1:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/01/23(水) 07:35:21.262 :qbdIXhHxp.net
街道筋、と云っても少し外れて仕舞えば山中と
変わりはない。
とある武家の下女である『まつ』は、主人に
他家への言伝を頼まれ、その手紙を持って街道を
下っていた。途中、喉が渇いて飲んだ生水が良く
なかったのか、歩いているうちに腹痛が酷く
なっていた。懐中に丸薬などは携帯しておらず、
次の水茶屋までは保ちそうに無い。
まつは、観念をして辺りを見廻すと急いで
街道脇へと入って行った。
街道筋、と云っても少し外れて仕舞えば山中と
変わりはない。
とある武家の下女である『まつ』は、主人に
他家への言伝を頼まれ、その手紙を持って街道を
下っていた。途中、喉が渇いて飲んだ生水が良く
なかったのか、歩いているうちに腹痛が酷く
なっていた。懐中に丸薬などは携帯しておらず、
次の水茶屋までは保ちそうに無い。
まつは、観念をして辺りを見廻すと急いで
街道脇へと入って行った。
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2:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/01/23(水) 07:35:48.637 :qbdIXhHxp.net
「ああ、生水など飲むものではない」
充分街道から離れた所で用を足し、街道へ
戻ろうとした所である。浪人風の男が三人ほど
その行く手を阻んでいた。
男どもに囲われた事より用便を視られたのでは
ないかという羞恥から、まつは早足で男どもの
間を摺り抜けようとした。
「ごめんくださりましょう…」
男のうち、比較的短躯な浪人が横を過ぎていく
まつの肩を掴んだ。
「其方(そのほう)、具合が悪そうじゃ。
我等が診て進ぜよう」
「ああ、生水など飲むものではない」
充分街道から離れた所で用を足し、街道へ
戻ろうとした所である。浪人風の男が三人ほど
その行く手を阻んでいた。
男どもに囲われた事より用便を視られたのでは
ないかという羞恥から、まつは早足で男どもの
間を摺り抜けようとした。
「ごめんくださりましょう…」
男のうち、比較的短躯な浪人が横を過ぎていく
まつの肩を掴んだ。
「其方(そのほう)、具合が悪そうじゃ。
我等が診て進ぜよう」
3:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/01/23(水) 07:36:20.627 :qbdIXhHxp.net
くくく、と笑いながら肩を掴んだままである。
慇懃な口振りであったが、この連中がどの様な
者共であるかは問われるまでも無い。
「おゆるしくださりませ」
「許すも何も…ふふふ。
我等は其方を案じておるだけよ」
今度は長身の男が言った。
こうなると街道からも離れ、人影もない場所で
ある。もうまつの前途は定まったも同然であった。
「ど、誰方か、お助けを」
まつは男の手を振り払うと、悲鳴を上げ忘我して
逃げだした。
くくく、と笑いながら肩を掴んだままである。
慇懃な口振りであったが、この連中がどの様な
者共であるかは問われるまでも無い。
「おゆるしくださりませ」
「許すも何も…ふふふ。
我等は其方を案じておるだけよ」
今度は長身の男が言った。
こうなると街道からも離れ、人影もない場所で
ある。もうまつの前途は定まったも同然であった。
「ど、誰方か、お助けを」
まつは男の手を振り払うと、悲鳴を上げ忘我して
逃げだした。
4:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/01/23(水) 07:36:44.157 :qbdIXhHxp.net
「ははは、待て待て小娘」
男どもは戯れ合うように、次第にまつを街道
から離れるように追い詰めていった。その時で
ある。
「待て」
大声で咎める声があった。少年の声であった。
その声に、まつを始め全員が驚嘆した。元より
此処に潜んで居るのでもない限り、この遠く離れた
草深い場所での声が街道から聴こえた事になる。
少年の声のあった方角に男どもが振り向くと、
一番体躯の良い、連中の頭領と思われる男が
有無を言わさず斬り掛った。少年は難なくその
一撃を掻い潜ると、一瞬で抜刀した。
「ははは、待て待て小娘」
男どもは戯れ合うように、次第にまつを街道
から離れるように追い詰めていった。その時で
ある。
「待て」
大声で咎める声があった。少年の声であった。
その声に、まつを始め全員が驚嘆した。元より
此処に潜んで居るのでもない限り、この遠く離れた
草深い場所での声が街道から聴こえた事になる。
少年の声のあった方角に男どもが振り向くと、
一番体躯の良い、連中の頭領と思われる男が
有無を言わさず斬り掛った。少年は難なくその
一撃を掻い潜ると、一瞬で抜刀した。
6:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/01/23(水) 07:37:08.469 :qbdIXhHxp.net
「鋭(えい)っ」
しかしその剣は飽く迄相手を怯ます為であり、
殺気は無かった。そう観ると男は渾身の力で剣を
少年に振り下ろした。
「箭合(やあ)っ」
少年はその渾身の一撃も難なく躱したと思うと、
又もや殺気のない剣で牽制した。
「闘(とう)っ」
そのぬらりくらりとした剣に苛立った男は、
怒気を帯びて少年に叫んだ。
「猪口才な、小童。名を、名を名乗れい」
その少年は道場帰りと見え、道着を着込み、
防具を着けていた。その胴は朱く、燃えるよう
であった。
「鋭(えい)っ」
しかしその剣は飽く迄相手を怯ます為であり、
殺気は無かった。そう観ると男は渾身の力で剣を
少年に振り下ろした。
「箭合(やあ)っ」
少年はその渾身の一撃も難なく躱したと思うと、
又もや殺気のない剣で牽制した。
「闘(とう)っ」
そのぬらりくらりとした剣に苛立った男は、
怒気を帯びて少年に叫んだ。
「猪口才な、小童。名を、名を名乗れい」
その少年は道場帰りと見え、道着を着込み、
防具を着けていた。その胴は朱く、燃えるよう
であった。
9:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/01/23(水) 07:37:56.657 :qbdIXhHxp.net
「北辰一刀流、金野(きんの)鈴之助である。
賊ども、神妙にせよ」
何処からとも無く太鼓が打ち鳴らされ、響き渡る。
どんかかどん、どんかかかどんか、
どんかかどん、どんかかかどんか。
「剣を取りて日乃本一に、宿望大きし剣客童子。
孤子(こし)であろうと破顔一笑、
甲斐なき民には加勢する」
「応(おう)」
「鼓舞せよ、恃(たの)み入る、我らが傍輩」
詠うように口上を述べる鈴之助。
「北辰一刀流、金野(きんの)鈴之助である。
賊ども、神妙にせよ」
何処からとも無く太鼓が打ち鳴らされ、響き渡る。
どんかかどん、どんかかかどんか、
どんかかどん、どんかかかどんか。
「剣を取りて日乃本一に、宿望大きし剣客童子。
孤子(こし)であろうと破顔一笑、
甲斐なき民には加勢する」
「応(おう)」
「鼓舞せよ、恃(たの)み入る、我らが傍輩」
詠うように口上を述べる鈴之助。
11:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/01/23(水) 07:38:21.421 :qbdIXhHxp.net
「こやつ、玄武館の『赤胴』じゃ」
短躯の男が言うと、長身の男が驚いたように叫ぶ。
「げえ、赤胴鈴之助」
相手が『赤胴』鈴之助と知れると、忽ちに二人
とも遁げ出した。
「貴殿は遁げぬのか」
「戯けるな、小童。貴様こそ覚悟せい」
男は言うやいなや切っ先を鈴之助の喉に向け、
一直線に突いた。突いたように思った。その
刹那、鈴之助は男の肩を峰で打ち付けていた。
「ぐお」
「こやつ、玄武館の『赤胴』じゃ」
短躯の男が言うと、長身の男が驚いたように叫ぶ。
「げえ、赤胴鈴之助」
相手が『赤胴』鈴之助と知れると、忽ちに二人
とも遁げ出した。
「貴殿は遁げぬのか」
「戯けるな、小童。貴様こそ覚悟せい」
男は言うやいなや切っ先を鈴之助の喉に向け、
一直線に突いた。突いたように思った。その
刹那、鈴之助は男の肩を峰で打ち付けていた。
「ぐお」
13:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/01/23(水) 07:38:48.705 :qbdIXhHxp.net
肩を砕かれ、男はその場に崩れ落ちた。その男
には興味が無いように背を向け、鈴之助はまつに
声を掛けた。
「お女中、大事ないか」
「ありがとうござります。お蔭様にて助かりましてございます」
「重畳じゃ。良ければそこまで相伴いたす」
こうしてまた人助けをした鈴之助であったが、
その剣の道はまだ半ばであった。
鈴之助剣客始末 ~窮奇乃剣~ 了
肩を砕かれ、男はその場に崩れ落ちた。その男
には興味が無いように背を向け、鈴之助はまつに
声を掛けた。
「お女中、大事ないか」
「ありがとうござります。お蔭様にて助かりましてございます」
「重畳じゃ。良ければそこまで相伴いたす」
こうしてまた人助けをした鈴之助であったが、
その剣の道はまだ半ばであった。
鈴之助剣客始末 ~窮奇乃剣~ 了
14:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/01/23(水) 07:40:11.592 :qbdIXhHxp.net
赤胴鈴之助の主題歌が頭から離れなくてやった
後悔はしている 余計に頭から離れなくなった…
後悔はしている 余計に頭から離れなくなった…
17:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/01/23(水) 07:40:40.712 :3kuOJwxrr.net
赤胴鈴乃助かよ懐かしいなおい
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