編集「うおお……凄ぇな……これ書いた人…」
かきふらい「ん?編集くん、携帯でなにを見てるんだい?」
編集「ああ先生、これはですね、けいおんSSってやつなんですよ」
かきふらい「けいおんSS?」
編集「はい」
かきふらい「なにそれ?」
編集「二次創作ですね。ネットの住人が、実際の漫画やアニメ、はたまた映画のキャラとかを使って自由に物語を書くんです」
編集「まぁ、簡単な小説みたいなものですね」
かきふらい「へぇ~……ってもしかして、僕のけいおんのキャラも?」
編集「そうですよ。けいおんは凄い人気ですからね。SSの数も半端じゃないですよ」
かきふらい「ちょっと見せてもらっていいかな?」
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4:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/06(月) 21:44:51.91:369bomTJ0
編集「どうぞ」すっ
かきふらい「………ふ~ん……」
かきふらい「ねぇ、これどうしてみんな台本形式なんだい?」
編集「SSは基本的に台本形式ですね。読みやすいしそれに、もう皆キャラのデザインと性格を分かってるわけですから」
編集「一般の小説のように各キャラの説明とか細かい描写を書く必要がないんです」
かきふらい「へぇ~……ん?」
編集「まぁ台本形式じゃないのも少なくないですけどね」
かきふらい「……なんだ……これ……」
編集「どうしました?」
かきふらい「……なっ…!おいっ!なんだよこれ…!」
編集「ちょっ……どうしたんですか」
かきふらい「なんだよこの内容は…!!」
編集「ああ、それさっきまで僕が読んでたやつですね。凄まじい鬱展開で有名な作品なんですよそれ」
かきふらい「僕が生み出したキャラだぞ!!」
編集「ちょっ、なに怒ってるんですか先生」
8:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/06(月) 21:46:25.65:BHg9bJQj0
かきふらい「ふざけるなよ!なんだよこれ!」
編集「ちょ、落ち着いてください」
かきふらい「こんなの著作権の侵害だ!訴えてやる!」
編集「まぁまぁ落ち着いてください」
かきふらい「どうして君はそんなに冷静でいられるんだ!?」
編集「落ち着いて下さいって。けいおんだけじゃないですよ、SSがあるのは。」
かきふらい「!」
編集「というかほぼ全ての創作物にはSSがあるしSSが書かれる可能性があると言っていい」
編集「あとアンソロ何冊も出てるじゃないですか。SSでいちいち著作権とか言ってたら同人作家みんな訴えられてますよ」
編集「まぁ著作権とかその辺は詳しいことは分かりませんが……黙認されてる状態なんじゃないですかね、今は」
編集「どんなに酷い内容の同人誌やSSを書いても、それで逮捕されたなんて人はまだいないはずです」
編集「まあ、ディズニー関係はそういうの厳しいって聞いたことはありますけど……」
かきふらい「……しかし……」
編集「それに、SSや同人誌がたくさんある作品は、それだけ人気があるってことなんですよ」
編集「つまらない漫画やアニメを題材にした二次創作なんて、だれも見たいと思わないでしょ?」
11:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/06(月) 21:48:54.53:369bomTJ0
編集「そういう意味じゃ、やっぱりけいおんは凄いですよ」
編集「ここまで大量のSSが書かれた作品はけいおん以外にないんじゃないかな」
かきふらい「でも、この内容は酷すぎる…!それになんでコメント欄でこんなに絶賛されてるんだ?」
編集「まぁ絶賛されるのは、それを書いた人の発想力、文章力が高いのもありますが…」
編集「一番の理由はやっぱり内容ですね」
編集「SSをまとめるまとめサイトってのがありますが…今先生が見てるそれです」
編集「衝撃的な内容のSSほど、コメントがたくさん付く傾向がありますね。半分以上が批判の時もありますがね」
編集「いま先生が読んだそれ、凄く衝撃的だったでしょ?」
かきふらい「あ、ああ…」
編集「それですよ。より衝撃的なもの。インパクトの強いもの。より刺激の強いものをネットの住人は求めてるんです」
かきふらい「そ、それはどうしてだ?」
編集「まぁ、けいおんは原作がほのぼのとしてるからですね」
12:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/06(月) 21:50:39.68:369bomTJ0
かきふらい「ああそうだ。そういう風に描いてるんだから」
編集「原作ではほのぼの幸せに…悩みも喧嘩も悲しみもなく平穏に暮らしてる唯ちゃんたちですが」
編集「彼女たちがもし、不幸に巻き込まれたら、どん底に落ちたら…どうなるだろうか?」
編集「そういうギャップを楽しんでるんですよ。彼らは」
かきふらい「ギャップ?」
編集「はい。そうですねぇ……そうだ。デスノートってあったでしょ?以前凄いブームになった」
かきふらい「ああ。全巻持ってるよ」
編集「デスノートのSSは面白いですよ。そのほぼ全てのSSがギャグものだと言っていい」
編集「どうしてほとんどがギャグものなのか……なぜか分かりますか?」
かきふらい「………原作が……シリアスだから?」
編集「その通り。原作ではシリアスな頭脳戦を繰り広げる月とLが、SSではお馬鹿なことをしまくるんです」
編集「あの月とLが、デザインはそのままに、コントのようなことをするんですよ」
編集「まさにシリアスな笑い……ぷっ。やべっ、思い出したら笑っちまった」
14:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/06(月) 21:53:04.23:369bomTJ0
かきふらい「………」
編集「まぁとにかく、原作の雰囲気とは真逆の雰囲気のSSが面白いし、インパクトが強い」
編集「生理的に無理って人もいますけどね」
編集「とりわけけいおんはその差が激しい。なかには吐き気を催すのもあります」
かきふらい「……」
編集「ま、深く考えることないですよ。SSなんてどの漫画にもあるし…」
編集「それだけけいおんはまだまだ人気があるってことですよ」
かきふらい「……なぁ……編集くん…ちょっと、このまとめサイトのURL送ってくれないか」
編集「ははは、良いですよ。」(なんだ、先生も気になってるんじゃないか、ははっ)
編集「はい、送りました。あ、そうそう、なにもけいおんSSの全てが鬱展開ってわけじゃないですよ」
編集「原作の雰囲気を忠実に再現したほのぼのもたくさんありますから」
編集「あと…」(あとエロいのも……いや、これは言わないでおくか…その方が面白そうだ)
編集「んじゃ、今月の原稿、預かります。んじゃあ僕はこれで」
かきふらい「うん。ご苦労様」
16:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/06(月) 21:54:57.53:369bomTJ0
その日の夜
かきふらい「……はははっ!あははははっ!」
かきふらい「面白いな、このギャグものは」
~~~~~
かきふらい「……うっ……うう…ぐすん」
かきふらい「やばい……不覚にも泣いてしまった」
~~~~
かきふらい「おお、映画やゲーム、他の漫画とのクロスオーバーなんてあるのか」
かきふらい「…おお!熱い展開だな…」
~~~~
かきふらい「…エロいのは興味ないからいいや。しかしなんでやたらレズものが多いんだ?」
~~~~
かきふらい「…鬱か…グロ注意とかちゃんと注意書きもしてあるんだな…」
かきふらい「……………」
17:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/06(月) 21:56:54.47:369bomTJ0
翌日
かきふらい「…はぁ」(けいおんSSを徹夜で読んでしまった…)カリカリ
かきふらい「…」(しかし……ああいうの書いてる人たちも凄いな…)カリカリ
かきふらい「…」(本当に素人か?と思わせるほどの文章力の人もいるし…)カリカリ
かきふらい「…」(凄い発想を持つ人もいる)カリカリ
かきふらい「…」(なかにはプロの作家も混ざってたりするのだろうか…)カリカリ
かきふらい「…」(いや、さすがにそれはないか…)カリカリ
かきふらい「…」(しかし……なぜか鬱やグロ描写のあるSSの方が、面白いというか、良作が多い気がする)カリカリ
かきふらい「…」(気のせいか…?昨日、編集くんがあんなことを言っていたからだろうか…?)カリカリ
かきふらい「…」(ギャップ……原作との真逆の雰囲気……)カリカリ
かきふらい「…」(もし…僕が原作をシリアスに描いていたら、SSはどうなっていたんだろう…?)カリカリ
かきふらい「…って」(なにを考えてるんだ僕は。もしけいおんがシリアスだったらとっくに打ち切りだったろうし)カリカリ
かきふらい「…」(そもそも僕にはシリアスなんて描けない。ほのぼのしか描けない)カリカリ
かきふらい「…」(くだらない。仕事に集中しよう)カリカリ
かきふらい「……」カリカリ カリカリ カリカリ カリカリ
19:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/06(月) 21:58:51.59:369bomTJ0
一ヵ月後
編集「こんにちはー。今月の原稿とりにきましたー」
かきふらい「ああ。待ってたよ。もうあがってる」
編集「ちょっと見させてもらいますね」
編集「…ふーんどれどれ…」
編集「はははっ…やっぱり先生が描くキャラはみんな幸せそうでいいですねぇ」
かきふらい「まぁ僕にはそういう雰囲気しか描けないからね」
かきふらい「編集くん、コーヒーでも飲むかい?」
編集「ああ頂きます。うん。いつも通りほのぼのしてる………ん?」
かきふらい「ちょっと待ってて」
編集「………」(……おや?)
かきふらい「おまちどうさま。はい」
編集「………」
かきふらい「どうかしたかい?」
編集「…ああいえっ!なんでもありません。」(まぁ……アニメの1期の11話でも、この程度の雰囲気はあったしな…)
24:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/06(月) 22:02:30.15:369bomTJ0
編集「おいしいですね。このコーヒー」
かきふらい「ははは、そうだろう?」カタカタ
編集「ん?先生パソコンでなにをやってらしてるんですか?」
かきふらい「ああ。SSだよ。けいおんSSを読んでるんだ」
編集「おお、先生もハマっちゃいましたか」(あれ…?意外だな)
かきふらい「うん、これはなかなか面白い。彼らには僕なんかには到底思いつかない発想力がある」
編集「僕もヒマな時よく読むんですよ。たまに電車の中とかで笑いそうになりますよね」
かきふらい「…ふーん編集くんはギャグものが好きなの?」
編集「まぁそうですね。読んでいて楽しいし。まぁ全般的に読みますけどね。鬱のやつも」
かきふらい「…へぇ~…」カタカタ
編集「先生はどのジャンルが好きですか?」
かきふらい「ん?僕は…」(そういえば、よく考えてみたら原作の雰囲気とは真逆のやつばかり見てる気がする……)
編集「……」
かきふらい「……………僕も、ギャグものが好きかな」
編集「やっぱそうですよね」
25:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/06(月) 22:04:32.00:369bomTJ0
かきふらい「しかし、なんで憂って基本的に最強キャラなんだ?」
編集「はははいわゆる憂選手ってやつですね」
かきふらい「憂選手?」
編集「ほら、原作でも憂ちゃんって完璧超人じゃないですか。様々な分野の才能を持っていて」
かきふらい「まあ……」
編集「だから、二次創作上でもあらゆる面でもトップクラスの実力を持っているんです」
編集「バトル物やギャグ物で、唯のピンチに憂が登場すると、憂キタァァァァアッ!これで勝てる!ってなりますよね」
かきふらい「うん……まぁ……」
編集「なんていうか、負ける気がしないというか、憂ならやってくれるっていう安心感がありますね。ですがその反面…」
かきふらい「ん?」
編集「唯のことを想うあまり、ヤンデレ化するパターンも多いですね」
かきふらい「うん。唯とだれかがイチャイチャするSSに憂が出るとちょっと不安になる」
編集「そうなんですよね。唯に気に入られてる梓が最もその餌食になりやすいですね」
かきふらい「まぁ…憂はお姉ちゃん大好きっ子で描いたからね」
26:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/06(月) 22:07:10.44:369bomTJ0
~~~~~~~~~~
編集「それじゃあ、僕はそろそろ戻ります。原稿、確かに預かりました。それでは」
かきふらい「うん。またね」
バタン
かきふらい「……ふぅ……」
かきふらい「…………」(憂……か…)
かきふらい「…」(僕も自分で描いておきながらちょっと思ってたんだよな…)
かきふらい「…」(唯が梓に抱きついたりベタベタするシーンを憂が真近で見たらどうなるか…)
かきふらい「…」(きっと嫉妬するんだろうけど、憂は優しいからその黒い炎をずっと己の内部に溜め続けて…)
かきふらい「…」(そして、その溜まりに溜まった炎がついに臨界点を突破した時…)
かきふらい「…」(………)
かきふらい「…はっ!」
かきふらい「…」(ってなにを考えてるんだ僕は!どうかしてるぞ!)
かきふらい「…」(………いいや。今日はもうSS読んで寝よう)
27:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/06(月) 22:10:24.98:369bomTJ0
~~~~~~~~~
かきふらい「…」(なんか最近SS読むのが日課になってるな…)
かきふらい「…」(いや、日課っていうか暇さえあれば読んでる気がする…)
かきふらい「…」(まぁいいか…)
かきふらい「…」(……しかし、本当に鬱ものやシリアスなものは作品の質が高いな……)
かきふらい「……」(………)
29:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/06(月) 22:13:41.10:369bomTJ0
翌日
かきふらい「今日はけいおんの映画でも観に行くか…」
かきふらい「おお、平日でも結構人いるんだな…」
かきふらい「リピーターが多いって聞いたけど」
かきふらい「まぁ僕も観るのは3回目だが…」
~~~~~~
かきふらい「…」(しかし…よくもまあここまでの作品になったよな…)
かきふらい「…」(連載が始まった時はまさかライブや映画になるなんて考えもしなかった…)
かきふらい「…」(これもファンのおかげだよな…)
かきふらい「…」(しかしそのファンが、ああいう鬱展開のSSとか書いてると思うと…)
かきふらい「…」(はっ!また僕はSSのことなんて考えてる…映画に集中しよう)
ズサーッ! Oh! ワンッ!ワンッ!
かきふらい「ははは」
31:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/06(月) 22:15:42.26:369bomTJ0
~~~~~~
かきふらい「はー面白かった」
かきふらい「…」(しかし……もうちょっと憂を登場させても良かったんじゃないか?)
かきふらい「…」(純はともかく…)
かきふらい「…」(いや、ストーリー上、仕方ないか…)
かきふらい「…」(いや、ていうかそれ僕が言える立場か?)
かきふらい「…」(原作でももともとメインキャラは5人で描いた)
かきふらい「…」(憂はメインを引き立てるサブキャラとして僕が描いたんじゃないか)
かきふらい「…」(そう……僕が描いたんだ…)
かきふらい「…」(僕が…)
かきふらい「…」(映画はあれで良い。完璧だった)
かきふらい「…」(……)
かきふらい「…」(……早く帰ってSS読もう)
33:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/06(月) 22:17:43.04:369bomTJ0
一ヵ月後
編集「すみませーん、今月の原稿とりに来ましたー」
かきふらい「おお、ちょうど良かった!今出来たとこなんだ!」
編集「はぁ…今ですか」(珍しいな…先生がギリギリで終わらすなんて)
かきふらい「はいどうぞ」
編集「じゃあちょっと見させて貰いますね」
編集「ふーんどれどれ……」
かきふらい「いや~大変だったけど間に合ってよかった」
編集「………………」(……………)
編集「……先生、今月の内容、ちょっと…ギャグがシリアスじゃないですか?」
かきふらい「そうかな……? ちょっとリアリティを求めたんだけど」
編集「…」(唯は頻繁に梓にメールや電話をしていて……)
編集「…」(一方憂の方へのメールを段々疎かにしていく唯…)
編集「…」(学校で楽しそうに唯と電話で話す梓をじっと見つめる憂……)
編集「…」(まぁ、普通にギャグに見えるが……しかし、憂の顔が無表情なのが怖過ぎる…これでは読者が不安に……)
36:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/06(月) 22:22:11.76:369bomTJ0
編集「先生、なんで今月、こういう内容なんですか?」
かきふらい「いやぁ、憂の気持ちを考えて、その上で話を膨らましたらそうなったんだ」
編集「でもこれは、あまり先生らしくないというか……けいおんっぽい雰囲気が出ていないというか…」
かきふらい「そうか?一応ギャグのつもりなんだが……」
かきふらい「そこまで言うほどじゃないだろ?憂と梓が喧嘩するわけじゃないし、軽音部が崩壊するわけじゃない」
かきふらい「ましてや……」
編集「……」
かきふらい「嫉妬に狂った憂が梓を殺すわけでもない」
編集「!!!」
37:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/06(月) 22:23:36.54:BHg9bJQj0
かきふらい「どうした?なにか問題あるかい?」
編集「…い、いえ…」(な、なんだ……)
かきふらい「まぁ描き直せって言われたら描き直すが……もちろん今月号には間に合わないけど」
編集「大丈夫……だと思います…」(…な、なんだろう……なんか変な汗が…)
かきふらい「そうか良かった」
編集「じゃ、じゃあ……僕はこれで……」
ばたん
かきふらい「……どうしたんだ?編集くんの様子がちょっとおかしかった気がするが…」
かきふらい「…風邪でも引いていたのかな…」
~~~~~~~~~
編集部
編集長「……んん?」
編集「…やっぱちょっと違和感ありますよね、今月の先生の原稿……」
41:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/06(月) 22:28:22.87:369bomTJ0
編集長「ん~……ギャグ……回だよな…?」
編集「はい。先生が自分でもそう言ってました」
編集長「……まぁ……こういうネタのギャグ…としてなら大丈夫だろう」
編集「……そうですよね」
編集長「ああ。問題ない」(そうさギャグさ。ギャグにしか見えない……)
編集長「……」(いやこれがギャグじゃないとしたら怖すぎる)
~~~~~~~~~~
数日後
編集「…」(やっぱり……ネットの掲示板でもちょっと言われてるな…)
『なんか今月のけいおんおかしくね?』
『そうか?普段通り笑えたが』
『無表情の憂に鳥肌立ったんだが』
『たしかにちょいブラックジョークっぽいなとは思った』
『憂選手公式できたかとオモタ』
『そういえば先月もちょ~っと違和感感じたんだよな』
『まぁアニメの一期でも』
『一期は11話だけちょっと異端だったよな』
編集「……」(……)
43:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/06(月) 22:33:37.14:369bomTJ0
数日後
かきふらい「久しぶりにアニメでも見直すか」
かきふらい「そういえば…この1期の11話だけ…なんでこんな雰囲気にしたんだろう…アニメスタッフは…」
かきふらい「まぁ、途中のちょっとシリアスなシーンのおかげで律と澪が仲直りする場面が引き立つんだが…」
かきふらい「……しかし、こんな張り詰めた空気は原作には皆無だ」
かきふらい「…正直、勝手なことはやめてもらいたいとこだな…」
かきふらい「いや贅沢だ、アニメにならなかったらここまで有名な作品にはならなかった」
かきふらい「結果的にアニメは成功したんだ」
かきふらい「それに伴って原作も」
かきふらい「……うん。何も問題はない」
かきふらい「…………アニメはやめて………SSでも読むか」
44:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/06(月) 22:37:18.70:369bomTJ0
一ヵ月後
編集「こんにちは、今月の原稿取りにきました」
かきふらい「ああ待ってたよ。どうぞ」
編集「ちょっと見てみますね」
かきふらい「はーい」カタカタ
編集「………」(…………)
かきふらい「………はははっ!」カタカタカタ
編集「……」(どうしたんだ?先生……今月もちょっとシリアスというか…)
編集「…」(なんか……ピリピリした空気というか)
編集「…」(本番に失敗した唯を真面目に叱る澪……今までこんな張り詰めた空気なかったのに)
編集「…」(律と紬は澪をなだめつつも、どこか心の中では唯に対してモヤモヤしたものを抱いてる…)
編集「…」(落ち込む唯を励ます晶たち……)
編集「…」(最終的にはHTTがいつものノリになってギャグを含めた感動系のようなオチになってるが…)
編集「…」(終盤までの空気が悪過ぎる…これは下手すると苦情の手紙が来る可能性があるぞ…)
45:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/06(月) 22:38:13.42:0L1dRBHa0
編集「せ、先生、こr」
かきふらい「11話だよ」
編集「!!」
かきふらい「アニメ一期11話を見直してみて、改めて感動したんだ」
かきふらい「途中、張り詰めた雰囲気になった律と澪が最後に仲直りする」
かきふらい「君は感動しなかったかい?僕はとても心を打たれた」
編集「し、しかし」
かきふらい「そんな雰囲気を、盛り込んでみた」
かきふらい「一回下げて上げるみたいな……その方が感動が大きくなるだろう…?」
編集「……は…はぁ」
かきふらい「しかも最後はギャグも混ぜていつものノリにしてある」
かきふらい「たまにはこういう雰囲気も良いんじゃないかなと思ったんだが…」
編集「……」
かきふらい「問題あるかい?あるなら描き直すが」
49:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/06(月) 22:43:50.99:369bomTJ0
編集「し、しかし、終盤までの空気が悪すぎないですか?」
編集「HTTの強く繋がれた絆が壊れてしまうのではないかと、読者が不安になりますよ」
編集「それに、澪が悪役に見られる可能性もあります」
かきふらい「もともと澪は真面目な性格だよ」
編集「……」
かきふらい「大学での記念すべき初ライブ…」
かきふらい「澪は表面上は恥ずかしいだのなんだの言っていたが…」
かきふらい「心の中では人一倍、そのライブを楽しみにしていた」
かきふらい「そしてやっと迎えた当日、唯が初歩的なミスをし、ライブは台無し」
かきふらい「しかもそのミスは技術的なことではなく、本当に簡単で単純な理由」
かきふらい「つまり唯の怠け癖が招いたミス……」
かきふらい「ここで澪が唯を叱るのは当然の流れだと思うけどな」
編集「……」
50:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/06(月) 22:46:46.66:369bomTJ0
かきふらい「……唯たちももう大学生だ」
かきふらい「少しずつ大人になっていく様子を書こうかと思ったんだが…」
編集「先生。これはけいおんです。ファンはそんな妙なリアリティは求めていません」
編集「リアルなことを考えればキリがない」
編集「現実に5人の女子高生が集まって対立が起きないわけがない」
編集「あれだけ頻繁に頭を強く殴られて、キレないわけがない」
編集「あんなに平和で平穏でいじめひとつない女子高が存在するわけない」
編集「非現実的なところを挙げていけばキリがありません」
編集「現実には到底ありえない平穏。そのある種ファンタジックなところに、ファンは惹かれ癒されてるんですよ」
編集「なんの悲しみも苦しみもない、ただ毎日を楽しんでる唯ちゃんたちをファンは求めてるんです」
かきふらい「待て待て何もそんなリアリティを盛り込もうとしてるわけじゃないよ」
かきふらい「ちょっと雰囲気を変えてみただけさ」
かきふらい「分かった描き直すよ。その原稿は破いて捨ててくれ」
51:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/06(月) 22:51:12.92:369bomTJ0
編集「まぁ…そういうのは僕の一存では決められないので…」
編集「一応編集長にも見せてみます」
かきふらい「………ああ。分かった」
~~~~~~~
編集部
編集長「……う~む…」
編集「やっぱりこれは……」
編集長「最後のギャグ色の濃いオチでなんとか救われてるが…」
編集「……ちょっと嫌な空気ですよね」
編集長「……描き直してる時間はないな…」
編集「はい」
編集長「よし、絵はこのままでいい。台詞だけ変えて、全体的にギャグに見えるようにしてくれと先生に頼んでくれ」
編集「そうかその手が…!しかし、大丈夫ですかね」
編集長「全体的に雰囲気を柔らかくするだけでいい。なんとかやってくれ」
53:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/06(月) 22:54:30.46:369bomTJ0
~~~~~~~~
数日後
編集「……やっぱり……ネットでは話題になってるな」
『なんか最近のけいおんの雰囲気おかしくね?』
『ギャグがシリアスになった気がする』
『今月の澪の怒った顔と台詞に違和感』
『唯が泣いてる絵みてこっちも悲しくなったんだが』
『先生の絵が上手くなったんじゃね』
『絵はアニメを意識してそれに伴って上手くなった感じがする』
『つーか今月……ギャグ…?だよな』
『いっそこのままシリアス路線で行ってほしい』
『氏ね』
『いや今月もギャグだから』
編集「…良かった…幸運にもギャグと取ってくれる人が大多数だ…」
編集「…いや、ギャグにとってもらえないと大変なことになるぞ…」
編集「しかし先生……最近どうしたんだ…?」
編集「……なんか……凄く嫌な予感というか…胸騒ぎがする…」
54:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/06(月) 22:56:29.87:A+iODW6k0
~~~~~~~~
かきふらい「…」(…悲しみも苦しみもなく…)カリカリ
かきふらい「…」(ただ楽しんでる唯たちをファンは求めてる……)カリカリ
かきふらい「…」(……ファンはただ笑ってる唯たちを見るだけで癒される……)カリカリ
かきふらい「…」(幸せに笑ってる唯たちをファンは求めてる……)カリカリ
かきふらい「…」(……………)カリカリ
かきふらい「……違うだろ」 カリカリ
かきふらい「お前らが求めてるのは……」カリカリ
かきふらい「…お前らが本当に好きなのは……」カリカリ
57:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/06(月) 23:01:41.31:369bomTJ0
かきふらい「こういうのだろ?」ガリガリ!
かきふらい「ほのぼのより鬱だろ?」ガリッガリッ
かきふらい「違うんだよ編集くん、ファンが本当に好きなものを君はまったく分かっちゃいない」ガリッガリッ
かきふらい「彼らは血に飢えた獣と同じだよ」ガリッガリッガリッ
かきふらい「そう。我ながら上手い表現だ」ガリガリッガリッ!
かきふらい「文字通り血に飢えているんだよ」ガリガリ!ガリッ!ガリッ!
かきふらい「僕はプロだ。ファンの期待に応えてやる」ガリガリッ!ガリッ!ガリガリッ
かきふらい「笑ってる唯を見て癒されたいだって? 違うね」ガリガリガリ!ガリ!
かきふらい「お前らは口ではそう言うが、心のなかではそれと正反対のものを求めてるんだ」ガリガリッ!ガリガリガリガリ!
かきふらい「その証拠がネット上に大量に存在するSSだ」ガリガリ!ガリガリガリ!
かきふらい「過激なものが大好きなお前らの、心の中で願ってる展開の具現がSSだろ!?」ガリガリッ!ガリッ!ガリガリ!
かきふらい「安心しろ、僕がちゃんと描いてやる」ガリガリガリガリガリガリガリ!
かきふらい「お前らの願いを叶えてやる」ガリガリガリガリ!ガリガリッ!ガリガリガリ!
かきふらい「僕がお前らの願いをちゃんとした絵に昇華にして、お前らに見せてやる」ガリガリガリ!ガリガリッ!
ガリガリッ!ガリガリガリガリ!ガリッ!ガリガリガリッ!ガリ!ガリガリガリガリガリ………
61:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/06(月) 23:06:42.45:369bomTJ0
~~~~~~~
一ヵ月後
編集「なっ!!なんですかこれはぁっ!!!!!」
かきふらい「なにって今月の原稿だよ」
編集「なっ……せっ……いっ、いったいどうしたんですか先生っ!!!」
編集「なにかあったんですか!? なにか悩みを抱えてるんですかっ!?」
かきふらい「悩み?とくにないが」
編集「じゃあなんでこんなものが描けるんですかっ!!!!!!」
かきふらい「おいおい人が一生懸命描いたものをこんなもの呼ばわりですか」
編集「………っ……あっ……あなたが生み出したキャラだぞっ!!!!」
かきふらい「そうだよ」
編集「ど、どうして……なんでっ……こんな……残酷なっ……」
編集「これはファンに対する裏切りだっ!!!」
かきふらい「ファンの期待に応えたまでだが」
編集「こんなのファンが求めてるわけないでしょうっ!!!!」
62:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/06(月) 23:09:48.32:369bomTJ0
かきふらい「ところがどっこい求めてるんだなこれが」
編集「…………」
かきふらい「……そうさ。求めてるんだよ」
編集「……先生、腕の良い精神科を紹介します」
かきふらい「おいおいよしてくれ。というか失礼だぞその発言は」
編集「……先生、疲れてるんですよ。診てもらった方がいい」
編集「そう。あなたは病気なんだ…」(でなきゃこんな絵が描けるわけない…)
編集「……」(こんな……こんな…この世のあらゆる残虐描写を全部詰め込んだような……こんな絵は)
編集「……」(しかも……自分が生み出したキャラクターで…こんな……)
かきふらい「さぁ早くその原稿を持って行って今月の雑誌に載せてくれ」
編集「こんなの載せられるわけないでしょうっ!!!!!」
かきふらい「君が載せる載せないを決められるのか?」
編集「……分かりました。一緒に編集部に来てください」
63:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/06(月) 23:12:57.73:369bomTJ0
編集部
編集長「なんじゃこりゃあああああっ!!!????」
編集「……」
かきふらい「今月の原稿です」
編集長「………ふざけてるんですか先生」
かきふらい「大真面目ですよ」
編集長「………どうしてこんな内容を?」
かきふらい「ファンの期待に応えたまでです」
編集長「………ファンの期待?」
かきふらい「そうですよ。で、どうなんですか載せれるんですか」
編集長「載せられるわけがないでしょう……こんなもの……」
編集長「こんなもの載せたら……暴動が起こりますよ…」
かきふらい「そんな大げさな」
編集長「先生……熱狂的なファンの執念と行動力を舐めてはいけない」
編集長「もしこの原稿がファンの目に入ったら、冗談抜きであなたの身が危険だ」
65:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/06(月) 23:15:27.05:369bomTJ0
かきふらい「……載せられないんですか」
編集長「絶対に載せることは出来ない」
かきふらい「分かりましたじゃあ僕はこの雑誌を辞めます」
編集「!!!」
編集長「なにっ!?」
かきふらい「落ちたんでしょ?この雑誌の売り上げ……けいおんが終わった時」
編集長「………」
かきふらい「だからあなた達は僕に頭を下げてまた描いてくれと頼んだ」
編集長「………」
かきふらい「……違いますか?」
編集長「……先生…あなたは疲れてるんだ」
編集長「申し訳ない。働かせ過ぎてしまった……1年間の休載期間を設けます」
かきふらい「そんなのいらない。むしろ漲ってるよ」
編集長「1年で足りないなら2年でも良い」
かきふらい「いらない。いいから載せろ」
66:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/06(月) 23:17:45.96:369bomTJ0
編集長「出来ないと言ってるんだ!!あなたはなぜこうも簡単にファンを裏切る事が出来るんだ!」
かきふらい「裏切ったわけじゃない」
編集長「これが裏切りじゃなくてなんだと言うんだ!!良いか先生!!けいおんはもうただの漫画じゃないんだ!!」
編集長「あまりに人気が出すぎてしまった!!あまりに大きくなりすぎた!!」
編集長「それに伴ってファンの数も膨大だし熱狂っぷりも凄まじいんだよ!!」
編集長「ファンはあなたの作品を金を出して買ってくれているんだぞ!!」
編集長「これはそんなファン達への裏切りであり冒涜だ!!」
編集長「ファンだけじゃない!!!声優やアニメスタッフ、制作に関わってきた全ての人に対する裏切りなんだよ!!」
かきふらい「………」
編集長「……お願いです先生、休んでください」
かきふらい「……」
編集長「…私もあなたのいちファンとして……こんな絵は見たくない」
かきふらい「……」
編集長「……」
かきふらい「……わかりました」
68:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/06(月) 23:19:43.57:369bomTJ0
かきふらい「ちょっと家に帰って寝ます」
編集長「そうして下さい。この原稿は私が預かっておきます」
かきふらい「はい…では」
編集長「……」
編集「……編集長……その原稿は…」
編集長「……ああ。燃やそう。こんなものがファンの目に入ったら大変なことになる」
73:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/06(月) 23:22:22.24:369bomTJ0
翌日
がららっ!
編集「編集長大変です!!」
編集長「どうしたっ!?」
編集「先生のブログが炎上してます!!!」
編集長「なに!?いったいどうして…………まさか」
編集「はい……先生があの原稿をブログに載せたんです」
編集長「な……なぜ……確かにあの原稿は燃やして…」
編集「それが……先生はすでにあの原稿をコピーしてあったみたいで……」
編集長「 なっ 」
75:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/06(月) 23:24:46.86:369bomTJ0
エピローグ
『……続いてのニュースです。
昨日未明、人気漫画家の○○○○○さん(本名△△ХХ)が自宅で男に刺され、搬送先の病院で亡くなりました。
容疑者の男は駆けつけた警官に逮捕され、【先生の大ファンだった。裏切られた】などと供述しているようです。
○○○○○さんは最近急に漫画の作風が変わったことや、自身のブログに残酷な絵を載せるなどして……
なにか精神的に……
ネット上でも様々な議論が飛び交っており………
……
…… ……』
完
77:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/06(月) 23:26:35.54:BHg9bJQj0
編集「どうぞ」すっ
かきふらい「………ふ~ん……」
かきふらい「ねぇ、これどうしてみんな台本形式なんだい?」
編集「SSは基本的に台本形式ですね。読みやすいしそれに、もう皆キャラのデザインと性格を分かってるわけですから」
編集「一般の小説のように各キャラの説明とか細かい描写を書く必要がないんです」
かきふらい「へぇ~……ん?」
編集「まぁ台本形式じゃないのも少なくないですけどね」
かきふらい「……なんだ……これ……」
編集「どうしました?」
かきふらい「……なっ…!おいっ!なんだよこれ…!」
編集「ちょっ……どうしたんですか」
かきふらい「なんだよこの内容は…!!」
編集「ああ、それさっきまで僕が読んでたやつですね。凄まじい鬱展開で有名な作品なんですよそれ」
かきふらい「僕が生み出したキャラだぞ!!」
編集「ちょっ、なに怒ってるんですか先生」
そりゃ怒るわ
9:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/06(月) 21:47:11.17:369bomTJ0かきふらい「ふざけるなよ!なんだよこれ!」
編集「ちょ、落ち着いてください」
かきふらい「こんなの著作権の侵害だ!訴えてやる!」
編集「まぁまぁ落ち着いてください」
かきふらい「どうして君はそんなに冷静でいられるんだ!?」
編集「落ち着いて下さいって。けいおんだけじゃないですよ、SSがあるのは。」
かきふらい「!」
編集「というかほぼ全ての創作物にはSSがあるしSSが書かれる可能性があると言っていい」
編集「あとアンソロ何冊も出てるじゃないですか。SSでいちいち著作権とか言ってたら同人作家みんな訴えられてますよ」
編集「まぁ著作権とかその辺は詳しいことは分かりませんが……黙認されてる状態なんじゃないですかね、今は」
編集「どんなに酷い内容の同人誌やSSを書いても、それで逮捕されたなんて人はまだいないはずです」
編集「まあ、ディズニー関係はそういうの厳しいって聞いたことはありますけど……」
かきふらい「……しかし……」
編集「それに、SSや同人誌がたくさんある作品は、それだけ人気があるってことなんですよ」
編集「つまらない漫画やアニメを題材にした二次創作なんて、だれも見たいと思わないでしょ?」
編集「そういう意味じゃ、やっぱりけいおんは凄いですよ」
編集「ここまで大量のSSが書かれた作品はけいおん以外にないんじゃないかな」
かきふらい「でも、この内容は酷すぎる…!それになんでコメント欄でこんなに絶賛されてるんだ?」
編集「まぁ絶賛されるのは、それを書いた人の発想力、文章力が高いのもありますが…」
編集「一番の理由はやっぱり内容ですね」
編集「SSをまとめるまとめサイトってのがありますが…今先生が見てるそれです」
編集「衝撃的な内容のSSほど、コメントがたくさん付く傾向がありますね。半分以上が批判の時もありますがね」
編集「いま先生が読んだそれ、凄く衝撃的だったでしょ?」
かきふらい「あ、ああ…」
編集「それですよ。より衝撃的なもの。インパクトの強いもの。より刺激の強いものをネットの住人は求めてるんです」
かきふらい「そ、それはどうしてだ?」
編集「まぁ、けいおんは原作がほのぼのとしてるからですね」
かきふらい「ああそうだ。そういう風に描いてるんだから」
編集「原作ではほのぼの幸せに…悩みも喧嘩も悲しみもなく平穏に暮らしてる唯ちゃんたちですが」
編集「彼女たちがもし、不幸に巻き込まれたら、どん底に落ちたら…どうなるだろうか?」
編集「そういうギャップを楽しんでるんですよ。彼らは」
かきふらい「ギャップ?」
編集「はい。そうですねぇ……そうだ。デスノートってあったでしょ?以前凄いブームになった」
かきふらい「ああ。全巻持ってるよ」
編集「デスノートのSSは面白いですよ。そのほぼ全てのSSがギャグものだと言っていい」
編集「どうしてほとんどがギャグものなのか……なぜか分かりますか?」
かきふらい「………原作が……シリアスだから?」
編集「その通り。原作ではシリアスな頭脳戦を繰り広げる月とLが、SSではお馬鹿なことをしまくるんです」
編集「あの月とLが、デザインはそのままに、コントのようなことをするんですよ」
編集「まさにシリアスな笑い……ぷっ。やべっ、思い出したら笑っちまった」
かきふらい「………」
編集「まぁとにかく、原作の雰囲気とは真逆の雰囲気のSSが面白いし、インパクトが強い」
編集「生理的に無理って人もいますけどね」
編集「とりわけけいおんはその差が激しい。なかには吐き気を催すのもあります」
かきふらい「……」
編集「ま、深く考えることないですよ。SSなんてどの漫画にもあるし…」
編集「それだけけいおんはまだまだ人気があるってことですよ」
かきふらい「……なぁ……編集くん…ちょっと、このまとめサイトのURL送ってくれないか」
編集「ははは、良いですよ。」(なんだ、先生も気になってるんじゃないか、ははっ)
編集「はい、送りました。あ、そうそう、なにもけいおんSSの全てが鬱展開ってわけじゃないですよ」
編集「原作の雰囲気を忠実に再現したほのぼのもたくさんありますから」
編集「あと…」(あとエロいのも……いや、これは言わないでおくか…その方が面白そうだ)
編集「んじゃ、今月の原稿、預かります。んじゃあ僕はこれで」
かきふらい「うん。ご苦労様」
その日の夜
かきふらい「……はははっ!あははははっ!」
かきふらい「面白いな、このギャグものは」
~~~~~
かきふらい「……うっ……うう…ぐすん」
かきふらい「やばい……不覚にも泣いてしまった」
~~~~
かきふらい「おお、映画やゲーム、他の漫画とのクロスオーバーなんてあるのか」
かきふらい「…おお!熱い展開だな…」
~~~~
かきふらい「…エロいのは興味ないからいいや。しかしなんでやたらレズものが多いんだ?」
~~~~
かきふらい「…鬱か…グロ注意とかちゃんと注意書きもしてあるんだな…」
かきふらい「……………」
翌日
かきふらい「…はぁ」(けいおんSSを徹夜で読んでしまった…)カリカリ
かきふらい「…」(しかし……ああいうの書いてる人たちも凄いな…)カリカリ
かきふらい「…」(本当に素人か?と思わせるほどの文章力の人もいるし…)カリカリ
かきふらい「…」(凄い発想を持つ人もいる)カリカリ
かきふらい「…」(なかにはプロの作家も混ざってたりするのだろうか…)カリカリ
かきふらい「…」(いや、さすがにそれはないか…)カリカリ
かきふらい「…」(しかし……なぜか鬱やグロ描写のあるSSの方が、面白いというか、良作が多い気がする)カリカリ
かきふらい「…」(気のせいか…?昨日、編集くんがあんなことを言っていたからだろうか…?)カリカリ
かきふらい「…」(ギャップ……原作との真逆の雰囲気……)カリカリ
かきふらい「…」(もし…僕が原作をシリアスに描いていたら、SSはどうなっていたんだろう…?)カリカリ
かきふらい「…って」(なにを考えてるんだ僕は。もしけいおんがシリアスだったらとっくに打ち切りだったろうし)カリカリ
かきふらい「…」(そもそも僕にはシリアスなんて描けない。ほのぼのしか描けない)カリカリ
かきふらい「…」(くだらない。仕事に集中しよう)カリカリ
かきふらい「……」カリカリ カリカリ カリカリ カリカリ
一ヵ月後
編集「こんにちはー。今月の原稿とりにきましたー」
かきふらい「ああ。待ってたよ。もうあがってる」
編集「ちょっと見させてもらいますね」
編集「…ふーんどれどれ…」
編集「はははっ…やっぱり先生が描くキャラはみんな幸せそうでいいですねぇ」
かきふらい「まぁ僕にはそういう雰囲気しか描けないからね」
かきふらい「編集くん、コーヒーでも飲むかい?」
編集「ああ頂きます。うん。いつも通りほのぼのしてる………ん?」
かきふらい「ちょっと待ってて」
編集「………」(……おや?)
かきふらい「おまちどうさま。はい」
編集「………」
かきふらい「どうかしたかい?」
編集「…ああいえっ!なんでもありません。」(まぁ……アニメの1期の11話でも、この程度の雰囲気はあったしな…)
編集「おいしいですね。このコーヒー」
かきふらい「ははは、そうだろう?」カタカタ
編集「ん?先生パソコンでなにをやってらしてるんですか?」
かきふらい「ああ。SSだよ。けいおんSSを読んでるんだ」
編集「おお、先生もハマっちゃいましたか」(あれ…?意外だな)
かきふらい「うん、これはなかなか面白い。彼らには僕なんかには到底思いつかない発想力がある」
編集「僕もヒマな時よく読むんですよ。たまに電車の中とかで笑いそうになりますよね」
かきふらい「…ふーん編集くんはギャグものが好きなの?」
編集「まぁそうですね。読んでいて楽しいし。まぁ全般的に読みますけどね。鬱のやつも」
かきふらい「…へぇ~…」カタカタ
編集「先生はどのジャンルが好きですか?」
かきふらい「ん?僕は…」(そういえば、よく考えてみたら原作の雰囲気とは真逆のやつばかり見てる気がする……)
編集「……」
かきふらい「……………僕も、ギャグものが好きかな」
編集「やっぱそうですよね」
かきふらい「しかし、なんで憂って基本的に最強キャラなんだ?」
編集「はははいわゆる憂選手ってやつですね」
かきふらい「憂選手?」
編集「ほら、原作でも憂ちゃんって完璧超人じゃないですか。様々な分野の才能を持っていて」
かきふらい「まあ……」
編集「だから、二次創作上でもあらゆる面でもトップクラスの実力を持っているんです」
編集「バトル物やギャグ物で、唯のピンチに憂が登場すると、憂キタァァァァアッ!これで勝てる!ってなりますよね」
かきふらい「うん……まぁ……」
編集「なんていうか、負ける気がしないというか、憂ならやってくれるっていう安心感がありますね。ですがその反面…」
かきふらい「ん?」
編集「唯のことを想うあまり、ヤンデレ化するパターンも多いですね」
かきふらい「うん。唯とだれかがイチャイチャするSSに憂が出るとちょっと不安になる」
編集「そうなんですよね。唯に気に入られてる梓が最もその餌食になりやすいですね」
かきふらい「まぁ…憂はお姉ちゃん大好きっ子で描いたからね」
~~~~~~~~~~
編集「それじゃあ、僕はそろそろ戻ります。原稿、確かに預かりました。それでは」
かきふらい「うん。またね」
バタン
かきふらい「……ふぅ……」
かきふらい「…………」(憂……か…)
かきふらい「…」(僕も自分で描いておきながらちょっと思ってたんだよな…)
かきふらい「…」(唯が梓に抱きついたりベタベタするシーンを憂が真近で見たらどうなるか…)
かきふらい「…」(きっと嫉妬するんだろうけど、憂は優しいからその黒い炎をずっと己の内部に溜め続けて…)
かきふらい「…」(そして、その溜まりに溜まった炎がついに臨界点を突破した時…)
かきふらい「…」(………)
かきふらい「…はっ!」
かきふらい「…」(ってなにを考えてるんだ僕は!どうかしてるぞ!)
かきふらい「…」(………いいや。今日はもうSS読んで寝よう)
~~~~~~~~~
かきふらい「…」(なんか最近SS読むのが日課になってるな…)
かきふらい「…」(いや、日課っていうか暇さえあれば読んでる気がする…)
かきふらい「…」(まぁいいか…)
かきふらい「…」(……しかし、本当に鬱ものやシリアスなものは作品の質が高いな……)
かきふらい「……」(………)
翌日
かきふらい「今日はけいおんの映画でも観に行くか…」
かきふらい「おお、平日でも結構人いるんだな…」
かきふらい「リピーターが多いって聞いたけど」
かきふらい「まぁ僕も観るのは3回目だが…」
~~~~~~
かきふらい「…」(しかし…よくもまあここまでの作品になったよな…)
かきふらい「…」(連載が始まった時はまさかライブや映画になるなんて考えもしなかった…)
かきふらい「…」(これもファンのおかげだよな…)
かきふらい「…」(しかしそのファンが、ああいう鬱展開のSSとか書いてると思うと…)
かきふらい「…」(はっ!また僕はSSのことなんて考えてる…映画に集中しよう)
ズサーッ! Oh! ワンッ!ワンッ!
かきふらい「ははは」
~~~~~~
かきふらい「はー面白かった」
かきふらい「…」(しかし……もうちょっと憂を登場させても良かったんじゃないか?)
かきふらい「…」(純はともかく…)
かきふらい「…」(いや、ストーリー上、仕方ないか…)
かきふらい「…」(いや、ていうかそれ僕が言える立場か?)
かきふらい「…」(原作でももともとメインキャラは5人で描いた)
かきふらい「…」(憂はメインを引き立てるサブキャラとして僕が描いたんじゃないか)
かきふらい「…」(そう……僕が描いたんだ…)
かきふらい「…」(僕が…)
かきふらい「…」(映画はあれで良い。完璧だった)
かきふらい「…」(……)
かきふらい「…」(……早く帰ってSS読もう)
一ヵ月後
編集「すみませーん、今月の原稿とりに来ましたー」
かきふらい「おお、ちょうど良かった!今出来たとこなんだ!」
編集「はぁ…今ですか」(珍しいな…先生がギリギリで終わらすなんて)
かきふらい「はいどうぞ」
編集「じゃあちょっと見させて貰いますね」
編集「ふーんどれどれ……」
かきふらい「いや~大変だったけど間に合ってよかった」
編集「………………」(……………)
編集「……先生、今月の内容、ちょっと…ギャグがシリアスじゃないですか?」
かきふらい「そうかな……? ちょっとリアリティを求めたんだけど」
編集「…」(唯は頻繁に梓にメールや電話をしていて……)
編集「…」(一方憂の方へのメールを段々疎かにしていく唯…)
編集「…」(学校で楽しそうに唯と電話で話す梓をじっと見つめる憂……)
編集「…」(まぁ、普通にギャグに見えるが……しかし、憂の顔が無表情なのが怖過ぎる…これでは読者が不安に……)
編集「先生、なんで今月、こういう内容なんですか?」
かきふらい「いやぁ、憂の気持ちを考えて、その上で話を膨らましたらそうなったんだ」
編集「でもこれは、あまり先生らしくないというか……けいおんっぽい雰囲気が出ていないというか…」
かきふらい「そうか?一応ギャグのつもりなんだが……」
かきふらい「そこまで言うほどじゃないだろ?憂と梓が喧嘩するわけじゃないし、軽音部が崩壊するわけじゃない」
かきふらい「ましてや……」
編集「……」
かきふらい「嫉妬に狂った憂が梓を殺すわけでもない」
編集「!!!」
先生、ついにSS脳に…
40:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/06(月) 22:25:32.93:369bomTJ0かきふらい「どうした?なにか問題あるかい?」
編集「…い、いえ…」(な、なんだ……)
かきふらい「まぁ描き直せって言われたら描き直すが……もちろん今月号には間に合わないけど」
編集「大丈夫……だと思います…」(…な、なんだろう……なんか変な汗が…)
かきふらい「そうか良かった」
編集「じゃ、じゃあ……僕はこれで……」
ばたん
かきふらい「……どうしたんだ?編集くんの様子がちょっとおかしかった気がするが…」
かきふらい「…風邪でも引いていたのかな…」
~~~~~~~~~
編集部
編集長「……んん?」
編集「…やっぱちょっと違和感ありますよね、今月の先生の原稿……」
編集長「ん~……ギャグ……回だよな…?」
編集「はい。先生が自分でもそう言ってました」
編集長「……まぁ……こういうネタのギャグ…としてなら大丈夫だろう」
編集「……そうですよね」
編集長「ああ。問題ない」(そうさギャグさ。ギャグにしか見えない……)
編集長「……」(いやこれがギャグじゃないとしたら怖すぎる)
~~~~~~~~~~
数日後
編集「…」(やっぱり……ネットの掲示板でもちょっと言われてるな…)
『なんか今月のけいおんおかしくね?』
『そうか?普段通り笑えたが』
『無表情の憂に鳥肌立ったんだが』
『たしかにちょいブラックジョークっぽいなとは思った』
『憂選手公式できたかとオモタ』
『そういえば先月もちょ~っと違和感感じたんだよな』
『まぁアニメの一期でも』
『一期は11話だけちょっと異端だったよな』
編集「……」(……)
数日後
かきふらい「久しぶりにアニメでも見直すか」
かきふらい「そういえば…この1期の11話だけ…なんでこんな雰囲気にしたんだろう…アニメスタッフは…」
かきふらい「まぁ、途中のちょっとシリアスなシーンのおかげで律と澪が仲直りする場面が引き立つんだが…」
かきふらい「……しかし、こんな張り詰めた空気は原作には皆無だ」
かきふらい「…正直、勝手なことはやめてもらいたいとこだな…」
かきふらい「いや贅沢だ、アニメにならなかったらここまで有名な作品にはならなかった」
かきふらい「結果的にアニメは成功したんだ」
かきふらい「それに伴って原作も」
かきふらい「……うん。何も問題はない」
かきふらい「…………アニメはやめて………SSでも読むか」
一ヵ月後
編集「こんにちは、今月の原稿取りにきました」
かきふらい「ああ待ってたよ。どうぞ」
編集「ちょっと見てみますね」
かきふらい「はーい」カタカタ
編集「………」(…………)
かきふらい「………はははっ!」カタカタカタ
編集「……」(どうしたんだ?先生……今月もちょっとシリアスというか…)
編集「…」(なんか……ピリピリした空気というか)
編集「…」(本番に失敗した唯を真面目に叱る澪……今までこんな張り詰めた空気なかったのに)
編集「…」(律と紬は澪をなだめつつも、どこか心の中では唯に対してモヤモヤしたものを抱いてる…)
編集「…」(落ち込む唯を励ます晶たち……)
編集「…」(最終的にはHTTがいつものノリになってギャグを含めた感動系のようなオチになってるが…)
編集「…」(終盤までの空気が悪過ぎる…これは下手すると苦情の手紙が来る可能性があるぞ…)
先生…
47:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/06(月) 22:40:51.42:369bomTJ0編集「せ、先生、こr」
かきふらい「11話だよ」
編集「!!」
かきふらい「アニメ一期11話を見直してみて、改めて感動したんだ」
かきふらい「途中、張り詰めた雰囲気になった律と澪が最後に仲直りする」
かきふらい「君は感動しなかったかい?僕はとても心を打たれた」
編集「し、しかし」
かきふらい「そんな雰囲気を、盛り込んでみた」
かきふらい「一回下げて上げるみたいな……その方が感動が大きくなるだろう…?」
編集「……は…はぁ」
かきふらい「しかも最後はギャグも混ぜていつものノリにしてある」
かきふらい「たまにはこういう雰囲気も良いんじゃないかなと思ったんだが…」
編集「……」
かきふらい「問題あるかい?あるなら描き直すが」
編集「し、しかし、終盤までの空気が悪すぎないですか?」
編集「HTTの強く繋がれた絆が壊れてしまうのではないかと、読者が不安になりますよ」
編集「それに、澪が悪役に見られる可能性もあります」
かきふらい「もともと澪は真面目な性格だよ」
編集「……」
かきふらい「大学での記念すべき初ライブ…」
かきふらい「澪は表面上は恥ずかしいだのなんだの言っていたが…」
かきふらい「心の中では人一倍、そのライブを楽しみにしていた」
かきふらい「そしてやっと迎えた当日、唯が初歩的なミスをし、ライブは台無し」
かきふらい「しかもそのミスは技術的なことではなく、本当に簡単で単純な理由」
かきふらい「つまり唯の怠け癖が招いたミス……」
かきふらい「ここで澪が唯を叱るのは当然の流れだと思うけどな」
編集「……」
かきふらい「……唯たちももう大学生だ」
かきふらい「少しずつ大人になっていく様子を書こうかと思ったんだが…」
編集「先生。これはけいおんです。ファンはそんな妙なリアリティは求めていません」
編集「リアルなことを考えればキリがない」
編集「現実に5人の女子高生が集まって対立が起きないわけがない」
編集「あれだけ頻繁に頭を強く殴られて、キレないわけがない」
編集「あんなに平和で平穏でいじめひとつない女子高が存在するわけない」
編集「非現実的なところを挙げていけばキリがありません」
編集「現実には到底ありえない平穏。そのある種ファンタジックなところに、ファンは惹かれ癒されてるんですよ」
編集「なんの悲しみも苦しみもない、ただ毎日を楽しんでる唯ちゃんたちをファンは求めてるんです」
かきふらい「待て待て何もそんなリアリティを盛り込もうとしてるわけじゃないよ」
かきふらい「ちょっと雰囲気を変えてみただけさ」
かきふらい「分かった描き直すよ。その原稿は破いて捨ててくれ」
編集「まぁ…そういうのは僕の一存では決められないので…」
編集「一応編集長にも見せてみます」
かきふらい「………ああ。分かった」
~~~~~~~
編集部
編集長「……う~む…」
編集「やっぱりこれは……」
編集長「最後のギャグ色の濃いオチでなんとか救われてるが…」
編集「……ちょっと嫌な空気ですよね」
編集長「……描き直してる時間はないな…」
編集「はい」
編集長「よし、絵はこのままでいい。台詞だけ変えて、全体的にギャグに見えるようにしてくれと先生に頼んでくれ」
編集「そうかその手が…!しかし、大丈夫ですかね」
編集長「全体的に雰囲気を柔らかくするだけでいい。なんとかやってくれ」
~~~~~~~~
数日後
編集「……やっぱり……ネットでは話題になってるな」
『なんか最近のけいおんの雰囲気おかしくね?』
『ギャグがシリアスになった気がする』
『今月の澪の怒った顔と台詞に違和感』
『唯が泣いてる絵みてこっちも悲しくなったんだが』
『先生の絵が上手くなったんじゃね』
『絵はアニメを意識してそれに伴って上手くなった感じがする』
『つーか今月……ギャグ…?だよな』
『いっそこのままシリアス路線で行ってほしい』
『氏ね』
『いや今月もギャグだから』
編集「…良かった…幸運にもギャグと取ってくれる人が大多数だ…」
編集「…いや、ギャグにとってもらえないと大変なことになるぞ…」
編集「しかし先生……最近どうしたんだ…?」
編集「……なんか……凄く嫌な予感というか…胸騒ぎがする…」
まあ俺はハッピーエンドなら途中少々シリアスでも見てみたい
55:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/06(月) 22:58:43.48:369bomTJ0~~~~~~~~
かきふらい「…」(…悲しみも苦しみもなく…)カリカリ
かきふらい「…」(ただ楽しんでる唯たちをファンは求めてる……)カリカリ
かきふらい「…」(……ファンはただ笑ってる唯たちを見るだけで癒される……)カリカリ
かきふらい「…」(幸せに笑ってる唯たちをファンは求めてる……)カリカリ
かきふらい「…」(……………)カリカリ
かきふらい「……違うだろ」 カリカリ
かきふらい「お前らが求めてるのは……」カリカリ
かきふらい「…お前らが本当に好きなのは……」カリカリ
かきふらい「こういうのだろ?」ガリガリ!
かきふらい「ほのぼのより鬱だろ?」ガリッガリッ
かきふらい「違うんだよ編集くん、ファンが本当に好きなものを君はまったく分かっちゃいない」ガリッガリッ
かきふらい「彼らは血に飢えた獣と同じだよ」ガリッガリッガリッ
かきふらい「そう。我ながら上手い表現だ」ガリガリッガリッ!
かきふらい「文字通り血に飢えているんだよ」ガリガリ!ガリッ!ガリッ!
かきふらい「僕はプロだ。ファンの期待に応えてやる」ガリガリッ!ガリッ!ガリガリッ
かきふらい「笑ってる唯を見て癒されたいだって? 違うね」ガリガリガリ!ガリ!
かきふらい「お前らは口ではそう言うが、心のなかではそれと正反対のものを求めてるんだ」ガリガリッ!ガリガリガリガリ!
かきふらい「その証拠がネット上に大量に存在するSSだ」ガリガリ!ガリガリガリ!
かきふらい「過激なものが大好きなお前らの、心の中で願ってる展開の具現がSSだろ!?」ガリガリッ!ガリッ!ガリガリ!
かきふらい「安心しろ、僕がちゃんと描いてやる」ガリガリガリガリガリガリガリ!
かきふらい「お前らの願いを叶えてやる」ガリガリガリガリ!ガリガリッ!ガリガリガリ!
かきふらい「僕がお前らの願いをちゃんとした絵に昇華にして、お前らに見せてやる」ガリガリガリ!ガリガリッ!
ガリガリッ!ガリガリガリガリ!ガリッ!ガリガリガリッ!ガリ!ガリガリガリガリガリ………
~~~~~~~
一ヵ月後
編集「なっ!!なんですかこれはぁっ!!!!!」
かきふらい「なにって今月の原稿だよ」
編集「なっ……せっ……いっ、いったいどうしたんですか先生っ!!!」
編集「なにかあったんですか!? なにか悩みを抱えてるんですかっ!?」
かきふらい「悩み?とくにないが」
編集「じゃあなんでこんなものが描けるんですかっ!!!!!!」
かきふらい「おいおい人が一生懸命描いたものをこんなもの呼ばわりですか」
編集「………っ……あっ……あなたが生み出したキャラだぞっ!!!!」
かきふらい「そうだよ」
編集「ど、どうして……なんでっ……こんな……残酷なっ……」
編集「これはファンに対する裏切りだっ!!!」
かきふらい「ファンの期待に応えたまでだが」
編集「こんなのファンが求めてるわけないでしょうっ!!!!」
かきふらい「ところがどっこい求めてるんだなこれが」
編集「…………」
かきふらい「……そうさ。求めてるんだよ」
編集「……先生、腕の良い精神科を紹介します」
かきふらい「おいおいよしてくれ。というか失礼だぞその発言は」
編集「……先生、疲れてるんですよ。診てもらった方がいい」
編集「そう。あなたは病気なんだ…」(でなきゃこんな絵が描けるわけない…)
編集「……」(こんな……こんな…この世のあらゆる残虐描写を全部詰め込んだような……こんな絵は)
編集「……」(しかも……自分が生み出したキャラクターで…こんな……)
かきふらい「さぁ早くその原稿を持って行って今月の雑誌に載せてくれ」
編集「こんなの載せられるわけないでしょうっ!!!!!」
かきふらい「君が載せる載せないを決められるのか?」
編集「……分かりました。一緒に編集部に来てください」
編集部
編集長「なんじゃこりゃあああああっ!!!????」
編集「……」
かきふらい「今月の原稿です」
編集長「………ふざけてるんですか先生」
かきふらい「大真面目ですよ」
編集長「………どうしてこんな内容を?」
かきふらい「ファンの期待に応えたまでです」
編集長「………ファンの期待?」
かきふらい「そうですよ。で、どうなんですか載せれるんですか」
編集長「載せられるわけがないでしょう……こんなもの……」
編集長「こんなもの載せたら……暴動が起こりますよ…」
かきふらい「そんな大げさな」
編集長「先生……熱狂的なファンの執念と行動力を舐めてはいけない」
編集長「もしこの原稿がファンの目に入ったら、冗談抜きであなたの身が危険だ」
かきふらい「……載せられないんですか」
編集長「絶対に載せることは出来ない」
かきふらい「分かりましたじゃあ僕はこの雑誌を辞めます」
編集「!!!」
編集長「なにっ!?」
かきふらい「落ちたんでしょ?この雑誌の売り上げ……けいおんが終わった時」
編集長「………」
かきふらい「だからあなた達は僕に頭を下げてまた描いてくれと頼んだ」
編集長「………」
かきふらい「……違いますか?」
編集長「……先生…あなたは疲れてるんだ」
編集長「申し訳ない。働かせ過ぎてしまった……1年間の休載期間を設けます」
かきふらい「そんなのいらない。むしろ漲ってるよ」
編集長「1年で足りないなら2年でも良い」
かきふらい「いらない。いいから載せろ」
編集長「出来ないと言ってるんだ!!あなたはなぜこうも簡単にファンを裏切る事が出来るんだ!」
かきふらい「裏切ったわけじゃない」
編集長「これが裏切りじゃなくてなんだと言うんだ!!良いか先生!!けいおんはもうただの漫画じゃないんだ!!」
編集長「あまりに人気が出すぎてしまった!!あまりに大きくなりすぎた!!」
編集長「それに伴ってファンの数も膨大だし熱狂っぷりも凄まじいんだよ!!」
編集長「ファンはあなたの作品を金を出して買ってくれているんだぞ!!」
編集長「これはそんなファン達への裏切りであり冒涜だ!!」
編集長「ファンだけじゃない!!!声優やアニメスタッフ、制作に関わってきた全ての人に対する裏切りなんだよ!!」
かきふらい「………」
編集長「……お願いです先生、休んでください」
かきふらい「……」
編集長「…私もあなたのいちファンとして……こんな絵は見たくない」
かきふらい「……」
編集長「……」
かきふらい「……わかりました」
かきふらい「ちょっと家に帰って寝ます」
編集長「そうして下さい。この原稿は私が預かっておきます」
かきふらい「はい…では」
編集長「……」
編集「……編集長……その原稿は…」
編集長「……ああ。燃やそう。こんなものがファンの目に入ったら大変なことになる」
翌日
がららっ!
編集「編集長大変です!!」
編集長「どうしたっ!?」
編集「先生のブログが炎上してます!!!」
編集長「なに!?いったいどうして…………まさか」
編集「はい……先生があの原稿をブログに載せたんです」
編集長「な……なぜ……確かにあの原稿は燃やして…」
編集「それが……先生はすでにあの原稿をコピーしてあったみたいで……」
編集長「 なっ 」
エピローグ
『……続いてのニュースです。
昨日未明、人気漫画家の○○○○○さん(本名△△ХХ)が自宅で男に刺され、搬送先の病院で亡くなりました。
容疑者の男は駆けつけた警官に逮捕され、【先生の大ファンだった。裏切られた】などと供述しているようです。
○○○○○さんは最近急に漫画の作風が変わったことや、自身のブログに残酷な絵を載せるなどして……
なにか精神的に……
ネット上でも様々な議論が飛び交っており………
……
…… ……』
完
乙
さりげなく問題作だなこれ
80:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/06(月) 23:27:00.61:OVjsYg7bOさりげなく問題作だなこれ
ぇぇぇぇぇぇ
乙
85:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/06(月) 23:34:08.06:/XpqomDFO乙
読後感になんかモヤッとしたものが残ったけど乙
88:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/06(月) 23:36:37.68:F1QxHzCf0
>>1乙
かきふらいも乙
かきふらいも乙
コメント 45
コメント一覧 (45)
逮捕者はいないとか…
ってか名前変えて薄い本にしたら良かったのにな……自分のブログは……
今回は漫画だったけど、
特にラノベあたりなんて、原作よりモノによっては
SSのがクオリティ高くて、それを読んだ作者が発狂して
続き書けなくなって打ち切りとかあったりして……
原作あってこその二次創作だから、そこを勘違いしちゃいけない
二次は原作者の目の届かないところでこっそりやるのが一番
“紬「私、みんなを苦しめるのが夢だったの~」”
みたいなやつだろうな
「もう○○○(作品名)は、センセイだけのものじゃないんですよ。」
唯「バタフライ・エフェクト」:過去をやり直したら今が変わっちゃった!? 傑作SFストーリー!
唯「ギコギコギコギコギコ」:木こりになった唯のドタバタコメディ!
紬「カンカンカンカンカンカンカンカン」:焼肉焼いても家焼くな~♪ 懐かしCMの復刻決定版!
梓「マイファニー・バレンタイン」:バレンタインですれ違い? ホロりと来る青春ラブストーリー!
唯「ごねんご!」:軽音部は5年経っても軽音部! 日常の大切さに気付かされる感動巨編!
紬「私、みんなを苦しめるのが夢だったの~」:いたずら大好き!お茶目なムギちゃんに皆てんてこ舞い!?
唯「澪ちゃんを殺しちゃった」:ドッキリの連続にあずにゃん大爆笑!アッハッハ!ウッフッフ! イヒヒ
梓「ジョニーが凱旋するとき」:りっちゃん隊員!恥ずかしながらHTTに帰ってまいりました!!
唯「エンドレス4月16日」 :うーいー、エンドレスエイト~
憂「お姉ちゃん。学校に遅刻するよ?」唯「私もう社会人なんだけど」:どじっこ憂ちゃん、かわ憂!
お前キモいな
ほぼ全部読んだことあるわ
もっとマイナーなやつ頼む
俺もあれ大好き
なんでかきふらいがここまで話題になるのかわからない
純粋に質で比べたらほのぼのも遜色ないけど、頭の悪い奴にはそれが分からない
頭悪いのはお前だろ 印象に残るのは内容もさることながら書き手の文章力が明らかに他とは違うから
だなっ!!
あと「Drifter」も最高!!!
馬鹿すぎだろコイツ
気持ちわりぃ
紬の扱いが良いし
そういうの嫌いなやつはタイトルや数レスでさよならコメントも残さないパターンが多い
全体の中の一部を見て、全体を理解した気になり
声が大きいものの味方になるのは人間の悪いくせだ
>このSSをかきふらい先生が読んだらどんな気持ちに~
きっとループしてるんだよ。
このSSを読んだ本当のかきふらい先生が狂って、その出来事を書いたSSを読んだ別世界のかきふらい先生が狂って、さらに・・・(ry
永遠にループする~♪
現実と非現実
正常と異常
どれも相対的なものだ。作者が思い描くものと読者が読み取るものが違っていて当然だ。
全然関係ない話だが、かきふらい先生SSだとあいなまさんと一夜を共にするやつが一番好きだな。