255: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/21(火) 19:26:07 :sBLem/.c
魔法使い「ご…ごめんなさい…お兄さん……」
勇者「……魔法使い…」
僧侶「あの、勇者様……魔法使いくんの呪い、やっぱり…かなり、進行しています……私じゃ、解呪できませんが…もう一度、休憩を取りませんか…?」
僧侶「気休めにしか、ならないかもしれないけど…解呪魔法、かけてみますから……」
勇者「………ああ。そうしよう、薬草もあるだけ使って、魔法使いの体力を回復させて…」
妖精「あら、妖精の匂いがすると思ったら。ちょっと、こんなところで何をやっているのよ。旅に出たんじゃなか ぐぇっ!」ガシッ!!
盗賊「よーし、よくふらついて来やがったな。つくづく運がいいぜ俺は。飛んで火に入るなんとやら、テメーらの村に連れていけよクソチビ2号」ギリギリメキメキ
妖精「火じゃなくて貴方の手じゃないの、入ったのは。やめてちょうだい、どれだけ作りたがるのよ、妖精の搾り汁」ギュウウウウ
魔法使い「ご…ごめんなさい…お兄さん……」
勇者「……魔法使い…」
僧侶「あの、勇者様……魔法使いくんの呪い、やっぱり…かなり、進行しています……私じゃ、解呪できませんが…もう一度、休憩を取りませんか…?」
僧侶「気休めにしか、ならないかもしれないけど…解呪魔法、かけてみますから……」
勇者「………ああ。そうしよう、薬草もあるだけ使って、魔法使いの体力を回復させて…」
妖精「あら、妖精の匂いがすると思ったら。ちょっと、こんなところで何をやっているのよ。旅に出たんじゃなか ぐぇっ!」ガシッ!!
盗賊「よーし、よくふらついて来やがったな。つくづく運がいいぜ俺は。飛んで火に入るなんとやら、テメーらの村に連れていけよクソチビ2号」ギリギリメキメキ
妖精「火じゃなくて貴方の手じゃないの、入ったのは。やめてちょうだい、どれだけ作りたがるのよ、妖精の搾り汁」ギュウウウウ
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256: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/21(火) 19:26:48 :sBLem/.c
~エルフの村~
勇者「なんと美しい……!まるで夢の中にいるようだ…こんな場所があったなんて……」
魔法使い「…すごい……ここにいると、少し楽になってくる感じ…さっきまで、あんなに苦しかったのに……」
盗賊「賢者のクソオヤジが言っていたな、居るだけで魔力が回復する、って。ここならテメーの呪いも癒されるかもしれねー」
妖精「呪い…やっぱりその子、呪われているのね?邪気が凄まじく溢れているわ。ここにいても、呪いを断たない限り、意味はないわよ」
僧侶「あの、この呪いを解く、解呪魔法…どなたか、使える方はいらっしゃいませんか?わ…私の魔法じゃ、解けなくて…」
妖精「残念だけど、ここにはいないわ。古代の呪いでしょう?それ。こう見えて、私達はまだまだ若いのよ。古代の呪いには古代の解呪法しか、対応できないわ…」
~エルフの村~
勇者「なんと美しい……!まるで夢の中にいるようだ…こんな場所があったなんて……」
魔法使い「…すごい……ここにいると、少し楽になってくる感じ…さっきまで、あんなに苦しかったのに……」
盗賊「賢者のクソオヤジが言っていたな、居るだけで魔力が回復する、って。ここならテメーの呪いも癒されるかもしれねー」
妖精「呪い…やっぱりその子、呪われているのね?邪気が凄まじく溢れているわ。ここにいても、呪いを断たない限り、意味はないわよ」
僧侶「あの、この呪いを解く、解呪魔法…どなたか、使える方はいらっしゃいませんか?わ…私の魔法じゃ、解けなくて…」
妖精「残念だけど、ここにはいないわ。古代の呪いでしょう?それ。こう見えて、私達はまだまだ若いのよ。古代の呪いには古代の解呪法しか、対応できないわ…」
257: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/21(火) 19:27:28 :sBLem/.c
勇者「そんな……じゃあ、やっぱり呪いをかけた奴を倒すしかないのか…?」
盗賊「情けない事ほざいてんじゃねーぞ?どっかに居ないのかよ、呪いを解ける奴が。なあ?俺達困ってんだよ、助けちゃくれねーか、コラ」メキメキ
妖精「不思議ね、私には助けてほしいって頼む態度に思えないんだけど、気のせいかしら。私の体がますますくびれていくのも気のせいかしら」ギュウウウ
妖精「…解呪法の使える、長い時を生きる者。心当たりが無くもないわ。とりあえず、その子を一旦寝かせましょう。エルフのおうちに連れていくの、回復薬とかもあるから」
盗賊「だから俺の服の中に入るな……まあいい、エルフの家ってのはどこだ?案内しろよ」
妖精「貴方、本当に妖精の匂いが強くなったわね。落ち着くわ。……エルフのおうちは向こうよ、あの花畑の中」
僧侶「魔法使いくん、もうちょっとの辛抱だからね…!頑張って…!」
勇者「そんな……じゃあ、やっぱり呪いをかけた奴を倒すしかないのか…?」
盗賊「情けない事ほざいてんじゃねーぞ?どっかに居ないのかよ、呪いを解ける奴が。なあ?俺達困ってんだよ、助けちゃくれねーか、コラ」メキメキ
妖精「不思議ね、私には助けてほしいって頼む態度に思えないんだけど、気のせいかしら。私の体がますますくびれていくのも気のせいかしら」ギュウウウ
妖精「…解呪法の使える、長い時を生きる者。心当たりが無くもないわ。とりあえず、その子を一旦寝かせましょう。エルフのおうちに連れていくの、回復薬とかもあるから」
盗賊「だから俺の服の中に入るな……まあいい、エルフの家ってのはどこだ?案内しろよ」
妖精「貴方、本当に妖精の匂いが強くなったわね。落ち着くわ。……エルフのおうちは向こうよ、あの花畑の中」
僧侶「魔法使いくん、もうちょっとの辛抱だからね…!頑張って…!」
258: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/21(火) 19:28:12 :sBLem/.c
魔法使い「うう……う…」ズズズ…
エルフ「こんなに酷い呪いは初めて見たわ…刻一刻と、この子の命を削っている。結界を張って、進行を遅らせましょう。それから回復薬を。貴方、癒し手よね。手伝ってくれる?」
僧侶「は、はい!なんでもやります、教えてください…!」
妖精「…今は、彼女達に任せましょう。村長様に許可も頂いたわ、私達はこれから滅びの里に行くわよ」
勇者「滅びの里?」
妖精「私が産まれた里よ。元々は緑豊かな大地だったけど…現在は、砂漠と化しているわ。その里にいる長老が、この世でたった一人、古代から生き続けている者。長老なら、呪いの解呪法も知っているでしょうし」
妖精「…そして、貴方が持っている魔具も。直せるのは、神族以外では、長老だけよ」
勇者「!! 気づいていたのか…魔具を持っている事を」
魔法使い「うう……う…」ズズズ…
エルフ「こんなに酷い呪いは初めて見たわ…刻一刻と、この子の命を削っている。結界を張って、進行を遅らせましょう。それから回復薬を。貴方、癒し手よね。手伝ってくれる?」
僧侶「は、はい!なんでもやります、教えてください…!」
妖精「…今は、彼女達に任せましょう。村長様に許可も頂いたわ、私達はこれから滅びの里に行くわよ」
勇者「滅びの里?」
妖精「私が産まれた里よ。元々は緑豊かな大地だったけど…現在は、砂漠と化しているわ。その里にいる長老が、この世でたった一人、古代から生き続けている者。長老なら、呪いの解呪法も知っているでしょうし」
妖精「…そして、貴方が持っている魔具も。直せるのは、神族以外では、長老だけよ」
勇者「!! 気づいていたのか…魔具を持っている事を」
259: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/21(火) 19:29:01 :sBLem/.c
盗賊「相変わらずスゲーな、テメーの勘っつーか嗅覚っつーか……おい、何をふんぞり返ってやがる。褒めてねーぞ」
妖精「さておき。滅びの里なら、私の移動魔法ですぐに行けるわ。準備はいい?」
僧侶「ま…待ってください!勇者様…魔法使いくんが、勇者様を呼んでます…」
勇者「私を?…すまない、少し待っていてくれ。魔法使いのところへ行ってくる」
妖精「…あ、私もちょっとエルフの所に行くわ」
僧侶「……ねえ、盗賊さん」
盗賊「あん?」
僧侶「勇者様の事、お願いします…勇者様、沢山の責任を背負っているけど……勇者様だって、女の子です。すごく辛い事に直面したら…勇者様を癒すのは、私達です…」
盗賊「………」
僧侶「わ、私も、勿論癒しますが…盗賊さんも…支えてあげて、くださいね。勇者様の事……、…ふぇっ?」ナデナデ
盗賊「………バカ女」ナデナデ
僧侶「あうあう、……???」
盗賊「相変わらずスゲーな、テメーの勘っつーか嗅覚っつーか……おい、何をふんぞり返ってやがる。褒めてねーぞ」
妖精「さておき。滅びの里なら、私の移動魔法ですぐに行けるわ。準備はいい?」
僧侶「ま…待ってください!勇者様…魔法使いくんが、勇者様を呼んでます…」
勇者「私を?…すまない、少し待っていてくれ。魔法使いのところへ行ってくる」
妖精「…あ、私もちょっとエルフの所に行くわ」
僧侶「……ねえ、盗賊さん」
盗賊「あん?」
僧侶「勇者様の事、お願いします…勇者様、沢山の責任を背負っているけど……勇者様だって、女の子です。すごく辛い事に直面したら…勇者様を癒すのは、私達です…」
盗賊「………」
僧侶「わ、私も、勿論癒しますが…盗賊さんも…支えてあげて、くださいね。勇者様の事……、…ふぇっ?」ナデナデ
盗賊「………バカ女」ナデナデ
僧侶「あうあう、……???」
260: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/21(火) 19:29:57 :sBLem/.c
勇者「魔法使い!大丈夫か?待っていてくれ、私が必ず君の呪いを解いてみせる。もう少しの辛抱だからな」
魔法使い「……勇者様…」
魔法使い「………」キュッ
勇者「……魔法使い?手を握って…どうした」
魔法使い「…僕ね、勇者様を信じてる。僕は呪いなんかに負けないよ、勇者様もみんなもいるし。…僕だって、勇者様が思っているより、ずっとずっと強いんだから」
魔法使い「今は……悔しいけど、動けない…でも、僕は…絶対負けないよ。勇者様を守るんだ、その為に沢山勉強した……」
魔法使い「勇者様…僕は大丈夫だから。勇者様もみんなもいる……」
魔法使い「だから、…迷わないでね。勇者様。みんなを助けてあげてね。それが出来るのは、勇者様だけだからね?……そして…勇者様を助けるのは、僕なんだ……僕達なんだ…」
勇者「…魔法使い……」
魔法使い「いってらっしゃい、勇者様。気をつけてね」ニコッ
勇者「魔法使い!大丈夫か?待っていてくれ、私が必ず君の呪いを解いてみせる。もう少しの辛抱だからな」
魔法使い「……勇者様…」
魔法使い「………」キュッ
勇者「……魔法使い?手を握って…どうした」
魔法使い「…僕ね、勇者様を信じてる。僕は呪いなんかに負けないよ、勇者様もみんなもいるし。…僕だって、勇者様が思っているより、ずっとずっと強いんだから」
魔法使い「今は……悔しいけど、動けない…でも、僕は…絶対負けないよ。勇者様を守るんだ、その為に沢山勉強した……」
魔法使い「勇者様…僕は大丈夫だから。勇者様もみんなもいる……」
魔法使い「だから、…迷わないでね。勇者様。みんなを助けてあげてね。それが出来るのは、勇者様だけだからね?……そして…勇者様を助けるのは、僕なんだ……僕達なんだ…」
勇者「…魔法使い……」
魔法使い「いってらっしゃい、勇者様。気をつけてね」ニコッ
261: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/21(火) 19:31:00 :sBLem/.c
~滅びの里~
妖精「……はい、到着したわよ」
勇者「―― っ!?…すごい…一瞬にして、砂漠についてしまうなんて。海を飛び越えて?いや、本当に一瞬だった…これが移動魔法……」
妖精「人間が使うには、まだまだ研究不足でしょうけどね。結構魔力使うのよ?これ。さあ労りなさい、崇めなさい、私を」
盗賊「時間が勿体無ェんだ、さっさと事を進めるぞ」ギュウウウ
妖精「ふ、もう慣れてきたわよ、搾られるのも。…里の入口を開くわ。蜃気楼の向こう側へ行くわよ」ギュウウウウ
・・・
勇者「ここが…滅びの里。……砂漠の中に、鬱蒼とした森が…?」
盗賊「だが、実際はただの蜃気楼らしい。俺はここでほとんど寝ていたから、よくは知らねーが……家などは本物でも、木々は偽物だ」
女妖精「ッ人間!?貴様ら!!ここで何を、いや…どうやってここに入った!?」
男妖精「里に立ち入る不届き者が!殺す!!」
~滅びの里~
妖精「……はい、到着したわよ」
勇者「―― っ!?…すごい…一瞬にして、砂漠についてしまうなんて。海を飛び越えて?いや、本当に一瞬だった…これが移動魔法……」
妖精「人間が使うには、まだまだ研究不足でしょうけどね。結構魔力使うのよ?これ。さあ労りなさい、崇めなさい、私を」
盗賊「時間が勿体無ェんだ、さっさと事を進めるぞ」ギュウウウ
妖精「ふ、もう慣れてきたわよ、搾られるのも。…里の入口を開くわ。蜃気楼の向こう側へ行くわよ」ギュウウウウ
・・・
勇者「ここが…滅びの里。……砂漠の中に、鬱蒼とした森が…?」
盗賊「だが、実際はただの蜃気楼らしい。俺はここでほとんど寝ていたから、よくは知らねーが……家などは本物でも、木々は偽物だ」
女妖精「ッ人間!?貴様ら!!ここで何を、いや…どうやってここに入った!?」
男妖精「里に立ち入る不届き者が!殺す!!」
262: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/21(火) 19:31:44 :sBLem/.c
勇者「ま、待って!勝手に侵入した事は謝ります、しかし訳があるのです、話を聞いて頂けませんか!!」
男妖精「人間の話など、ましてや侵入者の話など、聞く耳は持たぬ!!」
女妖精「殺す!人間は殺す!!侵入者は殺す!!」
盗賊「持ってないなら今から持て、ボケ!頼むから落ち着け、俺達の話を……」
妖精「…私が彼らを連れて来たのよ。この人達の言うとおりだわ、少し落ち着いたら?相変わらず血の気が多いのね、アンタ達。いやんなっちゃう」ヒョコ
男妖精「!!?」
女妖精「…妖精……お前、今更どの面を下げて、この地へ帰ってきた。貴様の居場所はもうここには無い。去れ。人間と馴れ合う貴様の顔など見たくもない。虫酸が走る」
妖精「残念ね、そうもいかないのよ。アンタ達に用はないわ、そこをどいてちょうだい。私達は、長老に話があって来たんだから」
勇者「ま、待って!勝手に侵入した事は謝ります、しかし訳があるのです、話を聞いて頂けませんか!!」
男妖精「人間の話など、ましてや侵入者の話など、聞く耳は持たぬ!!」
女妖精「殺す!人間は殺す!!侵入者は殺す!!」
盗賊「持ってないなら今から持て、ボケ!頼むから落ち着け、俺達の話を……」
妖精「…私が彼らを連れて来たのよ。この人達の言うとおりだわ、少し落ち着いたら?相変わらず血の気が多いのね、アンタ達。いやんなっちゃう」ヒョコ
男妖精「!!?」
女妖精「…妖精……お前、今更どの面を下げて、この地へ帰ってきた。貴様の居場所はもうここには無い。去れ。人間と馴れ合う貴様の顔など見たくもない。虫酸が走る」
妖精「残念ね、そうもいかないのよ。アンタ達に用はないわ、そこをどいてちょうだい。私達は、長老に話があって来たんだから」
263: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/21(火) 19:32:24 :sBLem/.c
男妖精「婆様に?許可しない。するわけがない。去れ。この里から去れ!」
妖精「だから言っているでしょう、アンタ達に構っている暇はないわ。そこをどきなさい!」
妖精「明日を信じない、八つ当たりしかできない、殻に閉じこもるしかできないアンタ達なんて大っ嫌いよ!」
妖精「…この人達はね、魔具を持ってきてくれたのよ?わかる?長老の力が必要なのよ。もうこれ以上同じ事を言わせないでちょうだい。…そこをどいて!」
女妖精「…魔具だと…!?」
勇者「…これです。王家の遺跡、宝物庫より持ってきました。ですが、魔力が尽きており、水は枯れております。これを直して欲しいのです」スッ
男妖精「それは……!人間に奪われた、神秘の水瓶!!?…そんな…本物……?嘘だ、そんな事が…人間が…?」
妖精「はいはい、さっさとどく!アンタ達はずっとそこで呆けてなさい!あっかんべー、だ!!」
男妖精「婆様に?許可しない。するわけがない。去れ。この里から去れ!」
妖精「だから言っているでしょう、アンタ達に構っている暇はないわ。そこをどきなさい!」
妖精「明日を信じない、八つ当たりしかできない、殻に閉じこもるしかできないアンタ達なんて大っ嫌いよ!」
妖精「…この人達はね、魔具を持ってきてくれたのよ?わかる?長老の力が必要なのよ。もうこれ以上同じ事を言わせないでちょうだい。…そこをどいて!」
女妖精「…魔具だと…!?」
勇者「…これです。王家の遺跡、宝物庫より持ってきました。ですが、魔力が尽きており、水は枯れております。これを直して欲しいのです」スッ
男妖精「それは……!人間に奪われた、神秘の水瓶!!?…そんな…本物……?嘘だ、そんな事が…人間が…?」
妖精「はいはい、さっさとどく!アンタ達はずっとそこで呆けてなさい!あっかんべー、だ!!」
267: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/22(水) 00:42:57 :uu/4tIXY
妖精長「………」
盗賊「こいつが、長老……?随分若く別嬪じゃねーか。本当に一番の長生きなのか、信じられねえ」
妖精「…お久し振りです、長老」
妖精長「……その声は、妖精ですか。…それに、人間の男……まさか、二度会う事があるとは、ね…」
妖精長「…そして……この魂は、………そう。そうなのですか……」
妖精長「………」
勇者「…長老様。貴方の力をお借りしたく参りました。勝手に里へと立ち入った無礼は、心からお詫びします。私達は……」
妖精長「いえ。言葉で語らずともわかります。…私は遥か悠久の時を生きてきた者。この目は二度と光を映さぬ、しかし長く生きてきた故に、少しだけですが、人の心が読めます」
妖精長「貴方達が、何故この里へ訪れたか……約束…私達は約束を何よりも大切にする……貴方との約束も、今…果たしましょう……」
勇者「……約束…?」
妖精長「………」
盗賊「こいつが、長老……?随分若く別嬪じゃねーか。本当に一番の長生きなのか、信じられねえ」
妖精「…お久し振りです、長老」
妖精長「……その声は、妖精ですか。…それに、人間の男……まさか、二度会う事があるとは、ね…」
妖精長「…そして……この魂は、………そう。そうなのですか……」
妖精長「………」
勇者「…長老様。貴方の力をお借りしたく参りました。勝手に里へと立ち入った無礼は、心からお詫びします。私達は……」
妖精長「いえ。言葉で語らずともわかります。…私は遥か悠久の時を生きてきた者。この目は二度と光を映さぬ、しかし長く生きてきた故に、少しだけですが、人の心が読めます」
妖精長「貴方達が、何故この里へ訪れたか……約束…私達は約束を何よりも大切にする……貴方との約束も、今…果たしましょう……」
勇者「……約束…?」
268: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/22(水) 00:43:44 :uu/4tIXY
妖精長「………」
妖精長「……水瓶の修復…解呪……どちらも、為し遂げたい…危機に瀕した時、助けると………私は、約束…した……」
盗賊「…おい。大丈夫か?お前……なんか弱々しくなっていってねえか?」
妖精長「……私達は…何よりも、約束を………大事にする…けれど、ごめんなさい……私の寿命は、もう…尽きる………」
妖精長「約束を…守れない……ごめんなさい…」
妖精長「…ひとつ……ひとつだけ、なら………どちらかひとつだけなら、できます…選びなさい…水瓶か…解呪か……どちらか、ひとつ…叶えて、あげます……それが…約束だから………」
勇者「………!!?」
盗賊「な…!どっちかって、両方はダメなのかよ!?」
妖精長「…無理……どちらか…ひとつ………選んで…早く……」
盗賊「そんな…、そんなの、解呪に決まってんだろ!?クソガキの命がかかってんだ!当たり前だろ、なあ!?」
妖精長「………」
妖精長「……水瓶の修復…解呪……どちらも、為し遂げたい…危機に瀕した時、助けると………私は、約束…した……」
盗賊「…おい。大丈夫か?お前……なんか弱々しくなっていってねえか?」
妖精長「……私達は…何よりも、約束を………大事にする…けれど、ごめんなさい……私の寿命は、もう…尽きる………」
妖精長「約束を…守れない……ごめんなさい…」
妖精長「…ひとつ……ひとつだけ、なら………どちらかひとつだけなら、できます…選びなさい…水瓶か…解呪か……どちらか、ひとつ…叶えて、あげます……それが…約束だから………」
勇者「………!!?」
盗賊「な…!どっちかって、両方はダメなのかよ!?」
妖精長「…無理……どちらか…ひとつ………選んで…早く……」
盗賊「そんな…、そんなの、解呪に決まってんだろ!?クソガキの命がかかってんだ!当たり前だろ、なあ!?」
269: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/22(水) 00:44:26 :uu/4tIXY
勇者「………」
盗賊「天秤にかけるもんじゃねえ!わかりきってる!そうだろ、勇者!おい、しっかりしろ、聞こえたか!?解呪だ!解呪の方法を……」
勇者「―― 待てッ!!!」
盗賊「ッ!?…勇者……?」
勇者「………」
勇者「………そうだな。天秤にかけるものじゃない。答えはわかりきっている」
勇者「長老様。……水瓶を直してください」
盗賊「っはあ!!?何を言ってんだ、テメー!!クソガキがあんなに苦しんでんだぞ!?水瓶がどうこうじゃねえだろ!!」
盗賊「水瓶なんざ無くとも、指名手配をどうにかする方法なんざ、いくらでもある!!無視したって構わない、だったら解呪を…」
勇者「………水瓶の力を使えば、戦争を防げる。救える命が沢山ある」
勇者「水瓶の力を使えば……砂漠が、甦るんだ………だったら、…水瓶を、直してもらう」
勇者「………」
盗賊「天秤にかけるもんじゃねえ!わかりきってる!そうだろ、勇者!おい、しっかりしろ、聞こえたか!?解呪だ!解呪の方法を……」
勇者「―― 待てッ!!!」
盗賊「ッ!?…勇者……?」
勇者「………」
勇者「………そうだな。天秤にかけるものじゃない。答えはわかりきっている」
勇者「長老様。……水瓶を直してください」
盗賊「っはあ!!?何を言ってんだ、テメー!!クソガキがあんなに苦しんでんだぞ!?水瓶がどうこうじゃねえだろ!!」
盗賊「水瓶なんざ無くとも、指名手配をどうにかする方法なんざ、いくらでもある!!無視したって構わない、だったら解呪を…」
勇者「………水瓶の力を使えば、戦争を防げる。救える命が沢山ある」
勇者「水瓶の力を使えば……砂漠が、甦るんだ………だったら、…水瓶を、直してもらう」
270: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/22(水) 00:45:15 :uu/4tIXY
勇者「長老様。水瓶をお渡しします。人間が犯した過ちを、心からお詫び致します…どうか、水瓶を直して頂けませんか」
盗賊「ばっ……バカ野郎…!!」
妖精長「………」
妖精長「………確かに…受け取りました……。この、形………私達の、水瓶…」
妖精長「…ああ………記憶の中でしか、見る事の無くなった森……生きているうちに、再び…会える、なんて……」
妖精長「ありがとう……貴方達、人間が犯した罪は、忘れない…けれど………謝罪の気持ちも…私は、忘れないわ……」ピカッ!!
勇者「う……?」
盗賊「水瓶が…長老が、輝いて……?」
―― ゴボゴボッ
妖精長「…甦れ、私達の森よ………その美しい姿を、また見せておくれ。踊りましょう、歌いましょう。私達は貴方を愛している。美しい木々よ、……愛しているわ………」
―― パアアアアァァッ…!!
勇者「長老様。水瓶をお渡しします。人間が犯した過ちを、心からお詫び致します…どうか、水瓶を直して頂けませんか」
盗賊「ばっ……バカ野郎…!!」
妖精長「………」
妖精長「………確かに…受け取りました……。この、形………私達の、水瓶…」
妖精長「…ああ………記憶の中でしか、見る事の無くなった森……生きているうちに、再び…会える、なんて……」
妖精長「ありがとう……貴方達、人間が犯した罪は、忘れない…けれど………謝罪の気持ちも…私は、忘れないわ……」ピカッ!!
勇者「う……?」
盗賊「水瓶が…長老が、輝いて……?」
―― ゴボゴボッ
妖精長「…甦れ、私達の森よ………その美しい姿を、また見せておくれ。踊りましょう、歌いましょう。私達は貴方を愛している。美しい木々よ、……愛しているわ………」
―― パアアアアァァッ…!!
271: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/22(水) 00:46:01 :uu/4tIXY
男妖精「………!!?こ…これは……!!」
女妖精「あ…あああ……!!幻じゃない…樹が…川が……甦る…!あああ、これは、…これは…!!」
男妖精「…私達が愛した里が……甦る…!渇いた大地が、潤っていく……!!」
妖精「……綺麗ね…懐かしいわ、…赤ん坊の頃に見た姿そのまま……おはよう、貴方達。起こすのが遅くなってごめんなさい」
妖精「もう悪夢は見ない。これからは、毎日見られるのよ、安らかな夢を。ね?明日を信じて良かったでしょう。夜は必ず明けるのよ、明日は必ずやってくるのよ」
妖精「おはよう、…おかえり。愛しているわ、今日も明日も明後日も。これからもずっと、ずっと、愛してる」
妖精「……ありがとう…人間達……森を甦らせてくれて、ありがとう」
女妖精「うっ…うっ……うわあああん……!」
男妖精「………み…認めない…人間を、認めるわけには……く、…くそぉッ…!」
男妖精「………!!?こ…これは……!!」
女妖精「あ…あああ……!!幻じゃない…樹が…川が……甦る…!あああ、これは、…これは…!!」
男妖精「…私達が愛した里が……甦る…!渇いた大地が、潤っていく……!!」
妖精「……綺麗ね…懐かしいわ、…赤ん坊の頃に見た姿そのまま……おはよう、貴方達。起こすのが遅くなってごめんなさい」
妖精「もう悪夢は見ない。これからは、毎日見られるのよ、安らかな夢を。ね?明日を信じて良かったでしょう。夜は必ず明けるのよ、明日は必ずやってくるのよ」
妖精「おはよう、…おかえり。愛しているわ、今日も明日も明後日も。これからもずっと、ずっと、愛してる」
妖精「……ありがとう…人間達……森を甦らせてくれて、ありがとう」
女妖精「うっ…うっ……うわあああん……!」
男妖精「………み…認めない…人間を、認めるわけには……く、…くそぉッ…!」
272: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/22(水) 00:46:47 :uu/4tIXY
妖精長「―――」
勇者「……ありがとうございました、長老様…本当に、ごめんなさい。長く苦しめてしまって、ごめんなさい………どうか、安らかに…お眠りください」
盗賊「………」
勇者「…行こう、盗賊。妖精達に長老様の事を伝えねば。それから砂漠の国へ向かうぞ」
盗賊「………」ギリッ
盗賊「……テメー…良かったのかよ、これで」
勇者「………」
盗賊「迷いはなかったんだな?」
勇者「………」
勇者「………あの子は、…私達を…私を、信じてくれている」
盗賊「………」
勇者「あの子は強い。大丈夫だと言っていた、信じてくれている、迷うなとも言っていた…そう、迷うな、って。私は…私は、……迷っていられない。一人の人間に拘ってはいけない。みんなを守らなきゃいけないんだ」
勇者「魔法使いは私が救う。なに…呪った奴を倒せばいいんだ、ただそれだけの事だ…」
妖精長「―――」
勇者「……ありがとうございました、長老様…本当に、ごめんなさい。長く苦しめてしまって、ごめんなさい………どうか、安らかに…お眠りください」
盗賊「………」
勇者「…行こう、盗賊。妖精達に長老様の事を伝えねば。それから砂漠の国へ向かうぞ」
盗賊「………」ギリッ
盗賊「……テメー…良かったのかよ、これで」
勇者「………」
盗賊「迷いはなかったんだな?」
勇者「………」
勇者「………あの子は、…私達を…私を、信じてくれている」
盗賊「………」
勇者「あの子は強い。大丈夫だと言っていた、信じてくれている、迷うなとも言っていた…そう、迷うな、って。私は…私は、……迷っていられない。一人の人間に拘ってはいけない。みんなを守らなきゃいけないんだ」
勇者「魔法使いは私が救う。なに…呪った奴を倒せばいいんだ、ただそれだけの事だ…」
273: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/22(水) 00:47:41 :uu/4tIXY
盗賊「………」
勇者「さあ行くぞ。時間は無いんだ、テキパキ行動しなければ」
盗賊「……おい、勇者。こっちを向け」
勇者「…うん?」
―― ゴンッ!!
勇者「!!?」
ゴン! ゴンッ!! ゴツッ!!
勇者「い…痛い!痛いっ!!やめてくれ!!何をする、いきなり頭を叩いて…!!」
盗賊「痛ェか?そりゃそうだろうな。力一杯やったからよ」
盗賊「痛いんなら、泣け。…今なら、その理由で泣けるだろ。今なら、……今のうちなら、泣けるぜ。俺のせいでな」
勇者「………!!?」
勇者「な…何を……私は、これくらいの痛みで、なんか……、……あれ…?」ポロッ
勇者「……どうして…なんで……?もっと、もっと痛くても…泣いた事なんか、なかったのに……どうして…」ポロポロ
勇者「…どうして……君に叩かれると、……涙が出るの…?」
盗賊「………」
勇者「さあ行くぞ。時間は無いんだ、テキパキ行動しなければ」
盗賊「……おい、勇者。こっちを向け」
勇者「…うん?」
―― ゴンッ!!
勇者「!!?」
ゴン! ゴンッ!! ゴツッ!!
勇者「い…痛い!痛いっ!!やめてくれ!!何をする、いきなり頭を叩いて…!!」
盗賊「痛ェか?そりゃそうだろうな。力一杯やったからよ」
盗賊「痛いんなら、泣け。…今なら、その理由で泣けるだろ。今なら、……今のうちなら、泣けるぜ。俺のせいでな」
勇者「………!!?」
勇者「な…何を……私は、これくらいの痛みで、なんか……、……あれ…?」ポロッ
勇者「……どうして…なんで……?もっと、もっと痛くても…泣いた事なんか、なかったのに……どうして…」ポロポロ
勇者「…どうして……君に叩かれると、……涙が出るの…?」
274: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/22(水) 00:48:47 :uu/4tIXY
盗賊「………」
盗賊「慰めたり励ましたり、抱き締めるのも、俺の全部は予約済だ。この先永久に続く予約だ」
盗賊「でも、予約した奴は、とんでもねェお人好しのバカだからよ。席を譲ってくれるらしいぜ?」
盗賊「今日だけ特別だ。…背中くらいなら貸してやる。背中だけな。……耳は塞ぐ、目も閉じる。何も聞かないし、何も見ねーよ」
盗賊「今のうち、だけだ。……泣けよ。俺は聞かないし見ない。俺に殴られたせいで、泣けよ」クルッ
勇者「………」
勇者「……う…うっ……ううう…っ!!」ギュッ
勇者「うわああああ……!!ごめん…魔法使い……ごめん…っ!!わ、私のせいだ…君を苦しませて、すぐに救えなくて、ごめんね……!!」
勇者「必ず……必ず、私が助けてみせるから…!君を守るから……!うわあああん!うあああああーっ…!!」
盗賊「………クソが……呪いをかけた奴、絶対許さねえぞ……」
盗賊「………」
盗賊「慰めたり励ましたり、抱き締めるのも、俺の全部は予約済だ。この先永久に続く予約だ」
盗賊「でも、予約した奴は、とんでもねェお人好しのバカだからよ。席を譲ってくれるらしいぜ?」
盗賊「今日だけ特別だ。…背中くらいなら貸してやる。背中だけな。……耳は塞ぐ、目も閉じる。何も聞かないし、何も見ねーよ」
盗賊「今のうち、だけだ。……泣けよ。俺は聞かないし見ない。俺に殴られたせいで、泣けよ」クルッ
勇者「………」
勇者「……う…うっ……ううう…っ!!」ギュッ
勇者「うわああああ……!!ごめん…魔法使い……ごめん…っ!!わ、私のせいだ…君を苦しませて、すぐに救えなくて、ごめんね……!!」
勇者「必ず……必ず、私が助けてみせるから…!君を守るから……!うわあああん!うあああああーっ…!!」
盗賊「………クソが……呪いをかけた奴、絶対許さねえぞ……」
275: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/22(水) 00:49:35 :uu/4tIXY
・・・
男妖精「………そうか…婆様が……」
女妖精「だが、亡くなる前に…里を復活させられて、良かった。……私達は、忘れない。人間達を恨む。…だが…私達を救ってくれたのも、人間だ……」
勇者「…申し訳ない……」
妖精「…過ぎた事は、どうやっても取り返せないわ。けれど、償う事はできるの」
妖精「………お兄ちゃん、お姉ちゃん。私、アンタ達の事は嫌いよ。…体が大きくなる程、性が別れる程、長く生きたからこそ、その目に映ったものは、心についた傷は、想像以上なんでしょうね」
妖精「でも、それでも。大っ嫌い。後ろ向きのアンタ達なんか、大嫌いよ」
男妖精「………」
女妖精「…お前は、まだ若いから……明日を信じられるんだ」
男妖精「……俺達は……人間を憎む…認めるものか……」
妖精「…ふん。私の居場所はここじゃないわ。じゃあね、お兄ちゃん、お姉ちゃん。……そのウジウジが治ったら、また会いましょう」
・・・
男妖精「………そうか…婆様が……」
女妖精「だが、亡くなる前に…里を復活させられて、良かった。……私達は、忘れない。人間達を恨む。…だが…私達を救ってくれたのも、人間だ……」
勇者「…申し訳ない……」
妖精「…過ぎた事は、どうやっても取り返せないわ。けれど、償う事はできるの」
妖精「………お兄ちゃん、お姉ちゃん。私、アンタ達の事は嫌いよ。…体が大きくなる程、性が別れる程、長く生きたからこそ、その目に映ったものは、心についた傷は、想像以上なんでしょうね」
妖精「でも、それでも。大っ嫌い。後ろ向きのアンタ達なんか、大嫌いよ」
男妖精「………」
女妖精「…お前は、まだ若いから……明日を信じられるんだ」
男妖精「……俺達は……人間を憎む…認めるものか……」
妖精「…ふん。私の居場所はここじゃないわ。じゃあね、お兄ちゃん、お姉ちゃん。……そのウジウジが治ったら、また会いましょう」
276: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/22(水) 00:50:21 :uu/4tIXY
盗賊「じゃあねっつって、さも当たり前のように俺の服の中に入るな。…つーかあいつらとお前、親族だったのか。あんなに冷たくしていいのかよ?」
妖精「あら、貴方がそんな事を気にしてくれるの?意外ね。いいのよ、…この森と、時間が、彼らを癒してくれるわ。その時が来たら…仲直りしてあげてもいいかもね」
妖精「さ、行きましょう。砂漠の国だっけ?ふふ、もう砂漠は無くなったけれどね。本当に、貴方達には感謝してもしきれないわ。ありがとう。……そして、ごめんなさいね…」
勇者「ううん。礼を言われる事も、謝られる事もない。あるべき姿を消してしまったのは、私達人間なんだから。…あるべき姿に戻しただけ、それだけだ」
勇者「そして、これから先、二度とこの姿を失わない為にも……行こう、砂漠の国へ」
盗賊「………ああ」
妖精「私は隠れているわね。大勢の人間に姿を見られたくないの。必要な時は顔を出すわ」モゾモゾ
盗賊「じゃあねっつって、さも当たり前のように俺の服の中に入るな。…つーかあいつらとお前、親族だったのか。あんなに冷たくしていいのかよ?」
妖精「あら、貴方がそんな事を気にしてくれるの?意外ね。いいのよ、…この森と、時間が、彼らを癒してくれるわ。その時が来たら…仲直りしてあげてもいいかもね」
妖精「さ、行きましょう。砂漠の国だっけ?ふふ、もう砂漠は無くなったけれどね。本当に、貴方達には感謝してもしきれないわ。ありがとう。……そして、ごめんなさいね…」
勇者「ううん。礼を言われる事も、謝られる事もない。あるべき姿を消してしまったのは、私達人間なんだから。…あるべき姿に戻しただけ、それだけだ」
勇者「そして、これから先、二度とこの姿を失わない為にも……行こう、砂漠の国へ」
盗賊「………ああ」
妖精「私は隠れているわね。大勢の人間に姿を見られたくないの。必要な時は顔を出すわ」モゾモゾ
281: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/22(水) 11:53:47 :uu/4tIXY
~砂漠の国・王宮~
盗賊「流石に国中大騒ぎだな。無理もねーか、いきなり水が湧いて、砂漠が森になっちゃあなァ」
勇者「混乱の中で、王との謁見は不可能かな…しかし、日を改める時間も……」
側近「…勇者殿。謁見の許可が下りました、こちらへどうぞ」
勇者「…本当ですか!良かった……ありがとうございます」
盗賊「無駄足にならなくて良かったぜ…」
・・・
女王「アタシがこの国を統べる者、女王だ。話は聞いたよ。勇者、此度の働き、見事だった。ありがとう、全ての民を代表して、礼を言わせとくれ…」
盗賊「(砂漠の国の王って、女だったのかよ。はーん…この姉ちゃんが、あれだけの暴君っぷりを、ねぇ…)」ヒソヒソ
勇者「(こら、聞こえるぞ、盗賊。黙っていなさい)」ヒソヒソ
女王「…いいんだ。アタシが間違っていたのは事実なんだからさ」
勇者「……ほら、聞こえた…申し訳ありません、女王様。大変な無礼を働きました…」
~砂漠の国・王宮~
盗賊「流石に国中大騒ぎだな。無理もねーか、いきなり水が湧いて、砂漠が森になっちゃあなァ」
勇者「混乱の中で、王との謁見は不可能かな…しかし、日を改める時間も……」
側近「…勇者殿。謁見の許可が下りました、こちらへどうぞ」
勇者「…本当ですか!良かった……ありがとうございます」
盗賊「無駄足にならなくて良かったぜ…」
・・・
女王「アタシがこの国を統べる者、女王だ。話は聞いたよ。勇者、此度の働き、見事だった。ありがとう、全ての民を代表して、礼を言わせとくれ…」
盗賊「(砂漠の国の王って、女だったのかよ。はーん…この姉ちゃんが、あれだけの暴君っぷりを、ねぇ…)」ヒソヒソ
勇者「(こら、聞こえるぞ、盗賊。黙っていなさい)」ヒソヒソ
女王「…いいんだ。アタシが間違っていたのは事実なんだからさ」
勇者「……ほら、聞こえた…申し訳ありません、女王様。大変な無礼を働きました…」
282: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/22(水) 11:54:32 :uu/4tIXY
女王「いんや。アタシは責められて当然の事をした。なのに…この国を救ってくれた事、心から感謝するよ……」
女王「言い訳にしかならないけど……アタシは、夢を見ていた。長く長く続く、とても酷い悪夢をね…」
女王「悪夢の外のアタシは…冷静な判断が出来ず、傍若無人に振る舞い…愛すべき民達に不安を抱かせちまった……まるで、見えない糸に操られていたかのように。自分自身が止められなかった…」
盗賊「……おい、もしかして、それって…」
勇者「…女王も……聖王のように、魅了魔法を……?」
女王「どんな理由であれ、原因であれ、民を傷つけた事に変わりはない。貿易大国もそう、…あんた達も、そうさ」
女王「本当に、すまなかったね…あんた達の指名手配は、すでに解除しといたよ。戦争も起こさない。アタシはこれから償っていく。民達に…各国に。本当にごめんな…」
女王「いんや。アタシは責められて当然の事をした。なのに…この国を救ってくれた事、心から感謝するよ……」
女王「言い訳にしかならないけど……アタシは、夢を見ていた。長く長く続く、とても酷い悪夢をね…」
女王「悪夢の外のアタシは…冷静な判断が出来ず、傍若無人に振る舞い…愛すべき民達に不安を抱かせちまった……まるで、見えない糸に操られていたかのように。自分自身が止められなかった…」
盗賊「……おい、もしかして、それって…」
勇者「…女王も……聖王のように、魅了魔法を……?」
女王「どんな理由であれ、原因であれ、民を傷つけた事に変わりはない。貿易大国もそう、…あんた達も、そうさ」
女王「本当に、すまなかったね…あんた達の指名手配は、すでに解除しといたよ。戦争も起こさない。アタシはこれから償っていく。民達に…各国に。本当にごめんな…」
283: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/22(水) 11:55:23 :uu/4tIXY
勇者「女王様、ありがとうございます!…しかし、どうかご安心を。女王様は、魔物に操られていた可能性があります。私は、女王様のように乱心された方を幾度か見てきました」
勇者「各国の王達も、その理由を聞けば、納得してくれましょう。必要とあらば、私も証言致します。……ですから、女王様は民達の事を第一にお考えください」
勇者「魔具の力により、復活した大地は、民達に混乱を生んでいます。統治は、女王様にしかできない仕事です。早く民達を安心させてやってください」
勇者「そして…どうか二度と、この地が砂漠とならぬよう……お守りください。お願い致します」
女王「……ありがとうよ、勇者。アンタの優しさに甘えさせてもらう。迷惑をかけて本当にすまなかったね…」
女王「せめてもの旅の手助けにと、謝礼を用意した。こんなものしか渡せなくてすまないが、どうか受け取っとくれ」
勇者「女王様、ありがとうございます!…しかし、どうかご安心を。女王様は、魔物に操られていた可能性があります。私は、女王様のように乱心された方を幾度か見てきました」
勇者「各国の王達も、その理由を聞けば、納得してくれましょう。必要とあらば、私も証言致します。……ですから、女王様は民達の事を第一にお考えください」
勇者「魔具の力により、復活した大地は、民達に混乱を生んでいます。統治は、女王様にしかできない仕事です。早く民達を安心させてやってください」
勇者「そして…どうか二度と、この地が砂漠とならぬよう……お守りください。お願い致します」
女王「……ありがとうよ、勇者。アンタの優しさに甘えさせてもらう。迷惑をかけて本当にすまなかったね…」
女王「せめてもの旅の手助けにと、謝礼を用意した。こんなものしか渡せなくてすまないが、どうか受け取っとくれ」
284: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/22(水) 11:56:04 :uu/4tIXY
盗賊「うおおっ…!すっげぇ大金!!ま、マジかよ……!」
勇者「こ、こんなに!?宜しいのですか、女王様」
女王「いいんだ。すぐに用意できるのが、金しかなくてね……金で解決だなんて、いやらしいけどさ…でも、旅の役には立つだろ?詫びの気持ちも込めて、ね」
女王「本当にありがとうな、勇者。アタシ達を救ってくれたように、魔王を倒して全てのものを救えるよう、祈っているよ。ありがとうな…これから先、気をつけて行くんだよ」
勇者「ありがとうございました、女王様。では、失礼致します。……ほら、盗賊!もう行くぞ、何をやっているんだ!!」
盗賊「ひーふーみー……ああっ、何度数えても堪らねーな…!金最高、お宝最高……!!こんな大金、初めて見たぜ!!」
勇者「盗賊!!行くぞったら!!」グイグイ
盗賊「うおおっ…!すっげぇ大金!!ま、マジかよ……!」
勇者「こ、こんなに!?宜しいのですか、女王様」
女王「いいんだ。すぐに用意できるのが、金しかなくてね……金で解決だなんて、いやらしいけどさ…でも、旅の役には立つだろ?詫びの気持ちも込めて、ね」
女王「本当にありがとうな、勇者。アタシ達を救ってくれたように、魔王を倒して全てのものを救えるよう、祈っているよ。ありがとうな…これから先、気をつけて行くんだよ」
勇者「ありがとうございました、女王様。では、失礼致します。……ほら、盗賊!もう行くぞ、何をやっているんだ!!」
盗賊「ひーふーみー……ああっ、何度数えても堪らねーな…!金最高、お宝最高……!!こんな大金、初めて見たぜ!!」
勇者「盗賊!!行くぞったら!!」グイグイ
285: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/22(水) 11:56:48 :uu/4tIXY
~エルフの村~
妖精「はーい、到着したわよ…ううん……むにゃむにゃ…」
盗賊「随分静かだと思ったら、人の服の中で眠りこけてやがって。ヨダレとか垂らしてねーだろうな」
勇者「………」
盗賊「おい、どうしたよ。さっきは俺をあれだけ引っ張ったくせに、何を立ち止まってやがる」
勇者「…うん……ごめん、今行くよ」
盗賊「しっかりしろや。テメーは突っ走るのが取り柄のイノシシ女だろ。突っ走って正解をもぎ取るのがテメーなんだから」
勇者「……そう、だな………でも、イノシシ女はやめてくれないか?名前で呼んでくれ」
盗賊「ケッ。さっさと行けよ、行かないうちはずっとイノシシ女だ、バカ」
妖精「ぐー……すぴー……」
盗賊「そして熟睡してんじゃねーよ、クソチビ2号め」ベシッ
妖精「ぎゃふ!!……うう………ぐぅ…ぐー……むにゃむにゃ…」
~エルフの村~
妖精「はーい、到着したわよ…ううん……むにゃむにゃ…」
盗賊「随分静かだと思ったら、人の服の中で眠りこけてやがって。ヨダレとか垂らしてねーだろうな」
勇者「………」
盗賊「おい、どうしたよ。さっきは俺をあれだけ引っ張ったくせに、何を立ち止まってやがる」
勇者「…うん……ごめん、今行くよ」
盗賊「しっかりしろや。テメーは突っ走るのが取り柄のイノシシ女だろ。突っ走って正解をもぎ取るのがテメーなんだから」
勇者「……そう、だな………でも、イノシシ女はやめてくれないか?名前で呼んでくれ」
盗賊「ケッ。さっさと行けよ、行かないうちはずっとイノシシ女だ、バカ」
妖精「ぐー……すぴー……」
盗賊「そして熟睡してんじゃねーよ、クソチビ2号め」ベシッ
妖精「ぎゃふ!!……うう………ぐぅ…ぐー……むにゃむにゃ…」
286: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/22(水) 11:57:31 :uu/4tIXY
僧侶「おかえりなさい、勇者様!盗賊さん!…どう、でした……?」
勇者「…指名手配は解除できた。戦争も防げたよ……だが…解呪法は……」
僧侶「……そう、ですか…」
勇者「…あとでゆっくり話す。今は…魔法使いのところへ、行かせてくれ」
僧侶「あ……ゆ、勇者様…」
盗賊「…少しくらいなら大丈夫だろ?2人きりにしてやれ」
僧侶「盗賊さん……勇者様は、やっぱり…辛い目に、会われたんですね…」
盗賊「…それでも、進まなきゃならねーのが、アイツの使命なんだろうよ。俺達はそれを横から支えるのが使命だ」
盗賊「……だから、今はほっといてやれ。何があったかは俺が話す。こっちに来い、クソアマ」
僧侶「は……はい…盗賊さん。……勇者様、………」
僧侶「おかえりなさい、勇者様!盗賊さん!…どう、でした……?」
勇者「…指名手配は解除できた。戦争も防げたよ……だが…解呪法は……」
僧侶「……そう、ですか…」
勇者「…あとでゆっくり話す。今は…魔法使いのところへ、行かせてくれ」
僧侶「あ……ゆ、勇者様…」
盗賊「…少しくらいなら大丈夫だろ?2人きりにしてやれ」
僧侶「盗賊さん……勇者様は、やっぱり…辛い目に、会われたんですね…」
盗賊「…それでも、進まなきゃならねーのが、アイツの使命なんだろうよ。俺達はそれを横から支えるのが使命だ」
盗賊「……だから、今はほっといてやれ。何があったかは俺が話す。こっちに来い、クソアマ」
僧侶「は……はい…盗賊さん。……勇者様、………」
287: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/22(水) 11:58:22 :uu/4tIXY
勇者「………」
魔法使い「……はぁ…はぁ……」ズキン ズキン
魔法使い「………?…あ…勇者様、おかえりなさい……どこも、怪我してない?大丈夫だった?」
勇者「ただいま。……ああ、大丈夫だよ」
勇者「…だけど…ごめんな、魔法使い…解呪法は……手に入れられなかった…」
魔法使い「………そっか…」
勇者「で、でも!私は必ず君を守るよ!安心してくれ、解呪法がなくても、呪いをかけた者を探して倒せばいいんだ!!絶対に倒すから!君を助けるから……だから…!」
魔法使い「もう、何を一人で焦ってんの?だからお兄さんに、イノシシって言われるんだよー」
魔法使い「言ったでしょ、勇者様。僕は呪いなんかに負けないよ。勇者様を信じてる。大丈夫だよ」
魔法使い「勇者様は正しい事をしたんだよ。僕、すごく誇らしいや。そんな勇者様が大好き、みんなを守ってくれる勇者様が、ずっとずっと好きだった」
勇者「………」
魔法使い「……はぁ…はぁ……」ズキン ズキン
魔法使い「………?…あ…勇者様、おかえりなさい……どこも、怪我してない?大丈夫だった?」
勇者「ただいま。……ああ、大丈夫だよ」
勇者「…だけど…ごめんな、魔法使い…解呪法は……手に入れられなかった…」
魔法使い「………そっか…」
勇者「で、でも!私は必ず君を守るよ!安心してくれ、解呪法がなくても、呪いをかけた者を探して倒せばいいんだ!!絶対に倒すから!君を助けるから……だから…!」
魔法使い「もう、何を一人で焦ってんの?だからお兄さんに、イノシシって言われるんだよー」
魔法使い「言ったでしょ、勇者様。僕は呪いなんかに負けないよ。勇者様を信じてる。大丈夫だよ」
魔法使い「勇者様は正しい事をしたんだよ。僕、すごく誇らしいや。そんな勇者様が大好き、みんなを守ってくれる勇者様が、ずっとずっと好きだった」
288: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/22(水) 11:59:07 :uu/4tIXY
勇者「魔法使い……」
魔法使い「それでね、これからもずっとずっと、ずうーっと、勇者様が大好きだよ」
魔法使い「みんなを守ってくれる勇者様は、僕が守ってあげる。その為にいっぱい勉強したんだから。仲間に選ばれてすごく嬉しかった」
魔法使い「僕は負けないよ、大丈夫だよ。ずっと勇者様と一緒にいるよ。だから勇者様……迷わないで。僕は勇者様についていくから、勇者様は前を向いていてね」
勇者「……ごめ…ごめんな……魔法使い……もう、何が正しいとか…正しくないとか、わからないよ……」
勇者「けれど…私は、君を守る……それだけはわかる…君の為に頑張るから、君を…全てを守るから……だから、ごめん…」
魔法使い「…勇者様、泣き虫だったんだね。知らなかったよ。ふふ、僕ね、この旅がすごく楽しい。知らない事をたくさん知れるから、楽しいよ。もっともっと知りたいから…僕、頑張るからね」
勇者「魔法使い……」
魔法使い「それでね、これからもずっとずっと、ずうーっと、勇者様が大好きだよ」
魔法使い「みんなを守ってくれる勇者様は、僕が守ってあげる。その為にいっぱい勉強したんだから。仲間に選ばれてすごく嬉しかった」
魔法使い「僕は負けないよ、大丈夫だよ。ずっと勇者様と一緒にいるよ。だから勇者様……迷わないで。僕は勇者様についていくから、勇者様は前を向いていてね」
勇者「……ごめ…ごめんな……魔法使い……もう、何が正しいとか…正しくないとか、わからないよ……」
勇者「けれど…私は、君を守る……それだけはわかる…君の為に頑張るから、君を…全てを守るから……だから、ごめん…」
魔法使い「…勇者様、泣き虫だったんだね。知らなかったよ。ふふ、僕ね、この旅がすごく楽しい。知らない事をたくさん知れるから、楽しいよ。もっともっと知りたいから…僕、頑張るからね」
289: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/22(水) 11:59:54 :uu/4tIXY
勇者「………」フラリ
僧侶「勇者様……」タタッ
勇者「…大丈夫。大丈夫だよ。……呪いをかけた奴を倒す。そうすれば、解決するんだ。世界中駆け回ってでも、見つけてやる」
僧侶「そ、その事なのですが、勇者様。この村の、村長様が…力を貸してくださる、そうです…。村長様の家に行きましょう?」
勇者「…村長?」
盗賊「小人族のクソチビ初号機だ。ふざけた感じの奴だが、占いの腕前はピカイチでな。俺達も、奴の占いがあってこそ、お前らと合流を果たせたってくらいなんだぜ」
盗賊「だから、しらみ潰しになんかしなくとも、占いをしてもらえりゃあ…呪った奴を見つけられるかもしれねェ。行こうぜ、クソチビの家に」
勇者「そうなのか…。……わかった、行こう。村長様の家に」
妖精「……ふあぁぁよく寝た…あ、あら?どこに行くの?あら?あらあら?」
盗賊「お前どんだけ熟睡してやがんだ、空気ぶち壊してんじゃねーよ、クソチビ2号が」
勇者「………」フラリ
僧侶「勇者様……」タタッ
勇者「…大丈夫。大丈夫だよ。……呪いをかけた奴を倒す。そうすれば、解決するんだ。世界中駆け回ってでも、見つけてやる」
僧侶「そ、その事なのですが、勇者様。この村の、村長様が…力を貸してくださる、そうです…。村長様の家に行きましょう?」
勇者「…村長?」
盗賊「小人族のクソチビ初号機だ。ふざけた感じの奴だが、占いの腕前はピカイチでな。俺達も、奴の占いがあってこそ、お前らと合流を果たせたってくらいなんだぜ」
盗賊「だから、しらみ潰しになんかしなくとも、占いをしてもらえりゃあ…呪った奴を見つけられるかもしれねェ。行こうぜ、クソチビの家に」
勇者「そうなのか…。……わかった、行こう。村長様の家に」
妖精「……ふあぁぁよく寝た…あ、あら?どこに行くの?あら?あらあら?」
盗賊「お前どんだけ熟睡してやがんだ、空気ぶち壊してんじゃねーよ、クソチビ2号が」
290: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/22(水) 12:00:43 :uu/4tIXY
勇者「こ…これが村長様の家、か?随分と小さいんだな」
僧侶「小人族ですからね…2人も入ったら、いっぱいいっぱいに、なってしまうんですよ。私達は…外で待っていますから、勇者様、中へどうぞ」
妖精「私が仲介をしてあげるわ。さ、いらっしゃい」
勇者「う、うん。じゃあ…いってきます」
村長「やあやあ、いらっしゃい~。こんにちは、はじめまして~。僕がこの村の村長で~す、よろしくね~?」
妖精「村長、勇者です。話は通っていると思いますが、村長に占いを頼みたいという事で、連れてきました」
勇者「よろしくお願いします」
村長「…え?君が勇者なの?」
勇者「……?はい、そうですが…何か…?」
村長「へえ~?……や、ごめんごめ~ん、気のせいだったかな~?うん、ちゃんとキラキラ輝いているしね~。あははっごめ~ん。改めて、よろしくね~勇者~」
勇者「こ…これが村長様の家、か?随分と小さいんだな」
僧侶「小人族ですからね…2人も入ったら、いっぱいいっぱいに、なってしまうんですよ。私達は…外で待っていますから、勇者様、中へどうぞ」
妖精「私が仲介をしてあげるわ。さ、いらっしゃい」
勇者「う、うん。じゃあ…いってきます」
村長「やあやあ、いらっしゃい~。こんにちは、はじめまして~。僕がこの村の村長で~す、よろしくね~?」
妖精「村長、勇者です。話は通っていると思いますが、村長に占いを頼みたいという事で、連れてきました」
勇者「よろしくお願いします」
村長「…え?君が勇者なの?」
勇者「……?はい、そうですが…何か…?」
村長「へえ~?……や、ごめんごめ~ん、気のせいだったかな~?うん、ちゃんとキラキラ輝いているしね~。あははっごめ~ん。改めて、よろしくね~勇者~」
294: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/22(水) 20:02:51 :uu/4tIXY
村長「えーっと。お願いの内容は、あの男の子を苦しめる呪い…それをかけた奴を見つけるんだよね~」ゴソゴソ
村長「は~い、占いの水晶玉で~す。じゃあ、早速占いま~す。……ん~むむむ…」
勇者「………」
村長「……あれえ~?よく見えないなあ…あはは、こんな事、初めてだよ~……」ピシ! ピキッ
妖精「ちょっと!?村長、水晶玉にヒビが…」
村長「………静かに!!今、集中を解くわけにはいかないんだ!……むむむむ…」バキ! ビキ!!
妖精「村長!!」
―― バキャアァン!!
村長「うわああ!?…あ~あ……僕の水晶玉がぁ~」
勇者「真っ二つに割れた…!?大丈夫でしたか、村長!お怪我はありませんか!?」
村長「あははっ、平気平気~!…でも、ごめんね~…この呪いをかけた奴は、物凄い力を持っているんだね~。正体を探ろうとしたら、弾かれちゃったよ~。見つける事はできないみたい~」
村長「えーっと。お願いの内容は、あの男の子を苦しめる呪い…それをかけた奴を見つけるんだよね~」ゴソゴソ
村長「は~い、占いの水晶玉で~す。じゃあ、早速占いま~す。……ん~むむむ…」
勇者「………」
村長「……あれえ~?よく見えないなあ…あはは、こんな事、初めてだよ~……」ピシ! ピキッ
妖精「ちょっと!?村長、水晶玉にヒビが…」
村長「………静かに!!今、集中を解くわけにはいかないんだ!……むむむむ…」バキ! ビキ!!
妖精「村長!!」
―― バキャアァン!!
村長「うわああ!?…あ~あ……僕の水晶玉がぁ~」
勇者「真っ二つに割れた…!?大丈夫でしたか、村長!お怪我はありませんか!?」
村長「あははっ、平気平気~!…でも、ごめんね~…この呪いをかけた奴は、物凄い力を持っているんだね~。正体を探ろうとしたら、弾かれちゃったよ~。見つける事はできないみたい~」
295: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/22(水) 20:03:45 :uu/4tIXY
勇者「……そんな」
村長「でもね、一瞬…ちらっとだけ、見えたものがあったよ~」
村長「物凄~く、たくさんの本の中に……ほら、前にここへ来たオジサン…賢者だっけ?彼がいたのが見えたなあ。あはは、ヒントなのかもしれないね~?よくわからないけど~」
勇者「…賢者……?合流する前に、盗賊達と共に行動していたという人物か…?」
村長「手がかりが無い今、彼に会いにいくのもいいかもね~」
村長「…呪いは、もうとっくに最終段階に到達しているよ。今は、この村の癒しと…妖精の回復薬で、無理矢理動いている状態だ。これから一時的に元気になるだろうけど、次に倒れたら、もうそれでおしまい」
勇者「!!!」
村長「回復薬をたくさん持たせてあげる。僧侶ちゃんにも、作り方を教えておいたからね。…時間は、もうとっくに切れているよ。急ぎな?」
勇者「……は…はい…!!ありがとうございました、村長…」
勇者「……そんな」
村長「でもね、一瞬…ちらっとだけ、見えたものがあったよ~」
村長「物凄~く、たくさんの本の中に……ほら、前にここへ来たオジサン…賢者だっけ?彼がいたのが見えたなあ。あはは、ヒントなのかもしれないね~?よくわからないけど~」
勇者「…賢者……?合流する前に、盗賊達と共に行動していたという人物か…?」
村長「手がかりが無い今、彼に会いにいくのもいいかもね~」
村長「…呪いは、もうとっくに最終段階に到達しているよ。今は、この村の癒しと…妖精の回復薬で、無理矢理動いている状態だ。これから一時的に元気になるだろうけど、次に倒れたら、もうそれでおしまい」
勇者「!!!」
村長「回復薬をたくさん持たせてあげる。僧侶ちゃんにも、作り方を教えておいたからね。…時間は、もうとっくに切れているよ。急ぎな?」
勇者「……は…はい…!!ありがとうございました、村長…」
296: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/22(水) 20:04:30 :uu/4tIXY
・・・
盗賊「……そうか…もう時間が……」
僧侶「勇者様…どうしますか…?魔法使いくんは、ここへ置いていくとか…わ、私達だけで、解呪法を探しにいきますか…?」
勇者「いや……魔法使いは連れていく。無理をさせたくないのもあるが…もし解呪法が見つかった時に、すぐに施してやりたい」
勇者「…それに、これは我儘だし、冷静な判断でないとわかっているが…あの子の傍にいたいから……」
盗賊「それにしても、賢者のクソオヤジか。沢山の本ってなんだ?あいつの家は本の山だったが…家に帰ってんのか?」
僧侶「で、でも…私達、賢者さんが船に乗るのを、しっかり見送りましたよね…?確か、あの船は……隣の大陸行き、だったような…」
勇者「隣の……、…沢山の本…?……もしかして、貿易大国にあった、王立図書館か?そこに彼がいるのだろうか」
盗賊「……行ってみる価値はあるかもしれねえな。すぐに船を手配しようぜ」
・・・
盗賊「……そうか…もう時間が……」
僧侶「勇者様…どうしますか…?魔法使いくんは、ここへ置いていくとか…わ、私達だけで、解呪法を探しにいきますか…?」
勇者「いや……魔法使いは連れていく。無理をさせたくないのもあるが…もし解呪法が見つかった時に、すぐに施してやりたい」
勇者「…それに、これは我儘だし、冷静な判断でないとわかっているが…あの子の傍にいたいから……」
盗賊「それにしても、賢者のクソオヤジか。沢山の本ってなんだ?あいつの家は本の山だったが…家に帰ってんのか?」
僧侶「で、でも…私達、賢者さんが船に乗るのを、しっかり見送りましたよね…?確か、あの船は……隣の大陸行き、だったような…」
勇者「隣の……、…沢山の本…?……もしかして、貿易大国にあった、王立図書館か?そこに彼がいるのだろうか」
盗賊「……行ってみる価値はあるかもしれねえな。すぐに船を手配しようぜ」
297: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/22(水) 20:05:16 :uu/4tIXY
妖精「砂漠の国までなら、私が移動魔法で送ってあげられるわよ?移動魔法は、一度でも行った事のある場所へしか行けないの。直接送れなくてごめんなさい」
勇者「いや、充分だ!ありがとう、助かるよ」
僧侶「で、では、私はエルフさんから薬と、その材料を、もらってきますね…!」
盗賊「済んだらここに戻ってこい。クソチビの魔法ですぐに移動だ。…勇者、俺達はクソガキを迎えに行くぞ」
勇者「ああ…」
・・・
魔法使い「…あ、勇者様!お兄さんも、おかえりなさい!」
勇者「魔法使い……具合はどうだ?」
魔法使い「それがね、聞いて聞いて!薬のおかげで、すごーく元気になったんだよー!」
勇者「(…元気になっても、次に倒れたら、もう終わり…)」
盗賊「クソガキ。これから俺達は隣の大陸に移動する。テメーも一緒に行くんだ」
魔法使い「え?うん、わかった!すぐ支度するね!」
妖精「砂漠の国までなら、私が移動魔法で送ってあげられるわよ?移動魔法は、一度でも行った事のある場所へしか行けないの。直接送れなくてごめんなさい」
勇者「いや、充分だ!ありがとう、助かるよ」
僧侶「で、では、私はエルフさんから薬と、その材料を、もらってきますね…!」
盗賊「済んだらここに戻ってこい。クソチビの魔法ですぐに移動だ。…勇者、俺達はクソガキを迎えに行くぞ」
勇者「ああ…」
・・・
魔法使い「…あ、勇者様!お兄さんも、おかえりなさい!」
勇者「魔法使い……具合はどうだ?」
魔法使い「それがね、聞いて聞いて!薬のおかげで、すごーく元気になったんだよー!」
勇者「(…元気になっても、次に倒れたら、もう終わり…)」
盗賊「クソガキ。これから俺達は隣の大陸に移動する。テメーも一緒に行くんだ」
魔法使い「え?うん、わかった!すぐ支度するね!」
298: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/22(水) 20:06:06 :uu/4tIXY
~王立図書館~
魔法使い「妖精さんの移動魔法、すごかったなー。貴重な体験をしたよー!」
勇者「魔法使い。あまり跳び跳ねるな、…その、君は病み上がりなんだから…おとなしくしていなさい」
魔法使い「だって、なんか力が溢れちゃってさー。でも、図書館に入るんだもんね。静かにする」
盗賊「ここにクソオヤジがいるのか…?つーか、…ああ~…苦手だ、この空気……本ばっかりで目がチカチカすらぁ、頭も痛くなってくるぜ」
僧侶「あ、あ、あの……スミマセン…ここに、賢者という男性が、来ていませんか…?私達、彼に会いに来たんですが…」
司書「…賢者さんですか?……ああ、その方なら…当館の一番奥、貸出禁止の書物を収めている、書庫にいらっしゃいますね。鍵を貸した記録がありますから、間違いありません」
司書「書庫に入るのでしたら、そこの本は持ち出さないよう、お願いします。原本ばかりなので、無くされたら困りますから」
~王立図書館~
魔法使い「妖精さんの移動魔法、すごかったなー。貴重な体験をしたよー!」
勇者「魔法使い。あまり跳び跳ねるな、…その、君は病み上がりなんだから…おとなしくしていなさい」
魔法使い「だって、なんか力が溢れちゃってさー。でも、図書館に入るんだもんね。静かにする」
盗賊「ここにクソオヤジがいるのか…?つーか、…ああ~…苦手だ、この空気……本ばっかりで目がチカチカすらぁ、頭も痛くなってくるぜ」
僧侶「あ、あ、あの……スミマセン…ここに、賢者という男性が、来ていませんか…?私達、彼に会いに来たんですが…」
司書「…賢者さんですか?……ああ、その方なら…当館の一番奥、貸出禁止の書物を収めている、書庫にいらっしゃいますね。鍵を貸した記録がありますから、間違いありません」
司書「書庫に入るのでしたら、そこの本は持ち出さないよう、お願いします。原本ばかりなので、無くされたら困りますから」
299: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/22(水) 20:06:53 :uu/4tIXY
勇者「ここが司書の言っていた書庫か…。う、これはまた……凄まじい本の数だな…あんなに背の高い本棚なんて、初めて見たぞ」
盗賊「おーい!!クソオヤジー!!いたら返事しやがれー!!!」
魔法使い「ちょ、ちょっと、お兄さん!図書館では静かにしなきゃ!」
僧侶「賢者さーん!賢者さあーん!!いますかー!?賢者さーん!!」
魔法使い「僧侶さんまでー!静かにしなきゃ、怒られちゃうよ!?」
賢者「………んー?なんだいなんだい、うるさいなあ~。館内で騒いじゃいけないよ、………っとおおお!!?」ドカドカドサ!!!
勇者「わっ!?人が、本と一緒に落ちてきたぞ!」
賢者「う…う~ん……た、助けてー……」
僧侶「わああ、賢者さんー!賢者さんが、本の下敷きに~!!い、今、掘り起こしますからあ~!!」バサバサ
盗賊「…ったく、相変わらずだな、このクソオヤジは……」
勇者「ここが司書の言っていた書庫か…。う、これはまた……凄まじい本の数だな…あんなに背の高い本棚なんて、初めて見たぞ」
盗賊「おーい!!クソオヤジー!!いたら返事しやがれー!!!」
魔法使い「ちょ、ちょっと、お兄さん!図書館では静かにしなきゃ!」
僧侶「賢者さーん!賢者さあーん!!いますかー!?賢者さーん!!」
魔法使い「僧侶さんまでー!静かにしなきゃ、怒られちゃうよ!?」
賢者「………んー?なんだいなんだい、うるさいなあ~。館内で騒いじゃいけないよ、………っとおおお!!?」ドカドカドサ!!!
勇者「わっ!?人が、本と一緒に落ちてきたぞ!」
賢者「う…う~ん……た、助けてー……」
僧侶「わああ、賢者さんー!賢者さんが、本の下敷きに~!!い、今、掘り起こしますからあ~!!」バサバサ
盗賊「…ったく、相変わらずだな、このクソオヤジは……」
300: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/22(水) 20:07:38 :uu/4tIXY
賢者「はあー…死ぬかと思った。…というか、兄ちゃんとお嬢ちゃんじゃないの。どうしたの、こんなところで」
僧侶「賢者さん!賢者さんがヒントなんですよね!?早く!早く教えてください!!」
盗賊「解呪法か、術者だ!!早く教えろ!時間がねーんだよ!!勿体振ってんじゃねーよ、このクソオヤジが!ぶっ飛ばすぞ!?」
賢者「はあああ!?ちょ、ちょっと、オッサンには何がなんだかわからないんだけど!?何、なんの話!?こら、ローブを引っ張らない!伸びちゃうでしょうが!」
勇者「す、すみません!一から説明しますから……こら、落ち着け2人共!彼が困っているだろう!?」
魔法使い「お兄さん、オジサンの首を絞めちゃダメだよー!オジサンの顔が変な色になってるよ、落ち着いてー!!」
司書「館内では静かにしてください!次に騒いだら、追い出しますよ!!」
賢者「はあー…死ぬかと思った。…というか、兄ちゃんとお嬢ちゃんじゃないの。どうしたの、こんなところで」
僧侶「賢者さん!賢者さんがヒントなんですよね!?早く!早く教えてください!!」
盗賊「解呪法か、術者だ!!早く教えろ!時間がねーんだよ!!勿体振ってんじゃねーよ、このクソオヤジが!ぶっ飛ばすぞ!?」
賢者「はあああ!?ちょ、ちょっと、オッサンには何がなんだかわからないんだけど!?何、なんの話!?こら、ローブを引っ張らない!伸びちゃうでしょうが!」
勇者「す、すみません!一から説明しますから……こら、落ち着け2人共!彼が困っているだろう!?」
魔法使い「お兄さん、オジサンの首を絞めちゃダメだよー!オジサンの顔が変な色になってるよ、落ち着いてー!!」
司書「館内では静かにしてください!次に騒いだら、追い出しますよ!!」
301: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/22(水) 20:08:18 :uu/4tIXY
賢者「…成程ね、古代の呪いか……や、申し訳無い。俺も古代魔法には興味あるが、流石にそれを使うとか、解くとかは…できないし、知らないな…」
勇者「そ…そうですか…」
盗賊「だったらなんで占いに出て来やがったんだよ。紛らわしいな、このクソオヤジが」
賢者「それはオッサン自身が聞きたいんだけど?……うーん、それにしても…何か引っ掛かるな。君達の旅の話…どこかで聞いたような……」
賢者「…あ、思い出した。遥か昔にあったという、冒険話だ」ポン
僧侶「冒険話…ですか?」
賢者「うん、実際あった英雄達の話を、物語として面白く描いた小説…みたいなものかな。今困っているのは、古代魔法…呪いなんでしょ?なら、先人の軌跡を辿ってみたらいいんじゃないかなあ」
賢者「ええっと…確かここに……ほら、あった。これがその小説の元となった旅の記録…冒険の書だよ」
盗賊「……難しくて読めねえ。説明しろ、クソオヤジ」
賢者「…成程ね、古代の呪いか……や、申し訳無い。俺も古代魔法には興味あるが、流石にそれを使うとか、解くとかは…できないし、知らないな…」
勇者「そ…そうですか…」
盗賊「だったらなんで占いに出て来やがったんだよ。紛らわしいな、このクソオヤジが」
賢者「それはオッサン自身が聞きたいんだけど?……うーん、それにしても…何か引っ掛かるな。君達の旅の話…どこかで聞いたような……」
賢者「…あ、思い出した。遥か昔にあったという、冒険話だ」ポン
僧侶「冒険話…ですか?」
賢者「うん、実際あった英雄達の話を、物語として面白く描いた小説…みたいなものかな。今困っているのは、古代魔法…呪いなんでしょ?なら、先人の軌跡を辿ってみたらいいんじゃないかなあ」
賢者「ええっと…確かここに……ほら、あった。これがその小説の元となった旅の記録…冒険の書だよ」
盗賊「……難しくて読めねえ。説明しろ、クソオヤジ」
302: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/22(水) 20:09:33 :uu/4tIXY
賢者「うーん、さくっと言えば…先人達は、妖精を助けたあと、人間を苦しめていた悪い竜を退治しにいったんだよ」
賢者「神や魔族、妖精の他に長生きといったら、あとは竜くらいだしねえ。竜が住む山、なんてのもこの近くに現存しているんだ、そこに行ってみたらどうかな」
盗賊「そんな、お伽噺に頼っている場合じゃ…」
魔法使い「でも、今までそのお伽噺に出てくるものに、散々会ったじゃない?長生きした竜は人語も話すっていうし……この助言が、ヒントなんじゃないの?」
僧侶「ど、ど…どうしましょう?勇者様…」
勇者「……魔法使いの言う通りだと私も思う。何より、行き先がまったく見当つかない中での、現れた選択肢だ…行こう。竜の住む山へ」
賢者「…本当に竜がいるとしたら、そのブレスは凶悪だ。皮膚も硬く、剣が通らないなんて話もある。気をつけていきなさいね。竜の住む山の地図があるから、書き写してあげるよ。ちょっと待ってて」
賢者「うーん、さくっと言えば…先人達は、妖精を助けたあと、人間を苦しめていた悪い竜を退治しにいったんだよ」
賢者「神や魔族、妖精の他に長生きといったら、あとは竜くらいだしねえ。竜が住む山、なんてのもこの近くに現存しているんだ、そこに行ってみたらどうかな」
盗賊「そんな、お伽噺に頼っている場合じゃ…」
魔法使い「でも、今までそのお伽噺に出てくるものに、散々会ったじゃない?長生きした竜は人語も話すっていうし……この助言が、ヒントなんじゃないの?」
僧侶「ど、ど…どうしましょう?勇者様…」
勇者「……魔法使いの言う通りだと私も思う。何より、行き先がまったく見当つかない中での、現れた選択肢だ…行こう。竜の住む山へ」
賢者「…本当に竜がいるとしたら、そのブレスは凶悪だ。皮膚も硬く、剣が通らないなんて話もある。気をつけていきなさいね。竜の住む山の地図があるから、書き写してあげるよ。ちょっと待ってて」
303: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/22(水) 20:10:48 :uu/4tIXY
盗賊「どれどれ……うわ、やたら標高ある山だな…これは今の装備じゃ登れねー、買い出しが必要になるぞ」
僧侶「山の上は寒いでしょうし…防寒具もいりますね……と、盗賊さん、私達はお買い物に、行きましょう?この街なら、必要なものがすぐ、全部揃いますよ、お店、沢山ありましたから……」
魔法使い「僕は竜について調べたいな。予め知っておけば、もし戦う事になっても対策を取りやすいもん」
勇者「なら私は魔法使いを手伝おう。盗賊、僧侶、すまないが買い物は頼んだよ」
賢者「書き写すには少し時間がかかるから、ゆっくりでいいよ~。いってらっしゃい」
盗賊「ゆっくりしていられねーんだっての、クソオヤジが!速攻で書き写せ!!」
賢者「んもー、人使いの荒い兄ちゃんなんだからなあ。…わかった、丁寧に、且つ迅速に書き写すから」
勇者「…すみません…よろしくお願い致します、賢者さん」
盗賊「どれどれ……うわ、やたら標高ある山だな…これは今の装備じゃ登れねー、買い出しが必要になるぞ」
僧侶「山の上は寒いでしょうし…防寒具もいりますね……と、盗賊さん、私達はお買い物に、行きましょう?この街なら、必要なものがすぐ、全部揃いますよ、お店、沢山ありましたから……」
魔法使い「僕は竜について調べたいな。予め知っておけば、もし戦う事になっても対策を取りやすいもん」
勇者「なら私は魔法使いを手伝おう。盗賊、僧侶、すまないが買い物は頼んだよ」
賢者「書き写すには少し時間がかかるから、ゆっくりでいいよ~。いってらっしゃい」
盗賊「ゆっくりしていられねーんだっての、クソオヤジが!速攻で書き写せ!!」
賢者「んもー、人使いの荒い兄ちゃんなんだからなあ。…わかった、丁寧に、且つ迅速に書き写すから」
勇者「…すみません…よろしくお願い致します、賢者さん」
306: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/23(木) 01:48:03 :MWOLpnJc
~竜の住処~
僧侶「はあ…はあぁ……け、険しい…岩山ですねえ…はあ……」
盗賊「空気が薄くて、すぐ息切れするな……休み休み行かねェと、体力無くなっちまうぞ…」
勇者「地図によると…もう少し進んだ先に、休憩場がある。そこまで頑張ろう…魔法使い、大丈夫か?疲れていないか?」
魔法使い「うん、大丈夫!みんなも妖精さんがくれた回復薬、飲んだら?それのおかげで、こんなに元気なんだもん、僕」
僧侶「……ううん。薬は、魔法使いくんが飲んで?大丈夫だよ、私達なら…どうしてもっていう時には、もらうから。ね?」
魔法使い「そ、そう?いい薬なのになあ」
盗賊「俺も飲んだ事があるからわかるぜ。…そういやクソアマは、作り方を習ったんだよな?なら、今度作れよ。俺のぶん…」ニヤリ
僧侶「ひいいぃ……ぜぜぜ絶対いやですぅ!!あれを飲んだら、盗賊さんが鬼になっちゃう…」ガタブル
勇者「みんな、休憩場が見えたぞ!」
~竜の住処~
僧侶「はあ…はあぁ……け、険しい…岩山ですねえ…はあ……」
盗賊「空気が薄くて、すぐ息切れするな……休み休み行かねェと、体力無くなっちまうぞ…」
勇者「地図によると…もう少し進んだ先に、休憩場がある。そこまで頑張ろう…魔法使い、大丈夫か?疲れていないか?」
魔法使い「うん、大丈夫!みんなも妖精さんがくれた回復薬、飲んだら?それのおかげで、こんなに元気なんだもん、僕」
僧侶「……ううん。薬は、魔法使いくんが飲んで?大丈夫だよ、私達なら…どうしてもっていう時には、もらうから。ね?」
魔法使い「そ、そう?いい薬なのになあ」
盗賊「俺も飲んだ事があるからわかるぜ。…そういやクソアマは、作り方を習ったんだよな?なら、今度作れよ。俺のぶん…」ニヤリ
僧侶「ひいいぃ……ぜぜぜ絶対いやですぅ!!あれを飲んだら、盗賊さんが鬼になっちゃう…」ガタブル
勇者「みんな、休憩場が見えたぞ!」
307: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/23(木) 01:48:48 :MWOLpnJc
盗賊「はー!はーッ…あー、疲れた……!!やっと休める…!」ドサ
勇者「ふう…この辺りは、…中腹くらい、といったところか…?魔物の数も多いし…厳しい場所だな…」
僧侶「汗をかいても、体が冷えますね…この山、すごく寒い、です……スープを温めましょう、えと……火種、火種」ゴソゴソ
魔法使い「もー、それくらい僕に任せて?……はい、薪木に火をつけたよ!」ボッ
僧侶「あっ。……あ、ありがと、ね?魔法使いくん…」
盗賊「……クソガキ、そいつを甘やかすなよ。火ぃくらい自分でつけさせねーと、すぐグータラすっからな、こいつ」
僧侶「そ!そんなこと、ないですよう!!意地悪なんだから……」
勇者「ははは…。僧侶、私も手伝うよ。腹も満たせるスープにしよう、保存食だけでも上手くやれば、いい味が出せるからな」
僧侶「…勇者様、手際いいんですねえ。お料理得意なんですか?」
盗賊「はー!はーッ…あー、疲れた……!!やっと休める…!」ドサ
勇者「ふう…この辺りは、…中腹くらい、といったところか…?魔物の数も多いし…厳しい場所だな…」
僧侶「汗をかいても、体が冷えますね…この山、すごく寒い、です……スープを温めましょう、えと……火種、火種」ゴソゴソ
魔法使い「もー、それくらい僕に任せて?……はい、薪木に火をつけたよ!」ボッ
僧侶「あっ。……あ、ありがと、ね?魔法使いくん…」
盗賊「……クソガキ、そいつを甘やかすなよ。火ぃくらい自分でつけさせねーと、すぐグータラすっからな、こいつ」
僧侶「そ!そんなこと、ないですよう!!意地悪なんだから……」
勇者「ははは…。僧侶、私も手伝うよ。腹も満たせるスープにしよう、保存食だけでも上手くやれば、いい味が出せるからな」
僧侶「…勇者様、手際いいんですねえ。お料理得意なんですか?」
308: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/23(木) 01:49:32 :MWOLpnJc
魔法使い「勇者様は、料理作るの大好きなんだよ~。作るものなんでも美味しいもん、僕、勇者様のご飯大好きなんだー」
盗賊「へえ。宝物庫じゃ俺が飯を作っちまったし、それ以外は店で食うか出されるか、だったもんな。得意ってんなら早く言えよ、サボれたのに」
勇者「サボると聞いたら、言わない方が良かったと思ってしまうんだが?」
魔法使い「僕も料理できるようになった方がいいかなあ」
僧侶「わ、わ、私も、もっと上手に、なりたいです!勇者様、私にお料理、教えてくれませんか?」
盗賊「おうおう、テメーら全員習っとけ。俺は出来た料理を食べる係な」
魔法使い「お兄さんのおなかをいっぱいにするだけの料理……どれくらい作ったらいいんだろうね?」
勇者「牛一頭平気で食べてしまいそうな勢いだもんな。…さあみんな、スープが温まったよ。火傷しないよう、ゆっくり飲んで」
魔法使い「勇者様は、料理作るの大好きなんだよ~。作るものなんでも美味しいもん、僕、勇者様のご飯大好きなんだー」
盗賊「へえ。宝物庫じゃ俺が飯を作っちまったし、それ以外は店で食うか出されるか、だったもんな。得意ってんなら早く言えよ、サボれたのに」
勇者「サボると聞いたら、言わない方が良かったと思ってしまうんだが?」
魔法使い「僕も料理できるようになった方がいいかなあ」
僧侶「わ、わ、私も、もっと上手に、なりたいです!勇者様、私にお料理、教えてくれませんか?」
盗賊「おうおう、テメーら全員習っとけ。俺は出来た料理を食べる係な」
魔法使い「お兄さんのおなかをいっぱいにするだけの料理……どれくらい作ったらいいんだろうね?」
勇者「牛一頭平気で食べてしまいそうな勢いだもんな。…さあみんな、スープが温まったよ。火傷しないよう、ゆっくり飲んで」
309: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/23(木) 01:50:18 :MWOLpnJc
僧侶「……ふう…暖まりますねえ……ホッとしますぅ~」
魔法使い「あちち、あち……」フーフー
盗賊「つーか、この調子じゃあ今日はここで一泊した方がいいかもしれねえな。思っていた以上に体力を削られる、無理しても余計なもんを招く感じだぜ」
勇者「…そうだな…怪我をしたり、山から落ちても事だ…もしも竜がいたとして、好戦的であったらと考えると…、…ここで休むのが得策か」
僧侶「なら、もう少ししたら、ちゃんとしたご飯を作りましょうか……」
勇者「よし。ならば此処にテントを張ろう」
魔法使い「勇者様!僕も手伝うよー!」
勇者「いや、魔法使い、君は休んでいなさい」
盗賊「……手伝わせてやれ。やりてェって事は、どんどんやらせるべきだ。悔いのないようにな」
勇者「………」
勇者「……わかった…じゃあ、手伝ってくれるか?魔法使い」
魔法使い「うんっ!任せて!」
僧侶「……ふう…暖まりますねえ……ホッとしますぅ~」
魔法使い「あちち、あち……」フーフー
盗賊「つーか、この調子じゃあ今日はここで一泊した方がいいかもしれねえな。思っていた以上に体力を削られる、無理しても余計なもんを招く感じだぜ」
勇者「…そうだな…怪我をしたり、山から落ちても事だ…もしも竜がいたとして、好戦的であったらと考えると…、…ここで休むのが得策か」
僧侶「なら、もう少ししたら、ちゃんとしたご飯を作りましょうか……」
勇者「よし。ならば此処にテントを張ろう」
魔法使い「勇者様!僕も手伝うよー!」
勇者「いや、魔法使い、君は休んでいなさい」
盗賊「……手伝わせてやれ。やりてェって事は、どんどんやらせるべきだ。悔いのないようにな」
勇者「………」
勇者「……わかった…じゃあ、手伝ってくれるか?魔法使い」
魔法使い「うんっ!任せて!」
310: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/23(木) 01:51:05 :MWOLpnJc
~翌日~
魔法使い「はあ、はあ…ふう……、…うわ…これ、もう山道じゃないよ、壁みたい~…」
盗賊「だが登れなくもないようだ、形跡が残っている。杭を打ってロープを垂らそう。俺が先に行く、テメーらはそこで待っていろ」
僧侶「足を滑らせないよう、気をつけてくださいね…!」
盗賊「……よーし、一人ずつ来い、俺に掴まれ。まず先に、クソガキ。お前からだ」
勇者「私は一番最後でいい、僧侶、君は魔法使いの後に続きなさい」
僧侶「は、はい、勇者様!……こここ怖いけど…頑張らなきゃ…」ブルブル
魔法使い「お、お兄さん!離さないでね!!絶対手を離さないでね!?」
盗賊「そう念を押されると、逆に離したくなってくるわ。……っと。よし、クソガキは登れた。次!クソアマ、来い」
僧侶「ひいい……も、も、もう…どっからでも、かかってこいですうぅ!!」
勇者「落ちても私が受け止めてあげるから、頑張って!」
~翌日~
魔法使い「はあ、はあ…ふう……、…うわ…これ、もう山道じゃないよ、壁みたい~…」
盗賊「だが登れなくもないようだ、形跡が残っている。杭を打ってロープを垂らそう。俺が先に行く、テメーらはそこで待っていろ」
僧侶「足を滑らせないよう、気をつけてくださいね…!」
盗賊「……よーし、一人ずつ来い、俺に掴まれ。まず先に、クソガキ。お前からだ」
勇者「私は一番最後でいい、僧侶、君は魔法使いの後に続きなさい」
僧侶「は、はい、勇者様!……こここ怖いけど…頑張らなきゃ…」ブルブル
魔法使い「お、お兄さん!離さないでね!!絶対手を離さないでね!?」
盗賊「そう念を押されると、逆に離したくなってくるわ。……っと。よし、クソガキは登れた。次!クソアマ、来い」
僧侶「ひいい……も、も、もう…どっからでも、かかってこいですうぅ!!」
勇者「落ちても私が受け止めてあげるから、頑張って!」
311: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/23(木) 01:51:50 :MWOLpnJc
僧侶「あああぁ…の、登れたぁ…こ、怖かった~…」
魔法使い「頑張ったね、僧侶さん!偉い偉い」ナデナデ
盗賊「よし、最後はテメーだ、勇者。慎重に来いよ」
勇者「…大丈夫、足場がしっかりしているから、登りやす………うわ!!?」ガラッ!!
僧侶「きゃあ!勇者様ぁっ!!」
勇者「………!! ……あ、あれ、…落ちていない……?」
盗賊「…だから言ったろ、慎重に来いって。油断すんじゃねーよ、バカ」
勇者「!!!?」
魔法使い「よ、良かったー!お兄さんが勇者様を掴んでくれたから、落ちなくて済んだ…」ホッ
僧侶「岩で擦りむいたりしてませんか!?勇者様!」
勇者「あ、ああ。大丈夫だ……」
盗賊「このまま登っちまうからよ、テメーはそっちの杭に足を掛けて体を支えていろ。まずロープを巻きつけて……」グイッ
勇者「(み…密着しすぎて…いや、こんな状況だ、仕方ないんだ、…くそ、油断した私は本当にバカだ!)」
僧侶「あああぁ…の、登れたぁ…こ、怖かった~…」
魔法使い「頑張ったね、僧侶さん!偉い偉い」ナデナデ
盗賊「よし、最後はテメーだ、勇者。慎重に来いよ」
勇者「…大丈夫、足場がしっかりしているから、登りやす………うわ!!?」ガラッ!!
僧侶「きゃあ!勇者様ぁっ!!」
勇者「………!! ……あ、あれ、…落ちていない……?」
盗賊「…だから言ったろ、慎重に来いって。油断すんじゃねーよ、バカ」
勇者「!!!?」
魔法使い「よ、良かったー!お兄さんが勇者様を掴んでくれたから、落ちなくて済んだ…」ホッ
僧侶「岩で擦りむいたりしてませんか!?勇者様!」
勇者「あ、ああ。大丈夫だ……」
盗賊「このまま登っちまうからよ、テメーはそっちの杭に足を掛けて体を支えていろ。まずロープを巻きつけて……」グイッ
勇者「(み…密着しすぎて…いや、こんな状況だ、仕方ないんだ、…くそ、油断した私は本当にバカだ!)」
312: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/23(木) 01:52:35 :MWOLpnJc
盗賊「……この吊り橋を渡った先が、頂上のようだな」
僧侶「つつつ吊り橋!?べ、べ、別に、こわ怖くなんかないですけどね!!宝物庫の、見えない床のが、もっとずっと怖かっ………ひいいぃぃ~っ!!た、高いよー!怖いよー!!」
魔法使い「か、風が強いなあ…吊り橋が揺れる……うわあ!?」バキャァ!!
盗賊「危ねっ!!……板が腐っている部分があるぞ、気をつけろよテメーら!」ガシッ
魔法使い「うわああ、こ、怖かった~…!あっありがとう、お兄さん!もう、無理無理ー!!こ、こんな高いところから落ちるとか、絶対嫌だあ……早く渡りきりたいよー!」
勇者「だが、吊り橋があるという事は、誰かがここまで来たという証拠だな…先人達、か……ここに来る目的…。今度こそ…!!」
僧侶「…わ、わ、…渡れたー!!あああ、私、私…もう、むしろ怖すぎて、高いところ、へっちゃらになれた気がしますよう~っ!!」
盗賊「……この吊り橋を渡った先が、頂上のようだな」
僧侶「つつつ吊り橋!?べ、べ、別に、こわ怖くなんかないですけどね!!宝物庫の、見えない床のが、もっとずっと怖かっ………ひいいぃぃ~っ!!た、高いよー!怖いよー!!」
魔法使い「か、風が強いなあ…吊り橋が揺れる……うわあ!?」バキャァ!!
盗賊「危ねっ!!……板が腐っている部分があるぞ、気をつけろよテメーら!」ガシッ
魔法使い「うわああ、こ、怖かった~…!あっありがとう、お兄さん!もう、無理無理ー!!こ、こんな高いところから落ちるとか、絶対嫌だあ……早く渡りきりたいよー!」
勇者「だが、吊り橋があるという事は、誰かがここまで来たという証拠だな…先人達、か……ここに来る目的…。今度こそ…!!」
僧侶「…わ、わ、…渡れたー!!あああ、私、私…もう、むしろ怖すぎて、高いところ、へっちゃらになれた気がしますよう~っ!!」
313: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/23(木) 01:53:28 :MWOLpnJc
?「………なんだ、喧しいのう…。目が覚めてしまったではないか……」
魔法使い「はあ、はあ、は……、……え?誰?今の声、―― !!?!?うわああああっ!!」
盗賊「な、な、なっ」
勇者「で…でかい……!!まるで、もうひとつ山があるような…」
僧侶「あ……あ、貴方が……竜、なんですか…?」
魔竜「…ワシを訪ねて来たのではないのか?だとしたら、酔狂なものだの。こんな、何もない岩山に、わざわざ登りに来るとは…」
魔竜「如何にも。ワシの名は、竜……魔竜だ。人間がここまで来るとは、どれくらいぶりかの。ふむ……昨日から漂ってきた、旨そうな匂いは、お前達だったのか」
勇者「う…旨そう、って。食べる気か?私達を」
盗賊「……体の至るところに剣を打たれて、岩に縫い付けられている奴が、随分大きく出やがる。実際でかいんだけどよ。…つーか…剣、で?」
?「………なんだ、喧しいのう…。目が覚めてしまったではないか……」
魔法使い「はあ、はあ、は……、……え?誰?今の声、―― !!?!?うわああああっ!!」
盗賊「な、な、なっ」
勇者「で…でかい……!!まるで、もうひとつ山があるような…」
僧侶「あ……あ、貴方が……竜、なんですか…?」
魔竜「…ワシを訪ねて来たのではないのか?だとしたら、酔狂なものだの。こんな、何もない岩山に、わざわざ登りに来るとは…」
魔竜「如何にも。ワシの名は、竜……魔竜だ。人間がここまで来るとは、どれくらいぶりかの。ふむ……昨日から漂ってきた、旨そうな匂いは、お前達だったのか」
勇者「う…旨そう、って。食べる気か?私達を」
盗賊「……体の至るところに剣を打たれて、岩に縫い付けられている奴が、随分大きく出やがる。実際でかいんだけどよ。…つーか…剣、で?」
314: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/23(木) 01:54:17 :MWOLpnJc
魔竜「バカも休み休み言え。魔獣ではあるまいし…ワシは人間など、不味い匂いのものは食わん。お前達、この山で食事を取ったろう?その匂いが、ここまで漂ってきたわ」
魔竜「とくに……そこの坊主。お前からいい匂いがするのう…その法衣のポケットに入れているものは、なんだ?」
魔法使い「えっ!?ぼ、僕!?……あ、おやつに買ってもらった、チョコレートの残り、だけど」
魔竜「チョコレート……甘いものか!!…すまん、ワシは甘いものに目が無くての……良ければ、食わせてくれんか?そのチョコレートを」
魔法使い「ええええ!!?……ち、ち、近づいて、大丈夫…かな……?たたた食べられたりしないかな!?」
僧侶「竜って、甘いものが、好きなんですか?…し、知らなかった、です」
魔竜「怖ければ、そこから投げてくれていい。口で受け止める、……さあ、早く食わせてくれ、チョコレートを!!」
魔竜「バカも休み休み言え。魔獣ではあるまいし…ワシは人間など、不味い匂いのものは食わん。お前達、この山で食事を取ったろう?その匂いが、ここまで漂ってきたわ」
魔竜「とくに……そこの坊主。お前からいい匂いがするのう…その法衣のポケットに入れているものは、なんだ?」
魔法使い「えっ!?ぼ、僕!?……あ、おやつに買ってもらった、チョコレートの残り、だけど」
魔竜「チョコレート……甘いものか!!…すまん、ワシは甘いものに目が無くての……良ければ、食わせてくれんか?そのチョコレートを」
魔法使い「ええええ!!?……ち、ち、近づいて、大丈夫…かな……?たたた食べられたりしないかな!?」
僧侶「竜って、甘いものが、好きなんですか?…し、知らなかった、です」
魔竜「怖ければ、そこから投げてくれていい。口で受け止める、……さあ、早く食わせてくれ、チョコレートを!!」
315: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/23(木) 01:55:06 :MWOLpnJc
盗賊「テメーの図体からして、チョコの残りとか…砂粒サイズじゃねーか。いいのか、それで」
魔法使い「ぼ…僕達を食べないなら、いいよ。あげる。……えいやっ」ポイ!
魔竜「ふむ」パク
魔竜「………う~む……まったりと口に広がる、この甘さ…ハアーッ、たまらんのォォ~」
ゴオオォォ!!
僧侶「きゃああああ!!?ぶっブレス!?ブレス攻撃ですか!?」
魔竜「あ、すまん。ついうっとりと溜息を吐いてしもうた」
勇者「溜息!?今のが溜息!?凄まじい風のようだったぞ!」
盗賊「テメー、溜息禁止にしろ!こんな切り立った場所で、洒落にならねーよ、吹っ飛ばされる!!」
魔竜「しかし、物足りんの。坊主、他には持っておらんのか。甘いもの」
魔法使い「え、えっと、鞄の中に、クッキーもあるけど……」
盗賊「ダメだダメだダメだ!!また溜息吐かれたら今度こそヤバいっつうの、甘味も禁止だ!!」
盗賊「テメーの図体からして、チョコの残りとか…砂粒サイズじゃねーか。いいのか、それで」
魔法使い「ぼ…僕達を食べないなら、いいよ。あげる。……えいやっ」ポイ!
魔竜「ふむ」パク
魔竜「………う~む……まったりと口に広がる、この甘さ…ハアーッ、たまらんのォォ~」
ゴオオォォ!!
僧侶「きゃああああ!!?ぶっブレス!?ブレス攻撃ですか!?」
魔竜「あ、すまん。ついうっとりと溜息を吐いてしもうた」
勇者「溜息!?今のが溜息!?凄まじい風のようだったぞ!」
盗賊「テメー、溜息禁止にしろ!こんな切り立った場所で、洒落にならねーよ、吹っ飛ばされる!!」
魔竜「しかし、物足りんの。坊主、他には持っておらんのか。甘いもの」
魔法使い「え、えっと、鞄の中に、クッキーもあるけど……」
盗賊「ダメだダメだダメだ!!また溜息吐かれたら今度こそヤバいっつうの、甘味も禁止だ!!」
318: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/23(木) 12:57:28 :MWOLpnJc
魔竜「ぬう……そうか、禁止か…」ションボリ
僧侶「あああ…ガッカリ項垂れちゃいましたよ、……な、なんか…可愛い方なんですね…?」
勇者「イメージが音を立てて崩れていくな…。……こほん。…すみません、魔竜殿。貴方は神族や妖精達と同じく、長寿であるとお聞きしました。私達は今、古代の呪いによって、苦しめられております。解呪法をご存知ありませんか?」
魔竜「…古代の呪い?」
魔法使い「あの…僕が、そうなんです。誰かに呪いをかけられたみたいで…体にも、こんな呪傷が出てきて…解呪法か、この呪いをかけた人を、知りたいんです」
魔竜「それは…!!……そうか、…お前達が……。…やれやれ、ワシも耄碌したものだ…この場に長く縫い付けられておったからの……」
魔竜「…ワシは…その呪いをかけた者を知っておる。…完全な解呪は無理だが、呪いの力を消す物の存在を知っておる」
魔竜「ぬう……そうか、禁止か…」ションボリ
僧侶「あああ…ガッカリ項垂れちゃいましたよ、……な、なんか…可愛い方なんですね…?」
勇者「イメージが音を立てて崩れていくな…。……こほん。…すみません、魔竜殿。貴方は神族や妖精達と同じく、長寿であるとお聞きしました。私達は今、古代の呪いによって、苦しめられております。解呪法をご存知ありませんか?」
魔竜「…古代の呪い?」
魔法使い「あの…僕が、そうなんです。誰かに呪いをかけられたみたいで…体にも、こんな呪傷が出てきて…解呪法か、この呪いをかけた人を、知りたいんです」
魔竜「それは…!!……そうか、…お前達が……。…やれやれ、ワシも耄碌したものだ…この場に長く縫い付けられておったからの……」
魔竜「…ワシは…その呪いをかけた者を知っておる。…完全な解呪は無理だが、呪いの力を消す物の存在を知っておる」
319: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/23(木) 12:58:21 :MWOLpnJc
勇者「ほ…本当ですか!?是非、是非、教えて頂けませんか!?」
盗賊「教えてくれたら甘いものをやるぞ!足りないなら、山を降りて買いに行ってやってもいいぜ!?だから教えてくれ!!」
魔竜「甘いもの!!!」ダパー
僧侶「わあ、涎がまるで滝のようです…」
魔法使い「いちいちスケールがでかいね、魔竜さん…」
魔竜「う~む……だが、しかし…いや、………もう、良いか。ワシはもう、充分に生きた…甘いものも食べられたしの…」
魔竜「…良かろう。話してやるぞ、人間達よ」
魔竜「その前に、改めて自己紹介をしよう。…ワシの名は魔竜。―― 魔王に仕えし四天王が一人……いや、ワシの場合は一竜、一頭…かの」
勇者「………!?」
僧侶「ま……魔王…!?四天王!?あ…貴方が……」
魔法使い「………こんな、強大な……それを操る魔王って、どれだけ凄いんだろう…」
盗賊「………」
勇者「ほ…本当ですか!?是非、是非、教えて頂けませんか!?」
盗賊「教えてくれたら甘いものをやるぞ!足りないなら、山を降りて買いに行ってやってもいいぜ!?だから教えてくれ!!」
魔竜「甘いもの!!!」ダパー
僧侶「わあ、涎がまるで滝のようです…」
魔法使い「いちいちスケールがでかいね、魔竜さん…」
魔竜「う~む……だが、しかし…いや、………もう、良いか。ワシはもう、充分に生きた…甘いものも食べられたしの…」
魔竜「…良かろう。話してやるぞ、人間達よ」
魔竜「その前に、改めて自己紹介をしよう。…ワシの名は魔竜。―― 魔王に仕えし四天王が一人……いや、ワシの場合は一竜、一頭…かの」
勇者「………!?」
僧侶「ま……魔王…!?四天王!?あ…貴方が……」
魔法使い「………こんな、強大な……それを操る魔王って、どれだけ凄いんだろう…」
盗賊「………」
320: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/23(木) 12:59:17 :MWOLpnJc
魔竜「…そう身構えなくて良い。ワシはもう敵対する気も、戦う気もない。見ろ、ワシの情けない姿を。びくとも動けぬわ」
魔竜「そもそも、ワシは元から戦う気などなかった……魔王に大事なものを奪われてしまったからの、仕方無く仕えていただけよ」フー…
勇者「大事なもの…?あの、溜息は控えて頂けると、有り難いのですが…」
魔竜「まあ、そのような理由と、昔、人間に勝ちを譲った事もバレての。魔王の怒りを買い、ここに縫い付けられてしまったのよ」
僧侶「……魔竜さん…一体、どのくらいの、時間を…ここで過ごしたのですか……ずっと、一人で…?」
魔竜「さてのう。ワシは数を数える趣味はないのでな、わからん。寂しくはなかったよ、ワシの趣味は眠る事だからの」
魔竜「…坊主。お前に呪いをかけた者、その呪法を使える者……それは、魔王だ」
魔法使い「えっ!!?魔王が!?なんで、僕に……!?」
魔竜「…そう身構えなくて良い。ワシはもう敵対する気も、戦う気もない。見ろ、ワシの情けない姿を。びくとも動けぬわ」
魔竜「そもそも、ワシは元から戦う気などなかった……魔王に大事なものを奪われてしまったからの、仕方無く仕えていただけよ」フー…
勇者「大事なもの…?あの、溜息は控えて頂けると、有り難いのですが…」
魔竜「まあ、そのような理由と、昔、人間に勝ちを譲った事もバレての。魔王の怒りを買い、ここに縫い付けられてしまったのよ」
僧侶「……魔竜さん…一体、どのくらいの、時間を…ここで過ごしたのですか……ずっと、一人で…?」
魔竜「さてのう。ワシは数を数える趣味はないのでな、わからん。寂しくはなかったよ、ワシの趣味は眠る事だからの」
魔竜「…坊主。お前に呪いをかけた者、その呪法を使える者……それは、魔王だ」
魔法使い「えっ!!?魔王が!?なんで、僕に……!?」
321: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/23(木) 13:00:06 :MWOLpnJc
魔竜「何故かはワシの口から言えん。今の魔王は昔より寛大になったとはいえ…ある事に触れては、途端に始末されるからの…すまん」
魔竜「その呪いを解くには魔王を倒すか……もしくは、白の宝玉を手に入れれば、呪いの力を消せる」
盗賊「…宝玉?青や赤の宝玉と、同じものか……?」
僧侶「………」
魔竜「…遥か昔、魔王と対決した英雄達。彼らの魂が封印されている、4つの宝玉…そのうちのひとつ、白の宝玉は邪気を中和し癒す力を持つ」
魔竜「そう、白の宝玉ならば、例え魔王の呪いでも、癒す事ができるのだ。呪いの根っ子は残ってしまうだろうが…削られた生命も体力も、全て補い回復してくれるだろう」
勇者「その、白の宝玉とは!どこにあるのですか!?」
魔竜「……ワシが持っておったよ。魔王から守りたくての。しかし、すまん。奪われてしまったのだ、……あの、キツネめ…」
僧侶「キツネ……?」
魔竜「何故かはワシの口から言えん。今の魔王は昔より寛大になったとはいえ…ある事に触れては、途端に始末されるからの…すまん」
魔竜「その呪いを解くには魔王を倒すか……もしくは、白の宝玉を手に入れれば、呪いの力を消せる」
盗賊「…宝玉?青や赤の宝玉と、同じものか……?」
僧侶「………」
魔竜「…遥か昔、魔王と対決した英雄達。彼らの魂が封印されている、4つの宝玉…そのうちのひとつ、白の宝玉は邪気を中和し癒す力を持つ」
魔竜「そう、白の宝玉ならば、例え魔王の呪いでも、癒す事ができるのだ。呪いの根っ子は残ってしまうだろうが…削られた生命も体力も、全て補い回復してくれるだろう」
勇者「その、白の宝玉とは!どこにあるのですか!?」
魔竜「……ワシが持っておったよ。魔王から守りたくての。しかし、すまん。奪われてしまったのだ、……あの、キツネめ…」
僧侶「キツネ……?」
322: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/23(木) 13:00:52 :MWOLpnJc
魔竜「キツネ……四天王が一人、魔精。妖精でありながら、仲間を捨てて自ら魔王に魂を売った、愚か者よ。あいつの考える事はさっぱりわからん」
魔竜「奴は青の宝玉を守るよう、魔王から命じられていた筈なのに、それを放置して…ワシから白の宝玉を奪っていった。思うに、その呪いの対抗策であったから…だろうのう」
魔竜「…ワシはどうしても、白の宝玉を守りたい。だが、お前達が必要とするならば、……お前達ならば、宝玉を譲ろう。ワシの代わりに、魔精を倒してくれ。白の宝玉を取り返してくれんか」
魔竜「魔精の奴は、幻惑や魅了魔法をもっとも得意とする。…ワシの尻尾から、一枚、鱗を剥がしていけ。魔精の使う魔法を弾けるからの」
魔法使い「鱗を……い、痛くないの?剥がしても…」
魔竜「人間のお前達で表すなら、髪を一本抜く程度の事よ、ワシにとってはな」
魔竜「…ワシは、早く白の宝玉を休ませてやりたいのだ…宜しく頼む、人間達よ」
魔竜「キツネ……四天王が一人、魔精。妖精でありながら、仲間を捨てて自ら魔王に魂を売った、愚か者よ。あいつの考える事はさっぱりわからん」
魔竜「奴は青の宝玉を守るよう、魔王から命じられていた筈なのに、それを放置して…ワシから白の宝玉を奪っていった。思うに、その呪いの対抗策であったから…だろうのう」
魔竜「…ワシはどうしても、白の宝玉を守りたい。だが、お前達が必要とするならば、……お前達ならば、宝玉を譲ろう。ワシの代わりに、魔精を倒してくれ。白の宝玉を取り返してくれんか」
魔竜「魔精の奴は、幻惑や魅了魔法をもっとも得意とする。…ワシの尻尾から、一枚、鱗を剥がしていけ。魔精の使う魔法を弾けるからの」
魔法使い「鱗を……い、痛くないの?剥がしても…」
魔竜「人間のお前達で表すなら、髪を一本抜く程度の事よ、ワシにとってはな」
魔竜「…ワシは、早く白の宝玉を休ませてやりたいのだ…宜しく頼む、人間達よ」
323: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/23(木) 13:01:41 :MWOLpnJc
盗賊「鱗もやたらデケーな……ちょっとした盾だぜ、こりゃあ。なるべく小さめの、持ち運びやすいの……よし、剥がすぞ?」ベリッ
魔竜「うむ。その鱗に念じれば、直ちにこの場所へ戻って来られる。良かったら、宝玉を取り返した時…ワシにも見せてくれぬか」
魔竜「魔精の奴は今、貿易大国……カジノ街の大劇場に居る。奴の匂いはここまでプンプンと漂ってくるでの。人の姿に化けておるが、ワシの鱗を持っていれば、その術も破れる」
盗賊「便利な鱗だな。青の宝玉も時たま幻惑魔法とか消してくれるが、働かねー時があるしよー」
魔竜「ワシの鱗はレアだぞ、本当ならば大量の菓子と引き換えだ、と言いたいわ」
勇者「ふふ……いいですよ、良くして頂いた礼に、事が済んだらお菓子を持って、ここに来ますから」
勇者「魔王に仕えていたと聞いても……何故か、貴方は純粋で…綺麗なものが見える気がしてならないですし…信じて良さそうだ」
盗賊「鱗もやたらデケーな……ちょっとした盾だぜ、こりゃあ。なるべく小さめの、持ち運びやすいの……よし、剥がすぞ?」ベリッ
魔竜「うむ。その鱗に念じれば、直ちにこの場所へ戻って来られる。良かったら、宝玉を取り返した時…ワシにも見せてくれぬか」
魔竜「魔精の奴は今、貿易大国……カジノ街の大劇場に居る。奴の匂いはここまでプンプンと漂ってくるでの。人の姿に化けておるが、ワシの鱗を持っていれば、その術も破れる」
盗賊「便利な鱗だな。青の宝玉も時たま幻惑魔法とか消してくれるが、働かねー時があるしよー」
魔竜「ワシの鱗はレアだぞ、本当ならば大量の菓子と引き換えだ、と言いたいわ」
勇者「ふふ……いいですよ、良くして頂いた礼に、事が済んだらお菓子を持って、ここに来ますから」
勇者「魔王に仕えていたと聞いても……何故か、貴方は純粋で…綺麗なものが見える気がしてならないですし…信じて良さそうだ」
324: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/23(木) 13:02:21 :MWOLpnJc
魔竜「…時が来れば、その理由もわかるだろうて。だが、今は魔精の事だけを考えろ」
勇者「…はい。ありがとうございます、魔竜殿」
魔竜「麓まで戻るのは大変だろう、ワシのブレスで送ってやる。皆、ひとつに固まっておれ」スウウゥー
盗賊「!? ちょっ、待て!!ブレスでって……吹き飛ばす気か!?やめろ!死ぬ!この高さからとか死ぬわ!!」
僧侶「えっ、えっえっ、ちょっと待って!待ってください、心の準備が!!」
魔法使い「いいよ、大丈夫だよ!僕達、歩いて降りていけるから!!ブレスはやめてーっ!!」
勇者「溜息であれだけの突風だったのに、ブレスとなったら、どれだけの……!」
魔竜「オオオオオ!!!」カッ!!
ゴオウウゥゥッッ!!!
魔竜「……ぷふーっ………頼んだぞ、人間達よ。……転生したお前達ならば、やり遂げられる…」
魔竜「…時が来れば、その理由もわかるだろうて。だが、今は魔精の事だけを考えろ」
勇者「…はい。ありがとうございます、魔竜殿」
魔竜「麓まで戻るのは大変だろう、ワシのブレスで送ってやる。皆、ひとつに固まっておれ」スウウゥー
盗賊「!? ちょっ、待て!!ブレスでって……吹き飛ばす気か!?やめろ!死ぬ!この高さからとか死ぬわ!!」
僧侶「えっ、えっえっ、ちょっと待って!待ってください、心の準備が!!」
魔法使い「いいよ、大丈夫だよ!僕達、歩いて降りていけるから!!ブレスはやめてーっ!!」
勇者「溜息であれだけの突風だったのに、ブレスとなったら、どれだけの……!」
魔竜「オオオオオ!!!」カッ!!
ゴオウウゥゥッッ!!!
魔竜「……ぷふーっ………頼んだぞ、人間達よ。……転生したお前達ならば、やり遂げられる…」
325: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/23(木) 13:03:07 :MWOLpnJc
ブワアァァッッ
僧侶「ぎゃああああああ!!あああもう駄目!もう駄目~!!かっ神様ぁぁー!!!今そちらに参りますうぅ!!」
盗賊「クソアマ!!……あっのクソトカゲ、やめろっつったのに!ふざけんなああー!!」ギュッ
魔法使い「うわあああ!!!……あ、あ、………あれ?ちょっと待って…僕達、空を飛んでない…?落ちていくって感じじゃないんだけど…」
勇者「…勢いがどんどん失せて……まるで綿毛に包まれているような柔らかさを感じるな。これなら、地上に無事降りられそうだ…」
フワアッ…
魔法使い「わ……、…生きてる…い、生きてるよー僕達!!山のてっぺんから吹き飛ばされたのに!竜のブレスってすごーい!!」
僧侶「ひっ、ひ、ひっ」ガクガクギュウ
盗賊「寿命はマッハで縮んだがな……こういう事なら先に説明しろ、クソトカゲが!!菓子に辛子混ぜてやろうか、バッキャロー!!!」
ブワアァァッッ
僧侶「ぎゃああああああ!!あああもう駄目!もう駄目~!!かっ神様ぁぁー!!!今そちらに参りますうぅ!!」
盗賊「クソアマ!!……あっのクソトカゲ、やめろっつったのに!ふざけんなああー!!」ギュッ
魔法使い「うわあああ!!!……あ、あ、………あれ?ちょっと待って…僕達、空を飛んでない…?落ちていくって感じじゃないんだけど…」
勇者「…勢いがどんどん失せて……まるで綿毛に包まれているような柔らかさを感じるな。これなら、地上に無事降りられそうだ…」
フワアッ…
魔法使い「わ……、…生きてる…い、生きてるよー僕達!!山のてっぺんから吹き飛ばされたのに!竜のブレスってすごーい!!」
僧侶「ひっ、ひ、ひっ」ガクガクギュウ
盗賊「寿命はマッハで縮んだがな……こういう事なら先に説明しろ、クソトカゲが!!菓子に辛子混ぜてやろうか、バッキャロー!!!」
326: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/23(木) 13:03:52 :MWOLpnJc
魔法使い「……でも、ちょっと楽しかったかも!気球も使わず空を飛べたんだもん、鳥になったみたいだったよー!」
盗賊「はあ!?正気かお前!?……ったく、ガキは無邪気でいいよな…俺は金輪際ごめんだ、死ぬかと思った」
僧侶「あうあう、あああ……、…はっ!?あ、あれ、死んでない…生きている……。……ぎゃああっごごごごめんなさい、盗賊さん!!しっしがみついてたとか……あわわわわ!!」バッ
盗賊「…ふん。ビビって漏らしてなきゃいいけどよ?おい、クソガキ。俺の服、汚れてねーか?」
僧侶「漏らすとか!すごい怖かったけど、そんな事するわけないじゃないですか!バカ!!バカー!!」
勇者「………」
勇者「…とにかく。魔精を倒しに行こう、白の宝玉を取り返すんだ。それがあれば…魔法使いは助かる!行くぞ、みんな。貿易大国へ戻ろう!」
魔法使い「……魔王の配下…四天王か、……魔竜さんみたいに大きいのかな…」
魔法使い「……でも、ちょっと楽しかったかも!気球も使わず空を飛べたんだもん、鳥になったみたいだったよー!」
盗賊「はあ!?正気かお前!?……ったく、ガキは無邪気でいいよな…俺は金輪際ごめんだ、死ぬかと思った」
僧侶「あうあう、あああ……、…はっ!?あ、あれ、死んでない…生きている……。……ぎゃああっごごごごめんなさい、盗賊さん!!しっしがみついてたとか……あわわわわ!!」バッ
盗賊「…ふん。ビビって漏らしてなきゃいいけどよ?おい、クソガキ。俺の服、汚れてねーか?」
僧侶「漏らすとか!すごい怖かったけど、そんな事するわけないじゃないですか!バカ!!バカー!!」
勇者「………」
勇者「…とにかく。魔精を倒しに行こう、白の宝玉を取り返すんだ。それがあれば…魔法使いは助かる!行くぞ、みんな。貿易大国へ戻ろう!」
魔法使い「……魔王の配下…四天王か、……魔竜さんみたいに大きいのかな…」
327: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/23(木) 13:04:39 :MWOLpnJc
~貿易大国・カジノ街~
盗賊「………どういう事だ、こりゃあ…前に来たときは、スゲー騒がしかったのに。ネオンも全て消えている…」
勇者「……街中全ての人間を昏睡魔法で眠らせたな。この手口、知っているぞ。……やはり、貴様なんだな…魔精というのは…」ギリッ
僧侶「…魔法使いくん。戦いの前に、お薬の時間だよ。回復薬飲んでおこう?ね?」
魔法使い「え、大丈夫だよ。まだまだ元気だもん、今はそんな場合じゃ……」
僧侶「ダメだよ、これからいっぱい大変な事になるだろうから、力をつけなきゃ。お薬はちゃんと飲まなきゃダメ。……はい、飲んで」
盗賊「…勇者。クソアマがさっき言っていたぜ、……あの薬で、最後だ。もう材料も尽きた」
勇者「…ああ……しかし、終わるのは薬だけじゃない。魔法使いの苦しみも、今日、ここで終わる。彼は助かる、私が助ける!!魔精……奴を倒すッ!!」
~貿易大国・カジノ街~
盗賊「………どういう事だ、こりゃあ…前に来たときは、スゲー騒がしかったのに。ネオンも全て消えている…」
勇者「……街中全ての人間を昏睡魔法で眠らせたな。この手口、知っているぞ。……やはり、貴様なんだな…魔精というのは…」ギリッ
僧侶「…魔法使いくん。戦いの前に、お薬の時間だよ。回復薬飲んでおこう?ね?」
魔法使い「え、大丈夫だよ。まだまだ元気だもん、今はそんな場合じゃ……」
僧侶「ダメだよ、これからいっぱい大変な事になるだろうから、力をつけなきゃ。お薬はちゃんと飲まなきゃダメ。……はい、飲んで」
盗賊「…勇者。クソアマがさっき言っていたぜ、……あの薬で、最後だ。もう材料も尽きた」
勇者「…ああ……しかし、終わるのは薬だけじゃない。魔法使いの苦しみも、今日、ここで終わる。彼は助かる、私が助ける!!魔精……奴を倒すッ!!」
334: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/23(木) 19:47:48 :MWOLpnJc
~大劇場・中央ホール~
勇者「本当に大きな劇場だな、椅子もどれ程の数があるのか…三階まであるなんて」
魔法使い「ここでお芝居を見たら、すごく楽しそう。戦いじゃなくて、そっちの目的で来たかったな」
僧侶「……勇者様、魔竜さんから頂いた鱗が…なんだか、光っています…」
勇者「…近くにいるんだ、奴が。―― 出てこい!!姿を現せ、魔精!!」
―― ピカッ!!
?「ハーッハッハッハー!!スポットライト、オンンッッ!!」
僧侶「!?!!?!??」
魔法使い「あ……貴方は!!」
盗賊「…知り合いか?なんだ、あの変態野郎。一人舞台で飛び跳ねてんぞ」
スーパースター「ハッハッハ!!ハーッハッハッハー!!美しい私を美しく照らすスポットライト!!美しく目立つ大舞台!!テンションが上がるねえぇ、さあ!美しい私を見るんだ!!美しい私を見てくれええっっ!ハーッハッハッハー!!」
~大劇場・中央ホール~
勇者「本当に大きな劇場だな、椅子もどれ程の数があるのか…三階まであるなんて」
魔法使い「ここでお芝居を見たら、すごく楽しそう。戦いじゃなくて、そっちの目的で来たかったな」
僧侶「……勇者様、魔竜さんから頂いた鱗が…なんだか、光っています…」
勇者「…近くにいるんだ、奴が。―― 出てこい!!姿を現せ、魔精!!」
―― ピカッ!!
?「ハーッハッハッハー!!スポットライト、オンンッッ!!」
僧侶「!?!!?!??」
魔法使い「あ……貴方は!!」
盗賊「…知り合いか?なんだ、あの変態野郎。一人舞台で飛び跳ねてんぞ」
スーパースター「ハッハッハ!!ハーッハッハッハー!!美しい私を美しく照らすスポットライト!!美しく目立つ大舞台!!テンションが上がるねえぇ、さあ!美しい私を見るんだ!!美しい私を見てくれええっっ!ハーッハッハッハー!!」
335: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/23(木) 19:48:42 :MWOLpnJc
魔法使い「あの人は…僕達に付きまとってきた、変な人だよ。暫く姿を見なかったけど、ここにいたんだ…」
魔法使い「貴方が…貴方が、魔精なの?スターさん!!」
スーパースター「ハッハッハ、美しい私はスキャンダルを避けたくてね。巻き込まれない為にも、色んな姿を持っているのだよ。私のメイクテクは、君達もよく知っているだろう?」
スーパースター「そう……ある時は、大聖堂の街、酒場の男B!!ある時は、美しいこの私、スーパースター!!そしてェ!!またある時は!」
スーパースター「ふふ……この仮面に見覚えはあるだろう?」スッ
勇者「!!!……貴方が…!」
魔法使い「その、仮面……僕達や、みんなを襲った、仮面男の……」
スーパースター「美しい私は様々な美しい姿を持つ!!その中のひとつが、魔王が配下、四天王の一人!魔精!ただそれだけの事だ、ハッハッハ!ハーッハッハッハー!!」
魔法使い「あの人は…僕達に付きまとってきた、変な人だよ。暫く姿を見なかったけど、ここにいたんだ…」
魔法使い「貴方が…貴方が、魔精なの?スターさん!!」
スーパースター「ハッハッハ、美しい私はスキャンダルを避けたくてね。巻き込まれない為にも、色んな姿を持っているのだよ。私のメイクテクは、君達もよく知っているだろう?」
スーパースター「そう……ある時は、大聖堂の街、酒場の男B!!ある時は、美しいこの私、スーパースター!!そしてェ!!またある時は!」
スーパースター「ふふ……この仮面に見覚えはあるだろう?」スッ
勇者「!!!……貴方が…!」
魔法使い「その、仮面……僕達や、みんなを襲った、仮面男の……」
スーパースター「美しい私は様々な美しい姿を持つ!!その中のひとつが、魔王が配下、四天王の一人!魔精!ただそれだけの事だ、ハッハッハ!ハーッハッハッハー!!」
336: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/23(木) 19:49:29 :MWOLpnJc
スーパースター「美しい私の美しい舞台演出は如何だったかな?ハッハッハ、楽しんで頂けたかい?…さあ!ラストダンスを始めようじゃないかー!」
勇者「!! 来るか!?」
スーパースター「若者達!私に続け!!踊りたまえ、両手を挙げて!足を踏み鳴らして!!」
僧侶「…え?えっ、えっ?」
スーパースター「さあ!ご一緒に!!ワーイ!」
魔法使い「わ、ワーイ?」
スーパースター「エムッ!!」
僧侶「え…エム?」
スーパースター「シーッッ!!」
魔法使い・僧侶「シー!!」
スーパースター「エ 盗賊「何やってんだテメーらは!!」ゴスッ!!
勇者「………よし!」グッ
盗賊「よし!じゃねーよ!!なんなんだこいつは、クソガキにクソアマもだ、つられて踊ってんじゃねーよ!バカ共が!!」
スーパースター「ふふふ……見たかね、私のダンスの威力を…」ドクドク
盗賊「鼻血スゲーぞテメー」
スーパースター「美しい私の美しい舞台演出は如何だったかな?ハッハッハ、楽しんで頂けたかい?…さあ!ラストダンスを始めようじゃないかー!」
勇者「!! 来るか!?」
スーパースター「若者達!私に続け!!踊りたまえ、両手を挙げて!足を踏み鳴らして!!」
僧侶「…え?えっ、えっ?」
スーパースター「さあ!ご一緒に!!ワーイ!」
魔法使い「わ、ワーイ?」
スーパースター「エムッ!!」
僧侶「え…エム?」
スーパースター「シーッッ!!」
魔法使い・僧侶「シー!!」
スーパースター「エ 盗賊「何やってんだテメーらは!!」ゴスッ!!
勇者「………よし!」グッ
盗賊「よし!じゃねーよ!!なんなんだこいつは、クソガキにクソアマもだ、つられて踊ってんじゃねーよ!バカ共が!!」
スーパースター「ふふふ……見たかね、私のダンスの威力を…」ドクドク
盗賊「鼻血スゲーぞテメー」
337: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/23(木) 19:50:47 :MWOLpnJc
スーパースター「ハッハッハ!私は戦いが苦手でねェ。できる事といったら、この美しい肉体を披露するだけなのさ!」
勇者「…ふざけるのも、もう終わりだ。魔法使いにかけた呪いの効果を断つため…貴方が持っているという、白の宝玉を渡してもらおう」
スーパースター「ハッハッハ、白の宝玉、ねえ……これの事かい?」スッ
僧侶「…やっぱり……私達が持っている、赤と青の宝玉と、同じ……」
スーパースター「ハッハッハ!これには、かつて私達や魔王を追い詰めた英雄の一人……シスターの魂が封じられているのさ」
スーパースター「シスターは、まるで女神が地上に降りてきたと言われる程……美しく、優しく、清らかで。全てのものを癒していったさあ」
スーパースター「そう、あの魔竜すらも、ね…元々、不本意ながら魔王に従っていた魔竜は、シスターに癒される事で、反旗を翻す意思を持ったのだよ」
スーパースター「ハッハッハ!私は戦いが苦手でねェ。できる事といったら、この美しい肉体を披露するだけなのさ!」
勇者「…ふざけるのも、もう終わりだ。魔法使いにかけた呪いの効果を断つため…貴方が持っているという、白の宝玉を渡してもらおう」
スーパースター「ハッハッハ、白の宝玉、ねえ……これの事かい?」スッ
僧侶「…やっぱり……私達が持っている、赤と青の宝玉と、同じ……」
スーパースター「ハッハッハ!これには、かつて私達や魔王を追い詰めた英雄の一人……シスターの魂が封じられているのさ」
スーパースター「シスターは、まるで女神が地上に降りてきたと言われる程……美しく、優しく、清らかで。全てのものを癒していったさあ」
スーパースター「そう、あの魔竜すらも、ね…元々、不本意ながら魔王に従っていた魔竜は、シスターに癒される事で、反旗を翻す意思を持ったのだよ」
338: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/23(木) 19:51:36 :MWOLpnJc
スーパースター「シスターの意識は消滅している。宝玉はただひたすらに周囲のものを癒すだけ…半永久的にね。その癒しの力は凄まじい、どんな傷も、呪いすらも、たちまち癒してしまう」
スーパースター「欲しいかね?この白の宝玉が」
勇者「その為に、ここまで来たんだ!それがあれば魔法使いの呪いを癒せる、彼を救える!!だから、その宝玉を……」
スーパースター「じゃ、あげよう」ポイッ
僧侶「……えっ?」
盗賊「な…、はあ?おい、こういう流れは普通、欲しかったら私を倒せー、とか、そういうもんじゃねーの?肩透かしがすぎるぞ!?」
スーパースター「ハッハッハ!美しい私の話を聞いていなかったのかい、凛々しい青年くん!美しい私は戦いが苦手なのだよ、美しくね!弱っちいんだ、スライム以下なのさあ!うん、チビりそうなくらいビビってる」
勇者「……相変わらず、何を考えているのかわからない、疲れる…不気味な男だな、貴方は」
スーパースター「シスターの意識は消滅している。宝玉はただひたすらに周囲のものを癒すだけ…半永久的にね。その癒しの力は凄まじい、どんな傷も、呪いすらも、たちまち癒してしまう」
スーパースター「欲しいかね?この白の宝玉が」
勇者「その為に、ここまで来たんだ!それがあれば魔法使いの呪いを癒せる、彼を救える!!だから、その宝玉を……」
スーパースター「じゃ、あげよう」ポイッ
僧侶「……えっ?」
盗賊「な…、はあ?おい、こういう流れは普通、欲しかったら私を倒せー、とか、そういうもんじゃねーの?肩透かしがすぎるぞ!?」
スーパースター「ハッハッハ!美しい私の話を聞いていなかったのかい、凛々しい青年くん!美しい私は戦いが苦手なのだよ、美しくね!弱っちいんだ、スライム以下なのさあ!うん、チビりそうなくらいビビってる」
勇者「……相変わらず、何を考えているのかわからない、疲れる…不気味な男だな、貴方は」
339: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/23(木) 19:52:28 :MWOLpnJc
魔法使い「……本当だ…この宝玉を持っているだけで、呪傷が消えていく……重くのし掛かっていたものが、なくなっていく」シュウウウ…
勇者「良かった……本当に、良かった!魔法使い…!!」ギュウッ
盗賊「マジで戦う意思はないんだな?四天王とやらなのに、これも罠とかじゃねーんだな?」
スーパースター「ハッハッハ!勿論だよ!だからその、私の喉元に短剣をあてがうのをやめてくれたまえ、美しくも縮み上がって中に引っ込んでいくよ、もう一人の美しい私が」
スーパースター「私は、もう目的を達成したからねえ。美しい私よりも美しい、あの森を…美しい彼女にもう一度、見せてやれたのだから。もう何もする気はない。少し…疲れた」
スーパースター「だから、その宝玉は君達へのご褒美といったところかな。ハッハッハ!言ったろう?私は救世主!みんなのアイドル!スーパースターさ!」
勇者「いえ、貴方は変態です。…普通に頼んでくれたら良かったのに」
魔法使い「……本当だ…この宝玉を持っているだけで、呪傷が消えていく……重くのし掛かっていたものが、なくなっていく」シュウウウ…
勇者「良かった……本当に、良かった!魔法使い…!!」ギュウッ
盗賊「マジで戦う意思はないんだな?四天王とやらなのに、これも罠とかじゃねーんだな?」
スーパースター「ハッハッハ!勿論だよ!だからその、私の喉元に短剣をあてがうのをやめてくれたまえ、美しくも縮み上がって中に引っ込んでいくよ、もう一人の美しい私が」
スーパースター「私は、もう目的を達成したからねえ。美しい私よりも美しい、あの森を…美しい彼女にもう一度、見せてやれたのだから。もう何もする気はない。少し…疲れた」
スーパースター「だから、その宝玉は君達へのご褒美といったところかな。ハッハッハ!言ったろう?私は救世主!みんなのアイドル!スーパースターさ!」
勇者「いえ、貴方は変態です。…普通に頼んでくれたら良かったのに」
340: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/23(木) 19:53:12 :MWOLpnJc
スーパースター「ハッハッハ、常識で考えたまえよ!できるわけないじゃないか、私は魔王の配下だぞ?」
スーパースター「それに、人間は嫌いなんだ。君達は私の手駒にすぎない。本当によく働いてくれたものだ。神託の共鳴を封じても合流を果たし、滅びの運命を覆して」
勇者「貴方が常識を語るか、…いや、共鳴を封じていただと?」
僧侶「…あの…、赤の宝玉…魔導師さんが、言っていました。私達は抜け殻が転生した、って。私の過去は、魔導師さん…盗賊さんは、聖騎士さん…なら、…シスターさんも…?」
スーパースター「勿論さ、可愛らしいお嬢さん!力を奪われても英雄達は転生したよ。だがシスターだけは、」ヒュッ
勇者「…え?」
ズドッ!! ドスドスドス!!
魔法使い「うわああっ!?」
盗賊「なっ、……剣…!?どこから飛んできた!?一瞬で串刺しに…」
僧侶「あああっ…!!だ、大丈夫ですか、スーパースターさん!!い、今、回復をっ…!」
スーパースター「ハッハッハ、常識で考えたまえよ!できるわけないじゃないか、私は魔王の配下だぞ?」
スーパースター「それに、人間は嫌いなんだ。君達は私の手駒にすぎない。本当によく働いてくれたものだ。神託の共鳴を封じても合流を果たし、滅びの運命を覆して」
勇者「貴方が常識を語るか、…いや、共鳴を封じていただと?」
僧侶「…あの…、赤の宝玉…魔導師さんが、言っていました。私達は抜け殻が転生した、って。私の過去は、魔導師さん…盗賊さんは、聖騎士さん…なら、…シスターさんも…?」
スーパースター「勿論さ、可愛らしいお嬢さん!力を奪われても英雄達は転生したよ。だがシスターだけは、」ヒュッ
勇者「…え?」
ズドッ!! ドスドスドス!!
魔法使い「うわああっ!?」
盗賊「なっ、……剣…!?どこから飛んできた!?一瞬で串刺しに…」
僧侶「あああっ…!!だ、大丈夫ですか、スーパースターさん!!い、今、回復をっ…!」
341: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/23(木) 19:53:59 :MWOLpnJc
スーパースター「回復は必要ない。…お喋りが過ぎたというところだね。魔王がお怒りだ。魔竜を縫い付けたものじゃない、本気で殺しに来た程……怒らせてしまったねえ、逆鱗に触れたというやつか」
魔法使い「スターさん!スターさんっ!!」
スーパースター「しかしこの姿も美しいだろう?…なあ、君達。どうだったね?私の脚本、演出は。楽しんでくれたかな?」
勇者「何を…あ、貴方が、いらない事をしなければ…ただ、頼んでくれれば、こんな事には……まだ聞きたい事が沢山あるのに…!」
スーパースター「ふうむ。楽しくなかったかね、私もまだまだだな」
魔法使い「………」
魔法使い「…スターさんは…すごく変だったし、困る事ばかりして……みんな、嫌な思いをたくさんした。呪いも、辛かったな」
魔法使い「……でも、僕は………ちょっとだけ。ちょっとだけ、楽しかった。スターさんが好きだったよ。ジャグリング、教えてほしかった」
スーパースター「回復は必要ない。…お喋りが過ぎたというところだね。魔王がお怒りだ。魔竜を縫い付けたものじゃない、本気で殺しに来た程……怒らせてしまったねえ、逆鱗に触れたというやつか」
魔法使い「スターさん!スターさんっ!!」
スーパースター「しかしこの姿も美しいだろう?…なあ、君達。どうだったね?私の脚本、演出は。楽しんでくれたかな?」
勇者「何を…あ、貴方が、いらない事をしなければ…ただ、頼んでくれれば、こんな事には……まだ聞きたい事が沢山あるのに…!」
スーパースター「ふうむ。楽しくなかったかね、私もまだまだだな」
魔法使い「………」
魔法使い「…スターさんは…すごく変だったし、困る事ばかりして……みんな、嫌な思いをたくさんした。呪いも、辛かったな」
魔法使い「……でも、僕は………ちょっとだけ。ちょっとだけ、楽しかった。スターさんが好きだったよ。ジャグリング、教えてほしかった」
342: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/23(木) 19:54:52 :MWOLpnJc
勇者「…魔法使い…!」
スーパースター「フフ…ハーッハッハッハー!!!」
スーパースター「いいだろう、健気な少年くん!受け取ったよ、君のアンコールを!見たまえ、この美しい私の姿を!!」
僧侶「だっ、ダメです!立ち上がっては、剣を抜いては……、っ!……盗賊さん…?」
盗賊「…いいから、やらせてやれ」
スーパースター「ハッハッハ!今宵は特別だ!ジャグリングに加えて、これぞ剣の舞といったところかな?ハーッハッハッハー!!」
魔法使い「……すごい…すごいよ、スターさん。血を吹き出しながら踊ってる……あはは、…出会った時も、そうだったよね…」
勇者「………」
スーパースター「ハーッハッハッハー!!!」ゴウゥッ
僧侶「……スーパースターさんから炎が…!!これが…魔王の、力なの……?」
盗賊「……この踊り、知っているぞ…エルフの村で見た、妖精のダンスだ…」
勇者「…魔法使い…!」
スーパースター「フフ…ハーッハッハッハー!!!」
スーパースター「いいだろう、健気な少年くん!受け取ったよ、君のアンコールを!見たまえ、この美しい私の姿を!!」
僧侶「だっ、ダメです!立ち上がっては、剣を抜いては……、っ!……盗賊さん…?」
盗賊「…いいから、やらせてやれ」
スーパースター「ハッハッハ!今宵は特別だ!ジャグリングに加えて、これぞ剣の舞といったところかな?ハーッハッハッハー!!」
魔法使い「……すごい…すごいよ、スターさん。血を吹き出しながら踊ってる……あはは、…出会った時も、そうだったよね…」
勇者「………」
スーパースター「ハーッハッハッハー!!!」ゴウゥッ
僧侶「……スーパースターさんから炎が…!!これが…魔王の、力なの……?」
盗賊「……この踊り、知っているぞ…エルフの村で見た、妖精のダンスだ…」
343: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/23(木) 19:55:44 :MWOLpnJc
―― バサアアァッ!!
勇者「…剣ごと、灰になって…散ったか……」
魔法使い「………」パチパチパチ
勇者「…魔法使い?拍手を……」
盗賊「………」パチパチパチ
僧侶「…とても、す、…素敵な……ダンスでしたよ…」パチパチパチ
勇者「………」
勇者「…こんな道を、貴方に歩かせてしまったのは、……私達人間なんだろうな…」
勇者「………」
勇者「………」パチパチパチ
魔法使い「…僕、貴方と友達になりたかったかもしれない。そしたら、きっと、もっとずっと、楽しかったと思うな」
魔法使い「さようなら、スターさん。……次は仲直りして、…また遊ぼうね。約束」
盗賊「…何はともあれ、クソガキの呪いも一段落ついたんだ……休もうぜ。ドッと疲れが出てきちまったよ」
勇者「……そうだな。ここまでずっと走り通しだった…少し、ゆっくり休もう…」
―― バサアアァッ!!
勇者「…剣ごと、灰になって…散ったか……」
魔法使い「………」パチパチパチ
勇者「…魔法使い?拍手を……」
盗賊「………」パチパチパチ
僧侶「…とても、す、…素敵な……ダンスでしたよ…」パチパチパチ
勇者「………」
勇者「…こんな道を、貴方に歩かせてしまったのは、……私達人間なんだろうな…」
勇者「………」
勇者「………」パチパチパチ
魔法使い「…僕、貴方と友達になりたかったかもしれない。そしたら、きっと、もっとずっと、楽しかったと思うな」
魔法使い「さようなら、スターさん。……次は仲直りして、…また遊ぼうね。約束」
盗賊「…何はともあれ、クソガキの呪いも一段落ついたんだ……休もうぜ。ドッと疲れが出てきちまったよ」
勇者「……そうだな。ここまでずっと走り通しだった…少し、ゆっくり休もう…」
350: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/24(金) 01:14:39 :DPoCAeZA
~貿易大国・宿屋~
賢者「それでは、魔法使いくんの回復を祝って!カンパーイ!!」
盗賊「乾杯ー……って、何をしれっと混ざってんだ、クソオヤジ。お前今回何もしてねーだろ」
賢者「したじゃん!?助言したし地図書いたし!いいだろ、タダ酒ほど旨いものはないよーオッサンも仲間に入ーれーてー」
魔法使い「ふふっ、でも、賢者さんに助けられたのは本当だもんね。ありがとうございました、賢者さん!」
僧侶「皆さん、台所をお借りして、勇者様と私で、ご飯作ってきましたよう~。たくさん食べてくださいね!」
魔法使い「やったー!おなかぺこぺこだったんだ、いただきまーす!」
勇者「良かった、食欲も出てきたようで…白の宝玉の力は本物だったんだな、安心したよ」
僧侶「勇者様に聞いて、魔法使いくんの好きなものばかり作ったからね!いっぱい食べて?」
盗賊「旨い旨い旨い飯旨い」ガツガツムシャムシャ
~貿易大国・宿屋~
賢者「それでは、魔法使いくんの回復を祝って!カンパーイ!!」
盗賊「乾杯ー……って、何をしれっと混ざってんだ、クソオヤジ。お前今回何もしてねーだろ」
賢者「したじゃん!?助言したし地図書いたし!いいだろ、タダ酒ほど旨いものはないよーオッサンも仲間に入ーれーてー」
魔法使い「ふふっ、でも、賢者さんに助けられたのは本当だもんね。ありがとうございました、賢者さん!」
僧侶「皆さん、台所をお借りして、勇者様と私で、ご飯作ってきましたよう~。たくさん食べてくださいね!」
魔法使い「やったー!おなかぺこぺこだったんだ、いただきまーす!」
勇者「良かった、食欲も出てきたようで…白の宝玉の力は本物だったんだな、安心したよ」
僧侶「勇者様に聞いて、魔法使いくんの好きなものばかり作ったからね!いっぱい食べて?」
盗賊「旨い旨い旨い飯旨い」ガツガツムシャムシャ
351: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/24(金) 01:15:35 :DPoCAeZA
賢者「…うん、旨いっ!店出せるんじゃないの?2人共。やー、いいお嫁さんになれるねえ」
勇者「はは、それは褒めすぎではありませんか?ですが、ありがとうございます。嬉しいです」
僧侶「本当においしいですよう、勇者様のお料理!なんというか…すごくホッとするんですよね、料理のあたたかさだけじゃない……真心こもった愛情料理って感じです!癒されます~」
勇者「僧侶まで…やめてくれ、恥ずかしいよ…でも、喜んでもらえて良かった。僧侶の料理もとても美味しいよ、作り方をもっと詳しく教えてほしいな、メモしたい」
魔法使い「ね、勇者様の料理、美味しいでしょ?お兄さん!僧侶さんの料理も僕大好きー、僧侶さん、おかわりちょうだい!」
盗賊「ああ。なかなかイケるんじゃねー?クソオヤジの言う事は合ってると思うぜ」モグモグ
勇者「!!! …そ、そ、そうか……あ、ありがとう……」
賢者「…うん、旨いっ!店出せるんじゃないの?2人共。やー、いいお嫁さんになれるねえ」
勇者「はは、それは褒めすぎではありませんか?ですが、ありがとうございます。嬉しいです」
僧侶「本当においしいですよう、勇者様のお料理!なんというか…すごくホッとするんですよね、料理のあたたかさだけじゃない……真心こもった愛情料理って感じです!癒されます~」
勇者「僧侶まで…やめてくれ、恥ずかしいよ…でも、喜んでもらえて良かった。僧侶の料理もとても美味しいよ、作り方をもっと詳しく教えてほしいな、メモしたい」
魔法使い「ね、勇者様の料理、美味しいでしょ?お兄さん!僧侶さんの料理も僕大好きー、僧侶さん、おかわりちょうだい!」
盗賊「ああ。なかなかイケるんじゃねー?クソオヤジの言う事は合ってると思うぜ」モグモグ
勇者「!!! …そ、そ、そうか……あ、ありがとう……」
352: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/24(金) 01:16:20 :DPoCAeZA
・・・
勇者「ふう…いい湯だった」
賢者「おー、湯上がり美人は最高だねぇ、まったく!色っぽいよ、勇者ちゃん」
勇者「またそんな事を言って。…2人とも、何をしているんだ?」
魔法使い「今ね、賢者さんに魔法学を教えてもらってたんだー。賢者さん、すごいんだよ!?物識りで頭良くて、難しい問題全部解いちゃうの。わかりやすく教えてくれるから、すっごい楽しい!」
賢者「ははは、魔法使いくんの飲み込み早さはビックリだけどなー。よし、勉強はここまでだ!風呂に入って、疲れた頭をリフレッシュしよう」
魔法使い「僕、賢者さんと一緒に入る!大浴場まで競争しようよ!」
勇者「ふふ、すっかり賢者さんに懐いてしまったな、魔法使いったら」
賢者「やー、オッサンも可愛い息子が出来たみたいでとても嬉しいよ。よーし、競争しような!オッサンはまだまだ若い子に負けないぞ~?」
・・・
勇者「ふう…いい湯だった」
賢者「おー、湯上がり美人は最高だねぇ、まったく!色っぽいよ、勇者ちゃん」
勇者「またそんな事を言って。…2人とも、何をしているんだ?」
魔法使い「今ね、賢者さんに魔法学を教えてもらってたんだー。賢者さん、すごいんだよ!?物識りで頭良くて、難しい問題全部解いちゃうの。わかりやすく教えてくれるから、すっごい楽しい!」
賢者「ははは、魔法使いくんの飲み込み早さはビックリだけどなー。よし、勉強はここまでだ!風呂に入って、疲れた頭をリフレッシュしよう」
魔法使い「僕、賢者さんと一緒に入る!大浴場まで競争しようよ!」
勇者「ふふ、すっかり賢者さんに懐いてしまったな、魔法使いったら」
賢者「やー、オッサンも可愛い息子が出来たみたいでとても嬉しいよ。よーし、競争しような!オッサンはまだまだ若い子に負けないぞ~?」
353: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/24(金) 01:17:04 :DPoCAeZA
勇者「そんなに走って、転ぶなよ?魔法使い!」
勇者「……魔法使いは両親の事を知らないからな…賢者さんに会えて良かったかも。父親のぬくもりを教えてくれるのは有り難い」
勇者「…テラスにでも出て、涼むとするか……」スタスタ
ガチャッ
勇者「はぁ…涼し、………っ」
勇者「(…あれは、僧侶と盗賊……!)」サッ
勇者「(………あれ?なんで隠れてしまうんだ?私……)」
勇者「(………)」
盗賊「…あー……酒が旨ェ。暫く飲む機会無かったからなあ…しみるわー」
僧侶「もう…飲みすぎですよ、盗賊さん…。明日に響きますよ?また二日酔いになったら、どうするんですか~…」
盗賊「その時ゃテメーが薬もらって来い。いいだろ、今日は祝いの日なんだしよ?これくらい……ヒック」
僧侶「ダメです、あとで苦しむのは、盗賊さんですからね?その一杯で最後です。大体、ここにも酔い醒ましで来たのに…」
勇者「そんなに走って、転ぶなよ?魔法使い!」
勇者「……魔法使いは両親の事を知らないからな…賢者さんに会えて良かったかも。父親のぬくもりを教えてくれるのは有り難い」
勇者「…テラスにでも出て、涼むとするか……」スタスタ
ガチャッ
勇者「はぁ…涼し、………っ」
勇者「(…あれは、僧侶と盗賊……!)」サッ
勇者「(………あれ?なんで隠れてしまうんだ?私……)」
勇者「(………)」
盗賊「…あー……酒が旨ェ。暫く飲む機会無かったからなあ…しみるわー」
僧侶「もう…飲みすぎですよ、盗賊さん…。明日に響きますよ?また二日酔いになったら、どうするんですか~…」
盗賊「その時ゃテメーが薬もらって来い。いいだろ、今日は祝いの日なんだしよ?これくらい……ヒック」
僧侶「ダメです、あとで苦しむのは、盗賊さんですからね?その一杯で最後です。大体、ここにも酔い醒ましで来たのに…」
354: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/24(金) 01:17:48 :DPoCAeZA
勇者「(………)」
盗賊「ふー……しかし、何度見てもスゲーな、カジノ街のネオンはよ。眠らされていた奴らが目覚めて良かったぜ、消しとくもんじゃねーわ、この輝き」
僧侶「夜空は星の輝きがいっぱい、街はネオンの輝きがいっぱい…キラキラして、眩しいくらいですね…すごく綺麗…」
盗賊「またカジノ行きてーなー、砂漠の国からもらった金をコインに代えてさ。あー、豪遊してえー」
僧侶「…折角雰囲気に浸っているのに、そういう事を言う~」
盗賊「ケッ。この俺が雰囲気だなんだ、守ると思うか?」
僧侶「…全然思いませんっ」
盗賊「よーしよし、よくわかってんじゃねーか。褒美に酒をもう一杯作っていいぞ」ナデナデ
勇者「(………!)」ズキン
僧侶「どんなご褒美ですか、それ~…盗賊さんへのご褒美ですよね…?頭撫でてくれても、お酒はもうダメです!」
盗賊「チッ。もう少し飲みてーのによォ…」
勇者「(………)」
盗賊「ふー……しかし、何度見てもスゲーな、カジノ街のネオンはよ。眠らされていた奴らが目覚めて良かったぜ、消しとくもんじゃねーわ、この輝き」
僧侶「夜空は星の輝きがいっぱい、街はネオンの輝きがいっぱい…キラキラして、眩しいくらいですね…すごく綺麗…」
盗賊「またカジノ行きてーなー、砂漠の国からもらった金をコインに代えてさ。あー、豪遊してえー」
僧侶「…折角雰囲気に浸っているのに、そういう事を言う~」
盗賊「ケッ。この俺が雰囲気だなんだ、守ると思うか?」
僧侶「…全然思いませんっ」
盗賊「よーしよし、よくわかってんじゃねーか。褒美に酒をもう一杯作っていいぞ」ナデナデ
勇者「(………!)」ズキン
僧侶「どんなご褒美ですか、それ~…盗賊さんへのご褒美ですよね…?頭撫でてくれても、お酒はもうダメです!」
盗賊「チッ。もう少し飲みてーのによォ…」
355: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/24(金) 01:18:32 :DPoCAeZA
勇者「(……なんだろう……すごく、胸が痛い…モヤモヤする。なんだ、これ)」
勇者「(…あんな風に、笑ったりも……するんだな…)」
僧侶「大体盗賊さんは……、…あれ?…勇者様!どうしたんですか?そんなところで」
勇者「………!」ビクッ
盗賊「なんだ、いるなら声くらいかけろよ。テメーもこっちに来い、飲み比べしようぜ」
僧侶「だから、お酒はもうおしまいです!勇者様もなんとか言ってやってください~、全然言うこと聞かないんだからー…」
勇者「あ……ああ…」
盗賊「お前、勇者の飲みっぷり見てなかったのか?ありゃ凄かったわ、顔色ひとつ変えず水みてーにガブガブ飲んでよ。男勝りっつーか顔負けっつーか…女と思えないレベルだった」
勇者「!!!」
僧侶「デリカシーないんだから……気にしなくていいですよ、勇者様。こんな酔っ払いの言うこと!」
勇者「…う…うん……」
勇者「(……なんだろう……すごく、胸が痛い…モヤモヤする。なんだ、これ)」
勇者「(…あんな風に、笑ったりも……するんだな…)」
僧侶「大体盗賊さんは……、…あれ?…勇者様!どうしたんですか?そんなところで」
勇者「………!」ビクッ
盗賊「なんだ、いるなら声くらいかけろよ。テメーもこっちに来い、飲み比べしようぜ」
僧侶「だから、お酒はもうおしまいです!勇者様もなんとか言ってやってください~、全然言うこと聞かないんだからー…」
勇者「あ……ああ…」
盗賊「お前、勇者の飲みっぷり見てなかったのか?ありゃ凄かったわ、顔色ひとつ変えず水みてーにガブガブ飲んでよ。男勝りっつーか顔負けっつーか…女と思えないレベルだった」
勇者「!!!」
僧侶「デリカシーないんだから……気にしなくていいですよ、勇者様。こんな酔っ払いの言うこと!」
勇者「…う…うん……」
356: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/24(金) 01:19:43 :DPoCAeZA
~深夜~
僧侶「……すー…すー……」
勇者「(…眠れない)」
勇者「(…魔法使いは、賢者さんや盗賊と一緒に、男部屋で寝ているし……僧侶とはベッドが別)」
勇者「(……なんだか、寂しいな)」
勇者「……水でも飲むか………」ムクッ
僧侶「……ううん…」モゾモゾ
勇者「(っ、と……ここじゃ、物音を立てたら起こしてしまいそうだ…ラウンジに降りよう…)」
勇者「(…起こさないように、……そーっと、そーっと……)」
僧侶「……むにゃむにゃ…」
・・・
勇者「…誰もいない…当たり前か、深夜だもんな」
盗賊「……あ?なんだ、テメーかよ。お前もよくフラフラしてんなー、イノシシから転職か?」
勇者「!? 盗賊…君こそ、こんな時間に…何をやっているんだ」
盗賊「どうしても飲み足りねーから、酒追加。クソアマには黙ってろよ?うるせーからよ、あいつ」
~深夜~
僧侶「……すー…すー……」
勇者「(…眠れない)」
勇者「(…魔法使いは、賢者さんや盗賊と一緒に、男部屋で寝ているし……僧侶とはベッドが別)」
勇者「(……なんだか、寂しいな)」
勇者「……水でも飲むか………」ムクッ
僧侶「……ううん…」モゾモゾ
勇者「(っ、と……ここじゃ、物音を立てたら起こしてしまいそうだ…ラウンジに降りよう…)」
勇者「(…起こさないように、……そーっと、そーっと……)」
僧侶「……むにゃむにゃ…」
・・・
勇者「…誰もいない…当たり前か、深夜だもんな」
盗賊「……あ?なんだ、テメーかよ。お前もよくフラフラしてんなー、イノシシから転職か?」
勇者「!? 盗賊…君こそ、こんな時間に…何をやっているんだ」
盗賊「どうしても飲み足りねーから、酒追加。クソアマには黙ってろよ?うるせーからよ、あいつ」
357: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/24(金) 01:20:30 :DPoCAeZA
勇者「そ、そうか…しかし、彼女は君の事を心配して……」
盗賊「はいはい、テメーもうるせーな。説教なんざいいから、お前も飲めよ。どうせ眠れないから降りて来たんだろ?なら、付き合え」
勇者「そうやって共犯に仕立てるつもりか。…まあいい、眠れないのは確かだ。頂こう」
盗賊「よっしゃ。お堅いだけじゃねーんだな、お前。ま、一杯飲めば眠気も来る……かどうかはわからねーか、お前の場合。酒豪だもんなあ」ニッ
勇者「(…笑った!)」ドキッ
勇者「(…魔法使いは、両親のぬくもりを知らない……なら、私は………)」
勇者「(……私が…知らないことは…)」
勇者「(……いやいや。いやいやいや!何を不真面目な事を。両親がいないのは私もそうだろう!馬鹿馬鹿しい!!)」ブンブンッ
盗賊「…?何、首振ってんだ。飲まないのか?酒」
勇者「い、いや!頂く!飲むから!!大丈夫!!なんでもない!!!」
盗賊「お、おう…。……変な奴」
勇者「そ、そうか…しかし、彼女は君の事を心配して……」
盗賊「はいはい、テメーもうるせーな。説教なんざいいから、お前も飲めよ。どうせ眠れないから降りて来たんだろ?なら、付き合え」
勇者「そうやって共犯に仕立てるつもりか。…まあいい、眠れないのは確かだ。頂こう」
盗賊「よっしゃ。お堅いだけじゃねーんだな、お前。ま、一杯飲めば眠気も来る……かどうかはわからねーか、お前の場合。酒豪だもんなあ」ニッ
勇者「(…笑った!)」ドキッ
勇者「(…魔法使いは、両親のぬくもりを知らない……なら、私は………)」
勇者「(……私が…知らないことは…)」
勇者「(……いやいや。いやいやいや!何を不真面目な事を。両親がいないのは私もそうだろう!馬鹿馬鹿しい!!)」ブンブンッ
盗賊「…?何、首振ってんだ。飲まないのか?酒」
勇者「い、いや!頂く!飲むから!!大丈夫!!なんでもない!!!」
盗賊「お、おう…。……変な奴」
358: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/24(金) 01:21:17 :DPoCAeZA
~宿屋ラウンジ・朝~
勇者「(結局一睡もできなかった)」
盗賊「あー……だっる。なんでこんなに朝早ぇんだよ、もっと寝ていてもいいじゃねーか…」
僧侶「今日は、魔竜さんにあげるお菓子を買いに行くって、みんなで決めたじゃないですか。…だから飲みすぎだって、言ったのに」
勇者「………」
魔法使い「…勇者様?どうしたの、ぼんやりして。勇者様も、二日酔い?」
勇者「あ、…いや、すまない。大丈夫だ、ただボーッとしていただけだよ」
勇者「………」
勇者「(…孤児院では同い年の子がいなかったし、院長様は、お優しい方だったけど、ご高齢で…)」
勇者「(スーパースターは…そもそも変態だし。貿易大国の執事は、気が合ったけど…それだけだ。聖騎士の王国の王子は快男子で好感が持てたが…どちらかといえば、尊敬での好意だしな…)」
勇者「(賢者さんの軽口は流せるのに……何が違うんだろう?)」
~宿屋ラウンジ・朝~
勇者「(結局一睡もできなかった)」
盗賊「あー……だっる。なんでこんなに朝早ぇんだよ、もっと寝ていてもいいじゃねーか…」
僧侶「今日は、魔竜さんにあげるお菓子を買いに行くって、みんなで決めたじゃないですか。…だから飲みすぎだって、言ったのに」
勇者「………」
魔法使い「…勇者様?どうしたの、ぼんやりして。勇者様も、二日酔い?」
勇者「あ、…いや、すまない。大丈夫だ、ただボーッとしていただけだよ」
勇者「………」
勇者「(…孤児院では同い年の子がいなかったし、院長様は、お優しい方だったけど、ご高齢で…)」
勇者「(スーパースターは…そもそも変態だし。貿易大国の執事は、気が合ったけど…それだけだ。聖騎士の王国の王子は快男子で好感が持てたが…どちらかといえば、尊敬での好意だしな…)」
勇者「(賢者さんの軽口は流せるのに……何が違うんだろう?)」
359: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/24(金) 01:21:59 :DPoCAeZA
賢者「………」
盗賊「…あー…ダメだ、これ。クソアマ、水と薬……」
僧侶「もー…これに懲りたら、自制を覚えてくださいね?すぐ、もらって来ますから」
賢者「………」
盗賊「だりぃー、マジかったりー、気持ち悪ぃー、……頭痛ぇー…」
賢者「…ふっふふふ……いやはや、いやいや…兄ちゃん、兄ちゃん」ポンポン
盗賊「あぁ?」
賢者「……わっ!!!」
盗賊「!!!?? な…な、何しやがる!耳元で大声出しやがって、あ…頭痛ぇぇ…っ!!」キーン
魔法使い「だ、大丈夫?お兄さん!賢者さん、どうしたの、いきなり!こっちもびっくりしたじゃんか~!」
賢者「いや~、オッサンレーダーがね、こう…反応したっていうか。鉄槌を下せって聞こえた気がしたというか」
盗賊「な…何をわけのわからねー事を……!あだだだだ…!!」ズキズキ
勇者「(…考えすぎなのかな、私は。気が緩んでいる…まったく、自分が情けない)」
賢者「………」
盗賊「…あー…ダメだ、これ。クソアマ、水と薬……」
僧侶「もー…これに懲りたら、自制を覚えてくださいね?すぐ、もらって来ますから」
賢者「………」
盗賊「だりぃー、マジかったりー、気持ち悪ぃー、……頭痛ぇー…」
賢者「…ふっふふふ……いやはや、いやいや…兄ちゃん、兄ちゃん」ポンポン
盗賊「あぁ?」
賢者「……わっ!!!」
盗賊「!!!?? な…な、何しやがる!耳元で大声出しやがって、あ…頭痛ぇぇ…っ!!」キーン
魔法使い「だ、大丈夫?お兄さん!賢者さん、どうしたの、いきなり!こっちもびっくりしたじゃんか~!」
賢者「いや~、オッサンレーダーがね、こう…反応したっていうか。鉄槌を下せって聞こえた気がしたというか」
盗賊「な…何をわけのわからねー事を……!あだだだだ…!!」ズキズキ
勇者「(…考えすぎなのかな、私は。気が緩んでいる…まったく、自分が情けない)」
368: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/24(金) 13:39:38 :DPoCAeZA
~貿易大国・商店街~
僧侶「あ、これ可愛いー。これなら魔竜さん、喜んでくれるかなあ」
盗賊「あのクソトカゲのサイズ忘れたのかよ、見た目より量じゃねーか?」
僧侶「お菓子は、味も重要だけど、見た目も、大切なんですよう?折角のお土産なんだし…ひとつくらい、こういうのがあってもいいと思います~」
盗賊「さっぱりわかんねー世界だ。たらふく食えるだけで有り難ぇだろうに」
勇者「(…改めて見ると、いつも自然と傍にいるんだよな……なんか、…いいなぁ…)」
魔法使い「ねえねえ勇者様!僕のおやつにこれ買って……勇者様?」
勇者「………」
魔法使い「勇者様、またぼんやりして。なんなの、最近変だよ。何を見て………」
僧侶「じゃあ、これと、これと……」
盗賊「結構金かかるな、菓子って。そんなに旨いんなら、俺にもひとつ……」
勇者「………」ポーッ
魔法使い「…お兄さん……?……。………!ま、まさか!!?」
~貿易大国・商店街~
僧侶「あ、これ可愛いー。これなら魔竜さん、喜んでくれるかなあ」
盗賊「あのクソトカゲのサイズ忘れたのかよ、見た目より量じゃねーか?」
僧侶「お菓子は、味も重要だけど、見た目も、大切なんですよう?折角のお土産なんだし…ひとつくらい、こういうのがあってもいいと思います~」
盗賊「さっぱりわかんねー世界だ。たらふく食えるだけで有り難ぇだろうに」
勇者「(…改めて見ると、いつも自然と傍にいるんだよな……なんか、…いいなぁ…)」
魔法使い「ねえねえ勇者様!僕のおやつにこれ買って……勇者様?」
勇者「………」
魔法使い「勇者様、またぼんやりして。なんなの、最近変だよ。何を見て………」
僧侶「じゃあ、これと、これと……」
盗賊「結構金かかるな、菓子って。そんなに旨いんなら、俺にもひとつ……」
勇者「………」ポーッ
魔法使い「…お兄さん……?……。………!ま、まさか!!?」
369: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/24(金) 13:40:52 :DPoCAeZA
賢者「……現実とは…青い春とは、時に残酷で非情なもの…気づいてしまったか、少年」ザッ
魔法使い「賢者さん!…いや、あれで気づかないのは勇者様くらいじゃ……わかりやすいな、勇者様…」
賢者「兄ちゃんとお嬢ちゃんもねー。兄ちゃんは、勇者ちゃんの事をからかえないくらい猪突猛進のところがあるし…お嬢ちゃんは常日頃からボーッとしているしなあ。荒れるぜ、この海…」
魔法使い「な、な、なんでなんで!勇者様、今まで誰かが好きとかそんな事、一切なかったのに!王子様の求婚にだって…」
賢者「それについては名探偵・オッサンが推理しよう…の前に、裁判長!此度の判決をお願いします!」
魔法使い「お兄さんは有罪だー!!有罪ー!!」
賢者「よーし、判決に基づき、刑を執行する!」
賢者「有罪キック!!」ビシッ
盗賊「痛った!!?…さっきからなんなんだ、クソオヤジィィ!!」
賢者「……現実とは…青い春とは、時に残酷で非情なもの…気づいてしまったか、少年」ザッ
魔法使い「賢者さん!…いや、あれで気づかないのは勇者様くらいじゃ……わかりやすいな、勇者様…」
賢者「兄ちゃんとお嬢ちゃんもねー。兄ちゃんは、勇者ちゃんの事をからかえないくらい猪突猛進のところがあるし…お嬢ちゃんは常日頃からボーッとしているしなあ。荒れるぜ、この海…」
魔法使い「な、な、なんでなんで!勇者様、今まで誰かが好きとかそんな事、一切なかったのに!王子様の求婚にだって…」
賢者「それについては名探偵・オッサンが推理しよう…の前に、裁判長!此度の判決をお願いします!」
魔法使い「お兄さんは有罪だー!!有罪ー!!」
賢者「よーし、判決に基づき、刑を執行する!」
賢者「有罪キック!!」ビシッ
盗賊「痛った!!?…さっきからなんなんだ、クソオヤジィィ!!」
370: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/24(金) 13:41:31 :DPoCAeZA
魔法使い「ぜー、はー…ぜー……お、お兄さん…めちゃくちゃ怒って追いかけてきたね…」
賢者「ひー、はー、…ひぃー……しかし、見たかオッサンの逃げ足の早さ…あ、もうダメ死ぬこれ…あれ、買おう……」
賢者「…はい、魔法使いくん。喉渇いたろ、ジュースだよ」
魔法使い「あ、ありがとう、賢者さん!…はー、美味しい…」
魔法使い「…それにしても、ズルいよ、お兄さん。僕だって、ずっと勇者様が好きなのにさ…そういう事、興味ないと思ってたのに…この前だってさ……」
賢者「ふむふむ…」
・・・
賢者「……ふうむ。聞いた話から察するに、アレだな。勇者ちゃんの春は確定なんだねえ……女の子は早熟だと思っていたんだが、いや~生真面目でウブな子だ…」
賢者「や、むしろ、過程すっ飛ばして親心というか…母性が開花したせいなのかなー?剣の道しか知らなかったところの春かあ、…若いっていいねぇ」
魔法使い「ぜー、はー…ぜー……お、お兄さん…めちゃくちゃ怒って追いかけてきたね…」
賢者「ひー、はー、…ひぃー……しかし、見たかオッサンの逃げ足の早さ…あ、もうダメ死ぬこれ…あれ、買おう……」
賢者「…はい、魔法使いくん。喉渇いたろ、ジュースだよ」
魔法使い「あ、ありがとう、賢者さん!…はー、美味しい…」
魔法使い「…それにしても、ズルいよ、お兄さん。僕だって、ずっと勇者様が好きなのにさ…そういう事、興味ないと思ってたのに…この前だってさ……」
賢者「ふむふむ…」
・・・
賢者「……ふうむ。聞いた話から察するに、アレだな。勇者ちゃんの春は確定なんだねえ……女の子は早熟だと思っていたんだが、いや~生真面目でウブな子だ…」
賢者「や、むしろ、過程すっ飛ばして親心というか…母性が開花したせいなのかなー?剣の道しか知らなかったところの春かあ、…若いっていいねぇ」
371: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/24(金) 13:42:17 :DPoCAeZA
魔法使い「…王子様の時も、すごい焦ったのに……王子様、強いし優しいし、背も高くてカッコいいから…勇者様だって、王子様と一緒にいると楽しそうで…」
魔法使い「王子様が退いてくれてホッとしたと思ったら、なんでよりによって、お兄さんなのー!?どう見たってお兄さんは僧侶さんが好きなんじゃ…なんでわかんないのかな、勇者様はー!」
賢者「わからないのが、恋ってもんなんだよー、若者よ!」ドヤァ
賢者「そう……、勇者ちゃんは今、兄ちゃんが好きというより…恋に恋しているって状態が近いと思うなあ」
魔法使い「恋に……?」
賢者「そうそう。…今までまったく考えのなかったところに現れた異性だからねぇ」
賢者「王子の場合は、恋愛感情より先に、強さへの憧れとか身分の差とか使命とか…色々邪魔があったようだけど、兄ちゃんの場合はなー。仲間としての距離の近さ、年齢の近さ、諸々込みでフルスロットル」
魔法使い「…王子様の時も、すごい焦ったのに……王子様、強いし優しいし、背も高くてカッコいいから…勇者様だって、王子様と一緒にいると楽しそうで…」
魔法使い「王子様が退いてくれてホッとしたと思ったら、なんでよりによって、お兄さんなのー!?どう見たってお兄さんは僧侶さんが好きなんじゃ…なんでわかんないのかな、勇者様はー!」
賢者「わからないのが、恋ってもんなんだよー、若者よ!」ドヤァ
賢者「そう……、勇者ちゃんは今、兄ちゃんが好きというより…恋に恋しているって状態が近いと思うなあ」
魔法使い「恋に……?」
賢者「そうそう。…今までまったく考えのなかったところに現れた異性だからねぇ」
賢者「王子の場合は、恋愛感情より先に、強さへの憧れとか身分の差とか使命とか…色々邪魔があったようだけど、兄ちゃんの場合はなー。仲間としての距離の近さ、年齢の近さ、諸々込みでフルスロットル」
372: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/24(金) 13:43:08 :DPoCAeZA
賢者「魔法使いくんの場合は、異性として意識するより、家族としての意識が強すぎているんだろうね」
魔法使い「……でも、このままいったら勇者様、傷ついちゃうんじゃ…」
賢者「いやいや~。これはいい機会だと、オッサンは思うなあ」
賢者「心が成長する事も大事だからね。遅蒔きながら芽が出たんだ、ここは育てるべきと思うよ。まったく傷つかない成長なんて、紛い物にすぎない」
賢者「それにさ?恋愛感情が芽生えたって事は、魔法使いくんにもチャンスが来たって事じゃないか。魔法使いくんが頑張ったら、家族じゃなく異性として見てもらう機会ができたって事だろう?」
魔法使い「…そ……そうかな…?」
賢者「そうだよ。恋心ないままで来たら、王子だろうが兄ちゃんだろうが、みんなひっくるめて私の家族!兄弟!以上!終了!!……となっただろうしね。勇者ちゃんなら…」
賢者「魔法使いくんの場合は、異性として意識するより、家族としての意識が強すぎているんだろうね」
魔法使い「……でも、このままいったら勇者様、傷ついちゃうんじゃ…」
賢者「いやいや~。これはいい機会だと、オッサンは思うなあ」
賢者「心が成長する事も大事だからね。遅蒔きながら芽が出たんだ、ここは育てるべきと思うよ。まったく傷つかない成長なんて、紛い物にすぎない」
賢者「それにさ?恋愛感情が芽生えたって事は、魔法使いくんにもチャンスが来たって事じゃないか。魔法使いくんが頑張ったら、家族じゃなく異性として見てもらう機会ができたって事だろう?」
魔法使い「…そ……そうかな…?」
賢者「そうだよ。恋心ないままで来たら、王子だろうが兄ちゃんだろうが、みんなひっくるめて私の家族!兄弟!以上!終了!!……となっただろうしね。勇者ちゃんなら…」
373: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/24(金) 13:44:00 :DPoCAeZA
賢者「だから、いっぱい勉強して、いっぱいご飯食べて寝て遊んで、たくさん成長しなさい」
賢者「そうすりゃー勇者ちゃんも、必ず君の事を見てくれるよ」
魔法使い「…本当?」
賢者「ああ、本当さ。それと、この先、勇者ちゃんが傷つく事があったら…その時は傍にいてあげるといい。傷ついた勇者ちゃんを癒せるのは、薬草でも回復魔法でもない、君なんだからね」
魔法使い「……うん…わかった。ありがとう、賢者さん」
賢者「焦らずゆっくり頑張りなさいよー、若いうちは長いようで短いからねえ」
勇者「……あ、こんなところにいた!2人共、そろそろ宿屋に帰るよ。買い物も済んだし。…なんだ、魔法使いったらジュースなんか飲んで。賢者さんに買ってもらったのか?お礼は言った?」
魔法使い「勇者様!」
勇者「すみません、賢者さん。あとで代金お返ししますから」
賢者「いや、いいよー、ジュースくらい」
賢者「だから、いっぱい勉強して、いっぱいご飯食べて寝て遊んで、たくさん成長しなさい」
賢者「そうすりゃー勇者ちゃんも、必ず君の事を見てくれるよ」
魔法使い「…本当?」
賢者「ああ、本当さ。それと、この先、勇者ちゃんが傷つく事があったら…その時は傍にいてあげるといい。傷ついた勇者ちゃんを癒せるのは、薬草でも回復魔法でもない、君なんだからね」
魔法使い「……うん…わかった。ありがとう、賢者さん」
賢者「焦らずゆっくり頑張りなさいよー、若いうちは長いようで短いからねえ」
勇者「……あ、こんなところにいた!2人共、そろそろ宿屋に帰るよ。買い物も済んだし。…なんだ、魔法使いったらジュースなんか飲んで。賢者さんに買ってもらったのか?お礼は言った?」
魔法使い「勇者様!」
勇者「すみません、賢者さん。あとで代金お返ししますから」
賢者「いや、いいよー、ジュースくらい」
374: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/24(金) 13:44:45 :DPoCAeZA
~宿屋ラウンジ・夜~
勇者「…では、明朝に魔竜のいる岩山へ向かうという事で…」
盗賊「クソトカゲからもらった竜の鱗がちゃんと働くかね、働かなかった場合はまた山登りだろ、一応準備は整えとかねーと…」
僧侶「今日の買い物の時に、見つけたんですけど…魔力回復の聖水が…出発前にいくつか買っておいた方が…」
ワイワイ ガヤガヤ
魔法使い「………」
盗賊「下山途中、もう少し探索していってもいい気がするんだよ。資金源になりそうなもの、鉱石がいくつかあったしよ。地図を見てくれ、例えばここには……」
勇者「(……ち、近っ…いや、ダメだ、魔王討伐に向けて集中せねば…!でも…)」
盗賊「……それと…、……おい、勇者?俺の話をちゃんと聞いているか?」
勇者「あ、ああっ!?す、すまない!聞いている!大丈夫!!」
魔法使い「………」ムスー
賢者「焦らない焦らない、じっと見守る正念場だよー、ここは」
~宿屋ラウンジ・夜~
勇者「…では、明朝に魔竜のいる岩山へ向かうという事で…」
盗賊「クソトカゲからもらった竜の鱗がちゃんと働くかね、働かなかった場合はまた山登りだろ、一応準備は整えとかねーと…」
僧侶「今日の買い物の時に、見つけたんですけど…魔力回復の聖水が…出発前にいくつか買っておいた方が…」
ワイワイ ガヤガヤ
魔法使い「………」
盗賊「下山途中、もう少し探索していってもいい気がするんだよ。資金源になりそうなもの、鉱石がいくつかあったしよ。地図を見てくれ、例えばここには……」
勇者「(……ち、近っ…いや、ダメだ、魔王討伐に向けて集中せねば…!でも…)」
盗賊「……それと…、……おい、勇者?俺の話をちゃんと聞いているか?」
勇者「あ、ああっ!?す、すまない!聞いている!大丈夫!!」
魔法使い「………」ムスー
賢者「焦らない焦らない、じっと見守る正念場だよー、ここは」
375: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/24(金) 13:45:30 :DPoCAeZA
僧侶「あのブレスで帰るのは、できれば避けたいですもんねえ…すぐに降りられるけど、こ、こ…怖かったし……」
盗賊「俺もあれは勘弁願いてーわ。……んじゃ、出発前に足りない薬草の補充と、魔力回復の聖水を買って、と。食糧の方は大丈夫なんだな?」
僧侶「はい、今日お菓子を買う時に、一緒にまとめて買いました、から。盗賊さんが荷物を持ってくれて、助かりました。ありがとう、ございます!」
盗賊「…荷物運びの為に連れてきたクソオヤジが途中で逃げたからな~、ったく。肩凝ったっつーの」
勇者「だから私も手伝うと言ったのに…妙なところで、気を使うんだな」
盗賊「気ぃ使っているわけじゃねーよ。買い物で荷物持ちといったら男の仕事だろ。女は気にせず好き勝手あれこれ買ってろ」
僧侶「またー…そういう、捻くれた事ばかり言っていたら、口が曲がりますよう!?」
勇者「(…こんなに口が悪い男なのにな…)」
僧侶「あのブレスで帰るのは、できれば避けたいですもんねえ…すぐに降りられるけど、こ、こ…怖かったし……」
盗賊「俺もあれは勘弁願いてーわ。……んじゃ、出発前に足りない薬草の補充と、魔力回復の聖水を買って、と。食糧の方は大丈夫なんだな?」
僧侶「はい、今日お菓子を買う時に、一緒にまとめて買いました、から。盗賊さんが荷物を持ってくれて、助かりました。ありがとう、ございます!」
盗賊「…荷物運びの為に連れてきたクソオヤジが途中で逃げたからな~、ったく。肩凝ったっつーの」
勇者「だから私も手伝うと言ったのに…妙なところで、気を使うんだな」
盗賊「気ぃ使っているわけじゃねーよ。買い物で荷物持ちといったら男の仕事だろ。女は気にせず好き勝手あれこれ買ってろ」
僧侶「またー…そういう、捻くれた事ばかり言っていたら、口が曲がりますよう!?」
勇者「(…こんなに口が悪い男なのにな…)」
376: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/24(金) 13:46:09 :DPoCAeZA
盗賊「…よし、まとまったな。そんじゃ、とっとと風呂入って飯食って寝ようぜ。明日に備えねーと」
勇者「なんだ?昨日とは違って真面目な事を。今日は飲まないのか?酒」
僧侶「盗賊さん、一応区切りはつけますもんねえ。つけない時の方が、圧倒的に多いんだけど……」
盗賊「そんなテメーは、いちいち一言多いんだよ。このクソアマが。別に、飲んでいいなら飲むが?」
勇者「いや、禁酒だ、禁酒。また二日酔いになられても困る」
僧侶「お酒って、そんなに美味しいですかねえ…?私は、よくわからなかったなあ…」
勇者「私は味のついた水としか思えないな」
盗賊「この女共は……。…つーか、クソオヤジはこれからどうするんだ。俺達と一緒に行くか?」
賢者「いや、オッサンはこの街に残るよ。悟りの書を探す為に、文献を調べている途中だからね。……さーて、風呂に入ろう、風呂に」
盗賊「…よし、まとまったな。そんじゃ、とっとと風呂入って飯食って寝ようぜ。明日に備えねーと」
勇者「なんだ?昨日とは違って真面目な事を。今日は飲まないのか?酒」
僧侶「盗賊さん、一応区切りはつけますもんねえ。つけない時の方が、圧倒的に多いんだけど……」
盗賊「そんなテメーは、いちいち一言多いんだよ。このクソアマが。別に、飲んでいいなら飲むが?」
勇者「いや、禁酒だ、禁酒。また二日酔いになられても困る」
僧侶「お酒って、そんなに美味しいですかねえ…?私は、よくわからなかったなあ…」
勇者「私は味のついた水としか思えないな」
盗賊「この女共は……。…つーか、クソオヤジはこれからどうするんだ。俺達と一緒に行くか?」
賢者「いや、オッサンはこの街に残るよ。悟りの書を探す為に、文献を調べている途中だからね。……さーて、風呂に入ろう、風呂に」
377: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/24(金) 13:46:57 :DPoCAeZA
~大浴場・男湯~
盗賊「中途半端な時間だからか、利用者少ねーな。貸し切りみてェで気分いいわ」
魔法使い「………」ジロジロ
盗賊「……な、なんだよ。人の事をジロジロ見やがって…」
魔法使い「…別にー、なんでもない」
賢者「…身長も負け、肉体でも負け、アソコでも負け……スタートからして、デキレースなんだよねー」
魔法使い「ううう……」
賢者「しかし!そんな魔法使いくんでも、勝てる事があるっ!!兄ちゃん…勝負だ!」
盗賊「………はあ?一体なんの話だ…」
賢者「これは男を賭けた戦いなんだぜ…逃げる事は許されない!っていうか、面白そうだから逃がさないよ~。ふっふっふ」
魔法使い「…僕がお兄さんにどうやって勝てるのさ……あ、攻撃魔法使えばいいのか」
賢者「いやいや、兄ちゃん死ぬからね、それ。…風呂ときて男の勝負といったらコレしかないでしょ~、我慢比べだよ!!」
~大浴場・男湯~
盗賊「中途半端な時間だからか、利用者少ねーな。貸し切りみてェで気分いいわ」
魔法使い「………」ジロジロ
盗賊「……な、なんだよ。人の事をジロジロ見やがって…」
魔法使い「…別にー、なんでもない」
賢者「…身長も負け、肉体でも負け、アソコでも負け……スタートからして、デキレースなんだよねー」
魔法使い「ううう……」
賢者「しかし!そんな魔法使いくんでも、勝てる事があるっ!!兄ちゃん…勝負だ!」
盗賊「………はあ?一体なんの話だ…」
賢者「これは男を賭けた戦いなんだぜ…逃げる事は許されない!っていうか、面白そうだから逃がさないよ~。ふっふっふ」
魔法使い「…僕がお兄さんにどうやって勝てるのさ……あ、攻撃魔法使えばいいのか」
賢者「いやいや、兄ちゃん死ぬからね、それ。…風呂ときて男の勝負といったらコレしかないでしょ~、我慢比べだよ!!」
378: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/24(金) 19:42:01 :DPoCAeZA
魔法使い「我慢比べ?」
賢者「湯船の中へ息が続くまで潜って、先に上がった方が負けだ。根性無しが負けともいう。これならいい勝負ができそうだろ?」
盗賊「なにがなんだかわからねーが、冗談だろ。クソガキに負けるわけねーじゃん、そんなもん。勝負にもならねェよ」
賢者「おやおや?誰かをお忘れでないかね、兄ちゃんさあ……知将たるオッサンが味方につくんだ、兄ちゃんの負けは確定だね」
盗賊「ほざけよ、このクソオヤジ。…いいぜ、テメーらが負けたら、飯を奢れよ?フルコースな」
魔法使い「じゃあ、お兄さんが負けたら、僕達が奢ってもらう!」
盗賊「ふん、だから俺が負けるわけねーっての、クソガキが」
賢者「よーし、ならオッサンが審判をやるからね。2人とも、頑張りなさい」
賢者「………」ヒソヒソ
魔法使い「…え?うん、……わかった!」
魔法使い「我慢比べ?」
賢者「湯船の中へ息が続くまで潜って、先に上がった方が負けだ。根性無しが負けともいう。これならいい勝負ができそうだろ?」
盗賊「なにがなんだかわからねーが、冗談だろ。クソガキに負けるわけねーじゃん、そんなもん。勝負にもならねェよ」
賢者「おやおや?誰かをお忘れでないかね、兄ちゃんさあ……知将たるオッサンが味方につくんだ、兄ちゃんの負けは確定だね」
盗賊「ほざけよ、このクソオヤジ。…いいぜ、テメーらが負けたら、飯を奢れよ?フルコースな」
魔法使い「じゃあ、お兄さんが負けたら、僕達が奢ってもらう!」
盗賊「ふん、だから俺が負けるわけねーっての、クソガキが」
賢者「よーし、ならオッサンが審判をやるからね。2人とも、頑張りなさい」
賢者「………」ヒソヒソ
魔法使い「…え?うん、……わかった!」
379: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/24(金) 19:42:41 :DPoCAeZA
賢者「はい、それじゃあ…勝負、開始!」
ドボン! ドボン!
盗賊「(何をムキになってんだか、…馬鹿馬鹿しい。適当に付き合って、負けてやりゃあ…気も済むかね)」
魔法使い「………」トントン
盗賊「………?」
盗賊「!!??!?」ガボッ!!
ザバァッ!!
盗賊「げほっ!!げほ、ごほ!」
魔法使い「……っぷあ!はー、…はー……」
賢者「はーい、魔法使いくんの勝ち!根性無しの兄ちゃんは、俺達に晩飯奢るの決定~」
盗賊「ちょっと待て!!今のは流石にナシだろうが!このクソガキ、変な顔して見せて……あんなの、誰だって吹き出すに決まってんだろ!!」
魔法使い「へへーん、作戦勝ちだよー、だ!お兄さんに勝てるところ、ひとつ見つけた!僕達の方が頭いいもんねっ」
盗賊「頭いい奴が、あんな変顔するか!!待てコラ、泳いで逃げるな!クソガキ!!」
賢者「はっははは!!だから言ったろ、知将がついているって」
賢者「はい、それじゃあ…勝負、開始!」
ドボン! ドボン!
盗賊「(何をムキになってんだか、…馬鹿馬鹿しい。適当に付き合って、負けてやりゃあ…気も済むかね)」
魔法使い「………」トントン
盗賊「………?」
盗賊「!!??!?」ガボッ!!
ザバァッ!!
盗賊「げほっ!!げほ、ごほ!」
魔法使い「……っぷあ!はー、…はー……」
賢者「はーい、魔法使いくんの勝ち!根性無しの兄ちゃんは、俺達に晩飯奢るの決定~」
盗賊「ちょっと待て!!今のは流石にナシだろうが!このクソガキ、変な顔して見せて……あんなの、誰だって吹き出すに決まってんだろ!!」
魔法使い「へへーん、作戦勝ちだよー、だ!お兄さんに勝てるところ、ひとつ見つけた!僕達の方が頭いいもんねっ」
盗賊「頭いい奴が、あんな変顔するか!!待てコラ、泳いで逃げるな!クソガキ!!」
賢者「はっははは!!だから言ったろ、知将がついているって」
380: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/24(金) 19:43:21 :DPoCAeZA
~大浴場・女湯~
勇者「……なんだか男湯の方が騒がしいな。他の客に迷惑にならないといいが…」
僧侶「………」ジーッ
勇者「……な、なんだ?僧侶…人の体をジッと見て……」
僧侶「…勇者様もおっぱい大きいんだなーと思って…普段、鎧で隠れているからわかりにくいけど……ううう、改めて見ると…反則だ~!!」
勇者「は、はあっ!?いきなり何を……恥ずかしい事を言わないでくれ!」
勇者「…そういえば、合流した時も、魔物の胸について騒いでいたか……そんなに気になるものだろうか。私は邪魔くさいとしか思わないが…」
僧侶「じゃあ、ください!くださいよう、そのおっぱい!!不公平だ~!あんまりですぅ、神様ー!」ムニィッ
勇者「!!? ちょっと!僧侶!やめろ、何をする!つ…掴むな!!」バシャ
僧侶「カジノの破廉恥お姉さんよりは小ぶりだけど……それでも手から溢れる…!うぬぬ~」ムニムニ
~大浴場・女湯~
勇者「……なんだか男湯の方が騒がしいな。他の客に迷惑にならないといいが…」
僧侶「………」ジーッ
勇者「……な、なんだ?僧侶…人の体をジッと見て……」
僧侶「…勇者様もおっぱい大きいんだなーと思って…普段、鎧で隠れているからわかりにくいけど……ううう、改めて見ると…反則だ~!!」
勇者「は、はあっ!?いきなり何を……恥ずかしい事を言わないでくれ!」
勇者「…そういえば、合流した時も、魔物の胸について騒いでいたか……そんなに気になるものだろうか。私は邪魔くさいとしか思わないが…」
僧侶「じゃあ、ください!くださいよう、そのおっぱい!!不公平だ~!あんまりですぅ、神様ー!」ムニィッ
勇者「!!? ちょっと!僧侶!やめろ、何をする!つ…掴むな!!」バシャ
僧侶「カジノの破廉恥お姉さんよりは小ぶりだけど……それでも手から溢れる…!うぬぬ~」ムニムニ
381: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/24(金) 19:44:02 :DPoCAeZA
勇者「や……ちょっと、やめて…、んっ」
僧侶「くうっ、形も整ってますぅ…!究極か至高か、いやこれは究極にして至高…!鎧で潰れたりしないんですか?いいな、いいなっ!」ムニムニ
勇者「いや…、やっ、…やだぁ、本当に…やめてったら、くすぐったい…」
僧侶「……あれ?そういえば、こんなに長く揉むのは初めて…ご、御利益!御利益、あるかな…!これで私も究極に!?」ムニュムニ
勇者「んぁっ…!……も、もう!やめなさい!バカっ!!」ポカッ
僧侶「はう!?……はっ!わ、私は一体、何を……」
勇者「…はー…、はー……そ、僧侶…我を失う癖があるの……な、治してくれ…頼むから」
僧侶「あわわ……す、すみません、勇者様!…見ていたら、つい…」
勇者「もう見るなっ!あっち向いてなさい!…も、もう!困った子だ…!」
勇者「…そんなに気にしなくとも、綺麗な肌だし、柔らかそうで、女の子らしい体型だと思うんだがな……わからん…」
勇者「や……ちょっと、やめて…、んっ」
僧侶「くうっ、形も整ってますぅ…!究極か至高か、いやこれは究極にして至高…!鎧で潰れたりしないんですか?いいな、いいなっ!」ムニムニ
勇者「いや…、やっ、…やだぁ、本当に…やめてったら、くすぐったい…」
僧侶「……あれ?そういえば、こんなに長く揉むのは初めて…ご、御利益!御利益、あるかな…!これで私も究極に!?」ムニュムニ
勇者「んぁっ…!……も、もう!やめなさい!バカっ!!」ポカッ
僧侶「はう!?……はっ!わ、私は一体、何を……」
勇者「…はー…、はー……そ、僧侶…我を失う癖があるの……な、治してくれ…頼むから」
僧侶「あわわ……す、すみません、勇者様!…見ていたら、つい…」
勇者「もう見るなっ!あっち向いてなさい!…も、もう!困った子だ…!」
勇者「…そんなに気にしなくとも、綺麗な肌だし、柔らかそうで、女の子らしい体型だと思うんだがな……わからん…」
382: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/24(金) 19:44:53 :DPoCAeZA
・・・
盗賊「………」グッタリ
勇者「………」グッタリ
僧侶「ど、どうしちゃったんですか?盗賊さん、すごい疲れきってますけど……」
魔法使い「ふふん、男の戦いをしたの!!結果は圧勝だったけどね、お兄さん弱かっ……あ痛っ!」ポカッ
盗賊「あんな勝負、無効に決まってんだろ!!そういう勇者はどうしたんだよ、顔が真っ赤じゃねーか。逆上せたのか?」
僧侶「いえ、私が勇者様の、究極にして至高のおっぱいを堪能し……あ痛っ!」ポカッ
勇者「だから!恥ずかしいから言わないでって言ったじゃないか!そういうものじゃない!!」
賢者「……いやいや~オッサンってば凄い勢いでお察ししちゃうんだけど…!若い女の子がキャッキャと戯れて…まさに花園…百合の花咲く園…!?」
勇者・僧侶「賢者さんって、気持ち悪いですね」
賢者「ハモった!!?」
・・・
盗賊「………」グッタリ
勇者「………」グッタリ
僧侶「ど、どうしちゃったんですか?盗賊さん、すごい疲れきってますけど……」
魔法使い「ふふん、男の戦いをしたの!!結果は圧勝だったけどね、お兄さん弱かっ……あ痛っ!」ポカッ
盗賊「あんな勝負、無効に決まってんだろ!!そういう勇者はどうしたんだよ、顔が真っ赤じゃねーか。逆上せたのか?」
僧侶「いえ、私が勇者様の、究極にして至高のおっぱいを堪能し……あ痛っ!」ポカッ
勇者「だから!恥ずかしいから言わないでって言ったじゃないか!そういうものじゃない!!」
賢者「……いやいや~オッサンってば凄い勢いでお察ししちゃうんだけど…!若い女の子がキャッキャと戯れて…まさに花園…百合の花咲く園…!?」
勇者・僧侶「賢者さんって、気持ち悪いですね」
賢者「ハモった!!?」
383: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/24(金) 19:45:41 :DPoCAeZA
~翌朝~
勇者「…さて!必要なものも買い足した、出発するぞ、みんな」
魔法使い「賢者さん、また勉強教えてね!いってきます」
賢者「ん、みんな、気をつけていってらっしゃい。…魔王の事に関しても、近づき始めているんだ。気を引き締めて行くんだよ。帰りを待っているからね」
僧侶「はいっ!が、頑張ります!!」
盗賊「つーかよ、このクソトカゲの鱗って…どうやって使うんだ?あいつのところまで行けるっていうけどよ…」
魔法使い「確か…魔竜さんは、念じればいいって言ってたよね…魔竜さんのところへ連れてって、って思えばいいのかなあ?」
勇者「どれ……やってみようか。………」
―― ピカッ
僧侶「あ…鱗が、光って……きゃっ!?」
バシュウッ…
賢者「…おー、……みんなが消えた。うーん、興味深いなあ…しかし、この場に研究者の奴がいなくて良かった。あいつが見たら、鱗をズタズタにしちゃうだろうし…」
~翌朝~
勇者「…さて!必要なものも買い足した、出発するぞ、みんな」
魔法使い「賢者さん、また勉強教えてね!いってきます」
賢者「ん、みんな、気をつけていってらっしゃい。…魔王の事に関しても、近づき始めているんだ。気を引き締めて行くんだよ。帰りを待っているからね」
僧侶「はいっ!が、頑張ります!!」
盗賊「つーかよ、このクソトカゲの鱗って…どうやって使うんだ?あいつのところまで行けるっていうけどよ…」
魔法使い「確か…魔竜さんは、念じればいいって言ってたよね…魔竜さんのところへ連れてって、って思えばいいのかなあ?」
勇者「どれ……やってみようか。………」
―― ピカッ
僧侶「あ…鱗が、光って……きゃっ!?」
バシュウッ…
賢者「…おー、……みんなが消えた。うーん、興味深いなあ…しかし、この場に研究者の奴がいなくて良かった。あいつが見たら、鱗をズタズタにしちゃうだろうし…」
384: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/24(金) 19:46:34 :DPoCAeZA
~竜の住処・頂上~
シュン!!
僧侶「………!わ…す、すごい…一瞬にして、ここまで…!」
魔法使い「妖精さんの移動魔法みたいなものかな?場所限定の……」
魔竜「旨そうな匂いがああああ!!!」ギャオオス!!
盗賊「うおあああ!!?」
勇者「な…なんて大きな声だ、衝撃波まで生じるとは…!」
魔竜「あ。すまん、あまりにも旨そうな匂いがしたでの、興奮してしもうた」
盗賊「テメー!!ビビらせんな!興奮禁止にしろ、血圧上がるぞ!?」
魔法使い「魔竜さんっ!色々教えてくれて、本当にありがとう!宝玉のおかげで、僕、助かったんだよー!」
魔法使い「お礼にたくさんお菓子を買ってきたから、食べて?ほらっ」ドサドサ
魔竜「うおおおお甘いものおおお!!!」ギャオオオオス!!!
盗賊「だから!興奮させんな、クソガキ!!」
僧侶「ああう……み、耳が、耳が!破けちゃいそう、です~…!!」
~竜の住処・頂上~
シュン!!
僧侶「………!わ…す、すごい…一瞬にして、ここまで…!」
魔法使い「妖精さんの移動魔法みたいなものかな?場所限定の……」
魔竜「旨そうな匂いがああああ!!!」ギャオオス!!
盗賊「うおあああ!!?」
勇者「な…なんて大きな声だ、衝撃波まで生じるとは…!」
魔竜「あ。すまん、あまりにも旨そうな匂いがしたでの、興奮してしもうた」
盗賊「テメー!!ビビらせんな!興奮禁止にしろ、血圧上がるぞ!?」
魔法使い「魔竜さんっ!色々教えてくれて、本当にありがとう!宝玉のおかげで、僕、助かったんだよー!」
魔法使い「お礼にたくさんお菓子を買ってきたから、食べて?ほらっ」ドサドサ
魔竜「うおおおお甘いものおおお!!!」ギャオオオオス!!!
盗賊「だから!興奮させんな、クソガキ!!」
僧侶「ああう……み、耳が、耳が!破けちゃいそう、です~…!!」
385: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/24(金) 19:47:26 :DPoCAeZA
魔竜「うむ……うむ……ワシは幸せ者だの…こんなにもたくさんの甘いものを食べられるのも、はて、どれくらいぶりか…見た目も綺麗に作られるようになったのだな…」モグモグ
僧侶「うふふ、喜んで頂けて良かった、です…でも、投げて渡さなきゃいけないのも、なんだか…寂しいですね…」
盗賊「…その、お前の体に刺さっている剣は……魔王がやったんだよな?」
魔竜「うむ。普通の剣ならばワシには効かぬが、この剣は魔王の力が形となって現れているもの。魔王が死なぬ限り、抜ける事のない封印よ」
魔竜「そしてそれは、坊主、お前の呪いも同じ事。いいか、その白の宝玉をけっして手放すでないぞ。宝玉が無くなれば、再び呪いの力が甦るぞ」
魔法使い「…白の宝玉は、魔竜さんの剣を消すことは、できないの…?」
魔竜「フフ。出来るのであれば、ワシは今ここにはおらぬよ。宝玉はただ傷を癒すだけ…生命を補うだけだからの」
魔竜「うむ……うむ……ワシは幸せ者だの…こんなにもたくさんの甘いものを食べられるのも、はて、どれくらいぶりか…見た目も綺麗に作られるようになったのだな…」モグモグ
僧侶「うふふ、喜んで頂けて良かった、です…でも、投げて渡さなきゃいけないのも、なんだか…寂しいですね…」
盗賊「…その、お前の体に刺さっている剣は……魔王がやったんだよな?」
魔竜「うむ。普通の剣ならばワシには効かぬが、この剣は魔王の力が形となって現れているもの。魔王が死なぬ限り、抜ける事のない封印よ」
魔竜「そしてそれは、坊主、お前の呪いも同じ事。いいか、その白の宝玉をけっして手放すでないぞ。宝玉が無くなれば、再び呪いの力が甦るぞ」
魔法使い「…白の宝玉は、魔竜さんの剣を消すことは、できないの…?」
魔竜「フフ。出来るのであれば、ワシは今ここにはおらぬよ。宝玉はただ傷を癒すだけ…生命を補うだけだからの」
386: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/24(金) 19:48:12 :DPoCAeZA
勇者「そ、…それでは、宝玉を失った貴方の命は…」
魔竜「それ以上口にするな、娘。…構わんよ、これはワシへの罰でもあるでの。ワシは白の宝玉が救われれば、それで良いのだ…」
盗賊「………」
僧侶「…なら……それなら、魔王を倒せば…魔法使いくんも、魔竜さんも、助かるんですよね!」
勇者「…そして、世界も救われる。…魔竜殿、今一度助言を頂けませんか。私達は魔王を倒したい…魔王の事について、どうか教えてください!」
魔竜「………」
魔竜「…魔王は……この世界にはおらぬ。善悪の境目という場所にいるのだ」
魔竜「魔王の住む場所へは、普通の行き方では辿りつけぬ。英雄の一人が使っていた剣で、境目を斬り開かねばならん」
勇者「英雄の剣……ですか?」
僧侶「…魔導師さん達と一緒に戦った、過去の勇者様…でしょうか……」
勇者「そ、…それでは、宝玉を失った貴方の命は…」
魔竜「それ以上口にするな、娘。…構わんよ、これはワシへの罰でもあるでの。ワシは白の宝玉が救われれば、それで良いのだ…」
盗賊「………」
僧侶「…なら……それなら、魔王を倒せば…魔法使いくんも、魔竜さんも、助かるんですよね!」
勇者「…そして、世界も救われる。…魔竜殿、今一度助言を頂けませんか。私達は魔王を倒したい…魔王の事について、どうか教えてください!」
魔竜「………」
魔竜「…魔王は……この世界にはおらぬ。善悪の境目という場所にいるのだ」
魔竜「魔王の住む場所へは、普通の行き方では辿りつけぬ。英雄の一人が使っていた剣で、境目を斬り開かねばならん」
勇者「英雄の剣……ですか?」
僧侶「…魔導師さん達と一緒に戦った、過去の勇者様…でしょうか……」
387: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/24(金) 19:48:55 :DPoCAeZA
魔竜「うむ。彼の使う剣は、技は、次元すらも斬り裂く…最強の英雄であった」
魔竜「その力を恐れたワシら四天王は、魔王が英雄達の魂を宝玉へ閉じ込める際に、剣を奪い、封印を施したのだ」
魔竜「…ワシはこの通り力を失った。赤の宝玉をお前達が持っているという事は、魔将も倒したのだろう?そして、魔精も死んだ…残る四天王は魔獣のみ。ならば封印の力も弱まっておろう」
魔竜「剣はこの世界の中心…海に沈む神殿にある。赤の宝玉を使え。赤の宝玉は、破壊の力。強大な魔力を持った魔導師の魂…奴なら弱った封印を破壊できよう」
勇者「…ちょっと待ってください、海に沈む神殿?そんな場所、どうやって行けば……」
魔竜「ワシのブレスでお前達を包んでやろう。暫くの間なら、水の中でも地上と同じく活動できようて。そうだの…半日程度は。……素早く行動すれば良い」
魔竜「うむ。彼の使う剣は、技は、次元すらも斬り裂く…最強の英雄であった」
魔竜「その力を恐れたワシら四天王は、魔王が英雄達の魂を宝玉へ閉じ込める際に、剣を奪い、封印を施したのだ」
魔竜「…ワシはこの通り力を失った。赤の宝玉をお前達が持っているという事は、魔将も倒したのだろう?そして、魔精も死んだ…残る四天王は魔獣のみ。ならば封印の力も弱まっておろう」
魔竜「剣はこの世界の中心…海に沈む神殿にある。赤の宝玉を使え。赤の宝玉は、破壊の力。強大な魔力を持った魔導師の魂…奴なら弱った封印を破壊できよう」
勇者「…ちょっと待ってください、海に沈む神殿?そんな場所、どうやって行けば……」
魔竜「ワシのブレスでお前達を包んでやろう。暫くの間なら、水の中でも地上と同じく活動できようて。そうだの…半日程度は。……素早く行動すれば良い」
391: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/25(土) 00:47:27 :3UPg0Rcw
盗賊「半日…か。神殿がどれ程の規模かわからねーが…まあ、やるしかねーか……」
魔竜「案ずる事はない、行けばすぐに見つかるだろうて」
魔法使い「…でもさ、剣を取れたとして…善悪の境目って、何?どこを斬ったらいいのかな」
僧侶「善と……悪………あれ?なんか…引っ掛かる。なんか…どこかで聞いた事があるような…」
盗賊「……神様の住む街に、悪党がぞろぞろ集う…善と悪、両方の揃う…」
勇者「……!!大聖堂の街か!?」
魔竜「………ご名答。そう、運命とは、1つの輪よ。ぐるりと廻り、原点に還るもの」
魔竜「剣を手に入れたなら、大聖堂の街へ行け。そこから先は、剣が導いてくれる」
魔法使い「…魔王……魔王と、対決……」ゾクッ
盗賊「…ここまで来たか…」
僧侶「……魔王を倒せば、世界は平和になる、……」
勇者「…倒してみせる。必ずや!」
盗賊「半日…か。神殿がどれ程の規模かわからねーが…まあ、やるしかねーか……」
魔竜「案ずる事はない、行けばすぐに見つかるだろうて」
魔法使い「…でもさ、剣を取れたとして…善悪の境目って、何?どこを斬ったらいいのかな」
僧侶「善と……悪………あれ?なんか…引っ掛かる。なんか…どこかで聞いた事があるような…」
盗賊「……神様の住む街に、悪党がぞろぞろ集う…善と悪、両方の揃う…」
勇者「……!!大聖堂の街か!?」
魔竜「………ご名答。そう、運命とは、1つの輪よ。ぐるりと廻り、原点に還るもの」
魔竜「剣を手に入れたなら、大聖堂の街へ行け。そこから先は、剣が導いてくれる」
魔法使い「…魔王……魔王と、対決……」ゾクッ
盗賊「…ここまで来たか…」
僧侶「……魔王を倒せば、世界は平和になる、……」
勇者「…倒してみせる。必ずや!」
392: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/25(土) 00:48:13 :3UPg0Rcw
魔竜「では、ワシのブレスでお前達を海底神殿へ送ってやろう」スウウゥー
盗賊「待て!ちょっと待て!!心の準備をさせろ!!クソガキ、菓子をクソトカゲに投げやがれ、あいつを止めろっ!」
魔法使い「魔竜さーん!甘いものだよっ、はい!!」ポイッ
魔竜「甘いもの!!!」パクッ
勇者「はは…コツが掴めてきたな……」
僧侶「ブレスで飛ばされて、海へ入って……剣を取ってきて。帰りは…魔竜さんの、鱗を使って、ここに戻って、……ああう…心臓によくなさそうな事が、目白押しですねえ……」
勇者「戻ったあとは、大聖堂の街へ行き…そして、魔王を倒す」
魔法使い「し…深呼吸、しとこ……」
魔竜「…心の準備とやらは、整ったかの?」
盗賊「……くそっ、金輪際ごめんだと思ったのによ…わかったよ!ブレスでもなんでも来やがれ!!」
勇者「海底神殿……どんなところだろうか…」
魔竜「では、ワシのブレスでお前達を海底神殿へ送ってやろう」スウウゥー
盗賊「待て!ちょっと待て!!心の準備をさせろ!!クソガキ、菓子をクソトカゲに投げやがれ、あいつを止めろっ!」
魔法使い「魔竜さーん!甘いものだよっ、はい!!」ポイッ
魔竜「甘いもの!!!」パクッ
勇者「はは…コツが掴めてきたな……」
僧侶「ブレスで飛ばされて、海へ入って……剣を取ってきて。帰りは…魔竜さんの、鱗を使って、ここに戻って、……ああう…心臓によくなさそうな事が、目白押しですねえ……」
勇者「戻ったあとは、大聖堂の街へ行き…そして、魔王を倒す」
魔法使い「し…深呼吸、しとこ……」
魔竜「…心の準備とやらは、整ったかの?」
盗賊「……くそっ、金輪際ごめんだと思ったのによ…わかったよ!ブレスでもなんでも来やがれ!!」
勇者「海底神殿……どんなところだろうか…」
393: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/25(土) 00:48:57 :3UPg0Rcw
~海中~
ザバァァン!!
僧侶「ひいいぃ……な、何度やろうとも、やっぱり…慣れないです!ブレスで、飛ばされるのは…!!」
魔法使い「わー…海に深く潜っても、全然苦しくない。目も開けられるし、喋れるし」
勇者「体も濡れないな。泳ぎはあまり経験が無かったが…歩くように泳げる。竜のブレスの力…凄いものだ」
盗賊「あのクソトカゲ、本当に万能だな。味方で良かったわ、マジで……」
勇者「しかし、美しいな、海の中とは。こんな体験ができるなんて…」
僧侶「はい、とっても綺麗です…お日様の光がゆらゆらして、お魚さん達も楽しそう。…深く潜っていくごとに、暗くなるのも…なんだか、神秘的」
魔法使い「海の主さんは、どこでお昼寝しているのかなー。また会いたいな」
勇者「…ん。あれか?魔竜殿の言っていた、神殿とは」
盗賊「どうやらそうらしいな。ぼんやりと光っているわ、すぐに見つかって良かったぜ」
~海中~
ザバァァン!!
僧侶「ひいいぃ……な、何度やろうとも、やっぱり…慣れないです!ブレスで、飛ばされるのは…!!」
魔法使い「わー…海に深く潜っても、全然苦しくない。目も開けられるし、喋れるし」
勇者「体も濡れないな。泳ぎはあまり経験が無かったが…歩くように泳げる。竜のブレスの力…凄いものだ」
盗賊「あのクソトカゲ、本当に万能だな。味方で良かったわ、マジで……」
勇者「しかし、美しいな、海の中とは。こんな体験ができるなんて…」
僧侶「はい、とっても綺麗です…お日様の光がゆらゆらして、お魚さん達も楽しそう。…深く潜っていくごとに、暗くなるのも…なんだか、神秘的」
魔法使い「海の主さんは、どこでお昼寝しているのかなー。また会いたいな」
勇者「…ん。あれか?魔竜殿の言っていた、神殿とは」
盗賊「どうやらそうらしいな。ぼんやりと光っているわ、すぐに見つかって良かったぜ」
394: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/25(土) 00:49:43 :3UPg0Rcw
勇者「っと、………これか。英雄の剣とは」
魔法使い「わー…大きい水晶の塊。中に見えるね、剣があるの」
盗賊「…この水晶を割って、剣を取り出しゃいいんだな。砕いた欠片は売れるかねェ、…いや、四天王共が封じたんだったか、呪われそうだな。やめとくか…」コンコン
勇者「僧侶。君の持っている、赤の宝玉を出してくれ」
僧侶「は、はい。勇者様…。……大丈夫かな、魔導師さん…ずっと声が聞こえなかったし、他の宝玉みたいに、力を…出す事も、今までなかったから……」ゴソゴソ
盗賊「…もう、力が無くなっちまったとかじゃあねーよな…?」
僧侶「わ、わかりません…でも、これじゃないと……剣は手に入らないんです、よね…呼び掛けて、みます」
僧侶「……魔導師さん…お願いします。貴方の力が必要なんです。この水晶を割ってください…私達は、魔王を倒したい…救いたいものが、たくさんあるの……」
勇者「っと、………これか。英雄の剣とは」
魔法使い「わー…大きい水晶の塊。中に見えるね、剣があるの」
盗賊「…この水晶を割って、剣を取り出しゃいいんだな。砕いた欠片は売れるかねェ、…いや、四天王共が封じたんだったか、呪われそうだな。やめとくか…」コンコン
勇者「僧侶。君の持っている、赤の宝玉を出してくれ」
僧侶「は、はい。勇者様…。……大丈夫かな、魔導師さん…ずっと声が聞こえなかったし、他の宝玉みたいに、力を…出す事も、今までなかったから……」ゴソゴソ
盗賊「…もう、力が無くなっちまったとかじゃあねーよな…?」
僧侶「わ、わかりません…でも、これじゃないと……剣は手に入らないんです、よね…呼び掛けて、みます」
僧侶「……魔導師さん…お願いします。貴方の力が必要なんです。この水晶を割ってください…私達は、魔王を倒したい…救いたいものが、たくさんあるの……」
395: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/25(土) 00:50:23 :3UPg0Rcw
僧侶「……お願い…、…お願いします。力を、貸してください…」
―― ピカッ!!
魔法使い「うわ!…宝玉から、真っ赤な光が…!!」
勇者「…水晶に伸びていく……、ああ、亀裂が!」
盗賊「―― !!! クソアマ!やめろ、もういい!やめろ!!」
勇者「何故止める!?もう少しで水晶が割れそうなんだ、今止めたら…」
盗賊「バカ野郎ッ!!水晶じゃねえ、クソアマを見ろ!あの光、暴れてんじゃねーか!!クソアマが傷だらけになっている!!」
勇者「な…っ!!?」
僧侶「…ごめんなさい、苦しめてごめんなさい…でも、お願い!もう少しなの、お願い……私達を助けて、私達に力を貸して!!魔王を倒したいの!!」ビシ! バキ!
盗賊「やめろ!もういい!クソアマ!!身体中ズタズタに……やめろ!!やめてくれ、……僧侶ッッ!!お前が傷つく事ねーんだよ!やめろーッ!!」バツッ! バシ!
勇者「僧侶!!…止めに入った盗賊まで、傷が…!!」
僧侶「……お願い…、…お願いします。力を、貸してください…」
―― ピカッ!!
魔法使い「うわ!…宝玉から、真っ赤な光が…!!」
勇者「…水晶に伸びていく……、ああ、亀裂が!」
盗賊「―― !!! クソアマ!やめろ、もういい!やめろ!!」
勇者「何故止める!?もう少しで水晶が割れそうなんだ、今止めたら…」
盗賊「バカ野郎ッ!!水晶じゃねえ、クソアマを見ろ!あの光、暴れてんじゃねーか!!クソアマが傷だらけになっている!!」
勇者「な…っ!!?」
僧侶「…ごめんなさい、苦しめてごめんなさい…でも、お願い!もう少しなの、お願い……私達を助けて、私達に力を貸して!!魔王を倒したいの!!」ビシ! バキ!
盗賊「やめろ!もういい!クソアマ!!身体中ズタズタに……やめろ!!やめてくれ、……僧侶ッッ!!お前が傷つく事ねーんだよ!やめろーッ!!」バツッ! バシ!
勇者「僧侶!!…止めに入った盗賊まで、傷が…!!」
396: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/25(土) 00:51:09 :3UPg0Rcw
僧侶「大丈夫……大丈夫!私なら、やれる!私なら、できる!!……私達なら、できるの!!」
僧侶「お願い!!貴方達を助けたい、もう悲しい事を終わらせたい!!……砕いて!あの水晶を!!私達なら、できるんだから!!」
―― バキャアアン!!
魔法使い「水晶が砕けた…!!勇者様!剣を!!剣を取って!落ちてくる!」
勇者「あ…ああ!」パシッ
勇者「これが、英雄の剣…!……僧侶!?」
僧侶「………」フラッ
盗賊「僧侶!!…っバカ女……!手も体も…顔まで…!!」ガシッ
魔法使い「お兄さん!白の宝玉を使って!僕、手に持ったままでいるから…僧侶さんにも、宝玉をかざそう!」
盗賊「俺より先に、クソアマに向けろ!頼む、白の宝玉…こいつを治してくれ…!」
勇者「僧侶!盗賊!大丈夫か、2人共!!」
僧侶「う……うう、……」シュウウウゥ
勇者「…よ、良かった……傷が、消えていく…治っていく」
僧侶「大丈夫……大丈夫!私なら、やれる!私なら、できる!!……私達なら、できるの!!」
僧侶「お願い!!貴方達を助けたい、もう悲しい事を終わらせたい!!……砕いて!あの水晶を!!私達なら、できるんだから!!」
―― バキャアアン!!
魔法使い「水晶が砕けた…!!勇者様!剣を!!剣を取って!落ちてくる!」
勇者「あ…ああ!」パシッ
勇者「これが、英雄の剣…!……僧侶!?」
僧侶「………」フラッ
盗賊「僧侶!!…っバカ女……!手も体も…顔まで…!!」ガシッ
魔法使い「お兄さん!白の宝玉を使って!僕、手に持ったままでいるから…僧侶さんにも、宝玉をかざそう!」
盗賊「俺より先に、クソアマに向けろ!頼む、白の宝玉…こいつを治してくれ…!」
勇者「僧侶!盗賊!大丈夫か、2人共!!」
僧侶「う……うう、……」シュウウウゥ
勇者「…よ、良かった……傷が、消えていく…治っていく」
397: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/25(土) 00:52:01 :3UPg0Rcw
魔法使い「暴走するなんて、知らなかったよ…赤の宝玉って、こんなに危ないものだったの…?」
盗賊「…赤の宝玉を見つけた時は、ここまでじゃあなかったんだ。俺達が魔物……魔将か?そいつに襲われた時、助けてくれたしよ。その時は、力を制御できていたんだがな」
盗賊「…青も、赤も、白も。封じられているっつう奴らが、消えてんのかもしれねえな…自我が無くなって、ただひたすらに力を使うだけ」
勇者「……白の宝玉も…考え方によっては、危ないかもしれないな。魔法使いや僧侶のように、瀕死の状態ならば頼もしいが…敵に、魔王に奪われたら……勝ち目が無くなってしまう」
盗賊「…クソガキ。白の宝玉はもう表に出さないように、肌身離さず持っていろ。クソトカゲも言っていたろ、それを手放せばテメーの呪いは再発しちまう。…守り通してくれ」
魔法使い「……う、うん…わかったよ、お兄さん…でも、お兄さんも傷を…」
魔法使い「暴走するなんて、知らなかったよ…赤の宝玉って、こんなに危ないものだったの…?」
盗賊「…赤の宝玉を見つけた時は、ここまでじゃあなかったんだ。俺達が魔物……魔将か?そいつに襲われた時、助けてくれたしよ。その時は、力を制御できていたんだがな」
盗賊「…青も、赤も、白も。封じられているっつう奴らが、消えてんのかもしれねえな…自我が無くなって、ただひたすらに力を使うだけ」
勇者「……白の宝玉も…考え方によっては、危ないかもしれないな。魔法使いや僧侶のように、瀕死の状態ならば頼もしいが…敵に、魔王に奪われたら……勝ち目が無くなってしまう」
盗賊「…クソガキ。白の宝玉はもう表に出さないように、肌身離さず持っていろ。クソトカゲも言っていたろ、それを手放せばテメーの呪いは再発しちまう。…守り通してくれ」
魔法使い「……う、うん…わかったよ、お兄さん…でも、お兄さんも傷を…」
398: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/25(土) 00:52:50 :3UPg0Rcw
盗賊「俺の傷は、どうって事ねーよ。宝玉を使うまでもない、いいからしまっておけ」
勇者「(…魔竜殿も、守りたいと言っていた。…魔王に奪われれば、勝ち目がない)」
勇者「(…魔竜殿から……それを奪ったのは……。…呪いの対抗策、以外に…?いや、考えすぎか。そんな事…まさか)」
盗賊「…おい、勇者。剣は取ったろう、ここにはもう用は無い。クソトカゲのところへ戻ろうぜ。…クソアマを休ませたいんだよ」
勇者「……あ。…ああ、そうだな。すまない、考え事をしてしまっていた…すぐに戻ろう」
勇者「………」
勇者「(私は……私は、何をやっているんだ?僧侶が傷ついていたのに、気づけなかった。2人が傷ついたのに、他の事を考えていただと!?)」
勇者「(…吐き気がする。なんて……最低な。私は、最低だ!!!)」
魔法使い「………」
盗賊「クソトカゲの鱗を使うぞ。テメーら、ひとつに固まれ」
盗賊「俺の傷は、どうって事ねーよ。宝玉を使うまでもない、いいからしまっておけ」
勇者「(…魔竜殿も、守りたいと言っていた。…魔王に奪われれば、勝ち目がない)」
勇者「(…魔竜殿から……それを奪ったのは……。…呪いの対抗策、以外に…?いや、考えすぎか。そんな事…まさか)」
盗賊「…おい、勇者。剣は取ったろう、ここにはもう用は無い。クソトカゲのところへ戻ろうぜ。…クソアマを休ませたいんだよ」
勇者「……あ。…ああ、そうだな。すまない、考え事をしてしまっていた…すぐに戻ろう」
勇者「………」
勇者「(私は……私は、何をやっているんだ?僧侶が傷ついていたのに、気づけなかった。2人が傷ついたのに、他の事を考えていただと!?)」
勇者「(…吐き気がする。なんて……最低な。私は、最低だ!!!)」
魔法使い「………」
盗賊「クソトカゲの鱗を使うぞ。テメーら、ひとつに固まれ」
399: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/25(土) 00:53:32 :3UPg0Rcw
~竜の住処・頂上~
魔竜「うむ。それは確かに、英雄が使いし剣。我らが封じたものに間違いない」
盗賊「こいつを使えば魔王のところへ行ける、か。…だが、悪ぃ。クソアマが負傷しちまったんだ、目覚めるまで動かしたくねェ、ここで休んでもいいか?」
魔竜「構わぬ。風が強かろう、ワシの傍で休むといい。岩に縫われようと、風避けくらいにはなれるでの」
魔法使い「ありがとう、魔竜さん!じゃあ、この辺りにテントを組み立てて、僧侶さんを休ませようね」
勇者「……ああ」
魔法使い「………勇者様?大丈夫?顔が真っ青だよ…?」
勇者「…いや、大丈夫だよ。すまない。緊張しているのかもしれないな。…すぐに準備しよう」
勇者「………」
勇者「(近頃、嘘を吐いてばかりだ…)」
勇者「(……私は…私は…何を、やっているんだ…)」
盗賊「おい、クソガキ。そっちを押さえていてくれねーか」
魔法使い「…あっ、うん。わかった」
~竜の住処・頂上~
魔竜「うむ。それは確かに、英雄が使いし剣。我らが封じたものに間違いない」
盗賊「こいつを使えば魔王のところへ行ける、か。…だが、悪ぃ。クソアマが負傷しちまったんだ、目覚めるまで動かしたくねェ、ここで休んでもいいか?」
魔竜「構わぬ。風が強かろう、ワシの傍で休むといい。岩に縫われようと、風避けくらいにはなれるでの」
魔法使い「ありがとう、魔竜さん!じゃあ、この辺りにテントを組み立てて、僧侶さんを休ませようね」
勇者「……ああ」
魔法使い「………勇者様?大丈夫?顔が真っ青だよ…?」
勇者「…いや、大丈夫だよ。すまない。緊張しているのかもしれないな。…すぐに準備しよう」
勇者「………」
勇者「(近頃、嘘を吐いてばかりだ…)」
勇者「(……私は…私は…何を、やっているんだ…)」
盗賊「おい、クソガキ。そっちを押さえていてくれねーか」
魔法使い「…あっ、うん。わかった」
400: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/25(土) 00:54:12 :3UPg0Rcw
~夜~
僧侶「…すー……すー…」
勇者「…良かった…安定したようだな、…寝息が穏やかになっている」
勇者「…ごめんな、僧侶。どうして、こう…周りを見ないのか、私は。…君達と共に戦いたいのに……気が乱れてばかりだ…」キュッ
勇者「…僧侶の手も、顔も……綺麗に治っている。良かった…本当に、良かった。……ごめんな…」
勇者「………」スッ
・・・
勇者「(…外に出たが…魔竜殿も眠っているな)」
勇者「……私は…私は、何を守りたいんだ…?」
勇者「…自分の事ばかりじゃないか。……魔法使いも、僧侶も、…大事なものを傷つけてばかりじゃないか。……もっとも守りたいものを、守れていない……」
盗賊「………何を一人でブツブツ呟いてんだ、怖ェぞ」
勇者「……盗賊!…なんだ…その、……君とは、よく夜中に出くわすな…」
~夜~
僧侶「…すー……すー…」
勇者「…良かった…安定したようだな、…寝息が穏やかになっている」
勇者「…ごめんな、僧侶。どうして、こう…周りを見ないのか、私は。…君達と共に戦いたいのに……気が乱れてばかりだ…」キュッ
勇者「…僧侶の手も、顔も……綺麗に治っている。良かった…本当に、良かった。……ごめんな…」
勇者「………」スッ
・・・
勇者「(…外に出たが…魔竜殿も眠っているな)」
勇者「……私は…私は、何を守りたいんだ…?」
勇者「…自分の事ばかりじゃないか。……魔法使いも、僧侶も、…大事なものを傷つけてばかりじゃないか。……もっとも守りたいものを、守れていない……」
盗賊「………何を一人でブツブツ呟いてんだ、怖ェぞ」
勇者「……盗賊!…なんだ…その、……君とは、よく夜中に出くわすな…」
405: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/25(土) 14:42:55 :3UPg0Rcw
盗賊「そうか?ま、互いに夜行性なんじゃねーの。……ところでよ、クソアマの調子はどうだ」
勇者「大丈夫、落ち着いたよ。すやすやと眠っていた。傷も残っていない。……魔法使いは、もう寝たのか?」
盗賊「……そっか。…あー、傷の手当てさせろってうるさかったぜ、なんとか寝かしつけたわ」
勇者「…君の顔についた傷は…残ってしまったな。すまない、英雄の剣に気を取られていて、君達に気づけなかった…本当に、すまない」
盗賊「もういいっつーの。…どうしてこう、うちの女共はグズグズしつけーんだか。テメーは考えすぎなんだよ、真面目なのも大概にしろよな、ウザってェ」
盗賊「なんでもかんでも、ぐるぐる考え込んでちゃあ、そりゃ周りも見えなくなるわ。そうじゃなく、突っ走りすぎて見えないって方が、テメーらしいと思うぜ?イノシシ女」
勇者「…相変わらず口が悪いな……だが、以前…魔法使いにも似たような事を言われたよ…ふふ」
盗賊「そうか?ま、互いに夜行性なんじゃねーの。……ところでよ、クソアマの調子はどうだ」
勇者「大丈夫、落ち着いたよ。すやすやと眠っていた。傷も残っていない。……魔法使いは、もう寝たのか?」
盗賊「……そっか。…あー、傷の手当てさせろってうるさかったぜ、なんとか寝かしつけたわ」
勇者「…君の顔についた傷は…残ってしまったな。すまない、英雄の剣に気を取られていて、君達に気づけなかった…本当に、すまない」
盗賊「もういいっつーの。…どうしてこう、うちの女共はグズグズしつけーんだか。テメーは考えすぎなんだよ、真面目なのも大概にしろよな、ウザってェ」
盗賊「なんでもかんでも、ぐるぐる考え込んでちゃあ、そりゃ周りも見えなくなるわ。そうじゃなく、突っ走りすぎて見えないって方が、テメーらしいと思うぜ?イノシシ女」
勇者「…相変わらず口が悪いな……だが、以前…魔法使いにも似たような事を言われたよ…ふふ」
406: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/25(土) 14:43:34 :3UPg0Rcw
盗賊「ふん。……ま、いいんだよ、この傷は。残しておいた方が…戒めっつーか、さ」
勇者「…戒め?」
盗賊「なんでもねー。……まー、傷のひとつふたつ、ついていた方がハクがつくだろうし?けど、クソアマに見つかったら騒ぎそうだから、誤魔化す理由考えねーとな…」
勇者「………僧侶を……守れなかったから、…その…戒め?」グッ
盗賊「…さぁな、どうだか」
盗賊「つーかよ、丁度良かったわ。お前が起きていて。……ちょっくら、剣の稽古っつーの?それ、やらせてくれや」
勇者「………え?」
盗賊「お前、スゲー強いじゃねーか。手解きを受けたいんだよ、…これから魔王を倒しに行くんだろ?少しでも経験値積んどくかと思ってな」
勇者「……君らしくない言葉だな。そんな真面目な事を言うなんて」
盗賊「うるせーんだよバカ。…これから死地に向かうんだぜ?嫌々ながら。…死なない為にもってやつだ」
盗賊「ふん。……ま、いいんだよ、この傷は。残しておいた方が…戒めっつーか、さ」
勇者「…戒め?」
盗賊「なんでもねー。……まー、傷のひとつふたつ、ついていた方がハクがつくだろうし?けど、クソアマに見つかったら騒ぎそうだから、誤魔化す理由考えねーとな…」
勇者「………僧侶を……守れなかったから、…その…戒め?」グッ
盗賊「…さぁな、どうだか」
盗賊「つーかよ、丁度良かったわ。お前が起きていて。……ちょっくら、剣の稽古っつーの?それ、やらせてくれや」
勇者「………え?」
盗賊「お前、スゲー強いじゃねーか。手解きを受けたいんだよ、…これから魔王を倒しに行くんだろ?少しでも経験値積んどくかと思ってな」
勇者「……君らしくない言葉だな。そんな真面目な事を言うなんて」
盗賊「うるせーんだよバカ。…これから死地に向かうんだぜ?嫌々ながら。…死なない為にもってやつだ」
407: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/25(土) 14:44:13 :3UPg0Rcw
勇者「………」
勇者「……いいだろう。だが、聖騎士の王国とは違い、真剣しかないぞ。それでいいのか」スラッ
盗賊「構わねー。…魔王は剣を使ってくるようだからな、模擬戦としちゃ丁度いいだろ」ジャキッ
勇者「………いくぞ!!」ダッ
キィン! キンッ!! ガキッ!!
盗賊「おりゃぁッ!!」
勇者「(足払い!?…よし、避けた)」
勇者「(盗賊の武器は短剣……素早い彼なら、懐に潜り込まれたら終いだ…急所を突かれる)」キン! ガキン!!
勇者「(剣を絡め取られても終い、転ばされても終い。リーチの狭さを、早さと体術でよく補っている)」バッ
勇者「(……強くなっているじゃないか)」
勇者「(…対して、私は………雑念ばかり)」
盗賊「――― !」ズアッ
ガキィィン!!
盗賊「ぐ……ッ」ギリギリ
盗賊「(剣同士が噛み合って……力比べじゃ、こっちの体力が削られるだけだ。流すっきゃねェ…体勢が崩れたところを狙わねーと…)」
勇者「………」
勇者「……いいだろう。だが、聖騎士の王国とは違い、真剣しかないぞ。それでいいのか」スラッ
盗賊「構わねー。…魔王は剣を使ってくるようだからな、模擬戦としちゃ丁度いいだろ」ジャキッ
勇者「………いくぞ!!」ダッ
キィン! キンッ!! ガキッ!!
盗賊「おりゃぁッ!!」
勇者「(足払い!?…よし、避けた)」
勇者「(盗賊の武器は短剣……素早い彼なら、懐に潜り込まれたら終いだ…急所を突かれる)」キン! ガキン!!
勇者「(剣を絡め取られても終い、転ばされても終い。リーチの狭さを、早さと体術でよく補っている)」バッ
勇者「(……強くなっているじゃないか)」
勇者「(…対して、私は………雑念ばかり)」
盗賊「――― !」ズアッ
ガキィィン!!
盗賊「ぐ……ッ」ギリギリ
盗賊「(剣同士が噛み合って……力比べじゃ、こっちの体力が削られるだけだ。流すっきゃねェ…体勢が崩れたところを狙わねーと…)」
408: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/25(土) 14:44:59 :3UPg0Rcw
勇者「………」ギリギリ
勇者「…盗賊……君は、…僧侶の事が好きなのか?」
盗賊「………っ、はあぁ!?」
勇者「隙ありッ!!」ガキィッ
盗賊「!!!」バッ!
勇者「…ふふ。後ろに飛んで逃げたか。相変わらず、すごい反射神経だな」
盗賊「てめっ……いきなり何を!それでも勇者サマかよ!?」
勇者「動揺は命取りじゃないか?とくに君のスタイルでは。素早く仕留める、そう、暗殺術…というのか。自らを殺し、気配を殺し、そして標的を殺し、…盗む。命を狩り盗る。それが君の特性。…なのに、動揺してはいけないよ」
盗賊「………」
勇者「…私は、…気づかされた。迷ってばかりで、雑念に捕らわれて、周りを見ていなかった…」
勇者「迷いを捨てたい。雑念を捨てたい。勇気を持って、道を切り開き、みんなを希望の明日へ連れていく。…それが、私の使命!」グッ
盗賊「!! ちょっ…その構えは!」
勇者「………」ギリギリ
勇者「…盗賊……君は、…僧侶の事が好きなのか?」
盗賊「………っ、はあぁ!?」
勇者「隙ありッ!!」ガキィッ
盗賊「!!!」バッ!
勇者「…ふふ。後ろに飛んで逃げたか。相変わらず、すごい反射神経だな」
盗賊「てめっ……いきなり何を!それでも勇者サマかよ!?」
勇者「動揺は命取りじゃないか?とくに君のスタイルでは。素早く仕留める、そう、暗殺術…というのか。自らを殺し、気配を殺し、そして標的を殺し、…盗む。命を狩り盗る。それが君の特性。…なのに、動揺してはいけないよ」
盗賊「………」
勇者「…私は、…気づかされた。迷ってばかりで、雑念に捕らわれて、周りを見ていなかった…」
勇者「迷いを捨てたい。雑念を捨てたい。勇気を持って、道を切り開き、みんなを希望の明日へ連れていく。…それが、私の使命!」グッ
盗賊「!! ちょっ…その構えは!」
409: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/25(土) 14:45:44 :3UPg0Rcw
勇者「たああああぁぁぁッッッ!!!」ドガガガガッッ!!
―― …… …
勇者「…ふー……、…おや。聖騎士の王国と違って、本気の本気で放ったのに…避けられてしまったな」
盗賊「……ッ、危ねぇ…!!」
勇者「私の奥義が避けられるくらい素早いなら…きっと、君は大丈夫だよ」
勇者「………」
勇者「…盗賊………」
勇者「私は、君が好きだよ」
盗賊「………は?」
勇者「………」ニコッ
勇者「粗野で乱暴な君だが、私は君が好きだ。大好きだ。初めてだ、こんな気持ちになったのは…」
勇者「滅びの里から…いや、きっと、出会った頃から惹かれていたのかな?もしも、すんなりと合流できていたら……そんな事すら、考えてしまうくらい。私は、…醜い。汚い」
盗賊「………」
勇者「…そして、盗賊と同じくらい、僧侶が好きだ。魔法使いが好きだ!」
勇者「たああああぁぁぁッッッ!!!」ドガガガガッッ!!
―― …… …
勇者「…ふー……、…おや。聖騎士の王国と違って、本気の本気で放ったのに…避けられてしまったな」
盗賊「……ッ、危ねぇ…!!」
勇者「私の奥義が避けられるくらい素早いなら…きっと、君は大丈夫だよ」
勇者「………」
勇者「…盗賊………」
勇者「私は、君が好きだよ」
盗賊「………は?」
勇者「………」ニコッ
勇者「粗野で乱暴な君だが、私は君が好きだ。大好きだ。初めてだ、こんな気持ちになったのは…」
勇者「滅びの里から…いや、きっと、出会った頃から惹かれていたのかな?もしも、すんなりと合流できていたら……そんな事すら、考えてしまうくらい。私は、…醜い。汚い」
盗賊「………」
勇者「…そして、盗賊と同じくらい、僧侶が好きだ。魔法使いが好きだ!」
410: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/25(土) 14:46:28 :3UPg0Rcw
盗賊「…勇者」
勇者「今まで出会った人達も、これから出会う人達も、みんなみんな、大好きだ!みんな、同じくらい大好きだ!」
勇者「私はみんなを守りたい。もう迷いは捨てる。みんなを守るために、魔王を倒す!!その為に、私は旅に出たんだ。魔法使いを守りたい、僧侶を守りたい、盗賊を守りたい…みんなを守りたい!」
勇者「………盗賊…君は?君は……私の事が、好き…か?」
盗賊「………」
勇者「………」
盗賊「………」
盗賊「………テメーは…どうして、そう真っ直ぐぶつかってくんだか…恥ずかしい奴。俺に言わせる気か?そんな事」
勇者「ああ」
盗賊「ふざけんな」
盗賊「………」
盗賊「………俺も、まあ、その…テメーの事は気に入ってるよ。じゃなきゃ、こんな面倒臭ぇ旅。とっとと逃げてるわ」
盗賊「…勇者」
勇者「今まで出会った人達も、これから出会う人達も、みんなみんな、大好きだ!みんな、同じくらい大好きだ!」
勇者「私はみんなを守りたい。もう迷いは捨てる。みんなを守るために、魔王を倒す!!その為に、私は旅に出たんだ。魔法使いを守りたい、僧侶を守りたい、盗賊を守りたい…みんなを守りたい!」
勇者「………盗賊…君は?君は……私の事が、好き…か?」
盗賊「………」
勇者「………」
盗賊「………」
盗賊「………テメーは…どうして、そう真っ直ぐぶつかってくんだか…恥ずかしい奴。俺に言わせる気か?そんな事」
勇者「ああ」
盗賊「ふざけんな」
盗賊「………」
盗賊「………俺も、まあ、その…テメーの事は気に入ってるよ。じゃなきゃ、こんな面倒臭ぇ旅。とっとと逃げてるわ」
411: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/25(土) 14:47:14 :3UPg0Rcw
勇者「………」
盗賊「テメーも、クソガキも。出会った奴全員気に入ってる。……あー…ったく、恥ずかしいな……」
盗賊「………」
盗賊「だが、俺ぁテメーみたいにゃ出来ない。博愛なんざ馬鹿馬鹿しい、反吐が出るぜ。俺は俺がやりたいと思う事をやるんだ、自由によ。やりたい事をやる、欲しいもんを取る、自由に」
盗賊「俺がやりたい事は……クソアマ、…僧侶を守る事だ。生涯かけて」
勇者「………」
盗賊「後ろ向きのウジウジ女のくせに、ビビりながらも頑張って前を向こうとするアイツを、見ていてやりたい」
盗賊「ふらふらして、すぐ転ぶアイツを助けてやりたい。どっか行っちまわねーよう、走って追いかけられるよう、力をつけたい。傷つかないよう、守ってやりたい」
盗賊「神託とか過去とか関係なく、…俺が守りたいのはアイツだけだ。アイツが笑って過ごせる未来を作りたいだけだ」
勇者「………うん」
勇者「………」
盗賊「テメーも、クソガキも。出会った奴全員気に入ってる。……あー…ったく、恥ずかしいな……」
盗賊「………」
盗賊「だが、俺ぁテメーみたいにゃ出来ない。博愛なんざ馬鹿馬鹿しい、反吐が出るぜ。俺は俺がやりたいと思う事をやるんだ、自由によ。やりたい事をやる、欲しいもんを取る、自由に」
盗賊「俺がやりたい事は……クソアマ、…僧侶を守る事だ。生涯かけて」
勇者「………」
盗賊「後ろ向きのウジウジ女のくせに、ビビりながらも頑張って前を向こうとするアイツを、見ていてやりたい」
盗賊「ふらふらして、すぐ転ぶアイツを助けてやりたい。どっか行っちまわねーよう、走って追いかけられるよう、力をつけたい。傷つかないよう、守ってやりたい」
盗賊「神託とか過去とか関係なく、…俺が守りたいのはアイツだけだ。アイツが笑って過ごせる未来を作りたいだけだ」
勇者「………うん」
412: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/25(土) 14:47:53 :3UPg0Rcw
勇者「…耳まで真っ赤だな」
盗賊「うるせえな!!そういう事を言うなよ、バカ!!ここは普通、気づかないフリするだろ!?」
勇者「そうだったのか?それは知らなかったな」
盗賊「こっの……クソイノシシ女!!」
勇者「ああー、すっきりしたなあ。思い切り体を動かしたら、モヤモヤを吐き出したら、なんだか気分が良くなった。ありがとう、盗賊」
盗賊「俺はサンドバッグか何かかよ……」
勇者「さあ。もう寝よう?気合いを入れ直さねば。全ての決着をつけるためにも」
盗賊「……おい。テメーの寝るテントはそっちじゃねーだろ。そっちにゃクソガキが…」
勇者「私のテントはこっちだよ?私は魔法使いと寝るんだ。君は僧侶といなさい」
盗賊「なに、いらねェ気を回してんだ!?ふざけんな!!テメーがクソアマと寝ろよ!!」
勇者「気など回していない。…なんだ?何を意識しているんだ?」ニヤニヤ
盗賊「ぶっ飛ばすぞテメー!!」
勇者「…耳まで真っ赤だな」
盗賊「うるせえな!!そういう事を言うなよ、バカ!!ここは普通、気づかないフリするだろ!?」
勇者「そうだったのか?それは知らなかったな」
盗賊「こっの……クソイノシシ女!!」
勇者「ああー、すっきりしたなあ。思い切り体を動かしたら、モヤモヤを吐き出したら、なんだか気分が良くなった。ありがとう、盗賊」
盗賊「俺はサンドバッグか何かかよ……」
勇者「さあ。もう寝よう?気合いを入れ直さねば。全ての決着をつけるためにも」
盗賊「……おい。テメーの寝るテントはそっちじゃねーだろ。そっちにゃクソガキが…」
勇者「私のテントはこっちだよ?私は魔法使いと寝るんだ。君は僧侶といなさい」
盗賊「なに、いらねェ気を回してんだ!?ふざけんな!!テメーがクソアマと寝ろよ!!」
勇者「気など回していない。…なんだ?何を意識しているんだ?」ニヤニヤ
盗賊「ぶっ飛ばすぞテメー!!」
413: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/25(土) 14:50:30 :3UPg0Rcw
盗賊「くそ………アイツの顔、見辛いんだっつーの…ちくしょう……」パサ
僧侶「…盗賊さん」
盗賊「!!! おまっ…寝てたんじゃねーのかよ!?」
僧侶「………んふふ~」ニッコリ
バシィッ!!
僧侶「殴って欲しそうでしたから」
盗賊「………おう」ヒリヒリ
バチィン!!
盗賊「往復!!?」
僧侶「勇者様の分です」
盗賊「……おぉ…」ズキズキ
僧侶「私へのものは、勇者様から頂きますね」
盗賊「はい」
僧侶「………あれ?盗賊さん、そういえば…顔の傷、どうしたんですか?私のビンタのじゃないですよね、これ!?まさか、赤の宝玉の時の…!?あわわわ…!」
盗賊「…気づくの遅ェー、このバカ…」
盗賊「くそ………アイツの顔、見辛いんだっつーの…ちくしょう……」パサ
僧侶「…盗賊さん」
盗賊「!!! おまっ…寝てたんじゃねーのかよ!?」
僧侶「………んふふ~」ニッコリ
バシィッ!!
僧侶「殴って欲しそうでしたから」
盗賊「………おう」ヒリヒリ
バチィン!!
盗賊「往復!!?」
僧侶「勇者様の分です」
盗賊「……おぉ…」ズキズキ
僧侶「私へのものは、勇者様から頂きますね」
盗賊「はい」
僧侶「………あれ?盗賊さん、そういえば…顔の傷、どうしたんですか?私のビンタのじゃないですよね、これ!?まさか、赤の宝玉の時の…!?あわわわ…!」
盗賊「…気づくの遅ェー、このバカ…」
414: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/25(土) 14:51:30 :3UPg0Rcw
勇者「………」パサ
魔法使い「………」
勇者「あ。すまない、騒がしくして、起こしてしまったかな。さあ、寝よう。体力が回復しないよ」
魔法使い「…勇者様」
勇者「………」
勇者「………はは…」ポロポロ
魔法使い「………!」
勇者「私って、バカだな。突っ走りすぎて、周りを見てなくて」
勇者「君の前だと、泣けてしまうのにね。なんで忘れていたんだろ」
魔法使い「………」
魔法使い「勇者様は、汚くなんかないよ。とっても綺麗だと思う。真っ白で、純粋で、透明で。どんな色にも染まれるの。それが、僕はとても綺麗だなって思うよ」
勇者「……うっ…う……」
魔法使い「………」
魔法使い「(…苦しい。でも、勇者様は……もっと、苦しい)」
魔法使い「(賢者さん、僕、逃げちゃいたいよ……辛いよ。…でも……頑張らなきゃ…ダメだよね。逃げずに、傍にいなきゃ…)」
勇者「………」パサ
魔法使い「………」
勇者「あ。すまない、騒がしくして、起こしてしまったかな。さあ、寝よう。体力が回復しないよ」
魔法使い「…勇者様」
勇者「………」
勇者「………はは…」ポロポロ
魔法使い「………!」
勇者「私って、バカだな。突っ走りすぎて、周りを見てなくて」
勇者「君の前だと、泣けてしまうのにね。なんで忘れていたんだろ」
魔法使い「………」
魔法使い「勇者様は、汚くなんかないよ。とっても綺麗だと思う。真っ白で、純粋で、透明で。どんな色にも染まれるの。それが、僕はとても綺麗だなって思うよ」
勇者「……うっ…う……」
魔法使い「………」
魔法使い「(…苦しい。でも、勇者様は……もっと、苦しい)」
魔法使い「(賢者さん、僕、逃げちゃいたいよ……辛いよ。…でも……頑張らなきゃ…ダメだよね。逃げずに、傍にいなきゃ…)」
419: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/25(土) 22:02:52 :3UPg0Rcw
~翌朝~
勇者「………」ザッ
魔法使い「ゆ、勇者様…」ハラハラ
魔竜「………」ハラハラ
勇者「おはよう、2人共!」
盗賊「お…おう。…はよーさん」
僧侶「おはようございます、勇者様!」
魔法使い「………」ホッ
魔竜「………」ホッ
魔法使い「……なんで魔竜さんが溜息吐くの。…起きてたんだ?…ちょっと。口笛吹いて誤魔化そうとしても、魔竜さんがやると超音波にしかならないからね?」
僧侶「では、勇者様っ」
勇者「ああ!」バシィッ!!
勇者「僧侶も!!」
僧侶「はいっ!勇者様!!」バチィン!!
~翌朝~
勇者「………」ザッ
魔法使い「ゆ、勇者様…」ハラハラ
魔竜「………」ハラハラ
勇者「おはよう、2人共!」
盗賊「お…おう。…はよーさん」
僧侶「おはようございます、勇者様!」
魔法使い「………」ホッ
魔竜「………」ホッ
魔法使い「……なんで魔竜さんが溜息吐くの。…起きてたんだ?…ちょっと。口笛吹いて誤魔化そうとしても、魔竜さんがやると超音波にしかならないからね?」
僧侶「では、勇者様っ」
勇者「ああ!」バシィッ!!
勇者「僧侶も!!」
僧侶「はいっ!勇者様!!」バチィン!!
420: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/25(土) 22:03:52 :3UPg0Rcw
魔法使い・盗賊・魔竜「!!!??」
僧侶「…痛ったぁ~……勇者様、力強すぎです…」
勇者「何を…僧侶だって、勢いよくて、首を捻るかと思ったぞ」
僧侶「……ふふふっ」
勇者「あはははっ!」
魔法使い「…た、楽しそうだけど……大丈夫なんだよね?変な仲直り…なのかな」
盗賊「……女って、怖ェよな…」
魔竜「ワシらにはわからぬ世界よの…」
勇者「よし!気合いも入った、行くぞ!!大聖堂の街へ!!」
魔竜「では、またワシのブレスで送ってやろう」
盗賊「寿命縮むからいいっつーの、歩いて下山すっから…」
僧侶「何を言ってるんですか~、送ってもらいましょうよ。もう何も怖くなんかないです、ねっ勇者様!」
勇者「ああ。時間短縮にもなるしな。まったく、情けない男だ」
魔法使い「さっぱり吹っ切れすぎでしょ、2人共…!逞しいなあ…」
盗賊「……もう、好きにしてくれ」
魔法使い・盗賊・魔竜「!!!??」
僧侶「…痛ったぁ~……勇者様、力強すぎです…」
勇者「何を…僧侶だって、勢いよくて、首を捻るかと思ったぞ」
僧侶「……ふふふっ」
勇者「あはははっ!」
魔法使い「…た、楽しそうだけど……大丈夫なんだよね?変な仲直り…なのかな」
盗賊「……女って、怖ェよな…」
魔竜「ワシらにはわからぬ世界よの…」
勇者「よし!気合いも入った、行くぞ!!大聖堂の街へ!!」
魔竜「では、またワシのブレスで送ってやろう」
盗賊「寿命縮むからいいっつーの、歩いて下山すっから…」
僧侶「何を言ってるんですか~、送ってもらいましょうよ。もう何も怖くなんかないです、ねっ勇者様!」
勇者「ああ。時間短縮にもなるしな。まったく、情けない男だ」
魔法使い「さっぱり吹っ切れすぎでしょ、2人共…!逞しいなあ…」
盗賊「……もう、好きにしてくれ」
421: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/25(土) 22:04:38 :3UPg0Rcw
~大聖堂の街~
魔法使い「…帰ってきたね」
僧侶「ここに、魔王の居場所が……ど、どこにあるんでしょうかねえ…?」
勇者「英雄の剣が導くと聞いたな……鞘から抜いてみよう」スラッ
―― ズバッ!!
魔法使い「わ!?街の入口に……宙に、亀裂が!?」
盗賊「どんどん裂けていくぞ。…これが、次元を斬ったってやつか…?」
僧侶「中は…真っ暗ですね…星みたいなのが光っているけど、夜空って感じでもない……深くて、暗くて…果てしない……」
盗賊「……中に、入るか」
魔法使い「…うん!!」
勇者「行こう……魔王の元へ」
・・・
僧侶「…私達が入ったら、次元の口が閉じていく…」
魔法使い「これって、歩いているのかな?落ちているのかな?よくわかんない…上下左右ちゃんと正しいのかな?」
~大聖堂の街~
魔法使い「…帰ってきたね」
僧侶「ここに、魔王の居場所が……ど、どこにあるんでしょうかねえ…?」
勇者「英雄の剣が導くと聞いたな……鞘から抜いてみよう」スラッ
―― ズバッ!!
魔法使い「わ!?街の入口に……宙に、亀裂が!?」
盗賊「どんどん裂けていくぞ。…これが、次元を斬ったってやつか…?」
僧侶「中は…真っ暗ですね…星みたいなのが光っているけど、夜空って感じでもない……深くて、暗くて…果てしない……」
盗賊「……中に、入るか」
魔法使い「…うん!!」
勇者「行こう……魔王の元へ」
・・・
僧侶「…私達が入ったら、次元の口が閉じていく…」
魔法使い「これって、歩いているのかな?落ちているのかな?よくわかんない…上下左右ちゃんと正しいのかな?」
422: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/25(土) 22:05:21 :3UPg0Rcw
盗賊「おい、向こうに何かあるぞ」
勇者「……?なんだ?あれは…遠くて、よく見えないな。魔王なのか……」
僧侶「い、行ってみましょう…」ゴクリ
魔法使い「地面じゃないよ、空なのかもわからない、…ちゃんと近づけているのかなあ…?」
・・・
勇者「………!!?」
僧侶「ひっ……!」
盗賊「な…んだ、こりゃあ……バカでかい獣が…剣で串刺しに…!?」
魔法使い「う…うっ、……うわあああ…!!」
僧侶「酷い…酷い……!!こんな、酷いよっ…!おなかも、口も、顔も……体中裂かれて…なんで、こんな……」
魔獣「………ガ……グ………」
勇者「こ…こんな状態で……生きている…!!?」
?「ね。しぶといよね。ふふっ、まあ生きていてもらわなきゃ、困るんだけどさ」
盗賊「おい、向こうに何かあるぞ」
勇者「……?なんだ?あれは…遠くて、よく見えないな。魔王なのか……」
僧侶「い、行ってみましょう…」ゴクリ
魔法使い「地面じゃないよ、空なのかもわからない、…ちゃんと近づけているのかなあ…?」
・・・
勇者「………!!?」
僧侶「ひっ……!」
盗賊「な…んだ、こりゃあ……バカでかい獣が…剣で串刺しに…!?」
魔法使い「う…うっ、……うわあああ…!!」
僧侶「酷い…酷い……!!こんな、酷いよっ…!おなかも、口も、顔も……体中裂かれて…なんで、こんな……」
魔獣「………ガ……グ………」
勇者「こ…こんな状態で……生きている…!!?」
?「ね。しぶといよね。ふふっ、まあ生きていてもらわなきゃ、困るんだけどさ」
423: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/25(土) 22:06:06 :3UPg0Rcw
盗賊「…?今、何か言ったか?クソガキ」
魔法使い「え……?ううん、なんにも言ってないよ…?」
勇者「しぶとい、と言ったじゃないか。なんて事を言うんだ、魔法使い…」
魔法使い「だから!そんな事も言ってないったら!!」
?「うん。僕が言ったんだよ?…善悪の境目は、初めて来たばかりだと動きにくいよねー。こっちだよ、こっち!」
僧侶「………!!?」
盗賊「な……、はあ…っ?だ……誰だ、テメー…」
僧侶「ま……魔法使いくんが………もう一人…?」
?「いらっしゃい、みんな。会いたかったよー!君達の冒険はずっと見てたからね、なんだか僕も一緒に旅をしていたみたいで、楽しかったなー」
勇者「魔法使い…魔法使いの姿だ…どうして!?幻術か!?」
魔法使い「じ、自分の姿が目の前にいるって…なんか、嫌だ…!」
盗賊「…?今、何か言ったか?クソガキ」
魔法使い「え……?ううん、なんにも言ってないよ…?」
勇者「しぶとい、と言ったじゃないか。なんて事を言うんだ、魔法使い…」
魔法使い「だから!そんな事も言ってないったら!!」
?「うん。僕が言ったんだよ?…善悪の境目は、初めて来たばかりだと動きにくいよねー。こっちだよ、こっち!」
僧侶「………!!?」
盗賊「な……、はあ…っ?だ……誰だ、テメー…」
僧侶「ま……魔法使いくんが………もう一人…?」
?「いらっしゃい、みんな。会いたかったよー!君達の冒険はずっと見てたからね、なんだか僕も一緒に旅をしていたみたいで、楽しかったなー」
勇者「魔法使い…魔法使いの姿だ…どうして!?幻術か!?」
魔法使い「じ、自分の姿が目の前にいるって…なんか、嫌だ…!」
424: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/25(土) 22:06:56 :3UPg0Rcw
?「同じ姿なのは、仕方ないんだよ。だって、君の力を奪っていったのは、僕なんだから」
?「少しずつ奪っていくのも面倒になってきて、魔精に呪いの加速を頼んだりもしたなー。そのお陰で、ここまで成長できたの!すごいでしょう?」
勇者「…呪いを……、…なら、お、お前…が…」
盗賊「……魔王…!?」
魔王「そうだよー。初めまして、そして、久しぶり。ふふ、よく来てくれたね!いらっしゃい!」
僧侶「…久しぶり……?」
魔王「…ここにいて、ちょっと退屈していたからなー。いいよ、みんなでお喋りしよっか!」
魔王「うん。僕と君達は、初めましてで、久しぶりなんだ。今現在は初めましてなんだけど……ずっとずっと、ずうっと昔、僕達は対決した事があったんだ。だから久しぶり、なんだよ」
僧侶「………私達の……過去……」
盗賊「………」
?「同じ姿なのは、仕方ないんだよ。だって、君の力を奪っていったのは、僕なんだから」
?「少しずつ奪っていくのも面倒になってきて、魔精に呪いの加速を頼んだりもしたなー。そのお陰で、ここまで成長できたの!すごいでしょう?」
勇者「…呪いを……、…なら、お、お前…が…」
盗賊「……魔王…!?」
魔王「そうだよー。初めまして、そして、久しぶり。ふふ、よく来てくれたね!いらっしゃい!」
僧侶「…久しぶり……?」
魔王「…ここにいて、ちょっと退屈していたからなー。いいよ、みんなでお喋りしよっか!」
魔王「うん。僕と君達は、初めましてで、久しぶりなんだ。今現在は初めましてなんだけど……ずっとずっと、ずうっと昔、僕達は対決した事があったんだ。だから久しぶり、なんだよ」
僧侶「………私達の……過去……」
盗賊「………」
425: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/25(土) 22:07:43 :3UPg0Rcw
魔王「えっと。名前はなんだったっけ?…そうそう。僧侶さんは、魔導師の生まれ変わり」
僧侶「…や、やめて。魔法使いくんの姿で、声で……呼ばないで」
魔王「それからお兄さんは、聖騎士の生まれ変わり」
盗賊「………!」
魔王「そして、…魔法使いは、元勇者……彼の生まれ変わりだ」
魔法使い「!!?」
魔王「元勇者は、みんなと旅をしていた…僕を倒す為に、魔導師と聖騎士とシスターと、みんなで旅をしていた」
魔王「そして、僕のところまでやってきたけど…僕はね、元勇者を飲み込む事が出来ていたんだよ。僕の気持ちの方が、元勇者よりも強かったみたい。汚くて醜いこの世界を消してしまおう?って気持ちがさ」
魔王「…こんな世界、もういらない。消しちゃっていい、って。リセットして、世界の全てを消しちゃおう!!って気持ちがさあ!?」
僧侶「…こんな世界……、それ、その言葉、って…!?」
魔王「えっと。名前はなんだったっけ?…そうそう。僧侶さんは、魔導師の生まれ変わり」
僧侶「…や、やめて。魔法使いくんの姿で、声で……呼ばないで」
魔王「それからお兄さんは、聖騎士の生まれ変わり」
盗賊「………!」
魔王「そして、…魔法使いは、元勇者……彼の生まれ変わりだ」
魔法使い「!!?」
魔王「元勇者は、みんなと旅をしていた…僕を倒す為に、魔導師と聖騎士とシスターと、みんなで旅をしていた」
魔王「そして、僕のところまでやってきたけど…僕はね、元勇者を飲み込む事が出来ていたんだよ。僕の気持ちの方が、元勇者よりも強かったみたい。汚くて醜いこの世界を消してしまおう?って気持ちがさ」
魔王「…こんな世界、もういらない。消しちゃっていい、って。リセットして、世界の全てを消しちゃおう!!って気持ちがさあ!?」
僧侶「…こんな世界……、それ、その言葉、って…!?」
426: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/25(土) 22:08:53 :3UPg0Rcw
―――
魔導師『何故、勇者がそんな事を願ったかわからない。でも、取り引きの時に、勇者はこう言ったよ』
魔導師『こんな世界、いらない』
―――
魔王「こんな世界、いらない」
魔王「…こんな汚い世界、捨てちゃえばいいんだよ」
魔王「…そう。かつて、英雄だなんて持て囃された元勇者は、僕に負けた。僕の方が強かったんだ、僕の意識に飲まれちゃってさ。ふふふっ、元勇者に破滅を選択させてやった!」
魔王「僕自身、驚いたよー。僕をここまで追い詰めた元勇者に勝てたなんてね」
魔王「……元勇者の力はすごかったなあ。あいつの力を得て、僕はギリギリだったけど、生還できた」
魔王「その後、なんとか英雄達の魂を宝玉へ閉じ込める事はできたけど……元勇者はしぶとかった。自分の弱さに気づいて、挫折から立ち上がってさ」
魔王「僕から無理矢理逃げたから、ズレが生じて、他の仲間より遅く転生したみたいだけどね」
―――
魔導師『何故、勇者がそんな事を願ったかわからない。でも、取り引きの時に、勇者はこう言ったよ』
魔導師『こんな世界、いらない』
―――
魔王「こんな世界、いらない」
魔王「…こんな汚い世界、捨てちゃえばいいんだよ」
魔王「…そう。かつて、英雄だなんて持て囃された元勇者は、僕に負けた。僕の方が強かったんだ、僕の意識に飲まれちゃってさ。ふふふっ、元勇者に破滅を選択させてやった!」
魔王「僕自身、驚いたよー。僕をここまで追い詰めた元勇者に勝てたなんてね」
魔王「……元勇者の力はすごかったなあ。あいつの力を得て、僕はギリギリだったけど、生還できた」
魔王「その後、なんとか英雄達の魂を宝玉へ閉じ込める事はできたけど……元勇者はしぶとかった。自分の弱さに気づいて、挫折から立ち上がってさ」
魔王「僕から無理矢理逃げたから、ズレが生じて、他の仲間より遅く転生したみたいだけどね」
427: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/25(土) 22:10:23 :3UPg0Rcw
勇者「な……」
魔王「どういう事だろうね?一度僕に負けたくせに。まだ諦めてなかったなんて」
魔王「起きたらびっくりしたよー。飲み込んだ筈の元勇者がいないんだもん。仕方ないから、僕の力の結晶、黒の宝玉を媒体にして呪いをかけ、生命力を奪わせてもらったよ」
魔王「魔法使いが死んだら、その体に入って完全回復、準備完了。さあ世界を消そう、なんて考えてたんだけどなー」
魔王「魔精がいらない事ばかりするから。滅びの里を復活させたいとか、妖精長に見せてあげたいとか…そんな事を言ってたから、同情してやったのに。すっかり騙されちゃったよ」
魔王「……思えばアイツも僕の事を倒したかったのかな?人間も、僕も倒したかったのかな」
魔王「…ふふっ。でも、どうでもいいや。見ていて面白かったし!」
魔法使い「……なんで…なんで、スターさんを…魔精さんを、殺したの!?なんで!どうして!!」
勇者「な……」
魔王「どういう事だろうね?一度僕に負けたくせに。まだ諦めてなかったなんて」
魔王「起きたらびっくりしたよー。飲み込んだ筈の元勇者がいないんだもん。仕方ないから、僕の力の結晶、黒の宝玉を媒体にして呪いをかけ、生命力を奪わせてもらったよ」
魔王「魔法使いが死んだら、その体に入って完全回復、準備完了。さあ世界を消そう、なんて考えてたんだけどなー」
魔王「魔精がいらない事ばかりするから。滅びの里を復活させたいとか、妖精長に見せてあげたいとか…そんな事を言ってたから、同情してやったのに。すっかり騙されちゃったよ」
魔王「……思えばアイツも僕の事を倒したかったのかな?人間も、僕も倒したかったのかな」
魔王「…ふふっ。でも、どうでもいいや。見ていて面白かったし!」
魔法使い「……なんで…なんで、スターさんを…魔精さんを、殺したの!?なんで!どうして!!」
428: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/25(土) 22:11:36 :3UPg0Rcw
魔王「なんでって。言ったじゃん、アイツはいらない事ばかりするからだよ。面白いなら構わないけど、ムカつく事を喋ろうとしたから」
盗賊「……シスターの事か?…俺が聖騎士、クソアマが魔導師、クソガキは元勇者……なら、…シスターって奴は」
魔王「それ以上言ったら怒るよ?」
勇者「………」
魔王「お前がシスターなわけないじゃん」
魔王「シスターは、こいつに殺されたんだ。…食べられちゃったんだよ。捕まえるだけで良かったのに、頭悪いんだからなー」ドズッ
魔獣「グガアァァ…!!」
僧侶「ひッ!!開いたままの、おなかを…剣で、刺した…!」
魔王「見たんだ。シスターが食べられちゃうところ。肉がぐちゃぐちゃいって、骨がバキバキ鳴って、零れた目玉もペロリって掬われて!」
魔王「僕、起きてからずっと探してたんだ。でも、どこにもないんだ。シスターがいないんだ。こいつの腹にいる筈なのに、いないんだよ」
魔王「なんでって。言ったじゃん、アイツはいらない事ばかりするからだよ。面白いなら構わないけど、ムカつく事を喋ろうとしたから」
盗賊「……シスターの事か?…俺が聖騎士、クソアマが魔導師、クソガキは元勇者……なら、…シスターって奴は」
魔王「それ以上言ったら怒るよ?」
勇者「………」
魔王「お前がシスターなわけないじゃん」
魔王「シスターは、こいつに殺されたんだ。…食べられちゃったんだよ。捕まえるだけで良かったのに、頭悪いんだからなー」ドズッ
魔獣「グガアァァ…!!」
僧侶「ひッ!!開いたままの、おなかを…剣で、刺した…!」
魔王「見たんだ。シスターが食べられちゃうところ。肉がぐちゃぐちゃいって、骨がバキバキ鳴って、零れた目玉もペロリって掬われて!」
魔王「僕、起きてからずっと探してたんだ。でも、どこにもないんだ。シスターがいないんだ。こいつの腹にいる筈なのに、いないんだよ」
431: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/26(日) 02:07:05 :4M2i0P.s
魔王「シスターは、美しく清らかで…何よりも、癒しと再生の力に特化していた。それがさ、ひとつでも欠けたら、汚れたらダメなんだよ」
魔王「蘇生魔法で生き返してもダメなんだ。供物にならない。……あんなにぐちゃぐちゃになっちゃなー。ひとつも欠けちゃいけないのに。本当にもう、魔獣のバカめ」
魔王「力は白の宝玉に閉じ込めた…でも、それだけじゃ足りない。魔竜が持ち出したから、仕置きで串刺しにしたけど」
魔王「あいつもいらない事沢山するんだよなあ、元勇者達に味方したりさー。あいつの大事なもの…力の源を奪ったのは僕だって、忘れてんのかな?ふふっ」
魔王「シスターはもうどこにもいない。お前みたいな醜い奴が、シスターの生まれ変わりなわけないんだ」スラッ
ズバッ!! ―― ドサ
勇者「―― !!?? …うあああ… あ、あ あーッッ!!!」
魔法使い「うわああああああっ!?ゆ…勇者様ーっ!!」
魔王「シスターは、美しく清らかで…何よりも、癒しと再生の力に特化していた。それがさ、ひとつでも欠けたら、汚れたらダメなんだよ」
魔王「蘇生魔法で生き返してもダメなんだ。供物にならない。……あんなにぐちゃぐちゃになっちゃなー。ひとつも欠けちゃいけないのに。本当にもう、魔獣のバカめ」
魔王「力は白の宝玉に閉じ込めた…でも、それだけじゃ足りない。魔竜が持ち出したから、仕置きで串刺しにしたけど」
魔王「あいつもいらない事沢山するんだよなあ、元勇者達に味方したりさー。あいつの大事なもの…力の源を奪ったのは僕だって、忘れてんのかな?ふふっ」
魔王「シスターはもうどこにもいない。お前みたいな醜い奴が、シスターの生まれ変わりなわけないんだ」スラッ
ズバッ!! ―― ドサ
勇者「―― !!?? …うあああ… あ、あ あーッッ!!!」
魔法使い「うわああああああっ!?ゆ…勇者様ーっ!!」
432: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/26(日) 02:09:04 :4M2i0P.s
盗賊「剣で、勇者の片腕を落としやがった…!!」
勇者「ああああ……あ…、……うああああーっ!!」
僧侶「勇者様!勇者様ぁっ!!………!?ど…、どういう、事…っ!?」
魔法使い「斬られた腕から…血がほとんど出ていない!?」
魔王「だから言ったでしょ。お前はシスターなんかじゃないって。魔獣が食べちゃったんだから」
魔王「……僕を倒す力を持った英雄達…君達を導く為に、足りない部分を補う為に、どうしたらいいんだろう?」
魔王「神様は考えました。そして、神様は創ったのです。…人形を」
勇者「――― !!」
魔王「やーい、偽者!人形!!お前は不完全な偽者だ、シスターじゃない、人間でもない!神の力が詰まる、僕を苛立たせる醜い人形なんだよ!」
魔王「ねえねえ、楽しかった?ただの人形のくせに、人間みたいに生きられてさ。楽しかった?…あはははは!!」
魔法使い「…やめろ……やめろよ…勇者様をいじめるな!!」
盗賊「剣で、勇者の片腕を落としやがった…!!」
勇者「ああああ……あ…、……うああああーっ!!」
僧侶「勇者様!勇者様ぁっ!!………!?ど…、どういう、事…っ!?」
魔法使い「斬られた腕から…血がほとんど出ていない!?」
魔王「だから言ったでしょ。お前はシスターなんかじゃないって。魔獣が食べちゃったんだから」
魔王「……僕を倒す力を持った英雄達…君達を導く為に、足りない部分を補う為に、どうしたらいいんだろう?」
魔王「神様は考えました。そして、神様は創ったのです。…人形を」
勇者「――― !!」
魔王「やーい、偽者!人形!!お前は不完全な偽者だ、シスターじゃない、人間でもない!神の力が詰まる、僕を苛立たせる醜い人形なんだよ!」
魔王「ねえねえ、楽しかった?ただの人形のくせに、人間みたいに生きられてさ。楽しかった?…あはははは!!」
魔法使い「…やめろ……やめろよ…勇者様をいじめるな!!」
433: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/26(日) 02:09:59 :4M2i0P.s
勇者「……っ、………っ」ガクガク
僧侶「勇者様…勇者様っ、しっかりしてください…勇者様…!!」
盗賊「胸糞悪ィ奴め…人間だ、人形だ、過去がどうのこうの関係ねーよ……コイツはコイツなんだからよ!!」
魔王「…っていうかさー、僕、そろそろ飽きてきちゃった。イライラする、気分転換しない?」
魔王「違う遊びをしようよ。そうだなあ…こういうのは、どう?」サラサラ…
魔法使い「な……何…?どこから?あいつの手元に、灰が集まっていく…」
魔精「………」ズズズ…
魔法使い「…ス……スターさん!!」
魔将「…聖騎士ィィ……!」ズズズ…
盗賊「な…!!あ、あいつは……封印の塔で襲ってきた、全身鎧野郎!!?」
僧侶「そんな!倒したのに……なんで!?どうして!?」
魔王「こんな事なら魔竜も殺しておけば良かったなー、ここに呼べたのに。まあ、いっか!」
勇者「……っ、………っ」ガクガク
僧侶「勇者様…勇者様っ、しっかりしてください…勇者様…!!」
盗賊「胸糞悪ィ奴め…人間だ、人形だ、過去がどうのこうの関係ねーよ……コイツはコイツなんだからよ!!」
魔王「…っていうかさー、僕、そろそろ飽きてきちゃった。イライラする、気分転換しない?」
魔王「違う遊びをしようよ。そうだなあ…こういうのは、どう?」サラサラ…
魔法使い「な……何…?どこから?あいつの手元に、灰が集まっていく…」
魔精「………」ズズズ…
魔法使い「…ス……スターさん!!」
魔将「…聖騎士ィィ……!」ズズズ…
盗賊「な…!!あ、あいつは……封印の塔で襲ってきた、全身鎧野郎!!?」
僧侶「そんな!倒したのに……なんで!?どうして!?」
魔王「こんな事なら魔竜も殺しておけば良かったなー、ここに呼べたのに。まあ、いっか!」
434: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/26(日) 02:11:37 :4M2i0P.s
魔王「…おい、魔獣。お前が行け。傷を回復してやるからさ、僧侶さんを食べちゃえ。好物なんでしょ?見境なくなるくらい。聖女の、生娘の肉が」パアアァッ
魔獣「…グゥルルル……!」
僧侶「ひ……、や、いや、……こ、来ないで!!いやああっ!…ううう、あ……」ドカッ!! ガチン!!
魔獣「ガウウウゥ!!」ギリギリ
魔王「あっははは!メイスを咬ませて防いだみたいだけど、いつまで耐えられるかなあ?」
盗賊「クソアマぁっ!!」
魔将「聖騎士ィィィ!!貴様の相手は、この我よ!あの女に邪魔はさせぬ、三度貴様を殺そうぞ!!フハハハハハ!!」ズドウッ
盗賊「!! こっの…どけよ!鎧野郎が!!クソアマが…クソアマが食われる…!!」
魔法使い「僧侶さん!お兄さん!!…あうっ!」ガシッ
魔王「邪魔しないでよ、いいところなんだからさー」
魔法使い「あ……ぁ、…う……ち…力が……吸い取られる…」シュウウウウ
魔王「…おい、魔獣。お前が行け。傷を回復してやるからさ、僧侶さんを食べちゃえ。好物なんでしょ?見境なくなるくらい。聖女の、生娘の肉が」パアアァッ
魔獣「…グゥルルル……!」
僧侶「ひ……、や、いや、……こ、来ないで!!いやああっ!…ううう、あ……」ドカッ!! ガチン!!
魔獣「ガウウウゥ!!」ギリギリ
魔王「あっははは!メイスを咬ませて防いだみたいだけど、いつまで耐えられるかなあ?」
盗賊「クソアマぁっ!!」
魔将「聖騎士ィィィ!!貴様の相手は、この我よ!あの女に邪魔はさせぬ、三度貴様を殺そうぞ!!フハハハハハ!!」ズドウッ
盗賊「!! こっの…どけよ!鎧野郎が!!クソアマが…クソアマが食われる…!!」
魔法使い「僧侶さん!お兄さん!!…あうっ!」ガシッ
魔王「邪魔しないでよ、いいところなんだからさー」
魔法使い「あ……ぁ、…う……ち…力が……吸い取られる…」シュウウウウ
435: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/26(日) 02:12:18 :4M2i0P.s
魔精「………」スッ
勇者「………っ……、……」ガクガク
魔法使い「スター…さん、……勇者様に、何するの…!」
魔王「期待はしない方がいいよ?もう余計な事をしないように、ちょっと弄ったんだからさ。あいつはスーパースターじゃない、…僕の配下、魔精だよ」
魔精「……私は………」
魔精「戦いが苦手でね」ヒタリ
勇者「………」
魔精「代わりに、幻惑や魅了魔法が得意なんだ。そう、精神に影響を及ぼす魔法が、ね。……肉体は傷つけない、だが………心は破壊できるんだよ」フワアァァ
勇者「……っ、………あ…?」
勇者「……ああああああ!!!いやああああ、ああああああ!!!やめて!やめて!!いやああああー!!」
魔法使い「勇者様!!」
魔精「心を、精神を、記憶を…鷲掴みにされるのは気分が悪いだろう?退けたいだろう?でも、掴めないねえ……払い除けられないねえ、フフ…こんなに苦しいのに」
魔精「………」スッ
勇者「………っ……、……」ガクガク
魔法使い「スター…さん、……勇者様に、何するの…!」
魔王「期待はしない方がいいよ?もう余計な事をしないように、ちょっと弄ったんだからさ。あいつはスーパースターじゃない、…僕の配下、魔精だよ」
魔精「……私は………」
魔精「戦いが苦手でね」ヒタリ
勇者「………」
魔精「代わりに、幻惑や魅了魔法が得意なんだ。そう、精神に影響を及ぼす魔法が、ね。……肉体は傷つけない、だが………心は破壊できるんだよ」フワアァァ
勇者「……っ、………あ…?」
勇者「……ああああああ!!!いやああああ、ああああああ!!!やめて!やめて!!いやああああー!!」
魔法使い「勇者様!!」
魔精「心を、精神を、記憶を…鷲掴みにされるのは気分が悪いだろう?退けたいだろう?でも、掴めないねえ……払い除けられないねえ、フフ…こんなに苦しいのに」
436: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/26(日) 02:13:09 :4M2i0P.s
魔精「どんな悪夢を見ているのかね?フフ、子供の頃の優しい記憶?魔法使いと過ごした日々?僧侶との友情?それとも……大切に、大切にしたい、初恋の思い出かな?」
魔精「崩れていくだろう?砕けていくだろう?汚れていくだろう?目を逸らしても、振り払っても、奥へ奥へと入り込んでいく……逃げられないよ、精神とは、心とは、君の中にあるのだからねえ……フフフフ、ハーッハッハッハー!!!」
魔王「あはははは!!いい気味だ!壊しちゃえ、全部!全部だよ、いらないんだよ、こんな汚い世界なんかいらないんだからさあ!あはははは!あっはははははは!!」
僧侶「うう……っ、う…」ギリギリ
魔法使い「僧侶さん…」
盗賊「ぐああッ!…畜生……畜生ぉぉっ!!」ドズッ! ザシュッ
魔法使い「お兄さん…」
勇者「いやあああ…やめて、やめて……やめてえぇ……いやだあああ…!!」ガクガク
魔法使い「……勇者様…っ!!」
魔精「どんな悪夢を見ているのかね?フフ、子供の頃の優しい記憶?魔法使いと過ごした日々?僧侶との友情?それとも……大切に、大切にしたい、初恋の思い出かな?」
魔精「崩れていくだろう?砕けていくだろう?汚れていくだろう?目を逸らしても、振り払っても、奥へ奥へと入り込んでいく……逃げられないよ、精神とは、心とは、君の中にあるのだからねえ……フフフフ、ハーッハッハッハー!!!」
魔王「あはははは!!いい気味だ!壊しちゃえ、全部!全部だよ、いらないんだよ、こんな汚い世界なんかいらないんだからさあ!あはははは!あっはははははは!!」
僧侶「うう……っ、う…」ギリギリ
魔法使い「僧侶さん…」
盗賊「ぐああッ!…畜生……畜生ぉぉっ!!」ドズッ! ザシュッ
魔法使い「お兄さん…」
勇者「いやあああ…やめて、やめて……やめてえぇ……いやだあああ…!!」ガクガク
魔法使い「……勇者様…っ!!」
437: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/26(日) 02:14:07 :4M2i0P.s
魔法使い「…やめろ……」
魔王「あっははは……、…ん?」
魔法使い「やめろよ!みんなをいじめるな!!」
魔法使い「勝手な事を言って、なんでみんなを巻き込むんだよ!!汚いとかなんとか、お前がそう思っているだけだろ!?」
魔法使い「お前は!お前だけは、絶対に倒す!!諦めるもんか、何度負けたって諦めない、倒してやる!」
魔王「…あのさあ。僕だって、最初は世界を作り変えようと思ってたんだよ。消すんじゃなく、破壊からの再生。その為にも供物としてシスターが必要だったけど…食べられちゃったしね?」
魔王「でも、起きてから一度は考え直したんだよー?やっぱり再生にしようかなって。だから今までシスターを探してたけど、結局見つからないし」
魔王「もう疲れた。面倒臭くなっちゃって。再生なんかもういいや、やっぱり消しちゃえば済む事だ。ね、そうだろ?その方が断然楽じゃん!」ググッ
魔法使い「うああ…あっ…!!」
魔法使い「…やめろ……」
魔王「あっははは……、…ん?」
魔法使い「やめろよ!みんなをいじめるな!!」
魔法使い「勝手な事を言って、なんでみんなを巻き込むんだよ!!汚いとかなんとか、お前がそう思っているだけだろ!?」
魔法使い「お前は!お前だけは、絶対に倒す!!諦めるもんか、何度負けたって諦めない、倒してやる!」
魔王「…あのさあ。僕だって、最初は世界を作り変えようと思ってたんだよ。消すんじゃなく、破壊からの再生。その為にも供物としてシスターが必要だったけど…食べられちゃったしね?」
魔王「でも、起きてから一度は考え直したんだよー?やっぱり再生にしようかなって。だから今までシスターを探してたけど、結局見つからないし」
魔王「もう疲れた。面倒臭くなっちゃって。再生なんかもういいや、やっぱり消しちゃえば済む事だ。ね、そうだろ?その方が断然楽じゃん!」ググッ
魔法使い「うああ…あっ…!!」
438: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/26(日) 02:15:32 :4M2i0P.s
魔法使い「ぼ……僕は…」
魔法使い「僕は……お前なんかに、負けない…もう、絶対に、負けない!!!」ボッ!!
魔王「!! 熱っ……火球魔法か…」
魔法使い「はあっ、はあ……、………僕は、お前とは違う…」
魔法使い「眠くっても、遊びたくても、我慢して…たくさん勉強した…勇者様を守りたかったから!勇者様が大好きだから、傍にいたくて、たくさん頑張った!嫌な事があっても、逃げなかった!!」
魔法使い「僕は弱っちいお前なんかとは違うんだ!!今度こそ、負けない!僕は強くなった、もう、負けない!勇者様を、みんなを守るんだ!」
魔王「…僕が弱い?笑わせるなよ。元勇者は剣の使い手だったけど、その力はもう僕のもの。一度僕が元勇者を飲み込んだから、その影響か、お前は魔法の才能を持って生まれたみたいだけど…」
魔法使い「違う!!…僕は、お父さんとお母さんの子供だ!!お前の影響なんかない!!」
魔法使い「ぼ……僕は…」
魔法使い「僕は……お前なんかに、負けない…もう、絶対に、負けない!!!」ボッ!!
魔王「!! 熱っ……火球魔法か…」
魔法使い「はあっ、はあ……、………僕は、お前とは違う…」
魔法使い「眠くっても、遊びたくても、我慢して…たくさん勉強した…勇者様を守りたかったから!勇者様が大好きだから、傍にいたくて、たくさん頑張った!嫌な事があっても、逃げなかった!!」
魔法使い「僕は弱っちいお前なんかとは違うんだ!!今度こそ、負けない!僕は強くなった、もう、負けない!勇者様を、みんなを守るんだ!」
魔王「…僕が弱い?笑わせるなよ。元勇者は剣の使い手だったけど、その力はもう僕のもの。一度僕が元勇者を飲み込んだから、その影響か、お前は魔法の才能を持って生まれたみたいだけど…」
魔法使い「違う!!…僕は、お父さんとお母さんの子供だ!!お前の影響なんかない!!」
439: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/26(日) 02:16:12 :4M2i0P.s
魔法使い「お父さんがくれた魔法の才能なんだ!お母さんがくれた体と心なんだあっ!!」ゴオオオッッ
魔王「……極炎魔法!?」
ドゴゴゴォッ!!
魔法使い「僕達は、お前なんかに負けない!」
魔法使い「……ねえっ、そうでしょう!?僧侶さん!」
僧侶「………っ」
魔法使い「僧侶さんならできるよ!いつも頑張っていたじゃない、ずっと見てた!僕、見てたよ!?怖くても一生懸命、挑戦して、乗り越えたじゃんか!!僧侶さんなら、できるよ!」
僧侶「……そう…そうだ……、…そうだった。……できる…私なら、できる…私なら、できるんだ!!」
僧侶「…神様……どうか、私に力を!この試練を乗り越える事のできる、力をお与えください!!」
僧侶「―― 聖風魔法!!」ゴアッ!!
魔獣「ガッ!?グオオアアア!!」ブオワァッ
僧侶「はあッ、はあ、はあ……!わ…私に近づかないで!!風が貴方を吹き飛ばしちゃうんだから!」
魔法使い「お父さんがくれた魔法の才能なんだ!お母さんがくれた体と心なんだあっ!!」ゴオオオッッ
魔王「……極炎魔法!?」
ドゴゴゴォッ!!
魔法使い「僕達は、お前なんかに負けない!」
魔法使い「……ねえっ、そうでしょう!?僧侶さん!」
僧侶「………っ」
魔法使い「僧侶さんならできるよ!いつも頑張っていたじゃない、ずっと見てた!僕、見てたよ!?怖くても一生懸命、挑戦して、乗り越えたじゃんか!!僧侶さんなら、できるよ!」
僧侶「……そう…そうだ……、…そうだった。……できる…私なら、できる…私なら、できるんだ!!」
僧侶「…神様……どうか、私に力を!この試練を乗り越える事のできる、力をお与えください!!」
僧侶「―― 聖風魔法!!」ゴアッ!!
魔獣「ガッ!?グオオアアア!!」ブオワァッ
僧侶「はあッ、はあ、はあ……!わ…私に近づかないで!!風が貴方を吹き飛ばしちゃうんだから!」
440: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/26(日) 02:16:53 :4M2i0P.s
魔法使い「…お兄さんを対象に、攻撃倍加魔法!!」パアアアッ
盗賊「クソガキ…!?」
魔法使い「お兄さん!早く、そんな奴倒しちゃって!お兄さんは強いんだから!!お兄さんは僕のライバルなんだ、そんな奴に負けない、そうでしょう!?」
魔将「聖騎士ィィィィィ!!」ズバババ
盗賊「…っらあ!!」ガキィン
魔将「―― 我の槍を弾いた…!?短剣で!?」
ヒュオッ
魔将「な…ッ!速……!!!いつのまに、背後に!」
盗賊「何度も訂正すんのは、もううんざりだからよ。その枯れて萎んだスカスカ脳味噌に刻んでやるぜ」
盗賊「……俺は聖騎士じゃねーよ、盗賊だ!!いい加減覚えやがれ!!」ドスッッ!!!
魔獣「ゴアアアアッ」ドウン!!
僧侶「火の玉なんか吐いたって、効きません!近づかないで!!…聖壁魔法!!」バキィン
盗賊「クソアマ!退いていろ!!―― だああぁっ!!」ザシュ!!
魔獣「ギャイィィンンン!!!」
魔法使い「…お兄さんを対象に、攻撃倍加魔法!!」パアアアッ
盗賊「クソガキ…!?」
魔法使い「お兄さん!早く、そんな奴倒しちゃって!お兄さんは強いんだから!!お兄さんは僕のライバルなんだ、そんな奴に負けない、そうでしょう!?」
魔将「聖騎士ィィィィィ!!」ズバババ
盗賊「…っらあ!!」ガキィン
魔将「―― 我の槍を弾いた…!?短剣で!?」
ヒュオッ
魔将「な…ッ!速……!!!いつのまに、背後に!」
盗賊「何度も訂正すんのは、もううんざりだからよ。その枯れて萎んだスカスカ脳味噌に刻んでやるぜ」
盗賊「……俺は聖騎士じゃねーよ、盗賊だ!!いい加減覚えやがれ!!」ドスッッ!!!
魔獣「ゴアアアアッ」ドウン!!
僧侶「火の玉なんか吐いたって、効きません!近づかないで!!…聖壁魔法!!」バキィン
盗賊「クソアマ!退いていろ!!―― だああぁっ!!」ザシュ!!
魔獣「ギャイィィンンン!!!」
444: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/26(日) 14:49:09 :4M2i0P.s
魔将「ぬぐっ!!ぬうぅっ……き、貴様らぁぁぁぁ!!!」
魔獣「グアアアオオオオ!!!」
魔法使い「僕達は今を生きているんだ!!明日に向かって歩いているんだ!!何度転んだって、負けたって、立ち上がって、やり直す!!」
魔法使い「明日を信じて生きているんだ!怖くっても、絶望しても、僕達ならできるって信じている!!」
魔法使い「すぐに諦めちゃって、周りに八つ当たりしかできない、お前なんかに、僕達が負けるかぁーっ!!!」
魔王「…うるさい……うるさい!うるさい!!うるさい!!!」
魔王「もう、面倒臭いなあ!!消えろよ!!僕の前から消えろ!!」
魔王「みんなみんな、大嫌いだ!!こんな世界なんか大嫌いだ!!汚い!ずるい!!卑怯だ!!消せばいい!汚いものしか残らない…こんな世界なんか、消えてしまえーっ!!」ゴッ!!
魔法使い「…絶望の力で、仲間の回復を…!?」
魔将「ぬぐっ!!ぬうぅっ……き、貴様らぁぁぁぁ!!!」
魔獣「グアアアオオオオ!!!」
魔法使い「僕達は今を生きているんだ!!明日に向かって歩いているんだ!!何度転んだって、負けたって、立ち上がって、やり直す!!」
魔法使い「明日を信じて生きているんだ!怖くっても、絶望しても、僕達ならできるって信じている!!」
魔法使い「すぐに諦めちゃって、周りに八つ当たりしかできない、お前なんかに、僕達が負けるかぁーっ!!!」
魔王「…うるさい……うるさい!うるさい!!うるさい!!!」
魔王「もう、面倒臭いなあ!!消えろよ!!僕の前から消えろ!!」
魔王「みんなみんな、大嫌いだ!!こんな世界なんか大嫌いだ!!汚い!ずるい!!卑怯だ!!消せばいい!汚いものしか残らない…こんな世界なんか、消えてしまえーっ!!」ゴッ!!
魔法使い「…絶望の力で、仲間の回復を…!?」
445: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/26(日) 14:50:02 :4M2i0P.s
盗賊「来るぞ!……僧侶!!」
僧侶「はい!防御倍加魔法!!」パアアアッ
魔将「おおおおおおッッ!!」ズドドドド
盗賊「…っ…!!…スゲー槍の突きだな?まるで豪雨のようだわ、……だが、悪ィな。全部避けちまった。俺の反射神経をナメんなよ」
魔将「速い!かすったとて、あの小娘の魔法が壁となっておるのか…小癪なぁっ!!」
盗賊「テメーの弱点は口の中だろ?いいのかよ、負け惜しみ吐いてちゃ丸見えになるぜ!!」ガシィッ
魔将「ぐっ!!我と体術で張り合う気か!?」グググ
盗賊「…テメーには言っておきたい事がもうひとつあったなー…そうなると、テメーに会えて良かったと思うわ」パアッ…
魔将「……?青い光…き、貴様は!貴様は!!」
盗賊「…テメーは、俺の女を泣かしやがった!!」
聖騎士『彼女を傷つける奴は、誰であろうと許さん!!』
魔将「…盗賊…貴様……!おおおお聖騎士ィィィィ!!」ドガアアアッッ!! ドズ!!
盗賊「来るぞ!……僧侶!!」
僧侶「はい!防御倍加魔法!!」パアアアッ
魔将「おおおおおおッッ!!」ズドドドド
盗賊「…っ…!!…スゲー槍の突きだな?まるで豪雨のようだわ、……だが、悪ィな。全部避けちまった。俺の反射神経をナメんなよ」
魔将「速い!かすったとて、あの小娘の魔法が壁となっておるのか…小癪なぁっ!!」
盗賊「テメーの弱点は口の中だろ?いいのかよ、負け惜しみ吐いてちゃ丸見えになるぜ!!」ガシィッ
魔将「ぐっ!!我と体術で張り合う気か!?」グググ
盗賊「…テメーには言っておきたい事がもうひとつあったなー…そうなると、テメーに会えて良かったと思うわ」パアッ…
魔将「……?青い光…き、貴様は!貴様は!!」
盗賊「…テメーは、俺の女を泣かしやがった!!」
聖騎士『彼女を傷つける奴は、誰であろうと許さん!!』
魔将「…盗賊…貴様……!おおおお聖騎士ィィィィ!!」ドガアアアッッ!! ドズ!!
446: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/26(日) 14:50:48 :4M2i0P.s
魔獣「グオオアアア!!」
魔法使い「こっちに来る!僧侶さん、下がってて!僕の魔法で……」
僧侶「…ううん。私は大丈夫だよ。魔法使いくんは、早く勇者様を助けにいってあげて!」
魔法使い「で、でも……」
僧侶「大丈夫!私ならできる、あいつを倒せるから!!」パア…
魔法使い「……赤い光が…?わ、わかった」タタッ
魔導師『…集中しな、破壊は創造主の意思に背く力。生命を産み出す祈りの力と反発しあい、膨れ上がっていく』
僧侶「魔導師さんの破壊の力、私の祈りの力、相反するものを無理矢理混ぜ込めば……」
魔導師『耐えきれなくなったそれは、爆発する!!』
僧侶「―― 極大爆発魔法!!!」カッ!!
魔獣「グオッ……ゴガアアアアァァァ!!」
ドグアアァァァンン!!!
僧侶「……ふう、…こ、こ、怖かったあぁっ……魔獣も、この魔法も…!」
魔獣「グオオアアア!!」
魔法使い「こっちに来る!僧侶さん、下がってて!僕の魔法で……」
僧侶「…ううん。私は大丈夫だよ。魔法使いくんは、早く勇者様を助けにいってあげて!」
魔法使い「で、でも……」
僧侶「大丈夫!私ならできる、あいつを倒せるから!!」パア…
魔法使い「……赤い光が…?わ、わかった」タタッ
魔導師『…集中しな、破壊は創造主の意思に背く力。生命を産み出す祈りの力と反発しあい、膨れ上がっていく』
僧侶「魔導師さんの破壊の力、私の祈りの力、相反するものを無理矢理混ぜ込めば……」
魔導師『耐えきれなくなったそれは、爆発する!!』
僧侶「―― 極大爆発魔法!!!」カッ!!
魔獣「グオッ……ゴガアアアアァァァ!!」
ドグアアァァァンン!!!
僧侶「……ふう、…こ、こ、怖かったあぁっ……魔獣も、この魔法も…!」
447: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/26(日) 14:51:34 :4M2i0P.s
魔精「………」フワアァァ
勇者「ひっ、ひ、ひっ」ガクガク
魔精「…最後の一欠片は、なかなか強固だな。それは何だ?私に見せてみろ。ほら……」
勇者「…いや……いやだ、いやだ、…もう、いやだ……あああぁっ…」
魔法使い「―― 勇者様!!」ダッ
魔精「!!!」
魔法使い「勇者様!負けないで!!勇者様は強いんだ、僕、知っているよ!だって、ずっと見てた…貴方とずっと一緒にいたんだから!」
勇者「………」
魔法使い「勇者様!僕の事を見て!僕、頑張るから!勇者様と一緒にいたいから、頑張る!だから勇者様も頑張ってよ、一緒に行こうよ!!」
魔法使い「背中を追いかけるんじゃない……勇者様の隣に立って、歩きたい!勇者様の手を引いて、先に進みたい!」
魔法使い「勇者様を守りたい…僕がいるよ、みんなもいる、勇者様、大丈夫だよ。貴方は一人じゃない!!そうでしょう!?ねえ、見てみてよ!!」
魔精「………」フワアァァ
勇者「ひっ、ひ、ひっ」ガクガク
魔精「…最後の一欠片は、なかなか強固だな。それは何だ?私に見せてみろ。ほら……」
勇者「…いや……いやだ、いやだ、…もう、いやだ……あああぁっ…」
魔法使い「―― 勇者様!!」ダッ
魔精「!!!」
魔法使い「勇者様!負けないで!!勇者様は強いんだ、僕、知っているよ!だって、ずっと見てた…貴方とずっと一緒にいたんだから!」
勇者「………」
魔法使い「勇者様!僕の事を見て!僕、頑張るから!勇者様と一緒にいたいから、頑張る!だから勇者様も頑張ってよ、一緒に行こうよ!!」
魔法使い「背中を追いかけるんじゃない……勇者様の隣に立って、歩きたい!勇者様の手を引いて、先に進みたい!」
魔法使い「勇者様を守りたい…僕がいるよ、みんなもいる、勇者様、大丈夫だよ。貴方は一人じゃない!!そうでしょう!?ねえ、見てみてよ!!」
448: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/26(日) 14:52:20 :4M2i0P.s
勇者「………」
勇者「…魔法……使い………?」
魔精「なんだと…!?砕いた筈の心が…甦った……!?」
魔法使い「勇者様!立ち止まっちゃダメだ!!突っ走るのが勇者様なんだから、あとの事は僕達に任せてよ!勇者様は道を切り開いて!立ち止まっちゃダメ!!走って!勇者様!!」
勇者「………みんな…。……みんなが…いる」
勇者「…わたし……私は………私は、負けない!!」バキィン!!
魔精「ぐぅっ!?……魔法が弾かれた…!」
勇者「私の色は、お前になど染められぬもの!!私の色はみんなの色だ!!お前に汚されて堪るか!!」グッ!!
魔精「その構えは…貴様の奥義!!」
勇者「片腕だからとて侮るな!足りぬものはみんなが補ってくれる!!私が走れるのは、みんながいるからなんだーッ!!」ドガガガガガァァッッ!!
魔精「ぎゃあああああああああーっっ!!」バシュウウ
勇者「………」
勇者「…魔法……使い………?」
魔精「なんだと…!?砕いた筈の心が…甦った……!?」
魔法使い「勇者様!立ち止まっちゃダメだ!!突っ走るのが勇者様なんだから、あとの事は僕達に任せてよ!勇者様は道を切り開いて!立ち止まっちゃダメ!!走って!勇者様!!」
勇者「………みんな…。……みんなが…いる」
勇者「…わたし……私は………私は、負けない!!」バキィン!!
魔精「ぐぅっ!?……魔法が弾かれた…!」
勇者「私の色は、お前になど染められぬもの!!私の色はみんなの色だ!!お前に汚されて堪るか!!」グッ!!
魔精「その構えは…貴様の奥義!!」
勇者「片腕だからとて侮るな!足りぬものはみんなが補ってくれる!!私が走れるのは、みんながいるからなんだーッ!!」ドガガガガガァァッッ!!
魔精「ぎゃあああああああああーっっ!!」バシュウウ
449: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/26(日) 14:53:04 :4M2i0P.s
魔王「………」
魔法使い「…あとは、君だけだよ」
盗賊「いつまで高見の見物気取りだ?かかってくんなら、さっさと来やがれ」
僧侶「もう、これ以上酷い事をしないで…お願い……!!」
勇者「貴様の蛮行、終わらせてみせる…!」
魔王「………」
魔王「バッカじゃないの。熱くなっちゃってさあ、くだらない」
魔王「どいつもこいつも弱いんだからなー、僕にやらせんなよ…めんどくさーい」スッ
勇者「……黒の宝玉…!!」
魔王「この黒の宝玉は、全てを飲み込むよ。元勇者だって、これに飲み込んでやったんだ。僕の力が詰まった結晶だ。…これでお前達も、世界も!全部を飲み込んでやる!」
魔王「みんなみんな!!消えちゃえ!!こんな汚い世界なんかいらない!!僕の前から消えろー!!」カッ!!
僧侶「きゃあああっ!?」
盗賊「ぐ…くっ、な、なんだ…これっ……」
勇者「引き摺り込まれる…飲み込まれる!!絶望の力か……!」
魔王「………」
魔法使い「…あとは、君だけだよ」
盗賊「いつまで高見の見物気取りだ?かかってくんなら、さっさと来やがれ」
僧侶「もう、これ以上酷い事をしないで…お願い……!!」
勇者「貴様の蛮行、終わらせてみせる…!」
魔王「………」
魔王「バッカじゃないの。熱くなっちゃってさあ、くだらない」
魔王「どいつもこいつも弱いんだからなー、僕にやらせんなよ…めんどくさーい」スッ
勇者「……黒の宝玉…!!」
魔王「この黒の宝玉は、全てを飲み込むよ。元勇者だって、これに飲み込んでやったんだ。僕の力が詰まった結晶だ。…これでお前達も、世界も!全部を飲み込んでやる!」
魔王「みんなみんな!!消えちゃえ!!こんな汚い世界なんかいらない!!僕の前から消えろー!!」カッ!!
僧侶「きゃあああっ!?」
盗賊「ぐ…くっ、な、なんだ…これっ……」
勇者「引き摺り込まれる…飲み込まれる!!絶望の力か……!」
450: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/26(日) 14:53:53 :4M2i0P.s
ゴゴゴゴゴ
魔王「みんなみんな、大嫌いだ!!」
魔王「汚いんだよ!うるさいんだよ!!ごちゃごちゃとさあ!!」
魔王「なんで僕ばっかり!なんで!どうして!!なんで僕が責められなきゃいけないんだ!!」
魔王「戦争を起こして、殺し合いをさせて、奪って汚して潰して、憎み合う!!そんななのに、僕を倒すだって!?僕が悪者だって!?なんでだよ!!何が正しいんだ、何が間違っているんだ、何が、何が!!」
魔王「わからない!わからない!!……何が正しいのか…何が間違っているのか……そんなの、誰にも決められないだろ!?」
魔王「逃げ出して楽になりたい、もう汚いものを見たくない、考えるのは疲れた……」
魔王「……もう面倒臭いんだよ!だから消してしまえばいい!人間も、神も妖精も魔族も!みんな消えろよ、何も無くなればいいんだ、消えろ!消えちゃえ!!消えてしまええぇー!!」
―― ドガァァン!!
ゴゴゴゴゴ
魔王「みんなみんな、大嫌いだ!!」
魔王「汚いんだよ!うるさいんだよ!!ごちゃごちゃとさあ!!」
魔王「なんで僕ばっかり!なんで!どうして!!なんで僕が責められなきゃいけないんだ!!」
魔王「戦争を起こして、殺し合いをさせて、奪って汚して潰して、憎み合う!!そんななのに、僕を倒すだって!?僕が悪者だって!?なんでだよ!!何が正しいんだ、何が間違っているんだ、何が、何が!!」
魔王「わからない!わからない!!……何が正しいのか…何が間違っているのか……そんなの、誰にも決められないだろ!?」
魔王「逃げ出して楽になりたい、もう汚いものを見たくない、考えるのは疲れた……」
魔王「……もう面倒臭いんだよ!だから消してしまえばいい!人間も、神も妖精も魔族も!みんな消えろよ、何も無くなればいいんだ、消えろ!消えちゃえ!!消えてしまええぇー!!」
―― ドガァァン!!
451: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/26(日) 14:54:37 :4M2i0P.s
魔法使い「…あ…諦めるもんか…!」ガガガガガッ!!
魔王「!!? 飲み込めない…?僕の力を攻撃魔法で押さえた!?お前が!?僕より弱い、お前が!?」ガガガガガ!!!
魔法使い「弱いのはお前の方だ!!…もう、二度と…飲まれはしない…諦めるもんか、お前なんかに、もう二度と負けるもんか!!!」カッ!!
元勇者『…何が正しいか正しくないか、それは誰にもわからない。魂の数だけ、正否は存在するんだ』
元勇者『だが、その中でも、はっきりした事はひとつある』
魔王「…元勇者…!お前!!」
元勇者『挫折しようと、絶望を味わおうと……諦め、投げ出し、先に進まぬ事、それが俺にとっての悪だ!!』
元勇者『一度は飲まれこそすれ、俺は諦めん!再び立ち上がり、犯した過ちを償う!!魔王、俺達は、お前を倒す!!』
魔法使い「勇者様!お兄さん!僧侶さん!みんな、負けないで!!僕達の力で、魔王を倒すんだ!!」バキィィン!!
魔法使い「…あ…諦めるもんか…!」ガガガガガッ!!
魔王「!!? 飲み込めない…?僕の力を攻撃魔法で押さえた!?お前が!?僕より弱い、お前が!?」ガガガガガ!!!
魔法使い「弱いのはお前の方だ!!…もう、二度と…飲まれはしない…諦めるもんか、お前なんかに、もう二度と負けるもんか!!!」カッ!!
元勇者『…何が正しいか正しくないか、それは誰にもわからない。魂の数だけ、正否は存在するんだ』
元勇者『だが、その中でも、はっきりした事はひとつある』
魔王「…元勇者…!お前!!」
元勇者『挫折しようと、絶望を味わおうと……諦め、投げ出し、先に進まぬ事、それが俺にとっての悪だ!!』
元勇者『一度は飲まれこそすれ、俺は諦めん!再び立ち上がり、犯した過ちを償う!!魔王、俺達は、お前を倒す!!』
魔法使い「勇者様!お兄さん!僧侶さん!みんな、負けないで!!僕達の力で、魔王を倒すんだ!!」バキィィン!!
452: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/26(日) 14:55:24 :4M2i0P.s
盗賊「―― ッ!!?……クソガキ…」
僧侶「魔王の力を、弾いたの…?」
勇者「私達は…私達は、負けない!明日に希望を託す為にも、ここで立ち止まるわけには、いかない!!」
魔王「…うざったいなああ!!しつこいんだよ!!早く消えろよ、僕の前から消えろおおお!!!」ゴウッ!!
元勇者『……勇者!俺の剣を手に取れ!!』
魔導師『あたし達が、魔王を押さえつけている隙に!!』
聖騎士『君達全員の力で、奴を倒すんだ!!』
―― カッ!!
魔王「………ッッ!!?う…動けない…?なんで、お前らなんかに…シスターの欠けたお前らが、何故…!!」ギシッ ギシ
シスター『…いいえ。私はここにいる。みんなと共にいるわ!!』
魔王「!!! な…なんで……なんで?どうして!あんなに探したのに!あんなに呼びかけても、いなかったのに…どうして、お前がここに!!」
シスター『貴方は私達が止める…私達は、もう負けない!!』
盗賊「―― ッ!!?……クソガキ…」
僧侶「魔王の力を、弾いたの…?」
勇者「私達は…私達は、負けない!明日に希望を託す為にも、ここで立ち止まるわけには、いかない!!」
魔王「…うざったいなああ!!しつこいんだよ!!早く消えろよ、僕の前から消えろおおお!!!」ゴウッ!!
元勇者『……勇者!俺の剣を手に取れ!!』
魔導師『あたし達が、魔王を押さえつけている隙に!!』
聖騎士『君達全員の力で、奴を倒すんだ!!』
―― カッ!!
魔王「………ッッ!!?う…動けない…?なんで、お前らなんかに…シスターの欠けたお前らが、何故…!!」ギシッ ギシ
シスター『…いいえ。私はここにいる。みんなと共にいるわ!!』
魔王「!!! な…なんで……なんで?どうして!あんなに探したのに!あんなに呼びかけても、いなかったのに…どうして、お前がここに!!」
シスター『貴方は私達が止める…私達は、もう負けない!!』
453: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/26(日) 14:56:05 :4M2i0P.s
盗賊「もがいて足掻いて、それでも俺達は、明日に希望を託す、未来を作る!!」
僧侶「転んだって立ち止まったって、どんなに怖くたって、勇気を出して前に進む!!」
魔法使い「失敗したら、やり直す!償う!!そうやって探していくんだ、正しいと思える事を!!」
勇者「諦め、投げ出す貴様などに、私達は負けない!!」
魔王「ちくしょう……お前らなんかに…お前らなんかに、この僕があああ!!!」
魔法使い「みんなの力を合わせて…勇者様!!魔王を斬り倒して!! ―― 聖雷光魔法!!!」カッ!!
盗賊「行けぇっ!!勇者!俺達がお前を支える!!」
僧侶「終わらせてください!この戦いを…貴方の剣で!!」
勇者「みんなの力を剣に乗せた、魔法剣を喰らえ!魔王!!覚悟ーッ!!!」
魔王「うわああああああああーーーッッッ!!!」
―― ズガガアアアアァァァッッ!!!
盗賊「もがいて足掻いて、それでも俺達は、明日に希望を託す、未来を作る!!」
僧侶「転んだって立ち止まったって、どんなに怖くたって、勇気を出して前に進む!!」
魔法使い「失敗したら、やり直す!償う!!そうやって探していくんだ、正しいと思える事を!!」
勇者「諦め、投げ出す貴様などに、私達は負けない!!」
魔王「ちくしょう……お前らなんかに…お前らなんかに、この僕があああ!!!」
魔法使い「みんなの力を合わせて…勇者様!!魔王を斬り倒して!! ―― 聖雷光魔法!!!」カッ!!
盗賊「行けぇっ!!勇者!俺達がお前を支える!!」
僧侶「終わらせてください!この戦いを…貴方の剣で!!」
勇者「みんなの力を剣に乗せた、魔法剣を喰らえ!魔王!!覚悟ーッ!!!」
魔王「うわああああああああーーーッッッ!!!」
―― ズガガアアアアァァァッッ!!!
454: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/26(日) 19:48:40 :4M2i0P.s
魔王「うあああああ!!…体が…体が、消える……力が消える、…僕が消える…!?そんな!そんなああ!!」
魔王「僕が消したいのは、この世界なんだ…こんな世界、いらないのに……汚い、醜い、嫌な世界なんか……消してしまえばいいんだああああ…!!」
元勇者『今だ!魔王を封じ込める好機!!みんな、もう一度力を、呼吸を合わせろ!!俺に続けーッッ!!!』
魔導師・聖騎士・シスター『おおおおおおッ!!!』
―― ビカァァァッッ!!
勇者「……ッ…、…あ…?」
盗賊「魔王も…元勇者達も、消えた…?」
―― カツンッ
僧侶「あ…か、代わりに…不思議な色の宝玉が、落ちていますよ…?」
魔法使い「これ…何色だろう?でも、きらきら光ってて、すごく綺麗だ…」
魔王「うあああああ!!…体が…体が、消える……力が消える、…僕が消える…!?そんな!そんなああ!!」
魔王「僕が消したいのは、この世界なんだ…こんな世界、いらないのに……汚い、醜い、嫌な世界なんか……消してしまえばいいんだああああ…!!」
元勇者『今だ!魔王を封じ込める好機!!みんな、もう一度力を、呼吸を合わせろ!!俺に続けーッッ!!!』
魔導師・聖騎士・シスター『おおおおおおッ!!!』
―― ビカァァァッッ!!
勇者「……ッ…、…あ…?」
盗賊「魔王も…元勇者達も、消えた…?」
―― カツンッ
僧侶「あ…か、代わりに…不思議な色の宝玉が、落ちていますよ…?」
魔法使い「これ…何色だろう?でも、きらきら光ってて、すごく綺麗だ…」
455: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/26(日) 19:49:32 :4M2i0P.s
?「…その宝玉は英雄達、そして魔王…全員が救われた証。光の宝玉だ」バサァッ
勇者「……!あ、貴方は!?」
魔法使い「魔竜さん…?でも、すごく綺麗…光の宝玉と同じ、きらきら光ってる……」
聖竜(魔竜)「魔王が倒された事で、封印が解け、奪われていた力の源もワシに返ったでの……魔竜から、本来の姿に戻る事ができたよ。礼を言うぞ…ワシの名は、聖竜。神の遣い、聖竜だ…」
僧侶「か…神様の遣い、ですか!!?」
盗賊「だからあんなに万能だったってわけか。…勇者が言っていた、純粋で綺麗っつーのも……」
聖竜「…うむ。さあ、戦いは終わった。ワシはお前達を迎えに来たのだ。帰ろうぞ、元の世界へ。ワシの背中に乗るといい」
勇者「あ…、……英雄の剣が、砕けてしまったから…」
聖竜「そう。お前達の力に耐えられなかったようだの。フフ、本当によくやった。過去を乗り越え、魔王を倒し…強くなったのう、お前達」
?「…その宝玉は英雄達、そして魔王…全員が救われた証。光の宝玉だ」バサァッ
勇者「……!あ、貴方は!?」
魔法使い「魔竜さん…?でも、すごく綺麗…光の宝玉と同じ、きらきら光ってる……」
聖竜(魔竜)「魔王が倒された事で、封印が解け、奪われていた力の源もワシに返ったでの……魔竜から、本来の姿に戻る事ができたよ。礼を言うぞ…ワシの名は、聖竜。神の遣い、聖竜だ…」
僧侶「か…神様の遣い、ですか!!?」
盗賊「だからあんなに万能だったってわけか。…勇者が言っていた、純粋で綺麗っつーのも……」
聖竜「…うむ。さあ、戦いは終わった。ワシはお前達を迎えに来たのだ。帰ろうぞ、元の世界へ。ワシの背中に乗るといい」
勇者「あ…、……英雄の剣が、砕けてしまったから…」
聖竜「そう。お前達の力に耐えられなかったようだの。フフ、本当によくやった。過去を乗り越え、魔王を倒し…強くなったのう、お前達」
456: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/26(日) 19:50:20 :4M2i0P.s
バキィン!! ―― バサアアッ!!
盗賊「うおおっ!?すげぇ……次元を突き破って、あっという間に空へ…!」
勇者「ああ……空だ!真っ青な空が、眩しい太陽が…帰って来れたんだな!私達!!」
聖竜「光の宝玉は、神界に持っていこう。そこで魔王を休ませ、癒す……奴も苦しみ抜いた結果、ああも歪んでしまったのだ…癒してやらねば」
聖竜「…勇者よ。お前も本当によくやった。神はお前に褒美を与えると仰っておったぞ」
聖竜「お前が望めば、神の人形から、普通の人間になれる。魔王に落とされた腕も治してな。…または、神界に帰るという選択もあるが……」
勇者「……ありがとうございます、神様、そして聖竜殿。そのお言葉、有り難く頂戴すると共に……甘えさせてもらいます」
勇者「………」
勇者「私は……人形じゃなく、人間でありたい。大好きな人達と共に生きたい。どうか私を、人間にしてください」
魔法使い「……勇者様!!」
バキィン!! ―― バサアアッ!!
盗賊「うおおっ!?すげぇ……次元を突き破って、あっという間に空へ…!」
勇者「ああ……空だ!真っ青な空が、眩しい太陽が…帰って来れたんだな!私達!!」
聖竜「光の宝玉は、神界に持っていこう。そこで魔王を休ませ、癒す……奴も苦しみ抜いた結果、ああも歪んでしまったのだ…癒してやらねば」
聖竜「…勇者よ。お前も本当によくやった。神はお前に褒美を与えると仰っておったぞ」
聖竜「お前が望めば、神の人形から、普通の人間になれる。魔王に落とされた腕も治してな。…または、神界に帰るという選択もあるが……」
勇者「……ありがとうございます、神様、そして聖竜殿。そのお言葉、有り難く頂戴すると共に……甘えさせてもらいます」
勇者「………」
勇者「私は……人形じゃなく、人間でありたい。大好きな人達と共に生きたい。どうか私を、人間にしてください」
魔法使い「……勇者様!!」
457: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/26(日) 19:51:09 :4M2i0P.s
勇者「なんだ?そんな顔をして。私が神界に帰るとでも思ったか?」
勇者「…ありがとう、魔法使い。私達を助けてくれて。君がいなかったら、どうなっていたか…」
勇者「君はいつも私に力をくれるね。私を励まして、奮い起たせてくれる。君が傍にいてくれて、本当に…良かった。…ありがとう」ニコッ
魔法使い「………!!」
盗賊「…頑張った甲斐あって、良かったなあ?クソガキ」
僧侶「本当に!魔法使いくんのおかげだね、一生懸命頑張っている魔法使いくんからは、いつも勇気をもらえるもの」
魔法使い「う……うん!うんっ!!僕…僕、頑張った!みんなを守りたいから…たくさん、たくさん…頑張ったよ…!!」
魔法使い「ありがとう……ありがとう、みんな!……やったあー!!魔王を倒したんだ、僕達は世界を救ったんだー!!」バッ
勇者「あっ、コラ!急に立ち上がるな、危ないぞ!?…まったく、もう…」クスクス
勇者「なんだ?そんな顔をして。私が神界に帰るとでも思ったか?」
勇者「…ありがとう、魔法使い。私達を助けてくれて。君がいなかったら、どうなっていたか…」
勇者「君はいつも私に力をくれるね。私を励まして、奮い起たせてくれる。君が傍にいてくれて、本当に…良かった。…ありがとう」ニコッ
魔法使い「………!!」
盗賊「…頑張った甲斐あって、良かったなあ?クソガキ」
僧侶「本当に!魔法使いくんのおかげだね、一生懸命頑張っている魔法使いくんからは、いつも勇気をもらえるもの」
魔法使い「う……うん!うんっ!!僕…僕、頑張った!みんなを守りたいから…たくさん、たくさん…頑張ったよ…!!」
魔法使い「ありがとう……ありがとう、みんな!……やったあー!!魔王を倒したんだ、僕達は世界を救ったんだー!!」バッ
勇者「あっ、コラ!急に立ち上がるな、危ないぞ!?…まったく、もう…」クスクス
458: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/26(日) 19:51:56 :4M2i0P.s
聖竜「勇者よ、お前の願いを叶えよう。…人間になれば、今まで持っていた力は失われるぞ。まさに神がかり的な強さの全てをな」
勇者「構いません。また修行をすればいい事ですから!」
盗賊「…相変わらず、クソ真面目なイノシシ女だなー。もう平和になったっつーに、修行かよ…」
僧侶「ふふ。でも、それが勇者様ですからっ」
魔法使い「僕も!僕も一緒に修行するからね!勇者様!」
聖竜「では、一度みんなを神界に連れて行く!そこで勇者を人間へと治すでの。それからの行き先は決まっておるか?」
盗賊「んなの、全部の国に決まってんだろ!各国から魔王討伐の褒賞金を貰うんだよ!」
僧侶「もお~…盗賊さんったら…」
魔法使い「でも、みんなに会いたいのは僕も同じ!お願い、聖竜さん。各国へ連れてって!」
勇者「…ああ、楽しみだなあ。明日はどんな事があるんだろう!私達なら、なんだってできる!希望に溢れた明日に行けるんだ!!」
聖竜「勇者よ、お前の願いを叶えよう。…人間になれば、今まで持っていた力は失われるぞ。まさに神がかり的な強さの全てをな」
勇者「構いません。また修行をすればいい事ですから!」
盗賊「…相変わらず、クソ真面目なイノシシ女だなー。もう平和になったっつーに、修行かよ…」
僧侶「ふふ。でも、それが勇者様ですからっ」
魔法使い「僕も!僕も一緒に修行するからね!勇者様!」
聖竜「では、一度みんなを神界に連れて行く!そこで勇者を人間へと治すでの。それからの行き先は決まっておるか?」
盗賊「んなの、全部の国に決まってんだろ!各国から魔王討伐の褒賞金を貰うんだよ!」
僧侶「もお~…盗賊さんったら…」
魔法使い「でも、みんなに会いたいのは僕も同じ!お願い、聖竜さん。各国へ連れてって!」
勇者「…ああ、楽しみだなあ。明日はどんな事があるんだろう!私達なら、なんだってできる!希望に溢れた明日に行けるんだ!!」
459: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/26(日) 19:52:41 :4M2i0P.s
~神界~
僧侶「………!!す、す……すごい…すごいなんて言葉じゃ表せないくらい、すごい……」
魔法使い「ここが…神様の住んでいる世界なんだ。エルフの村よりも、もっとずっと、美しいものに溢れている…ああ、いるだけで、救われる気持ちになるよ……」
盗賊「…天国ってのも、こんな感じなのかね。神様かー……俺が神様とやらの近くに来れるたぁな…」
勇者「聖竜殿…神様は、どちらに…いらっしゃるのでしょうか」
聖竜「神はここだけでなく、いつもお前達の傍におるよ。…お前達の目で、その御姿を見る事はできん。姿形にとらわれぬ、唯一無二。それが神」
聖竜「故に、ワシや神職者という代行が存在するのだ。勇者よ……神はお前の功績を称え、お前の体を癒してくださる。神の代行人形から、人へと生まれ変わるのだ」
聖竜「そして、お前なりの正義を、幸福を模索し、歩むがいい。人生という短く長い旅に出るがいい」フワアアァァ
~神界~
僧侶「………!!す、す……すごい…すごいなんて言葉じゃ表せないくらい、すごい……」
魔法使い「ここが…神様の住んでいる世界なんだ。エルフの村よりも、もっとずっと、美しいものに溢れている…ああ、いるだけで、救われる気持ちになるよ……」
盗賊「…天国ってのも、こんな感じなのかね。神様かー……俺が神様とやらの近くに来れるたぁな…」
勇者「聖竜殿…神様は、どちらに…いらっしゃるのでしょうか」
聖竜「神はここだけでなく、いつもお前達の傍におるよ。…お前達の目で、その御姿を見る事はできん。姿形にとらわれぬ、唯一無二。それが神」
聖竜「故に、ワシや神職者という代行が存在するのだ。勇者よ……神はお前の功績を称え、お前の体を癒してくださる。神の代行人形から、人へと生まれ変わるのだ」
聖竜「そして、お前なりの正義を、幸福を模索し、歩むがいい。人生という短く長い旅に出るがいい」フワアアァァ
460: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/26(日) 19:53:27 :4M2i0P.s
魔法使い「…聖竜さんのブレスが…勇者様の体を包んでいく」
勇者「…ああ……魔王に落とされた腕も、戻って…」フワアアア
盗賊「それ以外、特別変わった感じはねーよな…?」
勇者「いいや、わかる。人間になったのだと……上手く言えないが、何かが足りなくなった感じがする。…しかし、ブレスを受ける前よりも、とてもとても、満ち足りたものを感じる!」
僧侶「勇者様は勇者様です!それだけは変わりませんよ、勇者様は……私達の勇者様ですっ」
聖竜「勇者よ、そして仲間達よ。此度の働き、見事であった。皆を救ってくれた事に、感謝を捧げよう」
聖竜「お前達の過去…英雄達も、挫折から立ち直れた。お前達のおかげで救われたのだ。彼らもまた、この神界にて休ませよう…彼らの戦いは終わったのだ」
聖竜「過去を乗り越え、己を守り抜いたお前達の力、神は称えるであろう」
魔法使い「…聖竜さんのブレスが…勇者様の体を包んでいく」
勇者「…ああ……魔王に落とされた腕も、戻って…」フワアアア
盗賊「それ以外、特別変わった感じはねーよな…?」
勇者「いいや、わかる。人間になったのだと……上手く言えないが、何かが足りなくなった感じがする。…しかし、ブレスを受ける前よりも、とてもとても、満ち足りたものを感じる!」
僧侶「勇者様は勇者様です!それだけは変わりませんよ、勇者様は……私達の勇者様ですっ」
聖竜「勇者よ、そして仲間達よ。此度の働き、見事であった。皆を救ってくれた事に、感謝を捧げよう」
聖竜「お前達の過去…英雄達も、挫折から立ち直れた。お前達のおかげで救われたのだ。彼らもまた、この神界にて休ませよう…彼らの戦いは終わったのだ」
聖竜「過去を乗り越え、己を守り抜いたお前達の力、神は称えるであろう」
461: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/26(日) 19:54:15 :4M2i0P.s
魔導師『本当にありがとう。…あんたがこんなに強かったなんて、びっくりしたよ。あんたなら、もう大丈夫だね』
僧侶「いいえ…魔導師さんが沢山の事を教えてくれたからです。お疲れさまでした…ゆっくり休んでくださいね」
聖騎士『自由を得た君なら、安心してこの先も任せられる。よろしく頼んだぞ』
盗賊「へいへい。ま、適当にやらせて頂きますよ。気の向くままにな」
元勇者『君は俺よりも強い。皆を導く事のできるその力と勇気。挫けぬ心を、これからも忘れないで。頑張れよ』ナデナデ
魔法使い「…もー、子供扱いしないでよ……近いうち、その身長だって追い越しちゃうからね!!」
パアアッ…
勇者「………!」
シスター『…本当にありがとう、みんなを助けてくれて。私も、呪縛を解く事ができた。神の下へと行く事ができるのは、全て貴方達のおかげだわ』
シスター『ありがとう、勇者達。本当に……ありがとう…』
魔導師『本当にありがとう。…あんたがこんなに強かったなんて、びっくりしたよ。あんたなら、もう大丈夫だね』
僧侶「いいえ…魔導師さんが沢山の事を教えてくれたからです。お疲れさまでした…ゆっくり休んでくださいね」
聖騎士『自由を得た君なら、安心してこの先も任せられる。よろしく頼んだぞ』
盗賊「へいへい。ま、適当にやらせて頂きますよ。気の向くままにな」
元勇者『君は俺よりも強い。皆を導く事のできるその力と勇気。挫けぬ心を、これからも忘れないで。頑張れよ』ナデナデ
魔法使い「…もー、子供扱いしないでよ……近いうち、その身長だって追い越しちゃうからね!!」
パアアッ…
勇者「………!」
シスター『…本当にありがとう、みんなを助けてくれて。私も、呪縛を解く事ができた。神の下へと行く事ができるのは、全て貴方達のおかげだわ』
シスター『ありがとう、勇者達。本当に……ありがとう…』
462: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/26(日) 19:55:02 :4M2i0P.s
元勇者『俺達は神の下へと帰る。…光の宝玉と共に』
元勇者『そして、再び魔王が目覚めるのを待つよ。大丈夫…次に目覚めた時は、彼と友人になれるだろう。必ずね』
元勇者『穢れを清め、癒された魔王は救われる。彼が償いを終えて来るのを、俺達はここで待っているよ』
元勇者『ありがとう。もう一人の俺達。本当に、ありがとう…』
―― パアアアァァ…
勇者「…消えた……」
僧侶「…皆様、本当に…お疲れさまでした…」
聖竜「……さあ、地上へ。お前達の帰る場所へと送ってやろう」
勇者「……あ。いえ、その前に。どうかもうひとつ、叶えて頂きたい願いがあるのです」
盗賊「………それって、もしかして」
僧侶「…勇者様っ!」
魔法使い「僕も…僕達も、是非!お願いしたいよ、……我儘かも、エゴかもしれないけど…」
聖竜「エゴかどうかは…確かめればわかる事だしの。その願い、言ってみろ、勇者よ…」
元勇者『俺達は神の下へと帰る。…光の宝玉と共に』
元勇者『そして、再び魔王が目覚めるのを待つよ。大丈夫…次に目覚めた時は、彼と友人になれるだろう。必ずね』
元勇者『穢れを清め、癒された魔王は救われる。彼が償いを終えて来るのを、俺達はここで待っているよ』
元勇者『ありがとう。もう一人の俺達。本当に、ありがとう…』
―― パアアアァァ…
勇者「…消えた……」
僧侶「…皆様、本当に…お疲れさまでした…」
聖竜「……さあ、地上へ。お前達の帰る場所へと送ってやろう」
勇者「……あ。いえ、その前に。どうかもうひとつ、叶えて頂きたい願いがあるのです」
盗賊「………それって、もしかして」
僧侶「…勇者様っ!」
魔法使い「僕も…僕達も、是非!お願いしたいよ、……我儘かも、エゴかもしれないけど…」
聖竜「エゴかどうかは…確かめればわかる事だしの。その願い、言ってみろ、勇者よ…」
463: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/26(日) 19:55:55 :4M2i0P.s
戦いは、終わった。
魔王討伐を果たした勇者達は、各国を回り、世界に平穏が訪れた事を伝えていった。
人々は喜び、また、反省し、明日に希望を託していく。
―― そして、魔王討伐から、数年の月日が流れた…
・・・
・・
・
戦いは、終わった。
魔王討伐を果たした勇者達は、各国を回り、世界に平穏が訪れた事を伝えていった。
人々は喜び、また、反省し、明日に希望を託していく。
―― そして、魔王討伐から、数年の月日が流れた…
・・・
・・
・
469: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/27(月) 00:31:05 :au//fyRk
~大聖堂の街~
盗賊「……はいよ。注文の品、巫女の冠だ」
衛兵「ありがとう。これで山間の村の祭りが盛り上がるよ。たまには君達も遊びに来てくれ、いつでも歓迎するからな?」
スライム「ピキー!」ヒョコ
盗賊「よお、お前もいたのか、温泉スライム。元気そうじゃねーか」
衛兵「この子も君達に会いたがっていたしな。…この子も、私も安心して村の外に出られるのは、全て君達のおかげだ。本当にありがとう」
盗賊「もういいっつーの、その話は。ま、近いうち遊びに行くから。飯を沢山用意しておけよ。あの山の幸料理は最高だ」
衛兵「はは、わかったよ。必ずな。では、私はこれで。行くぞ、スライム」
スライム「ピッキピー!」
賢者「…商売繁盛で何よりだねー。魔王討伐の褒賞金を元手に、その手先器用さを生かして、装飾品の店を出すとは。天職ってやつじゃない?」バサッ
~大聖堂の街~
盗賊「……はいよ。注文の品、巫女の冠だ」
衛兵「ありがとう。これで山間の村の祭りが盛り上がるよ。たまには君達も遊びに来てくれ、いつでも歓迎するからな?」
スライム「ピキー!」ヒョコ
盗賊「よお、お前もいたのか、温泉スライム。元気そうじゃねーか」
衛兵「この子も君達に会いたがっていたしな。…この子も、私も安心して村の外に出られるのは、全て君達のおかげだ。本当にありがとう」
盗賊「もういいっつーの、その話は。ま、近いうち遊びに行くから。飯を沢山用意しておけよ。あの山の幸料理は最高だ」
衛兵「はは、わかったよ。必ずな。では、私はこれで。行くぞ、スライム」
スライム「ピッキピー!」
賢者「…商売繁盛で何よりだねー。魔王討伐の褒賞金を元手に、その手先器用さを生かして、装飾品の店を出すとは。天職ってやつじゃない?」バサッ
470: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/27(月) 00:31:46 :au//fyRk
盗賊「なんだ、起きていたのかよ。新聞被って静かにしてっから、寝ていたのかと思ったぜ。起きてんなら銀磨きを手伝え、注文はまだまだ山のようにあんだからな」
賢者「やーだよー。自分の事は自分でやりなさいね。オッサンは疲れてんだからさー」
盗賊「だからって俺の店を休憩所に使うな。このクソオヤジは……悟りの書が見つからないからって、ならテメーで作ってやるとか奮起していたと思えば、こうダラダラと…」
賢者「だっから休憩だってば、休憩~。休んだらまた頑張るしー?」
聖竜「か、か、匿ってくれええっ!!」バサバサッ
盗賊「うおっ!?聖竜じゃねーか!どうした…またそんな肩乗りサイズに変化しやがって。お前もちょくちょくこっちに降りてくんなァ、それでも神の遣いか?有り難みの無い」
賢者「匿って、って何事よ。……まさか…」
ドカアアァァン!!
盗賊「なんだ、起きていたのかよ。新聞被って静かにしてっから、寝ていたのかと思ったぜ。起きてんなら銀磨きを手伝え、注文はまだまだ山のようにあんだからな」
賢者「やーだよー。自分の事は自分でやりなさいね。オッサンは疲れてんだからさー」
盗賊「だからって俺の店を休憩所に使うな。このクソオヤジは……悟りの書が見つからないからって、ならテメーで作ってやるとか奮起していたと思えば、こうダラダラと…」
賢者「だっから休憩だってば、休憩~。休んだらまた頑張るしー?」
聖竜「か、か、匿ってくれええっ!!」バサバサッ
盗賊「うおっ!?聖竜じゃねーか!どうした…またそんな肩乗りサイズに変化しやがって。お前もちょくちょくこっちに降りてくんなァ、それでも神の遣いか?有り難みの無い」
賢者「匿って、って何事よ。……まさか…」
ドカアアァァン!!
471: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/27(月) 00:32:29 :au//fyRk
聖竜「ひいいい!!き、来たああっ!!」
研究者「ごほっ!ごほ……移動魔法は、まだまだ研究の余地があるな…移動する度に爆発しては敵わん」ガラガラ
研究者「逃げるな、聖竜。俺が張った罠の菓子を食っただろう。代わりに、お前を調べさせろよ。ちょっと鱗を貰うだけだ、数枚でいいんだ!!」
聖竜「嫌だ嫌だ!!解剖される~っ!!菓子を食ったのは謝る!!だからこっちに来るなあー!!」バサバサ
賢者「あっはは、聖竜も何度だって騙されるんだからなー。いい加減学習しなさいよ」
盗賊「どうでもいいけどよ、店先を破壊すんのだけは止めてくれ」
聖竜「どうでもいいとは何事か!わああ、やめろ!!虫取網を振り回すな、ワシは神の遣い、聖竜ぞ!!?この罰当たり者がーっ!」
研究者「だからこそ調べたいんだ!おとなしくしろ!!逃げるな!痛くはしない、多分!」ブンブン
聖竜「ひいいい!!き、来たああっ!!」
研究者「ごほっ!ごほ……移動魔法は、まだまだ研究の余地があるな…移動する度に爆発しては敵わん」ガラガラ
研究者「逃げるな、聖竜。俺が張った罠の菓子を食っただろう。代わりに、お前を調べさせろよ。ちょっと鱗を貰うだけだ、数枚でいいんだ!!」
聖竜「嫌だ嫌だ!!解剖される~っ!!菓子を食ったのは謝る!!だからこっちに来るなあー!!」バサバサ
賢者「あっはは、聖竜も何度だって騙されるんだからなー。いい加減学習しなさいよ」
盗賊「どうでもいいけどよ、店先を破壊すんのだけは止めてくれ」
聖竜「どうでもいいとは何事か!わああ、やめろ!!虫取網を振り回すな、ワシは神の遣い、聖竜ぞ!!?この罰当たり者がーっ!」
研究者「だからこそ調べたいんだ!おとなしくしろ!!逃げるな!痛くはしない、多分!」ブンブン
472: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/27(月) 00:33:14 :au//fyRk
盗賊「ったく騒がしいな…あー、やめやめ。今日はもう店仕舞いだ」
賢者「そうだねぇ、ここまでみんな揃ってんだしさ。いっちょパアッとやりますか」
盗賊「酒は無しだからな?アイツに無理させるわけにゃいかねーしよ」
賢者「わかってるって。…やー、しかしお嬢ちゃんのおなかも随分大きくなったよねえ」
賢者「……悟りに一番近いのは兄ちゃんだと思ってたが、やる時はやるんだからなあ」ボソッ
盗賊「なんか言ったか?」ギロリ
賢者「いいえー、何も」
魔法使い「―― お兄さーん!貿易大国への配達、終わったよ!次はどこ?」タタッ
盗賊「おう、お疲れ。次は……あー、いいや。帰ってからにしよう、今日はもう店仕舞いだからな。飯食って休むぜ」
魔法使い「そっかー。どこだって行くからね、僕達に任せて……あ、賢者さんだ!来てたんだ、久し振りーっ!」パシン
賢者「よう、魔法使いくん。久し振りーのハイタッチ!」パシン
盗賊「ったく騒がしいな…あー、やめやめ。今日はもう店仕舞いだ」
賢者「そうだねぇ、ここまでみんな揃ってんだしさ。いっちょパアッとやりますか」
盗賊「酒は無しだからな?アイツに無理させるわけにゃいかねーしよ」
賢者「わかってるって。…やー、しかしお嬢ちゃんのおなかも随分大きくなったよねえ」
賢者「……悟りに一番近いのは兄ちゃんだと思ってたが、やる時はやるんだからなあ」ボソッ
盗賊「なんか言ったか?」ギロリ
賢者「いいえー、何も」
魔法使い「―― お兄さーん!貿易大国への配達、終わったよ!次はどこ?」タタッ
盗賊「おう、お疲れ。次は……あー、いいや。帰ってからにしよう、今日はもう店仕舞いだからな。飯食って休むぜ」
魔法使い「そっかー。どこだって行くからね、僕達に任せて……あ、賢者さんだ!来てたんだ、久し振りーっ!」パシン
賢者「よう、魔法使いくん。久し振りーのハイタッチ!」パシン
473: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/27(月) 00:34:00 :au//fyRk
賢者「しっかし相変わらず人使いの荒い兄ちゃんなんだからなー、魔法使いくんと勇者ちゃんにお使いさせるなんて」
盗賊「人聞き悪い事言うんじゃねー、こいつらがやりたいって言うから俺はだな…」
魔法使い「うん!各国を回って、いい修行にもなるしね。お兄さんの品物配達は、その序でに?」
盗賊「序でにって。生意気言いやがって、このクソガキが」
魔法使い「あははっ。さ、帰ろう帰ろう!勇者はもう先に行っているんだ、僧侶さんの顔が見たいからってさ。片付け、僕も手伝うから」
賢者「おー。働け働け、若者達よ!早くオッサンに飯を食わせておくれ~」
盗賊「テメーもやるんだよ!タカり魔が!!」
盗賊「(……にしても…"勇者"か。いつからだったか、呼び捨てになったの)」
盗賊「……、一丁前になりやがってなあ」グシャグシャナデ
魔法使い「わ…何?何?いきなり人の頭撫でて…子供扱いはやめてよー!」
賢者「しっかし相変わらず人使いの荒い兄ちゃんなんだからなー、魔法使いくんと勇者ちゃんにお使いさせるなんて」
盗賊「人聞き悪い事言うんじゃねー、こいつらがやりたいって言うから俺はだな…」
魔法使い「うん!各国を回って、いい修行にもなるしね。お兄さんの品物配達は、その序でに?」
盗賊「序でにって。生意気言いやがって、このクソガキが」
魔法使い「あははっ。さ、帰ろう帰ろう!勇者はもう先に行っているんだ、僧侶さんの顔が見たいからってさ。片付け、僕も手伝うから」
賢者「おー。働け働け、若者達よ!早くオッサンに飯を食わせておくれ~」
盗賊「テメーもやるんだよ!タカり魔が!!」
盗賊「(……にしても…"勇者"か。いつからだったか、呼び捨てになったの)」
盗賊「……、一丁前になりやがってなあ」グシャグシャナデ
魔法使い「わ…何?何?いきなり人の頭撫でて…子供扱いはやめてよー!」
474: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/27(月) 00:34:48 :au//fyRk
~盗賊達の家~
勇者「本当に大きくなったなあ。この中にひとつの生命がいるとは…なんとも神秘的だ」ナデナデ
僧侶「うふふ。勇者様ったら、私達よりもべったりなんだから。…もうすぐ産まれるんですよ」
勇者「とても楽しみだよ!早く会いたいなあ、すごく可愛いだろうなあ……名前はもう決まったのか?」
僧侶「いいえ、まだなんです。盗賊さんが考え込んじゃってて。私達がこの子に贈る事のできる、初めてのものだからー、って」
勇者「そうかぁ…どんな名前かも楽しみだな。すくすくと大きく育つんだぞ!君の両親はとても強い人達だ、負けないようにな!」ナデナデ
僧侶「……このおなかだけじゃなく…大きくなったものは、ありますよね?」
勇者「…うん。本当に、早いものだ。前は私の肩よりも下だったのに…今は軽く見上げる程身長が伸びて」
勇者「いつか置いていかれそうで、なんとなく怖くなる時もあるよ」
~盗賊達の家~
勇者「本当に大きくなったなあ。この中にひとつの生命がいるとは…なんとも神秘的だ」ナデナデ
僧侶「うふふ。勇者様ったら、私達よりもべったりなんだから。…もうすぐ産まれるんですよ」
勇者「とても楽しみだよ!早く会いたいなあ、すごく可愛いだろうなあ……名前はもう決まったのか?」
僧侶「いいえ、まだなんです。盗賊さんが考え込んじゃってて。私達がこの子に贈る事のできる、初めてのものだからー、って」
勇者「そうかぁ…どんな名前かも楽しみだな。すくすくと大きく育つんだぞ!君の両親はとても強い人達だ、負けないようにな!」ナデナデ
僧侶「……このおなかだけじゃなく…大きくなったものは、ありますよね?」
勇者「…うん。本当に、早いものだ。前は私の肩よりも下だったのに…今は軽く見上げる程身長が伸びて」
勇者「いつか置いていかれそうで、なんとなく怖くなる時もあるよ」
475: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/27(月) 00:35:29 :au//fyRk
僧侶「大丈夫ですよ、勇者様。私達は、みんな貴方の傍にいます。私達は…仲間なんですから」
僧侶「でも、貴方の隣に立てるのは、」
バタンッ
魔法使い「ただいまあー!あー、おなかぺこぺこ!!お兄さん、早くご飯作ってよ!」
盗賊「誰だ、俺の事を人使い荒いなんつったのは。こいつの方がよっぽどじゃねーか」
賢者「はいはい、さっさと作る!オッサンの飯は、あっさりめで頼むねー。そろそろ油ものがキツいからさー」
勇者「…なんだなんだ、急に騒がしくなったな。まったく。僧侶のおなかに響いたらどうするんだ」
僧侶「いいんですよ、勇者様!賑やかな方が楽しいですもん」
魔法使い「勇者、こっちにおいでよ。次の配達先の行き方を調べよう、まだ行ったことのない場所なんだから」
勇者「ああ」タタッ
勇者「………」
勇者「………ふふっ」
僧侶「大丈夫ですよ、勇者様。私達は、みんな貴方の傍にいます。私達は…仲間なんですから」
僧侶「でも、貴方の隣に立てるのは、」
バタンッ
魔法使い「ただいまあー!あー、おなかぺこぺこ!!お兄さん、早くご飯作ってよ!」
盗賊「誰だ、俺の事を人使い荒いなんつったのは。こいつの方がよっぽどじゃねーか」
賢者「はいはい、さっさと作る!オッサンの飯は、あっさりめで頼むねー。そろそろ油ものがキツいからさー」
勇者「…なんだなんだ、急に騒がしくなったな。まったく。僧侶のおなかに響いたらどうするんだ」
僧侶「いいんですよ、勇者様!賑やかな方が楽しいですもん」
魔法使い「勇者、こっちにおいでよ。次の配達先の行き方を調べよう、まだ行ったことのない場所なんだから」
勇者「ああ」タタッ
勇者「………」
勇者「………ふふっ」
476: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/27(月) 00:36:21 :au//fyRk
魔法使い「? どうかした?勇者」
勇者「いいや。なんでもないよ、魔法使い。…ちょっと嬉しくなっただけだ」
勇者「(そう、私にはみんながいる。みんな、傍にいる)」
勇者「(でも、私の"隣"にいつも居てくれたのは……)」
勇者「…魔法使い。君だったんだよね」
魔法使い「うん??何?何の話?」
勇者「そのうち教えてあげるよ。……ゆっくりと、育てていきたいから」
勇者「だから…これからも傍にいて。私の手を離さないで、魔法使い」
魔法使い「よくわからないけど……大丈夫だよ、勇者。僕は君の傍にいる。ずっとだよ?」
魔法使い「小さな頃からそうだったでしょう。そして、これからも。小さな頃から、君が好きだった」
魔法使い「そしてこれからもずうっと、君の事が好きだよ!勇者!」
勇者「…ありがとう、魔法使い。君となら、私はどこだって行ける。君が私に勇気をくれるのだから!」
魔法使い「? どうかした?勇者」
勇者「いいや。なんでもないよ、魔法使い。…ちょっと嬉しくなっただけだ」
勇者「(そう、私にはみんながいる。みんな、傍にいる)」
勇者「(でも、私の"隣"にいつも居てくれたのは……)」
勇者「…魔法使い。君だったんだよね」
魔法使い「うん??何?何の話?」
勇者「そのうち教えてあげるよ。……ゆっくりと、育てていきたいから」
勇者「だから…これからも傍にいて。私の手を離さないで、魔法使い」
魔法使い「よくわからないけど……大丈夫だよ、勇者。僕は君の傍にいる。ずっとだよ?」
魔法使い「小さな頃からそうだったでしょう。そして、これからも。小さな頃から、君が好きだった」
魔法使い「そしてこれからもずうっと、君の事が好きだよ!勇者!」
勇者「…ありがとう、魔法使い。君となら、私はどこだって行ける。君が私に勇気をくれるのだから!」
477: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/27(月) 00:37:05 :au//fyRk
・・・
妖精「…ね?信じていて良かったでしょう。見てちょうだい。世界はこんなにも、美しい」
妖精「これから先も、ずっと、ずっと……守っていきましょう、私達ならできるわ」
スーパースター「…ああ!この美しい私がいるのだからな、美しく照らす私がいれば、世界はこんなにも輝けるのだ!ハーッハッハッハー!!」
妖精「調子がいいんだから、まったく。ちょっと、踊ってばかりいないで、貴方も手伝ってよね」
妖精「彼らの未来が明るいものであるように。妖精の加護を贈るんだから」
スーパースター「任せたまえ!美しい私が美しく華麗に手伝おうじゃないか!!」
妖精「はいはい。よろしく頼むわね、…救世主さん」プークスクス
スーパースター「救世主の部分で笑わないでくれたまえよ!美しい私の美しい硝子ハートに傷が!!ほら見て、涙目だろう!?なあ、待って!私を見てくれえぇー!!」
【おわり】
・・・
妖精「…ね?信じていて良かったでしょう。見てちょうだい。世界はこんなにも、美しい」
妖精「これから先も、ずっと、ずっと……守っていきましょう、私達ならできるわ」
スーパースター「…ああ!この美しい私がいるのだからな、美しく照らす私がいれば、世界はこんなにも輝けるのだ!ハーッハッハッハー!!」
妖精「調子がいいんだから、まったく。ちょっと、踊ってばかりいないで、貴方も手伝ってよね」
妖精「彼らの未来が明るいものであるように。妖精の加護を贈るんだから」
スーパースター「任せたまえ!美しい私が美しく華麗に手伝おうじゃないか!!」
妖精「はいはい。よろしく頼むわね、…救世主さん」プークスクス
スーパースター「救世主の部分で笑わないでくれたまえよ!美しい私の美しい硝子ハートに傷が!!ほら見て、涙目だろう!?なあ、待って!私を見てくれえぇー!!」
【おわり】
478: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/27(月) 00:37:46 :au//fyRk
ベタベタでコテコテものを書こうと思いました。おかしな点があったらすみません。
読んでくださった方、本当にありがとうございました。
読んでくださった方、本当にありがとうございました。
479:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/05/27(月) 00:42:00 :vi1dw/DE
乙!
484:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/05/27(月) 02:39:39 :wfCgb4c6
たしかにベタベタでコテコテだな
だがそれがいい
滅びの里連中はどうなった?
だがそれがいい
滅びの里連中はどうなった?
488: ◆uf0K1dqu8A:2013/05/27(月) 10:09:58 :au//fyRk
皆様ありがとうございます!
フォーチュンクエストのような雰囲気に憧れるけど、難しいものですね。
>>484
大魔王や次世代勇者が出る頃には、わだかまりも解けて力になってくれるとか、そんなベタベタ。
フォーチュンクエストのような雰囲気に憧れるけど、難しいものですね。
>>484
大魔王や次世代勇者が出る頃には、わだかまりも解けて力になってくれるとか、そんなベタベタ。
486:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/05/27(月) 06:12:59 :JCOUxhTg
面白かった
やっぱベタでコテコテな王道ものはいいね
乙でした(`・ω・)b
やっぱベタでコテコテな王道ものはいいね
乙でした(`・ω・)b
コメント 5
コメント一覧 (5)
くねくねでしたかwww
(ノ∀`)タハー
面白かった!