1:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/02/15(月) 19:08:38.97 :b8Y5sxgi0
==========
「あ、司令官!」
「……よぉ」
「お久しぶりですね! 今日は……どうされたんですか?」
「ん、ちょっとな……別に用事って物は無いんだけど」
「そうですか……あ! お茶を入れてきますね! すみません気がつかなくって」
「あぁ、頼むよ。それに、謝る事は無いさ……久しぶりなんだからな」
執務室から出て行く綾波の背中を見送って、俺は懐かしい気持ちになりながら馴染みの椅子に腰を下ろす。
殺風景な部屋の隅には未だ手付かずのままのダンボールが置いてあり。
その上に積もった埃が、時間の経過を感じさせた。
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「あ、司令官!」
「……よぉ」
「お久しぶりですね! 今日は……どうされたんですか?」
「ん、ちょっとな……別に用事って物は無いんだけど」
「そうですか……あ! お茶を入れてきますね! すみません気がつかなくって」
「あぁ、頼むよ。それに、謝る事は無いさ……久しぶりなんだからな」
執務室から出て行く綾波の背中を見送って、俺は懐かしい気持ちになりながら馴染みの椅子に腰を下ろす。
殺風景な部屋の隅には未だ手付かずのままのダンボールが置いてあり。
その上に積もった埃が、時間の経過を感じさせた。
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2:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/02/15(月) 19:11:37.13 :b8Y5sxgi0
「結局、部屋の模様替えもやろうやろうとそのまんまだったな……」
執務用の机の上には、山積みになった書類の束。俺は被っていた帽子を机の隅に置くと、それらを一枚一枚確認していく。
「遠征の報告書……木曾のやつ、意外とこういうのマメなんだよな」
「おっと、天龍のやつ小破しっぱなしじゃないか。吹雪も損傷があるし……一緒に入渠させてっと」
「艦隊が二つしか編成されてない……なんだっけ? 一回組み直すために解散させたんだったかな……」
そうやって書類にペンを走らせ、確認用の判子を押していると、帰ってきたという実感が徐々にわいてくる。
「結局、部屋の模様替えもやろうやろうとそのまんまだったな……」
執務用の机の上には、山積みになった書類の束。俺は被っていた帽子を机の隅に置くと、それらを一枚一枚確認していく。
「遠征の報告書……木曾のやつ、意外とこういうのマメなんだよな」
「おっと、天龍のやつ小破しっぱなしじゃないか。吹雪も損傷があるし……一緒に入渠させてっと」
「艦隊が二つしか編成されてない……なんだっけ? 一回組み直すために解散させたんだったかな……」
そうやって書類にペンを走らせ、確認用の判子を押していると、帰ってきたという実感が徐々にわいてくる。
3:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/02/15(月) 19:17:09.12 :b8Y5sxgi0
しばらくの間そうして雑務をこなしていると、綾波がお茶を持って戻って来た。
「お待たせしました。司令官!」
「あぁ、ありがとうな」
俺は彼女にお礼を言うと、書類から顔を上げて椅子に深く座りなおす。
「いやぁ……それにしても変わらないもんだな。何もかもあの頃のままだ」
「司令官がいつ帰ってきても良いように、手入れだけはちゃんとしてありますから!」
そう言って、綾波が胸を張る。初めて会った時と比べたら、彼女も随分と頼もしくなった。
しばらくの間そうして雑務をこなしていると、綾波がお茶を持って戻って来た。
「お待たせしました。司令官!」
「あぁ、ありがとうな」
俺は彼女にお礼を言うと、書類から顔を上げて椅子に深く座りなおす。
「いやぁ……それにしても変わらないもんだな。何もかもあの頃のままだ」
「司令官がいつ帰ってきても良いように、手入れだけはちゃんとしてありますから!」
そう言って、綾波が胸を張る。初めて会った時と比べたら、彼女も随分と頼もしくなった。
4:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/02/15(月) 19:18:23.35 :b8Y5sxgi0
そんな事を考えながら、彼女の入れてくれたお茶を口に含み、その変わらぬ味に人知れず頷く。
「皆はどうしてる? どうも世間じゃ、新しい艦娘も増えたって聞くけど」
「ここは……以前と変わりありませんよ。皆、相変わらずです」
「そっか……伊勢と最上も元気にやってるか? あいつらにはお世話になったからなぁ」
「二人とも元気です。後で顔を見せてあげたら、とっても喜ぶと思いますよ!」
「ははは、そうしてみる。……そういえば、ここに来る途中で龍驤に会ってさ」
「龍驤ちゃんですか?」
「今までどこほっつき歩いてたんだ! って怒鳴られた後、早く改二にしてくれって噛み付かれちゃったよ」
「それは……司令官が悪いですね」
そんな事を考えながら、彼女の入れてくれたお茶を口に含み、その変わらぬ味に人知れず頷く。
「皆はどうしてる? どうも世間じゃ、新しい艦娘も増えたって聞くけど」
「ここは……以前と変わりありませんよ。皆、相変わらずです」
「そっか……伊勢と最上も元気にやってるか? あいつらにはお世話になったからなぁ」
「二人とも元気です。後で顔を見せてあげたら、とっても喜ぶと思いますよ!」
「ははは、そうしてみる。……そういえば、ここに来る途中で龍驤に会ってさ」
「龍驤ちゃんですか?」
「今までどこほっつき歩いてたんだ! って怒鳴られた後、早く改二にしてくれって噛み付かれちゃったよ」
「それは……司令官が悪いですね」
5:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/02/15(月) 19:19:50.48 :b8Y5sxgi0
苦笑する俺に、綾波が真面目な顔で続ける。
「資源が無いからって演習さぼってた罰です! 皆早く強くなって、司令官のお役に立とうと頑張ってたんですから」
「悪い悪い……結局、ウチで改二になったのは綾波だけだなぁ」
「……それなんですけど」
急に、綾波が俺から目線をそらして静かになる。
苦笑する俺に、綾波が真面目な顔で続ける。
「資源が無いからって演習さぼってた罰です! 皆早く強くなって、司令官のお役に立とうと頑張ってたんですから」
「悪い悪い……結局、ウチで改二になったのは綾波だけだなぁ」
「……それなんですけど」
急に、綾波が俺から目線をそらして静かになる。
6:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/02/15(月) 19:20:47.47 :b8Y5sxgi0
「ん、どうかしたか?」
「なんで……その、綾波だけ皆より早く、改二にしてくださったんですか?」
「あー……それかぁ」
「だ、だってウチには他に霧島さんとか……蒼龍さんとか……いるじゃないですか」
「……秘密だ」
「ん、どうかしたか?」
「なんで……その、綾波だけ皆より早く、改二にしてくださったんですか?」
「あー……それかぁ」
「だ、だってウチには他に霧島さんとか……蒼龍さんとか……いるじゃないですか」
「……秘密だ」
7:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/02/15(月) 19:24:07.12 :b8Y5sxgi0
そう言って、再び書類に目を通し始める俺に、綾波が抗議の視線を投げつける。
「本当は敷波と一緒に改二にしたかったんだけどなぁ……実装されてないんだよなぁ……」
「は、話を逸らしたって綾波は誤魔化されませんよ!?」
「おぉ!? 俺の知らない間に北上のやつ、改二に出来るじゃないか! やったな綾波、改二仲間が増えるぞ!」
「だから綾波の話をっ……もう! 司令官ってば~!」
――それから数時間。遠征や演習の予定を立て終えると、俺はぬるくなってしまったお茶を飲み干し、一息をつく。
そう言って、再び書類に目を通し始める俺に、綾波が抗議の視線を投げつける。
「本当は敷波と一緒に改二にしたかったんだけどなぁ……実装されてないんだよなぁ……」
「は、話を逸らしたって綾波は誤魔化されませんよ!?」
「おぉ!? 俺の知らない間に北上のやつ、改二に出来るじゃないか! やったな綾波、改二仲間が増えるぞ!」
「だから綾波の話をっ……もう! 司令官ってば~!」
――それから数時間。遠征や演習の予定を立て終えると、俺はぬるくなってしまったお茶を飲み干し、一息をつく。
8:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/02/15(月) 19:24:52.71 :b8Y5sxgi0
「さてと……それじゃ、そろそろかな」
「……楽しい時間って、何でこんなにあっという間なんでしょうか」
俺は椅子から立ち上がると、机の上に置いていた帽子を手に取り、頭にかぶる。
そして、名残惜しそうに呟く綾波の頭に、ぽんと手を置いた。
「ふぇっ! し、司令官!?」
「なぁ綾波……最後にアレ、やってくれないか?」
「さてと……それじゃ、そろそろかな」
「……楽しい時間って、何でこんなにあっという間なんでしょうか」
俺は椅子から立ち上がると、机の上に置いていた帽子を手に取り、頭にかぶる。
そして、名残惜しそうに呟く綾波の頭に、ぽんと手を置いた。
「ふぇっ! し、司令官!?」
「なぁ綾波……最後にアレ、やってくれないか?」
9:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/02/15(月) 19:27:25.46 :b8Y5sxgi0
俺がそう言って壁に掛けられた時計に目をやると、
言いたい事を察してくれたのか、綾波が姿勢を正し、まっすぐに俺を見つめる。
久しぶりに聞く、彼女の時報報告。そして……。
「――司令官、いつもお疲れ様です。お仕事 綾波応援していますね……」
その時の彼女は、笑っていたのか、泣いていたのか……俺は、近いうちにまた来ると声をかけ、何ヶ月ぶりかの執務室を後にした。
了
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俺がそう言って壁に掛けられた時計に目をやると、
言いたい事を察してくれたのか、綾波が姿勢を正し、まっすぐに俺を見つめる。
久しぶりに聞く、彼女の時報報告。そして……。
「――司令官、いつもお疲れ様です。お仕事 綾波応援していますね……」
その時の彼女は、笑っていたのか、泣いていたのか……俺は、近いうちにまた来ると声をかけ、何ヶ月ぶりかの執務室を後にした。
了
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10:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/02/15(月) 19:30:25.55 :b8Y5sxgi0
これで、このお話はおしまいです。数ヶ月ぶりに起動すると、バレンタインが終わったというのにチョコ持って待ってた綾波に泣いた。プロデュースばっかやっててごめんよ。
それでは、お読みいただきありがとうございました。では。
それでは、お読みいただきありがとうございました。では。
11:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2016/02/15(月) 20:05:23.64 :7Vy5lapiO
乙
健気や......
健気や......
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