2：以下、２０１３年にかわりまして２０１４年がお送りします：2014/03/07(金) 01:20:46.76 ：++iPtEMi0
彼女はいつだって1人だった。
朝、学校に来るときも。
授業中のグループワークのときも。
昼休みにお弁当を食べるときも。
体育の時間の準備運動のときも。
放課後、合唱部でみんなと唄ってるときも。
彼女はいつだって1人だった。
朝、学校に来るときも。
授業中のグループワークのときも。
昼休みにお弁当を食べるときも。
体育の時間の準備運動のときも。
放課後、合唱部でみんなと唄ってるときも。
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3：以下、２０１３年にかわりまして２０１４年がお送りします：2014/03/07(金) 01:21:14.51 ：++iPtEMi0
どんな時も彼女は1人だった。
彼女の名前は如月千早。
超がつくほどの美人だ。
長い艶やかな黒髪。
そこからたまに見える白いうなじ。
切れ長の目。
抱きしめたら折れてしまいそうな細い身体。
優秀な成績、そして結構運動も得意だったりする。
そして聞く物全てを魅力するのではないかという歌声。
どれをとっても、世の男性は放っておかないだろうし、女性でさえその魅力には惹かれることに違いない。
でも、彼女はいつだって1人だった。
どんな時も彼女は1人だった。
彼女の名前は如月千早。
超がつくほどの美人だ。
長い艶やかな黒髪。
そこからたまに見える白いうなじ。
切れ長の目。
抱きしめたら折れてしまいそうな細い身体。
優秀な成績、そして結構運動も得意だったりする。
そして聞く物全てを魅力するのではないかという歌声。
どれをとっても、世の男性は放っておかないだろうし、女性でさえその魅力には惹かれることに違いない。
でも、彼女はいつだって1人だった。
5：以下、２０１３年にかわりまして２０１４年がお送りします：2014/03/07(金) 01:22:16.10 ：++iPtEMi0
理由はいろいろ考えられる。
事務連絡のときぐらいしか教室では声を聞かないだとか。
声が聞こえる部活のときは、人にも自分にも厳しいというか、厳しすぎるとことか。
女子から人気の男子にも好かれてるのに、それをうっとおしそうにするとことか。
他にもいろいろあると思うけれど、要約すると『可愛げがない』の一言に尽きると思う。
だから人を魅了してやまないはずだろう彼女は、いつもいつでも学校生活のどの場面だろうと1人なのだ。
理由はいろいろ考えられる。
事務連絡のときぐらいしか教室では声を聞かないだとか。
声が聞こえる部活のときは、人にも自分にも厳しいというか、厳しすぎるとことか。
女子から人気の男子にも好かれてるのに、それをうっとおしそうにするとことか。
他にもいろいろあると思うけれど、要約すると『可愛げがない』の一言に尽きると思う。
だから人を魅了してやまないはずだろう彼女は、いつもいつでも学校生活のどの場面だろうと1人なのだ。
6：以下、２０１３年にかわりまして２０１４年がお送りします：2014/03/07(金) 01:22:57.67 ：++iPtEMi0
「あっ！すいません！ボーッとしてて！……え！」
「いえ私もよそ見してて……、！」
如月さんだった。
ふらり、と立ち寄ったCDショップ。
別に何か欲しい物があったわけでもなく、そう、ほんとなんとなく気が向いたから。
そして、
「へ、へぇ。如月さんそういうの聞くんだ？」
「え、ええ」
同じクラスなのに、同じ部活なはずなのに、こんなぎこちなく会話なのかと自分でも笑えてくる。
「あっ！すいません！ボーッとしてて！……え！」
「いえ私もよそ見してて……、！」
如月さんだった。
ふらり、と立ち寄ったCDショップ。
別に何か欲しい物があったわけでもなく、そう、ほんとなんとなく気が向いたから。
そして、
「へ、へぇ。如月さんそういうの聞くんだ？」
「え、ええ」
同じクラスなのに、同じ部活なはずなのに、こんなぎこちなく会話なのかと自分でも笑えてくる。
7：以下、２０１３年にかわりまして２０１４年がお送りします：2014/03/07(金) 01:23:29.59 ：++iPtEMi0
「あれ？」
続かない気まずい会話に耐えきれなくなって、如月さんが持ってるCDを眺める。
そしたらそこには……。
「それって◯◯さんの？」
そこには僕の好きな指揮者のCDがあった。
最近出てきはじめたからなかなか知ってる人もいないし、そもそもこんなクラシックを聞いてるのなんて僕くらいだろう。
でも、まさか如月さんも知ってるだなんて。
「あれ？」
続かない気まずい会話に耐えきれなくなって、如月さんが持ってるCDを眺める。
そしたらそこには……。
「それって◯◯さんの？」
そこには僕の好きな指揮者のCDがあった。
最近出てきはじめたからなかなか知ってる人もいないし、そもそもこんなクラシックを聞いてるのなんて僕くらいだろう。
でも、まさか如月さんも知ってるだなんて。
8：以下、２０１３年にかわりまして２０１４年がお送りします：2014/03/07(金) 01:24:26.72 ：++iPtEMi0
困惑とかすかに喜びの表情があった。
「うん。……でも驚いたなぁ、その指揮者の知ってるのこの辺だと僕くらいだと思ってたから」
「私もそう思ってたわ。それだとちょっと前のCDだけれど、これとかは……」
「ああ、聞いたよ。その曲の……」
困惑とかすかに喜びの表情があった。
「うん。……でも驚いたなぁ、その指揮者の知ってるのこの辺だと僕くらいだと思ってたから」
「私もそう思ってたわ。それだとちょっと前のCDだけれど、これとかは……」
「ああ、聞いたよ。その曲の……」
9：以下、２０１３年にかわりまして２０１４年がお送りします：2014/03/07(金) 01:25:13.50 ：++iPtEMi0
さっきの気まずい空気はどこへやら。
話が弾む、弾む。
そこから場所を変えて、公園で時間も忘れて話した。
如月さんのことを『可愛げがない』と勝手に思ってた自分を恥ずかしい。
だって僕と話した彼女はとっても可愛かったのだから。
さっきの気まずい空気はどこへやら。
話が弾む、弾む。
そこから場所を変えて、公園で時間も忘れて話した。
如月さんのことを『可愛げがない』と勝手に思ってた自分を恥ずかしい。
だって僕と話した彼女はとっても可愛かったのだから。
10：以下、２０１３年にかわりまして２０１４年がお送りします：2014/03/07(金) 01:25:40.98 ：++iPtEMi0
彼女はいつだって1人だった。
朝、学校に来るときも。
でも最近は、僕と登校することもある。
授業中のグループワークのときも。
でも最近は、席が近いからか僕と一緒にすることが多い。
昼休みにお弁当を食べるときも。
でも最近は、部室で色んなCDをかけながら2人で食べたりもしてる。
体育の時間の準備運動のときも。
さすがにそこは男女別だから一緒には出来ないけれど。
放課後、合唱部でみんなと唄ってるときも。
また部室で色んな2人っきりで色んなCDを聞いたりしてる。
2人っきりで。
彼女はいつだって1人だった。
朝、学校に来るときも。
でも最近は、僕と登校することもある。
授業中のグループワークのときも。
でも最近は、席が近いからか僕と一緒にすることが多い。
昼休みにお弁当を食べるときも。
でも最近は、部室で色んなCDをかけながら2人で食べたりもしてる。
体育の時間の準備運動のときも。
さすがにそこは男女別だから一緒には出来ないけれど。
放課後、合唱部でみんなと唄ってるときも。
また部室で色んな2人っきりで色んなCDを聞いたりしてる。
2人っきりで。
11：以下、２０１３年にかわりまして２０１４年がお送りします：2014/03/07(金) 01:26:17.26 ：++iPtEMi0
いつだったか、いつもの通り部室でCDを聞こうと思ったのだが長年使われた機材だからか使えない時があった。
「如月さん、ダメだ。ちょっと今日は動きそうにもないや」
「そう……」
残念そうな如月さんの声。
今日は如月さんが好きだという曲をかける番だった。
どうにかしてあげたいけれど、文系の僕にはこういうとこの知識は乏しい。
いつだったか、いつもの通り部室でCDを聞こうと思ったのだが長年使われた機材だからか使えない時があった。
「如月さん、ダメだ。ちょっと今日は動きそうにもないや」
「そう……」
残念そうな如月さんの声。
今日は如月さんが好きだという曲をかける番だった。
どうにかしてあげたいけれど、文系の僕にはこういうとこの知識は乏しい。
12：以下、２０１３年にかわりまして２０１４年がお送りします：2014/03/07(金) 01:27:02.18 ：++iPtEMi0
「2人で聞くにはこうするしかないわね」
「えっ？」
「こっちに来てもらえるかしら？」
どうするのだろうか、と思いつつ如月さんの言う通り近づいてみる。
「座って」
「うん」
「私とおんなじ体制になってもらえる？」
言われるままに壁を背に如月さんの横に座ってみる。
「2人で聞くにはこうするしかないわね」
「えっ？」
「こっちに来てもらえるかしら？」
どうするのだろうか、と思いつつ如月さんの言う通り近づいてみる。
「座って」
「うん」
「私とおんなじ体制になってもらえる？」
言われるままに壁を背に如月さんの横に座ってみる。
13：以下、２０１３年にかわりまして２０１４年がお送りします：2014/03/07(金) 01:27:29.69 ：++iPtEMi0
「ほら？」
如月さんが僕の耳にイヤホンの片方を突っ込んできた。
「こうすれば2人で聞けるでしょう？」
始めて見るイタズラっ子のような千早さんの笑顔が無性に可愛かった。
「ほら？」
如月さんが僕の耳にイヤホンの片方を突っ込んできた。
「こうすれば2人で聞けるでしょう？」
始めて見るイタズラっ子のような千早さんの笑顔が無性に可愛かった。
14：以下、２０１３年にかわりまして２０１４年がお送りします：2014/03/07(金) 01:28:00.79 ：++iPtEMi0
茜色に染まる教室の中で。
放課後の静まりかえった教室の中で。
この2人っきりの教室の中で。
音楽が響いてくる。
茜色に染まる教室の中で。
放課後の静まりかえった教室の中で。
この2人っきりの教室の中で。
音楽が響いてくる。
15：以下、２０１３年にかわりまして２０１４年がお送りします：2014/03/07(金) 01:28:32.50 ：++iPtEMi0
ヤバイ。
あんな如月さんの顔を見たから、それとも肩越しに感じる意外と温かい体温のせいなのか、それともこの漫画のようなシチュエーションのせいなのか。
曲が全く入ってこない。
如月さんもなのかな、って横目で見てみると目をつぶって何ともなさそうに聞き入ってた。
ヤバイ。
あんな如月さんの顔を見たから、それとも肩越しに感じる意外と温かい体温のせいなのか、それともこの漫画のようなシチュエーションのせいなのか。
曲が全く入ってこない。
如月さんもなのかな、って横目で見てみると目をつぶって何ともなさそうに聞き入ってた。
16：以下、２０１３年にかわりまして２０１４年がお送りします：2014/03/07(金) 01:29:00.48 ：++iPtEMi0
実際何ともないんだろうなぁ。
僕はこんなにドキドキしてるってのに。
実際何ともないんだろうなぁ。
僕はこんなにドキドキしてるってのに。
17：以下、２０１３年にかわりまして２０１４年がお送りします：2014/03/07(金) 01:29:41.72 ：++iPtEMi0
帰るときも、帰り着いてからもドキドキは収まらなかった。
それとは裏腹に頭の中に如月さんの顔がくっきりと浮かび上がってくる。
いやそれだけじゃない。
如月さんがみんなが思ってるよりもずっと親しみやすくて、ずっと優しくて、ずっと可愛いってことも。
帰るときも、帰り着いてからもドキドキは収まらなかった。
それとは裏腹に頭の中に如月さんの顔がくっきりと浮かび上がってくる。
いやそれだけじゃない。
如月さんがみんなが思ってるよりもずっと親しみやすくて、ずっと優しくて、ずっと可愛いってことも。
18：以下、２０１３年にかわりまして２０１４年がお送りします：2014/03/07(金) 01:30:13.13 ：++iPtEMi0
僕は。
僕は。
19：以下、２０１３年にかわりまして２０１４年がお送りします：2014/03/07(金) 01:30:39.87 ：++iPtEMi0
僕は。
僕は。
20：以下、２０１３年にかわりまして２０１４年がお送りします：2014/03/07(金) 01:31:05.55 ：++iPtEMi0
どうしたいんだろう？
如月さんを彼女にしたい？
恋人になってもっと親密になりたい？
どうしたいんだろう？
如月さんを彼女にしたい？
恋人になってもっと親密になりたい？
21：以下、２０１３年にかわりまして２０１４年がお送りします：2014/03/07(金) 01:31:32.08 ：++iPtEMi0
……。
……。
22：以下、２０１３年にかわりまして２０１４年がお送りします：2014/03/07(金) 01:32:01.26 ：++iPtEMi0
……。
……。
23：以下、２０１３年にかわりまして２０１４年がお送りします：2014/03/07(金) 01:32:46.19 ：++iPtEMi0
……！
……！
24：以下、２０１３年にかわりまして２０１４年がお送りします：2014/03/07(金) 01:33:31.18 ：++iPtEMi0
どうしたいかなんて、最初から答えなんて出てたじゃないか。
どうしたいかなんて、最初から答えなんて出てたじゃないか。
26：以下、２０１３年にかわりまして２０１４年がお送りします：2014/03/07(金) 01:35:12.49 ：++iPtEMi0
言う言葉や、着ていく服、食事、場所。
全部決まった。
言葉はシンプルに。
服は清潔感を大事にチャキっとしたので。
食事はちょっと高めの良いところを。
場所は僕と彼女が話すきっかけになったあの指揮者のコンサート！
言う言葉や、着ていく服、食事、場所。
全部決まった。
言葉はシンプルに。
服は清潔感を大事にチャキっとしたので。
食事はちょっと高めの良いところを。
場所は僕と彼女が話すきっかけになったあの指揮者のコンサート！
27：以下、２０１３年にかわりまして２０１４年がお送りします：2014/03/07(金) 01:35:39.16 ：++iPtEMi0
そんな計画を立てて、あとは誘うだけになった放課後。
僕は未だに彼女を誘えずにいる。
早く誘わないと予定が入ったりするだろうに、1ヶ月前に誘う予定が1週間前になってしまった。
誘う機会が無いわけじゃなかった。
ただただ僕が意気地なしだけだった。
そんな計画を立てて、あとは誘うだけになった放課後。
僕は未だに彼女を誘えずにいる。
早く誘わないと予定が入ったりするだろうに、1ヶ月前に誘う予定が1週間前になってしまった。
誘う機会が無いわけじゃなかった。
ただただ僕が意気地なしだけだった。
28：以下、２０１３年にかわりまして２０１４年がお送りします：2014/03/07(金) 01:36:42.92 ：++iPtEMi0
今日言わなきゃ、もうダメだろう。
そんな気持ちで挑むそんな誘うだけ、の放課後。
「ね、ねぇ！如月さん！」
本当は部活の後、すぐに音楽室で言うつもりだったのだけれど、なかなか切り出せずに帰り道まできてしまった。
「どうしたの？」
如月さんが振り返る。
「あっ、あのさ……」
「おぉう！千早、ここにいたのか！」
今日言わなきゃ、もうダメだろう。
そんな気持ちで挑むそんな誘うだけ、の放課後。
「ね、ねぇ！如月さん！」
本当は部活の後、すぐに音楽室で言うつもりだったのだけれど、なかなか切り出せずに帰り道まできてしまった。
「どうしたの？」
如月さんが振り返る。
「あっ、あのさ……」
「おぉう！千早、ここにいたのか！」
29：以下、２０１３年にかわりまして２０１４年がお送りします：2014/03/07(金) 01:37:34.05 ：++iPtEMi0
「プロデューサー、どうしてここに？」
誰だ？
というかプロデューサー？
プロデューサーって？
「いきなり来るなんてどうしたんですか！」
「いや、すまんすまん。今日のレッスンが変更になってな」
「そんなの携帯のほうにしていただければ、来てもらわなくてもよかったのに」
「プロデューサー、どうしてここに？」
誰だ？
というかプロデューサー？
プロデューサーって？
「いきなり来るなんてどうしたんですか！」
「いや、すまんすまん。今日のレッスンが変更になってな」
「そんなの携帯のほうにしていただければ、来てもらわなくてもよかったのに」
30：以下、２０１３年にかわりまして２０１４年がお送りします：2014/03/07(金) 01:38:18.02 ：++iPtEMi0
「……。千早、携帯を見てくれ」
「はい？……あっ！」
「おやぁ？ちーちゃん、どうしたのかなー？」
「す、すいません。というかその、あの、そんな恥ずかしい名前で呼ばないでください！」
「おいおいちーちゃん、恥ずかしい呼び方って何のことだ？」
「だから！その、『ちーちゃん』って言うのやめてください！」
「はっはっはっ、すまんすまん」
「全く、もう」
「……。千早、携帯を見てくれ」
「はい？……あっ！」
「おやぁ？ちーちゃん、どうしたのかなー？」
「す、すいません。というかその、あの、そんな恥ずかしい名前で呼ばないでください！」
「おいおいちーちゃん、恥ずかしい呼び方って何のことだ？」
「だから！その、『ちーちゃん』って言うのやめてください！」
「はっはっはっ、すまんすまん」
「全く、もう」
31：以下、２０１３年にかわりまして２０１４年がお送りします：2014/03/07(金) 01:39:07.15 ：++iPtEMi0
「そうそう千早、大事な話があってだな。来週の日曜日に歌の仕事が飛び込んできたんだがどうだ？」
いやその日はちょっと予定が。
「本当ですか！」
だよね。
「ああ。本当は三浦さんが受けてた仕事なんだが、どうもダブったらしいんだ」
「あずささんのプロデューサーさんがダブルブッキングをするって珍しいですね」
三浦さん？あずささん？
それってあの最近テレビとかによく出てる三浦あずさのこと？
「そうそう千早、大事な話があってだな。来週の日曜日に歌の仕事が飛び込んできたんだがどうだ？」
いやその日はちょっと予定が。
「本当ですか！」
だよね。
「ああ。本当は三浦さんが受けてた仕事なんだが、どうもダブったらしいんだ」
「あずささんのプロデューサーさんがダブルブッキングをするって珍しいですね」
三浦さん？あずささん？
それってあの最近テレビとかによく出てる三浦あずさのこと？
32：以下、２０１３年にかわりまして２０１４年がお送りします：2014/03/07(金) 01:39:41.54 ：++iPtEMi0
「最近はあずささんも忙しくなってきたからな。……どうだ？日が近いし、何か予定が入ってたりしないか？」
「いえ大丈夫です。そのお仕事全力で頑張ります」
「期待してるよ」
あっ。
「だからそうやって頭撫でたり、子供扱いしないでください！」
「ははっ、すまんすまん。……ところでそちらの彼は？」
「彼は同じ部活なんです。帰り道が同じ方向なので、一緒に帰っていたんです」
「なるほどな。おっと失礼、私こういうもので、如月千早担当プロデューサーの……」
そこから先のことはあんまり覚えていない。
笑顔を浮かべて、握手をした。
何か喋ったような気もする。
そして如月さんは彼の、プロデューサーの車に乗って行ってしまった。
そして僕の手には渡せなかったチケットだけが残った。
「最近はあずささんも忙しくなってきたからな。……どうだ？日が近いし、何か予定が入ってたりしないか？」
「いえ大丈夫です。そのお仕事全力で頑張ります」
「期待してるよ」
あっ。
「だからそうやって頭撫でたり、子供扱いしないでください！」
「ははっ、すまんすまん。……ところでそちらの彼は？」
「彼は同じ部活なんです。帰り道が同じ方向なので、一緒に帰っていたんです」
「なるほどな。おっと失礼、私こういうもので、如月千早担当プロデューサーの……」
そこから先のことはあんまり覚えていない。
笑顔を浮かべて、握手をした。
何か喋ったような気もする。
そして如月さんは彼の、プロデューサーの車に乗って行ってしまった。
そして僕の手には渡せなかったチケットだけが残った。
33：以下、２０１３年にかわりまして２０１４年がお送りします：2014/03/07(金) 01:40:07.46 ：++iPtEMi0
その日から如月さんを学校で見ることがどんどん少なくなっていった。
そしてその代わりどんどんテレビの中で見ることが増えていった。
いつだって1人だったあの彼女はもうおらず、今やこの学校では知らない者は誰もいない、みんなのアイドルになった。
僕だけが知ってたはずの笑顔は、もうみんなが知ってる笑顔になって。
僕だけが知ってたはずのあの指揮者の名前はみんな知ってて。
如月さんが忙しくなって、放課後の日課も無くなって。
それは僕の目を覚ますには充分だった。
その日から如月さんを学校で見ることがどんどん少なくなっていった。
そしてその代わりどんどんテレビの中で見ることが増えていった。
いつだって1人だったあの彼女はもうおらず、今やこの学校では知らない者は誰もいない、みんなのアイドルになった。
僕だけが知ってたはずの笑顔は、もうみんなが知ってる笑顔になって。
僕だけが知ってたはずのあの指揮者の名前はみんな知ってて。
如月さんが忙しくなって、放課後の日課も無くなって。
それは僕の目を覚ますには充分だった。
34：以下、２０１３年にかわりまして２０１４年がお送りします：2014/03/07(金) 01:40:37.69 ：++iPtEMi0
この気持ちは言わなくてもいいし、むしろ言わないほうがいいと思う。
でも。
如月さんに嫌な役を押し付けて、何が『好きだ、付き合ってくれ』なんだろうな。
そもそもアイドルに恋人なんて、論外だろうよ。
でも僕はそれでも如月さんに告白したかった。
この気持ちは言わなくてもいいし、むしろ言わないほうがいいと思う。
でも。
如月さんに嫌な役を押し付けて、何が『好きだ、付き合ってくれ』なんだろうな。
そもそもアイドルに恋人なんて、論外だろうよ。
でも僕はそれでも如月さんに告白したかった。
35：以下、２０１３年にかわりまして２０１４年がお送りします：2014/03/07(金) 01:41:19.58 ：++iPtEMi0
「如月さん、ちょっといい？」
この前と同じセリフなはずなのに、なんでだろ？今日のほうが落ち着いて言えた気がする。
「ええ、大丈夫よ」
良かった。
じゃあ始めるか。
この放課後の音楽室で。
「如月さん、ちょっといい？」
この前と同じセリフなはずなのに、なんでだろ？今日のほうが落ち着いて言えた気がする。
「ええ、大丈夫よ」
良かった。
じゃあ始めるか。
この放課後の音楽室で。
36：以下、２０１３年にかわりまして２０１４年がお送りします：2014/03/07(金) 01:41:45.23 ：++iPtEMi0
「僕は、如月さんのことが、如月千早さんのことが好きです。付き合ってください」
言えた。
「……ごめんなさい。私は今はアイドルに集中したいの。だからごめんなさい」
知ってた。
けれどもこの答えじゃない。
この答えじゃ諦めきれない。
だって、これは僕が好きになった如月さんの答えじゃない！
「僕は、如月さんのことが、如月千早さんのことが好きです。付き合ってください」
言えた。
「……ごめんなさい。私は今はアイドルに集中したいの。だからごめんなさい」
知ってた。
けれどもこの答えじゃない。
この答えじゃ諦めきれない。
だって、これは僕が好きになった如月さんの答えじゃない！
37：以下、２０１３年にかわりまして２０１４年がお送りします：2014/03/07(金) 01:42:11.53 ：++iPtEMi0
「如月さん。僕は『アイドルの如月千早』さんに告白したんじゃない！僕が告白したのは、あの音楽室で一緒に音楽を聞いてた、あの『如月さん』に告白したんだ！」
「……ッ！」
「だからアイドルとか関係なくて、ちゃんと答えを聞かせて欲しいんだ」
「……私、は」
「『アイドル』として振らないで。『友だち』として振って。お願い」
「如月さん。僕は『アイドルの如月千早』さんに告白したんじゃない！僕が告白したのは、あの音楽室で一緒に音楽を聞いてた、あの『如月さん』に告白したんだ！」
「……ッ！」
「だからアイドルとか関係なくて、ちゃんと答えを聞かせて欲しいんだ」
「……私、は」
「『アイドル』として振らないで。『友だち』として振って。お願い」
38：以下、２０１３年にかわりまして２０１４年がお送りします：2014/03/07(金) 01:42:41.28 ：++iPtEMi0
恋人になってくれ、って言いに行ったのに友だちだろうは無いだろうけれど。
でもそれがさ、『如月さん』への恋の終わらせ方には1番なんだろうね。
「私は、今好きな人がいるの。だからごめんなさい。あなたとは付き合えないわ」
振られたのに笑うってのは相当気持ち悪いだろうな。
でも、如月さんの本当の気持ちを聞けて良かった。
恋人になってくれ、って言いに行ったのに友だちだろうは無いだろうけれど。
でもそれがさ、『如月さん』への恋の終わらせ方には1番なんだろうね。
「私は、今好きな人がいるの。だからごめんなさい。あなたとは付き合えないわ」
振られたのに笑うってのは相当気持ち悪いだろうな。
でも、如月さんの本当の気持ちを聞けて良かった。
39：以下、２０１３年にかわりまして２０１４年がお送りします：2014/03/07(金) 01:43:07.99 ：++iPtEMi0
「あのプロデューサーって人？」
「ええ」
「そうだろうね。だってあのプロデューサーさんと会った時の如月さん、今まで見たこと無い顔いっぱいしてたもん」
「ふぇっ！私そんな顔してたかしら？」
「うん、してたよ？……可愛かったな、あの如月さん」
「もうからかわないで！」
「あのプロデューサーって人？」
「ええ」
「そうだろうね。だってあのプロデューサーさんと会った時の如月さん、今まで見たこと無い顔いっぱいしてたもん」
「ふぇっ！私そんな顔してたかしら？」
「うん、してたよ？……可愛かったな、あの如月さん」
「もうからかわないで！」
40：以下、２０１３年にかわりまして２０１４年がお送りします：2014/03/07(金) 01:43:34.88 ：++iPtEMi0
久しぶりにするなんてことない会話が楽しくて、終わらせたくなくて。
でも、時間は進むわけで。
「それじゃあ、私行くわね」
「お仕事お疲れさま。……頑張ってね」
「……ええ！」
久しぶりにするなんてことない会話が楽しくて、終わらせたくなくて。
でも、時間は進むわけで。
「それじゃあ、私行くわね」
「お仕事お疲れさま。……頑張ってね」
「……ええ！」
41：以下、２０１３年にかわりまして２０１４年がお送りします：2014/03/07(金) 01:44:00.50 ：++iPtEMi0
そう言って如月さんは仕事に行ってしまっと。
最後の『頑張って』の意味伝わったかな？
伝わってたら嬉しいな。
今日は帰っちゃおうかな？
だって、この音楽室は無くにはちょっと防音が弱すぎるから。
勝てない勝負だったとしても、泣いたっていいよね？
そう言って如月さんは仕事に行ってしまっと。
最後の『頑張って』の意味伝わったかな？
伝わってたら嬉しいな。
今日は帰っちゃおうかな？
だって、この音楽室は無くにはちょっと防音が弱すぎるから。
勝てない勝負だったとしても、泣いたっていいよね？
42：以下、２０１３年にかわりまして２０１４年がお送りします：2014/03/07(金) 01:44:31.70 ：++iPtEMi0
そんな如月さんが今度結婚するらしい。
世界でも知らぬ者がいない歌姫となった如月さんの横に立つのは、やはりあの時見たプロデューサーさんだった。
悔しいような、でも今まで見たことのない素敵な笑顔だった。
祝電の始まりは、『如月さんの同級生の』でいいかな？
そんな如月さんが今度結婚するらしい。
世界でも知らぬ者がいない歌姫となった如月さんの横に立つのは、やはりあの時見たプロデューサーさんだった。
悔しいような、でも今まで見たことのない素敵な笑顔だった。
祝電の始まりは、『如月さんの同級生の』でいいかな？
43：以下、２０１３年にかわりまして２０１４年がお送りします：2014/03/07(金) 01:45:27.58 ：++iPtEMi0
これで終わりです。
拙い作品で申し訳ありません。
読んでくださってありがとうございます。
如月千早の生誕祭にこの作品を。
拙い作品で申し訳ありません。
読んでくださってありがとうございます。
如月千早の生誕祭にこの作品を。
46：以下、２０１３年にかわりまして２０１４年がお送りします：2014/03/07(金) 07:52:10.33 ：nvMj57Wwo
リスペクト元もそうだけどこの視点は切ないね
おっつおっつ
おっつおっつ
コメント 44
コメント一覧 (44)
男子の片思いの話ってのも新鮮でたまにはいいね。
ただ投稿の前に文章の再確認くらいはしたほうがいいよ。
日本語が変になってる所がチラホラと。せっかくの雰囲気がヤバイ事に…
アニメ見てないから知識は
にわかほどにも無いけど泣いた
同級生ってだけでこんな勘違いするんだからアイドルって大変だな
P目線で読むと圧倒的優越感。少年目線で読むとNTR感。
まあ大体のss愛読者はP目線で読んでるから、俺の気持ちは分かってくれるはず。
せっかくの甘苦せつない話が台無しに・・・
まあ作者自身も拙い作品って認めてるけど
無理がある
たしかに人よりパーソナルスペースの広い千早がただの同級生とイヤホン一緒に着けたりは無理があるな。
まあ飯旨ssだから楽しめたけどね
でも俺もこんな妄想してたわ、だから気持ちはよく分かる(笑)
何目の前の男の子に挨拶も無くいちゃついてくれちゃってんの？？？？？
男の子の方は可愛くて潔くて良かったっす
Pは何時も通りに接しただけでしょうが…多分君はアイマスssに向いてないと思うよ。
いや普通まず連れの子に一言挨拶しないか？ 何か言いかけてる所に割って入って空気扱いとか有り得ないわ
SSはPヘッドで脳内再生してるからちょいただ常識欠けてね？って思っただけだぜ
確かに千早さんがイヤホン片方貸すのに違和感
春香さん並みの信頼にしても異性だしなぁ…
こいつといい喫茶店といいラノベ読んでる奴はマジで一つの例外もなく気持ち悪いな…
ハーレムものも相当気持ち悪いけどまともに恋愛したこともないアニメの恋ばっか見てきた奴の書く恋愛(笑)も相当キてるな…こわっ
精神が完全に性犯罪者やストーカーと同じやん…
ラノベ読んでる奴は生きてちゃいけない人間の最下層だって改めて分かったわ…
一つ聞きたいんだけどこれが面白かったと言ってる奴
今までの人生で一度でも他人を愛したり、誰かから愛されたことはあるか？
頭 大 丈 夫 か ？
基本アニメ見ないけどアニメやラノベの恋愛って全部こんなんなのか？
典型的なストーカーの妄想で読んでて寒気がしたんだが
こういう連中か…？2で男キャラが追加されるって聞いただけで発狂しまくってた奴…
精神病だろマジで…いつかリアルで少女誘拐とかやらかすぞこいつら…
何だこれ？ラノベか？何でこれ見て切ないだの言う奴が出てくるんだ…？
馬鹿ガキが書いた携帯小説読んで泣いた！とか言ってる奴以下だろこいつら…
ラノベ蓋が人として劣っていることは知ってたけどまさかここまでだったとは…
もしそうなら名鑑は全部同一人物の可能性高い
つかこれだけで精神病だリアル少女誘拐するとか性犯罪者やストーカーと同じと言ってるがそういった考えができる方が怖いしかなりの高性能ブーメランだよね(笑)
わかるわ
どんだけさもしい人間なんだよ、根っこから腐ってんな…
つーか流石魔法使い予備軍、よくそんな気持ち悪い妄想できるな…
とっくに魔法使いの権利を放棄してる俺にはマジで分からん、「アイドルに俺は愛されてる！」なんて妄想が本気でできんのか、死にたくなんないの？妄想とリアルの余りの落差にさ
魔法使いとか(笑)そんなこと言えるのが気持ち悪いよ
>とっくに魔法使いの権利を放棄してる俺にはマジで分からん、「アイドルに俺は愛されてる！」なんて妄想が本気でできんのか、死にたくなんないの？妄想とリアルの余りの落差にさ
魔法使いの権利(笑)を放棄してる君はそんな魔法使い(笑)とか発言してて死にたくならないの？
妄想とリアルの余りの落差にさ
ブーメランがすごいよね
いや、魔法使いって言ってる奴よりリアル魔法使いの方が普通にきもいけど？w
こんなもん読んで「優越感に浸れるw」とか抜かしてる時点でリアルが知れとるわw
俺は優越感以前にそういう発想すらなかったけどw
リアルで連戦連敗で彼女の一人もいない負け犬だけだろwこんなもん読んで空っぽな自分を埋めてる哀れな奴はw
うわぁ…ものすごい見事なブーメランですね(笑)
君はリアルで彼女いるのかな？
そんな自称空っぽじゃない君にいいことを教えてあげる、ここにきて同じの読んでそんな発言してる時点では君も同類だよ(笑)
つまりは君の発言はそのまま君自身に返ってきてるブーメランなんだよ
時系列的にこの時点で千早はPに惚れてるだろうにいくら千早が無頓着だとしても流石にないだろ
ぼくのかんがえたさいこうのらいとのべるでもバカにされたか？
いやあ一緒にイヤホン聞くぐらいなら俺もあったけど…
お前こそ経験ないんじゃないの 笑
ここにいる時点で同類とかwww返す言葉のない負け犬のテンプレ乙www
何でここにいるってだけで同類？www根拠言ってみろや皮被りのイ○ポ野郎wwww
えっ顔真っ赤はそちらでしょ？一生懸命草生やして可哀想にリアルではそんなに誰にも相手にされてないんですね…
だってさっきから君質問に何一つ答えてないで必死に誤魔化してブーメランだよ？
まず人に顔真っ赤だなんだと草生やすなら質問に答えてブーメランじゃない回答してください
落ち着き～。このプロ野球選手の名前でコメント残すやつは一時期ここの※欄にわいてたただの煽りだぞ。
※35
てかお前いっぺん謝罪して以来消えてたのになしたよ？構って欲しすぎて禁断症状でも発症したか？
可哀想っていう哀れみを抱かざるを得ない
モバマス知らんから元の方みてなかったのもあってまあ悪くはなかった
作品的には、まゆの作品をなぞっただけだし、あんまり新鮮な感じは無かったな。まぁ、結局はアイドルの本命がプロデューサーで固定になるから変化も乏しいんだろうけど
俺は客観的なお客さん目線で見るからそんな事無いけど。
あと、イヤフォンの事は千早にとって学校で唯一同じ趣味を共有出来る友達としての認識でＡＴフィールド解除って事でしょ。
それと、確かにこのＰは営業人として失格レバルの対人対応だね。
相手が学生だからといって失礼すぎる！まず会話の途中に声を掛けた非礼を詫びるべき。どれだけ上からなんだろう？作者の内面が出ているようだ。
あっちいけば皆名鑑のいうことに全面的に同意してくれるだろ
ここにいるのは寂しいキモニートだから誰も相手にしてくれなくてかまってほしいからかな？
※42
流石に作者の内面云々は言い過ぎ
他人の上から目線を反発する前に自分の発言を顧みた方がいい