人には魔法なんて……」
商人「やってみなければわかりません」
魔法使い「うぇ?」
商人「お願いします!!!切実なんです!!!」
魔法使い「は、はいはい!!わかったから、顔を近づけないで!!」
商人「では、何から始めましょうか?」
魔法使い「……じゃあ、メラからやってみる?」
商人「メラ!!」
シーン
魔法使い(素直に転職すればいいのに……)
商人「メラミ!!」
魔法使い「ストップ!」
商人「はい?」
魔法使い「メラミなんてできるわけないでしょ?」
商人「そ、そうですか?」
魔法使い「はぁ……これだから素人は」
商人「す、すいません……」
魔法使い「いい?魔法を使うっていうのは結構精神力を使うの」
商人「はい」
魔法使い「叫ぶだけじゃできないわ」
商人「なるほど」
魔法使い「こう……指先に意識を集中させて……メラ!!」
商人「おぉ……指先に意識を……」
魔法使い「……」
商人「メラ!!」
シーン
商人「……ま、初めてですし」
魔法使い「言い訳すな」
商人「すいません……」
魔法使い「やっぱりさ、ダーマに行って神様に力を授からないとダメだって」
商人「でも、そうすると、商人で居られなくなります」
魔法使い「そりゃそうでしょ」
商人「そんなの嫌なんです!!」
魔法使い「顔近いって!!!」
商人「すいません……」
魔法使い「どうして商人であることにこだわるの?もうさ、魔物も強くなってきたし、実際商人のままだと辛いでしょ?」
商人「実は……」
―――数ヶ月前 ルイーダ
勇者「仲間はやっぱり、戦士、僧侶、魔法使いがいいなぁ」
ルイーダ店員「マジっすか?ちょっと今、戦士がいないんですよね」
勇者「え?そうなんですか?あ、じゃあ、武道家――――」
商人「あわわ……わ!!?」
ガシャーン!!
勇者「うわあ!!?」
店員「ちょっと、商人さん!!お水も配膳できないの!!?」
商人「す、すいません!!すいません!!!」
店員「そんなんだから誰も雇ってくれないのよ?」
商人「すいません……」
店員「ほら、早く床の掃除してね」
商人「はい……すいません……すいません……」
勇者「……あの子は?」
店員「ああ。あまりに愚図なんで誰も拾ってくれずにもう半年もここでバイトをしている商人っすよ」
wktk
11:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/19(金) 09:40:24.12:919G/3TI0勇者「愚図って……」
店員「まあ、見ての通りっすよ。何をやるにも失敗するんす」
勇者「……」
店員「いくら可愛くても戦闘になると困るのは仲間ですからね……って、勇者さん!?」
商人「うぅ……ぐす……」
勇者「……手伝うよ」
商人「え……」
勇者「大丈夫?」
商人「あ、はい……すいません」
勇者「謝るんじゃなくて、こういうときはお礼を言うべきだ」
商人「あ、はい……あ、ありがとうございます」
勇者「よし……はい、これでもうガラス片は残ってないな」
商人「勇者様にこんなことをさせて申し訳ありません……」
勇者「いいよ。それより、少しだけ聞きたいことがあるんだけど」
商人「はい、なんでしょう?」
勇者「商人ってどんなことができるの?俺、あんまりよく知らないんだ」
商人「あ、えと……お金を拾えたり、道具鑑定ができたり、あとはおおごえでお店をよぶことができます」
勇者「へえ」
商人「す、すいません……きっと魔法使いさんとか僧侶さんのほうが役に立つとおも―――」
勇者「すごい!!」
商人「え?」
勇者「いやー、戦士や武道家ばっかりに目が行ってて知らなかったけど、商人ってそんなにすごいんだ」
商人「い、いえ……そんなことは」
勇者「だって、お金は大事だし、道具の鑑定も使い方とか分かるんだろ?あと、お店を呼ぶって便利すぎる」
商人「そ、そうでしょうか?」
勇者「うん。凄い!―――よし、決めた!!」
商人「は、はい?」
勇者「俺の仲間になってくれないか?」
商人「えぇぇえええ!?!!?」
勇者「君の力を借りたい。ダメかな?」
商人「そ、そんな……私なんてきっとダメですよ」
勇者「いや。その能力は絶対に俺の助けになってくれる」
商人「え……」
勇者「お願いだ。仲間になってくれ」
商人「ちょっと!?あの!!頭をあげてください!!!」
勇者「頼む」
商人「わ、わかりました!!なります!!なりますから!!」
勇者「ホントか!?ありがとう!!」
商人「きっと、後悔しますよ……」
勇者「しない」
商人「あ、えと……」
勇者「よし、あとは魔法使いと僧侶を仲間にしたいなぁ」
商人(初めてだ……こんなに私を必要としてくれる勇者様にあえるなんて……)
商人(うん……商人として、私は絶対に勇者様の力になってみせる!!)
商人(―――がんばるぞ!)
魔法使い「―――なるほどね。それが嬉しかったわけだ」
商人「はい……」
魔法使い「それで商人を捨てたくないと」
商人「はい……そうなんです」
魔法使い(勇者様も中々罪作りね)
商人「やっぱり、魔法は使えないでしょうか?」
魔法使い「うーん……魔法使いから商人に転職したら『魔法を使える商人』っていうのもできるけど……」
商人「それだと……一度、商人を捨てなければいけませんね」
魔法使い「まあ、前例がないし……やるだけやってみる?」
商人「協力してくれるんですか?」
魔法使い「無駄な努力かもしれないけど」
商人「ありがとうございます!!」
魔法使い「ふう……じゃあ、まずはね……」
商人「はい!」
翌日
勇者「おーし、じゃあ、出発するか」
僧侶「はーい」
魔法使い「はぁい……」
商人「……(うとうと」
勇者「どうした?眠そうだけど?」
商人「い、え……」
魔法使い「なんでも、ないですから……」
勇者「大丈夫か?」
商人「は、はい……」
魔法使い「ちょっと」
商人「はい……」
魔法使い「徹夜までしたんだから、ちゃんと成果を見せてよ?」
商人「はい!がんばります!!」
勇者「んじゃ、いくか」
戦闘
勇者「はぁ!!」
ズバッ!!
魔物A「ぐええええ」
魔物B「ぎゃしゃー!!」
勇者「なに!?」
魔法使い「メラゾーマ!!!」
ゴォォォォ!!
勇者「―――助かった!」
魔物C「びょしゅーー!!!」
勇者「え?!」
商人「危ない!勇者様!!―――メラ!!」
シーン
商人「そんな!?」
勇者「―――ぐは!?」
まぁ出ないわなw
27:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/19(金) 09:59:29.45:dNTu2+Cy0
やっぱでねぇw
29:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/19(金) 10:01:31.94:919G/3TI0戦闘終了
僧侶「ベホイミ」
勇者「ありがとう……」
魔法使い「ふう……なんとか勝てた」
商人「あ、あの……」
勇者「商人?どうした?」
商人「すいません……私の所為で……」
勇者「え、どうして―――」
僧侶「全くです」
魔法使い「ちょっと!?」
僧侶「貴女がしっかり勇者様の背中を守っていれば、傷つかずに済んだんですよ?」
勇者「おい」
商人「すいません……すいません……」
僧侶「謝って済む問題ではありません」
勇者「僧侶、その辺にしとけって」
僧侶「しかし」
勇者「いいから」
商人「……すいません」
勇者「もういいから。ほら、この通り傷も癒えたし」
商人「勇者様……」
魔法使い「ほらほら。過ぎたことを気にしてもしょうがないでしょ」
商人「は、はい……」
僧侶「……ふん」
勇者「さ、気を取り直していこうか。この辺の魔物は凶暴だから野宿は避けたい」
商人「そ、そうですね」
魔法使い「じゃあ、早く行きましょう」
僧侶「北に向かえば村があったはずです。急ぎましょう」
勇者「おし!」
商人「はぁ……」
魔法使い「……」
商人「あ、5G発見」
勇者「え?ホントに?」
商人「はい」
勇者「すごいなー」
ナデナデ
商人「あぅ……///」
僧侶「5Gなんて意味がありませんよ?」
商人「え……あ、はい」
僧侶「1000Gぐらい拾ってくれるなら別ですけど」
魔法使い「僧侶!」
勇者「どうしたんだ?」
僧侶「別になんでもありません」
商人「す、すいません……」
僧侶「ふん……」
勇者「おいおい」
村
勇者「おっし。目的地に着いたな」
僧侶「はい」
商人「や、宿屋を探してきます!!」
勇者「じゃあ、俺も―――」
僧侶「勇者様は買い出しです」
勇者「え?」
僧侶「買い物には男手はいるんですから。ほら、いきましょう」
勇者「あ、はいはい。魔法使い、商人についていってくれ」
魔法使い「わかりました」
商人「すいません……」
魔法使い「なんで謝るのよ?」
商人「あ、いえ……」
魔法使い「ほら、元気出して。別に僧侶は貴女を責めてるわけじゃないから」
商人「そ、そうなんですか……?」
宿屋
商人「え?満室!?」
店主「悪いね、旅のかた。今日はここに泊りたいって人が多くって」
魔法使い「何かあるんでしょうか?」
店主「魔王の勢力が強くなってきた所為か、ここら辺の魔物が一層凶暴化したらしくってね」
商人「もしかして……多くの人がここで足止めを?」
店主「そういうことだ」
魔法使い「でも、このほかに宿屋はないんですよね?」
店主「ああ」
商人「そ、そんな……勇者様に怒られる……」
魔法使い「怒りはしないと思うけど」
店主「悪いね、本当に」
商人「はぁ……いえ、ありがとうございました」
魔法使い「さて、どうしたものか」
僧侶「ええ!?」
商人「すいません!すいません!!」
勇者「いや、商人が謝ることじゃないだろ?」
商人「で、でも」
魔法使い「どうしますか?」
勇者「うーん」
僧侶「全く……どこで役に立てるんですか?」
商人「すいません……」
僧侶「やはり、早く転職すべきでは?」
商人「あぅ……」
魔法使い「僧侶、言葉が強い」
僧侶「だって……」
勇者「あ!そーだ。商人の特技におおごえってあるんだろ?それで宿屋呼べないのか?」
魔法使い「おー!それだ!」
商人「え……」
村の外
勇者「実は見てみたかったんだよなぁ」
魔法使い「そういえば使う機会ってありませんでしたね」
僧侶「……できるのでしょうか?」
商人「……あの、本当にやるんですか?」
勇者「うん……なんか、まずい?」
商人「いえ!いえ!!」
僧侶「まさかとは思いますが、できないってことはないですよね?」
商人「ギク……」
魔法使い「まさか。商人の十八番だし」
勇者「うんうん」
商人「……で、では……宿屋さぁぁぁぁぁぁん!!!!!!」
勇者「おお!!来そうだ!!」
魔法使い「……(ワクワク」
僧侶「……」
―――10分経過
商人「……」
勇者「やっぱり、店ごともってくるのか?」
魔法使い「えー?あ、でも、宿屋だとそうかもしれませんね」
僧侶「……」
―――30分経過
勇者「遅いなぁ……あ、あれか?店ごとだから時間がかかるのか?」
魔法使い「そうでしょうね」
商人「……うぅ」
僧侶「……はぁ」
―――1時間経過
勇者「ふんふん!!」
魔法使い「えっと……アバカムは……こうして……」
僧侶「……来ませんね」
商人「……すいません」
勇者「え?できない?」
商人「すいません……実はまだ……」
僧侶「勇者様」
勇者「どうした?」
僧侶「今からでも遅くはありません。商人さんを転職させましょう」
商人「え!?」
勇者「うーん……」
魔法使い「まあまあ」
僧侶「商人の要とも呼べる『おおごえ』が使えない以上、この人をこのままにしておく意味があるとは思えません」
商人「す、すいま―――」
僧侶「誰かが死んでもそうやって謝る気ですか?」
商人「そ、それは……」
勇者「おい、僧侶」
僧侶「事実です」
魔法使い「……はぁ……どうしたものか……」
村
勇者「とりあえず、村の中にいよう。外よりは安全だ」
僧侶「わかりました」
魔法使い「あ、勇者様。私、ちょっと魔法の実験してきます」
勇者「新しい魔法か?」
魔法使い「はい」
勇者「一緒に行こうか?」
魔法使い「いえいえ。商人を同行させますから、大丈夫です」
商人「……え?」
魔法使い「はい、立って。いくよ」
商人「あ、はい……」
僧侶「―――勇者様、ご決断を」
勇者「でも、商人の気持ちもあるし」
僧侶「死んでからでは遅いんですよ?」
勇者「分かってるけど……」
村の外
魔法使い「はい!もう一回!」
商人「―――メラ!!」
シーン
魔法使い「はい!もう一回!」
商人「あ、あの……」
魔法使い「どうしたの?」
商人「もう……やめましょう……私、転職します……」
魔法使い「諦めるの?」
商人「……」
魔法使い「まあ、貴女がそう決めたのなら良いけど」
商人「すいません……」
魔法使い「―――本当にいいの?」
商人「……はい」
魔法使い「じゃ、戻りましょうか」
勇者「ふんふんふん!!!!!」
魔法使い「勇者様って暇があれば素振りか腕立てしてますねー」
勇者「まあな。みんなを守るのも俺の務めだしな!」
商人「……」
魔法使い「ほら。自分で言う」
商人「は、はい……」
勇者「ん?」
商人「あの……勇者様……私、転職します」
勇者「え……」
僧侶「そうですか……良かった……」
商人「もうこれ以上はご迷惑をおかけしたくありません」
勇者「……いいんだな?」
商人「はい」
勇者「―――わかった」
僧侶「では、早速ダーマに行きましょう」
ダーマ神殿
神官「では、商人がなりたい職業を選べ」
商人「はい……せ、戦士を希望します!」
神官「わかった……」
僧侶「これで我々も安心して旅ができますね」
勇者「……」
僧侶「勇者様?」
魔法使い「はぁ……」
勇者「……くそ」
神官「では、今から戦士として生きるがよい」
戦士「はい!ありがとうございます!」
僧侶「では行きましょうか」
勇者「ああ……」
戦士「あ、はい!」
魔法使い「……」
戦闘中
勇者「はぁああ!!!」
戦士「やぁぁぁぁ!!!」
魔物「ぐええええ!?!」
魔法使い「トドメ!!べギラゴン!!」
ゴォォォォォ!!
僧侶「バギクロス!!」
ヒュォォォォォ!!!
勇者「―――ふう」
戦士「や、やりましたね、勇者様!!」
勇者「……そうだな」
戦士「あ、れ?」
僧侶「ふふ、これで魔王討伐に一歩前進といったところですか」
魔法使い「でも、油断はできない。まだ戦士になりたてだし」
僧侶「それは勿論。でも、戦力が強化されたのは事実ですから」
勇者「さてと、じゃあ、このまま進もうか」
戦士「あ、勇者様。でも一度、村で体勢を立て直した方が」
勇者「戦士がいるんだ。その必要はない」
戦士「え……でも……」
僧侶「賛成です。ここは一気に進むべきです」
魔法使い「大丈夫なの?」
僧侶「今の私たちなら周辺の魔物など敵になりませんよ」
魔法使い「だといいけど」
勇者「よし、いくぞ」
戦士「あの……勇者様?」
勇者「ん?」
戦士「怒ってるんですか……?」
勇者「なに対して?」
戦士「あ、いえ……すいません……」
勇者「いこう」
洞窟
勇者「この洞窟を抜けないとダメか……」
魔法使い「どうしますか?やはり、一度戻った方が」
戦士「私もそう思います」
僧侶「いえ、行きましょう。余力は十分ですし」
勇者「……そうだな。戦士もいるし」
戦士「え……」
魔法使い「―――勇者様、何を拗ねているんですか?」
勇者「拗ねる?」
魔法使い「さっきから何かにつけては戦士がいるからとばっかりじゃないですか」
勇者「……」
戦士「あ、あの……」
僧侶「勇者様は最善を仰っています。魔法使いさんの意見を聞いていては、進めるときに進めません」
魔法使い「な……!?」
勇者「よせ。―――このまま進もう」
勇者「みんな、気を付けろよ」
戦士「は、はい」
僧侶「大丈夫です」
魔法使い「……薄気味悪い……」
勇者「……ん?」
僧侶「どうしました?」
勇者「向こうに灯りが……」
戦士「本当ですね」
魔法使い「……」
勇者「行ってみよう」
僧侶「はい」
戦士「……ま、まってください」
魔法使い「はぁ……」
戦士「どうか、しました?」
魔法使い「気持ちがバラバラのときは一番危ないのよね」
トロル「ん?だれだ?」
勇者「な?!」
トロル「ふん。勇者御一行の到着か」
戦士「トロル……!?」
魔法使い「ちょっとまって!まだいる!」
動く石像「ふふふ……いい度胸だ」
僧侶「……く!?」
勇者「……くそ」
魔法使い「だから言ったのに……バカ」
戦士「勇者様……」
トロル「ふふふふ……いくぞ!!」
動く石像「おおお!!!」
勇者「―――はぁぁぁ!!!」
戦士「やぁぁぁ!!!」
トロル「―――弱いわ!!!」
ドォォン!!
勇者「が……!?」
戦士「ゆ……しゃ……」
動く石像「ふん……てんでバラバラだな」
僧侶「う……」
トロル「先に来た冒険者たちのほうがよっぽど手ごわかったぞ?」
魔法使い「……しゃれに……なってない……」
動く石像「楽にしてやろう……ふん!!!」
ドン!!!
僧侶「はぎゃ―――」
戦士「僧侶さん!!!」
トロル「こっちもだ―――おりゃぁぁ!!!」
ズン!!!
勇者「ぎぃ……!!」
魔法使い「あ……ぁ……」
トロル「ふふふ……さてと……もう魔力も残っていまい?」
戦士「こ、ここまで……?」
動く石像「がははははは!!!―――死ね!!!」
魔法使い「……く!」
戦士「―――てい!!」
ズバッ
動く石像「ぬう!?」
魔法使い「よし!!戦士!!こっちにきて!!」
戦士「は、はい!!」
トロル「逃げる気か!?」
動く石像「面白い!二人を残して逃げるとはな!!」
戦士「―――くそぉ!」
魔法使い「―――リレミト!!」
シュン!
外
戦士「はぁ……はぁ……」
魔法使い「……ふう」
戦士「……すいません」
魔法使い「いいえ。これは勇者様の所為だし」
戦士「でも……」
魔法使い「勇者様がしっかりしてれば、こんなことにはならなかった」
戦士「……」
魔法使い「それより……はやく宿屋でも道具屋でもいいから、呼んでくれない?」
戦士「え……?」
魔法使い「もう……限界、だし……」
戦士「魔法使いさん!?」
魔法使い「……」
戦士「魔法使いさん!!??しっかりしてください!!」
戦士「あ……あ……どうしよう……どうしよう……」
戦士「―――ダメ。困っても、謝っても、何も変わらない……!!」
戦士「……やらなきゃ……私にできることを今しなきゃ……」
戦士「―――だれかぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」
戦士「だれかぁぁぁぁ!!!!!きてくださぁぁぁぁぁい!!!!!」
戦士「おねがいしまぁぁぁぁぁす!!!!!!!」
戦士「はぁ……はぁ……」
戦士「お願い……だれか……」
戦士「―――あきらめちゃだめ……勇者様を―――みんなを救えない……」
戦士「だれかぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
戦士「―――だれでもいいからぁぁぁぁきてくださぁぁぁぁぁぁい!!!!!!」
戦士「はぁ……やっぱり……誰も……うぅ……すいませ―――」
―――ドドドドドドドドドド!!!!!
戦士「!?」
軍隊か
98:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/19(金) 11:19:35.42:919G/3TI0傭兵A「なんだ!?」
傭兵B「呼んだ!?」
戦士「え……はい?」
傭兵C「商人居ないじゃん」
傭兵D「久しぶりに『ぐんたいよび』を使える商人がいるから飛んできたのに」
戦士「あ、あのぉ……」
傭兵A「ん?―――あ、もしかして『ぐんたいよび』を使ったの貴女ですか?」
戦士「いえ……いや、確かに呼びましたけど……」
傭兵B「これはこれは、では、どこの魔物を討伐いたしましょう?」
戦士「ええ?」
傭兵C「おいこっちの魔法使いさん、えらい怪我だぞ」
傭兵D「まかせろ!―――ベホマ!!」
魔法使い「……ん……え?」
戦士「魔法使いさん!!」
魔法使い「え……だれ?この人たち?」
傭兵A「さあ、魔物はどこですか?」
傭兵B「腕がなるぜえ!!」
戦士「……」
魔法使い「ねえ、ちょっと、どういうこと?」
戦士「分かりません……必死になって叫んでたら、来ちゃって」
魔法使い「はぁ?」
傭兵C「商人さん、魔物はどこにいるんですか?」
戦士「あ、いえ、私は元商人なんで」
傭兵D「ええ?もったいない」
戦士「え?」
傭兵A「『ぐんたいよび』を使える商人は1000人に一人。まさにあなたは商人の中の商人です」
傭兵B「もっと商人を磨くべきですよ」
戦士「そ、そうなんですか?」
傭兵C「ええ。それよりも、今は魔物の討伐が先です。さあ、どこにいるんですか?」
戦士「あ、はい……こっちです!!」
洞窟内
勇者「……」
僧侶「……」
トロル「さてと……もうこいつらも虫の息だな」
動く石像「勇者は魔王様に献上するとして……こっちの女はどうする?」
トロル「そうだな……って、一つしかないだろ♪」
動く石像「それもそうだな!!」
トロル「がははははは!!!」
動く石像「デュフフフフフ!!」
戦士「まってください!!」
トロル「ん?」
魔法使い「二人は返してもらう」
動く石像「ほお……面白い」
トロル「二人で何ができるっていうんだ?」
戦士「―――二人じゃないです!!」
トロル「なに?!」
傭兵A「ひゅー、見ろよ。トロルと動く石像だぜ」
傭兵B「いいねえ……久しぶりだ」
傭兵C「確かに上級モンスターなんて久方ぶりだな」
傭兵D「こりゃあ、思う存分暴れられるな」
動く石像「―――ぐふふふふ!!!」
トロル「ふん。何かと思えば戦士を四人連れてきただけか!?これは傑作だ!!」
動く石像「ああ!!そんな四人で何ができる?返り討ちにしてくれるわ!!」
戦士「……」
魔法使い「大丈夫なの?向こう、かなり余裕みたいだけど」
傭兵A「商人さん、二人を助けに行ってください」
傭兵B「魔物は俺たちがなんとかします」
戦士「わ、わかりました……魔法使いさん!」
魔法使い「え、ええ」
トロル「―――なに勝手な事いってんだぁぁ!!!おらぁぁぁぁ!!!!」
傭兵A「―――よっと」
トロル「なにぃ!?俺様の棍棒を……片手で受け止めただと!?」
傭兵A「軽いなぁ。昔のトロルの方が何倍も強かったぜ?」
トロル「なんだと……は!?」
動く石像「なめんなぁぁぁ!!!」
傭兵B「やめとけ……よ!!!」
ドン!!
動く石像「な、にぃ!?俺が力で圧された……!?」
トロル「ま、まさか……貴様たちは……!?」
戦士「勇者様!!」
勇者「う……しょ……にん……?」
戦士「はい!商人です!!助けにきましたよ!!」
勇者「……ごめ……ん……」
魔法使い「しっかりして!!」
僧侶「うぅ……」
傭兵C「逃げてください!!」
魔法使い「い、いいの?」
傭兵D「お代はあとで頂きます」
戦士「わ、わかりました!」
魔法使い「リレミト!!」
シュン
トロル「ぬぅぅぅう!!」
傭兵A「さて……と」
動く石像「こいつらの強さ……まさか」
トロル「間違いない……先代の勇者か!?」
傭兵A「今はただの傭兵だ。もう隠居したかったんだけど、精霊様がまだまだ力を貸して欲しいっていってな」
傭兵B「おかげでこうして出張ってるわけよ」
トロル「くそぉ……まだ生きていたのか……!!」
傭兵C「さて……行きましょうか?」
傭兵D「じっくりと楽しませてもらうよ?」
先代の勇者www
126:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/19(金) 11:43:57.49:919G/3TI0トロル「だらっしゃぁぁぁ!!!!」
傭兵A「ギガデイン!!!」
トロル「あびゃびゃーーーー!!!!」
動く石像「ひぃぃぃ!!!」
傭兵B「にげんじゃねえ!!!おらぁぁぁ!!!!」
ゴキィイ!!
動く石像「がはぁ!!!足が―――」
傭兵C「じゃあ、同時に」
傭兵D「いきますか」
動く石像「な、やめ―――」
傭兵C&D「イオナズン!!!」
動く石像「ぎゃぁあああああああああああ!!!!!!!」
傭兵A「ふう……さてとお代もらってかえるか」
傭兵B「そうだな」
傭兵C「いやーすっきりした!」
隠居暇だから傭兵やってるのかwww
130:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/19(金) 11:46:27.86:4myNIOQr0
ヒューッ!
132:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/19(金) 11:48:09.18:919G/3TI0戦士「勇者様……しっかり」
勇者「う……」
魔法使い「薬草も全然足りないか……」
僧侶「……っ」
傭兵A「終わりました」
戦士「あ、みなさん!」
傭兵B「えっと、じゃあ、お代なんですけど……100Gもらえます?」
魔法使い「え……そんなに安くていいの?」
傭兵C「初回割引中なんで」
戦士「じゃ、じゃあ……どうぞ」
傭兵D「まいど♪―――っと、二人がやばいな」
傭兵A「―――ベホマズン!!」
魔法使い「その呪文って!?」
傭兵A「ではこれで」
戦士「待ってください!!最後の回復代も払います!!」
傭兵かっけぇ
134:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/19(金) 11:51:46.23:919G/3TI0傭兵A「それはあなた達の出世払いにしときましょう」
戦士「え……」
傭兵B「かっこいいねえ、俺達♪」
傭兵C「最後の代金は10000Gぐらいですから」
傭兵D「しっかり稼げる商人になってくださいね」
戦士「は、はい……」
傭兵A「では……ルーラ!!」
ヒュン!!
魔法使い「いっちゃった……」
勇者「う……ん……」
戦士「勇者様!!大丈夫ですか!?」
勇者「あ、ああ……」
僧侶「あ、れ……魔物は……?」
魔法使い「もう倒しました。―――商人のおかげで」
戦士「え……!?」
勇者「そうなのか?」
戦士「い、いや……私の力じゃ……」
魔法使い「いいえ。貴女の力、でしょ?」
戦士「……それは……」
勇者「なあ……本当は商人のままでいたいんだろ?」
戦士「え……」
勇者「どうして本当のことを言ってくれないんだ?」
戦士「だって……みなさんにご迷惑が……」
勇者「俺は君がそうやって自分を押し殺している様なんて見たくない」
戦士「勇者……さま……?」
勇者「確かに商人のままじゃ、きつい場面はあった。もしかしたら君自身が転職を考えているかもしれないと思って、先日は転職について訊ねた」
戦士「はい」
勇者「でも君は商人を捨てたくないって顔に出てた……だから俺はもう何も言わなかった」
戦士「勇者様……」
勇者「―――いや。ごめん……今回は俺が全部悪い。偉そうなことは言えないな。すまない。勇者失格だ」
戦士「そんなことは……!!」
僧侶「勇者様……」
勇者「もういいだろ?この子の気持ち次第だ。俺は強要なんてしたくない」
僧侶「……はい」
戦士「あの……えと……」
魔法使い「ほら、自分の意見をはっきりいう!」
勇者「……」
戦士「あの……商人に戻りたいです!」
勇者「よし!今すぐダーマ神殿に行こう!!」
戦士「はい!!」
魔法使い「ふう……ま、あの傭兵たちをいつでも呼べるようになったらすごい楽になるだろうしね」
僧侶「傭兵?」
魔法使い「今度また見せてくる、よね?」
戦士「で、できるかわかりませんけど……やってみます!」
勇者「―――ルーラ!!」
傭兵「いや、ぼくらゼロムス倒さないと・・・」
145:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/19(金) 12:05:07.79:919G/3TI0―――数日後
商人「傭兵さぁぁぁぁぁん!!!!」
勇者「はぁぁ!!!」
ズバッ
魔物「ぎゃあぁぁぁす!!!」
僧侶「終わりましたよ?」
商人「す、すいません……なんかうまくできないです」
勇者「傭兵ってすごい強かったんだろ?そんな簡単にはいかないんじゃないか?」
魔法使い「はぁ……楽になると思ったのになぁ」
商人「す、すいません……」
勇者「いや……商人は十分俺達の助けになってくれてるって。謝るな」
ナデナデ
商人「あぅぅ……でもぉ」
僧侶「はぁ……ま、助けてもらったのは事実ですし……今度に期待します」
商人「す、すいません……すいません……」
頑張れ商人
150:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/19(金) 12:09:53.12:919G/3TI0―――神殿
ルビス「ふふふ……ほら、変な嘘を言うから商人が泣いてますよ?」
傭兵「だって、ああでも言わないと立ち直ってくれなかったでしょう?」
ルビス「まあ、そうですけど……嘘も方便ということばありますからね」
傭兵「はいはい」
ルビス「今度の勇者は中々の好青年だったと聞きましたが?」
傭兵「でも、ガキですよ。―――まるで昔の俺みたいでした。無鉄砲で仲間のことを気にしすぎて空回りするところとか」
ルビス「そうですか。ならば、彼の者たちが世界を救う者になりますね」
傭兵「だと良いですけど」
ルビス「ふふふ……また、呼ばれてますよ?」
傭兵「あの商人に『ぐんたいよび』なんてできるわけないでしょう?」
ルビス「もう少し、精進がいる、ということですか?」
傭兵「そうですね。あともう少しだけ」
ルビス「その時まで我々は温かく見守りましょう」
傭兵「……はい」
僧侶「また戦闘が先に終わりましたね」
商人「す、すいません……」
勇者「ほらほら、いじめるな」
僧侶「しかし……!!」
魔法使い「まあ、最高の魔法みたいなものでしょうし、ゆっくりとね?」
商人「すいません、すいません」
勇者「はいはい。もう謝らなくていいから。僧侶もあまり酷いことを言わないようにな」
僧侶「……ふん」
商人「うぅ……あ、5G発見しました♪」
勇者「お、でかした!」
商人「あ……すいません……い、意味ないですよ……ね?」
僧侶「……・はぁ。商人のくせに計算もできないんですか?」
商人「はぇ?」
僧侶「前回との合計で10G。薬草が買えますよ。全く……貴女の所為で薬草代もバカにならないんですから、それぐらいはしてください」
商人「―――はい!!私、商人としてこれからもみなさんのためにがんばります!!」
おしまい
乙
163:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/19(金) 12:17:36.95:eG6AFpHo0
>>1乙、僧侶はツンデレか
177:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/19(金) 12:41:45.21:aRk/FYtu0
>>1乙
良かったぜ
良かったぜ
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コメント一覧 (11)
てっきりオーブの話だと思ったのに
ピンク分が不足しちまうだろうが! 戦士? そんな金食い虫に用はねぇw
傭兵かっこいいな
言い方の良し悪しを別にすれば、僧侶が一番正しい事言ってるだろ。