竜児「じゃあ行って来る、飯はいつものとこに置いておいたからな」
泰子「ん……竜ちゃんどこ行くのぉ~?」
竜児「学校だよ、今日から始業式だ」
泰子「始業式?…そっか~、竜ちゃん今日から三年生なんだね!」
泰子「高校生活最後の一年、楽しんでねぇ~」
竜児「おう、じゃあ行ってきます」
竜児(大河……お前が居なくなって最初の春だ)
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10:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/15(木) 01:17:18.64:DC1olf220
能登「よう、高須」
春田「おはよ~高っちゃん」
竜児「おう、おはよう」
能登「聞いてよ高須、俺今年も春田と一緒のクラスだったんだぜ?」
春田「いえーい、ちなみに木原と奈々子様も一緒だったんだ~」
竜児「へえ、良かったじゃねえか」
春田「そういえば高っちゃんは何組だったの~?」
能登「選抜理系だろ?だから、北村と一緒なんじゃないの?」
竜児「いや、実はな……」
北村「おーい、高須!」
能登「お、北村じゃん!おはよう」
北村「能登と春田もいたのか、おはよう!それより驚いたぞ、高須」
北村「お前選抜辞退して一般に回ったみたいじゃないか」
13:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/15(木) 01:25:58.22:DC1olf220
能登「え?」
春田「マジで?」
竜児「あ、ああ……色々と思うことがあってな」
春田「何でよ~、俺に選抜行ける頭あったらとりあえずそっち選んどくけどな~」
能登「ホントホント、高須どうしっちゃったのよ?」
北村「まあ、いいじゃないか。高須が自分で選んだことなんだからな」
北村「それにクラスが離れていても俺たちは友達だろ?」
能登「……北村朝から暑苦しいよ、それ」
北村「じゃあ、俺はちょっと生徒会に寄ってきたいからここで失礼するよ。今年もよろしくな」
竜児「おう、じゃあな」
能登「春田、俺らもそろそろ行く?高須はどうすんの?」
竜児「俺はもうちょっとここにいるよ」
能登「そっか、じゃあまたね高須」
春田「バイバイ、高っちゃん~!」
14:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/15(木) 01:32:30.53:dotgv8mVO
竜児「……」
竜児(大河の名前なんて……)
竜児「あるわけ……ないよな」
亜美「誰の名前探してんの?」
竜児「お、おう!?……なんだ、川嶋か」
亜美「なんだって何よ?朝から失礼じゃない、高須君?」
竜児「悪い、急に声かけられたから驚いたんだよ」
亜美「そう?亜美ちゃんにはいるはずのない誰かさんの名前を探してるように見えたんだけどなー」
竜児「はあ!?そ、そんなわけないだろ!」
亜美「なにムキになっちゃってんの?冗談よ、冗談」
竜児「……はあ、お前はホント相変わらず人をからかうのが好きだよな」
亜美「えー、そんなことないよー?けど、からかって一番楽しいのは高須君かな」
竜児「お前なあ……」
18:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/15(木) 01:44:49.81:DC1olf220
亜美「じゃあ、そろそろ行こっか」
竜児「え?行くってどこに……」
亜美「教室だよ、何言ってんの?」
竜児「おう!?もうこんな時間か、初日から遅刻なんて出来ねえよな」
竜児「あ、そういえばお前何組なんだ?」
亜美「は?……高須君、それ本気?」
竜児「本気も何も……あ、そっか。お前も能登とかと一緒のクラスなのか」
竜児「あそこ元2-Cの奴多かったし、いいよな」
亜美「……高須君さ、目ん玉かっぽじってもう一度掲示板見てきたら?」
竜児「お、おい川嶋!……なんで怒ってんだよアイツ、掲示板って言ったってよ」
竜児「えっと、川嶋亜美川嶋亜美……」
竜児「……」
竜児「……おう」
19:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/15(木) 01:56:35.07:DC1olf220
竜児「お、おい!川嶋!」
亜美「……」
竜児「無視すんなよ……なあ、おい!」
亜美「……なに?」
竜児「さっきは悪かったって……本当に気づかなかったんだよ」
亜美「ふーん……私の苗字「か」だし上の方見てたら普通気づくんじゃない?」
竜児「は?俺の苗字は「た」だから気づかなくてもおかしくはないだろ?」
亜美「じゃあさ、本当にタイガーの名前は探してなかったんだー?」
竜児「……」
竜児「探してなんか……ねえよ」
亜美「……はいはい、わかりましたよっと」
亜美「ここは物分りが良くて慈悲深い亜美ちゃんが、特別に許してあげるとしますか」
竜児「……おう、悪いな」
亜美「その代わりさ……今度お弁当作ってきてよ、私の為に」
竜児「おう」
21:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/15(木) 02:06:53.25:DC1olf220
一週間後
春田「おはよ~、高っちゃん!」
竜児「おう、春田おはよう」
春田「高っちゃんずるっけえよな~」
竜児「何がだよ?」
春田「決まってんだろ~、亜美ちゃんと一緒のクラスじゃん!」
竜児「ああ、それか」
春田「いいな~、亜美ちゃんと一緒のクラス!それ知ってたら俺も理系してたのにな~」
竜児「お前が理系に来てどうすんだよ……」
竜児(……そういえば何で川嶋は理系にしたんだろうな?)
22:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/15(木) 02:14:27.02:DC1olf220
竜児「おい、川嶋」
亜美「なに?」
竜児「ほら、これ」
モブ「高須君が亜美ちゃんにお弁当!?」
ざわざわ ざわざわ
亜美「……あっ!例の賭けのやつね!ありがとう高須君~!」
竜児「はあ……?例の賭け……?って、おおう!?」
亜美「バカ、なんでクラスのみんながいる前で堂々と渡しちゃうのよ?」
竜児「別になんの問題もないだろ?」
亜美「アンタとタイガーはほぼ学校公認のカップルだったんだからさ、もうちょっと考えなさいよ」
モブ「賭けか、なら問題はないな」
亜美「……全く、手がかかるんだから」
竜児「おう……悪いな」
24:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/15(木) 02:27:54.86:DC1olf220
亜美「いただきまーす」
亜美「うん、美味しいこれ!」
竜児「今日の弁当は冷しゃぶサラダに、卵焼き、それとデザートのりんごだ」
竜児「冷しゃぶは昨日の夕飯で使った残りの豚肉を朝サッと茹でて、サラダと和えるだけ」
竜児「ポイントはドレッシングに豆板醤を少し入れてピリ辛にしているとこだな」
亜美「ホントだ、ちょっと辛味もあるけどそれが効いてるね」
竜児「卵焼きはもはやお弁当の定番と言ってもいい一品だな」
竜児「今日はメインを辛くしたこともあって、少し甘めに味付けしてみたんだがどうだ?」
亜美「うん、卵焼きが甘めだから口直しにもなりそう」
竜児「……」
亜美「どうしたの?」
竜児「いや、大河はそんなまともなコメントくれなかったらさ、ちょっと嬉しくてな」
亜美「そりゃあね、タイガーは食って食って食って!じゃん?」
竜児「……まあな」
25:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/15(木) 02:40:18.01:DC1olf220
亜美「ごちそうさまでした」
竜児「お粗末さま」
亜美「美味しかったー、いいなタイガーこれ毎日食べてたんだよね」
竜児「ああ、でも大河はすごい食ったからな……あいつも食費出してたのに最近の方が少ないんだよな」
亜美「へえ……」
竜児「あ、そういえば何で川嶋は理系にしたんだ?」
亜美「え?」
竜児「お前仕事で時々学校休んだりもするだろ、それなのに知り合いの少ないクラス選んだらノートとかどうすんだよって思って」
亜美「うーん、なんでだろうね?……高須君がいるから、かな」
竜児「ははっ、なんだそれ」
亜美「ふっ、ホント……なんでだろうね」
26:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/15(木) 02:47:52.51:DC1olf220
亜美「あ、さっきさ食費減ったとかって言ってたじゃん?」
竜児「おう、それがどうした?」
亜美「ならさ……今度、ご飯食べに行ってもいいかな?」
竜児「おう、いいぞ」
亜美「ホント?」
竜児「ああ。泰子も大河がいなくなってまた二人になって寂しいだの何だの言ってたし、きっと喜ぶと思うぞ」
亜美「……タイガーの代わりか」
竜児「何か言ったか?」
亜美「ううん、何でも……じゃあ、今度の土曜日とかどう?」
竜児「今度の土曜日な、わかった」
亜美「やった!その日仕事だから、お腹空かして楽しみにしとくね」
竜児「おう」
27:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/15(木) 03:02:01.09:DC1olf220
竜児「ん?どこ行くんだ?もうすぐ授業始まるぞ?」
亜美「お花摘みに行くの、高須君も付いてく?」
竜児「バカ……付いてくわけねえだろ」
亜美「だろうね、じゃ。お弁当また作ってね」
竜児「気が向いたらな」
てくてく てくてく
亜美「……何やってんだろうな、私」
亜美(けど……タイガーがいない間だけだし)
亜美「……いいよね、別に」
櫛枝「やあやあ!こんなところで会うとは奇遇ですな、川嶋氏」
亜美「実乃梨ちゃん……」
櫛枝「レディー、ちょっとお茶でもしていかない?」
亜美「……別にいいけど」
29:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/15(木) 03:12:37.40:DC1olf220
ガコンッ
櫛枝「ぷふぁー!授業前の一杯は格別だぜ!」
亜美「ただのお茶じゃん、それ」
櫛枝「へへ、まあね」
亜美「……実乃梨ちゃんさ、新しいクラスはどう?」
櫛枝「もちろん楽しんでますよ!なんたって今年は高校生活最後の一年だからね、楽しまなくっちゃそんそん!」
櫛枝「ゆあまいそんそん!いつもーすぐそばにある!ってね」
亜美「……変わんないね、実乃梨ちゃんは」
櫛枝「……あーみんさ、高須君と一緒のクラスなんだよね」
亜美「……うん」
櫛枝「正直驚いたよ……あーみんは私と一緒の文系だと思ってたし、高須君も理系は理系でも選抜だと思ってたからさ」
亜美「……」
31:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/15(木) 03:25:39.06:DC1olf220
櫛枝「あーみんはさ……私たちのことを一番理解しててくれる、私たちよりちょっと大人だって私は今でも思ってる」
亜美「……」
櫛枝「けどさ、あーみんだって本当は私たちと同じ高校生で10代なんだよね」
亜美「……なによそれ?」
櫛枝「なんだろうな、なんていうか……うん」
櫛枝「あーみんの今のクラスは私も北村君も……大河もいないんだからさ、もう子守り役なんてやんなくていいと思うよ」
亜美「実乃梨ちゃん……?」
櫛枝「私はもう決めた、答えを出して進むべき道を選んだ……だから、次はあーみんの番だよ」
櫛枝「それで出た結果に私はとやかく言わないし、とやかく言う資格はない……だからさ、えーっと」
櫛枝「あー!もうー!何言ってるのか頭ん中こんがらがってきたべ!」
櫛枝「とにかく!あーみんも高校生活の最後の一年、エンジョイしろよ!」
キーンコーン カーンコーン
櫛枝「いっけね!次移動教室なのすっかり忘れてた!ほいじゃーね、あーみん!これは餞別だ!」ぽいっ
亜美「ちょ、ちょっと実乃梨ちゃん!……空のペットボトルなんていらねえっつーの」
亜美「……エンジョイしろよ、って勝手なこと言っちゃってさ」
33:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/15(木) 03:42:50.59:DC1olf220
土曜日
ぷれ ぷれ ぱれーど
竜児「もしもし」
亜美『あ、もしもし高須君?』
竜児「おう、どうした?」
亜美『ごめん、電車が事故で止まっちゃって時間に間に合いそうにないんだけど』
竜児「そっか……どうする、ならまた今度にするか?」
亜美『ううん、今日でいい!昼も抜いて待ってたんだから今日がいい!』
竜児「お、おう……なら、大体着く時間がわかったらまた連絡くれ」
竜児「遅くなりそうだし駅まで迎えに行ってやるから」
亜美『ホント?……嬉しい、ありがとうね』
亜美『じゃあ、また後で連絡するね』
竜児「おう、わかった」
亜美『うん、じゃあバイバイ』
34:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/15(木) 03:43:15.45:vVpRgaMz0
竜児「……だとさ」
泰子「ええ~っ!?やっちゃん亜美ちゃんが来るのすっごく楽しみだったのになぁ~」
竜児「しょうがないだろ、電車が遅れてるって言うんだから」
泰子「そうだけどぉ~……でも、家で三人でご飯食べるのっていつ以来?」
竜児「大河が来なくなってからだから……クリスマス前くらいか?」
泰子「でしょ~?やっぱ、大勢で食べたほうがご飯も美味しいし!」
竜児「まあな」
泰子「だからぁ~、竜ちゃんまた亜美ちゃんをご飯に誘ってあげてねぇ~!」
泰子「じゃないとやっちゃん、めちゃんこ悲しいでガンスよぉ~!」
竜児「……もはや死語だぞ、それ」
37:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/15(木) 04:00:02.43:DC1olf220
泰子「じゃあ、行ってくるねぇ~!」
竜児「おう、いってらっしゃい」
竜児「さて、と……川嶋来る前にちょっと掃除しとくか」
ぷれ ぷれ ぱれーど
竜児「川嶋か?……なんだ、春田か」
竜児「もしもし」
春田『もしもし高っちゃん~!聞いてよ聞いてよ、ビッグニュースだよ~!』
竜児「な、なんだよいきなり……」
春田『今さ~、能登っちと一緒に駅前にいたんだけどさ~』
春田『な、なんと!ゆりちゃんが男の人と手を組んで歩いてたんだよ!』
竜児「……」
春田『……あれ?なんかリアクション薄くね?』
竜児「……お、おう」
能登『そうじゃないだろ、馬鹿春田!あ、もしもし高須!能登だけど、あのさ……』
竜児「…………!」
38:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/15(木) 04:08:41.45:DC1olf220
亜美「……やっと着いた」
亜美「ったく、なんでこんな日に人身事故なんて起こすのよ……」
亜美「もうこんな時間じゃない……あ!やっべ、高須君にメールすんの忘れてた」
亜美「とりあえず電話して……」
亜美「…………」
亜美「……あ」
亜美「タイガー……?」
40:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/15(木) 04:14:07.99:DC1olf220
亜美「……んなわけないわよね」
亜美(そうよ、だって見間違いじゃないんだったら……)
亜美「なんで……こんなタイミングで戻ってくるのよ」
亜美「……改札出てから電話しよう」
てくてく てくてく
亜美「あ……」
竜児「はあ……はあ……はあ……はあ……」
亜美「た、高須君……?」
竜児「お、おう……川嶋……早かったな」
亜美「ちょ、ちょっとどうしたのよ息なんて切らしちゃって!何かあったの?」
竜児「そ、そうだ……大河!大河、見なかったか?……はあ」
亜美「タイガー?……あ」
亜美(さっきのあれ、やっぱり……)
亜美「……見なかったよ」
41:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/15(木) 04:24:45.78:DC1olf220
竜児「そ、そうか……はあ」
亜美「……」
能登「あ、高須!って、あれ亜美ちゃんも!?」
春田「久しぶりの生亜美ちゃん!?」
亜美「久しぶりだね、能登君春田君!」
能登「そうだ亜美ちゃん、タイガー見なかった!?俺らさっき駅前歩いてたらそれっぽいの見てさ」
春田「俺が『たぁいがぁ~!』って叫んだら、一瞬止まってその後早足で行っちゃったんだよねぇ~」
亜美「えー、ホントにそれタイガーだったのー?」
能登「うん!あれは絶対タイガーだって!」
春田「あんなちっちゃくて髪がファサーってなってる奴、俺他に知らないもん!」
亜美「でもー、小さい子がいきなり春田君が叫んだせいで驚いただけかもよ?」
春田「そうかな~?うーん」
能登「……亜美ちゃんが言うと、なんかそんな気がしてきたな俺も」
竜児「……」
42:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/15(木) 04:39:27.23:DC1olf220
能登「……それよりさ」
竜児「お、おう!?」
春田「……何で高っちゃん、亜美ちゃんと一緒なの?」
竜児「そ、それはだな……」
亜美「それはねー、今日高須君の家で夕飯をご馳走になるの!」
竜児「おい、バカ!川嶋!何でこいつらにそれを……」
能登「高須さ……最近調子乗ってね?」
春田「そーだ!そーだ!」
竜児「な、なんだよいきなり……?」
能登「亜美ちゃん独り占めにしたと思ってたら、今度は家に呼んだりしちゃってさ!」
春田「そーだ!そーだ!」
能登「タイガーみたいなおっかないけど可愛い彼女もいるのにさ!」
春田「そーだ!そーだ!」
能登「彼女に関してはお前もいるだろ!春田!」
春田「の、能登っちが怒った~!」
43:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/15(木) 04:40:28.16:DC1olf220
能登「と、とにかく!俺らも腹減ってるし高須のご飯食わせてくれよ!」
能登「知ってしまった以上、亜美ちゃんと二人っきりになるなんて断じて許さないよ!」
春田「いえーい!高っちゃんのご飯超美味いんだよな~!」
竜児「お、お前らなあ……いいのか、川嶋?」
亜美「もちろん、ご飯は大勢で食べた方が美味しいでしょ?」
能登「さすが亜美ちゃん!」
春田「俺たちのエンジェル~!」
亜美「そ・れ・に……能登君と麻耶が上手くいってるのか、詳しく聞きたいし」
能登「ちょ、ちょっと亜美ちゃん!?」
春田「いえーい!」
竜児「……しょうがねえな、夜だからあんまりうるさくすんじゃねえぞ?先スーパー寄って行こう」
能登「よーし!」
春田「高っちゃんのご飯~!」
亜美「……」
亜美(……こんな日に二人きりになってもしょうがないしね)
47:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/15(木) 05:04:16.99:DC1olf220
亜美「ごちそうさま」
春田「はあ~、食った食った!」
能登「高須ってホントに料理上手いよな」
春田「高っちゃん、嫁に来てくんねえかな~」
竜児「……行かねえよ」
能登「じゃあ、そろそろ帰るか……あんま長居しても悪いしね」
亜美「あ、能登君あんまり麻耶との話振られたくないんでしょ?」
能登「そ、そんなことないよ!ってか木原とは何にもないし!」
春田「あっはは~!」
亜美「でも、ホントに遅くなるのも良くないよね……行こっか?」
能登「あ、亜美ちゃん送ってくよ!」
春田「俺も俺も~!」
亜美「ホント?ありがと~!じゃあ、帰りに能登君の話は聞こっか!」
能登「だから亜美ちゃんってば~!?」
48:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/15(木) 05:09:35.35:DC1olf220
能登「じゃあ、またね高須」
春田「高っちゃん、じゃあね~!」
竜児「おう、またな」
亜美「高須君」
竜児「なんだよ?」
亜美「この埋め合わせはまた、ね?」
竜児「わかってるよ、泰子も楽しみにしてたしな」
亜美「ホント?なら、私も楽しみにしとくね……じゃあ、また明後日!」
竜児「おう、おやすみ」
49:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/15(木) 05:17:16.89:DC1olf220
ガチャ
亜美「……はあ」
亜美「シャワー浴びて早く寝て……明日も撮影か」
亜美「予定狂ったけど、あれはあれで楽しかったな……」
櫛枝『もう子守り役なんてやんなくていいと思うよ』
亜美「……わかってるって」
櫛枝『次はあーみんの番だよ』
亜美「……わかってるけどさ」
亜美「……」
亜美「大河……アンタ何やってんのよ……」
亜美「アンタがいれば私は……」
亜美「……シャワー浴びよ」
50:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/15(木) 05:25:11.43:DC1olf220
後日
北村「おーい、高須!」
竜児「北村?おはよう、今朝はなにもないのか」
北村「ああ、今日は珍しく朝練も生徒会の用もないんだ」
北村「それより聞いたぞ高須、この前亜美と能登と春田ととで高須家で夕飯を食べたそうじゃないか」
竜児「おう」
北村「冷たいな、俺も誘ってくれれば良かったのに」
竜児「悪い、そこまで頭回んなくてよ」
北村「冗談だよ、俺もその日は試合があったしそのあと部活の連中と飯を食いに行ってたからな」
竜児「へえ、珍しいな」
北村「今度の大会が終われば俺ら三年は引退だからな……その前の決起集会って奴だな」
竜児「そうか……もうそんな時期か」
北村「まあ、その前には定期試験もあるし、終わってもすぐに受験勉強が始まるんだがな」
竜児「試験と受験……か」
51:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/15(木) 05:30:20.52:DC1olf220
亜美「ねえねえ、高須君」
竜児「なんだよ?」
亜美「あのさ、もうすぐ定期試験じゃない?」
竜児「おう、そうだな……そういえば朝も北村とこんな話したな」
亜美「でさ、お願いがあるんだけど……いい?」
竜児「兄貴ノートか、いいぞ貸してやるよ……けど、狩野先輩は選抜クラスだったから参考にならないんじゃないか?」
亜美「そうじゃなくてさ……勉強教えてくんない、私に?」
竜児「……はあ?」
52:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/15(木) 05:46:46.69:DC1olf220
竜児「……で、何で家でやるんだ?」
亜美「いいじゃん、亜美ちゃん有名人だからファミレスとかでやると目立っちゃうし」
亜美「それにご飯付いて送り迎えもあるなんて最高の環境だと思うけどなー」
竜児「送りは別に付いてねえよ……」
泰子「じゃあ、行って来るねえ~!亜美ちゃんあんま遅くなっちゃ駄目だぞぉ~!」
竜児「おう、いってらっしゃい」
亜美「はーい、いってらっしゃーい!」
竜児「で……どれがわかんないんだ?」
亜美「えっと、英語に数Ⅲに数Cに物理に……」
竜児「教科単位でかよ!……しかも、ほとんど理系の科目ばっかじゃねえか」
亜美「だって~、三年になってから急に難しくなって~……それって亜美ちゃんのせいじゃなくね?」
竜児「はあ、しょうがねえ……今日からテストまでまだ二週間ちょっとはある」
竜児「俺がしっかりと基礎から教えてやるから、まずは赤点回避……いや7割以上を目標に頑張るぞ」
亜美「うん!」
53:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/15(木) 05:55:37.02:DC1olf220
竜児「とりあえず今日はここまでだな」
亜美「……」
竜児「おい、大丈夫か川嶋?」
亜美「……高須君マジでスパルタ、初日からこんなんじゃ三日目には頭おかしくなるって」
竜児「そんなことねえよ、始めてみたらお前穴だらけだったしこんくらいやって当然だ」
竜児「それに三日も経てばこのペースにもなれるって」
亜美「ホント、それ?」
竜児「おう、本当だ」
亜美「……わかった、じゃあ頑張るよ」
竜児「さて、帰るぞ」
亜美「え?送ってくれるの?いいよ、タクシー呼ぶし」
竜児「なに言ってんだ、タクシーなんてもったいない!」
亜美「げえ、でたよそのMOTTAINAI……今どき流行んねえっつーの」
竜児「馬鹿野郎、家で勉強するんだったらこのエコ精神も身につけて帰ってもらわないとな」
亜美「はいはい、わかりましたよ……じゃあ甘えさせてもらうね」
54:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/15(木) 06:03:03.18:DC1olf220
てくてく てくてく
竜児「コンビニ寄ってアイスでも買ってくか?」
亜美「いい、こんな時間に食べたら太るし」
竜児「そっか……川嶋ってやっぱモデルやってるだけあって、そういうプロ意識みたいのあるよな」
亜美「なによ、急に?」
竜児「いや、ふと思い出してよ……」
亜美「……」
亜美(……タイガーのこと、か)
亜美「……ねえ、高須君」
竜児「……なんだよ?」
亜美「タイガーとはさ……こういう勉強会みたいのやってたの?」
竜児「うーん……勉強会ってほどのものはやってなかったな」
竜児「大河の奴、結構頭良かったし教科によっては俺が聞いてたりもしてたしな……」
亜美「へえ……そうなんだ」
55:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/15(木) 06:10:20.22:DC1olf220
亜美「……今日はここでいいよ」
竜児「え、そうか?」
亜美「うん、もう信号渡ればすぐそこだしね」
亜美「ありがとうね、高須君」
竜児「おう、また明日な」
亜美「うん、おやすみ」
亜美「……」
亜美(……今日一日だけでも、今まで知らなかった高須君の一面が見れたな)
亜美(けど……タイガーは本当に毎日一緒にいたんだよね)
亜美(もし……こういう日々が続いてったら)
亜美(私はタイガーが知ってるくらいに高須君のことを……)
亜美(いや、タイガーが知らない高須君のことも……)
亜美「……無理か、それは」
71:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/15(木) 09:29:20.51:DC1olf220
数週間後
亜美「高須君、ここってこのやり方で合ってる?」
竜児「おう、そうだそれで合ってるぞ」
亜美「ありがとう」
竜児「……」
竜児(この数週間で見違えるくらいに成長したな……)
竜児(こりゃ、8割取れてもおかしくないんじゃないか?)
亜美「……どうしたの?もしかして今さら亜美ちゃんに見とれちゃってるの?」
竜児「ちげえよ……感心してたんだよ」
竜児「勉強始める前はホントになんも分かってなかった川嶋が、まさかここまで出来るようになったとはなって」
亜美「褒めてくれてるんだ?亜美ちゃんはやれば出来る子だからねー」
竜児「フッ……そうだな、お茶入れてくるよ」
亜美「なーに鼻で笑ってくれちゃってんのよ?」
73:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/15(木) 09:38:41.89:DC1olf220
亜美「あれ、紅茶?今日は日本茶じゃないんだ?」
竜児「おう、今日はここまで頑張ってきた川嶋に俺からご褒美だ」
亜美「え……なにこれ!?」
竜児「オレンジのタルトだ、初めて作ったから出来はどうかわかんないけど不味くはないはずだ」
亜美「私のために作ってくれたんだ……嬉しい」
亜美「ねえ、食べていい?」
竜児「おう、いいぞ」
亜美「いただきまーす!……うん、美味しい!」
竜児「ホントか?良かった、じゃあ俺も食べてみるか……うん、まあまあイケるな」
亜美「ホント高須君料理上手だよね、ホントお嫁に来て欲しいくらいだよ」
竜児「嫁には行けねえよ」
亜美「じゃあ、さ……」
亜美「……お婿さんなら来てくれるの?」
74:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/15(木) 09:48:26.73:gqGFt0gnO
竜児「なっ……川嶋……!?」
亜美「ねえ、高須君……」
竜児「おい、近いって……なあ」
亜美「どうなの?……来て、くれるの?」
竜児「川嶋……お、俺は……」
亜美「……なーんてね」
竜児「……はあ、またそれかよ」
亜美「アハハハハッ!ヤダ、高須君ったら!顔赤くしちゃって!」
竜児「川嶋……お前なあ……」
76:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/15(木) 09:55:33.26:DC1olf220
亜美「ごめん、ごめん……でもさ、前にもこんなことあったよね?」
竜児「え?」
亜美「私と高須君がすっごく近づいててさ、ちょうどそこにタイガーが来て……」
竜児「あー、川嶋が転入して来てすぐぐらいだったな……確かストーカーがどうとかって時に」
亜美「そうそう!あー、懐かしい……あれからもう一年も経ったんだね」
竜児「……おう、そうだな」
亜美「……」
亜美(あの時はホントに冗談だったから答えなんて聞く気もなかったけど……)
亜美(今は……)
亜美(……答えを聞きたくないな)
77:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/15(木) 10:02:32.93:DC1olf220
亜美「……もうこんな時間か、そろそろ帰らないとね」
竜児「あ、そうだな」
亜美「……タルト」
竜児「え?」
亜美「あのタルトさ、1カットだけお土産に持って帰りたいんだけどいいかな?」
竜児「いや、あれ川嶋に作った奴だから元々泰子の分は切り分けてたんだけど……」
亜美「ううん、1カットで十分……もう、そんなに食べさせて亜美ちゃんのこと太らせる気?」
竜児「別に太らせるつもりはないけどよ……わかった、じゃあ包んでくるからちょっと待っててくれ」
亜美「うん、ありがとう」
79:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/15(木) 10:11:41.23:DC1olf220
てくてく てくてく
亜美「そういえばさ……タイガーから連絡来たりすんの?」
竜児「……いや」
亜美「そっか……高須君はタイガーに連絡したりすんの?」
竜児「……いや」
亜美「……そっか」
てくてく てくてく
亜美「……着いちゃったね」
竜児「……おう」
亜美「あのさ……今日で定期試験前の勉強会、終わりにしよっか?」
82:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/15(木) 10:24:47.17:DC1olf220
竜児「え……」
亜美「あとは私だけでもなんとかなりそうだし……高須君も試験前は勉強したいでしょ?」
竜児「まあな……でもよ」
亜美「大丈夫、言ったでしょ?亜美ちゃんやれば出来る子なんだから!」
亜美「それに、私に教えてばっかだと高須君赤点取っちゃうかもよ?」
竜児「フッ……それはねえよ」
亜美「どうかなー?あ、そうだ!高須君、賭けをしない?」
83:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/15(木) 10:29:41.55:DC1olf220
竜児「賭け?」
亜美「うん……もしさ、私が今度のテストで高須君に一教科でも勝ってたら高須君なにか言うこと一つ聞いて?」
竜児「……おう、いいよ」
亜美「ホント?約束だよ?」
竜児「おう」
亜美「……じゃあ、手出して」
竜児「手?こうか?」
亜美「で、小指を立てて……指きーりげんまーん」
竜児「嘘ついたら針千本飲まーす」
亜美「指きった!っと、じゃあまたね」
竜児「おう、またな」
84:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/15(木) 10:35:24.29:DC1olf220
ガチャ
亜美「ただいまー」
亜美「……そうだ」
亜美「お皿に移して……これでいいかな?」
カシャッ
亜美「うん、上手く撮れたかな?」
亜美(タイガーも知らない……私だけの秘密……)
亜美(高須君が私のために作ってくれた……オレンジのタルト……)
亜美「……よし、お風呂入ってもうちょっとだけ勉強するとしますか」
87:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/15(木) 10:52:53.15:DC1olf220
一週間後
竜児「おう……」
亜美「ね、言ったでしょ?」
竜児「まさか本当に負けるとはな……川嶋、お前よく頑張ったな!」
亜美「でしょ?亜美ちゃんマジですごくない?」
竜児「ああ、俺も油断してたわけじゃないしな……勉強の成果がちゃんと表れたじゃねえか!」
亜美「それでさ……高須君、覚えてる?」
竜児「賭けのことだろ?覚えてるよ……いいぞ、なんでも一個言うことを聞いてやるよ」
亜美「じゃあさ……夏休み、旅行に行かない?」
竜児「……旅行?」
89:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/15(木) 11:04:10.11:DC1olf220
亜美『旅行っていうほど大層なものじゃなくていいの』
亜美『日帰りでいいからさ、ただちょっと去年みたいに海の方に行けたらなあって思ってて』
亜美『私受験でちょっと休業しようと思ってて、だから夏休みにまとまった撮影もあるし』
亜美『それに予備校の夏期講習にも行こうと思ってるんだ』
亜美『だから、その息抜きにちょっと付き合ってくんないかな?』
竜児「……受験、か」
竜児「川嶋もああ見えて意外と考えてるんだな……でも、あいつ大学に行くつもりだったのか」
竜児「……俺もそろそろはっきりさせとかないとな」
90:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/15(木) 11:14:20.44:DC1olf220
夏休み
亜美「高須君、お待たせ!」
竜児「おう」
亜美「久しぶりだね、夏休みなにかあった?」
竜児「いや、特になにも……川嶋は?」
亜美「私は前に言ったとおり……撮影と予備校でもうクッタクタよ」
亜美「身体が二つあったらなー、とか最近考えちゃうんだよね」
竜児「フフッ、なんだよそれ」
亜美「おかしいでしょ?……でも、そんな疲れも今日は全部忘れさせてくれるんだよね?」
竜児「どうだろうな……逆にもっと疲れて帰ってきたりしてな」
亜美「なによそれ、もう……じゃあ、行こっか?」
竜児「おう」
92:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/15(木) 11:26:00.58:DC1olf220
………………
…………
……
ガタン ゴトン ガタン ゴトン
亜美「水族館に、古都巡りに、夕陽の映える砂浜か……だいぶ満喫したなあ、今日は」
竜児「そうだな……」
亜美「……高須君は楽しかった?」
竜児「おう、歩き回って疲れたけどすっげえ楽しかったよ……ありがとうな、川嶋」
亜美「……こちらこそ、今日一日付き合ってくれてありがとうね」
竜児「……おう」
亜美「……」
竜児「……」
95:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/15(木) 11:36:06.31:DC1olf220
ガタン ゴトン ガタン ゴトン
亜美「……」
竜児「……」
亜美「……あのさ、高須君」
竜児「……」
亜美「……前に言ったじゃない?……お婿さんになら来てくれるのって」
竜児「……」
亜美「……あれ、実は結構本気で……」
竜児「……すー……すー」
亜美「……はあ、可愛い寝息立てちゃって……もう」
亜美「……」ぎゅっ
亜美「……大きくて柔らかい手……けどやっぱり男らしいな」
亜美「……」
亜美「……すー……すー」
100:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/15(木) 11:58:07.24:DC1olf220
ガタン ゴトン ガタン ゴトン
竜児「……ん……やべぇ、寝ちまってたか」
竜児「悪い川嶋、俺……あ」
亜美「……すー……すー」
竜児「なんだ、お前も寝てたのか……そりゃそうだよな」
亜美「……すー……すー……」
竜児「…………って、あれ?」
竜児(ど、どういうことだ……なんで俺川嶋と手繋いでんだ……!?)
亜美「……すー……すー」コクリッ
竜児「……!?」
竜児(か、顔近っ!?……ちょ、ちょっと何だよこの状況……!?)
亜美「……すー……すー」
竜児「……いいっ!?」
竜児(こ、呼吸が伝わってくる……!?おいおい、マジでちょっと……これ……!)
竜児「…………生き地獄、だな」
103:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/15(木) 12:08:14.01:DC1olf220
亜美「……んっ……ふああ……あ、高須君おはよう……」
竜児「……おう」
亜美「……今どこ?」
竜児「……あと二駅で着くぞ」
亜美「……あと、二駅?……んーっ……あー、よく寝た……あ?」
竜児「……ん?」
亜美「ぷっ……アハハハハッ!高須君なにその顔!?」
亜美「か、完全にアウトだって、それ!……クックック、アハハッ!」
竜児「お、おい……電車の中だぞ、もうちょっと静かに……」
亜美「だ、だって……アハハハハッ!」
竜児「はあ……誰のせいでこうなったと思ってるんだよ」
亜美「ヒヒッ……えっ?なんか言った?」
竜児「……なんでもねーよ、ほら降りる準備しとけ」
亜美「はーい……ックフフ」
112:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/15(木) 12:41:07.46:DC1olf220
亜美「高須君、今日はホントに楽しかったよ……ありがとうね」
竜児「おう、俺も楽しかったよ」
亜美「明日からまた撮影とか夏期講習で忙しくなるから……次会うのは休み明けかな」
竜児「……そっか、頑張れよ色々と」
亜美「うん、頑張る……」
竜児「……」
亜美「……」
亜美「じゃ、じゃあまたね……高須君」
竜児「おう、また学校で」
亜美「バイバイ」
亜美「……」
亜美「……また、言えなかったな」
114:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/15(木) 12:51:38.98:DC1olf220
新学期
竜児「あ……恋ヶ窪先生、おはようございます」
独身「あら高須君、おはようございます……久しぶりね」
竜児「はい、三年になってからは英語の授業は先生じゃないですからね」
独身「そうよね……あ、高須君進路は決まった?」
竜児「ええ……まあ、一応」
独身「そう?ならよかったわ」
独身「去年の2-Cで進路が一応決まってなかったの高須君と逢坂さんだけだったから……あ、ごめんなさいね」
竜児「いえ……」
独身「まあ、進路が決まってても不安な子はいるんですけどね……春田君とか春田君とか春田君とか」
竜児「……」
独身「じゃあ、高校生活も残り半年しかないんだから楽しんでくださいね」
竜児「はい、じゃあ失礼します」
独身「はーい」
竜児(進路……か)
115:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/15(木) 12:52:37.76:2kYgMzM80
モブ「……ってことで文化祭のクラス展示を決めたいんですが」
モブ「はーい!亜美ちゃんのトークショーがいいと思いまーす!」
モブ「賛成!ミスコンも亜美ちゃん一択だよねー!」
亜美「あのー、その話なんだけど……ゴメンねー、実は私今年の文化祭の前夜祭と後夜祭の司会任されてて……」
亜美「みんなが私を選んでくれるのはー、すっごくすっごく嬉しいんだけど……その、クラス展示くらいは休ませて欲しいなあって」
モブ「いいよ亜美ちゃん!休んで休んで!」
モブ「じゃあ、クラス展示どうするよー?」
亜美「それなんだけど……私に名案があるの!」
亜美「クラス展示は高須君監修の飲食店がいいと思いまーす!」
竜児「……」
モブ「おおお!」
モブ「さすが亜美ちゃん!」
竜児「……は?」
119:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/15(木) 13:22:04.77:DC1olf220
ガゴンッ
竜児「……あのなあ、川嶋」
亜美「はい、これ」ぽいっ
竜児「お、おっと」
亜美「それ、私からのプレゼント」
竜児「……たかが100円の飲み物で買収出来ると思うなよ」
亜美「そんなこと思ってないよー?でも、良いと思うんだけどなあ」
亜美「高須君料理上手なんだし、きっと成功するって」
亜美「それに……私はもっと高須君の良い所、みんなに知って欲しいなって思うんだ」
竜児「……ったく、お前は勝手な奴だよ」
竜児「わかったよ……その代わり川嶋のこともこき使わせてもらうからな」
亜美「うん!……じゃあ、クラス展示の成功を祈ってかんぱーい!」
竜児「乾杯」
カンッ
121:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/15(木) 13:37:32.98:DC1olf220
文化祭当日
竜児「じゃあ、今一度分担の確認をします」
竜児「フロアは3チーム編成で午前、昼、午後に分かれて……」
竜児「キッチンも3チーム編成で午前、昼、午後……」
竜児「特に昼は一番の書き入れ時なので頑張りましょう……川嶋、昼のフロアは任せるぞ」
亜美「うん、任せて」
竜児「多分川嶋目当てで店に入る奴らもいるだろうから、なにかあったらフロアの男性陣はよろしくお願いします」
亜美「みんな、よろしくね!」
モブ「おー!」
竜児「キッチンのみんなは、慌てなくていいから練習通りにやってお客さんに満足してもらえるよう頑張りましょう」
モブ「はい」
亜美「じゃあ、みんな円陣組んで……クラス展示の優勝目指して頑張ろうね!いくよー!せーの!」
モブ「エイエイオー!」
123:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/15(木) 13:51:01.71:DC1olf220
モブ「高須君、オムライスまだー?」
竜児「おう!今出来たぞ!」
北村「生徒会です、衛生チェックに来ました」
竜児「おう、北村」
北村「高須、お疲れさん!だいぶ繁盛してるみたいだな?」
竜児「おう、おかげさまでな……次注文なに!」
モブ「オムライス3つでーす」
竜児「おう!」
北村「高須が指揮してる調理場だから……特に問題なしだな、よし」
北村「じゃあ高須、頑張ってくれよ」
北村「あ……あと、悪いんだが生徒会の仕事で回れそうにないから一つオムライス残しといてくれないか?」
竜児「わかった、北村も頑張ってな」
127:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/15(木) 14:03:08.97:DC1olf220
亜美「いらっしゃいませー!」
櫛枝「ふう!君かわうぃーね!」
亜美「あ、実乃梨ちゃん!」
櫛枝「あーみんいいよ!ウェイター姿も板についてんじゃんよー!このこの!」
亜美「そう?注文何にする?」
櫛枝「うーん、そうだなあ……オムちゃん1つプリーズ!」
亜美「オムライスね、オムライス1つお願いしまーす!」
モブ「はーい!」
亜美「実乃梨ちゃんのとこ、クラス展示お化け屋敷でしょ?どう?」
櫛枝「あのですねー、それがですねー、お客さんみんながー、怖いなー怖いなーって、言いながら入ってくれましてねー」
モブ「注文おねがいしまーす」
亜美「はーい!実乃梨ちゃん、ちょっと待っててね」
櫛枝「はいさーい!……あーみんも大忙しだな、こりゃ
129:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/15(木) 14:16:57.37:DC1olf220
亜美「ドラゴン食堂完売でーす!ありがとうございました!」
モブ「終わったー!」
モブ「やったー!完売だー!」
竜児「ふう……疲れた」
亜美「高須君、お疲れ様!はい、これ」ぽいっ
竜児「おう、サンキュ……ふう、生き返った」
亜美「すごいよ、ホント!午後になってすぐ完売なんて!」
竜児「ああ、俺もかなり驚いてるよ……ホント、一生分かってくらいオムライス作ったしな」
亜美「カッコよかったぞ、シェフ」
竜児「や、やめろよ恥ずかしいだろ……」
亜美「フフッ、でもこんな繁盛したのもみんなで頑張ったからなんだよね……クラス展示、優勝したいね」
竜児「……おう」
130:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/15(木) 14:23:13.59:DC1olf220
亜美「ねえ、後夜祭の準備入る前に実乃梨ちゃんのとこ見に行くつもりなんだけど高須君も行く?」
竜児「ああ……櫛枝のとこか、行きたいけど片付けあるから先行ってこいよ」
亜美「そっか……うん、じゃあ後夜祭楽しみにしといてよ?」
竜児「おう、またミスコンの連中を食っちまうなよ?」
亜美「それはどうだろうねー?じゃあ、あとでね!」
竜児「ああ、楽しみにしてるからな!」
竜児「……」
竜児「……はあ、ホント疲れたな……手首すっげえ痛い」
竜児(でも、すごく楽しかったしやりがいがあった……)
竜児「シェフ……か」
133:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/15(木) 14:42:18.16:DC1olf220
春田「高っちゃ~ん!」
竜児「おう、春田か」
春田「高っちゃん、オムライス最高だったよ~!母ちゃんのオムライスより全然美味かったな~!」
竜児「ありがとうな……あれ、能登は?」
春田「それがさー、さっきどっか行ったっきり見てないんだよね~」
春田「電話しても出ないし、どうしたんだろうな~?木原と奈々子様もどこにもいないし……」
竜児「そ、そっか……」
竜児(それだけヒントが出てるのになんでわかんねえんだよ、春田……)
亜美『みなさーん!お待たせしましたー!これより、後夜祭を始めたいと思いまーす!』
春田「お!亜美ちゃんの声!今年はどんなコスプレすんだろ~!」
竜児「……去年以上に派手な格好なんてないと思うけどな」
135:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/15(木) 14:53:57.69:DC1olf220
ピカッ ピカッ ピカッ
竜児「お、おう……」
春田「どっひゃあ~!?」
モブ「うおおおおおおおおおお!!」
亜美「みなさーん、こんばんわー!後夜祭の司会進行を務めさせていただく川嶋亜美です!」
モブ「あーみーちゃーんー!!」
春田「ああああああ亜美ちゃんのおっ!?ミミミニスカポリスううううう!?」
竜児「……こりゃ、完全にミスコン連中食われたな」
亜美「はーい、ありがとうございまーす!では早速、毎年恒例のミスコンからやっていきたいと思いまーす!」
モブ「あーみーちゃーんー!!」
春田「あーみーちゅわーんー!!」
竜児「……春田、落ち着けよ」
亜美「静かにしてくださーい!静かにしない人たちは……逮捕しちゃうぞ☆」
モブ「うおおおおおおおおおお!!逮捕してええええええ!!」
亜美(……やっば、ちょっと気持ちいいかも)
136:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/15(木) 15:06:46.73:DC1olf220
亜美「以上で、ミスコンは終了しまーす!続きましてクラス展示の結果発表……と、その前に!」
亜美「ここで有志によるバンド演奏を披露していただきたいと思いまーす!」
竜児「バンド演奏?……そんなのプログラムに載ってなかったよな?」
亜美「一旦照明落としますので、みなさん周りの人にぶつからないように気をつけてくださーい!では、落としまーす!」
パチンッ
わいわい がやがや
竜児「春田、バンド演奏って誰がやるんだろうな?」
竜児「って、あれ?……春田どこに行ったんだ?」
トントン
竜児「ん?なんだ春田、いつの間にそっちに……」
櫛枝「私だ」
竜児「おう!?く、櫛枝!?」
櫛枝「やあやあ、高須君おひさ!いやー、バンド演奏に間に合ってよかったよ!」
竜児「え?櫛枝、バンド演奏誰がやるか知ってるのか?」
櫛枝「へ、高須君聞いてないの?……ほう、やるなあやつめ!まあ、今に見てなって!」
138:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/15(木) 15:15:15.39:DC1olf220
カッ ピカッ ピカッ
モブ「うおおおおおおおおおお!!」
竜児「……おう!?」
櫛枝「ヒュー!ヒュー!」
竜児「北村に、能登に、春田に……それに」
竜児「川嶋……!?」
亜美「みなさーん、こんばんわー!バンド演奏させていただく『川嶋亜美と愉快な仲間たち』でーす!」
モブ「うおおおおおおおおおお!!」
亜美「後夜祭楽しんでますかー!?」
モブ「うおおおおおおおおおお!!」
亜美「私の歌、聴きたいですかー!?」
モブ「うおおおおおおおおおお!!」
亜美「ありがとうございまーす!それじゃあ、早速歌わせてもらいます!……1・2・1・2・3・4!」
141:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/15(木) 15:32:38.65:DC1olf220
………………
…………
……
竜児「あ……川嶋!」
亜美「高須君?」
竜児「お疲れ、ほらこれ!」ぽいっ
亜美「サンキュ……ふう、冷たくて美味しい」
竜児「なにが、それはどうだろうねー?だよ……ミスコンどころか後夜祭まるごと乗っ取りやがって!」
亜美「ホント!?バンド、どうだった?」
竜児「ああ、すっげえ良かったよ!ホント驚いた!いつ準備してたんだよ?」
亜美「毎日クラス展示の準備が終わった後にね、祐作たちと残って練習してたんだ!」
竜児「そうだったのか……なんだよ、言ってくれればお前だけでも先に帰したのによ」
亜美「いいのいいの、高須君はクラス展示頑張ってくれたんだしそのお返しのサプライズプレゼントだったんだから!」
亜美「あれでクラス展示任せた分くらいの対価にはなったでしょ?」
竜児「……おう!」
142:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/15(木) 15:41:13.33:DC1olf220
亜美「クラス展示は残念だったね、優勝出来ると思ったんだけどなあ」
竜児「しょうがねえよ、春田たちのクラスが『がけっぷちのゆり』なんて劇やったらしいからな」
亜美「アハハッ、ゆりちゃん先生ネタにされたらさすがに勝てないよねえ」
竜児「だよな」
亜美「フフッ……あ、あのさ高須君」
竜児「そうだ……川嶋に言わなきゃいけないことがあるんだよ」
亜美「え……な、なにかな?」
竜児「俺、川嶋のおかげでやっとわかったんだよ……」
亜美「た、高須君……!?」
竜児「……俺さ」
146:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/15(木) 15:57:34.81:DC1olf220
竜児「……調理師の専門学校に行って、料理人を目指そうと思う」
亜美「……え?」
竜児「川嶋が今回こういう形で大勢の人に俺の作った飯を食べてもらう機会を作ってくれなきゃ、多分そんなこと考えなかった」
竜児「やっぱさ、自分の作った飯を誰かに美味しいって言ってもらえたり喜んでもらえるのってすげえ嬉しいんだよ」
竜児「だから……本当にありがとうな、川嶋!」
亜美「高須君……」
亜美「お礼なんて言わなくていいのよ!その代わり、高須君がお店だしたら一番最初の客は私にしてよね?」
竜児「……おう!」
亜美「……あ、あのさ……私も話があるんだけど、いいかな?」
竜児「おう、なんだよ?」
147:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/15(木) 16:06:23.00:DC1olf220
亜美「あのね、高須君……私……」
北村「お、見つけたぞ!お前たち!」
竜児「おう!?き、北村!?」
亜美「ゆ、祐作!?」
春田「よっ!総料理長!」
能登「けど、なに二人きりでいい雰囲気になってんのよ!」
竜児「お、おい!お前ら……お、おう!?」
木原「亜美ちゃん!バンドのボーカル、超超超カッコよかったよ!」
香椎「亜美ちゃん歌手でも絶対イケるんじゃないかな?」
亜美「ちょ、ちょっと!?麻耶!奈々子!」
櫛枝「ごっめん、あーみん!オイラ一人じゃこの革命の流れは止められなかったぜよ……てへぺろっ!」
亜美「……ったく、はあ。亜美ちゃんってこういう星の下に生まれちゃったのかしらね」
北村「なにか言ったか亜美!?」
亜美「……なんでもないわよ」
北村「そうか!なら、みんなで踊ろう!」
2:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/16(金) 01:55:03.64:AmIfVRow0
12月
てくてく てくてく
竜児「……寒い」
櫛枝「ヘアッ!」
竜児「おう!?く、櫛枝!?」
櫛枝「おはよう高須君!いっひっひ、簡単に後ろを取らせるとは警戒が甘いんじゃないか!?」
竜児「朝登校するのに常に後ろを警戒する奴なんていねえよ……」
櫛枝「うーん、それもそうだね!」
てくてく てくてく
竜児「あ……櫛枝、推薦取れたらしいじゃねえか?合格おめでとうな」
櫛枝「お、なんだいなんだい?私の情報はそこまで筒抜けかい?」
竜児「ああ、北村から聞いたんだ」
櫛枝「そういう高須君も無事に専門学校に受かったそうじゃない?高須君、おめでとう!」
竜児「おう、ありがとう」
8:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/16(金) 02:04:53.13:AmIfVRow0
櫛枝「……そういえば、こうやって高須君と歩いて学校に行くのはいつぶりだろうね?」
竜児「……そうだな、まだ大河がいたときに時々……いや」
竜児(こういうのって案外はっきりと覚えてるもんなんだな……)
竜児「……わかんねえ、忘れた」
櫛枝「そうだよね……はあ、もう12月なのか!なんかあっという間だったよね?」
竜児「おう……そうだな」
櫛枝「大河と高須君が駆け落ちする!とか言い出して、でも大河だけは戻ってこなくて……」
櫛枝「4月になってそれでも帰ってこなくて……もう12月だ」
櫛枝「……高須君はさ、今の自分に後悔してないよね?」
竜児「……おう」
櫛枝「そっか……なら、みのりんは満足だ!私も今の自分に後悔してないよ」
竜児「……そうか」
櫛枝「へへっ、なんかしみったれた話になっちゃったね!」
10:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/16(金) 02:12:44.58:AmIfVRow0
櫛枝「あ、私今年はクリスマスパーティーに参加しようと思うんだ!」
竜児「そうなのか?」
櫛枝「去年はあのツリーが輝いてる姿を見なかった……いや、見れなかったらさ」
櫛枝「最後くらいはちゃんとこの目に焼き付けとかないと!ね?」
竜児「そうだな……じゃあ、俺も今年も参加しようかな」
櫛枝「お、本当かい?良かった、もし三年私一人だけだったら超浮かれてない!?って思ってたところなんだよね」
竜児「大河が残してったオーナメントを、今年もどっかの誰かが壊さないように見張ってないといけないからな」
櫛枝「ぐぬぬ……高須君、貴様言うようになったな……!」
竜児「フッ……お、もうすぐチャイム鳴っちまうな?急ごうぜ、櫛枝!」
櫛枝「おっと合点承知の助だい!」
11:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/16(金) 02:21:40.26:AmIfVRow0
竜児「……おう!?」
亜美「あ……おはよう……高須君」
竜児「か、川嶋!?……お前大丈夫か?すっごい鼻声だぞ?」
亜美「……大丈夫よ……こんくらい……亜美ちゃん……へっちゃら……なんだから」
竜児「……全然大丈夫そうに見えねえぞ」
亜美「やっぱ……一月から学校来ないで……勉強したい……じゃん?」
亜美「……けどさ……亜美ちゃん……仕事の都合……とかで……出席日数……ギリギリなんだって」
亜美「だから……12月は……意地でも……ゴホッ!ゴホッ!」
竜児「お、おい!無理してまで話すな……水かなんか買ってくるか?」
亜美「……大丈夫……お茶……持ってきたし」
竜児「お茶……?おう!?川嶋、これめんつゆじゃねえか……」
亜美「う……そ……」ガクリ
竜児「お、おい川嶋!?」
13:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/16(金) 02:32:47.56:AmIfVRow0
亜美『寒っ……私なんで雪山にいんの……?』
亜美『やだ……このままじゃ凍え死んじゃう……』
亜美『おーい!誰か……誰かいませんか!……おーい!』
亜美『寒い……吹雪いて……視界が……』
亜美『やだ……まぶたが……重い……誰か……』
『か……し……! ……わ……ま……!』
亜美『声……?聞いたこと……この声……助けて……』
亜美『助けて…………高須……君……』
竜児「川嶋?……おい、大丈夫か?」
亜美「高須……君……?」
竜児「おう、目覚ましたか……だいぶうなされてたけど、本当に大丈夫か?」
亜美「……なんだ……夢、か」
15:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/16(金) 02:43:37.27:AmIfVRow0
竜児「ほら……薬と水、飲んどけ」
亜美「あ、ありがとう……ってか、あれ?」
竜児「……どうかしたか?」
亜美「ここ……私の部屋、よね……なんで?」
竜児「覚えてないのか……?お前、学校で気失ってそのまま早退したんだよ」
亜美「早退……?そっか、私……じゃあ何で高須君いるの?」
竜児「お前のおじさんとおばさんは仕事で連絡つかなかったらしくてよ、そしたら担任にお前が付いて行けって言われてよ」
竜児「だから、タクシー呼んで川嶋乗せて鍵もらうとこまでは朦朧としながらも起きてたっぽいんだが……覚えてないか?」
亜美「……ごめん、全く」
竜児「そうか……あ、とりあえず熱測っとけよ?」
亜美「……うん」
16:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/16(金) 02:55:24.84:AmIfVRow0
亜美「……?」
竜児「ん、まだなんかあるのか?」
亜美「私……なんか忘れてるような……」
亜美(確か……今朝は超しんどかったけどシャワー浴びて……)
亜美(シャワー浴びたのは……寝汗が酷かったからで……)
亜美(あれ……パジャマと下着……洗濯かごにちゃんと……)
亜美(制服も……なんで……ハンガーに……)
亜美「……ひっ!?」
竜児「ど、どうしたんだ……川嶋?」
亜美「……高須君……私どうしてパジャマなのかな?」
竜児「お、おう!?……お、俺は何も見てないぞ!お、お前が……川嶋が着いて早々、突然脱ぎだして……」
亜美「信じられない信じられない信じられない……」
竜児「ば、馬鹿!あんま騒ぐなって……」
亜美「信じられなーい!」
19:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/16(金) 03:06:04.88:AmIfVRow0
竜児「……落ち着いたか?」
亜美「……高須君のバカ、スケベ、変態、能面、犯罪者面」
竜児「顔のことは別に今は関係ないだろう……」
竜児「大体、お前俺らにさんざんビキニだのなんだの見せてきてるじゃねえかよ……」
亜美「水着と下着は全然違うの!……もう高須君、最悪」
竜児「お、おう……悪かったって」
竜児「けど……だいぶ元気にはなってきた良かったよ、ホント」
亜美「……」
竜児「これで今日一日寝て、明日も一応休んどけば無事回復しそうじゃねえか?」
亜美「……うん」
竜児「だから、今日は安静にしとけよ……あ、おかゆ作っといたから食える時に食ってくれ?」
亜美「え……」
竜児「じゃあ、俺帰るから戸締りだけしっかりな」
亜美「ちょ、ちょっと待って高須く……ふわっ!?」
竜児「ん、なんだ川嶋……って、おおう!?」
20:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/16(金) 03:17:33.81:AmIfVRow0
バターンッ
竜児「痛たたたたたたっ……だ、大丈夫か川し……おうっ!?」
竜児(む、胸が……谷間がパジャマから……!)
亜美「痛っ……ご、ごめん高須君……大丈夫?」
竜児「お、おう……俺は大丈夫だから……とりあえず立ち上がれるか?」
竜児(落ち着け俺!立ち上がるな俺!)
亜美「う、うん……ごめん、ホントごめん高須君……」
竜児「おう、大丈夫……俺は大丈夫だから……な?」
竜児(そうだ、何か萎えることを考えろ……北村のバニーガール北村のバニーガール北村のバニーガール……!)
竜児「うぇぷっ……!」
亜美「た、高須君!?」
竜児「お、おう……大丈夫大丈夫、川嶋が倒れこんだ時にちょっとみぞおちに入っただけだから……じゃ、じゃあな!」
亜美「……う、うん……ありがとうね、高須君」
竜児「おう……また学校でな!」
竜児(……おう、北村のバニーガールが予想以上の破壊力だったな……)
23:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/16(金) 03:37:10.61:AmIfVRow0
亜美「はあ……」
亜美「ホントさ……」
亜美「看病までしてくれて……」
亜美「そんな優しくされたら……」
亜美「……」
亜美「……おかゆ食べよ」
25:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/16(金) 03:42:00.63:AmIfVRow0
翌日
竜児「……なんでいるんだよ?」
亜美「え?」
竜児「お前今日もちゃんと家で寝てなきゃぶり返すぞ?」
亜美「大丈夫だよ!亜美ちゃんこの通りもう元気だし、それに今日からクリスマスパーティーの打ち合わせもあるからね」
竜児「は?……お、お前まだ受験終わってないだろ?むしろこれから本番だって言うのに……」
亜美「大丈夫、私名ばかりの実行委員長だし……それに、私がやらなきゃ盛り上がんないでしょ?」
竜児「川嶋、あのな……」
キーンコーン カーンコーン
亜美「ほら、チャイム鳴ったよ?座った座った!」
竜児「……はあ、わかったよ」
26:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/16(金) 03:49:27.44:AmIfVRow0
放課後
モブ「川嶋先輩」
亜美「……」
モブ「あの、川嶋先輩?」
亜美「え、ごめんごめんどうしたの?」
モブ「この件なんですけどね……」
亜美「あー、これはね確か……」
亜美(やっばいな……マジでオーバーワーク気味かもな……)
亜美(でも、今年のクリスマスパーティーは……高校生活最後のクリスマスパーティーは……)
亜美(絶対に成功させないと……それで)
亜美(その日に……今度こそちゃんと伝えるんだ)
亜美(……高須君に)
27:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/16(金) 03:54:10.76:AmIfVRow0
竜児「川嶋」
亜美「……」
竜児「川嶋?」
亜美「うん?ごめん……どうしたの?」
竜児「プリント落としたぞ」
亜美「あ……ありがとう」
竜児「……大丈夫か、お前?」
亜美「大丈夫だって、もう高須君はお節介おばさんなんだから?」
竜児「……おばさんじゃねえっつの」
亜美「アハッ……」
竜児「……」
28:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/16(金) 04:01:20.16:AmIfVRow0
ガゴンッ
竜児「……はあ」
竜児「……あいつ、無理しやがって」
竜児「けど……川嶋の性格上、絶対引かないよな……」
竜児「どうすればいいんだろうな……」
櫛枝「うーうー、ヒトマルマルマル、ホシ見つけました、これより突入します、はい突入!」
竜児「ん……櫛枝?」
櫛枝「手を挙げろ!君は完全に包囲されているぞ、高須きゅん!」
竜児「……お、おう」
櫛枝「高須、竜児……現行犯で逮捕する!」
竜児「……なんの現行犯でだよ」
32:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/16(金) 04:12:39.64:AmIfVRow0
櫛枝「高須君、君は三年生にもなって……休み時間以外は自販機使っちゃいかないんだぞ?」
竜児「櫛枝だって時々使ってるの俺見てるけどな」
櫛枝「ありゃりゃ、バレてら……えっへっへ」
竜児「……あ、そうだ櫛枝!お前、今時間あるか?」
櫛枝「高須君……タイムイズマネーって言葉を知ってるかい?」
竜児「ああ、時は金なりだろ……忙しいって言いたいのか?」
櫛枝「ノンノン!……友達のために使う時間、プライスレス」
竜児「お、似てるな……!」
櫛枝「でしょ?結構練習したんだ!それで、なんだい高須君?」
竜児「……あのさ、川嶋のことなんだけど」
33:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/16(金) 04:18:37.02:AmIfVRow0
てくてく てくてく
亜美(今日はあったかいミルクティーにしようかな……)
亜美(うーん、でもやっぱり緑茶の方がいいかな……)
亜美「あ……」
亜美(高須君と……)
亜美(……実乃梨ちゃん)
亜美(太陽と月、か……ぴったりじゃん)
亜美(月は自分一人では輝けないけど……太陽と一緒なら強く輝ける)
亜美(月と月が一緒にいたって、お互い補完しあうことは出来ないってことか……)
亜美「……」
亜美「……戻ろ」
34:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/16(金) 04:23:48.48:AmIfVRow0
竜児「川嶋」
亜美「……」
竜児「川嶋?」
亜美「……」
竜児「……川嶋?」
亜美「なに?……聞いてるわよ?」
竜児「なんだよ……なんか機嫌悪くねえか?」
亜美「そんなことないっつーの……で、なんなの?」
竜児「ツリーってよ、いつ立てるんだ?」
亜美「今年は終業式終わったらすぐ、なに?手伝ってくれるの?」
竜児「おう、手も空いてるしな……ってか、言ってくれれば最初から実行委員だって手伝ったのによ」
36:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/16(金) 04:30:57.96:AmIfVRow0
亜美「……やっぱいい」
竜児「……はあ?なんでだよ?」
亜美「今年は亜美ちゃん総合演出の超超超!スペシャルなパーティーにするつもりなの」
亜美「高須君いると、それはMOTTAINAIだのあれはMOTTAINAIだとケチつけられそうだしね」
竜児「そんなことは……」
亜美「だからいい……ほら用がないならあっち行きな、亜美ちゃん勉強中なの」
竜児「……わかったよ、その代わり手伝ってくれなんて泣きついてきても手伝ってやんねえからな!」
亜美「誰が泣きつくかっつーの!ふん!」
すたすた すたすた
亜美「あ……」
亜美(はーあ、なにやってんだか……)
38:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/16(金) 04:40:31.76:AmIfVRow0
亜美(……さすがにさっきは言い過ぎたな、私から謝んないと)
亜美「あ、高須く……」
櫛枝「高須きゅん!お待ちー!」
竜児「お、来たか櫛枝?じゃあ行くか」
櫛枝「おや……あーみんどうしたんだい、そんなところでボーっとして?」
亜美「……なんでもない!」
櫛枝「……?」
竜児「なんでもないんだってよ、ほら行くぞ櫛枝」
櫛枝「はいよー!じゃ、アデューあーみん!」
亜美「……」
亜美「……なんなのよ、もう!」
41:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/16(金) 04:57:19.41:AmIfVRow0
『いらっしゃいませー、須藤バックスへようこそー』
櫛枝「で、なんだっけ……なんでそんなあーみんは怒ってたんだろうね?」
竜児「……知らねえよ」
櫛枝「でも、あーみんを手伝ってあげたい……喜ばせてあげたいって気持ちは本当でしょ?」
竜児「……おう」
櫛枝「じゃあ、当日にサプライズ突撃でいいんじゃないかい?」
竜児「それしか……ないよな」
櫛枝「まあ、外堀を埋める作業はこの櫛枝におまかせあれ!あとは高須君が本丸を攻めてくれれば良いよ!」
竜児「そうだな、じゃあ頼むよ櫛枝!サンキューな!あ、俺そろそろタイムセール始まるから出るけど、どうする?」
櫛枝「うーん、私はもうちょっとまったりしてるよ」
竜児「そっか、じゃあまたな!櫛枝!」
櫛枝「ジャーニー!」
櫛枝「……大河、アンタいつまでもほったらかしてるとあーみんに奪われちゃうぞ?」
42:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/16(金) 05:10:00.01:AmIfVRow0
終業式
てくてく てくてく
亜美「ゴホッ!ゴホッ!」
亜美(結局……今日まで高須君と仲直り出来なかったな……)
亜美(何のために頑張ってたんだろうな、私……)
亜美「ゴホッ!ゴホッ!」
亜美(あー、ダルい……頭痛い……)
亜美(こりゃツリーの完成だけ見届けたら帰った方がいいかな……)
亜美「ホント……ゴホッ!……最悪」
亜美「あ……」
亜美(高須君が前にいる……)
亜美「……」
亜美(駄目だ、声も掛けられないなんて……)
亜美「……弱くなったな」
43:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/16(金) 05:16:29.59:AmIfVRow0
モブ「川嶋さーん、これここで合ってます?」
亜美「……うん」
亜美(……つらい)
モブ「川嶋先輩、これはどこに付ければいいんですか?」
亜美「……えっと、これはね」
亜美(……しんどい)
モブ「亜美ちゃん先輩、これは……」
亜美「……」
亜美(……高須君)
竜児「それはそこで合ってるぞ」
亜美「……!」
竜児「それはむこうに……あれはそっちだな」
亜美「うそ……なんで……?」
竜児「……一人であれもこれも背負いすぎなんだよ。少しくらい俺にも背負わせろって、バカ」
亜美「……ごめん」
44:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/16(金) 05:22:00.76:AmIfVRow0
モブ「うおー!完成だー!」
竜児「ほら、お前が持ってきたツリー……今年も綺麗に出来ただろ?」
亜美「……うん」
竜児「なに泣いてるんだよ?……本番はまだこれからだろう?」
亜美「……うん」
竜児「だから、泣くなって……一回照明落としてライトアップお願いしまーす」
モブ「はーい」
竜児「……」
亜美「……あれ?……ライトが点かない?」
45:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/16(金) 05:32:28.78:AmIfVRow0
きーよーしー こーのーよーるー
ほーしーはー ひーかーりー
亜美「え……」
すーくいーのー みーこーはー
まーぶねーのー なーかーにー
亜美「なにこれ……」
櫛枝「ねーむりーたもーおー いーとやーすくー」
ピカッ ピカッ ピカッ
竜児「せーの!」
『亜美ちゃん実行委員長お疲れさまー!!』
46:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/16(金) 05:37:10.59:AmIfVRow0
亜美「みんな……!?」
竜児「お疲れ、川嶋……実行委員のみんなに協力してちょっとしたサプライズを用意したんだけど、どうだった?」
櫛枝「ほらほら!あーみんのために、高須君特製のクリスマスケーキを持ってきたぜ!……普通に食べるか、顔にくらうか選びな!」
亜美「高須君、実乃梨ちゃん……!!もう……普通に食べるに決まってるでしょ!」
櫛枝「へっへ、そりゃそっか!」
竜児「……フフッ」
亜美「……アハハッ」
………………
…………
……
このあと、川嶋は今までの疲れが一気に押し寄せてきたのか40度近い熱を出して倒れこんだ。
主役不在のクリスマスパーティーは、それでも最後までちゃんと終わって欲しいという願いもあって何も問題も起こらず無事に終了した。
47:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/16(金) 05:39:59.81:pkQh+wU6P
数日後
『宅急便でーす』
北村「はい……ありがとうございます」
北村「差出人は……サンタクロース?」
『宅急便でーす』
櫛枝「はいはいどうもどうも……なんだこれ?」
櫛枝「サンタクロースから……?すげー!私この歳でサンタさんからプレゼントもらっちゃったよ!!」
『宅急便でーす』
亜美「……はい……どうも」
亜美「あー、しんど……最近なんか買ったっけ?」
亜美「……サンタクロースって……ったく、あのバカ虎日にちくらい合わせろっつーの」
『宅急便でーす』
竜児「はーい……お世話様です」
竜児「なんだ?誰からだ?……あ」
竜児「……大河」
49:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/16(金) 06:00:51.74:AmIfVRow0
年は明けて 正月
竜児「うーん……北村はこれでいいか?」
竜児「櫛枝はそうだな……これだな」
祖母「竜児くん、おもち焼けたわよ」
竜児「はい、今行きます……えっと、川嶋は……」
竜児「……よし、こんなもんでいいだろう」
泰子「竜ちゃ~ん、おもち食べちゃうよお~!」
竜児「わかってる、今行く!……あとは」
竜児「うん……これで終わり、と」
52:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/16(金) 06:17:58.11:AmIfVRow0
北村「ふう、少し休憩するか……メール、高須からか?」
『あけましておめでとうございます お前なら何も問題ないだろうから体調管理に気をつけろよ』
北村「フッ、高須らしいメールだな」
キーンコーン カーンコーン
亜美「うん……上出来!」
木原「亜美ちゃん、お昼食べ行こうよ!テストどうだった?」
亜美「うん!テスト、まあまあだったかな?……あ、ちょっと待って携帯忘れてた」
亜美「メールが7件か、えっと……」
『あけましておめでとう 川嶋はやれば出来るんだから自分に負けるなよ!』
亜美「自分に負けるなか……簡単に言ってくれるじゃない?」
53:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/16(金) 06:18:38.33:AmIfVRow0
実乃梨「2009……2010……2011……2012っと!よっしゃー!年の数だけ素振り終わったぞー!」
実乃梨「ん?メールが着てるよーっと、おお!」
『あけましておめでとう 夢に向かって突っ走れ!』
実乃梨「ふふ……おうよ!」
大河「……ぶえっくしゅん!」
大河「あ、メール……」
大河「……」
大河「……バカ」
54:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/16(金) 06:27:34.69:AmIfVRow0
2月末
ぷれ ぷれ ぱれーど
竜児「電話か?……はい、もしもし」
亜美『高須君久しぶり、私だよ』
竜児「おう川嶋か、どうしたんだ?」
亜美『ちょっとさ、スドバまで来て欲しいんだけど……いいかな?』
竜児「スドバ……?わかった、すぐ行くよ」
亜美『ありがとう、じゃあね』
つー つー つー つー
竜児「川嶋の奴、何のようだろうな?まあいいや、行くか」
55:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/16(金) 06:34:21.17:AmIfVRow0
『いらっしゃいませー、須藤バックスへようこそー』
亜美「あ!高須君、こっちこっち!」
竜児「おう!どうしたんだよ、急に?」
亜美「2つ話があるんだけど……うーん、じゃあAの話とBの話どっちから聞きたい?」
竜児「え……じゃあ、Aからでいいよ」
亜美「本当に?それでいい?」
竜児「……おう」
亜美「そっか……じゃあ、言うね」
亜美「あのね、私……」
亜美「……志望校受かったんだよ!」
竜児「ほ、本当か!?やったな、おめでとう川嶋!」
亜美「うん!ありがとう高須君!」
56:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/16(金) 06:42:45.84:AmIfVRow0
竜児「そっか……本当に良かったじゃねえか!」
亜美「うん……これも高須君のおかげだよ」
竜児「え……俺の?」
亜美「うん、夏前にやった定期試験の勉強会覚えてる?」
竜児「……ああ、やったな」
亜美「あの時高須君が付きっ切りで教えてくれたおかげでさ、勉強自体がそんなに苦じゃなくなったんだ」
竜児「そうか……役に立てたみたいで嬉しいよ」
亜美「それで……2つ目の話なんだけど」
57:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/16(金) 06:48:56.08:AmIfVRow0
亜美「これがその感謝も込めて、遅くなったけどバレンタインのチョコ!」
竜児「この袋に入った奴がそうなのか?……川嶋、自分で作ったのか?」
亜美「それは開けてからのお楽しみだよ、ねえ開けてみて?」
竜児「え、今すぐか?家に帰ってからゆっくりと……」
亜美「だーめ、今開けて」
竜児「……どうしても今じゃないとダメなのか?」
亜美「うん」
竜児「……わかった、じゃあ開けるぞ」
亜美「……」
竜児「……あれ?……川嶋、袋の中なんにも入って……」
亜美「……」
亜美「……」chu
58:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/16(金) 06:52:27.82:Vl1uZQct0
竜児「……」
亜美「……」
竜児「な……か、か、か、川嶋、お、お前……!?」
亜美「……ぷっ、アハハハハッ!高須君、今すっごい顔してるよ!」
竜児「バ、バカお前!?そんなことされた誰だって!」
亜美「高須君、初心だね~!クックック、アハハハハッ!」
竜児「だ、大体な!そ、そういうのは誰彼かまわずにやっちゃいけないんだぞ!?」
亜美「……誰でもいいわけじゃないんだけどな」
竜児「……え?」
亜美「なーんでもない、欧米じゃほっぺにキスするのなんて挨拶みたいなものなんだからさ」
竜児「……あのなあ、ここは日本だ!」
62:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/16(金) 07:45:52.98:AmIfVRow0
亜美「ねえ……高須君」
竜児「……なんだよ」
亜美「好きだよ」
竜児「……え」
亜美「川嶋亜美は高須竜児のことが……好きです」
竜児「川嶋……お……」
亜美「ダメ、今は答えなくていいから……卒業式の日に聞かせて」
亜美「……ね?」
竜児「……おう」
亜美「じゃあ……私帰るから、じゃあね高須君!」
竜児「か、川嶋……」
竜児「……」
64:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/16(金) 07:56:02.28:AmIfVRow0
てくてく てくてく
亜美(言えた……)
亜美(やっと言えたんだ……)
亜美(高須君に好きって……)
亜美(言えたんだ……)
亜美(なのに……)
亜美(なんでだろう……)
亜美(なんでこんなに……)
亜美(胸が苦しいんだろう……)
65:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/16(金) 08:05:09.44:AmIfVRow0
卒業式当日
亜美「……」
亜美(……そろそろ出ないと間に合わないな)
亜美(……でもなんでだろう)
亜美(……椅子とおしりがくっついたみたいに動けない)
亜美「……このままサボっちゃおうかな」
亜美(……そうすれば)
亜美(……あの告白も)
亜美(……なかったことになるのかな)
亜美「それは……嫌だな……」
67:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/16(金) 08:14:58.08:AmIfVRow0
ピーンポーン
亜美「……」
ピーンポーン
亜美「……誰よ、こんな時に」
ピーンポーン
亜美「……一人にさせてよ」
ピンポ ピンポ ピーンポーン
亜美「……ああ、もう!」すたっ
ガンッ
亜美「うるっさいのよ!誰よ!朝から!」
竜児「痛えっ!?」
亜美「た……高須……君……?」
竜児「お、おう……迎えに来たぞ、川嶋」
68:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/16(金) 08:25:42.14:AmIfVRow0
亜美「えっ、ちょ、な、なんで……えっ!?」
竜児「お前なあ……自分がクラス代表だってことすっかり忘れてんだろう?」
亜美「え……あ……!」
竜児「クラス代表は30分早く登校しなきゃなんなかったんだろ……それを川嶋、お前はよ……」
亜美「ご、ごめん!今すぐ行かないと……!」
竜児「あ!ちょっと待て!川嶋、一旦座れ!」
亜美「えっ!?なんで……」
竜児「クラス代表の仕事は他の奴らに任せてきた……だから」
竜児「……俺とお前の話をしよう」
亜美「あ……」
69:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/16(金) 08:36:03.89:AmIfVRow0
亜美「な、なんのことかな?ごめん、亜美ちゃんわかんないなあー?」
竜児「川嶋!ちゃんと聞いてくれ……」
亜美「高須君……ごめん、わかった」
竜児「ありがとう……」
竜児「川嶋、ごめんな……俺、お前がそういうふうに俺のことを思ってくれてたなんて全然気づいてやれなかった」
竜児「お前にそうやって……好きって言ってもらって、めっちゃくっちゃ俺も嬉しかった」
亜美「……」
竜児「……俺もお前のことが好きだ」
70:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/16(金) 08:37:42.03:wiKjR34x0
亜美「高須く……」
竜児「けど……」
亜美(……あ)
竜児「俺、大河のことが本当に大好きなんだ」
亜美(……ヤバい)
竜児「だから……ごめんとしか言えないんだけど」
亜美(……私)
竜児「川嶋みたいな女子に好きになってもらえて、本当に嬉しかった」
亜美(……フラれるんだ)
竜児「ありがとう」
74:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/16(金) 08:54:26.39:AmIfVRow0
亜美「……」
竜児「……」
亜美「あーあ……フラれちゃったなー、私」
竜児「……ごめん」
亜美「なーに謝ってんのよ!謝るんだったら、振るなっつーの」
竜児「……おう」
亜美「よし……じゃあ、行きますか!せっかくの卒業式なのに遅刻なんてカッコ悪いしね?」
竜児「……ああ」
79:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/16(金) 09:05:56.34:AmIfVRow0
亜美(正直拍子抜けしちゃったな……)
亜美(フラれたら……)
亜美(フラれたらもっとボロボロに涙流すんだと思ってた……)
亜美(けど……)
亜美(なんでだろう……)
亜美(全然泣けないんだよね……)
亜美(これが……)
81:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/16(金) 09:12:36.89:AmIfVRow0
櫛枝「あ!あーみん!卒業おめでとう!」
亜美「実乃梨ちゃん!卒業おめでとうー!」
櫛枝「聞いたよ!あーみん、春から大学生なんだって?華のあるキャンパスライフを送ってくださいよ!」
亜美「何言ってんのよー、実乃梨ちゃんだって大学生でしょ?」
櫛枝「まあね!けど、私のキャンパスライフは汗と泥に塗れたものになるだ……ねえ、あーみん」
亜美「どうしたの、実乃梨ちゃん?」
櫛枝「……なにかあったの?」
亜美「……」
櫛枝「……」
亜美「実乃梨ちゃん、私……高須君に告白したよ」
亜美「でもね……フラれちゃったんだ」
82:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/16(金) 09:20:21.49:AmIfVRow0
亜美「ホント、高須君もったいないことするよね……この亜美ちゃんを振るなんてホント……」
櫛枝「あーみん」
櫛枝「無理して笑う必要なんてないんだよ、今は泣けるだけ泣けばいいんだよ」
亜美「…………」
亜美「うっ…」
亜美「うぐっ…」
櫛枝「そうだそうだ……精一杯泣くんだあーみん」
亜美「えっ…」
亜美「うあっ…」
櫛枝「泣いて……笑ってサヨナラだ」
亜美「うくっ…」
亜美「実乃梨っ…ちゃんっ…!」
櫛枝「よしよし……あーみんはよくやった、頑張ったよ……」
亜美「実乃梨っ…ちゃんっ…!」
櫛枝「よしよし……よくやったぞ、あーみん……」
83:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/16(金) 09:27:02.28:AmIfVRow0
………………
…………
……
亜美「あーあ……なんかもう一生分涙流した感じ」
櫛枝「おかげでみのりんのブレザーはびっちょんびっちょんだ」
亜美「ふふっ……ありがとう、実乃梨ちゃん」
櫛枝「お互い様だよ、あーみん」
亜美「あっ……私を泣かした張本人が走ってる」
櫛枝「そっか……戻ってきたんだよ、大河が」
亜美「はーあ、おいしいとこ全部持ってきやがってあのチビとら……ったく」
亜美「私が欲しかったのは高須君だけだったんだけどな……」
おわり
85:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/16(金) 09:38:35.83:+842rvUa0
能登「よう、高須」
春田「おはよ~高っちゃん」
竜児「おう、おはよう」
能登「聞いてよ高須、俺今年も春田と一緒のクラスだったんだぜ?」
春田「いえーい、ちなみに木原と奈々子様も一緒だったんだ~」
竜児「へえ、良かったじゃねえか」
春田「そういえば高っちゃんは何組だったの~?」
能登「選抜理系だろ?だから、北村と一緒なんじゃないの?」
竜児「いや、実はな……」
北村「おーい、高須!」
能登「お、北村じゃん!おはよう」
北村「能登と春田もいたのか、おはよう!それより驚いたぞ、高須」
北村「お前選抜辞退して一般に回ったみたいじゃないか」
能登「え?」
春田「マジで?」
竜児「あ、ああ……色々と思うことがあってな」
春田「何でよ~、俺に選抜行ける頭あったらとりあえずそっち選んどくけどな~」
能登「ホントホント、高須どうしっちゃったのよ?」
北村「まあ、いいじゃないか。高須が自分で選んだことなんだからな」
北村「それにクラスが離れていても俺たちは友達だろ?」
能登「……北村朝から暑苦しいよ、それ」
北村「じゃあ、俺はちょっと生徒会に寄ってきたいからここで失礼するよ。今年もよろしくな」
竜児「おう、じゃあな」
能登「春田、俺らもそろそろ行く?高須はどうすんの?」
竜児「俺はもうちょっとここにいるよ」
能登「そっか、じゃあまたね高須」
春田「バイバイ、高っちゃん~!」
いいよいいよ
16:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/15(木) 01:35:41.72:DC1olf220竜児「……」
竜児(大河の名前なんて……)
竜児「あるわけ……ないよな」
亜美「誰の名前探してんの?」
竜児「お、おう!?……なんだ、川嶋か」
亜美「なんだって何よ?朝から失礼じゃない、高須君?」
竜児「悪い、急に声かけられたから驚いたんだよ」
亜美「そう?亜美ちゃんにはいるはずのない誰かさんの名前を探してるように見えたんだけどなー」
竜児「はあ!?そ、そんなわけないだろ!」
亜美「なにムキになっちゃってんの?冗談よ、冗談」
竜児「……はあ、お前はホント相変わらず人をからかうのが好きだよな」
亜美「えー、そんなことないよー?けど、からかって一番楽しいのは高須君かな」
竜児「お前なあ……」
亜美「じゃあ、そろそろ行こっか」
竜児「え?行くってどこに……」
亜美「教室だよ、何言ってんの?」
竜児「おう!?もうこんな時間か、初日から遅刻なんて出来ねえよな」
竜児「あ、そういえばお前何組なんだ?」
亜美「は?……高須君、それ本気?」
竜児「本気も何も……あ、そっか。お前も能登とかと一緒のクラスなのか」
竜児「あそこ元2-Cの奴多かったし、いいよな」
亜美「……高須君さ、目ん玉かっぽじってもう一度掲示板見てきたら?」
竜児「お、おい川嶋!……なんで怒ってんだよアイツ、掲示板って言ったってよ」
竜児「えっと、川嶋亜美川嶋亜美……」
竜児「……」
竜児「……おう」
竜児「お、おい!川嶋!」
亜美「……」
竜児「無視すんなよ……なあ、おい!」
亜美「……なに?」
竜児「さっきは悪かったって……本当に気づかなかったんだよ」
亜美「ふーん……私の苗字「か」だし上の方見てたら普通気づくんじゃない?」
竜児「は?俺の苗字は「た」だから気づかなくてもおかしくはないだろ?」
亜美「じゃあさ、本当にタイガーの名前は探してなかったんだー?」
竜児「……」
竜児「探してなんか……ねえよ」
亜美「……はいはい、わかりましたよっと」
亜美「ここは物分りが良くて慈悲深い亜美ちゃんが、特別に許してあげるとしますか」
竜児「……おう、悪いな」
亜美「その代わりさ……今度お弁当作ってきてよ、私の為に」
竜児「おう」
一週間後
春田「おはよ~、高っちゃん!」
竜児「おう、春田おはよう」
春田「高っちゃんずるっけえよな~」
竜児「何がだよ?」
春田「決まってんだろ~、亜美ちゃんと一緒のクラスじゃん!」
竜児「ああ、それか」
春田「いいな~、亜美ちゃんと一緒のクラス!それ知ってたら俺も理系してたのにな~」
竜児「お前が理系に来てどうすんだよ……」
竜児(……そういえば何で川嶋は理系にしたんだろうな?)
竜児「おい、川嶋」
亜美「なに?」
竜児「ほら、これ」
モブ「高須君が亜美ちゃんにお弁当!?」
ざわざわ ざわざわ
亜美「……あっ!例の賭けのやつね!ありがとう高須君~!」
竜児「はあ……?例の賭け……?って、おおう!?」
亜美「バカ、なんでクラスのみんながいる前で堂々と渡しちゃうのよ?」
竜児「別になんの問題もないだろ?」
亜美「アンタとタイガーはほぼ学校公認のカップルだったんだからさ、もうちょっと考えなさいよ」
モブ「賭けか、なら問題はないな」
亜美「……全く、手がかかるんだから」
竜児「おう……悪いな」
亜美「いただきまーす」
亜美「うん、美味しいこれ!」
竜児「今日の弁当は冷しゃぶサラダに、卵焼き、それとデザートのりんごだ」
竜児「冷しゃぶは昨日の夕飯で使った残りの豚肉を朝サッと茹でて、サラダと和えるだけ」
竜児「ポイントはドレッシングに豆板醤を少し入れてピリ辛にしているとこだな」
亜美「ホントだ、ちょっと辛味もあるけどそれが効いてるね」
竜児「卵焼きはもはやお弁当の定番と言ってもいい一品だな」
竜児「今日はメインを辛くしたこともあって、少し甘めに味付けしてみたんだがどうだ?」
亜美「うん、卵焼きが甘めだから口直しにもなりそう」
竜児「……」
亜美「どうしたの?」
竜児「いや、大河はそんなまともなコメントくれなかったらさ、ちょっと嬉しくてな」
亜美「そりゃあね、タイガーは食って食って食って!じゃん?」
竜児「……まあな」
亜美「ごちそうさまでした」
竜児「お粗末さま」
亜美「美味しかったー、いいなタイガーこれ毎日食べてたんだよね」
竜児「ああ、でも大河はすごい食ったからな……あいつも食費出してたのに最近の方が少ないんだよな」
亜美「へえ……」
竜児「あ、そういえば何で川嶋は理系にしたんだ?」
亜美「え?」
竜児「お前仕事で時々学校休んだりもするだろ、それなのに知り合いの少ないクラス選んだらノートとかどうすんだよって思って」
亜美「うーん、なんでだろうね?……高須君がいるから、かな」
竜児「ははっ、なんだそれ」
亜美「ふっ、ホント……なんでだろうね」
亜美「あ、さっきさ食費減ったとかって言ってたじゃん?」
竜児「おう、それがどうした?」
亜美「ならさ……今度、ご飯食べに行ってもいいかな?」
竜児「おう、いいぞ」
亜美「ホント?」
竜児「ああ。泰子も大河がいなくなってまた二人になって寂しいだの何だの言ってたし、きっと喜ぶと思うぞ」
亜美「……タイガーの代わりか」
竜児「何か言ったか?」
亜美「ううん、何でも……じゃあ、今度の土曜日とかどう?」
竜児「今度の土曜日な、わかった」
亜美「やった!その日仕事だから、お腹空かして楽しみにしとくね」
竜児「おう」
竜児「ん?どこ行くんだ?もうすぐ授業始まるぞ?」
亜美「お花摘みに行くの、高須君も付いてく?」
竜児「バカ……付いてくわけねえだろ」
亜美「だろうね、じゃ。お弁当また作ってね」
竜児「気が向いたらな」
てくてく てくてく
亜美「……何やってんだろうな、私」
亜美(けど……タイガーがいない間だけだし)
亜美「……いいよね、別に」
櫛枝「やあやあ!こんなところで会うとは奇遇ですな、川嶋氏」
亜美「実乃梨ちゃん……」
櫛枝「レディー、ちょっとお茶でもしていかない?」
亜美「……別にいいけど」
ガコンッ
櫛枝「ぷふぁー!授業前の一杯は格別だぜ!」
亜美「ただのお茶じゃん、それ」
櫛枝「へへ、まあね」
亜美「……実乃梨ちゃんさ、新しいクラスはどう?」
櫛枝「もちろん楽しんでますよ!なんたって今年は高校生活最後の一年だからね、楽しまなくっちゃそんそん!」
櫛枝「ゆあまいそんそん!いつもーすぐそばにある!ってね」
亜美「……変わんないね、実乃梨ちゃんは」
櫛枝「……あーみんさ、高須君と一緒のクラスなんだよね」
亜美「……うん」
櫛枝「正直驚いたよ……あーみんは私と一緒の文系だと思ってたし、高須君も理系は理系でも選抜だと思ってたからさ」
亜美「……」
櫛枝「あーみんはさ……私たちのことを一番理解しててくれる、私たちよりちょっと大人だって私は今でも思ってる」
亜美「……」
櫛枝「けどさ、あーみんだって本当は私たちと同じ高校生で10代なんだよね」
亜美「……なによそれ?」
櫛枝「なんだろうな、なんていうか……うん」
櫛枝「あーみんの今のクラスは私も北村君も……大河もいないんだからさ、もう子守り役なんてやんなくていいと思うよ」
亜美「実乃梨ちゃん……?」
櫛枝「私はもう決めた、答えを出して進むべき道を選んだ……だから、次はあーみんの番だよ」
櫛枝「それで出た結果に私はとやかく言わないし、とやかく言う資格はない……だからさ、えーっと」
櫛枝「あー!もうー!何言ってるのか頭ん中こんがらがってきたべ!」
櫛枝「とにかく!あーみんも高校生活の最後の一年、エンジョイしろよ!」
キーンコーン カーンコーン
櫛枝「いっけね!次移動教室なのすっかり忘れてた!ほいじゃーね、あーみん!これは餞別だ!」ぽいっ
亜美「ちょ、ちょっと実乃梨ちゃん!……空のペットボトルなんていらねえっつーの」
亜美「……エンジョイしろよ、って勝手なこと言っちゃってさ」
土曜日
ぷれ ぷれ ぱれーど
竜児「もしもし」
亜美『あ、もしもし高須君?』
竜児「おう、どうした?」
亜美『ごめん、電車が事故で止まっちゃって時間に間に合いそうにないんだけど』
竜児「そっか……どうする、ならまた今度にするか?」
亜美『ううん、今日でいい!昼も抜いて待ってたんだから今日がいい!』
竜児「お、おう……なら、大体着く時間がわかったらまた連絡くれ」
竜児「遅くなりそうだし駅まで迎えに行ってやるから」
亜美『ホント?……嬉しい、ありがとうね』
亜美『じゃあ、また後で連絡するね』
竜児「おう、わかった」
亜美『うん、じゃあバイバイ』
wktk
35:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/15(木) 03:50:12.85:DC1olf220竜児「……だとさ」
泰子「ええ~っ!?やっちゃん亜美ちゃんが来るのすっごく楽しみだったのになぁ~」
竜児「しょうがないだろ、電車が遅れてるって言うんだから」
泰子「そうだけどぉ~……でも、家で三人でご飯食べるのっていつ以来?」
竜児「大河が来なくなってからだから……クリスマス前くらいか?」
泰子「でしょ~?やっぱ、大勢で食べたほうがご飯も美味しいし!」
竜児「まあな」
泰子「だからぁ~、竜ちゃんまた亜美ちゃんをご飯に誘ってあげてねぇ~!」
泰子「じゃないとやっちゃん、めちゃんこ悲しいでガンスよぉ~!」
竜児「……もはや死語だぞ、それ」
泰子「じゃあ、行ってくるねぇ~!」
竜児「おう、いってらっしゃい」
竜児「さて、と……川嶋来る前にちょっと掃除しとくか」
ぷれ ぷれ ぱれーど
竜児「川嶋か?……なんだ、春田か」
竜児「もしもし」
春田『もしもし高っちゃん~!聞いてよ聞いてよ、ビッグニュースだよ~!』
竜児「な、なんだよいきなり……」
春田『今さ~、能登っちと一緒に駅前にいたんだけどさ~』
春田『な、なんと!ゆりちゃんが男の人と手を組んで歩いてたんだよ!』
竜児「……」
春田『……あれ?なんかリアクション薄くね?』
竜児「……お、おう」
能登『そうじゃないだろ、馬鹿春田!あ、もしもし高須!能登だけど、あのさ……』
竜児「…………!」
亜美「……やっと着いた」
亜美「ったく、なんでこんな日に人身事故なんて起こすのよ……」
亜美「もうこんな時間じゃない……あ!やっべ、高須君にメールすんの忘れてた」
亜美「とりあえず電話して……」
亜美「…………」
亜美「……あ」
亜美「タイガー……?」
亜美「……んなわけないわよね」
亜美(そうよ、だって見間違いじゃないんだったら……)
亜美「なんで……こんなタイミングで戻ってくるのよ」
亜美「……改札出てから電話しよう」
てくてく てくてく
亜美「あ……」
竜児「はあ……はあ……はあ……はあ……」
亜美「た、高須君……?」
竜児「お、おう……川嶋……早かったな」
亜美「ちょ、ちょっとどうしたのよ息なんて切らしちゃって!何かあったの?」
竜児「そ、そうだ……大河!大河、見なかったか?……はあ」
亜美「タイガー?……あ」
亜美(さっきのあれ、やっぱり……)
亜美「……見なかったよ」
竜児「そ、そうか……はあ」
亜美「……」
能登「あ、高須!って、あれ亜美ちゃんも!?」
春田「久しぶりの生亜美ちゃん!?」
亜美「久しぶりだね、能登君春田君!」
能登「そうだ亜美ちゃん、タイガー見なかった!?俺らさっき駅前歩いてたらそれっぽいの見てさ」
春田「俺が『たぁいがぁ~!』って叫んだら、一瞬止まってその後早足で行っちゃったんだよねぇ~」
亜美「えー、ホントにそれタイガーだったのー?」
能登「うん!あれは絶対タイガーだって!」
春田「あんなちっちゃくて髪がファサーってなってる奴、俺他に知らないもん!」
亜美「でもー、小さい子がいきなり春田君が叫んだせいで驚いただけかもよ?」
春田「そうかな~?うーん」
能登「……亜美ちゃんが言うと、なんかそんな気がしてきたな俺も」
竜児「……」
能登「……それよりさ」
竜児「お、おう!?」
春田「……何で高っちゃん、亜美ちゃんと一緒なの?」
竜児「そ、それはだな……」
亜美「それはねー、今日高須君の家で夕飯をご馳走になるの!」
竜児「おい、バカ!川嶋!何でこいつらにそれを……」
能登「高須さ……最近調子乗ってね?」
春田「そーだ!そーだ!」
竜児「な、なんだよいきなり……?」
能登「亜美ちゃん独り占めにしたと思ってたら、今度は家に呼んだりしちゃってさ!」
春田「そーだ!そーだ!」
能登「タイガーみたいなおっかないけど可愛い彼女もいるのにさ!」
春田「そーだ!そーだ!」
能登「彼女に関してはお前もいるだろ!春田!」
春田「の、能登っちが怒った~!」
能登「と、とにかく!俺らも腹減ってるし高須のご飯食わせてくれよ!」
能登「知ってしまった以上、亜美ちゃんと二人っきりになるなんて断じて許さないよ!」
春田「いえーい!高っちゃんのご飯超美味いんだよな~!」
竜児「お、お前らなあ……いいのか、川嶋?」
亜美「もちろん、ご飯は大勢で食べた方が美味しいでしょ?」
能登「さすが亜美ちゃん!」
春田「俺たちのエンジェル~!」
亜美「そ・れ・に……能登君と麻耶が上手くいってるのか、詳しく聞きたいし」
能登「ちょ、ちょっと亜美ちゃん!?」
春田「いえーい!」
竜児「……しょうがねえな、夜だからあんまりうるさくすんじゃねえぞ?先スーパー寄って行こう」
能登「よーし!」
春田「高っちゃんのご飯~!」
亜美「……」
亜美(……こんな日に二人きりになってもしょうがないしね)
亜美「ごちそうさま」
春田「はあ~、食った食った!」
能登「高須ってホントに料理上手いよな」
春田「高っちゃん、嫁に来てくんねえかな~」
竜児「……行かねえよ」
能登「じゃあ、そろそろ帰るか……あんま長居しても悪いしね」
亜美「あ、能登君あんまり麻耶との話振られたくないんでしょ?」
能登「そ、そんなことないよ!ってか木原とは何にもないし!」
春田「あっはは~!」
亜美「でも、ホントに遅くなるのも良くないよね……行こっか?」
能登「あ、亜美ちゃん送ってくよ!」
春田「俺も俺も~!」
亜美「ホント?ありがと~!じゃあ、帰りに能登君の話は聞こっか!」
能登「だから亜美ちゃんってば~!?」
能登「じゃあ、またね高須」
春田「高っちゃん、じゃあね~!」
竜児「おう、またな」
亜美「高須君」
竜児「なんだよ?」
亜美「この埋め合わせはまた、ね?」
竜児「わかってるよ、泰子も楽しみにしてたしな」
亜美「ホント?なら、私も楽しみにしとくね……じゃあ、また明後日!」
竜児「おう、おやすみ」
ガチャ
亜美「……はあ」
亜美「シャワー浴びて早く寝て……明日も撮影か」
亜美「予定狂ったけど、あれはあれで楽しかったな……」
櫛枝『もう子守り役なんてやんなくていいと思うよ』
亜美「……わかってるって」
櫛枝『次はあーみんの番だよ』
亜美「……わかってるけどさ」
亜美「……」
亜美「大河……アンタ何やってんのよ……」
亜美「アンタがいれば私は……」
亜美「……シャワー浴びよ」
後日
北村「おーい、高須!」
竜児「北村?おはよう、今朝はなにもないのか」
北村「ああ、今日は珍しく朝練も生徒会の用もないんだ」
北村「それより聞いたぞ高須、この前亜美と能登と春田ととで高須家で夕飯を食べたそうじゃないか」
竜児「おう」
北村「冷たいな、俺も誘ってくれれば良かったのに」
竜児「悪い、そこまで頭回んなくてよ」
北村「冗談だよ、俺もその日は試合があったしそのあと部活の連中と飯を食いに行ってたからな」
竜児「へえ、珍しいな」
北村「今度の大会が終われば俺ら三年は引退だからな……その前の決起集会って奴だな」
竜児「そうか……もうそんな時期か」
北村「まあ、その前には定期試験もあるし、終わってもすぐに受験勉強が始まるんだがな」
竜児「試験と受験……か」
亜美「ねえねえ、高須君」
竜児「なんだよ?」
亜美「あのさ、もうすぐ定期試験じゃない?」
竜児「おう、そうだな……そういえば朝も北村とこんな話したな」
亜美「でさ、お願いがあるんだけど……いい?」
竜児「兄貴ノートか、いいぞ貸してやるよ……けど、狩野先輩は選抜クラスだったから参考にならないんじゃないか?」
亜美「そうじゃなくてさ……勉強教えてくんない、私に?」
竜児「……はあ?」
竜児「……で、何で家でやるんだ?」
亜美「いいじゃん、亜美ちゃん有名人だからファミレスとかでやると目立っちゃうし」
亜美「それにご飯付いて送り迎えもあるなんて最高の環境だと思うけどなー」
竜児「送りは別に付いてねえよ……」
泰子「じゃあ、行って来るねえ~!亜美ちゃんあんま遅くなっちゃ駄目だぞぉ~!」
竜児「おう、いってらっしゃい」
亜美「はーい、いってらっしゃーい!」
竜児「で……どれがわかんないんだ?」
亜美「えっと、英語に数Ⅲに数Cに物理に……」
竜児「教科単位でかよ!……しかも、ほとんど理系の科目ばっかじゃねえか」
亜美「だって~、三年になってから急に難しくなって~……それって亜美ちゃんのせいじゃなくね?」
竜児「はあ、しょうがねえ……今日からテストまでまだ二週間ちょっとはある」
竜児「俺がしっかりと基礎から教えてやるから、まずは赤点回避……いや7割以上を目標に頑張るぞ」
亜美「うん!」
竜児「とりあえず今日はここまでだな」
亜美「……」
竜児「おい、大丈夫か川嶋?」
亜美「……高須君マジでスパルタ、初日からこんなんじゃ三日目には頭おかしくなるって」
竜児「そんなことねえよ、始めてみたらお前穴だらけだったしこんくらいやって当然だ」
竜児「それに三日も経てばこのペースにもなれるって」
亜美「ホント、それ?」
竜児「おう、本当だ」
亜美「……わかった、じゃあ頑張るよ」
竜児「さて、帰るぞ」
亜美「え?送ってくれるの?いいよ、タクシー呼ぶし」
竜児「なに言ってんだ、タクシーなんてもったいない!」
亜美「げえ、でたよそのMOTTAINAI……今どき流行んねえっつーの」
竜児「馬鹿野郎、家で勉強するんだったらこのエコ精神も身につけて帰ってもらわないとな」
亜美「はいはい、わかりましたよ……じゃあ甘えさせてもらうね」
てくてく てくてく
竜児「コンビニ寄ってアイスでも買ってくか?」
亜美「いい、こんな時間に食べたら太るし」
竜児「そっか……川嶋ってやっぱモデルやってるだけあって、そういうプロ意識みたいのあるよな」
亜美「なによ、急に?」
竜児「いや、ふと思い出してよ……」
亜美「……」
亜美(……タイガーのこと、か)
亜美「……ねえ、高須君」
竜児「……なんだよ?」
亜美「タイガーとはさ……こういう勉強会みたいのやってたの?」
竜児「うーん……勉強会ってほどのものはやってなかったな」
竜児「大河の奴、結構頭良かったし教科によっては俺が聞いてたりもしてたしな……」
亜美「へえ……そうなんだ」
亜美「……今日はここでいいよ」
竜児「え、そうか?」
亜美「うん、もう信号渡ればすぐそこだしね」
亜美「ありがとうね、高須君」
竜児「おう、また明日な」
亜美「うん、おやすみ」
亜美「……」
亜美(……今日一日だけでも、今まで知らなかった高須君の一面が見れたな)
亜美(けど……タイガーは本当に毎日一緒にいたんだよね)
亜美(もし……こういう日々が続いてったら)
亜美(私はタイガーが知ってるくらいに高須君のことを……)
亜美(いや、タイガーが知らない高須君のことも……)
亜美「……無理か、それは」
数週間後
亜美「高須君、ここってこのやり方で合ってる?」
竜児「おう、そうだそれで合ってるぞ」
亜美「ありがとう」
竜児「……」
竜児(この数週間で見違えるくらいに成長したな……)
竜児(こりゃ、8割取れてもおかしくないんじゃないか?)
亜美「……どうしたの?もしかして今さら亜美ちゃんに見とれちゃってるの?」
竜児「ちげえよ……感心してたんだよ」
竜児「勉強始める前はホントになんも分かってなかった川嶋が、まさかここまで出来るようになったとはなって」
亜美「褒めてくれてるんだ?亜美ちゃんはやれば出来る子だからねー」
竜児「フッ……そうだな、お茶入れてくるよ」
亜美「なーに鼻で笑ってくれちゃってんのよ?」
亜美「あれ、紅茶?今日は日本茶じゃないんだ?」
竜児「おう、今日はここまで頑張ってきた川嶋に俺からご褒美だ」
亜美「え……なにこれ!?」
竜児「オレンジのタルトだ、初めて作ったから出来はどうかわかんないけど不味くはないはずだ」
亜美「私のために作ってくれたんだ……嬉しい」
亜美「ねえ、食べていい?」
竜児「おう、いいぞ」
亜美「いただきまーす!……うん、美味しい!」
竜児「ホントか?良かった、じゃあ俺も食べてみるか……うん、まあまあイケるな」
亜美「ホント高須君料理上手だよね、ホントお嫁に来て欲しいくらいだよ」
竜児「嫁には行けねえよ」
亜美「じゃあ、さ……」
亜美「……お婿さんなら来てくれるの?」
ふむ
75:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/15(木) 09:50:46.95:DC1olf220竜児「なっ……川嶋……!?」
亜美「ねえ、高須君……」
竜児「おい、近いって……なあ」
亜美「どうなの?……来て、くれるの?」
竜児「川嶋……お、俺は……」
亜美「……なーんてね」
竜児「……はあ、またそれかよ」
亜美「アハハハハッ!ヤダ、高須君ったら!顔赤くしちゃって!」
竜児「川嶋……お前なあ……」
亜美「ごめん、ごめん……でもさ、前にもこんなことあったよね?」
竜児「え?」
亜美「私と高須君がすっごく近づいててさ、ちょうどそこにタイガーが来て……」
竜児「あー、川嶋が転入して来てすぐぐらいだったな……確かストーカーがどうとかって時に」
亜美「そうそう!あー、懐かしい……あれからもう一年も経ったんだね」
竜児「……おう、そうだな」
亜美「……」
亜美(あの時はホントに冗談だったから答えなんて聞く気もなかったけど……)
亜美(今は……)
亜美(……答えを聞きたくないな)
亜美「……もうこんな時間か、そろそろ帰らないとね」
竜児「あ、そうだな」
亜美「……タルト」
竜児「え?」
亜美「あのタルトさ、1カットだけお土産に持って帰りたいんだけどいいかな?」
竜児「いや、あれ川嶋に作った奴だから元々泰子の分は切り分けてたんだけど……」
亜美「ううん、1カットで十分……もう、そんなに食べさせて亜美ちゃんのこと太らせる気?」
竜児「別に太らせるつもりはないけどよ……わかった、じゃあ包んでくるからちょっと待っててくれ」
亜美「うん、ありがとう」
てくてく てくてく
亜美「そういえばさ……タイガーから連絡来たりすんの?」
竜児「……いや」
亜美「そっか……高須君はタイガーに連絡したりすんの?」
竜児「……いや」
亜美「……そっか」
てくてく てくてく
亜美「……着いちゃったね」
竜児「……おう」
亜美「あのさ……今日で定期試験前の勉強会、終わりにしよっか?」
竜児「え……」
亜美「あとは私だけでもなんとかなりそうだし……高須君も試験前は勉強したいでしょ?」
竜児「まあな……でもよ」
亜美「大丈夫、言ったでしょ?亜美ちゃんやれば出来る子なんだから!」
亜美「それに、私に教えてばっかだと高須君赤点取っちゃうかもよ?」
竜児「フッ……それはねえよ」
亜美「どうかなー?あ、そうだ!高須君、賭けをしない?」
竜児「賭け?」
亜美「うん……もしさ、私が今度のテストで高須君に一教科でも勝ってたら高須君なにか言うこと一つ聞いて?」
竜児「……おう、いいよ」
亜美「ホント?約束だよ?」
竜児「おう」
亜美「……じゃあ、手出して」
竜児「手?こうか?」
亜美「で、小指を立てて……指きーりげんまーん」
竜児「嘘ついたら針千本飲まーす」
亜美「指きった!っと、じゃあまたね」
竜児「おう、またな」
ガチャ
亜美「ただいまー」
亜美「……そうだ」
亜美「お皿に移して……これでいいかな?」
カシャッ
亜美「うん、上手く撮れたかな?」
亜美(タイガーも知らない……私だけの秘密……)
亜美(高須君が私のために作ってくれた……オレンジのタルト……)
亜美「……よし、お風呂入ってもうちょっとだけ勉強するとしますか」
一週間後
竜児「おう……」
亜美「ね、言ったでしょ?」
竜児「まさか本当に負けるとはな……川嶋、お前よく頑張ったな!」
亜美「でしょ?亜美ちゃんマジですごくない?」
竜児「ああ、俺も油断してたわけじゃないしな……勉強の成果がちゃんと表れたじゃねえか!」
亜美「それでさ……高須君、覚えてる?」
竜児「賭けのことだろ?覚えてるよ……いいぞ、なんでも一個言うことを聞いてやるよ」
亜美「じゃあさ……夏休み、旅行に行かない?」
竜児「……旅行?」
亜美『旅行っていうほど大層なものじゃなくていいの』
亜美『日帰りでいいからさ、ただちょっと去年みたいに海の方に行けたらなあって思ってて』
亜美『私受験でちょっと休業しようと思ってて、だから夏休みにまとまった撮影もあるし』
亜美『それに予備校の夏期講習にも行こうと思ってるんだ』
亜美『だから、その息抜きにちょっと付き合ってくんないかな?』
竜児「……受験、か」
竜児「川嶋もああ見えて意外と考えてるんだな……でも、あいつ大学に行くつもりだったのか」
竜児「……俺もそろそろはっきりさせとかないとな」
夏休み
亜美「高須君、お待たせ!」
竜児「おう」
亜美「久しぶりだね、夏休みなにかあった?」
竜児「いや、特になにも……川嶋は?」
亜美「私は前に言ったとおり……撮影と予備校でもうクッタクタよ」
亜美「身体が二つあったらなー、とか最近考えちゃうんだよね」
竜児「フフッ、なんだよそれ」
亜美「おかしいでしょ?……でも、そんな疲れも今日は全部忘れさせてくれるんだよね?」
竜児「どうだろうな……逆にもっと疲れて帰ってきたりしてな」
亜美「なによそれ、もう……じゃあ、行こっか?」
竜児「おう」
………………
…………
……
ガタン ゴトン ガタン ゴトン
亜美「水族館に、古都巡りに、夕陽の映える砂浜か……だいぶ満喫したなあ、今日は」
竜児「そうだな……」
亜美「……高須君は楽しかった?」
竜児「おう、歩き回って疲れたけどすっげえ楽しかったよ……ありがとうな、川嶋」
亜美「……こちらこそ、今日一日付き合ってくれてありがとうね」
竜児「……おう」
亜美「……」
竜児「……」
ガタン ゴトン ガタン ゴトン
亜美「……」
竜児「……」
亜美「……あのさ、高須君」
竜児「……」
亜美「……前に言ったじゃない?……お婿さんになら来てくれるのって」
竜児「……」
亜美「……あれ、実は結構本気で……」
竜児「……すー……すー」
亜美「……はあ、可愛い寝息立てちゃって……もう」
亜美「……」ぎゅっ
亜美「……大きくて柔らかい手……けどやっぱり男らしいな」
亜美「……」
亜美「……すー……すー」
ガタン ゴトン ガタン ゴトン
竜児「……ん……やべぇ、寝ちまってたか」
竜児「悪い川嶋、俺……あ」
亜美「……すー……すー」
竜児「なんだ、お前も寝てたのか……そりゃそうだよな」
亜美「……すー……すー……」
竜児「…………って、あれ?」
竜児(ど、どういうことだ……なんで俺川嶋と手繋いでんだ……!?)
亜美「……すー……すー」コクリッ
竜児「……!?」
竜児(か、顔近っ!?……ちょ、ちょっと何だよこの状況……!?)
亜美「……すー……すー」
竜児「……いいっ!?」
竜児(こ、呼吸が伝わってくる……!?おいおい、マジでちょっと……これ……!)
竜児「…………生き地獄、だな」
亜美「……んっ……ふああ……あ、高須君おはよう……」
竜児「……おう」
亜美「……今どこ?」
竜児「……あと二駅で着くぞ」
亜美「……あと、二駅?……んーっ……あー、よく寝た……あ?」
竜児「……ん?」
亜美「ぷっ……アハハハハッ!高須君なにその顔!?」
亜美「か、完全にアウトだって、それ!……クックック、アハハッ!」
竜児「お、おい……電車の中だぞ、もうちょっと静かに……」
亜美「だ、だって……アハハハハッ!」
竜児「はあ……誰のせいでこうなったと思ってるんだよ」
亜美「ヒヒッ……えっ?なんか言った?」
竜児「……なんでもねーよ、ほら降りる準備しとけ」
亜美「はーい……ックフフ」
亜美「高須君、今日はホントに楽しかったよ……ありがとうね」
竜児「おう、俺も楽しかったよ」
亜美「明日からまた撮影とか夏期講習で忙しくなるから……次会うのは休み明けかな」
竜児「……そっか、頑張れよ色々と」
亜美「うん、頑張る……」
竜児「……」
亜美「……」
亜美「じゃ、じゃあまたね……高須君」
竜児「おう、また学校で」
亜美「バイバイ」
亜美「……」
亜美「……また、言えなかったな」
新学期
竜児「あ……恋ヶ窪先生、おはようございます」
独身「あら高須君、おはようございます……久しぶりね」
竜児「はい、三年になってからは英語の授業は先生じゃないですからね」
独身「そうよね……あ、高須君進路は決まった?」
竜児「ええ……まあ、一応」
独身「そう?ならよかったわ」
独身「去年の2-Cで進路が一応決まってなかったの高須君と逢坂さんだけだったから……あ、ごめんなさいね」
竜児「いえ……」
独身「まあ、進路が決まってても不安な子はいるんですけどね……春田君とか春田君とか春田君とか」
竜児「……」
独身「じゃあ、高校生活も残り半年しかないんだから楽しんでくださいね」
竜児「はい、じゃあ失礼します」
独身「はーい」
竜児(進路……か)
独身てwww
116:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/15(木) 12:55:53.34:UDRrbIhd0
俺の独身キタこれで勝つる
118:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/15(木) 13:05:58.38:DC1olf220モブ「……ってことで文化祭のクラス展示を決めたいんですが」
モブ「はーい!亜美ちゃんのトークショーがいいと思いまーす!」
モブ「賛成!ミスコンも亜美ちゃん一択だよねー!」
亜美「あのー、その話なんだけど……ゴメンねー、実は私今年の文化祭の前夜祭と後夜祭の司会任されてて……」
亜美「みんなが私を選んでくれるのはー、すっごくすっごく嬉しいんだけど……その、クラス展示くらいは休ませて欲しいなあって」
モブ「いいよ亜美ちゃん!休んで休んで!」
モブ「じゃあ、クラス展示どうするよー?」
亜美「それなんだけど……私に名案があるの!」
亜美「クラス展示は高須君監修の飲食店がいいと思いまーす!」
竜児「……」
モブ「おおお!」
モブ「さすが亜美ちゃん!」
竜児「……は?」
ガゴンッ
竜児「……あのなあ、川嶋」
亜美「はい、これ」ぽいっ
竜児「お、おっと」
亜美「それ、私からのプレゼント」
竜児「……たかが100円の飲み物で買収出来ると思うなよ」
亜美「そんなこと思ってないよー?でも、良いと思うんだけどなあ」
亜美「高須君料理上手なんだし、きっと成功するって」
亜美「それに……私はもっと高須君の良い所、みんなに知って欲しいなって思うんだ」
竜児「……ったく、お前は勝手な奴だよ」
竜児「わかったよ……その代わり川嶋のこともこき使わせてもらうからな」
亜美「うん!……じゃあ、クラス展示の成功を祈ってかんぱーい!」
竜児「乾杯」
カンッ
文化祭当日
竜児「じゃあ、今一度分担の確認をします」
竜児「フロアは3チーム編成で午前、昼、午後に分かれて……」
竜児「キッチンも3チーム編成で午前、昼、午後……」
竜児「特に昼は一番の書き入れ時なので頑張りましょう……川嶋、昼のフロアは任せるぞ」
亜美「うん、任せて」
竜児「多分川嶋目当てで店に入る奴らもいるだろうから、なにかあったらフロアの男性陣はよろしくお願いします」
亜美「みんな、よろしくね!」
モブ「おー!」
竜児「キッチンのみんなは、慌てなくていいから練習通りにやってお客さんに満足してもらえるよう頑張りましょう」
モブ「はい」
亜美「じゃあ、みんな円陣組んで……クラス展示の優勝目指して頑張ろうね!いくよー!せーの!」
モブ「エイエイオー!」
モブ「高須君、オムライスまだー?」
竜児「おう!今出来たぞ!」
北村「生徒会です、衛生チェックに来ました」
竜児「おう、北村」
北村「高須、お疲れさん!だいぶ繁盛してるみたいだな?」
竜児「おう、おかげさまでな……次注文なに!」
モブ「オムライス3つでーす」
竜児「おう!」
北村「高須が指揮してる調理場だから……特に問題なしだな、よし」
北村「じゃあ高須、頑張ってくれよ」
北村「あ……あと、悪いんだが生徒会の仕事で回れそうにないから一つオムライス残しといてくれないか?」
竜児「わかった、北村も頑張ってな」
亜美「いらっしゃいませー!」
櫛枝「ふう!君かわうぃーね!」
亜美「あ、実乃梨ちゃん!」
櫛枝「あーみんいいよ!ウェイター姿も板についてんじゃんよー!このこの!」
亜美「そう?注文何にする?」
櫛枝「うーん、そうだなあ……オムちゃん1つプリーズ!」
亜美「オムライスね、オムライス1つお願いしまーす!」
モブ「はーい!」
亜美「実乃梨ちゃんのとこ、クラス展示お化け屋敷でしょ?どう?」
櫛枝「あのですねー、それがですねー、お客さんみんながー、怖いなー怖いなーって、言いながら入ってくれましてねー」
モブ「注文おねがいしまーす」
亜美「はーい!実乃梨ちゃん、ちょっと待っててね」
櫛枝「はいさーい!……あーみんも大忙しだな、こりゃ
亜美「ドラゴン食堂完売でーす!ありがとうございました!」
モブ「終わったー!」
モブ「やったー!完売だー!」
竜児「ふう……疲れた」
亜美「高須君、お疲れ様!はい、これ」ぽいっ
竜児「おう、サンキュ……ふう、生き返った」
亜美「すごいよ、ホント!午後になってすぐ完売なんて!」
竜児「ああ、俺もかなり驚いてるよ……ホント、一生分かってくらいオムライス作ったしな」
亜美「カッコよかったぞ、シェフ」
竜児「や、やめろよ恥ずかしいだろ……」
亜美「フフッ、でもこんな繁盛したのもみんなで頑張ったからなんだよね……クラス展示、優勝したいね」
竜児「……おう」
亜美「ねえ、後夜祭の準備入る前に実乃梨ちゃんのとこ見に行くつもりなんだけど高須君も行く?」
竜児「ああ……櫛枝のとこか、行きたいけど片付けあるから先行ってこいよ」
亜美「そっか……うん、じゃあ後夜祭楽しみにしといてよ?」
竜児「おう、またミスコンの連中を食っちまうなよ?」
亜美「それはどうだろうねー?じゃあ、あとでね!」
竜児「ああ、楽しみにしてるからな!」
竜児「……」
竜児「……はあ、ホント疲れたな……手首すっげえ痛い」
竜児(でも、すごく楽しかったしやりがいがあった……)
竜児「シェフ……か」
春田「高っちゃ~ん!」
竜児「おう、春田か」
春田「高っちゃん、オムライス最高だったよ~!母ちゃんのオムライスより全然美味かったな~!」
竜児「ありがとうな……あれ、能登は?」
春田「それがさー、さっきどっか行ったっきり見てないんだよね~」
春田「電話しても出ないし、どうしたんだろうな~?木原と奈々子様もどこにもいないし……」
竜児「そ、そっか……」
竜児(それだけヒントが出てるのになんでわかんねえんだよ、春田……)
亜美『みなさーん!お待たせしましたー!これより、後夜祭を始めたいと思いまーす!』
春田「お!亜美ちゃんの声!今年はどんなコスプレすんだろ~!」
竜児「……去年以上に派手な格好なんてないと思うけどな」
ピカッ ピカッ ピカッ
竜児「お、おう……」
春田「どっひゃあ~!?」
モブ「うおおおおおおおおおお!!」
亜美「みなさーん、こんばんわー!後夜祭の司会進行を務めさせていただく川嶋亜美です!」
モブ「あーみーちゃーんー!!」
春田「ああああああ亜美ちゃんのおっ!?ミミミニスカポリスううううう!?」
竜児「……こりゃ、完全にミスコン連中食われたな」
亜美「はーい、ありがとうございまーす!では早速、毎年恒例のミスコンからやっていきたいと思いまーす!」
モブ「あーみーちゃーんー!!」
春田「あーみーちゅわーんー!!」
竜児「……春田、落ち着けよ」
亜美「静かにしてくださーい!静かにしない人たちは……逮捕しちゃうぞ☆」
モブ「うおおおおおおおおおお!!逮捕してええええええ!!」
亜美(……やっば、ちょっと気持ちいいかも)
亜美「以上で、ミスコンは終了しまーす!続きましてクラス展示の結果発表……と、その前に!」
亜美「ここで有志によるバンド演奏を披露していただきたいと思いまーす!」
竜児「バンド演奏?……そんなのプログラムに載ってなかったよな?」
亜美「一旦照明落としますので、みなさん周りの人にぶつからないように気をつけてくださーい!では、落としまーす!」
パチンッ
わいわい がやがや
竜児「春田、バンド演奏って誰がやるんだろうな?」
竜児「って、あれ?……春田どこに行ったんだ?」
トントン
竜児「ん?なんだ春田、いつの間にそっちに……」
櫛枝「私だ」
竜児「おう!?く、櫛枝!?」
櫛枝「やあやあ、高須君おひさ!いやー、バンド演奏に間に合ってよかったよ!」
竜児「え?櫛枝、バンド演奏誰がやるか知ってるのか?」
櫛枝「へ、高須君聞いてないの?……ほう、やるなあやつめ!まあ、今に見てなって!」
カッ ピカッ ピカッ
モブ「うおおおおおおおおおお!!」
竜児「……おう!?」
櫛枝「ヒュー!ヒュー!」
竜児「北村に、能登に、春田に……それに」
竜児「川嶋……!?」
亜美「みなさーん、こんばんわー!バンド演奏させていただく『川嶋亜美と愉快な仲間たち』でーす!」
モブ「うおおおおおおおおおお!!」
亜美「後夜祭楽しんでますかー!?」
モブ「うおおおおおおおおおお!!」
亜美「私の歌、聴きたいですかー!?」
モブ「うおおおおおおおおおお!!」
亜美「ありがとうございまーす!それじゃあ、早速歌わせてもらいます!……1・2・1・2・3・4!」
………………
…………
……
竜児「あ……川嶋!」
亜美「高須君?」
竜児「お疲れ、ほらこれ!」ぽいっ
亜美「サンキュ……ふう、冷たくて美味しい」
竜児「なにが、それはどうだろうねー?だよ……ミスコンどころか後夜祭まるごと乗っ取りやがって!」
亜美「ホント!?バンド、どうだった?」
竜児「ああ、すっげえ良かったよ!ホント驚いた!いつ準備してたんだよ?」
亜美「毎日クラス展示の準備が終わった後にね、祐作たちと残って練習してたんだ!」
竜児「そうだったのか……なんだよ、言ってくれればお前だけでも先に帰したのによ」
亜美「いいのいいの、高須君はクラス展示頑張ってくれたんだしそのお返しのサプライズプレゼントだったんだから!」
亜美「あれでクラス展示任せた分くらいの対価にはなったでしょ?」
竜児「……おう!」
亜美「クラス展示は残念だったね、優勝出来ると思ったんだけどなあ」
竜児「しょうがねえよ、春田たちのクラスが『がけっぷちのゆり』なんて劇やったらしいからな」
亜美「アハハッ、ゆりちゃん先生ネタにされたらさすがに勝てないよねえ」
竜児「だよな」
亜美「フフッ……あ、あのさ高須君」
竜児「そうだ……川嶋に言わなきゃいけないことがあるんだよ」
亜美「え……な、なにかな?」
竜児「俺、川嶋のおかげでやっとわかったんだよ……」
亜美「た、高須君……!?」
竜児「……俺さ」
竜児「……調理師の専門学校に行って、料理人を目指そうと思う」
亜美「……え?」
竜児「川嶋が今回こういう形で大勢の人に俺の作った飯を食べてもらう機会を作ってくれなきゃ、多分そんなこと考えなかった」
竜児「やっぱさ、自分の作った飯を誰かに美味しいって言ってもらえたり喜んでもらえるのってすげえ嬉しいんだよ」
竜児「だから……本当にありがとうな、川嶋!」
亜美「高須君……」
亜美「お礼なんて言わなくていいのよ!その代わり、高須君がお店だしたら一番最初の客は私にしてよね?」
竜児「……おう!」
亜美「……あ、あのさ……私も話があるんだけど、いいかな?」
竜児「おう、なんだよ?」
亜美「あのね、高須君……私……」
北村「お、見つけたぞ!お前たち!」
竜児「おう!?き、北村!?」
亜美「ゆ、祐作!?」
春田「よっ!総料理長!」
能登「けど、なに二人きりでいい雰囲気になってんのよ!」
竜児「お、おい!お前ら……お、おう!?」
木原「亜美ちゃん!バンドのボーカル、超超超カッコよかったよ!」
香椎「亜美ちゃん歌手でも絶対イケるんじゃないかな?」
亜美「ちょ、ちょっと!?麻耶!奈々子!」
櫛枝「ごっめん、あーみん!オイラ一人じゃこの革命の流れは止められなかったぜよ……てへぺろっ!」
亜美「……ったく、はあ。亜美ちゃんってこういう星の下に生まれちゃったのかしらね」
北村「なにか言ったか亜美!?」
亜美「……なんでもないわよ」
北村「そうか!なら、みんなで踊ろう!」
12月
てくてく てくてく
竜児「……寒い」
櫛枝「ヘアッ!」
竜児「おう!?く、櫛枝!?」
櫛枝「おはよう高須君!いっひっひ、簡単に後ろを取らせるとは警戒が甘いんじゃないか!?」
竜児「朝登校するのに常に後ろを警戒する奴なんていねえよ……」
櫛枝「うーん、それもそうだね!」
てくてく てくてく
竜児「あ……櫛枝、推薦取れたらしいじゃねえか?合格おめでとうな」
櫛枝「お、なんだいなんだい?私の情報はそこまで筒抜けかい?」
竜児「ああ、北村から聞いたんだ」
櫛枝「そういう高須君も無事に専門学校に受かったそうじゃない?高須君、おめでとう!」
竜児「おう、ありがとう」
櫛枝「……そういえば、こうやって高須君と歩いて学校に行くのはいつぶりだろうね?」
竜児「……そうだな、まだ大河がいたときに時々……いや」
竜児(こういうのって案外はっきりと覚えてるもんなんだな……)
竜児「……わかんねえ、忘れた」
櫛枝「そうだよね……はあ、もう12月なのか!なんかあっという間だったよね?」
竜児「おう……そうだな」
櫛枝「大河と高須君が駆け落ちする!とか言い出して、でも大河だけは戻ってこなくて……」
櫛枝「4月になってそれでも帰ってこなくて……もう12月だ」
櫛枝「……高須君はさ、今の自分に後悔してないよね?」
竜児「……おう」
櫛枝「そっか……なら、みのりんは満足だ!私も今の自分に後悔してないよ」
竜児「……そうか」
櫛枝「へへっ、なんかしみったれた話になっちゃったね!」
櫛枝「あ、私今年はクリスマスパーティーに参加しようと思うんだ!」
竜児「そうなのか?」
櫛枝「去年はあのツリーが輝いてる姿を見なかった……いや、見れなかったらさ」
櫛枝「最後くらいはちゃんとこの目に焼き付けとかないと!ね?」
竜児「そうだな……じゃあ、俺も今年も参加しようかな」
櫛枝「お、本当かい?良かった、もし三年私一人だけだったら超浮かれてない!?って思ってたところなんだよね」
竜児「大河が残してったオーナメントを、今年もどっかの誰かが壊さないように見張ってないといけないからな」
櫛枝「ぐぬぬ……高須君、貴様言うようになったな……!」
竜児「フッ……お、もうすぐチャイム鳴っちまうな?急ごうぜ、櫛枝!」
櫛枝「おっと合点承知の助だい!」
竜児「……おう!?」
亜美「あ……おはよう……高須君」
竜児「か、川嶋!?……お前大丈夫か?すっごい鼻声だぞ?」
亜美「……大丈夫よ……こんくらい……亜美ちゃん……へっちゃら……なんだから」
竜児「……全然大丈夫そうに見えねえぞ」
亜美「やっぱ……一月から学校来ないで……勉強したい……じゃん?」
亜美「……けどさ……亜美ちゃん……仕事の都合……とかで……出席日数……ギリギリなんだって」
亜美「だから……12月は……意地でも……ゴホッ!ゴホッ!」
竜児「お、おい!無理してまで話すな……水かなんか買ってくるか?」
亜美「……大丈夫……お茶……持ってきたし」
竜児「お茶……?おう!?川嶋、これめんつゆじゃねえか……」
亜美「う……そ……」ガクリ
竜児「お、おい川嶋!?」
亜美『寒っ……私なんで雪山にいんの……?』
亜美『やだ……このままじゃ凍え死んじゃう……』
亜美『おーい!誰か……誰かいませんか!……おーい!』
亜美『寒い……吹雪いて……視界が……』
亜美『やだ……まぶたが……重い……誰か……』
『か……し……! ……わ……ま……!』
亜美『声……?聞いたこと……この声……助けて……』
亜美『助けて…………高須……君……』
竜児「川嶋?……おい、大丈夫か?」
亜美「高須……君……?」
竜児「おう、目覚ましたか……だいぶうなされてたけど、本当に大丈夫か?」
亜美「……なんだ……夢、か」
竜児「ほら……薬と水、飲んどけ」
亜美「あ、ありがとう……ってか、あれ?」
竜児「……どうかしたか?」
亜美「ここ……私の部屋、よね……なんで?」
竜児「覚えてないのか……?お前、学校で気失ってそのまま早退したんだよ」
亜美「早退……?そっか、私……じゃあ何で高須君いるの?」
竜児「お前のおじさんとおばさんは仕事で連絡つかなかったらしくてよ、そしたら担任にお前が付いて行けって言われてよ」
竜児「だから、タクシー呼んで川嶋乗せて鍵もらうとこまでは朦朧としながらも起きてたっぽいんだが……覚えてないか?」
亜美「……ごめん、全く」
竜児「そうか……あ、とりあえず熱測っとけよ?」
亜美「……うん」
亜美「……?」
竜児「ん、まだなんかあるのか?」
亜美「私……なんか忘れてるような……」
亜美(確か……今朝は超しんどかったけどシャワー浴びて……)
亜美(シャワー浴びたのは……寝汗が酷かったからで……)
亜美(あれ……パジャマと下着……洗濯かごにちゃんと……)
亜美(制服も……なんで……ハンガーに……)
亜美「……ひっ!?」
竜児「ど、どうしたんだ……川嶋?」
亜美「……高須君……私どうしてパジャマなのかな?」
竜児「お、おう!?……お、俺は何も見てないぞ!お、お前が……川嶋が着いて早々、突然脱ぎだして……」
亜美「信じられない信じられない信じられない……」
竜児「ば、馬鹿!あんま騒ぐなって……」
亜美「信じられなーい!」
竜児「……落ち着いたか?」
亜美「……高須君のバカ、スケベ、変態、能面、犯罪者面」
竜児「顔のことは別に今は関係ないだろう……」
竜児「大体、お前俺らにさんざんビキニだのなんだの見せてきてるじゃねえかよ……」
亜美「水着と下着は全然違うの!……もう高須君、最悪」
竜児「お、おう……悪かったって」
竜児「けど……だいぶ元気にはなってきた良かったよ、ホント」
亜美「……」
竜児「これで今日一日寝て、明日も一応休んどけば無事回復しそうじゃねえか?」
亜美「……うん」
竜児「だから、今日は安静にしとけよ……あ、おかゆ作っといたから食える時に食ってくれ?」
亜美「え……」
竜児「じゃあ、俺帰るから戸締りだけしっかりな」
亜美「ちょ、ちょっと待って高須く……ふわっ!?」
竜児「ん、なんだ川嶋……って、おおう!?」
バターンッ
竜児「痛たたたたたたっ……だ、大丈夫か川し……おうっ!?」
竜児(む、胸が……谷間がパジャマから……!)
亜美「痛っ……ご、ごめん高須君……大丈夫?」
竜児「お、おう……俺は大丈夫だから……とりあえず立ち上がれるか?」
竜児(落ち着け俺!立ち上がるな俺!)
亜美「う、うん……ごめん、ホントごめん高須君……」
竜児「おう、大丈夫……俺は大丈夫だから……な?」
竜児(そうだ、何か萎えることを考えろ……北村のバニーガール北村のバニーガール北村のバニーガール……!)
竜児「うぇぷっ……!」
亜美「た、高須君!?」
竜児「お、おう……大丈夫大丈夫、川嶋が倒れこんだ時にちょっとみぞおちに入っただけだから……じゃ、じゃあな!」
亜美「……う、うん……ありがとうね、高須君」
竜児「おう……また学校でな!」
竜児(……おう、北村のバニーガールが予想以上の破壊力だったな……)
亜美「はあ……」
亜美「ホントさ……」
亜美「看病までしてくれて……」
亜美「そんな優しくされたら……」
亜美「……」
亜美「……おかゆ食べよ」
翌日
竜児「……なんでいるんだよ?」
亜美「え?」
竜児「お前今日もちゃんと家で寝てなきゃぶり返すぞ?」
亜美「大丈夫だよ!亜美ちゃんこの通りもう元気だし、それに今日からクリスマスパーティーの打ち合わせもあるからね」
竜児「は?……お、お前まだ受験終わってないだろ?むしろこれから本番だって言うのに……」
亜美「大丈夫、私名ばかりの実行委員長だし……それに、私がやらなきゃ盛り上がんないでしょ?」
竜児「川嶋、あのな……」
キーンコーン カーンコーン
亜美「ほら、チャイム鳴ったよ?座った座った!」
竜児「……はあ、わかったよ」
放課後
モブ「川嶋先輩」
亜美「……」
モブ「あの、川嶋先輩?」
亜美「え、ごめんごめんどうしたの?」
モブ「この件なんですけどね……」
亜美「あー、これはね確か……」
亜美(やっばいな……マジでオーバーワーク気味かもな……)
亜美(でも、今年のクリスマスパーティーは……高校生活最後のクリスマスパーティーは……)
亜美(絶対に成功させないと……それで)
亜美(その日に……今度こそちゃんと伝えるんだ)
亜美(……高須君に)
竜児「川嶋」
亜美「……」
竜児「川嶋?」
亜美「うん?ごめん……どうしたの?」
竜児「プリント落としたぞ」
亜美「あ……ありがとう」
竜児「……大丈夫か、お前?」
亜美「大丈夫だって、もう高須君はお節介おばさんなんだから?」
竜児「……おばさんじゃねえっつの」
亜美「アハッ……」
竜児「……」
ガゴンッ
竜児「……はあ」
竜児「……あいつ、無理しやがって」
竜児「けど……川嶋の性格上、絶対引かないよな……」
竜児「どうすればいいんだろうな……」
櫛枝「うーうー、ヒトマルマルマル、ホシ見つけました、これより突入します、はい突入!」
竜児「ん……櫛枝?」
櫛枝「手を挙げろ!君は完全に包囲されているぞ、高須きゅん!」
竜児「……お、おう」
櫛枝「高須、竜児……現行犯で逮捕する!」
竜児「……なんの現行犯でだよ」
櫛枝「高須君、君は三年生にもなって……休み時間以外は自販機使っちゃいかないんだぞ?」
竜児「櫛枝だって時々使ってるの俺見てるけどな」
櫛枝「ありゃりゃ、バレてら……えっへっへ」
竜児「……あ、そうだ櫛枝!お前、今時間あるか?」
櫛枝「高須君……タイムイズマネーって言葉を知ってるかい?」
竜児「ああ、時は金なりだろ……忙しいって言いたいのか?」
櫛枝「ノンノン!……友達のために使う時間、プライスレス」
竜児「お、似てるな……!」
櫛枝「でしょ?結構練習したんだ!それで、なんだい高須君?」
竜児「……あのさ、川嶋のことなんだけど」
てくてく てくてく
亜美(今日はあったかいミルクティーにしようかな……)
亜美(うーん、でもやっぱり緑茶の方がいいかな……)
亜美「あ……」
亜美(高須君と……)
亜美(……実乃梨ちゃん)
亜美(太陽と月、か……ぴったりじゃん)
亜美(月は自分一人では輝けないけど……太陽と一緒なら強く輝ける)
亜美(月と月が一緒にいたって、お互い補完しあうことは出来ないってことか……)
亜美「……」
亜美「……戻ろ」
竜児「川嶋」
亜美「……」
竜児「川嶋?」
亜美「……」
竜児「……川嶋?」
亜美「なに?……聞いてるわよ?」
竜児「なんだよ……なんか機嫌悪くねえか?」
亜美「そんなことないっつーの……で、なんなの?」
竜児「ツリーってよ、いつ立てるんだ?」
亜美「今年は終業式終わったらすぐ、なに?手伝ってくれるの?」
竜児「おう、手も空いてるしな……ってか、言ってくれれば最初から実行委員だって手伝ったのによ」
亜美「……やっぱいい」
竜児「……はあ?なんでだよ?」
亜美「今年は亜美ちゃん総合演出の超超超!スペシャルなパーティーにするつもりなの」
亜美「高須君いると、それはMOTTAINAIだのあれはMOTTAINAIだとケチつけられそうだしね」
竜児「そんなことは……」
亜美「だからいい……ほら用がないならあっち行きな、亜美ちゃん勉強中なの」
竜児「……わかったよ、その代わり手伝ってくれなんて泣きついてきても手伝ってやんねえからな!」
亜美「誰が泣きつくかっつーの!ふん!」
すたすた すたすた
亜美「あ……」
亜美(はーあ、なにやってんだか……)
亜美(……さすがにさっきは言い過ぎたな、私から謝んないと)
亜美「あ、高須く……」
櫛枝「高須きゅん!お待ちー!」
竜児「お、来たか櫛枝?じゃあ行くか」
櫛枝「おや……あーみんどうしたんだい、そんなところでボーっとして?」
亜美「……なんでもない!」
櫛枝「……?」
竜児「なんでもないんだってよ、ほら行くぞ櫛枝」
櫛枝「はいよー!じゃ、アデューあーみん!」
亜美「……」
亜美「……なんなのよ、もう!」
『いらっしゃいませー、須藤バックスへようこそー』
櫛枝「で、なんだっけ……なんでそんなあーみんは怒ってたんだろうね?」
竜児「……知らねえよ」
櫛枝「でも、あーみんを手伝ってあげたい……喜ばせてあげたいって気持ちは本当でしょ?」
竜児「……おう」
櫛枝「じゃあ、当日にサプライズ突撃でいいんじゃないかい?」
竜児「それしか……ないよな」
櫛枝「まあ、外堀を埋める作業はこの櫛枝におまかせあれ!あとは高須君が本丸を攻めてくれれば良いよ!」
竜児「そうだな、じゃあ頼むよ櫛枝!サンキューな!あ、俺そろそろタイムセール始まるから出るけど、どうする?」
櫛枝「うーん、私はもうちょっとまったりしてるよ」
竜児「そっか、じゃあまたな!櫛枝!」
櫛枝「ジャーニー!」
櫛枝「……大河、アンタいつまでもほったらかしてるとあーみんに奪われちゃうぞ?」
終業式
てくてく てくてく
亜美「ゴホッ!ゴホッ!」
亜美(結局……今日まで高須君と仲直り出来なかったな……)
亜美(何のために頑張ってたんだろうな、私……)
亜美「ゴホッ!ゴホッ!」
亜美(あー、ダルい……頭痛い……)
亜美(こりゃツリーの完成だけ見届けたら帰った方がいいかな……)
亜美「ホント……ゴホッ!……最悪」
亜美「あ……」
亜美(高須君が前にいる……)
亜美「……」
亜美(駄目だ、声も掛けられないなんて……)
亜美「……弱くなったな」
モブ「川嶋さーん、これここで合ってます?」
亜美「……うん」
亜美(……つらい)
モブ「川嶋先輩、これはどこに付ければいいんですか?」
亜美「……えっと、これはね」
亜美(……しんどい)
モブ「亜美ちゃん先輩、これは……」
亜美「……」
亜美(……高須君)
竜児「それはそこで合ってるぞ」
亜美「……!」
竜児「それはむこうに……あれはそっちだな」
亜美「うそ……なんで……?」
竜児「……一人であれもこれも背負いすぎなんだよ。少しくらい俺にも背負わせろって、バカ」
亜美「……ごめん」
モブ「うおー!完成だー!」
竜児「ほら、お前が持ってきたツリー……今年も綺麗に出来ただろ?」
亜美「……うん」
竜児「なに泣いてるんだよ?……本番はまだこれからだろう?」
亜美「……うん」
竜児「だから、泣くなって……一回照明落としてライトアップお願いしまーす」
モブ「はーい」
竜児「……」
亜美「……あれ?……ライトが点かない?」
きーよーしー こーのーよーるー
ほーしーはー ひーかーりー
亜美「え……」
すーくいーのー みーこーはー
まーぶねーのー なーかーにー
亜美「なにこれ……」
櫛枝「ねーむりーたもーおー いーとやーすくー」
ピカッ ピカッ ピカッ
竜児「せーの!」
『亜美ちゃん実行委員長お疲れさまー!!』
亜美「みんな……!?」
竜児「お疲れ、川嶋……実行委員のみんなに協力してちょっとしたサプライズを用意したんだけど、どうだった?」
櫛枝「ほらほら!あーみんのために、高須君特製のクリスマスケーキを持ってきたぜ!……普通に食べるか、顔にくらうか選びな!」
亜美「高須君、実乃梨ちゃん……!!もう……普通に食べるに決まってるでしょ!」
櫛枝「へっへ、そりゃそっか!」
竜児「……フフッ」
亜美「……アハハッ」
………………
…………
……
このあと、川嶋は今までの疲れが一気に押し寄せてきたのか40度近い熱を出して倒れこんだ。
主役不在のクリスマスパーティーは、それでも最後までちゃんと終わって欲しいという願いもあって何も問題も起こらず無事に終了した。
あみちゃん・・・
48:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/16(金) 05:47:59.07:AmIfVRow0数日後
『宅急便でーす』
北村「はい……ありがとうございます」
北村「差出人は……サンタクロース?」
『宅急便でーす』
櫛枝「はいはいどうもどうも……なんだこれ?」
櫛枝「サンタクロースから……?すげー!私この歳でサンタさんからプレゼントもらっちゃったよ!!」
『宅急便でーす』
亜美「……はい……どうも」
亜美「あー、しんど……最近なんか買ったっけ?」
亜美「……サンタクロースって……ったく、あのバカ虎日にちくらい合わせろっつーの」
『宅急便でーす』
竜児「はーい……お世話様です」
竜児「なんだ?誰からだ?……あ」
竜児「……大河」
年は明けて 正月
竜児「うーん……北村はこれでいいか?」
竜児「櫛枝はそうだな……これだな」
祖母「竜児くん、おもち焼けたわよ」
竜児「はい、今行きます……えっと、川嶋は……」
竜児「……よし、こんなもんでいいだろう」
泰子「竜ちゃ~ん、おもち食べちゃうよお~!」
竜児「わかってる、今行く!……あとは」
竜児「うん……これで終わり、と」
北村「ふう、少し休憩するか……メール、高須からか?」
『あけましておめでとうございます お前なら何も問題ないだろうから体調管理に気をつけろよ』
北村「フッ、高須らしいメールだな」
キーンコーン カーンコーン
亜美「うん……上出来!」
木原「亜美ちゃん、お昼食べ行こうよ!テストどうだった?」
亜美「うん!テスト、まあまあだったかな?……あ、ちょっと待って携帯忘れてた」
亜美「メールが7件か、えっと……」
『あけましておめでとう 川嶋はやれば出来るんだから自分に負けるなよ!』
亜美「自分に負けるなか……簡単に言ってくれるじゃない?」
実乃梨「2009……2010……2011……2012っと!よっしゃー!年の数だけ素振り終わったぞー!」
実乃梨「ん?メールが着てるよーっと、おお!」
『あけましておめでとう 夢に向かって突っ走れ!』
実乃梨「ふふ……おうよ!」
大河「……ぶえっくしゅん!」
大河「あ、メール……」
大河「……」
大河「……バカ」
2月末
ぷれ ぷれ ぱれーど
竜児「電話か?……はい、もしもし」
亜美『高須君久しぶり、私だよ』
竜児「おう川嶋か、どうしたんだ?」
亜美『ちょっとさ、スドバまで来て欲しいんだけど……いいかな?』
竜児「スドバ……?わかった、すぐ行くよ」
亜美『ありがとう、じゃあね』
つー つー つー つー
竜児「川嶋の奴、何のようだろうな?まあいいや、行くか」
『いらっしゃいませー、須藤バックスへようこそー』
亜美「あ!高須君、こっちこっち!」
竜児「おう!どうしたんだよ、急に?」
亜美「2つ話があるんだけど……うーん、じゃあAの話とBの話どっちから聞きたい?」
竜児「え……じゃあ、Aからでいいよ」
亜美「本当に?それでいい?」
竜児「……おう」
亜美「そっか……じゃあ、言うね」
亜美「あのね、私……」
亜美「……志望校受かったんだよ!」
竜児「ほ、本当か!?やったな、おめでとう川嶋!」
亜美「うん!ありがとう高須君!」
竜児「そっか……本当に良かったじゃねえか!」
亜美「うん……これも高須君のおかげだよ」
竜児「え……俺の?」
亜美「うん、夏前にやった定期試験の勉強会覚えてる?」
竜児「……ああ、やったな」
亜美「あの時高須君が付きっ切りで教えてくれたおかげでさ、勉強自体がそんなに苦じゃなくなったんだ」
竜児「そうか……役に立てたみたいで嬉しいよ」
亜美「それで……2つ目の話なんだけど」
亜美「これがその感謝も込めて、遅くなったけどバレンタインのチョコ!」
竜児「この袋に入った奴がそうなのか?……川嶋、自分で作ったのか?」
亜美「それは開けてからのお楽しみだよ、ねえ開けてみて?」
竜児「え、今すぐか?家に帰ってからゆっくりと……」
亜美「だーめ、今開けて」
竜児「……どうしても今じゃないとダメなのか?」
亜美「うん」
竜児「……わかった、じゃあ開けるぞ」
亜美「……」
竜児「……あれ?……川嶋、袋の中なんにも入って……」
亜美「……」
亜美「……」chu
お、おう
59:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/16(金) 06:56:34.64:AmIfVRow0竜児「……」
亜美「……」
竜児「な……か、か、か、川嶋、お、お前……!?」
亜美「……ぷっ、アハハハハッ!高須君、今すっごい顔してるよ!」
竜児「バ、バカお前!?そんなことされた誰だって!」
亜美「高須君、初心だね~!クックック、アハハハハッ!」
竜児「だ、大体な!そ、そういうのは誰彼かまわずにやっちゃいけないんだぞ!?」
亜美「……誰でもいいわけじゃないんだけどな」
竜児「……え?」
亜美「なーんでもない、欧米じゃほっぺにキスするのなんて挨拶みたいなものなんだからさ」
竜児「……あのなあ、ここは日本だ!」
亜美「ねえ……高須君」
竜児「……なんだよ」
亜美「好きだよ」
竜児「……え」
亜美「川嶋亜美は高須竜児のことが……好きです」
竜児「川嶋……お……」
亜美「ダメ、今は答えなくていいから……卒業式の日に聞かせて」
亜美「……ね?」
竜児「……おう」
亜美「じゃあ……私帰るから、じゃあね高須君!」
竜児「か、川嶋……」
竜児「……」
てくてく てくてく
亜美(言えた……)
亜美(やっと言えたんだ……)
亜美(高須君に好きって……)
亜美(言えたんだ……)
亜美(なのに……)
亜美(なんでだろう……)
亜美(なんでこんなに……)
亜美(胸が苦しいんだろう……)
卒業式当日
亜美「……」
亜美(……そろそろ出ないと間に合わないな)
亜美(……でもなんでだろう)
亜美(……椅子とおしりがくっついたみたいに動けない)
亜美「……このままサボっちゃおうかな」
亜美(……そうすれば)
亜美(……あの告白も)
亜美(……なかったことになるのかな)
亜美「それは……嫌だな……」
ピーンポーン
亜美「……」
ピーンポーン
亜美「……誰よ、こんな時に」
ピーンポーン
亜美「……一人にさせてよ」
ピンポ ピンポ ピーンポーン
亜美「……ああ、もう!」すたっ
ガンッ
亜美「うるっさいのよ!誰よ!朝から!」
竜児「痛えっ!?」
亜美「た……高須……君……?」
竜児「お、おう……迎えに来たぞ、川嶋」
亜美「えっ、ちょ、な、なんで……えっ!?」
竜児「お前なあ……自分がクラス代表だってことすっかり忘れてんだろう?」
亜美「え……あ……!」
竜児「クラス代表は30分早く登校しなきゃなんなかったんだろ……それを川嶋、お前はよ……」
亜美「ご、ごめん!今すぐ行かないと……!」
竜児「あ!ちょっと待て!川嶋、一旦座れ!」
亜美「えっ!?なんで……」
竜児「クラス代表の仕事は他の奴らに任せてきた……だから」
竜児「……俺とお前の話をしよう」
亜美「あ……」
亜美「な、なんのことかな?ごめん、亜美ちゃんわかんないなあー?」
竜児「川嶋!ちゃんと聞いてくれ……」
亜美「高須君……ごめん、わかった」
竜児「ありがとう……」
竜児「川嶋、ごめんな……俺、お前がそういうふうに俺のことを思ってくれてたなんて全然気づいてやれなかった」
竜児「お前にそうやって……好きって言ってもらって、めっちゃくっちゃ俺も嬉しかった」
亜美「……」
竜児「……俺もお前のことが好きだ」
おおおおおおおおーー
71:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/16(金) 08:45:13.61:AmIfVRow0亜美「高須く……」
竜児「けど……」
亜美(……あ)
竜児「俺、大河のことが本当に大好きなんだ」
亜美(……ヤバい)
竜児「だから……ごめんとしか言えないんだけど」
亜美(……私)
竜児「川嶋みたいな女子に好きになってもらえて、本当に嬉しかった」
亜美(……フラれるんだ)
竜児「ありがとう」
亜美「……」
竜児「……」
亜美「あーあ……フラれちゃったなー、私」
竜児「……ごめん」
亜美「なーに謝ってんのよ!謝るんだったら、振るなっつーの」
竜児「……おう」
亜美「よし……じゃあ、行きますか!せっかくの卒業式なのに遅刻なんてカッコ悪いしね?」
竜児「……ああ」
亜美(正直拍子抜けしちゃったな……)
亜美(フラれたら……)
亜美(フラれたらもっとボロボロに涙流すんだと思ってた……)
亜美(けど……)
亜美(なんでだろう……)
亜美(全然泣けないんだよね……)
亜美(これが……)
櫛枝「あ!あーみん!卒業おめでとう!」
亜美「実乃梨ちゃん!卒業おめでとうー!」
櫛枝「聞いたよ!あーみん、春から大学生なんだって?華のあるキャンパスライフを送ってくださいよ!」
亜美「何言ってんのよー、実乃梨ちゃんだって大学生でしょ?」
櫛枝「まあね!けど、私のキャンパスライフは汗と泥に塗れたものになるだ……ねえ、あーみん」
亜美「どうしたの、実乃梨ちゃん?」
櫛枝「……なにかあったの?」
亜美「……」
櫛枝「……」
亜美「実乃梨ちゃん、私……高須君に告白したよ」
亜美「でもね……フラれちゃったんだ」
亜美「ホント、高須君もったいないことするよね……この亜美ちゃんを振るなんてホント……」
櫛枝「あーみん」
櫛枝「無理して笑う必要なんてないんだよ、今は泣けるだけ泣けばいいんだよ」
亜美「…………」
亜美「うっ…」
亜美「うぐっ…」
櫛枝「そうだそうだ……精一杯泣くんだあーみん」
亜美「えっ…」
亜美「うあっ…」
櫛枝「泣いて……笑ってサヨナラだ」
亜美「うくっ…」
亜美「実乃梨っ…ちゃんっ…!」
櫛枝「よしよし……あーみんはよくやった、頑張ったよ……」
亜美「実乃梨っ…ちゃんっ…!」
櫛枝「よしよし……よくやったぞ、あーみん……」
………………
…………
……
亜美「あーあ……なんかもう一生分涙流した感じ」
櫛枝「おかげでみのりんのブレザーはびっちょんびっちょんだ」
亜美「ふふっ……ありがとう、実乃梨ちゃん」
櫛枝「お互い様だよ、あーみん」
亜美「あっ……私を泣かした張本人が走ってる」
櫛枝「そっか……戻ってきたんだよ、大河が」
亜美「はーあ、おいしいとこ全部持ってきやがってあのチビとら……ったく」
亜美「私が欲しかったのは高須君だけだったんだけどな……」
おわり
乙
亜美ちゃん………
90:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/16(金) 09:51:12.43:K7Nv3v29O亜美ちゃん………
乙
やはりこの結末は避けようがないか…
91:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/16(金) 09:53:10.92:xppOmWn20やはりこの結末は避けようがないか…
読んでくださった方々お疲れさまでした、今回のテーマは各エピソードに触れる、綺麗に亜美ちゃんをフラせる、綺麗なみのりんを作るだったんで合わなかった方には申し訳なく思ってます
お付き合いいただき本当にありがとうございました
お付き合いいただき本当にありがとうございました
コメント 16
コメント一覧 (16)
オレンジ聴くか…
キャラとかネタとか本編にそっくりでびっくり
あーみんは君が「とらドラ!ポータブル」でハッピーにしてやってくれ( ̄ー ̄)bグッ!
作者さんがとらドラ!をとてもが好きなのだと感じれる内容ですね。
とてもよいSSでした。作者さん、管理人さんGJでした。
原作版の後日談って書かれないよなー
こうなってしまうのは避けられなくて、悲しいけど綺麗な終わり方だな
>>10
どうやったって虎穴に入らずば竜児を得ずになっちまうんだもん
そういやアニメ板のあーみんスレはどうなってしまったのだろうか