1:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/01/01(火) 19:30:20.198 :5XsretkHD.net
福次郎「バア!こんにちは!わたくし、喪黒福次郎と申します!
どこかで聞いたことがあるような名前だな、とお思いの方もおありでしょうが……。
わたくしは、あの“笑ゥせぇるすまん”の喪黒福造の弟なのです。
兄は、人の心の奥に潜む欲望を駆り立てその人を破滅に追い込む……、
という魔性の行為を働いてきましたが、私は違います。私の仕事は、人を助けることです。
それも、ふとしたことから人生の落とし穴へ落ち込んだ人に救いの手を差し伸べ、
落とし穴から出してあげるのが仕事です。では、これから私の仕事の実例をお目にかけましょう。
青島水絵(20) アイドル
【あるアイドルの卒業】」
福次郎「バア!こんにちは!わたくし、喪黒福次郎と申します!
どこかで聞いたことがあるような名前だな、とお思いの方もおありでしょうが……。
わたくしは、あの“笑ゥせぇるすまん”の喪黒福造の弟なのです。
兄は、人の心の奥に潜む欲望を駆り立てその人を破滅に追い込む……、
という魔性の行為を働いてきましたが、私は違います。私の仕事は、人を助けることです。
それも、ふとしたことから人生の落とし穴へ落ち込んだ人に救いの手を差し伸べ、
落とし穴から出してあげるのが仕事です。では、これから私の仕事の実例をお目にかけましょう。
青島水絵(20) アイドル
【あるアイドルの卒業】」

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2:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/01/01(火) 19:32:33.309 :5XsretkHD.net
とあるアリーナ。大勢の人間たちが、列を作って並んでいる。並んでいるのは、オタク風の男性ばかりだ。
会場の前には、「おとぎ隊 スーパー・デラックス・ライブ」の立て札や看板がある。
看板には、5人の女性アイドルグループの写真が映っている。
列に並ぶ観客たちの中に、場違いな例の男――喪黒福次郎が混じっている。
ステージの上で熱唱するアイドルグループ『おとぎ隊』。彼女たちの衣装は、それぞれ色分けされている。
テロップ「アイドルグループ『おとぎ隊』。
紫原麻世(紫色)。赤池響(リーダー、赤色)。黄川田恵(黄色)。緑川風香(緑色)。青島水絵(青色)」
アイドルたちに向かって、サイリウムを振り回すファンたち。福次郎も、サイリウムを振っている。
笑顔で踊り、歌を歌う4人のメンバーたち――麻世、響、恵、風香。しかし、水絵だけは表情が虚ろなままだ。
テロップ「青島水絵(20) アイドルグループ『おとぎ隊』メンバー、イメージカラーは青色」
とあるアリーナ。大勢の人間たちが、列を作って並んでいる。並んでいるのは、オタク風の男性ばかりだ。
会場の前には、「おとぎ隊 スーパー・デラックス・ライブ」の立て札や看板がある。
看板には、5人の女性アイドルグループの写真が映っている。
列に並ぶ観客たちの中に、場違いな例の男――喪黒福次郎が混じっている。
ステージの上で熱唱するアイドルグループ『おとぎ隊』。彼女たちの衣装は、それぞれ色分けされている。
テロップ「アイドルグループ『おとぎ隊』。
紫原麻世(紫色)。赤池響(リーダー、赤色)。黄川田恵(黄色)。緑川風香(緑色)。青島水絵(青色)」
アイドルたちに向かって、サイリウムを振り回すファンたち。福次郎も、サイリウムを振っている。
笑顔で踊り、歌を歌う4人のメンバーたち――麻世、響、恵、風香。しかし、水絵だけは表情が虚ろなままだ。
テロップ「青島水絵(20) アイドルグループ『おとぎ隊』メンバー、イメージカラーは青色」
3:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/01/01(火) 19:34:16.720 :5XsretkHD.net
次第に棒立ちになり、涙目となる水絵。彼女は両手で顔を覆い、泣き始める。
何事もなかったかのように、5人を応援し続けるファンたち。一方、観客席にいる福次郎は、怪訝な表情で水絵を眺める。
福次郎(ん?この子は一体何があったんだろう)
控室。部屋の中で、赤池響・黄川田恵・緑川風香・紫原麻世が、青島水絵をなじる。
響「今日のライブも、全力を出し切ることができたねぇ。もっとも、誰かさんを除いて」
恵「そういえばさぁー。1人だけ手を抜いて、あたしらの足を引っ張ったお邪魔虫がいたよねぇ」
風香「正直アイドルをなめてるよね、水絵。あんた、私たちのこと見下してるんでしょ?」
麻世「まあ、水絵はもともと空気みたいな存在なんだから、いてもいなくても別にどうってことないけど」
水絵「…………」
うつむいたまま、青菜に塩となる水絵。響・恵・風香・麻世の4人は、人を馬鹿にしたような笑みを浮かべている。
次第に棒立ちになり、涙目となる水絵。彼女は両手で顔を覆い、泣き始める。
何事もなかったかのように、5人を応援し続けるファンたち。一方、観客席にいる福次郎は、怪訝な表情で水絵を眺める。
福次郎(ん?この子は一体何があったんだろう)
控室。部屋の中で、赤池響・黄川田恵・緑川風香・紫原麻世が、青島水絵をなじる。
響「今日のライブも、全力を出し切ることができたねぇ。もっとも、誰かさんを除いて」
恵「そういえばさぁー。1人だけ手を抜いて、あたしらの足を引っ張ったお邪魔虫がいたよねぇ」
風香「正直アイドルをなめてるよね、水絵。あんた、私たちのこと見下してるんでしょ?」
麻世「まあ、水絵はもともと空気みたいな存在なんだから、いてもいなくても別にどうってことないけど」
水絵「…………」
うつむいたまま、青菜に塩となる水絵。響・恵・風香・麻世の4人は、人を馬鹿にしたような笑みを浮かべている。
4:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/01/01(火) 19:36:13.514 :5XsretkHD.net
夜。とあるホテル。スマホを机に置き、客室で記念撮影をする5人。
手をつなぎ、満面の笑みでピースサインをする響・恵・風香・麻世の4人。
一方、水絵は彼女たちから少し離れた場所でピースサインをしている。弱々しい笑みの水絵。
移動中のマイクロバス。座席で、仲良く話をする響・恵・風香・麻世の4人。
一方、後ろの方の席では、水絵が黙ったまま座っている。しばらくした後、彼女は口を開いて何かを言おうとする。
水絵「あのさぁ……」
響「悪いけど、水絵は黙ってて。あんた、暗いから嫌」
麻世「せっかく4人仲良くやってるのに、ホント空気が読めないんだねぇ。水絵って」
水絵「…………」
仲良く話を続ける響・恵・風香・麻世。黙ったまま、窓から景色を眺める水絵。
夜。とあるホテル。スマホを机に置き、客室で記念撮影をする5人。
手をつなぎ、満面の笑みでピースサインをする響・恵・風香・麻世の4人。
一方、水絵は彼女たちから少し離れた場所でピースサインをしている。弱々しい笑みの水絵。
移動中のマイクロバス。座席で、仲良く話をする響・恵・風香・麻世の4人。
一方、後ろの方の席では、水絵が黙ったまま座っている。しばらくした後、彼女は口を開いて何かを言おうとする。
水絵「あのさぁ……」
響「悪いけど、水絵は黙ってて。あんた、暗いから嫌」
麻世「せっかく4人仲良くやってるのに、ホント空気が読めないんだねぇ。水絵って」
水絵「…………」
仲良く話を続ける響・恵・風香・麻世。黙ったまま、窓から景色を眺める水絵。
6:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/01/01(火) 19:38:15.340 :5XsretkHD.net
回想を始める水絵。彼女の頭の中に、過去の出来事が次々と思い浮かぶ。
バラエーティー番組に出る『おとぎ隊』の5人。楽しそうにじゃれ合う4人に対して、水絵だけが浮いている。
楽屋で食事をする『おとぎ隊』の5人。4人は椅子に座って食事をしているのに、水絵だけは立膝で食事をしている。
旅館の客室での記念撮影。仲良く勢ぞろいする4人と、部屋の隅っこにポツンといる水絵。
高速道路を走るマイクロバス。回想を終える水絵。
水絵(私は、みんなに仲間外れにされている。どこにも居場所がない)
水絵はリュックの中から、ハードカバーの本を取り出す。彼女が手にした本は、ロマン・ロランの『ジャン・クリストフ』だ。
本を開き、読書を始める水絵。風香が水絵の持った本を取り上げる。
風香「いつもいつも、本ばっかり読んで!」
水絵「何すんのよ!!返してよ!!」
響・恵・麻世「アハハハハ!!」
回想を始める水絵。彼女の頭の中に、過去の出来事が次々と思い浮かぶ。
バラエーティー番組に出る『おとぎ隊』の5人。楽しそうにじゃれ合う4人に対して、水絵だけが浮いている。
楽屋で食事をする『おとぎ隊』の5人。4人は椅子に座って食事をしているのに、水絵だけは立膝で食事をしている。
旅館の客室での記念撮影。仲良く勢ぞろいする4人と、部屋の隅っこにポツンといる水絵。
高速道路を走るマイクロバス。回想を終える水絵。
水絵(私は、みんなに仲間外れにされている。どこにも居場所がない)
水絵はリュックの中から、ハードカバーの本を取り出す。彼女が手にした本は、ロマン・ロランの『ジャン・クリストフ』だ。
本を開き、読書を始める水絵。風香が水絵の持った本を取り上げる。
風香「いつもいつも、本ばっかり読んで!」
水絵「何すんのよ!!返してよ!!」
響・恵・麻世「アハハハハ!!」
7:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/01/01(火) 19:40:12.719 :5XsretkHD.net
夜。とあるマンション、水絵の部屋。ベッドでうつぶせになる水絵。彼女は枕に顔を寄せ、泣きじゃくる。
水絵「ワッ……」
とある芸能事務所。執務室で机に向かう社長。社長、マネージャー、『おとぎ隊』の5人が会話をしている。
社長「JBCの紅白歌合戦なんだけどな……。今年は、お前たちの出場が有力視されているそうだ」
響「その話、マジですか!?」
恵・風香・麻世・水絵「えーーーっ!!」
社長「まあ、あくまでも有力候補の段階であって、まだ出場が決まったわけじゃあない」
恵「そうなんですか……。紅白歌合戦、出場できるといいですね……」
社長「出場できるさ。もっとも、そのためにはあることをするべきだけどな」
風香「あることとは……」
夜。とあるマンション、水絵の部屋。ベッドでうつぶせになる水絵。彼女は枕に顔を寄せ、泣きじゃくる。
水絵「ワッ……」
とある芸能事務所。執務室で机に向かう社長。社長、マネージャー、『おとぎ隊』の5人が会話をしている。
社長「JBCの紅白歌合戦なんだけどな……。今年は、お前たちの出場が有力視されているそうだ」
響「その話、マジですか!?」
恵・風香・麻世・水絵「えーーーっ!!」
社長「まあ、あくまでも有力候補の段階であって、まだ出場が決まったわけじゃあない」
恵「そうなんですか……。紅白歌合戦、出場できるといいですね……」
社長「出場できるさ。もっとも、そのためにはあることをするべきだけどな」
風香「あることとは……」
8:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/01/01(火) 19:42:13.130 :5XsretkHD.net
マネージャー「決まっているだろう。JBCの幹部と、枕営業をするんだよ」
麻世「私たちが、ですか!?」
マネージャー「その通り」
水絵「そんな!枕営業なんて嫌ですよ!」
マネージャー「何を言ってるんだ、水絵!アイドルなら、枕営業をやって当たり前だろう!」
響「そうだよ。業界に長い間いるんだから、あんたも一応しきたりを分かってるでしょ。水絵ぇ」
水絵「で、でも……」
麻世「紅白に出るためなら、このくらい別にいいじゃん」
響・恵・風香「そう、そう」
水絵「…………」
社長「お前たちは物分かりがいいなぁ。さすが、俺が目をかけただけのことはある」
マネージャー「決まっているだろう。JBCの幹部と、枕営業をするんだよ」
麻世「私たちが、ですか!?」
マネージャー「その通り」
水絵「そんな!枕営業なんて嫌ですよ!」
マネージャー「何を言ってるんだ、水絵!アイドルなら、枕営業をやって当たり前だろう!」
響「そうだよ。業界に長い間いるんだから、あんたも一応しきたりを分かってるでしょ。水絵ぇ」
水絵「で、でも……」
麻世「紅白に出るためなら、このくらい別にいいじゃん」
響・恵・風香「そう、そう」
水絵「…………」
社長「お前たちは物分かりがいいなぁ。さすが、俺が目をかけただけのことはある」
9:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/01/01(火) 19:44:22.278 :5XsretkHD.net
夜。とあるホテル。客室のベッドの上に、公共放送・JBCの幹部と水絵が座っている。
ガウン姿のJBC幹部が、ヘラヘラと笑う。一方、唇を噛みしめた状態の水絵。JBC幹部が、水絵の胸元を触る。
水絵「な、何するんですか!?」
JBC幹部「ヘヘヘ。君の困った顔は、とってもかわいいなぁ」
水絵に抱きつき、彼女と接吻をするJBC幹部。
水絵「嫌です!!離してください!!」
JBC幹部「もう逃がさんぞ……」
JBC幹部が、水絵を無理やりベッドに押し倒す。必死で抵抗する水絵。
水絵「ダメっ!!やめてよぉおおお!!」
水絵が着ていたブラウスを、無理やり引きちぎるJBC幹部。彼女のブラウスのボタンが飛び散る。涙目になる水絵。
そして……。真っ暗になる画面。
夜。とあるホテル。客室のベッドの上に、公共放送・JBCの幹部と水絵が座っている。
ガウン姿のJBC幹部が、ヘラヘラと笑う。一方、唇を噛みしめた状態の水絵。JBC幹部が、水絵の胸元を触る。
水絵「な、何するんですか!?」
JBC幹部「ヘヘヘ。君の困った顔は、とってもかわいいなぁ」
水絵に抱きつき、彼女と接吻をするJBC幹部。
水絵「嫌です!!離してください!!」
JBC幹部「もう逃がさんぞ……」
JBC幹部が、水絵を無理やりベッドに押し倒す。必死で抵抗する水絵。
水絵「ダメっ!!やめてよぉおおお!!」
水絵が着ていたブラウスを、無理やり引きちぎるJBC幹部。彼女のブラウスのボタンが飛び散る。涙目になる水絵。
そして……。真っ暗になる画面。
10:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/01/01(火) 19:46:13.958 :5XsretkHD.net
夜の街。トレンチコート姿の水絵が、橋の上に立っている。虚ろな表情で、川の水を眺める水絵。
水絵(もう、生きていてもしょうがない……)
橋の欄干に立ち、自ら飛び降りる水絵。彼女は、下の方の川へとそのまま落ちて……いかなかった。
気がつくと、水絵の右手を福次郎が握っている。水絵に、優しく話しかける福次郎。
福次郎「いやぁ、危なかったですねぇ……。お嬢さん」
水絵「手を離してください!!私は……」
福次郎「ひょっとして、自ら命を絶つつもりだったんですか?」
水絵「あ、あなたに私の何が分かるんですか!?」
福次郎「あなたも辛いことがあったのでしょう。生きることは辛いですから……」
水絵「は、はい……」
福次郎「でも、自殺だけは絶対にダメですよ。あなたはここで死ぬべきではありません」
夜の街。トレンチコート姿の水絵が、橋の上に立っている。虚ろな表情で、川の水を眺める水絵。
水絵(もう、生きていてもしょうがない……)
橋の欄干に立ち、自ら飛び降りる水絵。彼女は、下の方の川へとそのまま落ちて……いかなかった。
気がつくと、水絵の右手を福次郎が握っている。水絵に、優しく話しかける福次郎。
福次郎「いやぁ、危なかったですねぇ……。お嬢さん」
水絵「手を離してください!!私は……」
福次郎「ひょっとして、自ら命を絶つつもりだったんですか?」
水絵「あ、あなたに私の何が分かるんですか!?」
福次郎「あなたも辛いことがあったのでしょう。生きることは辛いですから……」
水絵「は、はい……」
福次郎「でも、自殺だけは絶対にダメですよ。あなたはここで死ぬべきではありません」
12:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/01/01(火) 19:48:12.008 :5XsretkHD.net
夜の街を歩く福次郎。
福次郎「よろしかったら、私があなたの相談に乗りましょうか?青島水絵さん」
水絵「ど、どうして私の名前を知ってるんですか?」
福次郎「私はこの間、『おとぎ隊』のコンサートを鑑賞しました。あなたたちのグループのCDも持っています」
水絵「あなた、私たちのファンの方だったんですか……。ところで、お名前は……」
福次郎「私ですか?私は、喪黒福次郎と申します」
夜の公園。ベンチに座る福次郎と水絵。水絵は、福次郎に一連の事情を説明する。
福次郎「……なるほど。そういうことがあったんですか……」
水絵「はい。今の私は、精神的にボロボロになっているんです」
福次郎「グループ内でのいじめに、枕営業の強要とは……。あなたが本当に気の毒ですよ」
水絵「私は、ずっと悩んでいました。でも、誰にも悩みを打ち明けられずにいたんです」
夜の街を歩く福次郎。
福次郎「よろしかったら、私があなたの相談に乗りましょうか?青島水絵さん」
水絵「ど、どうして私の名前を知ってるんですか?」
福次郎「私はこの間、『おとぎ隊』のコンサートを鑑賞しました。あなたたちのグループのCDも持っています」
水絵「あなた、私たちのファンの方だったんですか……。ところで、お名前は……」
福次郎「私ですか?私は、喪黒福次郎と申します」
夜の公園。ベンチに座る福次郎と水絵。水絵は、福次郎に一連の事情を説明する。
福次郎「……なるほど。そういうことがあったんですか……」
水絵「はい。今の私は、精神的にボロボロになっているんです」
福次郎「グループ内でのいじめに、枕営業の強要とは……。あなたが本当に気の毒ですよ」
水絵「私は、ずっと悩んでいました。でも、誰にも悩みを打ち明けられずにいたんです」
13:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/01/01(火) 19:50:11.688 :5XsretkHD.net
福次郎「この場でようやく、悩みを打ち明けることができたというわけですね」
水絵「はい……」
福次郎「辛かったでしょう……。苦しかったでしょう……。寂しかったでしょう……」
水絵「ウッ……、ウワアアアアアアアア……!!!」
目から大粒の涙を流し、泣き崩れる水絵。
公園。ある程度の時間が経った後、ベンチに座り続ける福次郎と水絵。
福次郎「まあ、こういう話は失礼になるかもしれませんが……。あなたは、『おとぎ隊』からの卒業を考えたことはありますか?」
水絵「もちろん、何回か考えたことはありますよ。内心では、アイドルをやめたい気持ちでいっぱいでしたから……」
福次郎「あなたはアイドルとして、今まで頑張り過ぎてきました。でも、もう無理をするべきではありません」
「今ここから、自分の人生をやり直してみたらどうですか?」
水絵「人生のやり直しですか?」
福次郎「この場でようやく、悩みを打ち明けることができたというわけですね」
水絵「はい……」
福次郎「辛かったでしょう……。苦しかったでしょう……。寂しかったでしょう……」
水絵「ウッ……、ウワアアアアアアアア……!!!」
目から大粒の涙を流し、泣き崩れる水絵。
公園。ある程度の時間が経った後、ベンチに座り続ける福次郎と水絵。
福次郎「まあ、こういう話は失礼になるかもしれませんが……。あなたは、『おとぎ隊』からの卒業を考えたことはありますか?」
水絵「もちろん、何回か考えたことはありますよ。内心では、アイドルをやめたい気持ちでいっぱいでしたから……」
福次郎「あなたはアイドルとして、今まで頑張り過ぎてきました。でも、もう無理をするべきではありません」
「今ここから、自分の人生をやり直してみたらどうですか?」
水絵「人生のやり直しですか?」
14:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/01/01(火) 19:52:12.024 :5XsretkHD.net
福次郎「そうです。あなたはまだ若いですから、いくらでもチャンスがありますよ」
水絵「ですが……。私の卒業を、果たして事務所や家族が認めてくれるかどうかは……」
福次郎「周りの人たちの意向に、自分の人生を振り回される必要などありません」
「あなたの人生は、あなた自身の手で切り拓くべきなんです。だから、自ら命を絶つなんてもっての他ですよ」
水絵「……ですよね」
福次郎「どうです、卒業する気になったでしょう?」
水絵「でも、まだ気持ちの整理がついていません」
福次郎「あなたが決断するのは今しかありません。私が気合を入れてあげましょう!」
福次郎は、水絵に右手の人差し指を向ける。
福次郎「ドダーーーーーーーーーーーン!!!」
水絵「キャアアアアアアアアアアア!!!」
福次郎「そうです。あなたはまだ若いですから、いくらでもチャンスがありますよ」
水絵「ですが……。私の卒業を、果たして事務所や家族が認めてくれるかどうかは……」
福次郎「周りの人たちの意向に、自分の人生を振り回される必要などありません」
「あなたの人生は、あなた自身の手で切り拓くべきなんです。だから、自ら命を絶つなんてもっての他ですよ」
水絵「……ですよね」
福次郎「どうです、卒業する気になったでしょう?」
水絵「でも、まだ気持ちの整理がついていません」
福次郎「あなたが決断するのは今しかありません。私が気合を入れてあげましょう!」
福次郎は、水絵に右手の人差し指を向ける。
福次郎「ドダーーーーーーーーーーーン!!!」
水絵「キャアアアアアアアアアアア!!!」
15:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/01/01(火) 19:54:26.954 :5XsretkHD.net
とある住宅街、青島家。居間で、水絵は両親と話をしている。
水絵の父「水絵。お前、どうしても『おとぎ隊』を卒業したいんだな」
水絵「うん。私、そろそろ芸能界を引退しようと思ってる」
水絵の母「引退した後、どうするつもりでいるの?」
水絵「予備校に通って、大学受験のための勉強をするつもりだよ。私、大学に行きたい」
水絵の父「せっかく芸能人として有名になり始めたのに、もったいないことをするな……」
水絵の母「そうよ……。アイドルとしてはこれからなのに……」
水絵「あのね!私の人生は、そろそろ私が決めた方がいいでしょ!私だってもう大人よ!」
水絵の父「でもなぁ……」
水絵「私の芸能界入りは、お父さんとお母さんが無理やり決めたんでしょ!!私はもう、限界なんだよ!!」
「私がどんなに辛い思いをしてきたと思ってるの!!なぜなら、私は……。ウウウ……」
泣き始める水絵。
とある住宅街、青島家。居間で、水絵は両親と話をしている。
水絵の父「水絵。お前、どうしても『おとぎ隊』を卒業したいんだな」
水絵「うん。私、そろそろ芸能界を引退しようと思ってる」
水絵の母「引退した後、どうするつもりでいるの?」
水絵「予備校に通って、大学受験のための勉強をするつもりだよ。私、大学に行きたい」
水絵の父「せっかく芸能人として有名になり始めたのに、もったいないことをするな……」
水絵の母「そうよ……。アイドルとしてはこれからなのに……」
水絵「あのね!私の人生は、そろそろ私が決めた方がいいでしょ!私だってもう大人よ!」
水絵の父「でもなぁ……」
水絵「私の芸能界入りは、お父さんとお母さんが無理やり決めたんでしょ!!私はもう、限界なんだよ!!」
「私がどんなに辛い思いをしてきたと思ってるの!!なぜなら、私は……。ウウウ……」
泣き始める水絵。
16:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/01/01(火) 19:56:49.880 :5XsretkHD.net
とある芸能事務所。応接室で、社長、マネージャーと話をする青島一家。
社長「卒業だって?今、この子に辞めて貰ったら困りますよ」
マネージャー「『おとぎ隊』は、これから大きくなっていくんです。そのために、彼女の存在が不可欠なんです」
社長「そういうことですよ。だから、頭を冷やしてもう1度考え直したらどうです?」
水絵の父「あなたたちこそ、頭を冷やして考え直したらどうですか!?」
社長「何だって!?」
水絵の母「水絵から話を聞きましたよ。グループ内でのいじめに、枕営業の強要……」
マネージャー「そ、そんなことあるわけありませんよ!!」
水絵「いいえ!!私は実際に経験しました!!週刊誌への告発も検討しようと思ってますよ」
マネージャー「き、貴様……。俺たちが今まで面倒を見てやったのに、恩を仇で返すつもりか……」
とある芸能事務所。応接室で、社長、マネージャーと話をする青島一家。
社長「卒業だって?今、この子に辞めて貰ったら困りますよ」
マネージャー「『おとぎ隊』は、これから大きくなっていくんです。そのために、彼女の存在が不可欠なんです」
社長「そういうことですよ。だから、頭を冷やしてもう1度考え直したらどうです?」
水絵の父「あなたたちこそ、頭を冷やして考え直したらどうですか!?」
社長「何だって!?」
水絵の母「水絵から話を聞きましたよ。グループ内でのいじめに、枕営業の強要……」
マネージャー「そ、そんなことあるわけありませんよ!!」
水絵「いいえ!!私は実際に経験しました!!週刊誌への告発も検討しようと思ってますよ」
マネージャー「き、貴様……。俺たちが今まで面倒を見てやったのに、恩を仇で返すつもりか……」
17:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/01/01(火) 19:58:57.997 :5XsretkHD.net
水絵の父「貴様呼ばわりか……。とうとう本性を現したな。このゴロツキめ」
マネージャー「くっ……!!」
水絵の母「あなたたちのような悪徳事務所に、この子を預けるわけにはいきません!」
社長「そうですか……。どうやら、あなたたちの決心は固いようですね」
水絵「私の人生は、私が決めますから……!!」
社長「……いいでしょう。そこまでの決心があるならば、卒業を認めてやりますよ」
「その代わり、一連の出来事は週刊誌に告発しないでくださいよ」
応接室を出て、事務所の廊下を歩く青島一家。
水絵の父「水絵……。今までお前に辛い思いをさせて、本当に済まなかった……」
水絵の母「水絵……。ごめんね……」
水絵「お父さん……、お母さん……」
抱き合って涙を流す青島一家。
水絵の父「貴様呼ばわりか……。とうとう本性を現したな。このゴロツキめ」
マネージャー「くっ……!!」
水絵の母「あなたたちのような悪徳事務所に、この子を預けるわけにはいきません!」
社長「そうですか……。どうやら、あなたたちの決心は固いようですね」
水絵「私の人生は、私が決めますから……!!」
社長「……いいでしょう。そこまでの決心があるならば、卒業を認めてやりますよ」
「その代わり、一連の出来事は週刊誌に告発しないでくださいよ」
応接室を出て、事務所の廊下を歩く青島一家。
水絵の父「水絵……。今までお前に辛い思いをさせて、本当に済まなかった……」
水絵の母「水絵……。ごめんね……」
水絵「お父さん……、お母さん……」
抱き合って涙を流す青島一家。
18:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/01/01(火) 20:01:15.646 :5XsretkHD.net
記者会見場。カメラのフラッシュを浴びながら、深々と頭を下げる水絵。
水絵「今まで私を支えてくださったメンバー、スタッフ、ファンの皆様……。長い間、本当にありがとうございました」
とあるホール。ステージの上で熱唱をする『おとぎ隊』の5人。水絵は、吹っ切れたような表情で笑顔を浮かべている。
アイドルたちに声援を送るファンたち。観客席にいる福次郎が、水絵を静かに見守る。
福次郎(今日が、あなたのラストライブ……。お疲れ様……)
テロップ「1年後――」
とある駅。電車のドアから出てくる水絵。プラットフォームにいる福次郎が、水絵に声をかける。
福次郎「やぁ、お久しぶりですね。青島さん」
水絵「も、喪黒さん……」
プラットフォームのベンチに座り、会話を行う福次郎と水絵。
福次郎「あなたは今、大学でどんな勉強をしているんですか?」
記者会見場。カメラのフラッシュを浴びながら、深々と頭を下げる水絵。
水絵「今まで私を支えてくださったメンバー、スタッフ、ファンの皆様……。長い間、本当にありがとうございました」
とあるホール。ステージの上で熱唱をする『おとぎ隊』の5人。水絵は、吹っ切れたような表情で笑顔を浮かべている。
アイドルたちに声援を送るファンたち。観客席にいる福次郎が、水絵を静かに見守る。
福次郎(今日が、あなたのラストライブ……。お疲れ様……)
テロップ「1年後――」
とある駅。電車のドアから出てくる水絵。プラットフォームにいる福次郎が、水絵に声をかける。
福次郎「やぁ、お久しぶりですね。青島さん」
水絵「も、喪黒さん……」
プラットフォームのベンチに座り、会話を行う福次郎と水絵。
福次郎「あなたは今、大学でどんな勉強をしているんですか?」
19:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/01/01(火) 20:03:38.451 :5XsretkHD.net
水絵「心理学の勉強です。私は、臨床心理士になることを目指しているんです」
福次郎「臨床心理士になりたいんですか……」
水絵「はい。今の社会は、かつての私のように心に傷を負った人がたくさんいます。だから、私はこの人たちを助けたいんです」
福次郎「それはそれは……。ご立派ですねぇ」
水絵「実は、その……。私が臨床心理士になろうと思ったのは、喪黒さんとの出会いがきっかけでした」
「喪黒さんのように、悩んでいる人の力になれたらいいな……と。私はそう思ったんです」
福次郎「いえいえ、私はそんな……」
水絵「喪黒さんとの出会いがなかったら、今の私はありませんでした。あなたには、本当に感謝しています」
福次郎「どういたしまして。あなたが臨床心理士になれる日を、楽しみに待ってますよ」
水絵「ありがとうございます」
プラットフォームを笑顔で立ち去る水絵。福次郎は、水絵に手を振っている。
―完―
水絵「心理学の勉強です。私は、臨床心理士になることを目指しているんです」
福次郎「臨床心理士になりたいんですか……」
水絵「はい。今の社会は、かつての私のように心に傷を負った人がたくさんいます。だから、私はこの人たちを助けたいんです」
福次郎「それはそれは……。ご立派ですねぇ」
水絵「実は、その……。私が臨床心理士になろうと思ったのは、喪黒さんとの出会いがきっかけでした」
「喪黒さんのように、悩んでいる人の力になれたらいいな……と。私はそう思ったんです」
福次郎「いえいえ、私はそんな……」
水絵「喪黒さんとの出会いがなかったら、今の私はありませんでした。あなたには、本当に感謝しています」
福次郎「どういたしまして。あなたが臨床心理士になれる日を、楽しみに待ってますよ」
水絵「ありがとうございます」
プラットフォームを笑顔で立ち去る水絵。福次郎は、水絵に手を振っている。
―完―
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