-
1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/02(金) 17:26:07.81:n/OXcdP20
双子妹「血を吸うぞ~」
双子姉「血を寄こせ~」
男「……」
双子妹「この特別ストローで!!」
双子姉「お兄ちゃんの血を吸い尽くしてやる~」
男「どうぞ」スッ
双子妹「腕じゃない~」
双子姉「首じゃないとだめ~」
男「どうぞ」スッ
双子妹「届かない~!」
双子姉「お兄ちゃんのいけず~!!」

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韓国からポーランドに輸出されるはずだった戦車、軽戦闘機、自走砲などの「K防産」、すべて霧散して夢と終わる可能性も…
7:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/02(金) 17:31:53.32:n/OXcdP20
男「……」 とりあえず椅子に座る
双子妹「そうそう、そうやって素直にすればいいんだよ」
双子姉「すぐ終わりますからね~」
双子吸血鬼「「せ~のっ」」
チュ~~キュポンッ
男「もういいの?」
双子妹「もういいの!ありがとう!」
双子姉「ごちそうさま!ありがとう!」
男「今ので本当に吸えたの?俺の首から血が出てないんだけど」
双子妹「吸えたよ!」
双子姉「このストローには痛みとか血が出ないようになる薬とか入ってるの!」
9:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/02(金) 17:41:49.37:n/OXcdP20
男「ところで、君たちのお母さんは?」
双子妹「お母さんはね~、山へ芝刈りに~」
双子姉「そして川へ洗濯へ~」
双子吸血鬼「「とりあえず、迷子になっちゃったみたい」」
男「迷子になったのはたぶん君たちだよね?おうちはどこ?」
双子妹「おうちはね~ルーマニア!」
双子姉「トランシルバニア!」
男「遠いところから来たんだね…なんで日本語話せるの?」
双子妹「妖怪には意思疎通の際に言語なんていらないの!」
双子姉「私たちの言葉をお兄ちゃんが日本語として頭の中で処理してるだけ!」
11:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/02(金) 17:46:51.99:n/OXcdP20
男「どっちがお姉ちゃんでどっちが妹?」
双子妹「ボクが妹で!」
双子姉「私がお姉ちゃん!」
双子吸血鬼「「でもそんなことはどうでもいいの」」
双子吸血鬼「「お兄ちゃん、これからちょっとお世話になるね!」」
男「なんで?」
12:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/02(金) 17:53:06.39:n/OXcdP20
双子妹「へ~ここがお兄ちゃんの家か~」
双子姉「男のやもめぐらしだね!」
男「結局家まで着いてきてるし…」
双子妹「吸血鬼の~」
双子姉「取り扱い説明~」
男「えっと、なに?」
双子妹「いち~」
双子姉「吸血鬼はたまに家に住み着きます」
双子妹「に~」
双子姉「夜の間は消えてます」
双子妹「さん~」
双子姉「毎朝血を少しだけ吸います」
双子妹「よん~」
双子姉「えっちな展開はありません」
双子吸血鬼「「以上!!」」
13:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/02(金) 17:54:32.92:9s7Boxmy0
双子吸血鬼「「質問はありますか?」」
男「えっと…君たち何歳?見たところ9歳ぐらいだけど…」
双子吸血鬼「「37歳」」
男「中途半端な…おうちにはいつ帰るの?お母さん心配してない?」
双子妹「夜の間は帰ってるよ」
双子姉「お母さんに行ってきなさいって言われたよ」
19:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/02(金) 17:59:28.63:n/OXcdP20
双子妹「おっと、もう日没じゃないか」
双子姉「おっと、そろそろ門限だ~」
双子吸血鬼「「また明日ね!お兄ちゃん!!」」
男「分かった分かった、また明日ね、気をつけて帰ってね」
ギィ…バタン
男「なんだったんだあいつら…っていうか吸血鬼って普通夜に出るんじゃ?」
22:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/02(金) 18:06:10.99:n/OXcdP20
…だきます!」」
チュ~~
バッ!!
男「~~~ッ!?」
キュポッ
双子妹「あ~お兄ちゃん起きちゃった!」
双子姉「おはようお兄ちゃん!」
男「えと…何してるの?」
双子吸血鬼「「血を吸おうとしてたの!!」」
29:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/02(金) 18:13:38.10:n/OXcdP20
男「いや、まずどうやって入ったの?」
双子妹「ボクたちは吸血鬼!」
双子姉「お兄ちゃんの居場所はすぐに分かるしだいたい簡単に行けるよ!」
男「……うん、そうか、うん、分かった。あのね、それは許そう。どうやって入ってきたかは聞かないし明日からも勝手に入ってきたらいい。でも血を吸うときは、勝手に吸っちゃ駄目だよ」
双子妹「そっかー」
双子姉「ごめんね、お兄ちゃん」
双子吸血鬼「「じゃあ、今日の分を、いただきます!」」
チュ~~キュポンッ
双子妹「ごちそうさまでした!」
双子姉「今日も良いお味でした!」
男「……お粗末さまでした」
双子妹「オソマツってなに?六つ子?」
双子姉「六つ子?なんか親近感あるね!」
男「まあ、そういう挨拶なんだよ、日本にある」
30:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/02(金) 18:18:00.67:n/OXcdP20
男「鍵は…かかってるな…」
双子妹「どうしたの?」
双子姉「ドアからは入ってないよ!」
男「へえ…そうなんだ…窓も…開いてないよな…」
双子妹「それより遊ぼうよ~」
双子姉「そうそう、ゲームしたいな~!」
34:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/02(金) 18:26:58.13:n/OXcdP20
男「あのね、俺は今から仕事があるんだよ」
双子妹「なに~!?」
双子姉「仕事ですと~!?」
男「だから出勤しないといけない、新人だし」
双子妹「今の日本経済で就職できるとは~」
双子姉「お兄ちゃんは勝ち組ですな~」
男「うん、ありがとう。それで、俺はいかないといけないから。勝手にゲームしててもいいけど」
双子吸血鬼「「じゃあ会社に憑いてく~!」」
男「……二人はお留守番しといて」
双子妹「え~つまんないよ~」
双子姉「せっかくお兄ちゃんと遊べるのに~」
36:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/02(金) 18:30:10.66:n/OXcdP20
男「…あのね、お留守番っていうのは超重要なんだ。家に誰もいない、こんな危険な状況はない」
双子妹「ほうほう、そう言われれば、空き巣入り放題ですな」
双子姉「RPGゲームのタンス開け放題ツボ割り放題ですな」
男「だから!君たちに留守番を頼みたいんだよ!お願い!!」
双子吸血鬼「「お~、はじめてのおるすばんですな!!」」
男「うん、だからよろしくね。インターホンとか出なくていいから!じゃ、行ってきます」
双子吸血鬼「「いってらっしゃ~い!!」」
38:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/02(金) 18:36:33.57:n/OXcdP20
男「ふぅ~、しかし、なんなんだ、あの二人…どっから入ってきたのか分からないし…」
男「ちょっと家出るの早かったかな…本でも買うか…」
本屋
男「『吸血鬼幻想』…吸血鬼ねえ…」
40:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/02(金) 18:40:14.59:n/OXcdP20
家の前
男「日が暮れちゃったなあ…あの二人、帰ってるかな」
男「鍵は…かかってるな…」ガチャ
男「ただいま~…」
男「……」パチッ
男「……料理?置き手紙」
『お兄ちゃんへ
日が暮れそうなので帰ります
二人で晩ご飯作りました
食べてね!
今日はごちそうさまでした
またあしたね!』
41:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/02(金) 18:44:12.16:n/OXcdP20
男「なんだろう、このハンバーグ…歪な形は仕方が無いとして…肉の味が…薄い…」
男「いや、おいしいんだけど…なんでだろう」
45:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/02(金) 18:47:02.80:n/OXcdP20
…きて」
…はよう!」
双子吸血鬼「「起きろーーーーーーーー!!!」」
男「うわあ!?」
双子妹「おはようお兄ちゃん!」
双子姉「お兄ちゃんおはよう!」
男「……お、おはよう…」
双子妹「昨日のハンバーグどうだった?ボクがこねたんだよ!」
双子姉「それから私が焼いたの!あとねえ…」
双子吸血鬼「「朝ごはんも作っておきましたー!」」
男「えっと、言いたいことはたくさんあるんだけど、まず昨日はごちそうさま」
47:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/02(金) 18:49:22.98:n/OXcdP20
双子妹「わーい!お兄ちゃんが褒めてくれたー!」
双子姉「やったー!それじゃあ、」
双子吸血鬼「「いただきます!」」
チュ~~キュポンッ
男「……朝から元気だなあ」
双子吸血鬼「「ごちそうさまでしたー!」」
双子妹「ささ、お兄ちゃん、次はお兄ちゃんの番だよ」
双子姉「ささ、私たちの朝ごはんを食べてねー!」
男「うん、ありがとう、いただきます…」
49:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/02(金) 18:52:24.06:n/OXcdP20
男「えっと…これなに?」
双子妹「ママリガ!」
双子姉「とうもろこし!」
男「へえ…あ、結構おいしい」
双子妹「おかずはよく分からんので」
双子姉「ソーセージ焼いただけだけどいい?」
男「あ、うん、おいしいよ、ありがとう」
52:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/02(金) 18:55:22.43:n/OXcdP20
男「行ってきます」
双子妹「いってらっしゃい!」
双子姉「気をつけてね!」
ギィ…ガチャン…
男「普通においしかったけどママリガってどこの料理…?検索…」
男「……ルーマニア。本当にルーマニアから来た…とか?」
54:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/02(金) 19:03:57.01:n/OXcdP20
男「ただいま~」
双子吸血鬼「「おかえり~!!」」
男「なんで玄関で待ってたの?」
双子妹「昨日も言ったけど」
双子姉「お兄ちゃんの居場所はすぐに分かるの!」
男「……」
双子妹「あとごめんねお兄ちゃん!」
双子姉「今日は晩ご飯作れてないの!」
男「いいよ、それは。俺が作るべきなんだし」
55:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/02(金) 19:09:30.34:n/OXcdP20
ジュゥ~
男「君たち本当に吸血鬼なの?」
双子妹「本当だよ」
双子姉「だから毎朝血が必要なの」
男「……」
ジュゥ~
双子妹「お兄ちゃん、いま何焼いてるの!?」
双子姉「これ、魚?」
男「うん、魚、サンマだよ」
双子妹「おお~!サンマ!」
双子姉「魚は食べたことないんだ~」
男「食べる?一応三人分買ってきたんだけど」
双子妹「お兄ちゃんの気持ちは嬉しいんだけど」
双子姉「残念ながら門限来ちゃった!」
56:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/02(金) 19:11:48.42:n/OXcdP20
双子吸血鬼「「また明日ね~サンマは明日食べるから~!」」
ギィ…ガチャン!
男「いつも唐突だなあ…」
男「サンマ…今日はいいか、冷蔵庫に入れて今日は納豆でも食べよう」
59:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/02(金) 19:18:38.10:n/OXcdP20
男「んん…」
双子妹「あ、お兄ちゃん起きちゃった」
双子姉「起こそうとしてたら起きるなんてお兄ちゃん偉い!」
男「おはよう…」
双子妹「お兄ちゃんも起きたし」
双子姉「今日の分も遠慮なく」
双子吸血鬼「「いっただきま~す!!」」
チュ~~キュポンッ
双子吸血鬼「「ごちそうさまでした!」」
男「お粗末さまでした。さて、ご飯食べようか。サンマあるよ」
双子妹「わーい!」
双子姉「やったー!」
61:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/02(金) 19:22:32.48:n/OXcdP20
双子妹「これがサンマ…」
双子姉「秋の味覚ですな」
男「じゃあ、食べようか」
双子吸血鬼「「いただきます!」」
男「いただきます」
双子妹「おいしい…」
双子姉「魚おいしい…」
双子妹「脂の風味が牛とかとだいぶ違うねー」
双子姉「身が崩れやすくて食べるの楽だねー」
65:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/02(金) 19:27:22.48:n/OXcdP20
男「じゃあ行ってきます」
双子妹「いってらっしゃーい!」
双子姉「早く帰ってきてねー!」
ギィ…ガチャン
男「吸血鬼って血以外のものも食べるんだな…」
68:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/02(金) 19:32:17.07:n/OXcdP20
男「ただいまー」
双子妹「おかえり~」
双子姉「お風呂にする?ご飯にする?」
双子吸血鬼「「それとも…」」
双子妹「ボク?」
双子姉「私?」
男「何やってんの?」
双子妹「今日やってたドラマの真似~」
双子姉「私たちみたいなのってカヨイヅマって言うらしいね」
男「言わない」
69:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/02(金) 19:36:02.53:n/OXcdP20
男「俺のいない間って何やってんの?」
双子妹「えっとね~、ゲームしたり、テレビ見たり」
双子姉「あと血の吸い合いっことか」
男「血の吸い合いっこ…ッッッ!!」
70:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/02(金) 19:40:42.56:n/OXcdP20
双子妹「どうしたの?お兄ちゃん」
双子姉「お兄ちゃん…?」
男「い、いや、なんでもない…なんでもないから!!」
双子吸血鬼「「んん…?」」
男「……」
双子妹「おっと、もう帰る時間だ~」
双子姉「またあしたね~!」
男「お、おう、ま、またね…」
双子吸血鬼「「いつもありがとうね、お兄ちゃん!!」」
ギィ…ガチャン
男「百合な世界を想像してしまったとか言えないな…ていうかストローで吸うんだったよな」
74:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/02(金) 19:42:44.53:n/OXcdP20
ガバッ
男「あれ、もうこんな時間か…」
男「いないな…まあ、そのうち来るか…」
75:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/02(金) 19:43:42.21:n/OXcdP20
男「今日は早退もらえて良かった、あいつら来てるかな?」
ギィ…ガチャン
男「……いない」
77:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/02(金) 19:50:21.56:n/OXcdP20
ガバッ
男「あれ、今日も来てないのか…」
男「どうしたんだろ…」
79:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/02(金) 19:51:06.94:n/OXcdP20
10日後
男「ん~、やっぱ祝日は寝過ぎてしまうな…」
男「あれ…」
双子妹「…あ、お兄ちゃん」
双子姉「おはよう…」
男「来てたのか!どうしたんだ、急に来なくなって、心配してたんだぞ!」
双子妹「……」
双子姉「……」
男「血か!?血を吸いたいのか!?ほら、いくらでも吸え!」
双子妹「……」
双子姉「……」
80:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/02(金) 19:53:27.64:n/OXcdP20
男「どうしたんだ、二人とも…」
双子妹「あのね、お兄ちゃん…」
双子姉「今日はお願いがあってきたの」
男「お願い?血を吸うんじゃなくてか?」
双子妹「血はもういいの」
双子姉「もう欲しくないの」
男「じゃあ、なんだ…?」
双子妹「あのね、」
双子姉「あのねお兄ちゃん…」
双子吸血鬼「「私たちをころしてほしいの」」
85:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/02(金) 19:59:33.24:ihNBgGmu0
男「ころ…す?」
双子妹「ボクたちはね、吸血鬼」
双子姉「吸血鬼はね、もともとは死体なの」
男「……」
双子妹「死体が生き返ったのが吸血鬼」
双子姉「そして生きてる家族を食い散らかすの」
男「それは…読んだ、吸血鬼の本で…」
双子妹「じゃあ話が早いね」
双子姉「私たちは一緒に死んだの」
90:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/02(金) 20:04:28.49:n/OXcdP20
双子妹「一緒に死んで、一緒に埋葬された」
双子姉「お母さんが、一つのお墓に埋めてくれたの」
男「土葬で…」
双子妹「うん、吸血鬼は死体なんだよ」
双子姉「私たちは運が良かった…吸血鬼としては悪かったのかもしれないけれど」
双子妹「普通の吸血鬼は自我がないんだけど、ボクたちは二人一緒に生き返ったから」
双子姉「自我に目覚めた」
92:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/02(金) 20:07:02.67:n/OXcdP20
男「普通の吸血鬼っていうのは、自我がなくて、吸血鬼の本能みたいなので家族を食い散らかすってこと…?」
双子妹「そういうこと。でも知能は残ってるから言葉巧みに家族を騙すんだ」
双子姉「吸血鬼が他の吸血鬼に会っても、普通はそのままなんだけど、私たちは互いを見て互いを思い出して」
双子妹「互いを見て、家族を思い出した」
双子姉「そして生きてる時と同じように自我を取り戻した」
男「……」
93:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/02(金) 20:09:53.45:n/OXcdP20
双子妹「でも、夜はやっぱり大変なんだ」
双子姉「夜はずっと二人で固まってないと、すぐ吸血鬼に戻っちゃう」
双子妹「ずっと二人で見つめ合っていないと」
双子姉「すぐに自分も相手も忘れちゃう」
男「だから、日の出てる間だけ…」
双子妹「うん、だからストローだって嘘っぱち」
双子姉「だけど本当の吸血鬼」
95:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/02(金) 20:12:21.52:n/OXcdP20
双子妹「しばらく来なかったのはね」
双子姉「最近、昼もおかしいの」
双子妹「お兄ちゃんの家に行こうとしたら」
双子姉「吸血鬼に戻っちゃったの」
双子吸血鬼「「だからしばらく来られなかったの、ごめんね、お兄ちゃん」」
男「今日は…大丈夫なのか…?」
双子妹「うん、今日は大丈夫」
双子姉「でもねもう限界に近いかも」
98:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/02(金) 20:16:55.06:n/OXcdP20
双子妹「今日は大丈夫だけど、明日も大丈夫とは限らない」
双子姉「二人で見つめ合っていても吸血鬼になっちゃうかもしれない」
男「……そうなると、どうなるんだ?」
双子妹「まずお父さんとお母さんを殺して血を吸っちゃう」
双子姉「それから多分次が」
双子吸血鬼「「お兄ちゃん」」
男「……俺?」
双子妹「お兄ちゃんは4日だけだけど相手してくれたから」
双子姉「たぶん家族の次はお兄ちゃんのところに来る」
99:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/02(金) 20:18:16.78:n/OXcdP20
双子妹「ボクね、お兄ちゃんが大好き」
双子姉「私も、お兄ちゃんが大好き」
双子吸血鬼「「だから、殺したくないの」」
男「二人とも…」
双子吸血鬼「「だから、ころしてほしいの」」
101:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/02(金) 20:25:25.71:n/OXcdP20
男「でも、殺すって…」
双子妹「ボクたちはもう死んでるから」
双子姉「生きてるのがおかしいんだから」
男「それに、どうやって殺せば…」
双子妹「お墓の場所を教えるから」
双子姉「昼の間に掘り出して」
双子吸血鬼「「あとは心臓に杭を刺せばいい」」
男「……」
双子妹「それが駄目なら」
双子姉「燃やしてもいいよ」
102:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/02(金) 20:28:57.63:n/OXcdP20
双子妹「お墓の場所はここ」
双子姉「早くきてね。それから」
双子妹「次にボクたちがここに来たときは、ボクたちは吸血鬼に戻ってるから」
双子姉「自我のない、お兄ちゃんを殺す吸血鬼になってるから」
双子吸血鬼「「迷わず殺すか逃げてね」」
105:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/02(金) 20:35:24.86:n/OXcdP20
男「……二人を、殺す、か」
『
双子妹「血を吸うぞ~」
双子姉「血を寄こせ~」
』
『
双子妹「昨日のハンバーグどうだった?ボクがこねたんだよ!」
双子姉「それから私が焼いたの!あとねえ…」
双子吸血鬼「「朝ごはんも作っておきましたー!」」
』
男「出来ない、よなあ…」
108:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/02(金) 20:42:03.01:n/OXcdP20
男「っていうか…墓の場所書いてあるこの紙」ペラ…
男「トランシルヴァニアって、あいつらマジでルーマニア出身だったのかよ」
男「貯金はあるし、来週は連休だから時間はとれるけどさ…」
男「とりあえず、行くしかないのか…?殺すかどうかは別として、もう一度会っておきたいし…」
110:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/02(金) 20:51:12.69:n/OXcdP20
ルーマニア
男「マジで来てしまった…」
男「一応杭を持っていった方がいいのかな…」
男「バス数時間か…結構かかるな」
111:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/02(金) 20:55:25.37:n/OXcdP20
男「ここが墓か…周り何もないな…誰にも見つかりませんように!」
ザクッザクッザクッ
男「太い棺が一つ…ここに二人入ってるのか」
男「よっと…」
ゴト…
男「……」
113:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/02(金) 21:00:33.86:n/OXcdP20
男「普通土葬された遺体っていうのは白骨化してるもんだよな…」
男「やっぱりこいつらマジで吸血鬼だったんだな。ルーマニアから日本の俺の家に来るとか意味不明すぎるけど…」
男「…おら、起きろ」
ペシ
双子妹「……」
双子姉「……」
男「起きろって」
ペシペシ
双子吸血鬼「「………」」
男「起きろーーーーーーーーーーー!!!」
双子妹「きゃっ!!」
双子姉「わっ!!」
116:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/02(金) 21:03:59.07:n/OXcdP20
双子吸血鬼「「お兄ちゃん…」」
男「起きたか」
双子妹「なんで起こすの…」
双子姉「そのまま殺してくれたら良かったのに…」
男「いや、吸血鬼として襲ってきたら殺すのも仕方ないかもと思ったんだけどな」
双子妹「今日はたまたま吸血鬼じゃないけど」
双子姉「お兄ちゃん、私たちが吸血鬼になってたら死んでたよ?」
118:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/02(金) 21:11:04.18:n/OXcdP20
双子妹「ささ、早く殺してよ、お兄ちゃん」
双子姉「ずっと待ってたんだよ?」
双子妹「こんなこと、お父さんにもお母さんにも頼めない」
双子姉「驚いて泣いちゃうからね」
ぎゅっ
双子妹「お兄ちゃん…?」
双子姉「何のまね…?」
男「……」
119:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/02(金) 21:13:01.23:n/OXcdP20
双子妹「駄目だよ…」
双子姉「そうだよ…」
双子吸血鬼「「死にたくなくなっちゃうでしょ…」」
男「……」
122:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/02(金) 21:19:30.30:n/OXcdP20
男「……」
双子妹「お兄ちゃん、そろそろ…」
双子姉「日が暮れちゃうから…」
男「……構わないよ」
双子妹「…お兄ちゃん」
双子姉「ダメだってば…」
123:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/02(金) 21:23:02.35:n/OXcdP20
双子妹「ねえお兄ちゃん…」
双子姉「殺さなくてもいいから、そろそろ手を離して」
すっ
男「……」
双子妹「ねえ、お兄ちゃん」
双子姉「お兄ちゃん…」
双子吸血鬼「「いただきます!!」」
ドンッ!!二人を押す
ダッ!!駆け出す男
男(たぶん、ここからだ…)
124:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/02(金) 21:25:51.86:n/OXcdP20
男「もう日は暮れてる…二人はいま吸血鬼…教会……たしか、祭壇の影…」
双子妹「お兄ちゃーん、ここにいるのー?」
双子姉「見えたよ、お兄ちゃんがこの教会に入るの」
双子妹「どこー?」
双子姉「出てきて、お兄ちゃん!」
男「……」
双子吸血鬼「「食べたりしないから、出てきてー!」」
男「……」
125:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/02(金) 21:29:20.94:n/OXcdP20
双子妹「お兄ちゃーん!」
双子姉「お兄ちゃーん!」
双子吸血鬼「「こんな真っ暗な教会に一人でいると、吸血鬼が出ちゃうよー!だから出てきてー!」」
男「……」
双子妹「お兄ちゃんは、どーこだ?」
双子姉「パイプオルガンの裏にもいない…」
男「……」
127:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/02(金) 21:32:14.16:n/OXcdP20
双子妹「おっと、もう朝だ」
双子姉「いったん帰らないと」
双子吸血鬼「「お兄ちゃんはまた夜に食べてあげる」」
男「……」
ギィ…ゴオォン…
男「……ふぅ、行ったか」
129:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/02(金) 21:34:54.69:n/OXcdP20
男「しかし恐ろしいな、声の調子もいつも通りなのに、あれで自我ないんだよな…」
男「もう相当進んでるっぽいな、吸血鬼化が」
男「あと二日、か…」
130:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/02(金) 21:38:08.40:n/OXcdP20
その日の夕暮れ
墓の前
ゴト…
男(今日は自分から出てきたか…)
双子妹「あ、お兄ちゃんだ…」
双子姉「お兄ちゃん、来てくれたんだ」
双子吸血鬼「「私たちに食べられに来てくれたんだ!」」
ダッ!
双子吸血鬼「「お兄ちゃん待ってえぇ!!」」
男(今日は教会の聖歌隊席…!!)
131:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/02(金) 21:39:09.29:n/OXcdP20
双子妹「また教会に入るなんて」
双子姉「今日こそは見つけてあげるね」
双子吸血鬼「「今日こそは食べてあげるね」」
男「……」
133:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/02(金) 21:41:01.47:n/OXcdP20
朝
双子妹「また朝が来ちゃった…」
双子姉「うーん、また帰らないと」
双子吸血鬼「「お兄ちゃんはまた夜に食べてあげる」」
男「……」
ギィ…ゴオォン…
男「……今夜が山だな」
135:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/02(金) 21:44:09.66:n/OXcdP20
夕暮れ
墓の前
ゴト…
双子妹「お兄ちゃん…」
双子姉「今日も来てくれたんだね…」
ダッ
男「……」
双子妹「待って!!」
双子姉「私たち普通だよ!!」
男「……」
136:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/02(金) 21:45:36.21:n/OXcdP20
双子妹「毎日毎日教会に来て…」
双子姉「かくれんぼが趣味なの?」
双子吸血鬼「「どこだろ、お兄ちゃん」」
男「……」
ギィ…ゴオォン…
双子妹「お兄ちゃん…?」
双子姉「外に出たねえ…」
137:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/02(金) 21:47:49.42:n/OXcdP20
男「はあっ…はあっ…」
双子妹「待て!お兄ちゃん!!」
双子姉「遊ぼうよ、お兄ちゃん!!」
男(三日目は…吸血鬼の棺の中…!!)
男(俺には高さが足りないけど…二人が入れる分の太さがあるから、ギリギリ膝を曲げれば入れる…)
ゴト…
双子妹「ボクたちの棺の中…?」
双子姉「お兄ちゃん、そんなところに隠れても逃げ場はないよ?」
138:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/02(金) 21:50:02.46:n/OXcdP20
ドンドン!!
双子妹「コラー!お兄ちゃん、出てきなさい!!」
バンバン!!
双子姉「大人しく観念しろー!!食われろ!!」
男「……」
ドンドン!!
双子妹「お兄ちゃん大好きだよ!」
バンバン!!
双子姉「お兄ちゃん愛してるよ!」
ガンガンガンガン!!!!!!!!
双子吸血鬼「「だから出てきて!!」」
140:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/02(金) 21:51:54.46:n/OXcdP20
ドンドン!!
双子妹「出てこないと燃やすよ!?」
バンバン!!
双子姉「出てこないと埋めるよ!?」
ガンガンガンガン!!
双子吸血鬼「「出てきたら食べるだけで許してあげるから!!」」
143:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/02(金) 21:55:38.92:n/OXcdP20
双子妹「あ…」
双子姉「朝…」
双子妹「あああ…」
双子姉「あ、ああ…」
ガンガンガンガンガンガンガンガン!!!
双子吸血鬼「「ああああああああああああああああああっ!!!!!!お兄ちゃん!!!!!!!この棺を開けてえええええええええええええええええええええええ!!!!!」」
男「……!」
144:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/02(金) 21:56:52.62:n/OXcdP20
双子妹「あ、ああ…日が」
双子姉「出ちゃった…」
双子吸血鬼「「…………」」
147:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/02(金) 22:00:12.47:n/OXcdP20
コケッコッコー!!
双子妹「……」
双子姉「……」
ゴト…
男「……」
男(二人に殺されるなら…構わない…)
双子妹「あれ、お兄ちゃん…?」
双子姉「なんでお墓の中にいるの…?」
男「……」
ぎゅっ
双子吸血鬼「「お兄ちゃん…?」」
150:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/02(金) 22:06:56.90:n/OXcdP20
~行きの飛行機の中~
男「『吸血鬼幻想』…この本読みかけだったな…」
男「死装束の娘型説話 …?」
男「ポーランドの話ねえ…」
男「女の吸血鬼が人を食い殺す…」
男「老人の助言を得た男は吸血鬼から逃げて、一晩目は教会の祭壇の影に…」
男「二晩目は聖歌隊席に隠れて」
男「三日目の晩は吸血鬼の棺の中に隠れて、何があっても蓋を開けられないようにする…」
男「朝が来て、雄鶏が鳴いたとき、呪いは解けて吸血鬼は元に戻る…」
152:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/02(金) 22:08:15.48:n/OXcdP20
男「これが本当なら…」
男「二人を殺すくらいなら…」
男「途中失敗して二人に食われても…」
154:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/02(金) 22:10:28.89:n/OXcdP20
男「良かった…良かったよ…二人が元に戻って…」
双子妹「お兄ちゃん…」
双子姉「お兄ちゃん…」
双子妹「……」ニコッ
双子姉「……」ニコッ
双子「「お兄ちゃん!ありがとう!!」」
ぎゅっ!
156:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/02(金) 22:12:16.12:OuckEuCJO
~7年後~
ピンポーンピンポーン
男「朝から、誰だよ…」
男「はーい…」
ガチャ
160:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/02(金) 22:15:34.83:n/OXcdP20
双子妹「血を吸うぞ~」
双子姉「血を寄こせ~」
男「……」
双子妹「この特別ストローで!!」
双子姉「お兄ちゃんの血を吸い尽くしてやる~」
男「どうぞ」スッ
双子妹「腕じゃない~」
双子姉「首じゃないとだめ~」
男「どうぞ」スッ
チュ~~キュポンッ
双子妹「うん、もう届くようになってしまったね」
双子姉「私たちも大きくなったからねー」
161:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/02(金) 22:16:11.14:dg2EKk3vO
男「日本まで来たんだ…」
双子妹「お兄ちゃん、大事なこと忘れてますよ?」
双子姉「そうそう、とっても大事なこと忘れてますよ」
男「日本語話せるんだ…」
双子妹「そりゃあ、勉強しましたからなあ、たくさんたくさん」
双子姉「あの間はお兄ちゃんの日本語を妖怪パワーで理解してたわけだし、ちょっとは覚えてたし」
男「何しにきたの?」
双子妹「いやあ、あれからお兄ちゃんの家が変わってなくてよかったよ~」
双子姉「いやあ、お兄ちゃんの家も覚えててよかったよ~」
168:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/02(金) 22:23:28.72:n/OXcdP20
双子「「ところで」」
男「……?」
双子妹「お兄ちゃんは昔話の方法で」
双子姉「私たちを助けてくれたわけだけど」
双子「「その昔話の最後、覚えてる?」」
男「7年前に読んだ本だしなあ、あんま覚えてない…」
双子「「主人公は、助けた吸血鬼をお嫁さんにするんだよ!!」」
男「…………そういえばそんな最後だったね」
双子「「お兄ちゃん、大好き!!」」
ガバッ
169:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/02(金) 22:24:31.13:n/OXcdP20
174:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/02(金) 22:26:24.82:n/OXcdP20
男「……」 とりあえず椅子に座る
双子妹「そうそう、そうやって素直にすればいいんだよ」
双子姉「すぐ終わりますからね~」
双子吸血鬼「「せ~のっ」」
チュ~~キュポンッ
男「もういいの?」
双子妹「もういいの!ありがとう!」
双子姉「ごちそうさま!ありがとう!」
男「今ので本当に吸えたの?俺の首から血が出てないんだけど」
双子妹「吸えたよ!」
双子姉「このストローには痛みとか血が出ないようになる薬とか入ってるの!」
男「ところで、君たちのお母さんは?」
双子妹「お母さんはね~、山へ芝刈りに~」
双子姉「そして川へ洗濯へ~」
双子吸血鬼「「とりあえず、迷子になっちゃったみたい」」
男「迷子になったのはたぶん君たちだよね?おうちはどこ?」
双子妹「おうちはね~ルーマニア!」
双子姉「トランシルバニア!」
男「遠いところから来たんだね…なんで日本語話せるの?」
双子妹「妖怪には意思疎通の際に言語なんていらないの!」
双子姉「私たちの言葉をお兄ちゃんが日本語として頭の中で処理してるだけ!」
男「どっちがお姉ちゃんでどっちが妹?」
双子妹「ボクが妹で!」
双子姉「私がお姉ちゃん!」
双子吸血鬼「「でもそんなことはどうでもいいの」」
双子吸血鬼「「お兄ちゃん、これからちょっとお世話になるね!」」
男「なんで?」
双子妹「へ~ここがお兄ちゃんの家か~」
双子姉「男のやもめぐらしだね!」
男「結局家まで着いてきてるし…」
双子妹「吸血鬼の~」
双子姉「取り扱い説明~」
男「えっと、なに?」
双子妹「いち~」
双子姉「吸血鬼はたまに家に住み着きます」
双子妹「に~」
双子姉「夜の間は消えてます」
双子妹「さん~」
双子姉「毎朝血を少しだけ吸います」
双子妹「よん~」
双子姉「えっちな展開はありません」
双子吸血鬼「「以上!!」」
はい!
15:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/02(金) 17:56:33.54:n/OXcdP20双子吸血鬼「「質問はありますか?」」
男「えっと…君たち何歳?見たところ9歳ぐらいだけど…」
双子吸血鬼「「37歳」」
男「中途半端な…おうちにはいつ帰るの?お母さん心配してない?」
双子妹「夜の間は帰ってるよ」
双子姉「お母さんに行ってきなさいって言われたよ」
双子妹「おっと、もう日没じゃないか」
双子姉「おっと、そろそろ門限だ~」
双子吸血鬼「「また明日ね!お兄ちゃん!!」」
男「分かった分かった、また明日ね、気をつけて帰ってね」
ギィ…バタン
男「なんだったんだあいつら…っていうか吸血鬼って普通夜に出るんじゃ?」
…だきます!」」
チュ~~
バッ!!
男「~~~ッ!?」
キュポッ
双子妹「あ~お兄ちゃん起きちゃった!」
双子姉「おはようお兄ちゃん!」
男「えと…何してるの?」
双子吸血鬼「「血を吸おうとしてたの!!」」
男「いや、まずどうやって入ったの?」
双子妹「ボクたちは吸血鬼!」
双子姉「お兄ちゃんの居場所はすぐに分かるしだいたい簡単に行けるよ!」
男「……うん、そうか、うん、分かった。あのね、それは許そう。どうやって入ってきたかは聞かないし明日からも勝手に入ってきたらいい。でも血を吸うときは、勝手に吸っちゃ駄目だよ」
双子妹「そっかー」
双子姉「ごめんね、お兄ちゃん」
双子吸血鬼「「じゃあ、今日の分を、いただきます!」」
チュ~~キュポンッ
双子妹「ごちそうさまでした!」
双子姉「今日も良いお味でした!」
男「……お粗末さまでした」
双子妹「オソマツってなに?六つ子?」
双子姉「六つ子?なんか親近感あるね!」
男「まあ、そういう挨拶なんだよ、日本にある」
男「鍵は…かかってるな…」
双子妹「どうしたの?」
双子姉「ドアからは入ってないよ!」
男「へえ…そうなんだ…窓も…開いてないよな…」
双子妹「それより遊ぼうよ~」
双子姉「そうそう、ゲームしたいな~!」
男「あのね、俺は今から仕事があるんだよ」
双子妹「なに~!?」
双子姉「仕事ですと~!?」
男「だから出勤しないといけない、新人だし」
双子妹「今の日本経済で就職できるとは~」
双子姉「お兄ちゃんは勝ち組ですな~」
男「うん、ありがとう。それで、俺はいかないといけないから。勝手にゲームしててもいいけど」
双子吸血鬼「「じゃあ会社に憑いてく~!」」
男「……二人はお留守番しといて」
双子妹「え~つまんないよ~」
双子姉「せっかくお兄ちゃんと遊べるのに~」
男「…あのね、お留守番っていうのは超重要なんだ。家に誰もいない、こんな危険な状況はない」
双子妹「ほうほう、そう言われれば、空き巣入り放題ですな」
双子姉「RPGゲームのタンス開け放題ツボ割り放題ですな」
男「だから!君たちに留守番を頼みたいんだよ!お願い!!」
双子吸血鬼「「お~、はじめてのおるすばんですな!!」」
男「うん、だからよろしくね。インターホンとか出なくていいから!じゃ、行ってきます」
双子吸血鬼「「いってらっしゃ~い!!」」
男「ふぅ~、しかし、なんなんだ、あの二人…どっから入ってきたのか分からないし…」
男「ちょっと家出るの早かったかな…本でも買うか…」
本屋
男「『吸血鬼幻想』…吸血鬼ねえ…」
家の前
男「日が暮れちゃったなあ…あの二人、帰ってるかな」
男「鍵は…かかってるな…」ガチャ
男「ただいま~…」
男「……」パチッ
男「……料理?置き手紙」
『お兄ちゃんへ
日が暮れそうなので帰ります
二人で晩ご飯作りました
食べてね!
今日はごちそうさまでした
またあしたね!』
男「なんだろう、このハンバーグ…歪な形は仕方が無いとして…肉の味が…薄い…」
男「いや、おいしいんだけど…なんでだろう」
…きて」
…はよう!」
双子吸血鬼「「起きろーーーーーーーー!!!」」
男「うわあ!?」
双子妹「おはようお兄ちゃん!」
双子姉「お兄ちゃんおはよう!」
男「……お、おはよう…」
双子妹「昨日のハンバーグどうだった?ボクがこねたんだよ!」
双子姉「それから私が焼いたの!あとねえ…」
双子吸血鬼「「朝ごはんも作っておきましたー!」」
男「えっと、言いたいことはたくさんあるんだけど、まず昨日はごちそうさま」
双子妹「わーい!お兄ちゃんが褒めてくれたー!」
双子姉「やったー!それじゃあ、」
双子吸血鬼「「いただきます!」」
チュ~~キュポンッ
男「……朝から元気だなあ」
双子吸血鬼「「ごちそうさまでしたー!」」
双子妹「ささ、お兄ちゃん、次はお兄ちゃんの番だよ」
双子姉「ささ、私たちの朝ごはんを食べてねー!」
男「うん、ありがとう、いただきます…」
男「えっと…これなに?」
双子妹「ママリガ!」
双子姉「とうもろこし!」
男「へえ…あ、結構おいしい」
双子妹「おかずはよく分からんので」
双子姉「ソーセージ焼いただけだけどいい?」
男「あ、うん、おいしいよ、ありがとう」
男「行ってきます」
双子妹「いってらっしゃい!」
双子姉「気をつけてね!」
ギィ…ガチャン…
男「普通においしかったけどママリガってどこの料理…?検索…」
男「……ルーマニア。本当にルーマニアから来た…とか?」
男「ただいま~」
双子吸血鬼「「おかえり~!!」」
男「なんで玄関で待ってたの?」
双子妹「昨日も言ったけど」
双子姉「お兄ちゃんの居場所はすぐに分かるの!」
男「……」
双子妹「あとごめんねお兄ちゃん!」
双子姉「今日は晩ご飯作れてないの!」
男「いいよ、それは。俺が作るべきなんだし」
ジュゥ~
男「君たち本当に吸血鬼なの?」
双子妹「本当だよ」
双子姉「だから毎朝血が必要なの」
男「……」
ジュゥ~
双子妹「お兄ちゃん、いま何焼いてるの!?」
双子姉「これ、魚?」
男「うん、魚、サンマだよ」
双子妹「おお~!サンマ!」
双子姉「魚は食べたことないんだ~」
男「食べる?一応三人分買ってきたんだけど」
双子妹「お兄ちゃんの気持ちは嬉しいんだけど」
双子姉「残念ながら門限来ちゃった!」
双子吸血鬼「「また明日ね~サンマは明日食べるから~!」」
ギィ…ガチャン!
男「いつも唐突だなあ…」
男「サンマ…今日はいいか、冷蔵庫に入れて今日は納豆でも食べよう」
男「んん…」
双子妹「あ、お兄ちゃん起きちゃった」
双子姉「起こそうとしてたら起きるなんてお兄ちゃん偉い!」
男「おはよう…」
双子妹「お兄ちゃんも起きたし」
双子姉「今日の分も遠慮なく」
双子吸血鬼「「いっただきま~す!!」」
チュ~~キュポンッ
双子吸血鬼「「ごちそうさまでした!」」
男「お粗末さまでした。さて、ご飯食べようか。サンマあるよ」
双子妹「わーい!」
双子姉「やったー!」
双子妹「これがサンマ…」
双子姉「秋の味覚ですな」
男「じゃあ、食べようか」
双子吸血鬼「「いただきます!」」
男「いただきます」
双子妹「おいしい…」
双子姉「魚おいしい…」
双子妹「脂の風味が牛とかとだいぶ違うねー」
双子姉「身が崩れやすくて食べるの楽だねー」
男「じゃあ行ってきます」
双子妹「いってらっしゃーい!」
双子姉「早く帰ってきてねー!」
ギィ…ガチャン
男「吸血鬼って血以外のものも食べるんだな…」
男「ただいまー」
双子妹「おかえり~」
双子姉「お風呂にする?ご飯にする?」
双子吸血鬼「「それとも…」」
双子妹「ボク?」
双子姉「私?」
男「何やってんの?」
双子妹「今日やってたドラマの真似~」
双子姉「私たちみたいなのってカヨイヅマって言うらしいね」
男「言わない」
男「俺のいない間って何やってんの?」
双子妹「えっとね~、ゲームしたり、テレビ見たり」
双子姉「あと血の吸い合いっことか」
男「血の吸い合いっこ…ッッッ!!」
双子妹「どうしたの?お兄ちゃん」
双子姉「お兄ちゃん…?」
男「い、いや、なんでもない…なんでもないから!!」
双子吸血鬼「「んん…?」」
男「……」
双子妹「おっと、もう帰る時間だ~」
双子姉「またあしたね~!」
男「お、おう、ま、またね…」
双子吸血鬼「「いつもありがとうね、お兄ちゃん!!」」
ギィ…ガチャン
男「百合な世界を想像してしまったとか言えないな…ていうかストローで吸うんだったよな」
ガバッ
男「あれ、もうこんな時間か…」
男「いないな…まあ、そのうち来るか…」
男「今日は早退もらえて良かった、あいつら来てるかな?」
ギィ…ガチャン
男「……いない」
ガバッ
男「あれ、今日も来てないのか…」
男「どうしたんだろ…」
10日後
男「ん~、やっぱ祝日は寝過ぎてしまうな…」
男「あれ…」
双子妹「…あ、お兄ちゃん」
双子姉「おはよう…」
男「来てたのか!どうしたんだ、急に来なくなって、心配してたんだぞ!」
双子妹「……」
双子姉「……」
男「血か!?血を吸いたいのか!?ほら、いくらでも吸え!」
双子妹「……」
双子姉「……」
男「どうしたんだ、二人とも…」
双子妹「あのね、お兄ちゃん…」
双子姉「今日はお願いがあってきたの」
男「お願い?血を吸うんじゃなくてか?」
双子妹「血はもういいの」
双子姉「もう欲しくないの」
男「じゃあ、なんだ…?」
双子妹「あのね、」
双子姉「あのねお兄ちゃん…」
双子吸血鬼「「私たちをころしてほしいの」」
おい
88:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/02(金) 20:00:32.14:n/OXcdP20男「ころ…す?」
双子妹「ボクたちはね、吸血鬼」
双子姉「吸血鬼はね、もともとは死体なの」
男「……」
双子妹「死体が生き返ったのが吸血鬼」
双子姉「そして生きてる家族を食い散らかすの」
男「それは…読んだ、吸血鬼の本で…」
双子妹「じゃあ話が早いね」
双子姉「私たちは一緒に死んだの」
双子妹「一緒に死んで、一緒に埋葬された」
双子姉「お母さんが、一つのお墓に埋めてくれたの」
男「土葬で…」
双子妹「うん、吸血鬼は死体なんだよ」
双子姉「私たちは運が良かった…吸血鬼としては悪かったのかもしれないけれど」
双子妹「普通の吸血鬼は自我がないんだけど、ボクたちは二人一緒に生き返ったから」
双子姉「自我に目覚めた」
男「普通の吸血鬼っていうのは、自我がなくて、吸血鬼の本能みたいなので家族を食い散らかすってこと…?」
双子妹「そういうこと。でも知能は残ってるから言葉巧みに家族を騙すんだ」
双子姉「吸血鬼が他の吸血鬼に会っても、普通はそのままなんだけど、私たちは互いを見て互いを思い出して」
双子妹「互いを見て、家族を思い出した」
双子姉「そして生きてる時と同じように自我を取り戻した」
男「……」
双子妹「でも、夜はやっぱり大変なんだ」
双子姉「夜はずっと二人で固まってないと、すぐ吸血鬼に戻っちゃう」
双子妹「ずっと二人で見つめ合っていないと」
双子姉「すぐに自分も相手も忘れちゃう」
男「だから、日の出てる間だけ…」
双子妹「うん、だからストローだって嘘っぱち」
双子姉「だけど本当の吸血鬼」
双子妹「しばらく来なかったのはね」
双子姉「最近、昼もおかしいの」
双子妹「お兄ちゃんの家に行こうとしたら」
双子姉「吸血鬼に戻っちゃったの」
双子吸血鬼「「だからしばらく来られなかったの、ごめんね、お兄ちゃん」」
男「今日は…大丈夫なのか…?」
双子妹「うん、今日は大丈夫」
双子姉「でもねもう限界に近いかも」
双子妹「今日は大丈夫だけど、明日も大丈夫とは限らない」
双子姉「二人で見つめ合っていても吸血鬼になっちゃうかもしれない」
男「……そうなると、どうなるんだ?」
双子妹「まずお父さんとお母さんを殺して血を吸っちゃう」
双子姉「それから多分次が」
双子吸血鬼「「お兄ちゃん」」
男「……俺?」
双子妹「お兄ちゃんは4日だけだけど相手してくれたから」
双子姉「たぶん家族の次はお兄ちゃんのところに来る」
双子妹「ボクね、お兄ちゃんが大好き」
双子姉「私も、お兄ちゃんが大好き」
双子吸血鬼「「だから、殺したくないの」」
男「二人とも…」
双子吸血鬼「「だから、ころしてほしいの」」
男「でも、殺すって…」
双子妹「ボクたちはもう死んでるから」
双子姉「生きてるのがおかしいんだから」
男「それに、どうやって殺せば…」
双子妹「お墓の場所を教えるから」
双子姉「昼の間に掘り出して」
双子吸血鬼「「あとは心臓に杭を刺せばいい」」
男「……」
双子妹「それが駄目なら」
双子姉「燃やしてもいいよ」
双子妹「お墓の場所はここ」
双子姉「早くきてね。それから」
双子妹「次にボクたちがここに来たときは、ボクたちは吸血鬼に戻ってるから」
双子姉「自我のない、お兄ちゃんを殺す吸血鬼になってるから」
双子吸血鬼「「迷わず殺すか逃げてね」」
男「……二人を、殺す、か」
『
双子妹「血を吸うぞ~」
双子姉「血を寄こせ~」
』
『
双子妹「昨日のハンバーグどうだった?ボクがこねたんだよ!」
双子姉「それから私が焼いたの!あとねえ…」
双子吸血鬼「「朝ごはんも作っておきましたー!」」
』
男「出来ない、よなあ…」
男「っていうか…墓の場所書いてあるこの紙」ペラ…
男「トランシルヴァニアって、あいつらマジでルーマニア出身だったのかよ」
男「貯金はあるし、来週は連休だから時間はとれるけどさ…」
男「とりあえず、行くしかないのか…?殺すかどうかは別として、もう一度会っておきたいし…」
ルーマニア
男「マジで来てしまった…」
男「一応杭を持っていった方がいいのかな…」
男「バス数時間か…結構かかるな」
男「ここが墓か…周り何もないな…誰にも見つかりませんように!」
ザクッザクッザクッ
男「太い棺が一つ…ここに二人入ってるのか」
男「よっと…」
ゴト…
男「……」
男「普通土葬された遺体っていうのは白骨化してるもんだよな…」
男「やっぱりこいつらマジで吸血鬼だったんだな。ルーマニアから日本の俺の家に来るとか意味不明すぎるけど…」
男「…おら、起きろ」
ペシ
双子妹「……」
双子姉「……」
男「起きろって」
ペシペシ
双子吸血鬼「「………」」
男「起きろーーーーーーーーーーー!!!」
双子妹「きゃっ!!」
双子姉「わっ!!」
双子吸血鬼「「お兄ちゃん…」」
男「起きたか」
双子妹「なんで起こすの…」
双子姉「そのまま殺してくれたら良かったのに…」
男「いや、吸血鬼として襲ってきたら殺すのも仕方ないかもと思ったんだけどな」
双子妹「今日はたまたま吸血鬼じゃないけど」
双子姉「お兄ちゃん、私たちが吸血鬼になってたら死んでたよ?」
双子妹「ささ、早く殺してよ、お兄ちゃん」
双子姉「ずっと待ってたんだよ?」
双子妹「こんなこと、お父さんにもお母さんにも頼めない」
双子姉「驚いて泣いちゃうからね」
ぎゅっ
双子妹「お兄ちゃん…?」
双子姉「何のまね…?」
男「……」
双子妹「駄目だよ…」
双子姉「そうだよ…」
双子吸血鬼「「死にたくなくなっちゃうでしょ…」」
男「……」
男「……」
双子妹「お兄ちゃん、そろそろ…」
双子姉「日が暮れちゃうから…」
男「……構わないよ」
双子妹「…お兄ちゃん」
双子姉「ダメだってば…」
双子妹「ねえお兄ちゃん…」
双子姉「殺さなくてもいいから、そろそろ手を離して」
すっ
男「……」
双子妹「ねえ、お兄ちゃん」
双子姉「お兄ちゃん…」
双子吸血鬼「「いただきます!!」」
ドンッ!!二人を押す
ダッ!!駆け出す男
男(たぶん、ここからだ…)
男「もう日は暮れてる…二人はいま吸血鬼…教会……たしか、祭壇の影…」
双子妹「お兄ちゃーん、ここにいるのー?」
双子姉「見えたよ、お兄ちゃんがこの教会に入るの」
双子妹「どこー?」
双子姉「出てきて、お兄ちゃん!」
男「……」
双子吸血鬼「「食べたりしないから、出てきてー!」」
男「……」
双子妹「お兄ちゃーん!」
双子姉「お兄ちゃーん!」
双子吸血鬼「「こんな真っ暗な教会に一人でいると、吸血鬼が出ちゃうよー!だから出てきてー!」」
男「……」
双子妹「お兄ちゃんは、どーこだ?」
双子姉「パイプオルガンの裏にもいない…」
男「……」
双子妹「おっと、もう朝だ」
双子姉「いったん帰らないと」
双子吸血鬼「「お兄ちゃんはまた夜に食べてあげる」」
男「……」
ギィ…ゴオォン…
男「……ふぅ、行ったか」
男「しかし恐ろしいな、声の調子もいつも通りなのに、あれで自我ないんだよな…」
男「もう相当進んでるっぽいな、吸血鬼化が」
男「あと二日、か…」
その日の夕暮れ
墓の前
ゴト…
男(今日は自分から出てきたか…)
双子妹「あ、お兄ちゃんだ…」
双子姉「お兄ちゃん、来てくれたんだ」
双子吸血鬼「「私たちに食べられに来てくれたんだ!」」
ダッ!
双子吸血鬼「「お兄ちゃん待ってえぇ!!」」
男(今日は教会の聖歌隊席…!!)
双子妹「また教会に入るなんて」
双子姉「今日こそは見つけてあげるね」
双子吸血鬼「「今日こそは食べてあげるね」」
男「……」
朝
双子妹「また朝が来ちゃった…」
双子姉「うーん、また帰らないと」
双子吸血鬼「「お兄ちゃんはまた夜に食べてあげる」」
男「……」
ギィ…ゴオォン…
男「……今夜が山だな」
夕暮れ
墓の前
ゴト…
双子妹「お兄ちゃん…」
双子姉「今日も来てくれたんだね…」
ダッ
男「……」
双子妹「待って!!」
双子姉「私たち普通だよ!!」
男「……」
双子妹「毎日毎日教会に来て…」
双子姉「かくれんぼが趣味なの?」
双子吸血鬼「「どこだろ、お兄ちゃん」」
男「……」
ギィ…ゴオォン…
双子妹「お兄ちゃん…?」
双子姉「外に出たねえ…」
男「はあっ…はあっ…」
双子妹「待て!お兄ちゃん!!」
双子姉「遊ぼうよ、お兄ちゃん!!」
男(三日目は…吸血鬼の棺の中…!!)
男(俺には高さが足りないけど…二人が入れる分の太さがあるから、ギリギリ膝を曲げれば入れる…)
ゴト…
双子妹「ボクたちの棺の中…?」
双子姉「お兄ちゃん、そんなところに隠れても逃げ場はないよ?」
ドンドン!!
双子妹「コラー!お兄ちゃん、出てきなさい!!」
バンバン!!
双子姉「大人しく観念しろー!!食われろ!!」
男「……」
ドンドン!!
双子妹「お兄ちゃん大好きだよ!」
バンバン!!
双子姉「お兄ちゃん愛してるよ!」
ガンガンガンガン!!!!!!!!
双子吸血鬼「「だから出てきて!!」」
ドンドン!!
双子妹「出てこないと燃やすよ!?」
バンバン!!
双子姉「出てこないと埋めるよ!?」
ガンガンガンガン!!
双子吸血鬼「「出てきたら食べるだけで許してあげるから!!」」
双子妹「あ…」
双子姉「朝…」
双子妹「あああ…」
双子姉「あ、ああ…」
ガンガンガンガンガンガンガンガン!!!
双子吸血鬼「「ああああああああああああああああああっ!!!!!!お兄ちゃん!!!!!!!この棺を開けてえええええええええええええええええええええええ!!!!!」」
男「……!」
双子妹「あ、ああ…日が」
双子姉「出ちゃった…」
双子吸血鬼「「…………」」
コケッコッコー!!
双子妹「……」
双子姉「……」
ゴト…
男「……」
男(二人に殺されるなら…構わない…)
双子妹「あれ、お兄ちゃん…?」
双子姉「なんでお墓の中にいるの…?」
男「……」
ぎゅっ
双子吸血鬼「「お兄ちゃん…?」」
~行きの飛行機の中~
男「『吸血鬼幻想』…この本読みかけだったな…」
男「死装束の娘型説話 …?」
男「ポーランドの話ねえ…」
男「女の吸血鬼が人を食い殺す…」
男「老人の助言を得た男は吸血鬼から逃げて、一晩目は教会の祭壇の影に…」
男「二晩目は聖歌隊席に隠れて」
男「三日目の晩は吸血鬼の棺の中に隠れて、何があっても蓋を開けられないようにする…」
男「朝が来て、雄鶏が鳴いたとき、呪いは解けて吸血鬼は元に戻る…」
男「これが本当なら…」
男「二人を殺すくらいなら…」
男「途中失敗して二人に食われても…」
男「良かった…良かったよ…二人が元に戻って…」
双子妹「お兄ちゃん…」
双子姉「お兄ちゃん…」
双子妹「……」ニコッ
双子姉「……」ニコッ
双子「「お兄ちゃん!ありがとう!!」」
ぎゅっ!
この後がまだ怖いと疑ってしまうのは俺だけじゃないよな?
157:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/02(金) 22:13:28.89:NEyfBADq0
ドキドキするわ
159:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/02(金) 22:14:43.54:n/OXcdP20~7年後~
ピンポーンピンポーン
男「朝から、誰だよ…」
男「はーい…」
ガチャ
双子妹「血を吸うぞ~」
双子姉「血を寄こせ~」
男「……」
双子妹「この特別ストローで!!」
双子姉「お兄ちゃんの血を吸い尽くしてやる~」
男「どうぞ」スッ
双子妹「腕じゃない~」
双子姉「首じゃないとだめ~」
男「どうぞ」スッ
チュ~~キュポンッ
双子妹「うん、もう届くようになってしまったね」
双子姉「私たちも大きくなったからねー」
良かった
162:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/02(金) 22:16:38.32:Ke5tuklkI
ホッ( ´▽`)
163:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/02(金) 22:18:09.25:kaMw2ZPc0
良かった(`・ω・´)
164: 忍法帖【Lv=30,xxxPT】 :2011/09/02(金) 22:19:05.95:APLj384j0
ほんとによかったぉ
165:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/02(金) 22:19:36.03:n/OXcdP20男「日本まで来たんだ…」
双子妹「お兄ちゃん、大事なこと忘れてますよ?」
双子姉「そうそう、とっても大事なこと忘れてますよ」
男「日本語話せるんだ…」
双子妹「そりゃあ、勉強しましたからなあ、たくさんたくさん」
双子姉「あの間はお兄ちゃんの日本語を妖怪パワーで理解してたわけだし、ちょっとは覚えてたし」
男「何しにきたの?」
双子妹「いやあ、あれからお兄ちゃんの家が変わってなくてよかったよ~」
双子姉「いやあ、お兄ちゃんの家も覚えててよかったよ~」
双子「「ところで」」
男「……?」
双子妹「お兄ちゃんは昔話の方法で」
双子姉「私たちを助けてくれたわけだけど」
双子「「その昔話の最後、覚えてる?」」
男「7年前に読んだ本だしなあ、あんま覚えてない…」
双子「「主人公は、助けた吸血鬼をお嫁さんにするんだよ!!」」
男「…………そういえばそんな最後だったね」
双子「「お兄ちゃん、大好き!!」」
ガバッ
以上です、ありがとうございました
175:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/02(金) 22:27:05.22:Ke5tuklkI
ぶひいいいいいいいいいいいいいい
177:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/02(金) 22:27:12.71:ihNBgGmu0
乙!!
173:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/02(金) 22:26:05.42:lzILzFul0
>>169
俺の中じゃブラックラグーンの双子のイメージだったよ(´゚'ω゚`)
181:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/02(金) 22:28:37.36:n/OXcdP20俺の中じゃブラックラグーンの双子のイメージだったよ(´゚'ω゚`)
>>173
曲のイメージとしてぴったりだなあと思ったので勝手にイメージソングのように貼り付けましたが、この双子自体が亜美真美というわけではありませんww
レミリアとフランドールは双子じゃないので微妙ですが、はじるすでも何でも誰でもと思います
183:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/02(金) 22:31:23.67:NEyfBADq0曲のイメージとしてぴったりだなあと思ったので勝手にイメージソングのように貼り付けましたが、この双子自体が亜美真美というわけではありませんww
レミリアとフランドールは双子じゃないので微妙ですが、はじるすでも何でも誰でもと思います
乙!そしてありがとう!
185:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/02(金) 22:32:16.51:kaMw2ZPc0
良いSSをありがとう乙
186:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/02(金) 22:34:06.34:n/OXcdP20
最初から中盤まで二人を男に殺させようかと思ってましたが、『吸血鬼幻想』を回収しないとと思って生かすルートに変更しました
作中に出てくる『吸血鬼幻想』という本、実在します
http://www.amazon.co.jp/%E5%90%B8%E8%A1%80%E9%AC%BC%E5%B9%BB%E6%83%B3-%E6%B2%B3%E5%87%BA%E6%96%87%E5%BA%AB-126A-%E7%A8%AE%E6%9D%91-%E5%AD%A3%E5%BC%98/dp/4309400469
いろいろなスラヴ吸血鬼関係の説話が載っているので、民俗学、文学に興味のある方は古本屋で見かけたら買うといいでしょう
日本におけるスラヴ吸血鬼研究の一つの節目と言って差し支えのない本です(ほとんどの文献がスラヴ原文に依拠)
194:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/02(金) 22:44:23.77:n/OXcdP20作中に出てくる『吸血鬼幻想』という本、実在します
http://www.amazon.co.jp/%E5%90%B8%E8%A1%80%E9%AC%BC%E5%B9%BB%E6%83%B3-%E6%B2%B3%E5%87%BA%E6%96%87%E5%BA%AB-126A-%E7%A8%AE%E6%9D%91-%E5%AD%A3%E5%BC%98/dp/4309400469
いろいろなスラヴ吸血鬼関係の説話が載っているので、民俗学、文学に興味のある方は古本屋で見かけたら買うといいでしょう
日本におけるスラヴ吸血鬼研究の一つの節目と言って差し支えのない本です(ほとんどの文献がスラヴ原文に依拠)
『スラヴ吸血鬼伝説考』はこちら
http://www.amazon.co.jp/%E3%82%B9%E3%83%A9%E3%83%B4%E5%90%B8%E8%A1%80%E9%AC%BC%E4%BC%9D%E8%AA%AC%E8%80%83-%E6%A0%97%E5%8E%9F-%E6%88%90%E9%83%8E/dp/4309006965
スラヴの魔女とか、死神について書いた本ですね。>>186の「(ほとんどの文献がスラヴ原文に依拠)」というのはこの本です、すみませんwww
「死装束の娘型説話」として載っています。他にもいろいろ載ってます
195:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/02(金) 22:45:30.97:dg2EKk3vOhttp://www.amazon.co.jp/%E3%82%B9%E3%83%A9%E3%83%B4%E5%90%B8%E8%A1%80%E9%AC%BC%E4%BC%9D%E8%AA%AC%E8%80%83-%E6%A0%97%E5%8E%9F-%E6%88%90%E9%83%8E/dp/4309006965
スラヴの魔女とか、死神について書いた本ですね。>>186の「(ほとんどの文献がスラヴ原文に依拠)」というのはこの本です、すみませんwww
「死装束の娘型説話」として載っています。他にもいろいろ載ってます
なるほ
>>1が吸血鬼が好きなのはよく分かった
198:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/02(金) 22:48:15.99:lzILzFul0>>1が吸血鬼が好きなのはよく分かった
>>194
どちらも読んでみたいけど、古本しか無いんだね・・・手許にはトゥルースインファンタジーのくらいしか無い
ドラキュラ紀元シリーズも全部読みたいのにどこの本屋にも無い(#^ω^)
199:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/02(金) 22:50:24.81:n/OXcdP20どちらも読んでみたいけど、古本しか無いんだね・・・手許にはトゥルースインファンタジーのくらいしか無い
ドラキュラ紀元シリーズも全部読みたいのにどこの本屋にも無い(#^ω^)
というわけで皆様、支援及び乙、その他レスをありがとうございました
一応スレッドは見てます
>>198
結構古い本ですからね…図書館にあるかもしれませんよ
自分は大学の図書館で借りて読みました
200:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/02(金) 22:55:07.38:G73h1f400一応スレッドは見てます
>>198
結構古い本ですからね…図書館にあるかもしれませんよ
自分は大学の図書館で借りて読みました
おつでした!
平和な心が訪れましたー
216:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/09/02(金) 23:52:28.84:93Ni0l7p0平和な心が訪れましたー
すごくよかった
乙
乙

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