1:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/01/14(月) 00:40:09.244 :vfLkdkew0.net
ベック「アヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ」
ベック「まさかカラス野郎が俺様のために交渉してくれる日が来ようとはなぁ!」
ロジャー「……」
ベック「おいおい、どうした?なんとか言ったらどうだ?」
ベック「パラダイムシティ一のネゴシエイターさんよ」
ロジャー「……四方を塀に囲まれた拘置所で、よくそれだけ威勢が張れたものだ」
ベック「あん?」
(ベックは檻の中にいた)
ベック「アヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ」
ベック「まさかカラス野郎が俺様のために交渉してくれる日が来ようとはなぁ!」
ロジャー「……」
ベック「おいおい、どうした?なんとか言ったらどうだ?」
ベック「パラダイムシティ一のネゴシエイターさんよ」
ロジャー「……四方を塀に囲まれた拘置所で、よくそれだけ威勢が張れたものだ」
ベック「あん?」
(ベックは檻の中にいた)
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3:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/01/14(月) 00:44:22.069 :vfLkdkew0.net
パラダイムシティは記憶喪失の街。
40年前、この街に生活する全ての者が記憶を失った。
人も、アンドロイドも、そして犯罪者も……
Act:2019 21 Grams of Memory
※THEビッグオーのSS
一部オリジナルキャラクターが登場
パラダイムシティは記憶喪失の街。
40年前、この街に生活する全ての者が記憶を失った。
人も、アンドロイドも、そして犯罪者も……
Act:2019 21 Grams of Memory
※THEビッグオーのSS
一部オリジナルキャラクターが登場
5:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/01/14(月) 00:46:09.472 :vfLkdkew0.net
ロジャー「もう一度聞く。本当にやってないんだな?」
ベック「けっ、何度も言わせるな!死んだのは浮浪者だろ!」
ベック「俺は金にならねえ殺しはしない主義なんだよ!」
ロジャー「……」
私の名はロジャー・スミス。職業、ネゴシエイター。
拘置所でベックと面会しているのは、なにも裁判を逆転させる弁護士に転職したわけではない。
話はひと月前にさかのぼる……
ロジャー「もう一度聞く。本当にやってないんだな?」
ベック「けっ、何度も言わせるな!死んだのは浮浪者だろ!」
ベック「俺は金にならねえ殺しはしない主義なんだよ!」
ロジャー「……」
私の名はロジャー・スミス。職業、ネゴシエイター。
拘置所でベックと面会しているのは、なにも裁判を逆転させる弁護士に転職したわけではない。
話はひと月前にさかのぼる……
6:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/01/14(月) 00:49:14.565 :vfLkdkew0.net
ピカーーーーーッ
(巨大ライトが煌々と照らす)
ダストン「この工場は完全に包囲した!おとなしく投降しろ!」
ベック「く、くそぉ……」
ピカーーーーーッ
(巨大ライトが煌々と照らす)
ダストン「この工場は完全に包囲した!おとなしく投降しろ!」
ベック「く、くそぉ……」
7:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/01/14(月) 00:52:09.113 :vfLkdkew0.net
ロジャー邸
ロジャー「――なに?ベックが捕まった?」
ダストン「今日はそれを伝えに来た。一応な」
ロジャー「それで今度は何をしたんだ?メガデウスは!?」
ダストン「何もしてないしメガデウスも暴れちゃいない」
ダストン「潜伏先のスクラップ工場にいるとこを取り押さえた。奴はお尋ね者だからな」
ダストン「今回ばかりは、あの黒いメガデウスも出る幕がなかったわけだ」ニヤリ
ロジャー「……」
ロジャー邸
ロジャー「――なに?ベックが捕まった?」
ダストン「今日はそれを伝えに来た。一応な」
ロジャー「それで今度は何をしたんだ?メガデウスは!?」
ダストン「何もしてないしメガデウスも暴れちゃいない」
ダストン「潜伏先のスクラップ工場にいるとこを取り押さえた。奴はお尋ね者だからな」
ダストン「今回ばかりは、あの黒いメガデウスも出る幕がなかったわけだ」ニヤリ
ロジャー「……」
8:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/01/14(月) 00:54:56.834 :vfLkdkew0.net
ロジャー「……」
(ロジャーは不機嫌な顔つきで早歩きをしている)
ドロシー「どうしたの、ロジャー」
ロジャー「拘置所へ行ってくる」
ドロシー「ビッグオーに乗れなくて機嫌が悪いのね」
ロジャー「私は彼をライバルと思ったことは一度もないが、この街に必要な人間抜きで軍警察とあの悪党が決着をつけられるとも思えないのだよ」
ドロシー「彼って、ベック?それともダストン少佐?」
ロジャー「――どっちもだ!」
ロジャー「……」
(ロジャーは不機嫌な顔つきで早歩きをしている)
ドロシー「どうしたの、ロジャー」
ロジャー「拘置所へ行ってくる」
ドロシー「ビッグオーに乗れなくて機嫌が悪いのね」
ロジャー「私は彼をライバルと思ったことは一度もないが、この街に必要な人間抜きで軍警察とあの悪党が決着をつけられるとも思えないのだよ」
ドロシー「彼って、ベック?それともダストン少佐?」
ロジャー「――どっちもだ!」
9:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/01/14(月) 00:57:24.938 :vfLkdkew0.net
ノーマン「ロジャー様、今しがたお客様がお見えになりました」
ロジャー「悪いが帰ってもらってくれ。ジェイソン・ベックに会いに行く」
ノーマン「でしたらお通しした方がよろしいかと」
ロジャー「ん?」
ロジャー「……まさか向こうから会いに来るとはな」
ノーマン「ロジャー様、今しがたお客様がお見えになりました」
ロジャー「悪いが帰ってもらってくれ。ジェイソン・ベックに会いに行く」
ノーマン「でしたらお通しした方がよろしいかと」
ロジャー「ん?」
ロジャー「……まさか向こうから会いに来るとはな」
10:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/01/14(月) 00:59:09.092 :vfLkdkew0.net
リック「その節は世話になったね」
(リック・フレイザー、Act:05 Bring Back My Ghostに登場。弁護士)
ノーマン「先日の仕事、お受けになったのですか?」
ノーマン「あのような無法者はお嫌いと存じておりました」
ロジャー「クライアントはベックじゃない。直接の依頼主は彼の雇った弁護士」
ロジャー「たとえ交渉の結果ベックが罪を免れようと、私には関係のないこと」
ドロシー「ロジャー、あなたもしかして……」
ロジャー「これはビジネス!ドロシー、もちろん君も気にする必要はないぞ!」
ドロシー「……」
リック「その節は世話になったね」
(リック・フレイザー、Act:05 Bring Back My Ghostに登場。弁護士)
ノーマン「先日の仕事、お受けになったのですか?」
ノーマン「あのような無法者はお嫌いと存じておりました」
ロジャー「クライアントはベックじゃない。直接の依頼主は彼の雇った弁護士」
ロジャー「たとえ交渉の結果ベックが罪を免れようと、私には関係のないこと」
ドロシー「ロジャー、あなたもしかして……」
ロジャー「これはビジネス!ドロシー、もちろん君も気にする必要はないぞ!」
ドロシー「……」
11:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/01/14(月) 01:07:33.377 :vfLkdkew0.net
走るグリフォンの車内
ロジャー「……」
ドロシー「……」
数週間ほど前、指名手配犯ジェイソン・ベックがドーム外のスクラップ工場であっけなく逮捕された。
数多くの嫌疑がかかる彼だが、現在何よりも優先してとある事件の裁判が開廷されようとしている。
今度開かれる裁判、それはベックの余罪のひとつである殺人事件に関するものだ。
ホームレスの男が殺された事件。ドーム外の殺人は決して珍しいものではない。
しかし昨今広まる人権運動のガス抜きもあってか、捜査は大々的に行われた。
警察の熱心な聞き込みの末、一人のアンドロイドから重要な証言が上がってくる。
事件当夜、ベックが潜伏していたはずのスクラップ工場には誰もいなかったというのだ。
走るグリフォンの車内
ロジャー「……」
ドロシー「……」
数週間ほど前、指名手配犯ジェイソン・ベックがドーム外のスクラップ工場であっけなく逮捕された。
数多くの嫌疑がかかる彼だが、現在何よりも優先してとある事件の裁判が開廷されようとしている。
今度開かれる裁判、それはベックの余罪のひとつである殺人事件に関するものだ。
ホームレスの男が殺された事件。ドーム外の殺人は決して珍しいものではない。
しかし昨今広まる人権運動のガス抜きもあってか、捜査は大々的に行われた。
警察の熱心な聞き込みの末、一人のアンドロイドから重要な証言が上がってくる。
事件当夜、ベックが潜伏していたはずのスクラップ工場には誰もいなかったというのだ。
12:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/01/14(月) 01:12:38.980 :vfLkdkew0.net
今回の私の仕事は目撃証言をしたアンドロイドに視覚メモリーを提出してもらうこと。
最初に事件とアリバイのないベックを結びつけたのは本来この証言だったはず。
しかし検察側の提出した膨大な証拠資料にはその部分が丸々抜け落ちていたという。
ベックの弁護士はそこに目を付け、メモリーの提出を促すようネゴシエイターの私を頼ってきたのだ。
指名手配のベックだ。これ以上犯人にうってつけの人物はいない。
パラダイム社が彼に全て押し付けて事件の幕引きを図ったとしてもおかしくはないだろう。
この街を牛耳るあの企業に誤算があるとすればそれは二つ。
金の使い所を知るジェイソン・ベックが高級弁護士を雇ったこと。
そして多少の因縁があろうと、この私がフェアを重んじる人間であるということ……
今回の私の仕事は目撃証言をしたアンドロイドに視覚メモリーを提出してもらうこと。
最初に事件とアリバイのないベックを結びつけたのは本来この証言だったはず。
しかし検察側の提出した膨大な証拠資料にはその部分が丸々抜け落ちていたという。
ベックの弁護士はそこに目を付け、メモリーの提出を促すようネゴシエイターの私を頼ってきたのだ。
指名手配のベックだ。これ以上犯人にうってつけの人物はいない。
パラダイム社が彼に全て押し付けて事件の幕引きを図ったとしてもおかしくはないだろう。
この街を牛耳るあの企業に誤算があるとすればそれは二つ。
金の使い所を知るジェイソン・ベックが高級弁護士を雇ったこと。
そして多少の因縁があろうと、この私がフェアを重んじる人間であるということ……
13:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/01/14(月) 01:18:22.134 :vfLkdkew0.net
ドーム イーストタウン
ロジャー「君がホームレス殺人事件で重要な目撃をしたR・クライド・バロウ」
クライド「はい」
ドロシー「……」
(部屋にはあるうら若い女性の写真やポスターがたくさん飾ってある)
ドーム イーストタウン
ロジャー「君がホームレス殺人事件で重要な目撃をしたR・クライド・バロウ」
クライド「はい」
ドロシー「……」
(部屋にはあるうら若い女性の写真やポスターがたくさん飾ってある)
15:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/01/14(月) 01:20:47.645 :vfLkdkew0.net
クライド「先日弁護士の方にも言いましたが裁判の証人なら快く引き受けます」
クライド「あの日の夜、私が見たことを法廷で全て話しましょう」
ロジャー「君が出廷してくれるのはこちら側としてもありがたい」
ロジャー「しかし私のクライアントは君の証言ではなく視覚メモリーそのものの提出を望んでいる」
クライド「そうですか……」
ボニー「クライド、機械なら機械らしくスケジュール通りに働きなさい」ガチャッ
(年配の婦人が入ってくる)
クライド「すみませんボニー。今は来客中でして」
ドロシー「……」
クライド「先日弁護士の方にも言いましたが裁判の証人なら快く引き受けます」
クライド「あの日の夜、私が見たことを法廷で全て話しましょう」
ロジャー「君が出廷してくれるのはこちら側としてもありがたい」
ロジャー「しかし私のクライアントは君の証言ではなく視覚メモリーそのものの提出を望んでいる」
クライド「そうですか……」
ボニー「クライド、機械なら機械らしくスケジュール通りに働きなさい」ガチャッ
(年配の婦人が入ってくる)
クライド「すみませんボニー。今は来客中でして」
ドロシー「……」
16:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/01/14(月) 01:23:36.126 :vfLkdkew0.net
ボニー「あら、お客様ですか?」
ロジャー「相変わらずお美しい。私の名はロジャー・スミス、ネゴシエイターです」
ロジャー「ドロシー、彼女はボニー・パーカー。パラダイムシティ創成期から娯楽の少ないこの街を演劇で支えた大女優だ」
ロジャー「この街の人間は皆彼女の舞台や映画を見て育ち、芸術を知った」
ボニー「スミスさん、ネゴシエイターということは例の目撃証言の件でいらしたのですね」
ボニー「交渉だか何だか知りませんがうちのマネージャーは忙しい。早いところ解放してください」
ボニー「では、あたくしはこれで失礼します」ガチャッ
ロジャー「……」
ボニー「あら、お客様ですか?」
ロジャー「相変わらずお美しい。私の名はロジャー・スミス、ネゴシエイターです」
ロジャー「ドロシー、彼女はボニー・パーカー。パラダイムシティ創成期から娯楽の少ないこの街を演劇で支えた大女優だ」
ロジャー「この街の人間は皆彼女の舞台や映画を見て育ち、芸術を知った」
ボニー「スミスさん、ネゴシエイターということは例の目撃証言の件でいらしたのですね」
ボニー「交渉だか何だか知りませんがうちのマネージャーは忙しい。早いところ解放してください」
ボニー「では、あたくしはこれで失礼します」ガチャッ
ロジャー「……」
17:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/01/14(月) 01:25:21.698 :vfLkdkew0.net
クライド「すみません、今日はもうお帰りください」
ロジャー「待ってくれ。証言より物証を重視するのが司法だ。君も解るだろ?」
クライド「時にロジャー・スミス、アンドロイドが眼鏡をかけてはおかしいですか?」
ロジャー「えっ……」
(R・クライドは紺色のスーツを着て左目に片眼鏡をしている)
クライド「すみません、今日はもうお帰りください」
ロジャー「待ってくれ。証言より物証を重視するのが司法だ。君も解るだろ?」
クライド「時にロジャー・スミス、アンドロイドが眼鏡をかけてはおかしいですか?」
ロジャー「えっ……」
(R・クライドは紺色のスーツを着て左目に片眼鏡をしている)
18:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/01/14(月) 01:27:16.440 :vfLkdkew0.net
クライド「勘違いされがちですがアンドロイドにも人と同じように寿命がある」
クライド「身体にガタは来るし治療だってします。それに――」
クライド「私たちロボットもお洒落はしたいものです」
ドロシー「……」
ロジャー「うん……」
クライド「勘違いされがちですがアンドロイドにも人と同じように寿命がある」
クライド「身体にガタは来るし治療だってします。それに――」
クライド「私たちロボットもお洒落はしたいものです」
ドロシー「……」
ロジャー「うん……」
19:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/01/14(月) 01:30:13.670 :vfLkdkew0.net
ロジャー邸
ロジャー「ドロシー。ドロシーはいるか?」
ドロシー「何」
ロジャー「突然こんなことを言うのも何なんだが、今度の土曜日を君の休暇にしようと考えている」
ロジャー「ドームのブティックへショッピングにでも出掛けたまえ。好きなものを……たまには黒以外も着るといい」
ドロシー「……」
ドロシー「わかったわ」
ロジャー邸
ロジャー「ドロシー。ドロシーはいるか?」
ドロシー「何」
ロジャー「突然こんなことを言うのも何なんだが、今度の土曜日を君の休暇にしようと考えている」
ロジャー「ドームのブティックへショッピングにでも出掛けたまえ。好きなものを……たまには黒以外も着るといい」
ドロシー「……」
ドロシー「わかったわ」
20:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/01/14(月) 01:34:16.465 :vfLkdkew0.net
軍警察 署内
ダストン「ベックの弁護を引き受けるとは、お前さんも焼きが回ったな」
ロジャー「弁護じゃない。ネゴシエイションだ」
ダストン「悪いが俺も交渉人の言葉遊びに付き合っていられるほど暇じゃない」
ダストン「このところ人権運動の監視や規制に忙しいんでね。いつ暴徒化するかもわからん」
ロジャー「ああ、捕まえた犯人がその後どうなろうと軍警察には何も関係なかったな」
ダストン「どうとでも言え。お前さんがたった一件冤罪を晴らしたところでベックは犯罪者だ」
軍警察 署内
ダストン「ベックの弁護を引き受けるとは、お前さんも焼きが回ったな」
ロジャー「弁護じゃない。ネゴシエイションだ」
ダストン「悪いが俺も交渉人の言葉遊びに付き合っていられるほど暇じゃない」
ダストン「このところ人権運動の監視や規制に忙しいんでね。いつ暴徒化するかもわからん」
ロジャー「ああ、捕まえた犯人がその後どうなろうと軍警察には何も関係なかったな」
ダストン「どうとでも言え。お前さんがたった一件冤罪を晴らしたところでベックは犯罪者だ」
21:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/01/14(月) 01:37:13.801 :vfLkdkew0.net
ダストン「ロジャー、軍警察の名誉のためにこれだけは言っておく」
ダストン「最初から犯人に仕立てる気ならわざわざアンドロイドに証言させたりしない」
ダストン「人の記憶を見ることは無理でも、アンドロイドには視覚メモリーが残るからな」
ロジャー「つまりクライドの目撃証言は確かに本物だった……」
ロジャー「じゃあなぜ?」
ダストン「わからん。しかしロボットの中には今の司法制度をよく思ってない者もいる」
ロジャー「それで裁判を妨害していると」
ダストン「俺は機械の気持ちなんて考えたこともない」
ダストン「脳みその中を覗かれるメモリーでもあれば、話は別だがな」
ダストン「ロジャー、軍警察の名誉のためにこれだけは言っておく」
ダストン「最初から犯人に仕立てる気ならわざわざアンドロイドに証言させたりしない」
ダストン「人の記憶を見ることは無理でも、アンドロイドには視覚メモリーが残るからな」
ロジャー「つまりクライドの目撃証言は確かに本物だった……」
ロジャー「じゃあなぜ?」
ダストン「わからん。しかしロボットの中には今の司法制度をよく思ってない者もいる」
ロジャー「それで裁判を妨害していると」
ダストン「俺は機械の気持ちなんて考えたこともない」
ダストン「脳みその中を覗かれるメモリーでもあれば、話は別だがな」
22:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/01/14(月) 01:40:59.323 :vfLkdkew0.net
とある廃墟
シュバルツバルト「よく来たな……腐った街の飼い犬……」
ロジャー「シュバルツバルト!」
シュバルツバルト「お前が自らこの場所へ来ているようで、私もまたお前に会いに来た」
シュバルツバルト「記憶喪失とは精神疾患の一種なのだよ、ロジャー・スミス」
シュバルツバルト「この街に巣食う大いなる病。集団感染と言ってもいい」
とある廃墟
シュバルツバルト「よく来たな……腐った街の飼い犬……」
ロジャー「シュバルツバルト!」
シュバルツバルト「お前が自らこの場所へ来ているようで、私もまたお前に会いに来た」
シュバルツバルト「記憶喪失とは精神疾患の一種なのだよ、ロジャー・スミス」
シュバルツバルト「この街に巣食う大いなる病。集団感染と言ってもいい」
23:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/01/14(月) 01:43:44.782 :vfLkdkew0.net
シュバルツバルト「40年もの間、あの厚い灰色の雲は太陽と記憶とを覆い隠し続けた」
シュバルツバルト「そして私は人々の夢の中へと潜り込み、この街に40年前の真実を取り戻す」
ロジャー「夢の中に?ふざけるな!」
シュバルツバルト「DCミニは精神治療の新地平を照らす太陽の王子様だ」
ロジャー「夢を共有するメモリー、そのDCミニとやらをお前はどこで手に入れた」
シュバルツバルト「うん。必ずしも泥棒が悪いとはお地蔵様も言わなかった……」
シュバルツバルト「40年もの間、あの厚い灰色の雲は太陽と記憶とを覆い隠し続けた」
シュバルツバルト「そして私は人々の夢の中へと潜り込み、この街に40年前の真実を取り戻す」
ロジャー「夢の中に?ふざけるな!」
シュバルツバルト「DCミニは精神治療の新地平を照らす太陽の王子様だ」
ロジャー「夢を共有するメモリー、そのDCミニとやらをお前はどこで手に入れた」
シュバルツバルト「うん。必ずしも泥棒が悪いとはお地蔵様も言わなかった……」
24:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/01/14(月) 01:45:06.649 :vfLkdkew0.net
シュバルツバルト「パプリカのビキニより、DCミニの回収に漕ぎ出すことが幸せの秩序です」
シュバルツバルト「五人官女だってです」
シュバルツバルト「カエルたちの笛や太鼓に合わせて、回収中の不燃ゴミが吹き出してくる様は圧巻で」
シュバルツバルト「まるでコンピューター・グラフィックスなんだ、それが」
シュバルツバルト「総天然色の青春グラフィティや一億総プチブルを私が許さないことくらい」
シュバルツバルト「オセアニアじゃあ常識なんだよ」
シュバルツバルト「パプリカのビキニより、DCミニの回収に漕ぎ出すことが幸せの秩序です」
シュバルツバルト「五人官女だってです」
シュバルツバルト「カエルたちの笛や太鼓に合わせて、回収中の不燃ゴミが吹き出してくる様は圧巻で」
シュバルツバルト「まるでコンピューター・グラフィックスなんだ、それが」
シュバルツバルト「総天然色の青春グラフィティや一億総プチブルを私が許さないことくらい」
シュバルツバルト「オセアニアじゃあ常識なんだよ」
25:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/01/14(月) 01:46:13.509 :vfLkdkew0.net
シュバルツバルト「今こそ、青空に向かって凱旋だ!」
シュバルツバルト「絢爛たる紙吹雪は鳥居をくぐり、周波数を同じくするポストと冷蔵庫は先鋒をつかさどれ!」
シュバルツバルト「賞味期限を気にする無頼の輩は花電車の進む道に、さながらシミとなってはばかることはない!」
シュバルツバルト「思い知るがいい!三角定規たちの肝臓を!」
シュバルツバルト「さぁ!この祭典こそ、内なる小学3年生が決めた遙かなる望遠カメラ!」
シュバルツバルト「進め!集まれ!」
シュバルツバルト「私こそが、お代官様!」
シュバルツバルト「今こそ、青空に向かって凱旋だ!」
シュバルツバルト「絢爛たる紙吹雪は鳥居をくぐり、周波数を同じくするポストと冷蔵庫は先鋒をつかさどれ!」
シュバルツバルト「賞味期限を気にする無頼の輩は花電車の進む道に、さながらシミとなってはばかることはない!」
シュバルツバルト「思い知るがいい!三角定規たちの肝臓を!」
シュバルツバルト「さぁ!この祭典こそ、内なる小学3年生が決めた遙かなる望遠カメラ!」
シュバルツバルト「進め!集まれ!」
シュバルツバルト「私こそが、お代官様!」
26:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/01/14(月) 01:47:25.896 :vfLkdkew0.net
シュバルツバルト「――すぐだ」
シュバルツバルト「すぐにもだ」
シュバルツバルト「わたしを迎えいれるのだああああ」
シュバルツバルト「ハーッハッハッハッハッ!!」
シュバルツバルト「アーッハッハッハッハッハ!!!!」
シュバルツバルト「ああああああああああああああああああああ」
――――――――――――――――
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――――
――
シュバルツバルト「――すぐだ」
シュバルツバルト「すぐにもだ」
シュバルツバルト「わたしを迎えいれるのだああああ」
シュバルツバルト「ハーッハッハッハッハッ!!」
シュバルツバルト「アーッハッハッハッハッハ!!!!」
シュバルツバルト「ああああああああああああああああああああ」
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27:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/01/14(月) 01:48:37.838 :vfLkdkew0.net
ロジャー「――ああっ!?」ガバッ
(ロジャーはベッドの上にいた)
ロジャー「ハアハアハア……」
ロジャー「……」
ロジャー「――ああっ!?」ガバッ
(ロジャーはベッドの上にいた)
ロジャー「ハアハアハア……」
ロジャー「……」
28:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/01/14(月) 01:49:07.604 :yre/wpqf0.net
すげえ面白い
29:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/01/14(月) 01:50:31.277 :vfLkdkew0.net
ロジャー邸
ノーマン「おはようございます、ロジャー様」
ロジャー「ああ、おはよう」パサッ
(新聞を広げる)
ロジャー「気分の悪い朝だと思っていたが、どうやらそうでもないらしい」
ロジャー「見てみろ。連日のデモで市民の大集団がメインドームの中にまで押し寄せている」
ノーマン「本日のご予定ですが例の交渉の続きの他、パラダイム社より社長名で仕事の依頼が来ております」
ノーマン「至急本社ドームまで、とのことです」
ロジャー「……この写真の場所へ?」
ノーマン「はい」
ロジャー邸
ノーマン「おはようございます、ロジャー様」
ロジャー「ああ、おはよう」パサッ
(新聞を広げる)
ロジャー「気分の悪い朝だと思っていたが、どうやらそうでもないらしい」
ロジャー「見てみろ。連日のデモで市民の大集団がメインドームの中にまで押し寄せている」
ノーマン「本日のご予定ですが例の交渉の続きの他、パラダイム社より社長名で仕事の依頼が来ております」
ノーマン「至急本社ドームまで、とのことです」
ロジャー「……この写真の場所へ?」
ノーマン「はい」
30:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/01/14(月) 01:54:25.216 :vfLkdkew0.net
パラダイム本社
ロジャー「突然呼び出して何の用だ。ここに来るのも一苦労だった」
アレックス「なに、外のデモ隊に帰るよう交渉でもしてもらおうかと思ってね。もちろん無条件で」
ロジャー「そんなのは交渉じゃない。仮に交渉する気があったとして、私には別の仕事が入っている」
アレックス「ほう」
ロジャー「あなたもよくご存じのはず」
ロジャー「検察官も裁判官もアリバイの有無だけでは犯人を特定できないと考えるのが普通だ。何か特別な力でも働かない限り」
パラダイム本社
ロジャー「突然呼び出して何の用だ。ここに来るのも一苦労だった」
アレックス「なに、外のデモ隊に帰るよう交渉でもしてもらおうかと思ってね。もちろん無条件で」
ロジャー「そんなのは交渉じゃない。仮に交渉する気があったとして、私には別の仕事が入っている」
アレックス「ほう」
ロジャー「あなたもよくご存じのはず」
ロジャー「検察官も裁判官もアリバイの有無だけでは犯人を特定できないと考えるのが普通だ。何か特別な力でも働かない限り」
31:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/01/14(月) 01:57:04.481 :vfLkdkew0.net
アレックス「今どんな案件を抱えているのかは知らないが、その物言いは心外だ」
アレックス「君はモンテスキューを知っているかな?」
アレックス「いいや、聞くだけ無駄だったね。彼は君たちの知らない過去のメモリーだ」
ロジャー「何が言いたい」
アレックス「僕は司法に口を出せる立場じゃない」
ロジャー「建前上はな……」
アレックス「まあいい。あのバカ騒ぎもしばらくすれば収まる」
アレックス「依頼は受けてくれないそうだ。安全に帰れるよう外までお見送りしてあげなさい」
エンジェル「はい」
ロジャー「……」
アレックス「今どんな案件を抱えているのかは知らないが、その物言いは心外だ」
アレックス「君はモンテスキューを知っているかな?」
アレックス「いいや、聞くだけ無駄だったね。彼は君たちの知らない過去のメモリーだ」
ロジャー「何が言いたい」
アレックス「僕は司法に口を出せる立場じゃない」
ロジャー「建前上はな……」
アレックス「まあいい。あのバカ騒ぎもしばらくすれば収まる」
アレックス「依頼は受けてくれないそうだ。安全に帰れるよう外までお見送りしてあげなさい」
エンジェル「はい」
ロジャー「……」
32:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/01/14(月) 02:00:14.430 :vfLkdkew0.net
(窓の外には大勢の人がうごめいている)
エンジェル「かつてない盛り上がりね」
エンジェル「パラダイムの思惑とは裏腹にホームレス殺人事件で堰を切ったように人権運動が勢いを増した」
エンジェル「これまで触れられなかったドーム外の実情まで新聞は報じてるわ」
ロジャー「パラダイムプレス、この街唯一の新聞社にして最大のメディア」
ロジャー「とはいえアレックスの息がかかった報道機関だ。たかが知れてる」
エンジェル「マイクル・ゼーバッハ、彼ならどんな記事を書いたかしら」
ロジャー「奴が今どこにいるか知ってるか?」
エンジェル「いいえ」
ロジャー「わざわざ人込みの中来たものの、これといった収穫なしか……」
(窓の外には大勢の人がうごめいている)
エンジェル「かつてない盛り上がりね」
エンジェル「パラダイムの思惑とは裏腹にホームレス殺人事件で堰を切ったように人権運動が勢いを増した」
エンジェル「これまで触れられなかったドーム外の実情まで新聞は報じてるわ」
ロジャー「パラダイムプレス、この街唯一の新聞社にして最大のメディア」
ロジャー「とはいえアレックスの息がかかった報道機関だ。たかが知れてる」
エンジェル「マイクル・ゼーバッハ、彼ならどんな記事を書いたかしら」
ロジャー「奴が今どこにいるか知ってるか?」
エンジェル「いいえ」
ロジャー「わざわざ人込みの中来たものの、これといった収穫なしか……」
33:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/01/14(月) 02:02:42.162 :vfLkdkew0.net
イーストタウン
クライド「失礼ながらあなたのことを少し調べさせてもらいました、ネゴシエイター」
クライド「そして信用に足る人物だということが判ったのでこのメモリーを渡します」カチャッ
(クライドは頭部からメモリーカードを取り出す)
ロジャー「ありがとう。これで裁判は公正に行われる」
ボニー「どうでしょうね。結局は検察の時のように信じてもらえないのがオチです」
クライド「しかしボニー……」
イーストタウン
クライド「失礼ながらあなたのことを少し調べさせてもらいました、ネゴシエイター」
クライド「そして信用に足る人物だということが判ったのでこのメモリーを渡します」カチャッ
(クライドは頭部からメモリーカードを取り出す)
ロジャー「ありがとう。これで裁判は公正に行われる」
ボニー「どうでしょうね。結局は検察の時のように信じてもらえないのがオチです」
クライド「しかしボニー……」
34:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/01/14(月) 02:05:12.018 :vfLkdkew0.net
ボニー「回路で思考するアンドロイドがどうやって機械の身体を抜け出せるんですか」
ロジャー「……」
クライド「ネゴシエイター、このメモリーに映っている真実に驚かないでください」
クライド「あの夜、私の身体はこの家に居たんです。そして誰もいない廃工場にも確かに行きました」
クライド「幽体離脱……とでも言うのでしょうか」
ボニー「回路で思考するアンドロイドがどうやって機械の身体を抜け出せるんですか」
ロジャー「……」
クライド「ネゴシエイター、このメモリーに映っている真実に驚かないでください」
クライド「あの夜、私の身体はこの家に居たんです。そして誰もいない廃工場にも確かに行きました」
クライド「幽体離脱……とでも言うのでしょうか」
35:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/01/14(月) 02:07:41.486 :vfLkdkew0.net
ロジャー邸
ロジャー「……」
(ロジャーの見つめる画面にはクライドの視覚メモリーが再生されている)
クライド『……』
(クライドの視覚メモリー)
R・クライドは自室に居ながら、しかし10マイル離れた工場の中を見たという。
そしてその証拠が、このメモリーの中にあるのだと……
ロジャー邸
ロジャー「……」
(ロジャーの見つめる画面にはクライドの視覚メモリーが再生されている)
クライド『……』
(クライドの視覚メモリー)
R・クライドは自室に居ながら、しかし10マイル離れた工場の中を見たという。
そしてその証拠が、このメモリーの中にあるのだと……
36:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/01/14(月) 02:09:48.801 :vfLkdkew0.net
軍警察 署内
ロジャー「ダストン、なぜ弁護人はクライドの視覚メモリーにこだわると思う?」
ダストン「……アンドロイドも俺たち人間のように嘘をつくことだってある」
ダストン「だが記憶違いはしない。証言台に立たせるよりメモリーを提出させた方が確実なんだろうよ」
ロジャー「アンドロイドの言葉には、何の価値もない……」
ダストン「司法に関わる人間なら誰だってそう思うさ」
軍警察 署内
ロジャー「ダストン、なぜ弁護人はクライドの視覚メモリーにこだわると思う?」
ダストン「……アンドロイドも俺たち人間のように嘘をつくことだってある」
ダストン「だが記憶違いはしない。証言台に立たせるよりメモリーを提出させた方が確実なんだろうよ」
ロジャー「アンドロイドの言葉には、何の価値もない……」
ダストン「司法に関わる人間なら誰だってそう思うさ」
37:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/01/14(月) 02:11:12.323 :vfLkdkew0.net
ロジャー邸
ロジャー「……」
(ロジャーは画面を見続ける)
クライド『……』
(クライドの視覚メモリー)
(その映像には本来映るはずない“横たわるクライド自身”の姿が)
ロジャー「……」
ロジャー邸
ロジャー「……」
(ロジャーは画面を見続ける)
クライド『……』
(クライドの視覚メモリー)
(その映像には本来映るはずない“横たわるクライド自身”の姿が)
ロジャー「……」
38:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/01/14(月) 02:13:11.259 :vfLkdkew0.net
いつものバー SPEAKEASY
ビッグイヤー「魂の重さを知っているかい、ミスター・ネゴシエイター」
ロジャー「君が私に道徳を説くつもりか?」
ビッグイヤー「小言じゃあないさ。21グラム」
ビッグイヤー「40年前失われた研究には、人が死ぬ前後でそれだけ体重が減っていたという報告があったそうだよ」
ビッグイヤー「アンドロイドにもそれが有ると思うかね? 21グラム」
いつものバー SPEAKEASY
ビッグイヤー「魂の重さを知っているかい、ミスター・ネゴシエイター」
ロジャー「君が私に道徳を説くつもりか?」
ビッグイヤー「小言じゃあないさ。21グラム」
ビッグイヤー「40年前失われた研究には、人が死ぬ前後でそれだけ体重が減っていたという報告があったそうだよ」
ビッグイヤー「アンドロイドにもそれが有ると思うかね? 21グラム」
39:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/01/14(月) 02:16:03.180 :vfLkdkew0.net
ロジャー邸
♪~♪~♪~
ドロシー「……」
(ドロシーがピアノを弾いている)
ロジャー「……」
(ロジャーはその音色を聴きながら窓辺にたたずむ)
ロジャー「ドロシー、君たちアンドロイドもその……夢を見るか?」
ドロシー「夢。希望のこと?」
ロジャー「いや、そうじゃなくて……」
ドロシー「あたしたちだって眠ることはある。でもそれは機能が停止しているだけ」
ドロシー「人とは別のものよ」
ロジャー「……ありがとう」
ロジャー邸
♪~♪~♪~
ドロシー「……」
(ドロシーがピアノを弾いている)
ロジャー「……」
(ロジャーはその音色を聴きながら窓辺にたたずむ)
ロジャー「ドロシー、君たちアンドロイドもその……夢を見るか?」
ドロシー「夢。希望のこと?」
ロジャー「いや、そうじゃなくて……」
ドロシー「あたしたちだって眠ることはある。でもそれは機能が停止しているだけ」
ドロシー「人とは別のものよ」
ロジャー「……ありがとう」
40:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/01/14(月) 02:18:43.025 :vfLkdkew0.net
ここは記憶喪失の街。人とアンドロイドは共にメモリーを失い、ここで生活している。
だが機械にわずか21グラムの重さを与えてやれる者は、もうこの街にはいない……
ここは記憶喪失の街。人とアンドロイドは共にメモリーを失い、ここで生活している。
だが機械にわずか21グラムの重さを与えてやれる者は、もうこの街にはいない……
41:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/01/14(月) 02:23:05.490 :vfLkdkew0.net
イーストタウン
クライド「どうでしたか、ロジャー・スミス」
ロジャー「確かに君は幽体離脱をしていたし、あの夜工場の中には誰もいなかった」
ロジャー「離脱の始めと終わりの2回、魂が見た君自身の姿もメモリーにちゃんと残されている」
クライド「でしょうね」
ロジャー「ただ一つ気になることがある。身体を抜け出した君は何故あのスクラップ工場へ行った?」
ロジャー「ドームの外とは縁遠い一流マネージャーの君が、どうして?」
クライド「聞かれると思いました」
クライド「40年前……私はあのスクラップ工場のガラクタの中で目を覚ましたんです……」
ロジャー「あっ――」
イーストタウン
クライド「どうでしたか、ロジャー・スミス」
ロジャー「確かに君は幽体離脱をしていたし、あの夜工場の中には誰もいなかった」
ロジャー「離脱の始めと終わりの2回、魂が見た君自身の姿もメモリーにちゃんと残されている」
クライド「でしょうね」
ロジャー「ただ一つ気になることがある。身体を抜け出した君は何故あのスクラップ工場へ行った?」
ロジャー「ドームの外とは縁遠い一流マネージャーの君が、どうして?」
クライド「聞かれると思いました」
クライド「40年前……私はあのスクラップ工場のガラクタの中で目を覚ましたんです……」
ロジャー「あっ――」
42:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/01/14(月) 02:26:27.456 :vfLkdkew0.net
クライド「スクラップ工場にアンドロイド。これがどういうことだか解りますか?」
クライド「40年前、私は誰からも必要とされていなかった……」
クライド「世界を一変させた何かが無ければ、とうに処分された存在なんですよ」
クライド「私はパラダイムシティで地位を築きました、ボニーと一緒に」
クライド「しかしそれは、この街のメモリーと引き換えにつかんだ成功でしかない」
クライド「……人を憎んでいるわけではありません」
クライド「けれども時折り、私の持っている一番最初の記憶が、私の心をあの場所へ向かわせるのです……」
ロジャー「……」
クライド「スクラップ工場にアンドロイド。これがどういうことだか解りますか?」
クライド「40年前、私は誰からも必要とされていなかった……」
クライド「世界を一変させた何かが無ければ、とうに処分された存在なんですよ」
クライド「私はパラダイムシティで地位を築きました、ボニーと一緒に」
クライド「しかしそれは、この街のメモリーと引き換えにつかんだ成功でしかない」
クライド「……人を憎んでいるわけではありません」
クライド「けれども時折り、私の持っている一番最初の記憶が、私の心をあの場所へ向かわせるのです……」
ロジャー「……」
43:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/01/14(月) 02:29:24.619 :vfLkdkew0.net
ロジャー邸
リック「アンドロイドは記録装置なんだぞ!」
リック「こんな映像なら無い方がましだ!」
ロジャー「依頼通りクライドの視覚メモリーは手に入れた」
ロジャー「あとはそちらの仕事だ」
リック「うーむ……」
おそらく検察は幽体などというオカルトを公式の裁判に持ち込むことを嫌ったのだ。
あるいはそれが“アンドロイドの”であることを認めたくなかったのか……
ロジャー邸
リック「アンドロイドは記録装置なんだぞ!」
リック「こんな映像なら無い方がましだ!」
ロジャー「依頼通りクライドの視覚メモリーは手に入れた」
ロジャー「あとはそちらの仕事だ」
リック「うーむ……」
おそらく検察は幽体などというオカルトを公式の裁判に持ち込むことを嫌ったのだ。
あるいはそれが“アンドロイドの”であることを認めたくなかったのか……
44:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/01/14(月) 02:31:37.784 :vfLkdkew0.net
とある廃墟
エンジェル「仕事は終わったの?」
ロジャー「終わっても君の上司の依頼なら受けないぞ」
エンジェル「聞きたいでしょ?あなたが知りたがってたこと」
ロジャー「居場所がわかったのか」
エンジェル「正確には、もうどこにもいないと言った方がいいかしら」
ロジャー「つまりシュバルツバルトはすでに死んでいる……?」
エンジェル「ええ、彼の遺体が見つかったの」
ロジャー「――バカな!ついこの間も私は奴と会って話をしたんだぞ!?」
エンジェル「“あなたの夢の中”でね」
ロジャー「……」
とある廃墟
エンジェル「仕事は終わったの?」
ロジャー「終わっても君の上司の依頼なら受けないぞ」
エンジェル「聞きたいでしょ?あなたが知りたがってたこと」
ロジャー「居場所がわかったのか」
エンジェル「正確には、もうどこにもいないと言った方がいいかしら」
ロジャー「つまりシュバルツバルトはすでに死んでいる……?」
エンジェル「ええ、彼の遺体が見つかったの」
ロジャー「――バカな!ついこの間も私は奴と会って話をしたんだぞ!?」
エンジェル「“あなたの夢の中”でね」
ロジャー「……」
45:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/01/14(月) 02:33:09.418 :vfLkdkew0.net
パラダイム本社
アレックス「優秀な新聞記者も、真実の探求者も、最期はあっけない」
アレックス「皮肉だね。名もなき落伍者として、メモリーだけの存在になってからの方が市民を動かす力がある」
(アレックスは本社ドームに押し寄せるデモ隊を見下ろした)
パラダイム本社
アレックス「優秀な新聞記者も、真実の探求者も、最期はあっけない」
アレックス「皮肉だね。名もなき落伍者として、メモリーだけの存在になってからの方が市民を動かす力がある」
(アレックスは本社ドームに押し寄せるデモ隊を見下ろした)
46:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/01/14(月) 02:36:02.900 :vfLkdkew0.net
ロジャー邸
ロジャー「夢……」
クライド『……』
(ロジャーは再びクライドの視覚メモリーを見ている)
ドロシー「ただいま」
ロジャー「ああ、おかえり」ピッ
(映像を一時停止する)
ロジャー邸
ロジャー「夢……」
クライド『……』
(ロジャーは再びクライドの視覚メモリーを見ている)
ドロシー「ただいま」
ロジャー「ああ、おかえり」ピッ
(映像を一時停止する)
47:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/01/14(月) 02:40:07.078 :vfLkdkew0.net
ロジャー「見たところ手ぶらだが……何も買わなかったのか?」
ロジャー「仕立て屋に行ったわけでもあるまい」
ドロシー「ええ。ちょうどサイズの合う赤い靴があったのだけれど」
ロジャー「なら買ってくればいい」
ドロシー「街に売ってる靴では、機械でできたあたしの重さにどうせ耐えられないもの」
ロジャー「……」
ロジャー「21グラム有ろうが有るまいが、間違いなく君はR・ドロシーだ」
ドロシー「何、それ」
ロジャー「見たところ手ぶらだが……何も買わなかったのか?」
ロジャー「仕立て屋に行ったわけでもあるまい」
ドロシー「ええ。ちょうどサイズの合う赤い靴があったのだけれど」
ロジャー「なら買ってくればいい」
ドロシー「街に売ってる靴では、機械でできたあたしの重さにどうせ耐えられないもの」
ロジャー「……」
ロジャー「21グラム有ろうが有るまいが、間違いなく君はR・ドロシーだ」
ドロシー「何、それ」
48:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/01/14(月) 02:43:11.037 :vfLkdkew0.net
ロジャー「いいや、こっちの話さ」ピッ
(ロジャーはクライドの視覚メモリーを再生させる)
ドロシー「……」
ドロシー「……眼鏡が違ったわ」
ロジャー「え?」
ドロシー「眼鏡の位置」
ロジャー「クライドは確かモノクルを左目に付けていた……」
ロジャー「だがこの映像のクライドは――」
クライド『……』
(画面の中のクライドは右目にモノクルを装着している)
ロジャー「いいや、こっちの話さ」ピッ
(ロジャーはクライドの視覚メモリーを再生させる)
ドロシー「……」
ドロシー「……眼鏡が違ったわ」
ロジャー「え?」
ドロシー「眼鏡の位置」
ロジャー「クライドは確かモノクルを左目に付けていた……」
ロジャー「だがこの映像のクライドは――」
クライド『……』
(画面の中のクライドは右目にモノクルを装着している)
49:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/01/14(月) 02:45:14.573 :vfLkdkew0.net
走るグリフォンの車内
ロジャー「……」
ドロシー「……」
とある新聞記者のコラム「想像と記憶は一つのものであって、ただ呼び方が違っているだけである」
仮にこの言葉が真実なら、イマジネーションからメモリーを構築することも出来るはずだ。
たとえそれが、機械仕掛けのアンドロイドであろうと……
走るグリフォンの車内
ロジャー「……」
ドロシー「……」
とある新聞記者のコラム「想像と記憶は一つのものであって、ただ呼び方が違っているだけである」
仮にこの言葉が真実なら、イマジネーションからメモリーを構築することも出来るはずだ。
たとえそれが、機械仕掛けのアンドロイドであろうと……
50:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/01/14(月) 02:47:54.980 :vfLkdkew0.net
軍警察 署内
ジリリリリリリリリーーーーーン ジリリリリリリリリーーーーーン
(電話がたくさん鳴っている)
部下1「ドーム内外から自動車の強盗、窃盗の被害報告が相次いでます――!」
部下2「局地的に濃い霧が発生してる模様――!」
部下3「濃霧に乗じて拘置所が襲撃に遭い脱走者が――!」
ダストン「一体何がどうなってる」
ダストン「ええい!とにかく出動だ!」
部下4「だ、ダストン少佐!戦車もパトカーもありません……!」
ダストン「なに――!?」
軍警察 署内
ジリリリリリリリリーーーーーン ジリリリリリリリリーーーーーン
(電話がたくさん鳴っている)
部下1「ドーム内外から自動車の強盗、窃盗の被害報告が相次いでます――!」
部下2「局地的に濃い霧が発生してる模様――!」
部下3「濃霧に乗じて拘置所が襲撃に遭い脱走者が――!」
ダストン「一体何がどうなってる」
ダストン「ええい!とにかく出動だ!」
部下4「だ、ダストン少佐!戦車もパトカーもありません……!」
ダストン「なに――!?」
51:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/01/14(月) 02:51:01.758 :vfLkdkew0.net
イーストタウン
クライド「ロジャー・スミス。私の幽体離脱が偽物とはどういうことですか」
ロジャー「人は知らず知らずのうちに自分でメモリーを作り上げてしまう。アンドロイドもそれは例外じゃない」
ロジャー「君の幽体が見たとされる君自身の顔はその左右が逆だった」
ロジャー「つまり普段見慣れている鏡に映った自分の顔。自分だと思い込んでいる左右反転した顔」
ロジャー「現実と異なる部分がある以上、あの幽体メモリーは夢や妄想が生み出した虚像としか認めることはできない」
イーストタウン
クライド「ロジャー・スミス。私の幽体離脱が偽物とはどういうことですか」
ロジャー「人は知らず知らずのうちに自分でメモリーを作り上げてしまう。アンドロイドもそれは例外じゃない」
ロジャー「君の幽体が見たとされる君自身の顔はその左右が逆だった」
ロジャー「つまり普段見慣れている鏡に映った自分の顔。自分だと思い込んでいる左右反転した顔」
ロジャー「現実と異なる部分がある以上、あの幽体メモリーは夢や妄想が生み出した虚像としか認めることはできない」
52:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/01/14(月) 02:54:06.488 :vfLkdkew0.net
クライド「た、確かに……おっしゃる通りです……」
ボニー「やっぱりアンドロイドに魂なんてなかった、そういうことですね」
ロジャー「あの夜クライドが記録した映像、それを夢と呼ぶのかは判らない」
ロジャー「だが少なくとも錯覚できる心は持っている。それでいいじゃないですか」
ボニー「なるほど……錯覚できる心……」
ボニー「不思議ね、ある日クライドに幽体離脱の話を聞いてから私も同じように魂が抜けだすようになった……」
ボニー「……」カチャッ
(ボニーは頭部からメモリーカードを取り出す)
ロジャー「アンドロイド……!?」
ドロシー「……」
クライド「た、確かに……おっしゃる通りです……」
ボニー「やっぱりアンドロイドに魂なんてなかった、そういうことですね」
ロジャー「あの夜クライドが記録した映像、それを夢と呼ぶのかは判らない」
ロジャー「だが少なくとも錯覚できる心は持っている。それでいいじゃないですか」
ボニー「なるほど……錯覚できる心……」
ボニー「不思議ね、ある日クライドに幽体離脱の話を聞いてから私も同じように魂が抜けだすようになった……」
ボニー「……」カチャッ
(ボニーは頭部からメモリーカードを取り出す)
ロジャー「アンドロイド……!?」
ドロシー「……」
53:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/01/14(月) 02:56:04.628 :vfLkdkew0.net
ボニー「思えば、ずっと錯覚したかったのかもしれません。アンドロイドにも魂はある、演劇はできるのだと」
(ボニーは自分の視覚メモリーをモニターにつなぎ再生させる)
クライド「40年前、私とボニーはスクラップ工場で出会いました」
クライド「なぜ私たちが廃棄されなければならなかったのか誰も覚えていない」
クライド「ボニーは人として、女優として生きることを選び」
クライド「私はアンドロイドとして、そんな彼女をずっと支えてきたんです」
ボニー『……』
(映像には本来映るはずない“横たわるボニー自身”の姿が)
ロジャー「これは……」
ボニー「思えば、ずっと錯覚したかったのかもしれません。アンドロイドにも魂はある、演劇はできるのだと」
(ボニーは自分の視覚メモリーをモニターにつなぎ再生させる)
クライド「40年前、私とボニーはスクラップ工場で出会いました」
クライド「なぜ私たちが廃棄されなければならなかったのか誰も覚えていない」
クライド「ボニーは人として、女優として生きることを選び」
クライド「私はアンドロイドとして、そんな彼女をずっと支えてきたんです」
ボニー『……』
(映像には本来映るはずない“横たわるボニー自身”の姿が)
ロジャー「これは……」
54:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/01/14(月) 02:59:19.118 :vfLkdkew0.net
ドロシー「ロジャー」
ロジャー「ん?おかしい。ドームの中なのに霧が……」
(ドロシーに促され窓の外を見る)
ガシャーン
(愛車グリフォンは巨大なハサミに潰され霧の中へと消える)
ロジャー「ああっ、私の車がっ――!?」
ドロシー「ロジャー」
ロジャー「ん?おかしい。ドームの中なのに霧が……」
(ドロシーに促され窓の外を見る)
ガシャーン
(愛車グリフォンは巨大なハサミに潰され霧の中へと消える)
ロジャー「ああっ、私の車がっ――!?」
58:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/01/14(月) 03:07:49.962 :vfLkdkew0.net
ロジャー「その品のない金ピカのボディ……」
ロジャー「ベックか!?」
ベック「ご名答!」
ロジャー「その品のない金ピカのボディ……」
ロジャー「ベックか!?」
ベック「ご名答!」
59:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/01/14(月) 03:10:43.613 :vfLkdkew0.net
ベック「メガデウス造りには大量の金属を使う」
ベック「高級車だろうがアンドロイドだろうが、この街の鉄屑は全部いただくぜい!」
ダヴ「せっかく警備の厚い刑務所に入る前に助け出してあげたのよ」
ベック「何言ってる、今が好機だ。鉄屑どもを引っ掴まえろ!」
Tボーン「あらよっ」
ドロシー「……」
ボニー「っ――」
クライド「あっ、危ない……!」
ピキーーーーーン
ロジャー「ビッグオー!!!!」
ベック「メガデウス造りには大量の金属を使う」
ベック「高級車だろうがアンドロイドだろうが、この街の鉄屑は全部いただくぜい!」
ダヴ「せっかく警備の厚い刑務所に入る前に助け出してあげたのよ」
ベック「何言ってる、今が好機だ。鉄屑どもを引っ掴まえろ!」
Tボーン「あらよっ」
ドロシー「……」
ボニー「っ――」
クライド「あっ、危ない……!」
ピキーーーーーン
ロジャー「ビッグオー!!!!」
60:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/01/14(月) 03:13:48.199 :vfLkdkew0.net
ゴゴゴゴゴゴゴゴ
ビッグオー「……」
ベック「出たなメガデウス」
コックピット
(CAST IN THE NAME OF GOD)
(YE NOT GUILTY)
ロジャー「人がせっかく冤罪を立証してやるというのに、助け甲斐のない奴め」
ゴゴゴゴゴゴゴゴ
ビッグオー「……」
ベック「出たなメガデウス」
コックピット
(CAST IN THE NAME OF GOD)
(YE NOT GUILTY)
ロジャー「人がせっかく冤罪を立証してやるというのに、助け甲斐のない奴め」
61:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/01/14(月) 03:15:17.304 :vfLkdkew0.net
ベック「勘違いするなよ、こちとら余罪がごまんとある。はなからカラス野郎に期待なんかしてねえ」
ベック「スクラップ工場の改造が終わってしまえば交渉人はクビだ、クビ」
ロジャー「最初から裁判を長引かせることが狙いだったのか」
ベック「行けえ!クレージーゴン!」
ベック「俺は殺しはしねえ主義だけどなあ、根に持つタイプなんだよ!」
ベック「勘違いするなよ、こちとら余罪がごまんとある。はなからカラス野郎に期待なんかしてねえ」
ベック「スクラップ工場の改造が終わってしまえば交渉人はクビだ、クビ」
ロジャー「最初から裁判を長引かせることが狙いだったのか」
ベック「行けえ!クレージーゴン!」
ベック「俺は殺しはしねえ主義だけどなあ、根に持つタイプなんだよ!」
62:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/01/14(月) 03:18:17.472 :vfLkdkew0.net
クレージーゴン「……」ビーーーッ ビーーーーーッ
(クレージーゴンが頭部から光線を放つ)
ズバババ ズババババババババ
ビッグオー「……」
(両腕を盾にして突き進む)
ビッグオー「……」ブンッ
(ビッグオー殴りかかる)
ベック「おおっと」スカッ
(胴に両足を格納。しゃがんで攻撃を避ける)
クレージーゴン「……」ガンッ
(立ち上がって頭突き)
クレージーゴン「……」ビーーーッ ビーーーーーッ
(クレージーゴンが頭部から光線を放つ)
ズバババ ズババババババババ
ビッグオー「……」
(両腕を盾にして突き進む)
ビッグオー「……」ブンッ
(ビッグオー殴りかかる)
ベック「おおっと」スカッ
(胴に両足を格納。しゃがんで攻撃を避ける)
クレージーゴン「……」ガンッ
(立ち上がって頭突き)
63:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/01/14(月) 03:20:04.315 :vfLkdkew0.net
ベック「隙あり!」ガシッ
(巨大ハサミでビッグオーの頭を挟み潰す)
ビッグオー「……」ピキ ピキピキ
ベック「……おし、もう一息だ!」
ビッグオー「……」ガシッ
ベリベリベリベリ ガシャーン
(ゴンはビッグオーに右腕をもがれる)
クレージーゴン「……」プシューッ プシューッ
ガタガタガタ ガタガタガタガタ
(頭から煙を噴き上げ暴れだす)
ガシーーーーーン
(ビッグオー右腕のサドンインパクトが引かれる)
ベック「隙あり!」ガシッ
(巨大ハサミでビッグオーの頭を挟み潰す)
ビッグオー「……」ピキ ピキピキ
ベック「……おし、もう一息だ!」
ビッグオー「……」ガシッ
ベリベリベリベリ ガシャーン
(ゴンはビッグオーに右腕をもがれる)
クレージーゴン「……」プシューッ プシューッ
ガタガタガタ ガタガタガタガタ
(頭から煙を噴き上げ暴れだす)
ガシーーーーーン
(ビッグオー右腕のサドンインパクトが引かれる)
64:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/01/14(月) 03:23:08.922 :vfLkdkew0.net
Tボーン「あ、兄貴~!?」
ベック「こうなりゃ毒を食らわば皿まで……」
ベック「技を食らわば腕までってな!」
クレージーゴン「……」ガラガラガラ ガブッ
(シャッターを開けビッグオーの右手に噛り付く)
ベック「どんなメガデウス相手でもこいつにかかれば餌に早変わりって寸法よ」
ダヴ「なるほど~!食べちゃえばよかったのね!」
ガガ
ベック「あ?」
Tボーン「あ、兄貴~!?」
ベック「こうなりゃ毒を食らわば皿まで……」
ベック「技を食らわば腕までってな!」
クレージーゴン「……」ガラガラガラ ガブッ
(シャッターを開けビッグオーの右手に噛り付く)
ベック「どんなメガデウス相手でもこいつにかかれば餌に早変わりって寸法よ」
ダヴ「なるほど~!食べちゃえばよかったのね!」
ガガ
ベック「あ?」
65:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/01/14(月) 03:25:10.816 :vfLkdkew0.net
ガガガガガガガガ
ベック「ダメだ、硬すぎる――!」
ロジャー「所詮はガラクタの寄せ集めか」
ロジャー「バイバイ!ポンコツロボ!」
ダーーーーーーーーーーンッ プシューーーーーッ
(クレージーゴンはサドンインパクトの衝撃に貫かれ大破する)
ドッカーーーーーーーーーーン
Tボーン「」
ダヴ「」
ベック「ちきしょぅ……俺の……ロボット…………」
ガガガガガガガガ
ベック「ダメだ、硬すぎる――!」
ロジャー「所詮はガラクタの寄せ集めか」
ロジャー「バイバイ!ポンコツロボ!」
ダーーーーーーーーーーンッ プシューーーーーッ
(クレージーゴンはサドンインパクトの衝撃に貫かれ大破する)
ドッカーーーーーーーーーーン
Tボーン「」
ダヴ「」
ベック「ちきしょぅ……俺の……ロボット…………」
66:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/01/14(月) 03:28:54.756 :vfLkdkew0.net
ゴゴゴゴゴ
ビッグオー「……」
(地下へ帰っていく)
ダストン「くそっ、一足遅かったか……」
(ダストンは自転車にまたがっていた)
ゴゴゴゴゴ
ビッグオー「……」
(地下へ帰っていく)
ダストン「くそっ、一足遅かったか……」
(ダストンは自転車にまたがっていた)
67:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/01/14(月) 03:31:38.587 :vfLkdkew0.net
ロジャー「お怪我はありませんか」
クライド「ええ」
クライド「あの工場を叩き壊してもらって私たちの心も少しは晴れました」
ボニー「……スミスさん、最初からわかっていたことです。アンドロイドに魂はありません」
ボニー「人の真似をするだけの存在。遂にわたしも本物の女優にはなれませんでした」
ボニー「一体わたしはなんのために生まれてきたんでしょう。細部まで人間の女そっくりに作られて」
ボニー「40年以上昔、私は愛されていたのかしら……」
ドロシー「……」
ロジャー「お怪我はありませんか」
クライド「ええ」
クライド「あの工場を叩き壊してもらって私たちの心も少しは晴れました」
ボニー「……スミスさん、最初からわかっていたことです。アンドロイドに魂はありません」
ボニー「人の真似をするだけの存在。遂にわたしも本物の女優にはなれませんでした」
ボニー「一体わたしはなんのために生まれてきたんでしょう。細部まで人間の女そっくりに作られて」
ボニー「40年以上昔、私は愛されていたのかしら……」
ドロシー「……」
68:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/01/14(月) 03:35:09.586 :vfLkdkew0.net
ボニー「でも結局ガラクタ同然に捨てられた哀れなアンドロイド」
ボニー「本当に女優失格ね……こんな気持ちなのに涙も流せない……」
ロジャー「いいや、あなたは女優だ」
ロジャー「さっき見せてくれたメモリーの中で、ボニー・パーカーの顔は左右が正しかった」
ロジャー「自分が人からどう見られるかをあなたは知っている。それが、それこそが女優である証」
ボニー「あっ――」
クライド「ボニー……!」
ボニー「クライド、私たちの夢はちゃんと叶ってたのね……」
ボニー「でも結局ガラクタ同然に捨てられた哀れなアンドロイド」
ボニー「本当に女優失格ね……こんな気持ちなのに涙も流せない……」
ロジャー「いいや、あなたは女優だ」
ロジャー「さっき見せてくれたメモリーの中で、ボニー・パーカーの顔は左右が正しかった」
ロジャー「自分が人からどう見られるかをあなたは知っている。それが、それこそが女優である証」
ボニー「あっ――」
クライド「ボニー……!」
ボニー「クライド、私たちの夢はちゃんと叶ってたのね……」
69:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/01/14(月) 03:38:12.677 :vfLkdkew0.net
ロジャー邸
リック「でかしたぞネゴシエイター!」
リック「アンドロイドの記録機能が完璧なものでなかったとは」
リック「これで今度の公判を有利に進められる」
(リックは大喜びで帰っていった)
ロジャー「……」
結局殺人事件の真相はわからずじまいだったが、
ともかくベックも死刑だけは免れるだろう。
脱獄し、罪を増やしてまた檻へ。犯罪者の鑑のような男。
奴のために働くのは、二度とごめんだ。
ロジャー邸
リック「でかしたぞネゴシエイター!」
リック「アンドロイドの記録機能が完璧なものでなかったとは」
リック「これで今度の公判を有利に進められる」
(リックは大喜びで帰っていった)
ロジャー「……」
結局殺人事件の真相はわからずじまいだったが、
ともかくベックも死刑だけは免れるだろう。
脱獄し、罪を増やしてまた檻へ。犯罪者の鑑のような男。
奴のために働くのは、二度とごめんだ。
70:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/01/14(月) 03:41:05.150 :vfLkdkew0.net
ロジャー邸
ドロシー「……」
(ドロシーがいつもの服装で姿見の前に立っている)
ロジャー「幽体離脱のトリックを見破ったのは君のお手柄だった」
ロジャー「しかしボニーの正体に気付けなかったのは意外だ」
ロジャー「R・ドロシー・ウェインライトなら、相手がアンドロイドかどうかくらい一目で判るんじゃないのか?」
ロジャー邸
ドロシー「……」
(ドロシーがいつもの服装で姿見の前に立っている)
ロジャー「幽体離脱のトリックを見破ったのは君のお手柄だった」
ロジャー「しかしボニーの正体に気付けなかったのは意外だ」
ロジャー「R・ドロシー・ウェインライトなら、相手がアンドロイドかどうかくらい一目で判るんじゃないのか?」
71:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/01/14(月) 03:45:02.624 :vfLkdkew0.net
ドロシー「人間のロジャーも、ボニーが人じゃないとは判らなかった」
ロジャー「なっ…… た、確かにそうではあるが――」
ドロシー「……」
ロジャー「うん……」
ドロシー「人間のロジャーも、ボニーが人じゃないとは判らなかった」
ロジャー「なっ…… た、確かにそうではあるが――」
ドロシー「……」
ロジャー「うん……」
72:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/01/14(月) 03:49:10.075 :vfLkdkew0.net
ロジャー「にしてもどうしてこう先が読めないんだ、このアンドロイドは」
ロジャー「だいたい買い物のときだってそうだ。普通何かしら買ってくるものだろ」
ロジャー「靴がダメなら洋服を買えばいい!」
ドロシー「あの色だと、気に入ったデザインがそれしかなかったの」
ロジャー「あの色って……黒以外の?」
ドロシー「黒以外の」
ロジャー「……君には21グラム以上あっても驚かない」
(ロジャーは片手で頭を抱え呆れ果てる)
ドロシー「だから何、それ」
We have come to terms
ロジャー「にしてもどうしてこう先が読めないんだ、このアンドロイドは」
ロジャー「だいたい買い物のときだってそうだ。普通何かしら買ってくるものだろ」
ロジャー「靴がダメなら洋服を買えばいい!」
ドロシー「あの色だと、気に入ったデザインがそれしかなかったの」
ロジャー「あの色って……黒以外の?」
ドロシー「黒以外の」
ロジャー「……君には21グラム以上あっても驚かない」
(ロジャーは片手で頭を抱え呆れ果てる)
ドロシー「だから何、それ」
We have come to terms
73:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/01/14(月) 03:51:06.517 :vfLkdkew0.net
76:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/01/14(月) 04:00:55.927 :vfLkdkew0.net
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, = 、ニ  ̄ ̄: : : : : :  ̄ ̄ ニ =-、
/: : : : ヽ r‐┐____ .r‐‐v'´: : : : :ヽ
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ミ└---‐,= ' = 二 ` 、ミ ヽ、. ‐--┘
彡`─ 7: : / ´ 丶 ヽ: : :r─ '
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彡 |.: : l | 〃 !! ! ! : :!
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彡 ト、: : 丶 ヽ、 __ - ' /○: 亅
彡 | ヽ、_ ` 、 ___ ,. イ: : : : 彳:|
ジリリリリリリリリーーーーーン
ジリリリリリリリリ
ガチャッ
黒電話「Sentence Spring」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1457357604/
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77:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/01/14(月) 04:02:51.490 :A5bhuaok0.net
やるじゃん
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