1:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/10/03(火) 21:11:37.172 :VJ0PXzZvF.net
嫌な夢を見た。
初めて出来た親友と離れ離れになったあの日のこと。
それから一人で過ごしてきた10年という歳月。
本当の自分を知られたら命はないーーそんな毎日のこと。
プリンセス「……」
シャーロットと再会してから、めっきりみることも無くなっていたんだけど。
嫌な夢を見た。
初めて出来た親友と離れ離れになったあの日のこと。
それから一人で過ごしてきた10年という歳月。
本当の自分を知られたら命はないーーそんな毎日のこと。
プリンセス「……」
シャーロットと再会してから、めっきりみることも無くなっていたんだけど。
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2:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/10/03(火) 21:15:07.084 :jsUP438nd.net
いつのまにか随分と弱くなったものだ、と自分を笑ってしまう。
シャーロットと再会してからの毎日は、これまでの10年とは比べ物にならないくらい楽しくて、輝いていて…毎日が夢のようで。
だからこそ、今日の夢は格別に嫌なものだった。
「本当はシャーロットと再会したことが夢で、あの悪夢こそが現実なのでは?」…そんなことを考え出すともう止まらない。
手足の先が冷たい。頭がクラクラする…
いつのまにか随分と弱くなったものだ、と自分を笑ってしまう。
シャーロットと再会してからの毎日は、これまでの10年とは比べ物にならないくらい楽しくて、輝いていて…毎日が夢のようで。
だからこそ、今日の夢は格別に嫌なものだった。
「本当はシャーロットと再会したことが夢で、あの悪夢こそが現実なのでは?」…そんなことを考え出すともう止まらない。
手足の先が冷たい。頭がクラクラする…
4:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/10/03(火) 21:17:41.494 :jsUP438nd.net
プリンセス「…シャーロット」
そう呼ぶが、返事はない。ドロシー、ベアトリスとその人…シャーロットは、機密文書奪取の命についている。
まだ帰ってきていないようだ。
こんな時、隣にいてくれたら。
そう思ったことに気づいてブンブンと頭を振った。いけない、私…本当に弱くなったわね。
プリンセス「…シャーロット」
そう呼ぶが、返事はない。ドロシー、ベアトリスとその人…シャーロットは、機密文書奪取の命についている。
まだ帰ってきていないようだ。
こんな時、隣にいてくれたら。
そう思ったことに気づいてブンブンと頭を振った。いけない、私…本当に弱くなったわね。
5:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/10/03(火) 21:23:17.842 :jsUP438nd.net
のそのそと起きて、支度をする。今日はベアトも居ないから自分で髪を梳かないと…。
ベアトやシャーロットのいない朝がこんなに味気なかったなんて。
支度を済ませ、食堂へ向かう。
リリ「御機嫌ようプリンセス。…いつもの侍女はご一緒でなくて?」
プリンセス「おはよう、リリさん。えぇ、都合で今日は休んでいるの」
たわいの無い会話、それさえ苦痛だった。今すぐにでもシャーロットに会いたい。それが叶わないなら布団の中で眠っていたい…。
のそのそと起きて、支度をする。今日はベアトも居ないから自分で髪を梳かないと…。
ベアトやシャーロットのいない朝がこんなに味気なかったなんて。
支度を済ませ、食堂へ向かう。
リリ「御機嫌ようプリンセス。…いつもの侍女はご一緒でなくて?」
プリンセス「おはよう、リリさん。えぇ、都合で今日は休んでいるの」
たわいの無い会話、それさえ苦痛だった。今すぐにでもシャーロットに会いたい。それが叶わないなら布団の中で眠っていたい…。
7:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/10/03(火) 21:26:28.905 :jsUP438nd.net
嫌な夢はなかなか心から去ってくれなかった。
長い、とても長い…今までの10年を追体験しているとさえ思える1日を過ごし終え、博物クラブの部室へ向かう。
そこに居たのは。
ちせ「おはよう、プリンセス。…どうした、何かあったか?」
プリンセス「……」
東洋から来た、小さな友人だった。
嫌な夢はなかなか心から去ってくれなかった。
長い、とても長い…今までの10年を追体験しているとさえ思える1日を過ごし終え、博物クラブの部室へ向かう。
そこに居たのは。
ちせ「おはよう、プリンセス。…どうした、何かあったか?」
プリンセス「……」
東洋から来た、小さな友人だった。
8:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/10/03(火) 21:34:29.842 :jsUP438nd.net
プリンセス「そろそろこんにちはですよ、ちせさん。…こんにちは、ちせさん」
ちせ「む…そうじゃったな」
ちせ「……」
プリンセス「…」
正直、ありがたいの一言に尽きる。今や彼女にとってチーム白鳩(命名はプリンセスその人である)は何事にも変えがたい存在だった。
それじゃあ、ちせさんをシャーロットの代わりにしているみたい。…今朝からずっと、シャーロットのことばかりね私。
口には出さず。この良き友人と時間を過ごしてしまおうーーと思っていた。
プリンセス「そろそろこんにちはですよ、ちせさん。…こんにちは、ちせさん」
ちせ「む…そうじゃったな」
ちせ「……」
プリンセス「…」
正直、ありがたいの一言に尽きる。今や彼女にとってチーム白鳩(命名はプリンセスその人である)は何事にも変えがたい存在だった。
それじゃあ、ちせさんをシャーロットの代わりにしているみたい。…今朝からずっと、シャーロットのことばかりね私。
口には出さず。この良き友人と時間を過ごしてしまおうーーと思っていた。
9:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/10/03(火) 21:39:03.559 :jsUP438nd.net
ちせ「アンジェの奴…今度の作戦は隠密一本で、しかも少人数で行くと私を連れて行かなかったのだ」
プリンセス「ちせさんの刀は最終手段ですからね。隠密だけで済むなら、その方が良いのですよ」
ちせ「そんなものかの。………」
ところで彼女…ちせという少女は勘が鋭い。
いや、人の気配を読む術に秀でているというべきか。
前に一度、『無理をしているように見える』と言われた時、あの時は焦った…。
そんなことを、思っていると。
ちせ「…のう、プリンセスよ」
ちせ「お主、何かあったか?」
ちせ「アンジェの奴…今度の作戦は隠密一本で、しかも少人数で行くと私を連れて行かなかったのだ」
プリンセス「ちせさんの刀は最終手段ですからね。隠密だけで済むなら、その方が良いのですよ」
ちせ「そんなものかの。………」
ところで彼女…ちせという少女は勘が鋭い。
いや、人の気配を読む術に秀でているというべきか。
前に一度、『無理をしているように見える』と言われた時、あの時は焦った…。
そんなことを、思っていると。
ちせ「…のう、プリンセスよ」
ちせ「お主、何かあったか?」
10:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/10/03(火) 21:42:42.968 :jsUP438nd.net
………しまった。迂闊だった。
気が緩んでいたか。落ち込んだ気分を悟られるとは。外交の席でなくてよかった、とりあえず誤魔化してーー
ちせ「…お主、気づいておらんだろうが……たまにそのような顔をすることがある」
…ゆっくりと、笑顔を作り。
プリンセス「…あら? 私、そんなにひどい顔をしていましたか?」クス
数多の要人と接する中で身につけた、この笑顔。隠し通せる自信があった。…が。
………しまった。迂闊だった。
気が緩んでいたか。落ち込んだ気分を悟られるとは。外交の席でなくてよかった、とりあえず誤魔化してーー
ちせ「…お主、気づいておらんだろうが……たまにそのような顔をすることがある」
…ゆっくりと、笑顔を作り。
プリンセス「…あら? 私、そんなにひどい顔をしていましたか?」クス
数多の要人と接する中で身につけた、この笑顔。隠し通せる自信があった。…が。
11:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/10/03(火) 21:45:37.425 :jsUP438nd.net
ちせ「……悪い夢でも見たか。彼奴…アンジェがおらぬせいか?」
…これは参った。もう隠し通せそうにない。
そう思うと、途端に。
心の隅に追いやって来た感情がーー自分でも気づくことのなかった10年間の感情がーー堰を切ったように溢れ出した。
ちせ「……悪い夢でも見たか。彼奴…アンジェがおらぬせいか?」
…これは参った。もう隠し通せそうにない。
そう思うと、途端に。
心の隅に追いやって来た感情がーー自分でも気づくことのなかった10年間の感情がーー堰を切ったように溢れ出した。
12:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/10/03(火) 21:47:47.518 :9oMUiyWG0.net
いいぞ
13:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/10/03(火) 21:52:58.308 :jsUP438nd.net
プリンセス「…夢を……見たんです。とても悪い夢を」
プリンセス「その夢の中で私はスリの少女でした。…それが、悪い悪魔に囁かれて。私はお姫様になっていたんです」
プリンセス「私が…私が奪ってしまった。本当のお姫様の地位も、夢も…空っぽの私をお姫様に据えて」
そして悪魔は消え。
悪夢は覚めず。
10年の月日を経て未だ色褪せぬあの日のことは。
違わぬ誓いと決意と共に、深く胸に刻まれた。
滑り出した言葉は止まらぬまま。
プリンセス「……」ポロポロ
ちせ「……」
初めは、自分が泣いていると気づくのにさえ時間がかかった。
流れ出した涙は、なかなかとまってくれなかった。
プリンセス「…夢を……見たんです。とても悪い夢を」
プリンセス「その夢の中で私はスリの少女でした。…それが、悪い悪魔に囁かれて。私はお姫様になっていたんです」
プリンセス「私が…私が奪ってしまった。本当のお姫様の地位も、夢も…空っぽの私をお姫様に据えて」
そして悪魔は消え。
悪夢は覚めず。
10年の月日を経て未だ色褪せぬあの日のことは。
違わぬ誓いと決意と共に、深く胸に刻まれた。
滑り出した言葉は止まらぬまま。
プリンセス「……」ポロポロ
ちせ「……」
初めは、自分が泣いていると気づくのにさえ時間がかかった。
流れ出した涙は、なかなかとまってくれなかった。
16:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/10/03(火) 22:12:55.208 :jsUP438nd.net
ふとーー心地よい花の香りに包まれた。
目の前にいる友人が自分を抱きしめたのだとーー気づく前に、穏やかな声が聞こえた。
ちせ「…プリンセスの立場や、お主が過ごして来た10年という日々のこと……正直、私にはよくわからん」
ちせ「それでも、言葉をかけることが許されるなら……」
ちせ「…大丈夫。お主の守ろうとしたものは、ちゃんとそこにある」
ちせ「アンジェが言っておったよ。プリンセスは本当にすごいと。お主が女王になれば、きっとこの国が変わると…そして、あの壁さえ」
プリンセス「………アンジェが…」
ふとーー心地よい花の香りに包まれた。
目の前にいる友人が自分を抱きしめたのだとーー気づく前に、穏やかな声が聞こえた。
ちせ「…プリンセスの立場や、お主が過ごして来た10年という日々のこと……正直、私にはよくわからん」
ちせ「それでも、言葉をかけることが許されるなら……」
ちせ「…大丈夫。お主の守ろうとしたものは、ちゃんとそこにある」
ちせ「アンジェが言っておったよ。プリンセスは本当にすごいと。お主が女王になれば、きっとこの国が変わると…そして、あの壁さえ」
プリンセス「………アンジェが…」
17:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/10/03(火) 22:20:20.552 :jsUP438nd.net
プリンセス「ちせさん……」
ーーこの感情はなんだろうか?
ちせ「…急に抱き寄せて、すまなかったな。忘れてくれ」パッ
プリンセス「…ぁ……」
考えるよりも前に体が動いた。
離れかけたちせの小さな身体を引き寄せ、片手で胸元のリボンを解くと。
プリンセス「…行かないでちせさん。私…すごく寒いの」ギュ
ちせ「……っ!?」
忌々しくもまた思う。この瞬間が悪夢であれば、と…。
プリンセス「ちせさん……」
ーーこの感情はなんだろうか?
ちせ「…急に抱き寄せて、すまなかったな。忘れてくれ」パッ
プリンセス「…ぁ……」
考えるよりも前に体が動いた。
離れかけたちせの小さな身体を引き寄せ、片手で胸元のリボンを解くと。
プリンセス「…行かないでちせさん。私…すごく寒いの」ギュ
ちせ「……っ!?」
忌々しくもまた思う。この瞬間が悪夢であれば、と…。
18:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/10/03(火) 22:24:31.558 :jsUP438nd.net
ちせ「…若い娘が無闇に肌を晒すものではない。それに……お主にはアンジェがおろう」
はだけた胸元から目をそらすちせ。その顔に手を添えて、そっと囁いた。
プリンセス「今…今、この一時だけでもいいんです! ちせさん……どうか…」
縋るようなプリンセスの目に射止められ、顔が動かせないちせ。そしてーー
ちせ「…若い娘が無闇に肌を晒すものではない。それに……お主にはアンジェがおろう」
はだけた胸元から目をそらすちせ。その顔に手を添えて、そっと囁いた。
プリンセス「今…今、この一時だけでもいいんです! ちせさん……どうか…」
縋るようなプリンセスの目に射止められ、顔が動かせないちせ。そしてーー
19:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/10/03(火) 22:26:12.719 :jsUP438nd.net
プリンセス「ちせさん……お願い」
ちせ「……っ!」
ちせの体を抱いたまま、誘うように床に倒れると。
二人はそのままーー
プリンセス「ちせさん……お願い」
ちせ「……っ!」
ちせの体を抱いたまま、誘うように床に倒れると。
二人はそのままーー
22:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/10/03(火) 22:30:49.082 :jsUP438nd.net
ベアト「…ぇぇええええええ!? ここで終わりですか!?」
アンジェ「当たり前じゃない」
ベアト「つ、続きは!? 続き書いてないんですか!?」
アンジェ「未成年に読ませるものではないわ」
ベアト「そ、そんなぁ……」
アンジェ「それとも何かしら? この先に興味でもあるの、ベアト?」ニヤ
ベアト「そっ……そんなこと………///」カ-ッ
アンジェ「意外ね。 あなた、純愛系が好みかと思っていたけれど」
ベアト「それはっ…あ、アンジェさんがこんなのばかり書くからぁ!」///
アンジェ「さて、どうかしら?」クス
ベアト「もうー! アンジェさーん!!」
ベアト「…ぇぇええええええ!? ここで終わりですか!?」
アンジェ「当たり前じゃない」
ベアト「つ、続きは!? 続き書いてないんですか!?」
アンジェ「未成年に読ませるものではないわ」
ベアト「そ、そんなぁ……」
アンジェ「それとも何かしら? この先に興味でもあるの、ベアト?」ニヤ
ベアト「そっ……そんなこと………///」カ-ッ
アンジェ「意外ね。 あなた、純愛系が好みかと思っていたけれど」
ベアト「それはっ…あ、アンジェさんがこんなのばかり書くからぁ!」///
アンジェ「さて、どうかしら?」クス
ベアト「もうー! アンジェさーん!!」
23:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/10/03(火) 22:31:22.542 :jsUP438nd.net
まだプリンセスプリンシパル見たことない人は是非見て
ちせの口調ごめんなさい、精進します
ちせの口調ごめんなさい、精進します
24:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/10/03(火) 22:32:26.294 :YfnI14M/r.net
予想外のオチで笑った
25:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2017/10/03(火) 22:35:07.582 :9oMUiyWG0.net
まさかの展開
面白かったぞ
面白かったぞ
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