182:◆Try7rHwMFw:2018/09/21(金)20:51:35 :OVs
「あ、提督。Guten Tag、お邪魔してますね」
部屋に入ると、金髪碧眼の女が本を片手にくつろいでいた。スク水の上に、セーラー服を引っかけている。胸部装甲が、実に暴力的だ。
「ん、はっちゃんか。珍しいな。ゴーヤと一緒に休憩か?」
「ええ。ゴーヤはちょうど飲み物作ってます。今日のオリョクル、もうおしまいですし」
「1日の疲れを癒しに来た、というわけか。だが、自室でも構わんだろう。わざわざ執務室に来る意味はないんじゃないか」
ゴーヤがマグカップ2つを持って現れた。微かに湯気が上がっている。
「コーヒーか?これもまた珍しい……」
俺はすぐに額に皺を寄せた。マグカップから覗くシナモンスティック。これは……
「グリューワインか。まだクリスマスには大分早いし、夜もまだ早いぞ」
「いいんです。好きなものは好き、それでいいじゃないですか。それに、どこかのアル重と違って弁えてますし」
「そうでち。1日の重労働のご褒美ぐらいいいじゃないでちか。さ、乾杯でち」
俺は大きく溜め息をついた。
「お前なあ、ここは俺の部屋だぞ?何でお前の私室みたいになってんだよ、自分の部屋でやれ」
「くつろぐにはここがちょうどいいでち。……というかはっちゃん。お願いがあるんじゃないでちか?」
パン、とはっちゃんが手を叩いた。
「そうでしたそうでした。はっちゃん、すっかり忘れてました」
「ん?お願い?……まあどっかの歩く18禁と違って、お前はそんな無茶は言わない奴だが。本か」
「いえ。美味しいラーメンを食べたいんです。それも、煮干しがすっごく効いたのを」
「あ、提督。Guten Tag、お邪魔してますね」
部屋に入ると、金髪碧眼の女が本を片手にくつろいでいた。スク水の上に、セーラー服を引っかけている。胸部装甲が、実に暴力的だ。
「ん、はっちゃんか。珍しいな。ゴーヤと一緒に休憩か?」
「ええ。ゴーヤはちょうど飲み物作ってます。今日のオリョクル、もうおしまいですし」
「1日の疲れを癒しに来た、というわけか。だが、自室でも構わんだろう。わざわざ執務室に来る意味はないんじゃないか」
ゴーヤがマグカップ2つを持って現れた。微かに湯気が上がっている。
「コーヒーか?これもまた珍しい……」
俺はすぐに額に皺を寄せた。マグカップから覗くシナモンスティック。これは……
「グリューワインか。まだクリスマスには大分早いし、夜もまだ早いぞ」
「いいんです。好きなものは好き、それでいいじゃないですか。それに、どこかのアル重と違って弁えてますし」
「そうでち。1日の重労働のご褒美ぐらいいいじゃないでちか。さ、乾杯でち」
俺は大きく溜め息をついた。
「お前なあ、ここは俺の部屋だぞ?何でお前の私室みたいになってんだよ、自分の部屋でやれ」
「くつろぐにはここがちょうどいいでち。……というかはっちゃん。お願いがあるんじゃないでちか?」
パン、とはっちゃんが手を叩いた。
「そうでしたそうでした。はっちゃん、すっかり忘れてました」
「ん?お願い?……まあどっかの歩く18禁と違って、お前はそんな無茶は言わない奴だが。本か」
「いえ。美味しいラーメンを食べたいんです。それも、煮干しがすっごく効いたのを」
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183:◆Try7rHwMFw:2018/09/21(金)21:12:58 :OVs
俺は思わず口をあんぐりと開けた。
「煮干しラーメン?何でまた」
「実はこの前、父方の実家がある長崎から大量に煮干しが送られてきまして……。どうしたものかなあと思ってたら、ラーメンにしたらいいんじゃないかなって。参考にしたいんです。
『全鎮守府煮干し王』の提督なら、ご存じかなって」
「お前なあ……また意味分からん称号を。それにラーメンは自前で作ると大変だぞ?鳳翔や間宮の力を借りても簡単じゃあない。特に煮干しラーメンは難しいんだ」
「そうなんですか?」
はっちゃんが碧い目をパチクリさせている。彼女は長崎の造船所の偉いさんんとドイツ出身の女性とのハーフだが、見事なまでに母親に似たらしい。
「そうなんです。特に煮干し特有のエグ味をどうするかは、プロでも持て余すんだ。濃厚さとエグ味を勘違いして、見るも無惨なものになってる店も相当多い。
当たり外れがプロでも極端になるのが煮干しラーメン。そして当たりは一握り。素人が手を出すもんじゃあない」
「そうなんですか……せっかくレシピ本も買ったのに」
はっちゃんが肩を落とした。どうやら手に持ってるのがそれらしい。こいつのガッカリした顔は、正直罪悪感に駆られるな……。
「むしろレシピ本が市販されてるのか……分かった。その覚悟に応え、旨い煮干しラーメンを紹介してやろう」
「本当ですか!?はっちゃん、感激です!」
「さすが提督でち。女の子の涙には弱いでち。ちょろいでち」
「てめーぶんなぐっぞ?おお?……っとはっちゃんの前で折檻はやめとこう。さて、どうすっかね」
俺は思わず口をあんぐりと開けた。
「煮干しラーメン?何でまた」
「実はこの前、父方の実家がある長崎から大量に煮干しが送られてきまして……。どうしたものかなあと思ってたら、ラーメンにしたらいいんじゃないかなって。参考にしたいんです。
『全鎮守府煮干し王』の提督なら、ご存じかなって」
「お前なあ……また意味分からん称号を。それにラーメンは自前で作ると大変だぞ?鳳翔や間宮の力を借りても簡単じゃあない。特に煮干しラーメンは難しいんだ」
「そうなんですか?」
はっちゃんが碧い目をパチクリさせている。彼女は長崎の造船所の偉いさんんとドイツ出身の女性とのハーフだが、見事なまでに母親に似たらしい。
「そうなんです。特に煮干し特有のエグ味をどうするかは、プロでも持て余すんだ。濃厚さとエグ味を勘違いして、見るも無惨なものになってる店も相当多い。
当たり外れがプロでも極端になるのが煮干しラーメン。そして当たりは一握り。素人が手を出すもんじゃあない」
「そうなんですか……せっかくレシピ本も買ったのに」
はっちゃんが肩を落とした。どうやら手に持ってるのがそれらしい。こいつのガッカリした顔は、正直罪悪感に駆られるな……。
「むしろレシピ本が市販されてるのか……分かった。その覚悟に応え、旨い煮干しラーメンを紹介してやろう」
「本当ですか!?はっちゃん、感激です!」
「さすが提督でち。女の子の涙には弱いでち。ちょろいでち」
「てめーぶんなぐっぞ?おお?……っとはっちゃんの前で折檻はやめとこう。さて、どうすっかね」
184:◆Try7rHwMFw:2018/09/21(金)21:20:15 :OVs
1 寂れた商店街にそれはある。煮干しの頂点を案内しよう
2 24時間営業!年中無休!怪しい街の怪しい一角こそ煮干しの聖地だ
3 隙間のない家の狭間にある行列の先。異端の煮干しがそこにある
4 煮干しはスープ?いや違うな、麺を食わせる煮干しラーメンここにあり
5 秋田のど田舎にたたずむ謎の店と謎の店主。こんな所に煮干しラーメンはあるのか?
※3票先取です。
1 寂れた商店街にそれはある。煮干しの頂点を案内しよう
2 24時間営業!年中無休!怪しい街の怪しい一角こそ煮干しの聖地だ
3 隙間のない家の狭間にある行列の先。異端の煮干しがそこにある
4 煮干しはスープ?いや違うな、麺を食わせる煮干しラーメンここにあり
5 秋田のど田舎にたたずむ謎の店と謎の店主。こんな所に煮干しラーメンはあるのか?
※3票先取です。
185:名無しさん@おーぷん:2018/09/21(金)21:21:07 :mDw
1で
186:名無しさん@おーぷん:2018/09/21(金)21:21:12 :yrM
3
187:名無しさん@おーぷん:2018/09/21(金)21:24:39 :f4G
5
188:名無しさん@おーぷん:2018/09/21(金)21:31:56 :cv6
一
189:名無しさん@おーぷん:2018/09/21(金)21:33:55 :SCg
5
190:名無しさん@おーぷん:2018/09/21(金)21:34:28 :F2w
5
192:◆Try7rHwMFw:2018/09/21(金)21:37:35 :OVs
第4話 自家製麺 伊藤
第4話 自家製麺 伊藤
193:◆Try7rHwMFw:2018/09/21(金)21:42:43 :OVs
中断します。
店のネタバレをしてもいいのですが、趣向を変えてクイズとします。3問以上正解で追加艦娘、全問正解で???とします。
2300ぐらいまで。
店のネタバレをしてもいいのですが、趣向を変えてクイズとします。3問以上正解で追加艦娘、全問正解で???とします。
2300ぐらいまで。
194:◆Try7rHwMFw:2018/09/21(金)21:44:25 :OVs
多分4が難しいと思います。なお、全て東京にあります。
196:名無しさん@おーぷん:2018/09/21(金)21:57:22 :cv6
2はすごい煮干ラーメン凪 新宿ゴールデン街店 本館?
197:◆Try7rHwMFw:2018/09/21(金)21:58:19 :OVs
>>196
正解です。ここは簡単ですね。
正解です。ここは簡単ですね。
198:名無しさん@おーぷん:2018/09/21(金)22:05:55 :SCg
1は「中華そば屋 伊藤」かな?
199:◆Try7rHwMFw:2018/09/21(金)22:07:24 :OVs
>>198
こちらも正解です。今回の店主の弟さんがやられてる店のはずです。
こちらも正解です。今回の店主の弟さんがやられてる店のはずです。
200:◆Try7rHwMFw:2018/09/21(金)22:09:05 :OVs
4だけヒントを。手打ち麺です。注文受けてから打ってます。
201:名無しさん@おーぷん:2018/09/21(金)22:15:54 :F2w
4は麺や七彩八丁堀店でしょうか?
202:◆Try7rHwMFw:2018/09/21(金)22:20:54 :OVs
>>201
正解です。煮干しとしては(個人的に)ライトな部類ですね。麺が本当に独特です。
正解です。煮干しとしては(個人的に)ライトな部類ですね。麺が本当に独特です。
204:名無しさん@おーぷん:2018/09/21(金)22:52:42 :GgT
うーん3は方南町の蘭鋳?
206:◆Try7rHwMFw:2018/09/21(金)22:55:53 :OVs
>>204
違います。
ちょっと表現が悪くてあれなのですが、今はビル解体工事に伴いすごく見つかりにくい路地の先にありますね。
違います。
ちょっと表現が悪くてあれなのですが、今はビル解体工事に伴いすごく見つかりにくい路地の先にありますね。
207:【64】:2018/09/21(金)23:04:40 :xco
纏やな
208:◆Try7rHwMFw:2018/09/21(金)23:06:48 :jvT
タイムアップです。慰安旅行編ではなくなりました。提督たちが角館に行く理由を考えねば……
なお、3は新橋 纏です。平子煮干しという変わった煮干しを使ってます。
イカ干し鶏白湯という、強烈な品も……
本当にどこにあるかは分かりにくいです。毎回迷います。
なお、3は新橋 纏です。平子煮干しという変わった煮干しを使ってます。
イカ干し鶏白湯という、強烈な品も……
本当にどこにあるかは分かりにくいです。毎回迷います。
209:◆Try7rHwMFw:2018/09/21(金)23:09:09 :jvT
っと、一応書き込み前に正解が。
>>207を有効として慰安旅行編とします。
角館には確かほとんどホテルがなかったので、秋田市内としますかね……
>>207を有効として慰安旅行編とします。
角館には確かほとんどホテルがなかったので、秋田市内としますかね……
210:◆Try7rHwMFw:2018/09/21(金)23:17:03 :jvT
というわけで、慰安旅行の範囲を決めます。
コンマ下の!randomが
00〜10 全艦娘
11〜80 全潜水艦娘
81〜100 ゴーヤ+はっちゃん+イベント功労者(自由安価で3人まで)
コンマ下の!randomが
00〜10 全艦娘
11〜80 全潜水艦娘
81〜100 ゴーヤ+はっちゃん+イベント功労者(自由安価で3人まで)
211:【36】:2018/09/21(金)23:17:54 :9RE
はい
213:◆Try7rHwMFw:2018/09/21(金)23:25:22 :jvT
※皆オリョクルお疲れ様慰安旅行
なお、艦これ現役勢ではないのでしおんはおりません。御了承下さい。
なお、艦これ現役勢ではないのでしおんはおりません。御了承下さい。
214:◆Try7rHwMFw:2018/09/21(金)23:41:47 :jvT
また、性質上飲酒シーンが出ますが、このスレのみの設定として
・成人済み
ゴーヤ、イムヤ、イク、はっちゃん、ヒトミ、イヨ
・未成年
しおい、ろー、ごー、まるゆ、ニム
とします。
・成人済み
ゴーヤ、イムヤ、イク、はっちゃん、ヒトミ、イヨ
・未成年
しおい、ろー、ごー、まるゆ、ニム
とします。
217:◆Try7rHwMFw:2018/09/22(土)15:59:02 :2Ej
煮干しか……煮干しといえば王子神谷の伊藤だ。複雑かつ実に奥行きがある1杯を出す。そこでもいいのだが……。
そう言えば、この前の作戦の恩賞が結構あるな。北海道の復興支援の報酬もある。資源は日々のオリョクルで十分確保可能だ。
それに例年は熱海で全舷(宴会の意)をやってるが、うちも整備員などを合わせると150人以上の大所帯になっている。さすがに予約は難しかろう。
……よし、決めた。
「ちょっと今から鎮守府に一斉放送を流すぞ。お前らにも関係があることだ」
「え?ラーメンの話じゃないんでちか?」
「ちゃんと関係がある。まあ黙って聞け」
俺は執務室に備え付けのマイクをオンにした。これで鎮守府全室に俺の声が届く。
「あー、俺だ。小泉中佐だ。訓練、ないしは業務中に失礼する。
突然だが、今年の全舷について連絡事項がある。各班の班長は、1900までに執務室に集まるように。一応言うが、朗報だ。以上」
「朗報って何ですか?提督」
はっちゃんがグリューワインを一口飲んで言った。
「おう。全舷は各班ごとに行うようにした。予算があるのと、ホテルの予約が到底取れんのが理由だ。
予算は均等割で、1泊2日であればプランも自由。代わり映えのしない熱海の大宴会場とは、おさらばというわけだな。
予算内に収まれば海外へ行こうが夢の国に行こうが自由。班内で相談して、企画書を出してくれればいい。ただ、宴会代も予算から出してもらうがな」
「それはいいでちね!でも、提督はどうするんでち?」
「考え中。ただ、潜水艦班には同行するぞ。それが今回の真の目的だからな」
「真の目的、ですか?」
はっちゃんに俺は頷く。
「班ごとに目的地は決めてもらうが、潜水艦班は俺が決めるつもりだ。秋田に行く。呑兵衛がいるのも理由だが、それ以上に目当ての煮干しラーメンがあるからな」
「秋田に煮干しラーメン、ですか?ご当地ラーメンなんですか」
「煮干しを使ったご当地ラーメンといえば青森だな。しょっぱいが旨いのは旨い。だがここのはそれともまた違う。
日本における煮干しブームのルーツとも言える店が、秋田県角館にある。そこへ行こうってわけだ」
煮干しか……煮干しといえば王子神谷の伊藤だ。複雑かつ実に奥行きがある1杯を出す。そこでもいいのだが……。
そう言えば、この前の作戦の恩賞が結構あるな。北海道の復興支援の報酬もある。資源は日々のオリョクルで十分確保可能だ。
それに例年は熱海で全舷(宴会の意)をやってるが、うちも整備員などを合わせると150人以上の大所帯になっている。さすがに予約は難しかろう。
……よし、決めた。
「ちょっと今から鎮守府に一斉放送を流すぞ。お前らにも関係があることだ」
「え?ラーメンの話じゃないんでちか?」
「ちゃんと関係がある。まあ黙って聞け」
俺は執務室に備え付けのマイクをオンにした。これで鎮守府全室に俺の声が届く。
「あー、俺だ。小泉中佐だ。訓練、ないしは業務中に失礼する。
突然だが、今年の全舷について連絡事項がある。各班の班長は、1900までに執務室に集まるように。一応言うが、朗報だ。以上」
「朗報って何ですか?提督」
はっちゃんがグリューワインを一口飲んで言った。
「おう。全舷は各班ごとに行うようにした。予算があるのと、ホテルの予約が到底取れんのが理由だ。
予算は均等割で、1泊2日であればプランも自由。代わり映えのしない熱海の大宴会場とは、おさらばというわけだな。
予算内に収まれば海外へ行こうが夢の国に行こうが自由。班内で相談して、企画書を出してくれればいい。ただ、宴会代も予算から出してもらうがな」
「それはいいでちね!でも、提督はどうするんでち?」
「考え中。ただ、潜水艦班には同行するぞ。それが今回の真の目的だからな」
「真の目的、ですか?」
はっちゃんに俺は頷く。
「班ごとに目的地は決めてもらうが、潜水艦班は俺が決めるつもりだ。秋田に行く。呑兵衛がいるのも理由だが、それ以上に目当ての煮干しラーメンがあるからな」
「秋田に煮干しラーメン、ですか?ご当地ラーメンなんですか」
「煮干しを使ったご当地ラーメンといえば青森だな。しょっぱいが旨いのは旨い。だがここのはそれともまた違う。
日本における煮干しブームのルーツとも言える店が、秋田県角館にある。そこへ行こうってわけだ」
218:◆Try7rHwMFw:2018/09/22(土)16:22:46 :2Ej
ゴーヤが呆れた様子で俺を見る。
「煮干しラーメンのために角館まで行くんでちか?ラーメン馬鹿とは知ってたでちが、そこまで行くと感心するでち。職権濫用して、予算も使ってまでラーメンでちか。恐れ入るでち」
「勘違いするなよ。全舷の分割開催は、元々想定してたことだ。福利厚生はホワイト鎮守府の必須条件だからな。
あと、大人数だとトラブルが起きやすいってのもある。昨年は響がポーラとつるんで危ないとこだっただろ」
ゴーヤの顔が引きつった。
「あー……あれは酷かったでちね。警察の御用になったら、提督の左遷は120%確定だったでち」
「暴走した連中が駆逐艦の連中に酒を飲ましまくって、それでさらに長門がながもんと化し、それが混乱を拡げる完全なるカオス状態だったからな。
未成年者への飲酒がバレてたら、完全にアウトだったな。あのホテルはもう使えないってのも、大きな理由なんだよ」
結局加賀や妙高といった年長組が武力行使し、ホテルに多額の口止め料を払って収まったのだが……おかげで資源がカツカツになってしまった。
それがゴーヤたちに負担となってのし掛かったため、彼女たちにとって全舷は軽いトラウマになっている。
「理解したでち。でも少人数だからといって大丈夫とは限らないんじゃないでちか?」
「全舷には目附役の男性陣が同行して監督することになるな。まあ、男女間の過ちを犯さんよう配置は工夫するが。
既にリアルで結婚してる奴が多いし、交際中のもいるからあまり悩まずに済むのは良いことだ」
「で、提督は潜水艦班ということですね」
はっちゃんの目線が一瞬だけゴーヤに向いた。
「そういうこと。イクとイヨは色々アレだが、まあ2人だけならなんとかなるだろ。他の班の全舷に同行するかは考えるが、まあ多分ないだろ」
「やめといた方がいいでち。で、全舷はいつにするでちか?」
「予約次第だが、まあ10月中メドだな。平日も使えるから、楽なもんだろ。
あとは班長のお前が皆と相談して決めてくれ。……っと、ぼちぼち1900か。じゃあ、会議ですかね」
はっちゃんがゴーヤに何やら耳打ちしている。……何を企んでるのやら。
ゴーヤが呆れた様子で俺を見る。
「煮干しラーメンのために角館まで行くんでちか?ラーメン馬鹿とは知ってたでちが、そこまで行くと感心するでち。職権濫用して、予算も使ってまでラーメンでちか。恐れ入るでち」
「勘違いするなよ。全舷の分割開催は、元々想定してたことだ。福利厚生はホワイト鎮守府の必須条件だからな。
あと、大人数だとトラブルが起きやすいってのもある。昨年は響がポーラとつるんで危ないとこだっただろ」
ゴーヤの顔が引きつった。
「あー……あれは酷かったでちね。警察の御用になったら、提督の左遷は120%確定だったでち」
「暴走した連中が駆逐艦の連中に酒を飲ましまくって、それでさらに長門がながもんと化し、それが混乱を拡げる完全なるカオス状態だったからな。
未成年者への飲酒がバレてたら、完全にアウトだったな。あのホテルはもう使えないってのも、大きな理由なんだよ」
結局加賀や妙高といった年長組が武力行使し、ホテルに多額の口止め料を払って収まったのだが……おかげで資源がカツカツになってしまった。
それがゴーヤたちに負担となってのし掛かったため、彼女たちにとって全舷は軽いトラウマになっている。
「理解したでち。でも少人数だからといって大丈夫とは限らないんじゃないでちか?」
「全舷には目附役の男性陣が同行して監督することになるな。まあ、男女間の過ちを犯さんよう配置は工夫するが。
既にリアルで結婚してる奴が多いし、交際中のもいるからあまり悩まずに済むのは良いことだ」
「で、提督は潜水艦班ということですね」
はっちゃんの目線が一瞬だけゴーヤに向いた。
「そういうこと。イクとイヨは色々アレだが、まあ2人だけならなんとかなるだろ。他の班の全舷に同行するかは考えるが、まあ多分ないだろ」
「やめといた方がいいでち。で、全舷はいつにするでちか?」
「予約次第だが、まあ10月中メドだな。平日も使えるから、楽なもんだろ。
あとは班長のお前が皆と相談して決めてくれ。……っと、ぼちぼち1900か。じゃあ、会議ですかね」
はっちゃんがゴーヤに何やら耳打ちしている。……何を企んでるのやら。
221:◆Try7rHwMFw:2018/09/22(土)21:59:25 :nmm
#
(2週後……)
「さあて、皆荷物は持ったか?忘れ物はないか?」
ツインテールの女がピョンと跳ねた。いつもの卑猥なスク水ではなく、露出の多いヒラヒラしたワンピースを着ている。当然だが。
「大丈夫なのー!イク、楽しみで仕方なかったのねー」
ちっこい白人の2人娘……とはいっても片方はまだ日焼けで黒いが……も手を取り合ってはしゃいでいる。
「ろーちゃんもジュンビバンタン?ですって!アキタって温泉あるって聞いたけど、楽しみですって!」
「あい!キリタンポ?ってなんだろ?食べたいなー」
皆テンションが高い。班長で秘書艦を務めることも多いゴーヤはともかく、他の奴らは遠出しても藤沢や横浜までだ。秋田に行くのは、大体が初めてだろう。そういう俺も2回目だ。
ゴーヤがコホン、と咳払いする。
「はい、みんなよーく聞くでち。これからのスケジュールを言うでち。
まず横須賀線で横浜まで。そして上野まで上野ラインで行くでち。乗り替え間違えないよう気を付けるでち。
そこで秋田新幹線で角館まで。チェックインは1600の予定でち。それまでは単独行動は厳に慎むでち」
「「はーい」」
ジーンズにシンプルなシャツを着たゴーヤが言うと、皆が口を揃えた。
ちんまい上に童顔だから舐められやすいが、何気に元はバリバリの体育会系だ。統率力は馬鹿にしたものでもない。
「……提督、他の班から異論は出なかったんですか?提督を好きな子、結構いるのはご存知でしょうけど」
近くにいたはっちゃんがぼそりと言う。
※コンマ下の!randomが30以上で誤魔化しきった
#
(2週後……)
「さあて、皆荷物は持ったか?忘れ物はないか?」
ツインテールの女がピョンと跳ねた。いつもの卑猥なスク水ではなく、露出の多いヒラヒラしたワンピースを着ている。当然だが。
「大丈夫なのー!イク、楽しみで仕方なかったのねー」
ちっこい白人の2人娘……とはいっても片方はまだ日焼けで黒いが……も手を取り合ってはしゃいでいる。
「ろーちゃんもジュンビバンタン?ですって!アキタって温泉あるって聞いたけど、楽しみですって!」
「あい!キリタンポ?ってなんだろ?食べたいなー」
皆テンションが高い。班長で秘書艦を務めることも多いゴーヤはともかく、他の奴らは遠出しても藤沢や横浜までだ。秋田に行くのは、大体が初めてだろう。そういう俺も2回目だ。
ゴーヤがコホン、と咳払いする。
「はい、みんなよーく聞くでち。これからのスケジュールを言うでち。
まず横須賀線で横浜まで。そして上野まで上野ラインで行くでち。乗り替え間違えないよう気を付けるでち。
そこで秋田新幹線で角館まで。チェックインは1600の予定でち。それまでは単独行動は厳に慎むでち」
「「はーい」」
ジーンズにシンプルなシャツを着たゴーヤが言うと、皆が口を揃えた。
ちんまい上に童顔だから舐められやすいが、何気に元はバリバリの体育会系だ。統率力は馬鹿にしたものでもない。
「……提督、他の班から異論は出なかったんですか?提督を好きな子、結構いるのはご存知でしょうけど」
近くにいたはっちゃんがぼそりと言う。
※コンマ下の!randomが30以上で誤魔化しきった
222:【35】:2018/09/22(土)22:03:13 :2M1
あ
223:◆Try7rHwMFw:2018/09/22(土)22:31:13 :nmm
※修羅場編はなし
「おう。てか前の会議では抽選で決めたことにしたしな。無論、仕込みはしている」
「……その周到さを身近な人相手でも発揮してほしいですけどね」
はっちゃんが溜め息をついた。
……まあ言わんとすることは分かってる。分かってるんだが……そう簡単にことが運ぶほど、男女の仲は簡単じゃあない。
俺ははっちゃんの呟きが聞こえないふりをした。
#
「で、ラーメン屋にはいつ行くでちか?さすがに夜は宴会だし。翌日昼でちか」
昼飯の幕の内弁当を頬張りながら、窓側の席にいるゴーヤが訊く。新幹線は大宮を通過したぐらいだ。
「そうだな。そもそも昼しかやってない。着いたら宴会以外は大体自由時間だから、その時に有志で行く感じだ。ただ、ぶっちゃけ歩きで行くのは無理だから、レンタサイクルだな」
こちらは崎陽軒のシューマイ弁当を食べながら、通路側のはっちゃんが俺を見た。
「サイクリングですか、楽しそう。角館って、何かあるんですか?」
「古い武家屋敷、それと温泉だな。今回は日帰り温泉と直結した旅館にしてある。飯は併設の居酒屋で食う感じだな。比内地鶏が旨いらしいぞ」
「いいですね!落ち着いてて、はっちゃんゆっくりできそうです」
「まー角館は小さな観光地だが、こういう宴会+αぐらいなら飽きずに済む。俺の私欲入りのチョイスだが、なかなか悪くねえな」
ツンツンとゴーヤが突っつく。
「宿のチョイスはゴーヤがやったんでち。てーとくは何もやってないでち」
「はいはい、そうですよ。……ってろーちゃんとごーちゃんは暴れない!まるゆ止めろ!」
あの二人は新幹線も初めてだからなあ……まあ仕方ないか。
イクとイヨはもうビール片手にご満悦状態、イムヤは何やらスマホを真剣な表情で弄ってる。
ニムとシオイが談笑中で、あとは昼寝を決め込んでいるようだ。……さあ、今回の旅行は無事に終わるのかどうか。
※修羅場編はなし
「おう。てか前の会議では抽選で決めたことにしたしな。無論、仕込みはしている」
「……その周到さを身近な人相手でも発揮してほしいですけどね」
はっちゃんが溜め息をついた。
……まあ言わんとすることは分かってる。分かってるんだが……そう簡単にことが運ぶほど、男女の仲は簡単じゃあない。
俺ははっちゃんの呟きが聞こえないふりをした。
#
「で、ラーメン屋にはいつ行くでちか?さすがに夜は宴会だし。翌日昼でちか」
昼飯の幕の内弁当を頬張りながら、窓側の席にいるゴーヤが訊く。新幹線は大宮を通過したぐらいだ。
「そうだな。そもそも昼しかやってない。着いたら宴会以外は大体自由時間だから、その時に有志で行く感じだ。ただ、ぶっちゃけ歩きで行くのは無理だから、レンタサイクルだな」
こちらは崎陽軒のシューマイ弁当を食べながら、通路側のはっちゃんが俺を見た。
「サイクリングですか、楽しそう。角館って、何かあるんですか?」
「古い武家屋敷、それと温泉だな。今回は日帰り温泉と直結した旅館にしてある。飯は併設の居酒屋で食う感じだな。比内地鶏が旨いらしいぞ」
「いいですね!落ち着いてて、はっちゃんゆっくりできそうです」
「まー角館は小さな観光地だが、こういう宴会+αぐらいなら飽きずに済む。俺の私欲入りのチョイスだが、なかなか悪くねえな」
ツンツンとゴーヤが突っつく。
「宿のチョイスはゴーヤがやったんでち。てーとくは何もやってないでち」
「はいはい、そうですよ。……ってろーちゃんとごーちゃんは暴れない!まるゆ止めろ!」
あの二人は新幹線も初めてだからなあ……まあ仕方ないか。
イクとイヨはもうビール片手にご満悦状態、イムヤは何やらスマホを真剣な表情で弄ってる。
ニムとシオイが談笑中で、あとは昼寝を決め込んでいるようだ。……さあ、今回の旅行は無事に終わるのかどうか。
224:◆Try7rHwMFw:2018/09/22(土)22:43:57 :nmm
#
「ふう」
チェックインを済ませ、俺は宿の部屋で寝転んだ。さすがに一人部屋だ。あとは4人部屋が3部屋。ざっくりと年齢別に分けてある。
宴会は1900。まだ3時間もある。どうすっかねえ。
1 温泉入るか
2 散歩でもするか
3 寝よう
安価下1〜3の多数決
※どれでも艦娘の乱入が確率であります
#
「ふう」
チェックインを済ませ、俺は宿の部屋で寝転んだ。さすがに一人部屋だ。あとは4人部屋が3部屋。ざっくりと年齢別に分けてある。
宴会は1900。まだ3時間もある。どうすっかねえ。
1 温泉入るか
2 散歩でもするか
3 寝よう
安価下1〜3の多数決
※どれでも艦娘の乱入が確率であります
225:【44】:2018/09/22(土)22:44:22 :CMc
1で
226:【29】:2018/09/22(土)22:45:17 :KpE
1
227:名無しさん@おーぷん:2018/09/22(土)22:45:42 :Q36
2
228:【14】:2018/09/22(土)22:50:05 :2M1
1
229:◆Try7rHwMFw:2018/09/22(土)22:59:54 :nmm
まあ温泉あるんだし、ここは温泉だろ。俺は浴衣に着替え、浴場に向かった。
浴場は日帰り温泉として解放されている、らしい。観光客らしきおっさんたちが、頭から湯気を出しながら出てきた。
何でも源泉かけ流しらしい。単純泉ではなく、ちゃんとした硫黄塩泉で肌にいいという。所謂「美人の湯」というやつだ。……ゴーヤの奴、この辺り狙って選んだな。
飲めるらしいが、大丈夫なのかは知らん。まあ、ご託は抜きにとっとと入るか。
#
「んー、なかなか」
俺は風呂から上がり、大きく伸びをした。キレイかと言われるとそうではないし、むしろ田舎の銭湯のような風情があるが、それがいい。
何より温泉だ。これはちゃんとしたヤツだ。長旅の疲れを芯からほぐしてくれる。併設のサウナにも入り汗を流して、また温泉。生き返るな。
後はコーヒー牛乳で締める。部屋帰ったら少し仮眠でも取ろう。まだ全舷はこれからなのだ。
※コンマ下の!randomが20以上で誰かと遭遇(ゾロ目だと?)
まあ温泉あるんだし、ここは温泉だろ。俺は浴衣に着替え、浴場に向かった。
浴場は日帰り温泉として解放されている、らしい。観光客らしきおっさんたちが、頭から湯気を出しながら出てきた。
何でも源泉かけ流しらしい。単純泉ではなく、ちゃんとした硫黄塩泉で肌にいいという。所謂「美人の湯」というやつだ。……ゴーヤの奴、この辺り狙って選んだな。
飲めるらしいが、大丈夫なのかは知らん。まあ、ご託は抜きにとっとと入るか。
#
「んー、なかなか」
俺は風呂から上がり、大きく伸びをした。キレイかと言われるとそうではないし、むしろ田舎の銭湯のような風情があるが、それがいい。
何より温泉だ。これはちゃんとしたヤツだ。長旅の疲れを芯からほぐしてくれる。併設のサウナにも入り汗を流して、また温泉。生き返るな。
後はコーヒー牛乳で締める。部屋帰ったら少し仮眠でも取ろう。まだ全舷はこれからなのだ。
※コンマ下の!randomが20以上で誰かと遭遇(ゾロ目だと?)
230:【18】:2018/09/22(土)23:00:46 :Q36
あ
233:◆Try7rHwMFw:2018/09/22(土)23:19:39 :nmm
※遭遇なし
#
「ん……」
どうやら寝てしまっていたらしい。時間は……1845か?随分寝ていたな。
まあ、宴会までには間に合う。俺は軽く髪を調え、隣の居酒屋に向かう。
「あ、Ammiraglio!宴会に行くのー?」
部屋を出ると年少組の3人と出くわした。ろーちゃんとごーちゃんの浴衣の着方が怪しいが、まあいいか。
「おう。まるゆとは仲良くやってるか?」
「はいっ!マル・ユーってこう見えてスプラトゥーン強いんですって!ね、マル・ユー」
「えっ、そ、そんなでもないよ……」
まるゆが顔を赤くして縮こまっている。俺は彼女の頭を撫でた。
「おう、じゃあ今度相手してくれや。つーか、俺ら最後じゃね?」
他の部屋からはもう人の気配がない。先に飲んでるパターンか。
急いで行くと……
00 カオス状態
01〜20 イクとイヨができあがってる
21〜85 通常進行
86〜95 皆温泉から直行してた
96〜100 ???
※遭遇なし
#
「ん……」
どうやら寝てしまっていたらしい。時間は……1845か?随分寝ていたな。
まあ、宴会までには間に合う。俺は軽く髪を調え、隣の居酒屋に向かう。
「あ、Ammiraglio!宴会に行くのー?」
部屋を出ると年少組の3人と出くわした。ろーちゃんとごーちゃんの浴衣の着方が怪しいが、まあいいか。
「おう。まるゆとは仲良くやってるか?」
「はいっ!マル・ユーってこう見えてスプラトゥーン強いんですって!ね、マル・ユー」
「えっ、そ、そんなでもないよ……」
まるゆが顔を赤くして縮こまっている。俺は彼女の頭を撫でた。
「おう、じゃあ今度相手してくれや。つーか、俺ら最後じゃね?」
他の部屋からはもう人の気配がない。先に飲んでるパターンか。
急いで行くと……
00 カオス状態
01〜20 イクとイヨができあがってる
21〜85 通常進行
86〜95 皆温泉から直行してた
96〜100 ???
234:【88】:2018/09/22(土)23:21:14 :kn0
直下?
239:◆Try7rHwMFw:2018/09/23(日)10:24:10 :IBz
「あ、提督!こっちだよこっち!」
声の方を見ると、イヨがビールを片手に手を挙げていた。風呂上がりらしく、浴衣姿だ。
少し顔が上気しているのは、酒によるものというよりは温泉によるものか。
「ちょっと前から始めてるのー。お風呂上がりの一杯はたまらないのねー」
「って飲んでるのはイクとイヨだけじゃない。ほら、ろーちゃんたちも来たよ。仕切り直し、仕切り直し」
イムヤが渋い顔でイクを見た。俺の席は……と。
「こっちでち」
あー、やっぱゴーヤの隣か。……何かいい匂いがするな。コンディショナーの匂いか。
提督という職業をやっちゃいるが、こうやって風呂から上がったばかりの奴と接する機会は滅多にない。
整備員の連中は別だが、こちらの仕事は作戦立案と鎮守府の管理が中心だ。
それだけに……何かこう、来るものがある。ほぼすっぴんに近いが、温泉で軽く赤く染まった顔も、妙な色気を感じさせる。
……いかんな、一線は守ると決めているのだが。特にこいつについては。
俺は動揺を悟られまいと、どすっと敢えて荒っぽく座った。
「まさかもう始めてたとはな。子供たちを待てんのか」
「あの2人は別でち。さ、てーとく」
ゴーヤが俺のグラスにビールを注いできた。……妙に殊勝だな。てっきりいつものように何か言い返してくるかと思ったが。
ふと見ると、はっちゃんがふふふと笑っている。ああ、そういうことか。お節介な奴だ。
あるいは、風呂から上がってすぐに宴会にしたのも、彼女の企てかもしれない。
「あ、提督!こっちだよこっち!」
声の方を見ると、イヨがビールを片手に手を挙げていた。風呂上がりらしく、浴衣姿だ。
少し顔が上気しているのは、酒によるものというよりは温泉によるものか。
「ちょっと前から始めてるのー。お風呂上がりの一杯はたまらないのねー」
「って飲んでるのはイクとイヨだけじゃない。ほら、ろーちゃんたちも来たよ。仕切り直し、仕切り直し」
イムヤが渋い顔でイクを見た。俺の席は……と。
「こっちでち」
あー、やっぱゴーヤの隣か。……何かいい匂いがするな。コンディショナーの匂いか。
提督という職業をやっちゃいるが、こうやって風呂から上がったばかりの奴と接する機会は滅多にない。
整備員の連中は別だが、こちらの仕事は作戦立案と鎮守府の管理が中心だ。
それだけに……何かこう、来るものがある。ほぼすっぴんに近いが、温泉で軽く赤く染まった顔も、妙な色気を感じさせる。
……いかんな、一線は守ると決めているのだが。特にこいつについては。
俺は動揺を悟られまいと、どすっと敢えて荒っぽく座った。
「まさかもう始めてたとはな。子供たちを待てんのか」
「あの2人は別でち。さ、てーとく」
ゴーヤが俺のグラスにビールを注いできた。……妙に殊勝だな。てっきりいつものように何か言い返してくるかと思ったが。
ふと見ると、はっちゃんがふふふと笑っている。ああ、そういうことか。お節介な奴だ。
あるいは、風呂から上がってすぐに宴会にしたのも、彼女の企てかもしれない。
240:◆Try7rHwMFw:2018/09/23(日)10:50:13 :IBz
俺は少し息をついて、皆を見た。
「よーし、全員揃ったな。まず、日々の業務、そして先の作戦ご苦労だった。
北海道復興支援の留守中も資源回収に従事してくれたことも併せて礼を言う。
横須賀第四鎮守府が、全国でも屈指の武勲を挙げているのは、お前ら潜水艦班の働きに依るところが大きい。
これはお世辞じゃなく、本気で感謝している。ありがとう」
パチパチと拍手があった。一服置いて続ける。
「半面、厳しい任務を課したことがあった点については詫びの入れようもない。
俺の不徳の致すところだ。……というわけで、堅苦しい挨拶は抜きだ。
今日はぱーっとやっちゃってくれ。ただ、節度をもってな。んじゃ、乾杯」
「「かんぱーい!!」」
既に料理の注文はゴーヤが済ませている。酒は……っと。おお、さすがに一通り揃ってるな。
イクとイヨが心配だが、まあ席も離してるしイムヤとヒトミが見てるから大丈夫だろ。
「ゴーヤにも見せてでち。……こんなに種類があるんでちね」
「珍しいな。お前はそんな飲まない方だろ」
「せっかくの全舷でち。たまにはお酒を飲んでもばちは当たらんでち。
あ、この角館ってお酒にするでち。店員さーん」
「……何かすまんな。いつも負担をかけさせて」
「いいんでち。ゴーヤが好きでやってることでち。……提督との付き合いも長いでちね」
「まあな、もう3年になるか。うちでは古参の部類だな」
「でちね。その割に、あまり二人で飲んだことはないでち。
あまり互いの過去も離したことはないでちね」
「……まあそうだな。プライベートと仕事は一線を引く、というのが俺の主義だからな。
あと、恋愛沙汰で荒れた鎮守府は、列挙にいとまがない。そういうのは、嫌だったんでね」
俺は比内地鶏の炭火焼を放り込んだ。脂身自体に甘味があって旨い。
「……まあそうでちね。横暴だしいい加減だけど、そういう点は嫌いじゃないでち。でも……」
※コンマ下の!randomが80以下で邪魔が入る
俺は少し息をついて、皆を見た。
「よーし、全員揃ったな。まず、日々の業務、そして先の作戦ご苦労だった。
北海道復興支援の留守中も資源回収に従事してくれたことも併せて礼を言う。
横須賀第四鎮守府が、全国でも屈指の武勲を挙げているのは、お前ら潜水艦班の働きに依るところが大きい。
これはお世辞じゃなく、本気で感謝している。ありがとう」
パチパチと拍手があった。一服置いて続ける。
「半面、厳しい任務を課したことがあった点については詫びの入れようもない。
俺の不徳の致すところだ。……というわけで、堅苦しい挨拶は抜きだ。
今日はぱーっとやっちゃってくれ。ただ、節度をもってな。んじゃ、乾杯」
「「かんぱーい!!」」
既に料理の注文はゴーヤが済ませている。酒は……っと。おお、さすがに一通り揃ってるな。
イクとイヨが心配だが、まあ席も離してるしイムヤとヒトミが見てるから大丈夫だろ。
「ゴーヤにも見せてでち。……こんなに種類があるんでちね」
「珍しいな。お前はそんな飲まない方だろ」
「せっかくの全舷でち。たまにはお酒を飲んでもばちは当たらんでち。
あ、この角館ってお酒にするでち。店員さーん」
「……何かすまんな。いつも負担をかけさせて」
「いいんでち。ゴーヤが好きでやってることでち。……提督との付き合いも長いでちね」
「まあな、もう3年になるか。うちでは古参の部類だな」
「でちね。その割に、あまり二人で飲んだことはないでち。
あまり互いの過去も離したことはないでちね」
「……まあそうだな。プライベートと仕事は一線を引く、というのが俺の主義だからな。
あと、恋愛沙汰で荒れた鎮守府は、列挙にいとまがない。そういうのは、嫌だったんでね」
俺は比内地鶏の炭火焼を放り込んだ。脂身自体に甘味があって旨い。
「……まあそうでちね。横暴だしいい加減だけど、そういう点は嫌いじゃないでち。でも……」
※コンマ下の!randomが80以下で邪魔が入る
241:【38】:2018/09/23(日)10:50:45 :EVY
ほい
242:◆Try7rHwMFw:2018/09/23(日)10:55:01 :IBz
※邪魔が入る
00 カオス状態
01〜25 イク
26〜50 イヨ
61〜95 ろーちゃん
96〜100 はっちゃん
※コンマ下、!randomです
※邪魔が入る
00 カオス状態
01〜25 イク
26〜50 イヨ
61〜95 ろーちゃん
96〜100 はっちゃん
※コンマ下、!randomです
243:【96】:2018/09/23(日)10:57:54 :F55
あ
244:◆Try7rHwMFw:2018/09/23(日)11:31:54 :IBz
※はっちゃん乱入(?)
「ふふふ、いい雰囲気のところちょっとお邪魔しちゃおうかな」
いつの間にかはっちゃんが俺の隣に来ていた。ただでさえイク並みの巨乳なのに、風呂上がりの匂いがして実に股間に悪い。
「……何でち。無粋なことはするもんじゃないでち」
「ああ、違うの。……はい、これ」
はっちゃんが何かをゴーヤに渡した。
「……鍵、でちね。これは?」
「離れをこっそり予約取っといたの。これなら邪魔されないでしょ?
ここだとイクちゃんとかがいるから、落ち着いて話せないと思って。お節介だったかな」
「……さすがはっちゃん。それでこそ親友でち。恩に着るでち」
「いいの。今度オータムクラウド先生の新刊が出た時に融通してくれれば、それでいいかな。
宴会がちょっと落ち着いたら抜ける感じで。別々に出た方がいいかな」
そう言うと、はっちゃんはニムたちのいる方に戻って行った。
「……前から疑問だったんだが。はっちゃんとの付き合いは長いのか?」
「そうでち。はっちゃんがこっちに配属される前から、というより艦娘になる前からの付き合いでちね。
高校時代はライバルだったんでち。当時から速かったでち」
「なるほどな。しかし、同じ年にしては随分大人びてるな。スク水じゃなく、浴衣着てるとなおさらだ」
※コンマ下の!randomで……
00〜30 お母さんの教育の賜物でちね
31〜85 知らなかったんでちか?実は……
86〜99 知らなかったんでちか?実はもう……
100 ???
※はっちゃん乱入(?)
「ふふふ、いい雰囲気のところちょっとお邪魔しちゃおうかな」
いつの間にかはっちゃんが俺の隣に来ていた。ただでさえイク並みの巨乳なのに、風呂上がりの匂いがして実に股間に悪い。
「……何でち。無粋なことはするもんじゃないでち」
「ああ、違うの。……はい、これ」
はっちゃんが何かをゴーヤに渡した。
「……鍵、でちね。これは?」
「離れをこっそり予約取っといたの。これなら邪魔されないでしょ?
ここだとイクちゃんとかがいるから、落ち着いて話せないと思って。お節介だったかな」
「……さすがはっちゃん。それでこそ親友でち。恩に着るでち」
「いいの。今度オータムクラウド先生の新刊が出た時に融通してくれれば、それでいいかな。
宴会がちょっと落ち着いたら抜ける感じで。別々に出た方がいいかな」
そう言うと、はっちゃんはニムたちのいる方に戻って行った。
「……前から疑問だったんだが。はっちゃんとの付き合いは長いのか?」
「そうでち。はっちゃんがこっちに配属される前から、というより艦娘になる前からの付き合いでちね。
高校時代はライバルだったんでち。当時から速かったでち」
「なるほどな。しかし、同じ年にしては随分大人びてるな。スク水じゃなく、浴衣着てるとなおさらだ」
※コンマ下の!randomで……
00〜30 お母さんの教育の賜物でちね
31〜85 知らなかったんでちか?実は……
86〜99 知らなかったんでちか?実はもう……
100 ???
245:【70】:2018/09/23(日)11:35:36 :Q0b
あ
246:◆Try7rHwMFw:2018/09/23(日)11:52:44 :IBz
※実はもう交際相手がいる
ゴーヤが意外そうに俺を見た。
「知らなかったんでちか?実はもう、彼氏いるでち。高校の時の同級生らしいでちよ。
彼氏が就職したら、結婚するんだとか何とか」
「ふあっ!??」
思わず声を出すと、皆の注目がこっちに集まった。何でもないと誤魔化し、会話に戻る。
「……ああ、すまん。艦娘の私生活は、余程でなければ立ち入らないようにしてたが……さすがにそれは分からんわ」
「本の虫になったのも、その彼氏の影響らしいでち。さすがにオータムクラウドがうちの秋雲ってことは伏せてるらしいけど。
まあそれはともかく、色々相談に乗ってもらってたわけでち」
「なあるほどなあ……。で、お前は秋雲から最新刊を入手して流してたと」
あの妙な余裕は、そういうことか。艦娘同士の人間関係は把握してるつもりだったが、そこまでは読めん。
「そういうことでちね。……で、どうするでち。これ」
「まあ、そうだな……。ぶっちゃけ、お前だけ特別扱いするわけにはいかんと思ってたが、最近ラーメンがらみでかなり崩れてきたからな。
……お前が俺をどう思ってるかというのにゃ、薄々気付いているわけだが。言わなきゃいかんこともあるし、それを聞いて判断してくれ」
「言わなきゃいけないこと、でちか?」
「ん……まあな。これは誰にも言ってない。墓場まで持っていくつもりだった。
俺が艦娘と一定の距離を置いてた理由でもある。これを話したら、多分お前は引くだろうな。
それでもいいなら、後で話してやる。どうだ」
「……いいでち。こっちも話してないことがあるでち」
「話してないこと?」
ゴーヤが強く頷いた。
※実はもう交際相手がいる
ゴーヤが意外そうに俺を見た。
「知らなかったんでちか?実はもう、彼氏いるでち。高校の時の同級生らしいでちよ。
彼氏が就職したら、結婚するんだとか何とか」
「ふあっ!??」
思わず声を出すと、皆の注目がこっちに集まった。何でもないと誤魔化し、会話に戻る。
「……ああ、すまん。艦娘の私生活は、余程でなければ立ち入らないようにしてたが……さすがにそれは分からんわ」
「本の虫になったのも、その彼氏の影響らしいでち。さすがにオータムクラウドがうちの秋雲ってことは伏せてるらしいけど。
まあそれはともかく、色々相談に乗ってもらってたわけでち」
「なあるほどなあ……。で、お前は秋雲から最新刊を入手して流してたと」
あの妙な余裕は、そういうことか。艦娘同士の人間関係は把握してるつもりだったが、そこまでは読めん。
「そういうことでちね。……で、どうするでち。これ」
「まあ、そうだな……。ぶっちゃけ、お前だけ特別扱いするわけにはいかんと思ってたが、最近ラーメンがらみでかなり崩れてきたからな。
……お前が俺をどう思ってるかというのにゃ、薄々気付いているわけだが。言わなきゃいかんこともあるし、それを聞いて判断してくれ」
「言わなきゃいけないこと、でちか?」
「ん……まあな。これは誰にも言ってない。墓場まで持っていくつもりだった。
俺が艦娘と一定の距離を置いてた理由でもある。これを話したら、多分お前は引くだろうな。
それでもいいなら、後で話してやる。どうだ」
「……いいでち。こっちも話してないことがあるでち」
「話してないこと?」
ゴーヤが強く頷いた。
251:◆Try7rHwMFw:2018/09/23(日)14:55:33 :IBz
#
「上手く抜け出せたな」
「……でち。はっちゃんには感謝しかないでち」
俺らは離れの部屋で、向かい合って座った。どうにも緊張する。
既に酒とつまみは用意されている。俺は、グラスの日本酒を一口口にした。
「さて……。暴力や暴言でずっと誤魔化してきたが、お前が俺に好意があるのは知っている。
この前羽黒が来てたのも、それ関連だろ」
「バレてたでちか。羽黒ちゃんも憲兵長さんに片思い中でち。お互いどうするか話してた、というわけでち」
ペロッとゴーヤが舌を出した。一瞬驚いたが、まあ納得と言えば納得か。
憲兵長は警察からの出向で、バツイチのアラフォーだ。寡黙だが仕事はできる。
羽黒が恋するとしたら年上だろうと思っていただけに、さほどの衝撃はなかった。
「あの男にねえ。難攻不落だぞ、多分」
「でち。でも羽黒ちゃんは正面突破がいいと教えといたでち。きっと上手く行くでち」
「ま、上手く転がることに越したことはないがな。……っと、改めて乾杯」
「乾杯でち」
少しとろみがある透明の液体が、喉を通り抜けていく。切れ味があって、少ししょっぱめのここの料理にはとてもよく合う。
「で、お前は羽黒に何を言われた?……少しばかりらしからぬ感じだから、見当はつくが」
「もっと素直になった方がいいかも、ってぐらいでち。でもなかなか難しいでちね。
……先にゴーヤから言うでち。ゴーヤには、兄貴がいたでち」
#
「上手く抜け出せたな」
「……でち。はっちゃんには感謝しかないでち」
俺らは離れの部屋で、向かい合って座った。どうにも緊張する。
既に酒とつまみは用意されている。俺は、グラスの日本酒を一口口にした。
「さて……。暴力や暴言でずっと誤魔化してきたが、お前が俺に好意があるのは知っている。
この前羽黒が来てたのも、それ関連だろ」
「バレてたでちか。羽黒ちゃんも憲兵長さんに片思い中でち。お互いどうするか話してた、というわけでち」
ペロッとゴーヤが舌を出した。一瞬驚いたが、まあ納得と言えば納得か。
憲兵長は警察からの出向で、バツイチのアラフォーだ。寡黙だが仕事はできる。
羽黒が恋するとしたら年上だろうと思っていただけに、さほどの衝撃はなかった。
「あの男にねえ。難攻不落だぞ、多分」
「でち。でも羽黒ちゃんは正面突破がいいと教えといたでち。きっと上手く行くでち」
「ま、上手く転がることに越したことはないがな。……っと、改めて乾杯」
「乾杯でち」
少しとろみがある透明の液体が、喉を通り抜けていく。切れ味があって、少ししょっぱめのここの料理にはとてもよく合う。
「で、お前は羽黒に何を言われた?……少しばかりらしからぬ感じだから、見当はつくが」
「もっと素直になった方がいいかも、ってぐらいでち。でもなかなか難しいでちね。
……先にゴーヤから言うでち。ゴーヤには、兄貴がいたでち」
252:◆Try7rHwMFw:2018/09/23(日)14:55:48 :IBz
「……!!初耳だぞそれは。しかも『いた』だと」
ゴーヤが俯き加減に頷いた。
「そう。……死んじゃったでち。4年前に。深海棲艦の襲撃に巻き込まれて……。立派な、殉職だった……でち」
「海自か」
目に涙をためて、ゴーヤが首を縦に振った。
「ぐうたらで、いい加減で……かっこ悪い兄貴だったでち。でも、とても優しかったでち。
生きてれば、てーとくと同じ年だったでち」
当時の海自の殉職者はあまりに多い。同期とはいっても、ゴーヤの本名と同じ苗字の奴は知らない。
ただ、その悲しみは察するに余りあった。
「……そうか。それで艦娘に」
「でち。てーとくと兄貴は全然顔は似てないけど、どこか雰囲気が似てるでち。
きっと、いつの間にか兄貴に重ねてたんでちね……」
泣きながら、ゴーヤが笑う。
「だから、自分の気持ちが何なのか、よく分かってなかったでち。
最近になって、やっと自覚できてきたけど……。きっと兄貴と重ねるのをやめるのは、難しいかなって」
「そうか……。なるほどな」
俺はグラスの日本酒を飲み干した。溜め息をついて、頭を整理する。
「何か似ているな。俺も身近な人間を、対深海棲艦戦争の直後に亡くしている。
…………俺の嫁だ」
「……!!初耳だぞそれは。しかも『いた』だと」
ゴーヤが俯き加減に頷いた。
「そう。……死んじゃったでち。4年前に。深海棲艦の襲撃に巻き込まれて……。立派な、殉職だった……でち」
「海自か」
目に涙をためて、ゴーヤが首を縦に振った。
「ぐうたらで、いい加減で……かっこ悪い兄貴だったでち。でも、とても優しかったでち。
生きてれば、てーとくと同じ年だったでち」
当時の海自の殉職者はあまりに多い。同期とはいっても、ゴーヤの本名と同じ苗字の奴は知らない。
ただ、その悲しみは察するに余りあった。
「……そうか。それで艦娘に」
「でち。てーとくと兄貴は全然顔は似てないけど、どこか雰囲気が似てるでち。
きっと、いつの間にか兄貴に重ねてたんでちね……」
泣きながら、ゴーヤが笑う。
「だから、自分の気持ちが何なのか、よく分かってなかったでち。
最近になって、やっと自覚できてきたけど……。きっと兄貴と重ねるのをやめるのは、難しいかなって」
「そうか……。なるほどな」
俺はグラスの日本酒を飲み干した。溜め息をついて、頭を整理する。
「何か似ているな。俺も身近な人間を、対深海棲艦戦争の直後に亡くしている。
…………俺の嫁だ」
253:◆Try7rHwMFw:2018/09/23(日)15:06:57 :IBz
ゴーヤが絶句した。
「そんなっ……!!一言も、聞いてなかったでち」
「聞かれなかったし、言うつもりもなかったからな。だから復讐のため、こうやって提督に志願したってわけだ。
嫁は最初期の艦娘だった。艦娘の取り扱いや、その性能について、まだ手探りだった頃だ。
俺は深く考えず、あいつを戦場に送り出した。元々、同じ職場だったし大丈夫だろうと思ってたからだ」
放り込むように、酒盗を口に入れる。
「……あっけないものだったよ。連絡があって駆け付けた時は、もう原形がなくなってた。
酷く非現実的でな……。悲しみより先に、怒りが湧いてきた。
原因は、担当提督の無茶な作戦。疲れていたのに、無理に戦場に出したらしい。
今ではタブーとされて常識になってるが、無茶な戦略を取ったあのクソッたれ提督に、散々怒りをぶつけたもんだよ」
「……だからでちか。提督が『被害ゼロ』にこだわるようになったのは。
そして、ゴーヤたちと線を引いてたのは……亡くなった奥さんのため、でちか」
「操を守る誓いを立てたわけじゃあねえんだ。だが、どうにも身を固めるつもりにならなくてな。
深海棲艦との戦いは、かなり落ち着いてきている。一部にはこちらに友好的なのも出てきている。
それでも、危険なことには変わりない。また同じことが起きないか、と言われると……自信はない。
一般人の縁談もあったんだがな。俺の仕事を理解してくれるかどうか怪しいんで、全部断ってた」
ゴーヤがちびり、と日本酒を飲んだ。
「ゴーヤじゃ、ダメででちか」
ゴーヤが絶句した。
「そんなっ……!!一言も、聞いてなかったでち」
「聞かれなかったし、言うつもりもなかったからな。だから復讐のため、こうやって提督に志願したってわけだ。
嫁は最初期の艦娘だった。艦娘の取り扱いや、その性能について、まだ手探りだった頃だ。
俺は深く考えず、あいつを戦場に送り出した。元々、同じ職場だったし大丈夫だろうと思ってたからだ」
放り込むように、酒盗を口に入れる。
「……あっけないものだったよ。連絡があって駆け付けた時は、もう原形がなくなってた。
酷く非現実的でな……。悲しみより先に、怒りが湧いてきた。
原因は、担当提督の無茶な作戦。疲れていたのに、無理に戦場に出したらしい。
今ではタブーとされて常識になってるが、無茶な戦略を取ったあのクソッたれ提督に、散々怒りをぶつけたもんだよ」
「……だからでちか。提督が『被害ゼロ』にこだわるようになったのは。
そして、ゴーヤたちと線を引いてたのは……亡くなった奥さんのため、でちか」
「操を守る誓いを立てたわけじゃあねえんだ。だが、どうにも身を固めるつもりにならなくてな。
深海棲艦との戦いは、かなり落ち着いてきている。一部にはこちらに友好的なのも出てきている。
それでも、危険なことには変わりない。また同じことが起きないか、と言われると……自信はない。
一般人の縁談もあったんだがな。俺の仕事を理解してくれるかどうか怪しいんで、全部断ってた」
ゴーヤがちびり、と日本酒を飲んだ。
「ゴーヤじゃ、ダメででちか」
254:◆Try7rHwMFw:2018/09/23(日)15:13:23 :IBz
俺は大きく息をついた。
「……正直、迷ってる。お前がいい女なのは、これまでの付き合いで分かってる。
歳は一回り離れてるが、まあそこはあんま問題じゃない。
ただ、俺の心の問題だ。まだ整理できていない」
「……そうなんでちか」
「……変な話をするが、いいか?ラーメン屋巡りは、俺と嫁の共通の趣味だったんだよ。
だから、そういう楽しみを共有してくれる奴なら、いいんじゃねえかって思い始めてはいる。
ただ、まだ結論は出てない。お前がダメとかそういう話じゃなくって、俺が女々しいだけだ」
「一つ、いいでちか?奥さんは、どんな人だったんでち?」
※安価下1〜3で!randamが最も大きい艦娘が提督の嫁(故人)とします。
ただし、重巡、戦艦、空母から選んでください(一部特殊艦も可としますが、こちらで判断します)
俺は大きく息をついた。
「……正直、迷ってる。お前がいい女なのは、これまでの付き合いで分かってる。
歳は一回り離れてるが、まあそこはあんま問題じゃない。
ただ、俺の心の問題だ。まだ整理できていない」
「……そうなんでちか」
「……変な話をするが、いいか?ラーメン屋巡りは、俺と嫁の共通の趣味だったんだよ。
だから、そういう楽しみを共有してくれる奴なら、いいんじゃねえかって思い始めてはいる。
ただ、まだ結論は出てない。お前がダメとかそういう話じゃなくって、俺が女々しいだけだ」
「一つ、いいでちか?奥さんは、どんな人だったんでち?」
※安価下1〜3で!randamが最も大きい艦娘が提督の嫁(故人)とします。
ただし、重巡、戦艦、空母から選んでください(一部特殊艦も可としますが、こちらで判断します)
255:【75】:2018/09/23(日)15:16:10 :kNg
雲龍
256:【32】:2018/09/23(日)15:17:48 :frb
伊勢
257:【94】:2018/09/23(日)15:18:15 :F55
翔鶴
258:◆Try7rHwMFw:2018/09/23(日)15:47:53 :IBz
「翔鶴型1番艦、翔鶴と呼ばれていた。おっとりとしてはいたが、妙な芯のある奴でな。
細身だったが、結構よく食べる奴だったよ」
「ああ、何か納得でち。ただ、うちにも翔鶴さんがいるけど?」
「性格や外見が似た奴が同じ艦娘になる傾向はあるが、それでもやっぱりうちの翔鶴はうちの翔鶴で、俺の嫁じゃねえんだよ。
第一、うちのはショタコンだぞ。俺は恋愛対象になり得ねえよ」
「げっ、それは初耳だったでち。本当でちか?」
「ホントホント。この前高校生との交際が分かって、厳重注意をしたとこだ。
……っと話がそれたな。とにかく、奴は奴、お前はお前だ。そこは気にしなくていい」
沈黙が部屋を包んだ。お互い、秘めていた過去を教えた。踏み出すかは、お互いの心次第だ。
※コンマ下2の!randomで判定
00〜40 考えさせてほしいでち
41〜90 それでも、てーとくのことが好きでち
91〜99 てーとく?
100 ???
「翔鶴型1番艦、翔鶴と呼ばれていた。おっとりとしてはいたが、妙な芯のある奴でな。
細身だったが、結構よく食べる奴だったよ」
「ああ、何か納得でち。ただ、うちにも翔鶴さんがいるけど?」
「性格や外見が似た奴が同じ艦娘になる傾向はあるが、それでもやっぱりうちの翔鶴はうちの翔鶴で、俺の嫁じゃねえんだよ。
第一、うちのはショタコンだぞ。俺は恋愛対象になり得ねえよ」
「げっ、それは初耳だったでち。本当でちか?」
「ホントホント。この前高校生との交際が分かって、厳重注意をしたとこだ。
……っと話がそれたな。とにかく、奴は奴、お前はお前だ。そこは気にしなくていい」
沈黙が部屋を包んだ。お互い、秘めていた過去を教えた。踏み出すかは、お互いの心次第だ。
※コンマ下2の!randomで判定
00〜40 考えさせてほしいでち
41〜90 それでも、てーとくのことが好きでち
91〜99 てーとく?
100 ???
260:【97】:2018/09/23(日)15:50:48 :MEt
どうや
265:◆Try7rHwMFw:2018/09/23(日)21:33:14 :5Ei
俺は日本酒のグラスを飲み干した。これで4合目か、徐々に酔いが回ってきたな。
……右腕の辺りに、柔らかい感触がする。……まさか。
「てーとく?」
ゴーヤが濡れた瞳で、俺を上目遣いで見た。控えめな胸に、俺の腕を押し付けるようにしている。
「……冗談が過ぎるぞ。酔ったなら今日は仕舞いだ」
「冗談でも、酔ってもないでち。……どうやったら、てーとくに気持ちが伝わるか、ずっと考えてたでち。
ゴーヤは奥さんの代わりにはなれない。当たり前でち。てーとくがゴーヤの兄貴の代わりにもならない。それも当たり前でち。
ゴーヤはゴーヤだし、てーとくはてーとく。だから、それを感じさせてほしいでち」
「……何が言いたいんだ」
うつむいていたゴーヤが涙を流して叫んだ。
「分かんないでち!ゴーヤ自身も何を言ったらいいのか、全然分からないでち!
だったら……こうやって触れて、てーとくを感じたかったんでち……」
ゴーヤの顔が近くなったかと思うと、一瞬だけ唇が柔らかいものに触れた。
彼女が俺を抱き締める。艦装のない艦娘の力は、人間の娘のそれに等しい。
俺はゴーヤが何を言いたいか、やっと理解した。そっと抱き返し、頭から背中へと撫でる。
胸の中で、ゴーヤの嗚咽が響いた。
俺は日本酒のグラスを飲み干した。これで4合目か、徐々に酔いが回ってきたな。
……右腕の辺りに、柔らかい感触がする。……まさか。
「てーとく?」
ゴーヤが濡れた瞳で、俺を上目遣いで見た。控えめな胸に、俺の腕を押し付けるようにしている。
「……冗談が過ぎるぞ。酔ったなら今日は仕舞いだ」
「冗談でも、酔ってもないでち。……どうやったら、てーとくに気持ちが伝わるか、ずっと考えてたでち。
ゴーヤは奥さんの代わりにはなれない。当たり前でち。てーとくがゴーヤの兄貴の代わりにもならない。それも当たり前でち。
ゴーヤはゴーヤだし、てーとくはてーとく。だから、それを感じさせてほしいでち」
「……何が言いたいんだ」
うつむいていたゴーヤが涙を流して叫んだ。
「分かんないでち!ゴーヤ自身も何を言ったらいいのか、全然分からないでち!
だったら……こうやって触れて、てーとくを感じたかったんでち……」
ゴーヤの顔が近くなったかと思うと、一瞬だけ唇が柔らかいものに触れた。
彼女が俺を抱き締める。艦装のない艦娘の力は、人間の娘のそれに等しい。
俺はゴーヤが何を言いたいか、やっと理解した。そっと抱き返し、頭から背中へと撫でる。
胸の中で、ゴーヤの嗚咽が響いた。
266:◆Try7rHwMFw:2018/09/23(日)21:41:44 :5Ei
「……さっき言ったが、俺もまだ吹っ切れてるわけじゃねえ。それでいいのか」
「……いいでち。ゴーヤはゴーヤだから」
「デリカシーないし、すぐ手が出るが、いいのか」
「知ってるでち。それも含めててーとくでち」
「……今、この場でお前を襲いたい気分なんだが……それでもいいのか」
ゴーヤは一瞬だけ身を固くしたが、コクンと頷いた。
「そういう覚悟がなかったら、ここに来てないでち。初めてをあげるんだから……」
俺は苦笑した。どうやら俺の負けであるらしい。
俺はゴーヤの顎をあげ、自分の唇と彼女のそれを合わせようとした。
00〜70 ……何見てんだよ
71〜95 ……ゆうべはおたのしみでしたね
96〜100 はっちゃん以外に気付かれず完遂
※コンマ下2、!random
「……さっき言ったが、俺もまだ吹っ切れてるわけじゃねえ。それでいいのか」
「……いいでち。ゴーヤはゴーヤだから」
「デリカシーないし、すぐ手が出るが、いいのか」
「知ってるでち。それも含めててーとくでち」
「……今、この場でお前を襲いたい気分なんだが……それでもいいのか」
ゴーヤは一瞬だけ身を固くしたが、コクンと頷いた。
「そういう覚悟がなかったら、ここに来てないでち。初めてをあげるんだから……」
俺は苦笑した。どうやら俺の負けであるらしい。
俺はゴーヤの顎をあげ、自分の唇と彼女のそれを合わせようとした。
00〜70 ……何見てんだよ
71〜95 ……ゆうべはおたのしみでしたね
96〜100 はっちゃん以外に気付かれず完遂
※コンマ下2、!random
268:【23】:2018/09/23(日)21:44:19 :w1c
あ
269:◆Try7rHwMFw:2018/09/23(日)22:03:24 :5Ei
「……何見てんだよ」
俺は窓の外から気配を感じ、バンと開けた。そこには……
「あ、バレたなの」
「ちぇっ、いいとこだったのにー」
「わーお……やっちゃった」
そこにいたのはイクとイヨ、そしてイムヤ。イムヤに至ってはスマホを構えていた。しかも全員酒臭い。
後ろの方ではヒトミとはっちゃんが、「なになに?」と興味津々の年少組を抑えていた。
ゴーヤの頭から湯気と怒気が立ち上ってるのが見えた。
「あーんーたーらーぁぁぁぁ!!なめんじゃねーでちぃぃぃぃ!!!!
そもそもはっちゃん、何でこの馬鹿を止めないんでち??」
「いや、止めたんだけどねえ……酔っ払いの馬鹿力?はっちゃん、一瞬の隙を突かれちゃった、ごめんなさい」
俺は静かに、しかしできるだけ重く目の前の3人に言った。
「『人の恋路を邪魔する奴は馬に蹴られて死んじまえ』って諺があるわけだがな……まあ殺しはせんよ。大事な部下だからな。
その代わり当面オリョクルは貴様ら3人だけでやってもらう。心配するな、ギリッギリで疲労は抜いてやる」
「……マジなの」
「当然。あと、イムヤのスマホは没収。画像データと音声データは削除させてもらう。
今回の件、口外したらどうなるか分かってるよなぁ??」
「「「ごめんなさい(なの)」」」
ゴーヤに目線を送り、苦笑する。まあ、そんなに焦らなくてもいいってことかもな。彼女も同じように笑い返した。
「……何見てんだよ」
俺は窓の外から気配を感じ、バンと開けた。そこには……
「あ、バレたなの」
「ちぇっ、いいとこだったのにー」
「わーお……やっちゃった」
そこにいたのはイクとイヨ、そしてイムヤ。イムヤに至ってはスマホを構えていた。しかも全員酒臭い。
後ろの方ではヒトミとはっちゃんが、「なになに?」と興味津々の年少組を抑えていた。
ゴーヤの頭から湯気と怒気が立ち上ってるのが見えた。
「あーんーたーらーぁぁぁぁ!!なめんじゃねーでちぃぃぃぃ!!!!
そもそもはっちゃん、何でこの馬鹿を止めないんでち??」
「いや、止めたんだけどねえ……酔っ払いの馬鹿力?はっちゃん、一瞬の隙を突かれちゃった、ごめんなさい」
俺は静かに、しかしできるだけ重く目の前の3人に言った。
「『人の恋路を邪魔する奴は馬に蹴られて死んじまえ』って諺があるわけだがな……まあ殺しはせんよ。大事な部下だからな。
その代わり当面オリョクルは貴様ら3人だけでやってもらう。心配するな、ギリッギリで疲労は抜いてやる」
「……マジなの」
「当然。あと、イムヤのスマホは没収。画像データと音声データは削除させてもらう。
今回の件、口外したらどうなるか分かってるよなぁ??」
「「「ごめんなさい(なの)」」」
ゴーヤに目線を送り、苦笑する。まあ、そんなに焦らなくてもいいってことかもな。彼女も同じように笑い返した。
270:◆Try7rHwMFw:2018/09/23(日)22:25:35 :5Ei
#
「昨日は酷い目にあったな」
「……全くでち。まああの3人は自業自得でち」
話を聞くと、やっぱりというか何というか、青葉にタレ込みするつもりであったらしい。
酔いが覚めてジャンピング土下座してきたが、さすがにこれは許されんわな。
とはいえ、俺とゴーヤが交際することになったのは、潜水艦班の中では共有されることになった。ヒトミは「前からそうなんじゃないかと思ってました」と薄々勘づいていたようだが。
とにかく、あの後イクら3人以外で簡単なお祝いをやった。しばらくは潜水艦班の中だけの秘密ということにしたが、どこまでもつかな。
「まあオリョクル集中砲火で多少は懲りるだろ。で、今日の自由行動は?」
俺は朝食の焼き魚を頬張った。
「ラーメン行くのは確定でちね。ただ、他の子にも声かけるでちか?」
「そうだな。聞いてみるか」
※手を挙げたのは……
00〜20 全員
21〜40 年少組(ろーちゃん、ごーちゃん、まるゆ)
41〜70 年中組(しおい、ニム)
71〜95 ヒトミ
96〜100 気を使って誰も手を挙げない
コンマ下、!random
#
「昨日は酷い目にあったな」
「……全くでち。まああの3人は自業自得でち」
話を聞くと、やっぱりというか何というか、青葉にタレ込みするつもりであったらしい。
酔いが覚めてジャンピング土下座してきたが、さすがにこれは許されんわな。
とはいえ、俺とゴーヤが交際することになったのは、潜水艦班の中では共有されることになった。ヒトミは「前からそうなんじゃないかと思ってました」と薄々勘づいていたようだが。
とにかく、あの後イクら3人以外で簡単なお祝いをやった。しばらくは潜水艦班の中だけの秘密ということにしたが、どこまでもつかな。
「まあオリョクル集中砲火で多少は懲りるだろ。で、今日の自由行動は?」
俺は朝食の焼き魚を頬張った。
「ラーメン行くのは確定でちね。ただ、他の子にも声かけるでちか?」
「そうだな。聞いてみるか」
※手を挙げたのは……
00〜20 全員
21〜40 年少組(ろーちゃん、ごーちゃん、まるゆ)
41〜70 年中組(しおい、ニム)
71〜95 ヒトミ
96〜100 気を使って誰も手を挙げない
コンマ下、!random
271:【1】:2018/09/23(日)22:27:17 :4hZ
あはい
272:◆Try7rHwMFw:2018/09/23(日)22:40:50 :5Ei
「おう……まさか全員か」
「そりゃそうだよー。そんな美味しいとこあるんだったら、ニムも食べたいよー」
「日本のラーメン、食べたかったですって!しかもニボーシ……どんな味かなあ」
皆目が輝いている。マジか。
「あー、わーったよ。ただ、店は狭いから全員一気には食えないぞ?
それと……ラーメン自体というより、店主がな……ビビらんように」
「そんなに変な店主なのー?」
納豆をモグモグさせているイクに言う。
「まあ変だな。方言もあいまって、なおのこと怪しい。ただ、味は保証する。旨いのは旨い。じゃあ、開店時間までレンタサイクルでぶらつくぞ」
「おう……まさか全員か」
「そりゃそうだよー。そんな美味しいとこあるんだったら、ニムも食べたいよー」
「日本のラーメン、食べたかったですって!しかもニボーシ……どんな味かなあ」
皆目が輝いている。マジか。
「あー、わーったよ。ただ、店は狭いから全員一気には食えないぞ?
それと……ラーメン自体というより、店主がな……ビビらんように」
「そんなに変な店主なのー?」
納豆をモグモグさせているイクに言う。
「まあ変だな。方言もあいまって、なおのこと怪しい。ただ、味は保証する。旨いのは旨い。じゃあ、開店時間までレンタサイクルでぶらつくぞ」
273:◆Try7rHwMFw:2018/09/23(日)23:09:18 :5Ei
#
「着いたぞっと」
時刻は1055。角館駅から大体10分弱のところにそれはある。
「『自家製麺 伊藤』でちか。ちっちゃいお店でちね。……もう並んでるでち」
「まだ開店前だからな。この分だと、半々で分かれる感じか。……さて、と」
話し合った結果、未成年組をヒトミが引率することになった。しっかり者がいると助かる。
次々と食券を買うため客が入る。食券機を見た瞬間、ゴーヤとはっちゃんの表情が固まった。
「『支那そば』と『肉入り』しかないでち!?これは、支那そばを買えばいいんでちか?」
「それは罠だ。それはネギしか入ってない『素ラーメン』。ちゃんとチャーシューがほしいなら肉入りだ。てか肉入り以外あり得ないと、俺から後ろの奴らに言っておく」
俺が行列の後ろの連中に伝えている時、ゴーヤとはっちゃんが「「ひいっ?」」と同時に声をあげた。中に戻ると……
「おぎゃぐざん……うぢのみへはんずめでだが」
ぬっと白いシャンプーハットを着けたボサボサのロン毛男が、厨房から話し掛けてきた。
#
「着いたぞっと」
時刻は1055。角館駅から大体10分弱のところにそれはある。
「『自家製麺 伊藤』でちか。ちっちゃいお店でちね。……もう並んでるでち」
「まだ開店前だからな。この分だと、半々で分かれる感じか。……さて、と」
話し合った結果、未成年組をヒトミが引率することになった。しっかり者がいると助かる。
次々と食券を買うため客が入る。食券機を見た瞬間、ゴーヤとはっちゃんの表情が固まった。
「『支那そば』と『肉入り』しかないでち!?これは、支那そばを買えばいいんでちか?」
「それは罠だ。それはネギしか入ってない『素ラーメン』。ちゃんとチャーシューがほしいなら肉入りだ。てか肉入り以外あり得ないと、俺から後ろの奴らに言っておく」
俺が行列の後ろの連中に伝えている時、ゴーヤとはっちゃんが「「ひいっ?」」と同時に声をあげた。中に戻ると……
「おぎゃぐざん……うぢのみへはんずめでだが」
ぬっと白いシャンプーハットを着けたボサボサのロン毛男が、厨房から話し掛けてきた。
276:◆Try7rHwMFw:2018/09/24(月)09:08:38 :oUS
……「うちの店初めてですか」と聞いてきたのか??訛りがキツくてよく分からないが、多分そうだ。
「いえ、数年前に1度……。ああ、連れは初めてです」
「んだか、めごいこだちだな」
シャンプーハットの男は、厨房へと戻っていった。ロボットのような独特の手付きで調理に入っている。
「えっ、あれが店主でちか?」
「そう。訛りはともかく、あの風貌は驚くわな。シャンプーハットの意味は、俺も怖くて聞けなかった」
「髪を切ればいいのに。よく分からないですね」
「まあ、ラーメンさえ旨いのが出れば俺はいいよ」
待つこと数分。店主が丼を持ってきた。
「にぐいり中盛りふだづ、大盛りひどづ」
スープは少なく、麺の3分の2ほどしか浸かってない。そこに小さめのチャーシューが乗っているという具合だ。
「スープは少ないから混ぜて食ってくれ。んじゃ、頂きますかな」
……「うちの店初めてですか」と聞いてきたのか??訛りがキツくてよく分からないが、多分そうだ。
「いえ、数年前に1度……。ああ、連れは初めてです」
「んだか、めごいこだちだな」
シャンプーハットの男は、厨房へと戻っていった。ロボットのような独特の手付きで調理に入っている。
「えっ、あれが店主でちか?」
「そう。訛りはともかく、あの風貌は驚くわな。シャンプーハットの意味は、俺も怖くて聞けなかった」
「髪を切ればいいのに。よく分からないですね」
「まあ、ラーメンさえ旨いのが出れば俺はいいよ」
待つこと数分。店主が丼を持ってきた。
「にぐいり中盛りふだづ、大盛りひどづ」
スープは少なく、麺の3分の2ほどしか浸かってない。そこに小さめのチャーシューが乗っているという具合だ。
「スープは少ないから混ぜて食ってくれ。んじゃ、頂きますかな」
277:◆Try7rHwMFw:2018/09/24(月)09:27:33 :oUS
スープはよくある煮干し系のドロリとしたものではなく、むしろさらっとしている。
麺は中細のストレート。啜ると、パッツンと口の中で弾け、粉の香りが広がっていく。
煮干しの香りはやや抑えめだが、それがこの麺の旨さを引き立てているというわけだな。
「美味しい!煮干し系って癖のある印象だったけど、これならはっちゃんでも食べられます!
少ししょっぱいけど優しい味ですね」
「んめぇか」
いつの間にか店主が来ていた。
「はっ、はい。とても美味しいです………」
何回か頷いた後、「んだか」とまた去っていった。
「……意外と話すんですね、あのご主人」
「みたいだな。何か世界を放浪したことがあるとかないとか、面白い人らしいが。常連になると楽しいんだろうな」
「とにかくラーメンは美味しいでち。これ、いわゆる『無化調』なんでちか?
具も何もかも最小限なのに、十分満足でち」
「そうそう。醤油と煮干し、それと鶏の旨味だけでこいつを仕上げてるのは凄いな。
これを煮干し成分多目にしたのが、王子神谷の伊藤だ。どちらがいいかは、まあ好みの範疇だ」
向こうの席を見ると、イクが「美味しいの〜」と悶え、イムヤがインスタ用に写真を撮っている。味含め、いい話の種になるだろうな。
スープはよくある煮干し系のドロリとしたものではなく、むしろさらっとしている。
麺は中細のストレート。啜ると、パッツンと口の中で弾け、粉の香りが広がっていく。
煮干しの香りはやや抑えめだが、それがこの麺の旨さを引き立てているというわけだな。
「美味しい!煮干し系って癖のある印象だったけど、これならはっちゃんでも食べられます!
少ししょっぱいけど優しい味ですね」
「んめぇか」
いつの間にか店主が来ていた。
「はっ、はい。とても美味しいです………」
何回か頷いた後、「んだか」とまた去っていった。
「……意外と話すんですね、あのご主人」
「みたいだな。何か世界を放浪したことがあるとかないとか、面白い人らしいが。常連になると楽しいんだろうな」
「とにかくラーメンは美味しいでち。これ、いわゆる『無化調』なんでちか?
具も何もかも最小限なのに、十分満足でち」
「そうそう。醤油と煮干し、それと鶏の旨味だけでこいつを仕上げてるのは凄いな。
これを煮干し成分多目にしたのが、王子神谷の伊藤だ。どちらがいいかは、まあ好みの範疇だ」
向こうの席を見ると、イクが「美味しいの〜」と悶え、イムヤがインスタ用に写真を撮っている。味含め、いい話の種になるだろうな。
278:◆Try7rHwMFw:2018/09/24(月)09:49:09 :oUS
#
1週間後。
俺とゴーヤは付き合うことにはなったが、何かが大きく変わることはない。一応一度は致したが、まあ慣れ親しんだ距離感はそう変えられるものではないらしい。
ただ、能力増強のためのカッコカリ指輪を、時々いとおしそうに撫でている。やっぱ、本物が欲しいのかね。
そんな中、執務室をノックする音が飛び込んだ。
「できました!はっちゃん特製、煮干しラーメンです!」
はっちゃんの後ろにいるゴーヤが、丼の乗ったお盆を持ってうんうんと頷く。
「角館のお店の味を参考に、鳳翔さんと協力して作ったでち。てーとくにも食べてもらうでち」
「あそこのをか?無化調は難しいんだがな……」
※お味は……
00 磯風召喚したのか?
01〜20 うーん、こんなもんかな
21〜60 おお、いけるんじゃないか
61〜99 旨いな。どうやって作った
100 シェフを呼べ
#
1週間後。
俺とゴーヤは付き合うことにはなったが、何かが大きく変わることはない。一応一度は致したが、まあ慣れ親しんだ距離感はそう変えられるものではないらしい。
ただ、能力増強のためのカッコカリ指輪を、時々いとおしそうに撫でている。やっぱ、本物が欲しいのかね。
そんな中、執務室をノックする音が飛び込んだ。
「できました!はっちゃん特製、煮干しラーメンです!」
はっちゃんの後ろにいるゴーヤが、丼の乗ったお盆を持ってうんうんと頷く。
「角館のお店の味を参考に、鳳翔さんと協力して作ったでち。てーとくにも食べてもらうでち」
「あそこのをか?無化調は難しいんだがな……」
※お味は……
00 磯風召喚したのか?
01〜20 うーん、こんなもんかな
21〜60 おお、いけるんじゃないか
61〜99 旨いな。どうやって作った
100 シェフを呼べ
280:【21】:2018/09/24(月)09:53:33 :L1Z
はい
281:◆Try7rHwMFw:2018/09/24(月)10:07:12 :oUS
「おお、いけるんじゃないか?まだまだ麺に改良の余地はありそうだが、十分旨いぞ」
「提督、ありがとうございます!」
はっちゃんがペコリとお辞儀をした。胸部装甲が強調されるのは、どうにも目に悪い。
それに気付いたかゴーヤが少しムッとした顔になった。
「提督はやっぱりスケベでち。あとで覚えとくでち。……それはともかく、麺はなかなか難しいでちね……」
「あそこは自家製麺だからな。あの店で打ってるわけで、再現は無理だ。鶏成分を少し多目にして、市販の太麺に変えておいた方がいいかもだな。
……ってはっちゃん、これは誰に食わせるの?」
「鳳翔さんのメニューに加えられないかって思ってるんです。彼、実は提督採用試験に合格したんで、その時に食べさせてあげようかなって。
今度研修に来ると思うので、よろしくお願いしますね」
「おう。……ってことは結婚するのか?」
はっちゃんは頬を染めて「……はい」と答えた。
その情報が瞬時に鎮守府中に伝わり、また一騒動になるのは別の話。
「おお、いけるんじゃないか?まだまだ麺に改良の余地はありそうだが、十分旨いぞ」
「提督、ありがとうございます!」
はっちゃんがペコリとお辞儀をした。胸部装甲が強調されるのは、どうにも目に悪い。
それに気付いたかゴーヤが少しムッとした顔になった。
「提督はやっぱりスケベでち。あとで覚えとくでち。……それはともかく、麺はなかなか難しいでちね……」
「あそこは自家製麺だからな。あの店で打ってるわけで、再現は無理だ。鶏成分を少し多目にして、市販の太麺に変えておいた方がいいかもだな。
……ってはっちゃん、これは誰に食わせるの?」
「鳳翔さんのメニューに加えられないかって思ってるんです。彼、実は提督採用試験に合格したんで、その時に食べさせてあげようかなって。
今度研修に来ると思うので、よろしくお願いしますね」
「おう。……ってことは結婚するのか?」
はっちゃんは頬を染めて「……はい」と答えた。
その情報が瞬時に鎮守府中に伝わり、また一騒動になるのは別の話。
282:◆Try7rHwMFw:2018/09/24(月)10:08:38 :oUS
今回はここまでです。提督とゴーヤは付き合い始めましたが、まだ続きます。
なお、伊藤の店主は割とこんな感じです。もっと寡黙ですが。
私は何話しているか理解できずにスルーしてしまいました……
なお、伊藤の店主は割とこんな感じです。もっと寡黙ですが。
私は何話しているか理解できずにスルーしてしまいました……
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