1:名無しさん@おーぷん:2017/07/28(金)16:21:53 :bv4
吸血鬼ハンターDみたいな世界
グロと花粉症注意
アイドル要素はない
グロと花粉症注意
アイドル要素はない
2:名無しさん@おーぷん:2017/07/28(金)16:23:05 :bv4
文明が衰退する要因。
世界史を紐解けば、その多くは外部からの侵略が当てはまる。
海の民。
ピタゴラスを斬殺するローマ兵。
そのローマ滅亡の間接的な原因である、アッティラの大遠征。
イスラーム学術文化を粉砕した十字軍。
宋を滅ぼしたモンゴル帝国…。
例を挙げるとなれば、両の指では足りない。
それでは、その衰退が地球規模であるとしたら、侵略者とは誰になるのか。
文明が衰退する要因。
世界史を紐解けば、その多くは外部からの侵略が当てはまる。
海の民。
ピタゴラスを斬殺するローマ兵。
そのローマ滅亡の間接的な原因である、アッティラの大遠征。
イスラーム学術文化を粉砕した十字軍。
宋を滅ぼしたモンゴル帝国…。
例を挙げるとなれば、両の指では足りない。
それでは、その衰退が地球規模であるとしたら、侵略者とは誰になるのか。
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3:名無しさん@おーぷん:2017/07/28(金)16:24:13 :bv4
21世紀に起こった地球の自転軸のズレは、ほんの数度でしかなかったが、
人類史に及ぼした影響は甚大であった。
大規模な地殻変動をもたらしたのである。
それが原因で絶滅するほど人類は“やわ”ではなかったが、
その状況で手と手を取り合えるほど賢くもなかった。
全ての大陸が、また再び1つになり、
そこで生じた経済的混乱によって、第三次世界大戦が始まった。
かつて海域に存在する国境とは、すなわち各国が神経をすり減らして
調整してきた利益圏の升目である。それが崩れてしまったのだ。
21世紀に起こった地球の自転軸のズレは、ほんの数度でしかなかったが、
人類史に及ぼした影響は甚大であった。
大規模な地殻変動をもたらしたのである。
それが原因で絶滅するほど人類は“やわ”ではなかったが、
その状況で手と手を取り合えるほど賢くもなかった。
全ての大陸が、また再び1つになり、
そこで生じた経済的混乱によって、第三次世界大戦が始まった。
かつて海域に存在する国境とは、すなわち各国が神経をすり減らして
調整してきた利益圏の升目である。それが崩れてしまったのだ。
4:名無しさん@おーぷん:2017/07/28(金)16:24:56 :bv4
日本は中国、ロシア両国のいずれかに属することを迫られた。
当時の首相は、アメリカ合衆国に対して、子犬が鳴くように助力を求めたが、
彼らの防衛におけるキャパシティは、とっくに破裂しており、日本は孤立無援であった。
ここに至っては平和論者達も口を噤み、独自の戦力を確保せざるおえなくなった。
兵器開発技術においては1日の長があったが、
それを運用する人間の数が圧倒的に不足している。
ならば、どうするか。
政府は非公式に、生体兵器の研究を始めた。
兵がいないなら作ってしまえ。
逞しいクラフト精神が、とうとう生命倫理を超えてしまったのである。
日本は中国、ロシア両国のいずれかに属することを迫られた。
当時の首相は、アメリカ合衆国に対して、子犬が鳴くように助力を求めたが、
彼らの防衛におけるキャパシティは、とっくに破裂しており、日本は孤立無援であった。
ここに至っては平和論者達も口を噤み、独自の戦力を確保せざるおえなくなった。
兵器開発技術においては1日の長があったが、
それを運用する人間の数が圧倒的に不足している。
ならば、どうするか。
政府は非公式に、生体兵器の研究を始めた。
兵がいないなら作ってしまえ。
逞しいクラフト精神が、とうとう生命倫理を超えてしまったのである。
5:名無しさん@おーぷん:2017/07/28(金)16:26:06 :bv4
強力な破壊力を有し、かつ、作戦行動を理解するだけの知能を兼ね備える。
そのような都合の良い種を新たに創造することはできず、
結局、人間をベースにした開発が始まった。
当初は、サイボーグのように機械を身体に埋め込んでいく計画が持ち上がったが、
動力の維持と生体部分からの拒絶反応によって頓挫した。
主流になったのは薬物投与と遺伝子の組み替えによる、肉体能力の向上であった。
一度倫理の箍が外れてしまえば、この分野の研究は飛躍的に進行する。
創り出された超人達は、通常の人間を遥かにしのぐ身体能力を持ち、
少なくとも始めは従順だった。
強力な破壊力を有し、かつ、作戦行動を理解するだけの知能を兼ね備える。
そのような都合の良い種を新たに創造することはできず、
結局、人間をベースにした開発が始まった。
当初は、サイボーグのように機械を身体に埋め込んでいく計画が持ち上がったが、
動力の維持と生体部分からの拒絶反応によって頓挫した。
主流になったのは薬物投与と遺伝子の組み替えによる、肉体能力の向上であった。
一度倫理の箍が外れてしまえば、この分野の研究は飛躍的に進行する。
創り出された超人達は、通常の人間を遥かにしのぐ身体能力を持ち、
少なくとも始めは従順だった。
6:名無しさん@おーぷん:2017/07/28(金)16:28:08 :bv4
調子づいた日本は、尊大な態度で交渉に臨んだ。
一度優位を確信すると謙虚さや慎ましさ、礼儀正しさが霧消してしまうのであった。
第二次世界大戦での反省を全く活かせぬ、希望的観測に基づいた外交活動と
露骨な交戦力の“示唆”で世界各国の顰蹙を買った。
無論顰蹙だけで動く国際関係ではないが、露中による国境侵犯を促すだけの
無能さは明らかになった。
当初の露中は威嚇のつもりであったが、強大な力を突然持った人間は、
それを試してみたいという衝動に駆られる。
空戦においてはかつての努力が必要であったが、
陸戦、殊に白兵戦において超人達は、目覚ましい成果を挙げた。
攻撃力もその成果に貢献したのは間違いないが、最も特筆すべきは、
“死ににくい”ということであった。
調子づいた日本は、尊大な態度で交渉に臨んだ。
一度優位を確信すると謙虚さや慎ましさ、礼儀正しさが霧消してしまうのであった。
第二次世界大戦での反省を全く活かせぬ、希望的観測に基づいた外交活動と
露骨な交戦力の“示唆”で世界各国の顰蹙を買った。
無論顰蹙だけで動く国際関係ではないが、露中による国境侵犯を促すだけの
無能さは明らかになった。
当初の露中は威嚇のつもりであったが、強大な力を突然持った人間は、
それを試してみたいという衝動に駆られる。
空戦においてはかつての努力が必要であったが、
陸戦、殊に白兵戦において超人達は、目覚ましい成果を挙げた。
攻撃力もその成果に貢献したのは間違いないが、最も特筆すべきは、
“死ににくい”ということであった。
7:名無しさん@おーぷん:2017/07/28(金)16:29:29 :bv4
空爆をされようが、毒ガスを吹き付けられようが、細菌をばら撒かれようが、
食糧が汚染されようが不足しようが、そこでぴんぴんしている。
完全に維持された戦線は、それだけで敵国から見た脅威である。
椅子取りゲームにおいて、絶対に席から動かない相手がいる。
そしてその相手は、こちらの椅子を奪うどころか、破壊する力を持っている。
軍略的なアドバンテージを持っていた露中の目は霞んでしまい、
とうとう決定的な戦端が切られてしまった。
はじめは静観してた西欧各国も、日本の生体兵器が戦勝国に渡った
場合のリスクが顕在化すると、『国際社会の調停者』という旗を掲げて
アジアに乗り込んできた。これが第三次世界大戦の始まりである。
空爆をされようが、毒ガスを吹き付けられようが、細菌をばら撒かれようが、
食糧が汚染されようが不足しようが、そこでぴんぴんしている。
完全に維持された戦線は、それだけで敵国から見た脅威である。
椅子取りゲームにおいて、絶対に席から動かない相手がいる。
そしてその相手は、こちらの椅子を奪うどころか、破壊する力を持っている。
軍略的なアドバンテージを持っていた露中の目は霞んでしまい、
とうとう決定的な戦端が切られてしまった。
はじめは静観してた西欧各国も、日本の生体兵器が戦勝国に渡った
場合のリスクが顕在化すると、『国際社会の調停者』という旗を掲げて
アジアに乗り込んできた。これが第三次世界大戦の始まりである。
8:名無しさん@おーぷん:2017/07/28(金)16:30:17 :bv4
結論から言ってしまえば、この勝者はアメリカであった。
放射能の危険から核が封じられた状態では、中長距離からのミサイルを
湯水のように使える国に利がある。
くわえ、アメリカにも非公式で開発していた兵器が存在した。
『神の杖』。地上1000kmから、地球を周回する軍事衛星。
その地点から、タングステンやチタン、ウランからなる全長6.1m、
直径30cm、重量100kgほどの金属杭を落下させる。
その杭は重力によって加速し、最終的には11,587km/h(約マッハ9.5)で
地表に衝突する。
破壊力は水爆ほどではないが、防衛手段が全くないという点で当時最強の兵器であった。。
結論から言ってしまえば、この勝者はアメリカであった。
放射能の危険から核が封じられた状態では、中長距離からのミサイルを
湯水のように使える国に利がある。
くわえ、アメリカにも非公式で開発していた兵器が存在した。
『神の杖』。地上1000kmから、地球を周回する軍事衛星。
その地点から、タングステンやチタン、ウランからなる全長6.1m、
直径30cm、重量100kgほどの金属杭を落下させる。
その杭は重力によって加速し、最終的には11,587km/h(約マッハ9.5)で
地表に衝突する。
破壊力は水爆ほどではないが、防衛手段が全くないという点で当時最強の兵器であった。。
9:名無しさん@おーぷん:2017/07/28(金)16:31:16 :bv4
これが日本に対して使用されることはなかったが、
圧倒的な武力を前に、茹で上がる寸前だった日本政府の頭は一気に冷めた。
その頭で露中と終戦協定を結び、最終的には独立を保つことができた。
戦後超人達は人権を付与され、社会生活を始めた。
だが、その強大すぎる力ゆえに、強大な差別を受けることになった。
救国の英雄ではなく、戦端を開いた原因として。
自分達は決して、望んで破壊活動や殺人を行ったわけではない。
それでも身を粉にして国に尽くしたのに、なぜこのような目に遭うのか。
超人達の不満は、数世紀に渡って消えなかった。
これが日本に対して使用されることはなかったが、
圧倒的な武力を前に、茹で上がる寸前だった日本政府の頭は一気に冷めた。
その頭で露中と終戦協定を結び、最終的には独立を保つことができた。
戦後超人達は人権を付与され、社会生活を始めた。
だが、その強大すぎる力ゆえに、強大な差別を受けることになった。
救国の英雄ではなく、戦端を開いた原因として。
自分達は決して、望んで破壊活動や殺人を行ったわけではない。
それでも身を粉にして国に尽くしたのに、なぜこのような目に遭うのか。
超人達の不満は、数世紀に渡って消えなかった。
10:名無しさん@おーぷん:2017/07/28(金)16:32:08 :bv4
なぜなら、超人達は数世紀に渡って生き続けたからである。
開発当初の段階では、寿命はざっと100年ほどだと見積もられていた。
しかし、試算を行った研究員らの孫が亡くなった後も、
超人達は一切年を取らず、世代を変えずに生活をしていた。
差別は次第に恐怖に変わり、『超人絶滅計画』なるものが、
民間“から”秘密裏に草案されることになった。
これはナチスのような虐殺ではない。
平和を切に願う者達による“交戦力の放棄”なのだ。
パラノイアを発症した研究者と、それに罹患した資本家によって、
超人達を殺す手段が練られた。
なぜなら、超人達は数世紀に渡って生き続けたからである。
開発当初の段階では、寿命はざっと100年ほどだと見積もられていた。
しかし、試算を行った研究員らの孫が亡くなった後も、
超人達は一切年を取らず、世代を変えずに生活をしていた。
差別は次第に恐怖に変わり、『超人絶滅計画』なるものが、
民間“から”秘密裏に草案されることになった。
これはナチスのような虐殺ではない。
平和を切に願う者達による“交戦力の放棄”なのだ。
パラノイアを発症した研究者と、それに罹患した資本家によって、
超人達を殺す手段が練られた。
11:名無しさん@おーぷん:2017/07/28(金)16:32:57 :bv4
表立った死に方をさせてはいけない、あくまで、自然死に見せかけるような…。
完成したのは、造血幹細胞の異常を引き起こす、マイクロ波照射装置であった。
つまるところ、人為的に白血病を作り出す装置。
この効果は凄まじく、超人達は次々にその数を減らしていった。
しかし急激な体調の変化に、疑問を抱かぬ者がいるだろうか。
超人の中から、装置の存在を突き止める者が現れた。
その彼女が抱いていた感情もはや、不満ではなく、
人類種に対する憎悪に達していた。
超人に対する骨髄移植の提供が、意図的にされていなかったためである。
骨髄は数に限りがあり、超人には効果があるかわからないから。
これが正論であるかどうか、判断できる者はいない。
だが、当事者達が怒り狂うのは正当である。
表立った死に方をさせてはいけない、あくまで、自然死に見せかけるような…。
完成したのは、造血幹細胞の異常を引き起こす、マイクロ波照射装置であった。
つまるところ、人為的に白血病を作り出す装置。
この効果は凄まじく、超人達は次々にその数を減らしていった。
しかし急激な体調の変化に、疑問を抱かぬ者がいるだろうか。
超人の中から、装置の存在を突き止める者が現れた。
その彼女が抱いていた感情もはや、不満ではなく、
人類種に対する憎悪に達していた。
超人に対する骨髄移植の提供が、意図的にされていなかったためである。
骨髄は数に限りがあり、超人には効果があるかわからないから。
これが正論であるかどうか、判断できる者はいない。
だが、当事者達が怒り狂うのは正当である。
12:名無しさん@おーぷん:2017/07/28(金)16:33:53 :bv4
白血病に罹った超人達は治療のために、骨髄バンクを襲撃した。
その事件当初は、命がかかっているいるということもあり、
同情の声が寄せられた。
しかし、移植された骨髄は数ヶ月ほどで、拒絶反応によって溶けてしまう。
超人達は継続的にバンクを襲うようになり、時には一般人から骨髄を奪うようになった。
それによって、“公式での”殲滅計画が始まった。
これは虐殺ではない。
人類種の存亡をかけた戦いなのだ。
何代目の首相がそう言ったのか、記録は残っていない。
メディアは、正常な造血幹細胞を血眼になって探す超人達を
“吸血鬼(ヴァンパイア)”と呼び、政府を後押しした。
白血病に罹った超人達は治療のために、骨髄バンクを襲撃した。
その事件当初は、命がかかっているいるということもあり、
同情の声が寄せられた。
しかし、移植された骨髄は数ヶ月ほどで、拒絶反応によって溶けてしまう。
超人達は継続的にバンクを襲うようになり、時には一般人から骨髄を奪うようになった。
それによって、“公式での”殲滅計画が始まった。
これは虐殺ではない。
人類種の存亡をかけた戦いなのだ。
何代目の首相がそう言ったのか、記録は残っていない。
メディアは、正常な造血幹細胞を血眼になって探す超人達を
“吸血鬼(ヴァンパイア)”と呼び、政府を後押しした。
13:名無しさん@おーぷん:2017/07/28(金)16:34:33 :bv4
物理的な攻撃力では太刀打ちできない。
したがって殲滅といっても、その手段は間接的、かつ陰湿であった。
骨髄を秘匿し、生きている人間はひたすら逃げる。
そして、相手が病魔に倒れるのを待つ。
この作戦は功を奏し、白血病を患っていた超人達は死に絶えた。
あとは生き残った超人達にマイクロ波を当ててしまえばいい、世論はそう思っていた。
しかし、いつの時代にも少数ながら反体制、反大衆的な人間達が存在する。
この時の多数にとって不幸だったのは、その少数の中に2人の天才と、
1人の秀才がいたことである。
物理的な攻撃力では太刀打ちできない。
したがって殲滅といっても、その手段は間接的、かつ陰湿であった。
骨髄を秘匿し、生きている人間はひたすら逃げる。
そして、相手が病魔に倒れるのを待つ。
この作戦は功を奏し、白血病を患っていた超人達は死に絶えた。
あとは生き残った超人達にマイクロ波を当ててしまえばいい、世論はそう思っていた。
しかし、いつの時代にも少数ながら反体制、反大衆的な人間達が存在する。
この時の多数にとって不幸だったのは、その少数の中に2人の天才と、
1人の秀才がいたことである。
14:名無しさん@おーぷん:2017/07/28(金)16:35:32 :bv4
一ノ瀬志希。
池袋秋葉。
柳清良。
彼女達は、それぞれの事情・興味・信条に基づいて行動した。
そして、人工骨髄・血液の発明に成功。
超人達の唯一の死因は取り除かれ、立場は逆転し、多数派は弑殺された。
日本政府は崩壊し、そこに権力の空白地帯が発生した。
世界は“旧日本”を巡って再び戦火の狼煙を上げ、地球環境は更に荒廃。
とうとう、人類の生存が困難なほどの大気汚染が進み、
戦争の集結後、蓋を開けてみれば種としての危機に陥っていた。
一ノ瀬志希。
池袋秋葉。
柳清良。
彼女達は、それぞれの事情・興味・信条に基づいて行動した。
そして、人工骨髄・血液の発明に成功。
超人達の唯一の死因は取り除かれ、立場は逆転し、多数派は弑殺された。
日本政府は崩壊し、そこに権力の空白地帯が発生した。
世界は“旧日本”を巡って再び戦火の狼煙を上げ、地球環境は更に荒廃。
とうとう、人類の生存が困難なほどの大気汚染が進み、
戦争の集結後、蓋を開けてみれば種としての危機に陥っていた。
15:名無しさん@おーぷん:2017/07/28(金)16:36:28 :bv4
それでも平然と生きていた超人達は、自身らを“新人類”と称し、
遂に世界の覇権を掴むために行動を開始。
優れた知性と、永きに永過ぎる時間によって、個体それぞれが優れた研究者となっていた
彼ら/彼女らは池袋博士の研究を受け継いだ。
人工呼吸器・臓器、大気を浄化するナノマシン、
汚染に強力な対抗性を持つ作物・動物…。
超人達はこれらを“旧人類”に提供することによって、種の最上位に立つことに成功した。
その時から超人達は『貴族』を自称するようになり、平民達から力を奪うべく、
優れた研究者や技術者を囲い、多くの凡人達には中世的な生活を強いた。
畑を耕せ。家畜を飼え。せめて寿命が来るまでは、生存を保証してやる……。
それでも平然と生きていた超人達は、自身らを“新人類”と称し、
遂に世界の覇権を掴むために行動を開始。
優れた知性と、永きに永過ぎる時間によって、個体それぞれが優れた研究者となっていた
彼ら/彼女らは池袋博士の研究を受け継いだ。
人工呼吸器・臓器、大気を浄化するナノマシン、
汚染に強力な対抗性を持つ作物・動物…。
超人達はこれらを“旧人類”に提供することによって、種の最上位に立つことに成功した。
その時から超人達は『貴族』を自称するようになり、平民達から力を奪うべく、
優れた研究者や技術者を囲い、多くの凡人達には中世的な生活を強いた。
畑を耕せ。家畜を飼え。せめて寿命が来るまでは、生存を保証してやる……。
16:名無しさん@おーぷん:2017/07/28(金)16:36:55 :bv4
勿論、これに対して抵抗がなかったわけではない。
しかし超人達は、遺伝子工学によって生み出した怪物達を野に放ち、
それらに平民達を襲わせた。
怪物達を倒すために、何も知らぬ平民達は貴族に頭を垂れ、
プラズマ・ライフルや指向性超音波発生装置などを借り受けた。
隷属関係は年月を経るごとに強化されていき、旧人類達は奴隷にまで身を落とした。
だが、運命は奴隷達に手を差し伸べた。
世代交代によって脳構造に変化が訪れたのか、
それとも大気に含まれるナノマシンが突然変異を促したのか。
彼らの中から、超能力を行使する者が現れ始めた。
予言、交感能力、念動力、発火能力…。
貴族達すらも脅かす力を手に入れた奴隷達は、反旗を翻した。
これが、『ヴァンパイアハンター』の誕生である。
勿論、これに対して抵抗がなかったわけではない。
しかし超人達は、遺伝子工学によって生み出した怪物達を野に放ち、
それらに平民達を襲わせた。
怪物達を倒すために、何も知らぬ平民達は貴族に頭を垂れ、
プラズマ・ライフルや指向性超音波発生装置などを借り受けた。
隷属関係は年月を経るごとに強化されていき、旧人類達は奴隷にまで身を落とした。
だが、運命は奴隷達に手を差し伸べた。
世代交代によって脳構造に変化が訪れたのか、
それとも大気に含まれるナノマシンが突然変異を促したのか。
彼らの中から、超能力を行使する者が現れ始めた。
予言、交感能力、念動力、発火能力…。
貴族達すらも脅かす力を手に入れた奴隷達は、反旗を翻した。
これが、『ヴァンパイアハンター』の誕生である。
18:名無しさん@おーぷん:2017/07/30(日)15:06:20 :Ujx
西暦9000年。
かつて那須塩原と呼ばれた平原を、馬が駆ける。
黒い芦毛に逞しい脚が、陽光に照らされている。
だが、その馬の肉体の随所には排熱用のスリットと、
外部化された人工血管がはみ出しており、神々しさよりも不気味さを覚える。
それに跨るのは、皮鎧の上に透き通るような蒼いローブを纏った少女。
切れ長の瞳。整った小鼻。小さく艶めいた、美しい唇。
風にゆらめく、長い黒髪。
美しい、途方もなく美しい少女だった。
彼女は前方に、自分に依頼を出した村を発見すると、
手綱を引いて速度を緩めた。
その一挙一動すら様になる。
見た目にそぐわない、
ヴァンパイアハンターとしての長い経験を感じさせた。
西暦9000年。
かつて那須塩原と呼ばれた平原を、馬が駆ける。
黒い芦毛に逞しい脚が、陽光に照らされている。
だが、その馬の肉体の随所には排熱用のスリットと、
外部化された人工血管がはみ出しており、神々しさよりも不気味さを覚える。
それに跨るのは、皮鎧の上に透き通るような蒼いローブを纏った少女。
切れ長の瞳。整った小鼻。小さく艶めいた、美しい唇。
風にゆらめく、長い黒髪。
美しい、途方もなく美しい少女だった。
彼女は前方に、自分に依頼を出した村を発見すると、
手綱を引いて速度を緩めた。
その一挙一動すら様になる。
見た目にそぐわない、
ヴァンパイアハンターとしての長い経験を感じさせた。
19:名無しさん@おーぷん:2017/07/30(日)15:06:51 :Ujx
村人達は、現れた少女を見てため息を漏らした。
凄腕のハンターと聞いていたから、筋骨逞しい偉丈夫を想像していたのだ。
「ようこそ、凛様。
大したもてなしも出来ませぬが……」
老齢の村長が歩み出て、少女に挨拶をした。
凛と呼ばれた少女は、軽く手を上げ、口を開いた。
「報酬さえもらえれば、どうでもいいよ。
長居する気はないし」
他者を拒むようなその言葉に、何人かの村人は反感を持った。
しかし彼女は、村を救ってくれる凄腕のハンターであり
口を出せるような相手ではない。
村人達は、現れた少女を見てため息を漏らした。
凄腕のハンターと聞いていたから、筋骨逞しい偉丈夫を想像していたのだ。
「ようこそ、凛様。
大したもてなしも出来ませぬが……」
老齢の村長が歩み出て、少女に挨拶をした。
凛と呼ばれた少女は、軽く手を上げ、口を開いた。
「報酬さえもらえれば、どうでもいいよ。
長居する気はないし」
他者を拒むようなその言葉に、何人かの村人は反感を持った。
しかし彼女は、村を救ってくれる凄腕のハンターであり
口を出せるような相手ではない。
20:名無しさん@おーぷん:2017/07/30(日)15:07:25 :Ujx
「討伐目標は“ヴァンパイア・ロード”、星輝子で間違いない?」
村長は頷いた。
「相違ありませぬ。
あやつは、我らが先祖から受け継いだ土地を奪い、
時には村の少女を攫って血を吸う鬼にございます…」
凛は危うく吹き出しそうになった。
「…まあ、なんでもいいけど」
彼女は現在の時刻を確認した。
太陽が燦々と輝く、午前の11時。
相手は、あくまで通称のヴァンパイアであるから、
時間帯によるアドバンテージは期待できない。
くわえ、星輝子は戦争を体験した第一世代。
奇襲なども当然考慮し、罠を張っていることは疑いようもない…。
「討伐目標は“ヴァンパイア・ロード”、星輝子で間違いない?」
村長は頷いた。
「相違ありませぬ。
あやつは、我らが先祖から受け継いだ土地を奪い、
時には村の少女を攫って血を吸う鬼にございます…」
凛は危うく吹き出しそうになった。
「…まあ、なんでもいいけど」
彼女は現在の時刻を確認した。
太陽が燦々と輝く、午前の11時。
相手は、あくまで通称のヴァンパイアであるから、
時間帯によるアドバンテージは期待できない。
くわえ、星輝子は戦争を体験した第一世代。
奇襲なども当然考慮し、罠を張っていることは疑いようもない…。
21:名無しさん@おーぷん:2017/07/31(月)23:03:22 :QuQ
凛が思案していると、突如太陽が翳り、雷鳴が響いた。
村人達が悲鳴を上げて、
蜘蛛の子を散らすようにそれぞれの家に隠れる。
「芝居がかってる」
凛は肩をすくめた。
これは、ヴァンパイアが人里に“君臨”する際の演出である。
大気に含まれるナノマシンによって、天候ははるか昔に彼らの所有物になっていた。
雷光に照らされ現れるは、雪のように白い、優雅な4頭の馬。
その馬達が引く、南瓜のような丸みを帯びた豪奢な客車。
ある種、滑稽ですらある貴族趣味の賜物。
凛が苦笑し、腰に下げた長剣の柄に手をかけた時、
その馬車めがけて走る閃光があった。
村の誰かが、レーザーライフルを撃ったのだ。
しかし光線は、馬車に施された鏡面装甲によって拡散し、
地面や土塀にいくつかの焦げ跡を残しただけだった。
凛が思案していると、突如太陽が翳り、雷鳴が響いた。
村人達が悲鳴を上げて、
蜘蛛の子を散らすようにそれぞれの家に隠れる。
「芝居がかってる」
凛は肩をすくめた。
これは、ヴァンパイアが人里に“君臨”する際の演出である。
大気に含まれるナノマシンによって、天候ははるか昔に彼らの所有物になっていた。
雷光に照らされ現れるは、雪のように白い、優雅な4頭の馬。
その馬達が引く、南瓜のような丸みを帯びた豪奢な客車。
ある種、滑稽ですらある貴族趣味の賜物。
凛が苦笑し、腰に下げた長剣の柄に手をかけた時、
その馬車めがけて走る閃光があった。
村の誰かが、レーザーライフルを撃ったのだ。
しかし光線は、馬車に施された鏡面装甲によって拡散し、
地面や土塀にいくつかの焦げ跡を残しただけだった。
22:名無しさん@おーぷん:2017/07/31(月)23:04:23 :QuQ
「随分な…ご挨拶じゃあないか…」
馬車の中から、小柄な少女___に見える貴族が現れた。
畏怖というよりは、やはり滑稽さを抱かせるような、
装飾過多の伯爵衣装を纏って、
おどおどしたように、銀色の瞳を動かしている。
変わってない。
凛はそう思った。
彼女は幼い頃、星輝子を遠目に見たことがあったが、
その時も臆病な顔をして、周囲を見回していた。
「早速ハンターの処分に来たっていうわけ?」
凛は挑発するように、輝子を指さした。
しかし相手は薄く微笑むに留めた。
「随分な…ご挨拶じゃあないか…」
馬車の中から、小柄な少女___に見える貴族が現れた。
畏怖というよりは、やはり滑稽さを抱かせるような、
装飾過多の伯爵衣装を纏って、
おどおどしたように、銀色の瞳を動かしている。
変わってない。
凛はそう思った。
彼女は幼い頃、星輝子を遠目に見たことがあったが、
その時も臆病な顔をして、周囲を見回していた。
「早速ハンターの処分に来たっていうわけ?」
凛は挑発するように、輝子を指さした。
しかし相手は薄く微笑むに留めた。
23:名無しさん@おーぷん:2017/07/31(月)23:04:52 :QuQ
「領内に客人がやってきたら…挨拶をするのが領主の務めだよ…フヒ…」
輝子の態度はともかく、言動は理想的な君主の様であった。
レーザーを撃った人間を咎めたり、凛の挑発に腹を立てるような素振りもない。
「さて…遠路はるばる申し訳ないが…帰ってくれないか…?」
輝子は凛の足元に金貨の詰まった袋を投げた。
村が払った倍以上の額である。
しかし凛は、手を横に振った。
「人助けが仕事で、ヴァンパイア狩りは趣味だから」
「趣味…そうか…ならば、受けて立とう…!」
輝子は飛び上がって村から離れた。
自分に有利な地形まで移動するつもりだろうか。
凛は臆さずにそれを追った。
「領内に客人がやってきたら…挨拶をするのが領主の務めだよ…フヒ…」
輝子の態度はともかく、言動は理想的な君主の様であった。
レーザーを撃った人間を咎めたり、凛の挑発に腹を立てるような素振りもない。
「さて…遠路はるばる申し訳ないが…帰ってくれないか…?」
輝子は凛の足元に金貨の詰まった袋を投げた。
村が払った倍以上の額である。
しかし凛は、手を横に振った。
「人助けが仕事で、ヴァンパイア狩りは趣味だから」
「趣味…そうか…ならば、受けて立とう…!」
輝子は飛び上がって村から離れた。
自分に有利な地形まで移動するつもりだろうか。
凛は臆さずにそれを追った。
24:名無しさん@おーぷん:2017/07/31(月)23:05:23 :QuQ
村から5kmほど離れた森林。
その樹々には無数のキノコが群生している。
「自己紹介を…忘れていた…」
輝子はジャケットを鬱陶しそうに脱いだ。
「日本陸上自衛隊第142部隊…戦鬼丙種3号…星輝子」
貴族達は独自の社会を築き、公爵、伯爵を自称する者が多いが、
輝子は戦時中の所属を名乗った。
「ヴァンパイアハンター、渋谷凛」
凛は長剣を抜いた。
木漏れ陽が刃を照らして、そこに刻まれた紋様を浮かび上がらせた。
「渋谷…渋谷……貴様、まさか裏切り者の渋谷の娘かッ!?」
輝子が手をかざすと、キノコ達が一斉に胞子を吐いた。
村から5kmほど離れた森林。
その樹々には無数のキノコが群生している。
「自己紹介を…忘れていた…」
輝子はジャケットを鬱陶しそうに脱いだ。
「日本陸上自衛隊第142部隊…戦鬼丙種3号…星輝子」
貴族達は独自の社会を築き、公爵、伯爵を自称する者が多いが、
輝子は戦時中の所属を名乗った。
「ヴァンパイアハンター、渋谷凛」
凛は長剣を抜いた。
木漏れ陽が刃を照らして、そこに刻まれた紋様を浮かび上がらせた。
「渋谷…渋谷……貴様、まさか裏切り者の渋谷の娘かッ!?」
輝子が手をかざすと、キノコ達が一斉に胞子を吐いた。
25:名無しさん@おーぷん:2017/07/31(月)23:05:58 :QuQ
ただのキノコではない。
輝子が自ら開発した、
ナノマシンと細菌によって構築される兵器である。
胞子は相手の皮膚の下まで入りんで発芽し、
筋組織、内臓を破壊する。
しかし、その胞子は凛の肌に触れることはなかった。
彼女の身体を這う様に咲いた花々が、花粉を放って胞子を絡め取ったのだ。
それは輝子が知っている渋谷の能力ではない。
超人である凛の父親は、超能力者の女との間に子を成し、それが凛であった。
技を破られた輝子は、とても寂しげな表情をした。
ただのキノコではない。
輝子が自ら開発した、
ナノマシンと細菌によって構築される兵器である。
胞子は相手の皮膚の下まで入りんで発芽し、
筋組織、内臓を破壊する。
しかし、その胞子は凛の肌に触れることはなかった。
彼女の身体を這う様に咲いた花々が、花粉を放って胞子を絡め取ったのだ。
それは輝子が知っている渋谷の能力ではない。
超人である凛の父親は、超能力者の女との間に子を成し、それが凛であった。
技を破られた輝子は、とても寂しげな表情をした。
26:名無しさん@おーぷん:2017/07/31(月)23:06:30 :QuQ
そして、細く枯れたようなキノコを懐から取り出し、食した。
青白い顔に赤い血管が浮かび上がり、
彼女の全身の筋肉は倍ほどに膨れ上がった。
「ヒィィィアッハー!!」
胞子など無くとも、輝子はかつての日本が作り出した生体兵器。
拳を震えば、人が紙細工のように吹き散る。
ただ走って体当たりをするだけで、相手は血飛沫に変わる。
輝子は凛に殺到し、腕を振り上げた。
そして、細く枯れたようなキノコを懐から取り出し、食した。
青白い顔に赤い血管が浮かび上がり、
彼女の全身の筋肉は倍ほどに膨れ上がった。
「ヒィィィアッハー!!」
胞子など無くとも、輝子はかつての日本が作り出した生体兵器。
拳を震えば、人が紙細工のように吹き散る。
ただ走って体当たりをするだけで、相手は血飛沫に変わる。
輝子は凛に殺到し、腕を振り上げた。
27:名無しさん@おーぷん:2017/07/31(月)23:06:53 :QuQ
一方凛には間合いの長さがある。
凛は横薙ぎ、相手の首を狙って神速の剣を振るった。
常人の目にも留まらぬ一撃、しかし、輝子は常人ではない。
剣を前転で回避、その勢いで踵落としを繰り出す。
躱せぬと判断した凛は、鎧の厚い肩で受ける。
それでも勢いは殺しきれず、彼女は地面に引き倒された。
態勢を直した輝子は、凛の上に躍りかかって
身体を守っている花々を全て散らす。
鋭い爪が凛の肌を咲き、鮮血が表面をぬらぬらと伝った。
一方凛には間合いの長さがある。
凛は横薙ぎ、相手の首を狙って神速の剣を振るった。
常人の目にも留まらぬ一撃、しかし、輝子は常人ではない。
剣を前転で回避、その勢いで踵落としを繰り出す。
躱せぬと判断した凛は、鎧の厚い肩で受ける。
それでも勢いは殺しきれず、彼女は地面に引き倒された。
態勢を直した輝子は、凛の上に躍りかかって
身体を守っている花々を全て散らす。
鋭い爪が凛の肌を咲き、鮮血が表面をぬらぬらと伝った。
28:名無しさん@おーぷん:2017/07/31(月)23:07:12 :QuQ
だが凛は表情を崩さず相手の腹を蹴り上げ、
巴投げの要領で、輝子を弾き飛ばした。
そして浮かび上がった敵の胴体を、凛は一刀両断した。
輝子は、苦悶しながら息絶えた。
超人ゆえの生命力が意識を延長し、痛みを長引かせたのだ。
凛は死体に火を放ち、焼き尽くした。
だが凛は表情を崩さず相手の腹を蹴り上げ、
巴投げの要領で、輝子を弾き飛ばした。
そして浮かび上がった敵の胴体を、凛は一刀両断した。
輝子は、苦悶しながら息絶えた。
超人ゆえの生命力が意識を延長し、痛みを長引かせたのだ。
凛は死体に火を放ち、焼き尽くした。
29:名無しさん@おーぷん:2017/07/31(月)23:08:00 :QuQ
輝子が灰になるのを見届けた後、凛は彼女の居城へ向かった。
村人の依頼は輝子の抹殺、ひいては土地を取り戻すことにある。
その土地にトラップや他のモンスターがうろついているのであれば、
凛はこれを排除せねばならない。
森林からさらに5kmほどの距離、
そこにあるのは白い、墓標のような塔。
これが輝子の居城である。
その周囲には緑溢れる草原が広がり、
過去の大気汚染の痕跡など欠片も伺わせなかった。
輝子が灰になるのを見届けた後、凛は彼女の居城へ向かった。
村人の依頼は輝子の抹殺、ひいては土地を取り戻すことにある。
その土地にトラップや他のモンスターがうろついているのであれば、
凛はこれを排除せねばならない。
森林からさらに5kmほどの距離、
そこにあるのは白い、墓標のような塔。
これが輝子の居城である。
その周囲には緑溢れる草原が広がり、
過去の大気汚染の痕跡など欠片も伺わせなかった。
30:名無しさん@おーぷん:2017/07/31(月)23:08:24 :QuQ
不思議なことに罠や迎撃装置の類は一切なく、扉は静かに凛を迎え入れた。
中は非常に質素なもので、貴族の住処とは到底思えぬ様相。
装飾品や宝物もなく、それを当てにしていた凛は鼻白んだ。
代わりに地下室で、膨大な量の、土地に関する権利書を見つけた。
仮に他の貴族が侵入してきても、輝子が生きていることにして、
この権利書を見せればよいだろう。
強大な権力を持つ貴族であるが、
自分たちが作り上げた制度に対しては従順である。
不思議なことに罠や迎撃装置の類は一切なく、扉は静かに凛を迎え入れた。
中は非常に質素なもので、貴族の住処とは到底思えぬ様相。
装飾品や宝物もなく、それを当てにしていた凛は鼻白んだ。
代わりに地下室で、膨大な量の、土地に関する権利書を見つけた。
仮に他の貴族が侵入してきても、輝子が生きていることにして、
この権利書を見せればよいだろう。
強大な権力を持つ貴族であるが、
自分たちが作り上げた制度に対しては従順である。
31:名無しさん@おーぷん:2017/07/31(月)23:09:10 :QuQ
書類の束を漁っているうちに、凛はやはり、と確信した。
村人は「土地を奪われた」と主張していたが、
輝子はその“先祖”とやらが現れるよりはるか前に、この土地を所有していた。
彼女は移住者に乞われて、無償で土地を貸出した。
同時に領内に入り込んだ怪物と彼らが戦える様に、
レーザー・ライフルを20丁を与えた。
だが月日が経つにつれ、移住者はその恩も、
自身が移住者であったことすらも忘却。
輝子こそを土地の簒奪者にし、ヴァンパイア・ハンターを呼んだ。
書類の束を漁っているうちに、凛はやはり、と確信した。
村人は「土地を奪われた」と主張していたが、
輝子はその“先祖”とやらが現れるよりはるか前に、この土地を所有していた。
彼女は移住者に乞われて、無償で土地を貸出した。
同時に領内に入り込んだ怪物と彼らが戦える様に、
レーザー・ライフルを20丁を与えた。
だが月日が経つにつれ、移住者はその恩も、
自身が移住者であったことすらも忘却。
輝子こそを土地の簒奪者にし、ヴァンパイア・ハンターを呼んだ。
32:名無しさん@おーぷん:2017/07/31(月)23:09:42 :QuQ
凛は権利書を抱えながら、長い階段を登った。
エレベーターは故障したのではなく、元より備わっていなかったのだ。
最上階には、透明なガラスの棺桶が整然と並んでいる。
その中には、老人達が安らかな顔で眠っていた。
村からいなくなった少女が、老いた姿なのであろう。
家族から引き離され、血を吸われ無残に死んだ。
村人はそう語っていたが、そもそも貴族達は吸血を行わない。
さらに、「子どもの仇を取ってくれ」などと言う親の姿もなかった。
それが意味するところは…。
凛は考えるのをやめた。
凛は権利書を抱えながら、長い階段を登った。
エレベーターは故障したのではなく、元より備わっていなかったのだ。
最上階には、透明なガラスの棺桶が整然と並んでいる。
その中には、老人達が安らかな顔で眠っていた。
村からいなくなった少女が、老いた姿なのであろう。
家族から引き離され、血を吸われ無残に死んだ。
村人はそう語っていたが、そもそも貴族達は吸血を行わない。
さらに、「子どもの仇を取ってくれ」などと言う親の姿もなかった。
それが意味するところは…。
凛は考えるのをやめた。
33:名無しさん@おーぷん:2017/07/31(月)23:29:30 :QuQ
無言で棺桶の列を見回していると、その中に2体、
輝子と同じ背格好のものがあった。
ケースの表面に名前が刻まれている。
『我が友、輿水幸子』
『我が友、白坂小梅』
その2人は、星輝子と同じ部隊におり、
戦争が終わった後も、彼女にとってかけがえのない親友であった。
しかし、マイクロ波を浴びたことにより病魔に犯され、亡くなった。
凛が改めて部屋を見渡すと、棺桶に納まっている遺体達の人相は、
かすかに、この2人に似ていた。
無言で棺桶の列を見回していると、その中に2体、
輝子と同じ背格好のものがあった。
ケースの表面に名前が刻まれている。
『我が友、輿水幸子』
『我が友、白坂小梅』
その2人は、星輝子と同じ部隊におり、
戦争が終わった後も、彼女にとってかけがえのない親友であった。
しかし、マイクロ波を浴びたことにより病魔に犯され、亡くなった。
凛が改めて部屋を見渡すと、棺桶に納まっている遺体達の人相は、
かすかに、この2人に似ていた。
34:名無しさん@おーぷん:2017/07/31(月)23:29:54 :QuQ
友を奪われ、憎まれ、それでも尚、人間と向き合おうとした輝子は、
苦悶の表情を浮かべて死んだ。
その事実に対して、凛はなんの感慨もない。
ただ、彼女は黙って土地の権利書を、
輝子と同様に焼き尽くしてしまった。
友を奪われ、憎まれ、それでも尚、人間と向き合おうとした輝子は、
苦悶の表情を浮かべて死んだ。
その事実に対して、凛はなんの感慨もない。
ただ、彼女は黙って土地の権利書を、
輝子と同様に焼き尽くしてしまった。
35:名無しさん@おーぷん:2017/07/31(月)23:30:38 :QuQ
おしまい
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