1: ◆btZY.W7DfU:2018/06/08(金) 23:53:24.60 :B/J6HWKnO
千秋(……雨が降ってきた)
千秋(今日はレッスンの予定が無いし、大学から直で家に帰ろうと思ったのだけれど……)
千秋(傘も持ってきてないし、……なんだか、気が滅入るわ)
千秋(……こんなとき、プロデューサーがちょうどよく、車で目の前を通ってくれればいいのだけれど)
千秋(……なんて、ダメね、私。人に頼るなんて……)
千秋(プロデューサーがいないと雨の中を歩けないだなんて)
千秋(……悩んでいても仕方ないわね。本降りになる前に多少濡れることを覚悟して……)
P「あれ、千秋」
千秋「……」
千秋(目の前に……、車に乗ったプロデューサーが……)
P「どうした? 送ってこうか?」
千秋「……せっかく、自分を戒めて、決意したところだったのに、いけない人」
P「え?」
千秋(……雨が降ってきた)
千秋(今日はレッスンの予定が無いし、大学から直で家に帰ろうと思ったのだけれど……)
千秋(傘も持ってきてないし、……なんだか、気が滅入るわ)
千秋(……こんなとき、プロデューサーがちょうどよく、車で目の前を通ってくれればいいのだけれど)
千秋(……なんて、ダメね、私。人に頼るなんて……)
千秋(プロデューサーがいないと雨の中を歩けないだなんて)
千秋(……悩んでいても仕方ないわね。本降りになる前に多少濡れることを覚悟して……)
P「あれ、千秋」
千秋「……」
千秋(目の前に……、車に乗ったプロデューサーが……)
P「どうした? 送ってこうか?」
千秋「……せっかく、自分を戒めて、決意したところだったのに、いけない人」
P「え?」
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3: ◆btZY.W7DfU:2018/06/08(金) 23:56:38.72 :mVxZk5g70
千秋「私ね、こう見えてロマンチストでね、白馬の王子様に憧れたりもするのよ」
P「すまねえな、やって来たのがヴィッツに乗ったサラリーマンで」
千秋「あら、ごめんなさい、皮肉じゃなくて、本当に嬉しかったのよ」
千秋「このままだと、雨に濡れて帰るところだったから」
P「なに言ってんだよ、大事なアイドルなアイドルに風邪を引かせられるわけないだろ」
千秋「アイドルじゃなかったら、助けてくれなかったの?」
P「アイドルじゃなかったら、そもそも接点が無くないか?」
千秋「そうじゃなくて、もう……」
P「……?」
千秋「私ね、こう見えてロマンチストでね、白馬の王子様に憧れたりもするのよ」
P「すまねえな、やって来たのがヴィッツに乗ったサラリーマンで」
千秋「あら、ごめんなさい、皮肉じゃなくて、本当に嬉しかったのよ」
千秋「このままだと、雨に濡れて帰るところだったから」
P「なに言ってんだよ、大事なアイドルなアイドルに風邪を引かせられるわけないだろ」
千秋「アイドルじゃなかったら、助けてくれなかったの?」
P「アイドルじゃなかったら、そもそも接点が無くないか?」
千秋「そうじゃなくて、もう……」
P「……?」
4: ◆btZY.W7DfU:2018/06/08(金) 23:58:04.44 :mVxZk5g70
千秋「それにしても、意外ね。プロデューサーの車、けっこう綺麗なのね」
P「心外だな、ゴミを散らかすように見えるか?」
千秋「そうじゃなくて、プロデューサーのお仕事って、とても忙しくて大変でしょう? 書類やらなんやらが散乱してるイメージがあって」
P「そんなのそこら中に散らばってたら、守秘義務違反で怒られちまうよ」
千秋「なるほどね」
P「それにさ、散らかってると外野が色々と煩いんだよ。ありすはお小言言ってくるし、文香は休みが取れてるのか心配してくるし」
千秋「そんな弊害が……、……あれっ?」
P「いやまあでも一番参ったのはまゆだなあ。この前車に乗せたときはちょうど女性の雑誌編集が乗ったあとでさあ、この髪の毛なんですかぁ? って生気のない目で訊かれて……」
千秋「……あの、プロデューサー?」
P「ん?」
千秋「この車……他の子たちも乗ってるの?」
P「乗ってるどころか足にされてるよ。この前だって酔った早苗さん御一行を送って行ったり……」
千秋「ちょっとは断ってよ!」
P「いででいでで頬を引っ張るな前見えぶつかるぅぅぅ!!」
千秋「それにしても、意外ね。プロデューサーの車、けっこう綺麗なのね」
P「心外だな、ゴミを散らかすように見えるか?」
千秋「そうじゃなくて、プロデューサーのお仕事って、とても忙しくて大変でしょう? 書類やらなんやらが散乱してるイメージがあって」
P「そんなのそこら中に散らばってたら、守秘義務違反で怒られちまうよ」
千秋「なるほどね」
P「それにさ、散らかってると外野が色々と煩いんだよ。ありすはお小言言ってくるし、文香は休みが取れてるのか心配してくるし」
千秋「そんな弊害が……、……あれっ?」
P「いやまあでも一番参ったのはまゆだなあ。この前車に乗せたときはちょうど女性の雑誌編集が乗ったあとでさあ、この髪の毛なんですかぁ? って生気のない目で訊かれて……」
千秋「……あの、プロデューサー?」
P「ん?」
千秋「この車……他の子たちも乗ってるの?」
P「乗ってるどころか足にされてるよ。この前だって酔った早苗さん御一行を送って行ったり……」
千秋「ちょっとは断ってよ!」
P「いででいでで頬を引っ張るな前見えぶつかるぅぅぅ!!」
5: ◆btZY.W7DfU:2018/06/08(金) 23:59:27.25 :mVxZk5g70
千秋「ごめんなさい、私としたことが取り乱してしまって」
P「いや、ホントマジでこの前の酔った早苗さんみたいな絡み方でビビったぞ……」
千秋「いやあああ……」
P「いやホントあいつヤバイよ。前なんかデロンデロンに酔ってタクシー代わりに電話してきやがったからなあいつ。おまけに楓さんと三船さんと佐藤も居たし」
千秋「敬称のつけ方に他意を感じるけど……、まあいいわ、その、災難だったわね」
P「まあ、大変だったけど」
P「……」
P「みんな、俺の大切な担当だからな。これくらい背負っていかねえと」
千秋「……」
千秋「……ふふっ」
P「なに笑ってんだよ」
千秋「いえ、なんだかまるで、みんなのお父さんみたいだなって」
P「俺からあんないい子たちが生まれるわけないよ」
千秋「そんな卑下しなくても」
P「それにまだ、結婚してないし」
千秋「あと5年はしない方がいいわよ」
P「なんで?」
千秋「事務所が崩壊するから」
P「なんで!??!?」
千秋「ごめんなさい、私としたことが取り乱してしまって」
P「いや、ホントマジでこの前の酔った早苗さんみたいな絡み方でビビったぞ……」
千秋「いやあああ……」
P「いやホントあいつヤバイよ。前なんかデロンデロンに酔ってタクシー代わりに電話してきやがったからなあいつ。おまけに楓さんと三船さんと佐藤も居たし」
千秋「敬称のつけ方に他意を感じるけど……、まあいいわ、その、災難だったわね」
P「まあ、大変だったけど」
P「……」
P「みんな、俺の大切な担当だからな。これくらい背負っていかねえと」
千秋「……」
千秋「……ふふっ」
P「なに笑ってんだよ」
千秋「いえ、なんだかまるで、みんなのお父さんみたいだなって」
P「俺からあんないい子たちが生まれるわけないよ」
千秋「そんな卑下しなくても」
P「それにまだ、結婚してないし」
千秋「あと5年はしない方がいいわよ」
P「なんで?」
千秋「事務所が崩壊するから」
P「なんで!??!?」
6: ◆btZY.W7DfU:2018/06/09(土) 00:00:51.50 :msros/sx0
P「あ、音楽かけていい?」
千秋「どうぞ」
~♪
千秋「……」
P「……」
千秋「……プロデューサー、クラシックなんて聴くのね」
P「昔は聴かなかったけどな、最近聴くようになった」
千秋「誰の影響?」
P「千秋だけど」
千秋「ゴフッ」
P「うわ、いきなり噎せてどうした、風邪か!?」
千秋「いきなりそんなこと言うものだから……」
P「あれ、キモかった!? ごめん、千川には訴えないで!」
千秋「ツッこむ気力すら出てこないわ……」
P「いや、ほら、千秋、こういうの好きだろ?」
千秋「……うーん、どうかしら」
P「あれ、違うの? 趣味はクラシック鑑賞って言ってなかった?」
P「あ、音楽かけていい?」
千秋「どうぞ」
~♪
千秋「……」
P「……」
千秋「……プロデューサー、クラシックなんて聴くのね」
P「昔は聴かなかったけどな、最近聴くようになった」
千秋「誰の影響?」
P「千秋だけど」
千秋「ゴフッ」
P「うわ、いきなり噎せてどうした、風邪か!?」
千秋「いきなりそんなこと言うものだから……」
P「あれ、キモかった!? ごめん、千川には訴えないで!」
千秋「ツッこむ気力すら出てこないわ……」
P「いや、ほら、千秋、こういうの好きだろ?」
千秋「……うーん、どうかしら」
P「あれ、違うの? 趣味はクラシック鑑賞って言ってなかった?」
7: ◆btZY.W7DfU:2018/06/09(土) 00:01:43.36 :msros/sx0
千秋「特別クラシックが好きなわけではないの。父がそればかり聴いてたから、私も同じものを聴くようになったというだけ」
千秋「……それに、今はむしろ、色んな音楽を聴いて、見聞を深めるべきだと思うから」
千秋「……さすがに、当分はメタルはいいけど」
P「いやぁ、アレはホント、よくやったと思うよ。負担がデカいのはしゃーない」
千秋「まあでも、いい勉強になったわ。喉を傷めずにデスボイスを出す方法とか、知らなかったから」
P「……勤勉なんだな、千秋は」
千秋「物忘れが激しい貴方と違ってね」
P「うるせー」
千秋「でも、だからこそ、色々な知識を吸収することで埋め合わせようとしているのよね、プロデューサーは」
P「……」
千秋「知ってるのよ、私、プロデューサーの机に日に日にアイドルの資料が増えているの」
P「よく見てるな」
千秋「……ちょっと妬けるけど」
P「なにが?」
千秋「なんでもないわ」
千秋「特別クラシックが好きなわけではないの。父がそればかり聴いてたから、私も同じものを聴くようになったというだけ」
千秋「……それに、今はむしろ、色んな音楽を聴いて、見聞を深めるべきだと思うから」
千秋「……さすがに、当分はメタルはいいけど」
P「いやぁ、アレはホント、よくやったと思うよ。負担がデカいのはしゃーない」
千秋「まあでも、いい勉強になったわ。喉を傷めずにデスボイスを出す方法とか、知らなかったから」
P「……勤勉なんだな、千秋は」
千秋「物忘れが激しい貴方と違ってね」
P「うるせー」
千秋「でも、だからこそ、色々な知識を吸収することで埋め合わせようとしているのよね、プロデューサーは」
P「……」
千秋「知ってるのよ、私、プロデューサーの机に日に日にアイドルの資料が増えているの」
P「よく見てるな」
千秋「……ちょっと妬けるけど」
P「なにが?」
千秋「なんでもないわ」
8: ◆btZY.W7DfU:2018/06/09(土) 00:02:59.70 :msros/sx0
P「そういえば、千秋は免許は持っていないのか?」
千秋「車の免許、大学に入る前に取ろうと思ったのだけれど、時期を逃しちゃったわ」
P「大学を卒業が確定した時期にもう一度チャンスがある」
千秋「私が運転できれば、プロデューサーをもっと労われるのに」
P「なんか今日優しくない?」
千秋「なんか今日気持ちの受け取り方が捻くれてない?」
P「そういえば、千秋は免許は持っていないのか?」
千秋「車の免許、大学に入る前に取ろうと思ったのだけれど、時期を逃しちゃったわ」
P「大学を卒業が確定した時期にもう一度チャンスがある」
千秋「私が運転できれば、プロデューサーをもっと労われるのに」
P「なんか今日優しくない?」
千秋「なんか今日気持ちの受け取り方が捻くれてない?」
9: ◆btZY.W7DfU:2018/06/09(土) 00:04:28.44 :msros/sx0
千秋「そうそう、プロデューサー、お腹は空いてない?」
P「いや、別に。なんで?」
千秋「いえ、なんとなく」
P「そうか」
千秋「……」
P「……」
千秋・P「あのっ」
P「……」
千秋「……」
P「えっと……じゃあ千秋からどうぞ」
千秋「……えっと、では僭越ながら……」
千秋「えー、こほん」
P「なにこれ、落語でも始まるの?」
千秋「そうそう、プロデューサー、お腹は空いてない?」
P「いや、別に。なんで?」
千秋「いえ、なんとなく」
P「そうか」
千秋「……」
P「……」
千秋・P「あのっ」
P「……」
千秋「……」
P「えっと……じゃあ千秋からどうぞ」
千秋「……えっと、では僭越ながら……」
千秋「えー、こほん」
P「なにこれ、落語でも始まるの?」
10: ◆btZY.W7DfU:2018/06/09(土) 00:05:08.73 :msros/sx0
千秋「この前牛丼を食べに行ったのよ」
P「マジかよ!?」
千秋「なんでそこで驚くの!?」
P「え、だってちあきお嬢様がだよ!? 我々下々が群がるようなお食事処に来たんだよ!? 世紀の大ニュースだよ!?」
千秋「さっきからあなた失礼すぎない!?」
P「いや、ごめん、謝るけど、でも本音なんだ。素でビックリした」
千秋「まったくもう……」
P「いや、その、千秋にあまりそういうイメージなくてさ、牛丼屋に行くようなイメージがさ」
千秋「そう……」
P「ちなみにどこで食べたの?」
千秋「……松屋」
P「あ、美味しいよね、松屋の牛めし。俺もめっちゃ好き」
千秋「……」ジロッ
P「あ、えっと……」
P「そのっ、ほら、前は例のスタジオの近くのイタリアンのお店が美味しかったとか言ってたじゃん。そういうイメージしかなくて」
P「前に誘ってくれたろ?」
千秋「……そうね、結局予定がつかなくて行けなかったアレね」
P「おっふ……(地雷踏んじまった……)」
P「あ、そうだ! せっかくだし、今からその店行くか? 今から電話すれば席取れるんじゃないか?」
千秋「別にいい」
P「あー、あー……」
千秋「この前牛丼を食べに行ったのよ」
P「マジかよ!?」
千秋「なんでそこで驚くの!?」
P「え、だってちあきお嬢様がだよ!? 我々下々が群がるようなお食事処に来たんだよ!? 世紀の大ニュースだよ!?」
千秋「さっきからあなた失礼すぎない!?」
P「いや、ごめん、謝るけど、でも本音なんだ。素でビックリした」
千秋「まったくもう……」
P「いや、その、千秋にあまりそういうイメージなくてさ、牛丼屋に行くようなイメージがさ」
千秋「そう……」
P「ちなみにどこで食べたの?」
千秋「……松屋」
P「あ、美味しいよね、松屋の牛めし。俺もめっちゃ好き」
千秋「……」ジロッ
P「あ、えっと……」
P「そのっ、ほら、前は例のスタジオの近くのイタリアンのお店が美味しかったとか言ってたじゃん。そういうイメージしかなくて」
P「前に誘ってくれたろ?」
千秋「……そうね、結局予定がつかなくて行けなかったアレね」
P「おっふ……(地雷踏んじまった……)」
P「あ、そうだ! せっかくだし、今からその店行くか? 今から電話すれば席取れるんじゃないか?」
千秋「別にいい」
P「あー、あー……」
11: ◆btZY.W7DfU:2018/06/09(土) 00:21:12.50 :msros/sx0
P「……あれ、そういえばなんで牛丼屋なんかに行ったの?」
千秋「えっ……?」
千秋「……」
千秋「しゃ、しゃかいべんきょ……ぅ……」
P「え、テンプレ過ぎない……?」
千秋「もういい! 知らない!」
P「ふて寝!?」
P「……あれ、そういえばなんで牛丼屋なんかに行ったの?」
千秋「えっ……?」
千秋「……」
千秋「しゃ、しゃかいべんきょ……ぅ……」
P「え、テンプレ過ぎない……?」
千秋「もういい! 知らない!」
P「ふて寝!?」
12: ◆btZY.W7DfU:2018/06/09(土) 00:43:42.37 :msros/sx0
P「ごめんな千秋……。謝るから許して……」
P「ていうか起きて……」
千秋「……zzz」
P「こいつ……ふて寝したかと思ったら本当に寝やがった……」
P「えっ、てかどうしよう。俺、千秋の家知らないんだけど……」
P「おーい、千秋さーん? そろそろ起きてくれませんかねー?」
千秋「……zzz」
P「ダメだ……ガチで寝てやがる……」
P「どうしよう……無理やり起こすのも悪いし……」
P「かといって俺の家に上げるわけにもいかないしな……どうしたもんか……」
P「……」
P「……仕方ないな……」
P「すまん、千秋」
P「ごめんな千秋……。謝るから許して……」
P「ていうか起きて……」
千秋「……zzz」
P「こいつ……ふて寝したかと思ったら本当に寝やがった……」
P「えっ、てかどうしよう。俺、千秋の家知らないんだけど……」
P「おーい、千秋さーん? そろそろ起きてくれませんかねー?」
千秋「……zzz」
P「ダメだ……ガチで寝てやがる……」
P「どうしよう……無理やり起こすのも悪いし……」
P「かといって俺の家に上げるわけにもいかないしな……どうしたもんか……」
P「……」
P「……仕方ないな……」
P「すまん、千秋」
13: ◆btZY.W7DfU:2018/06/09(土) 00:45:58.40 :msros/sx0
P「これが千秋の財布か……」
P「なんかもう、あれだな、表に蝶々っぽいのいるけど、見るからに高級っぽいのがアレだな」
P「触った感じも違うし。俺のとは大違いだ」
P「……って、呑気なこと言ってる場合じゃないな。なんか千秋の住所の手がかりになりそうなもの見つけないと」
P「たぶんどっかに現住所が書かれた身分証とかあるんじゃ……、いや、でも、そういうのって北海道の実家の住所だったりするのかな……」
P「うーん……」
P「……まあ、なんかあるだろ、探してみよ」
P「……」
P「それにしても……」
P「今日の千秋、なんだか様子がおかしかったな……」
P「しおらしいというか、それでいて妙に子供っぽいというか……」
P「なんか……俺に、なにか気づいてって、そう言ってるような……」
P「……ん」
P「……あれ、なんだこれ、紙切れ?」
P「……いや、これ、なんだ……」
P「……これ……」
P「これが千秋の財布か……」
P「なんかもう、あれだな、表に蝶々っぽいのいるけど、見るからに高級っぽいのがアレだな」
P「触った感じも違うし。俺のとは大違いだ」
P「……って、呑気なこと言ってる場合じゃないな。なんか千秋の住所の手がかりになりそうなもの見つけないと」
P「たぶんどっかに現住所が書かれた身分証とかあるんじゃ……、いや、でも、そういうのって北海道の実家の住所だったりするのかな……」
P「うーん……」
P「……まあ、なんかあるだろ、探してみよ」
P「……」
P「それにしても……」
P「今日の千秋、なんだか様子がおかしかったな……」
P「しおらしいというか、それでいて妙に子供っぽいというか……」
P「なんか……俺に、なにか気づいてって、そう言ってるような……」
P「……ん」
P「……あれ、なんだこれ、紙切れ?」
P「……いや、これ、なんだ……」
P「……これ……」
14: ◆btZY.W7DfU:2018/06/09(土) 00:47:39.78 :msros/sx0
P「……牛丼屋の……割引券じゃないか……」
P「……牛丼屋の……割引券じゃないか……」
15: ◆btZY.W7DfU:2018/06/09(土) 00:48:07.74 :msros/sx0
P「なんでこんなもの……」
P「……」
P「……あっ……」
P「なんでこんなもの……」
P「……」
P「……あっ……」
16: ◆btZY.W7DfU:2018/06/09(土) 00:50:27.75 :msros/sx0
ーー千秋、牛丼って食べたことある?
ーー……いえ、ないわ。
ーーそうか、じゃあ、これやるよ
ーーこれは……?
ーー割引券。やるよ。
ーーあら、ありがとう。
ーーでも、3枚あるようだけど
ーーああ、本当は11枚綴りなんだけど、ほとんど使っちまったんだ。だから3枚しか残ってなくて、ごめんな。
ーーそんな、頂いたうえに謝られても……。でも、なんで?
ーーいや、この前、イタリアンのお店に行く予定をドタキャンしちゃったじゃん?
ーー確か、急遽早苗さんのところに向かうことになったのよね。
ーーそうそう、それの埋め合わせ……って、そんなんじゃ替えにならないないのは分かってるけどさ、今はそれくらいしかできないから。
ーー……。
ーーだからさ、その……。
ーー……いいのよ、プロデューサー、そんなに謝らなくて。
ーーいや、でも……。
ーーあなたが忙しいのは私も知っているわ。むしろ、こうやって少しでも埋め合わせようとしてくれたことの方が、何倍も嬉しいの。
ーー千秋……。
ーーそうだわ、今度、この割引券で、一緒に牛丼を食べましょう。
ーー……あ、ああ、そうだな。
ーーその前に、予習として、一枚、使わせてもらうけど。
ーー勤勉なんだな、千秋は。
ーーその方が効率がいいでしょう?
私たちは、二人三脚なのだから。
ーー千秋、牛丼って食べたことある?
ーー……いえ、ないわ。
ーーそうか、じゃあ、これやるよ
ーーこれは……?
ーー割引券。やるよ。
ーーあら、ありがとう。
ーーでも、3枚あるようだけど
ーーああ、本当は11枚綴りなんだけど、ほとんど使っちまったんだ。だから3枚しか残ってなくて、ごめんな。
ーーそんな、頂いたうえに謝られても……。でも、なんで?
ーーいや、この前、イタリアンのお店に行く予定をドタキャンしちゃったじゃん?
ーー確か、急遽早苗さんのところに向かうことになったのよね。
ーーそうそう、それの埋め合わせ……って、そんなんじゃ替えにならないないのは分かってるけどさ、今はそれくらいしかできないから。
ーー……。
ーーだからさ、その……。
ーー……いいのよ、プロデューサー、そんなに謝らなくて。
ーーいや、でも……。
ーーあなたが忙しいのは私も知っているわ。むしろ、こうやって少しでも埋め合わせようとしてくれたことの方が、何倍も嬉しいの。
ーー千秋……。
ーーそうだわ、今度、この割引券で、一緒に牛丼を食べましょう。
ーー……あ、ああ、そうだな。
ーーその前に、予習として、一枚、使わせてもらうけど。
ーー勤勉なんだな、千秋は。
ーーその方が効率がいいでしょう?
私たちは、二人三脚なのだから。
17: ◆btZY.W7DfU:2018/06/09(土) 00:51:09.09 :msros/sx0
P「……」
P「あああああ……」
P「……最低だ……、俺……」
P「俺……こんな大切なこと……忘れてた……」
P「忙しいからって……一番、忘れちゃいけないこと、忘れてた……」
P「……くっそ……」
P「……」
P「あああああ……」
P「……最低だ……、俺……」
P「俺……こんな大切なこと……忘れてた……」
P「忙しいからって……一番、忘れちゃいけないこと、忘れてた……」
P「……くっそ……」
18: ◆btZY.W7DfU:2018/06/09(土) 00:51:38.98 :msros/sx0
千秋「……ん」
千秋「……ふわぁ……」
千秋「ここは……」
千秋「プロデューサーの……車の中……」
千秋「やだ……私ったら、こんなところで寝ちゃったの……?」
千秋「……ん」
千秋「……ふわぁ……」
千秋「ここは……」
千秋「プロデューサーの……車の中……」
千秋「やだ……私ったら、こんなところで寝ちゃったの……?」
19: ◆btZY.W7DfU:2018/06/09(土) 00:52:53.51 :msros/sx0
P「お、起きたか、千秋」
千秋「……ごめんなさい、私、途中で寝てしまったみたいで……」
P「いや、大丈夫。ぐっすり寝れたか?」
千秋「……ええ、おかげさまで」
千秋「……ところで、ここは……?」
P「ここ?」
P「松屋」
P「お、起きたか、千秋」
千秋「……ごめんなさい、私、途中で寝てしまったみたいで……」
P「いや、大丈夫。ぐっすり寝れたか?」
千秋「……ええ、おかげさまで」
千秋「……ところで、ここは……?」
P「ここ?」
P「松屋」
20: ◆btZY.W7DfU:2018/06/09(土) 01:00:19.48 :msros/sx0
以上になります。ここまでお読み頂きありがとうございました。
元々、「突然の雨、黒川千秋の元にプロデューサーが車に乗って現れる」というプロットがずっと頭の中にあったのですが、そこからどう話を展開するか、なかなか思いつかないまま寝かせてあったのですがら、今日、急にポンとアイデアが浮かんだので、せっかく梅雨の時期と重なるし、と思い、ガーッと書いてみた次第です。
というかデレP名義とか千秋のフルネーム書いてないやんとかそもそも千秋のプロデューサーの呼び方の変遷とかどんなだっけとかとにかくgdgdで本当に申し訳ありません。次なにか書くタイミングがあったらその辺り細心の注意を払おうと思います。
それではHTML化依頼を出してこようと思います。
以下、過去の作品になります。
千秋「ステマをします」
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1499953594/
デレP「蘭子の字幕が消えた」
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1500130016/
元々、「突然の雨、黒川千秋の元にプロデューサーが車に乗って現れる」というプロットがずっと頭の中にあったのですが、そこからどう話を展開するか、なかなか思いつかないまま寝かせてあったのですがら、今日、急にポンとアイデアが浮かんだので、せっかく梅雨の時期と重なるし、と思い、ガーッと書いてみた次第です。
というかデレP名義とか千秋のフルネーム書いてないやんとかそもそも千秋のプロデューサーの呼び方の変遷とかどんなだっけとかとにかくgdgdで本当に申し訳ありません。次なにか書くタイミングがあったらその辺り細心の注意を払おうと思います。
それではHTML化依頼を出してこようと思います。
以下、過去の作品になります。
千秋「ステマをします」
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1499953594/
デレP「蘭子の字幕が消えた」
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1500130016/
21:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/06/09(土) 01:12:15.08 :IkMYeBWj0
おつー
コメント 5
コメント一覧 (5)
私は好きです。
プロデューサー若しくは事務所がアイドルの住所を把握していないわけないだろうとは思いましたが。
11枚綴りとか吉野家でもないだろ、定期券ならあったけど