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1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/25(木) 09:54:35.48:zRLJni9p0
勇者「……観念しろ」
魔王「くそ……!!殺すなら殺せ!!」
勇者「―――いや、殺しはしない」
魔王「な、に……?」
勇者「もう人間に迷惑をかけないと約束してくれ、魔王」
魔王「勇者……」
戦士「いいのか?」
僧侶「勇者様……」
勇者「魔王……お前の罪は消えることはない。だから、生きることでその罪を償い続けろ」
魔王「勇者……お前ってやつは……!!」
戦士「ったく、俺達の勇者も甘ちゃんだな」
僧侶「ふふ……まあ、そこがいいんですけど、ね?」
戦士「まぁな」
勇者「じゃあな」
魔王「―――あ、だめ!!!いかないで!!!」
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4:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/25(木) 09:57:55.29:zRLJni9p0
勇者「なんだ?」
魔王「おほん……私はただの手下に過ぎないんだ」
戦士「手下だと?」
僧侶「どういうことです?」
魔王「私の上に大魔王様がいるんだ」
勇者「……なるほど、その大魔王を倒さないかぎり平和は訪れないのか」
魔王「そういうことだ」
僧侶「では、勇者様」
勇者「そうだな。次の目的がはっきりした。大魔王を倒すぞ」
戦士「おっしゃ!腕が鳴るぜ!!」
魔王「ふっふっふ」
勇者「なんだ?」
魔王「貴様らでは到底大魔王様には敵わないだろう」
戦士「なに?」
魔王「そこで……私を仲間にせぬか?」
7:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/25(木) 10:00:44.93:zRLJni9p0
勇者「断る」
魔王「え……?」
僧侶「急ぎましょう」
戦士「おう!」
勇者「よし、いくぞ!」
魔王「まって!!!行かせない!!!」
勇者「回り込まれた!?」
戦士「邪魔だ、どけ!!」
僧侶「なんですか?」
魔王「この私がついて行ってやろうというのだぞ?」
勇者「だから、断るって言っただろ」
魔王「なんで?」
勇者「魔王をつれて歩けるわけないからだ」
魔王「いやいや、魔王が仲間になるとか結構ありがちな展開だと思うよ?」
勇者「ないよ。いいから、どけ」
11:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/25(木) 10:03:29.32:zRLJni9p0
僧侶「邪魔です」
ゲシッ
魔王「あぅ!?」
戦士「ねてろ」
ドゴォ
魔王「ふげぇ!?」
勇者「さらばだ」
魔王「ま、まてぇ!」
ガシッ!!
勇者「く……!?足を掴むな!!鬱陶しい!!」
魔王「お願いだから、仲間にしてくださいよぉ……お願いします……」
勇者「お、おい……泣く奴があるか……」
僧侶「なにか事情がありそうですね」
戦士「ったく……」
魔王「うぇぇぇん……・みすてないでよぉ……」
12:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/25(木) 10:07:03.97:zRLJni9p0
―――魔王の部屋(6畳一間)
魔王「どうぞ……」
勇者「うむ……結構庶民的なんだな」
魔王「だから、私もただの手下なんですってば」
僧侶「そうですか……大変ですね」
戦士「よっこいせ……んで、どうして仲間になりたいんだ?」
魔王「あ、っと……お茶出さないと」
勇者「おかまいなく」
僧侶「あ、手伝います」
魔王「すいません……」
戦士「ふうん……苦労してるみたいだなぁ」
勇者「魔王も所詮は大魔王の駒でしかないということか」
戦士「世知辛らいな」
勇者「ああ」
魔王「あ、お茶っ葉きれてる……どーしよぉ……水じゃあ、失礼だし……」
14:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/25(木) 10:11:06.71:zRLJni9p0
僧侶「あ、でも、コーヒーはあるんですね」
魔王「うん。これでもこだわりがあって、いつもブラックで飲むんだけど」
僧侶「へえ、実は私もそうなんです」
魔王「え!?ホント!?ブラック派なの!?」
僧侶「まあ、そこまでブラックにこだわっているわけじゃないですけどね」
魔王「いやぁ、嬉しいなぁ。なんかね、ブラック飲んでたら他の魔物に「魔王さんてかっこつけですね」とか言われちゃってさぁ」
僧侶「ああ、分かります。こっちの好みってだけなんですけどね」
魔王「そうそう。困っちゃうよね?」
僧侶「ねー?」
勇者「どうでもいいから、話を進めてほしい」
戦士「たのむぜーつか、腹減った」
魔王「ええ!?えっと……サンドイッチなら作れますけど」
戦士「おお、それでいいよ」
魔王「わかりました。ちょっと待っててくださいね」
戦士「楽しみだな」
16:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/25(木) 10:14:43.84:zRLJni9p0
魔王「―――どうぞ。カツサンドにしてみました」
勇者「随分と手の込んだものを……ありがとう」
魔王「いえいえ。勇者様たちのお口に合えばいいのですが」
戦士「いっただきまーす♪」
僧侶「いただきます」
戦士「―――おお!!うまい!!」
僧侶「はい。とても、美味しいです」
勇者「ああ。いい嫁になれるんじゃないか?」
魔王「え……や、やだ……勇者さまったら!もう……えへへ」
勇者「さてと、本題に入ろう」
戦士「そうだな。なんで仲間になりたいんだ?」
魔王「それは……大魔王様が怖いから……なんですけど」
僧侶「怖い?」
魔王「勇者に負けた奴は酷いお仕置きが待っているんです……」
勇者「お仕置き……どういう?」
19:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/25(木) 10:19:04.12:zRLJni9p0
魔王「わかりません」
戦士「なんだと?」
魔王「私は初めて勇者様に負けたので……」
勇者「どんなお仕置きがあるのかは聞いたこともないと?」
魔王「死ぬより恐ろしいとだけは聞きました」
僧侶「そんな……」
戦士「つまり、お仕置きが怖いから仲間になって反旗を翻すわけか?」
勇者「安直な」
魔王「大体、勇者様が私を殺せばすっきり解決なんですけど!?」
勇者「―――そうか。首を出せ」
魔王「か、かんべんしてください……」
勇者「ほら……死ぬ覚悟なんてないじゃないか」
魔王「え?」
勇者「俺はあのとき、お前が死を恐れていると感じた。だから、剣を収めたんだ」
魔王「え……あ、そうなんですか……すいません。ご迷惑をおかけしました」
21:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/25(木) 10:22:48.21:zRLJni9p0
戦士「っていうか、勇者は初めから殺すつもりなんてなかったんだろ?」
魔王「え?」
勇者「ば、ばか!!」
僧侶「ふふ……魔王さん、実はですね」
勇者「こら!!やめろ!!」
魔王「な、なんですか?」
戦士「勇者のやつ、お前のことを一目見たときになんて言ったと思う?」
魔王「え?」
勇者「お前ら!!!」
僧侶「可愛い、って呟いたんですよ?」
勇者「うわぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」
魔王「ちょ……え……あ、その……やだ……」
勇者「なんで喋るんだ!!!??」
戦士「勇者が口を滑らすから悪いんだよなぁ?」
僧侶「そうですねえ」
26:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/25(木) 10:27:08.95:zRLJni9p0
勇者「……」
魔王「あ、あの……勇者さま。そんな部屋の隅にいないで……その……」
戦士「あーあー、いじけちゃった」
僧侶「ふふ……」
魔王「勇者さま……あのぉ……どこで私のことを?」
戦士「ああ、実は一か月前のことなんだけど」
魔王「一か月前?」
僧侶「魔王さん、砂漠の町に来てましたよね?」
魔王「あ、ああ。はい。あそこの女王様にお茶会に来ないかと誘われまして」
戦士「お茶会?」
魔王「月一であるんですよね。まあ、表向きは魔王の下にこないかぁって誘っていることにしてますが」
僧侶「へえ」
魔王「でも、私が魔王ってよくわかりましたね。変装してたんですけど」
戦士「だって、後ろに何十匹もスライムつれてたじゃん」
魔王「え?!単にスライム連れてる女の子に見えなかったんですか!?うそぉ!?」
29:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/25(木) 10:31:20.68:zRLJni9p0
僧侶「スライムだって魔物です。それを連れて歩けるなんて魔王ぐらいでしょうに」
魔王「がびーん……そっかぁ……やっぱり、バブルスライムのほうがかわいげあったかなぁ」
戦士「お前のセンスがよくわからん」
魔王「これからは誰を連れていけばいいんでしょうか?」
僧侶「いやいや……人間をつれていればいいんじゃないですか?」
魔王「人間?」
戦士「そうだな。僧侶とかつれていれば年相応の女の子って感じかも」
魔王「おおー」
僧侶「勇者様が隣にいれば、恋人みたいですよ?」
魔王「えぇぇ!?!」
勇者「やめろぉぉぉ!!!!!」
戦士「あっはっはっは、愉快愉快」
魔王「うぅ……じゃあ、勇者様?」
勇者「な、なんだ?」
魔王「つ、つきあっちゃいます?―――きゃぁ!!!なんちゃってなんちゃってぇ!!!」
33:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/25(木) 10:36:11.05:zRLJni9p0
勇者「―――えーと、魔王には少し黙ってもらって」
魔王「いたぁい……殴らなくてもいいのにぃ」
戦士「かわいそーだ」
僧侶「いたいのいたの、飛んでホイミー♪」
魔王「あは、いたくない♪」
勇者「おい。話を進めぞ。とにかく、大魔王の叱責が怖いから、俺達についてきたいんだな?」
魔王「はい」
戦士「どうする?」
僧侶「あ……ここにとんがり帽子があるので、これをかぶってもらって……」
魔王「え?え?」
戦士「なるほど……んで、このローブをマントみたいにして……」
魔王「あのぉ……何を?」
勇者「で、束ねてる髪を解いて……ストレートヘアにしてっと……うし!」
僧侶「やりました!どうみても、魔法使いの女の子です」
魔王「え……そ、そうですかぁ?」
34:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/25(木) 10:40:50.53:zRLJni9p0
戦士「あ、そーだ。魔王は胸が足りてないからぁ」
魔王「大きなお世話です!!!」
戦士「ほら、僧侶の豊胸パッドつけとけよ」
僧侶「ぎゃぁぁぁあああああああ!!!!!!」
勇者「僧侶……」
僧侶「あ、いや、これは……戦士さん!!!!」
戦士「だってさぁ。お前、勇者の気を惹こうとしてるからさぁ。こんな姑息な手を使うなら、魔王にもって思って」
僧侶「戦士さんみたいに胸の大きな人には分かりません!!!!」
魔王「そーだ!そーだ!!」
勇者「おい、やめろ」
戦士「なんだよ?戦闘のとき邪魔だし、肩こるしでいいことないぞ?」
僧侶「憎らしい!!!」
魔王「メラゾーマ!!!」
戦士「あぶねええ!?!」
勇者「いい加減にしろ!!話が進まん!!!」
37:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/25(木) 10:46:34.92:zRLJni9p0
魔王「むぅ」
勇者「わかった。まあ、そこまでいうなら一緒にこい」
魔王「あは♪」
勇者「ただし。ついてくる以上は、人間として振る舞ってもらう」
魔王「え?」
勇者「魔物に声を掛けられても無視すること。魔物と戦うことになっても手加減しないこと。いいな?」
魔王「そ、そんな!?大魔神さんとかキマイラさんとかおっかい魔物はいいですけど、スライムさんとかは可愛いし……そのぉ」
戦士「それは諦めろ」
僧侶「こちらも魔王を連れて歩く以上、それなりのリスクがありますから」
魔王「リスク?」
勇者「魔王によって家族や恋人を失った人は多いんだ。わかってくれ」
魔王「え!?わ、わたし、そんな酷いことしてません!!!―――そ、そうだ、きっと西の魔王が!!」
勇者「君が人間を襲わない魔王ということはなんとなくなかったけど、理屈じゃないんだ」
僧侶「人間にとって魔王は恐怖の対象でしかありません。あなたが清い魂を持っていても、魔王というだけで忌避されるのです」
魔王「そ、そんなぁ……」
38:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/25(木) 10:49:46.16:zRLJni9p0
―――魔王の城 外
勇者「では、今から君は人間だ。いいな?」
魔王「わ、わかりやした!!」
戦士「キャラが変わってるぞ」
魔王「緊張してしまって……」
僧侶「あ……」
ドラゴン「あ、魔王様!?勇者と一緒にどちらに!?」
魔王「あ、えっとね」
勇者「おい」
魔王「あ……むむ!」
ドラゴン「魔王様?どうされたのですか!?」
魔王「んーんん!!んーん!!」
ドラゴン「魔王様!!口をあけて喋ってください!!」
魔王「っむむ!!」
勇者「……何を言いたいんだ?」
39:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/25(木) 10:53:54.98:zRLJni9p0
魔王「……ごにょごにょ」
勇者「なるほど」
ドラゴン「魔王様?」
勇者「勇者と買い出しにいってくる。勇者は私の軍門に下ったので見逃してください。とのことだ」
ドラゴン「さ、さすがは魔王さま!!勇者を配下にしたのですか!?」
魔王「むむ!!」
ドラゴン「わかりました。では、道中お気をつけて」
魔王「むむ!」
僧侶「もしかして、戦闘を極力回避していくつもりですか?」
魔王「だって」
戦士「まあ、その方が楽だしいいじゃん」
勇者「それもそうか」
魔王「でも、私のテリトリーだからできますけど、他の魔王や大魔王様の領域になると……」
僧侶「そうですね。組織の長が変われば、魔王さんの発言力は失われることになるかもしれませんね」
魔王「はい。所詮は一介の魔王ですので、すいません」
41:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/25(木) 10:57:57.04:zRLJni9p0
―――街
魔王「へえ……砂漠の町以外は来たことがないので結構新鮮です!」
勇者「とりあえず宿屋を探すか」
僧侶「そうですね」
戦士「はぁ……やっと休めるぜ」
魔王「あ、あれなんですかぁ?―――ソフトクリーム?」
店員「いらっしゃい、かわいいねえ。どうだい?たべてく?」
魔王「え……あ、と……勇者様!!」
勇者「どうかしたか?」
魔王「50Gだけください!」
勇者「なんで?」
魔王「あれを……食してみたいんですぅ」
勇者「ソフトクリーム……はぁ……ほら、これだ」
魔王「やっほぉー!!勇者様ーだーいすき♪―――おじさーん!イチゴ味のくださーい!!」
僧侶「ず、ずるい……!!」
42:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/25(木) 11:02:09.67:zRLJni9p0
戦士「おーい、宿屋確保できたぜー」
勇者「おー」
魔王「……♪(ペロペロ」
僧侶「美味しいですか?」
魔王「とても♪」
僧侶「よかったですねぇ……勇者様」
勇者「ん?」
僧侶「いいですか?いくら新顔だからと言って、甘やかすのはどうかと思います!!」
勇者「なんだよ……ソフトクリームぐらいいいだろ?」
僧侶「そういう餌付けをしてしまうと癖になって毎回ねだられますよ?いいんですか?」
勇者「うーん……そんなものか?」
戦士「お、うまそうだな。一口くれよ」
魔王「え……ひ、ひとくちだけですよ?」
戦士「さんきゅー♪―――べロン!」
魔王「わぁぁぁ!!!!!!半分以上たべたぁぁぁぁ!!!!!」
44:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/25(木) 11:05:46.91:zRLJni9p0
宿屋
勇者「じゃあ、俺は向こうの部屋だな。お前達、仲良くするんだぞ?」
魔王「―――戦士さん、嫌い」
戦士「謝ってるだろ?!」
僧侶「はぁ……戦士さんって本当に子どもですよね?」
勇者「仲良く、な」
魔王「ふん!」
戦士「おいおい、機嫌直してくれよ」
僧侶「これは当分、ヘソを曲げたままでしょうね」
戦士「たかがソフトクリームぐらいで」
魔王「あれは勇者様に頂いたお金で買ったんです!!!」
戦士「勇者が金の管理してるんだから当たり前だろ!?」
魔王「私は生れてはじめてのおこづかいだったんです!!!」
戦士「しらねーよ!!」
僧侶「もう、いいから部屋に入りましょう。ここでは迷惑になりますから」
47:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/25(木) 11:10:21.89:zRLJni9p0
魔王「ソフト……クリーム……」
戦士「ったくよぉ……」
僧侶「まあ、戦力のアップにつながったのは事実ですから、ここは一つ年上として我慢を」
戦士「……ま、そうだな。お姉さんが堪えないとな」
魔王「……筋肉バカ」
戦士「だれのことだぁぁぁ!!!!!!」
魔王「反応するってことは自覚があるんですね!!!」
戦士「てめえ!!いい度胸だ!!表にでろぉ!!!」
魔王「望むところだ!!!このやろぉ!!!!」
僧侶「あ、の……喧嘩は……」
魔王&戦士「ペチャパイは黙ってて!!!」
僧侶「―――いいでしょう。その喧嘩買いました。僧侶を舐めてると、痛い目みますよ!?」
戦士「おーし、豊胸パッドやろうに俺がまけるかよ」
僧侶「いいましたね……筋肉女……!!」
魔王「焼き殺す……!!」
48:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/25(木) 11:14:20.81:zRLJni9p0
勇者「―――ふう、さっぱりした」
勇者「さてと、明日以降の予定でも相談するかな」
勇者「―――おーい、僧侶、いるかー?」
シーン
勇者「あれ?おーい、誰もいないのかー?」
ワーワー!!
勇者「なんだ?」
客「おい、見に行こうぜ!!」
客「可愛い女の子三人がマジ喧嘩してるってよ!!」
客「僧侶の子とかマジでかわいいぜ!?」
勇者「あ、あの!!」
客「ん?」
勇者「その三人って僧侶と戦士と魔法使いっぽい人ですか?!」
客「そうだけど?」
勇者「あ、あいつらぁ……!!」
50:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/25(木) 11:18:08.90:zRLJni9p0
戦士「くらいやがれぇぇ!!!」
魔王「魔神の斧なんてあたら―――ひぶえええ!!!!」
僧侶「ザラキ!!」
戦士「ふふふ。必殺の耳栓だ」
僧侶「く!卑劣な!!」
魔王「くそぉ……!!!もえさかるほのお!!!」
僧侶「フバーハ!!!」
戦士「あっちぃぃっぃい!!!!」
観客「おれ、魔法使いに100G!!」
観客「じゃあ、僧侶に200G!!」
観客「戦士にかけるやついねーの?」
観客「戦士のオッズは?」
戦士「あったまきたぁ!!!くらいやが―――」
勇者「―――ギガデイン!!!!」
魔王&戦士&僧侶「あばばばばばばばばばば!!!!!!!」
52:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/25(木) 11:21:47.01:zRLJni9p0
―――宿屋
勇者「何が原因だ?」
戦士「……魔王」
魔王「な!?」
勇者「そうなのか?」
魔王「違います!!」
僧侶「……魔王さんが悪い」
魔王「ふぇ!?」
勇者「はぁ……あのな、俺たちは戦いで命を預け合う仲間だ。信頼が一番大事なんだ、わかるか?」
魔王「あ、そんなぁ……」
勇者「協調性がないなら、一緒に旅を続けることはできない」
魔王「勇者様!!見捨てないで!!」
勇者「……見捨てはしないけど……今日は俺と一緒の部屋で寝てもらう」
魔王「え……?」
僧侶「ずるい……!!」
55:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/25(木) 11:25:20.28:zRLJni9p0
―――勇者の部屋
勇者「入れ」
魔王「お邪魔します……あの、どうして私だけ?」
勇者「今日はあの二人と一緒にいない方がいいだろ?」
魔王「ま、まあ……そうですけど」
勇者「じゃあ、ゆっくり休め。俺は床で寝るから」
魔王「そ、そんな!!」
勇者「生憎、ここは一人部屋だ。ベッドは一つしかない」
魔王「でも……」
勇者「いいから」
魔王「わ、わかりました」
勇者「じゃ、灯りを消すぞ?」
魔王「は、はい」
勇者「……おやすみ」
魔王「お休みなさい」
59:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/25(木) 11:31:37.73:zRLJni9p0
魔王「……勇者様、まだ起きてます?」
勇者「なんだ?」
魔王「やっぱり、私……ただ皆さんの負担でしかないんでしょうか?」
勇者「どうだろうな。まだ、一日目だろ。なんとも言えない」
魔王「でも、初日からこんないざこざを起こしてしまうなんて……私は……」
勇者「はは……人間なんだ。喧嘩ぐらいするだろ」
魔王「え……?」
勇者「俺たちも最初は喧嘩ばかりだった。出逢ったときはよく衝突した」
魔王「みなさん、勇者様のことを好いているように思えましたが?」
勇者「初めはこんなに仲良くなれるとは思わなかった。戦士とはよく意見が違ったし、僧侶も全然融通がきかなくて困ったことが多々あった」
魔王「そうなんですか……私と戦ったときはすごく息がぴったりで仲がいいんだなぁって思ってましたけど」
勇者「喧嘩した結果だよ」
魔王「え?」
勇者「喧嘩して、お互いの気持ちをぶつけあって、理解していく。人間ってそういう面倒なことをしないと仲良くなれないんだ」
魔王「……」
61:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/25(木) 11:36:51.52:zRLJni9p0
勇者「だから、今日のことは悪いことじゃない。君が一歩踏み出したんだと思ってる」
魔王「―――怒ってないんですか?」
勇者「近隣に迷惑をかけたことに怒っただけ。部屋の中だけでする口論は存分にやってほしい」
魔王「勇者様……」
勇者「人間はそうやることでしか相手に近づけないんだ。……ごめんな」
魔王「いいえ。謝らないでください……。なんとなく、それは素晴らしいことだと思いますから」
勇者「そう思ってくれるなら、嬉しいな」
魔王「……勇者様、やっぱり私、戻ります」
勇者「そうか?」
魔王「私をお二人と一緒に部屋にしてくださったのは、こういうことだったんですね?……すいません、勇者様のお気遣いを無駄にしてしまうところでした」
勇者「あ……いや」
魔王「勇者様、ありがとうございます!では、失礼します!」
バタン!!
勇者「あ……」
勇者「ま、いいか」
63:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/25(木) 11:40:13.40:zRLJni9p0
戦士「―――ったくよぉ」
僧侶「戦士さんも悪いんですからね」
戦士「僧侶だって!!」
僧侶「まあ、確かにちょっと意地悪が過ぎたかなぁって思いますけど……」
ガチャ
僧侶「え……?」
戦士「あ……」
魔王「……」
僧侶「魔王、さん?どうかしま―――」
魔王「すいませんでした!!!!!!」
戦士「な、なんだよ!?」
僧侶「あ、頭をあげてください!!!」
魔王「ソフトクリームごときで拗ねてしまって、大変申し訳ありませんでしたぁ!!!」
戦士「あ……いや、それは俺も悪かった!!ごめん!!」
僧侶「わ、わたしも……少し意地悪しました。すいません……」
65:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/25(木) 11:43:43.16:zRLJni9p0
魔王「……うぅ」
僧侶「あの、もう顔を上げてください」
戦士「な、なあ、魔王?」
魔王「は、はい……」
戦士「まだ、ソフトクリーム売ってるかもしれないぜ?」
魔王「え……」
戦士「ちょっと、外に行くか?」
魔王「あ……戦士さん……」
僧侶「いいですね。こんな夜更けにやっているかは甚だ疑問ですが」
戦士「うっせえな、行ってみないとわかんねえだろ?」
魔王「そ、そうですよね!!」
僧侶「はぁ……では、食べたらちゃんと歯磨きしないといけませんよ?」
魔王「はーい」
戦士「わかってるって!」
僧侶「じゃ、いきますか♪」
66:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/25(木) 11:48:47.57:zRLJni9p0
大魔王の城 大魔王の部屋(103坪)
幹部「―――以上です」
大魔王「なるほど……東の魔王が我を裏切ったのか……」
幹部「はい。奴の配下であるドラゴンからの報告なので、まず間違いないかと」
大魔王「ふむ……一度敗れ、生き恥をさらすだけではなく謀反を企てるとは……流石の我も予想外だったな」
幹部「どうされますか?」
大魔王「決まっている……お仕置きだ」
幹部「やはり……」
大魔王「勇者共々、我の前に連れてこい!!!」
幹部「は、ははー!!!」
大魔王「許さんぞ……!!」
大魔王「寵愛してやった恩も忘れたようだな……魔王!!」
大魔王「必ずその身に後悔という名の苦痛を味あわせてやろうぞ……!!」
大魔王「ふふふ……あーっはっはっはっは!!!!!」
67:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/25(木) 11:49:58.64:hb5AmqGx0
―――翌日 街
勇者「よし、じゃあ、出発するか」
魔王&戦士&僧侶「はい」
勇者「ん?なんだ、みんなして目を輝かせて」
魔王&戦士&僧侶「あれ!!」
勇者「え?ソフトクリーム?」
魔王&戦士&僧侶「はい!」
勇者「欲しいの?」
魔王&戦士&僧侶「かなり!!」
勇者「はぁ……ほら、これで買ってこい」
魔王&戦士&僧侶「わーい♪」
魔王「バニラー!」
戦士「チョコ!」
僧侶「イチゴ!……あ、いや、マンゴー!!」
勇者「ふう……仲直りはしたみたいだな……なんとかなりそうだ」
70:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/25(木) 11:57:27.27:zRLJni9p0
魔王「……♪」
戦士「なあ、ちょっと、味見させてくれよ」
魔王「えー?じゃあ、戦士さんのチョコもいいですか?」
戦士「おうよ」
魔王「えへへ……ペロペロ」
戦士「ペロペロ」
勇者「仲良くなったな」
僧侶「昨夜、色々ありましたから(ペロペロ」
勇者「色々?」
僧侶「はい」
勇者「何があったんだ?」
僧侶「……ヒミツです♪」
勇者「なんだよ―――」
ボストロール「みつけたぞ……げっへっへっへ!!」
勇者「な!?ボストロール!?」
71:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/25(木) 12:01:00.71:zRLJni9p0
魔王「―――げ!?」
ボストロール「魔王様、私が来た意味、もうお分かりですね?」
僧侶「……!!」
戦士「わたせねえぞ!!!」
魔王「お二人とも!?」
勇者「悪いな。ここに魔王はいない」
魔王「勇者様……」
ボストロール「なんだと?」
勇者「ここにいるのは魔法使いと僧侶と戦士だけだ。他を当たれ」
ボストロール「そうはいかない……魔法使いに用があるんでね」
勇者「そうか……ならば、かかってこい!!」
魔王「い、いけません!!こいつは大魔王様の片腕で!!」
僧侶「それがなんですか」
戦士「仲間を守れなくて、大魔王なんて倒せるかってーの!!」
勇者「そういうことだ。―――いくぞ!!」
74:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/25(木) 12:04:43.37:zRLJni9p0
ボストロール「面白い……!!」
勇者「戦士!両サイドから攻めるぞ!!」
戦士「あいよ!!」
僧侶「……くらえ!バギクロス!!」
ゴォォォォォ!!
ボストロール「ふん!そよ風にもならんわ!!」
勇者「はぁぁぁ!!!」
戦士「でやぁぁぁ!!!」
魔王「―――食らいなさい!イオナズン!!!」
ボストロール「―――ほい!」
ガシ!
勇者「ぐ!?」
戦士「しまっ!?」
魔王「―――あ!?勇者さまぁぁぁぁ!!!!」
ドォォォォォォン!!!!!!
76:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/25(木) 12:08:16.56:zRLJni9p0
ボストロール「あーあ、可哀想に……げへへ」
勇者「ぁ……ぐ……」
戦士「……ぃ……」
僧侶「二人を盾にするなんて……!!」
魔王「ゆう、しゃ……さ、ま……」
ボストロール「さぁて。観念してもらいましょうか。なにも殺すわけじゃないんで、安心してください」
魔王「わ、わかり―――」
勇者「だ、だめだ……魔王……!」
魔王「勇者様!?」
勇者「いく、な……俺達の傍に……いろ……」
ボストロール「うるせええ!!!!」
ドスッ!!
勇者「がはぁ!?」
魔王「やめて!!!!―――行きます!!もう、勇者様に手を出さないで!!」
勇者「……ぐ……ま、おう……だ、め……だ……」
77:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/25(木) 12:12:26.97:zRLJni9p0
ボストロール「それでいいんですよ……げへへ」
魔王「勇者様を放して」
ボストロール「はいはい、ほらよ」
ドサッ
僧侶「勇者様!戦士さん!!」
勇者「く、そ……」
戦士「い……っ……」
僧侶「い、いま、回ふ―――」
ボストロール「よけいなことすんじゃねええ!!」
ドゴォ!!
僧侶「―――ふぐ!?」
魔王「やめなさい!!!!」
僧侶「いた……い……おな、か……うぁ……」
ボストロール「勇者一行にも来てもらいますから、元気なままじゃ困るんですよぉ、げへへ」
魔王「なんですって……?!」
81:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/25(木) 12:18:28.51:zRLJni9p0
―――大魔王の城 大魔王の部屋(103坪)
大魔王「来たか……ふふふ」
魔王「……だ、い、まお、うさま……」
大魔王「何を小鹿のように震えている?もっと、近くにこい。お前の可愛い顔をみせておくれ」
魔王「ど、どうして……私だけではなく、勇者たちまで……?」
勇者「あ、あれが……」
戦士「大魔王……?」
僧侶「……」
大魔王「魔王を誑かせた罪を償ってもらおうと思ってな……ふふふ」
魔王「そ、そんな!!」
大魔王「んん?どうかしたのか?お前は勇者に唆されただけなんだよなぁ?そうだろぉ?ん?」
魔王「ち、ちが―――」
勇者「その通りだ。俺達の力だけではお前に及ばないと思い、魔王を無理矢理に連れて行こうとしたんだ!!」
魔王「勇者様!?」
大魔王「あーっはっはっは!!やはりそうか。ならば、魔王は無罪だ。勇者……覚悟はいいな?」
82:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/25(木) 12:23:15.47:zRLJni9p0
勇者「好きにしろ」
魔王「違います!!大魔王様!!これは―――」
勇者「黙れ」
魔王「え……」
戦士「てめえの声は耳障りなんだよ」
僧侶「どうして庇おうとするんですか?仲間でもないのに」
魔王「そ……そんな……冗談、ですよね?」
勇者「お前は大魔王を討伐するための道具に過ぎなかったんだよ」
魔王「勇者……さま?」
戦士「誰が魔族を仲間だと思うんだよ。馬鹿馬鹿しい」
僧侶「どうせ、私たちを罠にはめようとしたんですよね?下手な演技はやめてください」
魔王「ちがう!違います!!!わ、わたしは……!!!」
大魔王「連れて行け」
幹部「はは」
魔王「―――勇者様!!!勇者さまぁぁぁぁ!!!!!」
86:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/25(木) 12:27:37.82:zRLJni9p0
大魔王「さてと、勇者の処刑はお前に一任していいか?」
魔王「え……?」
大魔王「流石にお前のことを疑っている者が出始めているんだ」
魔王「わ、私は……」
大魔王「無論、我はお前のことを信頼しているが、このままでは下の者に示しがつかんからなぁ」
魔王「……」
大魔王「やってくれるな?」
魔王「あ……あの……」
大魔王「魔王よ。失望させないでくれ」
魔王「!?」
大魔王「我が一番、期待しているのは他でもないお前なんだ」
魔王「大魔王様……」
大魔王「裏切らないでおくれ……頼む」
魔王「……は、い……」
大魔王「そうか……では、三日後に勇者の処刑を行うことにする。あーっはっはっは!!!」
90:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/25(木) 12:32:19.64:zRLJni9p0
―――牢獄
勇者「……魔王、大丈夫かな?」
戦士「下手な芝居だったしな」
僧侶「まあ、なんとかなるんじゃないですか?あの大魔王、頭悪そうでしたし」
戦士「魔王より、なんか可愛かったしな」
勇者「魔王ってみんな女の子なんだな」
僧侶「どういう家系なんですかね?」
勇者「さあ」
戦士「それより、ここから出ないとな」
勇者「だが、現時点では打つ手がない」
僧侶「この牢屋は魔力で解錠できるタイプですけど……生憎とアバカムは使えませんし」
戦士「はらへったー!!」
勇者「ふう……さて、どうするか」
僧侶「そうですね……お腹すきましたし」
戦士「にくー!からあげー!おにぎりー!!なんでもいいからー飯をくれー!!」
91:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/25(木) 12:37:26.58:zRLJni9p0
戦士「おーい!!だれかいませんかー!!!」
勇者「そう言えば、見張りの一人もいないんだな」
僧侶「絶対に出れないと確信してるんじゃないですか?」
勇者「なめやがって」
戦士「おらー!!きいてんのー!!!飯くれよー!!捕虜にも人権ぐらいあるだろー!!!うがーーー!!!」
僧侶「あらあら、ゴリラのモノマネがうまいですね」
戦士「おい、今なんつった?」
僧侶「ゴリラよりゴリラだと言ったんです」
戦士「ほうう……その無い乳で大根でもおろすんですかぁ?」
僧侶「―――表でろ」
戦士「望むところだ!!」
勇者「おい。やめろ」
僧侶&戦士「ペッタンコキングは黙ってて!!!!」
勇者「私はまだ15歳だ!!!これからだ!!!バーカ!!!!!!」
戦士「なんだ!?やるか!!?」
93:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/25(木) 12:38:36.19:hb5AmqGx0
勇者「その無駄乳、よこせ!!!」
僧侶「そーだ!そーだ!!」
戦士「へへーん、確かに邪魔だけど、二人がそうして羨む分にはあってよかったなぁ♪」
勇者「戦士……!!!!」
僧侶「侮辱してぇ……!!!!」
戦士「悔しかったら私みたいにナイスバディになってみろって!!!」
勇者「なりたいわ!!ぼけえ!!!!」
僧侶「我慢できません!!!勇者様!!」
勇者「おう!!」
戦士「おっし、貧乳党めかかってくるか?」
勇者「がるるるるる!!!」
僧侶「むきー!!!」
魔王「―――あ、あの」
勇者&戦士&僧侶「外野は黙ってて!!!」
魔王「ひ、ひどい……助けにきたのにぃ」
102:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/25(木) 12:46:33.33:zRLJni9p0
勇者「魔王!?無事だったのか!?」
魔王「あ、はい……でも」
僧侶「どうかしたのですか?」
魔王「三日後に処刑することになりました、勇者様を」
戦士「なんだ、勇者だけか」
勇者「おい!!」
魔王「まあ、勿論、皆さんご一緒に処刑されますけど」
僧侶「でも、今、助けにきたって」
魔王「は、はい……だって、仲間ですから」
戦士「魔王……」
勇者「だが、ここで俺たちを解放してもすぐに見つかるだろ?どうするんだ?」
魔王「チャンスは処刑のときだと思うんです」
戦士「まさか、処刑台に行くまでに逃げようとかって話か?」
魔王「いいえ。処刑される瞬間に逃げましょう」
勇者「処刑される瞬間?」
110:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/25(木) 12:51:27.54:zRLJni9p0
魔王「―――以上です」
勇者「上手くいくか?」
僧侶「邪魔が入らないことが大前提ですね」
魔王「それは心配ないと思います。大魔王様は私を信頼してくれているので」
戦士「なら良いけど……」
魔王「大丈夫です。私がなんとかしますから」
勇者「分かった。もう行け。見つかるとやばいだろ?」
魔王「はい。では、また……あ、あとこれ」
戦士「うは!!飯だ!!!」
勇者「悪いな」
僧侶「頂きます」
魔王「はい。私が腕によりをかけました。召し上がってください」
勇者「ああ、美味しい。ありがとう」
魔王「い、いえ……えへへ」
僧侶「ほんと、勇者様って魔王さんに甘いですよね」
112:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/25(木) 12:57:16.50:zRLJni9p0
―――大魔王の監視室(204坪 モニター数506画面)
大魔王「ふふふ……筒抜けだバカ者が」
幹部「ただ、暴れて、天井に穴をあけて、ルーラで逃げる……くく、そんな作戦がうまくいくものですか」
大魔王「その通りだ」
幹部「それにしても、あの勇者が女とはびっくりしましたね」
大魔王「うむ……男にしか見えんが……」
幹部「男装癖でもあるんですかね?」
大魔王「さあ、な」
幹部「では、大魔王様。私めは準備をしてまいります」
大魔王「うむ。魔王に気付かれないようにな」
幹部「はは!」
バタン
大魔王「―――ったく……お姉ちゃんたら、人間なんかに惚れちゃって……」
大魔王「妹のあたしまで立場が危うくなるじゃないの」
大魔王「絶対に許さないんだから」
113:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/25(木) 12:58:05.37:hb5AmqGx0
―――三日後
幹部「こい!!」
勇者「……」
戦士「いってえなぁ!!」
僧侶「もっと優しくしてください」
魔王「……」
勇者(魔王が後ろからついてきてるな……一応、打ち合わせ通りに進んでるか)
勇者(もしかしたらバレてる可能性もあるかと思ったけど……)
勇者(……大丈夫か?)
幹部「おい」
勇者「あ?」
幹部「お前、女なのか?」
勇者「……おい」
幹部「なんだ?」
勇者「―――お前、俺のどこを見て女だと思うんだ?」
123:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/25(木) 13:05:40.98:zRLJni9p0
幹部「え……」
勇者(っち……案の定監視されてたか……)
僧侶(あーあ)
戦士「やっぱりなぁ……見張りがいない時点で変だと思ったんだよ」
幹部「なんの話をしている?」
勇者「いーや、別に」
勇者(俺達の会話を聞いてないと、女かどうかなんて聞いてくるわけない……)
魔王「……」
戦士(作戦は筒抜けか)
僧侶(なら……)
勇者(しかたないか)
魔王「……(コク」
勇者「―――んじゃ、ここで暴れるか!!!」
幹部「なに!?」
魔王「―――罠にはめようったって、そうはいきません!!!」
124:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/25(木) 13:08:49.12:DmGAw7fqi
―――コロシアム風処刑広場(1000坪)
大魔王「―――遅い」
幹部「どうしたんでしょう」
大魔王(折角、1000匹もの魔物を配置したのに)
幹部「むー」
大魔王(まさか……ばれた……?)
勇者「うわ……うじゃうじゃいるな」
僧侶「天井に穴を開ける前に拘束されるでしょうね」
戦士「どーするよ?」
魔王「……やはり、大魔王様と戦うしか……」
勇者「―――まあ、でも今の俺たちじゃ勝てないだろうな」
僧侶「勇者様?!」
勇者「現にボストロールにさえ歯が立たなかった。無理だろう」
戦士「じゃあ、どうするんだ?」
勇者「……天井に穴をあける……その逆でいってみるか」
127:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/25(木) 13:16:31.94:zRLJni9p0
大魔王「―――む!?」
幹部「どうされました?」
大魔王「あそこだ!!!」
魔王「やば!?」
勇者「逃げるぞ!!」
大魔王「追え!!逃がすな!!!」
魔王「ひえぇぇ!!」
勇者「走れ走れ!!」
魔物「ぐるるるるるる!!!!!」
戦士「こっちにもこいよ!!」
僧侶「お手柔らかに」
幹部「反対側にも!?」
大魔王「逃がすな!!!」
魔物「ぐえええ!!!!!」
戦士「おし、来た来た!!」
129:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/25(木) 13:21:49.26:zRLJni9p0
ガリガリガリ……
勇者「くそぉ……敵が多いな……!!」
魔王「べギラゴン!!!―――援護は任せてください!」
勇者「戦士のほうは大丈夫か……?」
魔王「バイキルトもかけましたし……あ、上手くいってますよ?」
勇者「そうか……よーし!!」
ガリガリガリガリ……
戦士「はぁ……はぁ……これ、腕がだるくなるな」
僧侶「我慢してください」
戦士「だって……」
僧侶「言い訳しない」
戦士「ちくしょー!!」
ガリガリガリ……!!
大魔王「―――ちょっと、あいつら天井に剣を差したまま走ってるけど……まさか……いやいや、そんなことできるわけ……」
幹部「なにしてるんでしょうねえ?」
132:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/25(木) 13:27:11.49:zRLJni9p0
勇者「はぁ……はぁ……おっし」
戦士「はぁ……天井、斬れた?」
僧侶「円状に斬れたとは思います」
魔王「あとは……周囲の柱を爆破させれば……」
大魔王「―――まて!!何をした!?」
勇者「正攻法じゃ、勝てないから、この広場を破壊することにしたぁ」
大魔王「なんですってぇ!?」
僧侶「支柱を壊せば天井が落下すると思います」
幹部「バーカ!!そんなことできるわけないだろ!!」
大魔王「そーだ、そーだ!!」
魔王「……はぁぁ」
大魔王「―――あ、よせ!!ちょっと、タンマ!!お姉ちゃん!!!!」
魔王「イオナズン!!!」
ドォォォォォン!!!
大魔王「ひぃぃぃぃい!!!!――――って、何も起こらないじゃない」
134:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/25(木) 13:31:54.48:zRLJni9p0
幹部「大魔王様、口調口調」
大魔王「あ、ああ。おほん。ふははは、やはり非力なり人間どもめ!!」
魔王「……」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!!
大魔王「え?」
幹部「ぎゃぁあぁぁあああ!!!天井がゆっくりおちてきてますぅぅぅぅ!!!!!!」
勇者「逃げるぞ!」
戦士「はいよ!」
僧侶「急ぎましょう」
魔王「……」
大魔王「―――お姉ちゃん!!どうして裏切るの!?」
魔王「お仕置き、嫌だもん」
大魔王「はぁ!?お姉ちゃんに折檻なんてするわけないでしょ!?お願いだから帰ってきてよ!!!」
魔王「ごめん。もう帰れない。人間は悪い生き物だって教わってきたけど、全然良い人たちばっかりだもん」
大魔王「な!?お姉ちゃん!!ちょっと、まって!!!もう少しはなしを―――」
145:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/25(木) 13:38:58.24:zRLJni9p0
ズゥゥゥゥゥン!!!!
勇者「ふう……」
戦士「どうなった?」
僧侶「ま、建物の下敷きになった程度で大魔王がどうにかなるとは思いませんけど」
魔王「ごめんね……」
勇者「大丈夫か?あの大魔王、お前のことお姉ちゃんって……」
魔王「……血は繋がってません。魔王族として彼女が私のことを姉と慕ってくれていただけです。まあ、本人も私の妹だと周囲に言いふらしてましたけど」
僧侶「そうなんですか……」
戦士「よかったのかよ?」
魔王「今更ですよ、そんなの」
勇者「魔王……」
魔王「さあ、早く遠くにいきましょう。ここにいてはいずれ追い詰められてしまいます」
戦士「そうれもそうだな。勇者、移動しよう」
勇者「ああ―――ルーラ!!!」
魔王(さよなら……大魔王様……)
146:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/25(木) 13:44:02.72:zRLJni9p0
―――大魔王の城跡地
大魔王「勇者に負けたぁぁ!!」
幹部「ひぃぃぃ!!」
大魔王「どーしてくれる!!どーしてくれる!!」
幹部「あひょぉぉぉ!!!体をひっぱらないでくださぁぁい!!!」
大魔王「くそがぁぁ!!!」
幹部「へぶぅ!?」
大魔王「このままじゃ……このままじゃ……」
裏魔王「くくく……」
大魔王「は!?」
神魔王「魔王四天王の面汚しめ」
極魔王「大魔王……その地位をくれてやったにも関わらず……この体たらく」
裏魔王「覚悟はいいな?」
大魔王「うわぁぁぁぁん!!!おゆるしくださぁぁぁいい!!!!!――――ルーラぁぁぁぁ!!!!」
幹部「ひでぇぇ!!!!おいてかないでぇぇ!!!!」
151:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/25(木) 13:48:36.51:zRLJni9p0
―――街
魔王「はぁ……」
戦士「ほら、イチゴのソフトクリーム溶けてるぞ?」
魔王「わわ!?」
僧侶「やっぱり、妹さんのことが?」
魔王「それは―――」
大魔王「お姉ちゃん!!助けて!!」
魔王「え?」
勇者「大魔王!?何の用だ!!」
大魔王「あ、助けてください!!勇者さん!!」
勇者「え……?」
大魔王「殺されるんです!!だから、だから!!」
戦士「またか……」
僧侶「はぁ……結構大所帯になりそうですね、勇者さま?」
勇者「とはいえ……可愛い子の頼みは断れないな……」
159:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/25(木) 13:55:14.10:zRLJni9p0
大魔王「じゃあ……!!」
勇者「ああ。もう大魔王でも神でもなんでもこい」
魔王「やったね!」
大魔王「うん♪」
戦士「ライバルが着実にふえてますよぉ?」
僧侶「な、なんのことですか?」
大魔王「さっすが、男前……って、勇者様って女なんですよね?」
魔王「えええ!?そうなんですか?!」
勇者「んなわけねーだろ!!牢獄でのあれは釣りだ!!つか、魔王も疑うんだよ!?」
大魔王「なーんだ。よかったぁ。お姉ちゃんがそっちに目覚めたのかと」
魔王「でも、一応、確認しておいたほうが……」
大魔王「あ、そだね」
勇者「え……バカ!やめろ!!!男だってば!!!―――ぎゃぁぁぁぁぁ!!!!!!」
僧侶「きゃぁ!!なにやってるんですか!!仕舞ってください!!」
大魔王「あ……よかったぁ。じゃ、これからよろしくね、勇者さん♪」
おしまい
160:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/25(木) 13:56:17.21:hb5AmqGx0
勇者「なんだ?」
魔王「おほん……私はただの手下に過ぎないんだ」
戦士「手下だと?」
僧侶「どういうことです?」
魔王「私の上に大魔王様がいるんだ」
勇者「……なるほど、その大魔王を倒さないかぎり平和は訪れないのか」
魔王「そういうことだ」
僧侶「では、勇者様」
勇者「そうだな。次の目的がはっきりした。大魔王を倒すぞ」
戦士「おっしゃ!腕が鳴るぜ!!」
魔王「ふっふっふ」
勇者「なんだ?」
魔王「貴様らでは到底大魔王様には敵わないだろう」
戦士「なに?」
魔王「そこで……私を仲間にせぬか?」
勇者「断る」
魔王「え……?」
僧侶「急ぎましょう」
戦士「おう!」
勇者「よし、いくぞ!」
魔王「まって!!!行かせない!!!」
勇者「回り込まれた!?」
戦士「邪魔だ、どけ!!」
僧侶「なんですか?」
魔王「この私がついて行ってやろうというのだぞ?」
勇者「だから、断るって言っただろ」
魔王「なんで?」
勇者「魔王をつれて歩けるわけないからだ」
魔王「いやいや、魔王が仲間になるとか結構ありがちな展開だと思うよ?」
勇者「ないよ。いいから、どけ」
僧侶「邪魔です」
ゲシッ
魔王「あぅ!?」
戦士「ねてろ」
ドゴォ
魔王「ふげぇ!?」
勇者「さらばだ」
魔王「ま、まてぇ!」
ガシッ!!
勇者「く……!?足を掴むな!!鬱陶しい!!」
魔王「お願いだから、仲間にしてくださいよぉ……お願いします……」
勇者「お、おい……泣く奴があるか……」
僧侶「なにか事情がありそうですね」
戦士「ったく……」
魔王「うぇぇぇん……・みすてないでよぉ……」
―――魔王の部屋(6畳一間)
魔王「どうぞ……」
勇者「うむ……結構庶民的なんだな」
魔王「だから、私もただの手下なんですってば」
僧侶「そうですか……大変ですね」
戦士「よっこいせ……んで、どうして仲間になりたいんだ?」
魔王「あ、っと……お茶出さないと」
勇者「おかまいなく」
僧侶「あ、手伝います」
魔王「すいません……」
戦士「ふうん……苦労してるみたいだなぁ」
勇者「魔王も所詮は大魔王の駒でしかないということか」
戦士「世知辛らいな」
勇者「ああ」
魔王「あ、お茶っ葉きれてる……どーしよぉ……水じゃあ、失礼だし……」
僧侶「あ、でも、コーヒーはあるんですね」
魔王「うん。これでもこだわりがあって、いつもブラックで飲むんだけど」
僧侶「へえ、実は私もそうなんです」
魔王「え!?ホント!?ブラック派なの!?」
僧侶「まあ、そこまでブラックにこだわっているわけじゃないですけどね」
魔王「いやぁ、嬉しいなぁ。なんかね、ブラック飲んでたら他の魔物に「魔王さんてかっこつけですね」とか言われちゃってさぁ」
僧侶「ああ、分かります。こっちの好みってだけなんですけどね」
魔王「そうそう。困っちゃうよね?」
僧侶「ねー?」
勇者「どうでもいいから、話を進めてほしい」
戦士「たのむぜーつか、腹減った」
魔王「ええ!?えっと……サンドイッチなら作れますけど」
戦士「おお、それでいいよ」
魔王「わかりました。ちょっと待っててくださいね」
戦士「楽しみだな」
魔王「―――どうぞ。カツサンドにしてみました」
勇者「随分と手の込んだものを……ありがとう」
魔王「いえいえ。勇者様たちのお口に合えばいいのですが」
戦士「いっただきまーす♪」
僧侶「いただきます」
戦士「―――おお!!うまい!!」
僧侶「はい。とても、美味しいです」
勇者「ああ。いい嫁になれるんじゃないか?」
魔王「え……や、やだ……勇者さまったら!もう……えへへ」
勇者「さてと、本題に入ろう」
戦士「そうだな。なんで仲間になりたいんだ?」
魔王「それは……大魔王様が怖いから……なんですけど」
僧侶「怖い?」
魔王「勇者に負けた奴は酷いお仕置きが待っているんです……」
勇者「お仕置き……どういう?」
魔王「わかりません」
戦士「なんだと?」
魔王「私は初めて勇者様に負けたので……」
勇者「どんなお仕置きがあるのかは聞いたこともないと?」
魔王「死ぬより恐ろしいとだけは聞きました」
僧侶「そんな……」
戦士「つまり、お仕置きが怖いから仲間になって反旗を翻すわけか?」
勇者「安直な」
魔王「大体、勇者様が私を殺せばすっきり解決なんですけど!?」
勇者「―――そうか。首を出せ」
魔王「か、かんべんしてください……」
勇者「ほら……死ぬ覚悟なんてないじゃないか」
魔王「え?」
勇者「俺はあのとき、お前が死を恐れていると感じた。だから、剣を収めたんだ」
魔王「え……あ、そうなんですか……すいません。ご迷惑をおかけしました」
戦士「っていうか、勇者は初めから殺すつもりなんてなかったんだろ?」
魔王「え?」
勇者「ば、ばか!!」
僧侶「ふふ……魔王さん、実はですね」
勇者「こら!!やめろ!!」
魔王「な、なんですか?」
戦士「勇者のやつ、お前のことを一目見たときになんて言ったと思う?」
魔王「え?」
勇者「お前ら!!!」
僧侶「可愛い、って呟いたんですよ?」
勇者「うわぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」
魔王「ちょ……え……あ、その……やだ……」
勇者「なんで喋るんだ!!!??」
戦士「勇者が口を滑らすから悪いんだよなぁ?」
僧侶「そうですねえ」
勇者「……」
魔王「あ、あの……勇者さま。そんな部屋の隅にいないで……その……」
戦士「あーあー、いじけちゃった」
僧侶「ふふ……」
魔王「勇者さま……あのぉ……どこで私のことを?」
戦士「ああ、実は一か月前のことなんだけど」
魔王「一か月前?」
僧侶「魔王さん、砂漠の町に来てましたよね?」
魔王「あ、ああ。はい。あそこの女王様にお茶会に来ないかと誘われまして」
戦士「お茶会?」
魔王「月一であるんですよね。まあ、表向きは魔王の下にこないかぁって誘っていることにしてますが」
僧侶「へえ」
魔王「でも、私が魔王ってよくわかりましたね。変装してたんですけど」
戦士「だって、後ろに何十匹もスライムつれてたじゃん」
魔王「え?!単にスライム連れてる女の子に見えなかったんですか!?うそぉ!?」
僧侶「スライムだって魔物です。それを連れて歩けるなんて魔王ぐらいでしょうに」
魔王「がびーん……そっかぁ……やっぱり、バブルスライムのほうがかわいげあったかなぁ」
戦士「お前のセンスがよくわからん」
魔王「これからは誰を連れていけばいいんでしょうか?」
僧侶「いやいや……人間をつれていればいいんじゃないですか?」
魔王「人間?」
戦士「そうだな。僧侶とかつれていれば年相応の女の子って感じかも」
魔王「おおー」
僧侶「勇者様が隣にいれば、恋人みたいですよ?」
魔王「えぇぇ!?!」
勇者「やめろぉぉぉ!!!!!」
戦士「あっはっはっは、愉快愉快」
魔王「うぅ……じゃあ、勇者様?」
勇者「な、なんだ?」
魔王「つ、つきあっちゃいます?―――きゃぁ!!!なんちゃってなんちゃってぇ!!!」
勇者「―――えーと、魔王には少し黙ってもらって」
魔王「いたぁい……殴らなくてもいいのにぃ」
戦士「かわいそーだ」
僧侶「いたいのいたの、飛んでホイミー♪」
魔王「あは、いたくない♪」
勇者「おい。話を進めぞ。とにかく、大魔王の叱責が怖いから、俺達についてきたいんだな?」
魔王「はい」
戦士「どうする?」
僧侶「あ……ここにとんがり帽子があるので、これをかぶってもらって……」
魔王「え?え?」
戦士「なるほど……んで、このローブをマントみたいにして……」
魔王「あのぉ……何を?」
勇者「で、束ねてる髪を解いて……ストレートヘアにしてっと……うし!」
僧侶「やりました!どうみても、魔法使いの女の子です」
魔王「え……そ、そうですかぁ?」
戦士「あ、そーだ。魔王は胸が足りてないからぁ」
魔王「大きなお世話です!!!」
戦士「ほら、僧侶の豊胸パッドつけとけよ」
僧侶「ぎゃぁぁぁあああああああ!!!!!!」
勇者「僧侶……」
僧侶「あ、いや、これは……戦士さん!!!!」
戦士「だってさぁ。お前、勇者の気を惹こうとしてるからさぁ。こんな姑息な手を使うなら、魔王にもって思って」
僧侶「戦士さんみたいに胸の大きな人には分かりません!!!!」
魔王「そーだ!そーだ!!」
勇者「おい、やめろ」
戦士「なんだよ?戦闘のとき邪魔だし、肩こるしでいいことないぞ?」
僧侶「憎らしい!!!」
魔王「メラゾーマ!!!」
戦士「あぶねええ!?!」
勇者「いい加減にしろ!!話が進まん!!!」
魔王「むぅ」
勇者「わかった。まあ、そこまでいうなら一緒にこい」
魔王「あは♪」
勇者「ただし。ついてくる以上は、人間として振る舞ってもらう」
魔王「え?」
勇者「魔物に声を掛けられても無視すること。魔物と戦うことになっても手加減しないこと。いいな?」
魔王「そ、そんな!?大魔神さんとかキマイラさんとかおっかい魔物はいいですけど、スライムさんとかは可愛いし……そのぉ」
戦士「それは諦めろ」
僧侶「こちらも魔王を連れて歩く以上、それなりのリスクがありますから」
魔王「リスク?」
勇者「魔王によって家族や恋人を失った人は多いんだ。わかってくれ」
魔王「え!?わ、わたし、そんな酷いことしてません!!!―――そ、そうだ、きっと西の魔王が!!」
勇者「君が人間を襲わない魔王ということはなんとなくなかったけど、理屈じゃないんだ」
僧侶「人間にとって魔王は恐怖の対象でしかありません。あなたが清い魂を持っていても、魔王というだけで忌避されるのです」
魔王「そ、そんなぁ……」
―――魔王の城 外
勇者「では、今から君は人間だ。いいな?」
魔王「わ、わかりやした!!」
戦士「キャラが変わってるぞ」
魔王「緊張してしまって……」
僧侶「あ……」
ドラゴン「あ、魔王様!?勇者と一緒にどちらに!?」
魔王「あ、えっとね」
勇者「おい」
魔王「あ……むむ!」
ドラゴン「魔王様?どうされたのですか!?」
魔王「んーんん!!んーん!!」
ドラゴン「魔王様!!口をあけて喋ってください!!」
魔王「っむむ!!」
勇者「……何を言いたいんだ?」
魔王「……ごにょごにょ」
勇者「なるほど」
ドラゴン「魔王様?」
勇者「勇者と買い出しにいってくる。勇者は私の軍門に下ったので見逃してください。とのことだ」
ドラゴン「さ、さすがは魔王さま!!勇者を配下にしたのですか!?」
魔王「むむ!!」
ドラゴン「わかりました。では、道中お気をつけて」
魔王「むむ!」
僧侶「もしかして、戦闘を極力回避していくつもりですか?」
魔王「だって」
戦士「まあ、その方が楽だしいいじゃん」
勇者「それもそうか」
魔王「でも、私のテリトリーだからできますけど、他の魔王や大魔王様の領域になると……」
僧侶「そうですね。組織の長が変われば、魔王さんの発言力は失われることになるかもしれませんね」
魔王「はい。所詮は一介の魔王ですので、すいません」
―――街
魔王「へえ……砂漠の町以外は来たことがないので結構新鮮です!」
勇者「とりあえず宿屋を探すか」
僧侶「そうですね」
戦士「はぁ……やっと休めるぜ」
魔王「あ、あれなんですかぁ?―――ソフトクリーム?」
店員「いらっしゃい、かわいいねえ。どうだい?たべてく?」
魔王「え……あ、と……勇者様!!」
勇者「どうかしたか?」
魔王「50Gだけください!」
勇者「なんで?」
魔王「あれを……食してみたいんですぅ」
勇者「ソフトクリーム……はぁ……ほら、これだ」
魔王「やっほぉー!!勇者様ーだーいすき♪―――おじさーん!イチゴ味のくださーい!!」
僧侶「ず、ずるい……!!」
戦士「おーい、宿屋確保できたぜー」
勇者「おー」
魔王「……♪(ペロペロ」
僧侶「美味しいですか?」
魔王「とても♪」
僧侶「よかったですねぇ……勇者様」
勇者「ん?」
僧侶「いいですか?いくら新顔だからと言って、甘やかすのはどうかと思います!!」
勇者「なんだよ……ソフトクリームぐらいいいだろ?」
僧侶「そういう餌付けをしてしまうと癖になって毎回ねだられますよ?いいんですか?」
勇者「うーん……そんなものか?」
戦士「お、うまそうだな。一口くれよ」
魔王「え……ひ、ひとくちだけですよ?」
戦士「さんきゅー♪―――べロン!」
魔王「わぁぁぁ!!!!!!半分以上たべたぁぁぁぁ!!!!!」
宿屋
勇者「じゃあ、俺は向こうの部屋だな。お前達、仲良くするんだぞ?」
魔王「―――戦士さん、嫌い」
戦士「謝ってるだろ?!」
僧侶「はぁ……戦士さんって本当に子どもですよね?」
勇者「仲良く、な」
魔王「ふん!」
戦士「おいおい、機嫌直してくれよ」
僧侶「これは当分、ヘソを曲げたままでしょうね」
戦士「たかがソフトクリームぐらいで」
魔王「あれは勇者様に頂いたお金で買ったんです!!!」
戦士「勇者が金の管理してるんだから当たり前だろ!?」
魔王「私は生れてはじめてのおこづかいだったんです!!!」
戦士「しらねーよ!!」
僧侶「もう、いいから部屋に入りましょう。ここでは迷惑になりますから」
魔王「ソフト……クリーム……」
戦士「ったくよぉ……」
僧侶「まあ、戦力のアップにつながったのは事実ですから、ここは一つ年上として我慢を」
戦士「……ま、そうだな。お姉さんが堪えないとな」
魔王「……筋肉バカ」
戦士「だれのことだぁぁぁ!!!!!!」
魔王「反応するってことは自覚があるんですね!!!」
戦士「てめえ!!いい度胸だ!!表にでろぉ!!!」
魔王「望むところだ!!!このやろぉ!!!!」
僧侶「あ、の……喧嘩は……」
魔王&戦士「ペチャパイは黙ってて!!!」
僧侶「―――いいでしょう。その喧嘩買いました。僧侶を舐めてると、痛い目みますよ!?」
戦士「おーし、豊胸パッドやろうに俺がまけるかよ」
僧侶「いいましたね……筋肉女……!!」
魔王「焼き殺す……!!」
勇者「―――ふう、さっぱりした」
勇者「さてと、明日以降の予定でも相談するかな」
勇者「―――おーい、僧侶、いるかー?」
シーン
勇者「あれ?おーい、誰もいないのかー?」
ワーワー!!
勇者「なんだ?」
客「おい、見に行こうぜ!!」
客「可愛い女の子三人がマジ喧嘩してるってよ!!」
客「僧侶の子とかマジでかわいいぜ!?」
勇者「あ、あの!!」
客「ん?」
勇者「その三人って僧侶と戦士と魔法使いっぽい人ですか?!」
客「そうだけど?」
勇者「あ、あいつらぁ……!!」
戦士「くらいやがれぇぇ!!!」
魔王「魔神の斧なんてあたら―――ひぶえええ!!!!」
僧侶「ザラキ!!」
戦士「ふふふ。必殺の耳栓だ」
僧侶「く!卑劣な!!」
魔王「くそぉ……!!!もえさかるほのお!!!」
僧侶「フバーハ!!!」
戦士「あっちぃぃっぃい!!!!」
観客「おれ、魔法使いに100G!!」
観客「じゃあ、僧侶に200G!!」
観客「戦士にかけるやついねーの?」
観客「戦士のオッズは?」
戦士「あったまきたぁ!!!くらいやが―――」
勇者「―――ギガデイン!!!!」
魔王&戦士&僧侶「あばばばばばばばばばば!!!!!!!」
―――宿屋
勇者「何が原因だ?」
戦士「……魔王」
魔王「な!?」
勇者「そうなのか?」
魔王「違います!!」
僧侶「……魔王さんが悪い」
魔王「ふぇ!?」
勇者「はぁ……あのな、俺たちは戦いで命を預け合う仲間だ。信頼が一番大事なんだ、わかるか?」
魔王「あ、そんなぁ……」
勇者「協調性がないなら、一緒に旅を続けることはできない」
魔王「勇者様!!見捨てないで!!」
勇者「……見捨てはしないけど……今日は俺と一緒の部屋で寝てもらう」
魔王「え……?」
僧侶「ずるい……!!」
―――勇者の部屋
勇者「入れ」
魔王「お邪魔します……あの、どうして私だけ?」
勇者「今日はあの二人と一緒にいない方がいいだろ?」
魔王「ま、まあ……そうですけど」
勇者「じゃあ、ゆっくり休め。俺は床で寝るから」
魔王「そ、そんな!!」
勇者「生憎、ここは一人部屋だ。ベッドは一つしかない」
魔王「でも……」
勇者「いいから」
魔王「わ、わかりました」
勇者「じゃ、灯りを消すぞ?」
魔王「は、はい」
勇者「……おやすみ」
魔王「お休みなさい」
魔王「……勇者様、まだ起きてます?」
勇者「なんだ?」
魔王「やっぱり、私……ただ皆さんの負担でしかないんでしょうか?」
勇者「どうだろうな。まだ、一日目だろ。なんとも言えない」
魔王「でも、初日からこんないざこざを起こしてしまうなんて……私は……」
勇者「はは……人間なんだ。喧嘩ぐらいするだろ」
魔王「え……?」
勇者「俺たちも最初は喧嘩ばかりだった。出逢ったときはよく衝突した」
魔王「みなさん、勇者様のことを好いているように思えましたが?」
勇者「初めはこんなに仲良くなれるとは思わなかった。戦士とはよく意見が違ったし、僧侶も全然融通がきかなくて困ったことが多々あった」
魔王「そうなんですか……私と戦ったときはすごく息がぴったりで仲がいいんだなぁって思ってましたけど」
勇者「喧嘩した結果だよ」
魔王「え?」
勇者「喧嘩して、お互いの気持ちをぶつけあって、理解していく。人間ってそういう面倒なことをしないと仲良くなれないんだ」
魔王「……」
勇者「だから、今日のことは悪いことじゃない。君が一歩踏み出したんだと思ってる」
魔王「―――怒ってないんですか?」
勇者「近隣に迷惑をかけたことに怒っただけ。部屋の中だけでする口論は存分にやってほしい」
魔王「勇者様……」
勇者「人間はそうやることでしか相手に近づけないんだ。……ごめんな」
魔王「いいえ。謝らないでください……。なんとなく、それは素晴らしいことだと思いますから」
勇者「そう思ってくれるなら、嬉しいな」
魔王「……勇者様、やっぱり私、戻ります」
勇者「そうか?」
魔王「私をお二人と一緒に部屋にしてくださったのは、こういうことだったんですね?……すいません、勇者様のお気遣いを無駄にしてしまうところでした」
勇者「あ……いや」
魔王「勇者様、ありがとうございます!では、失礼します!」
バタン!!
勇者「あ……」
勇者「ま、いいか」
戦士「―――ったくよぉ」
僧侶「戦士さんも悪いんですからね」
戦士「僧侶だって!!」
僧侶「まあ、確かにちょっと意地悪が過ぎたかなぁって思いますけど……」
ガチャ
僧侶「え……?」
戦士「あ……」
魔王「……」
僧侶「魔王、さん?どうかしま―――」
魔王「すいませんでした!!!!!!」
戦士「な、なんだよ!?」
僧侶「あ、頭をあげてください!!!」
魔王「ソフトクリームごときで拗ねてしまって、大変申し訳ありませんでしたぁ!!!」
戦士「あ……いや、それは俺も悪かった!!ごめん!!」
僧侶「わ、わたしも……少し意地悪しました。すいません……」
魔王「……うぅ」
僧侶「あの、もう顔を上げてください」
戦士「な、なあ、魔王?」
魔王「は、はい……」
戦士「まだ、ソフトクリーム売ってるかもしれないぜ?」
魔王「え……」
戦士「ちょっと、外に行くか?」
魔王「あ……戦士さん……」
僧侶「いいですね。こんな夜更けにやっているかは甚だ疑問ですが」
戦士「うっせえな、行ってみないとわかんねえだろ?」
魔王「そ、そうですよね!!」
僧侶「はぁ……では、食べたらちゃんと歯磨きしないといけませんよ?」
魔王「はーい」
戦士「わかってるって!」
僧侶「じゃ、いきますか♪」
大魔王の城 大魔王の部屋(103坪)
幹部「―――以上です」
大魔王「なるほど……東の魔王が我を裏切ったのか……」
幹部「はい。奴の配下であるドラゴンからの報告なので、まず間違いないかと」
大魔王「ふむ……一度敗れ、生き恥をさらすだけではなく謀反を企てるとは……流石の我も予想外だったな」
幹部「どうされますか?」
大魔王「決まっている……お仕置きだ」
幹部「やはり……」
大魔王「勇者共々、我の前に連れてこい!!!」
幹部「は、ははー!!!」
大魔王「許さんぞ……!!」
大魔王「寵愛してやった恩も忘れたようだな……魔王!!」
大魔王「必ずその身に後悔という名の苦痛を味あわせてやろうぞ……!!」
大魔王「ふふふ……あーっはっはっはっは!!!!!」
さすが大魔王・・・103坪・・・
69:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/25(木) 11:54:29.47:zRLJni9p0―――翌日 街
勇者「よし、じゃあ、出発するか」
魔王&戦士&僧侶「はい」
勇者「ん?なんだ、みんなして目を輝かせて」
魔王&戦士&僧侶「あれ!!」
勇者「え?ソフトクリーム?」
魔王&戦士&僧侶「はい!」
勇者「欲しいの?」
魔王&戦士&僧侶「かなり!!」
勇者「はぁ……ほら、これで買ってこい」
魔王&戦士&僧侶「わーい♪」
魔王「バニラー!」
戦士「チョコ!」
僧侶「イチゴ!……あ、いや、マンゴー!!」
勇者「ふう……仲直りはしたみたいだな……なんとかなりそうだ」
魔王「……♪」
戦士「なあ、ちょっと、味見させてくれよ」
魔王「えー?じゃあ、戦士さんのチョコもいいですか?」
戦士「おうよ」
魔王「えへへ……ペロペロ」
戦士「ペロペロ」
勇者「仲良くなったな」
僧侶「昨夜、色々ありましたから(ペロペロ」
勇者「色々?」
僧侶「はい」
勇者「何があったんだ?」
僧侶「……ヒミツです♪」
勇者「なんだよ―――」
ボストロール「みつけたぞ……げっへっへっへ!!」
勇者「な!?ボストロール!?」
魔王「―――げ!?」
ボストロール「魔王様、私が来た意味、もうお分かりですね?」
僧侶「……!!」
戦士「わたせねえぞ!!!」
魔王「お二人とも!?」
勇者「悪いな。ここに魔王はいない」
魔王「勇者様……」
ボストロール「なんだと?」
勇者「ここにいるのは魔法使いと僧侶と戦士だけだ。他を当たれ」
ボストロール「そうはいかない……魔法使いに用があるんでね」
勇者「そうか……ならば、かかってこい!!」
魔王「い、いけません!!こいつは大魔王様の片腕で!!」
僧侶「それがなんですか」
戦士「仲間を守れなくて、大魔王なんて倒せるかってーの!!」
勇者「そういうことだ。―――いくぞ!!」
ボストロール「面白い……!!」
勇者「戦士!両サイドから攻めるぞ!!」
戦士「あいよ!!」
僧侶「……くらえ!バギクロス!!」
ゴォォォォォ!!
ボストロール「ふん!そよ風にもならんわ!!」
勇者「はぁぁぁ!!!」
戦士「でやぁぁぁ!!!」
魔王「―――食らいなさい!イオナズン!!!」
ボストロール「―――ほい!」
ガシ!
勇者「ぐ!?」
戦士「しまっ!?」
魔王「―――あ!?勇者さまぁぁぁぁ!!!!」
ドォォォォォォン!!!!!!
ボストロール「あーあ、可哀想に……げへへ」
勇者「ぁ……ぐ……」
戦士「……ぃ……」
僧侶「二人を盾にするなんて……!!」
魔王「ゆう、しゃ……さ、ま……」
ボストロール「さぁて。観念してもらいましょうか。なにも殺すわけじゃないんで、安心してください」
魔王「わ、わかり―――」
勇者「だ、だめだ……魔王……!」
魔王「勇者様!?」
勇者「いく、な……俺達の傍に……いろ……」
ボストロール「うるせええ!!!!」
ドスッ!!
勇者「がはぁ!?」
魔王「やめて!!!!―――行きます!!もう、勇者様に手を出さないで!!」
勇者「……ぐ……ま、おう……だ、め……だ……」
ボストロール「それでいいんですよ……げへへ」
魔王「勇者様を放して」
ボストロール「はいはい、ほらよ」
ドサッ
僧侶「勇者様!戦士さん!!」
勇者「く、そ……」
戦士「い……っ……」
僧侶「い、いま、回ふ―――」
ボストロール「よけいなことすんじゃねええ!!」
ドゴォ!!
僧侶「―――ふぐ!?」
魔王「やめなさい!!!!」
僧侶「いた……い……おな、か……うぁ……」
ボストロール「勇者一行にも来てもらいますから、元気なままじゃ困るんですよぉ、げへへ」
魔王「なんですって……?!」
―――大魔王の城 大魔王の部屋(103坪)
大魔王「来たか……ふふふ」
魔王「……だ、い、まお、うさま……」
大魔王「何を小鹿のように震えている?もっと、近くにこい。お前の可愛い顔をみせておくれ」
魔王「ど、どうして……私だけではなく、勇者たちまで……?」
勇者「あ、あれが……」
戦士「大魔王……?」
僧侶「……」
大魔王「魔王を誑かせた罪を償ってもらおうと思ってな……ふふふ」
魔王「そ、そんな!!」
大魔王「んん?どうかしたのか?お前は勇者に唆されただけなんだよなぁ?そうだろぉ?ん?」
魔王「ち、ちが―――」
勇者「その通りだ。俺達の力だけではお前に及ばないと思い、魔王を無理矢理に連れて行こうとしたんだ!!」
魔王「勇者様!?」
大魔王「あーっはっはっは!!やはりそうか。ならば、魔王は無罪だ。勇者……覚悟はいいな?」
勇者「好きにしろ」
魔王「違います!!大魔王様!!これは―――」
勇者「黙れ」
魔王「え……」
戦士「てめえの声は耳障りなんだよ」
僧侶「どうして庇おうとするんですか?仲間でもないのに」
魔王「そ……そんな……冗談、ですよね?」
勇者「お前は大魔王を討伐するための道具に過ぎなかったんだよ」
魔王「勇者……さま?」
戦士「誰が魔族を仲間だと思うんだよ。馬鹿馬鹿しい」
僧侶「どうせ、私たちを罠にはめようとしたんですよね?下手な演技はやめてください」
魔王「ちがう!違います!!!わ、わたしは……!!!」
大魔王「連れて行け」
幹部「はは」
魔王「―――勇者様!!!勇者さまぁぁぁぁ!!!!!」
大魔王「さてと、勇者の処刑はお前に一任していいか?」
魔王「え……?」
大魔王「流石にお前のことを疑っている者が出始めているんだ」
魔王「わ、私は……」
大魔王「無論、我はお前のことを信頼しているが、このままでは下の者に示しがつかんからなぁ」
魔王「……」
大魔王「やってくれるな?」
魔王「あ……あの……」
大魔王「魔王よ。失望させないでくれ」
魔王「!?」
大魔王「我が一番、期待しているのは他でもないお前なんだ」
魔王「大魔王様……」
大魔王「裏切らないでおくれ……頼む」
魔王「……は、い……」
大魔王「そうか……では、三日後に勇者の処刑を行うことにする。あーっはっはっは!!!」
―――牢獄
勇者「……魔王、大丈夫かな?」
戦士「下手な芝居だったしな」
僧侶「まあ、なんとかなるんじゃないですか?あの大魔王、頭悪そうでしたし」
戦士「魔王より、なんか可愛かったしな」
勇者「魔王ってみんな女の子なんだな」
僧侶「どういう家系なんですかね?」
勇者「さあ」
戦士「それより、ここから出ないとな」
勇者「だが、現時点では打つ手がない」
僧侶「この牢屋は魔力で解錠できるタイプですけど……生憎とアバカムは使えませんし」
戦士「はらへったー!!」
勇者「ふう……さて、どうするか」
僧侶「そうですね……お腹すきましたし」
戦士「にくー!からあげー!おにぎりー!!なんでもいいからー飯をくれー!!」
戦士「おーい!!だれかいませんかー!!!」
勇者「そう言えば、見張りの一人もいないんだな」
僧侶「絶対に出れないと確信してるんじゃないですか?」
勇者「なめやがって」
戦士「おらー!!きいてんのー!!!飯くれよー!!捕虜にも人権ぐらいあるだろー!!!うがーーー!!!」
僧侶「あらあら、ゴリラのモノマネがうまいですね」
戦士「おい、今なんつった?」
僧侶「ゴリラよりゴリラだと言ったんです」
戦士「ほうう……その無い乳で大根でもおろすんですかぁ?」
僧侶「―――表でろ」
戦士「望むところだ!!」
勇者「おい。やめろ」
僧侶&戦士「ペッタンコキングは黙ってて!!!!」
勇者「私はまだ15歳だ!!!これからだ!!!バーカ!!!!!!」
戦士「なんだ!?やるか!!?」
あれ・・・勇者・・・
96:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/25(木) 12:39:13.51:r0kfBvEb0
女だと...
101:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/25(木) 12:41:34.98:zRLJni9p0勇者「その無駄乳、よこせ!!!」
僧侶「そーだ!そーだ!!」
戦士「へへーん、確かに邪魔だけど、二人がそうして羨む分にはあってよかったなぁ♪」
勇者「戦士……!!!!」
僧侶「侮辱してぇ……!!!!」
戦士「悔しかったら私みたいにナイスバディになってみろって!!!」
勇者「なりたいわ!!ぼけえ!!!!」
僧侶「我慢できません!!!勇者様!!」
勇者「おう!!」
戦士「おっし、貧乳党めかかってくるか?」
勇者「がるるるるる!!!」
僧侶「むきー!!!」
魔王「―――あ、あの」
勇者&戦士&僧侶「外野は黙ってて!!!」
魔王「ひ、ひどい……助けにきたのにぃ」
勇者「魔王!?無事だったのか!?」
魔王「あ、はい……でも」
僧侶「どうかしたのですか?」
魔王「三日後に処刑することになりました、勇者様を」
戦士「なんだ、勇者だけか」
勇者「おい!!」
魔王「まあ、勿論、皆さんご一緒に処刑されますけど」
僧侶「でも、今、助けにきたって」
魔王「は、はい……だって、仲間ですから」
戦士「魔王……」
勇者「だが、ここで俺たちを解放してもすぐに見つかるだろ?どうするんだ?」
魔王「チャンスは処刑のときだと思うんです」
戦士「まさか、処刑台に行くまでに逃げようとかって話か?」
魔王「いいえ。処刑される瞬間に逃げましょう」
勇者「処刑される瞬間?」
魔王「―――以上です」
勇者「上手くいくか?」
僧侶「邪魔が入らないことが大前提ですね」
魔王「それは心配ないと思います。大魔王様は私を信頼してくれているので」
戦士「なら良いけど……」
魔王「大丈夫です。私がなんとかしますから」
勇者「分かった。もう行け。見つかるとやばいだろ?」
魔王「はい。では、また……あ、あとこれ」
戦士「うは!!飯だ!!!」
勇者「悪いな」
僧侶「頂きます」
魔王「はい。私が腕によりをかけました。召し上がってください」
勇者「ああ、美味しい。ありがとう」
魔王「い、いえ……えへへ」
僧侶「ほんと、勇者様って魔王さんに甘いですよね」
―――大魔王の監視室(204坪 モニター数506画面)
大魔王「ふふふ……筒抜けだバカ者が」
幹部「ただ、暴れて、天井に穴をあけて、ルーラで逃げる……くく、そんな作戦がうまくいくものですか」
大魔王「その通りだ」
幹部「それにしても、あの勇者が女とはびっくりしましたね」
大魔王「うむ……男にしか見えんが……」
幹部「男装癖でもあるんですかね?」
大魔王「さあ、な」
幹部「では、大魔王様。私めは準備をしてまいります」
大魔王「うむ。魔王に気付かれないようにな」
幹部「はは!」
バタン
大魔王「―――ったく……お姉ちゃんたら、人間なんかに惚れちゃって……」
大魔王「妹のあたしまで立場が危うくなるじゃないの」
大魔王「絶対に許さないんだから」
Oh...
119:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/25(木) 13:01:47.28:zRLJni9p0―――三日後
幹部「こい!!」
勇者「……」
戦士「いってえなぁ!!」
僧侶「もっと優しくしてください」
魔王「……」
勇者(魔王が後ろからついてきてるな……一応、打ち合わせ通りに進んでるか)
勇者(もしかしたらバレてる可能性もあるかと思ったけど……)
勇者(……大丈夫か?)
幹部「おい」
勇者「あ?」
幹部「お前、女なのか?」
勇者「……おい」
幹部「なんだ?」
勇者「―――お前、俺のどこを見て女だと思うんだ?」
幹部「え……」
勇者(っち……案の定監視されてたか……)
僧侶(あーあ)
戦士「やっぱりなぁ……見張りがいない時点で変だと思ったんだよ」
幹部「なんの話をしている?」
勇者「いーや、別に」
勇者(俺達の会話を聞いてないと、女かどうかなんて聞いてくるわけない……)
魔王「……」
戦士(作戦は筒抜けか)
僧侶(なら……)
勇者(しかたないか)
魔王「……(コク」
勇者「―――んじゃ、ここで暴れるか!!!」
幹部「なに!?」
魔王「―――罠にはめようったって、そうはいきません!!!」
餌まいてたのか!
125:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/25(木) 13:12:29.34:zRLJni9p0―――コロシアム風処刑広場(1000坪)
大魔王「―――遅い」
幹部「どうしたんでしょう」
大魔王(折角、1000匹もの魔物を配置したのに)
幹部「むー」
大魔王(まさか……ばれた……?)
勇者「うわ……うじゃうじゃいるな」
僧侶「天井に穴を開ける前に拘束されるでしょうね」
戦士「どーするよ?」
魔王「……やはり、大魔王様と戦うしか……」
勇者「―――まあ、でも今の俺たちじゃ勝てないだろうな」
僧侶「勇者様?!」
勇者「現にボストロールにさえ歯が立たなかった。無理だろう」
戦士「じゃあ、どうするんだ?」
勇者「……天井に穴をあける……その逆でいってみるか」
大魔王「―――む!?」
幹部「どうされました?」
大魔王「あそこだ!!!」
魔王「やば!?」
勇者「逃げるぞ!!」
大魔王「追え!!逃がすな!!!」
魔王「ひえぇぇ!!」
勇者「走れ走れ!!」
魔物「ぐるるるるるる!!!!!」
戦士「こっちにもこいよ!!」
僧侶「お手柔らかに」
幹部「反対側にも!?」
大魔王「逃がすな!!!」
魔物「ぐえええ!!!!!」
戦士「おし、来た来た!!」
ガリガリガリ……
勇者「くそぉ……敵が多いな……!!」
魔王「べギラゴン!!!―――援護は任せてください!」
勇者「戦士のほうは大丈夫か……?」
魔王「バイキルトもかけましたし……あ、上手くいってますよ?」
勇者「そうか……よーし!!」
ガリガリガリガリ……
戦士「はぁ……はぁ……これ、腕がだるくなるな」
僧侶「我慢してください」
戦士「だって……」
僧侶「言い訳しない」
戦士「ちくしょー!!」
ガリガリガリ……!!
大魔王「―――ちょっと、あいつら天井に剣を差したまま走ってるけど……まさか……いやいや、そんなことできるわけ……」
幹部「なにしてるんでしょうねえ?」
勇者「はぁ……はぁ……おっし」
戦士「はぁ……天井、斬れた?」
僧侶「円状に斬れたとは思います」
魔王「あとは……周囲の柱を爆破させれば……」
大魔王「―――まて!!何をした!?」
勇者「正攻法じゃ、勝てないから、この広場を破壊することにしたぁ」
大魔王「なんですってぇ!?」
僧侶「支柱を壊せば天井が落下すると思います」
幹部「バーカ!!そんなことできるわけないだろ!!」
大魔王「そーだ、そーだ!!」
魔王「……はぁぁ」
大魔王「―――あ、よせ!!ちょっと、タンマ!!お姉ちゃん!!!!」
魔王「イオナズン!!!」
ドォォォォォン!!!
大魔王「ひぃぃぃぃい!!!!――――って、何も起こらないじゃない」
幹部「大魔王様、口調口調」
大魔王「あ、ああ。おほん。ふははは、やはり非力なり人間どもめ!!」
魔王「……」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!!
大魔王「え?」
幹部「ぎゃぁあぁぁあああ!!!天井がゆっくりおちてきてますぅぅぅぅ!!!!!!」
勇者「逃げるぞ!」
戦士「はいよ!」
僧侶「急ぎましょう」
魔王「……」
大魔王「―――お姉ちゃん!!どうして裏切るの!?」
魔王「お仕置き、嫌だもん」
大魔王「はぁ!?お姉ちゃんに折檻なんてするわけないでしょ!?お願いだから帰ってきてよ!!!」
魔王「ごめん。もう帰れない。人間は悪い生き物だって教わってきたけど、全然良い人たちばっかりだもん」
大魔王「な!?お姉ちゃん!!ちょっと、まって!!!もう少しはなしを―――」
ズゥゥゥゥゥン!!!!
勇者「ふう……」
戦士「どうなった?」
僧侶「ま、建物の下敷きになった程度で大魔王がどうにかなるとは思いませんけど」
魔王「ごめんね……」
勇者「大丈夫か?あの大魔王、お前のことお姉ちゃんって……」
魔王「……血は繋がってません。魔王族として彼女が私のことを姉と慕ってくれていただけです。まあ、本人も私の妹だと周囲に言いふらしてましたけど」
僧侶「そうなんですか……」
戦士「よかったのかよ?」
魔王「今更ですよ、そんなの」
勇者「魔王……」
魔王「さあ、早く遠くにいきましょう。ここにいてはいずれ追い詰められてしまいます」
戦士「そうれもそうだな。勇者、移動しよう」
勇者「ああ―――ルーラ!!!」
魔王(さよなら……大魔王様……)
―――大魔王の城跡地
大魔王「勇者に負けたぁぁ!!」
幹部「ひぃぃぃ!!」
大魔王「どーしてくれる!!どーしてくれる!!」
幹部「あひょぉぉぉ!!!体をひっぱらないでくださぁぁい!!!」
大魔王「くそがぁぁ!!!」
幹部「へぶぅ!?」
大魔王「このままじゃ……このままじゃ……」
裏魔王「くくく……」
大魔王「は!?」
神魔王「魔王四天王の面汚しめ」
極魔王「大魔王……その地位をくれてやったにも関わらず……この体たらく」
裏魔王「覚悟はいいな?」
大魔王「うわぁぁぁぁん!!!おゆるしくださぁぁぁいい!!!!!――――ルーラぁぁぁぁ!!!!」
幹部「ひでぇぇ!!!!おいてかないでぇぇ!!!!」
―――街
魔王「はぁ……」
戦士「ほら、イチゴのソフトクリーム溶けてるぞ?」
魔王「わわ!?」
僧侶「やっぱり、妹さんのことが?」
魔王「それは―――」
大魔王「お姉ちゃん!!助けて!!」
魔王「え?」
勇者「大魔王!?何の用だ!!」
大魔王「あ、助けてください!!勇者さん!!」
勇者「え……?」
大魔王「殺されるんです!!だから、だから!!」
戦士「またか……」
僧侶「はぁ……結構大所帯になりそうですね、勇者さま?」
勇者「とはいえ……可愛い子の頼みは断れないな……」
大魔王「じゃあ……!!」
勇者「ああ。もう大魔王でも神でもなんでもこい」
魔王「やったね!」
大魔王「うん♪」
戦士「ライバルが着実にふえてますよぉ?」
僧侶「な、なんのことですか?」
大魔王「さっすが、男前……って、勇者様って女なんですよね?」
魔王「えええ!?そうなんですか?!」
勇者「んなわけねーだろ!!牢獄でのあれは釣りだ!!つか、魔王も疑うんだよ!?」
大魔王「なーんだ。よかったぁ。お姉ちゃんがそっちに目覚めたのかと」
魔王「でも、一応、確認しておいたほうが……」
大魔王「あ、そだね」
勇者「え……バカ!やめろ!!!男だってば!!!―――ぎゃぁぁぁぁぁ!!!!!!」
僧侶「きゃぁ!!なにやってるんですか!!仕舞ってください!!」
大魔王「あ……よかったぁ。じゃ、これからよろしくね、勇者さん♪」
おしまい
いやいや、まだこれからだろ
162:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/25(木) 13:57:19.26:hBlm2MqP0
まぁだいける!まだいけるぞ>>1なら!
188:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/08/25(木) 15:42:29.85:rufC3YnsO
乙
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乙
シネパトス
後は俺の嫁